蒼海の星~願い輝く宙の川
●
猟兵たちと、スペースシップワールドの者たちが流した願いごと。
夜の帳が下りる頃、皆の願いごとが仄かに光り出す。
流れる星も、亀も、短冊も、光る折り紙で作られたものだ。
そんななか、光るゼリー状の魚が放流され、ゆったりと泳ぎ出す。
笹葉の投影がなされた気流は、空に、願いの川を作りだしていた。
人の手で作られた天の川――そのなかを、泳いでみようか。
●
「超巨大ビーチリゾート船「ヘブンズピーチ号」では水着コンテストがあったわね!
他にも、スペースシップワールドにはたくさんのリゾート船があるようだけれど、皆さん、一時の夏休みを満喫しているかしら?」
ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)がにっこり笑顔で猟兵たちに聞く。
皆でわいわいと遊んだり、食べたり、そして長閑な風景を楽しんだり。
色んな夏休みを過ごしているだろうが、まだまだ夏は続く。
そして今回。
観光産業の発達したリゾート船の一つ『ミッドサマーゴールデンデライト・ギャラクシーミルキーウェイ号』に、星祭りである七夕を模したイベントがあることを知った猟兵たちは、夏休みを満喫すべく遊びに来ていた。
昼は思いっきり満喫できたかしら? とポノ。
宇宙船にて開発された、発光する紙。それらを使って飾りを作った猟兵たちは、その用途を夕方に知ることとなった。
飾りつけた笹はそのままだが、たくさんの飾りは空へと送られた。
素材は、しばらくは、秋半ばまでのささやかな天の川――光源となるのだ。
流れを作るのは、ゼリー状の魚たち。
光源を取り込み、ゆっくりと空を回遊し、空は仄かな幻想の場となる。
その後は、宇宙船の資源として、色んなものに再利用されていくらしい。
光る素材を分解したゼリー状の魚は海に落ちて魚の餌になったり、ウォーターガンに使った薬液は霞となり空気の清浄を促す。
「ミッドサマーゴールデンデぃライト・ギャラクテぃっカミルキーウェイ号……での、夜はね、人工の天の川へ泳ぎに行ける、っていう催しがあるの。
えーと、一部の空の区画で、反重力? を利用して――、――、空中遊泳を楽しめるみたい!」
やや、つっかえながらポノが言う。
「海で泳ぐのも楽しいじゃない?
空にある天の川で泳ぐのも楽しいと思うのよね」
夜の空中遊泳ができるらしいことがパンフレットには書いてある。
水中で感じる抵抗力もある辺り、完全な無重力状態ではないらしいが、なんやかんやと宇宙らしい遊びだ。
反重力で空へ潜りに行く。
緩やかに吹く気流に乗って、流されるままに飛んだり、自身で泳ぐように進んだり。
天の川に直接、短冊の願い事を持って行くもよし。流してみたのを探してみるもよし。
いずれゼリー状の魚が取り込み、彩りある光となることだろう。
はたまた、地上で夜釣りや食事をしながら、賑やかな天の川を眺めるも良し。
「色んな夜の時間を過ごしてみると良いんじゃないかしら?」
どうぞ、楽しんできてね、とポノは言った。
ねこあじ
『ミッドサマーゴールデンデライト・ギャラクシーミルキーウェイ号』を舞台に、カンナミユMS、鈴木リョウジMSと、旧暦七夕をモチーフにした夏休みシナリオです。
船の名前を言い間違えているのは仕様です。
というわけで、夜の部担当になりました、ねこあじです。
よろしくお願いします。
『ゆっくり進行』
プレイング締め切りなどが決まりましたらマスターページの上部や、Twitterに記載します。
メインは、
光る折り紙などで作られた、人工的な天の川で空中遊泳。
けれど、
地上で遊んだり、地上から人工の天の川を眺めるもよし。
ご自由にお過ごしくださればと思います。
「飛ぶぜ! ひゃっほう!」的なプレイングだけで楽しめる仕様です。
(空中遊泳は、どこからでもスタートできるわけではなく、ちゃんとスタート地点があります。
腕輪がレンタルされ、それを装着してからの空中遊泳となりますが、リプレイでは出ないとこなので下地と思っていただければ……。
一時的な光源も、船内温度の維持とか循環の兼ね合い&お楽しみアレコレと思っていただければ)
=====
○○さんと一緒に参加するよー、という方は、お相手の名前とIDの記載をお願いします。
グループで参加するよー、という方は、グループ名の記載を【】内にお願いします。
ちなみに、
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
ポノ・エトランゼがいます。
通りすがりで、しばらく一緒に過ごすくらいになるとは思いますが、何か御用がありましたら、お声がけください。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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プレイングは8月5日(月)、8時半以降の受付となります。
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篝・倫太郎
【華禱】
短冊を添える夜彦と一緒に空中遊泳
ん?俺は昼に書いた!(無駄にドヤ顔)
夜彦が短冊を川に添えたら、ゼリー状の魚と遊泳
こないだのA&Wは魚と一緒に遊泳出来たけど
あの時は水中だったから話せなかったもんな……
今日はあんたと話せるからちょっと新鮮だ
ぐるっと見渡せば
地上も灯りがそこそこあって中々におもしれぇ
夜彦にも教えようと思ったら……
アレ?何?なんでそっぽ向い……って!
あーっ!
うっわ、滅茶苦茶恥ずかしい
どっからどう見ても夜彦が手にしてんの
俺が昼に飛ばした短冊じゃねぇか……
うん。謝んねぇでもいいって、事故なんだし……
これだけ広いのに遭遇するとは思わなかったしな
そりゃ良かった
夜彦の言葉に笑ってそう返し
月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿と空中遊泳に行きます
短冊は彼は出したそうなので私も書いてしまいましょう
先に出した彼等の願いと共に、私も送ります
さて、次は遊泳ですね
人口でも見上げるばかりだった天の川を泳ぐ事になろうとは
それに会話も出来る、どの世界でも不思議な体験できて本当に興味深いです
泳いでいる間にゼリー状の魚が寄ってきました
なんとも愛らしい……おや、短冊が付いています
思わず手に取ってしまいましたが願い事見るのは野暮
流そうと思うも端に書かれた「倫太郎」
そして中身は
……彼に暫し顔を向けられないかもしれません
酷く顔が熱い、それに気付かれてしまっては
す、すみません……見てしまいました
ですが……とても、嬉しく思います
●
夜の空を見上げれば何とも不思議な光景が広がっていた。
遠く、星の瞬きはあれど、焦点をやや前へと合わせればゆらゆらと漂う光。
「七夕ですか」
自身が知る七夕のように、船内のあちこちで見かける笹を見た月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は言った。
ひらり舞う長方の紙は願い事が書かれたもの――限らず、星のカプセルに入れたものもあり、イベントとして「形」が移り変わってきたのが見えた。
けれどこういう風に感じとれる名残が、嬉しく思う。
「倫太郎殿は、何か願い事をされるのですか?」
光る短冊を手に夜彦が問えば、
「ん? 俺は昼に書いた!」
ハキハキと篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が答える。ややドヤァとした表情で、であった。
「そうですか。では、私も書いてしまいましょう」
さらさら、と筆を走らせれば優美な書体があらわれる。
先にそれを夜空へと送り出せば、あっという間に光の一つとなり、それを追うように二人は空中遊泳へ。
「空を泳ぐ……泳ぐ?」
スペースワールドの住人は慣れているのか、すいすい泳いで行くのを横目に倫太郎は踏み台からやや跳躍してみた。
瞬間に自身の体が在るのは水中のように。
手でかけば感じる抵抗力。
「おお?」
コツを掴むのは早く、すいっと泳いでみる倫太郎。
「人工でも見上げるばかりだった天の川を泳ぐ事になろうとは」
追うようにして、すぐにやってきた夜彦は藍色の髪のふわりとなびかせている。彼の髪を見た倫太郎が同じようになっているのだろうかと自身の頭に手をやってみるが、短髪故によく分からなかった。
そんな彼のしぐさに微笑みを浮かべつつ、
「……それに会話も出来る。――どの世界でも不思議な体験できて本当に興味深いです」
「こないだの――アックス&ウィザーズ世界では魚と一緒に遊泳出来たけど、あの時は水中だったから話せなかったもんな……」
遊泳するゼリー状の魚が行き交う中、言った倫太郎がニッと笑む。
「今日はあんたと話せるからちょっと新鮮だ」
どこかわくわくとした、弾みが含まれた声。
願い事や星の折り紙を体内に取り込んでいるゼリー状の魚たちは、個体で色も違う。
そのなかでより透明な魚が夜彦の傍にやってきた。周囲の輝きに照らされ、様々な光を一時的に内包している。
魚たちは人に興味があるのか、気まぐれにつついていったりする。そんな魚が面白いのか、大きな魚を見つけては倫太郎が遊んでいる。否、遊ばれている。
「なんとも愛らしい」
寄ってきたゼリー状の魚を見て呟く夜彦。くねりと泳ぐ「彼」に合わせるように、ふと夜彦が手を添えるようにしてみれば――くるりと魚は一回転。
合わせるように近くの短冊が回ったことに彼は気付いた。
「……おや、短冊が付いています」
短冊を内包するつもりなのか、そうでないのか、分からなかったが、透明な魚がくわえていた短冊をふと手にする夜彦。
魚は彼の腕まわりを一周し、先へと泳いで行ってしまう。
手にしてしまった短冊をどうするべきか……と、見送る夜彦は刹那の迷い。ここは元の位置――天の川に流すべきだろうとすぐに判断した。願い事を見てしまうのは野暮というものだ。
が。
翻った短冊の隅に「倫太郎」の文字が見えてしまい、ふっと目を移す夜彦。ほぼ反射的なものであった。
ぐるっと見渡せば近くには光、空にも星が微かに。
眼下の地上には灯りがあり、360度の景色に点在する光たち。
「おもしれぇ――夜彦!」
ぐるぐると回ってみた倫太郎が、この「感じ」や楽しさを教えようと夜彦の方を向く。
が、彼は丁度いま固まっていた。そして透明の魚が泳ぎ去っていく。
倫太郎は不思議そうに首を傾げ、
「……アレ? 何? なんでそっぽ向い――」
びしりと固まった。
「……って! ちょ! あーっ!」
固まったのは一瞬で、ばたばたと泳ぐ。
「うっわ、待った。滅茶苦茶恥ずかしい」
ばたばたした後は、顔を覆ってやや仰け反った。そのままひっくり返るのが空中遊泳の面白さである。漂う倫太郎。
えーっと。
と、こう、倫太郎に顔を向けようと頑張る夜彦ではあったが、ちょっと無理そうだ。
酷く顔が熱い。
倫太郎に顔を向けないまま、そして手にしてしまっていた短冊から視線を外しつつ、そうっと……そーっと、天の川に流し――見送る夜彦。たぶん同じように、倫太郎も見送っている――昼間流した願い事を。
何とも言えないうずうずとした空気が二人の間に漂うのだが、空気を読まない魚たちがばんばん泳いでいく――それだけの時間が経過したということだろう。
「す、すみません……見てしまいました」
「うん。謝んねぇでもいいって、事故なんだし…………これだけ広いのに遭遇するとは思わなかったしな」
最初の返事で体勢を整えた倫太郎がひらりと手を振った。
やや言葉後半は引きつっているような声色であったが、持ち直すのは早い。
いつもの調子があっという間に戻ってきて、夜彦もまたこくりと頷いた。
「ですが……とても、嬉しく思います」
そうやってきちんと伝えれば、目をぱちくりとさせた倫太郎が次の瞬間には顔をほころばせるものに。
「そりゃ良かった」
そう言って笑って返して。
『出来るだけ、優しいあの人と一緒にいられますように』
――流れていった短冊は先程の魚がぱくりと内包し、宙の川にて貴なる緑の輝きを放った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と
足が付かない場所を泳ぐのは、少しばかり不安が無いではないが…
…ステラの手が、あるなら。大丈夫かな。
その手をしっかり取ろう。
水面…と感じるのは、ぜりー状の魚、というやつだろうか
食べていい、のかなぁ…ちょっとくらいなら、とは思うが
大丈夫そうなら、カガリもちょっと貰ってみようかな
…そうだなぁ。流星は、ひとりで飛んでいるものな
暗い宇宙を、いつ、どこに辿り着くのかもわからないまま
辿り着いても、砕けてしまうかもしれない
そういう、悲しい可能性を。いくつも退けて。
ここで、カガリの手を取ってくれているステラがいる事に。いつも感謝しているぞ(両手で握り直し)
…砕けるまで、一緒にいよう
ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
天の川を泳げると聞いて思わず来てしまった
普通の海は昔の影響かあまり近寄れなくてな
でも空の星の海なら泳げると思ったんだ
それにカガリと泳いでみたかったから
カガリ、私が先導しよう
元々宇宙を漂っていた隕石だ、空を飛ぶのには慣れているよ
手を繋ごうと彼に手を差し伸べる
ゼリー状の魚、あれは綺麗だが食べられるのだろうか
何味だろう、甘い味だといい
捕まえて食べるのはやっぱりダメか?
宇宙を飛んでいた時は独りだった
でも今はカガリと一緒に飛んで泳いでいる
それがとても楽しくて安心できる
繋いだ手を強く握る
この手を離しくないし、離さないでくれ
私はもう二度と独りには戻りたくないから
…砕けてもずっと一緒だ
●
スペースシップワールド。
かつての戦いで居住可能惑星を失い、慣れた大地を手放し飛立ち、遥かな時の中で有限の生を編んできた世界の人たち。
広大な宇宙の中の一つの船。
その中に、今のステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は在った。
遠く星の瞬きが見え、やや前方に焦点を合わせれば人工の天の川。
天の川を泳げると聞いて思わず来てしまったと、彼女は懐かし気に夜空を仰ぎ、次いで視線をゆるやかに落とした。
ざざ、と波音が微かに聞こえる。
広大でありながら、果てのある船内の海。それでも、とステラ。
「普通の海は昔の影響か、あまり近寄れなくてな……でも空の星の海なら泳げると思ったんだ」
空へ泳ぎに行くための発着所は広い。飛び込み台らしきもの、波止場から、崖上から、と様々な場所がある。
その中の一つにコテージから続く階段がある。階段の先には夜空が広がっていて、ステラはどこか弾むような足取りでその身を宙へ。
くるりと振り向けば、出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)がやや目を瞬かせたところだった。
「足が付かない場所を泳ぐのは、少しばかり不安が無いではないが……」
どこか模索するように、先の無い階段とその先にふわりと浮かぶステラを見る、カガリ。
『カガリと泳いでみたかったから』
少し前、呟いたステラの言葉を思い出す。
「カガリ、私が先導しよう。
元々宇宙を漂っていた隕石だ、空を飛ぶのには慣れているよ」
手を繋ごう。そう言ってステラが手を差しだして二拍。カガリはこくりと頷いた。
「……ステラの手が、あるなら。大丈夫かな」
確りと彼女の手を取って、一歩。
瞬間に自身の体が在るのは水中のように。手でかけば感じる抵抗力。
ステラに導かれるようにして、カガリは上へ上へ、宙へと泳いでいく。
願い事や星の折り紙――光を放つ紙を体内に取り込んでいるゼリー状の魚たちは、個体によって色も違う。魚本体は透明だが、内包する光によってその色が変化しているのだ。
肌に纏わりつく水のような感覚は薄い。
呼吸はできる。人と言葉も交わせる。
決して水の中ではないのだが――カガリは泳ぐゼリー状の魚たちを目で追っていると、ステラが呟いた。
「ゼリー状の魚、あれは綺麗だが食べられるのだろうか」
「――食べていい、のかなぁ……ちょっとくらいなら、とは思うが」
ステラとカガリの会話は、丁度通り掛かった船の者が拾ったらしく、あのぉと遠慮がちに声をかけてきた。
そして「食べられますよ~」という答え。
「もっとも、子供向けのイベントの一つなのですけどね。
ほら、光の鈍い元々色の付いた魚が泳いでいるでしょう?」
遊び心多様な者が開発したゼリーの魚も放流されており、時折、子供が捕まえようと泳いでいくのが分かった。
と、いうことで。
「では」
ぱしっと手で捕まえてみたステラ。視力が良いのか、動きを捉えるのが早かった。
金魚のようなひらひらとしたゼリー。
「何味だろう、甘い味だといいが――」
周囲の子供たちにならい、思い切って食べてみれば、甘い香りと甘い味。
これは、とステラは目を瞠った。
「どうだった?」
どこか心配そうに声を掛けるカガリに、ぱっと顔を上げるステラ。瞳がやや煌いている。
「イチゴ味だ」
「大丈夫なら、カガリもちょっと貰ってみようかな」
どこか安堵したように言ったカガリも腕を伸ばし、魚を捕まえてみようとするのだが――マイペース故か、魚の方が早い。
微笑んだステラは、繋いだ手をそのままに、一匹の魚を瞳に捉えて手を伸ばす。
まるで誘引されたかのようにして、彼女の掌には白の魚。
「ありがとう」
貰った魚を食べてみれば、カガリの口の中は甘く、ほんのりとした酸味。
「ミルクとレモンだろうか」
近くを過行く子供の手には金魚袋。まるでここが縁日であるかのように、ゼリー状の小魚が中で泳いでいた。
見上げれば満天の星空。
眼下の地上に広がる灯り。
その身は宙の中にある。
周囲にもまた、明滅する光源、ふわり漂うもの、そして流れる光は自身もまた流れていくのだという錯覚を見せる。
ふと、ステラは呟く。
「宇宙を飛んでいた時は独りだった」
その声は宙へと吸い込まれそうな色であった。カガリが彼女へと目を向ければ、ふわりと前髪が舞う。瞳は、揺らいでいるのか否か、見えなかった――が。
そうだなぁと、カガリは応じた。
「……流星は、ひとりで飛んでいるものな。
暗い宇宙を、いつ、どこに辿り着くのかもわからないまま」
辿り着いても、砕けてしまうかもしれない、とカガリ。
「そういう、悲しい可能性を。いくつも退けて」
ここで、と言った彼は、空いていた片方の手を添えた。両手でステラの手を包みこむように。意外と小さく感じる手を。
「カガリの手を取ってくれているステラがいる事に。いつも感謝しているぞ」
ここに在る彼女へ、言葉で伝えて、両手で握り直して気持ちを伝えて。
「……砕けるまで、一緒にいよう」
ステラは握り直された手を見て、カガリを見上げた。
頷く彼女の続く声に、在るのは『今』なのだと分かる。
「今は、カガリと一緒に飛んで泳いでいる。
それがとても楽しくて安心できる」
瞳は真っ直ぐに、カガリに向けられていた。透き通る青の輝き。
気持ちを返すように、繋いだ手を強く握った。
「この手を離しくないし、離さないでくれ。私はもう二度と、独りには戻りたくないから」
それは星の海のなかで、天の川に添えたステラの願い事。
「……砕けてもずっと一緒だ」
言霊は一際輝く軌跡となりて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイグレー・ブルー
【絡み・アドリブ歓迎】
先程浮かべたたなばたかざりと一緒に空を泳げる…?素敵であります……!
わたくしも是非その催しに参加できれば!何卒……!
先程書かせていただいた「ともだちができますように」という短冊も空に流せば叶う事もあり、文字も上手くなるやもしれません…
ふあぁ……こ、これは……すごい……
空に浮かぶ沢山の飾りなどを眺めてふよふよと流れていくかと思いきやたまに手足をばたつかせてみたり……むむむ…なかなかうまくいかないであります ぐるぐるです
他の方々はどのような願い事を書いたかどのような光になるのかとても楽しみであります……!
三蔵・迅
空を泳ぐとは、不思議な感覚です
これは百年と少しばかり長生きしてよかったなんて、そんなことも考えてしまいますね
水に沈みこむあの感覚が苦手で
海にはあまり近付かずにいた
だけどここは海の中では無いのだと
光る天の川やゼリーの魚たちを見て
強く思う
きらきらと輝く天の川
これだけ色彩があるのなら自分のグリモアの光と似た緑色もありはしないだろうかと、つい探してしまいますね
流れていく光を眺め思うのは
もうしばらくはここに浮かんでいたい
人の光を見ていたい、と
浮かんでいる最中でもしポノさんに会ったら
ご挨拶ついでに聞いてみましょう
あなたも何か、お願いごとはしてみましたか?
※一人なのでアドリブ、絡み歓迎です
(「先程浮かべた、たなばたかざりと一緒に空を泳げる……?」)
泳ぐように、空へと向かって行く人たちを見て、アイグレー・ブルー(ブラックタールのサイキッカー・f20814)はその緑の瞳を輝かせた。
願い事を直接持って行く人もいるようで、再び、短冊を手にしたアイグレーは願い事を胸に抱きどきどきと空を見上げた。
その時、
「スペースシップワールドへようこそ!」
遊びに来ていた赤い髪の猟兵がシャボン玉を飛ばし、皆を歓迎している。
それを見て三蔵・迅(晴乞・f04775)はふわりと微笑んだ。
と、反重力のための腕輪を複数預かったらしきとある猟兵が、きょろりと見回して迅の元へと駆けてくる。
どうやら腕輪を渡してくれるようだ。
はい、と渡されたそれを「ありがとうございます」と応じて装着する迅。
その腕輪はアイグレーにも。
同じ目線となる少女へ、「あ、ありがとうございますであります……!」とちょっとだけ緊張した声で礼を述べるアイグレー。
なんとも微笑ましい光景だ。
去る少女に手を振っていたアイグレーは、ふと、迅と目が合った。
ぱっと手を下ろし、思わずといったように一礼する少女に迅は声を掛ける。
「これで、準備は万端ですね。行ってみましょうか」
「は、はい!」
互いに軽く自己紹介をして、発着所へと向かう。選んだのは階段をのぼっていくルート。
階段の先には星空が広がっており、そこから皆飛立つように泳いでいく。
最初は緊張していたアイグレーも、今は少し弾む足取りだ。わくわくしているのだろう。
やや跳躍するように、踏み出した迅の身体がふわりと浮く。
水がないのに働く浮力。手をかけば確かにある水中のような抵抗力。
脚を動かせば、浮力と推進力が自身を先へと進ませた。
その不思議な感覚は、まさしく『泳ぐ』だ。
「――これは――百年と少しばかり長生きしてよかったなんて、そんなことも考えてしまいますね」
ざざざ、と立つ音を探すように、視線は眼下に。
海が広がっているのだろう。地上で暮らすための灯りが、漁火が、定点の光となっている。
水に沈みこむあの感覚が苦手で、海にはあまり近付かずにいた――だけど。
迅は遠く在る満天の星空を見上げたのちに、周囲へと目をやった。
ゼリー状の魚が光る短冊や飾りを内包し、泳いでいる。
人工の天の川では、昼間に作られた光る雲が漂い、たまに光の共演が発生し螺鈿のような光を放つ。
賑やかな声も聞こえてくる。
鬼ごっこらしきものをしたり、光を内包する魚とはまた違ったゼリー状の魚を追う子供たち。あれは食べられるもののようだ。
ここは海の中では無いのだ、と強く感じることが出来る、光も音も賑やかな光景だ。
「たくさんの光が在りますね――」
これだけの色彩があるのなら、グリモアの光と似た色もありはしないだろうか。
そう思った迅は、くるりと掌を上に。
現れたのは緑の光を放つ鳥だ。柔らかな若葉の色を放つ光が、くるくると回る。
カササギを模した光る折り紙を内に包む魚がやってきて、ともに泳ぎ回っていた。
「ふあぁ……こ、これは……すごい……」
光あふれる景色に声をあげるアイグレー。
浮力を捉え、上空まで泳ぐのは簡単だった。
問題はそこから先だ。アイグレーは体勢を維持するのにちょっとばかり苦労していた。
けれども、それよりも、気になるのはたくさんの飾り。
スペースシップワールドの住人や、猟兵たちが作ったものが光を放ち流れている。
ゼリー状の、透明な魚が流れる星をぱくりとくわえて身内へと宿した。すると内部のゼリーに拡散された光が、また違う輝きを放つのだ。
再び、魚がやってきて、アイグレーは緑色に光る短冊を差し出してみた。
端をぱくりとくわえた魚は、願い事の書かれた短冊を内包し、緑光を放ち天の川を泳いでいく。
わあ、と感嘆の声をあげるアイグレー。
『ともだちができますように』
ちょっとだけ、文字も上手くなってきた気がする渾身の一枚。叶いますようにと、天の川へと流れていくのを見送った。
ふよふよ流されて――周囲の輝きがアイグレーの体に映りこみ、様々な光を反射する。
たまに手足をばたつかせて泳ぐようにしてみれば、その体はくるんと一回転した。
「……むむむ……なかなかうまくいかないであります」
そう、止まろうと思っても止まらないのが空中遊泳だ。
ぐるぐると回っていたアイグレーは、ここが、ある意味において360度の『星空』だということに気付く。
満天の星空。
人工の天の川。
そして、地上の灯。
その時、再び流れ星がアイグレーの側を過ぎて行った。
「あっ、あれは流星群でありますね……!」
ぱっと手を出し、一つの星を握るアイグレー。
それは、彼女が昼間に飛ばした両手いっぱいの星たち。
ぱくりと摘むように魚が一つ、また一つと捕らえて魚群も出来始める。
「急な流れ星と魚の群れにご注意ください……!」
にこにこと、アイグレーは言うのだった。
流れていく光――流星の如き輝きと、それらを追う魚の群れ。
いずれ船の資源となるそれらは、今も先も、人の役に立つものだ。
迅の灰青の瞳に映りこむ、光。
かつての戦いで居住可能惑星を失い、慣れた大地を手放し飛立ち、遥かな時の中で有限の生を編んできたスペースシップワールドの人たちの声、賑やかな猟兵の声が、迅の耳をうつ。
彩り。
もうしばらくはここに浮かび――人の光を見ていたい、と、迅は緩やかに、漂うように。
流れ星を追うように、懸命に泳ぐアイグレーは再び迅と、そしてポノに会った。
「こんばんは~」
ひらりと手を振るポノ。
「こんばんは、良い夜ですね。アイグレーさんは星を追って……?」
迅が挨拶を。そして次に問いかければ、こくこくとアイグレーは頷く。
「わたくしが作ったのであります!」
びしぃっと敬礼し――アイグレーが後退した。慌てながらまた手をかいて、元の位置に戻ろうとするアイグレーの動きを助けるようにポノは彼女の手を引いた。
「大丈夫?」
「は! ついつい夢中になってしまったであります。
短冊の魚も――」
と、きょろきょろ周囲を見回すアイグレー。
「何か、お願いごとをしてみたのですか?」
こくこくと頷くアイグレーとポノ。少女二人は恥ずかしいのか、なんかもじもじしていた。
「じ、迅さんは! 何か願い事をしてみたのかしら?」
ポノの声に、人工天の川を一瞬見た迅はにこりと笑顔。内緒です、とも取れるような動きだった。
「叶うといいですね」
「叶えたいであります……!」
ゆるりと言った迅に、元気に応じるアイグレー。
短冊を内包し、泳ぐ魚たち。
その一つ一つの光は、集まった皆の願いであったり、遊び心であったり。
ウォーターガンで作られた雲の一つが、ほどけ、キラキラと拡散し真っ暗な海へと降っていく。
まるでオーロラのようだ――。
まだまだ夜は長い。新たな光る雲を作るべく、ウォーターガンを借りて。
とある夏の一夜を、猟兵たちは思い思いに過ごすのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
空中遊泳を目一杯楽しむネ!
反重力なんて
科学と魔法の区別がつかないネ
水着を着てタピオカティーを持ち込み
気分はピーターパン
ティンカーベルはやきもち焼き過ぎだから
ソヨゴはどちらかというとウェンディかしら?
海賊に攫われたら僕が助けに行くよ
短冊に願い事を書いて持ってきた
ソヨゴのそばに寄ってこっそり見せる
はにかみながら
ソヨゴといつまでも一緒にいられますようにって
あら、ソヨゴの反応が思ったよりかわいらしい
そっとソヨゴのおでこに口付けする
わ、すごい真っ赤だネ
悪戯っぽく笑いながら逃げ
あっさり捕まる
ゴメンゴメン
タピオカあげるから許して
天の川の景色がロマンティックで
ちょっとくらいいいでしょ?
城島・冬青
・アヤネさん(f00432)と
リゾート船で空中遊泳とか凄いですね
早速空を泳ぎましょう
あ、タピオカも持って行くんですね
あわわっ!私達、鳥になってます
凄い!凄い!
アヤネさんがピーターパンなら私はティンカーベルですね
え?ウェンディ?
そうでしょうか(あの子、結構攫われヒロインだったな…と脳内で思ってる)
アヤネさんは短冊持って来たんですね
願い事を見せてくれるんですか?どれどれ
………いじらしいながらも情熱的な願いの内容になんと返事をすればいいのか
もじもじしていると額に柔らかい感触が…
ってちょっとぉ
不意打ちとか聞いてません
何するんですかぁ(真っ赤になり)
私はタピオカよりミルクティー増し増しの方が嬉しい派です
夜空を見上げれば、遠くにはいつもの星空。
だがつい見てしまうのは、それよりも手前にある空だ。
様々な光で彩られ、光は舞うように緩やかに流れている。
「リゾート船で空中遊泳とか凄いですね」
わくわくと弾んだ声で城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)が言った。
「反重力なんて、科学と魔法の区別がつかないネ」
配布されている腕輪を装着しながら、アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)が応じる。薄く、ぴたりと添うそれは一見リストバンドのようにも見えた。
「アヤネさん、準備できました? 早速空を泳ぎに行きましょう」
「うん」
「あ、タピオカも持って行くんですね」
「もちろん」
二人とも動きやすい水着でいつもはおろしている髪を、冬青はシュシュで一纏めに。アヤネはポニーテールに。
好きなものを持って、さあ、星の海へ。
飛び込み台のような場所からその身を空中に躍らせれば、瞬時に腕輪が作用し働く反重力。
纏わりつくような浮力と、手でかけば僅かな空気の圧が感じ取れた。
脚を蹴るように動かしてみれば、容易に加速する。
「あわわっ! 私達、鳥になってます」
最初はばたばたと手足を動かしていた冬青は、運動神経は良いのだろう。すぐにコツを掴む。
「凄い! 凄い!」
短冊や笹飾り、光を放つ紙を内包したゼリー状の魚が回遊している。
キラキラとしたミストのような雲が時折重なり螺鈿のような光を放つ。星が流れていく様が視界に入り、目で追えば、ここが360度星空の中だということに気付いた。
遠くにある本当の星。
人工の天の川。
そして地上の灯。
「気分はピーターパンだネ」
アヤネがくすくすと笑いながら、手を差し伸べれば冬青が自身の手を重ねた。
一人だと中々安定しない姿勢も、二人ならば繋いだ手がそれを補ってくれる。
「アヤネさんがピーターパンなら、私はティンカーベルですね」
妖精さんの気持ちで空中遊泳へ挑もうとする冬青に――アヤネは少し考える。
「ティンカーベルはやきもち焼き過ぎだから、ソヨゴはどちらかというとウェンディかしら?」
「え? ウェンディ? ですか? ……そうでしょうか……?」
琥珀の瞳を大きく、そしてぱちぱちと瞬かせる冬青は――あの子、結構攫われヒロインだったような……と思っていた。
そんな彼女に気付いていたのか、アヤネは微笑みを浮かべウインク。
「海賊に攫われたら僕が助けに行くよ」
「アヤネさんが助けに来てくれるのなら、ウェンディも悪くないですね」
冬青も微笑み、うん、良いなと改めてそう感じたのだった。
「この辺りとかどうかな」
ふと呟いたアヤネが止まり、冬青も同じ動きに。
「アヤネさん? ――あ、短冊持って来たんですね」
「うん……あのね」
アヤネは両手で短冊を持ち、冬青の傍に寄って。
短冊は琥珀色で、キラキラと輝く緑の縁取り。
「願い事を見せてくれるんですか? どれどれ」
冬青は肩を寄せ合うようにして、彼女の短冊を覗きこむ。
琥珀の瞳に文字が飛びこんでくるのと同時に、アヤネの声が耳朶を打つ。
「ソヨゴといつまでも一緒にいられますように――って」
はにかみながら告げたねがいごと。
ちら、と冬青の方へと視線を向けてみれば、あら? とアヤネが心の中で呟く。
彼女の反応はといえば、
「……~~」
いじらしいながらも情熱的な願いの内容に、なんと返事をすればいいのか――と頬を染める冬青。
早く何か言わないとアヤネも困ってしまうだろうとなりながらも、もじもじ。
その時、額にふわりと柔らかな感触――。
さらりと。柔らかく長い髪が冬青の首筋に流れ落ちてきたかと思えば、するすると離れていく。
「…………~~って」
ちょっとぉ、と染めた頬がちょっとだけ膨れる。
「不意打ちとか聞いてません。何するんですかぁ」
「わ、すごい真っ赤だネ」
「アヤネさん……!」
悪戯っぽく笑いながら逃げるアヤネを、ぽこぽこすべく冬青は追う。
けれど、本気で逃げる気はなかったのだろう。あっさりとアヤネは捕まった。
「ゴメンゴメン、タピオカあげるから許して」
笑いをこらえるようにアヤネが言うのだが、がうっと冬青が返す。
「私はタピオカよりミルクティー増し増しの方が嬉しい派です……!」
「あら、甘いのがご所望なのかしら?」
「アヤネさん~~~~!!」
頬だけでなく、首や耳も真っ赤にした冬青が――名を呼ぶ。
「天の川の景色がロマンティックで、つい。ちょっとくらいいいでしょ?」
はい、と渡してくるアヤネからタピオカを受け取る冬青。
アヤネはどこに短冊を飾ろうかなぁと周囲を見回す――その時、寄ってきた透明なゼリー状の魚に短冊の端をくわえさせれば、緑と琥珀の色を放つ魚に。
天の川を泳ぐ魚は緩やかな軌跡を描いて。
アヤネのねがいごとを内包し星のように光り輝くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リグ・アシュリーズ
【かんさつにっき】
ポノさーん!遊びに来たわよー!
いざ、ミッドサマーゴルドデデーンギャラッ……ウェーイ号探検っ!!
(勢いで通すパターン)
ありがとー!と、杏さんから可愛い金魚さん受け取り。
私何も分かってないけど、空を泳げるのよね?
水もない所でどうやって……真琴ちゃんっ!?
(追いかけて自分も体が浮く)
天上に砂浜。眼下に星空。
真っ逆さまに夜空へと漂う。
すごい……こんな不思議な眺め、はじめてだわ……!
鬼ごっこの誘いには、嬉々として参戦。
逃げる間はきゃーって捕まってみたり。
鬼になったら?
そうね……シリンさん他一部の人相手には『少し』本気出すわ。
……私、そこそこ速いわよ?(にこっ。野生育ちの超自由形泳法)
木元・杏
【かんさつにっき】
ポノ(ぱたぱた駆け寄り
ん、小太刀も
皆に金魚型の手首用浮き輪を渡して、わたしもつけて
今日は皆揃って浮き輪仲間
ん。
いざゆかん、うぇーい♪
(リグの掛け声に拳をあげて)
空中遊泳は泳げなくても浮くね
少しもたつきながら
きらきらの天の川をふわふわ
お魚、気持ちよさそう(ふふ、と笑って
ん、鬼ごっこ?
誰から鬼?……もしかしたらわたしかも
笑顔でゆっくり振り向き、目があった人をたーげっとおん
お魚と一緒に滝登り
ぴょーんと跳ねたり、ふわふわ浮きながら光る折り紙星を足場にステップ
うさみみメイドさんも参加したい?
飛び出すと同時にスマッシュダッシュで泳いでくメイドさん
……獲物を狩る目だった(ごくり
シリン・カービン
【かんさつにっき】
「ポノ」
手を振りつつ、杏から金魚型手首用腕輪を受け取ります。
…気分が浮き立っている自分が少し意外。
張り詰めた緊張が緩んでいるのでしょうか。
これが、平和…
空を泳ぐ経験は、A&Wでもまだ無かったです。
光る魚や飾りの流れに身を任せながら、
ゆったりと回転して景色を眺めます。
賑やかな皆の声も風景の一部…鬼ごっこ、ですか?
誘いに頷いて泳ぎ出します。
子供達相手はのんびり楽しみながら。
(祭莉には触らせてあげない本気)
リグの本気を宿した笑みには本気の笑みで応えます。
泳ぎは狩猟に必要なスキルの一つ。
谷川の激流を渡れる程度には鍛えてますよ。
(高速バトル開始)
ふふ、たまには大人げないのも良いですね。
琶咲・真琴
【かんさつにっき】
ポノさん、皆で遊びに来ましたよー!
空の中で泳ぐって不思議な感じですね
杏姉さんは金魚浮き輪ありがとうございます!
……あれ、泳げない?
行きたい場所とはまったく別方向に行くー?!
え、鬼ごっこ?
ちょ、ちょっと待って!?
ボクまだ泳げてな――(捕まりそうになり、誰かに引っ張られて回避
あ、お祖父ちゃんお祖母ちゃん!
うわーん、ありがとう
鬼ごっこはお祖父ちゃん達に引っ張られて逃げます
下心が見え見えですよ
まつりん兄さん
というか、ボクが男の子なの知ってますよね?!
うさぎメイドさんが怖いですっ?!
リグさん達の泳ぎの攻防、すごいですね
後で泳ぎ方教えてもらおうかな?
アドリブ大歓迎
水着はJC参照
木元・祭莉
【かんさつにっき】で、ウェーイ♪
逆天の川で、空中遊泳だってー♪
いやー、女の子たちが四方八方を舞い踊るってー。
ふふーん、役得ー♪(何故かドヤ顔の小雷様)
この金魚、ウチの風鈴に似てるね。
ホラ、まるっとしたフォルムが、ね♪
お魚になった気分で、錐もみとか人間ドリルとか、色々練習するよ!
ひっさつわざって、大事でしょー?
流れに乗ったり、逆らったり。
ほら、スプラーッシュ! って水族館のイルカショーみたいに!
え、鬼ごっこ?
………!(がっつぽーず)
ハイハイ、おいら、鬼やるよー。雷様だしね!
合法的に、みんなにたっちするチャンス!
つーかまーえ……あれ?
ナンデそんなホンキなの!?
きゃっきゃウフフはドコーっ!?
ガーネット・グレイローズ
【かんさつにっき】
ポノ、お誘いありがとう(ぺこり)
私は鬼ごっこに参加せず、皆が楽しんでいるところを
見ていよう。宇宙での生活は一番長いからね。
「スペースシップワールドへようこそ!」
フォースオーラで作り出したシャボン玉を飛ばして、
皆を歓迎しよう。
日々の激務から解放された貴重な至福タイムだ……。
<空中戦>技能を応用して、宇宙空間を華麗に遊泳。
思いのままの方向へ泳いでいこう。
ゼリーの魚や、光る短冊を眺めながら、プカプカと
漂うよ。
「生まれ変わったら、宇宙を漂うクラゲになりたい」
冗談だ。
あらぬ方向へ流されそうな真琴を見て、思わず助けに行く。
「大丈夫か? 真琴が行きたい場所まで一緒についていってあげよう」
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
うぇーい♪(リグと杏につられてポノにハイタッチ
……いやいや、はしゃいでないよ、ないよ?(誤魔化し
杏の金魚な浮き輪、超かわいい!……ありがとね(うきうき着用
まだ数があるなら、しばし考えオジサンも召喚
オジサンの腕にも付けてみる
うん、完璧!(どやぁ
それにしても、天の川を泳ぐなんて不思議ね
ふふ、お祖父ちゃんお祖母ちゃんも楽しそう(流されていく真琴に手を振りつつ
ガーネットのシャボン玉も綺麗!
追いかけて触ってみよう
イルカショーみたいな祭莉んの方にもボール代わりに投げてみたり
鬼ごっこ?
シリンもリグもめっちゃ気合入ってるし!?
上等じゃないの、泳ぎなら負けないんだからね!(ぐっ
※アドリブ歓迎!
空中遊泳のための発着所はあちこちにあり、猟兵たち――【かんさつにっき】の面々が選んだのは階段をのぼっていくルート。
階段の先には星空が広がっており、そこから皆飛立つように泳いでいく。
とはいえ直前に色々と手続きがあるので、今は順番待ちだ。
ある人物を見つけたリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)が弾んだ声で呼ぶ。
「ポノさーん! こんばんはっ!」
「皆で遊びに来ましたよー!」
琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)と、木元・杏(ぷろでゅーさー・あん・f16565)が駆け寄ってきてポノは出迎えるようにして手を振った。
子供たちが駆けて行く様を見守りつつ、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が手を振り返す。
「こんばんは、良い夜ね!」
と、ポノ。
「ポノ、お誘いをありがとう」
ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)がぺこりと一礼したので、ポノもいえいえと礼を返した。
どうやら順番待ちをしていたらしいポノは、
「空中遊泳、楽しみね」
「空の中で泳ぐって、不思議な感じですね」
パンフレットを読んでみても、分からない。ここは実体験だろうと、ぐっと拳を作って真琴が言った。
その様子に微笑み、頷くガーネット。
「私はのんびりさせてもらおうと思っている――ああ、ありがとう、杏」
杏が手渡す腕輪。係りの者から複数預かったのだろう、薄いリストバンドのような反重力を得るための腕輪を装着したガーネットは慣れた様子だ。
それともう一つ。
金魚型の手首用浮き輪も一緒に、と杏。
「杏姉さんは金魚浮き輪ありがとうございます!」
真琴に渡し、そのまま隣の鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)へと杏は渡す。
「ん、小太刀も」
「金魚な浮き輪、超かわいい! ……ありがとね」
うきうきとした様子で着用する小太刀。そして『彼』を忘れてはいけない。
サモニング・ガイストで鎧武者のオジサンを召喚するのだが、まだまだ夏仕様のオジサンの胸元はレイが揺れていた。
「……うん、完璧!」
小太刀が金魚型の手首用浮輪を付けてやって、ますます夏仕様の増したオジサンと小太刀はどやぁとした表情に。
「この金魚、ウチの風鈴に似てるね」
手首に着用する前に、くるくると回しながら「ホラ」と木元・祭莉(サムシングライクテンダネスハーフ・f16554)が言った。
「まるっとしたフォルムが、ね♪」
「……似てる、かも」
改めて見た杏が気付いたように呟く。
木元家の軒先に吊り下げているだろう風鈴はどんな音色を奏でるのだろうか。
「似た風鈴があるのですか。音を聴いてみたいですね」
と、シリン。まるっとしたフォルムを細腕へと通す動きは、繊細なアクセサリーを扱う手つきだ。ひらりと舞うように手をかざせば――ふと、シリンは自身の状態に気付く。
――……気分が浮き立っている自分が少し意外。
(「張り詰めた緊張が緩んでいるのでしょうか」)
数か月前、スペースシップワールドでの大きな戦いがあったことは記憶に新しい。
「これが、平和……」
ぽつり、呟いた。
ありがとー! とリグも手首へ浮輪を通して。
さて準備は整った。順番も来た。
「いざ、ミッドサマーゴルドデデーンギャラッ……ウェーイ号探検っ!!」
「「「うぇーい♪」」」
「いざゆかん、うぇーい♪」
やっぱりリグも噛んでしまった船の名前。しかし勢いで通した彼女の声に合わせて、皆の声。ひとつ頷いたのちに杏が拳を上げた。
小太刀はポノをはじめ皆とハイタッチ!
拝啓ミッド様。
ミッドサマーゴールデンデライト・ギャラクシーミルキーウェイ号という名前は、噛みます。
分かるわぁと頷くポノ。
一番に駆けだしたのは、祭莉だった。
「とっつげき~!」
「わわ、まつりん兄さん、ボクも行きます!」
階段を駆け上がった祭莉を追うのは真琴。そしてオジサンだ。
「祭莉ん、真琴、気を付けてねー」
声掛ける小太刀。
男の子たちとオジサンは元気だなぁという目になったシリンとリグがついていく。
「私何も分かってないけど、空を泳げるのよね? 水もない所でどうやって……」
と言うリグの耳が、「……あれ? 泳げない?」と呟く真琴の声を拾った。
目を向ければ、ぐるんと一回転した真琴。ばたばたと手足を動かせば推進力が働いたのだろう。加速した。
「って! 真琴ちゃんっ!?」
思わずと言ったように駆けあがったリグが跳躍すれば、瞬時に腕輪が作用し働く反重力。纏わりつくような浮力と、手でかけば僅かな空気の圧が抵抗力を生み出す。
敢えて蹴るように。
その間に、真琴の腕をガーネットが取る。ほっと安堵の息を吐くリグ。
「大丈夫か? 真琴が行きたい場所まで一緒についていってあげよう」
空中遊泳はスペースシップワールドの者の嗜みともいえよう。華麗な遊泳を見せてくれるガーネット。
「はあ、びっくりしました。ええと、とりあえず天の川まで辿り着きたいです」
真琴の言葉に頷く、ガーネット。
「その前に――」
さすがともいうべき動きで、ふわりと浮上したガーネットがその身をくるりと反転させた。空中遊泳でその場に止まるのは、なかなか難しい。それを容易にこなす彼女に、手を繋いだままの真琴が驚いた表情で見上げる。
「スペースシップワールドへようこそ!」
フォースオーラで作り出したシャボン玉を飛ばして、皆を歓迎するガーネット。
人工の天の川、泳ぐゼリー状の魚の光を時に内包し、反射し、容易に壊れないシャボン玉がキラキラと輝く。
わあっと歓声が上がった。
皆の声に、光に、誘われるようにシリンもまたその身を空中へと躍らせた。
「――杏?」
ふと後ろを振り向けば、誰かと話をしていたらしい杏が、後ろへ小さく手を振ってこちらへと向かって来るところだった。
「ん。行こう、シリン」
にこっと微笑んで杏は言った。
●
「ほら、真琴! シャボン玉追っかけてみようよ」
「うん、行くっ!」
小太刀が真琴の手を取って、ガーネットの作ったシャボン玉を追いかけ始める。
ふわりふわりと浮上していくそれは、天の川の流れに取り込まれ、漂い流れていった。
つんとつつけば、加速するシャボン玉。
小太刀は楽しくなって、一つ、一つと集めてみる。
ゼリー状の魚がシャボン玉を取りこめば、その形はフグのように。
「あ、面白い~」
にこにこと小太刀。何かないかな、と辺りを見回す。
光の奔流を水面とするならば。
リグは仰向けの状態から、くるりと更に回ってみる。
『見上げれば』天上にライトアップされた砂浜。眼下に星空。
地上の灯は動かぬ星の瞬きのように。
真っ逆さまに夜空へと漂う。
「すごい……こんな不思議な眺め、はじめてだわ……!」
両腕を上へ広げれば、光を取り込んだ魚が遊ぶように間を通っていく。
「お魚、気持ちよさそう」
ゆったりと泳いでいく魚を見て杏が、ふふ、と笑う。魚へ向かって手を差し伸べれば、指先をつんつんとつつかれた。
そして、するっと泳ぎ抜く魚を追うように。
少しもたつきながらも、きらきら輝く天の川をふわふわと泳ぐ。頑張らなくても浮く空中遊泳は、泳げない杏も肩の力を抜いて楽しめる。
風精霊の力を借りて舞うように跳んだことはあるが、空を泳ぐ経験はさすがにはじめてだと、シリン。
様々なものひとつひとつが天の川を構成していて、シリンはゆったりと回転しながらそれらを楽しむ。
花のように連なった飾りは黄や桃といった光、先端に星飾りの付いた吹流しはクラゲのように漂い流れていく。
「生まれ変わったら、宇宙を漂うクラゲになりたい」
同じように泳いでいたガーネットが吹流しを見て、呟いた。
と、その時、大きなゼリー状の魚に掴まるように――捕まっていたのかもしれないが――ふわりと真琴が上からおりてくる。
「クラゲですか? ――あ、ガーネットさん、あれ、クラゲですよね?」
「うん??」
真琴がその小さな手で指差した先には、確かにゼリー状のクラゲ。
「本物だろうか? ……いや、ゼリーだな」
その見た目故に本物っぽい。じいいいっと観察したガーネットは、透明なままであるそれに流れてきた星飾りを与えれば、クラゲは仄かな黄色の光を宿す。
そしてしばらくガーネットの後をついてきた。
「懐かれてしまったようですね」
くすり、と微笑みながらシリンが言えば、ガーネットは前髪を払うように髪をかきあげた。
「餌付けしたようなものだろうか……」
そう言って上を仰げば、こっちを眺めながら泳いでいる祭莉を見つけた。
「いやー、女の子たちが四方八方を舞い踊るってー、ふふーん、役得ー♪」
楽しげな祭莉だが、言動はコラコラものである。上空で、くるりとリグのように逆さまになって皆を見上げる。
金魚のように裾の舞う水着、すらりと伸びた手足は仄かな光に照らされ艶やかに。
のんびりと楽しむ様子は、いつもとひと味違う穏やかな表情で――と、ここでガーネットと目が合った。
手足をばたばたと動かして、ごまかすように泳ぎ出す祭莉だが、楽しくなってきたのだろう、加速して錐もみとか人間ドリルのようにぐるぐると泳ぎ出す。
「目が回る~♪」
「まつりん、何してるの?」
クラゲに掴まる杏が近寄ってきて尋ねれば、「練習!」と元気な声。
「ひっさつわざって、大事でしょー?」
昼間に作られた小さな折り紙の流星群がやってきて、それを捉えた祭莉は強く空を蹴ってジャンプ。
「ほら、スプラーッシュ!」
きらきらと星が散って、その一つが杏の掌に落ちてきた。
「祭莉ん!」
小太刀の声がして、ぽんとシャボン玉が大きな弧を描いて飛んできた。
「きゃっちー!」
シャボン玉をキャッチし、ぽーんと小太刀へと跳ね返す。
しばらくそうやって遊んでいた皆を眺めていたシリンだが、ふと、気付く。
エルフの耳が拾ったのは――、
「……鬼ごっこ、ですか?」
誰が最初に言い出しっぺとなったのか、うん! と元気な声で返す子供たち。
「誰から鬼?」
杏がゆっくりと見回して、尋ねて、もしかしてわたしからかな、と思うのと同時に、双子の兄も同じようなことを思ったようだ。
「ハイハイ、おいら、鬼やるよー。雷様だしね!」
同じようなこと、っていうか、乗り気というか。ハイハイハイ! と主張が止まらない。
「……え。じゃあ、まつりんから……」
兄を観察するような目を向けつつ杏が言えば、祭莉は無言でガッツポーズ。
「じゃあスタート!」
「え。ちょ、ちょっと待って!? ボクまだちゃんと泳げてな――」
バタバタと手足を動かした真琴、飛びつくわんこのように祭莉が迫る。
刹那、ぐいっと真琴が急浮上する。
「!? あ、お祖父ちゃんお祖母ちゃん! うわーん、ありがとう」
familia pupaの祖父母が真琴を引っ張り、逃げる手助け。
祭莉はそのままシリンに飛びこみそうになるが、止まる理由が、彼には当然なかった――が、ひらりと避けるシリン。残像からの見切り。
「甘いですよ、祭莉」
見切りは、祭莉の心まで見切っていたようだ。
「あり?」
「下心が見え見えですよ、まつりん兄さん! というか、ボクが男の子なの知ってますよね?!」
クローバー柄の白いワンピースな水着をひらひらとさせている真琴。ああ、うん、オトコノコ……祭莉は頬をかいた。
「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、真琴をよろしくねー!」
小太刀の声に応え、くるくると回るfamilia pupa――真琴もくるくると回ってしまうのは自然の摂理というものであった。
今の鬼は、杏。
天の川を逆流するように進んで。
ピンクや水色、白の光を放つ魚たちと一緒に、上から流れ落ちてくる人工天の川を滝登りだ。
ぴょーんと跳ねて、折り紙の星群を足場に、ステップ。ぴょんぴょんと進んで。
少女が今追っているのは、小麦色の肌――リグだ。
「きゃーっ、あっ、わあ行き止まり!」
リグの前には、光る霞のような雲。突っ切れるのだろうが、敢えて彼女はぴたりと止まって周囲を見回した。
瞬間的に障害物を設定してやる鬼ごっこ。上手く利用して泳ぎ進んでくる杏。
ふわりと、リグに飛びこむように。
「つかまえた」
「あら、捕まっちゃった~。次は私が鬼ね! それじゃ、行ってくるわ」
にこにことリグが言って、杏の頭を撫でた。
華麗にターンして、泳ぎ去っていく。
足場にしていた星からぴょんと跳んだ杏は、潜るように緩やかに下へと落ちていく。
と、ここで主張が届いた。
「――? うさみみメイドさんも参加したい?」
それじゃあ、と杏が言えば、うさみみメイドさんが一回転。しゅばっと急降下していく。その軌道は鷹の如し。
「……獲物を狩る目だった」
ごくりとして、呟く杏。
一瞬だけ見えた、うさみみメイドさんの緑の瞳は猛禽類の光を宿していた、ような、気が、する。
そして、「えっメイドさん!?」「鬼2体!? うさみみメイドさんが怖いですっ?!」「――あっ、ちょっとオジサンまで! 鬼したいの!?」――うさみみメイドさんと、感化されたオジサンもまた鬼になったようで、計三鬼。祭莉、真琴、小太刀の悲鳴が聞こえてきた。すごいだいさんじだ。オジサンは、いつでもはしゃぎたいお年頃なのだろう。
「うんうん、なかなか楽しそうじゃないか」
いやあ、若い者はこうでなくては、とガーネットが楽し気に頷いている。「な、」と杏に同意を促すので、こくりと杏は頷いた。
ゼリー状のクラゲ、魚、亀と色々引き連れているガーネットの姿が、そこにはあった。
「はっ!」
思わず息継ぎをしてしまう小太刀。クロールしていた。
「ちょ、っと、息切れてきたんだけど!?」
きゃっきゃとした鬼ごっこ。今や、本気で逃げている。
「泳ぎなら負けないんだからね!」
競泳選手ばりのスピードで泳ぎ去る小太刀。
雲の重なりに入り込み、上手くその身を隠す。
「よろしくね!」
うさみみメイドさんが追うのを見て、リグは言う。そして、振り向く――そこにはシリンの姿。
流れる吹流しに上手く空気が入ったのだろう。ヒュウウウゥゥ、と音が鳴った。
「ふむ……」
と、上空のガーネットが小さな折り紙星をまけば、魚たちが二人を避けるように上へ上へと。
天の川が一瞬にして荒野の空気。
じりじりと。
リグとシリンが相手の出方を窺う。初手はどのように。
「……私、そこそこ速いわよ?」
にこっと笑むリグ。焦茶色の瞳はキラリと鋭く。
シリンもまた微笑む――。一瞬その手に精霊猟銃がある錯覚。
「泳ぎは狩猟に必要なスキルの一つ。谷川の激流を渡れる程度には鍛えてますよ」
にっっっこり。
二人が笑みを深めたその瞬間。
脚力を駆使し、空を蹴るリグ。自然の力を掴む力はシリンも優れている。
空気の流れを捉え、気流に乗って泳力を高めた。
つかむ技術、抵抗を下げる技術、推進力を上げる力――野生育ちの二人は本能で捉える力を持っている。
反重力を上手く利用すれば、反動に高らかに急浮上も行える。
そこに飛びこんできたのはオジサンにたっちされ鬼になった祭莉だ。
「合法的に、みんなにたっちするチャンス! シリン姉ちゃん、つーかまーえ……あれ?」
ばびゅんと泳ぎ去る二人の勢いは、新たな気流を生み出し、弾かれた祭莉はぐるぐると回った。
「エッ!? ナンデそんなホンキなの!? きゃっきゃウフフはドコーーーーっ!?」
「リグさん達の泳ぎの攻防、すごいですね。後で泳ぎ方教えてもらおうかな?」
空を蹴り、左右に動きながら浮上していく二人を見て、ぽかんと口を開けた真琴が言うのだった。
ちなみに空中遊泳は、ちょっとした飲み物は持ちこめて、子供のために小さな菓子のゼリー魚も泳いでいる。
一度飲み物を取りに戻ったガーネットは、皆の鬼ごっこの様子を眺めながら、
「日々の激務から解放された貴重な至福タイムだ……」
天の川で漂いながら、のんびりと言うのだった。
猟兵たちの、ちょっとした夏休み。
思い出はキラキラと天の川のひとつに。
大成功
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