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エンパイアウォー⑥~お嫁さんを夢見て

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「二百五十六人。これだけ居れば、私の運命の人もきっと――」
 婚礼の衣装に身を包み祈るように両手を組んだ女性の手にあるのは色とりどりの花を束ねたもの。
「役目を果たしたら、きっと――」
 どこか夢見る表情で空を見上げたオブビリオンは自身の言葉に頷くと、行きましょうと長槍と大盾を装備した農民兵を促したのだった。

「何がどうして、あんなオブビリオンを指揮官に据えたんでしょうね?」
 君たちの前でフェリクス・フォルクエイン(人間のパラディン・f00171)はただただ遠い目をしていた。
「あ、すみません。ええと、魔空安土城へ向かう幕府軍が関ヶ原に到着、集結したのはもう聞いてるでしょうか?」
 ここからは関ヶ原で幕府軍を待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍することとなるのだが。
「まずはその信長軍を突破しなくてはならない訳です」
 関ヶ原で待ち受ける軍勢は、魔軍将、軍神『上杉謙信』と、大帝剣『弥助アレキサンダー』。
「この内大帝剣『弥助アレキサンダー』の軍勢なんですけど、『弥助アレキサンダー』が所持する『大帝の剣』には、広範囲の洗脳能力がありまして」
 畿内全域の農民たちはこの洗脳によって日野富子から徴収した金銭によって整えられた長槍と大盾を装備した農民兵の軍勢と化し、幕府軍を迎え撃とうとしているらしい。
「彼らの戦術である、右手で長槍を構え左手の盾で自分の左隣の仲間を守る陣形『ファランクス』は一般の幕府軍では突破は不可能です」
 猟兵達が介入しなければ、幕府軍の半数は関ヶ原の地で壊滅してしまうことだろう。
「そこで皆さんには、ファランクスの部隊の一つを何とかしてもらいたいんです」
 その部隊こそ先の女性オブビリオンに率いられた隊となる。
「『ファランクス』は16×16の256名が1部隊で、この部隊の中央には指揮官であるオブリビオンがいます」
 このオブリビオンは、大帝の剣の洗脳能力を農民兵に伝達してファランクスを組ませる中継機の役割を果たしているのだという。
「ですので、指揮官のオブリビオンさえ撃破すれば、その部隊のファランクスは壊滅し、降伏してくると思います」
 何より部隊を構成している農民兵は洗脳されただけの一般人だ。
「可能な限り殺すことなく指揮官のオブビリオンを撃破してください」
 意思を奪われ兵にされてしまっている人達の為にもよろしくお願いしますねとフェリクスは頭を下げたのだった。


聖山 葵
 まぁ、部隊が多ければこういう指揮官が混じってても不思議はないですよね?

 と言う訳で、今回は洗脳されて兵士となった農民達を率いる指揮官である雪女のオブビリオンを倒し、農民たちを開放するお話となると思われます。

 指揮官に至るためにはファランクスとなった農民たちを突破する必要があります。このファランクスを突破する良い案があれば、戦いを有利に進められるかもしれません。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 では、ご参加お待ちしておりますね。
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第1章 ボス戦 『サムライエンパイア絵巻『雪女の怪』』

POW   :    『あなたを愛しています。』
【一途な思い】から【愛の言葉】を放ち、【邪気のない魅力】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    『どうですか?お口に合いますか?』
質問と共に【愛情を込めた手料理】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    『でもせめて、結婚式だけは盛大にしてください。』
【『だれかの結婚式を盛大に祝いたい』】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【あらゆる状況を想定した結婚式場】から、高命中力の【結婚式の招待状】を飛ばす。

イラスト:鳥季

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は雛月・朔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
……何か雪女の定義が色々おかしくない?
(やたら豪華そうな雪女見て)
…愛の言葉とか愛情とか…やたら「愛」ばかり。
…付け入るスキがあれば、うん…間違いなく『コイツ』だ。

…『UC』でラーヴァ様を召喚し、俺と雪女近くの空間を
『愛(魔力)』で満たしてもらう。(誘惑+属性攻撃)
…その状態で警戒されない様に、雪女だけに近づく。
…多少は、雪女の要求も答えてやる。(手料理の成果はどうであれ、チャンと正直に答える)
…何でやたら愛に拘るか知らんが、せめてあの雪女が望むぐらいの事は
可能な範囲で叶えた上で、最後に霊気吸収(『生命力吸収』)して
苦しませずに攻撃を行うとしよう。


桑原・こがね
よーし、行くぞー!あたしを見ろォ!

なるほど農民はできるだけ傷つけずに。難しいこと言うわねー。
長槍は間合いが長いし、正面からじゃ近づくのも大変そう。
あ、でもあんなに密集してたら転回大変なんじゃない?特に、槍と反対の手の側にはすぐに対応できなさそう。

まずは正面から突破!と見せかけて直前で右に急旋回!
回り込んで突っ込むわ!

混乱してる間に農民たちを足場にしてトントン切り込みましょう!

え、なに、料理?こんな時に?美味しそうだけども!
勝負は別だからね!一閃鋭く切り込むわ!


フィランサ・ロセウス
ファランクスは正面きってのぶつかり合いには強いけど、
機動力に難があるから横や背後は弱いって聞いたわ
それならクロックアップ・スピードで強化された速さで回り込んで、
背後から死なせない程度にアタックを繰り返して隊列を混乱させるわ

いい感じに隊列が崩れたら、いよいよ指揮官と対面ね!
「さあさあさあ、早く私と殺(あい)し合いましょ❤️」
UCは維持したまま、ナイフを手に突撃

私、何でも美味しく食べれるタイプ(味覚音痴)だから、貴女の料理も全部食べてあげる!
その代わり、その白いドレスが真っ赤に染まる様をよく見せてね❤️


山梨・玄信
ほう、リア充になろうとしておるんじゃな。裏切り者は爆破じゃ。

【POWを使用】
こっそりと敵の側面に回り込み、ダメージを入れないようにUCを放つぞい。
敵は盾を持っているから、煽られて転ぶか、盾を手放すしかなくなる筈じゃ。序でに服も吹き飛ぶしのう。
これでファランクスが混乱している間に、雪女に向かうぞい。

一途な思いも愛の言葉も…RB団には無駄じゃ!
褌一丁になって、全身全霊を込めたUCをぶつけてやるぞい。

「名も知らぬ人よ、彼らは一般人じゃから怪我させないようにお願いするのじゃ」
「裏切り者に慈悲は無い。その花嫁衣装も脱いでもらうぞ!」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


高柳・零
POW

…いや、どこからツッコめばいいのか。
戦場で出会ったカップルって大体どっちか死にますし…。

ファランクスにされた農民達を救う、その想いを込めてUCを発動します。
「あなた達は必ず救います!」

ファランクスはひとっ飛びで飛び越え、雪女に接敵します。
「あの、結婚前に花嫁衣装を着ると嫁き遅れますよ」

めっちゃ重い愛の言葉はヘッドホンをしてシャットアウトします。
鬼気迫って怖いですが、こちらも操られている農民の命がかかっているので気魄で押し返します。
「自分の嫁は天霧なのでノーサンキューです!」

敵の猛攻を乗り切ったら、2回攻撃で斬ります。
「婚活は骸の海でお願いします」

アドリブ歓迎です。



「よーし、行くぞー! あたしを見ろォ!」
 転送されるや否や大声で叫んでから桑原・こがね(銀雷・f03679)は駆け出した。
「敵」
「敵だ」
 当然ながら声に釣られて洗脳された農民兵達の視線はこがねへと集中する。人に注目されることが生きがいのこがねからすれば、願ったりかなったりなのだろうか。
「なるほど農民はできるだけ傷つけずに。難しいこと言うわねー」
 一方で動き出した敵の軍勢、つまりファランクスを構成する農民らを観察しつつこがねはポツリと漏らした。
「長槍は間合いが長いし、正面からじゃ近づくのも大変そう」
 農民たちが正気でないのは明らかだったが、見れば見るほど強固な隊列と解り、駆ける速度を緩め。
「ファランクスは正面きってのぶつかり合いには強いけど、機動力に難があるから横や背後は弱いって聞いたわ」
「あ、そうなんだ。あんなに密集してたら確かに転回とか大変そうだものね。特に、槍と反対の手の側にはすぐに対応できなさそう」
 口を開いたフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)がハートの浮かんだ目を軍勢の側面に向ければ、こがねも納得した様子でこれに倣い。
「なら」
「それなら」
「わしも便乗させてもらおうかの」
 視線を合わせた二人が動き出そうとしたところで会話に加わってきた者が居た、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)であった。
「あれを突破しないと指揮官にたどり着けないものね」
 目的は同じ、洗脳農民兵によるファランクスへ仕掛けようとしているのも同じなのだ。
「何とか間に合ったようですね」
 さらにそこへ転送されてきた高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)が現れ。
「天よ人々を護る力を! あなた達は必ず救います!」
 宣言と共に神聖な光で自身を覆った後のことだった。
「それじゃ、改めて。あたしを見ろォ!」
 落とした速度を戻しつつこがねが叫びながらファランクスの正面へと向かった。真っ正面から突破せん勢いに農民兵達は無言で盾を構え防御形態をとる。
「おあつらえ向きね」
 完全に兵達の注意が正面に向いたところで指を鳴らしたフィランサが掻き消えたかと思うほどの加速でファランクスの側面へと回り込み。
「もっと、もっと向こうに――つーいた」
 さらに迂回して捉えたのは、ファランクスの後方。
「大丈夫、ちょっとだけだから」
 壊れた笑みで、躊躇いもなく兵のただなかへとフィランサは飛びこんだ。
「ぐわっ」
「ぎゃっ」
 備えもない後方から攻められたのだ、それだけで農民兵達が乱れるには充分だったが。
「と見せかけて――」
 正面突破を試みようとしているように見えたこがねが右へと急に進路を変え、回り込んで側面へと突っ込んだ。
「べっ」
「ぼっ」
 農民兵たちは武装しているとは言え、オブビリオンでも何でもなく洗脳されただけの農民である。突然飛び込んできたこがねへ即座に反応できず、肩や頭、背中などを踏み台代わりにされて突破を許し。
「名も知らぬ人よ、彼らは一般人じゃから怪我させないようにお願いするのじゃ」
 こっそり側面に回り込んでいた玄信が、ここにきて衣服を脱ぎ捨て、それを喚ぶ。
「わかりました、玄信。共に正義を為しましょう」
 召喚者へ頷くと、神々しい女性の幻影は髪をなびかせ光を帯びた風を解き放つ。
「くおっ」
「わわっ」
 大盾が農民達の服が輝く風に巻き込まれ、宙へと舞った。幾人かは風に煽られて転倒し、ここにきて隊列はほぼ崩壊した。
「ああ、あの人ですか」
 二度目となれば可視化された幻影の人にも零は驚かない。ただ神聖な光を纏うことで得た飛翔能力で眼下に広がる脱衣と武装解除の祭りを眺めながらファランクスを飛び越え。
「あれだけの方たちをあっさり乗り越えてここまで?!」
 驚きを顔に浮かべた指揮官であるオブビリオンの雪女は猟兵達へと問うた。
「あなた方が、あなた方のどなたかが私の運命の人なのですか?」
 と。
「……何か雪女の定義が色々おかしくない?」
 ただ、尋ねられた猟兵も一部は困惑することしきりであった。仲間達のファランクス突破に便乗してたどり着いたルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、問いに答えるでもなくやたら豪華そうな雪女見るなり同意を求めて他の猟兵の顔を見回したし。
「……いや、どこからツッコめばいいのか。戦場で出会ったカップルって大体どっちか死にますし……」
 零も答えるよりおかしさへの指摘が先に立ち。
「ほう、リア充になろうとしておるんじゃな。裏切り者は爆破じゃ」
 玄信に至っては会話がややドッジボールである。
「あの」
 それでも無言で返事を待つに切り出したのは、零。
「何でしょう? やはり、あなたが――」
「結婚前に花嫁衣装を着ると嫁き遅れますよ」
 瞳を輝かせ反応した雪女に投げられたのは残酷な言葉の刃であった。
「うぐっ」
「さあさあさあ、早く私と殺し合いましょ❤️」
 だが、捨てる神あれば拾う神もありか。殺にあいとルビを振って胸を押さえた雪女へ熱烈で物騒なアプローチを行う者もまた居たのだ。
「きゃあっ」
 フィランサのナイフが降り注ぐ陽光を浴びて一瞬光り、既に言葉のナイフで抉られて隙を作っていた雪女が悲鳴を上げた。
「……これ、何かの犯行現場じゃないよな?」
 武器らしきものを一切持たない女性が刃物を手にし楽しそうに笑うフィランサから斬りつけられている。ルトルファスの視界内の光景がッそれであった。
「ああっ、これも一つの愛の形なんですね」
「えっ」
 だが、情報が全く無ければ被害者にしか見えないオブビリオンから出てきた言葉に、ルトルファスの口から再び声が漏れた。オブビリオンにとっては、フィランサの愛し方も許容範囲だというのか。
「どれだけ運命の相手が欲しければ、そうなるんでしょうね」
「さての。じゃが、一途な思いも愛の言葉も……RB団には無駄じゃ!」
 まして、その言葉が自分に向けられたものですら無い。玄信にとってやるべきことはただ一つである。
「裏切り者に慈悲は無い。その花嫁衣装も脱いでもらうぞ!」
 ファランクスをどうにかしようとした時とは違う。褌を残し、全てを脱ぎ捨てて玄信は呼ぶ。神々しき脱衣の国から来た女を。
「あああっ」
 ファランクスは混乱からまだ立ち直っておらず、オブビリオンはフィランサとの殺し合い真っ最中。唐突に吹いてきた風に抗えず、まずヴェールが飛んだ。
「では自分も続きましょうか」
 割と一方的な展開ではあるが、零は自分の役目を忘れて居ない。バスタードソードを手に地を蹴り。
「あ、そうね」
 零を見てこがねも駆けだす。
「まぁ、あなた方も私のことを? でしたら――」
 明らかに攻撃するつもりしかない二人であったが、フィランサの求愛のあとだけに自身を殺しに来ることが自分を好いてくれているとイコールで結ばれてしまっているのだろう。雪女は嬉しそうな顔で手料理を放ち。
「え、なに、料理? こんな時に? 美味しそうだけども!」
 こがねからすれば困惑するしかない状況である。
「私、何でも美味しく食べれるタイプだから、貴女の料理も全部食べてあげる!」
 ただ料理はこがねに届く前に、フィランサによってインターセプトされ。
「どうですか? お口に合いますか?」
「うん。だから……その代わり、その白いドレスが真っ赤に染まる様をよく見せてね❤️」
 常識外れの反応速度によって受け止めた料理を平らげたフィランサは血塗れの凶器を持って微笑んだ。
「ええと、よくわからないけれど勝負は別だからね!」
「はい。私もあなたを、あなた方を精一杯愛します」
 どことなく腑に落ちないながらも足を止めないこがねと別方向から斬りかかっている零へオブビリオンは邪気のない笑顔で愛の言葉を放ち。
「自分の嫁は天霧なのでノーサンキューです!」
 鬼気迫るところに誰かの狂気が感染したかのような告白をヘッドホンでシャットアウトしながら零は間合いを詰めた。
(「……愛の言葉とか愛情とか……やたら『愛』ばかり。……付け入るスキがあれば、うん……間違いなく『コイツ』だ」)
 結果的に仲間たちの戦いを観戦するというか観察することになっていたルトルファスは色々アレな部分はスルーしながら結論付け。
「瞬くこと雷光の如し! 見切れるか!」
「くうっ」
 視界の中で、全身に銀色の雷を纏ったこがねに斬られた雪女がうめく。バッサリ切られて辛うじて本体と繋がっているだけだった婚礼衣装の一部は、玄信の召喚した女性の幻影が放つ風に引っ張られ千切りとられるようにして空へと舞った。追い込まれている。明らかにオブビリオンは追い込まれていた。
「婚活は骸の海でお願いします」
「あ」
 千切りとられた服の一部に気をとられたわけではない。多勢に無勢、襲いかかってきた猟兵たちの内で傷つき疲弊してちょうど隙の生じたところへ斬りかかったのが、零であったというだけ。それでも立つ力まで失ったか、連続で二太刀斬りつけられた雪女は崩れるように膝をつき。
「……我が精気を依り代に、出でよ……『愛』を司る精霊・『ラーヴァ』!」
 ルトルファスは喚んだ。精霊を召喚し今にも倒れそうなオブビリオンの元へと歩み寄り。
「あなたも……今、料理……を」
「……いや」
 周囲を愛の魔力で精霊に満たして貰いながら雪女を抱きとめると、頭を振る。無理はしなくていいとでもいうように。
「……何でやたら愛に拘るか知らんが」
 そこから先の言葉は、他の猟兵には聞こえなかった。ただ、耳元でささやいた声に雪女は目を見張ると嬉しそうに微笑んで、その全身から力が抜けた。
「もう終わりなのね。もっと殺し合いたかったわ」
 フィランサの視界の中で、ルトルファスに抱かれたオブビリオンは躯の海へと還ってゆき。ファランクスとの戦いは幕を閉じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト