エンパイアウォー⑥~関が原で結婚式!?
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「素敵ですね」
花嫁姿の雪女が、頬に手を当ててほぅっと息を吐く。
「結婚式にこんなにたくさんの人が集まってくださるなんて……大帝の剣の力は素晴らしいですわ」
その言葉通り、彼女の周囲には16×16の、総勢256名にも及ぶ農民が集っていた。違うのは、彼らが結婚式のために集まったわけじゃないことだ。農民達は皆、長槍と大盾で武装し陣形を組んでいた。結婚式に来たにしては物騒過ぎるだろう。実際、彼らは弥助アレキサンダーの『大帝の剣』の持つ洗脳能力に洗脳され、幕府軍を迎え撃とうとしているだけだった。だが、運命の人を求める雪女にとってはそれすらチャンス。彼女は両手を広げた。
「これで足りないのは運命の伴侶だけ! さぁ! いらして! 私のお婿様!!」
それとも集まってくださった農民の方の中に運命のお相手がいるのかしら、と彼女はそわそわと辺りを見回した。
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「あの~……婚活中の人っています?」
ガリガリと頭を掻きながら、それグリモアベースで訊くことか? みたいな質問を切り出した雨月・雨莉(は何もしない・f03581)は、猟兵達の視線にたじろいだ。
「いや、その、すいません……婚活の話じゃなくて依頼の話っす……」
あと俺は婚活してないしするつもりもないっす、と小声で付け加えた雨莉は、縮こまりながら依頼の話を始めた。
「えっと……今やってるエンパイアウォーなんすけど。猟兵の皆さんのおかげで、幕府軍は一切の被害なく関ヶ原へと到達できた、んすよね。ここから3方面に分かれて『魔空安土城』に進軍することになる、んすけど」
それに伴い、新たな『脅威』が予知されている。そのうちの一つが、関ヶ原の重装歩兵軍だ。
「弥助アレキサンダーの持つ大帝の剣の力で、洗脳されちゃった農民の人達が幕府軍を待ち受けてるんす」
農民兵は、日野富子から徴収した金銭によって整えられた『長槍』と『大盾』を装備している。のみならず、右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の仲間を守る陣形『ファランクス』を固めているという。
「猟兵の皆さんなら農民兵なんて敵にもなりませんけど……一般の幕府軍だとこの陣形を突破することは不可能なんす」
猟兵の活躍が無ければ、幕府軍の半数は、関ヶ原の地で壊滅してしまう。それを防ぐために力を貸して欲しいと雨莉は言った。
「つっても、操られてるだけの農民兵の人を倒すわけじゃなくて……その指揮官であるオブリビオンを倒して欲しいんすよ」
このオブリビオンは、大帝の剣の洗脳能力を農民兵に伝達し、ファランクスを組ませる中継機の役割を果たしている。従って、指揮官のオブリビオンさえ撃破すれば、その部隊のファランクスは壊滅し、戦闘意欲を失って降伏してくるはずだ。
「農民の人は操られてるだけの一般人ですしね。できるだけ、彼らを傷つけないようにファランクス陣形を突破して中央にいるオブリビオンを倒してくださいっす」
ちなみに、今回戦うべきオブリビオンは花嫁姿の雪女で、生涯の伴侶を求め続けているらしい。運命の相手を見つけるため、数多の人間に声をかけるのだとか。これでようやく雨莉の婚活云々の発言が繋がる。分かりづらい。
「まぁ、相手オブリビオンなんでもし『いいな』って人がいても結婚はできないんすけど! もし婚活中の人がいてもそこは割り切って倒してきてくださいな」
最後まで余計なこと言いながら、雨莉は猟兵達を関が原に送り出したのだった。
ライ麦
関が原で結婚式(相手はこれから探します)。
……っていうのはオブリビオン側の見方です。こっちは婚活関係ないです。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ファランクス部隊は一般人なので、その攻撃は猟兵に届く事はほぼありませんが、突破方法などを工夫しないと、ボスとの戦闘が不利になる可能性があります。
色々突破方法を考えてみてください。
それでは、結婚とか特に関係なく皆様のご参加とプレイングを心よりお待ちしております!
第1章 ボス戦
『サムライエンパイア絵巻『雪女の怪』』
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POW : 『あなたを愛しています。』
【一途な思い】から【愛の言葉】を放ち、【邪気のない魅力】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 『どうですか?お口に合いますか?』
質問と共に【愛情を込めた手料理】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ : 『でもせめて、結婚式だけは盛大にしてください。』
【『だれかの結婚式を盛大に祝いたい』】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【あらゆる状況を想定した結婚式場】から、高命中力の【結婚式の招待状】を飛ばす。
イラスト:鳥季
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「雛月・朔」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
宇冠・龍
由(f01211)と参加
私たち親子は援護に回ります
私は既婚者なので、ご祝詞だけになりますが……
(それとは別に、農民の方々を開放するのが先決ですね)
相手がファランクス陣形というなら、上空はがら空き
【談天雕竜】で梟の動物霊百羽を、武器たる催涙弾を足に持たせて召喚
百羽が敵陣上空を飛び、順次催涙弾を投擲。吹き出す煙は密集陣形ならより効果も高いでしょう
陣形を崩して後の方につなげます
(結婚式の演出としても丁度いいかもしれませんしね)
梟たちは一羽一羽が私と同じ強さを持ちます
そのまま上空から雪女目掛けて体当たり
煙の中で命中することは低いと思いますが
招待状が来たら避けます
宇冠・由
お母様(f00173)と参加
サポートに回って道を作りましょう
お母様が敵陣を崩してくださるので、私はそれに続いて洗脳された農民の方々を救助し、後続の方が動きやすいように道を作ります
洗脳とは一種の精神異常
なら【智天使の抱擁】で光を浴びせ、農民の方々を正気に戻しましょう
(催涙弾の効果も光を浴びれば回復できるはずですし)
全員は無理でも、お母様が攻撃している間にある程度の人数は逃がせるはずです
手料理が来たら顔にべちゃりとぶつかります
(私、ヒーローマスクなので口がないのですけど……)
「えっと、ごめんなさい。食べられませんでしたわ」
一応、逃げる農民の方々へ攻撃が向かうようならかばいます
「私は既婚者なので、ご祝詞だけになりますが……」
敵陣を前に、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は呟いた。それとは別に、農民の方々を開放するのが先決ですね、と龍は上空を見やる。相手がファランクス陣形というなら、上空はがら空き。それならば、と龍は談天雕竜で梟の動物霊百羽を、武器たる催涙弾を足に持たせて召喚する。
「悪鬼百鬼と数えれば、七転八倒列を成す……頼みましたよ」
百羽に及ぶ梟の動物霊は、彼女の令に従って敵陣上空を飛び、順次催涙弾を投擲する。吹き出す煙が農民たちを襲った。
「……うわっ! なんだぁ!?」
「げほっげほっ……前が……見えねぇ……」
密集陣形ならより効果も高い。一般人である農民兵達は成すすべもなく、咳やくしゃみ、落涙に転げまわった。陣形が崩れる。立ち昇る煙は結婚式の演出としても丁度いいかもしれませんね、と呟き、龍は娘である宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)に目配せする。
「農民の方々をよろしくお願いします」
「分かりました、お母様」
由は頷き、智天使の抱擁で広域に光を浴びせる。人体・精神・物質すら完全回復させる光が農民達を包み込んだ。
「あ……」
「すごい、もう、痛くも痒くもないぞ!」
光に包まれた農民達は催涙弾の効果からも回復し、喜びの声を上げる。その間に、龍に召喚された梟の動物霊達はそのまま上空から雪女目掛けて体当たりした。
「きゃぁ! な、なんですか!?」
上空から雨あられと降ってきた梟に、雪女は戸惑いながら腕を振りかざす。梟達は一羽一羽が龍と同じ強さを持つ。猟兵と同じ強さを持つ梟に体当たりされてはたまらない。雪女は表情を歪めた。
「フラワーシャワーならともかく、梟が降ってくるなんて……余興としてもあんまりですわ……」
ここは私の愛情込めた手料理で……と雪女は愛情こもった肉じゃがを放つ。
「どうですか? お口に合いますか?」
質問と共に放たれた肉じゃがは、回復した農民を逃がそうとしていた由の顔にべちゃりとぶつかった。
(「えっ、お口に合いますかと訊かれても……私、ヒーローマスクなので口がないのですけど……」)
由は戸惑い、正直に
「えっと、ごめんなさい。食べられませんでしたわ」
と答える。それは真実に違いなく、ノーダメージで解除された。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
一般人はできる限り怪我をさせたくないですね……
「鎧無視攻撃」と「気絶攻撃」の併用で一般人を無力化させていきましょう
雪女と対峙し、迫られたなら強く拒否できずたじたじになりつつ
いえ、お気持ちは嬉しいですが……ってザッフィーロ君?
常よりもどこか不機嫌そうな彼を珍しそうに見つめつつ戦いましょう
「属性攻撃」「全力魔法」「2回攻撃」を乗せた
【天航アストロゲーション】で狙い撃ちを行います
戦闘後、ザッフィーロ君に先ほどはどうかしましたかと問うて
答えが返ってきたならば、柔らかく微笑んでそれは嫉妬ですよと教えましょう
きみも嫉妬を覚えるようになったのですね
ええ、不思議ですよ……とても
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
一般人への被害は最小限に抑えたい故
『気絶攻撃』を乗せた『なぎ払い』をメイスで与え気絶させた後【赦しの秘跡】にて洗脳
未洗脳の敵の動きを封じる様命令をしつつ雪女の元へ向かう
対峙した際は宵へ目くばせをしつつ…も
雪女に宵が迫られたならば嫌な心持が胸中に満ち自然と間へ
…宵はもう相手が居る故に
宵は諦めろと雪女へ眉間を寄せつつ声を投げよう
戦闘時は前衛に立ちどこか苛立ちを乗せた『怪力』を乗せたメイスで攻撃をしつつ敵と宵の間に入り宵を『かば』いながら行動を
戦後、もし宵に何か問われれば悪い感情を覚えてしまった己を反省しつつその旨を告げる
…嫉妬…?これが、か
本当に…なんだ。心という物は不思議な物だな
「一般人はできる限り怪我をさせたくないですね……」
逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は呟き、武器を構えた。そこから放たれる攻撃は鎧、すなわちこの場合は大盾すら無視して農民達に届く。
「うぁっ……!?」
「安心してください、峰打ちです」
そう、これは気絶攻撃。命を奪うことなく、一般人を無力化させていく。ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)も同じく、気絶攻撃を乗せたなぎ払いをメイスで与えて気絶させていった。さらに、赦しの秘跡で気絶した農民達を妄信的な狂信者に変えていく。
『……さあ、瞳を開けよ。汝の罪は赦された』
洗脳には洗脳で対抗。ザッフィーロの囁くような詠唱で瞳を開いた農民達は、彼の命令に従い、まだ狂信者に変えられていない対象の動きを封じるように動く。
「うわぁああ待て! 俺は味方……なんで卍固めしてんだ!?」
などという叫びが響く中、宵とザッフィーロは雪女の元へと歩みを進める。気絶させたり動きを封じたりした農民の間を抜け、やがて二人は中央の雪女の元に辿り着いた。彼女と対峙したザッフィーロは、宵へ目くばせをし……
「あら、素敵な殿方」
瞬間、雪女が手を組み瞳を輝かせる。
「よろしければ、私とずっと一緒に……」
熱っぽい瞳で宵に迫る雪女。宵は強く拒否できず、たじたじになる。
「いえ、お気持ちは嬉しいですが……」
その様子を見ていたザッフィーロは、不思議と嫌な心持が胸中に満ち、自然と二人の間に入っていた。
「……ってザッフィーロ君?」
宵が驚く中、ザッフィーロは、
「……宵はもう相手が居る故に。宵は諦めろ」
と眉間を寄せつつ雪女へ声を投げる。
「あら、つれませんね……では、貴方と」
「ふざけるな」
どこか苛立ちの籠った、怪力を乗せたメイスで雪女を攻撃しつつ、ザッフィーロは宵を庇うように動く。常よりもどこか不機嫌そうな彼を珍しそうに見つめながら、宵も宵帝の杖を掲げた。
『彗星からの使者は空より墜つる時、時には地平に災いをもたらす。それでもその美しさは、人々を魅了するのです。星降る夜を、あなたに』
詠唱しながら、宵は杖の先端を雪女に向ける。瞬間、属性攻撃と全力魔法を乗せた、空から招来した隕石が2回連続で雪女へと降り注ぐ。
「きゃぁ!」
宵の天航アストロゲーションを喰らった雪女は頭を抱えてうずくまった。かなりのダメージですぐには起き上がれないようだ。それを見やり、宵はザッフィーロに
「先ほどはどうかしましたか?」
と問う。
「いや……宵が雪女に迫られているのを見たら、なんだか嫌な心持になって……」
悪い感情を覚えてしまった己を反省しつつ、その旨を告げると、宵は柔らかく微笑んで、
「それは嫉妬ですよ。きみも嫉妬を覚えるようになったのですね」
と教える。
「……嫉妬……? これが、か」
両掌を見つめつつ、ザッフィーロは呟く。
「本当に……なんだ。心という物は不思議な物だな」
「ええ、不思議ですよ……とても」
大成功
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ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
【追憶の星】で記憶の中にある赤いドラゴンの姿へ
背にカガリを乗せてファランクスを組む農民たちの頭上を飛んで通過しよう
その長槍もこの空の上までは届かないはずです
そうやって雪女の前へ降り立つ
自分の出会いの為だけに農民たちを洗脳してこのようなことをしたのですか?
だとしたら貴方のような人に運命の相手など現れませんよ
……今の愛の言葉。カガリに向けて言わなかったか?
ドラゴン姿の私に向けたものではないだろうし
そうだとしたら許さない。カガリは私の婚約者だからな
あの城門は私のだ。誰にもやらない!
【全力魔法】の炎【属性攻撃】を口から吐き出して、雪女を焼き尽くし溶かしてやろうか!
出水宮・カガリ
ステラと(f04503)と
ドラゴンに変身したステラに乗って、ファランクスを越えていく
戦う必要のないひとを放置してしまうのは忍びないが、少しの我慢だ
しかし、しかし。あいの言葉、とは。
器物的に意匠を愛でてもらうのは嬉しいが、ひとのれんあい?というものは、よくわからなくて
あいしている、とは。どういう意味だ?(純粋に首傾げ)
けっこん?門と?
カガリが言うのもなんだが…門と結婚してどうするのだ、お前…
それに、な。あいにく先約済みだ。
【泉門変生】で一度ドラゴン(ステラ)に添うように展開してから、ファランクス部隊を押さえる形へ
あいはわからないが、カガリはステラと約束しているからなぁ
あと、ステラもやらないぞ
追憶の星で、記憶の中にある赤いドラゴンの姿へと変身したステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は、背に出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)を乗せてファランクスを組む農民達の頭上を飛んでいく。
「長槍もこの空の上までは届かないはずです」
ステラの言葉通り、せっかくの長槍も空飛ぶ相手には届かない。農民兵達はただポカンと口を開けて、飛んでいくドラゴンの姿を見ているだけだ。その姿を上空から見やり、カガリは呟いた。
「戦う必要のないひとを放置してしまうのは忍びないが、少しの我慢だ」
実際、空を飛んで農民達をショートカットしたおかげで、さしたる障害もなく二人は雪女の前に降り立つことができた。花嫁姿の雪女を前に、ステラは言い放つ。
「自分の出会いの為にこのようなことをしたのですか? だとしたら貴方のような人に運命の相手など現れませんよ」
「そ、そんな……酷いですわ、私はこんなに『あなたを愛しています』のに……」
ステラの言葉に、雪女はさめざめと泣きながら愛の言葉を放った。愛している。回避しつつも、その言葉にカガリは首を傾げた。
「あいしている、とは。どういう意味だ?」
「え?」
雪女は不思議そうに面を上げた。
「器物的に意匠を愛でてもらうのは嬉しいが、ひとのれんあい? というものは、よくわからなくて」
「それは……その……結婚したい、というのとほぼ同義ですわ」
雪女自身も悩んだ様子で答えた。愛している、というのは人の数だけ答えがあるだろうけど。雪女の返答を聞いたカガリはますます首を傾げた。
「けっこん? 門と? カガリが言うのもなんだが……門と結婚してどうするのだ、お前……」
一方、ステラの方は。
「……今の愛の言葉。カガリに向けて言わなかったか?」
ふつふつと怒りを湛えていた。ドラゴン姿の自分に向けたものではないだろうし、だとしたら。
「許さない。カガリは私の婚約者だからな!」
もはや仮面が剥がれた一振りの剣として、感情を剥き出しにするステラに、
「え、婚約してらっしゃるのですか?」
雪女は目を瞬かせた。
「まぁ、な。あいにく先約済みだ」
泉門変生で、出口を鉄門扉が塞ぐ、対象を囲う黄金城壁に変形したカガリは、一度ドラゴン姿のステラに添うように展開してから、ファランクス部隊を押さえる。
「あいはわからないが、カガリはステラと約束しているからなぁ。あと、ステラもやらないぞ」
「そ、そんな……せっかく素敵な方とめぐり逢えたと思ったのに……やっぱり私と……」
諦めきれないように手を伸ばす雪女に、
「あの城門は私のだ。誰にもやらない!」
とステラは全力魔法の炎属性攻撃を口から吐き出して、雪女を焼き尽くし溶かしていく。
「ああっ!」
炎に包まれた花嫁姿の雪女は、雪が解けるように消えていった。
「結婚……したかったですわ……」
という言葉を残して。
その後。指揮官であるオブリビオンを倒したことで、操られていた農民達も洗脳が解け、戦闘意欲を失って降伏してきた。ファランクスも壊滅だ。これで関が原に待ち受ける重装歩兵軍の一部を撃破することができた。
幕府軍がうまく進軍できることを祈りながら、猟兵達はその場を後にするのだった。
成功
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