エンパイアウォー⑯~激突、ゲリラ忍者!
●百の顔を持つ忍
蝋燭の火に照らし出された、薄暗い屋敷の一室にて。
「まったく、猟兵とは油断のならぬ相手よ。我が配下達による決死の覚悟さえも、彼奴等によって食い止められてしまうとは!」
煌々と輝く炎に照らし出された無数の顔。それらの口を交互に動かし、嘆きの言葉を叫ぶ男。風魔忍軍頭領・風間小太郎。かつて、小田原にて北条に仕えし忍軍の頭領は、しかし今や織田信長の忠実なる配下として、地獄の底から蘇っていた。
「彼奴等はいずれ、この屋敷にも押し入って来るだろう。だが、この風間小太郎、そう易々と首は取らせぬ。忍びの極意、風間一族の恐ろしさ、その身を以て教えてやろう……」
●風雲、忍者屋敷!
「サムライエンパイアでの戦いも、順調に進んでいるみたいね。早速、六魔将の一人、風間小太郎の居場所が明らかになったわ」
敵はサムライエンパイアの忍者屋敷に潜んでいる。そう言って、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038))は集まった猟兵達に、屋敷の全容を説明した。
「忍者屋敷っていうだけあって、屋敷の中は落とし穴とか、回る壁とか、他にも色々と危険な罠が仕掛けられているみたいね。まあ、罠そのものは大した殺傷力もないから、そこまで脅威ってわけでもなさそうだけど……」
そこまで言って、パトリシアはしばし言葉を濁らせる。風間一族といえば、地の利を生かしたゲリラ戦を得意とする忍者。当然、その頭領である風間小太郎も、奇策や奇襲に長けている。
屋敷に一歩でも足を踏み入れれば、敵は罠を使って侵入者の足を止め、その隙を突いて痛烈な先制打を浴びせてくるだろう。そうなれば、受け身さえ取ることができず、一撃で致命傷を与えられ兼ねない。
「正直、先制攻撃をなんとかしようなんて思わない方がいいかもね。そっちに警戒し過ぎて罠に嵌ったら元も子もないし、罠と一緒に警戒できるほど、風間の頭領は甘くないわ」
先に攻撃を食らうことは仕方がないと割り切って、それをどのように凌ぐのかを考えた方が賢明だ。もっとも、忍者屋敷の罠をくぐり抜ける策を用意しておかなければ、それさえも無駄に終わってしまうかもしれないが。
「地の利が敵にある以上、こちらの不利は否めないわ。厳しい戦いになると思うから、向かう人は、くれぐれも気をつけてね」
追い詰められているとはいえ、それでも敵は六魔将の一人。決して油断せず、心して挑んで欲しい。
そう言って、パトリシアは猟兵達を、サムライエンパイアの忍者屋敷へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺・音弥です。
まずは六魔将の一人、百面鬼『風間小太郎』が姿を現しました。
忍者屋敷の罠を掻い潜り、彼を撃破するのが目的です。
●戦争シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
このシナリオの敵は、「百面鬼『風間小太郎』」になります。
●先制攻撃について
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●屋敷の罠について
落とし穴や反転する壁の他にも、飛び出す刀や吹き矢を放つ穴、動きを封じるトリモチなど、猟兵の足止めになりそうな罠がたくさんあります。
罠そのものは大したダメージを与えて来ませんが、これらの罠を回避できなかった場合、風間小太郎による先制攻撃によって、致命的なダメージを負わされてしまう可能性があります。
反対に、罠を上手く攻略できた場合は、その後の戦いを少しだけ有利に進めることができるかもしれません。
●百面鬼『風間小太郎』について
青丸が一定数以上溜まればシナリオはクリアになりますが、この戦場の戦力が残っている限り、百面鬼『風間小太郎』は即座にエリア内の別の場所に復活します。
●判定について
強敵相手なので、判定はシビアに行います。
失敗や大失敗での返却になることもありますので、結果としてシナリオが失敗に終わる可能性もあります。
また、連携を希望される方は、連携を行う仲間が分かるように記載されていない限り、連携プレイングとして扱いませんので、ご了承ください。
第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雨咲・ケイ
風魔小太郎……。
UDCアースでも、その名は聞き及んでいます。
苦しい闘いになりそうですね……。
【WIZ】で行動します。
屋敷に突入した際には、その構造を推測し、
罠が設置されていると思しき箇所を盾の【投擲】と
【2回攻撃】で手早く破壊していきます。
罠にかかってしまった場合は、罠よりも敵の攻撃に
備えます。
敵の先制攻撃に対しては【第六感】で反応し、
【オーラ防御】と【盾受け】を併用してダメージを
最小限に抑えましょう。
敵の攻撃を凌いだ後は【シールドバッシュ】で反撃します。
そして【地形の利用】により把握した屋敷の構造を元に
死角から【サイキックブラスト】を撃ち込み、動きを封じたら
一気に攻めます。
●風間の血脈
静まり返った屋敷の中、周囲の気配に警戒しつつ、雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)は歩を進めていた。
「風魔小太郎……。UDCアースでも、その名は聞き及んでいます。苦しい闘いになりそうですね……」
サムライエンパイアとUDCアースの歴史は細部で異なるが、それでも史実として記録に残されている者の名前には共通点があることも多い。風魔忍軍の頭領、風間小太郎も、その内の一人だ。
一説によると、風摩は200人にも及ぶ乱破を従え、それらは山賊、海賊、強盗、窃盗からなる「四頭」によって率いられていたという。一般的な忍者のイメージとは少々異なり、荒くれ者の無法集団といった言葉が良く似合う。
そんな風魔の頭領が住まう屋敷であるが故に、ケイはいつも以上に警戒を強くしていた。なにしろ、勝つためには悪逆非道な手段を取ることも躊躇わない、ゲリラ戦に特化した忍者の親玉なのだ。屋敷の罠にも、それら風魔の教えは顕著に現れていることだろう。
明らかに怪しい位置に置かれた仏像に盾を投げ付ければ、それに反応して仏像の口から毒矢が放たれた。すかさず、手刀で弾き落とし、再び盾を投げることで仏像を破壊する。そのまま、先へ進もうとしたが、今度は金属の擦れるような音がして、唐突に天井が下がり始めた。
「……っ!!」
慌てて身を翻し、間一髪のところで吊り天井の範囲から離脱した。後少し、反応が遅れていたら、そのまま下敷きにされているところだった。
「想像していた以上に危険な場所ですね。早く、風魔小太郎を見つけて……」
だが、気を取り直して立ち上がった瞬間、ケイは背後に奇妙な気配を察して振り向いた。
「ふふふ……貴様が猟兵か? 飛んでい火に入る夏の虫とは、正にこのことよ」
いつの間に現れたのか、多数の仮面を身に付けた、六本腕の男が笑っていた。その笑い声が響き渡るに従って、男の数が一人、また一人と増えて行く。
「分身の術!? いえ……それよりも、もっとおぞましいものでしょうか……」
増殖する風魔小太郎の細部に違いがあることを察し、ケイはそれが、本体ではなく召喚された霊体であることに気が付いた。が、それに気付いたからといって、この状況を打破するのには、さしたる役にも立たなそうだった。
「風魔忍法、死鬼封神面! 我等、風魔の血脈の力、貴様にも存分に見せてやろう」
そう言うが早いか、風間小太郎の周囲に現れた風魔忍者の歴代頭領の霊達が、一斉にケイを狙って攻撃を仕掛けて来た。飛来する手裏剣の数々を盾で防ぐが、敵の数が多過ぎる。
「くぅっ……」
盾で守れるのは、せいぜい正面からの攻撃のみ。歴代頭領の霊達により四方八方から投げられる手裏剣の雨は、盾で守り切れない背中や脚へ、容赦なく突き刺さって行く。
それでも、肉体に気を張り巡らせることで痛みを和らげ、ケイは盾を構えたまま突進した。狙うは、風魔小太郎の本体のみ。周りの霊を相手にしていたら、命がいくらあっても足りはしない。
「ぬぅっ! やるな、猟兵よ。だが……」
盾による突進を叩きつけられ、風魔小太郎の身体が宙を舞う。しかし、反撃を食らったにも関わらず、彼は数多の仮面の奥で、不敵な笑みを浮かべており。
「……我を一撃で倒し切れなかった甘さを呪うがいい」
空中で身体を捻り、受け身を取って着地する。同時に、周囲の霊達が一斉に鎖鎌を取り出して、鎖分銅をケイ目掛けて投げ付けた。
「くっ……これは迂闊でしたね。まさか、本人だけでなく霊体まで、これほどの強さを持っているとは……」
両手と両足に絡み付く多数の鎖。これでは、風魔小太郎に追い討ちを仕掛けようにも、そもそも身体が動かせない。
罠を避けるところまでは完璧だったが、そこから先、多勢に無勢の戦いになることを想定していなかったのは、見立てが甘いと言わざるを得なかった。各上の存在を複数同時に相手をするならば、その不利を覆すための効果的な策を考えておかねば、力と数に任せてやられるだけである。
「ふん、他愛もない。我に一撃でも食らわせた気骨は称賛に値するが……それが、貴様の限界よ」
風魔小太郎が懐から手裏剣を取り出したことで、他の霊達も一斉に手裏剣を取り出し、投げ付けた。身動きが取れないまま、それらの全てを全身で受けることになってしまい、ケイの意識はそこで途絶えた。
苦戦
🔵🔴🔴
中村・裕美
「……見えないからこそ……怖いのよね……封印検索術式展開」
屋敷に電脳魔術を仕掛け、隠されている罠=封印されているものと捉え、【ハッキング】【情報収集】【罠使い】でトラップの位置を把握し、動くのに邪魔になりそうなら、【封印を解く】で誰かが引っかかる前に発動させる。
敵の攻撃は【地形の利用】であえて落とし穴や回転扉にかかって移動してすり抜ける。罠のダメージくらいは耐える。
あとは敵の動きを【見切り】つつ【早業】で座標指定してステルスボムで爆破
「……覚悟の強いほうが勝つとか……精神論は今更言わない。……でも……今を生きる人達の覚悟が……下だとも言わせないわ」
オブリビオン相手に10万も集まってくれたのだし
●隠れたる者、隠れたる罠
薄暗い忍者屋敷の一角を、慎重に歩を進める眼鏡の少女。文字通り、影に溶け込みやすそうなダウナー系の人格はそのままに、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は周囲の罠へと警戒を強めていた。
「……見えないからこそ……怖いのよね……。封印検索術式展開」
己の知る電脳魔術の全てを使って、裕美は罠の位置と種類を把握せんと試みる。相手がコンピュータでないが故に、勝手の違いから全てを思い通りにすることは難しかったが。
「……底が竹槍だらけの落とし穴に……後は、毒矢と粘糸と……」
とりあえず、自分の力で解除できそうなものは解除して、それが駄目なら敢えて発動させることで、毒矢などは撃ち付くさせておく。最新鋭の機械相手なら、もう少し上手く事が運べるのだが、文句を言っても仕方がない。
ふと、ユーベルコードを使用して、罠の存在そのものを書き変えてしまえばどうだろうかと考えた。
いや、止めておこう。敵は、どこでこちらを監視しているか分からない。罠に掛かった瞬間、奇襲を仕掛けて来るというのが、何よりの証拠。
そんな相手に、屋敷の中で無防備にもユーベルコードを発動させたら、どうなるか。恐らくは、その隙を突いて現れた敵に、先制で攻撃を仕掛けられて倒されてしまうのが関の山だ。
やはり、多少の不自由はあったとしても、このまま予定通りに自分の技術力だけで乗り切るべきだろう。それとなく、回転扉や落とし穴の場所も記憶したところで、周囲の空気に影が差した。
「……来たわね」
心だけでなく、肉体さえも押し潰しかねない不穏な空気を感じ取り、裕美は立ち止ったまま呟いた。
敵は今、自分の真後ろに立っている。このまま振り向き、何かを仕掛けようとしたところで、それよりも先に敵の刃が自分の首を刎ねるだろう。
「貴様も猟兵か。まったく、懲りぬやつらよ……」
風魔忍軍頭領、風魔小太郎。数多の髑髏面を纏い、6本の腕を持つ奇怪な姿のオブリビオンが、その手に持った忍具を武器に裕美へと襲い掛かって来た。
「見せてやろう……風魔忍法、六道阿修羅面!」
暗闇の中、風魔小太郎の纏った仮面の瞳が妖しく輝く。その輝きに合わせ、6本の腕が矢継ぎ早に攻撃を繰り出し、裕美の身体を切り刻む。
「くっ……さすがに……速い……」
攻撃を見切ろうとする裕美だったが、さすがに全ては避けられない。元より、ただでさえ手数で上回る相手が、更に攻撃回数を増したのだ。
頭では理解していても、敵の速度に身体の反応速度が追い付かない。加えて、圧倒的な敵の手数が、そもそも逃げる場所を与えてくれない。
攻撃を見切ることと避けることは、必ずしも同義とは成り得ない。身体能力の差は圧倒的。ならば、ここは肉を切らせて骨を断つ戦法でしか、一矢報いることはできそうにない。
「……覚悟の強いほうが勝つとか……精神論は今更言わない。……でも……」
予め覚えていた落とし穴の位置に立ち、裕美は自ら落下することで、敵の攻撃を回避した。当然、敵も裕美を追撃すべく穴の中へ飛び込んで来たが、それこそが裕美の狙いだった。
「今を生きる人達の覚悟が……下だとも言わせないわ」
滑落感に身を委ねつつも、裕美は正確に敵のいる座標を指定する。狭い落とし穴の中。そして、自由落下という受け身の取れない状況。反撃を食らわせる条件は整った。
「……設置……完了。……起爆」
瞬間、穴の中で巻き起こる大爆発。落下しながらも、裕美は風魔小太郎が追って来ると読んで、見えない爆弾を仕掛けていたのだ。
「ぬぅっ、なんと! 自らの身を犠牲にし、我をこの場所へ誘い込んだというのか!?」
爆風に飲み込まれる風魔小太郎は、受け身を取ることさえできなかった。落とし穴に落下しながら、反撃して来る者など存在しない。常識的に考えればそうなのだが、裕美はその常識を逆手に取って、見事に敵を爆弾の設置された空間に誘い込んだ。
「……やっ……たわ……」
もっとも、そんなことをすれば、自分もただでは済まないのは当然だった。
忍者屋敷の壁が吹き飛び、爆風と共に裕美の身体が外へと放り出される。落とし穴諸共に敵を爆破した裕美は、そのまま屋敷の周囲に張り巡らされた、水堀の中へと落ちて行った。
成功
🔵🔵🔴
ローズ・ベルシュタイン
偽葉(f01006)と一緒に参加
WIZ判定
アドリブや他猟兵との共闘歓迎
■心情
風魔小太郎、忍軍とだけあって厄介そうな相手ですわね
罠だらけの地であっても、退く訳には行きませんわ
■罠や先制攻撃対策
罠は、世界知識や戦闘知識で罠に関する情報を前もって把握
罠使いの知識や地形の利用も駆使して、罠のありそうな箇所を推測する
罠が発動したら、見切りや第六感で回避
先制攻撃には
手裏剣や鎖鎌を見切りで避けるよう努め
避けきれない時は盾受けや武器受けで防御
偽葉が狙われたら、かばうで守りつつ盾受けで防御
■攻撃
夕暮れ時に薔薇は踊り咲くで攻撃
範囲攻撃で、歴代風魔小太郎たちの霊ごと本体も攻撃
気絶攻撃やマヒ攻撃で敵の動きを止める
燈夜・偽葉
ローズさん(f04715)と参加します
剣客として、忍法らしくない忍法とか乱破ものとか罠とかに負けるわけにはいかないのですよ
罠には
罠使いの技能の応用で何処に罠を仕掛けているか予想し
作動したら第六感で感知
視力で捉えれば見切り
回避、オーラで防御、武器で受けて弾きます
先制攻撃へは
手裏剣や鎖鎌を視力で見切り、第六感、戦闘知識で感知
残像のフェイントで狙いを逸らし、回避
地形の利用で罠も利用して敵の勢いを削ぎつつの高速詠唱
カウンター、早業で「剣よ、炎を泣いて」を使用
全力魔法で一斉発射、範囲攻撃します
武器落としで手裏剣への対策にもなり
鎧砕きの串刺しも乗せますね
ローズさんと補い合うよう立ち回ります
●夕刻の薔薇、偽の花
悪しき罠の潜む屋敷にて、忍び込みたるは二輪の花。騎士と剣士、二人の少女は、互いに死角を補いつつも歩を進める。
「風魔小太郎……。忍軍とだけあって、厄介そうな相手ですわね」
「ええ。ですが、剣客として、忍法らしくない忍法とか、乱破ものとか罠とかに負けるわけにはいかないのですよ」
ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)の言葉に、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が頷いた。
怪しげな術を使えるのは、なにも忍者だけに留まらない。妖狐の偽葉にとって、誰かを化かすことは専売特許。卑劣な罠を仕掛けるというのであれば、それを見事に見切ってみせようと。
「……っ! そこですね!!」
掛け軸を破って投げ付けられたクナイを、偽葉はすかさず抜刀して叩き落とした。この程度なら、避けるのも容易い。が、そこは風魔忍軍の頭領が住まう忍者屋敷。
「油断は禁物ですわ。天井や、階段にも気をつけ……!?」
ローズが偽葉に告げたところで、今度は階段がいきなり斜面に変わり、その上から巨大な鉄球が転がって来た。
廊下の幅からして、このままでは左右に避けることもできず、鉄球に押し潰されてしまう。しかし、そこは準備に余念がない二人。味方を巻き込まないための術があると踏んで、退避場所を探し始める。
「こういう時は、慌てた方が負けですわ」
「そうですね。どこかに、横穴みたいな場所が……あ、ありましたよ!」
先程、クナイを発射して来た掛け軸を指差し、偽葉が叫んだ。なるほど、確かにあそこの裏側ならば、もしかすると人間が隠れるくらいのスペースはあるかもしれない。
「善は急げ、ですわ。飛び込みますわよ!」
鉄球が二人を押し潰そうとする瞬間、ローズと偽葉は華麗に宙を舞い、掛け軸を突き破って向こう側の空間へと飛び込んだ。廊下を揺らす轟音が過ぎ去ったところで穴から顔を出すと、鉄球は既に廊下の片隅にぶつかり、止まっていた。
「ふぅ……なんとか、助かりましたね」
「ですが、油断は禁物ですわ。ここから先、どんな卑劣な罠が待っているか……」
そう、ローズが言い掛けた矢先、今度は別の方向から、粘性の高い何かが飛んで来た。
「伏せて下さい!」
飛んで来た物体が刃の類でないと察し、偽葉がローズの背に手を回して自ら倒れ込む。後方で、なにかの炸裂する音がしたので顔を上げて振り向くと、そこには特大のトリモチが、ベッタリと壁に広がっていた。
「捕縛用の罠、ですわね。あれに捕まってしまったら、危なかったかもしれませんわ」
「慎重に進みましょう。敵は、私達が罠に引っ掛かったところを狙って、奇襲を仕掛けて来るはずですから」
そのためには、必ずしも猟兵を罠で傷つける必要はない。トリモチや粘糸、落とし穴などを利用して、一瞬でも動きを止めることができれば、それで風魔小太郎の勝ちは確定してしまう。
どうやら、敵の頭領は、想像していた以上に恐ろしい相手のようだ。念には念を入れ、警戒するに越したことはない。改めて気を引き締めつつ、少女達は忍者屋敷の奥へと歩を進めて行った。
●発破疾走の計!
屋敷の奥に進めば進むほど、襲い掛かる様々な罠。それらの仕掛けを攻略し、大きな畳の間に出たところで、二人の前で畳が唐突に跳ね上がった。
「こ、今度はなんですか!?」
「あれは……忍法、畳み返しですわ!」
畳に二人の意識が向いた一瞬の隙を突き、飛び出して来た風魔小太郎。ローズの忠告によって虚ろを突かれることは辛うじて避けられたが、それでも風魔小太郎の勢いは止まらない。
「ふははは! 誰かと思えば、女子ではないか! 我等が風魔一族の血脈を以てすれば、貴様達など敵ではないわ!」
風魔忍法、死鬼封神面。風魔小太郎によって呼び出された、歴代の風魔忍軍頭領の霊達が、一斉にローズと偽葉に襲い掛かる。
「くっ……! は、速いです!」
「迂闊に動いて、離れてはいけませんわ。死角を見せた瞬間にやられますわよ!」
互いに背中合わせになって死角を庇いつつ、偽葉とローズは迫り来る手裏剣や鎖鎌の攻撃を、刀で弾き、盾で受け止めることでなんとか凌ぐ。だが、さすがに敵が多過ぎるのか、なかなか反撃の機会が見出せない。
「ふふふ……どうした、女子どもよ? 我等、風魔の一族の力、その身にたっぷりと刻み込んでから逝くがいい!」
風魔小太郎の見せる、圧倒的な自信。だが、それは決して虚勢でもなければ驕りでもない。歴代の風魔忍軍で頭領を務めた者達の霊だけあって、その実力は猟兵達と比べても、圧倒的に上なのだから。
このまま戦っていても、身体能力の差は埋められない。しかし、敵が自分達を囲んでいる状況は、むしろ好機だ。周りを包囲されているということは、即ち自分達の攻撃で、一網打尽にできる機会もあるというわけで。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい!」
夕刻の色をした長剣を掲げ、ローズが叫んだ。その瞬間、彼女の手にしていた長剣は無数の花弁と化し、竜巻の如き勢いで花吹雪となって舞い散った。
「むぅ……面妖な技を使う」
「さては、彼奴等も忍……術……を……ぉぉぉ……」
花弁に巻き込まれた霊達の動きが、明らかに鈍くなっていた。元より、こんな技で敵を倒せるとは思っていない。ローズの放った花弁は、あくまで敵の動きを止めるためのもの。
「本命はこちらです。空に突き立て、空を焼き、空より来たる、それはきっと空の涙!」
持てる全ての力を注ぎ、偽葉が無数の刃を呼ぶ。その数、太刀と短刀を合わせて数万本。誇張などではなく、それだけの数の刃を一瞬で呼び出し、それらを周囲の畳み諸共に巻き込む形で、一斉に風魔小太郎と霊達に向けて解き放ったのだ。
「な、なんと! これだけの数の刃、いったいどこに隠していたのだ!?」
さすがにこれは、風魔忍軍の頭領とて、驚愕せざるを得なかった。慌てて持てる全ての忍具で叩き落とそうとするも、数が多過ぎて捌き切れない。そして、なによりも偽葉の呼び出した刃達は、突いたり斬ったりするだけの代物ではない。
「周りを囲まれている? だったら、燃やせばいいのですよ!」
偽葉とローズの立っている場所を残し、畳に突き刺さる無数の刃。その刀身に宿した狐火の力が炎を呼び、瞬く間に周囲を火の海へと変えて行く。
「ぐぁぁぁぁっ!!」
「お、おのれ……このような小娘どもに、我等が風魔の血脈が……」
紅蓮の炎に包まれて、歴代頭領の霊達が、一人、また一人と焼かれ、消えて行く。その間に、偽葉とローズは焔に覆われていない場所を駆け抜けて、部屋の外へと飛び出した。
「ふぅ……なんとか、一矢報いることはできましたわね」
「そうですね。……まあ、この程度で死ぬような相手だとは、到底思えませんけれど……」
額の汗を拭うローズに、偽葉が言った。
敵はゲリラ戦を得意とする風魔忍軍の頭領だ。かなりの手傷を負わせることに成功したが、これで終わるような相手ではない。
こちらの手の内を晒してしまった以上、深追いは禁物。ここから先は、続く他の猟兵達に任せようと、ローズと偽葉は忍者屋敷を後にした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レイ・アイオライト
罠を突破しないと危ないのね……。
●罠対策
影のオーラを常に身に纏って『オーラ防御』、床への接触を避けるために『闇ノ足音』で影を足場にして僅かに浮遊するわ。
●先制対策
そもそも面が問題なら、それを破壊するべきよね。『浸蕀のソードブレイカー』を擲つ、弾かれても柄に繋いでおいた極細の鋼糸で引っ張って面に当てるわ。当てさえすれば影の侵食で面すべてを破壊できるでしょう。
●反撃
【暗黒領域】の結界で閉じ込める、法則の独立した結界内、ここは『光』の概念が存在しない結界。たとえ面が残ったとしても、瞳は"輝かない"のよ。
暗黒の中、『目立たない・だまし討ち・暗殺』を実行する。
ただ、静かにね。
●前提と矛盾
闇の中を影が滑る。屋敷に仕掛けられた罠を作動させぬよう注意を払いつつ、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は薄暗い回廊を進んでいた。
「罠を突破しないと危ないのね……」
今のところ、危険な罠が作動したことはない。伸ばした影を用いて浮遊することで、床に触れずに歩いているからだろう。
侵入者の足音や、床を踏んだ時に伝わる重さ。それが罠を作動させる切っ掛けになるであろうという考えから、レイは宙に浮くことで、罠を回避しようと試みていた。直接、床に触れなければ、罠を作動させることもないだろうと。そう、思っていたのだが……しかし、この屋敷においては、少しばかり甘かったようだ。
「……な、なんなの!?」
突然、轟音と共に天井がレイを押し潰さんと迫って来た。間一髪、吊り天井の罠を避けたが、今度は壁が反転して現れた奇妙な仮面から、細い糸状の何かが飛び出した。
「くっ……!」
両手で急所を庇うよういして受け止めたが、不思議と痛みはない。だが、その代わりに彼女の両腕は、粘性の高い糸状の物体が絡みついていた。
「迂闊だったわね。まさか、床を踏む以外に、罠を起動させる仕組みがあったなんて……」
歯噛みするレイだったが、後悔しても時既に遅し。空気の流れや光の変化。それらによって作動する罠があっても何ら不思議ではない。そして、なによりも忍者屋敷の罠は、あくまで足止めに過ぎないのである。
罠の直撃を食らったところで、猟兵にとっては軽傷に過ぎない。だが、それで動きを封じられたところを、風魔小太郎が襲って来るから厄介なのだ。
そんな罠に対し、レイは避けるでもなく壊すでもなく、いざという時は防ぐという策に出てしまった。確かに、殺傷を目的とした罠しかないのであれば、効果的だったかもしれない。が、足止め用の罠に関しては、防御を固めたところで当たってしまった時点で敵に付け入る隙を与えることになってしまう。
「かかったな、猟兵! もらったぞ!」
突然、床板が跳ね上がり、その下から奇怪な姿の男が飛び出して来た。
「現れたわね!」
百の仮面を纏い、6本の腕を持つ異形の忍者。風魔小太郎の登場に、粘糸を振り払って武器を投げ付けんとするレイだったが、敵の速さはそれ以上だった。
「遅いわ! 我の姿を見てから、先手を打てると思っていたとは、笑止!」
6本の腕から繰り出される凄まじい速度の連続攻撃。それは、瞬く間にレイの身体を切り刻み、打ち据え、果ては鎖で締め上げる。
「う……くぅぅ……」
纏った気の力で耐えてはいたが、それだけで防げるものでは、到底なかった。
影で面を侵食することで、敵の攻撃を食い止める。並のオブリビオンであれば、その策で間違いなく勝てたであろう。
だが、相手は風魔忍軍頭領にして、信長軍の六魔将である風魔小太郎。その力は、猟兵が攻撃するよりも速く、確実に先制を仕掛けられる程に圧倒的だ。
そんな相手に、投擲攻撃を中心とした策で先制を防ごうとするのは、あまりに愚策と言わざるを得なかった。自分よりも速く攻撃して来る相手に対し、それよりも速く武器を投げ、仮面を破壊するというのは不可能だ。
「……終わりだな。手負いとはいえ、この風魔小太郎、まだまだ小童どもに遅れは取らぬ」
やがて、全身を余すところなく痛めつけられ、倒れ伏したレイに、風魔小太郎は冷ややかに告げた。気の力で敵の攻撃を軽減していたことで、辛うじて命までは奪われなかったが、もはやレイに立ち上がり戦うだけの力は残されていなかった。
失敗
🔴🔴🔴
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
背中の翅で「空中浮遊」してなるべく、床や壁に触れないように移動するね
見えにくい糸や空気の流れに反応して発動する罠もあるかもだね!そっちにも要注意だよ!
見つけた罠は「情報収集」で発動方法や効果範囲を調べておくよ!
敵の奇襲を察知したら「空中戦」や「見切り」で回避することに専念するよ!
上下方向での回避を続けて相手に回避行動を慣れさせたところでわざと落とし穴の罠を発動!
上に回避すると見せかけてさらに下方向に落ちるよ☆
そのまま落とし穴の壁を蹴って反転、【妖精の一刺し】を叩き込むね!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
黒金・菖蒲
※アドリブ、共闘歓迎
罠屋敷か。
随分と、暮らし難い家の作りだな。
嘗ての主なら、この「いかにも」な作りは好んだか。
さて、罠ならば暴きつくすまでよ。
我ら共に在り、軍影。
往け、闇奔。
無数の影や、家族の分身を放ち、全方位に哨戒と索敵を。
罠を起動させ、看過し、破壊させ、盾にし、悉く蹂躙していこう。
ふむ、そちらが先手を取り仕掛けるなら、こちらは後の先を取るまでだ。
第六感を生かし、動きを見切り、残像で翻弄し、カウンターで切り伏せる。
床板や畳を踏みつけて返し、盾にするのもありか。
さて、我が無尽の軍影に、共に並び立つ猟兵。
なれば、彼らが食い止めている間に、終いの一手を詰めよう。
我が一刀、万象を両断す――
――終世
●風魔頭領の意地
度重なる猟兵達との戦闘を経ても、全く衰えぬ風魔小太郎の技の切れ。さすがは風魔忍軍の頭領を務めるだけはある。だが、ここで退き下がってしまえば、今までの苦労が水の泡だ。
「罠屋敷か。随分と、暮らし難い家の作りだな」
かつての主ならば好んだかもしれないと苦笑しつつ、黒金・菖蒲(影の刃・f18670)は周囲の様子を油断なく窺っている。見たところ、怪しいものは何もないが、それこそが侵入者を油断させるための罠なのかもしれない。
「見えにくい糸や、空気の流れに反応して発動する罠もあるかもだね! そっちにも要注意しないと……」
床や壁に触れないよう気をつけつつ、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は慎重に飛び回りながら索敵を続けている。確かに、彼女の言う通り、床や壁に触れるだけが罠の発動するトリガーではないのかもしれない。それこそ、極細の糸や不自然な吹き抜け、果ては光に反応するような鏡まで。
およそ、己の持てる可能な限りの知識を使い、ティエルは罠を見つけることに神経を集中させていた。
「さて、罠ならば暴きつくすまでよ」
そんな中、菖蒲もまた屋敷の罠を暴くべく、己の影を呼び出そうとする。だが、それを見たティエルは嫌なものを感じ、慌てて菖蒲を止めに入った。
「ま、待って! それ、迂闊に使っちゃ……!!」
菖蒲の発動させようとしていたのは、分身を放つユーベルコード。索敵や哨戒に優れた分身達は、確かに何かを探すことには適していたが。
「我ら共に在り、軍影。往……」
「ふふふ……甘いわ!」
突然、掛け軸のひとつが大きくめくれ、その中から多数の仮面を纏った大柄な男が飛び出して来た。
「な、なにっ!?」
驚いたのは菖蒲の方だ。まさか、こうも早く敵の親玉が、こちらの前に現れるとは。
もっとも、よくよく考えれば、それも無理のない話であった。敵は、こちらが罠に掛かったところを狙い、ユーベルコードを使用する前に奇襲を仕掛けて来る。それは即ち、敵が常にこちらを監視し、絶好のタイミングで仕掛けようと、虎視眈々と狙っているということだ。
そんなアウェイにおいて、迂闊にユーベルコードを使えばどうなるか。答えは火を見るよりも明らかである。ユーベルコードの発動を察知し、それを攻撃と見做した風魔小太郎から、先制で奇襲を食らうだけだ。
「貴様が影を呼ぶように、我もまた死鬼を呼べる。風魔の血脈の恐ろしさ……その身を以て、知るがいい!」
風魔忍法、死鬼封神面。風魔小太郎の呼び声に合わせ、歴代の風魔忍軍頭領の霊を呼び出すという大技だ。
「くっ……ば、馬鹿な!?」
突如として現れた頭領の霊達による攻撃に、菖蒲は反応するだけで精一杯だった。なにしろ、敵は歴代の風魔忍軍頭領を務めた者達の霊。その身体能力は生半可なものではなく、攻撃を見切るだけでも一苦労だ。
「ああ! だ、だから言ったのに!」
慌てて、ティエルが援護に入ろうとするも、彼女とて迂闊に仕掛けられないことは知っている。敵は常にこちらより一手早く動く以上、下手に焦って仕掛ければ、簡単んに返り討ちに遭ってしまう。
「やるな……だが、こちらとて負けるわけには……」
残像で避け、返す刀で霊を斬り伏せる菖蒲だったが、多勢に無勢。ならば、間合いに入ったところを必殺の一撃で仕留めてやろうと、影の分身達を囮に向かわせつつ刀に手を掛け。
「我が一刀、万象を両断す……」
「ふっ……居合か? 笑止!」
斬り捨てようと構えたが、やはりそれよりも風魔小太郎の方が速かった。
影を呼び出すのもユーベルコードなら、居合で斬り捨てるのもまたユーベルコード。それら、全ての大技に対し、風魔小太郎は確実に先手を取って来る。
「貴様など、揉み潰してくれるわ。出でよ、我が風魔の軍勢よ!」
纏っていた面を全て投げ捨て、風魔小太郎が風魔忍軍を召喚する。投げられた面は空中で怪しげな煙を放ち、それらは全て風魔忍者へと変わって行く。
「えぇっ!? こ、こんなに数が多いの、絶対に無理だって!!」
ここに来て、再び敵の数が増えてしまった。歴代頭領の霊だけでも厄介なのに、風魔忍者まで加勢に来られては勝ち目などない。
「……やれ!」
菖蒲が居合の構えを崩せず、その場から動けないのを良いことに、風魔忍者や歴代頭領の霊達は、一斉に手裏剣で攻撃を開始した。近づけば斬られると解っているが故に、彼らは菖蒲の太刀の間合いまで踏み込んで来ない。手裏剣を居合いで斬り捨てようにも、あまりに数が多過ぎる。
「くっ……うぐぅぅぅぅっ!!」
次々と降り注ぐ手裏剣の雨を受け、菖蒲は奮闘空しく倒れ伏した。ユーベルコードに対する敵の先制。そして、ユーベルコードの特性や相性を理解し、極めていれば、防げた事態かもしれなかったが。
「さて、残すは貴様だけだな」
菖蒲を退けた風魔小太郎が、ゆっくりとティエルへ向き直る。その後ろに従えているのは、多数の霊と忍者達。あれらの全てを相手に戦うなど、いくらティエルが素早くとも、一人では絶対に敵わない。
「ま、まだだよ! ボクのスピードに、着いて来られるかな?」
それでも、口調だけは気丈に振舞い、ティエルは敢えて風魔小太郎を挑発した。一見して無謀な行動に思われたが、それでもティエルには勝算があった。
「おのれ……こちらが甘く見ておれば、つけ上がりおって!」
案の定、挑発に乗って風魔小太郎が向かって来たが、しかしティエルは回避だけに集中し、紙一重で敵の攻撃を避けて行く。
(「うぅ……でも、ここまで数が多いなんて、ちょっと甘く見てたかも……。で、でも……!」)
攻撃が少しずつ身体を掠め始めたことで、ティエルの表情にも焦りが出て来た。が、それでも彼女は知っていた。今の風魔小太郎が、こちらのユーベルコードに対し、カウンターで仕掛けるユーベルコードの素を持っていないということを。
速度に特化していれば、敵は必ずそれを上回る速度と手数を得るために、仮面の力を使って肉体を強化してくるはず。しかし、肝心の仮面は全て風魔忍者と化しており、今の風魔小太郎は仮面を一時的に失っている。
この状態ならば、仕掛けるタイミングさえ間違えなければ、一矢報いることもできるはず。
明らかに怪しい床を敢えて踏み、ティエルは罠を発動させた。それは、何の変哲もない落とし穴だったが、しかし今のティエルにとっては天の助けだった。
「うわぁぁぁっ! し、しまったぁぁぁっ!!」
多少、大袈裟に騒ぎつつも、落とし穴へ落下して行くティエル。それを見た風魔小太郎は豪快に笑いつつ、自らの勝利を確信した。
「ふははは! 慌てて耄碌したようだな! 自ら、罠に掛かるとは!」
こうなれば、もはや勝負は付いたも同然だと、風魔小太郎はティエルを仕留めるべく落とし穴に近づき中を覗き込む。が、次の瞬間、自分の目の前に飛び込んで来た光景に、思わず己の目を疑った。。
「よし、今だ!」
このタイミングを待っていたとばかりに、落とし穴の壁を蹴って舞い上がるティエル。元より、飛行可能なフェアリーだからこそできる芸当。そして、彼女の繰り出す捨て身の一撃は、時に巨象をも倒す力を秘めているわけで。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
己の身体も顧みずに突っ込んで来るティエルのレイピアが、深々と風魔小太郎の眉間に突き刺さる。断末魔の声さえ上げられず、その場に倒れ込む風魔忍軍頭領。急所を正面から貫かれては、さしも風魔小太郎といえど、致命傷は免れなかった。
「ぐぬぬ……お、おのれ……口惜し……や……」
忍者屋敷の闇に溶けるようにして、風魔小太郎の身体も消えて行く。同時に、召喚されていた亡霊達も消滅し、辺りには誰もいなくなった。
「ふぅ……なんとか、やっつけられたみたいだね?」
戦いが終わり、思わず安堵の溜息を吐くティエル。色々と危ないところだったが、辛うじて勝てた。ここで勝っても、敵は即座位に復活するかもしれないが、その時はまた叩き潰せばよいだけの話。
多少の偶然も重なったが、今回の戦いは猟兵の勝ちだ。勝利へと繋がる、確かな一歩。それを心の奥で噛み締めつつ、ティエルは忍者屋敷を後にした。
苦戦
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