生み出すことを許さないというならば
●冷夏
――自然の驚異というものに、人は決して完全に抗うことは敵わない。
だからこそ人はそれを敬い畏れる。
災いとして牙を剥こうと、それに耐え生きていかなければならない。例え夜と闇の、絶望しかない痩せた地に在ろうとも。
ある時、村をその自然を司る“神”が襲った。
数多の蝗の群れに作物も、人自身も多く喰らわれ、神の放つ吹雪に地を覆われて。
神が去り、唯一生き残った男は命辛々に隣の村まで逃げ延びる――その村の日々が遺した村の民からの怨嗟の声に脳を侵されようと。
だが神とその御使いは逃げ延びた先の村をも襲い、今度こそ全てを滅ぼし村の全てを氷雪で覆う。
「こんなのって」
白に覆われていく村の中で、最後の生き残りが零す涙も凍てつき。
己が領域を広げる喜びに、白銀に輝く竜の姿をした神は濁った空に向けて歓喜の嗤いを響かせた。
●冷たい怒り
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、集まってきた猟兵達にグリモアを輝かせて予知の光景を場に映し出していた。
竜の嗤う声が残響として消えていくと、彼女は震えを押し殺しながら語り出した。
「御覧の通り、ダークセイヴァーに赴き、異端の神を討伐して貰いたい」
とあるダークセイヴァーの村は、氷雪を司る異端の神の襲来で滅びたのだという。
その生き残りは命辛々に隣の村まで逃げ延びたが、力を蓄えた神が逃げ延びた先の村に襲来し同様に滅ぼすのだという。
現在は滅ぼされた村を見下ろす丘で眠り、死者の怨霊の声を子守唄に力を蓄えているそうだ――その蓄えた結果が、予知の光景になるのだとも。
「まずはその滅ぼされた村に赴き、その怨嗟の声を静めて貰いたい」
そう言ってスフィーエはグリモアを輝かせ、氷雪に覆われた村を映し出す。
怨霊達は村に元々ある墓所に集い、日々理不尽な自然の暴威に命を奪われた悲しみと怒りの声を響かせている。
その苦しみの声と、大自然への畏れが異端の神の力になっているのだという。
だから方法は兎も角、墓に赴き死者の声を鎮めてあげて欲しいのだと語る。
「……死して怨霊となってからも、彼らの苦しみは消えない。蝗の牙も、身を刺す吹雪の冷たさも、ね……」
神の力を断つ為に、そして何よりも死して尚、死した時の苦しみを延々と繰り返され続ける死者の魂に。
安らぎを与えてやって欲しいのだとスフィーエは淡々と語った。
「然る後、異端の神を討伐して欲しい。怨霊の苦しみが終われば、自分の方からその村へやってくる筈さ……まぁ最初は奴の眷属だがね」
そう言って次に示すのは蝗の群れ――どうやら神が配下として行使しているらしい。
それはあまり強くないので、猟兵達なら準備運動がてらに倒せるだろうと語る。
「配下を倒せば、今度こそ異端の神がやってくる。それを討って貰いたい」
そう言って映し出すのは、予知の光景で見せた銀の巨竜。
イーギルシャトーと呼ばれるその神は、曲がりなりにも神と呼ばれるだけあって強大な氷雪の力を行使するという。
「だが氷雪への畏れが奴の力になるならその逆もまた真なり、さ」
氷雪や、自然の猛威そのものへの畏れを否定する意志や、自然の猛威に抗う人の意志のようなものを示せば弱体化を図れるのだという。
程度は不明だが、試してみる価値はあるのだと語った。
「……戻らないものは戻らないかもしれない。それでも、まだ無事なものは守らなければならない。それが生きていくことだ」
そうして一頻り事件のことを語り終えたスフィーエは、長い前髪でその瞳に陰りを落し、ぽつぽつと語り始める。
重たげに陰りの元となった前髪を上げて一息吐けば、気を取り直して、と言わんばかりに柏手を一つ打ち、猟兵達を見回して最後にこう締めた。
「さて、夏も暑い盛りだが氷雪被害までは行き過ぎというものさ。迷惑極まりない神というものを、一つ倒してくれたまえ。頼んだよ」
裏山薬草
どうも、裏山毒草です。違います薬草です。
夏の暑い盛りですので、涼しくなる舞台を用意しました。
……ブラックジョークですスミマセン。
今回は、オブリビオンによって滅ぼされた村に赴き死者を弔って貰います。
氷雪に覆われていますが、防寒対策はあってもなくても有利・不利にはなりません。
飽く迄死者への呼びかけと弔いがメインとなります。
心情描写多めになるかと思われます。
また逃げ延びた男と、逃げ延びた先の村は今回のシナリオではあまり関係ありません。
然る後、災害を齎した異端の神を討伐して頂きます。
第二章は異端の神の配下として動くオブリビオン相手の集団戦。
第三章は異端の神との決着をつけるボス戦となっております。
ボス戦では冬への畏れを否定する思いや、自然の驚異に屈さず抗う意志を示すとプレイングボーナスを発生させやすくなります。
余裕があれば狙ってみてください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 冒険
『墓地に満ちる怨嗟』
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POW : 死人は黙れ。生者の力や可能性を見せつけて黙らせる。
SPD : 感傷は不要。理路整然と説き伏せる。
WIZ : 彼らの未練を聞き届け、死者の為に祈る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アレグリア・ノーチェス
【WIZ】
・・ひどい。ひどすぎるよ。
理不尽に命を奪われた上に死んでも苦しみから逃れられないなんて。仮にも神と呼ばれるものがすることなの?許せない・・。・・まずは怨霊となってしまった人の魂を救わないとね。
行動
・・私ができることといえば死者の未練を聞き届けるくらいかな。何か望みがあれば私のできる範囲で叶えて魂を鎮めてみよう。うまく鎮められたら、【祈り】を捧げるよ。・・どうか、彼らに安息と平穏がありますようにって。
●神の所業
足を踏み入れた瞬間、身体を襲ってきたのは寒気だった――それは、異端の神に襲われて尚、傷跡の残る証の積もり積もった氷雪もあるが。
それ以上に襲ってくる寒気の正体は、絶え間なく響く死者の声であった。
響く恨みの声は、周囲の氷雪以上に場に足を踏み入れた猟兵の体温を奪う……あまりにも惨いその光景にぽつりと彼女は呟いた。
「……ひどい、ひどすぎるよ」
アレグリア・ノーチェス(活発な黒女神・f16474)は、吐く息も凍りそうな中で下唇を噛み締めた。
「これが、仮にも神と呼ばれるものがすることなの?」
同じ神と呼ばれる者だから分かる――この、吹雪く氷河の冷たい残酷さも。
死して尚、死者の安らかな眠りに就けぬ無念を与えたことも――同じ神として、恥ずかしさと怒りが込み上げてくる。
許せないと思う気持ちは多々あれど、まずは彼らを解放しなければならない。
アレグリアは丁寧に、祈るように死者の声を聞き届け、時に頷く――出来ることは、こうして聞き届けるぐらいだけど。
それでも、それだけでも。
救いとなるならば差し伸べよう……奪うばかりの神だけではないことを示さねば、この世に救いはありはしない。
未練の声を聴きながら、女神<アレグリア>は微笑み死霊の前で語り掛ける。
「何か、して欲しいことはある?」
――あの竜を討って! もう他の誰にも、私達みたいな目に遭わせたりしないでぇぇ……!!
切なる老女の響き。
元より、その竜を討つ為に来ているのだし、この声を聴いて応えぬ訳には猶更いかなくなった。
「……うん、わかった。絶対、倒すから」
――お願いします……お願いします……!
また一つ、怨霊の声が柔らかな光の中に消えていく――その姿を見ながら、アレグリアはそっと手を合わせ静かに祈る。
(どうか彼らに安息と平穏がありますように)
災いを齎した悪神への怒りを心の裏に秘めながら。
拾う女神の祈りは死霊を優しく癒していくのだろう……。
成功
🔵🔵🔴
セツナ・クラルス
強大な力に対し畏れを抱くのは
自然の摂理のようなものではないかな
既に肉体が滅んだ魂を繋ぎとめ
得られるべき安らぎを与えないということには賛同できかねるがね
このままでは私自身も怨嗟の声に
囚われてしまいそうだ
無理に拡散することも可能ではあるが
被害者には可能な限り安らぎをもたらせたいのだよ
さあ、思いを私にぶつけてくれたまえ
祈りを捧げ精神を集中し、
破魔の力で拵えた障壁を自分の前面に設置
勿論、全ての呪詛を引き受けるなんて無謀なことはしないよ
ある程度発散するまでどうにか耐えてみよう
呪詛の声が弱まってきたら声をかける
あなた方の
呪いを祝いに
苦しみを安らぎに
我々はその為に来たんだ
後は我々に任せて
休んでくれたまえ
●自然の猛威、条理と不条理
悍ましく響く死霊の声は、ただ耳に入るだけでも常人ならばあっと言う間に狂気に誘われるだろう。
その怨嗟の声が、生あるモノを恨むモノではなく、受けた所業への苦しみと悲しみに依るものだけというのが、まだ救いであるのかもしれないが。
――ア、アアア、サムイ、サムイィィ……!
――コワイヨ、サムクテ、コワイヨ。
「……強大な力に対し畏れを抱くのは、自然の摂理のようなものではないかな」
目を伏せ、至って穏やかに黒衣の男セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は呟いた。
死霊の苦しみの元であり、今も体温を奪うこの氷雪と、それを齎した異端の神への恐怖を抱くことそのものを責める気は毛頭ない。
「得られるべき安らぎを与えないということには賛同できかねるがね」
この悍ましき声が入るだけで気が触れてしまいそうだ――無理に退散させることも出来るが、出来得る限り死した者には安らぎを。
赦し、愛そう――その為に、ここに在るのだから。
「さあ、思いを私にぶつけてくれたまえ」
精神を集中させ、眼前に魔を祓う障壁を張りて。
響く不条理を呪う声と、その痛みと苦しみの声を聴こう――全てを受け止めることは敵わなくとも。
怨嗟が己を蝕むか、死霊の涙が浄化のそれに代わるか……心を侵す毒と浄化のチキンレース、永劫にも等しき一瞬の苦しみの声と、解き放たれる安らぎの声が交互に響く。
――痛かった! 辛かった!!
――こんな寒い思いの為に生まれた訳じゃない! 俺はあいつの食事じゃない!!
どれほど経っただろうか、魂を侵されかけながらもセツナは呪詛の弱まりを感じると死霊に向けて語る。
「あなた方の、呪いを祝いに、苦しみを安らぎに……我々はその為に来たんだ」
夜闇の世界に光を以て生まれた聖者として。
その苦しみよ、どうかこの刹那だけに終われと祈り――黒衣の聖者は告げた。
「後は我々に任せて休んでくれたまえ」
成功
🔵🔵🔴
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
ダークセイヴァーでもこういう場所があるなんて初耳。
飛威、寒そうだから羽織るものの用意を。動く難くはならない様にね
……静か。ううん、いらない終わりを打たれて苦しんでる。
そのままこの人達にも話が続いていくはずだったのに。
鎮めてあげるのも大事だけど、大元もなんとかしないと……。
でも今は、今だけはこの人たちの話を聞いてあげよう。
人形の私には癒すことは難しいけれど、向き合う事から始めないと。
せめて安らかに。伝えたいことがあれば私が、私たちが引き継ぐから
●ましろき無慈悲と慈悲
防寒の類は用意させたけれども、肌を突き刺すような氷雪の中、紛れるかのような白い髪の女が呟いた。
「……静か」
時間を停められてしまったかのように、白い冷たさが滅ぼされた村を覆う。
何も生み出さない、何も進ませることのない極低温……防寒を通してですら、この突き刺すような寒さが、神の力の残滓に過ぎない事実。
それ故に――静かと思われていても、耳を澄ませば聞こえてくる過去の冷たい苦しみの渦中にある声。
神が暴威を振るったその時間の、苦しみの中にいる声が響き、神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)はその首を横に軽く振った。
「ううん、いらない終わりを打たれて苦しんでる」
この人たちの話は、あの神さえいなければこれからも続いていく筈だったのに……大本を何とかしたい気持ちはあるけれど。
でも今は、今だけはせめて、この人たちの話を聞いてあげよう。
向き合うことから始めると決意した眞白の前に、死霊たちの声が、彼女が人と言った者達の声が響く。
詳細な苦しみや、絶対零度の中に命を奪われていく痛み、何があったかを語る声も、単なる痛みを訴える声も様々で。
……これだけ話を聞いたとしても、その苦しみを癒す事は難しい。
私は人形……だけれど、向き合おう。
この悍ましき響きの悲しみの声に、そして。
「伝えたいことは?」
――あの竜に伝えて。私は最後まで、生きたいと思ったって。ちっともっ、怖くなんかっ……無かった、って……!!
「そう……分かった」
響いたのは勇気ある少女の涙の混じる声――その思いは確かに。
最後に改めて膝を着き祈る――解き放たれた死霊の凍らぬ実体無き涙の、その切なる声を受け止めよう。
「私が、私たちが引き継ぐから……せめて安らかに」
人の形をしていながら、人に非ざる千年人形(ミレナリィドール)の呼ぶ“人”の前で。
真白き無慈悲に全てを奪われた悲しみを救うために、眞白き慈悲は立ち上がるのであった。
成功
🔵🔵🔴
山北・樅
暑いのは嫌だし、仕事するなら寒いくらいでも良いから来たけど。
怨霊って、会話とかできるのかな。
「…苦しみも悲しみも、全部預けてほしい」
殺したことはあるけど殺されたことはないから、私に怨霊の気持ちは分からないと思う。
でも、声を聞いてあげることはできる。
怨霊を怨霊にした奴を、突き刺して、殺すことができる。
「…みんなを殺した奴を、私が殺す」
頼りなく見えるかもしれないけど、やってみせる。
だからもう、安心して休んでほしい。
アドリブ歓迎
●呪詛の涙も凍る世の中じゃ
真夏の暑さに嫌気が指して、受けてみればこの氷雪の寒さ――まぁ、仕事をするぐらいであれば、それもまた良いだろう。
ダークセイヴァーの暗き空、静かに……とはいかないのは、絶え間なく響く呪詛の大合唱。
既に幾人かの猟兵が鎮めてはいても、まだまだ足りない――山北・樅(自由隠密・f20414)は、怨霊の会話ができるかどうかを訝しみながらも、実際に響く声を前に、それを静かに聞いていた。
貧しき土地の中で、肩を寄せ合い生きてきた者のささやかな実りも、命も奪い閉じ込める悪しき氷雪への苦しみ。
呪うその声を聴きながら、胸に手を当て樅は一つ、力強く言った。
「……苦しみも悲しみも、全部預けてほしい」
樅はかつて犯罪組織に居た身、その中でも暗殺に行使されてきた身の上だ。
殺したことは多々あれど、殺されたことは一度もない――尤も、殺されていれば今こうして対話をすることも叶わなかったであろうが。
故に殺された苦しみを完全には分かることは出来ない。今こうして話を聞き、想像をすることは出来ても、実際の苦しみは分からない。
だが、それでも。
樅にはできることが、そして樅にしかできないこともある。
「……みんなを殺した奴を、私が殺す」
――誰でもいい! アイツを! アイツを殺して!
――憎い! 憎い! ああ憎い!!
狂ったように叫ぶ声が脳に響く――鈍く揺さぶるような声が、理不尽な死を齎した神への怒りを、憎しみを、色濃く樅の心に、魂に伝えていく。
「……ああ」
みんなを怨霊にした存在を、殺してやろう。
突き刺して殺して、骸の海へと叩き返してやろう……たとえ頼りなく見えたとしても、やらない理由にはならない。
やってみせよう。
「だから、安心して休んでくれ」
小刀の柄を強く握りしめ、その刀身に滴る呪詛の雫が一つ氷雪に落ちて。
僅かに溶けたその一点から、全てを溶かすように――静かな夜の安らぎを与える為に、決意を固めるのであった。
成功
🔵🔵🔴
煌天宮・サリエス
……彼らの怨嗟の声を聞きましょう。
……彼らの怨嗟を記憶しましょう。
それが、私の聖痕『惨劇の記憶』にできること。
死せる者達の未練を晴らすために、
死せる者達のことを忘れることのないようにするために、
私は、ここで何があったのか、そして、彼らが何を思ったのか全てを聞き届けます。
祈る時には、白き光の花をこの地に咲かせましょう。
生命を与える祝福の花と共に、彼らの次の生が幸せに満ちたものであることを祈る。
そして、彼らの未練を晴らすことを誓いましょう。
●氷の中に芽吹かせて
花桐草(アキネメス)を咲かせたオラトリオは祈る――その体に生まれ持った光に導かれ、死霊達は思い思いにぶつける。
時に八つ当たりに近い罵声を浴びせ、悍ましく全てを呪う悲しみの重低音を響かせて。
(……彼らの怨嗟の声を聞きましょう……彼らの怨嗟を記憶しましょう)
祈るように受け入れるオラトリオ、煌天宮・サリエス(光と闇の狭間で揺蕩う天使・f00836)に対し死霊は何度でも、入れ替わり立ち代わり語る。
ある者は氷河の為した氷柱に身体を貫かれ、意識だけは在りながら命だけが奪われる生々しい苦しみを。
またある者は神の眷属に身体を覆われ、その肌を、内側を情けも容赦もなく牙を突き立てられ抉られる苦しみを。
様々な神と眷属の暴虐と苦しみを死霊達は悲しく叫ぶ。
彼の聖痕に出来ることは、その苦しみと痛みの記憶を、理不尽な異端の神からの暴虐を、その中で抗うか絶望するか、様々な者の死に様を。
記憶していくこと――積み重なれば、呪いとなろうとも、刻まずにはいられない。
「あなた達の為に祈りましょう。大事なあなたを救いましょう」
血涙を流す幻影を見せる死霊に祈り、その思いを聞き届け。
一つ一つ、祈り浄化されていく中で、サリエスの足元に白が広がっていく。
「この白き花を咲かせましょう。どうか次の生命に祝福を」
塵が混じり、濁った白と化し始めていた氷雪とは違う、悲しみを受け継ぎ解き放たれた霊達の心のように。
清らかなる白く輝く、光の花――見るからに、力強き命の輝きに溢れる光の花だった。
「そして、誓いましょう。その未練を晴らすことを」
白き命の流れを阻む氷雪の中に、命の芽吹きを象徴する白き花が咲く。
終わった命を悼み、もう戻らない悲しみを心に刻み。
天使の咲かせた祝福の花は、苦しみの冷たい大地を覆っていきながら香る……願わくば、来世はこの花の似合う柔らかな中でと。
サリエスの祈りの献花は、まだまだ広がっていくのだ……。
成功
🔵🔵🔴
カイウス・ヘーゲン
【WIZ】※アドリブ改変歓迎
「…………」(怨霊の群れの中へと言葉を発することもなく歩いていく)
怨霊達の言葉を聞き入れ対話し、その怨念を和らげる
…俺自身、この村の惨状を見ても自然を忌むものとしてとらえることはできん…
自然による蹂躙も、確かな世界の成り行きだ
―だがお前達の前に現れたそれは受け入れるべき自然ではない。
あれは悪意だ。何残さぬ世界の淀み、染みだした膿…
お前達は自然に淘汰されたのではない。ただ悪意持つ侵略者に襲われた。
死んだ身の上でこんな俺の言葉は詮無いことだろうが…、どうかそれで世界を諦めてくれるな
少なくともその"悪意"だけは、俺達が刈り取ってみせる
●爆ぜる爪は静かに爆ぜる
言葉にできている者もいれば、言葉にできずにただ呻く声も響く。
表情すらも凍らせる冷たい神の力の残滓の中、天使カイウス・ヘーゲン(爆ぜる爪・f11121)は、死霊達の声響く中に静かに足を踏み入れた。
数多の死霊が訴えるその寒さと痛みを、死んでも死に切れぬ理不尽への怒りを聞き、相槌を返す。
(……俺自身、この村の惨状を見ても自然を忌むものとしてとらえることはできん……)
――それが摂理だって! それが正しいことだって!
俯き思案するカイウスに死霊の声が響く――かつて村を滅ぼされた時に、その神が言ったのだろうか。
切なる叫びが彼の瞳の裏に映し出す、嘲笑う竜の嗤いを――故に言わなければならない。
「お前達の前に現れたそれは受け入れるべき自然ではない」
確かに自然の暴威というものはそれは一つの摂理だろう。
それによる死が、如何に理不尽であろうと抗えぬ流れの中に生きているのならば。
だが彼らの死が、そのような摂理の一部であるはずがない、あってはならない筈だ。
だからカイウスは言う――死ななければならなかったのか、という叫びに、それを否定するように。
「あれは悪意だ」
きっと、彼らが一番欲しかった言葉だったのだろう。
紛れもなきカイウス自身の本心、そして一番欲しかった言葉――安堵の声を漏らし始める死霊達に、なおも彼は続ける。
「お前達は自然に淘汰されたのではない。ただ悪意持つ侵略者に襲われた」
少なくとも、この恨みと恐れを力と変えているのならば純然たる悪意。
何も生み出さず、何も進めず残さない、世界の淀みであり膿。
「死んだ身の上でこんな俺の言葉は詮無いことだろうが……、どうかそれで世界を諦めてくれるな」
解放されていく死霊の前に改めて誓おう。
かつて暖かであった命は終わっても、死霊となって全てを呪うことなど、あまりにも救われないから。
「少なくともその"悪意"だけは、俺が、俺達が刈り取ってみせる」
成功
🔵🔵🔴
カイム・クローバー
死者の嘆きの声。氷雪を操るカミサマに殺された魂。
この世界じゃさして、珍しくない光景だってのに…やっぱ慣れねぇモンだな
【POW】
死んだ連中の声に耳を傾けるぜ。悔恨か怨嗟の声か、それとも絶望か?
その声を聞きたい。…ああ、頭がどーにかなっちまいそうだな。ま、流石に永遠と聞き続けたんじゃ、身が持たねぇからよ。
適当なタイミングで右手を上げて空に一発、銃声を響かせるぜ。
良いぜ。あんたらの声は聞いた。その依頼、便利屋Black Jack、カイム・クローバーが請け負うぜ。…だから、今は安心して眠りな?なんならあの世の特等席から俺達の戦いを見てると良いさ。今回に関しちゃ、あんたらから報酬は取らない。…特別だぜ?
●鬨の声を彼らに
「死者の嘆きの声。氷雪を操るカミサマに殺された魂」
ダークセイヴァーに於いて、珍しくはない異端の神に殺された嘆きの声。
珍しくないと慣れている、何とも思わない、とはまた話が別ではあるが。
“神”の絡む暴虐のかくも凄惨なこと――カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は悍ましく響く死霊の声の前に立った。
「存分に聞かせな。お前達の声って奴をな」
――怖い、助けて、痛い、苦しいやだいやだいやだ、もうあいつのごはんになりたくない、苦しいやめて……
(想像以上にキツイぜ……ああ、頭がどーにかなっちまいそうだな)
悔恨か怨嗟の声か、それとも絶望か。
氷雪に覆われていく絶望を嘲笑う神の姿が見る……絶望からなる狂気が伝わってくる。
響く声から否応なしに見えてしまう光景と、その悲しみと絶望の狂気が伝わる。
その全てを受けきることはしない――ともすれば己が狂ってしまう。
故にカイムは頃合を見計らうと、右手に携えた拳銃を天に向け、延々と広がる曇り空を射抜くように発砲の音を響かせた。
「良いぜ。あんたらの声は聞いた。その依頼、便利屋Black Jack、カイム・クローバーが請け負うぜ」
響く声に死霊の目が集まる――どこか気障ったらしく、その軽いノリ……しかしその思いは紛れもなく本物。
力強く、死霊達を安心させるように救いを求める声に便利屋は応える――悲痛な叫びを、狂気をこれ以上生み出させない為に。
「……だから、今は安心して眠りな?」
引き受けた以上は良い仕事をしよう、それが便利屋(プロ)というものだから。
「なんならあの世の特等席から俺達の戦いを見てると良いさ。今回に関しちゃ、あんたらから報酬は取らない……特別だぜ?」
ホルスターに銃を収めてウインク一つ、怨嗟の声をか細くしていく死霊に一つ、言葉と共に投げかけて。
銃弾を放った曇り空を見上げ、嘲笑する竜の幻影を一つ睨みつけるのであった。
成功
🔵🔵🔴
氷川・権兵衛
【SPD】(説き伏せます)
死人どもよ、まだ悲しみに暮れているのか?
此処を滅ぼした神とやらは、貴様らの畏れを力に変えたらしいではないか。
怒れ!
己の家族を、隣人を殺した神を許すな!
怒りで畏れを飲み込むのだ!
貴様らの怒りの炎が、氷雪への復讐を成すのだ!
(【ブレイズフレイム】を使用して、自身の左腕を燃やして士気向上の演出をします。)
●不死侯フェネクス
――アァゥァァウ……オォォォァアァアア……
声に出せない嘆きの声は続く――もう既に半分以上の浄化が完了していても、その声は未だ収まらず。
明確な言葉にできないからこそ、悲しみの感情だけが色濃く伝わり氷雪の寒気をより鮮烈なものとしていく。
その言葉にできない嘆きの声が一際に集まる場所へ、氷川・権兵衛(狼頭の進化生物学者・f20923)は言い放った。
「死人どもよ、まだ悲しみに暮れているのか?」
嘆きの声を挙げる者は応えない。
実体を持たぬ身となったその幻影に、血色の涙を惨たらしく流し、それすらも凍てつき散っていく悍ましい音が、その返事なのか。
しかしその響きすらも意に介さず、嘆き恐れる声に権兵衛はさらに続ける。
「此処を滅ぼした神とやらは、貴様らの畏れを力に変えたらしいではないか」
――ウルサイ、貴様に何が分かる、俺たちの寒さが、苦しみがぁあぁっ!!
――なりたくない! アイツの糧になんか! でも、でも怖いの!
響く怒りと混ざった八つ当たりに近い声にも権兵衛は怯まない……というよりも寧ろ。
「そうだ、今の声だ!」
その言葉の調子こそ、待ち望んでいたと言わんばかりに。
今こそが時だと左腕から勢いよく噴き上げる、地獄の如き業火。
「怒れ! 己の家族を、隣人を殺した神を許すな!!」
それは氷雪に苦しむ者を温め嘆きから溶かし、その怒りと奮起に火をつけて。
やがては神をも滅する炎となるように――吹きあがる業火の姿は、復讐を司る悪魔としての霊鳥の姿にも似て。
革命を煽動するように、熱に引き寄せられ嘆きに捕らわれた心を溶かし、怒りの揺らぎを見せる死霊に力強く説く。
「怒りで畏れを飲み込むのだ! 貴様らの怒りの炎が、氷雪への復讐を成すのだ!!」
――ウォォォオオオ!!
最早そこに嘆きに苦しむ声はなく――ただ、そこにあるのは激怒を以て奮起した怒りと復讐の炎。
氷雪の絶望を溶かし蒸散させる、立ち上がる者の雄叫びが響いていた。
成功
🔵🔵🔴
四季乃・瑠璃
緋瑪「この光景…少し前の殺人鬼と吸血鬼に滅ぼされた村を思い出すね」
瑠璃「あの時も殺人鬼に村一つ滅ぼされたしね…」
「向ける先を違えた正義」で滅ぼされた村を思い出しつつ、命尽きた村を見渡し、墓地に集まる霊達に向けて宣言
緋瑪「わたし達は2人で1人の殺人姫…」
瑠璃「私達にできる事は殺す事だけ…」
「「だから」」
緋瑪「貴方達の分まで元凶の神様を殺してくるよ!」
瑠璃「貴方達の怨みを、無念を晴らしてくる。みんなのありったけの思いをコレ(ボムを形作る魔力)で竜にぶつけてくるから」
緋瑪「殺しに掛けては神にだって負けない。神だって殺してみせるよ」
瑠璃「だから、みんなはこれ以上苦しむ必要は無いよ。安らかに眠って…」
●殺しの誓い
滅ぼされた村に一切の生命の気配はそこになく、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と緋瑪にとって思い出すのは、かつて関わった村の事件。
「この光景……少し前の殺人鬼と吸血鬼に滅ぼされた村を思い出すね」
「あの時も殺人鬼に村一つ滅ぼされたしね……」
好き放題の圧政を敷きながらも、一切の保護をしなかった領主。
その支配に抗うこと敵わない者を、悪と断じて殺し回った殺人鬼。
村一つ滅ぼされた光景の、何とも言えない虚しさもあるが、今回のこの、死霊の悲しみの声は更にその虚しさを掻き立てる。
「わたし達は2人で1人の殺人姫……」
「私達にできる事は殺す事だけ……」
響く死霊の声を聴きながらも彼女達が思うのは、殺すことは出来ても、直接的に癒すことはできないこと。
しかし何もやらない、とはまた違う。
「「だから」」
出来ないことを嘆くよりも、出来ることを全力以上で行ってみせよう。
殺ししかできないのならば、殺されるべきものを確実に殺してやるまでのこと。
「貴方達の分まで元凶の神様を殺してくるよ!」
「貴方達の怨みを、無念を晴らしてくる。みんなのありったけの思いをコレで竜にぶつけてくるから」
胸を叩き、緋瑪が氷雪を司る異端の神への殺しの決意を固めれば。
瑠璃が片手に掲げたのは、彼女達が得意とする爆弾を形作る魔力――その嘆きと、無念も全て載せて。
あの白き竜に全てをぶつけ殺しの痛みを刻んであげよう――仇討の確かな決意の前に、死霊達は徐々に肩の荷が下りたように天に昇っていき。
「殺しに掛けては神にだって負けない。神だって殺してみせるよ」
「だから、みんなはこれ以上苦しむ必要は無いよ。安らかに眠って……」
徐々に安堵の中に消えていく死霊達に、緋瑪の力強く頼もしい言葉と瑠璃の言葉が優しく響き。
昇っていく柔らかな光を前に、二人で一人の殺人姫達は、白銀の竜を必ず殺すと、殺しの矜持を新たに胸に刻む。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
酷いわね…。相変わらずこの世界はヒトに厳しい…。
気に入らないわ…人を苦しめ、それを糧とする神が…。
【念動力】でこの場にいる無数の霊達の思念を感じ取り、逆に自身の声を霊達に届けるわ…。
今は鎮まりなさい…貴方達の怨みこそがあの神が求めるモノだからね…貴方達の怨みの念はあの神を悦ばすだけよ。
本当はすぐにでも貴方達を弔ってあげたいけど…待ってなさい、すぐに元凶の神を討ち取って戻ってくるから…。
人は決して弱くなんかない…相手が神であろうと、決して負けないという事を見せてあげる!
そして、必ず貴方達の無念を晴らしてあげるわ…だから、安らかに眠りなさい…。もうこれ以上苦しむ必要はないわ…。
●貴く誓う怒りの槍
氷雪に覆われたこの光景と、命の温かみを一切感じさせない滅びた虚無感を前に一人の女が呟いた。
「酷いわね……相変わらずこの世界はヒトに厳しい……」
普通に生きていくだけでも厳しい痩せた土地。
吸血鬼の支配への恐怖、圧政……そして、異端の神の暴虐。
それでも生きていかなければならない悲しみ、それに耐えた末のこの仕打ちはあまりにも。
「気に入らないわ」
フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は絶え間なく響く死霊の嘆きに、それを糧とし力を蓄える神への怒りを吐き捨てた。
響く声に念力を以てそれを拾い、同様に己の思念を丁重に伝える――この悲痛の嘆きの中、どれだけ聞き入られるか分からないけれど。
「今は鎮まりなさい……」
微かに震えた声が、死霊達の嘆きの声を僅かに止める。
その言葉が難しいことは分かっているが、それでも。
「貴方達の怨みこそがあの神が求めるモノだからね……貴方達の怨みの念はあの神を悦ばすだけよ」
――分かってる、分かってるけど、ああぁぁあ……!
今すぐにでも、この嘆きを弔ってあげたい。
でも今するべきことは……。
「待ってなさい、すぐに元凶の神を討ち取って戻ってくるから……」
拳を握りしめ、今もこの嘆きを喰らい力を蓄える神への怒りを、その赤い瞳の裏に宿し。
「人は決して弱くなんかない……相手が神であろうと、決して負けないという事を見せてあげる!」
何が自然の摂理なのか。
何が抗えぬことが当然なのか――絶望しかない世界で、それでも生きてきた民の強さが、こんな所で潰えていい筈がない。
気高く貴きフレミアの意志は、確かに死霊達に伝わったのか。
「そして、必ず貴方達の無念を晴らしてあげるわ……だから、安らかに眠りなさい……もうこれ以上苦しむ必要はないわ……」
安らかな光の粒となって消えていく死霊達に、目を伏せ祈りを捧げ。
貴き女の決意は、新たに固まるのであった。
成功
🔵🔵🔴
ガルディエ・ワールレイド
この光景は全く他人事ではない。
吸血鬼に滅ぼされた極寒の故郷を思い出す
◆行動
幽霊に祈りを捧げつつ、今回の状況を起こした竜を此処で完全に滅ぼすことを誓う
故郷が極寒の地だった事もあり、氷雪の齎す苦難が本当につらいものだとは理解している。
今、この村を閉ざす極寒は必ず払う。そして、これを引き起こした竜も仕留める。
だから、どうか自分自身のために、平穏な眠りについて欲しい。
その恨みは致し方ない事だとして、そのせいで完全な怨霊と化せば、本当に誰も救われないのだから……。
(補足)
今回のボスですが、宿敵申請時のミスでUC内容が初期設定です
全く深く気にせず自由に演出して大丈夫です。申し訳ありません
●救われないモノの為に
(酷いな……)
ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)の体に吹き付ける、魂さえも奪う氷の冷気が彼の過去を呼び起こす。
滅ぼされた故郷、その故郷の中の冷たい自然の猛威。
今も悲しく狂ったように苦しむその声がガルディエのかつての日々を思い出させる。
冷たい、苦しい……と嘆く死霊の声に耳を傾けながら、重く彼は語り出す。
「それが本当につらいものだとは理解している。俺もそうだった」
故郷はいつもそうだった。
氷雪に覆われ、唯でさえ実り少なき夜闇の世界に於いて一層の苦難を齎す氷河。
されど生きる限り繋がなければならない命――それでも空しくも散っていく命の痛みも、分かってしまう。
その苦しみの共感は、やがては嘆きの涙を解き放たれた喜びの涙に変えていく……改めて彼は解き放たれた涙を流す民に語る。
「今、この村を閉ざす極寒は必ず払う。そして、これを引き起こした竜も仕留める。だから、どうか自分自身のために、平穏な眠りについて欲しい」
でなければ、この世界に何一つとして救いは存在しない。
この恨みも悲しみも致し方ないことであれど、その為に完全な怨霊と化して世を呪うしかなくなれば、救いは欠片もありはしないのだから。
共感と悪神を討つ声に、赤黒く濁った霊の最後の一つが、薄い白となりて空に溶け込んでいき。
昇っていく空を見上げて、ガルディエは一つ呟いた。
「……晴れたな」
死霊の嘆きは耳を澄ませてももう聞こえない――どうやら、ガルディエが鎮めた死霊で最後だったようだ。
空は変わらず曇っているが、周囲に淀んだ空気のようなモノは晴れた気がする。
――だが不快を齎す音は新たに聞こえてくる。
見上げれば黒雲が勢いよくやってくる、否……この耳障りな羽音は蝗、その集合体。竜と同様に村人に牙を突き立てた神の眷属。
改めて、墓所に向き直ると解き放たれた霊に最後に一言、彼は誓った。
「こいつらも片付けてやる」
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『暴食飛蝗の群れ』
|
POW : 選択進化
戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【各個体が肉を喰らう為の身体へと進化して】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 飢餓
戦闘中に食べた【動植物】の量と質に応じて【少なければ少ない程に攻撃性を増して凶暴化】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : 大繁殖
戦闘中に食べた【動物の肉や植物】の量と質に応じて【群れの個体数が飛躍的に増殖して】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●実り喰らう御使い
村を覆っていた瘴気のような何かが消えていく。
真摯に耳を傾け、その嘆きを受け入れて、時に奮起を促した猟兵達の想いが絶望を払ったのか。
理不尽な氷河の暴力に命を奪われ、死して苦しみに縛られ続けた彼らを無事に解き放ったのだ。
これで残るはあの異端の神を討つことだけ――だが、物語というものは容易くはいかないもの。
猟兵達の耳に、とてつもなく耳障りな音が響くと、彼らの下に舞い降りたのは黒き雲のような悪魔。
だがその正体は、その耳障りな羽音、ぎらつく赤き眼……耐え難き血の匂い。
それこそは、実りを奪う疫病神と名高き蝗の群れ――異端の神の眷属なのだろうか。
実り芽吹かせぬ理不尽な冬の化身が行使する、実りを奪う下級神。
実りどころか、それによって食い殺された村人達も数多くいるだろう――喰われた生々しい痛みを訴える者すらもいた。
恐らくは、死霊の声が無くなったのを聞き異端の神が遣わしたのだろうか。
いずれにせよ、受け継いだ無念を果たす為に――まずは、神の眷属との戦いが始まった。
アレグリア・ノーチェス
なんの音かと思えば、これはまた随分と血なまぐさい眷属のお出ましだね。・・よほど、人も実りも食い荒らして来たんだろう?・・で、あれば容赦なく駆除させてもらうよ。この村の人のために、これ以上、理不尽な苦しみを味わう人を出さないためにもね。
行動
私はユーベルコード罪焼き尽くす裁きの炎と、少しでも多く倒すためにも【範囲攻撃】を駆使して戦うよ。敵の攻撃は第六感を利用して躱そうかな。
(アドリブ・連携大歓迎です)
●御使いを焼く女神
群体(レギオン)が形を成す黒き異形――耳障りな羽音と、顎が打ち鳴らされる度に鼻に着く生臭く耐え難い“死”の匂い。
村に滅びを齎した神の眷属に殺気を前にしても女神<アレグリア>は一切揺るがない。
「これはまた随分と血なまぐさい眷属のお出ましだね……よほど、人も実りも食い荒らして来たんだろう?」
眷属の蝗たちは答える口と知能を持たない――ただ、主の悪意と歪められた食欲によって突き動かされるのみ。
黒き集合体が巨人の腕を動かすように、蝗の群れで形成されたそれの牙がアレグリアへと迫る。
だがそれを見切り容易く躱し、擦れ違う蝗から漂う血の匂いに改めて殺意を燃え上がらせて。
女神は掌を強く、強く握り締めると己が決意を更に強く固めた。
「容赦なく駆除させてもらうよ。この村の人のために、これ以上、理不尽な苦しみを味わう人を出さないためにもね」
蝗の返事は為した群れに依る突進――知能を持たぬ純然たる災害と暴力を再度、横転を以て躱すと握り締めた掌から零れるはアレグリアの血。
握り締めた拳の、零れる血は涙の代わり――黒と見紛う青き瞳に移した暴食の群れへと、解き放つ女神の血。
その血は傷口を起点に熱く激しく立ち代わり、やがては黒き炎となりて蝗の群れへと差し迫る。
黒と黒、女神と御使い。
色同じにしてその性質を違え――蝗よりも、どこまでも苛烈に、どこまでも熱く烈しく盛り蝗を黒き炎の中に飲み込んでいく。
「塵も残さず」
焼かれるべき罪は暴食の罪か。
ならばその罪を女神の炎が飲み込むのは正当なる裁きなのだろうか――脆弱な悪神の御使いを、怒れる炎が塵に変えていく。
否――塵に変えるのでは、その炎は収まるはずもなく。
「……燃え尽きろ!!」
アレグリアの為した黒き炎が蝗の群れを一つ灰塵に帰して。
その灰塵すらも纏めて残さず焼き払う――何物をも残さない、罪都を焼き払った伝承の炎にも似たそれが、暗く氷雪の中に荒れ狂っていた。
成功
🔵🔵🔴
山北・樅
あれって、蝗の群れなんだ。
気持ち悪いし、すぐに殺さないと。
敵も多いけど味方も多い、問題ない。
「…集るな」
小さい奴の集まりでも、斬ったり刺したりはできそう。
立ち止まってたら喰われそうだし、群れに突っ込んで殺せるだけ殺して、駆け抜けたらまた突っ込んで、をやってみる。
味方が集られそうなら、そっちの方を優先して敵を減らす。
【刺天】を使って効率良く殺していきたいけど、蝗の動きが捉えきれないでもない限り、加速のために装備を外すのはしないつもり。
連携・アドリブ歓迎
●ヒットアンドアウェー
耳障りな羽音と黒く密集した外骨格と、その獰猛な視線が集まる黒い塊の正体に気が付くと樅は嫌悪感を呟いた。
「あれって蝗の群れなんだ……気持ち悪い」
虫という生き物が集まる姿は、唯でさえ一種の気色悪さを妙に訴える。
それよりも何より、この蝗は滅びを齎した神の眷属にして配下――小刀を構え、その殺意を露わにし。
「すぐに殺さないと」
見るからに聞こえてくる羽音と、飛び交う巨大な塊から見るに大勢の群れなのだろう。
だが周囲では味方も多く戦っている、数で劣れどこちらの質は圧倒的に勝っているし士気も十分なのだから、そう。
「何も問題はない」
心配する要素など何一つないのだから、自分は自分の仕事に集中しよう――どこまで出来るかは分からないが、確実に片付けてくれよう。
「……集るな」
小刀を構え、餓えた顎を打ち鳴らす集団へと樅は駆けだす。
夜闇に溶け込む衣が、白き氷雪の上に黒い影を残し、濡れた刃を餓えた群れに躊躇いなく突き刺す。
餓えた蝗の群れの渦中に突っ込む以上、その牙が樅を襲うのも想定済み――その牙が突き立てられるよりも早く。
群れの中の、僅かな隙間を潜り抜けるように音もなく、かつ何処までも速く駆け抜けて摺り抜ける――擦れ違うその瞬間に、小刀の切っ先を以て蝗の命をも刈り取っていくことも忘れずに。
群れの隙間を潜り抜けても彼女の猛攻は終わらない。
躊躇いなく、また群れの中にその小さな身体を滑り込ませ、牙を突き立てんとする蝗の、極極僅かな眉間を正確に貫き着実に命を狩り、集団を構成する個を確実に落としていく。
「全部とは言えなくても」
立ち止まることはない故に蝗の牙が彼女に届くこともなく。
暗殺者の刃は、逆に何度も蝗を落していったか、もう分からない。
「突き刺して、殺す。……出来ることはやる」
ただ一つ言えるのは、濡れた刃に刺され命を終えた蝗の数は、一塊を消すには十分であった、ということだった。
成功
🔵🔵🔴
氷川・権兵衛
(素晴らしい...!彼らは捕食と同時に群れ単位で「進化」しているのか!)
権兵衛は戦慄した。目の前で暴虐の限りを尽くす悪魔に対し、研究者としての好奇心を抱かずにいられなかった。
(だが、死んだ者達の手前...放っておく訳にはいかないな。)
権兵衛は彼らに対しどのような攻撃が有効かを模索する。敵は軍であり、大量の食糧を必要としている。ならば、
(兵糧攻めだ。彼らが喰らう前に死体や植物を灰にしてしまえばいい。)
何より埋葬の手間も省けるしな、さあ紅蓮の炎で火葬してくれようぞ。
行動:【ブレイズフレイム】を使用します。敵が捕食する可能性のある【動植物】を灰になるまで燃やしていきます。
●略奪から略奪す
何の免疫もないものが聞けば、一瞬の内に正気を失いかねない咀嚼音が響く。
一瞬の内に黒い影に覆われたそれの全貌が見えることはなかったが、黒い影を為している蝗が咀嚼し啜っているのは恐らく……
一層に生臭い血の匂いが氷雪の閉ざされた中であっても色濃く立ち込めていく中、黒の影が更に更にとその攻撃性を増していく様を見て、権兵衛は思わず歓喜に打ち震えた。
(素晴らしい……! 彼らは捕食と同時に群れ単位で『進化』しているのか!)
悍ましくも研究者として抱かずにはいられない原初の欲求、好奇心。
単一個体に留まらず、全体を同時に進化させる理想……願わくばこのまま観察をしたいが、濁った染みが氷雪を染めていく姿を見て、死霊の声を思い出す。
(だが、死んだ者達の手前……放っておく訳にはいかないな)
耳障りな羽音と、牙打ち鳴らす音響かせて、仲間の猟兵達と戦闘を始める蝗を前に思案する。
この大群、数は余りにも多く、喰らえば喰らうほどに進化していく。
だがそれだけの数ならば喰らう量も相応に必要となる、であれば。
(兵糧攻めだ。彼らが喰らう前に死体や植物を灰にしてしまえばいい)
目を付け、彼奴等の餌となりかねぬ死したモノを視界に納めるとその手から放たれる地獄の炎。
広がる炎は、氷雪と、そして命奪われ尚も貪られ続ける骸――動物も、植物も。
既に命を終えて果てた骸を、地獄の業火が呆気なく飲み込み可食を許さぬ灰と変えていく。
それは命の冒涜ともとれる好意かもしれない。
だがこのまま死して尚、魂解き放たれて尚、その骸が眷属の糧となってしまうぐらいならば。
「さあ紅蓮の炎で火葬してくれようぞ……!」
氷雪から掘り起こす手間も、埋葬する手間も省けて奴らの糧をも滅する。
その上、飛んで火にいるではないが巻き添えで蝗も燃やすことも出来るのならば――一石二鳥どころかお釣りが来てしまう。
これもまた、死者に対する一つの礼なのかもしれない……
成功
🔵🔵🔴
セツナ・クラルス
無駄に血を流すこともあるまい
悪いが、あなた方に用はないんだ
下がってくれるかな
一応警告はするが、引かないのなら容赦はしないよ
おいでゼロ、共に歩もう
別人格ゼロを呼び死角を補いながら交戦
敵の数が多いので効率的に動かねばね
空気中に発生させた毒を風に乗せて体力を奪おう
逃げようとする敵は無理に追わない
優先して倒すのは
戦闘の意思がある+弱っている敵
戦闘力や体力の高い敵はゼロに抑えを依頼
創り出した毒を強い個体に常に纏わせ続け、少しでも弱らせておく
神を討つ覚悟はとうにできているよ
なので
「三下は引っ込んでな」
…あ!
私が言おうと思ってたのに…!
とっておきの(?)決め台詞をゼロに言われてしまい少し残念そうな顔
●早い者勝ち
「悪いが、あなた方に用はないんだ。下がってくれるかな」
耳障り極まりない羽音の、乱雑な音色の食欲の化身を前にセツナは一つ警告した。
しかし彼らに答える知能はない――所詮はただの主命に従い、暴食の本能を解放し捕食に依る殺戮を繰り返す存在。
敵意の眼と羽ばたきを引っ込める気配のない蝗の返事に、軽く息を吐くと己が内にいるモノに語り掛ける。
「……聞く気はない、と。おいでゼロ、共に歩もう」
「分かりきってたことだろ。やるぜ」
背中合わせに立つはセツナの別人格たるゼロ――互いの死角を補い合う背中合わせで立つ姿。
蝗の集団と羽ばたきが為す風のうねりに乗せて解き放つは毒――空中に作り出した毒が風に跨り、摂取するべきに非ぬモノを食わされた暴食の化身の勢いを弱める。
毒が利かずとも同胞の犠牲を鑑みて躊躇い、その動きを緩めたモノまで態々追うこともない――ただ。
「強いのは任せたよゼロ」
「しゃーねー、なっ……!」
毒を掻い潜れた強き個体と、毒により命を徐々に奪われ死を待つのみと相成ったその個体は。
或いは戦意を一向に向け続ける個体……といっても、それは全てであるが、容赦なく手に掛ける。
セツナが毒を流し、ゼロが振るう刃が着実に蝗を狩り叩き潰す――圧倒的な戦闘と蹂躙を前に、今こそこの科白をとセツナは唇を動かさんと舌その時。
「三下は引っ込んでな」
「あっ」
正確に言えば、ある意味自分自身が言ってるのだから取られたもへったくれもないのかもしれないが。
決めようと思っていたモノをゼロに先取りされて何とも思えない気持ちはどう表現すべきか。
「……」
「……」
暫しの間に流れる気まずい、多重人格者の沈黙もすぐさまに蝗の羽音が掻き消せば。
セツナの流す毒に蝗が一つ、また一つと堕ちていき。
ゼロの振るう大鎌の切っ先に、弱った蝗の身体が吸い込まれ命が絶たれる。
この多重人格者達には、刹那の隙など一切無し<ゼロ>というものだった。
大成功
🔵🔵🔵
シン・バントライン
見上げると元より暗い空を更に黒く染め上げる異形の群れ。
胸を焼くほどの血の匂いにその数と戦闘力の理由を知る。
UC展開。
手にある宝珠を赤い牡丹の花弁に変え自分を取り囲むように舞わせガードしつつ広範囲を攻撃。
なるべく多くの敵を巻き込む。
肉と血の匂いが囮になると仮定し自分の腕を斬り出血させ誘う。
突破してくる敵は第六感と野生の勘で察知して剣で叩き落とす。
2回攻撃と範囲攻撃を合わせ極力多くを屠る。
疫病神とは本来、疫病を流行らせる神の事をいう。
疫病とは流行り病。
この世界において一番の病は「絶望」以外に無いように思う。
間違いなくそれ広げるであろう疫病神は必ずここで断つ。
この世界にあってそれが私の祈りだ。
●冬の中、齎すは……
灰色の空、白く染められた大地、広がる黒き暴食の群れの影。
三色の絶望の前に、より攻撃的に絶望を齎した黒と同じ……否、似て非なる黒き影がぽつりと立っていた。
全身を黒で覆ったその男、シン・バントライン(逆光の愛・f04752)は黒き影の耳障りな羽音と、漂う血の気配を感じた。
その赤き瞳の攻撃性と、数の暴力そのものの群れの数、そして牙を何度も打ち鳴らす音から察する力が、血の気配――この村で行われた惨劇に依るものだと気づいてしまえば。
シンはその手にある宝を持ち出して祈る。
「東風不爲吹愁去、春日偏能惹恨長……」
この血腥い翅の起こす風は、血の匂いによる胸の焼け付きを飛ばすに至らず。
祈る言葉は只管に血腥きモノへの怒りの念を引き起こすというもの――宝珠が姿を変えるのは、血の如く赤き牡丹。
「我が心を春嵐と成す」
舞い散る真紅の花弁が鮮やかに白き地と黒き影に映えるように荒び、叩き付けられる花弁は暴食の化身を埋もれさせ花中に葬る。
より多く、一つたりとも逃さぬようにと。
シンは己の腕を傷つけ、その血の匂いを以て更に引き寄せては、放たれる花弁の中に誘われた愚かな蝗を葬っていく。
勿論、花吹雪に捕らわれて尚、同胞の遺骸を踏み抜き飛び出してきた蝗がいたとしても――その牙を、シンより滴る血に突き立てんとしても。
振るわれる黒き剣は、その頭部を刎ね飛ばし――静かに葬られていく群れに向けて呟いた。
「この世に於ける最も重き『病<絶望>』を齎す者共よ」
疫病神というものは、悪い神の代名詞としてよく使われるが元来の意味は流行り病を齎す神……そこに悪も善もない、唯の現象。
だがこの夜闇の世界に於ける最も重き病となれば、それは絶望――それも、身を寄せ合い生きていく者の希望を、血肉を喰らい啜る悪辣なる病の使者。
「必ずやここで全て断とう……!!」
――それが、この世界にあっての私の祈りだ。
成功
🔵🔵🔴
カイム・クローバー
異端のカミサマのお使いか。カミサマ殺しの序章にしちゃ、耳障りな相手だが…腹減ってんだろ?良いぜ、来な。餌は此処だぜ?(自身の心臓を指でトントン)
【SPD】
二丁銃で紫雷を纏った銀の弾丸【属性攻撃】と銃弾を広範囲に広げる【範囲攻撃】を組み合わせてUCを放つ。【早業】でノーハンドリロードしつつ、同じ組み合わせで【二回攻撃】。
狂暴性を増すって話だが、知能の方はどうだ?【残像】で分身を作りつつ、攻撃を誘う。本能だけなら目に付く物を片端から喰らうってイメージだからこうすりゃ、釣れるんじゃねぇかと思ってよ。
無様に攻撃を空振りしたトコに【挑発】交えつつ、銃弾を叩き込むぜ。
ま、準備運動ぐらいにはなったか。
●ご馳走というには
異端のカミサマの使い――蝗の群れを前に、カイムはその翅の音に僅かに眉を顰めた。
(カミサマ殺しの序章にしちゃ、耳障りな相手だが……)
準備運動ぐらいには悪くはない。
血の匂いの染みついた牙を打ち鳴らし、餓えた衝動が否応なしに伝わる群れを前に言葉を一つ。
「腹減ってんだろ?」
決闘の始まりを告げるコイントスのように、その言葉は蝗たちの興味を引いたのか。
言葉を介する知能は無いだろうが、何らかに惹かれるものがあったのだろう。
「良いぜ、来な。餌は此処だぜ?」
己の心臓を指で2,3度叩くカイム目掛けて、蝗たちは殺到する――羽音と牙の打音は血液を流すその場所に食らいつかんとする。
だがその誘いは死への落下コース……マガジンを空中に放り投げると、手早くホルスターより双頭の魔犬を象った大型の二挺銃を取り出すと。
紫電を纏った銀の銃弾が、誘われるままに飛び込んできた哀れな蝗の群れを打ち抜き、纏う紫電と破魔の聖銀が歪んだ血の匂いごと蝗を滅し。
全弾を打ち尽くしたその隙を狙おうとしても、既にカイムの銃からは空の弾倉が外され、放り投げた替えの弾倉が近くに在る訳で。
優雅に旋回しながらその弾倉を装填するも、蝗がその僅かな隙を逃すはずもなくあっという間にカイムの姿が黒に覆われる。
黒が晴れたその場所に彼のその姿はない――そう、僅かにでも残る筈の血の跡ですら。
「知能はどうだかね? ……ま、お察しってトコか」
そう、弾丸の装填と同時に残像を一つ置き去っていたのだ。
哀れ牙を外した愚かな蝗に一つ挑発交じりの口を交えそのトリガーを。
「特注品だ。味の保証はしてやる……遠慮なく喰いな!」
解き放たれた破魔の白銀と、裁きの雷が迫る蝗の群れを消し去ることも、想像に難くなく。
「弾代はツケとくぜ。……なあカミサマ」
再度弾倉を入れ替えながら、背後に迫っていた生き残りを打ち抜きながら、後に控えるカミサマに一つ呟いた。
成功
🔵🔵🔴
煌天宮・サリエス
ふむ、数がたくさんいるならちょうどいい。
貴様らには白の花をたくさん咲かせるための贄になってもらいましょう。
祝福があるのなら災禍もある。
黒き闇の花びらをばら撒き、黒の花園を作り出します。
それは、生命力を無慈悲に奪う災禍の花。
さあ、有象無象どもに災禍を与えましょう。
生命力を吸収され弱ったところを【キー・オブ・ザ・ワイルド】を使い叩き潰していきます。
吸収した生命力は白の花びらに乗せて散らし、自身や味方の回復に使っていきます。
敵の攻撃は【時天使の秘盾】と『オーラ防御』で、威力を軽減させたうえで受けます。
そう、今度は有象無象ども貴様らが奪われる番だと知れ
●禍福は糾える何とかというモノ
見上げた空の色は黒――時折、その黒の隙間に灰色が見える、太陽の光を二重に遮る絶望の使徒。
生理的な嫌悪感を抱かせる羽音の群れを前に、サリエスは頷いた。
「ふむ、数がたくさんいるならちょうどいい」
一粒一粒は小さくとも、群れを成せば竜や巨人にも劣らぬ威容。
となればそれを構成する数の面でいえば十二分――そう、数が欲しいのだ。
「貴様らには白の花をたくさん咲かせるための贄になってもらいましょう」
襲い掛かる蝗の牙を光の壁を以て防ぎ切りつつ、サリエスは黒き花弁を散らし、蝗の群れを飲み込むように嗾ける。
「我たしが咲かす白と黒の花よ。祝福と災禍を乗せて舞い踊れ」
祝福があるならば、それに等しき災禍もまたある。
死して尚苦しみの渦中に在る者を癒し弔う祝福を齎したならば、彼奴等に齎すのは災禍――飢餓の欲望と主命に任せ喰らった命の対価。
黒と黒、蝗と植物――ただし植物は喰われる側に非ず。
蝗と同様に命を無慈悲に奪う闇――純然たる葬る為の闇――悍ましき外骨格の艶よりも深く存在感を放つ黒の花弁が蝗の群れに纏わりつき、その命を奪い去り。
闇の花弁は歪んだ命を苗床に、妖しく艶めいて咲き誇る。
「そう、今度は有象無象ども貴様らが奪われる番だと知れ」
堕ちていく蝗は黒く艶めく花びらに覆われ、覗く足が僅かに痙攣しているのみ。
その蝗を一つ一つ、顔色一つ変えずに最早鈍器と言って差し支えない大きな鍵を以て叩き潰せば纏わりついていた花より吸い上げた生命力は。
祝福を齎す白き花弁となりて、この場に奮戦を続ける猟兵達の消耗を優しく癒し補っていく。
かつて奪った生命を再度奪い去り、生きて闘う者――奪った者への然るべき報復を叩き付ける者達に。
「――さぁ、有象無象どもに災禍を与えましょう」
帰らぬ命のこれもまた正しき巡りに生かすことか――サリエスは優雅に、自身と、そして奮戦する味方への激励を行うのであった。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
飛蝗とはまた趣味の悪い眷属ね…数が多くて面倒そうだし…。
【ブラッディ・フォール】発動。「仮病とは最大の病に他ならない」の「炎槍使いの魔嬢様」の服装へ変化。【滅びの殺風炎】で一気に焼きつくして数を減らし、討ち漏らしは魔槍【怪力、早業】で叩き潰して【私の「おもちゃ」に殺させてあげる♪】で炎の巨人に変えてこちらの手駒にしてそのまま殲滅するわ。
…虫って事で炎が効きそうと思ってこのお嬢様の力を使ったけど…どうしてもあのお嬢様を思い出すからこの力はあまり使いたくなかったのよね…。
まぁ、背に腹は代えられないのだけど…。
さぁ、全て燃え尽きなさい!わたしはあのお嬢様と違ってサボったりしないわよ
●最大の厄に他ならない
フレミアは槍を握り締めつつ、不愉快さに顔を歪めていた。
勿論絶え間なく響く、耳障りな蝗の羽音と群衆への厄介さ、そしてそれを行使する神への嫌悪感もあるのだろう。
それもあるのだが、彼女の表情に浮かぶ嫌気は別の理由もあった。
「あのお嬢様は今でも腹が立つわ……!!」
フレミアの装いはその手に赤い槍を持ちながら、どこか魔女を思わせる赤いドレスと鍔広の三角帽子に誂えられた数珠は炎の盛りを思わせる。
かつて相手にした、病を装い民を苦しめた悪辣な吸血鬼に似た装束――その所業を思い出す。
今でもあの振る舞いに腹は立つが力は本物だったならば。
「まぁ、背に腹は代えられないものね……!」
氷雪の中、暴食なる虫を焼き払うのに炎の専門家としてこれ以上は無いだろう。
その風圧だけでも群れの構成を崩しかねない槍の薙ぎ払いと、立て続けに乗せられる業火。
余波だけでこの地に敷き詰められてしまった氷雪を溶かし、轟音を立てて渦巻くそれが次々に黒の群れを飲み込んでいき。
炎のうねりが解かれて消えていく後には何も残らない――飲み込まれた蝗は、極々僅かな灰を残して消えてしまったから。
幸運に同胞やら舞い上げられた氷雪やらで直撃を避けて、その強靭な生命力で生き残りフレミアを喰らおうとしても。
その魔槍は片足千切れた蝗の突撃を迎え撃つように突き出され、その身体を両断し氷雪の中に埋もれさせ。
「わたしのおもちゃにしてあげる♪」
――その骸が正しく眠りに落ちることが無いのは、この地に死霊という形で滅ぼした民を残した彼らの主神への異種返しか。
両断された骸が、氷雪の中より炎揺らめかせる巨人となって蘇れば。
「さぁ全て燃え尽きなさい! わたしはあのお嬢様と違ってサボったりしないわよ!!」
手を抜くことの無き力強き宣言が、炎揺らめかす巨人の体を動かし。
黒き群れに飛び込んだそれは、かつて同胞であったモノを道連れとし燃え上がっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
四季乃・瑠璃
緋瑪「人間まで食べるなんて随分貪欲な虫だね」
瑠璃「時に悪魔の化身とか言われたりもするしね…私達には関係ないけど」
緋瑪「神でも悪魔でも殺すのみ、だね♪」
【チェイン】で分身
緋瑪が【範囲攻撃、属性攻撃、早業】接触式焼夷ボムで焼き払いつつ、瑠璃がボムに手製の致死猛毒を加えた毒ガス爆弾仕様【範囲攻撃、毒使い、早業】で広範囲を一気に殲滅。
その後は緋瑪は引き続き焼夷式ボムで焼き払い時間を稼ぎつつ、瑠璃が後方で【高速詠唱、全力魔法】で【エレメンタルファンタジア】を発動し、「劫火」の「竜巻」で一気に敵を焼き尽くすよ
緋瑪「やっぱり害虫駆除は焼き払うのに限るね♪」
瑠璃「なんでも食べる蝗も毒や炎は無理みたいだね」
●暴食爆弾
二人で一人の殺人姫、多重人格者の瑠璃と緋瑪は蝗の打ち鳴らす顎の音と、そこから漂う生臭い何か、そして死霊達の声より聞いた所業を思い出した。
「人間まで食べるなんて随分貪欲な虫だね」
「時に悪魔の化身とか言われたりもするしね……私達には関係ないけど」
村の命を数多く喰らっておきながら、満腹の二文字を知らぬ餓えた蝗の群れが、柔らかな娘二人の肉を見定めて飛来する。
だが彼らにご馳走されるのは二人の血肉に非ず、緋瑪の投げ放った爆弾――黒の群れに当たるや否や、蝗自体を導火線とし燃え広がっていく炎。
蜥蜴の尻尾斬りのように、燃え盛っていく群れから道連れを避けるように分離した群れが無事でいられるかと言えば。
「神でも悪魔でも殺すのみ、だね♪」
「そういうこと。……行くよ」
瑠璃の投げ放つ爆弾が、切り離された群れに爆炎をお気に召さなかった蝗へと投じられ、圧縮された空気が一瞬にして広がる。
だがその広がるモノは炎ではない――より陰惨に、より僅かな量で。
広がっていく致死の煙……一つ吸い込めば、苦しみの内に藻掻き命を終えるしかない絶望の疫病を振りまく。
「緋瑪」
「時間稼ぎでしょ? 任せて、瑠璃」
明言せずとも次なる行動は分かってる――瑠璃が魔力を高めるのと同時、目に映る残りの群れに緋瑪はその眼を向けて。
次々に投げ放たれていく緋瑪の焼夷弾が、本能的な恐怖に逃げ惑う蝗に追い縋り、時に瑠璃に牙を剥けんとした群れへ壁となって立ちはだかれば。
稼がれた僅かな時は十分、詠唱を終えた瑠璃の手から放たれる劫火の大竜巻がうねり、毒に藻掻き苦しむ蝗をも飲み込み、健在な群れを灰と変えて。
「やっぱり害虫駆除は焼き払うのに限るね♪」
毒ガスも毒ガスで一つの手だけれど――緋瑪の笑う声に、瑠璃もまた穏やかに微笑んで答えた。
「なんでも食べる蝗も毒や炎は無理みたいだね」
喰らえば最後、待ち受けるは死――ある意味、相応しき結末なのだろう。
成功
🔵🔵🔴
ガルディエ・ワールレイド
ここの人間の仇だ。テメェらを討って誰かが生き返るわけでもねぇが……それでもケジメは付けさせて貰うぜ。
……眷属で俺を止められると思うなよ、イーギルシャトー。
来るならテメェが来い。
◆戦闘
《属性攻撃/破魔》を上乗せし強化した【竜神の裁き】と近接戦を織り交ぜて戦闘。
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流。
武器攻撃では複数の敵を《なぎ払い》で攻撃し、また刃を立てた《武器受け》の要領で身を守りつつ敵を斬り捨てる
《オーラ防御》を常に展開
【選択進化】の条件を満たした個体がもしいるなら優先して排除
【竜神の裁き】を放つ直前は敵の群れの近くに踏み込んで、可能な限り多くを射程内に納めるぜ。
●その雷はすなはち……
こいつらも片付ける、と言った手前、退くわけにはいかない。
増して後ろに控える蝗達の主がアレというならば……ガルディエは改めて、翅を喧しく鳴らし牙を打ち鳴らす蝗達に斧槍(ハルバード)と剣を構えた。
「ここの人間の仇だ。テメェらを討って誰かが生き返るわけでもねぇが……それでもケジメは付けさせて貰うぜ」
倒した所で喰らわれた者の命が蘇る訳ではない――蘇ったとしてもオブリビオン――失われた命そのものが戻ることは、もうない。
それでも、然るべき報いは与えられなくてはならない――体に障壁を巡らせて、蝗の群れへと真っ向から飛び込んだガルディエの体から迸る赤い雷。
「この雷は半端じゃねぇぜ。覚悟しな!」
叫びと共に、蝗達が竜の如く群れ為した牙を向けても時は遅く。
秘められし異端の神の力――鮮やか極まりない真紅と、熱と衝撃の暴力たる雷が弾け、異端の神の御使いは神の力の前に塵と消えていき。
圧倒的な神の怒りに等しき力に恐れを為した蝗は、恐慌から同胞を喰らいその肉を以て力を高めていく――だが、力を高めても行使することをガルディエが許す筈もなく。
その手に携えたハルバードの重たい薙ぎ払いが、共食いで数を減らしつつも進化を遂げんとしたそれを薙ぎ払い。
薙ぎ払われ四散する肉体を喰らい進化を遂げようとしても、その前に剛力を乗せたハルバードの斧が真っ向からその脳天をかち割り。
悪循環で脳天を割られたそれを喰らわんとする群れを、再び赤き雷を全身より迸らせ塵に帰して。
唯一の生き残りが、その背後からガルディエを喰らおうとしても。
振り向きざまに魔剣を突き出し、牙を受け止めた勢いで斬り捨てながら、彼は空を見上げる。
「……眷属で俺を止められると思うなよ、イーギルシャトー。来るならテメェが来い」
必ずこの蝗を討った後に来るだろう。
真に討つべきモノの姿を浮かべながら、ガルディエはまた蝗の群れへと駆け出して行った。
大成功
🔵🔵🔵
カイウス・ヘーゲン
「…………」(群れに何の気持ちも湧くことはない。早急に処分する)
【舞蓮漆爪】発動
銃の【オルドルク】を花びらに変え蝗の群れに飛ばす…そして花びらを食わせる
…オルドルクは霊気を集める。蝗の腹の中の花びらに【火属性攻撃、毒使い】による発火と、増えた蝗に発火現象を毒のように引き継がせる。
食い貪ることしかできないのなら、それで貴様らを絶つ
……食うのであれば、食ったものには責を負え
……まあ、オブリビオンである貴様らには、潰えてもらう以外にはないが…
●喰うモノの咎
一体何時までこの蝗の地道な駆除は続くのだろうか。
仕留めても仕留めても、終わりの見えない黒雲……ではあったが、漸く殲滅の兆しが見えてくる。
「……」
悍ましき群れに何の感情も抱くことはない――あと一押しを、確実に、早急に処分するのみ。
カイウスは静かに、長銃を取り出すとそれを天高く掲げて。
「乱れ裂け我が蓮花! 舞連漆爪!」
オルドルクと銘打たれたその長銃は、空中で無数の花弁へと立ち代わり、カイウス自身を喰らわんと飛来する蝗の群れへ舞い踊り。
カイウス自身の血肉の代わりに、その花弁を蝗の腸へと提供する――本能に任せ、飢餓を満たさんとする捕食への盾なのだろうか。
だがその花弁を喰らえば喰らうほどに、折角に減らした蝗の群れは増え続け、折角防壁として生み出した花弁は加速度的に蝗の腹に消えていく。
これではあまりにも悪循環というものではないか――増して得物を変えた花弁ならば、それは実質的に得物を失ったのと同じだろう。
やがては花弁の捕食を終え、増えれば増え続ける程にかの蝗の飢餓は盛り、その牙はカイウスに伸ばされる、が。
「……食うのであれば、食ったものには責を負え」
蝗が突如として藻掻き苦しみ、内側から燃えるように発火して次々と群れが火に覆われて。
それは花弁に変えた銃の特質――霊力を集めるその特質は、腹の中に納まってもその力を以て、蝗に与える……そう、毒と炎という形を以て。
当然のことながら、その毒火の花弁を以て増えた蝗達にも、それは脈々と受け継がれており――蝗達は、己が喰らったモノの恐ろしさも自らの愚かさも気付くことなく燃え尽きていく。
喰らうことしか知らぬ者は、喰らうことで自らの死を招かれたのだ。
「まあ、オブリビオンである貴様らには、潰えてもらう以外にはないが……」
尤も、苦しみの末に喰われた村人と違い、この蝗に理不尽を感じるだけの知能はないのであろうが……一先ずの応報というものだろう。
成功
🔵🔵🔴
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
……あれは?…そう、あれもここが今になった原因の1つ。
数が多いみたいだけど見えている分が全部?残ってないといいんだけど。
でもやる事は1つずつやっていかないと。皆に頼まれたから。
数が多いならこっちも数で応戦を。皆大変だけどお願いね。
群れているみたいだからまずは区分分けを。その後は1体ずつ確実に。
多分、ちょっと齧られると思う。けど気づいたら他に伝えて、叩き落しに。
少し落ち着きそうなら辺りの確認を。大元が寄ってきているかもしれないし。
飛威、あれが来た方向をちょっと確認してみて。もしかしたらもあるかも。
●群れと群れ、眷属と傀儡
飛来する蝗の群れを一目見た瞬間、すぐに分かってしまった。
「……あれは? そう、あれもここが今になった原因の1つ……」
神の眷属として、人の肉を喰らい痛みを残した許し難き蝗の群れ……今、目にしている分で、恐らく最後になるだろう。
それでも十二分に数は多く、厄介なことに変わりはないのかもしれないが。
「でもやる事は1つずつやっていかないと。皆に頼まれたから」
受け継いだ声の為に。
迫りくる蝗の牙打ち鳴らす姿を前に、眞白は広げる――数が相手ならば、こちらも数で対抗しよう。
数自体では敵わないだろうが、一つ一つの質はそれを補い余りに余りあるというものだ。
「皆、大変だけどお願いね」
人形師眞白としての未完成品――とはいうが。
自律に乏しくも相応の戦闘力を備えたそれは、操り手の巧みなる指示に従いて広がり。
絡繰の軍勢は主の意識が向かう先……眞白の感覚が捕える蝗の気配という気配に、忠実な軍隊として立ち向かう。
数で劣るとも、質は比べ物にならないそれらは、数多の群れに唯の一撃も通さぬほどに圧倒的な蹂躙を見せる。
所詮は弱き群れが本能に任せ襲う万騎当万の群が、強く統制を持ち意志の下に動く千騎当億の軍に敵う道理がある筈もなく。
共食いによる増殖をも上回る殲滅を以て叩きのめしていくのだ。
「これで大体?」
人形が最後に生き残った一つを軽く叩き潰し仕留めれば、見渡す限りでは生き残りは存在していない。
万一の討ち漏らしすらも存在はしていないが、眞白にはまだ気にかかることがあった。
「飛威、あれが来た方向をちょっと確認してみて。もしかしたらもあるかも」
眞白の指示に黒髪のメイドの如き人形が頷き、蝗が飛来してきた方向を見るように指示してみれば。
だがその指示も必要のなかったほどに、その「もしかしたら」は来てしまった。
見上げる程の白銀色の巨竜――この災害を齎した、異端の神の姿が、見上げるその先にあった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『白竜の異端神イーギルシャトー』
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POW : 白銀の世界に君臨す
【塗料】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 世界を絶つ氷翼
【自身の血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮捕食態】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ : 極寒の空を往く
全身を【黄金のオーラ】で覆い、自身の【意志の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ガルディエ・ワールレイド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●氷雪の化身
――舞い降りた竜は、何と美しき竜だっただろうか。
眩き白銀の鱗、氷を斬り出したかのような美しく輝く翼――氷山そのものが化身したかの如き、神々しき姿だった。
それこそが氷雪を司る異端の神、名をイーギルシャトーと言う。
竜は猟兵達を見下ろすと、彼らが解き放った村の様相を見て僅かに驚きながらこう言った。
「何故だ……何故、正しき絶望に在るべきモノを解き放った」
正しき絶望、ということを猟兵達が解き放ったこの村の死霊のことを指すのだろうか。
余りにも傲慢に過ぎる神の言動……猟兵から漂う怒りの気配にも構わず、竜は語りを続ける。
「実りは命を育む。育まれた命はやがて欲望を生み出す。欲望は憎悪を呼び、憎悪は争いを呼ぶ……故に」
一つ溜めて、竜は毅然と語る。
「我が『冬』がある……命を閉ざし、欲望に思い上がらぬように。人の争いを生み出させぬ為に……絶望を与える為に」
その言だけを切り取ればそれは正しき神の在り方の一つなのかもしれない。
だがこれまでの所業を鑑みれば……果たして、その竜の言に誠があるのだろうか。
否。
「そうして人は冬を恐れ、それこそが我が力となる。故に……」
この氷雪をより広げてくれよう……と、語ろうとしたが。
先ほどから、かの竜の放つ冷たい気をも焼き尽くしかねないほどに燃えて盛る、猟兵の戦意に改めて気が付くと、竜は溜息を一つ。
「自然を、そして神を畏れぬ愚か者よ」
何処までも冷たく重く響く声で猟兵達への戦意を竜は露わにし、そして雄々しく吠える。
「思い知るが良い! 人が決して抗えぬ、絶対なる力……神と呼ばれる者の力を! 我が名はイーギルシャトー、人の傲慢を阻む氷雪の神なり!!」
******************
宿敵主様より、UC内容の申請ミスで初期設定のままとありましたので、独断でUCの内容を以下のように変更させて頂きます。
●白銀の世界に君臨す
【絶対零度のブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に鋭く突き上がる氷柱を生み出し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
●世界を絶つ氷翼
【周囲に存在する熱】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【肉体と精神を斬り裂く刃】に変化させ、殺傷力を増す。
●極寒の空を往く
全身を【触れる者に絶望を齎す白銀の輝き】で覆い、自身の【氷雪の領域を広げる意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
******************
氷川・権兵衛
「そうとも、貴様は正しく神である。」
権兵衛はイーギルシャトーの神としての在り方に共感する。
「『冬』の到来に備え薪を集めるように、種は己の欲望を糧に絶望へ抗う。抗いきった者達のコロニーはより強化され、後の時代を生き残る礎となる。」
権兵衛は氷雪の化身を挑発する。
「貴様は正しく"淘汰される"神なのだよ。その在り方は実の所、世界によって定められた『自然淘汰』の一部に過ぎない。」
権兵衛の身体の筋肉が不自然に膨らむ。
「見せてやろう、人々の絶望に抗うその先を!」
行動:真の姿になりますが、同時に【代償進化】でケルベロスに変身し暴れます。他の猟兵に配慮して離れた場所で行います。真の姿は火達磨になった狼人間です。
カイム・クローバー
御大層な御託を並べてっけど、よーするに自分の力を誇示したいだけだろ?先に言っといてやる。俺は寒いのは嫌いだ。氷雪の冬のカミサマなんざ俺達が居る限り、出番ねぇよ。
銃弾を撃ちながら接近戦に持ち込んで剣に切り替えるぜ。
黒銀の炎を纏わせる【属性攻撃】と広範囲に炎を振り撒く【範囲攻撃】の組み合わせで【二回攻撃】。空を舞うようなら炎の【衝撃波】、本命はUCの一撃。【串刺し】にて剣を差し込んだ内部からUCをぶち込む。
ブレスは【第六感】で【見切り】、氷柱は一瞬で溶かしてやるよ。
悪いが、カミサマ相手にビビッてたんじゃ、便利屋は務まらねぇんだよ。正しき絶望って奴に依頼された。ゴミ(カミサマ)掃除してくれってよ?
●神殺しの魔犬達
白に煌めく姿は、場に存在し見ているだけでも体温を奪ってしまいそうであった。
氷細工のように輝く鋭い翼を悠然と揺らし、竜は猟兵達にその戦意を向ける――だが竜に対し、彼の言葉を肯定する者がいた。
「そうとも、貴様は正しく神である」
頷く権兵衛の姿に、竜は一瞬だけ口に渦巻かせていた吹雪を収め、その口の端を僅かに吊り上げる。
だがそれに続いた権兵衛の言葉は、決して竜の意見を肯定するものではなかった。
「『冬』の到来に備え薪を集めるように、種は己の欲望を糧に絶望へ抗う。抗いきった者達のコロニーはより強化され、後の時代を生き残る礎となる」
「そうして自らを驕り神に抗い、摂理に逆らい、争いを生み出す。我が『冬』は滅びを閉ざす為の正当なる流れ」
冬の齎すものは絶望だけではない。
絶望があるから、それに抗い生きて強くなる――生き残った者は、潰えた者を礎にその命を繋ぐ。
進化の在り方を説かれても竜は、それこそが傲慢と破滅を生むと言わんばかりにその顎を開き、渦巻く絶対零度の力を束ねた。
だがその束ねた力が権兵衛に吹き付けられることはない。何故ならば、その頬を掠めていた銀の弾丸がそこにあった。
「御大層な御託を並べてっけど、よーするに自分の力を誇示したいだけだろ?」
その弾丸を放った、双頭犬を象った銃を構えカイムは竜の言葉を切り捨てる。
その瞬間に権兵衛は竜とカイムから距離を取り、竜はその怒りの矛先をカイムに向けると絶対零度の吐息を解き放つ。
「先に言っといてやる。俺は寒いのは嫌いだ」
余波だけで魂すらも凍てつきそうなこの冷気――直撃だけは避けながら、銃弾が火を吹き竜の鱗を一つ一つ吹き飛ばしていく。
だが竜の吐息はその威力そのものが恐ろしい訳ではない、吐息が当たった地面より勢いよく突き出る氷柱、天下の名槍もかくやの鋭きそれが突き上がり、竜はそれの上に立つ。
その冷たい威容を更に膨れ上がらせて竜は吠える――だがカイムと権兵衛がそれに屈する筈もない。
「氷雪の冬のカミサマなんざ俺達が居る限り、出番ねぇよ」
「然り。貴様は正しく"淘汰される"神なのだよ。その在り方は実の所、世界によって定められた『自然淘汰』の一部に過ぎない」
竜が熱気に顔を顰める――その視線の先に居たのは、全身を炎で包んだ獣人の姿。
だがそれだけに留まらない、それは一瞬で膨れ上がるとその姿を三つの首を持つ魔犬、遠き異界で神殺しとも称される幻獣の姿。
「見せてやろう、人々の絶望に抗うその先を! さあ逃げ惑え、餓王の御前であるぞ!!」
――ガルルァァァア!!
全身を炎で覆われた三つ首犬<ケルベロス>が吠え、氷柱に立つ竜にその牙を突き立てる。
竜の立つ氷柱すらも一瞬で溶かし、蒸散させ堅牢な鱗に深くその牙を突き立てて。
竜は怒り魔犬を振り払い、再びその吐息を吹き付けんとするが。
「……恐れを知らぬ愚かな民よ! 我が氷雪にて絶望するが良い!!」
「悪いが、カミサマ相手にビビッてたんじゃ、便利屋は務まらねぇんだよ」
だがその吐息は再び邪魔される――頃合を見て接近したカイムの魔剣から放たれる、炎の衝撃波に。
吐息を中断され、怒りの爪を振り下ろそうとしても、カイムの振るう魔剣から放たれた炎が竜を飲み込み、怯んだ隙に権兵衛の転じた魔犬の牙が再び突き刺さり竜を組み伏せて。
「お前の言う正しき絶望って奴に依頼された。ゴミ<カミサマ>掃除してくれってよ?」
――引き受けた依頼は確実に。
便利屋として、そして誓った……特等席で見ているであろう彼らに、恥じぬ戦いを見せてやろう。
「黒銀の業火で全てを焼き尽くせ。遠慮はいらねぇ、受け取りな!!」
組み伏せられた竜に深く、深く翼持つ魔狼が転じた魔剣を突き立てて。
その刀身より解き放たれる黒銀の業火が、氷山の如き竜の体を包み込んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アレグリア・ノーチェス
・・人に欲望があるのは否定しないよ。それによって争いが生まれることも。
けどさ。それが人の全てという訳ではないと私は思う。少なくとも死してなお「もう誰にも私達のような目に合わせるな」と言える人達が、そのような傲慢にはしるようには見えなかった。・・だから。私はそんな人達を絶望させた貴様を許さない。
ここで、私達が倒す!
行動
私は基本はトイフェル・ゲヴェーアの射撃で戦うよ。相手のユーベルコードはあえて受けて、【氷結耐性】と【激痛耐性】で堪えるよ。堪えたらブラッティ・アヴェンジを発動し、その分の戦闘力増加、生命力吸収を駆使して戦おうかな。
(アドリブ・連携大歓迎)
セツナ・クラルス
破壊も再生もない真の無を
正しき絶望――つまり、「希望」と呼ぶと言いたいのかな
成程、それも一つの考えだろう
大いに主張したまえ
しかしながら…不思議だねえ
あなたの「希望」を受け入れた人など、
ただの一人もいなかったよ
誰かの拠り所となるモノを神と呼ぶのだろう?
…同情するよ
誰にも信仰されない神程
哀れなものはないだろう
敵の攻撃は苛烈を極めるだろうか
既に覚悟は済ませてあるよ
私は私のやれることをやるのみだ
属性魔法で炎の壁を創り
破魔の力でコーティング
可能な限り威力を殺し攻撃を受け止める
凌ぎきれたら此方の番だね
受けた攻撃をそのままお返ししよう
孤独な神であるあなたに
この「冬」こそが相応しいのではないかな
●耐え忍ぶ末の
炎に包まれた竜はそのまま溶けて消え去っていくのだろうか……否、竜を包んでいた炎は一瞬で凍り付き白き塵となって消える。
尤もダメージは隠し切れていないのか、竜は荒く息を吐き語る。
「愚かなヒトめ……抗った末に絶望から希望を産む、希望は欲望を生み欲望はやがて争いを生む……」
「……人に欲望があるのは否定しないよ。それによって争いが生まれることも」
呪詛のように己が教義を語る竜に、同じ神であるアレグリアは語る。
神として、人の欲望を否定しない。争いが生まれたことも否定しない――けれども。
「けどそれが人の全てじゃない!」
「争いを呼ぶ者がいる限り、我は齎す! 愚かな滅びの為の希望を阻む為に!」
アレグリアの切なる叫び――無慈悲に命を捨てた神に対する、死人の想いを拾った女神の切なる叫びも、哀れな竜には届くことはなく。
ゆっくりと体に銀の光を纏い、その爪を振り上げんとしたその時、黒衣の男セツナが竜の言葉を否定する。
「つまり――それを『希望』と呼ぶと言いたいのかな? 成程、それも一つの考えだろう。大いに主張したまえ」
竜は口を歪め、女神は下唇を噛む――竜の意見への同意を一応ながら示されたことに。
「しかしながら……不思議だねえ」
首をかしげながら続けられた言葉に、竜もふと爪を振り上げるのを止めてセツナの言葉に聞き入る。
「あなたの『希望』を受け入れた人など、ただの一人もいなかったよ。誰かの拠り所となるモノを神と呼ぶのだろう?」
「!」
セツナの言葉にアレグリアははっとする。
少なくとも、誰かの拠り所には、そう……死して願いを訴えたあの老女の拠り所にはなった筈だ。そしてそれは、間違ってなかった。
対照的に歯噛みする竜に、セツナは僅かに口角を挙げてトドメとなる言葉を投げかけた。
「……同情するよ。誰にも信仰されない神程哀れなものはないだろう」
「ならば今一度思い知れ! そして後悔と共に信仰を知るが良い――冬の絶望へ!!」
竜が吠え、全身に纏った輝きがより苛烈に輝く――己が領域を広げる意志に呼応し、力強く尾を振るう。
アレグリアの放つ銃弾を物ともせずに薙ぎ払われた尾が二人に打ち付けられる。
だがそれは二人の計画の内――セツナは眼前に炎と破魔の壁を作り出し、アレグリアは氷結と激痛への耐性を以て敢て受けきる。
絶大な薙ぎ払いは、その体に纏われた絶望を齎す輝きも相まって二人の心に冬の冷たさが齎す、陰鬱を齎し始めるも。
「孤独な神であるあなたには、この『冬』こそが相応しいのではないかな」
沈みかける心を奮い立たせ、強くセツナはイメージする――この強烈な尾の一撃を返すに相応しいのはやはり竜。
思い描く存在は、目の前の竜――掲げた掌より呼び出された竜、同様に触れたものに絶望を齎す輝きを纏ったそれが、受けた攻撃にも劣らぬ衝撃と絶望を以て竜を伏せ。
同様にアレグリアも沈みかける絶望に抗いながら、絶望が傲慢を制すると言った竜の言葉を思い出す。
「私は、少なくともあの人達が、そのような傲慢に走るようには見えなかった」
思い出すのは願いを聞き届けた老女……死して尚、他の誰も自分と同じ目に遭わせるなと叫んだ。
その気高き意志、切なる願い――竜のいう傲慢に走るとは、とても思えなかった。
「……だから。私はそんな人達を絶望させた貴様を許さない。ここで、私達が倒す!」
溜め込んだ傷と絶望による心の侵食、この血の鎧による戦闘力の増加は十二分――その勢いは、竜のそれをも凌ぎ。
拾った女神として、聞き届けた願いを今こそ叶えるために――絶望を今こそ強く乗り越えて、振るわれる竜の爪を銃弾で叩き落し。
再度引かれる引き金は、竜がたじろぐよりも早く……己が絶望に沈む竜の腕を、女神の応報の銃弾が強く打ち抜いた――!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
正しき絶望?それは貴方の勝手な理屈に過ぎないわ。貴方の傲慢な詭弁よ。
傲慢なる神…貴方はここで果てなさい!!
【ブラッディ・フォール】で「蘇る黒き焔の魔竜」の「黒焔魔竜・ヴェログルス」の力を使用(ヴェログルスの角や翼、尻尾等が付いた人派ドラゴニアンの様な姿に変化)。
自身を【念動力】の防御膜で包み防御。
【生ヲ貪リ喰ラウ黒キ焔蛇】で牽制し、【禍ツ黒焔ノ息吹】で「白銀の世界」を相殺しつつ黒焔を纏った魔槍と共に攻撃。更に敵の傲慢な態度と攻撃を受ける度に【憤怒スル黒竜ノ纏焔】で戦闘力を増強し、敵の戦闘力増強に対抗するわ。
絶望が好みなのよね?だったら、この黒き焔で焼き尽くしてあげる。存分に絶望すると良いわ!
●白き氷雪の竜、黒き焔の竜
崩れ落ちた竜に追い打ちをかけたのは、黒き蛇だった。
絶望を齎す竜の輝きにも沈むことなき黒は、竜の輝きをも飲み込むように絡みつき締め上げ。
その蛇の体を為していた炎が、竜の鱗に入り込み次々と熱の裁きを与えていく。
竜が怒りの目を向けた先にいたのはフレミア――ただし、捻じれた黒き角、闇の靄を纏った赤黒い鱗の翼と尾をもった竜人の如き姿となりて。
「貴様も我が冬の絶望に抗うか! 人の思い上がりを正す絶望に!」
「正しき絶望? それは貴方の勝手な理屈に過ぎないわ。貴方の傲慢な詭弁よ」
竜の叫びを鼻で笑い、竜の言葉を詭弁と切り捨てる――それでも竜はそのフレミアの言葉すらも、意に介さぬように笑う。
「我からすれば、抗えぬ者の詭弁にしか聞こえぬ」
「ッ! 傲慢なる神……貴方はここで果てなさい!!」
嗤う竜の爪と、黒き焔を纏ったフレミアの魔槍が交錯する。
絶望しかないこの世界で、肩を寄せ合い生きてきた者を愚かと見下すその傲慢、抗う意志を見下したその態度に、纏う黒炎は増々燃え盛りフレミアの力を増していく。
絶望を齎す光ごと焼き付くす勢いで、炎纏う槍の一撃が竜の爪を弾き返せば、竜はその口に吹雪を、フレミアはその口に炎を束ねる。
「「カァァァアアーーーッ!!」」
絶対零度の凍気と、全てを焼き尽くす業火の吐息がぶつかり合う。
白と黒、氷と炎、対照的な竜の力が相殺され互いの間に虚無を作り出す――だがフレミアは既にその後を起こしていた。
「絶望が好みなのよね?」
誓ったから――人は決して弱くないことを教えてあげる、と。
無念を晴らすと、そして無念を晴らし必ず弔うと決めたのだから。
今こそ刻み付けてあげよう。
「だったら、この黒き焔で焼き尽くしてあげる……存分に絶望すると良いわ!!」
狙うは腕――先ほど穿たれ、黒蛇に纏わりつかれたその腕へ、深く業火の槍を突き刺し。
白銀の氷雪竜を、黒き魔の炎が激しく包み込むのであった。
成功
🔵🔵🔴
山北・樅
神様は、まだ殺したことないな。
氷雪とか言ってるけど、戦って動き回れば暑くなるし、寒いくらいで丁度良いか。
「…大人しく殺されてよ、傲慢な神様」
味方と攻撃を集中して確実に殺したいし、あると面倒そうな翼を落としたい。
側面から敵の翼に近付いて、根元を狙って【刺天】で貫く。
いけそうならそのまま斬り落として、ダメでも背面に回り込んで首を刺してやりたい。
うまく刺せないなら【刺天】の加速のために、できそうな範囲で装備を外す。
寒さは大して変わらないだろうし恥ずかしくもないけど、やって大丈夫そうな範囲で。
アドリブ・連携歓迎
四季乃・瑠璃
緋瑪「人間を一側面でしか見れない存在が神を騙らないで欲しいねー」
瑠璃「人に仇成すしかない神なんていらない。そんな神はわたし達が殺すのみ…行こう、緋瑪」
緋瑪「おっけー、瑠璃♪」
UCの効果で分身&能力・武装強化
緋瑪が【範囲攻撃、属性攻撃、早業】接触式焼夷ボムで焼き払い、瑠璃が通常の接触式ボムで爆破を掛けつつ二種のボムで攻撃。
攻撃自体は【見切り、第六感、残像】で回避しつつ、敵のフィールドを破壊し、氷雪領域を広げられない様にしつつ隙を突いて爆破やK100による銃撃、機巧を利用した大鎌による斬撃等を連携して叩き込んでいくよ。
後は【力溜め、範囲攻撃】ジェノサイドノヴァでその存在を消し去ってあげる!
●殺すと誓った日から
身体を包む炎を晴らし、竜は吠える――冬の齎す絶望に屈さぬ強き意志を示す者達への怒りか。
その口から荒れ狂う絶対零度の吹雪が放たれ、村の氷雪を更に積もらせていく。
氷河の吐息と、それが生み出す氷柱を躱しつつ、二人で一人の殺人姫の片割れがぼやく。
「人間を一側面でしか見れない存在が神を騙らないで欲しいねー」
竜の語る人間は一つの真理かもしれない、だが全てではない――緋瑪は心底に竜に呆れたように爆弾を投げつける。
解き放たれた爆炎が白銀の体に休む間も与えない炎が包み、竜の進軍を鈍らせる。
「人に仇成すしかない神なんていらない。そんな神はわたし達が殺すのみ……行こう、緋瑪」
「おっけー、瑠璃♪」
そして主人格たる瑠璃の投げ放つ爆弾の衝撃が、竜が氷柱の間に立つことを許さない。
今こそ本気の殺しを行う時だと主人格が語れば、別人格も頷きその手と手を高く打ち合わせる。
「「さぁ、わたし達の殺戮を始めよう」」
命を削るリスクは承知の上――彼女達の体とその得物が悉く輝き、本気の殺しの為の準備が整う。
その傍らで彼女達の放つ爆風の中、それに紛れて駆ける影が一つ。
「……神様は、まだ殺したことないな」
長らく暗殺者として仕事をしてきたが、神殺しまではやったことはない――氷雪とは言っているが、爆風の中、動き回っていれば自然と暑くもなる……寧ろ丁度良くも思える。
氷柱の中、炎と衝撃に揉まれてそれでも尚、立つ竜が吠えたその瞬間。
「でも――約束したから」
竜の翼の、その根元へと突き刺さる短刀……滴る雫は、滅びた者の涙にも似た煌めく軌跡を残す。
鱗の間を狙い突き出された刃が吸い込まれ、竜の肌に真紅の飛沫を散らす――その苦痛に竜は苦しみの雄叫びを挙げた。
「グガアアアアアア!!」
その隙を狙い、瑠璃と緋瑪が投げ放つ爆弾と銃弾の嵐が竜に襲い掛からんとするも、竜は爆発の持つ熱を取り込み、その翼を鋭利な刃と変えて。
振るわれる翼が、爆弾と銃弾、更には殺人姫達の大鎌を薙ぎ払い、樅を短刀ごと振り払う。
幸いに刃の直撃を避けた彼女達は、華麗に地面に着地するが緋瑪が文句を垂れるようにぼやく。
「厄介な翼だねぇ……」
「……ならあの翼は、私が落とす」
「ならフィールドは任せて」
三人は一目で互いを察する――殺ししか出来ることは無いと、それでも殺された無念の為に、その殺しを全力で行うと誓った者同士。
竜が再び吠え氷雪の吐息を放つも、瑠璃と緋瑪がそれを左右に跳び躱し、樅はフードを捨ててより身軽になった動きで摺り抜ける。
神の吐息を受けた地面より再び鋭い氷柱が突き上がるも、瑠璃と緋瑪の放つ爆弾が悉くそれを溶かし蒸発させ。
氷柱を失い僅かに怯んだ竜の足を、爆発の推進を利用した“二人”の大鎌の一閃と、黒き疾風の短刀が斬り裂き更に怯ませる。
「「さぁその存在を消し去ってあげる……!」」
今度は呻く竜が爆風の熱を奪い去るよりも早く。
二人で一人の殺人姫達が、力を束ねる――みんなのありったけの思いをぶつけると誓った、その証を。
殲滅の閃光と名高き、必殺の閃光が竜の体を烈しく灼き竜の勢いを完全に封殺する。
「ウォォォォォ!!」
「……大人しく殺されてよ、傲慢な神様」
閃光に包まれ、よろめき雄叫びを挙げる竜の尾を力強く駆ける――どこまでも速く、この光が収まらぬ内に。
狙いは先ほど付けた根本の傷――刃と化した翼を振るう時も、僅かにその動きは鈍かった。
今度はより深く、より強く――死者の想い、仲間の協力……全てを乗せた妖刀の刃が竜の翼に深く突き刺さり。
斬り飛ばすこと敵わなくも、その腱を完膚無きまでに断ち切り。
竜がその存在に気付き、樅を叩き落そうと手を振るうよりも彼女は速く――その鱗を駆け抜けて。
その先は竜の、項に当たる場所――竜が振るった手が、竜の翼の根本を自ら打ち据える結果となると同時、短刀が竜の頸椎に深く突き刺さっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
煌天宮・サリエス
……神と聞いてどんなものかと気になっていましたが
吸血鬼と特に変わらない傲慢さで安心したよ。
突然ではあるけれど、仮初ではあるけれど天空を司る神。最強と謳われた神の力の一端を見せてあげよう。
天宮星語【金牛宮】を発動。牛の角と牛のしっぽが生え、聖者の光は雷に変わる。
そして、力の代償として猛烈な嵐は訪れる。
この嵐は神の怒りそのもの。吹き荒れる風はブレスを散り散りにし、空に消えるだろう。
降り注ぐ雨は、その冷たさゆえに雹となり、地に突き出す氷柱を貫き崩すだろう。
そして、降り注ぐ雷霆は神の裁きとして竜の身を貫き焼くだろう。
私は、救済を謳うモノとして戦っている。
故に、死者が望んだ復讐を我たしは果たすのだ。
●神と神~天道はここに~
「ここまで神に抗うか……! 愚かな……」
首を抑え、だらりと片翼を下げて竜は憎悪を剥き出しにする。
絶対なる力、人が決して抗えぬ力の化身にここまで抗うことへの憎悪を。
「……神と聞いてどんなものかと気になっていましたが、吸血鬼と特に変わらない傲慢さで安心したよ」
だがその憎悪と傲慢、己以外を下等と見做し力の支配を、暴虐を振りまく様は吸血鬼とまるで変わらない――サリエスは微笑む。
これならば、裁く為に何の躊躇いも必要ない。
「突然ではあるけれど、仮初ではあるけれど天空を司る神。最強と謳われた神の力の一端を見せてあげよう」
竜の憎悪の眼を前にしても、怯むことなく彼はその身に力を降ろす。
「今宵語るは星の伝説。天を仰げば牡牛の座、金牛の宮はそこに在り」
それは大いなる天空の神の力、天に輝く牡牛の力。
雄々しき牛角を生やし、強靭な牛尾を生やす姿は牛頭神――否、黒き翼の天使の元々の姿も相俟ってまるで。
竜はその姿にただならぬものを感じたのか、怒り狂った冬の嵐が如くその口に凍風のうねりを生み出して。
圧倒的な威容を誇る神の力降ろしたサリエスを、氷の内に閉じ込めんと吠えて解き放つ。
「――我が纏うは偉大なる主神の雷であると知れ」
詠唱を終えて解き放たれたのは変化のその代償――吹き荒ぶ風の暴力が、竜の息吹を容易く砕き散らし。
切なる涙の如き激しき雨はその凍土故に雹の鉄槌となりて、突き上がる氷柱を砕き散らし竜の聖域を無としていく。
「私は、救済を謳うモノとして戦っている」
聖痕に刻んだ、死者の苦しみの記憶、その痛みの声を。
そして誓った復讐を。その未練を果たすことを。彼らに次なる生の内に祝福あれと誓った。
「故に、死者が望んだ復讐を我たしは果たすのだ」
故にこの命、この人としての性(サガ)が削れようと惜しくはない。
金牛宮の角から迸る、かつて聖者だった力の雷は、竜の体を貫き裁きを下していくのだ……
成功
🔵🔵🔴
神元・眞白
【WIZ/割りと自由に】
...綺麗。そのままでいてくれるならいいのだけど。
羽や鱗の欠片がお土産になりそう。....冗談。
向かってくるしそうも言っていられないみたい。
それに、あの子の言葉も伝えないと。
大きいだけあって動きは大味?
他の人の動きもあるしこっちは引き付ける動きに。
打ち消しと撹乱。符雨もちょっと手伝って。
打ち消しの為に閃光弾と煙幕弾の準備を。
飛威はその間に目立たない様に接近を。
タイミングを見て差し込んでみて。
大きい分、真下からが良さそう?
冬は冬で1つの時。けれど、季節は巡るもの。だから、次の時まで、お休みなさい。
●巡り巡りて時の中
雷が迸る氷山の如き竜の姿を見て、眞白はふと呟いた。
「……綺麗」
見るだけで魂をも凍てつかされそうな白と、煌めく翼……負傷も多く焼かれた今であってもその美しさは変わらない。
「羽や鱗の欠片がお土産になりそう。……冗談」
「我を、神を畏れぬ者め!!」
ふふ、と微笑む眞白が癪に障ったのか。
竜は更に吠えてその身に白銀の煌めきを纏わせて、体に残る痺れを強引に吹き飛ばす――翼がはためけば、降り積もった氷雪が舞い踊る。
白く覆われていく視界の中、傍らの金髪のメイド……無論、彼女の操る人形の一体であるそれに指示を出す。
「符雨もちょっと手伝って」
頷く符雨と共に投げつけるは閃光と煙幕。
立ち込める煙と閃光が爆ぜ、竜の視界を晦まし冷静さを失っていた竜の知性を更に狂わせる。
同時にそれは注意を眞白に引き付け、仲間が立て直す好機をも与える。
「そうそう。あなたに殺された子が言ってたわ」
竜の進軍を留め、攪乱しながらこれだけは言わなければならない。
向き合って引き継ぐと決意した、少女の言葉を今こそ伝えてあげなくては。
「『最後まで生きたいと思った。ちっとも怖くなんか無かった』って」
「ッ……」
眞白の掌から放たれる白銀の輝き――触れる者に絶望を齎す冬の冷気を象徴する、竜の輝きそのものが放たれれば。
恐れぬ者への怒りを迸らせた竜の纏う輝きを無に変える――それは、まるで死した者が竜の加護を祓うかのような光景であった。
急激に加護を奪われ、飛行の体勢を崩し膝をついた竜に静かに眞白は語る。
「冬は冬で1つの時。けれど、季節は巡るもの。だから、次の時まで、お休みなさい」
その語りが静かな世界に響いたその直後。
竜の腹部から下の氷雪が赤く染まる――それは、眞白のもう一体の従者。
煙幕と閃光の中、密かに迫っていた黒髪のメイド飛威の振るう刀。
下から潜り込んでいた飛威の刃が、竜の腹部を盛大に斬り裂き抜けていったのだった。
成功
🔵🔵🔴
カイウス・ヘーゲン
……冬は、森羅万象の生命の鼓動が鳴り止む"時"
季節という変転する世界の、いわば陰りだ
準じて死ぬ者もいるだろう……
だがその自然が邪な意思を持った瞬間から、それは暴力でしかなくなる
貴様は……ただの病魔でしかない!
【全力魔法、動物使い】、銃に鈴剣を挿し込み、【天狼魔獣グレイガル】召喚
魂まで蝕む翼には、俺とこいつの翼で挑む
【2回攻撃】により両方別々の攻撃を交え、【見切り、傷口をえぐる】で、付けた傷口へ天狼に噛みつかせる
ある程度のダメージは【激痛耐性】で耐える。互いを繋いだ俺達であれば拮抗は可能だ
貴様が曲がりなりにも【冬】だというなら、俺は俺でないもの…天狼と共にこの氷獄を凌ぎきってみせる
霧島・クロト
……まぁ、俺も氷遣いの端くれではあるがなァ。
氷竜と相対したことはねーわけだ。……見せて貰おうじゃねェか
【氷戒装法『貪狼の狩人』】を活かしつつ【空中戦】に。
『凍滅の顎』を構えつつ、【鎧砕き】と氷の【属性攻撃】【マヒ攻撃】【呪殺弾】で
相手の機動力からどんどん奪っていく方向で付け根とかを軸に狙う。
相手の攻撃は出来る限り【見切り】ながら最低限同じ土俵に持ち込めそうなぐらいにはしとかねーとなァ。だめな場合は【オーラ防御】で。
「なーに、傲慢さには傲慢さをぶつけるしかねェじゃねぇか」
「氷竜の力すら呑み込めるぐらいにならねェと、氷遣いとしちゃ半端だからなァ」
※アドリブ・連携・がっつり被弾描写可
●氷竜と氷狼の饗宴
竜の周囲に存在する熱が下がり冷たい空気が漂う――竜の持つ殺気の凄まじさか、或いは竜がその翼を鋭利な刃と変える呪法の代価か。
見ているだけで魂すらも凍えそうなその刃を剥き出しにし、唸る竜を前にカイウスは語り出す。
「……冬は、森羅万象の生命の鼓動が鳴り止む"時"……季節という変転する世界の、いわば陰りだ。準じて死ぬ者もいるだろう……」
「その通りだ。過剰なる命を棄て、人の思い上がりを潰す。それが冬だ」
竜の嗤う声が響き、竜は一歩一歩踏み出していく。
何処までも傲慢な冬と死の化身に対し、怯まずにカイウスは言い放つ。
「だがその自然が邪な意思を持った瞬間から、それは暴力でしかなくなる。貴様は……ただの病魔でしかない!」
「我を病魔と呼ぶか。愚かで傲慢なヒトよ……ならば教えよう。傲慢を諫めるその意味を」
単なる理不尽な暴力でしかない存在は邪悪に顔を歪め正しき理を弾き。
吠えて駆けだし、魂すらも凍てつかす鋭い翼の刃を振るう――それを見切って躱しつつ、カイウスは銃と鈴剣を取り出した。
「どっちが傲慢だ……」
「なーに、傲慢さには傲慢さをぶつけるしかねェじゃねぇか……氷のように頭のガチガチな神様には、な」
霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)もまた、竜の刃を躱しつつ、こっちの方でと言わんばかりに拳銃というには余りにも巨大なそれを取り出し。
目を合わせた二人は違いないと言わんばかりに頷き、詠唱を始める。
「我が身に北天に座す『貪狼』の加護を」
「我が闘志昂る、此の時を番う。心よ、獣を形どれ! 病める過去へ牙を剥け! 逆巻く時に爪を立てろ!」
全身に氷の魔力を纏い、大気の塵をも凍てつかせ弾ける音を響かせてクロトが飛ぶ。
巨大な銃から轟音を立てて放たれる銃弾が狙うは竜の翼――その片方、付け根をやられている好機、完全に叩き潰さんと。
(まぁ、俺も氷遣いの端くれではあるがなァ。氷竜と相対したことはねーわけだ)
竜の翼が羽ばたくごとに吹き荒ぶ冷たい風、極寒の空を往くに相応しき暴力的なその翼を落すように幾度となく付け根に弾丸を打ち込み、竜の飛翔を押し留める。
その間にカイウスは銃に鈴剣を差し込み、力ある言葉を叫ぶ……宛ら異界の鍵を開き幻獣を呼び出すように。
「――吼えろ! 顕界獣グレイガル!!」
呼び出されるはカイウスと同じ緋色の羽をもつ銀色の体毛を持つ狼。
滅びの白に覆われたこの世界に、色鮮やかな羽を散らし空を駆け抜ける――クロトの放つ銃弾に、片翼の付け根を更に穿たれた竜目掛けて。
カイウス自身の鈴剣が走り、銀狼の牙がそれを更に抉るように突き立てられて。
激戦の末に堕とされた氷細工のような片翼が落ち、地面に激突し砕け散る――片翼となり、頼りない飛行になりながら竜の憎悪は冷たく吹雪く。
「……見せて貰おうじゃねェか」
クロトの呟く言葉と同時。
片翼となった筈なのに速度はまるで劣っていない竜の突撃から振るわれる、鋭い翼の刃による斬撃。
巨体を生かした鋭くも冷たい刃が二人に走る……クロトのオーラが、カイウスと銀狼の覚悟が。
それを受け切るも、走ってくるのは冷たい恐怖と心を抉る絶望感……先行きを閉ざす悲しみが、直撃していないにも関わらず走ってくる。
「ッ……成程なぁ。こいつぁ正に、冬の絶望って訳か」
「だが凌ぎ切って見せる! 俺は俺でない者と共に!」
直撃したらどれだけ酷いか……だが、ある者は自らの心の半身と共に。
またある者は、氷遣いの矜持と共に。
「ああ……なら俺は氷遣いだ。氷竜の力すら呑み込めるぐらいにならねェと、半端もいいとこだからなァ!」
冬の絶望という病魔の氷獄を振り切り、驚愕する竜目掛けて。
クロトの氷の波動と麻痺の呪を乗せた弾丸が、千切れた翼の傷口に突き立てられ竜の動きを封じ。
カイウスの鈴剣と銀狼の爪牙が、その首を深く抉り取っていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シン・バントライン
雪と寒さは強大な敵ではあるが嫌いではなかった。
身の凍る気温に晒される懐かしい故郷を思い出す。
雪が地面も空も覆い尽くせば何も見えなくなって、まるで新しい世界に来たように思えた。
全てを凍らせるあの気候は自分にとっては数少ない救いだった。
救いの神はそこに居た。
UCで蛇竜と騎士を呼び出し、フェイントを取り入れ交互に攻撃させる。
飛翔されたら蛇竜の背に騎士を乗せ空を追う。
目視が難しい場面でも第六感で察知。
自分も剣で攻撃。
炎属性を取り入れ、二回攻撃、範囲攻撃でなるべく多くのダメージを狙う。
攻撃は氷結耐性でなんとか耐える。
目や喉など急所を狙うが届かなければ剣を敵に投擲。
この身に宿る神殺しの血は凍ってはいない。
●亡国の恨み
翼を一つ落とされて尚、竜の叫びは衰えることなく。
神の矜持もまた同様、纏う白銀の煌めきは傷ついて尚眩く輝き、魂の奥底から冷えてしまうような絶望感が漂ってくる。
(思い出すな……)
竜が叫び氷雪が舞い、氷が弾ける度にシンが思い返すは望郷の記憶。
身も心も凍ってしまう、正に今のような状況の故国――決して嫌いではなかった。
何もかもが覆われ見えなくなって、自らが新しい世界に来れたような喜びを齎してくれたあの冬は、全てを凍てつかせる気候は紛れもなく彼にとって。
「救いの神はそこにいた。……本当の意味で」
吠える竜を覆面越しの瞳が見据える――だがこれは救いではない。
白銀の煌めき纏う竜の突進に備え呼びつけるのは二つの亡霊、一つは騎士で一つは蛟竜。
凄まじい速度の突進に対し、騎士が剣を構え逆にカウンターを叩き込もうとすれば、竜はそれを上方に飛翔して躱す。
だがこのまま逃げることは許されない――すぐさま、蛟竜が吠え飛翔し追い縋る……その背に、騎士とシンを乗せて。
空を翔る存在を鬱陶しく思ったか、竜は吹雪のブレスを放つが、騎士が上方に跳躍し、蛟竜が急降下して避ける。
そうして跳躍した騎士が頭上からその剣を竜の脳天に振り下ろせば、竜もまともに喰らい思わず身じろぐ。
よろめいたその瞬間、蛟竜が勢いよく迫りその牙を突き立てて。
更に追い打ちをかけるように、シン自身の振るう剣が炎を乗せて斬り上げと斬り下ろしを放ち、熱と斬撃の痛みを与えれば、竜は吠え強引にシン達を振り払う。
「如何に冷たくとも。如何に全てを閉ざそうとも。私のこの身体の」
一瞬だけ触れたオーラに心を侵されて、吹き飛ばされつつも。
シンの狙いは研ぎ澄まされていくばかり……そう。
「この身に宿る神殺しの血は凍ってはいない」
シンの静かな着地と共に竜が片目を抑えて吠える――そこには、振り払われたその瞬間、投げ離れていたシンの剣が突き刺さり熱く炎を噴き上げていた。
成功
🔵🔵🔴
ガルディエ・ワールレイド
善悪問わず、希望も絶望も、全てを消し飛ばしてきた……そんな記憶が俺には有る
真の姿に由来するであろう魂の記憶
だが、今の俺は猟兵なんでな
その絶望だけを消し飛ばしてやるよ
さぁ、一つの神話が終わる時だ、イーギルシャトー!
◆戦闘
真の姿である黒竜となり【黒竜の異端神】使用
《空中戦》で機動、全攻撃が《範囲攻撃》となり《衝撃波》を伴う
《怪力/2回攻撃》で爪牙や尾を用いて近接戦
纏う黒風や赤雷を《属性攻撃》で制御
切り札は《属性攻撃/全力魔法/衝撃波/範囲攻撃》を《力溜め》で増幅する赤雷のドラゴンブレス
【白銀の世界に君臨す】対策
氷柱は可能なら風雷で破壊
空中戦を行うことで使用しにくくさせる
ブレスは、此方もブレスで迎撃
●風雷と氷雪が交わる先
終末は近い――その命を全て出し尽くすかのように、白竜は荒れ狂う。
その姿を衝撃を伴い殴りつけたのは、一つの黒き巨竜、その姿は一言でいえば、黒雲が赤き雷鎚を迸らせる者。
「……貴様は!?」
白竜に近き異端の神の力、それはガルディエの真の姿だった――その姿の魂の記憶が思い起こされる。
破壊の化身として、天罰の体現として、善悪問わず、希望も絶望も、全てを消し飛ばしてきた記憶……しかし。
「だが、今の俺は猟兵なんでな。その絶望だけを消し飛ばしてやるよ」
決意一つ吠える。
「さぁ、一つの神話が終わる時だ、イーギルシャトー! 我こそは風雷領域の支配者。此の真の姿と名は魂と神話に刻まれたもの。即ち、黒竜の異端神ガルディエ!」
迸る黒い暴風雨と、赤き雷が走り白竜の領域を蹂躙していく。
黒竜の宣言に身体を震わせ、白竜もまた白銀の煌めきを纏い、黒竜の蹂躙を押し留めるように吠えた。
「終えるのは貴様の方だガルディエ! 我こそは氷雪領域の支配者。終末と静寂を司り人の傲慢を諫めるもの。即ち、白竜の異端神イーギルシャトー!」
白竜の爪が振るわれる前に、突き出された黒竜の拳がその爪ごと圧し折り白竜の顔面を陥没させ。
魂と身体を引き裂く冬の絶望を体現した刃が振るわれても、黒竜の尾はそれを砕き散らし、白竜の身を強かに打ち据える――絶望など、今の黒竜に在りはしない。
天空にて、氷雪と風雷を司る白と黒の神々が互いの全力をぶつけ合う……尤も、黒竜が終始圧倒していたが。
「さぁ決着を付けようぜ」
開かれる白と黒の顎門――白に絶対零度を、黒に雷鎚が迸り。
呼応して放たれる互いの吐息は、夜闇の世界を彩るように烈しくぶつかり合い拮抗する……だが、それも一瞬のこと。
ほんの一瞬、一瞬だけ……黒竜の、その背を柔らかく押す光のような何かが見えた気がした。
それからその閃光が白竜の吐息が齎す氷柱ごと消し去り、竜の体を飲み込むのは明らか――!
「オノレ! 我ハ貴様ニ負ケルノ、カ……! ガルディエェ……!」
「いいや。勝ったのは“ガルディエ”じゃない」
身体は既に雷に呑まれ塵と化し、残った魂が消えゆく中に恨み言一つ。
その声に頭を振り黒竜は――ガルディエは答えた。
「俺達猟兵と、この村のみんなだ」
――僅かに残った魂すらも完全に消えていく中、白竜が見た者は黒竜の背に柔らかく光り微笑む、滅ぼされた村の民であった。
●雪解けを願う夏のこの日
竜の主張は全てが全て間違っていたわけではなかったかもしれない。
だが竜の為したことは、理不尽な滅びと恐怖を齎し、死後の安らぎすらも奪っただけだった。
だが全ては終わったのだ。
季節の外れも外れて齎された氷雪は、やがては解けるだろう。
理不尽な裁きを嘯いた、傲慢な破壊神の滅びによって。
閉ざされてしまった命はもう戻ることはなくとも、育まれていくこれからの命は守られた。
理不尽な神の暴力によって、死の眠りを与えられることがなかった死者も、もう安らかに眠れるだろう。
これも全ては、氷雪の中でも絶望に抗い怒りを以て奮い立ち、時に優しく、時に熱く死者の苦しみを解き放ち。
凍てつく絶望に抗い闘う意志を示した猟兵達の愛すべき活躍があったからだろう。
誰一人欠けたとしても、この解放と氷雪の神とその眷属への完全なる勝利は存在しえなかった。
ゆっくりと溶けだしていく氷雪の中、元来あるべき夏の焼け付くような暑さをふと懐かしみ。
失われた命の無念を討った知られざる英雄達は、各々の場所に帰っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年07月31日
宿敵
『白竜の異端神イーギルシャトー』
を撃破!
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