エンパイアウォー②~兵
●臆病な武将
水晶屍人。
その能力は高くはないが、奴等に噛まれてしまえば、その人間も新たな水晶屍人になると言う、極めて恐ろしい能力を持った動く屍。
千近い水晶屍人の軍団が、町や村にいる人間達に噛み付いて、数を増やして江戸に向かって行進している。
そんな水晶屍人達の中に、赤い甲冑姿の戦国武将がいた。
「し、慎重に行動しろ……確実に人間を巻き込んで、戦力を増やすんだぞ……!」
見た目に似合わず、非常に慎重に水晶屍人を指揮をする戦国武将。
ギリギリまで粘って数を増やしてから、一気に徳川幕府軍へ進攻を仕掛けようと考えているのだ。その動きは極めて用心深く、見方によっては臆病にも見えるだろう。
しかし臆病なだけで武将にはなれない。
嘗ては一国の城主であった彼は、こんな性格だからこそ強いのだ。
武将は、確かな指揮力で水晶屍人軍団を動かして行く……。
●グリモアベース
「という訳でして、次はこの戦国武将を倒して頂きたいのです」
ウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は前回に引き続き戦争の新しい予知をしたらしく、周囲にいた猟兵達に語り掛ける。
大量の水晶屍人に潜む、戦国武将を倒すという内容だ。しかし……。
「用心深過ぎてですね……全く姿を現さないんですよ」
殆どではなく、全くだ。
此方から探しに行かなければ、絶対に姿を見せない。
「兎に角、まずはこの武将を見付ける事から始めます。色が目立つので、近くに行けば分かるかも知れませんが……」
問題は数だ。千近い水晶屍人がいるのだから、そう簡単には見付からない。当然、水晶屍人の邪魔も入るだろう。
水晶屍人を撃破しながら、武将を探し当てて仕留めるのが一番良い方法だ。
「ちなみに、武将さえ倒せば水晶屍人は武士達でも駆除可能がですので、あくまで武将をターゲットにして下さい。指揮って恐ろしいですよねぇ……」
指揮を受けた水晶屍人は、猟兵に攻撃が通る程度まで強化されている。
噛まれても一般人と違って水晶屍人化する事はないので、存分に暴れよう。
「では、戦国武将の撃破、よろしくお願い致しますね」
すぐにウィルバーは、武将と水晶屍人がいる盆地に転送を開始するのだった。
小強欲
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、小強欲と申します。
引き続き戦争シナリオを出してみました。
詳しい内容はOPの通り。
水晶屍人を蹴散らしつつ、武将を見付けてぶっ倒す、です。(要約)
それでは、楽しい格好良いプレイングをお待ちしております。
●他
プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
第1章 ボス戦
『戦国武将』
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POW : 合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : 乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:酉作
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
(WIZ)
…死ぬ事を恐れない戦士は脅威だ、不死に近いとなればより脅威…だが。
……気に入らん、自然の死を捻じ曲げて軍隊にする等。
…ましてやそれを盾に指揮官は姿を見せないとは、臆病者め。
…ならば蹴散らすと同時に問答無用で引っ張り出してやる。
…開けた場所、村や町の無い大通りが良い。
…そこで待ち受け、【選択UC】発動、内容は「水属性の津波」。
…水晶死人がどういう材質かは知らんが、江戸と反対側に押し流せばいい。
…倒しきれずとも、足止めは喰らい…押し流せば、大将格は見えてくる。
…ついでに水だから、火を使う攻撃(火縄銃)も無力化させるだろうな。
(属性攻撃+全力魔法+高速詠唱)
「……気に入らん」
水晶屍人を目の前にして、ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は実に不満気な表情でそれを見詰めている。
自然の死を捻じ曲げて軍隊にして、ましてやそれを盾に武将は姿を見せない……。
「……臆病者め」
ただ臆病なだけならばまだしも、敵のやっている事は様々な方面に喧嘩を売る行為だ。
ルトルファスは静かに怒りながらも、魔力を高めて行く。
死を恐れない戦士達は、かくも脅威であると思い知らされる。
遙か向こう側にまでずらりと並ぶ水晶屍人。数を増やす事を重視すれば、ここまでの数が出来上がる物なのか。
「……普通に見付けるのは骨が折れそうだな。それならば」
水晶屍人を蹴散らして問答無用で引っ張り出す。そう考えると、高めた魔力を解放し、虚空より大量の水を発生させて。
自然の摂理を破壊しかねない精霊術は、巨大な津波となって水晶屍人達に向かって、それらを押し流してしまう。
攻撃と武将の発見。更には江戸から遠ざける様に放たれた津波は、敵を軽々と押し退けて、多数を水圧で潰してしまった。
そんな中で、津波に耐えて押し流されなかった、赤い甲冑の武士……戦国武将が立っていた。
「……お前が大将か、覚悟を決めろ」
魔法剣を構えれば、それは精霊の加護で刀身が具現化されて。ルトルファスは武将へと距離を詰めて行く。
武将もまた、二本の刀を抜き放つと、周囲に倒れている色が違う水晶屍人に向けて、指示を出す。
「武器を構えろ! 銃は使えん、弓だッ!」
そう言うと、水で濡れて使い物にならない火縄銃を捨てて、弓を構える水晶屍人。
臆病な武将は、この様な状況でも極めて冷静に指揮を行っていた。
武将のすぐ側にまで近付けば、精霊剣を振り上げて。
ガキィンッ、と剣と刀が打ち合って、互いに一歩も退かない斬り合いが始まる。
「お、俺ごと弓矢で撃ち抜けッ!」
甲冑があるので防御は十分。無理矢理ルトルファスを仕留めようと考える。
水晶屍人に隠れていた時とは打って変わって、非常に攻撃的な動きだ。
「……臆病者かと思えば、肝が座っているな」
追い詰められた臆病者の行動は、なんと面倒な事か。指示された水晶屍人達は、すぐに弓を向けて来て。
だが、それを許すルトルファスではない。高速で詠唱をすると、周囲にまたもや津波を発生させて。
「ぐおおッ!?」
水晶屍人達は押し流されて、すぐ目の前で受けた武将は体勢を崩す。
「……そこだ、受けてみろ」
隙を逃さず、即座に放たれる精霊剣の一撃は、武将の甲冑を砕いて転倒させてしまう。
そのまま倒れた武将は、激流に押し流されて行った。
大成功
🔵🔵🔵
シール・スカッドウィル
ふむ……水晶屍人は、オブリビオンとは違うか。
ならば大鎌、汝劾で敵をなぎ払いつつ侵攻。
眼帯、ブリンドによる感知能力でオブリビオンの<追跡>を行う。
目だけが対象を捉える手段ではない。
一度本体を知覚できてしまえば、後は【印】を刻んで準備は万端。
どこに逃げても、俺の弾丸はお前を逃がさん。
……とはいえ、無視できない敵は。
動きは止めず、武器を双銃バーラーに持ち替え、<クイックドロウ>の<2回攻撃>で弾をばらまく。
弾丸には貫通<属性攻撃>を<全力魔法>で与え、【印】で武将に誘導される道中にいる敵総て、まとめて穿ち抜かせてもらおう。
もし弾幕が厚いようなら……悪いが、【掌握】も併用して、直接叩かせてもらおうか?
猟兵の攻撃によって、水晶屍人の軍団の隊列が乱れる。
盆地に広がって行く彼等は先ほどよりもまばらで、結構な隙間が出来ている。
「ふむ……水晶屍人は、オブリビオンとは違うか」
シール・スカッドウィル(ディバイダー・f11249)は此方に迫る水晶屍人を見て、そう静かに呟いた。
手に蒼炎を発生させれば、蛇腹刃の黒い大鎌『汝劾』を創造して。
取り出した眼帯『ブリンド』で両目を覆って視覚を封じれば、感知能力を得る。
「始めよう」
汝劾を振るって水晶屍人をなぎ払って、シールは軍団の中へと向かって行った。
両目を封じていても、水晶屍人の動きを分かっているかの様に避けながら、次々と斬り裂いて行く。
シールにとって視覚を失うというのは、些細な事に過ぎない。魂が在ったものを感じ取れば、何も変わらないのだ。
オブリビオンの魂を追い続けて数分。ようやく戦国武将を発見して。
「な、何故ここまで正確に……」
当然だが、武将も何もしなかった訳ではない。
水晶屍人の陰から遠目でシールの姿が見えれば、その場から移動して逃げに徹していた。しかしそれでも、一直線に向かって来るシールには逃げ切れなかったのだ。
「ロック……どこに逃げても、俺の弾丸はお前を逃がさん」
武将を視界に収めると、その甲冑に印を刻んで。
汝劾で周囲の水晶屍人を一気に斬り飛ばすと同時に蒼炎を発生させて、元にあった境界へと戻した。
二挺拳銃『バーラー』を引き抜けば、それで武将に向けて発射する。
「くっ、何という威力だッ!」
水晶屍人を盾にしながら逃げようとする武将だが、拳銃の弾丸は強力な貫通属性を秘められており、更には魔法によって強化されている。
それだけではない。放たれる全ての弾丸が、印を刻まれた武将に誘導されて、水晶屍人ごと撃ち抜かれている。
部下を巻き込んでいるからか、本来の威力は出せていないが、それでも十分にダメージを与えている。
だが、相手も撃たれているだけではない。武将の周囲の色違い水晶屍人が、火縄銃でシールを狙って、射撃を始めて。
「やるな、だが逃げても無駄だ」
身を伏せて弾丸を躱しつつも、拳銃から放たれる弾丸は武将を捉えている。
しかし、逃げながら撃たれ続ければ、どうしても距離を取られてしまう。
だがシールには、一気に近付く手段があった。
火縄銃で牽制しつつ、逃げ続ける武将。
相手からの銃撃が止んだので、振り向いて見ればシールの姿はなく、その事に静かに安堵するが……。
「失礼」
上空から声がすると同時に、シールが銃撃がしているのが見えた。
結ばれた印を通じて瞬間移動を行い、至近距離から銃弾を放ったのだ。
「がはぁッ……お、おのれっ!」
すぐに刀を抜く武将だが、腕を撃ち抜かれて刀を落としてしまって。続けて銃撃を行おうとするが、水晶屍人の射撃に邪魔されてしまう。
しかし、それを空中で軽々と躱してしまい、再度銃撃が続いて。
「……! これか、俺の動きを読んでいたのはッ!」
落ちた刀を取ろうとする武将が甲冑に刻まれた印を見付けると、それを無理矢理引き剥がし、シールへと投げ付けて。
「ちぃっ、良く見付けたな……!」
それも躱すが、これで印による瞬間移動は封じられた。またもや逃げ始める武将。その先は水晶屍人に阻まれてしまう。
シールは再度、汝劾を創造すると、更に敵を蹴散らして行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フィランサ・ロセウス
もう命は終わっているのに動いてるなんて不思議!
あの水晶を思いっきり叩いたら、どんな風に壊れてくれるのかしら?
でもごめんね、今はあなた達に構っている時間はないの
クロックアップ・スピードを発動して駆け抜けるわ
敵の大将、とっても用心深いらしいじゃない?
それなら、自分がいる場所の守りはガッチガチに固めているはず
逆に言えば他に比べて明らかに守りが固い場所には目標がいるって事ね!
大将を見つけたらダーク・ヴェンジャンスを纏いながら切り込むわ
矢や鉄砲が私を傷つけるほど、UCの効果で力が溢れてくる…
この“好き”で堪らない気持ちを彼にぶつけるの!
さあおサムライさん、貴方の命の煌めきを私に見せて❤
辺りで蠢いている水晶屍人達。
そんな彼等の様子を見て、フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は恍惚とした表情で見詰めて。
「もう命は終わっているのに動いてるなんて不思議!」
あれを思い切り叩けば、どんな風に壊れて行くのだろう。
考えるだけで心が躍るが、彼等の相手をして時間を消費させてはならない。そう考えるとフィランサは一つ、大きく指を鳴らして。
「さぁ、一気に駆け抜けるわっ」
高速戦闘モードに移行したフィランサは、敵陣を駆け抜けて行く。
指揮で強化されているとは言え、ただの水晶屍人達では彼女の動きを捉える事はできない。
辺りを索敵していると、目の前から走って来る、色違いの水晶屍人達が見えて。
「火縄銃と弓で武装しているわね。という事はつまり……」
他とは明らかに違う点、非常に守りが固められている点。
以上の事から、あの中心にいるのは間違いなく戦国武将なのだろう。
「ふふっ、み~つけたぁ」
最高の笑顔でそれを見ると、全身を漆黒の粘液で纏って行って。
フィランサの身体は、真っ黒に染まってしまった。
逃げている武将が前方から嫌な気配を感じると、動きを止めて。
「な、なんだ……? 何が居る、銃を構えろっ!」
残る一本の刀をしっかりと握って構える。
前方の水晶屍人に命じると、すぐに銃弾が発射されて。
「いいわ……矢や鉄砲が私を傷つけるほど、力が溢れてくる……!」
負傷すればする程、フィランサを覆う黒い粘液が力を与えて、その戦闘力が増強されている。
色違いの水晶屍人に高速で飛び掛かって、工具で殴ったり粘液で吹き飛ばして。
「ふふ、やっぱり綺麗に壊れていくわね」
そして、その先に居る武将が目に入れば、フィランサの感情が昂ぶる。
「さあおサムライさん、貴方の命の煌めきを私に見せて」
自分へ刺激を与えてくれる彼を好きと表現するフィランサは、その気持ちを武将にぶつけようとして。
水晶屍人を蹴散らして、一気に詰め寄って行く。
「う、うおおおおおおッ!!!」
それに恐怖したのか、武将は日本刀を鋭く振り上げて、全力で振り下ろせば、辺りに凄まじい衝撃波が発生。フィランサごと水晶屍人を斬り裂いてしまう。
「凄いわっ! 貴方もわたしと愛し合いたいのねっ!!」
途轍もない威力の攻撃を間近で受けて、かなりの負傷をしたフィランサだが、その傷が更に力を与えて。
無理矢理に突き進んで、武将に抱き付けば、凄まじい威力で甲冑を押し潰し始める。度重なる攻撃を受けていたからか、それは容易に砕かれて行った。
「は……離せぇぇッッ!!」
武将は渾身の力で彼女から逃れるが、赤い甲冑は粘液で黒く染まって、見るも無惨に破壊されてしまう。
更には、武将の生命力まで奪ってしまい、負傷を回復してしまって。
しかし武将はすぐに逃げ出してしまう。今度は身軽になったからか、かなりの速度で。
「もうっ、これからじゃないっ!」
フィランサもそれを追い掛けていくが、水晶屍人が壁となって行く手を阻む。
しかしその程度で止まる彼女ではない。工具を構えれば、彼等を突破しようと高速移動を始めた。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
以前読んだ古の兵法書に、こんな言葉があったな。
『必生は虜にさる』……臆病者は捕虜にされる。
視点を変えると「戦う前に負ける」ともとれる……
■闘
なれば、其れを証明してみせよう。
【視力】を用いて目を凝らし、武将を探すのだ。
水晶屍人と遭遇したら【空薙】による【範囲攻撃】を
仕掛けて追い払い、その間を【ダッシュ】で通る。
例の武将を発見したら即座に戦闘へ。
■闘
奴のことだ。無機物と合体して防御力を高めるだろう。
だが、既に対策は考えてある。
先ずは相手の攻撃を【野生の勘】で動きを【見切り】、
【残像】を見せながら回避を狙う。
好機が来たら相手の『関節』を狙った【鎧無視攻撃】の
【空薙】を放ち、一刀両断だ。
※アドリブ歓迎
「以前読んだ古の兵法書に、こんな言葉があったな……『必生は虜にさる』」
水晶屍人の軍団のすぐ近くで、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)そんな言葉を口に出した。必生は虜にさる。意味は『臆病者は捕虜にされる』。視点を変えると、戦う前に負ける。そんな意味にもとれるだろう。
なれば、其れを証明してみせよう。そう清綱は考えて、今刀の鞘に手を掛けつつも、水晶屍人達へと向かって行く。
水晶屍人達が清綱に向けて襲い掛かって来るが、動じずに居合の構えを取って。
「道を開けよ。……空薙」
カチンッ、と音が鳴ると、向かって来た水晶屍人達は一瞬にしてバラバラになってしまう。
空間を断ち斬るその剣撃は、距離など関係なく大量の敵を屠ってしまう。
それを見ても水晶屍人は清綱へと向かって来るが、開かれた道に踏み込んで、かなりの速度で突き進んでいく。
暫くの間、空薙にて水晶屍人を斬り払っていると、目を凝らしている清綱は赤と黒が混じり合った戦国武将を見付けて。
「あれか……」
すぐに武将の前に立って、行く手を阻む清綱。
甲冑は砕け、残る刀も一本のみ。臆病な武将は、すぐに距離を取って。
「くっ、もはや逃げられんか! 致し方あるまい……!」
周囲にいた水晶屍人を自分の近くに集めると、それを自身へと纏わせて、巨大化して行く。
もはや生きてはいない水晶の屍人は、無機物として彼と合体してしまったのだ。
その防御力は鉄壁。生半可な攻撃では傷付く事はない。
「やはりそう来たか。だが、既に対策は考えてある」
そう、生半可な攻撃ならば、だ。清綱の攻撃力ならば突破が出来る。
清綱は攻撃可能になる瞬間を、静かに狙い続けていた。
巨大化した武将は清綱に向けて、水晶の太刀で攻撃を始めた。
威力も速度も、先ほどまでの武将よりもずっと速い。
「これ程とはな……! だが、避けられるっ!」
迷いの無い剣閃を、勘と動きの見極めによって、残像が見えるスピードで躱して。
臆病者の太刀は極めて鋭く、生前の実力が窺い知れる。しかし、それでも清綱のスピードには届かず、確実に回避されてしまう。
そうして、太刀を振り上げた瞬間。
「そこだッ!!」
それよりも速く、清綱の空薙が両腕の関節を斬り裂いてしまう。
「なっ、何故……ッ!?」
防御力は万全だったが、清綱の空間を断ち切る太刀は、水晶の鎧を貫いてしまう。
同じ様に脚の関節も斬り裂いて、強制的に地面へと跪かせてしまって。
「止めてくれっ! お、俺は二度も死にたくないッッ!!」
必死に命乞いをしようとする武将だが、清綱はそんな彼を哀れに思って。されど許す気は毛頭もなく。
「実に無様。潔くここで果てよ」
カチンッ。
静かに音が鳴れば、臆病者の首を斬り落とした。
●武将、撃破
臆病な武将を、何とか撃破した猟兵達。
残る水晶屍人は、武士達に完全に駆逐される事だろう。
だが、まだまだ戦争は始まったばかりなのだ。
次なる依頼を見付けて、勝利に向かって突き進め。
大成功
🔵🔵🔵