エンパイアウォー⑨~灼熱の山陽道・泣きっ面に火蜂
●灼熱の山陽道
日本の夏は高温多湿で非常に暑いという。
だがそうは言っても、ここ数日間の山陽道の暑さはまさに異常と言えた。
ミンミンミンと元気になくミンミンゼミもこの暑さに最早鳴くことすら諦めて沈黙し、街道には陽炎が揺らめいてた。
「暑っいなぁ~。何なんじゃろう…この暑さは。このままじゃあ儂らはお天道様に焼き殺されてしまうかもしれんのう…」
「そうじゃなあ…昨日も何人も暑さでひっくり返ったと聞くし、隣の村じゃあ何か熱病が流行ったと聞くぞ……」
滝のように出る汗を手ぬぐいで拭いながら農民たちは愚痴り合う。
「こんな暑い中、御侍様たちは島原まで行軍するんじゃと……。このままじゃあ合戦に行くまでに暑さで死んじまうんじゃないか」
「そうじゃな…誰かこの暑さを何とかしてくれんかのう……」
●泣きっ面に火蜂です。
「しゃちーっす。最近は猛暑日が続いて暑いねぇ。そんな中でさらに気温を上げるという暴挙をした大馬鹿野郎が居るから、ちょっと退治してきて欲しいんだ」
エアコンの良く効いたグリモアベースの一角にシャチの着ぐるみを着た女神、パリジャード・シャチー(因達羅神のハナヨメイド・f17808)が、着ぐるみのヒレの部分を振りながら、猟兵達に声をかける。
こいつのことをよく知っている人はまたこの格好か、知らない人は暑さ頭でもおかしくなったのかという事を頭に思い浮かべるような恰好のまま女神は説明を続ける。
「それでね、こんなことを起こしたはコルテスと彼と組んだ長州藩の毛利一族の人達で、山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ、進軍してくる幕府軍を、熱波によって茹で殺すという非道と言いようがない作戦を決行して来たんだ!」
グリモアを操作して雲のスクリーンに西日本の気温を纏めた情報を掲載する女神。
それを見ると山陽道だけ明らかに高温を示す赤一色となっている。
「このままじゃあ…幕府軍は熱中症と脱水症状で死んじゃうよ。近隣住民にもかなりの被害が出ると思う。おまけにあいつら信じられないことに『南米特有の風土病』をばら撒いたの。本当に信じられないよね‥‥!」
言葉尻に怒りを滲ませながら、シャチぐるみが憤る。
「これを量産できれば……暑さも寒さも平気なんだけど……これはうちが女神パワーで作った一点物。流石に三万人分も作れないよ…」
シャチぐるみのお腹をヒレでべしべしと叩きながらパリジャードは申し訳なさそうな声を上げる。
いくら冬暖かく夏涼しい魔法の着ぐるみと言っても3万人のシャチぐるみが大挙して島原へと行軍するシュール以外の何物でもない光景は勘弁してくれと思った貴方、その感覚は正常です。
「幸いなことに儀式の詳細とその対処方法は分かっているよ。敵は山陽道にあるお寺の一角で『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』を使ってこの儀式を行っている。だからこの霊玉を壊せば、儀式は終わって山陽道は元に戻るよ」
スクリーンにお寺の映像と赤く燃える炎のような霊玉が映し出される。
「ただ…その霊玉は、コルテスが長州藩の藩士を材料にして作ったオブリビオンが守っているんだ。だから、オブリビオンを倒して霊玉をぶち壊してね」
左手のヒレを動かしてサムズアップをしたいんだろうなーというポーズをするシャチぐるみ女神。
「オブリビオンの種類‥‥?ああ…うん‥‥大火蜂。多分死ぬほど暑いだろうから熱中症には気をつけてね!ファイト!!」
矢継ぎ早に説明を終えると女神はグリモアを操作して雲のゲートを作り出した。
ゲートの先には陽炎の立ち込める如何にも暑そうな寺の庭が映し出されていた。
しろべびさん
しゃちーっす。しろへびさんです。
最近暑いですねぇ。そんな暑い中気温を上げるお馬鹿さんを倒して下さい。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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誰かと一緒に依頼に参加したい場合は、その方が誰か分かるようにしてくださいませ。
それではみなさんのプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『大火蜂』
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POW : 種火
【自身の身体】が命中した対象を爆破し、更に互いを【火事の炎】で繋ぐ。
SPD : 延焼
【周囲の炎が燃え広がること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【火事】で攻撃する。
WIZ : 不審火
自身が戦闘で瀕死になると【炎】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●灼熱の国分寺
真夏の太陽が容赦なく山陽道にあるとある国分寺を照らし続けている。
聖武天皇が国家鎮護の為に作った仏閣の一角にこともあろうか、国家そして国民を危機に晒すような邪悪な儀式を行うための祭壇が設置されている。
その祭壇の上には火山の熱を宿したような真っ赤な霊玉が鎮座されており、それを守るように大火蜂がヴヴヴヴと羽音と火花を散らしながら警戒飛行をしている。
もう見るからに暑い、暑い、ひたすら暑い。熱気で陽炎が立ち込めている。
そんな心の折れそうな暑さの中でも猟兵達は戦わねばならない。戦ってこの儀式を止めねば多くの人々が犠牲になるからだ。
ルベル・ノウフィル
アドリブ連携歓迎
ああ、暑い
僕は暑いのはちょっと苦手でございます、はふはふ
えんぱいあのー未来のためにーえんやこらーでございます
蜂さんたちは見てるだけであっちっち、ウッ嫌な思い出が
早業でUC:遊戯を披露しましょう
捧げる記憶は、僕が6歳の時に蜂の巣を見つけてツンツンしたらいっぱい出てきてアワワワキャンキャンなホラー体験でございます
捧げた瞬間に僕はトラウマがなくなり「もう何も怖くない」と言った感じです
指揮者のように杖を振り死霊をけしかけましょう
「すべて滅ぼせ」
普段とちょっと口調が違うのは忘れたけれど魂の奥底で「仇敵」的に思っているのかもしれませんね
彩花を同時に舞わせて本日は死霊の舞踏会でございます、な
●危ないから駄目と言われるとかえって気になるそんな少年時代
「ああ、暑い僕は暑いのはちょっと苦手でございます、はふはふ」
じりじりと肌を焼く日差しに白い狼の耳をへにょんとさせながら、額に流れる汗を拭うのは、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)だ。
あまり日差しのないダークセイヴァー出身の人狼にとっては、パワーアップしたエンパイアの日差しと暑さは、かなり堪えるのだろう。
「えんぱいあのー未来のためにーえんやこらーでございます」
それでも困っている人は放っておけないと、暑さを堪えて大火蜂が守る邪悪な祭壇の方へと歩いていった。
「蜂さんたちは見ているだけであっちっち、ウッ嫌な思い出が」
ひょっこりと仏殿の角から庭園の方に顔を出すルベル。その先には大火蜂が炎の翅を高速で羽ばたかせ火花を散らしながら警戒飛行をしていた。
そんな火蜂を見ているとルベルにとって苦い思い出が顔を出す。
あれはルベルが6歳の時だった。いつものように探検をしていたルベルは、庭先で大きな蜂の巣を見つけたのだった。
それに興味を持ったルベルは、足元にあった棒を手に取ると蜂が一杯いる蜂の巣をツンツンと突っついた。
それに怒った蜂たちは巣の中から、カチカチカチと大顎を鳴らしながら、空中ホバリングをした後に狙いをつけて襲い掛かってきて…。
あの時の恐怖体験を思い出して少し顔を青くしたルベルは、ぶんぶんぶんと首を振って嫌な思い出を振り払おうとする。
そして気を取り直して、大火蜂への攻撃を開始した。
「ひとは、よく笑っているではございませんか。あれは本当に楽しそうでございますね。僕もね、笑うのは好きなのですよ、得意でございます」
詠唱と共に星守の杖が輝き、ルベルの記憶を喰らいつくす。
捧げる記憶は先ほど火蜂を見て思い出した『アワワワキャンキャンなホラー体験』だ。
そして記憶を食らった星守の杖は封印を解かれ、その身を意のままに戦場の空を舞う死霊の刃へと姿を変える。
「すべてを滅ぼせ」
トラウマの記憶を捧げたことで蜂への苦手意識がなくなったことで『もう何も怖くない』と強気になったルベルは、指揮者のように杖を振って死霊達を火蜂にけしかける。
まあ藪をつついて蛇を出して噛まれるタイプのルベルには、まだまだこの手のトラウマは沢山ありそうではあるが。
語気が若干強いのは、何処かしらこいつらは『仇敵だ』と思っている所為なのだろうか。
ついでに彩花も一緒に宙にばら撒くと、それらも一緒に大火蜂の下へと向かわせた。
空中でホバリングしながら狙いを定めた大火蜂がカチカチと大顎を鳴らしながら、お腹の毒針を突き出すような姿勢で死霊の刃へと向かっていく。
大火蜂と死霊の刃がぶつかると爆発が起こり、真っ二つになった大火蜂が地面へと転がる。
半分になった火蜂は、苦しむように足と翅を動かしながらユーべルコード≪種火≫の効果により死霊の刃と半分になった自身を火事の炎で繋ぐ。
ユーべルコードによる攻撃手段が体当たりという関係上、大火蜂は死霊の刃との相性が非常に悪かった。よくて相打ち、悪ければ多少のダメージを与えて真っ二つだ。
「本日は死霊と大火蜂の舞踏会でございます、な」
死霊の刃と大火蜂の死の舞踏を仏殿の影からそっと見物をしながら、ルベルは、大火蜂が居なくなるまで死霊と彩花をけしかけ続けた。
大成功
🔵🔵🔵
ヘカテー・ティシポネ
凄く…暑いし…それに…お腹空いたわ…。
これ以上脱ぐと…怒られるわよね…?
火の蜂……
お肉でも焼いたら…いい感じかしら?
(ぶっちゃけ、死霊系と炎って相性が悪い気がするのよね…。
まぁ、先に逝ったワンコ君が生贄になってくれたし、死霊でも借りて適当に対処しようかしら?)
先ず、敵から「目立たない」ように行動して先のワンコ君の攻撃の延長上に見せておくわ。なので全ての責任はあの子よ。
そして「呪詛」を込めた屍霊竜の魔刃を【死霊武器操作】で大火蜂で攻撃。倒した後に召喚される火は、分裂した複数の武器を別々の方向から同時に攻撃することで敵が対処できないようにします。
終わったら、お饅頭でも食べようかしら。
●そんなことよりお饅頭食べたい
人狼の少年が大火蜂の群れに死霊をけしかけて攻撃を開始し始めた頃に2人目の猟兵が茹るように熱い寺院の境内へと転送されてきた。
「凄く…暑いし…それに…お腹空いたわ…。これ以上脱ぐと…怒られるわよね…?」
転送されて早々に、無表情でとんでもない事を言い出したのは、全身黒ずくめの恰好をしたヘカテー・ティシポネ(エリーニュス三美姫・f06411)だ。
黒は太陽の光をよく吸収するため、その衣装は非常に暑いのだろうということは良く分かる。良く分かるのだが…脱ぐのはダメです。それ以上脱いだら裸だよ!
「火の蜂……。お肉でも焼いたら…いい感じかしら?」
あの蜂を捕まえて背中に網を乗せて焼肉したら美味しく焼けるのかしら…或いは肉の塊をあの火力で焼いてみたら美味しいかしら…なんてことをぼーっと考えているヘカテー。どうやら大分暑さでやられているらしい。
そうこうしているうちに、太陽の光を吸った漆黒の外套が段々と熱を持っていき、体感2割ぐらい温度が上がる。
「暑い…木陰に…」
暑さに溜まらなくなったヘカテーの思考は現実に帰り、たまらず日陰へと避難を開始した。
(ぶっちゃけ、死霊系と炎って相性が悪い気がするのよね…)
木陰へと避難したヘカテーは、頭が冷えたのか先程とは打って変わって真面目に戦術を練り始めた。
(まぁ、先に逝ったワンコ君が生贄になってくれたし、死霊でも借りて適当に対処しようかしら?)
彼女の視線の先には、仏閣の影から大火蜂に向けて、次々と死霊を繰り出す白狼の少年が居る。
(敵から目立たないように攻撃して、全部あのワンコ君が攻撃したように見せよ…。そうすれば全ての責任はあの子よ…)
大火蜂に襲われる役を押し付ける気が満々のヘカテーは、白狼の少年の攻撃に合わせるような形でユーべルコードによる追撃を行った。
「死霊たちよ…集いて、動けや動け…」
呪を紡ぎユーべルコードを発動させてドラゴンゾンビの爪から作った短刀『屍霊竜の魔刃』が35本複製される。
その短刀に死霊が宿ると宙を自在に舞いながら、白狼の少年が放つ死霊の刃の一員であるかのように、混ざって飛んで行った。
ヴヴヴヴヴと羽音を立てて火の粉を舞い散らせながら、荒々しく宙を舞う大火蜂に、強力な死の呪詛が込められた短刀が襲い掛かる。
「ヴヴヴッ!?」
ザクリと炎の体にドラゴンゾンビの爪から作られた短刀が突き刺さる。
そして短刀に込められた死の呪詛が大火蜂の体内で炸裂する。
死の呪いによって蝕まれた大火蜂は、こてんとひっくり返りながら地面に落ちると、迫りくる死に抵抗するように足を何度かばたつかせた。しかし結局は死には抗えず、そのまま動きを止めて絶命した。
だが、これで大火蜂を倒せたかと言うと残念ながらそうはいかない。
大火蜂の骸から紅く燃える膨大な熱量を伴った炎が産まれた。この炎もまた蜂と同じ攻撃方法と力を持つ強力なオブリビオンだ。
この炎まで倒し切らなければ、あの蜂を倒したとは言えない。
「産まれたばかりの炎は、しばらく動けないから隙だらけ……」
新しく産まれた炎が飛び立とうとしたその時に、別々方向から同時に飛んできた『屍霊竜の魔刃』が、不審火をXの字に切り裂く。
そして死の呪詛に蝕まれた炎は少しずつその姿を小さくすると、風に吹き消されて消滅した。
こうして複製した『屍霊竜の魔刃』を操るヘカテーは次々と大火蜂を葬っていった。
「この仕事が終わったら、お饅頭でも食べようかしら」
グリモアベースに帰還した後に食べるおやつをぼんやりと考えながら。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
人命に代えられぬものは無し、3万のシャチぐるみで進軍出来たら良かったのですが…
格好を気にして勝てれば苦労はしません
…騎士の格好の私が言うなという誹りは甘んじて受けましょう…
SSWの恒星の光に晒されながらの船外作業もこなせる機械の身
この暑さはまだ許容範囲内ですが、幕府軍にとっては致命的
その上、風土病とは……なんとしてでも阻止せねばなりません
自爆攻撃の以上接近戦は避けた方が無難
UCでウォーマシン用の弓矢を持ち込み、センサーで●情報収集し飛行速度、飛行ルートを●見切り●怪力で引く弓での●スナイパー射撃で仕留めていきます
流石に向かってくるでしょうから、肩部と頭部の格納銃器も展開
これらも使った射撃で殲滅
●騎士らしくあろうとする者
「人命に代えられぬものは無し、3万のシャチぐるみで進軍出来たら良かったのですが…格好を気にして勝てれば苦労はしません」
シャチぐるみを着たアホ女神の妄言にも、一考の価値があるのではないかと考えているのは、白い騎士甲冑を身にまとうウォーマシンのトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。
実際あのシャチぐるみは、風と水の女神の加護がこれでもかと言うほど込められているので、冬暖かく、夏は涼しい。
だからビジュアルと動きにくさを度外視すれば、確かにシャチぐるみでの行進は、酷暑対策という一点のみにおいては非常に優秀な手段ではある。
「…騎士の格好の私が言うなという誹りは甘んじて受けましょう…」
物語に出てくるような清廉な騎士であろうと、格好をつけている紛い物の騎士が、『恰好を気にしていては勝てない』という言葉を口にする矛盾を自覚しているトリテレイアは、そう呟いた。
「SSWの恒星の光に晒されながらの船外作業もこなせる機械の身故に、この暑さはまだ許容範囲内ですが、幕府軍にとっては致命的ですね」
高感度マルチセンサー・情報収集ユニットから算出された周辺情報から、現状の過酷さ再認識するトリテレイア。
暑さ指数(WBGT)は警戒レベル『危険』の≧31℃を超えており、ユニットからは赤字で『DANGER!No exercise!(危険!運動禁止!)』の警告文が赤字で表示されている。
「その上、風土病とは……なんとしてでも阻止せねばなりません」
暑さで体力と免疫が落ちた所に熱病が流行すれば夥しい死者が出るのは間違いない。それは覚悟を持って戦いに臨んだ兵士だけでなく、日々を慎ましく暮らす無辜の民たちも一切の例外はなく、殺し尽くすであろうことは想像に難くない。
故に機械の騎士は、侵略渡来人と毛利一族が仕掛けた邪悪な儀式を粉砕するべく、武器を取り行動を開始した。
「自爆攻撃をしてくる関係上、接近戦は避けた方が無難ですね」
寺院の庭園を見下ろせる高台に移動したトリテレイアが取り出すのは、ユーべルコード≪電子と鋼の武芸百般(システム・マルチウェポンマスタリー)≫で持ち込んだウォーマシン用の弓矢である。
騎士は足を逆八字に開くと、体の重心を腰に落とす。そして弓に矢をつがえると、弓を垂直に、矢は平行になるように構える。
そして弓を押す手と弦が引く力が同じになるように、左右均等に引くと弦を引くと人差し指が下あごに当たる。
そしてその体制のまま狙いを定める。敵の情報についてはセンサーによって敵の飛行速度、飛行ルートは解析済み。
後はベストのタイミングを見切り、リリース(矢を放つ)するだけだ。
「今です!」
最高のタイミングで放たれた鋼鉄の矢は、ビュンと風を斬る音を立てながら、一直線に大火蜂の下へと飛んで行く。
「ヴヴヴ…!?」
鋼鉄の極太矢に貫かれた大火蜂は、体に大穴を開けて消滅する。
「「「カチカチカチ!!」」」
仲間が狙撃されて殺されたことに気づいた大火蜂たちは、大顎カチカチカチと鳴らして威嚇を始めると、翅を小刻みに動かして、警戒モードへと移り変わる。
そして下手人を探すべく、周囲の警戒と探索を開始した。
「ヴヴヴ!!!!」
何体かの仲間が鋼鉄製の極太矢に撃ち抜かれた後に、漸く下手人姿を見つけた大火蜂は、周囲の仲間に向けて特殊な踊りを踊ることで敵の位置を教えた。
「流石に気づかれましたか。ですが…問題はありません」
敵の動きが変わったことに気づいたトリテレイアは、弓を地面に突き立てると内蔵火器をアクティブモードへと移行させる。
装甲の一部が展開して金色の内部フレームから、格納銃器が顔を出す。
「格納銃器を以て殲滅します」
毒針を体に前にして翅を羽ばたかせて突撃する大火蜂に向けて、格納銃器から放たれた弾丸の雨が絶え間なく降り注ぐ。
弾丸の雨によって次々と体を削られた大火蜂は、蜂の形を保つことが出来なくなり次々と骸の海へと帰って行く。
そして格納銃器の発射音が鳴りやむと、そこに居た全ての大火蜂は、姿を消していた。
「あとはあの霊玉を」
トリテレイアは、弓を地面から引きくと、霊玉に向けて狙いを定めて鋼鉄製の矢を撃ち放った。
放たれた鋼鉄製の矢は違うことなく命中し、霊玉を粉々に打ち砕いた。
大成功
🔵🔵🔵
二天堂・たま
この暑い季節に熱波を呼びこむとは…さらに敵は火蜂だそうだな。
はぁー…極寒育ちのワタシには地獄だ。
寒くなればいいのに。凄く寒くなればいいのに。吹雪が舞うほど…そうだ!
UC:アルダワ流錬金術で周囲の無機物を雪に変えて吹雪けば涼しくなる。
雪はあくまで水…自然界に存在するのだから操れるに違いない。
空気を含んでいる分、氷より断熱効果も高いし。
攻撃ももちろんアルダワ流錬金術に頼る。
相手の体は火でできている。つまり砂で包んで酸素を遮断するか、水や雪を掛けてやればいいのだ。
唯一の欠点は、UCを解除すると全て元に戻る点だ。
このままサムライエンパイアを冬景色にしたかったのだが、仕方がない。
●猫妖精はかまくらで丸くなる
「この暑い季節に熱波を呼びこむとは…さらに敵は火蜂だそうだな。はぁー…極寒育ちのワタシには地獄だ」
灰色のもふもふとした毛並みが自慢のケットシーの二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は、転送されて早々に大きなため息をついた。
冬場は暖かくて過ごしやすい素敵な灰色のもふもふもの毛並みは、灼熱地獄のような熱気と湿気に満ちたこの寺院の境内では、灰色の毛並みが太陽の光を良く吸収することも相まって地獄のように暑かった。
それに加えて敵はあの大火蜂。もう見るからに熱い。居るだけで気温をどれだけ上げているのかと考えると…ため息が出るのも仕方のないことだろう。
「寒くなればいいのに。凄く寒くなればいいのに…吹雪が舞うほど…そうだ!」
たまは、あまりの暑さに極寒の故郷や、まだまだ先の冬の景色を頭に浮かべる。ああ…あの寒さが恋しい。
そんな彼の頭に1つの冴えたアイディアが思い浮かんだ。
「アルダワ流錬金術(クラシカル・アルケミア)で周囲の無機物を雪に変えて吹雪けば涼しくなるな、雪はあくまで水…自然界に存在するのだから操れるに違いない。空気を含んでいる分、氷より断熱効果も高いし」
ユーべルコード≪アルダワ流錬金術(クラシカル・アルケミア)は、周囲の無機物を自然界に存在する物質に変換して操るユーべルコードだ。
雪は当然自然物なため、ユーべルコードによる変換は問題なく行われる。
試しに、寺院の石畳を新雪に変えてみた所問題なく、石畳は新雪へと変化した。
効果を確認したたまは、早速このユーべルコードを使って火蜂を倒すことにした。
「ちちんぷいっ!と」
たまがユーべルコードを使って作り出した雪でやったことは、かまくらを作ることだった。かまくらは、中に居て涼しいし、忌々しい夏の日差しから、灰色のもふもふの毛皮を守ることが出来る。まさに一石二鳥だ。
涼しいかまくらの中に避難したたまはそこで漸く人心地がついた。
これで暑さによって倒れることなく、戦闘に集中ができる。
「相手の体は火でできている。つまり砂で包んで酸素を遮断するか、水や雪を掛けてやればいいのだ」
そういうとたまは周囲の無機物を片っ端から雪へと変換していき、大火蜂に向けて雪崩攻撃を仕掛ける。
「ヴヴヴ!?」
驚いた大火蜂たちは慌てて空を飛び逃げようとする。
だが、これは普通の雪崩ではない。たまの意志によって自在に動く雪崩なのだ。
逃げる大火蜂たちに覆いかぶさるように広がる雪雪崩。それは次々と炎で出来た蜂を飲み込み、押しつぶしそして冷やしていく。
大火蜂たちは倒れた後も炎を召喚して、一矢報いようと試みるものの…その炎たちも雪によって圧迫され、段々と鎮火していった。
「ふう…上手く行ったな」
たまは、のそのそとかまくらの外に出ると、祭壇に設置してあった霊玉を手に取り、地面に叩きつけて粉々に砕いた。
「このUCの唯一の欠点は、UCを解除すると全て元に戻る点だ。このままサムライエンパイアを冬景色にしたかったのだが、仕方がない」
じりじりと照りつける太陽を忌々し気に見ながら猫妖精は呟く。その声色はどこまでも本気と書いてマジだった。
大成功
🔵🔵🔵
三上・チモシー
アドリブ連携歓迎
うーん、暑いねー
自分はUDCアースに住んでるし、暑いのはわりと平気な方だから、これくらいなら我慢できる範囲ではあるんだけど
でも、現地の人には厳しいよね
早くなんとかしよっか
【熱湯注意】で範囲内の蜂を全て攻撃
これなら炎で繋ぐとか多分できないでしょ、お湯だし
近くで爆発した場合は【火炎耐性】で耐える
お湯じゃなく水が出せたら、少しは涼しくできたんだけどねー
ちょっと気温上がっちゃったらごめんねー
霊玉を見つけたら遠慮無く叩き壊しちゃおう
暑いよ!
●泣きっ面になった火蜂
茹るような暑さに襲われた灼熱の山陽道。
その山陽道にある国分寺に設置された火山の力を宿した霊玉は全部で3つ。
一番厳重に警護されていた霊玉は、死霊術師たちが護衛を削り、機械騎士がウォーマシン用の弓矢で射貫かれて破壊された。
もう一つの霊玉は、猫妖精が地面に叩きつけて叩き割った。
最後の霊玉もまた多くの大火蜂によって守られている。
そしてその守りを突破して、霊玉を破壊するために、5人目の猟兵がうんざりする程暑い寺院の境内に転送されて来た。
「うーん、暑いねー。自分はUDCアースに住んでいるし、暑いのはわりと平気な方だから、これくらいなら我慢できる範囲ではあるんだけど…でも、現地の人には厳しいよね。早くなんとかしよっか」
暑さで苦しむエンパイアの民の為にやる気一杯で依頼に臨むのは、カラフルな和服に身を包んだ可愛らしいヤドリガミの少年である三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)だ。
彼の暮らしているUDCアースでは、地球温暖化やらヒートアイランド現象とやらで、どんどん平均気温が上がっており、35℃や40℃近くまで気温が上がることも、最近では珍しくなくなってきた。
その為、40℃近いこの国分寺の境内に居ても…まあ普段よりもちょっと暑いくらいで問題なく耐えることができる。
さらに彼の本体は、南部鉄瓶である。元々火にかけて水を沸かせるものという性質上、暑さや熱には矢鱈と強い。
故に彼は、この灼熱地獄のようなこの依頼にとって、まさしく適材適所と言える人材であった。
チモシーが歩いて向かった先の祭壇でも多くの大火蜂たちが、霊玉の周囲を取り囲むように警戒飛行をしていた。
あの大火蜂たちを無力化しない限りは、安全に霊玉を破壊することはできないであろう。
「あれが霊玉か。じゃあ遠慮なく叩き壊しちゃおう」
そう言うと彼は、本体である『平丸型鉄瓶』を片手に持ち、祭壇の方へと真っすぐに歩きだした。
「「「カチカチカチ」」」
霊玉が鎮座している祭壇へ真っすぐに近づいてくるチモシーに向けて大火蜂たちは大顎を鳴らし、翅を小刻みに動かすことで威嚇した。
それでもなお、怯まずに向かってくるチモシーを、大火蜂たちは実力で排除するべくヴヴヴヴヴと、背中の翅を羽ばたかせて火花を散らしながらヤドリガミの少年を取り囲んだ。
「お湯じゃなく水が出せたら、少しは涼しくできたんだけどねー。ちょっと気温上がっちゃったらごめんねー」
チモシーの本体である『平丸型鉄瓶』の内部にお湯が沸きだし、注ぎ口から白い湯気が立ち上がる。
「そーれ、熱湯ざばー!」
そして掛け声と共に鉄瓶の注ぎ口から噴き出した熱湯を、チモシーの周囲を取り囲むように飛び回る大火蜂たちに浴びせかける。
「ヴヴヴ!!!!?」
勢いよく熱湯を浴びせかけられた大火蜂たちは、翅や頭などの体の一部を弱点である水によって鎮火させられて、お湯によってぐしゃぐしゃに湿った地面へと墜落した。
(これなら炎で繋ぐとか多分できないでしょ、お湯だし)
その目論見通り、大火蜂のユーべルコードである≪種火≫は発動せず、爆発は起こらず、火事の炎も発生しなかった。
「もういっちょ、熱湯ざばー!」
地面に転がる蜂の形をした炎を完全に鎮火するべく、追加の熱湯を周囲にばら撒くチモシー。
熱湯が炎にあたり蒸発し、高温の水蒸気へと変わっていく。
それによって周囲の気温と湿度はさらに上昇し、寺院の一角がさながらスチームサウナのような状態になった。
この暑さに耐えられるのは、炎熱に耐性があるチモシーくらいの物だろう。
「さて、これで大火蜂は全部片づけたし、遠慮なく霊玉を壊しちゃおう」
大火蜂が完全に消滅したことを目視で確認したチモシーは、祭壇に向けて意気揚々と歩きだし、火山の熱を宿したように赤い霊玉の下へと移動した。
「暑いよ!」
チモシーは、ツッコミの台詞と共に、可愛い大連珠霊玉を握った拳を、霊玉に振り下ろし、粉々に叩き潰した。
斯くして全ての霊玉は破壊され、コルテスと毛利一族がしかけた邪悪な儀式の影響は、解除された。
これにより、儀式の行われていた国分寺の周辺は元の気温へと戻り、『南米特有の風土病』も活性化することなく死滅していくだろう。
猟兵たちの活躍によって多くの命が救われ、幕府軍が天草へとたどり着くための大きな一歩が進展したのだ。
炎天下の下に必死で戦った猟兵達は、エアコンが良く効いたグリモアベースへと帰還し、冷たいジュースや美味しいお菓子で英気を養うのであった。
大成功
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