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エンパイアウォー⑲~てのひらの命

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #コルテス

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 ――安芸は宮島。
 潮は満ち、海上に浮かぶ社殿は清かな波音に包まれていた。
「……秘された宝物すらこの程度とは、ことごとく使えん奴らだ」
 手にしたモノを忌々しげに睨め付けると、男は無造作にそれを投げ捨てる。
 人々が大切に祀ってきた宝物が、ごつりと床板を打ち転がり薄ら暗い海の底へ落ちてゆく。
「やはり下等生物にはこの程度が限界か。
 こっちはまだマシな方だが……偉大なる王へ捧げるに相応しいものではない。
 そういえば本殿に祀っているものがあるとか言っていたな……見てみるとするか」
 隷属の呪いに蝕まれた猛き神の眼がぎょろりと巡る。
 手綱を引かれたケツァルコアトルは炎と風とを巻き、滑るように祓殿を進んでいった。


「コルテスの居場所が分かったよ。
 今はケツァルコアトルと一緒に厳島神社にいるみたい」
 葵絲・ふるる(フェアリーのシンフォニア・f02234)はわんわんさんの背にまたがり、ふかふかの毛で覆われた首にぽっふりと抱き着いた。
「こるてすさんはものすごい強敵なんだけど……今なら普通に勝てそうな気がするんだよね」
 なんでもコルテスは思いっきり油断しているらしい。
 というのも、コルテス自身が戦ったのは侵略を開始した最初の数回のみで、以降は『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用し、安全圏から侵略と虐殺を繰り返してきた。
 故に、彼は自身が直接攻撃される事を想定していない。
 永きに渡り高みの見物を決め込んできたが為に、当事者としての意識が欠如したのだ。
「観客席にいる時間が長すぎて、こるてすさんは戦い方をすっかり忘れちゃったみたいなんだ。
 だからね、それを利用すればごり押しでやっつけられるんじゃないかと思って」
 戦い方を忘れているとはいえ、本来であればかなりの実力の持ち主だ。
 一度でも見せた攻撃は、もう二度と通用しないだろう。
 何をするにも一度限りではあるが――彼が予想できないような攻撃を行い続ければ、こちらが一方的に攻撃することが可能だ。
「でもでも、真正面から切りかかったりとか、正拳突きとか、分かり易い攻撃はだめだよ。
 予想がつきやすい攻撃もだめ。そういうのは確実に反撃されて……たぶんみんな、一発もらっただけで落ちちゃうんじゃないかな? こるてすさん、基本的に強いからね。
 あ、他の人がした攻撃と似たような攻撃もしちゃだめだよ!」
 ふるるは小さなため息をつき、猟兵達に視線を向けた。
「それからね、こるてすさんが乗騎にしちゃってる、けつぁるこあとるさんのことなんだけど。
 仔竜さんを助けられたから、おかーさんもって思ったんだけどね……きっともう、助けられないから。眠らせてあげて」
 ケツァルコアトルには「隷属の呪い」と「コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い」がかけられている。
 どのような対応をしようとも、ケツァルコアトルが寝返ることはない。
 コルテスに従い、ひたすら猟兵を倒すために全力で向かってくるだろう。
「それじゃあ後はみんなに任せるよ。気を付けて行ってきてね。
 みんなが帰ってくるの、ここで待ってるから」
 ふるるはそう言うと、両掌を捧げるように開いた。
 静かに頷く猟兵達の頬を、グリモアの淡い光が照らし出す――。


珠樹聖
 こんにちは、珠樹聖(たまき・ひじり)です。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●補足
 コルテスは撃破されて骸の海から蘇っても、自分が撃破されたという事を認識する事が出来ません。
 その為、全てのシナリオで『慢心から油断しており、戦いに不慣れである』という状況が発生します。

●注意事項
 お友達と合わせての描写をご希望の方、互いに【お相手様の呼称とキャラクターID】、或いは【チーム名】をご記載ください。
 プレイングの自動キャンセル期限は『三日』となっております。極力タイミングを合わせてご参加ください。

 以上、皆様のご武運をお祈りいたします。
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第1章 ボス戦 『侵略渡来人『コルテス』』

POW   :    古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ   :    奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月隠・三日月
私たちサムライエンパイアの民を随分と侮辱してくれるじゃあないか、コルテス。オブリビオンにどう思われようと構わない……と言いたいけれど、それなりに腹は立つのだよね。一発くれてやらないと気が済まないな

コルテスの騎馬突撃は見破りやすいから、敵のこの攻撃に合わせて妖刀で敵を斬りつけよう。敵が攻撃を行っている間は、隙ができやすいはずだ
更に敵の意表を突くために、攻撃の途中で【妖刀解放・大太刀】で得物の長さを変化させる
加えて、敵の攻撃は避けないつもりで攻撃を行う(【捨て身の一撃】)。回避を前提にすると、こちらの動きが読まれやすくなるだろうからね。一撃受ければ戦闘不能必至だけど、倒れる前に一撃入れられればいい



 本殿へ向かうコルテスの背に、穏やかな青年の声が響いた。
「私たちサムライエンパイアの民を随分と侮辱してくれるじゃあないか、コルテス」
「……ん? 何だお前は」
 手綱を引き、コルテスは声のした方へちらりと視線を向ける。
 黒装束の男が一人、祓殿の天井からとっと軽やかな足音を響かせ舞い降りた。
 まっすぐに視線を合わせてくる月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)に、コルテスは呆れたように肩を竦める。
「また説明してやらねばならんのか、下等生物め。
 見れば分かるだろう、私は今忙しい。
 どうせ大した用でもないのだろう、とっとと消えろ」
 ぴくりと三日月の表情が動く。口元に笑みを残したまま、その瞳から柔和な色が消え失せた。
「オブリビオンにどう思われようと構わない……と言いたいところだけれど、それなりに腹は立つのだよね。
 ……一発くれてやらないと気が済まないな」
「ほう。どうやらお前、下等生物の分際でこの私を見下しているようだな」
「所詮、オブリビオンだからね」
 これ見よがしに妖刀の柄に手をかけて見せれば、コルテスはようやく三日月の刃が自身に向けられるものだと気が付いた。
「はっ、愚かな」
 可哀想なものを見る目で三日月を見遣ると、コルテスは手綱を引きゆっくりと振り返る。
 三日月は身を低め、駆け出した。
 その様を眺めながら、コルテスは何か思い出すように顎髭に手をかける。
「ふむ、久しいが……こうだったか」
『グアアッ!』
 不意にケツァルコアトルの腹を蹴り、コルテスは猛然と突っ込んでいく。
 自身の動きを読ませぬために端から避けるつもりはなかったが、それは三日月の予想よりもずっと機敏で鋭いものだった。
 しかし読み易い、直線的な攻撃だ。
 タイミングを合わせ、滑るように斜め上へ剣を振り上げる。
「鈍い動きだな、下等生物よ」
「そうかな? 丁度いいはずだ……得物は大きい方が有利、だろう?」

 ――妖刀解放・大太刀。

 妖刀がその形を変え、大太刀へと変化した。
 届かぬはずの三日月の切先が、みるみる伸びて威力を増し、コルテスの脇腹へと到達する。
「ぐっ……! おのれ、手間取らせるな!」
 風を切る音が耳元に届き、ガンッと首筋に衝撃が走る。
 痛みを感じるより先に、引き千切れた黒布がぬらりと照って視界の端ではためく。
 視界が霞んでゆく――倒れる前に、一撃入れられればいい。
 三日月の捨て身の攻撃は、確かにコルテスの身に届いたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リオン・ソレイユ
※連携、アドリブOK
戦闘が始まった頃合いを狙って動くかのう。
山頂から遥か上空へエイスと共に駆け登った上で、コルテス目掛けライトニングキャバリアによる急襲を仕掛ける。
太陽を背にできればなお良しじゃな。
空中戦闘、騎乗、そしてフェイントを駆使し、雷光の如く駆け抜け先制攻撃じゃ!
この国では確かこれを『逆落とし』と言うんじゃったかの。
気付かれ、反撃が来れば、積み重ねた戦闘知識と野生の勘、見切りを駆使して回避し、避けきれぬものは、オーラ防御と武器受け、盾受けで凌ぐ。
「絆を持って天地を駆けるが我ら天誓騎士。我等の力、驕り堕落したその身でとくと味わうが良い!」



 社の天井よりももっと上――遥か上空より勇ましい声が轟いた。
「天の加護は我らと共に。征くぞ、エイス!」
 天を駆る軍馬と共に、まっすぐに降ってくるのはリオン・ソレイユ(放浪の老騎士・f01568)だ。
 ――ライトニングキャバリア。
 振り仰いだコルテスの頭上から、雷光の如き人馬が降り注ぐ。
 最初は豆粒ほどに見えた小さなその姿が、みるみる近づいてくる。
「絆を持って天地を駆けるが我ら天誓騎士。我等の力、驕り堕落したその身でとくと味わうが良い!」
「うおおおお……行け、ケツァルコアトル!」
 どごんと強烈で重々しい音を響かせながら、リオンとエイスがコルテスを穿たんとする。
 光速で降り注ぐ巨大な力に、厳島の社が大きく震えた。
 大きく振り上げた前足で床板の破片を弾きながら、エイスが嘶く。
 リオンは巧みに手綱を操り、地面に放り出されたコルテスを見下ろした。
 ケツァルコアトルの尾は拉げ、痛みにのたうち回っている。
「この国では確かこれを『逆落とし』と言うんじゃったかの」
「小癪な真似を……!
 ケツァルコアトル、いつまで踊っているつもりだ。さっさと来い!」
『グァルルル……!』
 怒りに染まった獣の金の眼がぎょろりと動き、リオンとエイスへ向けられる。
 どっと腹を蹴り付けられ、ケツァルコアトルが一直線に突っ込んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

天都狐・華夜
『とりあえず、その汚いケツを蛇神さんからどけろボケナス』
そんな過激な心情。

「全ユニット起動、3機1班編制(スリーマンセル)にて行動開始。第一から第50班はビームガトリングを波状飽和射撃にて陽動を、残りの班は呪詛破壊にて敵の呪詛の妨害を開始してください。」

ユーベルコード【奴隷神使い】に対して、【神造機兵隊(ストライクフォースシータ)】を行使し、呪いの破壊もしくは効力の阻害を試みます。
成功すれば地面に引きずり落として袋叩き。
成功せずとも、他プレイヤーのプレイング如何によっては袋叩きに参加。
【神造機兵隊】現状出現数:105体
機兵隊特性:不滅(滅びない・即時戦線復帰)

アドリブ・共闘歓迎



「くちわなより情報伝達開始、概念基礎にSSWの機動兵器群を設定。
 目標設定終了。起動開始」
 ――とりあえず、その汚いケツを蛇神さんからどけろボケナス。
 そんな過激な気持ちを胸に秘めながら、天都狐・華夜(ロジックエラー・f01491)は低く呻るように吐息をついた。
「全ユニット起動、3機1班編制(スリーマンセル)にて行動開始。
 第一から第50班はビームガトリングを波状飽和射撃にて陽動を、残りの班は呪詛破壊にて敵の呪詛の妨害を開始してください」
 祭具であるくちわなを捧げ、105体に上る神造機兵隊が現れる。
 揃いの足音がガシャンと社殿に響いた。
 華夜の指示を受けた各部隊が、軍馬を駆る猟兵へ向かうコルテスとケツァルコアトルに向け、一斉に行動を開始する。
「くっ……!」
 次々放たれる波状攻撃をものともせず突っ込んでいったケツァルコアトルに、コルテスは次なる指示を出す。
「煩わしい。蹴散らしてやろう」
 手綱を引かれ、即座にケツァルコアトルは華夜へと狙いを定める。
 呪詛破壊は全く意味を為さない。
 まっすぐに突っ込んできたコアトルに一撃され、華夜は声を上げる間もなく沈んだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

刑部・理寿乃
恐怖は人が生きる上で必要な感情だ
傲慢と慢心に溺れたお前にソレを思い出させてやる

壊れたコアをスタングレネードに武器改造し、突撃してくるオブリビオンに投げつけて目潰し

その隙を突いて、コルテスを鋼糸で拘束し、怪力をもってケツァルコアトルから引きずり降ろして盾にします

全長約6mの真の姿になって恐怖を与え、そのまま至近距離でユーベルコード発動
生命力を奪う禍々しいオーラを纏った拳を叩き込みます



 刑部・理寿乃(暴竜の血脈・f05426)は迫りくるコルテス目掛け、武器改造を施した深紫色の球体を思い切り振りかぶった。
「む、なんだこれは……!」
 炸裂するスタングレネードの激しい閃光と衝撃音。
 ケツァルコアトルが一瞬怯んだその隙を突き、理寿乃は目を庇うように上げられたコルテスの腕に黄金色の糸を絡ませる。
「恐怖は人が生きる上で必要な感情だ。
 傲慢と慢心に溺れたお前にソレを思い出させてやる」
 予想外の怪力に、コルテスはケツァルコアトルの背から引きずり降ろされた。
「ぬおお……! 止まれ、ケツァルコアトール!」
『グァァアッ!!』
 そのまま理寿乃の盾にされたコルテスは、突っ込んできたケツァルコアトルに弾かれ、大きく宙を舞う。
「ぐっ……この、愚か者が! 主に突っ込んでくるとは、使えん――」
「想いを届けぇぇ!」
 突如、視界を覆わんばかりの暴竜へと姿を変えた理寿乃に、コルテスが目を剥いた。
 全長6mを超さんばかりのその巨体は、滑らかな4本の捻た角と、柔らかな毛に全身を覆われていた。真っ白な獣竜は恐怖を煽る咆哮を上げ、至近距離でユーベルコードを発動する。
 身を翻す暇もない。
 禍々しいオーラを纏った獣竜の拳が、床の上に転がったままのコルテスの腹へと減り込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

推葉・リア
樹海で助けた小竜の…母親のコアトルの為にも倒さないと!

【地形の利用】【目立たない】【忍び足】【ダッシュ】を駆使して彼の背後に回って、狐火を出して私が単騎でここに来たと【催眠術】をかけて【おびき寄せ】するわ
攻撃は【第六感】【オーラ防御】で避けたり防いだり、どうしても無理なら【覚悟】【勇気】を持って【激痛耐性】てわ耐えるわ

ある程度相手が勝利を確信し始めたら勝負よ、あなたゲームは知ってるかしら?現実離れや有り得ないエフェクトのある攻撃!『推しキャラ達の一斉攻撃』を彼の死角から放つわ!

言えたなら、コアトル、貴方の子供達は自分の世界に帰ったわ、元気に羽ばたいて…それだけは安心して

【アドリブ共闘歓迎】



 ――樹海で助けた小竜の……母親のコアトルの為にも倒さないと。
 荒く息を吐きながら立ち上がるコルテス。その背後に、忍ぶ一つの影があった。
 足音を殺し、柱の影から影へと駆け、推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)は密やかに狐火を灯す。
「なんだ? この炎は……」
 誘われるようにコルテスが狐火へ向かってゆく。
 柱の影から、専用の端末を手にしたリアがゆっくりと姿を見せた。
「あなたゲームは知ってるかしら?
 現実離れした有り得ないエフェクトのある攻撃!」
「ゲーム? なんだそれは。
 下等生物の戯れ言に、時間を費やしてまで聞く価値があるのか? 常識で考えろ」
 推しキャラやゲームどころではない。存在自体を貶めてくるコルテスに、リアの笑顔が固まった。
「……私の大好きなみんな! よろしくね!」
 貼り付いた笑顔のまま、素早く端末を操作する。
『推して参る!』
『血が滾るな』
『さあ、斬っちゃおうかな』
「む? なんだお前らは……ぐああっ!」
 突如として現れた推しキャラ達が、コルテスの背後から一斉に攻撃を加えていく。
 為す術もなく攻撃を受けるコルテスを眺めていたリアの視線が、ふとケツァルコアトルの方へ移る。
「コアトル、貴方の子供達は自分の世界に帰ったわ、元気に羽ばたいて……それだけは安心して」
『グルル……』
 伝わったかどうかは分からないが、『聞いている』ことだけは確かだろう。
「くっ、何なんだお前らは……ケツァルコアトル、さっさと来い!」
 騎乗したコルテスが、再びケツァルコアトルの腹を蹴る。
 騎馬突撃の体勢を取るその姿に、リアは端末を手に身構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡+第六感】で戦況て弱点や死角を把握し警戒

防御は星天の書-零-で【オーラ防御】

同じ攻撃は二度と使わず、都度違った攻撃
零の攻撃武器はグレイヴ・キューブ(A)、Ø(B)、グレイヴ・ロウ(C)

Aで無数に突っ込ませ爆発、上がった爆煙を利用して、Cを敵の死角から出して一撃など、地形や武器による副効果を組み合わせて攻撃を常に変化させて攻撃

装備enigmaで別人格の夕夜が敵の背後から出現し【騙し討ち】を仕掛ける
以降夕夜は共に戦闘参加

Punishment BlasterやBで零と連携し、更に攻撃の仕方を増やして攻撃

敵意が向いたら指定UCを使い敵を閉じ込めて爆発


キャラ口調ステシ



 戦況の把握に努めていた天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)は、密かに動き出した。
 指にはめていたグレイヴ・キューブに霊力を込めると、大量に召喚された墓石をコルテス目掛け放つ。
「なんだ……?」
 怪訝な表情で飛んでくる墓石を眺めるコルテス――その眼前でそれは炸裂した。
「くっ……またしても小賢しい真似を!」
 巻き起こる爆煙の只中、十字の墓石が背後から突き出しケツァルコアトルの腹を突き上げる。
 ぐらりと体勢の傾く竜の手綱を力の限りに引き、コルテスは忌々しげに舌を打つ。
「何をしている、ケツァルコアトル!」
「ふふ、まだまだ行きますよ?」
 Øを構え零はコルテスの元へと駆けだした。
 コルテスもまたマスケットの先端に付いた剣を振り上げる。
 にっこりと微笑む零の瞳の中、ケツァルコアトルの手綱を引く男の背後に、彼は現れた。
「躱せるもんなら躱してみろよ!」
 銀色の髪を靡かせ現れた少年が、口の端を引き不敵に笑う。
 その声にコルテスが振り向くも、もう遅い。
 髑髏の口がかぱりと口を開き、四筋の閃光がコルテスを貫いた。
「どこから現れた……!
 おのれ、下等生物めが! 私の手を煩わせるな!」
 コルテスの殺意が向けられた、その瞬間。
 零と夕夜の口元が、シンクロするように緩い弧を描いた。
「おいで……僕のお友達」
「なんだ? お前は……」
 呆気に取られるコルテスの目には、シルクハットを被った巨大な眼球が映っている。
 視線がかち合った、その瞬間――コルテスは放たれたソレに囚われた。
「ぐああああっ!」
 閉じこめられたバリアの中、コルテスは強烈な爆発に見舞われた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
連携アドリブ可
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
傲慢なりし考えで持ちし体は衰えて
忘れし思考は身を腐らせた
されど考え改めぬが吉。それは苦しみ長引かせる
ここが汝の破滅なり

空より来るは彼方の国にありし兵器
その姿はまさにシャーク
進化を繰り返し防御力を高め襲いかかるはその騎乗物
喰らいて育てよ永遠と
我も鮫に姿を変え【騎乗】
攻撃を【オーラ防御】し【見切り】
口に仕込みしアンカーにて【串刺し】
加速することで合体体当たり
その後シャークが噛みつくことで【傷口を抉り】【鎧砕き】【生命力吸収】し自己進化を繰り返すことで更に獰猛さを増す
我は至近距離にて【誘導弾】を発射し離脱する
これぞ新たな戦術シャークデッド
サメは死ぬ



「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。
 傲慢なりし考えで持ちし体は衰えて、忘れし思考は身を腐らせた」
「くっ、次から次へと……何だというのだ、お前らは」
 のたうつケツァルコアトルにまたがりながら、コルテスは荒い息を吐く。
 告げられた言葉を理解する気すらもなく、コルテスは苛立った様子でビードット・ワイワイ(根源的破滅招来者・f02622)を見下ろした。
「されど考え改めぬが吉。それは苦しみ長引かせる。
 ――ここが汝の破滅なり」
「む……?」
 不意に社殿の空が翳った。
 視線を上げれば、そこにあるのは謎の兵器の姿。
「ロードルーイン、これは復讐。科学の粋を集めた超生物。されどそのコントロールは不十分。常に暴走の危険有り。かくして彼らは滅んだ」
「何だ……? お前、何を言っている」
「ここが汝の破滅なり」
 ビードットが繰り返し言語を紡ぐ最中、悠々と空を泳ぎシャークが祓殿へ向かってくる。
「喰らいて育てよ永遠と」
 ビードットは鮫へと姿を変え、シャークに騎乗した。
「なるほど、お前の乗騎というわけか……猿真似ではあるが、なかなか面白い」
 コルテスがケツァルコアトルの腹を思い切り蹴りつけた。
 うなり声を上げ、ケツァルコアトルがシャークへ向かい突進してゆく。
 振り上げられたマスケットの剣先がきらと光を弾き、ビードットの体を深く穿った。
 装甲が悲鳴を上げ引き裂かれてゆく。
 明滅を繰り返す鮫の眼が、少し遅れて口からアンカーを射出した。
 引きつけられる勢いのまま、加速しコルテスへと突っ込んでいく。
 それと同時に、あんぐりと口を開けたシャークの牙が、ケツァルコアトルの首をがちりと捕らえた。
『グァァアアアッ!』
 自己進化を繰り返し獰猛さを増したシャークの牙が、より深くケツァルコアトルの皮膚を抉ってゆく。
「まったく煩わしい真似を……離せ!」
 喰らいついて離れないシャークとビードット目掛け、コルテスは幾度となくマスケットを振り下ろす。
 歪み引き裂かれた装甲の奥、ビードットの金の眼が、合図を送るように間を置いて幾度か明滅した。
 次の瞬間、胸鰭の砲管から誘導弾が放たれる。
「これぞ新たな戦術シャークデッド」
 離脱したビードットの背後、誘導弾はシャークもろともコルテスに炸裂した。

成功 🔵​🔵​🔴​

冴島・類
【荒屋】

ま、舐められている方が
虚をつきやすいね、と2人に笑い
視線交わし駆ける

連携で被らぬ技を作る
僕の役目は陽動と守り
気を引き紛れる先から目を離させる

先行し視線奪うよに瓜江と駆け
接近まで一撃喰らい落ちぬ様
フェイントと残像活かした動きで
どちらが仕掛けるかわからぬよう翻弄
破魔の薙ぎ払いで打つ案と侮らせ
銃か突撃が僕を向けば、良し
2人を、狙わせない

「コルテス!」
愚かな小物と、撃ってみろ

攻撃軌道を、見切り
受けるよに両手広げ
糸車で返し不意を打つ

産んだ隙で
ジャハルさんの剛腕と
黒羽君の翼に繋げたい
彼らを信じてる

聞こえる声
うちの大砲はすごいんだ

子龍の鳴き声が蘇る
助けられずすまない
子から親を奪った愚か者は
地に堕ちろ


ジャハル・アルムリフ
【荒屋】
詰まらぬ世には飽いた頃だろう
そろそろ床に就いて貰わねばな

ちらと送る視線に信を
冴島の逆側より黒剣でコルテスを狙う役、と見せておく
コルテスが糸車に気を取られ
黒羽が飛ばした<影>へと共に瞬時に紛れ、飛翔

視力活かし、老将を違わず狙いの中央に
竜化した腕に乗せた黒羽を
上空より、怪力乗せた【竜墜】で砲弾として射出
速度の予想を強引に上回らせる
往け――その黒翼ならば、必ず

黒羽、冴島への反撃と回避を防ぐべく
間を開けず追従し、追撃
武器や竜の牙が振るわれるなら盾となる
珍しいものが見られただろう
退屈は紛れたか、老体

…もう一度、子に会わせてやりたかったが
許せなどとは言わぬ
せめて彼奴は逃さず狩ってゆこう


華折・黒羽
【荒屋】

…随分と舐められたものですね
大いに利用させてもらいましょう、その油断

向けられた笑みに了の頷き返し
初手に揺を奏で烏影の群れ生む
駆ける類さんと瓜江に力添う様敵へ放つ
音と影で二手目の陽動

その間に烏群に紛れる様
ジャハルさんと共に上空へ
砲弾と成る為態勢を構える

影なる屠は足裏へ纏い
射出時に技の衝撃をその身に受けぬ様武器受けにて威力へと変換
足より身に伝う力強さを受け射ち放たれるのと同時

類さん!

合図の様に呼ぶ
開かれた道を真っ直ぐに
速度も威力と変え剣と成した屠で敵へ一閃

その刃先が届く届かぬに関わらず
敵に大きな隙が出来たならば

─これで終わりと、思うな

砲弾は二段構え
猛る二射目を果たしてあなたは避けられるか?



「……随分と舐められたものですね。
 大いに利用させてもらいましょう、その油断」
「ま、舐められている方が虚をつきやすいしね」
 華折・黒羽(掬折・f10471)の言葉に頷き、冴島・類(公孫樹・f13398)は傍らの二人へ笑みかける。
 その視線に微かに顎を引き、ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)はコルテスに向けていた視線を仲間の元へ戻した。
「詰まらぬ世には飽いた頃だろう。
 そろそろ床に就いて貰わねばな」
 三人が交わし合う視線には、密かな怒りと確固とした信頼の念が込められている。
 黒羽が静かに篠笛を構えると、類は瓜江と共に駆け出した。
「……何だ?」
 祓殿を洗うように響く麗しい笛の音に、コルテスが視線を走らせる。
 彼の乗騎するケツァルコアトルは、首から血肉を零し、尾を引きずりながら這うように社殿を進んでいる。
 黒羽の揺の音によって現れた烏影の群れが、コルテスの視界を奪うように襲いかかった。
「また来たのか、煩わしい」
 鳥影の中を駆ける類と瓜江の姿に目を細めながら、コルテスはマスケットに弾を込め始める。
 時に残像を残しながら接近してくる類と瓜江に、コルテスは無言で銃口を向けた。
 ――かかった。
 指先に絡んだ赤い糸を引き、類は身を投げ出すようにふわりと両手を広げた。
「コルテス!」
「……死にに来たのか? 下等生物の考えることは理解できん」
 引き金を引く老練な指先に、類は内心笑みを浮かべる。
 ――愚かな小物と、撃ってみろ。
 鋭い銃声が響いた、その瞬間。
 まっすぐに類の心臓を射抜いた弾が、するりと溶けるように消えていった。
 代わりにゆらりと顔を上げた瓜江が、まっすぐにコルテスを指差す。
「廻り、お還り」
「なっ……!」
 鋭い破裂音と共に、放たれた弾丸がコルテスの胸を貫いた。
 ぐらりとよろめくコルテスの視界を彩るように、影烏の群が飛び立ってゆく。
 波音と笛の音に掻き消されたその中に、二つの影が潜んでいた。
 飛び交う鳥に紛れ飛翔したジャハルの視線が、鋭くコルテスの姿を捉える。竜化したその腕には、禍々しい呪詛の気配が纏わり付いている。
 すらりと伸ばされたその腕に、黒羽は軽やかに着地した。
 黒羽の足裏には、屠が影のように纏わり寄り添っている。
「往け――その黒翼ならば、必ず」
「ああ……仕留める」
 信頼するがゆえに、遠慮などない。
 有らん限りの力を込めて、ジャハルは黒羽を呪詛を纏った拳でもって叩き出した。
「墜ちろ」
 ジャハルの竜墜により生ける砲弾と化した黒羽は、恐らくはコルテスが識る何よりも速い速度でもって眼前へ迫る。
「類さん!」
 合図のように呼ぶ声に、類の口元に笑みが浮かぶ。
 ――うちの大砲はすごいんだ。
 類によって開かれた道を、黒羽が一直線に堕ちてゆく。
 堕ちる速度すら威力へと変え――滑るように手の中に現れた黒剣が、コルテスの脳天をかち割った。
「ぐわあああっ!」
 強烈な衝撃音が響くと同時、コルテスの足下が拉げてバキバキと鳴る。少し遅れて木片と海水とが飛び散った。
 ぐしゃりと割れた額から黒い液体を噴き出し、コルテスは眼を剥き黒羽を睨め付ける。
「下等生物が! この私に傷を付けたことを、後悔させてやろう!」
 コルテスは血管が浮くほど強くマスケットを握り締め、荒れ狂う暴風の如く先端の刃を黒羽目掛け振り上げた。
 その刹那――。
「──これで終わりと、思うな」
 強い視線を向ける黒羽の背後から、流星の如く漆黒の光が降り注ぐ。
 間を置かずジャハルの烙印がコルテスの喉口を穿つ。マスケットが脇腹を薙ぐも、その表情に一片の変化もない。
「ぐ……ごほっ」
 声もなく頽れるコルテスに、ジャハルは僅かに目を眇める。
「珍しいものが見られただろう。
 退屈は紛れたか、老体」
「認め、んぞ……下等生物、ども……」
 ばしゃりと水飛沫を上げ、コルテスは巌島の海に沈んだ。
「子から親を奪った愚か者は地に堕ちろ」
 寄せる細波の音色の中、静かに類が吐き捨てる。
 小さな吐息を一つ零し、ジャハルはちらりとケツァルコアトルへ視線を向けた。
 呪いによってコルテスと命を繋がれたその身は、静かに息を止めていた。
「……もう一度、子に会わせてやりたかったが」
 その言葉に、類は吐息と共にゆっくりと目を閉じる。
 耳には悲しげに鳴く仔竜の声が蘇っていた。
「助けられずすまない」
「許せなどとは言わぬ。
 せめて彼奴は逃さず狩ってゆこう」
「……せめてもの、手向けだ」
 躯の海へ還った男から視線を移し、黒羽もまた静かにケツァルコアトルの亡骸に目を伏せた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト