エンパイアウォー㉕~ボケてボケてツッコませて~
●富士の火口付近
「あー、猟兵とかいうのもけったいなやつらやなー」
かつてはヤドリガミであったオブリビオンが富士山の火口近くからひょっこり現れる。
「まさか、富士山の噴火儀式止めてしまうなんてなー。せやからウチがこないな雑用せなあかんねん」
オブリビオンは悪態をつきながらもその手に持った太陽の力を宿した『霊玉』を懐に入れる。
「こないなモンが太陽の力ねぇ。全くコルテスはんも人使い……いやハリセン使いが悪いわー」
そしてオブリビオンはそそくさと下山を始めるのだった。
●富士の霊玉奪還戦
「皆のお陰でエンパイアウォーはなんとか優勢になってきておるようじゃの」
集まった猟兵たちの前に眼鏡をかけた付け髭……ケーシー・ヒゲヨシ(付け髭ヒーローマスク・f00695)がふよふよと浮遊しながらで語り掛ける。
「特に、霊峰富士の噴火の儀式を止め虐殺渡来人『コルテス』の陰謀を阻止できたのは僥倖じゃった」
なぜならば。
「先の作戦の裏で同時に同時に行われていた『霊峰富士に眠る太陽の力を盗み出して持ち帰ろうとしていた』オブリビオンの動きを察知する事が出来たのじゃからな!」
富士の噴火を企てていたコルテスだったが、それは猟兵達の活躍によって阻止された。
ならばとコルテス配下のオブリビオン達は、富士の火口近くに儀式場を設け、そこから、富士に眠る太陽の力を『霊玉』に変えると、それを奪って脱出しようと賭しているらしい。
「『霊玉』で何が出来るかは分からんが、コルテスの更なる悪事を企てるためのものに違いないじゃろう」
逆に言えば、この霊玉を奪い返し、富士の火口に戻す事が出来れば、コルテスは大規模な作戦を行う事が出来なくなるはずでもある。
「『霊玉』を持って撤退しようとするオブリビオンの撤退を阻止して撃破、霊玉を奪い返してきてくれ」
逃走しているオブリビオンは『ボケ殺しのハリセン』である。
ツッコミで幾多の相手を破裂し殺した曰く付きのヤドリガミのオブリビオンである。
何故このような存在が霊玉回収の任を受けているかと思うかもしれない……しかし実はこのハリセン、かなりの隠遁術の使い手なのだ。
視線誘導や気配の立ち方が上手く、儀式場からの逃走を図るのだが、その間に発見するのが非常に困難なのである。
「じゃが、このハリセン。ボケることでおびき寄せられるのじゃ」
ハリセンに生まれた宿命なのか……ボケにはツッコまずにはいられないらしい。
「戦闘においてもツッコミ疲れさせることで隙が生まれるかもしれんの」
因みに戦闘能力もそれなりに強い。簡単には倒し切れないかもしれない。
「じゃが、お主達であればきっと倒せる相手じゃろう。わしも悲劇はみたくないからのぅ。よろしく頼むぞい、イェーガー!」
「あ、それと『霊玉』は、そのまま放置すると一定時間後に火口のマグマに変化してしまうのじゃ。回収に成功したら火口から投げ入れるようにの。間違っても持ち帰ってしまったり森に放置したりはせぬようにな」
ナイン高橋
『このシナリオに成功する事で、コルテスの次の作戦を阻止するのに必要な、シナリオ数が減少します。
(作戦に必要な太陽の力が足りなかったという扱いになります)』
ナイン高橋です。
霊峰富士の噴火阻止おめでとうございます。
皆さまの頑張りのお陰で、コルテスの裏の作戦を察知する事が出来ました。
今回の依頼は『火山口から下山して逃げている最中のボスをぶち倒す』のが目的となります。
このオブリビオンはかなり隠遁術に優れているので普通に見つけ出すのは出来なくもないですが、ちょっと時間がかかるかもしれません。
しかし『思わずツッコミをしてしまうような』『ボケ』をする事でおびき寄せる事が可能です!
あんまり高度なギャグや時事ネタは超次元解釈をしてしまう可能性があったり、定番のお笑いネタ等はスルーしてしまったり、ナイン高橋の特性によってツッコミではなくボケツッコミをしてしまうかもしれませんが、
どうか、貴方の『ボケ』待ってます!
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『ボケ殺しのハリセン』
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POW : どついたろか!
【巨大ハリセン】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 何かツッコめや!
【つまらない】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【大量のハリセン】から、高命中力の【空気圧】を飛ばす。
WIZ : あーもうむちゃくちゃや!
【漫才師】の霊を召喚する。これは【猟兵disり】や【大音量】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:ロワぬ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「琥珀川・れに」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ネムネ・ロムネ
ガー…ピー…んん。てすてす。ただいまメガホンのテストちゅーです。
テステス。んん。聞こえますかー。ガガガ…
あっ。電源入ってなかったです。
よいしょ。これでいーですね。
コホン。
えー。
オブリビオンに告ぐのです。
あなたは完全にほーいされているのです。
無駄なていこーはやめて直ぐに
例のブツをネムに返すのです。
じゃないとこの辺りが火の海になるですよ。
んぇ?例のブツの名前?
勿論わかってるのですよ。
ちゃんと予習して来たのです。
ん。
れいたま?
ん?何か言ったです?
ネム、耳栓してるのでよくわかんねーです。
でも捉えたのです。
皆さんの言い分はよくわかりましたです。
それでは、お引き取り、です。
(呼び寄せた飛行船で砲撃開始)
●ネゴシエイター・ネム
「ガー……ピー……んん。てすてす」
富士の火口から下る山道にネムネ・ロムネ(ホワイトワンダラー・f04456)の可愛い声が響き渡る。
「ただいまメガホンのテストちゅーです」
隠遁術に優れたオブリビオンが何処に潜んでいるのか分からないネムネは交渉道具【電子メガホン】を構え、参道に向かって≪交渉≫を行おうとしていたのだ。
「テステス。んん。聞こえますかー。ガガガ……あっ。電源入ってなかったです」
よいしょとスイッチを入れるネムネ。
「『ガー』とか『ピー』とか地声だったんかーい!」
「おうそこのハリセン、出てくるのがはえーですよ」
せっかく凄い隠遁術で全く気配を感じさせていなかったオブリビオンが出だし早々にツッコミに出てきてしまっていた!
「ま、いーです。コホン」
ネムネは出てきたハリセンにメガホンを向けると予定通りに宣告を通達する。
「えー。オブリビオンに告ぐのです。あなたは完全にほーいされているのです」
因みにただいまの参加人数はネムネお一人様です。ありがとうございます!
「し、しもたっ!?思わずツッコミに出て来てしもーたやないかい!」
完全にネムネにロックオンされたハリセンは狼狽えて逃げ隠れする場所を探す。
「無駄なていこーはやめて直ぐに例のブツをネムに返すのです。じゃないとこの辺りが火の海になるですよ」
(火の海……くっやっぱり猟兵は侮れへんな。太陽の力を封じた霊玉はほっとくとマグマに戻ってしまう……樹海の中でマグマに戻ったりしたら一面火の海や。こいつ、ウチが何を持って逃げようとしてるのか、その特性までちゃんとわかっとるちゅーことやないかい)
ネムネの交渉術にすっかり疑心暗鬼になってしまうハリセンは、ここはシラを切る事にした。
「はー?なんやねん。例のブツとか言われてもなんのこっちゃ?」
ハリセンは露骨にネムネから視線をそらしながらしらばっくれる。
「んぇ?例のブツの名前?勿論わかってるのですよ。ちゃんと予習して来たのです」
そこでネムネはぺらりと一枚のメモをポケットから出して読む。
「ん。れいたま?……れいたまをよこすです!」
「そこ、『れいぎょく』ちゃうんかい!?」
スパーンと地面を叩いてツッコミしていくハリセン。
「ん、待てや?思わずツッコミ入れてしもうたけど、よう考えたらウチも『霊玉』って漢字でしか指示されとらんかったな」
ツッコミをするにも正しい知識で。
普通は霊玉とあれば読みは『れいぎょく』であろうが、この任務で指示されたものが本当にれいぎょくでいいのか。それとも固有名詞で全く読み方が違うのかは分からない。
「なんや……?霊がそもそも『たま』とか読むから……『たまたま』とかもあり得るんか?」
ぶつぶつ自分のツッコミに対して考察をするハリセン。
そしてそんなハリセンを見つめていたネムネはきょとんとした顔で首を傾げて。
「ん?何か言ったです?ネム、耳栓してるのでよくわかんねーです」
「耳栓してくるとか何処が交渉やねん!一切話聞く気ないやんか!」
バンバン!とハリセンが地面と叩く。
「あーもうむちゃくちゃや!こないなったらほんまもんの漫才師出したるさかい、勉強せいやー!」
ハリセンはもはやネムネの相手をしている暇はないと締めに入ると漫才師の霊を呼び出す。
どうやら、この霊によって逃走の時間を稼ぐつもりのようだ。
「でも捉えたのです」
しかし耳栓をしたままのネムネはハリセンの言い分など一切(物理的に)聞く事もなく、電子メガホンのレーダーでハリセンを捕捉する。
ネムの交渉道具【電子メガホン】。それは色々なレーダーも飛ばせる携行型拡声機。
つまり、上空に突如自動操舵で飛来した巨大飛行船からの砲撃をの照準の役割をしていたのだ!
そして十二分に、狙いを定める時間は稼いだ。
「皆さんの言い分はよくわかりましたです。それでは、お引き取り、です」
「せやから耳栓外してないのに、どの言い分を聞いとったんじゃーっ!???」
ドカドカドカーン!と足止めに出した漫才師の霊すらも巻き込むような砲撃に晒され、ハリセンは必死に逃げる事になったのだった。
成功
🔵🔵🔴
津久根・麦穂
【連携有無はどちらでも・アドリブOK】
ネム(f04456)の援護をしようと思いましたが
完全に出遅れてしまいました
もうどこにも居ませんね?
火山口……なるほど溶岩ですね
今回は装備をいつもの盗賊服から
【水陸両用服】に着替えてきました
これで溶岩の中でも活動可能です
おや、あなたはハリセン……ハリセンってなんでしたっけ
あなた……そんな紙みたいなナリで溶岩入ったら燃えてしまうのでは
本当はコルテスに嫌われているのでしょう?
え?溶岩には行かない?もう下山している途中?
そうですか、じゃあもう死んでください
ミミック、お任せしますよ
(UCにより【ミミック】が吐き出した【蒸気携帯仕掛け罠】は“焼夷爆弾”)
●水陸両用服で溶岩の中は歩けるのか
「ネムの援護をしようと思いましたが、完全に出遅れてしまいました」
津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)は
「しかしあの砲撃はきっとネムのものでしょう」
麦穂は見覚えのある巨大飛行船が上空からドカンドカンと打ち込んでいるのを見て敵が此方に逃げてきているのを察知していた。。
「そうなると、撃たれている貴方がオブリビオンのハリセン……ハリセンってなんでしたっけ」
麦穂の前にへーこら逃げてきたのはハリセン。
通説は色々あるが、芯のない扇子のような見た目のもの。
「『張り』倒すための『扇』子。略して『ハリセン』って言われとる事もあるそうやで!」
ハリセンは隠れる隙もなくヒィヒィいいながら解説してきてくれた。
「因みに音は派手やけど実際は全然痛ぉないのが出来のえぇハリセンらしいで。ま、振るう方の腕や材質にも依るけどな」
ウチは長持ちする上質な厚紙や!と誇らしげに語るハリセン。
やはり元はヤドリガミらしく自分の本体に関する話は饒舌になるらしい。
「なるほど。紙……そんなナリで溶岩入ったら燃えてしまうのでは?」
ハリセンのうん蓄を黙って聞いていた麦穂はそこで疑問を挟む。
「なんやて?」
ハリセンはきょとんとした顔(ハリセン)で持ち手より上の部分を傾かせる。
「この依頼、火山口の溶岩にいくのでしょう?」
そして麦穂は火山の方を指さす。
「私のように事前に情報を聞けておけばきちんと準備も出来たでしょうに」
そういって誇らしげに着てきた服に手を当てる。
そう、実は麦穂いつもの盗賊服から今回の依頼のために【水陸両用服】に着替えてきたのである。
「これで溶岩の中でも活動可能です」
「溶岩なめとんのちゃうか!?」
ハリセンは何故か水の中と溶岩の中を同一視している麦穂に思わずツッコミを入れてしまう。
しかし麦穂は飄々とした顔でハリセンに憐みを込めた視線を送る。
「本当はコルテスに嫌われているのでしょう?」
「ちゃうわ!?ウチはこの実力を認められてこの任務に就いとるんや!」
全く隠れてないけどこのハリセンの隠遁術は屈指の腕前なので本当です。
「え、でも燃えてしまいますよね?そんなところにいかせるなんて……」
「そもそも溶岩にはいかんし、もう儀式も終わっとるちゅーねん!」
バンバンと地面を叩いて説明するハリセン。始終麦穂のペースに呑まれてしまっていた。
「え?溶岩には行かない?もう下山している途中?」
ハリセンの説明を聞いてどうやら火山口に行く必要性はない事を悟る麦穂。
なんかちょっとだけ残念っぽい顔をしている。もしかしたら水陸両用服で溶岩の中を歩くのを期待していたような節があるのかもしれない。
「分かったか?ウチはこの『隠遁術』の腕を買われてこの任務に選ばれたんや。猟兵に出会わんようにするのが一番さかいな」
「そうですか、じゃあもう死んでください」
「いやツッコめや!?」
ツッコミ待ちだったハリセンに痛烈なスルーを行う麦穂!ハリセンに大ダメージ!
「ミミック、お任せしますよ」
そしてくるっと後ろを向くと、背中に背負っていたミミックがガフっと銃火器を吐き出す。
「な、なんやそれ!」
「あなたに相応しいトラップは決まりました」
麦穂のユーベルコードは背負ったミミックから相手に有効な蒸気携帯仕掛け罠を出し攻撃するもの。
そして今回は“焼夷爆弾”。着弾地点で燃え盛り、爆風などよりも火災によって燃やすための武器。
「燃えて下さい」
紙製ハリセンを容赦なく燃やすため、麦穂は焼夷弾を発射したのだった。
「ちょ、マグマの塊の霊玉もっとるウチを燃やそうとするとか頭とちくるっとるんちゃうかーっ!?」
ドカーンと炎になめられながらもダッシュで離脱するハリセン。
「大丈夫です。水陸両用服がありますから溶岩にも耐えきれます。きっと」
成功
🔵🔵🔴
自動・販売機
登山をしたことがあるだろうか?
その際に山小屋での商品の値段の高さに辟易したのではないか。運送にコストがかかるといっても、やはり高いものは高いのである。
そして自動販売機の商品もまた麓よりも高いのである!
急いで降りようとしている休憩の最中、足元を見るような値段にイラッとしてもおかしくない。
だが腹を立てて攻撃してはいけない。
それは器物損壊にあたるし、ものによっては何らかのセキュリティが付いている可能性もある。
例えばこの自販機は火砲が装備されている。
自動販売機になぜ火砲が、とは突っ込んではいけない。
そしてそもそもこの世界に自動販売機があることも突っ込んではいけない。
小さな事を気にしていては駄目である。
幽草・くらら
漫画家とかけまして名軍師とときます。
──どちらもコマの扱いが上手いでしょう。
どうも、幽草亭くららです。
……はっ!?ボケというか完結しちゃいましたよ!?
普段から1人遊びばっかりしてた弊害ですかねコレ!
私のスベりっぷりはともかく霊玉を返して頂きます。
しかしどちらも譲れないとはいえ無益な殺生は避けたいのが本音です。
という事でジャンケンで決めましょう。
私が負ければ潔く退くと約束します。
はい、【早業】と【クイックドロウ】でチョキ、つまりハサミを大量に描いて実体化!
貴方は紙!つまり何をしようがパー!私の勝ちですね、異論は認めません!切り刻みます!
無益な殺生は避けたいとか言ってたって?ケースバイケースです。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携・トリオ漫才(?)大歓迎】
いやー分かる、どうしても周りにツッコみたくなる気持ち。
あのボケ役連中、こっちがツッコミ気質だと分かると
嬉々としてボケ倒し始めるんだから始末に負えないよ。
しかしなーホントお前さん、なんでオブリビオンなんかになったのさ?
そのツッコミのキレ、冴え渡り方なら
お笑いのてっぺんも目指せたんじゃねぇの?
……いや、過去形じゃねぇな。
まだこれからも間に合う!
さあさ、兄さん。アタシと一緒に上方漫才のてっぺん取りに行くよ!
さっそく【縁手繰る糸】で劇場に……アレ?
ああそっか、「味方がいる所」にしか行けないんだった。
ここアタシらの陣中だわ、ゴメンゴメン!
そういや霊玉どこだ?
甘甘・ききん
シリアスの女王、悲しき過去を背負うわたしにボケですって!?よかろう、受けて立たない~。キャラ性に関わるー。クールなわたしが溢れる知性でアクションバトル!皆それを望んでいるんだよ!なんで分からないの!
私の中の躯の海の、いでよかつての敵幹部!右手が剣で、羽がいっぱい付いてて、なんだっけ、黒竜!デミウルゴスみたいな!竜を多頭飼いしててグリモア欲しがるヒゲのおじさん!
「フフフ参上格好いい髭のダンディです。無敵の赤い剣で全てを切り刻む!あーグリモア欲しい~」(全身の羽毛ファッサー)(随伴する飢えてこけた竜っぽい生き物の群れ)
やる気は十分なようだねドラおじ、あとは任せた!霊玉持って帰ってきてね!(逃げ足)
●山道の途中
「いやー分かる、どうしても周りにツッコみたくなる気持ち」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が火山の参道でヤンキー座りでどこかの自動販売機から買ってきたような缶コーヒーを飲みながら何故かハリセンと駄弁っていた。
「おー姉ちゃん、イケる口かいな」
オブリビオンなので100%相手が猟兵だってわかっているけれど何故かハリセンも一緒に横にへにょって感じに座って愚痴をこぼしていた。
「あのボケ役連中、こっちがツッコミ気質だと分かると嬉々としてボケ倒し始めるんだから始末に負えないよ」
「せやろせやろ。あいつらツッコミの大変さちゅーもんを理解しとらんのや」
ここに猟兵とオブリビオンの中を超えた、ツッコミキャラ同士の絆が何故か生まれようとしていた。
「しかしなーホントお前さん、なんでオブリビオンなんかになったのさ?」
「もう昔の話や……ウチにも相方が居たんやがな……」
和気藹々とすた雰囲気から一変。何故かしんみりモードになった二人の対話は何故か収まる所を知らずに続いていってしまう。
「そのツッコミのキレ、冴え渡り方なら今でも十分に通用するよ」
「お、ホンマか?おだてても手加減せぇへんで?」
「いーよいーよ。そんなんじゃないって。本当にさー、お笑いのてっぺんも目指せたんじゃねぇの?」
「……姉ちゃん、大層な夢ぇ、語ってくれるな」
どちらとともなく、夜空を見上げる二人。
「……いや、過去形じゃねぇな」
と、突然。がたんと多喜が見上げたままに立ち上がると、ハリセンに向き直る。
「まだこれからも間に合う!」
「はぁ?何言うとんのや」
「さあさ、兄さん。アタシと一緒に上方漫才のてっぺん取りに行くよ!」
そして笑顔でまだ座ってる体勢のハリセンに向けて手を伸ばす。
ハリセンも何故か思わずその手を掴んでしまい。
「さっそく【縁手繰る糸】で劇場に……テレポート!」
●テレポート。
「「「ハリセン・狐・魔術師のトリオコントーっ!」」」
何故かそこではハリセンと、狐娘と、絵画魔術士の少女の3名がステージに見立てた場所でコントを開始していた。
「漫画家とかけまして名軍師とときます」
「ほう。その心は?」
「──どちらもコマの扱いが上手いでしょう」
「……おぉ!成程!」
「どうも、幽草亭くららです」
幽草・くらら(現代のウィッチ・クラフター・f18256)が最初に挨拶をかましてきた。
「ほう。上手いやん」
思わずハリセンも呟いてしまう出来である。
「……はっ!?ボケというか完結しちゃいましたよ!?」
「いやボケたかったんかい!?」
スパーンとハリセンがツッコミを入れる。
「普段から1人遊びばっかりしてた弊害ですかねコレ!」
「嬢ちゃんの天然さが要因やないかなコレ!?」
くららとハリセンが粋のあったコンビネーションを繰り広げていると、そこへ間に割って入るように狐娘が両手を上げながらマイクの前に出てきた。
「はい!甘甘帝ききんでございまーす!」
妖狐の娘、甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)である。
割とノリと勢いで生きてる気配がするききんは果たしてどんなネタを披露するのか。
「……え、面白い話とか無理ですけど?」
「ないんかい!?何しに出てきたんや!?」
何か名乗るのが楽しそうだから出てきちゃったらしい。
「えー。シリアスの女王、悲しき過去を背負うわたしにボケですって!?」
きゅぴんと顎に手を当てて、平坦な気味な胸を張り、腰をしならせて閃いた感じにドヤ顔するききん。
「よかろう!受けて立たない~」
「立たないんかい!?」
スパーン!
「えー、だってキャラ性に関わるしークールでナイスバディで知性溢れるわたしがそんなボケなんて出来ないしー」
「知的クールなキャラはそないなだらけ顔はせぇへんわ」
「ムキーっ!」
地団駄を踏むききんにくららがひょいと声をかける。
「あ、それじゃあききんさんはどんな事をやりたいんですか?」
「クールなわたしが溢れる知性でアクションバトル!皆それを望んでいるんだよ!なんで分からないの!」
「せやったらいっぺんやってみるか」
「え、いいの?わたしのユベコってばあれだよ?歴代の幹部を召喚しちゃうような凄いやつだよ?」
「面白そうですね」
「幹部ってなんのこっちゃ」
そして何となく三人が散開して何故か適度に距離を開けるとききんがユーベルコードを発動する。
「私の中の躯の海の、いでよかつての敵幹部!……えーと、右手が剣で、羽がいっぱい付いてて、なんだっけ、黒竜!デミウルゴスみたいな!竜を多頭飼いしててグリモア欲しがるヒゲのおじさん!」
ぼふん!と煙と共にききんの前に出てきたのは一人の黒い影。
『フフフ参上格好いい髭のダンディです。無敵の赤い剣で全てを切り刻む!あーグリモア欲しい~』
全身の羽毛ファッサーしてる小太りなおっさんだった。
随伴する飢えてこけた竜っぽい生き物の群れなんだか鶏なんだかよくわかんないのがコケコケいって後ろにくっついてる。
「あー、……うん。なんかわかんなくはないかな」
「……元を知らんけど、これが違うっちゅうのだけはわかるで」
くららが肩ポムして、他の世界の幹部なんて知らないハリセンもよくわかんないままに出来が悪いのだけは察してしまった。
「ムキーっ!えーいドラおじ!やっておしまい!」
ききんが出てきたヒゲおっさん(なんか浮遊してる)に命令すると、その方向にふよふよ移動を開始する。
『あーグリモア欲しい~』
「そのぐりもあ?ちゅうもんやったらあっちにあるって聞いたで」
『おー感謝するぞ~』
ハリセンがくいって森の奥の方を指して誘導したら出てきたドラゴンテイマーもどきはあっさり信じてそっちに浮遊しながら行ってしまった。
鶏……もといドラゴンモドキもコケコケしながら連れ立っていく。
「いってしまいましたね」
「いってしまうたな」
ナゲヤリサルベージ、破れたり!
「ムキーっ!グリモアじゃなくて霊玉を回収してよねーっ!」
どっか行っちゃったおじさんの後ろ姿に叫ぶききんだが我関せずで去っていってしまった。
「はっ!私とききんさんののスベりっぷりはともかく霊玉を返して頂きます」
くららが突然、この依頼の目的を思い出してハリセンに向き直る。
「スベるボケを笑いにする……それがツッコミや」
ハリセンが何故か男前な事を言いながらくららに相対する。そう、なんか仲良しこよしになし崩しにやってきたが、所詮は猟兵とオブリビオン。相容れぬ存在同士なのだ。
「しかしどちらも譲れないとはいえ無益な殺生は避けたいのが本音です」
しかし情が移ったのか、くららがハリセンにまずは戦いではない方法を持ち掛ける。
「という事でジャンケンで決めましょう」
ちょっと天然だった。
「天然のレベルちゃうやん!」
スパーン!
「私が負ければ潔く退くと約束します」
「それ、既に霊玉を儀式で手に入れた苦労をしとるウチの方が明らかに損するヤツやん!」
くららの一方的な提案にツッコミを入れるハリセン。
「えーでも、何も言わずに襲って奪ってもいーんだからそっちが得じゃない?」
「ウチはちゃんと強いんや。来られても返り討ちにするんやから意味ないやんけ」
そう、ハリセンはこの任務に選ばれるだけあってハリセンだけどちゃんと猟兵数人と渡り合えるだけの戦闘技能もあるのだ。
「はい、早業&カッターハサミの早抜きで、チョキ。つまりハサミを大量生産!」
そんなこんなをしている内にくららはユーベルコード:絵画物質化法(ペイント・マテリアライゼーション)を発動しながら、漫画用の紙に描いたハサミを実体化させる。
「最初はぐーちゃうんかい!?ちゅうか、チョキで来るんやったらウチはグーしたるで!」
ハリセンはパン、とその扇状の部分を閉じるとグーと言い張る形に変更する。
「ふっ、貴方は紙!つまり何をしようがパー!私の勝ちですね」
だが暴走したくららは誰にも止められない!
「それジャンケンのていを成してないやないかい!」
「異論は認めません!切り刻みます!」
そのままびゅんびゅんとハサミがハリセンに向かって飛んで来る。
「無益な殺生は避けたいとか言っとったやないかい!なんやねんさっきのは!?平和主義ヒロインアピールかい!?」
「ケースバイケースです」
バンバンバンと空気圧を飛ばしてハサミを吹っ飛ばすハリセンと、どんどんハサミを描いては実体化しているくらら。
その攻防は一進一退で戦力は均衡していた。
「……はぁ、叫んでたら喉渇いた……お、自販機あるじゃーん。買お買お」
とそんな激しい戦闘を背景にききんは飲み物を買おうとしていた。
マイペース。
『お金をいれてください』
そして何故か参道にあった自動・販売機(何の変哲もないただの自動販売機・f14256)が普通に飲み物を販売していた。
「ほい」
チャリーン。
『お金が足りません』
「えー。おかしくなーい?確かにいれたよ1円!」
「1円かい!?」
スパーン!
ハリセンが戦場からツッコミを思わず入れる。
「今です!」
「しもたぁ!?せやけどまだまだぁー!」
ハサミと空気圧の攻防が一瞬崩れかけたがまだ勝負は分からない!
「ってか高っ!値段高くない!?この自販機!ぼったくりだよ!」
皆は登山をしたことがあるだろうか?
その際に山小屋での商品の値段の高さに辟易したのではないか。運送にコストがかかるといっても、やはり高いものは高いのである。
そして自動販売機の商品もまた麓よりも高いのである!
急いで降りようとしている休憩の最中、足元を見るような値段にイラッとしてもおかしくない。
「いや知らんがな!?ちゅうか己はテレポートできたんちゃうんかい!?」
あ、はい。猟兵なのでその存在は全く違和感を持たれないけどオブリビオンなのでテレポートとかの事情をちょっと知ってたハリセンさんでした。
そしてツッコミを入れた事でまたもくららに押し込まれる。
「ちぇー、蹴ったら出てこないかな。ほらーお金(1円)入れたんだから飲み物だせよー」
ききんが諦めきらずにガンガン自動販売機を蹴り始める。
『止めて下さい。止めて下さい。警告警告』
自動販売機は警告音を発し始めた。
そう、例え山中の自動販売機の物価が高いといっても、それで腹を立てて攻撃してはいけない。
それは器物損壊にあたるし、ものによっては何らかのセキュリティが付いている可能性もあるのだ。
例えばこの自販機は火砲が装備されている。
『セキュリティ起動。自動防衛機能イグニッション』
ガショガショーンとアームドフォードが展開。砲撃モードに移行する!
「いや、何処の世界に自販機の防衛機能に砲台取りつけるアホがおんねん!」
スパーン!
『小さな事を気にしては、いけません』
機械音声がツッコミ殺しを仕掛けてきた。
「はっ!?しもたぁ!?」
そして再三のツッコミに手が止まってしまった事でくららのハサミに食らいつかれてしまうハリセン!
「あ、自動販売機さん。あいつが盗もうとしてたやつです」
『了解です。ファイア!』
そしてしれっとききんがハリセンを指さして己の罪をなすりつけていた。
ドキューン!!!
「んなアホなぁー!?」
そうしてハサミに切り刻まれ、自動販売機に放射をされたハリセンは夜空の彼方に飛んでいった。
●その頃
「そういや霊玉どこだ?……お、あったあった」
多喜がハリセンと出会った場所辺りをゴソゴソして目的の『霊玉』を見つけ出していた。
マグマの塊なので、そこだけ異様に熱量が大きかったのだ。
「あとは投げ捨てるだけだっけか。いやー、ごめんね。そういやアタシのユベコ、"味方のいるところ"にしか行けないんだった」
テレポート先は猟兵の陣地であったのだ。
「あ、ぽーい」
そして無事に『霊玉』は火山口に投げ戻されたのであった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月14日
宿敵
『ボケ殺しのハリセン』
を撃破!
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