エンパイアウォー㉒~くまさん忍法帖
●服部忍法帖
「追い詰めたぞ、風魔忍軍!」
徳川幕府方に仕える服部忍軍が、風魔の拠点のひとつを襲撃していた。
そこは森の奥深くにある隠れ里。
風魔の忍の連絡拠点であった。
「ここで貴様らを討ち倒す! 覚悟!」
隠れ里を奇襲した服部忍軍は、風魔の忍を取り囲み、一網打尽にする構えだ。
このまま順調に戦況が進めば、服部の勝利になるだろう。
だが、風魔側の表情にはまだ余裕の色があった。
その理由は、すぐに明かされる。
「これで追い詰めたつもりか!
逆だ! 我らが誘いこんだのよ!」
「何?!」
次の瞬間、囲みの服部忍軍から悲鳴が上がる。
「ぐわーーーー?!」
「あいえええ?!
くまさん!? くまさんなんで?!」
森の暗がりから現れた熊が、巨体に似合わぬ素早い動きで、服部の忍たちを襲っているのだった……。
●グリモアベースにて
「忍犬というのはよく聞きますけど、これは、忍熊とでもいうんでしょうか?」
集まった猟兵を前に、自身も熊の化身である茅乃・燈(“キムンカムイ”は愉快な仲間で力持ち・f19464)は、首を捻った。
「えっと、改めて説明しますね。
皆さんが風魔忍法隕石落としを素早く阻止した事で、徳川幕府お抱えの忍びである『服部忍軍』が、風魔小太郎に仕える風魔忍軍の拠点を突き止める事ができました。
服部忍軍は風魔忍軍を壊滅させるため、風魔の拠点を襲撃しています」
戦いも順調に進んでいるということなのだが、そこまで言うと燈は顔を曇らせた。
「服部忍軍は、十分な戦力と準備で拠点を攻撃しているのですけど、風魔の拠点の中には、忍軍以外の強力なオブリビオン集団が残っている場所もあったんです。
それが今回、ぼくの見た拠点。
風魔の隠れ里のひとつです」
燈が見た光景が、冒頭の一幕である。
「服部忍軍は、風魔忍軍相手の忍術合戦なら勝てるよう準備していますが、これらのオブリビオンが敵に加わると、逆に壊滅させられてしまいます。
なので皆さんは、そのオブリビオンの撃破を行ってください。
オブリビオン『もりのくまさん』……改め、風魔の忍熊さえ倒せれば、あとの風魔忍者は服部忍軍が制圧してくれます。
逆に皆さんが風魔の忍熊を倒せなければ、服部忍軍は壊滅してしまうでしょう」
ぴくぴくと熊耳を動かしつつそこまで説明すると、燈はペコリと頭を下げた。
「風魔の忍熊は、熊の巨体と忍者の速さを兼ね備えた強敵ですが、どうか皆さん、悪いくまさん退治よろしくお願いします」
雅瑠璃
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
というわけでこんにちは。またはこんばんは。
雅です。
風魔忍法隕石落としの素早い解決お疲れさまでした。
こちらはそれにより発生したボーナスシナリオになります。
戦争も順調に進んでいるようで何よりです。
詳細はオープニングで燈が語った通りです。
服部忍軍ではかなわない風魔の忍熊との戦い、よろしくお願いします。
風魔忍軍については、熊さえいなければ服部忍軍が対処できるので大丈夫です。
それではプレイングお待ちしてます。
第1章 集団戦
『もりのくまさん』
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POW : もぐもぐたいむ
戦闘中に食べた【鮭 】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : たべちゃうぞ!
【ある日、森から 】【現れた熊が】【かわいい顔に似合わぬ鋭い爪の斬擊】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : みんなあつまれー!
【くま 】の霊を召喚する。これは【くまぱんち】や【くまかみつき】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
琶咲・真琴
森のくまさん!
よく家の裏山でくまさんを投げ飛ばして遊んでました
お母さんに怒られてからはやってないですけど
でも相手はオブリビオンさん
遠慮なく倒しますよ!
接近戦や自己強化が得意なら
その長所を潰せばいいのです
彩色演舞で弾の性質を鮭さんを一気に腐っちゃう毒も仕込んで
鳥もちのように強い粘着性を持たせましょう
水の弾だから、べちゃべちゃして気持ち悪いですよ(毒&罠使い・属性攻撃
お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(familia pupa)の光線と一緒に
スナイパー・援護射撃・クイックドロウ・高速詠唱・フェイントなどで彩色演舞を撃ちます
近寄られる前に第六感・野生の勘・逃げ足・ダッシュなどで回避
アドリブ・連携大歓迎
イミ・ラーティカイネン
忍熊……忍熊か……
確かに熊は動きが素早いしパワーもある、飼い慣らすことが出来れば大きな助けになるんだろうが……
ともあれ、きっちり相手取ってやらないとな
たった一人の楽団で太鼓、三味線、篠笛を召喚
自前のリュートと一緒に操って演奏し、後方から音波で攻撃を行う
「俺の楽団は多種多様、変幻自在。サムライエンパイアの楽器にもきちんと対応できるわけだ」
熊の動きを音で止められるなら幸い、そのまま味方に倒してもらおう
もしこちらに向かってくるようであれば、その時はリュートを演奏するための金属製の爪で迎撃だ
「なに、それは武器ではないだろうって?知らんな、使えるものは使う主義だ」
連携・アドリブ歓迎
山梨・玄信
ただでさえ強い熊が忍術を…って、こいつかい!
妖怪じゃろこれは。
【POWを使用】
先ずは服を脱いで褌一丁になり、脱ぎ力を高めるぞい。
敵が鮭を取り出したら、飛んで盗み攻撃を使い回収するぞい。
そして、鮭は川に返してやるのじゃ上手く行けば、熊が鮭を取り戻しに川に入るかもしれんしの。(熊は自分の獲物に執着する習性があるので)
攻撃は見切りと第六感で躱し、避け損なったらオーラで受け、激痛耐性で耐えるのじゃ。
充分に脱ぎ力が高まったら反撃じゃ。
UCで強化された気の放出(範囲攻撃+鎧無視攻撃)で纏めてダメージを与え、2回攻撃で1体ずつ止めを刺すぞい。
「脱ぎ力は忍びより強いのじゃ!」
アドリブ歓迎じゃ。
●もりのくま=サン
服部忍軍と風魔忍軍が激しい戦いを繰り広げている森の中に、突如としてそれは現れた。
毛むくじゃらの巨体を縦横無尽に動かし、高速で服部忍軍の死角に回り込んでは、凶器といってもいい爪を見かけ通りの怪力で振るう。
それが、風魔の誇る忍熊である。
「忍熊……忍熊か……。
確かに熊は動きが素早いしパワーもある、飼い慣らすことが出来れば大きな助けになるんだろうが……」
転移してその忍熊を目の当たりにしたイミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)は、難しい顔をして呟いた。ケットシーである彼と忍熊とは体格の差があまりにも激しい。
「ただでさえ強い熊が忍術を……って、こいつかい!
妖怪じゃろこれは」
やはりこちらも小柄なドワーフである山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)も、忍熊の巨体を見上げるようにして顔をしかめた。
「森のくまさん!
よく家の裏山でくまさんを投げ飛ばして遊んでました!
お母さんに怒られてからはやってないですけど」
そんな男2人とは違い、明るい声で楽しそうに語る幼き少女、琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)である。……いや失敬、この可愛らしい身なりでも彼は少年だった。
ちなみに最年少の真琴だが、種族的な問題で3人の中では一番大きい。
……が、もちろんそれでも、くまとの体格差はあまりにも大きかった。
「でも相手はオブリビオンさん。遠慮なく倒しますよ!」
「だな、きっちり相手取ってやらないとな」
明るく言う真琴にイミも応える。
「この熊はわしらに任せ、お主たちは普通の忍者を相手にするんじゃ!」
「すみません、お任せします!」
さらに玄信の指示に従い、服部忍軍は忍熊から離れていった。
これで猟兵が相手をするのは、3匹の忍熊だけとなる。
「ひとり1体がノルマですね!」
「それじゃ、熊退治行くかいのう!」
猟兵達と忍熊の間で先端が開かれると同時に、気合を入れなおした玄信は自らの着衣を脱ぎだした。
いきなり予想外の行動にさすがにイミは目を丸くする。
「……なんでだ?」
「褌一丁になって、脱ぎ力を高めるんじゃ!」
「なるほど! くまとお相撲とるんですね!」
そして真琴は、自分もやりたそうに目をキラキラさせていたのだった。
「……やめておけ。それより行くぞ」
軽いツッコミで真琴を制止させると、イミは【たった一人の楽団】を始動する。森の中に転がっていたガラクタから太鼓、三味線、篠笛を生み出し、自前のリュートと共に演奏を開始する。
「俺の楽団は多種多様、変幻自在。サムライエンパイアの楽器にもきちんと対応できるわけだ」
和楽器により奏でられる美しい旋律が、音波攻撃となって忍熊たちを押しとどめる。
「よーし、それじゃボクたちも行きましょう!」
そしてイミの演奏をBGMにして、真琴と玄信も動き出した。
「おっと、そいつはいただきじゃ!」
猟兵達を手ごわいとみて強化のために鮭を食べようとした忍熊から、褌一丁になった玄信は素早く鮭を奪い去る。
「ガアアアアアアア!」
その鮭を取り返そうと、爪を振るう忍熊の攻撃を、玄信は何とか紙一重で避けていくが、想像以上に素早い忍熊の動きに、次第に追い詰められ、とうとうその爪を喰らってしまった。
「ぐううううううっ……まだまだじゃ!」
その痛みにも耐え、玄信は己の脱ぎ力が高まる機を待っている。
「接近戦や自己強化が得意なら、その長所を潰せばいいのです!」
真琴は玄信のようには近づかず……本音は投げ飛ばして遊びたいのかもしれないが、それでも近付かずに【神羅写成・彩色演舞】による塗料の弾を忍熊に向けてぶちまけた。
ただの塗料ではない。鮭を腐らせる毒とトリモチのような粘着性を併せ持った性質にしてある。
それを、お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(『familia pupa』という少年少女を模した片翼の人形)による援護射撃と合わせて、忍熊を狙って撃ちだしていった。
「ウゴゴゴゴゴゴ……」
真琴の攻撃を浴びていった忍熊の1体は、目に見えて動きが鈍っていった。
それでも忍熊は真琴の攻撃を止めようと接近してくるが、真琴は慌てず一定の距離を保って、忍熊を翻弄するのだった。
玄信と真琴が1体ずつを受け持っていたが、忍熊はもう1体いる。
演奏をして音波で攻撃しているイミの元へ、残った1体の忍熊が向かってきた。
「演奏の邪魔だ」
演奏をいったん中断したイミは、リュートを演奏するための爪を武器にして、忍熊が高速で振り下ろしてくる爪を受け止める。
武器でもない演奏用の爪だが、金属でできたそれは十分に攻撃を受け止め反撃も出来ている。
「ふん、使えるものは使う主義だ」
一旦熊の攻撃を受け止めて距離をとったイミは、再び演奏を再開し、その音波で忍熊を撃退するのだった。
「そろそろ脱ぎ力も十分溜まったわい!」
忍熊の爪攻撃を激痛体勢で耐えていた玄信は、機が熟したと判断し、反撃に転じる。【ヌギカル☆玄信】によって強化された黒光りする筋肉から、眩い気が放出される。
「脱ぎ力は忍びより強いのじゃ!」
その力を持って忍熊に掴みかかった玄信は、もはや決して忍熊の巨体にも力負けすることなく、連続で投げ飛ばし、地響きを上げて地面に叩きつけられた忍熊は、やがてピクリとも動かなくなり倒れるのだった。
真琴の攻撃を喰らい続けた忍熊は、やがて毒に冒されトリモチに動きをからめとられ、次第にその動きを止めていった。
「これだけ弱らせたら、もういいですよね?
最後はやっぱりボクも!」
そして動きの鈍った忍熊に対し、玄信がしたように、あるいは昔家の裏山でやっていたように、真琴は忍熊に組つくと、それを思いっきり投げ飛ばしてとどめを刺したのだった。
「ノルマは果たせたか」
それぞれが忍熊を撃破した後、3人は再び顔をあわせる。
「このあたりの忍熊はこれで終いかのう?」
「みたいですね。じゃあ、忍者さんたちの応援に行きましょう!」
あたりに他の忍熊の気配はないことを確認して、3人は服部忍軍の援護へと駆けていくのだった。
大成功
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紅葉・雨燐
月見里・華夜(f19119)と
「(月見里さんクマ好きだったんですね……)」
月見里さんの気合いに驚きつつ[PJ.サファイアダイヤ]を使用して人格を雨と入れ替える
「えぇ、私(アメリ)がお世話になっておりますから、ここはわたくしがお手伝い致しましょう」
SD.アイリスを構えて
「さぁさぁ、クマさんこちらですよ」
月見里様が動きやすいようクマをこちらに【おびき寄せ】つつ相手からの攻撃を誘います
被害は最小限にを努めますが、わざと攻撃を食らうことでUC【仇ナスハ焔ノ蝶】を発動
「ふふふ、頂いた傷には倍のお返しを」
追尾する青の炎蝶に紛れて【カウンター】【なぎ払い】で一気に追い込みましょう
月見里・華夜
紅葉・雨燐 f18786と
「もりのくま=さんを傀儡とするとは…風魔許すまじ!」
奥ゆかしさを漂わせつつも怒りに震える華夜、何を隠そう彼女はクマが大好きなのである。
「フォリア!忍転衣!」
『しゃーねぇなあ!』
クマを戦争の道具とする、風魔への怒りを力に変え!相棒である外套フォリアと自身の衣装が融合し決意の忍装束と化す!これこそUC忍転衣・極光である!
「せめてもの情け…私の手で苦しまずに送ってさしあげましょう」
強化された二刀の小太刀と翼による飛翔能力を使いくまさん達の集団の中を縦横無尽に駆け抜けます。
【部位破壊】で体勢を崩し隙を逃さず【暗殺】場合によっては小太刀を【投擲】!全力でくまさんに挑みます!
●さよなら、くま=サン
別の場所でも、猟兵と忍熊との戦いは行われていた。
「もりのくま=さんを傀儡とするとは……風魔許すまじ!」
森の中を縦横無尽に駆け回る忍熊と相対しながら、月見里・華夜(現代に生きる忍び・f19119)は憤っていた。
同じ忍びとして、そして何よりもくま好きとして、華夜は風魔を許せなかった。
(「月見里さん、クマ好きだったんですね……」)
そんな華夜の気持ちは、言葉にしなくても、傍らにいる紅葉・雨燐(パフュームトリッパー・f18786)には伝わっていたようだ。主にくま好きの部分が。
そんな華夜の気合に驚きつつも、雨燐は自らの人格を戦闘用に入れ替えつつ、力強く華夜に応えるのだった。
「えぇ、普段は私(アメリ)がお世話になっておりますから、ここはわたくしがお手伝い致しましょう」
取り出した香水『PJ.サファイアダイヤ』んいよって呼び覚まされた人格は『雨(アメ)』。紫の瞳が、雨の出現と共に青く変わる。
「ありがとう! それじゃこっちも行くよ、フォリア! 忍転衣!」
『しゃーねぇなあ!』
雨燐……いや、雨に礼を言いながら、華夜もまた戦闘準備をする。強い思いを込めて、知性ある外套……ダークネスクロークの『フォリア』に号令し、自身の装束と融合させ決意の忍び装束と化す。これぞ【忍転衣・極光】、華夜の全力の戦闘スタイルだ。二刀の小太刀を構え、背には大きく黒き翼が広がる。
「私の手で送ってさしあげましょう」
なお、込められた強い思いとはもちろん、くまを戦争の道具とする、風魔への怒りであることは言うまでもない。
こちらの方にいる忍熊は3体。
別方向のは他の猟兵が始末してくれている。
「さぁさぁ、くまさんこちらですよ」
雨は忍熊を服部忍軍から引き離すための囮として、薙刀……『SD.アイリス』を構えて忍熊たちをおびき寄せ惹きつけていた。
「これは、思ったよりも……!」
自身で引き付けたはいいものの、忍熊の巨体に似合わぬ素早い忍者の動きに次第に防戦一方になる。被害は最小限に抑えてはいるものの、全くのノーダメージとはいかない。忍熊の鋭い爪が刀のように高速で振り下ろされ、雨を傷つけていく。
だが、雨の陽動はしっかりと効いていた。
忍熊たちが雨につられている間に、その意識から外れていた華夜は、その隙を逃しはしない。縦横無尽に忍熊たちの間を黒き翼をはためかせて飛び回る。森の木々に紛れ、その間を縫うように高速で飛ぶ華夜の姿を、忍熊たちは捉えられず、一方的な攻撃を許すことになった。
「その巨体、まずは足元から!」
通り抜けざまにふるわれる小太刀二刀、それは瞬く間に忍熊の脚の腱を切り裂いた。
「ガアアアアアアア!?」
悲鳴を上げて忍熊の巨体が倒れていく。
1体がこうして崩されたら、悲鳴を聞きつけた周りの忍熊もそちらに気を取られてしまった。
それは、ここまで囮として忍熊を惹きつけていた雨にとっての絶好の反撃の機になる。
「ふふふ、頂いた傷には倍のお返しを」
雨が発動させたカウンター技【仇ナスハ焔ノ蝶】による蒼き炎の蝶が、自らの目の前にいた忍熊を焼いていった。
「せめてもの情け……これ以上苦しむ前に送りましょう」
そして身体が燃えてもがき苦しむ忍熊めがけて、華夜は己の小太刀を投擲する。それは狙い違わず燃える忍熊の脳天に突き刺さり、事切れた忍熊は地響きを上げてその場に崩れ落ちた。
「まだ残りはいます。油断なくいきましょう」
「ええ、行きますよ」
やがて残る2体の忍熊も、同様に華夜の小太刀二刀の斬撃と雨の炎の蝶とのコンビネーションによって屠られていく。
2人が忍熊を打ち倒したころには、他の方面で戦っていた猟兵達の熊退治も終わっていたようで、あとは風魔忍軍の残敵処理だけだ。
2人もそのまま服部忍軍の援護に駆け付け、やがてほどなくしてこの場の戦いは終焉を迎えるのだった。
大成功
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