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エンパイアウォー⑯~その罠、春画につき

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

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●歴代の知恵に抜かりなく
 猟兵たちを呼び集めたニコラは、いささか緊張した面持ちをしていた。
「――風魔小太郎の居場所が判明したわ。それも、恐ろしい罠の仕掛けられた忍者屋敷に居を構えているという情報付きで」
 ゆっくりと、重苦しい口調で切り出すニコラの様子に、集まった者たちも固唾を呑む。
 いったい、どのような恐ろしい罠を仕掛けてくるというのだ、あの魔将軍風魔小太郎は。
「忍者屋敷に仕掛けられているトラップは、絵が関連するわ。一種の視線誘導を兼ねたそれは、意識を切り替えて対処しなければ小太郎の掌で踊るだけになってしまう程」
 ニコラがグリモアに手を翳す。投影されるのは――サムライエンパイアにおいて、一種の文化として昇華された浮世絵の1枚。戯画化されつつもどこか艶めかしい雰囲気を纏ったその絵の名は、春画。
「無数の春画……いわゆるえっちな絵ね。この屋敷はそれらをバラまくことで的確に注意力を削ってくるわ」
 ……グリモアベースの空気が、一気に静かになる。それは畏怖というよりも驚愕、そして呆れの色の強い沈黙であった。
「……えっちな絵で気を削いでくる、といえばなんてことはないけれど。もしよ、もし、仮に――目の前に自分の性癖にドストライクな絵をいきなり提示されたとして……一瞬たりとて隙を曝さない、そんな自信がある方は? もちろん、この春画は男性向けだけじゃなくて、女性向けのものもあるわよ」
 ざわり。今度はどよめきが広がる。
 そう、風魔忍者屋敷に蓄えられた春画の数は膨大、そしてそこから適格に「刺さる」ものを選び出しばらまく機構も、どうやってか用意されている。戦場という一瞬の判断が生死を分ける場所において、その罠が生み出すことができる(かもしれない)隙は確実に致命的なものだ。
「それに、ここに居る風魔小太郎はその春画を最大限に生かすための戦法を取ってくるわ」
 即ち、その屋敷で猟兵を迎え撃つ小太郎が呼び出す風魔忍者たちは、基本的に何某かのフェティッシュな特徴を持つ者。春画と合わせて、呼び出される忍者たちの姿も性癖に刺さりやすいものが多いと予知されているのだ。
「特に、髑髏面を光らせた時は用心してちょうだい……自分の性癖を曝すことも厭わず、小太郎は矢継ぎ早に春画ラッシュを仕掛けてくるわ」
 春画ラッシュとは、性癖に刺さる春画を隠れ蓑にした連続攻撃とのこと。一瞬でも気を取られれば――どうなるかは想像に難しくない。
「勝つためならばどのような手も厭わない――ニコラは風魔小太郎のことをそう評価しているわ」
 ……まぁ、勝つために春画まで使ってくるようなオブリビオンが居るだなんて普通は考えもしないが。
「さて――恐ろしい敵であることは理解していただけたかしら? そのうえで、現地に向かってくださる勇気ある猟兵を、ニコラは心から称賛するわ」
 結びの言葉は荘厳に。様々な意味の重なった「死地」へ向かう猟兵を、ニコラは改めて募るのであった。


Reyo
 はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。罠というと、某ゲームで敵の動きを止めることができるいやんな本を思い浮かべたReyoです。
 対強敵シナリオですが、ややお色気+ギャグ寄りとなっております。

====================
1)このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

2)百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================

 プレイングには皆様のツボと、小太郎の先制攻撃(春画トラップによる仕込み含む)を乗り越える心意気や対策を記載していただければ幸いです。
 悪逆非道な春画トラップになど、猟兵は屈しないことを示してあげましょう。

 さて――それでは出陣です。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

日和見・カナタ
風魔の方々、頑張って春画を集めてたんでしょうか…?
その様子はちょっと…いえ、かなり気になりますが、とりあえず対策を練っておきましょうか。

まずは【機械蜂】と【ガジェットドローン】で周囲の情報を収集します!
その情報は【サイバーゴーグル】で視覚情報として受信しますが、その際に解像度を落として絵を見えないようにしましょう!
私自身は受信情報のみに目を向けて、【六道阿修羅面】を捌いたあとは返しの【ヒートインパクト】で反撃を狙いますよ!

〇ツボ
架空の怪物に関わる春画のうち、本来の展開がおまけになるレベルで怪物の生態が事細かに描かれたものです
純粋に怪物の設定にワクワクしてしまうので足を止めます

【アドリブ歓迎】



●仄暗い忍者屋敷の奥から
 ジジ、と。夏の夜、決して少なくない羽虫に紛れて機械細工の蜂が飛ぶ。群れにならず、されど散開しすぎもせず。機械蜂にとっての情報リンク結節点でもあるガジェットドローンとの距離を一定に保ち、未だ静けさを保つ忍者屋敷の周囲を、あるいはその中をブンブンと飛び回る機械蜂たち。
「……もう少しでいい、気付かないでくれるといいんだけど」
 転移ゲートを抜け、すぐさまそれらを放って偵察を行っているのは日和見・カナタ(冒険少女・f01083)その人。相手の陣地ともいえる忍者屋敷へと踏み込むのだ、事前情報はどれだけあっても過ぎることはない。夜間用に照明強度を抑えたサイバーゴーグルに送られてくる映像を迅速に処理しつつカナタが作り上げていくのは忍者屋敷の間取り図だ。
「――よし、あとはこの情報をみんなと共有して!」
『したら、どうだという?』
 ブツン。機械蜂のうち、1体からの映像が途切れる。その寸前に入力されたのは、かの百面鬼『風魔小太郎』の声。忍者屋敷から少し離れた場所に潜んでいたカナタの呟きすら拾い上げての、蜂に搭載されたマイク越しの声にカナタの全身から汗が噴き出す。
 であえ、であえ、と。カナタが身を伏せた場所にまで響く小太郎の大声。それと共に忍者屋敷の襖が開く音が連続し――カナタ目掛けて突っ込んでくるのは、まさかの風馬小太郎その人であった。
「初顔合わせとなるな、猟兵……! なにやら屋敷に探りを入れていたらしいが、その情報もろとも地獄へ送ってやろうではないか!」
「上等! ――そっちのやり方は判ってるんだ、こっちにだって対策のやりようはある!」
 多面六臂の巨躯を、その大きさに見合わぬ速度で動かしつつ小太郎がカナタへと挨拶。真っ向から姿を見せて声までかけるというのは驕りか、それとも戦国期オブリビオンならではの戦作法か。
 カナタも売られた喧嘩は買うとばかりにサイバーゴーグルを戦闘モードへ励起、四肢のガジェットをアイドリングからバトルマニューバモードへと切り替えた。
「ふん、その大口もどこまで聞ける? ――見るが良い、我ら風魔忍軍の蒐集せし春画の数々を! そして感じ入るが良い、その素晴らしさに!」
 接敵。魔将軍ならではの圧倒的な実力から機先を制すは小太郎。その六本腕を余すことなく活用し、カナタへと突き付けるのは件の春画コレクション。そこに描かれていたのは――
「ゴーグルのメイン視野に一部解像度低下によるリアルタイムモザイク処理を実行! ……それをじっくり楽しむのは、お前を倒してからにさせてもらう!」
「ほう……?」
 いわゆる異種姦モノの春画。しかし、メインにされているのはあくまでも「異種」であるバケモノの生態という、艶本としての効能を副次的なものとした設定資料のようなソレは確かにカナタの気を惹くものであった。事前の情報収集でそういった空想資料としての趣の強い春画がコレクションの中にあると知っていなければ、小太郎の目論見通りヒナタは好奇心から足を止めていただろう。
 だが、そういったモノがあると理解し、そして己に突きつけられるだろうと予想していれば対策はある。カナタが今やったように、突きつけられた春画を直接見ないことにより、一種の情報防壁を築きあげるのは十分な対策となる。
「この異種婚姻を繰り返してヒトとバケモノの狭間に生まれた生き物の設定など、この百面鬼ですら唸り感心したもの……即座に割り切ってくるとは」
 己のバラまいた春画のうちの1枚は小太郎のお気に入りでもあるらしく、僅かに攻め手が鈍ったのもカナタにとっては幸運。
「それはそれ、これはこれ! ――倒した後で、なんなら原本ごと頂いていくよ!」
 春画を囮に放たれた一瞬の連撃を、カナタはギリギリのところで凌ぎきる。そしてカウンターとして放つのは赤熱したガントレットによる掌底。脚部ガジェットによるブースト加速も相俟って、体格差からくるリーチ差もものともせずカナタの拳が小太郎の胴を捉えた。
「ぐっ――その意気や良し!」
 その一撃を貰い、小太郎は唸り声を上げつつ屋敷方面へと跳躍。ダメージを最小限に抑えつつ、己の陣地へと戻る形だ。
「だが、ほかの猟兵であればどうかな? どうせ一人ではないのだろう?」
 小太郎が語り掛けるは、カナタを先陣としてその場に訪れている猟兵たちにほかならず。
 カナタから屋敷の見取り図を受け取り、準備を終えた猟兵たちが次々と戦場への転移を開始するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マレーク・グランシャール
俺は女の裸だの色香だのには迷わない
ついでに衆道にも全く興味がないな
こんなくだらん罠に引っかかるような男では‥‥‥。
(※堅物だけど純情。かつて契りを結んだ女(金髪美人)に似ていると一瞬気を取られて流血沙汰)

気を取り直して
俺に春画の如き卑劣で卑猥な策略を仕掛けるとは豪語同断
貴様の忍法は俺の風竜の力に前には通じない

敵が軍勢を仕掛けてきたら【汗血千里】を発動し
飛来する手裏剣は風圧で防御
忍者刀を手に接近する軍勢は【黒華軍靴】のダッシュ+ジャンプ、【泉照焔】の見切り、【金月藤門】の残像+フェイクを駆使して回避
UCで風竜の槍に変化した【碧血竜槍】を小太郎めがけて高速で槍投げ
残る面を狙って部位破壊するぞ


月殿山・鬼照
 山寺で至って清らかに育ったので、性癖らしい性癖はござらぬ。なので、思い浮かぶエロも実にステロタイプ。春画は花魁が客と抱き合ってちゅーしている程度で、忍者もセクシーくノ一程度。
 されど大変ウブなので、非常におたおたはしまする。それを克服するため大量の仏画や曼荼羅、禅画を持ち込んで春画やエロくノ一を覆い隠すでござる。
「心頭滅却すれば火もまた涼し!」
 先制は絵の反撃で驚かせるのと、【激痛耐性】【早業】等で乗り切って踏み込み【カウンター】でUCが使えれば幸甚。拳に数珠を巻いて殴る。
 発動時は不動明王の真言を唱える。

※アドリブ連携ネタ大歓迎
※一応【WIZ】を想定していますが何でも。



●見返り描きの金髪美人
 屋敷付近へと戻った小太郎が真っ先に呼び出したのは、主だった構成員がくのいちである風魔忍軍お色気部隊。万眉という女の面を代償に呼び出され猟兵たちと相対するそのくのいち軍団は、召喚主の命によるものかやたらと胸や股間を覆う布の少ない装束を纏っていた。
「さて、仕掛けは上々――」
 ふむ、と顎に手をやった小太郎。忍軍を侍らせているようにも見えるその巨躯の前に立つのは2人の猟兵。
「それで策のつもりか、風魔小太郎? 俺は女の裸だの色香だの、くだらん罠に引っかかるような男ではないぞ」
 ついでに言えば衆道にも興味はない、と言い切りながら涼し気な目線でくのいちたちを見やり隙無く構えるはマレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)。その横に並び、いつも以上に気を張った表情をしているのは月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)だ。
「心頭滅却すれば火もまた涼し、とも言うで御座る。マレーク殿という通り、そう簡単に拙者らの隙を突けるとは……!」
「さて、それはどうかな? ――行け、忍軍よ!」
 必要以上に緊張しているようにも見える鬼照の言葉を遮るようにして、小太郎が忍軍たちを2人に嗾けた。動き始めたくのいちたちは忍者らしい素早く切れの良い動きで瞬く間に2人を包囲し、各々が手に持った春画を写し取ったような際どいポーズをとりながら忍者刀を引き抜き構え――
「戒めを破った拙者であるが――御仏よ、邪淫から拙を守り給え!」
 猟兵たち、特に対応の堅い鬼照へと襲い掛かろうとしたその瞬間。当の鬼照がまるで我慢の限界だとでもいうように経を唱え、それと同時に幾枚かの画を投じた。
「――気が触れたか、猟兵ッ!」
 鬼照の動作を見て小太郎がそう叫ぶが……猟兵相手に春画をばらまいて罠とする小太郎の言えたことではないだろう。
「どうとでも言うが良い、小太郎……これこそが拙者の答え。貴様のけしからんお色気術への対策にござる!」
 鬼照がばら撒いたのは、修行僧としての来歴を持つ鬼照ならではの逸品。小太郎の用意した卑劣かつ卑猥な罠である春画とは対極に位置する、仏や禅僧の修行場面、あるいはありがたい経文が並んで書かれた曼荼羅といった非常に真面目な浮世絵の数々だ。
 まさかの反応に、小太郎を含む忍軍の反応が一瞬遅れる。春画への対策として繰り出されたのが仏画や禅僧画という、完全に想定外の角度からの対策故の――間。
「そもそも、逢瀬、逢引どころか褥を共にするような行為を画にするなど言語道断! 忍軍諸君も、肌を曝すのであれば将来を誓った者に対してのみが道理というものでござろうが!」
 そこに、鬼照が顔を真っ赤にしながら畳みかける。ちらりと周囲を覗けば肌も露わな年ごろのくのいち(の姿をしたオブリビオン)がわんさと居るのだ。山寺生まれ、山寺育ち、それらしい経験の一例として女子と手を繋いだことすら片手で数えられそうな鬼照にとって目の前の光景は毒が過ぎるのだろう。
 そうやって注意されたくのいちたちも、さすがの反応にやや戸惑い気味。
「――そういうわけだ。堅物相手に色気で仕掛けたことを後悔するがいい!」
 そして、そうやって機先を制したはずの小太郎たちから強引に鬼照がイニシアチブを奪えば、その隙をマレークが逃すわけもなく。
「草原を吹き抜ける野性の風よ。我が血、我が命をもって――」
 詠唱と共に纏うは轟風。マレークを中心とした突風がくのいちたちのお色気衣装を巻き上げてパンチラどころではない光景を生み出し、それを見た鬼照は思わず目を閉じて天を仰ぐ。
 しかし、さすがにあからさまな攻撃動作を見せた猟兵に対してはくのいちも対応。胸の谷間から取り出した手裏剣を一斉にマレークへと放つが……轟風に遮られそれらはマレークに届かず。それならばと、くのいちたちは抜き放った忍者刀を手に、春画を盾のように掲げながらマレークの元へと殺到。
「――疾風の竜となれ! 汗血千里!」
 しかし、マレークの詠唱が完成する方が早い。投じられた碧血竜槍は既にマレークの手を離れ、小太郎の多面を狙って宙を駆けている。そして攻撃完了と共にくのいちの包囲網を破り離脱しようとするマレーク。
「……ッ!?」
 だが、その動きが寸刻遅れた。その目線の先には、金に輝く頭髪を闇夜に靡かせマレークへと襲い掛かるくのいちの姿。その姿が、マレークの中で「彼女」と重なる。そう、あの夜に契りを結んだ「彼女」も、明かりを落とした部屋の中で輝く金の髪をしていたと……記憶を通じて訪れるのは郷愁か、哀切か。
「――マレーク殿! 間に合えっ……!」
 視界にあふれるのはくのいちのあられもない姿と、鬼照にとっては過激が過ぎる春画の数々。しかし、それがどうしたと。鬼照は山寺で鍛えられた己の精神力でもってその誘惑を振り切り、仲間の危機へ拳を間に合わせる。
「小咒……ノウマク・サンマンダバザラダン・カン!」
 唱えるは真言。最小限の詠唱から得られる力は小さくとも、確かに鬼照の握りしめた数珠に法力が宿る。不動明王がその真言に応えてもたらすは神速の踏み込みと金剛石の如き堅固な拳。
 奇しくも、マレークの投じた槍が小太郎の面の1つを打ち砕くのと、鬼照の守護の拳がくのいちの忍者刀を砕くのは同時であった。
「無事でござるか!?」
「――ああ、少し懐かしくてな。助かった、鬼照」
 鬼照の声に、マレークが精神的動揺から復帰した。軽く頭を振って、マレークは脳裏にちらつく金色を振り払う。
「さて、気を取り直すとしよう。見ての通りだ、風魔小太郎……そう簡単に俺たち猟兵が貴様の卑劣、卑猥な策略に踊らされると思うなよ?」
 小太郎の面を砕いた後、碧眼の小竜となり手元に戻った碧血竜槍を構えつつマレークが宣言。それに頷き同調した鬼照も、数珠を握り込んだ手とは逆の手に持った仏画を小太郎たち風魔忍軍に付きつける。
「ふん、その威勢の良さがどこまで続くか見物よ!」
 果たしてそれは虚勢か。小太郎は2人の猟兵にそう答え、新たな春画を屋敷の在庫から取り出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

春画……ですか
なんと特異な手段で僕たちの心を惑わせに来る策士でしょうか
僕には愛おしい彼がいるので惑いはしませんが
知識源として興味はありますね

……わーお、僕たちに似た者たちの春画?
このパターンはなんだか久しぶりです
一度経験すればもう慣れましたが
狼狽える彼の様子がなんだか面白くて
お気を確かにと声をかけましょう

戦闘において敵の先制攻撃は「オーラ防御」と「激痛耐性」で耐えつつ
「破魔」「全力魔法」「鎧無視攻撃」「高速詠唱」「2回攻撃」をのせた
【天航アストロゲーション】で「カウンター」を狙いましょう
……狼狽えるきみも可愛いので別にいいんですけど、とは言わないでおきましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
春画とな…?
宵が居るゆえ斯様な物には心を惑わされんと自信有り気に屋敷を進む
まあ、以前俺らに似た人物の薄い本なる物を見た時は多少動揺はした…が…と
…何故俺らに似た者の、春画が飛んでくるのだ!?
い、否…動揺等しておらんぞ?ただ、直視出来んだけで、な…!
だが…なんだ。宵に声を掛けられれば正気に戻り攻撃へと移ろう
…も、もう惑わされんぞ…!

戦闘時は基本前衛に立ち召喚された風魔忍者達へ【罪告げの黒霧】を放ちつつ行動
宵に攻撃が当たりそうな場合は『盾・武器受』にて『かば』いつつメイスにて『カウンター』を
宵の前で狼狽する様を見せられた怒りを込めて攻撃して行こう
…もう動揺など、動揺などせんからな!



●黒藍の学び
 くのいち軍団を猟兵に蹴散らされ、面の1つを失った魔将軍風魔小太郎。屋敷のからくりを用いて仕切り直しを図った小太郎の前に、またもや2人の猟兵が立ち塞がる。
「戦力の逐次投入は愚策――の筈が貴様らを相手ではそうとも言えんな、猟兵!」
「ええ、僕らは単に、僕たちが最大限の力を発揮できる組み合わせであなたに対抗していますからね」
 屋敷の渡り廊下、そこで小太郎と対峙するのは白皙の青年、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)に、それと対照的な黒肌の青年、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の2人。小太郎に応じたのは宵の方だ。
「それに、春画を使って俺たちを動揺させようという魂胆らしいが――既に最高のパートナーが居るのだ。斯様な物で心を乱せると思わんことだ!」
「ふん――春画文化を甘く見るなよ若造が!」
 宵の言葉を継ぐようにして前衛に立つザッフィーロ。その挑発的にも取れる言葉に小太郎が乗り、ザッフィーロたちの機先を制して呼び出すのは今度はがっしりとした体格の男忍者たちと――それを統べることのできる頭目級忍者、即ち歴代風魔小太郎の霊が2人。いかな妖術か、霊の小太郎2人は宵とザッフィーロと瓜二つの容姿をしていた。
「貴様らの言動から、おそらくはその白いのが褥では優位と見た……であれば、これを見ても動じぬといえるか、猟兵?」
 掛かれ! という号令と共に忍者たちが忍者刀と春画を抜き放ち2人に襲い掛かる。間髪与えず、なおかつ一糸乱れぬ連携の攻撃はさすが魔将軍といったところか。
「俺たちに似た姿のやつを呼び出して、それで終わ――はぁ!?」
 メイスと魔術書を構え宵を守るつもりでいたザッフィーロ。だが、襲い来る忍者たちが紋所のように掲げる春画を見てその動作が確かに鈍る。
「ザッフィーロ君、危ない!」
 それを見て思わず身を乗り出す宵。瞬発的に展開した力場が確かに忍者たちの一斉攻撃を弱めるが、それでも少なくない刀傷が宵の身体に刻まれる。
「この程度……! 天航、アストロゲーション!」
 だがその程度の傷は何のその。ザッフィーロの身体を後ろへ押しやりつつ宵は杖の切っ先を忍者たちに向ける――応じて空から降るのは、小太郎の大忍術を模したかのような流星撃。屋敷の軒を貫いて、召喚された隕石が雨のように降り注ぎ忍軍を蒸発させた。解けるように消えた忍軍たちの手から離れた春画が、まるで夜桜のように宙を舞い宵の元へと届く。
「……わーお、これは確かに動揺しますね」
 足元に舞い落ちたそれを一瞥し宵は口笛ひとつ。
「否、断じて否!! 動揺などしておらん! ただ直視できなかっただけだ!」
 宵に突き飛ばされる形となったザッフィーロは姿勢を整えつつ口ごたえ。
 さて、ザッフィーロが(本人は否定しているが)少なからず動揺し、宵が一瞥して知識としてしっかり脳内に刻んだ春画の内容とは。
 ――戦国期の大名、その作法の1つとも言われた(諸説ある)衆道の春画であった。
 和紙の上で絡み合うのはむくつけき男2人。さらには「異人天狗、日本男児の槍にて成敗」などという煽りのついたソレに描かれているのは浮世絵風にアレンジされた黒髪の男が黒肌の異人を組み伏せている図。見れば見るほど日本男児として描かれている黒髪の男は宵に、異人天狗として描かれている黒肌の男はザッフィーロに見えてくるのだから不思議だ。
 もっとも、そこに描かれているような関係性が、宵とザッフィーロに通じるかは本人たちだけの知ることであるが。
「さて、お気を確かに、ザッフィーロ君……雑魚は僕が払えましたが、向こうには大物が3人残っています」
「……もう、惑わされん! みっともないところを宵には見せられんからな」
 改めてメイスと魔術所を構えたザッフィーロが前へ。その後ろで宵はザッフィーロを愛しげな表情で見るが、それはザッフィーロには見えていない。
 応じて、歴代小太郎の霊2人が当代小太郎を守るように前へ出て――わざとらしく2人の前で互いの腰を抱き寄せる。春画に描かれたのとは逆、三次元ではザッフィーロに似た方の霊がやや優位と見て取れる姿勢。
「――2度は無い、そう言った筈だ!」
 それを見たザッフィーロの中にあるのは、先の動揺よりも強い怒り。宵の前で醜態を曝したという事実がソレの支えであり、何よりまるで揶揄するような霊の動きがザッフィーロの神経を逆なでしたのだ。
「罪なき者には効かぬが……それでも俺は、貴様らに罪ありと断じさせてもらう!」
 その罪の内訳は推して知るべし。ザッフィーロが放つ吐息には罪ある敵対者を害する穢れが混ざり、瞬く間に広がったそれが小太郎たちを押し包んでいく。
「ふん、図星を突かれて逆上したか、猟兵――ククク、これだからこの罠は面白い!」
 その霧を受け、当代小太郎は歴代小太郎2人をザッフィーロの元へ吶喊させる。
「なかなか無様で笑える様子が見れたぞ、猟兵……!」
「逃がすか、魔将軍風魔小太郎!」
 が、それに応えるようにしてザッフィーロも前へ。宵の援護魔法を受けて歴代小太郎たちの間を見事にすり抜け、ザッフィーロの振りかざしたメイスが強かに当代小太郎を叩いた。
「ぬぉっ!? 面が……!?」
 ザッフィーロの一撃が確かに砕いたのは、当代小太郎の面が1つ。
「――さすがに笑ってばかりでは居られぬか。貴様らはそこの歴代を相手にしているが良い! 御免ッ!」
 しかし、当代小太郎も魔将軍が1人。ザッフィーロにそれ以上の追撃を許すことなく、歴代小太郎への指示を飛ばしながら見事に戦域から離脱する。
「――ザッフィーロ君、そこまでです。霊体とはいえ彼らもまた風魔小太郎……ほかの皆に手間取らせないためにも、ここで滅します」
 屋敷の仕掛けを使って退く小太郎を追おうとするザッフィーロを、宵が止める。
「ああ、そうさせてもらおう、宵。俺たちによく似ているのは業腹だが……ちょうど、まだぶつけ足りない感じだからな」
 その声に応じてザッフィーロも武器を構えなおす。
 ――歴代小太郎との第二ラウンドは、春画に惑わされることなく事を運んだ宵とザッフィーロの快勝であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋月・信子
@SPD

性癖に刺さる春画で目眩ましですか
相手は名高い忍びの棟梁
これも立派な忍術…なの?

まずはUC対策ですね
私と同じく影の自己投影で先制攻撃するのなら、閃光手榴弾を使い相手の影を強烈な光で影を【吹き飛ばし】、高名な忍び相手には僅かな【時間稼ぎ】でしょうが【視力】を奪っている隙に閃光手榴弾で生じた影で【Esの影法師】…姉さんを召喚します

『はいはい、春画対策に召喚されましたわよ。私達、好みは真逆でしてね?お互いに春画をショットガンで撃ち払う【援護射撃】をしながら髑髏面をぶち壊すわよ。信子ってこんな顔してハードな奴が好みですものねぇ?』
姉さんも悪ぶってますけど少女漫画のような甘々なのが好きでしたよね?


レイ・キャスケット

えぇ…えっちな本ばら撒いて「それお前の趣味だからな、公開されてどんな気持ち?」ってすごい卑劣オブ卑劣リビオンじゃん…

性癖っていうか普通に全裸男性の時点で直視、でき、ない(容赦なく燃やす、【高速詠唱】で視界に入る前に燃やす)
そして現れる全裸軍団、デスヨネー
「いやー!?こないで変態ー!!!」と近寄れないほどの圧力の【全力魔法】による暴風の奔流を巻き起こす、周囲への被害とかそれはもう関係なしに

とはいえ集団戦じゃなくて対幹部だし、真面目に頑張らない……と……
やっぱ無理!(UCで撒き散らす綿毛から溢れ咲く薔薇の花園、一応攻撃だけど酷い絵面)



●影法師、綿帽子
 風魔小太郎と接敵したのはレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)と秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の2人。機先を制した小太郎が放った春画はレイに向けた美男子全裸忍者軍with耽美系衆道図と、信子に向けたかなりハードなプレイの描かれた倫理に顔があれば真っ青になるような艶絵の2種。
「どんな仕掛けかと思いましたが、こちらに届くまでに時間差があるのなら防げます!」
 先んじて放たれたその春画を伴う攻撃に瞬発的に対応するのは信子。コンパクトな身捌きから投じられるのは掌から少しはみ出すサイズの金属製の円筒であり――既に安全ピンの抜かれていたそれは、内臓された時限信管に従って主に小太郎の視界を塞ぐように眩い閃光を放つ。
「ぬぅ……!?」
「見えなければないも同じの事――それに、姉さん!」
 己が隙を曝さぬよう、爆発の瞬間を片目で見届ける信子。閃光の眩さに焼かれた側の目はしばらく視野不良を起こすが、閉じていた瞼を開くことで即座の視野スイッチを完遂。強烈な閃光で生じた影から己の「姉」を呼び出すことまでが信子の用意した戦略であった。
 が。
 事前に打ち合わせをしていても、不幸なことにレイはしっかりとその耽美系衆道春画を目撃してしまった。閃光に目を焼かれぬよう瞼を下ろすも、そのタイミングは一瞬遅く。そして一瞬があればその春画が脳に焼き付くには十分であり。
「いやぁあああ!? 来ないで変態ィいいいい!」
 その叫びとともにレイが巻き起こすのは嵐。それに紛れてレイから放たれ宙を舞う綿毛から花開くのは様々な色の薔薇、薔薇、薔薇。突風に巻き上げられ、小太郎の放った数々の春画と耽美系全裸忍者たちがキラキラと宙を舞う。骸の海に戻りつつ、薔薇の一輪を口に咥えたりする耽美系全裸忍者が居るのは……おそらく、レイへの精神攻撃のつもりなのだろう。
「ええい、初夜の生娘でもここまで五月蠅くはないというものを! ここまで癇癪を起されるとは……」
 叫びと魔術的な突風。それらを見た小太郎が苦々しく吐き捨てる。
「癇癪じゃないわよ、単にそっちが変態すぎるだけじゃない! この卑劣オブ卑劣リビオン! いえ、卑猥オブ卑猥リビオン!」
 次いでレイが叫びと共に放つのは圧縮詠唱された炎弾術。嵐とあわさり火災旋風と化したそれが春画を焼き尽くしていく。
「あら、春画対策に召喚されましたけれど……もしかして不要だったかしら?」
 燃え尽きていく春画を一瞥し、呟くのは呼び出されたばかりの信子・姉。
「言ってる場合ですか、姉さん! 相手の春画は無尽蔵、私たちも対処しますよ」
 どこまでも呑気に構える己の深層意識に檄を飛ばしつつ、信子が取り出すのはショットガン。ぶっぱなされたそれらが、旋風から逃れて舞う春画を途端に穴だらけにした。
「ふん、1人増援だとぉ? ならば貴様も喰らうが良い、風魔が粋を尽くして集めたこの春画をなぁ!」
 それに対する小太郎の反応はシンプル。面を用いて忍軍を呼び出して、さらなる春画の追加。耽美系衆道図とエグめの凌辱艶絵に加わるのは、世にも珍しい「女性向け」をモットーとした砂糖よりもなお甘い糖分マシマシ少女向け春画。
 レイの元へ、信子のもとへ、そして信子の呼び出した信子・姉の元へ。耽美春画が、凌辱春画が、少女春画がそれぞれ舞飛ぶ。
「だから、これ以上春画を増やすな! このエロリビドー!」
 レイの放つ突風が勢いを増す。それに乗った綿毛が次々と花開き薔薇の花弁を舞い散らせ、春画をズタズタに切り裂く。
「あら、なかなかいい趣味をしているわね風魔小太郎? ――けれど残念。放っているそちらもお分かりの通り、私たち、好みは真逆なの」
「くっ、躊躇いもなく一撃だと!? 貴様ァ、この小太郎印の春画の良さが判らんというのかっ!」
 対し、信子・姉は飄々とした構えを崩さずショットガンで応戦。信子に対してばら撒かれた凌辱系春画が面制圧される。その中に小太郎の推し春画もあったのか、余りにも冷酷な信子・姉の対応に小太郎が慟哭した。
「この子ってばこんな顔してハードな奴が好みだけれど……私はそうじゃなくってね?」
「姉さんこそ、悪ぶってますけどこんな甘々な少女漫画が好みなんでしょう!」
 信子が撃ち落とすのは信子・姉目掛けて投じられていた少女向け春画。散弾で穴だらけにされてなお、描かれた画からは甘ったるい恋愛事情が伺えた。やはりそこにも小太郎推しの春画が混ざっていたのか、あからさまに怯む小太郎。
「さて、春画対策は見ての通り。けれども春画を少しでも出し惜しみしてみなさい? 次に穴が開くのはアンタの額よ?」
「ああもう、図星突かれたからってカッコつけないでください、姉さん!」
 信子の逆襲をスルーし、決めポーズで信子・姉がショットガンを小太郎へと突き付ける。
「そこ! 自分たちが平気だからって煽らない! こんな破廉恥なやつ、さっさと倒して――」
「うるさい、生娘ェ! 出でよ忍軍、そこな娘どもを黙らせろっ!」
 信子たちの様子にレイが咆えれば、それがまた癇に障ったのだろう。小太郎もまた咆えて苛烈な春画攻勢が猟兵たちへと襲い掛かる。
 これまでで最も苛烈な戦場は、これまでで最も数多くの春画が舞い飛ぶ戦場となった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イプシィ・アスモディア
「……話に聞いてはいたけど。実際に見るとその、物凄い…ね♥」

大量の春画から現れる猛々しい大男、女啼かせの優男、丸々肥えた汚っさん
むくつけきオーク、男、牡…様々な『小太郎』全てが逸物を屹立させ…

先手で迫る高精度攻撃を【見切り・残像・オーラ防御】で全力防御!
普通の女性なら彼らのそそり勃つご立派様で赤面、集中を乱されようが
そこは『色欲の権能』…【恥ずかしさ耐性】で冷静に楽しげに対応

そして返す刃でUC発動
『サキュバス・プリンセス』であるイプシィの分身たちを召喚!
【誘惑・存在感・精神攻撃・催眠術・範囲攻撃】で小太郎本人もろともに
召喚された小太郎軍団を魅了【生命力吸収・騎乗・グラップル】でいただきますっ♥



●二次元vs三次元、その行方
 猟兵との連戦、さらには罠として用意した春画の大量消費。じわり、じわりとではあるが、風魔小太郎は確かに猟兵によって消耗させられていた。
「春画のストックは……ええい、既に8割方を喪失したか」
 苦々しく呟く小太郎が居るのは屋敷の中央。書庫のように改造されたそこは、もともとは春画や艶本を嫌と言うほど詰め込んでいたのだろう。今はほぼ空になった書棚が寂の精神を体現していた。
「話に聞いてはいたけど。実際に見ると凄まじいコレクションね?」
「何奴!?」
 そしてその静寂の艶書庫に突如として現れる影が1つ。背後に閉じゆく転移ゲートを負った彼女の名はイプシィ・アスモディア(ジ・アスモダイXII・f16507)……猟兵にして色欲と享楽を司る魔神が一柱。
「猟兵っ……! ここまで踏み込まれるとは、この小太郎一生の不覚! だが単身でここに来たことを後悔させてやろうぞ、小娘ェ!」
 誰何の声から、イプシィの姿を小太郎が認識するまでは一瞬。布面積の少ない衣装のイプシィを見て、小太郎はすぐさまイプシィを痴女と判じて「痴女受けしそうな春画」を次々と投じる。同時に呼び出すのはそれらの春画を依り代として顕現させた多数の歴代小太郎たち。
「うふふ……物凄いわね。さすが魔将軍の1人というべきかしら💛」
 イプシィ好みの春画、そこに描かれた猛々しい大男や甘い風貌の二枚目男子、あるいは凌辱系春画につきものの肥え太った悪代官のような醜男。ヒトの姿だけでも多種多様な竿役たちに、さらに加わるのは狼や豚を模した獣人にぬらぬらとした体表面を持つ蛸入道。それらを元に顕現した歴代小太郎たちの姿がそれらに類似するのもさもありなん。
 そんな竿役小太郎たちを眺め、むしろイプシィは嬉しそうに舌なめずり。頬を赤面させつつも眼の奥にハートマークを揺らがせて、そんな男どもの連続攻撃に対し防御を固める。
「猟兵、貴様の未来はこの春画に描かれた通りにしてやろう!」
 そして、その構えを見た当代小太郎は勝利を確信して叫ぶ。そう、呼び出した歴代小太郎の数は片手、両手の指で足りるほどではない。それだけの数で圧殺することができれば、確かに小太郎の勝利は揺るがない。
「あはっ、そんなことしてくれるの? それも楽しみだけれど……ちょっと、借りるね。小太郎の、大事なユーベルコード♪」
 しかし、イプシィ・アスモディアは猟兵である。その防御の構えを起点とする逆襲のユーベルコードは既に彼女の手にある。
「さぁ、楽しい夜になるよ! カウンターコード・ジェネレイト――おいで、サキュバス・プリンセス! ボクの分身たち!」
 竿役小太郎たちの連撃がイプシィの全身を襲い、その一撃の度に生み出されるイプシィの分身。防御したユーベルコードを借用し利用することで生み出された分身たちは瞬く間に小太郎たちを上回る数まで増殖した。
「なっ――!? だが、たかが痴女が増えた程度で、何が出来るものか!」
 一瞬で数の有利を覆され、当代小太郎が唸る。だが、イプシィたちと小太郎たちで、イプシィが数で勝れど戦力で言えば未だ小太郎たちに軍配が上がる。イプシィの力量を看破した当代小太郎は、イプシィのその行為を無駄と咆える。
「ええ、そうよ――ナニが出来るのよ、小太郎?」
 その声に応え、イプシィが分身たちを竿役小太郎たちへ嗾ける。イプシィ本人は、それでもなお余る分身数名を引き連れて当代小太郎の元へ。
「ボクはイプシィ・アスモディア。ジ・アスモダイⅫ。色欲と享楽の魔神――それの戦場が血腥いだけのものだとは、思わない方がいいよ?」
 露出した肌から放つは魅了と誘惑の香り。書庫という密閉空間で散布されたそれは、いかな魔将軍であろうとも耐えきれぬほどの精神攻撃へと変じた。
「ぐ、ぬっ……!?
「魔将軍、風魔小太郎……ボクの戦場である褥に、少しばかり付き合ってもらうよ」
 体の芯を突く懊悩に呻く当代小太郎の顎先を、イプシィの指が撫でる。ただその一撫でで、当代小太郎の下半身から力が抜け、崩れる。書庫全体で繰り広げられるのは、そうやって小太郎たちがイプシィの分身に骨を抜かれていく光景。
「あんまり、ボクを退屈させないでね?」
 崩れ落ちた小太郎たちに跨り、イプシィたちが一斉に腰を落とす。
 魔神の胎がもたらすもはや拷問ともいえる快楽の渦へと叩き落とされ、小太郎たちは声ならぬ絶叫を上げる。そうして、精力を吸い上げられた者から順に躯の海へと墜ち戻り――
「……んふふ、ごちそうさま」
 最後に残ったのはイプシィ本人、ただ1人。
 満足そうな笑みと共に下腹部を撫で、イプシィは静かに猟兵たちの勝利を告げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月08日


挿絵イラスト