エンパイアウォー⑧~追い立てる水晶の屍
●追い立てる水晶の屍
ざくざく、ぶちり。
田畑の間の道を駆け抜ける農民達。
追い立てられるその顔は、老若男女問わず恐怖に満ちている。
追い立てるは水晶の屍。
肩から水晶を生やし、肉が崩れながらも凶悪な表情で農民を追い回す。
その手には、白い人間の腕。
逃げ遅れた農民を食い殺し、追い回す。
時折捉えた者を食いながら。
鳥取城へ、休む間もなく、追い立てる──。
●
「お手伝い、願えますかー……」
グリモアベースにて、寧宮・澪(澪標・f04690)が猟兵達に声をかける。
「サムライエンパイアの、水晶屍人達が、鳥取周辺の農民さんを、ですねー……鳥取城に連れ去ろうとしてますー……」
今も繰り広げられるエンパイアウォー。
山陰道の防御指揮官である安倍晴明は、奪った鳥取城を拠点として、猟兵と幕府軍を壊滅させる準備を行っている。
鳥取上は、有名な『鳥取城餓え殺し』が行われた場所であり、恨みの念が強く残っており、この城に、近隣住民を集めた上で閉じ込め飢え死にさせることで、奥羽の戦いで使用した『水晶屍人』の十倍以上の戦闘力を発揮させる事が可能となる。
この強化型『水晶屍人』量産の暁には、山陰道を通る幕府軍と猟兵全てを殺し尽くしても、ありあまる戦力となってしまう。
「これ防ぐ為にも、農民さんを救うためにもー……襲っているいる所に駆け付けて『水晶屍人』を撃破してー……人々を救出してください、なー」
この度戦う水晶屍人は、戦国時代でも最も惨いと言われる殺され方をした住民の怨霊を利用して生み出されている。
「今回、相手にするのは10体位の、水晶屍人ですー……奥羽にいたのより、強くなってますー」
奥羽を瞬く間に席巻した時と比較すると出現数は少ないものの、わずか10体程度で猟兵と渡り合えるぐらいの超強化を施されている。けれども理性的な会話とかは行えなえず、命令された農民の追い立てを行い、邪魔するなら排除する行動を取る。
「どうか、農民さんを、助けてください、なー……よろしく、お願いします、ねー」
そう、澪は一音謳って。
鳥取城にほど近い農村への道を紡ぐのだった。
霧野
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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水晶の屍を倒していただきます。
よろしくお願いします。霧野です。
●シナリオについて
一章:周辺の農民を追い立てる水晶屍人を倒してください。
集団戦です。
●複数人で参加される方へ
どなたかとご一緒に参加される場合、プレイングに「お相手の呼び名(ID)」を。
グループ参加を希望の場合は【グループ名】をご記入いただけると、助かります。
●アドリブ・絡みの有無について
勝手に連携していただいたり、アドリブを加えさせていただくことがあります。
以下の記号はプレイングの文字数削減としてプレイングの頭にご利用下さい。
◎ アドリブ歓迎・絡み歓迎。
△ アドリブ歓迎・絡みNG。
× アドリブNG・絡みNG。
第1章 集団戦
『水晶屍人』
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POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
逢坂・理彦
農家の人を犠牲にして水晶屍人の力を上げる、ねぇ…しかもやり方がえげつない。
戦ってるお侍さん達も大事だけどお百姓さんももちろん大事だからね…だから守らないと。
利用されてる怨霊も怨霊だし…ここで終わらせよう。
UC【狐火・椿】で一斉に攻撃した後
墨染桜で【早業・なぎ払い】で斬り込み攻撃開始。
敵攻撃は【戦闘知識】や【第六感】で【見切り】
誰かが襲われていた場合は【かばう】からの【カウンター】
お百姓さんには美味しいお米をつくってもらわないとだからね…!
アドリブ連携歓迎。
落浜・語
◎
吉備さん【f17210】と
ったくまぁ、本当にふざけんなっての。悪趣味すぎて腹が立つ。
そう言う目論見は徹底的に叩き潰してやらないとな。
UC『人形行列』で農民と敵の間に人形と吉備さんの氷でもって壁を作る。敵、人形、氷壁、農民の形で、逃げるために【時間稼ぎ】をしつつ鳥取城の方に行かないよう誘導の声掛けを。
必要に応じ【言いくるめ】や【演技】なんかもして、安全なほうへ。襲われそうな人がいれば、奏剣も使いつつ【かばう】
敵一体に対して、複数の人形をけしかけ、周囲も【範囲攻撃】に巻き込みつつ確実に倒していく。
悪いが、助けられるのは、生きているものだけなんでね。
吉備・狐珀
落浜・語(f03558)殿と参加です
生み出された水晶屍人もですが、鳥取城で行われようとしている企みも悪趣味極まりないですね。
何が何でも阻止します。
UC【青蓮蛍雪】使用。
農民が逃げている途中で万が一、人形が爆発した時の爆風を防ぐために
狐火の数をいくつか纏めて人形と農民との間に【属性攻撃】で強化した氷の壁を作ります。
壁があれば逃げる時間も作れますね。
壁が間に合わず農民が襲われそうになっていたら人形の【衝撃波】で水晶屍人を【吹き飛ばし】て農民を守ります。
依神・零奈
◎
……随分と惨い事をするものだね清明
それがオブリビオンの定めなのかどうか知らないけど
私は現世を護る、ただそれだけ
まずは農民の安全確保が優先かな……
彼らと屍人の間に立ちふさがるように陣取る事にする
強化された屍人というならまず一体一体片付けた方がいいね
UCを発動して攻撃を仕掛けよう
禍言による【呪詛】で屍人を蝕みつつ【破魔】の力を
込めた無銘刀で切り伏せていくよ
攻撃の際は【だまし討ち】の為に【フェイント】を加えたり
【カウンター】を狙って確実に仕留めていこう
敵が霊を召喚したら即座に周囲に【破魔】の力を展開して
霊の浄化、攻撃の低減を狙うよ
ユリウス・リウィウス
◎
死人を黄泉路へ送るのも、屍術師の勤め。調伏させてもらおうか。
「生命力吸収」「精神攻撃」を乗せた死霊の霧を展開して、水晶屍人が村人を見つけられないようにする。
この間に、村人を逃がしておく。
さて、出番だ、亡霊騎士団。水晶屍人どもを冥府へ引きずり落とせ。
亡霊兵たちには積極的に仕掛けさせず、霧の中で囮として彷徨わせる。
水晶屍人がそちらに手を出して手番を潰してくれればありがたい。
その間に、虚空斬で一体ずつ水晶屍人を切り捨てていこう。
仕留め損ねた場合は悪意の怨霊を放って取り殺させる。
お前達が召喚主に恨みを晴らしたいというのであれば、俺の眷属になっても構わんぞ。こいつらも道連れをほしがっているところだ。
雨宮・いつき
◎
飢え殺しなどという酷く凄惨な行い、許すわけには参りません
ましてや、死した市井の者を人の世に仇成すために使役するなど…
必ずや食い止めてみせます
呼び出される霊は肩の水晶を媒介に顕現しているのでしょうか…?
ならば【高速詠唱】で雷撃符から雷の【マヒ攻撃】を放ち、
動きを鈍らせた所で雷の槍を飛ばし、肩の水晶を撃ち貫いて破壊します!
次いで放つのは九頭龍様をお呼びする術式
神酒の霧の【破魔】の力で、既に放たれた霊や屍人を浄化し力を弱めさせ、
それから本命の水の刃で一気に殲滅させて頂きます!
…どうか、迷う事無く浄土へ迎えるよう祈りましょう
●
何度も転んだのだろう。
母と子が土に汚れ、血を滲ませながら走っていた。
けれどもそう長くは走れない。ぐらり、ゆ足をもつれさせ、子が転ぶび、せめて母は庇おうと覆いかぶさる。
その背後に迫った水晶屍人は、哀れな親子を喰らおうと手を伸ばす。
あと僅か、届くまで爪を伸ばした水晶屍人に雷の槍がごう、と襲いかかった。
「飢え殺しなどという酷く凄惨な行い、許すわけには参りません。ましてや、死した市井の者を人の世に仇成すために使役するなど……必ずや食い止めてみせます」
雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)が雷撃符でもって肩の水晶を撃ち貫いたのだ。
貫かれた屍人達は、痺れたように動きが止まる。
「派手に壊さないでくれよ?派手に壊されたら、人形も泣く。痛い思いしたくなければ、壊さないことだな」
「言の葉のもとに魂等出で候」
電撃でもって動きが鈍った屍人から、這いずりながらも逃げる農民を守るよう、屍人と農民間に氷と人形達の壁が立ち塞がった。
「ったくまぁ、本当にふざけんなっての。悪趣味すぎて腹が立つ」
「生み出された水晶屍人もですが、鳥取城で行われようとしている企みも悪趣味極まりないですね」
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)の人形が、吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)の冷気を含む青い狐火が、農民を守る壁となる。
「そう言う目論見は徹底的に叩き潰してやらないとな」
「はい。何が何でも阻止します」
生まれた壁を迂回して、農民をまた追い立てん、とする屍人達を霧が包んでいった。
「苦しみのうちに斃れた死霊達よ。その怨念をもって憎き命をとり殺せ──死人を黄泉路へ送るのも、屍術師の勤め。調伏させてもらおうか」
ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が村人を逃がすために死霊の霧を展開している。
「さて、出番だ、亡霊ども。水晶屍人どもを冥府へ引きずり落とせ」
ユリウスの言葉に合わせて霧が凝り、騎士の姿を持って彷徨いてみせる。
命を持ったような霧に僅かに戸惑い、躊躇する屍人達。
その霧の中、理彦が咥えた煙草の煙を、手のひらに息をふう、と吹きやれば、ぽう、ぽう、と彼の周りに椿の狐火が浮き上がる。
「農家の人を犠牲にして水晶屍人の力を上げる、ねぇ……しかもやり方がえげつない」
逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)の使う狐火だ。
(戦ってるお侍さん達も大事だけどお百姓さんももちろん大事だからね……だから守らないと。利用されてる怨霊も怨霊だし……ここで終わらせよう)
「ぽとり、ぽとりと椿の様に」
言葉に合わせ一斉に狐火は踊り、水晶屍人へ襲いかかる。
椿の花が落ちるように、屍人の上から落ちて燃やす。
燃えながらも進もうとする屍人に対し、農民をを守るよう立ちふさがるは、依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)。
「……随分と惨い事をするものだね晴明」
此度使われた怨霊は、死した同胞を喰らい生き延び、我が身が死せば、同胞にその身を喰わせ生を繋いだ、非業の怨霊。
その恨み哀しみは深く、強い力を秘めている。
(それがオブリビオンの定めなのかどうか知らないけど)
零奈は無銘刀で進む屍人を切り払い、来た方へと後ずらせる。決して先へとは行かせない。
「帰依の御霊、倦む惰性を絶て」
確実に一体一体を屠るため、守護の神霊へと姿を変えて、無銘刀を振り払う。
「さあさ、屍人は俺達が相手取る。鳥取城は逆に危ない。今のうちに村へ帰るといい」
「だけんど、村にはあいつらが……」
「大丈夫です。ここで全部倒しますから、安心してお家に帰ってくださいね」
「うちに、かえれるの?」
「ああ、大丈夫だ。俺達に任せておけ」
「はい、任せてくださいね」
怯える農民達を語と狐白は宥めながら、守るように人形と壁を強めていく。
語は、農民達を励ましながらも不安そうな者を言いくるめ、頼りになる武芸者を演じて見せながら、文楽人形の身頃から生み出した複数の人形達で屍人を囲んで、弾ければ他の屍人も巻き込んでいく。
狐白は、農民が逃げている途中で万が一、人形が爆発した時の爆風を防ぐため、狐火のいくつか纏めて人形と農民との間に属性攻撃で強化した氷の壁を作り出す。
僅かに包囲を抜けて壁を回り込み、うっそりと現れた屍人が現れても語も狐白も慌てることはない。
語は怯える農民の前で不敵に笑ってみせ、奏剣を構え、水晶から出でる霊を払って農民達をかばってみせる。
狐白は狐面を備えた兄の魂の宿る人形から衝撃波を放って、屍人達を吹き飛ばし、新たに氷の壁を打ち建てる。
その姿に農民達は励まされる。きっと、これだけ強い者達がここに集ったのだ、大丈夫だろうと。
霧の中で、ユリウスは屍人を惑わせる。
ユリウスの眷属となった霊体でもって構成される霧は、屍術師たるユリウスの意のままに姿を変え、僅かに残する屍人の判断を精神に関与し鈍らせる。
農民を襲おうと蠢く屍人の前を走る人の影を取り狙いを逸らさせる。
絡みついて動きを抑え、その仮初の命を奪いゆく。
「お前達が召喚主に恨みを晴らしたいというのであれば、俺の眷属になっても構わんぞ。亡霊達も道連れをほしがっているところだ」
弱りながらも牙での噛みつきをせんと口を開けた、恨みを抱いた目前の水晶の屍に眷属への誘いをかけつつ、ユリウスはその首を黒の双剣で跳ね飛ばした。
理彦は墨染桜を手に屍人へ切りかかる。
払い、突き、振るい、なぎ払い、墨染桜は艶やかに姿を見せながら、薙刀の刃は屍人を薙いでいく。
肩から現れる水晶の霊の眩い光を第六感に従い目を逸らし、他者に向けられた攻撃を庇い、墨染桜で突き返す。
「お百姓さんには美味しいお米をつくってもらわないとだからね……!」
戦が終わって平和な世の来るとき、また美味しい米を作って過ごせるよう、守護者たる狐は仲間を、農民を守るように薙刀を振るう。
零奈は確実に屍人を屠ろうと、禍言でもって歩む屍人に呪詛を成す。
青白い炎を抱くような禍言を紡ぎ、そこらに惑う屍人を蝕み、その歩みを、牙を、爪を鈍らせる。
蝕まれた屍人が抗おうと水晶の霊を呼び出せば、正常なる息吹を持って、破魔の力で清め奉る。
たとえ人々に忘れられれども、今この場で零奈は守りの神として農民を守り、穢を祓い清め、屍人の力を削いでいく。
「私は現世を護る、ただそれだけ」
己の存在を削ることになれども構わずに。
禍言で縛った屍人を、無銘刀の一閃で切り伏せた。
いつきはユリウスの霧を納めてもらい、神酒を振りまいて場を清め。
既に現れた霊や屍人、殺された農民の霊や体を清め、慰撫し、場を整えて。
「水神の逆鱗に触れし者に、清き怒りを与え給え……参りませ、九頭龍大明神!」
この場に清めを齎す巨大な白い九頭龍を呼び起こす。
水の刃が屍人を切り清め、神酒の霧が霊を包んで清めゆく。
「……どうか、迷う事無く浄土へ迎えるよう祈りましょう」
助けられた農民の顔は哀しみ、疲れていたけれど、生きる強さを失ってはいなかった。
助けられたことに礼をいい、彼らは無事に村へと帰っていく。
猟兵達は、無事農民を守り、ひいては安倍晴明の目論見を破る一助に成功したのだった。
成功
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