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エンカウントⅡ

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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●グリモアベース
「あ、ちょっと良いですかね?」
 ウィルバー・グリーズマン(ウィザードもどき・f18719)通り掛かった猟兵達を呼び止めて、魔本を開きながら要件を語り始める。
「要点だけ言えば、オブリビオンが現れるのを予知したので、倒して頂きたいのです」
 恐ろしく簡潔だった。
 流石にそれだけだと怒られそうなので、ウィルバーはきちんと説明を始める。

「現れるのはスズメ型と、ナマケモノ型……かな? 二種類のオブリビオンの集団ですね。スズメ型は非常に弱いのですが、ナマケモノ型はそこそこ強いので注意して下さい」
 あくまでそこそこ。実際の所、ある程度の実戦経験を積んだ猟兵ならば、苦戦するような相手ではない。とは言え、油断して掛かると痛い目を見るだろうが……。

「注意点として、避難勧告や警戒活動をすると、予知が狂ってこの街での事件は起こらなくなります。それだけは絶対……絶対にやらない様にお願いしますね」
 絶対という言葉をやたらと強調している……別にフリではない、やらないように。

 ウィルバーは、服のポケットを漁り出すと、チケットを取り出して。
「オブリビオンが来るまでの間は暇でしょうし、映画でも見てて下さい。何枚か映画のタダ券を手に入れたので……」
 チケットには、『サメ映画限定! 無料券』と書かれていた。ちなみに、それ以外の映画は普通に金が掛かる。
「まぁ、いいじゃないですか。中には大ヒット上映中の人気サメ映画もありますし。『シャークロック・ホージロ3』とか『フカットモンスター・ジョウズーの逆襲』とかがお薦めですよ」
 前者は探偵ホージロの活躍を描く、アクション映画の三作目。
 後者は某国民的アニメの劇場版のリメイクだとか。……何故サメなのだ。

 タダでサメ映画を見るか、敢えて金を払って普通の映画を見るか、適当にパンフレットでも見て時間を潰すか……やれる事はせいぜいこの位だろう。
 サメ映画の種類は何故か豊富で、D級からA級。予算の無駄使いにしか見えないサメ映画やら、お蔵入りとなった伝説のサメ映画の映像まである。

 何はともあれ、とりあえずは映画館に入ろう。話はそこからだ。


小強欲
 こんにちは、小強欲と申します。詳しい内容はOPの通りです。

 一章では、映画でも見ていて下さい。
 二章では、スズメ型オブリビオンとの戦闘。
 三章では、ナマケモノ型はオブリビオンとの戦闘。

 実在する映画の名前は避けて頂けると幸いです。
 映画中のリアクションを書いて頂ければ、アドリブでどうこうします。
 それぞれの映画が終わり、スタッフロールに入る所でオブリビオンが襲ってきます。

 それでは、楽しいプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『全世界☆サメ映画☆博覧会』

POW   :    サメ映画の映像で思いっきり、びっくりする!

SPD   :    サメ映画の資料で思いっきり、研究する!

WIZ   :    サメ映画の歴史に思いを馳せで思いっきり、スピリチュアる!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

二天堂・たま
サメ映画限定の博覧会…?
本物のサメを使った物やら、着ぐるみやら、フルCGやら色々あるのだな…。
とりあえず予算を無駄にしまくった感じのサメ映画でも見てみるか。

……。
…………。
フカヒレ…。鮮度が良ければ刺身…。照り焼き…。パン粉付けてフライ…。
ガーリックソテー…。梅肉煮…。竜田揚げ…。
これだけリアルな宇宙サメが群れをなして泳いでいると色々な料理法が頭をよぎってしまうな。
あの宇宙線もサメを模して群れから攻撃されないようにしている所とか、ストーリーがしっちゃかめっちゃかなのはともかく、細かい設定は中々作り込まれている。
一番残念なのは、人の顔がみんな同じところかな…。



 平日の昼間だが、映画館内は中々賑わっている。
 上映中の映画のポスターを見ながら、二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は面白そうなのは無いかと、ポテポテと歩いていた。
「本物のサメを使った物やら、着ぐるみやら、フルCGやら色々あるのだな……」
 大きな壁一面に、無数のサメ映画のポスターが貼ってあるのは圧巻の一言である。
 これを見ているだけでも時間を潰せてしまえそうだ。
「とりあえず予算を無駄にしまくった感じのサメ映画でも見てみるか」
 丁寧に制作費まで記載されている。周囲に貼ってあるサメ映画の倍近い制作費を使った物らしい。それを何に使っているのかが、たまは凄く気になっていた。

 早速、たまは観客席に着く。周囲を見てみるが……実に客がまばらだ。
 人気は高くないのだろう。たまを含めて、二十人に満たない様にも見える。
「うーむ、凄く不安になって来たな……」
 とは言え、無料券なのでタダだ。中身が酷くても、それが苦行を強いられるレベルで無いのならば問題はない。幸い、映画の評価も酷過ぎる……と言う程でもない。
「お、始まったな」
 観客席が暗くなり、スクリーンの光が強調される。
 冒頭からいきなりCGを多用し、無駄に壮大な音楽が流れる。
 巨大宇宙船が映し出されたかと思えば直後にチュドンッ! と爆発し、巨大宇宙サメが別の宇宙船を喰らい尽くして行く。
(「これだけで幾ら掛かっているのだ……?」)
 オープニングに金を掛けると言うのは分かるが、ここまでやると流石にやり過ぎと言えるレベルの完成度だ。これだけで動画の再生数を大量に稼げそうな程に。
 ここだけ見れば、とんでもない名作かの様にも思えてしまう……が、残念ながら予算の無駄使いと烙印を押されている。
 たまは甘いアップルジュースを飲みながら、映画を眺めていた。

(「…………」)
 暫く経って、たまの脳内に浮かぶのは、フカヒレ、照り焼き、ガーリックソテー、梅肉煮、竜田揚げ……。そう、料理である。
 リアルもリアル、サメの出来は本当に素晴らしい。何故宇宙を泳いでいるのかには疑問が残るが、それでもリアル過ぎる。
(「これだけリアルな宇宙サメが群れをなして泳いでいると……色々な料理法が頭をよぎってしまうな」)
 生きの良いサメの刺身、パン粉を付けてフライ……きっと美味しいだろうな、などと考えて、映画を続けて見て行く。
 映画の中身も悪い物ではない。冒頭の宇宙船とは違うサメ型の宇宙船は、擬態してサメと共に移動していたり。宇宙サメを捕獲して売り払うトレーダーなどが居たり。
 ストーリーは滅茶苦茶だが、細かい設定は十分にされており、意外と楽しめる内容だ。
「しかし……」
 ふと声が漏れてしまうが、周囲には人はいなかった様で安心して。
(「しかし何故、人の顔が全て同じなのだ……?」)
 主人公も、トレーダーも、軍人も、宇宙海賊も……男も女も全員が同じ顔だ。
 たまは所謂クローンか? と思って映画を見続けていた……が、結局は作中でそれについての言及は一切なかった。
 そうして、映画が終わってスタッフロールへ。
「……え、アレで終わりなのか?」
 終わり方も微妙にしっくり来ない。物語の目的もよく掴めなかった。……だが、幾つかのサメ料理法が浮かんだので、一応は収穫があったと言えよう。
 とても不思議な気持ちのまま、たまはスタッフロールを見続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
なんでwサメ映画オンリーww 駄目だ、草が生えるってこういう事言うんだね!腹痛い…!

いや判ってます、判ってますよぅ、戦闘までの時間潰しだもんね。普段ナオちゃん1人だとサメ映画は見ないから、折角だし見よう!

見るのは『シャークロック・ホージロ3』!探偵ホージロ、知ってる、最後に滝に落ちるんだよねぇ。でもホージロだから何も問題ないね、うん。原作小説(?)を読んだ事があるけど、全部読んでる訳じゃないし、推理しながら楽しみまぁす☆

ポップコーンとコーラ買って、座席は一番後列の、一番端へ。隣りが空席である事を確認して、足を組みながら。ぐでっとしながら過ごしましょ。ウィルバーさんも来れれば良かったのにね~。



 映画館の壁にあるポスターを見ながら、尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は、通路の陰で腹を押さえて笑っている。
「なんで……サメ映画オンリー、……w!! だ、駄目だ、草が生えるってこういう事言うんだね! 腹痛い……!」
 それはもう、顔を真っ赤にして、声を抑えつつも大笑いしていた。
 何故こんなニッチな層を狙い撃つかの様な、極めて狭い範囲の映画を無料券まで配って上映しているのか。……昔からこの街で流行っているらしい。
「せ、戦闘までの……時間潰しだもんね……w!」
 笑いを抑えようとするが、ニヤけた表情までは抑え切れない。
 普段一人ではサメ映画は見る事がないので、折角だからナオは見る事に決めた。

 観客席に行くと、そこは大半が埋まっている。まさしく大盛況の様子だ。
 ナオの見る『シャークロック・ホージロ3』は大人気シリーズなので、平日でもこの通りである。満席ではないが……休日はどうなるのだろう。
「さてっ、食べ物も買ったし……推理しながら楽しみますかね」
 ナオが座るのは最後列の一番端。ポップコーンを置いて、コーラを一口飲むと、しっかりと頭を回転させる。
 ラッキーな事に、隣は空席だ。ナオは足を組んで、ゆったりとした座り方で映画に臨む。辺りが暗くなると、スクリーンに映し出される探偵ホージロお馴染みのマーク。
(「やっぱ格好良いよなーこれ」)
 ポップコーンを食べながら、通称・ホージロマークを見る。原作小説にもあった物だ。スクリーンで見ると、細部まで手が込んでいる事がよく分かる。
 ナオは原作を幾つか読んだ事があるが、流石に全てを見た訳ではない。なんせ、超が付く程のロングセラーなのだ。
(「シャークロック3は、多分まだ見てないな~」)
 冒頭が終わると、まだ読んでいないであろう物だと確信して。
 そうして、映画を見ながら推理を続けて行く。

 ナオは頭を回転させ続けているが、中々真相に辿り着けない。
 何となく悔しい気もあるので、少しばかりマジの顔になっていた。
(「誰が犯人だ? ウミアーティが一番怪しいけど……」)
 登場人物で最も怪しい人物を思い浮かべるが、証拠とは繋がりがないし、何より完璧なアリバイがある。彼はフェイクだ、他に犯人がいる。
 では誰なのか……考えている時間で映画も進む。時間どんどん迫って行って。
(「マジで誰だ? 分かんないな~!」)
 とは言え、時間制限アリの推理というのはスリルがあって中々楽しい。
 頭を掻き毟りながら、椅子に全体重を預けると、リラックスして考える。アリバイがなくて、証拠に繋がる人物……登場人物全員を思い浮かべて、推理して。
 突如、ハッとして気付く。
(「サメソンか!」)
 ホージロの相棒、サメソン。三作目にして、彼が真犯人だと気付いてしまった。
 更に映画を見続けると、ナオの予想通りの展開となって行く。
(「おー、やっぱりそうだったか……」)
 謎解きには少しばかり表現の差異はあった物の、ナオの推理は見事に的中。観客達も映画の内容、特に犯人のサメソンにはかなり驚いている様子だった。

 そうして、三時間にも及ぶ長編映画の末に、スタッフロールが流れ出す。
「面白かったー! ウィルバーさんも来れれば良かったのにね~」
 ウィルバーはグリモアベースで挙げた二作品が特に見たかったらしく、割と悔しがっていた様だ。見るのはまた別の機会になるだろう。
 ナオは残ったコーラを飲み終えると、軽く身体を動かして、敵の襲撃を待つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スコッティ・ドットヤード
サメ…サメ限定!?一体どうしたらこんな限定チケットが発行されるに至ったわけ!?
(話をすべて聞き、チケットを受け取り驚く)

…でもま、せっかくだし観させてもらおうかな?
オブリビオン退治はそこまで自信ないけど、他にも人がいるみたいだし。

じゃあ俺はこの「サメンガーZ」っての見てみるか。
ロボットて男のロマンだし。
えっと何々…『ロボアニメの原点です!』?嘘だろ?サメなのに?
(パンフレットを読みつつ館内へ)

(サメがサメ型ロボに搭乗し、悪のシャチロボ軍団を倒すという展開)
(だがその字面から想像できないほど面白かった。ロボアニメの原点と言われる理由を理解できた)
(なぜサメなのかはさっぱりわからなかったけどな!)



 平日でも多くの人で賑わっている映画館内。
 無料チケットを手にして、スコッティ・ドットヤード(性別疑惑・f20279)は、ずらりと並ぶサメ映画ポスターを、歩きながら眺めている。
「どうしたらこんな限定チケットが発行されるに至ったわけ……!?」
 無理もない、何せサメ限定だ。
 一部の層は喜ぶだろうが、一般人受けはまずしない……筈なのだが、この街では大ブーム中。これを目当てに来る人も多く存在する。
「……でもま、せっかくだし観させてもらおうかな?」
 スコッティはオブリビオンとの戦闘はそう自信はないが、館内には別の猟兵もいる。
 それに、今回の敵であるスズメ型は非常に弱いとも聞いた。最初の戦いとしては簡単な部類に入るだろう。
 時間まで何を見ようか考えながら、スコッティは取り敢えず、サメ映画博覧会適用の特別パンフレットを取りに行った。

 そうして見付けたのは、ロボットアニメの劇場版、初代『サメンガーZ』だ。
「いいねぇ……ロボットと言えば男のロマン! これにするかっ!」
 周囲に居た人達がスコッティに目を移す。それもその筈、彼は傍から見れば女性にしか見えない風貌……。
 当の本人はパンフレットに夢中で気が付いていないが、かなり目立っていた。
「えっと何々……『ロボアニメの原点です!』? 嘘だろ? サメなのに?」
 ヒーローズアースでロボットアニメの原点と言えば、サメンガーZ……これはもはや、周知の事実とも言えよう。
 何でサメなのかは置いといて、非常に人気がある作品である事は間違いない。
「んじゃ、さっそく観るか」
 スコッティは受付にチケットを渡した後、席を選んで、すぐに観客席へと向かう。

 そこそこ盛況な観客席。来場している客は、スコッティよりも年齢が上……30代から40代の男性が殆ど。逆に女性や子供は殆どおらず、見た目が女性のスコッティはやや目立っているが、本人は気にした様子はない。
 ブザーが鳴り、暗くなって行くと、80年代を思わせる古いアニメ映画が流れ出す。
(「おー、年季が入ってるな……」)
 開幕からサメがガンガン死に、古い映画だからこその凄惨な描写がされている。
 スコッティは男性なので、そこまで忌避感がある訳ではないが、サメがバラバラになるのは普通にグロい。
(「いや、人じゃなくてサメで良かったな。 と言うか、ロボットはまだ?」)
 これが人間だったらアニメで出せないが、サメならばやりたい放題。サメがガンガン吹っ飛んで、バタバタと倒れている。
 暫く見続けていたが、シャチ軍団にサメが一方的にやられるシーンが続く……まあ、これだけでも割と面白いのだが、中々ロボが出て来ない。
(「おっと、ようやくロボか」)
 主人公がサメンガーZに乗り込むと、今までのお返しとばかりに、圧倒的なパワーでシャチ軍団を撃退して行く。
 シャチ軍団の総統、ドクター・ヒレは巨大機械鯱を駆使して、サメンガーZに挑み、戦闘が始まった。
「おお……」
 現代にあるトリッキーでスポード感がある戦いとは違い、実に重厚でパワフルな戦闘。
 中でもロケットパンチは、此方にまで響いて来そうで、音量との相乗効果で圧倒的なスケールの戦闘を生み出していた。
 数多くのロボットアニメが生み出されても、色褪せる事はない原点……スコッティは、最後の最後まで目を離さなかった。

 そうして、スタッフロールが流れて。
「いい映画だった! これは心が熱くなるぜ……!」
 全体を通して、燃える作品と言えたサメンガーZ。
 しかし最後まで見ても、何故サメである必要があったのかは、さっぱり分からなかったスコッティであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
折角タダなんだし、普段あんまり手を伸ばさないような奴を観ようかな。
えーっと……“最新作『天竺の鮫』公開記念・深海マコト作品一挙上映”?
フライヤー見た感じアニメ映画っぽいけど、どんなんだろ。

(丁度『鮫の名は。』の上映時間になった観覧室に入り、暫し後)
……いや、「入れ替わってるー!?」って言われても見た目が大して違わなくて全然わからん……!
(更に後)
おお……スケール感掴みづらくて途中まで気づかなかったけど、まさかメガロドンとホホジロザメで入れ替わってるとは……見た目にツッコミ入れられるのも多分想定内なんだろうなあ、これ。
海底火山の噴火シーンも迫力あったし、色々やられたわー。パンフ売ってたら買おう。



「折角タダなんだし、普段あんまり手を伸ばさないような奴を観ようかな」
 そう言って、大きなマスクをした一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)はサメ映画のポスターを眺めていた。
 ポスターの横に、何かの作品と作者名が羅列してあるのが見えて。
「えーっと……最新作『天竺の鮫』公開記念?」
 すぐ側にあったフライヤーを見てみると、どうやらアニメ映画の様子。
 深海マコトと言う、ヒーローズアースで有名なアニメーター。彼の作品の一挙上映を行うと書かれていた。
「次の上映は、『鮫の名は。』か……鮫の種類かな?」
 タイトルだけでは全く予測が付かない映画タイトル。
 仄かな期待を胸に、亞衿はすぐに観客席へと向かって行く。

 観客はなんと満席だ。
 平日の昼間からこの人の入り様は、よほど人気があるのだろう。
「これは、凄く期待できそうだね……」
 すぐにブザーが鳴って、映画が始まる。
 男子高校鮫の滝は、目を覚ますと身体が女子高校鮫の水波になっていた……。
(「……いや、「入れ替わってるー!?」って言われても……!」)
 特に鮫に詳しい訳ではない亞衿にとっては、色が少し違う程度しか分からない。しかし、これはこれでツッコミ所が多くて、面白い物がある。
(「その内、見分けも付くようになるよね」)
 亞衿は割と楽しげな様子で、映画を見続けていた。

「「鮫の名は――」」
 楽しい時間はあっという間に終わり、ラストシーン……二匹の鮫、メガロドンとホホジロザメが映画を締め括る言葉を言い終えると、エンディングに入った。
「スケール感掴みづらくて途中まで気づかなかったけど、こうして並ぶと全然サイズが違うなあ」
 親と子ほどのサイズ差……これで同世代だと言うのだから、人間とサメの違いがよく分かってしまう。魂と邂逅するシーンでは、一人称視点でそれを見事に隠しており、それに気付いた亞衿に衝撃を与えた程だ。
 亞衿は感心した様子で、エンディングを眺めて。
「見た目にツッコミ入れられるのも多分想定内なんだろうなあ、これ。凄い……」
 全てが計算ずく……と言う訳ではないだろうが、細部まで拘っている名作だった。
 亞衿は勿論、観客達も少し困惑している者もいるが、十分に満足している様子。
「特に海底火山の噴火シーン、あれはとんでもなかった……」
 あれは戦闘物のアニメ映画に引けを取らないレベルで、凄まじい迫力だった。
 火山灰で倒れ行くサメ達の悲壮感、何もできない主人公達の絶望感。サメと言うのは置いといて、実に素晴らしい。
 亞衿の総評としては、世界に通用する伝説的なアニメ作品……だった。

「はー、色々やられたなー。パンフ売ってたら買おう」
 が、その前にやる事がある。オブリビオン退治だ。
 亞衿はオブリビオンが来るまでの間、エンディングの映画内にあったシーン集を眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
サメ映画いいですよね
サメイドの異名を持つわたくしとしては見逃さないという手はありません。
思う存分堪能するとしましょう。

見るのはもちろんチープなCGをバリバリ作った
シャークアクション映画です
ようするに竜巻に乗ってるのとか、そういうアレです

数々のサメ系ユーベルコードを持つ身としては
そういった一見すると荒唐無稽なムービーを見て
新しいサメ系ユーベルコードの発想を得たいと思ってます
あとは単純にサメ映画を楽しみたいですしね。

ポップコーンとコーラを手に思いっきり楽しむぞー


津久根・麦穂
盗賊はスクリーンを観ながら溜息をついた

宇宙から落下する巨大サメによる人類滅亡の危機
しょっちゅうシリーズが作られているのか
聞いたふうなタイトルの横には『2019』の文字がある

予算の関係か、冒頭のコバンザメ落下による
都市崩壊シーン辺りでCGパートは終わり
人間達の内輪揉めシーンになってから80分は経過しただろうか

議題は主人公の不倫についてである

んなことしてる場合ですか!

普段ボケ役が多い賊も思わず突っ込む

はあ……今日は仲間も居ませんし
私1人でオブリビオンと戦えるはずもありません
もう帰りましょう……

およそ猟兵らしからぬ台詞を残し、賊は席を立つのだった
(ジゼルさんが居た場合、見なかったことにして帰る)



「サメ映画いいですよね……」
 サメのキグルミを着ているエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は、こんな機会を逃す手はない! と意気込んで、ポスターを眺めている。
 なんせ、サメのメイド……サメイドの異名を持つエミリィだ。これを見逃す筈もないだろう。流石にサメのキグルミを着て見ている人は他にいないので、目立つ。
「思う存分堪能するとしましょう!」
 意気揚々とエミリィが向かう先は、シャークアクション映画『サメバター』だ。
 この映画はCGが特に凄く、チープな物から本格的な物まで、場面によって次々と切り替わる熱気が収まらないであろう作品……。
 果たしてこれは、エミリィのお気に召す映画なのだろうか。
 さっそく観客席へと向かって行くエミリィだった。

 時を同じくして、津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)もまた映画を見ている。
 スクリーンに映し出されたタイトルは、『ヒレマゲドン2019』……シリーズ物の九作目で、今作は宇宙から落下してくる巨大サメによる人類滅亡を防ぐという設定だ。
「宇宙から落下する巨大サメ……?」
 よく理解できない様子の麦穂。
 しかし、パンフレットには他にも訳の分からない事が書いてある。考えるだけ無駄だと悟って、頭をからっぽにして観る事にした。
(「おお……!」)
 オープニングが始まると、街に降り注ぐ大量のコバンザメ。
 人々は逃げ惑い、世界は大混乱に陥って行く。数分後、アメリカの大都市が破壊されてしまう。
(「す、凄い迫力ですね! これは名作の予感が……!」)
 麦穂は手に汗を握ると、先の展開を楽しみにして、映画の続きを観る。

(「うおーっ! すごーいッ!」)
 ポップコーンとコーラを手にして、映画に釘付けのエミリィ。彼女が見ているのは、サメ駆逐兵器SKR(シャークキルロボット)と、人間とサメのハイブリッドのサメバターの戦闘シーン。
 圧倒的なパワーと重火器で制圧しようとするSKR、それに対抗して主人公のサメバターは風を操り、銃弾すらも吹き飛ばす竜巻を発生させていた。
 発生させた竜巻を胸ヒレの間に凝縮すると、それは一つの玉となって、それをSKFに放つと、凄まじい速度で消し飛ばしてしまった。
(「周囲に強風を展開して、それを一つに纏めてからぶっ放すんですね!」)
 訳の分からないアクションCGも、エミリィの自由な発想力が、次々に有益な情報として吸収して行く。
 別のSKRが火炎放射器を放てば、風がそれを吸収して逆に焼き尽くしてしまったり。
 雲の中に風を潜り込ませて、天候を操作して落雷を落としたり……サメの必要はあるのか、等と言ってはいけない。
(「なるほど、土の中を潜るサメも居るんですね」)
 相棒のサメバターが土と同化すると、敵の司令官まで忍び寄って食べてしまう……此方の方が、まだサメらしいか。
 一見すると荒唐無稽。しかし、エミリィにとってはまるで宝物の様な映像だ。
 それに、単純にサメ映画を楽しむと言うのもある。
 途切れる事のないアクションCGから目を逸らさずに、次のアイディアを探していく。

 喜んでいるエミリィとは一転して、麦穂は実に退屈そうだった。
 冒頭のCGが終われば、その後は殆どCGが出て来ない。更には、人間同士の内輪揉め……それが延々と続いて、もうじき80分近くなるだろうか。
(「ヤバイ、これはヤバイです」)
 他の観客も、呆然とした表情で映画を眺めている。
 内輪揉めも最初こそサメの対抗策やら軍隊の配置など、まともな物だったのだが……今では、主人公の不倫現場による内輪揉めだった。
(「んなことしてる場合ですかぁぁッ!」)
 もうじき世界が終わるというのによくやる。
 あまり突っ込むタイプではない麦穂も、心の中で叫ぶほどだった。
(「はあ……」)
 流石にこれ以上観ると頭がおかしくなってしまいそうなので、席を立って外に出て行く。

「今日は仲間も居ませんし……私1人でオブリビオンと戦えるはずもありません。もう帰りましょう……」
 決して戦闘能力が低いという訳ではないのだが、自信なさ気に……更には映画で精神的なダメージを受けてまった麦穂は、歩いて帰って行く。
 その途中に、別の客が扉から出て来るのを見て。
「ん、あれ?」
 その中に、サメのキグルミを着たエミリィが居るのに気が付いた。
「……」
 とは言え、気付いたとしても中には入れない。
 麦穂は見なかった事にして、そのまま帰路へ着いた。

「素晴らしい作品でした……」
 エミリィは、流れるスタッフロールに向けて、静かに拍手をしていた。
 頭の中で思い浮かぶのは、主人公達とラスボスとの戦い……風を利用して相棒の口に叩き込むという、凄まじいコンビネーション。
「これで何か新しいユーベルコードが浮かぶ気が……!」
 するかも知れないし、しないかも知れない。
 全てはエミリィのアイディア次第だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ちゅんちゅんさま』

POW   :    頑丈なくちばし
単純で重い【くちばし】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    鋭い翼
【翼】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    羽根ガトリング
レベル分の1秒で【翼から羽根】を発射できる。

イラスト:橡こりす

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「チュン! チュン!」
 スタッフロールが流れるスクリーンを破って、スズメ型オブリビオン『ちゅんちゅんさま』が現れる。一体や二体ではない……数十にも及ぶ、ちゅんちゅんさまが。
 あっという間に観客は逃げ遂せる。この様な状況に慣れているのだろうか?

 しかし既に映画は終わってスタッフロールだ。実にタイミングが良い。
 もしもスタッフロールが豪華で観る価値に値する物だったのならば……怒りのままに遠慮なくやろう。
二天堂・たま
ようやく出て来たか…スズメ型のオブリビオン。
…ん?わざわざスタッフロールまで待っていたのか?な、なんて行儀のいいスズメなんだ。
手のひらに乗せたパンくずを空中で喧嘩しながら食べるような、公園でたむろしているスズメとは違うのだな。

それにしても観客のあまりに速やか過ぎる避難には違和感を覚えるな。
ちょくちょくあるのか?こんな事態。
まぁこちらとしては好都合だ。UC:ピヨの波動は範囲内にいる者を無差別に攻撃してしまう。

おなじ鳥同士、決着をつけようではないか。
(本人は鳥じゃないし、そもそもUCの掛け声もスズメじゃない)



「チュン! チュチュン!」
 スクリーンを突き破り、通路や観客席に現れる巨大な饅頭の様なスズメ達、ちゅんちゅんさま。しかし既に観客は逃げ出しており、適当に彷徨いているだけである。
「な、なんて行儀のいいスズメなんだ」
 スタッフロールの中盤まで待つスズメ……本当にオブリビオンなのだろうか。
 しかし、それでも敵は敵。たまをみると、ぴょんぴょんと飛んで威嚇する。
「……手のひらに乗せたパンくずを空中で喧嘩しながら食べるような、公園でたむろしているスズメとは違うのだな」
 褒めてはいない。飛べないし機動力もないだろう。攻撃力は普通だが、普通の雀より機動力に劣るのはどうなのか。
 スズメは凄く鈍い動きで、たまへと近付いてくる。

「それにしても……」
 あまりにも観客が逃げるのが早い。ここまで速やかな避難は、見事と言うよりも違和感すら残るレベルだ。
 とは言え、この街と周囲はオブリビオンに頻繁に襲われる地帯らしく、それが良いのか悪いのかは置いといて、住民も慣れているのだろう。
「まぁこちらとしては好都合だ」
 たまは上手い具合にスズメを誘導して、自身に近寄らせて行く。
 非常に鈍いので、歩いていても余裕で誘導可能だった。
「何と言うか、本当に楽だな」
 のほほんと歩きながら、全てのスズメを攻撃範囲内へと入れて行った。

「チュン! チュン!! チュン!!!」
 たまを囲んで得意気になるスズメ達。
 しかし非常に残念ながら、それは誘導されている物だ。
「さて……おなじ鳥同士、決着をつけようではないか」
 たまがそんな事を言うと、大きく息を吸って……。
「ぴよーっぴよーっ!!」
 放たれたのは、ひよこの鳴き声。
 たまはケットシーだし、鳴き声もスズメじゃない。おなじ鳥同士とは一体……。
「チュンぴよーっ! チュンよーっ! チュよーっ!」
 スズメの鳴き声にひよこの鳴き声が混ざる。
 どう考えても無理がある鳴き方だ、すぐに疲れて昏倒してしまう。更には喉に舌が絡まったのか、すぐに動かなくなってしまった。
「……よ、弱いな!」
 たまのやった事と言えば、歩いて誘導して、ぴよーっと声に出しただけだ。
 それだけで全滅してしまうスズメ……たまは、またもや不思議な気持ちで、その場に佇んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
映画ってさ、良い映画でも、酷い映画でも、製作陣は製作陣なりに真面目に作ってるってもんさ。なあ、鳥さんよ、表現作品に失礼じゃないか? お笑い映画も、B級映画も、予算の無駄だと笑っても、そこに表現したい事があるのなら、敬意を払わなきゃ。絵画も、小説も、陶芸も、音楽も、勿論サメ映画だって、表現者の名を発表してる場を邪魔にするのは、正直腹が立つね。はは、不愉快。

(1章の体制のまま)再度深く座席に座る。足を組んだまま、深く座るので、行事は一層悪いね。不機嫌な顔で、即座に【指定UC】を展開。複製47本総出で串刺しに。撃ち漏らしは【早業】【クイックドロウ】の銃撃で仕留めていく。

今、ナオちゃん機嫌悪いからね。



 ナオはキレていた。
 先ほどまでの雰囲気とは全く別物。凄まじいまでの殺気を放っている。
「映画ってさ……良い映画でも、酷い映画でも、製作陣は製作陣なりに真面目に作ってるってもんさ」
 スクリーンを破ったスズメを睨むと、それに気付いた様子で近付こうとするが……動きが止まる。ナオを見ると、まるで催眠に掛かったかの様に動かなくなって。
「なあ、鳥さんよ、表現作品に失礼じゃないか?」
 近くのスズメがビクッとするが、それを無視してナオは言葉を続けていく。

「お笑い映画も、B級映画も、予算の無駄だと笑っても……そこに表現したい事があるのなら、敬意を払わなきゃ。だろ?」
 深く座席に座り直して、不機嫌な顔を隠そうともしない。
 行儀は一層悪くなり、殺気も相まってスズメは近寄れない状態だ。
「芸術とか、音楽とか。本もそうだし……サメ映画だって同じ。表現者の名を発表してる場を邪魔にするのは、正直腹が立つね」
 ホルスターから黒い拳銃を抜くと、近くのスズメへと突き付けて。
 スズメはチュン! と鳴くが、今のナオには、それが殺意を増長させる雑音にしか聞こえない。既にナオの怒りは最高点にまで達している。
「はは、不愉快」
 笑いは一切ない。そこにあるのは、静かな怒りと純粋な殺意。
 拳銃の引き金を引いて、まずは一匹目の命を散らしてしまった。

「チュン! チュン!!」
 銃声を聞いて我に返ったスズメ達は、ナオの元へと近寄ろうとする。
 しかし、ナオの周囲には黒いナイフが大量に展開されている。
「今、ナオちゃん機嫌悪いからね……今直ぐに死んで」
 冷徹な声色、容赦のない刃。
 解き放たれたナオの暴威は、ほんの一瞬……三秒にも満たない本当に僅かな時間で、スズメ達をバラバラに斬り裂いた。

「ふんっ……!」
 ナオは破られたスクリーンに目を移す。
 そこに映るスタッフロールの続きを見て、最後の最後までサメ映画を見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スコッティ・ドットヤード
(呆然とした表情)…ふざけんな!映画はスタッフロール迄しっかり見てこそだろ!?
(サメンガーZ、意外と楽しめたその作品。当然スタッフロール迄見るのが礼儀という物なのに)

不完全燃焼!この恨みはきっちり熨斗付けて返すからな!
(迫りくる雀の群れ)
…観客は逃げたな。これで巻き込まねぇ!【クライシスゾーン】発動!
この程度の敵ならなんとかなる!して見せるっ!
(観客席という名の無機物を竜巻に変え、館内に暴風を巻き起こす)
(雀の羽の攻撃も多少はいなせるはず)

ちっ…しかもこの後さらに敵が来るのか?
ったく、ロケットパンチでもぶち込みたい気分だぜ…
(次の戦闘に備えだす。退治しないで逃げるという選択肢はなかった)



 呆然としたスコッティの前には、スクリーンを破って彷徨くスズメ達。
「……ふ、ふざけんな! 映画はスタッフロール迄しっかり見てこそだろ!?」
 スコッティもまた、スタッフロールを途中で邪魔された事に怒りを隠せない様子だ。礼儀として、最後の最後まで見尽くす……スコッティにとっては当然の事だ。
 初めてサメンガ―Zに騎乗した主人公の如く、烈火の如く怒っていた。
「絶対に許さねぇ! 覚悟しろッ!」
 スズメ達に言い放つと、スコッティは精神を集中し始める。

 観客は既に居ない。この観客席に残るは、スコッティとスズメのみ。
「不完全燃焼! この恨みはきっちり熨斗付けて返すからな!」
 チュンチュン、と飛び跳ねながらスコッティに向かって来るスズメ達……とても遅い。これならば、ユーベルコードを発動するのに苦労はしない。
「もう巻き込む心配もねぇ! 行くぜ、クライシスゾーンッ!!」
 観客席が竜巻と化して、周囲のスズメ達を徐々に吸い込んで行く。
 その威力は観客席の数だけ上昇し、凄まじい暴風を呼び起こして。
「チ……チュチュチュンッ!!」
 小さな翼から羽のガトリングを発射するが、それはスコッティに届く事はなく、辺りに吹き飛ばされてしまう。
 吸い込まれたスズメは竜巻の中をクルクルと回転させられて、少しの時間そこで暴れていたが、すぐに動かなくなってしまった。

「よ、良し、倒し切ったぜ」
 竜巻を観客席に戻すと、スズメと共に落ちて来る。
 落ちて来た全てのスズメは動かなくなっており、どうやら完全に仕留め切った様だ。初陣としては最良の結果だろう。
「だが……まだこの後にも敵が来るんだよな」
 サメンガーZの様にロケットパンチをブチ込んで、一気に倒したい気分だった。
 スコッティに退治せずに逃げる、等という選択肢は存在しない。息を整えて、次の戦闘に備えて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
スタッフロールがまだ流れてる途中でしょうがーっ!!(終わるまで席を立たない派)

幸い周りの人は逃げ出してるし、速攻で行こう。『都市伝説:口裂け女』を発動。
カッターに<呪詛>を纏わせつつ、室内を駆け回ってパパッと片す!割とイラついてるし憂さ晴らしじゃあ!

敵を倒し終わったら他の所を探しに行く──けど、部屋出る前にマスク着け直しておこうかな。いやこういう場所で偶然出会いそうな知り合いが何人か頭に浮かぶんで……この姿見られたらちょっと恥ずいし。
……素顔を見られると自動発動する呪いを受けてる身じゃなきゃ、映画館でも普通に映画観ながらポップコーンとか食べられたんだけどな……まあ、言っても仕方ない。仕事仕事!


エミリィ・ジゼル
中には帰る人もいるっちゃいますが、スタッフロールは余韻に浸る大事な時間なのです。
それを台無しにされたわたくしの怒りは有頂天に達しとどまることを知りません。
鳥公の罪は万死に値します。つまり何が言いたいかと言えば、

小鳥どもめが…残らず全羽八つ裂きにしてやる…

ということです

使うUCは「増えるメイドの術」
これでかじできないさんズを43人出し、合計44人になって
チェンソーやめいどカリバーでぶったぎったり、
インクシューターでインク漬けにしたり
毒ぶっかけて毒殺したり芋煮で煮込んだり
意味もなくほら貝を吹いたりしてスズメどもをジェノサイドしていきます

慈悲もなく許容もなく
与えるのは死のみです



 映画を最後の最後まで楽しむ。そんな思いをスクリーンと共に打ち破るスズメ達。
 亞衿もまた、それに怒っている者の一人だった。
「スタッフロールがまだ流れてる途中でしょうがーっ!!」
 映画が終わるまでは席を立たないタイプの亞衿も、これには激怒してしまい、物凄い形相でスズメ達を睨み付けている。
 周囲の観客は既に退避済み。……ならばもう口元を隠す必要もない。
「速攻で行くよッ!!」
 マスクを外せば口元から紫色の闇が現れて、それは頬の先、何もない空間にまで広がって鋭い牙を形成する。
 カッターナイフを取り出して、カチカチカチッと刃を出せば、それは禍々しい瘴気を放って強力な呪いが纏われた。

「チュン……」
 亞衿の凄まじい気配に萎縮してしまうスズメ達。
 座席の背を蹴って、亞衿まずはスクリーンの前にいるスズメにカッターを突き付ける。カッターを引き抜くと、続いてすぐ横のスズメの首を斬り裂いてしまった。
 一瞬で二匹のスズメを倒して、スクリーンの近くから観客席のスズメ達に目を移す。
「さあ……憂さ晴らしじゃあ!」
 口を大きく開ければ、闇は大きく広がって。
 スズメ達の目に映るのはその闇か。それとも、亞衿の後ろに見えてしまった怪人か……。何方にせよスズメ達の命運は変わらない。その怪異はスズメ達を飲み込んで行く事だろう。

 どうやら館内にいる猟兵の殆どは、エンディングに入っても映画を邪魔されるのが嫌なタイプの様子。エミリィもまたスタッフロールを邪魔され、その怒りは有頂天に達して留まる事を知らない。
「……中には帰る人もいるっちゃいますが、スタッフロールは余韻に浸る大事な時間なのです」
 それを台無しにされれば、誰でもキレる。
 エミリィの殺意は凄まじく、スズメ達も引いてしまう程だ。
「鳥公の罪は万死に値します。つまり何が言いたいかと言えば」
 笑顔のままで、キグルミで見えないが親指を下に立てると。
「小鳥どもめが……残らず全羽八つ裂きにしてやる……」
 ということらしい。

「殺れ、かじできないさんズッ!」
 大量のエミリィの分身、かじできないさんズが現れると、それは様々な武器を持ってスズメ達に襲い掛かる。キュイーンと音を出すのはシャークチェーンソー、その鋭利な刃はスズメを容易に千切り取って。
 聖剣めいどかりばーでバッサリと斬ってしまえば、あっという間に生まれたままの姿に戻って、それを芋煮で煮込んでしまう。
「一匹たりとも逃してはなりませんよっ!」
 ぶおおぉぉーっとほら貝を鳴らすと、メイド達は続いて攻撃を行う。
 ほら貝を鳴らす必要があったのかは置いといて、インクの入った水鉄砲でスズメの動きを止めて、そこにすごい毒をぶっかければ即死して。
 慈悲も許容もない、まさしくジェノサイド。死の宴、絶賛開催中。

 全てのスズメをバラバラにした亞衿は、観客席から通路に出ていた。
「まったく、無粋な奴らだよ!」
 イライラとしながら歩いていると、扉の向こう側からスズメが飛び出してきて。
「また……!」
 カッターナイフを取り出して斬り裂こうとするが……そこへエミリィの分身が現れて、毒をかけると動かなくなる。
 そのままスズメを引き摺って、すぐに扉の中へ戻って行ってしまった。
「あっぶな……マスクしといて良かったぁ」
 そっとマスクを押さえる亞衿。
 観客は避難したとは言え、映画が映画だ。見知った顔と偶然出会ってしまう可能性を考慮し、観客席から出る前にマスクを付け直していた。
 今のは分身だったが、それでもあの姿を見られるのは少し恥ずかしい。
「呪いがなければ、あたしもポップコーンとか食べられたんだけどな……」
 素顔を見られると自動発動する呪い。それがなければ、映画を見ながら食べたり飲んだりも、普通にできたのだろう。
 とは言え、愚痴った所でどうする事もできない。
「さ、仕事仕事!」
 亞衿は再び歩きだして、館内の見回りを始める。

 一方その頃、ジェノサイドはまだ続いていた。高らかにエミリィの声が響き渡る。
「さあ、全て料理して差し上げましょうッ!!」
 宴は始まったばかり。エミリィは、館内のスズメを次々と料理して行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
なんだなんだ?映画を見れると聞いていたのだが……
誰もいないうえに、雀だらけではござらんか。
まあいい、早く終わらせて一から見るとしよう。
■闘
周囲のものは、壊したくないな……
となれば、何も壊すことのない【心切】の出番だ。
敵の集団を直視しつつ居合の構えを取り、【破魔】の
力を込めた【範囲攻撃】を仕掛けて一斉撃破だ。
一見踊っているだけに見えるが、確り斬っているぞ。

翼で攻撃してきたら【野生の勘】で敵の動きを注視しつつ身構える。
近づいてきたら【グラップル】で羽を掴んで捕縛し、敵に向かって
投げつける【カウンター】を仕掛けるぞ。
当たってしまっても【激痛耐性】があるから平気だ。

※アドリブ・連携歓迎



「なんだなんだ? 映画を見れると聞いていたのだが……」
 少し遅れて映画館内に入って来た愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)だったが、館内はスズメだらけ。人は全く見当たらない。
 まだ上映する物もあった筈だが、襲撃で一旦上映をストップしているのだろう。
「まあいい。早く終わらせて、一から見るとしよう」
 清綱は手を合わせて、パンッと大きな音を出すと、スズメ達の注意を自分に向けた。

 周囲の物を無駄に破壊したくはない、と清綱は考える。
 オブリビオンを退治した後に片付けるのも面倒と言うのもあるが、やはり清綱の性格的な面が強い。ならばこそ、刀を使わずに倒し切る戦法を選ぶ。
「ここは、刀を使わずに終わらせるとしよう」
 ぴょんぴょんと跳びながら、清綱へと近付いてくるスズメ達。
 恐ろしく遅い上に、チュンチュンと煩い。
「くっ、喧しいな……。ゆくぞ、秘伝……」
 静かに居合の構えを取って、掌に破魔の霊力を溜めると、実体のない剣を形成して行く。それは霊剣……清綱がそれを振り抜けば、跳んだスズメは地面に落ちて、動かなくなる。
「チュン!?」
 これには流石に驚くスズメ達だが、もう遅い。
 二度、三度。同じ様に剣を振り続けて、スズメ達は次々と倒れて行った。

 清綱は舞う。
 まるでダンスを踊るかのように、ステップを踏んで、剣を振る動作を続ける。
「ふむ、喧しいだけで弱い。こんな物か……」
 舞いながらダッシュで移動していると、横の扉が開かれて、一匹のスズメが不意打ちを仕掛けて、翼を振り上げていた。
 しかし清綱は翼の根本を掴むと、そのまま別のスズメの元へと投げ付けてしまう。
「甘かったな、それで俺は倒せん」
 居合の構えを取ると、一閃。
 二匹のスズメの心を同時に斬り裂いて、倒し切ってしまった。

「さて、これで終わりだな。……むっ」
 周囲のスズメを倒すと、辺りに漂う嫌な気配。別のオブリビオンが居るのだろう。
 清綱は警戒をし、オブリビオンが現れるまで、その場で待機をするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『暗黒面『空蝉のオンブレ』』

POW   :    影を冠する一面
【相手の視界から外れる】事で【影から影を移動可能な暗殺状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    暗黒へ誘う微睡
戦闘中に食べた【相手の「感情」や「やる気」】の量と質に応じて【相手を無気力状態に陥れ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    霊と刃を断つ者
【【幽霊】と【剣や刀】に対し有利な分身】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。

イラスト:夜月蓮華

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 通路の影から現れる、ナマケモノ型オブリビオンの『空蝉のオンブレ』。

 影の中に静かに潜んで、映画を見終えて油断した者達を一気に仕留める作戦だったが、スズメ達の介入によってそれは潰されてしまった。
 スズメと彼らは同じ陣営と言う訳ではないらしく、これにはキレている。

 猟兵を見ると、隠せない怒りのまま襲い掛かって来る。
 しかし、当然ながら此方もやられる訳には行かない。
 油断せずに倒し切ってしまおう。
スコッティ・ドットヤード
【連携歓迎】
(劇場を出て通路を走っているとナマケモノを発見)
ちっ、あれが話に聞いた奴か…!強い、って聞いてるけど…
(確かに先ほどのスズメよりは威圧感がある)

けど、映画見てた他の猟兵もいるみたいだし…援護に回るか!
(倒さなくてもいい、ただ相手の動きに隙を作る)
(●残像●を作って敵を惑わせ、接近できたら両掌から放つ眩しい高圧電流で●目潰し●しながら)
【サイキックブラスト】!ちっとでも動きが止まってくれよ!
(そのまま掌を繰り出し、動きを阻害できるよう試みた)

…わり!武闘派の人に後は任せた!
俺は一応、逃げ遅れた人がいないか見てくるわ!
(他の人の戦いの邪魔にならない様に場を離れ、要救助者を探す事にした)


一郷・亞衿
『クラウド・アトラス』を使用。
前世……いや前前世かな、さらに前かも。わからん。ともかく“忍者だった頃の前世の記憶”を想起して、回避を図りつつ攻撃するよ。
映画鑑賞の邪魔されてイラってたけど、忍務──もとい、任務の遂行に感情は不要。五情五欲を抑えて冷静沈着に事を為す、それが忍の掟なり。

近くに人がいたら補佐に回ろうかな。
元々<だまし討ち>するのとされるのにはそこそこ頭が回る方だし、忍者の記憶を活用すれば闇に紛れて不意打ちし易そうな場所とかにも気付けると思うから、その辺を見張るようにして気を配っておく。
霊や斬撃に強い分身の方が居るかもだし、カッターじゃなくて[軍用鉄線鋏]を振り回して殴って行く方向で。



 ナマケモノ型オブリビオン、空蝉のオンブレは鋭い爪を振り回しながら、館内の通路を暴れ回っている。数自体は少ないものの、館内の傷は確実に増えていく。
 観客席から出て、通路を走っているスコッティは、遠目からオンブレの姿を見て。
「ちっ、あれが話に聞いた奴か……!」
 そこそこ強い、とは事前に聞かされている。威圧感もスズメとは段違いだ。
 実際、実戦経験を積んでいない猟兵にとっては、やや手こずる相手かもしれない。
「行けるか……? 一人だと結構厳しいかも知れないな」
 誰かと協力できるのならば、そちらの方が楽だが……。
 そう思っていると、そのオンブレと戦闘する者が一人、遠目からだが確認出来る。

 オンブレの前に現れたのは、先程までの、映画を邪魔されて烈火の如き怒りの感情とは打って変わり、五情五欲を抑えた冷静な亞衿だった。
(「忍務──もとい、任務の遂行に感情は不要」)
 前世の記憶……今回の場合は忍者だった頃の記憶を強く想起して、冷静沈着に事を為す存在と成っていた。
 オンブレは感情、そしてやる気を食らう事で強化と弱体化を同時に行う厄介な敵……今の亞衿は、そんなオンブレにとって天敵と言える。
「クワァンッ!」
 感情を食べられないと知ったオンブレは、名状し難い鳴き声を上げると、その鋭い爪で亞衿を斬り裂こうと飛び掛かる。
 しかしその攻撃は忍者の様に素早いバックステップで、容易く躱されてしまう。
「遅い、止まって見えるよ」
 床に突き刺さったオンブレの爪に、全体重を乗せた飛び蹴りを放つと、それは強烈な音を立てて折れてしまって。
 更に、前に倒れ込もうとするオンブレに渾身の回し蹴り。
「ギャオォ!」
 数メートルの距離を吹き飛ばされる。オンブレは床に着地すると、両腕を威嚇するかのように大きく挙げた。
 すると、オンブレの影から分身が現れて、亞衿を撹乱させようと動き回る。
「面倒な……」
 一旦距離を取る亞衿。
 その直後に、横の通路から誰かが迫って来るのが見えた。

「援護するぜッ!」
 残像が見える程の速度で、オンブレの横から現れるスコッティ。両掌を前に出すと、そこから高圧電流を放った。
 放たれた眩い電流はオンブレに見事に命中して、その感電で動きが鈍ってしまう。
「ちっとでも動きが止まってくれよ!」
 あくまでスコッティの目的は、オンブレの動きの阻害。
 この一撃ではオンブレを仕留めるに至らない為、亞衿の追撃に掛けた。
「助かったよ。了解、一気に仕留める」
 すぐに亞衿は本体のオンブレに、軍用鉄線鋏で攻撃を行おうと駆け出す。
 鈍った動きのまま、分身がそれを防ぎに亞衿に立ち塞がろうとするが……咄嗟にそれをぶん殴って、弾き飛ばしてしまう。
(「霊や斬撃に強い分身なら……殴ればいいだけの話」)
 だからこそ斬撃特化のカッターではなく、打撃も可能な軍用鉄線鋏を使用していた。
 そうして、オンブレの本体の頭にそれを打ち付けると、動かなくなってしまう。
「よし、倒した……」
「待って、まだ分身は動けるよ」
 安堵しているスコッティに亞衿が声を掛けた直後、分身が動き出してスコッティに不意打ちを仕掛ける。それにはギョッとしたものの、事前に聞いていれば対処は可能。すぐに至近距離で掌を翳すと電流を発生させて動きを止める。
 すぐに後ろから亞衿が分身を殴り飛ばして、止めを刺した。
「あ、危なかった……!」
「本体が死んでも動けるんだね。結構やる……」
 常に冷静沈着。敵を倒しても油断はしない、それが忍者の掟。
 前世……前前世、若しくはそれよりもずっと前かも知れないが、今の亜衿はまさしく忍者そのものだった。

「……わり! 武闘派の人に後は任せた! 俺は一応、逃げ遅れた人がいないか見てくるわ!」
「うん、了解だよ。影のある場所には気を付けてね」
 実力と相性の関係で、戦い難いと感じたのだろう。
 ここは亞衿に任せ、要救助者の救出を行う事にしたスコッティは、急ぎ足で別の場所へと向かって行く。
「さて、あたしも別の奴を探そう」
 今の戦闘で、ある程度はオンブレの動きが読めた。
 次こそは一人でも確実に倒せる……そう考えて、忍者の記憶。そして元々の亞衿の技術を用いて、闇に紛れる敵を探しに行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

二天堂・たま
どうやらこのナマケモノが今回の黒幕…ん?何か違和感があるな。
スズメ型オブリビオンのせいで観客がいなくなった事に腹を立てている…?
そうか、たまたま居合わせただけで共闘しているわけではないのだな。

まぁそれはいいだろう。相手に敵意があるなら迎え撃つだけだ。
鋭い爪や、ナマケモノらしからぬ素早い動きが持ち味の様だな。
ボビンケースの糸で狭い屋内に足止め用の罠を張ろう、
ロープワークを活かして、踏み込むときつく縛られるように。

約40m以内ならUC:ピヨの波動の範囲内だ。
外傷は与えられないが、精神的に攻撃してスタミナを削っていこう。



 観客席より通路に出ると、たまはすぐに怒り滾った様子のオンブレを見付けて。 
「ふむ、どうやらこのナマケモノが今回の黒幕……ん?」
 地面に転がっている、先ほど猟兵達が倒したであろうスズメ。その遺体を蹴り飛ばしているオンブレを見た。少なくとも仲間だとすれば、あまりにも酷い扱い……。
「そうか、たまたま居合わせただけで共闘しているわけではないのだな」
 違和感を感じたたまは、そう結論付ける。
 事実、この二種のオブリビオンは全く関係のない、偶然居合わせただけの存在。こんな偶然があるのか? と思うかも知れないが、ある物は仕方がない。
「まぁそれはいいだろう。相手に敵意があるなら迎え撃つだけだ」
 どうであるにせよ、やる事は変わらない。
 たまはボビンケースを取り出して、戦闘の準備を始めた。

「クラロォー」
 奇妙な鳴き声を辺りを響かせるオンブレの前に、たまが現れる。
 意外にも鋭い牙を剥き出しにすると、たまに向けて物凄い速度で迫って来る。
「速い……ナマケモノらしからぬ素早さが持ち味なのだな」
 それを冷静に観察しながらも、たまは動く様子がない。
 オンブレは飛び掛かって鋭い爪を振り上げるが……。
「グロァ!?」
 その爪はたまに届く事なく、通路に仕掛けていたボビンケースの薄い鋼線に拘束されてしまった。

 オンブレはすぐに鋼線を爪で斬り裂こうとするが、複雑に組まれたそれは、自身を余計に絡めてしまう。暴れれば暴れるほど、それは強く縛られる。
 ならば、と前方にいるたまの感情ややる気を食べてしまえば良い、と思って口を開けるが、僅かに判断が遅い。
「まだ元気そうだ。しかし、ここまで。ぴよぴよぴよーっ!!」
 たま、渾身の鳴き声。……まぁ、ひよこの鳴き声なのだが。
 感情を食べるよりも早く放たれた、ひよこのハウリングボイスは、オンブレを咀嚼を阻害して、強制的に同じ鳴き声を響かせてしまう。
「クロォよーっ! クラァよーっ!」
 先ほどのスズメよりも無理のある鳴き声……と言うか言い切れていない。
 それはオンブレの精神力を一気に削り取って、先ほどから続く過剰なストレスで即死し、倒れてしまう。
「お、おお。何か知らんが、一瞬で倒れたな」
 今のオンブレの状況に、絶妙に効果があったのだろう。
 たまは少し驚きつつも、次のオンブレを探しに館内を歩き回って行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
お次は素破(忍者)のようなナマケモノか。
被ったお面から何やら妙な力を感じるが……
まさかとは思うが、面のほうが本体なのか?
■闘
とはいえ、何方が本体にしろ倒すことに変わりはない。

先ずは余裕そうなフリをみせながら【剣域】を放ち、
ナマケモノ達に【恐怖を与えて】行動を阻害する。
放つ際は口笛を吹いてそれっぽく見せてやるか。
弱ったり、動きを止めたものが現れたら止めの一太刀を
与えてやろう。

敵が爪で攻撃してきたら【野生の勘】でその動きを【見切り】、
【武器受け】で流しつつ【カウンター】の太刀で一刀両断。

一刻も早く終わらせて、映画を楽しみたいものだ。
お供はブラックコーヒーね。

※アドリブ歓迎・可能であればソロ希望



「お次は素破のようなナマケモノか」
 オンブレを前にして、清綱はそれをじっと観察していた。
 素破とは武家に仕えた間者……即ち、忍者の様な存在を表す。正確にはアサシンだが、清綱にとってはそう変わる物ではないだろう。
「被ったお面から何やら妙な力を感じるが……」
 清綱は、もしや面の方が本体なのではないか、と考える。
 とは言え、何方が本体にせよ倒す事には変わりないのだが。

「さて、どこからでも来るが良い。軽く相手をしてやろう」
 強烈な剣気を放ちつつ、余裕の態度でオンブレと相対する清綱。
 その気迫を受けながらも、オンブレは怒りの表情で牙をかち鳴らす。スズメの介入によって誰一人として仕留められなかった怒りからだろう。
「粋がるなよ。獣風情が俺を食おうなどと、片腹痛いっ!」
 更に剣気を強めると、オンブレは渋い顔をして気圧される。
「その程度か。話にならんな……」
 そう言うと、オンブレを前にして、清綱はあろうことか戦場で口笛を吹いた。これはオンブレの神経を逆撫でして、その感情は怒り心頭と言う他ない。
 剣気にも怯まない殺意で清綱を睨む。
「ほう、やれば出来るではないか……来い」
 手で掛かって来るように示して、清綱は今刀を構えた。

「ガロロラララァァァッッ!!!」
 今のオンブレには、感情、そしてやる気を食べる等という考えはなく、怒りのままに爪を振り上げるのみ。
 しかしその速度は非常に速く、そして鋭い殺意の一撃。
「理性を失っていなければ、勝てた可能性もあったのかもな。だが……」
 ただの暴力で清綱を倒せる筈もない。
 一歩引いて爪の一撃を避けるが、オンブレはもう一方の爪で貫きに掛かる。しかしそれも今刀で流されて、カウンターの一撃がオンブレの仮面を斬り裂いてしまった。
 そうして、すぐにオンブレは動かなくなる。
「やはり仮面が急所だったのか」
 清綱の推測は当たっていた様で、見事に一撃で倒してしまったのだった。

 今刀を鞘にしまうと、また別の場所へ向かおうとして。
「一刻も早く終わらせて、映画を楽しみたいものだ」
 ブラックコーヒーを飲みながら、映画を楽しむ。実に大人の楽しみ方だが、これでも清綱は14歳。料金が割り引かれる年齢だと言うのが驚きだ。
 果たして、清綱はどの様な映画を見るのだろうか……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
出たな映画の余韻を台無しにするスズメ一派め!
ん?違う?スズメとは無関係?
…なるほど。映画が終わった隙をついてこちらを撃破する予定が
スズメの横やりで台無しにされた、と。

理解いたしました。つまり敵ってことですね。
敵であれば容赦の必要は皆無です。全力でフルボッコにしてしまいましょう。
具体的にはサメUCで。

今回使うのは「ちょー強いサメの術」
これで先ほど見たばかりのサメバターを召喚します。
そしてそのままサメバターは地中に潜伏。

かじできないさんズの巧みなチームプレイ(カバディ)で
ナマケモノたちを一か所に追い立て、
そこを地中からサメバターの不意打ちで一網打尽にするっていうすんぽーです。


尾崎・ナオ
空容器をトレイに乗せて通路に。スマホ電源を入れて色々確認してるかな。通路で遭遇となると、両手塞がってるだろうね。でも!ナオちゃんはとっても可愛いので、ウィルバーさんの依頼だって事は、ちゃ~んと覚えてるよ~。

しかし、映画見て、しかもさっき怒ってるナオちゃんでしょ?「あー…」って感じだと思うわぁ。「やる気」って多分あんま無いと思う。逆に現状既に無気力状態かな!映画って結構体力使うよね。「早く戦闘終わらせて帰るか」感。

両手塞がったまま【指定UC】を起動。47本の複製ナイフを一斉斉射!集団戦って事は1体じゃないかな。周囲警戒を怠らず行こう。

近くで戦ってる人が居たら【援護射撃】で後方からナイフ飛ばすよ。



「出たな映画の余韻を台無しにするスズメ一派め!」
 二体のオンブレを前にして、エミリィとかじできないさんズが様々な武器を構えて、そう言葉を発する。
 それを聞くと、オンブレは物凄くキレた様子でエミリィ軍団を見て、近場のスズメの遺体を凄い勢いでぶん投げた。
「ああっ! かじできないさん一号と二号がッ!?」
「グララロロォッッ!!!」
 スズメは見事にかじできないさんズに命中して、消滅してしまった。
 オンブレを見るに、そのスズメと一緒にされるのは非常に不愉快だとでも言いたげな雰囲気。ダンダンっと鋭い爪を持った足で、床を踏み付けている。
「ふむふむ、成程……。映画が終わった隙をついてこちらを撃破する予定が、スズメの横やりで台無しにされた、と」
「グラ、クロラァ」
 ある程度の推測を立てて言葉を並べるエミリィ。
 オンブレはそれに頷いており、まるで言葉を理解しているかの様だ。
「理解いたしました。つまり敵ってことですね」
 事実ではあるが、オンブレは納得行かないらしく、爪で壁を斬りながら抗議をしている。しかしそんな事は知らないとばかりに、エミリィはやる気満々の様子だ。
「敵であれば容赦の必要は皆無です。全力でフルボッコにしてしまいましょう」
 そうして、エミリィは先ほどの映画『サメバター』の主役を創造して、地中に潜伏させて、攻撃の準備を始める。

 場面は変わって、ナオは通路を歩きながらスマホ手に持って、操作している。
 もう片方の手にはトレイを持って、両手は塞がった状態だ。
「ホージロ3は文句なしの星5だね。いやぁ、面白かったぁ」
 映画のレビューか何かだろうか。
 最高評価の点数を付けながら、通路を歩いていると、二体のオンブレと出会して。
「あっ……いた」
 物凄い面倒そうな顔で、オンブレを見た。
 ナオは当然、依頼内容はきっちりと覚えている。タダ券を貰った手前、最後まで仕事を終わらせようとも考えている。
「まぁほら、ナオちゃんはとっても可愛くて頭も冴えてるからね……でもねぇ」
 つい先ほど、映画を見終えて、スズメを激怒しながら滅したばかり。
 要するに、やる気があまりない状態だと言う事だ。
「映画って結構体力使うよねぇ」
 加えて言うならば、頭を使う映画だった為、他の人より疲労度は高いと言えよう。
 ナオはそれによって無気力状態となっていた。これではオンブレの感情喰いは意味を成さず、ユーベルコードを封じられたも同然。
 早く戦闘を終わらせて、さっさと帰ろう。そう考えながら、スマホを弄りつつ、複製した大量のナイフを浮かび上がらせる。

 更に場面は変わって、エミリィとオンブレの戦い。
 エミリィ軍団は……カバディでオンブレを翻弄していた。
「カバディ、カバディ、カバディ、カバディ」
「グロロァッ!!」
 鋭い爪で何体かのかじできないさんズを引き裂いても、その質量には後退する以外の選択肢はない。オンブレは徐々に狭い通路へと誘導させられてしまう。
「ん……サメの、きぐるみ?」
 そこにオンブレをナイフで牽制しているナオが現れると、エミリィを見てやや困惑した表情で、そんな感想を述べる。
 同じくエミリィもナオに気付くと、キグルミのヒレを振って。
「そこのお方! そのナマケモノたちをそこに集めて下さいませ!」
「え? ああうん、分かった」
 ナイフを操作して、通路に向かう様に移動させる。
 カバディとナイフの間に、四体のオンブレが集まると、エミリィは遂にサメバターを解禁する。

 映画『サメバター』の主役、『ジェイ・サメー』が地面から現れて、オンブレ達にその大口で噛み付いた。
 オンブレ達は不意を打たれて、抵抗もできずに一瞬でパクっと喰われてしまう。
「おお、サメだ……」
 ナオはそんなサメバターを見ながら、やや驚いた表情。
 しかし、サメバターの攻撃は全てのオンブレを食べ尽くした訳ではなく、一体だけ食べ切れなかった様だ。
「グララララァァァッッ!!!」
 恐るべき速度でエミリィを攻撃しようとするが、背後からナオのナイフが突き刺さる。
「隙だらけだな~」
「ラストですっ!! ゴー! ジェイ・サメーッ!!」
 サメバターに三体のオンブレを喰われた時点で、既に勝負は決していた。
 毒で動けなくなったオンブレを、宙を飛んだサメバターが地面に潜り込むと同時に喰らってしまった。
 こうして、全てのオンブレの撃破に成功した猟兵達であった。


●上映再開
 映画館は死者を出す事もなく、館内に多少の傷が残ったものの、すぐに上映が再開される事となった。
 オブリビオンに襲われた後の、この対応速度は、凄まじいと言えよう。

 ちなみに、襲撃のお詫びとして来場者全員に無料チケットが一枚だけ配られた。
 その為、また別の映画も見るのも良い。
 今度はオブリビオンが襲って来ないので、安心して見られる。

 スタッフロールが終わるまで、じっくり見られるのは間違いない。
 今日はもう十分だと言うのならば、また別の機会に使えば良いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月16日


挿絵イラスト