エンパイアウォー⑨~熱波の国の雪女
●とある峠の大惨事
「ぐああ……もうダメ……暑すぎ……る」
山陽道にあるとある峠道には死屍累々の者達がそこら中で倒れていた。
あまりの熱波に苦しみ倒れる者が続出し、すぐ脇にある水場へ涼を求め駆け寄った兵士達はそこにいたオブリビオン達に次々と襲われ次々と倒れていくのだ。
「ここは……私達が占領していますから……ぶくぶくぶく」
水場で暑さを凌ごうとしていたのは何も兵士達だけではなかったのだ。
そう、この30℃などとっくに越えている熱波の中で雪女見習い達は自分達まで溶けそうになり水辺で涼もうとしていたのだ。
なんという地獄絵図、長州藩士を生贄にして呼び出されたのがよりによってこの雪女見習い達。
色々な意味で長州藩士がうかばれないなんてものではない。
「あ”あ”あ”……溶ける……っ、早く凍えて死んでくださーい!」
「あーっ、涼しいぃぃぃっ……うっ」
腰まで水に漬かりながら近づくものに氷の息吹を吹きかけるが、倒れる前に微妙に感謝されてるはどうにかならないだろうか。
気象兵器と呼ばれる類の防ぎようのない作戦に幕府軍は大きく苦労することだろう。
「侵略渡来人・コルテス様のご命令とはいえ……まさに非道、ええ非道な作戦ですわ!」「えぇ……敵にも味方にも優しくない……まさに非道……」
さらに暑さが増したような気がするが雪女達にがするべきことから逃げ出すような者はいない。
「この富士の力を蓄えた霊玉、守り切りますよみんな!」
「「「おー!」」」
雪女見習い達の可愛い掛け声が水辺に響くのだった。
●グリモアベース
「夏が暑いのはわかりますが限度てものがありますよね~」
グリモア猟兵の村雨・ベルがやってられないとばかりに水着で団扇を仰ぎながら猟兵達に説明を始めた。
外はとっくに30℃を越え暑いなどというものではない、油断していたらあっというまに熱中症になってしまうだろう。
「侵略渡来人・コルテスが長州藩(山口県辺り)の毛利一族を手駒にして多くのオブリビオンを生み出しておりますて、その戦力をもって幕府軍の迎撃準備を整えているんです」
討幕運動は幕末までもうちょっと大人しくしておいてほしいものですがといらない一言もついてくるがこれも暑さゆえだろう。
「まーこれがシンプルかつ嫌な方法で『山陽道周辺の気温を極限まで暑くして、進軍してくる幕府軍を熱波によって茹で殺す』という非道極まりないやつでして」
温度計を見てみるとすでに30℃を軽く越えている。
「今日の時点で平均気温は夜間でも35度を超えていて、このまま儀式が進めば平均気温が50度を超えるのでは予知が出てるんですよ」
この世界にはクーラーなんてありませんし、進軍してくる兵士達はそれでなくとも野宿ばかりですしねと付け加える。
さらに暑さに耐えれたとしても……っと嫌そうな顔をする。
「何がいやらしいかといえば同時に『南米原産の風土病』も蔓延させて兵士達を皆殺しにしようとしているのですね」
暑さに加え病気が加われば数万人単位の死者が出ても何もおかしくはない、現代社会と違いこの世界にはまだ医療設備は完備などしていないのだから。
「が……そこはご安心を! このウィルスは極度の高温でなければ死滅する種類、つまりはオブリビオンを倒し熱波を止めれば自然にそちらも解決するって寸法です」
敵を倒すだけでいいのかという質問に村雨・ベルは何かボールのような物のイラストを見せてTARGETと書き込んだ。
「敵はこの『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』を使って儀式を行っているので、これを奪って破壊することで儀式が止めちゃってください!」
やることはシンプルだ、だがあちこちに手を取られて後手後手に回っているのが実情、どこかで逆転の目を出したいところなのだが……。
「今は出来ることからやっちゃいましょう、ちょっとばかり現地は暑いんで薄着のほうが動きやすいと私は思いますよ! 水着とか最高ですよね!」
そう言いながら全員を見渡すと村雨・ベルは手を振り皆を送り出すのだった。
轟天
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
水辺で守りを固める雪女見習い達を撃滅し儀式に使われているオーブを砕く、というのが目標になります。
それぞれが自分らしく戦い楽しんでもらえればなと思います。
それでは熱い(涼しげな)プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『雪女見習い』
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POW : ふぅふぅしてみる
【くいくいと対象を引っ張る動作】が命中した対象に対し、高威力高命中の【凍てつく氷の吐息】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : とにかくふぶいてみる
【全力で吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : みようみまねのゆうわく
予め【足を魅せる等の誘惑行動をとって赤面する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
イラスト:煤すずみ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
上野・イオナ
雪女も居るし暑いのか寒いのか分からなーい!あと水着持ってないや!
とりあえず戦闘兵器召喚!【ランドタイタンロボ】
(乗り込む)
ロボ『おかえりなさいませ、パイロット。《MC-16XO》型、コレより戦闘行動を開始します。』
「その前にエアコンをお願いします!」
やったぁ!コックピット快適〜!
とりあえず遠くから射撃。近づかれても装甲である程度はなんとかなるかな。
彼女達に怨みはないけど幕府軍の皆を助けるためにココでケチらそう。
●
山陽道の峠に転送されその第一歩を踏みしめた上野・イオナ(レインボードリーム・f03734)は記念すべき第一声を発した。
「あっ……づう”う”う”う”う”ぃ!?」
それはそれはもう隠密行動とかしてたらもうバレバレたったよねとばかりに声が森に響いた。
まあ隠れるつもりなど無かったとはいえこの暑さは並大抵の暑さとはほど遠い。
先ほどまでグリモアベースにいたためにわからなかったが、普段着でここに来たイオナの服の中はあっという間に汗が噴出し大変なことになっている。
(水着持ってないから仕方ないや……)
なあに大丈夫ですよイオナさん、そんな時は脱げばいいのです脱げば……というような幻覚まで聞こえてきた。
ようやく水場に辿り着くとそこに見えるのは、イオナよりもとっくの昔に暑さにやられてぐったり水辺で倒れている雪女見習い達……。
もうなんていうか幕府軍が来るタイムリミットさえ無ければ勝手に自滅しちゃうんじゃなかろうか。
「あ……誰か来たみたい、やっつけましょう……」
「えぇ……空気呼んでほしい……」
なんかもう来ただけで散々な言われようだが気にしてはいけない。
きとあれも油断させるための罠(?)に違いない……はず?
イオナとてこのまま戦う気にはなれない、なんというか色々と無理がある、だからこそ剣を天に掲げ大きく叫んだ。
「戦闘ロボ《MC-16XO》型、出撃!」
途端に目の前の水辺に大きな水柱が上がった。
「「きゃああああ!?」」
涼んでいた雪女見習い達が水と共に飛ばされ周囲に着地する。
その間に開放されたライドタイタンロボのコクピットへとポーズを決めつつ乗り込み席に着いた。
『おかえりなさいませ、パイロット。《MC-16XO》型、メインシステム起動コレより戦闘行動を開始します』
制御用のAIが電子音声で話しかけるとイオナは今回最大のシリアス顔で最初のコードを発動した。
「その前にエアコンお願いします!」
狭いコクピット内の空調の利く速度はあっという間の事で先ほどまで止まらなかった汗が引き一気に快適な温度に調整された。
小躍りするような喜びに包まれつつ早速右グリップの射撃システムのロックを解除し武装を選択した。
それに呼応し回り始める巨大チェーンガンに雪女見習い達が一斉に散開し全力で吹雪を吹き付けてきた。
脚部などにいくつか命中するが即座に動けなくなるということはない、イオナが次々とターゲットをロックし残弾を計算しつつニヤリと笑う。
「君達に恨みは無いけど幕府軍の皆を助けるために……ごめんね!」
トリガーを引いた瞬間大きな爆音と共にチェーンガンから次々と弾丸が撃ちだされ水面にいくつも巨大な水柱があがった。
こうして山陽道の峠で人知れずこれからの戦いを左右する作戦が開始されたのだった。
成功
🔵🔵🔴
シル・ウィンディア
・衣装:2019年度水着
あ、あづい…
こ、これは、ほんとたまったもんじゃないね
ちゃちゃっと片づけて、水浴びするぞーっ!
この暑さをどうにかするには
【属性攻撃】でビームシールドに氷属性を付与
相手の吹雪を防ぎつつ自分も涼めるから一石二鳥っ♪
その後に
【空中戦】【残像】【フェイント】を駆使して
水辺へダイブしつつ敵の周りを
水上スキーよろしく回っていくね
回りつつも杖の先に光刃を二本接合させた
ツイン・ビーム・スピアモードで
【なぎ払い】を行うね
敵がわらわら集まってきたら
【高速詠唱】と【全力魔法】のUCを使用
…まとめて、いっちゃえーっ!!
敵の攻撃は
【第六感】で感じて【見切り】で回避
被弾時は【盾受け】と【オーラ防御】
●
「あ、あづい…」
山陽道の山奥にシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)のどうしようもない声が漏れてしまうが、それも仕方がない気温はどんどん上昇しすでに体温ぐらいには十分高まっているのだから。
(こ、これは、ほんとたまったもんじゃないね……ちゃちゃっと片づけて、水浴びするぞーっ!)
言うなり着ていた上着を投げ捨てる!
今年の水着コンテストで新調したばかりのワンピース風水着を可憐に着こなすシルの姿がそこにはあった。
水着のひらひらがとても可愛くリボンがワンポイントとしてとてもチャーミング、まさに避暑に着たような軽装でこれから戦うにはあまりにばっちりな……って誰だー、ってグリモア猟兵が言ってましたねうんそれならしょうがないね。
「あっ、また誰か来たー」
「むー許せませんね、私達が諸般の事情で着替えれなくて着物のままなのに許せない!」
雪女見習い達の視線が一斉にシルに注がれ次々にずぶ濡れのまま駆け寄り始めた。
「えぇーい♪」
笑顔で氷の属性を持たせたビームシールドを展開するとさっそく吹雪がいくつも命中し氷の結晶が舞い散った。
(んー、涼しーい♪ これは一石二鳥だね♪)
ちょっと涼めた所で水辺へと駆けそしてシルの小柄な身体は宙を舞い水面へと舞い降りる。
何本かの吹雪がシルに命中した瞬間姿が掻き消えそれが残像だったのだとようやく雪女見習い達は気付いたようだ。
だがその時点でシルはすでに水上の人、脚の裏に発生させたビームシールドをまるでスケートのようにし可憐に水面を滑っていく。
「あっ、なんか涼しそうでムカツク!」
足元を狙って放たれた吹雪を小ジャンプで避け空中で3回転半タインをキメ一気に雪女見習い達へと間合いを詰めていった。
「ふっふーん♪ ウィンタースポーツしてるみたいで最高っかも♪」
満面の笑顔のシルもただ遊んでいるわけではない、光刃をツイン・ビーム・スピアモードに変形させるとそれを真横に構え水面スレスレを薙ぎ払った。
「きゃっ こっこいつ!」
「くやしぃっ」
2人がそれに巻き込まれそのうち一人が氷の結晶になり砕けて散った、だがもう一人はよろけながらも手を伸ばしシルの腕をくいくいっと引っ張ると至近距離から凍てつく氷の吹雪を吹き付けてたちまちシルの水着の上半身が凍り付いてしまう。
とっさにオーラで守りを固めなければ心臓発作を起こしていてもおかしくない一撃だった。
だがそれもシルが可憐にターンを決め引き離すと飛ばされた雪女を仲間達が受け止め動きが止まった。
(今ならバッチリいけそうだね)
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ…。六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
ツインスピアの正面に魔方陣が現れ六属性の力が瞬時に充填されると……それを一気に翳し魔力を解放した。
「…まとめて、いっちゃえーっ!!」
六つの輝きが雪女見習い達を包み込み、そし水辺に大きな水柱が上がるのだった。
成功
🔵🔵🔴
御影・雪乃
あんまり暑いのは困ります、溶けます
いえ、ミレナリィドールなので
溶けはしませんが前世的に
なにやら他人事ではない気がする敵さんですが…。仮に種族的に繋がりがあっても知らない人、さらにオブリビオンとなれば遠慮は無しですね
…むしろ、どちらが先に氷に閉ざされるか、競いがいがあるというものでは…?
…それじゃ、遊びましょう?
自身は【氷結耐性】もあり結構耐えるので、ユベコで真の姿となり【高速詠唱】による【全力魔法】での冷気の属性の【属性攻撃】でガンガンいきます
敵を掴んだら纏う超低温の冷気で凍結狙い
どんな雪も固まれば動けなくなる…フフ…じっくりゆっくり氷漬けにするの、好きよ
(邪悪な微笑み
●アドリブアレンジ歓迎
●
くらりと眩暈がする。
あまりにも暑い、いったい何℃あるというのか温度計を見ればきっと嫌になるのがわかっている。
それにあまり暑すぎると自分が溶けてしまう……頭の上に乗っている雪うさぎも今にも溶けてしまいそうにぐったりしているようだ。
「いやまぁ……ミレニティドールなので溶けませんが……」
自虐的にふふっと小声で笑うと御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)はふらふらと森を抜け水場へと辿り着くことができた。
そう、これこそが決戦の場となるはずなのだが……。
「あー、また誰か来た」
「なんだか弱そうな子ね!」
口々に雪乃の姿を見て雪女見習い達がざわつき始める、それは雪乃にしても同じこと。
なぜか前世は雪女に近い存在で親近感まで沸いてしまう敵なのだが彼女達を倒さない事には事件は解決しないのだ。
(なにやら他人事ではない気がする敵さんですが…)
互いの姿を見つめあいゆっくりと歩み寄り近づいていく。
水辺から上がればあっという間に乾いていく着物、この戦場に満ちる気温はすでに常人ではすぐに倒れてしまうもの。
「宝玉……おとなしく差し出せば安らかに眠らせてあげます」
「その様子じゃ何かを知ってるみたいだけれど、生きて帰れると思わないことです!」
互いの凍れる瞳が交差しそして戦いは唐突に始まった。
いつの間にか回り込んでいた雪女見習い数人分の吹雪が雪乃に襲い掛かり白い靄でその姿が包まれてしまった。
だが周囲の熱波がその霞をあっという間に晴らせていくのだがそこに雪乃の姿はない、その代わりそこに立っていたのは氷の結晶と共に立つ白い着物の少女。
白銀の髪をたなびかせ口元を袖で隠す仕草はまさに可憐な雪女。
「ふむ……種族的な繋がりはあれど知らない子、さらにオブリビオンに遠慮は無しでいいですね……」
「そ、そんな……今のが効いていないだなんて!?」
「そ、それにその姿……っ」
吹雪でノーダメージだったこともだがその姿に雪女見習い達がどよめき立つ。
そこに立つのはどう見ても自分達の望む姿、いつかは到達したい雪女そのもの……。
「さあ見習いさん達。どちらが先に氷に閉ざされるか、競いがいがありますね……」
「はっ、はいお姉さま!」
「お、お胸お借りします」
急に態度が礼儀正しくなった気がするが雪乃はあまり気にしない。
雪女見習い達にとっては自分達に与えられた役割をこなしいつかは到達すべきものが目の前にいる、ならばこそ情けない姿は見せられないということだろう。
「…それじゃ、遊びましょう?」
雪乃のその一言と共に彼女を中心として地面を氷の波が近くにいた見習い達へと伸びそれが足に触れた瞬間、見習い達を包み込む氷柱が一瞬で出来上がりゴロリと転がった。
「くっ、さすがはお姉さま!」
「ならば両側からならいかがですっ!」
前後から突進してくる見習いの動きが雪乃に近づくにつれ遅くなり最後には壊れた玩具程度の速度しか出なくなりゆっくりと雪乃に抱きしめられた。
その姿は全身が凍りつき氷柱すら生えているほどで、雪乃を中心に熱波をもろともしない凍結空間が出来上がっていたのだ。
そして頬を両の手でさすりながら顔を近づけると接吻するかしないかの微妙な距離で凍れる吐息を口から漏らし……。
「どんな雪も固まれば動けなくなる…フフ…じっくりゆっくり氷漬けにするの、好きよ」
「あぁ……あぁ……♡ お姉さま素敵ぃ♡」
凍りながらも熱に浮かされたように潤んだ瞳を見せていた見習いは雪乃の胸の中で活動を停止しそして凍りつく。
熱波溢れる山陽道にこの時ばかりは涼やかな風が一瞬だけ流れていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
小烏・安芸
あのな? 正直に言うとウチ暑いの嫌いなんよ。器物に悪いから水場もあんまし好きやないんよ。水着とかあったら少しは違うんやろうけど、そういうんも持っとらんのよ。
そういうわけやから……大人げなくやらせてもらうわ。暑いし!
大人のマネして色気出すんもええけど、脚より足元に注意すべきやったな。そんなに暑いんが嫌や言うんなら、この鎖で無理矢理水辺から引っ張り出したる。ついでにぐるぐる巻きにして吊るしとけば誘惑も何もあったもんやないやろ。
……ああ、一応聞いとくわ。大人しく霊玉出してサクッと楽に仕留められるんと、このくそ暑い中宙ぶらりんのままチクチクされるんと、どっちがええ?
●
「あのな?正直に言うとウチ暑いの嫌いなんよ。器物に悪いから水場もあんまし好きやないんよ」
頭上を見上げ小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)が腰に手をあてやれやれとため息がちに話を続ける。
「水着とかあったら少しは違うんやろうけど、そういうんも持っとらんしな」
「え、ええと……脱ぐだけじゃダメでしょうかぁ~?」
頭上から返事がくるがやれやれと首を振り眼鏡の位置を直す。
暗にそれではダメなのだと言っているようだ
「そんなんじゃあかんのや……大人げなくやらせてもらうわ。暑いし!」
そう言いながら安芸の見上げる先には脚を錆まみれの鎖で括られ逆さ吊りにされた雪女見習いの姿が。
「……って、とっくに大人げないじゃないですかー!!」
必死で垂れてくる着物の裾を手で押さえてるのが微妙に哀愁を誘う。
幼子の外見でこれはもう犯罪臭しかしないのだが安芸はそんな事を気にする様子も無い。
「穿いてないから見えちゃう見えちゃいます、下ろしてくださーい!」
涙目で必死に着物の裾を押さえる雪女見習いの頬を指で突っつき、安芸はジト目で先ほどの出来事を思い出していた。
「えっえぇっと……あっはーんです」
水辺に辿り着いた安芸が最初に見た光景は、一人離れた場所で涼みながら見よう見まねのお色気練習をしている雪女見習いの姿で。
幼子すぎて性欲のスイッチの入りようがないというかこれで入ったら犯罪者やろとかツッコミまで入れたいレベルの代物なのだ。
「……なあ、キミ一応言うとくで。大人のマネして色気出すんもええけど……」
「は、はいぃ!?」
まさか着物の裾から生脚を出して誘惑する練習をしている最中に誰かが来るかなど想像できていなかったのか雪女見習いの白い頬があっという間に赤く染まり目がグルグルと回り始める。
「もっと足元に注意すべきやったな?」
「えっ?」
唐突に言われた言葉に足元の水中に視線を落とすとそこにあるのは何か金属のような物。
(何これ……鎖?)
そう思った瞬間には両足首に撒きつき尻餅をつき水面に背中から倒れてしまった。
「造り物の逸話も馬鹿にはできんで? ほれ、この通り……!」
安芸の詠唱がようやく耳に入った時には小さな雪女見習いの身体は地上へと引き摺られ樹の枝ごしに吊り上げられた……というわけだ。
「ちょっとこれ私まだ、いいとこ何もないんですがー」
「もうそんな出番あらへんわ!」
ペチペチと頬を叩くと思わずジタバタと身を捩じらせるが鎖の拘束は絶対で外れる様子はまるでなく脱出は不可能に見える。
(実際は着物の裾を押さえるのをやめれば両手が開く上に口から吹雪も吹けるのだが……まだパニックで正常な判断が出来ていない見習いゆえのうっかりなのだ)
その様子を汗をかきつつ見ている安芸が早く終わらすかとばかり真銘秘されし短刀を取り出した。
これこそが安芸の本体であり未だその銘は秘密のままの至極の一振り。
その刃を雪女見習いの目の前に見せ付けると、本人としてはドスの効いた声で囁いた。
「……ああ、一応聞いとくわ。大人しく霊玉出してサクッと楽に仕留められるんと、このくそ暑い中宙ぶらりんのままチクチクされるんと、どっちがええ?」
「ひい、私動けないのに! 鬼! 悪魔! 眼鏡!」
思わず泣きながら思いつく限りの悪口を言う幼子。
「ちょい待ちぃ!? 眼鏡やと悪いんか、コラァー!」
思わず眼鏡を外し雪女見習いにかける安芸。
「いやあああああごめんなさぁぁい、目がクラクラするぅぅぅぅぅっ」
山陽道の峠に悲しい雪女見習いの絶叫と安芸の怒号が木霊した。
成功
🔵🔵🔴
……なお実際は眼鏡にドは入ってなかったんだけどね!()
露木・鬼燈
なんかおススメらしいので水着で参加です。
それでもヤバいくらいに暑い!
この気温の中、敵は雪女見習い。
これは明らかな配置ミスですよ。
かわいそうなのです。
…これは速やかに骸の海に沈めてあげなくてはっ!
これは優しさだから。
暑さで弱っている幼女をいぢめるのではないですからね?
大事な主張は終わったので化身鎧装<骸晶>を展開。
無限に供給される魔力を用いて自分の周りの熱量を操作。
周りの空気を冷やして暑さを凌ぐのです。
同時に移動させた熱量を魔力に乗せて雪女見習いに撃ち出す。
これで一石二鳥っぽい!
あれは誘惑…なのです?
絶望的なまでに色気が足りない!
思わず憐憫の眼差しを向け…砲撃で薙ぎ払うっ!
戦争って悲しいのです。
●
山陽道の峠道から水辺へと茂みを掻き分け辿り着いた露木・鬼燈(竜喰・f01316)が見たその光景とは!
水辺で溶けかけてぐったり倒れている雪女見習い達、諸般の事情により水着になることも出来ずにグロッキー状態になっていたりする。
(なんかお勧めだったので水着で来ましたが……色々な意味でヤバくないですかここ!?)
それはそうだろう雪女……しかも見習いレベルでこんな熱波の中心地にいるのだ、まさかと思うがその辺に出来ている溶ける寸前の氷の塊って……。
そう,敵ながら心配になるレベル.だが鬼燈がするべき仕事は一つしかない。
「あぁ……お客さん来ちゃった……」
「うぅ、かき氷食べるところだったのに……」
よろよろと立ち上がりこちらに視線を向けた幼女達が心底嫌そうな顔で見てくるのだがはっきり言わせてもらいたい。
(これは明らかな配置ミスですよ、かわいそうなのです)
「えっと、お姉ちゃん。帰ってくれるなら追いかけたりしないから」
「そのまま帰ってくれると嬉しいな?」
なんだろうこれでは暑さに弱っている幼女を苛めにきた構図になってませんか?
そんな雑念が沸くのもきっと暑さのせいだ……と信じたい。
(…これは速やかに骸の海に沈めてあげなくてはっ! ……これは優しさだから)
湧き上がる罪悪感をごまかすために自分で自分に言い聞かせるこの心の葛藤、きっと彼女達もわかってくれるに違いない。
「申し訳ありませんが、そうはいきませんので……」
「そう、残念だよお姉ちゃん」
その外見で言われると心がズキズキ痛むがそれに耐え鬼燈が天に剣を翳した。
「これが僕の魔法戦闘形態…人呼んで竜骸の魔導士!!」
そう叫ぶと共にその身が化身鎧装<骸晶>に包まれる。
無限に沸く魔力を使い自らの周囲の熱量を操作し始めるとようやく過ごしやすい温度になり一息つく。
その鬼燈へと吹雪がいくつも吹き付けられるがどれも届く前に掻き消えそよ風になってしまっていた。
「えっ、なんで!?」
雪女見習い達にはわからないかもしれないが、質量保存の法則というものがある鬼燈が自らの周囲を快適にするために逃がした熱エネルギーはいったどこにあるのか。
それはもちろんその周囲のさらに外、そこに吹雪を吹き付けても熱のほうが強く無効化されてしまったというわけだ。
「えい、お返しですよ!」
エネルギーの方向性さえ示せばそれは簡単に水辺にいる見習い幼女達へと到達しあっという間に2人が溶けて水に沈んでしまった。
「ううっ何だか知らないけどひっどーい!」
そう言いつつ残った幼女がその魅惑的なロリボディを生かすべく着物の裾から見せた生足を見せ付ける……。
(ふっふっふ、お姉ちゃんもこれでメロメロ、凍らせてあげるよ♡)
これこそが雪女見習い達の技ではあるのだが……。
「えーっとあの……」
鬼燈の反応がすこぶる悪い、何と言うか呆れるような表情でもしているようで憐憫の目すら幼女に向け口を開く。
「絶望的なまでに……色気が足りない!」
「うっそ、お姉ちゃん年下好きそうな感じなのに!?」
それを聞き鬼燈が化身鎧装を解くと胸元を開き叫んだ。
「さっきから気になってたんですが、ボクは男……でーす!!」
唸る長銃型魔杖から撃ち出された砲撃が幼女に命中しその小さな身体が吹き飛ばされ遠くへと飛んでいく。
「うっそ~~~~っ!?」
天高く舞い上がった幼女は地上に落ちるまでに解けたらしくキラキラと綺麗な輝きだけが弧を描く。
「戦争って悲しいのです……」
空を見上げる鬼燈に光るモノがあった……。
成功
🔵🔵🔴
フランチェスカ・ヴァレンタイン
コレ、考えるまでもなく配置ミスでは…?
――まあ、これはこれで利用させて戴きますけれども
この熱気では、水着になっても大して……
外気温は宇宙用の諸機能で遮断できますし、いつものフィルムスーツですかねー
「…では、どうぞ召しあがれ?」
水辺の上空を旋回しながら、UCの砲撃に属性攻撃で周囲の「熱」を集束・凝縮させた熱線砲撃を織り交ぜ、敵陣へ雨霰と撃ち込んで差し上げましょう
――撃ち込んだ熱線砲が水場に飛び込んだりしますと、せっかくの涼しい水辺がぐつぐつと茹だった熱湯温泉に変わってしまうかもしれませんが… ええ、些細なことですわよね?
堪らず飛び出てきた雪女見習いには、腹パンならぬ腹ハンマーの強襲でしょうかね?
月宮・ユイ
アドリブ◎*NGなし御自由に
*身に<誘惑の呪詛>宿し呪詛/呪操る
(勧められるままに水着へ着替える)
護り手不適格過ぎでは?
コルテス、真剣さが足りませんよね
それでいてこの規模の攻撃は確かに脅威ではありますが…
《静寂雪原》周囲の空間ごと雪原領域に変換
熱エネルギーを喰らう事で戦いの場を整える
敵には<生命力吸収の呪詛>により力の捕食強化
吸収した力は味方の強化や回復に使用する他
土属性の術行使補助<属性攻撃・高速詠唱:早業>
地面より杭を生やし串刺し攻撃
攻撃後は杭を氷に変換操作<誘導・呪殺弾>。
誘惑行動にはかかった演技
時間稼ぎ力の吸収行う。
残念ですが食べるのは私の方です
最後は霊玉の処理
蓄えられた力気になります
●
山陽道の峠で繰り広げられた攻防全ては水辺の一番奥で涼んでいる雪女見習いが持つ宝玉を破壊するためにあったのだが、岸周辺にいた雪女見習いがほぼ倒されてしまったためいよいよ彼女達にも猟兵の手は届こうとしていた。
「……これあまり涼しさ変わりませんよね」
グリモア猟兵に水着になるよう薦められ素直に今年の新作水着を着てきた月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は複雑な表情で水辺へと進んだ。
「この熱気では水着になっても大してって言いましたでしょ?」
水着ではなくいつものフィルムスーツを着たフランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)が涼しげに髪をかきあげた。
宇宙用の諸機能で外気温を遮断できるのだから普通の水着に比べて快適さは段違いだ。
(これはあれですよね、きっと水着が見たかっただけのグリモア猟兵の罠……)
(帰ったら〆ますか♪)
二人はにっこりとアイコンタクトをとると遠くに見える雪女見習い達を見て真剣な表情へと戻った。
「それにしてもコレ、考えるまでもなく配置ミスでは…?」
「護り手不適格過ぎでは? コルテス、真剣さが足りませんよね」
まあそうだろう、幕府軍が来るという時間制限さえ無ければ自然消滅するぐらいに雪女見習い達は弱っている。
とはいえ時間がもう無い、早くこの熱波をどうにかしなければ余計な犠牲者が出てしまうだろう。
「ではわたしは上からということで」
「タイミングはお任せしますよ」
そう言い残しフランチェスカは羽ばたき宙へと身を躍らせた。
「では私もそろそろ……」
(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。無限連環増幅術式起動。共有同調、対象・効果指定。領域形成)
ユイの周囲のエネルギーが躍動をはじめそして収束へと向かう。
「世界よ止まれ…」
●
息も絶え絶えだった雪女見習い達の周囲にあろうことか冷気が漂い始める。
儀式により熱波に襲われた中心地で何故という疑問はすぐに解決する。
凍りついた水面は氷のリンクのようになり歩くことが可能、そしてそこを静かに歩くユイは白い息を吐いていた。
「ふーん、お姉ちゃんのおかげで私達大復活」
「お礼に静かに眠らせてあげるね♪」
先ほどまでの弱弱しさはどうしたものか雪女見習い達があざといポーズを取ると見る見るその冷気が鋭さを増していく。
「わあ……可愛い……♡」
見とれたように赤面するユイに吹き付ける吹雪、だがそれはに命中する寸前に地面から伸びた土の杭に命中し霧散する。
「「えっ!?」」
驚く雪女見習い達にユイは霧散した氷を操り弾丸として次々と撃ち返し始めた。
その氷礫に押され気味になっているさらに頭上から次々と砲弾が撃ち込まれ混乱はさらに広がっていく。
「さぁ、もっと召し上がれ?」
水辺の上空を舞っていたフランチェスカはユイに気を取られていたので今の今までノーマーク。
「全動力炉、出力上限カット。全兵装・全能力の超過駆動!」
高まるエネルギーが銃口へと集約しそして放たれた。
それだけあればエネルギーの収縮も好き放題できたものでもはや射撃ではなく射的状態の砲撃が次々と幼女達が直撃を受け蒸発していく。
しかも撃ち込まれた砲弾は周囲の”熱”を集め撃ち出したもの、ユイが凍らせた氷原もあっという間に蒸発し揮発していく。
「少しばかり熱湯温泉に変わってしまいますが、ええ、ええ、些細な事ですよね?」
くすくすと笑ってはいるが地上はまさに地獄絵図、たまらず飛び出してきた
急降下したフランチェスカが大きくヴァルフレイア・ハルバートを振りかざしそして腹へとインパクトを叩きつける。
「えっ何……きゃあっ」
腹パンならぬ腹ハンマーにあっという間に氷として砕け散っていく雪女達。
その横で逃げ出そうとしていた雪女もユイの捕食形態を化した異形に捕まりその姿が崩れ去っていった。
「残念ですが……食べるのは私の方です」
全ての雪女見習いが倒され足元には『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』が無造作に転がっていた。
内臓されたエネルギーはどれほどの物なのだろう、だがこれを破壊することで儀式は止めることができる。
二人は頷きあいそして霊玉は粉々に砕かれたのだった。
こうして山陽道の峠にて行われていた企みは一つの終わりを迎えた。
他の場所での成功をもって敵の策が封じれるのだがここは信じるしかないというのが今の実情だ。
気のせいか先ほどまでよりも周囲の暑さがましになってきた気がする、願わくば無事に終わりますようにっと二人は願うのだった。
大成功
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