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エンパイアウォー④~霊峰を穢す者

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●富士の樹海
「ふんふふんふ~ん♪」
 富士の樹海。木々に遮られて陽の光が翳った薄暗い場所に、似つかわしくない、明るい鼻歌が響く。
「ふんふんふふふ~ん♪」
 ただ薄暗いだけではない。周囲の木々には呪符が張られ、空気は淀み、何らかの薬品と思しき、鼻をつくような嫌な臭いがする。
 明らかに怪しい儀式が行われているのは明らかで……それだけに、その明るさに違和感が強い。
 鼻歌の主である妖狐の少女は、満面の笑みを浮かべながら傀儡を操り。
「ふふんふ~ん……ほいっ」
『キュゥゥゥゥゥゥッ!』
 その傀儡が振り下ろした刃物が、悲痛な声を上げる小さな竜の身体に突き刺さった。溢れ出す血が儀式場を染め、怪しげな紋様を描いていく。
「はいはーい、死んじゃダメですよー。必要なのは生き血ですからねー」
 竜の悲鳴などまるで意に介さぬまま、少女は竜から血を奪い、儀式を続けていく。

●グリモアベース
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「先日サムライエンパイアで起こった『寛永三方ヶ原の戦い』の顛末は知ってるかな。ボクも1つ予知させて貰ったし、キミ達の中にも参加した猟兵はいるだろうね」
 儀式魔術【Q】によって明かされた武田信玄復活の目論見。それを阻止すべく激突した徳川軍+猟兵とオブリビオン武田軍の合戦は、徳川方の勝利に終わった。
 これにより、戦国最強と呼ばれた武田軍団は崩壊し、武田信玄の復活は未然に阻止されたのである。
「けど……それは前哨戦に過ぎなかった。武田信玄は、織田信長に従う『魔軍将』の一人に過ぎなかったんだ」
 オブリビオン・フォーミュラたる信長は、肥前国・島原藩に『魔空安土城』を築き上げ、何らかの邪悪な陰謀を企てている。魔空安土城には強固な防護が張り巡らされ、猟兵にも破壊できない。唯一、破壊が可能なのは、『首塚の一族』と呼ばれる存在のみ。
 幕府将軍・徳川家光は、首塚の一族を守護するため、10万の軍勢とともに江戸を出立した。到着予定日は8月21日。
「とはいえ、もちろん信長軍もこの作戦を黙って成就させてはくれない。配下の魔軍将を全国に派兵し、妨害を仕掛けてくるんだ。と、言う事で!」
 ここからが本題、とばかりにくるるは猟兵達を見回す。
「キミ達は、この妨害を阻止し、幕府の進軍を助けて欲しい!」

 今回猟兵達が向かうのは、富士山。エンパイア最大の霊峰だ。
「魔軍将の一人、侵略渡来人コルテスは、この富士山を噴火させるため、邪悪な儀式を行っているんだ」
 噴火を許せば、東海・甲信越・関東の広域に、壊滅的な被害が発生する。民の被害は言うに及ばず、幕府も当然、災害対応のために軍勢を裂かなければならない。
「と言う訳でキミ達にはこれを阻止してもらうよ!」
 儀式を行っているのは、アズサと言う妖狐の女性。本人は巫女と名乗っているが、自分の利益のために他者を欺き傷つける事を厭わぬ邪悪な呪術師だ。
「彼女は富士の樹海のどこかにある、隠された儀式場で儀式を行っているんだ。コルテスが支配する善神・ケツァルコアトルの子供から血を奪って、それを使って陣を描くって言うね」
 思わず残酷さに顔を歪めるような、邪悪な儀式だ。儀式が成れば、その邪悪な霊力は霊峰を大きく揺さぶり、噴火に一歩近づく事になるだろう。
「そんな事、許せないよね。必ずそれを探し出して、撃破して欲しい」
 樹海は広い。儀式場を探すのにはそれなりの工夫が必要だろう。だが上手くすれば敵に奇襲を仕掛ける事も可能だ。
 無論、探索や奇襲に意識を裂きすぎて戦闘が疎かになっては本末転倒。他の猟兵に探索は任せて、戦闘に集中すると言うのも一つの手段である。

「信長の野望を挫く……のも当然だけど。それ以上に、富士山噴火なんて許す訳には行かないよね!」
 サムライエンパイアの未来、そして人々の安寧。その2つを守るためにも、決して負けられない戦いだ。
 いつもどおりの、わざとらしいほど可愛い仕草の中に、僅かな緊張と期待を混じらせ、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」


一二三四五六
 さあ、第三の戦争はサムライエンパイア!

 ごきげんよう。エンパイア・ウォー初戦をお届けします。一二三四五六です。

 ボス戦『巫女を騙る者・アズサ』は、ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)さんの宿敵です。投稿ありがとうございます。

 執筆は、とりあえず今三章書いてる依頼が有るのでそっちが先ですが、それが完成次第(失効まで時間が有っても)着手します。まあでもプレイングは焦らずどうぞ。

 それでは、皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『巫女を騙る者・アズサ』

POW   :    私、傀儡回しは得意なんですよ~?
自身が装備する【操り人形】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    その怨み、私の力にしちゃいますね~
全身を【怨霊】で覆い、自身の【食い物にしてきた人間の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    私の活躍、そこで指を咥えて見てると良いですよ♪
戦闘力のない【怨霊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【怨みと嘆き】によって武器や防具がパワーアップする。

イラスト:赤霧天樹

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

草野・姫子
※アドリブ・連携歓迎
霊峰を血で汚す上に噴火させるじゃと……?
その周囲の森や其処に住まう者をなんだと思うておる。
ヒト同士の争いに興味はないが……絶対に許さぬぞ。

あいにくとこの姿で戦うのは不向きなのでな、探索を優先させてもらう
樹海は広いが、そこに住む者は数多じゃ
【草花の化身】の力で植物達に、UC【自然の朋輩】で友の動物と虫達に敵の場所を調べてもらう
現地の動物から【情報収集】し【聞き耳】を立てるのは容易じゃろう
他の猟兵たちを導くのに協力してもらい、彼らが道案内することを伝えよう
もし敵を発見し、必要ならば【時間稼ぎ】を願うが……友にそこまでさせたくない
大丈夫、ヒトは神の助けがなくとも前に進めるものじゃ


筒石・トオル
WIZ

儀式も気に入らないが、その結果起こる噴火はもっと許せない。
「一体どれだけの人々に被害が出ると思ってるんだ!」
絶対に阻止する。

敵である巫女を騙る者・アズサの『私の活躍、そこで指を咥えて見てると良いですよ♪』に対し、『ヒプノシスリストラクション』を使うことで動きを止める。武器や防具が強化されても、動けなければ攻撃も回避も出来ない筈。
ユーベルコードを使っていない間は、熱線銃で牽制攻撃をするなどして、敵の気を引いたり仲間が動き易いようにする。
【フェイント、援護射撃、スナイパー、早業、見切り】


ゼット・ドラグ
「ここにいるのは自称巫女か。何でもいい、コルテスをあぶり出すためにやってやるぜ!」
とはいえ、探索は苦手なので他の猟兵についていき、奇襲を仕掛けるならば囮になったりする。
戦闘になったら、双剣形態の【竜を殺す百の刃】で操り人形をばったばったと切り払い、他の猟兵が本体と戦いやすい環境を作りつつ、【ヴァリアブルウェポン】で両手を合わせて前に突き出し、攻撃力重視の大型の大砲に変形させて攻撃する。
「よく遠距離攻撃が苦手と思われてるが、そんなことはない事を証明してやろう。食らえ!瞬滅之焔だ!」


片桐・公明
「樹海のどこかで儀式をしているなら、目隠しになっている木々を焼き払えば顕わになるわね。」
UCを放ち周囲の森を焼き払う

敵と相対したら高らかに名乗りを上げる。
「私は片桐公明。天下自在符に導かれ、義によって将軍家光公に助太刀するわ。…こうやって名乗るのがこの世界の習わしなんでしょう?」

生贄の竜から引き離すことを目的に敵への攻撃は牽制を主とする
引き離しつつ、自身は竜に近づいていく

「竜の生血が必要なんでしょう。そう簡単にやらせないわよ。」

隙があれば周囲、特に地面を観察し、陣らしきものを見つけたらUCを使い地面をえぐるようにして陣の破壊を試みる。

(絡み、アドリブ歓迎です。)


伊美砂・アクアノート
【SPD 短刀法選・八天斬】
いや、まあ。オレ個人としては見知らぬ竜種の子供がイジメられてるとかは、正直どうでもいいんだが……ボクは浦島太郎でも無いし…。
だけど、拙者は政治とか難しいコトは判らんのでゴザルが、一つだけ分かるでござるよ
【2回攻撃10、早業10、暗殺11】……貴様の首には価値がある、というコトである。恨みも辛みも、怨恨や義憤も何一つ無いが、某の利益の為に此処で果てよ。 鉈を片手にして振り回し、追い回しながら隠し持った武器を投擲。武器を投げつけるほどに、少しずつ体が軽くなるので、八天斬が加速する。 これも戦国の世の習いと言うモノであろ、我輩が恩賞を貰うためにも首を寄越してくれないかね?


大崎・玉恵
久しいのう、似非巫女。あずさと言ったか。
お主は覚えておらぬやも知れぬが、わしはつい先日お主を骸の海に叩き返したばかりじゃ。
祭神のない形だけの巫女に、今一度神が格の違いを見せてやろう。

【威厳】【存在感】を以って神として相対する。
【式陣・朱天照】を広範囲に展開、傀儡回しと高速飛行を牽制する。
徐々に範囲を狭めて追い込み、奴が火に触れる、何かにぶつかるなどの隙が生じた時に一気に殺到させ致命傷を狙う。
怨霊は【破魔】で黄泉平坂へ導いてやろう。

あの蛇……異国の神の眷属か。巫女を追い込む時は蛇から遠ざかるように誘導し、これ以上の傷が刻まれないように計らおうかのう。
奴の行動を制限すれば、儀式も成らぬはずじゃ。


黒川・闇慈
「ふうむ、力を持った存在の血を捧げる儀式ですか……ありがちですねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
まずは儀式場を探さなければいけませんか。儀式場というからにはそれなりの広さの場所が必要になるでしょう。空から探せば樹海の中にぽっかり空いた場所を見つけられるかもしれません。
ですので高速詠唱、全力魔法、呪詛の技能を用いてカース・ブーストを使用します。呪力高励起体に変身したら、上空を飛行して儀式場を捜索しましょう。
儀式場を発見したら、上空から奇襲です。怨念火砲の呪力砲撃を雨のように降らせて差し上げましょう。

「私から見るとなんともつまらない儀式ですねえ。クックック」

【アドリブ歓迎】


露木・鬼燈
故郷の皆もどこかで暴れてるんだろうなー。
僕もがんばらないとね!
さて…まずは探索?
出鼻をくじかれた感があるけどがんばるですよ。
<骸晶>を展開し、魔力を利用したレーダー探査を実行。
膨大な情報から呪力と竜の生体波を如意宝珠の演算で抽出。
場所を割り出したら狙撃ポイントへ。
レーダー探査で猟兵の動きに合わせて狙撃による奇襲を行うです。
暴喰之呪法をベースとした呪弾をセット。
魔力と生命力によるブーストをかけて弾速と威力を増強。
命中すれば体内に潜りこんだ呪弾は百足型の呪詛に変ずる。
呪術師が呪術で体内から食い荒らされる。
皮肉が効いててよくない?
その後は援護射撃をメインに行動。
攻撃の機を潰すように、ね。


ノネ・ェメ
 犠牲を伴う前提の進軍……何それ。幕府の方をこそ止めたいんだけど。……ともかく、転送してもらお……ぇこっちはこっちで竜の子が……ぅぅぅ~~~~。

 転送された所からでも、妖狐のそれらしい物騒な会話とか、竜の悲鳴とか、何かしら聞きとれる音あると思う。敏捷性はある方だと思うけど、とにかく速く! 今のレコードにどれだけ大差つけて新記録出せるか、位の勢い。
 目より耳で視てる感覚なので、分かれ道のまん中をつっきったりと、とにかく音のした方へまっすぐ!

 いち早く辿り着けた場合は、ゲリラライヴでもして、他の皆さんにここだよアピールに努めます。騒ぎ立てる→ノネが襲われる→戦わなくても避け続ける間竜は無事、的な。


フレミア・レイブラッド
巫女にしては随分と性格の悪い子ね…まぁ善神の子の生き血で儀式を行うなんて事やってるんじゃ当然かしらね。
神に仕える巫女の癖に神の子に手を出す様な巫女はわたしが神に代わって裁きを与えてあげるわ

【ブラッディ・フォール】で「雷鳴響き渡り、裁きは下る」の「ユピティー」の杖と服装に変化。操り人形を本体ごと【千雷の裁き】で一掃し、【落雷審判】で「怨霊を使うな」と命令して敵の二つのUCを使用不可にするわ。
後は【千雷の裁き】による雷【属性攻撃】を纏った魔槍【怪力、早業、残像】で一気に叩きのめし、仕留めに掛かるわ!

所詮は巫女を騙るだけの三流巫女…神の力を思い知りなさい


ヨナルデ・パズトーリ
カカカカカ!死ぬか?あの腐れ外道の手駒

あの大馬鹿者と同じ名を持つ者、其の子をこうも侮辱し傷つけるのじゃからのう!

自分の好敵手にして兄で伴侶だった者と同じ名を持つ者、その子供を最も忌み
嫌う男と同じ名を持つ者が侮辱し続ける事に怒りが極まっている状態
但し、命が掛かっているので冷静さは完全に喪ってはいない

UC状態
『野生の勘』で敵の隙を『見切り』つつ『先制攻撃』の『鎧無視攻撃』

攻撃は『野生の勘』により『見切り』と『残像』、呪詛は『呪詛耐性』で対処

『怪力』による『なぎ払い』の『鎧無視攻撃』を叩き込むと同時に『高速詠唱』
による『呪詛』がこもった『全力魔法』をぶち込む


倒せたら子竜は『救助活動』の知識を元に治療


霧島・絶奈
◆心情
面白い事を考えますね
まあ、破綻させますが…

◆行動
【目立たない】事を利用し漸近

空気の淀み、木に張られた呪符、薬品の匂い、そして何より本人の鼻歌を頼りに索敵
儀式の準備なのでしょうが、目立ち過ぎでしょう

余裕があれば【罠使い】として逃走防止に罠を設置

上手く発見出来れば強襲
場合によっては先行した猟兵を援護する形で奇襲するのも良いでしょう

【マヒ攻撃】の力を込めた【範囲攻撃】である『DIABOLOS LANCER=Replica』で【二回攻撃】
例え攻撃を避けようと無駄です
そうなれば味方を支援する領域が広がっていくだけ…
だから、どちらを選んでも構いませんよ

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


秋津洲・瑞穂
ほほう、狐のニセ巫女と。よほど死にたいと見えるわね。
……無駄に怒りを買っても損するだけでしょうに。

こちらは本物の狐巫女、善神の悲鳴が耳に届かぬと思うてかっ。
もとより耳の敏さが自慢の狐、多少は手間取っても必ず聞き付けるわ。

「紛い物には解らないでしょう。巫女というものが」

相手のユベコは全て、フォックスファイアで相殺しよう。
操り人形も、戦闘力のない怨霊も、狐火たちで駆逐するわ。
空を飛んだら目の前に壁。丸焼けになって墜落なさい。

それだけでも勝つには充分でしょうけれど、
わたしの怒りも受け取ってもらわなければね。
隙が見えたらダッシュ20で突撃、鎧無視攻撃30・2回攻撃30の
一刀二斬で引き裂いてあげるわ。


夜月・クリスタ
信長に着くなんて同じ妖狐として恥ずかしいよ…。悪い奴なら…怪盗として成敗しなきゃね。

儀式場までは【聞き耳】と【野生の勘】、 同じ妖狐としてアズサの残した妖力等の痕跡を探り【追跡】。

発見したら死角となる位置から奇襲。名を聞かれたら、「怪盗フォックステール」だと名乗ろう。…この名乗り久しぶりな気が。

怨霊を呼び出して来たら、こっちも【フォックスファイア】の狐火に【破魔】の力を宿し、怨霊目がけ発射。アズサのパワーアップを阻止する。

怨霊を倒され動揺したら【ダッシュ】で接近し、懐に入り【仕込み拳銃】を突きつける。そのまま【破魔】の力を宿した【呪殺弾】を発射。
悪行はこれで終わりだ。…君の命、盗ませてもらう!


四季乃・瑠璃
【チェイン】で分身

操り人形を【範囲攻撃、早業、鎧砕き】接触式ボムで一気に一掃。
敵本体には瑠璃が二丁拳銃で弾幕を張って空中への逃げ道を封じ、緋瑪が大鎌の機巧を利用して敵に張り付き接近戦を仕掛けていくよ。
更に密にシスターズを起動。
爆風に紛れて気配を隠した翡翠が【毒使い、マヒ攻撃】致死毒ダガーで奇襲。猛毒を与えた後、後は3人掛かりでボムと銃撃で動きを封じ、大鎌で切り刻み、最後は首を刎ねて終えるよ。

翡翠「苦しい?貴女も随分と怨まれてるみたいだし、同じ様な事して来たんじゃない?」
瑠璃「悪いけど、敵相手に手加減しないし手段も選ばない。私達はただ殺すだけ」
緋瑪「因果応報ってヤツだねー。じゃあね、巫女さん♪」


日和見・カナタ
富士山の噴火…呪術には明るくありませんが、オブリビオンが行うからには相当な被害になるんでしょうね。
それ自体も許せませんし、何より儀式の内容も許せません!
すぐに術者を見つけ出して、その目論見を止めましょう!

樹海は【機械蜂】と【ガジェットドローン】で探索します!
アズサを見つけ次第ドローンを突撃させて攻撃を仕掛けますね!
その隙に私自身は距離を保ったまま死角に回りこんで、飛翔される前に全速力の【ヒートインパクト】の一撃を当てにいきますよ!


白波・柾
探索や奇襲からの撃破狙い、か。戦の定石ではあるな
微力ながら、猟兵の一人として戦陣に加わらせていただこう

目立たない」「地形の利用」を行いつつ「聞き耳」を立てて人の気配がするほうを選んで進んでいこう
獣道は進軍していった可能性があるが、
あえて繁みを進んで草葉で足跡や痕跡を隠して少人数で分散して移動していった可能性もあるからそちらのほうもチェックしておきたい
地図を作りつつ怪しげなところには地図上で目印を作っていき、
自分たちも迷わないよう心掛けたい

敵を発見したならば「地形の利用」でより逃げられにくい方面から襲撃できれば
「鎧無視攻撃」「鎧砕き」「傷口をえぐる」「先制攻撃」で【正剣一閃】を使用し攻撃しよう


月宮・ユイ
アドリブ◎
*身に<呪詛>宿す

善神を支配し子を贄に災厄を起こす
冷酷で強力な敵のようですね
その企み、阻止せねばなりません
出来れば今回贄にされている子も助けられると良いのですが

▼探査
《幻影兵団》材質:影、モデル:狼、群とし召喚
《機能強化》兵団と共有同調<情報収集・学習>。
儀式の目的や性質上少なからず地へ影響与え、また贄を使う儀式故穢れを含む可能性が高い。
兵団に<破魔の呪>込め纏わせ穢れへの感度上げ、地の力を探り根本の儀式場まで追跡させる

▼戦闘
兵団には【怨霊】の相手をさせる
状況に合わせ影の槍に姿変え誘導弾とし敵穿つ。
自身は[ステラ+ケイオス]剣槍生成
<破魔の呪>纏わせ敵の武器の力を払いつつ接近戦挑む


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
ほうほう妖狐の巫女さんですかー
その首魁であるコルテスも
怨敵である竜に連なる者でしょうから今からわくわくしますよ

◆行動
樹海では【空中戦】を応用して樹上に上り
優れた【視力】で怪しい場所の辺りをつけましょう
儀式では何やら怪しい薬品を使っていますので
【毒使い】【医術】にも秀でた私ならば臭いの違いで辿れるでしょう


妖狐に逢ったら【黒竜の遊戯】で対抗しますよー
人形にはそれを上回る魔力と【念動力】で
【範囲攻撃】の様に纏めて絡め取り制圧してしまいましょうか
はい、物理とは異なる【鎧無視攻撃】ですので
樹々や木偶を盾としようとも無駄なのです

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブ歓迎


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハイドアンドシークかい?いいね、隠れたネズミを捕まえるのは好きだぜ
性悪アバズレ巫女…いや、巫女騙りのハンティングといこう

どんな奴でも、「そこにいた」なら必ず痕跡を残す
小さくてもいい、自然のものじゃない痕跡を見つけて【追跡】
【情報収集】で痕跡の分布を見ながら居場所を探る
【聞き耳】を立てて声や音が聞こえないかどうかも忘れない

居場所を探れたら戦闘開始…つっても、「一発」妨害をかますだけだが
奴が怨霊を纏いだすタイミングを【第六感】【見切り】で察知
リバースを発射、ダメージはまるで無いが……

お前のその怨霊を用いた強化…「反転」させてやるぜ
食い物にした人間の数だけ戦闘力が下がり、機動力も下がるように、な


フランチェスカ・ヴァレンタイン
さて、ドコに潜んでいますことやら…?

地上は他の方にお任せして、わたしは空の方を
上からの見通しは悪いでしょうが… それでも空気なり魔素が澱んでいれば、何かしらの情報は収集できるかと

地上の方と連携を密にしつつ、無事に儀式場を発見できましたらピンポイントで遙か上空から全速で急降下を
陽の光を遮る木々を突き抜けての強襲と参りましょう…!

「ご機嫌よう、呪術師さん? さよう――ならッ!」
UCの光刃を縦一文字に振り下ろしてその身に纏う怨霊ごと裂き断ち、ケツァルコアトルの子供から引き剥がすように蹴り飛ばし
破邪の属性を纏わせての2回攻撃で周囲を薙ぎ払って、場に充ちる厭な感じも諸共に斬り裂いて差し上げましょうか、と


アリス・セカンドカラー
アストラルプロジェクションで意識と感覚をアストラル界へと拡大し、アストラル界を通した遠隔透視(情報収集)で霊力の流れを探り、その流れから儀式場にあたりをつけましょ。それだけの儀式、行う場所は相応に霊力の流れが歪んでる筈よ。

儀式場を発見したらそのままアストラル(幽体)の分身で強襲しましょ。集中力を削ぐため精神攻撃でパラサイトテンタクルの幽体で脳くちゅしながら、大食いの念動力による盗み攻撃での生命力吸収でエナジーを吸いながらちゅっちゅぺろぺろするわ♡
更に、念動力で膀胱を圧迫する精神攻撃でメンタル面で追い込みながら、指で掻き回すトンネル掘りで快楽の封印を解くことでマヒ攻撃を行い動きを封じましょうか♪



「さて、ドコに潜んでいますことやら……?」
 その白翼をはためかせ、上空から樹海を見下ろすフランチェスカ。
「やはり樹海ともなると空からの見通しは悪いですが……行っていれば、空気なり魔素が澱んでいる筈」
「ええ、儀式などと言うものは、どこかしら歪を生み出すものですからねぇ」
 彼女に並んで飛ぶのは闇慈。奈落のように黒い呪力高励起体に変じ、いつも以上に怪しい姿で怪しく笑う。
「しかし、力を持った存在の血を捧げる儀式ですか……ありがちですねえ。クックック」
「まあ、ありがちでも少々興味深いですよー」
 その少し下、高い木の頂点から周囲を探るのは、負けじと黒いタールのスライムであるミコ。うねうねと身体を動かしながら、怪しい場所へと当たりをつけようとする。
「今回の首魁のコルテスとやらは、竜に連なる者だとか。今からわくわくしますねぇ」
 そのためにも、まずは、その配下から。嗅覚を働かせ、儀式に使われる薬品を探る。
「ん~……あっちの方から怪しい臭いがしますよ~?」
「なるほど……ところでその身体、鼻はどこにあるのですかねぇ」
 そっちのほうが興味深いとミコを見つめる闇慈。とはいえそれは脱線なのでひとまず置いて。
「では、あちらに向かってみるとしましょうか」
 頷き、翼をはためかせるフランチェスカ。空戦で鍛えられた視力も、僅かな空気の歪みを感じ取る。

「ハイドアンドシークかい? いいね、隠れたネズミを捕まえるのは好きだぜ」
「探索や奇襲からの撃破狙いは、戦の定石でもあるからな」
 ヴィクティムと柾が探るのは視覚。アズサが儀式場に歩いて向かったのなら、その痕跡は必ず森の中に残っている。
「どんな奴でも、『そこにいた』証はあるはずさ」
「見えにくくても、全ての足跡を消していくのは不可能、だからな」
 草木の茂る獣道は、足跡が残りにくい……だが、それでも残っているなら。小さくても見つけにくくても、決して見落としはしない。
「……とは言え、あちらにどこまで隠れる気があるのやら」
 探索しながら、絶奈は肩を竦める。予知の話では、アズサは鼻歌混じりに儀式を行っているらしい。儀式に必要な呪物はともかく、それは明らかに隠れるなら不要なものだ。
「富士を噴火させようなどと言う目論見は面白いですが、まあ、遠慮なく破綻させましょうか」
「ああ。猟兵としての責務、果たさせてもらおう」
 迷わぬように柾が地図を付けながら、念入りで慎重に、けれど急いで探索を続ける猟兵達。
「さあ、性悪アバズレ巫女……いや、巫女騙りのハンティングといこうか」

「故郷の皆もどこかで暴れてるんだろうなー。僕もがんばらないとね!」
 この世界に生まれ育った武芸者として、戦に意気込む鬼燈。
「まあその最初が探索ってのは、どうも出鼻をくじかれた感があるけど」
「まあ、そこはそれ。仕方ないですよ。こんな目論見、許せないです」
 カナタの方はむしろやる気十分。憤りを隠さずに、真っ直ぐに樹海を突き進む。
「呪術には明るくありませんが、オブリビオンが行うからには相当な被害になるんでしょうね」
「まあ……富士山が噴火したら、とんでもないどころじゃ済まないっぽい」
 地元民としては生憎と、そんな事が保証出来てしまう。鬼燈の言葉に、憤りがさらに怒りとなって煮え滾る。
「それに、儀式の内容も内容ですよ!」
「まあ、あんまり趣味は良くないよねー」
 残酷な儀式を図るアズサへの怒りを露わにするカナタに、鬼燈ものんびりと同意して。
「どこに隠れているのか……必ず見つけ出します!」
「ま、近くに来たら絶対見逃さないっぽい」
 カナタは観測機とドローンを飛ばし、その情報をゴーグルに転送。鬼燈は、魔剣の骸晶で演算能力を高め、魔力を探るレーダーを展開している。
 電子と魔術の探索手段が確実に周囲の地形情報を捕らえ、アズサを見逃すまいとする。

「信長に付くなんて同じ妖狐として恥ずかしいよ……」
「しかもニセ巫女と。よほど死にたいと見えるわね」
 恥じらうクリスタと、怒る瑞穂。妖狐の少女2人は、アズサへの憤りを抑えぬまま探索を続ける。特に瑞穂の方は巫女でもある、偽巫女アズサに対する敵意は強い。
「悪い奴なら……怪盗として成敗しなきゃね」
 クリスタが探るのは、アズサの妖力の痕跡。ほんの僅か、注意しなければ見落としてしまうようなそれを、同族のよすがで視認し、追っていく。
「あとは……音かな」
「もとより耳の敏さが自慢の狐……必ず聞き付けるわ」
 狐耳をピクピクと震わせ、音を聞き逃すまいとする2人。しばしの沈黙、静寂の中で響く様々な音。
 自然の音、猟兵達の発する物音、それらを冷静に除外して不自然な音を探りにかかる。
「――聞こえた」
 そして瑞穂は、『その音』を聞きつけた。妖狐として以上に巫女として、決して聞き逃す事の出来ぬ音。
「さあ、いきましょう、あっちよ!」

「ここまで近づくと、歪みがすっごいわねぇ……そろそろ、近いわ」
「ええ。これほどの穢れ、見落とす筈がありません」
 音を頼りに近くまで来ると、アリスとユイは僅かに引き締める。彼女たちが感じ取っているのは、儀式の魔術的な痕跡。空間の穢れや淀み、歪みといった、悪しき儀式には避けて通れぬものだ。
「それにしても、善神を支配し子を贄に災厄を起こす……冷酷で強力な敵のようですね」
 幻影の狼に穢れを探知させ、追わせながら、その穢れのあまりの強さに、ユイは思わず眉を寄せる。
 アリスの方も、アストラル界に意識を拡大しての遠隔透視で、霊力の流れが明らかに淀みうねる様を確認している。
 それだけ今回の儀式が強大で――そして悪辣と言う事だ。
「出来れば今回贄にされている子も助けられると良いのですが」
「そうよね、可愛い竜の子みたいだし」
 無論可愛くないから助けない訳でもないが、アリス的には意気込みが違う。美少女に化けでもすればもっとやる気が出そう……などと言うのは益体もない妄想か。

「そこまで近いなら、目隠しになっている木々を焼き払えば……」
「やめぬかっ!? 下手に火事になれば、この周辺のみでは済まぬぞ!」
 公明の言葉に慌てて制止に走る姫子。まあ森林火災はあまり洒落になっていない。
「いや、火事にならずとも、森の木々や其処に住まう者をなんだと思うておるか」
 これだからヒトはと憤りを露わにするものの、そんな事よりももっと重大な脅威が迫っているとなれば、神である彼女も出張らずにはいられない。
「全く……霊峰を血で汚す上に噴火させるじゃと……?」
 ヒトの争いに興味はないが、自然を愛する山神として、そんな企みは決して許せるものではない。元が荒神、自然を脅かす者に容赦ない気質であるとはいえ、考えただけで腸が煮えくり返りそうだ。
「……おっと。済まぬな、友よ」
 その怒気に怯えた様子を見せる周囲の動物たちを、慌てて宥める。悪いのはオブリビオンであり、住処を脅かされる彼らに罪などあろう筈もないヒトに接するよりも遥かに優しげに、姫子は小動物や虫達と意志を重ね、語らっていく。
「なるほど、すぐ近くじゃな。では、済まぬが道案内を頼めるか?」
 同意を示すように、羽音を響かせる虫たち。そして彼らは猟兵を先導するように飛び出した。
「なるほど、あっち……ありがとうございます!」
 その道案内を聞いたノネは、虫たちを追い越すほどのスピードですぐさま飛び出した。
「とにかく……急ぎます!」
 あらかたの位置さえわかれば、あとはもう案内など待ってはいられない。流石に彼女は極端にせよ、猟兵達もそれを追って儀式場へと突き進む。
「……ん、私は行かなくても良いのか、と? 友にそこまでさせたくない」
 そんな猟兵達を負わず見送った姫子に子鹿が尋ねると、姫子は優しく微笑んでその首を撫でる。
「それに、大丈夫、ヒトは神の助けがなくとも前に進めるものじゃ」

「さあ……見つけましたよっ!」
「わっ、何、何!?」
 いの一番に儀式場に乗り込んだノネ。その走力は、レコードタイムに思いっきり差を付けたくらいと言っても良いと思う。
 周辺までくれば、彼女の聴覚はその音を決して聞き逃さず、ここまで辿り着くのはそう難しい事ではなかった。
「犠牲を伴う前提の進軍なんて許せないけど……こっちの方がもっと許せない!」
 戦わない、戦わせないを身上とする彼女にとって、幕府の行いは止めたいけれども。残酷な儀式を行うアズサはもっと許せない。
「それじゃあ、聞いてね……♪~」
 紡ぎ出されるは美しい歌声。ここがいずこかのステージなら、多くの観客の心を揺さぶるほどの、心に染み入る音が、その口から紡ぎ出される。
「――いや、ほんとに、何!?」
 だが生憎ここは富士の樹海の儀式場。突然乱入して来て突然歌を歌われても、アズサにしてみれば困惑しかない。……そして、それで良い。
(どんな形であっても、注目さえ引ければ……その間、あの竜の子は無事だから!)
 もしそれで自分が襲われても構わない。覚悟を秘めたゲリラライブが、アズサの注意を引き、儀式を中断させる。
 そして――困惑するアズサの身体に、呪いの弾丸が突き刺さった。
「ぐっ……な、何っ!?」
 痛みとさらなる困惑に呻くアズサ。打ち込まれた弾丸は、百足型の呪詛に変じ、彼女の身体を内側から食い破る。
「っ、くぅぅぅ……もう、何が、何なのよっ!」
 強引にその呪詛を摘出し、怒りと憤りを露わにするアズサ。
(――呪術師が呪術で体内から食い荒らされる。皮肉が効いててよくない?)
 そんな彼女を撃ったのは鬼燈だ。かなり離れた距離からアズサの呪力を察知し、如意宝珠の演算で補正しての狙撃。血を啜り肉を喰らう暴食の呪いを弾丸として、容赦なく撃ち込んでいく。
 流石に二発目以降はかわされるが、他の猟兵の援護になれば構わない。魔力と生命力で弾速と速度を増幅し、鎧装の長銃から次々と弾丸を迸らせる。
 ――そして、次は空から。魔弾に気を取られたアズサを急襲する。
「ご機嫌よう、呪術師さん?」
「っ……!」
 陽光を遮る木の枝をへし折りながら、戦場に飛び込んできたのはフランチェスカ。
「そして、さよう――ならッ!」
 出会いの挨拶の次は別れの挨拶。落下の勢いを乗せて、機殻斧槍を纏う光刃を縦一文字に振り下ろす。
「っ、いきなりなんてっ……うぐっ!」
 アズサが本能的に反応したせいで、ギリギリで脳天からの両断は成らなかったが、その肩口を斬り裂く刃。
「あら、上手く避けましたわねっ!」
「っ……!」
 次いで長い脚から繰り出される蹴りが、アズサの身体を吹き飛ばして竜の子から引き剥がす。
「そして……ほぉら、こちら、もっ!」
 追い打ちをかけるように、返す刃でさらに一閃。万象を斬り裂くその光刃は、儀式場の淀んだ空気を、諸共に断ち切り、清らかなる破邪の空気を広げていく。
「ふむ、では私は見通しをよくしてあげましょうかねぇ」
 続けざまに空から、今度は怨念に満ちた火砲が降り注ぐ。砲火は雨と降り注ぎ、木々の枝を一瞬で灰に変えていく。
「薄暗い所で怪しく背徳的な――いやはや、私から見るとなんともつまらない儀式ですねえ。コレでもう少し個性が増しますよ、クックック」
 降り注ぐ砲火が地面の陣を破壊し、さらに遮る木の枝が焼失した事で陽光が淀む空気を浄化する……二重の意味で儀式場を破壊した闇慈は、太陽を齎すのがあまりに似合わない怪しい笑みを浮かべて見せる。
「ほらほら。まだこんなものではありませんよ?」
「こ、この……コルテス様に預かった大事な儀式場を! 何なの、あなた達ぃっ!」
 破壊したからといって砲火を止める理由など無論ない。さらなる炎を降り注がせる闇慈や他の猟兵達に、怒りを覚えて顔を真っ赤に染めれば――それに答えるように戦場に踏み込む公明。
「私は片桐公明。天下自在符に導かれ、義によって将軍家光公に助太刀するわ。……こうやって名乗るのがこの世界の習わしなんでしょう?」
 両手の拳銃から迸る、業火の如きエネルギー砲。放たれたそれは大蛇のごとくうねり、アズサへと迫る。
「くっ……!」
「竜の生血が必要なんでしょう。そう簡単にやらせないわよ」
 かわされるが構わない、攻撃は本命ではない。うねる炎蛇が、アズサを竜の子に再び近づくことを許さない。
「ついてにこっちも壊しておきましょうか」
「あー、もう、どいつこもいつもー!?」
 ついでに、張られた呪符も炎で灼き剥がし、炎雨から逃れた地面を抉り。儀式場を破壊される度、アズサの怒りの声が響き渡る。
「いい加減にしなさいよ――いつまでも調子には乗らせないんだからぁっ!」
 彼女のその怒りに合わせて、破壊された儀式場の穴から、儀式のために溜め込まれていた呪力の塊が溢れ出す。
 中途半端に中断された事を恨むように、怨念達が広がると、陽光程度では遮れないほどの禍々しさが周囲を包み込む。
 だがその禍々しさを焼き払うように、新たな炎が戦場へと飛び込んで来た。それは破魔を宿した無数の狐火。
「怪盗フォックステール、見参っ……この名乗り久しぶりっ!」
 その狐火を操るのはクリスタ……いや、フォックステール。オブリビオン専門の悩める怪盗少女は、珍しくその肩書通り、華麗に戦場へと降り立つ。
「行け、影狼の群れよ」
 次いで地を駆け、無数の幻狼が駆ける。こちらも破魔の呪を纏った狼達は、その牙で怨霊達を次々と喰らい……言わずもがな、それを操るのはユイ。自身もまた、星の核と妖艶な小悪魔を融合させ、鋭き剣槍を手にして怨霊達を切り捨てる。
「あなたの悪しき企み、成就させる訳にはいきません」
「くぅ、何よ、この、次から次へとぉ!」
 苛立ちを露わに地団駄を踏むアズサ。だがその脚が急に硬直する。
「何っ……!?」
「次から次で悪かったね。それだけ、その企みが許せない猟兵が多かった、って言う事だよ」
 アズサを縛ったのはトオルの眼鏡から迸る光だ。一定のリズムで明滅するその光は、催眠となってアズサの身体を硬直させる。かろうじて口は動くが、手足はピクリとも動かない。
「指を咥えて見てるのは、そちらの方になったね」
 じっと直視しながら、追撃に熱線銃を撃ち込んでいくトオル。続けざまに撃たれて苦悶しながらも、アズサは猟兵達に怒りを叩きつけてくる。
「こ、この……何が気に入らないのよ!」
「気に入らないに決まってる。一体どれだけの人々に被害が出ると思ってるんだ!」
 そもそもが儀式のやり方も気に入らない、だが噴火はもっと許せない。怒りを叩きつけるのはこちらだと睨みつけるトオルだが、アズサはまるで悪びれない。
「ふーん、人間なんて信長様に従わないなら、死んじゃっても別に良いじゃない!」
「何、を――!」
 その傲慢な言葉に、トオルの怒りはさらに煮え滾るが、アズサの方も怒りは心頭。なんとか催眠を振り払い、怨霊達をさらに呼び寄せていく。
「くぅっ……いい加減調子に乗るんじゃないわよっ……」
 周囲からの援護では足りない。怨霊を直接身に纏わんとするアズサ……と、そこへ光が飛来する。
「無駄よっ!」
 光を怨霊で弾き飛ばせば、何が起こる訳でもない。そのまま怨霊を装甲とし、アズサはその呪いでより強力に――。
「っ!?」
 は、ならない。むしろ、怨霊達に纏わりつかれ、ずしりと身体が重くなる。
「悪いな、『反転』させてもらったぜ。ダメージがないからって油断したか?」
 不敵に笑むのは、先程光を放ったヴィクティムだ。
 ユーベルコードを予知し、ハッキングして反転させる。サイボーグハッカーの本領とも言うべきHN:Arseneの技が、アズサの身体を縛り上げていく。
「お前が食い物にした人間の数だけ、呪われな。そもそも、それが正しい怨霊ってもんだろ?」
「知らないわよっ……私に食われた事や、死後も怨霊として仕えられる事、むしろそれを喜ぶべきでしょう!?」
 なおも傲慢なアズサは、怨霊装甲を脱ぎ捨てる。それすらも苦心するほどの重みを振り払うと、飛べはせずとも跳んで逃げようと――。 
「丸焼けになって、墜落なさい?」
「っ、ああああああっ!?」
 そこに立ちはだかるは第二の狐火。壁として立ちはだかるそれを操るのは瑞穂だ。
「ほら、まだよ」
 地面の上でのたうつアズサへ、さらにその壁を落として潰し焼いていく。当然、周囲の怨霊も一緒だ。
「このまま、駆逐していけそうですね」
「そうだね、これ以上怨霊を使わせはしない……!」
 ユイの剣槍は、トオルの熱線銃も、残る怨霊達を消滅させていく。彼らもアズサに騙されて死後も囚われたのだと思えば哀れみは感じるが、ならばこそ、こうして骸の海へ送り返してやらねば。
「なんで……ほんと、次から次へ……だいたい何故ここがわかったの……」
「紛い物には解らないでしょう。巫女というもの、正義と言うものが」
 瑞穂がここを聞きつけたのは……竜の子の悲鳴を聞きつけたからだ。ちらりと視線を向け、公明に手当てを受けるその姿を確かめると、神獣の刀を構える。
「何よ、それ……」
「そう、分からないのなら、わたしの怒りも受け取ってもらうわ……!」
 巫女として、助けを求める声を聞き逃すまいとした彼女の気持ちは、アズサには理解は出来ないだろう。騙りに対する怒りをこめて、瑞穂は一気に間合いを詰める。
「っ……」
「遅いっ!」
 当然アズサも避けようとするが、それよりも瑞穂のほうが疾い。続けざまの十字が、その身体に深い傷を刻み。
「く、くぅ……この……」
「悪行はこれで終わりだ……」
 その痛みにのたうつアズサへと、クリスタも素早く間合いを詰める。
「君の命、盗ませてもらう!」
「がっ……!?」
 胸に突きつけ、零距離から叩き込む呪殺弾の連射。その心臓に弾丸を撃ち込み、呪いで体内からも苛む。
「お……終わりに……なんて……なるもんです、かっ……」
 常人なら両手の指で足りぬ数を殺されるような傷を受け、しかしアズサはしぶとく生き残る。それはオブリビオンゆえの強靭さか、それとも彼女個人の生への執着か。
「はぁー……はぁー……これなら、どうっ……!」
 傷つき動けぬ自身に代わり、アズサは大量の傀儡を生み出した。表情無き人形達が、主を護るように立ちはだかる。
「こんな人形を相手に……俺が止まるとでも、思ったのか!」
 その傀儡の群れへと、恐れず突き進むのはゼット。手にしたパズルのような武器を組み上げ、一瞬で創り出された双刀を両手に構える。
「自称巫女のあんたはどうでも良いんだが……コルテスをあぶり出すために、やってやるぜ!」
 唸りを上げて迫る傀儡の拳は、猟兵とて喰らってはただでは済まぬ破壊力。だがそれを巧みに防ぎ、躱し、返す刀で傀儡を切り捨てる。
 そもそも、喰らったって構わない。自分がここで倒れても、他の猟兵がアズサを倒してくれる……その信頼と覚悟が、紙一重の回避を可能とする。
「いっぱいいるのは鬱陶しいなー」
「人形じゃ殺し甲斐もないし……全部壊しちゃおうか♪」
 瑠璃と緋瑪は、もっとわかりやすく、戦場へ無数の爆弾をばら撒いた。派手な爆発が、次々と人形を砕いていく。
「ほら、邪魔……いくよっ!」
「殺すならやっぱり生身相手じゃないとね♪」
 使命感よりも、ただただ殺人の悦楽を。殺人姫はそれを求めて傀儡達を駆逐し、アズサへと迫り行く。
「こ、この、時間くらい稼ぎなさいよ、役立たず……!」
 自分がそれを操っている事を棚に上げ、あっという間に打ち砕かれつつある傀儡達に悪態をつくアズサ。背を向けて必死にこの場を逃げ出そうとする。
「コルテス様はお怒りになるだろうけど……こんな所で骸の海に帰るのは嫌、生きていれば……がっ!?」
 だが、逃げて一歩儀式場の外に踏み出した瞬間、仕掛けられた罠がアズサの脚を刈り取った。大きく体勢を崩して転倒する彼女の前に、気配を潜めていた絶奈が姿を現す。
「あなたのような汚いオブリビオンが逃げ出す事は想定内……罠が役に立ってよかったです!」
「っ、くぅっ!?」
 輝ける巨大な槍が、天よりアズサの上へと降り注ぐ。それを、慌てて転がり回避するアズサ。
「避けますか。まあ、構いませんけどね、どうぞご自由に」
 回避された槍は地面に浸透し、領域を作り変える。仲間の力を増し、癒やしを齎す雨の領域が、避けられる度に広がっていく。
「さあ、まだ避けますか。それとも自ら当たりにいきますか? 私は、どちらでも構いませんが」
「こ、この……」
 悪辣な偽巫女に対し、それ以上に容赦のない選択を迫る絶奈。とはいえ、当然自分から当たりにいく度胸などアズサにある訳もなく……広がる雨の領域へと、今度は柾が飛び込んで来た。
「この位置なら……逃げられまい?」
 退路を塞ぐ位置から飛び出し、刀を構えて精神を研ぎ澄ませる。
 雨は余計な音を吸い取り、極限までの集中を可能とする。星をも砕く逸話を持つその愛刀が、今ならば、本当に星を砕けるのではないかと思わせるほどに鋭く――。
「この一刀――受けてみろ!」
「か、はっ……!?」
 否、そのような雑念すらなく、ただ、刀を振り下ろす。決して避けられぬほどの完成された斬撃が深々と突き刺されば、血反吐を吐き出し、悶絶する巫女。
「くふ……この……ぉ……ひぃ……」
 そして、アズサがそこへ足止めされている間に、猟兵達は傀儡の粗方を駆逐する。残されたあと僅かの傀儡は、アズサ本人を守ろうと重なり合い、分厚い盾となるが……武器を捨てると、両手をあわせて前に突き出すゼット。
「よく遠距離攻撃が苦手と思われているが、そんなことはない事を証明してやろう――」
 サイボーグの両手が変形し、巨大な砲塔へと変じていく。空間を捻じ曲げるほどの莫大な熱と光量が収束して。
「食らえ! 瞬滅之焔だ!」
 放たれたのは、眩いばかりの焔と光条。飲み込まれた傀儡は一瞬で塵に帰り、盾にすらならず……逃げようとしたアズサは慌てて躱すが、バランスを崩して転倒する。
「そこ――だよ?」
 その刹那、光の影から飛び出したのは翡翠。密かに実体を持っていた第三の殺人姫が、不意をついてアズサに斬撃を繰り出した。
「このっ……か、はぁっ!?」
 必死のアズサに躱されて直撃はしないが、掠めれば十分。その瞬間、致死の毒がアズサの全身へと回る。
「こ、れ……はっ……」
「苦しい? 貴女も随分と怨まれてるみたいだし、同じ様な事して来たんじゃない?」
 苦痛にのたうつアズサを冷たく見下ろす翡翠。瑠璃達も追いついてくると、非情に銃弾を撃ち込んでいく。
「悪いけど、敵相手に手加減しないし手段も選ばない。私達はただ殺すだけ」
「因果応報ってヤツだねー」
 毒と銃に苛まれ、苦悶にのたうつアズサ。それでもオブリビオン、毒には耐性があるのか、振り下ろされる大鎌を転がって躱す。
「あれ、しぶとい……苦しみが長引くだけなのに」
「かはっ……かはっ、ふぐっ……」
 瑠璃の言葉の通り。耐性があると言ってもそれは『死なずに済んだ』と言う程度の事。血を何度も吐き出し苦しみながら、それでもアズサは必死に逃げ出そうとする。
「わた……しは……死なない……死ぬのは……人間ども……」
「あらあら、随分苦しそう?」
 そんな彼女を抱きしめるのは、幽体のアリス。肉体から解き放たれたサイキックヴァンパイアは、偽巫女よりもよりもさらに悪辣に、その触手を伸ばしていく。
「良いわ、気持ちよくしてあげる♪」
「あっ……あっ、あっ、あっ……」
 透明な触手がその頭に突き刺さる。当然幽体である以上は頭蓋骨など意味を為さず、脳を直接犯す蹂躙が、思考そのものを書き換えるように責め立てて。
「んっ……可愛い……♪」
「や、め……ぁっ……ひっ……」
 人の身では、いや、オブリビオンですら耐えられぬ、快楽と言うにはあまりに苛烈な刺激に、びくん、びくん、と身体を痙攣させるアズサから、アリスは容赦なく生命力を奪い立てる。その過程で存分に欲望を満たすように舌を這わせて。
「ほらほら……こういうのはどう?」
「ひっ……いぃ、やっ……!?」
 さらにはアリスの手が下腹部に伸びるに至って……ようやく、身体の刺激を上回る本能がアズサの身体を突き動かし、内股に堪えながら脱出する。
「ひっ……は、ひっ……い、いいかげん……にぃ……」
「あら……気持ちよさそうだったのに」
 命どころか尊厳の危機に追い込まれたアズサを、アリスは楽しげに見つめ――必死に逃げ出そうとするアズサは、木々を盾にして姿を晦まそうとする。
「……おっとー、ダメですよー?」
 そして、それを追いかけるように、ミコの身体から無数の魔力が解き放たれた。一拍追撃が遅れたのは、その視線が先程からチラチラと竜の子に向けられているせいで。
「コルテスに出て来て貰わないと困るんですよねぇ」
 もちろん喰らう気はないが、味見ぐらいなら……と刺激される際限無い食欲は抑えてもうずいて仕方がない。
 それならば、我慢した分を満たすほどの大物を。
「そのためにも、ここであなたに逃げられては困る……と言う訳ですよ」
「くぅっ……!」
 多少遅れようが、それを全く意に介さない、数えるのもバカバカしいほどの無数の魔力が戦場を埋め尽くす。木の影に隠れて凌ごうとするアズサ。
「あ、その魔力を動かすのは物理とは異なる法則なので、盾としようとも無駄なのです」
「っ!?」
 魔力は木々を透過し、アズサを絡め取って逃さない。ぐいと引っ張って木陰から儀式場へと引き戻す。
「はぁ、はぁ……」
「そうそう、あたしとしても、あんたに逃げてもらっちゃ困るんだよな?」
 伊美砂は、鉈をその手に弄びながら、そんなアズサの前に立つ。
「いや、まあ。オレ個人としては見知らぬ竜種の子供がイジメられてたとかは、正直どうでもいいんだが……ボクは浦島太郎でも無いし……だけど」
 多重人格ゆえ、口調が安定しない。
「拙者は政治とか難しいコトは判らんのでゴザルが、一つだけ分かるでござるよ」
 その安定しない人格全てに一致する意見が一つ……それを口にするより先に、振るわれる鉈の一閃。
「っ――!?」
 ギリギリで避けられるが、あと少しで首を落とせる鋭さ。ならばとさらなる斬撃を繰り出していく。
「貴様の首には価値がある、というコトである。恨みも辛みも、怨恨や義憤も何一つ無いが、某の利益の為に此処で果てよ」
「っ……誰が……あなたの利益のためなんかにぃっ!」
 必死に首を庇うアズサへと、さらに繰り出される斬撃、そしてその合間に投げられる数多の隠し武器。首を落とされぬ事に精一杯のアズサの全身に刃が突き刺さる度、身軽になった伊美砂の斬撃は加速する。
「これも戦国の世の習いと言うモノであろ、我輩が恩賞を貰うためにも首を寄越してくれないかね?」
「絶対に……嫌よ!」
 その首についに刃が叩きつけられ……だがそれを阻むように、怨霊が首を覆う。
「切り札は最後まで隠し持っておくもの、なんだから……!」
 先に全滅させられた怨霊とは異なる、秘蔵の怨霊がアズサの身体を覆う。無論、数は多くなく、形勢を逆転する程ではない。だが、怨霊を纏えば飛ぶ事はできる。
「逃げ切って、見せ……」
「させませんよっ!」
 しかし、当然それを許す事もない。地を蹴り駆け寄るのはカナタ、義足が蒸気を放ち唸りを上げれば、飛翔の直前に間合いを詰めるのが間に合って。
「こんな凶悪な儀式をした報いは、受けてもらいますっ!」
「っ……ぐっ、ふぅっ!?」
 赤熱した拳の掌底が、アズサに叩き込まれる。義腕の質量と加速の複合が叩き込まれたアズサは、そのまま、儀式場の中央まで舞い戻った。
「ぐっ……この……ちょっとは手加減とか、無いのかしら……!」
「逃したら、またどんな事をするかわかりませんからね……」
 怨霊で守っていたため致命傷にはならない……とはいえダメージは大きく、立ち上がるのが精一杯のアズサ。苦しみながらも、カナタを睨みつける。
「久しいのう、似非巫女。あずさと言ったか」
「な、何……あなたなんかに会った事ないわよ!」
 その前に立ちはだかるのは玉恵。その威厳と存在感に、アズサの脚が自然と一歩後ずさる。
「うむ。お主は覚えておらぬか。じゃが、わしはつい先日お主を骸の海に叩き返したばかりなのじゃ」
「な、なんですって……」
 オブリビオンは幾度となく復活するが、記憶も、人格すらも連続してはいない。だが、赤の他人とも言い切れないし、何より、自分と同じ力を持つ者が倒された、と言う事は。
「祭神のない形だけの巫女に、今一度神が格の違いを見せてやろう――!」
「っ……や、やらせないっ!!?」
 その、何処ともしれぬ『自分』の再現だけはさせるものかと、怨霊で必死に自分の身を覆うアズサ。白面金毛を名乗る神にとって、怨霊など何の脅威にもなりはしない。
「そのようなもの、黄泉平坂へと導いてやるわ!」
「っ!?」
 その身から溢れる破魔の覇気だけで、怨霊達が浄化されていく。それは当然、アズサの身の護りが剥ぎ取られていくと言う事。
「な、ならっ……」
「逃げるか。そんな事であろうと思った――が」
 その怨霊が消えきる前に、空へと逃げようとするアズサ……だが思えば、陽光はやけに明るすぎはしないか。
「ッ……あああっ!!?」
 それに気づいた時は、天を朱く照らす無数の狐火に激突し……途端殺到する焔が、アズサの身体を灼き尽くし、怨霊を浄化していく。
「っ、ひっ……ひっ、くぅっ……!」
 怨霊を再び失い、完全に追い詰められたアズサ。それでも諦め悪く、その視線を巡らせて。
「素直に諦めるなら、少しは扱いも考えたのだけれど」
 その視線を遮るように、フレミアが立つ――その彼女の背にいるのは、竜の子だ。人質に取ればあるいは逆転出来るのでは、そんな思いで巡らせた視線だと露呈すれば、相手がボロボロであっても、フレミアに容赦の心は生まれない。
「ふん、異国の神の眷属を利用しようとするお主の考えなぞお見通しじゃ」
「そういう事。巫女にしては随分と性格の悪い子だし……同情の余地はなし、ね」
 アズサが追い詰められればそうするだろうと予期していた玉恵は、意図的にアズサを竜の子から引き離しており……この距離では、フレミアを突破して人質に取るのは不可能。
「まぁ、元々生き血で儀式儀式を行うなんて事やってるんじゃ当然かしらね?」
「くっ……な、何が悪いの……信長様とコルテス様に従ったまでよっ!」
 開き直ってフレミアを睨む
「神に仕える巫女の癖に神の子に手を出す様な巫女は、わたしが神に代わって裁きを与えてあげるわ」
 フレミアの衣装が変化し、その手に握られるは雷神の杖。
「……それと、何を企んでいようと無駄よ?」
「っ、あああっ!?」
 その杖が掲げられれば、千の雷が降り注ぐ。アズサ自身を打つのは無論、散らばった傀儡の残骸を全て打ち砕いた。
「中には動くのも、いたかもしれないものね?」
「くぅ……!」
 雷で痺れながらも、こちらを睨みつけるアズサに対し、フレミアは杖と自らの魔槍を同じ手に握る。
「所詮は巫女を騙るだけの三流巫女……神の力を思い知りなさい……!」
「っ、あっ……ああああああっ……!?」
 貫かれ、悲鳴を上げるアズサ。逃げられぬとわかっていながら、転がって離れようと……した所に、無造作に踏みつけられる。
「カカカカカ! 死ぬか?」
 ジャガーを模した黒曜の鎧を身に纏い、アズサを踏み躙り哄笑するヨナルデ……されどその目が笑っていない。その身から溢れる殺気は誰よりも強い。
 それは存在そのものの強さに、煮え滾るような怒りが混じった証。
「あの腐れ外道の手駒であると言うだけで、万死に値するが……その上、あの大馬鹿者と同じ名を持つ者、其の子をこうも侮辱し傷つけるのじゃからのう!」
 神であるヨナルデ、その神格は、テスカトリポカにしてケツァルペトラトル――即ちそれは、ケツァルコアトルの好敵手にして、妹にして、伴侶。
 無論、彼女はエンパイアの生まれではない。この世界に呼ばれ、コルテスに支配されるケツァルコアトルは、彼女の知るそれではない、が。
「だが、名が同じと言うだけで……十分だろう。なぁ?」
「っ……!」
 竜の子に視線を向けようとしたアズサの眼前に、黒曜石の斧を落として遮る。もはや見る事すら許さないと。
「元より、赤の他人……いや、他神であっても許されざる事をしているのだ。そこに妾が私情を交えても、何の問題もあるまい?」
「くっ……!」
 その怒りが、決して自身を許さないと悟ったアズサは、観念……などするはずもなく。
「なら、あなたもコルテス様に支配されてしま――」
 怒りが極まっていようと、冷静さを失いはしない。だが、最後まで言わせるほど、ヨナルデの慈悲は深くはない。
 挑発で冷静さを失わせ、逃れようと目論んだアズサの身体に、ヨナルデは神としての全ての魔力を叩き込み――わずか一片の跡形もなく、消滅させた。

 こうしてアズサの儀式は阻止され、霊峰富士噴火から一歩遠ざかった。
 だが、これはそれを目論んだコルテスの、その手の一つを落としたのみ。
 エンパイアの戦争はさらに撃破していく――そんな予感と共に猟兵達は帰還する。
 ……傷が癒え、猟兵達になつく、小さな竜の子供と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月05日


挿絵イラスト