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夏一頁、ぷろふぇっしょなるスイカ割り

#スペースシップワールド #戦後

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#戦後


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●夏だもの
 ――銀河帝国の残党が出るんだ。
 と、確かに連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)は言った。
 しかし小脇に可愛らしい羊のビーチボールを抱えた青年の意識は既に、違う方向へ反れている。
 だって夏なのだ。
 そしてスイカ割りなのだ。
 ……話が物凄く飛んだような気がしないでもないが、気にしてはいけない。
「如何にも『夏!』『海!!』って感じに改装された区画でね、スイカ割り大会が行われるんだって。でね、デモンストレーションとしてスイカ割りの達人が参加する筈だったんだけど。張り切り過ぎたのか、ぎっくり腰になっちゃったらしくてさ。だからみんなには、ぷろふぇっしょなるなスイカ割りを見せてもらいたいんだ!」
 ぷろふぇっしょなスイカ割りとは何ぞや。
 いや、深く追求してはいけない。
 剣豪よろしく、すぱんと一刀両断したり。
 拳の達人っぽく、一度に沢山のスイカを割ってみたり。
 とにかくあれこれ思い思いの『ぷろふぇっしょなる』ぶり、若干大げさなくらいに発揮すれば、スイカ割りを楽しみにしている良い子の皆や、水着で繰り出したお姉さんたち、こんがり宇宙焼けしたお兄さんたちとかも喜んでくれるに違いない。
「これもこの船の人との交流だよ。いい記念になると思う――あ、そうだ。スイカ割りが行われる場所、無重力だから。ふわっふわしてるから。もちろんスイカもネ!」
 無意味に清々しく、希夜はきらきらと笑った。
 どうなるのかなぁ、どうなるのかなぁ、なんて鼻歌を歌いながら、笑った。
 態勢を整えるのが難しい無重力空間、しかもスイカも一所にじっとしていない。果たしてそんな状況で無事にスイカが割れるのだろうか? いや、割れる。気合と根性と、猟兵の技術と――あと、ピンチをチャンスに変える発想力があれば!
 せっかくの無重力、思わぬ事が出来るかもしれないし、楽しんだら楽しんだ分だけ、新たな可能性の扉が開けるかもしれない。
「開けちゃいけない扉かもしれないけどね☆ そうそう、スイカは専用の透明フィルムで覆ってるから、爆散することはないよ。ちゃんと美味しく頂けるから、そこは安心してね」
 ぽーいぽーいとビーチボールで一人ビーチバレーを始めていた希夜は、それから「あ」と大切なことを思い出した顔になった。
「銀河帝国の残党が出るのは本当だからね。そこまで気を張っておく必要はないけど、戦闘が発生するってことだけは憶えていて。まぁ、そっちもちょっとユニークな相手になるけどね」
 ――だいじょーぶ、だいじょーぶ。皆ならなんとかなるって♪

 然して希夜は、猟兵たちへトスを上げ――ではなく、銀河帝国残党退治の命運を預けるのだった。


七凪臣
 お世話になります、七凪です。
 今回は銀河帝国残党退治のお仕事をお届けに参上しました。
 ――の、前に。スイカ割りです。全力でスイカ割りです。めっちゃスイカ割りです。

●シナリオ傾向
 全力でネタに振り切っています。
 ノリと勢い大事。
 君もスイカ割りのぷろふぇっしょなるになるのだ!

●シナリオの流れ
 【第1章】日常。
 無重力空間でのスイカ割り。
 水着でもいいし、そうでなくてもOK。
 はっちゃけ推奨。
 【第2章】集団戦。
 詳細は章開始時に導入部を追記します。
 が、やっぱりネタです。
 【第3章】ボス戦。
 詳細は章開始時に導入部を追記します。
 やっぱりノリと勢い。

●その他
 楽しんだが勝ち。
 ですが公序良俗に反する行動、ラッキースケベ等の行動は採用を見送らせて頂きます。
 あくまで健全に。
 POW/SPD/WIZは参考程度で大丈夫です。

●振り切れ度
 思い切りやっちゃっていいよ、という方はプレイングの最初に『◎』を記入してください。
 逆に控えめが希望の方は『▲』の記入をお願いします。

●プレイング受付期間
 第1章は7/21の8:30から募集開始させて頂きます。
 受付締切や、以降の章の開始のアナウンスはマスターページにて随時お知らせしますので、そちらの確認をお願い致します。
 ※さくさくっと進めてぱぱっと終わる、打ち上げ花火的なシナリオを目指しておりますので、採用数は達成度+αくらいになると思います。

 皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
 宜しくお願い申し上げます。
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第1章 日常 『エクストリームスイカ割り』

POW   :    とりあえずその辺を叩き割ってみる

SPD   :    集中し、この一撃にすべてをかける

WIZ   :    範囲攻撃だ……!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クロト・ラトキエ

無重力空間、ですと…?
これはアレですかね?
「棒を振ればスイカに当たる」
『当たるとどうなる?』
「知らんのか」
「当てた方も吹っ飛ぶ」
とかいうオチ?

そんな小噺はさて置き。
スイカ割りって…あれっ、目隠し?
眼鏡の上からじゃダメです?
駄目?
あらそう…。
(色々気を付けとかないとなーとは考えつつ)

流石に鋼糸は物騒ですし、フィルムごと斬れては不粋ですので、代わりにテグスで。
普段の範囲攻撃の要領で…とはいえ軽く空中に流す程度に周囲へ。
手応えがあったらばその糸の方へ、スイカが逃げる間髪与えず一気に棒を振り抜きます。
…本当は。こういう得物の方が、得意だったりするんですがね…。

――で。
当たるとどうなる?
僕も吹っ飛ぶ。



●物理法則の体現者
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は『人間』として全き存在だ。
 いや、常識的と言った方が良いだろうか。腹の中には含むものがありそうな気がしないでもないが――そもそも全身黒尽くめな挙句に、何処に暗器を隠してるか分からないひらひら衣装を常用している辺り、胡散臭いことこの上ないのだが。今はそれらを棚に上げることにする――、とにかくごく当たり前に『人間』なのだ。
 で、何が言いたいかというと。
 やんややんやの盛り上がりを見せるスイカ割り会場は、無重力空間だ。
「……あれっ、目隠し?」
 ビキニ姿の美女に脂下がることもなく、渡された黒い目隠しにクロト『眼鏡の上からじゃダメです?』とびみょーに抗い、でもルールはルールと大人しく従った。
(「(色々気を付けとかないとなー)」
 胸を過った『色々』が何であるかは、現時点では不明として。
 とにもかくにも、クロトは無重力世界へ泳ぎ出す。
 へっぴり腰にならなかったのは、数多の戦場を経験し、体幹もしっかり鍛えられているからだろう。
 然してクロト、愛用の鋼糸に代えて――高い破壊力でスイカを木っ端みじんにしない為の、オトナな気遣い――複数本のテグスを範囲攻撃の要領で周囲へ流した。
 彼の周囲に、視認しにくい網が構築される。
 それはスイカを捕らえるためのもの。
「――」
 ぴくり。指先が拾った感触に、クロトは宙を蹴った。
 すーい。
 すーい。
 無重力の空間を、黒尽くめの男が泳ぐ。距離はおおよそ3メートル。視覚は封じられていようが、戦闘知識を活かした予測に寸分の狂いはなく――決して暗視能力がモノを言っているわけではない――、えいやっと振り被ったバットはスイカへジャストミート!

 ――無重力で棒を振れば、スイカに当たる。
 ――当たるとどうなる?
 ――知らんのか? 当てた方も吹っ飛ぶ。

 実戦闘においては暗器をよくよく使用しているクロト・ラトキエ(36歳)。だが本人申告によると、隠してない系の武器の扱いの方が得意ならしく。
 つまり、発揮されるパワーは相応。
「――というわけで、こうなるって知ってましたともー」
 そんな気はしてたんですよねーと。頭の中で響いた誰かの会話を反芻しつつ、クロトはスイカに与えたエネルギー相当量の反動を、我が身に受け止めた。イコール、軽く吹っ飛ぶ。質量がスイカとおんなじだったら、船外まで吹っ飛ばされてたかもしれない。
 よかったね、スイカより大きくて! 大きくて!!
 ともかく『人間』として物理法則の体現者となった男は、この後しばらく、誰に止められることなくスイカ割り会場をふよふよ漂うことになったとさ。
 他の参加者の凶刃――けっこう皆ガチだから――に巻き込まれないよう気を付けて♪

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャック・スペード


万鬼(f18596)と
目隠しをして西瓜を割るのか、了解した

万鬼の言葉を頼りに棒を振る、空振り
棒を振る、また空振り
棒を――、何故だ、何故当たらないんだ

ああ、無重力だからだな……
然し俺は勝つまで勝負を続ける男だ
無重力に負けてたまるか

片腕を機械竜、ハインリヒに変化させよう
此奴は暴食の竜なので、西瓜もきっと好きだろう
獲物を追う動きに合わせ、棒を振りおろせば或いは――

ハインリヒ? 何を口に咥えているんだ
まさか西瓜か、いや、食べては駄目だ
此れは割らないと意味がな……あー
万鬼、あとは任せた

アドバイスは不要らしいと見守って
西瓜を一刀両断とは思い切った事をしたものだ
西瓜は皆に振る舞えば、観客も喜ぶんじゃないか


紗我楽・万鬼

ジャックの兄貴【f16475】と!

宇宙で西瓜割りたぁスペースな方々やる事違いますね
スケールデカイですね宇宙だけに!

えぇー的が浮き動いてません?
兄貴右ですよ嗚呼左、否もうちょい上ですって
いやね嘘付いてませんよ此ればっかりは
なぁんで無重力でやろうと思ったんですかねぇ

来やした兄貴の必殺暴食狂いの機械竜!本日も格好いい!
って嗚呼ーそうなりますよね食べちゃいますよねー

じゃ次はあっしが!
目隠し目回し何でもござれ、行きやすよー
或れ、当たらな…あゝあもう!
御犬様西瓜の影抑えてて下さいよ!
後姉さん貸して下せぇやとひっこぬき
洒落臭えですよお前さんはと動けぬ西瓜を一刀両断
っしゃやりやしたよ!で、此れ食べるんです?



●猟兵だもの、スイカ相手でも手は抜かないしUC全開だし
 スイカ割りとは何ぞや。
 人間らしい娯楽に疎いジャック・スペード(J♠️・f16475)は、まずはそこから始まった。
 でも大丈夫。今日のジャックには心強い仲間がいる!
「兄貴、右右! 右ですって!!」
「ふむ、右だな」
「嗚呼、行き過ぎです。もうちょっと左……嗚呼、いや上、上! もうちょい上ですって!」
「此処か!」
 すかっ。
「兄貴、今です!」
「了解した」
 すかっ。
「ですから兄貴、今度は――」
 すかっ。
「兄貴――」
 すかっ。
 紗我楽・万鬼(楽園乃鬼・f18596)を信じて振った木刀は、華麗に空を切る。空を切る。空を切る。空を切る。空を切る。
 つまりスイカを捕らえる気配が全然ない。
「――、何故だ。何故当たらなんだ」
 いっこうに達せぬ目的に、ジャックの裡に焦りが芽生えたって仕方ない。しかしジャックはヒーロー。心強い仲間を疑いなんてしない。囃し立ててるだけだって思ったりしない。
「あああ、惜しい! ったく、なぁんで無重力で西瓜割り大会なんてやろうと思ったんですかねぇ」
 ――宇宙で西瓜割りたぁ、スペースな方々はやる事ちがいますね。
 ――スケールデカいですね宇宙だけに!
 なぁんて最初は喜んでた万鬼も思わずぼやいちゃってしまった通り、無重力なのだ。
 宇宙に生まれたジャックはちゃんとその意味を理解していた。
 無造作に中空へ放られただけの的が、ひとところに収まらないのは道理。ジャックが木刀をフルスウィングすれば、その圧だけでスイカはひょいっと逃げる。
 ――だが。
「……俺は勝つまで勝負を続ける男だ」
 そうだ。ジャックは諦めない男。自ら膝を屈さぬ限り、勝負は負けにはならない。あと粘っていれば、勝機だって見えて来る!
 的が動くなら、その動きを読み切れば良い。
「――餌の時間だ、ハインリヒ」
「おおっと、来やした兄貴の必殺暴食狂いの機械竜! 本日も格好いい!」
 ジャックの左腕が変じた機械竜に、万鬼は大喝采。けれどこの時、万鬼は既に結末を理解していたという。
 だってジャック、餌の時間だって言っちゃったもん。そもそもジャックが用いたのは『暴食に狂いし機械竜』という名を持つUC。
 ……そう、暴食。
 はい! 察しの良い方はもう気付いたでしょう。ハインリヒを見慣れた万鬼でなくても、数瞬後の未来を予想できたでしょう。
 ハインリヒ、手近な西瓜を追った。
 その動きでジャックは木刀を振り下ろす先を緻密に算出した。
 今度こそ、捉えてみせる!
 けれどジャックの木刀は、またも空を切った。
「嗚呼ーそうなりますよね食べちゃいますよねー」
 もしゃもしゃもしゃ。
「もしやハインリヒ――」
 もしゃもしゃもしゃ。
「待て、ハインリヒ」
 もしゃもしゃもしゃ。
「食べては駄目だ。此れは割らないと意味がな……」
 もしゃもしゃごっくん。
「あー……」
 悟りを開いちゃった感のある万鬼の台詞に、急ぎ目隠しを取るも、時既に遅し。そりゃあ、腹ペコ竜なんて出したらスイカは食べられちゃいますよねー。食べられたら、木刀も当たりませんよね!
「……すまない万鬼。あとは任せた」
「おまかせあれ! あっしが兄貴の分まですぱんとスイカを仕留めてみせやす!」
 然して選手交代。
 猟兵は一人で戦うことは少ない。誰かが敵を倒せば、全体的には勝利。負けにはならない――とそこまでジャックが考えていたかどうかはさておいて。
 兄貴分の仇を取ろうと華麗に中空へと躍り出た万鬼は、目隠し目回し何でもござれの余裕をぶちかまし、でも思ったようにスイカを捕らえられないのにさっくり痺れを切らし。
「あゝあもう! 御犬様西瓜の影抑えてて下さいよ!」
 早々と奥の手(UC)を使った。
 つらりつらりと語られた御噺から呼び込まれたのは、獄炎を纏う大型の黒犬。千破夜の名を持つ御犬様はわんわんスイカを追いかけ――ではなく、スイカの影を追い、取り憑き、本体であるスイカの動きを封じるのに成功した。
 したらば、後は簡単!
「姉さん貸して下せぇや」
 千破夜から齎される情報を元に目指すポイントを特定した万鬼は、千破夜に収められた黒い刀身を持つ大太刀を引っこ抜くと、
「洒落臭えですよお前さん!」
 動けぬスイカを華麗に一刀両断!
「っしゃ、兄貴やりやしたよ!」
「万鬼、実に見事。しかし一刀両断とは思い切った事をしたものだ」
 すぱんと真っ二つになったスイカに、ギャラリー達も快哉を叫び。おまけにとっても綺麗にカットされたスイカも振る舞われて、大歓喜。
 斯くしてジャック(+万鬼)の戦いは大勝利で幕を下ろしたのでした。めでたしめでたし!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
◎【雅】

ほう、女子力向上か
俺の女子力とやらも上がるだろうか?(器用にふわふわしつつ

スイカ割りか、塩は用意した
ユニ、茜、抜かりなく割っていこう

スイカの動き見切り
命中率重視【桜華葬閃】でスパンと割っていく
楽し気に漂っているところ悪いが、割らせて貰う(スイカと話す
無重力を逆に利用、ぷろふぇっしょなるな動きで桜花弁舞わせ割る(演出
…む、そこか
半分に二度割り、中央から放射線状に均等に斬る
そうすれば甘い中央部分も均等になるからな(雅なぷろふぇっしょなるスマイル

茜が対峙するのは、名のあるスイカ様…スイカ将軍だと?
それは強敵だ、助太刀しよう
ユニは大丈夫か?(西瓜抑え手伝う
これで女子力とやらも上がっただろうか?


ユニ・エクスマキナ
◎雅

スイカ割りすれば女子力が上がるだなんてユニ初耳!
女子力アップのために頑張るのねー!
で、スイカ割りって、どうやるの?
そっか、棒でスイカをパカーンと割ればいいのねー!
終わったらみんなで食べよう~!

二人ともスイカとお話できるなんてスゴイ!
これも女子力!
ん?雅力かな?

茜ちゃん、頑張ってー!
…え?スイカがいない!?なんでー?
見た目フツウなのに…このスイカそんなにスゴイの!?
清史郎くんは相変わらず雅なのね
よーし、ユニもここは気合をいれて挑戦!
(棒を握りスイカに向かって振り下ろす
…あれ?手応えないなー
あ!スイカが動いてる!?待ってー!
ちょっと清史郎くん、スイカ押さえてて!
茜ちゃんと!
ユニ、いきまーす!


御堂・茜
【雅】◎
本日は雅にスイカ割りを愉しみ
更なる女子力向上を目指しに参りました!
清史郎様、ユニ様、宜しくお願い致します!
確かに体が軽いような
無重力とやらはダイエットに効果ありですわ!

清史郎様、雅に割っておられて…流石です!
声援を受け、御堂も雅に!
我が愛刀を両の手で握り!
スイカ様…恨みはございませんが、お覚悟ッ!(盛大に外す

…あら?
まあ、あんな所へお逃げになって!
さぞ名のあるスイカ様とお見受け致しました…!
ユニ様も苦戦中のご様子…!
はいッ、ここは一致団結し
ぷろふぇっしょなるする時かと!

清史郎様の救援誠に有難くッ!
ユニ様、共にスイカ将軍を成敗です!
いざッ!
【完・全・懲・悪】!
これぞがーるず・ぱわーです!



●混ぜるな危険
 雅と言えば、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)。清史郎と言えば、雅。
 これ世の理にして、猟兵界の常識――かどうかは定かではないが。
 今日も今日とて雅な清史郎、目隠しなぞものともせずに、五感でふよふよ漂うスイカの動きを見切り、スパンスパンとスイカを一刀両断してゆく。
「閃き散れ、黄泉桜」
 裸の肩に羽織った艶やかな着物を翻し、蒼き刀の斬閃でスパン。
「楽し気に漂っているところ悪いが、割らせて貰う」
 スイカに語りかけながら――大丈夫、危ない人じゃない――、またスパン。
 無重力なことなど、雅な清史郎にとっては些末事。むしろ無重力であることを味方につけた雅な男は雅に中空を翔け、すっぱんスパンとスイカを斬り伏せてゆく。
「……む、そこか」
 閃く刃に、桜花が舞い散るのは視覚のマジックというかエフェクト。スイカを美味しく頂く為にマイ塩を持参した清史郎に、『ぷろふぇっしょなる』としての抜かりは皆無。
 真っ二つにしたスイカを、更に半分にし。綺麗に四等分にしたら、今度は中央から放射状にスパンスパンスパンスパン。
「こうすれば、甘い部分に偏りがなくなり、皆同じようにスイカを楽しめるからな」
 心憎い程の心配りは、まさに雅。誰が何と言おうと雅。雅っていったら雅(そろそろ『雅』がゲシュタルト崩壊しそう)。
 あんまりにも雅なもんだから、
「流石は清史郎様ですわ。御堂も負けてはおられませぬ! 女子力向上の為には、御堂も雅に!」
 ――御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)の心に変な火を灯す。

『本日は雅にスイカ割りを愉しみ、更なる女子力向上を目指しに参りました!』
 どーん。
 スイカ割り会場に足を踏み入れるや否や、ふわふわ綿菓子を思わせるような容姿とは裏腹な豪気さで茜は言い放った。
 ちなみに茜、マイナーとはいえサムライエンパイアの一大名である御堂家の姫君である。成程、雅と女子力を併せ持ちたいのも納得だ。けれども茜、女ながらに武士道に憧れ、UDCアースで識った『特撮』『スポ根』『勧善懲悪』に感銘を受けた末に、サムライサイボーグへの改造手術を受けちゃうような娘さんでもある。
 ――何が言いたいかというと。
「いつもより体が軽い気が致します。無重力とやらはダイエットにも効果ありとみましたわ!」
 思考回路が物凄く偏っちゃってるっていうか……あ、いえ何でもありません(お口チャック)。

「スイカ様……恨みはございませんが、お覚悟を!!!」
 然して目隠しされていようがされていまいが全く関係ない茜、ものすごい勢いで無重力空間を翔け、身の丈程の大太刀を超勢いよく振り抜いた。
 ――が。
「……あら?」
 力任せな一撃がふわふわ漂うスイカを捕らえようはずもなく。目隠しを取って状況を確認した茜の目には、圧に押されたスイカがすーいと泳ぎ去る様子が映る。
「まあ、あんな所へお逃げになって!」
 確かに捕らえたと思った一閃を雅に躱した――ように見える――スイカに、茜のジャスティスソウルが燃え上がる。
「さぞ名のあるスイカ様とお見受け致しました……! ユニ様!!!!」
「はい??」

 ここで時間を少し巻き戻す。
 【雅】の名に集ったのは、清史郎と茜の二人ではなく、ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)を加えた三人だった。
『スイカ割りすれば女子力が上がるだなんてユニ初耳!』
 けれど雅を極めちゃってる清史郎や、『世界平和』を座右の銘に胸で唱える茜と比べると、ユニの存在感はちょっぴり霞む――いや、最も常識人に近い。
『じゃあ、女子力アップのためにユニも頑張るのねー! で、スイカ割りってどうやるの?』
 とは言え、ユニと言えば型式遅れのポンコツ系バーチャル女子。いつもの赤いワンピースから、日曜日の朝が似合いそうな青を基調にした素敵な水着に着替えていても、処理能力は向上してないし、反応速度だって上がってない。
 ……とどのつまりが。まぁ、概ね想像通りデス。
『なるほどー。棒でスイカをパカーンと割ればいいのねー! ところで清史郎くんも茜ちゃんもスイカとお話できるの? スゴイ! これが女子力なのね!! ん? 雅力?? どっちでもいいけど、すごーい! ユニも負けないよー!』
 気合十分でスイカへ挑むものの、やる気は素敵に空回り☆
『スイカが勝手に動いてる!? 待って待ってまってー!』
 一生懸命に『スイカがあるだろう』って方向へ行っては、お手本のように空振りし。手応えがない事に首を傾げては、「次こそはー」と挑戦を重ねるものの以下略。
 茜から招集がかかった――もとい、声がかかったのはそんな時だったのだ。

「ここは一致団結する時かと!」
 共に参りましょう、という気迫漲らせる茜の誘いに、ユニは全力で乗っかった。
「ユニも茜ちゃんと一緒にスイカ割りするのー!」
「共にぷろふぇっしょなる致しましょう!」
「うん! ぷろふぇっしょなるする!! 清史郎くん、そのスイカ押さえてて! すごい名のあるスイカ様なのね!!」
「名のあるスイカ様? スイカ将軍だと?」
 ……最早多くは語るまい。
 茜とユニのタッグに、雅清史郎も助太刀に入った。
 きっとこれで女子力とやらも上がると信じて(その女子力が、茜やユニのものか、清史郎自身のものかは不明)。
「清史郎様、救援誠に有難くッ!」
 もやは目隠しどこ行ったの茜、愛刀を両手に握り無重力空間を流星のように直走る。
「茜ちゃんと! ユニ、いきまーす!」
 木刀を握り締めたユニもフルパワーを発揮して、茜に並ぶ。
 二人の目指す先には、清史郎に動きを封じられた――たんに捕まえられただけ――スイカ将軍(仮)!
 ここで皆さま、クエスチョンです。
 スイカの質量は清史郎と比べるとかなり小さいです。そんな小さな的へ、二人の猟兵が全力で突っ込んだらどうなるでしょうか!
「いざッ! 【完・全・懲・悪】! これぞがーるず・ぱわーです!」
「がーるずぱわーなのね!!!」
 答。スイカではなく、清史郎が吹っ飛びます。
 しかーっし、清史郎はあくまで雅。雅が貰い事故などするはずがない!!
 つまり猟兵渾身の一撃(ゆーべるこーど)を二つも浴び、専用の透明フィルムの中でスイカジュースになったのはスイカのみ!
 清史郎本人は雅に乙女二人の攻撃を躱していた。
 ありがとう雅。
 雅は世界を救うのだ。
 行け行け雅、人々の未来は雅の果てにある――かもしれない。
 あと女子力甘くみたらいけない。雅がどんだけ世界を救っても、その世界をぶっ壊すおそれが(以下自主規制)。

 結論。
 雅と女子力、混ぜるな危険。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸リル/f10762


スイカ割り!いいわね
無重力なのは初めてよ
ヨルみたいなアロハはリィとお揃い
黒の和柄の海パン、と今日は男の格好ね!
これはこれで似合うでしょ?
ヨルとお揃いのハートのサングラス?え、似合わない?

夏の風物詩なのよ、スイカ割り!
じゃ、リルがやるといいわ
人魚に目隠し
はい!あたしが案内してあげる!
スイカの場所を教えているのに
あたしの方にばかりくるのは何故かしら
ひゃ!違うわ!あたしじゃなくてスイカをかち割るのよ!
躱し時には白刃取り
悲鳴を上げる
あたしがスイカの方に行けばいい?!
ヨル、案内頼むわよ!

棒がギリギリの所をかすった棒がスイカを割る

リルの歓声に微笑み安堵
よかった……割られずに済んだわ


リル・ルリ
■櫻宵/f02768


相棒のヨルとお揃いのあろはしゃつ、を着せてもらった
櫻もお揃い
でもヨルとも同じ、そのはーとのサングラスは最高に似合わないので外して欲しい

櫻宵、すいかわり、て何
すいかは知ってる
斬るんじゃなくて割る?僕にもできるかな
夏、の風物詩らしい
僕も夏を楽しむんだ
……でもすいか泳いでるよ、櫻!
目隠しをして、くるくるまわされる
目が回ったし何処にあるのかわからない
櫻の声の方に……えい!…違う?
僕は君をかち割る気はないよ
見えない
櫻の声が頼りに進んでるのに
悲鳴はすれどすいかにかすらない
肩のヨルに頬をつつかれ
ヨルの案内通り通りに棒を振り下ろす

やった、割れた!
櫻、一緒に食べよう

何でそんなに疲れてるの?



●櫻と人魚withぺんぎんらぷそでぃー
 てちてちてちと桜柄のアロハを着たペンギンが中空を歩く。
 飛べない羽でぱたぱたと器用にバランスを取り、短い脚で空を踏み。
 器用なものだ――まぁ、ただのペンギンではなく、誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)がリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)の為に喚んだ式神なだからだが。
 余程、桜がお気に入りなのだろう。フラフープのようにお腹で抱えた浮き輪も桜柄だし、手(?)にしたSNS映え待ったなしの電球ボトルの中身も桜色から海色へ移ろう飲み物だし、頭に被った女優帽に結わえられたリボンにも桜飾りがついているし、ハートのサングラスにだってハートのチャームがついている。
 ――というのは、まぁ良いとして。
「櫻……そのはーとのサングラスは最高に似合わないので外して欲しい」
 櫻宵もリルも今日はペンギン――ヨルとアロハシャツはお揃い(櫻宵は黒の和柄の海パン付)。しかし流石に浮かれたハートのサングラスは、櫻宵にはキビシイというのがリルのお見立て&美的感覚。
「え、似合わない? せっかくの上から下までヨルとお揃いなのに!? リィとだってペアルックなのに!?」
「……それでもだよ、櫻」
「えーえーえー……でも、そうねぇ……リィがそこまで言うのなら」
 そんなこんなで、珍しく男の格好をした櫻宵。恋人のたっての願いを聞き入れ、サングラスをしょんぼり外す(正直、何が悪かったのかよく分からない)と、今度はいそいそとリルへスイカ割りの支度を整える。
 スイカ割りが何なのかを知らなかったリルは、勿論スイカ割り初体験。
 ――すいかを斬るんじゃなくて割る? 僕にもできるかな。
 櫻宵が教えた『夏の風物詩』にせっかくリルが興味を抱いてくれたのだ、ここは全力でリルにスイカ割りを楽しんで欲しいし、その為のサポートは一切惜しまない――はず、だったのだが。
 目隠しからの、無重力立体ぐるぐるを経て、いざ実践! 頼りになるのは櫻宵の案内だけ――と来たら。まぁ、うん、結果は知れたもの。
「ひゃっ!?」
「櫻、どうしたの?」
「リィ、違うわ! あたしじゃなくてスイカをかち割るのよ!」
「え? 僕は君をかち割る気はないよ」
 視覚も方向感覚も封じられたリルの木刀は、何故か櫻宵を掠めまくる。
 リル、唯一の標である櫻宵の声にだけ導かれているのだ。ぶっちゃけ、櫻宵の指示の内容はよく聞いていない。っていうか、スイカ割りの内容そのものを理解しきってないかもしれない。
 いや、もしかしたら。そこに櫻宵がいるから。それだけの理由かもしんないけど。
「リィ、右右、もう少し右よ」
「……ここ、かな? えいっ」
「ひぃっ」
 スイカではなく櫻宵の脳天を唐竹割りしそうな一刀を、櫻宵は寸でのところで白刃取り。
「リィ、もっと斜め上よ――あぁ、ちがう。そっちじゃなくて反対……あああああ(あきらめ)」
「わかったここだね、えいっ」
「ひぎぃ」
 真横に薙がれた一閃は、リンボーダンスよろしくアクロバティックな動きで緊急回避。
 その俊敏な動きの方に徐々に人々の視線が集まり、一撃躱す度に拍手喝采が起きる始末。
 だが、このままでは櫻宵の身が持たない。
「ヨル、案内頼むわよ!」
 あたしの方にばっかり来るのは何故かしら、なんて悩むのを止めた櫻宵。リルが櫻宵の声に引かれるならば、自分がスイカの方へ征け(not誤字)ばいいのだと、出来るだけ大きなスイカを、選び無重力空間を懸命に泳いだ。
「さぁ、リィ。スイカ(あたし)はここよ!」
 ――THE☆捨て身。
「ん? あれ? ヨル??」
 つんつんと頬を突いてくるヨルと、櫻宵の声を頼りにした人魚は、月光ヴェールの尾鰭で極光の軌跡を描き――、
「今よ!」
「わかった!」
 櫻宵の声を信じて渾身の一撃を振り下ろす。
 なおリルは知らない。その一閃が櫻宵の鼻先をぎりぎり掠めていたことを。むしろ前髪数本くらいもってっちゃったことを。そこまで櫻宵が身体を張ったことを。
 ってなわけで。
「やった、割れた! 櫻、一緒に食べ――何でそんなに疲れてるの?」
 目隠しを外し、スイカが割れていることにリルは歓喜し。
「――気のせいよ。良かったわね、リィ」
 その弾ける笑顔に櫻宵は安堵を微笑む。

 余談。
 『あたしも良かったわ……割られずに済んで』という極小を呟きを偶然聞きつけたギャラリーが、そっと涙を拭っておりましたとさ。
 良かったね。努力は必ず報われるってやつだ。多分!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千頭・定
【浮かれてんてん】◎

青い海!浜辺!無重力!
これで浮かれない方が可笑しいと言うもの。
正々堂々真っ向からスイカを割って見せますようっ

鹿糸さんだって絶対浮かれてます。
浮かれてなかったらバズーカ級な水鉄砲用意しませんもん。
鷲穂さんはしっかりスイカを割れてるか教えてくださいね。

無重力なら狙っても仕方ないので範囲攻撃です。
【怪力】を持ってしてアンカーを振り回します。
振り回していればいくつかのスイカは割れるという作戦です。あたまいい。

たまに強烈に痛い水鉄砲の一撃が来るのですが…目に水がっ
【激痛耐性】で耐えます。

なんか割ってる最中に、口の中にスイカの味が……
ともあれ。
どれだけのスイカを割れたのか楽しみですねっ


氏神・鹿糸
【浮かれてんてん】◎

定と鷲穂で遊びにきたの。
スイカ割りは初めてだけど…浮かれてないわ。
楽しみが抑えきれないだけ。
エレメンタルロッドを水鉄砲に変化。
水の精霊を呼んで、水[属性魔法]を宿した武器に。
準備は良いわ。

目隠しなんてルールあるの?知らないわね。
全力でいきましょう、素敵なあなた(スイカ)。
定に負けないよう、一つ一つのスイカを仕留めるわ。
あとから食べたいから、鷲穂は回収してちょうだい。

……飽きてきたわ。
スイカ割りから定への攻撃に切り替え。
あら、頑張るわねぇ。
攻撃の隙に、定の口へスイカを突っ込んでも良いわね。

疲れたら、鷲穂の背中に座るわ。
破壊し続けている定を追いつつ、スイカを楽しみましょう。


明石・鷲穂
◎【浮かれてんてん】で来たぞ。
※アドリブ絡みおまかせ

浮かれてるな。
無重力空間は久々だなぁ。
宇宙焼けが痛いし…俺はスイカが食べれれば良いからな。
背中の翼でバランスを取りつつ、巻き込まれないようにするぞ。

スイカ割りはこんなに怖いものだったか?
嬉嬉として巨大な錨を振り回してるから、普通に怖い。
定が破壊していったスイカを回収して食べることを楽しもう。
どんとん破壊していくから…周りの奴らにも分けてやるつもりだ。

鹿糸は…楽しんでるだろ、いじめるなよ…。
精霊まで呼んで本気か。

疲れたかぁ。
飲み物なら持ってきてるからな。
便利なお兄さんだろ。



●鷲穂は見た(♪ちゃ、ちゃ、ちゃーん)
 浮かれてないわ、とレースが翼のように折り重なるショールを肩に氏神・鹿糸(花の妖怪・f00815)は宣った。
 額にはサングラスを差しているし、腰に花を飾ったシックな青の大人ビキニを着ているけど、浮かれてないと宣った。
 エレメンタルロッドを変化させた特大水鉄砲――というより水バズーカ――を持ってるけど、浮かれてないと以下同文。
 えぇえぇ、浮かれていないですとも。
 初めてのスイカ割りにほんのちょっぴり楽しみが抑えきれないだけ。水鉄砲だってスイカを割るために持参したに過ぎない。そもそも水鉄砲なのだって、水の属性魔法を宿すのに相性が良さそうだったから(ここ推論)。
 ――しかし。
「えー、鹿糸さんだって絶対に浮かれてます」
 真面目・実直・素直が取り柄の千頭・定(浮かれ者の小唄・f06581)は、14歳の夏にぴったりなセーラーカラーのセパレート水着姿でキパっと言い切った。
 だってだって、青い海なのだ。浜辺なのだ。しかも無重力なのだ!
 太陽を模した照明から注ぐ光は肌をひりひりさせるし、再現された潮の香や波音だって臨場感満点。
 これで浮かれない方が可笑しい。
「そもそも浮かれてなければバズーカ級の水鉄砲なんて――」
 その瞬間、定と鹿糸と共にスイカ割り会場を訪れた明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)は、悪事を働く家主を目撃してしまったお手伝いさんよろしく、鹿糸が定めがけてバズーカをぶっぱしたのを見た。
「ちょっ、鹿糸さん急に何を!」
「あらあら大変。ごめんなさい? 本番前に試し撃ちしただけなのよ? 狙ってなんかいないのよ?」
 ……嘘だ、と鷲穂は思った。
 だが敢えて口は出さない。
 だって既に宇宙焼けしちゃった肌がちくちく痛いのだ。せっかくのご機嫌なアロハシャツも、衣擦れだけでちょっと痛い。しまった、どうして日焼け止めを塗らなかったのか。来年はきっちり準備しておこうと心に誓いながら、臨戦態勢の少女と女を遠目に眺める。
 そして鷲穂は暫く後に、『遠目に眺める』という己が選択が頗る大正解であったことを知る。

「正々堂々、真っ向からスイカを割ってみせますようっ」
 定は力任せに巨大なアンカーをぶんぶん振り回す。
 無重力だし。一つ一つ狙っても仕方ないし。範囲攻撃一択だし。思い付いた私、あたまいいし。
「鷲穂さーん、スイカを割った数。ちゃんと数えて、後で教えて下さいね!」
 ――あぁ、うん。
 定が破壊していったスイカを回収しながら、美味しく頂く――ギャラリーにもお裾分けして喜ばれている――鷲穂の銀の眼が遠く遠くへ馳せられる。
 スイカ割りってこんなに迫力満点で怖いものだったっけ?
 喜々として巨大錨を唸らせるものだっけ??
「あら、目隠しなんてルールがあるの? 知らないわね? 私、全力投球したいの。だから、ねぇ、素敵なあなた覚悟なさって?」
 鹿糸も鹿糸で、スイカ割りのルールを完全無視で、話しかけたスイカたちを一つ一つ水バズーカで仕留めて回っている。
「鷲穂、回収してちょうだい。あとから私も食べたいの」
 しかもちゃあんと後からスイカを美味しく召し上がる気満々で。
 ……何と云うか、女性陣っょぃ。圧倒的にっょぃ。故に鷲穂、しずしずと定と鹿糸の言葉に従う。もう幾つ目になるか分からないスイカの破砕総数をきちんと数えるし。鹿糸が後で食す分のスイカも確保する。
 そんな感じで、久々の無重力空間を鷲穂は背中の翼でバランスとりながら――定と鹿糸の攻撃に巻き込まれないよう細心の注意を払って――獣の下半身の四本足でパカラッパカラっと翔けて状況を見守り続け――……。

「定をいじめてやるなよ。楽しんでただろ?」
「……だってスイカってば的として面白味に欠けるんだもの。飽きてしまうのも仕方ないと思わない?」
「いやだからって、的にしなくても。あれはかなり痛かったと思うぜ」
「きっと大丈夫よ。定ってばちょっとは激痛耐性あるし」
「目、しぱしぱさせてたぞ」
「でもいじめてたばっかりじゃないわよ? ちゃあんと攻撃の隙にスイカを口に突っ込んだりもしたのよ?」
「今、いじめたって言ったな!? 攻撃って言ったな!?」
 疲れたと言う鹿糸を背(というか腰?)に、鷲穂は定のスイカ撃墜数を未だに数えていた。
 あと、出来る(便利な)お兄さんだから、持参した飲み物で鹿糸を労うことも忘れない。
「――それはさておき、定ってばいつまでスイカを破壊し続けるんでしょうね?」
「破壊……破壊……いや、鹿糸も精霊まで呼んで本気だったろ。浮かれてたろ」
「浮かれてなんかないわ?」
 誰の目にも浮かれていることは明らかだったけど、鹿糸、徹頭徹尾「浮かれていない」を貫いた。
 例え【浮かれてんてん】の名の元に集い、スイカ割りに参加していたとしても!
 ちなみに『てんてん』は定が作った定の居場所でありながら、鹿糸や鷲穂らのたまり場となった地の名だ。
 その鬱憤(?)を晴らす為だったかどうかは知らないが、この日一番のスイカを割った定は、後々、この船に言い伝えられる事になる。
 伝説のスイカクラッシャーとして。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蛍火・りょう

ふっ。夏の『びぃち』とやらでは、スイカを殴るものと
とうに調べは付いているんだ

つまり、ぼくの準備と予行練習は完璧と言う事さ
(無重力とやらはちょっと想定外だったけど)
残念だったなスイカども
大人しくこのスイカ割専用金棒の錆びとなるがいい!

纏めて【なぎ払って】しまってもいいが…
ぷかぷか逃げるなら、あえて威力を抑えた【衝撃波】で吹き飛ばすのも手か?
びゅーんと纏めて吹っ飛ばせば、他のスイカにぶつかって一杯割れる気がするぞ

あんまりやると仲間に当たってしまうか…
まぁ、一応は気を付けるけど
みんなスイカ割りに来てるんだし
ぶつかりそうになったら、何とかするだろ

うん、やっぱり気にしなくて良さそうだ
思いっきりいこう



●脳筋は脳筋なりに考えた
 淡いグリーンのオリエンタルなボーイレッグの水着に身を包み、蛍火・りょう(ゆらぎきえゆく・f18049)は内心で『ふっ』と鼻を鳴らした。
 ――夏の『びぃち』とやらでは、スイカを殴るのが鉄板である。
 一月以上前から、調べはついていたのだ。
 だから水着だって遠慮なく動き回れるものにしたし、お供にはバットを択んだ。
 そのバットから血が滴り落ちているように見えるのは、既に数回、スイカを叩き割ってきたから。
(「つまり、ぼくの準備と予行練習は完璧と言うことさ」)
 くははははは、と高笑いしそうになったのを、りょうはぐっと堪える。
 それは自分のキャラじゃない。りょうと言えば、あんまり表情動かない系。脳筋だけど。
 けれど脳筋ゆえに、戦意が漲るのは止められない。
「残念だったなスイカども」
 ほぼほぼ無表情で、りょうはふよふよ漂うスイカをねめつける。
 無重力だったのは想定外だったが、どうという事はない。だってスイカを叩き割ればいいだけだ。
「大人しくこのスイカ割専用金棒の錆となるがいい!」
 あ、バットじゃなかった。金棒だった。どの道、鈍器なことには変わりないけど(良い子の皆様へ。本来、バットは人を殴るものではありません。野球で使用するスポーツ用品です)。
 然してりょう、たくさんのスイカが漂う無重力空間へ、いざ出陣!
 ――しようとして、ふと気づいた。
 まとめて薙ぎ払ってもいいし。ぷかぷか逃げるなら、敢えて威力を抑えた衝撃波で吹き飛ばすのも手ではある、なんて作戦は立ててはいたが。
 ちょっと待て。
 あんまりやると仲間に当たってしまう気がする。
 ビリヤードよろしくスイカが玉突き事故を起こして、制御不能な事態に陥っちゃうかもしれない。
 果たしてそれでいいのだろうか?
 阿鼻叫喚の地獄絵図になったりしないだろうか?
 脳筋娘、一生懸命考えた。とってもとっても考えた。その間、およそ三秒。
 果たして結論や如何に!?
「まぁ、一応は気をつけるけど。みんなスイカ割りに来てるんだし、ぶつかりそうになったら、何とかするだろう」
 ――安定の脳筋デシタ!!
 斯くして脳筋娘は今度こそ、スイカの海原へ躍り出るように身を投じる。
 まずは思い切りよく薙ぎ払って。そこへ衝撃波で追い打ちをかけ。次々とスイカを小さな子供も美味しく召し上がれるサイズに割り砕いてゆく。専用の透明フィルムで覆ってなかったら、確実に爆散してただけだろうけど!
 ともあれ、りょうが通った後には小さな子らが群がり、きゃあきゃあ笑って年に一度の甘いスイカに舌鼓を打っていて。その歓声にりょうは勝手に納得する。
 やっぱり細かい事は気にせずに良さそうだ、と。
 思い切りいくのが一番だと!

 ――脳筋、万歳。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千波・せら


スイカ。
水着はないからそのままで楽しむよ。
ふわふわしててすごいね。
全部がふわふわ。
普通に割っても面白くないよね。
レプリカクラフトでちょっとした楽しみを仕込んじゃおう。

じゃーん。これは割ると紙吹雪が出てくるやつ。
こっちのはブザー音が鳴るやつ
こっちのは……なんだかとてもすごいやつ。
邪魔をしているわけじゃないの
盛り上げようと思って。

自分の番がきたらこっそり仕込んでおきたいね。
みんな楽しんでくれるかな。
楽しんでほしいな。
笑うのってよいことだもん。
ほら、ほら、えいえい!
適当に振っていたらスイカに当たらないかな?
当たるといいな。



●ふわふわ、きらきら、けせらせら
 どこかで誰かが割ったスイカから、色とりどりの紙吹雪が舞い散った。
 さらに別のところで割れたスイカは、激しいビープ音を奏でている。
 そして極めつけは、大人の男性がやっと抱えられそうな巨大スイカが割られた瞬間。ぱかりと大きな口を開けたスイカが、ばくばくばくと割った張本人を追いかけ中空をふわんふわんと泳ぎ出す。
「ふふ」
 予想外の展開に、お祭り騒ぎの人々らがきゃっきゃきゃっきゃと歓声を上げるのを耳に、ふわりと広がる袖をクリオネの羽のように揺らめかせ、千波・せら(Clione・f20106)は楽し気に笑う。
 面白スイカは本物のスイカではない。全てせらがレプリカクラフトで仕込んだ『罠』だ。
 でもでも、スイカ割りを邪魔しようとしているわけではない。
「ちょっとした、お楽しみ? いたずら?」
 全部がふわふわの空間。せっかくだから、もっともっと面白い事を。そしたらもっと笑顔が増えるに違いない。
 うふふ、くふふ。
 ゆらゆら、ふわふわ。
「ナイショね」
 新たな『スイカ』を仮初めの真夏へ解き放とうとした時、ぱちりと視線があった小さい子供へはパチリとウィンク。
「じゃーん。これはどっちでしょう?」
 重力がないのを良い事に、二つの『スイカ』でジャグリングしながら問えば、大人も子供も目を輝かせる。
 せらを中心に笑いの輪が、波紋のように広がってゆく。ゆらゆら、ふわふわ、広がってゆく。
「じゃ、今度は私の番」
「おねーちゃん、がんばれー!」
「ちゃんとスイカを割るんだよ」
 宝石の指先で手繰ったスイカ割り用の棒を手に、せらが『的』を目指すと、応援の声が飛ぶ。
「ほら、ほら、えいえい!」
 支えをどこにも置けない宙では、棒を振り回すのも一苦労。果たして見事スイカを捕らえられるかは神のみぞ知る。
 そしてこの日、運命の女神はせらへ微笑む。
 棒の先が何かを捕らえた感触に、せらは目隠しを外して満面の笑みを浮かべた。

 ――みんな楽しんでくれるかな?
 ――楽しんで欲しいな。
 ――笑うのってよいことだもん。

 優しい願いは、暑さにも負けず、青い空と白い雲――すべてはペイントだけれど――にきらきらと煌めく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリストフ・ポー
クラリス(f10090)と
開けちゃいけない扉かもだって?
超楽しそうじゃん
と、いう訳で僕も水兵帽のマリンルックで繰り出すよ

水着で無重力か
人は地上の誘惑からは逃れられない的な?
業深さを感じる話だね、クラリス?
Don‛t think. feel!
そうとも
指を見てちゃ銀河の果ては目指せないさ
とりあえず
ビーチバレーは一人じゃ出来ないだろう?
加勢して華麗なるスパイクを披露すると共に
鋼糸ちゃんでスイカもカットして差し上げよう♪
コツは上体を固定して
力をダイレクトに伝えることだ
その力学的なあれで僕自身にも回転が掛かるから
そのままスイカに突っ込んでしまえ!

カットはスイカツリーカットだぞ
さぁ、召し上がれ☆
【WIZ】


クラリス・ポー
クリストフお義母さま(f02167)と
下ろしたての水着はいつもより身軽でソワソワしますが
是なら私の身軽さがより活かせるかもしれません!
希夜さんは勿論、ウトラさんもいらっしゃれば
手を振って颯爽とされて素敵ですとお伝えします

業の深さ…難しいことは私には解りませんが
でもきっと、何処に居ても色々なものが
恋しくなるのかもしれませんね

義母さまがビーチバレーに向かわれるなら
私もお手伝いします!
泛ぶスイカを足場にぴょんぴょん跳ねて移動して
ブロックはお任せくださいニャ

折角割るなら甘くて美味しいスイカがいいです
足場にした際響きが重い物があれば
それを集中して割ります

割ったスイカは美味しくいただきますニャー
【SPD】



●ポーさんち列伝
 いつもの黒いシスター服には特別休暇を送り。真っ白なワンピースの水着に着替えたクラリス・ポー(ケットシーのクレリック・f10090)は、精緻なレースが施された裾をひらりと翻して一回転。
 下ろしたての水着はいつもより身軽で、ちょっぴりソワソワしてしまう。
 頭に飾った白詰草の花冠も、なんだかこそばゆい。
 でもでも、自分の身軽さを活かすにはこれが一番!
「水着で無重力か」
 長い尻尾で上手にバランスをとってくるんと宙返り、見知った顔へ手を振ったクラリスは、元の姿勢に戻ると同時に聞こえた義母の台詞にことりと首を傾げた。
「クリストフお義母さま?」
「人は地上の誘惑からは逃れられない的な? 業深さを感じる話だね、クラリス?」
 ネイビーカラーのフラップカラーの上着に、ショートパンツ。おまけに水兵帽をかぶったクリストフ・ポー(美食家・f02167)は、傍目にはまるっきり少年だけれど。その実、クラリスが『お義母さま』と呼ぶように、妙齢を遥かに通り越したご婦人。他人に間違われる事を愉しんでいる節さえあるが――それはそれとして。
「業の深さ……難しいことは私には解りませんが」
 義母の弁にむむむと眉間を寄せた娘は、暫しの逡巡の後に金の瞳を横に細めた。
「きっと、何処に居ても色々なものが恋しくなるのかもしれませんね」
「Don‛t think. feel! そうとも、指を見てちゃ銀河の果ては目指せないさ」
 型に嵌ってしまっては、人生はつまらない。
 まずは開けちゃいけない扉を開けにゆこうかと、クリストフはビーチボールを小脇に抱えて不敵に笑う。

 うにゃ、にゃ、にゃ!
 点々と漂うスイカをトントントンと蹴って、クラリスは無重力空間を自在に翔ける。
 翔けて、翔けて、ひと際高く跳ねて追いついたビーチボールを、肉球の手でていっと打ち返す。
 が、加えたエネルギーで小さなクラリスの体はふよふよ中空を漂う。その軌跡を口元に弧を描きながらクリストフは追って、仕留める為にビーチボールに狙いを定めた。
 捉えるのは真芯。いっそぐーパンチで殴りつける勢いで。だが拳なのには、理由がある。
「これで、どうかな!」
 渾身の一撃に、ビーチボールがしゅっと加速しクラリスの脇を抜けた。けれど上も下も右も左もない世界の『床』は遠く。地面につくより先に、飛び入り参加のレシーブがボールを拾う。
 そこから先は、あれよあれよの間に大人数が入り乱れてのビーチバレー大会。
「ブロックはお任せくださいニャ!」
 いつの間にかクリストフのサポートポジションについたクラリスがブロックに飛ぶ。そして再びのアタック態勢に入ったクリストフは、見極めた一点でビーチボールを――殴った。
 しっかりと固定された上体から、ダイレクトに伝わった力がボールに回転を加える。即ち、力学的なあれそれの関係で、クリストフもくるくる回り出す。そこに、グーだ。グーはグーでも、鋼糸を握る為のグー。
「さぁて、このまま鋼糸ちゃんでスイカもカットして差し上げよう♪」
 渾身の一撃の反動でぎゅるぎゅる人間糸巻き車になったクリストフが、スイカが沢山あつまっている地点を目指して滑空する。
 しゃしゃしゃしゃしゃ。
 動きは早過ぎて、目で追えない。何かが細かく刻まれる音だけが、想像力の頼り。けれど人々は、思い描いていたものの遥か斜め上をいくものに目を瞠った。
「スイカツリーの完成だ。さぁ、召し上がれ☆」
 どーん。
 そんな効果音をつけたくなるのは、おおよそ十玉のスイカから成るスイカの尖塔――まさにスイカツリー。
 赤い実の部分と緑の皮の部分のコントラストを活かしたそれは、目にも楽しく、挙句に絶対の美味しさが保証されている。
「はいはい、他にもスイカはいっぱいありますよ」
 口々に「凄い」を連呼しながら寄ってくる人々。すぐには近付けない人らへは、足場にしながら響きの重いモノ――つまりはよく熟れたもの――を見極めていたクラリスが、猫パンチで見事に割ったスイカをお裾分けしたりして。
 ひとりきりでは楽しめないことも、二人、三人、四人――いっぱいとなら、出来ることがある。ビーチバレーが一人ではできないのと同じように。
 ――なんていい話風に仕立ててみたが。結局のところは、
「スイカ、美味しいですニャ―」
「ああ、そうだね」
 夏のご褒美はそれに尽きて。世は泰平なり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ

ほう…『スイカ割り』とな
随分と攻撃的な催しであるが…うむ、悪くない
たとえ重力の失われた空間であれど
私の魔術で見事にスイカを切り分けてくれよう

魔方陣より召喚するは【暴虐たる贋槍】
柔くそよぐ風は鋭い刃にも成り得るでな
ふふん、私の手に掛れば動くスイカを狙う事すら造作もない
慣れぬ無重力故、我が魔術の反動もあってぐるぐる漂っているだろうがまあ些事だ、気にするな!
斯様な時こそオトナの冷静さを忘れてはならぬ
何より態勢を整っておらぬ状況においても華麗に標的を射抜いてこそ「ぷろふぇっしょなる」である
はっはっは、讃えてくれても構わんぞ!
は、何?滅茶苦茶偉そう?
此度は無礼講だ、それも気にするな!

*従者以外には敬語


ジャハル・アルムリフ

…果実を割る「ぷろふぇっしょなる」
ふむ、いわば職人か
習得できた暁には
我が主へ捧ぐ食事の腕も上がるに違いない――故

天地も知れぬ無重力
…否、つまり天地は俺が決めれば良い
【餓竜顕現】にて喚び出した竜を足場に
互いを支え、鏡映しに黒剣でスイカを薙ぎ払う
それと角と尾も使え、我が使い魔よ

そして、たとえ勘だけであろうと
美しき三日月の形を目指さねばならぬ
どうした餓竜、そのような不格好なスイカ
師へと捧げるに値せんぞ、もう一度だ

浮かび逃げるスイカを鷲掴み
逃げるな、果実の分際で
大人しく頂かれていろ
…む、少々力が入りすぎたか
証拠は隠滅しておかねばな――中々に甘い

スイカ共は口答えもせぬし
ふ、なかなか爽快ではないか



●ニアミス師弟の明日はどっちだ
 無重力。其は天地の理が消失するもの。天であってものが地となり、地であったものが天となり、或いは何れも何れでなくなるもの。
 ――ならば。
「天地は俺が決めれば良い――映せ」
 いっそ傲慢なまでに言い放ち、ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は半人の餓竜を己が足元へ召喚すると、足の裏と裏を合わせてすっくと立つ。
「征くぞ、我が使い魔よ!」
 ジャハルの裂帛の気合に、鋼の鱗を持つ半人の竜が黒き剣を構える。形状はジャハルが手する『ちかい』の剣と瓜二つ。されどサイズは比べ物にならぬ大振りな得物を、餓竜が無造作に薙いだ。
 いや、ただ薙いだのではない。
 ジャハルの動きをそっくり真似て、振り抜いたのだ。
 斯くして足元を境界に、鏡写しを成した二人は、一分の隙なく刃を振り続ける。
「角と尾も使え、我が使い魔よ」
 僅かの油断も慢心も妥協も許さぬ動きは、神域を目指す為の鍛錬か、はたまた強大な敵と相対する故か――……まぁ、なんだ、その。真実は、スイカを切ってるだけなんデスガ。
 いや、たかがスイカ。されどスイカ!
 ジャハルが目指すは果実を割る『ぷろふぇっしょなる』――つまりは、職人。見事その高みへ至ったならば、主と崇める人物へ捧げる食事の腕も上がるに違いない!
 全ては主の為。
 そう主の為!!
 だからジャハルは全力投球。全身全霊かけての、全力投球。目隠しで封じた視界を補うように五感を研ぎ澄まし、心の目でスイカを見る!
「甘い、甘いぞ。我が使い魔よ。スイカは美しき三日月の形を成してこそのもの」
「そのような不格好なスイカ、師へ捧げるに値せんぞ、もう一度だ」
「違う、まだだ。まだまだだ。切断面は輝くように滑らかに、しかしチャームポイントである種を斬るのは言語道断」
 あまりのストイックぶりに観衆までもが息を呑んで見守る。
 果たして彼は何処へ往こうというのか。いや、往っちゃいけない気がしないでもないが! ともかくジャハルは一心不乱。で、一心不乱過ぎて、元がスイカ割りだったことをちょっと忘れる。
「逃げるな、果実の分際で」
 熱中するあまり、つい目隠しを取ってしまったのはご愛敬。だがふよんふよんと漂うスイカをこれまた全力で追いかけ……。
「大人しく頂かれていろ」
 ――むんず。
「……む」
 全力中の全力で鷲掴んだ。もちろん、使い魔の方も。猟兵の全力だ。あとその猟兵の倍のサイズはあろうかという使い魔の以下同文。
 とどのつまりが、割った。っていうか、握りつぶした。ぐしゃあ。
 けれどそんな緊急事案にも、ジャハルは極めて速やかに対処する。
 誰の目にも留まらぬ勢いで、むしゃ。THE☆証拠隠滅。使い魔は丸呑みごっくん。
「――中々に甘い」
 何事もなかったように口の端を拭った男は、そこでふと気づく。
 スイカたちのなんと従順なことか。口答えはせぬし、ジャハルの鍛錬に付き合ってくれるばかりか、時に甘い幸せをくれる。
 嗚呼、なかなかにない爽快ぶり――と、思った刹那。聞こえた物凄い偉そうな高笑いにジャハルの背筋がぴーんと伸びる。

「ふふん、私の手に掛かれば動くスイカを狙う事すら造作もない!」
 ぐるんぐるん回転しながらアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)が笑う。
「刮目せよ、真のぷろふぇっしょなるとは如何なるものかを」
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 風を帯びた槍を放つ度、アルバは回る。ぐるんぐる(以下略)回る。とにもかくにも、回る。見物してる人々の目も回っちゃうくらいに、回る。千夜一夜の物語るのに似合いな水辺の装束を艶やかに翻し、ブルーサファイアからパパラチアサファイアへと色合いを移ろわせる髪を振り乱し(振り乱し)。とにかく回る。もうやめてってくらい、回る。
 そんなに回りながらも、アルバに焦る様子は微塵もない。
 操る魔力の反動で、自分も回転しちゃうくらい始めっから分かってた。
 足元が定かでないから、そのままふよふよ漂っちゃうってことも、分かってた。
(「斯様な時こそオトナの冷静さを忘れてはならぬ」)
 そうだ。アルバは十代くらいに見えるけど、中身は立派な五十路手前。こんなことくらいじゃ冷静さは失わない。
 何より不安定な態勢ながらも、華麗に標的を射抜いてこその『ぷろふぇっしょなる』。状況に左右されることなく、実力を発揮できるのが『ぷろふぇっしょなる』。
「はっはっは、讃えてくれても構わんぞ!」
 柔くそよぐ風は、時に鋭い刃ともなりえる。然してアルバは風を繰り、スイカをスパンスパンとカットしていく。もちろん、食べやすいサイズに整えるのも忘れずに。
 ――ほう……『スイカ割り』とな。
 随分と攻撃的な催しであるとは思った(攻撃的!?)。だが同時に、悪くないともアルバは思った。そして自分の魔術ならば、重力の失われた空間だろうとスイカ割りなぞおちゃのこさいさいだと思った。
 実際、アルバのスイカ割り(割り?)手腕は見事なもので。ランダムな攻撃のようでありながら、観客には一切の被害を出さず、スイカだけをカットしている。これぞぷろふぇっしょなるの見本のようだ。
 けど、回っている。とにかく回っている。ぐるぐるぐるぐる以下延々。ついでにものすごく高笑いしながら。
「は、何? 滅茶苦茶偉そう?」
 従者以外には敬語を崩さないはずなのに。
「はっはっは。此度は無礼講だ、それも気にするな!」

「……………………………」
 師父よ、それは開き直りというものではないか。
 喉元まで出かかったツッコミを、ジャハルはぐっと飲み込んだ。
 纏う装束の方向性は同じ乍ら、華の在り方が違うならばこうも違うというか――そういうことじゃ全然なくて(いや、外野的には限りなく似た者同志な気なしないでもないのだけど)。
 あれは、止めるべきか否か。そもそも声をかけるべきなのか、そうでないのか。
「――よし、職人への鍛錬を続けよう」
 いろんなことを棚上げにし、ジャハルも再びカットスイカの量産を開始する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『シェル・ウォーマシン』

POW   :    肉弾
【体当たり】による素早い一撃を放つ。また、【帰還用の推進剤を使用する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    フィンガー・ブラスター
【両手の指先から熱線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    姿勢制御システム
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●銀河帝国の残党が現れた!
 猟兵たちのぷろふぇっしょなるな仕事ぶりの甲斐あり、スイカ割りは大盛況。
 老いも若きも、男も女も。ビキニのお姉さんも、宇宙焼けしたお兄さんも。無邪気な子供たちも曲芸じみたぷろふぇっしょなるを肴に、向こう何年分になるかもしれない量のスイカを存分に味わっていた。
 ――が、その時。
 しゅっと開いた扉から、黒い何かが飛び込んで来た!
「おーい、新たなスイカの追加がきたぞー!」
「えー? 追加なんてあったっけ?」
「誰だよ、注文したやつ。流石に予算オーバーじゃねえ??」
「でも届いちゃったものは仕方ないでしょ」
 ……察しの良い君なら、もうお気づきだろう。
 宇宙船の皆さんが『追加されたスイカ』と思ったものが、銀河帝国の残党だということに!
 その名は、シェル・ウォーマシン。
 大砲の弾みたいなヤツで、ちょっと無理やりだけど、手足を引っ込めたら黒々としたスイカっぽく見えなくないこともない。
 きっと平素の宇宙船の皆さんなら、残党をスイカと見間違えることはなかっただろう。だが今日はあまりに沢山のスイカを見過ぎて、彼らの感覚も崩壊してしまっていたのだ!
 けれどこれはある意味チャンス。
 スイカ割りを継続するふりをしてシェル・ウォーマシンを倒せば、平和に過ごす人々は一切の恐怖を覚えず、彼ら彼女らの安寧が破られることはない。

 征け、猟兵たちよ。
 面白おかしい儘に――じゃなくて、人々に不安を抱かせることなく、銀河帝国の残党(その1)を撃破するのだ!!
蛍火・りょう

追加のスイカが来たか
ぼくはまだまだ殴れるぞ。任せろ

…ん?
この世界の住人たちがスイカって言ってるんだから、スイカだろう?
向かってくる気概があるとは、活きが良いスイカだな
きっと美味いはずだ

ならばぼくも、ここまでの鍛錬の成果を見せようか

(バット振り回し/UC発動)
このスイカ割専用金棒も真の力を見せる時が来たようだ
さぁ来い!

うん。我ながら見事にぶっ飛んでいったな
殴るなら拳が一番だが、このカキンという音は中々悪くない
ん?…この世界のスイカは花火にもなるのか?やるな

で、次はどのスイカだ?(バットぶんぶん)
次は…そうだな、この浜辺の端までぶっ飛ばしてやろう
さぁ、どんどん来たまえ
食べる時間がなくなると困る


クロト・ラトキエ

ひゅーるりー。
漂いながらね、思ったんです。『あっこれ死ぬぞ?』ってね。
だって方々で打撃音とか爆発音とかするじゃないですか?
だから命を守る為にとね、目隠しを取ったら――
(以上、回想終わり!)

水着ギャル(死語)が飛び込んで来るとかの方が良かったなー。
あーあーあー、スイカね。
そうそうスイカ。
ああいう体当って来るくらい活きが良いのが旬なわけよ。
黒ーく色付いて艶も良い丁度食べ頃の…

いや無理だろ(素)

ってーな事で、スペア眼鏡はいドーン。
猟兵のスイカ割り(?)すら泳ぎ抜けて来たんだからハイ今の僕無敵!(の気分で見切り)
鋼糸にUC。攻撃力上げて、

はい
くるりん


飛びたく無ければ巻いて斬れば良いわけです、解決!



●信じるものは救われる?
 けっこうな数のスイカを叩き割った筈なのに、りょうの体にはまだまだパワーが漲っていた。
 そして何より、待ち侘びていたスイカのおかわりだ。
「ぼくはまだまだ殴れるぞ。任せろ」
 ふんっと鼻息荒く、りょうは鈍器――違った、スイカ割専用金棒ことバットを肩へと担ぎ上げる。
「来い、スイカども! このぼくが相手だ」
 ……スイカ割り会場になだれ込んで来た黒光りするブッタイが、『スイカ』であることをりょうは疑わない。だってこの世界の住人たちが『スイカ』って言っているのだ。
 猟兵として様々な世界を渡り歩くりょうはちゃんと知っている。その世界には、その世界なりの常識とか文化とか、そーゆー個性があることを。
 だから、アレはスイカ。間違いなく、スイカ。郷に入っては郷に従え理論でスイカ確定。しかも向かってくる気概まであるのだ。活きの良さは折り紙付きだし、さぞ美味いことだろう!
 ん? スイカの鮮度を現すなら『新鮮』じゃないかって? そんなのりょうの知ったこっちゃない。
「さぁ来い! このスイカ専用金棒の真の力を味合わせてやる!」
 今こそ、ここまでの鍛錬の成果をみせる場面。気合十分、気迫も十分な万全態勢で、りょうは体当たりをしかけて来たこの世界のスイカ――と思い込んでるシェル・ウォーマシン――を、渾身のフルスウィングで迎え打つ。
 カっキーーーン!
 白球の真芯――もとい、漆黒のボディの真芯を捕らえられたスイカもどきが、いっそ清々しい迄の放物線を描いて飛んだ。場外ホームランの勢いで飛んで、壁に激突する間際に、爆散した。
「ん? ……この世界のスイカは花火にもなるのか――やるな」
 まるで真夏のどこかの野球場で聞くような爽やかな快音に、「うん、中々悪くない」と一人頷いていたりょうのテンションが、予想外の花火にますます上がる。
「で、次はどのスイカだ?」
 ぶぅんぶぅんとバットを唸らせ、りょうは新たな獲物に目星をつけるために視線を馳せた。
 どうせなら、ド派手に弾けるヤツがいい。狙い目はやはりデカいヤツだろうか? 何れにせよ、どんなスイカであろうとバットの錆――じゃなくて、この浜辺の端まで吹っ飛ばすことには変わりない。
「さぁ、どんどん来たまえ。食べる時間がなくなると困る」

「わーぉ」
 かっ飛ばされて、どかーんと木っ端微塵になる『それ』をクロトは遠い眼差しで見つめる。
 思い返せば、永遠にも想えた小一時間。
 ひゅーるりーと無重力空間を漂いながら――ずっと漂っていたんですか!? 誰にも止めて貰えなかったんですか!? 何処かに親切な人はいなかったんですか!? あぁ、いなかったんですか……っふ――クロトは思っていたのだ。
『あっ、これ死ぬやつだ』
 ――って。
 だって方々から打撃音とか爆発音とか、剣戟とか、してたのだ。
 それでもせっかくのスイカ割りだからって、ずっとずっと律儀に目隠ししてたのだ。けれども事態は悪化(!)の一途をたどるばかり。遂に命を守る為にと断腸の思いで(かどうかは知らない)目隠しを取った、ら、ば――。
「水着ギャルが飛び込んで来るとかの方が良かったなー」
 年齢詐称が疑われる古語を用い、クロトは「はあああああ」と盛大に溜め息を吐く。
「あーあーあー、スイカね。そうそう、スイカ。ああいう体当たってくるくらい活きが良いのが旬なわけよ」
 そして滔々と、ぶつぶつと、自分に暗示をかけるみたいに唱えた。
 そう、あれはスイカ。
 スイカなのだ。
 うん、スイカ。
「言うよねぇ。黒―く色付いて艶も良い丁度食べ頃の……いや無理だろ」
 ――あ。ダメだった。無理だった。思いっきり素でクロト、否定してしまった。
 いやね。無理はあるなぁって思ったんですよ(誰が、とかつっこんではいけない)。でもね、でもね、純粋なりょうは信じてくれたんですよ。言うじゃないですか、鰯の頭も信心からって。信じれば、尊いものになるんですよ。
「……なんか聞こえる」
 ――げふん。
「無理なものは無理です☆彡」
 宇宙の声か何かと交信したっぽいクロト、はいはいはいっとスペア眼鏡をどーんとかけて、臨戦態勢に入る。
 大丈夫、猟兵のスイカ割り(?)なんて超絶過酷な状況を、その身一つで華麗に(??)泳ぎ抜けて来たんだから(無傷とは言ってない。でも、せいぜい服の端っこが焦げてる程度だからたいした幸運である)。
 つまり、
「ハイ、今の僕無敵!」
 にこぱと笑うや否や、クロトは水の魔力――雰囲気的に――で攻撃力を上げた鋼糸を繰り始める。
 反動は既に身を以て体験済み。それを回避する為には――今、無軌道に飛ばされたら、生きて帰れない自信がある――弾丸オブリビオンの身体に糸を巻きつけ、ぷちっとやればいいのだ。
「これで万事解決ですね!」
 然して無敵クロト――信じているだけだけど。でも信じる心は大事。だからその心でアレがスイカであることも、
「それは無理」
 ……いけいけ、無敵クロト。頑張れクロト。追加スイカは、ちょっと気を抜けば余波を喰らうの待ったなしなくらい沢山あるぞー。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャック・スペード


引き続き万鬼(f18596)と

……随分と縦に長い西瓜だな
俺には磨かれた大砲にしか見えないが
観客が楽しんでいるなら黙っておこう

万鬼の噺はよく分からないのだが、もしかしてアレか
南瓜と同じで西瓜もまた、中身が詰まっていた方が良いという話……
ああ、そんな事じゃなさそうだな
騙りの邪魔をしないよう、再び黙っておこう

万が一残党から体当たりが飛んでくれば
お前達も邪魔をするなと、グラップルで受け止万鬼をかばう
損傷は激痛耐性で堪えてみせよう

ああ、さっきは結局割れなかったからな
もう一度、西瓜割りに挑戦させてくれ
召喚するのは電気を纏ったメイス
コレを棒代わりに振り下ろそう
勿論、怪力を込め全力で

――さて、覚悟はいいな?


紗我楽・万鬼

ジャックの兄貴【f16475】と!

えぇーお前さん等無理ありません?
否有りやすよ?黒皮西瓜
でも形がねぇ

良いですかお前さん等
西瓜ってのは夏に球形または楕円形の甘味を持つ果実を付けるんですよ
騙るならとことん騙りやしょうや手伝いますよ
今な噺を御用意しやしょ
とある割りと大きな西瓜がありやして
んでも中身が無くってねぇ。空っぽなんて美味しくないでしょ?
中身が欲しい甘味が欲しい。其処で丁度良い中身がお前さん等だ
かぱっと開けた口でお前さん等を中へ御招待
がっちり取込みゃ西瓜の出来上がり!
出られない?そりゃお前さん
中身が皮を破る西瓜なんて聞いた事無いですね

さぁ兄貴!西瓜ですよ!
今度こそカチ割ってやってくださいよ!



●今度こそ、自らの手(兄貴の手)に勝利を!
 まじまじと。まじまじと。宇宙船の人々が『スイカ』と言うものを、ジャックは見た。
「……随分と縦に長い西瓜だな」
 ありのままを口にして、首を捻る。
 ジャックは観客である人々と同じ宇宙生まれだ。そのジャックの目を以てしても、アレはスイカに見えない。というか、磨かれた大砲の弾にしか見えない――の、だが。
「――」
 ヒーローとして(ダークサイドだけど)人々の夢を、特に子供の夢を壊すわけにはいかないジャック、ぐっと口を噤む。
 観客が楽しんでいるのだ。それでいいじゃないか。ああ、それでいいのだ。
 ……良いのだ?
「いやいやいやいや、良かないでしょう?」
 どうやら万鬼にとっては良くなかったらしい。
 っていうか、うん。どうしたって無理がある。確かに、ボーリングの球みたいな黒皮西瓜ってのはある。真っ黒で、つやつやしたヤツだ。でも、形が違う。ちょっと違う。かなり違う。
「良いですか、お前さんたち」
 然して万鬼、何を思ったのか。シェル・ウォーマシン達をずらーりと並べて説教を始める。
「西瓜ってのは夏に球形または楕円形の甘味を持つ果実を付けるんですよ」
『?』
『??』
『????』
 そもそもどうして自分たちが『スイカ』だなんて呼ばれてるか理解していないだろう銀河帝国の残党さんたち、突然の講釈にきょとん。
 その隙を活かし、万鬼は自称『噺屋』の本領を発揮する。
 ――騙るなら、とことん騙すのが漢気ってもんです(シェル・ウォーマシンに性別の概念があるかはさておいて)。ええ、ええ、手伝ってやろうじゃないですか。
 さぁさ寄ってらっしゃい、聞いてらっしゃい。
 扇子をパチンとやる代わりに、両手をぱぁんと万鬼は打ち鳴らし。オブリビオンを招いての即席の一席を興じ始める。
「とある割りと大きな西瓜がありやして。んでも中身が無くってねぇ。空っぽなんて美味しくないでしょ?」
 立て板に水の語り口は耳に心地よい。知らず引き込まれたジャックは、ふと考えた。
 万鬼は何をかたろうとしているのか。もしかしたらアレだろうか。南瓜と同じで西瓜も中身が詰まっていた方が良いという話だろうか?
 いや、どうやら違うらしい。
 話が進むにつれ濃くなる『力』が顕現する気配に、ジャックは事の成り行きを見守る為に再び黙す。
 黙しながら、何が何だか分からない状況に痺れを切らして万鬼に突っ込もうとするシェル・ウォーマシンを、さり気なくぶちぃと握り潰し。沸き起こる衝撃までも掌の内に閉じ込めた。
(「兄貴、ありがとうございます」)
 少なくない痛みを覚えている筈のジャックの献身を横目に、万鬼は心の内で謝意を告げ、今は騙りの成就に専念する。
 そう。これはジャックの為にもなるもの。いや、今度こそジャックに特大の勝利を掴んでもらうための秘策にして奇策。
「中身が欲しい甘味が欲しい。其処で丁度良い中身がお前さん等だ」
 直後、万鬼の想像から創造された巨大スイカが無重力空間に現れた。中身が空っぽの皮だけのそれは、あっという間に事態を飲み込めないオブリビオンたちを丸呑みにする。
『!!!』
『!!!!』
『???!!』
 閉じ込められたシェル・ウォーマシン達が騒ぎ出す。しかし堅牢な檻はびくともしない。
「出られない? そりゃお前さん。中身が皮を破る西瓜なんて聞いた事無いですね」
 そして万鬼はけらりと一笑い。これにて愉快な騙りの噺は終い。
「さぁ兄貴! 西瓜ですよ! 今度こそカチ割ってやってくださいよ!」
 ――嗚呼、成程。
 そういう事かと理解したジャックは、掲げた片手へ電気を纏ったメイスを召喚する。
「万鬼、言葉に甘えさせてもらう。ああ、今度こそ見事に西瓜割りを達成してみせよう」
 でこぼこと内側から形を変えようとする巨大スイカを目掛け、ジャックは木刀の代わりに、殴られたら超絶痛そうなメイスを渾身の力で振り下ろす。
「――さて、覚悟はいいな?」

 どかーんと巻き起こった今日一番の花火に、観客は「たーまやー」「かーぎやー」の喝采を上げる。
 いい加減、危機感なさすぎじゃない? とか言っちゃダメだ。それだけ、猟兵たちの戦いぶりが宇宙船の皆々を魅せているのだ! ジャックも特大勝利をゲットできたし、皆も笑顔だし。それでいいよね!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎

夜彦(f01521)と

あーゆー西瓜あるよな
確か、その名もバクダン西瓜……
正式な名前は違った気がすっけども
今回の場合は違ってねぇのは、ぞっとしねぇや

飛んで火にいる夏の……虫じゃねぇけど
ま、いっか

拘束術使用

俺は学んだ
さっきのモノホンのスイカを皆が割ってんの見て学んだんだ

勢い大事!勢い・オブ・ジャスティス!

視野に入るバクダン西瓜共はぜーんぶ纏めて鎖で攻撃

鎖の攻撃とタイミング合わせて
華焔刀ですぱーっといく、すぱーっとなぎ払い!
刃先返してすぱぱーっと範囲攻撃!

鎖の攻撃か華焔刀の攻撃か判んねぇように!

後、夜彦の攻撃の時もタイミング合わせて鎖で攻撃しとくー

夜彦とは何度も共闘してっから
多分!きっと!大丈夫!


月舘・夜彦

倫太郎殿(f07291)と参加

スイカ……あれが、スイカ
いえ、此処の世界には此処の世界の常識と言うものがありますからね
少し納得がいきませんが……人々に混乱を招くわけにはいきません
倫太郎殿、行きましょう

先制攻撃にて敵の数が多い所へ駆け
早業・2回攻撃の併せにて抜刀術『陣風』にて斬り込む
これを繰り返し、数を減らします

倫太郎殿の様子が少しおかしいような
私もこれ等をスイカと思いながら戦うのは……いえ、迷いはいけませんね
彼のように勢いと覚悟を以て挑まねばなりません
刀で斬れるのならば、スイカであれ何であれ両断してみせましょう
いっそ6等分や8等分にも斬ってしまいましょうか?
私と倫太郎殿とならば出来ましょう



●勢い・オブ・ジャスティス!
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は堪らず呟いた。
「スイカ……あれが、スイカ」
「まぁ……確かに、あーゆー西瓜もあるよな。確か、バクダン西瓜とか、そういうヤツ?」
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の視線も定まらず。何かを探すように斜め上を仰ぎ、そういやそんなもんがどっかであったような気がするなぁー、と承認しがたい現実を無理やり自分に納得させる突破口を摸索する。
 そうだ、バクダンスイカ。
 それっぽいのが、確かにある。黒皮のつやつやしたヤツだ。
 いや、でも。ちょっと待て?
 バクダンスイカ?
「……今回の場合、違ってなくねぇ? むしろ言い得て妙じゃねぇ? ぞっとしなくねぇ?」
 はぁあ、厄介なことになっちまったもんだぜと頭を抱える倫太郎の傍ら。夜彦はようやくスイカショックから抜け出す。
 倫太郎のいう通り――若干、いやかなり(?)発言の主旨とは異なるかもしれないけれど――世界には様々なスイカが存在する。同様に、常識や概念も千差万別だ。
 不意の乱入者は夜彦にとって『スイカ』と呼べるものではないが、もしかするとこの宇宙ではアレを『スイカ』と呼ぶのかもしれない。
「――少し納得がいきませんが」
 ……いや、無理だった。夜彦、自分の説得に失敗。しかし納得はいかなくとも、『あれら』を野放しにしてはならない事は理解できる。
「倫太郎殿、行きましょう」
 故に夜彦はすらりと剣を抜く。人々を混乱に陥れない為に。
「りょーかい。ま、飛んで火に入る夏の……虫じゃねぇけと。ま、そーゆーことで」
 そして倫太郎も続く。
 なおこの時、倫太郎に変なスイッチが入っていたことを夜彦は後になって知る。

「勢い大事!」
 倫太郎、災いを縛る見えない鎖をぶんぶんぶんぶん振り回す。
「勢い・オブ・ジャスティス!」
 なんかよく分からないハイテンションで、鎖をぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん振り回す。
 ひときわ黒が密集してる場所で、ひらりひらりと鮮やかに刃を閃かせていた夜彦が「何事が……?」と振り返ってしまいくらい、ぶんぶんぶんぶん以下略。
 何故なら、猟兵たちのスイカ割りを見て倫太郎は学習したのだ。
 勢いが大事だと。勢いこそ正義だと。勢いがあれば、何でも何とかなるってことを!
 だから倫太郎は、ひたすら勢いで鎖をぶん回す。これでもかとぶん回す。えいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいと、ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん振り回す。
 夜彦を巻き込みかねない勢いだが、大丈夫。夜彦とは、もう幾度も共闘した仲だ。息は勝手に合う。多分!
 果たして、その目論見は――正しかった。
 いつも通りの戦場だったらダメだったかもしれないけど。ここは素敵無重力空間。夢が本当になる世界(言い過ぎです)。全ては夏のせい!
 更に倫太郎の勢いは、しっかり夜彦へも伝播する。
 最初は倫太郎の様子を訝しんだ倫太郎も、今度こそ自分の説得に成功したのだ。
「私もこれ等をスイカと思いながら戦うのは……いえ、迷いはいけませんね」
 ――私も、彼のように勢いと覚悟を以て挑まねばなりません。
 男らしい眉をきりりと吊り上げ、唇を真一文字に引き結び。冴え冴えとした容貌に、夜彦も『勢い』という火を灯す。
 もしかしたら開けてはいけない扉だったんじゃないか、なんて考えない。
 だってだって、夏だもの(夏、とんだとばっちりである)!
「刀で斬れるものならば、スイカであれ何であれ見事両断してみせましょう」
 倫太郎のぶんぶん(以下省略)から逃れたスイカ(仮)の中から、ついでにぶんぶん(以下同文)を掻い潜り、夜彦は自爆覚悟で倫太郎へつっこもうとしている個体を目指し、無重力空間を疾く泳ぐ。
「いっそ六等分や八等分にも斬ってしまいましょうか?」
「お、いーねー!」
「全て、斬り捨てるのみ――ですよ」
 そうして夜彦は一閃にして刹那の連撃を繰り出し。バクダンスイカ――ではなく、シェル・ウォーマシンを、爆発させずに見事な八等分に斬り分けてみせるのだった。どっとはらい……?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
清史郎くん(f00502)と!

はぁ~スイカ美味しい!
自分で仕留めたスイカがこんなに美味しいだなんて
ユニ初めて知ったのねー!
あれぇ?黒いスイカなんてのもあったんだー
新種かな?
はーい!スイカ割り、今度こそ雅に頑張るのねー!

きゃー!!
スイカ割りがしたいだけなのに、どうしてユニが追いかけられてるの!?
うわーん、清史郎くん、助けて!!
清史郎くんの背後に逃げ込んで、黒スイカにあっかんべ
ユニだって負けないんだから!
【Record& Play】で敵の動きをコピー
しゅしゅっと軽やかに空中をジャンプして移動!
見切った!いざッ!がーるず・ぱわー!

ところで清史郎くん
これ、どうみてもスイカじゃないと思うんだけどなぁ?


筧・清史郎
ユニ(f04544)と

自分たちで仕留めたスイカは美味だな(塩かけつつ
…ん?黒いスイカとは珍しい
ではユニ、黒スイカも割ってしまおうか(勘違いしたまま

む、黒スイカは少々気性が荒いようだ
先程の様に会話を試みても無駄そうだな
宇宙船の皆さんを守りつつ、ぱかり割っていこう
黒スイカが体当たりしてきても、ふわふわ見切り躱し、
再びぷろふぇっしょなるに一太刀、命中率重視【桜華葬閃】を見舞おう
数が多ければ、回数重視【桜華葬閃】を
ユニが黒スイカに追いかけられていたら扇広げ割って入ってかばい、刀で叩き斬ろう
「大丈夫か?黒いスイカは随分と活きが良いのだな」

何、これはスイカではない、だと?
確かに、美味しくはなさそうだ(じー



●後に筆者は語ったそうです、実に申し訳なかった――と。
「はぁ~スイカ美味しい!」
 不公平なく甘い部分が行き渡るよう配慮され尽くしたカットのスイカを両手に持って、あむあむと真っ赤に熟れた果肉を頬張るユニの顔は幸せいっぱい。
「自分で仕留めたスイカがこんなに美味しいだなんて、ユニ初めて知ったのねー!」
 どんな食材だって、やはり自ら手塩に掛けたものの美味ぶりは格別だ――仕留めたってのが、ちょっぴり物騒な気がしないでないが。
 そしてユニの感動は、
「ああ、自分たちで仕留めたスイカは美味だな」
 マイ塩をパパっと雅に振りかけながら、雅に種を避けて食べる清史郎も抱くもの。
 やっぱり『仕留めた』ってのが物騒な気がしないでないけど、ないけど。いや、うん、確かにスイカ割りとしては『仕留めた』なんだろうけどっ。スイカがふよふよ逃げてたから、『仕留めた』でいいんだろうけど。いいんだろうけど?
 ともあれ青春の汗を流しながら仕留めたスイカは絶品。しゃくりと歯を立てるだけで、口には甘い果汁でいっぱいになる。ちなみにどれくらい甘いかっていうと、夏の夜に外へそっと置いておいたら、カブトムシがいっぱい集まってきちゃうくらい。あとスイカ将軍で作ったジュースもとっても美味しかった。
 そんな感じで、二人がスイカを堪能している時だったのだ。
 追加のスイカが現れたのは!
「……ん? 黒いスイカとは珍しい」
 先に雅に目敏く気付いたのは清史郎の方。
「あれぇ? 黒いスイカなんてのもあったんだー。新種かな?」
 瞳の焦点をやや時間差で合わせたユニも首を傾げる。もしもこの時、ユニが電脳世界に溢れる情報と、追加のスイカの情報を照らし合わせていたら。それが『スイカ』でないことはすぐに知れただろう。
 だが、ユニは愛され系へっぽこ女子(褒め言葉です)。仕事はそんなに早くない。
 そして――。
「ではユニ、黒スイカも割ってしまおうか」
 清史郎もド天然だった(人を疑わないという良い意味で。雅だネ)!
「はーい! スイカ割り、今度こそ雅に頑張るのねー!」
 然して二人は新たなスイカを仕留める為に、再び立ち上がる――…………立ち上がった、のだけれども。
「きゃー!! スイカ割りがしたいだけなのに、どうしてユニが追いかけられてるの!?」
 立ち上がって1分もしないうちに、ユニは黒スイカ(仮)にめっちゃ追いかけられていた。
 おかしい。こんなはずじゃなかった。少なくともさっきまでのスイカとは一味違う。
「ユニ、気を付けろ。此度のスイカは少々気性が荒く、話も通じない」
 雅な剣閃で宇宙船の皆様を護る清史郎も、異変に気付いていた。
 先ほどのスイカ達は、『割らせて貰う』と語り掛ければ、素直に是を頷いてくれていた――と、清史郎は信じている――のに、追加のスイカ達はどれほど雅に語り掛けようとも清史郎を無視して、危険極まりない体当たりを仕掛けてくるのだ!
 危ないから少し控えるよう注意しても、全くの無反応。
 つまり全く雅を解さない! 挙句に、会話を諦めぷろふぇっしょなるに一太刀浴びせれば、甘い果実を捧げてくれるのではなく、宇宙船の皆さんに当たったら一大事になりそうな爆発を起こす。
 何かが、おかしい。
 明らかに、おかしい。
 け・ど・も!
「うわーん、清史郎くん、助けて!!」
「大丈夫か? 黒いスイカは随分と活きが良いのだな」
 飛び込んで来たユニを背中に庇う段に至っても、清史郎は黒スイカ(仮)がスイカであることを信じている。いっそ尊い迄の純粋さで信じている(なんだか申し訳なくなってきた)。
 でも、ユニは違う!
 迫り来る黒スイカ(仮)の大軍を、ばったばったと斬り伏せる清史郎の背中で、小憎らしい黒い奴らへ「あっかんべー」をすると、ようやく芽生えた理不尽へ抗う気持ちのままに、清史郎の前へと出た。
「ユニだって負けないんだから!」
 苺色の瞳で、ユニは今度こそじっと黒スイカ(仮)を見る。見て、見て、細部までくまなく見て、その動きを完コピする。
「ばっちり見ました! もう1回再生しちゃうのねー!」
 完コピついでに、動きを見切り。しゅしゅしゅっと軽やかに空中を多段ジャンプし、ユニが黒スイカ(仮)が密集したポイントへ飛び込む。
「いざッ! がーるず・ぱわー!」
 そして雅力ではなく、がーるずぱわーを炸裂させた。
 ――ちゅ、どーん。
「皆、俺の後ろに――閃き散れ、黄泉桜」
 巻き起こった爆風は、雅に紳士に皆々様方を背後に守り続ける清史郎が、手近な黒スイカ(仮)を連続で斬り捨てるエネルギーで相殺する。

 ちなみに。
「ところで清史郎くん。これ、どうみてもスイカじゃないと思うんだけどなぁ?」
「何、これはスイカではない、だと?」
 こんな会話が成されたのは黒スイカ(仮)がほぼほぼ全滅しかける頃。
 そうなのだ。よぉく観察しまくったおかげで、ユニはちゃんと気付いたのだ……!!!
「確かに、美味しくはなさそうだ」
 清史郎はまだまだ半信半疑っぽいけどね? けど視線に疑いが混ざり始めてたから――判断基準は美味か否かだったけど――きっと、きっと、きっと!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768


すいか、上手に割れて嬉しい
すいか割は楽しいね!
次は櫻の番
ヨルと一緒に応援してる
なんか変わったすいかだけど君なら割れるよ
僕がなびげと?をする

櫻!そこ、もっと右右左上、?
後、前―右斜め左上斜め下!
ダメじゃない頑張れ
随分とすばしこいすいかだ
でも当てれば壊せるはず
だって櫻はか弱くて力持ち
櫻、跳ねて下!左、前直進後退して右!
僕の指示に合わせ何故かヨルが踊ってる
きっと応援だ
僕も鼓舞をする

わ、危ない
すいかから君を守るため
歌うのは『魅惑の歌』
少し止まって櫻に砕かれて
ついに屠桜を…本気なんだね?
その力技は反則ではないかと思うけど、けど綺麗に割れればいい
カッコイイところを見せてくれ

ほら
そこ!


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762


リィには剣士の素質があると確信したわ
新しくスイカ?が追加されたことだし
次はあたしの番よ!
見てて王子様!ヨル!
何回か素振りして意気揚々
今度はかち割られる心配はない
リル、あたしをスイカまでナビゲートして頂戴

……えっ、は?……え??
ちょ
何その必殺技コードみたいなの?!ダメ!実行不能よ!
それがホントならスイカの機動力がヤバイ
待って
指示がハード!

でも愛しのリルに無様は晒せない
ヨルに舐められたら終わり
木刀を放り屠桜を抜く
根性で振り下ろすと同時に衝撃波を範囲拡げて放ち怪力と『壊華』で力ずくで割るわ!
リィの歌が響いてる
任せて!首を刈るように綺麗に斬って
いい所みせるわ!

砕けて!スイカ!!



●選手交代、されど櫻は人魚に踊らされる。
 すいか、上手に割れて嬉しい――と、リルはくるりくるりと中空を游いで歓びを全身で表す。
「すいか割り、楽しいね!」
 そう思わない? と尋ねられたのは櫻宵ではなく、リルにくっつきふよふよ漂い泳ぐヨルの方。
 むむむ、このままではヨルにリルの傍らのポジションを奪われかねない?
 そんな懸念を櫻宵が抱いたかどうかは定かではないが、恋人に歌姫としてだけではなく剣士としての素質があるのを確信した櫻宵は、きりりと表情を引き締めた。
「次は、あたしの番よ!」
 幸いにも、新しくスイカ(?)も追加されたことだし。
「見てて王子様! ヨル!」
 そういうわけで。メインジョブは陰陽師だけど、戦い方は専ら剣豪であることが多い気がする櫻宵。今度こそは本領発揮しようとリルの手から木刀を譲り受け、桜柄のアロハシャツをひらりと翻す。
 ぶんぶんぶん。
 素振りで確かめた得物の感触は上々。重く過ぎず、軽すぎないこれならば、きっと良い仕事ができるだろう。
「リル、あたしをスイカまでナビゲートして頂戴」
「え? 僕がなびげと?」
「そうよ。あたしを勝利に導いて」
「――わかった!」
 そんなこんなで、櫻宵は意気揚々と目隠しする。
 大丈夫、今度は大丈夫。
 リルがナビゲートしてくれる限り、櫻宵はどこまでだって強くなれる。あと今度はカチ割られる心配はないし――なんて思ってた時もあったんです。
 しかーし、現実はスイカほど甘くはないのだよ!!!

「櫻! そこ、もっと右右左上、?」
「はい?」
「後、前―右斜め左上斜め下!」
「……えっ、は? ……えええ????」
 ――なんじゃそりゃ。
 もとい、何それ。どんな必殺技コマンド!? まるで相手を嵌め技で仕留めるまでの一分の隙も許さないようなリルの高速ナビゲートに、櫻宵の頭は完全に混乱した。否、混乱してなくても、明らかに実行不能。人間の反射速度を遥かに凌駕している。
 けれどもリルの熱血ナビゲートは止まらない!
「ダメじゃないか頑張れ」
 いや、ダメですって。
 訴えたい気持ちを、櫻宵はぐぐっと堪える。だってだって、愛しのリルに無様は晒せない。それにヨルに舐められたら終わりだ(あ、やっぱりちょっと気にしてた)。
「随分とすばしこいスイカだ。でも当てれば壊せるはず!」
 よよいの、よい。そーれ、よよいのよい。
 自分の指示にあやしいおどりを踊っているように見える櫻宵を、リルはそれでも懸命にナビゲートし続ける。
「だって櫻はか弱くて力持ち!」
 褒めてるのかそうでないのかよく分からない励ましを交えつつ、人魚は声を張る。
「櫻、跳ねて下! 左、前直進後退して右!」
(「ああああああもううううう、わかったは、きっと機動力に優れたスイカってことね。ええ、そうね。そうなのね。だってリルがそう言うんですもの、ですもの!!!」)
「櫻、頑張るんだ!! 僕も全力で応援する!!」
 櫻宵の中の悟りとかアレソレとかを推しはかる余裕はリルにもない。なぜならリルのナビゲートはこの上なく正しいのだ。気を抜けば、素早いスイカ(仮)の動きにリルの動体視力だって追いつけなくなる(かもしれない)。
 嗚呼、そうだ。
 櫻宵のあやしいおどりだって、僕を応援するものかもしれない。きっとそうだ、そうに違いない!
 ――美しい勘違いを重ね、リルは決断する。
 自分の全力で以て、櫻宵をサポートしようと。櫻宵に見事スイカを割って貰おうと!
「何を見ているの どこを見ているの 何を聴いているの――……」
 そうして美しくも高らかにリルが歌い上げるのは、魅惑の歌。奇跡のように澄み切った透徹の歌声で、敵の動きを一時的に封じるもの。
 その歌声に応えるように、櫻宵も木刀を捨てて愛刀――屠桜を抜く。
(「ああ、ついに屠桜まで。君は本気なんだね……」)
 肌を泡立てるような櫻宵が放つ殺気に、リルは天に祈った。どうか、どうか。櫻宵にスイカ割りを成功させて下さい、と。
「櫻、カッコいいところを見せてくれ――ほら、そこ!」
「任せて、いい所をみせるわ! 砕けて! スイカ!!!!!」

 ここから先を綴るのは、きっと野暮というものだろう。
 だが物語はハッピーエンドが良いに決まっている。つまりは、そういうことさ。
 深く深く想い合う恋人たちに、スイカの甘い祝福を!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラリス・ポー
クリストフ母さま(f02167)と
……赤はスイカっぽいですけど
だいぶ違いますニャ
宇宙船の皆さんがお疲れなのではないかと
ちょっぴり心配になりながら
でも、細かなことが解らないぐらい
夢中になれるということは素敵なのかも…と頷きます

征きましょう、クリストフ義母さま
あ、はい!じゃあ私が…
えぇっと、何でしょう、兎に角頑張りますニャっ!

これは元気のいい
ぴちぴちのフレッシュなスイカなんだ…
そう信じられるよう、自分にも言い聞かせ
ダンスを踊るように駆け抜けて闘います
それはそうと黒いスイカを初めて知りました
甘いのでしょうか?

クリストフ義母さまが隙を作ってくれたら
すかさずジャッジメント・クルセイドで
ピカッと天罰です


クリストフ・ポー
クラリス(f10090)と
これ(大砲の弾みたいなヤツ)がスイカに見える…?
ははぁ、この宇宙船もだいぶキてるね
それでこそお祭りだ、活気があって大変宜しい♪

なら僕達も征こう、クラリス
トランクからアンジャリカを取り出して
今度は僕がリベロをやるよ!と、微笑みかけて駆け出す

演技は得意さ
人は信じたいものを信じる
時と次第によっては事実に勝る真実
僕等がスイカと思い切れるなら、
飛び交うロケット・マンも立派な黒スイカだ
Open Mind, 心の目で視ろ!
ってね

飛んできた黒スイカを
オペラツィオン・マカブルで受ける

成功失敗は五分だ
でも、僕にはこんなに可愛い娘と、自慢の花嫁がいる
未来は明るいと、信じない訳がないだろう?



●Open Mind, 心の目で視ろ!
「これが、スイカに見える……? ははぁ、この宇宙船もだいぶキてるね」
 否定とも肯定とも判断のつきにくいクリストフの声を耳に、クラリスは半分くらい口をぽかんと開けて、目はまんまるにした。
「……た、確かに。赤はスイカっぽいですけど。だいぶ違いますニャ」
 新たにおかわりされたスイカ(仮)と、先ほどまでのスイカを記憶の中で重ねたクラリスの小さいけれど大きな心に、むくむくと懸念が膨れ上がる。
 この宇宙船の人々は大丈夫なのだろうか?
 もしかしてとてもとてもお疲れなのかもしれない。
 ――けれど。
「それでこそお祭りだ、活気があって大変宜しい♪」
 クリストフが下した結論と、それを裏付ける軽やかな笑い声にクラリスも思い直す。
 そうだ。
 細かなことが――現実問題、決して『細か』とは言えないかもしれないが。そこはケット・シーの寛容さで目を瞑る――解らなくなるぐらい、夢中になれるということは素敵なの、か、も……かも。
「そう思わないかい?」
「はい、クリストフ義母さま」
 ともあれ釈然としないものは夏の勢いでぽいっとして、クラリスもクリストフに従順に是を唱える事にした。しからば、全ての問題は解決。
 ――Don‛t think. feel!
 感じた儘に、カオスな夏に二人も飛び込むのだ!
「僕等も征こう、クラリス」
 言うが早いかクリストフはトランクを引っ張り寄せて、麗しい白の花嫁人形――アンジェリカを取り出し、極上の笑みをクラリスへ向ける。
「今度は僕がリベロをやるよ!」
「あ、はい! じゃあ、私が……」
 私が、私が、私が?
 はて、リベロとは何だろう。ん? ん? ん?
 クラリスの脳内には新たな疑問符がずらりと並ぶ。が、その間にも黒いスイカ(仮)は好き勝手に暴れ出しそうな雰囲気だ。だから、クラリスは一切の疑問を「ないない」する。まさに『Don‛t think. feel!』の精神で。
「と、兎に角頑張りますニャっ! 征きましょう、クリストフ義母さま」

 スイカを名乗るなら――決して本人たちが名乗っているわけではないが――ぜひとも引っ込めたままにしておいて頂きたい指先から、黒スイカ(仮)がジュッと熱線を放ち。また別の個体は、無重力空間を我が物顔で縦横無尽の限りを尽くす。
 だが、
(「これは元気のいい……そう、ぴちぴちのフレッシュなスイカなのです。そうだっていったら、そうなので、すっ」)
 そう懸命に自分に言い聞かせているクラリスの動きだって負けてはいない。くるん、くるん。ぴょん、ぴょん。ワンピース水着の白い裾をひらりと躍らせ、尻尾でバランスをとりながら。小さな少女も、空を自在に踊る。
 成程、信じることを力に変えようとしているのだろう(だってスイカなら、比較的簡単に割れるものだから)。
 そんな義娘の様子に、クリストフはくつりと喉を鳴らす。
 人とは、信じたいものを信じるもの。時に、自分をも騙す為に、演技する生き物。
 クリストフ自身、演技にはそれなりの自信がある――上等だ。
 時と次第によっては、事実に勝る『真実』。自分たちがスイカと思い切れるなら、飛び交うロケット・マンも『(仮)』が取れて、真実、立派な黒スイカになるのだ。
「そうさ、あれは黒スイカで間違いない。Open Mind, 心の目で視ろ! ってね」
 クリストフの林檎のような赤を含む茶の瞳が、きらりと煌めく。そしてクリストフの愉快な心地の儘に十の指は音楽を奏でるように飛んで、跳ねて、自由に動き、アンジェリカを美しく躍らせる。
 無論、ただ躍らせているわけではない。
(「成功失敗は、共に五分だ」)
 ここだ、と決めた地点でアンジェリカの動きが止まる。同時に、クリストフは全身の力を抜いた。
(「でも、僕にはこんな可愛い娘と、自慢の花嫁がいる」)
 晒された無防備に、黒スイカが指先を向けてくる。放たれるのは熱線だ。当たれば痛いだろうか? いや、アレは所詮スイカなのだ。何ら問題はない。
(「未来は明るいと、信じない訳がないだろう?」)
 くすくす。クリストフはあくまで余裕を笑い、黒スイカの(言い切る)一撃を受け――くるりと反転させた。
 無効化に成功した一撃のエネルギーが、アンジェリカより排出される。万全を期した位置取りゆえ、黒スイカがそれを躱すことは不可能だ。
「クラリス!」
「はい、お任せ下さい!」
 義母が作ってくれた絶好のチャンスに、クラリスが跳ねる。そうして辿り着いた黒スイカの直上で、少女は愛らしい肉球の指を突き出した。
「ピカッと天罰です!」
 文字通り、クラリスの指先がぴかぁと光り。まるで熱線のお返しみたいな光線となって、黒スイカをぴっと貫く。
 どごーん、と起きた爆発は花火にも似て。観客たちに、また新たな笑い声を立てさせる。
 ……本当に呑気な人々だ。こんなんで本当に良いのだろうか?
 しかし今度はそんな心配はクラリスの裡には湧いてこない。何故なら少女の心は、実在を初めて知った(本物の)黒スイカのお味への興味に占められていたから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と
…師父、目を回してはおらぬか

生意気にも斬り応えはありそうだな
幸い準備運動は終えている
師の言葉に頷き
承知した――来い

黒剣を構え、飛来したところを
【竜墜】で殴りつけ方向転換
行ったぞ師父、決めろ

うむ、これぞ我等の連携が成せる技
だが――敵はスイカの如く大量である
ゆくぞ師父、もう一丁だ
そして次、さらに回転を加えて次を
時には曲線描く軌道を織り交ぜて
美しき火の花
うむ、それでこそ我が師よ

打ち、爆破する度に吹き飛びはするが
翼があればどうという事も無い
運動の水分補給ならスイカもある
…は、なんと良き修練場か

そろそろ師の回転を止めてやらねばなるまい
等と気が逸れた一瞬に
不覚にも手元が少々狂い


アルバ・アルフライラ

ジジ(f00995)と
戯け、この程度で根を上げる様な鍛え方はしておらんわ
お前も確と準備は整えたであろうな?――ならば重畳
食えぬスイカなぞ其処らに転がる石塊以下故
さっさと爆散させるぞ

然し、民に被害を与える訳にはいかぬ
最小限に留める為には、極力敵を狭い範囲に集め倒すべきか
…よしジジ、妙案が浮かんだぞ
彼の黒いスイカ共を思い切り此方に投げつけよ

強く打たれた黒き弾丸
ジジめ、本当に遠慮せんな――だが、甘い
高速詠唱で召喚した【愚者の灯火】
敵に炎をぶつける事で一つ一つ撃墜
よっ、はっ、ほっ
ほれほれもっと寄越してこんか
…っと、此処が未だ無重力である事に留意せねば
まあ多少視界が回ろうが空中戦は得意故何とかなろう!



●ピッチャー、ジャハル。バッター、アルバ。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
 ぐるんぐるんぐるん。
「……師父、目を回してはおらぬか」
「戯け、この程度で根を上げる様な鍛え方はしておらんわ」
 よーやく腹を括ったジャハルがかけた言葉に対するアルバの第一声は、安定のアルバ(not誤字脱字)だった。
 おおおおお、さすが師父。ぐるんぐるんぐるんぐるん(以下延々)回り続けていても、スイカや観客の事のみならず、周囲の様子は余さず把握していたらしい。つまりジャハルが『気付かなかった』ことにしていたら――いや、怖い想像はやめておくことにして。
「お前も確と準備は整えたであろうな?」
 アルバの『否』が返る事を予想していない問いに、ジャハルは無言で『是』を頷く。でもそれは相変わらずぐるぐる以下略アルバに対しては、ほんのちょっぴりでも目が回っていたら拾いそびれそうな返事だ。しかし、アルバはアルバで、アルバだった。
「――ならば重畳」
 回転中だから表情の変化とかは非常に捉えにくいが、多分「ふん」って感じで笑ったアルバ、そのまま従者兼弟子に言い放つ。
「食えぬスイカなぞ其処らに転がる石塊以下故、さっさと爆散させる――」
 ……言い放ちかけて、ふと止まった(回転は止まっていません)。
 スイカと違い、相手は一応(一応)銀河帝国の残党兵。つまりはオブリビオンだ。うかつなことをすれば、平和を謳歌している一般の皆々様に被害が及んでしまう可能性は零ではない。
 ならば、どうする。
 アルバは聡明な頭脳までフル回転させて考えた。
 爆発のエネルギーを最小限に止める為には、如何すれば良いか。極力、敵を狭い範囲に集めて倒すのが得策なのではあるのだろうが――……!(ぴこーん)
「……よしジジ、妙案が浮かんだぞ。彼の黒いスイカ供を思い切り此方に投げつけよ」
 極めて簡略化された指示は、普通の人間ならば「は?」とか「で?」となったかもしれない。が、そこはジャハル。
「承知した――来い」
 すぐさまアルバの意図を察し、黒翼で空をかけ、シェル・ウォーマシンの群れへ飛び込むと、おもむろに黒剣を構えた。
 そして、全力で振り被って――かきーん! ユーベルコード込々の全力で、スイカに似てスイカ非ざるものをかっ飛ばす。
「行ったぞ師父、決めろ」
 真夏の青空に映える白球宜しく、シェル・ウォーマシンが飛ぶ。アルバ直撃コースで飛ぶ。
 その速さは元の速度を遥かに超えて。宇宙慣れした残党兵すら目を回すほど。しかし、アルバが揺るがない。
「ジジめ、本当に遠慮せんな――だが、甘い」
 ふふん――と、今度こそはっきりと明らかに、アルバは笑い。笑いと共に、無数の炎弾を展開させた。そしてそのうちの一球を迫るシェル・ウォーマシンへ投じ、撃墜せしめる。
 ちらちらちら。火の粉が花火のように散る。それにまた観客たちは大喝采。
 その様子にジャハルも満更でもなく。これぞ我等の連携が成せる技と胸を張り。だがまだまだ大量の、それこそスイカ並に居る敵に気を引き締める。
「ゆくぞ師父、もう一丁だ」
 かきーん!
 ジャハルが、打つ。
「よっ」
 アルバが炎弾で、撃ち堕とす。
「まだだ」
 かきーん!
 今度は回転を加えた変化球で、ジャハルが打つ(というか、投げる)。
「はっ」
 余裕の体でアルバが炎弾以下同文。
「次だ」
 かきーん!
 先ほどはスライダー気味に行ったので、今度はカーブ気味にジャハルが以下同文。
「ほっ」
 アルバ略。
「まだまだ」
「ほれほれもっと寄越してこんか」
「ならばこれでどうだ」
「甘い甘い!」
 ジャハルとアルバが、美しい火の花を咲かせては散らし、また散らせては咲かせる。
 当然、互いに反動がないわけではない。回り続けているアルバの軸はぶれぶれにぶれているし――空中戦の応用で制御はしてる――、派手に吹き飛ぶこともあるジャハルは都度、翼を羽搏かせてピッチャーマウンドのポジションを死守しているのだ(途中に混ざった野球用語は断じて間違いではありません)。
 運動量は、ジャハルの方が多い。されど回転してない分だけ自由が効くジャハルは、喉が渇けばスイカで水分補給が出来る。環境的にはこの上なく恵まれた修練場だ。だがアルバはどうだ? 僅かも休まず、かつ回り続けながらも、全力のジャハルに余裕をもって(と、ジャハルの目には見えている)応えている。
 さすがは我が師。偉そうにしているだけのことはある――じゃなくて、事実、師父は偉いのだ。うん、そうだとも。
 ――なんて事を考えていたジャハル。そこでふと気付いた。アルバはずーーっと回り続けているけれど、回り続ける必要はないんじゃないかって。そりゃあ、反動で回ってしまうのは仕方ないけど。別に、止めないままでいる必要もない、と。
「あまりに過ぎると、流石の師父でも目が回ってしまうだろう」
 それは師父を畏れ敬う男の、実直さであり優しさであり、気遣いだった。
 DA・GA・SHI・KA・SHI!
 気遣いは余裕があって始めて生まれるもの。つまり瞬間的にジャハルの意識はシェル・ウォーマシンから逸れた。
 逸れたらどうなる?
 コントロールが狂う!
「……しまっ、」
 …………。
 …………。
 …………。
 …………。
 …………。
 …………。
 …………。
 …………。
 この直後に起きた出来事を綴る言葉を筆者は持たない。
 ただ一言。辛うじて、紡ぐならば。
 ジャハル……生きて。大丈夫、アルバだって本気で報復なんてしないよね!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

重松・八雲
◎【白】
儂とした事がこの一大いべんとに出遅れるとは一生の不覚!
――と思いきやおかわりとな!太っ腹だのう!
よしきた任せよ、こう見えてスイカ割り(意訳:何か盛大に破壊したり崩壊させたりするの)は得意中の得意故!
(それはもう無邪気な笑顔と精神で、勢い良く頂きます!(?)と手を合わせ)
――いざ参る!

ふははそれにしても活きの良いスイカ達だのう!
腕が鳴る!
(UCで素早く飛びつつ、人々に向かうスイカを片っ端からぐーぱんで吹き飛ばしたり刀でしゅばばっと捌いたり――唐突にわしっと掴み、視線が迷子な伊織へぱすしたり!)
余所見は禁物!
嘆く暇があるならば、お主も今こそ漢をみせよ!

ぎっくり腰?
まぁ大丈夫じゃろ!


呉羽・伊織
◎【白】
スイカ割り序でに目の保養――のつもりが、何でまた子もとい爺守りに!
いやココは爺サンがスイカと遊んでる隙に――えっ、おかわり?
色んな意味でとんだおかわりだなー!(スイカとは裏腹に現実は甘くなかった!)
嗚呼クラッシャーが燃え上がってる、暑苦し…!
(頂きマス、よりも寧ろスイカ達に南無南無の意味を込めて手を合わせ)

オレは爺やスイカじゃなくて水着美人と遊びたかったのにー!
(美人に後ろ髪引かれたり遠い目したりしつつも、半ばヤケ気味八つ当たり気味にスイカ割りへ!
ばっちり人々の盾になりつつ刀で綺麗に捌いて回り)
ってうわ投げんな!
爺もスイカも活きが良すぎんだろー!
ぎっくり腰になっても知らねーぞ!



●スイカとスイカ擬きと68歳児と、ビキニ美女と戯れたかった憐れな青年と
 ずさああああっ、と。無重力空間に一人の爺やが飛び込んだ。
「儂と、したことが!」
 くううう。思い切り悔し気に眉を顰め、爺や――重松・八雲(児爺・f14006)はようやく到達したスイカ割り会場を見渡し、拳をぐぐぐっと握り締める。
 なんでそんなに悔しそうなのかっていうと。『夏の一大いべんと』に出遅れてしまったから!
「一生の不覚!!」
 なんたること、なんたること。これでは夏に乗り遅れてしまう。八雲の人生、お先真っ暗だ。くうううう、くうううう。
 が、そこで八雲は気付いた。
 自分と一緒にスイカ割り会場に雪崩れ込んだ『モノ』がいることを。いかした流線型なボディではあるが、黒光りするアレは、まさしくスイカ! だって観客たちがスイカって言ってるからスイカ。スイカったらスイカ。
「おお、天は儂を見捨てておらなんだか! おかわりとは、太っ腹だのう!!」
 ガハハハハ、と。何処からどう見てもいぶし銀なお侍さんな八雲は磊落に笑う。自分と一緒にやって来た『スイカ』を眺め、意気揚々と笑う。『スイカ』を誰より至近距離で見たはずなのに以下略。
「……」
 そんな爺やを横目に、呉羽・伊織(翳・f03578)は多分に憂いを含んだ溜め息を重く重く重く吐く。
 ちがう、こうじゃない。こんなつもりじゃなかった。
 伊織はスイカ割り序(というより、スイカ割りを口実)に、目の保養――どういう意味かはお察しあれ! ヒントは、伊織は24歳、性別は男――と洒落込むつもりでいたのだ。
 だのに伊織を待っていた現実は、子守り……もとい、68歳児守り!
 あわよくば、八雲がスイカと戯れている隙に――なんて抱いていた淡い希望も、見事に打ち砕かれた。
 だって、あのおかわりスイカ。伊織に目には、どう見たってスイカに見えない。絶対違う、スイカじゃない。
「色んな意味でとんだおかわりだなー!」
 半ば、自棄を起こしながら伊織は乾いた笑い声を上げる。
 甘い甘いスイカとは裏腹に、現実は甘くない。少しくらい甘くたっていいじゃないって、恨み言の一つくらい言いたくなるくらいに甘くない――というより、しょっぱい。
 何故なら――。
「よしきた任せよ、こう見えてスイカ割りは得意中の得意故!」
 とどのつまりが『何か盛大に破壊したり崩壊させたりする事が得意』だと明言しっちゃってる八雲が、めっさ燃えている。暑苦しいくらい燃えている。古刹の嫡男として生まれたせいか、しっかり両手を合わせて「頂きます」して、燃えている。
 そしてきちんとご挨拶が済めば、あとは美味しく頂戴するのみ。
「――いざ参る!」
 八雲、闘志をメラメラ燃え上がらせて、よりスイカが多く集まっている個所へすっ飛んでゆく。68歳とは思えぬ素早さで、かっ飛んでゆく。おこちゃまみたいに、目をきらっきらさせて(略)。
「まぁ、そうなるよな。なるよな、なるよな……」
 真夏の太陽よりもギラッギラッなクラッシャー魂の暑苦しすぎる気迫の余波を、熱風として顔に浴びた伊織は、思わず手を合わせた。それは八雲の『頂きます』とは異なる意を含むもの。つまりはスイカ擬き(シェル・ウォーマシン)へ対する憐みの念。南無南無。
 しかし運命の神は知っている。真実憐れまれ、拝まれるべきはスイカ擬きではなく、伊織であるということを……。

「ふはははは、それにしても活きの良いスイカ達だのう!」
 腕が鳴るわい、と喜び勇んだ八雲。体育会系この上ない守護のオーラを身に纏い、ついでに高い戦闘力と超高速飛翔能力を得て、スイカ擬きたちをぐーぱんやら、刀でしゅぱっと捌いたりと、スイカ割りを超絶満喫する。
 とは言え、一人で楽しむのは申し訳ない。だから、これは八雲なりの善意だったのだ。多分。具体的に何がかというと、おもむろにむんずと鷲掴んだスイカ擬きを、伊織めがけて放り投げたのは!
「伊織よ、余所見は禁物ぞ!」
「ってうわ、投げんな!!」
 ……どうやら伊織には、遠目に水着美女を眺めることも許されないらしい。せめて、とばかりに水着美女を八雲が巻き起こす爆風から守っていた伊織は、今度こそ完全に自棄を起こして冷ややかなる黒刀を抜く。
 怨念と暗翳を纏うそれは、まるで今の伊織の気持ちそのもの。あと切れ味も抜群。
 でもね。スパンと伊織がスイカ擬きを叩き割ったおかげで、八雲のテンションはますますヒートアップ。
「やるではないか! そうだ、伊織。嘆く暇があるならば、お主も今こそ漢をみせよ!」
 然して八雲、ぽんぽんぽんぽんぽんぽん伊織に向ってスイカ擬きを投げ始める。共に、スイカ割りを愉しむために!
「ああああ、爺もスイカも活きが良すぎんだろー! オレは爺やスイカじゃなくて水着美人と遊びたかっただけなのにー! あと、そんなに張り切るとぎっくり腰になっても知らねーぞ!」
 せめてもの反撃にと伊織が繰り出した奥の手――齢のせいか、八雲がよく「やれ腰が」とか「昔、膝に受けた古傷が」とか言うから――にも、八雲はやっぱりけろり。
「ぎっくり腰? まぁ、大丈夫じゃろ!」
 果たして本当に大丈夫なのかは、分からないが。いや、かなりヤバいとは思うが。八雲は刹那的に今を謳歌する。
 だって、夏だから!
 巻き込まれ伊織、どんまい! 68歳児の子守り、がんばって!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ブラックタオル』

POW   :    抜群の吸水性を知れっ!
【身体の前面】を向けた対象に、【突進し密着して水分を吸収すること】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    体感するがいい、この肌触りをっ!
【タオル生地の表面】から【肌触り抜群の感触】を放ち、【驚き】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    必殺・ブラックタオルブレード
【右手に持つ黒いフォースの剣】が命中した対象を切断する。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠モティアナ・クロスウィートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そんな、まさか!? いや、だがしかし!!
 懸命な努力だったり、ド天然だったり。
 何はともあれ猟兵たちの奮戦により、人々の平穏んは維持されたまま、追加のスイカこと銀河帝国の残党(その1)たちは「た~まや~」「か~ぎや~」と撃滅された。
「あー、今年は特に派手で楽しかったなー」
「花火の演出なんて予定になかった気がするけど、組み込んでくれた人ぐっじょぶね!」
「ママ、スイカ美味しかったー!」
「そうね。来年もまたスイカ割り大会を皆で楽しめたらいいわね」
 そんな感じで、宇宙船の皆様も三々五々、自分たちの居住区に引き上げ始めた。
 ――が、その時! その時、その時!!!
「スイカ割りのプロの皆さん。おつかれさまっしたー!」
「一先ず、これで汗でも拭いてくださーい」
 がらがらがら、と。台車で運び込まれてきたものに、猟兵たちは全力で目を瞠った。
「あれ? 皆さん、どうされました?」
「もしかしてタオルが大きいのに驚いてらっしゃる? いやぁ、大は小を兼ねるっていうじゃないですかー」
「そーそー。ちょうどいいのが倉庫区画にあったんっすよ」
 …………。
 …………。
 ……察しの良い君なら、もうお気づきだろう。
 宇宙船の皆さんが『大きいタオル』とか言って運び込んできたのが、銀河帝国の残党だということに!
 その名は、ブラックタオル。
 抜群の吸水性と、驚きの肌触りを謳い文句にした、等身大タオルっぽいヤツ!
 …………。
 …………。
 あ、いや、うん。言いたい事は、だいたい分かってる。分かってるんだけど、人生には極稀にだけどこんなことも起きるんだって納得して欲しいんだ。お願いだから、愛想は尽かさないで欲しいんだ。あと、宇宙船の皆さんに悪意はこれっぽっちもないから。純粋に、頑張ってくれた人たちに、さっぱりしてから帰って欲しいっていう善意なんだ。
 その善意――おもてなしの心を無下にしない為にも、猟兵たちにはブラックタオルをそれとなく倒してして欲しいんだ!
 具体的に言うと。
 あんましべしべしやると、運んできた人たちが不審がっちゃうから。攻撃は、一人につき一回。しかも、「あー、このタオルきもちいいわー」な体で。
 それでも、どうしても。「はああ、ふざけんな!」ってキモチを全力でぶつけたい人がいたら、善意の皆さんの視線を逸らす生贄――じゃなくて、お連れ様に人々の視線を釘付けにする愉快なパフォーマンスをしてもらって下さいな♪

 征け、猟兵たちよ。
 人々の善意を無にすることなく、銀河帝国の残党(その2)を撃破するのだ!!
 いえ、撃破してください。おねがいしますっっっ(五体投地)。
【まさかの事務通信】
 マスターページの告知にて、三章プレイング受付は27日からとしておりましたが。
 28日8:30からの誤りでした。
 こんなとこでもやらかし必要ないじゃない? と天の声を受信しつつ。
 28日の送信が可能な方は、28日にプレイングを頂けますと非常に助かります。
 よろしくお願い申し上げます。
リル・ルリ
■櫻宵/f02768


ふふ、ヨル
櫻が斬ってくれたスイカ、おいしいね
ヨルと並んでスイカを食べる
櫻が斬ってくれたから、特別だ
夏は暑くて、暑いのに弱い僕は心配だったんだけど
そんなの吹き飛んだよ
なびげと、も上手くできた
満足満足

汗をふくの?じゃああの、大きいたおるがいい
冷たい方が気持ちいいとおもうから、『氷楔の歌』で冷やしてあげる
ひえひえの氷タオルだ
タオルがうっとり冷たくなれるように歌唱には誘惑をこめて
えへへ、褒められた

タオル、を着るの?きったら僕にもかしてね
ヨルのことも拭いてあげよう
スイカまみれになってるからね

嗚呼、夏は
まだはじまったばかりだけどとても楽しいよ
君とヨルと過ごす――僕にとって初めての夏だ


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762


割れたわーースイカ!やっぱり屠桜じゃなきゃダメね
斬首もいいけどスイカ斬りもいいわ
たまにはね
なんとか、なったわね!あたし、がんばっちゃった!
リルとヨルがスイカを食べているのを微笑んで見守る
こうして可愛い子が満面の笑みでスイカを食べてくれるなんて幸せなこと

ふぅ
いい汗をかいた
いいところにタオルまであるわね
リィったら……冷やしタオルにしてくれるなんて、気がきいてるわ
んーー!冷たくていい気持ち!でもタオル、大きすぎる
小さくカットしましょ!
刀を握り怪力をこめて――渾身の一撃『絶華』でタオルに切り込んで、丁度いいサイズにしてあげる!
リィも使うといいわ
素敵な夏の1頁は、最後まで笑顔でね



●初めての夏は笑顔で
 まるでベンチに座っているような恰好で、リルと櫻宵は間にヨルを挟んで無重力空間をふわふわ漂う。お揃いのアロハ姿の二人と一匹は、まるで家族のようで微笑ましい。
「はーー、割れたわーースイカ! やっぱり屠桜じゃなきゃダメね。斬首もいいけどスイカ斬りもいいわ、たまにはね」
 ――櫻宵の発言に若干(どころかかなり)物騒な単語が混ざっていた気がしないでないが、細かいことは気にしない。だって夏だもの。夏だもの。夏だからスイカがとっても美味しいのだ! しかも。
「ふふ、ヨル。櫻が斬ってくれたスイカ、おいしいね」
 何と言っても櫻宵が斬ったもの――櫻宵氏が斬ったのは、スイカ擬きの方だった覚えがあるが、これも気にしない。大丈夫、ちゃんと普通のスイカも残されていたに違いない。ところでやっぱり『斬った』なのね……ふふ――と、リルはヨルとしゃくしゃく、にこにこ、しゃくしゃく、にこにこ。
 夏は、暑いもの。
 暑さに弱いリルは、夏を迎えるのが不安だった。
 しかしスイカの美味っぷりが、スイカ割りというかスイカ斬りの楽しさが、夏への不安を払拭してくれた!
「なびげと、も。上手くできたし。ね?」
 リルに尋ねられたヨルが、翼をパタパタさせてキュートに全身で『是』を頷いている。そんな一人と一匹の様子がまた、櫻宵を幸せにしてくれた。
 だって自分が斬ったスイカで、可愛い子が満面の笑みになってくれるのだ。顔は自然と微笑みを浮かべてしまうし、艱難辛苦なあれやこれやだって記憶の彼方へ吹っ飛んでしまう。
 心底、幸せな一時だった。
 この上なく、幸せな一時だった。
 そこに例のモノが運び込まれたのだ。
「あら、いいところにタオルまであるわね」
 手弱女が如き麗しの美貌に『よい汗』を滴らせていた櫻宵にとっては、渡りに船。そしてリルはとっても気が利く王子様。
「汗をふくの? じゃあ、冷たい方が気持ちがいいよね」
 そうだよね。夏場のおしぼりは、きーんと冷えてた方が気持ち良いよね。然して気遣いの出来る王子様こと、人魚の歌姫はタオル目掛けて高らかに歌い上げた。
「凍てつく吐息に君を重ねて 氷の指先で爪弾いて 踊れ 躍れ 氷華絢爛――君の熱 全て喰らい尽くすまで」
 玲瓏たる歌声が、タオルをきぃぃぃんと痺れさせる。というか、もしもタオルに命があったら、その命を確実に削り取るレベルで冷えっ冷えにさせた。
「んーー!! 冷たくていい気持ち! リィ、ありがと」
「どういたしまして。ところで櫻、ヨルの事も拭いてあげたいんだけど……」
「これをヨルに使うのはちょっと大きすぎるわよね……ちょっと待ってて頂戴」
 ふわふわの肌触りと冷え冷えを両立させたタオルで存分に汗を拭った櫻宵、今度は自分がリルの為になる番だと、やおらスイカを斬りに斬った屠桜を構えた。
 そして持てる力の全てを発揮し――……。
「リィ、リィ。ほらほら、丁度いいサイズになったわよ!」
 櫻のように潔く散りなさいとタオルに命じての一閃に、タオルの一部がリルサイズとヨルサイズに斬り分けられた。
 『冷たい、ヤメロ』とか。『痛い、何をスルンダ』とか。『そう来るならお前の水分、全部吸い取ってヤル』とか。タオルが文句を言って櫻宵に巻き付こうとしてきた気がするけど、これもやっぱり『気のせい』と櫻宵とリルは決め込む。
 いや、もしかしたら。ラブラブな二人にはタオルの不平不満など届いてなかったかもしれない。だってタオルだもの。タオルだもの! 文句なんて言うわけないし!!

「君とヨルと過ごす――僕にとって初めての夏だ」
 まだ始まったばかりの『夏』にリルは朗らかに笑い。その笑顔に櫻宵も微笑む。
 こうして素敵な夏の一頁に、櫻宵とリルとヨルは。最初から最後まで笑顔な物語を綴り上げたのだった。
 めでたしめでたし!
 え? だから。変な悲鳴とか聞こえてませんってば! 幻聴幻聴!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】

ザックリ……したい所ですが、あのふわふわのタオルが少し気になりまして
とても、気になりまして……少しばかり、触ってみたく
倫太郎殿、「のり」というものが大事とお伺いしておりましたので

倫太郎殿が気を引いている内に、此方も違和感が無いよう残像を使いながら
ダッシュにて接近し、先制攻撃にてタオルのふかふかを体験した後
早業による抜刀術『静風』にて斬ります
これならば、やりたい事も一瞬にて終わりましょう

戻りました
さて、次は倫太郎殿ですよ
私が人々に居合を見せている間に貴方も是非に

扉とは?他にも楽しめるものを見つけられるのは良いと思うのですが
それが変ならば……そうですね、倫太郎殿に責任は取って貰いましょうか


篝・倫太郎
【華禱】

えーっと、夜彦、ザックリいっとく?
俺、適当にパフォーマンスで、船の人の気引いとこう…
か、まで言わせない夜彦のなんか強い意志にちょい吃驚だ
いや、かなり吃驚だ……

お、おぅ

開けちゃいけねぇ扉をバーン!と全開にしちまった!
って思ったけど、なんか、気にしてねぇ?
寧ろ、無かった事になってんのかな?

ま、いっか……
夜彦がふかふか堪能する間
拘束術の鎖で台車でも曲芸的に宙に浮きます的な
パフォーマンスでもしとく

なんか大人げねぇ夜彦を見てシマッタ
しかも、めっちゃ嬉しそう?!

交代したら、攻撃は拘束術で!

なんか、まだ扉全開なんかな?
や、悪くはねぇ、ねぇよ?!

これ、俺責任もって嫁なり婿なりにでも貰えばいい?
あ、ハイ



●責任の在処
 ただのタオルではないのは、倫太郎と夜彦にとっては一目瞭然。
 故に倫太郎は、夜彦へ問うたのだ。「ザックリいっとく?」と。だって夜彦の性格は、性格は良くも悪くも実直。だから、ふざけた(?)敵はザックリいくかな~と思ったのだ。
 だから夜彦から寄越された応えは、倫太郎にとって完全に想定外だった。
「ザックリ……したい所ですが。あのふわふわのタオルが少し気になりまして」
 ――え、マジ?
 あんまり大きいとは言えない倫太郎の目が、見開かれた。
「とても、気になりまして……少しばかり、触ってみたく」
 遠慮がちであるようで、しかし強い意思を感じる夜彦の様子に、倫太郎、微かにわなないた。それくらい、かなり驚いていた。
「倫太郎殿、『のり』というものが大事とお伺いしておりましたので」
 だって夜彦が本気だったのだ。
 本気で『ノリ』に挑もうとしているのだ。
 極めて真面目に!
「お、おぅ」
 モシカシテ、夜彦ハ開ケテハイケナイ扉ヲ開ケテシマッタノダロウカ?
 吃驚のあまり、倫太郎の思考を謎のカタカナが彩る。
 けれど今にももふもふにすっとんでいきそうな夜彦の横顔に、気にした風は微塵もない。
 寧ろ、無かった事になっているんだろうか?
 幾ら考えても出ない答に倫太郎は一先ず両手を挙げて降参し、結局ダッシュの勢いでタオルへつっこんでいった夜彦の背中を見送り、念のためにと見えぬ鎖で周囲の動きを操るパフォーマンスで観衆の目を惹くことにする。
 そして夜彦はその間に。まずはタオルに飛び込み、ふかふかのもふもふを全身で堪能した。
 果たして、そのもふもふ体験に夜彦が何を思ったかは知れない。
 しかし確かに夜彦は、夜彦的にはとってもやりきった。これですっきり。だから刃を抜くのに迷いはナイ。
「狙うは刹那」
 もふもふの煩悩さえ既に遠い、冴えたる抜刀術で夜彦は黒タオルを処す。文字通り、目に留まらぬ一撃は、宇宙船の皆様へ不信感を抱かせる事は一切なかった。代わりに――。
「戻りました。次は倫太郎殿ですよ」
「……あ、あぁ」
 倫太郎の方の衝撃はほぼほぼMAXだ。
 え、だって。夜彦だよ? あの夜彦だよ? その夜彦が? 大人げないっていうか。しかもものすごく嬉しそうにしているし???
「なぁ、夜彦。もしかして扉全開?」
 状況を飲み込みきれぬまま、倫太郎は疑問を直球で夜彦へぶつけた。が、その答えがまたいっそ清々しくて!
「扉とは?」
 あああああああ本人自覚なしってやつかああああああああ!!!
 倫太郎、心の中で叫ぶ。
「他にも楽しめるものを見つけられるのは良いと思うのですが」
 そしてやっぱり真面目というか、夜彦は夜彦のままだああああああああ!!!
「何か変だったでしょうか?」
「や……悪くはねぇ、ねぇよ?!」
 含みのない緑の視線に、倫太郎は心で天を仰ぐ。自分が、こんなところに夜彦を連れてきてしまったのが悪かったのだろうか? それとも先にはっちゃけたのがまずかったのだろうか?
 嗚呼。後悔、先に立たず。
 ――けれど。
「これ、俺責任もって夜彦を嫁なり婿なりに貰えばいい?」
「よく分かりませんが。もし私が変であるならば……そうですね、倫太郎殿に責任は取って貰いましょうか」
 倫太郎の苦悩の意味は、夜彦には通じておらず。ついでに、やっぱりとっても真面目にド直球で返されるものだから。倫太郎は遠い目になりつつ、「あ、ハイ」と頷くしかなかった。

 結論。
 普段まじめな人が壊れると、凄い。
 どういう意味で凄いかは人それぞれだけど、凄い。
 無闇に引きずり込むなかれ。
 責任問題に発展してしまうおそれがあるからね?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ

汗もかき、果汁でもべたべた。
ならば若い子とひとっ風呂、なんてご褒美は…
無い?
左様で…。

この歳になりますとね。
容姿や体力は努力でどうにかなるとしても、
水分は!
失われ易い!
結構な死活問題!
えぇ、本日最高の回避、参りますよ…!(※本気見切り)
アクティブに~動き回る~
…そう。今の僕は、不完全燃焼!
つまり!
大きなタオルをサンドバックに、一汗流してクールダウンしたいと思うもまた道理!
道理ったら道理なんです異論は認めません。

という事で。
トリニティ・エンハンスで底上げした攻撃力を拳に乗せて、
はいっ、ワン・ツー・スリー☆
ボコって暖めドラム式よろしくふんわり度アップ!
一石二鳥ですね☆

で、風呂は?
無い。
あらそう…



●保湿のすゝめ
 あと一か月もしないうちに、四十路へまた一歩近づくクロトは「あはー」と吸水力抜群のタオルっぽいヤツを見た。
 確かに、たくさんの汗をかいた(冷汗が混じっている可能性も多分にある)。
 飛び交った果汁のおかげで、手やら顔やら、肌のみならず夏に不似合いな黒い衣服だってべたべただ。
 あのタオルに飛び込めば、さぞやさっぱりすることだろう。
 しかし、クロトにはそうできない理由があった。
 それは――そう、年齢! 繰り返すが、クロトはもうすぐ四十路が近い。つまり、水分が、とても、失われ易い!!! お肌が、かぴっかぴになり易い!!!! 乾燥する季節が来ると、粉を吹いちゃうんじゃないかって心配になるくらい、乾きやすい!!!!!
 容姿や、体力は。努力で補うこともできる。
 けど、肌は。肌そのものは。なかなか、なかなか、誤魔化せないのだ!!!!!
 これは結構な死活問題だ。静電気とかもヤバくなるし。
 なら、どうすればいいのか。
 答えは簡単。タオルの動きを、見切れば宜しい。幸い、今日のクロトは不完全燃焼だ。大きいタオルをサンドバッグに、一汗流してクールダウンしたいって思うのも、また道理。だから他の人たちとタオルの使い方が違うけど、仕方ない! 仕方ないったら仕方ない!!
 そんなこんなでクロト、これまでのジレンマをかなぐり捨てる勢いで、右に左に上に下にとアクティブに――超絶アクティブに動き回った。
 もはや曲芸にも近い動きに、宇宙船の皆々様の口がぽかんと開く。しかしそんな視線なぞクロトはお構いなし。
 アレはサンドバッグなのだ。異論は認めない。スイカじゃないものをスイカって言う人たちがいるくらいだ。個々の主張の自由は許される――と、信じて。
 運び込まれたのが風呂だったなら、きっとクロトは歓び飛び込んだだろう。若い子たちと一緒なら、この上ないご褒美にもなったはずだ。
 が、現実はタオル。肌の水分を奪う憎いヤツ!
 込み上げる様々を綯い交ぜにして、クロトは包み込んで来ようとするタオルの動きをどんぴしゃで躱し、渾身の拳を突き入れた。
 そこに秘められし魔力は、炎と風。
 つまり。
 ――ぼふんっ。
 暖めドラム式よろしく、タオルはふんわり度アップ!
 やったね、タオルとしての性能はますますアップだ。クロト的には鬱憤も晴らせたし一石二鳥♪

 ところでクロトさん、風呂を欲していたようですが。
 確かに風呂は水分補給できるけれど、湯上りは急激に水分が失われていくので! 風呂上りこそ、真の敵なので!!
 これから先は入浴も十分に気をつけてね! 可及的速やかな保湿大事よ!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

明石・鷲穂
【浮かれてんてん】◎
そうだなあ、疲れたなあ。俺もスイカを数え疲れた。

おい、これ。
【野生の勘】ですぐにタオルの正体に気がつくぞ。
倉庫に残ってたタオル……帝国軍の残党か…。
なんか…可哀想だな。
定はそのまま気持ちよさそうに使ってるし。
正体がバレたらバレたで鹿糸の水責めか。

だけど残党だもんなあ…。
UCで、タオルを破壊せずに内部だけ破壊できるよう意識して殴りつけよう。
これは、慈悲だ。…慈悲だな。
鹿糸や定がヤバそうだったら【かばう】くらいはするが…始末は自分でしたいだろうな。

まだ遊ぶのかぁ?
俺は…かき氷食ってるから、2人で存分に遊んでこいな!


千頭・定
【浮かれてんてん】◎

スイカ割りにより身体はべとべと。
鹿糸さんの水責めによりべしょべしょ
タオル使わせていただきますようっ

わあ、なんかこのタオル吸水性良すぎません…?
鹿糸さん、なにしてるんですか!タオルに水責め!?
乾いているほうがふわふわですよ!
鷲穂さんは何ですかその顔。
驚く程にふわふわ肌触りなのに……えっ、なんか身体固まりました。

えっえっえっ
鷲穂さんなんでタオル殴ってるんですか?
えっ?

これ残党さんですか…!!!?
鋼糸を使い『異図』で形が見えなくなるまで裁断です!!

タオルですか?
…まだ受け取ってませんよう!
まだまだ水遊びしますので、後で追加のタオルを貸していただきますねっ


氏神・鹿糸
【浮かれてんてん】◎

だから、浮かれてないわ。
水責めなんて人聞きが悪い。
でも、気持ちもリフレッシュして気分爽快よ。
タオルもありがたく借りるわね。

あら…あらあら。
鷲穂の変な顔で気がついたわ。
そうなの。この大きなタオルケットが…

こんな形で残っているものね。
エレメンタルロッド(水鉄砲)で延々と水をかけ続けてみるわ。
このタオル、信じられないくらいの吸水性ねぇ。
どれだけの水を吸えるのかしら!
風で水を逆巻いて。片手程度の水の玉を作り、閉じ込めておきましょう。

定のおバカさん。固まっちゃったの?
さっさと終わらせて、また遊びに行きましょう。
鷲穂はかき氷を取っておきなさいね。



●浮かれ調子の夏本番はこれからだ!(断固として「浮かれてない」と言い張っている人が一人いますが)(タイトル長い)
 伝説のスイカクラッシャーとしてスイカをクラッシュし続けた定は、流石に疲れていた。
 割った数だけ、果汁も浴びる。結果、身体はベトベトだ。
「そうだなあ、疲れたなあ」
 俺もスイカを数え疲れた――果たしてその数は幾つに及んだのか――鷲穂も、肩を落とした定に同意を返す。
 そりゃあ、定は疲れただろう。だってただスイカをクラッシュしていただけではない。
「しかも私、鹿糸さんの水責めでべしょべしょなんですよっ」
 ……そうなのだ。鹿糸の水責めによって、必要以上に体力を消費しているのだ。幾ら定が十代とは言え、これはしんどい。しかし――。
「水責めなんて人聞きが悪いわ」
 明らかにストレス発散後的な。或いは、超絶リフレッシュを終えて気分爽快になった的な。そんなこんなで、心なしか肌艶まで好くなった気のする鹿糸、ふふふと全力でしらを切る。思い切りしらを切る。どころか、新たな善意をちらつかせる。
「私は果汁を洗い流してあげようと思って――」
「信じませーん! 浮かれてるのに浮かれてないって言い張る人の言うことなんて信じませーん!」
「だから、浮かれてなんかないわ」
「はい、ダウト! いいです、タオルは先に使わせてもらいますっ」
「抜け駆けは駄目よ?」
 ――女性陣の駆け引き(?)おそるべし。ともあれ定と鹿糸は運ばれてきた巨大タオルへまっしぐら。そんな二人の動向をあたたかーく(第三者として)見守っていた鷲穂、ふと野生の勘で気付いた。
 わあ、なんかこのタオル吸水性が良すぎません……? なんて定が懐いているタオルが。
 肌触りは悪くはないわね? なんて鹿糸が頬を摺り寄せているタオルが。
 ただのタオルではなく、帝国軍の残党兵であることに!
(「……倉庫に残ってたタオル…………」)
 残党兵の不憫を思えば、鷲穂の心が微妙に痛む。だってあれ、残党兵。ただのタオル扱いされてるけど、残党兵。台車で運ばれちゃってたけど、残党兵。
(「なんか……可哀想だな」)
 どういうつもりでただのタオルに徹しているかは分からないが(おそらく、油断を誘う為だと思われる)、考えれば考える程、鷲穂は残党兵が憐れになってくる。
 定には気持ちよく使われているし。
 それに――。
「あ」
 様子を窺い見ようとして。ちら、と鹿糸と目が合ってしまった瞬間、鷲穂は残党兵の末路を悟った。
 だって、鷲穂な微妙な表情を見た鹿糸の目がキラ~ンと煌めいたのだ。あれはタオルの正体に気付いた顔だ。そして浮かれ女子は何を仕出かすか分からない(いや、予想はつくけど!)。
「あら……あらあら。まぁ、そうなの……そうなの」
 果たして結果は案の定。浮かれた(本人、断固として否定しているが)鹿糸、にっこり微笑んで水鉄砲こと水バズーカを再び構えたかと思うと、問答無用でタオルを水責めにし始めた!
「このタオル、どれだけ水を吸えるのかしら!」
 だばー。
 だばー。
 だばー。
 だばー。
 勢い凄まじい水の奔流に襲われ、タオルに徹していた残党兵が流石に身じろぐ。そして反撃を試みようと剣を構えた瞬間、横から鷲穂が超高速で殴りつけた。ただし、タオル地部分は破壊しないよう、内部のみを抉るように細心の注意を払い。だってこれは慈悲だもの。間違いなく慈悲だもの。
 しかしタオルの正体に気付いていない定は一人大混乱。
「鹿糸さん、なにしてるんです! 乾いている方がふわふわですよ!」
「えっえっえっ、鷲穂さんまでなんでタオル殴ってるんですか?」
 鹿糸だけならまだしも、鷲穂まで乱心する筈がない――と信じていたかどうかは定かではないが、ここに来て定もようやく異変を察した。
 何が起きているのだろう。芽生えた不安に、身体が固まる。明らかにただのタオルではない。あれだけ鹿糸の水責め(水責め。強調)に遭ってなお、ぐしょぐしょになってないなんておかしい。
「定のおバカさん。やっと気付いたの?」
 ――さっさと終わらせて、また遊びに行きましょう。
 誘う鹿糸の声に定は耳を傾け、まじまじとタオルを見た。終わらせる?
 そして耳を澄ます。そして鷲穂の内部を抉るような一撃に、うぐぐぐと噛み殺しきれなかった呻きを鼓膜に拾い、開眼した。
「これ残党さんですか……!!!!!?」
 まぁ、ここまで気付かなかった方が奇跡と言えば、奇跡なのかもしれないが。気付いてしまったからには、定の反応は苛烈。何故なら定はお年頃。思春期真っ盛りなJC。そんな乙女の柔肌に触れたからには(いや、定の方が存分にふわもこ心地を堪能していただけだが)天誅を与えなければならない!
「この糸は、私の意図です」
 タオル改め残党兵を木っ端みじんに裁断すべく、定は鋼糸を閃かせる。

 一人に与えられたチャンスは一度きり。その一度を活かすべく、目にも留まらぬ速さで鋼糸を繰る定を横目に、鹿糸は鼻歌をうたう。
「さー、まだまだ遊ぶわよ」
 夏はまだ始まったばかりなのだ!
「まだ遊ぶのかぁ? まぁ、オレはかき氷でも食ってるから。後は二人で存分に――」
「鷲穂、私達の分のかき氷の確保もお願いね?」
「……おー」
 そして夏の間中、鷲穂(+定)は浮かれた鹿糸に振り回される――のかもしれない。てへぺろっ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紗我楽・万鬼

ジャックの兄貴(f16475)と!

いやお前さん何黙って運ばれてきてるんですかい
でしたら其の儘タオルでいて下さいよ!

嗚呼ー兄貴が期待を裏切らずに行ったー
拭き心地良いです?其奴は何よりですけどねあっし旦那の循環オイルが吸い取られやしないか心配…嗚、充電式でしたか

でしたら今度はあっしが驚きの蝕レポしやしょうね嗚呼ー!何ですかこの頬擦り感触!例えるなら水浴び後に太陽光たっぷり浴びてふかふかした羊に其の儘ダイヴしたかのような文字数!

所でお前さんなら闘牛のムレータできますね
あっしが騙れば突然現れる暴れ牛だって…来たー!
あっしは避けてタオルは突進猛牛と彼方へ逝ってらっしゃい!
いやぁ楽しい余興でしたね兄貴!


ジャック・スペード


万鬼(f18596)と

……此の船のセキュリティは、大丈夫なのだろうか

取り敢えず、気遣いに甘えて躰を拭こうか
こっそりと透明な籠手を召喚
其れを装着した手に怪力を込めタオルを掴み
思い切り自身の躰に叩きつけよう
衝撃は激痛耐性で堪えるさ

拭き心地……当機の触覚では柔らかいこと以外分からないが
俺の動力は殆ど電気なので、通常オイル漏れの心配は無い筈だ
……いや、そもそも機械は汗をかかないな

ふかふかの羊、成る程
万鬼は表現力が豊かで凄いな、俺も見習いたい
あのタオルで闘牛士の真似事をするのか?
黒い布でも意外と出来るものだな
……タオルは持って行かれてしまったが

ああ、良い余興だったと思う
観客の笑顔も沢山見れた事だし、な



●この船の明日はどっちだ
 ……此の船のセキュリティは、大丈夫なのだろうか?
 かつて銀河帝国の衛兵として製造されたジャックは、台車でがらがら運ばれてきたタオル(っぽいけど、そうじゃないやつ)を視認して、まじまじ考えた。
 倉庫に? あった??
 単に侵入を許しただけではないだろうか。さっきのスイカ擬きだってそうだ。あの数が、船に、乗り込んで来たのに。察知してないなんて、どういうことなのか。この船のレーダーとかは生きているのだろうか? もしかしなくても、先の大戦で著しい損傷を受けたりしているんじゃないだろうか。
 それにしたって、残党兵の方も残党兵の方だ。
「いやお前さん。何黙って運ばれてきてるんですかい」
 噺屋万鬼のツッコミ待ったなし。いっそこのままただのタオルで在り続けてくれれば、それはそれで天晴だが。
 さすがにそこまでバカ(あ、本音が出ちゃった)ではあるまい――とか万鬼がしみじみしてる間に、ジャックが先に動いた。
 ヒーローとして、人々の労いはきちんと受けねばならないとか、そんな風にジャックが思ったかどうかは分からないが。でもまぁ、ジャックの兄貴だったら多分そうするんだろうなぁ、という万鬼の予想は正しく。
「取り敢えず、気遣いに甘えて体を拭こうか」
 ――嗚呼―兄貴が予想を裏切らずに行ったー。
 しゅたたっとタオルに近づいたジャック、さりげなーく透明な籠手状のガジェットを召喚し、それを帯びた手でタオル(もどき)をむんずと鷲掴む。しかも怪力のオプション付き!
 で、どうしたかと言うと。
「――っ!」
 思い切り、自分の身体に、叩きつけた!
 真冬に乾布摩擦するおじいちゃんよろしく、ぱしーんと、派手に、威勢よく、行った!!
 表面上はふわふわもふもふタオル、けれど一応、銀河帝国の残党兵――つまりは生命体だ。そんな全力でやられたら、撓るし、相応に痛いに決まってる。
『!!!!』
 ……ほら、タオルの方も微妙に涙目だ(きっちりダメージが入った証拠!)。
 しかし。それよりなにより、万鬼にはもっと気になることがあった。
「兄貴兄貴、拭き心地はどうですかい?」
 そう、これ! そして尋ねられれば、死なば諸共的に残党兵を攻撃したジャックは真面目に答える。
「拭き心地……当機の触覚では表層が柔らかいこと以外は分からないが」
「あああ、やっぱりそうっすよね。あ、でも。循環オイルとか大丈夫っすか? 吸い取られたりやしないっすか?」
「そこは問題ない。俺の動力は殆ど電気なので、通常オイル漏れの心配は無い筈だ」
「嗚、充電式でしたか! そいつぁ何より」
 傍で聞いていれば、ジャックと万鬼のやりとりは立派に漫才。周囲の方々を不安がらせぬよう、こっそり会話なのが正直惜しい。めちゃくちゃ惜しい。
 されど彼らが此処にいるのは、漫才をする為ではない。
 人々の笑顔を守る為だ! いや、きっと漫才でも皆様を笑顔に出来はしただろうけどっ。
 けれど、そうじゃなくて。皆の平和をきちんと守るのがヒーローの務めだから。微塵の不安も抱かせないのが、ぷろふぇっしょなるだから!
 と、そこでジャックがそもそも論に気付いてしまう。
「――ところで万鬼。俺は今、気付いたんだが。そもそも機械で汗をかかない俺が、汗を拭こうとするのは違和感があったのではないだろうか?」
 もしかすると自分はとんでもない失態を演じてしまったのではないだろうかっ。襲い来た不安に、ジャックは焦燥を覚える。でも、そこも無問題。
「いや、兄貴。そこは、大丈夫っす。この船の人らなら、そこは、絶対、疑わないと思うっす!」
 そうなのだ、万鬼の言う通り。ある意味、この船の皆さん無敵。故に、万鬼は思い切りのよい策へ打って出る。
「じゃあ、お次はあっしが驚きの蝕レポをお届けいたしやしょう! 嗚呼ー! 何ですかこの頬擦り感触! 喩えるならば、水浴び後に太陽光をたっぷり浴びてふかふかした羊に其の儘ダイヴしたかのような――(以下延々)(文字数の都合により、双方同意の元、省略させて頂きました)」
 ほほう、流石は万鬼の表現力だ。成程、羊。言い得て妙だ、とジャックを感心させる立て板に水の語りは騙りの始まり。
「所でお前さんなら闘牛のムレータできますね」
「ムレータ? 闘牛士が閃かせる布のことか」
 ジャックさん、ご説明ありがとうございます。
 斯くして万里。ジャックからタオル(もどき)をえいやっと受け取ると、いい感じに構えた。
「さあさあ皆さんご覧あれ! あっしが騙れば突然現れる暴れ牛だって……来たー!」

 この後、何が起きたかはもう語るまい。
 全ては皆様のお察し通り。不憫な残党兵が、更に憐れになっただけのお噺で。
 ――だいじょうぶ? おあとはよろしい? 〆ちゃって平気???
 ともあれ船の皆さんは新手の余興に、またもやんややんやの大喝采! ねぇ、本当にこの船の皆さん大丈夫!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御堂・茜
◎【雅】

清史郎様ー!ユニ様ァー!
はっ、こちらにおられましたのね!
悪なる黒きスイカを追っていましたら
御堂、迷子に!

全力疾走してきたら
少々汗をかいてしまいました…
まあ、タオルのご用意が!
まああああ!
しかも化粧は落とさず汗と皮脂だけを
ぐんぐん吸収しておりますわ…!
まさに正義のタオル!

更に清史郎様の雅を吸収して
タオルが雅に!
船員様このタオルおいくら?
(ユニ様のカメラに向かって)
雅までついて驚きのこのお値段!
先程からミドウ・アイが
悪の気配に反応していますが
まあ誤作動でしょう!
…え、悪?

よくも女子の心を弄びましたわね…!
ユニ様!
今こそがーるず・ぱわーですわ!
桜を浴びていざ雅に!
【完・全・懲・悪】ですッ!!


ユニ・エクスマキナ
◎雅

茜ちゃん、どこ行っちゃったのかなぁ?
迷子になっちゃったのかも…ユニ心配
あ、あの声は…!こっちなのねー!

えー!?このタオルそんなにすごいんだ!
さすが宇宙!何でもアリなのね!(納得
わわっ、タオルが清史郎くんの真似してるー!?
あれ?清史郎くんがタオルの真似をしてるの…?
なんか雅な動きで面白いから動画撮影してみようかな
茜ちゃんを映して次はタオル…
いやーん、動きにカメラが追い付かないのねー(もたもたまごまご
もうやめたーっ(終了ぽち

これ悪者だった!?
【Record& Play】でタオルの動きをコピー
黒いフォースの剣を構え
はーい、茜ちゃん!ユニはいつでも!
桜と共に!いざ、雅に!
完・全・懲・悪!なのねー!


筧・清史郎
◎【雅】

うむ、茜は何処へ…おお、合流できてよかった
それにしても黒スイカといい、大きなタオルといい
宇宙の物は性質がヤンチャなのか?
さすが宇宙は広大なだけあるな(謎に雅に納得

ほう、驚きの肌触りとは如何程か
突進密着してきたタオルをもふもふ
…ん?何やらタオルの所作が変わった気が
(雅力吸収し雅なタオル爆誕!?
確かに良い肌触りだが
俺のひよこブレイドの方が上質なもふもふだ(ひよブレしゃきん!
船員の方の厚意を無下にせぬよう残像駆使し
桜舞わせるパフォーマンスと称して
攻撃力重視【桜華葬閃】で、悪のタオルをひよブレで斬る

引き続き桜舞わせ船員等の目を惹きつけつつ
あとはユニと茜の女子力、がーるず・ぱわーに託そう(微笑み



●雅×女子力=無限大
 黒スイカ(仮)をじぃっと観察するあまり、ユニにはうっかり失念していたことがあった。
 それはとてもとても大事なこと――ステキなお友達、茜のことだ。
「茜ちゃん、どこ行っちゃったのかなぁ?」
 美味しいスイカを一緒に食べていた覚えはある。確か、『スイカにはお塩が正義でございますのね』とか清史郎のマイ塩を眺めて言っていたような。
 しかし記憶はそこでプツンと途切れている。
「茜ちゃん、どこ行っちゃったのかなぁ?」
 落ち着きをなくし周囲をきょろきょろと見遣るユニに、茜のことだから一人でも大丈夫だろうと思っていたとかいなかったとかの清史郎も、表情を雅に曇らせた。
「うむ、茜は何処へ……」
「迷子になっちゃったのかも……ユニ心配」
 むむーんと眉間に皺を寄せて、ユニは記憶領域を漁る。あれは、そう。黒スイカ(仮)が現れた直後。すっくと立ちあがった茜は、何かを叫んでいたような。『悪・即・斬』だったろうか? それとも『信賞必罰』だったろうか――。
「そこは【完・全・懲・悪】ですわー! 清史郎様ー! ユニ様ァー!」
「あ、あの声は……! 茜ちゃん、こっちなのねー!」
「あああこちらにいられましたのね! 悪なる黒きスイカを追っていましたら、御堂、全力で、迷子に!」
 (前略)(中略)どうやらそういう事だったらしい。さすがはジャスティスモンスター、悪の気配に恐ろしく敏い。敏いが故に、鉄砲玉よろしく突進してしまったのだろう。
 そしてその勢いは、未だ、健在!
「おお、合流出来てよかっ――」
「まああ、タオルのご用意が! 御堂、全力疾走して参りましたので、少々汗をかいてしまいましたの。ありがたいことですわ!」
 おかえりと迎えた清史郎の脇を茜、すっ飛んで行った。勿論、タオル目掛けて。そのまま全身でもふもふふわふわタオルへダイヴ!
「まあああ! なんという吸水力。それでいて化粧は落とさず、汗と皮脂だけをぐんぐん吸収しておりますわ……!」
 女子力に溢れた観点からの感動に、茜の瞳がうるると潤む。だがその雫が頬を辿ってファンデーションに跡を残すより早く、タオルはすっと涙を攫っていき。そこにまた茜は感極まる。
「これぞまさに、乙女の為の正義のタオル!!! 女子力の味方ですわ!!!!」
「えー!? このタオルそんなにすごいんだ! 女子力高いんだ!? さすが宇宙! 何でもアリなのね!!」
 女子力とくればユニも黙っていない。茜との再会を喜ぶべく、ユニもタオルにソフトタッチ。なるほど納得の肌触りだ!
 一方その頃、女子力に関しては若干修行が足らない(若干!?)清史郎はというと。茜の正義論に謎の雅な理解力を示し、ふむふむと頷いていた。と、そこへ女子力から逃れるようにタオルが突進してきたのはただの偶然か、はたまた必然か。
「自ら飛び込んで来るとは、宇宙の物は性質がヤンチャなのか? では、俺も驚異の肌触りとやらを――」
 ――モフ。
 ――もふもふ。
 ――もふっモフッ。
 ――ひゅっ。
 ……明らかに、最後の擬音だけ何かが可笑しい。だが、そんな音がしたのだ。いったい何が起きたのか。それはまさに奇跡。だって、タオルが、清史郎の、汗とか水分だけでなく、雅成分を、吸い取ったのだ! さらには、ただの黒だったタオル地に蝶とか桜とかの模様がついて、光沢も出ちゃったりして、とにかく謎の雅進化を遂げたのだ……!!!
 正直、何を言われているか分からないだろう。書いてる張本人もわかんない。だが、事実、そうなったのだ(力技で押し切るスタイル)!!!!!
「まあああ、何ということでしょう。御覧になってユニ様、タオルが雅に!!」
 茜、全力で喰いついた。
「うんうん。すごいのね! わあああ、雅に踊り出しちゃったのね! ここは撮影チャンスなのね!」
 ユニもつられた。で、ここぞとばかりにカメラを起動させた。
「船員様、船員様。こちらのタオルのお値段は、いかほどかしら? まああ、雅までついてたったのそれだけ? 驚きのお値段!!」
 買取交渉に入ったかと思った茜、ユニのカメラに向けて語りだし、唐突なテレビショッピングタイムを始めた。
 ユニ、がんばる。茜を撮って、雅ダンスを始めたタオルを撮って、また茜を撮って、タオルを撮って、また茜を撮って、タオル、茜、タオル、茜(暫くループ)。
 そんな女子をまたしても横目に、真の雅たる清史郎は、自分の雅力を吸収したはずのタオルの挙動に、違和感があるのに気付く。
 一見、タオルの舞は雅だ。けれど微妙に、違う。
「――そうか! 白雅ではなく、黒雅!」
 ええと。もう多くを語るのを諦めたので、掻い摘んで説明させて頂きますと。清史郎、雅の微妙な差からタオルがただのタオルではない――つまりは、悪であることを見抜いた。
 悪、即ち銀河帝国の残党兵。速やかに処断せねばならぬ物。されど宇宙船の皆さまの好意を無下にはできない。
 したらば、どうするか。
「俺のひよこブレイドの方が上質なもふもふだ」
 もふもふ比べを装い、清史郎は柄の部分に乙女心擽りMAXのかわいいひよこさんの意匠が施されたサムライブレイドを抜き。あくまでもふもふ比べと言い放ち、ついでにいつもの桜の花弁もぶわりと舞わせて人々の視線を雅に魅了し、ずばっと殺った。
 あくまで雅な振る舞いだ。宇宙船の皆々様も、さっくり誤魔化された挙句に、ほぅと感嘆の息を漏らす。しかし、茜とユニは猟兵だ。清史郎の真意を察せぬはずがない!
「先程から悪の気配にミドウ・アイが反応しておりましたが、誤作動だと思っておりましたのに……っ」
 茜、ふるふる肩を震わせた。
「ああんもう目がおっつかないよー! 撮影やめなのねー!」
 ワンテンポ遅れるユニ、とりあえず動画撮影を終了した。
「まさかの悪とは……よくも、よくも、女子の心を弄びましたわね……!」
 茜、ジャスティスパワーを燃え上がらせ、悪を、断罪する!
「え? これ悪者だった!?」
 ユニ、やっと茜に追いついた。
「ユニ様! 今こそがーるず・ぱわーですわ!」
「はーい、茜ちゃん! ユニはいつでも!」
 清史郎がひらひら漂わせてる桜の花弁を髪に、肩に、指先に浴びながら、茜とユニはついに真の女子力に目覚めた。これならば、きっと雅と混ぜても世界崩壊は起きない!
「悪は滅びる!!! 正義は勝つ!!!!! 皆様ご唱和くださいませッ、【完・全・懲・悪】ッッッ!!!!!!!!!!」
「完・全・懲・悪! なのねー!」
 茜はジャスティスミドウセイバーを手に。
 ユニはタオルからコピーした黒いフォースの剣を手に。
 全力で、乙女心を翻弄したにっくきタオルを断罪した。
 なお、その間の清史郎は。ユニと茜の高まる女子力を微笑ましく見つめていましたとさ。めでたしめでたし☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蛍火・りょう
たおる…ふかふかな手拭いか。気が利くな
今日は存分に殴ったからな
流石にぼくも、少し腕が疲れた
(ストレッチの要領で腕ぐるぐる/羅刹旋風)

でもこの『たおる』とやら、ごみ(剣と盾)が付いているぞ?
折角ふかふかなのに、これはいただけない
ぼくが取ってやろう(灰燼拳)

うん。これで余計なごみは取れたな
心置きなく汗を拭ける

…あぁ、でも
流石にこの1枚だけじゃ、みんな使いづらいだろう
人が使ったものを、使いまわすと言うのは
あんまり良くない気がするぞ

これだけ大きいのだから
いっそこの場で切って、小さい『たおる』に仕立て直してしまってもいいんじゃないか?

…いま、『たおる』から止めてくれとか声がしなかったか?
気のせい?そうか



●だってこれは攻撃じゃないし
 周囲がなんだかとっても騒がしい――気が、しないでもないが。
 意に介した風のないりょうは、すとととっとタオルを手に取った。
 そもそもタオルの概念が、りょうにはちょっぴり不明瞭。故に触れてようやく、りょうはタオルの何たるかを知る。
「成程、ふかふかの手拭いをタオルと言うのか。気が利くな」
 ふむふむ、これはありがたい――とりょうはタオルに全身で寄りかかった。
 今日は存分に、殴った。
 これでもかー! ってくらい殴った。
「流石にぼくも、少し腕が疲れた」
『ァァ、ァァァァァ!?』
 疲れた筋肉を癒すにはどうすればいい? 休ませるのも大事だ。けれどその前に、ストレッチ。
 そう。ストレッチ。腕をぐるぐるぐるぐる、ストレッチ。どう見ても羅刹旋風だけど、ただの、ストレッチ!
 程よく体が解れたところで、りょうは気付く。このタオルとやらに、ごみがついていることに。ぶっちゃけそれって、盾と剣。残党兵の大事な武器。しかしりょうにとっては、ただのごみ。だってこれはタオル。しかも極上のふかふか肌触りの。
「これはいただけない。ぼくが取ってやろう」
『ィャァァァァァ……』
 曇りなき善意から、りょうはごみを拳で叩き落す。ふつーに灰燼拳で叩き落す。安定の脳筋パワーで叩き以下略。
 おかげでタオルも本来の用途としてすっきりさっぱり。
 これでようやく心置きなく汗を拭ける――となった段で。またしてもりょう、気付いてしまった。
 このタオルは大き過ぎる。
 確かに大は小を兼ねると言うが、このままでは皆が使い難いのではないだろうか。あと、人が使ったものを使いまわすというのは、衛生的にあんまり宜しくない気もする。
 むむむむむ。
 りょう、まじまじとタオルを見つめた。
 ごみは取ってしまえば良いから解決は簡単だったけれど。大きい物を小さくするというのは、なかなかに難題だ。
 はて、どうしたものか。
「! そうか、この場で切って、小さい『たおる』に仕立て直せばいいのか!」
 ――悩み始めてから結論が出るまで、たっぷり3秒(誤字違う)。ぴーんと閃いた妙案に、りょうはスイカ割り専用バットではなく、いつもぶんぶん振り回している薙刀を構えた。
『ヤメテー』
「さいずは、どれくらいがいいか?」
『ヤメテー』
「それこそ手拭いくらいか?」
『ソロソロこっちもガチで身がモタナイノー』
「これでみんなが使いやすくなるぞ」
 さくさくさく。さくさくさく。あくまで、あくまで善意で、りょうは薙刀で器用に『タオル』を裁断する。さっきから聞こえる抗議の声は、幻聴だと決めつけて、裁断する。だってだって、これは『タオル』だから!
 然して完全善意のりょう。本来ならば一人一撃のはずのところ、華麗に三撃加えることに成功しましたとさ。
「ん、何のことだ? ぼくはただ皆のことを考えて――」
 これが世に言う『脳筋天然最強説』が爆誕した瞬間である。どーん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千波・せら


タオル……?
タオル。うん、タオル。
ありがとう。嬉しいな。
暑いからちょっと濡らしても大丈夫かな
大丈夫だよね。

エレメンタル・ファンタジア
水属性と天候は吹雪。
この二つを掛け合わせてとびっきり冷たいタオルにするよ。
今日の天気は冷たい水の槍
お出かけの際には乾いたタオルのご用意をお忘れなく。

ね、暑いからやっぱりこうしないと。
ふわふわもいいけど、私はこうが良いな。
すごく気持ちがいいからみんなやってみて。
おおきくて冷たくていいよ。

でも、冷たいからって調子にのって投げたり
友達にいたずらするのはダメ!
あぶないもんね



●ひんやりタオルのしあわせ
 ん? ん? ん?
「タオル……?」
 軽く握った手を口元へ宛て、せらはゆらりと考えた。
 がらがらがらと台車で運ばれてきたあれは。タオルだと言われたあれは、本当にタオルなのだろうか?
 少し、おかしい気がしないでもない。
 怪しい気配も漂っている。
 でも、でも――でも。
「タオル。うん、タオル」
 遠い遠い、遠い夏の海を透かしたような瞳を細め、せらは笑った。
「ありがとう。嬉しいな」
 運んで来てくれた人へ人懐っこく近づき、にこにことお礼を言って。それから、『タオル』へ駆け寄り、またにこり。
「暑いから、ちょっと濡らしても大丈夫かな?」
『――』
「大丈夫だよね」
 タオルが何かを言おうとしたっぽいけど、せらは『大丈夫』とさっくり決めつける。だってこれはタオルだもの。寒い冬にはほかほかにしたのが気持ちいい、逆に夏場はきんきんに冷やした方が気持ちいタオル。そう、これは、誰が何と言うと、タオルなのだから!
「今日の天気は冷たい水の槍」
 るるる、と歌うようにせらは天気を占い報せ、水の属性と吹雪を合成した力を編み上げる。
「お出かけの際には乾いたタオルのご用意をお忘れなく」
 さぁ、とびっきり冷たいタオルをつくろう。
 ふわふわも捨てがたいけど、せらとしては夏にはふんわりひんやりがお勧め!
 心が走るに任せ、せらはぴかぴかに光る水の槍でタオルを一刺し。そこ起点に白く煙る冷気を溢れさせ、あっという間に夏にぴったりなお絞り――ではなく、タオルを作り上げた。
「ね、すごく気持ちがいいからみんなやってみて」
 おいでおいでと、硬質に煌めく指先で人々を招くと、小さい子らがわらわらっと寄って来る。
「おおきくて冷たくて、いいでしょ?」
「うん!」
「きもちいいー!」
 素敵との邂逅は一瞬だけ。せらがしっかり目を光らせているとはいえ、タオルはタオル――というか、うん。タオル。

 数日後、平和な宇宙船内で新たなムーブメントが巻き起こる。
 それはひんやりタオルに頬をすりすりすること!
 せらが齎したしあわせは、じわじわ宇宙に広まっていくのかもしれない??

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリストフ・ポー
クラリス(f10090)と
…えっ、ヤダ
抜群の性能でも黒ずんで見えるタオル
没落してるとはいえ
セレブ育ちの僕は生理的に無理だなー…
不特定多数とシェアってのも頂けない
独占欲が強いんだから
という事で
クラリスにパフォーマンスをして注目を引き受けて貰っている内に
さっぱりバサッと拒否させて貰おう!

赫う嵐で薔薇の花弁をアーティステックに叩き込む
花火でゴージャスに盛り上がった祭りだ
多少飛び散っても
パフォーマンスの一部かな?位に思ってくれるだろう
ヤバい時は僕の演技とコミュ力と
誘惑のスマイルで誑し…言いくるめるのさ!

クラリスを撫でて
あー、全く
全力疾走だったよ
でもいい汗をかいたね☆
ストレス発散は心の美容液
爽快な気分だ


クラリス・ポー
クリストフ義母さま(f02167)と
母さまはああ仰っていますが
私は少し興味があります…フワッフワ何でしょうか!?

じゃあ、私が先に飛び込んで
それから衆人の注目を
ダンスと聖獣器のベル演奏パフォーマンスで引き付けましょう

そうと決まれば
召喚したライオンさんに乗って一直線です
…決して、一人で飛び込む勇気が無い訳ではないのです!
わぁ…ほわほわニャん……

ほっぺに肉球をつけて一瞬の余韻を噛みしめたら
宇宙船の皆さん!
特大タオルを用意してくださってありがとうございます
御礼にケットシーとライオンさんのダンスをご披露しましょう!
さぁ、さぁ、宜しければ御一緒に
皆で楽しく踊りましょう!

明るく楽しく
充実した一日でしたニャ



●ポーさんちの夏の思い出
「……えっ、ヤダ」
 開口一番、クリストフは口にした。
 運ばれて来た巨大タオルを見るや否や、そう口にした。
 だって、幾ら没落していようとクリストフは貴族。高貴なお血筋。如何に肌触りが良くて、吸水性も抜群だろうと、まずは色が頂けない。黒? どうして黒? タオルなら一目で清潔だと分かる白がよくない(とまではクリストフは言ってないが)? 黒ってだけで、『黒』っていうより『黒ずんで』見えてしまう。つまり、セレブ育ちのクリストフは生理的に受け付けられなかったのだ。
 もちろん、それだけじゃあない。
 不特定多数とシェアというのも、よろしくない。強めなことを自覚している独占欲が、全く以て満たされない。
 それでも否定の台詞の音量が控えめだったのは、タオルを運んできてくれた人々への一応の気遣い。貴族だもの、下々への配慮は心得ている。
 だからこそ、タオル――に見える銀河帝国の残党兵を思い切り吹っ飛ばすこともクリストフには出来ない。
 人々の視線を何とかして逸らさねば……逸らさねば……逸らさねば……。
「――クラリス?」
「はい、クリストフ義母さま!」
 傍らへ視線を落とせば、義娘が尻尾と耳をピンと立ててスタンバイ。瞳も夏のお日様みたいにキラッキラに輝いている。
 クリストフは全力で拒否したが。もふもふが大好きなにゃんこ――もとい、ケットシーなクラリスは大きなタオルがとっても気になるのだ。
 じゃれたらフワッフワだろうか? もっふもふだろうか?
「では、お義母さま。私が先に飛び込みますので」
「ああ任せたよ」
 任された大役に、クラリスに気合が漲る。然してクラリスは、どーんと金色のライオンを召喚すると、ひらりとその背に跨った。
 け、決して一人で飛び込む勇気が無い訳では、ない!
 ええ、そうですとも。そうですとも。あれはただのふかふかタオル。銀河帝国の残党兵なんかじゃない。
 クラリス、心の中で唱えて黒いタオルへ一直線。なんだかんだで猫科のライオンも、喜々として一直線。
 そうしてしゅばばっと、全力ダイヴ!
「わぁ……ほわほわニャん……」
 ふわん。全身を柔らかいタオル地で包み込まれたクラリスは、あっという間に夢見心地。ライオンの目もとろんと蕩けている。だが、クラリスにとっての本番は、ここから。
 理性を総動員して、クラリスはふわもふタオルから自分の身をひっぺがす。ほっぺに肉球をふにっとあてて余韻を噛み締めるのは一瞬。さり気なくライオンに後ろ足で蹴りを加えさせるのは忘れずに。
「宇宙船の皆さん! 特大タオルをご用意頂いたお礼に、ケットシーとライオンさんのダンスを披露しましょう!」
 全力のありがとうですよ、と。クラリスは金色のライオンと躍り始める。踊りながら器用に聖獣器のベルで愉快な音楽を奏で出す。
 りぃん、りぃん、りんりんりん。
「さぁ、さぁ、宜しければ御一緒に。皆で輪になって楽しく踊りましょう!」
 可愛らしく弾む音色と、花冠を戴くケットシーの少女のダンスにつられ、ひとり、またひとりと宇宙船の皆さんがステップを踏み始める。その輪が大きくなるまで、さほど時間はかからなかった。

 と、いうわけで。義娘が完璧に整えてくれた舞台に、いよいよ意気揚々と義母が繰り出す。
 ――嗚呼。
 やっぱり何度見ても、無理。ならばさっぱりバサッと、思い切りよく拒否るのが貴族の務め(かどうかは不明)。
「麗しの薔薇は我儘なのさ。せいぜい御機嫌を損ねないように、用心をすることだね!」
 タオルになりきっているからか、それとも他の猟兵が与えたダメージのせいか。碌に抵抗できないらしいタオル(仮)めがけて、クリストフは薔薇の花弁の嵐を麗しく、艶やかに、そしてアーティスティックに叩き込む!
 唐突に吹き荒れた赤い風に、気付く人もいるだろう。しかしそれがどうした! 火花を散らし爆発するスイカにも動じなかった皆さんだ。華やかな事この上ないクリストフの攻撃は、パフォーマンスの一環だと勘違いしてくれるに違いない――というか、120%パフォーマンスだと思い込んだ!

「明るく楽しく、充実した一日でしたニャ」
 ごろごろと喉を鳴らすクラリスの頭を撫で、クリストフも満足気に笑む。
 全力攻撃の結果がどうなったかは、推して知るべし。
「あー、全く。全力疾走だったよ。でもいい汗をかいたね☆」
 確かにとても充実した一日だった。
 ストレス発散は心の美容液。
 どことなーく肌艶よくなった頬をほんのり上気させ、爽快な気分に指先で水兵帽をくるりと回した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ

ジジ(f00995)と
ばっきばきの身は応急処置
…あ?従者が何時もに増して黒い?
きっと気のせいであろう

さて、私は堪能する振りをして
莫迦布に如何様な天誅を下してやったものか
我が身を疵付けたのだ
民に悟られぬよう――なぞと許す程、私は寛容ではない
ああ、これは本を正せば総てオブリビオンが悪い(責任転嫁)
…よしジジ、お前に民を任せた
私が良いと云う迄、全力で注意を逸らせ――良いな?

布の前で天使の微笑
ジジが奮闘する中
高速詠唱全力魔法の【愚者の灯火】を召喚
ふふん、全重ねの豪華仕様だ
太陽が如き輝きを崇め、慄き、燃え尽きよ
無論総て終れば存ぜぬと涼しい顔
…っておいジジ?ジジー?
これは…後で全力で治療するしかあるまい


ジャハル・アルムリフ

師父(f00123)と

師の怒りにより薄ら焦がされはしたが
元より夏とは多少焼けるもの

主から刺さる声の矛に
最早そうする他なく頷く

注意を…惹く
派手…驚き…(師を見る)
そうか、あれはこの時の為の布石

渦巻かせるは【怨鎖】
ただし巻き付けるは我が身
程好く巻けた所で――高速で解除
此れならば、先程の師をも越える速度の回転となろう
尾と翼の働きにより、つむじ風の一つも起こるがいい
我が右角は目映く輝く事だろう

問題は――何一つ見えぬ
やはり俺は修行が足りぬ様だ
後方から感じる哄笑と怨嗟と熱風
なんと悪…否、満足そうな声であろうか
これで師の機嫌が直れば良いが

なぜか安らかに視界が白んでゆく
うむ、夏の目映さの所為に違いあるま い



●刮目せよ、これが(涙ぐましいまでに)本気のパフォーマンスだッ!
 足首をぐるりと回す――問題ない。
 膝、腰、同様に問題なし。
 肩をぐるりと回す――何か重いものの直撃を強引に力で押しのけたような鈍い痛みがある。腕も同様。
 首をぐるりと回す――若干、むち打ちになったような気配がある。が、魔術の行使を妨げる程のものではない。
 煤のついた毛先を薔薇色輝石の爪先でつまみ、ふぅと穢れを雪いだアルバはギッと鋭い視線を従者へ放った。
「――」
 あちこちからぷすんぷすんとジャハルは煙をあげている。よくよく見れば、浅黒い肌がいつもに増して黒い気が――。
「……あ? そんなのは気のせいであろう」
 事の成り行きを見守る視線に含まれた意図を察したアルバは、痛む首を30度ほど傾げて(やや口元を引き攣らせながら)にこりと微笑み。ジャハルも師の言葉を肯定するべく、無言で頷く。
 元より、夏とは。日に、焼けるもの! うっかり日と火がこんがらがって、薄っすら焦がされるようなこともあるかもしれないが!!
「さて、ジジよ」
 そんなこんなで宇宙船の皆さんのざわざわ空気を軽やかに(?)いなしたアルバは、直立不動のジャハルへ含むものを含めるだけ含んだ――しかし響きだけは優しめに聞こえる――声で呼びかける。
 堪能する振りで、莫迦布に天誅を下す?
 常のアルバなら呼吸をするより容易く、相応しい上策を練ったに違いない。だが、アレは。アルバの身に疵をつけた(※あくまでジャハル経由ですが)(ジャハル。蒸し返してくれるな、という無言の訴え)。
 故に! 周囲の人々に悟られぬように――などとっ、甘っちょろいことは、今のアルバには、無理!! 全力で、捻じ伏せなくては、気が済まないっ。ああ、そうだとも。元を正せば、全部全部オブリビオンが悪いのだから!!!(一部、激しく責任転嫁が発生している気がしないでないが、つっこんだら藪から蛇……ではなく大蛇が出る可能性が高いので全力でスルー)!!!!
 ともあれ。
「お前に民を任せた。私が良いと云う迄、全力で注意を逸らせ」
 ――良いな?
 最後の『?』に込められた『否』を許さぬ言葉の矛に、ジャハルは最早そうするしかないように、また頷き、思案を巡ら方へ意識をシフトさせる。
 師父の言葉は(特に今は)絶対。可及的速やかに、人々の注意を惹き付けねばならない。
(「できるだけ派手……驚き……」)
「―――――――そうか、あれはこの時の為の布石」
 この時、ジャハルの脳内にとんでもない天啓が舞い降りた。きっかけは、ちらっとアルバの様子を窺ったこと。さっきまで、さんざんぐるぐるぐるぐる回転してたアルバを見たこと。
 然してその天啓の実態は。
「鎖せ」
 ひらりと人々の視線を集めやすい高みへ舞ったジャハルは、黒く染まりゆく血で編まれた鎖を編むと――おもむろに、我が身へ巻きつけた。
 ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる。何重にも巻きつけ、巻きつけ、全身に巻きつけきったところで、高速解除☆
 この後に起きた事象を端的に言うと、ジャハルは人間独楽になった。つまりは、そういうことだ。
 ジャハル、ぐるぐる通り越してぶんぶん回る。尾と翼のせいで、旋毛風を巻き起こしながら、ぶんぶんぶんぶん回る。夏らしく身を彩る装飾を、じゃらんじゃらん言わせながら回る。
 しっかり体幹が鍛えられているからだろう。微塵も芯が揺るがぬぎゅいんぎゅいんな回転に、ついにはジャハルの右角が眩く煌めく。
 最早人智を超えた回転に、人々は「おおおおお」と感嘆を零し、ジャハル人間独楽に魅入る。
 その隙に、アルバは布っ切れ(タオルとさえ呼んでもらえない)に近づき、ふふっと天使の如く微笑んだ。
『…………(汗)』
「ふふん、?(詠唱+意味深)」
『……………………ィャ、俺はアンタに何も――』
「一・蓮・托・生!」
 アルバ、慈悲深き微笑みのまんまトータル47個の炎球を操る。高速で、持てる全てを遺憾なく発揮し全力仕様で。
「太陽が如き輝きを崇め、慄き、燃え尽きよ」

「ふははははははははははははははははははははははははははははははは、は(息継ぎ)、ははははははははははははははははははははははははははははははは」
 怨嗟の熱風と哄笑を五感に拾いながら、ジャハルは回り続ける。
 熱風も、哄笑も。感覚が、慣れ親しんだ人のものであることをジャハルに教えてくれていた。
 どうして『感覚』かっていうと。ジャハル、なんにも見えてない。動体視力の限界なんて、とっくに超えてる。
 だがジャハルはそれを恥じ入る。己の修行不足だと――師父には未だ遠く及ばぬと、噛み締める。
「ふははははははははははははははははははははははははははははははは、は(息継ぎ)、ははははははははははははははははははははははははははははははは。はははははははははははははははははは、は(息継ぎ)、ははははははははははははははははははははははははははははは、はッ」
(「……なんと悪――否、満足そうな声であろうか」)
 想うことが皆無なわけではない。しかし弟子にして従者である男は思うのだ。
 これで師の機嫌が直ってくれれば、それでいいと。
 人間独楽になって、奇異も混ざり始めた視線を一身に浴びるのも構わないと。
 嗚呼、でも。
(「なぜ、だ? 視界が、安らかに、白んでゆく……」)
 …………。
(「う、む。夏の、目映さの所為に違い、ある ま  い     」)
 …………………ジャハルさぁああああん、生きてえええぇぇ!!!!(あまりに不憫で文章に出来ない天の声の叫び)

「おーい、ジジ?」
 他の猟兵らの攻撃(仮)の甲斐もあり、布っ切れを綺麗さっぱり、始めから何もなかった(証拠隠滅)かの如く焼き尽くしたアルバは、知らぬ存ぜぬを貫く涼しい顔で力尽きた独楽――もとい、ひっくり返ったジャハルの頬をつんつん突く。
「ジジ? ジジー? ジジやーい」
 どれだけ呼んでも返事はない(安心して、屍じゃない。一応)。
「困ったヤツだのう。仕方ない、後で全力で治療――」
「全力!?」
「お、ジジ。目を覚ました――」
「(ぱたんきゅう)」

 斯くして銀河帝国残党兵の脅威は去った。
 けれども、そこに尊い犠牲(というか生贄)があったのもまた事実。
 しかしめげるな猟兵よ、強く生きればきっと明るい未来が君の事を待っている!! っていうか待ってるって信じてる!

 ――Mission complete&Good luck!!!!!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月31日


挿絵イラスト