エンパイアウォー⑱~軍神に逢うては軍神を殺せ
●関ヶ原、車懸の陣中心部
「……幕府軍との決戦より前に、居所を暴かれるとはな。グリモアの予知は躱せたと思っていたが、流石は信玄を【Q】で阻んだ者達だ」
周囲に十二本の七支刀を浮かべ、白と群青の装束を纏った偉丈夫が、何処か感心したように呟く。第六天魔軍将の一人、上杉謙信である。
「信長達はグリモアを知らぬ。安倍晴明でさえ、【Q】は知らぬ。――彼らは、私が食い止めるのが最良だろう」
他の第六天魔軍将よりも何かを見透かしているような口ぶりで、迫り来る猟兵達を自らが止めると決意する。
「私の名は、上杉謙信。私の得手は『人軍一体』。車懸の陣にて、お相手致そう」
威厳に満ちた声で、今はまだ見ぬ猟兵達に謙信は告げた。
●グリモアベース
「皆さんのおかげで第六天魔軍将、上杉謙信の居所を突き止めることが出来ました。彼は今、関ヶ原で車懸の陣を敷き、その中心にいます」
緑の板金鎧とマントに身を包んだエメラルドのクリスタリアン、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)は、予知で捉えた上杉謙信について話し始める。
「車懸の陣自体が驚異ではありますが、それ以上に問題はこの陣が上杉謙信の復活までの時間を稼いでしまうと言うことです。つまり、上杉謙信を倒すにはこの車懸の陣を制圧しなければなりません」
とは言え、そちらについては別の猟兵に対応してもらうため、この依頼では配下のオブリビオン達を突破して上杉謙信に辿り着き、撃破して欲しいとウィルヘルムは言う。
「肝心の上杉謙信の能力ですが、車懸の陣が健在である限り、倒すことが出来ません。しかしながら、その分他の幹部達にある先制攻撃はありません」
だが、油断は出来ない。何より先制攻撃が無いにもかかわらず、他の第六天魔軍将、風魔小太郎や日野富子よりも撃破は困難と目されているのだ。
「何より厄介なのは、十二本の七支刀です。それぞれ、水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の属性の十本が付き従うように浮いており、アンヘルブラック・ディアブロホワイトと言う名の二本を両手に持っています。自在に動く十本と謙信自身が振るう二本……つまり、それだけの刀が同時に襲いかかってくる、と言うわけです」
そこまで告げて、ウィルヘルムは一呼吸置いた。
「……確かに、強敵ではあります。しかしながら、私達猟兵とて、これまで様々な強敵を相手にし、勝ち抜いてきたはずです。今回も、決して勝てない相手だとは思いません。腕に覚えのある方、どうか、力を貸して下さい」
ゆっくりと語りながら、深く頭を下げるウィルヘルム。猟兵達の中から任せろと声が上がれば、頭を上げて、掌に浮かべた巨大なエメラルド――グリモア――に意識を集中する。
グリモアから緑の光が広がるように放たれると共に、参戦する意を決した猟兵達が関ヶ原へ送られていく。その様子を見ながら、ウィルヘルムは祈るように呟いた。
「――――どうか、皆様に武運のあらんことを」
緑城雄山
●このシナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●特殊ルール:車懸かりの陣
軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
こんにちは。緑城雄山(みどりのじょう・ゆうざん)です。「エンパイアウォー⑦~関ヶ原復仇戦」に続いて、サムライエンパイアでの戦争シナリオです。こちらの方は、純粋に上杉謙信を倒すシナリオとなっております。まさか七支刀がファンネルになるとは……でも、格好いい。ともあれ、難易度は高いですが見事討ち果たして下さるのを期待しております。
あと、これは過去に私のシナリオに参加された方向けですが、今回のシナリオより判定に関して技能の扱いなどを変更しております。詳しくはマスターページをご覧下さい。
以下、諸々の補足事項です。
●難易度
高くなっております。ご留意下さい。プレイングボーナスも厳しめに判定します。
●配下を突破するプレイングについて
不要です。場面は配下を突破して上杉謙信と対峙したところから始まります。
「こういう風に突破したと言う演出が欲しい」と言う場合は、プレイングに書いておいて頂ければ多少描写をするかもしれませんが、必ずしも描写すると確約はしません。
●ユーベルコードの使用について
通常、当方のシナリオでは複数使用可としておりますが、今回は先制攻撃こそないものの戦争の幹部戦かつ高難易度シナリオであることを鑑み、1つのみ使用可とします。
それでは、皆様からのプレイングを、楽しみにお待ちしております。
第1章 ボス戦
『軍神『上杉謙信』』
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POW : 毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒城・魅夜
ロープワーク・なぎ払い・範囲攻撃で広範囲に我が108本の鎖を縦横に舞わせ、攻勢防御の結界としつつ、あなたの攻撃を打ち払いながら間合いを詰めます。
それでもかいくぐってくる攻撃に関しては、見切り・第六感・残像で極力回避。被弾しても激痛耐性と覚悟でなんとか耐えましょう。
問題は私の弱点。
ダンピールである私は「流れる水」を苦手としています。水の剣により激流を浴びせられたら、戦闘続行は難しいかもしれません。
……ええ、「流れる水」が苦手です。
では、「流れていなかったら?」
そう、時を止めた一瞬だけは、その水は「流れて」いません。止まった時と止まった水の中を突き進み、あなたに一撃をお見舞いしましょう。
●時が動かねば流水は流れ得ず
「……来たか、猟兵!」
車懸の陣を突破し、眼前に現れた猟兵に対し、謙信は何処か弾んだような声を出した。
最初に彼の前に現われたのは、黒い長髪の美女、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)。魅夜は武器とする百八本の鎖を巧みに操ると、自身を護る鎖の結界を作り上げた。
「面白い。どれほどのものか、見せてもらおう」
魅夜の結界に興味深そうな視線を向けると、謙信は十本の七支刀を魅夜に向けて飛ばす。だが、百八本もの鎖は突破しきれず、ことごとく結界に弾き返される。
「……ほう。では、これは如何だ」
感心したように呟くと、謙信は駆け出して魅夜との距離を詰める。魅夜からも距離を詰めていたため、すぐに白兵戦の間合いとなる。
「せぇい!」
謙信は裂帛の気合いと共に、左手の白い刀を振り下ろし、右手の黒い刀を突き入れる。
「……っ! ですが!」
魅夜は白い刀は辛うじて受け止めたものの、黒い刀には結界を突き破られてしまう。だが、破られたとは言え鎖で受け止めていたことで、見切って回避する時間的余裕は確保していた。
「……ふむ。尋常の手段では通じぬか。ならば……オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ!」
謙信は真言を唱えつつ、ユーベルコード『毘沙門刀車懸かり』を発動。自身の周囲に十一本の『毘沙門刀』を回転するように纏わせる。残る一本、水の七支刀は、刀身を流れる激流に変えて魅夜を飲み込もうとしていた。
(確かに、流れる水はダンピールである私の弱点です。流れの中に身を置かれれば、戦闘続行は不可能でしょう。――しかし、流れてさえいなければ!)
謙信がきっちりと自身の弱点を衝いてきたことに半ば驚き、半ば感心するも、魅夜も自身のユーベルコードを発動する。
「時よ脈打つ血を流せ、汝は無敵無傷にあらぬもの」
時より吸血するユーベルコード『我が白き牙に喘ぎ悶えよ時の花嫁(ザイン・ウント・ツアイト)』によって、魅夜は時を止める。時が止まれば、当然水の流れも止まる。
動きの止まった時と水の中で、魅夜は短剣『血浴みの女王』を謙信の腹部に深々と突き立てた。
成功
🔵🔵🔴
キャサリン・エンスレイヴ
「自身のユーベルコードの描写の詳細を確認したウィ」
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。
戦闘中、敵に必殺の一撃を浴びせるべく突撃します。
「ターイラー・ターザンメ・ウォウアリフ・イェーター」
軍神『上杉謙信』の「毘沙門刀連斬(POW)」に対し、ユーベルコード「爆炎(ティルトウェイト)」を使うことで、12本の『毘沙門刀』の破壊を試みます。
最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くことです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
●七支刀を破壊するために
(この敵との戦いを勝利に導くには、あの七支刀を破壊するしかないか)
そう判断したのは、豊かな胸にスラリと美しく伸びた脚という魅力的なスタイルの美女、キャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)。
「行くぞ!」
「むうっ!? 来るか!」
自身に対して突撃してきたキャサリンに対し、謙信は驚きの表情を浮かべる。猟兵相手である以上油断こそしていないが、軽装に杖を装備した相手が接近してくるのは想定外だった。
「オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ!」
謙信が真言を唱えながら、手数を重視してユーベルコード『毘沙門刀連斬』を発動する。十本の浮遊する刀が、入れ替わり立ち替わりにキャサリンの胴を、腕を、脚を何度も斬っていく。
(くっ。だが、まだ倒れるわけには……)
無数の刀傷を受け、全身血だらけになりながらも、キャサリンはよろよろと前に進む。
「まだ歩みを止めぬか。よかろう、楽にしてやる」
介錯しようと、キャサリンに歩み寄る謙信。
「……ははっ。そっちから……来て……くれたか……。ターイ、ラー……ターザン、メ……ウォ、ウアリフ……イェー……ター!」
息も絶え絶えで、今にも意識を失いそうであるが、キャサリンはユーベルコード『爆炎(ティルトウェイト)』の詠唱を辛うじて完成させる。
「!!」
謙信が危険を察知してキャサリンと距離を取ろうとするが、十本の七支刀を自身の背後に逃がすのが精一杯だった。
大爆発が起こり、関ヶ原の空が朱色に染まる。爆心地の地面はクレーター状に深く抉れ、中心には意識を失い倒れたキャサリンと、闇の七支刀を支えに辛うじてその場に経つ謙信の姿があった。
「全ては私の七支刀を壊すためであったか……見事な覚悟、天晴。だが、七支刀を何本も壊された以上、見逃すわけには行かぬ」
謙信は自身の背後に退避させた七支刀十本のうち、爆発と属性的に相性の悪い土・樹・風の三本と、退避させ損ねた両手の二本を破壊された。キャサリンに止めを刺してその報いを与えようとした瞬間、動きが止まった。次の猟兵の出現を察知したからだ。
成功
🔵🔵🔴
ステラ・テルキーネス
●対上杉謙信
軍神上杉謙信ご覚悟をー!
ユーベルコード:髪刃切断を発動し、自慢の《ステラ・テルキーネスの長い髪の毛》を刃にします。
こっちも12束の髪の刃。剣戟の極地!恐れずしてかかってこい!
ごめんなさい。一度行ってみたかったんです。
、《ステラ・テルキーネスの長い髪の毛》を『ロープワーク』要領で操作し、毘沙門刀の攻撃を『なぎ払い』つつ、接近します。
この距離はボクの間合いです。
《ステラ・テルキーネスの長い髪の毛》をドリル上に螺旋を描かせ、謙信公を『串刺し』です。
アドリブ、他猟兵との絡みOKです。
●十二対七
「軍神上杉謙信、ご覚悟をー!」
クレーター状に抉れた地面の中心で、昏倒している猟兵に止めを刺そうとする上杉謙信の注意を引くべく、ステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)は叫んだ。バイオモンスターであるステラの上半身は角の生えた蒼く長い髪の少女と言った姿だが、下半身は蒼い海馬を思わせる姿であり、その身長は二メートル半ばに及ぶ。
もっとも、相手がどんな姿であろうとも、軍神は敵を恐れたりも侮ったりもしない。ただ全力を以て打倒すのみである。自身の七支刀を何本も破壊した猟兵に報いを与えるのを諦め、ステラの方に向き直った。
「こっちも十二束の髪の刃。剣戟の極地! 恐れずしてかかってこい!」
「……!」
ユーベルコード『髪刃切断(エクステンションリッパー)』を発動して、自身の長髪を十二本の刃に変えて迫るステラの言葉に、謙信は微かに顔を歪めた。自身の七支刀は、七本にまで減らされていたからだ。
謙信は破壊された七支刀の分を補うべく、手数を重視してユーベルコード『毘沙門刀連斬』を発動して、十二本の髪の刃を操りつつ迫り来るステラを迎え撃つ。
ステラは十二本の髪の束を縦横無尽に振るうのだが、謙信は七本しかない七支刀をそれ以上に巧みに振るい、そのことごとくを防ぐ。その中で謙信は反撃の機さえ伺うが、元より振るえる刃の多いステラがその隙を与えることはなかった。結果、互いに相手の守りを突破出来ずに刃と刃をぶつけ合う状況が続く。
だが、髪の刃と七支刀とがぶつかり合い続ける中で、ステラ自身が謙信の七支刀の間合いより中に入る。
「この距離はボクの間合いです! 隙あり!」
ずぶり。七支刀による守りをかいくぐり、ステラは髪の刃の一本を騎乗槍の如く鋭く尖らせ、謙信の横腹を深々と突き刺した。
「むうっ!」
七支刀の動きが鈍り、謙信の口の端から血が垂れ流れる。騎乗槍と化した髪をステラが引き抜くと、謙信の傷口よりどくどくと血が流れ出し、白と群青の装束を紅に染め始めた。
成功
🔵🔵🔴
大豪傑・麗刃
このわたしはいわゆる変態のレッテルをはられている。だが今日のわたしはシリアスに行くのだ。
そして今目の前にいるのは、いわばシリアスの権化。
いつも以上に真剣にやらねばならぬのだ。謙信なだけに。
はああああああああ(それっぽい気合)
(スーパー変態人2発動!)
相手の剣は12本以下!
こっちは刀2本!脇差(と呼ぶには大きすぎるバスタード・ヒーロー・黒)3本!斧2本!計7本!スーパー変態人2で上がった身体能力で無理やり全部装備!2回攻撃で14本!この時点でわたしの勝ちなのだ(無根拠)
そして相手の攻撃を見切って武器で受けたり残像でかわしたりカウンターしつつ気を伺い、頃合いを見て気合入れて力溜めて捨て身の一撃!
●七✕二対七
(このわたしはいわゆる変態のレッテルをはられている。だが今日のわたしはシリアスに行くのだ)
続いて謙信の前に現われたのは、普段はその奇行によって「変態」と称されるも、今日に限らずこの戦争においてはそれを一切封じて真剣に戦っている、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)。
(……そして今目の前にいるのは、いわばシリアスの権化。いつも以上に真剣にやらねばならぬのだ。相手が謙信なだけに)
……この戦争の間、シリアスを続けてきた限界が訪れたのだろうか、微かにネタ分が漏れ出ている気がしないではない。が、相手が魔軍将の中でも強者と目される上杉謙信であり、気を引き締めて戦わねばならないことは紛れもない事実。故に、おそらく気のせいであろう。きっと。
「はああああああああっ!」
麗刃は気合いを入れてユーベルコード『スーパー変態人2(スーパーレイクンツー)』を発動し、全身を金色のオーラで包む。その表面はバチバチと青白くスパークする火花で覆われている。
そして、指と指の間を使い、左手に刀二本、剣二本。右手に剣一本、斧二本の計七本の武器を持つ。常人の力では不可能であろうが、一刻も早くシリアスを終わらせたいと言う心情に応じての強化が、それを可能にしていた。
「これで、わたしが装備するのは七本! 隼の如く連撃すれば、実質倍の十四本! この時点でわたしの勝ちなのだ!」
「得物の持ち方も、理屈も奇怪な! だが、オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ!」
謙信は威力を重視してユーベルコード『毘沙門刀連斬』を発動し、二本の七支刀のみで麗刃の七本を受け止める。如何に七本とは言え、それを持つのは二つの手のみ。つまり、柄を握る手の近くで受ければ、一本で一気に数本を止められるのだった。
しかし強化された麗刃の素早い連続攻撃に対し、その圧をいなして反撃に出るには七支刀の本数は十分とは言えず、互いに決め手を欠く膠着状態が続く。
(さすがは謙信なのだ。こうなったら――)
麗刃は一度攻撃を止め、気合いを入れながら全身に力を漲らせる。隙ありと攻勢に出ようとした謙信だったが、麗刃は自身を狙う七支刀ごと跳ね飛ばし、七本の武器で袈裟に、逆袈裟に斬りつける。――結果、謙信の左右の肩口から逆の脇腹にかけて、幾多もの刀傷が深く刻み込まれた。
大成功
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虎熊・月霞
鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬るってねぇ。ついでだから軍神様も叩斬ってあげるよぉ。
10本もの七支刀は厄介だねぇ、でも鉄器であるには変わらないはずだよねぇ。なら僕の【属性攻撃】の『雷』は通るんじゃないかな?だから僕の紫電を七支刀を伝って謙信公の元まで届けちゃおー。
って言うのを囮にして僕が【忍び足】で【目立たない】様にして、謙信公の元まで踏み込んで【暗殺】の要領で斬り伏せさせてもらうつもりだよぉ。多属性揃えてるし、どーせ雷放っても絶縁されちゃいそうだしねぇ。まぁ普通に迎撃されるだろうし被弾【覚悟】で【カウンター】狙うつもりだよ。
ようは謙信公に紫電か僕の斬撃の二択をしてもらう感じだねぇ。
●軍神、墜つ
「鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬るってねぇ。ついでだから軍神様も叩斬ってあげるよぉ」
身長の低い羅刹の少女、虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)は、普段は緩く怠惰に過ごしており、謙信に挑みかかるその口調も緩いものであった。だが、謙信を狙うその視線は自身が発している紫電を宿してか、鋭く光っていた。
「何本もの七支刀は厄介だねぇ……でも、鉄器であるには変わらないはずだよねぇ。なら、僕の『雷』は通るんじゃないかな? だから僕の紫電を七支刀伝いに軍神様の元まで届けちゃおー」
月霞は謙信に話しかけるようにしながら、その顔を目がけて紫電を放つ。実はこの紫電は囮であり、多属性の七支刀を持つ謙信には絶縁されて終わりだろう、と言うのが月霞の読みだった、のだが。
「ぬうっ!」
不運にも謙信は『雷』を防御するのに最も有効な『土』の七支刀を喪っており、紫電のダメージに耐えるため身構えざるを得なかった。
(ふぅん。通るんだぁ)
その様子を見つつ、謙信の意識の外からこっそりと『童子切・鬼血』の間合いに踏み込む月霞。謙信が囮の紫電に歯を食い縛って耐える間にユーベルコード『紫電閃刃』で、雷速の初太刀を放つ。謙信の胸板に、横一文字に刻まれる刀傷。
すかさず、月霞は二の太刀を放つ。雷速の突きは、謙信の胸板に深々と突き刺さる。
「うぐ……かはっ!」
ごぷっ、と大量の血を吐く謙信。ここまで猟兵達に与えられた度重なるダメージに、とうとう片手に持った七支刀を支えにしなければ立っていられなくなった。
「……お、オン……ベイシラ、マンダヤ……ソワカ……」
謙信は力なく虫の息で真言を唱え、ユーベルコード『毘沙門刀連斬』を発動するが、瀕死の状態で発動されたユーベルコードは月霞を捉えることは出来ない。
「さよなら、軍神様。今、楽にしてあげる」
速度も威力も喪い、ただ舞うだけとなった七支刀をかいくぐりながら、月霞は『童子切・鬼血』を横に一閃。謙信の首を斬り飛ばして解釈する。ここに、軍神上杉謙信は骸の海に還ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵