エンパイアウォー⑦~ふくよかなる災~
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軍神と呼ばれる上杉謙信。その二つ名の由来は、そのずば抜けた統率力による。
その力が遺憾なく発揮されたがゆえに為せる陣形、『車懸りの陣』は、上杉謙信を中心に、幾多の兵が円陣を組んで敵陣に突撃するものである。
陣そのものを風車のごとく回転させることよって、前線の兵は目まぐるしく変わり、常に万全の状態の兵を相手にぶつけることを可能としていた。
「超防御型攻撃陣形というやつさ。ちょっとやそっと攻撃を与えたところで傷ついた兵を下げて入れ替わりの兵を出せば良い。その間に、傷ついた兵を癒やすことが可能なのだから、凄まじく効率的だね」
そんな事を考えつき、実行に移せる軍神殿は大したものだと、口ぶりだけは感心したような声でエンティ・シェア(欠片・f00526)は呟くが、まぁそれでもね、と話を続ける。
「その御大層な陣を突破しなければ、軍神殿を打倒することは叶わないというのなら……突破、するしか無いだろう」
この陣は攻撃であり防御であり、何より上杉謙信自身の復活の時間を稼ぐためのものでもある。
陣を無理やり掻い潜るだけでは、上杉謙信に十分な時間を掛けての復活を許してしまい、短時間で繰り返しの討伐が必要な彼を消滅させることは出来ないだろう。
厄介なことだと肩を竦めるのは、そこまで。
前向きな話をしようとエンティはメモを捲った。
「この陣を形成する精鋭部隊の一部を倒してもらいたい。敵は防御力増加と自動回復能力を積まれた実に厄介な存在だがね、そんなものぶち抜いてしまうような超火力、あるいは回復を間に合わせない勢いの連携によって、打ち倒せるはずだ」
個人の技を極限まで強める方法を知っているならそれを実践すると良い。
複数人で一度に、あるいは立て続けに攻撃を仕掛けることも十分効果的だ。
陣形を構築する敵の数は多い。だがそれに惑わされず、一体一体を確実に撃破することが肝要だと、言って。
「ところで問題の敵の情報だがね」
ひらりと見せたのは一枚の絵姿。
そこには、もっふもふに膨らんだシマエナガ的な白くてまん丸な鳥が描かれていた。
「可愛らしいが、厄介だよ。何せ彼らは全身を膨らませてめちゃくちゃもふもふな状態になってほぼ無敵の状態にもなれるからね」
もふもふの体当たりは広範囲を無差別に攻撃するし、これのミニサイズをわらわらと召喚してきたりもする。
可愛いもふもふの波状攻撃だ。
とは言え、機動力も大事になるこの陣形で、終始動かず無敵を維持するということはないだろうし、防御力は上がっているが攻撃力が飛び抜けて高いわけでもない。
焦らず見極めて当たって欲しい。そう締めくくって、戦場へと至る道を開いた。
里音
軍神殿が出てまいりました。新たな戦場関ケ原で大暴れと洒落込みましょう。
軍神車懸りの陣に配置されている精鋭オブリビオンは「防御アップと自動回復(特大)」のバフが掛かった状態です。
並大抵の攻撃では、耐えきった上で回復されてしまう可能性が高いでしょう。
何の余剰火力も積まれていないユーベルコードの一撃のみでは倒せないと解釈して頂いて問題ありません。
〇〇をすることで威力が上がる等の効果があり、効果アップの手段を適切に行えれば個人での討伐も可能です。
●特殊ルール
軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
※このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『まっしろピヨすけ』
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POW : 超もふもふもーど
全身を【膨らませてめちゃくちゃモフモフな状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : もふもふあたっく
【もふもふ体当たり】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : もふもふソルジャーズ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ミニまっしろピヨすけ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
イラスト:Miyu
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
二天堂・たま
上杉謙信…群を軍と成す奇跡の采配を為す将のようだな。
信長の配下となった理由は分からんが、まずは敵城の土台から崩していくとしよう。
まずはUC:タイラント召喚で呼びよせた相棒(ひよこ)に乗り、ワタシたちの戦闘力を高める。
そして相棒達の群れに、ボビンケースの鋼糸を引っ張ってもらい敵の捕縛してもらうのだ。
1か所に固まって合体されると強くなってしまう…それを防ぐのだ。
さらに戦闘力を増した状態での“ケットシーの肉球”による打撃?を打ち込んで1体ずつ、確実に倒していこう。
千の敵を倒すにも、まず1体倒さねば始まらんからな。
夜羽々矢・琉漣
休ませる暇なく叩き続ければいいわけね、了解。じゃあ、陣を崩すことに注力した方がいいかな?
召喚したロボットの装備は肩部と腕部にミサイル。同系統のロボットに対して使うものだから威力は保証するよ。爆発で吹き飛ばして、陣を維持するために動かなきゃいけない状況を作ろう。膨らんで防御を固めたとしても、意味のない火力ってものを教えてあげる。
接近してくるやつは俺が「Nigredo」で撃ち返してあげよっかな。
祇条・結月
軍神の手勢にしては可愛すぎない?
でも一回やりやったのと同種だ。戦力は知ってる。
油断はしない。できることをするよ
とはいえ、僕の力では一気に敵の守りを崩すのは難しい、かも
チャンスは一度。ぎりぎりまで、隠さなきゃね
苦無を【スナイパー】【投擲】で目を狙って攻撃しつつ、速さでかき回していく。
これも回復されちゃうんだろうけれど、さすがに行動に乱れはでるだろうから
隙を突いて接近して、銀の糸を【ロープワーク】【敵を盾にする】で絡めてさらに統制を乱したところで≪鍵ノ悪魔≫を降ろす。後付けのバフなら、境界を司る力で無力化できるはず
強化された肉体の力で【鎧無視攻撃】【精神攻撃】を叩き込んで心身共に大打撃を加えるよ
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このもふもふ、硬い――。
夜羽々矢・琉漣(コードキャスター・f21260)そう直感したのは、喚び出した大型の戦闘ロボットが打ち出した砲弾を受けたのを見届けた瞬間だった。
もっふもふに膨らんだ身体は、琉漣のロボットが放った砲弾を、もっふりと優しく包み込み、爆発の衝撃にもその重厚な体毛でふわふわっと耐えきった。
元々、その身は動けなくなるという代償を払ってほぼ無敵の防御形態を取れる。その上防御力増強の効果があるとなっては、単純に撃ち込むだけでは受け流されてしまうのと殆ど変わらない。
「なるほどね。でも、それは動けないんだろう? 陣を維持するために動かなきゃいけない状況を作ろうか」
直接の狙いから、少し逸して。琉漣はもっふりと佇むピヨすけの傍らへ、同じ砲弾を放つ。
地面を抉る攻撃は、ピヨすけの居た地面を派手に吹き飛ばし、その体躯を吹き飛ばした。
勿論、それによってピヨすけがダメージを被ることはない。無い、けれど。
「ほら、そのままじゃ人が崩れるんじゃないか?」
綺麗に整った陣形。そこから弾き出されては、いざ交代の司令が降りたときに速やかに動けない。
だが、出来るピヨすけは慌てない。騒がない。ここは落ち着いて定位置に戻って――。
「防御を解いたな! さぁ、今度こそ食らってもらおうか、対ロボット用の自慢の砲弾!」
防御アップに完全防御が重ねられた状態ではなくなった今なら。
琉漣の目論見は殆ど合っていた。不動を貫く姿勢を崩せば、確かにその攻撃は、通ったけれど。
「足りないか……ッ!」
打ち込むだけでは、足りないのだ。満身創痍に追い込むだけでは、瞬時に回復されて、元の木阿弥。
ふるりと身体を振って陣の構築に戻ろうとするピヨすけへ、きゅるり、鋼の擦れる音を立てて、鋼の糸が巻き付いた。
「戻らせはせんぞ」
ててててっ、と関ヶ原の大地を駆けた黄色いもふもふが、一匹の猫を連れて戦場へと駆けつける。
二天堂・たま(神速の料理人・f14723)はピヨすけに負けないくらいふっかふかのひよこの群れに騎乗し、ぷにっぷにの肉球を掲げる。
この敵が硬いのはよく理解した。幸いにも複合合体するミニピヨすけは召喚されていない様子。ならば今の内に、この一体を全力で倒すのみだ。
(信長の配下となった理由は分からんが、まずは敵城の土台から崩していくとしよう)
群を軍と成す奇跡の采配を為すほどの将が、己一人での支配や統治に走らずにいる理由は、知れない。
知るためにも、この車懸りの陣を突破し、上杉謙信その人と相対する道を開かねば始まらないのだ。
「いこう、相棒。千の敵を倒すにも、まず1体倒さねば始まらんからな」
「そのようだね。それにしても、軍神の手勢にしては可愛すぎない?」
たまの声に、ぴよ、と力強く応えたひよこに続くように、声がして。同じ敵を見据えた祇条・結月(キーメイカー・f02067)は、隙なく構えた苦無をもふもふに埋もれそうな目を狙いすまして投擲する。
たまのボビンから伸ばされた鋼糸が絡め取っている敵は、反撃しようとじたばたしているが、糸を断ち切れるほどではない。
「一回やりやったのと同種だ。戦力は知ってる」
攻撃力は、さほどではない。けれど、結月の知る個体よりも、防御力はずっと増している。
油断はせずに、できることを。
投げつけた苦無が与えた傷は、即座に回復される。
何度傷を与えても、細かい一撃では蓄積すらされない。
ひよこに騎乗することで戦闘力を強化した状態のたまが与えるダメージも、大きいが、足りない。
「自動で特大の回復は、流石に厄介だな」
「でも、通った」
独り言のような呟きに、琉漣はそう返して。
投げ続けていた苦無を構え直して、結月もまた静かに頷く。
「僕の力では一気に敵の守りを崩すのは難しい、かも」
けれど、自慢の火力を、一度に浴びせれば?
「チャンスは一度。ぎりぎりまで、隠さなきゃね」
攻撃の瞬間に無敵モードになられてはたまったものではない。まずは打ち込む隙をと、結月はピヨすけに接近する。
絡んだ鋼糸もじたばたしている間に緩んだか、勢いよく体当たりをしてくるピヨすけ。
無差別に高威力を放つ体当たりにひよこの群れが蹴散らされるも、たまはすぐさま体制を立て直し、果敢に敵へと向かっていく。
その動きをもう一度封じてくれる。群れの一部がきゅるりと糸を引いて再びもふもふを絡め取った瞬間、ロボットの砲弾が火を噴いた。
「回復する間など、与えるものか!」
間髪入れず、相棒の群れとともに突撃したたまの肉球が叩き込まれて。
「……僕を、見るな」
小さな小さな声と共に、かちり、結月に鍵が掛かる。
そうして、その身に鍵の悪魔が降りる。
身体からごぼりと溢れる血は、痛みを伴うような気もしたけれど、それには構わず、結月はその手に握った鍵を、突き立てた。
超強化された結月の攻撃は、琉漣の砲撃やたまの肉球で傷ついたその身体を癒す間を与えずに、ピヨすけの命を終わらせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
プラシオライト・エターナルバド
エレニア様(f11289)と参加
超防御型もふもふ…
今日はその可愛さは武器にも盾にもなりません、何故なら
エレニア様というこの世で最もお美しく可愛らしいお方が、味方なのですから
「ええ、当然でございます」勿論心の底からそう思っておりますが?
エレニア様の【千年怨嗟】を
【シルバー・ライニング】で強化
『亡者は、敵の命を全て食らいつくすまで手を離さなくなる』でしょう
作戦はエレニア様に伝達済
ミニピヨはトリックスターの網で囲います
かしこまりました……ほら、あっちへお行きなさい
私の方へ来てもダメですよ
エレノアで麻痺弾や破魔弾を撃ち、取り残しの無いように
自由研究、ご満足いただけましたか?
綺麗さっぱり終わらせましょう
エレニア・ファンタージェン
シオさん(f15252)と
なんだか…ええ、そう…可愛い敵よね
でも不幸だわ、誘惑込めてあえて言うわ
「エリィの方が可愛いでしょう?」
ほら、シオさんが同意してくださる!から!それで良いのだわ
シオさんの強化を受けた【千年怨嗟】を発動
第六感と見切りを使用し、敵を捕える
「この手を離さずいてくれますか…ええ、冥府の果てまでも」
ミニピヨ?邪魔ね…
愛蛇のAdam&Eveに囲い込ませて何とかするわ
そう、シオさん、もう少しこちらに
見た目可愛い子達なのに気の毒よねえ…でもほら、何だか、自由研究?みたい?
Sikándaを大鉈に変えて振り下ろすわ
逃げられないこの子達、どれだけ耐えられるかしら!
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「エリィの方が可愛いでしょう?」
ふくよかで、まん丸で、ふんわりふわふわな敵を前に、エレニア・ファンタージェン(幻想パヴァーヌ・f11289)はきっぱりと言い切った。
言葉が通じているのか居ないのか、ふくよかな毛玉はきょとんとしたように首を傾いでいる。
その姿もなんとも言えず可愛らしい。そうだ、可愛らしいのだ、とても。
だがエレニアだってあえて言った。誘惑を込めて、たおやかな微笑を添えて言い切ったのだ。
そんなエレニアともふもふとを一度だけ見比べて、プラシオライト・エターナルバド(かわらないもの・f15252)は凪のままの表情で、そうですねと頷いた。
「ええ、当然でございます」
傍らのクリスタリアンがはっきりと是を示したことに、エレニアはたおやかだった顔を、可愛らしくほころばせた。
「ほら、シオさんが同意してくださる! から!」
だから、それで良いのだわ。
得られた肯定に、エレニアは力強く胸を張り、そんな彼女に対抗すべく、ピヨすけはその羽毛を分けるようにして幾つものミニピヨすけを生み出してきた。
小さくてころころとしたふっくらな毛玉を見下ろして、プラシオライトはゆるく首を傾げる。
(超防御型もふもふ……)
確かに、可愛らしい造形だと思うのだ。しかし、その『可愛らしさ』にプレシオライトの心は全く動かない。
使いように寄っては武器にも立てにもなろうその容姿は、今日は、全く効果を発揮しないだろう。
何故なら、プレシオライトは心の底から思っているのだ。
(エレニア様というこの世で最もお美しく可愛らしいお方が、味方なのですから)
傍らに立つ彼女こそが、最たる存在だと。
そんなエレニアの愛蛇である対の二匹が、ミニピヨすけを本体ごとぐるりと取り囲もうと蠢くのを見ながら、プレシオライトはミントグリーンの唇に言葉を乗せる。
「希望はいつもあなたの傍に」
応じるように、光が溢れる。きらきらと煌めく光を見上げ、見つめながら、プレシオライトは更に言葉を紡いだ。
「『亡者は、敵の命を全て食らいつくすまで手を離さなくなる』でしょう――」
それは、エレニアに捧げる言葉。
彼女一人が共感すればいい、まじないの言葉。
口角を上げて、ええ、ええ、と何度も頷くエレニアの影から、ゆらり、暗がりを裂くようにして、青白い腕が幾つも生えた。
「この手を離さず居てくれますか……ええ、冥府の果てまでも」
亡者の手が、ピヨすけに次々と掴みかかり、その生命を吸い付くさんとする。
自動回復と生命力搾取の応酬が繰り広げられる中、AdamとEveの名を与えられた蛇がするりとわらわらと群がるミニピヨすけ達を包囲した。
そこへ更にプレシオライトのワイヤーが走り、包囲を強固にしていく。
ぎゅっ、と寄り集まった小さなふかふか達は、押し合いへし合い、時々合体してみたりして、窮屈そうに包囲の中を右往左往しているようで。
覗き込んだエレニアは、初めこそ邪魔だと思ったものの、ふと何かに閃いたように、プレシオライトを手招く。
「見た目可愛い子達なのに気の毒よねえ……でもほら、何だか、自由研究? みたい?」
自由研究。口元で繰り返して、プレシオライトはぎゅむぎゅむのもふもふを見やる。
「そう、自由研究。逃げられないこの子達、どれだけ耐えられるかしら!」
殺すためだけに気まぐれに姿を変える剣を、大鉈へと転じて、力任せに叩き込む。
あぁ、なるほど。理解は素早く、プレシオライトも銃を構えて助力を。
麻痺弾、破魔弾、様々に打ち込まれた弾丸は、数が減ってまばらになったミニピヨすけを確実に片付けていく。
それを止めるものは居ない。どれだけ回復しても、そう、どれだけ、回復をしても、プレシオライトの『まじない』通り、亡者の手は決して離そうとしない。
より強く、強く、怨嗟を込めて、そのふくよかさを握り潰して――。
「自由研究、ご満足いただけましたか?」
淡々とした表情が小首を傾げた頃には、綺麗さっぱり、消失していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペイン・フィン
ファン(f07547)と
……成る程、もふもふ
でも、ああ見えて、精鋭の上、能力強化もされているらしいね
……ならこっちも、強化していこうか
コードを使用
猫鞭“キャット・バロニス”以外の拷問具を装備から外し、高速状態に
先制は、もらったよ
技能使用
傷口をえぐる、鎧無視攻撃、部位破壊、範囲攻撃、なぎ払い、鎧砕き、ロープワーク
1体1体を正確に狙って範囲攻撃
攻撃は、強化した速さで強引に回避
防御しようと、ある程度は無視して鉤爪で抉る
討ち漏らしは、回復しきる前に傷を抉り、それでも倒しきれないなら、ロープワークで動きを封じるよ
……自分だけじゃ、倒しきれないとしても
自分には、信頼できる仲間が居る
……任せたよ、ファン
ファン・ティンタン
【SPD】串焼きピヨは如何?
ペイン(f04450)と
このもふもふが難敵と言われても、ねえ…
それでも、慢心してはいけないのが猟兵稼業
さ、仕事の時間だよ
先制は、ペインに任せるよ
自身は体当たりの範囲から十分に距離をとりつつ【白刃の矢】のために【天華】に【力溜め】
SSWの大戦では戦艦の装甲をも貫いた一撃、惜しみなく使っていこうか
十分に錬気の整った刀身を、ペインに一声掛けてから全力【投擲】
ペイン、あとは任されるよ
ペインが刻んだ【傷をえぐる】ように、【念動力】で狙いを定めて【串刺し】にしていく
耐える個体がいれば、刺さった刀身に蓄えている魔力を属性変換、爆発的に放出して炎【属性攻撃】の【範囲攻撃】に巻き込む
御形・菘
おお、美味しそうで可愛らしいの~
……うーむ、サムライエンパイアでも何故かドン引きされてしまうのか
やはり妾は鳥と相性が悪いのう……
しかし本気でボコってみたが、なるほど素の状態ではどうにもならんな
ならば右腕を高く上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆!
此度はこのモフモフどもの防御、妾の最大最高の奥義でもってブチ抜きチャレンジよ!
さあ歓声を、喝采を! 存分に妾に浴びせてくれ!
皆の衆はこの生配信の拡散もよろしく!
ミニサイズのをひとまず蹴散らし続ければ、場もガンガンヒートアップしていくであろう!
そして、無限大の強さの領域に到達した、左腕の一撃を食らうがよい!
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……成程、もふもふ。
敵の姿を捉えて、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は確かに聞いたとおりだと頷く。
「このもふもふが難敵と言われても、ねえ……」
ファン・ティンタン(天津華・f07547)もまた、可愛らしい見た目ににわかには信じがたいと言うように首を傾ぐ。
だが、そのもふもふとは既に御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が交戦している様子で、結構遠慮なく本気で殴りつけている様子が伺える。
だが、いくら攻撃を加えても、敵はピンシャンしていた。こちらも聞いた通り、並大抵の攻撃では通じないらしい。
――それでも菘に苦戦の様子が見られないのは、彼女の周囲に浮かぶディスプレイが起因するのだろう。
「でも、こう見せつけられては納得するより他ないか。慢心してはいけないのが猟兵稼業。さ、仕事の時間だよ」
ファンは、とん、と少し後方に距離を取り、前へと駆けるペインと一度だけ視線を合わせ、頷き合う。
彼らにはそれぞれが理解している役割がある。
ペインが先制攻撃を放ち、ファンがそれに続く。実に、シンプルで分かりやすい連携が。
装備類を己が最終的に振るう武器以外全て取り外し、その先端に鋭利な鉤爪の付いた九股の鞭をしならせながら素早く肉薄する。
突然、風のように駆け込んできたペインに、菘は一瞬驚いたように目を丸くしたが、に、と口角を上げて笑う。
「お主も、美味しそうで可愛らしい鳥に惹かれたか」
「……いいや」
端的な答えに、ふぅむと菘は唸る。
美味しそう発言に、目の前のピヨすけも「びゃ」と変な声を上げて身震いしている。こころなしか距離を取りたそうに、小さな毛玉を幾つも召喚し始めた。
「……うーむ、サムライエンパイアでも何故かドン引きされてしまうのか。やはり妾は鳥と相性が悪いのう……」
相性の問題ではないのだろうけど。
まぁ良い、と表情を改めて、菘は足元に群がる小さなピヨすけ達を蹴散らしていく。
「お主にも見えるであろう、聞こえるであろう? この感動を背負い、後押しされる限り、妾は最強無敵よ!」
大げさな程の所作で口上を述べる菘の声に呼応するように、ディスプレイの向こうで大歓声が起こる。
「此度はこのモフモフどもの防御、妾の最大最高の奥義でもってブチ抜きチャレンジよ! さあ歓声を、喝采を! 存分に妾に浴びせてくれ!」
画面の向こうのテンションが上がるほど、菘に力が漲っていくのを肌で感じながら、ペインは、毛玉の群れを掻い潜り、鞭をしならせ、振るった。
範囲攻撃を――そう、考えて居たけれど。
ミニピヨすけは菘が相手取っているし、何より、今の状態の敵に、そのような悠長な戦略は取っていられない。
頑健さを既に目にしているからこその判断は、ファンにも伝わっている。
鎧すら貫くように。その四肢を打ち砕くように。狙いを済ませて叩き込んだ一撃は、さぁ、どこまで通じるか。
(……自分だけじゃ、倒しきれないとしても)
ぐり、と与えた傷を抉るように鉤爪を引き、苦悶するような声を聞き止める。
だが、声が、出せるということはまだ余力のあるということで。
敵の傷口が瞬く間に回復していくのを、ペインは瞳を細めて見つめた。
けれど、ペインは焦ることなく、ピヨすけの動きを封じるべくその体躯に縄を掛ける。
何故なら、ペインには信頼できる仲間が居るのだ。
「……任せたよ、ファン」
「ペイン、あとは任されるよ」
視線交わせば意志の通ずる、頼もしい仲間。
狙うは、彼が刻んだ傷口。それが回復されてしまう前にと、ファンは己の原点である一振りの刀を振りかざす。
体当たりを警戒して離れた距離を埋めるように、そして突き立った時の威力を高めるように。ファンは十分に力を込めていた。
真白な一振りは彼女の期待に十分応え得るだけの力を宿し、発揮される時を今かと待っている。
「ペイン、行くよ!」
大きく振りかぶって、投げる。小柄な少女の体躯からは想像できないほどの勢いを持って放たれた刀は、念動力による微調整を受けながら、真っ直ぐにピヨすけへと吸い込まれ、そのふっくらとした身体に突き立った。
「まだ、耐えるのね……!」
厄介な自動回復を目の当たりにしながらも、ファンは刀身に蓄えた魔力を開放して、炎の力を爆ぜさせた。
立ち上る火柱を振り仰ぎ、菘は異形の左腕を、そこに纏わりつく怨嗟を封じた儀礼祭壇と共に振りかざした。
「無限大の強さの領域に到達した、左腕の一撃を食らうがよい!」
同じ戦場に立つ者との連携、派手な技。どれも観客のテンションを上げるには十分で。
それをそのまま己の力と換える菘の腕が、虫の息となり、それでも往生際悪く――あるいは、解放されることなく――回復される黒焦げの毛玉だったものに、振り下ろされた。
――わあああァァっ!!!
歓声は、近くに居たペインの耳をつんざくほどで、勿論、遠くに居たファンにもはっきりと聞こえるほどで。
もしかしたら、陣の中心に立つ上杉謙信にも、届いたかも知れない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
リュヌ・ミミティック
【リノルル】
レシャねぇは、ユトにぃと護る対象
・行動
ユトにぃとレシャねぇが一緒なら、絶対に勝てるよ!
僕はユトにぃの援護。
ユトにぃが攻撃の準備を整えてる間は、狐乃火焔を使って全体を攻撃だ。
これは牽制目的。
レシャねぇと一緒に、ユトにぃが戦いやすいように戦場を整えちゃうね
ユトにぃの攻撃に合わせて、猫憑き季月を使って攻撃【フェイント】油断させちゃうよ!
本命はユトにぃの攻撃だからねっ
僕も狐乃火焔で、ユトにぃが攻撃するもふもふをまるやき、だーっ
体力半分以下ぐらいで【敵を盾に】して【かばう】ね
僕にも【激痛耐性】はあるし、生身でも少しは耐えられるはず
レシャねぇの歌声は、いつだって僕に元気を与えてくれるよ
ユト・リーィング
【リノルル】で参加
リュヌ→リュン坊
オレーシャ→お嬢
2人の剣であり、保護者
行動: お嬢とリュン坊の援護を受け、前衛として立ち回る
向かう前に【力溜め】踏ん張ってから【殺気】を放ちながら【怪力】任せに【なぎ払い】をする。
そのままもう一度なぎ払う【2回攻撃】 怯んだ隙にまた【力溜め】をして次は中に突っ込んでいき【激痛耐性】で傷をものともせず【居合斬り】で攻撃。
リュン坊の狐火に
燃えろ燃えろ、消し炭にしてやれ
と自分を気にせず打つように指示する。
力溜めをしている時にお嬢の歌声が聞こえたら、リュン坊に一旦任せて数秒目を瞑り聞いて回復しながらする。
攻撃こそ全てを制する、攻撃こそ防御。
制圧する!
オレーシャ・アルヴィア
【リノルル】で参加 ユト→私の剣、ユト様 リュヌ→私の盾、リュンちゃん 2人は私の守護者であり従者。 可愛らしい見た目に惑わされずに本陣まで道をひらきましょう。 3人で着実にいくわよ。 【衝撃波】や鈴蘭の嵐で周りを牽制して 二人が集中できるように動くわ。 【オーラ防御】は少し役にたてるかしら? 聖者の力が少しは有効だといいけれど 【医術】で回復タイミングをしっかり見極めて シンフォニック・キュアを行うわ。 【歌唱】と共鳴が私たちのチーム以外にも役立てば一石二鳥ね。 傷の深さに応じて少しでもよくきくよう強く【祈り】 万一の軽傷は【激痛耐性】で補ってついていくわ。 剣と盾に護られるだけはもう終わり
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「ユトにぃとレシャねぇが一緒なら、絶対に勝てるよ!」
狐の耳をぴょこんと立てて、無垢に笑う声に、力強い頷きと優しい微笑みが返る。
「リュンちゃん、ユト様。 可愛らしい見た目に惑わされずに本陣まで道をひらきましょう」
オレーシャ・アルヴィア(オラトリオの聖者・f04602)の声に応じて、彼女の盾であるリュヌ・ミミティック(妖狐の竜騎士・f02038)は右手を上げて元気よく応え、彼女の剣であるユト・リーィング(蒼き鎧の剣豪妖狐・f00959)は、手にした武器を掲げて応じる。
「狙うは、あのもふもふです」
オレーシャが狙う敵を指し示すように、鈴蘭を嵐のごとく吹き荒れさせる。
取り囲むように旋回する花びらを見上げ、ばさりと翼を広げたピヨすけは、ぽぽぽ! と自らの分身のような小さなピヨすけを召喚し、立ち向かわせる。
「私の盾と剣のために、余計な邪魔はいれさせません」
指先の動きに合わせるようにはらりひらりとその軌道を変える鈴蘭は、群れるミニピヨすけを牽制し、あるいは直接ダメージを与えながら舞う。
その白の花弁に、わぁ、とリュヌは一度歓声を上げて。
それから、きりと前を見据え、くるり振った指先に小さな炎を宿す。
それはサイズ同等の小さな狐の形を成し、ぽこぽこと湧き出るようにリュヌの周りを飛び跳ねてから、きちんと整列することもないままに、もっふりと佇むピヨすけへと飛んでいく。
「ユトにぃが戦いやすいように戦場を整えちゃうね」
舞う鈴蘭と共に、小さな毛玉達を焼き払っていく炎の狐。
その壮観なさまを見つめ、ユトは真っ直ぐに本体のピヨすけへと駆けていった。
力を溜めた刃に、殺気を乗せて。足元の群れを蹴散らすように薙ぎ払い、さらに深くへと踏み込めば、それを、一閃させて――。
「ッ、硬い……!」
露を、払うだけでは。迎え撃つことは容易だ。
こと、このピヨすけは動かないという選択肢を取ることで、ほぼ無敵の状態になれる。
そこに、防御増加の効果が乗っているのだ。必殺の一撃だって、黙って待ち構えているだけで防げてしまう。
一度距離を取り、もう一度、その防御さえ貫く程の力を溜めるユトと、ずんぐりと佇むもふもふとを見比べて、リュヌは唇を噛む。
「ユトにぃ、次は、当てられるよ」
動かないことで無敵になるなら、動かしてやればいい。
一人では難しくても、二人なら……この三人なら、出来ると信じて。
「あぁ、頼むぞ、リュン坊」
信を返せば、まだ小さな尻尾がふるりと揺れる。
その、優しく愛おしいやり取りに笑みを浮かべて、オレーシャははらり溢れた最後の鈴蘭を武器に戻すと、す、と胸に手を当てる。
(今は、必要では、ないかも知れないけれど)
たおやかな笑みを宿す唇で、柔らかな声を紡ぎ上げる。
二人が痛みなんて物ともせずに戦う気概でいることは分かっているけれど、自分だって、同じ思いであり、癒やす術を持つならば、使うことを厭わぬのだ。
この広い関ヶ原の戦場に響いて、己の盾と剣のみでなく、戦う多くの猟兵達が癒やされるようにと祈りを込めて。
響き渡る願いは、当然、傍にいるユトの耳にもよく響く。
心地よく染みる声に、いつも耐えない生傷さえも、癒やされるようで。数秒、ユトは聞き入った。
その歌が、力になることを、ユトは、リュヌも、良く、理解していた。
「リュン坊!」
「ん、おー……!」
ユトが駆けるのに合わせて、リュヌはいつも手にしている猫のからくり人形をピヨすけへと差し向ける。
鋭い爪で攻撃を! ……と見せかけて、がばりと覆いかぶさるように抱きつかせ。入れ替わり、幾つも召喚し、複合させた炎を叩き込む。
(レシャねぇの歌声は、いつだって僕に元気を与えてくれるよ)
だから、この炎はこんなにも明るい。
「まるやき、だーっ!」
ごうっ、と音を立てて、ふくよかな毛が燃え上がる。その衝撃にばたばたと慌てふためくように跳ね回るピヨすけの懐へと、今度こそ、ユトは入りこんだ。
「攻撃こそ全てを制する、攻撃こそ防御。制圧する!」
一閃。その一太刀は、焼け焦げ、ふくよかさを無くした鳥の胴を、切断するほどの勢いで。
高らかに響く歌声を、まるで鎮魂歌とするかのように、どさり、音を立てて倒れ伏したピヨすけは、そのまま動かなくなった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
花咲・まい
【POW】
ふうむ、何やら可愛らしい見た目ながら中々に胆力のある様子。
機動力が要の陣形のようですから、そこを押さえたいところです!
一撃必殺ではないですが、確実にもふもふを斬って生命力を奪っていきますですよ。
幾らでも回復して頂いて結構ですが、その分私も彼らの生命力を吸収して力を蓄えさせて頂きますです。
いつまで回復し続けられるか、力を蓄えた一撃にも耐えられるか……やってみないことには分かりませんですが、やってみる価値はあるかと!
近くに人がいるのであれば、積極的に連携していきますです。
1人より2人、2人より3人、3人集まれば文殊の知恵と申しますですからね!
*連携やアドリブはご自由にどうぞ
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎
僕は可愛いものやふわふわとこもこが好きで
つまり、ぴよすけも好きで……
くっ!謙信……なんて姑息な手を
櫻……櫻だって、こんな可愛い敵相手では躊躇……
してなかった!
ぴ、ぴよすけがなぎ払われていく……
ぴよーー!!う、もちろん僕は君の味方だよッ
いくらぴよすけが可愛くたって、僕の櫻へ手出しはさせない
歌唱に込めるのは、戦場を舞う櫻宵への鼓舞
君の刃が研ぎ澄まされるよう
願い力を込める
櫻宵への攻撃は水泡のオーラ防御で守り防ぐ
敵に向けて歌うのは、堕ちて蕩けて動きをとめるよう
ふわり、僕の櫻を包み傷つけぬよう誘惑蕩かし歌う『魅惑の歌』
引きずり込んであげる
眠るように安らかに
骸へ帰っておくれ
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎
あーら!リルの好きなもふもふじゃない!
可愛らしく葛藤する人魚を楽しげに眺めてから刀を抜き放つ
可愛くても敵は敵よ、リル
うふふ、普段はリルが悲しむから遠慮してたけど……今日は思いっきり斬れるのね!!
どんな斬り心地なのかしら!楽しみだわ!!
衝撃波込めてなぎ払い
舞い上がれば斬撃走らせ2回攻撃
近寄ればグラップルで叩き落として潰してあげる
ずいぶん柔らかいのね
傷ついたなら斬撃に生命力吸収の呪詛を込めて放ち、命をわけてもらうわよ
リル、やっとやる気になったのかしら?
あなたの歌でおくってもらえるなんて、なんて幸せなぴよすけかしら!
けれどもう終いにしましょ
穢華――美しく、散りなさい
●
ふぅむ、と観察する視線が一つ。
花咲・まい(紅いちご・f00465)は可愛らしい見た目をしている敵を前に、しかして油断ならぬ胆力を見極め唸る。
それから、そんなまいの近くに、感動に打ち震えるような眼差しも一つ。
ぷるぷると葛藤している様子のリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)をひょいと覗き込み、誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)はにっこりと笑う。
「あーら! リルの好きなもふもふじゃない!」
「う……くっ! 謙信……なんて姑息な手を」
リルは可愛いものやふわふわでもこもこなものが大好きだ。
つまりはこの真っ白でふっくらしたピヨすけも好きなわけで。
しかしこれは敵なわけで。
葛藤に打ち震えてしまうのは、仕方がないことである。
勿論そんなリルの事はよくわかっている櫻宵は、楽しげにリルの様子を観察してから、刀を抜き払った。
「可愛くても敵は敵よ、リル」
「わ、わかってるよ……」
あぁ、でも、でもだって可愛い……! 心の中のリルがじたばたと悶絶して暴れまわる。
こんなにも可愛いのだ、きっと櫻宵だって、躊躇してしまうだろうと少しの心配を瞳に込めて櫻宵を見やる。
が。
「うふふ、普段はリルが悲しむから遠慮してたけど……今日は思いっきり斬れるのね!!」
してなかった!
このドラゴニアン、めちゃくちゃるんるんだ。
「どんな斬り心地なのかしら! 楽しみだわ!!」
「お供しますですよ!」
爛々と瞳を輝かせて先陣を切る櫻宵に、まいもすかさず駆けつけ、共に走る。
「機動力が要の陣形のようですから、そこを押さえたいところです!」
「なるほど確かにねぇ……と、お出ましね、小さいの」
二人を迎え撃つように、ぽぽん、と、小さな毛玉のようなミニピヨすけが次々と召喚される。
来るなら来なさいと口角を上げ、じゃり、と音のなる足元を踏みしめて、刀を薙ぐ。
衝撃波を込めた一閃はミニピヨすけを次々と蹴散らしていくが、ミニ達も負けてはおれぬとばかりに幾つかで合体し、強さを増して飛び掛かってくる
「おいたはさせませんですよ!」
一人の予定が二人となり、三人となっている。三人よれば文殊の知恵とはよく言ったもので、頭を使う話でもないが、純粋な戦力は三倍なのである。
だからこそ、まいは、とん、とん、と軽いステップでミニピヨすけの群れを掻い潜り、どっしりと構えている本体へと肉薄した。
浴びせる一太刀。紫電を帯びたそれはとても浅い傷に留まり、即座に回復されてしまうが、想定内だ。
まいが繰り出したのは一撃必殺の技ではない。けれど、ピヨすけを確実に傷つけ、生命力をじわりと奪っていく。
ぺろり、と。舌先で薄く唇を舐めて、まいは奪った分がじわりと己の力になるのを感じる。
一人、ならば。持久戦のような戦略は決して有効ではなかったかも知れないけれど、何せ戦力三倍だ。気軽に、気楽に、斬り込んでいける。
いつまで回復し続けられるか、力を蓄えた一撃にも耐えられるか。
「やってみないことには分かりませんですが、やってみる価値はあるかと!」
一太刀目より二太刀目、その次と、着実に、着実に、傷を深くしていくまいの剣閃をみやり、櫻宵も鷲掴みにしたミニピヨすけを叩き落としながら、本命の体躯へと太刀を浴びせる。
「小さいのは随分と柔らかかったもの、貴方はどうかしら」
にっこりと笑う櫻宵に、ピヨすけの背筋に冷たいものが走った……気が、した。
「ぴ、ぴよすけが薙ぎ払われていく……」
小さくてより一層可愛いがすぎるミニピヨすけが次々と消し飛ばされていく上に、二人がかりでもふもふがめった切りにされている。それを見やりながら、しかしリルはぐっと躊躇いを押し込めるように拳を握る。
「僕は櫻の味方だよ……そりゃぁ、ぴよすけは可愛いけど、けど……!」
僕の櫻には手出しさせない。
心を決めたリルは、決意に満ちた表情で歌を紡ぎ上げる。
その歌声が聞こえるや、櫻宵はくすりと微笑んで。
「リル、やっとやる気になったのかしら?」
鼓舞する歌に、力が漲る。くるりと刃の切っ先を下に向け、なかなか刃の通らないもふもふを、ぽーん、掬い上げるように切り上げると、それまで微動だにしなかったピヨすけが、ばたばたと翼を広げて中空で姿勢を持ち直す。
その瞬間を、待ってましたと言わんばかりに。まいはじわじわと溜め込んだ力をばちりと弾ける紫電に込め、跳ぶ勢いに乗せて、薙いだ。
ふわふわでもふもふで、柔らかそうな貴方。
そのにくは、たべられるものなのですか?
「斬ってみれば、ぜーんぶ分かりますですから!」
深く深く刃を飲み込んだ胴体。しかし、ピヨすけはその刃から逃げようとはしなかった。
「引きずり込んであげる」
蕩けるような夢の世界へ。
けれどそれは眠りを招くものではなく。魂をも魅了する程の、恍惚とした陶酔。
抵抗どころか、羽ばたくことさえも忘れたように地に落ちるピヨすけへ、リルは透き通った声を捧げていく。
「眠るように安らかに、骸へ帰っておくれ」
それがせめてもの手向けだと、歌声に込めて。
調子の変わった歌声を聞き、櫻宵はすぃとピヨすけを見上げて、羨ましげに微笑む。
「あなたの歌でおくってもらえるなんて、なんて幸せなぴよすけかしら!」
けれどもう終いにしましょ。
「穢華――美しく、散りなさい」
差し向けた切っ先に、ふわりと柔らかな羽が触れた瞬間、無数の斬撃が、ピヨすけを襲う。
真一文字に切られた胴を、力なく広げられた翼を、細かく、刻んでいく。
斬撃が止んだ頃、ピヨすけだったものの面影はどこにもなく。
はらり、はらりと無数の羽だけが、風に吹かれて飛び退っていくだけであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
冴島・類
※クールナイフさん(f02662)と
袖すり合うも多生の縁とは言いますが
助け合うなんて、当たり前だと思うのに
力貸してくれる彼へ
感謝は言葉よりも、信と連携で
今は、猛威を奮う陣を崩せたなら
確かに…愛らしいですが
守りと圧で制す陣で害なすなら
クールナイフさんは水を操るんですね
僕は前で相手の攻撃から守りと
回復の暇を与えないよに
追撃を目指します
ふかふかは侮れない回復力のよう
あなたの刃を、追いますね
と、笑み
一体ずつ確実にいきましょう
瓜江を操り
クールさんへの体当たりは軌道を見切り
かばい、いなせるように体捌きで動かし
自身へのものは、薙ぎ払いで相殺狙い
彼の水がエナガを捉えたなら
攻撃を受けたものを
業滅糸で狙い、連撃に
クールナイフ・ギルクルス
類(f13398)と
全て敬語
なるべく名は呼ばず
彼の世界の危機と知れば
依頼で受けた恩を返したく
本当はそんな建前なくとも
彼の世界は救いたい
本音は決して口にせず
愛らしい姿でも
敵ならば容赦なく
持参した水を満たした皮袋
得手は水を扱うこと
魔法で敵へ飛ばし狙うは鼻と口
苦しさで隙ができれば好都合
彼の言葉には小さく頷き
前に出てくれることには
助かりますと感謝を
得意とはいえ複雑な操作は
多少なりとも集中力がいる
喘いだ瞬間に水を飲み込んだら
体内から水の属性攻撃を全力で
無数の水の刃を体内で踊らせ二回攻撃
抜けた敵の攻撃は
見切って避けることを優先に
無理ならダガーで受け止めを
指先で操る糸と彼の相棒
その巧みさに思わず目を奪われる
●
袖すり合うも多生の縁。なんて言葉は、冴島・類(公孫樹・f13398)にとっては耳に馴染むことわざで。
その縁が、同じ戦場に立つという形であったのならば、助け合うというのは、当然のことだと思っていた。
けれど、クールナイフ・ギルクルス(手癖の悪い盗賊・f02662)はその縁の中で受けた恩を返すべく、此度の助力を願い出たのだと、言う。
その言葉を、感謝こそすれ、厭うはずもなく。言葉よりも雄弁にその思いを伝えてくれるだろう、信を含んだ連携で応えることを、討伐以上の志として胸に刻む。
――本当は。
そんな建前など、必要なかったのかも知れないと、クールナイフは思う。
類の住む世界が危機を迎えているのだと知り、救いたいと、ただ、そう思っただけで。
けれど、理由というやつが必要な時だってあるのだ。
その本音を、心根に閉ざしたままとするならば、なおのこと。
「猛威を振るう陣を、崩しましょう」
対峙した『陣』の一部を担っていただろうもふもふの鳥は、もう一体を残すのみとなっていた。
それでも、この一体すらも逃してしまえば新たな陣を構築する種となりかねない。確実な排除の為に、必要なのは可愛さへの温情などではない。
たぷん、と。革袋の中に溜めた水を揺らし、クールナイフはその水をゆらりと魔力を宿した指先で操った。
「クールナイフさんは水を操るんですね」
中空で水の揺蕩う不思議な光景を横目に、類は一歩前へ出た。
己の役目は相手の攻撃からの守り、それから、回復の暇を与えることのない追撃。
「僕は前で守りを。それと、ふかふかは侮れない回復力のようですから、あなたの刃を、追いますね」
微笑みを向けて告げれば、クールナイフは「助かります」と小さく頷く。
水を操る術は、クールナイフの得意とするところ。だけれど少なからず集中力を要求される操作となれば、類が隙を補ってくれるのはありがたい。
短い呼吸で意識を集中させ、揺蕩うばかりだった水を、敵へ向けて飛ばした。
真っ直ぐに飛ばせば翼でパシャリと弾かれてしまう。けれど、その飛沫は霧散することなく、再び一塊になってピヨすけを襲う。
追尾するように迫ってくる水から逃れるように、あるいは、それを操る術者を止めようとするように、ピヨすけはぴょいんと跳ねるようにして体当たりをしかけてきた。
「させませんよ」
その真っ直ぐな軌道は、見切るには容易い。
すかさずクールナイフの前へ出た類は、からくり人形の瓜江を操り、後ろに立つ彼へ攻撃がいかぬよう、いなしてやる。
体当たりに伴う凄まじい衝撃は類へも襲いかかるが、構えた短刀で薙ぎ払い、相殺してやった。
とは言え、瓜江も類も、少ないながらも傷を負ったのは、クールナイフにも見て取れる。
……気付けたのは、彼が操る糸と、それに応える相棒の姿に、その巧みな捌きに目を奪われていたせいかも、知れないけれど。
(長期戦は、向きませんね……)
冷静に、分析して。旋回して元の位置に戻ろうとするピヨすけを待ち構えるようにして、その顔の、特に鼻と口の部分を覆い隠すように、水を纏わりつかせた。
ぴよ、と一つ鳴いた口から、こぼりと気泡が現れ、ぱちん、と水の外へ弾き出されていく。
その水は、払っても払ってもぱしゃりと水音を立てるばかりで、決して離れてはくれない。
こぽり、こぽりと幾つもの気泡が溢れて、弾けて、その度に苦しさを覚えたピヨすけは、ついにその水を飲み込んだ。
ピヨすけの体内へと飲み込まれた水は、喉を通り、胃の腑に落ち、体中を流れる血液と、溶け合う。
異物が、体中をめぐる。
「これを使うのは得意でね」
踊れ、と。声にはせずに唇だけで紡いだ言葉に応じるように、水はピヨすけの体内で刃と転じ、内側からずたずたに引き裂いた。
内部からの思いがけない攻撃に、白かったピヨすけの体毛が俄に赤く染まる。
けれどそれも、慢心すれば自動的な回復によってなかった事にされてしまう。
そうなる前に、類は糸を繰り、ピヨすけへと纏わりつかせて。
「燃えよ、祓え」
勢い良く、燃え上がらせた。
その炎は、水の刃で消えるほどぬるいものでもなく、それでいて水を掻き消す無粋はしない。
内側と外側からの波状攻撃に、為す術もなくピヨすけは倒れ伏した。
敵陣を構成する精鋭部隊は、まだ多い。けれどその一つを確かに突き崩した瞬間だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴