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エンパイアウォー⑤～答えを叫べ、いっせーの！

作者：るちる

●戦の始まり
「皆さん、お集まりいただき、ありがとうございますわ」
　深護・刹那（花誘う蝶・f03199）が集まってくれた猟兵たちに礼を述べる。
「既に聞き及んでるかと思いますが、サムライエンパイアの第六天魔軍が徳川幕府に一大攻勢を仕掛けてきました」
　この軍勢に対し、徳川幕府は幕府軍を結成、総力をあげて織田信長を撃破すべく動き出した。
「もちろん、敵も黙って見てることはない……のは想定内なのですが、もうひとつ困ったことがありまして」
　そこで困った顔をする刹那。その口が述べたのは。
「兵糧が足りないのですわ」

●まさかの経済戦争
　10万もの大軍となった幕府軍。しかし、行軍には様々な物資がいる。武器や鎧もそうだし、もちろん食べるものだって。
「徳川幕府は全国の商人からこれらを購入しようとしたのですが、その値段が『天井知らずで高騰し続けている』のですわ」
　そのため、幕府の資金では必要な量の補給物資を買い揃えることができない。このままでは軍を動かすに十分な補給物資が整わないのだ。
　これは個人資産が徳川幕府の全資産を凌駕する魔軍将の一人、大悪災『日野富子』の買い占めによるもの。これに対し、今から策を巡らせても間に合わない。
「ゆえに徳川幕府は神君家康公が有事の為にと遺した『徳川埋蔵金』を使うことに決めたのです！」
　刹那の瞳が期待を込めて猟兵たちへ向けられる。
「皆さんにお願いしたいのは、その埋蔵金の回収ですわ」

●埋蔵金の『鍵』
　埋蔵金の場所までは、徳川家に伝えられている『徳川埋蔵金の地図』を借り受けることで到達することができる。
　しかし、問題はそこからだ。徳川家秘蔵の埋蔵金、容易く奪われては意味が無い。そのため、埋蔵金の隠し場所は魔術的な力で隠されている。
「その上、『鍵』を解かなければ上様とて入れないのですわ」
　その鍵ーー謎を解くのが今回のミッションだ。

●謎を解け！
　サムライエンパイアへと飛んだ猟兵たちはさっそく埋蔵金の隠し場所まで足を運ぶ。魔術的な力は地図で解除し、閉ざされた門の前に辿り着く。猟兵たちが持つユーベルコードの力に反応して、門に刻まれた『鍵』、謎が浮かび上がる。

（ーーー）
『色は匂へど　散りぬるを』
『我が世誰そ　常ならむ』
『有為の奥山　今日越えて』
『浅き夢見し　酔ひもせず』

　『獣』の後に続く言葉を叫ぶがいい。
　されどそのまま叫ぶは獣の所業。
　知恵ある『人』はその3文字で意味を成す。
　その言葉こそが今必要なもの。
（ーーー）

　この謎かけを解き、埋蔵金を入手せよ。

第1章 冒険 『神君家康公の謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●謎を解け！
　徳川家より預かった『徳川埋蔵金の地図』に従って。5人の猟兵たちが埋蔵金の場所へと赴く。途中の難は難なく退け、たどり着いた先に待ち受けるのは、埋蔵金の在り処と猟兵たちを隔てる門。そこに刻まれた『鍵』――すなわち、『謎』を解くべく、猟兵たちはその問いかけに挑む。

●意外とあっさり
　現実的な問題として、門を前にした猟兵たちはたったひとつの単語を皆それぞれ口にした。すなわち。
「いろはうたか……」
「伊呂波歌か……」
「これはいろは歌じゃな」
「いろは歌だよね、これ」
　順に二天堂・たま（神速の料理人・f14723）、落浜・語（ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558）、姫鶴・小夜（麗刀姫鶴・f11358）、水島・可奈（少女自由に夢幻を掴め・f01117）の言葉である。ついでに言うと、今は沈黙を保っている雷田・水果（人派ドラゴニアンの鞭使い・f19347）も全力で『いろは歌』だということに気づいていた。
　なので。
「いろは坂にひらがなで立て看板があったような気がする」
「『とかなくてしす』というアレか。まあそれは今回の答えではないな」
　と、たまと小夜から周辺知識まで出てくる次第である。
　まぁそんな感じで。事前の共通認識が早い段階で作れたということはかなりのアドバンテージだ。

　この謎の解き方もやはり閃くところは一緒のようだ。
「謎解きのヒントは、ひらがな」
　水果がそう呟き、木の枝を使って地面に文字を書き出す。
「まずは、いろは歌をひらがなにすると……」

『いろはにほへど　ちりぬるを
　わがよだれそ　　つねならむ
　うゐのおくやま　けふこえて
　あさきゆめみし　ゑいもせず』

　もう少し正確にやるなら濁点を省く等、必要だろうが、今はこれで十分。

「獣の後に続く言葉。単純に考えていいのかな」
　と語が話せば。
「獣……「け」「も」「の」のそれぞれ後ろにあるのは……」
　たまが文字を指さしながら探し。
「この歌に該当する箇所は「けふこえて」、「よひもせず」、「ういのおくやま」じゃな」
　小夜がその箇所を読み上げる。
「『ふ』『せ』『お』」
　水果がそのまま読み上げるが。
「これでは意味が通らぬ」
「……このまま読むのは獣の所業……」
　その言葉の響きに小夜と可奈が思わず黙り込む。そこへ言葉を差し入れたのは語。
「知恵ある人は3文字で意味をなす、か」
　ふむ、と腕を組みながらそう呟く語。
「ということは、増やすわけでも減らすわけでもなさそうだし」
「つまり、これらを使って意味のある言葉にせよ、ということかの」
　語の言葉に、可奈と小夜も閃きを得たようで。
「これを並び替えて……」
「……もしや、アナグラム？」
　水果から出てきた言葉に可奈も頷きを返して、地面にかりかり文字を書く。
「あっ――アナグラムできた」
　と喜びを表す可奈の横で。
「埋蔵『金』……お金にまつわると言えば」
　と別アプローチから攻めるたま。

　そして出てきた答えは！

「この3文字で意味なる言葉」
　小夜の言葉に語とたまが続く。
「……『おふせ』か？」
「『お布施』に違いない！なんてな」
　と出てきた答えに。
「今必要なもの、にもあってるし」
　可奈が頷きを返せば。
「そのために謎解きしてるわけだし」
　語がさらに同意を示す。
「答えは、『おふせ』です」
　水果は凛として、門に回答する。

　そして。

　5人の声に反応して、門が開く。
「……当たりかよ」
　その事実に驚愕する語の横で。
　答えにたどり着いたことが内心うれしくて、ついつい無意識にユーべルコード『Majestic Aura』な威光を放ってしまう水果でした。

●埋蔵金を見つけたので
　門が開いた先。　その先に鎮座していたのは、神君家康公が隠し持っていた徳川の埋蔵金。
「ふむ、これが埋蔵金か。みごとなもんじゃな」
　と小夜が感嘆の声をあげれば。
「あはは……久しぶりに見たよ、こんなお宝っぽいお宝」
　と可奈も思わず声をこぼす。
「にしてもこんだけよく貯めたよな……流石」
　語もまた同じく感嘆の吐息をこぼして。
「贋作じゃないよね？　一応……」
　目の前の金を手に取ってみて確認する可奈。大丈夫、本物だ。
「よくこれだけの財を隠したまま財政を滞らせずにいたものだ……徳川家康最大の才は商才なのか？」
　とたまが言うのもさもありなん。とんでもない量の金が目の前にどーんとあるわけだから。

「それじゃ、みんなで持ち運びしよっか！　あ、男子そっちの重い方持ってね！」
「えっ」
　可奈の言葉に語がびっくりして振り返る。何故なら5人中、男子2名。うち一人はケットシー（身長が小さい）。必然的に視線は語に注がれるわけである。
「待て、流石に俺だけじゃ……」
「『妖精の里』に収納して持ち帰ろう」
　圧倒的な戦力（持ち帰りの配分）差に抗議しようとした語を遮って、たまがユーベルコード『妖精の里』を使う。たまの肉球に触れた金がたまの『妖精の里』に吸い込まれていく。
「神君家康公が残した埋蔵金、とても手荷物として持ち帰れる量ではないからな……」

　運搬手段、万事解決！

　とは言っても手持無沙汰もなんか寂しいので、持てる範囲で金を抱える小夜や語がおりまして。

「これで少しでも戦争が優位に進められればいいが……」
　そう呟く語の言葉に、水果が小さく頷く。

　この埋蔵金を急ぎ、幕府に届けなくては。
　猟兵たちは江戸への帰路へとつくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月07日