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エンパイアウォー⑯~隠密、風魔小太郎

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

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●グリモアベース
「敵の幹部、風魔小太郎の所在が判明しました!」
 グリモアを通して予知を確認したアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達に戦況の変化を告げる。
 小太郎が潜むのは風魔忍軍の忍者屋敷。彼は自らの本拠地で猟兵達を待ち構え、自らの忍法と罠を駆使して猟兵達を撃退しようという算段らしい。また屋敷そのものも頑丈な作りになっており、並大抵の攻撃では傷一つ付けることはできない。
 つまり小太郎を倒すには罠とわかっていても屋敷に突入し、直接討ち取るしかないということだ。
「屋敷の罠は複数あるけど、正直猟兵の身体能力なら無視しても構わないものばかりね。ただ一つ注意するべきは、屋敷中に張り巡らされた隠し通路よ」
 忍者屋敷には無数の抜け道が隠されており、その全貌を把握しているのは頭領である風魔小太郎ただ一人。彼は猟兵達から姿を隠し、不意打ちする機会を伺っているはずだ。
 相手は忍びの中の忍び、全力で隠れられれば猟兵と言えど見つけるのは容易ではないだろう。つまり反撃を行う一番のチャンスは攻撃のために飛び出してくる一瞬と言うことになる、正攻法で挑むのであれば。
「隠し通路や不意打ちに対策出来ていれば向こうのアドバンテージは潰せる。反射神経の限界に挑むよりは、こっちの方が現実的かもしれないわね」
 そして風魔小太郎の操る三つの強力な忍法にも触れておく。
 一つ、風魔忍法『風魔頭領面』。自らの面を犠牲にすることで忍軍を繰り出すこの忍法は猟兵の意識を確実に散らしてくる、どうにかして本命である小太郎を見失わないことが重要だ。
 二つ、風魔忍法『六道阿修羅面』。自らの攻撃回数を増やすこの忍法は単純かつ強力、下手に受けに回れば防御の上から潰される危険もある。小太郎が一人で出てきた際には注意が必要だ。
 三つ、風魔忍法『死鬼封神面』。この忍法で呼び出されるのは歴代の風魔小太郎達、つまり全員が隠し通路の存在を把握しているということだ。その戦闘力も折り紙つき、油断は禁物だ。
「これまでの幹部戦と同じく風魔小太郎は確実に先手をとってくる、だから重要なのは如何にして反撃するか。忘れないようにね」
 相手は忍、隠れ潜み敵のペースを乱すのは常套手段。ペースを崩さず、自分の戦法を貫けるように立ち回るのが重要だ。
「今回も激しい戦いになると思うけど、貴方達ならきっと大丈夫。……それじゃあ行ってらっしゃい!」


マウス富士山
●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
 早速の幹部戦、風魔小太郎は猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力のユーベルコードを使用するので、必ずプレイングにはユーベルコードへの対抗手段と反撃方法を描写してください。
 また複数の猟兵で連携を行う場合は全員に対して先制攻撃を行います、その点を注意して連携を取るようにしてください。
 今回は敵のユーベルコードだけではなく屋敷に仕掛けられた隠し通路に対応することも重要となります。上手く対応できれば戦いを有利に進められるでしょう。
 それでは、皆様のプレイングを心からお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変歓迎】
今回はソロ参加で頑張ろう。
忍者屋敷ってワクワクするよね。平和な時だったら一度遊んでみたい。
これでもシーフでもあるから忍者には負けないよ。

というわけで、『目立たない』ように気配を消して、[ワイヤーフック]なんかを使って罠に気を付けて慎重に進むよ。
常に[私の戦闘服]に魔力を込めて、最大限の障壁を展開できるように準備。奇襲をその魔力障壁と『第六感』で回避してやり過ごしたいな。
反撃できるようになったら、【アインス】で貫くよ。隠し通路とかに隠れるようなら[狼耳デバイス]なんかで音から当たりをつけて通路の壁事貫いてしまおう。外は頑丈でも中は別だよね。
にんにんだよ



●決死蒼弓
 風魔の忍者屋敷。そこは既に戦場になっているにも関わらず不気味な静寂に包まれており、耳鳴りのような甲高い音のみが耳の中で反響する。
 自らの心臓の音さえ外に聞こえてしまいそうな無音の中で、ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)は気配を殺しながら長い廊下を進む。様々な罠や隠し通路が仕掛けられた忍者屋敷、平時であれば遊んで行きたいところだが今は敵陣のど真ん中だ。
(……この辺りかな)
 見晴らしの良い渡り廊下でルエリラは足を止め、狼耳デバイスの電源を入れる。敵がどこからでも奇襲してくる可能性があるというのならば、射線が通りやすいこのような場所の方が有利だ。
 デバイスが起動し、機械の耳が僅かなモーター音と共にピコピコと動き出す。そのまま集音を開始したところで、ルエリラの足元から何かが跳ね回るようにして上昇してくる音を捉えた。
 反射的にルエリラの身体が動く。ワイヤーフックを廊下の先に撃ち込み、今立っている場所から即座に離脱。直後彼女の足を掠めながら、人の頭程の大きさをした球体が床板を破って飛び出してくる。
 間一髪……と思った矢先、僅かな風切り音と共に今度はルエリラの正面の床板が破られいくつもの鎖鎌が壁の様に飛び出してくる。既に感性の乗ってしまった彼女の身体はそのまま鎖に突っ込み、手足が動かぬよう複雑に緊縛されてしまう。
 そして鎖の壁の向こう、渡り廊下の先で髑髏の面が怪しく光る。
「一人」
 的確に、鎖の間を縫うようにして、忍者刀がルエリラの胸に突き立てられる。向きは横に、肋骨をすり抜けるようにして放たれた刃にルエリラの表情が歪む。そこからは語るも恐ろしい怒涛の連撃、砕かれたデバイスが地面を跳ね、ルエリラの身体が鎖から解放される頃には、その青い髪は流れる血で赤く染まっていた。
 それでも彼女が一命を取り留めているのは、彼女の制服にある防御機構のおかげだろう。ゆえに風魔小太郎はその首を落とし確実に彼女を殺さんとする。
 彼我の距離僅か数十歩。忍者刀を構え相手が一歩前に踏み出した瞬間、ルエリラは弓を構えて立ち上がった。
「アインスッ!」
 収束し、一本の矢として束ねられる蒼穹の魔力光。小太郎が咄嗟に床板を畳のように返し盾替わりとするも、渾身の一撃はそれを貫き小太郎の胴を掠める。
「……見事」
 血の跡残し誰も居なくなった廊下を見ながら、小太郎は小さく呟く。
 その身体に、僅かな痛みを感じながら。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

エルネスト・ポラリス
罠だらけの屋敷、ですか。
いいでしょう、これぞ探索者の得意分野です!

人狼としての『野生の勘』で隠し通路を『見切り』ながら進みます。
勿論、優秀な忍びなら獣対策くらいあるでしょう。
ですから、探索者セットからビー玉を投げて、その反響の具合からも『情報収集』。
感覚と理論、両方で警戒します!

で、隠し通路を見切っても普通に相手が強いという。
『ロープワーク』の知識で鎖鎌の動きを見切り、手裏剣は『武器受け』……この力量の相手に袋叩きを受けたら持ちませんね、凌げて一、二撃。

つまり、此方の反撃も一撃で。
建物の基礎を透過光に変換!
私も崩れる部屋に押しつぶされますが……その恐怖を超えて勝利を掴むのが『勇気』なのです!


月宮・ユイ
アドリブ◎
*身に<呪詛>宿す

忍者屋敷…強敵相手に地の利を取られた状態
気を引き締めてまいりましょう

<第六感>併用全知覚強化、常時<情報収集・学習>
転送直後の奇襲にも備えつつ、
即座に[マーレ]を床や地面等に突き刺し<呪詛型ハッキング>
屋敷を侵蝕探査<拠点防御・知識>参照に罠や通路等の判別行う。

[ステラ]屋敷内戦闘に合わせ小太刀生成
複数の敵からの襲撃は確定
<早業・見切り・武器受け>
動き回りながらの戦闘は相手に有利
情報基に武器での防御堅め、
<破魔の呪詛>込め《不死鳥》召喚
選別可能活かし炎で反撃しつつ屋敷に延焼炎拡大、通路や罠を破壊
通路に残り隙伺う相手にも対処。
霊を滅した後は小太郎に対し炎纏め強化し対抗



●影を消す輝き
「罠だらけの屋敷……いいでしょう、これぞ探索者の得意分野です!」
「強敵相手に地の利を取られた状態です、気を引き締めて」
 ロマン気質を刺激されているエルネスト・ポラリス(赤く錆びつく月の下・f00066)に対して、月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は冷静に注意を促す。とは言え屋敷の中足を踏み入れた時点で既にここは敵陣のど真ん中。騒ごうと静かにしようと、結局は同じことなのかもしれない。
 そもそも屋敷の正確な地図すら持っていない二人は猟兵としての経験と勘、そしてエルネストの投げるビー玉の反響音を頼りに罠の位置を見つけ、それを避けるようにユイがマーレを屋敷に突き刺す。侵食する呪詛を頼りに通路や罠の精確な位置を把握しようとした瞬間、彼女達の背後から複数の足音が鳴り響いた。
「これは……!?」
「いや、気づかれたにしてもあからさま過ぎますね」
 迫る足音に何か感づいたエルネストは即座に足音とは逆、つまり自分達の前方にビー玉を投げその反響音を確かめる。予想通り、この先の通路は音が軽く、多くの隠し通路が犇めいていることを示していた。
 つまり足音はこちらを追い詰めるためのブラフ、冷静な判断を奪い確実に仕留める場所へ誘導するための演出だ。
 かと言ってこのまま立ち止まって入れば足音の主に襲撃される、ならば選ぶ道は一つ。
 二人は互いの顔を見て頷くと、踵を返して来た道を戻る。どうせ襲撃されるのならば、少しでも情報を掴んでいる場所で迎え撃った方が都合がいい。猟兵と風魔、二つの足音が互いに接近し重なった瞬間、前後から挟み込むように二つの鎖鎌が壁から飛び出した。
 それに対してユイは小太刀を生成、防御を固めて正面から攻撃を受けようと……
「鎖に気を付けて!」
 したところで聞こえたエルネストの声に、咄嗟にユイは鎌を打ち上げ鎖の軌道をずらす。先端の刃に意識を向けられがちだが、鎖鎌が真に恐ろしいのは鎖で動きを封じられてしまうことだ。
 エルネスト自身も鎖の動きを見切り屈むようにして鎖を躱したところで、今度は壁や天井全方位からの手裏剣が襲い掛かる。それに対して銀の杖と小太刀が振るわれ、二人は自分に向かってきた手裏剣を叩き落す。欲を出さず、ひたすらに防御に徹する、そうすれば死ぬことはない。
 風魔側もそれを理解したのだろう、壁や天井から飛び出る忍具が勢いを増す。どうやら数を集めそのまま押しつぶそうという計画のようだ。
 それこそが、猟兵達の狙いだとは気づかずに。
『術式起動完了……舞え』
 ユイの一言と共に、通路一帯が火の海に包まれる。ユイの意志で自由に動くその火炎は僅かな隙間から隠し通路に入り込むと、潜んでいた霊を焼き尽くす。
 しかしここは勝手知ったる風魔の屋敷、ましてや隠し通路とは本来このような事態の際に脱出経路として使うものだ。状況が不利に転じたと見るや否や小太郎たちは撤収しようとするが……
「勇気とは、恐怖を乗り越えて勝利を掴むもの。恐怖に負けた時点で貴方達の負けなのです」
 エルネストを中心に、半径40メートル圏内の物質が突如として消滅する。不自然に抉り取られ、屋敷の一角は崩壊し、身を隠すものごと道を失った小太郎達はそのまま焼かれていく。唯一残ったのは、降り注ぐ瓦礫によって身動きを取れなくなった現風魔小太郎ただ一人。
 この近距離、おそらく自分達も巻き込まれるだろうが、怖くはない。
「私達はここまでですが、きっと仲間達が貴方を倒します」
 それだけ言って、ユイは全ての炎を一点に収束させる。
 静寂に包まれた風魔屋敷の一角に、巨大な火柱が立ち上った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レン・ランフォード
SPD・アドリブ等歓迎

風魔小太郎、最強の化身忍者がどれほどのものか
私の力量を測る意味でも、試させてもらいます!

屋敷も敵…出来るだけ壁に寄らないようにし
マフラーで口鼻を隠しゴーグルをかけ煙幕弾を焚きます
煙で空気の流れも分かるし僅かな隙間から抜け道を満たすでしょう
そうでなくても入った時視界が塞がれていては一瞬でも怯む筈
「第六感」「野生の勘」も働かせ【陽炎舞】を起動
奇襲を「残像」「気合」で躱し部屋を飛び出します

「残像」をばら撒き虚と実を混ぜた(「フェイント」「だまし討ち」)
手裏剣とマジックカードを「投擲」カードは更に発火・発雷など「属性攻撃」
翻弄し隙を生み出した所に背後から急所を刺す「暗殺」を



●飛散する陽炎
 あえて大きな音を立てながら襖を蹴り破り、ゴーグルとマフラーで顔を覆ったレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)が歩み入る。
(さすがにこの程度でボロを出す程小さい器ではないですよね……)
 風魔小太郎を誘い出すために隙だらけの行動をしてみるが、やはり相手も忍ぶ者。わかりやすい挑発に引っかかる様子はない。ならば、後は実力勝負だ。
 できるだけ壁には近づかず、部屋の中央へ。そして全神経を集中して空間に意識を巡らせる。
(最強の化身忍者……その実力試させてもらいます)
 ピシッと張り巡らせた意識に何かが引っ掛かり、レンは即座に煙幕弾を焚く。部屋全体が一瞬にして伸ばした手の先も見えない白い煙に覆われるが、ゴーグルを通したレンの視界には薄い霧程度に映る。
 完全に透過させないのは煙の流れから隠し通路を見つけるためだ。床に二つ、天井に三つ、壁は自分の右にある掛け軸の裏に一つ。
 チリチリと首筋が焼けるように熱を持ち始め、それが限界まで達した瞬間、煙が大きく動いた。
 レンを取り囲むように、天井の三つの抜け道から鎖鎌が躍り出る。その刃地面に降りる、レンの身体がブレた。
 分身殺法陽炎舞。現れたレンの虚像に鎖鎌の制御は乱れ、その隙に本体は鎖を潜り抜けようと直進するが……。
(…速い!)
 ゴーグルが両断され、鮮血が宙に舞う。どうにかして部屋から転がり出たレンだったが、斬られた額から出血し左目を潰していた。煙幕、精神の集中と事前の準備はしっかりと整えていた。しかし肝心の回避が陽炎舞によるところが大きく、速さの差で一歩遅れを取ったのだ。
「女の忍でそこまで動けるとは珍しい」
 レンが飛び出した部屋から今度は六つの鎖鎌が躍り出る。完成した陽炎による分身で拘束されるのは避けるものの、視界の半分を失ったレンは怒涛の連撃を避けきることはできず次々と身体を斬り裂かれていく。それでも、強引に風魔小太郎の懐に潜り込んだレンはクレセントムーンを引き抜き勢いよく突き出す。
「無駄だ」
 小太郎が握った忍者刀、その刃が目の前にいるレンの首を刈り捕る。くるりとボールのように回転しながら宙を舞ったレンの首が、霞のように掻き消えた。
 咄嗟に身を捻った小太郎の肩に、背後から刃が突き立てられる。
「お褒めに預かり光栄です」
 最後にそう言い残し、素早くレンは戦場から離脱する。今は一太刀、それが分かれば十分だ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

宮入・マイ
【芋煮艇】っス!

忍者屋敷っス~!
絶対面白いっス!

まずは忍者軍団がお出迎えっスね!
マイちゃん負けないっス…と言っても負けるんっスけど。
味方と一緒に苦戦するふりっス、腕や足の数本は切り捨てられちゃっても大丈夫っス、本体が死なない限りマイちゃんは止まらんっス。
そのまま逃げて~ききんちゃんの幻に合わせて行動するっス。

真多子ちゃん影勝ちゃんに捕まった小太郎ちゃんに寄生虫フルコースっス!
ついでに齧って【細部破綻の物知り】っス。
マイちゃん、素早くもないし小手先の手段も持ってないっスけど…小太郎ちゃんならいっぱい知ってそうっスね!
原理は知らんけどマイちゃんもやるっス!
…宮入マイ太郎参るっス!

きゃっきゃ。


明石・真多子
【芋煮艇】の皆で行くよ!

隠し通路…壁でも天井でも虱潰しに探せば行けそうだけど効率悪いよね~。
なるほど!ききんちゃんの囮作戦なら手っ取り早いね!

ならアタシは『タコの保護色能力』で[迷彩]して天井なんかの目立たないところへ吸盤で[クライミング]して待機するよ!
忍者軍団がききんちゃんの邪魔をするならこっそり首を触手で吊って[暗殺]していこう。

小太郎が現れたら作戦成功!
あとは邪魔な雑魚を【軟体忍法骨抜きの術】掴んでジャイアントスイングで一掃だ!

スッキリしたら残りの触手で小太郎を捕まえて隠し通路へ逃がさないようにするよ!
抵抗するなら壁や天井にびったんびったん叩き付けて骨抜きにしちゃうんだから!


奈々詩・空
【芋煮艇:POW】一発は最低でも覚悟しないといけないってのがつらいところよ俺はできている。(気合・覚悟)でとにかく耐える。その後、UCを使用して可能な限りの軍勢の装備を破壊または機能停止に陥らせ、犠牲になった(仮)味方の心配をする……おのれよくも。小太郎出現でボコボコにしなければ。逃したくないから【スナイパー】で逃走に使えそうな部位を狙っていこうとなると足かその如何にもって感じな髪かな。


甘甘・ききん
【芋煮艇】
馬鹿みたい。戦えもしないのにこんな所まで来て、くだらない罠で終わりなんだ…死にたくないよお…
真っ赤な傷口を抑えつつ、屋敷の中を忍軍から逃げ惑い、ゴボゴボ吐血して倒れ込むわたし。以上、装備した羽衣変化とケチャップによる騙し討ちの準備をお送りしました。そのまま死んだふりをしてUC発動。「思わず駆け寄ってきてわたしの死に取り乱す仲間達」の幻を発生させるよ。ほら小太郎!チャンスチャンス!猟兵ども(幻)をぶち殺せ!
ついでに存在しない掛け軸や扉や壁の幻を屋敷中に追加して小太郎に嫌がらせ!
オマケで、和風バトルの雰囲気を出すために歌舞伎囃子方の幻も配置して、イヨーッ!ポン!とBGMをかき鳴らすよ


月・影勝
【芋煮艇】の皆と共闘じゃ!
まずはじめに周囲を見回して罠の場所を【見切り】、皆にこそっと知らせておこうかのう。
こう見えて【罠使い】の経験は豊富なつもりじゃからな!
そしてききん殿と共にやられた演技で暫く転がっておる。
相手が地の利を活かすなら、こちらもさかしく立ち回るのが道理じゃて
それに…雑兵は皆が対処してくれる筈じゃ、恐れることは無いぞ!

聞き耳を立てつつ目立たぬよう、小太郎が来るのを待ち、そして―ここぞという所でUCで攻撃を受け止めるのじゃ。
捕まえたらもう離さぬぞ!…小太郎や、貴様の重さはどれ程かのう?三十貫?もっとか?
軽い軽い!余裕じゃな!
持ち上げたのなら、全力で地に叩き伏せてくれようぞ!


ネピア・ドットヤード
【芋煮艇の皆と共闘・POW】
どこから敵が来るか分からない!探すのは苦手!
兎に角耐えろー!
【かばう・覚悟・気合・力溜め・オーラ防御・武器受け・見切り・激痛耐性】
皆大丈夫ですか!?って…ききんさん!?そんな!
【優しさ】
(慌てて駆け寄って幻影と共に取り乱すが)
…許さないぞ!僕の友達を!(UC発動、ブレイブフレイム)
一度出てきたところは覚えてるんだ!燃えちゃえー!
そこもそこもそこもそこも!燻したらもう隠れられないよね!
姿を現せ卑怯者ー!
(拳の連打で拳の形の衝撃波を飛ばし、敵や建物に着火。【怪力・かばう・衝撃波・救助活動】)
おっと、味方には火がつかない様に気を付けなきゃ。もし燃えても鎮火しますね!



●六人の芋煮兵
「いやあ忍者屋敷、マイちゃんこういうとこ始めてっス!多分絶対面白いっス!」
 仲間達が死闘を繰り広げている一方、かなりレジャーな感覚で宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)は屋敷に足を踏み入れる。
「いやあ、これ絶対ヤバいって……わたし達だけこっそり帰らない?」
「何言っとる、ここまで来たんじゃ。覚悟せい」
 そんなマイとは対照的にビビりまくってマイのジャージにしがみついている甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)、月・影勝(かちかち山の玉兎・f19391)はその姿を見て呆れたように言う。
「まあヤバくなったらグリモア猟兵がテレポして助けくれるっスよ、大丈夫大丈夫」
 そう言って意気揚々と拳を掲げると、風切り音と共にその手がスポーンと宙を舞った。
「……でっス」
「マイちゃーん!!!?」
 肘から先を失い地面に倒れ伏したマイを見て、ききんの脳裏に彼女との思い出が蘇る。崖からダイブしたり、べったべたなチョコ芋煮を食べたり……ロクなのがねえ。
「撤収ー!撤収じゃー!!!」
 倒れたマイを二人で持ち上げ、三人はそのまま全速力で逃げ出す。追いかけてくる忍を避けるようにして、屋敷の奥へ奥へと……。


 十分後、そこには血だまりに倒れ伏すききんと影勝の姿が。
「うう、馬鹿みたい。戦えもしないのにこんな所まで来て、くだらない罠で終わりなんだ…死にたくないよお…」
 物言わぬ影勝の隣でききんがグズグズに泣きはらした顔で後悔の言葉を並べる。猟兵なら軽々避けられるはずなの落とし穴の罠に引っかかり、それを助けようとした影勝もろとも仕掛け矢が突き刺さった。あとマイの身体は重かったので途中で捨てた。
 そしてききんもまたピクリとも動かなくなり、屋敷に再び静寂が訪れる。そしてききんの死亡を確かめるように物陰から忍軍団が現れた時だった。
「あっちっス!ほら、あそこ!」
 腕の傷口をジャージの袖で粗雑に縛った状態で、マイがききん達に走り寄る。その背後には団からやってきた仲間達が増援に付いていた。
「ききんさん!……許さないぞ!僕の友達を!」
 真っ先にききんの下へ駆け寄ったネピア・ドットヤード(サイキックゴリラパワー妹系幼女・f20332)は忍軍から放たれる手裏剣や忍者刀を正面から受け止め、その両手に紅蓮の輝きを灯す。
 そして右ストレートの動きと共に巨大な拳型の衝撃波が放たれ、射線上に居た忍者を次々と燃やすと同時に廊下を炎で包んでいく。
「くっ、おのれ俺の仲間をよくも……」
 肩を震わせながら忍者刀の攻撃を気合で受け止めると、奈々詩・空(日々を過ごす・f00083)は赤黒い風を発生させ、増援の忍者の持つ武器を破壊していく。二人の広範囲攻撃で忍軍の隊列を崩した隙に、マイがききんに駆け寄る。
「ききんちゃん!」
 ききんの傍に膝を付きマイが脈を測ろうとした瞬間、天井から回転し風魔小太郎が舞い降りる。
「心を殺せぬものから死んでいく」
 その一言共に忍者刀がマイの背中を貫通し、そのままききんの身体にも突き立てられる。しかし刀から奇妙な手応えに、小太郎はある間違いに気が付いた。
「……妖術使いか!」
 ききんの身体は鋼のように刃を通さず、マイの身体には微塵の手ごたえも存在しない。自身が釣られたことに気づいた小太郎はすぐさま跳び上がり隠し通路に逃げようとするが……。
「そこと、そこと、そこ!」
 ネピアの放つ衝撃波が逃げ道を燃やして潰し、空の風が手に持った忍具を潰す。
 始めから目的は小太郎を引きずり出すこと。それが完了した今、後は逃がさないように抑え込むのみ。舌打ちをしながら小太郎が髑髏の面を叩き割ると、彼の周囲に無数の忍軍が召喚される。
「無限湧きか、稼ぎにいいけど途中で飽きちゃうんだよね」
「言ってる場合ですか!?」
 迫る手裏剣忍者刀をユーベルコードで落としながら、空とネピアは僅かに後退する。それを好機と見た風魔忍軍は頭領を逃がす突破口を作ろうと突撃するが、不意にその身体が宙に浮かび上がった。
「残念、忍者はこっちにも隠れてるよ!」
 明細を解除した明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)は触手の一本一本で軽々忍を持ち上げる、よくよく見れば周囲には倒れた忍の数々。どうやら気づかれない内に相当数の敵を排除していたらしい。
 姿を現した彼女は触手に忍を吸いつけたまま駒のように身体を回転させる。その勢いで触れた忍を弾き飛ばし、ネピアの付けた炎も巻き込んで竜巻のような姿に。
 室内を駆ける熱風に小太郎が思わず後退りすると、その足を何者かが掴んだ。
「この熱気の中で動かないのはちと辛かったが、我慢したかいはあったようじゃな!」
 小太郎の身体が持ち上げられ、勢いよく地面に叩き付けられる。最初から今まで、ずっと死んだふりをしていた影勝は今までの鬱憤を晴らすように壁や床に小太郎の身体を叩き付ける。
「軽い軽い!なんじゃ蘇ったばかりで飯も食っておらんか!」
 ちなみにききんは死んだふりをしているのではなく、ユーベルコードの効果で身動きを取ることができないだけである、暇。
 それはさておき。忍投げ飛ばした真多子は空いた触手で小太郎の身体を拘束し、強引に口を開かせる。
「マイちゃん!」
「了解っス~」
 真多子の声に合わせて物陰から出てきたマイはえいやと小太郎の顔に腕の切断面を押し付ける。そこから湧き出てくるのは無数の寄生虫、顔に空いた穴という穴から小太郎の体内に侵入し、その身体を内側から喰い荒らしていく。
「ぐっ!?がっ、ごあっ!?」
 声にならない悲鳴を上げながらもがき苦しむ小太郎を前に、彼から離れたマイはアイスでも食べるように自らの傷口を舐める。
「マイちゃん戦いの手段ってのそんな知らないっスけど、小太郎ちゃんならいっぱい知ってそうっスね」
 言葉と共に、マイの身体が膨れ上がる。失われた腕は生えるどころか、新たに四本の腕が生え、それを支えるように全身が筋肉質に。異形となったその姿はどこか風魔小太郎に似ているものだった。
「宮入マイ太郎、参るっス!」
「化生が……」
「アンタに言われたくはないっスよ」
 落ちていた忍者刀を拾い、逆手で小太郎の身体に振り下ろす。
 圧倒的優位に立っていた風魔の戦いに、ここに来て綻びが見え始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

蒼焔・赫煌
忍者屋敷!
楽しそうだね、楽しそうだとも!

隠し通路から不意打ち狙い!
つまり!
普通に通りの向こうから出てきたりはしない!
出てくるのは壁とか床とか天井!

ボクのカシャは燃えながら走れる優れ物!
燃えてる足元から出てきて、無駄な傷を負うようことはしないはず!
最高速度で壁の上を走りながら屋敷を進む!
これで出てくるのは床か天井のどっちか!
そっちに意識を集中!
【野生の勘】とか【第六感】が働けば儲けもの!
出てきたらー……先手を取られる!
攻撃できるのも一回!
なら防御は捨てる!

【捨て身の一撃】の【覚悟】で【カウンター】!
ボクの体がぐちゃってなる前に最大火力の炎を蹴りで放つよ!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



●地を飛び立つ炎
「いやはや、スゴいことになってきたね!」
 頻発する火責めと小太郎自身が負傷を負い余裕が無くなったからか、忍者屋敷は崩壊の予兆が見え始めていた。通路は戦闘の残り火が照明代わりに周囲を照らし、周囲の空気は蒸し風呂もかくやという熱を持っている。
 そんな戦場を駆け抜けながら蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)足元に意識を集中する。敵は隠し通路を使って奇襲を仕掛けてくる、となるとやってくるのは壁床天井……とにかく普通は人が居ないような所に隠れているはず。
 またここまでの戦いで向こうも疲弊している、無駄に傷を負うようなことはしないだろう。そういった考えから赫煌はユーベルコードを使い、炎の軌跡を残すことで風魔小太郎の出現位置を絞ろうとするが。
 ピンと、赫煌の勘が何かを捉える。その詳細が何かはわからないが、とにかく此処に居ては危ない。しかし彼女が何か行動を起こす前に、その首にぐるりと鎖が巻き付けられる。
(カシャを使う前にっ!)
 グンと彼女の身体が宙に浮かび、頚椎が軋むと同時に視界が明滅する。

 ……意識は、保った。
 赫煌の足に燃え上がる車輪が現れ、勢いよく壁を蹴り付ける。より深く首に食い込む鎖を無視し反対側の壁に飛び移った赫煌は、自身を縛る鎖の出現場所を見る。
 天井の一角、そこが四角く切り取られており鎖が伸びている。それを睨んだ赫煌の足元から炎が吹き上がり、彼女の身体は再び飛び立つ。
 壁を砕き、鎖の根元へ。自身の放つことのできる最大火力と共に渾身の飛び蹴りを放った赫煌の身体は天井を貫き、その奥に隠れていた者の肉体を砕き、鎖を引き千切って忍者屋敷の屋根から外へと飛び出す。
 太陽の光を背後に首にかかった鎖を投げ捨てた赫煌は悔しそうな表情で屋敷を見下ろす。
「腕いっぽん!」
 不意を付かれたことと、鎖に誘導されたことで狙いを外されてしまったようだ。
 とは言え今はこれが精一杯、トドメは皆に任せよう。全身に疲労感を感じながら、赫煌は重力に従って落下していった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

春日・釉乃
あの風魔小太郎がオブリビオンに!?
けど、親友の姫子と一緒なら乗り越えられるはずッ!

姫子(f06748)を[オーラ防御]を持つ『鶴姫』の背中に乗せて出撃

風魔小太郎の忍者屋敷の抜け道からの不意打ちの対策にはやっぱ[盾受け]の『シールドスレイヴ』を全周囲に張り巡らせるしかないね
攻撃が当たった方角に[カウンター]の[早業]で[鎧無視攻撃]の【Танец с саблями】による180本の幻影剣を[一斉発射]して風魔忍者の軍勢を乱れ撃つ!

けど、軍勢への攻撃を囮にするようにして…[第六感]で百面鬼の本体を密かに探知
[だまし討ち]の如き、姫子の本命の一撃を決めるためにこちらは援護に徹するの


御劔・姫子
風魔小太郎…忍として名高い聞いてたけど、まさかこないな形で現れるやなんて…
でも、負けるわけにはいかへんよっ!
釉乃はん(f00006)、行こうかっ!

まずは釉乃はんの『鶴姫』に乗せてもらって進みながら…【戦闘知識】と【第六感】で不意討ちの気配を読んで、風魔忍軍が襲ってきたんやったら、【咄嗟の一撃】での【カウンター】っ!
釉乃はんの剣を掻い潜ったとしても、うちがおることを忘れたらあかんよっ!

そして、その間に小太郎の居場所を【見切り】…釉乃はんの剣に紛れ込ませる形で短刀を【投擲】っ!
怯んだ隙に【早業】【ダッシュ】で近づいて…斬るっ!
これがうちの隠し玉…【禁じ手・鏑劔】やっ!



●桜剣乱舞
「風魔小太郎……面の下、口が耳まで裂けてたりするのかな」
「そうなん?名高い忍いうんは知っとるんやけど」
「いや、こっちの世界での話」
 御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)を背に乗せ、春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)は愛機の『鶴姫』を駈って長い廊下を走る。
 エンパイアとUDCアースで多少認識の差はあるが、風魔小太郎という名は有名だ。彼が多くの忍を束ねる頭領であり、忍の中でも頭一つ抜けた実力者という点を含めて。
 一人ではどうにもならないかもしれない。けれど、二人一緒であれば……。
「ッ、姫子!」
 釉乃の声と共に壁や天井から小太郎の忍軍が飛び出し、一斉に手裏剣を放つ。
 高速で移動する相手を捕らえるための曲投。回り込む三日月の軌道は避け辛く、的確に鶴姫の進路を塞ぐ。強引に突破すれば背に乗っている姫子は負傷を免れない。
(……なんて、思ってるんだろうけど!)
 手裏剣の刃が二人に接近した瞬間、鶴姫の周囲に九つの障壁が展開され姫子の身体を守る。一呼吸も置かない内に刀を構えた忍軍が障壁の隙間を潜り抜けるように飛び掛かってくるが、抜き放たれた巌太刀の刃が彼らを斬り飛ばす。
 それだけでは終わらない。攻撃を受けた障壁から揺らめく剣が出現し、光の軌跡を残しながら次々と射出される。標的は姫子の刃から逃れた忍軍達、百を超える剣による反撃は狭い室内では回避のしようがなく忍達は壁や天井に磔にされていく。
 戦況は猟兵側の有利。にも関わらず、姫子はどこか険しい表情で周囲を見回す。
(本体、小太郎はどこや…?)
 釉乃が派手な反撃に出たのは単純に敵を一掃するだけではなく、小太郎の隠れ場所を特定する目的もあった。しかし忍軍の多くを失い、このままでは包囲を突破されるにも関わらず小太郎は姿を現そうとしない。ともすれば、このままで問題ないとでも言うように。
(……それや!)
 姫子が向けた視線の先には、なんの変哲もない廊下の曲がり角。しかし今自分達が進んでいる廊下はそこに付くまでに横道が一つも存在しない。姫子の視線から小太郎の隠れ場所に気づいた釉乃は剣の一部を正面に向け、忍軍への攻撃に混ぜて射出する。
 正面の壁に剣が突き立てられる。その多くは釉乃の放った揺らめく剣だが、その内一本、唯一ハッキリとした実体を持つ短刀が突き刺さると同時に金属同士が衝突する甲高い音が鳴り響く。
 その音を聞くや否や姫子は釉乃の背から飛び降りると、上段に大きく刀を構える。
「行け、姫子!」
 その言葉に押されるようにして、姫子は一直線に駆け出す。考える必要はない、ただ一直線に近づいて、真っ直ぐ振り下ろす。最初に学んで、何度も繰り返した、もはや呼吸と同じようにできる当たり前の動作。
 剣閃が走り、壁の亀裂から鮮血が吹き出す。姿は見えないが手応えでわかる、姫子の刀は今、小太郎の芯と言えるものを確かに斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

梅ヶ枝・喜介
音に聞こえし乱波者が相手なれば腕も鳴る!
たまさかの機会を逃す訳にはいかねえ!

それによ!ヤツの手練手管は好かん!
罪も無い民草目掛けて星を落とすたァどういう了見だ!
一発ブン殴らにゃ腹の虫が収まらん!

敵陣!腹の中!なにするものぞ!
危険なぞ百も承知!

それでも行く!ふざけんじゃねぇって言いに行く!

だがおれァ不器用だ!
軍勢の中に紛れる小太郎も探しだせん!

ならば!
とびっきりの大馬鹿になるしかないだろうよ!

敵軍団の刀と飛刃をこの身で受け!返す木刀で一人一人倒し続ける!
先手を取られるのが分かってんなら、凌ぎに凌いで後手の必殺を狙う!

小太郎ッ!
テメーの仮面が無くなるか!おれの体が持たなくなるか!
勝負といこうやァ!



●決着の行方
 風魔小太郎と言えば、音に聞こえし乱波者。
 御世辞にも学があるとは言えない梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)でもその名くらいは聞いたことがある。誰もその存在を恐れ、枕を高く眠れる人物は居なかったという。
 今は戦だ、忍である小太郎が多少卑劣な手を使うのは当然の事と言える。しかし、それを看過できるような人間であるのであれば、喜介は刀を握っていはいない。
 火の手が回る屋敷の中、喜介の振るう木刀が忍の頭を割る。
「おれァ馬鹿だ!罠だ戦術だはわかりゃしねえ!」
 忍者刀が喜介の肩を斬り裂き、軽視できない量の血が噴き出す。それでも彼は歩みを止めず、返す刀で忍者刀ごと敵をへし折る。
「だからよ!お前さんの手練手管は好きになれねえ!」
 その身体に付いている血が自分のものなのか、それとも返り血なのか、戦っている本人達ですらわからない。
「とくに民草に向けて星を落とすたァどういう了見だ!」
 鉄錆色に染まった着物は、もはや模様を判別する事もできない。血の上から血を重ね、熱されて固まったそれは動くたびに乾いた音を立てて赤い破片を落とす。
「だからおれァ此処に居る!一発ブン殴らにゃ腹の虫が収まらん!」
 喜介が立っていられるのは人並外れた気合と、覚悟によるものだ。その肉体は既に限界を超えており、いつ倒れてもおかしくはない。
「出てきやがれ、風魔小太郎ッ!」
 シンと。周囲が静まり返る。此処には居ないかと喜介が足を引きずった時、彼の目の前に音もなく髑髏面が下りてくる。
「……なんでぇ、もう散々殴られた後じゃねえか」
「そういう貴様も、人の事を言えないだろう」
「おれァ不器用なんだね、一人一人相手してたらこうなってた」
 かたや全身に刀傷を受け、無数の手裏剣を突き刺したまま刀を構える梅ヶ枝・喜介。
 かたや全身を火傷が覆い、蟲の蠢く傷口から血を流しながら忍具を構える風魔小太郎。
 互いに死に体。だが、互いに退けない理由がある。

「おれの信念を賭けて!」              
「風魔の忠義を賭けて!」

『いざ、尋常に!』

 結論だけ言えば風魔小太郎は消滅し、猟兵達は戦いに勝利した。
 しかし肝心の喜介は出血多量の影響で意識が朦朧としており、勝負の結果を覚えていない。
「だからまあ、今は木刀のここんとこに付いてる血。こいつがおれのもんじゃねえと祈るばかりさ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月08日


挿絵イラスト