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エンパイアウォー④~樹海に潜む水刃

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー


●儀式を阻止せよ
「皆の衆!一大事でござる!」
 集まってきた猟兵たちを前に、アホ毛をピーンとさせたアリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)は興奮気味にそう告げた。
「もうご存知だとは思いますがサムライエンパイアにて織田信長と戦うべく、徳川幕府は10万の軍を召集しようとしています」
 猟兵たちは現状、この幕府軍が集結できるよう、各所にて織田信長の配下と戦衣を繰り広げている。
 そして今回の任務もその一つ。魔軍将の一人、侵略渡来人『コルテス』が行おうとしている富士山の噴火を阻止するというものだ。
 具体的には、富士の樹海に隠された儀式場でコルテス配下のオブリビオンが富士山を噴火させる為の『太陽神の儀式』を執り行っているという。
 仮にこの儀式を止められず、富士山が噴火した場合には東海・甲信越・関東地域が壊滅的な状況に陥り、幕府軍はその対処に多くの兵を費やすことになるだろう。
 そうなれば戦力を大きく欠いた状態で織田信長軍との戦いに望まなくてはならず、総統の苦戦が予想できる。
「そのため皆さんにはこの儀式を阻止することで、幕府軍の集結を手助けしていただきます!」
 アリアがデバイスを操作すると背後のスクリーンに富士山とその周囲に広がる樹海が映し出された。
「そして問題の儀式ですが、この富士の樹海のどこかで行われているようです!まあどこで行われているのかは分からなかったのですが」
 しかし、残念ながら詳しい儀式の場所は不明。まず猟兵たちは樹海を探索して儀式状を発見する所から始めなくてはならない。
 加えて発見次第、即座に強襲してオブリビオンを撃破する必要もある。
「ただ、今回の敵は把握できています。その名はダークプルティア『ダーク・クリンゲ』、水を操る剣士だそうです。彼女は強者と戦う機会を求めているとも聞きます」
 つまり戦闘を想定してどこかしらの水源の近くで儀式を行っているのではないか?ということである。
 また、太陽神の儀式はケツァルコアトルの子たる子竜を殺し、その血を聖杯に注いで祈るという血生臭いものだという。
「ここら辺が探索の手掛かりでしょうか。難しい事件ですが、皆さんならなんとかやってくれますよね!というわけでよろしくお願いします!」
 アリアの応援を背に、猟兵たちは次々に戦場へと転移していくのだった。


小牧葵
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 こんにちは、小牧葵です。引き続き戦争シナリオになります。
 OPを書いていてふと富士の樹海は避暑地になるのでは?と思いました。
 アイスでも食べて一回落ち着こうと思います。

 今回のプレイングに関しては探索とボス戦の両方の記載をお願いします。
 自由なプレイングをお待ちしていますので、よろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『ダークプルティア『ダーク・クリンゲ』』

POW   :    私の刃は鋼のみならず。闇雫流・水流刃
【刀身から水流を放射、微細振動する水流 】が命中した対象を切断する。
SPD   :    貴様に見切れるか? 闇雫流奥義・三連自在刃!
【速さに秀でる水流の斬撃】【間合いに秀でる刀の斬撃】【自在に動かせる髪の鋭い先端による斬撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    見切った技をもう見せるな。闇雫流・呪縛暗黒面!
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【対象に張りつき動きまでも封じる闇の仮面】が出現してそれを180秒封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
トール・テスカコアトル
「はじめましてダーク・クリンゲさん。トール・テスカコアトルです。ヒーローやってます」
ペコリ
この世界では礼儀が大事
「……あなたヴィランでしょ。どう見てもヴィラン……」
カタナ振り回しておっかないけど、火山噴火なんて悪の組織をほっておけないな
「ヒーローだからね……変身!」
『説明しよう!勇気をもって恐怖に打ち克ち、恐るべき敵に挑むとき!トールは勇気の戦士に覚醒するのだ!』
貴女の武器は多彩だけど、こっちは一つ……一つの【勇気】で勝ってみせる
「トールの勇気は洞察力」
ブレイブ・センサーで見切り
「トールの勇気は機動力」
ブレイブ・ウィングで間合いを詰め
「トールの勇気は――」
ブレイブ・ソードで
「切断力」
切り捨てる


雛月・朔
隕石やら富士山の噴火やら…オブリビオンのすることにしては規模が大きいですね。行動も組織だって戦略的に動いているようですし、織田軍も伊達に戦国時代を駆け抜けてはいませんね。

徳川軍から樹海周辺の水源の【情報収集】を行います。どこかに近隣の出身者がいるでしょう。
情報を得たら【念動力】で自身の身体を浮かせ、空から富士の樹海を捜索。とりあえず聞いた水源地を太陽が昇る東側から南回りに探してみますか。

敵を見つけることが出来たなら儀式の中断を優先に考え、余計な問答などはせずにUCを唱え、攻撃をしかけます。
UCで得た【生命力吸収】の力をオブリビオンを呪い殺す【呪詛】に乗せ、【範囲攻撃】で生贄ごと力を奪います。


楠葉・狐徹
【POW】
最初は敵を探索。川や泉がある場所を中心に殺気を放って探す。それでも足りない場合はわざと自分の指を切って血を流して水辺に垂らしたりしてみる
「うまく釣られてくれるといいんだが…まるでピラニアみたいな誘き寄せ方だな。」

敵が見つかったら戦闘開始。敵が闇雫流・水流刃を使ってきたら辺りの木を怪力とグラップルで引っこ抜いて投げつける。しかしこれは目くらましであり、木を敵が斬り裂いている隙に目立たないと忍び足を使って敵の背後もしくは真横から【散桜斬り】

「卑怯か?だけど俺は…お前を殺したくてしょうがないんだ!」と殺意が暴走する妖刀の影響を受けた状態で一言



●樹海に潜む殺意
 富士の麓に広がる壮大な樹海。高い木々で覆われたそこは似たような景色が続くことで方向感覚を失わせ、常人が奥深くまで立ち入ったが最後、出てこられなくなるという。
「本当に広いよね」
 自身の竜の翼で空を飛びながら、トール・テスカコアトル(ブレイブトール・f13707)は改めてその広さを感じていた。
「ええ、こうも広いと移動するだけでも一苦労です」
 そう返答するのはトールと共に空から探索を試みていた雛月・朔(たんすのおばけ・f01179)だ。
 雛月は手元に持つ地図には探索前に予め樹海近隣が出身である兵から聞いた水源の位置に赤丸がついている。
 どうやら樹海には幾つか水源地があるらしく、今回それを東側から南周りに虱潰しで探索していた。
「そろそろ次の水源ですね。降りましょう」
「うん、わかった」
 雛月はトールにそう告げ、共に地上へと降りていく。
 というのも高い木々のどれもが多くの葉を茂らせており、上空からでは窺い知ることができなかったのためだ。
「降りてきたってことはそろそろ水源だな?」
 地に降り立つ雛月とトールを楠葉・狐徹(表裏一体の刃・f17109)が出迎えた。
 楠葉は木々を飛び移りつつ、空を飛ぶ2人を見失わないようについて来ていたのである。
「はい。ここから100メートル程先にちょっとした大きさの泉があるようです」
「OK、じゃあ行こうぜ」
 ここは既に敵の陣地内のようなもの、罠が仕掛けられていないとは限らない。雛月の報告を受け、楠葉を先頭に周囲に目を光らせつつ水源を目指していく。
「それにしても……」
「どうかしましたか?」
「火山噴火って悪の組織っぽいなって」
「ははっ、そりゃ違いねぇ。他所では隕石も降ってるみたいだしな」
「規模もそうですが、戦略的にも有効な手を打ってきていますね」
「うん。……っと到着だね」
 緊張してばかりだと気が滅入る。それを紛らわせるように他愛の無い話をしながら目的の泉に到着した3人はその周囲を見回した。
 しかしそこは周りを木々に囲まれた中にポツンと泉があるだけで他に何かがある様子も無い。
「ここも何もないのかな?」
 そう呟いたトールを楠葉は手で制した。その視線の先は泉の中央、僅かながら違和感を覚えたそこに、楠葉は殺気を飛ばす。
「いや、うまく釣られてくれたみたいだぜ」
 楠葉の言葉の直後、明確な殺意が3人を襲った。
 それを受けて雛月は囁くように詠唱しつつ、近くの木々を念力で引き抜き泉の中央へと勢いよく放り投げつける。
 木々が泉の中央手前で何かにぶつかり、割れるような音が周囲響く。そして泉の中央に陸地と祭壇が姿を現した。

 祭壇の中央には血の注がれた聖杯と横たわっている子竜が見えている。まさしく儀式の途中だったのだろう。
 そして長い青髪の一人の少女が水を纏った刀を携えて立っていた。
 彼女こそダークプルティア『ダーク・クリンゲ』、儀式を執り行おうとしていたオブリビオンだ。
「ふっ自分の性格には困ったものだ」
 自傷気味にそう笑いながらクリンゲが続きを語ろうと口を開く――、がその瞬間、問答無用とばかりに祭壇を覆う程の大きな呪詛が雛月から放たれた。
 クリンゲは咄嗟に飛び退き、それを避けながら水面に着地する。
 その間に雛月は浮遊して祭壇へと降り立った。そして無造作に打ち捨てられた子竜の死体を優しく抱きかかえ、念力で聖杯を飛ばしてその中身をぶちまける。
「これで儀式は台無しですね」
 雛月はそう口にしながらクリンゲに笑みを向けるがその表情とは裏腹に言葉には怒気が含まれており、そのまま雛月は続けさまに呪詛を放っていく。
 それを舌打ちして避けながら回避するクリンゲの近くに、翼を羽ばたかせて飛んできたトールが降り立った。
「はじめましてダーク・クリンゲさん。トール・テスカコアトルです。ヒーローやってます」
 この世界では礼儀が大事、その相手が例え敵であっても。ゆえにペコリと頭を下げてトールは簡潔な自己紹介を述べる。
「……あなたヴィランでしょ。どう見てもヴィラン……」
 子竜を殺した上、富士を噴火させ多くの人間を傷つけようとする敵。まさしくヴィランだ。そんな敵を見逃すわけには行かない。
「なぜなら私はヒーローだから……変身!」
 トールの中の勇気が燃える。彼女を覆うように集まった光が弾け、そこにはヒーローのコスチュームに身を包んだ勇気の戦士が爆誕した。
「お前は絶対に許さない」
 勇気という怒りを込めてトールはクリンゲに怒りの拳を次々と放っていく。
 対するクリンゲはそれを刀で捌きつつ、度々飛んでくる雛月の呪詛を泉の水を利用した障壁によって防いでいた。
 しかし強者としての誇りを持つ自身が防戦一方なのにも限度がある。現状の打破のためにクリンゲは逆転の一手を放つ。
「ならば此れでも食らえ!闇雫流・水流刃!」
 クリンゲの刀身から微細振動する水流が放射されてトールを襲う、がその一撃は飛来した巨木によって防がれた。
「俺様を忘れてんじゃねぞ!その命、ここで散らせ!」
 その言葉と共にクリンゲの背後に突如現れたのは楠葉だ。
 浄玻璃刀を抜き放った楠葉は、低い体勢からその無防備な背中に半円を描くように下から深く斬り上げる。
「このっ」
 痛みをこらえつつ後退したクリンゲは楠葉を睨み付ける。が当の本人はどこ吹く風、それ以上に目の前で戦闘を見せ付けられた楠葉の心中は殺意に満ち溢れていた。
「卑怯か?だけど俺は……お前を殺したくてしょうがないんだ!」
 更なる殺意を爆発させて楠葉はクリンゲに斬りかかる。
 それを刀で受け止めるクリンゲだが、ダメージを受けた直後なためかその剣先は鈍っており徐々に身体に生傷が増えていく。
「どうした!どうした!その程度か!」
「くそっ!」
 耐え切れなくなったクリンゲは楠葉の一撃を弾き、体勢を整えるために飛び退こうとする。
 だがそこに待っていたのは水の壁を打ち破って尚、有り余る力を持った巨大な呪詛の塊だ。
 避けきれないまま直撃した呪詛はクリンゲの生命力を著しく奪っていく。
 何度目かも分からない舌打ちをするクリンゲ。そこにトールが飛び込んだ。
「トールの勇気は洞察力」
 それに気付いたクリンゲは咄嗟に水弾を飛ばすが、トールはその軌道を見切り、最小限の動きで避ける。
「トールの勇気は機動力」
 そのまま一気に加速したトールはクリンゲに肉薄してブレイブ・ソードを振り上げ、
「トールの勇気は――、切断力」
 クリンゲの身体を正面から斬り裂いたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
ふんふん、災害を起こす儀式かにゃあ…25代目様の特別な嗅覚で悪行の匂いを辿ってみるかにゃ。善行の匂いがする方は他の猟兵にゃんの可能性もありそうにゃね。
匂い以外にも確度と高める為に動物達がいれば、会話し情報収集するのにゃ。
【デモノイドキャット】
臭う臭うにゃあ。僕は善行悪行を嗅ぎ分ける嗅覚を持つデモノイド寄生体と融合した、蒼い異形の子猫になって儀式の場を探索。
戦闘では髭感知と嗅覚で動きを見切り、駆け抜け一閃。状態異常力を強化した毒性で侵食するにゃあ。
とはいえ水と言えば毒とも浄化とも言えるから耐性ありそうにゃけど、どうなるかにゃあ?。


アネット・レインフォール
▼心情
ふむ…闇雫流か。
当人に流派について聞いてみたい所だが…

▼POW
先ずは刀剣を宙に念動力で配置し足場にする事で
上空から周囲の地形を把握。
泉や滝のような場に着目し上流へ遡り儀式場を探る。
道中の草木の折れ方も痕跡の判断材料に。

接敵時は刀を交えながら闇雫流の動作を頭に叩き込むが
おそらく敵の技は遠近を問わないだろう。
敢えて【洸将剣】で『敵と同じ武器』を創造し『同じ構え』を取り
水流刃を再現し相殺や一撃を狙おう
(ある種の挑発で敵の意識向け、体力削りが真の目的)

所詮は模倣。
剣筋も速度も、あと一歩及ばないかもしれない。

だが…俺にも意地がある。
かつてウェポンマスターと謳われた意地がな…!

▼他
連携、アドリブ歓迎



●武人の意地と借りた猫の爪
「あっちにゃ!あっちの方で悪い臭いと善い匂いがぶつかっているにゃ!」
 可愛らしい肉球でその方向を指し示しながら、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)はその小さな全身を震わせた。
 世界に対する嘆きから悪魔となった25代目。その力を引き出すデモノイド寄生体と融合したレフティは今、世に2匹といないであろう蒼き子猫の姿をしている。
 しかしその異形の見た目を引き換えに、レフティは発達した嗅覚によって善行悪行を嗅ぎ分けることが可能となっていた。
 今感じる悪い臭いがオブリビオン、善い匂いがするのはおそらく他の猟兵のものだろう。
「もう始まっているようだな。少し飛ばすぞ」
 そのレフティを抱えながら、アネット・レインフォール(剣の教導者・f01254)は樹海という木々の生い茂る中、それを物ともせずに駆け抜けていく。
 アネットは泉や滝のような上流にあたる水源に注目して樹海を巡っている中で、動物と会話をしているレフティと遭遇、その後行動を共にしていたのである。
 そのまま走っていく中で、レフティとアネットは前方から大量の水が爆ぜるような音を聞いた。
 戦場は近い、更に加速しようと足を踏み込もうとしたアネットにレフティが叫んだ。
「悪い臭いがさっきまで居た場所から離れていってるにゃあ!」
 その言葉の意味する所はつまりオブリビオンが戦場を離脱したということ。
 レフティ曰く前方の善い匂いは消えていないとのことから、直前の爆発に紛れて逃げたという線が妥当だろうか。
「儀式の阻止は果たせたみたいだな。レフティ、敵はどっちか分かるか?」
「任せるにゃ!一度掴んだが最後、僕の嗅覚からは逃げられないにゃね!」
 ならば追撃を仕掛けるまで、アネットはレフティの指示に従い、逃げた敵を追いかける。
 そして数分後、レフティとアネットは標的であるダークプルティア『ダーク・クリンゲ』の視界に捉えた。

「ほう、速いな。流石、とだけ言っておこうか」
 クリンゲは鞘から刀を抜き放ち、切っ先を向けてそう告げる。幾つかの傷が目立ちこそすれ、その殺気・気迫が陰ることはない。
「碌式・洸将剣」
 アネットはレフティを降ろして創造した刀を手に取った。それは目の前の強者の持つ獲物と瓜二つの刀だ。
「貴様、一体何の真似だ?」
 怪訝な表情を浮かべながら構えるクリンゲの問に、同じ構えをとるアネットは一言、来い、とだけ告げる。
 その直後、クリンゲ、そしてアネットの刀身から放たれた水流同士が両者の中央で水飛沫をあげた。
「見せ掛けだけではないようだな」
「安心したか?」
「ぬかせ」
 短い言葉を交わした両者が同時に斬りかかり、そして剣戟の応酬が幕を開ける。
 アネットとクリンゲは突き、払い、流し、水の斬撃をぶつけ合う。両者の動きはクリンゲの闇雫流そのもの。剣戟の中でアネットはその流派を体に染み込ませていく。
 しかし、それでも経験という名の年月が違う。剣筋も体捌きもクリンゲの方が一つ上。
「所詮は模倣。贋物に過ぎない貴様が私に勝てると思うな!」
「勝つさ!俺にもかつてウェポンマスターと謳われた意地があるからな!」
 だが己の過去、積み上げてきた誇りにかけて負ける訳にはいかないと、その一心が技量の差を埋めていく。
 全くの互角で繰り広げられる戦闘。であればその均衡を崩すのは仲間の存在だろう。
「なら猫の手でも借りてみたらどうかにゃ?」
 壮絶な剣戟の最中、タイミングを見計らっていたレフティがクリンゲの隙をついて飛び掛る。
 そして小さな体躯を生かした素早い動きで完全に不意を突き、レフティはクリンゲの体を爪で斬り裂いた。
 その傷跡は子猫であるレフティのサイズに合う小さな傷。しかし今のレフティに備わっていたデモノイド寄生体の力は事の善悪を嗅ぎ分ける嗅覚だけではない。
 強い毒性、それが25代目が兼ね備えていたもう一つの能力だ。
「水と言えば毒とも浄化とも言えるからどうかにゃと思ったけど、問題ないみたいだにゃあ?」
 そう口にするレフティの視線には、毒の侵食によって徐々に体の動きが奪われていくクリンゲの姿が映っていた。
 次第に均衡が崩れ、アネットがクリンゲを押し込んでいく。
「もう闇雫流は見切った。これで終わりだ!闇雫流・水流刃!」
 そしてアネットはクリンゲのお株を奪う水流の一撃を叩きつけたのであった。
 
 その後、まだ戦えるのかしぶとく起き上がったクリンゲに、辿り着いた他の猟兵が襲い掛かっていく。
 そんな光景を眺めつつレフティはある疑問を口にした。
「なんで真似っこしていたんだにゃ?」
 レフティの言葉の真意、それは本来の自分の剣術を何故使わなかったのかということ。
 その純粋な問にアネットは真顔で返答する。
「教える立場としても、新しいインプットは必要だと思ったんだ」
「真面目にゃね……」
 返ってきた答えに、レフティは呆れと関心が入り混じった声をあげたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クトゥルティア・ドラグノフ
富士山を噴火させるなんて許せないね。絶対に止めなきゃ!

こう見えても私は身軽なんだ!木々の合間を飛び移りながら、スピード重視で辺りを探すよ。
私には索敵に使えそうな力がないから、地道に探すしかないからね。

ボスを見つけたら正面から、正々堂々斬らせてもらうよ!
貴方には私の【勇気】と【覚悟】は挫けない!
【怪力】を生かした剣技を行い、隙が少しでも見えたら【鋭槍月光】を発動!
鎖で繋ぐことができたら、一気にこちらに引き寄せて、そこから【月腕滅崩撃】で足をつかんでぶん回す!
そして勢いをつけたら、なるべくダメージが大きくなるように、木々が生い茂っているところに投げ捨てるよ!

「これで、沈めぇ!!」



●剛よく柔を断つ
 噴火を促す儀式の阻止には成功したものの未だオブリビオン、ダークプルティア『ダーク・クリンゲ』は健在。
 彼女を仕留めなければ再び儀式を行うか、はたまた違う戦場にて厄介な敵となるかもしれない。
 そう考える猟兵たちの思惑を察してか、戦場からの離脱を図ろうとしたクリンゲを突如飛来した青き弾丸が襲った。
「やっと着いた!」
 その正体は木々を飛び移りながら加速し、その勢いのままに突っ込んできたクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)だ。
「ちっ、まだ増援が居たか」
 それによって弾き飛ばされたクリンゲは空中で姿勢を建て直しながら、恨めしげな表情を浮かべる。
「見たところ儀式は止められたみたいかな?」
 対称的に一つ安堵の笑みを浮かべたクトゥルティアは背負っていた大剣を引き抜いた。
「なら後は悪者退治だね!」
 そして地を陥没させる程の踏み込みからクリンゲへと肉薄したクトゥルティアは上段の構えから大剣を振り下ろす。
 その一撃は咄嗟に刀を差し込ませたクリンゲに防がれるものの、クトゥルティアは大剣から伝わる感触に手応えを感じていた。
 というのも既に此れまでの戦いで少なくないダメージを受けていたクリンゲの体は、圧倒的な力が籠められたそれに悲鳴を上げていたのである。
「この馬鹿力め……!」
「褒め言葉として受け取っておくよ!」
 恨み節を口にしつつクリンゲは手数を以って反撃するが、クトゥルティアの一振りはそれをまとめてはじき返していく。
 パワー重視のクトゥルティアと技量を主とするクリンゲの真逆な性質を持った剣技の打ち合い。
 力と技、どちらが優れているかはやはり甲乙つけがたいもの。だがこの時においては万全の態勢のクトゥルティアに絶対的な優位性があった。
 剣戟のさなか、クトゥルティアの下から振り上げる剣がクリンゲの刀を弾く。
「隙あり!」
 それによって無防備となったクリンゲにクトゥルティアはサイキックオーラ製の槍を放った。
 至近距離から放たれたそれは到底避けられるものではない。槍は胴へと突き刺さり、クトゥルティアとクリンゲを茨の鎖が繋ぐ。
 それを確認したクトゥルティアは咆哮あげつつ鎖を一気に引き寄せ、サイキックエナジー製の大腕でクリンゲの足を掴みあげた。
「はああああああああ!!」
 クトゥルティアは万力のような握力で玩具を扱うかのようにクリンゲを振り回し、地面に叩きつけていく。
 もはや逃げ道は無く、振り回しながら絡まされた鎖がクリンゲに反撃の余地も与えない。
「これで、沈めぇ!!」
 そしてとどめと言わんばかりに大きく振りかぶったクトゥルティアは、一際大きな巨木にぶつけるようにクリンゲを投げ捨てたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘクター・ラファーガ
【ラストアタック希望】

合計三つの斬撃か。
三つ……確かエンパイアの歴史には佐々木小次郎っていう剣客がいたって聞いたことあるな。なんでも『燕返し』なる技を使っていたとか。

試しに再現してみよう。『決意の時・神器創造』で彼が持っていたのと同様の長刀を召喚。"残像"が残るほど速く振って"咄嗟の一撃"を"2回攻撃"の要領でやればできるか?いや、こればかりはやってみないとわからないな。
一瞬のズレなく三つの斬撃を同時に放ち、ヤツの斬撃ごと斬り伏せる。

悪いがテメェじゃなくてコルテスに用事があんだよ。そこを退きな。



●その先を目指して
 数多の猟兵の攻撃によって追い詰められたダークプルティア『ダーク・クリンゲ』はもはや死に体。
 その満身創痍とも呼べる身体を引きずって尚、殺気を放つのは彼女の強者たらんとする意地だろう。
「へえ、中々根性あるみたいだな。でもまぁ、テメェはここで終わりだ」
 しかしここが彼女の終点。この件に終止符を打つべく、ヘクター・ラファーガ(風切りの剣・f10966)はクリンゲへと歩み寄っていく。
「舐めるな……貴様らなんぞにこの私が……」
「負ける訳がないってか?はっ、なら現実ってモンを教えてやるよ」
 獰猛な笑みを浮かべたヘクターは、掌を前に突き出し虚空から長さ1メートルあまりの長刀を引き抜く。
「『燕返し』、それがテメェを屠る技の名だ」
 そして冥土の土産と言わんばかりにヘクターは今から放つ技の名を告げた。
 燕返し、それは少し前に没したとされているサムライエンパイアに存在した佐々木小次郎という剣客が得意としていた剣の妙技。
 その剣客が愛用していたとされる同じ長刀を持ち、ヘクターは片足を下げて構えを取った。
「いいだろう……受けてたつ」
 対するクリンゲもまた、最後の力を振り絞りながら刀を構える。
 そのまま睨み合うこと数秒後。先に動いたのはクリンゲだった。
「喰らえ!闇雫流奥義・三連自在刃!」
 水流の速さ、刀の間合い、自由自在の髪を生かした三つの別々の斬撃による攻撃。
 それはクリンゲにとって最も自信のある、これまでに大勢の敵を打ち負かした必殺の技だった。
 しかしそれがヘクターに届くことは無い。なぜなら――、
「秘剣――、燕返し」
 クリンゲの斬撃、そしてクリンゲ自身も、後出しで放たれたヘクターの技に速度で上回れ、斬り伏せられたのである。
 ヘクターが放ったのもまた三つの斬撃。しかしそれは最速、神速を超えた更に上、時間をも超越したズレ無く同時に放たれたものだったのだ。
 純粋かつ規格外な速さ、それが二人の明暗を分けた。
「悪いが俺はテメェじゃなくてコルテスに用事があんだよ」
 骸の海に落ちていくクリンゲに背を向け、用は済んだとばかりにヘクターは長刀を消し去る。
 行き先はどこになるか。未だそれは分からないが、おそらく近日中に出会うことになるだろう獲物を頭に思い浮かべながら、ヘクターは歩みを再開するのであった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


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#サムライエンパイア
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#戦争
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#エンパイアウォー


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシズホ・トヒソズマです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト