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エンパイアウォー⑯~日坂宿の決戦

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎


●百面鬼『風魔小太郎』
「ほう…我が『風魔忍法隕石落としの術』を破り、我が屋敷を看破するか。やはり油断ならぬな、猟兵とやらは……!」
 暗闇に、強者との戦いへの愉悦を滲ませた男の声が低く響く。
 声の主は魔軍将『百面鬼・風魔小太郎』だ。
 複数の顔を漆黒の髑髏の仮面で覆い隠し、六本の腕にはそれぞれ強力な力を宿した忍具を装備した異形の化身忍者。
 相州乱波の主、戦国最強の忍、風魔の頭目、百面鬼、魔軍将、数多の異名を持つ恐ろしいオブリビオンである。
 彼は、自身の部下である風魔忍を呼び出すと『歓待』の準備を始めるよう命を下した。
「今から多くの猟兵どもが我が首を狙ってこの屋敷に訪れるであろう。我はこの『風魔忍軍の忍者屋敷の主として奴らを『歓待』せねばならぬ。客人に無礼があれば、我とそして我が主である信長様の顔に泥が塗られるであろう。心して準備にかかるがいい」
「「「御意!!!」」」
 頭目の命に従い闇に紛れる風魔の忍たちは、散開。猟兵達を『歓待』するべく、忍者屋敷の絡繰りの整備と更なる強化を行うのであった。

●百面鬼を討て
「皆、大変だよ!先の隕石攻撃の犯人である『風魔小太郎』の居場所が分かったよ!」
 メイド服に身を包んだグリモア猟兵のパリジャード・シャチー(因達羅神のハナヨメイド・f17808)は、集まった猟兵達に向けて早速説明を始めた。
「東海道五十三次の25番目、遠江の国の日坂宿の近くの山中。えーっと、今でいうなら掛川市の粟ヶ岳。ほら‥あの茶文字がある山知らない?あそこの中腹あたりの竹林に、忍者屋敷が見つかったんだ」
 グリモアを操作して屋敷の映像を雲のスクリーンに投影をするパリジャード。
 そこには竹林の奥にひっそりと佇む平屋建ての大きな屋敷が映し出されていた。
「この屋敷の中で罠を張った『風魔小太郎』が、キミ達の襲撃を待っているよ。地の利は敵にあると言っても過言じゃない。本当にそこら中罠だらけだから気をつけてね。」
 真剣な面持ちで女神は猟兵達に告げる。
「それで…うちが予知した範囲の中で見えた罠を教えるよ。うちが見たのは飛矢の罠だよ。こう罠を踏み抜くと毒矢が飛んでくる罠。キミ達猟兵にとっては、1発2発ではそこまでの脅威にはならないだろうけど、沢山喰らうと動けなくなるよ。あと、忍者屋敷には明かりが一切ないよ。真っ暗だから罠と奇襲には気をつけてね」
 それとこれが一番重要なことなんだけどと前置きしながら、パリジャードは説明を続ける。
「小太郎は【強敵】だよ。キミ達がユーべルコードを使って攻撃をする前に、各能力に応じた能力に対応したユーべルコードで【先制攻撃】をしてくる。だからこの【先制攻撃に対して対策を練らないと苦戦は免れない】よ。だから【先制攻撃対策は必須】だよ。忘れないでね。あとそうだね…ユーべルコードは1つに絞った方が良いかも。複数回先制攻撃を喰らうかもしれないからね」
 先制攻撃対策を忘れないでねと念押しをするパリジャード。
「さ、風魔小太郎の【先制攻撃対策】、【忍者屋敷対策】が思いついた人から転移させるよ。準備が出来たらうちに声をかけてね」
 グリモアを紫色に輝かせて転移の門を作り出す。
 そこには暗闇に溶けるようにひっそりと大きな忍者屋敷が立っていた。


しろべびさん
 皆さんどうもしろへびさんです。
 風魔小太郎との決戦です。強敵相手ですので腕に自信のある猟兵さんはぜひともご参加くださいませ。
 お仲間と連携される場合は何か分かるような目印か、名前を書いて下されば一緒にリプレイを書かせていただきます。(IDまではなくても構いません)

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 そしてこのシナリオでは特殊ルールがあります。
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 百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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 それではみなさんの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

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オーガスト・メルト
デイズ、屋敷の構造を見通して教えてくれ。なるべく正確、迅速にな。
『うきゅ!』
ナイツ、罠や奇襲を狙う雑兵の位置を見破ってくれ。
『うにゃ!』
お前達の竜の眼があれば、例え暗闇でも昼間と変わらない。頼むぞ。

【POW】連携・アドリブ歓迎
先制攻撃の雑兵は真正面から迎え撃つ!…はずがないだろう。
攻撃を【見切り】、【残像】と【逃げ足】を駆使して、【敵を盾にする】事で有利な位置をキープしつつ撃退する。
『うきゅー!』
ああ、分かってる。風魔の動きにも注意するさ。デイズ、ナイツ、周辺警戒を頼むぞ。
『うにゃー!』
隙が出来たら【ダッシュ】で風魔に接近してUC【赤光一閃】を叩きこむ。

これが本当の三面六臂ってやつさ。



●風魔小太郎vs竜騎士&竜饅頭たち
 その屋敷は粟ヶ岳中腹の竹林を切り払って拓いた土地に誰も知らないうちに建てられていた。
 周囲に民家はなく、人の手による明かりはなにもない。天に輝く星と月の光だけが静かに平屋建ての日本家屋を照らしていた。
 この闇に溶け込むように静かに佇む平屋建ての建物こそ、『百面鬼・風魔小太郎』の潜む『風魔忍軍の忍者屋敷』である。
 この数多の飛矢の罠が仕掛けられた『忍者屋敷』とその主である『百面鬼・風魔小太郎』を攻略するべく、1人と2匹の猟兵と黒白竜饅頭が、忍者屋敷へと降り立った。

「デイズ、屋敷の構造を見通して教えてくれ。なるべく正確、迅速にな」
『うきゅ!』
「ナイツ、罠や奇襲を狙う雑兵の位置を見破ってくれ」
『うにゃ!』
「お前達の竜の眼があれば、例え暗闇でも昼間と変わらない。頼むぞ」
 正門をくぐり抜け、屋敷の敷地に足を踏み入れたオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)は、すぐさまに相棒である2匹の黒白竜饅頭に索敵の指示を出した。
 正門から1歩踏み入れればそこはすでに罠だらけの敵の本拠地である。いつどこから敵が現れるかも分からず、どこならば安全に歩けるかも分からない。そんな状況ではまともに戦闘など出来ようがない。
 故に屋敷に到着をして直ぐに索敵と情報収集を行ったオーガストの行動は、大正解と言えた。尤も諜報と暗殺の専門家である忍たちの頭目である風魔小太郎がそれを許せば…の話ではあるが。
 漆黒の髑髏の仮面で顔を隠した風魔忍たちが音も立てずに闇の中を駆け抜けてオーガストたちに襲い掛かる。
 ユーべルコード≪風魔忍法『風魔頭領面』≫によって召喚された風魔忍者軍団による先制攻撃である。
「先制攻撃の雑兵は真正面から迎え撃つ!…はずがないだろう」
 オーガストは、忍者刀による攻撃を見切り半歩後ろに下がって躱すと、斜め後ろに向けて回し蹴りを入れて風魔忍を吹き飛ばす。
「ぐあっ」
 吹き飛ばされた風魔忍は別の忍が放った手裏剣をオーガストの代わりに全身に受けて倒れ伏し、消滅する。
「まずは1人目」
 ナイツによって齎された罠の位置と敵の位置から冷静に安瀬地帯を見極めながら、逃げ足を飛ばして残像がでるほどのダッシュ。時に風魔忍同士の同士討ちも狙いながら、1人、また1人と風魔忍の数を減らしていく。
『うきゅー!』
「ああ、分かってる。風魔の動きにも注意するさ。デイズ、ナイツ、周辺警戒を頼むぞ」
『うにゃー!』
 まだ見ぬ風魔小太郎への警戒を2匹の竜饅頭に指示を出したオーガストに冷たい刃を押し当てられたような強烈な殺気と共に、逆手に構えた忍者刀の一撃が繰り出される。
「言った矢先にくるか……!」
「ほう……!」
 焔迅刀で小太郎の忍者刀を受け止めたオーガストの腕に重い衝撃が襲い掛かる。
「我が刀を防ぐか。見事也。だが我と我が部下との連携攻撃は如何にして防ぐかな」
 沢山ある面のうちの1つ潰れた小太郎は感嘆の声を上げながら、6腕のうちの1つを動かす。
 するとそのサインを読み取った風魔忍たちが、小太郎の意を汲んで連携しやすい位置へと移動し始める。
(風魔だけでも厄介なのにそれに雑兵の風魔忍も連携されると堪ったものじゃないな。せめて一瞬でも隙があれば‥‥。デイズ、ナイツ、行けるか?)
 敵の波状攻撃を何とか凌ぎつつ、相棒である二匹の竜饅頭にアイコンタクトで意思疎通を図るオーガスト。
『うきゅー!』
『うにゃー!』
 アイコンタクトに対して、鳴き声を上げることで同意を示すデイズとナイツの2匹。
『うきゅー』
「むっ?」
 デイズが小太郎の武器が届くギリギリの所を飛翔して注意を引いた隙に…‥。
『うにゃー』
 足元に潜り込んだナイツが、足元のスイッチを強く押し込む。
 すると飛矢の罠が作動して、小太郎の背後から毒矢が射出され無防備な背中に向けて風を切りながら飛んで行く。
「何っ!?‥‥チイッ!」
 小太郎は驚きつつも飛んできた矢を大きな腕を操作して弾き飛ばした。
だが…その一瞬、小太郎の意識はオーガストから外れる。
「我が抜刀に……斬れぬものなし」
 相棒達が作った一瞬の隙を見逃さず、大地を思いっきり蹴り上げ急加速して小太郎の懐へと潜り込み、ユーべルコード≪赤光一閃(ヒートクリムゾン)≫を発動させる。
 超高速で大威力の剣閃が異形の忍者に吸い込まれるように炸裂し、鮮血が吹き上がる。
「これが本当の三面六臂ってやつさ」
「ほう…我にここまでの手傷を負わせるか。見事也」
 相棒達との連携で一瞬の隙を作り、見事に一撃を入れたオーガストに対して感嘆の声をあげる風魔小太郎。
「ここは一旦引かせてもらおう」
 そう言うと煙玉を炸裂させて煙幕を張る。
「逃げられたか……」
 煙が晴れて誰も居なくなった空間を見たオーガストがポツリと呟く。
「でもダメージは与えた。こちらも一旦引こうか」
 風魔小太郎の血によって紅く染まった焔迅刀に確かな手ごたえを感じつつ、オーガストはグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルトス・ユビキタス
地の利は敵にある,
か。
だがそれがどうした。地の利が無ければ、作り出す。それが俺の戦い方だ。

まず可燃物を持ち込んで屋敷に火を放つ。
次に罠どころか骨組みまで焼け落ちた場所から小太郎を探していく。

鎖鎌に武器を巻き取られないよう気をつけつつ手裏剣共々【武器受け】。防ぎ切れない分は【激痛耐性】とか【オーラ防御】で誤魔化す。
そして大鎌の【範囲攻撃】で歴代の小太郎をまとめて【薙ぎ払う】。
UCを防ぎきったら反撃だ。
『アーク・カリブルヌス』で小太郎を囲うように天井付きの迷路を召喚。出口から火を吹き込む。
「蒸し焼きになりやがれ」



●ファイアバグ
 粟ヶ岳の中腹にある竹林の一角を切り拓いていて建てられた絡繰り屋敷。
 魔軍将『風魔小太郎』とその配下が潜む『風魔忍軍の忍者屋敷』には、再びの静寂が戻っていた。
 館を照らす明かりは夜空に輝く星と月のみ
 館に響く音は風と虫の鳴く声のみ。
 静寂と闇が支配する館の奥で、百面鬼は禅を組みながら己が精神を研ぎ澄ます。
 次に不用意に館に踏み込んできたものを、忍びの絶技で仕留めるために。

「地の利は敵にある…か」
 先ほどまで竜騎士とその相棒である黒白竜饅頭が戦っていた場所に転移してきたウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)は、周囲を見渡しながらそっと呟く。
 この忍者屋敷は、風魔忍達がその主である『百面鬼・風魔小太郎』の為に創り上げた彼の為の陣地だ。
 建物の配置から罠の位置まですべてを小太郎は把握している。それが奇襲と暗殺を得意とする小太郎にとってどれだけのアドバンテージがあるかは言うまでもないことであろう。
「だがそれがどうした。地の利が無ければ、作り出す。それが俺の戦い方だ」
 そう言うウィルトスが取り出すは、『火気厳禁』と仰々しい字で書かれた液体燃料。
「この手に限る」」
 悪い顔をしながら、液体燃料をぶちまけて火をつける。
 SSWかそれともアルダワかそれともUDCアースかヒーローアースかは定かではないが、異世界から持ち込まれた、液体燃料は瞬く間に炎上し、木造の忍者屋敷を焼いていった。

「‥‥やはり、火を放つものはいるか。まあ想定内だ。貴様等はこれ以上延焼しないようにせよ」
「「「御意」」」
 転移即放火と言うテロと言うのも生ぬるいような卑劣以外の何物でもない攻撃を受けても、風魔小太郎は冷静だった。
 屋敷に籠って敵を迎え撃つという選択をした時点で火攻めとそれに対応する方策は、すでに練っている。
 故に慌てることなど何もない。
「とは言え…我が屋敷に火をつけた愚か者には誅罰を与えねばらならぬな」
 禅を解いた小太郎がすっと立ち上がる。
 その髑髏面の眼窩に宿る赤い光には、幾ばくかの怒りの感情が込められていた。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!風魔忍法『死鬼封神面』の術!」
 九字護身法の呪文を唱えながら、六つの腕を器用に動かして高速で印を結ぶ。
 すると小太郎から髑髏の面が外れて、霊体で出来た人型の顔を覆い隠す。
「歴代の風魔小太郎よ。今代の風魔である我に力を貸し給え」
「「「応!」」」
 髑髏の面を被った霊体は各々が扱いなれた獲物を手にして、館に火をつけた狼藉者に向けて一斉に駆け出していった。

「来たか」
 変形機構を持つ狙撃用大鎌の大鎌形態である≪イクリプス・フリティラリア≫と銘のついた大鎌を構えたウィルトスに仮面の暗殺者たちが襲い掛かる。
 誰も彼もがその時代の風魔最強と呼ばれた風魔小太郎たち。その戦闘技能と身体能力は、猟兵に迫るレベルのものであり、非常に厄介な存在と言えた。
 それが間髪入れずに複数体襲ってくるという悪夢。
加えてオブリビオンと化した風魔小太郎もいつ奇襲してくるか分からない。
「まさに数の暴力だな。だが……」
 武器を絡めとる鎖鎌の一撃に最大の警戒を払いつつ、手裏剣や忍者刀を手にした大鎌の刃や柄を使いなんとか捌く。
 捌き切れない攻撃は、オーラで威力を軽減させつつ、後はやせ我慢で耐えきる。
「対応しきれないほどはない」
「「なんとっ!?」」
 必要経費のダメージを受けつつも、トリガーを押し込み発砲加速させた大鎌で歴代の風魔小太郎たちを纏めて薙ぎ払う。
 攻撃の見極めに自信があった歴代の風魔たちは、突然の発砲加速によって速度を増した大鎌の一撃を躱し切れずに霊体を切り裂かれて消滅する。
「歴代の風魔小太郎を退けるか…。見事」
「おおっと」
 いつの間にか現れた今代の『百面鬼・風魔小太郎』が、手にした忍者刀や扇子、大腕を使っての踊るような連撃をウィルトスに仕掛ける。
 ウィルトスは。何とか大鎌とオーラで受けつつ、反撃の一手を繰り出す。
「廻れ」
渾身の魔力を込めた一言と共に魔方陣が展開し、そこから天井付きの鋼鉄製の迷路が召喚される。
「なんと…我が屋敷の中にさらに迷宮を生み出すとは」
 驚愕の声を上げる風魔小太郎。
「蒸し焼きになりやがれ」
 そんな小太郎を尻目に唯一の出口へと到着したウィルトスは、そこから先ほどの液体燃料の残りを投げ込み、それに向けて全力で炎魔法を撃ち放った。
「貴様…まだ放火したりぬか…!」
 迷宮の奥で百面鬼・風魔小太郎が怒りの籠った声を上げる。
「さて、やることはやったし後は味方に任せるとしようか」
 そう言うとウィルトスは、そそくさと撤退の準備を始めた。

「ちっ…逃がしたか」
 全身を黒い煤塗れにしながら、迷宮を踏破した風魔小太郎が忌々し気に呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソフィア・リューカン
えーっと、真っ暗中で罠たくさん、相手は先攻攻撃……やることがたくさん!?

とりあえず、【武器改造】でレイニーに照明機器を設置して暗さを克服。【罠使い】である知識を使って、ジェファーソンによる罠起爆で罠をある程度やり過ごすわ。

相手はNINJA!なら瞬間移動や符術による爆破、忍具投擲があり得るわ……ひとまず接近されたら負けね。【念動力】で周囲を一気に吹き飛ばしながら、勢いで人形用の武装を作り出して人形に渡すわ!
見た所、あの髑髏の面が技のポイントのようだし、人形に持たせたインクたっぷりのバケツ爆弾を相手にぶつけて、麺の瞳を打ち消せるか試してみるわ!それにあの腕は絡繰りなら、インクの湿気で壊せるかもね!



●見習い人形遣いvs風魔小太郎
 先ほどの戦いで放火魔もとい液体燃料を持ち込んで館に火を放った猟兵によって引き起こされた建物火災は、風魔忍たちによる迅速な破壊工作により何とか延焼を免れていた。
 そして二度の放火によって燃え続けていた炎も風魔忍たちの頑張りによって何とか無事に鎮火して、忍者屋敷には一応の平穏と静寂が戻ってきた。
 だがしかし、静寂が戻ったのは一瞬だった。
 何故ならば、『風魔忍軍の忍者屋敷』に、女神によって転送された新たな猟兵が現れたからだ。

「えーっと、真っ暗中で罠たくさん、相手は先制攻撃……やることがたくさん!?」
 やらねばならないことのあまりの多さに、若干パニックになっているのは、人形遣いの少女、ソフィア・リューカン(ダメダメ見習い人形遣い・f09410)。
「とりあえず、光源確保が最優先ね」
 こういう時こそ、1個1個こなしていくことが大事である。
 そう思いなおしたソフィアは、早速どこか無愛想な白髪の人形≪レイニー・A・ヘルモンド嬢≫に、照明機器を括り付ける。
 闇に包まれた忍者屋敷を攻略するにあたって、光源を確保することは重要だ。罠だらけの忍者屋敷を手探り状態で進むなど自殺行為と言っても過言ではない。もちろん、光源によって自分の位置が遠くからでも丸わかりというデメリットもあるが…今回の戦いに至っては、風魔小太郎はその恐るべき情報収集能力によって、館の全てを把握して奇襲を仕掛けてくるため、別段問題ないと言える。
「後は罠に気をつけて、なるべく解除しながら進みましょう」
 罠使いとしての知識を駆使して怪しい所に当たりをつけ、そこをレイニーで照らしながら、青髪の人形≪ジェファーソン・へルモンド卿≫を使って罠起爆をして、館の奥へ奥へと進んでいく。

 そうしてしばらく館の中を進んでいると長い廊下の左右にある豪華な装飾がされた襖を突き破り暗闇に赤く爛々と一際禍々しく輝く2つの光が飛び出してくる。
 ユーべルコード【風魔忍法・六道阿修羅面】を発動させ、8色の影法師をその身に重ねた『百面鬼・風魔小太郎』が、奇襲を仕掛けてきたのだ。
「破ッ!!」
 裂帛の気合と共に苦無が放たれる。その数は9本。1つは本物の小太郎が放ったもので、残りの8本は小太郎と連動するように動いた影法師が放ったものだ。
(相手はNINJA!なら瞬間移動や符術による爆破、忍具投擲があり得るわ……ひとまず接近されたら負けね)
 錆銀の腕輪で増幅したサイキックパワーによる念動力で周囲を一気に吹き飛ばすことで、初撃の苦無を吹き飛ばし、小太郎の接近を牽制する。
「そーれ!!ジェファーソンにレイニー!これを使うのね!」
 念動力の放射によって作った一瞬の隙。その隙を見計らってユーべルコード≪人形装殻突破術(ナニニナルカハオタノシミ)≫を発動させる。
 ユーべルコードによって生成されたのは‥‥なみなみとインクが入ったバケツ爆弾だ。
(見た所、あの髑髏の面が技のポイントのようね、だったら今作った武器で小太郎の髑髏面の瞳を塗りつぶせるかも!)
 ユーべルコードによって生成された武器とグリモア猟兵から齎された小太郎の情報と姿と現在の小太郎を見比べて、敵の弱点を看破したソフィア。
「あとはぶつけるだけだけど…」
 8色の影法師を従えて、手数が9倍のなった小太郎の攻撃を掻い潜り、小太郎の面にインクを炸裂させる……それは間違いなく至難の技であった。
「‥‥何をするつもりかは知らぬが、可笑しなことなどさせぬ」
 どうするか悩む時間など与えまいと6腕に忍者刀や扇子、鎖鎌に絡繰り巨腕を装備した風魔小太郎が、ソフィアに近接戦闘をしかけようと瞬足を飛ばす。
「そっちがそう来るなら…!」
 廊下の左半分に向けて念動力で動かした瓦礫を飛ばすと同時にその反対の右側方面からジェファーソン人形を突撃させる。
「今よ!」
「甘いわ!」
 念動力によって飛散してきた瓦礫を躱した小太郎は、持っていた忍者刀で突撃してきた人形が投げてきた何かを切り払う。
「何だと!?」」
 すると…切り払った何かから、染料のようなものが一気に炸裂して、化身忍者の異形の体をカラフルに染め上げる。
「くっ…我が面によくもこのような真似を…」
 光を吸収するユーべルコード製の染料により、髑髏面の瞳を光らせ続けることが出来なくなった小太郎は、ユーべルコードを維持することができない。
「ぐあっ!」
「今よ!お願い、レイニー!」
 味方を一度も攻撃しなかったことによる代償により、寿命が縮まるほどの負荷を受け、一瞬動きを止めた小太郎に対して、ソフィアは星縫いを持ったレイニーを差し向ける。
「チィッ!」
 咄嗟に絡繰り巨腕で攻撃を防ごうとするが、インクの湿り気かそれとも、イのンク性が理由か…。中の歯車が上手く動かず思い通りに動かない。
「ムウウウ!!」
 同じところを狙って二度繰り出された星縫いによる刺突攻撃によってカラフルになってしまった忍び装束にさらに赤が加わる。
「無念だが…ここは一旦引かせていただく」
 手にした煙幕玉を起爆させて煙幕を張り、館の奥へと姿を消す小太郎。
「ふう…なんとかなったわね。追撃は……止めておきましょう。ジェファーソンも洗ってあげないといけないしね」
 バケツ型のペンキ爆弾による名誉の負傷により全身ペンキ塗れになってしまった人形を大事そうに抱きかかえながら、ソフィアはグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズホ・トヒソズマ
※アドリブ、連携可

【SPD】
人形は全て◆早業◆操縦

飛矢はマスクドMイヤーの集音機能や◆聞き耳で、仕掛けの作動音や風切り音を聞いたり、◆暗視からの◆視力確認したりして、◆早業の◆ジャンプや◆ダッシュで回避。その際鏃が鉄製か確認

小太郎対峙戦は、連続攻撃はキメラの磁力反発バリアの◆オーラ防御で忍具攻撃と飛矢を纏めて反発、威力を緩め防御
格闘はヴィアイスの予測演算による◆見切りで回避専念
『来るまでに磁力バリアを使わなかったのは、事前に見られて忍具を控えられて格闘に集中されたり、鏃を変えられたりするのを防ぐ為です』

凌いだらUCで下半身を馬にし、強化した◆ダッシュで矢や攻撃を回避し、加速からの◆踏みつけ攻撃



●マスクドMvs百面鬼
 粟ヶ岳の山中に突如現れた『風魔忍軍の忍者屋敷』。
 数多の飛矢の罠が仕掛けられた絡繰り屋敷も地上にある部分は、猟兵達によって大部分が探索され、罠が外されて安全が確保されていた。
 残すは、巧妙に隠されていた地下エリアのみ。
 地下の攻略が終われば、『百面鬼・風魔小太郎』の逃げ場はなくなり、確実に彼にトドメを刺すことが出来るようになるだろう。
 そしてまだ誰も踏み入れたことのない、地下エリアに一人の猟兵が足を踏み込む。

 紫のかなりぴっちりした忍び衣装を纏い、桜の花びらの意匠がある紫の覆面をした女性が石で出来た階段を1段、1段と下り地下へと降りていく。
 彼女の名前は、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)。ぴっちりとした衣装を身に纏った女性の方ではなく、紫の覆面やぴっちりとしたボディースーツを本体とするヒーローマスクの女性である。
 シズホが石段を下り終えて、周囲を警戒しながら歩いていくと早速足元から何かを踏み抜いたような違和感とカチリという絡繰りが駆動する音が、猫耳型のデバイスである『マスクド・Mイヤー』の集音機能を通して彼女の耳に入る。
「早速きましたね」
 絡繰りの駆動する音を辿り背後を振り向くと、石段の一部がスライドして、毒矢の発射機構が姿を現す。
 そしてその毒矢発射機構から、ヒュンという風切り音を立てながら、毒が塗られたことで黒くなった鏃の毒矢が、スイッチを踏んでいるシズホ目掛けて一直線に飛んでくる。
 その飛矢をバク宙して躱すと、足元から再びカチリという音が…。
「敵の最終防衛ラインというだけあってかなり罠が多いですね」
 罠を避けると、その先に次の罠のスイッチがあり、絶え間なく毒矢が飛んでくる。
「おっと、危ない、危ない。‥‥これは鉄製の鏃ですね」
 顔に目掛けて飛んできた毒矢をつかみ取り、材質を確認するシズホ。どうやら矢は、特殊な製法によって作られたものではなく、幕府軍や掛川藩から盗んできたものに毒を塗って使用しているようだった。
 確認したいことを確認したシズホは、暗視と聞き耳を活かして罠をくぐり抜けて奥へと進んでいった。
 
 襖戸を開けて、次の部屋に入るとそこは、体育館の半分程度の広さを誇る大きな畳敷きの和室であった。
 その部屋の隅から、何かを強く蹴るような音を『マスクドMイヤー』で拾ったシズホは、大きくその場から前方に飛んで離れると2体の人形を取り出した。
 1体目は、過去を弱める偽三呪剣を腕と頭部に持つ騎士人形である≪シュヴァルツヴィアイス≫、もう1体は、防御バリアを張ることに特化した髪をツインテールに結んだ少女型の人形である≪デザイア・キメラ(三欲の獣)≫だ。
 2体の人形を従えたシズホは、襲撃犯である風魔小太郎と相対する。
「…躱すか。ならば…我、今一度阿修羅とならん!」
 絶妙なタイミングでしかけた奇襲を躱されたことで、さらに警戒心をあげた小太郎は、確実に殺し切るべく、印を結びユーべルコード≪風魔忍法・六道阿修羅面≫を発動させる。
 闇の中で輝く2つの赤が更に爛々と炎のように燃え上がり、8色の小太郎の姿をした影法師が彼に重なるように姿を現した。
「さあ、死ぬがいい」
 8色の影法師をその身に重ねた小太郎が阿修羅の如くシズホに襲い掛かる。
 繰り出される斬撃は、9色9本の軌跡を描きシズホに迫り、繰り出される巨腕による一撃は、一撃で9つの打撃痕を地面に刻む。
 その猛攻を≪シュヴァルツヴィアイス≫の予測演算機能を使った行動予測で的確に、タイミングと軌道を見切り、攻撃の隙間に体をねじ込むことで、紙一重で攻撃を躱していく。
 だが、それもいつまでも続くわけではない。何故ならばここは『風魔忍軍の忍者屋敷』。数多の飛矢の罠が仕掛けられた絡繰り屋敷である。
 小太郎の連続攻撃によって、罠の仕掛けてある場所まで誘導させられたシズホの足元には、踏み込まれた飛矢の罠のスイッチがあった。
「‥‥そこだ!」
 シズホ目掛けて飛来する毒矢に合わせて、手裏剣と苦無を投擲する小太郎。
 四方八方から飛来する毒矢と影法師によって9倍に増えた苦無と手裏剣がシズホを襲う。
 だが‥‥絶体絶命な状況においてもシズホは余裕のままだった。
「来るまでに磁力バリアを使わなかったのは、事前に見られて忍具を控えられて格闘に集中されたり、鏃を変えられたりするのを防ぐ為です」
 ヴィアイスの予測演算の通りに飛来してきた手裏剣と苦無と毒矢を纏めて、デザイア・キメラの放つ磁力反発バリアで勢いを緩める。
 そうして弱められた忍具や毒矢は、紫色のぴっちりスーツに弾かれて、畳の上へと転がっていった。
「…あれを防ぐか」
「ここからが本当の勝負!スピードの先へ!戦いにかける猟兵の魂を見よ!」
 先制攻撃を凌ぎ切ったシズホの反撃が始まる。
 全身をリキッドMメタルで覆ったシズホが変身するは下半身を馬にした半人半馬の銀速形態。
 その爆発的に強化された反応速度を以て、次々と飛来する毒矢や苦無や手裏剣を加速しながら躱すと、その勢いのまま一気に小太郎へと接近する。
 そして彼女を追い払うように放たれた日本刀の一撃を躱すと、無防備に空いた彼の胴体に流体金属でできた馬の前脚を叩きこむ。
「ごふっ‥‥」
 流体金属の蹄が風魔小太郎の肋骨を砕き、髑髏仮面の内側から赤い血のようなものが零れ落ちる。
「ぐ…離れよ!」
 手にした忍者刀や鎖鎌を振るい、シズホを遠ざける小太郎。
「まだまだ‥‥我は死ぬわけにはいかぬ」
 そういうと小太郎は、手にしていた煙玉を炸裂させて何処かへと消えていった。
「逃がしましたか‥‥。ですが、あと少しですね」
 シズホは畳の上に点々と続いている小太郎の血痕を見ながらそう呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラウン・アンダーウッド
アドリブ大歓迎

ボク達と一曲踊ってくれるかな?

複数の応援特化型人形の人形楽団による【楽器演奏】で場の演出を行い周囲を【鼓舞】させる。

【情報収集】【第六感】で周囲の罠の位置や敵の動きの掌握を図りつつ、空中を踊るように動きカバン型移動工房を盾に攻撃を【拠点防御】で防ぎ、時にはガントレットで【武器受け】をする。投げナイフで罠を起動させて、相手の気を逸らし距離をとる。

奇しくもボクと似たUCだね。ボクのUCはキミにどう写るかな♪

からくり人形が投げナイフを手に主人を切りつけ、血のように吹き出す炎をその身に纏う。

多少の傷はヤドリガミの特性で癒し、それでも足りなければ地獄の炎で補う。

さぁ、パーティーの始まりさ!



●ダンスマカブル
 風魔小太郎が粟ヶ岳の山中に創り上げた『風魔忍軍の忍者屋敷』。
 数多の飛矢の罠によって武装し、守りを固めた恐るべき忍者屋敷もその大半を侵略されて、残すは地下の数部屋だけとなった。
 手負いの『百面鬼・風魔小太郎』を倒すまであと少しの所まで来ている。
 そして小太郎に対して更なる追撃を加えるべく、また1人猟兵が忍者屋敷の地下室へと足を踏み入れた。

 その猟兵はオーケストラの音色と共に先ほどまでヒーローマスクの女性が戦っていた広いを和室へと降り立った。
 周囲を鼓舞するように演奏する≪応援特化人形≫を従えて、地獄の炎を纏わせたナイフを松明代わりにして、館の奥へ奥へと行進していくのは、煤けた時計のヤドリガミであるクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)だ。
 彼は先ほどの戦いで小太郎が負った傷か…またはそれ以前の戦いの傷が開いたのか…定かではないが、小太郎の物であろう血痕を辿って歩いていく。
 しばらく歩いていると少し広めの和室があり、そこには全身傷だらけの風魔小太郎が道を塞ぐように立っていた。
 いくつかある顔を覆う髑髏の面の1つは代償によって砕け、服の一部は焼け焦げ、ぶちまけられた塗料によって色鮮やかに染色されていた。
 それでもなお、彼の闘志は衰えることはない。
「ボク達と一曲踊ってくれるかな?」
「断る。踊るなら貴様等だけでやるがいい。阿修羅の面よ、我に…今一度、今一度力をあ為給え」
 6本の腕で印を結び、3度目のユーべルコード≪風魔忍法・六道阿修羅面≫を発動させる。
 8色の影法師を身に纏った小太郎が、6本の腕全てに武器を構えてクラウンへと迫る。
 それに対して、クラウンは自分の第六感と、道中までに得た情報から罠の位置を探りながら、空中を舞い踊るように飛び跳ねる。
「空中で…ちょろちょろと…邪魔だ!」
 風魔小太郎とそれに重なるように存在する8色の影法師によって投擲された9本の苦無がクラウンに襲い掛かる。
「おっと、乱暴だね♪」
 それに対いてクラウンは、持っていた≪カバン型移動工房≫を盾にして攻撃を防ぐ。
 カバンに9本の苦無が刺さった衝撃で内部から≪からくり人形≫たちが飛び出し、クラウンの周囲に散らばった。
「お返しだよ♪」
 クラウンは、畳の上に着地すると同時に、投げナイフを小太郎の足元に向けて投擲する。
 それを小太郎は難なく躱すも、ナイフが刺さった場所からかちりと言う罠の作動音が鳴る。
「狙いはそれだったか。だがこの程度・‥‥」
 影法師を伴った小太郎が武器を構えてくるりと1周回ると、甲高い金属音と火花と共にすべての毒矢が叩き落とされて、畳に突き刺さる。
 そう忍者屋敷に仕掛けられた罠は、普通の人にとっては致死の罠であるが、オブリビオンや猟兵にとっては、邪魔ではあるが脅威にはなり得ない。
 だが、邪魔ではある。対処しなければ痛い思いをする上、毒が蓄積すると動きが鈍る。だから対処行動をする必要があるし、当然意識もそれに割かねばならない。
 その一瞬の隙をついて、クラウンは≪からくり人形≫に糸を繋ぎ大きく後ろに跳び退り距離を取る。
「奇しくもボクと似たUCだね。ボクのUCはキミにどう写るかな♪」
 楽しそうに笑うクラウンは、十指をピアノの鍵盤を叩くようにリズミカルかつ繊細に動かして、からくり人形たちに持たせたナイフで自分の仮初の肉体を傷つけさせる。
 ナイフで切り付けられた仮初の肉体からは、血のような炎が噴き出し人形を赤く紅く染めて上げていく。
「貴様…何を考えている?」
 自分の肉体を自分の武器で傷つけるという異常行動に対して何かあるだろうと警戒を最大限にする小太郎。
「何って、最初に言ったじゃないか。ボク達と一緒に踊ってくれないかって♪」
 ヤドリガミの種族特製で肉体を修復しながら、道化師は笑う。
 そしてクラウンは、ダンス相手の風魔小太郎に向けて右足を引き、右手を体に添え、左手を横方向へ水平に差し出す。所謂西洋風のお辞儀であるボウ&スクレープの姿勢を取る。
 クラウンに従うように自立行動を始めたからくり人形たちもカーテシーとボウ&スクレープの姿勢を取る。
「さぁ、パーティーの始まりさ!」
 狂気の笑みを浮かべた道化師が両手を大きく広げながら、パーティーの開会宣言をする。
 今宵の演目は人形たちと忍者による殺戮舞踏。
 全身をクラウンから噴き出した地獄の炎を身に纏いその身を赤く染めながら、狂気に染まったステップで、輝く瞳のからくり人形たちは化身忍者に襲い掛かる。
「何の…これしき!」
 紅く燃え盛るからくり人形を8色の影法師を従えた小太郎が迎え撃つ。
 攻撃回数を9倍にした10体の人形の攻撃を同じく手数を9倍にした6つの腕が迎撃をする。
 人形の繰り出すナイフを忍者刀で弾き、巨腕で受け、鎖鎌の鎖で弾き、扇子で逸らし、苦無で受け止め、大手裏剣で払い、手甲で防ぐ。
 息もつかせぬ高速戦闘によって、忍者屋敷の地下に金属同士がぶつかり合って起こる数多の火花と甲高い金属音が響き渡る。
 薄暗い地下室に人形たちが纏う地獄の炎の赤と刃と刃のぶつかる火花と小太郎の赤く輝くに2つの瞳の光が舞い踊る
「くそっ…手が足りぬ‥‥!」
 最初は拮抗していた小太郎と人形たちの戦いであったが、文字通りの手数の差によって段々と人形たち優位へと推移していった。
 一撃の重さについては小太郎が優位だったが、数においては圧倒的に人形たちが優位である。6つの腕を自在に操れると言っても1つの腕だけで1体以上の自立行動する人形を対処するというのは相当難しい。
「ぐあああああ!!」
 結果として防御が間に合わなくなる。
 そして手数を9倍にした人形のナイフが小太郎の肉体を次々と切り裂いていく。
「な…何の‥‥まだ…まだ…まだ死ねぬ‥‥!」
 全身から血を流しながらも風魔小太郎はまだ膝をつかない。
「一人でも‥‥少しでも長く‥‥」
 そう言うと最後の煙玉を炸裂させて、畳の床を強く叩く。
「逃げられたか。でももう長くないだろうね」
 畳の上に散らばる夥しい量の血だまりを見ながら、クラウンが言う。
「ボクの役割はここで終わりかな。後は最後の猟兵に任せよう♪」
 そう言うとクラウンは、からくり人形たちを回収してグリモアベースへと帰還していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イヴ・クロノサージュ
アドリブ◎


――

●心情

風魔は夜襲が得意な集団と聞いております
十分警戒して、気をつけなくちゃ、ね……。

●罠対策

私は機械人形だから……
機械を使った、探索は得意なの…

飛矢の罠……ね。発見次第
マキナ・ルーティンフから光線を発射して、発射口を破壊するの…

他にも……忍者屋敷によくある
どんでん返し・からくり窓・落とし穴といった
罠にも注意して進んでいきましょう

●戦闘

まずは、先制対策
手裏剣は……威力が低いの
だから、防具に何十もバリア【オーラ防御】を貼って
鎖鎌は、ビーム(光線熱)【属性攻撃】を発射して、鎖を焼き切るの……

反撃はUCを使うの
一瞬の隙を見極め【見切り】音速の聖なる槍の一撃を【破魔】
行動後は即時に離脱なの



●機甲天使は百面鬼と踊る
 東海道五十三次の25番目の宿場町である日坂宿の北西にある比較的標高が低めな山である粟ヶ岳の中腹の竹林の一角を切り拓き、秘密裏に建築されていた『百面鬼・風魔小太郎』の居城である『風魔忍軍の忍者屋敷』の攻略も佳境に至っていた。
 小太郎は度重なる猟兵達の攻撃によって満身創痍、忍者屋敷も残りは地下の数フロアを残すのみとなっていた。
 もはや小太郎には逃げ場などなかった。尤も、彼自身逃げるつもりはなかったが。
「‥‥来たか。最早この身は限界だ。あと1戦全力を出せるかどうかであろう。だが…それがどうしたと言うのだ。1人でも多く地獄に、一刻でも長くこの地に猟兵どもを縛り付ける。それこそが我が役目だ。我が風魔の誇りだ。信長様…我が最後の献身、どうかご覧あれ…!」
 絡繰り忍者屋敷の最奥で、髑髏の眼窩に赤く妖しく光る光が2つ輝いた。

 先ほどまで、道化師とからくり人形達が戦っていた和室に、最後の猟兵が転移されてやってきた。
 彼女の名前は、イヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)。
 戦争開始直後に風魔小太郎によって引き起こされた武蔵の国での『風魔忍法隕石落とし』迎撃戦の参加者であり、天使型のミレナリィドールを使い捨ての弾丸にしていたことに強い憤りを感じていた、心優しきミレナリィドールの少女である。
「風魔は夜襲が得意な集団と聞いております。十分警戒して、気をつけなくちゃ、ね……」
 ここは敵の本拠地であり、いつ襲撃を受けてもおかしくないという事を自戒しながら、イヴは≪浮遊する歯車(マキナ・ルーティンフ)と白銀の聖槍に光属性を付与して、周囲をその光で照らした。
 そうして準備を終えた地下2階へと繋がる梯子を下っていった。

(私は機械人形だから……。機械を使った、探索は得意なの…)
 その言葉に違いはなく、実際にイヴの探索はスムーズに進んでいった。
 飛矢の罠は、素早くマキナ・ルーティンフから光線を発射することで発射口を破壊して対応し、下に槍衾が敷いてある落とし穴は、飛行や空中浮遊が可能なイヴにとっては脅威足り得ない。
 どんでん返しやからくり窓などは、光で照らしながら冷静に対処をすれば、木材同士の間にある継ぎ目等が発見できる。
 そうして罠を次々と見破り、時に破壊しながらイヴは小太郎が潜伏する館の最奥に向けて着実に歩みを進めていった。

 一方その頃、風魔小太郎は猟兵との最終決戦に向けて最後のユーべルコードを発動させてようとしていた。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!風魔忍法『死鬼封神面』の術!」
 数多の負傷によって動きが鈍る六腕を懸命に動かし、持てる全ての力を込めて印を結ぶことで文字通り最後の忍術を完成させる。
 すると小太郎の周囲に貌のない人型の霊体が次々と現れて、満身創痍で動けなくなっている小太郎から自身の纏う髑髏面を外していく。
『後は我等に任せるがよい。今代の風魔小太郎よ』
「忝い。どうか猟兵めに我等風魔の技と誇りを味あわせて下され」
 持てる全ての力を使い果たし、動けなくなった今代の小太郎を背に、歴代の風魔小太郎たちは猟兵を迎え撃つべく散開した。

 イヴが罠をくぐり抜けながら、奥へ奥へと進んでいくとそこには板間の少し広めの部屋が現れた。
 その奥には風魔の一族の家紋『抱き柏紋』の描かれた扉があり、その奥に『百面鬼・風魔小太郎』が居ることは明らかであった。
 そしてその扉を守るように数多の髑髏面の忍者が現れた。
『娘よ。これより先は通ること能わず。風魔の技をその身に受けて早々にあの世へと旅立つがよい』
 その言葉と共に歴代の風魔小太郎たちは、一斉にイヴへと襲い掛かった。
 まずは小手調べと言わんばかりに放たれるは、無数の十字手裏剣たち。それらは全て別の軌道、別のタイミングで着弾するように計算されて放たれていた。しかもそのうちの幾つかは回避をしたら当たるように計算された上で投擲されている。
(手裏剣は……威力が低いの。なら…)
 イヴは、襲い来る手裏剣の群れを、自在式・魔導障壁《ユグドラシェル・シールド=アナザーカウンター》を起動して多重バリアを貼ることで全てを受けきることを選択する。
『ほう…大した防御力だ』
 イヴの目論見通り手裏剣は全てバリアによって弾かれて、イヴの体を傷つけることはなかった。
『ならば…これはどうか?』
 次に襲い掛かって来るのは鎖鎌の分銅。遠心力によって加速した分銅の威力は、先ほどの手裏剣の非ではなく、オーラバリアを打ち破り、イヴの持つ白銀の聖槍に絡みつく。
(鎖鎌は、マキナ・ルーティンフで焼き切るの…)
 イヴは武器を絡め盗られ奪われる前に、急いで周囲に展開していた歯車型のユニットから、光線を発射して、鎖を焼き切る。
 敵の猛攻の第一波を防ぎ切ったイヴは聖槍をくるりと回して敵を牽制すると、ユーべルコードを使い反撃に打って出た。
「参ります」
 イヴの体から225本のユーべルコードを相殺する光が発射される。
 それは、ユーべルコードによって再現された歴代の風魔小太郎たちにとってはまさに天敵と言える輝きであった。
『『『初代様を守れ』』』
 その光が自分達を滅ぼすものだと即座に悟った歴代の風魔小太郎たちは、後に残すべき忍を即座に見極めて、自分から光に飛び込んでいく、そうすることでユーべルコードを相殺する光から初代『風魔小太郎』を守ることに成功した。
『一瞬で歴代の風魔小太郎たちを掻き消すか、げに恐ろしき力よ』
 上段の構えで忍者刀を構えた初代が、摺り足でイヴに一歩ずつ近づいていく。
(勝負は一瞬、神速の槍撃で決めます。すべてを出し尽くしたそののち、前へ倒れましょう。)
 それに対してイヴは、半身になって脚を肩幅まで開き、槍の穂先を初代へと向ける。
 両者の間に緊張感が高まり、息もつけないほどの緊迫した空気が流れる。
 そして両者の間にある緊張感が最大限に高まった…その瞬間、両者一斉に相手に向けて踏み出した。
 ユーべルコードによって加速し貫通力が高まった槍による連続攻撃が、初代小太郎の忍者刀が振り下ろされる前に、突き刺さり破魔の光を炸裂させる。
 それは槍と忍者刀と言う武器間のリーチ差による紙一重の勝利だった。
『見事也』
 最後に勝者であるイヴを讃える言葉を口にすると、初代小太郎の御霊は霧散して消えていった。
 
 全ての歴代の風魔小太郎の霊を倒したイヴは、『抱き柏紋』の描かれた扉を抜けてさらに奥へと進んでいった。
 そこには全身血だらけで立っているのもやっとな状態の『百面鬼・風魔小太郎』が、六腕全てに武器を携えながら仁王立ちしていた。
「来たか…。さあ、我と貴様等猟兵の雌雄を決しようぞ!」
「ええ、参ります」
 イヴの体からユーべルコードを相殺する光が放射され、神速の槍撃が百面鬼・風魔小太郎の肉体を貫いた。


 斯くして魔軍将『百面鬼・風魔小太郎』に纏わる一連の戦闘は終了した。
 これにより猟兵達はまた1つ盤面を優位にすることができたであろう。
 だがしかし、依然としてサムライエンパイアを襲う危機は、戦争は終わらない。
 猟兵達は、今宵の勝利を祝い、疲れを癒した後はまた次の戦場へと旅立っていくのであろう。
 第六天魔王・織田信長を倒してサムライエンパイアに真の平和を齎すまでは。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月11日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト