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エンパイアウォー⑩~鉄

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●グリモアベース
「今日も張り切って戦争に赴きましょう」
 若干棒読みのウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は、そこそこ疲れているのだろうか、目を伏せながら依頼の内容を語り始める。

「魔軍将『日野富子』……彼女の財力で建造した『超巨大鉄甲船』という……えーと、海の上に浮かぶ超巨大な鉄の城の様な船です。それの大船団を作っていたのです」
 本来ならば船員を用意するのが容易ではないが、富子は『村上水軍』の怨霊を呼び出して、最強の水軍を作り出した。
「村上水軍と言うのは、過去に瀬戸内海で勢力を伸ばしていた大海賊の事です。……まぁ、海戦特化と言うべきか、非常に厄介なんですよね」
 放置すれば、海路を進む幕府軍の船は悉く沈められてしまうだろう。
 そうなる前にこの鉄甲船を叩き潰さなければならないと言う訳だ。

 ウィルバーは目を開けると、魔本を開いて、予知した鉄甲船を見せる。
 全長が200m程度ある、先ほど行った通りの『海に浮かぶ鉄の城』だ。
「どんなユーベルコードを受けようとも即座に復元されますので、絶対に破壊できません。これを沈めるには船にある旗を引き摺り降ろして、村上水軍の怨霊を浄化するという方法のみです」
 村上水軍の怨霊も鉄の船と同じく、ダメージは与えられない。
 船上にいるオブリビオンを蹴散らして、旗を引き摺り降ろそう。
「ちなみに怨霊は船を動かすだけです。富子に大金を渡されて喜んで協力する奴等なので、遠慮はいりませんよ」
 まずは海上を渡って、船に乗り込もう。
 どう乗り込むかは猟兵次第だが、乗り込んでしまえば此方のものだ。叩き潰せ。

「それでは、超巨大鉄甲船の無力化……よろしくお願いしますね」
 ウィルバーは軽く頭を下げて、転送を始めるのだった。


小強欲
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 どうも、小強欲と申します。
 しぶとく戦争シナリオを出しています。

 詳しい内容はOPの通り。
 船に乗り込んで、オブリビオンを倒して船から旗を奪います。(要約)
 敵撃破後に旗を勝手に奪いますので、プレイングに記載する必要は特にないです。
 それでは、気持ちの良い戦闘プレイングをお待ちしております。

●他
 プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
 4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
 また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
 7人目以降は私の執筆力不足により、採用率が下がります。申し訳御座いません。
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第1章 集団戦 『荒ぶるカマシシ』

POW   :    アオの寒立ち
全身を【覆う和毛を硬質の毛皮】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神鳴り
自身に【紫電】をまとい、高速移動と【電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    影より出づる藤波
【自身の影】から【召喚した藤の花】を放ち、【絡みつく蔓】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:笠見諒

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・ゆず
棒読みには棒読みで返し
何処と無くハイライトの消えかけた目で、「おー」と拳を突き上げる

お互いおつかれ様です、と小さく呟き転送

…転送。
いや、船上に送りましょう?!
ゆずみそは激怒した
ゆずにはグリモアの細かい事はわからない
しかし自身の保身に関しては人一倍敏感であった

でかい溜息
見ると貧相な小舟が一艘
うんしょ、と木製の船を海に浸し、乗り込む
えっさほいさとギシギシ漕ぐ
…大丈夫よな?
溺れる様にしか泳げないのに、その上着衣は死ぬと思う
幸か不幸か潮に乗って戦場に

鋼糸を伸ばし、巻き取る
なんか一杯居た
スコーピオンを構えて連射乱射
防御は捨てて、撃ちまくる
…だって、これは『あたし』の前哨戦
彼女の為に演じる道化役だもん


ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
――旗取り合戦だよ灯理
その割には手荒な歓迎だが
それでは、ここはマダム・アンク・モリアーティと
素敵な伴侶がお相手しよう
爽快に蹴散らしてしまおう――血を頂戴、灯理
ん、おいし。

【黒檀の女神(アトラク・ナクア)】
強大な仔なのだけれど、『胎』から出すのに灯理の血が必要なのだ
長らく外に出せていなかった、すまないね
さ、「ミス・アトラナート」
君の思うがままに蹂躙しておやり
安心したまえよ
旗なら――ほら。私の素敵な伴侶が取りに行った
目的を忘れるほど私も傲慢じゃあないさ

なんのタネも仕掛けもない、いたって単純な作戦だよ
終焉だ――さあ、滅べ!

やはり君は優秀だ
さあ、帰るよ我が娘
――ちょっとはしゃぎすぎだ。


鎧坂・灯理
【鎧坂探偵社】
そのようですね、マダム
まさか戦争中に旗取り合戦をする事になろうとは
了解しました
軽快に一掃致しましょう

【食前の一杯】で執事を呼び出し、マダムにコーヒーを
私の血が入っているし、飲む間は時間が遅くなるからちょうど良い
さて、ミス・アトラナートが暴れている間に私は旗を取りに行こう

高速移動は大したものだが、私は瞬間移動が出来るのでね
自身だけならばUCを使うまでもない
『黄龍』の補佐で事足りる
避けて真後ろに転移し、ドタマを撃ち抜いてやろう

さて、このノボリみたいな奴だな
旗を取りましたよ、マダム
アトラナートに帰るよう言って下さい


羽月・姫香
うわ、あのおばさんこないなもんまで準備しとったん?
まったく、手を焼かせてくれるなぁ…

とりあえず、まずは小舟を手配して【目立たない】ように接近
そんで、船に取り付く際には【水泳】を活用。いわゆる水遁と<忍七つ道具>から鉤縄を使って【クライミング】で乗り込むでっ!

で、お相手は…羚羊の妖かぁ
影から蔓を出すんやったら、その影を狙うっ!
【先制攻撃】で<苦無>を【投擲】、これが【忍法・影縫】やっ!

動きが止まったんやったら、【毒使い】ならではの、毒を仕込んだ<忍者刀>で刺突して【串刺し】にしたるっ!

一応、旗が狙えそうなら【ダッシュ、早業】でササッと下ろしてしまおか

(※アドリブ等歓迎)


アララギ・イチイ
海戦とはまた素敵な戦場ね、楽しみだわぁ

【選択UC】使用、潜水戦艦を召喚よぉ
【武器改造】で船首に突撃戦用の衝角、敵船上陸用の架橋設備を追加、船員も白兵戦用に武装させておくわぁ

改造後、潜水しながら敵船に接近、牽制用の【誘導弾】の魚雷を【一斉発射】後に急浮上、最大船速で突撃、敵船の側面に衝角攻撃よぉ
攻撃後、主砲と両用砲を榴弾(爆風による【範囲攻撃・吹き飛ばし】)を【一斉発射】して甲板上を【なぎ払い】するわぁ

攻撃後、架橋設備で敵船突入、白兵戦よぉ
白兵戦は側面に突入した戦艦からの火力支援(【援護射撃】)を受けて進めるわぁ
敵UCは【早業】の【見切り】で回避、戦艦の砲門で召喚した藤の花を攻撃して破壊するわぁ



●舟からの侵入
 南海道の海路はとても穏やかだ。
 しかし、穏やかな海の遥か先には鋼鉄の城、『超巨大鉄甲船』が強い存在感を放ち、不気味に揺れ動く。
「うわ、あのおばさんこないなもんまで準備しとったん?」
 その鉄甲船を見て、羽月・姫香(災禍呼ぶ忍・f18571)は面倒そうな表情でそう声を上げる。
 日野富子はつい先程倒れたが、それでもこの船団が消える事はない。死して尚も、富子の脅威は衰えず。
「まったく、手を焼かせてくれるなぁ……」
 姫香はぼやきつつも、船にまで行く為の小舟に乗り込んで、素早く船へと向かって行く。

 ある程度まで接近すると、水泳に切り替えて移動を始める。
 即ち、水遁。海に潜りながら移動をする事で、敵から気付かれ難い様に、極限まで気配を消しながら近付いて。
「たっかいなぁ……まぁ、なんとかなるやろっ」
 鉄甲船の真下にまで来た姫香は、可能な限り音を立てない様に、忍七つ道具が一つ『鉤縄』を取り出して。
 ヒュンヒュンッ、とそれを振り回して、思いっ切り上に投げ飛ばせば、それは見事に船の手すりに引っ掛かった。
 音は非常に静かで、敵が気付いた様子もない。
「さぁて、乗り込むで……!」
 外れないかきっちりとチェックをしてから、姫香は鉤縄を利用して静かに登って行く。

 時は少し巻き戻り、別の場所より御園・ゆず(群像劇・f19168)は、ハイライトの消えかけた目で鉄甲船を眺めていて。
「いや、船上に送りましょう?!」
 凄い勢いでキレる、自身の保身に関しては人一倍敏感なゆずだった。
 直接船上に転送しないのには幾つか理由があるが、最初から敵陣のど真ん中に放り込むのは危険な為である。
 事前に綿密な作戦を立てて、それ相応の実力があり、その上で運が良ければ無傷で済むが……要は、此方の方が時間は掛かるが安全なのだ。
 まあ、それはそれとして、ゆずは凄くキレていた。
 大きな溜息をつけば、不意に目の前を流れる貧相な小舟が一艘。
「もう仕方ないから、これで行きましょう……」
 まさしく渡りに船ではあるが、木製の小さなこれでは中々危険な気もするが……多分大丈夫だろうと、ギシギシと漕いで行った。

 ゆずは泳げないので、溺れたら着衣している事もあって確実に終わる。だが、幸いにして敵に気付かれる事はなく、近くまで来る事には成功した。
「えーと……糸でいいですかね」
 鋼糸を射出すると、舟の手すりに向かってくるくると回って、カキンッ、カシャカシャッ、と巻き付く音が鳴れば、昇れる様になって。
 それを巻き取って一気に上に行くと……目の前に、荒ぶるカマシシがいっぱいいた。そして、その全てがゆずを見ている。
 今の鋼糸の音で気付かれてしまったのだろう。
「えーーっと」
 とりあえず船上に降りると、短機関銃のスコーピオンを取り出して。
 ここまで来たのならば、もうやるしかない。ひたすら撃ちまくる事にした。

●潜水戦艦
「海戦とはまた素敵な戦場ね、楽しみだわぁ」
 砂浜にて超巨大鉄甲船を見ているアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、大型潜水戦艦モビーディック号の船員達と共に、船首に突撃戦用の衝角を付けたり、敵船上陸用の架橋設備を追加したりと、潜水戦艦の改造中だった。
 更には、船員にも白兵戦用の武装……。アララギは一体何をおっ始める気なのだろう。
「大海原に浪漫の嵐! ってねぇ♪」
 船員達と共に潜水戦艦に乗り込めば、一気に鉄甲船まで向かって行く。
 鉄甲船よりは小さいものの、大型の潜水戦艦は、水中を静かに移動して行った。

●村上の旗
 船上で戦闘が始まった頃、鎧坂・灯理(不退転・f14037)は空中を進んでいた。
 灯理に背負われる様にして、ヘンリエッタ・モリアーティ(犯罪王・f07026)……彼女の人格の一つ、マダム・アンク・モリアーティも共に、空を移動して。
「さて、あれが旗かな? 随分と大きな旗だ――さあ、旗取り合戦だよ灯理」
 マダムの視線の先には鉄甲船にある巨大な旗。○に中に『上』と書いてある、村上水軍のシンボルだ。
 灯理は念動力で自分を浮かせながらも、同じく旗を見て。
「まさか戦争中に旗取り合戦をする事になろうとは……了解しました。軽快に一掃致しましょう」
 その為にも、まずは船に着くのが先決。
 既に戦闘は始まっている、二人は急ぎ船上へと向かって行く。

●開戦
 船上で響き渡る発砲音。
 鉤縄で登っている途中の姫香は、すぐにその音が銃による物だと気付いて。
「派手にやっとるなぁー。……羚羊の妖かぁ」
 そっと戦場を覗けば、ゆずが短機関銃を連射してカマシシを攻撃しているのが見える。
 此方には気付いていない。忍者は静かに船上に降りると、敵が影から蔓を出して反撃しているのが見えて。
「影から蔓を出すんやったら、その影を狙うっ!」
 小型苦無を幾つか取り出すと、それをカマシシの足元に次々と投擲して行って。
 足元の影に突き刺さった苦無は敵の動きを捕縛してしまった。
「これが、忍法・影縫やっ!」
 刃に毒を大量に仕込んである忍者刀を抜いて、姫香は捕縛されたカマシシに飛び掛かった。

「……動きが止まった?」
 目の前のカマシシの動きが止まる。その瞬間、横にいた敵の頭に姫香の忍者刀が突き刺さって、絶命してしまった。
 何が起きたのかは良く分かっていないゆずだが、とりあえずチャンスだとサブマシンガンを目の前の敵の頭に突き付けて。
「これは『あたし』の前哨戦。……彼女の為に演じる道化役だもん」
 カマシシを倒せば、またすぐ別の個体に向かって突っ込んで行く。
 どれだけ傷付こうと構わない、防御は捨てて、前のめりに攻撃をし続ける。

 短機関銃の銃撃と、影縫からの刺突。
 船上のカマシシを次々と屠って行くが、旗はまだ遠い。

●コーヒータイム
 船上で苛烈な戦いが始まっている頃、灯理とマダムもその場に着いて。
「……あぁ、アルコールは駄目です。戦場ですからね」
 既に結構疲労している灯理だが、休んでいる暇はない。異形の頭を持った執事を呼び出して、珈琲を注ぎ始める。
 そこに向かって来るカマシシの電撃。それを灯理が念動力で軌道を逸して。
「手荒な歓迎だな。……それでは、ここはマダム・アンク・モリアーティと、素敵な伴侶がお相手しよう」
 マダムがニコッと微笑むと、執事が淹れた珈琲を口にする。
 そこにカマシシが二度目の電撃放射をするが、周囲の時間が低速化し始めて、二人の元に届くには時間が掛かる。その間にゆっくりと珈琲を味わって。
「ん、おいし」
 灯理の血が入った珈琲は、マダムに絶大な力を与える活性剤の様な物。それを飲んだ彼女は、自身に宿したUDC、『ミス・アトラナート』を外に現すと同時に敵の雷を吹き飛ばしてしまう。
 黒檀の女王、アラクナートの力……それは、なんのタネも仕掛けもない、いたって単純な……。
「さ、ミス・アトラナート。君の思うがままに蹂躙しておやり。……終焉だ――さあ、滅べ!」
 アトラナートの攻撃方法は、神話に登場する蜘蛛の神の如き、強大な足と糸で殲滅するだけ。要するに……ただの暴力だ。
 強大な力故に、アラクナートを外に出すには最も信頼する者の血肉……灯理の血が必要となる。だが、一度出してしまえば……圧倒的な力でカマシシを屠って行くだろう。

●乱戦
 鉄甲船が大きく揺れると、それはアララギの潜水戦艦による魚雷攻撃。直後に急浮上した潜水戦艦が、鉄甲船の側面に向けて衝角が突き付けられる。
 その衝撃によって鉄甲船に穴を開けてしまうが、即座に修復されてしまい、ダメージはない。
「それなら、主砲発射よぉ!!」
 主砲と両用砲より榴弾を一斉発射して、甲板にそれを放てば、その一帯が炎に包まれてしまう。
 架橋設備からアララギと船員が鉄甲船へ飛び乗っていく。
 船上は大混戦だ。

 船上の上には防御を無視した戦いによってボロボロのゆず。
 あくまで敵の攻撃によるものであり、榴弾は関係なく、見事に味方に当たるのを避けていた。
「ふ、ふふ……これで、わたしがなりたかった、あたしに……」
 ゆずの雰囲気が変わると、先ほどとは比べ物にならない超人的な動きで短機関銃をカマシシにぶっ放していく。
 敵の毛皮が硬質化すれば、その攻撃は通らなくなるが……ゆずは動かなくなった敵を掴むと、あろうことか海に向けて投げ飛ばしてしまった。
「あはははっ! その程度っ! それなら君達じゃあたしには勝てないよッ!!」
 自信満々となったゆずは、笑顔で敵を撃ったり投げたりと、アラクナートにも勝るとも劣らない、圧倒的なパワーで蹂躙して行く。
 当然、アラクナートの働きも素晴らしい。
 糸を吐き出してカマシシの動きを封じれば、そこに鋭い足を突き付けて仕留めて。
 硬質化した敵にもとりあえず動きを封じてしまって、やる事に一切の無駄がない。
「突撃よぉッ!!」
 乗り込んできたアララギと船員達は、戦艦からの火力支援を受けて一気に雪崩込んでくる。
 硬質化や影縫で動きを封じられたカマシシを、海へ投げたり白兵武器で倒したり、反撃の藤の花を火力支援で消し飛ばしたり……。
 もはや、オブリビオンが気の毒になる程に圧倒的な戦力差。
 数も質も、何もかもが猟兵が勝っていた。

●終戦
「でぇ、あれが旗なんやけど……なんや、邪魔しよるんか」
 姫香の目の前にあるのは、村上水軍の旗。そして、カマシシ二匹。
 何方も電気を放っており、旗を護るように立ち塞がっている。
「軽く倒して、さっさと引き摺り降ろすとしましょう」
 そう言うと、灯理は前に出てきた、凄まじい雷を纏っているカマシシを見て。
 瞬間、一匹が高速移動で二人に向かって来る。
「高速移動は大したものだが……私は、瞬間移動が出来るのでね」
 灯理は取り乱したりせずに、形而上力増幅機環『黄龍』から力を引き出すと、高速移動するカマシシの背後に瞬間移動してしまって。
 その頭に銃器を突き付けて引き金を引けば、一撃で即死させてしまう。
 すぐに動くもう一体のカマシシは、灯理に注意が行っている隙に、姫香が死角から放った苦無で動きを封じられて。
「よっしゃ当たったでぇ! 今がチャンスやなぁ!」
 捕縛されたカマシシを踏み台にして、一気に旗へと飛び掛かる姫香。
 灯理も瞬間移動で旗を掴んで、巨大な旗は二人の手によってブチブチと音を立てて……ビリィッ、と音が鳴り響けば、旗が千切れてしまった。
「そうや、ついでに……」
 下にいるカマシシも落ちる最中に忍者刀を抜いて、その頭に突き刺してキッチリと止めを刺す。……抜け目がない姫香だった。

●村上水軍、壊滅
 旗が降ろされた事によって、村上水軍の怨霊は消え、黒船を守る力も消えてしまった。

「旗を取りましたよ、マダム。アトラナートに帰るよう言って下さい」
 灯理は手に持った巨大な旗の一部をマダムに見せて、カマシシの死体で遊んでいるアトラナートを見て。
「やはり君は優秀だ……さあ、帰るよ我が娘。――ちょっとはしゃぎすぎだ」
 アトラナートを自らの肉体へと戻すと、またも灯理に背負われて。
 先ほどと同じ様に、念動力で空を飛んで行った。

 ゆずは大量の敵を倒し終えて、何処と無くハイライトの消えかけた目で小舟を漕いでいた。
「……な、何か猛烈に疲れました……。うぅ、身体中が痛い……」
 防御を無視した攻撃は、身体のあちこちにダメージを与えて、とにかく痛い。
 明日は筋肉痛だろう、間違いない。それでも身体が動く今の内に、小舟を漕いで帰って行く。

 姫香は隠密気味に行動していたからか、ダメージは殆ど無く、まだまだ元気そうで。
 しかし舟はないので、泳いで帰っている途中だった。
「これは、結構……きっついなぁ……!」
 帰る手段がこれしかないので、仕方がないと言えば仕方がないのだが、これでは戦闘した疲れよりも、泳ぐ疲れが勝るかも知れない。
 だが、こんなに水泳をする機会もあまりない。ここは訓練だと考えて、姫香は泳ぎ続けるのだった。

「さぁ! 解体の時間よぉッ!」
 アララギの号令で、船員達は潜水戦艦による砲撃を開始する。これならば、あっと言う間に鉄甲船は解体されるだろう。
 先ほど傷を付けられなかった鬱憤を晴らすかの如く、魚雷やレーザー機銃、主砲は副砲、あらゆる攻撃を最大限までブチ込んでいった。

 暫くして、一隻の鉄甲船を解体した。しかし、鉄甲船は他にもまだまだ存在する。
 全てを破壊するまで、まだ時間が掛かりそうだ。急ぎ、完全破壊を目指そう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト