エンパイアウォー⑤~埋蔵金の算額奉納
●徳川家康公の遺した問い
ニコラが転移先として提示したのは、江戸城のすぐ近くにあるこぢんまりとした神社であった。
「徳川軍を動かすための兵站、それを購入するためにお金が必要なのは皆もご存知だと思うわ。そして、それを妨害するべく大悪災『日野富子』が動いていることも」
市場に流れている必要物資の多くが、日野富子によって買い占められたことにより異常な高騰を見せている。それに抗うには大量の金子が必要だが……今現在、幕府が所有している財を全てなげうっても、幕府軍を賄うのに足りないのだという。
「こういう状況を見通していたからかどうかは判らないけれど、神君家康公の遺した埋蔵金があるとのこと……今回向かってもらうのは、その1つが奉納された神社となるわ」
今回転移先となっているのがその神社らしい。
「とはいえ……第三者がその埋蔵金を奪えないよう、家康公は謎を鍵として残したわ。この神社には、算額……数学的な問題としてね」
そして、ニコラがグリモアの表示を切り替える――どうやら、家康公の遺した算額問題の全文らしい。
そもさん。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛、それはどの二つも異なる弐から九の数である。
三桁の数である【甲乙平】と【丁戊己】を足すと四桁の数すなわち【千と庚辛】になる。
この加算での繰上りは百の位から千の位にのみあるとき、《庚と辛の和は幾らであるか?》
加えて、甲が丁よりも大きいとき《甲乙丙として考えうる三桁の数は何通りあるか?》
「家康公の求める応えは庚と辛の和、そして甲乙平の組み合わせの2つとなるわ。どうやらこの算額そのものに魔術的に埋蔵金が封じられているようで、正答を出せればそれが手に入るみたい……だから、皆でこの問題にチャレンジしてみて頂戴」
その声かけとともに、ニコラがその場に集った猟兵たちに配るのは問題文を複写した紙。
「計算用の白紙も用意してあるわ」
にっこり笑って配布を続けるニコラ。
さて――埋蔵金を手に入れるために、今回は少し頭をひねる必要がありそうだ。
Reyo
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。
埋蔵金への謎として残されたのは家康公のしたためた算額。本シナリオではこの数学的問いに正答することにより、幕府軍の資金となる埋蔵金を獲得することが出来ます。
プレイングにはOP中の出題に対する答案および解放を頂ければと思います。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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また、本シナリオは必要王冠数が「3」と少なくなっております。
正答の方がいらっしゃればその方を大成功として即完結する可能性もありますのでご注意ください。
答えがニアミスの場合、成功もしくは失敗としますのでもう1トライが可能です。
誤答の場合はプレイング返却とさせていただきます。
正答プレイングが多数集まった場合、現地の神社で謎解きしているシーンでまとめてリプレイ化予定です。
どうぞよろしくお願いします。
第1章 冒険
『神君家康公の謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。
SPD : 素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
※誤字訂正※
誤:問題文3行目「三桁の数である【甲乙平】」
正:三桁の数である【甲乙丙】
舞塚・バサラ
こういう時は条件を明確にするのが定石で御座る
この条件を満たすのであれば甲と丁の和が十
加えて乙丙と戌巳の和は百を越えぬ、という事で御座る
即ち…甲と丁の組み合わせは3と7、2と8、6と4
この三通りに御座る
後は総当りで乙丙と戌巳百にならぬ上にどの数字も被らぬ組み合わせを模索すれば…
庚と辛の和は17に御座るかな?
そして甲が丁を上回る…即ち甲が6、7の時に発生しうる3桁は…
657、632、623、675、724、742、765、756
即ち八通りと踏んだで御座る
さて…これが一先ず某達で考えた総論で御座るが…
如何なものか…
リダン・ムグルエギ
え、めんどくさ…
誰か、表、代わりに書いてくれない?
とりあえず、まずはこーちょーの組合せを考えると
A28
B37
C46
余り物の59
このA~Cどれかがこーちょーね
後の残りは34が合計だから、2で割って17
庚と辛の和は17になるわよ
で、17の内訳は「8と9」までは確定
で、ここでAの組合せが消えたわねー
ちゃんと消した?
余り物の2、5、8、9に対してはBもCもあり得る組み合わせだわ
甲乙平の組合せは
甲がBの時
乙丙は2+6、4+5のいずれかで8通り
甲がCの時も2+7、3+5で8通り
というわけで、16通りかしら
なんにせよ戦わずに戦争に寄与するって楽でいいわ
埋蔵金でウチの商品また買ってもらいましょ
桜咲・智依子
えーと、つまりこれって論理クイズだね?
ちょこちょこ……(計算用紙に書いて)
足した時の繰り上がりが百から千だけ
結果は10庚辛だから甲+丁=10
入る数字は2~8だから
すなわち(甲,丁)=(6,4),(7,3),(8,2)
で、繰り上がりが起こらないから
乙+戊<10、丙+己<10
ここで(甲,丁)=(8,2)だと数字の重複が起きるから没
(6,4)と(7,3)のみになって……えーと
《庚と辛の和は幾らであるか?》
8+9=『17』
に、なって……
《甲乙丙として考えうる三桁の数は何通りあるか?》
675+423,657+432,765+324,756+342
……の『4通り』
どーかな?
●説破
同じ旅団の誼というのもあってか、その3人は机を囲んで額を突き合わせていた。
「まぁ、こういう時は条件を明確にするのが定石で御座るな」
「まぁ、そうだけど……ちょっとめんどくさいわね。誰か、表にしてくれない?」
暫くの沈黙の後、口火を切ったのは舞塚・バサラ(罰裁黒影・f00034)であり、それに応じてあからさまに面倒くささを表情に現したのはリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)である。
「はーい、つまり論理クイズだものね」
ちょこちょこ、と独り言を漏らしながらそのオーダーに答えたのは桜咲・智依子(みこーん☆ちょこたん・f16218)だ。
智依子が計算用紙の上に記したのは次のような式である。
・甲乙丙+丁戊己=10庚辛
「これで、足したときの繰上りが百の位から千の位だけ、なんだよね」
「で、御座るな。つまり、甲と丁の和がちょうど十。それに加えて、残る2桁同士の和は百を超えぬ、という事で御座るな」
うむ、と頷きつつ加えるバサラ。サラサラと書き足されるのは、その式をさらに分解した細かい条件である。
・甲+丁=10
・乙+戌=庚
・丙+己=辛
「なら、まずはこーちょーの組み合わせを考えるべきね……あとは、余りもの」
リダンが面倒くさそうな表情を隠さないままペンを取り、その下に甲と丁の組み合わせをいくつか書き記す。
A:2+8
B:3+7
C:4+6
余りもの:5と9
「あとは総当たりで考えても――」
「嫌よ、めんどくさい。2から9の和が44なんだから、10になる組み合わせを差っ引いて残りが34でしょ?」
白紙の量にものを言わせて数字を書きだしたバサラをリダンが止める。代わりに書き記すのは、もう1つの式だ。
・(乙+戌)+(丙+己)=庚+辛
「この両側で等しいんだから、庚と辛は合計17よ」
「……やはり数字の扱いに慣れているのは商人ならではで御座るか?」
ほぅ、と唸りながら褒めるバサラに、リダンが僅かに得意げな顔をする。
「それなら、17になる組み合わせは8と9しかないからそれで確定だね」
それを聞いていた智依子もなるほどという顔をし、使用できる数字の一覧から8と9を消した。
「残っているのが2から7だから……甲と丁の組み合わせも2パターンだけだね」
だったら、と言いながら智依子はカリカリと3桁の数字を書き出していく。
「それで、甲が丁よりも大きいから……」
彼女がその場に示したのは4通りの数式
・675+423
・657+432
・765+324
・756+342
「よぉし、これで……!」
「いや、待つで御座る」
喜び勇んでその4通りを解答として奉納しに行こうとする智依子をバサラが止める。
「下2ケタについては、乙丙と戊己の間で入れ替えが可能で御座る。つまりその倍」
バサラが書き出す数字は8パターン。
・657,675、632,623、724,742、765,756
「この8通りで御座ろう」
「いえ、まだあるわ」
そこにさらに口を差し挟むリダン。なんと、と智依子とバサラの両名が驚いた表情でリダンを見返した。
「……とりあえず、甲が7の時の組み合わせで説明しましょうか」
こくこくと頷く智依子とバサラを前に、リダンは紙の端に「7」を大きく書いて説明を始める。
「乙丙の組み合わせは、2+6か4+5になるわよね――この時点で乙に入りうる数字のパターンは4つ」
記されるのは、7の後に2,6,4,5の何れかを当てはめた時の数字パターン。
7-2
6
4
5
「どれか1つが入った時点で、乙の対になる戌の数字が決まるわよね? それで、2と6か4と5の組の内、どちらかが残って――」
724,725
764,765
742,746
752,756
「こういう風に、それぞれのところで2つずつ数字が使えるから、甲の数字1つに対して考えられる3桁が8パターン……甲が6でも、これが同じだから最終的に16通り」
さらさらと記されていくのは甲が6であるときの数字、それもまた8通り。総じて16通りとなった数字の羅列を示していく。
「というわけで、答えは17と16通り――どうかしらね、神君家康公?」
最終的な答えを絵馬に記し、奉納するリダン。バサラと智依子の2人は絵馬を掛けるリダンの動作を固唾をのんで見守っており……
――良き哉
リダンが絵馬を奉納したその瞬間、壮年の男の声が3人の耳へと届く。果たしてそれは家康公が生前残したものか、あるいは埋蔵金を預かったこの神社の主が零したものか。
「戦わずに戦争に寄与するのって、楽でいいわね――さて、2人とも。これを幕府に運び込むついでに、ウチの商品の売り込み、手伝ってもらってもいいかしら?」
バサラと智依子を振り返って笑うリダンの背後には、一抱えでは済みそうにない金塊の山が出来上がっていた。
大成功
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