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エンパイアウォー③~血肉を求む愉悦〜

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 各地から集結した徳川軍は、本隊が東海道を、分隊が中山道を通り、畿内への玄関口である関ヶ原へと向かって合流する予定を組んでいた。
 しかし、中山道の要衝である「信州上田城」の周辺は既に魔軍将の一人である軍神「上杉謙信」の軍勢により制圧されていた。
「相手はこの上田城で再編成をし、中山道を通る徳川軍と激突する準備を進めているようです」
 ルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)が指差す上田城の周辺を書き記した地図には大量の丸印がついていた。
 上田城は小さな山城のため、オブリビオンの軍勢全てを収容する事は出来ておらず、城の周囲の山岳地帯に、複数のオブリビオンが自分達の番を待ちながらそれぞれ陣を張って集まっている状況。
 地図中に付けられている丸はその陣の場所を示した物だった。
「そこで今回は皆さんを先行させて、相手に気づかれる前に城外にいる上杉軍のオブリビオンの軍勢のうち、特に主力となると見られる部隊を撃破していただきます」
 いくら主力の部隊だとしても山岳地帯を有利に動いたり、待ち伏せしようとしている敵を奇襲したりすることが出来れば翻弄し、倒すことは猟兵達にとっては容易であろう。
「自分が送る場所から一番近い位置にいるのは『禍鬼』と呼ばれる妖怪です。血肉を貪るのと人の絶望顔や断末魔が好物で、弱い相手に向けて積極的に襲いかかる程度の知力がある相手だそうです。的確に軍の弱い部分を突かれれば、そこから生じた綻びから本命の軍が突入してくるでしょう」
 さらに禍鬼のサソリの物によく似た尻尾から放たれる毒は浴びた物の体を痺れさせる。
 その毒を浴びせられた状態で上杉軍と互角に戦うことは今の徳川軍には不可能、とルウは判断したそうだ。
 だからこそ、城の中に入られる前に禍鬼を早急に倒さなければならない。
「もし現存している部隊が減れば、こちらは上田城に対して様々な戦術を行使することが出来るようになるでしょう。……おそらく上杉謙信レベルの武将になれば我々がそれに実行に移す前に早々に脱出するでしょうがね」
 だがどちらに転んだとしてもこちらが優位に立ち、戦術に幅を持てるのは好ましいことである。
 それが分かっているからこそ、こうして猟兵達はこの場に集まっているのだ。
「では、上田城奪還戦にこれよりご案内いたします。皆様、ご武運を!」


平岡祐樹
 皆様お疲れ様です、平岡祐樹です。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 今回は本隊を敵陣の奥深くまで侵攻させるための工作部隊の壊滅に動いていただきます。
 ルウの語る通り、山岳地帯で有利に活動したり、待ち伏せしようとしている敵を奇襲したりするための工夫があれば、プレイングボーナスが発動する模様です。
 怪力で叩き潰すか、知力で叩き潰すかは皆さんのお好み次第です。では、参りましょう!
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第1章 集団戦 『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』

POW   :    伽日良の鐵
【サソリのようにうねる尻尾(毒属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    欲欲欲
【血肉を求める渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    鳴神一閃
【全身から生じる紫色に光る霆(麻痺属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:ヤマモハンペン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

森園・巧
えーと、敵陣は山岳地帯だっけ?
残念。おじさんは地形の利用能力がない。
ということはアイテム「PB62-MK2」の出番だね。このスピーカーは無線思念操作の浮遊型。敵陣後ろや横に忍ばせることが出来るかもね。で、チャンバラな音でも流そうか。敵がそちらを不審がってくれればオッケー。
目的は敵陣陽動。そこは姑息な手でも使うよ。戦争だからね。
陽動とともに目立たない私はダッシュで敵陣に潜り込む。山岳地帯なら遮蔽物も多いだろうし。
禍鬼対策? 見切りをつけての零距離攻撃。文字通り頭も使えるしね。
こん棒や尻尾という武器は素手格闘の間合いだと小回り効かないからね。
鳴神一閃もあるから、敵の動きだけでなく音にも用心だね。


花盛・乙女
フッ、専守防衛ならぬ先制攻撃。
分かりやすくて良い。私向きだな。

身を隠すなら匂いの降りぬ高台に潜み待つ。
奴らが近づけば岩の一つでも蹴り落とし一度統制を崩す。
しかる後に奴らの元へ降り立ち、【黒椿】と【乙女】の二振りで切りつける。
弱者を弄ぶことを好むとはいい趣味だな、外道。
この花盛乙女が引導を渡してやろう。

敵の痺れる毒というのは警戒せねばならんな。
「武器受け」で直接は当たらないようにする。
目障りなようならまずはその尾から落としてやろう。
啼くな、喚くな。貴様はその声が好きかもしれんが、私は嫌いなんだ。

隙を見出せば一太刀を浴びせ「怪力」を込めた拳骨を放つ。
【雀蜂】、毒より痛い羅刹女の拳だ。とくと味わえ。



「残念。おじさんは地形の利用能力がないんだ」
 森園・巧(アースジャパン人間のサンソルの破戒僧・f03705)は覗き込んでいた双眼鏡を外すと一息ついた。
 禍鬼が陣を張っているのは少し段差になっているところで、段差から飛び降りれば上田城に真っ直ぐ繋がっている坂道に通じていた。
 一つ異変が起きればすぐに禍鬼達は駆け下りていくことが容易に想像できたが、その代わりに木々が生い茂っているため見通しは悪く、周りに隠れる場所がいくらでもある道でもあった。
「ということはこいつの出番だね」
 そう言って巧は足元に置いてあったスピーカーを叩いた。
 すると複数人の足音が突如として起こり、禍鬼達は辺りを見回す。
 そして人の雄叫びが聞こえると同時に、禍鬼達の大半が段差から飛び降りた。
「フッ、専守防衛ならぬ先制攻撃。分かりやすくて良い。私向きだな」
 その頃、花盛・乙女(羅刹女・f00399)は匂いの降りぬ高台に潜み、禍鬼達が降りてくるのを待ち受けていた。
「……来たな!」
 陣から離れて駆け下りてくる禍鬼の群に向けて、横に置いておいた自分の何十倍の大きさと重さのある巨岩を蹴り落とす。
 崖から転がり落ちた巨岩は段差で軽く跳ねて、禍鬼を何体か轢いた。
「……ここまで反応がいいと逆に困るね。さて、混ざりに行くとしますか」
 花盛による急襲を眺めていた巧は戦場の音声を流していた「PB62-MK2」の電源を切ると慌てふためく禍鬼達に向けて移動を始めた。
「弱者を弄ぶことを好むとはいい趣味だな、外道。この花盛乙女が引導を渡してやろう」
 巨岩に続くように降り立った花盛は両手に二振りの刀を持って禍鬼に斬りかかる。
 花盛の姿に気づいた禍鬼がサソリのようにうねる尻尾を振り回して襲いかかるが、花盛は毒液を浴びる前に刃を当てて跳ね返し、素早く返す刃で根元から切り落とした。
 禍鬼が絶叫する中、花盛は眉間に皺を寄せて刀の柄を握り締めた。
「啼くな、喚くな。貴様はその声が好きかもしれんが、私は嫌いなんだ」
 そして大きく開かれた口に刀ごと花盛の拳骨が突っ込まれる。
 禍鬼の肉を切り裂きながら放たれた拳骨が禍鬼の首から突き出ると同時に、その姿は塵と消えた。
『一撃を避けぬ者には二撃が待つ、覚えておくが良い!』
 毒より痛い羅刹女の拳を大いに味わった同胞の姿を見た禍鬼は即座に反転し、撤退しようとする。その混乱に乗じて、巧が林の中から飛び出してきた。
 その姿に気づいた禍鬼が周りの同胞を巻き込みながら全身から雷を放ち、挟み撃ちをかけてきた猟兵達を潰しにかかる。
 その光と音に気づいた巧はすぐに距離を取り、地面に転がっていた禍鬼の棍棒を地面に突き刺す。
 そして雷が棍棒に流れた瞬間に距離を詰めた。
『いきますよ!』
 突然叩き込まれた頭突きに禍鬼の集中力が切れ、雷が消える。その瞬間、巧のアッパーカットがその顎に入った。
「こん棒や尻尾という武器は素手格闘の間合いだと小回り効かないからね、思う存分やらせてもらう!」
 その言葉通り、禍鬼は棍棒や尻尾で巧を払おうとしたがそれよりも早く拳や膝打ちが入ってその手を止めさせる。
 あまりに圧倒的な実力差を見せながら、2人はお互いに目の前にいる禍鬼を叩きのめし続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィルバー・グリーズマン
おっ、人の絶望顔や断末魔が好物なんですって?
奇遇ですね、僕も人は選びますが大好きですよ
ただ、オブリビオンのはもっと好きです!

奇襲で相手がいる地面、周囲に木があるならばそれも、魔術『マッドネスソーン』で粘着化しましょうか
この魔術は、僕の歩く場所だけを魔術を解除すれば僕に効果はありません
粘着化に成功すれば、【マッドハッター】発動です
宣告するルールは「攻撃するな」。攻撃すれば多分死にますよ

基本攻撃は、魔術『タイムクリエイト』で自身は加速、敵は低速化させてから、禍鬼の頭を魔本でぶん殴ります
毒を撃っても構いませんが、低速化しているので普通に避けます
それと、撃てばルールで死にますよ

いいですね、その断末魔!



 弱者を狙う、ということは自分よりも強い相手の近くにはよりつかない、ということの裏返しである。
 あの巨岩が落ちてきた時点で「自分達では対処不可能」だと判断した禍鬼達は早くも陣が目視できる所にまで戻っていた。
 良く言えば先見の明がある者、悪く言えば臆病者だった禍鬼達の行く先に1人の男が待ち構えていた。
「人の絶望顔や断末魔が好物なんですって? 奇遇ですね、僕も人は選びますが大好きですよ。ただ、オブリビオンのはもっと好きです!」
 出会って早々にマシンガントークを始めるウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)に禍鬼達は尻尾を煽って威嚇する。
 そんな禍鬼達に向け、ウィルバーは高笑いしながら指を鳴らした。
『はい、一方的なゲームを始めましょう。「攻撃するな」』
 その言葉と同時に禍鬼達の周りにある地面や岩、木々に粘り気が生まれる。
 しかしそれは完全に動きを縛り付けるほどではなく、禍鬼達は全く気にせずに突進を仕掛けた。
 そしてウィルバーに向けて棍棒や尻尾を叩きつけようとした時にそれは起こった。
「アアアアアアアアアアアアア!」
 殴りかかろうとしていた禍鬼が突如として動きを止めて絶叫する。棍棒を手から滑り落とし、全身を痙攣させ続々と消失していった。
「いいですね、その断末魔!」
 手を叩いて笑うウィルバーの様子に、生き残った禍鬼達はこのネバネバし始めた地面に何かがあると感じ取った。
 ならばこのおかしな地形から逃げるのが先決だと考えた禍鬼達は、強そうな花盛や巧がいる後方ではなく、ウィルバーのいる方向へと走り出した。
「おっといけません」
 ウィルバーの持つ本が光る。その瞬間、禍鬼達の動きは一気に遅くなった。
 本をバットのように構えたウィルバーは先頭を走る禍鬼が自分の力が一番入る間合いに入るまでじっくりとタイミングを計っていた。
 そして、その禍鬼の頭が範囲に入る。
「ぶつかる瞬間だけ、こう!」
 再び本が光り、ウィルバーのスイングが逆に加速する。
 ゴッ、という重い音と同時に禍鬼の頭が消失し、遅れて体も消えていく。
 そんなことが起きたにもかかわらず、禍鬼達は進む足を止めようとしない。……遅い時間に囚われた彼らの中ではウィルバーと同胞が凄まじい速さですれ違って消えたようにしか見えていないのだ。
「さあ、今日は何本打てますかね?」
 ウィルバーは打った余韻もそこそこに、楽しげに再び本を構え直した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
※アドリブ・共闘歓迎

山の中での狩りならそれなりに得意だし、奇襲もまあ何とかやってみようか。

【倍増変異】でまずカメレオンスキンの性能を強化、周囲の風景に擬態しながら待ち伏せしてる敵陣にこっそり潜入するよ。
うまく潜入できたら、今度は雷電尾の性能を強化して電撃で広範囲を纏めて攻撃。
電撃でマヒしたり気絶して動ける奴が減ってくれれば相手も混乱して戦いやすくなるかな。
後は脚を強化して、山の中を走り回りながら戦おうか。
感情の爆発が力の源なら、あまり戦略的な動きはしないだろうし、
機動力で上回れば囲まれないように動くのはそう難しい事じゃないはず。
集団から離れた奴や隙を見せた奴から順番に、一体ずつ仕留めていこう。


杜鬼・クロウ
アドリブ◎

俺が一番この敵の特性を熟知してる
だからこそ油断ならねェ
弱者をより狙う分、次ぐ行動は読み取りやすい
…誰も、殺らせねェ(もう誰も

思い返すは故郷の杜
散った村人の命は数知らず
普段以上に鬼気迫る

夜雀使い偵察
敵の位置を正確に把握
山の障害物に隠れ暫し様子見
敵を包囲しタイミング見て奇襲(先制攻撃
敵の寝首狩る

【煉獄の魂呼び】使用
禍鬼同士で闘わせ撹乱
力と力の小競り合い
棍棒で殴る
敵の攻撃は外套か玄夜叉で防御し押し勝つ(かばう・武器受け
剣に風を宿し敵を封殺(属性攻撃・2回攻撃

八の型、死の沈丁花
心は不滅の鋼
花開き薫りし時既に決着はつく

己が敵を使い倒すってのも皮肉な話だがなァ
敵が怯んだなら儲けモンだ

此れは戒め



「俺が一番この敵の特性を熟知してる。だからこそ油断ならねェ」
 杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)の見つめる先は先ほどまで巧が眺めていた物と同じ陣。
 その数は夜雀による監視を始めた時よりも大きく数を減らしていたが、杜鬼の表情は晴れていなかった。
「……もう誰も、殺らせねェ」
 煤焦げた民家と、毒に苦しみながら息絶えた友人や隣人、顔見知りの姿が脳裏をよぎる。
 そして、柄を握り締めている手の力は自然と強くなっていた。
 その一方、スペースの空いた禍鬼達の陣地を間近で見る瞳が2つあった。
「山の中での狩りならそれなりに得意だし、奇襲もまあ何とかやってみようか」
 【倍増変異】でカメレオンスキンの性能を強化し、周囲の風景に擬態しながら敵陣に潜り込んだペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は禍鬼達が集まる中心部にこそこそと歩を進める。
『もう少しだけ、力を引き出すよ!』
 そして禍鬼達が集まっている所に着くと今度は雷電尾の性能を強化し、電撃で広範囲を纏めて薙ぎ払った。
 お株を奪われる電撃に体をしびれさせられた禍鬼達が地面に叩きつけられる中、立ち上がろうとした禍鬼の視界には覆い尽くさんばかりの黒い握り拳があった。
「よいしょー」
 間延びしたような緩い声から放たれる一撃に禍鬼の頭が地面に埋まる。
 突如として強者が自陣内に現れたことに雷電尾の一撃を食らわなかった禍鬼達は一斉に距離を取ろうとした。
 しかしその内の一体の首に風の魔力が纏っている刃が後ろから当てられる。
 そしてそれが一気に横に滑ると、斬られた所から鮮血が噴き出した。
『杜鬼クロウの名を以て命ずる。拓かれし黄泉の門から顕現せよ!贖罪の呪器……混淆解放──血肉となりて我に応えろ!』
 禍鬼の陣地の周りには杜鬼による包囲がすでに成されていた。しかしその包囲をしていたのは紛れも無い「禍鬼」だった。
「アアアアアアアアア!」
 禍鬼が近くにいた禍鬼に殴りかかる。それは尾を振り回したり電撃を飛ばしたりした時の無意識の攻撃ではなく、明確に意識的に狙った攻撃。
 突然の同士討ちに禍鬼達は混乱しながらも対峙する。その内、血肉を求める衝動によって誰が味方か裏切り者かも分からなくなり手当たり次第に攻撃するようになっていった。
「己が敵を使い倒すってのも皮肉な話だがなァ。敵が怯んだなら儲けモンだ」
 流れ弾で飛んできた電撃や毒液を玄夜叉で防御し、逆に近くにいた禍鬼に押し付ける。
 動きを鈍くさせられた禍鬼は近くにいた別の禍鬼達に袋叩きにされて消滅していった。
 逆に冷静さを保っていた禍鬼は乱戦状態から退却しようと陣地を離れたが、足を強化したペトにあっさりと追いつかれ同胞の物よりも重い一撃を食らって爆散した。
「感情的な奴が多いかと思ってたんだけど、少しは頭が使えるやつがいたんだねー。まー、あたしよりも早くはないんだけどっ⁉︎」
 ペトの髪が強風に煽られ、思わず顔を背ける。視線だけ吹いてきた方向を見ると、禍鬼の陣地だった場所にとてつもない大きさの竜巻が発生していた。
「八の型、死の沈丁花。心は不滅の鋼。花開き薫りし時既に決着はつく」
 竜巻が収まったタイミングでペトが戻ってくると、そこには禍鬼達の死骸が辺りに散らばる中、黒く変色した剣の切っ先を地面に下ろした杜鬼が中央に立っていた。
「……此れは戒めだ」
 禍鬼の死骸が風に巻かれて消滅していく中、杜鬼はどこか遠い目を空に向けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月05日


挿絵イラスト