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エンパイアウォー⑱~軍神纏いし12の刃

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #上杉謙信

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 サムライエンパイアで繰り広げられる『エンパイア・ウォー』。
 現状、織田信長を撃破する為、進軍を行う徳川幕府軍を守りつつ、猟兵達は信長軍との交戦を続けている状況である。

 美濃国不破郡関ヶ原。
 この地に、多数の軍勢を引き連れた一人の男の姿があった。
「幕府軍との決戦より前に、居所を暴かれるとはな」
 『グリモアによる予知は躱せた』、『流石は信玄を【Q】で阻んだ者達』と独り言ちる謙信。猟兵サイドの事情にもある程度明るいようだ。
「……信長達はグリモアを知らぬ。安倍晴明でさえ【Q】は知らぬ。彼らは、私が食い止めるのが最良だろう」
 操るは、12本の毘沙門刀。
 そして、『人軍一体』。巧みな采配による車懸かりの陣。
 彼の名は、軍神『上杉謙信』である。


 グリモアベース。
 目まぐるしく変わっていく戦況。
 それだけ、猟兵達による快進撃が続いている……と捉えるべきなのか、それとも。
「今度は、軍神『上杉謙信』の居場所を突き止めたわ」
 セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)の話によれば、軍神は関ケ原の地で自らの軍勢を率いて、徳川幕府軍、そして、猟兵達の到着を待っている。

 この上杉謙信討伐の為には、幕府軍を迎え撃つ上杉軍の精鋭部隊による『軍神車懸かりの陣』の突破と、将である上杉謙信の討伐の両方が必要となる。
 例え謙信本人を倒しても、この部隊が残っている限り、謙信は自らの復活の為の時間を稼ぐことができるからだ。
「ただ、今回は上杉謙信本人の討伐に集中してほしいの」
 今回は部隊による布陣は別働のチームに任せ、軍神『上杉謙信』の喉元まで迫った状態からの討伐に臨む。
 これまで戦ったかもしれない強敵の中には先制攻撃を行う者もいただろうが、上杉謙信は部隊を操る能力がある故か、本人に先制攻撃の能力はない。
 とはいえ、それでも強敵には変わりない。
 様々な属性を持つ12本の毘沙門刀を操る謙信を攻め落とすには、それなりの策が必要となる。油断ないよう立ち回り、撃破を目指したい。
「以上ね。……皆の武運を祈っているわ」
 セレインは戦地に向かう猟兵達を現地に呼び出す為、一足先にサムライエンパイア、関ヶ原の地へと転移していくのだった。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 エンパイア・ウォー、軍神『上杉謙信』との一戦です。
 こちらのシナリオは、1章構成のボス戦です。
 以下の特殊ルールが適用されます。

●特殊ルール
 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイア・ウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●執筆予定
 できるだけ早く、全参加者一括執筆予定です。
 これまでの戦争シナリオから、以下のパターンになることが多いです。

 10名様以上で優先執筆。
 6~9名様で、他作業の予定に組み込みつつ執筆。
 5名様未満で、最初参加者失効前日(だいたい3日後くらい)まで待って執筆。未クリアーで個別参加、完結を目指します。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

上泉・祢々
【影と花】で連携

色男? はぁ、そうですね。私のタイプは強い人ですので
というか真面目にやってくれます?

事情があるようですが私には関係ありません
ただ斬るだけです

あの回転する毘沙門刀は少々厄介
ですが運よく邪魔をしてくれる方が
この機に便乗させていただきます

毘沙門刀は太刀筋を見切り『藤』の歩法で残像を生みだし躱す

軍勢が刀の回転を妨害した所に陰に紛れ先制で顔面目掛け貫手を放つ
避けられるなら蹴りへと繋げそのまま連撃へと移行
相手の行動の出足を潰し刀は振るわせません

対応に気を取られ生じた隙に手刀で毘沙門刀の破壊を狙う

例え十二の刀でも私が超えられぬ道理はありません
十二の刀が砕ける様は如何でしょうか?
派手でしょう?


グラディス・ドラモンド
【影と花】
色男だねぇ。嬢ちゃんどうよ、あんなのはタイプじゃねぇの?あ、ちょっと敵の前に俺様倒そうとしないで?
あいあい、やりますよ……たりめぇだ、ありゃあ加減で済む相手じゃねぇ、ガチで行くぜぇ!

先ずは十二刀への対策だな、我が同胞、影の軍勢の一部、十二の部隊を喚び出し、纏っている刀それぞれに当てる
弱点?俺様のコレは闇じゃねぇ、影だァ!光在る所に影在り、拮抗こそあれ弱点にはならねぇ筈だ。俺の昏らき深淵とテメェの毘沙門の力ァ!どちらが上か試してみようじゃねぇか!

グハハハハ!!目的は此奴の命だ、俺様がやられたとしても嬢ちゃんが居る!!頼んだぜ嬢ちゃん、派手にぶっぱなしなぁ!!


シズホ・トヒソズマ
※連携・アドリブ可

・SPD
人形は全て◆早業で◆操縦

転移前に◆武器改造し、ユングフラウ内部に耐熱・耐火塗装や水流放射タンクを増設

攻撃はヴィアイスの三呪剣で攻撃。防御はリキッドメタルで◆盾受け

(私の武器は流体金属と、糸で操作しているからくり人形。そして本体は布のマスク。此処まで謙信が見抜いたなら、選ぶ属性は『火』の筈!)

敵が火の刀を放射したら、溶けてでもメタルで威力を抑え、余波で先に糸が燃えてもUCで自動化したユングフラウに◆かばわせ、内部と水による◆属性攻撃での◆武器受け

◆カウンターで、自動化し予測演算で動きを◆見切ったヴィアイスの三呪剣。回避されても、私がバスタードソードで◆2回攻撃の二段構え


メイスン・ドットハック
【SPD】
UC「星の海を制覇せし船」の大型宇宙戦艦で一気に上杉謙信の所に乗り込む
他の猟兵達の相乗りもOKで、運搬も可能

上杉謙信が接近するまでに広域破壊ミサイルとレーザー砲で、遠距離攻撃を【一斉攻撃】【誘導弾】
近距離になったらビーム機銃に切り替えて弾幕で対応させる
弱点攻撃で戦艦が行動不能になる前に自爆気味で炉心を暴走させ、突進攻撃を敢行する
爆破前に電脳魔術で作りだした高速艇で離脱し、上杉謙信が戦艦突進から逃れた場合を想定して、電脳魔術の電脳ミサイルを創造
隙を狙って、ミサイルを【一斉発射】し、空間を【ハッキング】【情報収集】して逃れる可能性が少ないポイントに【誘導弾】爆弾を設置する

絡みアドリブOK


秋穂・紗織
軍神との名を響かせたモノ
残骸の海から幾度となく浮かび上がり
幾度となく、その武で凶災と乱戦を呼ぶのでしょう

「でも、今、私は目の前に立っている」

眼前に在る武の神とて、刃で切り裂ける筈
少なくとも、今ある日常という輝きは守れる筈と信じて


私自身は特定の属性は持たないですが、言い換えれば全ての刀が脅威
ならばと前にと、先制攻撃+ダッシュで一気に間合いを詰め、斬撃の間合いへと詰めていきましょう

私の武は神速からなる連閃による攻め

右に天峰白雪、左に月韻咎刃の二刀流の上、2回攻撃で最大の手数を増やし
攻撃の挙動の始まりを見切り、早業での斬撃で迎撃し、逸らし、捌いて
手元の守りが薄くなった瞬間に、カウンターで切り込みます


郁芽・瑞莉
10万の軍勢相手に車懸かりの陣、一時的な混乱でも味方には利!
倒れ続けて貰いますよ!

12本の属性を持つ毘沙門刀……、
ならば私は十色霊符がユーベルコードで!
武器と動きを止める為に一回目の千符刃練を。
刀には相反する属性の刃を生成、本体には様々な属性を
スナイパーとして全方位から誘導弾として放ちますよ。

相手の反撃にはダッシュ・ジャンプ・スライディングの身体能力、
残像や迷彩、空中浮遊を使って見切りと第六感に従って
視覚・立体的な動きで回避しつつ。
近接からカウンターの2回攻撃の2回目。
力を溜めた符の封印を解除した全力魔法の刃を
先の一合で情報収集した戦い方で軌道を修正しつつ、
全方位から一斉発射で叩き込みますよ!


露木・鬼燈
先制攻撃がないから戦闘に集中できるっぽい。
軍神相手でもイケルイケル!
まずは<白鐵>を展開。
外骨格に浮かべたルーン。
この力で思考と反応の速度を強化。
騎士盾のルーンは毘沙門刀の属性に合わせて随時変更。
魔剣で斬り払い、騎士盾で防ぐ。
仲間への攻撃は一切通さないっぽい!
だけど流石に攻めに回るほどの余裕はないのです。
でも仲間がキツイ一撃を喰らわせてくれると信じてっ!
防ぎきれない攻撃は外骨格で受ける。
角度を計算して受ければダメージは小さくなる。
生体積層装甲で止めれば戦闘に支障はない。
まだまだ戦えるっぽい!
仲間が決めにかかるなら援護しないとね。
魔弾投擲法、念動で棒手裏剣を投擲。
一瞬でも隙を作り出すっぽい!


神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
綺麗。あの武器の何種類か持っていきたいけど……だめ?
周りは他の班に任せて私は目の前の人に注力。大体分かった。

相手に合わせてこちらも動きの変更を。静と動、こちらは相対する様。
相手の土俵に上がっても私はまだ未熟だし搦め手を打たないと。
飛威はサポートお願いね。途中までは私1人でやってみるけど、多分辛いし。

リフレクションで打ち消しを狙うことを1。
でもただ打ち消すのは見切られそうだからそこに手を1つ。
制御しきれない体で演技をしつつ、一回はお茶濁し。
2段目は偶然を装って大体の反射を。その後は流れに。
見よう見まねになるし、出てきた技を即興でやってみよう


愛久山・清綱
「越後の龍」上杉謙信公……
貴方と剣を交えることができるとは、
至極光栄でございまする。
■闘
先ずは、大なぎなたで勝負。
【野生の勘】を最大限に働かせ、浮いている刀の動きを
注視しつつ【ダッシュ】で謙信公への接近を図る。

刀が飛んで来たら此方に到達する瞬間を【見切り】つつ
【怪力】を込めた薙ぎ払うような【武器受け】で弾く。
毒属性は獣特有の【毒耐性】、闇属性は【破魔】の力を
身に宿すことで凌ぎ切る。

謙信公のもとへ到達したら【早業】で素早く刀を抜き、
真正面から斬りかかる……のは【フェイント】だ。

斬りかかる瞬間に【残像】を見せつつ死角に潜り込み、
そこから超高速の【真爪】を放ち、急所を断つ。

※アドリブ・連携歓迎


ヘンペル・トリックボックス
……軍神・上杉謙信。優れた軍師・剣士である一方で、恐るべき万象遣いでもあるようですな。で、あれば──その尽く、相剋せしめてご覧にいれましょう。えぇ、嘗ての陰陽師のはしくれとして。

基本的は敵の攻撃の迎撃要員として立ち回り。
手持ちの霊符・呪符全てに【破魔】の力を籠めて強度を上げ、UCを展開。五感だけでなく【第六感】までフル稼働して上杉の繰る属性攻撃を【見切り】、弱点となる【属性攻撃】を【高速詠唱】で発動、相殺します。
迎撃中も敵の攻撃パターンやクセ、得意属性等を【情報収集】し解析、隙が見えたら透かさずUCによる【属性攻撃】の一斉掃射を叩き込むとしましょう。

アドリブ連携大歓迎です。


蛇塚・レモン
技能は適宜フル活用!

この感じ……真の強敵のオーラだね……っ!
こういう相手に、うってつけのユーベルコードをあたいは持ってるっ!
12本の毘沙門刀が天変地異や味方に斬りかかってくるっていうのなら、それ自体を一時的に無効化すれば、一気に猟兵側の攻撃で圧倒できるよねっ!

軍神の先制攻撃がないのなら、あたいが先制攻撃だっ!
咄嗟の一撃で蛇神様を召喚!
というかその12本の刀はチートだよねっ!?
破壊念動波とマヒ攻撃の呪詛で敵UCと身動きを封印
軍神に鎧無視攻撃しつつ12本の刀を武器落とし破壊っ!
皆、今のうちに畳み掛けちゃってっ!
あたいも蛇腹剣クサナギでなぎ払って生命力吸収だよっ!

敵の攻撃はオーラと鏡盾で防御だねっ!




 美濃国不破郡関ヶ原。
 この地に集まる徳川幕府軍を迎え撃つは、軍神『上杉謙信』率いるオブリビオンの軍勢、上杉軍。
 『人軍一体』で応戦する敵は車懸かりの陣を組んでおり、そちらの対応も大変な状況ではある。

 だが、今回のチームは直接、軍を指揮する謙信を叩く。
 その為、紫のおかっぱ髪のクリスタリアン、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は電脳魔術製の大型宇宙戦艦『暁』を呼び出す。
 猟兵達を乗せ、メイスンは一気に上杉謙信のいるところまで乗り込んでいく。
 おかげで、紫色の全身スーツのヒーローマスク、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)はギリギリまで武器である人形へと武器改造による調整に続け、耐熱・耐火塗装や水流放射タンクを増設していた。
 戦艦が戦地へと降り立ち、猟兵達が敵を見据える。
「先制攻撃がないから、戦闘に集中できるっぽい」
 一房だけ白が混じった赤髪の羅刹、露木・鬼燈(竜喰・f01316)は、軍神相手でもイケルイケルとテンションを高める。
「軍神との名を響かせたモノ……」
 栗色のやわらかな髪の毛に、落ち着いた茶色の瞳の秋穂・紗織(木花吐息・f18825)はそれについて思う。
 残骸の海から幾度となく浮かび上がり、幾度となく、その武で凶災と乱戦を呼ぶのだろうと。
「でも、今、私は目の前に立っている」
 紗織の眼前にいるのは、白と紺を基調とした衣服を纏う魔軍将。
 軍神と呼ばれた男は、やってきた猟兵達を見回す。
「『越後の龍』上杉謙信公……」
 牛の角、猛禽の翼、蛇の鱗が目を引くキマイラの少年、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)が姿を認めた敵へと声をかける。
「貴方と剣を交えることができるとは、至極光栄でございまする」
「優れた軍師・剣士である一方で、恐るべき万象遣いでもあるようですな」
 清綱に続き、ワインレッド色のスーツを纏うお鬚のダンディ、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)もこれから対する敵へと直視する。
「で、あれば──その尽く、相剋せしめてご覧にいれましょう。えぇ、嘗ての陰陽師のはしくれとして」
 被った帽子を押さえつつ、ヘンペルは敵へと告げた。
「10万の軍勢相手に車懸かりの陣、一時的な混乱でも味方には利!」
 さらに、長い黒髪、和服姿の郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)が凛然と相手に言い放つ。
「倒れ続けて貰いますよ!」
「それはできんな」
 謙信は瑞莉の呼びかけを拒絶し、自らの周囲へと複数の刃を回転させながら浮かび上がらせる。
 水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇。それに、両手のアンヘルブラックとディアブロホワイト。
 12本の毘沙門刀が猟兵達を迎え撃つ。
 それらの刀身に、長い白髪を揺らす深窓の令嬢といった姿の神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)が目を輝かせて。
「綺麗。あの武器の何種類か持っていきたいけど……だめ?」
 眞白が同意を求めるが、世話役兼近接戦闘用人形である戦術器「飛威」が首を横に振っていた。
 その間にも、謙信はこちらの出方を窺っていて。
「この感じ……真の強敵のオーラだね……っ!」
 長い金髪をポニーテールにした蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)は戦闘態勢をとる軍神から、殺気を感じる。
 睨みつけてくる謙信は整った顔立ちをしていると、巨大な仮面をつけた黒狼、グラディス・ドラモンド(30の軍団を統べる■■の公爵(自称)・f16416)は感じて。
「色男だねぇ。嬢ちゃんどうよ、あんなのはタイプじゃねぇの?」
「色男? はぁ、そうですね。私のタイプは強い人ですので」
 応じたのは、【影と花】のペアとして参加する、背中に刀を背負った黒髪ポニーテールの少女、上泉・祢々(百の華を舞い散らす乙女・f17603)だ。
 祢々は相方に向け、その刀の柄に手をかけて。
「……というか、真面目にやってくれます?」
「あ、ちょっと、敵の前に俺様倒そうとしないで?」
 祢々はが構えを解くと、グラディスはやれやれといった態度で嘆息して。
「あいあい、やりますよ……。たりめぇだ、ありゃあ加減で済む相手じゃねぇ、ガチで行くぜぇ!」
 本腰を入れ、獣の眼光で軍神を睨みつけるグラディスに合わせ、祢々は改めて刀に手をかけて。
「事情があるようですが、私には関係ありません。ただ斬るだけです」
 祢々は相方と周囲の仲間達に合わせ、軍神を斬るべく関ヶ原の野を駆けていくのである。


 先んじて仕掛けてくるのは上杉謙信。
 ただ、彼は他の魔軍将とは違い、こちらのユーベルコードに反応した先制攻撃を行うわけではない。
 それでも、能力では猟兵に優れる謙信が発してくるのは、それぞれの刀に応じた属性を伴う自然現象。
 この場に闇の雲、氷の雨や毒の嵐と様々な現象を現し、謙信は猟兵達を攻め立ててくる。
 それらを、すぐさまヘンペルが五感だけでなく第六感までフル稼働させ、襲い来る属性を含んだ自然現象を見切っていく。
 そして、ヘンペルは手持ちの霊符、呪符全てに破魔の力を籠め、強度を上げる。
「対象認識。解析開始。属性定義。弱点把握。霊符連続展開完了───―」
 高速詠唱したヘンペルは闇の雲は光の放射を、氷の雨は頭上に炎の霧を、毒の嵐は薬の風で霧散させてしまう。
 また、戦艦『暁』に乗ったままのメイスンも艦を前進させながら広域破壊ミサイルとレーザー砲を発射し、それらをホーミングさせて自然現象を霧散させようとしていく。
(「機を見て、特攻するのじゃ」)
 近づけば、矢面にさらされる。
 艦が行動不能になる前に、謙信へとぶつけたいところだとメイスンは考えていた。
 謙信は休みなく攻撃を続けており、自らの周囲に12の毘沙門刀を回転させながら纏い、素早く戦場を動いて属性を纏った刃を放射してくる。
 その狙いは的確で、メンバー達の嫌がる属性を選別して飛ばしてくるから非常に厄介だ。
「魔を討ち祓う騎士の剣、見せてあげるです!」
 鬼燈がまず、それらの刃を受けるべく、純白の外骨格と騎士盾を形成する。
 聖騎士形態となった鬼燈は、手にする騎士盾で飛んでくる属性の刃を受け、さらに『魔剣オルトリンデ』で斬り払っていく。
「仲間への攻撃は一切通さないっぽい!」
 攻撃を受けるのが鬼燈だけであったならば、彼も手いっぱいになったかもしれない。
 しかし、謙信の毘沙門刀対策を講じていたのは1人ではない。
「こういう相手に、うってつけのユーベルコードをあたいは持ってるっ!」
 前に出るレモンは、12の刃が天変地異を起こしたり、直接仲間に切りかかってきたりするなら、それ自体を一時的に無効化せればいいと考えて。
「一気に猟兵側の攻撃で、圧倒できるよねっ!」
 刃がこちらへと到達する前に、レモンは自らの持てる技量を使って謙信へと一撃を与えるべく咄嗟にユーベルコードを使う。
「お願い、蛇神様っ!」
 この場へとレモンが呼び出したのは、巨大な白き蛇神の霊体。
 蛇神は破壊念動波を発して謙信を捕縛しようとするが、それすらも毘沙門刀が防いでしまう。
「ならば、私は十色霊符がユーベルコードで!」
 ほぼ同じタイミングで瑞莉も敵の武器を止めようと、詠唱を始めていた。
「符より引き出されし、神羅万象の力よ……。刃を為して、魔を穿ち祓い給え!」
 瑞莉は霊符を周囲に広く撒き散らす。
 それらは色に対応した様々な属性の刃となり、全方位から追尾性能を持たせて飛ばしていく。
 狙撃手となる瑞莉は刃を操り、毘沙門刀を迎撃しつつ謙信本体を狙う。
 しかし、謙信の周囲で回転する刀に気を取られがちだが、毘沙門刀は敵の両手の刃を含めて12本である。
 彼は冷静に斬撃で飛んでくる刀を、両手の刃で叩き落としていく。
「というか、その12本の刀はチートだよねっ!?」
 驚くレモンは相手の動きを止めるべく、さらに蛇神様に攻撃を頼んでいた。
 だが、仲間達がうまく毘沙門刃を食い止めてくれているのは、他メンバーにとってはありがたいところ。
「眼前に在る武の神とて、刃で切り裂ける筈」
 少なくとも、今ある日常という輝きは守れる筈と信じ、紗織もまた軍神へと飛び込んでいく。
(「私自身は特定の属性は持たないですが、言い換えれば全ての刀が脅威」)
 だから、紗織は一気に距離を詰め、謙信の懐に潜り込もうとする。
 彼女の武は、白き刀身『天峰白雪』と小太刀『月韻咎刃』の二刀流だ。
 まずは、神速で2本の刃を煌めかせ、連続して振るって手数を増やしていく。
 敵は両手には毘沙門刀を2本持っており、近距離戦とて全く引けを取らぬどころか、技量の高さで圧倒すらされてしまう。
 ただ、その意識は他10本の刀を操るのにも割いているはずだ。
 紗織は相手の攻撃の挙動の開始を見極め、早業で毘沙門刀を切り払い、手薄になったところで相手の胴へと連撃を浴びせかけた。
 ――いける。
 紗織は自らの剣技が通用することを確信する。
 ただ、謙信も体を反らしてダメージは軽減していたようで、仲間が抑えているはずの刀を1本差し向けてきた。
 その刃に切り裂かれる紗織。深追いは禁物と彼女は一度距離をとっていく。
 仲間に気を払っている隙をつき、シズホが攻めこむ。
 彼女の戦闘スタイルは盾とした液体金属での防御から、糸で操る騎士人形『シュヴァルツヴィアイス』の三呪剣での攻撃といったもの。
 シズホ自身が囮になりながらも、操り人形で攻撃していくというトリッキーなスタイル。
 謙信はそれらとの交戦の最中すぐにシズホの本体が顔に装着された布のマスクだと気づいたようで、顔を狙う頻度が高くなってくる。
(「本体をどうにかしようとするなら、選ぶ属性は『火』のはず!」)
 シズホはそう先読みしていたが、敵もそこまで単純ではないらしい。
 例えば、光は対象を劣化させる効果がある。いわゆる光分解というものだ。
 炎に執着せず、謙信は樹や風といった属性でシズホのマスクを絡めとろうとしたり、ぎゃくに剥がそうとしたりと、攻めの幅は広い。
 眞白もそんな仲間達との戦いを注視して、謙信の戦法をある程度把握した様子。
「攻める幅が広いなら、こちらも逐一動きを変えないと……」
 ――静と動、こちらは相対する様に。
 眞白が使うユーベルコード【ミレナリオ・リフレクション】。
 それは、対象と全く同じユーベルコードを放って相殺するというもの。
 彼女は自らの周囲に毘沙門刀を展開し、自らの両手にも刀を持つ。
(「相手の土俵に上がっても私はまだ未熟だし、搦め手を打たないと」)
 同じユーベルコードを使うにしても、剣を扱うことなどほとんどない眞白だ。
 狙われたら歯が立たないと眞白は確信し、そばにいるメイドに声をかける。
「飛威はサポートお願いね」
 戦闘用人形である戦術器「飛威」が主の命に応え、飛んでくる刃の対処に当たってくれる。とはいえ、敵の自然現象まで長く食い止めるのは難しいだろう。
 謙信は素早くメンバー達へと飛び掛かり、両手と周囲に浮かび上がらせた刀で切りかかってくる。
 平気で複数の属性を繰り出し、属性の刃で様々な絡め手まで講じ、これだけの数の猟兵達に囲まれてなお個別に対処していた。
 軍を動かすのに長けた知将なだけでないと、謙信はその剣技とユーベルコードで示して見せる。
「あの回転する毘沙門刀は少々厄介ですが……」
「十二刀への対策は必須だな」
 チーム【影と花】は、仲間達の交戦を見ながら攻め込むタイミングを見ていた。
 代わる代わる攻め立てる猟兵達はその時、清綱が大なぎなたを手に勝負へと出る。
 グラディスは仲間が集中しすぎず、かつうまく攻め込むチャンスだと感じて。
「我が同胞よ……その力を……光をも飲み込む影を示せ!! 進軍だぁっ!!!」
 どこからか現れた影の軍勢に、グラディスは飛び交う刃を受け止めさせていく。
「この機に便乗させていただきます」
 毘沙門刀はほとんど、グラディスの呼び出した影達が抑えてくれている。
 祢々は『藤』の歩法で残像を生み出し、時折飛んでくる刃を躱しながら近づく。
 軍神が名前の通りに軍勢をこの戦いに介入させてきていたなら、邪魔をされていたかもしれない。
 しかし、祢々は相手の懐まで潜り込み、敵の顔面目掛けて貫手を打ち込む。
 謙信はそれを両手の刃で防ぐが、祢々はそこから敵の腹目がけて蹴りを叩き込んだ。
 僅かによろけた謙信へ、グラディスが笑って。
「弱点? 俺様のコレは闇じゃねぇ、影だァ!」
 光在る所に影在り、拮抗こそあれ弱点にはならない筈だとグラディスは主張する。
「俺の昏き深淵とテメェの毘沙門の力ァ! どちらが上か試してみようじゃねぇか!」
 飛び交う毘沙門刀と影が交戦を続ける中、清綱は刀の動きを注視しながら、ダッシュして謙信の元まで肉薄していく。
 やはり、謙信はそのうちの1本だけを飛ばしてくる。
 それを見切った清綱が大なぎなたを薙ぎ払って相手の刀を弾くと、一気に攻め込む。
 敵の正面で、武器を『今刀』に持ち替えた清綱。
 真正面から切りかかろうとしていく彼だが、謙信が直に持つ2本の刃が彼の動きを制限する。
「……さすがは謙信公」
 やむを得ず、清綱はこの場は大人しく退き、次の好機を待つ。

 なかなか隙を見せぬ軍神。
 しかしながら、メンバー達は少しずつ彼の操る毘沙門刀に慣れ、その対策を固めてきていたのだった。


 上杉謙信の操る12の毘沙門刀。
 それらを個別に操り、数いる猟兵達それぞれに対応してくるだけにやはり強者だと実感させられる。
 先制攻撃があったならと考えれば、ゾッとする相手だ。
 ともあれ、猟兵たちは刃を止めながら、謙信へと攻め込む。
 状況を見て、戦場を飛び回る毘沙門刀に対し、鬼燈が仲間の代わりとなって食い止めにかかる。
「誰か、キツイ一撃を食らわせてくれると信じてるっぽい!」
 それらを一挙に引き付ける鬼燈は魔剣と騎士盾でできる限り受け止め、捌ききれぬ刃は自らの外骨格で角度を計算しながら受けることでダメージの軽減に当たる。
 最悪、『生体積層装甲』で止めれば、戦闘には支障がないと鬼燈は抑え続けていた。
 そこで、戦艦『暁』で刃を一時食い止めていたメイスンが艦の炉心を暴走させ、自らは高速艇で離脱する。
「この程度、我が刀ならば……」
 そのまま、突進してくる艦を謙信は刃で食い止めようとするが、メイスンは電脳魔術で創造したミサイルを撃ち出して自由に敵を動かせない。
「ここで朽ちるのじゃ!」
「くうっ……!」
 メイスンの艦を食い止められず、巻き起こる爆発。
 さすがの上杉謙信もこれには、かなりのダメージを受けた様子。
 その爆発の中、敵の抑えの為にとレモンが飛び込み、霊能力オーラ『レモンの黄金霊波動』と『白蛇の鏡盾』で防御した直後に敵の両手の刀をその手から落とさせる。
 今度こそ、レモンの呼び出した蛇神が発した破壊念動波が敵のユーベルコードを封じてしまって。
「毘沙門刀が……」
 浮力を失い、全ての刃が地面に落ちてしまった。
「全く、どちらがチートなのだかな」
 これで、謙信は12本の刃を自らの支配から外してしまったことになる。
「皆、今のうちに畳み掛けちゃってっ!」
 レモンの呼びかけに応じて、皆ここぞと攻撃に繰り出す。
 仕掛ける眞白は、リフレクション……自らのユーベルコードで打ち消しをと考えたが、相手を封じている今なら演技でお茶を濁す必要もなさそうだ。
「見よう見まねで……」
 眞白は、謙信の使っていた毘沙門刀と寸分違わぬ偽物の12振りを即興で使い、逆に謙信の体を傷つけていく。
 敵はユーベルコードを封じられてなお、持ち前の技能で応戦する。
 毘沙門刀を使うときに威力を底上げしていた属性攻撃を魔法として撃ち出していた。
 ダメージは重なっていたが、謙信は体捌きやオーラ防御で眞白の刃を可能な限り躱してみせている。
「なら、刃が増えたらどうです?」
 相手の動きを制限すべく動く瑞莉。
 飛んでくる様々な属性魔法を直感と残像を織り交ぜ、身体能力を生かして避ける瑞莉は符に力を溜めていく。
 その封印を解除した全力魔法の刃を全方位から瑞莉は一斉発射し、謙信へと叩き込む。
 逃れようとした謙信の足元、いつの間にか設置されていた誘導弾爆弾が起爆する。
 それを設置したのは、高速艇で戦場を飛び回っていたメイスンだ。
 戦場の状況を把握して仕掛けていたらしく、メイスンはその瞬間、一気にミサイルを浴びせかけていた。
「虎の子を封じた軍神……確実に仕留めませんとな」
 交戦中、ずっと謙信の攻撃パターン、得意とする属性攻撃などを情報収集していたヘンペル。
 全ての属性を、謙信は満遍なく使いこなす。
 ただ、仲間の影がうまく抑えていることを受け、ヘンペルは使うべき属性を定める。
「霊符連続展開完了──」
 ヘンペルは再び、自らのユーベルコード【霊符展開・森羅相剋一斉掃射】で、一気に200本あまりの闇属性の符を謙信へと撃ち込んでいく。
 まだ、猟兵達の攻撃は終わらない。
 2本の刃を持つ紗織がここぞと敵の動きを見切って斬り込むと、グラディスは影に落ちた毘沙門刀を抑えさせ、相方へと告げる。
「グハハハハ!! 目的は此奴の命だ」
 彼は相手の属性魔法の的になりながらも、祢々を信じて言い放つ。
「頼んだぜ、嬢ちゃん。派手にぶっぱなしなぁ!!」
 仲間がすでに、毘沙門刀を押さえつけてくれている。
 ……しかし、謙信はその直前に、最初両手に持っていたアンヘルブラック、ディアブロホワイトの2本を拾い上げ、グラディスの影数体を切り裂いていて。
「ユーベルコードを使えずとて、剣技で後れは取らぬ」
 ならばと、祢々はその刃を破壊しようと、それぞれの刃に手刀を叩き込む。
「例え十二の刀でも、私が超えられぬ道理はありません」
 その時、謙信の手の2本の刃が砕け散り、同時にグラディスの影が10の刃も破壊していた。
 色とりどりの刃のかけらが周囲に煌めき、周囲に散らばっていく。
「十二の刀が砕ける様は如何でしょうか? 派手でしょう?」
「…………っ」
 声にもならぬ叫びをあげる謙信へ、レモンがユーベルコードの封印を解き、『蛇腹剣クサナギ』で薙ぎ払い、残り少ない体力を奪っていった。
「一瞬でも隙を作り出すっぽい!」
 鬼燈もまた攻勢に出て、棒手裏剣を投げ飛ばす。
 そのタイミング、清綱とシズホが仕掛けていた。
 先程、フェイントをかけようとして刃に阻まれた清綱だが、今度は居合を早業で繰り出す瞬間、残像を見せて死角へと回り込む。
 広範囲へと渦巻く風を発生させて、この場の猟兵を切り裂かんとする謙信。
 だが、それを見切ったシズホが自動人形化させた『シュヴァルツヴィアイス』の三呪剣で正面から、後方からは清綱が超高速の真爪でそれぞれ謙信の急所を断ち切ってしまう。
 噴き出す鮮血によって、謙信の白と紺の衣装が赤く染まる。
「猟兵……見事なり……」
 己の姿を保てなくなったのか、軍神『上杉謙信』はその存在を薄れさせ、躯の海へと還っていったのだった。

 ただ、謙信は周囲に展開させたままの陣で時間を稼ぎつつ、自身を復活させようとするはずだ。
 陣の攻略も必須のはずと猟兵達は他の戦況を確認し、どこに向かうか思案するのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト