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エンパイアウォー⑨~地球温暖化ってレベルじゃねーぞ!

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●熱波の世界
 まるでドームで覆われたかのように、山陽道周辺に熱が籠る。夜間でも三十五度超えが続く異常気象に、一帯の植物は生気を失いぐったりと項垂れる。
 無論、人間とて無事では済まない。行軍中の幕府軍が通れば、熱が水分と体力を奪い、一気に死に至らしめることも容易い。
 そして、魔軍将コルテスが起動したこの儀式は、未だ完全成就の道半ばだというのだ。

●考えただけで暑いです……
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が『ぐりもあのーと』でパタパタと風を顔に送りながらグリモアベースにやってくる。長いストレートの髪がヒラヒラ靡いていた。
「季節が季節とは言え、暑いと大変ですねー……ですが、これから皆さんをお連れするのは、こんなものではないかもしれません。概要を説明しますね」
 団扇代わりに使っていたぐりもあのーとを両手で広げ、集まった猟兵達に今回の作戦を伝える。
「場所は山陽道の、幕府軍よりいくらか先行した場所になります。そこでは、侵略渡来人・コルテスにより生み出されたオブリビオンによる儀式が行われており、そのせいで今、山陽道は超熱帯状態になっているんです! 日中は四十度を超え、もう何日もしないうちに五十度へ届こうかという勢いでどんどん暑くなってます! このままでは行軍中の幕府軍が皆、行き倒れてしまいます!」
 科学技術や魔法が発展している他の世界においても五十度に達する気温への対応は困難。まして、そのような技術をほとんど持たないサムライエンパイアの現地住人では、もはや為す術がないと言っていい。
「気温だけではありません。コルテスは『南米原産の風土病』を幕府軍内に撒き散らして、一気に全滅させようとしているようです。コルテスの策略にはまってしまえば……おそらく山陽道を通る幕府軍は一日ともたないでしょう。そんなことになれば、ここまで頑張ってきたのが水の泡です。絶対に阻止しなければなりません」
 確実に死を齎す敵の非道な策略は、絶対に許してはならないのだ。
「皆さんにお願いしたいのは、これから向かう場所で儀式を執り行っているオブリビオンの撃破です。風土病に関しては、山陽道を襲う熱波を取り払ってしまえば死滅するので、特別対応する必要はないですね」
 オブリビオンを倒し、儀式を止める。また、儀式に使用されている『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』の破壊という使命もあるが、オブリビオンさえ倒してしまえば障害はないため、深く考える必要はない。
「オブリビオンは『浪人』――落ちぶれた侍ですね。人間のように見えますが、れっきとしたオブリビオンです。強力な攻撃を放ち、こちらのユーベルコードを相殺する技も併せ持っています。集団ではありますが、各個体も決して弱いわけではありません。気を付けてください」
 また、オブリビオンにとって、霊玉は決して壊されてはならない物。先に破壊しようと行動を起こせば全力で妨害してくるため、収拾がつかなくなる。数は力。いかに強い猟兵と言えど相当な危険が伴うため、避けたほうが賢明なようだ。
「正念場、と言うにはまだ早い気がしますが、状況が状況なので耐え、凌ぐ時かもしれません。ですが、皆さんならできます! 私は信じてます! どうか、よろしくお願いします!」
 戦いは続く。ロザリアは最後に深く頭を下げ、猟兵達への説明を締めた。


沙雪海都
●このシナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 朝からずーっとクーラーつけっぱなしという生活が続いてます。暑い……。
 皆様も夏バテや熱中症にお気を付けください。

●概要
 『浪人』との集団戦です。
 山陽道の道中。人が通る道なので特に障害等はありません。

●霊玉の破壊について
 浪人を全て倒しきったら(🔵が成功数に達したら)特にプレイングに明記されていなくとも破壊描写が入ります。地面に叩きつけるとか簡単なものです。
 そのため、プレイング自体は浪人を倒すことのみで問題ありません。

 霊玉の破壊を優先する行動をとってしまうと、大量の浪人に殺到され対処不能に陥るため失敗、もしくは不採用になりますのでご注意下さい。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『浪人』

POW   :    侍の意地
【攻撃をわざと受け、返り血と共に反撃の一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    怨念の返り血
【自身の返り血や血飛沫また意図的に放った血】が命中した対象を燃やす。放たれた【返り血や血飛沫、燃える血による】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    斬られ慣れ
対象のユーベルコードに対し【被弾したら回転し仰け反り倒れるアクション】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:箱ノ山かすむ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

今回ばかりはテメェらの意地とやらには付き合わねぇ
人を人とも思わぬ外道の手先共、この俺が…成敗してやるぜ!

【フルスピード・スカイドライブ】を発動して上空から突入。上空からバイク形態のライドランを槍形態に変形させて【槍投げ】で発射、【エクスプローシブ・ドラゴンライド】を叩き込むぜ。攻撃後は光の鎖で拘束した浪人を使って【怪力】でぶん回し、他の浪人を巻き込んだ【範囲攻撃】で追撃だ!
接近されると敵のUCが来るが…上空からぶっ叩けば問題ねぇな!

霊玉は戦闘後に余裕があれば【フルスピード・スカイドライブ】で富士山まで返してくるぜ。壊さなくたって、ひとっ飛びだぜ!



●光の戦士は天より出づる
 剣客万来。
 これは、武士の一騎打ちなどという風情あるものではない。
 数多の刃が交わる、戦争だ。

 見上げれば空には白い雲――否、それは蒸気だった。大型バイク『ライドラン』の最大出力。その中を潜り抜け、飛び出してきたのは。
「今回ばかりはテメェらの意地とやらには付き合わねぇ。人を人とも思わぬ外道の手先共、この俺が……成敗してやるぜ!」
 アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)が咆哮する。異人を思わせる風貌と派手な登場に、浪人は揃ってアーサーを見上げた。

 ――【Select……DRIVE ACTION!】

 音声を発し、ライドランは急激に形を変え、アーサーの手の中に収まった。宙に仁王立ちするアーサーが、眼下に浪人の群れを見る。
 真剣を抜き、上段に構え、待ち受ける。
 受けて立つ。無言の意思表示だ。
「上空からぶっ叩く! それで問題ねぇな!」
 刃を交差する一瞬。それが浪人の無の境地、侍の意地。しかしそれがいかに強力であろうと、届かなければ意味がない。
 アーサーは遥か頭上で槍に力を込めていた。
「行くぜ、ライドラン! 俺たちの一撃……受けてみやがれ!!」
 槍がアーサーの手から解き放たれた。十分に反らした体で反動をつけ、浪人達の中へ光の槍を撃ち込んだ。
 一瞬にして周囲を真白に染める閃光が浪人の剣を弾いて突き刺さり、次いで紅蓮の爆炎が広がる。焼け爛れた体を這って流れる鮮血がより紅き熱を受け蒸発し、巻き込まれた浪人達は反撃の間もなく焼失した。
 目標を爆破した槍はさらに光の鎖を伸ばし、爆炎の外で火傷を負った浪人とアーサーを繋ぐ。
「ぅおらぁっ!!」
 鎖を手繰り寄せ、空中で体を回転させて浪人を巻き上げた。胴にがっちり鎖が食い込んだ状態で浪人が宙へ持ち上がる。
 接近。この一瞬が浪人の間合いだった。引き上げられる勢いに乗せて真一文字に刀を薙ぐ――が、遠心力で大きく振り出され、切っ先すらアーサーを掠めることができなかった。
 浪人の体がアーサーの頭上に投げ出された。最高到達点。そこからは自らの体が錘となって落下するだけ。
 アーサーはそれを利用する。ビンと張った鎖の先、浪人の重量を感じながら強く手元に鎖を引いた。振り子となって高速で地上スレスレの位置まで落ちた浪人は、地上の浪人達に激しく衝突し蹴散らしていく。
 集団を一列分薙ぎ払った浪人の体には、アーサーを迎え撃とうと構えていた地上の浪人の真剣が墓標のように無数に突き刺さっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
…熱い…わね
こういう時、ある程度調整の利くサイボーグになった事が良かったと思えるわ…
後の凶事を起こさぬよう、手早く撃滅しましょう

さて、浪人の対処なのだけど…予知を効く限り、私なら対処しやすいかもしれないわ
前衛は完全に同僚さんに任せて、私は後衛から【援護射撃】…砲撃支援するわね
どうしても接近されるようなら、猟犬に【騎乗】して逃げるわよ
『我が砲火は未来の為に』
相手の位置をドローンで把握し、呼び出した大型の迫撃砲(攻撃力重視)で砲弾を戦場へと撃ち込むわ
返り血対策に相手の後衛に撃ち込む感じかしら?意地はそもそも距離が遠いから…
…斬られ慣れ?大型の砲弾にどうやるのか、少し気になるわ…

※アドリブ・絡み歓迎


エスタシュ・ロックドア
【火焔耐性】は持っちゃいるが暑熱はまた別だよなぁ
浪人連中が何を思ってアンニャローの下に付いたんだか
ま、考えたってしょーがねぇか
要は斬ってしまえば良いんだろ?

『羅刹旋風』でフリントをぶん回すぜ
動きが読まれっから中々使いどころが難しいんだが、
意地でわざと受けてくれるらしいじゃねぇか
良い意気だ、喰らいやがれ
羅刹の【怪力】で振るう鉄塊剣を受けて、
反撃できるもんならな
横薙ぎに振るって【なぎ払い】【吹き飛ばし】だ

それでも反撃して来たら大した奴だ
こっちも受けてやろうじゃねぇか
【激痛耐性】で耐えつつ【カウンター】
至近距離なら拳の方が分があるか、
アッパーで顎を狙うぜ



●意地も通らぬ力量差
 酷暑。そんな言葉で表せるくらいの暑さなら、まだ可愛いものなのかもしれない。
「……熱い……わね。こういう時、ある程度調整の利くサイボーグになった事が良かったと思えるわ……」
「へぇ、便利なモンだ。俺も火炎耐性は持っちゃいるが……この暑熱を耐えるかどうか、ってのはまた別だなぁ」
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)とエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)が体感する、燃えるような暑さ。一般人であれば活動限界を超えているであろう中でも、彼らの表情にはどこか余裕が見て取れた。
「さて、浪人の対処なのだけど……前衛は任せてもいいかしら? 後ろからぶっ放すほうが性に合ってるのよ、私」
「陣形にゃ興味ねぇが、要は前で斬ってりゃ良いんだろ? 任せな」
 散乱した砂をざりざりと踏み鳴らし、エスタシュが『フリント』を持ち上げ前に出る。
「浪人連中が何を思ってアンニャローの下に付いたんだか……ま、考えたってしょーがねぇか」
「今はこの場を制するのが私達の役目……後の凶事を起こさぬよう、手早く撃滅しましょう」
 エメラが『魔導蒸気ドローン』を展開し始め、エスタシュの双眸がギロリと鋭く形を変えた。
「行くぜオラァ!!」
 浪人達を威圧しながらエスタシュがフリントを頭上で振り回し、猛進。次なる攻撃のための準備動作であり動きを読まれやすくなるのが難点だが、気圧されながらも浪人達は「受けるべく」真剣を真っ直ぐ構える。
 敢えて攻撃を受けることが浪人達の攻撃のトリガー。これほど都合のいいことはない。
「意地でわざと受けるんだってなぁ……良い意気だ、喰らいやがれ!!」
 密に詰まった浪人の壁をエスタシュはフリントの一撃で薙ぎ払った。まるで暴風。残像が残るほどの剣速で周囲の空気が巻き込まれ、剣圧で浮かされた浪人達の体が後方へと吹き飛んだ。紙切れのように舞う体が別の浪人を巻き込み袋小路が開けていた。
『大型、小型、重砲、狙撃砲、機関砲……さて、どんな砲で撃ち抜こうかしら?』
 デートの際の服を選ぶような口調で、エメラは浪人達へ見舞う砲を口ずさむ。
 そして召喚したのは大型の迫撃砲。召喚できるものの中では抜群の攻撃力を誇る。砲口に射角をつけ、ドローンから転送された情報をもとに、標的までの距離を測る。
「浪人の攻撃は気にしなくてもよさそうな気がするけれど……一応ね」
 ズドン、と全身に打ち付ける発射音と共に、砲弾が撃ち出された。描く放物線はエスタシュの頭上を越え、後方に控える浪人達を直撃した。何体もの浪人達が押しつぶされ、当たらずとも振動と衝撃波で浪人達は円形に弾き出されていた。
 方向を変えながら、第二、第三と絶え間なく砲弾を敵陣へ落とし、戦列を崩す。前に出ようとすれば、そこには怪力を振るう羅刹がいる。
 エメラへの凶刃は届かない。
 一方向からの攻めではあったが、挟撃の形で浪人達は攻め立てられていた。
「反撃できるもんなら、してみやがれ!!」
 己の膂力を存分に発揮した大振りの一撃が押し出された浪人達に襲い掛かった。程よい肉付きの体が輪切りにされ崩れ落ちる中、多少距離があったため骨を残した浪人が血を流しながらエスタシュに迫る。
「はっ、大した奴だ。ならこっちも受けてやろうじゃねぇか」
 古傷がいくつも刻まれた肉体を己が鎧とし、浪人の剣閃に立ち向かう。逆袈裟に走った刃が腹を細く裂いた。
 古傷に重なる。その痛みに耐え、拳をミチミチと握り込む。
「この程度で意地とか言ってんじゃねぇよ」
 力を込め、膨らんだ剛腕が浪人の真下から繰り出された。高速アッパーが顎に突き刺さり、首がぐにゃりと後ろに曲がった状態で宙へ放られた。
 顔は下半分が潰れ、血を散らしながら力無く空を漂う。そのまま落ちてしまっても助からなかっただろうが。
「あら、丁度いいところに浮いたわね」
 ふっ、と闇の中に取り込まれたかと思うと、降ってきた黒鉄の砲弾が理不尽な質量で貼りつくようにぶち当たり、地上に健在だった浪人達も、手にしていた真剣も、そして地面もそっくり纏めて圧し潰した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)

あつい……普通の人たちには確かに厳しいかも
わたしは平気だよ…ちょっとクラクラするけど、平気だよ?
兎に角、出来るだけ早く終わらせなきゃね

前準備として、水分をたっぷり含ませた苔植物を増やして全身を覆う
暑さ対策と炎対策だよ(属性攻撃、オーラ防御)

【魅了・蠱惑坩堝】を発動
広範囲に蜜を垂らして、まずは相手の動きを鈍らせるよ
この暑さだとすぐに蒸発しそう…でも、それもいいかな(範囲攻撃、地形の利用、魅了)
そうして動けなくなった所を、爪で次々に引き裂いていく(怪力、衝撃波)

燃える血なんて珍しいけど…今はいいや
それより冷たいものが欲しいなぁ…


有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

(医者を目指していたこともあるので)病で全滅を狙うコルテスの策略は容認できません
風土病を撒き散らそうなどと、そんな真似許されるはずがありません
オブリビオンを倒し、この儀式をなんとしても止めてみせます
敵の排除だけを考えればいい、とのことでしたのでそちらを優先

処刑人の剣を構え、敵と対峙
呼吸を整えたらトランプを掲げ【執行者たるトランプ兵】を発動
発動と同時に一気に距離を詰めて敵を追撃
剣で斬りつける。狙うは首・足・手。容赦はしない
「……さよならの時間です」

敵の物理攻撃は【武器受け】で対処し、それ以外の攻撃は【見切り】で回避
【第六感】【野生の勘】で危険を察知したら、なるべく敵から距離をとる


ラヴ・フェイタリティ
【アドリブ歓迎】
ファッキンホット(クソ暑い)!やってくれるじゃねぇかオブ公め…次に会ったら中に果物つめた白熊くん用氷塊でぶん殴ってやる…!

しかしさっさと玉ぶち壊したいのにめんどくせぇおっさんらだぜ…。この怒りをヒロインパワーに変えて、属性を引き出す!ユーベルコード発動だオラァ!別に変身しても涼しくならない!ファッキンサマー(クソ夏い)!!
文句言ってても終わらないのでちまちまおっさんらをぶちのめす。大体空から鋏を操るかサイコキネシスで動きを止めたところをエナジードレインで終わるだろ…。なんか仰け反ってマトリクスなことしようとした奴は念入りに金縛りにしてしおぷ~にしてやる。



●攻撃を我慢した結果がこれだよ!
「ファッキンホット(クソ暑い)!」
 こんな世界に誰がした。ああ、オブリビオンだ。
「やってくれるじゃねぇかオブ公め……次に会ったら中に果物つめた白熊くん用氷塊でぶん殴ってやる……!」
 尋常でない暑さに業を煮やすラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)はなかなかに軽快かつ毒のある表現でオブリビオンに敵意を向ける。次は次として、今回はどうしてやろうかと手をわきわきさせながら浪人達を睨んでいた。
「あつい……」
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)はとろんと垂れた瞳で両腕をぶーらぶら。呼吸するのも暑苦しい。
「普通の人たちには確かに厳しいかも」
「そうですね……。それに、風土病を撒き散らすこともコルテスの策略の内にあるということですし……この儀式、何としても止めないといけませんね」
 穏健な話しぶりの有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)が、寂寥感のある紅い瞳に力を込め、儀式の阻止を誓う。
 かつて医師を目指していたこともあった。望まぬ病に苦しむ者もいる現実。それでも人はうまく付き合い、必死に生きているというのに。
 病を人殺しの道具に使うなど言語道断。夏介は一切を否定する。
「それより……大丈夫ですか?」
 夏介はゆらゆらと体を揺らすアウルを見上げた。
「わたしは平気だよ……ちょっとクラクラするけど、平気だよ?」
 アウルはぎゅっと握り拳を作り笑ってみせるが、ラヴが下からジトッとした視線を向けていた。
「いや、その髪の量はやべぇ。歩く天然サウナかよ。このままじゃお前、ソッコーでオダブツじゃねぇか」
「そうかなあ」
 アウルは試しに髪を撫でてみた。確かに熱い気もしたが、むしろ体感したのは夏介とラヴのほうだった。ふわっと膨らんだ髪が揺れ、中に含んだ空気が熱風となって噴き出していた。
「……これは、急いだほうが賢明ですか」
「……あぁ、玉ぶち壊しゃミッションクリアだ。さっさとやっちまうに限るぜ」
「うん、出来るだけ早く終わらせなきゃね」
 浪人は半数ほどまで減っている。ここが頑張り時だ。

「暑さ対策とか、しとかないとねー」
 アウルは水分をたっぷり含ませた苔植物を増やし、全身を深緑に覆っていく。これで体感的な部分で暑さが和らぎ、敵の攻撃にも備えることができた。
「しかし、めんどくせぇおっさんらだぜ……。律儀に玉を守りやがるから全部倒さないと終わらねぇとかマジファッキンサムライ(クソ侍)! あーあーこの怒りぶつけてやらねぇと気が済まねぇ! ヒロインパワーでユーベルコード発動だオラァ!!」
 怒りを源としたヒロインパワーがラヴの姿を変えていく。髪は赤みが抜けて薄茶色になり、衣装も黒を基調としたレンジャー風スーツに早変わり。
『フリーズ! 正義の超ヒロインラヴ様登場だ! ドレインされてしおぷ~になりたくなきゃ大人しくしな!』
 変身ヒロインのお約束の向上を述べるラヴ。びしっと絶ち鋏を浪人達に突きつけ決めポーズ。しかし、変身と共に披露した細い素足を、熱い空気が触れていく。
「別に変身しても涼しくならない! ファッキンサマー(クソ夏い)!!」
 ラヴは地団駄を踏んでいた。
「さて、どうしますか? あの浪人達、なかなか仕掛けてこないようですが」
 真剣を正眼に構え、じっと三人を睨むだけ。先に起こっている戦いにおいても、浪人は猟兵の攻撃を利用した反撃を繰り出している。
「またこっちの攻撃に合わせて何か企んでんだろ……? そんなの、動きを止めりゃほとんど終わるだろ……」
「動きを止めればいいのかな? じゃあわたしがやるよー」
 アウルがとことこと前に出る。
 そんな擬音で表現できれば理想だった。実際は歩くだけで振動を感じた。
『甘ぁい夢を見ましょう』
 浪人達に甘ぁく語り掛けると、アウルの表面を覆う苔植物から大量の甘ったるい香りを漂わせる蜜が放たれた。薄く大きく、ピザ生地のように広がり浪人の頭上に降り注ぐ。
「どうせなら合わせ技だぜ!」
 ラヴがヒロインパワーでアウルの顔辺りの高さまで飛び上がり、サイコキネシスを浪人達に飛ばす。
 念動力と蜜の二重の縛りが浪人達に襲い掛かった。蜜に備えてユーベルコードの無効化を図ろうと身構えた浪人達へ無色の力が先に作用し虚を突く形で動きを封じ、そこへ纏わりつく蜜を浴びていよいよ動けなくなる。
「反撃の手段を封じれば、あとは――」
 夏介は『処刑人の剣』を取る。対峙した浪人は頭から蜜まみれで、さらにサイコキネシスの効果もあり指一本動かせない状態だ。
 大きく息を吐き、静かに呼吸を整える。
 トランプを一枚。スペードのエースを取り出し、指に挟んで突きつけた。
『判決はくだった』
 天の裁き。光が落ち、浪人を穿つ。
「……さよならの時間です」
 同時に夏介は一気に詰め寄り剣を三度、振り抜いた。
 足を斬り、腕を断つ。そして最後に首を刎ねた。
 蜜溜まりに浪人の体が崩れていった。
「よーし、動かねぇな? んじゃ、このままぶちのめす!」
「おー」
 アウルとラヴも浪人達の殲滅に乗り出した。
 体躯の差はそのまま膂力の差にも繋がる。真上から圧迫するアウルの脅威。腕を伸ばし、怪力に任せて爪を振るった。金魚すくいならぬ浪人すくい。しかし現実は鋭い爪が浪人達のどてっぱらに風穴を開け、衝撃波がその体を軽々と宙に舞い上げていた。
 一歩進んで一薙ぎで多くの浪人達を刈り取っていく。まるで雑草をむしり取るような、ちょっぴり単調な作業も世界を守るため、とアウルは頑張っている。
「万が一動いたら優先的にしおぷ~だオラァ!! 動かなくてもそのうちしおぷ~だからそんなに変わんねぇ!!」
 ラヴの絶ち鋏が浪人達の間を泳ぎ回り、ジャキジャキと刻んだ。一つ傷を負わせれば、そこからエナジードレインで一気に力を吸い取れる。干からびたナメクジとなった浪人達がぺたんと地面に倒れ、動かなくなる。
「このまま一気に押し切りましょう」
 蜜とサイコキネシスで確実に浪人の動きを止め、三人で一気に攻勢に出る。
 一度ハマれば実に爽快な連携だった。浪人の戦力が瞬く間に削られていく。
 そして――。
「ていっ」
 爪ばかりだと飽きたのか、アウルは指を揃えて浪人の顔をぺちんと叩いた。
 そんな擬音で表現できれば理想だった。実際はびたん、ごきん、ぐしゃっ、だった。
 首が折れる音がした。最後の浪人の最期はビンタ死だった。無念。
「……で、あれが霊玉というやつですか」
 浪人を殲滅した先にあったのは、霊玉が鎮座した台座だ。深い青色に怪しく光る霊玉を、夏介は手に取る。
 力を感じる。世界にとって良くない力だ。
「これで儀式が、終わる――」
 手の力を抜いた。霊玉が零れ落ちていく。
 パン、と乾いた音を立てて霊玉は粉々に砕けた。
「終わったねー。あーあ、冷たいものが欲しいなぁ……」
「同感だぜ。ようやくファッキンホットなファッキンサマーとオサラバだ」

 コルテスの野望を一つ打ち砕き、三人は肩を並べて帰途につく――いや、後ろから見れば、三人の形は凸だった。それも、左右で歪な。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月15日


挿絵イラスト