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エンパイアウォー②~屍人を率いる悪を討て

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●屍人、侵攻
 ゆらり、ゆらりと歩く人の群れ。……否、それは人ではなく。
「ア……ア、アア……」
 体中から水晶を生やした血色の悪い人間たちが、ゆっくりと歩き続けている。目の光はない、体から零れ落ちる血もない。彼らは、すでに屍だ。
 逃げ遅れた人間がその屍人に噛みつかれた、びくり、と体が痙攣すると、肉を裂く音と共に体中から水晶が突出する。
 屍人の群れの新たな一員となった人間は、ゆらり、と目的地を目指して突き進む。
 目的地は江戸。屍人たちは、徳川軍を邪魔するべく街道を進み続ける。
 その屍人の群れの中、狂気に彩られた瞳をぎらり、と光らせる術士が嗤いを堪えるように、にやりと微笑んでいた。
「……安倍晴明様の名の下に」

●屍人を掻き分け悪を討て
「サムライエンパイアだからか、魔軍将がなかなかに異色の組み合わせだよなぁ……。皆もそう思わないか?」
 サムライエンパイアの歴史書だろうか。自分の書架から持ってきた本を読みながら、アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)が猟兵たちに問う。ぱたん、と本を閉じたアインは、今回の任務について説明を始めた。
「今回の任務は、江戸へと侵攻している水晶屍人の頭を撃破することだ」
 魔軍将の一人、安倍晴明の手によって屍に術をかけて造り出された動く屍、水晶屍人。戦闘能力はそこまで高くないようだが、水晶屍人に噛まれた人間も新たな水晶屍人となる。
 更に、道中にある城を落としながら江戸に向かっているという。見過ごせるはずがない。
「水晶屍人の中にそれを操ってる安倍晴明の配下がいる。どうにかして水晶屍人を突破して、指揮官を撃破して欲しいんだ」
 水晶屍人に知性は存在しない。指揮官のオブリビオンさえ撃破できれば、通常の武士たちでも駆除は可能だ。水晶屍人を屠るよりも、水晶屍人を突破して指揮官を討った方が早いだろう。
「今回は少し頭を使うことになる。屍人をどう突破するか……それにかかってるからな。皆、頑張ってくれ!」
 猟兵たちの転移が開始される。転移先は水晶屍人がひしめく街道だ。


夕陽
 和風な世界……?B級映画もたじたじな状況。
 初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。
 戦争シナリオは色々なギミックがありますね。今回もなかなかに曲者です。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 プレイングでは無数の『水晶屍人』を防ぐ、あるいは強行突破する方法や、無数の『水晶屍人』の中から素早く指揮官を見つける方法などを書いて頂くとボーナスが発生致します。
 スピード執筆目標です。早ければ今日から、遅くても明日中には完結予定ですので、早いもの勝ちです。どうぞ宜しくお願い致します。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『異端なる術士西行』

POW   :    素材ともなれん端材共よ、我が身を守る栄誉をやろう
【幾万の犠牲者の遺骸を纏う異形の戦闘形態】に変身し、武器「【錫杖により放たれる雷霆】」の威力増強と、【犠牲者達の嘆きの念に包まれた血と骨の翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    我が願い、我が望み、我が目指す最高の人よ顕現せよ
無敵の【心を除き全てが美しく皆を魅了する最高の体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    我がしもべ、我が忠臣、黒百合よ我が敵を封じよ
【幾万の犠牲者達の遺骸の素材と成得なかった】【部分を用い作り上げし呪詛に塗れた裁縫道具】【此が変じた狂妖、黒百合が妖糸、糸巻、糸車】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:灰猫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ヴァーリ・マニャーキンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須藤・莉亜
「全部は流石に飲みきれないか。」
腐蝕竜さんお願いねー。

世界喰らいのUCを使い巨大化せた腐蝕竜さんに戦ってもらう。
彼には爪での引っ掻き、尻尾でのなぎ払い、体当たり、毒のブレス、噛み付きなんかで攻撃してもらう。

「これだけいれば、腐蝕竜さんもお腹いっぱいになるでしょ。」

僕は屍人とは違う殺気を【第六感】で感じ取れるか試してみよう。
指揮官が見つかれば腐蝕竜さんにそっちを攻撃してもらい、僕はそれに合わせて攻撃していく。
SPDのUCを使われたら、血の味がどうなのか聞いてみようか。
「体が美しいかどうかなんて僕には関係ない。血だよ血。血の味はどうなの?」



●巨竜襲来
 屍人が歩く街道に、転移の輝きが収束する。
「うわあ、凄いいっぱいいるなぁ」
 屍人の大軍勢を見て、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)がほほー、と声を上げた。
 街道を埋め尽くす屍人たちの中に、指揮官のオブリビオンが存在する。だが、こんなに群れていては見つけるのも一苦労だろう。
「まあ、ここは腐食竜さんにお願いしとこう。……僕の敵を滅ぼせ、腐食竜さん」
 現れた猟兵を認識し襲いかかろうとした屍人の足が止まった。暗黒の輝きを伴って召喚されたのは、体長470mの体を持つ竜、腐食竜だ。
 それはとにかく巨大だった。圧倒的な質量を持った巨躯が、背中の翼によって宙に浮く。
「これだけいれば、腐食竜さんもお腹いっぱいになるでしょ。さ、行こうか」
 上空から見える屍人の川へと、腐食のブレスが降りかかった。どろり、と水晶と腐りかけ寸前の体を溶かし、地面に零れ落ちる屍人たち。
 その中で、明らかに反応の異なる存在がいる。
 腐食のブレスを受けてなお、悠然と立っている人間。錫杖を翻したその人間は、莉亜を真紅の眼で睨みつけた。
「邪魔は……させんぞ、猟兵!!」
 構えた錫杖から呪詛が迸る。しかし、そんな呪詛など、腐食竜にとっては微風に過ぎなかった。
 暴風と共に、腐食竜が西行へとのしかかり攻撃を行う。ずずん!と巨大な音、巻き込まれた屍人たち。その中で衝撃波によって飛ばされた西行が、再び他の屍人の群れへと潜り込んだ。
「無敵の体には興味ないんだよね。血の味を訊きたかったんだけど、仕方ないかー」
 腐食竜で追撃するのは容易いが、周辺の街道が木っ端微塵に吹き飛ぶのも抵抗がある。
 次の猟兵に追撃を任せる。血が飲めなかった悔しさを押し殺しながら、莉亜は転移の輝きに包まれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェル・カーモルト
……本当に嫌になるね。
この数にまで膨れ上がるのに、
どれだけの集落が犠牲になったのかな?
助ける事は出来ないから、
倒す事が救いになるのかなー?

とりあえず、屍人の群れに飛び込んで、
指揮官探さないとだねー。

災い喰らう死の領域を発動し、屍人の群れに突撃するよー。
効果範囲に入った屍人の足元の砂や石を爆破しながら、
第六感の感じるままに突き進もう。

指揮官を見つけたら、爆破しながらダッシュで近付くよ。

迷惑なオブリビオンは、骸の海にお帰り下さいなー?
と、指揮官の周囲を一斉に爆破するよー。

攻撃されたら、大気中の塵埃を爆破して相殺。
防ぎ切れないのは、盾になったネーベルで受け流そうね。



●爆破特攻
「……嫌になるね。この数にまで膨れ上がるのに、どれだけの集落が犠牲になったのかな」
 眼前でひしめく亡者の群れ。おそらく最初は一人だけだっただろう。それが数を増やし、ここまでの数となっている。
 見過ごせない。フェル・カーモルト(精霊竜の騎士・f01123)は、静かに構えた。どこか静かそうな雰囲気を纏っているフェルだが、内面は、決してそうではなかった。
「……指揮官を探さないとだねー」
 轟、とフェルの周辺の大気が舞い上がる。

 地面が剥げ落ちていく。

 それは死の領域、あらゆる者を死へ誘う災禍の領域である。
「『空間掌握。この場の全てを破壊する』」
 襲いかかろうとした屍人たちが、その領域に接触した次の瞬間。

 周辺を揺るがす大爆発が巻き起こった。瞬時に蒸発する亡者たちは、それでも何も考えずにフェルに特攻する。
 連続で響き渡る爆発音と屍人たちに目もくれず、その先にいた存在へ殺気を向けた。
「迷惑なオブリビオンは、骸の海にお帰り下さいなー?」
 そんな、気の抜けた言葉。西行がぎり、と奥歯を噛みしめる。
「晴明様へ……信長様へと歯向かう愚か者がッ!」
 数多の糸が、意志を持つかのようにのたうち回る。フェルに襲いかかる呪詛の糸はしかし。
「無駄だよー」
 巻き起こった迅風が糸と接触した次の瞬間、爆発を伴って全てが焼却された。
 糸さえも、西行さえも呑み込んだ爆裂の波は、群れる屍人に風穴を開けた。
「……ありゃ?いなくなっちゃったかー」
 爆発に吹き飛ばされたのか、もしくは不利と分かって再び屍人の群れに紛れ込んだのかは不明だが、甚大なダメージを与えたことは確かだ。
 再び屍人に囲まれる前に、フェルは転移の輝きに包まれ撤退したのだった。
「皆あとは任せたよー」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロルド・セネット
うん、死者のパレードか
指揮者を狙えばいいというのは、わかりやすいね

ハロルドはユーベルコードの冷炎を纏い、空中浮遊で屍人の群れの上方を飛びオブリビオンを探そう
氷の鎧は接触した屍人の動きを凍らせるよ
おそらく有象無象の屍人とは違う特徴的な姿、オーラを持つ者がオブリビオンだろう

目標確認したらユーベルコードの炎で周囲の屍人を散らしながら近づく
絶えず飛び周り相手からの攻撃をひとつでも回避するよう心掛ける

サムライの国では死者を埋葬するには燃やしてから、と聞いたよ
ハロルドがひとつ手伝ってあげよう


小烏・安芸
あー……確かにこらチマチマ斬っとったんじゃキリがないわな。
ここは一つ、上から探してみるか。ある程度高さを取れば雑魚に纏わりつかれんで済むやろうし。
んでもってこの手の軍勢の指揮官はど真ん中か後方でふんぞり返っとるが定番言うもんや。加えてこんだけ目立つ飛び方しとったら向こうからも狙ってくるはず。それを目印にさせてもらおうか。

屍人を率いとる辺り碌なのや無いやろうと見とったけど、やっぱし呪詛使いの類か。生憎とこの手の呪いには慣れっこでな。糸が絡むなら断ち切ればええ。元々ウチはそういうもんや。
死を弄ぶ外道なら遠慮はいらんやろ。切り刻まれる痛みと恐怖、その身で味わってもらおうか?



●天からの奇襲
 屍人に紛れ込みながら、西行は歯噛みしていた。無差別の爆破で負った傷は深い。猟兵たいは、この屍人たちをなんの躊躇いもなく屠ってくる。
 ―――だが、いくら屍人を殺した所で、大した痛手ではない。このまま江戸へと侵略し、全てを奪ってやる。
 にやり、と嗤った西行だったが。

 眼前の屍人の侵攻が停止した。なんだ、と思って身を乗り出せば。

「―――!!」

 凍っている。先に見える屍人の体が凍てつき、完全に凍結していた。薙ぐのは、氷点下さえも生々しい“蒼炎”。周辺の大気にぴきり、と音が奔る。
「死者のパレードか。指揮者を狙えばいいというのは、わかりやすいね」
「チマチマ斬っとったんじゃキリがないわな。こういう雑魚は相手にせんで、指揮官狙い撃つに限るわ」
 はっ、と頭上を見上げる。そこに、中空を飛翔する2人の猟兵の姿があった。
 ハロルド・セネット(閑の灯火・f20446)と小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)は、軍団の中に潜む指揮官を探し出そうと、眼下の屍人たちを注意深く見つめている。
(邪魔者共……邪魔者共がッ!!)
 静かに、西行が両手を繰る。指先から迸ったのは呪詛を込めた無数の糸だ。不意打ちでその首を刈ろうと、口元を歪ませた西行は、安芸へと無数の呪糸を擲った。
 が。

 安芸に絡まった糸は、瞬く間に裁断されて空気に溶けていった。

「―――何ッ……!?」
「……ウチに呪詛の攻撃とはええ度胸やないか、なぁ?屍人率いとる辺り碌なのや無いやろうと見とったけど、やっぱし呪詛使いの類か」
「貴様なぜ我の呪詛が効かんのだッ!!」
「生憎とこの手の呪いには慣れっこでな。で、覚悟はええか?……往くで」
「―――了解」
 ハロルドが両腕を突きつける。西行に襲いかかるのは、真紅と群青の火炎。
「サムライの国では死者を埋葬するには燃やしてから、と聞いたよ。ハロルドが手伝ってあげよう」
「ぐ、ぬ……ッ!!」
 それは、オブリビオンも例外ではない、と。
 火炎に侵される体をなんとか奮い立たせ、錫杖を構えて敵対者へと飛び出す。そこに、安芸が立ちはだかった。
「死を弄ぶ外道なら遠慮はいらんやろ。切り刻まれる痛みと恐怖、その身で味わってもらおうか?」
 ラスティ・ピースが薙ぎ払われる。それは圧倒的な膂力を伴って西行を打ち据えた……!
屍人の群れに落下した術士はその周辺に砂塵を撒き散らした後、また姿を消してしまった。
「また屍人に紛れ込んだみたいだね」
「ホンマ面倒やな……まあええわ、他の猟兵たちに任せよ」
 炎熱と氷結、そして強撃を受けた西行に後はない。転移の輝きに包まれた2人の猟兵は、屍人の群れを見渡しながらその場から撤退したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シン・バントライン
安倍晴明…歴史に名高い陰陽師。
その配下となると侮れない敵でしょう。
しかし酷い。
突然に訪れた死、時を同じくして始まる屍人という人生。
誰も望まない光景がそこにはある。

水晶屍人を倒しながら索敵をします。
UC発動。
宝珠を牡丹の花弁に変え、敵の隊列を掻き乱すように展開。
水晶屍人を操る指揮官は恐らく危険が迫ると自分の周りに屍人を集めるだろう。
それを頼りに第六感で索敵。
見つけ次第、花弁を指揮官への道を開くように操作。
一気に駆け抜けて剣で首を獲る。
もし届かないようなら剣を敵に投擲。

屍人になってしまった人達への弔いにこの牡丹の花を捧げましょう。
間に合わなかった無念は次の戦場へ持って行きます。
…せめて安らかに。


白波・柾
水晶屍人、だと……
すさまじい、としか言いようがない
だが誰かがやらねばならない、この世界の未来のために

水晶屍人に対する、ボス狙いの猟兵たちの露払いを行おう
「戦闘知識」と「地形の利用」を併せて利用しつつ
各個撃破という目標に最も有効的に寄与できそうな個体を選択
「殺気」を放ちこちらに「おびき寄せ」て意識を向けさせてから、
「なぎ払い」を併用した【正剣一閃】で攻撃する

攻撃を受けそうならば「見切り」を使用し相手の攻撃モーションを読み切り
「オーラ防御」からの「カウンター」かつ「シールドバッシュ」で反撃を行いたい
ボスを含めた敵に味方が襲われているなら「かばう」を使用し
攻撃を受ける時と同様に対処したい


燈夜・偽葉
死者を弄ぶ行い、見過ごせませんね
オブリビオンなのであちらさんも死者ではあるのですけど…それはまぁ、置いとくとしましょう

まずは見つけ出すところからですね
「剣よ、嵐に臨みて」を使用
刀をなぎ払い、範囲攻撃の衝撃波で屍人を薙ぎ倒し、嵐の刃で斬り刻みながら進みます
視力で違和感を見逃さないように
ボスなら少しぐらい耐えるでしょうし

西行との戦闘では
UC継続
破魔、鎧砕き、鎧無視攻撃、部位破壊の効果も乗せつつ斬りかかります

敵の攻撃は視力、見切り、第六感で感知し回避
刀をあらぬところに放り投げて其方に雷を誘導したり
受けてしまっても電撃耐性、激痛耐性で耐えますね
投げた刀は後で回収します。念動力とかで



●屍人に救いを
「安倍晴明……歴史に名高い陰陽師。その配下となると侮れない敵でしょう」
 シン・バントライン(逆光の愛・f04752)が、近づいてくる屍人たちを見つめながら静かにそう言った。
 猟兵たちに屍人たちが葬られてなお、その数が衰える気配はない。軍となって侵略する屍人の群れの中に指揮官がいることは分かってはいるが、それを一つずつ探すのは無謀過ぎる。
「水晶屍人……すさまじい、としか言いようがないな」
「屍人の群れ……死者を弄ぶ行い、見過ごせませんね」
「ええ……酷い、という言葉が的確です。突然に訪れた死、時を同じくして始まる屍人という人生。誰も望まない光景が……そこにはある」
 シンの言葉に呼応するのは白波・柾(スターブレイカー・f05809)と燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)だ。
 オブリビオンである故に敵もまた死者の一人ではあるが、今を生きる者たちを愚弄する行いに、3人の猟兵は視線を地面に落とす。
 この屍人を超えなければ、指揮官を討つことはできない。故に。
「だが誰かがやらねばならない、この世界の未来のために」
 コクリ、と頷き合う。すらり、と柾が抜き放ったのは隕石を砕いたという逸話の残る妖刀、『星砕丸』だ。次いで、偽葉が黄昏の大太刀を抜き放つ。
 巻き起こるのは、黄昏に似た終の色を持つ嵐。剣は嵐となって、悪のみを討つ刃風へと姿を変える。
「まずは索敵を」
 シンの周囲から巻き起こった真紅の牡丹が、群れる屍人へと撃ち放たれる。それは弔いの意味を込めた浄化の花だ。屍人たちの群れが、花弁の刃によって斬り刻まれていく。うめき声をあげる屍人たちはその隊列を崩し、そして。

 特攻するのは、二人の刃。

「俺の一刀―――受けてみろ!」
「どれだけ強大な敵だとしても、負けません!」

 翻る刃、暴風となって吹き荒れる刃の嵐によって、街道を征く屍人たちを薙ぎ払われる。
 空間に閃く一筋の剣閃、周囲を蹂躙する、刃の嵐の災禍。
 街道を突き進んでいた屍人たちが砂となって消え失せる。なだれ込んだ水が強制的にせき止められたかのように、群れる屍人の一部分に風穴が開けられた。
 その先に、より一層群れとなって集う屍人たち。

「見つけましたよ……!!」
 シンの呟きと同時、牡丹の花弁が集い、壁となって屍人たちを遮る。一直線に伸びた道は、指揮官の先へ続いている――――!
 3人の猟兵が駆け出した。神速、迅風、それは、3つの流星の如く。
 群れていた屍人たちが刀によって塵へと還る。消え去った屍人の壁の先、憎々しげに表情を歪ませるのは、西行の姿。
 それを通り過ぎるように一気に駆け抜けたのは、シンだ。恐るべき速さで首を捕るはずの刃はしかし、西行が展開した無数の糸によって阻まれる。
「晴明様のために―――!!」
「くっ……!流石は晴明の配下、と言ったところでしょうか……!」
 糸が翻り、シンを捕らえようと中空をうねる。が、そこに介入した影が西行を捉えた。
「させない!」
「邪魔だ……猟兵めッ!!」
 シンを護るように間に割り入った柾が、西行の妖糸を断ち切った。空をなぞるように、妖刀が西行の体へと振り下ろされる。
 が、最高の体と化した西行の無敵の体は、その刃を直で受けきった―――!
「我が体、無敵、最優……お前の刃など!!」
「―――!!」
 西行の錫杖が柾の体を打ち据える。なんとか刀でガードした柾は飛び退くと共に、後方に控えていた偽葉に場を譲る。
「幼き妖狐……!!貴様など、この雷で屠ってくれる……!!」
「無駄ですよ!!」
 中空に舞ったのは、偽葉の持つ、無数に存在する太刀の一つだ。錫杖から瞬いた雷撃が、太刀の避雷針によって逸らされた。
 驚愕の表情を浮かべる西行に、偽葉の刃の嵐が襲いかかる。
 全身を刃によって打たれ、斬り刻まれ、無数の裂傷を負った西行の体ぐらり、と揺らぐ。
なんとか体勢を立て直そうとした術士に、もはや防御する力は存在しなかった。

 3つの刃が閃いた。

 猟兵たちが、己の鞘に得物を仕舞う。しばしの静寂に包まれた空間に、3つの斬撃の音が迸る。
「か……はっ……!!」
 体に3つの傷跡を刻まれた西行は、その身を塵へと変え、骸の海へと還っていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月04日


挿絵イラスト