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エンパイアウォー⑩~血風!怨霊達の鉄甲船

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 暗鬱とした洋上を一隻の船が征く。
 それは黒々とした鉄を身に纏い、建屋数多の艪によって波を壊しながら悠々と海を進む。
 足元からは、艪を漕ぐ男達の掛け声が重く低くく響いていた。
 船楼に掲げられるは一本の旗。
 丸に上の文字――そう、村上水軍である。



 会議室の一角に設置されたホワイトボードの上を、マーカーが滑るように走る。
 キュッキュと音を立てて描かれた文字は『村上水軍船上戦』だ。
 ぱちんとマーカーのキャップを閉めたミーナ・ペンドルトン(中学生妖狐・f00297)は、猟兵達へと向き直り口を開く。

「さて、みんなには村上水軍の鉄甲船に乗り込んでもらおうと思う……って言っても、なんの説明もなしじゃ意味わかんないよね。 事の経緯を説明するね」

 南海道を征く幕府軍は現在、海路を使い順調に進軍中である。
 しかし、この海上であっても行く手を阻むもののが現れたのだ。
 それは、大悪災『日野富子』が、その有り余る財力によって建造した『超巨大鉄甲船』だ。
 その鉄甲船を操るのは戦国の時代、瀬戸内海を席巻せし大海賊『村上水軍』の怨霊達。
 このまま幕府軍の船団と遭遇すれば、脆弱な幕府軍の船などことごとくが海の藻屑と帰すだろう。

「って感じ。 みんなには何らかの手段を用いて船に乗り込み、船を操る怨霊達の依り代である『村上水軍の旗』を奪取してほしいんだ」

 敵は鉄甲船に乗り込もうとする猟兵達の妨害をするだろうが、どんな方法でもいいので乗り込んで欲しい。
 船を操っている怨霊達は、船楼に掲げられた『村上水軍の旗』を依り代としている。
 この旗はユーベルコードでもってしても破壊することが出来ず、掲げられている限りは船も怨霊も破壊したとしてもすぐに修復されてしまう。
 ただ旗を降ろすことによってのみ、この船を沈めることが出来るのだ。
 旗はこの船の力の源だ。 当然それを守るオブリビオンもいるので注意されたし。

「依頼内容を簡潔に言うと、『頑張って船に乗り込んで』『護衛のオブリビオンを倒して』『旗をパクって船から脱出』してって感じ」

 ミーナはざっくばらんに説明をまとめると「それじゃあ、みんな気を付けてね」と言い、猟兵達を送り出すのだった。


神坂あずり
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 戦争依頼3本目になります、神坂(こうさか)あずりです。
 今回もまた集団戦となります。
 内容は以下の通り。

 1.何らかの手段を用いて鉄甲船に乗り込む。
 2.旗を護衛するオブリビオンを撃退し、旗を奪取する。
  補足:怨霊達には戦闘能力はなく、操船以外のことはしません。


 ご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:桜木バンビ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィクティム・ウィンターミュート
真正面から行ってドンパチする必要は無さそうだな
俺は俺らしく、影を走らせてもらうぜ──

ステルスクロークを起動、透明化
他の連中が乗り込んでる間に船に取りつき、【クライミング】で出っ張り、オブジェクトを掴んで登っていく
当然音を立てる馬鹿はやらない

登り切ったらステルス状態のまま、敵を静かに【暗殺】して物陰に引きずり込む
敵の陣形後方から一人ずつ消していくイメージだな
敵に気づかれそう、あるいは気づかれた場合は再度船の側面に降りて移動、場所を変えて再度船上に戻り、また暗殺を繰り返す

場所を変えタイミングを変え…どこから、いつから来るか分からない凶刃で惑わしてやる
沈むのはテメェらの方だ、スクィッシー


リリィエル・ロックウェル
アドリブ・絡みOK
船まではフェアリーの足だと遠いし、泳ぐにしてもフェアリーの体だと辿り着く前に疲れちゃうのです。
なので船までは誰か高速飛行や移動ができる人にくっついて運んでもらうのです。
船に付いたら上空から2回攻撃、範囲攻撃を駆使したグレープショットで散弾を思いっきり降らせてやるのです。

出来るだけ船を動かしている船員さんには当てないようにするのです、この人たちは非戦闘員なので。


コトト・スターチス
オバケやしきが苦手なコトトですっ
でもゆうれい船ならたぶん大丈夫なのでがんばります!

船へは飛んでいきます!
ねこへんしんして、空から突入しますにゃー!
(黒猫耳尻尾と天使の翼が生える)
上空で矢などをメイスで防ぎつつ敵の配置を【情報収集】して、一番手薄な場所に最大速度で突っ込みます!
一番乗りなら、目立つよう動いて皆さんが乗り込めるようにしますにゃー

敵に対しては攻撃を【見切り】、しっかり避けてから高速で接近して、メイスでがつんと【気絶攻撃】しますにゃー!
急ぎ敵を無力化して、誰かが旗の所に進めるようサポートをしますにゃー
もちろん僕が旗を奪取できそうなら迷わず行きますにゃ
「叩ける敵なら怖くないですにゃー!」


クロゥ・クガタチ
若い頃に色々とやったが、そういえば船を乗っ取ったことは無かったな。
どれ、折角の初体験だ。
楽しませてもらうとしようか。

船に乗り込むというのならば、使うのは『狂乱の疾風』だ。
自分の足を風に変え、空を浮きながら乗り込ませてもらおう。
簡単には乗船させてもらえないだろうが、儂も空中戦には自信があるものでね。
翻弄させてもらうさ。

旗を護るオブビリオンに対しては、腕も風に変え対抗しよう。
そのまま風の刃で斬り裂ければよし。
難しい時は、そうだな。風で吹き飛ばさせてもらおうか。
何もここで倒しきらなくても、旗を奪還するまでの間遠くに行ってもらうだけでもよいだろうしな。


リリスフィア・スターライト
今度は水軍が相手だね。他の猟兵達と協力して
オブリビオンを倒して旗を降ろすよ。
全翼天開で飛翔して一気に船内に突入するね。
首尾よく突入出来たら旗の周辺に邪魔する
オブリビオンを撃破していくよ。
パワーのある相手だけれど旗のある柱の近くで戦うようにして
巻き込みの影響で旗を降ろせるきっかけを作るのも狙えればかな。
一か所にとどまらずに飛行能力でかく乱して
攻める時は勢いを付けた斬撃で勝負を付けられればだね。

「旗どり合戦だろうと負けないよ」
「昔の水軍なら飛行する存在には対処は難しいと思うけれどね!」


マリン・ラピス
倒せない敵とはまた随分と厄介ですね。
ここはなるべく戦闘を避けて行きましょうか。
【不可視の奇跡】で姿を消し、瑠璃の鎖を【投擲】して船体に引っ掛けて乗り込みます。
【忍び足】で音を立てずにこっそりと旗まで近づきそのまま旗を取ってしまいましょうか。
もし気づかれそうになったらダガーを【投擲】して音を出しそちらに意識を向けさせて突破します。
それでも気づかれてしまったら薙刀を透明化させたまま【武器受け】からの【カウンター】でさばきます。
見えないものの恐怖を教えてあげますよ。




 鉄甲船に備えられた大筒が、轟音と共に炎を噴き朦々と煙を吐き出す。
 情け容赦のない砲撃は、雨あられと飛び出しては水面に落ちて幾つもの水柱が立ち昇る。
 砲弾の間をすり抜けるように猟兵達は飛び交う。
 猟兵達にとって、この程度の弾幕であれば大した害はない。
 もとより高く飛べば大筒では射角を取れず、低く飛ぼうとも鉄甲船に備えられた砲数では、よほど運が悪くなければ直撃することはまずないからだ。

「昔の水軍だけあって、飛行する存在の対処は難しいみたいだね!」

 先行するのは、魔力の奔流によって形作られた光の翼を広げたリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)だ。
 飛翔するリリスフィアの輝く軌跡を追い、一瞬遅れて海面を割るように波飛沫が舞う。
 それは、速すぎる速度故に遅れた軌跡だ。
 立ち上がった波の後を少し遅れて追従するのは純白の光の羽根を広げたコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)と、その背にしがみついたリリィエル・ロックウェル(クレヨンの勇者・f01438)だ。
 リリィエルは、フェアリーの飛行速度では海岸から鉄甲船に到着するまでに疲れ切ってしまうと考えたリリィエルは、こうしてコトトに協力してもらったのだった。

「リリィエルお姉さん、速さは大丈夫です? ダメそうならスピード落としますにゃー」
「これくらいなら大丈夫なので。 もうちょっと速くてもいけるのです」

 射程内に入ったためか、鬼が召喚せし落ち武者から矢が射かけられるが、純白の翼を畳んで回避したコトトは速度を上げた。
 鉄甲船の傍まで接近したため砲撃こそ止んだが、今度は移乗させまいとこれでもかというほどの矢が飛び交い、長く伸びた鬼の腕が振るわれ始める。

「やはり、簡単には乗船させて貰えないようだな。 ならば、少し翻弄させてもらおうか」

 それを囮として引き受けたのは、両足を暴風へと変化させたクロゥ・クガタチ(オールドクロウ・f16561)だった。
 狙いやすい速度ありながら当たらない、絶妙な緩急を付けた機動で敵の視線を引き付ける。
 時折、伸縮する鬼の腕に握られた金棒が紙一重でかすり冷や汗が流れ落ちた。
 だが、空中戦には自信があると言うだけあって、その動きは空中であっても軽快である。
 足を前後にずらすことによりトルクを生み出し、回転を加えた軌道で翻弄して回避、避けきれないものは鉤爪で叩き落としてゆく。



 鉄甲船の前方、空から襲撃を仕掛けた猟兵達が移乗しようとしていたその頃、後部甲板でもひっそりと動きがあった。
 船縁にぺたり、ぺたりと濡れた手形が現れると共に、ポタリポタリと水が滴り落ちる。
 しかしその水音は、船が波を割る音や艪を漕ぐ男達の声に紛れ、誰の耳に届くこともなく消えていく。
 人影がないのにも関わらず現れた手形は大小二組。 やがて手形は足形に変わり、甲板に足跡を残す。
 音もなく後部甲板に乗り込んだふたりは、左右に分かれて行動を開始する。

 電磁クロークを起動し、ステルス化したまま右舷へと進むと一端物陰に隠れると、左右に視線を走らせて周囲を確認。
 この近辺にも鬼が配置したであろう落ち武者の姿が確認できた。
 電磁クロークの効果によって見えてはいないだろうが、それでもヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は、注意を怠らない。
 そんなことをするのはド三流のスクィッシーくらいなものだ。
 彼は物陰から物陰へと移動し、落ち武者の背後を取り……瞬時に首を掻っ捌く!
 倒れ込みそうになった落ち武者を支え、物陰へと引きずり込んで隠したヴィクティムは、探るように左舷に目を向けた。
 そこには、対岸を監視していた者が消えたことに首を傾げる落ち武者がいたが、それもまた不可視の襲撃者によって背後から襲われ物陰へと消えていくところであった。

 倒した落ち武者を物陰へと引きずり込んだマリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)は、緊張感でにじんだ額の汗を拭いながらため息を吐く。
 不可視の奇跡はこの間もきっちりと効果を発揮して、相手からは自分の姿は確認できないであろう。
 前方では他の猟兵達が戦っているおかげで、後方は警備が手薄になっている。
 だが、それでも未だ後部甲板を警戒する敵の姿も少なくはない。
 状況的に緊張するなと言う方が難しいものだが、幸いにも同行する猟兵のスニーキングミッションに慣れた様子は安心感を覚えるものだ。
 よし、と気合を入れなおしたラピスは、旗の下へと向かうべく歩き出すのだった。



 飛翔した勢いそのままに、リリスフィアは吶喊する。
 迎え撃つ鬼の金棒と魔剣がぶつかり合い、負荷に耐えかねた甲板に亀裂が走る!
 だが、その亀裂も旗の力によって時間を巻き戻すかのように即座に修復された。

「くっ、強いね。 でも負けないよ」
「そうですっ、叩ける敵なら怖くないですにゃー!」

 声を追いかけるように上空から落ちてくるのは、大きく振りかぶったメイスを持つコトトだ。
 その動きを見たリリスフィアは、鍔迫り合いをしていた鬼を蹴り飛ばしてバランスを崩させながら離脱する。
 直後、重力加速を味方につけた一撃が鬼に振り落とされる!
 頭頂部に強打を喰らった鬼が白目を剥き、あまりの威力に破壊された甲板の崩落に巻き込まれ階下の船室に落ちてゆく。
 その甲板もまた即座に修復され、鬼は船室へと閉じ込められた。
 そう、なにもわざわざ倒しきる必要はないのだ。
 目的は旗を降ろすことなのだから、それまで手出しされないのであれば。

「どんどん行くのですっ、ブドウ弾をくらうのです!」

 リリィエルのばら撒いたブドウ味の飴が散弾となり、非戦闘員である怨霊達を綺麗に避けて落ち武者の霊や鬼に降り注ぐ。
 弾丸の雨に晒された落ち武者の身体は打ち砕かれて消滅したが、鬼は金棒を盾に耐え切り、煩わしいといった動きでリリィエルを打ち払う!
 あわや激突かとリリィエルが身を固めた瞬間、鬼だけを狙った猛烈な突風が吹き荒れる。
 思わず鬼がたたらを踏んだところを鋭い風の刃が切り裂き血風が舞い、更に追撃と叩き込まれた魔剣が首を刈り取り、力を失った鬼の身体が倒れ込んだ。

「みんな、旗はもうすぐだよ!」
「いやはや、船捕りは初体験だが楽しいものだな」

 先導するリリスフィアを追うクロゥの声は言葉の通り少し弾む。
 これだけ巨大な船だ、さぞや沈め甲斐があるだろう。
 旗を掲げた柱まであと僅か。 角を曲がればすぐそこに……金棒を振り上げた鬼がいた。
 咄嗟に防御態勢を取り飛びずさる猟兵達。
 勢いよく振り下ろされた金棒は甲板を激しく叩き、盛大に捲れ上がった木材や金属の破片をぶちまけながら巨大な穴を穿つ!
 穴の規模が大きいせいか瞬時には船の修復は完了せず、伸縮する鬼の腕の脅威はあるが飛んで行くか、迂回するか逡巡した一瞬にそれは起こった。
 しゃらしゃらりと涼しげな音が鳴り響き、直後に鬼の腕がグイっと何かに力強く引っ張られたかのように船縁に引き寄せられ、バランスを崩した鬼が船から転落する。
 盛大な落水音と水柱を背に、船の側面から瑠璃の鎖を手にした二つの人影が姿を現す。

「ハッ、大人しく沈んでろ、スクィッシー」
「見えないものは怖いですから、ちゃんと注意しないといけませんよ」

 それは後部甲板から敵を暗殺し、時には船の側面に降りながら前進してきたヴィクティムとラピスだ。
 先ほど落としたので棍棒鬼は最後だった。 ――もはや、猟兵達の前に行く手を阻むものはいない。
 旗を掲げたロープに手が掛けられ……。

 旗と共に怨霊の力を失った船が、時間を早送りするかのように崩壊し始めた。
 水圧に耐え切れなくなった船体が悲鳴を上げ、圧壊と共に押し出された空気によって水柱が立ち上がる。
 飛沫を上げ、海面が渦巻き、水底深くへと巨大な船が飲み込まれてゆく……。
 こうして一つの戦いは幕を下ろしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト