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エンパイアウォー③~紫電に震う嶽々越えて

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「まずは寛永三方ヶ原の戦いに尽力いただいた各々方には感謝を」
 そう告げて静かに頭を下げた蓼科・雪鳥(雪ノ鳥ノ夢・f00402)は、顔を上げるなり表情を変えることなく、さて、と呟いた。
「各々方が先の戦いで勝利し手にした『第六天魔軍将図』。其処に書かれた名は八つ――」
 一つは朱線で消され、残りの名は七つ。
「此の、未だ生存する『第六天魔軍将』達が、サムライエンパイアを征服せんと攻撃を仕掛けてきた」
 この国難に立ち向かう徳川幕府軍は、諸藩からの援軍も併せた幕府軍を招集した。
 その数、十万。
 幕府の総力である。
「島原に居る織田信長を撃破するためには、この十万という軍勢は是が非でも必要となる」
 これは戦争だ。
 途中で力尽きるものの出てくることであろう。
 だが、誰一人として欠けてはならぬ戦力であり、そして大切な命だ。
「各々方には、行軍する徳川幕府軍を信長軍の護衛兼、行く手を阻む魔軍将達を撃破していただきたく」
 お願いできないだろうか。そう願い出た雪鳥が広げたのは、エンパイアの地図。
「集結する徳川幕府軍は、本隊が東海道を中山道方面軍が中山道を通り、畿内への玄関口である関ヶ原へと向かう予定」
 海沿いの道と山沿いの道、それぞれ指でなぞって、
「皆に向かっていただきたいのは、此処、信州は上田藩」
 と、白い指が示した先は、山奥の道沿いにある盆地であった。
「信州上田藩――上田城周辺は中山道の要衝である。しかし、魔軍将の一人である軍神『上杉謙信』の軍勢により制圧。今や上田は謙信の手中にあると言っても過言ではない」
 上杉軍は既に、中山道方面軍を殲滅するべく準備を整えているとも告げた雪鳥。銀色の瞳が微かに揺れたのは、ふるさとの危機が故か――。
「中山道方面軍の壊滅を阻止する為、各々方の力で『信州上田城』の上杉軍の力を削いでいただきたく――」
 と、彼の後ろの景色がゆらりと揺らめいた。

 グリモアベースの空間に映し出されたのは、雷の角を持ちフキの花を纏うカモシカのようなオブリビオン。
 『荒ぶるカマシシ』だ。
 山岳地帯を好み、足場の悪い土地でも軽やかに動き回るそれは、縄張りを侵されると怒り狂い、侵入者を排除するまで戦い続けるという。
 その数、十数頭。
「信州上田城は小さな山城。それ故にオブリビオンの軍勢全てを収容する事は不可能であった。その為、城の周囲の山岳地帯に複数の部隊のオブリビオンが集まっている状況」
 この荒ぶるカマシシもそんな部隊の一つ。

「各々方には中山道方面軍より先に現場へと向かっていただき、荒ぶるカマシシを撃破していただきたい」
 猟兵の襲撃で戦力を失えば、不利を悟った上杉軍は撤退する。と雪鳥は告げ。
「この戦いの命運は各々方に託されている。どうか、力を貸して頂きたい」
 願うような声色に呼応した彼の翼型のグリモアが力強く羽ばたくと、雪の幻影は猟兵たちをサムライエンパイアへと誘った。


朝奈ひまり
 こんにちは、朝奈ひまりです。
 (朝奈、故郷の危機と聞いて奮い立つ)


 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 それではプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『荒ぶるカマシシ』

POW   :    アオの寒立ち
全身を【覆う和毛を硬質の毛皮】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神鳴り
自身に【紫電】をまとい、高速移動と【電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    影より出づる藤波
【自身の影】から【召喚した藤の花】を放ち、【絡みつく蔓】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:笠見諒

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 蓼科山に降る粉雪の如き純白の光に包まれた猟兵たちは、上田城からほど近い街道に降り立った。
 先ほどまで雨が降っていたのだろう、草木は潤い、足元の土は湿っていた。
 上田は北国街道の海野という宿場町の更に奥で、千曲の川を挟んで対岸の丘の方には中山道が走る。
 ――幕府軍はまだ、碓氷の山を越えようというところか。
 ならば、中山道と北国街道の分岐点に当たる追分宿に差し掛かる前までに、この目の前の敵を倒さねばなるまい。
 敵――カマシシ達は、縄張りに足を踏み入れた猟兵を目視するなり鼻息を荒くした。そして、バチバチと紫電の角を鳴らしながら、尾の藤の花を揺らしつつ脚で湿った土を掻いている。
 このカマシシ、上杉軍が飼いならしたオブリビオンであろう。
 これを除けない限り、上杉謙信が手中に収める上田城は落ちない。
アトシュ・スカーレット
おおー、立派な鹿さん…にしては大きいね

よーし、スピード勝負しようか!

【暴走術式・天災】を発動させて、手数で押す作戦でいくね

【2回攻撃】、【鎧無視攻撃】をうまく使っていきたいところ

武器は遠近戦どっちも可能なJoyeuseと村雨を使用するね

防御に関しては…【電撃耐性】なら問題ないけど、【見切り】できるかはわかんないけど、動きを止められるのはやだだから、なるべく同じところにいることはないようにするね

アドリブ、連携大歓迎


アメリア・イアハッター
【ADOK】
お城の防衛は経験あるけど、城攻めは初めてかも!
でも勿論一人じゃできないもの
まずは皆の道を切り開かないとね!

敵は足場の悪い土地でも軽やかに動き回る、ね
機動力が最大の武器であるならば、それを封じましょう

UCを発動し、自身の周りを凍らせながら滑って進む
敵が来れば、より氷の範囲を広げ敵の接近に備える
高速で移動しようとも、空は飛べない筈
どこかで絶対に地面を踏むわよね

敵が動き出した瞬間に、自身は高く跳躍して木の枝へ
敵が氷を踏めば、流石に転ぶ筈
ふふ、摩擦がない足場って、経験したことあるかしら?

一回転ばせた後は、素早く接近しUCを敵自身にかけて転がしとく
止めは味方に任せ、自分は機動力奪取を優先だ!



「おおー、立派な鹿さん……にしては大きいね」
 地面から上へと目線を上げながらアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)はカマシシを見上げる。
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)もアトシュと同じようにカマシシを見据えるが、ふと目線をずらせば、青々とした山を背景に黒い櫓と白い天守閣が聳えるのが見えた。
 あれが上田城。
「私、お城の防衛は経験あるけど、城攻めは初めてかも!」
 あれが自分たちが目指す次の高み。
「でも勿論、一人じゃ城攻めはできないもの。だからまずは皆の道を切り開かないとね!」
 と駆け出したアメリア。
 ふたりを睨みつけた二頭のカマシシは、各々自身の角の紫電を全身に纏う。自分たちの縄張りに入り込んできた猟兵を完全なる敵と見なした証だ。そして、その美しい花を揺らしながら屈強な脚を駆使して、たんっと地面を蹴って飛び跳ねた。
 紫電とともに体当たりをするつもりだ。
「――そう来ると思ったのよね」
 アメリアは強気の笑みで跳び上がったカマシシを見据えると、
「氷上ダンス、試してみる?」
 と足元に力を込めた。
 すると、アメリアの足元から急速に氷が広がってゆく。
 摩擦抵抗を極限まで抑えた氷で、カマシシ立ちの最大の武器である機動力をそぎ落とす作戦である。
 冬になれば雪深くなるこの一帯にすむカマシシ自身も、凍土が恐ろしいものだという認識はあるのだろう。急遽、着地地点をはずす行動をとったが、その地点が凍り付く方が早かった。
 カマシシの落下と同時に近くの木の太い枝へと跳躍したアメリアは、カマシシたちが盛大に転ぶ様を見下ろす。
「高速で移動しようとも、空は飛べない筈。どこかで絶対に地面を踏むわよね。ふふ、摩擦がない足場って、経験したことあるかしら?」
 そう、そこは通常の凍土ではない。摩擦抵抗が極限まで抑えられた氷上なのだ。
 氷の上で立てずにもがく二頭のカマシシの紫電がバチバチと空気を焦がす。
 その巨体の横に降り立ったアメリアは、今一度『氷上妖精』を敵自身にかけると、アトシュに目くばせをした。
「レティ、止めは任せたわ。私は残りを転ばせに行く!」
「よーし、任せて」
 アトシュはアメリアに応えると、氷上で転げるカマシシを見据えた。
 この好機を無駄にはしない。
「スピード勝負と行こうか。我が身に宿りし天災よ! この身を喰らいて蹂躙せよ!」
 アトシュは自身に宿る『付与術・天災式』を暴走させると、剣形態に変形させた『Joyeuse』と『村雨』それぞれに業火と氷雪を纏わせた。
 そして、カマシシたちから放たれる紫電をものともせずに、渾身の力で二度、その巨体を斬り刻む。
 苦痛に雄叫びを上げるカマシシ二頭の息の根を止めるとアトシュは、別個体の反撃に備えて近くの岩場へと飛んだ。
「オレたちには徳川幕府軍を島原に送る使命があるんだ」
 そのためには、上田城を何としても取り戻さなくてはならない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シエル・マリアージュ
足場の悪さをものともしない敵が相手なら、こちらも【ジャンプ】や【空中浮遊】にあわせて【夢幻刀影】で実体化させた影を足場にしたりしながら【戦闘知識】で数手先までの立ち回りを考えながら【残像】による【フェイント】を織り交ぜて敵の攻撃を避けながら戦う。
敵に地の利のある戦場ですから、夢幻刀影で実体化した影を操り敵の行く手を阻んだり影の武器と挟み撃ちにしたりして、【命中率】を重視した戦い方で【聖銃剣ガーランド】から放つ【誘導弾】で攻撃を当てていき敵を仕留めていきましょう。



 シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)もヴェール越しに、今にも突進せんとするカマシシを見据えた。
 凸凹だらけの山岳を自由自在に駆け回るカマシシをあいてにするならば、自分自身も身軽さを持って挑まねばならない。
 カマシシは蹄で濡れた土を蹴ると、その大きな頭を下げてシエルに迫りくる。
「突進で突き飛ばす算段ですね」
 そのあとは――。と数て先まで予測しながら、シエルは自分の足元で揺れる木漏れ日の影に命じた。
「影なるものよ、我に仕えよ」
 すると木漏れ日の影は瞬く間にシエルだけの足場となり、カマシシからの突進から彼女を救う。
 だが敵も諦めてはいない。岩や傾斜を駆使して執拗にシエルへと襲い掛かった。
 角の紫電が脚を掠め、思わず影の足場に膝をつく。
「……なかなか手ごわいですね」
 眉根に微かなしわを寄せながら空中を自在に行き来するシエルは、得物である『聖銃剣ガーランド』を構えると、カマシシに銃口を向け誘導弾を放つ。
 弾を脚に喰らったカマシシ。
 もう軽やかに岩場を渡れないと悟るなりその場にとどまると、上州まで響きそうな声で甲高く鳴く。すると身を包む和毛が一気に硬質の毛皮へと変化した。
 その毛は風に靡くこともなく、鋼の如き強さも見えた。
 だが、カマシシは一歩も動かない。
 これは、ほぼ無敵状態である。
 武器である機動性を殺してまで、彼らが守りたいものとは何なのだろうか。
 見す見す縄張りを突破されるわけにはいかないという、意地なのだろうか。
「……でも、完全に無敵ではありません。どこかにきっと、綻びが生じているはず……!」
 そう自分に言い聞かせシエルは、誘導弾と『夢幻刀影』で作り出した影の刃でカマシシを攻撃していく。

 こちらにも、必ず通したい意地があるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

高柳・零
POW

どうも謙信の陣容を見ていると、熊だの猫だのカモシカだの…ケモナーなんですかねえ…まさか!生涯独身だったのもそれが原因?

「絶対防御持ちですか…厄介ですねえ。ですが対策はあります」
先ずはUCを発動して自己強化します。オーラ防御と盾でガードを固めて、鎧砕き付きの2回攻撃で攻め立てます。

カマシシが寒立ちを使って来たら「こんな所でその技を使うとどうなるか…少しは考えた方がいいですよ」と言いつつ、斜面から蹴り落とします。

UCの力で飛んで追いかけ、敵がUCを解いた瞬間に急降下の勢いを利用して剣で止めを刺します!
「上田城は真田家の城です。返してもらいますよ」

アドリブ歓迎です。



「上杉謙信は、ケモナーなんですかねえ……」
 こんなカモシシまで飼いならして城の守りを固めているなんて……。
 だから一生独身だったのでは? とは、思っても口にしないことにして。
 足場の悪い傾斜を縦横無尽に掛けるカマシシの攻撃から、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は身をかわし続けた。
 攻撃する隙も無い。
 そうイラつき業を煮やしたのは零ではなく、むしろカマシシの方だったのかもしれない。
 猛々しく鳴いたと思ったら剛毛をさらに強張らせ、微動だにしなくなったカマシシ。
 鉄壁の守りを固めた敵を見、零は顔の画面に苦悩の色を示す。
「絶対防御持ちですか…厄介ですねえ」
 だけど彼はすぐさま表情をいつもの陽気な絵文字へと変化させた。
「ですが対策はあります」
 と、天高く掲げたのは得物の剣。
 すると零の全身を神聖な光が覆い、煌々と輝きはじめる。
 その心に去来するのは、十万の幕府軍、それを率いるあの人の覚悟。そして、謙信に城を奪われたこの藩の人々の不安や無念。
 すべて自分が護ってみせる。取り戻してみせる。
 その優しい思いが、零をさらに強くした。
 零が地面を蹴ると、その姿は一瞬にしてカマシシの目前。
「こんな所でその技を使うとどうなるか……少しは考えた方がいいですよ」
 そう告げると零は、カマシシを思い切り蹴り飛ばした。
 斜面を転げるカマシシは思わず技を解く。もう一度体勢を立て直すつもりか。
 零はそれを怒涛の速さで追いかけると、その白い体の真ん中――心臓に、得物の剣を突き立てた。
「上田城は真田家の城です。返してもらいますよ」
 そう言い切らないうちに、カマシシハ藤の花を散らして風になり、消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白波・柾
集団戦か
俺は集団戦はあまり得意ではないが……
微力ながら、力添えさせていただこう
サムライエンパイアは俺の故郷だ
故郷を荒らされてなるものか……!

「戦闘知識」と「地形の利用」を併せて利用しつつ
各個撃破という目標に最も有効的に寄与できそうな個体を選択
「殺気」を放ちこちらに「おびき寄せ」て意識を向けさせてから、
「なぎ払い」を併用した【正剣一閃】で攻撃する

攻撃を受けそうならば「オーラ防御」からの「カウンター」かつ「シールドバッシュ」で反撃を行いたい
仲間が攻撃を受けそうならば、「かばう」を使用し同じく「オーラ防御」で防ぎつつ
「咄嗟の一撃」で敵へ切りかかり「マヒ攻撃」して「吹き飛ば」す



 集団戦はあまり得意ではないが、白波・柾(スターブレイカー・f05809)には護るべきもののため此処にいた。
 殺気を放って目の前の個体をおびき寄せれば、それに呼応するかのように一頭のカマシシが鼻息荒く苛々と、前脚で湿った砂地を掻きだした。
「俺の相手はお前か」
 橙の瞳を細め大太刀『星砕丸』の橙の柄にかけた手をぎゅっと鳴らす。
 その音が合図となり、自らの体に紫電をまとったカマシシは先ほどとは比べ物にならない速さで柾のそばを駆け回る。
 相手を翻弄し、集中が乱れたその隙を狙いすまして攻撃を仕掛ける算段か。
 思考を巡らせる柾も、相手に捕捉されまいと岩場や傾斜を駆け回る。
 そんな彼の真後ろ。カマシシがやっと立ち止まったかと思った刹那、頭を振って放たれた紫電が猛烈な速さで迫りくる。
「……っ!」
 咄嗟に踵を返して受け身で出した腕に防御オーラをまとわせて紫電を弾き飛ばした柾は、そのままカマシシを見据えると湿った土を蹴った。
 極限まで研ぎ澄ました柾の精神集中は、カマシシの高速移動にも劣らない。
「お返しだ! 俺の一刀―――受けてみろ!」
 反撃の一撃は素早く、そして重い。
 風を切る音とともに斬ったカマシシは二つに分かれ、淡い紫の花を風に舞わせて消えていった。

 この世界は柾の故郷。
 故に得物を握る手に、橙の瞳に力がこもった。
「故郷を荒らされてなるものか……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

志崎・輝
※アドリブ・連携歓迎

(紫の雷撃――うん、なんか、親近感わくな、やっぱり)

手甲に雷花を咲かせて
先制攻撃をしかける
鹿が硬くなったところで、アタシだって鎧無視して怪力で対抗する
UCの一撃一撃に全力の雷撃纏わせて、渾身の力で叩き込む
攻撃は見切れるだけ見切って躱す
雷撃には慣れてる
ある程度なら耐える自信がある

他の猟兵の策があって、アタシで役に立つなら協力する
囮でもなんでもしてあげるわ

この世界には、アタシの故郷がある
アタシの家族もいる
先祖だっている
大好きな場所がある
オブリビオンの好きにはさせない
鹿の一匹倒せないで、なにが猟兵よ

「手加減はしないから
「ここ、突破させてもらう



 カマシシがバチバチと音を立てる。
 放電した角の紫電が鳴る音だ。
 紫の雷撃――うん、なんか、親近感わくな、やっぱり。
 志崎・輝(紫怨の拳・f17340)はカマシシの紫電を見、自分の左上から響き輝く同じ音と光を感じていた。
「でも、手加減はしないから」
 『紫霆』の紫玉から雷の花を開かせれば、一気に相手との距離を詰める。そして渾身の雷を拳に溜めるとカマシシ目掛けて振りかぶった。
 その一瞬でカマシシは自らの体を硬くする。
 が、輝にはそれも織り込み済み。一撃一撃が大威力の拳と極めつけの回し蹴りでマシシを蹴り倒すと、自ら技を解かせた。
 ひと鳴きして後ろに跳ねて輝から距離を取ったカマシシ。体勢を立て直すと、今度は頭をぶんぶん振りながら突進してくる。
「紫電勝負というわけか……っ!」
 輝はそれを拳で真っ向から受けた。
 電撃には慣れているから、ある程度なら耐える自信がある。
 あとはどちらが先に折れるかの勝負――。

 カマシシにも守るものがあるのだろう。
 だけど輝にも、譲れないものがある。
「この世界には、アタシの故郷がある。アタシの家族もいる。先祖だっている。大好きな場所がある……!」
 輝の脳裏をよぎるのは、愛おしくて護りたくてたまらないモノたち――。
「オブリビオンの好きにはさせない。鹿の一匹倒せないで、なにが猟兵よ!」

 カマシシの顔が微かに横に振れた一瞬の隙。
 力に任せて腕を振りかぶると、カマシシは吹き飛ばされ岩に激突し、紫電を消滅させて散ってゆく。
 肩でしていた息を整えて、輝は遠くに見える白壁の城を力強いまなざしで見据えた。
「ここ、突破させてもらう」
 それはカマシシへ告げたのか。
 或いは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 猟兵のこの戦いにかける気持ちが、カマシシを減らしていったといっても過言ではない。
 十数頭いたカマシシも、残りあと一頭になっていた。
 この個体を除ければ、謙信から上田を取り戻すきっかけとなり、徳川幕府軍を一歩前に推し進めることができる――。
 
泉宮・瑠碧
カマシシ…カモシカか
縄張りを荒らされたくないのも分かるが
こちらも人命がかかっている
…すまない

僕は主に弓を手に精霊羽翼
足場の悪さも空中浮遊を用い
背後を取る様に樹上や岩陰から回り込む等で地形の利用

人が居れば援護射撃を織り交ぜ
相手の数が固まっていれば範囲攻撃
単体ならスナイパーで確実に胸を狙う

硬質の毛皮になれば
氷の精霊へ願い氷漬けにしておく

電撃は
矢を射って囮や
雷の精霊へ願って狙いを逸らそう

藤の花の蔓は
空へ飛ぶ等で避けるが
植物の精霊へ願い
自然の木や岩に向かう様に
…振り払う為に千切ったりはあまりしたくは無いからな

オブリビオンで無ければこの争乱も関わり無く
穏やかに暮らせていたのだろうか…
せめて安らかにと祈る



「カマシシ……カモシカか。縄張りを荒らされたくないのも分かるが、こちらも人命がかかっている」
 ……すまない。と呟いた泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 だが、そんな言葉も心も知ったことかといわんばかりのカマシシは、一つ甲高く鳴いた。
 すると足元の影が芽吹き伸び、連なる藤の花を開かせる――と、次の瞬間。藤の花が瑠碧目がけて放たれた。
 瑠碧は咄嗟に後方に飛ぶ。敵に召喚されたモノだとしても植物を傷つけるのは本意ではない。
 しかしカマシシの藤の花は執拗に瑠碧へと襲い掛かる。
 オブリビオンの生み出した植物に、精霊が宿っているのかは定かではないが、
「……傷つけたくないんだ。どうか――」
 願いながら精霊弓『水精霊』の弦を引けば、背に感じるのは、青々とした葉をいただく枝の翼。
「我は願う、力を翼と成し、我が意と共に在ることを……力を貸して」
 瑠碧に力を貸したのは樹木の精霊であった。
 ふわりと翼をはためかせると藤の蔓から逃げることができた。そしてそのまま空中で一つ回転してカマシシの背後に回り込む。
 そのまま引いていた弦を離すと、生まれ出でた水の矢を風の精霊が一気にカマシシの心臓へと導いた。
 ドッと音を立てて矢がカマシシの心臓を貫くと、それは鳴くことも忘れて藤の花と化して、風に流されていった。
「……オブリビオンで無ければこの争乱も関わり無く、穏やかに暮らせていたのだろうか……」
 せめて安らかに。
 静かに祈った瑠碧が顔を上げれば、目の前に聳える上田城。

 ――猟兵たちは上田城奪還と徳川幕府軍の進軍を一つ、前に進めることに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


挿絵イラスト