エンパイアウォー⑥~剣は民を呪う
●
関ヶ原、嘗てこの地では有名な合戦があったとされる場所。この国において珍しく平野が広がる地域であり、兵同士がぶつかりあい血で血を洗う戦いになりやすい地域である。
「大帝の剣とやらはまことに大した力だ」
そしてここにはまた今、兵達が集っている。彼らは長槍とこの国では珍しい盾を携えて守りを固めている。……この国ではついぞ根付くことがなかった密集陣形、ファランクスと呼ばれるものである。それを見て先の言葉をつぶやいたのは人の形をして人ならぬ存在、オブリビオンである。
「……これ程いるのならば」
その女の形をした化け物は、配下の兵を後ろから刺し貫いた。兵士は力なく倒れ陣笠が外れる。……まだ幼さの残る少女が目を見開いたまま倒れている。
「楽だが詰まらぬ。やはり泣き叫びのどちらかでもしてもらいたいものよ」
慰みに人を殺すのが、この軍団の将であった。
●
「エンパイア・ウォーが次の段階に進んだわ。これまでは順調だったけれど、ここからも順調かどうかは分からないわ」
水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)が集まった猟兵に向かって現況を伝える。
「徳川の兵達はいよいよこれから3つの道で西を目指すんだけど、相手の妨害は続くわ。だから私達はこれも排除しなきゃいけないの。……私が案内するのは関ヶ原、弥助アレクサンダーの影響を受けて洗脳されている農民をなんとかしないといけない」
曰く、この関が原ではオブリビオンに率いられた洗脳された農民が兵となっているという。
「猟兵なら倒すのは簡単だけど……でも、できるなら人的被害をなるべく少なくするように立ち回ってほしいの。相手はファランクス陣形で、奥にいるオブリビオンが洗脳の中継をしてるみたい」
故に農民たちを避けてオブリビオンだけを倒す、というのが最良の策だ。
「このオブリビオンは人のことをなんとも思ってはいないわ。戦う時は気をつけて」
猟兵達は戦場へと送られる。いかに立ち回るかが結果を決めるだろう。
西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
エンパイア・ウォー関係のシナリオをお送りします。
=============================
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
*ファランクスについて
16×16の兵(合計256人)が長槍と盾を持って敵軍を迎え撃つ陣形となります。これを徳川軍が突破するのは不可能です。
猟兵達がこれを傷つけずに超える場合は多くの手段が考えられます。また史実にヒントもあるかも知れません。
それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『一耀の羅刹『アラヤ』』
|
POW : 荒谷流剣術・外法『九耀鏖殺刃』
自身の【敵の命】が輝く間、【斬擊一回】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD : 荒谷流抜刀術『神薙の太刀』
【心眼】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【居合いにより発生する風の刃】で攻撃する。
WIZ : 外法召喚・怨魂鬼
自身の【これまでに喰らってきた犠牲者の魂】を代償に、【召喚した配下の鬼達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【本体と連携し、自身の犠牲も厭わない】で戦う。
イラスト:えんご
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「荒谷・ひかる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フロッシュ・フェローチェス
厄介で、驚異な陣形だね。でも弱点はある。
――アタシのスピードなら突ける筈……思いっ切り奴らの陣形へ突っ込んでいこう。
ただこれはフェイントだ。
槍を一斉に突き放たれても高速のジャンプと衝撃波での空中機動でやりすごす。
……ただこのまま空中を行くのは難しいか。
だから陣形の弱点を突く。
敢えて軍団の近くに着地して、それと同時に加速式励起――横へダッシュ。相手が軌道見切る前に、残像もブレるぐらいのスピードで突っ走ろう。
UCを使っての先読み対処も忘れずに……念には念をだ。
最後は敵UCへ此方もUCで対処する。
遠くから残像を切らせ……当たったと見せかけ、だまし討ちの早業で背後取りだ。
――吹っ飛ばす!
※アドリブOK
黒鵺・瑞樹
アレンジ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
落ち着け、ひと呼吸だ。
エンパイアの人の子を誰も傷つけさせないし殺させない。
ファランクスの弱点は回転行動の難しさゆえの側面からの攻撃。
なれば一気に【存在感】を消し【目立たない】ように移動、一気に駆け抜ける。
時折UC空翔で空を跳躍して視認させにくくする。
そのままオブリビオンに【先制攻撃】で【奇襲】【暗殺】の攻撃。
さらに動きの制限【マヒ攻撃】、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。
相手の物理攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】からの【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【激痛耐性】でこらえる。
勘解由小路・津雲
※アドリブ・連携歓迎
さて、農民たちを傷つけずに、か。むしろそういう器用な戦い方は得意でね。
【作戦】
本人は「範囲攻撃」「衝撃波」で農民ファランクスに向う。もちろん傷つけるためではなく、敵を引きつけ足止めする目的で。盾に対し、突風のような衝撃波で動きを止めたい。
奥にいるオブリビオンに対しては、【符術・鳥葬】を使用。ファランクスを飛び越え、直接叩く。式神の鳥たちは怨魂鬼に対しては「破魔」の力を、オブリビオン本体には氷の「属性攻撃」をのせた「衝撃波」で攻撃する。
また、協力できるなら他の猟兵の動きをサポートしたい。
セルマ・エンフィールド
外道の剣士、といったところでしょうか。
洗脳をおこなった弥助アレクサンダーは叩く必要がありますが、こちらも放ってはおけませんね。
なにも陣形を超えていく必要もありません……狙撃手の戦い方、お見せしましょう。
索敵用ドローン、ペレグリーネを上空へ飛ばし、奥にいるというオブリビオンの場所を探ります。
気付かれれば風の刃で落とされるでしょうが、敵の陣形は見るからに機動力に乏しい。一度確認した地点から大きく離れることや陣形を作っている農民が盾に入ることは難しいでしょう。
確認した敵の位置をめがけて【霜天弓】を。『スナイパー』の技術により正確に降り注ぐ50を超える矢で、陣形を作る村人の奥のオブリビオンを狙います。
御園・ゆず
見晴らしの良い木の上に座って
歴史、苦手なんだけどなぁ
スクールバッグから日本史の教科書を出して読んでみる
ちんぷんかんぷんだった
予め寝返るように交渉してたり
様子見してる部隊が居たり
…これ、洗脳されてるなら関係ない奴だよなぁ
突撃部隊は陣形を整えてるし
猟兵は人数に限りがある、と
…ん?兵力差、布陣の遅れ
教科書通り?
とすると…
大砲使って戦意喪失…統制の崩れた所を突破…
一瞬でも隙を作れれば、突破可能?
敵大将の背後についたけど怖くて動けないって事もあったのか
単身は流石に無茶だろうけどやってみよかな
空白地帯に大砲を撃ち込んで
セーラー服ひらめかせながら大将の背後に回り込もう
FN Five-seveNを携えて
オリヴィア・ローゼンタール
ふむ、アラヤ……私のお友達の縁者でしょうか?
白き翼の真の姿を解放
【ダッシュ】を羽撃きで起こした【衝撃波】で更に加速して吶喊
ギリギリ槍の届かない距離で急転換して奥へ回り込む
背後を取り「農民・敵・自分」と並ぶように
その重装備と密集陣形、機動戦には不向きでしょう?
さて、殴り合いましょう
【属性攻撃】で聖槍と四肢を炎の魔力で纏う
【怪力】で聖槍を振るい、【衝撃波】を起こして風の刃を相殺
私のお友達と同じ流派を使うならどれほどのものかと思いましたが……彼女の方がよほど強い
目立つ武器である聖槍を【投擲】して注意を逸らし、【全力魔法】で炎を最大強化した【鉄拳聖裁】を叩き込む
彼女ならばこうも簡単にはいきません
六六六・たかし
【アドリブ歓迎】
ふん…洗脳された農民は殺さず、奥にいるオブリビオンだけを倒せか
随分と難題を出すもんだ、だがやってみせよう。
なぜなら俺はたかしだから。
【SPD】
農民たちに被害を出さずに何とかするために
仲間の「ざしきわらし」に手伝ってもらおう。
《呪詛》《催眠術》を利用して農民たちの動きを止める。
相手のボスに対しては
UC『六零零悪魔の運命(デビルざしきわらしフォーチュン)』を使用。
ボスの運勢を最悪にすることでそもそも攻撃をさせないようにする。
その隙に《空中浮遊》《先制攻撃》を利用して突撃。
「たかしブレード」で切り裂く…!
デビル!たかし!!スラッシュ!!!!
●
(「厄介で、驚異な陣形だね。……でも弱点はある」)
フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はぐいと足に力を入れる。瞬間的に加速し、槍衾に向かって突き進む。兵士たちも敵が現れたのを察知したのか長槍を彼女の方へと向ける。
「――アタシのスピードなら突ける筈! たあっ!」
全身のバネを使って飛び上がる。先頭の長槍はそれを追い抱えることができない、だが次の列の槍が上を向かう。
「おっと」
空を衝撃波が出る勢いで蹴りその穂先を避ける、だがこれではすぐに彼女のほうがモズの早贄のようになってしまうだろう。
(「このまま空中を行くのは難しいか……」)
そう彼女が感じた矢先、別方向から空中を行く黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)の姿が目に入る。敵の頭上を撹乱するのは彼に任せたほうが良いだろうと判断した彼女はファランクスの脇へと飛び降り、地上を走る方向に切り替える。
(「落ち着け、ひと呼吸だ」)
こちら側を見上げる兵士の顔を見ながら内心で呟く。この平野では身を隠すものがほぼ無く、飛び上がればどうあがいても見つけられやすくなる。相手が多数で平地となればそれは避けられないものであった。長槍は直上を向き彼を貫こうとする、それを避けるために空中にまた一歩踏み出す。目的は敵オブリビオン。彼ら直接的に切り込む者たちを俯瞰的に見ている者たちもいた。
「敵の中心にいるのは外道の剣士、といったところでしょうか」
索敵用ドローンから送られて来る映像で相手の姿を確認していたセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)が呟く。だがその映像が彼女の呟きの直後に途切れる。どうやら撃ち落とされたのだろう。
「気付かれましたか、ですが充分。……あとは」
セルマは弓を取り、走る猟兵達を見やる。射掛けるのはその時が来てから。同じく機を伺っていたのは勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)である。
「ふむ、傷つけずにあれを止めるか」
彼にとっては得意な分野である。木行から風を引き出そうとした時、頭の後ろの方から声が聞こえる。
「うーん、どうしようかぁ」
彼女――御園・ゆず(群像劇・f19168)の言葉であった。ここで少し時間は巻き戻る。彼女は木の上で先程まで歴史の教科書を開いていた。ついでにそれっぽい本も図書館から借りてきていたが、ちんぷんかんぷんである。何より勉強が不得手であった。それでも辛うじてファランクスに関する説明を読んでも、実行不可能そうなものが並ぶ。
「予め寝返るように交渉してたり、様子見してる部隊が居たり……これ、洗脳されてるなら関係ない奴だよなぁ」
独り言が大きな事にちょっとだけ驚きなが周りを見回すがその時は誰もいなかった。改めて彼女は読み進める。
「突撃部隊は陣形を整えてるし、猟兵は人数に限りがある、と。……ん? 兵力差、布陣の遅れ、教科書通り? とすると……」
何かに気づいた彼女はページを捲る。
「大砲使って戦意喪失……統制の崩れた所を突破……一瞬でも隙を作れれば、突破可能?」
大砲ならユーベルコードで撃てる、でも空白地帯、とは。ここで先程の悩みの声に戻る。
「そんなところで何をしているんですか?」
彼女の声を聞いた津雲が首を彼女に向ける。スカートを抑えて飛び降りると、彼女は案を落ち着いた調子の丁寧語で伝える。
「分かりました。兵と兵の間に空間を作れば良いのですね? ……お任せ下さい、そういう器用な戦い方は得意です」
答えた彼もまた丁寧語で返す。彼はファランクスに近寄ると今度こそ木行から風を呼び、兵達の動きを制していく。
「発射します!」
傍らに生み出した大砲から砲弾が次々と吐き出され、ファランクスが元に戻らぬよう牽制する。そして開いた道に一人の猟兵がどこからともなく現れ駆け抜けていく。
「すみません、失礼します!」
誰も近づかせない勢いで走るのはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)と六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)だ。
(「ふん……洗脳された農民は殺さず、奥にいるオブリビオンだけを倒せか。……随分と難題を出すもんだ、だがやってみせよう」)
「なぜなら俺はたかしだから
彼の頭に乗った少女の人形とともに、開かれた道の両脇の農民達に呪いをかけて陣形を再生させるのを止める。その間にオリヴィアが中心にいるオブリビオンの前にその勢いのまま槍を前に突撃する。だがこれをオブリビオンは難なく弾く。
「貴女がアラヤですか……」
「然様、名前まで知られておるとはな。はるばるここへ来たという事は刀の錆に成りに来たのだな」
直後、農民の一体が切り裂かれ無数の斬撃をオリヴィアが襲う。それは彼女の想像以上の鋭さと勢いを持ち一気に劣勢へと立たされる。
「なんだ口だけか?」
「いいや違うね」
『これからお前の運勢は大凶よ! ご愁傷様!』
追いついてきたたかしとざしきわらしが指をびしりと向けると、三方から同時に別の不幸が迫る。
「……動きが鈍い!」
「もらった!」
単身で敵に突っ込んできていたフロッシュと瑞樹が両脇から挟み撃ちするように斬りかかる。全ての動きを受けきれないと判断したオブリビオンはたまらず下がるが、その頭上から無数の冷気をまとった矢が降り掛かってくる。その矢の発射元であるセルマは迫る矢の様子を見て呟く。
「狙撃手の戦い方は……ああ、見るわけにもいきませんね」
実際逃れられなくなったオブリビオンは次の手を打つ。
「来い! 鬼共! 我を守れ!」
呼び出された鬼達はオブリビオンの盾となり飛来する矢から主を守る。だがそれさえも猟兵の想定の範疇内だ。
「いや、視界が開けて良かった。お蔭で鬼を片付けやすい」
後方で推移を見守っていた津雲の放つ無数の式神が怨霊鬼を打つ、陰陽師たる彼ならば魑魅魍魎の類こそがもっとも慣れた相手である。飛来する式神は鬼の守りを砕き、氷の矢をオブリビオンに届かせ、貫かせる。更に津雲自身の水行も込め、より凍結を早める。
「おのれ、ここまで殺せないとは……くっ」
オブリビオンの動きが更に鈍る、それは先程の瑞樹の一撃によるもの。腱を切られたか毒をもられたかは分からないが、動きが制されてしまっている。それでも斬ることを思いとどまることはせずに敵は剣を振り、視界に入っていたフロッシュに風刃を飛ばす。だがそれは血を流すこと無くかき消えてしまう。
「悪いな、それは残像だ」
オブリビオンの背後で銃撃音が響き、衝撃を与える。
「くそっ……なぜここまで一方的に……」
「簡単だ、俺達に出会ったのが運の尽きって事だ」
たかしがそう言うとともに、今度は背後からゆずのハンドガンの弾丸が背中から胸へと貫通する。これでもなお消失しないのはさすが大帝の剣を任されたということだろうか。
「ですがそれもおしまいです」
「ああ、これまでだ」
オリヴィアが腕に黄金の炎を込め、たかしが剣を抜く。
「デビル! たかし!! スラッシュ!!!!」
「悔い改めよッ!」
既に満身創痍であったオブリビオンに放たれた2つの攻撃は完全に相手を消滅させ、周りの農民たちを洗脳から解き放つ。猟兵達は彼らの意識が戻り、村へ戻るのを見届けてから次の戦場へと向かうのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年08月12日
宿敵
『一耀の羅刹『アラヤ』』
を撃破!
|