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仔山羊のフーガ

#UDCアース #呪詛型UDC #アミューズメントホテル




「――――ォ……ア……」

 暗い暗い、どこかの地下室。
 白いコンクリートに囲まれたそこに響くは、小さな水音と掠れた小さな人の声。
 錆びた蝶番が軋みをあげると、扉の隙間から鋭い光は室内に差す。

「ンだよ、もう壊しちまったのか?」

 入ってきたのは、金髪の男だ。
 ゴテゴテとしたスーツに、地下室には不要であろうサングラス。
 ジャラジャラと指輪を鳴らして、いかにも成金趣味といった風貌だった。

「てめェに餌をくれてやる代わりに融資をもらってはいるが……ここまで大食らいだとは思わなかったぜ」

 関節のない生き物のように力なく床に横たわる女を見て、男が呟いた。
 涙やよだれの乾いたあとを顔につけた女の目に光はなく、自力で動くこともできないほどに衰弱しているのか、時折、身体を震わせるのみ。

「チィ、新しい生贄を探さねえとなぁ……」

 男は小さくぼやいて頭を掻くと、地下室から出ていった。



「宿泊? 休憩?」

 集まった猟兵たちを前に太刀川・明日嘉(色を失うまで・f01680)が突然そんなことを訪ねたものだから、何人かは困惑し、何人かは首を捻る。

「これが冗談じゃないで、困ったもんだわ」

 へらっと笑って、明日嘉は肩を竦めた。

「UDCアースにある裏カジノ。そこに何かしらの怪異が匿われていることがわかったわ」

 けれど、そこに入るためにはどうしても系列店のアミューズメントホテルに泊まらなければいけないという。

「ホテルのお客さんの中から興味がありそうな人を、カジノの方に誘ってるみたい。お客さんとしてだったり、従業員としてだったりね」

 そこで一旦言葉を区切り、明日嘉はにまっと笑う。

「だからこのアミューズメントホテルに泊まってきてちょうだい!」

 急に泊まって来てと言われても、と猟兵たちも顔を見合わせた。

「まあまあ、ここには室内プールがあったり、部屋にもゲームがあったり……時間を潰すには困らないはず。普通に遊んでるだけで大丈夫だで、自由に過ごして」

 まだまだ仕事は続くからほどほどにね、と人差し指を立てて続ける。

「2、3時間利用してホテルを出れば、勧誘があるはずだで、そのまま着いていって。従業員は足りないみたいだから、そっちのアプローチなら断られないら」

 それから明日嘉は、ふと思い出したように視線を天井へと向けた。

「ああ、このカジノは制服が支給されるんだけど、ちょっと大人っぽいから、慣れてない子は気をつけて……? ううん、気をつけても着ることには変わりないか……覚悟してって」

 明日嘉が両手を頭の上に持っていき、手をぴょこぴょこと動かしてそれとなく示す。
 両足揃えてぴょん、と一回飛べば、ゆさっと揺れて、眼鏡がズレた。

「そしたらいってらっしゃい。気をつけてね」

 明日嘉が眼鏡を直してから、側に置いてあった紫色の本を開く。
 そのページから文字が溢れ出したかと思ったら、辺りは黒い霧に包まれ……それが晴れる頃には、目の前にまるでお城のような建物があった。


るーで
●ご挨拶
 ごきげんよう、るーでです。
 アミューズメントホテルです。
 アミューズメントホテルです。(重要)

●概要
 一章はホテルでのんびり。
 部屋等に着いたあとから出る前までの間で楽しそうなところの描写になります。
 基本的には何していても大丈夫ですしお任せなら最近のアミューズメントホテル(大切)にありそうな何かで遊ぶ描写をします。ウォータースライダーとか。ゲームとか。動くベッドとか。
 お友達や恋人さんとお誘い合わせのうえ参加されるのもいいでしょう。

 二章はカジノに潜入待機。
 従業員として働いているところの描写になります。
 「トラブルがあっても騒ぎを起こさないように対処すること」が目的です。
 派手派手な対応は控えてお願いします。
 それと制服が支給されるので、よければ着てくださいね。

 三章は集団戦となっております。
 思いっきり殴ってください。
 雑魚が相手ですが🔵🔵🔵以外は「一発貰いながらも倒す」くらいに書くと思います。
 以上です。
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第1章 日常 『高級ホテルで優雅な一夜』

POW   :    プールやフィットネスで汗を流したり、レストランで料理を満喫する

SPD   :    ホテル内を探検したり、上質な空間で作業に没頭する

WIZ   :    ホテル内のバーや客室、ロビーなどで静かな時間を過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



「へぇ……結構広いじゃん」

 客室に入った猟兵の一人がピンク色の内装を見回して、感心したようにつぶやく。

「見てこれプールある! ウケる」

 もうひとりが指した先には室内プール。
 高く作られた天井を利用して、小さなウォータースライダーがプールの周りをぐるりと囲っていた。

「えっ、共用スペースとかじゃなくて部屋に付いてんの? ……なんか隣の部屋はテニスコートとかあるらしいよ」
「ホテルまできて室内でテニスするの……?」

 物珍しさで室内を一通り見て回ったあと、ふたりは大きなベッドに腰掛ける。

「さて、そんじゃ何して時間潰そうかなぁ」

 ※マスターより
 マスターコメントに入れ忘れたので補足します。
 お一人様でも入れますがお二人でのご利用が推奨です。
 POW/SPD/WIZについてはあまり気にせず、したいことを書いてください。
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み歓迎

えっカジノがあるの⁉
行きたーい‼やりたーい‼…え、ダメなのー‼(大ショック)

ちぇ、今は我慢するよ…もしもカジノの作業員に潜入したらディーラー役を是非、貰いたいね(本当は客としてやりたかったけど今回の任務は潜入だから)

仕方ない…ガルム、ゲームしよう~(ガルムは少年の姿に化けて現れる)
イカサマをしながらゲームをする(オセロ・チェス・カード・ビリヤードなど)
こう見えてガルムは強いだよねぇ、いい暇つぶしになるよ

そろそろ終わりにして中を探検でもしようかね
面白いのあるかなぁ~♪


織部・樒
連携・アドリブOK

【SPD】
これが未来の旅籠ですね(エンパイア出身のため言葉が古臭い)
実に見事です
それにしてもこのような立派な部屋を
使ってしまって宜しいのでしょうか……
(緊張気味)

「アミューズメントホテル」がどのようなものか分かっていないので
先ずはあちこち探検してみます
成程、宿泊施設の中に様々な遊戯施設があるのですね(興味津々)
本体が陶器のため水泳はあまり得意ではありませんので
プール以外の寛げる所でのんびり書物でも読んで過ごします
(描写はお任せでお願いします)





「これが未来の旅籠ですね」

 部屋の扉を開け、室内をぐるりと見回した織部・樒(九鼎大呂・f10234)はそう呟いた。
 3人が大の字になっても重ならないであろう、大きなベッド。
 1丈の大男に肩車をされても手が届かないであろう、高い天井。
 樒の産まれたサムライエンパイアでは、大地主のお屋敷でもこれほど広い部屋は無いだろう。

(実に見事です……が、このような立派な部屋を使ってしまっても宜しいのでしょうか……)

「なぁなぁ、僕も入れてよー!」

 入り口で固まったままの樒の後ろから、紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)が話しかけた。

「ああ、これは失礼しました。どうぞお入りください」

 樒が扉を開いたまま少し奥へと入って道を譲れば、代わりにノアが幻獣ガルムと共に部屋へと飛び込む。

「おおー! 部屋ひろーい! ベッドおっきーい!」

 11歳の少女らしく、室内を元気よく走り回るノア。
 それをみて樒は少しだけ緊張の糸が緩み、小さく安堵の息を吐いた。

「みてこれ! やわらかーい!」

 ノアの声の方へと樒が目を向けると、大きなベッドをトランポリンにして、ノアがガルムと飛び跳ねていた。

「危ないですよ、落ちたら痛いですからね」

 ガルムと共にはしゃぐノアを諌めて、樒は自分の荷物をベッドの脇へとまとめて置いた。
 身軽になるとまずは、部屋の探検から。
 全体で50平米はありそうな室内。
 入り口正面奥には小さなプール。
 ノアとガルムが遊ぶベッドの脇には、時計付きの小さな棚とテレビ。
 やけに広めの風呂とトイレ。
 有料ではあるが冷蔵庫も備え付けられて、至れり尽くせりといった具合だ。

(なるほど……私には用途のわからないものも多いですが、かなり上等な施設に思えますね)

 一通り見て回った樒がベッドの脇へと戻ると、ベッドの上ではノアが少年の姿に变化したガルムと、チェスに興じているところだった。

「おかえり~。なあなあ、樒もやろう~」

 ガルムとの勝負を切り上げたノアが、チェス盤を持ってベッドの縁へと転がる。

「それは……将棋でしょうか?」

 チェスを見てそう言う樒は、鞄から本を取り出しているところだった。

「あ、そっか、サムライエンパイアの人かぁ」

 古めかしい言葉遣いや知識を見てノアが察する。
 すると眉間に皺を作って、チェスはわからないか、と小さく呟いた。

「……教えて頂ければ、お付き合いしましょうか」

 取り出したばかりの本を置き、樒はノアに微笑みかける。

「おっ、じゃあそれで~!」

 ぱっと明るい笑顔になったノアが、チェス盤に駒を並べていく。

(初心者相手にイカサマ使うこともないかな~)

 ルールは教えるが、負けてやるつもりはない。
 そんなことを考えているとは、樒も思わなかっただろう。
 しかし、樒はチェスのルールをすぐに飲み込んでいき、ノアを焦らせるまで、そう時間はかからなかった。

「ところで樒、アミューズメントホテルってどういうところか知ってる?」

 ゲームも終盤へ差し掛かった頃、ノアがぽつりと尋ねた。
 盤上をじっと眺めていた樒が、ふと顔を上げる。

「いえ……ホテルというのが旅籠を表すことはわかりますが……」
「昔の言い方だと、出合茶屋っていうのかなー。ほんとは、男と女が来るところ……なんだよねぇ」

 はぁ、と小さな吐息を漏らして、ノアが樒を見つめる。
 ベッドに転がったノアは、うっすらと頬を染め、薄着は肩を肌蹴て、蠱惑的に微笑んだ。

「それは……」

 言葉をそこで区切り、樒はノアの目をじっと見つめ返す。

「ん~?」
「それは……ノアさんが駒の位置を入れ替えたことと何か関係が……?」

 陶器のヤドリガミは、きわめて冷静だった。

「…………」

 数拍の沈黙が流れる

「…………っちぇーーー! バレちゃったよ!」

 イカサマもバレ、効果がないと気付いたノアは、身体を投げ出すように仰向けに転がった。
 その様子を見て合点がいった樒も頷く。

「なるほど……ノアさんはゴト師でしたか」

 少しだけ眉尻を下げて、樒は笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
【しゃるはな】

ホテル……要するに、宿泊施設の事ですよね。
この世界の宿は、これほどまでに贅沢な……?生活水準の差……とかなんですかね?

……さて、それはそれとしてどうしたものか。
銃器の整備……と思いましたが、監視されていると厄介ですね。
そもそも目立つ得物は持ち込めませんか……(適当に荷物を置いてベッドに腰掛けて今後の予定をぶつぶつチェック……してたら花雫にどーんされて)
にょわっ!?ちょ、ちょっと花雫さんいきなり何を……っ!?
あの、私達遊びに来たわけじゃ……!(逃れようとジタバタしてたら手が何かスイッチ押す。ベッドが回る)

……はぁ……。始まる前から体力使ってどうするんですか、もぅ……(息絶え絶え)


霄・花雫
【しゃるはな】
わー!すっごいベッド広ーい!
あははっ、天井からブランコとか何考えてんのこのホテル!

……む?あ、シャルちゃんまた難しいコト考えてる顔してるー
あたし元から目立つ得物もないからその悩みは分かんないからなー……でも始まる前からそんなにピリピリしてたら逆に怪しいし……ま、いっか。押し倒しちゃえー!(そーっと近付いてベッドのシャルをどーんっ
ほらほらー、もっと肩の力抜いて行こうよ(シャルを擽ってベッドの上でくんずほぐれつ(意訳)

わわっ!?
あは、あはははっ!何これー!
シャルちゃんシャルちゃんベッド回ってる!
わ、ミラーボール回り始めたんだけど!
面白いなーこのホテル
他にもなんかないかな?
探してみよー





「わー! すっごいベッド広ーい!」

 部屋に入るなり、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は大きな円形のベッドに飛び込んだ。
 大の字になっても余りある大きさに、ふかふかの感触。
 さらりとした肌触りも心地よい。
 布団の上で深呼吸をすると、柔らかい枕に頬ずりをした。
 続いて入ってきたシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は、部屋の中を見回して、その広さと豪華さに驚いた。

「ホテルって……要するに、宿泊施設のことですよね。この世界の宿は、これほどまでに贅沢なのが標準なのでしょうか……? 生活水準の差……とかなんですかね?」

 ダークセイヴァーの片田舎出身で、その後もアルダワに身を寄せていたシャルロットにとって、UDCの宿泊施設は、カルチャーショックを受けるに十分なものだ。
 尤も、一般的な宿泊施設ではないのだが……。

「……さて、それはそれとしてどうしたものか」

 荷物を置いたシャルロットが、ベッドに腰掛けて思案する。
 しばらく時間を潰さなくてはならないため銃器の整備でもしようかと思ったが、もし監視などがあれば厄介だ。
 ここから先、あまり妖しい行動は取れないし、目立つ得物も持ち込めない。
 今後の、カジノへの潜入は考えることが山積みだ。

(……む?あ、シャルちゃんまた難しいコト考えてる顔してるー)

 シャルロットが小さく口に出して思考を整理していると、その間に花雫がゆっくりと近づいていた。

(あたし元から目立つ得物もないからその悩みは分かんないからなー……でも始まる前からそんなにピリピリしてたら逆に怪しいし……)

 努力家なのがシャルロットの良いところだが、少し生真面目とも取れる。
 一方で花雫は自由気ままだが、柔軟な発想が強みと言えた。

(ま、いっか。押し倒しちゃえー!)

「えいっ!」

 すっかり考え込んで、集中していたシャルロットの肩を、花雫が軽く押す。
 すると、シャルロットはベッドの上に簡単に倒れ込んだ。

「にょわっ!? ちょ、ちょっと花雫さんいきなり何を……っ!?」
「ほらほらー、もっと肩の力抜いて行こうよ」

 突然のことに驚いて、ろくに抵抗もできなかったシャルロット。
 その上に、花雫が馬乗りになる。
 さほど体格に差のない二人。
 花雫が体重をかければ、シャルロットはほとんど動くことができなくなった。

「いざ……!」

 花雫が、両手を構える。
 指をわきわきと不規則に動かし、そしてそれをシャルロットの身体へと――――。

「――――ひっ!」
「そぉれーっ!」

 花雫の指が、シャルロットの脇を撫でる。
 敏感な場所への刺激に、シャルロットは激しく身体を動かして悶えた。

「やめっ、やめてくださいっ、花雫さん!」
「シャルちゃんがリラックスするまでやめないよー!」

 身体を反らして逃れようとするシャルロット。
 しかし、花雫にがっちりと抑えられたまま動くことができず、逃れられないまま。

「あふっ、あの、ひっ、わ、私達、遊びに来たわけじゃ……!」
(っていうか、これじゃリラックスどころじゃない……!)

 なんとかして逃れなくてはと、シャルロットが両手を枕元へ伸ばす。
 何かを掴もうと必死に手を動かすと、指先に硬いものが当たった。
 それがなにかのスイッチであると分かったのは、突然ベッドが動き出したからだ。

「わわっ!?」

 ベッドがぐるりと回りはじめて、花雫は横向きの力によってベッドの上に転がった。

「あは、あはははっ! 何これー! シャルちゃんシャルちゃん、ベッド回ってる!」
「回ってる! じゃありませんよ! にゃわんっ!」

 回るだけでなく、シーツの下で隆起するベッドがシャルロットの顔を打った。

「面白いなーこのホテル! 他にもなんかないかな!」

 花雫はベッドから降りると、楽しそうに走って部屋の探索へと向かう。
 息も絶え絶えに、続いてベッドから降りるシャルロット。

「……はぁ……。始まる前から体力使ってどうするんですか、もぅ……」

 大きく息を吐いて、花雫の後を追うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラニィ・ユン
舞夜(f16466)と一緒に参加!

ここのホテルはテニスコートもあるんだー
あ、ベッドはここも回転するんだね
来たことあるって? まぁ、私も大学生だからね?
(本当は冗談だけど、からかうと楽しいから嘘をついて)

とりあえず時間が来るまで遊ぼ!
おっけー! テニスで勝負ね!
ふふーん、大学でテニスサークルに入っている私に勝負を挑むなんて、百年早いってところを見せてあげようじゃない!
テニスなんてほとんどしていないサークルだし、私もずっと顔出して無いけど

暇つぶしくらいで軽い気持ちだったけど、
年下の幼馴染に負けてなるものかと、
やっているうちにだんだんを本気に

最後は汗だくになって
と、とりあえず、シャワー浴びない?


望月・舞夜


幼馴染のラニィ姉(f19063)と!

アミューズメントホテルー……って、いわゆるあの、あれだよね? ラがブでホ的な……
うわー、うわー、中こんなのなんだぁ……うわ、回る、このベッドすっごい回る!
……へ? も、もしかしてラニィ姉来たことあるの? そ、そーなんだぁ……ふ、ふぅーん……

こ、こほん
えーと、普通に遊んだらいいんだよね! よっし、勝負だー!
テニスしよテニス!
ラニィ姉、サークルで入ったって言ってたもんねー。けど、ボクも簡単には負けないよ!

※勝敗等お任せ。スポーツは万能だけど多分良い勝負

……う、うん……ま、まぁ汗かいちゃったもんね、うん
(ここでシャワーって意味深なような、とは口に出さないでおく)





「アミューズメントホテルー……って、いわゆるあの、あれだよね? ラがブでホ的な……」

 ホテルの一室に入ってはみたものの、落ち着かない様子で、望月・舞夜(魔導英雄ソウルウィッチ・f16466)が言った。

「さすが女子高生。興味あるんだね」

 遅れて入ってきたラニィ・ユン(ゴッドフェニックス・f19063)が、舞夜を弄るようにむふふと笑う。

「興味っていうか……うわー、うわー、中こんなのなんだぁ……うわ、回る、このベッドすっごい回る!」

 枕元にあるスイッチを押すと、ベッドが回転をはじめる。
 それから室内の照明を上げ下げして、舞夜のテンションは早くも最高潮を迎えた。

「あ、ベッドはここも回転するんだね」
「ここもって……へ? も、もしかしてラニィ姉来たことあるの?」

 ラニィの言葉に、目を丸くする舞夜。

「まぁ、私も大学生だからね?」
「そ、そーなんだぁ……ふ、ふぅーん……」

 年上の幼馴染の以外な一面に強がるような表情で、口先を尖らせた。

(冗談だけど……)

 舞夜をからかいながら、ラニィが部屋の奥へと入る。
 そこにはホテルの室内にも関わらず、テニスコートが敷かれていた。

「とりあえず時間が来るまで遊ぼ!」
「えーと、普通に遊んだらいいんだよね! テニスしよテニス!」

 ラニィが声をかけると、ハッとして舞夜も後に続く。

「ふふーん、大学でテニスサークルに入っている私に勝負を挑むなんて、百年早いってところを見せてあげようじゃない!」

 ラニィはサークルに入るときに一度だけ見たことのあるサークルの仲間の顔をぼんやりと思い浮かべながら、二の腕を伸ばした。



 猟兵ふたりによるテニス勝負は、基礎身体能力の高さで僅差で舞夜が上回った。
 もしラニィが真面目にテニスをしていたら、結果は違ったかもしれない。
 しかし真剣に戦った後のこと。
 勝負が終わる頃には、ふたりとも汗だくになっていた。

「と、とりあえず、シャワー浴びない? タオル取ってくるよ」

 頬を伝う汗をTシャツの襟で拭いながら、ラニィが部屋の隅へと歩いていく。

「……う、うん……ま、まぁ汗かいちゃったもんね、うん」

 それを聞いて舞夜も、服が汗を吸って重くなるほど、汗をかいていることに気付いた。
 しかし、舞夜には汗よりも気になることがある。

(ここでシャワーって……その、なんていうか)

 まるでこれから"そういうこと"が始まるような気がして、ほんのりと頬が赤らんだ。
 だが、バスルームへ近づいたところで、その赤らみも引いていった。

「ねえラニィ姉。バスルームの壁……透明なんだけど」

 部屋の隅にあるガラス張りのバスルーム。
 その前で、舞夜は困惑して立ち尽くしていた。

「うっそでしょ!?」

 遅れてやってきたラニィにも動揺の色が見える。
 少しのあいだ、沈黙が流れた。

「これ、さ……」

 意を決したように口を開いたのはラニィだ。

「ひとりずつはいると外から見えてなんかヤらしいし……一緒に入っちゃわない?」
「一緒に!?」

 いつもは自身に満ちたラニィの短い眉が、少しだけ下がっている。
 舞夜は想像が臨界点を超え、耳まで真っ赤に染まって叫んだ。

「ほら、小さい頃は一緒にお風呂に入ったことくらいあったじゃない」
「あったかなぁ……?」

 勢いのままに、言われるままに、一緒に汗を流したふたり。
 そのあとは時間になるまで、無言でベッドの端に座って過ごしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

未来院・魅霊
※アドリブ歓迎

俺の見た目だと、誰か他の男衆でも掴まえた方が怪しまれにくいよな……ッと、いい所に一人いるじゃねェか。
確か、アンタも猟兵の……クロヴィスだったか?折角だし連れてってくンね?手慣れてそうだしよ。

ホテルの前でクロヴィス(f11262)を捕まえて同行するぜ。

へェ、こういう風になってンのか。アミューズメントって言うだけはあるな……。
(などと言いながら、好奇心旺盛に部屋の中を探索して)
なァ、クロヴィス。この辺のスイッチってどうなッてんだ?
(そんなことを言いながらスイッチを押すと、ムーディーな照明と音楽が)

あー……ヤることヤるッてワケにもいかねェしな。……映画でも見るか?


クロヴィス・オリオール
※アドリブ歓迎

まさか猟兵としてこんな所に来るとは思わなかったな…
……んぁ、何だお前
いや、まぁ…そりゃ、フツーはふたりで入るトコだろうが…手慣れてそうって何だよ、まァいいけど……
(成行きで魅霊(f09074)と同じ部屋に入る)

ま、どんなホテルだろうが、ホテルってンなら快適なのは間違いねェ
適当に時間までゴロゴロ過ごすか(広いベッドにポスッとダイブ)
…あン?
おい、(コメントに困るから)部屋の中のアレコレ勝手にいじンなよ…って、だーーーもうほら、言わんこっちゃねェ!!
お前どうすンだよこの空気!このムード!!

何か一気に疲れた…
ん、あぁ、そうな…映画なら時間潰しにも丁度いいだろ
何か面白そうなの付けてくれよ





(クソっ、どうしてこうなった……!)

 暗い照明と、扇情的なBGM。
 室内の巨大モニターで流れる肌、肌、肌。
 大音量で流れる喘ぎ声。
 ミレナリィドールとフェアリー、ふたりの男は神妙な表情でそれを見ていた。
 こんな状況になった原因は20分ほど前、ホテルの前での偶然に遡る。

――。
――――。
――――――。

 豪華な装飾の外観と、少し下品なライトの当たるアミューズメントホテル。
 猟兵たちが今から、少しずつ時をずらしてそのホテルに入ろうと言うところだった。

(まさか猟兵としてこんな所に来るとは思わなかったな…)

 顔の良いフェアリー、クロヴィス・オリオール(GamblingRumbling・f11262)は眉間に皺を寄せて足を止めていた。
 こういった施設を使うことは、はじめてではない。
 しかし、猟兵として来るとなれば話は別だ。
 ギャンブルの負けの支払いのために使うときとは違って目的が無いし、本来一人で入る場所でもない。
 それほど深刻な問題ではないにも関わらず、真剣に悩んでしまっていた。

(俺の見た目だと、誰か他の男衆でも掴まえた方が怪しまれにくいよな……)

 一方で、同じく頭を悩ませていたのは未来院・魅霊(feature in future・f09074)だ。
 華奢な手足と、長いグラデーションの髪。
 黙っていれば少女のような見た目の彼もまた、お一人様でやってきたところだ。
 それにしてもコイツも顔が良いな……。

(……ッと、いい所に一人いるじゃねェか)

 ふたりが出会ったのはまさに運命のイタズラだった。
 魅霊の視線の先にいたのは、顔の良いフェアリーだった。
 それもなんか、やけに手慣れていそうだ。

「確か、アンタも猟兵の……クロヴィスだったか?」
「……んぁ、何だお前」

 魅霊に声をかけられ、クロヴィスが顔を上げる。

「男ひとりで入るのも目立つだろ? 折角だし連れてってくンね? 手慣れてそうだしよ」

 目を細め、ニっと歯を見せて魅霊が笑う。
 外見に似合わず、口調に沿った男らしい笑い方だった。

「いや、まぁ…そりゃ、フツーはふたりで入るトコだろうが…手慣れてそうって何だよ、まァいいけど……」

 これも仕事だ。
 いつまでもホテルの前でぐだぐだとしているわけにはいかない。
 眉間に指をあてて、クロヴィスは了承した。

 それからホテルの部屋に入ると、魅霊が室内を見て回る。
 やけに広い室内。
 高い天井とよく効いた空調。
 大きなベッドと埋込み型の巨大モニター。

「へェ、こういう風になってンのか。アミューズメントって言うだけはあるな……」

 比較的おとなしい方の部屋ではあった、それでも物珍しげに、魅霊があちこち歩き回る。

(ま、どんなホテルだろうが、ホテルってンなら快適なのは間違いねェ)

 対してクロヴィスは落ち着いて、荷物をすぐにベッド脇の棚へ。

「適当に時間までゴロゴロ過ごすか」

 そう言うと、人間からしても大きなベッドへとダイブした。
 サラサラのシーツの肌触りが心地よい。
 上機嫌で目を閉じる。

「なァ、クロヴィス。この辺のスイッチってどうなッてんだ?」

 そこへ、部屋を探索していた魅霊が話しかけてくる。

「おい、部屋の中のアレコレ勝手にいじンなよ

 質問をしながらも、すでにそのスイッチは押されていた。
 照明は暗いピンク色のものに切り替わり、お互いの顔がはっきりとは見えなくなる。
 それから、ムーディーなBGMが流れ始めた。
 
「…って、だーーーもうほら、言わんこっちゃねェ!! お前どうすンだよこの空気! このムード!!」
「わ、ワリぃ、ワリぃ」

 クロヴィスが怒鳴ると魅霊がスイッチを切る。
 すぐにBGMは止まり、照明は元に戻った。

「何か一気に疲れた…」

 再び布団に顔を埋めるクロヴィス。
 ベッドの脇に魅霊が腰掛けると、少しだけベッドのスプリングが沈んだ。

「あー……ヤることヤるッてワケにもいかねェしな。……映画でも見るか?」

 魅霊の目を向けた先には壁に埋め込まれた巨大モニター。
 ベッド脇の棚に、DVDデッキとROMが並んでいた。

「ん、あぁ、そうな…映画なら時間潰しにも丁度いいだろ」

 クロヴィスも布団に寝転んだまま、そちらへ顔を向ける。

「おっ、もうディスク入ってんじゃん。これでいいか……再生すンぜ」

 ――――こうして事故は発生した。
 幸いにも勢いで玉突き事故は起きなかったが、まだまだ仕事は続くというのに、顔の良いふたりは全く休めなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユア・アラマート

【ゆありゅし】

こういう場所もここ数年で随分色んな設備がつくようになったものだな
さて、アミューズメント要素もいいが。最近はご飯も結構美味しい所が多いんだ
普段まともな物を食べてないリュシカに、この時間で美味しいご飯を食べて貰うのもいいな
どうせ支払いはUDC職員持ちか、この後の事で有耶無耶になる

それで、なんで私は「偶然」部屋にあった目隠し装備のリュシカにパスタを食べさせているのか
確かに色々頼んだが即気絶はないだろう!?
おかげで絵面が一気にヤバいぞ!
安心してくれ私も恥ずかしい
次は…ピザでも食べるか?
熱いから気をつけてな

ストップリュシカ。待てなんかその声は!
やっぱり自分で食べてくれって結局気絶したー!


リュシカ・シュテーイン

【ゆありゅし】

ひゃああぁ綺麗な場所ですねぇ、素敵ですねぇ
普段はこんな所立ち入るどころか近づくことすら出来ませんからねぇ
……あらぁユアさんどうしたんでぇ(美味しそうな料理を見て眩暈からの卒倒)



うぅ、料理を見て倒れたのは申し訳ないんですけれどもぉ、目隠しでユアさんに食べさせてもらうなんてぇ、何だかぁ、そのぉ、恥ずかしさは有りますねぇ

ああぁ、でもぉ、いつぶりかのパスタぁ……美味しいぃ……
えぇ?ぴぃ、ピザぁ、ですかぁ?ピザってどんなものでしたっけぇ、えぇ、小麦にチーズぅ、ケチャップにぃ……ちょちょちょそんな高そうなものぉうひゃあぁ!
(美味しさに艶やかに喘ぐ声、感想はお任せ)
(とてもの美味しさに気絶)





 大きなベッドの上で、ユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)は呆然としていた。
 特段おかしなことはなかったはずだが、なぜこうなったのか。
 突如倒れた友人、リュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)を介抱しながら、思い返す。

(まさか、見ただけで気絶するとは……)

 ――。

「ひゃああぁ綺麗な場所ですねぇ、素敵ですねぇ」

 室内に入ってすぐ、リュシカは広い室内と豪華な装飾に感動して声を上げた。

「普段はこんな所立ち入るどころか近づくことすら出来ませんからねぇ」

 目を輝かせて、室内を見て回る。
 広いベッドと、清潔な内装。
 アックス&ウィザーズやダークセイヴァーに慣れていると、驚きだろう。
 さらにゲーム機やちょっとしたアスレチックやボルダリングスペースまである。

「こういう場所もここ数年で随分色んな設備がつくようになったものだな」

 ユアも荷物を置きながら、楽しそうに歩き回るリュシカを見て微笑む。
 リュシカの想像よりはずっと安い宿泊代だが、それでも料金を目にしたら、きっと野宿を選ぶだろう。
 入るときも、宿泊代がリュシカの目に入らないように隠しながら来たものだ。
 尤も、経費は落ちるのだけれど。

(さて、アミューズメント要素もいいが……)

 ベッド脇の棚に置かれたファイル。
 それを開いてユアがフロントへ電話する。

(最近はご飯も結構美味しいところが多いんだ)

 注文したのは、ルームサービスの食事だ。
 パスタ、ピザ、からあげにフライドポテト。
 どうせ支払いは負担しないのだからと、片っ端から注文する。
 それから、料理はすぐにやってきた。
 まだ楽しげに室内を見て回るリュシカをよそに、ユアは料理を受け取って並べていく。

「リュシカ。ご飯食べよ」

 普段、質素というのもおこがましいほどの食生活をしているリュシカに、美味しいご飯を食べてもらうのもいいなという親切心だ。
 そうして声をかけられたリュシカが戻ってくると。

「……あらぁユアさんどうしたんでぇ」

 美味しそうな料理を見て眩暈を起こし、卒倒した。

 ――そして今に至る。

(これでよし……よしなのか?)

 リュシカが目を覚めた瞬間に気絶しないようにユアはリュシカに目隠しをした。
 なんで目隠しがあるのかは知らないが、棚に色々置いてあった。
 偶然だなァ。
 目隠し以外はそのまま見なかったことにした。

「ああぁ、ごめんなさいぃ……気を失っていたみたいでぇ」

 すぐに目を覚ましたリュシカが、身体を起こして辺りを見回す。

「ところでぇ、どうして何もぉ、見えないんでしょうかぁ」
「さっき料理を見て卒倒したからな」
「なるほどぉ……それで目隠しをぉ」

 そんな状態でもマイペースなリュシカに対して、ユアがクールに答えた。
 クールでいいのか?
 それから、パスタをフォークで器用に巻き取ると、リュシカへと差し出す。

「ほらリュシカ、口開けて」
「うぅ、料理を見て倒れたのは申し訳ないんですけれどもぉ、目隠しでユアさんに食べさせてもらうなんてぇ、何だかぁ、そのぉ、恥ずかしさは有りますねぇ」
「安心してくれ私も恥ずかしい」

 リュシカは口に運ばれたパスタを、ゆっくりと咀嚼する。
 口に入れた瞬間から広がるにんにくとオリーブの香り。
 それから舌にぴりりと残る鷹の爪。

「ああぁ、でもぉ、いつぶりかのパスタぁ……美味しいぃ……」

 しっかりと味わってから飲み込むと、深く息を吐いた。

(わからない……私はいまなにをしているんだ?)

 一方で、背景に宇宙を背負ったような顔でユアはリュシカの口へと料理を運ぶ。
 また料理を見て即気絶では困るが、目隠しをしたリュシカにパスタを食べさせるこの絵面はとてもヤバい。
 知人に見られたらこの先30年はネタにされそうなくらいヤバい。
 とくにあの、魔剣には見られるわけにはいかない。
 とはいえ、まずは目の前のリュシカに食べさせることが大切だ。

「次は……ピザでも食べるか?」

 8等分されたピザをひとかけら手に取り、リュシカの口へと入れる。

「えぇ?ぴぃ、ピザぁ、ですかぁ?ピザってどんなものでしたっけぇ、えぇ、小麦にチーズぅ、ケチャップにぃ……ちょちょちょそんな高そうなものぉうひゃあぁ!」

 ピザの価格はいくらくらいだっただろうか。
 そんなことを考えていると、リュシカは口に1,800円÷8を突っ込まれた。
 ぱりっと焼かれた生地に、とろとろのチーズ。
 甘みの強いケチャップに、かりかりのサラミ。

「あぁっ……あついぃ、あついのが来てますぅっ!」

 焼き立て故に噛めばモチモチの生地にもチーズが練り込まれていて、さらにリュシカを至福へと押し上げる。

「んんぅっ、はぁっ……すごいれすぅ……っ」
「ストップリュシカ。待てなんかその声は!」

 目隠しの上からでもわかるリュシカの恍惚とした表情に、ユアは動揺した。
 個室にも関わらず、誰かに見られていないだろうかと不安になり、室内を見回した。
 それから、やっぱり自分で食べてくれと言おうと、リュシカに視線を戻したときだった。

「こんなにぃ、おいひいだなんてぇっ……わたひっ、もうぅ……!」

 頬を赤く染めて、シーツを掴む両手をぐっと握るリュシカ。
 つまりにぎリュシカ。
 心の底から熱いものがこみ上げてきたかのように肩を震わせて、それが頭のてっぺんまで到達して――。

「もうぅ……だめれすぅ……」

 ――リュシカは気絶した。

「って結局気絶したー!」

 倒れたリュシカをベッドに寝かせるユア。
 目隠ししてもダメだったか、と呆れたように笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナータ・メルトリア
えっ、でもこれって、ラブh…んんっ!

ともかく、遊べばいいんだよね?でも、こんなところでできる遊びなんて、どうせ大したこと…

なんて、思っていた時期が、わたしにもありましたとさ
ふりふりでかわいい水着から、セクシーなオトナ水着までいろいろ試着してみたり
決めれなかったから、おすすめされたのを着てウォータースライダーやプールで遊んでみたり

わぁ、VR装置まであるんだ!早速仮想の世界を旅してみるわ

一人なのを怪しまれたら、恥ずかしがりながらパートナーが疲れちゃったからって誤魔化しておくわ

疲れたら部屋に戻って大きなベッドで寝転びながら、備え付けの映画を顔を赤くしながら鑑賞して、ホテル生活を楽しむの

アドリブ歓迎





(ここ、どう見ても……)

 ベッドに腰掛け、天井を見上げながらレナータ・メルトリア(おにいちゃん大好き・f15048)は考える。
 とりあえず入ってみたは良いものの、事前に聞いていた"アミューズメントホテル"というものとは、少しイメージが違った。
 言葉だけ聞けば遊園地のような印象を受けるが、実態は多目的ホテル。
 遊びに限らず、様々なことができるようになっていた。
 主な用途は言わずもがな。
 室内にプールまであるのは実際に見るまで疑っていたけれど……。

「ともかく、遊べばいいんだよね?」

 猟兵の目的はこのホテルを利用して、それから出ること。
 時間さえ使えばなんだって良いのだ。
 レナータが鞄を開くと、中にはたくさんの水着。

(こういうところでできることだってたくさんあるもんね)

 上機嫌で水着へと着替えるレナータ。
 部屋には大きな姿見もあり、一人ファッションショーを開くにはもってこいだった。
 まず手にとったのは黒のティアードビキニ。
 色素の薄いレナータには、黒い衣装が映える。
 それに普段は体型の隠れるワンピースでわからないが、意外とスタイルの良いレナータに、ティアードフリルはよく似合った。

(うーん、かわいい!)

 続いて手にとったのは、白いモノキニ。
 正面から見れば普通のワンピース水着だ。
 シースルーレースのカーディガンがあるため、大人っぽくてエレガントな印象だ。

(こっちも悪くないわね……)

 くるりと回ってみれば、後ろ姿はビキニのようで大胆に。
 カーディガン越しの背中が、少しセクシーに感じた。

「おにいちゃんはどっちがいい?」

 ベッドの脇に座らせておいた人形に尋ねてみる。

「最初の方がかわいくていいよね!」

 うんうんと満足気に頷いて、レナータは改めて黒のビキニに着替えた。

「それじゃあ思いっきり、遊んでみよー!」

 屋内プールへと駆け出すレナータ。
 飛び込んでみたり、ウォータースライダーを滑ってみたり。
 一通り遊んだところで、ベッドのへと戻ってきてタオルで身体を拭いて、元の服へと着替えた。
 それから大きなベッドへと飛び乗って寝転ぶと、目の前にテレビがあることに気付く。

「遊び疲れちゃったし、映画でも見ようかな……」

 そう呟いて、テレビのリモコンを適当に押した。
 大きな画面に映された肌色にレナータの顔がみるみる赤くなっていく。。

「こ、これは……!」

 個室なため、当然誰からも見られてはいないが、なんとなく不安な気持ちとドキドキを拭えないまま、画面から目が離せずにいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン

零井戸(f02382)と

(普段は基本野営の森番である
信じられないほど広い寝床をそっと揉む。柔らかい)
(色々なスイッチを不用意に触る。部屋の明かりがすごく鮮やかにピカピカしだす。何やら音楽も流れ始める)
(狼狽える)

…リリーフリクエストコール。
(機械に強そうな相棒召喚)

…緊急。
機械とか…わからなくて…
その…
(ふかふかのベッドの上で正座)
…ごめんなさい。

…それなに。
これが、ゲーム?
(にじり寄る
ぴったり隣でガン見
よい音がして目まぐるしい
興奮してだんだん体が傾いたり三編みが猫の尻尾みたいにぴしぴし揺れる)
…ジャック。
こういうの。たのしいか。
…ふふ。
(画面を見つめる横顔を盗み見る
戦う者の目は、好きだ)


零井戸・寂
◆ロクと

〜前回のあらすじ~
友人からの緊急出動要請!次節は悪しくもサムライ世界にて戦争の真っ只中、もしや友人が窮地に――!速やかな変身と共に彼を待ち受けていたもの、その正体とは――!!

……ロク。
いいかい?
そのボタンは緊急時に押せって教えたよね。

ここまではいい?
うん。
それで。
ここはどこかな?アミューズメントホテル?そう……
ところで君は窮地にたってたのかな?
そう、なるほど。

何か言いたいことは?

……まぁ今日はこのくらいにしとこう。

依頼は依頼だしちゃんと熟すさ。
ん、あぁゲームあるんだ。
何かやるか……時間潰しに。

(音ゲーの類なら彼女も見てて楽しめるだろう。音楽とかは好きな様だし)





「何か言いたいことは?」

 大きく柔らかいベッドの上。
 少しキツめに言ってしまっただろうか、正座をした友人が、しゅんと頭を下げた。
 だが、そう何度も大したことでもないのに呼び出されてしまってはこちらの心と身体がもたない。
 ここはきちんと言っておかねばならないのだ。

「……ごめんなさい」

 なぜこのようなことになったかというと長い長い話になる。
 あれは数分前のことだった。



 だだっ広い部屋に、ロク・ザイオン(明滅する・f01377)は立ち尽くしていた。
 普段は野営の森番であるロクにとって、ホテルの一室はあまりに大きく、暖かく、そして柔らかかった。
 川や土の匂いも薄く、嗅ぎ慣れないツンとした香りで満ちているその部屋は、ロクの日常からかけ離れたもので落ち着かない。
 しかし、不慣れなものというのは、同時に興味も惹くものだ。
 ベッド脇の謎のボタン群がロクの興味を唆った。
 じっと眺めてみて、まずは全部のボタンを押してみる。
 すると照明が暗くなり、代わりに天井から球状の何かが出てきた。
 それが回転を始めると、きらきらと光を放ち始める。
 無数の円形の光が壁や天井を這うようにして、室内を駆け巡った。
 さらに全体の照明がピンク色に変わると、艶めかしい声と大きな鼓動のようなBGMが鳴り始める。

「――!?」

 花瓶を落としてしまった猫のように全身の毛を逆立たせて、ロクは部屋の隅へと飛び退いた。

「……リリーフリクエストコール」

 そのまま警戒するように壁を背にしていたロクが、喉の奥で呟く。
 それは、頼りになる友人を呼び出すキーワード。
 意を決して、そのボタンを押した。

「ロク! 無事かい!」

 一拍置いて、ホテルの室内に現れたのは零井戸・寂(PLAYER・f02382)だ。
 まずは状況の確認だ。
 周囲を見回して、敵等がいないことを確認する。
 輝くミラーボールと、ムーディーな音楽。

「……?」

 緊急ということで来てみたものの、状況としてはあまり切迫しているようには思えない。
 寂はひとまず、ベッド脇のボタンを押してミラーボールとBGMを止めた。

「……ロク。いいかい?そのボタンは緊急時に押せって教えたよね」
「……緊急」

 寂がにこっと微笑む。
 その笑顔は友好的というより、威圧の面が強いものだ。

「ここはどこかな?」
「アミューズメントホテル……」
「そう……」

 寂の質問に、ロクは大人しく答えた。
 申し訳ないことをしたという気持ちはあるのか、耳がしゅんと下がっている。

「ところで君は窮地にたってたのかな?」
「機械とか……わからなくて……」
「そう、なるほど」
「その……」

 ――そして、今に至る。

「……まぁ今日はこのくらいにしとこう」

 仕事の説明を受けた寂はやれやれと溜め息が吐いて、改めて室内を見た。
 アミューズメントホテルというものには初めて来たが、アミューズメントと言うだけあって、様々な遊具が置いてある。
 小さなお城のようなアスレチックに、謎のブランコ。
 それに、ゲーム機。

「ん、あぁゲームあるんだ」

 寂がベッド脇の棚から、ゲームの詰まった箱を取り出す。
 十数年前の古めのものから、比較的新しいものまで。
 様々なものが揃っていた。

「これが、ゲーム?」
「ああ、そうだよ」

 ロクは寂へとにじり寄り、腕に顎を乗せるようにして箱を覗き見る。

(音ゲーだったらロクも見て楽しめるかな。音楽とかは好きな様だし)

 腕にロクの顎を乗せたまま選択したのは、8ボタン式の音楽ゲームだ。
 ゲーム機にソフトをセットして、手早く起動する。
 エレクトリカルな音楽が鳴り始め、画面がチカチカと光った。
 ロクの耳がピクリと動く。
 ベッドに座り、ゲームをする寂。
 ロクは寂に寄り掛かり、ゲーム画面を眺めた。
 ゲームの音に合わせて、ロクの三編みが、尻尾のように揺れる。

(楽しんでくれているみたい……かな)

 ロクの三編みがピシピシと当たるのが、不思議と心地よかった。
 寂が安心してゲームに集中し始めると、その横顔をロクが覗き込む。
 真剣に戦う者の目をしている。
 ロクは寂のその目が、好きだ。
 だから、ふたりきりのときだけのその名を呼ぶ。

 ……ジャック。

 なんだい。

 こういうの。たのしいか。

 ああ、楽しいよ。

 ……ふふ。

 ゲームの光で照らされたふたりの影が、部屋の壁に大きく映されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローリエ・オミネ
永一(f01542)と
素敵な所…まるでお城のようだわ
大きなベッドに細かく調節できる照明、至れり尽くせりね(照明で遊ぶ)
きゃー真っ暗!
…暗闇は嫌い

永一が物色するのについて行って、知らないものがあれば何でも聞いちゃう
ベッドの近くにあった小箱には…あら、これはなあに?
へえ、魔法のアイテムなのね!(純粋な目で)

この部屋だけでも色々あるわね
何か良いものは見つかって?
でもね、あまり備品を持ち帰るのは良くないと思うの…今更だけど

ベッドに転がる永一を驚かせたくて飛びついてみるわ
普段飄々としてるもの、これくらいしないと驚いてくれないかも
…あ、眠くなってきちゃった

次はこの部屋を出るのね、わくわくするわ!


霑国・永一
フローリエ(f00047)と
未成年連れだから保護者というていで行きたいけど、うん、年齢差余り無いからどう考えてもアウトだねぇ。アミューズメント(強調)なホテルでなければ即死だったよ

部屋にチェックインしたら部屋の中物色するかなぁ。中々来るもんじゃ無し、ついでに盗めそうないいものあるかなぁと。
フローリエ、それはアレだよ、望まぬ授かりを避ける魔除け的な不思議アイテムさぁ(上手く濁す)
部屋の物色終えたら軽くベッドにごろんと…
ぐふ、フローリエを抱き止めたはいいけど鳩尾入った。あと絵面が教育上よろしくない
「じゃ、次はホテル内物色するかぁ(頭撫でてやる」
ホテル内にも盗めそうなのはあるかなぁ
終われば一旦出るか





「中も広くてとても綺麗なのね!」

 室内に入ったフローリエ・オミネ(シソウの魔女・f00047)がくるりと回ると、スカートの裾がふわりと広がった。

(未成年連れてこういうところに来るの、どう考えてもアウトだねぇ……)

 遅れてやってきた霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)はそう考えながらも、気に病んだ様子もなく頭を掻く。

「見て永一! 大きなベッド!」
「そうだねぇ。初めてかい?」
「ええ、こんなに大きいのは!」

 そう言ってフローリエはベッドの縁へと腰掛ける。
 枕元には、照明の操作ボタン。
 興味を惹かれたフローリエはとりあえずボタンを押してみる。
 部屋の照明がいっきに落ちて、部屋は真っ暗に。

「きゃー真っ暗!」

 すっかり何も見えなくなった部屋で、フローリエが声を上げる。
 それからすぐに、照明が点く。
 ベッドの側に座り込んだフローリエ。
 その上を通るように、永一がボタンを押していた。

「なーにしてんのかなぁ」

 永一が座り込んだフローリエへ目を向けると、頬を膨らませていた。

「……暗闇は嫌い」
「じゃあ、これで安心だ」

 人差し指を口の前で立てて、微笑んだ。

 フローリエが落ち着いたところで、永一が顔を上げて部屋を見回す。
 たくさんのアメニティと、高価そうな調度品。
 壁に掛かった絵画など、売ればいくらかになるだろうか。
 そんなことを考えていると、フローリエが側へよって来て、永一の横顔をじっと見ていた。

「何か良いものは見つかって? でもね、あまり備品を持ち帰るのは良くないと思うの……永一には今更だけど」
「んー、まぁそうだなぁ」

 純真な眼差しでそう言われて、永一もバツが悪くなって絵画から目を逸らす。
 盗みをやめるわけではなく、次の獲物を探すために。
 適当にはぐらかして、部屋の中をまた歩き始める。

「まあ、素直でいらっしゃらないのね」

 ベッドの側まで歩くと、脇に小箱が落ちていた。

「あら、これはなあに?」

 さっそく箱を開けて中を見ると、小分けされた袋がいくつも入っていた。
 袋の端をつまみ、箱から出すと、袋が繋がっていたのか、するすると出てくる。
 それぞれの袋の中で、なにか輪のような形のものが入っているのが、浮いて見えた。

「フローリエ、それはアレだよ、望まぬ授かりを避ける魔除け的な不思議アイテムさぁ」
「へえ、魔法のアイテムなのね!」

 これは誤魔化せたんだろうか、とフローリエの顔をじっと見てみる。
 小箱にさほど強く惹かれているわけではないのか、永一の顔を見返して首を傾げた。
 どうやらうまく誤魔化せたようだ、と口元で微笑んで見せてベッドへと寝転ぶ。

「じゃあちょっと、時間まで寝て待とうかねぇ」

 そう呟いて、永一は目を閉じた。
 フローリエはというと、永一を見て、そろりとベッド脇に近づく。

(永一って普段飄々としててぜんぜん驚いてくれないけれど、これならどう?)
「えいっ!」

 それから、ベッドの上の――永一の上へと飛び込んだ。

「ぐふっ!」

 フローリエの身体が、永一に重なる。
 ギリギリのところで目を開けた永一は、フローリエが身体を痛めないように抱え込んだ。 
 フローリエの肘が永一の鳩尾に入ったが……。

「永一、少しは驚いてくれた?」

 永一の身体の上に重なったまま、フローリエがぱたぱたと脚を動かす。
 フローリエが永一の顔をじっと見た。
 永一も、静かにフローリエの顔を見つめ返す。

「ああ、驚いた驚いた」

 言葉とは裏腹に、永一はいつものように少し軽薄な笑みを浮かべていた。

(いやー、絵面がヤバい。教育上よろしくないことがあまりに問題だ)

 内心、それなりに焦ってはいた。
 フローリエの思惑とは違う方向ではあるが……。
 反応の小ささに、フローリエが頬を膨らませる。

「……あ、眠くなってきちゃった」

 ふと思いついたようにフローリエはそう言って、永一の胸に顔を埋める。

「じゃ、次はホテル内の物色をするかぁ」

 対して永一は、フローリエの頭を撫でた。
 優しく、あくまで保護者としてだ。

「お部屋を出るのね、わくわくするわ!」

 永一の言葉を聞いて、フローリエがすぐに顔を上げた。
 先程の眠気はどこへやら。
 ホテルの中に興味を惹かれ、フローリエも身体を起こし、部屋を出る。

「永一、早く早く!」
「そんなに急くなよ。ホテルは逃げないからさぁ」

 大人びた容姿ではあるが、フローリエもまだ年相応なのだなぁと思うと、永一も自然と笑みが溢れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

沙羅音・姫陽
エリシャ(f02565)と一緒に参加するよ

アミューズメントホテルって何だろう、UDCアースだとホテルも遊園地化してるのかな、凄いよね
僕はここ、よく知らないんだけど

ああ、何か回転してるベッドが気に入ったのは分かるけど、ほどほどにね、エリシャ

ウォータースライダーがあるから水着に着替えて、一緒に遊びに行こう
ああうん、エリシャ、密着しすぎかな、柔らかくて大きいのが当たってるから、ね……!?

とかなんとかいって、結構勢いよく滑るのは楽しくて二人でわーきゃー言ってるうちにプールに投げ出されるんだけど

エリシャの水着が行方不明……や、僕は見ないから……!
早く探しに行ってきて……!
(そっと上着は羽織らせる)


千桜・エリシャ
◎姫陽さん(f08063)と

あみゅーずめんと
という言葉自体馴染みが薄かったのですが
なるほど…そういう意味でしたのね!
とりあえず遊べばいいのでしょう?
沢山楽しみましょう!

まあ!ご覧になって!ベッドが回転しますわ!
ぴょんぴょん跳ねてはしゃいでごろごろ

ウォータースライダーは知っていましてよ
では水着を借りて
このビキニというのはまだ慣れませんの
サイズもなんだか小さいような…
とりあえず着て
姫陽さんの後ろにぎゅっとくっ付いて
さあ!れっつごーですわ!
きゃー!この高揚感癖になりそう…
滑り降りれば違和感
ひゃぁ!?慌ててプールに沈んで顔だけ出して
ビキニの上がどこかへ行ってしまいましたわ…
…あまり見ないで下さいまし?





「アミューズメント……ってことは遊園地化してるのかな、凄いよね」

 やけに広い室内を見回して沙羅音・姫陽(姫陽剣・f08063)はそう呟く。

「あみゅーずめんとという言葉自体馴染みが薄かったのですが、なるほど……そういう意味でしたのね!」

 その姫陽の後ろを、しゃなりしゃなりと歩いてくるのは千桜・エリシャ(春宵・f02565)だ。
 古めかしい言葉遣いがよく似合う彼女に、UDCアースの文化は物珍しい。

(とはいっても、僕はここ、よく知らないんだけど……)

 それは姫陽にとっても同じことではあったが、エリシャに比べれば、姫陽の方が少しはUDCの文化に精通していた。

「まあ! ご覧になって! ベッドが回転しますわ!」

 部屋の中央に置かれた大きな円形のベッド。
 その上に飛び乗ったエリシャが、楽しそうに笑う。

「気に入ったのは分かるけど、ほどほどにね、エリシャ」

 その様子を見て、微笑ましいといった表情で姫陽も笑った。
 荷物を置いて、これからどうしようかと話始めたころである。

「ねえエリシャ、あっちにプールがあるんだけど……ウォータースライダーがあるんだよね」

 エリシャがベッドで遊んでいるあいだに室内を見て回った姫陽が提案する。

「ウォータースライダーは知っていましてよ。あの、水場の遊具でしょう?」

 対してエリシャも、それを快く受け入れた。

「あっちで水着を借りようか」

 姫陽が部屋の奥を指すと、ふたりでそちらへと入っていった。



 それから少しして、水着に着替えたふたりが戻ってきた。

「エリシャ、ちゃんと着替えられたかい?」

 水着の上に上着を羽織り、先に着替えて待っていた姫陽が、エリシャに声をかける。
 ひたひたと床の上を素足で歩く音とともに、エリシャがやってきた。

「流石にそれは要らぬ心配ですわ。けれどこのビキニというのはまだ慣れませんの。サイズもなんだか小さいような……」

 ビキニの肩紐を直しながら、エリシャが答える。
 ずっしりと重い胸を支えるビキニトップは、肩紐が食い込んでいた。

「ううん、たしかにちょっと……小さいのかもね」

 流石にその様子をまじまじと見るわけにもいかず、姫陽は目を逸らした。

「ほら、ウォータースライダーで遊ぶのでしょう?」

 そう言ってエリシャは、姫陽の背中を押してプール脇の階段を昇っていく。
 そのとき姫陽の背中に、むにゅん、と何かが当たった。
 つやつやとした肌触りは水着のものだろうが、この張りの強い感触は……。

「ああうん、エリシャ、密着しすぎかな、柔らかくて大きいのが当たってるから、ね……!?」

 そう言われて、エリシャも胸が触れていることに初めて気付く。

「あら姫陽さん、意外とウブなところもありますのね」

 口元に手を当てて、上品に微笑んだ。
 それからすぐに、ふたりはウォータースライダーのてっぺんへとたどり着く。
 背中に押し当てられたままの姫陽は、狼狽えたままだ。

「ねえエリシャ、さっきから言っているけど、密着しすぎ……」
「さあ! れっつごーですわ!」

 強引なエリシャの掛け声によって、ふたりはウォータースライダーを滑りはじめた。
 さすがに大きなプールほどの傾斜はないが、それなりの速さは出る。
 そのスピード感にエリシャはテンションが上がり、歓声をあげた。

「きゃー! この高揚感、癖になりそうですわ!」
(楽しい……んだけどまだ当たっててそれどころじゃない!)

 姫陽も多少気が散る要因こそあるものの、走るよりもずっと速い世界を楽しんでいた。
 けれど楽しい時間はいつまでも続かない。
 ウォータースライダーを滑りきり、ふたりともプールへと投げ出された。

「ぷはぁっ! これはなかなか……」

 まずは姫陽が水面に顔を出す。

「ふーっ! とっても楽しいですわ!」

 続いて、エリシャが勢いよく顔を出す。
 すると、大きな果実がふたつ、ぷるんと揺れた。
 想定以上の大きな揺れに、違和感を覚えるエリシャ。
 ふと自分の胸元を見ると、しっかりと胸を保持していたはずの水着が無く――。

「ひゃぁっ!?」

 エリシャは慌てて、プールに沈んで身体を隠した。

「エリシャ?」

 悲鳴を聞いて、振り向こうとする姫陽。
 視線が後ろへと向いたところで、エリシャが慌てて姫陽を手で制する。

「ま、待って下さいまし! その、ビキニの上がどこかへいってしまいましたわ……」
「水着がぁ!?」

 エリシャの言葉を聞いて、姫陽は慌てて前を向く。

「……あまり見ないで下さいまし?」

 流石に水着越しに胸が当たるのと、生で見られるのとではわけが違う。
 頬を赤らめたエリシャが、姫陽の背中をおずおずと見つめた。

「や、僕は見ないから……! 早く探しに行ってきて……!」

 羽織っていた上着を脱いで、そちらへ目を向けずに差し出す。
 それを受け取ったエリシャは、上着を羽織って水着を取りに行った。

「た、助かりましたわ……」 

 少し経つと、ビキニを着け直したエリシャが、姫陽の元へと帰ってきた。

「姫陽さん……お願いがありますの」

 水着の肩紐は見えるため、しっかりと着けているはずだが、頬を赤らめたエリシャが、水面から顔だけ出して、姫陽を見上げる。

「……なにかな」

 これ以上ドキドキさせられては、たまったものではない。
 何を言われるのだろうかと、不安な気持ちが過る。

「も、もう一度ウォータースライダーにお付き合いして下さいませんこと?」
「今度は水着、なくさないでよね」

 仕方ないなぁと呟いて、姫陽はエリシャへ手を差し伸べた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『潜入、裏カジノ!』

POW   :    暴力やセクハラをするお客様に対処する

SPD   :    イカサマをするお客様に対処する

WIZ   :    イチャモンや難癖をつけるお客様に対処する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 アミューズメントホテルを出たところで、声をかけられた猟兵たち。
 現在、従業員の不足により新たな従業員を募集しているところだという。

(聞いていた通りか……)

 猟兵たちの目的はこの裏カジノで匿われている何かしらの怪異を討伐することである。
 そのためにはまずは潜入を。
 誘いを受けて、猟兵たちは従業員として裏カジノへ潜入することに成功した。



「あら〜あなたたちが新人ちゃん?」

 翌日の夕方、指定されたとあるビルの裏口から地下へ入ると、おかま口調の男が猟兵たちを待っていた。
 話を聞くと、どうやらフロアマネージャーのようだ。

「最近、入ってくる新人ちゃんたちはすぐ失踪しちゃってねぇ……」

 頬に手をついて大袈裟なため息。
 アングラな仕事をしていることに変わりはないが、どうやら彼は怪異には関わっていないようだ。
 するとやはり、オーナーに直接問いただすしかない。

「オーナー? 見た目はチャラくてオラついてるくせに、慎重っていうか、臆病な人なのよねぇ。こんなトラブルだらけの商売なのに、カジノで騒ぎがあるとすぐ逃げちゃうよぉ〜」

 男の話をまとめると、オーナーが出てくるまで、大きな騒ぎを起こさずにトラブルの処理をしなければならない。

「そうそう、女の子の制服はこれよぉ〜!」

 そういって男が両手で掲げたのは、黒のレオタードと白いウサギの耳のカチューシャ。
 いわゆるバニースーツだった。

「男の子には燕尾服ベースのものを用意してあげるわぁ〜! それじゃあ更衣室があるから着替えていらっしゃ〜い!」

 テンションの高い男に促されるまま、猟兵たちは

※マスターより
 バニーです。
 どうしても着たくない場合はプレイングに記載があれば服装には触れずふわっとしておきます。
フローリエ・オミネ
永一(f01542)と

随分と大胆な服だけれど、制服ならば仕方ないわ
脚が寒いから長靴下を履いて、いざ潜入!

卑怯なお客さまに対処しましょう

イカサマ、楽しいですか?
純粋にゲームを楽しむことの方が余程楽しいと思うのだけれど…
ね、ゲームに飽きてイカサマをしてしまったのなら、わたくしとお話しませんこと?

お客さまの隣に立ち、目を合わせて笑うわ
わたくし自身に興味を向けさせれば、イカサマする気もなくなるでしょう

お話していたら、段々距離が近づいてきて
…何故そんな所を触るのかしら?
永一へ視線をずらして助けを求めるわ

えっと、そういう訳なんです。ごめんなさいね、お話ならば幾らでも。
そう言って、とびきりの笑顔を作ったの。


霑国・永一
フローリエ(f00047)と
商売というのは大変だなぁ。金得るのは盗むのが楽でいいよ
うん、フローリエも良く似合っているよ
行くとしようか

カードゲームでイカサマ取り締まりもしようかなぁ
「お客様、少々手癖が宜しくないようですね?楽しいゲームもそれでは興覚めとなりましょう。今の1回は目を瞑りますので、お客様が楽しむ為にもどうぞお控えいただけると」
にこやかにタダ者じゃない雰囲気を出せればいいかな
ふと見れば、フローリエも大した対処じゃないか。世間知らずなお嬢様というだけではなかったというわけだ……っておや、なんかその客から尻触られてるなぁ。仕方ない、助け船を出すか
「お客様、バニーへのお触りはご遠慮ください」





「これが制服なのね……」

 黒いバニースーツに身を包み、フローリエ・オミネ(シソウの魔女・f00047)が体をひねって自身の姿を見回す。
 周囲の猟兵や、カジノの従業員と同様の格好だ。
 すこし大胆な服装にも思えたが、その場には相応しい服装というものがある。
 それが、ここの場合はこのバニースーツなのだ。

「待たせたね、フローリエ」

 少しズレたサイハイソックスに指を入れて直していると、後ろから声をかけられる。
 そちらへ目を向けると、燕尾服に着替えた霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)が立っていた。
 ポケットに両手を突っ込み、永一はへらっと笑う。
 片方折れたうさぎの耳のカチューシャは、永一にくたびれた印象を与えていた。
 その姿を、フローリエがじっと見る。

「永一、あまり似合わないわね」
「そうかい? フローリエはよく似合っているよ」

 きちんとシャツを入れ、ボタンを閉めた服装は落ち着かない様子で、永一は自分の襟元を直しながら答えた。

「もっと心を込めて言ってくれても良いと思うのだけれど」
「込めてる込めてる」

 フローリエが 少しだけ頬を膨らませて言ってみせると、永一は頭を掻いて、少し困ったように笑った。

「永一はいつもそうだわ。それでこそ、あなたらしいのだけれど」

 フローリエが、小さくため息を吐く。
 それは呆れているというよりも、安心に近いもので。

「それより、そろそろ仕事の時間だ。行くとしようか」

 マイペースに歩く革靴のあとを、上機嫌なパンプスが追いかけた。



 UDCアースにあるこの裏カジノ、本場には遠く及ばないものの、どこから聞いてやってきたのか、それなりに賑わっていた。
 ぎらぎらと光る照明と、がらがら音を立てるルーレットやスロット。
 フローリエの視線の先では、スーツやドレスの客が目を輝かせて賭けに興じている。

(こんなところがあったのね)

 水晶のような眼差しで、周囲の様子を伺う。
 スロットで大勝ちして喜ぶ女。
 ルーレットで負けて全財産を失い悲しむ男。
 様々な客がいる中で、ニヤニヤと笑いながらポーカーをする男が、手元のカードを入れ替えるところが、フローリエの目に入った。

(あら、手癖の悪いお客さま……)

 イカサマをこのまま続けて従業員や他の客が気付けば、強く指摘して騒ぎを起こしてしまうかもしれない。
 ディーラーに目配せをして、男の隣に着く。

「お客さま、そろそろゲームにも飽きてしまったのではないかしら。それなら、わたくしとお話しませんこと?」

 水晶のように透き通った髪と、アメジストのように上品に光る瞳。
 それに、触れたように紅い唇で誘えば――。

 「あ? お、おおっ! へへっ、いい女を充てがってくれるじゃないか」

 男の興味は、あっという間にカードからフローリエへと移った。

 一方その頃、永一もカジノ内を歩いて回り、周囲の客の様子を伺っていた。
 目についたのは、派手に大勝ちする男……の隣で、小さく勝ち続けている女だ。

(なるほど、いい目眩ましが隣にいるじゃないか)

 関心して心の中で頷くと、女へと近づいた。

「お客様、少々手癖が宜しくないようですね?」

 何か小さなものを持った女の手を掴み、耳元で囁く。

「な、何の話かしら?」

 目を逸らして引きつった笑みを浮かべる女。

「今のは目を瞑りますので、お客様が楽しむ為にもどうぞお控えいただけると」

 にこやかそう伝える永一ではあったが、女の手を強く掴んだまま。
 有無を言わせない雰囲気に、女は黙って頷いた。

(まったく、商売というのは大変だなぁ。盗むのが楽でいいよ)

 そんなことを考えながら、顔をあげる。
 永一の視線の先では、フローリエが男に話しかけていた。
 どうやら、あちらもイカサマをする客への対応のようだ。

(世間知らずなお嬢様というだけではなかったというわけだ……)

 その様子を見ていると、フローリエが一言声をかけるたびに、男は少しずつフローリエへと近寄っていく。
 肩が触れるほどの距離にもなれば、男の手がフローリエのふとももへ。
 指先がふとももをくすぐるようになで上げてると、お尻に触れた途端、フローリエの背筋がピンと伸びた。
 それから、男へ笑いかけながらも、何かを探すように、時折、視線をあたりへ。
 永一の視線と交差すれば、口元が小さく動いたように感じられた。

(おや、なんか尻触られてるなぁ。仕方ない)

 助け舟を出すために、永一がポーカーテーブルへと近づく。
 それを見てフローリエも安堵の息を漏らした。

「お客様、バニーへのお触りはご遠慮ください」

 男のすぐ後ろまで近づいたところで、永一は笑顔で丁寧に言う。

「ああ?」

 男は邪魔をされた苛立ちこそあるものの、自身の落ち度を理解してか、眉をひそめて舌打ちをした。

「えっと、そういう訳なんです。ごめんなさいね、お話ならば幾らでも」

 そう言うと、フローリエはとびきりの笑顔を男に向ける。
 すっかりとフローリエに魅了された男は、だらしなく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
◎姫陽さん(f08063)と

かじのというのは賭場のことですのね
でも、なんでうさぎさんなのかしら?
胸元がキツいですし水着とどう違いますの?
姫陽さんの燕尾服は新鮮ですわね
格好いいですし男の子に見えるかしら、なんて

接客は慣れておりますから
ここは任せてくださいまし!

…とは言ったものの
旅館で接客するときよりも強く視線を感じるような…
――ひゃん!今誰か触りませんでした?
むぅ…宿でしたら鉄拳制裁できるのに…
…我慢…我慢…ああ!もう限界ですわ!
と手が出そうになるところで姫陽さんの助け舟が
助かりましたわ…
でも一発くらい殴っておきたかったような
…冗談ですわよ?

あなたが触られたら
今度は私が守って差し上げますからね!


沙羅音・姫陽
エリシャ(f02565)と参加するよ
燕尾服ねぇ……エンパイア出身だと着物を着ることが多かったから結構新鮮だよね、こういうの
ふふ、ありがと、エリシャ
シュッとしてて中々カッコいいものだ

ああ、エリシャ
君のバニースーツも良く似合ってるよ、大きく魅惑的な胸がとてもセクシーだ
……うん、僕は直視しないけど

さて、騒ぎが無いように何事もなければ……
……あ、うん、無理だよね、エリシャがセクハラされてる
「お客様、申し訳ございません
こちらのバニー店員ですが、私と共に他の仕事がございますので」
とエリシャをやんわりと連れ出すよ

気を付けてね、暴力沙汰は即作戦失敗だからね
とはいえ、君におさわりする客は確かに許せないけどね?





「燕尾服ねぇ……エンパイア出身だと着物を着ることが多かったから、結構新鮮だよね、こういうの」

 きっちりと燕尾服を着込み、手袋をしながら沙羅音・姫陽(姫陽剣・f08063)が呟く。
 このカジノでは、男性は燕尾服にうさみみが制服だ。
 姫陽もそれに合わせて、うさみみをつける。
 自前の耳と重なって、なんだか少し違和感があった。

「姫陽さんの燕尾服はたしかに新鮮ですわね。格好いいですし男の子に見えるかしら、なんて」

 隣から、ひょこっと顔を出した千桜・エリシャ(春宵・f02565)が口元を隠して目を細める。

「ふふ、ありがと、エリシャ。こういうのも悪くないだろう?」

 対して姫陽も、少しだけ首を傾けて笑った。

「でも、なんで女の子はうさぎさんなのかしら?」

 エリシャが自分の服装を見ながら、聞いてみる。
 そんなエリシャも、制服であるバニースーツを着ていた。
 黒いビスチェ型のレオタードは、複数の布を重ねて作られたしっかりした作りだ。
 コルセットのようにウエストを締め付け、ボーンが胸を美しい形に保持している。
 腰骨まで大胆に晒した脚の白い肌もバニースーツの黒との対比で美しい。

「うーん……なんでだろうね」

 無論、サムライエンパイア出身の姫陽にわかるはずもなく、首をひねった。

「それに胸元がキツいですし水着とどう違いますの?」

 エリシャがバニースーツの胸元に指をかけ、少し引っ張ってみる。
 しっかりとボーンの入ったバニースーツは、その程度でめくれることはない。
 しかし、みっちりと詰まったエリシャの胸元はそれだけで形を変えた。

「エリシャ、水着と同じように感じるなら、もう少し慎みを持って欲しいな……」

 それを見ていた姫陽の耳が、少しだけ赤くなる。
 直視しないように目を逸らした姫陽が手を引いて、ふたりはホールへと向かった。



「接客は慣れておりますから、ここは任せてくださいまし!」

 なんて姫陽に豪語してみたものの、エリシャは強い違和感を覚えていた。

(旅館で接客するときよりも強く視線を感じるような……)

 脚に、胸に、尻に。
 エリシャの身体に、周囲の男たちの視線。
 バニースーツのその奥の肌まで視線で撫で回すように見られている。
 それに気付いた途端、急にこの衣装では心許なくなって、手にしていたトレーで胸元を隠した。
 そのときだった。

「――ひゃんっ!」

 後ろから、何かがお尻を撫で上げた。

「い、今誰かお尻を触りませんでした?」

 トレーで隠すところをお尻に変えて、エリシャが周囲を見回す。
 後ろを歩いていた男が、へらへらと笑って手を上げたままどこかへ歩いていった。

(むぅ……宿でしたら鉄拳制裁できるのに………我慢……我慢……)

 自分の店であれば、どれほどよかったか。
 ここが仮にも敵陣であること歯痒く感じて、エリシャは奥歯を噛み締めた。

「おおっとごめんよバニーのねえちゃん」
「ひゃうっ!?」

 さらに、エリシャに向かって酔ったような男が倒れ込んでくる。
 避けてそのまま引き倒しておくわけにもいかず、エリシャが男を抱き止めた。

「うっへへ……ありがとよぉ!」

 胸のクッションで受け止められると同時に、男の手は、そのままエリシャのお尻へと伸びる。

「ぁ、んっ!? お、お客様!」

 さっきよりも強く、揉むようにエリシャのお尻に触れる手に、エリシャもさらに大きな悲鳴をあげた。

(ああ! もう限界ですわ!)

 拳を強く握り、男の顎へと叩きつけようというところだった。

「お客様、申し訳ございません。こちらの店員ですが、他の仕事がございますので」

 割って入ってきた姫陽が、男を追い払う。
 セクハラの負い目があるためか、男はすぐに離れていった。

「助かりましたわ……でも一発くらい殴っておきたかったような」

 その後ろ姿を見て、エリシャはほっと一息吐く。

「エリシャ、気を付けて、暴力沙汰は即作戦失敗だからね」

 たしなめるように言う姫陽。

「……冗談ですわよ?」
「ちょっと冗談には見えなかったかな。とはいえ、君におさわりする客は確かに許せないけどね?」

 エリシャが作っていた握り拳を思い出して、今度は姫陽がため息を吐いた。

「まあ、ありがとう。あなたが触られたら、今度は私が守って差し上げますからね!

「この格好なら僕が触られることは……」

 いつもの服装だったらわからなかったけれど……と口の中で呟き、再びカジノ内へと目を向ける。
 このあと、姫陽がマダムたちに囲まれ、エリシャに助けられることになるとは、誰も予想していなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雲烟・叶
【涙雨】

もしかしてコレ、燕尾服にも兎耳つきます?
ま、長い器物生、兎耳のひとつやふたつ付けることもありますよね
おや、お嬢さんから一緒に写真撮って来いって言われてるでしょう?
ほらほら、いいこにしましょうねぇフォーリー

自分は賭け事には詳しくねぇんで、化生らしくだまくらかしますかねぇ
嗚呼ほら、彼処で怒鳴り散らしてる客なんぞ良いんじゃねぇですかね

申し訳ございませんお客さま、支配人がお詫び申し上げたいと。是非奥のVIPルームへ

女性ならもう少しサービスして差し上げるんですがねぇ
自尊心を擽って連れ込んだら、管狐の【呪詛】で呼吸を奪って昏倒させますよ

……にしても、器用ですねぇフォーリー
どうやってやるんです?それ


フォーリー・セビキウス
本来なら従業員では無く、客として来たいものなんだが。

ディーラーの経験ならあるが…まぁいい、スタッフとして楽しむとするか。
なぁ?叶。…お前意外と似合ってるな。然もノリノリかよ。
ああ私は普通の燕尾服で良いぞ。おい、良いって言ってるだろうが、おい!写真も撮るな!

イカサマにはイカサマで対抗だ。優れた動体視力で見切り、神業の如き早業でイカサマで返し相手の上を行く。そしてイカサマをした客をその瞬間の写真と共に店側に報告だ。オレの情報収集技術を舐めない方が良い。
イカサマの練度が低いな、その程度ならこうやって返せるんだよ。
いちゃもんを付けてくる相手には言いくるめて何倍にもお返ししよう。

なに、慣れたら簡単だよ。





「もしかしてコレ、燕尾服にも兎耳つきます?」

 燕尾服に着替えたところ、オカマのマネージャーからうさ耳を渡された雲烟・叶(呪物・f07442)が、自分に着けながら言う。

「さあな。だが……」

 隣でうさ耳を付け、鏡でそれを確かめる叶を見ながらフォーリー・セビキウス(愚か者の鎮魂歌・f02471)は呟いた。

「……お前意外と似合ってるな。しかもノリノリかよ」
「フォーリーも早くしてください」
「何をだ」
「兎耳です」
「…………」

 叶は他に何か?という顔をしているが、できればこういう仕事は別の人間にお願いしたいところだ。
 何が悲しくて30手前の男がうさ耳をつけなければならないのかと、げんなりした視線を返す。

「お嬢さんから一緒に写真撮って来いって言われてるでしょう?」

 そう言われると弱いのか、フォーリーの抵抗が少しだけ弱まった。

「私は普通の燕尾服で良いぞ」
「ほらほら、いいこにしましょうねぇフォーリー」

 問答無用でフォーリーの頭にうさ耳を取り付ける叶。

「おい、良いって言ってるだろうが、おい!写真も撮るな!」

 その後どこかへ送られた写真には、慌てた兎が写っていた。



(さてまあそれじゃあどうしましょうか)

 ひとりでホールを歩く叶が、辺を見回す。
 カジノへは始めてきた叶にとって、ここは未知の塊だ。
 従業員として動くにしても、あまりに知らないことが多い。
 それでもできることと言えば……。

(化生らしくだまくらかしますかねぇ)

 心のなかで呟いて、目の前で怒鳴り散らす男へとターゲットを定めた。

「お客さま、お客さま」
「ンだテメェ! いまコッチは取り込み中なんだよ!」

 にこやかに、穏やかに叶が話しかけるが、客はそれすらも攻撃だと感じたのか、叶にも食ってかかる。

(話を聞いてくれるほど冷静じゃない……面倒な手合だ。ならば)
「申し訳ございませんお客さま、スタッフが失礼をしまして」

 客の自尊心を傷付けないように、ひとまず客の言い分を飲んだフリをする。

「お、おう! 話のわかるやつが出てきたじゃねえか」

 叶の言葉で、振り上げていた手の下ろしどころを失った男は、少し狼狽えながらも、興奮が静まっていく。

「支配人がお詫び申し上げたいと、是非奥のVIPルームへ」

 続いて、人目のないところへと。
 影に入ってしまえば、あとはこちらのものだ。

「おいで、お前たち」

 叶の袖口から煙が漏れ出たかと思うと、それは管狐を形取る。
 その管狐が男の身体へ巻き付くと、あっという間に呼吸を奪って昏倒させた。

(女性ならもう少しサービスして差し上げるんですがねぇ……)

 そんなことを考えながら、フロアへと視線を戻す。
 ちょうど近くのブラックジャックテーブルで、プレイする男の後ろに、フォーリーが立っているところだった。
 男の手元を見て、すぐに鼻で笑う。
 ディーラーから配られたカードと、袖に隠していたカードを入れ替えているのを、フォーリーは見逃さなかった。

(安いイカサマだ……)

 次のゲームで、カードを入れ替える瞬間を写真に収める。
 胸元のバッヂの隠しカメラで、ばっちりと証拠を押さえた。
 顔写真と共にこれを店に報告すれば、この男は出入り禁止だろう。
 あとは……。

(少し痛い目を見てもいいか)

 男が大きく張ったときを狙う。
 フォーリーは別の角度から証拠を集めながら、その時を待つ。
 それから数ゲーム進むと、男がチップを上限いっぱいまで賭けた。

(イカサマにはイカサマで)

 男がカードを入れ替えたあとのことだ。

「失礼します、お客様」
「なんだ!?」

 男の隣に立ち、堂々と話しかける。
 大賭けでのイカサマで、男は気を張っていた。
 そのため、声をかけてきたフォーリーに過剰に反応してしまい、手元が疎かになってしまったことに、気付かない。

「随分とお強いですね。VIP専用の高レートテーブルへご案内致しましょうか」
「いいや、俺はここで良い。これくらいがいいんだ」

 高レートではディーラーの目も肥えてイカサマが通用しないだろうから、と心の声が聞こえたような気がした。

「左様でございますか……失礼致しました」

 すぐにテーブルを離れるフォーリー。
 それからすぐに、テーブルから男のどうしてという悲鳴が聞こえた。
 男の持っていた切り札は、フォーリーの手の中に。
 先程話しかけた際に、男のハンドから抜き取ったのだ。
 その結果、彼のハンドはただのゴミ手に。

(その程度のイカサマで儲けようとはな) 

 男のレベルの低さに、呆れてため息を吐く。
 小さな裏カジノなんて、そんなものなのかもしれない。
 そのまま歩いて裏へと回ると、先程のやり取りを見ていた叶が立っていた。

「……器用ですねぇフォーリー。どうやってやるんです?それ」
「なに、慣れたら簡単だよ」

 叶の疑問に対して、フォーリーは少しだけ目を細めて語った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラニィ・ユン
舞夜(f16466)と一緒に参加!

へぇ、これがバニーね
流石にこれは着たことなかったな
折角だし、記念に写真撮っとく?


ジロジロと見られても気にせずに接客
まぁ美人でスタイルのいい私を見ちゃう気持ちは分かるからね
ちょっと悪い気もしないし
見られるくらいは許そうじゃないの
でもセクハラはだーめ
騒ぎを起こしちゃ駄目だから、軽く手を叩いて笑顔で注意をして


舞夜が絡まれているなら助けに入るよ
この子は私が先に予約しているんだよね~
ね、ここは私に譲ってくれないかな、お・じ・さ・ま?
(上目遣いで胸を寄せて)

ふっふーん、まぁ男なんてチョロイものってね
今度、やり方教えてあげよっか?


望月・舞夜


ラニィ姉(f19063)と
バ、バニーかぁ……ちょっと恥ずかしいけど、仕事だもん、しょーがないよね!

うー、落ち着かない……
(ラニィ姉、堂々としすぎじゃない? バニィ姉? バニィ姉なの?)

呆れ気味にしつつもお仕事
ま、ラニィ姉ほどじゃないけど、ボクもこーゆーのあしらうの、慣れてないわけじゃないからね!
はぁいダメだよお客さん、ほらほらボクより賭けに集中しないとー……あっほら、そこレイズは危な……あっ、ごめんなさい、助言はダメだよね、あははー……

けど、しつこいお客さんには困っちゃうかも。ひっぱたくわけにもいかないし……って、ラニィ姉?
あ、あのあのあの……なんでそんな仕草慣れてるの? ちょっとー!?





 流れるような黒髪に、海のような青い瞳。
 黒いバニースーツに身を包んだラニィ・ユン(ゴッドフェニックス・f19063)が、姿見鏡の前で自身の姿を確認していた。

「へぇ、これがバニーね。流石に着たことなかったな」

 出るとこ出たラニィの身体に、ボディラインを強調するバニースーツがよく似合う。
 特に引き締まったウエストと、大きな胸のメリハリがとても魅力的だった。

「ちょっと恥ずかしいけど……仕事だもん、しょーがないよね!」

 やけくそとばかりに、同じくバニースーツを着た望月・舞夜(魔導英雄ソウルウィッチ・f16466)は、眉間にシワを寄せて、結んだ口元を落ち着かない様子でむぐむぐと動かしていた。

「ねえ舞夜、折角だし、記念に写真撮っとく?」
「しゃ、写真……」

 ラニィがスマートフォンを取り出して、舞夜の側に。
 肩を寄せて、少し高めのアングルからスマートフォンのインカメラで手早く一枚撮った。

「これタイムラインに上げとくね」

 写真の光度を少しだけあげて、それからSNSにアップロード。
 ラニィが手早くスマートフォンを弄る姿を、舞夜は悶々と見る。

(ラニィ姉、堂々としすぎじゃない? バニィ姉? バニィ姉なの?)

 そんな意味不明の符号が、舞夜の頭の中でぐるぐると回った。
 このSNSを通して共通の知人である親しい誰かに、バニースーツ姿を見られることまで思い至らなかったことを、のちに後悔することになる。



(さて、と……)

 カジノへと早速出たラニィが、ホール内を歩いて回る。
 飲み物を頼まれれば、用意して戻り、なにか尋ねられれば笑顔で答える。
 単に接客をするだけと言うなら、大した話ではない。
 丁寧な言葉遣いが要求されるほど高尚な場でもないため、軽い調子で話すラニィには、うってつけな仕事だった。
 それに、この露出の多い服装も、ラニィにとっては恥じることではない。
 四方八方から、客のいやらしい視線は感じる。
 だが――。

(まぁ美人でスタイルのいい私を見ちゃう気持ちは分かるからね)

 そんなことを考えて、ラニィは胸を張って歩く。
 堂々とした立ち振舞いは、バニースーツ姿のラニィをより美しく魅せていた。
 見られるだけなら、ラニィの自信を育てるのみだ。 
 少し歩いて、ルーレットテーブルの側へやってきたところだった。
 席に座っていた男が、通り過ぎようとしていたラニィのお尻へと、そっと手を伸ばす。
 酔って気が大きくなったのか、バレなければいいと思っているのか。
 視界の隅にその手を捉えたラニィが手で軽くはたき落とした。

「お客さま、セクハラはだーめ」

 ラニィが片目を閉じてニッと歯を見せて笑うと、客も誤魔化すように合わせて笑った。

 一方で、舞夜はホールに出てからも落ち着かない様子だった。
 少し歩いては、しきりに胸元のずれや、お尻の食い込みを直す。
 舞夜の健康的な肉付きや白く瑞々しい肌は、黒のバニースーツとの対比で強調され、周りの目を引いていた。
 その仕草が客の目に入ることも、多くあったのだ。
 ポーカーテーブルの側へ来たときである。
 客のひとりが、ポーカーをプレイしながら、舞夜の方へと、視線を向けていた。
 胸元を直していたところを見られ、少しバツの悪そうに唇を尖らせてから、舞夜は男と目を合わせる。
 こういった客をあしらうこと自体は、慣れていないわけではないのだ。

「はぁいダメだよお客さん、ほらほらボクより賭けに集中しないとー……」
「いやぁ、見てあげないと失礼かなって思ってさぁ」

 男は自分のハンドを確認しないままに、チップを前に出す。

「あっほら、そこレイズは危な……」

 男の手を見て、つい思っていたことが口に出た舞夜。
 その助言でチップを前に出そうとしていた男の手が止まり、ディーラーに睨まれた。

「あっ、ごめんなさい、あははー……」

 ディーラーの目からか、客の目からか、舞夜は逃げるようにテーブルを離れる。
 それから、次にやってきたのは少し離れたスロット台。

「ねえちゃん、バニーのねえちゃん、ちょっと相手してくれよなぁ!」

 スロットを回していた男に、突然手を掴まれた。

「あっ、お客さん!? 強引なお触りは困るよ」

 男はしっかりと舞夜の手首を掴み、隣へと引き寄せようとする。

(うーん、ひっぱたくわけにもいかないし……)

 もし殴って済むならそれでいいのだが、あまり大きな騒ぎを起こすわけにはいかない。
 せめて人気の無いところまで連れていければ……。
 そんなことを考えていたときだ。

「ごめんなさーいお客さま、この子は私が先に予約してるんだよね~」

 すぐ後ろから、聞き慣れた声。
 ふたりの間に割って入ってきたラニィが、舞夜の肩を抱いた。

「……って、ラニィ姉? よ、予約!?」

 一体なんの予約なの、と狼狽える舞夜。
 舞夜の困惑をよそに、ラニィは舞夜の肩を離れると男の腕を胸に抱いて、目を見つめる。

「ね、ここは私に譲ってくれないかな、お・じ・さ・ま?」

 海のような瞳を潤ませて、艶やかな唇で紡いだ。

(なんでそんな仕草慣れてるの? ちょっとー!?)

 助けてもらったのは良いものの、幼馴染が男を手球に取る様子を見て、舞夜はやり場のない気持ちがむくむくと膨れ上がる。
 男が仕方ないとその場を離れ、ラニィが舞夜の方へと視線を向けた。
 舞夜のきゅっと結んだ口元が言いようもない感情から来ていることに気付いて、ラニィはにやりと笑う。

「今度、やり方教えてあげよっか?」
「や、やり方ぁー!?」

 年上の幼馴染が、想像以上に進んでいることを想像して、舞夜は顔を真っ赤にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナータ・メルトリア
わわ、身体のラインがはっきりわかって、普段こんなの着ないから恥ずかしいかも
ちょっと背が小さい方だから似合うかしら?

ともかく、お仕事だね
トラブル起こしている人を見つけたら、気に入られる様に【コミュ力】を駆使して取り入って、宥めるわ
必要であれば、思わせぶりな言動で【誘惑】するの

後はまた暴れない様、気分よく過ごしてもらう為に、【早業】で勝敗をコントロールするわ
知ってる?兎の後ろ足って幸運のおまもりなんだよ
…弾避けのね。だから、あなたにジャックポットは訪れないわ

人気のない所に連れて行かれそうになったら抵抗するわ
【暗殺】技術の応用で、意識を刈り取るの
んー、起きて暴れないように、少し血を頂いておこうかしら





 いつもの黒いドレスを脱いで、代わりに肩を出したうさぎの装い。
 鏡に映る、身体のラインがはっきりとわかる服装に、レナータ・メルトリア(おにいちゃん大好き・f15048)は少しだけ頬を赤く染めた。

(普段こんなの着ないし……)

 コルセットのように絞られたウエストは、決して小さくない胸を強調する。
 ほどよく肉の付いたふとももは白いタイツに包まれて、肌こそ露出していないものの、その柔らかなラインははっきりと目に映っていた。

(けど、ちょっと背が小さい方だから似合うかしら)

 そう思えば、満更でもないという気持ちがこみ上げてくる。

「それじゃあおにいちゃん、いってくるね」

 ロッカールームで椅子に座らせた絡繰り人形に手を振り、レナータはメインホールへと向かった。



「わ、わ、すごい音……」

 じゃらじゃら、がらがら、メダルやチップの弾む音が、どこからでも聞こえてくる。
 それに混じって、歓喜の声、落胆の声。
 このフロアの中を、メダルという形で人々の様々な感情が渦巻いているのが、よくわかった。

(ともかく、お仕事だね)

 カジノを円滑に回すことで、オーナーをこの建物から逃さないことができる。
 ゆえに、猟兵たちに与えられた課題は騒ぎを起こす客の対処だ。
 レナータがホールを歩いていると、それはすぐに見つかった。

「てめェばかり勝ちがやってよォ!」

 ルーレットテーブルで隣に座る男に向けて絡んでいたのは、やけに粗暴な金髪の男。
 着崩したスーツは、まるで売れないホストのようだ。
 暴力沙汰にされてはたまらないと、レナータは素早く男の側へと寄る。

「お客さま、お客さま。どうしたのかしら。素敵なお顔がもったいないわ」

 その声に気付いて、男が自分より頭2つ分ほど小さなレナータを見る。
 未だ幼さの残る顔立ちのせいか、あまり気の強いタイプには見えなかったのか。
 品定めするかのように視線を上から下へと動かし、男のターゲットがレナータへと移ったのは、すぐに分かった。

「さっきからよォ、俺は全く当たらねェのに隣のこいつは勝ってんだ! クソつまんねえよなあ、ルーレットってやつは!」

 先程、男へとぶつけていた怒りを、そのままレナータへと向ける。
 それに対して、レナータは落ち着いて、男へと笑顔で返した。

「それならね、わたしと遊びましょう? かっこいいところ、たくさん見せて欲しいわ」

 男の姿を写す赤い瞳はわずかに潤み、両手を後ろで組んでいじらしく肩を揺らす。
 怒りに対して怒りをぶつけることはもちろん、軽率に非を認めて謝るころも、相手を増長させてしまう可能性がある。
 張り合うわけでもなく、逃げるわけでもなく、包み込むように受け入れて行き先を変えるレナータに、男は上げた拳をそのまま下ろすしかなかった。

「あ、ああ……しょうがねェなぁ」
「心のひろーいお客さま、素敵だわ」

 ひとまず騒ぎにはならなかったことに安堵したレナータは、男の腕に抱きつき、その場を離れる。
 テーブルの向こうでディーラーが申し訳無さそうに頭を下げているのを見て、気にしないでと微笑んだ。

 それから、男とふたりでカジノを歩く。
 なにか別のゲームをと思ったが、男の視線は、レナータに向くばかり。
 カジノへの興味をすっかり失ったかのように、鼻の下を伸ばして、レナータの胸元を覗き込んでいた。
 脚を進める先も、次第にひと気のない暗がりへ――。

「さて、お前が遊んでくれるんだろォ? なぁ」

 ロッカールームへと続く通路まで来たところで、男がレナータの手首を強引に掴み上げ、壁へと押し付ける。

(わ、わわ……やっぱりこういうこと狙ってたのね)

 仲裁に入ったところから、男の目的がレナータへと移っていたのはわかっていた。
 ガラの悪いこの男のことだ、カジノのバニーなど、金を詰めば抱ける女くらいにしか思っていないだろう。
 とはいえ、人目を気にする男でよかったと、レナータは思う。
 その場で襲われて騒ぎになっても困るが、ひと気のないところへ連れて来られたのは、レナータにとってさらに好都合だった。

「ごめんなさいね」

 掴まれた腕を捻り、逆に男の腕を極めて手を離させる。
 それから、痛がる男の首が低いところへと降りてきたので、延髄に手刀を入れて男の意識を刈り取った。

(んー、起きて暴れないように、少し血を頂いておこうかしら……)

 気絶した男の後ろに回り、首筋にレナータの鋭い八重歯を立てて、噛み付く。
 レナータが傷口から血を吸うと、意識のない男の体が小さく震えた。

「本当のお仕事が済むまでだから、大人しくしててね」

 あまり良い人間ではないけれど、処罰されるべきというほどの悪人でもない。
 近くに居た他の従業員に男を医務室に運んでもらい、レナータは再びホールへと足を運んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

零井戸・寂
ロク。胸元引っ張るのはやめなさいロク(必死)

(グレーの燕尾服+ハーフパンツ、足にはガーターソックス付き。少年執事風な出で立ち。)

宇宙のジャックをもっと性格悪くて攻撃的にしたみたいな奴だよ。

僕はNAVI使って情報収集しようか。小さくなれば聞き耳も立てやすいだろ。

しかしガラ悪い客が多い……
いや、そういうサービスは行なってませんので。
……ついでに言うとロクもそういうのは対象外ですので。
ほら、彼方の"お姉さん"が呼んでますよ("催眠術"でガラの悪い客を別の人に押し付ける)

ん?なんであの客はゴリゴリのマッチョとトイレに入ってったかって?
"男の世界"ってのがあるんだよ。
ま、君に聞かせるような物でもないさ。


ロク・ザイオン

零井戸(f02382)と

(胸板かな?ってバスト
割れた腹筋
立ち姿だけは獣らしくしなやかではある)
……仕事だから。着る、けど
(ぴちぴちした服は嫌いだ
胸元を引っ張っては叱られる)

●POW

…ちゃらくておらついている。
わかるか。ジャ…零井戸。
(仕事を真面目にこなしながら【野生の勘】で不自然な人の流れを探り回る)
…なるほど。
ろくでなしか。
(情報収集は相棒に任せよう
【学習力】を振り絞り【礼儀作法】を取り繕い
目立たないよう振舞う
ただし相棒は全力で守る)

…"零井戸"は。細くてやわらかいから。
だめだ。

(悍ましくざらついた声音でメンチ切り
こっそり【恐怖を与え】る野生のバニー)

…今の男たちは。
聞くな?
そう。





 無駄のない身体は美しい。
 ロク・ザイオン(明滅する・f01377)の姿を見て、周囲の従業員たちはそう思った。
 割れた腹筋と、厚い胸板。
 脂肪の少ないその身体は、女性らしさからは離れたもののようで、しかし、しなやかな身体は美術品のような美しさを感じさせる。
 背はわずかに丸め、後ろに重心を傾けた立ち方は、どこから外敵がやってきても対応できる警戒の構えだ。
 周囲にいる一般人は悪意こそないものの、ここは敵陣のど真ん中。
 気を抜くことはできないが――。

「……仕事だから。着る、けど」

 股からお腹、そして胸まで、身体のラインにぴったりと沿うように作られたバニースーツ。
 肌に張り付くような感覚が嫌いで、落ち着かない。
 その胸元に指をかけて、軽く引っ張った。
 胸をしっかりと保持するため入れられたボーンで布は形を変えず、胸部分全体がぱかぱかと開く。
 できた隙間に視線を落とすと、口をきゅっと結んで眉間にシワを寄せた。

「ロク」

 横から声をかけてきたのは、グレーの燕尾服に身を包んだ零井戸・寂(PLAYER・f02382)だ。
 ハーフパンツにアレンジされたその服装は、さながら少年執事。
 慌ててやってきたのか、眼鏡が少しズレていて、幼い印象をより強めていた。

「なに」
「胸元引っ張るのはやめなさいロク」

 少し眉をつり上げて言い聞かせるその様子は、零井戸はさながら、少し小さな保護者といったところか。
 釈然としない、という顔でロクは引っ掛けていた指を離した。

「ジャ……零井戸は、ずるい。なんで。違う服」

 始まる前からすっかりへそを曲げたロクは、ふたりのときだけという約束の名で呼びかけたことを誤魔化しながら、零井戸の服装を指差す。

「男はこっちが制服だろ!? あーもう、行くよ!」

 そう言って零井戸は、三編みを揺らす友人の手を引いてホールへと向かった。



 カジノに潜入したのは良いが、彼らの目的はオーナーを問いただし、匿っているという怪異を見つけることである。
 とはいえ、彼らの持つ情報は少ない。
 唯一の情報である、マネージャーの言葉を思い出す。

「……ちゃらくておらついてる」

 いまいちイメージできず、ロクは首を傾げた。
 こういうときは、隣を歩く相棒に尋ねてみるのが一番だ。

「わかるか。ジャ……零井戸」

 うーん、そうだね、と視線を斜め上にあげて零井戸が考える。
 普段は森で過ごすロクでもわかるような例というと――。

「宇宙のジャックをもっと性格悪くて攻撃的にしたみたいな奴だよ」
「……なるほど。ろくでなしか」
「なるほどって……君ねえ」

 やれやれとため息を吐いて、零井戸は周囲を見渡す。
 裏カジノとはいえ、それなりに人の多いこのホール。
 ふたりで歩き回ってオーナーを探すのは一苦労だ。
 それに、カジノ内でのトラブル処理もしなくてはならない。

(となると、NAVIに任せるのがいいか)

 胸ポケットに入れていたタッチペンを、見えないほど小さな黒猫の姿に変えて放つ。
 黒猫型の電子妖精は、すぐに人波に紛れてふたりからも見えなくなった。

(しかしガラの悪い客が多い……)

 零井戸がそんなことを考えながら歩いていると、よそ見をしていたせいか、前から歩いてきた男にぶつかる。

「あいたーっ」
「ってェな、どこ見て歩いてンだ!」

 鼻を押さえた零井戸が顔を上げると、まさにガラの悪い男が、そこに立っていた。

「すみません、お怪我は……」
「おいおいおい、てめェ何してくれンだァ? 男か? 可愛い顔してンなァ……落とし前に相手してもらおうじゃねェかよォ」
「困りますよお客さん、あ、相手って……!」

 男が、強引に零井戸の腕を掴む。
 ロクの目の前で零井戸の腕を掴んでしまったのは、男の不運だっただろう。

(……"零井戸"は細くてやわらかいから)

 ――固くて大きな相棒ならともかく。
 零井戸は、友達は守らないと――。

「だめだ」

 喉の奥から発せられた拒絶は、短いが、されど力強く。
 ロクは、男を威圧するように睨みつけた。
 ただならぬ気配に、男が手を引く。
 それに気付いた零井戸も、ロクの前に手を出して制し、男の顔を見据える。

「そういうサービスは行ってませんので」
「お、おうそうかい……そんじゃそっちのおっかねえねえちゃんは……」

 零井戸がきっぱりと言い切ると、男は少し狼狽えて目が泳ぐ。

「ロクもそういうのは対象外ですので」

 成り行きでターゲットがロクに向いたのを察して、それも零井戸は切って捨てた。

「ほら、あちらの"お姉さん"が呼んでいますよ」

 それから、男と目を合わせたまま、男の後ろを指差す。
 そちらには"お姉さん"などおらず、筋骨隆々としたスキンヘッドの男がいるのみだ。

「おっ、ほんとじゃねえか……へへっ、悪かったな」

 男の目が虚ろになると、スキンヘッドの男の方へとふらふらと寄っていく。
 それからふたりは、トイレの方へと消えていった。

「……今の男たちは」

 男たちの背を見送り、ロクが零井戸に尋ねる。

「"男の世界"ってのがあるんだよ。ま、君に聞かせるような物でもないさ」

 零井戸は少し申し訳ないなと思いつつも、相手の男が満足ならそれで良いかと、ひとり頷いた。
 なんだったんだ、あの都合よく居たスキンヘッドの男。

「聞くなってことか? そう」

 零井戸がそう言うなら、そうなんだろう。
 ロクはすっかり男から興味を失ったように呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

未来院・魅霊
※引き続きクロヴィスと。

いやだッて俺カジノとか行ったことねェしな……。
アンタに着いて回った方がいいだろ。そりゃ。
(オカマネージャーに女子用バニーを支給されたので平然と着用している)
……あン?おう、そりゃ俺様の見た目的にこッちの方が似合うからだろ。なんなら一回転してやろーか?

ンで、カジノスタッフとして潜入待機、か……そういうことなら、精々囮にでもなッてやるとするかね。
どうせ場慣れしてない俺じゃ自力でイカサマ見抜くってワケにもいかねェしな。
ッてワケで。

「わぁ〜❤️おにーさん強いんですねぇ!ねね、ボクにもおにーさんのカッコいいところ、見せてくれませんかぁ?」
……ちょれェ。


クロヴィス・オリオール
あーいいねェこの空気、生きてるって感じするー…っと、まだ着いてくンの?
って、…くははっ、何でお前そっち着てンだ!?
めちゃくちゃ似合ってンじゃねェか、なァうさぎちゃん…って、何だえらく自信満々だな

あー、そういうタイプ…や、そういうサービスは誰かとホテル行った時にでも取っとけよ
(以降魅霊をうさぎちゃん呼び)

さて、普段はイカサマなんざ気にしねェが…お仕事とあっちゃあな

イカサマやるよーなヤツって何となく顔で分かンだよ…あー、アイツとか
机の下に潜り込んで張ってみるか
この体なら気づかれねェだろ

うさぎちゃん如何にも初心者って匂いするし、奴さんもナメてかかってくれそ…っと、ほい案の定
「お兄さんちょっといい?」





 どこから用意したのか、小さな身体にぴったりサイズの燕尾服に身を包み、クロヴィス・オリオール(GamblingRumbling・f11262)は鼻歌交じりに身だしなみを整える。

(あーいいねェこの空気、生きてるって感じがする……)

 なんせここはカジノ、ギャンブラーたる彼が、もっとも活きる場所だ。
 ロッカールームにまで届くメダルの音と歓声は、欲望の匂いが濃く感じられる。
 それがたまらなく、クロヴィスの血を滾らせていた。

「……っと、まだ着いてくンの?」

 あとからやってきた未来院・魅霊(feature in future・f09074)が、クロヴィスの横に立つ。

 「へぇ、様になってンなァ」

 自身の髪に櫛を入れながら、魅霊はクロヴィスの服装を見据えた。
 それに気づいたクロヴィスが振り向くと、魅霊の姿がクロヴィスの目に入る。

「って、…くははっ、何でお前そっち着てンだ!?」

 黒のビスチェ型レオタードに、網タイツ。
 それから白い耳と尻尾に、黒のパンプス。
 それはまさに、女性の制服であるバニースーツだった。

「……あン?おう、そりゃ俺様の見た目的にこッちの方が似合うからだろ」

 あのオカママネージャーが勘違いしただけだろうが、と小さく付け加える。
 だが事実、魅霊の姿は男のものとは思えないほど華奢で、繊細で、美しい。

「確かにめちゃくちゃ似合ってンじゃねェか、なァうさぎちゃん……って、なんだ、えらく自信満々だな」

 その自身に似合うだけの可憐さが、魅霊にはあった。

「なんなら一回転してやろーか?」
「あー、そういうタイプ……や、そういうサービスは誰かとホテル行った時にでも取っとけよ」

 もっとも、それはクロヴィスにとってはあまり興味のないことだったが――。
 それよりも、クロヴィスには気になることがあったのだ。

「…………それ、下ってどうしてるんだ」
「スケベ」

 クロヴィスの言葉を遮って、魅霊がにやにやと笑いながら言う。

「ぶっ飛ばすぞてめェ!」

 クロヴィスが小さな身体でキレ散らかすと、魅霊は笑いながらホールへと逃げていった。




「ンで」
「あン?」 

 ふたり仲良く壁に寄り掛かり、客の往来を眺めては、また次へ。
 特に意味のない時間が過ぎていく。

「こッからどうしたら良いんだ?」
「好きにしろよ!」

 魅霊の質問に対して、投げやりに言う。新聞記者の

「いやだッて俺カジノとか来たことねェしな……」
「ンなことだろうと思ったけどよ」

 クロヴィスがこめかみを押さえ、ホール内を見回す。

「イカサマやるよーなヤツってなんとなく顔で分かンだよ」
「たとえばどいつよ」
「……あー、アイツとか」

 そう言ってクロヴィスが指差すのは、ブラックジャックに興じている男だ。
 ポーカーフェイスといえば聞こえは良いが、口元は少し歪んだままきっちりと閉じており、負けてもそれが揺るがない。
 負けても取り返せるという確信があるのは、相応に強い場合か、あるいは――。

「ほらな、いま手札を入れ替えた」
「いや、わかんねェよ。せめて目の前で見られればなァ」

 しょうもないイカサマだとため息を吐くクロヴィスに対して、魅霊は首をひねっていた。

「目の前……。よし、じゃあ俺がイカサマさせる係、お前が確保する係な」

 何かを思いついたように、魅霊はその客へと近づいていく。

「じゃあってなんだ、おい!」

 後を追いかけるクロヴィスは、仕方ないと小さな体を活かしてテーブルの下に潜り込んだ。

「わぁ~♥ おにーさん強いんですねぇ! ねね、ボクにもおにーさんのカッコいいところ、見せてくれませんかぁ?」

 魅霊が客の隣に立ち、甘い声で話し始めたのは、それからすぐのことだった。
 潤んだ瞳で男の目を見て、身体は斜めに。
 ゆるく握った手は胸の前に。
 グラデーションの入った髪を揺らしながら魅霊が、男を誘う。

「あ、ああ! 見てろよ、すぐにまた勝ってやるからな!」

 美しい相手に煽てられれば、男と煙は昇らないわけにはいかない。
 男は、あっという間に乗せられて、鼻息を荒くした。

(……ちょれェ)

 ――魅霊がほくそ笑むのにも気付かずに。
 ディーラーに配られた手札を見て、すぐに伏せたままテーブルの下へ。
 予め用意してあったカードと入れ替えて、またテーブルの上へ。
 あまりの堂々としたイカサマに、クロヴィスは大きなため息が出た。

「お兄さんちょっといい?」

 そう言ってテーブルの下から出てきたクロヴィスは男の肩に乗る。
 イカサマがバレたことに気付いた男の顔が、みるみるうちに青くなっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュシカ・シュテーイン

【美人局】

ああああのぉ、こぉ、これでホントにぃ、せせ接客するんですかぁ?
ううぅ、タイツですのでぇ、脚は出てないですけれどもぉ、胸元とかぼでぃらいんだとかぁ……
ぐっぅ、ユアさんに先程迷惑かけてしまいましたしぃ……頑張りますけどもぉ……

ユアさんぅ、花雫さんぅ、私一人で行くんですかぁ!?
ううぅ、シャルさんも行ってしまわれましたしぃ、仕方ありませんぅ……

あのお客様ぁ、失礼しますぅ……
ひっぃ、すぅ、すみませんぅ!
まだ仕事にぃ、慣れていなくてぇ……

さぁ、さーびすぅ?
えぇ、えぇとぉ……それじゃあぁ……副業のぉ、魔法の石についてアピールなどぉ……(【高速詠唱】)

***

まぁ、まだアピールは終わってませんよぉ!


霄・花雫

【美人局】
耳鰭と尾鰭は残してー……尾鰭でバックライン隠れちゃうの勿体ないし、透け感期待してちょっとハイレグ際どめのやつ選ぼっかなー
脚は勿論網タイツ!バニーと言ったらコレだよねー

ユアおねぇさんの作戦に従って、シャルちゃんとリュシカおねぇさんを見守るよ

あー、リュシカおねぇさんが石トークを……あたし行って来るー
「ごめんね、おにぃさん。このヒトまだ仕事慣れしてないの、あたしにお詫びさせて?」って【誘惑、パフォーマンス、挑発】で腕を絡めて奥に案内するよー

上手く連れ込めたら【毒使い】で即効性の睡眠薬染み込ませたハンカチで口塞いで、さっさと眠らせちゃおう
一応お客さんだから手荒なコトは避けてあげなきゃねー


シャルロット・クリスティア

【美人局】

任務とは言え……こんな格好で、不躾な目線に晒されるなど……。
いや、それより渋ったのは私が悪かったですけど、なにも無理矢理ひん剥かなくても……。
(ちなみに生足)
……わかってます、ユアさんの指示通りに……リュシカさんも、お気をつけて。
……はぁ。

状況が許せば殴り返したいところですが……。
あくまで立場は向こうが上、失礼の無いように……不満を表に出さないように……。
とにかくこちらに非があるとなれば、平謝りですね。

うぅ……屈辱、です……。
救援、お早めにお願いしますよ……?

助けを得て物陰に迷惑客を連れ込んだら、【毒使い】を駆使してハンカチに染み込ませた睡眠毒で眠っててもらいましょう。


ユア・アラマート

【美人局】

耳と尻尾は自前があるんで。いや兎じゃ無いが
よし、それじゃあ作戦はこうだ

まず難癖を付けたがる客っていうのは、標的を探すのにあちこち見ている事が多い
柄悪そうで周りを睨み回して歩く客を見かけたら、シャルとリュシカでぶつかれ
ほら、あの二人組とか
お前たちは場と格好に慣れてなくておどおどしてるし、そういう人間なら付け入る隙を逃さないだろう

騒ぎが大きくなる前に私と花雫が合流するよ
リュシカは花雫に任せた
私はシャルのフォローへ
「申し訳ありません。お詫びをしたいので、此方に」と耳打ち
まあ【誘惑】は得意だしここはなんとかするさ
後は人気のない場所まで連れ込んで、シャルの用意した睡眠薬で少し眠っていてもらう





(バニー、バニーっ)

 制服として支給されたバニースーツに身を包み、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は上機嫌に鏡を見る。
 特徴的なヒレは隠さず、あえて活かす方向で。
 少し際どいレッグラインは、網タイツに包まれた脚をより長く、美しく見せる。
 魅惑の鼠径部が美しい前からみても、しっかりと引き締まったヒップラインが美しい後ろから見ても、花雫の満足いくものだった。

「ああああのぉ、こぉ、これでホントにぃ、せせ接客するんですかぁ?」

 同じくバニースーツに着替えたリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)が、ロッカーの扉に身体を半分だけ隠して尋ねる。
 普段はローブに身を包む魔女が、このようなボディライン丸出しの服装で接客するなど、考えられもしないことだ。
 大きな胸がカップから零れそうなほど自己主張する一方で、黒いタイツに包まれた長い脚は、自信なさげに膝をすり合わせていた。

「大丈夫、似合っているさ。シャルにも着せた」

 胸を張り、堂々と立つユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)が、ふふりと笑う。
 髪を編み込み、普段は長い髪で隠れた背中を大胆に出した姿は、ただでさえ蠱惑的な雰囲気をより強くしていた。
 左胸から左腕に走る魔術回路も、このときばかりはただの色っぽいタトゥーだ。

「渋ったのは私が悪かったですけど、なにも無理矢理ひん剥かなくても……」

 ユアの後ろに隠れるように、顔を赤くしたシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)が声を上げた。
 ぴったりと身体に張り付くようなラインのバニースーツは、シャルロットの華奢な身体を誤魔化さない。
 肩や腰の細さが際立つなかで、程よい肉付きの太ももが、やけに艶めかしく見えた。

「シャルちゃん、生足なの?」
「えぇ、タイツとかぁ、履かないんですかぁ?」

 花雫がふと疑問を口にすると、リュシカがそれに続く。

「こ、これは履いてない方が動きやすいからです! 網タイツじゃ引っかかるかもしれませんし!」

 シャルロットが慌てて弁明した。

「よし、それじゃあ作戦はこうだ」

 全員の準備ができていることを確認すると、三人を近くに呼び、ユアは語り始めたのだった。



「ユアさんぅ、花雫さんぅ、本当に行くんですかぁ!?」

 少し離れたところに立つユアと花雫に、不安で泣き出しそうなリュシカが問いかける。
 ちゃんと助けてあげるからと、目配せしてふたりはリュシカに前を向かせた。

「……わかってます、ユアさんの指示通りに……リュシカさんも、お気をつけて」

 隣では、自分の服装を見返したシャルロットが大きなため息を吐いてから、ホール内へと向かっていった。

(ううぅ、シャルさんも行ってしまわれましたしぃ、仕方ありませんぅ……)

 ぐるぐると回る思考を抑えられないまま、リュシカもその後に続く。
 飛び抜けて背の高いリュシカがおどおどと歩く様は、さぞ目についたのだろう。
 にやにやと笑みを浮かべた二人組の男が、シャルロットとリュシカへと近づいてきた。
 それに気付いたふたりは、顔を見合わせて頷く。
 ぎゅっと目を閉じて心の準備をすると、そのまま二人組の男とぶつかった。

「いってェなあ! おいおいバニーさんよォ、お客様にぶつかるとは、随分と舐めた仕事してンじゃねえかァ!」
「ひっぃ、すぅ、すみませんぅ!」

 男の怒鳴り声に、背の高いリュシカが萎縮する。

「あの、申し訳ありません……私たち二人とも、まだ入ったばかりで不慣れでして……」
「そんなこたァ俺たちには関係のないことだ」

 シャルロットが頭を下げると、男はさらに

(ユアおねぇさんの読み通りだねー)

 スロット台の影からふたりを見守る花雫が、ユアに目配せをする。
 ユアの作戦はこうだ。
 難癖を付けたがる客というのは、標的を探すためにあちこち見ていることが多い。
 柄悪そうで周りを睨み回して歩く客を見かけたら、シャルロットとリュシカがぶつかる。
 隙だらけのふたりが絡まれている間に、ユアと花雫が近づいて騒ぎを鎮める。
 大きな騒ぎが起きる前に、トラブルの芽をこちらから起こして速やかに潰す。
 そういう手筈だ。

(もう少し、かな)

 花雫の目配せに笑顔を返して、ユアは成り行きを見守った。

(うぅ……屈辱、です……)

 こちらに非があるとなれば、平謝りするしかない。
 ひたすらに頭を下げて、シャルロットは歯痒い思いを感じていた。
 そろそろユアと花雫が救援がくれるはずだからと、頭を下げ続ける。
 それに、わかりやすく怒鳴り散らす男はともかく、値踏みするようにふたりを見続けるもうひとりの男の存在が、とにかく不安だった。

「お嬢さん方、謝るときは誠意ってェもんが必要なんじゃないのかい? 特別なサービスとかね」

 その男が、リュシカの肩に手をかけて言う。

「さぁ、さーびすぅ?」
「そうさ、例えば裏の部屋で、秘密のサービスをさぁ」

 リュシカの正面から横に回って、そして流れるように腰に腕を回した。
 その細いウエストに添えた指は、まるで蛇が這うように撫であげる。

「ひぃ、ひゃうぅ!?」

 驚いたリュシカが、引きつったような声を上げた。

「お、お客様、それは流石に……!」
「ああ! それが良いなァ! 」

 怒鳴り散らしていた男が、シャルロットの言葉を遮って強引に肩を抱き寄せる。

(この……っ!)

 思わず握った拳が、挙がらないように抑えながら、シャルロットはリュシカの方を見た。
 知らない男に腰に手を回されているという状況に思考がオーバーフローしたリュシカは、ぐるぐると目を回すばかり。

「えぇ、えぇとぉ……それじゃあぁ……副業のぉ、魔法の石についてアピールなどぉ……」

 男たちにはわからないであろう、ルーンを刻んだ法石についての説明を始めていた。

「あー、リュシカおねぇさんが石トークを……」

 リュシカの惨状をを見ていた花雫が、額に手を当ててため息を吐く。

「そろそろ頃合いだね。花雫、リュシカは任せた。私はシャルのフォローに回る」

 ユアと花雫が、スロット台の影から出て、ふたりの元へと向かった。

「ごめんね、おにぃさん。このヒトまだ仕事慣れしてないの」

 花雫が、リュシカの腰に手を回す男の前に行き、顔の前で両手を合わせて頭を下げる。
 それから、リュシカの腰に回していた手を握るために離させて、両手で握る。

「だから、あたしにお詫びさせて?」
「ほぉー。それは殊勝な心がけだな。それじゃあたっぷりサービスしてもらおうじゃないか……」

 花雫がその腕を胸に抱くと、まんざらでもないという顔で、男は笑った。

「申し訳ありませんお客様。当店の従業員がご無礼を」

 ユアはシャルロットの肩を抱いた男へと頭を下げる。
 直ぐ側まで寄ると、男の胸に手を置き、身体を委ねるように男に支えさせる。

「お詫びをしたいので、此方に」

 濡れた唇で、ふたりだけに聞こえるように囁いた。

「おっほ、もちろん!」

 興奮した男は、すぐにユアの背中に手を回す。
 それからふたりの男は、案内されるがままに、ひと気のない通路へ。
 誰も見ていないことをシャルロットが確認してふたりに合図を送ると、ユアと花雫は睡眠薬を染み込ませたハンカチをおとこの口に当てた。

「うまく行きましたね」

 男たちが気を失うと、周囲を伺っていたシャルロットが、ふたりの元へと駆け寄った。

「あれ、リュシカおねぇさんは?」

 男を引きずって物陰に隠しながら、花雫がふと思い出したように言う。

「まだあそこ」

 ユアが指差す先では、リュシカがひとりで語り続けていた。
 リュシカがはっと気がつくと、周囲にさきほどの二人組はいない。

「まぁ、まだアピールは終わってませんよぉ!」

 どこへいったのかもわからないまま、居なくなったふたりに不満を漏らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

織部・樒
連携・アドリブOK

制服、動き難いです……

【SPD】
此処が賭場……否、カジノ、ですか
煌びやかで目がチカチカします
ですがお役目はきちんと果たさないと

幸い先程のホテルの部屋にてイカサマ看破の予行練習?も出来ましたし
会場を見回って様子を見ましょう
【動物使い】【動物と話す】にて付近の動物にもこっそり協力を願います

不正、或いは不正しかけの方をを見かけたら飲み物を勧めるなど
さりげなく声掛けしなるべく穏便にトラブルを回避するよう努めます

暴れるなど騒動になった場合は最終手段であらぬ方向から
複製を当てるなどします
(飛んできたのは飽くまで流れ茶碗の体で)





(制服、動き難いです……)

 首元の蝶ネクタイをいじりながら、織部・樒(九鼎大呂・f10234)が自身の姿を鏡で見る。
 普段は和服に身を包んだ樒にとって、洋服である燕尾服はとても不慣れなものに感じるであろう。
 ズボンひとつとっても、和服に比べればタイトなもので、膝を何度か曲げ伸ばしして、少しずつ慣れていった。

(それにして、兎ですか)

 頭に付けた耳飾りと、お尻に付けた尻尾にも手で触れてみる。
 毛は短くて、やけに軽くて、ちょっと硬い作り物。
 それがなんだかおかしくて、少しだけ口元が緩んだ。



(此処が賭場……否、カジノ、ですか)

 初めて見る洋風のそれに、樒は目を細めた。
 煌びやかな照明と、大量のメダルの鳴らす音。
 派手で、豪華で、とにかく金を連想させる作りだ。
 賭場のイメージからは、随分とかけ離れていた。

(ですがお役目はきちんと果たさないと)

 気を引き締めて、改めてホール内に目を向ける。
 さほど広いというわけでもない室内に、スロット、ポーカー、ルーレット、それにブラックジャックとバカラ。
 多種多様なゲームと、それに興じる人々の欲望が渦巻いているようで、少しだけ気分が悪かった。
 最初に目をつけたのは、動物たちだった。
 幾人かの客は、ペット連れで来ている。
 ゲーム中のマダムから猫を預かるふりをして、飼い主の監視をお願いした。
 そうやっていくらかホールを回っていると、動物たちからイカサマ客の情報が入った。

「お客様、お客様」

 あまりの大勝に、その客はすぐに見つかった。
 樒はできる限り穏便に済ませようと、静かに話しかける。

「あぁ!? なんだお前……俺がイカサマでもしてるように見えたか?」
「いえ……飲み物などいかがでしょうか」

 対して客の男は警戒しているのが、小さなことでも疑ってかかった。

「飲み物だぁ? 本当は俺が居ない間にメダルを持っていくつもりなんだろう!」

 聞く耳持たぬと言った様子の男に、樒は小さくため息を吐く。

(仕方ないですね……)

 男の後頭部に、飛んできた茶碗がぶつかる。
 ごつ、という音を立てて、茶碗は男の意識を刈り取った。

「お客様……どうやらお眠りになってしまったようですね」

 周囲の客への説明を兼ねて、あえて口にする。
 ぐったりと気絶した男を抱えて、ひと気のないところへと運んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​


 猟兵たちが従業員としてカジノに潜入して2時間ほどが過ぎたころである。
 奥にある通路の、隠し扉のように閉ざされた入り口から、ひとりの男が出てきた。
 ゴテゴテのスーツと、金髪。
 彼こそがこのカジノのオーナーだ。

「オーナー!? ちょーっとまたどこ言ってたのよ!」

 その姿を見かけたマネージャーが、オーナーに話しかける。
 しかしオーナーはまるでそれが聞こえていないかのように、フロアへと歩いて行った。
 それから、目に付いたバニースーツ姿の従業員に手招きをする。

「お前らァ、ちょっと付いて来い」

 従業員に扮する猟兵は、ついに好機がやってきたと唾を飲んだ。


 それから、連れられてきたのはカジノ地下。
 表の明るさが嘘のように暗く、静かだった。

「オーナー、ここで何をしてるんですか? 私たちは何をすれば……」

 探りを入れるためか、オーナーに声をかけてみる。

「奥の部屋に行くぞ」

 オーナーはただそれだけを繰り返した。
 やがて辿り着いたのは、20畳ほどの部屋だ。
 照明はほとんど意味をなさず、時折一瞬だけ室内を照らす。
 コンクリートの壁にはヒビが入り、所々濡れていた。

「せいぜい長持ちしろよなァ」

 オーナーがそう言うと、一度部屋の照明が完全に落ちる。
 しゅるり、しゅるりと蛇の這うような音とともに、粘着質な水音が耳を撫でる。
 次に明かりがついたとき、部屋の中は、紫色の触手で埋め尽くされていた。

「きゃあああぁぁぁっ!」

 その姿を見た従業員が悲鳴をあげる。
 同時に、入口である扉が破られた。
 部屋の外まであとをつけてきた猟兵たちが、突入してきたのだ。

「あぁ? なんだァてめェらは……邪魔しようってのかよ……」

 男の額を、青筋が走る。
 同時に、男の頭がメキりと膨らんだ。

「邪魔すんなら……ころ、ころコロ、ここころ、コローー」

 それは怒りのために浮き出た血管などではなく。
 男の頭を、身体を、内側を苗床に増えに増えた触手。

「ゴロジゥッ」

 ついには、男の頭が爆ぜて、大量の触手が溢れ出してきた。
 彼の身体の中に植えつけられていた卵が孵化したのだ。
 その瞬間、再び照明が落ちた。

「首謀者いなくなっちゃったけどどうすんの!」

 猟兵の一人が武器を構えながら叫ぶ。

「上には一般人がいるんだ! 一匹も逃すなよ!」


※マスターより
 暗闇触手バトルです。
 服装は着替えてきたという指定がなければ、3章から参加される方でもカジノの制服のまま来たように描写しますバニバニ。
クロヴィス・オリオール
引き続き魅霊と

※他の方との連携、アドリブ歓迎

うっげ気色悪…オレこーいうのあんま好きくねェんだよ、あ゛ー鳥肌立ってきたァ…

この身体で絡め取られたら呼吸もままならねェな
なるたけ触られたくもねェし…これで行くか(指を鳴らしてUC発動)
相手の動きを読む、避ける、隙をついて剣で叩き斬る
単純明解っと…ま、問題はこの数相手にどこまで通じるか、だが

お、いい反応してくれるじゃねェか
ははっ、悪ィ悪ィ
これでも奥の手なンでね

…ほぉ、さっきのカジノ然り、その気にさせンのがなかなか上手いうさぎちゃんなこって…王子様なんて柄じゃねェが、まぁ前衛は任せとけ

こんなトコで安いAVみたいになンのもごめんだしな
とっとと終わらせンぞ


未来院・魅霊
※引き続きクロヴィスと。アドリブ、絡み歓迎。

触手なンざで今更ビビりはしねェが、好きこのんであの餌食になりたくねェのも確かだわな、ッと。

おい、アンタ前衛は……と、おぉ……?
そう言う手があるンなら先に教えとけよ、ッたく。
別に。随分頼り甲斐がある背中になったモンだと思ってな。辺りが殆ど真っ暗なのが勿体ねェな。
こちとら無力なうさぎちゃんなンでね。精々守ッてくれよ、王子サマ?

ま、支援は任せろよ。
こちとら、邪神だ触手だは迷宮に籠ってた間に嫌という程「見慣れてる」ンでね。
UC発動。歌声で触手塊のコントロールを奪ッて、触手塊同士ぶつけて相殺してやるよ。

さッさと片付けて、明るい所に戻りたいモンだ。なァ、クロ?





 暗い暗い地下室に、響く粘着質な水音。
 照明の点いた瞬間に目に飛び込んでくるのは、蠢く紫色の触手。
「うっげ気色悪……オレこーいうのあんま好きくねェんだよ、あ゛ー鳥肌立ってきたァ……」

 これから剣を振るわねばならない相手を見て、クロヴィス・オリオール(GamblingRumbling・f11262)がうんざりした声を上げる。

「触手なンざで今更ビビりはしねェが、好きこのんであの餌食になりたくねェのも確かだわな、ッと」

 触手の塊の中に、内側から餌食となったオーナーの手足が見えた。
 未来院・魅霊(feature in future・f09074)は、ああなるのは想像もしたくないな、と呟く。

(この身体で絡め取られたら呼吸もままならねェな)

 人間ですら容易に四肢を絡み取る触手塊だ。
 フェアリーであるクロヴィスが捕らわれれば、呼吸すら困難であることは想像に難くない。

「なるたけ触られたくもねェし…これで行くか」

 クロヴィスが一歩前に出て、指を鳴らす。

「おい、アンタ前衛は……」

 魅霊が小さな彼を引き留めようとしたところで、クロヴィスの姿がみるみるうちに大きくなった。
 180cm強ある背丈は、自分の身に加えて、もう一つ守るには十分な大きさだ。

「と、おぉ……?」

 その様子を見ていた魅霊が、驚きの声を上げる。

「お、いい反応してくれるじゃねェか」

 クロヴィスが振り向くと、ニッと歯を見せて笑った。

「そう言う手があるンなら先に教えとけよ、ッたく」
「ははっ、悪ィ悪ィ。これでも奥の手なンでね」

 魅霊が目を閉じてため息を吐くと、悪びれた様子もなくクロヴィスが応える。

「別に。随分頼り甲斐がある背中になったモンだと思ってな。辺りが殆ど真っ暗なのが勿体ねェな」

 そう言って、改めてうっすらと見えるクロヴィスの背中へと目を向ける。
 手のひらほどしかなかった背中が、気づけば寄りかかって余りあるほど。
 なんだかおかしくて、自然と笑みがこぼれる。

「こちとら無力なうさぎちゃんなンでね。精々守ッてくれよ、王子サマ?」
「……ほぉ、さっきのカジノ然り、その気にさせンのがなかなか上手いうさぎちゃんなこって……王子様なんて柄じゃねェが、まぁ前衛は任せとけ」

 構えていた剣を軽く振って握りなおす。
 敵は多いが、やることに変わりはない。
 相手の動きを読んで、避けて、そんで叩き斬る。

「こんなトコで安いAVみたいになンのもごめんだしな」

 早速距離を詰めてきた触手に、叩きつけるように剣を振るった。
 先端を切り裂かれた触手は、呻き声を上げるかのようにのけぞり、枯れるように消滅する。

(やっぱりなァ……一匹ごとはさほど強くない)

 斬って、躱して、また斬って。
 部屋の触手が減る気配は一向にないが、斬った触手は死体も残らず消えるのは僥倖だった。
 いつもより広い視界を、そのまま維持できる。

(……やけに手応えがねェな)

 だから感じた違和感。
 常に一匹はクロヴィスの方へと向かってくるが、同時に多方向から攻めてくることはあまりない。
 まるで様子を見ているか、時間を稼いでいるかのような——。
 そう考えた途端、足元からコンクリートを砕く音が聞こえた。

「やっべ……!」

 割れたコンクリートの隙間から、溢れ出してくる触手。
 クロヴィスの細く長い脚を、触手が伝う。
 ズボンの上からでもわかる触手のぬめりが、嫌に不快だった。
 しかし触手に触れられると、身体に力が入らない。

(げっ、振りほどけねェ——!)

 すぐに剣を握る手からも力が抜けていく。

「————っ」

 そのとき後ろから聞こえてきたのは、天使の歌声。
 同時に、横から飛び出してきた触手がクロヴィスの脚に絡みついていた触手とぶつかり、消滅する。
 透き通った耳触りの良い高音が、魅霊の口から発せられていた。
 歌声によって触手塊のコントロールを奪った魅霊の支援だ。
 目が合うと、可愛らしい声とは対照的に、勇ましく口角を上げた。

 一方で、奇襲を中断された触手たちもそのままやられているばかりではない。
 優先攻撃対象をクロヴィスから魅霊へと変え、後ろへと伸びていく。

(こちとら、邪神だ触手だは迷宮に籠ってた間に嫌というほど見慣れてるンでね) 

 薄暗い部屋でぬらぬらと光る触手が迫る様子は生理的嫌悪感で怯むには十分な状況だが、魅霊は構わず歌を続ける。
 近づく触手に、別の触手をぶつけて相殺。
 近いものから、ぶつけて、ぶつけて、ぶつけて。

(多すぎンだろ!)

 歌声で操る触手にだって、限度がある。
 歌いながら毒づき、辺りを見回す。
 自らの手を振るうわけではなく、触手を操って同士討ちさせる戦法は、多方向から攻めてくる相手に有効だろう。
 逆に、触手を操る歌声がなければ、触手たちは数を活かして有利に立ち回ることができる。
 ゆえに触手は、その根源たる魅霊の小さな口と、勢いよく飛び込んできた。

「んんぐっ!?」

 最初は指ほどの太さの先端が、舌へと絡んでその歌を遮る。
 すぐに喉奥へと入り込んで、魅霊の呼吸ごと声を塞いだ。
 両手で掴んで引き抜こうとするが触手の体液で滑り、進行を止められない。
 奥へ進めば進むほど、触手は太くなっていく。

「ん、ふっ……!」

 気づけば、腕ほどの触手を口にして、魅霊は膝をついていた。
 息が苦しく、喉が痛い。
 触手を操る歌声が止んだことで、抑えられていた触手たちが一斉に魅霊へと群がり始めた。
 太ももまで晒した魅霊の白い脚に、触手が絡みついていく。
 身体のラインに沿ったバニースーツが、これほど心許ないと感じたことはなかった。

「チッ!」

 少し遅れて、戻ってきたクロヴィスが魅霊の口に入り込んだ触手へと剣を突き立てる。
 びくんと一度膨れ上がると、触手はすぐに萎れるように消滅した。

「——ケホッ、さんきゅ、王子サマ」

 解放された魅霊が何度か咳き込み、ふらりと起き上がる。

「とっとと終わらせンぞ」

 クロヴィスが再び魅霊に背を向けて剣を握る。

「さッさと片付けて、明るい所に戻りたいモンだ。なァ、クロ?」

 まだまだ戦える。
 口の端から垂れる、触手の粘液かなんだかわからないものを腕で拭いながら、魅霊はニッと笑った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霑国・永一
フローリエ(f00047)と
蛸と違って美味しくなさそうだなぁあれ
まぁいいや、生死賭けたギャンブルを始めよう

狂気の分身を発動
とりあえず適当に20体くらい出しとこう
二人くらい肉壁で傍に残して残りはダガー持って斬りかからせたり自爆させよう
減ったら随時追加

っておや、フローリエが触手のせいで人様に見せられない光景になりかけてるなぁ
これ以上の触手が来たら分身たちにフローリエの盾になって貰おう
『うおーこの触手取れねー!自爆するしかねぇ!』『やっべーこの触手のせいで力出ねぇ!自爆するしかねぇ!』『あ~たまらねぇぜ…(恍惚)。こいつぁ…自爆するしかねぇ…』

あっはっは、いやぁ大変マニアックだったねぇ、フローリエ?


フローリエ・オミネ
永一(f01542)と

気色悪さに純粋に鳥肌が立つわ
…わたくしね、勝てる勝負しかしたくないの

存在不許可を使用し、【空中戦】で戦うわ
歩行は疲れたし、こちらの方が動きやすいし

向かってくる触手に対し極限まで引き付けた上で、重さを叩きつけて動きを止めて対抗
動きが鈍くなった隙に攻撃していただくわ
この重さは罪そのもの、とくと味わうが良いわ

ほら、とどめは…自爆してくれるあの方にお願いしましょ
ところで本物の永一は何処?

…くっ、躱しきれな…や、やめて!
あっ…どこ触ってるの…!
いや、っ…永一助けて、(ぶちっ)…何してるのよ早く助けなさい!!

絡みつく触手を片っ端から押し潰すわ

…もう一生バニーなんて着ない、永一の馬鹿





 触手たちは増殖を続け、薄暗い部屋は肉で満たされた。
 生贄を得た触手たちは、さらなる生贄を求めて猟兵たちと襲い掛かる。

(気色悪さに純粋に鳥肌が立つわ)

 肌の露出の多いバニースーツのままあれと戦っては、あのいやらしく動く肉の手で直接触れられてしまうかもしれない。
 蠢く触手のおぞましさで、フローリエ・オミネ(シソウの魔女・f00047)が胸を隠すように自分の肩を抱いた。

(うねうねしてるけど……蛸と違って美味しくなさそうだなあぁあれ。まぁいいや)

 一方で、霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)はポケットに手を突っ込んだまま、触手を見やる。

「生死賭けたギャンブルを始めよう」
「……わたくしね、勝てる勝負しかしたくないの」

 楽しげな永一にそう言って、フローリエがふわりと宙に浮く。
 まるで重力を感じさせないように、空中を漂うように。

(歩くのには疲れてしまったもの……こちらの方が動きやすいわ)

 足元へと這い寄る触手を見下ろして、改めてその生理的嫌悪感に身震いする。
 触手がフローリエの身体を貫こうと突き出してくるのを躱しながら、触手たちが集まってくるのを待った。
 触手が触手に這い上がり、立体的にフローリエを捉えるようとし始めたところで、フローリエが口を開く。

「この重さは罪そのもの、とくと味わうが良いわ」

 放たれたのは、重力の楔。
 フローリエへと身体を伸ばしていた触手の、その腹が、突然床へと叩きつけられる。
 まるで数トンの重りをいきなり乗せられたかのように地に付した触手たちは、すぐに動きを止め、枯れるように消滅した。

「結構やるじゃないか」

 フローリエの戦う様子を見て、永一は感心して声を上げる。

『遊んでる場合じゃねぇぜ!』

 分身の永一が前に出て、触手に貫かれて消えた。

「悪い悪い」

 まったく悪びれた様子もなく、伸びたままの触手にダガーを突き立てて消す。
 分身を盾に、隙を作っては触手を切り裂く。
 足りなくなればまた分身を作り出して、安全に。

『もっと俺様を大切にしろクソッタレ! あっ』

 分身の永一が不満で声を荒げながらまた消滅した。

 薄暗い部屋の中、どれだけの触手が残っているのかわからない。
 確実に数は減らしているはずだが、次から次へと湧いてくる触手。
 汗のような臭いが充満して、嫌気が差す。

(個々の触手は弱いけど……)

「数がっ、多い――っ!」

 触手と触手が絡み合い、太い触手になって、再び宙に浮くフローリエへと迫る。
 それに重力塊をぶつけて押し潰すと、フローリエの肩にぽたり、ぽたりと液体が垂れてきた。

(な、何かしら……)

 身体を震わせながら頭上を見ると、天井にびっしりと生えた触手が、上からフローリエへと身体を伸ばしていた。

「あ――――」

 声を上げようとしたとき、蠢く天井がフローリエへ向けて降ってきた。
 びちびちと液体のぶつかるような音を立てて、少女の身体へと触れる。
 身体が徐々に重くなっていき、やがてフローリエは触手と共に地に落ちた。

「あっ、ど、どこ触ってるの……!」

 触手は四肢に絡まり、肌を濡らし、フローリエの身体を征服するかのように這いまわる。
 フローリエの細い脚を撫でる感触に、身体が反応して身震いした。

「いや、っ……永一助け、てっ」

 助けを求めて、永一が戦っていた方へと視線を向ける。

「ん?」

 声は、思ったより近くから聞こえた。
 数メートル向こうでは、永一の分身たちが触手に貫かれては、爆発して触手ごと消し飛んでいる。
 しかし、目の前に座り込んで、触手に嬲られるフローリエをじっくりと眺めているこの永一は……。

「……何してるのよ、早く助けなさい!」

 強い苛立ちを込めて、股の間を這う触手に重力をぶつける。
 ぶちりと押しつぶされた触手は、少しだけうねるとすぐに消えた。
 フローリエに絡む触手はまだまだ多い。

「ひっ……!?」

 今度は、肩から胸元へと這い寄る触手に悲鳴をあげる。
 今度は明確に、助けを求めて手を伸ばした。
 その手を永一が掴み、強く引く。
 持っていたダガーで触手を切り裂いてフローリエを救うと、フローリエを抱きかかえた。

「永一……!」

 フローリエが安堵の声を漏らすと、永一はその身体を触手とは反対側に放り投げる。

『じゃあ俺、自爆すっから』
「え?」

 助けてくれた保護者は、触手の中へと突っ込んでいき、自爆して触手ごと消えた。

「あれも偽物だったの……? ところで本物の永一はどこ?」
「あっはっは、いやぁ大変マニアックだったねぇ、フローリエ?」

 フローリエが辺りを見回すと、後方にいた永一が歩いてくる。
 もっと早く助けてくれれば良かったのよ、とため息を吐いた。
 触手の粘液で、フローリエの身体も、バニースーツもぐっしょりだ。

「……もう一生バニーなんて着ない、永一の馬鹿」

 バニーは関係ないと思うけどねぇ、と永一が小さくつぶやくと、助けられたことには満更でもなさそうだったフローリエが、不快そうに睨みつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロク・ザイオン

ジャック(f02381)と

隠れてて、零井戸!
(咄嗟に爪で「擁瑕」を自分に刻み、零井戸に触れさせて暗闇に匿う)

…だから、こういう服、嫌い。

(丸腰なのである。
【暗視、野生の勘】で触手の動きを捕捉
躱し、掴んで引き裂いたりするが
手数の足りない森番ちょっとピンチ)

ジャック。
…おそい。
貸して。何か…
…。
それでいい。

(銃ははじめて触るが、相棒が使う所は今まで何度も見て【学習】した)
……これはぬめぬめにされたぶん。
これはぴちぴちの服着せられたぶん。
これは零井戸にいっぱい叱られたぶん!
(八つ当たり気味に弾をばら撒き【薙ぎ払い】)


ジャガーノート・ジャック

◆ロクと

(全く、突然の戦闘とは参る。
(ロクの"擁瑕"の中で変身を完了させ、速やかに戦闘区域に再登場する。)

(――ザザッ)
遅くなった、ロク。
討伐対象を確認。
此れより戦闘行動を開始する。

(ザザッ)
絡みつく触腕か。
マナーのなってない者には退場願おう。

【Summon: Arms】.
熱戦銃を召喚。音とレーザーの残光を頼りに目標を付け正確に敵を狙い撃つ。(情報収集+視力+スナイパー)

ロク、君の武器は――ああ、武器がないのか。本機が余分に召喚した銃を貸そう。
狙いをつけ引金を引け。そうだ、筋がいい。
撃ち漏らしは本機が援護し撃ち落とす。
心配せず好きに撃ち鬱憤を晴らすといい。
(援護射撃)





「隠れてて、零井戸!」

 暗く湿った部屋で蠢く触手に囲まれて、ロク・ザイオン(明滅する・f01377)が相棒へと向けて叫ぶ。
 小さく柔らかい彼は知識面では頼りになるが、戦いの場では不利だ。
 だから、頼りになる相棒がやってくるまでの時間を作るのが、咄嗟にロクの選んだ選択。
 自らに爪で紋を刻み、彼に触れさせる。
 すると彼は影に吸い込まれるように、暗闇に消えた。

(敵は……)

 微かな明かりしかないこの部屋の中でも、暗視を持つロクであればそこは月明かりの下よりもよく見える。
 小さな光を反射してぬらぬらと光る触手の粘液が目立ち、余計に不気味に感じた。
 森の中でも、蛇やナメクジのような生き物はよく見かける。
 触手への嫌悪感は、他の者が感じるほど強くはなかった。
 ゆえに躊躇せずに武器を取ろうと、腰に手を伸ばす。
 その腰には、いつものポーチも、ポケットも、鞘も無い。
 いまのロクはバニースーツ姿。
 身体にぴったりと沿ったラインのレオタードに、網タイツ。
 それに付け耳と尻尾のみ。

「……だから、こういう服、嫌い」

 心許なさよりもイラつきで、ロクは眉間にシワを寄せた。
 ぬらりと首を起こした触手が、ロクへと向けて刺突を繰り出す。
 それを、紙一重のところで避ける。
 ロクのすぐ横を通り過ぎた触手を爪で切り裂くと、触手は枯れるように消滅した。
 続いて飛びかかる触手を、パンプスのヒールで踏みつける。

(この靴も、嫌い)

 触手はロクの足元でびくんと震えると、すぐに力尽きた。

(……弱い、が、数が多い)

 触手をたったの二本潰した程度では、部屋の中の触手は一向に減らない。
 多数を相手に先攻を取るのは、反撃を受ける危険がある。
 よってロクは、回避を優先した。
 触手の刺突を避け、爪で切り裂き、掴み、投げる。
 森の番人に、油断など無かった。
 だが、あまりに触手の数が多い。
 部屋を埋め尽くす触手が壁のようにジリジリと迫り、ロクの周囲の空間を埋めていく。
 気付けば、避けるための空間すらなくなっていた。
 にじり寄る触手を、爪で牽制する。

(避ける場所。ない……)

 ロクの周囲には、影一つ分程度の床しか見えない。
 だから上から降って来た触手を避けることができず、顔を庇うように腕を上げることしかできなかった。

「離れ、ろ!」

 ロクの全身に絡みつく、細い触手。
 よく引き締まったロクの身体を這いずり回り、露出した肌を蹂躙していく。
 どうしてこんな時に限って、こんな服装なのか。
 触手が内ももや背中を撫でるたびに、生理的嫌悪感がこみ上げてきた。
 それに加えて――。

(力が、抜ける……)

 ロクの腕が、だらりと落ちる。
 全身の虚脱感。
 膝に力が入らなくて、今にも倒れそうになった。

「ジャ、ック……」

 弱々しく、その名前を呼ぶ。
 その時だった。
 影から飛び出した熱線が、ロクに絡む触手たちを正確に貫いた。
 
「遅くなった、ロク」

 影からゆらりと起き上がる黒いフォルム。
 赤く光るアイバイザー。
 声に交じる通信ノイズ。
 ジャガーノート・ジャック(AVATAR・f02381)が、そこにいた。

「討伐対象を確認。此れより戦闘行動を開始する」
「ジャック」

 身体に付いた触手の粘液を払いながら、ロクがジャガーノートの隣に立つ。

「……おそい」

 眉間の皺はいつもより2本は多い。
 ジャガーノートが申し訳なさげに頭を下げたような気がした。
 すると、ロクの手が血で濡れていることに気付く。

(これは、素手で戦っていたのか……)

「ロク、君の武器は――」
「貸して。何か……」

 改めてジャガーノートがロクの姿を見る。
 ロクのしなやかな身体のラインをそのまま出した黒のレオタード。
 装備をつけるところなど、どこにもない。

「――ああ、武器がないのか。本機が余分に召喚した銃を貸そう」
「それでいい」

 ジャガーノートが銃の一つをロクへと放り投げると、ロクはそれを視線を向けずに片手で受け取った。
 銃ははじめて触るが、相棒が使うところは、今まで何度も見て学習してきた。
 見様見真似で、触手へと銃口を向ける。

「狙いをつけ、引き金を引け」

 ジャガーノートの言う通りにすれば、触手の身体は弾けて朽ちた。

「そうだ、筋がいい」

 ジャガーノートの言葉にロクがフンと鼻を鳴らすと、銃口を改めて触手へと向ける。

(……これはぬめぬめにされたぶん)

 ふたりへと飛びかかろうとした触手の一本へ向けて熱線を放つ。

「撃ち漏らしは本機が援護し撃ち落とす」

 同じタイミングでふたりを貫こうとしていた触手を、ジャガーノートの熱線が貫いた。 

(これはぴちぴちの服着せられたぶん)

 足元で蠢く触手へとロクが次の熱線を放つ。

「心配せず好きに撃ち鬱憤を晴らすといい」

 それを避けた触手が迫るのを、ジャガーノートが撃ち落とした。

(これは零井戸にいっぱい叱られたぶん!)

 大きな触手の塊の中央に向けて放った熱線がまるごと焼き払う。
 一番強く感情を込めたロクの射撃を見たとき、ジャガーノートは不意にどきりとした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデア・ラケル
悪魔的にキモい相手

ギリギリ近くだけは見える、あまり大きく動くと周りを巻き込む。なら動く必要はないね、アタシの身体を使って最小限の動きでスマートにやればいいんだ。

アタシはアタシの頑丈さを信じて動かない、兵士としての根気で耐える。小さい触手なんかに気を取られず、確実に本体へ響くようにデカい触手を待ってからカウンターで最重の一撃を叩き込んでやる。

大丈夫だって。耐えられるって
タコとか嫌いだけどたぶん大丈夫





「うわ悪魔的にキモいね」

 触手に埋め尽くされた部屋の中、小さな灯りに照らされて触手の粘液がぬらぬらと光る。
 バニースーツ姿のイデア・ラケル(螺旋の花・f03935)が、そこそこ高いテンションで呟いた。
 カチカチと明滅する灯りが強く点いたときだけ見える壁も、そのテンションに合わせてか、激しく動く。

(見えるのはギリギリ近くだけ)

 イデアの目に映るのは、触手ばかり。
 だが、周囲からは戦う猟兵たちの声が聞こえる。

(うーん大きく動くと周りを巻き込むなー)

 こうも暗くては、そして狭くては、破壊力の高いユーベルコードは使えない。
 少し考えるような仕草を見せて、イデアはすぐに閃いた。

「そうだ、最小限の動きでスマートにやればいいじゃん」

 目標は、一番大きそうな触手の塊。
 ここがきっと一番ダメージが通る。
 照明が触手を照らし出した時に見つけた一番大きな触手の塊へと、イデアはまっすぐに進み始めた。
 イデアへと向かう触手には目もくれず。
 足元の触手は踏みつけて。
 だが、気にしなければ触手が何もしてこないということはない。
 足元以外はほぼ無抵抗といえるイデアに、触手はぬらりぬらりと絡みついていく。

「ほんとキモいね」

 イデアの肉感的な胸に、脚に、腰に。
 絡みついた触手が、柔らかい肌に食い込む。
 肉感的なイデアの身体を、強く縛り付けた。
 それでもイデアは止まらない。
 触手に絡まれたまま、その触手を引きずってイデアはずんずんと歩く。
 拘束が無意味と悟ったのか、イデアの腕ほどもある触手が持ち上がる。
 勢いを付けるように頭を振るうと、動きの遅くなったイデアへ向けて、鋭い刺突を繰り出した。

「――ッ!」

 イデアの腹部に、鈍い衝撃。
 それから、じわりと痛みが広がっていく。
 服を伝い、脚を伝い、血が流れていく。
 腹部を貫いた触手が、そのままびちびちと動き回る。
 鋭さのない触手による刺突と、傷を抉るような動きが、イデアの脚を一時的に止めた。

(これくらいなら……)

 腹の傷に目を向けるイデア。
 確かに腹部には大きな穴が空いており、出血も大きい。
 それなりの痛みもある。
 だがイデアには、兵士としての根気と、持ち前の丈夫さがある。

「耐えられる!」

 顔を上げて、再び触手の塊へと脚を踏み出した。
 気付けば、大きな触手塊は目の前だ。
 触手塊が繰り出す刺突を、イデアはここに来て身体を捻って躱した。

「それっ」

 その代わりに、軽い掛け声と共に触手塊に蹴りを放つ。
 それほど筋力があるようには見られないイデアの、触手に絡まれた状態から繰り出された勢いもない蹴りである。
 しかしそれを受けた触手塊は、まるでトラックに轢かれたかのように吹き飛ばされた。
 進路上の触手を巻き込み、部屋の壁へとぶつかる触手塊。
 幾重にも重ねたぶち、という音が部屋の奥から聞こえた。

「痛いなーもう」

 お腹に刺さった触手を握り、強引に引き抜く。
 イデアの腹部から勢いよく血が溢れた。
 それから、身体に絡みついた触手を引き剥がす。
 胸に絡んでいた触手も、脚に絡んでいた触手も、全て引き剥がして捨てた。

「案外大丈夫だったね」

 お腹の傷は痛いけれど、耐えられないほどじゃない。
 汚れたバニースーツがもったいないなと思いながら、イデアは次の触手塊へと向かった。 

成功 🔵​🔵​🔴​

霄・花雫
【SSFM】

もー、首謀者消えるとか止めて欲しい!
とにかく此処で止めないと!カジノまで出て行っちゃったら大変なコトになっちゃう!

暗いけどリュシカおねぇさんの明かりと【野生の勘、見切り】で何とかするよ
バニーだけど、ちゃーんとレガリアスシューズは足首にあるからだいじょーぶ!
触手を蹴りつけながら大気を爆発させて、【毒使い】と合わせてダメージを与えて行くよ

うひゃっ!?わ、わ、ちょっ、脚に絡んで、やッ、気持ち悪い!変態!触んなバカぁぁあッ!!

【全力魔法】で風の姫ねぇさまの力で、自分を中心に風の刃の竜巻を起こして全部ぶった切る!千切れちゃえ!!
うぅ……ぬるぬるベタベタする……早く帰ってお風呂入りたいよぅ……


シャルロット・クリスティア
【SSFM】

着替える暇は無かったものの、ロッカーからショットガンを持ち出せたのは幸いでしたね…。
幸い、視力には自信がありますし、夜目も利きます。多少の光さえあれば視界に問題はありません。

小さい触手塊であれば、散弾でまとめて叩き落とす。
先制して多少なり数を減らしておけば、皆も戦いやすくはなる筈。
とは言え、連射はあまり利きませんし、前衛の突入後は散弾では危険、
単発のスラグ弾に切り替えない、と…ッ!?

やっ…!?ぬめぬめが、脚に…っ!?
ま、待って!待ってくださいってば私なんか別に美味しくないですってば!?
あぁっ銃が落ちて……!?

(結局【咄嗟】の【早業】の【怪力】で千切る)


リュシカ・シュテーイン
【SSFM】

いえぇ、私は何も見えませんよぉ目隠しリュシカですよぉ
……ううぅ、こういう時にぃ、目が良い事を後悔するだなんてぇ……

私にはぁ、ある程度的の位置は【視力】で暗い所でもわかりますのでぇ、皆さまの攻撃が通りそうな箇所に向けてぇ、発火性を向上させた爆破の法石を射出しますぅ
ああぁ、来ないでぇ!(錯乱しながらも狙いは正確に)

ひぅうぃぃ!いまぁ、脚ぃ、太腿ぉ、胸元にもぉ、ぬるりとぉ、ぬるりとしたものがぁ!

ううぅ、最年長の私がぁ……なんとかぁ……!
花雫さんの斬撃と一緒にぃ、皆さんの足元に向けてぇ、触手のみを吹き飛ばせるようぅ、爆破しますぅ!
ひぃううぅ!!全て総て須らくぅ!!燃え尽きてくださいいぃ!!


ユア・アラマート
【SSFM】

暗闇での視界の悪さは、リュシカの攻撃が着弾した際の明かりと【第六感】でカバー
所持しているダガーで触手を斬りつける
敵の攻撃はUCを封じられない様に最低限は【見切り】で回避していきたいが、食らうこと自体は覚悟しておく
ある程度敵を集めた所で、【全力魔法】のUCを発動

ふうん、テクのなさは数でカバーするつもりか。借りた衣装がドロドロだ
でも、だめだな
分かるだろう?この体は極上なんだ。お前達よりイイ事をたくさん知ってるんだよ
こんな力任せで感じられるか、下衆が

――透過驟閃、斬撃廻廊…!

足掻け、堕ちろ!お前達に相応しいのは死に至る刹那の悦びだけだ

…よし、こっちは片付いた
皆もだい…大丈夫だな、ざっくり





「もー、首謀者消えるとか止めて欲しい!」

 無責任にも、自らが匿っていた触手に贄として身体の中から喰われてしまったカジノのオーナー。
 霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)が混乱極まる自体に悲鳴のような文句を吐いた。

(おまけに暗いし……)

 自然光が届かず、か弱い照明に照らされるだけの地下室は、かなり暗い。
 猟兵たちの戦いの光や、時折強く光る照明でストロボスコープで撮影した映像のように断片的に触手に覆われた壁が見えるのみ。

「リュシカさん、見えますか?」

 目に力を入れてみたシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)が、隣の背の高いエルフの女に尋ねる。

「いえぇ、私は何も見えませんよぉ目隠しリュシカですよぉ」

 聞かれたリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)は、両手で目を覆って応えた。

「リューシーカー?」

 ユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)が少しきつく、もう一度リュシカに呼びかける。
 リュシカは慌てて、見えますぅ、見えてますぅと答えた。
 リュシカは特に視力の強いエルフだ。
 暗視能力とまではいかないが、小さな光を捉えて敵の位置を知るなど、造作もないことだ。

「……ううぅ、こういう時にぃ、目が良い事を後悔するだなんてぇ……」

 見たくないものまで見えてしまう、自身の良すぎる目を呪いながら、リュシカはスリングを構えた。
 リュシカの視線の先には、少し大きな触手塊。
 細々と攻撃していては、どれだけ時間がかかるかわからない。
 それに、リュシカの得意とする爆破のルーンを刻んだ法石は、小さな敵を攻撃するよりも、塊へ打ち込んだ方が効率がいいだろう。
 ――もっとも、効率よくダメージを与えることのできる場所へ正確に打ち込むことができるのは、リュシカの視力と技量があってこそなのだが――。
 放たれた法石が、触手塊の中心で爆発する。
 強い光で映し出されたのは、触手塊が消えていくところだった。
 それから、触手塊の残骸を燃やすかのように辺へ炎が散らばった。
 湿気った地下室ではあったが、ルーンによって強化された炎はそう易々とは消えない。

「よし、チャンスですねっ!」

 リュシカの爆炎によって地下室が照らされ、触手たちの位置が露わになった。
 そこへ、シャルロットが散弾を叩き込む。

(着替える暇は無かったものの、ロッカーからショットガンを持ち出せたのは幸いでしたね……)

 流石にこの触手たちを相手に素手で戦うのは気が引ける。
 その代わりに、鉛玉をたらふくごちそうするつもりでトリガーを引いた。
 放たれた弾丸は、触手の密集地帯へと吸い込まれるように突き進む。
 弾丸に当たった触手は、まるで粉々に弾け飛んで消えてしまった。

「リュシカおねぇさん、シャルちゃん、ナーイス!」

 ふたりの作った穴へと、花雫が飛び込んだ。
 服装はバニースーツのまま、手にも何も持っていない。
 丸腰かと思われた花雫だが、触手に向けて蹴りを放つと、大気が弾け飛んで触手を散らす。
 その足首には、ヒレのような薄翅が浮かんでいた。

(バニーでもだいじょーぶだもんね!)

 蹴られた触手たちは徐々に力を失い、やがて変色して倒れた。
 蹴りに仕込んでおいた毒だ。

「やるじゃないか、花雫」

 身軽に触手の間を跳び回る花雫と入れ替わりで触手へと飛び込んだユアも、関心の声をかける。

(私も負けてられないな)

 ダガーを手に、触手へと斬りつけた。
 斬撃を受けて、触手は少し震えてから絶命し、消滅する。
 リュシカとシャルロットの攻撃によってできた穴に、花雫とユアの突撃。
 猟兵たちの連携により、戦闘は優位に終わる――かに思えた。
 最初に気付いたのは、前衛で戦っているユア。
 頭上にかかる影がやけに大きくて、顔を上げる。
 壁までびっしりと覆っていた触手たち。
 だがそれが、今や天井にまで蔓延っている。

(嫌な予感が……)

 そう考えたときには、遅かった。
 足元に肉のようなものが落ちる、ぼとり、ぼとりという生々しい音。
 それは少しずつ、雨のように増えて行き――。

「花雫、下がれ!」

 ユアの声と同時だった。
 ――ユアと花雫の上に、大量の触手が降ってきたのは。

「うそぉ!?」

 ユアの声で慌てて飛び退いた花雫。
 その視線の先では、ユアが大量の触手に呑まれていた。

(ユアおねぇさんを助けないと……!)

 花雫が慌てて触手へと蹴りを放つ。
 だが、比較的軽い触手の1本や2本ならともかく、柔らかくクッション性を持つ触手の塊に対して、蹴りは大した効果を及ぼさなかった。
 それどころか、触手の塊に足首まですっぽりと埋もれてしまう。

「うひゃっ!? わ、わ、ちょっ、脚に絡んで、やッ!」

 動けなくなった花雫の脚を、触手が這い回る。
 足首から、ふくらはぎ、膝、そして太ももへ。
 網タイツに包まれた脚が、触手の粘液で包まれていく。

「気持ち悪い! 変態! 触んなバカぁぁあッ!!」

 錯乱した花雫が脚を引き抜こうとすると、埋まったままの脚が一気に高く持ち上げられる。
 軸足はついたままだが、反対の脚が持ち上げられることで花雫は大きく股を開くことになり――。

「わぁぁああッ!? 待って、このポーズはダメッ! ダメだからぁ!」

 誰に見られているわけでもないが、慌てて両手で股を隠した。

「シャルちゃん、リュシカおねぇさん!」

 助けを求めて、少し離れていたふたりへと視線を向ける。
 だが、そちらはそちらで、足元までびっしりと触手で埋まっていた。

「ひぅうぃぃ!」

 タイツの上から触手が絡み、ねっとりとした触手の粘液が染み込んでくる。
 こそばゆく、どこかひんやりとした感触にリュシカは悲鳴をあげた。
 触手は我が物顔でするするとリュシカの脚を登ってくる。

「ぬるりとぉ、ぬるりとしたものがぁ!」

 柔らかなその脚を蹂躙される感覚に顔を赤らめていった。
 触手はそれだけに留まらず、尻へ、腰へ、腹へと登る。

「ひゃあぁ、あぁ……っ! だぁ、だめですぅ!」

 そのたびに、リュシカは身悶えして声を上げた。

「リュシカさん!」

 リュシカを助けようと、シャルロットがショットガンをリュシカに絡む触手に向ける。
 しかし、散弾では仲間を傷付けてしまう可能性がある。
 単発のスラグ弾に切り替えようと、急いで排弾した。
 改めてスラグ弾を装填しようと取り出したところである。

「やっ……!? ぬめぬめが、脚に……っ!?」

 ぺとり、と粘液に塗れた触手がシャルロットの脚に張り付いた。
 触手はまるで舐めるかのように、シャルロットの脚を這う。

「ま、待って! 待ってくださいってば! 私なんて別に美味しくないですってば!?」

 触手に人語が理解できるだろうか。
 錯乱した頭ではその判断すらできない。
 それに加えて――。

「ひゃんっ! あぁっ……!?」

 触手が白い太ももまで這い上がると、反射で跳ねるように身体を反らしてしまったせいで、シャルロットの手からショットガンが離れてしまった。
 足元を蠢く触手の海にショットガンが呑まれていく。

(う、うそぉぉぉっ!?)

 唯一持ってきていた武器を失い、シャルロットにさらなる焦りが産まれた。
 生足で来たことを心底後悔しながら、脳がフル回転していく。

(う、うぅー……こうなったら)

 咄嗟の判断で行ったのは、素手での戦闘だった。
 脚に張り付いた触手を、見た目にそぐわぬ怪力で剥がす。
 強引に引き千切り、投げて、次の一匹へ。

「リュシカさん! 大丈夫ですか!」

 次に、リュシカの身体に絡みついた触手を掴み、握りつぶした。
 触手はすぐに息絶えて、消滅した。

「んやぁっ! ありがとうございますぅぅ!」

 解放されたリュシカが、涙目で法石を取り出す。
 その涙は、触手に肌を蹂躙された恐怖でか、それともこれから使う法石の価格を思い出してか。

「花雫さんぅ!」
「分かってる!」

 リュシカが精一杯の声で呼ぶと花雫の脚が風を纏う。
 全力で魔力を込めた花雫の脚には、風の姫の力が宿っていた。
 花雫を中心に風の刃が巻き起こり、その脚を開くように捕らえていた触手がバラバラに刻まれた。
 同時に、リュシカが法石を足元へと叩きつける。
 爆破のルーンが刻まれたそれは、花雫の起こした風に巻かれて、周囲の触手たちへと爆風を広げていく。

「ひぃううぅ!! 全て総て須らくぅ!! 燃え尽きてくださいいぃ!!」

 あわせ技によって生じた破壊力は、周囲の触手たちを根こそぎ焼き尽くした。
 三人の足元に居た触手は綺麗に消し飛び、やっと安心したように息を吐いた。

 一方その頃ユアは、無数の触手に包まれていた。
 折角借りたバニースーツも、触手の粘液塗れになってしまった。
 上から降ってきた触手に流されてしまったのだろうか、三人の声が少し遠い。

(……力が、抜ける)

 脚を、腹を、胸を、乱暴に撫でる触手が、ユアに脱力をもたらす。
 それが触手の持つ力であることは明白だった。
 しかし、その力を除いた触手の動きは、単調で、力任せだ。

(――ダメだな)

 テクニックもなければ、愛もない。
 数で強引に達しさせようとする触手の動きには、なんの魅力も感じなかった。

「触れたら分かるだろう? この身体は極上なんだ。お前達の愛撫より、もっとイイコトを知ってるんだよ」

 独りよがりの触手たちに、却って苛立ちを募らせる。

「こんな力任せで感じられるか、下衆が」

 だから低く呟いて、魔術回路に魔力を通した。
 ユアの周囲の触手が、次々に"斬撃"により切断されていく。
 斬って、斬って、斬って。

「――透過驟閃、斬撃廻廊……!」

 顕現したのは、斬撃という概念そのもの。
 ユアの周囲にいた触手たちへ向けて放たれた斬撃は塊一つを消し飛ばすには十分過ぎるものであり――。

「……よし、こっちは片付いた」

 ユアの身体にまとわりついていた触手たちは、細切れに散って消えた。

「皆もだい……」

 急いで仲間の状況を確認するユア。

「大丈夫だな、ざっくり」

 全身が触手の粘液塗れで、大変いかがわしい事になっていることを除けば、特に問題はなさそうだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

沙羅音・姫陽
エリシャ(f02565)と参加
やれやれ、行き着いた先が暗闇で触手と戦うとはね

エリシャは気を付けなよ、バニー服の間から触手に侵入されないように
まあ、流石に戦闘の時までお色気したりしないと思うけど

僕は直接戦闘が苦手でね、そこら辺は全部エリシャに任せるよ
だから、僕は僕が出来ることでエリシャを支える

使用するユーベルコードは「天雷狐刃」

刀に宿した白き雷は稲光となって辺りを照らすことだろう
あっ、やっぱエリシャ、触手に絡まれてる……
ほんの少し照らす光があれば君は大丈夫だろう、エリシャ?
この刃で触手を斬れば触手同士は皆感電して麻痺するはずだ
僕の【マヒ攻撃】もあってね

動けない相手を存分に刻みたまえ、エリシャ


千桜・エリシャ
◎姫陽さん(f08063)と

服の間に触手が…?想像したら鳥肌が
それに私が今までお色気してきたみたいな言い方は何かしら?
この程度の触手に遅れを取る私ではありませんわ!

…うっ…でも…
こいつらを私の刀で斬るのは
なんて逡巡してたら、しゅるりと触手が
きゃぁ!い、いやっ!離して!
姫陽さんに斬ってもらって脱出
べ、別に私一人でも大丈夫でしたけれども
まあ、お礼は言っておきますわ

明るくなって視認しやすくなりましたが
やはりこんな悍ましいものを斬るのは嫌ですわ!
枯れ木に花を咲かせましょう
全て溶かして美しい桜に変えてあげますわ
あなた達の姿は見飽きましたもの
私に恥辱を与えた恨みも全部呪詛に乗せて
苦しみ抜いてお逝きなさい





(やれやれ、行き着く先は暗闇で触手ね)

 目の前で蠢くは、肉塊から溢れ出た触手。
 ここまでやってきて、やっと現れた怪異に、沙羅音・姫陽(姫陽剣・f08063)小さくため息を漏らした。

「エリシャ、気をつけてね」

 背後に立つ、千桜・エリシャ(春宵・f02565)に声をかける。

「見くびらないでいただけるかしら? この程度の触手に遅れを取る私ではありませんわ!」

 ゆさっという音で、姫陽の後ろで胸を張っているのが暗闇の中でもよく分かった。
 エリシャは刀を構えると、うっすらと粘液の光る触手を見る。

(……うっ……でも……)

 暗い室内でも分かる。
 ぬらぬらとてかる紫色の肉塊は、あまりにおぞましく、生理的に受け付けない造形をしていた。

(こいつらを私の刀で斬るのは……)

 そんなことを考えていたときである。
 湿っていて、生暖かいなにかが、エリシャの脚に触れた。
 なに、と思ったその瞬間に、それはすぐにエリシャの脚を這い上がる。

「きゃぁ! い、いやっ! 離して!」

 暗闇の中、足元を張って来た触手だ。
 バニースーツで大きく露出したエリシャの脚に、我が物顔で巻き付き、内ももを撫であげる。
 撫でられたところから、背中を通って後頭部まで、一気に電流が走った。

「んあぁっ!?」

 まるでバケツでペンキをかけるかのように、無理矢理叩き込まれた感覚に、声が漏れた。
 思いもしなかった自分の声に、エリシャが我に返る。

(なんですの、今のは!)

 呼吸は荒くなり、息が湿り気を強めていくのが分かった。

「エリシャ!?」

 エリシャの熱っぽい悲鳴を聞いた姫陽が、暗闇の中でエリシャを呼ぶ。
 とにかく、明かりを。
 姫陽は練り上げた妖力を刀へと纏わせて、白雷へと変える。
 ばちばちと音を立てる稲妻が、小さな灯りとなって辺を照らした。
 姫陽の目に写ったのは、触手が脚に絡まり、刀を杖のように着いて立つエリシャ。
 内股に少し曲がった脚は力が入らないといった様子で震え、立っているのがやっとだというのが、見てわかった。

「――――ッ!?」

 バニースーツで前屈みになったエリシャの、白い胸元が視界に入り、姫陽は一瞬動きを止めた。
 火照った肌と、のぼせたような顔。
 戦いの最中だというのに、それがやけに扇情的で――。

(早く助けないと……!)

 素早く刀を振って、エリシャの脚から、胸元まで這い上がった触手を切り裂く。
 腹から胸の間へと滑り込んでいた触手は、ぶるりと身体を震わせたあと、枯れるように消滅した。

「大丈夫かい、エリシャ」

 触手から解放されると、エリシャはすぐに呼吸を整えて、改めて刀を構えた。

「べ、別に私一人でも大丈夫でしたけれども」

 強がってはみたものの、触手に触れられた感覚がまだ残っている。
 甘くて気持ち悪い、強制的な恍惚。
 もしあの感覚が続いたら――。

「まあ、お礼は言っておきますわ」

 視線を向けずにそう言うエリシャの顔は赤い。

「もっと素直に言えないのかい?」

 僕も一瞬止まってしまったけど……という言葉は飲み込み、姫陽はエリシャのカバーをするように立った。
 姫陽の刀の放つ稲光によって、触手たちは白く照らし出されている。
 エリシャにも触手の姿ははっきりと見えていた。
 これなら、先程のように不覚を取ることはない。

(けれど……)

 改めて触手たちを見る。
 てらてらと光る粘液は触手たちの間で細く糸を引き、粘着質な水音を立てる。
 醜い紫色の肉でありながら、まるで恋人を撫でるかのように動くその姿。

「やはりこんなおぞましいものを斬るのは嫌ですわ!」
「そうは言っても……」

 声を上げるエリシャを宥めながら、姫陽は寄ってきた触手に斬撃を放つ。
 刀を通して稲妻を流し込まれた痙攣して、動きを止めた。
 姫陽が敵の動きを止めている間に、エリシャは刀を納める。

「枯れ木に花を咲かせましょう。全て溶かして美しい桜に変えてあげますわ」

 エリシャの桜色の瞳が、暗闇の中で妖しく光る。
 周囲が薄暗いがゆえに、その瞳は殊更美しく見えただろう。
 触手たちが、エリシャへと頭を向けた。

「苦しみ抜いてお逝きなさい」

 エリシャの瞳に魅入られた触手たちは、まるで力が抜けたかのように床へと横たわる。
 それから、その身体が解れるように桜の花弁へと変わっていく。
 エリシャが目を閉じると、薄暗い地下室に夜桜が舞った。

「私にあんなことをした報いですわ」

 全ての呪詛を籠めた妖術で、触手たちが次々に桜の花弁となって朽ちていく。

「あんなことねぇ……」

 触手に絡まれたエリシャの姿を思い出した姫陽が、口元に手を当ててくっくと小さく笑う。

「早くお忘れになってくださいまし!」

 耳まで赤く染めた桜の羅刹は、可愛らしく頬を膨らませた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラニィ・ユン


舞夜(f16466)と一緒に

いやぁ……、流石の私もちょっとアレの相手は嫌だな
うねうねして気持ち悪いし……
一般人もいるし逃げるつもりは無いけどさぁ

って言っても、こんだけ暗いとどうしたものかなぁ
ひとまず様子見かな
とか言ってたら、先に触手が攻撃してきてちょっとヤバイかも?

ちょっ、タンマ! それは不味いって!!
ぎゃー!!ぬるぬるするぅー!!
舞夜ー! 助けて、舞夜ー!!!


助けてもらったら反撃開始
あったまに来た……!!
腕をちょっと切ってブレイズフレイム
こんだけ炎が燃えてたら、十分見えるでしょ
丸焼きにしてやるから……っ!!


望月・舞夜


ラニィ姉(f19063)と!

うっわ、気持ち悪……近づきたくなーい!
こーゆー時はこれ、銃形態のソウルシューター!
さぁ行くよ、「魔導英雄ソウルウィッチ・バニー! ここに参上っ!」

追尾性能のある光弾で攻撃するよ!
ふふん、このくらいの闇、照らし出してあげる!
さーって、ラニィ姉は……(振り向く)(二度見)
な、なんか、すっごいことに……ごくっ……じゃなくて!

こーらっ、ラニィ姉を離せ―!(BANG BANG)

な、なんかすっごい勢い……うん……ラニィ姉がもっかい危険なことになっちゃわないよう、しっかり援護射撃、しよっと……!
絡まれた時はー……すっごい鳥肌立たせて、銃を剣に変えてぶったぎる!
さーわーるーなー!





「うっわ、気持ち悪……近づきたくなーい!」

 触手たちが蠢く地下室で、望月・舞夜(魔導英雄ソウルウィッチ・f16466)は悲鳴をあげた。
 部屋は暗く、どれほどの触手がいるのかはわからない。
 それがまた、触手の気色悪さに拍車をかけていた。

「いやぁ……、流石の私もちょっとアレの相手は嫌だな。うねうねして気持ち悪いし……」

 触手を見て、ラニィ・ユン(ゴッドフェニックス・f19063)も頬を掻いた。
 とは言うものの、上の階には一般人もいる。
 猟兵である彼女たちが逃げるわけにはいかないのだ。

(普通の相手ならいいの……!? ホテルから気になってたんだけど、どうなのラニィ姉ー!?)

 年上の幼馴染の言葉を耳聡く聞き、舞夜の思考には雑念が入りまくっていた。
 だが今は戦いの最中だ。
 そんなことを聞くわけにも行かず、舞夜は武器を取り出した。
 今日はバニースーツだから――。

「魔導英雄ソウルウィッチ・バニー! ここに参上っ!」

 少し付け足した口上を述べて、ヒーローは戦いを始めた。
 一方で、ラニィは短い眉を少し寄せて、暗闇に視線を向けていた。

(こんだけ暗いとどうしたものかなぁ)

 猟兵たちがいる場所は、戦いの音と光でわかるかもしれない。
 同士討ちになることはあまりないだろうが、触手の正確な位置もわからない。
 様子を見て、灯りが点いたときに場所を確認して、それから一匹ずつ倒していけばいいだろか。
 そんなことを考えていたときだった。
 ラニィの腕が、ぐっと後ろに引かれる。

(舞夜?)

 幼馴染が暗闇で心細いのだろうかと振り向くが、そこには誰もいない。
 なら、この腕を引いているのは――。
 そう考えた瞬間、一気に強く、床へと引き倒された。
 倒れていく最中に目に入ったのは、紫色の触手塊。

「ぶふっ――――!?」

 そこに、思いっきり頭から突っ込んだ。
 獲物が来た、我先にと、触手がラニィの四肢に絡んでいく。
 強くぬめる触手はラニィの褐色の肌をするすると這い回り、その粘液を肌に塗りたくった。

(ぎゃー!! ぬるぬるするぅー!!)

 声をあげようにも、口の中へと入ろうとする触手がいて、口を開くことができない。
 がむしゃらに手足を動かして逃れようとするが、その手足にも触手が次々に絡みついて、次第に動けなくなっていく。
 片足を頭の方へ持ち上げられて、バニースーツの股部分を強調するような姿勢になってしまい、どんどんと恥ずかしさが募る。
 さらに、触手に触れらてた部分が次第に熱くなっていく。
 鼓動が早くなり、息が荒くなる。
 力は入らないのに、触れられた場所から染み出してくる甘い恍惚に、ラニィは危機感を覚える。

(舞夜ー! 助けて、舞夜ー!!)

 近くにいるであろう幼馴染に、心の中で助けを求めた。

(なんか今、助けを求められた気がする!) 

 幼馴染としての絆か、ヒーローとしての直感か、舞夜は近くの敵を銃形態のソウルシューターで撃ち抜きながら、ラニィの声を感じていた。
 近くの触手を撃ち、光弾によって照らし出された別の触手へまた光弾を放つ。
 その繰り返しで触手と戦う舞夜は、小さな月のように暗闇を照らしていく。
 その月に影が差し込んだのは、上から触手が降ってきたときだった。

「んひゃあっ! なになに!?」

 バニースーツで晒した舞夜の白い肩に、背中に、紫色の触手が這う。
 触手の濡れた触感も気色の悪いものであったが、それ以上に無理矢理塗りたくられた心地良さがたまらなく嫌で、全身の鳥肌が一気に立った。
 触手はその身体を絡め取ろうとしてか、舞夜の背中から胸元へと進む。
 意識が肌の敏感なところへと向いて、舞夜は反射的に身体を反らした。

「さ、さーわーるーなー!」

 ソウルシューターを剣に切り替え、胸元の触手を切り裂く。
 一匹一匹は弱い触手は、少し震えて消滅した。

(ラニィ姉は……)

 ふと、近くにいるであろう幼馴染を探して辺を見回す。
 近くに立っている人はいないが、少し後ろで触手が蠢いていた。
 触手から伸びる褐色の脚が、時折びくんと震える。

(なんだ触手か……)

 近くにはいないのだろうかと、少し遠くを見るように視線をあげる。
 それからすぐ、褐色の脚が誰のものであるか、思い至った。

「ラ、ラニィ姉ーっ!?」

 ほとんど全身を触手に絡まれ、抵抗する力もなく、声をあげることもできずに触手に絡まれたラニィを見て、舞夜が口を強く結んで唾を飲んだ。

(……じゃなくて!)

 それから、すぐにハッとしてラニィを拘束する触手へとソウルシューターを向けた。
 光弾で触手を貫くと、ラニィがすぐに身体を起こす。

「あったま来た……!!」

 歯を食いしばって力を入れて、ラニィは自らの腕を切りつけた。
 傷口から吹き出したのは、地獄の炎。
 暗い地下室を、炎が紅く照らしていく。
 舞夜が月なら、ラニィは太陽のようだった。

「丸焼きにしてやるから……っ!!」

 触手が見えれば、手当り次第に炎を投げ込む。
 ラニィの逆鱗に触れた紫色の触手塊は、のたうち回って焼け死んだ。
 いつもはもっと余裕のある姿を見せていたラニィが、肩を震わせて怒っている。
 その様子に、舞夜は一歩引いて援護射撃をした。

(な、なんかすっごい勢い……)

 頭に血が上ったラニィが再びあのようなことにならないように。
 幼馴染がとんでもないことになっていた様子を思い出して、その背中をしっかりと守ることを心に誓った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

織部・樒

連携もOK

う……ああいう生々しいのは苦手です
照明が落ちて良かったのか悪かったのか

暗くてよく見えませんので主に聴覚・触覚に頼ることになりそうです
この場にネズミなどの小動物がいれば【動物と話す】で
場所の特定など助力を願うところですが

視認出来ていた時に見た様子から音・空気の流れを頼りに
大まかでも敵の位置を判断し、七星七縛符を使用
然程強くはなくても視覚に頼れない以上数が増えては面倒です
敵からの攻撃は錫杖による【武器受け】、受けきれない場合は
【オーラ防御】にてダメージ軽減を狙います

出来れば最悪でも敵が上の階に向かわないよう
出入口辺りの前に陣取っておきたいものです





 薄暗い部屋の中、猟兵と触手の戦う音と、粘着質な水音が辺りを包む。
 粘液を纏って蠢く肉がそこにあることを、否が応でも感じてしまう。

(照明が落ちて良かったのか悪かったのか……)

 気色の悪い触手の姿が見えないことは良いが、こうも敵が見えなくては戦うにも支障が出る。
 織部・樒(九鼎大呂・f10234)の頭の中でぐるぐると回る安心と不安をかみころして、考えを巡らせる。

(まずは敵の正確な位置の把握……をする手段の確保ですね)

 方針を立てると、樒は目を閉じて耳をすませる。
 辺りから聞こえるのは、相変わらず戦いと触手の蠢く音。
 ねずみの一匹でもいれば、話しかけて敵の位置を聞くことができるが――。

(だめ、ですか……)

 辺りから、動物の声はしない。
 明かりのついた一瞬に見えた触手は、部屋壁のまで殆どを覆っていた。
 。
 触手の見える範囲には、おそらく虫一匹もいないだろう。

「仕方ありませんね」

 最初に灯りが点いた一瞬で、おおよその位置は目に焼き付いている。

(ひときわ大きな触手塊がいたのはあの辺り……)

 護符を取り出し、記憶にある触手塊へと向けて放った。
 樒の護符は投げた通りにまっすぐ進み、なにかにぶつかると、ばちりと稲妻が走ったかのように光る。
 触手の――口はないが――小さな悲鳴が聞こえたような気がした。
 これであの大きな触手塊はまとめて、ユーベルコードの力を発揮することはできないだろう。
 同時に、樒の鼓動が早くなり、胸が苦しくなる。
 服の上から、心臓を抑えるかのように胸を掴み、息を整える。

(あまり長く続けていたくはないのですが……)

 暗闇の中で、せめてある程度でも方向が分かれば手早く済ませるものを……。
 そんなことを考えていたとき、右頬に暖かい空気が触れた。
 その方向へ素早く錫杖を振り上げると、柔らかいものを弾いた手応え。
 近くまで迫っていた触手の動きを、肌で感じ取ったのだ。
 さらに正面から樒を貫かんと迫る触手に、錫杖を振り下ろす。
 鈍い音を立てて、触手は地面へと叩きつけられた。

「この調子なら、防戦はできそうですね」

 攻め手に欠けるのはどうしようかと思考を巡らせていると、いくつかの方向で再び空気の動きを感じた。
 それは同じ方向へと集まっていき、次第に一つへ。
 動きの波が、空気を伝わって樒の肌へと、その輪郭を感じさせる。

(大きい……というか、太い――ッ!?)

 先ほどと同じように錫杖で弾こうと、振り上げたところで気付く。
 触手同士が絡み合って、太く重たくなっているのだ。
 振り上げていた錫杖を身体の前へ、盾にするように構える。
 手に、重い衝撃。
 それは一瞬では終わらず、樒の手首に継続的に力をかける。

「止まってない――――ッ!」

 その触手の束は錫杖で弾くには重く、樒の身体自体へと力を伝えた。
 触手が錫杖ごと樒の胸へとぶつかったかと思えば、ふわりと浮く足。
 そのまま触手に弾き飛ばされ、樒の身体は壁へとぶつかった。
 コンクリートへの衝突で大きな音が部屋を駆ける。
 ぱらぱらと砕けた破片が落ちるのを感じながら、樒は自分の負傷を確認する。

(本体なら割れていましたね……)

 胸と背中は痛むが、大した怪我はない。
 樒の身体を覆っていたオーラが、衝突のダメージを殺したのだ。
 それが済むと、すぐに触手と壁の間から這い出る。

「お返しですよ……!」

 絡まりあって解けない触手へ向けて、錫杖を思い切り叩きつける。
 頭を弾くのとはわけが違い、触手の脇へと食い込んだ錫杖は触手にしっかりとダメージを与えた。
 固まっていた触手たちが、まとめて消える。

(あれ以上増えないなら、これを続ければ……)

 命のろうそくが激しく燃えるのを感じながら、樒は再び錫杖を構えた。



 それから少しして、戦闘の音が徐々に小さくなっていく。
 部屋の中にいた猟兵たちも、気付けばほとんどが足を止めていた。
 猟兵の誰かが、部屋に明かりを灯す。
 触手の粘液や体液こそ壁や床に残っているものの、気色の悪い肉腕はもういない。

「どうやら、私たちの勝利のようですね」

 錫杖を置いた樒がそう宣言すると、うさぎの装いのまま戦っていた猟兵たちは、ぴょんと飛び上がって勝利を喜んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月04日


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#UDCアース
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#呪詛型UDC
#アミューズメントホテル


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト