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エンパイアウォー⑱~撃排冒没、刹那の交錯

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #上杉謙信

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 ……軍神・上杉謙信!
 歴史に名高き越後の龍、その正体は魔軍将の一たる強大なオブリビオンであった!
「彼奴は儀式魔術『Q』の名を知るなど、謎の多い敵である。それゆえに無視は出来ぬ。
 戦争後の禍根を断つためにも、叩けるうちに叩いておくべきであろう。強敵だからこそ」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアはそう語った。

 しかして問題は、上杉謙信が敷く奇妙な陣形にある。
「さすがは歴史に名を残すほどの名将、軍神とまで謳われた名指揮官と言わざるを得ぬな。
 彼奴の『車懸かりの陣』は、それ自体が彼奴の護りであり最大の武器と言ってもいい」
 裏を返せば、巧みな采配と柔軟な対応で時間稼ぎを行うこの陣形さえ突破すれば、
 あとは上杉謙信を直接討つのみ、ということになる。
「ワガハイは、オヌシらに上杉謙信への直接攻撃を依頼したい。陣形への対応は、
 他の猟兵たちが担ってくれるであろう。適材適所、役割分担というやつであるな」
 これまでの魔軍将同様、上杉謙信は一度撃破されても再び復活してしまう。
 ここに集められた猟兵たちの任務は、全力で陣を掻い潜り軍神を直接叩くこと。
 どちらも欠けてはならぬ重大な任務だ。それだけに、責任は大きいと言える。
「尋常のオブリビオンを相手にするよりも、はるかに危険で難易度の高い仕事となる。
 それでも挑んでくれる勇気ある者は名乗り出てくれ、ワガハイが転移を行うゆえに」
 そこまで言って、賢者は本を閉じた。
「"勝利は同じ人間のうえに永久に留まらず"。太古の詩人の言葉である。
 軍神の名を地に堕としてやれ。それが、この世界の未来を拓く一手となるであろう」
 転移が始まる。地獄の戦場へと猟兵を誘う転移が。


唐揚げ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 車麩です。以下は本シナリオにおける注意事項。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

 という具合です。つまり、先制攻撃対策は必要ありません。
 ただし『やや難』に相応しい判定を行いますので、普段よりは苦戦するでしょう。
 如何にして軍神を破るか、皆さんの奇想天外なアイデアを楽しみにしております。
 また、リプレイは『猟兵が陣を抜けて上杉謙信に肉薄したところ』から描写します。
 車懸かりの陣そのものへの対策プレイングは必要ありません。ご注意を。

 なお、今回はシナリオの成否が確定したあとのプレイング採用は行いません。
 そのため採用人数は(普段と比べて)かなり少なめになりますので、
 その点ご了承の上、ご参加を頂ければ幸いです。スピーディにいきましょう。

 では前置きはこのあたりにして。
 皆さん、越後の龍をぶっ殺しにいきましょう!
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第1章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 車懸りの陣を抜けた先、無数の魔剣を伴として佇む軍神あり。
 超然とした面持ちは、なるほど数多の物語に語られる美男子そのままだ。
 されど。その身から放たれる威圧感は、紛れもなく邪悪な過去の残骸……!
「いよいよ私の喉元まで迫ってきたか。さすがは猟兵――」
 切れ長の瞳を細め、己の前に立つ猟兵を敵と見据える。威圧感が増す。
「ならば我が剣の冴え、その身で味わわせてくれるとしよう」
 相手に取って不足なし。ここが命の張りどころだ!
多々羅・赤銅
ひゅー、色男ぉ!
しかし軍神のツラの良さもさる事ながら
どれも美しい刀だなあ。
この刀鬼にも、手前自慢の十二振り。よおく、見せてくれや。

斬り込み、見切り、受け流し、十二振りの刀を捌いていく。捌き切れはしなかろうが、何、首と腕と脚がありゃあどうとでも。抑えときゃ、私の聖者の血が繋げてくれる。
斬られた激痛は耐性で耐えながらーー

そうして振り回した刀が満を持し羅刹旋風、
増強された攻撃力
刀を振らば、握る手の無き十振、巻き上げ全て吹き飛ばす

余計なもんは吹き飛ばした
残る二振が、一等美人の刀か?
じゃあ、改めて、真剣に斬り合うとすっか

鎧無視の斬撃
余計を切り捨てた後の斬り合いは剣豪の本懐よ



●剣鬼滅殺:"天刃蓮華・宝蔵刀魔"多々羅・赤銅
 陣を抜けた何者かが、上杉謙信めがけ弾丸のように疾駆し斬りかかる!
 されど軍神身じろぎ一つせず、切れ長の瞳でただ対手を捉えた。
 直後、その周囲に浮かぶ十刀が荒れ狂い、まさに剣嵐となって渦を巻く!
 向かう先は言わずもがな対手――すなわち斬りかかった赤銅!
「ヒュウ、さぁすが色男! クールに決めてくれんじゃ、ねえのッ!!」
 ガギ、ガギ、ガギギギギギッ!!
 ドリルめいた螺旋飛行を見切り、赤銅は己の銘刀でこれを切り払う。
 弾かれた魔剣十連は花開くが如くに八方へ散り、然る後あるじのもとへ戻った。
 ……互いに牽制である。どちらも、これで殺《ト》るつもりも確信も一切なし。
「我が十刀、あいにく客迎えに寄越すようななまくらではない」
「なら感謝しねえよなぁ。こっちの小手調べに付き合ってくれたんだろ?」
 へらりと笑う女に対し、謙信の流麗な顔立ちはいささかも変化なし。
 皮肉も、嘲弄も、ましてや試すような言葉ぶりへの苛立ちもないのだ。
「私を相手に斬りかかる猟兵の太刀筋を、ひとつ試してみたまでのこと」
「へえ。で、どうだい? 私は軍神どののお眼鏡に適いそうかね」
 ……そこでようやく、謙信は表情を変えた。笑みである。
「中々の剛の者。されど――我が刃にかかるには身の程が足りん」
 不遜な言葉。それを受けた刀鬼も、ぎしりと刃剥くような笑みを浮かべた。
「そいつは残念――ああ、たしかにどれもこれも美しい。お前のその二振りも。
 なあ、手前自慢の十二振り。どうせならもっと、よおく、見せてくれや」
 じとりと両者の周囲の空気が凝る。殺気が張り詰めて大気が反応したのだ。
 常人であれば、近づくだけで痴れ狂いかねぬほどの緊張……!
「――笑止」
 軍神は端的に言った。直後、再び十刀が赤銅めがけ一気に迫る!

 合わせ十二振り!
 謙信が両手に構える二刀を除けば、それらは十の属性を示す魔剣である。
 すなわち、水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇!
 赤銅はこれらの幽玄なる斬撃軌跡を即座に看破、一刀で迎え撃つ無謀に出た!
 水剣来たる! 流麗な大河の如き激甚たる振り下ろしをいなし、弾く!
 続けざまの光・闇二刀! 脇腹狙いの牛角めいた左右同時刺突だ!
「甘い――甘い甘い甘い甘い甘い、甘いぜ色男ォッ!」
 ガガギンッ!! 描いた真円にて二刀を払う、なんたる満月の如き斬影か!
 しかし見よ。その背後、さらに風刃あり! 丸鋸めいての縦回転斬撃だ!
 赤銅は舞うようにくるくると身を翻しこれを避け、さらに虚空を逆袈裟に斬る。
 がきん――! おお、待ち伏せしていた毒刀が真っ向受け止めた!
 残心怠るべからず。振り抜いた赤銅を串刺しにしようと土・火・樹・薬四刀!
 赤銅は舌打ちし、利き手と逆側の腕をかざして樹剣を受け止める。次善策だ。
 残る三刀のうち二刀を己の剣で受け止め、最後の火刀を腕ごと樹剣で振り払う!
 絡み合う二刀が地を転がりふわりと浮かび上がった時には、すでに女は走っていた!
「こちとら鬼だぜ、首と利き手と脚がありゃあよォ!」
 刀傷をアイソメトリック緊張で無理矢理に塞ぎ、踏み込んでの逆胴一閃。
 浅い――否、手応えなし。軍神は薄絹めいた軽やかな跳躍で紙一重避けている!
 赤銅は針千本めいて十刀に貫かれた己を幻視した。刹那の後再び刃が迫る!
「この程度の剣なんざぁ、いくらでも払えるさぁ!!」
 ぎゃぎん、ききんっ! 神業的受け太刀、十のうち七を切り払った……!
 残る三刀は身をよじらせ、薄皮を裂き肉を僅かに斬るに留める。巧みな身体操術!
「――しゅッ」
 ねじった姿勢から呼気一つ、巻かれた撥条が弾けるように体が流れた。
 直後、音をも超えた剣閃を追うかのように、羅刹旋風轟々と! おお、これは!
「ほう――」
 軍神は微笑した。十刀がつむじにさらわれて天へと跳ねていったからだ。
 己が逆巻かせた風を斬り裂き、鏃めいた刀鬼が迫る。その速度、先の小手調べの三倍近い!
「改めて真剣に斬りあうとしようや、一等美人な刀を見せてくれよ」
「なるほど、いいだろう」
 刀鬼の刺突。狙いは喉――否、逸らされた。激甚たる二刀交差受け流し!
「チッ」
「仕る」
 ぞんッッ――返しの踏み込み、刀鬼は交叉斬撃で胴を割られて即死した。
 否、錯視だ。後方跳躍が命を繋いでいる。だがぞっとするような血が噴き出す。
 刀鬼は頬肉を噛みちぎった。そこへ軍神再び二刀、さらに二刀、否、四刀!
「如何した刀鬼、我が剣未だ止まらぬぞ!」
「へ――やっぱ色男だねぇ、おまけに気前もいいとくらぁ」
 ガギギギギギギギギッ!!
 疾い。二刀の打ち込み、もはや達人にすら目視できぬ!
 受け流し切り払い見切り躱し食らって踏みとどまり意識を失いまた呼び起こし、
 刀鬼が瞠目する。地を這うほどに身をたわませてからの斬り上げ――入った!
「ぬうッ!」
「こいつは駄賃になったかい? 足りなきゃまだまだ行くよ、太っ腹だろ?」
 鬼神相伐つ。剣風上々、斬り込んだ傷は対手の白装束を血で汚す……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーノ・ディエール
突破完了、目標確認――あれが軍神

アンヘルとディアブロの名を冠した剣……相手に不足はありません!
先制で全エネルギー開放、騎乗したクルセイダーで空中戦を
目標は敵の拘束、一人でどうにか出来る相手じゃないでしょう
友軍の援護は優先して最大戦果を達成出来る様に

太刀を飛ばしてきたら虹色の光で食い止めます
そのまま地形を利用し大地に突き立てて封じ込めを
更にハッキングでクルセイダーを遠隔操作

私はそのまま大地に降りて全武装を開放
低空と高空からの同時攻撃で敵の足を止めて
一気に最大戦速――零距離でデトネイターを展開し
念動力で封じ込めて2回攻撃
手にした双剣で斬り伏せましょう
その白と黒の剣――一体何なのですか?
答えなさい!


火守・かこ
陣中潜り抜けての大将相手に一騎打ち!八幡原でも見たなぁこんな状況!
違いといえば、今度は軍神が太刀を浴びる側ってか。それじゃ信玄公に代わって一発かましてやろうじゃねぇか!

軍神が相手だ。ここは一つ大技やるか!
【侵掠せよ赤狐隊!】で狐霊の軍勢を合体させ一個の巨大な火の塊を作り出し、それを《火天の加護》で強化したら軍神目掛けてぶっ放す!
この強大な炎なら、例え天変地異を引き起こす毘沙門刀でも容易くは返せねぇだろ!

そして俺自身は炎の背後に隠れて、《戦旗》を使って棒高跳びみたいに大ジャンプ!
《金砕棒》を構えて奴の頭上から奇襲し、《絡繰刀》も抜き放って奴の背後も取る!

さてこの連撃、軍神ならどう捌くか!



●剣鬼滅殺:"金緑煌光"ユーノ・ディエール
 強烈な斬撃を受けた軍神は、血を一筋吐き捨てながらたたらを踏んだ。
 しかし満身創痍には程遠い。その周囲に十の魔剣が集いその身を守る。
「――空とは、なるほど」
 そして蒼眼が睨みつけた先、直上より来たる虹色の輝きあり!
 軍神の意を受け、合わせ十刀の魔剣が錐めいた形を作り一斉に上昇する。
 当然、ユーノはこの対空攻撃を警戒していた。虹色の輝きがさらに強まる!
 魔剣が解き放たれる。風を斬り裂く速度はもはや光条そのものだ!
「疾い――けれどッ!!」
 ガギィッ!! ギリ、ギリギリギリギリギリギリ……ッッ!!
「く、ぅううううう……ッ!!」
 虹光と十剣が激しく火花を散らしぶつかり合う。荒れ狂う属性の力!
「――ほう」
 軍神は感心したような声を漏らした。ユーノの動きを先読みしたからだ。
 あろうことか、彼女は! 乗機を蹴り、自らを空中に躍らせたのである!

●剣鬼滅殺:"祭焔天昇"火守・かこ
 しかして、ユーノが着地までに軍神の太刀を浴びることはなかった。
 なぜか。それはまず、彼女の虹光が十刀を縛り付け、食い止めていたこと。
 そしてもう一つは――軍神に自ら挑みかかる猟兵がいたことにある。
「大将相手の一騎打ち――たぁいかねえようだが、まあいいさ! なあ赤狐隊!」
 陣をくぐり抜けたかこが高らかに言えば、その後に続くは鎧姿の狐霊たち!
 大地を力強く蹴立てるたび、その力が火花を散らし四肢を火天の加護で包む!
「こちとら侵掠すること火のごとしってんだ、好機は逃さず貰うぜ越後の龍!!」
「来るか。よかろう」
 見よ! かこが両手を大きく拡げた瞬間、狐霊たちが一体また一体と肩に乗る!
 火天の炎に焼かれた狐霊たちは陽炎めいて立ち上り、やがて巨大な焔に变化した!
「信玄公に代わって、一発かましてやらぁ! 名付けて赤狐朗々・大火焔だぁっ!!」
 大軍をも飲み込むほどに膨れ上がった大火炎が、軍神めがけ振り下ろされた!
 さながらそれは、神に弓引く愚か者を罰する鉄槌のごとし――!
「……毘沙門刀よ、天を揺るがせ」
 キィイイイ……と、手に持つ二刀が不穏ないななきを発した。
 そして虚空を薙ぐ。するとどうだ、白と黒の異様な剣閃がバツ字に走った!
(なんだありゃあ!?)
 おお……それらは空気を、否、大気そのものを斬り裂き虚空にひずみを生む!
 かこは知るまい。それらの刀に与えられた銘を! 由来となった敵の強大さを!
 過去と未来! 二つの時間に由来する強大なユーベルコードを操る強敵、
 それらの名を冠した二刀は、まさに時間と空間を叩き割り捻じ曲げたのだ!
 そして! 引き裂かれた空間がぎちぎちと捻じれ、超自然の竜巻を生む!
 天が、地が! この世ならぬ圧力に裂かれて悲鳴を上げていた!


 はたして白と黒、二色の嵐が、炎を飲み込みかこをすら、と思えたその時!
「させませんッ!!」
「――!」
 ユーノだ! 着地した彼女が全武装を開放、念動力により自らを射出し、
 一瞬にして音をも超えた速度で、鏃のごとく真っ直ぐに軍神へと"飛来"する!
 見えない力は触手めいて鎌首をもたげ、軍神をも絡め取ろうとする――だが、
 軍神はやはり、白と黒の二刀を以て"念動力そのものを叩き斬った"!
「ぐ……! その白と、黒の剣!!」
 バックファイアにより眼から滂沱の如き血を流しながら、しかしユーノは止まらぬ!
 念動増幅式対艦炸裂突撃盾槍(インペリアルデトネイター)を即時展開、
 再び虹光を纏い、地に平行に渦巻く万色の竜巻じみて軍神へと迫る!
「答えろと言っても無駄でしょう。ならば打ち砕き無に還してみせます!
 その銘は私にとっての仇敵――いかなる形でも、その残滓を赦しはしないッ!」
 ギュオオオオオ――ドォウンッ!!
 モノクロの嵐と虹光の鏃、ぶつかり合い光輝を散らす様は非現実的に過ぎる……!
「なるほど。アンヘル、ディアブロ。あれらと相対した者か」
「なんだか知らねえが、こっちも忘れちゃくれんなよぉ!」
「!!」
 然り! かこは健在だ。あの豪炎はそれ自体が布石である!
 炎を隠れ蓑にしたかこは、今や軍神の頭上を越えて背後に回っていた!
 正面からは虹光纏う乙女が、背後からは絡繰刀担いし火守女来たる!
「前門の虎、後門の狼だ! さあどう捌く、軍神よぉ!」
「あなたを討ち、この世界の人々を未来へと進ませるために――!」
 魔剣は来たらず。自動操縦されたデトネイターが自身を犠牲にこれを封じた。
 軍神は舌打ちし、二刀を以て両者を迎え撃つ――交錯! だが!
「いただくぜェッ!」
「――斬り伏せるッ!」
 致死的斬撃をかろうじていなした両名、合わせて三刀を軍神に斬りつける!
 過去、そして未来。それぞれを自在に操った悪魔と天使の魔剣を超えた双撃!
「……私が、こうも追い詰められるとは……!」
 軍神は歯噛みする。解き放たれたモノクロの嵐が、全てを飲み込んだ――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●業務連絡
 思った以上に需要があるようなので、当作は予定を変更し、
 【19/08/21 23:59】までにお送りいただいたプレイングをなるべく採用する方向で運営します。
 ご参加を迷われていた方などは、本日中と短い受付期間になりますが奮ってご参加くださいませ。
柊・明日真
こっちだってな、武器の扱いは慣れてんだよ。
剣が何本あろうが簡単に負けるか。

狙いを絞らせないよう【ダッシュ】で間合いを調整、至近距離での手甲、中距離での戦斧、剛剣での【武器受け】と武器を切り替えながら畳み掛ける。

大技の予兆を【見切り】、【怪力】《烈震の刻印》を起動、【カウンター】で剣を狙って攻撃だ。
その大量の剣、一切合切吹き飛ばしてやるぜ!

まあ、吹っ飛ばせたところで手ぶらになるわけでも無いだろう。
体制を整えられる前に一気にケリをつける!
覚悟しろよ色男!



●剣鬼滅殺:"刻己裂帛"柊・明日真
 虹の光から解き放たれた十の魔剣が、得物を求めてぐるぐると頭上を旋回する。
 モノクロの嵐と虹の光、そのぶつかり合いから現れた軍神は……かなりの負傷。
 しかしてその切れ長の瞳が、こちらに近づいてくる鋭い殺気を察知した!
「うおおおおおおおッ!!」
 明日真だ。陣を薙ぎ払い、すでに矢傷を負いながらの無謀な吶喊!
 手傷を負っているとはいえ軍神も幹部級オブリビオンである。
 即座に魔剣を呼び寄せ、これを吶喊する明日真めがけてけしかけた!
「へッ、このぐらいなんてことねえなあっ!!」
 明日真は手甲、戦斧、さらに剛剣を利用してこれらを弾き、あるいはいなし、
 少なからぬ刀傷を負いながら間合いを詰める。軍神の表情は不動。
「さあどうする、間合いに踏み込んだぜ色男!!」
「――その程度で、私を追い詰めたと?」
 直後、明日真は自分が槍衾めいて魔剣に貫かれる姿を幻視した。
 だがそれは、あくまで幻。正しくは、明日真の第六感が視た未来の映像である。
 弾かれたはずの十の魔剣が、明日真の背中を串刺しにしようと迫っているのだ!
「小賢しい真似しやがッて!!」
 明日真は剛剣を横薙ぎに振るい、迫りくる魔剣をがらがらと弾いた。
 だがそれは、すなわち正面に立つ軍神に隙を晒すことと同義――!
「油断大敵だ、猟兵よ」
 白と黒、強敵の名を冠した魔剣が、明日真の体を……貫いた……!!

 ――しかし!
「油断大敵だァ?」
 明日真は、笑っている。口の端から血を垂らしながらも、あくまで不敵に。
 強がり? あるいは死に際の悪あがき? 否、否だ。それは確信の笑みである。
「それはこっちの台詞だぜ……"近づいてくれて"ありがとよォ!」
 軍神は瞠目した。明日真の意図に気づいたからだ。この男、よもや己を囮に!
「そのご自慢の魔剣もろとも、一切合切吹き飛ばしてやるぜッ!!」
 驚くべきことに、二つの魔剣で貫かれながら明日真は健在であった。
 しかし当然である。彼はあらかじめ、敵の狙いと取るであろう手を見切り、
 致命的な部位をそらすよう、軍神も気づかぬほどにさりげなく体を動かしていたのだ。
 双刃は、明日真の体を貫いていながら、臓器をかすってすらいない!
「貴様――」
「おぉ、らァッ!!」
 だとしてもなんたる胆力、そして痛みを恐れぬ勇敢さか!
 己の体を肉の鞘とした明日真は、再び鎧殻の戦斧を両手で握りしめ、
 軍神が刃を抜くよりも速く……全膂力を、地面に叩きつけた!
「ぐうっ……!」
 たまらず軍神は魔剣を手放し、被害を逃れるために飛び退るほかない。
 土煙が立ち込める……それを斬り裂いて、再び橙色の瞳が敵を射竦めた!
「覚悟しろよ――ここが、てめえの墓場だァッ!!」
 剛剣炸裂! 袈裟懸けの剣閃、軍神の五体をばっさりと深々斬り裂く……!!

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
……アナタ、有名な武人なのよね?どうして、世界を壊す者なんかに……いえ、余計な感傷よね。さあ、戦いましょう?

【先制攻撃】でUCを発動。毘沙門刀の軌道を読み敵に接近する最適な道筋を紡ぎ出す。
特殊な刀でも使い手が武人であるならある程度型はあるはず。
少なくとも適当に振り回すだけではないのでしょう?そこを突かせてもらうわ。
とはいえ応用も心得てるでしょうし、そこは【盾受け】で守り【武器落とし】で軌道を逸らし【早業第六感野生の勘】も併用して躱しましょう。
多少の痛みは【激痛耐性】でなんとかするわ。
【援護射撃スナイパー】で目を狙い隙を作り、本命の【2回攻撃力溜め】で斬り裂いてあげる!

容赦はしないわ、覚悟して。



●剣鬼滅殺:"煌燿狂姫"フェルト・フィルファーデン
「げほ、がはっ!!」
 上杉謙信は追い詰められていた。陣をくぐり抜けた猟兵たちの波状攻撃によって。
 全身にはいくつもの刀あるいは剣による刃傷夥しく、白装束は血まみれ。
 かろうじて回収した魔剣は傷ひとつなかれども、本体がもはや満身創痍である。
 ――だが。その程度で追い詰められたと早合点してはならない。
 仮にもその身は越後の龍。軍神とまで謳われし名将が過去の残骸と化したモノ。
 単独での戦闘力は並のオブリビオンを凌駕し、意気においてはなおも上回る。
「……それほどの名将が、どうして世界を壊すモノなんかに……」
 人形の騎士たちを従え、戦場に降り立ったフェルトの表情は昏い。
 だがそれは余計な感傷だ。ここに在るのはかつての名将そのヒトではないのだ。
 その残骸、同じ姿をした別のモノ。だからこそ討たねばならぬ。
「……ならば逆に問おう、猟兵よ。なぜこうまでして私を討ちに来たと?」
「決まっているわ。それは、アナタたちが世界の敵だから――」
 軍神は口元から溢れた血を拭い、見据える。
「ならば私も同じこと。"そうである"から、私は世界を侵略するのだ」
 フェルトはその言葉に、きっ、と眦を決する。そうだ、それだけの話だ。
 オブリビオンが未来を奪うことに理由はない。"そうである"からそうするのだ。
「――なら、戦いましょう。アナタたちをすべて討つために!」
 軍神は何も応えない。代わりに、魔剣が渦を巻いてフェルトに襲いかかる!

 しかして此度の戦い、他の魔軍将と異なる点が一つだけ存在する。
 それは、常の強敵相手に存在する"絶対先制"のルールが欠けていること。
 つまりフェルトが先んじることも可能――まさに、今この瞬間のように!
「……その動き、視えたわ」
 意識の一部を電脳空間と繋げたフェルトには、魔剣の動きが読める。
 飛来する十条の魔剣を、躱し、あるいは騎士たちに弾かせることでいなした。
 だが、敵もそれは予測済み。軍神は黒と白の魔剣を両手に構え突き進む!
(いくら特殊な刀でも、使い手が武人であるならそこにある程度型があるはず。
 むしろ名将だからこそ、パターンを読んで対応すれば……回避は難くない!)
 フェルトのこの予測は正解。もちろんそれも容易いことではないが。
 ましてや敵の剣速はすさまじく、一瞬でも気を抜けばなます斬りだ。
 しかし、だからどうした。その程度の死線は今まで何度だって潜り抜けてきた。
 たった独り遺されたこの身、生きるか死ぬかの場に置くことに恐怖はない!
「だからアナタの攻撃も、なんてことないのよッ!」
「小賢しい……ッ!」
 業を煮やした謙信、十の魔剣をその身に纏い渦巻く刃嵐と変えて対応する!
 残るふたつ、すなわち白と黒の魔剣を両手に振るい、もはや斬撃の台風だ!
「わたしの騎士たちよ、その身を糧にわたしを守って!」
 人形の騎士たちが身を挺して魔剣を防ぐ! ひとつ! ふたつ! みっつ!
「アナタたちを、わたしは決して許さない」
 よっつ! いつつ! むっつ!
「だから、容赦はしない」
 ななつ! やっつ! ここのつ!
「――覚悟して」
 十――その身を双刃が捉えようとした時、フェルトの一撃が軍神を襲った。
 砕かれた騎士たちの剣握る手を操り、十二の遺志が! 軍神を!
「……ぐうッ!!」
 たしかに、斬り裂いたのだ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

龍之・彌冶久
呵々、十二の刀を繰るか。
良いじゃあないか、同じ十二の刃を繰るもの同士。
斬り結び甲斐もあるというものだ。

――ああ、このひりつく感覚。耄碌したジジイとはいえ些か心が躍るな。

では、いざ尋常に――
"阿僧祇の構え"。
十二の刀、お前さんがいかに繰るか見定めてみようか。
純粋に技量で来るならば撃ち払い、鎬で受け。或いは斬撃同士で撃ち合い相殺しよう。
もしくは炎なり雷なり氷なりの"脈"が宿る刀が来るなら、対となる属性をもつ脈の『十束』で相手をしよう。
(属性攻撃+防御特化)

はは、何合撃ち合うたか。
愉しいなぁ!が、そろそろ勝負をつけねばなるまい。
撃ち合いの果て、見切った剣筋を掻い潜り一閃。
良い死合であった。



●剣鬼滅殺:"剣龍斬魔"龍之・彌冶久
 ……そして今、新たな独りが、車懸りの陣を抜けて現れた。
 ざす、ざすと。まるで街道を歩くかのように、雄大に、そして肩の力を抜いて。
「呵々」
 空めいた瞳を愉快げに歪ませ、されど剣気に白髪を雲のごとくなびかせ、
 人の姿をしていながら、まるで人ならざる気配を纏う男がゆったりと微笑む。
 愉快げに。楽しげに。雄々しく。残酷に。そして――値踏みするように。
「……その身、さては神の位階にありし者と見た」
 全身を朱(あけ)に染め、されど切れ長の瞳には渺々たる世界そのものへの敵意、
 軍神の出で立ちはそういう有様である。そういう状態で、彌冶久に言った。
 対する彼はどうか。やはり破顔――不敵に、片眉を釣り上げてみせる。
「十二の刀を操る神が、ここに二柱か。呵々、これはなんとも奇縁よな」
 かたや、その名将ぶりから越後の龍――軍神とまで謳われた男。
 かたや、謳い文句に非ぬ神として生まれ、そして在り続けた者。
 しかして今や、両者は世界の慮外に在りし者。天敵と大敵。破壊者と守護者。
「似た者同士、真正面から斬り結ぶ。噫、命を賭ける甲斐もあろうものだ」
 彌冶久は笑う。戦場の空気に笑う。己の選択の愚かさに笑う。敵の強さに笑う。
 悠久なる時を経た、耄碌じじいの我が身に、なんと晴れ晴れしき舞台であることか。
 心が躍る。若者めいて。噫、そのような己の年甲斐のなさも笑うのだ。
「……いいだろう。我が剣、神すらも屠ると証明してみせよう」
 対する敵の雄大さ、謳い文句にそぐう神めいた雄々しきものなり。
 かたや龍脈より刃紡ぎし光の境界。世界の規矩をも分かつ輝き。
 かたや属性を支配し、刃たるを敵味方に示す魔剣にして妖刀の群れ。
 かたちも、ありようも、その真髄も、何もかも異なれど。
「――然らば」
「いざ、尋常に」
 ……"斬る"という一点において、両者ともに曇りなし。
「「勝負ッ!!」」
 かくて刃は撃ち合い、天が驚き地が身動ぎした……!

 ……数多の神話において、神々は様々な理由により世界を股にかけて戦ったという。
 雷を投げつけ、大地を割り、海を枯れさせ世界をも滅ぼすほどの闘争を。
 此処に生まれた死闘は、それら規格外の神話的闘争に比べれば遥かに小さい。
 されど、ならば矮小なのかといえば、否である。……否、であった。
 軍神は無造作に間合いを詰め、まず白と黒の魔剣で迅雷じみた速度の二刀を撃つ。
 疾い。だが彌冶久は瞠目した様子もなく、これを十束で打ち払う。
 ……と、周りで見ていたものには、ただ一瞬の交錯に見えたであろう。
 否である。その時の両者、ゆうに十合を刹那の間に撃ち合っていたのだ!
「呵々」
「ほう」
 ガギ、ギ、ギ、ギ、ギギギギギギギギッ!!
 見えぬ。撃つ剣も、それを払う剣も、双方どちらの剣も正確な数が見えぬ。
 両者は互いにほう、ふむ、と感嘆、あるいは納得めいた声を漏らすばかりで、
 数百合の唯一の証左は、斬撃余波に切り裂かれる周囲の地面と大気のみだ。
「ならばこれは、如何に」
「うむん?」
 ――ごひょうっ!!
 軍神、白黒の双剣を投げ捨て、十の属性魔剣による乱舞に打って出た!
 彌冶久はこれをたやすく――かつ相対する属性の"脈"でもって撃ち返し、
 あるいは躱すに難き剣ならば鎬で受ける。はたまた、飛んでしゃがんで避ける。
 軍神の剣はどこまでも冷酷で無機質で無慈悲でそしてぞっとするほど美しく、
 彌冶久の刃はどこまでも自由で暖かく容赦なく、しかして大河の如し。
 どれほど撃ち合った。百か。千か。はたまた万か。
 樹木が生え、燃え、土塊が起き上がり砕け、海が渦巻き枯れ果て、
 闇が訪れて払われ、風が生まれて裂かれ、炎が燃えては消え去っていった。
「はは」
「――ふ」
「愉しいなぁ。愉しいぞ! 呵々! 呵呵呵!」
「ふっ……ふ、ふ」
 何がおかしいのか。ふたりはそれぞれに笑み、声をあげた。
「だが」
「されど」
 そして両者、猛禽めいた鋭い瞳を向ける。
「「――決着をつけねばなるまい」」
 踏み込み、まったく同時! あまりの激震に雲がぼうっと裂けた!
 そして互いの放った剣閃は、遠く山まで届き地平線に斬り筋を残す……!

 ……あまりの疾さ。もはやそれは双剣でありながら一閃である。
 では、立っていたのはどちらだ。斃れたのは、どちらだ。

 ――どさり。

「…………見事なり、龍脈」
「応。善き死合であったぞ、軍神」
 過去の残骸は無と化して消えていく。あとには何も遺らない。
「年季のぶん、俺のほうが上であったかなあ」
 斬り捨てた剣神は、やはり飄々と笑うのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



 我こそは越後の龍。軍神と謳われし名将、毘沙門天に帰依せし者なり。
 猟兵よ、武名轟かせし我が身、はたしてその刃で討つことは出来るか?
三咲・織愛
軍神……、その名に違わぬ威容ですね
挑ませていただきます。お覚悟を

無傷でいられるなんて思っていません。何があろうと退かない、<覚悟>があります
最も信頼する竜槍を手に握って
……回転する刀、邪魔ですね
立ち回りの速さで勝てないのなら迎え討つのみ
<見切り><武器受け>で一刀ずつ確実に払っていきます
刀であれば棟が弱点と聞きました
たとえ折ることが難しくとも、叩き折るつもりで<怪力>籠めて槍で棟を叩き落とします

振るう刀があるのなら、それでかかってきなさい!
<挑発>の狙いなど、きっと知れているでしょうけれど
軍神の名を冠する者ならば、逃げませんよね?

その力、そのまま【閃撃】で返してみせる



●剣鬼滅殺:"人意金剛"三咲・織愛
 車懸りの陣。それは上杉謙信を護る鎧にして、獲物を狩る矛。
 攻めれば退き、退けば押す。そして消耗しようとたちどころに入れ替わる。
 かの陣形ありし今、上杉謙信は骸の海より還るも自由自在である。
「――"私"が、討たれたか」
 過去の自分が滅びたという事実も、軍神はなんの痛痒もなく受け入れた。
 如来めいて薄く開かれた瞼は、己の陣形を――否、それを越えてくる者を捉える。
 たった一振りの竜槍を手に、けして無傷ではない有様で突き進む娘、ひとり。
「善き哉。ならば相手を仕るとしよう」
 ゆるり――十の魔剣が、その身を中心にゆるり、ぐるりと廻(めぐ)る。
 敵は精鋭。先手は取れまい。それは猟兵にとっての優位である。
 だが軍神が揺らぐことはない――なぜならば、己こそは骸なのだから。

 対する少女――織愛はどうか。その身はもはや満身創痍であろうか。
 否である。体も、無論気力も意気軒昂。むしろ敵を前にして燃え上がるばかり。
「軍神・上杉謙信……なるほど、その名に違わぬ威容ですね」
 一対一。誰にも手出しできない一騎打ちの状況にもつれこんだ織愛は、
 龍の槍を手に、突き刺すような眼差しで上杉謙信を睨みつける。
「ですが挑ませていただきます。お覚悟を!」
「……いざ」
 まるで散歩にでも繰り出すかのような、自然かつ無駄のない所作であった。
 織愛が『踏み込まれた』と気づいた瞬間には、その姿は眼前にあり!
「――ッ!!」
 来る。衛星めいてその周囲を廻る十の魔剣!
 見切ろうとした。だが魔剣は、とたんにチェーンソーめいて疾さを増す!
「我が毘沙門刀、見据えた程度で見切ることは出来ず」
「く、ぅ……ッ!!」
 ぞぶり。まず、燃えるような熱さを孕んだ炎の剣が、容赦なく織愛を裂いた。
 続く魔剣は氷――否、織愛はただしてやられるために耐えたのではない!
「ならば! 無理やりに推し通りますッ!!」
「!」
 見よ! 織愛はあえて一撃を受けることで魔剣の緩急をその身に掴み、
 続く二、三の剣を龍の槍で無理やりに薙ぎ払ったのだ!
 さらに四、五! 喉元と心臓狙いのえぐりこむような刃を拳で叩き落とす!
「はぁあああっ!!」
「ほう――」
 さらに自ら踏み込んでの刺突。軍神は白と黒の二刀でこれをいなす。
 いけない。六、七の魔剣の狙いは脚だ! 腱を裂こうと振るわれる魔刃!
(傷なんて怖くない。何があろうと、退きませんッ!)
 織愛は槍を地面に突き立て、それを軸に地を蹴ることで魔剣を回避。
 さらに軍神の胸板に痛烈な蹴りを叩き込み、反動跳躍で魔剣追撃を逃れた!
「ぬうッ」
 軍神は、少女がここから仕切り直すために様子見をするだろうと考えていた。
 ゆえに瞠目した。着地した織愛は――再び、まっすぐに来たのだ!
「愚かな!」
「それはこちらの台詞ですッ!」
 十! 闇の魔剣、少女の鎖骨を貫くと見えてあっさりと弾かれる!
「どうしました。己の手で私のような小娘には敵わないと思っているのですか?
 振るう刀があるならば、最初からそれでかかってきなさいッ!」
「――善き哉」
 織愛は己が三度死ぬ幻影を視た。恐れるな。恐ればそれは現実となる。
 神に等しき威風を前にし、少女は泰然自若と槍を構え――。
「ふッ!」
「死――なにッ!」
 閃撃、成れり。満身の力を撥条じみて爆ぜさせての刺突、軍神の脇腹を貫く!
 両者の間合い、飛び離れる。織愛の眼差しは、一時たりとも軍神を逃さない……!

成功 🔵​🔵​🔴​

桜雨・カイ
軍神というだけあって本人も強いし、
まともに戦って勝てる相手ではない。でも一点穴を開けられれば
そこからいけるはず。全力でいかせてもらいます
今出せる四十七体全て錬成し、攻撃に回して謙信への道をつくります。

全部倒されたと思いますか?言ったはずです全力で行くと!
まだあと「一人」います!
器物の攻撃と思わせ、実際は仮面をつけた自分自身で
全力で最後の攻撃を不意打ちでかける

【見切り】で致命傷は避けつつ
多少の傷は【激痛耐性】でこらえて一気に前へ出ます
引きません、全力で【鎧無視攻撃】で【なぎ払い】ます!



●剣鬼滅殺:"人影廻神"桜雨・カイ
 槍の手傷を負った上杉謙信、だがその瞳はぎらりと次の猟兵を見据えた!
「……ヤドリガミか。相手が誰であろうと、我が毘沙門刀は容赦はしない」
「一目でこの存在を見抜くとは……伊達に軍神ではありませんね」
 びりびりと大気を、そして己の肌を震わせる見えない威圧感に、カイは震える。
 だが、臆しはしない。強敵であることは、ここに来る前からわかっていたこと。
 ならば己のこの震えは、恐れではなく高揚……つまりは武者震いだ。
 そうとも。そう言い聞かせろ。気力で敗けて、花実が咲くものか!
「ですがあなたを討つため。この身に出来るだけの全力で行かせてもらいます!」
「ならば来るがいい。その意気、この私の喉元に届くかどうか――!」
 眦を決したカイの周囲に、現れしは己の本体たる人形の複製体!
 その数四十と七、本体を合わせれば四十八の大軍である!
 対する軍神、十の魔剣を己の周囲にぐるぐると回転させ、これを迎え撃つ――!

 しかし、如何に数を揃えたところで、所詮人形は人形である。
 たとえ精巧な作りゆえに、人そのものとなんら遜色ない動きが出来たとしても、
 相手は越後の龍……魔剣が回転し斬り裂くたび、一体また一体と人形は減っていく!
「さすがは上杉謙信、これがいまの私に出来る全力だというのに……!」
 ヤドリガミは、本体である器物を傷つけられれば化身もともに消滅する。
 ゆえにけしかけるのは、召喚した合計四十七体の複製体のみである。
 その数ももはや半数。近づけたとして白黒の双魔剣が間合いを離してしまう!
「先程の啖呵はいかがした。この身、いまだ傷ひとつ与えられてはおらぬが」
「ちぃ……!」
 カイは歯噛みする。しかし、敵の攻防には一切の隙がない!
(こうなれば……覚悟を決めるほかありませんね!)
 カイは――おお、なんたることか!
 残る複製体二十二体とともに、自らと本体の人形もまた突撃したのだ!
「窮鼠猫を噛む、とは所詮故事。追い詰められた弱敵はただ死するのみ!」
 軍神は容赦しない。それがオブリビオンというものだ!
 一体、また一体と複製体を魔剣で斬り裂いていく。残存数八体!
「その首を頂こう。首級を以て猟兵どもに知らしめてくれる!」
 六! 五! 四! 三体!
「……ッ!!」
 カイは、狐の面を纏った人形と並走しながら、脂汗を滲ませて苦渋の表情。
 一瞬でも仕損じれば、己は死ぬ。しかし、だからこそ価値はある……!
 二体! 一体! そして、噫! 最後の一体の首が飛んだ!
「――首級、獲ったり!」
 カイの首元めがけ、白い魔剣が……おお、おお!
「……全部倒されたと、思いましたか」
「!」
 その時、カイがうっそりと言った。ぴたりと魔剣が寸前で止まる。
 そう、カイが言ったのだ――素顔のカイではなく、"仮面を着けた人形"が!
「まだ、あとひとり! ここにいますッ!」
「貴様――ぐうっ!」
 軍神は、その不意打ちに揺らぐことなく、本体=人形の首を断つべきだった。
 だがその動揺が一瞬を分けた。人形に化けた本人の不意打ちが、入ったのだ!
「おのれ、私を謀るなど……!」
「言ったでしょう、全力で行くと。詭道でもなんでもしてみせますとも!」
 軍神は魔剣を引き戻そうとする。遅い! 薙刀がぐるんと大気を斬り裂く!
「その驕慢、もろともに斬り裂いてみせましょうっ!」
 斬撃――血を飛沫かせて、袈裟懸けに斬られたのは上杉謙信のほうである!

成功 🔵​🔵​🔴​

セゲル・スヴェアボルグ
向こうさんが速さを強みとするなら、こちらは力で押すとしようか。
天変地異だか何だか知らんが、こちとら歩く震源地みたいなもんだからな。
制御が難しいのであれば、相応の集中力を必要とする。
ならば、集中する余裕など与えなければいいだけの話だ。
一発でだめなら二発、二発でだめなら三発、その刀が折れるまでUCを叩き込んでやろう。
関ヶ原がクレーターだらけになっちまうかもしれんが、その分、火力や耐久力は上がる。
例え攻撃されたとしても、盾でいなしつつ致命傷さえ避けられれば問題ない。無論、他の猟兵が巻き添えが食わんようにかばうことも忘れんがな。
まぁ、気合と根性で何とかするとしよう。



●剣鬼滅殺:"龍槍海抜"セゲル・スヴェアボルグ
 ……上杉謙信は、戦上手だ。こと、敵を侮るということはない。
 ましてや、あの儀式魔術『Q』を使い、自らの宿敵を滅ぼした連中である。
 慢心はない。しかし――それでなお、軍神は手傷を負わされつつある。
(こうして、過去の私も滅びたか。これが猟兵……)
 戦士としては感嘆する。しかし、オブリビオンとしての絶対的敵意が、
 天敵たる猟兵どもに対する憎悪と殺意を育てる。軍神はこの悪感情を好まない。
 憎悪、怒り、恐怖……いずれも戦いに悪影響しかもたらさないノイズだからだ。
 我が陣、我が刀に敗北なし。心をフラットに保ち、軍神は新たな敵を迎えた。
 すなわち、大海のごとく雄大に、海原を征く大船の如く荒々しい蒼き竜を。

「おうおう! 宴もたけなわ、間に合ったようでなによりだ」
 敵の傷の具合を見るなり、セゲルは破顔して不敵に言い放った。
 もう少し遅かったら、お前さんは斃されていたに違いない――と、
 挑発的な眼差しが言外に語る。軍神の空色の瞳は、これを己の感情ごと切り捨てる。
「しかしまたぞろ、十二振りの魔剣とは豪勢なものよなあ。
 我が槍で向かうも一興、しかし刀使いを破るならば――どれ」
 ずしん!! と巨大な応龍槍を地面に突き立てたセゲルは、一振りの剣を抜く。
 将刃(マシャルク)。その見た目にそぐわぬ、軽々とした手並みであった。
「剣には剣を、刃には刃を以て挑むとしよう。決闘は船乗りの嗜みよ!」
「……あいにく、私がその座興に付き合う義理はない」
 周囲に展開する十の魔剣が不穏にいななく。白と黒の魔剣も同様。
 セゲルは目を細めた。なるほど、あれらの属性魔力を解放しようてか。
「さあて、その判断が吉と出るか凶と出るか、ひとつ占ってみるとしようか!」
「仔細なし。倒れるのは貴様だけだ。――参る」
 猛烈な殺気! 直後、炎、氷、地震、木々の繁殖……自然現象が一斉に溢れ出た!
「まるで嵐の日の大波よなあ! 重畳、重畳!」
 だが見よ! セゲルはさながら大海を斬り裂く帆船のごとくにこの波濤に挑み、
 のたうつ大樹の根を斬って捨て、逆巻く炎の嵐は竜の吐息で吹き払い、
 目も灼く光も闇も踏みつけて、ずしんずしんと越後の龍に迫るのだ!
「断じて行えば、鬼神も之を避く。我が剣、大地すらも揺るがす一撃なり!」
「ぬう……!!」
 軍神はこれを双魔剣で受けざるを得ぬ。ガギン――!! すさまじい質量!
 インパクトの瞬間に開放された鉄塊の重量が、両者を中心にクレーターを生んだ!
「猪口才な……ッ!」
 魔剣蹂躙。のたうつ木々が炎に呑まれ、燃える触手じみてセゲルを襲う!
「航路の日照りに比べれば温い温い!」
 なんたる大言壮語。鱗を燃やされながらもダメージを意に介さず薙ぎ払う!
 致命的攻撃は己の盾でいなし、決して間合いを離さぬ様はまさに竜そのもの!
 何がそこまでの無謀を取らせる? 何が彼を支えている?
「いったい貴様を、何が……ッ」
「ハ! 問われれば答えよう。――気合と、根性よ」
 ずしん……!! 大地をも断ち割る一撃、ばっさりと軍神を断ち切った!
 噴き出した返り血も、己から流れる血潮も拭うことなく、竜人戦の海を征く……!

成功 🔵​🔵​🔴​

出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

ここまで持ち堪えるとは
だが、今度こそ幕引きといこうか、軍神

生憎、武人としての勝負は求めん
その毘沙門刀の錆にされたのでは溜まらんからな
これは敗者が見る風景、落城の炎…
――諸共に落ちよ!

わかりやすい炎上風景
鎮火には大量の水…洪水か、豪雨の嵐を起こせばいい
こちらの炎もそう簡単には消させないとも、これはカガリの意志で再現しているものだからな(全力魔法)
大胆な炎上で気を引いておいて、ステラに十分な準備をさせておきたい

鎮火を優先した時点で、勝負は決している
そちらが天変地異を操るように、こちらにも空から落ちる星があるのでな
ステラ!!

ステラ、ステラ、大事ないか
無事ならば、それで


ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

12本の刀を操るか、同じ刃持つ身としてその腕が気になるところだ
軍神と呼ばれしその力を侮らないように気をつけつつ挑もうか!

カガリのUCで戦場が炎に包まれるはず
その勢いを増すために風【属性攻撃】で援護しよう
その間に【力溜め】をした【全力魔法】で準備

敵は属性を操る者……UCで炎を豪雨で消火するはず
カガリまで消される前にこちらも星の雨を降らせよう
準備した【流星雨】を発動させ敵を貫こう!

カガリ、お前こそ大丈夫か?
その技はいつ見ても心配になるんだ……お前まで消えてしまいそうでな



●剣鬼滅殺:"不壊金門"出水宮・カガリ&"星鋒貴刃"ステラ・アルゲン
 突如として、戦場がごうごうと燃え上がる炎に包まれた。
 上杉謙信はこの異変を訝しむ。否、その原因はとうに理解している。
 ユーベルコード。我らが、そして天敵どもが操る奇跡の力に他なるまい。
「……落陽の光景だと……?」
 問題は、そこに再現された光景だ。燃え上がる、炎に包まれた落陽の都市。
 かつては絢爛豪華であっただろう黄金都市の面影は欠片もなく、
 散りゆく火の粉が、それを運ぶ風が、栄枯盛衰のさだめを天地に刻んでいた。
 すなわち、敗北した者の風景。……国が、人が、何もかもが燃えゆく風景。
「……哀れなものよ。滅びた我らに、滅びの情景を以て挑まんとするか。
 過去に縛られし残骸は、はたして私と貴様らのどちらなのか――皮肉だな」
 軍神は瞑目する。揺らぐ炎に揺らされる心はなし。とうにこの身は滅びたり。
 そして感じる……偽りの炎の向こう、この光景を生み出す者の気配が!

「そこか」
 キン――! 過去そのものを斬り裂く黒魔剣が空間を断ち割った!
 紙細工めいてびりりと裂かれた空白に、現れたるは金と白の貴人二名!
「ステラ、下がっていろ!」
「……ああ、任せた、カガリ!」
 ガガガガガガ!! カガリが鉄柵により"境界"を定めた瞬間、魔剣到来!
 樹・闇・光の三刀がその城門に突き刺さり、がりがりと回転し切り裂こうとする!
 カガリは歯噛みする。物理的衝撃はもちろんのこと、魔剣の呪力はすさまじい。
 いわばそれ自体が含有する魔力が、見えない圧力となって門を圧しているのだ。
「さすがは軍神か、だがあいにく……武人としての勝負をカガリは求めない」
「ゆえに貴様のこの滅びの風景を私に見せ、引きずり込もうとしたと?」
「……ああ、そうとも。これはカガリにとって"ありえたかもしれぬ末路"――」
 燃え尽きしは邪なる黄金の都。常世にありし神の都。落城の炎。
 何もかもを諸共に燃やし尽きゆくその幻影は、カガリすらも例外ではない。
 されどカガリはそれを恐れぬ。燃えゆく黄金の都市に立つことを恐れはせぬ。
 背中に護るべき女性(ひと)を抱え、己の本分を果たすためならば……!
「もはやその毘沙門刀、いかなる者も錆にはすまい。カガリがここにいるからだ。
 ゆえに軍神よ、上杉謙信よ! 黄金の都市とともに、再び滅びて燃え尽きよ!」
 魔剣の回転が早まる。炎が、闇が、光が、螺旋のごとくに混じり合い門を裂く!
 だが同時に、黄金都市を飲み込む炎の勢いも強まる。上杉謙信は状況判断した。
 カガリの鉄壁。あれは、あからさまな時間稼ぎだ。
 問題は"なんのために時間を稼いでいるか"。この都市の何らかの効果を完成させるため?
 あるいは、彼奴がその背中に護る、何かを狙っている貴人のための囮か。
 敵は二段構えで来る。だからこそ全ての魔剣をカガリに差し向けてはいない。
 では、"どちらに備えるべき"だ。この幻影か、あの女の一撃か……!

 軍神には矜持がある。名将として、魔軍将として、強者としての矜持だ。
 それは驕慢や傲慢ではなく、その身の力量にそぐう分相応の自信と言える。
 ――だからこそ、軍神は業腹に感じた。この"判断せねばならぬ状況"そのものを。
 敵を前にして、優先順位をつけねばならぬ不満。
 来ると解っている攻撃を、あえて喰らうために覚悟しなければならない不快。
 そも、目の前の敵を、全力を以て鏖殺できぬ苛立ち……。
(小賢しい)
 軍神は軽んじた。目の前の器物霊二体を、その在りようを軽んじた。
 たかが器物の化身ごときが、過去を以て我を滅ぼそうというのか。
 笑止。我こそは越後の龍。毘沙門天の名のもとに魔剣を支配せし軍神なり。
 ヤドリガミなど片腹痛い。真なる神とは――こういうものなのだ!

「せいッ!!」
 掴み取った魔剣から嵐が生まれ、炎を、落城の瓦礫を、幻影を斬り裂き飛ばした。
 つまり敵は幻影への対処を選んだ。カガリとステラは賭けに勝ったのだ!
「……軍神よ!!」
 魔剣圧力の反動により血の涙を流すカガリが、叫んだ。
「たとえ幻影の炎を払おうと、もはやすでに大勢は決しているぞ!
 お前がどれほどの魔剣を振るおうと、操れぬものがこちらにはある!」
「何……?」
「ステラ――!」
 見よ。門を飛び越え、消えゆく幻影の空に舞う星の如き凛とした影!
 くるくると回転しながらの剣戟一閃、双魔剣に弾かれるがこれも予測済みだ!
「お前が天変地異を操り従えるならば、我が剣は空を貫き星をも落とそう!
 来たれ流星たちよ――我が剣の向かう先が、お前たちの輝く死地(ばしょ)だ!」
「!!」
 軍神は空を仰いだ。蒼穹を焦がすように輝くいくつもの流星の煌めき!
 残る魔剣7つを渦巻かせ盾とする。だが遅い。そして――あまりに、脆い!

 ――ドガガガガガガガッ!!

 まさに"雨"となった流星が敵を飲み込んだ瞬間、ステラは飛び退る。
 そして着地したところへ、疲弊した様子のカガリが駆け寄った。
「ステラ……ステラ。大事ないか」
「大丈夫だとも……だがカガリよ、お前こそ……」
 心配そうな女に対し、カガリはふんわりと微笑んで首を振った。
「お前が無事ならば、それでいい。カガリは、それでいいんだ」
 ステラは言葉をつまらせた。その笑顔を見たら、言えなかったから。
 ――炎の中に、カガリまで消えていきそうで不安だった、なんてことは。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

刀がたくさんだ
けど、僕の櫻は僕が守るんだから
君の祓う、は斬るだもんね
僕らの未来の為

前へ往く君の為、道をつくるよ
櫻宵が一緒だから歌えるんだ

磨いた歌唱に込めるのは愛する君への鼓舞だ
どんな時だって守り支えるからちゃんと帰ってくるんだぞ
水泡はオーラ防御
櫻が防ぎきれない刀は僕が防ぐ
躯の海へ誘惑するよう歌うのは「星縛の歌」
天変地異も、連撃も、この歌(いのち)にかけて打ち消してやる
これは僕の意地
歌は呪いで僕の誇り!

櫻の為に一瞬隙があればいい
歌で惑わし、他に

刀を持つのは櫻だけじゃない
屠桜の為に揺桜で、彼と打ち合う謙信の背後まわれたなら突き刺して

任せたよ
綺麗に斬って散らしておくれ


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

軍神と戦えるだなんて滾るわ
でもね
いかな軍神でもあたし達の未来は壊させやしないわ
邪悪は祓うが陰陽師の務めですもの!

リルと一緒だからこそ
私は
背中は任せたわ

歌に心預け前へ駆けて
第六感で察し見切り桜花のオーラ防御と刀で防ぐ
刀が打ち合う度に愉しくて昂るわ!
生命力吸収の呪詛を込めた衝撃波で範囲攻撃、怪力で薙ぎはらい12本、弾けるだけ弾き躱して咄嗟の一撃
力を吸いながら斬撃放ち傷を抉るよう2回攻撃

聴き惚れなさい
溺れなさい
リルが作った隙は見逃さないわ
一瞬あればいい
あの子が負った傷の分
あなたが傷つけた世界の分

絶華

美しい首は幾つあってもよいもの
潔く散りなさい
綺麗に斬ってあげるから!



●剣鬼滅殺:"泡歌沫唱"リル・ルリ&"桜龍剣幻"誘名・櫻宵
 ……どこで、間違えた。
 我が陣は無敵。我が剣は無双。されば我が身は無敗のはず。
 軍神とまで謳われた己が、一体どこで戦の趨勢を見誤ったのだ。
 慢心はなかった。猟兵どもに対する警戒は十分に持っていたはずだ。
 だのに、見よ、この有様を。数多の剣傷と歩くこともままならぬ我が身を。
(ならば――我が身が、軍神と謳われた我が身が、純粋に敗北するというのか)
 過去の己もそうして滅びたと?
 驕慢でも、
 油断でも、
 ましてや天命のようなものでもなく、
 もっと純然たる力量差……意志力の差で、敗北するというのか。滅びると。
「……否」
 認めぬ。それを認めることは出来ない。なぜなら我が身は過去の残骸。
 天敵を討つ。如何な相手であろうが、何度滅びようが、必ず滅ぼそうのだ!
 追い詰められた軍神の眼差しが、最期の使者ふたりを鋭く捉えた。

 対するふたり――つまりリルと櫻宵の様子は、それまでと一変していた。
 いや、ふたりはこれまで何度も多くの戦場でそうしたように付き添っていたし、
 その立ち位置も、雰囲気も、見た目も大きく変わったわけではない。
 だがもっと根源的な……言わば、意気。戦うためのモチベーションが、違う。
「軍神と戦えるだなんて……ふふっ、滾るわ?」
 櫻宵は艶やかに微笑んで言うが、戦場の血に酔うような浮ついた心地はない。
 瀟洒で、洒落ていて、それでいて地に足ついた、流麗な面持ちである。
「でもね――どんな軍神でも、あたしたちの未来は、この世界は壊させやしないわ。
 邪悪は祓うのが陰陽師の務め、ですもの。……ふふっ、口に出すと照れちゃうわね」
 なんてはにかむ櫻宵の隣で、リルは誇らしげに笑っていた。
「なら、僕の櫻は僕が護ってみせるよ。だから、君は思う存分祓ってみせて。
 その剣で、これまで通りに、あいつも――あの剣も、全部全部祓(き)って」
 立ち上がる軍神、それが従える十の魔剣の威圧感たるやすさまじい。
 しかしふたりが臆することはない。大切なひとが、すぐそばにいるのだから。
「僕らの未来のために。……また斃れてもらうよ、軍神!」
 高らかな声は歌に変わり、その聲がいくつものうたかたを呼ぶ。
 ふわふわと泡沫がたゆたう己のための路を、櫻宵はただまっすぐに……歩く。
 軍神が立ち上がる。魔剣が渦を巻く。櫻宵は歩く……いいや、走る。
 敵をめがけて。血桜の太刀を握りしめ、その背中に歌声を受け止めながら!

 噫。しかして敵は強大。追い詰められようとも魔軍将の一翼である。
 初太刀を白の魔剣で受け流し、流れるように黒の魔剣が櫻宵の脇腹を狙う。
 桜花めいた魔力の防御がたやすく切り裂かれ、ざっくりと肉が断たれた。
「櫻!」
 リルの心を万雷の如き感情が走る。怒り。悲しみ。焦り。憎しみ。妬み。嫉み。
 それら全てをその身らしく悠々と泳ぎ抜け、たどり着いたのはひとつの想い。
「櫻は僕が護る――前へ往く君のため、道をつくるよ。その身を守ろう。
 たとえ天地が逆しまになり、炎が溢れて氷が大地を埋め尽くしたとしても――」
 ぽ、ぽっ、と生まれる泡沫が、逆巻く炎に輝くさまはまさに綺羅星のよう。
 軍神は訝しんだ。己の精神にするりと滑り込んでくる歌声の魔性に。
「私を魅了しようなどと……こそばゆいッ!!」
「あら――かわいいリルに見惚れる気持ちはわかるけれど、あたしを忘れないで?」
 目の前の龍が笑った。天変地異の虚を突いた一太刀、剣閃は鏡合わせの脇腹。
 軍神は舌打ちする。十の魔剣を束ねてリルへと差し向け……させぬ!
「あたしを忘れないで! あなたと躍るのは私でしょう!?」
 がぎん!! なんたる速度、そして重さ。魔剣を一太刀で薙ぎ払う!
 当然がら空きの体を魔剣が斬り裂くが、致命傷には至らない。泡沫の護り。
「僕は歌だ。歌が僕だ。そしてこの歌で、お前のその力を全部封じ込めてやる。
 全部、全部――僕のいのちを賭けて、この歌(いのち)を謳いきってみせる!」
 空の星星をもとろかせ縛るであろう歌声。魔剣たちは一つまた一つと地に落ちる。
 バカな。軍神は瞠目した。我が魔剣が我が意を離れるなど! ありえぬ!
「――ああ、残念。刀を打ち合うたびにこんなに愉しくて高ぶるのに」
 死神が目の前で笑っていた。
「でも仕方ないわね。リルは可愛くて、綺麗で――見惚れてしまうもの」
 血桜の太刀が振るわれる。
「でもね、お代は頂戴な? ――あなたの、首で」
 軍神は何かを言おうとした。それより先に、ざっくりと喉笛を裂かれた。
 視界がぐらつき華奢な掌のなかに落ちる。微笑む男(おんな)の顔が見えた。
「さようなら、他愛もないひと」
 それが、残骸が視た最期の風景である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 猟兵の力が私の想像を越えていたと……遥かに越えていたと、認めざるを得まい。
 では、それが何かを変えるかと言えば、言うまでもなく否である。
 我が身は残骸。遺されし骸。何をも作れぬ、何をも産めぬ過去の化身。
 ならばただ、我は我として在ろう。軍神と謳われし将として、陣を敷き剣を振るう。

 滅びですら、もはや私を止めることは出来ないのだ。
アルトリウス・セレスタイト
小細工する余地は無いと知れている
ならば挑めるまで引き上げるだけの話

天位での強化からの一気に接敵
纏う原理――顕理輝光の干渉力を最大化し運用する

『天光』『天護』で攻撃を確実に捕捉
『超克』で”外”から汲み上げた魔力を用い『励起』『解放』で個体能力を一個の生物の極限まで引き上げ、『無現』『虚影』で捌きつつ魔力放出も用いて戦闘機動を構築

黒白二刀へは『明鏡』を用いて時間干渉の対象を発生源自体へ捻じ曲げ相殺

『絶理』で物理法則を脱し、『天光』『天冥』で逃さず、『討滅』に全力の魔力を注ぎ白打で近接戦を

一撃でも届けば即、死の原理を『再帰』にて循環させ終わりなく死を叩き付けよう


軍神、堕とすぞ
※アドリブ歓迎


九条・真昼
高潔そうな軍神サマかー。
俺こういう相手好きじゃないけど嫌いじゃない。
どういう意味かってーと。

「そのお綺麗な顔が苦虫噛み潰したみたいに歪んでくれれば最高にハイ」

伝染毒電波で謙信を攻撃ー……じゃ通らねぇ気がすんだよね。
まぁ「覚悟しろやー」的なノリと視線であくまでも謙信を攻撃するーって風には見せかけるけど。
真の対象は奴が操る12本の『毘沙門刀』。
そいつを伝染毒電波で刃先をくるっと反転させ、謙信に向けて色んな方向からリリースさせる。
ダメ与えられなくても、刀が一瞬でも制御できなくなれば近接得意な仲間が近づけるはず。
【だまし討ち】が好きな【罠使い】サイキッカーらしく、【演技】と【念動力】で戦いますよっと。


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
綺麗な人。なんだか女性みたい。
質問したいことはたくさんあるけどそうも言ってられないみたい。
1つ、よろしくお願いします。

相手は格上。それに武器も多量。
少し負担がかかるけど頑張ろう。
先制攻撃はこちらの動きに合わせて。
それなら移動のフェイントを。右から前進、と見せて後退。
焦らない演技と度量を秘めて。
マカブルでの放射はストックを貯めてから。
こちらは受け。そこから騙し討ち。
攻撃は12回?回転して更に倍?
飛威、排出のストックを1つ残しておいて。
私も、からくり人形ではあるから。
.....という演技だけど。
出しきる戦いは苦手。でもそうも言っていられない。


天春御・優桃
華々しく、ラストダンスと行こうぜ兄ちゃんよ

UC「塵風」で高速移動。空中すら足場に【ジャンプ】【ダッシュ】重ね、刃と踊る【ダンス】のように【空中戦】

装備した戴天空刃、転地鉄塵の天地【属性攻撃】で切り結ぶ

ピリピリしやがる
とんでもねえバケモンだな
どの毘沙門刀を優先して防ぐか、も考える暇ねえ……!【第六感】に任せて、どうにかかわしていく

ああ、負けるな、じり貧だ
仕方ねえ、出来るか知らねえがやってやろうじゃねえか

天変地異とまではいかねえが、目覚めの霹靂程度にはなんだろ!

UC「空錵」。戴天空刃、転地鉄塵を半暴走させるように過剰展開。

凪鎖で刀を弾き
刃霞で移動を阻み
颯錆で牽制し

風と鉄の刃で切り裂く

アドリブ歓迎



●剣鬼滅殺:四人の強者(つわもの)たち
 幾度目かの再生にして再世を果たした時、軍神は即座にカッと目を見開いた!
「――上か!」
「さすがは軍神か、お見通しかい兄ちゃんよ!」
 頭上から声! 直後、十の魔剣が直上めがけてドリルめいて渦を巻き走る!
 しかして声の主――頭上アドバンテージを得ていた天春御・優桃は、
 焦ることなくこれを迎撃。がぎ、がぎぎっ! と、空中を躍るように飛び渡るのだ。
 刃がぶつかりあうたびに火花が散り、晴れ渡った蒼穹の空を剣呑に染め上げる。
 だが上杉謙信の鋭い視線は、優桃とは別の少年に向けられていた……!
「うおっ、怖っ! うひょー、いかにも高潔そうな軍神サマだなぁ!」
 へらりと笑い、九条・真昼はおどけてみせた。だが互いに警戒態勢である。
 優桃が魔剣を切り抜けるにはまだ幾許かの時間がかかる。そして集中もだ。
 真昼はその隙に軍神を不意打ちしようとし……ご覧の通り、察知されたというわけだ。
「俺さ、そういう顔した敵って好きじゃないけど嫌いじゃないんだ。
 ――そのおきれいな顔が、苦虫噛み潰したみたいに歪んでくれれば最高にハイなんでね!」
 上杉謙信は柳眉を顰めもしない。まるで無価値なものを一瞥するような眼差し。
 真昼は肩をすくめる。あれは油断しない。黒と白の双魔剣を手放しもしない。
 ではそこに挑みかかるか。馬鹿げた話だ。真宙はそんな武芸者などではない。
 仮にそうだったとして、あんな『我こそは剣の道に生きた高潔な武人でござい』なんて面をした男相手に、どうしてその流儀に乗らねばならない。
「……って思ったけど」
 真昼は笑う。頭上からは断続的な刃と刃がぶつかり合う音。
「その剣で勝っちまったらプライドボロボロだよな?」
「…………」
「そういうわけでチャンスなんだ、覚悟しろやイケメン野郎っ!!」
 来るか。軍神はすでにこの会話だけで、真昼の身体能力を測りきっている。
 恐るるに足らず。あれはブラフ――さもなくば本気の身の程知らずだ。
 十の魔剣を呼び戻すまでもなし。この双魔剣を以て斬り裂くのみ……!
「――って、考えちまうよね。ハハ、だから高潔系のキャラってさぁ」
「!?」
 軍神は訝しんだ。敵になにかの動きがあれば即座に魔剣で叩き切るつもりだった。
 ……"だった"のだ。だが振るおうとした剣が、重い。異様に重い!
「おっと、なんだこりゃあ! 急にこっちがフリーになったぜ!」
 空を舞っていた優桃も驚いた。さもありなん、無理からぬことだ。
 なにせ彼を切り裂こうと振るわれていた十の魔剣が、突如として反転し、
 眼下の敵――すなわち、上杉謙信本人めがけて降り注いだのだから!
「ウザイウザイウザイウザイ消えろ消えろ消えろ! ハハッ、バーカ!」
 真昼だ。"伝染毒電波(スーサイド・スプレッド)"!
 意思を持たない存在――すなわち無機物すら狂わせる不可思議の波長!
 それが今魔剣を犯し、主に仇なす反逆の刃へと堕落せしめたのだ……!

 ……とはいえ、それで槍衾ならぬ刃衾にされ死ぬのかと言えば、無論それは否。
 だからこその越後の龍。だからこその軍神。だからこその魔軍将。
 その身を貫くと思われた刃は寸前でぴたり! と一斉に静止し、
 上杉謙信を貫くのではなく……その身を中心に、竜巻じみて回転を始めたのだ!
「我が意を翻弄し、我が刃を叛逆させるとは……許しがたい蛮行!」
「っはは! そうだよそれそれ、その顔ォ!」
 真昼はとびきり小馬鹿にした顔で、激憤した上杉謙信をあざ笑う。
 当然、軍神はその怒りのままに、刃の竜巻と化して真昼を切り裂こうとする!
「――させない」
 だがそこへ! 噫、華奢な少女がひとり、否、何人も割り込み身を挺した!
 メイド服を着た少女たちが、見るも無惨に魔剣に切り裂かれていく、噫……いや!
「……人形か!!」
「フェイントをかけるつもりだったけど、それもいらなかった」
 然り。身を挺して真昼を救ったのは、神元・眞白が従えるからくり人形たち!
 そして無傷! なぜならば、彼女自身もまた、人形としてそこにいたからだ!
「十二本の魔剣、どれも強くて恐ろしい――ねえ、綺麗な人」
 感情を示さぬ眞白の瞳が、きっと軍神を見据えた。
「……出し切る戦いは苦手だけど。受け取ったものは、お返しするから」
 オペラツィオン・マカブル――! 荒れ狂う属性が、一気に軍神めがけて……!!

 そしてこの時、優桃とは別に、もうひとりの男が好機を狙って動いていた。
 間合いを詰める戦闘機動は一瞬。その身に纏うは尋常ならざる天の摂理。
 アルトリウス・セレスタイト。世界の規矩を、その原理を識る者。
 それゆえに残骸となったはずの男。しかして意思の瞳をきらめかす男。
「――貰った。軍神よ、お前が何度蘇ろうと」
 白く輝く死の原理を抱いた拳を振り上げ、振り抜きながらアルトリウスは言う。
「何度でも、俺たちはお前を堕としてみせよう。滅びの闇、骸の海へと。
 お前がそこにすら存在しない、完全なる無と化すまで――何度でも、だ」
 原理到達。具象化された武装は、属性反射を逃れた軍神の胴を叩いた。
 生命ではなくその根源を死させる絶対の原理が、再帰し続け体を灼く!
「ぐ、おおお……ッ!」
 逃れようとあがいた。その身をがしゃりと優桃の鎖が戒めた。
 魔剣も。四肢も。もはやあがくことすら許さぬとばかりに。
「天変地異とまではいかねえが、目覚めの霹靂程度にはなんだろ?」
 男は慇懃に笑う。振り上げるは風と鉄の刃。
「あばよ兄ちゃん。こいつがひとつの終焉(ラストダンス)だ」
 斬撃到達。軍神は、終わりなき闇に堕ちていく己を幻視した。
 それは幻であり、しかしいつかは到達するはずの未来である。
 またここに一度、彼奴は滅びのさだめを叩き込まれたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 かつては私も生者だった。いや、私のカタチの根源というべきか。
 それはすでに終わったもの。過ぎ去った道程。ここにある私には関係ない。
 オブリビオンとはそういうものなのだ。過去の残骸であり、世界のノイズである。
 ……猟兵よ、お前たちは、なにゆえに我らを滅ぼすのだ?
ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
――12の属性刀を駆使する武将――相手に不足なし。ミッションを開始する。

(ザザッ)
電脳体拡散――。
本機の肉体収束を解除し戦域へと拡大。
虚像を交え相手の目を眩まし、攻撃の的を絞らせない。
(範囲攻撃+フェイント+目立たない+迷彩)

それでも敵は本機に的を絞り攻撃を仕掛ける。
本機の経験からして、敵は"そうするだろう"。(学習力)
それでいい。"FEED-BACK"。
敵の攻撃を本機内に取り込む。
攻撃転用・武装に反映。(武器改造)

強化した武装を以て敵を狙い撃つ――。

――。
それでも一手足りないならば、
本機の全行動を他の誰かの布石とする。
(援護射撃)
いるだろう、"勘の良い"ものの一人や二人。
(ザザッ)


ロク・ザイオン
……なぜ。
お前が「かみさま」なんだ。

(天裂け地が割れようが、森は逃げない。其処にある。
なれば森に立つ森番も、その自然に順応してみせよう。
「烙禍」で己に利する地形を広げながら
【野生の勘、地形利用】で生き延び【ダッシュ】で敵に肉薄する。
この天地を操る力、制御は難いのだろう。
張り付いていれば、お前もこの猛威から逃げ得まい)

おまえは。
ただの、欲深いひとの骸で。
病だ。


非在・究子
い、いっつも、先制攻撃、されて、ばかり、だがら、な。
た、たまには、こっちから、先に、全力の、一撃を、先制で、叩き込んで、やりたいよ、な?

じ、陣を抜ける、段階、から、TASさんの、力を、借りて、最初から、限界突破速度、フルスロットル、だ。
じゅ、12の毘沙門刀の、守り、それを、超えた、最速の、速さで、軍神に、とっておきの、一撃……ちぇ、チェーンソー形態の、《ゲームウェポン》を、ぶつける。
……だ、だって、軍『神』、なんだ、ろ? 『神』特効の、武器といえば、チェーンソーに、きまってる。(そう言う認識を【ハッキング】で押し付けつつ)

『かみは バラバラになった』


虹結・廿
「了解、任務を遂行します。」

・陣を抜けた直後に召喚しておいた分隊を散らして配置、待ち伏せし特定ポイントにキルゾーンを作りおびき寄せ最大火力で一気に叩きます。

他の猟兵と戦闘中の目標に対して遠距離から「援護射撃」を行い、注意を引きます。
12本の刀は厄介ですが距離が取れるならば、「見切り」出来ないわけではないはず。
そして、ターゲットをこちらに移した場合、後退し[追い詰められ]つつポイントに誘導。

ポイントに到達後、「零距離射撃」を敢行しこの身を犠牲に目標の動きを縫い止め、分隊による「一斉発射」を行います。

完了後、囮役の義体を廃棄、召喚中の分隊どれかに意識を移し再び遠距離からの援護射撃に移行します。



●剣鬼滅殺:獣、鋼、人形、写し身

 ――ばごぉうっ!!

 まるでそれは、見えない風を束ねに束ねて、撥条めいて解き放ったかのような、
 とにかくそれほどの轟音であり、そして吹き抜ける風はあまりに鮮烈だった。
 音の壁などとうに越えている。ともすれば光にすら達するのではないか。
 そう思わせるほどの"何か"が、車懸りの陣を抜けて此処へ来る。
 軍神はそれを知覚した。知覚したが――だから反撃できるのかと言えば、別だ。
 それがニヤついた緑髪の小娘だと視覚が入力したときには、もはや遅い。
 ギャリギャリギャリギャリ!! と剣呑にうなるチェーンソーが叩き込まれ、
 袈裟懸けの太刀筋が肉を削ぎ、ぞっとするような血を噴き出していたからだ。
「ぐう……ッッ!!」
「フ、フヒヒ。た、たまには、せ、先制攻撃するのも、き、気持ちいいな!」
 非在・究子は陰気な笑みを浮かべ、まんまと食らった軍神をあざ笑った。
 強大なオブリビオンとの戦いは、概して常に絶対先制の矛盾がつきまとう。
 それを如何にしてくぐり抜けるかが肝であり、辛酸を舐めさせられたこと幾度も。
 今だからこそできる八つ当たり。その成果は激甚たる働きぶりだったと言っていい!
「こ、このまま、かみをバラバラに、してや――」
 ぞくり。究子の笑みが消えた。軍神の鋭い視線に囚われたからだ。
(ヤバい)
 究子は即座にそのスピードで離脱した。それが彼女の命を救った。
 復讐に燃える軍神による、残忍なまでの猛追が始まったのだ。

 ……"自己"の在り処がどこにあるのかを、あの時からふと考えるようになった。
 他愛もない、もっと言えば何の必要もない、非合理的に過ぎる感傷だ。
 ただ、彼女――虹結・廿は、そのたびにあの風景が脳裏に浮かんだ。
 破壊された残骸(じぶん)を抱えて、子供のように泣きじゃくる彼女の姿。
 宥めすかされ諭されて、それでようやく微笑んでくれた彼女の姿。
 ……それを見て、"前の自分"を少し羨ましく思った、自分自身に。
 虹結・廿はサイボーグである。その身はもはやヒトではない。
 機械と、魔術と、もっとおぞましい何かをこねあわせた、代替可能の物体だ。
 ゆえに虹結・廿と呼称されるべき自我はそこにありて存在せず、
 いくら義体(いれもの)が破壊されようと、自我が無事ならば問題ない。
 前も後もない。己は己だ。虹結・廿だ。連続した自我だ。だから人間で……。
「……。……分隊、配置完了。高速移動物体接近中、全義体構え」
 脳裏に訪れたノイズを振り払い、廿"たち"は無機質に銃を構える。
 そこへ――来た。全速力で逃げる究子、それを追う刃の嵐。上杉謙信!
「そこの猟兵! こちらへ避難してください、廿"たち"が対処します!」
「わ、わわわわ、わ、わかった!!」
 究子は背中をえぐろうとした刃をかろうじて躱し、声をあげた廿とすれ違い、
 ごろごろと転げるように避難。そして遅れて状況を理解する。
 寸分たがわぬ同じ姿をした少女たち。あれはなんだ? ヤドリガミか?
「さ、サイボーグ、か……?」
「射撃開始、撃て!」
 BRATATATATATATATATA!! 迫りくる軍神に廿たちの一斉射撃が叩き込まれる!
 だが止まらぬ。降り注ぐ弾丸はすべて十の魔剣に切り払われている!
 切れ長の瞳が廿のうちの一体を捉えた。これでいい。廿は射撃しながら後退する。
 おお、だが。間合いを詰める速度は廿の想定をあまりにも越えていた――!

「――あ、あ゛ァああァアアアァァアアあぁああ゛゛!!」
 その時、獣の咆哮が戦場を震わせた。誰もがその声に慄いた。
 それは女であった。怒り狂いたてがみをなびかせる女。ロク・ザイオン。
「にじゅう、を! きずつけるなぁアアああ゛ぁァア!!」
 なんたるひび割れた忌々しい声。それが弾丸じみた速度で横合いから飛び込んだのだ!
 燃え盛る焼印を槌のごとく振り上げ降ろし、しかしてそれはたやすく躱される。
 燃え上がる地形を飲み込むように、おお、瑞々しき木々が生い茂る!
「ちがうッ!!」
 ロクは怒り狂う。樹の魔剣がもたらす、偽りの繁茂にすら怒り狂う。
「お前は、"かみさま"じゃない! 森をうむな!! だれも傷つけるな!!」
「獣め――」
「うう、うぅうう、うううううう!!」
 埒が明かぬ。木々は生まれては焼け焦げ、炭化したそれらは再び森となる。
 それがロクの癪に障る。だが結果としてこれがインタラプトになった!
「ロクさ――」
「む、無理、無理、だ。あ、あれ、こ、声、届かない、ぞ」
 声をかけようとした廿を究子が留める。然り、ロクはもはや嵐であった。
 廿は己の体を犠牲とするプランを放棄せざるを得ない。カオスがそれをさせぬ。
 全力で食い下がるロクが少しでも戦えるように、分隊とともに援護する他なし!

 軍神は苛立っていた。
 なんだこいつらは。なんだこの獣は。なんだあの木偶人形どもは。
 苛立たしい。何もかもを吹き飛ばしてしまおうではないか。
 そして十二の魔剣を解き放とうとした、まさにその時――。

 ――ザザッ。

「……これは!?」
 ザリ。ザリザリ、ザリザリザリザリザリザリ。
 電子の砂嵐が吹きすさぶ。戦場を覆い隠す砂嵐(ノイズ)がひどい。
「!!」
 ロクは瞠目した。究子も理解した。廿もまた状況判断した。
 軍神だけが遅れる。だが見える――砂嵐の中に見える虚像!
「見えているぞ、小賢しい!!」
 黒魔剣――アンヘルの名を冠されたそれが、虚像めがけて槍めいて飛来した。
 そうとも。そうするだろう。ああ、"味わったのだから知っている"。
 ジャガーノート・ジャックは淡々と理解した。納得し、プランを続行した。
 かつて己は、あの忌まわしき黒魔剣の名に由来した魔剣士と相対した。
 として貫かれ、届くことなく斃れた。今もその記憶はここにある。
(ゆえに、お前が"そうする"ことを僕は知っている)
 そして来た。過去をなぞるかのように投げ放たれた黒魔剣。アンヘルの魔刃。
(――ならば僕は、その過去をも乗り越えよう)
 おお。ジャガーノートは……避けることなく、その刃を受けたのだ!
「――!!」
 ロクはそれを見ていた。相棒が砂嵐の中から現れ貫かれる瞬間を。
 だがすぐさま眦を決し、ジャガーノートではなく敵へと飛びかかる。
 廿はどうだ。彼女もまた同様。分隊を配置した状態で自らゼロ距離圏内へ。
 そして究子。ここが潮目だ。この一瞬をつかめるかがゲーマーの鍵なのだ!
(い、一回で、た、足りない、なら――)
 世界が鈍化していく。否、停止しているようにすら。
(――何回でも、バラバラに、してやる)
 そして再び、大気が爆ぜた。

 ――ごびょうっ!!

 砂嵐が爆ぜる。そこで起きたことはあまりにも一瞬であった。
 串刺しにされたはずのジャガーノートは、その黒魔剣を分解吸収し、
 あまりにも馬鹿げたサイズのハンドカノンを生成、これを射撃した。
 よもや応報の一撃が来ると思っていなかった軍神はこれを防ごうとしたが、
 そこにロクが来る。燃え盛る焼印の一撃が、大地ではなく軍神の脚を裂いた。
(貴様)
 そう言おうとした余裕はあったかもしれない。ロクは睨み返した。
(おまえは、ただの欲深いひとの骸――病(てき)だ)
 厳然と、決然と、峻厳と。苛烈に。
 そして廿! 突き出した銃口が、さらに軍神の両肩を破砕させ爆裂させた!
(……これなら、ロクさんも、心配しないよね)
 心の中の呟きは、きっと彼女自身がこぼした心からのものなのだろう。
 そして。
《――お前は知らないだろうし知ることもないだろう》
 砂嵐を纏う黒い豹が、いった。
《――その剣の名を持っていた者もまた、こうして重なり合う必然のはてに斃れた》
 軍神が捉える。大気を爆ぜさせて迫る死神じみた少女を。
《――そして、お前は同じことを言うだろう。すなわち――》

《「――バカな」》
「か、神様なら、ば、バラバラに、なっちまえ」
 驚愕の視界を、殺戮のチェーンソーが斬り裂く。バラバラに。無数に。
 かくて。神を驕ったヒトの末路は、また一度の滅びを迎えたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 なぜだ。なぜ、限りある存在であるお前たちは、それほどまでに戦える。
 無限であるはずの残骸(われら)を相手に、諦めることなく戦えるのだ。

 ……無駄な問いかけか。
 答えを得たところで、私はそれを忘れてしまうのだから。
竜石堂・はつら
【FH】
謙信さんはとても強そうですが皆さんと一緒なら大丈夫そうな気がしますっ!
はつらさんもとても気合十分ですっ
それでは、始めましょうっ!

ぺたぺたと周りを歩いたりして、静かに時を待ちましょう
散歩でもするように自然体で皆さんを信じていますっ!

そしてここだという時が来たら勢いよく走りだします
オリヴィアさんが空を行くのなら、はつらさんはリアさんが出してくれた錨鎖を駆けましょうっ
12本の刀をよく見て予想し、感じて、最小の動作で避け、勢いを殺さないままに接近、【一太刀】を叩き込みます
力だけでなく、流れだけでもなく、ひっくるめた全部を込めたなら、唯、一太刀で十分ですっ!


リア・ファル
【FH】
軍神の冴え、充分に学習させてもらったよ
反撃といこうか

独りじゃない。ならば勝機はこの手の中にある
今を生きる皆の明日の為に!

正純さんを援護しつつ、こちらの攻撃の機会を作り出す!
毘沙門刀をサーチ、演算解析

多少のダメージは覚悟の上、自分の弱点は把握しているので
魔術符から相反属性を皆と、銃、ヌァザに付与

味方への攻撃は援護射撃を交えつつ、自身への攻撃は武器受けで逸らす

毘沙門天の加護だろうと、軍神無敗の伝説だろうと
ボクの縛鎖が、全てを封じ絶つ!

UC【封絶の三重錨】起動!

30秒でも止められれば、十分!
錨鎖を渡れば一気に接敵できる

後を託せる仲間がいるから。
九十九さん、オリヴィアさん、はつらさん!今だよ!


形代・九十九
【FH】
攻撃こそ最大の防御という。
……おれが皆の盾となろう。
心せよ、上杉謙信。おまえの戦術……パクらせてもらう。
俄仕込みの猿真似なれど、数だけは多いぞ。さあ、廻れ……車懸りの陣よ!

●方針
正純の作った隙に乗じて『偽・百鬼夜行』で43体の武装した分身を作成、本体合わせ44人で車懸りの陣を模倣、正面から対峙して謙信の耳目を引く。
数の利を活かし、次々攻め手の入れ替わる連続攻撃で消耗させつつ【学習力】で動きの癖を探っていく。
無論、数の利だけで優位に立てる相手ではないと【覚悟】している。
損傷は【激痛耐性】で堪え、破壊された分身の残骸も【念動力】で操作、謙信の頭上から刃の雨を降り注がせる【罠】とする。


オリヴィア・ローゼンタール
【FH】
最大の一撃を叩き込む……
一対一ならば不可能でしょうが、私には頼れる仲間がいます

同行した方々が謙信の気を惹いている間に、白き翼の真の姿に変身
リアさんのイルダーナを足場代わりにさせてもらい、跳躍からの飛翔(ジャンプ・空中戦)
強化された【視力】を以ってしても視認ギリギリの超高高度まで

全身に聖なる炎の魔力を纏う(属性攻撃・破魔・オーラ防御)
たとえ弱点となり得る水属性の刀を差し向けられようと諸共蒸発させるほどの超高熱で(全力魔法)
後方へ【衝撃波】を放ち、加速しながら落下
【踏みつけ】【熾天流星脚】で粉砕する
我が身を天より降る流星と成さん――!


納・正純
【FH】
さて、みんな準備良いかい? 相手は強敵だが、上手く力を合わせていくとしよう。
それじゃァ――、作戦開始。

●方針
欲張らず、一度のチャンスに全員が狙いを絞る形で協力しあう。
俺の役割は隙を作ることだ。
敵がUCで自身を強化するのと同時にUCを発動し、1LV分の5発の弾丸と29LV分の1発の弾丸を作成。
敵の接近を弱い方の弾丸で牽制しつつ相手を油断させて深追いを誘い、放射に合わせて強い方の弾丸でそれを相殺して隙を作って見せよう。

――悪ィな、さっきまでのは全力じゃないのさ。
アンタほどの強敵ともなれば、工夫しなけりゃ隙の一つも作れないんでね。
リア、九十九。繋ぎは任せたぜ。
はつら、オリヴィア。決めてこい。



●剣鬼滅殺:天高く、空高く手を伸ばすかのように
「……五人、か」
 車懸りの陣を抜け、目の前に立ちはだかる猟兵を見、上杉謙信は呟いた。
 然り、五人である。年も、性別も、格好も得物もかなりバラバラの五人組だ。

 竜石堂・はつら。
 リア・ファル。
 形代・九十九。
 オリヴィア・ローゼンタール。
 納・正純。

 陣を抜けて襲いかかるという前提上、上杉謙信の不意を討つことは極めて難しい。
 ……それを差し引いても、この五人がわざわざ姿を見せたことは違和感がある。
 つまり、それ自体があちらの策なのだ。しかし六人目がいるということはあるまい。
 であれば、おそらくは一部の者が陽動を務め、残りがこちらを攻撃する算段か。
 ……ということを、上杉謙信はこの一瞬で見抜いている。事実それは正解に近い。
 悪魔的なまでの戦略眼、そして判断力。ゆえにこそ軍神と謳われた者なのだ。
「怖い怖い……アンタみたいな手合いは見られるだけでもブルっちまう。
 何もかもをお見通し、それでいて冷静沈着、落ち着き払ったその眼だ……」
 正純は淡々と、しかし油断ならぬ警戒した面持ちで言う。
「――そういうヤツを出し抜いた時ほど、最高の快感が味わえるもんさ」
 ……軍神は無言。
「さて、みんな準備はいいかい? うまく力を合わせていこうじゃねェか」
 敵を前にして呼びかけるという余裕。実際それは腹芸のようなものだ。
 軍神はやはり無言。その眼差しは一点を睨みしかして全てを見通している。
 四人は頷く。正純はにやりと笑い、手慰みにいじっていたコインを指で弾いた。
「――それじゃァ、作戦開始だ」
 その瞬間、あらかじめ示し合わせていたかのように、一斉に時間が溢れかえった。

 この男を、殺す。
 上杉謙信の判断は端的であり、確定的であり、もはや決定事項であった。
 この口の減らない銃手を、殺す。これが司令塔だ。間違いなくこいつが中枢だ。
 わざわざ見せつけてくれたのはブラフであろう。ならばそれに乗ってやる。
 一撃で頭を叩き潰し、力量差を痛感した猟兵どもを独りずつ刈り取るのだ。
 軍神はそう判断し、十の魔剣を風車の如く己に纏うことで力とした。
 正純が親指で弾いたコインは、空中で6つの弾丸に変わってバラバラと掌へ。
 本来なら薬莢に召喚するのがこの"六極定理(ワイルドキャット)"だが、
 あえて弾数を晒す。情報とは、時として明かすことが利益になるものなのだ。
 残る四人は? 軍神は斬り捨てた。即座の攻撃はないと判断したからだ。
 渦を巻く猛将が、銃を構える正純へ迫る。致死的速度、そして暴威!
「一(ひとつ)、飲み込め」
 BLAMN! 弾丸は魔剣に切断破砕され消滅!
「二(ふたつ)、覚えろ」
 BLAMN!! やはり弾丸は届かぬ。相対距離がみるみるうちに縮まる!
「三(みっつ)、研ぎ澄ませ」
 BLAN!!! やはり同じだ……!
「四(よっつ)、削ぎ落とせ」
 BLAMN!!!! 正純よ、逃げろ! その弾丸はもはや敵には通じない!
「五(いつつ)、束ねろ」
 BLAMN――! おお、敵の威風のあまりに狂ったのか、魔弾使い!
 軍神はもはや目と鼻の先。十の魔剣が鋒を向け、双魔剣を大手に構える!
 四人は手助けしない。かろうじて援護攻撃をしているのはリアただひとりだ!
 だが、噫! その攻撃もやはり届かぬ。魔剣結界はあまりに攻性なのだ!
「六(むっつ)――」
「必要ない。死ね」
 そして、四方八方はおろか十二方から同時に振るわれた、魔剣が、

 ……バギャンッ!!

「何」
「――"極めろ"だ」
 軍神は瞠目した。魔弾使いは笑った。同じ弾丸。たった一発の弾丸。
 しかしてそれは魔弾である。20と9の弾丸を合わせた"とっておき"だ。
 刃に撃たれた弾丸は、あろうことか十二魔剣全てを跳弾しこれを弾いた!
「悪ィな軍神、さっきまでのは全力じゃなかったのさ」
 僅かな空白。正純は笑い、外套を翻して思いっきり後方に跳躍した。
 軍神は追おうとする。否、悪手! ここまで踏み込まされたこと自体が!
「――さあ、繋ぎは任せたぜ!」
 号令に応じ、リアと九十九が軍神の前に立ちはだかった!

「オリヴィアさん!」
「はい、リアさん! 失礼しますっ!」
 背中から白き翼を生やしたオリヴィアが、低空飛行するリアの乗機を蹴った!
 その勢いを糧に羽ばたく。空へ。空高くへ! もっともっと高くへと!
 魔剣がこれを追う! だがリアのイルダーナがそれをさせぬ!
「く、うううう……っ! こっちだって、弱点は把握してるからね……!」
 事前に仕込んだ魔術符が、己を斬り裂く魔剣の呪力を和らげてくれる。
 だが無傷ではない。それも覚悟の上だ、応報の援護射撃が降り注ぐ!
「ちィ……」
「通さない」
 軍神は苛立ちをあらわにした。目の前に立ちはだかる小柄な少年に。
「心せよ、上杉謙信。お前が絶対とした戦術――模倣(パク)らせてもらう」
 見よ。軍神の前に立つのは九十九独りではない。否、"九十九ばかり"だ!
 なんたることか。これこそが彼の"偽・百鬼夜行"で模倣された人形たち!
「「「にわか仕込みの猿真似なれど、数だけは多いぞ」」」
「貴様、まさか」
「「「さあ、廻れ――車懸りの陣よ!!」」」
 然り! 合わせて四十四体、放射状の並びはまさに風車!
 白魔剣を振るい分身を薙ぎ払う軍神。だが次の瞬間新たな分身が目の前に!
「「「かかれ!」」」
「この程度の児戯じみた贋作で、私を敗れると思うかッ!」
 ガギッ! ガギ、ギ、ギガギギギギギッ!!
 絶え間ない九十九たちによる波状攻撃、狙いすましたリアの援護射撃!
 ならばとリアの方へ意識を向ければ、そこに正純の魔弾が襲いかかる!
 忌々しい。我が陣を模倣し足止めをしようなどとは。あからさまな時間稼ぎ!
「ジャマを……するな、雑魚どもがッ!!」
 どぉう――!!
 全魔剣の属性を波濤めいて解き放ち、さらに刃を嵐のごとく乱舞させ、
 立ちはだかる人形を、降り注ぐ攻撃の雨を、魔弾をも軍神が吹き飛ばす!
 あの小娘! 空高くへ飛んでいったあの小娘――そして呑気に歩く、あれを!
 殺す。奥の手を打ち砕き、最大級の絶望を与えた上で潰すべし!

 ……だが、はたして九十九の護りを越えたとて、リアを貫いたとて。
 そこにハマった時点で、もはや軍神は術中にあったのだ。
 対応の優先順位を"つけさせられている"こと自体が、もはや策のうちなのだ。
 全てバラバラに砕いたはずの人形どもが、それでもなお空から降ってきた。
 残骸を使った目眩ましなどこしゃく。すべてまた吹き飛ばしてくれよう。
 ……いや待て。なぜ九十九は、あの小僧は、わざわざ"上から"降らせた?
 違う。これは目眩ましではあるがそうではない。"隠しているもの"が違う!
 護り、欺いていたのは、後方に退いた正純ではなく、あの小娘でもなく!
「解析完了。無敗の伝説何するものぞ、ボクの縛鎖の力を見せてやるっ!」
 がらがらがらと音を立て、残骸を弾いて降り注ぐは三界の縛鎖!
 それらは腕に、脚に、さらに喉に絡みつき、おお! 魔剣どもを封じ込めた!
「ぐ、ううううっ!!」
「言ったはずだ」
 ボロボロの有様で、膝をつく九十九がうっそりと言った。
「数だけは多いぞ、とな――」
「小僧……!!」
「オリヴィアさん、はつらさん! 今ッ!」
 軍神は弾かれたように空を見た。そしてこちらへ駆け込んでくるはつらの姿を!
 己を縛り付ける鎖を走り渡り、こちらへとまっすぐに来るその姿を!
 はつらはここまで何もしていない。それは恐れゆえか? それとも怠けていたと?
 否である。一瞬でいいのだ。一瞬、一撃、一打、一動!
 仲間たちが繋いだか細い糸を鎖を渡り、ただ与えられた一撃をなす!
 それこそがはつらの役目であり、もっとも得意とすることであり、そして!
「力だけでなく!」
「小娘――」
「流れだけでもなく!」
「小娘ェッ!!」
「ひっくるめた全部を、皆さんと一緒に込めたなら!!」
 魔剣は来ない。鎖がそれを戒める。軍神は防ぐことも攻めることも出来ぬ。
 はつらは悠然と刀を振るう。敵を斬れると信じたその一刀を!
「――唯、"一太刀"で十分ですっ!!」
 斬撃、結実。真一文字の剣閃は、胴体をばっさりと深々斬り裂いた!
「我が、毘沙門刀よ! 我が魔剣たちよ! 起これ!!」
 しかして敵はオブリビオン! 血反吐を迸らせながら鎖を解き放つ!
 魔剣の制御を取り戻し、相打ちにしてでもこの猟兵どもを――。

「……オリヴィア、お前の番だ。決めてこい」
 魔弾使いが笑った。演算終了、予測完了。結果、全てはプラン通りに。
「――はぁああああああああっ!!」
 空から来る。天高く、空高くへ昇った戦乙女が、まっすぐに。
 大気を焦がすほどの炎を纏い、音の壁をも斬り裂いて。
「我が身は流星! 破邪の輝き、その身で受けるがいい――!!」
 軍神は星を視た。空から地上へ、己めがけて落ち行く流星を視た。
 オリヴィア。超高高度からの垂直落下蹴撃。熾天流星脚(ブレイズ・ストライク)。

 星蹴着弾。

 猛る炎が放射状に伸び上がり、魔剣どもを飲み込み燃えていく。
 その只中。ガラス状に融けたクレーター、四人が見守る土煙の向こうには……。
「あなたはひとり。私には頼れる仲間がいた。……だから、私たちの勝ちです」
 静かに祈る、オリヴィアひとりだけが立っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ……何が足りない?
 神の如き軍略。十と二つの魔剣。そして我が鉄壁にして精強なる布陣。
 何が。何が不足している。私と猟兵どもの間で、一体何が?

 ……何が。我が滅びを決定づけているというのだ。
セリオス・アリス
アドリブ歓迎
今更名乗りなんざ聞くまでもねぇ
先ずは先制攻撃
歌で身体強化して
ダッシュで2回斬りかかる
一度は友と倒した敵
今はアイツは居なくて
まだ、アイツが死んでいると思っていた頃を思い出す
ハッ…走馬灯じゃあるまいし
感傷に浸ってる場合でもねぇな

ああ、それでも
いずれアイツに大切な人ができて
隣を譲ることになったらきっと
今と同じ思いをするのだろう
それなら尚更
セリオスと、アイツが名を呼ぶ
その一声
思い出の一欠片も
なくすわけにはいかねぇんだよ!
【望みを叶える呪い歌】で
全力の炎の属性を込めて
炎なら単純に水が来るか?
弱点を補う相手がいねぇなら
その水を蒸発させるくらい
強く燃やせ
できるだろう?
燃やしてるのは命と歌なんでな



●剣鬼滅殺:"蒼炎魔鳥"セリオス・アリス
 再生を終えた上杉謙信めがけ、まっすぐと突き進む敵意があった。
 揺るぎなき直進。陣をくぐり抜けることによる被弾すら厭わぬ突撃だ。
 かすかな歌が響く。軍神はそれに耳を貸すことなく、淡々と見返した。
「いまさら名乗りなんざ聴くまでもねぇ、その首もらったぜッ!!」
「――温い」
 ガギ、ガギンッ!!
 強烈な斬撃、ふたつ。されど白と黒の双魔剣がこれをたやすく弾く。
 織り込み済みだ。セリオスは反動でバク宙を打ちながら、脳裏で考える。
 すでに一度、彼は上杉謙信をその手で滅ぼしている。
 ただし、単独ではない。そう、誰よりも信頼する友と肩を並べて。
 だが今はいない。――そんな寂しさが、ふと、過去を思い返させた。
 あの頃。"アイツ"が、幼馴染がもう死んでしまっていたと思っていた頃。
 生きながら死んでいるような日々。掴み取った自由にも意味を見いだせなかった頃。
(――ハッ、我ながら縁起でもねぇ)
 強敵との立ち回りの最中に過去を追想するなど、まるで走馬灯だ。
 そら見ろ。魔剣がすぐ喉元を通り過ぎて去っていく。死ぬところだ。

 そうとも、感傷に浸っている場合などではない。
 だが。ああ、いつか。アイツに、誰か大切な人が出来て。
 己が立つための"隣"を、その"誰か"に譲るときが、きっと来るのだろう。
 あんなヤツだ、引く手あまたでそう遠い話でもあるまい。
 そうしたら自分は、その姿を後ろからひとりで見やって、今のように――。

『……セリオス』

 きっと、アイツのことを……。

『――セリオス、今だ!』
 脳裏によぎる声。笑ってしまう。現実に意識が追いつく。迫る刃!
「この思い出のひとかけらも、なくすわけにはいかねえんだよッ!!」
 ガ、ギィン!! 燃え上がる炎の剣が裂帛の気合とともに弾かれた!
「炎だぁ? こんなのマッチの火遊びだな! 本物の炎ってのはなぁ!」
 思い描け。歌に紡げ。それが魔力を高めて己の力となしてくれる。
 燃え上がれ。燃え上がれ!何よりも強く。水をも飲み込むほどに!
「命を糧に燃え上がる、この強い輝きこそが炎なんだよッ!!」
 敵は水の魔剣を振るう。遅い、そしてあまりにも温い!
 蒼き炎を纏ったセリオスの剣が、軍神の体をジグザグに斬り裂いた!

成功 🔵​🔵​🔴​

壥・灰色
‪壊鍵‬、爆殺式
起動

天変地異も、なにもかも
おれの‪壊鍵‬で吹き飛ばしてやる

魔術により肉体硬度を激増、それと衝拳——メリケンサックを使用しての格闘戦を挑む
足下で衝撃を爆ぜさせ、至近距離格闘のため間を詰め
天変地異が敵に自滅的被害をもたらしかねない距離で闘う

格闘の合間に小石を手に取り、『爆弾』化至近距離からショットガンめいて投擲炸裂、ひるめばその隙に衝撃波を伴う拳のラッシュを叩き込む
礫も使うし、流れる血を目潰しにもする
生憎おれはサムライでもなんでもない
使える手ならなんでも使って、謙信、おまえをここで殺す

戦国最強、その肩書きに敬意を払おう
だからこそ、おれの全力で殺りに行く

魔剣六番器
壥・灰色
推して参る



●剣鬼滅殺:"雷轟電撃"壥・灰色
 傷が燃える。尽きることなき炎が、滅びたはずの残骸を責め苛む。
 軍神は歯噛みした。こうして我が身は何度滅びたというのだ?
 十か。二十か。否、否、否。私が斯様に圧倒されることなど……。
「……‪壊鍵‬、爆殺式(ギガース・ザ・デトネイター)、起動」
 ざっ、ざっ。
「立ち上がれ、上杉謙信。おまえはまだ戦えるはずだ」
 ざっ、ざっ……ざっ。
「お前のその全てを、おれの‪壊鍵‬で吹き飛ばす。天変地異も、何もかも」
 軍神は睨みつけた――目の前に現れた、徒手空拳の青年を。
 刀なし。剣なし。銃もなし。
 強いて言うならば、その拳にはめ込んだメリケンサックが唯一の武器か。
「……私を相手に、素手だと」
「おれに武器は必要ない」
 灰色は端的に言いファイティングポーズを取る。バチバチと蒼電が溢れる。
「来い。おまえのその刀で、天地を揺るがし変異させてみせろ。
 おれはそれを打ち砕き、叩き潰し、そしておまえを殺す。ここで、何度でも」
 なんたる不遜。いいだろう、ならば毘沙門天の真髄を見るがいい。
 十二の魔剣がきいいいいい、と不穏にいななく。そして属性魔力が、
「――!?」
 軍神は瞠目した。一瞬の間に、すでに灰色のは眼前に!
 背後で大地が爆裂する。魔剣の力? 否、衝撃だ。この小僧の衝撃が!
「……小癪!」
 己をも自滅させようとインファイトに持ち込んだか。それこそ笑止。
 土・火の魔剣属性を重ね合わせ、大地の溶岩を渦巻かせ噴き出させる。
 さながら訓練された蛇のごとく、爆ぜた地面から噴き上がるマグマは、
 軍神だけを裂け、しかし荒ぶる世界蛇のごとくにのたうち回った。
 大軍すらも吹き飛ばすであろう暴威。この間に一撃を叩き込むのが狙いである。

 狙い、であった。
 だが魔剣は、目の前に在り、すさまじい速度の格闘攻撃を繰り出した。
 受けざるを得ない。先の踏み込みで、四肢の放つ衝撃はよく理解できている。
 軍神は歯噛みする。大地を飲み込むほどの溶岩が、渦を巻く氷の竜巻が、
 異常速度で伸長する木々が、光が、闇が、何もかも何もかも!
 繰り出される格闘攻撃をいなしながら、後退せざるを得ない己を掠める。
 天変地異の尽くが、この青年ひとりを殺すのに何の役にも立っていない!
「――」
「!」
 驚異的速度のラッシュの合間、指弾めいて放たれた小石を見逃してはいない。
 飛び道具で不意を突こうてか、その程度――KBAM!!
「ぬうっ!?」
「遅延信管、発動」
 これこそが爆殺式! 触れたものに衝撃を込め爆弾に変える! なんたる搦め手!
 一瞬だ。たった一瞬。虚を突かれた軍神はラッシュを凌ぎきれない。
「あいにく、おれはサムライでもなんでもない」
 静かな声がした。そのときにはもはや衝撃は、波を伴い荒れていた。
「おまえを此処で殺す。戦国最強に敬意を払い、おれの全力で――」
 嵐の如き拳。拳、拳! 荒れ狂う衝撃! 爆ぜる大地! まさに天変地異!
「貴様は……ッ!!」
 白黒魔剣を振るう。カウンター――ダメだ、遅い。腹部にストレート!!
 吐瀉物を撒き散らし吹き飛んだ軍神を、腰を落とした灰色が睨み見据える!
「魔剣六番器、壥・灰色。――推して参る」
 再び大地が爆ぜる。まるで天変地異の如く。
 だがそれを起こしているのは、十二振りの魔剣でも戦国最強の軍神でもない。
 それを討たんと己の全性能をつぎ込んだ、たった独りの人間兵器なのだ……!!

成功 🔵​🔵​🔴​

アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と

先の陣は見事だった、さすが軍神と謳われた将だ
手合わせ叶い喜ぶのは武人の性だな
―殿下はどうか、私の背に
全ては防げず傷負おうと、彼をかばい刃の前に立つ

斧槍から作る数十の氷の刃で迎撃
手数多ければ凍てつかせるまで
押し留められなくば斧槍で受け、結び合う
剣も巧みとは全く惜しい才だ!
払い損ねた剣が主に防がれ、苦い顔を浮かべた
…申し訳ございません、殿下。助かりました

迎撃中、マントの陰に数本の氷刃を隠して
狙いは足元、隙見て地面と足を凍らせる
踏み込めなくば刃に力は乗せられまい!
槍を回転、力溜めた一撃で穿つ

貴殿の人柄は打ち合えばわかるものだ
だがその才も過去のもの、未練残さず逝かれよ


マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)と

まあ、優秀な軍師さん
わたくしの騎士とどちらが優れているかしら?
アラン、頼みましたよ

騎士の影に潜みながら、
眼前の男の死角から迫る刃を愛用のナイフで受け持ち迎撃します
氷を解かすような一刀は弾き、雷帯びる刃は地へ叩き折りましょう
わたくしの苦手はアランへ、アランの苦手はわたくしへ
うふふ、わたくしも役に立つでしょう?

反撃の氷刃が放たれたと同時に敵の背後へと回り込む
トンと宙蹴り、足をアランを見る軍師の視界から消えて見せましょう
鎧の隙間、急所目掛けて構えた短剣の刃を閃かせ、刀奮う腕を破壊する
わたくしの役目はアランの一撃を確実に通す為の足止め

ごめんなさい、一騎打ちを叶えてあげられなくて



●剣鬼滅殺:アラン・サリュドュロワ&マリークロード・バトルゥール
 敵は万軍を手足の如くに操り、兵を鏖殺し戦場を蹂躙する魔将。
 これを単独、あるいはたったふたりで凌駕する。当然易いことではない。
 ……だから? 容易いことではないから、退くというのか?
 マリークロードも、アランも、そんな選択肢を選びはしない。
 負傷しながらも敵は軍神、越後の龍とまで謳われた魔剣士である。
 挑み踏み込んだアランは舌を巻いた。敵の魔剣の重さ、そして疾さに!
「先の陣は見事。それどころか剣も巧みとはまったく惜しい!」
 ガギ、ガギ、ガギギン!!
 斧槍から生み出された氷刃、都合数十以上のジゼルの殺意は、
 しかして十と二つの魔剣に切り払われ、融かされ、応報の連撃が来た。
 重い。そして疾い。それでいて振り抜いた後の動作に一切の隙がない。
「私の腕を称賛している暇はあるまい、猟兵ッ!!」
「いかにもそのとおり、しかし――騎士として、退けぬ場所もある!」
 喉元狙いの白魔剣をかろうじてハルバードでいなし、石突を叩き込む!
 黒魔剣の峰がこれを受け止めた。そして浮かび上がる十の魔剣が迫る!
「……ッ」
「――その騎士も、わたくしが手を貸してあげなければ形無しね」
 ぎきぃんっ!!
 円月をなぞるような短刀の剣閃が、不意打ちを狙う魔剣どもを切り払った。
 アランの体を影にして潜んでいた、マリークロードによる援護である。
 しぶとくもさらに、ジゼルの氷を融かす炎の剣が迫る。
 逆手に構えた短刀でこれを丁寧にいなし、雷帯びた刀は大地へと鋭く打ち付ける。
「うふふ、わたくしも役に立つでしょう?」
「申し訳ございません殿下、助かり……ましたッ!!」
 互いをねぎらう余裕もなし。再び矢継ぎ早に襲いかかる魔剣の嵐!
 業を煮やした軍神は、十の魔剣を己の周囲に集めて竜巻じみて纏う。
 いいや、軍神を中心に魔剣が渦を描くさまはむしろ衛星というべきか。
 飛び離れた双方の間に緊張が走る。敵は……殺しに来る腹づもりだ。

『殿下。戦いの間、殿下はどうか私の背に』
『どうして? わたくしが……いや、俺がアランの役に立てないとでも?』
『そうではない。ただ、俺は君に――』
『…………』

 ……戦いに突入する前、交わした会話の内容が脳裏によぎった。
 死線をくぐり抜ける最中の走馬灯か? だとすれば笑えもしない。
 マリークロードは過去の幻影を振り払い、敵の背後めがけて跳躍した!
「相手は私だぞ、軍神よッ!!」
 一方の騎士は足を止め、迫りくる刃の嵐と化した軍神を迎え撃つ!
 そして翻った外套から、隠し持っていた氷の刃が杭のごとく放たれたのだ!
「ぬうっ」
 やられた。軍神の軸足が凍れる刃に貫かれ体軸が揺らぐ。
 ――いや、フェイントだ! 氷刃はわずかに逸らされている!
(……今は、アイツを信じるほかない!)
 それをわかっていながらアランは踏み込む。ハルバード一閃!
 狙いすました双魔剣の斬撃が、騎士の胸部を貫――か、ない?
「これは!」
 マリークロードだ。背後に回った彼の短剣がざっくりと腕を斬り裂いている!
 けして確実ではない不意打ちだった。だがアランはそれに賭けたのだ。
 己らは偽りの主従。されど戦場にありて、命を託すに足るのは――。
「貴殿にはわかるまいな、私たちのこの連携の理由はッ!」
 凍れる矛が、傷ついた軍神にさらなる一撃を叩き込む!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

隠・イド
さて、戦神の伴う魔剣というのがどれほどのものか
楽しみになってきたなァ

手に持つのは自身と半ば同化した異形の大太刀
それはつまり、俺自身

持ち手無き刃
自分で自分を喰らったところで出せる力など知れている
だもんで、軍神と打ち合ったところで勝てるかっつーと怪しいところだ

だがそれで良い
俺が打ち負かしたいのは軍神『上杉謙信』でなく
魔剣『毘沙門刀』なのだから

それぞれ違った特性を持つ12の魔剣
確かにそりゃ便利だろう

だが、俺が目指すのは究極の一
この世に唯一つ、完全無欠の兵器だ

マッチ棒が12本あったところでどうするよ
1本1本、丁寧に噛み砕いてやる

肉体が斬られようが刺されようがお構いなし

俺を折りたきゃこの魂ごと貫くんだな



●剣鬼滅殺:"降魔孤剣"隠・イド
 ……それは互いに、あまりにも異形の魔剣同士であった。
 かたや、意のままに浮かび走り斬り裂く十と二つの魔剣。軍神の剣。
 かたや、その身と半ば同化した、持ち👉なき異形の大太刀。
 およそどちらも、人が振るうべき刃ではない。
 当然だ、なにせどちらも人ではないのだから。
 降魔兵装オロチ。魂を喰らいて力を増す、魔を殺す魔。同族殺し。
 いまその異形が喰らうのは、それを本体とする化身――すなわち、イド自身。
 矛盾である。この世に輪廻の蛇など無い。己を喰らおうと腹は膨らまぬ。
 だからこそ降魔兵装は、魔を討つ魔であり呪われた剣であるのだ。

 ……だが、見よ。異形の魔剣と魔剣使い同士が打ち合う様を見よ。
 渦を巻いて剣を振るい、十と二つの魔剣で敵を討とうとする軍神を。
 ボロボロの体に意気を満たし、なおも敵を殺そうとするその姿。
 ――その柳眉が、切れ長の瞳が、瞠目している様を。
「なぜだ」
 振るった炎剣が砕かれる。
「なぜだ――!」
 振り下ろした樹剣が呑まれて折れた。
「なぜ。我が毘沙門刀が、そのような出来損ないに負けるというのだ!?」
 わからぬ。おかしい。ありえないのだ。
 いかな魔剣・聖剣・妖刀・邪剣ですら、これほどの呪力はあるまい。
 森羅万象十二の属性を束ね、光も闇も、過去も未来も斬り裂く我が刃。
 無敵であるはずなのだ。
 無敗であるはずなのだ。
 だのに、なんだこれは。
 なぜ、たかが魔を喰らう剣ひとつが、否、剣の形をした魔ごときが、
 次から次に我が剣を叩き割り砕きへし折り飲み込んでいる!?
「アンタにゃわかるまい。その便利な魔剣に頼り切りのアンタには」
 異形の大太刀を己の半身の如く――事実そうなのだが――振り回し、
 幾振り目かの魔剣を噛み砕いた人型の魔が、イドが、嗤った。
「俺が目指すのは究極の一。並ぶものなき、この世に唯一つの兵器であること。
 完全無欠。天下無敵。何かを補う必要も、使い分ける必要もない一にして全」
 魔剣が砕かれる。噛まれて、折れて、喰われる。
「"芯"が違うんだよ」
 黒魔剣を振るう。噛み砕かれる。
「マッチ棒がいくらあろうが大木を斬れるかよ」
 白魔剣を払う。バラバラに折れて呑まれた。
「……魔剣は、所詮魔剣だ。俺は、そういう"魔"を喰らうモノなのさ」
 全身に数多の傷を負い、しかしてイドは凄絶に嗤った。
 心の臓を貫こうが意味はない。この魂(ねがい)を貫いてみよと。
「……怪物め」
「褒め言葉だね。ありがたく受け取っておくぜ」
 涼やかな顔で、降魔の魔は最期の獲物(てき)を噛み砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ……私が、猟兵に劣っていたのか。最強と謳われたこの身が。

 噫。そうか。
 所詮我が身は過去の残骸。たとえ"上杉謙信"が戦国無敗の軍神であれど――。
 滅びより立ち戻りし我は、ただそれと同じ姿をしただけの……。
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

状況開始。強襲の時間だぜ
互いに有能な司令塔同士だ…どっちのプランが上か、勝負だ
こんな大量の兵士なんざ必要無い。
俺にはこの"2人"だけ十分ってなもんだ

見えた──発動予知完了
【早業】で素早くダメージの無いウィルスを撃ち込む
使ってみろよ、その手札!もれなく『反転』しちまうけどな!
弱体化はさせた…後は2人が上手くやるかどうかだ

全サイバネを【ハッキング】、出力限界突破
コンバット・ドラッグの摂取で【ドーピング】
毘沙門刀を弾くことに専念
近接戦闘には付き合ってやるよ
ネグルにだけ負担をかけるわけにはいかねえからな

しかしこの毘沙門刀…
もし属性も『反転』させられれば──
戦局が変わるかもしれねえな…?


ネグル・ギュネス
【アサルト】◎
任務了解
大量の敵に三人で挑むとは、まさに御伽噺のようだな
一騎当千、見せてやろう

状況開始
UC【勝利導く黄金の眼】を起動
貴様より未来を、数秒先を私は行く

毘沙門刀は銃の【二回攻撃】や、刀を振るった【衝撃波】で撃ち墜とす
潜り抜けてきたものは、【武器受け】で切り払い、接敵

さあ刀の勝負と行こう
私には僅かな刃しか無いが、黒刀をもって挑む!
先読み、打ち合い、先読み、剣戟───私の役目は、貴様を棒立ちにする事

コンマ数秒でも止まれば、アイツらは撃ち抜くのさ

そして決定的な隙あらば
黒刀と見せかけ、鍔迫り合いから脇指『春陽』で心の臓を貫いてやる

さて、如何だったかな?軍神殿
華麗にとはいかぬが、我らとの戦は。


鳴宮・匡
◆アサルト


生きて帰らなきゃならない理由がある
なら、勝つしかないよな

毘沙門刀は対応できる限りは軌道を逸らして回避
複数の攻撃に晒されて完全回避困難なら
属性を見極め「より致命的と思われるもの」を優先して弾く
例えば凍結や毒は生身には致命的だろうし
こちらの動きを封じるような効果がありそうなものも面倒だ
見極める「眼」には自信がある

前で対応する二人が作った隙を逃さず狙撃
無防備でいてくれる時間は殆ど無いだろう
相手の動きは具に観察、分析して
少ない好機で確実にダメージを通せるよう注力

こっちの攻撃に気を取られて隙を見せれば、
……それであっちの敗着だ
首を獲るのが誰だろうが関係ないんだよ
「チーム」だからな



●剣鬼滅殺:強襲の三人
 車懸りの陣。
 たとえ一群を薙ぎ払おうと、すぐさま次の兵=扇が目の前に馳せ参じる。
 上から見れば風車。将を中心にくるくると回る、戦国無敗の陣形。
 これを破るのは易くない。その数、練度、いずれも精強なれば。
 だがこれを踏み込めねば前提は満たせない。魔軍将・上杉謙信は倒せない。
 であればどうする。くぐり抜けるか? はたまたこそこそ逃げるか?
 どちらでもない。ただまっすぐに強襲(アサルト)し、撃ち貫く。

 ヴィクティム・ウィンターミュート。
 ネグル・ギュネス。
 鳴宮・匡。

 男たちはそうやって戦場を駆けてきた。
 仲間たちと共に走り、
 敵と死線を切り結び、
 そして勝利を得てきたのだ。
 案の定、アサルトを名乗る男どもはやってのけた。
 車懸りの陣を弾丸の如く真っ直ぐに駆け抜けて、見よ! 颯爽たる幻影!
「越後の龍、上杉謙信! その首級、貰い受けるぞッ!」
 朗々と名乗る様は一騎当千の強者まさしく。ネグルが愛機を駆り嚆矢となす!
 再生を終えた上杉謙信、この高らかにして勇壮な一騎駆けを淡々と見据えた!
「猟兵よ。ただまっすぐに討ちに来るというならば、私もまたそれに応じよう」
 二つの魔剣を両手に携え、残る十の魔剣を渦巻かせるは衛星の如し。
 今や上杉謙信そのものが車懸りの陣であり、その速度は累乗倍にも高まる!
 これぞ毘沙門刀車懸かり! だが根ぐるの黄金の瞳はその未来をすでに視ていた!
「過去の残骸よ。私は、我らは! 貴様よりも未来を往くッ!」
 ガギンッ!! ギャリギャリギャリギャリ!!
 処刑ギロチンめいて待ち構えていた双魔剣を、ウィリーした前輪が受け止める!
 弾かれた勢いそのままにネグルはムーンサルト、追いすがる刃を魔銃で迎え撃つ!
 愛機を囮にして見事な初太刀の受け流し。着地したネグルへ頭上から軍神が!
「!!」
 キンッ! なんだ? 軍神は突如あらぬ方を見やって魔剣を振るった。
 おお、そこにいるのはステルス迷彩で身を隠していたヴィクティムだ!
「ハ! 不可視のウィルスもたたっ斬る? これだからサムライってのはよ!」
 ガギン、ギキン! 軽口の合間に放たれる電脳の弾丸は魔剣が切り払う!
 手札が届かぬ。チェックメイトか? いいや、ここからがArseneの本領だ。
「あいにくだが、飛び道具ならもっと"本業"がお前を狙ってるぜ?」
 ――ガァンッ!!
 死角からの鋭いスナイプ。これすらも十の魔剣がミキサーめいて撃墜。
 影めいて身を潜めていた匡は、リロードをしながら冷静にポジショニングする。
 男三人、三方それぞれに分かれ敵の攻撃を誘っている。
 誰から殺す。如何にして殺す――そのような算段こそが敵の術中。
 軍神は一蹴する。すべて、まったく同時に、ことごとくを殺すべし!
「来るぞ、ネグル、匡! ここからが本番だぜ!」
「応! 我らの連携を見せつけてやる!」
「――生きて帰るさ。死にに来たわけじゃあない。だから、勝つぜ」
 刃の嵐が……その威風と相まって、倍以上に膨れ上がった……!

 前衛はネグル、そして己の機能をブーストしたヴィクティム。
 匡は常に付かず離れずの距離を取り、攻撃を誘いながら援護射撃。
 この三人を相手に、攻防を繰り返しながら立ち回る軍神は見事と言える。
 絶え間なく送り込まれる電脳ウィルスと弾丸を抜け目なく撃墜し、
 ヒットアンドアウェイで斬り込むネグルの接近戦に応じる。
 一進一退。互いに好機を見いだせぬままにどれほどの時間が経ったか。
(あちらの攻撃は、俺の"眼"なら見極められる。そのための距離も取ってある)
 リロードしながら匡は沈思黙考する。己が踏み込み敵を引きつけるべきか?
 ……いいや。ヴィクティムが踏み込むつもりだ。また火中の栗を拾おうてか。
 だがまあいい。生き残るには、今此処で各々が死力を尽くさねばならぬ。
(任せるぜ。――その分、俺は俺の仕事を完璧にやってやるさ)
 心のなかで言う。それは己自身への発破でもあった。

 ネグル、ヴィクティムがまったく同時に踏み込んだ!
 匡を狙い撃ちにしようとしていた軍神はこれを受けざるを得ない!
 破魔の雷光を纏う黒刀を双魔剣で受け流し、その倍以上の反撃を叩き込む。
 いかに黄金の瞳が先読みしようと限界がある。少なからぬ刃傷!
「シャル・ウィ・ダンス? なあんてな!」
 そこへヴィクティムだ。オーバークロックとドラッグによるドーピング。
 額に血管を浮かべ、血走った眼のランナーがガラスのナイフを繰り出す。
 疾い。そして殺意に淀みがない! 十魔剣は受け太刀に回らざるを得ない!
「そら、そらそらそら! 直接ウィルスを流し込んでやろうか、あぁ!?」
 軍神は状況判断した。まずこの小賢しい電脳魔術士を殺すべし。
 だがネグルがそうはさせぬ。かつての彼ならば身を挺して悪童を守ったろう。
 しかしヴィクティムならば避けると読み=信じ、あえて脚を狩りに行く!
「ぬうっ!」
 的中。ヴィクティムは致命的攻撃をサイバネ部位で受けて逸らした!
 脚を裂かれた軍神の動きが止まる。刹那、されど戦場では致命的!
「――"視えた"」
 それがあればいい。千篇万禍の弾丸は、ただそれだけで敵の逆鱗を貫く。
 弾丸が放たれる。軍神は魔剣を盾のごとくに重ねて之を防ごうとした。

 その懐に、影のように潜り込む男がいた。
「シーッ……騒ぐなよスクィッシー。あいにくお前はどうやっても詰みだったんだ」
 ヴィクティム。どう転がろうと、誰がどの役目に回ろうと。
 "敵を倒す"。その目的を叶えるために、己すらもポーンとして配置した。
「端役からの贈り物だ――さあ、受け取れよ」
 ガラスの破片が腹部を突き刺した。そこから電脳の毒が流れ込む!
「相棒!」
「もう撃ったさ。終わってる」
 ネグルは笑う。斬撃動作から、さらに回転しての横斬撃!
 軍神は逃れようとした――出来ぬ。反転効果! 一切の速度がでない!
「がはっ!!」
 さらに深く裂かれた傷口に、吸い込まれるようにして魔弾が飲み込まれていく。
 血が飛沫く。そうとも、ここにいるのは神などではない。
 あるいは神だったとしても、"だからこそ"敵は追い詰められるのだ。
「我らとの戦、華麗とはいかぬが満足してもらえたかな?」
 瀟洒に言い放つ鋼の男も、
「ああ、中々の強敵だったぜ。だが、盤面に居ちゃあ俺には勝てない」
 火花を散らしながらタフに決める悪童も、
「――俺たちは、"チーム"だからな。お前とは違うんだ」
 さらなる弾丸を狙い撃つ男も。
 彼らは皆、未来を勝ち取る人として、ここへ来たのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【龍墜】
――越後の龍
こんにちは、普通の竜です
ええ、あなたと同じ人の身で
人におそれられる怪物よ

では、先手をどうぞ

水衛さんが戦場の上書きをして
灯理が怒りの星を降らせるのなら
まあ逃げたいでしょうね、たまらないわよね
――それでは、ここでジョーカーを
【YoU ARe Mad JEsTeR!】
攻撃したいのならどうぞお好きに
全て私の手の内です。無効化したらあとは
私の思うがまま踊ってもらうわよ

ああ、2人を守りながら立ち回るわ
決めの一手に欠けるスタイルで焦らす
私に集中してちょうだい
ヴァイシュラヴァナによろしく、謙信様
ところで――願い事、しておいたほうがいいんじゃない?
派手に砕け散れ。隕石にぶつけてあげる


鎧坂・灯理
【龍墜】
ハティ/f07026 水衛/f01428

おい、貴様。ふざけるなよ。
越後の龍だと?過去の分際で。私の目の前で!
我が伴侶の前で!人間が竜を名乗りやがるか!

――潰してやる。

水衛の後ろでUC発動 墜ちろ天の怒槌!
奴ごと大地を抉れ屑星共
呼び寄せる隙は二人が必ず埋めてくれる
隕石に対抗するためには奴も技を使うだろう?

天空のクソジジイが一帯を闇で満たしたなら蹂躙開始だ
念動力でハティが殴りやすいよう動きを封じたり
流れ弾が水衛にいかぬよう『朱雀』で狙撃して弾こう

奴がハティと踊っている間に再びUCを使う
貴様など地を染める価値もない
そら、星が来るぞ!龍を名乗るなら受け止めて見せろよ!
ふざけやがって。


水衛・巽
【龍墜】
社長(f14037)
ヘンリエッタ女史(f07026)

はじめまして関東管領殿
突然ですがこのまま海の底にお帰りいただきます

あえて毘沙門刀天変地異を誘発するよう
稚拙で煮えきらぬ攻撃を連発
むしろ負傷は積極的に受けて
致命傷やその類いのみなんとか回避したと思わせる

これが軍神の力量ですか、実に手強い
毘沙門天の化身という名も納得できるというもの

天変地異の気配を察知したら女史と社長へ合図
被害が出ないよう間髪いれず天空魔境を発動し
戦場を上書き
心構えもなく闇に飲まれれば軍神とて多少は怯むでしょう

なに、必要なのはただ一瞬だけ
それで社長の足止めと女史の仕上げが完了します
それではごきげんよう、堕ちた越後の龍



●撃排冒没、刹那の交錯
 "竜"とは、単に爬虫類めいた姿の魔獣を、強大な獣を指すだけの言葉ではない。
 古代中国の思想においては、河や霊的な地脈――すなわち大きな"流れ"を龍とし、
 また皇帝や王たるものの権威の象徴として、その姿はシンボル化されている。
 すなわち龍とは、おおいなるもの、まつろわぬもの、おそろしきもの。
 人にはけして抗えない、人を超えた、"荒ぶるもの"を示すと言える。
 ゆえにかの名将は越後の龍と呼ばれた。その比類なき才覚と強さをもって。
 そしていまここに、もうひとりの"龍"がいる。
「こんにちは、"越後の龍"」
 ヘンリエッタ・モリアーティ。犯罪王とあだ名された生粋の"怪物"。
 心なしか、その背丈は普段よりも二回りは大きく見える。
 しかして痩身の女は、目の前の魔剣士にそぐう迫力があるようには見えない。
 だが、軍神は警戒した。己がもはや満身創痍にある、ということもその一つだが、
 この痩せぎすの女の、何か底知れないプレッシャーを畏れたのだ。
「……お前は、何者だ」
「見ての通りよ。ただの女、ただの猟兵、そして――普通(ただ)の"竜」
 なんてことのないように犯罪王は云う。
「あなたと同じ人の身で、人におそれられる怪物(もの)よ」
 うっそりとした声音である。しかしその表情は嗤っているようにも見えた。
 あるいは……天地をも焦がす燃える吐息を繰り出す、竜のようにも。

 一方で、そんな彼女の隣から前に一歩踏み出した女は、激昂していた。
 ただでさえ鋭い瞳をさらに釣り上げ、髪が逆立たんほどに怒気を撒き散らし、
 その激情に呼応した念動力がばち、ばちばちと周囲でスパークしていた。
「おい、貴様。ふざけるなよ」
 鎧坂・灯理。竜の"つがい"であり、しかして人間であり、ただ脳が優れただけの女。
 その激情は荒々しいが竜のそれと呼ぶにはあまりにも低俗であり、矮小であり、
 だからこそ軍神を訝しませ、警戒たらしめるだけの恐ろしさがあった。
 当然だ。怒り、狂い、憎悪した人間ほど恐ろしいモノはいないのだから。
「過去の分際で……私の目の前で。我が伴侶の前で。竜を僭称しやがるとは。
 たかが人間だったモノが、そんな名前で呼ばれていた過去が、目の前に立つなど」
 この際、過去にこの世界でそう呼ばわれていた人物のことはどうでもいい。
 その輩が、いまここで、"己らの前に立ちはだかっていること"が不遜なのだ。
 苛立つ。不快だ。たまらなく吐き気がする。鬱陶しい。
「――潰してやる。過去として蘇ったことを後悔させてやる、塵芥め」
 あまりにも不当、子供の八つ当たりめいた筋違いの憎悪である。
 だが、人間とはそういうものだ。そして、その怒りで神すら殺すモノだ。

 斯様な女たちと対称的に、さらに一歩前に出た水衛・巽は落ち着いていた。
 では、そこに敵に対する容赦や慈悲があるのかと言えば、否。
「はじめまして、関東管領殿。お役目、実にご苦労さまです。
 ――しかし残念ですが、このまま骸の海の底へお還りいただきます」
 淡々と、しかし柔らかな声音で、必滅を告げる。それは当然のことだろう。
 ただ、この戦場――それも満身創痍の敵をこれから滅ぼそうという、
 死闘の直前とは思えぬほどに穏やかで、だからこそ苛烈な意思を感じさせた。
 敵は殺す。滅ぼす。そんなことは疑問視したり揺らぐようなことではない。
 前提中の大前提であり、そのためにここへ来て、それを為すことが使命なのだから。
 怒り狂う人間と同じぐらい、斯様な信念を貫こうとするモノも恐ろしい。
 軍神は己の最期を確信した。……では、潔く散ることを選ぶか。
「否」
 軍神は云う。竜を僭称する愚者は、その残骸は云う。
「滅び、消え去るのはお前たちのほうだ――死ぬがいい」
 オブリビオンは、そういう愚者(モノ)なのだ。
 そしてその傲岸不遜を示すかのごとく、天地を揺るがす呪力が木霊した。

 十二振りの魔剣。それらはそれぞれに異なる属性を体現する。
 そして彼奴が振るう双魔剣は、白と黒――未来と過去を操った敵の銘を持つ。
 それら全てを解き放つとどうなる? 山が砕けるか? 海が枯れるか?
 そのレベルではない。"空間そのものが罅割れて砕け散る"のだ。
 天が、地が、つまりはそれらによって構成される世界そのものが揺らぐのだ!
「毘沙門天の加護ぞここにあり。我らが世界の敵たる所以を知れ、猟兵!!」
 ここまでの大破壊は、当然軍神にとっても大きなリスクを孕む。
 ただでさえ制御が難しいこの術式、暴走すれば自滅の危険もあろう。
 しかしそうせざるを得ないと判断した。でなければ滅ぶと……否、
 おそらくはそうしても滅ぶという確信があったのだ。
 ならば、己の手が届く範囲だけでも、世界を砕いてしまおうではないか。
 見えない力が渦巻き、軍神を中心にびきびきと空間そのものにヒビを走らせる。
 世界の外側の諸力がなだれ込み、雷と氷と炎と土と光と闇とが荒れ狂った!
「これが軍神の力量ですか、なるほど、毘沙門天の化身というのも納得できる」
 巽がさらに前に出る。己の持つ呪術のすべてを賭してこの波濤を受けた。
 か細い。あまりにもか細い。十と二つの魔力が、指先を、腕を、肩を、
 さらにはその全身を斬り裂き引き裂き飲み込もうとする!
 稚拙だ。なんと甘き夢想。人ひとりで世界を呑む力を御そうとは。
 ――だが。"それ以上、波濤が薙ぎ払うことはなかった"。
「何?」
 軍神は訝しんだ。破壊が起きなかったことを、ではない。
 己が闇に呑まれたことを。一切合切が無明に包まれたことを、である!
「しかして我が術は天空すらも従えり。すなわち不実・喪失こそ凶将の権能。
 ――堕ちた龍よ、あなたの力など、所詮はその程度なのですよ」
 漆黒の闇から声がこだまする。軍神は憤懣を抱いた。何を誹るか!
 ならばこの闇すら――否、なんだ。闇の彼方から何かが来る。
「言ったはずだぞ僭称者、貴様は"潰す"とな」
 怒れる女の声である。そして降り来たるはなお恐ろしき星の禍(まがつ)。
「そら、星が来るぞ。龍を名乗るなら受け止めてみせろよ!」
 すなわち、星災。ケンタウルより降る露(わざわい)。星落としの術式!
「小癪な……!!」
 十二魔剣ここにあり。世界破滅の呪力を錐の如く細め、あれを穿つ。
 ――否。軍神は即座にその矛先を変えた。闇から現れた赤黒の道化師へ。
 十二の色が連なり、極光となった魔力そのものをただひとりの人間にぶつけたのだ。
 そうせねばならぬと本能が叫んでいた。あれは、危険すぎると!

 ……だが。
「ああ、残念。せっかくの全力攻撃、台無しにしてごめんなさい」
 道化師めいた女は、さっぱり笑っていない顔で、淡々と言った。
「でもあいにく、それがこの"切り札"の力。この闇はもう私の舞台場。
 あなたがどう踊り、どう舞って、どう滅びるかも私が決めるのよ」
 軍神は再び魔剣たちを引き戻した。その二つを手に取り斬りかかる。
 取った。そう確信した。だが女はやはり無傷でそこにいた。
「毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ)によろしく、謙信様」
 斬る。滅ぼす。燃やす。凍らせる。飲み込む。穿つ。何も意味はない。
「最期はどうぞ――せめて派手に、砕け散ってちょうだい」
 星が来る。そこで道化師はようやく嗤った。
 軍神は滅びの瀬戸際に知った。それがなぜ龍と呼ばれているのかを。
 ――人には、けして手に負えぬ化け物だからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月26日


挿絵イラスト