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エンパイアウォー⑳~邪曲なる

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #日野富子

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●邪曲なる
「金、金、アタシの金……!」
 その部屋のは金色に輝いていた。金箔を張り巡らした部屋。その襖にははたしていくらをつぎ込んだのか、絢爛なる彩が彩られている。
 眩しいほどの美しさを孕んだその部屋で、女が一人――その口からとどめなく邪悪を紡ぎ続けていた。それは己が得た金に対する、欲。
「徳川の財の大半は、元々アタシの集めた金なんだ……! 何をあいつら、クソッ、素知らぬ顔をして……!」
 腹立たしいというのだろう。傍にあった物を薙ぎ払って、昔っからそうだ! と叫ぶ。
「どいつもこいつも、アタシに逆らいやがって……! アタシが金を吸い上げたから国が乱れた?」
 ははは、あんなのははした金、微々たるものじゃないかと女は歪んだ笑いを零して。
 乱れたんなら、金を持ってるアタシが正義だろうが! と苛立ちをヘドロのようにまき散らす。
「黙ってヘイコラ従えよ!」
 ああムカツク! ああああムカツク!
 どいつもコイツも、アタシが殺してやる!
 髪を振り乱しながら女は呪詛をまき散らす。その、喉奥から絞り出した声に滲むのは己が一番正しいという歪み。
「徳川を殺して、猟兵を殺して、もちろん信長の野郎も、ぶっ殺す!!!」
 骸の海、その淵より這い上がりし女――大悪災『日野富子』は豪華絢爛な花の御所の奥にて、その瞳に暗澹たる輝きを宿らせていた。

●予知
 ああはなりたくないものなのです……と、華切・ウカ(空鋏・f07517)はほとりと落として。
 そして、グリモアベースにいた猟兵達へと声をかける。
 大悪災『日野富子』の居場所が、わかったのだと。
「場所は京都――『新築された豪華絢爛な花の御所』です」
 それは骸の海より蘇った日野富子が己の財をもって打ち立てたのだ。
 花の御所は足利将軍家の邸宅だった場所にある。江戸時代には別の建物に代わっていたのだが、日野富子の有り余る私財を投入して豪華絢爛な御所を作っている様子。
 戦うには十分に広い場所。けれど、贅を尽くした場所を壊せば、日野富子は怒り狂うかもしれませんけれど、とウカは言う。
「なんにせよ現れたのならば、倒さねばなりません」
 しかし敵は、簡単に倒せる相手ではない。相手の方が力量は上手なのだ。
 こちらの先手を取って攻撃を仕掛けてくるので、どうにかうまく対処して攻撃をかけてくださいとウカは言う。
 日野富子はその憎悪の籠った視線、長い爪での攻撃、そして苛立ちをもって火矢の怨霊をけしかけるのだ。
「一撃、それをどうするか何も考え無しに突っ込んでしまうとやられて終わりになってしまいますから気をつけてくださいね!」
 では今から皆様をお送りしますので、どうかよろしくお願いしますとウカはその手のグリモアを光らせたのだった。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 締め切りなどについてはマスターページの【簡易連絡】にてお知らせします。
 プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、全員描写するとは限りません。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●ルール
 大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 また、技能だけを使うのではなく、こういう攻撃なので、こういう風に見切って動く、などと具体的にお願いします。数値によっての判定も行いますので、技能が高いほどプラス判定となります。
 ただ見切る、だけでは攻撃をくらいます。そういう、相手です。
(たとえば「右からの斬撃を、腕を盾代わりに。失う事覚悟の上で踏み込み拳を叩き込む」などです。)

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『大悪災『日野富子』』

POW   :    アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:みそじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒鵺・瑞樹
アレンジ連携可

さて視線で燃やされるっていうなら、遠慮なく屋敷の調度品、襖なんかを隠れ蓑にさせて貰おうか。
可能な限り【存在感】を消し【目立たない】ように移動、隠れやすい場所でわざと【殺気】で場所を知らせる。
視線が来ないうちに隠れれば、物自体は燃えてもこちらへの被害は少ないとみるが。

隠れつつ近づき【奇襲】【暗殺】のUC剣刃一閃で攻撃。
さらに動きの制限を狙って【マヒ攻撃】、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。

相手の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】からの【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【火炎耐性】【激痛耐性】でこらえる。



 花の御所へと踏み入る――黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)はさて、とその存在感を消し目立たない様に日野富子のもとへと向かっていた。
 豪奢な調度品等は眩いばかり。さてこれを、己が燃やすとなればどのような顔をするのか。
 瑞樹は豪奢な襖の背後に隠れて富子の存在を確認した。
 苛々としている女はクソ、クソと悪態をついている。
 そこへ――殺気を、わざと派手に手向ければ富子の視線は瑞樹へと向けられた。
 視界に入るのは襖だ。
 それがごうと燃え上がった瞬間、瑞樹の姿はさらされる。
「猟兵っ……!!」
 隠れる場所に向かうより早くその姿を富子は捕らえ瑞樹の上で紫の炎が燃え上がる。
 避ける、というのは視線故に難しく。
 けれど、火炎と激痛への耐性をもって瑞樹は踏み込んだ。
 炎に塗れながら向かってくるとは、思わなかったのだろう。富子は一瞬後ずさり隙が生まれる。
 その隙に振るわれたのは月山派の打刀――胡。
 奉納されてた月山神社の御神鏡のヤドリガミから譲られたそれが富子の上を走り一閃する。
 けれどその一撃と共に、一層陰鬱な悪意籠った視線を向けられ紫色の炎は激しく燃え下がり爆発する。
 その衝撃に瑞樹の意識は途絶えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エウトティア・ナトゥア
いきなり攻撃とはヒステリックなおばさんじゃな、更年期障害かのう?
まずは攻撃を捌く必要があるな。
【巨狼マニトゥ】に【騎乗】して狼の身体能力と【野生の勘】で回避しつつ、【手製の短弓】につがえた【誘導】する矢に【破魔】の【祈り】を乗せて射掛けるのじゃ。
ほれ、破魔の力は無視できぬじゃろう、かわせぬ誘導矢は手で捌くしかあるまい?
いかに攻撃の回数を増やそうと攻撃の母数が減れば自ずと攻撃回数も減るじゃろ。
更に【秘伝の篠笛+動物使いの力】で狼の群れを呼び出し高価な光り物を持ち出させたり粗相をさせたりして冷静さを奪うとするかの。
狼達に気を取られた隙をついて、【援護射撃】をしつつマニトゥを突撃させて攻撃するのじゃ



「いきなり攻撃とはヒステリックなおばさんじゃな、更年期障害かのう?」
 先を行くものが倒れる。その様を見下ろす富子に向けてエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は声を向けた。
 富子なぎらりと輝く視線を向けて、現れた者の姿を射抜く。
 白き巨狼マニトゥの背に乗って、エウトティアは畳の間を掛ける。
「アタシのジャマをするな!」
 その叫びと共に、富子の爪が長く、伸びる。
 その伸びる軌道をマニトゥが野生の勘と持ちうる身体能力でかわすが全てとはいかず傷を負う。
 手製の短弓に誘導する矢を番えたエウトティア。その矢には破魔の祈りを乗せて射掛ける。
「はぁ!? アタシに矢なんていい度胸じゃない!」
 払っても追いかけてくるその矢に向けて長い爪を振り払う。
 富子は矢を打ち払い、エウトティアへと攻撃の先を向けた。
 その爪が肉を抉っていく。その様に富子は機嫌よく二ィと口端あげて笑っていた。
「ははは! 引き裂いてやるよ!」
 エウトティアとマニトゥの体力は今、繋がっている。互いの受けたダメージは響きあうが、最後の力を持って突撃を。
 秘伝の篠笛を持って狼の群れを呼び出す――その時間は与えてくれそうにない。
「疾く駈けよ!」
 エウトティアの声も堪えて突撃を掛ける。伸びた爪の動きは多少なりとも、鈍く緩慢だ。
 その間を駆けたマニトゥの爪が富子に届く。
「この、駄犬がっ!!」
 その攻撃に腹を立てた富子は着物の裾を翻し、再びその爪を持って切り裂く。
 深い痛みは傷の重さだ。マニトゥとエウトティアは倒れ、光に包まれるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神計・紅牙
今生を生きる者なら兎も角、死してなお金に縋る様は見苦しき哉
金などあってもあの世には持ち込めぬ。それは現状で分かったであろうに……。
人の業とは悲しきものよ。せめてここで終わらせてやろうぞ

まあ言うても苛つくだけであろうし火矢をどうにかせねばならぬな
【地形の利用】で遮蔽物になりそうな物に身を隠そう。火矢ならば燃えにくい物がよいのぅ

隠れたならば【拠点防御】で耐え忍ぶ。自らが作り上げた御所を盾にされれば攻撃の手も緩まぬか?

その間に我が足元にUC顕正の間を使い戦闘力を上げる
これで少しは【火炎耐性】と【オーラ防御】もマシになろう

さて【破魔】の力を乗せた顕正の間で怨霊を祓ってくれようぞ!



「猟兵が、アタシにこんな傷を……!」
 滴る血の色。傷を自分で引っ掻いて苛立ちを募らせていた。
 花の御所に踏み込んだ神計・紅牙(天の御柱・f01140)はその目に富子の姿を映した。そして富子も紅牙の姿を捕らえ。
「アタシの金を、奪ったやつらか……!」
 ぎり、と歯噛みして悪意をまき散らす。それを紅牙はするりと受け流して。
「今生を生きる者なら兎も角、死してなお金に縋る様は見苦しき哉」
 金などあってもあの世には持ち込めぬ。それは現状で分かったであろうに……と、骸の海より蘇った女へと憐憫を向ける。
「人の業とは悲しきものよ。せめてここで終わらせてやろうぞ」
「何を……! 終るのはアンタらのほうだよ……!」
 苛立ちを隠しはしない。富子のそれと呼応するように火矢の怨霊がふわりと現れ紅牙へと向かって飛んでいく。
「まあ言うても苛つくだけなのはわかっていたことよな」
 燃えにくい物を探すが見当たらない。隠れることできず火矢の怨霊に追い立てられる。
「燃やしてやるからな!」
 楽し気な笑い声をだ。富子は己が作り上げたものを燃やす事に躊躇いがない。
「失ってもまた作ればいいだけ! 金、金の力でなんでもできるんだよ!」
 火矢の怨霊が攻撃仕掛ける。火炎への耐性とオーラで守るものの少しマシになる程度。いつまでも耐えるのは難しそうだ。
「ここは今を生きる者の世ぞ、直ちに立ち去るがよい」
 己の足元に、穢れを祓う五芒星を生み出して攻撃力高め、怨霊たちへと向かう。
 破魔の力を乗せて、五芒星を。その領域に囚われた怨霊はこの世の物ではない声を上げてぐしゃりと潰れかかる。
 そのまま、消えてしまえれば幸せなのだがしかし。
「消える前にぶっ殺しな!」
 富子の声に急き立てられ紅牙へと飛びかかる。突き刺さる火矢は紅牙の意識を奪い、その身は送還されるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リュヌ・ミミティック
・心情
悪さも、いっぱい、それ、は、だめ、だ、ねー

・行動
先制攻撃をされると言うのなら、オペラツィオン・マカブルを使うよ
猫憑き季月、僕は君を信じる。だから、君の力を貸してね
【激痛耐性】も【火炎耐性】だって少しはあるんだ、怖くないよ
それに、他の猟兵だっているんだから、全てを委ねてしまうね
力を抜いて、眠りへつくように。
うまく排出できたら、次は僕の番!
「ん、おーつぎ、は、僕の、番、だ、よー!」
ダフィット、力を貸してね
あたらなくてもいいよ、槍で【二回攻撃】をしたり、猫憑き季月で攻撃する振り【フェイント】して他の皆の攻撃が当たるように動くつもり。
こういうのだって、立派な戦いでしょ?



 悪さも、いっぱい、それ、は、だめ、だ、ねー、と。
 リュヌ・ミミティック(妖狐の竜騎士・f02038)は富子の事を知ってまず、思ったのだ。
「ああ、またきたんだね……アタシが簡単にやられるわけないだろ!」
 唸るような声を上げて富子はその爪を輝かせる。
 その攻撃を脱力して、リュヌは受ける。
 痛みを耐えることは多少はできる。だから、怖くはない。
「猫憑き季月、僕は君を信じる。だから、君の力を貸してね」
 他の猟兵も続々駆けてくるのだから、全てを委ね力を抜いて、眠りにつくように。
「は! いいマトだよ!」
 富子は笑ってその爪を振るう。鋭い爪は連続して、リュヌの身を貫いた。
 それを無効化することは――相手の力が上回り、リュヌは無効化出来ずその身に深い傷を負う。爪は抉る様にリュヌの身を削っていったのだ。
 その痛みをどうにか耐えたものの、此処にいられるのはあと僅かだろう。
「ん、おーつぎ、は、僕の、番、だ、よー!」
 だからその間に、ダフィットと傍らの白く気高きドラゴンの名を呼ぶ。
「力を貸してね」
 その声に、その身は槍をなって。当たらなくても良い、その槍で攻撃をして次にくる猟兵のために
 こういうのだって、立派な戦い――と一撃を放つと同時にリュヌの意識は落ちた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

蓮条・凪紗
この京の都に生まれ育った者として、クソ女ぶちのめしに来た。

苛立ってるのはこっちやド阿呆。
挑発というかガチでそう思うけど。
富子から、召喚された怨霊から、感じる敵意。
それはカウンターとして式を喚び、敵に向かって水属性の犬達が駆ける。
迫る火矢を見切れる限りは最低限でもかわそう。炎や痛みは耐えよう。
この身焼かれ貫かれても、術式制御は保つ。
捨て身の覚悟で来とるんやこっち。簡単には落ちん。
水犬で火矢を相殺。合間を縫って全力の術力で富子にぶつけたる。

二百年前、この京の町はあんたのその欲望の食いモンになったんや。
復興したとは言え、京の民衆は今もそれを忘れへん。
二度とそんな過去は繰り返させん……去ね、骸の海に。


シノア・プサルトゥイーリ
宵蔭(f02394)と

あの方は、欲しすぎたのかしら?
最初から己のものと思うのであれば、焦らないでしょうに

一応腕を盾に視線を防いでは見るけれど、腕の方が燃えそうね
けれど、この程度で私を灰にできるなんて思わないで?
炎と傷は耐え、この身が残れば私も炎を以って貴方を撃ちましょう

黒礼二式に使う血は既にあるでしょう
宵蔭の描く拘束に、ふ、と笑い
彼の鞭は鋭いでしょう?此度の炎は貴方を逃がさなくてよ

真紅の炎を刀に、近接で勝負といきましょう
派手に仕掛け目立つ分攻撃は引き受けるわ
私の刃は守りを通す。傷は気にせず、宵蔭の作った機会に全力の一撃を入れましょう

その財は骸の海に持ち込めるものでもなし
貴方のものではなくてよ


黒蛇・宵蔭
シノアさん(f10214)と

金の魅力とは人をここまで落とすものなのですかねえ。
財とはひとりで為せるものではありません。

忍者ほどじゃありませんが気配を殺しながら、向かう爪に鉄錆を走らせ、致命傷を避ける。
見極めて躱すのは難しそうですが、武器落としは少々得意なのです。
傷は耐え、反撃を。

血界檻鎖にて召喚した組紐で腕や身体を捻るように拘束し、
苦痛を与え乍ら、相手の守りを崩す。同時に、生命力を啜り回復。
シノアさんの攻撃の機会を作ります。

私の鞭は傷を深め、魔を破る。
シノアさんと同時に仕掛けることで、与える手数を増やしましょう。

人で無いものの財は担保の限りじゃありませんね。
命も、財のようには積めませんよ。



 ああ、腹が立つ、ムカつくと富子はずっと、怨嗟を吐いている。
 しかしその苛つきは、富子だけが抱くものではない。
 蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)はこの京の都に生まれ育った者。突然こんな御所を作りこの世界の危機を生み出す一人である富子は凪紗にとってクソ女と言えるものだ。
 絶対に、ぶちのめす――その意志を乗せた視線を凪紗は向けて。
「苛立ってるのはこっちやド阿呆」
 挑発でもあるが、心の底からそう思ってもいる。
 富子はやってしまえ! と火矢の怨霊を向かわせる。敵を向けられる――火矢の怨霊は凪紗へと襲い掛かった。
 火矢の攻撃を見切れる限りは最低限、見て。けれどすべて避けられるわけはなくその身に突き刺さり燃えあがる。その熱と痛みを押し殺し、反撃として凪紗は式を喚ぶ。
「仁をもって義を成せ、礼を尽くし智を得よ――うちの忠犬達はちぃと獰猛や、気ぃ付けや」
 与えた属性は水。駆ける犬たちは火矢の怨霊を噛み砕いて、そのまま富子へと走る。
 熱と痛みは明確に苛むが、術式制御は保ち続けて。
「捨て身の覚悟で来とるんやこっち」
 簡単には落ちん、と凪紗は富子を睨み己が持つ全力の術式を叩き付ける。
「っ! アタシに攻撃したな!」
「二百年前、この京の町はあんたのその欲望の食いモンになったんや」
「それが、なんだって言うんだよ! 全部アタシに好きにされろ!」
 復興したとは言え、京の民衆は今もそれを忘れへんと凪紗は噛み潰すように呟く。
 その言葉には彼の想いが籠められて。
「二度とそんな過去は繰り返させん……去ね、骸の海に」
「は! 簡単に還るわけ、ないだろうが!」
 高らかと笑う、その声と共に新たに火矢の怨霊を生み出して富子は笑う。
 その攻撃に意識遠のき、膝をついた凪紗の身を支えたのは――黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)だった。
 常々面白いと思っている凪紗の姿に宵蔭は傍らのシノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)へとちらりと視線を向けた。
 シノアもこくりと、頷き返す。
 倒れた凪紗はそのまま、安全な場所へと送還される。ならばできる事といえば、その想いの一助になることだ。
「お手伝いしましょうか、シノアさん」
「ええ、宵蔭」
 二人、共に凪紗の傍へ。
「あの方は、欲しすぎたのかしら?」
 最初から己のものと思うのであれば、焦らないでしょうにとシノアは嫋やかに紡ぐ。
「金の魅力とは人をここまで落とすものなのですかねえ。財とはひとりで為せるものではありません」
 それを知らないのですねと宵蔭も煽りを。すると富子はその表情を歪めた。
「はぁ? アタシの元に金が集まるのが道理なんだよ!」
 半眼で睨んでくる。その視線に感じる嫌な物。シノアは咄嗟に腕を盾にすればそこがごうと紫の炎で燃え上がる。
 それは熱く、痛み伴うものだ。
「この程度で私を灰にできるなんて思わないで?」
 まだ耐えられる。この身が残れば――それで一太刀浴びせる事はできる。
 私も炎を以って貴方を撃ちましょうとシノアは燃えあがるままに向かう。
「シノアさんに独り占めさせませんよ」
 そう言って、宵蔭も走る。
「ああ、ああ! どいつもこいつも、ジャマだよ!」
 そこへ富子が苛立ち募らせながら爪を伸ばす。その爪は鋭く、長く伸びて宵蔭を狙うのだ。
 その向かってくる爪へと宵蔭は鉄錆を走らせる。
 その爪は宵蔭の身を貫くが、致命傷には至らない。絡め取った鉄錆が軌道を変えて逸らされたのだ。
「見極めて躱すのは難しそうですが」
 武器落としは少々得意なのです、と宵蔭は薄く笑み浮かべ――鉄錆操る手を返した。
 爪へと負荷がかかり、途中で折れる。富子はぎゃあと潰れた声をあげた。さすがに爪を折られるのは痛かった様子。
「それではもっと、苦痛を」
 血の色に染まる組紐がしゅるりと現れて富子の身に絡みつく。
 腕、身体をひねるように拘束しその守りを崩した所へ鉄錆が絡みついた。
 その鞭は傷を深め、そして魔を破るもの。
「人で無いものの財は担保の限りじゃありませんね。命も、財のようには積めませんよ――シノアさん」
「ええ」
 宵蔭が作った機会を逃すことはしない。ふ、と戒められた富子へとシノアは笑みを向け。
「彼の鞭は鋭いでしょう? 此度の炎は貴方を逃がさなくてよ」
 真紅の炎が刀の上で踊る。その炎は己の血の至るもの。
 とんと踏み込んで、シノアは刃を振るう。
「その財は骸の海に持ち込めるものでもなし――貴方のものではなくてよ」
 斬撃が走る。富子は拘束されたままにその一撃を受けて痛いとぎろりと鋭い視線を向ける。
「お前たち、全部、燃えてしまえ!!」
 苛々とした乱暴な声だ。無数の火矢の怨霊たちがその声に喚びだされ二人へと襲い掛かった。
 意識までも燃やし尽くすように火矢がけしかけられる。
 富子は火矢をもって己の拘束を焼き切って、高らかに笑うのだ。
「アンタらの金をおいてきな。そうしたら命を助けてやるとも……限らないけどな!」
 勝ち誇った笑い声。けれど富子自身も傷を負っているのも確かだ。
 シノアと宵蔭は追った傷の重さに、光に包まれる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

蛇塚・レモン
蘇っても拝金主義って、強欲も大概だね?

此方に苛立たせて、攻撃の軌道を直線的に仕向けて読みやすくするよ
(戦闘知識+第六感)

先制攻撃対策:
火矢と言っても怨霊!
だったら蛇神様由来の破魔で威力を弱めて、左目の神通力発動
(視力+第六感)
オーラ防御・火炎耐性・激痛耐性・盾受けで被弾を最小限に留めるよっ!
同時に黄金霊波動の念動力を宿した蛇腹剣を怪力任せになぎ払って衝撃波で火矢の軌道を外へ逸らすよっ!
(範囲攻撃)
咄嗟の一撃+カウンターでUC発動
鏡盾を武器改造、鋼の蛇神様と合体してあたいを防御っ!
火矢を呪詛の念動力で反射しながら突撃して富子へシールドバッシュ!
すかさず指鉄砲の鎧無視+零距離念動力で吹き飛ばすっ!



「くそ、部屋もぐちゃぐちゃ。前より一層豪奢にするか、それとも、建て直すか」
 戦いの痕が部屋に残る。富子は舌打ちして周囲を見回していた。
 そこへ蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)は現れて。
「蘇っても拝金主義って、強欲も大概だね?」
 苛立たせるような言葉を向ける。
 その言葉に富子は苛立つ。どいつもこいつも、同じような言葉を向けると。
「アイツをぶっ殺せよ!」
 そして、富子の苛立ちに呼ばれた火矢の怨霊がいくつも現れレモンへと向かう。
 火矢といっても怨霊。
 レモンは蛇神様由来の破魔で威力を弱めて、左目の神通力を発動する。
 破魔の力は多少なりとも通じはする。けれど完全に弱めることはできず、火矢はレモンへと降り注いだ。
 オーラで守り、火や痛みへの耐性もある。盾で受けて被弾を最小限に止めるように努めながら振るうのは蛇腹剣だ。
 怪力任せになぎ払って、レモンは火矢を振り払う。
「お願い、護って、蛇神様っ!」
 けれど続く攻撃に、鏡のように磨き上げられた白金の円盾を構え祈り捧げる。
 鋼の蛇神様はレモンを庇い、向けられた攻撃を反射する呪詛の念動力をもって残る火矢を跳ね返しながら、突撃する。
 吹き飛ばすほどの威力。
「クソ! お前らしっかり狙えよ!」
 しかしその衝撃は富子の苛立ちを深め火矢の怨霊を増やし、レモンへ追撃をかけた。火矢に苛まれレモンは光に包まれ送還される。

成功 🔵​🔵​🔴​

パーム・アンテルシオ
初撃への対策には、誘惑の力を使うよ。
…って言っても、真正面から惑わそうとしても…
あんなにいきり立ってたんじゃ、話もできないよね。

誘惑の技能…誘惑の力を、気に乗せて。
辺りに、漂わせる。
あの人を、取り巻く。
この力で…あの人の、無意識を惑わせる。
その攻撃を、当てないで。
そう、お願いするんだ。

誘って、惑わす、力。
人を惑わすのは…妖狐の生きる道。
私達なら…意識の外だって、誘惑してみせる。

…私の力が、あの人に、どこまで通じるか…
いつまで効果を出せるかは、わからないけど。
稼ぐ時間は、ほんの少し。初手を凌げれば、それでいい。

ユーベルコード…番紅火。
目には目を。数には数を。
さぁ、49の私。
亡霊を…焼き尽くそう。



「次から次へと……飽きもせずよくやってくる!」
 アタシを苛々させるのが上手だねと唸る様に吐き出す富子。次はアタシより小さいガキが何しに来たんだいと富子は言う。
 その言葉向けられたパーム・アンテルシオ(写し世・f06758)は、富子の様子に真正面からは無理かと、悟る。
 あんなにいきり立ってたんじゃ、話もできないよね、と思っていると己よりも弱いとみたのだろう。
「あはは! いいさ、憂さ晴らしさせてもらおうか!」
 己の爪を伸ばし襲い掛かる富子。
 誘惑の力を、気に乗せて――パームは周囲に漂わせる。富子と取り巻くように。
(「この力で……あの人の、無意識を惑わせる」)
 その意識を向けながらパームは口を開いた。
「その攻撃を、当てないで」
「はぁ? そんなの聞く必要ないじゃないか!」
 その身を貫いてやるというように伸ばされる富子の爪。
 誘って、惑わす、力。
 人を惑わすのは――妖狐の生きる道。
(「私達なら……意識の外だって、誘惑してみせる」)
 私の力が、あの人に、どこまで通じるか……稼ぐ時間はほんの少しあればいい。
 初手を凌げれば、それでいいとパームは誘惑の力を満たす。
 富子の爪はパームを捕らえ、激痛が走る。肩からを抉る様に振るわれた爪。
「ああ!?」
 けれど富子は――訳が分からぬというような声あげる。それは狙いが外れて、不可解だというような声だ。
 パームの誘惑は無意識に響き富子の狙いを反らし致命傷を防いでいた。
「陽の下、火の下、陽炎の徒を導こう」
 痛みに、意識が落ちる前に。
 目には目を。数には数を。
 さぁ、49の私――亡霊を……焼き尽くそう。
 それは炎纏う幻影だ。富子に向かう、その姿を見つつパームの意識は途絶えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

薬袋・布静
最近、この手合いが多いもんやな
「呪詛耐性」で容易に自身のUCは防げる
余程の阿呆やない限り海のモンが溺れる訳なかろう
以前も同じ手合いの者と相まったが…
念の為「医学」で自己管理し治癒など

さて、今度は此方の番
【海恕】の発動条件を得る感情を揺さぶろうにも
既にお怒りのようで…
金に目が眩み業に溺れた奴の末路程醜いモンはないなあ
条件が揃えばカツオノエボシを呼ぶ
呪詛で痺れ動けず溺れる様を眺めた

おー、怖い怖い…そんな熱い視線向けんでや
黙ってヘイコラ従って往生しーや
呪詛を与えるような視線を払う(呪詛耐性)

さてはて、念には念の為
【潮煙】の青煙の海を泳ぐホホジロザマ
毒(毒使い)を含んだ牙で「恐怖を与える」ように喰らう



 最近、この手合いが多いもんやなと、薬袋・布静(毒喰み・f04350)は口布の下で弧を描く笑み浮かべ零す。
 猟兵の気配に富子の苛立ちは一層深まるばかりだ。己の邪魔をするもの――それは排すべきもの。
「誰かアイツをぶっ殺せよ!」
 苛立ちの度合いと共に火矢の怨霊たちの数が増し、それらは布静に向かって攻撃かける。
 受けた傷は持ちうる医学の知識でもって布静は補うが、それでも身の上で燻る熱が消える気配はない。
 しかし火矢の怨霊の攻撃をしのいで、布静はさてと富子を見やる。
 感情を揺さぶろうにも、富子は。
「既にお怒りのようで……」
 ふ、と息吐いて。布一枚、その下で酷薄に上る口端が笑み湛え、ふわりと布静の傍らに空を緩やかに浮かび遊ぶものの姿が浮かび上がる。
「俺が赦しても――母なる海はアンタを赦してくれんようや……」
 それはカツオノエボシ――猛毒を持つそれは呪詛を孕んでその身を富子へと伸ばす。
「なんだよ、これは! !?」
 ぱしりとそのゆらゆらと揺れる伸ばされた先を富子は己の手で弾いた。しかし触れた瞬間――その身に回る毒がある。
「金に目が眩み業に溺れた奴の末路程醜いモンはないなあ」
 痺れを感じ、富子の動きは精彩さを失った。
「な、んでお前は、平気なんだよ!」
「余程の阿呆やない限り海のモンが溺れる訳なかろう」
 触れても、その呪詛たる毒は布静の身を何も害さない。むしろ、富子から向けられる視線のほうが呪詛のようでもある。
「おー、怖い怖い……そんな熱い視線向けんでや」
 黙ってヘイコラ従って往生しーやとその視線を払うそぶり。
 布静はくるりとその手で煙管を躍らせた。
「さてはて、念には念の為」
 青煙の海を泳ぐホホジロザメを煙管の煙より喚び、布静はすぅと瞳を笑みの形にゆがめ、お行きと言う。
 その牙をもって食らいつく、富子はぎゃあと声を上げ、そして鋭く睨み、火矢の怨霊へと命じるのだ。
 早く、やってしまえと。
 その声に煙管より現れた精霊も、そして布静の身も炎に塗れる。
 まだそんな元気あったんか、と乾いた笑い零して布静も光に包まれ送還された。

成功 🔵​🔵​🔴​

ライラック・エアルオウルズ
金貨が不要だとは言わないけれど
貴方の姿を見ていると、どうにも
――少しばかり、考えを改めたくなるな

さて。癇癪は止められずとも、
攻撃は食い止めさせて頂きたい物だ
火矢が向かって来るなら、纏めて払おう

飛ぶ火矢は召喚時or攻撃時を、
《見切り/第六感》で察知して
迅速に《オーラ防御》を展開し、
対応が間に合わない物は防ぎ乍ら
魔導書で『継ぎ接ぎの夢』を《高速詠唱》
暴走は《全力魔法》で抑え込み、
創り出す水の竜巻で《範囲攻撃》
火矢を巻き込む事で《カウンター》を

火矢を払い隙が出来れば、
次の癇癪が来る前に押し切る様にと
水を氷と変えて大悪災へと竜巻を放つ
――頭を冷やしたら如何だい?
何て、折角の御所がこの様では無理か



 誰に手ひどくやられたか――ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)がその場に足を運んだ時、富子は傷を負っていた。
「くそ! 医者を呼べ! 金ならいくらでもくれてやる、腕のいい医者だよ!」
 お前は医者かと、富子は視界に映ったライラックに問いかける。
 ライラックはいいやと緩く、首を振って。
「あいにく僕は医者ではなく作家だね。猟兵でもあるけれど」
「猟兵っ!」
 その言葉苛立ちを煽る。
 金と、その振舞と。富子の姿にライラックは眉を下げて。
「金貨が不要だとは言わないけれど、貴方の姿を見ていると、どうにも――少しばかり、考えを改めたくなるな」
「はぁ? アタシはアタシの好きにしてるんだよ!」
 いけ、と火矢の怨霊たちを増やし富子は命じる。
 癇癪は止められずとも、攻撃は食い止めさせて頂きたい物だとライラックは向かってくる火矢の怨霊と対する。
 向かってくるのなら、纏めて払おうと。
 火矢をオーラで守り、対応間に合わないものには。
「現想幻実、創るは悪夢」
 するりと魔導書を撫で、紡ぐ言葉。水の竜巻が広がり火矢の怨霊を巻き込み、そのまま――富子へ向かう。
「さて次の癇癪が来る前に」
 押し切るように――ライラックの生み出した氷の竜巻は変性する。
 水から、氷へ。荒れ狂う氷結の竜巻は富子を食うように巻き込んだ。
「――頭を冷やしたら如何だい?」
 そう紡ぐものの、折角の御所がこの様では無理かとライラックは片目を閉じて笑ってみせる。
 富子の身は氷の竜巻の中で痛めつけられたのだろう。
 着物に氷が纏わり付き、華やかさは失われている。そして富子自身もまた同じだ。
「クソが! 猟兵が! 滅べ滅べ!」
 苛立ちを、悪意を簡単にまき散らす――その元気はまだあるようだ。再び喚ばれた火矢の怨霊がライラックを包囲し、火矢の雨を浴びせた。同じ手は二度通じぬというように、際限なく。

成功 🔵​🔵​🔴​

玖・珂
財は有るに越した事は無いが……執着が過ぎるようだ

憎悪は呪詛に通ずる
御所様から視線は逸らさず、呪詛耐性で跳ね除けんと構えるぞ
炎の勢いが僅かでも抑えられれば良し

火炎耐性をもちダッシュで距離を詰めつつ
早業で全身に黒の紋様を巡らせ
内より白の炎をぶつけて紫の炎を相殺しよう

懐に入り込めたなら首元、或いは脆くなった箇所を
黒爪で掻き切る2回攻撃
炎で消耗した生命力も吸収させて貰おうか

攻撃後はジャンプで後退し間合いを取り
無駄な負傷は避けるぞ

……しかし、
贅を凝らした御所は見事なれど欲に塗れておる故、美しいとは思えぬな

足から床、手から壁へ紋様の根を張り白炎で燃やしてしまおうか
幾ら蓄えようが、いづれは全て灰になるのだ


ジナ・ラクスパー
お金、お金
貴女がどうしてそうなってしまったのか、知る由もありませんけれど
確かなのはここで絶対に止めてみせるということ

炎には水を
エンハンスの水の魔力に防御強化を願い
苛烈な視線や振る袖の色に予備動作を読んで見躱しを
彼女が怒り狂うほど心は冷静に
全て躱すなんて無理は承知の上、なのです
躱しきること諦めずできるだけ長く継戦を

怒りが此方に向く内に
矢の追跡からリッカだけは守り
几帳や御簾、衣装を盾にしては捨て逃げ回る
その苛立ち、利用させていただきます!

煌びやかな財産の他にも欲張れたらよかったのに
私には勢尽くすことより何よりも大事なことがあるから、負けません
氷矢は貫けば水に
あなたの憎しみの炎もどうか消えますように



「財は有るに越した事は無いが……執着が過ぎるようだ」
 そうは思わないかい、と玖・珂(モノトーン・f07438)はジナ・ラクスパー(空色・f13458)へと、問いかける。
「ええ、私もそう思います」
 金、金と――富子の執着は明らかだ。
「貴女がどうしてそうなってしまったのか、知る由もありませんけれど」
 確かなのはここで絶対に止めてみせるということ、とジナはぎゅっと白銀の柄を握る。
 その言葉に珂はふと綻んで、けれど次に富子へ向ける視線、受ける視線はもう逸らさない。
「参りましょう、玖珂様!」
 一歩、ジナが前へと駆け珂も共に走る。
「ああ! 次から次へと! まだ湧いてくるのかよ!」
 その視線は薄暗く、悪意しかない。陰鬱な憎悪の視線をふたりへ向ける富子。
 紫色の炎が揺らめいて、二人の上で暴れはじめる。
 憎悪は呪詛に通ずるものと、珂はその視線を跳ね除けんと構えていた。
 身の上で燃え上がる炎は僅かに収まり、それだけでも楽に動けるようになった。
 距離を詰めながら珂は全身に黒の紋様を巡らせ、その内より白の炎を紫の炎へとぶつけ相殺する。
 ジナもまた、熱いと、それを耐えて己の身の上に水の気配を纏っていた。水の魔力を、守りに回して――富子が怒り狂う程に、ジナの心は冷静に。
(「全て躱すなんて無理は承知の上、なのです」)
 であれば、長くこの場に立っていられるように。
「先に行くよ」
 珂が先に、懐へと潜り込む。五指を覆う鐵の装甲が富子の首元を狙って走る。
 掻き切る――そのつもりで向けられた爪先。柔肌を引っ掻けるように珂の黒爪が裂いた。しかし跳ねた血は僅か、富子は首を反らして躱す。
 消耗した分の生命力を吸収され、ちぃと舌打ちする富子。その音に珂は後方へと距離を取り、無駄な負傷を避ける。
 そして入れ替わるかのように、ジナの攻撃が向く。
「リッカ!」
 熱から守られたユキシロヤマネの相棒がフードより顔を出した。そしてジナの編む風とリッカの冷気が氷矢を生み出す。
「その苛立ち、利用させていただきます!」
 氷矢は溶ければ水へと変わるものだ。周囲で燻る熱気にほどけた氷、その水をかぶり富子は一層不機嫌になっていく。
 幾重にも、猟兵達が攻撃を重ね動きの精彩さは失われ、冷静さも欠如していく富子。
 そして豪奢であったこの居室も見るも無残な姿だ。
「贅を凝らした御所は見事なれど欲に塗れておる故、美しいとは思えぬな」
 例えそれが、戦いに塗れる前であったとしてもそう思っただろうと珂は紡ぐ。
 珂の足元から紋様の根が伸びる。床へ、そして壁へと広がるそれは――白炎を燃え上がらせた。
「幾ら蓄えようが、いづれは全て灰になるのだ」
「アタシのもんを、勝手に燃やすな!」
 向ける視線は鋭く、そして歪んでいる。
 珂の炎をかき消そうと紫の炎が盛り、この場をさらに包み込んでいった。
 苛烈に激しく燃える炎はまるで富子の様でもある。
 けれど、戦っているのはひとりではなく。
「ええ、私には勢尽くすことより何よりも大事なことがあるから、負けません」
 煌びやかな財産の他にも欲張れたらよかったのに――そう紡ぎながら、ジナは氷矢をリッカと共に生み出しだ。
「あなたの憎しみの炎もどうか消えますように」
 珂へと意識が向いていた富子にそれを向けるのは容易く。
 突き刺さる痛みに富子は声を上げ、怨嗟篭る視線を鋭く向ける。
 全て燃えろと、爆ぜるように言い放てば珂とジナの上で激しく炎が燃え盛る。
「ははは! 猟兵も、燃やし尽くしてやるよ!」
 勝ち誇るように富子の声が響き渡る。
 けれど富子もまた――その傷を増やしおぼつかぬ足取りを見せるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

パウル・ブラフマン
【SPD】
▼先制攻撃対策
お邪魔しまーっす!
殿中にダイナミックGlanz乗り入れしちゃうぞ☆
【騎乗】した状態で【運転】テクを駆使して
連続攻撃回避を試みるね。
屋内戦闘なのを逆手にとって
【地形の利用】を念頭にした壁面走行や
Saugerのカラビナを襖に引っ掛けて盾代わりにしたり
フリーダムかましちゃうもんね☆

▼反撃
UC発動!
超速で走行しつつ
囮用の金塊を括りつけた【誘導弾】を射出。
なんてこったい、埋蔵金が空を♪
富子さんが腕を伸ばしたらKrakeで狙撃するね。
そのやべーネイル、落とさせて貰うよ!
必要に応じて、随時【援護射撃】をしていきたいな。

骸の海にはお金持ってけないの?残念だったね。

※絡み&アドリブ歓迎!



 焼けただれみすぼらしい姿を見せる御所の部屋。
 富子はこうなったら全部、燃やしてしまうかとこの惨状を視線で撫でる。
「……何?」
 と――その耳に、聞こえる何か耳にしたことがない音。
 不審に思っていると轟音響いて。
「お邪魔しまーっす!」
 パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は白銀宇宙バイク、Glanzでその部屋に飛び込んだ。
「なに!?」
 富子にとってそれは初めて見るものだったのだろう。部屋中を自由に動きまわるそれを追いかけるのは難しい。
 パウルは持ちうる運転テクニックでもって富子が伸ばす爪を躱しきった。
「くそ! 動き回って!」
「フリーダムかましちゃうもんね☆」
 手近にある調度品を苛立ちのままに富子は投げる。
 それをカラビナ付きワイヤーヤー、Saugerをもって弾き返した。
「きゃあ!」
 弾き返したものが富子に当たり思いの外可愛い声あげる。
 パウルはそこでさらにスピードを上げ己の戦闘力も高める。
 そして囮用の金塊を括り付けた誘導弾を射出した。
「なんてこったい、埋蔵金が空を♪」
 パウルの声に釣られて富子の視線がそれを追う。その爪狙ってパウルはKrakeを構えた。
「そのやべーネイル、落とさせて貰うよ!」
 伸びきった爪、それを射撃で亀裂をいれ打ち砕く。
「っ痛!」
 折れた爪を撃ち捨てる。富子は苛立ち隠さずパウルを睨みつけていた。
「クソ! 集めた金を使わせて! また集めなきゃならないじゃないか!」
「骸の海にはお金持ってけないの? 残念だったね」
 パウルは全部置いてっちゃいなよ! と言うところに八つ当たりのように富子は再び伸ばした爪向けた。
 その動きに慣れてきたのか、富子はパウルの動きを捕捉し始めた。
「そのわけわかんないモノから落ちろよ!」
 伸ばされた爪にパウルの身は九度切り裂かれ、宇宙バイクより叩き落された。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
氷で炎に勝つ…俺にとっては難しいのだ
でも敵の、誰に対しても怒っている様子を利用すれば…!

氷の【属性攻撃】で高い足場をどんどん作りながら
【ジャンプ】で足場から足場へ飛び移り、敵から一定間隔距離を置いていく

火矢の怨霊の攻撃がどこから来るのかを【第六感】で感じ取って
攻撃を吹雪のような氷の【属性攻撃】で勢いと威力をできるだけ殺し
【ジャンプ】で回避を試みる
それでも全て避け切れはしないだろう
けど怒りを集めるよう挑発する

お金は何も応えてはくれないぞ
お金はお前のこと、決して助けても愛してくれもしないのに

相手が激昂してきたなら
かかった!
ここで『悪戯好きな雲』を発動

言っただろう!
お金は助けてくれやしないって!



 ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)が向かったその場所は戦いに荒れ果て、ちらちらと炎が燻っている。
 そして富子も散々だ。贅を尽くしていたであろう着物はその面影を失い、焼けた痕も、何かに食まれた痕も。そして傷を負って血も流している。
「まだ立っているのだ……!」
 相応の傷を受けていると言うのにまだ戦える。その姿を見つつヴァーリャは駆ける。
 その足元から氷を生み出し足場をいくつも、作りながら。
(「氷で炎に勝つ……俺にとっては難しいのだ」)
 でも、とヴァーリャは富子をちらりと見る。
 その視線は忌々しい物を見る、怒りと憎悪を含んだものだ。
(「誰に対しても怒っている様子を利用すれば……!」)
 軽やかに氷の足場を生み出しヴァーリャは跳躍する。
 富子はその動きを目で追う。そしてきゅっと視線を強めた。憎悪を込めたその視線が追いかけて来る――ぞわりとする感覚をヴァーリャは感じる。
 けれど足を緩めず動き回っていればゆらりと火矢の怨霊が現れた。
「早く! 貫いて、燃やしてしまえ!」
 苛立った富子の声。距離を取っていてもその声は良く響いた。
 怒気に圧され火矢の怨霊が攻撃仕掛ける。
 熱を感じるのは五感以外のもの。吹雪のような氷を火矢の怨霊へ向け、相殺し勢い弱める。
 けれどその中を突き抜けてくる火矢の怨霊も居て、ヴァーリャの身に突き刺さる。
 避けきれないのは――最初から覚悟の上だったのだ。
 火矢の怨霊はヴァーリャの次の足場事砕いて、そのバランス崩させる。
 地に降りる瞬間を狙って、さらに追撃。熱と痛みにヴァーリャは小さく呻き声を上げた。
「ははは! 良いざま! アタシの金に手をつけた罰さ!」
「お金は……何も応えてはくれないぞ」
「はあ?」
「お金はお前のこと、決して助けても愛してくれもしないのに」
 そんなものは、必要じゃないと富子は声を荒げる。それはヴァーリャにとって、好機。
(「かかった!」)
 俺ばかり見ていては――と、ヴァーリャは富子の頭上に積乱雲を召喚した。
 その雲より振り落ちる巨大な雹が富子を殴る様に落ちていく。
「言っただろう! お金は助けてくれやしないって!」
「ぎゃあ! 猟兵!! このっ……! お前らやれよ!」
 雹を叩きつけられた痛み。苛立った声に火矢の怨霊たちが呼応して、ヴァーリャへと攻撃向ける。
 その攻撃の激しさに包まれて、ヴァーリャもまたこの場を去るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エンティ・シェア
羨ましいですね、その執着
浅ましいとも、思いますけど

対峙前に、武器の顕現だけはしておきます
鉄の処女は、盾としては有能ですよ
火矢がこちらに向かって飛んでくるなら、防いだり落としたりを試みます
全てでなくていい。元より受けることは、覚悟の上
痛みは、ある程度なら耐えられますから

幾らでも撃ち込めばいい
誰か、などと悠長なことしか言えない貴方に殺されてなんてあげませんけど
動けるなら歩み寄って、あるいは、近寄らせて
少しでも距離を詰めたい
眉を釣り上げて口汚く当たり散らす醜い顔を、拝んでみます?
見せて、あげますよ
ついでに、お返ししますよ。その、怒り

煽って、煽って、色映しで叩き返してやりましょう
口八丁は、得意なんです



「くそ! くそ! アタシの金に手を付けて、アタシをズタボロにして!」
 絶対許してやらない、次に現れたやつもぐちゃぐちゃにしてやる! と富子はいきり立つ。
 その様を見たエンティ・シェア(欠片・f00526)は緑色の瞳細めて。
「羨ましいですね、その執着――浅ましいとも、思いますけど」
 黒熊人形の中から鉄の処女を武器として構えてきたエンティ。
「お前ら、アイツも、燃やしつくすんだよ!」
 富子の声に火矢の怨霊が踊る。エンティをくるりと囲むように構え、一斉に攻撃を。
 けれど落ち着いて、鉄の処女を盾のように扱い火矢を防ぐ。
 全てでなくていいのだ。攻撃をある程度防いで、落として。元より攻撃受けることはエンティも覚悟の上だったのだから。
(「痛みも、ある程度なら――耐えられます」)
 撃ち込まれる火矢が突き刺さり、燃え上がる。
 その様に機嫌よく、富子は笑っていた。
「あははは! もっとだよ! 火だるまにしてやりな!」
 その笑い声に幾らでも撃ち込めばいいと――エンティは言う。
「誰か、などと悠長なことしか言えない貴方に殺されてなんてあげませんけど」
 まだ動ける、と足を前へ、前へと動かす。
 攻撃をと富子が言う。火矢の怨霊はそれに従うばかりだ。
 致命傷は防いで、前へ。距離を詰めて――うっすらと、エンティは笑ってみせた。
「眉を釣り上げて口汚く当たり散らす醜い顔を、拝んでみます?」
「は? 醜い? 誰がだよ!」
「見せて、あげますよ」
 苛烈な富子の怒りを感じてエンティは鏡を、召喚する。
 その輝く鏡は富子の歪んだ表情を、よくよく映し出し本人へと突きつける。
「ついでに、お返ししますよ。その、怒り」
 反射する。その怒りの強さが強いほどに強力な衝撃波が。
 富子にぶつけられたのは自身が抱く怒りの強さ。それに吹き飛ばされその場に倒れ込んだ。
「自分の怒りはどうですか」
 口八丁は、得意なんですと柔らかに、楽しそうに。傷だらけであっても痛みを表情に出さぬエンティに富子は鋭い視線を向けて。
「お前らやれ!」
「最後も怨霊頼りかい?」
 君が終わるのも近そうだねとエンティは言いながら攻撃を受ける。ここで僕がやれることはやったと、零して。
 燃え上がる中、その身はこの場より消えて――残ったのは悪態をつく富子だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

千桜・エリシャ
宿のお客様の零時さん(f00283)と

まあ、そんな怖い顔
せっかくの美人さんが台無しですわよ?
震える零時を安心させるように引き寄せ肩を抱いて
ふふ、でもね
美しい首は大歓迎ですの
零時さん、この方の御首は私がいただいても構わないかしら?

零時さんと連携しますの
先制攻撃で飛んできた火矢は掻い潜り見切りつつ
花時雨を開いたオーラ防御で防ぎましょう
余裕があれば零時さんも傘に入れて護って差し上げますわ

さて、今度は私達の番
零時さんの大火力を当てるために
私が隙を作りますわ
火矢を散華繚乱で斬り落としつつ逃げて避けて
完全に私へ意識が向いたところで
零時さん!今ですわ!

最後の仕上げの御首は私が
呪詛のせた刃で斬り落としましょう


兎乃・零時
良く行く宿の女将のエリシャ(f02565)と!

アドリブ歓迎

(こいつめっちゃキレてて怖ぃ…!)(震える)
…けどッ!黙って従う俺様達じゃねぇ!
やってやるさ、全力で!!

首!?…お、おぅ大丈夫だ!

エリシャと連携

先制攻撃の視線は
「紙兎パル」の【オーラ防御・拠点防御】で防いだり
光【属性魔法】で光を放ち
視線その物を潰したりするぜ!

次は俺様達の番!

エリシャに完全に意識が向いた所で全力【ダッシュ】
俺様に攻撃が飛んでも
パルの【誘導弾・援護射撃】で攻撃を逸らす
喰らっても【気合】で耐える

近づいたら【カウンター】ぎみに【零距離射撃・全力魔法】!
そう、渾身のUCだ!

耐えれるもんなら耐えてみな!

―――後は任せた、エリシャ!



 痛みがここにある。
 頭もぐらぐらするし切り裂かれたり打ち身もあったり。富子は散々だと喚き散らしていた。
 ぎゃんぎゃんとうるさいほどにまき散らす怨嗟は、追い詰められた女の焦りでもあった。
 これ以上は危ないと――本能的に感じてまき散らす、不安。
「まあ、そんな怖い顔」
 千桜・エリシャ(春宵・f02565)はせっかくの美人さんが台無しですわよ? と穏やかに笑いかけた。
「ああ!? また猟兵か! お前らも、無様に燃やして転がしてやる!!」
 富子の怒気は最高点に達したか、荒々しさを持っていた。
(「こいつめっちゃキレてて怖ぃ……!」)
 その怒気に兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)は思わず震える。
 けれどここで怖いと引き下がる事は零時もない。
「……けどッ! 黙って従う俺様達じゃねぇ! やってやるさ、全力で!!」
 僅かな震えを零時は堪えて、キラキラ輝く水色の瞳に立ち向かうと言う強さを乗せて向ける。
 そんな零時をそっと引き寄せ、エリシャは肩を抱く。
「ふふ、でもね――美しい首は大歓迎ですの」
 エリシャは嫋やかに、優雅に微笑みを向ける。ああ、誰かに僅かに傷を負わされているけれど、それでも――その首はまだ白く、美しいと思えるもの。
「零時さん、この方の御首は私がいただいても構わないかしら?」
「首!? ……お、おぅ大丈夫だ!」
 エリシャの言葉に零時は驚きつつもこくこくと頷いた。
「アタシを倒せると思ってるのが、ムカつく、ムカつく! アタシの前に立つな! はいつくばって頭をさげやがれ!!」
 ぎろりと鋭い視線が向けられる。その視線を感じて零時は自立型全自動防衛式神である、紙兎パルを前へ。持ちうるオーラで守りをたてその攻撃を受け止める。
 けれど視線を通り越し、熱が零時の身の上を彩る。
「熱っ!」
 だが視線がもたらす紫色の炎を全て防ぐことはできず。
 これでもくらえと光を放って零時はその視線を奪った。
「くそっ! お前ら! アイツらを燃やせ! 射れ!」
 眩しさに目を抑えながら富子は命じる。火矢の怨霊たちは雨のように、エリシャと零時へと降り注いだ。
「零時さん、こちらへ」
 エリシャは己の方に引き寄せて、その火矢を掻い潜るよう見切る。それでもすべて避け切れはしないのだが、紫紺の夜闇に桜花舞う和傘にオーラ纏わせ開き――くるり、くるり。火矢を弾いて落として見せる。
 鮮やかな動きで火矢を受け流し、さて、とエリシャは微笑む。
「今度は私達の番、私が隙を作りますわ」
 エリシャは一歩、前に出て軽やかに走る。火矢の怨霊はエリシャを追いかけ、そして富子の意識もそちらに向く。
 落ちる火矢に向け、エリシャは呪詛をかぶせた斬撃を火矢へと見舞う。
 はらり、と紅い花が咲いて散る。
 綺麗でしょうと笑いながらその意識を惹きつけ――エリシャは零時へと視線向けた。
「零時さん! 今ですわ!」
 その声と共に零時は富子の懐へと全力で走りこむ。攻撃は、パルが誘導弾の援護射撃でその数を撃ち落し、多少は喰らってもそのまま、気にせず気合で耐えて。
「っ!!」
「耐えれるもんなら耐えてみな!」
 零時の傍らにパルがいる。膨大な魔力の放出による大威力の一撃を、その身にただただまっすぐ、撃ちこむ。
 その衝撃に富子の意識は遠のきかけて――そして、富子はその視界に黒き閃きを見た。
「――後は任せた、エリシャ!」
「ええ、最後の仕上げを」
 桜花模す鍔の大太刀を、抜き放つ。墨染に咲けと刃の色を一層黒く、染める為に。
 音もなく、鮮やかに。
 エリシャの一閃がその首と、身体の繋がりを断ち切る。
 悪態を――いや、悲鳴も、吐息をも漏らす瞬間も与えずその命をこの世から切り離し、骸の海へと再び沈めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月10日


挿絵イラスト