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エンパイアウォー⑤～　机上の戦場を制せよ

作者：風狼フー太

『我が財を欲するならばこの謎を暴いて見せよ。。屋敷に茶の間あり。時計の間より八ツ時が鐘。台所に寄りては菓子を持ち、床の間にて将棋を討てば、歩駒は裏返し金を切り。桂馬に合えば馬を切る。角の竜など話にならぬ。首を落とせばそれまでよ。さて、いかなる場所に宝はありや？切り落とした後、残りし物をつなげよ』

「……えっと、なぞなぞだよね？」
　首を横に傾げる日ヶ丘・美奈（リトルマスター・f15758）の手に持つ巻物には、そのような文章が書かれていた。曰く、それは神君家康公が残した埋蔵金の手がかりであるとか。
「その、サムライエンパイアが大変な事になってて」
　ついに全軍をもってサムライエンパイアに大侵攻を掛けた織田信長。その軍勢に対抗する為の物資を揃えようとした、のだが。
「お金、足りなくて」
　魔軍将の一人、大悪災『日野富子』。徳川幕府の総資産をはるかに凌駕する富を持つ彼女によって各地の物資が既に買い漁られていたのだ。このままでは、十分な物資が揃えられず戦う前から敗北が決まってしまう。
「だから、お金を集めるの」
　徳川埋蔵金。家康公が有事の際に、と残したとされる莫大な富。それをもって、必要な物資を揃える、あるいは流れる物資を阻止しようという算段である。
　だが、家康公の埋蔵金は有事でなければ使うことなかれということなのだろうか。その隠し場所には謎が残されていたのであった。
「この謎、解かないと埋蔵金は手に入らないみたい」
　よって、この謎を解きあかし見事埋蔵金を手に入れるのが今回の猟兵達の役目である。
「……多分、不自然なのは後半だし……ここがヒントだよね？あ……それとだけど」
　どうも、この埋蔵金の場所だけなのかはわからないが、余りにも愚かな答えを出すと金だらいが頭上より落ちてくる呪いが掛かっているらしい。
「どうしてかは、分かんないけど……その、頑張って、ね？」

第1章 冒険 『神君家康公の謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「みんな！ひと狩り行くのじゃ！」
　なんですと？
「借りたルールブックに書いてあったのじゃ！将棋では口出しした人は首を切り落とされ、盤の裏の窪みに収められるそうじゃ。窪みに溜まった血は盤に吸われて、その盤は良い音を鳴らすそうじゃ！つまり、角の竜とやらの首を持って来て盤の窪みにつなげば何かが起こる！いざモンスタ痛ったぁー！？」
　何かを言い放とうとした彼女の頭上から落ちてくる金だらい。それ以上いけないスターリィ・ゲイジー（ほしをみあげるスターリィ・f06804）。大手に逆らってはいけないのだ。
　それはさておき、大悪災『日野富子』の買い占めに対抗するため徳川埋蔵金を掘り起こそうと、猟兵達はとある屋敷の中にいた。この屋敷の何処かに埋蔵金はあるはず。ヒントを移した紙を頼りに頭を捻り、そしてゲイジーが導き出した答えが先ほどの物であったのだ。
「これがジャパニーズカネダライのジツ……！あ、頭に響く」
「任せてくださいゲイジーさん。あなたの仇は私が取ります！」
　後ろで死んでおらぬわ！という声を無視したのか聞こえなかったのか。月影・このは（製造番号：RS-518-8-13-TUKIKAGE・f19303）はひとつ答えを見つけたと近くにいる猟兵達へと協力を求める。
「緊急時です。この屋敷を完全に破壊し、瓦礫の中から埋蔵金を掘り起こすので痛ァター！？」
　再び降ってくる金だらいはこのはの頭上に直撃。やめなさい物騒すぎるわ。
「と金で金を切って……桂馬で馬を切って……」
　独り言のようにそう呟くのは響・夜姫（真冬の月の夢・f11389）。もしやこれは期待ができるのでは？
「わかった、これは柱の大時計の中」
　なんですと？
「ゴールデンライスフィールド＝ワンって漫画でやってた。黄金色のチャーハンを作るために黄金を求めて柱に掛かった大時計を探索する……この程度の謎。私にかかれば超余ゆ…………解せぬ」
　解せぬのはこっちだ。何がどうなったらそうなった。
「……方向性を変える……そうか、首を落とす」
「首を落とす？……そうか！あれか！かの有名な王妃の首を落としたという」
「そう、隠し場所は、ギロチン……痛い」
「そうとわかればこうしておれぬ！ギロチンを探すのじゃ痛いぃー！！？」
　ダブルで降ってきた金だらいに仲良く頭を押さえる二人。その様子を見てこのはが一言。
「ここ、サムライエンパイアですよ？」
「……不覚」
「そういえば、そうだったのじゃ……」
　納得した所で二度のタライ落としにたんこぶ二つ。だが、２度あったということは３度目が来る。果たしてそれが吉と出るか凶と出るか――
「やはり全部破壊して、更地にした方がいいのでは？」
「緊急時じゃからな！仕方ないの！」
「やはり更地ですか。いつやります？ボクも手伝いましょう」
　はい、トリプルで行きますねー。

「成程！成程！金だらいの呪いか！」
　３人がいくつも作ったたんこぶをみて、片手で腹を抱えて笑いながら治療を施していく亜儀流野・珠（狐の恩返し・f01686）。
「うう、なんという恐ろしい呪いなのじゃ……」
「ボクの優秀な頭脳でも解けないなんて……あっ良い餡使ってますねこのお菓子」
「あ、ずるい。私も欲しい」
　もうたらいは嫌だと頭を抱えるゲイジーに、台所からいつの間にか拝借してきたお菓子をつまむこのはに、そのお菓子をねだる響。三者三様の姿を見せるが、最早なぞに挑むのはこりごりといった様子。
「ふーむ、そうか！じゃあ俺の回答を言ってみるか！」
　胸を張り、堂々と宣言する珠の表情は自信満々といった様子。果たして彼女にこの問題が解けるのか――
「金に馬に竜！繋げ生まれるのは「合成兵器獣・金色竜馬」だな！こいつを探し封印を解けば今回の戦争の勝ちは決まった様なものだ！さあ探しに行こうではないか！」
　当然金だらいである。そのふわふわな狐耳を押しつぶすように頭上から金だらいが――
「なんのぉ！！」
　なんとぉ！？
「ふっ、これが金だらい取りの妙技ってやつよ！」
　埋蔵金を守りし不思議な金だらいとは面白いと、洗濯用に持ち帰るとばかりに上から降ってきた金だらいをいともたやすく両手でつかみ取る珠。よく考えれば上からしか落ちてこないのだから、つかみ取るのもたやすいといえばたやすいのだが、その光景に絶望の表情を浮かべる３人が。
「ずるいのじゃ！人でなしなのじゃ！」
「降ってきた金だらいを受け止めるなんて！」
「これはもう、お菓子を上げない刑に処さねば」
「そんなこと言うなよ。詫びといっちゃあなんだが」
　――ちゃんとした答え、見せてやるからよ？

　そんな珠に連れられて、やってきたのは時計の間。
「要するに言葉遊びってやつだな。歩を裏返しはと金。と金の金を斬れば「と」。桂馬の馬を斬れば「けい」。成り角の竜馬の頭、つまり竜を斬れば「ま」。つなぎ合わせりゃとけいま……まあ、多分時計の間って事だろ！」
　その言葉を発すると同時に、時計の間に置いてあった時を刻む鐘が一つ、二つと鳴り響く。八つの時を刻めば床の継ぎ目が開いていき。
「うぉぉぉー黄金の山じゃー！」
　ゲイジーが叫ぶのも無理はない。八つ時知らせた鐘の音で、開いた通路を下っていけば、部屋一面に置敷き詰められていたのは山吹色のお菓子。果たして足りるかどうかはわからないが、これだけあればいくばかの足しにはなるだろう。ようし俺達運び出せと。妖狐の術で分身を作り、よっこらせっせと地上へ運び出し、それに他の猟兵達もお手伝い。
　こうして。不思議な金だらいの降る屋敷で、謎を解き八つ時を鐘を知らせた猟兵達は山吹色のお菓子を手に入れて。これにて一件落着と相成りましたとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月09日