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蒼に沈む世界

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「アックス&ウィザーズのとある遺跡に、オブリビオンが出るんだ。近くの人は、怪鳥とか怪魚とか、そんな風に言っていたけれど」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)がそう切り出した。
 そろそろ夏が来て、大層暑くなってくるだろうな、と思う。そんな日のことであった。
「普段なら観光客でにぎわう遺跡だけれども、そのおかげで今はすっかり人が引いてしまってる。……俺たちには、好都合かもしれないけれど」
 何せ護ることが無いのは気が楽だと。リュカは静かにそういった。それから、少し考え込むように間をおいたあとで、
「そういうわけで、人の避難とか、そういうのは考えなくてもいい。から、倒すことに専念してくれればいいよ」
 なお、とリュカは手帳を取り出し、一枚破ってそれを周囲に見せた。
「こっちの鳥のようなものと最初は戦って」
 表面を指差して言う。それから、
「こっちを倒して、あとは遊ぶ」
 遊ぶ、と誰かが言った。遊ぶ。とリュカは頷いた。そうだね、と、しばし何から話すべきかと、整理するような間のあとで、
「この、オブリビオンが出る遺跡から話を始めよう。この遺跡なんだけれども……そうだね。遠い昔の街のあと、みたいなのを想像してくれたらいい。かなり大きな、石造りの街で、背の高い建造物がいくつもあった。……けど、今は水に沈んでる」
 もともと深い谷の間に立てられた街であったのだが、いつ頃か。何が理由かは詳しくはわからないが、少し下の川がせき止められてしまい、そのまま水が溜まり水没してしまったらしいのだとリュカは言う。
「そういう朽ちかけた遺跡なんだけれども、結構水の中に沈んでる姿が綺麗らしくて。そこにたくさんの色とりどりの魚がすんでいるらしいんだけど、その中にこの、水の大蛇がいつの間にかやってきて、一緒に住み着いてしまったみたいなんだ」
 そこまで強くないから、気をつけて戦っていれば勝てるよ、とリュカはいう。言いながら、
「で、道中の崖に、氷凝鳥って言うこの鳥が出る」
 崖、とリュカはいった。崖、と誰かが聞き返した。
「谷になってるって言ったでしょう。両脇が切り立った崖なんだ。……あ、っていっても大丈夫。きちんと、観光用に入るルートがあって、そこから侵入して、戦うことが出来るよ」
 無表情で、淡々と。リュカは言う。大丈夫だよ、と、念を押すようにいってから、
「でも、どの道その後は水没都市での戦闘になるし、そのまま遺跡で遊んでいけるし、水に入っても大丈夫な格好でいくのを推奨する。勿論必須じゃないけどね」
 つまり水着とか、そんな感じ。と。リュカはそういってから、
「こんなに暑いけれど……きっと水の中は涼しいと思う。折角だから、楽しんでこよう」
 と。そう話を締めくくった。


ふじもりみきや
 いつもお世話になり、ありがとうございます。
 ふじもりみきやです。

●全体のご連絡
 一章・二章は早めに〆る予定です。
 大体何時までは大丈夫、という指針は出します。それ以降も、プレイングが提出できる状態であれば提出していただいてもOKです。
 三章はのんびり遊んでいただくために、いつもどおり時間をゆっくり取る予定です。
 三章のみの参加もお気軽にどうぞ。
 三章は、お声かけていただけるのであれば、喜んでリュカもご一緒させていただけたらと思います。

 また、今回一人参加の方は一人での描写になります。
 ほかの一人参加の方と絡みたい場合はその旨プレイングにお書きください。
 ただし、ほかにそういう方がいらっしゃらない場合は、ひとりでの描写となります。

 全編通して水着推奨。
 かとかいって別に普通の服だからペナルティがあるとかはありません。
 ステータスシートは確認するのですが、
 こんな感じの水着にするとか、さらっとプレイングに記載しておいていただけると助かります。
 あんまり分厚い水着描写はしないと思います。
 また、公序良俗に反するプレイングは流します。

●一章
 追加情報どおり。
 21日8時30分より受け付け開始。
 22日の21時ぐらいまでは大丈夫です。それ以降も、プレイングを投稿できる状態であれば是非どうぞ。

●二章
 そのまま落下地点から少し離れた水中での戦闘となります。
 二章から参加の方は、「最初からそこにいた」「実は一緒に降りてきた」「頑張ってカヌーを漕いだ」などとお好きにどうぞ。
 プレイング受付期間と共に、追加情報を記載します。

●三章
 水没遺跡で遊びましょう。
 場所は、一個都市あるぐらいなので相当広いです。
 水から高い建物が時々突き出していますし、完全に沈んでいる場所もあります。
 淡水ですが、熱帯魚のような魚が多数見られます。
 ダイビングをするなり、船をこぐなり、突き出た遺跡で休憩&バーベキューするなり、僅かに残った水上の建物を足場に本気で水鉄砲で戦うなり、好き勝手泳ぐなり、も一回がけから飛び降りるなり、ウォータースライダーのような川流れを楽しむなり、お好きにどうぞ。
 観光客は話を聞きつけてぼちぼち戻ってきますが、
 それほど多くも無いです。選択肢はあまり気にせず楽しんでいただけたらと思います。
 プレイング受付期間と共に、追加情報を記載します。

 以上になります。
 それでは、よい一日を。
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第1章 集団戦 『氷凝鳥』

POW   :    爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ   :    大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ……君たちは、今。
 崖の上にいた!

 足元には深い深い谷間が寝そべっている。
 その間に舞う青い鳥の姿と、そして更にその下に流れる水が見えることだろう。
 その水面は……けっこう……かなり……相当、遠い。
 そしてあの鳥こそは倒すべき敵、氷凝鳥のようである。
 つまりは……こうだ。
 この谷を落ちる。
 落下音を聞きつけて鳥がやってくる。
 落下しながら頑張ってぶん殴って倒す。
 そして下に落ちる。
 以上が、最初の作戦である。
 なお、落下地点は(まったく見えないが)深い深い深い川になっていて、
 巨大な蓮のような植物が群生している。
 そしてその蓮の葉は布団ほどの大きさがあり、それが非常に柔らかく衝撃を受け止めてくれるので、
 落ちてもまったく怪我はないらしい。
 むしろ近所の若者の間では、度胸試しの場としてちょっとした流行の兆しを見せているそうだ。
 なお、その下部分は若干の流れがあり川になっている。そしてまた別の敵が住み着いているそうだが、それはまた別の話である。
 いまはただ、この大いなる一歩を踏み出して敵を倒すべきときである!

※21日8時30分より受け付け開始。
 22日の21時ぐらいまでは大丈夫です。それ以降も、プレイングを投稿できる状態であれば是非どうぞ。
 指定時間より早く送ってくださった方は自動的に流します。そうなると再投稿のタイミングがありませんので、ご注意ください。
 また、戦闘はだいたいおまけです。
 特に指定がなかったら、飛び降り→ぽこんと敵をぶん殴って→どぼんと落ちて→ついでに流されて行くところまで入るかどうか、くらいになります。その辺は適当に書きやすいようにします。
 よほどふざけない限り怪我するとかはないです。細かいことは気にしない方向。
 鳥は空中に飛んでいるので、ロッククライミングして遠距離攻撃を放つとか。
 羽とか色々使ってゆっくり落下するとか、
 やりたいかたは、お好きにどうぞ。
ベイメリア・ミハイロフ
水着姿でまいりますので
濡れても平気、とはいえ
こちらから、飛び降りるのでございますか…
高い所が苦手という訳ではないのでございますが
下が見えないとなると、やはりどきどきいたします

敵の攻撃は絶望の福音にて何が来るかを予測し
SPD攻撃に対しては氷結耐性も活用しつつ
オーラ防御にて防御いたします
攻撃はジャッジメント・クルセイドにて
一撃でも与えたいところ
可能ならば高速詠唱にて2回攻撃したいものでございます

…け、計画は完了いたしました
では、意を決して
し、主よ、お見届けください…!
え、えいぃっ(飛び降り)
ひ、ひゃわあああああああーーー!!!

蓮の葉はどれだけふんわりしているのでしょう
大丈夫、なのでございましょうか



 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は崖から一度、下を見下ろした。
 普段と違う真っ白な水着に、頭の赤い花が揺れている。
 今日は塗れても平気な格好できた。
 そして、話に聞いた限りは安全だ。大丈夫だ。問題ない。死にはしない。
 だが……、
「こちらから、飛び降りるのでございますか……」
 ぐ、と胸を押さえてちらりと視線を帰ると、足元はるか下に舞う青い鳥たちが見える。
 そしてその先は……正直よく解らない。
「高い所が苦手という訳ではないのでございますが……。下が見えないとなると、やはりどきどきいたします」
 だが、いつまでもこうしているわけにもいかないのも事実であった。
 ベイメリアはつつつつつーっと店を仰いで両手を胸の前に組む。
 呼吸を整えて手順をシュミレートする。
「まずは敵の攻撃を。何を繰るのかを予測して……」
 氷結には体勢があるから、大丈夫だ。
 がっつりオーラで防御すれば、恐れることだってないはずだ。
 天からの光を、外すこともない。……外したりなんか、絶対にしない。
 一撃でもいいから、与えたいところである。
 可能なら、高速詠唱2回ほど攻撃できたらベストだ。
 大丈夫だ。頭の中には優雅に舞い降り華麗に敵を倒す自分の姿が見える。見えるったら見える。絶対にほら、今、見えてきた。
「……け、計画は完了いたしました」
 口から漏れた声は思いのほか重かった。なんだかいつもより一段トーンが低かった。
 自分でも自覚はあったがベイメリアは聞かないことにした。ついでに下も見ないことにした。
 では、意を決して……、
「し、主よ、お見届けください……!!」
 え、えいぃっ。と。
 ベイメリアは思い切りよく、空中へと身を躍らせた。
 一瞬。そう。ジャンプしているその瞬間だけは。
 ベイメリアだって平常心でいられた。そして……、
「ひ、ひゃわあああああああーーー!!!」
 悲鳴と共にベイメリアは落下した!
「ひー、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 声が響く。どんどん落ちる、落ちる、落ちる。一瞬で接近してくる青い鳥。
 しゃああああ! と威嚇しているような気がするがベイメリアはもうほとんど何と! 計画していたのか! 思い出せない!
「あああ負け、たり、なんか、しま……!」
 しかし彼女だってそこは猟兵であった。ほぼ体がすることを覚えていた。指を向ける。天からの光は向けた先の青い鳥を確実に撃ち抜いた。
 その成果を確認するまでもなく、ベイメリアはおちる。水面が一瞬で近くなっていく。だがその水は青ではなく大体緑色をしていた。
 蓮の葉だ。それももう、こんな近くに、
「だ、だだだだいだいだいだいだい大丈夫、なのでございま……!!」
 しょうか、という前に体が蓮の埋まった。
 ぼよん。という感触と共に衝撃が殺される。
「……っ」
 思わず全力でベイメリアは蓮にしがみついた。どうやら……生きながらえたようだ。
「主よ……感謝いたします」
 思わずベイメリアは祈りを捧げる。それからほう、と息をつくのであった。
 ベイメリアの光に撃たれた鳥が落ちてきて、水に溶けるようにして消えていく。どうやら無事に、役目を果たせたようであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加

水に濡れると服が重くなりますからね
偶然ではありましたがUDCアースで水着を買っておいて良かったです
競泳水着という泳ぎが速くなる水着だそうで早速出番ですね
しかし普段露出しないもので……長手甲だけは残しておきましょう

落下する前に春暁を呼び出し、彼女にも手伝って貰いましょう
彼女にも攻撃をして敵の気を引き付けて貰い、我々も仕掛けましょう
落下となれば攻撃の隙は少ないですが全く無い訳ではない
倫太郎殿の鎖と春暁の誘導にて敢えて此方へ引き寄せ
敵の攻撃の隙に合せて武器で受け止め、カウンター
早業・2回攻撃の併せにて斬り返します
倫太郎殿の攻撃にも合わせて叩き込みましょう


篝・倫太郎
夜彦(f01521)と
まぁ、水に落ちるの判ってんなら水着のが後々動きやすいからなぁ
着衣水泳とか滅茶苦茶体力使うもんよ

そんな訳で俺はアースカラーのハーフパンツ系の水着で
なるほど、競泳用の水着か……
ははは!まぁ、普段きっちり着込んでるもんな
落ち着かないのは判る

んじゃま、行きますか……
落下しつつ最低一発は鳥を殴る!

拘束術使用
落下する俺と夜彦の攻撃が届く範囲の敵を鎖で攻撃
俺自身は華焔刀で先制攻撃の範囲攻撃でなぎ払い
空中戦で刃先返して2回攻撃!

落下しつつ、だから2撃が精々かー

蓮の葉の上に落下したら
後続で落ちて来る奴の下敷きにならねぇよう注意しとく

ん、大丈夫だな……
(夜彦の髪の竜胆が無事な事にホッと安堵)



「水に濡れると服が重くなりますからね。偶然ではありましたがUDCアースで水着を買っておいて良かったです」
「あー。まぁ、水に落ちるの判ってんなら水着のが後々動きやすいからなぁ。着衣水泳とか滅茶苦茶体力使うもんよ」
 こんなこともあろうかと。と微笑む月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は競泳水着である。きちんと髪もくくる。それを篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は感心したように見ていた。
「きいて下さい倫太郎殿。競泳水着という泳ぎが速くなる水着だそうで。早速出番ですね」
「なるほど、競泳用の水着か……。夜彦らしいっちゃらしいな。で……」
「しかし普段露出しないもので……長手甲だけは残しておきましょう」
 それ、とるのか? という前に回答があった。思わず倫太郎は声を上げて笑う。
「ははは! まぁ、普段きっちり着込んでるもんな。落ち着かないのは判る」
「そうなのです。なんだか涼しくて。倫太郎殿はいかがでしょうか?」
「俺か? 俺は……そうだなぁ」
 別に平気かな、と自分の姿を省みる。アースカラーのハーフパンツ系の水着で、にやりと青い水鉄砲を構えて笑った。
「それよか。こいつが早く火を吹きたいって言ってるみてぇだ。……あれ、この場合は水か?」
「そうですね。恐らく水だと、思います」
「だよな。ま、いいや。……んじゃま、行きますか……!」
「はい。……来たれ、春暁」
 倫太郎の言葉に応えて、夜彦もイヌワシの春暁を召喚する。
「いざ……!」
「おう。参る、ってな!」
 そうしてまったく気負うことなく。
 二人は空へと向かってジャンプした。

「っしゃ、いっくぜー!!」
 声が反響していく。空中でも二人は落ち着き払っていた。なれたものである。一瞬で、鳥たちが飛んでいる区画に行き着いた。
「春暁、お願いします」
 敵も同時に二人を認識する。二人を見る鳥たちの前に、すかさず春暁が立ち塞がった。
 こっちだ。といわんばかりに青い鳥へと突っ込んでいく春暁。しゃああああ。と怒ったように彼女に向かって爪を振るいにくる青い鳥たち。
「ありがとうございます。その隙……見逃しません!」
「ああ。縛めを……くれてやる。こっちだ!」
 釣られるように動く鳥を、倫太郎の災いを縛る見えない鎖が縛り上げ、そして攻撃する。鎖の端をしっかりと倫太郎はもって、
「夜彦!」
「はい!」
 勢いを利用して、一気に二人は鳥へと接近した。
「最低……これぐれぇは!」
 叫ぶと同時に、倫太郎は鳥が動く前に華焔刀を振るう。鳥が爪を伸ばしたのはそれからで、
「……甘いですよ」
 それはすかさず夜彦によって払われた。その反撃で鳥の足が爪後と飛んで、水になって下へと落ちていく。
 そのまま夜彦は無言でもう一度、刀を一閃させた。目にも留まらぬ早業で、曇り無き刃が鳥の片翼を刎ねる。
「倫太郎殿!」
「ああ……!」
 バランスを崩す鳥に、倫太郎も刃を取って返して鳥の腹へと突き刺した。
「……っ」
 トドメをさした瞬間、鳥が見ずになってはじけて消える。縛るものを失い鎖が宙を描いた。
 落ちる。即座に二人は水面へと目を落とす。大丈夫だ、巻き込まれる人もいない。
「は……っ」
「よ……っ、と」
 華麗に蓮の上に着地。
 ずもももも。と二人の体が沈んだ。
 同時にその重力に耐えかねたのか、蓮の茎が切れて流れ出すが、それはまた別の話で。
「ん、大丈夫だな……」
「はい?」
「いや、なんでもねーよ」
 夜彦の髪の花が無事であることを確認して、倫太郎はそっと息を吐いた。
 この長距離落下で一番心配していたのがそれだったということまでは、まあ、口に出さなくていいだろう……とおもっていたのだが、
「もしかして、倫太郎殿。恐ろしかった……のでしょうか。崖」
「いや、違うだろ。違うから」
「そう……ですか? ……とっ」
 若干違う心配をしている夜彦。怪訝そうにした瞬間に、背中から春暁が飛びついた。
「ははは、お前もお疲れさま」
 思わず笑いながらも、倫太郎がその頭を撫でる。それで夜彦も微笑むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

はぁ……。水の中に入るんですよね。最終的に
…………はあぁぁぁ………(深い深いため息)
俺は服はこのままで行きます

この高さから飛び降りる度胸試しって
一般人でやる人がいる事に驚きますよ
怖くはない。が、やろうとは思えない
ましてわくわくするなんて到底理解出来ないんですが……
ああもう、はいはい。そうですよね、行きますよね

諦めきった顔でただただ落下する
視線を感じて見遣れば、笑う顔
はぁ……こちらの気も知らないで

憂さ晴らしにはちょうどいい
勢いを乗せてそのまま、指輪から喚ばった黒闇で串刺し

……蓮を背に暫く空を見遣る
ああ、起きなければ、と思う前に彼女の手を見付け
そうですね
はぐれないように


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

彼の前でずっと水着姿でいることに
恥じらいがないわけじゃないんだけど……

凄いね、下が全然見えないや
怖い?
私はわくわくしてる!
下に向かって飛ぶの、楽しそうだもの
もちろん行くに決まってるでしょ
合図するから一緒に飛ぼう
――せーのっ!

翼をはためかせればゆっくり降りることもできるけど
あくまでペースは合わせて彼の隣に
ちらりとその顔を見遣れば、少しくすぐったくて笑ってしまう
っとと……見えてきたね

重力を乗せた一撃は軽いなんて言わせない
鳥の頭上めがけて渾身の一突き

蓮の上で横たわったまま彼へと目を向けて、その手をぎゅっと握る
手、繋いだままでいい?
はぐれちゃったら心細いなって……



「凄いね、下が全然見えないや」
 明るい日差しの中、心から嬉しそうにオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は声を上げた。
「ね、ね、ヨハンも、そう思うでしょう?」
 ちら。ちら。と、ヨハン・グレイン(闇揺・f05367)はヨハンに視線を向けながら問いかける。
「はあ……」
 しかし返事はため息だった。
「もう、ヨハンったら」
「ちょっと近寄らないでください。暑苦しい」
 ずずい、と踏み込んでくるオルハに、さ、とヨハンは後退する。あまりオルハのほうを見ようとはしない。……今日は、いつも以上に。
 そしてそれは、オルハの着ているものが理由である。オルハは今日は……水着なのだ。
 水色が主で、チョコレート色に可愛くラインがはいっている。自分としては結構かわいいんじゃないかな、って自分で言って笑っていた。が、若干真剣に見返すにはためらわれる。
「うう~。暑苦しいならヨハンも水着を着ればよかったのに」
「俺は服はこのままで行きます。はぁ……。水の中に入るんですよね。最終的に。…………はあぁぁぁ………」
 割と断固とした意思を感じた。むぅ、とオルハも頬を膨らませる。オルハだって恥じらいがないわけではないが……、
「もうもう。こんなに面白そうなのにっ」
 わくわくが、とめられない! みたいな顔してた。恥じらいよりも楽しみが勝ったのだ。ほらほら、って、断崖絶壁、何もない空中を、オルハはぶんぶん、と振る。
「怖い?」
「怖くはない。が、やろうとは思えません」
「えええ。私はわくわくしてる! だってすっごく楽しそうじゃない! どーん、としてぴゅーん、だよ!」
「なんですか、それは。この高さから飛び降りる度胸試しって、一般人でやる人がいる事に驚きますよ。ましてわくわくするなんて到底理解出来ないんですが……」
「下に向かって飛ぶの、楽しそうだよ。もちろん行かなくちゃ。決まってるでしょ」
「はあ……」
 ぴょんぴょんしょうジャンプをしながら主張するオルハに、ヨハンは肩を落とす。肩を落とす……が、
「ああもう、はいはい。そうですよね、行きますよね」
 だめ? と、なんだかきらきらした子犬のような目で見つめられて、ヨハンはついに頷いた。
「……っ、う、うん!!」
 そんな諦めきったヨハンの表情に気づいたのか気づいていないのか。オルハは満面の笑みでぶんぶんと頷いた。
「はいはい。ならいきますよ。そうと決まればさっさと、可及的速やかに……」
「合図するから一緒に飛ぼう!!」
 何か言い出した。って顔をヨハンはしていたが、まったくオルハは気にしない様子で、
「ほら――せーのっ!」
「はいはい。せーの」
 ぴょん!!
 と。
 二人は勢いよく、地を蹴り崖の上から飛び立った。
「ひゃああああー。たーまやー!」
「それ、違いますよ」
 こんなときでも二人は二人だ。あえてオルハは翼を使わずに、ヨハンと一緒に落下する。
 ヨハンも冷静にそんなことを突っ込んでいて、諦めきった顔でただただ下を見つめていた。
「……」
 ふ、とヨハンが顔を横にすれば、きらきら嬉しそうなオルハの顔がヨハンを見返す。
 オルハもまた、ヨハンの顔をくすぐったそうに見つめていたのだが、目が合うとぱあっと笑顔になった。
「楽しいね!!」
「はぁ……こちらの気も知らないで」
「え……どんな気?」
「知りませんよ」
「ええ。ヨハンが言ったのに……。っとと……見えてきたね」
 ここまで一瞬であった。気がつけば青い鳥が目の前に迫っている。
「ああ……。憂さ晴らしにはちょうどいい」
「ええ。憂さってなにー!」
 そんな会話とは裏腹に。ヨハンは即座に指輪から黒い闇を喚びだした。
「はあ……なんでも言わせないでくださいよ。……と!」
 細く穿つように。一気に闇が鳥の首を串刺しにする。
「何だって、ヨハンの声は聞きたいんだよー! でも、今は……!」
 形を失い水となって消えていく鳥。それを横目にオルハも三叉槍を両手で握り締めた。その勢いのまま、全ての力をこめて、真下にいた鳥の頭にまっすぐ、刃を突き刺す。
「……っ」
 一撃。声もなく崩れ落ちる鳥に、一瞬だけバランスが崩れる。……と、思ったら、
「はわっ」
「ぐ……!」
 ずもも。
 ずももももももん。
 なんだか蓮にありえない感触で二人はそのはの上にのめりこんだ。ばいん、とはじけて蓮は元の水平の形に戻る。
 ぽーん。と一度軽くバウンドして、二人は蓮の葉の上に転がった。丁度二人寝転べる大きさの蓮であった。
「わ」
「……」
 そして上から水が降ってきた。先ほど二人が倒した鳥のものであろう。もうただの真水で、
「あはは、つめたーい。きらきらしてるよヨハン!!」
「はあ……」
 オルハが片手を掲げて笑うので、ヨハンは息をついた。ぼんやりと空を見て。ああ。起きなければと思ったそのとき。
「……」
 きゅっとヨハンの手を、暖かいオルハの手が握った。
「手、繋いだままでいい? はぐれちゃったら心細いなって……」
 衝撃で蓮の葉は茎から離れたのであろうか。ゆっくりと流れ出していく。
 空の景色も変わっていく。ヨハンも小さく頷いて、
「そうですね。はぐれないように」
 きゅっとその手を、握り返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
落ちてる、落ちてる。
アァ……落ちている。
最近落ちるコトが多いなァ……。
アイツは自慢の羽で飛んでいる。
アァ、いやだいやだ。

賢い君、賢い君、このまま落ちるとどーなる?
どーなると思う?
どぼーん。うんうん、そうだよなァ。そう思う。
やっぱり君の糸をあのでっかい鳥に結ぼう
喜ぶに違いない。
一気にどぼーんも無くなるだろう。

やっぱり賢いなァ……。
君の糸を鳥の翼目掛けて放つ
アカイイトが青色に映えてイイなァ。
アァ……もうすぐどぼーん。
覚悟はイイか?
うんうん、一緒に落ちよう。

3・2・1……

(シンプルな黒い水着を着用)



 エンジ・カラカ(六月・f06959)にためらいはなかった。
 シンプルな水着に着替えて、
 ぽんと大地を蹴飛ばして。
 ふんわり空へと身を躍らせれば、
「あァ……落ちてる、落ちてる」
 後は一直線。落下するだけである。
「アァ……落ちている。最近落ちるコトが多いなァ……」
 恐ろしくはない。ただ淡々と臓腑が浮くような落下感は、愉快なのか不快なのか。自分でも自分でもよく解らない。
 なんとなく、この胸の空くような感覚と……、
「アイツ、自慢の羽で飛んでいるなァ。アァ、いやだいやだ」
 どんどん近くなってくる。青い鳥の姿がここにあった。
 青い鳥は既にエンジのことに気づいている。羽を羽ばたかせつつ、攻撃の準備をしているのがここからでも見て取れる。
 威嚇するような声を上げているのであろう。得意げなその姿に、エンジはかり、と軽く自分の左手の薬指を親指で掻くように弾いた。
「賢い君、賢い君、このまま落ちるとどーなる? どーなると思う?」
 そうしている間にも、鳥との距離はどんどん短くなっていっている。
 それはすなわち、水面へと近付いていることも、エンジにはわかっていた。
 声をかけられたのはエンジの拷問具、賢い君だ。
 無論応えは帰らないが、エンジはうん、うん。と、ひとつ頷く。
「どぼーん。うんうん、そうだよなァ。そう思う。だから……」
 ならばやるべきことは決まっていた。若干悪戯をたくらむような声音をエンジは口に出す。笑っているような声であったが、顔は笑っていなかった。冷静に。いいことを思いついた。なんて口にしながら、
「きーめた。やっぱり君の糸をあのでっかい鳥に結ぼう。喜ぶに違いない」
 賢い君から放たれた赤い糸を、同時に投げつけた。
「一気にどぼーんも無くなるだろう。……そぉれ」
 鳥とすれ違うその一瞬。投げつけられた賢い君の赤い糸が、くるくると鳥に絡まる。締め上げられた鳥に、それにぶら下がるようにエンジの落下速度も一瞬、弱まる。
「アカイイトが青色に映えてイイなァ。賢い君は今日も綺麗だなぁ。……あァ」
 そして鳥もエンジの落下速度に耐えられず、一緒に引きずられるようにして水面に落ちていく。
「アァ……もうすぐどぼーん。覚悟はイイか?」
 といっても足元は緑。蓮の葉の下に落下することをエンジも気づいていた。……故に。
「うんうん、一緒に落ちよう」
 なんて、嘯くと共に。エンジは体をひねって、
 そのまま一直線に落下した。

「3・2・1……そら!」
 柔らかい蓮の上へと落ちていくエンジ。しかし即座に赤い糸を振り回して、鳥をぶん投げて蓮のない水面へと叩きつける。
 派手な水しぶきが上がる。水にぶち当たった瞬間、鳥は水になってエンジの前から消失した。賢い君から消える手ごたえに、おぉー。とエンジは声を上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛/f01585

いやいやいや!
無理だが!?
跳ぶとか! この高さから跳んで! 落ちるとかあ!!
むーりーだーがー!!
あとワガハイ水着とか持ってなアアーっ(引っ張られ悲鳴をあげながら落ちる)

ひいいい死ぬ! ワガハイ死ぬ!!
臓物撒き散らして死ぬいいいいいやああああ
(悲鳴をあげて落下阻止できるガジェットを出そうとしては投げ捨てそれが敵にボコボコぶつかる)

ぁぁぁぁぁあああああ(ドップラー効果)オアーッ!!(ぽぷーん)
はあはあはあはあ、ワガハイ死んだはい死んだ絶対死
生キテルゥー!?(裏声)
生きててよかった!!
……ところでなんでオヌシ水着姿でワガハイ抱えておるのだ(ショックで記憶の消えた賢者であった)


三咲・織愛
ムーくん(f09868)と

見て見てムーくん! 水着かわいいでしょうーっ
くるっと回ってみせてから、谷底を覗き
わぁ、見てください
この谷すっごく深いです。ほら、水面があんな遠くに

こういうのは度胸ですよ! 躊躇うと怖くなっちゃいます
ほーらー。行きましょう! がっしと手をとり引きずって
えいっ! とダイブ

わぁー! すごーい! 風が気持ちいいですね!
もちろんちゃんと仕事もします!
はあぁっ! と気合を入れて手当たり次第に鳥さんをぼっこぼこにします

ぼっふんと蓮に着地した後は、へろへろのムーくんを受け止めて
さあさあ、しっかりしてください
次に向かいますよ! とムーくんをお姫様抱っこしながらきりりと決め!



「見て見てムーくん! 水着かわいいでしょうーっ」
 三咲・織愛(綾綴・f01585)が明るい声をあげている。可愛いブラウン系の水着を示すように、ひらひらと白いパーカーを振っている。
「ほらほらほら。ね、ムーくん!」
 くるりと一回転。正直そのしぐさはとても可愛かった。……可愛かったと、はたから見ている人がいたら、思っていたに違いない。
 しかしながら。当のムー君ことムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)はいつもの服装のまま少しはなれたところで小さくまるまっこくなってがたがたと震えているのでちっとも見えていないのであった!
「あああ何を。今度は何を。地の底から響く声がワガハイを呼んでいるではないか。さてはオヌシ。前々から思っていたが、ひどいな!?」
 崖からなるべく遠くへ。遠くへと離れているムルヘルベル。しかし無常にも織愛は……、
「ほらほらムー君。そんなところでいたら見えませんよー」
「ひぃぃぃぃ、引っ張るな、引っ張るでないー!」
 首根っこを引っつかんで、ずるずると崖のふちまでムルヘルベルを運んでいるのであった。
「わぁ、見てください。この谷すっごく深いです。ほら、水面があんな遠くに」
 まるで、「今日はとっても二時が綺麗ね!」みたい名乗りで指をさす織愛に、ムルヘルベルが飛びのこうとする。が、逃げられない!
「いやいやいや! 無理だが!? 跳ぶとか! この高さから跳んで! 落ちるとかあ!!」
「大丈夫ですよー。有名な観光スポットだっていってたじゃないですか。みんな遊んでる安全なものです」
「むーりーだーがー!!」
「こういうのは度胸ですよ! 躊躇うと怖くなっちゃいます。ほーらー。行きましょう!」
 織愛はムルヘルベルの話を聞いているのか。
 いや、聞いていてそう応えているのだろう。余計たちが悪い!! と、ムルヘルベルが考えるより早く。
 首根っこを掴んでいた手が一瞬はなれ、がっしとその手がつかまれた。
「えいっ! どーん!」
「あとワガハイ水着とか持ってなアアーっ」
 ムルヘルベルの悲鳴が、周囲にこだましていた……。

「ひいいい死ぬ! ワガハイ死ぬ!! 臓物撒き散らして死ぬいいいいいやああああ」
「わぁー! すごーい! 風が気持ちいいですね!」
「いやだー。もういやだー!! ワガハイおうちへ帰るー!!」
「ひゃー! おうちにこんな崖があったらきっと楽しいですね!!」
 落下する。落下する。落下する。
「き、きたぁぁぁ!! 何か青いの!」
「あっ、もちろんちゃんと仕事もします!」
 ムルヘルベルの悲鳴と共に、ふんすと織愛も繋いだ手に力をこめながら、もう片方の手にある、綺羅星のような装飾が光る、仄かに輝くナックルダスターに力をこめる。
 すれ違うのは一瞬である。しかし織愛がその瞬間を逃すはずがない。
「はあぁっ!」
 気合をひとつ。そして落下しながらも的確に接近してくる敵たちを拳でボッコボコにしていく。
「そう……まるで箒星のように!」
 自分で言ってみたが、いつもならあるはずのムルヘルベルからの突っ込みはなかった。ムルヘルベルといえば、
「あああ。これか。あれか。それかぁぁぁぁ!」
 落下阻止できそうなガジェットを、捜し求めてぽこぽこぽこぽこなにか変なものを出しては鳥へと向かってちぎっては投げ、ちぎっては投げしていた。それが鳥に当たり、倒していっている事に、本人はまったく気づいていない。
 鳥は倒されると水に返事、水音を立てて落ちていく。
「ひぁぁ。水の音ー!」
「あ、はい、もうすぐ水面ですね」
「ぁぁぁぁぁあああああ……オアーッ!!」
 今までにない斬新な叫び声と共に、
 ムルヘルベルと織愛は蓮の上へと落下した。
 ぼすん。
 ごろごろごろごろごろごろごろ。
 がしっ。
 落下の勢いと共に転がるムルヘルベル。そのままバウンドして一度浮かび上がり、そのまま放物線を描いて水に落ちそうになるのを、先に上手に着地し体勢を整えていた織愛がキャッチした。。
「はあはあはあはあ、ワガハイ死んだはい死んだ絶対死……生キテルゥー!?」
「はい。もちろん、生きてますよー」
 お姫様抱っこできりりと受け止める織愛を、ムルヘルベルは思わずひしと抱きしめる。
「生きててよかった!! ……ところでなんでオヌシ水着姿でワガハイ抱えておるのだ」
「う、うーん」
 どうやら衝撃で記憶が飛んだらしい。真顔で言うムルヘルベルに、織愛はしばらく考え込み、
「さあさあ、しっかりしてください。次に向かいますよ!」
 ごまかした。きっとたぶんそれが、ムルヘルベルのためなのだ。……たぶん。
「……ところでこの地面、動いておらんか?」
「あ、ほんとだ。動いていますねえ」
 そして衝撃で蓮の葉は千切れたのか。つつつ、と水面を滑り出していく。
「ワガハイ、すっごく嫌な予感がするのじゃが!」
「はい、楽しそうですねー」
 ふふふ。と、織愛からは笑みがこぼれる。これはきっと……と言うような予感が少しあって。けれどもそれは口に出さずに笑うので、
「なんだか流れが速くなっていくようなきが、するのじゃが!」
「はいっ」
 心弾ませる織愛の姿に、ぐぬぬとムルヘルベル言葉に詰まる。……それから、いつまで抱えられているのだろうかなんて。ちょっとだけ考えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
ソヨゴの水着がかわい過ぎて
ふふっと口元がゆるむのをなるべくバレないように意識して
冷静に
いいネ。水着似合ってる
いや、感情無さ過ぎ
笑顔を追加して
ホットパンツがおそろいだネ
と微笑みかけ

あら?ソヨゴの反応が少しおかしい気が
危ない!
危険を察したらあわてて腕を掴んで僕の方に引き寄せる
どうしたの?
不思議そうに顔をのぞきこみ

鳥を?
OK倒しに行こう
タイミングを合わせて飛ぼう
できるだけソヨゴと離れないように

では空中戦だ
Phantom Painを用意
威力より命中率と装弾数を重視する
敵がソヨゴに近づき過ぎないように牽制
電脳ゴーグルをリンクさせて命中率を上げよう
数撃てば当たる
逃げ場はないネ


城島・冬青
・アヤネさん(f00432)と
アヤネさんは大人っぽい水着ですね

口に出さないけど思った以上に胸大きいな…とかホットパンツに隠れてるけどビキニが大胆だな…とか色々思う
あとなんかアヤネさんの柔らかそうな唇にこう…つい視線がいってしm…
うぎゃー!
私はっ
ふしだらなっ
娘ですっ!(その辺の岩に頭をぶつけて冷静になろうとする)
アヤネさんが私の奇行を止めてくれるけど強く引っ張っられて…抱きしめられるような形に…
〜〜〜!!
すみませんっ!(真っ赤になって離れる)

と、鳥を倒しましょう!
今すぐにっ
照れを振り切るように
【ダッシュ】で谷を落下!
とりゃあー
刀を抜き【衝撃波】で寄ってきた鳥達を吹き飛ばす
八つ当たり?違いますよ!



 城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)は、
 近場の岩と真剣に見詰め合っていた!
「ああ……っ」
 声が漏れる。
「うぎゃー!」
 奇声が走る。
「私はっ、ふしだらなっ、娘ですっ!」
「危ない!」
 そのままがつん!!! と。
 全力で頭を自分から岩にぶつけようとする冬青に、さっきまで崖を覗き込んで奇声を聞いていなかったアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)があわててその腕を掴んだ。
「???!! す、すみませんっ!」
「う、うん。どうしたの? だいじょうぶ?」
 いつもと違う様子に、冬青を抱き寄せるアヤネ。怪訝そうに首をかしげたが、一方の冬青は真っ赤になっていて、
「いいえあのですねあのですねー」
「うん??」
「と、鳥を倒しましょう! 今すぐにっ」
 ががっ。と叫ぶ冬青に、アヤネは瞬きをひとつした。
「鳥を? OK倒しに行こう」
 じゃ、改めて飛ぼうかと。
 二人は崖の上から、その下を覗きこんだ。

 冬青がおかしくなったのは、今から数分前にさかのぼる。
(ソヨゴの水着、かわいいなあ。いや、ソヨゴの水着がかわい過ぎて)
 崖の上で着替えて集合した二人は。普段とは違う水着姿で。
 それでも冬青はいつものように。元気いっぱいで可愛い姿をしていて。
(水着でもやっぱりソヨゴは変わらないな……)
 口元が緩むのを、なるべくばれないようにアヤネは苦労して隠すしかなかった。
(冷静に、冷静に……と)
「いいネ。水着似合ってる」
 口に下言葉はわざとらしく感情がなさ過ぎた気がして、アヤネはそこに笑顔を追加する。
「ホットパンツがおそろいだネ」
 そしてそう追加した。
「そ、そうですか? アヤネさんは大人っぽい水着ですね……」
 そんなアヤネの笑顔を受けて、冬青はちょっと視線をそらす。
 じりじり。アヤネから離れていく冬青。
「ねえ、今回の敵なんだけどネ……」
 アヤネはつとめて冷静に、崖のほうに視線を移す。その横顔に、
(アヤネさん……口に出さないけど思った以上に胸大きいな……)
 なんて。冬青のほうは考えていたりして。じりじり。
(ていうかホットパンツに隠れてるけどビキニが大胆だな……)
 じりじり。
 じりじりしながら、そんな風にアヤネを見つめていて。それから、
(あとなんかアヤネさんの柔らかそうな唇がこう……唇。そう唇が……、……!!)
(あら? ソヨゴの反応が少しおかしい気が)
 なんであんな遠くにいるのだろうと。アヤネが冬青を見る。冬青と目が合う。その瞬間、
 徐に冬青が岩へと向き合ったので、アヤネはあわててそちらへ向かったのであった。

「とにかく、いきましょう!」
 そんな照れを振りきるように、冬青は首を横にふる。
「ああ。タイミングを合わせて飛ぼう。ソヨゴ、出来るだけ離れないように」
「は、はい! とりゃー!!」
 ぼん。と、アヤネは何かを振りきるように勢いよく。空へとジャンプした。アヤネも冷静に、その後に続く。
「では……空中戦だ」
「はい、やっちゃいます!
 アヤネが中距離制圧用アサルトライフルを構えて空中でけん制するように撃ちまくる。電脳ゴーグルをリンクさせて、上から足元の鳥を銃弾の雨をばら撒くように撃っていく。
「数撃てば当たる。逃げ場はないネ!」
「はい。敵と接近します!! 切り裂け、疾風!!」
 最初の銃撃である程度敵を減らしたところで、アヤネも刀を抜いて突入する。衝撃波で弱った鳥を吹き飛ばしていく。
「八つ当たり? 違いますよ!」
 煩悩を振りきっているだけです! とまでは流石にいわなかった。なのに、
「八つ当たり? なんの?」
「ひ、ひみつです!」
 わざわざアヤネに突っ込まれて、あわてて冬青は首を横に振るのであった。
 冬青の力強い刀捌きとアヤネの援護で、鳥が水に変わり落ちていく。
 そして二人も同時には巣の上へと、ぼすんぼすんと落下した。
「ふぁっ」
「おっと」
 柔らかいお布団に包まれるような感触で、二人の自由落下の旅はひとまず、終わりを告げるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
ほー?つまりは飛び込み台か…いいね
スリル味わえるのは好きだぜ?勿論遊びで行くんじゃねえけどさ
飛び込む前に一応注意喚起しとくか
俺の周囲…そうだな、50m以内に入らないように頼む
流石に味方を吹っ飛ばすわけにはいかねえからな

わざわざ降りてる最中に殴るなんざ面倒くせえ
攻撃ごと、範囲内の奴らを吹っ飛ばして終いだ
セットアップ、ヴォイド!!
消えちまいなァ!!

よーし、後は落ちるだけ…(その時端役に電流走る)
あれ?俺最近泳ぎ覚えたばかりなんだけど、これいけるのか?
つかこの後水中戦じゃん
────えっ、結構不安になって来た
帰……れはしないよなぁ
ええい、こうなりゃ覚悟を決めるか
ぶっつけ本番上等だっつーの!!



「ほー? つまりは飛び込み台か……いいね」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は崖の上から、にやりと笑った。
 サングラスをかけなおし、水着姿で準備万端。足元の鳥たちを不敵に見下ろしている。
「スリル味わえるのは好きだぜ? 勿論遊びで行くんじゃねえけどさ」
 心の底から楽しげに。軽くそうして地を蹴り飛び込もう……として。
「っと、そうだ。飛び込む前に一応注意喚起しとくか」
 谷は広い。故にかぶることはないだろうが、何かあっては悪いので、ひとまずヴィクティムは声を上げる。
「俺の周囲……そうだな、50m以内に入らないように頼む。流石に味方を吹っ飛ばすわけにはいかねえからな!」
 声を上げる。そして周囲に人がいないことを確認して、ヴィクティムは徐に崖の下に視線をやった。
「わざわざ降りてる最中に殴るなんざ面倒くせえ。攻撃ごと、範囲内の奴らを吹っ飛ばして終いだ。セットアップ、ヴォイド!! 消えちまいなァ!!」
 ヴィクティムが作り出したのは、物質をデータ化して消滅させるプログラムである。自分の周囲を無差別に攻撃するそれを、
「悪ィがまとめて消えてもらう! NO.008ヴォイド、フューミゲイション!」
 ヴィクティムは谷底にいる敵を狙って解き放った。
 周囲は一瞬にして静かになる。それを満足げにヴィクティムは確認して、
「よしよし。これで面倒ごとは片付いた。よーし、後は落ちるだけ……」
 ご機嫌に、綺麗になった崖の上から下を見つめる。そのときふと、ヴィクティムの体に電流のようなものが走った。
「……あれ?」
 そういえば。
「俺最近泳ぎ覚えたばかりなんだけど、これいけるのか?」
 そうであった。
「つかこの後水中戦じゃん」
 大丈夫じゃろうか。と。思わず口の中で呟くが、答えは勿論帰ってこない。
「────えっ、結構不安になって来た。帰……れはしないよなぁ」
 まあ帰ってもいいだろうけれども。誰も止めないだろうけれども……ここで変えるのもなんだかしゃくだと。ヴィクティムはひとつ。胸の中でそう呟いて、
「ええい、こうなりゃ覚悟を決めるか。ぶっつけ本番上等だっつーの!!」
 どーん! と崖の上から身を躍らせたのであった。
 着地地点には受け止めようの蓮がある。きっと大丈夫だろう。……たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
水着:空色に魚柄、犬耳付きパーカー着用
「SPDで判定」

青いとりさんはっけーん!えーと、あのとりさん目指しておちていけばいいんだよねっ?おちるなんてはじめてだから、ちょっとわくわくしてきたよ(そわそわ)
それじゃあ、いっくよー!えいっ!(そわそわしながら飛び降り)
わわっ、すごい、とぶとこんな感じなんだ?むむ、たいせいがうまくとりづらいけど…うん、そうも言ってられないみたいだね。
青いとりさんが上がってきたら、舞風をつかって羽のあたりをねらってみるね!(敵の体勢を崩せたり落下させられたら
「おちるのってけっこうたのしいよねっ!君もいっしょにどうっ?」



「わ~」
 ひゅうぅ、と風が吹いている。叶・景雪(氷刃の・f03754)は足元に横たわる深い深い谷というか崖というか。
 とにかくなんともものすごいものを見つめていた。
 本来の人間ならば、肝が冷えることだろう。……けれども、
「青いとりさんはっけーん! えーと、あのとりさん目指しておちていけばいいんだよねっ?」
 景雪は元気に目元に手をやって、そして足元の鳥を見つめ嬉しそうな声をあげるのであった。
 今日は空色に魚柄の水着に、犬耳付きパーカー着用を着用している。遊ぶ気満々である。
「おちるなんてはじめてだから、ちょっとわくわくしてきたよ」
 えいえい。と、軽く足を動かして準備運動。
 今にも飛んでいきそうに軽くジャンプ。
 そして……、
「それじゃあ、いっくよー! えいっ!」
 そわそわしながら。ぴょん! と、景雪は崖から飛び降りた!
「わわっ、すごい、とぶとこんな感じなんだ?」
 わあわあ。とはしゃぐような声を景雪は上げる。体の一部が置いていかれるような間隔。足をばたばたしてみても何も手ごたえがない不安。
 恐ろしいはずなのに、いや、だからこそだろうか。新鮮なその感覚。
 足から落下したいと足をばたつかせれば、くるくると景雪はその場で一回転。
「むむ、たいせいがうまくとりづらいけど……うん、そうも言ってられないみたいだね」
 背中から落ちる体勢に入ってしまい、景雪はばたばたする。それでもなんとか、頭を下に。すなわち敵が目に入るように体を動かしたころには、青い鳥も景雪を見つけて氷の矢を飛ばし景雪煮向かって来ていた!
「とりさん! もうすぐ、そっちにいくよ!」
 きしゃああ、と声を上げる鳥にもひるまない。
「いちげき必殺、とはいかないけれど。そのぶん、手数でしょうぶだよ!」
 自分の本体である短刀をいくつも作り出し、景雪は鳥の翼辺りを狙う。
「おちるのってけっこうたのしいよねっ! 君もいっしょにどうっ?」
 それをバラバラに鳥へと突き立て、鳥がバランスを崩した隙に景雪はそう声を上げた。
 落下していく鳥と共に、景雪も落下する。途中、鳥は溶けるように水へと変化して地面へと叩きつけられていく。
「わあっ」
 ぼよん。
 一方蓮の上に落下した景雪は、ごろんとその上に転がって見事着地。そのまま寝転がるように一回転するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD】

水に沈む古の街か…良いね、すっごい浪漫じゃないか!
その為なら露払いも喜んでしよう、水場での戦いなら新調したばかりの水着もお披露目できるしね

黒のパーカーに同色のハーフパンツ型水着、あ、サポーターをちゃんと穿いていかないとね
足場が足場だから靴は自前の魔術ブーツにしておこうかな

ガジェットを魔銃に変更、所謂ガン=カタスタイルで銃撃と蹴り主体で戦おう
両手の銃を叩き込み、蹴りで重要な器官を破壊して体制を崩す…残酷な様だけど、済まないね
自前のサイバーアイで敵の挙動・弱点属性を割り出して優位に立てる様に留意
いずれにも弱点の属性攻撃を乗せ、連撃を叩き込むとしよう

氷柱雨は鞭に炎の属性を撒き散らす、無駄さ



「水に沈む古の街か……良いね、すっごい浪漫じゃないか!」
 ふふ。と話を聞いたとき。ヴォルフガング・ディーツェ(咎狼・f09192)はとてもご機嫌でそう笑った。
「その為なら露払いも喜んでしよう、水場での戦いなら新調したばかりの水着もお披露目できるしね」
 なんて。楽しみ楽しみと。ご機嫌に飛び跳ねながら、ヴォルフガングも軽く崖の上で準備体操をする。黒のパーカーと同色のハーフパンツ型水着を着用して……、
「あ、サポーターをちゃんと穿いていかないとね。足場が足場だから靴は自前の魔術ブーツにしておこうかな」
 どこか遠足にいくわんこのようにわくわくした様子で靴を準備していた。
 そしてガジェットも魔銃に変更する。
「よーし、準備万端。それじゃ……」
 突入! と。
 ヴォルフガングは崖の上から、ぽーんと水面向かって飛び込んだ。
「お……きたね」
 落ちる。落ちる。落ちる。
 そして落下に合わせて、鳥たちが警戒の声を上げる。
「……残酷な様だけど、済まないね。殲滅するよ!」
 両手で銃を使用して、撃って撃って撃ちまくる。接近してきた鳥は、全力で蹴り飛ばして体の急所を破壊する。
 攻撃を受けた鳥たちは氷の矢を飛ばすけれども、炎の属性を纏わせた鞭でヴォルフガングはそれを叩き落した。
「無駄さっ」
 敵の挙動を確認しながら着実に潰していくヴォルフガング。倒された鳥は水になって落ちていく。そして、
「わっ。もう下だ」
 ヴォルフガング自身も落下していた。もうすぐそこに蓮が迫っている。
「……っ、と」
 綺麗に、着地。
 思いのほか蓮が沈んで、その衝撃で水しぶきが上がった。
「わ、ぷ……つめたい……」
 水を被り、プルプルと頭を振るヴォルフガングである。それは夏の暑い日ざしの中、心地よい涼しさをもたらすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
おや、まあ、随分、高いのなあ
ほとと傾げて覗き込み瞬きして
こんだけ高くから飛ぶのなら、
――お空を飛ぶ心地にもなれるかしら
流れ星と、いきましょう?

つと裾摘んでいちにのステップ
濡れても水着なので大丈夫よう
勢いよくまっすぐ、飛び込もう
やあ、僕の帽子の飛んでかないよう気を付けないと
飛び込む落下間に受ける風と、すこし楽しくなるね
ねえ、一緒に飛べたら良かったけれどと
手のべて星をお前にあげよ
赫辜の星が落ちる空をすべるなら
願いごとみっつで、叶うかしらな
氷も穿って、おやすみなさいの挨拶しような

着地は、そうな、そう
わあ、 うまくいかなくってもご愛敬



「……おや、まあ」
 と。イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)は感心するように息をひとつ、吐いた。
 柔らかな草の地を踏みしめて歩いていけば、突然ぽっかりと開いている穴にぶつかって。
 足踏み外せば谷底にまっさかさま。そんな笑えない景色ではあるものの、
「随分、高いのなあ」
 知っていれば、さほど怖くはなく。
 あるいはもしかしたらイアだったら、知っていても怖いとは思わなかったかもしれなくて。
 ほとと首を傾げて深遠でも覗き込むような気軽さで、谷の底を覗き込む。瞬きの後に目に映るのは、はるか下に飛ぶ鳥と。そしてその下更に遠くに、緑のものが見えたかもしれない。見えなかったかもしれない。
 ……正直にいって、かなり高い。イアはふわ、と手を振った。今日は水着だからぬれても大丈夫。柔らかにひらひらと、衣装の裾が翻って、
「こんだけ高くから飛ぶのなら、――お空を飛ぶ心地にもなれるかしら」
 ならば飛ばないわけには行かないと。
 イアはその裾を軽くつまんで。軽くステップを踏んだ。
「さあ……流れ星と、いきましょう?」
 踊るように。駆けるように。
 イアは空中へと身を躍らせる。
 一瞬、空を飛ぶような感覚がその身を包むが、
 後はまっすぐまっさかさまに。重力に従って体が落ちる。落ちていく。
「あら……。そう、そうね。忘れていた忘れていたな」
 ふっと思いついて、イアは頭に手を伸ばす。
「やあ、やあ。僕の帽子。どうかこの頭から、離れないでおくれ」
 と。そんな穏やかな声は落下の際に起きる風で、ほとんど声にはならなくて。
 それでも楽しそうに踊るように。イアは歌うように下を見る。
 そうしたらいつの間にか。イアの周りに鳥が飛んで来ていた。落ちるのは一瞬で、青い鳥の爪がその体を狙っている。
「ねえ、一緒に飛べたら良かったけれどと」
 けれどもイアもそのことに気づいていて。
 すっと片手で帽子を押さえたまま。片手で手を掲げると、
「手のべて星をお前にあげよ。……またたき、穿て」
 赫き墜つ冱星の剥片が、イアの周囲に降り注ぐ。その体を包み込むように。周囲のものへと無差別に(といっても周囲に箱のと利子かいないのだけれども)叩き潰していく。
「赫辜の星が落ちる空をすべるなら。……願いごとみっつで、叶うかしらな」
 応えは帰ってこない。かわりに放たれた氷の矢も、同じように放たれた冱星の剥片が撃ち落した。イアは目をは細める。
「氷も穿って……、おやすみなさいの挨拶しような」
 言葉と共に、鳥の頭に剥片が激突した。
 倒された鳥たちは、一瞬で水に変わり、そしておちていく。
 イアも落ちていく。
 イアは顔を上げる。目の前には緑の蓮があり、そして、
 ぽよんと軽くバウンドして、
 ころころと蓮の上を転がって、
 どぼんと勢いあまって水の中に落っこちた。
「わあ、うまくいかなくってもご愛敬な」
 ざばんと頭から水に突っ込んだイアは、顔を上げて蓮のふちに掴まった。
 ずぶぬれだけれども、大丈夫だと。楽しげにイアは笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダヴィド・ゴーティエ
ミェル(f06665)と共に

葛藤する妻を惘れ顔で見遣り
……良い、我から先に降りよう
お前の心が決まるのを待っていては日が暮れる
我が下にいれば恐怖心も多少は和らぐやも知れん

愛用の黒剣を鞘から抜き
躊躇する事なく深い谷底へ
下から吹き付ける風は想像以上に強いが
視線は獲物を捉えて離さず
――翼を狙うか
黒剣の柄を逆手に握り直すと
落下の重力を加えた串刺しによる部位破壊を

白い鳥の様な影はミェルか
……、……?
何故お前が我より先に落ちている?
眉間に皺寄せ訝るも
思い当った原因にふと真顔になり
メイスの重量は計算に入れていなかった

遅れて川へと飛び込み華奢な手を掴む
ふと水の中で彼女が笑った様な気がして
嗚呼、熟々可笑しな奴だ


ミェル・ゴーティエ
ダヴィド様(f06115)と

あと一歩が踏み出せず断崖で立ち尽くし
で、ですが谷底には大層美しい
絶景が広がっていると聞きました
わたくしも旦那様とバカンスしたいです…!

先導を買って出た彼の背に
心なしか差して見える後光
凛々しさに惚れ直しながら自らも臍を固め
彼の後を追う様に谷間へ飛び込みますわ

絶望の福音で視るのは十秒先の未来
彼の剣戟を受け体勢を崩した鳥の軌道を読み
手にしたメイスを振り下ろします
渾身の一撃が決まり拳を握るも

あ、あら?
なぜわたくしの方が先に墜ちて…
(はっ)メイスの重量分!?

―ああ、けれど
青空を背に舞うあなたの何と美しい事
水の中は息が止まりそうなほど冷たかったけれど
あなたの手はこんなにも温かい



「ミェル」
「ああ、ダヴィド様。その……少々お待ちください。私、準備をしておりますので」
 ダヴィド・ゴーティエ(ダンピールの黒騎士・f06115)の言葉に、ミェル・ゴーティエ(白の福音・f06665)はふるふると首を振った。
 待てと言われれば、ダヴィドも待つ。崖のふちに立つみぇるは純白の水着で、それはそれで可愛らしいのだが、プルプルと身を震わせて、若干へっぴり腰になったまま、恐る恐る、崖を覗き込んでは決心つかぬ様子で首を横に振ったり。息をついたり。意を決して一歩踏み出そうとしたり、やっぱり出来ずに二歩下がったりと、なかなかにせわしない。
 かわいいとは思う。どれだけ見ていても飽きないかもしれない。だが……、
「こ、怖い……! で、ですが谷底には大層美しい。絶景が広がっていると聞きました。わたくしも旦那様とバカンスしたいです……!」
 みぇる本人が、おそらくそれを望んでいない。やらなくちゃ、となにやら沈痛な面持ちをしているみぇるに、ダヴィドは惘れ顔で息をついた。
「……良い、我から先に降りよう。お前の心が決まるのを待っていては日が暮れる。我が下にいれば恐怖心も多少は和らぐやも知れん」
「は……っ」
 ようやく。ダヴィドがそう声をかけると、ミェルは瞬きをひとつする。
「旦那様……。心なしか、その背が……」
「いいから、ついてこい」
「……は、はいっ」
 後光がさしている、とまでは飲み込んだ。普段は見ないダヴィドの水着姿は、それだけで素敵なのに今日は本当に惚れ直すような凛々しさを兼ね備えていた。というか惚れ直した。
「わたくし、お供いたします……最後まで!」
「ああ、行くぞ」
 愛用の黒剣を鞘から抜き放ち。
 ダヴィドは躊躇なく谷底へと、一歩踏み出した。
「……っ」
 そしてその姿にミェルもようやく心を決めて。えーい、と後に続くように、空中へと飛び込んだのであった。

 二人して落下する。落下していく。
 風が強い。視界は聞きにくいがそれは想定の範囲内だ。
 ダヴィドの視線は、しっかりと青い鳥の姿を捉えている。
「――翼を狙うか」
 ダヴィドの後ろにはミェルがいるはずだ。となれば即座に倒すのが望ましい。
「……せい!」
 黒剣の柄を逆手に握り直すと、重力を乗せてミェルは全力で鳥の翼を串刺しにする。
「ミェル!」
「はい、旦那様……!」
 声に応えて、ミェルもメイスをぐるんとふった。十秒先の未来で予測していた通り。惚れ惚れするダヴィドの一撃。そして反撃として二人に爪を伸ばす鳥。
「故に……させません!」
 だからその前に、ミェルも全力で体勢を崩した鳥の動きを裂きまわりして、メイスで脳天を叩き潰した。
 きゅぃぃぃぃ。と鳥は鳴いて、
 一瞬でその姿が水へと変化する。
「む……っ」
 思わずダヴィドが身構えるが、どうやらただの水のようだ。
「成る程、死して世界の水になったか。……ん?」
 なんて、なんとなくダヴィドが納得したところを、
 その傍らを、白い鳥が飛んでいった。
 はて、白い鳥などいただろうかと、ダヴィドは一瞬考えて、そして一瞬でその答えを見つけ、
「その影はミェルか。……、……? 何故お前が我より先に落ちている?」
「あ、あら? はい、どうしてでしょう。なぜわたくしの方が先に墜ちて……」
 いっている間にも、二人の距離はどんどん離れていってしまう。
 おかしいおかしいと、怪訝そうな顔をするミェル。それからは、と、
「もしかして……メイスの重量分!?」
「ああ……」
 ダヴィドは軽く額に手をやった。そうしている間にも二人はどんどん距離が離れていっている。そして、
「――ああ、けれど、青空を背に舞うあなたの何と美しい事……!」
「何をいっているのだ、ミェルは……」
 ほかに何か言うべきこともあるだろうにと。なんかものすごく嬉しそうな顔のまま、ぼすーん! と蓮の上に落下するミェルを、ダヴィドは真顔で見つめていた。
 ぼすーん。として、ごろごろとミェルは転がり。そのまま水の中にどぶん、と落ちる。
「まったく……」
 数瞬遅れて綺麗に着地したダヴィドは、そのまますかさず水の中へと飛び込んだ。
 ごろごろと転がっていくミェルの手を掴む。迎えに着たダヴィドを見て、嬉しそうに笑っていた。そのままその手を引っ張って、蓮のふちまでつれていく。
「ああ……」
「無事か?」
「はい。水の中は息が止まりそうなほど冷たかったけれど……、あなたの手はこんなにも温かい」
 ふふ。と嬉しそうに笑うミェル。それにつられるように、
「嗚呼、熟々可笑しな奴だ」
 ダヴィドもほんの少し、微笑むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

零落・一六八
涼(f01922)さんと
(格好は水着イラスト参照)
崖からダイブとか楽しそうですね!
勢いつけてからダイナミックに飛び降りますよ!
あいきゃんふらーい!
減速とかは特に気にせず
落っこちた先の敵を踏み潰したり
野太刀で空中回転斬りしたり
UC放ちながら
特に理由のないムーンサルトしたり遊びながら落ちます
【捨て身の一撃】や落ち際に【咄嗟の一撃】かましていきましょう
基本的には勢いよく落ちますが
敵の動きに合わせて崖や敵を蹴って軌道を変えます
おっけー!任せてくださいよ!
涼さんが弱らせたの確実にトドメさしていきます
ナイスパス!ってことで
涼さんが叩きつけた相手を【怪力】でまた涼さんに蹴り飛ばしてレシーブ!

アドリブ歓迎


彩花・涼
一六八(f00429)

ふむ…要は飛び降りながら
アレを倒せばいいんだな
では、一六八行くか
水着なぶん身軽に降りられそうだ

崖を降りながら、谷間に足場になりそうな場所があれば
【地形の利用】でそこを足場に減速しつつ降りよう
敵の近くまで来たなら
黒爪で【スナイパー】【クイックドロウ】【2回攻撃】で
すばやく撃ち込み動きが鈍った所を
【踏みつけ】で踏み台にして
周りの鳥1体に黒柵を絡めて飛び移り
黒華・改で斬り落とす
そっちの弱った方は任せたぞ一六八

敵からの攻撃は【見切り】で敵の上に飛び乗り【踏みつけ】
そのままUCで投げて崖に投げて叩きつけ【カウンター】しよう
って、一六八打ち返すな…ビーチバレーはまだ早いぞ

アドリブ歓迎



「ふむ……要は飛び降りながら、アレを倒せばいいんだな」
 まるでなんでもないことのように、崖を見下ろしながら言った彩花・涼(黒蝶・f01922)は、いつもよりも軽装。というよりも黒い水着を着て真剣に谷底を見下ろしていた。
「ですよね! 崖からダイブとか楽しそうですね! 俺は勢いつけてからダイナミックに飛び降りますよ!」
 真剣な顔で谷を見下ろす涼とは裏腹に、黒い水着に黒いパーカーの零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)はが全。非常に。とても、やる気であった。今にも軽く準備運動して飛び込みそうな彼に、ちらりと涼は視線をやる。
「ああ。では、一六八行くか。水着なぶん身軽に降りられそうだ」
「身軽にっていうか、楽しくって感じじゃないでしょーか!」
「遊びに行くんじゃないんだぞ」
「はい」
 めっ。って感じで言う涼に、
 しゃき、としたわんこのように返事をする一六八.
 お互いがお互いを見やって、思わず笑う。
「んじゃ、いきますかー」
「ああ」
「あいきゃんふらーい!」
「その掛け声は、何とかならないのか」
「作法ですから!」
 とか何とか。言いながら。
 二人はまったく気負うことなく、空中へと飛び出した。

「ひゃーーーーーっほう!」
 減速なんざまったく考えていない!!な一六八がまっさかさまに落ちていく。
「大丈夫か。不用意すぎるぞ」
 なんてことを言いながらも、若干足場を蹴って減速しながら涼が後に続く。淡々といっているが、内心は心配しているはずだ。……たぶん。
「やー。だってほら。ほらほら。いきますよー!」
 てーい! とその勢いのまま168は鳥が飛ぶ区画へと足を突っ込んだ。行き追いつけたまままずは鳥の頭を全力で踏み潰し、
「かーらーの!」
 野太刀をぐりん、と回転させる。勢いをつけて踏みつけた鳥の首を刎ねた。
「ふむ……」
 勿論、涼だって負けてはいない。黒爪と名のついた銃で狙いを定め、数初、足元にいる鳥に弾丸を撃ち込む。
 きゅぃぃぃぃぃ。という声を上げる鳥を、容赦なくそのまま涼は踏みつけて、
「そっちの弱った方は任せたぞ一六八」
 声を上げながらも再び涼はその鳥を踏み台に飛び上がった。今度は黒柵と名づけた糸をひゅん! と翻し、別の鳥に絡みつかせて縛り上げる。
「私はこっちを始末する」
 的確に声を上げて、そして涼は細身のショートソードタイプの黒剣を一戦させた。首を落とされた鳥は、水になって解けるようにして消えていく。
「おっけー! 任せてくださいよ! 超! 空中☆回転斬りー!」
 一六八の声はあまりにもふざけていたが、その技は的確であった。
「真っ二つにしてやりますよ!」
 迷いなきざんげ気は、弱っていた鳥を両断して。そして水に変えて落としていく。それを一瞬だけ涼は目で追ってから、
「逃さんぞ。……そら、追加だ!」
 そうしている間にも、鳥が爪を振るう。それを涼が見切りで避けて、飛び乗って踏みつけた上に更に掴みこんで一六八へと投げつけた。
「へい! 涼さんナイスパス! ってことでー!」
 がし、と投げつけてきた鳥を一六八は馬鹿力で蹴り飛ばした。
「レシーブ!」
「って、一六八打ち返すな…ビーチバレーはまだ早いぞ」
「いやー。待ちきれないんです! なにげに!」
「……しょうがないな」
 まあ、それは同じかもしれないと。
 涼も少し微笑んで。飛んできた鳥を打ち返し、止めを刺すのであった。

 そしてそのまま二人して、ぼよんと蓮の中に転がる。
「っ、ひゃー! つめたい」
 ばらばらばら、と天から鳥だった水が降ってきて、それが思わぬ冷たさで一六八がごろごろごろーっと転がった。
「ああ。それにしても柔らかいな……」
 昼寝によさそうだなんて。思わず感想を漏らした涼。
「それに景色も変わっていく」
「へ、景色?」
 その衝撃で茎が切れたのか、蓮が水に流され動き出したのだ。さて、どこに行くんだろうな。なんて、涼は冷静にいうと、どこに行くんでしょうねえ。と、嬉しそうな一六八の声がかえってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星蝕・焉夜
マリス・ステラ(f03202)と参加

【POW】他の猟兵と協力

「命綱無しの経験はあるな……」

大型片刃剣を持ちながら鮮血を纏わせ崖をダイブ

「楽しそうだな?」

マリスの様子を見ながら戦闘人格へと変化していき

「起きろ『ミミック』、叩き潰せ……」
『ーーー!!!」

髪は赤く、青と黄色のオッドアイへと変貌し凶暴な戦闘人格へと切り替え
地形を利用しジャンプしつつ空中戦へと持ち込み
Mimicryで叩き潰すように薙ぎ払う

マリスに援護してもらいつつただただひたすらに
敵を斬り潰し生命力を奪っていく
マリスに攻撃が及ばないように2回行動で動けるよう余力は残しておく

アドリブ歓迎
『ミミック』は喋る事のできない狂戦士


マリス・ステラ
星蝕・焉夜(f00030)と参加

【WIZ】他の猟兵と協力します

「焉夜はバンジージャンプの経験はありますか?」

問いには楽しそうに首肯して崖をダイブする
敵が現れれば、

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』

「焉夜……いえ、"あなた"を援護します」

"ミミック"と聞こえてからの変容
多重人格のひとりなのでしょう

弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く

負傷した味方に【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用

「空中戦はなかなか爽快です」

星の『属性攻撃』は重力の性質を帯びて敵の羽ばたきを阻害する



「焉夜はバンジージャンプの経験はありますか?」
 足元目を落としながら徐に、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)がそういった。
「命綱無しの経験はあるな……」
 星蝕・焉夜(終焉よりランタンを燃やす者・f00030)が若干、と憂い目をしてそう返答した。
「楽しかったですか?」
「それは……」
 どっちだっただろうか。兎も角そんな話をしたあとで、
「楽しそうだな?」
 思わず、焉夜がそう尋ねた。話をしている間も手は止めず、いくつかある武器の中から大型片刃剣を選んで鮮血を纏わせていた。これで武器を殺戮捕食態に変化させるのだ。
「おや、そう見えますか?」
 なんていいながらも、マリスは楽しそうに頷いて肯定の意味を示す。焉夜は肩をすくめた楽しそうなのはいいことだな。なんて言いながら、そして、
「じゃあ、いくか」
「ええ。いつでもどうぞ」
 うなずき合う。そして二人は躊躇うこともなく、崖の上から空中へと身を躍らせた。

 落ちる。落ちる。落ちていく。
 足元が無事だとわかっているからか。そもそもそういう性格なのか。二人にはさほどの恐怖はない。
 けれどもかわりに、足元に見え、どんどん近付いていく水色の姿を似二人は目をとめた。
「あれが今回の敵……ですね」
「ああ。起きろ『ミミック』、叩き潰せ……」
『ーーー!!!」
 マリスの言葉に、焉夜は己の中の狂暴な戦闘人格へと、意識を切り替えた。髪は赤く、青と黄色のオッドアイへとその姿も変わっていく。
 マリスも焉夜の変貌に気付きながらも、両手を胸の前で組んだ。
("ミミック"と聞こえてからの変容……。多重人格のひとりなのでしょう)
 一瞬でマリスは焉夜のことを察する。故に何も言わずに、
「主よ、憐れみたまえ」
 足元の敵へと、まずは祈りを捧げるのであった。祈りを捧げると同時に、捧げると星辰の片目に光が灯る。
 そのまま全身から光を放ち、敵をおびき寄せるようマリスは輝いた。
 それを、焉夜が見逃すはずはなかった。
「焉夜……いえ、"あなた"を援護します」
 そして襲い来る敵の爪を、氷の矢を、マリスはカウンターで防ぎ、そして弓で援護射撃をしていく。
 その動きに後押しされるように、それからの焉夜はただひたすら殺戮を行った。
 地形を利用しながら軽い足場を作り、ジャンプを繰り返して空中戦へと持ち込む。
 肉塊に鋭い刃が生えている大剣を振るい、振るい、振るい、あらゆる青い影を切り裂いていく。
 『ミミック』は喋る事のできない狂戦士だ。故に言葉は発しない。
 だが、援護をしてくれているマリスのことはきちんと認識しているらしい。なるべく彼女に攻撃が行かないよう立ち回り、余力を残しながらも敵をなぎ払っていっていた。
「空中戦はなかなか爽快です」
 冗談のような、本気のような声が果たして焉夜には聞えていただろうか。
 敵の羽ばたきを星の力で阻害しながら、面白そうに言うマリスであったが、そのとき……ふと、
「おや」
 目の前に緑の姿が見えた。蓮の葉であった。このままだと時期に激突するだろう。すなわち、
「そろそろ、終点のようですよ」
 焉夜は返答しない。返答することなくただ最後の瞬間まで武器を振るい続ける。
 そして唐突に……、
 ぼすんっ。
 ぼすんっ。
 と二人して、蓮の葉の上に落下した。
「昼寝によさそうなクッションです」
 軽くバウンドして、マリスは顔を上げる。そしてそっととなりに転がる焉夜に手を伸ばした。果たして一時戦が終わった今、彼は誰、であるのだろうか……?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
アレンジ歓迎

目を瞬かせ谷底を覗き込む
結構深いのね。底に咲く花があんなにも遠いわ
大丈夫かしら、アラン。怖気づいてはいないかしら?
なんて頼もしいわたくしの騎士。じゃ、いきましょ

気負い無く飛び込めば崖下へ真っ逆さま
全身で風を感じながら羽ばたきを耳にする
水着用にと拵えた薄着。布少ない分いつもより身体も軽く
音を頼り身捩ってしなやかに敵の攻撃を見切る
返す力にと結晶体を足場と蹴って一回転
愛用の護身用ダガーで怪鳥の翼関節部に鋭く刃を突き立てた

ごきげんよう――さようなら!

重力のまま短刀で引き裂けば
二度と会う事の無い鳥へとにこやかに微笑む
戯れにアランへも手を振ってみせながら落ちて沈んだ


アラン・サリュドュロワ
マリー(f19286)と
アレンジ大歓迎

観光名所というやつか、絶景だな
青い膝丈の下履き、肩に手乗り竜のジゼルを乗せて
吹き上げる風に目を細める
マリー、あまり身を乗り出すなよ
怖気づきはしないが、安全を確かめてから行くべき─は!?ちょっと待て!

目を離した隙に飛び降りた仮の主に舌打ち、追うように降りる
隣を滑降する相棒を斧槍に変化させると突進してきた鳥を勢い利用して串刺しにする
馬まで引き裂きそうな爪は恐ろしいが、俺の槍のほうが速い
そのまま主の近くへと向かい手を振る彼に眉を潜めた
振りかぶり槍を投げる

─ジゼル、引き裂け

背後で貫かれた鳥へ、本性を顕にした竜を差し向ける
油断するな、馬鹿
近づく水面に向けて息を止めた



 マリークロード・バトルゥール(夜啼き鶯・f19286)は目を瞬かせ谷底を覗き込んだ。
「結構深いのね。底に咲く花があんなにも遠いわ」
 遠くに葉っぱが見える。そう灯に大きいのがそれだけでわかるだろう。そのすみにチョコチョコあるのは花だろうか。
「そうだな。観光名所というやつか。絶景だな。……けれどマリー、あまり身を乗り出すなよ」
 こたえたのは、アラン・サリュドュロワ(王国の鍵・f19285)であった。青い膝丈の下履きに、肩に手乗り竜のジゼルを乗せて吹き上げる風に目を細める。
 いくら観光名所とはいえ、一歩間違えば命の危険まで伴う行為であることは確かであろう。
 故にアランとしては、万全を期すつもりであった。
 難しい顔をして落下地点までの行動に思いをはせるアラン。
 そんな彼の思いを気がついていないのか。それとも気付いていてあえて気付かない振りをしているのか。
「大丈夫かしら、アラン。怖気づいてはいないかしら?」
「いや、怖気づきはしないが……」
「なんて頼もしいわたくしの騎士。じゃ、いきましょ」
 ひょい。と。
 あっさりマリークロードはそういって、崖から身を躍らせた。
「安全を確かめてから行くべき─は!? ちょっと待て!」
 背中というか、頭上というか、とにかくその辺からアランの声がしているが、もはや後の祭り的な何かである。
 マリークロードの体はまっさかさまに崖のした。全身にあたる風が強くて強くて、そしてとても心地よい。
 いつもと違う、水着用にと拵えた軽い薄着に心まで軽くなったようで。
 いっそ歌でも歌おうかしら。なんてご機嫌のところを、青い鳥の姿がよぎった。
「まあ」
 一声。どうやら敵の姿が近いようであった。
 一方のアランはというと、呆然と空中を見つめたのは一瞬であった。
「あの……っ」
 ばか、とまではくちのなか。仮の主に舌打ちし、アランも追いかけるように崖から身を躍らせる。
 相棒のじぜるもとなりを滑空するようについてきた。アランが手を伸ばすと、それがきゅぅっと斧槍に変化する。
 それを確かに握り締め、アランは鳥の中へ突入した。

 鳥の声がする声と共に氷の刃が放たれる。
「は……っ」
 返すように間リークロードは身をよじり、それすら足がかりにして一段、飛び上がり鳥の胴体へとけりを叩きつけた。
「ごきげんよう――そして、さようなら!」
 声をかけて優雅に微笑む。そして愛用のダガーで鳥の翼の間接部に、深く刃をつきたてた。
「そこか……っ」
 そのころにはアランも追いついていて、別の鳥を勢いを利用して、斧槍で串刺しにしたところであった。
「馬まで引き裂きそうな爪は恐ろしいが、俺の槍のほうが速い」
 槍が突き刺さると同時に、鳥は溶けるように水になり、下へと落下していく。マリークロードも短刀を引き抜いた。そしてそのまま、重力に身を預けて体を落とす。
 落ち際にふわりと、マリークロードはアランに手を振った。アランは眉を顰める。その意味を考えること、数秒。
「──ジゼル、引き裂け」
 一瞬で槍を振りかぶり、投げた。翼を追いながらも倒れていなかった鳥が、本性を顕にした竜に食らいつかれていく。
「油断するな、馬鹿」
 あらんが読図いたが、マリークロードからの返答はない。そのころには水面が近付いて着ていて、アランは息を詰める。
 緑の葉っぱ。その中に落ちる。ぼよん、と葉っぱは多くの衝撃を殺して一度たわんで、軽く二人の体を弾き飛ばした。
「……っ」
「あら、まあ」
 声と共にもう一度軽く浮き上がった二人は、そのまま弾き出されて水面へと。
 近付く水面に向けて息を止めるアラン。マリークロードはどこか楽しそうで、
 二人は水の中にまっさかさま。水面は冷たく澄んでいて、大きな水しぶきが高々と上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒金・鈊
スティ(f19491)と

シャツと膝丈のパンツは死守する。
火傷が酷いんでな……日焼けは困る。

立派な瀑布だな。まあ、此処から落ちるんだが。
恐怖は無いがスティが何をしでかすか、少々不安がある。
ああ、わざと余計なことをしそうだ。

俺が先に、という前に飛び出していくのに頭痛を覚えつつ。
無謀は止めろと、あれほど。
自分やスティに危険が迫るに任せ、炎の剣が敵を追う。
こいつを喰っても腹を下すだけだぞ。

予想外の白馬に驚き、科白に別の頭痛も覚えつつ。
ちっ、地上なら借りないが。今はこの背を借りる。
炎を剣に這わせ、近づく鳥を斬る。

……あんたが楽しそうならいい。
そうだな、地獄の底にしては随分気易いな。
(奈落はどちらか)


スティレット・クロワール
鈊君(f19001)と
膝丈の白のパンツに薄布を纏って

これはまた、すごい光景だねぇ。谷を飛び降りれば良い、か
楽しみだね、鈊くん。
えー、私はそんなに安心できない?

さて、じゃぁ素直に飛び降りてみようか
鈊くんに怒られそうだけど、仮の騎士に盾まではさせられまいさ

踊る炎の剣には小さく驚き
全く、鈊くんは
私なんかに気に入られたら後が大変なのにね

白馬で鈊くんのところへ
やっほー鈊くん。王子様だよ?
後ろに乗せてそのまま戦いながら駆け降りようか

おや、無謀でも無茶ではないよ。君がいるんだからね。
私の騎士
さぁ、その剣の冴えを見せて?

うん、そうだね。楽しいよ
なにせ、地獄の底に真っ逆さまに連れがいるんだから
ま、今回は湖だけど



「これはまた、すごい光景だねぇ」
 おおー。っと。スティレット・クロワール(ディミオス・f19491)はどこか楽しげに。というかとても楽しげに。面白いものを見つけたときの声音で。谷底を覗き込む。
 ある意味絶景である。水面の蓮の葉がほんのちょっぴり見えるほどの高さ。そして踊るように青く美しい鳥が舞っている。
 飛び込む準備は、ばっちりだ。膝丈の白のパンツに薄布を纏って、スティレットは今からでも泳げるね。なんて言うような気楽な口ぶりで、
「谷を飛び降りれば良い、か……。んー、楽しみだね、鈊くん」
 ね? と、振りかえってにこやかに笑った。
「……ああ。立派な瀑布だな。まあ、此処から落ちるんだが」
 黒金・鈊(crepuscolo・f19001)が愛想悪くそう応える。目をすがめ何か怪しいものを見る目つきであった。
「恐怖は無いがスティが何をしでかすか、少々不安がある」
「えー、私はそんなに安心できない?」
「ああ」
 にべもない。
「わざと余計なことをしそうだ」
 そして容赦もなく鈊はそう断言した。そう断言するような行動が、過去にきっとあったのだろうが、それはさておき。
「さて、じゃぁ素直に飛び降りてみようか」
 スティレットもスティレットでそれをまったく否定しなかった。微笑んだまま、返事も待たずにぽーん、と崖から身を躍らせる。
「俺が先に……」
 それと同時に、いく、と言いかけたのであろう、鈊の言葉が背後から聞える。もう見えないが、きっと頭を抱えていることであろう。
「無謀は止めろと、あれほど」
「うんうん、鈊くんに怒られそうだけど、仮の騎士に盾まではさせられまいさ」
 遠くから聞える鈊の言葉に、スティレットは聞えているのかいないのかはわからないが、ものっそ気軽にそう言葉を返すのであった。
「……」
 残された鈊はため息を、ひとつ。
「シャツと膝丈のパンツは死守する……」
 絶対だ。何があっても絶対だ。火傷が酷いんでな……日焼けは困る。とは、胸のうち。
 これからの一日の頭を抱えながらも、鈊もまたためらうことなく、崖から身を躍らせた。

 落ちる。落ちる。落ちていく。
 胃が浮くような感覚も、足場も何もない不安感も、二人には気にならない。
 そして鳥も、侵入者に気付いていた。しゃぁぁぁぁぁ! と威嚇の声を鳥は上げ、同時にいくつもの氷の矢を撃ち出した。
「こいつを喰っても腹を下すだけだぞ」
 鈊は体を動かす。そこにスティレットと鳥の間を防ぐように割り込み、盾となるようにその氷を受ける。同時に鋼色の炎剣を開放した。それは鈊か主に危険が迫ると作り出される剣であり、自動的に氷を放った鳥を追いかけていく。
「全く、鈊くんは。私なんかに気に入られたら後が大変なのにね」
 それにスティレットは驚いたように小さく瞬きをすると、
「それじゃあ……こっちもその気持ちに応えようか」
 思わず笑って、光り輝く白馬を召喚した。一瞬で距離を詰めて駆け上がる。
「やっほー鈊くん。王子様だよ?」
「……」
 突然現れた白馬に驚いたように顔を上げた鈊であったが、ついでの台詞に頭痛を覚えるように顔をしかめる。
「さあさあ乗ってかない? 王子様の白馬に!」
「……」
 嫌だなあ、って顔がありありと見て取れる鈊。それを心の底から楽しそうに見つめるスティレット。
「ちっ、地上なら借りないが。今はこの背を借りる」
 が、結局折れたのは鈊のほうであった。スティレットの白馬の後ろに乗ると、
「じゃ、一気に駆け下りるよ。……私の騎士。さぁ、その剣の冴えを見せて?」
「ああ」
 鈍器めいた黒曜の刀に炎を纏わせて、鈊は一刀のもと鳥を切り伏せる。
「それとね、無謀でも無茶ではないよ。君がいるんだからね」
「いつの話だ。……だが」
「だが?」
「……あんたが楽しそうならいい」
 鈊の言葉に、スティレットは声を上げて笑った。きり賦された鳥が一瞬にして水となり、落ちていく。それを追いかけるように、白馬も一気に谷底まで下っていく。
「うん、そうだね。楽しいよ。なにせ、地獄の底に真っ逆さまに連れがいるんだから!」
 ま、今回は湖だけど。なんて笑うスティレット。追撃する鳥たちを切り伏せながらも、鈊は口の端で笑った。
「そうだな、地獄の底にしては随分気易いな。そして……」
 終点だ。と、鈊は言った。おや残念、と、スティレットは肩をすくめた。
(果たして。奈落はどちらか……)
 鈊が一瞬頭を掠めた思いは、結局そのまま口に出さずに、
 水面にたどりついたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

両角・式夜
度胸試しか……この偉大なる強さを持つ地竜には些末な事だな……
ん?なんでこんな崖の縁で仁王立ちしてるかですか?
いや、落下は怖くないんですよ。落下は。
ただ、崖下に水が……私、あまり泳げなくてですね……
しかも地竜なので飛べないし……
あああああ!ごにょごにょ考えてても仕方がないな!
行って!殴って!沈んで!遊ぶ!!!
大丈夫だ!偉大なる地竜ならば入水など簡単に出来る出来る大丈夫だぁぁぁぁ!!!
この地竜が水も征してくれる!!

(他者との絡み、アドリブ大歓迎です!)


尭海・有珠
ふふん、涼しそうで良いじゃないか
…いや、ちょっと高くないか。ほんとにこれ飛ぶの?…そう
まあ落ちる間に私も少しは目が覚めるだろ

日傘を開いて優雅に降りられるならそれでも良いんだが
一番は鳥に向って落ちれば、真っ直ぐ魔法を叩きこめば良さそうだ
舞って逃げるというなら追いかけるまで
氷の薄刃で挟み撃ちにしてやる

敵の攻撃を避けるとか、自分の落下軌道を調整する時は日傘で
…うん、武器と同じ強度だし魔法の傘だから多分壊れないだろ
何とかなる

水に飛び込みたくて仕方なかったんだ
水の感触が、心地好くて好きだから
ただ高い処は平気なんだけど飛び降りるのはまたちょっと違うもんだな……やっぱ落下時間長くない?

※他者との絡みも歓迎



「度胸試しか……この偉大なる強さを持つ地竜には些末な事だな……」
「ふふん、涼しそうで良いじゃないか」
 不適な物言いの美人さんが二人。
 健康的な水着に巨大な赤い刀を携えた両角・式夜(銀錫赤竜・f01415)と、涼しげな水色の水着にひらりと踊るような布地が綺麗な尭海・有珠(殲蒼・f06286)の姿がそこにあった。
 明るく力強い式夜と、どこか眠そうな瞳に優雅さを滲ませる有珠。方向性は違う二人だが、崖の上に佇んでいるところは同じであり……、
「……いや、ちょっと高くないか。ほんとにこれ飛ぶの?」
 先が見えないんですけれど、と思わず口に出した有珠に、式夜がふるふると首を横にふる。何故か仁王立ち、したまま。
「そうですよ。落下ですよ落下。いや、落下は怖くないんですよ。落下は。でも、落下です」
「……そう」
 なんとも言えない、というような言葉を言外に。思わず黙り込んでしまう有珠。一方。
「ただ、崖下に水が……私、あまり泳げなくてですね……」
「泳ぐか。……そうだ。私は水に、飛び込める。だから……」
 それが楽しみだったのだと。式夜の言葉に若干有珠が浮上した。
「まあ落ちる間に私も少しは目が覚めるだろ」
 ひょい。と。
 そう思えば即決。有珠はひょいっ。と崖から身を躍らせた。
「なんとっ」
「……緑。あの緑の下に落ちれば、大丈夫だ」
 先にいく。とばかりにぼんやりとした表情で、ひらと有珠は手を振って。一瞬で式夜の目の前より姿を消す。
「む、むむむむむ。あの緑かー。あの緑の下にわしちゃんと降りられるかなあー……いや」
 ふう。とそこで式夜もまた深呼吸、して。
「あああああ! ごにょごにょ考えてても仕方がないな! 行って! 殴って! 沈んで! 遊ぶ!!! 有珠殿、ちょっと待ってくれー!!」
 思いっきり崖から身を躍らせた。

「日傘を開いて優雅に降りられるならそれでも良いんだが……。まあ、たまにはこういうのも、いい」
 景色は一瞬でめまぐるしく変わっていく。
 こうやって見れば崖というのも、地層によって色々変わるものだなあ。なんて有珠は暢気に考えていた。
 すぐ下に青い鳥の姿が見えてくるので、心持ち意識をそちらに向けようとした。
「一番は鳥に向って落ちれば、真っ直ぐ魔法を叩きこめば良さそうだ」
 魔法の日傘を広げて、落下軌道を調整する。そして魔法の薄刃を、真下の鳥たちへと叩きつけた。
「来たれ、世界の滴。群れよ、奔れ――『剥片の戯』」
 薄刃が鳥たちを追い詰める。逃げ場なく有珠はそれを紡いでいく。……一匹。
(逃げそうな奴がいる。なら……挟み撃ちにしてやる)
 と。そう、有珠が目を細めた瞬間、
「と、りゃああああ!」
 ごろん、と式夜が落ちてきて、
 さっきから手にしていた刀を全力で振りかぶった。赤い刀身が発光するほど強い雷を纏っていて、
「わしは無事にあの緑のに落ちねばならんのだ! 邪魔するな!!」
 一刀の元に、逃げそうだった鳥を切り伏せてしまった。
 ぱしゅん、と倒された鳥たちは水となり、周囲へと弾け散る。
「で、ところで有珠殿。本当に、本当にあの緑の上に落ちたら大丈夫なのですな!?」
 水しぶきが上がる。それは本当に冷たくて、有珠は心地よさげに目を細めながら、
「たぶん。…………それにしてもやっぱ落下時間長くない?」
 ただ高い処は平気なんだけど飛び降りるのはまたちょっと違うもんだな。なんて。
 有珠が言葉を紡いでいる間に、水面はもう目の前に来ていた。
 ぼすっ。
 ぼぼすっ。
 やけに柔らかいふかふかの感触がして、二人は緑の蓮の葉の上に転がり落ちる。
「は……。やった。これでわしは……」
 みょいん!
 そして反動で二人は軽く、ぽーんと空へと飛び上がった。
「え、まだ飛ぶのか?」
「!?!?!?!? わし、地竜なので飛べないし……!? ああでもだ、大丈夫だ! 大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ! 偉大なる地竜ならば入水など簡単に出来る出来る大丈夫だぁぁぁぁ!!!」
 首をかしげる有珠に、式夜は目を白黒させる。二人の体はゆるく放物線を描いて、
 ばしゃん、と水の中に落下した。
「う、うひゃああああああああ。いや、いや、この地竜が水も征してくれ、る!!」
「ああ……。いいな。この感触。そう。これだ。水の感触が、心地好くて好きだから。私はこの、一瞬を待っていたんだ……」
 有珠が嬉しそうな声を上げた。暑さも吹き飛ぶ一一瞬に、心地よさそうに目を細める。
 水には若干の流れがある。このままこの流れに身をゆだねて……。なんて思っていたりするけれど。
「うう。ぐぐぐ。ぐぬぬ……」
 気付けば隣で沈んでいく式夜を、割と優しい目で見つめて。
 とりあえずは助けなければいけないなと、有珠は手を伸ばした……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
水着は今年のコンテストの物
リュカさんも無茶言うなあ…
まあ高所恐怖症だったら鳥使いなんてやっていられないけど
そんな事より僕脂肪がないから何か寒いよ
あの青い子たちのせいだな…
早く倒そう

隼くんを呼べば安全に降りられるけど
折角だしスリルを楽しもう
飛び降りる時は躊躇なく
鴉たちの方が不安そう…
きみたちは飛べるでしょ、おいで

敵にはとりあえず水鉄砲で攻撃してみる
うん、当たり前に効いてないな
分かっててもやりたくなるよね…

落下しながらUC【悪魔の証明】を使い
敵を崖に縫い止めて
皆標本にしてしまおう
虫じゃないけど中々綺麗だ

頭上を舞う鴉達を眺め
ビルから飛び降りたらこんな感じかなと
ふと思う
思ったような衝撃は来なかったけど



 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は、ふ……。となにやら困ったような顔をしてみせた。
 本当に困っていたかどうかはわからない。
「リュカさんも無茶言うなあ……。まあ高所恐怖症だったら鳥使いなんてやっていられないけど」
 ぼやきながら崖の下を覗き込む。そんな章の周りを鴉がくるくると回っていた。覗き込んだ先は真に断崖絶壁、何もない。
 まさに崖。まさに谷。はるか遠くに見える緑っぽいものが終点だろうけれどもなんだか怖い。それよりも上のほうに、くるくる回り青い鳥の姿がある。
「そんな事より僕脂肪がないから何か寒いよ。あの青い子たちのせいだな……」
 しかしまあ、そんなことなどどうでもいいかのように、章は一度くしゃみをした。
 今日の章は水着姿だったからだ。どうやらテーマは警官らしい。警官のコスプレだとか嘯くがちゃんとした立派な競泳水着である。そうだ。いいこと考えた、と、銃型の水鉄砲を、とりあえず章はホルスターに収めた。
「こんな世紀末感めいた場所なら、あんな青い子達より黒いこの方が似合うかもしれないのにねえ」
 で、である。とにかくと章は立ち上がる。鴉が一声、声を上げたが、それは章の発言に対して抗議しているのか、それとも賛成しているのかははたから見たら解らなかった。だが、
「わかった。わかった。……早く倒そう」
 それ、と。
 章は空中に身を躍らせた。

 ふわりと体が浮いて、
 そしてそのあと、全力で落下していく。
(……隼くんを呼べば安全に降りられるけど……)
 風を受けて髪がはためく。目を眇めて章はそんなことに思いをはせるが、
(折角だしスリルを楽しもう)
 そのほうが面白いし。なんて思いながらも、章は落ちていく。割と真顔。割と無言であった。
 ただ……。
「きみたちは飛べるでしょ、おいで」
 何故か不安そうな顔(?)で上空から章を見守る鴉たちに、章は思わず大きめの声を出して呼びかける。
 すると鴉たちも、意を決したように落ちるように勢いをつけて、章の後を追いかけた。
「そしてきたね、青い子」
 重力を受け入れ落下している章を、青い鳥たちが飛び回る。章は徐に仕舞っていた銃を取り出し、
「警察だ! 手を挙げろ!」
「きしゃああああああああああ!」
「手をあげないと撃つぞ!」
 撃った。警告と同時に発砲していた。
 なお、水鉄砲はなんていうこともない普通の水鉄砲だったので、何の効果もなかった!
「うん、当たり前に効いてないな。分かっててもやりたくなるよね……」
 涼しい顔でそんなことを言う章。
 そんな章を、別の意味で心配そうに鴉たちが見守っていた。
「わかった。わかってる。大丈夫だよ。ちゃんとする」
 青い鳥もばっさばっさと翼を羽ばたかせて怒っている。はいはい。とか言って章は落下しながら肩をすくめた。そして、
「例えばきみのいない明日。≪悪魔の証明≫」
 大針を鳥たちに投げつけた。崖へと鳥を縫い付ける。
 鳥たちが悲鳴を上げているが章は気にしない。
「皆標本にしてしまおう。……後は、頼んだよ。虫じゃないけど中々綺麗だ」
 後は鴉に頼んでひらひら、手を振って。章は落下していった。
「ビルから飛び降りたらこんな感じかな」
 そして章はごろりと寝転がるような形を取る。頭上を舞う鴉たちを見つめたままふとそんなことを思った。
 飛び降り自殺みたいだ。なんて。そこまで口には出さないけれど。
「どういう気持ちなんだろうな……」
 それは。なんて、思わずいいかけた、そのとき。
 ずもっ。と、体が沈んだ。
 気付けば蓮の中に、体が埋まっていた。
「うーん。これは上質なベッド」
 思ったような衝撃は来なかったけど。と、心の中で思いながらも、章は体を起こす。そこに、
 ばばばばばっ。と冷たい水が振ってきた。
「ん!?」
 鳥が倒されたのだ。倒された鳥は、骨にはならず水になって。そして章へと降り注ぐ。
「……やあ。わざとじゃないんだよ?」
 頭上で何か、ものいいたげに鴉が回っていた。きっと美味しくなかったとでも、いっているんだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
水兵服モチーフに向日葵をあしらった水着とサンダル

わあ、ほんとだとおいっ
崖を覗き込んでから斧を構え
よーし、いくよっ
ためらわずぴょんと飛び降りて
風がすごい、すずしいっ

鳥が近づけば
せー、のっ
蒸気を噴出させてぶんっと斧を振って

振るたびにいっしょに方向転換しちゃう
あっちを見たりこっちを見たり
ふふ、たのしい
鳥の羽ばたく音が聞こえたら
武器受けの代わりに攻撃っ

ぐうぜんとりさんの背中にのれたらたのしいな
たおしちゃうけど、ごめんね

ふわん
蓮の花に落ちた感触がたのしくて
もういっかい、もういっかいっ
飛び跳ねて遊んでいるうちに
空中で置き去りにした帽子が落ちてくる

わ、おとしてたんだ
よかった
回収しようとしてつるん、どぼん
わあ



「わあ……っ」
 崖を覗き込んで、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は思わず声を上げた。
 本日は水兵服モチーフに向日葵をあしらった水着とサンダルで、いつでも遊べる準備は万端であった。
 そして。オズは期待に満ちた目で崖から下を見下ろしている。
「ほんとだ……とおいっ。……よ、し!」
 顔を上げると、ぎゅ、とオズは斧を構えなおす。
 それから足元を飛ぶ鳥を、しっかりと見つめ狙いをつけてから、
「よーし、いくよっ」
 ためらうことなく。ぴょんとオズは空へと飛び込んだ。
「わ、わわわわわっ」
 体全体が風を受ける。声を上げているはずなのに風の音の中に入ってしまってその声が聞えにくい。
「風、すごい、すずしいっ、すごい!!」
 それでもオズは叫ぶ。わくわくを隠し切れないように声を上げる。
 飛行というには乱暴な時間は一瞬であった。すぐに、見る間に、鳥がオズの目の前に迫ってくる。オズは空中で斧を振りかぶる。
 取りもこちらに気付いたのか、威嚇の声と共に氷の矢のような結晶体を放っていった。
「だいじょうぶ、ちゃんと見てるよ。せー、のっ」
 負けじとオズも蒸気を噴出されて、ぶんと斧を振る。
「それー!」
 一閃して。鳥の群れへと切り込んだ。
「わ、わわっ」
 そして勢いに振られてぐるんと回った。回った先にも鳥がいたので、
「そっちも! やっちゃうよ!」
 負けじとオズは斧を振る。やっぱり同時に体も回った。
「ふふ、たのしい」
 なんだか戦闘中だけれども、ちょっと楽しくなってしまう。鳥の羽ばたきと共に斧を振る。そして、
「わっ」
 きしゃぁぁぁぁ。と奇声を発する鳥の背中に落下すると、
「ごめんね、背中にのっちゃった」
 じたばたする鳥に思わずオズはそう声をかける。が、爪を振り回そうが背中を押さえているとあんまり、こわくない。氷も近すぎて自分で放つことはできなさそうだし。
「これからいっしょに、空のむこうまで飛んでいけたらいいのにねえ」
 漏れた言葉。鳥は反対のようであったが、想像するだけでなんとも楽しかったりするのである。
「……たおしちゃうけど、ごめんね」
 けれどそんなひと時も一瞬だ。
 オズはぎゅっと斧を握り締めて、そしてその鳥にも叩きつけた。
 鳥たちは倒されると水になって水面に落ちていく。
 涼しくて気持ちいい。そしてオズも一緒に落ちていって……、
 ぎゅむ。
 と。
 蓮の葉の中に沈み込んだ。
「わ……! すごい、ふかふか! もういっかい、もういっかいっ」
 その感触があまりに面白くて、立ち上がって軽く飛び跳ねる。
 ぎゅむ、ぎゅむ、ぼよん。
 オズがそうやってしばらく楽しんでいた……ところに、
「あ、ぼうし!」
 オズの帽子が、ひゅるるるるーっと落ちてきた。
「わ、おとしてたんだ。よかった」
 落下時に離れてしまったのであろう。捕まえなきゃ、とオズは帽子を見ながら歩き出す。あっちかな。もうちょっとこっちかな。そうやって進んで、そして、
 どぼん。
 帽子を掴んだ瞬間、オズの足元には蓮がなかった。
「わあ」
 帽子を被りながら、オズは声を上げる。すぐに蓮の葉っぱを掴むけれど、
「……? あれ、動いてる……?」
 水に流れが生じていた。
 どこへいくのだろうかと。首をかしげるオズであるが、今のところ答えは、解らなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
えーとゴムなしバンジーチャレンジ?
どっちか言えば水からジャンプのが得意だけども。
まーやってみれば楽しいかもだしれっつごー。

格好はいつもの服。濡れても大丈夫な服だしなんかこの鳥冷たそうだし。
でも服の下にはちゃんと水着。安心。

先に銛を真下の川に向けてぶん投げてから追いかけるように飛び降り。
露払いは大事だよね。当たったならUCの水シャチごー。
勢い余って飛び降り中に取りに当たったなら一緒に川まで墜落れっつごー。
水に引きずり込んでいただきまー…いや倒すだけだよ!?
もし追撃来そうなら銛回収、追いかけて来た鳥達に水中から投擲してUC発動。
さあ近づいてくる前にたっぷり齧りついちゃおうか。

※アドリブ絡み等お任せ


瀬名・カデル
アドリブ・絡み歓迎

良かった、攫われたりしている人はいないんだね。
じゃあ張り切ってオブリビオンを倒そう!

まずはあの鳥さんだね…アーシェと一緒に勢いよくジャンプして落ちるよ!
鳥さんがこちらにやってきたら羽で飛んで落下をストップ!
そして、鳥さんよりも上に飛んで「君がための光」を発動。
アーシェに力を与えて鳥さんに特攻だ!

鳥さん、とっても綺麗な蒼色だね、でも残念だけど君はオブリビオン。
そしてこの場所は沢山の人が遊びに来るところだから残念だけどここにいちゃあいけないんだよ…!



「良かった、攫われたりしている人はいないんだね!」
 瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)が嬉しそうに崖の下を覗き込んだ。今日は水色の可愛らしい水着に、淡いピンクの布を纏っている。
「そうだね。そう言うひどいことがない様で何よりさ」
 カデルの言葉をヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が肯定する。今日の彼はいつもの服装であったが、安全安心の服の中に水着派であった。だってこれから戦う敵寒そうだし。そのまま軽く準備体操をするヴィクトルに、
「うんっ。じゃあ張り切ってオブリビオンを倒そう!」
 カデルは嬉しそうに声を上げる。行こう、と指をさすのは崖の下だ。
「まずはあの鳥さんだね……」
「えーとゴムなしバンジーチャレンジ? ということになるのかい? どっちか言えば水からジャンプのが得意だけども」
「そういうことになるね! ジャンプは平気?」
「どーだろう。まーやってみれば楽しいかもだし、こわくないかもしれないしー。だから、れっつごー」
「はーい。じゃあボクも……突入するね!」
 カデルは黒髪に青い目の戦闘用人形のアーシェを抱えて、
 勢いよく崖からジャンプした。
「うんうん。俺も行くよー」
 のんびりヴィクトルもそういって、えいや、とばかりに全力で下のほうに銛を投げつけた。そしてそれから力いっぱい飛び上がって空中へと身を躍らせるのであった……。

 落ちていく。
「わー。すごいすごい!」
「うん。これは……これはすごい」
 風が全力で二人に向かってくる。髪が、服が。まるで体全体がどこかはためいているような気がする。
 ちょっと気を抜くとくるくる回る。風も結構吹いているように感じられた。
「あ、いた!」
「うんうん、あそこだね」
 カデルの指出した先には青い鳥の姿があった。ばさりとカデルは翼を広げる。
「君も……!」
「あ、大丈夫大丈夫。気を使わなくて」
 重いから。と、手を伸ばしたカデルに、見も蓋もなくそう言って。ヴィクトルは先ほど投げつけていた銛の行方を追う。
 行って先。二人より先に落ちていた銛は、丁度鳥のいる区画に突入し、一羽の翼を貫いた、ところであった。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ」
 ごー。なんてゆるーく掛け声をかけるヴィクトル。銛が当たったその鳥へと、水で象った巨大なシャチを召喚した。
「私たちも、……行こう! アーシェ……君に光を、ボクの祈りを!!」
 巨大なシャチが暴れまわる。その間にか出るもまた祈りを捧げる。祈りをこめた聖なる光を受けて、アーシェがその身を翻した。
「露払いは大事だよねー。露払いには大げさ? 気にしてはいけない」
「アーシェ! 鳥さんに特攻するよ。……えいっ!」
 シャチが鳥を飲み込む。そして踊るようにアーシェが動いて鳥たちを的確に切り裂いていく。
「鳥さん、とっても綺麗な蒼色だね、でも残念だけど君はオブリビオン。そしてこの場所は沢山の人が遊びに来るところだから残念だけどここにいちゃあいけないんだよ……!」
 だから、倒すね、と。
 傷つけられた鳥が悲鳴を上げて、倒されると同時に水に変わっていった。
「こいつが」
「うん、最後の一匹ー」
 そして数を減らしたとき、丁度真下にいた鳥をヴィクトルが引っつかむ。
「よーし。このまま一緒に川まで墜落れっつごー。水に引きずり込んでいただきまー…いや倒すだけだよ!?」
 いいながら、えいや。と。
 ヴィクトルは鳥を水面に叩きつけ、そしてヴィクトル自信も落下の勢いをそれで殺して水の中に突入した。
「よーし。キミはもう終わりだー。さあたっぷり齧りついちゃおうか。……いや、いいや。水になったら冷たいだけだし」
「えーいっ。……と」
 そうこうしている間にカデルも着地する。カデルのほうは、蓮の葉の上に翼を使いながらふわっと降り立った。
「!」
 葉っぱが結構沈む。
 瞬きをするカデルであったが……、
「あ、ヴィクトル、流されてるんだよ!」
「あれ。ほんとだねー」
 カデルが思わずそう指摘した。ここには水の流れがあるのか、どんどん流されていっている。
「でも、キミも流れてるよ~?」
「ええ!?」
 蓮の葉が落下時に切れたのか。つるつるつるー。っと水面を進んでいく。
「どこに……行くんだろう?」
「うーん。わからないなー」
 顔を見合わせる二人。答えがわかるのは、もう少し先のことである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水が流れている。
 最初は緩やかな流れであったが、どんどんスピードを増していっている。
 知っているものはそれを、「ウォータースライダー」と呼んだかもしれない
 流れはどんどん早くなり、それに伴い水の幅も狭くなっていっていた。
 泳ぎに自信があるのならば、泳いで進めないことはないだろう。
 流れは速いが、川自体がかなり深いので、何かに当たるという心配はしなくていい。間違って沈んでしまったらおぼれてしまうので、そこは注意しなければいけないが。
 だが、必要ならば先ほど落下時にクッション代わりに遣った蓮の葉に乗ることも可能である。大体二人乗りぐらいまでの大きさの蓮があちこちにあり、ひとが乗るか、もしくは縁に掴まるなどしたら茎が切れて共に流れていくことだろう。
 蓮を使うならば単純にウォータースライダーを楽しむことが可能である。
 結構なスピードが出るだろうから、思い思いに楽しめばそれでいい。
 ……で。
 肝心のその水路には、敵が出る。
 水の大蛇というそれは、名前の通り水が集まったような形をしていた。
 それが楽しい川くだりの最中に待ち構え、そうやって滑ってくる人たちを丸呑みにしようとしているのであった。
 色は水と見分けがつきにくいが、攻撃時は自ら体を半ば出しているので、攻撃できないということもない。
 そこまで強力でもないので、すれ違いざまにこつんと一度、撫でる気持ちで向かうぐらいでいいだろう。


※次回プレイングの受付は、7月25日8:31より受付開始。
 26日の21時ぐらいまでは大丈夫です。それ以降も、プレイングを投稿できる状態であれば是非どうぞ。
 指定時間より早く送ってくださった方は自動的に流します。そうなると再投稿のタイミングがありませんので、ご注意ください。
 また、戦闘はだいたいおまけです。
 遊んでたら敵が現れて、すれ違いざまに一発殴るぐらいの気持ちで。
 今回もウォータースライダーとか、川くだりとか、その辺がメインです。
 蓮の葉を使ってもいいですし、泳いで川流れしてもいいですし、
 自作の筏を持ち込んだり、水上バイクを走ってみたり、サーフィンしてみたり、
 その辺は、お好きにどうぞ。
 気楽に何でも楽しんでいただけたら幸いです。
ベイメリア・ミハイロフ
水の大蛇…なんだか涼しげでございますね
…い、いいえ!飲み込まれないようにいたしませんと!

蓮の葉に座って、川滑りに挑戦いたします
降下はびっくりいたしましたけれど、次なるものはどうでございましょう?

大蛇の攻撃をオーラ防御にて防ぎつつ
ジャッジメント・クルセイドを、
頭を覗かせている所へ叩き込みたく存じます

まあ、このぐらいの流れでしたら
緩やかで大蛇にも確実に攻撃を当てられることかと…
―え?あ、あら、あららららら…
はわわきゃああああーーーー??!!!
自然と悲鳴が上がるものの、風をきり水のしぶきを受けますのは心地よく
下へ着く頃には、体じゅうがほてって、なんだか楽しくて…
もう一回、が無理なのが残念でございます



 ベイメリアを乗せた蓮が、つるつるつるーっと滑っていく。
 そのうえにペタンと腰をおろして、ベイメリアは水面をのぞきこんでいた。
 澄んだ水はベイメリアの姿を映しながらも、徐々に徐々にスピードを上げて彼女を運んでいく。
「降下はびっくりいたしましたけれど、次なるものはどうでございましょう?」
 先ほどの飛び降りから行きも落ち着けば、ベイメリアはほっと一息つきながらもそんなことに思いを寄せるのであった。
「水の大蛇……なんだか涼しげでございますね。もし、連れて帰ることができましたら……」
 夏中どこでも連れ歩くのに。なんて、ふぅ、と平和な想像をしてから、
「……い、いいえ! 誘惑に飲み込まれないようにいたしませんと!」
 はっ。とベイメリアは我に返り、一人ぶんぶんと首を横に振るのであった。
 その間にもどんどん水の流れが速くなっていく。
 徐々にカーブが起こり、左右に振れ始めるがいまだベイメリアには怖くない。大丈夫だ。
「……ああ」
 そのうち、ベイメリアは顔を上げると、
 立ちふさがるように鎌首(?)をもたげる、巨大な水で作られた蛇の姿が目に入った。少し遠いが……、
「そこでございますね!」
 ベイメリアが指先を向ける。しっかりとした動きに、即座に光が水の蛇を撃った。
 水が弾ける。確かに手ごたえがあった。叩かれた場所が一瞬、形を失って水しぶきが上がる。
「まあ、このぐらいの流れでしたら、緩やかで大蛇にも確実に攻撃を当てられることかと……」
 ふふ、と形を失った大蛇にベイメリアは嬉しげであった。しかし大蛇の方も負けてはいない。再び水から自分の体を作りだす。
 そしてベイメリアの目の前に、再び巨大な蛇の姿が現れた!
「……っ、そちら、です!」
 とっさに、ベイメリアは蓮を揺らす。
 ひゅん! と反撃のようにたくさんの水の弾丸が放たれる!
 同時にぐりん、と蓮の葉を動かして、間一髪でそれをよけるとベイメリアは大蛇の脇を通り抜けて行った。
「ふぅ……。なかなか素晴らしいどらいぶてくにっくでございました……」
 通り過ぎた大蛇の姿ははるか遠い。ベイメリアがふう、と息をついた。
 息をついた……そして、
「――え?あ、あら、あららららら……」
 なんだか。
 景色が流れているのが、異様に早くないか。
 ぶわっしゃー! と水面を蓮が弾けて揺れる。
 気付いたころにはスピードが上がりきり、それは先ほどの崖落下と変わらぬ速度になっていて……、
「はわわきゃああああーーーー??!!!」
 自然と悲鳴が上がるがもう遅い。カーブする水路を右へ、左へ。
「ひゃ、岩、ぶつかりますぶつかるー!!」
 ぐん! とぶつかる直前曲がった蓮の葉に息をつく暇もなく。
「まえ、まえ! あああっ!! もう……!」
 そんなこんなを、繰り返すうちに。
「ああ……なんて、楽しい旅路でしょう……!」
 慣れてくると、風を切る。もうそれだけで楽しくて。
「もう一回、が無理なのが残念でございます」
 ふう、とベイメリアは息をついた。
 もしかしたらもう一回、廃都観光の代わりに同じ場所で遊ぶことはできるかもしれないけれども、
 この新鮮な冒険は、きっと今しか味わえない。
「ああ。もうすぐ、終点でございますね」
 水を流れる速度が緩やかになってくる。
 水の都は、すぐそこだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒金・鈊
スティ(f19491)と

ずぶ濡れだな(髪を纏め直し)
……はあ、仕方が無い。少しじっとしていろ。
ふん、掻き斬って落ちる首か?

ところで、待っているのは蛇らしいぞ。
あんたの仲間だ。何とかできないのか?
……同族嫌悪か。
ほら、できたぞ。
――機会があればな。

……水上バイクを用意した。といっても変形させた奴だが。
ああ、乗り心地は保証しないが(笑いつつ)
選手交代だな。任せておけ。

蛇の姿が見えたら、全速力でいく。
その矢、当てられるものなら当ててみろ。
よく舌を噛まないな、と感心し。
成る程、気取った理由だな。乗馬に興味はあるが、白馬は……。

――ッ、間に合わせるとも。
また髪を結び直さないといけないからな。


スティレット・クロワール
鈊君(f19001)と

本当ずぶ濡れになったなぁ、髪結ぶのメンドくさい
あ、鈊くん器用だねぇ。ね、私の分も結んでくれる?
首なんて騎士にしか晒せないでしょう?

私の蛇くんは水の子じゃないからなぁ。
意外と選り好みが激しいからね。交渉決裂

ん。ありがとね、鈊君
お礼に、今度私も髪を結んであげるよ

しーん君、後ろ乗せてね
ふふ、前は宜しく、ってやつかな

蛇の姿が見えれば、冥府の衣で援護と行こうか
うーん、やっぱり乗馬の経験があるからかな
今度乗せてあげようか?

我が騎士へと加護を紡ぎ

衝撃波は残照に。迎え撃つ…よりは攻める方が好きなんだよねぇ
バイクを足場に斬りかかりに行ってみようか

しーん君、後で迎えにきてね? 俺が落ちる前に



「ずぶ濡れだな」
「うん、ずぶ濡れだねえ」
 鈊の言葉にスティレットは平然と言った。それから、
「あー。本当ずぶ濡れになったなぁ、髪結ぶのメンドくさい。でもそのままでいるのも気持ち悪いな。あっ、鈊くん器用だねぇ。ね、私の分も結んでくれる?」
 なお、その「あっ」のわざとらしかったこと。……とまでは、鈊はいわないけれど。
 半眼でスティレットを見る、その視線に気付いたのか、
「首なんて騎士にしか晒せないでしょう?」
 なんて笑われたら、鈊はため息をつくしかなかった。
「……はあ、仕方が無い。少しじっとしていろ。……ふん、その首は掻き斬って落ちる首か?」
 なんて憎まれ口を叩きながら、鈊はスティレットの髪の面倒も見ることになるのであった。
 二人はひとまずその場にとどまり、簡単に身なりを整える。
「ところで、待っているのは蛇らしいぞ。あんたの仲間だ。何とかできないのか?」
 髪の毛を整えながら、鈊が声をかける。スティレットはそれに軽く肩を竦めて、
「私の蛇くんは水の子じゃないからなぁ。意外と選り好みが激しいからね。交渉決裂」
「……同族嫌悪か」
「ええ、そんなのじゃないって」
「お前が交渉というととたんに信がおけなくなる。何故だろうな」
「あはは。なんでだろうねー?」
「それだ。たぶん、原因は。……ほら、できたぞ」
 はい。と手を離すと、
 結ばれた髪の毛に手をやって、スティレットはわらった。
「ん。ありがとね、鈊君。お礼に、今度私も髪を結んであげるよ」
「――機会があればな」
「言ったね? 私は、忘れないよ」
「機会があればといった。いつでもしていいわけじゃない」
 そんな会話を交わしながら、
 今度は鈊が、乗り物を用意する番であった。
「……水上バイクを用意した。といっても変形させた奴だが」
 それが終われば、いよいよ川くだりである。
 今度は鈊が用意した変形バイクに跨ると、スティレットはうんうん、と。
「しーん君、後ろ乗せてね。……ふふ、前は宜しく、ってやつかな」
 返事を待たずにさっさと乗り込むので、鈊は思わず笑う。
「ああ、乗り心地は保証しないが……。選手交代だな。任せておけ」
「うん、頼りにしているよ」
 そうしてしっかりとスティレットが乗ったことを確認すると、
 鈊は水上バイクを走らせ始めるのであった。

 水の音がしている。急流も水上バイクであれば簡単に制することができる。
「すごいねえ!」
「ん? そうだな、流れが速い……!」
 水が跳ねる。跳ねたと思ったら次にはカーブが飛び込んでくる。一筋縄では行かない道を、それでも鈊はやすやすと走りぬけていく。
「うまいもんだねえ」
「そうだろうか。これから……」
 おしゃべりに、答えようとした瞬間に水が跳ねる。
 そして二人の目に、巨大な蛇の形をした水の群れが飛び込んできた。
「……全速力で行くぞ」
「了解。しっかり掴まっているね」
 水上バイクのスピードが上がる。同時にスティレットが援護として、
「誘うは深淵への儀式。冥府の棺に告げよ、凄惨にして蒼古なる青。ーーさぁ、我が声を聞く者」
 己には衝撃波を操る冥界の護りをまとい、スティレットにはの戦闘力を増強する守護の風で援護を行った。水上バイクのスピードが上がる。
「わが騎士へと、加護を」
「よく舌を噛まないな」
「うーん、やっぱり乗馬の経験があるからかな」
「成る程、気取った理由だな」
「今度乗せてあげようか?」
「乗馬に興味はあるが、白馬は……」
 いかがなものかといっている間に、限界までスピードが上がった水上バイクが、まっすぐに水の蛇へと突っ込んでいく。
「その矢、当てられるものなら当ててみろ!」
 いわれずともと、氷の弾丸が放たれる。的確にそれは二人を狙っていたが、二人の速さはそれを上回っていた。
「は……っ」
 ものすごい速度で回避していく。その中でスティレットもバイクを足場に美しいサーベルを抜いた。
「うーん……迎え撃つ……よりは攻める方が好きなんだよね。けど」
 跳ぶ。跳ぶと同時に衝撃波を纏った刃が水の蛇を貫く。水の体がはじけるようにして揺らぐと、
「しーん君、後で迎えにきてね? 俺が落ちる前に」
 あっさり。それ以上はお手上げ。なんて両手を挙げるスティレットに、
「――ッ、間に合わせるとも。また髪を結び直さないといけないからな」
 あわてて鈊は、着地地点へとバイクを回すのであった。
「さあ、これ以上は働かないよ。行こう」
 水の蛇は移動しない。よって通り過ぎたら追いかけてくることもない。さあ、遊ぼうと主張するスティレットに鈊も頷いてただ目の前まっすぐ、バイクを走らせるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
アレンジ歓迎

ふふ、それも面白いのではなくて?
その方が――いえ、以降は気を付けます
心配性の従者へと手を伸ばし労わるように頭を撫でた

問に頷きで答えればアランへと背凭れる
わたくしの騎士、船の舵は任せましたよ
男を壁として葉に座れば風圧も防げる
舞い降りて来たジゼルを飛ばされぬよう懐へと呼んだ
懸河とはこれほど速く複雑に流れるのですね
まるで異世界の遊園地のよう!
ねぇ、蛇さん――『退いて下さいな?』
ああでも、ごめんあそばせ!
いまは答など聞いている暇ありませんの!!
ああほらもう、落ち――ッ!!

ふはっと水から顔出せば爽やかに笑う事の元凶
やはり身投げの報告をせねばならないようですね


アラン・サリュドュロワ
マリー(f19286)と
アレンジ歓迎

俺に君の身投げの報告をさせたいのか
頼むから無茶はしてくれるな
葉の上でがっちりと彼を捕まえながら
胆を冷やした、と嘆息

君は泳ぎは得意か?ならば、このまま行こう
上がる速度で振り落とされないよう
彼と葉とどちらも掴む力を強め
竜形に戻ったジゼルが飛ばされまいと姫に引っ付く
速さはもとより、時折渦で回転するのもなかなかスリルがある
これは面白い──この蛇がなければな!
いくつもの氷の破片へを顕し、差し向ける
冷気が周囲を含め蛇を凍らせれば
葉ごとその上を滑りジャンプ台のごとく飛び越えよう

着地の水柱でまたずぶ濡れになりながら
最後のは楽しめただろう?と笑って



「まったく。俺に君の身投げの報告をさせたいのか。頼むから無茶はしてくれるな」
 短い時間ではあったが
 なにやらその短い時間で、アランはとても疲れた顔をしていた。
 蓮の上に座する二人。
 アランはがっちりマリークロードを捕まえているが、等のマリークロードは涼しい顔だ。
「ふふ、それも面白いのではなくて? その方が――」
 言って。マリークロードはアランの顔をまじまじと見て。
「……いえ、以降は気を付けます」
 思わず、アランの頭に手が伸びていた。労わるように頭をなでられると、アランから漏れるのは、
「ああ。そうしてくれ。胆を冷やした……」
 深い深いため息であったという。流石のマリークロードも、申し訳なくなって来ていた……のかどうかは、わからないけれど。
「とにかく、だ」
 そうこうしている間にも走り出した蓮は止まらない。アランはひとつ咳払いをしたあとで、
「君は泳ぎは得意か?」
「いいえ。それはもう一度濡れてしまえばもう立ち上がることすら出来ないような……」
「……」
「まあ、たしなむ程度には」
「了解した。ならば、このまま行こう」
 頷き進行方向へと向き直るアラン。
 むぅ、とマリークロードは内心、ほんの少しだけ頬を膨らますようにして、アランと背中合わせに据わってその背に軽く体重を預けた。
「わたくしの騎士、船の舵は任せましたよ」
「ああ。任せて置け。……怖くは無いのか?」
「ええ。丁度いい風除けになりますから」
 マリークロードにとっては後ろ向きに。どんどん速度は加速していく。
 そこにジゼルが舞い降りてきて、マリークロードの懐に飛び込んだ。よしよし、とその頭を優しい手でなでていた……ところで、
 蓮の葉が跳ねた。
 気付けばもうずいぶん速度が上がって来ている。
「ああ、風が……」
 衣装の裾が、髪が、はためく。風が水滴を撒き散らす。背中を向けていると前が見えなくて、カーブのたび動く景色に瞬きを繰り返す。
「懸河とはこれほど速く複雑に流れるのですね。まるで異世界の遊園地のよう!」
「はしゃぐな。振り落とされるなよ……!」
 しっかりと蓮を掴み、もう片方の手でマリークロードをがっしりと抱えなおした。
「ジゼル、しっかり掴まっていろ!」
 返事のようにジゼルが顔を出したところで、ぐるん! とはすが回った。渦か何かに飛び込んだのか。グルグルグルグル回転しながら落ちていく。
 アランは口の端をゆがめて笑う。ぐるぐる回ってはいるものの徐々に扱いには慣れてきて、こうなれば楽しいと思えないこともない。
「速さはもとより、時折渦で回転するのもなかなかスリルがある。これは面白い──この蛇がなければな!」
 だが。
 二人の進む方向に、水の魔物が立ち上がる。
「これが異世界の遊園地でしたら、なかなかおしゃれな作りものだと楽しめたのですが!」
「油断するな。ジゼル、君の氷を少し借りるよ」
 言って。アランは冷機をまとう氷の刃を作り出した。水の蛇に叩きつける。ジゼルの機嫌に左右されるそれは、たちまち蛇の体の一部を凍らせた。
「あそこか……!」
 その凍ったアーチの真下を二人と一匹を乗せた蓮が通過していく。そのままジゼルはジャンプ台のように次々と水を凍らせていくが、
「ねぇ、蛇さん――『退いて下さいな?』」
 蛇とのすれ違いざまにマリークロードも、魔法で伸ばした影を放って問いかけた。本来ならばそれは返答を待つタイプのものであるが……、
「ああでも、ごめんあそばせ! いまは答など聞いている暇ありませんの!!」
 すごい勢いで通過していくので、その応えも、蛇がどうなったかも確認している暇はない。水の流れから凍りになれば、もっと速さが上がるのは当然で……、
「ああほらもう、落ち――ッ!!」
「!? なんで落ちている……!?」
 マリークロードは当然のごとく歓喜の声を上げ。
 アランは突然消失した氷と、そして跳ね上がっていく自分たちと、そして更に思っていた以上に高くまで飛んでいることに思わずそんな声を上げて、
 ざぼん。とふたり。
 蓮から投げ出されて、水の中に落っこちた。
「ああ……」
 ふはっと水からマリークロードは顔を出す。爽やかに笑って本当に楽しそうで、
 アランも顔を上げると、しかしその笑顔に思わず、
「……最後のは楽しめただろう?」
 と、笑うのであった。
「ええ。やはり身投げの報告をせねばならないようですね」
 楽しそうな彼の様子に、アランは肩をすくめる。蓮が遠くに流れていってしまわないように捕まえて、軽く手招きをするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
賢い君、賢い君、どーする?
次はどーする?
アァ……アレに乗ればイイのか。
なるほどなるほどー。

蓮に乗ってせーの!
思ったよりも流れは速い、速い速い。
賢い君のアカイイトも風に靡いて大変大変。

アァ、わざと?
大きい蛇が邪魔してた?
蛇なんてどこにもいないケドなァ……。
いや、本当は水の蛇がコッチを見ていたコトくらい知っているサ。

ほーら、また来た。
アッチでも見てる。
水の蛇も遊びたい?遊ぶ?あーそーぼ
流れながらの鬼ごっこ

もっともーっと速く行くにはどうすれば良いのでしょーねー。
行け行け、逃げろー!
逃げる方も楽しいなァ……。



 エンジは特に意味なくなんとなく、流れに逆らって泳いでいた。
「賢い君、賢い君、どーする? 次はどーする?」
 数分で飽きたのだけれど、ほかになんてあてはないし。とか考えていたところで、
 つぅー。っと、目の前に蓮の葉っぱが滑ってきた。
「アァ……アレに乗ればイイのか」
 結構大きそうだ。ふちに掴まって軽くたたくと、なんだかふかふかしたおもしろい触感がある。
「なるほどなるほどー。賢い君、今日も絶好調だ。そぉーれ」
 よいしょ、と蓮の上に乗る。
 わさわさと蓮は揺れていて、エンジはおかしげに笑った。
「それじゃァ行くか、行くかァ。……せーの!」
 どんっ。と。
 強くエンジは蓮に負荷をかけて。
 そうすれば蓮は水の流れとともに、すすすと流れ出した。
「あァ……おォ……」
 思わず感心したような声が出る。その声を風がさらっていく。
「思ったよりも流れは速い、速い速い」
 スピードが出てくる。景色がものすごい速さで流れていく。
 賢い君のアカイイトも一緒に流れる。綺麗な線が美しいいろを水の世界に残していく。
「賢い君、賢い君、アカイイトが風に靡いて大変大変」
 大変っていうよりも、どこか面白おかしそうにエンジが声を上げるけれども、赤い色はなびいたままで、
「アァ、わざと? 大きい蛇が邪魔してた? 蛇なんてどこにもいないケドなァ……」
 額に手を当てて、冗談めかしてきょろきょろとするしぐさ。勿論、本当にわかっていなかったわけではない。
「本当? 本当? 見えないなァ。……あァ」
 言っていたら、あっという間に迫る大蛇。
「いや、本当は水の蛇がコッチを見ていたコトくらい知っているサ。……ほーら、来た」
 こっちを見ていると。エンジが視線を向けたその先で。
 水の蛇が形を作り、彼の方を見て威嚇していた。
「水の蛇も遊びたい? 遊ぶ? あーそーぼ」
 冗談めかしてエンジはそういうと。ぐ、蓮の上で座っていた位置を変える。
「流れながらの鬼ごっこだ。行け行け、逃げろー!」
 声とともにすれ違いざま。流れる赤が水の姿を切り刻む。
「あァ……。早い。早い。水の蛇、どんどんおいてっちゃうなァ」
 流れはどんどん加速していく。追うように蛇が水の弾丸を放出したがエンジにはもう届かない。
「逃げる方も楽しいなァ……。もっともーっと速く行くにはどうすれば良いのでしょーねー」
 蛇もはるか遠く。けれどもそんなことはどうでもいいかのように楽しく。エンジはがたがたと葉を揺らす。
 水の抵抗を受けて、はじけるように蓮がはねた。
 遠くまで遠くまで。どんどん早くなる蓮と一緒に流れるように、アカイイトがいつまでも美しくなびいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加
着地した時に乗った蓮の葉に乗りながら移動

水に流されていると、この間も別世界で似たような体験をしまして
随分勢いのある水路でしたので滝行を
それから、この速さは一緒に行った遊園地の……じぇっとこーすたーも思い出します
実際にそうした施設もあるとは知りませんでした
是非、そちらも連れて行ってくださいね

聞き耳や第六感にて大蛇の気配を察知したら速やかに刀を構え
早業併せ抜刀術『神風』にて斬撃を飛ばして倒してしまいましょう

戦いを終える度に倫太郎殿の視線が簪に向いていて、心配でも彼は口に出さなかった
大丈夫ですよ、ちゃんと付いています
そして、私から言わせてください
ありがとう、と


篝・倫太郎
夜彦(f01521)と

蓮の葉に乗ったまま流されてく形で川下り

……滝行?
滝に打たれて精神鍛えるアレ?
あんた、ホントに色々体験してるな

段々スピード上がってくのはあれだ……
まで言ったら、同じことを思ってたらしい夜彦から
ジェットコースターって単語が出て来て思わず笑う
あるある、ウォータースライダーってのが
また、機会あったらこの夏の間にでも行こうぜ?

警戒態勢の夜彦にぱちくり
っと?なんか水面から出て……あ、こいつか!

拘束術使用
鎖で攻撃して、華焔刀で衝撃波の攻撃

あー、吃驚した!
っと!夜彦の簪は大丈夫……と
(安心して、ほっとして……でもやっぱり言わない)
う、ぇ……あんた、気付いてたのかよ……

どーいたしまして、だ



「倫太郎殿!」
「おう、夜彦。調子はどうだ」
「とても早いです」
「……だなっ」
 夜彦の感想に、倫太郎は思わず声を上げて笑った。
 二人が乗るのは着地したときに乗っていた蓮である。
 最初は緩やかだったものの、徐々に徐々にその速さが増していく。
 そんな水に流されていれば、夜彦はなんとなく思い出すものがあって、
「この間も別世界で似たような体験をしまして」
「へえ? 段々スピード上がってくのはあれだ……」
 ジェットコースターとかかな? と思う倫太郎に、夜彦は平然と、
「随分勢いのある水路でしたので滝行を」
「……滝行?」
 思わず、倫太郎はぽかん、とした。
「滝に打たれて精神鍛えるアレ?」
「そう、それです。とても有意義な時間を過ごさせていただきました」
「……あんた、ホントに色々体験してるな」
 すごいな。と思わず呟く倫太郎に、
 そうでしょうか? と倫太郎は首をかしげ、ふと思い出したように、
「それから、この速さは一緒に行った遊園地の……じぇっとこーすたーも思い出します」
「ああ。それ」
 さっき思ってたこと。なんて言って。思わず倫太郎は笑う。
「楽しかったか? じぇっとこーすたー」
「ええ。勿論。そして今このようなものを扱う施設も、実際にあると聞きました」
 知りませんでしたが……といわれると、今度は考えるまでもない。倫太郎はうなずいて、
「あるある、ウォータースライダーってのが。また、機会あったらこの夏の間にでも行こうぜ?」
「ありがとうございます。是非、そちらも連れて行ってくださいね」
 顔を見合わせて、笑いあうのであった。

「で。だ。とりあえず今日のことなんだが……」
 未来のことも過去のことも話し終えれば、ざぶん! と蓮の葉が跳ねる。
「こいつなんていうか、すげえカーブとかしねえかな。折角の勢いだから……」
「倫太郎殿。確かに更にスリルがあってもよいとは思います。ですが……」
 ふっと。そのスピードもかなりのものになってきたころ。
 ぴっと唐突に、夜彦のまとう空気が変わった。
 それに気付いた瞬間、倫太郎も己の武器を取る。ほとんど反射であった。手に取ってから瞬きをひとつ。
 その後刀を手にする夜彦に、それから倫太郎は、
「っと? なんか水面から出て……あ、こいつか!」
 思い出した! みたいな顔をするのであった。
 普段の会話なら、思わず微笑んでいたかもしれない夜彦であったが、今日は違う。
「一瞬。であるならば……」
 水面が揺れ、水が大蛇の姿をとる。そこに蓮の葉ともども二人もまっすぐに突っ込んでいく。
「速やかに倒しましょう。……是は空さえも斬り裂く刃也」
 空に舞う小さな花弁さえも斬り裂く一振りが。音もなく一閃した。
 すれ違いざまの一撃は、納刀状態から放たれ、そしてその水しぶきすら触れるまもなく一閃され見えない斬撃で大蛇を切り裂く。
 次の瞬間には、それはもう鞘に戻っていた。
「……っ、と!」
 斬られた場所から、水の形が崩れる。大蛇の下をすり抜けるようにして蓮は進む。首を向ける蛇に、倫太郎が災いを縛る見えない鎖を放った。
「縛めをくれてやる。お前はまだしばらく……ここにいやがれ!」
 見えない鎖が蛇を阻み、その間に蓮は流れて遠ざかっていく。
「あー、吃驚した! っていうか忘れてた!」
 水の蛇が遠くに見えなくなっていくころ、ほっと倫太郎は一息ついた。そしてそれから、
「っと! 夜彦!!」
 はっ。と倫太郎は我に帰り、夜彦のほうに視線をやる。無事なのは知っている。それでも彼が真っ先に見たのは……、
「大丈夫ですよ、ちゃんと付いています」
 口には出さなかったのに、倫太郎の目線が夜彦の簪を探していることに気がついて、夜彦は微笑んだ。
「……そ、そうか」
 あからさまにほっとしたような息を吐く倫太郎に、夜彦は頭を下げる。ゆっくりと、丁寧に。
「そして、私から言わせてください。ありがとう、と」
「う、ぇ……?」
 倫太郎はほんの少し、目を白黒させて。そして、
「あんた、気付いてたのかよ……」
 がりがりと頭をかいた。割り止るわかりの態度であったが、本人としては心配していることを隠しているつもりだったのだ。
「……はい」
「かなわねーな」
「そうですか?」
 それでも、口に出さずに、静かに心配してくれた倫太郎が、夜彦には嬉しくて。そんなことをいうと、倫太郎はぷいと横を向いて小さくいった。
「どーいたしまして、だ」
 ボソッとしたものいいに、思わず夜彦は声を上げて笑った……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

……まぁなんとなく予想はつきましたよね
段々と早くなっていく流れにもはや溜息すら出ない
諦めきった顔で一先ず落ちないようにと蓮を掴む

バランスさえ崩さなければ落ちないでしょうし、大丈夫ですよ
それよりも敵が出てきた時にどうしましょうか
あまり早いと気付かぬ内に飲まれてしまいそうですが……

そんな端の方に行ったらあぶない……と声を掛ける間もなく落ちて行く彼女にぎょっとする
追うように水中へ、強引に腕を掴んで抱き寄せて

……あのですね、何かをする前に一度考えてから
は? いや暴れないでくださいよ、余計に危ないでしょう

落ちた拍子に殴ってたんじゃないですかね……


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

わわっ!
バランスを崩しかけて、慌てて蓮にしがみつく
さっきまでは緩やかだったのに
思った以上にスピード出てない!?

なかなかスリルあるけどヨハンは大丈夫?
さすが、冷静だね
敵って『水の大蛇』だっけ
どの辺りに潜んでるのかな……

水面を覗けば、蓮が突如揺れた拍子に落ちてしまって
――このままでは溺れてしまうのだと
状況を飲み込むより早く、抱えられていて

ごめんね
ヨハンまで巻き込んじゃうなんて……

ふとネットで見た記事が頭を過る
溺れた人を助けようとした人が溺れてしまうことが多々あるのだと

!!
や、やっぱり駄目!離していいから!

あれっ
さっきのが水の大蛇?
何かの拍子に倒しちゃってたみたいだね……



「わわっ!」
 がたん、と蓮が揺れて。
 オルハはひし、と蓮にしがみついた。
「ね、ね、思った以上にスピード出てない!?」
「……まぁなんとなく予想はつきましたよね……」
 若干伏せ気味でいまさらながらに不安そうな顔をするオルハの隣に座って、ヨハンはため息すら出ない。という顔でしっかりと蓮を握り締めている。
 しっかりこの辺を掴んでおけば大丈夫だろう。なるべく端のほうに行かないように……なんて真ん中のほうにいたヨハンは、
 案の定端っこで水面を覗き込んでいて動けなくなったオルハに、冷たい視線を向けた。
「うう。なかなかスリルあるけどヨハンは大丈夫?」
「バランスさえ崩さなければ落ちないでしょうし、大丈夫ですよ」
「さすが、冷静だね……わ、私もそっちに行っておけばよかった……」
「そっちって。そんな離れてるわけでもありませんし……。ほら」
「ぎゃー!? ヨハンどこ触ってるの!!」
「? 足ですが。ほら引っ張りますよ」
 ぐいーっと足を引っ張ろうとするヨハン。ヨハンとしては、真ん中のほうが安全なだからというだけの行為であった。
 ちなみに蓮は超柔らかくて気持ちいいのでそういう面では引っ張られても安心である。オトメゴコロとか他のものは兎も角。
「だめだめだめ! そういうのはなんかだめー!!」
「そんなことを言っても敵が出てきた時にどうするんですか。この勢いだと気付かぬ内に飲まれてしまいそうですが……」
「敵って『水の大蛇』だっけ。どの辺りに潜んでるのかな…………って、でもだめだからー!!」
「……っ、危ない!」
 ばしゃん!
 そんなことをいっている間に、水面がはじけて蓮が跳ねた。
「あ!!」
 勢いあまって、ぽーんと放り出されるオルハ。
 一瞬にして水の中である。が馬場場ば、とか、そういう声すら詣でない。沈んでいくからだに、
(――このままでは溺れちゃうのかな……)
 と。
 自分の状況を認識するより、早く、
「だから……、そんな端の方に行ったらあぶない、と……!!」
 叫ぶような声と共に、オルハはヨハンに抱き寄せられた。
 水の中に落ちたオルハを、まったくためらうことなくヨハンは助けるために水の中に飛び込んだのだ。
 片手に蓮を掴み、片手にしっかりオルハを抱くヨハン。
「……あのですね、何かをする前に一度考えてからしてください。足を掴んだことは謝りますがあんな場所で暴れれば……」
「うん。ごめんね。ヨハンまで巻き込んじゃうなんて……」
 いつになくしおしおと落ち込むオルハに、ヨハンはう、と言葉と小言を詰まらせる。
「解ればいいんです。解れば……」
 ちょっといい過ぎただろうか。なんて。思うヨハン。しかし一方オルハは……、
(そういえば、こないだ、溺れてる人を助けようとして人が溺れちゃう話をネットで読んだような……)
 またいらんことを思い出していた。
「は!! や、やっぱり駄目!離していいから!」
「!? は? いや暴れないでくださいよ、余計に危ないでしょう……!!」
「でもでも!! ヨハンが溺れたら、私、私……!」
「そう思うなら、おとなしくしていてください……っ」
 ヨハンがオルハを蓮の上へとようやく引き上げたとき、
 ヨハンは本当に疲れきった顔をしていたという。
「あれ、そういえば水の大蛇、どうしたっけ?」
 そのときには水の旅ももう終盤で、オルハが首をかしげると、
「さあ。落ちた拍子に殴ってたんじゃないですかね……」
 ぐったりとヨハンがそう、答えるのであった。
 そういえば溺れてるときに、全力で腕を振り回したので、たぶんそんなこともあるのだろう。
「そっか。何かの拍子に殴っちゃってたのかもね」
 まったくオルハも気にしていない。
 水の音が徐々に変わって来ている。それがこの流れの終わりを示していた。
 きっともうすぐ、広い場所に出るのだろう。そうすればついに、水に沈む都と対面だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
星蝕・焉夜(f00030)と参加

【WIZ】他の猟兵と協力します

「ウォータースライダー、思ったより過激です!」

合羽の機能を果たす蒼天が全体をフォローしつつも、水飛沫が顔や手足を濡らすのは防げない
しかし、笑顔で蓮の葉に乗って滑る様は実に楽しそう

敵が現れれば、

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』

焉夜が新たな人格を呼ぶ様にチラリと視線を送る

「"あなた"を援護します」

【偉大なる魔術】を使用
鳥の形に変じた式神が間断なく敵を襲う

「ダ・カーポと言いましたか? もっと楽しみましょう!」
うつ伏せになると弾丸のように疾走する


星蝕・焉夜
マリス・ステラ(f03202)と参加

【POW】他の猟兵と協力

着地した蓮の葉に乗りつつ伸ばされた手に気付き人格を元に戻して

「爽快ではあったな……
さて、このまま蓮の葉に乗って流れを楽しむとするか?」

マリスに問いながら蓮の葉で移動するもよし
はたまた泳ぐのもいいかもしれない

「この先にまだ敵がいるのであれば索敵が必要か……」

大型片刃剣から大鎌のDa Capoに武器を変え人格も変える

「『ダ・カーポ』、任せるぞ……」
『ええ、任されました』

微かな音を聴き取れる音楽家の人格へと変わり
今度は銀の短髪で瞳は閉じられ

『それでは第1楽章と参りましょう
お嬢さん、いきますよ?』

敵が聴こえ現れたらすれ違いざまに大鎌で薙ぎ払う



 元の人格に戻った焉夜がそういって、ふ、と周囲を見回した。
 周囲はまさに断崖絶壁。崖のような景色がずっと続いていた。
 けれどもたくましくそんな壁のような場所にも木が生え、花が咲いているところもあり、
 それを目指して鳥が集まって来ているという。その自然な営みに、何となく焉夜が感心していると、
「焉夜!」
 マリスが名を呼んだ。
 同時に軽く、乗っていた蓮の葉が跳ねた。
「ウォータースライダー、思ったより過激です!」
「ああ……そうだな。実は気になっていた」
 そうやって暢気に景色を見られていたのも少しの間だ。
 景色が流れるのが徐々に早くなり、上がる水しぶきも激しくなっていることに、焉夜もまた気はついていたのである。
 大丈夫だろうかと、焉夜は視線をマリスにやると、
「ええ。とても過激で危険です。……さあ、そこです! ぐっとまがりましょう、ぐっと!!」
 なんだかとても楽しそうに笑顔であった。水しぶきが体をぬらすのも気にせず、蓮の葉の端に腰をかけてああでもない、こうでもないと叫んでいる。
「……」
 その姿に、焉夜はかすかに微笑む。しかし敵が出ると、聞いていた話を忘れてはいなかった。
「この先にまだ敵がいるのであれば索敵が必要か……」
 折角の楽しい旅だ。不意打ちを受けてしまうのはよろしくない。焉夜は武器を大型片刃剣から大鎌のDa Capoに武器を変え、そして人格も人格も切り替える。
「『ダ・カーポ』、任せるぞ……」
『ええ、任されました』
 銀の髪の焉夜は目を閉じて、そしてかすかな音も聞き分ける音楽家へとその魂の形をかえる。
 それをちらりとマリスは横目で見て、
「"あなた"を援護します」
 と、そう宣言した。
『ええ……。でますよ』
 焉夜が目を閉じたまま指をさす。そのとき。不自然に前方の水が膨れ上がり、
「主よ、憐れみたまえ」
 巨大な水の蛇が、姿を現した。
 マリスがを捧げると星辰の片目に光が灯る、全身からオーラを纏った光が放たれる。
「私は道を見つけるか、さもなくば道を作るでしょう」
 そうしてまずは、式神を前方へとはなった。
 鳥の形に変じた式神が水の蛇へと突撃していく。そうこうしている間に二人の蓮もまたどんどん蛇へと近付いていって、
『それでは第1楽章と参りましょう。お嬢さん、いきますよ?』
 見ていないのに、そのすれ違いざまを正確に読み取った。音符のような文様が刻まれた鎌が、まるで奏者のように舞い踊る。
 水のような何かを切り裂く手ごたえと共に、マリスの式神が後を追いかけるように突入し、戦闘を繰り広げた。
「ダ・カーポと言いましたか?  もっと楽しみましょう!」
「もっとですか? もっと強く? mezzo forte?」
「そこは、forteというべきところです!」
 なんてドヤ顔でマリスが主張するころには、
 蛇ははるかかなたに流れ去っている。
 圧倒的なスピードと共に、ひときわ大きく、空を飛ぶように蓮が跳ねた瞬間、マリスは歓声を上げて両手を大きく広げた。
「これくらいです。ほら!」
「……っ」
「大丈夫です、落ちても下は水ですから。……次、来ますよ……っ」
 もう一度。
 声と共に大きく水が跳ねる。
 はしゃぐような声と共に両手を挙げるマリスに、
「あ……ああっ」
 人格を元に戻した焉夜も思わず、両手を大きく広げた。
 ぽーん。と空を飛んで、その勢いで水の中に投げ出される二人と共に、
 夏の日の光を受けて、水滴がきらきらと輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


※修正稿
「爽快ではあったな……。さて、このまま蓮の葉に乗って流れを楽しむとするか?」
 元の人格に戻った焉夜がそういって、ふ、と周囲を見回した。
 周囲はまさに断崖絶壁。崖のような景色がずっと続いていた。
 けれどもたくましくそんな壁のような場所にも木が生え、花が咲いているところもあり、
 それを目指して鳥が集まって来ているという。その自然な営みに、何となく焉夜が感心していると、
「焉夜!」
 マリスが名を呼んだ。
 同時に軽く、乗っていた蓮の葉が跳ねた。
「ウォータースライダー、思ったより過激です!」
「ああ……そうだな。実は気になっていた」
 そうやって暢気に景色を見られていたのも少しの間だ。
 景色が流れるのが徐々に早くなり、上がる水しぶきも激しくなっていることに、焉夜もまた気はついていたのである。
 大丈夫だろうかと、焉夜は視線をマリスにやると、
「ええ。とても過激で危険です。……さあ、そこです! ぐっとまがりましょう、ぐっと!!」
 なんだかとても楽しそうに笑顔であった。水しぶきが体をぬらすのも気にせず、蓮の葉の端に腰をかけてああでもない、こうでもないと叫んでいる。
「……」
 その姿に、焉夜はかすかに微笑む。しかし敵が出ると、聞いていた話を忘れてはいなかった。
「この先にまだ敵がいるのであれば索敵が必要か……」
 折角の楽しい旅だ。不意打ちを受けてしまうのはよろしくない。焉夜は武器を大型片刃剣から大鎌のDa Capoに武器を変え、そして人格も人格も切り替える。
「『ダ・カーポ』、任せるぞ……」
『ええ、任されました』
 銀の髪の焉夜は目を閉じて、そしてかすかな音も聞き分ける音楽家へとその魂の形をかえる。
 それをちらりとマリスは横目で見て、
「"あなた"を援護します」
 と、そう宣言した。
『ええ……。でますよ』
 焉夜が目を閉じたまま指をさす。そのとき。不自然に前方の水が膨れ上がり、
「主よ、憐れみたまえ」
 巨大な水の蛇が、姿を現した。
 マリスがを捧げると星辰の片目に光が灯る、全身からオーラを纏った光が放たれる。
「私は道を見つけるか、さもなくば道を作るでしょう」
 そうしてまずは、式神を前方へとはなった。
 鳥の形に変じた式神が水の蛇へと突撃していく。そうこうしている間に二人の蓮もまたどんどん蛇へと近付いていって、
『それでは第1楽章と参りましょう。お嬢さん、いきますよ?』
 見ていないのに、そのすれ違いざまを正確に読み取った。音符のような文様が刻まれた鎌が、まるで奏者のように舞い踊る。
 水のような何かを切り裂く手ごたえと共に、マリスの式神が後を追いかけるように突入し、戦闘を繰り広げた。
「ダ・カーポと言いましたか?  もっと楽しみましょう!」
「もっとですか? もっと強く? mezzo forte?」
「そこは、forteというべきところです!」
 なんてドヤ顔でマリスが主張するころには、
 蛇ははるかかなたに流れ去っている。
 圧倒的なスピードと共に、ひときわ大きく、空を飛ぶように蓮が跳ねた瞬間、マリスは歓声を上げて両手を大きく広げた。
「これくらいです。ほら!」
「……っ」
「大丈夫です、落ちても下は水ですから。……次、来ますよ……っ」
 もう一度。
 声と共に大きく水が跳ねる。
 はしゃぐような声と共に両手を挙げるマリスに、
「あ……ああっ」
 人格を元に戻した焉夜も思わず、両手を大きく広げた。
 ぽーん。と空を飛んで、その勢いで水の中に投げ出される二人と共に、
 夏の日の光を受けて、水滴がきらきらと輝いていた。
三咲・織愛
ムーくん(f09868)と

わあぁ、ムーくん、どんどん早くなっていますよ!
ウォータースライダーみたいですね! 楽しい!
このまま流れに乗っていきましょう

せっかくですから私、このままサーフィンします!
ムーくんは私に掴まっててくれたらいいですよ
安心してください、落っことしたりしませんから
と、お姫様抱っこしながらきりりとイケボ

完全に波(?)に乗ってぐんぐんスピードを上げつつ
ここです! ぐっと踏み込み空中一回転!
決まりましたー! ……きゃーーーっ(バッシャーン)
ぶくぶくぶく……ぷはっ
えへへ、着地に失敗しちゃいました(てへぺろー)

あら? ムーくん? どこ行きました?

敵はなにかの弾みで殴っておいたとかなんとか


ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛/f01585

うんうん流れも急だしカーブがついててたーのし
わけがあるか!!!!
オヌシあれか? ワガハイビビらせる天才か何かか!?
いやビビってないが? ワガハイ賢者なので?
ビビってなどいなーいがもう帰りたい!!!

(手を離したら死ぬって顔でしがみつく賢者。だが彼は思った)
(そもそも原因はこのエルフ。まずこいつをなんとかしたほうがいいのでは?)
(悲鳴をあげ目を回しながら、賢者は禁断のパーティアタックを考慮ざっぶーん)

がぼがぼぼ!!!!(オヌシほんとマジでマジ卍マジでマジ!!1!!)
がぼぼがぼぼ!!!(ていうかあの流れでどう攻撃した!? 何もかも規格外すぎる!!)
がぼぼが……ぼ……

(死ーん)



 ごうごうと水が流れていた。
「わあぁ、ムーくん、どんどん早くなっていますよ! ウォータースライダーみたいですね! 楽しい!」
 織愛とムルヘルベル。二人して蓮に乗って流されていけば、まず声をあげたのは織愛のほうであった。
「うんうん流れも急だしカーブがついててたーのし。わけがあるか!!!!」
 が! とムルヘルベルはとても大きな声を上げたのだが、は巣にへばりついているその姿ではいささか威厳に欠けるかもしれない。そして、
「このまま流れに乗っていきましょう! ね!」
 なんだかものすごいいい笑顔で言う織愛を、ムルヘルベルは信じられないものを見るような目で見ていた。
 そしてムルヘルベルから反論がなかったことを同意と取ったのか(実際は色々あってものもいえなかっただけだが)、織愛はば、とその名から立ち上がる。
「やめろ! 揺れるではないか!」
「もう揺れてますよ、ほら! 蓮に乗って滑るなんて、御伽噺みたいです!」
「こんな危険な御伽噺があってたまるか! いいから立つな、揺らすな、おとなしく……」
「せっかくですから私、このままサーフィンします!」
「は!?!?!?!?!?!?」
 むんっ。と。
 両手を掲げて何故かガッツポーズをする織愛。ものすごいいい意笑顔に、ムルヘルベルは固まった。
「は……」
「だからほら、ムーくんも」
「オヌシあれか? ワガハイビビらせる天才か何かか!?」
「え。ムーくんびびってたんですか?」
 思わず口をついて出たムルヘルベルの言葉に、きょとっと織愛は首をかしげる。
「だって楽しいじゃないですか。こういうの。折角だから、やれることはいっぱいやってみないと。でも、ムーくんが怖いなら……」
 さすがに、悪いのかなあ。って、若干しゅーん。とする織愛に、
「いやビビってないが? ワガハイ賢者なので? ほれっ。怖くなど。ほれっ!!」
 がば! と、よせばいいのに伏せていた体勢から体を起こして胸を張るムルヘルベル。ひゅぅっ。と吹く風の圧力が強くなって内心もう泣きたかった。
 そしてそれを聴いた瞬間、織愛がぱぁっ。と目を輝かせる。
「わかりました。では!」
「は……!?」
 揺れるぐらいなら我慢しよう。しっかりしがみついていればいいのだから。と、自分を言い聞かせていたムルヘルベルは、
 なぜ自分が抱き上げているのか、まったく理解できなかった。
 そしてなぜお姫様抱っこをされているのか、
 これっぽっちも意味が解らなかった。
「ムーくんは私に掴まっててくれたらいいですよ。安心してください、落っことしたりしませんから」
 そしてなぜ自分を抱き上げた織愛が、
 こんなかっこいい顔とかっこいい声でいい笑顔しているのかまったく理解できなかった。
「な、な、なななななななー。帰る、もう帰る! ビビってなどいなーいがもう帰りたい!!!」
「いきますよ、しっかり掴まっていてください!」
 まさに少女マンガのヒーローとヒロイン。どんどんスピードが上がっていくのにも物怖じせずに、織愛は声を張り上げる。
「ひゃ……っ。あっちです!」
「のひゃああああああああ!!!」
 ざぶん! と、水流の動きに合わせて急カーブをして、
「次、左いきますよ!」
「うひゃああああああああ!!!」
 ざざんっ! と分かれ道をものすごい速さで強引に曲がって、
「あ! 渦があります。回った後に……飛びます!」
「ぉ、お、おぉ……」
 ぐるぐると回転しながら、空中にジャンプ。
「あれ、なんでしょう何か……。ムーくん、飛びますよ!」
 そして目の前の謎の何か(敵)を見据えて、
「ここです!!」
 ぐっ! と踏み込み空中へと大回転をした。
「……」
「ああ、気持ちいい。……って、ムーくん、ムーくん……!」
 徐々に声が小さくなっていくムルヘルベル。
 必死で織愛にしがみつく彼は、ずっと同じことを考えていた。
(何が悪かったのだ。どうしてワガハイがこんな目にあっているのだ。そもそもの原因は……そう、このエルフだ!!)
 黒い感情がヒロインの心を侵食していく……。
(まずはこいつを何とかしなければ。ワガハイに平穏な日々は訪れぬのか? いいや彼女はワガハイの大切な……しかし、しかし……)
 目からハイライトが消えていくムルヘルベル。これはもう、やるしかないのかと、悲痛な面持ちで彼が心を決めようとした、そのとき。
「決まりましたー! ……きゃーーーっ」
「あ……っ?」
 なんだか妙に清々しいまでに間の抜けた声と共に。
 今までムルヘルベルをしっかりと支えていたその腕の力が、消えた。
「!?」
 ぽーん。と体が投げ出される。空中をくるくると回って、そうして水面に落ちていく。
「ひゃー!」
 織愛も何故か歓声を上げながら、ぶくぶくぶく、と水の中に沈んでいった。すなわち、
「がぼがぼぼ!!!!(オヌシほんとマジでマジ卍マジでマジ!!1!!)」
「ひゃ、危ない危ない。でももう蛇さんもいなくなってるし」
「がぼぼがぼぼ!!!(ていうかあの流れでどう攻撃した!? 何もかも規格外すぎる!!)」
「大丈夫かな? 沈むのもちょっときもちいいですからね!」
「がぼぼが……ぼ……」
「ふー。この変は流れも落ち着いてきましたし……」
 ……。
 …………。
 ………………。
「えへへ、着地に失敗しちゃいました。ね、ムーくん」
 ざばーっ。と。
 水面から顔を出す織愛。
「あら? ムーくん? どこ行きました? ムーくん」
 はたして蓮の葉に奇跡的にしがみついて、
 生き残ったムルヘルベルが意識を取り戻したとき何と言うかは、また別の、話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
──俺の推定じゃこの天然ウォータースライダー、めっちゃスピード出るよな
落ちたら姿勢制御できる自信が無いぞおい。やっぱ帰るべきだったか…?
いやいや、仕事はちゃんとこなさなきゃダメだろ…

しゃあねぇ、蓮にライドオン!
UC起動、<征服者>でぱっぱと攻撃して離脱してやらぁ!
再生なんざ追いつかないくらいの物量爆撃で潰してやる
射程圏外になるまで投擲をし続けるぜ

よし、攻撃は終了だっ
後はこのスライダーを乗り切って速い速い速い速いっ!!!
油断すると振り落とされるじゃねえかッッ
うおおおおおおおお落ちる落ちる!掴まれ俺の腕ー!!
なんか一周回って楽しくなってきたなこれ!?
ただちょっと水の勢いがごぼぼぼぼぼぼっ



 ヴィクティムは冷静に、冷静に、冷静に、
 まだ地と繋がれたままの蓮の葉を見つめていた。
「──俺の推定じゃこの天然ウォータースライダー、めっちゃスピード出るよな」
 ぐ、と、喉がなる。
 そりゃあもう、先ほどと同じぐらいのスリルを味わえることに間違いはないだろうとヴィクティムのカンがそう、告げていた。
「落ちたら姿勢制御できる自信が無いぞおい。やっぱ帰るべきだったか……?」
 いい感じに落ちたら鼻だろうが耳だろうが遠慮会釈なく水が入ってくるだろう。
 そのときの痛みといえば、いくら戦いに慣れた者とはいえ、タンスの角に小指をぶつけるぐらい痛いに決まっている。……決まっている!!
 しかし……。
「いやいや、仕事はちゃんとこなさなきゃダメだろ……」
 一度請けた仕事である。
 そしてどうにもならない強敵ならまだしも、
 此度の敵はさほど強くないことがわかっている。
 他の要因が強すぎるだけで……!
 しばし。難しい顔で水面を見つめていたヴィクティムであったが……、
「しゃあねぇ、蓮にライドオン! ちょっと体借りるな。頼んだぜ!」
 ええいままよ。とばかりに蓮に飛び乗り、そして茎と葉を切り離した。
 大地につなぎとめるものがなくなった蓮は、すすすすすーっと走り出す。
「おぉ。……ぉぅ。動いてるぜ……。ああ。動いてるな」
 若干腰が引けつつも、動き出した蓮はもう止まらない。
 徐々に徐々に上がっていくスピード。
 周囲の崖が己に近付き、水路が狭くなっていく。
 そのプレッシャーにも負けずにヴィクティムは前を見続ける。
「……見えた」
 敵の顔が視界にうつり、ヴィクティムはぐ、と目を眇め睨むように水の蛇を見据えた。
「Attack Program『Conquer』起動。<征服者>でぱっぱと攻撃して離脱してやらぁ!」
 威嚇する水の蛇。ヴィクティムの乗る蓮のスピードもどんどん上がっていく。その加速も計算に入れる。
「喜べ。俺がここまで精力的に攻撃することは中々ねェぞ?──フューミゲイションスタート!」
 投擲物を爆発性物質に変える性質変換モードで多数のUDCを混ぜ合わせて作り上げた、生体機械ナイフの威力を増強させ、投げる。投げたナイフは瞬時に分裂し、バラバラになって水の蛇へとその刃を叩きつけた。
「再生なんざ追いつかないくらいの物量爆撃で潰してやる!! 見えなくなるなるまで投擲をし続けるぜ!」
 ヴィクティムの言葉通り、数多の爆発する刃が水の蛇の体に当たり、そして破裂し水滴を撒き散らしていく。
 体を削れば溢れ出るその水滴が水の蛇の真下を通過するヴィクティムにも降り注ぐ。
 ヴィクティムが水の蛇を通り過ぎ、そして遠くへと過ぎ去るまで、ヴィクティムの攻撃は続いていた……。

 そして。
「よし、攻撃は終了だっ」
 その攻撃が終了したとき、
「後はこのスライダーを乗り切って……」
 ヴィクティムの戦いは、まだ終わっていなかった!
「って……速い速い速い速いっ!!!」
 戦が終わったというのに、一行に減速する気配のない蓮の葉。
 ごうごうと鳴り響く川の流れ。
 どこかわき道に入ってしまったのか、くねくねと入り組んで曲がっている狭い道。
「油断すると振り落とされるじゃねえかッッ!!」
 叫んでみてももうどうしようもない。
「うおおおおおおおお落ちる落ちる! 掴まれ俺の腕ー!! 唸れ俺の腕、力、魂!!」
 叫びながらも何とか姿勢を低くして、何とか水流をやり過ごす。
「なんか一周回って楽しくなってきたなこれ!? ただちょっと水の勢いがごぼぼぼぼぼぼっ」
 途中若干沈んでも、ヴィクティムなら大丈夫であろう。
 ちょっとものすごく鼻と耳が痛くなるだけだ! それもまた……楽しみの一つなのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
・アヤネさん(f00432)と

え?!イルカ?
あぁ水上バイクのことですか
…というかわざわざこのために用意したんですね
アヤネさんの行動力は凄い

えと…じゃあ失礼します(照れからTシャツ掴むだけ)

う〝

しがみつくのが恥ずかしくてTシャツ掴んでるの気つかれた!
すみませーん!
もっとがっつり掴まなきゃダメですよね
うぅ……えいっ!><(ぎゅう)
どうしよう
なんか直に肌に触ってるからか変に意識しちゃうな
いつもより鼓動が早いことに気付かれるかも…
アヤネさんが気づきませんように…
え、ふわふわ…?
それはもしや…脂肪が増えたってこと…?(心の中で盛大に勘違い中)

水の大蛇くんは
どこにいるかわからないけど【衝撃波】を撃っておく


アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
水上バイクのシロイルカを呼ぶよ
じゃじゃーん!
わざわざ用意しただけのことはあるだろう?
と見せびらかす

またがって
ここ乗って、と後ろを指差し
つかまってネ
じゃあ行くよ!
おっと?Tシャツをぐいっと引っ張られ驚いて急停止
そこつかんだら破れちゃうよ?腰に腕を回してしっかりつかまって!
背中にソヨゴの体温を感じてどきっとする
心臓の鼓動はどちらのだろうか
(こんな風に人肌に触れたのはずいぶん久しぶりかもしれない)
と内心思うけど
しんみりするのは嫌なので言葉は裏腹に
「ソヨゴはふわふわしていて気持ちいいネ」
何を言ってるのか僕は
何か誤解された気がするけど触れないでおこう

水の大蛇は大鎌でひとなぎするネ



「うーん。じゃあ、シロイルカを呼ぼうか」
「え?! イルカ?」
 アヤネがそういったとき、冬青は目を丸くした。そんな冬青にアヤネはウィンクをすると、
「じゃじゃーん!」
 なんて。
 若干いつもよりもテンション高めに、アヤネは水上バイクのシロイルカを冬青に示すのであった。
「ほら拍手ー」
「あぁ水上バイクのことですか……。というかわざわざこのために用意したんですね」
 「アヤネさんの行動力は凄い」と、思わず拍手を送る冬青に、
「ふふふ。わざわざ用意しただけのことはあるだろう? いいだろう? すごいだろう?」
 ものすごくアヤネはテンション高かったという。
「この真っ白なボディがいいだろう。UDC戦闘用に自走AIが装備されていてね。呼ぶと来るんだ。かわいいだろう? ……さあ」
「へ?」
「へ? じゃないよ」
 水上バイクに跨るアヤネ。当然のように、ここ乗って、と後ろを指差している。それでああ、と冬青もぽんと手をうった。
「えと……じゃあ失礼します」
 そりゃそうだ。おずおずと後ろに乗る冬青。
「つかまってネ」
「ええ!?」
「じゃあ行くよ!」
 発進! と。
 アヤネが大いなる自然の中走り出そうとした。……ところで、
「おっと!?」
 Tシャツをぎゅっと引っ張られて、アヤネは急停止した。
 怪訝そうに振り返ると、冬青がシャツを掴んでいた。
 何をやっているんだ、というような顔をアヤネはしていたが、冬青はいたって真剣だった。
「そこつかんだら破れちゃうよ? 腰に腕を回してしっかりつかまって!」
「う〝……」
 あっさりそんなことをいわれて、冬青は言葉に詰まる。
 なんとも、こう、照れくさかったのだが、いたってアヤネが普通にしているので、ぶんぶん、と冬青は首を横に振り、
「すみませーん! もっとがっつり掴まなきゃダメですよね」
「そうそう。あぶないからネ。がっつりつかんで」
「うぅ……えいっ!」
 照れる。と思いながらも、冬青はがっしりとアヤネの腰に手を回した。
「おーけい。じゃあ、飛ばすよ」
「は、はい!!」
 いっそ限界まで飛ばしてほしいと冬青は祈りながら、
 アヤネは勿論、冬青を乗せているので安全運転で走り出した。

 水上バイクであれば、蓮の葉ほどの不安定感はない。
 だからだろうか。驚くくらい道中は穏やかだ。
 アヤネは背中にソヨゴの体温を感じてどきっとするし、冬青は、
(どうしよう。なんか直に肌に触ってるからか変に意識しちゃうな……。いつもより鼓動が早いことに気付かれるかも……)
 とまあ。アヤネからは顔が見えないことをいいことに真っ赤になっていた。
(アヤネさんが気づきませんように……)
(この心臓の鼓動はどちらのだろうか……。ずいぶん早いな。こんな風に人肌に触れたのはずいぶん久しぶりかもしれない……)
 道中そんな感じで、しばらくの間は沈黙に包まれる。
 なんだかしんみりしてきそうになったので、アヤネは少し大きめに声を張り上げた。
「ソヨゴはふわふわしていて気持ちいいネ」
(何を言ってるのか僕は取られようによっては、変態みたいな台詞だぞ)
「え、ふわふわ……?」
(それはもしや…脂肪が増えたってこと……?)
 徐に言ったアヤネの言葉に、思わずショックそうな声を上げる冬青。
(……何か誤解された気がするけど触れないでおこう……)
 変態と思われよりいいはずだ。きっとたぶん恐らくは。
「も、もう少しスピードを上げようか」
「は、はいっ。さっきの飛び降りるくらいのスピードがいいと思います!」
「……無茶を言うネ……!」
 ほんのちょっぴり、そんな会話で明るさが戻ったり。
 水の大蛇を見つければ、大鎌や衝撃波で攻撃したり。
 そんな風にしていれば、この気まずいような心地よいようなドライブも、きっとすぐにゴールへとたどり着いてしまうだろう。
 水の都は、もうすぐだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
ヘェ、これはまた随分な急流で…だ遠足はまだまだ続く、という事だね!
泳ぐのも骨が折れそうだし、何より勢いが大事だよねってワケで、助けてくれた蓮の葉さんに乗っていざしゅっぱーつ!

うっわああああ、早い早いこれはスリリング!
水飛沫もすっずしーい!バランス崩さないようにするのが大変だけど楽しいね!
葉っぱの端をいくらか持ち上げて操縦しつつ、起伏が激しいところはジャンプして着水までのスリルを味わうよ

水蛇はUCで強化した氷の属性攻撃を鞭に上乗せして薙ぎ払ってしまおうか!

はいはーい、夏を楽しむわんこのお通りだよ!邪魔するやつは豆腐ならぬ氷の角にでも当たっちゃおうね!…あ、キミが氷みたいになってるね、てへぺろ☆



「ヘェ、これはまた随分な急流で……」
 ヴォルフガング葉水の流れを予測して、そう呟いた。結構な旅になるし、結構なことになるだろうな、と、ものすごく容易に想像ができる中……、
「遠足はまだまだ続く、という事だね!」
 ものすごくキラッキラした目で、そう言って。
 自分を先ほど助けてくれた蓮の葉に、きりりと座りなおすのであった。
「いや、泳げないわけじゃないけどね? 泳ぐのも骨が折れそうだし、何より勢いが大事だよねっ……、てワケで」
 滑り出す蓮の上で、腕を組みながらうんうん、と、ヴォルフガングはなにやら頷いている。それからぽふぽふと、自分の座る蓮を軽く、なでた。
「ってわけで、蓮の葉さんに乗っていざしゅっぱーつ! よろしくね、蓮の葉さん!!」
 元気に言い切るヴォルフガングは、満面の笑みを浮べていた。その笑顔を乗せて、蓮は水の流れに身を任せ、つるるるるーっと水の上を滑り出すのであった。

 数分後。
「うっわああああ、早い早いこれはスリリング!」
 ばしゃん! と水面が跳ねて、水が頭から降り注ぐ。ぶるぶるぶる、とヴォルフガングは軽く頭を振る。
「水飛沫もすっずしーい!」
 ひゃー。っと笑って。笑ってばかりもいられない。道はいくつかに分かれていて、ヴォルフガングが通ったのは割りと細めの道だった。カーブも多いが、
「それー!」
 葉っぱの端を持ち上げて、若干進む方向を調節する。うまいことカーブが曲がれたと思ったら、
「わ、ひゃー!」
 ばしゃん! と何かを受けて蓮の葉が空中へと弾かれ投げ出された。
「バランス崩さないようにするのが大変だけど楽しいね!」
 上手に着水すれば、息をつくまもなく流れは加速していく。かとかおもえばぐりん! と何かの拍子で蓮はくるくる回転する。
「わー。まってまって、めーがーまーわーるー!!」
 大きな声を上げてみる。ついでに両手も話してみる。ぐるぐる回りながらそろえでも落ちないヴォルフガング。そして。
「出たな障害物!」
 しゃーっと、こちらを威嚇する水の蛇。
「はいはーい、夏を楽しむわんこのお通りだよ! 邪魔するやつは豆腐ならぬ氷の角にでも当たっちゃおうね!」
 威嚇されても気にしない。ヴォルフガングはまっすぐ、水の蛇の中へと突っ込んで、
「情報体起動、指令「マナ蒐集、我が手への移管」」
 屠った罪人の穢れと業苦を纏う邪鞭に、氷の属性を上乗せして、全力でなぎ払った。
「……あ、キミが氷みたいになってるね、てへぺろ☆」
 攻撃を受けてからだの一部が氷となる。それを打ち砕いて、ヴォルフガングは先へと進んでいく。
「さあ、見えてきたかなー!?」
 水の廃都まで、もうすぐであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
水着:空色に魚柄、犬耳付きパーカー着用

こんどはへびさんとあそべばいいのって…どうやってそこまでいくの?えっ、すいれん(水練)!?(むむっ)人の体をえてからおよいだことがないから…おねがい、はっぱさん!ぼくといっしょにがんばってくれるっ?(蓮の葉の上へぴょんと飛びのり)わわわっ、すごい!はやいっ!!(わくわくしつつ体勢を整えると、水中へ目を凝らし)
「水をたちきることはできないけれど、水もどきならたてる!!……はず」
(最後は小声で呟き、蛇らしきものを見かけたら剣刃一閃を使用)
(最後に葉を撫で)ありがとう、はっぱさん!ぼく、およげるようになるね!



 景雪は、考えた。
 しおしおと、パーカーについた犬耳が垂れている。
「こんどはへびさんとあそべばいいのって……どうやってそこまでいくの? えっ、すいれん!?」
 水練。
 つまりは泳ぐということであろうか。
「人の体をえてからおよいだことがないから……」
 大丈夫だろうかと、若干しゅんとする景雪。
 その背中に、何かが当たって。
 景雪は振りかえった。
 蓮の葉が、水に揺れてけいせつをつんつんしていた。思わず手を伸ばしてそのふちを撫でると、柔らかい蓮の葉が、優しい感触をその手に伝えてくれた。
 がば、と意を決して景雪は顔を上げる。ずれていたフードを被りなおす。
「おねがい、はっぱさん! ぼくといっしょにがんばってくれるっ?」
 ね、いいでしょう? と、景雪が言うと、答えるようにさわ、と、蓮の葉が揺れた。
「やったやったあ。はっぱさん、よろしくね」
 えい、と手を伸ばして、蓮の葉から伸びる茎を切る。そのままぴょんと蓮の葉に飛び乗った。
 するとつるつるつる。と。景雪の言葉に応えるように、蓮の葉は流れ出すのであった、

「わわわっ、すごい! はやいっ!!」
 蓮が流れ出す。最初はゆっくり出会ったが、どんどんスピードが上がってくる。
 思わず目が輝く。とはいえ慎重に体勢を整えて、景雪は水の中へと目を凝らした。
 蓮が跳ねる。景雪の体も同時に跳ねる。
「だいじょうぶ、はっぱさんが守ってくれる!」
 どんな水流でも、葉っぱさんに乗っていれば羽はしても投げ出されるところまでは行かないし、カーブもちゃんと曲がってくれる。
 だから、景雪がすべきことは……、
「水をたちきることはできないけれど、水もどきならたてる!! ……はず」
 最後のほうはちょっと小声。水面を真剣に見つめている景雪には、その一瞬を見逃さなかった。
 不自然に水面が揺らぎ、水しぶきが上がる。
「そこ!!」
 そう、と気づいた瞬間、蓮がそれへと肉薄し、景雪の短刀が一閃した。
「やった……!」
 水の蛇の形が一部崩れる。それだけで充分だった。その好きに景雪の蓮は、一直線に川を下り通り抜けていく。
 しばらくすると、徐々にその流れもゆるくなってきた。きっと、ゴールが近いのだろう。
「ありがとう、はっぱさん! ぼく、およげるようになるね!」
 蓮の葉をそっとなでてねぎらうと、
 やっぱりとても心地いい、柔らかい手触りが、した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
水でできた蛇というのは
魚類なのか爬虫類なのか
それとも単なる液体なのか
疑問が尽きない
実に哲学的な存在だ
普通に泳ぎながらそんな事を考える
水中の魚の観察も忘れずにね

是非とも捕獲して調査したい所だけど…
あ、出てきた
せっかくだし【コミュ力】と【動物と話す】力を使って
インタビューしてみよう

やあ蛇くん
まあちょっと食べる前に話を聞いてよ
大体僕って食べたら美味しいと思う?
まずいよ

きみは自分の事を
魚なのか蛇なのか水なのか
考えてみたことある?
一度自分という存在を疑ってみよう
そうしたら人を食べている事にも疑問がわかない?
そう【言いくるめ】つつUC【現在完了】を使う

よし今だ
捕まえ…
どうやって?
僕は流れていくしかなかった



「水でできた蛇というのは。魚類なのか爬虫類なのか……」
 鵜飼章は神妙な顔で考えていた。
「例えばそれに足が生えた場合、僕は足を生えた魚類を追えばいいのか、足の生えた爬虫類を追えばいいのか……」
 まるで、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」ぐらいクソ真面目な顔を章はしていたが、そもそも今回の水の大蛇に足が生える予定はない。
 ので、それはともかく。
「いや、それともこれは単なる液体なのか……。疑問が尽きない。実に哲学的な存在だ」
 何故か周囲の人々が蓮に乗ってつるつる滑っていく中。
 章は普通に泳ぎながらそんなことを考えていた。
 というのも……、
(この辺は話しに聞いているカラフルな魚はいないのかな……)
 ざばん、とこの水流でもお構いなしに章が水の中に潜ると、
 本当に小さな、地味な色の小魚が数種類、泳いでいるのが目に入るのだ。
(恐らく観光地とはまた別の生態系が構築されているんだろうね。観光地はあまり水の流れがないって聞いていたから、その辺が関係しているのかな?)
 確かにこの水流では、生き物は行きにくいだろう。となれば、ここで住むのは観光地での生存競争で敗北した魚たちではないかと推測される。
(ちょっと捕まえていきたいけれど、虫じゃないからな……)
 むしろ虫はいないかな。なんて。時々水面や卵のチェックも忘れない。ただ、若干生き物が生きる環境としては厳しそうだ。
(あの崖のこぶとか怪しかったんだけれどな……)
 とかなんとか。
 遠く崖の上のことにまで章は思いをはせながら、息継ぎの為にひとまず水面に浮上した。
「ふー。この調子じゃ水の大蛇は……」
 なんて。思わず息をついて顔を上げた……ところで、
「あ、出てきた」
 お探しの水の大蛇が、目の前にいた。
 なお、激流ですれ違いざまに攻撃するのが大体の先方、くらいの水の流れなので、
 以降は一生懸命立ち泳ぎで流れに逆らいながらの会話となる。
「やあ蛇くん。まあちょっと食べる前に話を聞いてよ」
 折角なので。コミュ力と動物と話すこの力で何とかならないかな、と思います。
「大体僕って食べたら美味しいと思う? まずいよ」
 きしゃー。と水の蛇は章を威嚇している!
「きみは自分の事を、魚なのか蛇なのか水なのか考えてみたことある? 一度自分という存在を疑って……わ」
 ばくん!
 「例え話が出来たとしても貴様の言うことなど小難しすぎて理解不能!」とばかりに章は頭から齧られた。
「まあまあ。とにかく、考えてもみようよ」
 しかしそれを章は紙一重で避けた!
「そうしたら人を食べている事にも疑問がわかない?」
 どうどう。まあおちつけ。と身振り手振りで表現する章に、
 こいつは何をいっているんだ。みたいな感じで水の蛇が一度、動きを止めた。……その瞬間、
「そうか。わかりあえないって悲しいことだね。……議論は既に終わっている。≪現在完了≫」
 手足の神経を麻痺させる蜂に、一時的に視力を奪う蠍。そして意識障害を招く毒蜘蛛を章は蛇へとけしかけた!
 きしゃぁぁぁぁぁ。と、突然の攻撃に水を撒き散らす蛇。あ、やっぱり水なのかも、と章が思ったその次の瞬間には、
「よし今だ。捕まえ……」
 ぱちんと手を伸ばす。そしてはっ。と気がついた。
「……どうやって?」
 章の攻撃でのた打ち回る蛇は、攻撃された箇所を水に変えてそぎ落としていく。となれば章が捉えようとしても、やはりそれは水となり逃げられるのであって……。
 とか何とか考えているうちに、立ち泳ぎの力も弱まり、章の体が徐々に流されていく。
「……残念だ……」
 あんまり残念でない顔と口ぶりで、とりあえず水鉄砲を一回、撃ちこんでおくことにして、章は流されていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
次はお魚に、なるだろか
泳いでゆけたら、楽し気ね
水の流れを追いかけてもすこし先へと、行きましょか
……ええと、そう、うん、そうね
葉っぱのお舟とゆきましょう
どうか落とさないでおくれね

弾む心地に心も躍らせ乗り込んだなら
……すこうし僕とてどきどきするもの
落っこちたら困るものな
舵取り任せて流るるままに、えいっ
水音と一緒に風になるかしら、なれるかしら
それでもぎゅっと掴んだ縁は離さずに
冷たい飛沫にまたたいて、
おくちを開けた悪戯っ子には、お水にお帰りとご挨拶
走るよりうんと速くて、移ろう水面の感触を楽しんだなら
ふふ、も一周したくなる心地



「ああ……。次はお魚に、なるだろか。泳いでゆけたら、楽し気ね」
 ゆらゆらと、水の流れにイアは身を任せて。
 静かに静かに、泳ぎだした。
「きっとクラゲのようにゆうらり、ゆらり。水の流れを追いかけてもすこし先へ……と……」
 行きましょか。と、言いかけた言葉をイアは飲み込んだ。
 徐々に水の流れが速くなって、
 それと共にイアの体を流そうとする圧力も強くなって。
 このままだと何気に、洗濯機の中に投げ込まれたくらげのようになってしまうと。
 どこかまあ、なんとなく。
 その圧力で、イアは察することができたからだ。
「……ええと、そう、うん、そうね。葉っぱのお舟とゆきましょう」
 幸いなことに手近に蓮の葉があったので、イアはその上にひょいと乗る。茎を切り流れに身を任せれば、
 つるつるつると。蓮は水の上を走り出した。
「とっても座り心地がいいよ。……どうか落とさないでおくれね」
 ふかふかの席に座って。ぎゅっとその葉を握り締めて声をかけると。
 任せろとでも言うように、葉っぱは軽く、弾むように跳ねた。
「……ふふ。僕の心を、解っているの?」
 そのはず見方に、イアは思わず微笑んで。
 返事は返らぬと解っていても、蓮に優しく語りかける。
 乗り込んだときから思っていた。とても心が躍るのだ。
「それにね。……すこうし僕とてどきどきするもの。落っこちたら困るものな」
 きっとくるくる回って水の奥、沈んでいってしまうでしょう。
 囁くようにそういうと、答えるようにはは揺れる。
「わかってくれるの、嬉しいな。舵取りは任せるの。流るるままに、行きましょう。……えいっ」
 ひょい、と、跳ねるに合わせてイアは声を上げる。
 先ほどの垂直な落下と違って、こちらはトビウオが飛翔するようなその心地。
「わあ、はやい。はやい。水音と一緒に風になるかしら、なれるかしら」
 店へと飛ぶと同時に、はしゃいだ声を上げる。しっかりしっかり、蓮のふちを掴んだまま。その縁を離さぬまま。
「ひゃ、いじわる、いじわるね」
 突然の急カーブ。跳ねる冷たい飛沫にまたたいて。
 たくさんある道、進むのも、全てはこの葉の、行方にまかせ。
「ああ……。おくちを開けた悪戯っ子は、こんなところにいたんだな」
 目の前に立ち塞がる巨大な水の蛇にはそっと撫でるように。
「お水にお帰り」
 とご挨拶代わりの一撃を。
 追撃はする気がない。する暇もない。
 瞬く間に通り過ぎ。すべてのものが遠く消えていく。
 走るよりもうんと速くて、移ろう水面はまるで流れ星のよう。
「ああ……。流れ星のようになっているのは、僕たちな」
 なんて。
 冗談めかしては星のように。
 水の上をしぶきを立てて駆け抜ける。
「ふふ、も一周したくなる心地」
 微笑んで。風に流れる髪を払って顔を上げれば。
 徐々に徐々に、スピードが緩やかになっていることにイアも気づいた。
「おや……そろそろ到着かしら」
 狭い視界が徐々に開けていく。その感覚に、イアは優しくねぎらうようにその葉をなでた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

零落・一六八
涼さん(f01922)と
これ!天然ウォータースライダーじゃないですか!
ひゃっほー!
こことここ切り落として水の抵抗を押さえて、多分もっとスピードでますよ!
【地形の利用】で流れを早いとこえらんで【運転】で操作します!
スピード狂楽しい!いいじゃないですかー!涼さん!一緒に風になりましょうよー!
咄嗟の一撃とUCかましつつ、どんどんスピードあげてきます
あれ、さっき切り落としたとこから崩れてますね!
蓮を捨てて水にダイブしながら切りつけていきましょう!
水の中から勢いつけて涼さんが踏みつけたタイミングに合わせて水から飛び出します!
シャチの如く!ここ真水っぽいですが!
あー、楽しかったー。
アドリブ歓迎


彩花・涼
一六八(f00429)と
ほう、次は水上での戦いか
まぁこのまま蓮に乗って進むとして…
沈没しないようにアレを倒す必要はありそうだな

とりあえず向かってくる奴には 黒爪で【スナイパー】して蹴散らすが…
一六八、また何か何か企んでないか?
スピードを上げようとしているだろう
まぁそれくらいスリリングな方が面白いかもしれないが

勢いに乗ったまま ウォータースライダーと洒落込もう
その流れで敵も斬ればいいしな 落ちそうになったら敵を【踏みつけ】て足場に利用しよう

アドリブ歓迎



「涼さん、涼さん!!」
「どうした、一六八」
「これ! 天然ウォータースライダーじゃないですか!」
「ほう、ならば次は水上での戦いか」
「そんなことより、そんなことよりですよ涼さん!」
「ああ、だから、なんだ?」
「天然ウォータースライダーなんですよ!!」
「いや、それは知って……」
「ひゃっほーーーーー!!!!!」
 走り出す蓮に、一六八は大きく声を上げた。
 その声援にこたえたのか否か。蓮は勢いよく水面を滑り出す。
「ああ。こことここ切り落として水の抵抗を押さえて……」
「一六八、また何か何か企んでないか? スピードを上げようとしているだろう」
「はい、勿論!! こうしたら多分もっとスピードでますよ! 涼さん! やっていいですね、やりますよ!!」
「まあ、うん。そうだな。まぁこのまま蓮に乗って進むとして、少しくらいなら……」
「後は後は、この端をちょっと動かして、あっちの道のほうが流れが速そうだから……。うん、簡単に操作できます。いけますよ!!」
「待て。そこまでスピードを出す必要があるのか??」
「間違いなくありませんね! ですが、スピード狂楽しい!」
 なんだかどんどんありえない速さになっていく蓮に、涼はぱちりと瞬きをして一六八の顔を覗き込む。
 当の一六八はというと、ものすごいいい笑顔で、
「いいじゃないですかー! 涼さん! 一緒に風になりましょうよー!」
「引っ張るな。このスピードで引っ張るな。…………まぁそれくらいスリリングな方が面白いかもしれないが」
「ですよね!!!」
 その笑顔にやられたわけでは無いのだが。
 ものすごく楽しそうに笑う一六八に、まあいいか。と、涼もうなずくのであった。のであった……が、
「だが、折角の遊び道具が沈没しないようにアレを倒す必要はありそうだな」
 サブウェポンの黒爪を構えながら、涼が目を細める。
「ええ。折角今、最大時速に挑戦してるところだったのに……っ」
「残念だったな。蹴散らしてやろう。……逃がさんぞ」
 さして残念そうでもない一六八も野太刀を手にやる。銃弾を水の蛇に打ち込むと、蛇の水が崩れていく。猟兵たちの攻撃を何度も受けているからか、もう結構ぼろぼろであった。
 あ、という間に距離が詰まっていく。限界まで加速された速さに、一六八も野太刀をぶん、とぶん回した。
「んじゃ、ボクたちもっともっと遊びたいんで……、吹っ飛ばしますね!!」
 衝撃波と共に野太刀をなぎ払う。蛇は体を切られながらも一六八を丸呑みにしようと牙をむく。それを涼が首根っこを掴んで、ぶん回してほおり投げた。
「ほう……。見た目は水だが、手ごたえはあるか!」
 どうやら本体には形があるらしい。そのまま敵のほうに涼は視線を向けていると、
「涼さん!」
 一六八が声を上げた。
「あっ。あれ、さっき切り落としたとこから崩れてますね!」
 ついに耐え切れなくなったのか、蓮は徐々に形を失いつつあった。
「乱暴に扱いすぎだな。どうする、沈むぞ」
「蓮を捨てて水にダイブしながら切りつけていきましょう!」
「了解」
 投げ飛ばされた蛇が戻ってくる。その一瞬で、二人は視線を交わして、
「いくぞっ」
 とん、と涼は飛んだ。そのまま蛇の頭を足場に、空高く飛び上がりながら銃弾を叩きつける。
「力こそパワー!! 刀なんだから振れば切れるでしょ!!」
 同時に一六八も水の中に沈みながらも、同じタイミングで水から飛び出して野太刀を一閃させた。
「どうだ! シャチの如き技を! ここ真水っぽいですが!」
 叫ぶ一六八。確かに手ごたえはあった。そしてしゃーっという声が聞えて、
「お? わわわわわー!!」
 反撃をする前に、一六八の体が流れた。水流に抗いきれず、蓮を失った一六八はどんどん流されていく。
「……っ、さすがに、流されるか」
 涼も冷静にそう言って。水の中にどぷん、と飛び込み一六八を追った。
 後は流れていくだけである。
 幸い泳げないと言うことのない二人だったので、流れに逆らわず進んでいけば、自然と水の勢いの少ない場所まで流れ着いて、
「あー、楽しかったー」
「成る程……確かに。楽しかったな」
 ぷはー。と顔を出せば、涼も笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
蓮と一緒に流れる
川に流されるのは初めて
だって、こんなにふかい川であそんだことないものっ

すずしいのはさっきとおなじだけど
水もいっぱいとんでくる
水のかけあいっこしてるみたい
なんだか笑っちゃう

わ、はやくなったっ
とりさんにのって走ったときと
どっちがはやいかな

ひゅってなってばしゃーんってなるのがたのしい
まわりの人がびっくりしてる声が聞こえてくる
ふふっ

あれ、でもみんなの声がかわった
どうしたんだろう
見ると大きく盛り上がった水
あっ、わかった
あれが大蛇だね
斧を構えて
えーいっ
あそびにきたおきゃくさんを食べるなんてだめだよ

みんながたのしくあそべるように
あんぜんかくほ、しなきゃねっ

ところで、どこまでながれてくんだろう



「うわ、うわあ……」
 蓮の上に座り込んで、オズも一緒に水に、流されていく。
「はやいはやいっ。こんなの初めてっ。……えいっ」
 ばしゃ。と水の中にオズは手を突っ込むと、
「つめたいっ」
 流れる水が思っていた以上に冷たくて、嬉しそうにその手を引っ込めた。
「わ……っ」
 端のほうにより過ぎたのか、途端、蓮が軽く揺れる。
 あわててオズは、蓮の葉の真ん中あたりに座りなおすのであった。
「川に流されるのは初めて。だって、こんなにふかい川であそんだことないものっ」
 明るいオズの声が、青空の下に響いた。

 そんなオズを乗せて、蓮はいく。
 進むごとに流れは速くなり、時折何かに弾かれたように飛び上がったり、急な道を思い切りカーブしたり。
「すずしいのはさっきとおなじだけど。水もいっぱいとんでくる……。水のかけあいっこしてるみたい!!」
 跳ねるたびに水滴がきらきらと舞って。それがオズの体にも絶え間なく降り注いでいた。
「あ、曲がり角……っ」
 ずしゃーっ! と音を立てて角を曲がれば、盛大な水しぶきが口の中にまで飛び込んできて、
「うん……、なんだか笑っちゃう!!」
 とても嬉しそうな声が、思わず漏れた。
 そうして何度目かのカーブを繰り返したとき、
「あ……っ、はやくなったっ」
 もう一段。急な坂になったのだろうか。明らかに水の流れが速くなっていく。
「とりさんにのって走ったときと、どっちがはやいかな……」
 こっちのほうが不安定だけれど、速さはあまり変わらないような……。
「ひゃ……っ!」
 と思ってたら空を飛んだ。軽く空中へと浮き上がると、
「やっほーーー!!」
 と、思わず声を上げてみるオズであった。
 周囲からも見えないまでも、誰かの悲鳴や完成が聞えて来ている。
 それを聞いているだけでもオズは嬉しくて楽しくて、
「……ふふっ。ありがとう、君のおかげでとっても楽しいよ」
 蓮にしがみつきながら、蓮へと声をかけ思わず笑みを漏らしていたのだが……、

(……あれ?)
 不意に違和感を感じて、オズは瞬きをひとつした。
 なんだか周囲の音が、ひとの声が、変わった気が下のだ。
 どうしたんだろう。と、顔を上げて怪訝そうに周囲を見回すと、
 不自然の進行方向の川の水が、盛り上がっているのに気がついた。
「あっ、わかった。あれが大蛇だね」
 大丈夫、あわてない。オズは早速斧をぎゅっと構えて、
「あそびにきたおきゃくさんを食べるなんてだめだよっ。えーい!!」
 と。
 蓮が大蛇とすれ違う瞬間に、オズは己の斧を叩きつけた。
 水がはじけて、蛇の体が崩れていく。
「みんながたのしくあそべるように、あんぜんかくほ、しなきゃねっ」
 すぐさま蓮は遠ざかっていくので、ぐるりとオズは振り返って確認すると、もはやぼろぼろになった水の蛇が遠ざかっていくのが見えた。
「ん」
 大丈夫。って、ひとつ頷いた……ところで、後ろ向きのままひとつ、蓮が水面から跳ねて。
「……ところで、どこまでながれてくんだろう……」
 思わずオズは、そう呟くのであった。

 その答えは、やがて知れる。
 崖が消え去り、住人のいない都へと、蓮はゆっくりとオズを運んでいくことだろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

両角・式夜
渓谷ダイブではなかなか見苦しい沈み方をしてしまったが、まあよしとしよう!
川下りならば直接泳がなくてもよいから、何とかなるだろう!

この、渓谷に生えてた蓮の葉が使えそうだな
考えてみれば、あの高さから落ちても難なく受け止められる弾力と強靭性……
よし、今から君は「涼穿丸」だ!
わしと共に水中神殿まで辿り着こうな!

ふぅむ、水の流れは無理でも、【地形の利用】で川の曲がり方や石の配置等を読めば、水はその地形の流れに沿っている筈だ
滝でも無い限り、流れに乗ってしまえばこっちのものだな!
ふははは!この最強の地竜に掛かれば川など恐れるに足らず!!


(アドリブ&絡み大歓迎です!)


ヴィクトル・サリヴァン
川下りいいね!
さらさらした水に嵐とまた違う水流、そして障害物。
川住みのイルカもいるっていうしシャチがいてもおかしくはないよね、うん。
邪魔な蛇もいるらしいけど勢いでゴーゴー乗り切ろうか。

相変わらずの服装で泳ぎで楽しみつつ川下り。
尾で加速、手足で方向とかブレーキとか調整を。
あんまり狭すぎるところじゃないならガンガン勢い付けていく気合い。
陸上より水中のがやっぱ動き易いや。
魚や水中の花とかの景色も楽しみつつ、邪魔者には容赦なし。
と言ってもこの速度だとすれ違いに一瞬…UCで自分に電流流し生命の速度を加速、感覚活性化。
それで水中からジャンプし銛で蛇の中心部分を貫いてやれれば楽しそう?

※アドリブ絡み等お任せ


尭海・有珠
折角ならあるもので楽しもうか
蓮の葉に乗ってウォータースライダーとしゃれこもう
…うん、思ったより早いな
なんかこの反応さっきもやったな

涼しく水飛沫を浴びながら、風を切る心地好さとスリルも同時に味わえる
おっと、水の大蛇には高熱の炎の剥片で攻撃だ
自分が暑かったとて、この水に満ちた場と風ですぐに冷えるだろうしな
寧ろ口に飛び込むか体当たりするくらいの気持ちでいってやろう
ほら、ジャンプ台になる可能性だってないわけじゃない

ふふん、大蛇よ呑み込んでみろ
その喉、体に熱で風穴あけてやろうじゃないか

正直早く流れていく景色や
流れていく水面を見てるだけでも楽しいが
こんなにも川下りとは面白いものなんだな

※他者との絡みも歓迎



「ふ……。川下りならば直接泳がなくてもよいから、何とかなるだろう! ここでなら、わしは、無敵!」
 式夜は、やる気であった!
「渓谷ダイブではなかなか見苦しい沈み方をしてしまったが、まあよしとしよう! 何せ次もわしは水には入らぬ。……そう。この、我が友の力によって!!
 この、渓谷に生えてた蓮の葉が使えば……! と目を輝かせる式夜に、有珠も冷静に蓮の葉の上に乗った。
「成る程蓮の葉か。折角ならあるもので楽しもう。蓮の葉に乗ってウォータースライダーとしゃれこもうか」
「ああっ。有珠殿! 我が友をそんな風に扱っては……!」
「? 切らないと流れないだろう。さては君、そんなことを言いながらまだ……」
「そ、そそそそそそそそそそんなことはないぞ! わしは友を信じておる! あの高さから落ちても難なく受け止められる弾力と強靭性……我が共にふさわしき力だ!」
「まだ、何もいっていないのだが」
「よし、今から君は「涼穿丸」だ! わしと共に水中神殿まで辿り着こうな!」
 ぷつん、と真似するように式夜も蓮の茎を切り離し。
 そうして二人の蓮も、つるつるつるるーっと滑り出した。
「おや。まっておくれよ君たち」
 そこについーっと並走するように、ヴィクトルが泳いでくる。流石にシャチだけあって、動きは達者だ。
「川下りいいね! ご一緒しても構わないかな?」
「ああ。勿論だ。いざというときは人が多いほうが頼もしいだろう。
「そうだな! そしていざというときは是非わしも助けてもらいたい!」
「よかった。さらさらした水に嵐とまた違う水流、そして障害物。これほど恐ろしくも楽しいものはない。ついでに川住みのイルカもいるっていうしシャチがいてもおかしくはないよね、うん」
「!?!? 恐ろしいとか、どうしてヴィクトル殿はそんなにひどいことを言うのであろうか……!」
「邪魔な蛇もいるらしいけど勢いでゴーゴー乗り切ろうか」
「…うん、思ったより早いな。どんどんスピードが出て来ている。……なんかこの反応さっきもやったな」
 ふぅ。と有珠が感心したように息を吐いて言うと、
 答えるようにまた、蓮のスピードが速くなっていった。

 水が跳ねる。どんどん加速していく水の流れに式夜が声を上げる。
「ふぅむ、水の流れは無理でも、この地形。川の曲がり方や石の配置……。次、おおきめのカーブがくるぞ! しかも、続く!」
「了解~」
 ヴィクトルの手足が動く。うまいこと両手と尾を使って加速と原則を繰り返し。狭い水路を猛スピードで曲がっていく。
「陸上より水中のがやっぱ動き易いや。ガンガン勢いがついてるよ。……あ、ほら、花」
「ああ。花は綺麗だ。……だがっ」
 水中かには一度視線をやりながらも、有珠は目の前を見据える。予測していた通りの連続カーブ。水しぶきを浴びながら、風を切り。衝突直前に蓮の重心を変えて回避して。そうやってカーブを繰り返し

こなしていく。
「有珠殿! 大丈夫であろうか! なんだかものすごい速度がでておるが!」
「大丈夫だ。これぐらいが、楽しい」
「そうそう。ちょっと速いぐらいのほうが、スリルはあるよ」
「成る程、では……わしも負けては織られんな! 滝でも無い限り、流れに乗ってしまえばこっちのものだな! ふははは! この最強の地竜に掛かれば川など恐れるに足らず!!」
「……式夜。それは恐らくは、フラグ……」
「おぉぉぉぉぉぉ、でたーーーーー!!」
 角を曲がった先、不自然に水の動く場があった。おっと。と有珠は目を細める。
「不意打ちなど卑怯だぞ!! わしの力を、食らえ!!」
 先頭を走っていた式夜が、全力で紅い刀身の刀を一閃させる。動を真っ二つにするその刀に、蛇の体が千切れて破片が水となってぼたぼたと落ちていく。
「この速度だと……すれ違いに一瞬、か。それじゃあ、ちょっと痺れてみよう」
 徐にいって、ヴィクトルは己に電撃を流す。生命活動の速度を加速させ、活性化させ、そして、
「それ!! ちょっと楽しそうだけれど、やれるかな!」
 いまだ。と、蛇の真下にきたとき、ヴィクトルは銛と共にジャンプした。
 蛇の体が崩れる。ぼろぼろになった蛇はもはや巨大な体を維持できなくなっていた。
「もうずいぶんと、小さくなったね。大きすぎるのも、よくないってことだね」
 なんて、敵へとウィンクをして、そのまま綺麗な動作で再び水へと飛び込んでいく。
「おやおや。もうずいぶんな姿になったじゃないか」
 その後ろをいく有珠が、僅かに唇の端をゆがめて、笑った。
 詠唱は必要ない。作り出すのは魔法の薄刃。高温の炎を乗せている。
「いいのか? 私がとどめをさしてしまうぞ?」
 そういって、有珠はぼろぼろになった蛇を見上げた。蛇は威嚇するように大きな口をあける。そして……、
「では、よいというのならば勝負と行こう。ふふん、大蛇よ呑み込んでみろ! その喉、体に熱で風穴あけてやろうじゃないか」
 有珠の体は、蓮と共に飛んだ。
 大蛇が有珠を飲み込む。しかしその内側から、有珠も負けじと己の炎の剥片を、放った。
 ばしゃん!
 その次の瞬間、音もなく大蛇は消失する。
 水面に有珠が蓮と共に着地して振り返ると、もはや形のない水の固まりが、ただ落ちていくだけであった。
「やったかい?」
「ああ。どうやらそのようだ」
「おおお。では、私たちの勝利ですね!!」
 ヴィクトルの言葉に有珠は肯定して、式夜が嬉しげな顔を上げる。
「そうしてついに、終点のようだよ」
「おおお、そういえば心なし、流れが緩やかになっているような……」
 ヴィクトルの言葉に式夜が思わず、と言うように顔を上げる。有珠も同じように顔を上げ、ポツリと呟いた……。
「流れていく水面を見てるだけでも楽しいが、こんなにも川下りとは面白いものなんだな……」
 頬を撫でる風が心地よい。
 そしてその先には……水の都の遺跡が待っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『史跡探索という名の観光』

POW   :    人込みをかき分けながら、手当たり次第散策する

SPD   :    人気の少ない場所を中心にサクサクと回る

WIZ   :    歴史的な価値が高そうな場所を予め下調べしておく

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その遺跡は、水の中にあった。
 深い深い谷が続く先。崖で圧迫されていた視界がぱっと開けたら、目の前には水没した遺跡群が広がっている。
 あちこちの川から、その遺跡へと水が流れ込んでいる。蓮に乗ってたどり着いた猟兵たちは、そのうちのどれかから町へとたどり着いたのであろう。
 町は……よくよく見れば不思議な形をしていた。
 どこにでもある町ではあるが、この世界にしては背の高いものが多い。(おかげで、その建物や屋根の上に登って休憩することも出来るのだが)
 そして、窓や建物等に壊れた形跡がない。これは、急な水流が町を飲み込んだのではなく、ゆっくりと徐々に水位が上がり、町を沈めていったのであると推測された。
 だというのに、不思議と人の住んでいた様子が、町のいたるところに残っていた。まるである日突然水に沈んでしまったかのように、そのまま、生活しているような景色がそのまま残り、朽ちているので

ある。
 さすがに、地上と同じ植物は生えておらず、長い年月により建物は色とりどりのコケや海草、珊瑚などが町を彩っている。
 そして、川にはない色とりどりの、熱帯魚に似た魚たちが暮らしていた。
 彼らはひとなつっこく、水に潜ればすぐにやってくることだろう。
 あれほどあった水の流れは今は無い。流れる水が抜ける場所がないからだ。川から注いでいく水は増える一方で、もしかしたら数年後。または数百年後には、このあたりは完全に水没してしまうかもしれない。
 ゆえに、この巨大な水の廃都を探索するのであれば、泳ぐか、さもなくば自分で船を用意する必要がある。今まで河くだりをしてきた蓮を使うなら、どこかの屋根からみょいん、と生えている、巨大なストレチアの様な謎の植物の葉をオールにするといいだろう。
 もしももう一回、崖を飛び降りたり、川くだりをしたいというのであれば、それでもいい。
 多少騒ぐぐらいであれば、問題はないだろう。
 あとはただ、この一日を、楽しく過ごすのみである。

※プレイングの受付は、7月29日(月)8:30より8月1日(木)22:00です。
 選択肢は、あまり気にしない方向で。
 船をこぐなりバーベキューをするなり廃都を利用した超立体的な水鉄砲合戦をするなり、
 水に潜って熱帯魚と戯れるなり、沈んでしまった建物の中を探検するなり、
 もっかい崖から飛び降りるなり、川くだりやサーフィンに興じるなり、
 割と何でも、お好きにどうぞ。
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

人がいてもおかしくない場所なのに、
今では魚たちの住処になってるんだね
ここだけ外と切り離されたひとつの世界みたい

ふふ。もう落っこちないから安心していいんだよ
ありがとう、ヨハン
でもずっと漕ぐの大変じゃない?
疲れたら交代するから、すぐ言ってね

あそこの屋根なら登れそう
ほら、あの赤い屋根の小さな建物
元は一軒家だったのかな
お邪魔してみようか

軒先に並んで座る
澄んだ水面の下に広がる世界はとびきり美しくて
綺麗だね……
水没しきる前に来られて良かったな
今日しかいられないからこそ、目に焼き付けておかなくちゃ

あたたかな手を握り返して
彼の肩にそっと頭をもたれ
うん……しばらく、このままでいさせて


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

水中の遺跡ですか
綺麗な形のまま残っていますね
水さえ無ければ人がいてもおかしくない、と思うと
不思議な心地になりますね

水の中は得意ではないし、それは翼のある彼女も同じ
蓮の上に乗ったままで移動しましょうか
植物の葉を取り
これくらいは俺がやりますよ

途中で上がれる建物や屋根があれば上がってみましょうか
差し込む光が水面に弾かれ煌き
どこか神秘的な雰囲気を感じる

まぁ、悪くはないですね
綺麗な物だと思いますよ
今立つこの場が後々水に呑まれるのだとしたら
ここにいられるのは今だけ、か

並び座って後、触れたくなって、手を取って
暫く眺めて行きましょう
肩に触れる温かさに微睡むように目を閉じる



 ゆるゆると、ヨハンとオルハを乗せて、蓮が街の中を流れていく
「水中の遺跡ですか。綺麗な形のまま残っていますね」
 そういいながらもヨハンが櫂がわりの葉で船をこぐと、水面に映っていた景色が揺れた。
 公園だろうか広場のような場所に、子供のおもちゃか何かが残されていたが、ここからだと珊瑚が邪魔をして詳しくはわからない。
「……水さえ無ければ人がいてもおかしくない、と思うと、不思議な心地になりますね」
「うん。人がいてもおかしくない場所なのに、今では魚たちの住処になってるんだね……。ここだけ外と切り離されたひとつの世界みたい」
 あれは一体なんだろう。と、覗き込むオルハに、ヨハンは気をつけてください、と声をかける。
 二人とも、水の中はそこまで得意ではない。川くだりは楽しかったけれど、今度は少しゆっくりしたいな、なんて思っていて、
「ふふ。もう落っこちないから安心していいんだよ。ありがとう、ヨハン」
「きっと安心は、いつまでたっても出来ませんよ。あなたからは、目が離せない」
「ええ。そ、そうかなぁ」
「そうです」
 そういう意味じゃ、ないけれどと。そこまではヨハンも言葉を飲み込むと、オルハはあわてたのか、
「で、でもずっと漕ぐの大変じゃない? 疲れたら交代するから、すぐ言ってね」
「平気です。これくらいは俺がやりますよ」
 ヨハンはにべもなかった。それから少し笑って、「それくらいは俺にやらせてください」なんていうのであった。
「途中で上がれる建物や屋根があれば上がってみましょうか。きっと気持ちがいいですよ」
 つい、つい、と。光差込み水面が煌く。ありきたりな建物群のはずなのに、どこか神秘的な雰囲気を楽しむようにゆっくりと。
 特に宛てなくさまようように櫂を動かしながら、ヨハンがいうと、
「そうだねー……、あ、じゃあ、あそこは? あそこの屋根なら登れそう」
「ん……。どこですか?」
「ほらほら、あそこ。あの赤い屋根の小さな建物」
 オルハが指をさしたのは、一軒の赤い屋根の小さな家だった。
 丘の上に立っているからか、二階建てでもちょこんと赤い色が水面からとびでている。
「元は一軒家だったのかな……。お邪魔してみようか」
「そうですね……。じゃあ、寄せますよ」
「はーい」
 なぜかきちっ。と座りなおすオルハにちょっとだけ目をやって。ヨハンは慎重に蓮をその赤色まで寄せた。まずは自分がひょいと飛び乗ると、
「どうぞ」
 手をさしだす。
「あ……ありがとう」
 そんなにしなくても、大丈夫。だったのだけれど。
 手を差し伸べてくれたことが嬉しくて。
 オルハはそっと、その手を握った。

 そうして二人、軒先に並んで座る
 視線をおろすと澄んだ水面の下にとびきり美しく広がる世界が目に飛び込んできた。
「綺麗だね……」
「まぁ、悪くはないですね」
「またまた、そんなこといって」
 素直でないものいいに、オルハは楽しげに笑う。笑われるとヨハンもほんの少し笑った。
「綺麗な物だと思いますよ。今立つこの場が後々水に呑まれるのだとしたら、ここにいられるのは今だけ……、か」
 そうして、少し言葉を付け足す。そんなヨハンの台詞に、いまさら思い出したかのように、
「そっか……。水没しきる前に来られて良かったな。今日しかいられないからこそ、目に焼き付けておかなくちゃ」
 オルハも、そっと水面に目を落とすのであった。
 ほんの少しの、沈黙が流れる。
 いつもより静かなオルハの横顔を、ヨハンはじっと見つめて、
「……」
 そっと、手を伸ばした。
「……?」
 ヨハンがオルハの手を握って。オルハは一度不思議そうにヨハンの顔を見ると、
「暫く眺めて行きましょう」
 そ知らぬ顔で、ヨハンが言うので、オルハも、
「うん……しばらく、このままでいさせて」
 ヨハンの肩にそっと頭をもたれさせた。
 その温かさに、ヨハンもそっと目を閉じる。
 まどろむような時間が、優しく、穏やかに、流れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
※可能でしたらどこかのタイミングで
リュカさまとご一緒したく

リュカさまの水着姿、とても勇ましゅうございますね
ゴーグルに映る水面がゆらゆらするさまに
まあ綺麗、だなんて思ってしまったり


わたくしは、水の中を潜り、遺跡を探索したいと思います
本当に大きな建物…なぜこのように天井が高いのでしょう?
住んでいた方々は、大きな方ばかりでしたのでしょうか
そうこう思案しておりますと、きれいな珊瑚のある所に出たり
お魚さんたちが泳ぐのを見て
まあ、色鮮やかできれいで
おかわいらしくていらっしゃいますね
近くに来られて、もしつつかれでもしたら
わたくし嬉しさにうずうずしてしまいそうです

息継ぎが限界になりましたら、水上の建物で休憩を



「リュカさま」
「あ、お姉さん」
「これから潜るのでしたら、ご一緒にいかがですか?」
「勿論。この辺をもぐるの?」
「はいっ」
 まずは準備運動です。と、
 しっかり運動しながらベイメリアがそういった。リュカも軽く一緒に体を動かしながら、
「赤くないお姉さんは、なんだか新鮮な気がするね」
「あら。リュカさまの水着姿も、とても勇ましゅうございますね」
「ありがとう。お姉さんもかわいいよ」
「ふふふ。そこは綺麗とおっしゃってくださいまし」
 冗談めかして、ベイメリアは笑う。リュカのゴーグルに映る水面が光を弾くたびに、まあ綺麗。なんて内心思いながらも、
「では、参りましょうか」
「了解、はぐれないようにしようね」
「ええ、それはもう」
 トン、と華麗に地を蹴って。
 ベイメリアは水の中に飛び込んでいく。リュカもそれを追いかけた。

 深い水の世界を泳ぐ。
 時折息継ぎで顔を出せば、
「本当に大きな建物……なぜこのように天井が高いのでしょう? 住んでいた方々は、大きな方ばかりでしたのでしょうか……」
 合間に会話をする。足もとには屋根だけ水上に残った建物があって、ベイメリアが指をさすとリュカは首をかしげる。
「解らないけど、あれ、窓が独特だった」
「あら……」
 いわれてベイメリアはもう一度潜ってみた。
(あぁ、これは……ステンドグラス?)
 壁の側面が、一面ステンドグラスの窓になっていて、ベイメリアは目を見開く。
(わたくしの知らない信仰ですが……ここは確かに、祈るための場所なのでしょうね……)
 思わず両手を合わせて身近く祈りを捧げる。その背中を軽くつつかれて、
(? リュカさま?)
 振り返っても誰もいない。と思ったらまた背中をつつかれた、
(??)
 もう一度振り返っても、いない。
 不意に手を光れて視線を向けると、リュカがベイメリアの手を取っていた。そのまま動かずに、とめでいわれると、すぐに、
(まあ……!)
 ベイメリアの手を、色とりどりの魚たちがつつきに来ていたのであった。
(色鮮やかできれいで、おかわいらしくていらっしゃいますね)
 思わず嬉しそうに目が輝く。なでてみたい、という衝動でうずうずする。
(ああ。お可愛らしい。もう少し……。でも息が……。けれどももう少し……)
 触りたい。でも息が苦しい。
 そんなベイメリアの葛藤に気づいたのか、否かは解らないが、リュカがベイメリアの腕を掴んでそのまま浮上を始める。
(ああ、わたくしのお魚さん……!)
(いいから息しないと、死ぬって)
 浮上すると、魚たちはわっ。と散って同じ方向に向かって列を成して進んでいくのが見えた。
 それを目だけで追いかけると、美しい珊瑚の広場が目に入る。
(次はあそこに参りましょう……)
 綺麗だと。思わず覗き込むベイメリア。
(けれどもその前に……休憩ですね。う、本当に息が苦しくなってきました)
 いわんこっちゃない。なんて顔をリュカはしていたけれど、
 そんな中でも真剣に、ベイメリアは景色を視界に収め続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
ムーくん(f09868)と

すごいすごい、とっても綺麗ですよムーくん!
遺跡ってこんなに綺麗に残っているものなんですね
人魚さんが住んでいてもおかしくなさそうですよ

ね、ムーくん。せっかくですから中に行ってみましょう
だいじょうぶ! 私、肺活量には自信がありますから!
ムーくんはこうー、賢者的な魔法の力でなんとかなりますよね?
ごーごー!

手を引いて水中へ
寄ってくる熱帯魚と指先で戯れて
見上げれば光り揺らめく水面
綺麗ですね、と言葉は伝えられないから
代わりににっこり微笑んで

今だったら、いつもは言えない事も言えるかも
唇で四つの文字を象って
伝わるかな? 伝わらなくてもいいの

さあ、どんどん先に進みましょう!


ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛(f01585)

ワガハイにまだ潜水しろというのかオヌシ!
懲りておらぬな! いやそもそも気にしておらぬな!?
やれやれ……心臓が毛むくじゃらなのではないかオヌシは……
(ぶつくさ言いつつも付き合いはする賢者である)

……こうして黙って(?)いると年頃の乙女なのだがな
実際斯様な遺跡を、水の中で拝むというのはなかなか得難い経験だ
季節柄、涼むのにもちょうどよい。まさに絶景、よきかなよきかな
とはいえ今日はもうくたくただ、向かう先は織愛に任せてついていくとしよう

……水の中でも音を伝える程度は、魔法でどうとでも出来なくはないが
ま、あの様子では黙っておいたほうがいいこともあろうさ
ワガハイ、年長者ゆえな!



「ムーくん!!」
「今度はなんだ!」
「すごいすごい、とっても綺麗ですよムーくん!
「ああ……」
 ほら。と、自分たちの下に広がる景色を、
 両手で示す織愛に、ムルヘルベルはなるほど、と頷いた。
 澄んだ水の中に沈んでいるその世界は、それだけで不思議と胸に迫る何かを持っている。それが歴史というものだろうと、ムルヘルベルはただ静かに、その失われた場所に思いをはせた。
「どうやらオヌシも流石にこの景色には情緒を感じるらしいな。そうさな、この感じからいえば水没したのははるか……」
「ね、ムーくん。せっかくですから中に行ってみましょう」
 長くなりそうなムルヘルベルの言葉を、あっさり織愛は制する。
「遺跡ってこんなに綺麗に残っているものなんですね。人魚さんが住んでいてもおかしくなさそうですよ。だから……探しに行きましょう!!」
「!? ワガハイにまだ潜水しろというのかオヌシ! 懲りておらぬな! いやそもそも気にしておらぬな!?」
「ええ!? だいじょうぶ! 私、肺活量には自信がありますから!」
「そういう意味ではないわー!」
「あ、ムーくんのことですか? ムーくんはこうー、賢者的な魔法の力でなんとかなりますよね? ごーごー!」
 い・き・ま・しょ・う。と。
 がっしりとムルヘルベルの腕を掴む織愛。
「やれやれ……心臓が毛むくじゃらなのではないかオヌシは……」
「まさか。心は立派な乙女ですよ!」
「自分で言うな」
 ぶつぶつ言いながらも。
 ムルヘルベルは織愛の言うことには逆らわない。手を引かれるがままに、
「じゃあ、いきますよ。えーい!」
 どぼんと水の中に共に突入すれば、
 水の世界と共に、色とりどりの魚が二人を出迎えるのであった。
「……!」
 近寄ってくる魚と織愛が指先で軽く戯れる。
 織愛が指を軽く振ると、それに合わせるようにちらちらと、オレンジ色の魚が泳いだ。
 しばらく織愛とダンスを踊った魚は、ふっとまた上へとのぼっていく。
 追いかけるように顔を上げると、光で揺れる水面が見えた。
(綺麗ですね……)
 水の中の世界は本当に美しくて。
 言葉で伝えられないかわりに、にっこり微笑んで織愛はムルヘルベルを見つめる。
 見つめられたムルヘルベルといえば、
(……こうして黙って(?)いると年頃の乙女なのだがな……)
 なんて若干しんみりとしていたのだが、それはさておき。
(実際斯様な遺跡を、水の中で拝むというのはなかなか得難い経験だ。季節柄、涼むのにもちょうどよい……。まさに絶景、よきかなよきかな)
 もう本日はくたくたなムルヘルベルは、織愛にただついていき、クラゲのようにゆれていようと心に決めて、
 織愛と同じように、水面の光を眺めるのであった。
(……水の中でも音を伝える程度は、魔法でどうとでも出来なくはないが……、ま、この様子では黙っておいたほうがいいこともあろうさ)
(今だったら、いつもは言えない事も言えるかも……。伝わるかな? 伝わらなくてもいいの。この私の気持ち、ムーくんに)
(ワガハイ、年長者ゆえな! ここは今の織愛を静かに見守るのがよかろうて! うんうん。言葉無いのもたまにはいい……ん?)
 そっと、囁くように、優しくゆれる織愛の唇。
 それを見て、ムルヘルベルは瞬きをひとつ。
(何だ、腹が減ったのか? ここの魚は食えんぞ)
(ふふ、私のこと、じっと見てくれてる。伝わった……かな?)
(だがよし、そうだな。今日は帰ったら好きなだけ、美味しいものを食べにいこうではないか! ワガハイたくさん動いて腹が減ったし)
(ムーくん、なんだか嬉しそう。解ってくれたみたい)
 そして、織愛が首をかすかにかしげると、
 ムルヘルベルは任せろ、とでも言うように大きく頷くのであった。
(よかった。ちゃーんと、伝わるのですね)
(うむ。魔法などなくとも通じ合うものもあるのだな)
 なにやら本当に通じているのかいないのか。
 いまひとつ解らないけれども、どこかとても楽しそうな二人の間を、魚がゆっくりと通り過ぎていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
星蝕・焉夜(f00030)と参加

【WIZ】リュカも誘います

「焉夜、リュカ、置いていきますよ?」

泳いで、潜って、遺跡の中を探検します
祭祀服から水着(青いビキニ)に着替えてアクティブに行動します
普段は隠れているスタイルの良さを惜しげもなく披露するものの、

「リュカ、やはり熱帯魚は食べるには向いていないでしょうか?」

マイペースにそんなことを尋ねたり、

「こうした場所には貝類が棲みつきやすいのです。焉夜は知っていましたか?」

などとドヤ顔で豊かな胸を張ったりします

いささか残念な言動も、ふと静かになるとゆらゆらと水の中を漂う様はまるで妖精
陽の光が鮮やかな金の髪を輝かせる
それは廃都に眠っていた秘宝のように


星蝕・焉夜
マリス・ステラ(f03202)と参加

【POW】マリスとリュカと共に行動

「急がなくても探索はできるぞ?」

黒のハーフパンツの水着姿になりつつ泳ぎ潜って遺跡を探索
マリスのスタイルの良さに少し顔を赤くしつつ

「熱帯魚は食えないだろう……」

とツッコミしたり

「いや、あまり知らないな……」

ドヤ顔のマリスに苦笑しながら
胸を張った姿に顔を背けたり

泳いでいるマリスを見て綺麗だと思いつつも
口に出すことはなく
とは言ったものの綺麗なものには見惚れてしまうのも本当で

「さて、今回は助かったぞ……
俺で良ければまた必要なら言ってくれ……」

『普段UDCアースから出ない使徒にとって良い経験だな』

別人格の黎明がふと零して


アドリブ歓迎



 ばさりっ。とマリスは華麗に祭祀服を脱ぎ捨てた。
 その下には既に青いビキニの水着が用意されていた!
 普段は服で隠しているが、結構スタイルはいいのである。
「焉夜、リュカ、置いていきますよ?」
 どや。とまでは行かないが。やる気満々なマリスの様子に、
「急がなくても探索はできるぞ?」
 と、黒のハーフパンツの水着姿の焉夜は若干視線をそらしながら言うのであった。
「……」
 その様子に、リュカがじ、と焉夜を見ていると、
「解ってる。みなまで言うな」
「まだ何も、いってないよ」
「わかってる……」
 焉夜は少し赤い顔のまま、更に視線を泳がせるのであった。マリスのスタイルがよすぎるのが、たぶん、問題だ。
 だというのに、等のマリスは、
「ほら、二人ともゆっくりしていないで。いざ行きますよ、水の世界に。泳いで、潜って、遺跡の中を探検です。生半可な遊び方は許しません!!」
 なんて、ざっばーん。とさっさと水の中に飛び込んでいるのであった。
「……いくか」
 なんともいえない顔で焉夜は続いて水の中に飛び込むと、リュカも頷いてそれに続いた。
 水は冷たくすんでいて、ちょっと泳ぐだけで魚たちはちろちろと彼女たちにも近寄ってくる。
「リュカ、やはり熱帯魚は食べるには向いていないでしょうか?」
「熱帯魚は食えないだろう……」
 時々息継ぎにあがれば、ものすごく真面目な顔をして聞くマリスに、軽く焉夜が額を押さえながらそう答えると、
「肉が少なくて食べる場所が少ないと思う。美味しいかとか毒があるかどうかは知らない」
「なるほど……」
「……マリス。確か遺跡の広い場所に食べ物を売っているところがあったから、そっちに行かないか?」
 リュカの言葉に真剣にマリスは頷き、ちらと焉夜のほうを見るので、焉夜としては困ったようにそう告げるしか無いのであった……。
「む……買い物は、食への探求という点ではいささか違うのですが……それはそれとしてあとで腹ごなしはしましょう。それよりも」
 更に行きましょう。とばかりにさっさとマリスが泳ぎだすので、焉夜たちもあわててそれを追う。
「こうした場所には貝類が棲みつきやすいのです。焉夜は知っていましたか?」
「いや、あまり知らないな……」
「これは食べられると思いますか? リュカ」
「……」
 ドヤ顔で胸を張るマリス。その様子に、ちらと視線を彼女からそらせて焉夜はリュカのほうを見る。リュカは一瞬、考え込むような間のあとで、
「生の貝は、危ないと思うよ。少し獲っていって炙ってみる?」
「なるほど、それはいいですね。では……」
 さっ。と岩場の貝に向き直るマリス。背中を向けられて、若干焉夜はほっとする。
「……」
「……」
「解ってる。みなまで言うな」
「まだ、何もいってないって}
 口には出さないが、
 綺麗なものには見惚れてしまうのも本当のことだろうと。焉夜は思った。
 ……口には出さなくても、はたから見たらもう一目瞭然かもしれないが、本人に知られていなければ大丈夫だ、たぶん。
「さあ、では、潜りますよ。次の現場に行きましょう!」
 貝をいくつか採ってみながら、マリスが今度はあっち、と指をさす。
「今度は長い潜水になりそうです。面白おかしいものがあることを期待します」
「面白おかしいものか……。そうだな。綺麗なお宝でも潜っていればいいんだが」
「マリスお姉さんの場合は、食べられそうなもののほうがいいのかもしれないけれどね」
「成る程。では、綺麗に輝くおいしそうな食べ物を捜せばいいのですね。黄金のうなぎとか」
「うなぎは今の時期だからな。…………」
 ついノリでいって、なんともいえない、情緒がない話をしている、みたいな目をした焉夜を、リュカもまたなんとも言えない目で見ているのであった。
「ああ。さて、そうだ。先に言っておくが……、今回は助かったぞ……。俺で良ければまた必要なら言ってくれ……」
『普段UDCアースから出ない使徒にとって良い経験だな』
 なんとなく、長い潜水になりそうだったので、その前に焉夜がそういった。別人格の黎明がふと零してマリスは焉夜を振りかえる。
「こちらこそ。あなた、がいてくれて、私も助かりました」
 あなたには、様々な意味を含んでいた。
 それからどぼんと、水の中に飛び込むと、
 当たりいつ面が、一瞬で静かになる。
 ここは誰も会話のしない世界。ここならマリスの残念な言動も、誰にも聞かれることはないだろう。
 焉夜が追いかけてきて、マリスは微笑んで軽く手を振る。
 焉夜もそれで、手を振り返した。
 陽の光が鮮やかな金の髪を輝かせる。
 それは廃都に眠っていた秘宝のようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒金・鈊
スティ(f19491)と

濡れるのはこの際、仕方ないからな。
これも仕事だ。気にするな。

は?
今聞き捨てならないことを言わなかったか?
泳げないのによく飛び込みに?
感心してるんじゃない。惘れてるんだ。

高いところで街並みを見やり。
確かに静かで美しいが……胸が騒ぐ光景だ。

沈んでみたく、か……
俺は滅んだ世界など臨みたくはない。
永遠を刻むなら、朽ちた都ではなく変わらぬ栄華を見せて欲しい。
そう願うのは、それがないと知っているからだが。

……はは。
そいつは引き摺り込むの間違いじゃないのか。

冥府がこういう場所なら悪く無いが。
きっとあんたのいう千の夜は、此処とは違い、さぞ華やかなのだろうな。

笑いながら応えよう。
御意に。


スティレット・クロワール
鈊君(f19001)と

濡れたねぇ
あ、鈊くん。さっきはありがとうね

泳いだことなんて滅多に無かったし溺れなくて良かった
そこは勢いだよねぇ。うんすごいでしょう?

水中の街、か。美しいままに時を止め街は残るのか
ふふ、なんだか、沈んでみたくなるねぇ

だって、地の底から見れば世界は美しいーなんて言うでしょう?

おや、私の騎士は感傷的だねぇ(頭を撫で

冥府の都であれば千の夜も見せてあげられるけれど
でも大丈夫だよ。君だけは私が地獄の底から押し上げてあげよう
君が無いという栄華の代わりにね

ふ、ははは。全くもう
そんなだと俺と運命を共にすることになっちゃうよ? 鈊
ーなーんてね(君の命運までは奪わないよ

今日はご苦労。我が騎士



 さっきまでの水の勢いはどこへやら。
 蓮を降りて少し高い屋根の上、二人で座ればもう水の心配もない。
 鈊にとっては、ひそかに安心できる心穏やかな時間で、
「んー。思いっきり濡れたねぇ」
 そんな鈊の内心を知ってかしらずか、スティレットはおかしげに笑った。それから、
「あ、鈊くん。さっきはありがとうね」
 本当にたった今思い出したかのように言うスティレットに、鈊もまたなれたもので、小さく頷くのであった。
「濡れるのはこの際、仕方ないからな。これも仕事だ。気にするな」
 ここへくるときから、わかっていたことだ。なんて、当たり前のことのように言う鈊。その様子に、スティレットもうんうん、と頷いて、
「いやあ、わかっていてきたのだけれど、泳いだことなんて滅多に無かったし溺れなくて良かった」
「は?」
 なんだか予想以上のことを言われた気がした。鈊は一度、瞬きをする。スティレットは楽しそうに笑っていた。鈊の反応を楽しんでいる風であった。
「今聞き捨てならないことを言わなかったか? 泳げないのによく飛び込みに?」
「そういうこと。そこは勢いだよねぇ。うんすごいでしょう?」
 よく、の意味が違う。
 と。言いかけて。鈊は一度言葉を飲み込んで。面白がるスティレットのほうを見て。
「……感心してるんじゃない。惘れてるんだ」
 ため息混じりにそんな言葉を吐き出した。
「でも、私の騎士が護ってくれると信じていたからね」
「だからといって、自ら危険に飛び込んでいく必要もないだろうに……っ」
 まだ何かもの言いたげな鈊であったが、スティレットのその顔を見て再びため息をつく。
 その顔があんまりに楽しそうだったから、ふぅ、とため息ついて町のほうに視線をやるのであった。
 そうするとスティレットも、視線を街のほうに向ける。
 しばらくの間、ささやかな沈黙が周囲を支配した。
 町の景色はここから見ても美しく、
 きらきら光る水面の下に、輝くおもちゃ箱のようでいて、
「確かに静かで美しいが……胸が騒ぐ光景だ」
 ぽつ、と。鈊は思ったことを口にする。
 まるで死んでいるかのようだと、鈊がそう付け足すと、
「水中の街、か。美しいままに時を止め街は残るのか……。ふふ、なんだか、沈んでみたくなるねぇ」
 スティレットが楽しげに世界を見下ろしながら指をさす。あの辺がいいねえ、なんて墓地のほうを示すものだから、それが冗談なのか本気なのかは鈊にはよく、わからない。
「沈んでみたく、か……。俺は滅んだ世界など臨みたくはない」
 だからこそ、鈊も正直に思ったことを答えた。
「永遠を刻むなら、朽ちた都ではなく変わらぬ栄華を見せて欲しい。そう願うのは、それがないと知っているからだが……それでも」
「おや、私の騎士は感傷的だねぇ」
「感傷的……というのだろうか?」
 頭を撫でられ、鈊は自問自答するようにしばし、考え込む。だったら、と、
「こういうのは、嫌かい? だって、地の底から見れば世界は美しいーなんて言うでしょう?」
 天を指差して、その日の光に目を細めるスティレット。釣られるように鈊も空を見上げた。きらきらした太陽光が、容赦なく降り注いでいて。
「……はは。そいつは引き摺り込むの間違いじゃないのか」
 若干、眩しい。目を細める鈊に、スティレットは頷いた。
「冥府の都であれば、千の夜も見せてあげられるけれど……。でも大丈夫だよ。君だけは私が地獄の底から押し上げてあげよう。君が無いという栄華の代わりにね」
「冥府がこういう場所なら悪く無いが、さて……。きっとあんたのいう千の夜は、此処とは違い、さぞ華やかなのだろうな」
 御意に。……なんて。
 笑いながら、それでも真剣に頷く鈊に、スティレットも思わず声を上げて笑った。
「ふ、ははは。全くもう。そんなだと俺と運命を共にすることになっちゃうよ? 鈊」
「だから、それで構わないといっているだろう」
「まったく。……なーんてね、冗談だよ、冗談」
 あくまで頷く鈊に、スティレットは微笑む。そこまではしないと。いいさした言葉は胸のうちにしっかりと呟いて、
「今日はご苦労。我が騎士」
 それでこの話は、おしまい。
 穏やかに言うスティレットに、鈊もそこまでは言葉を続けない。うなずいて水の世界に視線を落とすと、
「ああ……お疲れさま」
 静かに、そして穏やかに、その町を見つめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
不思議不思議
建物ぜーんぶ水の中。
アァ……不思議だ。コレは泳いで探索するとしよう。

水に潜ると戯れに小さいのがやって来た。
遊ぶ、遊ぶ?お前らへーんな色いているなァ。
なんでなんで?
教えてくれない。おーい。

ついてこいって事カ?
水の中に潜って賢い君と一緒に泳いで変な色の魚について行く
コレがいた街とは全然違うケド
水の中の街もいいもんだなァ……。
ココはお前らの街カ?
なら元々は人間カ?

疑問はつきないケド
ま、何でもいーやいーや
水の中は気持ちが良くて街があって
不思議な場所ってコトが理解できた。
賢い君もこの景色には大満足サ。



「なんだこれ。不思議不思議。建物ぜーんぶ水の中」
 エンジは興味津々に、水の中を覗き込んだ。
 世界は水で満たされていた。
 町なのに、人が住んでいない。それが不思議でたまらない。
「アァ……不思議だ。コレは泳いで探索するとしよう」
 とぷん、と。
 そうと決まればためらいなく。エンジは水の中に飛び込んだ。

 水の中に潜れば空気の泡がぶくぶくと天へとのぼっていって。
 人間なのに、ここでは自分が異物なのだとやっぱり思い知らされる。
 不思議だと、ぐるりと周囲を見回せば、
 ひらひらと近寄ってくる。小さいものの姿があった。
(遊ぶ、遊ぶ? お前らへーんな色いているなァ)
 魚たちだ。色とりどりの魚は、このあたりでは少し珍しい。ひらひらとエンジの周りを踊るように回って、手を軽くつつきにくる。
(なんでなんで? お前らなーんでへんな色?)
 声は出せないから目で問うけれど、魚たちは返事はしない。エンジが手を振ればさっと逃れるように泳ぎだすので、エンジは瞬きひとつして。
(なんで教えてくれない? おーい)
 逃れた魚はひらひらと。少しはなれたところでエンジのほうを見ているようで、成る程。とエンジはひとつ、頷いた。
(ついてこいって事カ?)
 変な色の魚たちは、同じように変な色の魚たちで集まって、どこかを目指しているように見える。エンジもそれについていく。
(賢い君、賢い君、この先に何があるんだろうナ。いってみようカ)
 一度、息継ぎをするために浮上して。
 今度はもう一つ、大きく息を吸い込むと、
 エンジは再び水の中に飛び込んだ。

 世界が沈んでいる。人が住む名残はあるけれども、人はいないし、もう住むことはできなくなっていて、
(コレがいた街とは全然違うケド、水の中の街もいいもんだなァ……)
 その世界を、魚を追いかけながらエンジは巡る。
(ココはお前らの街カ?)
 パン屋の角を曲がって、路地裏を泳いでわたる。魚たちは答えない。
(なら元々は人間カ?)
 ひらひら、と尻尾を振る魚たちにエンジは、
(なるほど、なるほど)
 解ったような。解らないような。
 内心頷き、魚の後を追った。
(疑問はつきないケド……、ま、何でもいーやいーや)
 だって綺麗な景色だ。珊瑚に彩られた広場も、海草が光を蓄え、底に魚が躍る小さな家も。何もかもが不思議で愉快で、
(水の中は気持ちが良くて街があって、不思議な場所ってコトが理解できた)
 ねえ、と賢い君にも語りかける。
 水の中はしんと静かで、自分と魚と賢い君しかいないような。そんな錯覚にとらわれて。
 それがまた楽しいと。そろそろ息が苦しくなってきたころに、エンジが角を曲がった先で。
 天から光が降り注ぐ、小高い丘のようなものが目に映って。
(……賢い君もこの景色には大満足サ)
 あァ。綺麗だ、と。
 エンジは微笑んで、一度浮上する、
「探検しようカ、目いっぱい」
 そんな風に楽しげに呟いて、息を大きく吸い込むと、ひたたび水の中に体を沈みこませるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
うおー、すっげえなおい!
正しくアトランティスって感じだな
隠された遺跡だとか、古代のオーパーツだとか…そういうもんを見ると
妙に心が躍っちまう。童心なんて年齢でも無いってのによ

とりあえずは泳いで移動して…パルクールで移動できるならそれで動こう
なんか意味深な意匠とか、失われた物品とか無いかねぇ
超技術が眠ったりしてれば美味しいんだが…まあ、期待しすぎても損か

遺跡自体を利用してアスレチックみたいに使えりゃ、パルクールだってトレーニングできる
ビル群を縫うのは腐るほどやっていたが、自然の道は中々経験できねえからな
久々の休みだ…存分に羽を休めてやるよ
あ、でも腹も減ったな…動いたら誰かの飯でもたかるか



「うおー、すっげえなおい!」
 ヴィクティムは、叫んだ!
 声が周囲に反響し、そして消えていく。
 応えるものもない、圧倒的静寂と、圧倒的な廃墟感。
「はー! これぞ正しくアトランティスって感じだな!!」
 だからこそそれが面白い。わくわくした顔でとりあえずは手近な建物の屋根の上に降り立つと、
「隠された遺跡だとか、古代のオーパーツだとか……そういうもんを見ると、妙に心が躍っちまう。童心なんて年齢でも無いってのによ」
 笑いが。この笑みが止まらない。軽く準備運動をして、さて。とヴィクティムは周囲を見回し動く算段をつけた。
「先ずは……あそこだな」
 城の屋根のようなものが遠くに見える。ここからは少し距離があるようで。
「とりあえず泳いで移動するか」
 と。ご機嫌でヴィクティムは水の中に飛び込んだ。

 当たりをつけた場所は、やはり正しく城なのではないかと思われた。
 というのも、ヴィクティムが泳いでその街道を進むたびに、街道の様子が華やかになっていく。
 並ぶ建物も豪奢になっていって、もしかしたら馬車も通っていたかもしれないその街道は、苔に包まれて入るが相当発達した都市であったことが伺えた、
(とはいえ超技術はありそうにないかもしれないけどな……?)
 世界的にはアックス&ウィザーズ。長技術などは文化レベルが違いすぎて見つからないかもしれない。
(でも……怪しげな物品なら、もしかしたら)
 あの城になら、あるかもしれないと。
 期待しすぎても損だと言い聞かせながらも、想像するだけで心が躍って。ヴィクティムは泳ぐ速度を上げた。
(……と、行き止まり、壁か……)
 そんな、美しい町並みを進んでいくと、
 いつのまにやらヴィクティムは一面壁の場所に行き当たる。
 右を見ても、左を見ても、視界いっぱい壁だ。上まで続いている。
(! もしかして、城壁か……!)
 そうだ。確かに城があるならば城壁があってもおかしくはない。
 ヴィクティムは浮上する。
 果たして。確かに周囲の壁は浮上すれば、城壁であることが伺えた。石で積んだものであるが、相当にきちんと作られている。
「門は……見えねえ、ってことは、ここからだと相当遠いんだな」
 なるほど、とヴィクティムは頷いて、ぱんと右の拳で軽く左の手のひらを打つ。
「んじゃ、登るか。……それしかない。だよな?」
 おかしげにそう言って。ヴィクティムは手近な石の出っ張りに手をかけた。
 自分の力だけで、水面から上がってしかも壁を登っていく。それははたから見ればなかなか大変そうな作業に見えた。だけれど、
(遺跡自体を利用してアスレチックみたいに使えりゃ、パルクールだってトレーニングできる……。ビル群を縫うのは腐るほどやっていたが、自然の道は中々経験できねえからな)
 本人箱の通り。いたって楽しそうであったという。「久々の休みだ……存分に羽を休めてやるよ」なんて、跳ね休みと言うにはいささかハードな行動だけれど、
「あ、でも腹も減ったな……あとで誰か見かけたら飯でもたかるか」
 いたって本人は楽しそうなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】

水底の都市とは幻想的ですね
水害では無く自然と水に沈んでいった為に建物の形を残したものが多いです
時々魚の影を見ます、人々の代わりに今は魚の住処になっているようですね

私も探索をしてみたいです
それから此処に住んでいる魚も間近で見てみたく
お互いやりたい事は水の中ですし決まりですね

泳ぐ前に本体の簪を髪を結っている紐に再度括り付けておきます
心配そうな彼の視線もあり、確認の為にも見せましょう
ほら、この通り大丈夫ですよ
貴方に何度も心配をかける訳にはいきませんからね

水に潜れば、早々に寄ってくる魚達が愛らしい
いっそ彼等を連れながら探索しましょうか
水中で言葉は交わせなくとも、きっと同じ気持ち……ですよね


篝・倫太郎
【華禱】

すげーな?

葉から落ちねぇようにしつつ湖を覗き込み
水底に沈む遺跡に感嘆
かなり深いとこまで見えるのは透明度が高いから、だな

ちょっと興味あるから
遺跡の水没した部分を探索してみてぇ
っと、夜彦は?あんたは何したい?

夜彦から返される言葉に笑って
OK、探索ついでに魚と戯れよーぜ?

っと、それはいいけども夜彦
簪、ぜってぇ落とすなよ?
底が見えねぇこんな場所で落としたら、探すの無理だから
心配してたの知られてたし……開き直って先に言っとく

寄ってきた魚達は色とりどりで綺麗だなぁ……
なんて感想は陸に上がってからすればいいや

あぁ……なるほど
魚と探索すんのも悪くねぇや
夜彦の視線に笑って返す
すげぇ楽しいって伝わればいい



「すげーな?」
 ゆるゆると蓮の葉が動いていく。そこから落ちないように湖を覗き込んで、倫太郎がしきりにすごいすごいと言っていた。
「ええ。水底の都市とは幻想的ですね……」
 そんな倫太郎を、夜彦が微笑んで見守りながらも櫂を漕ぐ。
「水害では無く自然と水に沈んでいった為に建物の形を残したものが多いですが……、ほら、あそこにも」
「おお、どこだ?」
「あそこです。ああいうところに、時々魚の影を見ます、人々の代わりに今は魚の住処になっているようですね」
 夜彦が指差した先は、何かの資材置き場のようであった。昔は切った木や、それを加工するものが積んであったのだろうが、今はそれが魚のいい住処になっているらしい。
 苔生えた資材の奥に、身を潜める魚が見える。
「なるほど。かなり深いとこまで見えるのは透明度が高いから、だな」
「そうですね。とても面白いです。……おや」
 ふと。それで夜彦は蓮をとめた。
 いつの間にか、水上の三方が建物に囲まれているところに入り込んでしまっていて、これ以上進めなかったのだ。
「引き返してもいいですが……倫太郎、見てください。これは門の跡ですよ」
「本当だな。扉も開いてるみたいだ……」
 魚たちが抜けていくのが見える。
 じ。と。
 足元の景色を覗き込んで、それから倫太郎は夜彦を見つめる。
 夜彦も倫太郎を見る。それで大体互いに言いたいことは伝わったのだが、
「ちょっと興味あるから、俺は遺跡の水没した部分を探索してみてぇ。夜彦は? あんたは何したい?」
 言って。にやりと笑う倫太郎に、夜彦も微笑んだ。
「私も探索をしてみたいです。それから此処に住んでいる魚も間近で見てみたく。……お互いやりたい事は水の中ですし決まりですね」
「OK、探索ついでに魚と戯れよーぜ?」
 顔を見合わせて、悪戯をたくらむ子供のような表情を浮べる二人。
 しかし不意に倫太郎が、ものすごい真面目な顔になって、
「っと、それはいいけども夜彦。簪、ぜってぇ落とすなよ?」
 とてもとても、大事なことだと。真剣な顔で夜彦に言う。
「底が見えねぇこんな場所で落としたら、探すの無理だから。いや、さがさねぇってことはないし、絶対一緒に探すけど」
 心配してたのは知られてたし……、と、開き直って先に言う倫太郎。
 わかりました。わかりましたと、夜彦は頷いて、言われたとおり簪を、髪を結っている紐に再度くくりつけた。
「ほら、見てください。ほら、この通り大丈夫ですよ」
「ん……」
 わしわし、と倫太郎は軽く乱暴気味にくくりつけた紐を軽くゆすってみる。
「落ちないか……。大丈夫だな」
「はい。貴方に何度も心配をかける訳にはいきませんからね」
「おー。こういう心配は、ないほうがいいからな」
 じゃあどういう心配ならいいんだろう、とちょっとだけ夜彦は思ったけれども、
 なんだか嬉しそうな倫太郎に、言葉には出さずに。笑って頷いた。
「では、参りましょうか」
「っしゃ、いこーぜ!」
 二人して頷き合って。
 いくか! と一斉に水の中へと飛び込むのであった。

 水が波を起こし、水泡が一斉に飛び立っていく。
 一瞬、驚いたように逃げる魚たち。
 けれどもじっとしていればすぐに近寄ってくる魚たち。
(なんとも、愛らしい……)
(ああ。色とりどりで綺麗だなぁ……)
 お互いに感想は心の中であるが、大体同じようなことを考えているのはすぐにわかった。
(いっそ彼等を連れながら探索しましょうか……)
 夜彦が戯れるように指先を出すと、その先をくすぐるようにして魚たちは泳いでいく。上から見ていた通り、門をくぐっていくのであった。
 夜彦がそんな風に思いながら、倫太郎のほうに視線を向けると、倫太郎も頷く。
(あぁ……なるほど。魚と探索すんのも悪くねぇや)
 言わなくてもやっぱり言葉が通じて、思わず二人笑いあって、魚と共に先へと進んだ。
 城でも、あったのであろうか。
 通り過ぎる門は石造りで、そしてとても豪華であった。そういえば地上から見た壁も、砦の壁に近かったかもしれない。
(……っ、マジか……)
(これは……)
 魚と共に、門をくぐり先へと進む。
 そうすると、不意に視界が開けて、そして……。
 恐らくそこは、庭であったのだろう。
 美しく区画整備された花壇には色とりどりの珊瑚が咲いて、噴水の影には魚たちが体を休めている。
 恐ろしく広い庭だった。所どころにある休憩所は白い石造りで、どこか優雅さを感じられて、
「……っ」
 がばぁっ。と。
 思いっきり何か言おうとして、息を大量にはいて、倫太郎はあせった。
 夜彦は思わず笑って、上を指差す。一度息継ぎに上がろう、といっているのがわかった。
 倫太郎も頷いて、浮上を開始する。
 その顔がとても楽しそうで。……本当に楽しそうで。
 夜彦も、嬉しそうに微笑むのであった。
 そしてその微笑みを見て、倫太郎も更に楽しくなって、水面を急いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩花・涼
一六八(f00429)と
ほう…水の中の遺跡か
廃墟というよりはそのまま海の生物が
暮らしていそうな景色だな
せっかくだ
この街を潜って探検してみようか

ん?熱帯魚たちが集まってきたな
此処は熱帯魚たちの楽園なんだろうか
っと、一六八から目を離すと
勝手にどこかへ行ってしまいそうだからな
ふむ、何か見つけたんだろうか?
……まぁ変わった形だとは思うが
それより一六八のそれはなんのポーズだ…?

ふと教会の建物を見て
ステンドグラスが上からの光に反射して
キラキラと輝いているのを見つけ
一六八の手を引っ張り指し示そう
なかなか綺麗な光景だと思うんだが…
同じように思ってもらえたら嬉しい

アドリブ歓迎


零落・一六八
涼さん(f01922)と
こんな面白い場所に着たんですから探検しましょう!
見てください涼さん!
この石像めっちゃ面白い顔してますよ!
そうだった水の中じゃしゃべっても聞こえませんね
身振り手振りジェスチャーで色々伝えてみましょうか!
このジェスチャーわかりますかね
この石像藻が鼻毛みたいになってるのジェスチャー
あっ、これ伝わってませんね!
でも涼さんに引っ張られて指された方を見ましょう
ん?ステンドグラスが?
まぁ、悪くない景色だと思いますよ
景色をじっくり見て、綺麗だとか、いい景色だとか
そんなの興味なかったんですけど
最近は素通りしてきた色んなものを見るようになったような
まぁこれも悪くないか
アドリブ歓迎



「ほう……水の中の遺跡か」
 涼は感心したように呟いた。水の中の景色に目を細めて、
「廃墟というよりはそのまま海の生物が暮らしていそうな景色だな」
 水の世界に思いをはせる。若干の感慨にふけろうとしている……と、
「涼さん涼さん! 早くはやく。こんな面白い場所に着たんですから探検しましょう!」
 水の中からめっちゃはしゃいで手を振っている一六八に名前を呼ばれて、わかった。わかった。と涼は頷いた。
「せっかくだ。この街を潜って探検してみようか」
「はーい。早速行きましょう! ごーごーですよ」
「わかった。わかったから、大きい声ではしゃぐな」
 どぼん。と。
 宥めるようにいって、涼は一六八の後を追う。どぼんと水の中に飛び込んだ。

(ん? 熱帯魚たちが集まってきたな……)
 水の中に入っていくと、色とりどりの魚たちが集まってくる。
 かわいい、と指を出せば、その指に絡むように熱帯魚たちは泳いでいて、
(そうか。此処は熱帯魚たちの楽園なんだろうか……。邪魔をするぞ)
 なんて、語りかけていたのだが、そのうちはっ、と声を上げた。
(一六八は……どこにいった?)
 目を離すと勝手にどこかへ行ってしまいそうなことこの上ない一六八である。
 どこに行ったのか……と、目でその姿を探すと、
 がぼぼぼぼ、がぼぼぼぼぼぼ、がぼぼぼぼ……っ、
(……!)
 なんだかものすごい身振り手振りをする一六八の姿に、涼は顔を上げた。
(ふむ、何か見つけたんだろうか?)
「見てください涼さん! この石像めっちゃ面白い顔してますよ! そうだった水の中じゃしゃべっても聞こえませんね! なんだか酸素が減ってきました!!」
 言葉にならない何かを語り、水泡を吐き出す一六八隣には謎の石造があり、涼は首をかしげる。
(あれか? ……まぁ変わった形だとは思うが……。それより一六八のそれはなんのポーズだ……?)
(このジェスチャーわかりますかね!! この石像藻が鼻毛みたいになってるのジェスチャー! 鼻毛です! は・な・げ!!)
 口に出しては伝わるまい。ものすごく一生懸命ジェスチャーで伝えようとする一六八。
(鼻? もしかして鼻が痛いのか? はしゃぐからだ。一度息継ぎして来い)
(あっ、これ伝わってませんね!!)
(いいからはしゃいでないで一度上がれ。しゃれにならないぞ)
 ほらほら、と一六八の手を引っ張り浮上する涼に、一六八はうーん、伝わらない! となんとも楽しげに笑うのであった。
「涼さん、俺の言ってることわかりました?」
「ああ、よくわかったよ。わかったからあまり無茶なことはするな」
 通じているようで通じていない会話をしつつ、息を大きく吸いなおして再び二人は水の中へと戻っていく。
 どうやら昔は町並みが綺麗だったのだろう。そんな区画を魚たちと二人で泳ぎながら、涼はふと教会のような建物を見つけた。
(……?)
 一六八の腕を引っ張る。
 ステンドグラスが上からの光に反射して、美しくキラキラと輝いていたからだ。
(なかなか綺麗な光景だと思うんだが……)
 伝わるだろうかと、涼はステンドグラスを示す。一六八も足をとめて、
(ん? ステンドグラスが?)
 不思議そうに首をかしげる。なんだろう、と、考えて。……あぁ。と一六八は頷いた。
(涼さんは、こういう景色が、綺麗な景色だと思うんですね……)
 感心したように、一六八は涼と並んでステンドグラスを見つめる。
(まぁ、悪くない景色だと思いますよ)
 景色をじっくり見て、綺麗だとか、いい景色だとか、
 そういうことを、興味もなく、考えもしなかった一六八だから。
 それが素敵なものだといわれると、なんだか感心したように、小さく頷くのであった。
(そういう綺麗なものにそんなの興味なかったんですけど……最近は素通りしてきた色んなものを見るようになったような)
 ちらりと、一六八は涼を見やる。涼も一六八を見つめて、
(いい景色だ。……同じように思ってもらえたら嬉しい)
(まぁこれも悪くないか……。何より同じものを綺麗とおもって一緒に見るのがいいですね)
 しばらく、そうして。
 二人、一緒に。
 同じ景色を見る。その心のうちは少し違うけれども、
 それでもそれは、とても楽しい時間であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
コノf03130と

狸っぽい色合いの狐姿で
人語会話出来ずともコノにはいつも何となく通じてる
陸では。


きゅヤ!
あんよちたぱた
潜水しようと必死
尻尾も回転!
……きゅ…(むり)
コノのフードの中へIN
肩にしっかり掴まり
いざ遺跡探検!


水の中ではうんうん頷き合い
意思疎通出来てるつもり
奇跡的に話の順序が違うだけ
辻褄あう不思議



建物の前
わー、おさかなさん、きれー!沢山居る、ね?


水面見上げつつ
すいすい、気持ちいい…街中、なのが、不思議。だ、ね?


遠くまで見渡し
不思議な遺跡……!
ここ、なんで沈んだんだろ
探検のし甲斐がある、ね!


何処を見ても綺麗で面白いモノいっぱい!
楽し…!!

きゅヤこヤ頷いて
次は向こうも見に行こ!!と指し示す


コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と

水中遺跡探検!
派手色のラッシュガードパーカー着て難なく潜水
仕草でそれとなく意思疎通図るも
実際言ってる事はてんでばらばら

建物覗き(わーおもしろーいダンジョンみたい

鮮やかな魚が水面へ昇るのを見上げ(おいしそー

町をぐるり見渡しふわふわ泳ぎ(泳いで町散策ってナンか不思議
遺跡に開いた大きな入口跡を見付けてはすいーっと泳いでつっこんでく

建物内に潜れば差し込む光や行き来する魚達を綺麗、と流し見て
(お店の装飾とかに活かせないかしらねぇ

水上に戻って一息
どこ見ても新鮮で興味深くてつい魅入っちゃうネ
感想言いあえば
それでも不思議と話が通じるからすれ違いにも気付かず

「さあ、もう一度潜ろっか!



 狸っぽい色合いの狐が、
 派手色のラッシュガードパーカー着た、コノハ・ライゼ(空々・f03130)のパーカーの上に飛び乗った。
「たぬちゃん」
 狐は火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)である。きら、とした目でコノハを見上げるので、
「ああ。じゃあいくか、水中遺跡探検!」
 そりゃ。と二人は一緒に水の中に飛び込んだ。
 二人ももう長いつきあいだ。口に出さなくても、お互いのいっていることも言いたいこともわかるのだ!
「きゅヤ! きゅヤ! きゅヤ! きゅヤ!!!」
 難なく潜るコノハ。そして潜れずに飛び込んだ瞬間から水に浮いてじたばたするさつま。
 沈めずに尻尾を回転させ、その場で水に浮かびながらドリフトそうこうさせるさつまに。
「んー。どしたのたのちゃん、忘れものー?」
「きゅヤ!!!」
 いつまでも沈んでこないさつまに気づいて一度浮上したコノハ。
「……きゅ……」
「ほらほらしっかり中で掴まってネ」
「きゅ!」
 コノハは笑って己のフードをばたばたさせる。嬉しそうにさつまはその中に飛び込んだ。いざ遺跡探検! といっているように聞こえた。

 ぶくぶくぶく。
 と、水泡が上がっていく。
(ここはどのへんだろうねえ、たぬちゃん)
(コノ! コノ! 水が、つめたくて、とっても、きもちいい、ね?)
 二人ももう長いつきあいだ。口に出さなくても、お互いのいっていることも言いたいこともわかるのだ!
 ……少なくとも二人は、そう思っていたのである。
(あ、ほらほら、建物がある。わーおもしろーいダンジョンみたい)
(わー、おさかなさん、きれー! 沢山居る、ね?)
(入ってみようか、お宝あるかもネ)
 かみ合っているようで、かみ合っていない二人の思い。だが、
(……)
(……)
 行こう!
 長い付き合いなので、通じ合う何かがある。
(おさかなさん、おいかけて、いこう、ね?)
(うんうん、このさかなおいしそー)
 そうして二人は、若干昔はにぎわっていたのであろう区画に足を踏み入れるのであった。

 かつてはにぎわっていたであろう通りを、まるで空でも飛ぶかのように泳いでわたっていく。
(泳いで町散策ってナンか不思議)
(すいすい、気持ちいい…街中、なのが、不思議。だ、ね?)
 たぶん、ここが区画と区画を区切る門だろう。
 それをすいーっと泳ぎながら、コノハは突っ込んでいく。
(ん……。あれって喫茶店かナ?)
 オープンカフェのテーブルの上には、四角い何かが置かれていて。コノハが指をさすと、さつまがきょとんと、
(こけ? きれい、だね)
(うん。メニュー表だ。ちょっと中見てみたかったネ)
 やっぱりかみ合っていないがなんだか会話になっていて、二人して笑い合う。その間を魚たちが通り過ぎていく。
(綺麗。お店の装飾とかに活かせないかしらねぇ)
(不思議な遺跡……! ここ、なんで沈んだんだろ。いろんなもの、がたくさんあって、探検のし甲斐がある、ね!)
 もっと先へ、と言いかけたさつまをコノハは軽く制する。そろそろ息継ぎの時間であった。それは流石にさつまにも通じたようで、ひとまず二人は浮上する。
「ああ……」
 空気をいっぱい吸い込んで、思わず一息ついてから、
「どこ見ても新鮮で興味深くてつい魅入っちゃうネ」
「うん! 何処を見ても綺麗で面白いモノいっぱい! 楽し……!!」
 嬉しくて楽しくて。二人とも思わず早口になっていた。
 コノハは足元に目を向ける。変わらず沈んでいる美しい景色があって、目を細める。
「すごいネ……」
「うん……」
 それから、
「さあ、もう一度潜ろっか!」
「次は向こうも見に行こ!!」
 上げた声は同時であった。
 やっぱり口に出さなくても、伝わる互いの気持ちに二人は顔を見合わせて、笑った。
 も一度度分と水の中に潜れば、
(おさかなさん、が、みちを教えてくれる、ね!)
(そうだネ。食べれそうな場所は少ないけれども、あぶれば酒のあてになるかも)
 ……まあ、やっぱりあんまり、伝わらないことも、あるのかもしれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
アドリブ・絡み歓迎だよー

すっごいところに到着しちゃったね。
観光に来たいっていう人がいっぱい来るのもすっごくよくわかるよ!

街の中を探索したいなぁって思うけど、ボクあんまり泳げないんだよね(でも泳げるようにはなったんだよ! エッヘン!)
だからちょっとずつ潜ってはちょっとずつ街の様子を見たいな。
勿論アーシェも一緒だよ。
お水に強いお洋服を着てるから、きっと大丈夫!

あ、熱帯魚さんたちが側に寄ってきてくれたよ。
とっても綺麗だね。
一緒に探検する? それともゆっくり遊ぼうか!

遊び疲れたら高い建物の中で一休みかな?
きっととっても気持ちよさそう!
帰ったらとっても素敵なここの場所のこと、みんなに教えたいな!


尭海・有珠
最初は蓮に乗って探索するがそれでは我慢できず
水に飛び込む
今なら少しは目も覚めてるし、不意に寝落ちすることもないだろうし

色とりどりの魚達と遊びながら、水の中から町の探索だ
折角なら彼らの遊び場を見せて欲しいなんて気持ちもある
沈む前は人が歩く場所ではなかったであろう所等をつたってみたり
空から見下ろすように、沈んだ町を見下ろしてみたり。
顔を出して見上げれば植物に覆われた建物か

見た目が、棲むモノが変わっても
そこにあったということは変わらないものなんだなと感慨深く建物を撫でて

水の冷たさが心地好くて
目を閉じて、沈んでいくのも好い
けれど
そうだな…私は未だ水の上の世界に帰らないといけないから

※他者との絡みも歓迎



「わあ、すっごいところに到着しちゃったね」
 カデルは思わず目を輝かせて、
「観光に来たいっていう人がいっぱい来るのもすっごくよくわかるよ!」
 蓮の上に座って、水面をじいいい、と、覗き込んでいた。すると、
「どうした……?」
「あっ」
 同じく蓮を操り移動していた有珠が声をかける。カデルは顔を上げて、
「う、ううん。街の中を探索したいなぁって思うけど、ボクあんまり泳げないんだよね」
「ほう……」
 んー。と、ちょっと視線を下げるカデルに、有珠は頷く。
「あ、でもでも、泳げるようには、なってるんだよ! エッヘン!」
 頑張ったんだから! と、今度は視線を上げるカデルに、
「成る程……」
 と、有珠はもう一度頷いて、
「では、飛び込むか」
「え!?!?」
「泳げるのであろう? それに、蓮に乗り続けての探索では物足りな……、……いけないところも、多いだろう」
 そう言って。
 アリスはためらいなく水の中に飛び込んだ。
「今なら少しは目も覚めてるし、不意に寝落ちすることもないだろうし。寝落ちしても君がいれば起こしてくれるだろう?」
「ええ、せ、責任重大だね?」
 ほら、と水の中から手を差し出す有珠に、
「……アーシェ、ボク、頑張ってみるよ。だから、アーシェも一緒だよ。……アーシェだって、お水に強いお洋服を着てるから、きっと大丈夫!」
 そう、自分を元気付けるように言って、
 とぷん、と水の中に飛び込んだ。
「大丈夫、息が苦しくなったら言うといい。色とりどりの魚達と遊びながら、水の中から町の探索だ」
「う、うん!」
 有珠の言葉にカデルは頷いて、そして一緒に潜っていく。
 沈んでいくと、途端に魚たちが二人の周囲に集まって来ていた。
 つんつんとつつくように触れられると、なんだかくすぐったい。
(あ、ねえねえ、、熱帯魚さんたちが側に寄ってきてくれたよ。とっても綺麗だね)
 ほら、と、さっきまでの不安はどこへやら。目を輝かせて熱帯魚を指差すカデルに、有珠は頷く。ぱっと手を挙げると、その指先にも魚が集まって、
(なつっこいな……)
(一緒に探検する? それともゆっくり遊ぼうか!)
(そうだな。折角なら彼らの遊び場を見せて欲しい……、なんて、気持ちもある)
 言葉は通じなくとも、なんとなく言いたいことはわかる気がした。
 魚たちはカデルや有珠タチに近寄っているが、それとは別に団体行動のように同じ方向に泳いでいくものもある。集団で家の軒下を住処にしているものもある。
(追いかけてみよう)
(うん、行こう、アーシェ)
 そのうちのひとつを選んで有珠が指をさすと、カデルも小さく頷いた。

 すい、すい、すい。と。魚たちは泳ぐ。
 時折息継ぎをしながら、二人はそれについていく。ちょっとずつもぐっては浮上してを繰り返しながら、魚を追いかける。
(階段、仲良く下りてるよ!)
(手すりに掴まらせてもらおう。おそらくはそれが一番楽だ)
(うん、なるべく珊瑚さんを壊さないように……)
 いつもなら足で降りるような階段を、浮いてしまわないように手すりを使って慎重に降りてみたり。
(ここは……お店かな。見て、あの子たち、楽器の中に住んでるみたい)
(成る程。丁度いいサイズなのか……。少し鳴らしてみたいな。勿論、鳴らないことは解っているが)
 若干好奇心抑え切れぬように、思いのほかぴかぴかのまま残っていた楽器に触れてみたり。
(屋根を伝って……登るぞ)
(う、うん)
(……ああ。ほら)
(え……わあ!)
 屋根を伝って浮上すると、水に沈んだ町をまるで空から見下ろしているかのようだったり。
「ぷは……。すごいすごい。景色もすごいし、いっぱい泳げたよ!!」
「ああ。そして……この先は植物か」
 時計塔の屋根を手がかりに空へと上れば、今度は日の光。塔の先端まで覆う蔦。
「なんだか……不思議で、すごいね」
「ああ。見た目が、棲むモノが変わっても、そこにあったということは変わらないものなんだな……」
 感慨深げにそういって、有珠はそっと水の中で目を閉じた。
 この冷たさが、心地よくて。
 水の浮く感覚が、たまらなくて。
 このまま目を閉じて、ずっと沈んで……、
「んー。遊び疲れたら高い建物の中で一休みかな?」
 そんな、
 思考を遮るように、目の前に手が差し出された。
 一足先に上っていたカデルが、有珠に向かって手を差し出していた。
「ほら、体も冷えちゃったし、お日様に当たれば、きっととっても気持ちよさそう!」
 屈託のない笑顔。明るい太陽のような姿に、
「そうだな……」
(私は未だ水の上の世界に帰らないといけないから……)
 ここでは沈めないな、と。カデルの手を有珠はとった。
「帰ったらとっても素敵なここの場所のこと、みんなに教えたいな!」
「ああ。それもいいかもな。きっといい話が出来るだろう……」
 蔦の絡まる時計塔の上で、二人は今度はそんな話をする。
 体が充分温まれば、また水に潜ってみるのもいいだろう。
 二人して水の中の世界を覗き込むと、
 もっと遊ぼうと言うように、魚たちが泳いでいるのが、見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
・アヤネさん(f00432)と
アヤネさんは遺跡や未知なる生物が好きですね
となると素潜りか
私、長く潜れるか自信が…って用意してあるんですか!?
相変わらず行動力の化身ですね
しかしまさか初ダイビングがA&Wでだなんて…少し練習させて下さい(ぶくぶく)
水に潜ると綺麗な魚達が寄って来る
可愛い!
餌とか持ってくればよかったな

アヤネさんの合図で奥の方へ進みます
凄い!TVの映像でしか見たことがないような美しい自然と遺跡
水の中だからこの興奮を声に出してアヤネさんと分かち合えないのが残念

ん?アヤネさんが絵を見ている
綺麗な女性の絵ですね

水の中もいいけど陽の光が恋しくなってきましたね
アヤネさんと手を繋いで上へと戻ります


アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
え?遺跡に魚を調査しに来たんだよネ?
シロイルカから二人分の装備を下ろしつつ
こっちがソヨゴの分ネ
やり方は教えるから

ソヨゴの準備ができたら早速実践だネ
シロイルカで狙っていたポイントまで一緒に移動する

色とりどりな魚に囲まれて幸せな気持ち
ソヨゴの方に魚が多く寄っている気がする
餌だと思われているのでは?美味しそうだし

遺跡にも行ってみよう
と手で合図

注意深く屋内に入る
調度品を見るに身分の高い者の館だったのだろうか
壁に女性の人物画がかかっているのを見つける
黒髪ロングヘア
どことなくお母さんに似ている

自分の世界が全て水に沈む様子を想像して
それはあってはならない未来だと思い直す

うん戻ろうか



「私、長く潜れるか自信が……って用意してあるんですか!?」
「え? 遺跡に魚を調査しに来たんだよネ?」
 水上バイクのシロイルカから装備を二人文降ろすアヤネに、冬青が思わず驚いたような声を上げた。
「むむ。アヤネさんは遺跡や未知なる生物が好きですね……」
 素もぐりになるかなあ、と思ってたところにまさかの重装備。
「こっちがソヨゴの分ネ。やり方は教えるから。大丈夫大丈夫、かるーい気持ちで潜ってこよう」
「どう考えてもアヤネさん、かるーい調査で済ませる気、ないですよね……?」
 ぉぅ。と、思わず声に出して呟いた冬青であったが。
「? そんなこと、ナイナイ」
 なんて。なんとも上機嫌に笑うアヤネに、
「……相変わらず行動力の化身ですね……」
 冬青は勝てないのであった……。

「しかしまさか初ダイビングがA&Wでだなんて……少し練習させて下さい」
「もう。そんなこと言ってないで、早速実践だネ。こっちこっち、もう、狙ってたポイントがちゃーんとあるんだ」
「はっ。待って下さい。もう少し、もう少し練習……!」
 そんな風に、引っ張られながら。
「あの、離れないでくださいね、あんまり遠くに行かないでくださいねっ」
「だいじょうぶ大丈夫だって」
 そんな会話をしながら、
 二人は、水の中に飛び込んだ。

 沈む、沈む、結構、沈む。
 沈んでいると、いつの間にか魚たちが面白がるように寄ってくる。
 勿論言葉は通じないが、お互い顔を見れば何を言いたいのかは、なんとなく、わかった。
(可愛い!)
 冬青が手を差し出すと、甘えるようにその手によってくるので、
(餌とか持ってくればよかったな……)
 なんて。
 さっきまでとはうって変わった目の輝きで、冬青は魚たちを見つめているのであった。
(んー。ほんとだ、可愛い可愛い)
 アヤネもご機嫌で指を軽く振ってみる。
 色とりどりな魚に囲まれて幸せな気持ちで、満たされる、とばかりに目を細めていたが、
(……なんだか、ソヨゴの方に魚が多く寄っている気がする)
(ええ? そうですかね? 私、モテモテで……)
(餌だと思われているのでは? 美味しそうだし)
 きゃーっと、頬に手を当てかけた冬青は、
 アヤネの容赦ない目線に、頬に手を当てたまま、ええ。って、微妙な顔をするのであった。
(あ、アヤネさんは私のこと、一体何だと思ってるんですか!!)
(え、ええ?? 可愛い……よ?)
 なんでそんなに怒っているのかわからない。
 みたいな顔を、アヤネはしていた。

(よし、折角だから遺跡にも行ってみよう)
 そうしてしばらくして水中に慣れたころ、アヤネが手で合図をした。
(はーい。なんだかどきどきしますね!)
 丁度この辺は、住宅地が広がっている。
 割かし高級そうなのは、庭の面積が広めに取られているのでわかった。
 といっても、あちこち珊瑚やコケが生えていて、もともとが花壇だったのか芝生だったのかもわからなくなっているぐらいだが……。
(ここの扉、開くね……)
 アヤネはそんな家の中のひとつを選んで、扉を押す。すんなりと扉は、開いた。
 こういうところは、入っていいとは聞いていた。しかしやはり、危険へ危険なので慎重にアヤネは中へと進む。
(凄い! TVの映像でしか見たことがないような美しい自然と遺跡……!)
 中は魚と珊瑚の住処になっていた。窓から日が差し込んで、きらきらと部屋を照らして輝いている。
(すごい、すごいすごい! 普通のおうちなのに、不思議な世界に来たみたい!!)
(ソヨゴがなんだか不思議な踊りを踊っている……)
(ああっ。水の中だから、アヤネさんに伝わらない……!)
 残念。と、両手をぶん回しながらなにやら苦悩している冬青をよそに、アヤネはさっさと中へと進む。
(調度品を見るに身分の高い者の館だったのだろうか……。あの宝石箱の中身を、開けてみたいネ)
 きっと今も変わらず、宝石が眠っている気がして。
 アヤネは姿見の傍に無造作に置かれた箱を手に取ろうとして、
(……おや)
 壁に、壁に女性の人物画がかかっているのを見つけた。
 顔はもう、はっきりと見えなかったけれども、黒髪ロングヘアであった。
(どことなく……お母さんに似ている)
(ん? アヤネさんが絵を見ている)
 一頻り不思議な踊りを踊ったあとで、冬青はアヤネがじっと壁のえを見つめていたことに、ようやく、気づいた。
(綺麗な女性の絵ですね……)
 隣まで近寄って、一緒に顔を上げる。
 勿論詳細な顔は冬青にもわからないのだけれども、
 なんとなく、どういうわけか。
 優しくてきれいな女の人なのであろうという。そういう空気のようなものが、静かに伝わってきているのであった。
(もし、僕たちの世界がこんな風に全て、水に沈んでしまったら……)
 昔の自分なら、アヤネはそれを歓迎したかもしれないけれど……。
(水の中もいいけど陽の光が恋しくなってきましたね……)
 そんな隣で、ふぅ、と冬青はなんとなくと息つくように間をおいて、アヤネの手を繋いだ。
(!?)
 驚いてアヤネは冬青を見る。今考えていることがわかったのだろうかと思ったけれど、
(いったん帰りましょうか、アヤネさん。おなか、空きましたし)
(いや、これは、おなかが空いてる顔だネ……。うん戻ろうか)
 二人手を繋いで、来た道を戻る。
 去り際にアヤネは一度だけ、不意に、振り返って。
(それは……あってはならない未来だ)
 今はただ、この手を護りたいと願った。
 繋いだ手に、力をこめて……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

両角・式夜
【WIZ】
ほー、ここがその噂の水中遺跡とやらか。
家屋の保存状態
川から水が来ている筈なのに淡水とは違う生態系……
これは調査のし甲斐があるな!

蓮の葉もとい涼穿丸であっちこっち船を漕いで行こうかな
おっと、そうだ。リュカ殿はどっかで休んでいるかな?
見掛けたら涼穿丸から声を掛けてみよう!
「おーい、リュカ殿ー。リュカ殿は廃墟の絵は描くのかな?わしはどうにも風景画は苦手でなぁ。絵があれば言い値で買おう!」
水位のせいで長くこの景色が保たれる訳では無さそうだし、もしもの時に絵付き研究資料とかが後々役に立つのだ!
まぁ、わしにいまいち絵心が無いのが難点だがな!

(アドリブ、絡み大歓迎です!)



 式夜は蓮の葉……もとい、涼穿丸を漕ぎながら、きょろきょろと周囲を見回している。
「ほー、ここがその噂の水中遺跡とやらか。流石に自ら出ている場所と、水に埋まっている場所では保存状態も違うな……」
 水に使っていない場所も、長い間で風化しているし、水に使っている場所は建物も別の役割を担っている。
 足元を色とりどりの魚が通過していくに当たり、式夜は目を輝かすのであった。
「川から水が来ている筈なのに淡水とは違う生態系であるか……。これは調査のし甲斐があるな!」
 うんうん。と、式夜は嬉しげだ。そうしてしばらく船をこいでいると、
「おーい、リュカ殿ー」
 水の跳ねる音がして、式夜は知り合いの姿を見つけて声を上げる。
「……お姉さん」
「少し休んでいかぬか? ほれ、特別に涼穿丸に乗ってもいいぞ。それとも観光の途中ですかな?」
「いや、時間が空いたからちょっとトレーニングしてただけ。むしろ……」
 涼穿丸のふちに手をかけて、リュカは休憩を取りながら式夜を見上げる。
「泳がないの?」
「む……いやわしは、調査に来ただけ……ナンダヨ?」
 最後ちょっと語尾が変な感じになった。リュカは真顔で、
「調査に来たなら、むしろ潜らなきゃいけないんじゃない?」
「む……」
「この先に、お城みたいなところがあったけれども、行くには潜って城門を越えなきゃいけないし」
「むむ……」
「……」
「……」
「……さてはリュカ殿、わしをからかっておるな?」
「…………ちょっと」
 リュカも式夜が泳ぐことが苦手なことはちゃんと知っている。指摘されればばれたか、とでも言うように肩をすくめた。
「よ、よかろう。城門は上から越える。崖のぼりなど地竜の手に掛かれば容易いわっ」
「わかった。わかった。壁越えしやすい場所をあとで紹介するよ」
「ああっ」
 任せろ、と式夜は得意げである。 
「……運動できないわけじゃないんだから、練習すればいいのに」
「これは、そういう問題では無いのだ。もっと深い深い問題なのだ」
「成る程、わかったわかった」
「重大な問題なのだぞ!?」
 ゆるゆると、なんとなくそんな話をしながら式夜が櫂で漕ぐと、リュカも軽く泳ぎながら涼穿丸を押していく。
「そういえば、リュカ殿は廃墟の絵は描くのかな? わしはどうにも風景画は苦手でなぁ。絵があれば言い値で買おう!」
 穏やかな日差しをいっぱいに浴びて、上機嫌で式夜が言うと、
「絵?」
「ああ。水位のせいで長くこの景色が保たれる訳では無さそうだし、もしもの時に絵付き研究資料とかが後々役に立つのだ!」
「んー。仕事にしてくれるならいいよ」
「わかった。ではこれは商談で、商談成立というわけだ。まぁ、わしにいまいち絵心が無いのが難点だがな!」
「あー。俺は見たまんましかかけないから、あんまり風情は期待しないでね?」
 なんて。
 いっている間にいつの間にか。ぐるりと周囲は壁になっていた。
「ほら、城門だ」
「うむ、では……」
「ほんとに壁越えするんだ?」
「リュカ殿も一緒にいかがかな。いいトレーニングになると思いますぞ」
「……そういわれると、行かざるをえない」
 二人して、えいやと壁に手をかける。
「地上だって、楽しいことはたくさんあるのだ!」
 式夜の気合を入れるような声が、響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
景雪(f03754)と
※PC同士は初対面

(目の前を歩く少年に目を留め)
あ、キミ、なんだかんだ近くにいた子だ…って急に!?(思わず身をひらり)
何だろ、この執念。秘密にするし別に尻尾、触って良いよ…?(首を傾げつつ尻尾差し出し)

あ、リュカ。お疲れ様ー!え、何しているのか?オレにもさっぱり…
と、そうだ!折角だし廃都探索、3人で行かない?

蓮で漕ぎだした先、人工物がやがて自然に還り、こうして魚達の住処になる光景…目の当たりにすると何だか不思議な気持ちになるよ

ああ、景雪はヤドリガミなのか
そうだね、自然に還る事が出来るならそれが幸いなんだろうね…リュカはどう感じた?
君が多分、一番人らしい答えが出せる気がする


叶・景雪
ヴォルフガングさん(f09192)と
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG

(不思議な街並みにあっちこっちふらり
声を掛けられ足をとめるも、目の前にもっふもふな毛並みが!
引き寄せられるように飛び掛ろうとし転び)
はっ!もふもふのゆうわくすごい…。(じぃ~と尻尾みつめ)
りゅかさん…の、しり合い?ぼくは景雪だよ、よろしくね!
あ、転んだのはりゅかさんにはないしょだよ?
(しぃ~と口元に指先あて

しぜんにかえる…そっか、そんなせんたくしもあるんだね?
ぼくは年へていしをもったから。いつか、このこたちとも
いっしょにあそべる日がくるのかなぁ?そしたら、またみんなであそべるとたのしそうだねっ!



 ひとまず蓮を置いて、屋根の上、とたとたーっと景雪は歩いていて、
 右を見て。左を見て。
 水に映る世界にも、自ら顔を出す世界にも感動して。

 一方ヴォルフガングのほうも戯れに屋根に登ってのんびりと観光がてら歩いていた。
 不思議な景色もあるものだなあ。なんて、右へ左へ、していると……、

「あ、キミ、なんだかんだ近くにいた子だ……」
「……?」
 丁度ばったり、ひとつ屋根の上でであった二人。
 どこかであったことがある、とヴォルフガングは考え込みながら声をかけ、、景雪は振り返った……その瞬間、
「……!」
 思わず。
 ふらふらふらーっと近寄ってきた景雪。しかし次の瞬間、ものすごい勢いで景雪はヴォルフガングに飛び掛った!
「って急に!?」
 ヴォルフガングはしゃっ。と素早い動作で避ける。
「ひゃっ」
 ころんっ。
 ヴォルフガングが避けた拍子に転がる景雪。
「うう、もっふもふな毛並みが! もっふもふにもっふもふな毛並みが、ぼくを呼んでいるのに……」
 転がりながらも、う、う、と、じたばたする景雪。
 それでようやく、ヴォルフガングは何が求められているかを、気づいたのである……。
「何だろ、この執念。別に尻尾、触って良いよ……?」
「はっ! もふもふのゆうわくすごい……」
「……何してるんだろ、あの二人」
 そ、と尻尾を差し出したヴォルフガングに、それを幸せな顔でもふもふしている景雪。
 そんななんともいえない瞬間を、丁度水から上がったリュカに目撃され、ヴォルフガングは軽く片手を上げた。
「あ、リュカ。お疲れ様ー! ……え、何しているのか?オレにもさっぱり……」
「うんうん(もふもふ)。……うん、うん(もふもふ)……あっ(もふもふ)」
 ヴォルフガングの挨拶に、もふもふしながら頷いていた景雪であったが、
「りゅかさん……の、しり合い? ぼくは景雪だよ、よろしくね!」
「ああ。オレはヴォルフガングだよ。よろしく」
 なんだかもふも賦されていていまさらのような気がするが、改めて二人は自己紹介する。すると景雪は小さな声で、
「あ、転んだのはりゅかさんにはないしょだよ?」
 しぃ~と口元に指先あてて言うので、ヴォルフガングも小さく頷いた。
「わかった。秘密にする。……と、そうだ! 折角だし廃都探索、3人で行かない?」
「さんにんで?」
「そうそう」
「いいよ、いこう」
「やったー!」
 じゃあ……、と、景雪は頷いて、
「頑張る……!」
 飛び込まなきゃ……! と、ものっそ真剣な顔で水面を見ていた。
「泳げるようになるって、やくそくしたから……!」
 だから……と、思い切った顔で、水の中に景雪が飛び込もうとした。その、瞬間。
「あ、ごめん、蓮で回るつもりだったよ……」
「ええ~?」
 こっちにおいでよと、自分の用意していた蓮の葉を示すヴォルフガング。景雪は思わず急ブレーキをかけて、
「……」
 ちょっと、拗ねていた。すごい頑張ってやる気を出したのに。って顔をしていた。
「ごめんって。……ほら、もふもふしていいから」
「やった!」
 尻尾を差し出すヴォルフガングに、景雪は声を上げて笑った。
「リュカはー?」
「このまま泳ぐ。これも訓練だから。景雪さん、蓮押そうか?」
「わーい!」
 嬉しそうな声を上げる景雪。
 ヴォルフガングとリュカは顔を見合わせて少しだけ笑うと、
「じゃ、出発だねー!」
 ヴォルフガングが高らかと、そう声を上げた。

 遺跡の間を、三人は進んでいく。
 不思議な景色だ。水から下と、水から上が、まったく違う色をしている。
「人工物がやがて自然に還り、こうして魚達の住処になる光景……目の当たりにすると何だか不思議な気持ちになるよ」
 ヴォルフガングが櫂で漕ぎながら、のんびりと顔を上げる。今にも朽ちて倒れそうそうなあの建物も、倒れたら倒れたで、きっと魚たちの住処になるのだろう。
「しぜんにかえる……そっか、そんなせんたくしもあるんだね?」
 ヴォルフガングの言葉に、景雪も感心したような声を上げる。
 時間が経てば、かたちをなくして消えていく。……そして、自然と一緒になって、まったく知らない誰かの力になって生きるのだ。
 それはほんの少し寂しいように見えて、けれども、悪いことでも無いのかもしれないと、景雪は思ったのだ。
 そんな風に、感慨深そうに言う景雪に、ヴォルフガングは一度、瞬きをして、
「選択肢? ああ、景雪はヤドリガミなのか。そうだね、自然に還る事が出来るならそれが幸いなんだろうね……リュカはどう感じた?」
「うん?」
 納得したような言葉のあとで、リュカに声をかけた。それから、なんで俺に聞くの、とリュカが言う前に、
「君が多分、一番人らしい答えが出せる気がする」
 と。先回りして回答したので、んー。とリュカはほんの少し、考え込んで、
「面白く遊べるうちは、面白く遊べばいいよ」
「えー。感慨とかは?」
「ないかな。ここが完全に水没したら、それはそれで遊べるだろうし。……情緒のないって顔してる」
「ええ、そんなことしてないよ??」
 それはそれで受け入れるだけだ、なんてきっぱりといわれると、成る程。ってヴォルフガングも瞬きをして頷いた。
「人間って、色々あるね」
「割とね。勿論、こういう景色に盛者必衰を感じる人もいるだろうし、色々だよ」
「……人の心も、この景色と同じぐらい……いや、それ以上に、不思議なものだよね?」
「そう?」
「うん」
 ヴォルフガングは大いに頷く。その言葉に、景雪は目をぱちぱちさせる。
「むずかしいおはなし……」
「そ、そうだったかな?」
「うん。……ぼくは年へていしをもったから。いつか、このこたちとも、いっしょにあそべる日がくるのかなぁ?」
「ああ……」
 むーっと考え込む景雪に、ヴォルフガングは笑う。
「そういう考え方も、あるよね。……それは楽しそうかな」
「うんっ、そしたら、またみんなであそべるとたのしそうだねっ!」
 目を輝かせる景雪に、ヴォルフガングも笑う。水の中に沈む町に視線を落とせば、
「そんな日が……いつか本当にくるといいよね」
 水面に映る自分に向かって語りかけた。景雪が「そうだね」と頷いて、水の奥の建物たちに手を振った……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
いやー川下り堪能したなー。
目的地は…なんともいい雰囲気。
これは深く隅々まで探索しないと。

上着は適当に干して水着姿になったらどぼーん。
遺跡は壊さないようには注意。
泳ぎは川下りと同じ要領で深く深くを探索。
熱帯魚が泳ぐ街並みってのもいいねー。
人が去り今は自然に呑み込まれた人口の都、つまりはロマン。
あ、息継ぎは適当にするよ。肺呼吸。

リュカ君(f02586)いたら軽い感じにご挨拶。
陽射しがきついかもだから上着着てたんだけどねー。こう、黒色が熱くなる。
ここならその心配もないし存分に!
折角だし一緒に泳いでみる?それとも乗ってみる?
最深まで一気に行くとかね。
とっても綺麗で見応えあったよ。

※アドリブ絡み等お任せ



「いやー川下り堪能したなー」
 ふ。と。
 ヴィクトルは汗をぬぐうような仕草をした。これから潜るので、意味があるのか無いのかはあんまりわからなかったけれど、こういうのはまあ、気分である。
「そして目的地は……なんともいい雰囲気。これは深く隅々まで探索しないと。ふっふっふ」
 見ているがいい、とは胸のうち。ばっ。とヴィクトルは上着を脱ぐと、適当に蓮の上に干して水着姿になった。そして、
「あー。こんなところに住むのも楽しそうだなあ。敵がいなくて穏やか過ぎてぼけちゃいそうだけど」
 とかなんとか、言いながらも、どぼーんと水の中に飛び込んだ。

 しゃ、しゃ、しゃ。と。
 手早くヴィクトルは水の中へと潜っていく。
 深く、ふかく。ずっと遠くへ。
 そんなヴィクトルに気づいたのか、熱帯魚たちが近寄って、取り囲むようにして一緒に泳ぐ。
(んー。きもちいい)
 くるりと水中一回転して。
(熱帯魚が泳ぐ街並みってのもいいねー)
 この世界にしては発達している街の中を、ヴィクトルは進む。
 進むたびに、ふわふわと海草が泳ぎ、魚たちが躍っていく。
 街路を出て、角を曲がって。教会のステンドグラスに光が差し込むのを拝み、牧場に草のかわりに大量に珊瑚が広がっているのを観察して。
(んー。人がいなくても世界は生きる。人が去り今は自然に呑み込まれた人口の都、つまりはロマン。……うん、かっこいい……!)
 素敵だと。感心したようにふーっと泳いで、泳いで、泳いで、満喫した末に、ヴィクトルは水面から呼吸の為に顔を出した。
「あ」
「うん?」
 そこで丁度、同様に息継ぎに上がってきたリュカとヴィクトルは目があった。
「やあ」
「うん。……こんにちは?」
「うん、清々しいまでに何を考えているかわかるよ。この水着かっこいいだろ?」
 ふ、と、ポーズを取るヴィクトル。
「陽射しがきついかもだから上着着てたんだけどねー。こう、黒色が熱くなる感じで。でもここならその心配もないし存分に、このナイスボディをさらすことが出来るんだよ!」
 キラッ。と歯を光らせるヴィクトルに、
「え、う、うん。……かっこいいよ?」
 何故かリュカが疑問系なのは、この際置いておくとしよう。
「折角だし一緒に泳いでみる? それとも乗ってみる?」
「……!」
 ちょっと、リュカが一瞬嬉しそうな顔をしたが、
「……。俺は、道具を持ってないから。鍛えてるけれど、それでもたぶん、お兄さんにはついていけない……」
 一瞬で残念そうな顔に変わるので、ヴィクトルは思わず、
「いや待って。息継ぎは適当にするよ。肺呼吸だからね。僕も。肺呼吸」
「え」
 ここ最近で一番驚いたような顔を、リュカはしていた。
「いや、ほら、この体見て、この体」
「そ、そうだね。ごめん」
「わかったならいいよー。じゃ、行こうか。最深まで一気に行くとかね。とっても綺麗で見応えあったよ」
「……いく」
「乗ってく?」
「掴まってく」
 ふっふっふ、と惜しげもなく美ボディをさらすヴィクトルに、リュカも頷く。
「じゃあ、しっかり掴まっていてね。折角だから飛ばしてみよう」
「了解」
 そうして水の世界に潜ればまた、魚との旅が始まる。
 案外速いスピードにもついてくる魚たちに、ヴィクトルの腕を掴むリュカ。
 廃墟の中を、流れ星のように駆け抜けると、珊瑚や海草たちが挨拶するように見送ってくれて、
(うーん。やっぱり水はいいものだなぁ……)
 いい季節になったものだと、ぐるんとその場でそのまま横回転するヴィクトルなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
すごいっ、水の中に町がある

リュカ、たんけんしよっ
蓮の花をぽんぽん叩いて
きてきて
葉っぱのオールで漕ぎ出す
ゴンドラでやったことあるからだいじょうぶっ

川をながれるときねえ
ばーって、どばーんてなってたのしかったよ
身振り手振り
あとでリュカもやろうねっ

あ、みて
きれいなさかな
ちかくに見にいこっ

屋根に蓮をくくりつけて
どぼんっ
わあ、ちかづいてきた
あのこ、ほたるみたいにひかってるよ
って教えたくて指すとつつかれて
ふふ、くすぐったい

わ、青いかべのおうちだと思ったらコケだ
きれい

みてみてっ
大きく手を振る下に
苔と水草が虹みたいに並んでいて

下に虹があるなんて、はじめて
ぷはっと息継ぎ
虹をさわりにいこうっ
手をつないで、もういちど



「すごいっ、水の中に町がある」
 わ、と水の中を覗き込むと、
 大きく口を開けた自分の姿と、そして町の景色が目に飛び込んできて、オズは顔を上げた。
「リュカ、たんけんしよっ」
 ばっ。と振り向くと、建物の上から今にも水鉄砲で冷たいめに遭わせてやるぞ、みたいな顔をしていたリュカと目があった。
「……、なんでわかったの」
「なんとなく? ほら、きてきて」
 蓮をぽんぽんと叩くオズ。
 なんでばれたかなあ、みたいな顔をして、リュカは建物からオズの隣へと飛び降りた。
「ん……。よいしょっと」
 衝撃でぐらぐら揺れる蓮を上手にいなして、オズは葉っぱのオールで水の都へと漕ぎ出す。
「大丈夫?」
「ゴンドラでやったことあるからだいじょうぶっ。それにねそれにね、すっごい川も一緒に流れてきたんだよ」
「ああ。……それこそ、大丈夫だった? どこも怪我してない?」
 結構流れが早かった気がすると、リュカは思い出しながらそう尋ねる。ぜんぜん、と、オズは両手を挙げて。
「川をながれるときねえ。ばーって、どばーんてなってたのしかったよ。……こんなかんじ!」
 ばー。っと。オールをもったまま体をひねってみたり、
 どばーっと。カーブの激しさを全身で表現してみたり。
「……っ、なんだか面白いね」
 どちらかというとその表現を見るのが楽しくて、リュカはおかしげに笑う。
「俺も見たかった」
「うんっ。あとでリュカもやろうねっ」
「え」
 おっと。
「二人だと、きっともっと楽しいよっ」
「確かにそれはそうだね。………………わかった」
「早いの苦手?」
「苦手ってことないけれど、なんだかすごそうだったから。お兄さんを見てる余裕があるかなって」
「景色じゃなくてわたしをみるつもりだったの?」
「うん。だってその方が楽しそうだったから。すごいの、期待してる」
 ばーって、どばーんてなるの。って、リュカはオズの口調を真似すると、
「わかった、がんばるねっ」
 なんて。オズもうん、とオールを漕ぐ手に力をこめるのであった。

「ほら、誰かがニンジャは水の上を歩けるって言ってたから」
「水のうえ? 歩けたらたのしそうだね。……あ!」
 取り留めのない話をしながら、廃墟と廃墟の間を進んでいく。
 不意に、オズが指をさした先には、鮮やかなオレンジに、黄色に、青色にと。様々な魚が集まっているような場所であった。
「みて、きれいなさかな。ちかくに見にいこっ」
 えいえい。と手近な屋根に蓮をくくりつけて、どぼんとオズは飛び込む。
「ん。待って、お兄さん」
 早い。と、リュカもあたりの安全を軽く確認してから後に続いた。
 見た目は何てことない住宅地の、交差点の真ん中であった。
 そこは水に使っても交差点なのか、群れで泳ぐ様々な魚たちが行きかっている。
(わあ、ちかづいてきた……っ)
 水の中なので、声は出ないけれども、ぱくぱくと口を動かすオズ。
(寄ってきた。捕まえたら夕飯の足しになるかな)
(リュカ、リュカ、この子達が、一緒に来たいって!)
(お兄さん、たぶんその色は食べたら毒がありそうだよ。いくら味は何でもよくても、毒があるのはだめだ)
 何とか身振り手振りで会話を試みるオズ。
 応えるように身振り手振りにしてみるリュカ。
(うん? なんだか違うような気がするけれど……)
(あれ、ちょっと通じてないような気がするな……)
((でも、とっても楽しそうにしてるから、それはそれで、いいかな))
 結論だけ二人で一致して、泳ぎながら魚を見物する二人。不意に、
(あ! あのこ、ほたるみたいにひかってるよ。ほら、あのこ、あのこ)
 オズは少し先にきらきら黄色く輝く魚たちを見つけた。指をさす。日の光を浴びて、まるで蛍の光のように輝いている。
(ほら。なんだか泳ぐのが早そう……わ)
 言ってる間に、魚もこちらのほうに気が付いたのか。魚のほうから近付いてきて、つんつんと指先をつつかれて、
(ふふ、くすぐったい)
 くすぐり返すように指を動かすと、楽しげに魚はくるりと回った。

 魚と一緒に町を泳ぐ。
(わ、青いかべのおうちだと思ったらコケだ)
 おーっ。とオズがコケを覗き込んだ瞬間、
(!)
(お兄さんっ)
 ぶわーっといっせいにコケの中に隠れていた魚たちが泳ぎだす。
(大丈夫? すごいたくさん顔に体当たりされてた)
(だいじょうぶ、きれいっ)

(みてみてっ)
(ん?)
 大きく手を振るオズの足元には、苔と水草が虹みたいに並んでいて、ひとまず息継ぎの為に水の上に顔を出せば、
「下に虹があるなんて、はじめてっ」
「本当だ。すごいグラデーションになってて綺麗だったね」
 ふう、と二人息をつく。そうしたら次にオズが言うことは決まっていた。
「虹をさわりにいこうっ」
「ん。虹の果ての、行けるところまで行ってみよう」
「うんっ」
 当たり前のようにオズは手を差し出して、当たり前のようにリュカはその手をとって。
 もう一度、水の中に飛び込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アラン・サリュドュロワ
マリー(f19286)と廃都巡り
アレンジ◎

街がまるごと沈んでいるとは…驚いたな
小さな蓮の葉を切り取り、日除けにと彼に手渡し
細長い葉で蓮の船漕ぎ巡る
鮮やかな魚が珍しいのか、ジゼルが水面に爪を伸ばす

ああ、本当にそのまま残っているのか
珊瑚の水路を抜け、見事なアーチを潜り忘れられた神像を見上げる
見たところ金目の物は無くなっているが、それでも略奪の跡はなく
人だけが消えて取り残されたようだ

蓮の船を降り、祭壇脇のテラスへ誘う
壮観だな…これだけ豊かで栄えていても、滅びる日がくるのか
遠く、旧い都を思う
今、己が愛する国も人もいつか消えてしまうとしても愛さない理由にはならないだろう
──殿下、あなたがそう望まれるなら


マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
アレンジ歓迎

水と融和した建築物の姿に声を上げた
まあ、此処は街だったのね。驚きだわ
手渡された葉影を揺らし我儘を
アラン、わたくし廃都を見て周りたいわ

彼方は神殿かしら。この辺りはきっと大通りよね
巡る街はどこも興味深かった
形状や位置から推測して、嘗ての足跡を辿る
水に沈みゆく遺跡は自分の知る荒んだ廃都とは全く違った
きっと、倖せな都だったのでしょうね
あぁなんて――――羨ましい
綺麗な形で現存する過去に自然と羨望が零れ消えた

アランの手を取り下り一望する
わたくしの国もみなから愛される国にしなければ
仮初の姫としての決意と共に添う騎士へと問う
アラン、あなたは手伝ってくださいますね?



「街がまるごと沈んでいるとは……驚いたな」
「あら、まあ……。まあ、此処は街だったのね。驚きだわ」
 ゆるゆると移動する蓮の葉。このままでは止まってしまいそうで。そうしたものかとアランが周囲を見回すと、手近なところに葉が目にはいった。
「ああ……これか」
 ひとつ手折って、櫂代わりにする。
「……」
 それからちらと、マリークロードのほうに視線をやると、
「……?」
「ほら」
 近くにあった小さな蓮の葉を切り取って、彼へと差し出した。
「雨は降りそうにないけれど? ……ああ。そう。でも、どうせならアランに扇いで貰いたいわ」
「どっちも違う。解っていていっているのだろう。日除けだ」
「まあ」
「まあ、じゃない。それをしっかり被って、水分もこまめにとって、体を冷やして……なんだ、その顔は」
 放っておけばあれこれ言い出しそうなアランに、マリークロードは微笑んで、貰った葉影を軽く揺らす。
「……ふふっ。アラン、わたくし廃都を見て周りたいわ」
「……」
 若干。
 頭を抱えるような沈黙があった。
 鮮やかな魚が珍しいのか、そ知らぬ顔でジゼルが水面に爪を伸ばしていた。
 アランは一度、ため息をつくと。
 諦めたのか、無言で水面を漕ぎ始めた……。

「彼方は神殿かしら。この辺りはきっと大通りよね」
「ああ、本当にそのまま残っているのか……。このあたりは、恐らく参拝のための道か……」
「そうね。ずいぶん賑やかな雰囲気です……」
 厳かな面もあるだろうが、きっと人に慕われるようなところもあったのだろう。
 道を見つめているだけで、そんなことが解る。太くて大きな道の左右には、いくつもの店が並んでいたし、美しいアーチに石像たちにと。心から温かみを感じることができる、そんな空気がまだ、その場

所には残っていた。
「少し潜ってみないか?」
「ええ、勿論」
 アランの提案に、二人は一度水の中へと沈んでみる。
 珊瑚の水路を抜け、様々な花が彫られた見事なアーチを潜っていく。忘れられた神像を見上げる。道の左右に、いくつも像は並んでいたが、どれも穏やかな顔をしていた。
 左右の街は、飲食店が多そうだった。ここを訪れた人たちは、神殿を訪れ、そして帰り道に一服をして。何ならお土産も選んだのかもしれないな、と。マリークロードはお店のひとつを見つめながらそん

なことを考えた。
 あれは、ぬいぐるみだろうか。店の窓際に座っているような何かを、確認しようと思わずマリークロードがそちらに行きかけたとき、アランがその手を軽く引いた。
 はぐれるな。危ないから。なんて聞えてきそうな顔。マリークロードは微笑んで、アランについていく。
 祭壇脇のテラスには、美しい魚たちが集っていて。そこから大通りを眺めていたら、今にも人が歩いていきそうであった。

 一頻りそうして景色を眺めたあとで、二人は浮上する。
「見たところ金目の物は無くなっている……が、それでも略奪の跡はないな。不思議だ。まるで、人だけが消えて取り残されたようだ」
「ええ。わたくしの知る荒んだ廃都とはまったく違っていました。……きっと、倖せな都だったのでしょうね」
 水から上がると、自然とそんな感想が漏れた。栄えて、滅びて。なのに今も、人々を魅了し続けるその都。
「あぁなんて――――羨ましい」
 自然と、マリークロードの唇から羨望の声が漏れる。アランも足元に広がる景色を、そっと見下ろした。
「壮観だな……これだけ豊かで栄えていても、幸福であったとしても、滅びる日がくるのか」
「ええ。きっとこの国は、滅びの瞬間も心穏やかにいたことでしょう」
 でなければ説明のつかない景色だった。だからこそ、マリークロードは胸にそっと手をあてた。
「……わたくしの国もみなから愛される国にしなければ」
 たとえ仮初の姫としてでも。と。そこまでは口にしないけれども……、
 二人が今、ともに思うのは遠く、旧い都だ。
「アラン、あなたは手伝ってくださいますね?」
 静かな瞳で、マリークロードはアランを見つめる。
「……」
(例え今、己が愛する国も人もいつか消えてしまうとしても、愛さない理由にはならないだろう……)
 マリークロードの問いかけに、アランは恭しく騎士の礼を取る。例えいつかは消えてしまったとしても、精一杯やることは、きっと間違いじゃないだろう。
「──殿下、あなたがそう望まれるなら」
 その、はっきりとした声に、
 マリークロードは心より、嬉しそうに。そしてしっかりと、小さく頷くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
やあリュカさん
約束通り逮捕しに来たよ
僕だけで戦う真剣勝負
さあ、本気でおいで

…とは言ったものの
撃ち合いでリュカさんに勝てるとは思わない
建物の中に隠れたり屋根を飛び移って
【早業】と【見切り】でかわす努力をしても
僕だけずぶ濡れになっているだろう
逃げながら一矢報いる事が出来れば上等かな

距離をとったら一旦潜水し奇襲をかける
リュカさんが絶望の福音を使ってきたら
その瞬間だけが狙い目だ

行けっ、ぼく
僕の攻撃をかわした直後に
UCで密かに呼んでおいたぼくが死角から水鉄砲を放つ

当たったらぼくとハイタッチ
失敗したら拗ねるぼくを慰める
ん?何?
ぼくは僕だからこの作戦はありだよ

大人って汚いね、ぼく…
こんな風になっちゃ駄目だよ



「やあリュカさん。約束通り逮捕しに来たよ」
「……もしかして、狙ってやってない?」
「ばれた? そろそろ遊び疲れたころかと思って」
「……お兄さんはさすがに、きたない」
「失礼な。僕はいつでも心の綺麗な永遠の16歳だよ」
 平然とした顔で言う章に、リュカは無表情ながらも水鉄砲の調子を再確認する。……いいだろう。ちゃんとやれる。
「僕だけで戦う真剣勝負。さあ、本気でおいで」
「……わかった。これも訓練だと思って本気でいく」
「なんだか目だけで殺されそうな勢いだけど」
「本気でいいって言うから。……水鉄砲で溺死とか、出来なくはないよね」
 割とやる気のリュカに対して、章はどこか余裕の表情である。ふふ。と相変わらずの調子で、
「やだな。年寄りは死にやすいんだから、気をつけてね」
「永遠の16歳って、自分で言ったじゃないか」
 半眼で、念を押すように、「手加減はしないよ」と、もう一度しっかりとリュカは言うのであった。

「……いや、本気で、とは言ったものの」
 数分後。
 ふっ……。と章は若干カッコをつけながら物陰に滑り込む。
「うーん。明日は筋肉痛かな、これは。撃ち合いでリュカさんに勝てるとは思ってなかったけれど……」
 建物の中に隠れたり、屋根から屋根を飛び移ったり。これを今日は隼くんたちの力を借りずにやったのだから、自分で自分を褒めてあげたいところではある。
 が、さすがに、こういうのは得意分野じゃないのだ。アクロバットな動きとか、作家的には対応が否のだ。だから今強固の瞬間自分だけずぶぬれでも、それはもう仕方がないのだ。得意分野が違うので、

それはそれで本当は構わない、当然なのだが……、
「……いた」
「くっ、ここも見つかっ」
 淡々と言うリュカに、芝居がかった口調で声を上げる章。最後まで言う前に顔に水が叩き込まれる。
「さっきからリュカさん僕に厳しくない!? ちょ、待っ」
「本気でって言ったから」
「だからって本気でやりにくることはないと思う。リュカさんは大人気ない。後怖い」
 喋りながらも、走る。反撃のように拳銃型水鉄砲を打ち込むも、的確に避け、もしくは撃ち落されている。
「うーん……逃げながら一矢報いる事が出来れば上等かな」
 けれどもある程度それは解っていたことだった。だから作戦も立てることは出来た。どうにももう本気で殺りに来ているあの殺戮者の鼻を明かせればそれでもう充分である。
 というわけで、作戦を決めたら章は早かった。ざばん、と水の中に章は飛び込む。
(こういう作戦行動は、得意じゃないけれど……)
 ざっと水の中に潜って、遺跡をくぐってあたりをつけていたポイントへ。今は綺麗な魚も、美しい町並みも、ひとまず置いておくことにして、
(ここ、だ……!)
 水の中から、章は一気に飛び上がった。奇襲を描ける。銃を構える。
(背後を取った……!)
 リュカが振り向く。けれど、それだけなら不十分だ。この程度の行動、向こうも完全に予測している。
 だから、
「行けっ、ぼく!!」
 章の攻撃をかわした直後、
 準備していたもう一人の子供の章が、今まで息を潜め機会をうかがっていた子供の章が、全力で水鉄砲を放った。
「!」
「……!」
 リュカに水が当たる。その直後に、子供の章の顔面にも水がぶち当たるが、
「よし、逮捕だ。勝ったっ! 僕たちの勝利だ」
 何故かそこで章が勝利宣言をして、わーい。と子どもの章もうれしげに声を上げるのであった。

「……修行不足だ」
「ん? 何? ぼくは僕だからこの作戦はありだよ」
「勿論ありだよ。だから、自分の修行不足だ」
 子供の章とハイタッチをする章。リュカはしょんぼりしていて、章はふっ。と、水に濡れた前髪をかき上げた。
「大人って汚いね、ぼく……。こんな風になっちゃ駄目だよ」
 章の言葉を果たして聞いているのかいないのか。子供の章はとても、楽しそうであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月04日


挿絵イラスト