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エンパイアウォー⑯~風魔屋敷に降る雨は

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

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●風魔屋敷
 遠江国は日坂宿の外れに建つ屋敷。
 その薄暗い屋敷の奥、掛け軸のかかった床の間を背に、座する百面鬼の姿があった。
「我が忍法を食い止めるとは……油断ならぬ」
 しかし、彼奴らが頼りにするのが猟兵だと分かったのは、よい報せであろうか。この戦、彼奴らを待ち受けるのは我のみにあらず。ゆえに――。
「猟兵さえ始末できれば――」
 そのあとはどうにでもなろう……か。
 然らば、すでに賽は投げられた。来るが良い猟兵よ、我が風魔が禍根を断ってみせよう。
「風魔の屋敷に足を踏み入れたものが生きて帰れると思うな」

●サムライエンパイア
「わわわ、大変なことになりましたねー」
 そう言いながら、とてとてと白衣の小袖に緋袴の――巫女の少女が駆けてくる。
 武田信玄の復活を止めたあと、織田信長が現れて、エンパイアウォーが始まって、今度は隕石落とし……たくさんのことがありすぎて、エンパイアはもう大変なのですー。と説明しながら、六宮・ちとせ(伊勢神宮のいつきのひめみこ・f03055)は、にこやかに挨拶すると、ゆっくりと猟兵たちに語りかける。
「実は、その隕石落としを企てていた風魔小太郎の居る場所がわかったのです」
 風魔小太郎は、寛永三方ヶ原の戦いで手に入れた『第六天魔軍将図』にも載っていた有力な武将――魔軍将の1人である。もし倒すことができれば、戦況は大きく動くことだろう。
「ですが、そう簡単なことではないでしょう。その場所は忍者屋敷のようで、いろいろな罠が仕掛けられているようなのです。みなさまに向かっていただきたい屋敷にも、槍が飛び出す罠が仕掛けられているようなのですが……」
 罠そのものは、その殺傷力はユーベルコードに比べれば小さく、気を付けていれば避けられる。それは猟兵にとって、それほど脅威ではないだろう。だが……。
「そうです。風魔小太郎がその罠を巧みに操りながら隙を窺っています、それはとても危険なことです。罠に注意しながらも、敵の奇襲を防いで、攻撃につなげなければなりません」
 もし対抗策を考えていたとしても、それが不十分であれば苦戦も免れない。
「とても厳しい戦いになると思いますが、みなさまのお力で風魔小太郎を討伐して頂きたいのですー」
 でも隕石落としさえも止められたみなさまでしたら、きっと。わたしはみなさまを信じています、とちとせは笑顔で告げ、頭を垂れる。

「みなさま、よろしくお願いいたします」


千石まつり
 ご覧いただきありがとうございます、千石まつりです。
 今回は、サムライエンパイアの戦争『エンパイアウォー』から、⑯決戦風魔小太郎のシナリオをお届けします。戦場は風魔忍軍の忍者屋敷で、忍者屋敷らしい仕掛けが多数備えられています。皆様が向かう屋敷は、槍が飛び出てくる類の仕掛けのようですので、うまく仕掛けに対応しながら、風魔小太郎を倒してください。

 また、
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 百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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 それでは、皆さまのプレイングを楽しみにお待ちしております。

 がんばって参りましょう!

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●奥の間
 風魔屋敷の奥、締め切られた薄暗い一室。
 静まり返った屋敷の中で、蝋燭の火に照らし出されながら百面鬼が静かに座している。
 ただ何かを待つように、微動だにせずに。そうそれは、6本の腕をもつ偉丈夫――いくつもの面を付けた鬼であった。しばらくして、

 ――カラカラカラ。

「……来たか猟兵」
 虚ろな鳴子の音が微かに聞こえると、わずかに顔を上げて呟く。
 予想通りではあるが……早い。やはり我が忍法を阻んだのは偶然ではなかったか。
 ならば、やはりここで断たねばならぬ。強い意志を放って立ち上がると、火が揺れてフッと消える。そして残ったのは濃くなった闇。

 そして、すぐに音もなく気配は消え去った。
黒城・魅夜
範囲攻撃とロープワークで身体の周囲に無数の鎖による結界を張り巡らせ、罠を回避します
あなた自身の攻撃はさらに第六感・残像・見切りで被弾を最小限に抑えつつ、激痛耐性と覚悟で凌ぎましょう

どちらにせよ傷は負わされるでしょうが、好都合
その傷から噴き出した血を霧に変え、あなたを包み込みます
あなたの技の効果は「髑髏面の瞳が輝く間」
すなわち、血で塗りつぶしてその輝きを失わせればいいのです

たとえそれが上手くいかなくても、あなたの五感は低下し、逆に私は傷が増えるほど血の霧を濃く深くすることができるでしょう

あとは我が呪われた鎖があなたの体内を引き裂くだけです
そう、あなたの最後の面は、その苦痛に満ちた断末魔です


高柳・源三郎
「相手は手練れの忍者、わしなんかで相手になるんかのう」
潜入・暗殺もこなす源三郎でも伝説の忍者を見て不安になっている
罠や敵の攻撃にはたぬき人形・たろうと名刀・護狸を使い、攻撃が当たりません様に、と【祈り】ながら【第六感】で察知し避けます。直撃が来そうなら【見切り】【武器受け】をします。
敵の攻撃の手が弱まったらUC踊る武器達を使ってたろうの内蔵武器を複製、敵の周りを包囲するよう射出し全方位から攻撃をします。



●邂逅
 薄暗い通路を心細げにややおっかなびっくりと進むのは、旅芸人風の温厚なおやじの高柳・源三郎(流浪の酔いどれおやじ、たぬき人形と共に・f15710)。
「はあ……。相手は手練れの忍者、わしなんかで相手になるんかのう」
 雰囲気に飲まれたのか、源三郎は不安そうにつぶやく。潜入・暗殺もこなす源三郎であったが、敵は伝説の忍者。しかも、歩みを進める度に、足元の通路がぎいぎいと軋む音を上げて、さらに屋敷に入ったころは、光の差し込みがあってまだ明るかったのに、進むにつれて徐々に薄暗くなってきているのだ。

 ――カコン。

 そして、時折聞こえる微かな音。
 何かの仕掛けの音なのだろうか? 源三郎は鳴った音に、びくっと身体を揺らして強張らせ、何も起こらないことを確認して身体から力を抜く。心労も窺い知れると言うものだ。
 ただ、源三郎のそれは滑稽に見えたのだが。

 それがどれだけ繰り返されただろうか、その数も分からなくなったころ……。

 ――ガコン。

 バスッバスッバスッバスッ!
 左右の襖、そして、床から多数の槍が伸びてくる。今度こそ本当の罠であった。
 源三郎は、慌てて暗殺用たぬき人形「たろう」を繰り、名刀・護狸で必死に槍を逸らしながら、念仏のように祈りを口にする。
「ひぇっ、当たりません様に!」
「愚かなり。戦いとは無情なもの、そのようなもの通じぬ!」
 やや呆れたように吐き捨てて、影が躍る。これがかの伝説の忍者――風魔小太郎か。源三郎は異形なる偉丈夫をかすかに瞳に捉える。それは、6本の腕に武器を携え、こちらに伸ばしてきていた。

●交錯
 バスッバスッバスッバスッ! ガキンッ!
 伸びてきた多数の槍を、振られた鎖が叩き落とし、へし折る。
 源三郎に魔手が迫ろうとしていたとき、そのやや後ろ、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)も罠に襲われていた。突然、襲いくるそれに驚きつつも冷静に、魅夜は身体の周囲に無数の鎖を巡らせる。左右の槍は言わずもがな、床からの槍も少しずらせば何のことはなく、捌く。

 だが、前を見ればその視線の先に、源三郎に迫る大きな影が。異形の姿に緊張が走る。
「――ッ!」
 すでに幾つかの傷を負った源三郎は満身創痍。迷わず鎖を伸ばす。
 ひゅんと振られた鎖が小太郎との間を裂き、突き出される槍を叩き潰し、そして、薙いだ鎖が槍を断ち切った。
「ぬぅ、邪魔をするかっ」
「ええ。それはもう」
 努めて冷静に答える。
 思わぬ援護に、源三郎はひゃあと悲鳴を上げて態勢を崩して倒れるが、小太郎はそれには目もくれず、こちらに視線を送ると、素早く壁を手で掴んで方向を変えて跳んできた。それを見て、心のうちで笑う。

「だが! 我の前で守りを割いたのは安易であったな」
 小太郎が一気に肉薄する。
「くっ、せ、鮮血の屍衣を纏いし呪いの鋼――」
「遅いわ! 風魔忍法、六道阿修羅面! 我が忍法の恐ろしさを受けるが良いわ!」
 髑髏の面の瞳がギンっと輝くと、恐ろしい速度で攻撃が繰り出される。魅夜はわずかに急所を庇いながら、避けようとしたものの、たちまち、手足身体が細かく刻まれてゆく。傷からぶしっと血が飛び散り、小太郎を返り血で濡らす。
「つぁ、くっ――」
 刹那のうちに血に塗れ、派手に鮮血を散らしてふらつく。立っているだけでも辛く、悲鳴を押し殺すので精一杯だった。だけど、魅夜は耐えて、凌ぎきった。霞む目で見あげれば、血は霧となり準備は上々。あとは……。

●反撃
「まずは1人!」
 小太郎は荒々しく宣言すると、刀を振り上げる。
 けれど、もう抵抗する力を失くしたと思っているのなら、あまりにも油断大敵というもの。
「そうね。でも遅くは……ありませんね。――喰らい尽くせ、……汚濁の魂ッ!」
「ぬぅっ! これは!? ぐっ?」
 散った魅夜の血の霧が濃くなってゆく。周りを見まわすように顔を振りながら、小太郎が呻く。
 そして、それに追い打ちをかけるように後ろから声が掛かる。

「わしもまだ戦えるぞ。今度はわしが相手じゃ。踊れ、踊れ♪武器達踊れ♪」
 小太郎が振り向くと、源三郎は身体を起こして武器を作り出していた。
「お、おのれぇ!」
 小太郎は一瞬逡巡したあと、周りに漂う得体の知れない血の濃霧から逃れるように跳び退り、源三郎に打ち掛かった。
「惑わされとるな、わしの姿にも仕草にも。滑稽じゃったろう? そろそろ仕舞じゃ」
 源三郎は『踊る武器達』の複製したたろうの暗殺武器で小太郎を取り囲んで、迎え撃つ。
「その程度で、我を止められるとでも思うたか! 風魔忍法、六道阿修羅面!」
 小太郎は忍術を使うと素早く攻撃を繰り出した。しかし、押されているのは小太郎だった。
「!? 我が押されるのか?」
「気付いとらんかったのか? それはもう潰されとる」
 小太郎の髑髏の瞳は、魅夜の返り血でべっとりと潰されていた。

「ええ。あなたの技の効果は『髑髏面の瞳が輝く間』。すなわち、血で塗りつぶしてその輝きを失わせればいいのです」
「!? まさか――」
 予想通りでした。魅夜は答えると、鮮血の濃霧で小太郎を飲み込んで――。
「もう逃がしません。あとは、我が呪われた鎖があなたの体内を引き裂くだけですから」
『血に霞みし世界に祝福を捧げよ硝子の心臓(ミスティック・ミスティーク)』
 小さくつぶやいた。

「ぐあぁっ!」
 悲鳴が上げる。
 それは、小太郎に得も言われぬ苦痛を与えると、そこに源三郎の操る暗殺武器が追い打ちをかけた。
 もう小太郎は武器を振るうこともできず、大きなダメージを負わざる得なかった。

「ぐっ。かくなるうえは……」
 小太郎は、かろうじて煙玉を投じると、その煙に紛れて姿を消したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「罠が仕掛けられているのかー」
敵が操っているということは、手動?
いずれにせよ油断できないな!

罠の起動を【聞き耳】や【第六感】で察知!
起動~命中までの時間があれば【残像】の速度で回避可能!
【スライディング】ですり抜け力アップ!
もしもの時は【オーラ防御】バリアの出番だな!

敵の技に対しては【破魔】の聖光による浄化で対抗! 霊だし!
ハイスピードな【空中戦】テクを駆使して応戦だ!
【念動力】の【グラップル】で武器を受け止め防御!
おっとバリアも働くぜ!
優れた身体の視力を逆手にとり、閃光で【目潰し】も効くかな?

切り抜けたら【紲星満ちて集いし灯光】だー!
【気合い】の【全力魔法】で、強烈な光を敵に集中させ灼くぞ!



●幸運
 薄暗い屋敷の中をキラキラと煌めきながら飛ぶフェアリーがいた。
 「ふむふむ。罠が仕掛けられているのかー」
 興味深い――いや、油断できないな! と、ちろちろと飛びながら観察する。
 そんな彼女はフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)、運命の風に乗って漂流する星くずの妖精(自称)だ。フィロメーラの生み出す光によって、周りが明るく照らされる、それは確かに良い兆しに見えた。

 そして、さらに通路を進んでゆくと、罠の残骸と大量の血がべっとりと襖に付いた場所に差し掛かる。
 ここで、大きな戦いがあったのかー。これは、どちらかが深手を負ったかもしれないな――、その惨状にフィロメーラが思いを馳せていると、ふとあることに気付く。
「あれ? あれあれあれー?」
 点々と赤い斑点が奥へと延びていたのだ。それを見てフィロメーラはすぐにピンとくる。こ、これって、辿っていったらボス直行ってヤツじゃん!
「なんか面白くなってきたな! 追うぞー!」
 フィロメーラは目を輝かせて、奥へと飛び去った。

●攻防
 フィロメーラがその血の跡を辿って飛んでゆくと、やや重い音が響くのを聞いた。
 バスッバスッバスッバスッ!
 そして、通路を通過しようとしたとき、襖から槍が突き出されてくる。
「おおっ! これが罠ってヤツだな!」
 あらかじめ準備していたフィロメーラは、身体の小ささも利用してするりと抜ける。

「罠で怪火は捉えられぬか」
「それも承知の上」「気にせずとも殺ればよい」
 声が木霊すると、フィロメーラが避けることを察知していたかのうように、3つの影がフィロメーラへと鎖鎌をしならせて振り薙ぐる。それは、鎖が絡み合うこともなく、隙間なく見事に連携された攻撃であった。
 フィロメーラは身の危険を感じて、全力で念動の力を使って鎖鎌を逸らし、不規則な動きで狙いを絞らせないように動き回る。

「3人掛かりは卑怯だと思うぞ! もう手加減しないからなー!」
 フィロメーラは動きながら、少し怒って抗議すると、よりスピードを上げて不規則に飛び回った。
「「「小癪な」」」
 影たちが鎖を伸ばすが、フィロメーラを捉えることができない。それをかいくぐった、そのわずかな隙に、フィロメーラ自身から破魔の力を込めた浄化の星光が放たれる。
「これならどうだ!」
「「「ぐ、ぐぁあああ! これは?」」」
 それを受けて動きを鈍らせる3つの影。その致命的な隙に、フィロメーラは光精を呼び出した。
「光輝の縁を知るもの、集まれー!」
『紲星満ちて集いし灯光』
 その呼び声に答えて、集まる淡い光が幾重にも重なって濃く白く塗りつぶされてゆく。
 フィロメーラが、周りに光――光精を放つと、そこは眩い光で埋め尽くされた。

「ぐっ。こ、この光は!? ぐあああああ」
 そして、強烈な光が敵を灼いた。小太郎共々に。

●雨
 フィロメーラはその光の中で、微かに屋敷を打つ、雨の音を聞いた。
 ――嵐が来る。その予感は「幸運」か、それとも……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
わたしの力は、【勇気】は無辜の民を守るため
この戦いは、明日へと繋がる大きな一歩です!
いざ、勇猛にッ!!

忍者屋敷を一直線に進みます
そう、『一直線』に壁を壊し、小太郎さんの場所に届くまで!
常に【オーラ防御】を展開し、罠や奇襲を油断なく【見切り】

風魔忍軍の先制攻撃!
手裏剣の嵐を【盾受け・オーラ防御】で弾き、
忍者刀は【怪力】を籠めた【範囲攻撃】の大斧で、
この身に届く前に薙ぎ払います!

そしてその一瞬を耐えきったならば、―――【勇気】を以て、飛び込むのみッ!!
盾を構えたまま、【ダッシュ】で一直線!今行きます、小太郎さん!
【見切り】で忍軍の隙間を縫い、
【怪力】で立ち塞がるもの全て弾き飛ばして貴方のもとへ!!



●踏破
「うおおおおおおおーっ!」
 ――バゴン、ドガッ! ドドドドドドドドドッ!

 掛け声と共に、オーラ全開で屋敷を駆け抜けるものがいた。
 襖を破り、壁を壊し、一直線に。
 彼女は、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)。戦闘に特化して磨き上げた技能と、果てしない勇気を身に着けた、勇者を夢見るドラゴニアンの少女である。
 屋敷を打つ雨足が強くなり、より部屋は薄暗くなって来た。だが、勇者は――その歩みを止めない。

 ――ドガッ!

 そして今また1枚襖を破り、ソラスティベルは部屋を駆け抜けようとした。
 だがそこは、やや広く、奥に掛け軸が掛けられた床の間がある、通り抜けができない部屋。すなわち、彼女が目指した終着地、屋敷の最奥――奥の間であった。
 バスッバスッバスッ!
 足を踏み入れたソラスティベルを阻むように、畳を貫いて槍が伸びる。
 ソラスティベルは、しかしそれを、油断なくオーラでいなしてさらりと躱すと、その部屋の奥にいるものに気付いて、問いかけた。
「あなたが小太郎さんですか?」
「…………」
 薄暗い部屋に立つ大きな影が、沈黙を返す。
 しかし、しばらくして、ポツリポツリと語り始める。
「猟兵の、なんと恐ろしいことか。我も、まだ侮っておったと理解したわ。ゆえに、ここで風魔の総力をもって、叩き潰す!」
 そして、面をバッっと宙に投げると、素早く唱えた。
「集えぃ者ども。風魔忍法、風魔頭領面っ!」
 そして、面が消えると、この部屋に漂う気配が増えてゆく。
「風魔忍者の力、存分に見せてやるがよいわ! 行けいっ!」

●勇気
「わたしの力は、勇気は、無辜の民を守るためにあります」
 エンパイアの民、彼らがいま助けを求めている。ならば躊躇うことはありません。
「勇者とは、その民の思いに答えるもの。あなたの目的が何であれ、悪行を見逃すことはできません!」
 そして、勢いよく畳を蹴って飛び出した。
「いざ、勇猛にッ!!」

 同時に部屋に濃密な殺気が満ちる。

 ソラスティベルが駆ける。
 盾と斧を持って、オーラを纏って真っ直ぐに。
 ――カカッカッ!
 風魔忍者が投じた手裏剣が吸い込まれるように盾で受けられ、オーラで流される。止めきれなかった手裏剣も、身を転がして回避して、ただただ進み続ける。
 バスッ! バッバスッ!
 畳越しに幾本もの槍が突き出される罠も、槍を見切り、盾とオーラで逸らせて強引に押し通ってゆく。

 ソラスティベルは更に駆ける。
 止まらないソラスティベルに、風魔忍者に動揺が走る。
「散れぃっ。風魔忍法、天の落槍っ!」
 天井から降ってくる槍の雨。バスッ!バスッ!と音が鳴り、大量の槍が畳へと突き刺さってゆく。
 少し視線を上げて、落ちてくる槍の位置を予測して身をかわし、邪魔な槍は盾で逸らして、その歩みを決して止めない。

 ソラスティベルは更に加速する。
「行くぞ! 風魔忍法、風魔陣!」
 風魔忍者が号令すると、忍者刀を閃かせて、風魔忍者たちが多数で息もつかせぬ連続攻撃を仕掛けてくる。しかし、ソラスティベルは、手に持つ雷の竜の名を冠する蒼空色の巨大斧で、襲ってくる風魔忍者を、まとめて力づくで吹き飛ばすと、その隙に、奥へと飛び込んだ。

 そして――たどり着いた。
 目の前の6本の腕を持つ髑髏の仮面を被った偉丈夫――風魔小太郎が、声を上げて刀を振るう。
「ぬうぅ。馬鹿な! おおおおおっ!」
「終わりにしましょう」
『これぞ我が勇気の証明、来たる戦渦の最前線!今こそ応えて、蒼雷の竜よ!!』
「我が名は神鳴るが如く(サンダラー)!」

 ソラスティベルが大斧を風魔小太郎へ叩きつけると、空から輝く光が迸って轟音が轟いた。
 そして、光が収まったとき、もうそこには何も残っていなかった。風魔小太郎は跡形も無く消え失せて、躯の海に帰り、そこに残されたのは、瓦礫となった風魔屋敷とソラスティベルだけであった。

 ふと、砕けた屋根から空を見上げれば、雨は小降りとなり、雲の切れ間から日の光が射し始めていた。
 それを見て、ソラスティベルは民へと想いを馳せるのであった。

 了

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト