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エンパイアウォー㉒~少女の刃は忍びを滅す

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 とある廃村。
 その周囲を複数の忍びが取り囲み、監視を続けていた。
 彼らは徳川家に仕える服部忍軍の一員、敵方の風魔忍軍を殲滅するため、その拠点を探り当てたのである。
「準備はいいな、仕掛けるぞ」
「はっ」
 いざ敵陣へ。
 各々武器を握り、一斉に飛び出し襲撃を―――、
『ダメですよ』
 声が響いたかと思えば、最前線を買って出た忍び達が突然倒れ伏し。
 その側にはいつの間に現れたのか、異国の服を纏った少女の姿。
「察知されていただと!?」
「今の技、物の怪の類か!」
 即座に臨戦態勢を整え少女達へと斬りかかる者と、仲間へ情報を伝達するためその場を離脱する者。
 彼らも幕府に仕える精鋭達。奇襲が失敗したのなら、この場にある情報を持ち帰るために命を賭す覚悟。
 そんな忍び達を見て、少女は小さく息を吐き。
『だから、ダメですって』
 呟いた次の瞬間には、少女の姿が掻き消える。
 斬りかかった忍び達が慌てて周囲を見渡せば、離れた位置から聞こえて来たのは仲間の悲鳴。
 視線を向ければ、この場を離脱しようとしていた忍びが、その眼前に現れた少女によって斬り裂かれる姿があり。
「おのれ、面妖な術を!」
「全員散れ! 一人でも逃げ切―――」
 この相手には、時間を稼ぐことさえ不可能。
 そう判断し出した指示は、最後まで紡がれることはなかった。
 同じ姿をした少女達が、彼らの周囲を取り囲んでいたからである。
 瞳を絶望の色に染める忍び達へと、少女の一人が剣を向けて口を開く。
『一人だって、逃すわけがないでしょう?』


「みんなお疲れ様っ! 隕石落とし、無事対処できたみたいだねっ!」
 エスペラ・アルベール(元気爆発笑顔の少女・f00095)からの報告に、猟兵達もにわかに活気だつ。
 幕府軍を襲う苦難の一つ、その驚異が取り除かれたことは大きな前進と言えるだろう。
「それで、敵の作戦を阻止できた影響もあって、徳川家の忍軍が敵の忍者の拠点を突き止めたらしいんだ」
 続く報告も良い内容だ。
 サムライエンパイアにおいて、忍びが担う役割は大きい。
 ここで敵側の忍びを殲滅できれば、今後の戦いにおいてもきっと有利に働くことになるだろう。
 しかしながら、ここでエスペラの表情は暗くなり。
「けど、拠点の中には風魔の忍者だけでなく、オブリビオンの集団も集まっていた場所もあって……」
 精鋭の忍び達と言えどもオブリビオンには到底敵わず、逆に壊滅させられてしまう。
 彼女が予知したのは、そんな忍び部隊の一つだ。
「オブリビオンさえ倒せれば、敵の忍者は味方の忍者が倒してくれる。だからお願い、彼らを助けてあげて!」


芳乃桜花

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 伊賀派と風魔派の争いが起きようとしている……どうも、芳乃桜花ですっ!
 今回は忍者同士の戦いを背景にオブリビオンとの集団戦となります。
 オブリビオンさえ抑えておけば忍者は自動的に味方側が勝利するので、オブリビオンに集中して頂ければ問題ありません。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしておりますっ!
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第1章 集団戦 『異国の少女剣士』

POW   :    跳躍飛翔
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
SPD   :    縮地法
【瞬間移動】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【至近距離からの斬撃】で攻撃する。
WIZ   :    憑呪宿奪
対象のユーベルコードに対し【その属性や特性を奪い取る斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:ちーと

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七那原・エクル
服部忍軍の皆さん大丈夫ですか?助太刀に来ました。ここはボクたちが抑えるので風魔忍者の相手をお願いします。はじめて見る本物の忍者にちょっとワクワクしたけれど、いまはそんな場合じゃない。

ボクのユーベルコードは範囲内の対象を無差別に攻撃してしまうので味方を巻き込まないようにしなきゃ、蒸気ガトリングガンを連射して敵の注意をボクに引き付けるてなるべく壁を背にして戦うよ
こうすれば背後から敵は攻撃できないはず

上空から衛星砲のオプティカル・デヴァスター・カノンで敵の足元に土煙を巻き上げるように派手にビーム砲撃、瞬間移動した瞬間に巻き上がる土煙の移動方向を【見切り】攻撃される箇所を予測【盾受け】で防ぐよ


ルーナ・ユーディコット
狙うのは後の先
歩みの見えない瞬間移動についていく必要はない
狙いは敵が攻撃の為に近づいてきた瞬間
月狼【月】を発動し、通常の9倍の攻撃回数で畳みかける
多少攻撃を受ける事は構わない
そして、私は獣の衝動に飲まれて
生きる為に味方を攻撃することは絶対にしない

人の戦いに埒外が介入するものではないから
だから、私は貴方と戦う
未来へ進もうとする今生きる人の道を
過去からの妄執に邪魔させない

私の寿命が減る事も傷も厭うものか
私の業は……私のモノだ
長くは生きられないこの身の寿命
その幾許で敵に浴びせられる手が増えるならくれてやる

死にたくはない
でも戦わないのはきっと後悔する
だからこそ今一度咆哮で恐怖を塗り潰す
「私は強い!」




「準備はいいな、仕掛けるぞ」
「はっ」
 いざ敵陣へ。
 徳川の忍び達が潜んでいた茂みから飛び出そうとした、その瞬間。
『きゃあ!?』
「服部忍軍の皆さん、大丈夫ですか?」
 降り注いだガトリング砲の弾幕が、忍びを狙い現れたオブリビオン達を迎撃する。
 続いて姿を見せた七那原・エクル(ダブルキャスト・f07720)に僅かばかり驚いた様子を見せつつ、部隊のトップと思わしき人物は臆することなく口を開いた。
「そちらは猟兵なる者とお見受けする」
「はい、ここはボクたちが抑えるので風魔忍者の相手をお願いします」
 エクルからの言葉に一つ頷き、忍び達は各々武器を構えながら敵の拠点へと向かう。
 初めて見る忍びの者達の動きに心が昂ぶるが、今はそんな場合ではないと自らを戒めて。
『猟兵、ですかっ……!』
 オブリビオンの少女達は次々とこちらに集まってきている。
 この拠点にどれだけのオブリビオンがいるのかはわからないが、第一段階はこれで成功。
「前、出るね」
 そうとだけエクルへ伝え、歩み出たのはルーナ・ユーディコット(Basilico・f01373)。
 彼女はこちらへと剣を向けるオブリビオンへと視線を向け、自らも刀を抜くと相手の出方を伺うように構えて見せた。
 斬り合いならば望むところと、オブリビオン達は武器を構えたままルーナへ一歩踏み出し―――その姿が掻き消える。
 直後、オブリビオン達が現れたのはルーナの周囲、剣が届くほどの至近距離。
 まだ十歩ほどの距離があったにも関わらず、一瞬にして距離を詰め繰り出される斬撃は、通常の相手ならばまず回避不能。
「人の戦いに、埒外が介入するものではないから」
 その必殺の攻撃は、ルーナが振るうただ一振りの斬撃によって防がれた。
『バカなっ!?』
 思わず声を上げたオブリビオンの瞳に写ったのは、ルーナの身体から立ち上る青い闘気。
 その正体を看破するよりも速く、自分へと振るわれた刃を自身の剣で受け止め。
「だから、私は貴方と戦う」
『がっ……!?』
 確かに防いだはずの刃が、オブリビオンの身体を幾度となく斬り裂いていた。
 何が起きたかもわからぬまま倒れ伏す相手には、もはや目もくれず、次の相手へと刀を向ける。
 未だ立ち上り続ける闘気は、巨大な狼の如き姿を形取り。
「未来へ進もうとする今生きる人の道を、過去からの妄執に邪魔させない」
 襲いくるオブリビオンを蹴散らすその姿は、まるで一匹の青狼。

(ルーナさん……?)
 背後を取られぬように壁を背にし、蒸気ガトリングECL-04<ガンダルヴァ・G>を撃ち続けて敵の注意を引き付けていたエクルは、ルーナの様子に疑問を感じる。
 一見オブリビオンの集団相手に圧倒しているように見えるが、攻撃の度に苦痛を堪えるような表情を浮かべているのは何故なのか。
 ざらつくような嫌な予感を覚えるが、援護しようにも自分の攻撃では彼女ごと巻き込みかねない。
 ならば今自分にできることは、少しでも多くの敵を引きつけること。
「オプティカル・デヴァスター・カノン!」
『っ!?』
 オブリビオン達を上空から放たれたビーム砲撃が襲う。
 砲撃から逃れた者が空を見上げるが、どれだけ視線を巡らせようとも砲塔は確認できない。
 なにせ相手は衛星砲―――軌道上からの攻撃を視認できるはずもなく。
 ならば直接砲手を討ち取る他にない。巻き上がる土煙に目を細めつつ、理を書き換え一瞬にしてエクルの側へと距離を詰め、刃を振るい。
「身体は土に、魂は虚無へ」
 その一撃は、土煙の流れから斬撃の来る方向を読み切って展開された複合装甲により、エクル自身には傷一つ負わすことなく防がれた。
 同時に彼の口から紡がれるのは、竜の騎士としての力を宿す力ある言葉。
 オブリビオンが危険を察知し、その場を離脱するよりも早く。
「還りなさい―――!」
 滅龍の咆哮が、周囲の相手を残らず消し飛ばした。

 ルーナの周囲を取り囲みつつ、オブリビオン達は焦躁に駆られた表情を浮かべる。
 多少の攻撃では止まることなく、それでいて向こうの攻撃はただの一振りが九つもの斬撃となって襲ってくるのだ、防ぐことも避けることも困難極まりない。
 一方、表には出さぬもののルーナ自身も消耗が激しく、息を小さく数回に分けて吐き出す。
 その主たる原因は彼女の使っているユーベルコードの代償。
 身を奮い立たせる闘気は命を燃やして立ち上らせており、獣の衝動に任せて複数回の斬撃を可能とする理は、本来その斬撃の一つを味方に対して振るわなければならない物である。
(私は、獣の衝動に飲まれたりしない……!)
 そんな、本来なら周囲全てに無差別に襲いかかる狂戦士となるべき技を、彼女は精神力だけで抑えつけ。
 その代償はただでさえ短い人狼の寿命を、更に削り取る重すぎる物。
(私の業は……私のモノだ)
 気を抜けば衝動に囚われそうになる意識を強引に繋ぎ止め、オブリビオン達を睨みつける。
 元より長くは生きられぬこの身の命。
 その幾許で敵に浴びせられる手が増えるなら、くれてやる。
「―――」
 だからといって、死にたいわけじゃない。
 傷は痛いし、好き好んで相手を傷つけたいとも思わない。
 それでも、戦わなければきっと後悔するから。
 だからこそ恐怖を塗り潰すために、咆える。
「私は―――強い!」
 それは、遠く聞こえる滅龍の咆哮と共に。
 青狼を伴う一人の人間が、周囲のオブリビオンを殲滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宇冠・由
お母様(f00173)と参加
私は盾として味方をかばいながら防衛を行います
忍ばずシュシュっと片付けましょう

私は全身燃えるブレイズキャリバー
空を飛びながら誘蛾灯の如く敵をおびき寄せ私にひきつけます
跳躍飛翔もなんのその、空中戦なら私だって得意です
優雅にドレスをつまんで一礼。礼儀作法も忘れずに

私の地獄の炎は修復可能。味方や服部忍者への攻撃は全て炎でかばい、より被害を最小限に抑えます(敵だの物の怪だの勘違いされても困りますし)

攻撃してきた相手に炎を燃え移らせ、【七草繁縷】で全員地に落としますわ
制空権を握ればより他の方が攻撃を当てやすくなりますもの


宇冠・龍
由(f01211)と参加

私は娘の由と共に援護に回ります
忍者の戦い方は変幻自在。変り身に分け身、色んな奥の手を持っているかもしれませんから
(風魔忍軍は今を生きる忍のはず。風魔小太郎が蘇ったとはいえ、そこまで過去への忠義に尽くす方々だとは。敵ながら見事だと思います。分かり合えたりは……難しいのでしょうか)

【魚質竜文】で不可視の霊を周囲に漂わせ、由や味方の死角から襲う忍者たちを攻撃します

由の炎で地面に落ちてきた少女達
オブリビオンとはいえ少女を攻撃するのは躊躇ってしまいますが仕方ありません
私の槍から風を一閃
地獄の炎の威力をより増大させ、相手の動きと攻撃を完全に封じましょう




 廃村を幾つもの影が飛び回り、闇夜に光らぬよう黒く塗り潰された刃が交錯する。
 忍び同士の戦いは服部忍軍が有利に事を進められているようだ。元々敵の拠点を攻め込む腹積もり、オブリビオンさえ居なければ確実に成功させられるだけの前準備は当然してある。
 そして味方の戦況が芳しくないことに気づけば、オブリビオン達が救援に向かうのもまた必然で。
 宙を自在に駆けて服部忍軍へと振るわれた刃は、その眼前に飛び込んできた炎の人影によって阻まれた。
『!?』
「生憎と、忍ぶには不向きな姿ですので……忍ばずシュシュっと片付けましょう」
 驚愕の表情を浮かべながら近くの屋根へと降り立つオブリビオンへ、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は優雅な仕草でドレスを(これもまた炎で模られている物ではあるが)つまんで一礼する。
 由の全身は燃え上がる地獄の炎、辺りを照らすその輝きは猟兵やオブリビオンにとっては目立つことこの上ないが、忍び達は彼女の事を気にすることなく戦いを続けていた。
(風魔忍軍にも猟兵の姿に対する力は働いている、のでしょうか……?)
 そんな様子を地上から見て思考を巡らすのは、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)。
 あの忍軍の中には風魔小太郎によって召喚された者以外に、今を生きる風魔の者もいるのではないだろうか。
 もしそうであるのならば、過去の存在であるはずの小太郎へ忠義を尽くすその姿は、敵ながら見事と言う他にない。
 そしてできることならば、今を生きる者同士で分かり合うことはできないものか。
 失われる命は一つでも少なくしたい、そんな思いを胸に抱きつつ、そのためにも今は娘が食い止めているオブリビオンの数を減らすことが最優先。
「死海に還りし息吹達、視界を寡黙に泳がれよ」
 呪を唱えれば、龍の周囲が僅かに揺らいだ。
 その揺らぎ……彼女の呼び出した不可視の魚の霊は宙を泳ぎ、由へと斬りかかろうとしたオブリビオンに背後から喰らいつく。
 音もなく倒れる仲間に気づかぬまま、オブリビオン達は自在に宙を駆けては由や服部忍軍へ攻撃を仕掛けようとするものの、その成果は一向に上がっていない。
 炎の身体を持つ由に対して、剣で斬りつけたところで暖簾に腕押し、一瞬吹き散らせるものの即座に元の姿を取り戻し、その際に飛び散った僅かな炎でさえも、彼女のユーベルコードによって一度燃え移ればその身を焼き尽くす業火となる。
 有効となる攻撃手段が無いのであれば、いっそ放置して他を狙うべきだとオブリビオンも考えたが、そこに立ち塞がるのが、由の守りへと特化した特性。
「先へは行かせませんわ」
『この、なんでさっきから……!』
 どれだけ忍軍を狙っても、由は確実に先回りしてその攻撃から味方を庇ってみせる。
 磨き上げた他者を守るための技は、そう安々と潜り抜けられる物ではない。
 遂には炎に煽られ地上へと落ち、場所を把握しようと周囲を見渡したオブリビオン達は、その光景に動きを止める。
『あれ、みんな……?』
 この戦場に集まった仲間たちは、こんなにも少なかっただろうか?
 炎に焼かれた者を含めても、明らかに人数が足りていない。
 戸惑うオブリビオンの前へと、青白い槍を構えた龍が姿を表し。
「お母様!」
「―――ええ」
 上空から由が炎を放ち、龍が振るう槍から放たれた風が、その炎を更に強大にし燃え広がらせる。
 逃げ場の無い炎の波に呑まれながら、オブリビオンはなんとか逃れようと再度宙を蹴って上空へと向かい。
 がぶり、と。
 不可視の霊に喰らいつかれ、仲間たちはこれにやられたのだと悟るも最早手遅れ。
 再び炎の海へと落下する間に、その意識は絶たれてしまう。

「この辺りに来たオブリビオンは、これで最後みたいですわね」
「……そうですね、このまま服部忍軍の援護に向かいましょう」
 龍からの返答に、しかし由は小首を傾げる。
 無事に敵を倒したというのに、母の表情が翳っているように見えたからだ。
 気遣うような視線を送る娘へ大丈夫だと手を振りつつ、龍はオブリビオン達が消滅した場所へ視線を送る。
 オブリビオンは世界に害為す滅ぼすべき敵。それを理解していても、少女にしか見えぬ相手を攻撃するのは心のどこかに軋む物を感じてしまう。
 ―――それでも、多くの人々を守るために。
 彼女は前へと進み続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィン・スターニス
情報はとても大事ですね。
敵方の忍びを無力化できれば、
以降の戦いに、大きな影響を与えることになりそうです。

その為にも、この場のオブリビオンには、早急に退場して頂きましょう。
忍の方のお仕事の邪魔はさせません。

最初に、千里を見透す眼を発動。
視界内の情報を集め、敵の動きの癖や、
瞬間移動をする際の空間の違和感を感じられる様に学習。

戦闘では薙刀を使用し、
突きとなぎ払いを中心に攻撃し、
敵からの攻撃は、受け流す等で体勢を崩し、カウンターを試みます。

また、瞬間移動をされたなら、
集めた情報と、第六感による感覚を信じて、
出現箇所へカウンターで攻撃を仕掛けましょう。


シル・ウィンディア
忍者さん、もうちょっと待ってね
今から、わたし達がそっちに行くから、それまではっ!!

…オブリビオン、あなた達の相手は、わたし達猟兵がお相手するよっ!
最初は【フェイント】【残像】を駆使して
腰部の精霊電磁砲で攻撃
【一斉射撃】【誘導弾】【なぎ払い】で纏めて攻撃するよ

近接されたら
精霊電磁砲をパージして身軽になって
精霊杖を両手で構えます

エレメンタルドライブ・エアリアル…
ヘキサドライブ・ブーストの欠点を改良した自己強化魔法…
さぁ、初披露、行くよっ!

【属性攻撃】は風を選択
嵐のように吹き荒れてっ!
【空中戦】【残像】【フェイント】【第六感】【見切り】を駆使して
高速機動戦闘へ持ち込みます
忍者でも追いつかせないから!


燈夜・偽葉
森深くの博物館の仲間がいれば協力します

服部忍軍って幕府に仕えていたんですね
彼らを守る為、あの少女剣士を倒してやりましょう
…シルさんが!(やってくれます)

「剣よ、嵐に臨みて」を使います
空中にいようと関係ありません、斬り捨ててあげます
先制攻撃、2回攻撃、なぎ払いでの範囲攻撃を駆使して空中戦です

敵の攻撃は視力で見切り、第六感、戦闘知識で感知
残像のフェイントで狙いをそらし回避
避けられなければ武器受けで弾き、オーラで防御します


リリスフィア・スターライト
森深くの博物館のメンバーとして参加だね。
今回は忍者を守る戦いのようだね。

向こうはスピードに自身がありそうだし、こっちもそれに対抗かな。
全翼天開で飛翔して空中戦を挑むよ。
忍者たちが狙われないよう彼らから引き離すようにして戦うよ。
相手の飛ぶ方向を見極めてから、
高速で勢いを付けた斬撃を放ってダメージを与えていくね。
仲間と連携して追い込んでいければかな。

「逃げられないのはそっちの方だよ」
「もう少しスピードを上げた方がいいかな」




 服部忍軍を追いかけ、何人ものオブリビオンが廃村を駆ける。
 瞬間移動や空中跳躍を駆使しての移動は、その速度と走破性は言うに及ばず、相手に正確な人数すらも掴ませない。
 ―――そう、彼女以外の相手には。
「時は交わり、今を知りて過去を見る―――距離は意味を持たず、遥か彼方は此処となる」
 今、フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)の眼帯の奥に隠された瞳には、通常のそれとは比べるべくも無い程の情報が写り込んでいる。
 駆け続けるオブリビオンの仕草の一つ一つ、それぞれがユーベルコードを発動する際の僅かな前兆、闇夜に紛れ切り合う忍び達の動きまで。
 常人に同じ瞳を与えたところで、到底処理し切れないであろう量の情報を制御し、行く手を指し示して隣を走る仲間へと必要分の内容を伝える。
「シルさん、方向はこのまま、距離300に3秒後」
「了解! 思いっきりいくよ!」
 シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は元気よく応えると、腰部に取り付けられた砲塔を展開しその砲身へ自らの魔力を集中させていく。
(忍者さん、もうちょっと待ってね)
 碌な明かりもなく闇夜が広がる村、シルの瞳では遠く離れた相手を完全に捉えきることはできない。
 それでも、狙いを付ける表情に一切の迷いは無く。
 信頼している仲間の伝えてくれた情報、そこに間違いがあるなど欠片だろうと疑うものかと。
(今から、わたし達がそっちに行くから、それまではっ!!)
「発射!」
 放たれるのはシルの魔力を砲弾としたレールキャノン、砲身内で加速され撃ち出された砲弾は、狙い違わずフィンの指示した通りの位置へと着弾し。
『きゃあ!?』
「二人命中、爆風でもう数人巻き込みましたね」
「流石シルさん!」
「さて、このまま追撃かな?」
 早速の戦果に喜びを現す燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)の横で問いかけるリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)に、フィンは首を横に振って薙刀を携えると、その場で構えを取った。
 ただそれだけで、続く言葉が紡がれる前に全員が同時に臨戦態勢へと移り、シルが砲撃を放った方向を睨みつける。
「残敵―――来ます」
 フィンの言葉が終わると同時に。
 彼女達の周囲を取り囲む形で、オブリビオン達が瞬間移動によって現れた。
『猟兵……!』
「服部忍軍の彼らを守る為、貴方方を倒させてもらいますよ」
 仲間をやられた為か、憎悪混じりの視線を送られるも偽葉は臆することなく前に出て、黄昏色の刀を突きつけ堂々と宣言する。
「―――シルさんが!」
「私!?」
 予期せぬタイミングで振られ、思わず声を上げてしまったシルへとオブリビオン達の視線が集中し。
 若干気まずい空気を振り払うように咳払いを一つすると、相手の視線に負けぬよう睨み返して口を開いた。
「……オブリビオン、あなた達の相手は、わたし達猟兵がお相手するよっ!」
 その言葉に、オブリビオン達は殺気を膨れ上がらせ猟兵達へと飛びかかる。


 シルの放つ砲撃が数人を叩き落とすのを視界の端に捉えながら、偽葉は自身の上方へ位置取る相手を一瞥する。
 回数に制限こそあれ、自在に宙を駆ける敵の力は厄介だ。
 実力が拮抗している場合、高所を取った方が様々な点で有利となるのは必然の理。
 ―――ならばこそ、その理を覆してみせてやろうと思うもの。
「どれだけ強大な敵だとしても、負けません!」
 その身に纏うは黄昏色の嵐の刃、迂闊に間合いを詰め過ぎていたオブリビオンを切り裂く程の切れ味を持ちながら、側にいる他の猟兵達にはかすり傷一つ負わせることはない。
 そのまま軽く地を蹴れば偽葉の身体は宙に浮き、相手よりも遥かに自在な動きで空を舞うと瞬く間に2,3と斬り捨て。
「さあ、そんなものですか!」
 余裕を見せる彼女へオブリビオンも刃を振るうが、あくまでも宙を蹴りつけることができるようになるのみのユーベルコードに対し、偽葉の力は自在に飛翔し、戦闘力までも己の覚悟に比例し増加させていくもの。空中戦での軍配がどちらに上がるかは明白だ。
 オブリビオンの振るう剣は偽葉の影すら捉えられぬまま、気づいた時には背後に回られ刃を一閃。
 一拍遅れて襲いかかってきた相手は、地上でシルを死角から襲おうとしていた相手へと蹴り落とし。
「さてさて、他の皆さんは、と」
 その場を傷一つ負うことなく制して見せ、仲間たちの様子を確認しようと周囲を見渡す。


 時は偽葉が上空へと舞い上がろうとしていたその瞬間。少し離れた位置では、リリスフィアが複数のオブリビオンと斬り結んでいた。
 一人一人の技量はこちらとそこまで変わらない、ならばこそ時折混じるユーベルコードによる上空からの攻撃が危険となる。
 一旦間合いを開けるため飛び退れば、その背には同じく下がってきたフィンの背がぶつかり。
「リリスフィアさん、上を頼めますか」
「上……うん、任せて」
 二つ返事で承諾すれば、二人を追ってやってきたオブリビオンが刃を向ける。
『もう逃げられませんよ』
 告げられた言葉に、リリスフィアは薄く笑みを浮かべ。
「逃げられないのはそっちの方だよ」
 オブリビオン達がその言葉の意味を理解するより早く。
 リリスフィアの背には、魔力によって形作られた一対の翼が現れた。
「ここからは私の全てをぶつける!」
 叫びと共に地を蹴れば、圧倒的な速度で正面のオブリビオンを斬り倒し。
 そのまま翼を羽ばたかせ上空へと舞い上がれば、上方から攻撃の機会を伺っていたオブリビオン達が襲いかかってくるも軽く打ち払う。
 彼女が使ったユーベルコードは、奇しくも偽葉の物と酷似した効果を持っていた。
 ならば、空中戦における勝敗もまた、必然的に。
『は、早……っ!』
「もう少しスピードを上げた方がいいかな」
 自在に宙を舞うリリスフィアを捉え切れず困惑する相手へと、限界まで速度を上げて突撃すれば、防御をする間も与えず斬り伏せられ。
「あ、リリスフィアさん、そっち終わりましたかー!」
「うん、後は地上だね」


 戦闘に置いて、情報と言う物の価値は計り知れない程に高い。
 敵の戦力を正確に把握できれば効率的な戦術を組むことができ、相手の作戦までわかってしまえばこちらの勝つ確率は跳ね上がる。
(だからこそ、この戦いは重要……敵方の忍びを無力化できれば、以降の戦いに、大きな影響を与えることになりそうです)
 そんな思いを胸に戦うフィン自身も、今は情報を最大の武器として振るっている。
 先程オブリビオン達を追いかけながら収集していた、彼女達の動きや癖。
 それらを統合すれば、相手の動きを先読みして攻撃を防ぎ、返す刃で防御を鎧穿つこともそう難しいことではない。
 通常ならば後手に回るしかない瞬間移動すらも、空間の歪や相手の心理を読んでしまえば、無防備に現れたところを狙って薙刀を振るうだけで撃退でき。
 唯一、わかっていても厄介なのが上方からの攻撃だったが、偽葉とリリスフィアによって制空権が確保できた以上、そちらに気をやる必要はないだろう。
「よっと、あと一息ってところかな?」
「はい、ただ、相手も大分慎重になってきていますね」
 接近戦となったことで精霊電磁砲をパージし身軽となったシルと合流すると、残るオブリビオン達は一箇所に集まり容易く攻め入ることのできない壁となる。
 どのように崩すべきか、悩むフィンの前へとシルが歩み出た。
 その手にしているのは、いつもの光刃剣ではなく、一本の杖。
「風の精霊、エアリアル……わたしに力を……!」
 願うように唱えられた魔法によって、シルの身体に風精の力が宿る。
 彼女の周囲は風が渦巻き、手にする杖は輝きを増して、その背には翼の如き風の加護。
 エレメンタルドライブ・エアリアル、強化幅こそ大きいが身体への負担も大きいヘキサドライブ・ブーストを改良した、シルの新たな自己強化魔法。
 軽く跳ねて感覚を合わせると、自身に力を貸してくれている精霊へと笑顔で呼びかけ、駆ける。
「さぁ、一緒に舞おうかっ!!」
 風の翼を制御しての飛翔は、偽葉やリリスフィアの飛翔速度を更に超える物だ。
 反面、戦闘能力の向上は見込めないという点はあるが―――その代わり。
「風よ、嵐のように吹き荒れてっ!」
 振るわれた杖から放たれた風は、本来の威力を遥かに上回る暴風の域に達してオブリビオン達を吹き飛ばす。
 これこそがこの魔法の強み、風の精霊が宿った杖の力を強化することで、シル自身の肉体への負荷を最小限に留めることに成功した。
 その速度と吹き荒れる暴風があっては、オブリビオン達が放つ刃は掠めることさえなく、結果その理も効果が出ない。
「みんな、行くよ!」
「はい!」
「斬り捨てますよ!」
「任せて!」
 掛け声に合わせ、シルが残るオブリビオンを吹き飛ばし、フィンが、偽葉が、リリスフィアが各々の刃で切り伏せる。
「これでこの辺りは完了、だね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラヴ・フェイタリティ
【アドリブ歓迎】
剣士には剣士をぶつけんだよ!と言いたいところだが、剣士属性を使うにゃちとヒロインパワーが足りねぇ。ラヴ様はヒロインパワーを高める儀式を行う。籠を頼むぜ。決して中を覗くな。

斯くして始まる儀式…用意されたるタピオカミルクティーと自撮り棒。その儀式の名はタピオカチャレンジ。貧乳の少女はタピオカミルクティーを手放しで飲めるのか?不安定に揺れる籠の中で可能なのか?出来る。出来るのだ。彼女はただの肺活量でもってそれを成し遂げた。ここにヒロインの儀、成せり!

暴走するほどのヒロインパワーにより到着と同時に変身!見よ、これがラヴ様の真の姿がひとつ、機甲絢爛舞刀!さあ、絢爛豪華な剣劇を始めようか!




 各地で戦いが繰り広げられている中、廃村から少し離れた位置で服部忍軍の一部が一人の猟兵から指示を受けていた。
「つまり、この籠を運べと……」
「ああ、決して中は覗くなよ」
 ラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)はそう言うと、人ひとり入れる程巨大な籠に手をかけつつ、沈痛な面持ちで吐き捨てる。
「剣士には剣士をぶつけんだよ! と言いたいところだが、剣士属性を使うにゃちとヒロインパワーが足りねぇ……だから、ラヴ様はヒロインパワーを高める儀式を行わなきゃならん」
「言ってる事の半分も解らぬが……」
「むぅ、天下自在符を持つ者はやはり違う」
 ラヴの説明は全く理解できずとも、それでも幕府から特権を賜っている者からの言葉。
 逆らうこともなくラヴが乗り込んだ籠を担ぎ、戦場へと向かう。

 籠の内部に入ったラヴは早速儀式の準備へと移る。そのために懐から取り出した物は、自撮り棒とタピオカがたっぷり入ったミルクティー、ヒロインパワーに溢れた方はこの時点で彼女が何をするか判ることだろう。
 それは主にUDCアースの女性の間で広まっていた、俗にタピオカチャレンジと呼称されている行為。
 お茶の入った容器を手を使わずに胸部に乗せた状態で飲むことができるかという、とても女子力に溢れたチャレンジである。女子力ってなんだ。
 しかしながら、そのチャレンジを実行するには重大な問題が2つ。
 一つはこのフィールド、忍び達に運んでもらっている籠の内部は多いに揺れ、容器の安定感は一切ない。
 そしてもう一つ、容器を乗せるべき胸部が、ラヴには足りていない。足りていないという言葉が大分気を使ったレベルになるぐらいにはない。真の姿となれば彼女も成長するが、その真の姿となるためにはタピオカチャレンジが必要。無情である。
 ラヴも自身が挑む壁がいかに困難か理解しているのだろう、その表情はいつになく真剣で、容器を持つ手が僅かに震えている。
しかしながら、彼女は逃げるわけにはいかない、籠を運んでくれている忍び達のためにも、そして何より、自分のために―――!

『さあ、覚悟してください』
「くっ……!」
 忍び達は窮地に陥っていた。
 戦場に辿り着いて早々にオブリビオン達に取り囲まれてしまったのだ。
 対峙すれば自分たちに勝ち目が無いことがわかる、そして、逃げることも不可能であると。
 一矢報いようと刃を握る忍び達へ、オブリビオンは容赦なく剣を振り上げ―――その瞬間。
「さあ―――絢爛豪華な剣劇を始めようか!」
『!?』
 忍び達の中心にあった籠が両断され、中から一人の少女が飛び出した。
 その姿は全身を鎧に包まれ、何本もの刃を携えた機甲戦士。
 これぞラヴの真の姿が一つ、その名も機甲絢爛舞刀である!
 一拍遅れ、敵と判断したオブリビオン達が攻撃に移ろうとしたその時には、既にラヴは動いている。
「今のラヴ様のパワーは……二重属性で通常の2倍!」
『うぁ!?』
 目にも止まらぬスピードで、すれ違い様に斬り倒し。
「暴走させて更に3倍!」
『きゃあ!』
 瞬間移動によって背後を取られたかと思いきや、振り返りもせず一閃。
「諸々載せて大体100倍!」
『急に雑になった!?』
 ラヴの刃を受けようと構えられた、その剣ごと斬り伏せれば。
「これが、メインヒロインの力だァアッ!!」
 呆気ない程にあっさりと。
 その場にいた全てのオブリビオンは倒れ伏した。
「らゔ殿、助かりました!」
「ハッハッハ! ラヴ様を崇め―――げふっ」
「うわぁ! らゔ殿が血を吐いて倒れたぞー!」
「敵襲か!? 警戒しろ!」
 その後、ユーベルコードの代償によって倒れたラヴを治療したりと、些末な騒ぎはあったものの―――。

 猟兵達の援護もあり、服部忍軍は最小限の犠牲によってこの拠点を制圧することに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト