エンパイアウォー⑥~打ち破れ、大帝の支配
●待ち受ける方陣
「サムライエンパイアの戦い、お疲れ様。目的とかやることとかはー……説明しなくても、大丈夫そうかしら」
オリヴィエ・ベルジェ(飛び跳ねる橄欖・f05788)は集った猟兵達の顔を順々に見ていく。
今月の頭から始まったエンパイアウォー。織田信長の待ち受ける「魔空安土城」へ向けて、今も進軍を続ける幕府軍。
それらの詳細な説明は不要なはずと、オリヴィエは資料をばさばさと広げて本題に入った。
「今回みんなには、関ヶ原に行ってもらいたいの! 魔軍将との戦いではないけど、すごく重要なお仕事よ」
中山道と東海道に分かれて進軍していた、十万の軍勢が合流する関ケ原。そこには大帝剣『弥助アレキサンダー』が所持する『大帝の剣』で洗脳された農民による重装歩兵軍――『ファランクス』が待ち受けている。
たかが洗脳されているだけの一般人と言えども、侮ることはできない。日野富子から徴収した金銭で彼らに与えられた武装は、長槍と大盾。槍で相手を攻撃して、自身の左隣にいる者を盾で防御する陣形『ファランクス』は、一般の幕府軍では到底突破できない程の堅牢さを誇るのだ。
もしも猟兵が介入せず、このまま幕府軍が進軍した場合――幕府軍の半数が、この関ヶ原の地で壊滅することが予想されている。
そうなってしまえばこれからの戦いは苦しくなり、最悪ここで戦争も終了という展開もあり得るだろう。
そんな未来を迎えないためにも、猟兵達の力が求められている。
「みんなには、部隊を指揮するオブリビオンを倒してもらいたいの。指揮官さえ倒してしまえば、『ファランクス』は崩壊するわ!」
指揮官を務めるのオブリビオンは、大帝の剣の洗脳能力を農民たちに伝達する中継機だ。撃破さえしてしまえば、洗脳能力は失われて、操られていた農民達も降伏してくる。
あくまでも彼らは、意志を奪われて強制的に集められていただけの存在。支配を解かれれば、戦闘意欲も完全になくなるということだ。
「ファランクス部隊の人たちの攻撃は、あんまり気にしなくても大丈夫よ。わたしたち猟兵には、ほぼ届かないはずだから。……でも突破するとなると、ちょっと工夫がいるかもしれないわ」
というのも、オブリビオンは『ファランクス』の最奥で待ち構えている。そこへ到達するとなると、どうにかして農民で構成される攻防一体の陣形を抜けなければならないからだ。
一部隊につき二百五十六名、一列に十六人が並ぶ巨大な『ファランクス』。無策での突破は、生命の埒外にある猟兵であっても難しいだろう。
具体的な突破法は、戦場に赴いた猟兵達に一任される。ユーベルコード、個人で身につけた技術、奇策、正攻法……何でもありだ。
ただ一つ、陣形を維持しているのは『一般人』であることを忘れてはならない。彼らの生死は問われないが、本来であれば江戸幕府の治世で生きる人々なのだ。
過去から染み出してきた災厄に利用されて、今を生き続ける者達が犠牲になるなど、決してあってはならない。
大規模な戦争に関わる依頼とあって、困難な戦いになる。
オリヴィエはもう一度、集まった猟兵達の顔を見て――元気のいい笑顔を浮かべた。
「みんななら、絶対大丈夫よ! それじゃあ頑張ってきてね。いってらっしゃい!」
すずのほし
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すずのほしです。
エンパイアウォー、始まってましたね……!
関ヶ原(の背景)も配布されたことですし、こちらからは関ヶ原での戦いをご案内致します。
※注意
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●シナリオについて
ボス戦のみです。
洗脳された農民による陣形『ファランクス』を突破し、指揮官のオブリビオンを倒す流れとなります。
農民達の攻撃はあまり気にしなくて大丈夫ですが、陣形を突破する工夫がないと、ボス戦がちょっと不利になる……可能性がありますのでご注意を。
ちなみに農民たちの生死は問いませんが、うっかりでも死なせてしまうと後味が悪くなります。
以上です。
それでは皆様のご参加、おまちしております。
第1章 ボス戦
『黒幕の助言者』
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POW : 死灰復然(しかいふくねん)
【Lv体の武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 含沙射影(がんしゃせきえい)
【無数の影の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 電光雷轟(でんこうらいごう)
【錫杖】を向けた対象に、【激しい雷光】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:かな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠犬憑・転助」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
梅ヶ枝・喜介
洗脳だァ!? 無理矢理に戦わせるだァ!?
ざけんな!どいつもこいつも、民草をなんだと思ってやがる!
頭にきたぜ!
こういう手管を使う輩は絶対に許せねぇ!
どんなに珍しい陣を組もうとな!敗けやしねぇよ!
そいつァ普通の兵子者を相手にすることを考えて作られたモンだ!
重装の三人や四人をぶん投げるような怪力はハナから想定外!
真っ正面から近付き!突き出される槍をがっしと掴んで持ち手ごと放り投げる!
一人二人なら直ぐに穴も埋るだろうが!
それが十や二十になれば陣なぞガタガタよ!
その隙間を堂々と通るぜ!
坊主のナリして霊を手足にするとは不届き千万!
大将!覚悟!
どんな刀も弓矢もおれの一太刀に比べりゃ軽い!
斬いやぁあああ!!
蛇塚・レモン
それじゃあ、神の前に平伏してもらおうかなっ?
……それに、無関係の農民を助けなきゃっ!
陣形を前に蛇神様を召喚っ!
蛇神様、殺しちゃダメだよっ!
兵士たちを睨み付けてもらって、呪縛で身動きを封じるよっ!
(視力+念動力+マヒ攻撃+呪詛+範囲攻撃+恐怖を与える)
『余の神前であるぞ。道を開けよ』
蛇神様の神通力とあたいの左目で洗脳の解除を試みて道を開けてもらうよ
(催眠術+破魔)
上記を繰り返して最奥まで進むよ
敵の錫杖が動く前に蛇神様に睨んでもらって動きとUCを封殺!
(先制攻撃+だまし討ち+2回攻撃)
その錫杖、ズルいから壊すねっ!
蛇腹剣クサナギで錫杖ごと敵をなぎ払って吹っ飛ばすよ!
(武器落とし+なぎ払い+衝撃波)
二天堂・たま
さて……出来るだけ農民達を傷つけないよう、陣の首魁の元へ行き倒せば良いのだな?
ならUC:アルダワ流錬金術で地下の地面を操り、指揮官の真下まで進んでいこう。
そして敵の足元を塩水に変え、“ぼちゃん”と落とすのだ。
敵が錫杖を構え、雷光を放てば敵自身も感電するやもしれん。
地面の一部を鉄の支柱に変えれば、アースとなって電撃を地面に逃がせるし雷光はある程度御せる攻撃だ。
アルダワ流錬金術はUCを解除すれば、全ての無機物は元の状態に戻る。
攻撃に転じる時はUCを解除し、“ケットシーの肉球”で攻撃していこう。
逃げる時は再度UCで鉄の支柱を網のように張り、守りに入る。
レッグ・ワート
逃がしたい人数がえぐい。まあ一般に怪我人出ないように頑張るわ。
狙いは奥だったよな。とりま迷彩起こしたドローン飛ばして陣形と地形、猟兵立回りの情報収集。他の手が通り易くなるタイミング諸々支援考える。で、地形の多少の荒れなら宇宙バイクの運転で迂回。一般接触無く、後ろの心配も要らないのが一番だ。難しいなら距離密度見切って勢い付けてバイクで跳ぶ。槍が危なけりゃ間に鉄骨複製して盾か操作して足場にするぜ。
対指揮官は複製での鉄骨操作が主だ。一般が抜けられない程度の即席柵にするか、敵の攻撃から庇ったり武器受けするか、誰かの足場に使うかは戦況による。鉄骨何本か切られた時は、貰った切っ先でお返しといきたいね。
フルム・サーブル
所詮は人間用で、素人のファランクスだ
(体長30cm程度でなおかつ飛行できる)僕を防ぐことができるかな?
【迷彩】【変装】で盾の色に紛れて【オーラ防御】を固めつつ、隙間からの突破を図る
鼠一匹通さないようなら【シールドバッシュ】したり【鎧砕き】【破壊工作】で盾だけを狙い突破
怪我をさせないよう手加減しておこうね
ファランクス突破中に【力溜め】で助走(飛行?)をつけておくよ
正面突破を我慢した分、今とても【気合い】が入っていてねぇ!
召喚された武者達も同対応だけど手加減する必要はないから
【グラップル】併用で片づけてしまおう
黒幕には妖精さんパンチ
ちっちゃくて可愛い(自称)妖精さんの怪力の前にひれ伏すがいい…!
ミスト・ペルメオス
【POW】
民間人を操って…ッ、何てことをッ…!
……赦さん。やるぞ、ブラックバードッ。
愛機(機械鎧)を駆って参戦。
操られた人々が構成するファランクス。それを突破し、かつ人々を巻き込まないようにオブリビオンを叩く。
そのためには…。
念動力を最大限に。専用デバイス等を介し、機体制御や敵の動作等の見切りに活用。
スラスター全開、飛翔。可能な限り高く、速く。フェイント機動も入れてオブリビオンの上空を目指す。
反撃は回避機動やビームシールドで凌ぎつつ、目標位置に到達し次第【オープンファイア】。
可変速ビームキャノン、対機動兵器モード。命中率重視の一撃でオブリビオンを狙い、穿ち抜く。
※他の方との共闘等、歓迎です
「どいつもこいつも、民草をなんだと思ってやがる!」
転送された先で見た、一切の表情を失った農民達による方陣を目の当たりにして、梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)が叫んだ。卑劣な手を使う黒幕へ、そして大帝の剣への怒りを込めて咆哮する。
「あそこにいるの、みんな無関係の農民なんだよね。絶対に助けなきゃっ!」
蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)もまた、両手をぐっと握り締めて決意を固める。本来なら戦場に引きずり出されて心底から恐ろしいだろうに、立ちはだかる農民たちの表情から一切の感情は伺えない。
気持ちこそ言葉にしないが、ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)の思いも二人と同じだ。民間人を洗脳して戦場に立たせるなど、赦されてたまるものか。軍人として云々以上に、人としての話だ。
「やるぞ、ブラックバード……!」
慣れ親しんだ愛用の機械鎧の名を呼んだ声が、抑えきれなかった激情を如実に語っていた。
「さて……出来るだけ農民達を傷つけないよう、陣の首魁の元へ行き、倒せば良いのだな?」
ひげとふかふかの毛並みをそよがせて、二天堂・たま(神速の料理人・f14723)が目的を確認する。農民たちの生死は不問だが、人死は良くない。ここで倒されるのは、オブリビオンだけでいい。
「あっている。逃したい人数がえぐいが」
それに端的に返答するのは、レッグ・ワート(脚・f02517)だ。鮮やかな青の虹彩で敵陣を眺めて、懸念点もついぼやく。
操られた農民、総勢二百五十六名による『ファランクス』。猟兵はまだいいとして、一般人の方に怪我人が出ないように努めなければ。できる限りの範囲とはなるが、まあ何とかなるはずだ。恐らく。
「さて、どう抜ける? 支援が必要なら、手を貸せるが」
周辺にドローンを飛ばして情報を集めながら、レッグは他の猟兵へと訊ねる。鉄骨やアンカー、バイク。ドローンが収集した地形データ、レッグから提供できるものは数多あった。
「ワタシは心配ご無用。ちちんぷいぷいっと、ほらこの通り」
二天堂がぽふぽふと地面を叩くと、その地点に波紋が生まれる。無機物である砂と泥がみるみる内に液体へと変化して、ゆるやかな流れを生み始めた。
「ワタシはこちらに乗っていくつもりだ。最奥で落ち合おう」
『アルダワ流錬金術』で変化させた地面へと"潜水"しながら、二天堂はグレーの尾を振って敵陣へと向った。ファランクスではどう足掻いても対応できない安全地帯を通り、双方が傷付くこと無く先へ進んでいく。
「アタイはこっち! 最初にみんなにも紹介しておくね! こちら、あたいの親友の蛇神様だよ!」
蛇塚の傍らには、光り輝く魔法陣が浮かび上がっている。空中に描かれた陣から抜け出てきたのは、農民の数人など纏めて一呑みにできてしまいそうな程、巨大な白蛇だ。
白蛇――親友のオロチヒメを連れ添って、蛇塚はファランクスの一角へと走っていった。
「蛇神様、突撃するよ! あ、絶対に殺しちゃダメだからねっ!」
一切の生気を感じられない傀儡の民草。ただファランクスの役割を果たすために、蛇塚の華奢な体を刺し貫く槍を構えた。
『控えよ。余の神前である以前に……我が愛子の征く道を邪魔するでない』
刺突の直前、オロチヒメの神通力が振るわれる。蛇に睨まれた蛙ならぬ、神に命じられた下位存在となった農民たちは、槍を振るいかけた手を止めて、蛇塚のために僅かに体を傾けて道を開けた。
「ありがと蛇神様! 力加減もいいかんじだよっ!」
『殺すなというのが、そなたの望みであろう? 愛子の頼みを無下にする親が何処におると言うのだ』
農民兵に命じている時とは打って変わって、慈母の眼差しと声で蛇塚へと語りかけた。不殺の約束を、ちゃんと守ってくれているようだ。
(「本当は、元に戻せたらよかったんだけど)」
身動きしない農民と目を合わせて、蛇塚は眉尻を下げる。破魔の左目と蛇神による神通力を以てしても、彼らの洗脳を解く事はできなさそうだ。
ついでに農民たちを正気に戻して、ファランクスそのものを崩壊させたかったが――大帝の剣の洗脳というのは、予想以上に強固な物のようだ。精神を縛る枷を壊そうと試みても、人々の心が戻る様子はない。
ならば求められるのは、一刻も早いオブリビオンの撃破だ。
「この霊能探偵レモンちゃんがバシッとやってくるから、待っててねっ!」
未だ生気のない表情で立ち尽くす人々に呼びかけてから、蛇神と共に蛇塚は戦場を走り抜けた。
恐らく彼らの跡を追えば、最奥への到達は容易なのだろう。だが、他の猟兵にも自身らが得意とする方法で方陣を突破する策は用意してあるのだ。
支援が必要かと問われた
「問題ないよ。所詮は人間用で、しかも素人で組まれたファランクスさ」
「たとえ玄人でも関係ねぇ! どんなに珍しい陣を組もうと、絶対敗けやしねぇよ!」
次に飛び出していったのはフルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)と梅ヶ枝だ。フルムは飛行しながら自身の周囲にオーラを展開して、色彩を操っていく。映し出すのは、農民たちが構える盾の色だ。わざわざ色違いをそれぞれ与えられるような贅沢など無い、お仕着せの装備を携える陣の中に、小さな体が入り込む。
体長三十センチ程度の飛行物体が侵入するなど、当然ながら想定外だ。盾の色に紛れるフルムを的確に射抜ける達人も、この陣の中にはいない。
「失礼、そこを通らせてもらうよ!」
大盾で隙間なく守られた空間であっても、フルムの進撃は止まらない。携えたステッキで大盾を砕いて、自分が通る穴を開けて進んでいく。
古くから妖精は不思議な力を使い、様々な奇跡を起こすというのが、様々な世界で語られている。そんな妖精の力は、こういった状況にも対応できて本当に便利だとフルムはしみじみと感じていた。
実際は不思議な力でも何でもなく、ただの純然たる腕力で全てを解決しているのだが――そう指摘する者は、誰一人としていなかった。
一方梅ヶ枝は堂々と、まっすぐにファランクスへ飛び込んでいた。彼がいるのは真正面。『ファランクス』と名付けられた陣形が、最も力を発揮する場所だ。いくら一般人だけで構成された陣とは言え、兵士である幕府軍では太刀打ちできない程の強さを誇る。
そんな陣形に生身で飛び入った命知らずへと、農民達の槍が纏めて突き出され――止まった。
「さっきフルムも言ってたが、この陣は普通の兵子者を相手にすることを考えて作られたモンだよな?」
最前列とその背後、左右から突きつけられる穂先。それらを両手で掴んで止めて、梅ヶ枝は表情一つ変えることのない民へ話しかける。槍を引き戻してもう一撃を与えようとする農民の動きに逆らい、逆に槍を引き寄せた。
「つまり……おれみてぇな、重装の三人や四人をぶん投げるような奴ぁ、ハナから想定外ってことだ!」
そして、掴んだ槍ごと持ち主を投げ飛ばした。オブリビオンであれば空高く放り投げて、大地という武器に叩き付けてやるのだが、相手は一般人。自身の後方へ軽く放るだけの力で留めておいた。
こうして開けられた穴に、後方にいた農民が進み出て、再び刺突を繰り出す。やはりそれも梅ヶ枝の手によって止められて、ファランクスに空いた穴を押し広げる有様となっていた。
恐らく誰も、この陣を敷いた者ですら予想していない、真正面からの正々堂々とした突破。文字通り千切っては投げて、梅ヶ枝は方陣の奥深くへ進んでいく。
機械鎧とサイキックエナジーを纏って飛翔し、遥か高みに到達したミストは、なんとも言えない気分で地上を見下ろしていた。下からの攻撃を警戒していたのだが、とんでもない物を目撃してしまった気がする。
「……生身ですよね、お二人とも」
何せ盾を砕いて道を開けたり、人を投げて進む豪腕の戦士たちがいるのだ。猟兵として長くに活動してきたが、己の視覚機能にバグが生じたかと錯覚するような心地だ。
何か秘訣があるのか、単なる鍛錬の成果か。ひとまず答えを出す事は置いておいて、機体鎧を操作する。
「ん……?」
ふとデバイスごしに、空を移動する黒点――自身を狙う兵の姿に気づいた。片手で構える槍の穂先は地上にいる猟兵ではなく、空にいるミストを指し示していた。
即座にスラスターを駆動して、不規則な軌道で蒼空を飛び回る。大きく後退したり、急降下と急上昇を繰り返して、とにかく狙いを付けさせないように機体を操った。
(「……そんな危ないもの、投げさせませんよ」)
槍は上空にいるミストに届かない。農作業で鍛えていると言っても、一般人が放つ攻撃で猟兵を捉える事はできやしないのだ。問題は、『当たらなかった槍』の行方である。
空を狙って落ちた槍が地面に突き刺さる、それは運が良すぎる。陣を構成する者の頭上へ――他の農民へ槍が刺さる可能性の方が高いだろう。
不慮の事故も起こさせない。自分は狙うに値しない、狙えないものだと思わせるために、念動力を最大限に活用しながら、黒翼の渡鳥はファランクスの奥を目指す。
地上・地中・空中。あらゆる方面から進む他の猟兵を見て、レッグも宇宙バイクの駆動部を唸らせた。
「これなら猟兵の助けは要らなさそうだな」
先に進むのに難儀しそうな者がいたり、誰かが大怪我しないようにと備えていたが、心配無用だったらしい。周辺の地形を解析させていたドローンの情報を受け取り、思案する。
この一帯は、関ヶ原の中でも割と平らな部分のようだ。ファランクスの端から端まで特に起伏のある場所はなく、最右翼も特に守っている様子も、何か陣の周囲に仕掛けてある様子も見えない。そもそも、広大な場所でこそ効果を発揮するのがファランクスだ。崖際だとかの不安定な場所に展開することなど、元から考えていないのか。
「なら、迂回だな」
単純な回避方法こそ、一般人も猟兵も傷つかずに済む最適解だ。普段は宇宙空間を走らせているバイクが土埃を上げて、ファランクスの端まで疾駆する。
この陣形の弱点の一つとされているのは、機動性の悪さだ。人の足では追いつけないほどの速さで走る機体を追い込むような軽快さは、ファランクスにはない。槍と盾のみという武装は、歴代のファランクスの中でもかなりの軽装に入るだろうが、それでも埋め難い欠点はある。
「そんじゃ行こうか。また後でな」
最後に農民へと声をかけて、機能停止したり崩壊しつつある方陣を大きく迂回したレッグは、愛機と共に最奥へと急いだ。
●
前方がやたら騒がしい。幕府軍の到着は、あと数日後だと聞いていたはずだが。
ファランクスの最奥で、笠を被った青年がゆったりとした動作で振り向いて、騒音の正体を確かめる。
「猟兵でしたか。何か騒がしいと思っていましたが」
オーラを纏ったまま突撃してくるのは、小柄なフルムだ。まっすぐ飛来する妖精を見て、最奥にいるオブリビオン――黒幕の扇動者と呼ばれる僧服の男が薄く笑う。
やたらと勢いが付いている小さな飛行物体を食い止めるために、男の前に亡霊の武者が現れる。
「ふんっ!!」
およそ儚い妖精とは思えない気合と共に、立ち塞がった鎧武者の腕を掴んだ。そのまま六倍近い体格差があったはずの鎧武者を、グラップルの要領で僧侶の方へと投げ飛ばす。
「この哀れな武者に、最後の慰めを。ただ、あなたのような羽虫相手では――は?」
語りの途中だった男の言葉が止まる。語るのはこのオブリビオンの性分だが、あまりにも現実味のない光景を前にして、つい中断してしまったのだ。武者は投げ飛ばされた勢いのまま――僧服の男へと激突した。それでも衝撃が殺しきれず、ぶつけられた僧侶は武者に押し倒される形で地面に叩き付けられて、乾いた砂地を何度も転がる。
小さい体に似つかわしくない、まさしく"怪"力と言うべき腕力。遠くへ転がった僧侶へと、フルムは爽やかに笑いかけた。
「すまないね。正面突破を我慢した分、今とっても気合が入っていてねえ!」
まずはこのクソみたいな作戦を考えた黒幕に、速度を乗せた一撃を。そのために、フルムはずっと加速を続けていたのだ。
かよわい妖精なりに、頑張って気合を込めました。そんな雰囲気を醸し出しつつ、鎧武者にネックロックをかけるフルムを、僧侶は胡散臭げな目を向けた。どこの世界に、鎧武者ごと体格のいい男性を吹き飛ばす"か弱い存在"がいるのだろうか。
何より恐ろしいのは、今の一撃が妖術やその他の強化術が用いられた様子がないことだ。純粋な腕力で鎧を纏う怨霊ごと、オブリビオンを巻き込んで地を舐めさせたとすると恐ろしい。
そして更に恐ろしい事に――怪力の持ち主は、一人だけではなかった。
「大将、覚悟ォッ!!」
威勢のいい啖呵と共に、木刀が振り下ろされた。寸での所で割って入った武者がたった一振で叩き伏せられ、地面ごと粉々に粉砕される。
木刀の形をした巨大な鈍器かと疑いたくなる一撃に、僧侶が淀んだ目を丸くした。
「ああ……そういうことですか。先程、人が打ち上げられる様子が見えたと思ったら……なるほど」
怪力に二度驚きはしないと、むしろ自身の見た怪現象への答えを得たと薄く笑みを浮かべて、僧侶が錫杖を掲げる。双方の間に生まれるのは、大量の鎧武者。命の気配を感じられない軍団が刀を振り翳して梅ヶ枝へ襲いかかった。
「軽い! おれの一太刀に比べりゃ軽いぞ!」
鋼の刃を木刀で次々と弾き返して、梅ヶ枝は叫んだ。指揮官を任され、単騎で猟兵を迎え撃てる実力を持つオブリビオンが召喚する手下。その一撃は軽いものではないが、この旅人が振り翳す木刀と比べてしまうと話は別だ。気合と根性、人並み外れた膂力。それらを揃えた少年の得物と打ち合うには、亡霊の刀は力不足だ。
「坊主のナリして霊を手足にするとは不届き千万! そこを動くんじゃねえぞ!」
真っ向から打ち合った刀ごと武者を叩き割り、せめてこれが相手の救いとなる事を願う。安らかに眠っているところを叩き起こされて使役されて、こういう風に扱われるなど、あんまりな扱いだ。
不動を命じられた僧侶は薄ら寒い笑みを浮かべたまま、ゆったりと戦場の奥へと向かっていく。接近戦を得手とする二人から離れつつ、手駒を増やしてけしかけようという算段だ。
「あいにく、切った張ったは得意ではありませんので。それでは」
僧侶の合図を受けて、弓を持つ武士達が次々と矢を放つ。驟雨として降り注ぐ矢を払おうとする梅ヶ枝とフルムを妨害すべく、刀で武装した武士達が二人へと殺到した。
「させるものかッ!」
迷わずに雨に立ち向かったのは、ビームシールドを展開して空を駆けるミストだ。攻撃予定のポイントまで、ほんの少し距離があるが――だからと言って、窮地に陥りかけた味方をスルーしていい道理はない。空にあるものは、同じく空を行く者が対応すべきだ。
エネルギーで構築された盾に触れた矢が燃え尽きて、炭へと変わる。手の届かない場所にはブラックバードの砲門が光弾を放った。
撃たれた矢を薙ぎ払って焼き捨てる、蒼天を奔る光帯。たった一筋、武士の軍団と鏃の豪雨から逸れた光は――乱戦の様相を為しつつある前線を離れていく僧侶の右肩を、ピンポイントで撃ち抜いた。
「づッ……!!」
小さいとは言えない銃創。穿たれた肩を押さえ、僧侶は口の端を歪ませる。
そして即座に左手へ杖を持ち替え、錫杖を大地に突き立てた。先端に取り付けられた遊環が、がしゃりと不吉な音を奏でる。
「……あのような猟兵もいて、『ファランクス』など用をなさないと言うことは、進言しておかねばなりませんね。次のためにも……」
がしゃ、がしゃ、と背筋の凍る音が響くごとに、僧侶の周囲に黒い影が這い出てくる。影は僧侶を覆い尽くして球体となり――弾けると同時に、無数の刃となって四方八方に飛散した。
周辺を無差別に攻撃する刃。狙いは付けなくても良い。どうせ命中するとしても猟兵と使い捨ての霊、それかファランクスの誰かだ。
「次なんてありえないぜ。お前はここで退場だ。というか退場させないと、俺らがやばい」
それが猟兵へ到達する直前に、レッグが操る鉄骨の盾が降り注いだ。猟兵も、後方で立ち尽くす農民を守護するために『複製』された強化鉄骨は、影の斬撃を受け止めて、切断される。
甲高い金属音を立てて鉄骨が分かたれても、レッグは動じない。一切の歪みなく切り取られた鉄を観察して、頭部を動かした。
「ほら。お前がくれた切っ先だ。お返しするぜ」
レッグの青白いモノ・アイが輝くと同時に、裂かれた鉄骨がゆらりと空に浮かび上がる。その全てが、滑らかな切断面を晒す即席の刃物だ。
「ああ、そうだ。これも斬っていいぞ。武器にもなるし、盾にもなるからな。後はお前の好きにしろ」
言葉尻に軽く片腕を振れば、日光を受けて鋭く光る即席の突撃槍が、一斉に放たれた。影での迎撃か、生身での回避かを迫る槍が縦横無尽に僧侶へ襲いかかる。
「これはまた、面妖な……」
錫杖を打ち鳴らして、黒刃を撒き散らしながら僧侶がその場から飛び退った。影に触れた鉄骨はやはり切断されてしまうが――レッグは操作を止めない。あえて影の刃に触れさせて、鉄の切っ先にさらなる鋭さを与える。
念力で動かしきれない数はあえて捨てて、より殺傷力の高そうな部位だけを選び抜いて、業物を作り上げていく。
「う、グゥゥ……ッ! この、鬱陶しい……!」
薄い笑みを刻んでいた口元が、苛立たしげな形へと変わっていく。回避すらも困難な細かさと鋭さを帯びる鉄棘が僧服を貫き、露出した素肌に赤い線を引き続けるのだ。これを鬱陶しいと言わずに、どう言うのか。
「むっ……!?」
ぼちゃりと、僧侶の足元が沈む。幾度踏みしめようとも割れることのない大地が、一瞬にして液体へと変じたのだ。乾いた大地で存在するはずのない水飛沫が、男の僧服と素肌を濡らしていく。
突如湧き出た塩の泉。頑丈な地面の上で態勢を整えようとした男の身体が大きく傾いだ。
「大変そうだな。まあ、ゆっくり浸かっていけ」
バランスを取る暇は与えないと、地面というみなもから顔を出した二天堂が、ぷにっと男の軸足を押した。素晴らしく柔らかなケットシーの肉球で完全に体勢を崩した僧侶が、泉に叩き付けられる。
突然水没させられても、男が不快感を露わにしていないのは、着水を後押しした肉球の魔力のせいか。だが、それは気分だけだ。全身の裂傷と肩を焼いた銃創が塩に触れて、思わず苦悶の呻きを零す程の激痛を齎す。
「む、痛かったな。傷に塩はしみるだろう。すまないすまない、うっかりだ」
即座に塩泉は砂の地面へと戻り、同時に僧侶も押し上げられる。そして休む間はないと言わんばかりに、起き上がりつつある男へと青灰色の毛玉が飛びついた。
ひよこの鳴き声、もとい掛け声に合わせて放たれる、柔らかな肉球のラッシュ。好きな者にとっては至福のひと時の最中に襲いかかるのは、未だ残り続ける鉄の刃。
「す、少しま、待ちなさっこの、手を退……ええい……!」
僧侶もまた、錫杖から放たれる稲光で応戦するが、その動きはどこか慎重だ。高い命中精度を持つ攻撃であるそれで、ピンポイントに鉄と猫を射抜いても、こちらが感電するかもしれないという懸念が拭えない。
更に言うと、肉球で触れられる度に敵意が抜けていくような、世にも恐ろしい感覚にも襲われている。何とか不倶戴天の敵に対する本能的な殺意を集めて攻撃しているが、気を抜けばいつ霧散してもおかしくないのだ。
「先程からおかしな術を!」
抜けていく気を奮い立たせるべく、僧侶は荒々しい動作で錫杖を振り回した。ぐっしょりと水を吸った羽織から、ぽたぽたと水が滴る。
「うむうむ、感電には気をつけておくといい。ちなみに、このようにするのがオススメだ」
錫杖の動きに気づいた二天堂が、地面に突き立つ鉄柱の網へ飛び乗って退避する。ねこ、もといケットシーの脚力は伊達ではない。このぐらいの身のこなしは、朝飯前というものだ。
張り巡らされた鉄柱をアース代わりとして、雷の衝撃を大地に逃していく。
「……近寄られると困りますが、そう逃げないでもらいたいですね。いっそ鉄など残らないほど、微塵に――――ッ!?」
足場から足場へ、柱から柱へ。レッグの鉄骨も利用しつつ逃げる二天堂へ、さらに杖の先端を突きつけられる。が、それが完全に二天堂の方を示す直前、僧侶の身体が硬直した。指先に至るまで硬直させられ、中途半端な体勢となった僧侶の元へと跳ねるようにやってきたのは、蛇神の愛娘だ。
「蛇神様、ナイスタイミング! あとはあたいにまっかせといて!」
完全な不意打ちで行われた金縛り。陽光の下にあっても確かな姿を保つ白蛇の神が、まっすぐに僧侶を睨みつけていた。
猫を追うのに夢中になって、油断していた。蛇を連れる娘の存在は知っていたし、ずっと様子を伺っていた事も意識に留めていたが――発声機能すらも奪われた僧侶は、どうしようもない己の『詰み』を焦りとして予感し始める。
ただ杖を振る手を止められただけならば、さほど焦りはしなかった。鎧武者の召喚も影の刃による無差別攻撃も、どちらも防御に転じさせることのできるユーベルコードだ。どちらかが使えたならば、そうして迎撃しただろう。
だが、幾ら念じても、深い眠りの底にある亡霊共が起きる気配はなく、影はあるべき場所にあり続けたまま、微動だにしない。
これこそが、『戦闘召喚使役術式・来たれ、母なる白き大蛇神様よ』の真髄。オロチヒメの神通力で相手の動きを縛るだけでなく、ユーベルコードすらも封じてしまう神の呪縛だ。
蛇塚は虹彩異色の両眼で僧侶を見て、次いで錫杖を見て――人好きのする笑顔を浮かべた。
「さっきから見てたけど、向けただけで雷が出せる杖とか、ちょっと強すぎるんじゃない? ということで……ズルいから、それ壊すねっ!」
厄介なのは、杖を向けただけで迸る雷光だ。そして、危険物は往々にして没収されるもの。
舞踏を思わせる軽い足取りで踏まれるステップと共に、霊力を通した蛇腹の黒剣がうねり、僧侶へと襲いかかった。
雷を呼ぶ錫杖を持つ腕に強かな一撃、次いで衝撃波を伴う暴風の如き横薙ぎ。その強烈な二連撃に男の手から錫杖が零れ落ちて、霊力で巻き起こった嵐で体も大きく吹き飛ばされる。落とし物となった錫杖はクサナギで絡め取って、幾重にもへし折られた木屑へと変えてやった。
「みんなーっ、後はよろしくね!」
木片を払い落として、蛇塚はクサナギを持たない片手を大きく振って仲間達に後を託す。
一方空高く投げ出されて、上昇と移動を続ける僧侶が見たのは、碧落を背後にした黒い機体だ。
「少し飛び過ぎだ。……ここで落としてやる」
空はお前の場所ではないと迎え撃つミストの、機械鎧に装備された二門のビームキャノンが、揃って閃光を放つ。速度と貫通力を高めた射撃が、篠突く雨として晴天の空を覆い尽くす。
光の雨が降ったのは、十秒にも満たない程の時間だっただろう。しかしそれは、ダメージを受けたオブリビオンを瀕死に追い込むには十分すぎた。物理的な法則に従って飛ばされていた僧侶の体は、もはや息がある事自体が奇跡なレベルに蹂躙され、地表へ落下していく。
だが、殆ど死に体となった彼を迎え入れるのは、硬い地面ではない。
「足場だ。足りないなら増やすが」
「なら、ワタシも立てておくぞ。こちらもあと少し乱立できるが、どうする?」
「いや、十分だ! ありがてぇ!」
念動力で集結した鉄骨と、元は地面だった鉄塔を足場にして、梅ヶ枝が駆け上って空を目指す。目指すのは、全身を焼かれた僧服の男が落ちてくる予想地点。藻掻く事すら許されない状態のオブリビオンに引導を渡しに行く。
民草を利用するだけでなく、死した武者の魂すらも利用する怒りを、今こそ真正面からぶつける時だ。
「さっきのはほんのご挨拶……今度はその体に、直接撃ち込んであげよう」
男の影の下では、拳を固めるフルムも待ち構えていた。大地に身を屈めて、いつでも真上へ飛び出せるように。
殴られた武者に巻き込まれて軽減された一撃は、ただのお試しじみた生温いものだった。今度こそ全力、緩衝材もなにもない状況で受けてもらうのだ。
「俺の全身全霊……最後に食らっとけ! 斬いやぁあああ――ッ!!」
「さあ――これなら如何かな!」
方や木刀、方や徒手空拳。一見凶器と思えないそれらの武器を『一撃必殺』の領域に持ち込む二人の攻撃の命中は、ほぼ同時だった。
受け身どころか、回避も防御も、何一つできない。自己防衛のために動かせる体の自由は、蛇の一睨みで奪われている。そんな無防備な状態で受け止めさせられたのは、『火の構え』から落下の勢いも乗せて放たれる上段斬りと、『妖精さんパンチ』による痛烈なアッパーカットだ。
オーバーキルという言葉すら生温いとばかりに叩き込まれた、人外の膂力を持った戦士達の攻撃は、赤髪の僧侶を完膚なきまでに粉砕した。
大成功
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