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エンパイアウォー⑲~傲慢不遜なる侵略渡来人

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #コルテス

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「エンパイアウォーへの参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
 グリモアベースに集った猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「皆様がエンパイア各地でオブリビオンの討伐を続けた結果、信長に仕える『魔将軍』の一人の所在が判明しました」
 魔将軍は信長軍に属するオブリビオンの中でも最高クラスの幹部たち。その中にはエンパンパイアの歴史にその名を刻んだ偉人、名将たちも名を連ねている。
 もし、この戦争に勝利したとしても彼らを討ち損ねることになれば、逃げ延びた魔将軍は戦争後もエンパイアの何処かで暗躍を続けるだろう。
「単なる強敵というだけではなく、戦後のエンパイアの未来を考えても、決して無視することのできない驚異です。リムはこの機に乗じた確実な撃破を要請します」
 そう言ってリミティアは作戦の詳細について説明を開始した。

「今回、所在が判明した魔将軍の名は侵略渡来人『コルテス』。クズです」
 リミティアの解説は端的だった。実のところ彼に関しては、他の魔軍将と比しても情報が少ない。少なくともエンパイアの人間では無く、いくつもの国を滅ぼして渡り歩いてきた生粋の侵略者であるらしい。
 他の世界の歴史には、かつてのメキシコに存在したアステカ帝国を侵略したコンキスタドール(征服者)の中に同じ名を持つ者がいるが、関連は定かではない。
「魔軍将コルテスは人を人とも思わない傲慢な侵略者です。その侵略手段は常に『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用して、安全圏から侵略と虐殺を繰り返すというもの。自分の力で直接戦ったのは、侵略を開始した最初の数回だけのようです」
 彼の乗騎にされている異国の神、ケツァルコアトルもそうやってコルテスに隷属させられた力の一つ。その人格はさておき、恐るべき敵であることには違いない。

「そう、本来なら、恐るべき敵でした。――現在のコルテスは長く実戦から離れすぎた結果、『戦闘の仕方を忘れて』います」
 リミティアはあくまで淡々と。にわかには信じがたいような事実を口にする。
「加えて自分が直接攻撃されることを想像すらしておらず、完全に油断しきった状態で、拠点である厳島神社から高みの見物を決め込んでいます」
 今、ここに猟兵が奇襲を仕掛ければ。上手くすれば『戦闘』とすら呼べないほど一方的にコルテスを撃破できる可能性もあると、リミティアは言う。
「戦い方を忘れたコルテスは、自らが予想もできないような攻撃にはまったく対応できません。ユーベルコードや戦法を工夫して敵の意表を突けば、反撃すら許さずに一方的に攻撃できるでしょう」
 しかもコルテスには、撃破されて骸の海から蘇っても、自分が撃破されたという事を認識する事が出来ない欠点がある。つまり撃破されるたびに彼の戦闘経験はリセットされ、『慢心から油断しており、戦いに不慣れである』という状況が何度でも発生するのだ。

「逆に真正面から切りかかるとか、わかりやすい正拳突きのような、彼にも予想のできる手段で真っ向から攻撃するのは得策ではありません」
 同じ戦闘で、似たような攻撃方法を既に彼が受けている場合も同様だ。対処法のわかる攻撃に対しては、コルテスは激烈な反撃を行ってくることが予想される。
「相手が慢心しているからと言って、こちらまで油断しないようご注意ください」
 今は戦いを忘れていても、コルテスが強大な力を持つオブリビオンである事実は揺らがない。むしろ、敵が油断しきっているこのタイミングを絶好の好機と考えるべきだろう。

「コルテスが何を目的としているかの詳細は不明ですが、とりあえず生かして良いことは何もないでしょう。その慢心の代償、皆様の力で支払わせてやってください」
 無表情のまま淡々と、普段よりも感情を抑えた調子で説明を終えると、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、コルテスの居座る厳島神社への道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 織田信長に従いし魔将軍、第四に現れしは侵略渡来人『コルテス』!
 厳島神社で高みの見物を決め込んでいる彼の撃破が今回のシナリオの目標です。強敵ですが油断しきっているので、オープニングの通りしっかり対策すればそれほど困難な戦いにはならないかもしれません。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 なお、コルテスの乗騎であるケツァルコアトルには「隷属の呪い」と「コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い」が掛かっています。そのためコルテスに命じられるまま全力で戦いますし、仲間にもできません。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『侵略渡来人『コルテス』』

POW   :    古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ   :    奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘクター・ラファーガ
わかった叩き落す。

舞台は厳島神社だ。なら、それなりのやり方でやらせてもらう。
舟を一隻借りて、神社が見えるくらい離れた場所で『決意の時・神器創造』を発動する。
引き出すのはイラン神話から、アーラシュの弓と矢。そしてコイツで神を、征服者気取りのクソ野郎を墜とす。
"全力魔法"でチャージしつつ矢を番え引く。今の俺は慢心にまみれた下等生物を叩き落すために生まれた存在。この矢を放ったその瞬間、グリモアに還るだろう──死にはせずとも、ここで自らの命を絶つ"覚悟"無くして俺がこの弓を引くわけがねぇ!

これがテメェが言っていた下等生物の本性だ。"スナイパー"で狙いを定め流星を放つ!

【アドリブ・絡み歓迎】



「舞台は厳島神社だ。なら、それなりのやり方でやらせてもらう」
 安芸国は広島湾に浮かぶ厳島。その沖合に一隻の船を浮かべ、彼方にある社を見据える一人の少年がいた。
 その名はヘクター・ラファーガ(風切りの剣・f10966)。彼はグリモアベースで今回の依頼の説明を受けた時、ただ一言、こう応えた。
『わかった叩き落す』
 と。

「これで終わらせよう。何もかも――」
 魔力を練り上げ、意識を集中。発動するのは【決意の時・神器創造】。世界に存在する数多の神話や伝説に登場する、神々や英雄の武器を創造する神話魔術。
 湧き上がる膨大な伝承の中からヘクターが引き出したのは、イラン神話に伝わる英雄アーラシュの弓と矢。比類なき弓の名手と謳われる男の伝説の再現。
「コイツで神を、征服者気取りのクソ野郎を墜とす」
 全身より迸る魔力を集束させながら、矢を番え、弦を引き絞る。ただそれだけの所作を取っただけで、彼の身体には引き裂けるような痛みが走る。
 英雄アーラシュは伝説において、イラン人とトゥーラーン人の間に起こった戦争を終わらせるべく、その身を引き換えにして窮極の一矢を放ったという。
 ヘクターが今、行おうとしているのは、その伝説の射の再演なのだ。

「今の俺は慢心にまみれた下等生物を叩き落すために生まれた存在。この矢を放ったその瞬間、グリモアに還るだろう――」
 自らの覚悟をより強固なものとするために、ヘクターは言葉を発する。
 矢の照準はぴたりと神社へ向けて。激痛で視界は霞み、気を抜けば膝から崩れ落ちそうになるが、それでも弓矢を保持する両腕だけはぴくりとも揺るがない。
 死にはせずとも、ここで自らの命を絶つ"覚悟"無くして、彼がこの弓を引くわけがない。
 鏃へと集束された魔力は、やがて地上に降りた流星の如き輝きを発する。

「む――なんだ、あれは?」
 その頃。厳島神社にて収奪した宝物の吟味をしていた侵略渡来人『コルテス』は、沖合より発せられる光に気付き、首を傾げる。
 彼はまだ想像だにしていない。この拠点にいる自分自身が直接襲撃を受けることなど。突き止められるはずがないと思っているのだ、野蛮な下等生物ごときには。
 従って彼は、その輝きが"攻撃"などとは露ほども想像しない。そもそもあの沖からここまでどれほどの距離があると思っているのだ。マスケット銃ですら届くかどうか怪しい距離から、ここまで狙撃できるような者などいる筈が――。

「これがテメェが言っていた下等生物の本性だ」

 ――その声が、コルテスの耳に届くことはない。
 だが、その瞬間に放たれた、ヘクターの全身全霊を籠めたアーラシュの矢は。太陽さえも眩ますほどに輝き、流星のごとく突き進む矢は。
 狙い過ることなく、満身の極みにあるコルテスに届いた。

「ぐおぉぉぉぉっ?!!?」
 流星に射抜かれ、吹き飛ぶコルテス。まるで攻撃されることを予期していなかっただけに、そのダメージは大きい。
 遠目にその様子を確認したヘクターはにやりと笑い――そのまま魔力尽きて霧散していく弓と矢と共に、ばったりと船上に崩れ落ちたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティアラ・パリュール
人を人とも思わない傲慢、許すことはできません
本来の力を発揮される前に倒しますよ!

魔導蒸気砲を使い、出来る限り遠方の隠れられる遮蔽物のある位置から奇襲をかけます
バトル・インテリジェンスを使えば十分戦えるはずです
初撃はいちばん威力の高い砲弾でよーく狙って、慎重に、慎重に……直撃させます!

場所を把握されたら、防御重視の立ち回りにしますね
……だって、わたしは囮なんですから!
本命は先に上空に待機させたフクロウ型ガジェット、フクちゃんの急降下突撃
シルクハットの下から出した炎を纏っての、真上からの体当たりです
もしもこれで止めをさせないようなら、わたしは誘導弾での援護射撃に徹します
フクちゃん、がんばって!



「な、何だ、何が起こった?! まさか――この私が攻撃されたというのかッ?!」
 まったく予期していなかった猟兵の奇襲を受け、動転するコルテス。
 思わぬダメージを負って動転する彼の様子を、ティアラ・パリュール(黄金と蒼の宝冠・f00015)は厳島の山中より見つめていた。
「人を人とも思わない傲慢、許すことはできません。本来の力を発揮される前に倒しますよ!」
 遮蔽物となる木々の陰に身を潜めながら、彼女が構えるのは携行式の魔導蒸気砲。【バトル・インテリジェンス】で召喚した戦術ドローンに自らの行動を補助させ、初撃には最も威力の高い砲弾を装填。
「よーく狙って、慎重に、慎重に……直撃させます!」
 気合と共に放たれる砲声。蒸気の煙をたなびかせながら、砲弾は真っ直ぐにコルテス目掛けて飛んでいく。

「ごがぁっ!?」
 動揺冷めやらぬうちに襲ってきた第二の射撃に、またも吹き飛ばされるコルテス。
 だが、立て続けに猟兵の攻撃が直撃しても、彼は今だ健在であった。劣悪な人格をしていようとも、流石に魔軍将の一角に数えられるだけのことはあるか。
「また狙撃か――だが、その攻撃はもう思い出したぞ!」
 遠い記憶の彼方に忘却していた戦闘経験の片鱗を見せたコルテスは、マスケット銃に弾込めを行いながら、厳島神社より山中を見渡す。
「そこだ!」
 鷹のような鋭い目つきで敵の隠れている位置を見つけ出し、発砲。旧式の銃器とは思えない正確な射撃がティアラの元まで飛来する。
 咄嗟に木々を盾にしながら、山中を駆けまわり銃弾を回避するティアラ。だが、コルテスの射撃はなおも執拗かつ正確に続く。
「姑息な下等生物め。貴様らはそうしてちょろちょろ逃げ回るのが似合っているぞ」
 残虐な笑みを浮かべながらトリガーを引き絞るコルテス。この時点でもまだ、彼にとってこれは「戦い」ではなく、下等な獲物を追い立てる「狩り」であった。

 だが、防御に徹して敵の射撃を凌ぎながら、ティアラはくすりと笑った。
 コルテスはこちらへの攻撃に夢中で、周囲への警戒がまた疎かになっている。他方より攻撃の機会を窺う者にとって、これほどの好機はない。
「……だって、わたしは囮なんですから!」
 神社の中からコルテスが身を乗り出してきた瞬間。その上空にティアラが待機させていたフクロウ型ガジェット「フクちゃん」が、猛然と急降下を開始する。
 被っているシルクハットの下からは炎が噴き上がり、真っ赤な火の玉と化したフクちゃんは、落下の勢いのままコルテスに突っ込んだ。

「なっ?! ごっはぁぁぁっ?!!?」
 真上からの体当たり攻撃など予想もしていなかったコルテスは、絶叫しながら盛大にぶっ飛んでいく。まだ死んではいないようだが、かなりのダメージだろう。
 ティアラはすかさず魔導蒸気砲に誘導弾を装填し、追撃と味方の援護射撃を行う。
「フクちゃん、がんばって!」
 主人からの声援と援護を受ければ、ちょっと怖がりなメカふくろうも奮起する。
 燃えるフクちゃんの体当たりが、再びコルテスを吹っ飛ばしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・レヴェリー
…………。
まずは高みの見物を決め込んでるコルテスへ距離を詰めるわ。隙を見て【世界の雫】を投擲しながらね

えぇ、予想できるでしょう。爆発するのよ

多種多様な属性の爆発に紛れて、秒針の細剣と変じた【刻む三針】を片手に彼のもとまで更に近づくわ

えぇ、予想できるでしょうね。安直だもの

お互いの攻撃圏が重なる直前、手にした細剣を思い切り振りかぶって……
勢いそのまま”巨竜と化して”その腕で殴りつけるわ。隙があれば一瞬だけでも捕まえて、地面で擦り削ってあげる

わたしはドラゴニュートじゃないから角や翼も無いし、竜になれるような要素もない。幻獣達との魂の共鳴の産物よ。

ねぇ、予想できたかしら?今までの全部、【フェイント】よ



「ぐぬぬ……下等生物如きが、いい気になるなよ……来い、ケツァルコアトル!」
 猟兵による立て続けの攻撃を受けたコルテスは、屈辱に歯噛みしながら自らの乗騎を呼ぶ。かつて「羽毛ある蛇」の名で讃えられし太陽の神は、今は隷属の憂き目にあっていた。
「この私が、お前らと同じ土俵に立つこと自体、そもそもの間違いなのだ」
 神の背に跨り、上空より敵を見下ろすコルテス。その姿は傲慢にして不遜な、侵略者としてのオーラに満ちていた。

「…………」
 そんな高みの見物を決め込もうとするコルテスへと、ゆっくりと距離を詰めていくのはアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)。
 その片手には秒針の細剣へと変じた真鍮の魔導剣「刻む三針」を構え、もう一方の手には様々な属性の力を結晶化させた「世界の雫」が握りしめられている。
「む、何だそれは……爆弾か?」
 訝しんだコルテス目掛けて、アリスは世界の雫を投擲。その中に籠められた力は空中で炸裂し、凄まじい炎と熱波を巻き起こす。
「えぇ、予想できるでしょう。爆発するのよ」
 敵が瞬時に爆炎を逃れ、高度を下げたのを見ながら、アリスはなおも投擲を繰り返す。火炎に水流、風圧に石礫と、多種多様な属性の爆発が戦場に吹き荒れる。

「ふん。何かと思えば原始的な妖術だ。見てくれが派手なだけだな」
 ケツァルコアトルを駆り爆発を避けながら、コルテスは敵の次の行動を予想する。
 命中していないにも関わらず、闇雲に爆弾を投げ続けている意味。それは相手が手にしている細剣を見れば容易に判断がつく。
「この爆発に紛れて近付き、その貧相な武器で私を刺すつもりか」
「えぇ、予想できるでしょうね。安直だもの」
 狙いを見抜かれてもなお、アリスは行動を変えなかった。世界の雫の爆発で敵の動きを抑制し、接近戦の間合いに持ち込もうと距離を詰めていく。
 ならばとコルテスは乗騎の首をアリスの方に向けさせ、古典的な騎馬突撃の構えを取る。その口元に嘲るような笑みを浮かべながら。
「歩兵が騎兵に正面から挑む。その無謀と愚かしさをお前は知らないようだな」
 蹂躙だ、と残虐に目を輝かせ、コルテスとケツァルコアトルは突撃を開始する。
 体格、質量、速度、どれを取っても優位にあるのはコルテスの方。このまま両者が激突すれば、アリスが吹き飛ばされるのは明白かに思われた。

 だが。互いの攻撃圏が重なり合う直前、アリスは細剣を大きく振りかぶると――。
『『『『どこまでも、共に』』』』
 勢いをそのままに、"巨竜の腕"で、コルテスを思い切り殴りつけた。

「な!? ガハァッ!?!?」
 訳も分からずに、したたかに殴り飛ばされるコルテス。その一瞬のうちに起こったことは、彼の理解と想像を完全に超えていた。
 年端もいかぬ華奢な少女の口から、詩うような声が紡がれた瞬間。コルテスの眼前にいたのは少女ではなく、純白の躰に黄金の角、星空の翼を備えた雄大な竜の姿だった。
「ドラゴンだと……馬鹿な! あんな小娘が!?」
 彼が想像できなかったのも無理からぬこと。この変身はアリスのみの力によるものではなく、彼女と心を通わせた幻獣たちとの魂の共鳴――【褪せぬ約束】の産物なのだから。

「ねぇ、予想できたかしら? 今までの全部、フェイントよ」
 勇猛なる金獅子、優美なる星鷲、悠然たる白鯨。三体の幻獣と魂を重ねたアリスは告げる。対峙からの一連の駆け引きは、全てこの瞬間のためにあったのだと。
 殴りつけた拳を開いて、巨竜の腕はそのままコルテスを鷲掴みに。傲慢なる侵略者は神の背から引きずり降ろされ、星空の翼に引き連れられ天高く舞い上がる。
「そして、予想できるかしら? これから一体、わたしが何をするか」
「な……やめろ……ッ!!!!」
 驚愕する男の言葉を無視して。
 静かな――しかしそれ故に深い怒りを胸に、アリスは翼を翻して急降下。高高度からの落下の衝撃と同時に、コルテスを地面に押し付けながら地平すれすれを翔ぶ。
「が、がががががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」
 凄まじい力と速度で地面に擦り削られていくコルテスの絶叫が、厳島の戦場に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロート・カニーンヒェン
「協力プレイで!」「撃破してやるぜ!!」(SPD)目の前でユーベルコード「ウィー・アー・ロート」で分裂して、考える間も与えない連続攻撃で一気に決めるよ。分裂体も同じ動きじゃなく、砲撃や接近戦、素手や武器による攻撃と相手に考えさせる要素を与えつつ、どっちも私だけど、相手を混乱させるように私が本物だ!と囁きながら攻撃して混乱を誘ってみるよ。相手がクズぅなら卑怯もラッキョウもなかろうなのだ!(アドリブ歓迎です)


アマニア・イェーガー
見つけたよコルテス!人々の未来の奪った略奪者!
もぉぉぉぉ!ぜっったいに赦さないからね!

ユーベルコード【ステイシス・スクリプト】起動!
わたし自身をプログラム化し、電脳空間と現実空間を自在に出入りする精霊に変身するよ

作戦はシンプルに10秒以内で撃破、弾籠めなんてさせるものか

【視力】でガードが薄い箇所を見つけて、超スピードと【空間浮遊】【空間戦】を生かした連続キックで攻撃
当たるに越したことはないけれど、勿論見切られることも想定内!
本命は攻撃中に【破壊工作】で周囲に設置したトリックボックス《トロイの木馬》だよ
電脳空間に待避すると同時に起爆して爆殺!

ジャスト9.99秒。キミが奪った未来、返して貰うよ!


ユース・アルビトラートル
 指揮する立場にある人のマインドじゃあない……!

 まずボクの死霊術はアイテムを利用し本能的破壊衝動を抑制するに留め、信頼関係の上に成り立つ術式。隷属させるより広く裁量を与えられる利点がある。ジャスティーナに陣頭指揮は任せたよ。ボクは……まあ、戦えないし後方に。

 ジャスティーナへの指示内容は簡単。「相手をパニックにさせて戦え」。例えば、「理解が及ばないこと」は最も恐ろしい。目眩まし、幻聴、その隙を突く強い攻撃、振り返ればもう離脱済み、とかね。そのために必要な死霊も自由に喚ばせる。

 とはいえあの「神様」なら対応できるかもしれない。でも、隷属下の圧力に想定外への対処……正常な判断は期待できない筈さ。



「見つけたよコルテス! 人々の未来の奪った略奪者!」
「協力プレイで!」「撃破してやるぜ!!」
 地に引きずり倒されたコルテスに、間髪入れず襲い掛かったのは、アマニア・イェーガー(謎の美女ヴィンテージコレクター・f00589)とロート・カニーンヒェン(グリーディー・ファントム・f00141)の二人――否、三人。
 アマニアは【ステイシススクリプト】によって自らをプログラム化し、電脳と現実の狭間を行き来する精霊形態と化し。そしてロートはコルテスの目の前で【ウィー・アー・ロート】を発動すると、もう一人の自分を喚んで同時攻撃を仕掛ける。

「「さあ、どっちが本物か分かるかな!」」
「くっ、次から次へと……ぐぉっ!」
 敵を翻弄するような言葉を放ちながら、右のロートは実体剣「ルーンキャリバー」で斬り掛かり、左のロートは精霊銃「サラマンドラ・マグナム」で炎の弾丸を放つ。
 まだ直前のダメージの衝撃も抜けきっていないコルテスは、白兵と射撃による同時攻撃に対応できず、棒立ちのまま両方ともに被弾する。
「もぉぉぉぉ! ぜっったいに赦さないからね!」
 そこに追撃を仕掛けるのはアマニア。空中を猛スピードで駆け回りながら、左右の攻撃でガードが甘くなった箇所を狙い、勢いを付けたキックの連打を叩き込む。
「がはっ!!?」
 どてっ腹に蹴りを喰らって、たまらず喀血するコルテス。アマニアはなおも休むことなく、ロートたちと共に苛烈な猛攻を続ける。
(作戦はシンプルに10秒以内で撃破、弾籠めなんてさせるものか)
 敵に反撃の機会も時間も与えない――それが彼女たちの連続攻撃の意図だった。

「くそっ、配下の連中は何をやっているのだ……こんな戦い、私は何の興味もないと言ったはずだろう! 私の手を煩わせるな!」
「指揮する立場にある人のマインドじゃあない……!」
 この期に及んでも巫山戯たことを宣うコルテスに、呆れと驚愕の入り混じった表情で愕然とするのはユース・アルビトラートル(見据えるもの・f03058)。
 後方より戦況を確認しながら彼が召喚するのは【書記官】の死霊騎士ジャスティーナ。ユースの護衛にして右腕たる彼女は、部下の死霊たちを率いて慢心の侵略者に攻め掛かる。

「今度は何だっ!?」
 耳元で弾けるラップ音や、視界の端にちらつく光。突如として周囲で巻き起こる心霊現象に集中をかき乱され、困惑するコルテス。
 ジャスティーナがユースから与えられた指示は「相手をパニックにさせて戦え」。敵の理解の及ばない現象にて不安を煽り、そこに生じた隙に強烈な一撃を叩き込む。
「ぐ、がぁっ! えぇい、幽霊など非文明的な輩が!」
 翻弄されるコルテスだが、その間にも勿論、他の猟兵たちも攻め手を緩めない。
 二人のロートは格闘技とアームドフォートに攻撃手段を切り替えて敵の予想をすり抜けながら追撃を。アマニアは電脳空間を介して死角に回り込み蹴撃を放つ。
 高速かつ間断のない猟兵たちの連携攻撃に、コルテスはまるで為す術がない。

「ええい、ケツァルコアトルは何をしている……!」
 苛立ちを籠めて吐き捨てるコルテスだったが、彼の乗騎はユースの喚んだ死霊により主人と分断されており、援護に迎える状態にはない。
 コルテスが神にかけた隷属の呪いは強力だが、それゆえに柔軟な自己判断力や機転をも奪ってしまっている。コルテス同様、想定外の自体に対応できていない。
 死霊の本能的な破壊衝動を抑え、隷属ではなく信頼関係によって成り立つユースの死霊術の方が、この場においては広い裁量を与えられるという点で優位に立った。

「相手がクズぅなら卑怯もラッキョウもなかろうなのだ!」
 孤立した敵を情け容赦無く二人で攻め立てるロートたち。剣銃拳砲、手を変え品を変え繰り出されたラッシュが、ついにコルテスに膝をつかせる。
「よし、みんな離れて!」
 それを見たアマニアが仲間たちに退避を促し、自らも電脳空間へと退避しながら、本命の一撃――攻撃中に周囲に設置していた「トロイの木馬」を起爆する。
 それはデータから建造物まであらゆるものを爆破する、電脳魔術の爆弾だ。

「ジャスト9.99秒。キミが奪った未来、返して貰うよ!」
 マスケット銃の弾籠めが完了するよりも一瞬速く。
 炸裂したトロイの木馬は電子の火花を上げて、コルテスを爆炎に包み込む。
「お、おのれぇぇェェェェェッ!!!!!?」
 絶叫は爆音の中に掻き消され、黒焦げになった侵略者は戦場の彼方へ吹き飛んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
クズ…いえ、お気持ちはわかりますが…

気を取り直して
あの言動だけを鑑みても放置出来る存在ではなし
侵略者を阻む騎士として打ち倒さねばなりません

(他の猟兵の奇襲終了後)
機械馬に●騎乗、●礼儀作法を用いつつランスを突きつけ騎馬戦の決闘を持ち掛けます
「ルールに縛られた土人」という印象を与えて慢心させ、初撃の上空からの突撃の速度をセンサーで●情報収集、コースを●見切り格納銃器での●だまし討ち●なぎ払い掃射

ワザと弾幕の薄い場所を作り回避行動をとらせ、そこにUCを伸ばして乗騎を掴み●ロープワークで巻き取りコアトルに●怪力でしがみ付き●騎乗
混乱するコルテスに鉄爪展開●串刺し貫手

相乗り狙いは予想出来ますまい



「クズ……いえ、お気持ちはわかりますが……」
 クズです、とグリモア猟兵に断言され、そして実際に醜態を晒している敵を見やり、何とも言えない気分となっていたトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
 しかしすぐに気を取り直すと、愛騎である機械白馬「ロシナンテⅡ」に跨り、戦場となった厳島神社の敷地を駆けていく。
「あの言動だけを鑑みても放置出来る存在ではなし、侵略者を阻む騎士として打ち倒さねばなりません」
 相手が非道なるオブリビオンである以上、彼の判断に迷いは無かった。

「熱っ、熱っ……む、何だお前は? 下等生物が騎士の真似事か?」
 ぷすぷすとまだ煙の燻る服を叩いていたコルテスは、現れた機械騎士の姿に嘲弄と侮蔑の眼差しを向ける。
 しかしトリテレイアは動じず、馬上よりランスを突き付け堂々と名乗りを上げる。
「私の名はトリテレイア・ゼロナイン。貴方に騎馬戦による決闘を申し込みます」
「決闘だと?」
 訝しむコルテス。その口元には滑稽だと言わんばかりの笑みが浮かんでいたが、少し考えた後にそれを了承する。
「いいだろう。ちょうど大昔にやった騎乗術のことを思い出してきたところだ」
 これまでは猟兵の予想外の攻撃に翻弄されたコルテスだが、予め何をしてくるか分かっているなら返り討ちにするのも容易いと。そんな傲慢な自信が彼にはあった。

 突撃のための距離を取って対峙する両者。もしここに決闘の見届人がいれば、コルテス有利であると判断するだろう。
 トリテレイアの機械白馬も並みの馬を超えた巨体の駿馬だが、コルテスが跨るのは異郷の神、ケツァルコアトル。乗騎の性能で見れば敵のほうが優位だ。
「さあ行くぞ!」
 そしてコルテスは決闘の合図が出た瞬間に高々と空に舞い上がると、地を駆けるトリテレイアに上空からの急降下突撃を仕掛けた。
「ルールに縛られた猿真似の騎士モドキが。お前のような下等生物とこの私が、同じ土俵で戦ってやるとでも思ったか!」
 羽を広げ、牙を剥き出しにしたケツァルコアトルが、機械騎士の直上より獰猛に襲い掛かる。

 しかし、トリテレイアは予めこの展開を予測していた。
 全身の各種センサーの感度を最大にして、敵の突撃のスピードとコースを計算。格納されていた銃器を展開すると、その軌道上に一斉掃射を放つ。
「何だとっ!?」
 相手が銃を隠し持っているなどとは想像もしていなかったコルテスは、まんまとその不意打ちに引っ掛かってしまう。銃弾の雨に全身を叩かれ、慌てて回避機動を取ろうとするが――。
「その動きもこちらの計算通りです」
 わざと弾幕を薄くしておいたスペースにコルテスたちが飛び込んできた瞬間、トリテレイアが腰部装甲から伸ばした隠し腕が、ケツァルコアトルの翼を掴んだ。
 隠し腕のワイヤーを巻き上げ、機械馬の背を蹴ったトリテレイアの身体は空中へと引き上げられ。動揺するケツァルコアトルの身体にがしりとしがみつくと、力尽くでその背に登る。

「相乗り狙いは予想出来ますまい」
「な……お前、これは私の乗騎だぞ! 何をしている!?」
 その瞬間のコルテスの反応は、案の定、混乱の極みにあった。
 乗騎の上から他者を見下し続けていたはずが、下等と侮蔑していた存在が同じ目線まで上がってきたのだ。現実を直視することすら彼には難しかろう。
「正々堂々の決闘で、銃でだまし討ちを仕掛けたうえに相手の乗騎に跨るなど! 騎士として恥ずかしくはないのか?!」
「先程と言っていることが矛盾していますよ」
 世迷い言には取り合わず、トリテレイアは指先に仕込んだ鉄爪を伸ばし、前腕部を伸縮させてゼロ距離から強烈な貫手を放つ。
「ごはぁっ!?」
 胸を抉られたコルテスは神の背から振り落とされ、鮮血の尾を引きながら勢いよく地上へと落下していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茅原・紫九
奇妙奇天烈や手札の数で負けちゃ器用貧乏の名折れだからな。

一にも二にも絵具を飛ばしての攻撃、アウトレンジから逃げるようにして時間を稼ぎつつ戦闘だ。

厳島神社ってことは潮の満ち引きが当然あるわけで、潮が満ちりゃ地面に塗られてた塗料が浮き上がり解けて全体に染み出す。普段ならぜってえ出来ねえ全面バフフィールドの完成だ。
あとは塗料が全体に染みてから沖に流されるまでの時間との勝負、なんなら潮が高くなると薄まるからその意味でも時間はねえ。戦場を広く使った高機動戦闘で削っていくぜ。

(※塗料は自然由来の素材かつ環境に配慮して作られておりますのでご安心を)



「がはぁッ!!!!!!」
 乗騎から突き落とされたコルテスが叩き付けられたのは御笠浜。厳島神社の象徴のひとつである、海中に立つ大鳥居を臨む浜辺である。
 落下の衝撃で悶絶する彼の前に立ったのは、茅原・紫九(風に流され来たる紫煙・f04064)。
「奇妙奇天烈や手札の数で負けちゃ器用貧乏の名折れだからな」
 相手の予想を上回るのなら得意分野だと、長大な大筆を手に彼女は薄く笑った。

「くそ……っ、今度は何だッ!?」
 砂塗れになりながら立ち上がったコルテスに、紫九が放つ【グラフィティスプラッシュ】の塗料が浴びせられる。
 ダメージはさほどでもないが、衣服や身体を色鮮やかな絵具塗れにされるという行為は、プライドの高い彼を激昂させるのに十分である。
「絵筆を武器にするとは、下等生物の考えることはワケが判らん!! ケツァルコアトル、さっさとこいつを喰い殺せッ!!」
 主の命令に従って、上空より襲来するケツァルコアトル。侵略者の奴隷と成り果ててなおその牙には神の力が宿り、噛み付かれでもすればタダでは済まないだろう。

「おー怖い、けど捕まらねぇよ」
 奴隷神の噛みつき攻撃を躱しながら、紫九は大筆を振り回して絵具を撒き散らし、御笠浜を駆け回る。牽制と移動を繰り返して相手を間合いに寄せ付けない、アウトレンジ戦法である。
「知的生物でもない輩が、小賢しい真似を……っ!」
 飛んでくる絵具に翻弄され、思うように攻撃もできず歯噛みするコルテス。
 だが、彼が意地になって紫九を追い回している間に、戦場の様相は変わり始めていた。

「何だ……潮が……?」
 コルテスがようやくそれに気付いた時、厳島周辺は潮が満ちる時刻を迎えていた。
 紫九があらかじめ計算して待っていたのは、この時間。浜辺に撒き散らされた塗料は満ちた海水によって浮き上がり、溶けて戦場全体に満遍なく広がっていく。
「普段ならぜってえ出来ねえ全面バフフィールドの完成だ」
 グラフィティスプラッシュの塗料には、塗りつぶした地形の上に立つ術者の力を高める効果もある。絵具の混ざった海水に覆われたこの御笠浜は今、彼女の独壇場と化した。
 ――なお、塗料は自然由来の素材かつ環境に配慮して作られているため、海洋汚染の心配はない。

「そらよ」
 大筆から放たれる攻撃の威力もこれまでとは違う。絵具を浴びたケツァルコアトルは悲鳴を上げてもんどり打ち、コルテスの肌は強酸を浴びたようにジュッと焦げる。
「まったく理解できん……なぜこんなモノでお前の力が増すのだ!?」
 異国人の文化や芸術になどまったく理解を示さないコルテスには、芸術を超常の力へと昇華させたゴッドペインターの能力など理解できるはずもない。
 満ちた海水に足を取られて彼の動きが鈍る一方、紫九はまるで飛び石のような軽快な足取りで戦場を広々と駆け巡り、機動力の差で敵を圧倒していく。

「あまり時間は無いからな、どんどんいくぜ」
 塗料が沖に流れ出すか、潮が満ちきって塗料の濃度が薄まれば、ユーベルコードの効果も失われてしまう。そうなる前に可能な限り敵の体力を削るべく、紫九はぶんぶんと勢いよく大筆を振るう。
「ぐおおおおお……ッ!! くそっ、覚えていろ!」
 全身をカラフルな絵具で染め上げられたコルテスは苦悶に呻きながら、ほうほうの体で浜辺から後退していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

慢心、か
油断してくれて居るならば好都合だが

『地形を利用』し敵から視認され難い場所を選び『忍び足』にて敵の元へ
奇襲が成功時は『先制攻撃』【穢れの影】にて相手の身を拘束、影に気を引きつけている内に宵に攻撃を任せ
失敗時は俺が前に出、注意を引きつけつつ【穢れの影】を気付かれぬ様地を伝いつつ敵へ
気付かれ反撃されたとて注意は俺に向いているからな
その隙に宵に奇襲を任せられればとそう思う
又、敵の攻撃や反撃が来た場合は宵を『かば』い『盾・武器受』後メイスにて『カウンター』を仕掛けよう
俺は多少損傷しても宵が無事ならば良いからな
…心配してくれる宵を見るのも幸せだと言ったならば怒られるやもしれんが、な


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

油断と慢心は命取りというのは、誰が言ったものでしたか
まぁ、それを利用させていただきましょう

ザッフィーロ君が穢れの影で注意を引き付けてくれている間
僕が敵の後方から流星をぶつけるという作戦です

彼がコルテスの気をひいている隙に「目立たない」でカモフラージュさせて
「一斉発射」「属性攻撃」「全力魔法」「破魔」「鎧無視攻撃」「鎧砕き」「2回攻撃」を添えた
【天航アストロゲーション】を敵の背後より飛来させ、狙い撃ちを行います

僕に攻撃が来るなら「オーラ防御」「激痛耐性」で防ぎつつ
「カウンター」で「吹き飛ばし」ましょう
……僕のためとはいえ、そう言われたら怒れないじゃないですか、もう



「慢心、か。油断してくれて居るならば好都合だが」
「油断と慢心は命取りというのは、誰が言ったものでしたか」
 寄せる波から逃れるように退いていくコルテスを追跡するのは、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)。
「まぁ、それを利用させていただきましょう」
「ああ。では手筈通りに」
 深い信頼で結ばれた二人のヤドリガミは目配せを交わすと、宵が杖を手に魔法の準備を始め、ザッフィーロが先行してコルテスとの距離を詰めていく。

「はぁ……はぁ……下等生物が、手こずらせおって……」
 負った傷を押さえながら、よろよろとまろび歩く侵略渡来人。だがその表情には相変わらず、侮蔑と憤怒が浮かんでいる。
 異国の者共すべてを見下すその油断と慢心に付け入るのはザッフィーロ。周囲の木々や建物の地形を利用してここまで近付いてきた彼は、標的を間合いに捉えた瞬間、忍び足で背後に迫る。
「赦しを求めぬ者には何も出来ぬ。……生きる限り纏わり積もる人の子の穢れを今返そう」
 その足元より放たれるのは【穢れの影】。聖者として赦し引き受けてきた数多の人々の罪と業が、傲慢に満ちた男の身体を瞬時に縛り上げる。
「なっ!? なんだ、これは……お前! さっさとこれを外せ!」
「外すわけがないだろう」
 不意打ちを食らったコルテスは喚き散らすが、当然のようにザッフィーロは冷たい表情。男は歯噛みしながら影に雁字搦めにされた自らに代わって、隷属させた奴隷神をけしかける。
「行け、ケツァルコアトル! そいつを噛み殺せ!」
 咆哮を上げて襲い掛かる異郷の神の突進を、淡く光るエネルギーの盾で受け止めるザッフィーロ。
 これで敵の注意は完全にこちらに向いた。標的の拘束と囮役こそが、彼の役目。

 相棒が作り上げた好機を無駄にはすまい。硬く杖を握りしめながら、宵が唱えるのは【天航アストロゲーション】。
「今度は何だ!?」
 不意に背後から湧き上がった閃光の輝きに、慌てて振り返るコルテス。この瞬間まで彼は、目立たないようじっと遠方にて隠れ潜んでいた宵の存在に気付かなかった。
 身動きの取れない目標へと、杖先をすっと向けた天図盤のヤドリガミは、一言。
「星降る夜を、あなたに」
 その瞬間、天より将来された数多の流星雨が、コルテス目掛け一直線に飛来する。
 星々の力を操る宵の魔法。その力はまさしく敵の理解と想像を超えていた。
「があぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!!?!?」
 穢れの影に囚われた彼には、それを防ぐ術も避ける方法もない。
 破魔の輝きを放つ流星の直撃を受けて、醜い絶叫を上げるコルテス。

「ぐ、おごぉ……よく、も、やってくれたな……!!」
「グオオオオオオッ!!!」
 ボロボロの主人の怒りに呼応して、流星の術者へと襲い掛かるケツァルコアトル。
 宵は咄嗟にオーラの防壁で身を護り、迎撃しようと魔力を籠めた杖を構えるが――それよりも一瞬速く、彼をかばうために身を挺したのはザッフィーロ。
「ぐ……っ」
 エネルギーの盾でも防ぎきれず、神の牙が腕に突き刺さる。しかしザッフィーロは僅かに顔をしかめたのみで一歩も退かず、渾身の膂力でメイスの鎚頭を叩き込む。
「グオゥッ!!?」
 悲鳴を上げてのけぞったケツァルコアトルは、それで与し難しと判断したか。
 穢れの影による拘束の解除されたコルテスを背に乗せて、二人の元から離れていく。

 後退していく敵を追撃することもできただろう。しかし宵にとってはそれよりも、ザッフィーロの身のほうが心配だった。
「また無茶をして……」
「俺は多少損傷しても宵が無事ならば良いからな」
 幸いにも神の牙から受けた傷は大した深さではない。腕に多少の痺れはあるが、この程度であればすぐに快癒するだろう。
 それでもこちらの様子を気遣う宵を見て、ザッフィーロは口元に薄く笑みを浮かべ。
「……心配してくれる宵を見るのも幸せだと言ったならば怒られるやもしれんが、な」
「……僕のためとはいえ、そう言われたら怒れないじゃないですか、もう」
 怒ったような、困ったような――笑みが浮かんでしまいそうなのを必死に堪えているような。複雑な表情をしながら、宵はザッフィーロに手を差し伸べる。
 追撃は他の仲間たちに任せて大丈夫だろう。この戦いの流れはもう、猟兵たちの優位のまま止まることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
連携アドリブ可
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
傲慢なりし考えで持ちし体は衰えて
忘れし思考は身を腐らせた
されど考え改めぬが吉。それは苦しみ長引かせる
ここが汝の破滅なり

空より来るは彼方の国にありし兵器
その姿はまさにシャーク
進化を繰り返し防御力を高め襲いかかるはその騎乗物
喰らいて育てよ永遠と
我も鮫に姿を変え【騎乗】
攻撃を【オーラ防御】し【見切り】
口に仕込みしアンカー型武器組み合わせし屑鉄にて【串刺し】
加速することで合体体当たり
その後シャークが噛みつくことで【傷口を抉り】【鎧砕き】【生命力吸収】し自己進化を繰り返す
我は至近距離にて【誘導弾】を発射し離脱する
これぞ新たな戦術シャークデッドアタック



「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
 ケツァルコアトルの背に跨り、ふらつきながら後退していくコルテス。
 その更に上空から、冷たい機械の影が彼らをじっと見下ろしている。
「傲慢なりし考えで持ちし体は衰えて、忘れし思考は身を腐らせた」
 ビードット・ワイワイ(根源的破滅招来者・f02622)の声音に憐れみの色はなく、蔑みもなければ怒りも感じられない。それはただ標的を静かに観測し、ただ一つの命令のために行動する。
「されど考え改めぬが吉。それは苦しみ長引かせる」
 愚昧なりし侵略者に齎されるものは、ただ一つ。
「ここが汝の破滅なり」

「―――!? 何だ!?」
 ふいに太陽が何かによって覆われ、暗い影が頭上に落ちる。
 はっと上空を見上げたコルテスがその眼に映したものは――彼の度肝を抜いた。
「あ、あれは――サメか?」
 そう、サメだ。その姿はまさにシャーク。だが無論ただのサメではありはしない。そもそもただのサメが空に浮かぶものか。
 ビードットの【実行仮想破滅・某国の逆襲】にて襲来せしは、空を飛び、3つの首を持つ、金属製の、不死の鮫。フライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク。
 かつて宇宙に逃亡した某国が復讐の為に開発したというそれは、不十分なコントロールゆえに暴走し、創造主たる某国を滅ぼしたという獰猛なる魔獣。
 異国の科学技術の粋を集めたその超生物は、コルテスの理解も想像も常識も何もかもをぶっ飛ばす異常さを誇っていた。

「喰らいて育てよ永遠と」
 ビードットは自らのボディもサメ型に変形すると、フライングトライヘッドメタルアンデッドシャークに騎乗し、一心同体となって目標に襲い掛かる。
 慌ててコルテスはケツァルコアトルの腹を蹴り飛ばし、スピードを上げさせた。
「あんなゲテモノとまともに戦っていられるか!!」
 文明人は自らの常識を超えたものに弱い。吐き捨てるように叫びながら相手との距離を取り、騎手のみを狙い撃ちにする機会を窺おうとする。
 しかしビードットは逃すまいと、口内に仕込んだアンカー型の武装を射出。組み合わされた屑鉄の槍は、飛翔するケツァルコアトルの腹に深々と突き刺さる。
「ギャォォォッ!?」
 隷属する神の悲鳴が空に轟き、飛行速度が低下する。フライングトライヘッドメタルアンデッドシャークはこの機を逃さず、ビードットと合体したまま猛然と加速すると、敵に強烈な体当たりを喰らわせた。

「ごはぁっ!?!?」
「ギィィィィッ!!!」
 重戦車に追突されたような衝撃に、吹き飛ばされるコルテスとケツァルコアトル。
 だがフライングトライヘッドメタルアンデッドシャークの猛攻はまだ終わらない。3つのうちの左右2つの首がそれぞれ顎を開き、鋭い牙で別々の獲物に喰らいつく。
 装甲を穿ち、傷口を抉り、生命力を奪い、そうして自己を進化させる。それこそがこの超兵器の真価である。
「ぐおおぉぉぉっ、放せっ、放せぇぇぇぇっ!!!」
 齧りつかれたまま我武者羅に暴れまわるコルテスだが、進化を繰り返し防御力を高めるフライングトライヘッドメタルアンデッドシャークの装甲は、ゼロ距離から撃ち込まれるマスケット銃の弾丸すら弾いてみせた。

「我は破滅を齎す招来者なり。今ここに慈悲を示さん」
「じ、慈悲だと? 下等生物如きが何を偉そうに……ごはっ!!」
 ビードットは捕らえられたコルテスに至近距離からの誘導弾を浴びせると、乗騎との合体を解除して離脱する。
 残されたのは騎手というコントロール役を失ったフライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク。手綱の外れた超生物は、唯ひたすらに目の前の獲物を蹂躙する。
「これぞ新たな戦術シャークデッドアタック」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!」
 その猛攻から果たして逃れることはできるのか。憐れなコルテスの絶叫が厳島神社に響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オクタ・ゴート
――あの傲慢さは、些か……いえ、実に不愉快だ。
一度骸の海へと戻れば忘れるのでしょうが、痛めつけましょう。

騎馬突撃、なるほど。ならば地へと引き摺り降ろして差し上げよう。
【影に潜む汚泥の鞭】を用い、ケツァルコアトルの羽を毟り取りましょう。【怪力】と、炎の【属性攻撃】を用います。「透明な触手の鞭にタールと炎を纏わせ視認性を上げ」ながら。
わかりやすい対処法をちらつかせれば釣られる事でしょう。触手へなんらかの対処をしたなら、触手を飛び散らせ目潰しを。そして、私自身は撒いたタールの中に潜み、隙を見て『裁』で横合いから【捨て身の一撃】を。

「衣装は血に濡れ、泥に這い蹲るそのお姿。実によくお似合いですよ?」



「クソッ、クソッ、クソッ! 野蛮な現住種族とその身内風情が! 私達コンキスタドールに逆らってどうなると思っているのだ! 必ず皆殺しにしてやる!」
 怨嗟に満ちた叫びを吐き散らしながら、猟兵の猛攻を逃れて神社を飛び回るコルテス。彼自身も、乗騎であるケツァルコアトルも、既に全身に深い傷を負っている。
 それでも彼が侵略者としての傲慢な態度を一向に改めようとしないのは、もはやある種の宿業とでも言えるのかもしれない。
「――あの傲慢さは、些か……いえ、実に不愉快だ」
 聞くに堪えない罵声の嵐に眼光を細めながら、オクタ・ゴート(八本足の黒山羊・f05708)は腰から伸びた8本の触手を鞭のように構えて呟く。
「一度骸の海へと戻れば忘れるのでしょうが、痛めつけましょう」
 彼には一度、分からせてやらねばなるまい。己の罪と業、その対価を。

「また現れたか猟兵! まずは貴様から轢き潰してやろう!」
 オクタの姿を捉えたコルテスは、隷属させた乗騎の背中を叩くと上空からの突撃を開始する。乗騎の質量と速度に高度をも利用した攻撃は、単純ならがも驚異である。
「騎馬突撃、なるほど。ならば地へと引き摺り降ろして差し上げよう」
 対するオクタはケツァルコアトルの羽を毟り取らんと【影に潜む汚泥の鞭】を振るう。透明な触手の鞭にタールと炎の呪力を纏わせ、赫々と燃え上がらせながら。
「ふん、正面からか。そんな単純な攻撃の対処は思い出すまでもないぞ」
 その攻撃を見たコルテスは、僅かに余裕を取り戻してにやりと笑う。
 オクタの触手捌きは怪力任せの大振り。しかも威力増強のために纏わせた炎が触手の視認性を上げ、その軌跡の把握を容易なものとしている。
 襲い掛かる8本の炎の鞭を、ケツァルコアトルはその巨躯に見合わぬ機敏な機動ですり抜けていき、オクタ目掛けて猛進する。

「死をもって後悔するがいい。下等であるお前が、この私に歯向かったことを!」
 自らの勝利を確信し、乗騎の上で残虐な笑みを浮かべるコルテス。
 だが、敵の突撃がもはや目前に迫っていても、オクタはまったく動じなかった。
「勝ち誇るにはまだ早いのではないかと」
「なに……ッ!?」
 弾け飛んだのはオクタの触手。8本の鞭に纏わされていた火の粉とタールが撒き散らされ、コルテスは咄嗟に目をかばう。
 敵の視野を奪ったその僅かな間に、オクタは人型の変形を解除するとブラックタール本来の状態に戻り、戦場に撒かれたタールの中に隠れ潜んだ。

「くそ……っ、どこに行った、卑怯者が!」
 一瞬のうちに標的の姿を見失ったコルテスは、周囲を見回しながら喚き散らす。
 必殺のつもりだった突撃を躱され、その表情には動揺と狼狽がありありと浮かんでいる。隙を窺うまでもなく、隙まみれといったほうが相応しい。
 タールに紛れて密かに距離を詰めたオクタは、横合いより彼を強襲する。
「お覚悟を」
「ぐぼぁっ!?!?」
 触手の尖端を変化させ、叩き付けるのは『裁』の一撃。彼自身の身体と同化した巨大な玄翁が、標的の肉と骨を砕く。衝撃により乗騎の背から叩き落とされたコルテスは、無様にごろごろと地を転がった。

「衣装は血に濡れ、泥に這い蹲るそのお姿。実によくお似合いですよ?」
「貴っ……様ぁぁぁ……!!!!」
 冷たくそれを見下すオクタの眼差しと言葉が、傲慢なる侵略者の心を抉る。
 心身ともに激しく打ちのめされた男の形相は、まさに悪鬼のそれであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
下等生物に翻弄される気分は如何かしら?無能生物さん♪
殺しと略奪しか能が無いのに、それすらできないなんて無様よね

【ブラッディ・フォール】で「時計の国の少年アリス」の「狂える時計ウサギ」のうさ耳とドレス姿へ変化。
敵がこちらを認識する前に【フェイタル・ショータイム】で時間を停止し、背後から魔槍【串刺し、早業、怪力】で奇襲。
一撃入れたら素早く離れて笑いながら挑発し【念動力】で目を晦まし再度【フェイタル・ショータイム】で背後や真上、側面等から攻撃を能力を推測されない様に数回繰り返し、その後は【フェイタル・ショータイム】から【サディスティック・メルヘン】で拷問に掛けて捕縛。
全力の一撃を叩き込んであげるわ!



「下等生物どもが、この私にこれほどの屈辱を……!」
 血と泥に塗れながらも、マスケット銃を支えに再び立ち上がるコルテス。
 魔軍将の名は伊達では無いか、そのしぶとさと生命力は確かに凄まじい。だが傲慢と慢心を捨て去ることのできない彼に、もはや勝機はないも同然である。
「許せるか……許せるものか………っ、がはッ!?」
 怨嗟の言葉を連ねる男の背後から、不意に胸を貫く一本の槍。
 それはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)の繰り出した、魔槍「ドラグ・グングニル」の一撃であった。

「馬鹿な……一体、どこから……?!」
 苦痛を凌駕するほどの驚愕が、コルテスの脳を支配する。
 どれほど慢心していようが、まさか背中を刺されるまで、接近する敵の気配に気付かないなどありえないことだ。それが己の想像を超えた力によるものでも無い限り。
「下等生物に翻弄される気分は如何かしら? 無能生物さん♪」
 平時の紅いドレスから白いドレスに着替え、頭にうさ耳を生やしたフレミアは、血の付いた魔槍を引き抜くと素早く離れながら微笑みかける。
 冷静に状況を把握しなければという危機感よりも、その挑発めいた言葉や笑みが、コルテスのプライドを刺激した。

「何をした、貴様……!! ケツァルコアトル、こいつを噛み殺せ!」
 怒りのままに乗騎へと命じ、目の前の標的を抹殺せんとする。だがその短絡的な反応はフレミアの思う壺。
 白ウサギに扮したフレミアは念動力の波動で襲い掛かってくる奴隷神の目を晦ませ、その隙に"もう一度"【フェイタル・ショータイム】を発動する。
 それは周囲の時間を一時的に停止させるユーベルコード。ケツァルコアトルもコルテスも、まるで彫像になったかのようにその場でぴたりと動きを止め、戦場ではただ一人フレミアのみが自由に行動可能となる。
 この能力はフレミアが過去にアリスラビリンスで戦ったオブリビオン『狂える時計ウサギ』のもの。彼女は【ブラッディ・フォール】によってその姿と力を一時的に再現しているのだ。

「殺しと略奪しか能が無いのに、それすらできないなんて無様よね」
 停まった時の空間を移動し、敵の背後や真上、側面といった死角から急所への一撃を繰り返しては、時間を再開させるフレミア。
 音もなく目の前から姿を消し、毎回違う方向からダメージを与えてくる不可思議なフレミアの能力の正体に、コルテスはまったく想像が及ばない。繰り返される耐え難い苦痛と挑発に、ただただ怒りと屈辱感ばかりが募っていく。
「おのれ……おのれ、おのれ、おのれえぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
 ついに乗騎と共に無謀な突撃を仕掛けてきた男に対し、フレミアはふっと笑いながらまたも【フェイタル・ショータイム】を発動。時間停止中に今度は【サディスティック・メルヘン】を発動し、敵を捕らえるための拷問具を召喚する。

「―――ハッ?! ~~~~ッ?!!?」
 気が付けばコルテスはメルヘンチックな装飾の拷問具に全身を拘束されていた。
 感じるのは拷問の激痛。そして目の前には魔槍を構えたフレミアが立っている。
 逃げ場のない絶望と恐怖が、侵略渡来人の心に押し寄せる。
「さあ、これで最後よ! 全力の一撃を叩き込んであげるわ!」
 ありったけの魔力と膂力を込めて、フレミアの繰り出した真紅の魔槍は、拷問具ごと粉砕するほどの勢いでコルテスの身体を串刺しにした。
「がァァァァァァァァァあァァァッ!?!?」
 迸る鮮血と喉も裂けんばかりの絶叫。
 この戦いの終わりは、着実に迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
アドリブ◎
*身に<呪詛>宿し呪詛/呪操る

渡来人…一体どこからやって来たのでしょう
戦乱を広げ、その隙に宝物を漁り奪取する
本人には言いませんが、まるで質の悪い火事場泥棒ですね

<全力魔法・属性攻撃>炎と水の誘導弾
敵近くで衝突させ霧作り目潰し。
[ステラ+ケイオス]剣槍形態:<生命力吸収の呪詛>込め力溜め
霧発生と共に投擲:<念動力で補助、呪殺弾>に。
投擲の瞬間存在感・殺気もらし投げ槍をするのに気付かせる
投げ槍は既知故反撃を意識するはず
その隙に霧に紛れさせた《箱庭世界》の【霧】をゲートとし、
手元の霧と敵の背にある霧を繋ぎ槍通す。
忘却状態で突然の2重奇襲防げますか?
渾身の一撃が決まれば良し、反撃は受ける覚悟


榛・琴莉
幾度も侵略、虐殺
しかも自分は安全圏とは
なるほど、クズと言われるだけありそうですねぇ
…それにしても、よりによって神社に居座るとか
罰当たるんじゃないですか?

真っ向からの射撃勝負では歯が立たないでしょう
ならば、勝ち目のある手段を選ぶまで
「Ernest、有効打を」
UCで魔弾を召喚。同時に、Ernestが蓄積してきた【戦闘知識】から有効な戦術を弾き出します

死角は真下、神の巨体の影
召喚された魔弾は、敵の足元に飛んでその真上へと打ち上がる物

射撃で氷の【属性攻撃】、それに魔弾を紛れ込ませます
敵の攻撃には【見切り】、Haroldで【武器受け】して対応
真っ直ぐ飛んでくるだけの弾を受け止めるくらい、容易いでしょう?



「渡来人……一体どこからやって来たのでしょう」
 終局へと向かっていく戦況を確認しながら、月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)はふとした疑問を口にする。
 エンパイアの住人とは異なる「渡来人」は、織田信長が魔法で召喚したとされている。だがそれにしても「何処」から「誰」を召喚しているのかという疑問が生じる。
「戦乱を広げ、その隙に宝物を漁り奪取する。まるで質の悪い火事場泥棒ですね」
 本人には言いませんが、と声を潜めながら呟かれた言葉に、こくりと同意の首肯を返したのは榛・琴莉(ブライニクル・f01205)。
「幾度も侵略、虐殺、しかも自分は安全圏とは。なるほど、クズと言われるだけありそうですねぇ」
 アサルトライフル「Mikhail」のセーフティを解除しつつ、撃ち抜くべき標的を見据えて――戦場となった周囲の建物をふと見回し。
「……それにしても、よりによって神社に居座るとか。罰当たるんじゃないですか?」
 もし仮に神々がその所業を見過ごそうとも、彼には必ず報いが与えられよう。
 雪華の神に愛されし娘はガスマスクで顔を覆い、その身に呪力を宿したユイと共に、静かに前線へと突入する。

「ガハッ……ゴホッ……くそっ、新手か?!」
 いよいよ満身創痍となったコルテスに先ず襲い掛かるのは、ユイの放った炎と水の誘導弾。2つの弾丸は標的の目前で互いに衝突し、水蒸気による霧を生み出す。
「目眩ましか……下等生物どもが、どこまでも姑息な……!」
 視界を遮られ、苛立ちを露わにしながらマスケット銃への弾籠めを行うコルテス。
 敵が此方を視認できない間に、ユイは自らのコアの一つである星剣『ステラ』とドラゴンランス『ケイオス』を合体させ、渾身の一撃を放つ準備を。
 そして琴莉はライフルの弾倉内に【CODE:スカジ】の魔弾を召喚すると同時、ガスマスクに住み着く戦闘補助AIに呼びかける。
「Ernest、有効打を」
 レンズ越しの視界に青い鳥のアバターが舞う。「Ernest」が蓄積してきた膨大な戦闘知識から、今戦っている相手に有効な戦術が弾き出される。
「真っ向からの射撃勝負では歯が立たないでしょう。ならば、勝ち目のある手段を選ぶまで」
 投影された演算結果を元に照準を合わせ、霧の向こうにいる標的へ狙いを定める。
 たとえ視えずとも、「Ernest」の補助と自分の魔弾ならば当てられるという自信が、彼女にはあった。

「行きます」
 琴莉の準備が整ったのを見て、ユイは『ステラ』と『ケイオス』が融合した剣槍を振りかぶる。その穂先には生命力を喰らう呪詛が宿り、膨大な力が溜められている。
 その投擲の瞬間、ユイはあえて強烈な殺気と存在感を放って、敵の注意を引いた。
「!! 来るか……ッ!」
 霧の中で姿は視えずとも、攻撃が来ることを察知したコルテスは、ケツァルコアトルの背に跨り迎撃の構えを取る。遠い昔の実戦の記憶から、恐らく襲ってくるのは投げ槍のような投擲物だろうと見当をつけて。

 ――コルテスの推測は大まかには正しい。だが猟兵の戦法はその上をいく。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。接続領域指定、転移門制御)開門……」
 剣槍を投擲する瞬間、ユイが発動したのは【箱庭世界】。
 自らの手元に発生させた霧と、敵の周りに広がる霧をゲートとして、2つの空間を繋ぎ合わせる。結果、投じられた剣槍は霧を介して、コルテスの背後へと転移する。
「忘却状態で突然の2重奇襲、防げますか?」
 それは、戦いを忘れた慢心者には決して予測し得ないであろう攻撃だった。

(死角は真下、神の巨体の影)
 同時にトリガーを引いた琴莉の銃弾は、氷の魔力を帯びてコルテスに襲い掛かり。その内の一つに紛れ込ませた魔弾は敵の足元に飛んでその真上へと打ち上がる、特別な軌道を描く。
 隷属する乗騎ケツァルコアトル。それはコルテスにとって最も強力な武器だが、その巨躯が生み出す視覚的・意識的な盲点こそが「Ernest」の導き出した勝算だった。

 霧の正面からは囮の氷弾。そして背後と真下の死角からの同時攻撃。
 これらを凌ぐ手立てなど、今のコルテスにはありはしない。
「ガハァッッ!!?!?」
 背後より貫いた呪殺の剣槍が生命力を貪り喰らい、真下より撃ち抜いた氷の魔弾が全身を凍結させていく。やがて晴れていく霧の中から姿を現したコルテスは、生気のない土気色の肌をした、瀕死の状態と成り果てていた。

「よ、くも……死ね……!」
 憎しみに濁った目で2人を睨め付けたコルテスは、凍傷によって壊死しかけの指でマスケット銃のトリガーを引く。
 苦し紛れの反撃だが、例え瀕死であろうと銃弾の威力に変わりはない。ユイは覚悟を決めて身構えるが、それよりも速く琴莉のコートの中から、拙劣な鳥のような形をした"何か"が飛び出す。
「真っ直ぐ飛んでくるだけの弾を受け止めるくらい、容易いでしょう?」
 琴莉が使役する水銀状の小型UDC群「Harold」が、その身を挺して2人の猟兵を守る。銃弾の威力は減衰され、彼女たちに被害はない。
「クソォ……ッ!!!」
 反撃さえも仕損じたコルテスの怨嗟の叫びが、戦場に響き渡るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
馬鹿は死んでも治らないって言うけど…貴方は本当に治らないみたいね…

敢えて敵の銃撃ちを誘い、【呪詛、オーラ防御、カウンター、武器受け】アンサラーで攻撃を反射…。
攻撃を反射される「想定外」でできた隙を突いて、【魔剣の媛神】の封印解除…。【呪詛、高速詠唱】による呪詛の縛鎖で拘束しつつ、九尾化による神速と凶太刀による高速化を併せて一気に間合いを詰めて強襲。
【呪詛】を纏った凶太刀と神太刀による神速の連続斬りと零距離から無限の魔剣を叩き込むよ…。

後は完全に倒す前に再度縛鎖と魔剣を両手両足に撃ち込んで完全に動きを封じ、【ソウル・リベリオン】でケツァルコアトルの呪いの解放を試すよ…。
道連れなんて可哀想だしね…



「ぐゥ……アぁ……きさ、まら……よぐも……」
 いよいよ瀕死の重態にまで追い詰められた侵略渡来人・コルテス。
 彼の奴隷であるケツァルコアトルにしろ、ここから主と共に逆転するほどの余力は残っていない。既に勝敗は決した――誰の目にもそれは明らかな筈だった。だが。
「認める……ものか……この私が……下等生物ごときに……敗れるなど……!」
「馬鹿は死んでも治らないって言うけど……貴方は本当に治らないみたいね……」
 この期に及んでもなお現実を受け入れようとしない傲慢なる侵略者に、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は氷のような冷たい眼差しを送る。
 手のつけられない愚か者は、二度と蘇ってくることの無いよう骸の海に叩き返すのみ。この戦いに決着をつけるべく、少女は幅広の魔剣を抜き放った。

「クソッ……死ね……お前たち全員……殺してやる……」
 呪詛に塗れた悪態を吐きながら、マスケットの銃口を向けるコルテス。
 璃奈は敢えてそれを避けようとも、撃たれる前に斬り込もうともせず、ただ魔剣を構えて迎え撃つ構えを取った。
「剣で銃に挑むなど……やはり下等生物は愚かだな……!!」
 血塗れの口元に歪んだ笑みを浮かべ、コルテスはトリガーを引く。
 瀕死の状態であってもその狙いは正確。真っ直ぐに心臓目掛けて飛んで来た銃弾を、璃奈は呪詛のオーラを纏った魔剣の刀身で防ぐ。
 ――その魔剣の名は「アンサラー」。その刃に籠められし魔力は"報復"。
 受け止められた銃弾は、そのまま弾道をなぞるように射手の元へと跳ね返され、マスケット銃を暴発させた。

「ぐあ……ッ!? な、何が起こった……!!?」
 攻撃を反射されるという予想外の事態に、コルテスの思考は真っ白になる。
 その隙を突いて璃奈は【九尾化・魔剣の媛神】の封印を解除。その身に秘めた莫大な呪力が解き放たれ、魔剣の巫女は九尾の妖狐としての真の力を顕わす。
 さっと手をかざして詠唱を紡げば、練り上げられた呪力は縛鎖となって、動揺冷めやらぬコルテスの身体を拘束する。
「な……放せッ! この私を、知性ある人間を鎖で縛るなど、人道上許されることではないぞ!」
「貴方に人の道を語る資格はない……」
 静かな怒りを滾らせながら、妖刀・九尾乃凶太刀と九尾乃神太刀を抜き放つ。
 九尾化による神速に、凶太刀の呪力による加速が合わされば、その身のこなしは風を超え、音を超え、敵に反応する時間さえ与えずに。
「グギああァァァァァァァァァァッ!?!?!」
 瞬きするほどの間に、呪詛を纏った双刀による斬撃を何十と刻みつけられたコルテスは、血飛沫を上げながら社の壁に叩きつけられた。

「ぐ、おぉぉ…………」
「これで終わりだね……後は……」
 もはや虫の息となったコルテスに引導を渡す前に、璃奈は自らの呪力から顕現させた魔剣を両手両足に撃ち込み、さらに再び呪詛の縛鎖を唱えて完全に動きを封じる。
 それから彼女が視線を移した先にいたのは、侵略者の乗騎として酷使され続けてきた神――ケツァルコアトルだった。
「道連れなんて可哀想だしね……」
 彼の者を縛り付ける『隷属の呪い』と『コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い』から解放できないものかと、召喚するのは呪詛喰らいの魔剣【ソウル・リベリオン】。
 呪詛を喰らい、在るべき姿へ戻し救済するこの力であれば、あるいはと――そう考えた璃奈だったが、ケツァルコアトルは静かに首を振った。
「駄目なの……?」
 魔剣の刃が触れても、神の様子に大きな変化はない。コルテスに隷属させられて以来、長きに渡って文字通りの意味で生死を共にしてきた彼とコルテスの間に繋がれた呪いは、あまりにも強いものだった。

 ――こうなれば、かの神に残された救済は、安らかに眠らせることだけだろう。
 覚悟を決めた璃奈は、無限の魔剣を自らの周囲に顕現させながら、磔になったコルテスに近付いていく。
「や……やめろ……よせ……やめろぉぉッ!!!!」
 凄まじい呪力と無数の魔剣を従えながら迫る魔剣の巫女を見て、傲慢なる侵略者は初めて"死"の恐怖を覚える。だが、どれだけもがこうとも、彼を拘束する鎖と刃はびくともしない。
「さようなら……」
 終焉を齎すのは、零距離から叩き付けられる無限の魔剣の一斉掃射。
 全てに滅びをもたらす魔剣たちは、断末魔の絶叫すらも虚無へと斬り捨て、コルテスが存在した痕跡の全てをこの世から葬り去っていった。

『――感謝する、勇敢なる者たちよ』

 最後に聞こえた厳かな何者かの声は、果たして風の悪戯だろうか。
 ふと璃奈が振り返った先では、コルテスと死を共にしたケツァルコアトルの羽が、一枚だけ遺されており――それもすぐに風に吹かれて散っていく。

 かくして傲慢なる侵略渡来人・コルテスは、猟兵たちの前に敗れ去ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト