エンパイアウォー㉔~北上戦路
●春日山城を南より
エンパイアウォーが開始され早くも10日ほど。その日、ニコラが転移先として提示したのは上杉軍の本拠地である春日山城であった。
「皆のおかげで、信州上田城での戦いはニコラたち猟兵側が制することができたわ。まずは、それにお疲れ様を」
そう切り出し、ニコラは一礼したあと今回の出撃に関する説明を開始した。
「信州上田城を落としたおかげで、越後にある春日山城を攻める好機を得ることが出来たわ。ご存知の方もいらっしゃると思うけれど、そこは魔将軍の1人、上杉謙信の本拠地。もし制圧して調査することができれば、エンパイアウォーを有利に進める情報や物資が手に入る可能性があるの」
言葉と共にグリモアから投影されるのは、春日山城の鳥観地図。その地図の中で、南北それぞれに1か所ずつ光る点が示されていた。
「今回、ニコラが発令するのはエコリアチ・ヤエとの合同作戦……2人のグリモア猟兵が開いた2つのゲートの間を掃討する電撃戦よ」
2つの光点が北から南、あるいは南から北へと向いた2本の矢印で繋がれる。どうやら、その線に示されたように戦場を駆け抜けるのが今回の作戦らしい。
「皆にはニコラが展開したゲートから出撃、本丸城壁付近を北上してもらうわ。その先にヤエの開いたゲートがある筈だから、帰還はそちらから」
逆に、ヤエの開いたゲートから出陣した者はニコラのゲートから帰る形になるのだという。
「ニコラたちはあなた達猟兵が近づけばすぐにゲートを開けるようにスタンバイしているわ。だから存分に戦ってらっしゃい」
そう説明しながら、ニコラはグリモアから投影する映像を敵オブリビオンのものへと切り替える。
「ニコラのゲートから出てヤエのゲートに行くまでの間に遭遇することになるのは鬼百足と呼ばれる妖怪オブリビオンの1種よ。百足の身体を使った素早い一撃や、呪詛を含む苦悩と炎を操る能力を持っているから、皆の得意とする方法でぶっ飛ばしてやりなさい」
説明をそう締めくくり、ニコラは出陣する猟兵を改めて募るのであった。
Reyo
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。
今回のシナリオでは上田軍本拠地春日山城での戦闘をお届けさせていただきます。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
また、このシナリオに成功する事で、春日山城の攻略度が5%づつ進みます。攻略度が100%になると、春日山城を制圧する事が出来ます。
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なんとなーく鬼騎MSと連携したシナリオになっておりますが、深く気にせずご参加いただければ幸いです。
本丸周辺の城壁を南から出てざっと半周し敵を倒して回る形となります。プレイングには対オブリビオン戦闘について記載いただければ、遭遇箇所などはReyoのほうで適度にアレンジしながらリプレイ化させていただく予定です。
それでは、春日山城攻城戦、出陣です。
第1章 集団戦
『鬼百足』
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POW : 懊悩の苦鳴
【激しい苦鳴】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 蟲尾
【百足の尾】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 火炎鎖
【自身が繰り出した炎】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎が変化した溶岩色の鎖】で繋ぐ。
イラスト:オペラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御鏡・十兵衛
これほど大きな戦となれば、戦場を駆け抜けるだけでも十分にやり応えがあるというもの。
いざやいざ、御鏡十兵衛の単騎駆け、とくとご照覧あれ!
百足部分は分厚くて斬ってられぬのでな、狙うべきは頭部よ。
百足の身体を駆けあがり抜刀と共に首一つ。そのまま崩れ落ちる前に別のおぶりびおんに飛び掛かってもう一つ。
百足の尾で叩き落される危険もあるでござるが、そこはそれ【流独楽】の出番よ。
空中に身を投げ出すように力を抜きつつ飛べば、受けた衝撃を余すことなく流し、攻撃に転用することも出来る。
はっはー、楽しくなってきた!こういうのは思いっ切り駆けるのが気持ち良いでござるからな!
突っ走って斬りまくるでござるよー!
●御鏡の北上戦路
これほど大きな戦となれば。そう、ただそこを駆けるだけでやり応えがある。
「一番槍仕る! いざやいざ、御鏡十兵衛の単騎掛け、とくと御照覧あれ!」
一番槍の名誉と共に、金縁縫いの紺羽織をはためかせて御鏡・十兵衛(流れ者・f18659)が転移ゲートから吶喊する。
北上戦路、その道行を塞ぐのは妖怪へと堕ちた羅刹が変化せし鬼百足。それらの視線が派手な名乗りとともに戦場に降り立った十兵衛へと向き――
「そぉれっ!」
その様、まさに俊足。鬼百足の胴体を踏み台とし、ひょう、と十兵衛の身体が宙を舞う。
ここまでで、ようやく鬼百足の1体が完全に十兵衛を振り向いたかどうかという刹那。
「まずは、ひとつ!」
斬、という首狩りの音は鮮やかに。鬼百足の1体が、攻撃の機会すら得ることなく十兵衛の刀により頭を切り飛ばされた。軽い所作で十兵衛が着地するのと、その後方にどちゃりと音を立てながら首が落ちるのは同時。
「おのれ、猟兵か……!」
「その通り! が、2度は名乗らぬでござるよ……押し通らせてもらうでござる!」
鞘に刀を納め、言葉を放つと共に十兵衛の姿が消える。否、消えたと錯覚するほどの瞬発力で十兵衛が走り出したのだ。
「2度もやられるものかァ!」
対する鬼百足たちは、十兵衛の姿こそ捉えられずともその巨躯を十全に生かした対策を打ち出す。それすなわち、百足と化した下半身を素早く打ち払うことによる全周囲攻撃。
「はっはぁ、そうでなくては面白くない! 楽しくなってきたでござるよ、おぶりびおん!」
その対策自体は間違ったものではない。実際、十兵衛は百足の尾に打ち払われてその体を宙に舞わせている。しかし、それは被弾を意味しない。むしろ、尾の勢いを利用した巧みな加速であり十兵衛の体には傷ひとつついておらず。
「逆らわず、ただ流るるままに――これぞ流独楽! 道行の短縮、誠にご苦労でござるよ!」
からからと笑いつつ空中で抜刀すれば、弾き飛ばされた勢いの乗ったそれは十兵衛の着地地点で待ち構えていた鬼百足を唐竹割にしてのけた。
「いやぁ、刀に勢いもついて気持ち良いでござるなぁ! さぁ、突っ走って、斬りまくるでござるよー!」
着地の衝撃は刀に乗せ、鬼百足へ直送済み。軽い身捌きで北を見据え、十兵衛は再び走り出した。
大成功
🔵🔵🔵
イリス・ウィルター
【POWで判定 アドリブ・共闘歓迎】
春日山城か、頑張ってみようか
イリス・ウィルター、推して参る!道を開けろ!
頼むぞ、紅葉姫!
斬り捨て御免!
追跡で敵に会ったら、忍び足を伴いながら近づいて、妖刀で攻撃する。
攻撃の際、恐怖を与える、生命力吸収、二回攻撃、傷口を抉る、捨て身の一撃を使用する。
攻撃を受けた場合、狂気耐性、激痛耐性の技能を使いながら、カウンター、咄嗟の一撃で反撃する。
道中、辻斬りのように敵を斬りつけていき、もし、苦戦している猟兵がいたら手助けをする
●妖刀、辻斬り道中
斬、と。鋼よりなお硬いといって過言ない鬼百足の胴体を刀が貫いた。
「――闇討ち、失礼。イリス・ウィルター、推して参らせていただく」
鬼百足たちの死角を縫い、まるで煙のように現れたイリス・ウィルター(刀の技を磨くもの・f02397)は名乗りと共に鬼百足の胴を横薙ぎにするように刀を振るった。イリスの愛刀である紅葉姫も主の技量を映して滑らかにその動作を叶え、結果としてそこに生み出されるのは上下に切断される鬼百足。
「貴様、いつの間に……!?」
下半身を切断されてなお存命であるのはオブリビオンであるが故か、あるいは妖故か。まるで気配のしなかった位置から刃を貰い、鬼百足が驚愕の表情を見せる。
「切り捨て御免。いちいち構っている暇がないものでな」
だが、戦場においてイリスの辞書に「容赦」の2文字はない。オブリビオンが生きていると把握しているや否や放たれた返し刃が、下半身を失いずり落ちてきた鬼百足の首をまたもや横薙ぎに切り飛ばす。
「――道を開けてもらおう、オブリビオン!」
頭部を失いさすがに絶命した鬼百足の身体を軽く蹴り飛ばし、イリスは北上するべく駆けだす。刀は片手に抜き放ったまま、僅かに紅色に輝くその刃がイリスの纏う雰囲気を戦場の鬼として引き立てた。
「これより先は行かせんぞ、猟兵!」
だが、数十歩行かぬうちにその道行を鬼百足の胴体が遮る。その長大な百足胴でイリスの動きを咎めつつ、鬼百足はくわっと眉をしかめ虫のさざめくような呪詛の声を放った。
「くっ――紅葉姫、頼むっ!」
不意に放たれる呪詛にイリスの視界が歪んだ。だが、刀の名を呼べば……妖の刀とされた紅葉姫は確かにそれに応えた。
紅の輝きをより強め、一瞬、体の主導権がイリスから紅葉姫へと移る。そして、呪詛の軛を脱するにはその一瞬で十分。
「何っ!?」
「助かったぞ、紅葉姫!」
呪詛で確かに足は止めたはず。一瞬でそれを破り動き出したイリスに鬼百足が隙を曝し――それだけの時間があればイリスには十分だった。
「……刃狼、罷り通るっ!」
裂帛の声と共に放つのは逆袈裟の切り上げ。虚を突かれた鬼百足の脇腹から首元にかけてを通る剣閃は、見事に一撃必殺を体現した。
「さぁ、北のゲートまで、頑張らせてもらうとしよう……!」
スゥ、と己の気配を殺しつつ、イリスは北へと駆け抜けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
六代目・松座衛門
「電撃作戦って感じか?」
転送と同時に北へと人形「暁闇」と共に、駆けて行く。
「いたな! 鬼百足!!」
敵を見つけると同時に、人形内蔵の大型銃「玲瓏」と自分が持つ麻痺矢を装填した連弩「狂惑」の射撃を浴びせる!【吹き飛ばし】【マヒ攻撃】
「どんなに速くても、糸が繋がっている限り逃さない! 二ノ型…手繰り討ち!」
鬼百足の「蟲尾」による攻撃を人形で受け止めた際に、敵の体に糸を結び付ける。【武器受け】【早業】
そして、その糸を基点にUC「 二ノ型「手繰り討ち」」を発動! 強烈な抜き手をお見舞いしてやる!
「長居は無用だな。撤退する!」
戦果に関係なく、UCを発動したら、再び北のゲートへ向かう!
アドリブ、連携歓迎
●矢弾の先は北を向き
その一撃は、まさに電撃的というに相応しい奇襲であった。
「いたな! 鬼百足!!」
転移ゲート周辺は先を行く猟兵たちによって制圧されて久しく、六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)が愛機である絡繰り人形「暁闇」を展開する時間も十分。展開された人形内蔵の口径漸減式大型銃「玲瓏」と松座衛門自身の構えた特殊矢射出用連弩「狂惑」の2つによる連続射撃が百足鬼の全身へと突き刺さった。
狂惑から連続して放たれる矢は鏃に塗布されたマヒ毒により鬼百足の動きを素早く鈍らせ、動きの遅くなったところを玲瓏から放たれた大型弾頭が吹っ飛ばすというコンビネーションは一分の隙も無い。
「猟兵めぇ、小癪なァ!」
「まずはひとつ――暁闇!」
雨あられと降らせた矢弾により1体の鬼百足を屠れば、人形を糸で手繰り寄せて防御の構え。仲間を一瞬で倒されて怒った別の鬼百足による尾の一撃を、玲瓏を展開したままの暁闇がしっかりと受け止める。
「ちぃ、防ぐか。であれば、勢いを付けてっ!」
尾による一撃を防がれた鬼百足が暁闇の手を振り払い距離をとる。運動量をそのまま尾の威力へ加えようという目論見だろうが――
「そこは自分らの間合いだ! 暁闇、糸を手繰れ!」
「何ィ!?」
松座衛門の声と共に、暁闇が鬼百足の動きをなぞるようにして加速。その動きに伴いきらりと光るのは、鬼百足の節足にいつの間にか結ばれた数本の糸――つい先ほどの防御時に、松座衛門が仕込んだ手繰り糸だ。
「貴様、いつの間に……!?」
「こちとら人形遣い、糸の1本や2本、巻き付けるのには瞬時もあれば十分だ! ――暁闇、二ノ方、手繰り討ち!」
恐るべき速度で鬼百足に肉薄する暁闇。鬼百足はその速度に防御の構えをとることすらできず、鋭い貫手でその心臓を貫かれた。
「これで、2体……これ以上の長居は無用だな」
暁闇を手元に手繰り寄せると同時に2体目の鬼百足が崩れ落ちたのを確認すると、松座衛門は意識を戦闘から行軍へと切り替えた。
「あとは仲間に任せて、北へ向かう!」
指先の動きひとつで鬼百足の遺体から糸を解き取る松座衛門。もう片手を動かせば、暁闇が玲瓏を体内に格納して高速移動が可能な姿となる。
立つ鳥、後を濁さず。戦果を挙げた後に暁闇を従えて北へ走る松座衛門の姿は、その言葉が似つかわしいものであった。
大成功
🔵🔵🔵
秋月・信子
@SPD
同じフィールドなら…と、ゲートに転送する前にUC【Esの影法師】で別れて信子は北側…で、私は南側担当よ
百足の尾の奇襲を【第六感】で感じ取って回避するわ
残念、私は信子のように鈍くさくなくてね?
はっ、やりあってる最中に脱皮するだなんて…わざわざ殻を柔らくしてくれて有り難いわね
それならグレネードランチャーを1発喰らわせて胴体と百足の下半身を【部位破壊】して【吹き飛ばし】て差し上げましょう
そして悔しげに私を見上げるその大目玉を見下ろし、マグナムリボルバーで撃ち潰して止めです
どう信子?あんたじゃこう戦えないわよね…って信子は今居なかったわね
…ちっ、弄る相手が居ないと調子狂うわ
さっさと合流しましょ
●南より走る影法師
太陽の輝きは大地に影を産み落とす。例え、影の持ち主と影が遠く離れてもそれは変わらず。
「そこに居たか、猟兵!」
その落とされた影――秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の無意識が形をとった者目掛けて放たれた鬼百足の一撃を、その影はほんのわずかな身捌きで回避してみせた。
「……随分と遅いわね。私は信子のように鈍くさくないわよ?」
その回避は無意識の現出であるが故の強力な第六感がもたらしたもの。鼻先を掠める百足の尾を流し見ながら、影はくすりと笑ってみせる。
「しゃらくさい! であれば、より早くなるだけのこと!」
僅かな身捌きで回避されたことよりも、何よりも小馬鹿にしたような影の笑みが鬼百足の神経を逆撫でした。激発の声とともにめしり、みしり、と音を立てて百足の外殻が割れ爆ぜて、その内側から現れるのはしなやかな白い身体。
「すぐに乗ってきて、挑発しがいのない……」
やれやれ、と肩を竦めて首を振る影。表情に在るのは、どこまでも鬼百足を馬鹿にした笑みであり。
「ほざけぇ!」
ブン、と勢いよく振られる鬼百足の尾。先の一撃を大幅に超える速度のそれは、確かに影を捉えたかに見えたが――
「わざわざ柔らかくなってくれて、ありがとう」
影の一撃は、音よりも早い。まるで手品のように一瞬で抜き放ったのはスタンドアローン・グレネードランチャー。放たれたグレネードは鬼百足の尾を直撃し、圧倒的な威力でもってその柔らかな身を爆ぜさせた。
「弾の節約になって助かるわ?」
「なん、だと……!?」
振り抜けば影の身体を弾き飛ばせたはずの一撃を、せいぜいが握り拳程度の弾丸でいなされて鬼百足がその顔を歪ませる。がくり、とその位置が落ちていくのは、影の放ったグレネードがその下半身を奪ったが故。
「さ、これでトドメよ」
驚愕と無念の滲む鬼百足の目玉めがけ、影は慌てず騒がずマグナムリボルバーを突き付け、手馴れた所作でダブルタップ。万が一を考慮して放たれた2発の弾丸が、鬼百足を骸の海へと送り出した。
「どう信子? あんたじゃこうは――って。今は居ないんだったわね」
弄る相手が居ないと調子が狂う、などと嘯くのは普段であれば一心同体であるからだろう。
リボルバーに2発の弾丸を補充しつつ、影は北への道を急いだ。
大成功
🔵🔵🔵
塩崎・曲人
ヒャッハー!オブリビオンは皆殺しだァー!
突撃してぶっ殺せば良いんだろ?いいねいいねぇ、わかり易くてオレ好みだ
と、勢いよく敵突っかかっていくぜ
【喧嘩殺法】は、こういうなにも考えず暴れられるシチュに一番向いたUCなのよ
「オラオラオラオラ、脱皮の次はなんだムカデ野郎!だるま落としみてぇに、胴体順番にぶち抜いていってやろうかコラァ!」
自分と相手の速度が同等ならこっちのほうが強いはずだ、という謎根拠の自信と共に
敵の数が多くても恐れず突っ込んでヒャッハー
「おうち帰るまでが遠足だったか?ゲート着くまでペース落とさず行こうぜぇ!」
【アドリブ歓迎】
●愚連の北上行
戦場をオレンジ色が駆け抜ける。天衣無縫、乱雑無精にあっちこっちを飛び回るそれは、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)の特徴的な髪が目立つが故であった。
「ヒャッハー! オブリビオンは皆殺しだァー!!」
振りかざすはそこらで拾った暖簾棒(上杉軍の家紋入り)。もう片手に持って振り回すは北上途中の井戸から拝借した鶴瓶、つまりは紐付きの桶。戦場に飛び出したヤンキーはそこらへんで拾い集めた武器(っぽいナニカ)を手に、単独で愚連隊さながらの雰囲気を醸し出していた。
「ブっ込み行くぜオラァ!」
「な、なんだこの勢いは!?」
そして奇声にしか聞こえない鬨の声を挙げながら突っ込む先は鬼百足たちの真っただ中。あまりの勢いに鬼百足たちは気圧されて防戦一方。
「ええい、ちょこまかと――!」
やたらめったに振り回される武器に、まともに相手をしていては埒が明かないとでも思ったのだろう。鬼百足たちが一斉に甲殻を脱ぎ捨てて高速戦闘モードに入る。
が。
「オラオラァ! こっちだって早くなれんだ、舐めんじゃねぇ!」
それを見た曲人はこれまで以上の暴れよう。文字通り「何も考えていない」ような素振りの通り、その脳内はほぼ空っぽ。難しい思考を削ぎ落した曲人の動きは、どこまでも素早い。
「バッターオレ、振りかぶってぇ――ダルマ落としィ!」
そして加速できれば、オブリビオンよりも己が強い。何の根拠もなくそう思い込めることもまた曲人の強さ。暖簾棒を思い切りよく振り回せば、鬼百足の胴体を宣言通りダルマ落としのようにぶち抜いて薙ぎ払っていく。
「くっ!? 一体、何がその強さの源なのだ!」
尾の薙ぎ払いに的確に合わされる曲人の暖簾ホームランに、瞬く間に鬼百足が1体屠られる。
「ウルセー! んな難しいことをオレに聞くんじゃねぇ! ぶっ殺すぞ!」
「ふ、不条理な!」
そして、曲人の勢いに飲まれた鬼百足の首へ巻き付けられるのは鶴瓶の縄。桶を重石替わりにくるくると巻き付いたその縄を曲人が全力で引っこ抜けば、そのまま面白いように鬼百足の頭も飛んだ。
「ッシャァ! 拾った武器も壊れたところで次に行こうじゃねえか!」
鬼百足2体をぶっ飛ばし、曲人は無手。だが、細かい思考を放棄した彼の動きは止まらない。
「おうちに帰るまでが遠足だオラァ! ゲートまでペース落とさず突っ込むんで夜露死苦ゥ!」
次に拾い上げるのは、猟兵と鬼百足の戦闘で破壊された柵の支柱。丸太のようなそれを両手に構え、曲人は恐怖の2文字を投げ捨てて北へ北へと走り続けた。
大成功
🔵🔵🔵
レイ・キャスケット
◎
やぁ、こういう分かりやすく無双してどうぞ!っていう依頼はいいよねぇ
搦め手大好きなボクでもたまにはあたまからっぽで暴れたいときもある
長命種族と違ってぽんぽん寿命払ってられないボクが考える代償系UCの正しい運用方法はねぇ
攻撃のインパクトや距離を詰める、攻勢の瞬間だけ力を発動させるもの
魔力の放出が出来なくなるから魔法剣も使えなくなるけど格闘術で十二分の威力は出ると思うんだ
それにアタックの瞬間”だけ”発動させる利点は防御には魔法を使えるってトコロかな
≪アルコバレーノ≫と≪マトウモノ≫のコラボレーション、とくとご覧あれ!
●寿命は丁寧に削りましょう
ユーベルコードが発動したことを示す魔力のきらめきは一瞬。
「ぬぅん!?」
「たかが小娘と、侮ったわね、オブリビオン!」
一瞬だけレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)の全身を覆ったのは虹色の光壁。巧みな魔術捌きにより刹那のみ展開されたそれが鬼百足の呪詛を見事にシャットアウト。
そして相手の攻撃を遮ることにより生み出した間隙にねじ込むのは徒手格闘。されど、それもまたただの格闘術ではない。
「Get――Ready!」
ユーベルコードの短縮詠唱からもたらされるのは、つい先ほどまでレイの身体を覆うように塗り広げられていた魔力の一点集中。今現在は振りかぶった拳のその先に集中したそれがレイに与えるのは、大砲の直撃にも比するほどの大破壊力。
「たかが拳ひとつが、通るものかッ!」
対する鬼百足はそのような事情など露知らず。たかが小さな女の振るう拳と慢心し、その拳を胴体で受け止め――爆ぜた。
「何ィ!?」
「お生憎様。攻撃の瞬間に絞ったら、これくらいは『小娘』でもお手の物よ!」
それを見ていた別の鬼百足が唸れば、レイが得意げに返す。
仲間の攻撃が弾かれただけでなく、パンチ一発で仲間が爆ぜたのを見て鬼百足の警戒度が上がる。そして、そうやってオブリビオンたちの攻勢が緩めば……それはレイにとってこの上ない好都合。
「さぁ、これがボクの考えた正しいコードの使い方だ――ぶっ飛びたい奴からかかって来い!」
先の一撃を為したユーベルコード……制限術式‐魔闘強化‐は既にオフモード。代償として寿命を要求するソレのコントロールは万全。今この瞬間、レイの身体に先のような剛力は宿っていない。だがそれは外から見て判ることでもなく、構えるレイに対して鬼百足は容易に動けない。
「来ないなら、ボクから行くよ! ……Re:Get Ready!」
踏み込む瞬間に術式をオン。刹那ごとに術式のオンオフを切り替えるという離れ業をこなして、レイが繰り出すのは揺ぎ無き震脚からの両掌打。拳のような点ではなく掌という面を使った打撃は、踏み込んだ先の鬼百足の身体をごっそりと抉り取る牙となった。
「無、無念ッ……!」
そしてその一撃に反応することも出来ず、崩れ落ち消えゆく鬼百足。
「――よし!」
己の戦果を確認し、小さくガッツポーズ。レイは己の考えたユーベルコードの運用法が上手くいったことに機嫌を良くしながら北上を再開するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アララギ・イチイ
久しぶりにこれ(UC)を使用してみようかしらぁ
最近は倉庫の片隅で埃を被っているしねぇ
【出撃・超合金無敵ロボ】を使用するわぁ
代償の魔力は動力炉の電力を魔術刻印で魔力に変換して補ってロボを起動させるわぁ
ロボの攻撃は腹部ミサイルの【誘導弾】、胸部熱線砲の【範囲攻撃】、ロケットパンチ(両手分)の【2回攻撃】の【吹き飛ばし】の攻撃ねぇ
敵の攻撃はロボの無敵の超合金装甲(仮)で耐える方針だから、敵の攻撃範囲(UCの)にも突入させるわぁ
私は後方でロボの操作、周囲警戒用に戦闘人形のフギン・ムニンを配置するわぁ
フギンはランスの【串刺し】、シールドで【盾受け】、ムニンは連装バルカンの弾幕射撃の【なぎ払い】攻撃よぉ
●超合金ロボ、北へ飛ぶ
転移ゲートから現れたのは、フルメタルな外見をしたロボットであった。
超合金無敵ロボ――アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)の操るそれは、鬼百足たちの攻撃をものともせず黙々と北上を続けていた。
「こ、こやつ……我らの攻撃が通じんだと!?」
呪詛、あるいは尾による打撃、さらには炎に溶岩の鎖。そのどれを喰らっても、せいぜいが煤が付くか爪先1つほどの薄い傷痕が刻まれるのみ。それらの攻撃に応じて淡々と放たれるのは腹部からのミサイルや胸部からの熱線。過剰な威力のそれらが鬼百足たちを一方的に追い詰めていく。
「か、勝てるわけが――」
「はーい、そしたら次はロケットパンチよぉ?」
そしてあまりにも法外なその存在に鬼百足たちが恐れおののき戦意を失えば、その様子をロボのメインカメラ越しに見ていたイチイはぽちりとボタンを押し込む。
ゴゴゴ、と音を立てながらロボの肘から炎が上がる。次いでガコン、というロックの外れる音が響けば十分なエネルギーを与えられた前腕部が宙を飛ぶ。狙うは片手あたり1体の鬼百足。
「それで、掴んで……はい、終わりねぇ」
鬼百足たちの必死の迎撃もどこ吹く風。鬼百足の頭部を鷲掴みにした鋼鉄の掌が、まるでシャボン玉を潰すような手軽さでソレを握りつぶす。
「後ろだ! 後ろにいる術者を狙えェ!」
そしてロボを操るものが居ることに気づいた鬼百足たちがイチイの元へと殺到するが、そんな判りやすい弱点をイチイが残しておくわけがない。
「それも対策済み……フギン、ムニン。薙ぎ払ってぇな?」
ホバー移動する2体の戦闘人形がイチイと鬼百足たちの間に割って入る。
フギンと呼ばれた個体は生真面目な動きを見せて鬼百足たちの攻撃を盾で防ぎ、そして返すのは槍による鋭いカウンター。それにたじろいだ鬼百足を、ムニンと呼ばれた個体が連装バルカンによる弾幕射撃で穴だらけにしてみせる。その動き自体はどこか呑気さを感じさせるものであったが、放たれた銃弾の殺意は本物。
2体の戦闘人形はしっかりとイチイのオーダーをこなし、周辺の鬼百足を一掃すると主の左右へと戻る。
「さて……そろそろ埃も落ちたかしらぁ?」
自身の安全を確保した後、イチイが確認するのはロボの視界。その視界にはもはやオブリビオンの影すらなかった。
「あら、もう御仕舞いなのかしらぁ」
思っていたよりも敵の数が少なかった――そうため息を吐きつつ、イチイはロボの行路を北へ向ける。
「フギン、ムニン……帰るわよぉ」
周辺警戒を続ける2体の戦闘人形に声をかけ、イチイもまたロボの後を追うようにして北のゲートを目指し歩くのであった。
――なお、鬼百足たちがイチイの撃破報告後目撃されていないことから、北上する道行の完全掃討が完了したと判明するのはしばらく後のことである。
大成功
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