ダンジョン&ダンジョン
●その世界
冒険者ギルドの壁際にギルド職員が紙を貼り付けていく。
薬草採取、失せもの探し、要人警護、モンスター討伐。
1枚1枚貼られていき、冒険者たちが気に入った依頼を剥がしていく。
こうしている間にもほら、また新しい依頼が、ぺたり――。
●その依頼
「古代迷宮の探索とモンスター討伐でございます」
ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が依頼について語る。
「アックス&ウィザーズの冒険者の町。
そこに出される依頼は、かの地の冒険者パーティでは攻略不能の危険な内容。
何故ならば、最奥にオブリビオンが待ち構え、生贄を集めるべく罠を巡らせているからでございます」
ルベルはそのオブリビオンについてを語る。
それは、女だ。
炎の魔槍グッシレンヤ、ファーン・ド・モルファーン、醜悪な従魔を引き連れて。
嘗て、一族を追放された醜女。
名を、ヒンメンベルクという。
ヒンメンベルクは真に美しき者に仕え、オブリビオンとなって復活した後、その者の帝国を不滅として復活させるべくダンジョン奥地より生け贄を集めている。
「石造りの古代迷宮」
ルベルが地図の一角を差した。
「その入り口へとお送りしましょう」
古代迷宮は崩れかけの石造り。広い迷宮には外から迷い込んだモンスターや内部に巣食うモンスターが闊歩する。そこは、かつて栄華を誇った古代帝国人が築いたという迷宮だ。今でも、侵入者を阻むための罠は健在だという。
「迷宮の奥に、古代の魔法装置がございます」
ルベルは手に持つ杖の先で幾何学模様めいた光線を描いて見せる。
「起動させれば、古代迷宮の奥から灼熱の迷宮に飛ばされることでしょう」
「そこは、暗闇に包まれた高温多湿の迷宮。長時間の活動は大きく体力を削り、継戦を困難にするものと思われます。
ですが、その迷宮を進んだ先にヒンメンベルクがいるのです」
グリモアが淡い光を帯び。
「ヒンメンベルクの討伐をお願いしたいと思います。
危険なお仕事となりますが、貴方ならば成し遂げることが出来ると思い、お願いさせていただきます。受けてくださるというのなら」
グリモア猟兵が頭を下げる。
「どうぞ、よろしくお願いいたします」
remo
おはようございます。remoです。
初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はアックス&ウィザーズでの冒険です。
1章は冒険です。古代迷宮を進んで頂きます。
2章も冒険です。灼熱迷宮を進んで頂きます。
3章はボス戦です。ヒンメンベルクとの戦いになるでしょう。
キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
第1章 冒険
『古代帝国の迷宮』
|
POW : 手当たり次第に力づくで攻略する。どんな障害だろうと、力任せに攻略してしまえば問題ない。
SPD : 罠やモンスターに警戒して進む。危険を早期発見、罠を解除したりモンスターを速やかに排除せよ。
WIZ : 迷宮を注意深く観察して進む。人の手による罠なら、予測できるはずだ。知識はどんな場面も有効活用できる。
👑11
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ニレ・スコラスチカ
【SPD】
生贄集めの為の罠、ですか。真に贄になるべきはどちらか、異端どもに思い知らせなければなりません。
罠やモンスターの対策に、生体拷問器を体の周囲に取り巻かせ【福音】をいつでも発動できるようにしてから侵入、【グラップル】【空中戦】等を駆使して進みます。
敵の攻撃が来れば反撃と同時に回避、さらに初擊の【傷口をえぐる】。敵が生きていればですが。
また余計な犠牲者を出さないように、既に迷宮に侵入した一般の冒険者の痕跡を見つけたら【追跡】し、説得して帰還してもらいます。駄目なら【恐怖を与える】で無理矢理にでも。
【アドリブ・連携歓迎】
紅狼・ノア
えっと今回の依頼はー? 「古代迷宮の探索&モンスター討伐」ねぇ、面白そう!
古代迷宮だから足場とか悪いし罠もあるよなぁ、たしかモンスターも蔓延ってるだっけ…これは体力勝負と腕の見せ所かな?
警戒して進まないと…罠やモンスターは【第六感】【野生の勘】【忍び足】【目立たない】を駆使し出来るだけ避ける
罠は侵入者を拒む為の物、なら罠がない道を住人が使っていた事を予想できる
動物・モンスターは罠や危険な所を避ける習性を持つものが居るのでそれを利用するのも手だね
戦闘になるなら【暗殺】をしよう(他の敵が集まらないように気を付け音立てずに瞬殺)
ハロ・シエラ
古代の迷宮ですか。
現代の知識では予想出来ない罠もあるかも知れませんね。
そもそも古代人が高度な技術を持っていた可能性もあります。
私では知識的に限界がありますし、十分気を付けないと。
ここで頼りになるのはやはり【第六感】です。
目や耳はともかく、勘には自信があります。
また、ユーベルコードで罠やモンスターの奇襲を回避する事も出来るでしょう。
事前に気付く事が出来れば、トリップワイヤーくらいなら私でも解除出来そうです。
床に罠がありそうなら【空中浮遊】や【ジャンプ】で対処します。
モンスターが現れたなら、なるべく【先制攻撃】で倒してしまいたいですね。
天翳・緋雨
一般冒険者を死地に送り込んではならないよね
ボク等の出番って訳だね
ああ、ダンジョン!
ワクワクしますね!
あ。真面目ですよ?
真面目ですとも。
ユーベルコードは【陽炎】を
【第六感】をフル活用、【情報収集・世界知識・視力・聞き耳】などを意識して避けられる危険はどんどん避けていくよ
モンスターと出会い交戦も止む無しという場合には【陽炎】で回避しつつ隙をついて【属性攻撃・鎧無視攻撃】で雷の刃を形作りお見舞いしていく
体術が必要な状況があったら【ダッシュ・ジャンプ・空中戦・クライミング】辺りが活きるかもしれないね
他の猟兵さんとご一緒した場合は連携して乗り越えたいな
本番はこの先だものね
怪我無く行きたい
お弁当も大事だね
●ダンジョン&パーティ(1)
「えっと今回の依頼はー? 「古代迷宮の探索&モンスター討伐」ねぇ、面白そう!」
紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)が眠たげな目を悪戯に細めて微笑んだ。
「一般冒険者を死地に送り込んではならないよね。ボク等の出番って訳だね」
額にバンダナをした痩身の少年が呟いた。
「ああ、ダンジョン! ワクワクしますね! あ。真面目ですよ? 真面目ですとも」
少年はそう言って先に現地へと飛んでいく。
(同じ依頼に行くんだ。じゃあ、現地でも会いそうかな)
その背を見送りながらノアは転移する前に方針を練る。
「古代迷宮だから足場とか悪いし罠もあるよなぁ、たしかモンスターも蔓延ってるだっけ……これは体力勝負と腕の見せ所かな?」
「古代の迷宮ですか」
近くにいたハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が考え込むように声を寄せ。
「現代の知識では予想出来ない罠もあるかも知れませんね。そもそも古代人が高度な技術を持っていた可能性もあります。私では知識的に限界がありますし、十分気を付けないと……」
半ば独り言めいて呟けば、ノアがこてんと首を傾け。
「一緒にいく?」
「!」
赤の瞳が絡み合う。
生真面目な表情だったハロがコクリと頷き、ニコリと笑む。
◆
古めかしい冷えた空気に暗色の修道服の裾が翻り。ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)が石畳に靴音を響かせて。
「生贄集めの為の罠、ですか。真に贄になるべきはどちらか、異端どもに思い知らせなければなりません」
呟く声には固い決意が滲んでいる。
異端審問官の娘、ニレが身体の周囲に取り巻かせていくのは、生体拷問器"祝福処刑鋸"。それは、ニレの骨肉を原料とした生きている鋸だ。
薄い色をした瞳がふと背後の気配に気づく。
――仲間の猟兵もまた、迷宮攻略を始めている。
複数に散っていく気配の中、一人分の足音が近づいて。
「やあ、随分広い迷宮みたいだね」
やがて現れた少年が謳うように言葉を紡ぐ。
共に往かないか、と。
ニレはしばし考え――頷いた。
◆
少し遅れて現地へと到着したノアとハロの2人は足音を消して忍びやかに迷宮を進んでいく。
「分かれ道ですね」
ハロが小さな声で囁く。2人の前で左右に分かれた道。
(右は嫌な感じがするような……)
道の先から漂う気配にハロが眉を寄せ。くんくんと何かを確かめるように空気を嗅いだノアが左へと足を向ける。
「あ、そっちですよね」
「だよねぇ」
2人の第六感が安全な道を揃って示し、2人は罠やモンスターを避けながら先へと進む。
◆
先行していたニレと緋雨もまた危険を避けながら進んでいたが。
「敵がいるね」
緋雨がハッとする。
同時に、壁から染み出すように影が躍り出る。影の騎士――シャドウナイトが腕をしゅるりと鋭い刃状に伸ばして生命を刈り取ろうと異端狩りの少女ニレの背へと迫り。刃が少女の背骨を斬り崩そうとした瞬間に自動反撃の鋸が影を穿つ。
嗚呼――福音は此処に。
「大丈夫かい?」
「ええ」
短く交わす互いの声は落ち着いていた。
染み出す影の新手へと断罪の一撃を加えながらニレが『仲間』へと目をやれば、緋雨が第三の瞳を解放したところだった。
「サード・アイ起動…。予測演算開始……」
CODE【陽炎】を発動した少年の身体が掻き消え、敵の真後ろへと現れる。舞踏の如き体捌きで影へ斬りつけるのは鮮烈な雷を放つ光刃だ。
◆
先行組が戦闘を展開する中、ノアとハロが道を選びながら彼らに近づいていく。
歩む道は違う道だったが、2人の少女が第六感に導かれて「より良い道」を選んでいくうち、自然と2組の猟兵達は近づいていったのだった。
「罠は侵入者を拒む為の物、なら罠がない道を住人が使っていた事を予想できるんだよ」
ノアが言えば、ハロは不思議そうに周囲を見る。
「この道を住人の人達が……。どんな人達で、どんな生活をしてたんでしょうね」
好奇心を覗かせるハロに、ノアがふと静止の合図を送り。
振り返る口元がパクパクと危険を訴える。――モンスターも、罠を避けてこっちに来たのがいるみたい、と。
ハロはユーベルコードをそっと発動させ、サーペントベインを抜く。
――先制攻撃で。
ハロが声を発さずに目と口の動きで伝える。
――もちろん。
ノアが口の端をあげ、頷いた。
カタカタ、カタリ。
音を立てて近づく気配は四角い木箱に似てモンスター。
(急所は、中央部!)
2人の勘が一致する。
射程に迫った一瞬でノアがダガー、ハロがサーペントベインで同時に急所を貫き、音もなくモンスターが動きを止める。
静寂を保ちながらの討伐は敵の新手を呼ぶことはなかったが。
「また、分かれ道ですね」
やがて新たな分かれ道を前にした2人の耳に戦いの音が届く。
「こちらの道で誰かが戦っているみたいです、行きましょう」
これまでノアに先を任せて後ろをついてきたハロが率先して走り出す。
「慎重にね!」
ハロの後ろをぴたりとノアがついていき、何かあればその隙を守ろうとしてくれていた。
◆
2人の少女が駆けつけた先では、シャドウナイトに囲まれた2人の猟兵――ニレと緋雨が奮戦していた。
「おや、キミたちはグリモアベースで会ったね」
緋雨が余裕を魅せて微笑み。
「加勢しますね!」
「手伝うよ!」
ハロとノアが影の駆除を手伝えば即興の連携により見る見るうちに敵数が減っていく。
「助かります――このモンスターは一般の冒険者では危険ですね」
ニレが『仲間達』に背を預け。
「もし一般の冒険者がいるようなら、余計な犠牲者を出さないように帰還してもらいたいところです」
呟く声に皆が同意する。
「くんくん、うーん。人の臭いならこっちかなぁ」
(他の猟兵の可能性もあるけど)
ノアが周囲を探り、ハロが慣れた様子で同意する。
「私も、こっちに冒険者さんがいる気がします」
「うん、ボクもこっちだと思うね」
緋雨が自信満々に保証する。
「当たりのようですね。痕跡が見つかりました」
3人の第六感に従い選んだ道の先でニレが痕跡を見つけ、追跡していく。進む先には左右の幅が狭く天井が高い通路があった。通路の先には、扉がある。
◆
「この先に居ると思うのですが」
ニレが足を止め、仲間を振り返る。
「わたしでは、罠の有無がわかりませんが……ありますか」
静かな問いかけには、肯定が返ってきた。
「罠があります……!」
ハロが仕掛けに気付き注意を喚起する。踏むと作動するタイプの罠だ、と。
「踏まないようにしないと、ですね」
ハロも空中を軽やかに跳んで先に行き、罠を解除する。
ニレが床に視線を落とす。
「では、踏まないように進みましょう」
軽い靴音を響かせて小柄な身体が仔猫のように跳ね、空中でくるりと廻って壁を蹴り、天上を蹴り、床を踏まずに進んでいく。
同様に軽やかな空中ジャンプを繰り返して進んだ緋雨がふとノアに気付く。
「ジャンプかぁ。いけるかな?」
ノアが仲間の真似をしようと助走しようとした時、
「一緒に跳ぼうか?」
緋雨が微笑みと共にノアの傍へと跳ぶ。
「あ、いいの?」
「もちろんさ。お互いに得意な技能で助け合っていこうじゃないか」
陽炎の短距離転移により緋雨がノアを抱え、共に通路の先へと跳ぶ。
「扉には罠はないみたいです」
ハロが扉を調べていた。
こうして扉を開けた一行は、その先で休憩している冒険者パーティを発見したのであった。
◆
冒険者パーティは数人怪我人を抱え、ポーションを飲みながら休憩しているところだった。
「クレリックが疲労しちゃってね。少し休めば癒して先に進めるんだが」
リーダーと思しき戦士がそう説明するが、猟兵達は真剣な表情で事情を説明し、退避するようにと忠告をする。
「この迷宮には今、厄介なモンスターが棲みついています。わたしたちはそれを退治しにきたのです」
ニレが厳かに告げる。
「危険は承知の上さ。ここまでも厄介なモンスターが沢山出たしな」
戦士がそう言って笑うが、その肩がビクリと震える。
ニレが威圧するように強い気を放っていた。
――この娘と自分たちは、実力がまるで違う。
戦士はそれを感じ取り、仲間を振り返る。
パーティの仲間達は畏れ交じりに猟兵達を見て「指示に従った方がいいかもしれない」と判断を下すのだった。
◆
「あのパーティ以外にも冒険者はいるのでしょうか。見付けられたら、全員還したいところですが」
帰還するパーティを見送りニレが呟き。
「他にもいないか、探してみる?」
ノアが首を傾けて。
「その前に、休憩はどうかな?」
緋雨がニコリと提案をした。
「本番はこの先だものね、無理無く怪我無く行きたいものだよ」
仲間たちが頷き、先ほどまでパーティが休んでいた空間に腰を下ろして一息つく。
「お弁当も大事だね」
緋雨はそう言ってお弁当を広げる。
仲間たちはそんな姿に釣られた様子で身に纏う空気を和らげ、思い思いにくつろぐのだった。
大成功
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サマー・ルー
【海老天】
OKOK、任せテヨ!
ククリ、鱗ナイかラ柔らかイネ
デコボコ踏まなイよウ気を付けルヨー
ダンジョン、罠トテモ怖いネ
モンスターもイッパイヨ。安全ニ進むノ大変ネ
避けテ進んデたラお天道サンが海に隠れチャウヨー
デモ良い方法あるヨ!
危なクなクして通れバ良いネー!
横カラの罠、尻尾デ破壊すル
下カラの罠、尻尾デ破壊すル
前カラの罠、尻尾デ破壊すル
上カラの罠? oh、尻尾届くカシラ
ククリ、髪届ク? 天井落ちテきたラガブガブしちゃっテネ!
怪我すル前ニ破壊すレバ安全ヨー!
アトかラ来るヒトも罠ないト安心ネ!
チョット散らかっテルくらイ許しテ欲しイヨ!
ドウ? 先ノ方、何かアリそウ?
魔法ソウチ、あったラ壊さなイようニネー
八津崎・くくり
【海老天】
ここはひとつ協力して進もうではないかサマー君
君の何か生きの良い尻尾を頼りにしているよ
思うに、ダンジョン攻略に必要なのはパワーだ、力ずくで道を切り拓いていこう
私の髪の毛ことUDCも多分君の尻尾に負けないはずさ
怪しいところは叩いて壊そう
スイッチは思いっ切り強く押せば良いのではないかな
モンスターはUDCで頭からがぶがぶしてあげるからね。おやつが増えて私は嬉しい
なるほど、天井の方は任せてくれたまえ。私は意外と伸びるからね
先が見えなくて危なそうなところはスマホのライトでぺかーっと照らすよ
これ電池の消費激しいからあんまりやりたくないのだがね
連携は密に
何か見えたらすぐに教えよう
●サマーとくくりのパーフェクト迷宮破壊行
竜派のお姉さんことサマー・ルー(遠洋漁業・f00733)が瞳にヘタマイトの煌きを宿して迷宮を視る。
「アラア、迷宮とっても広いネー」
ゆらり、青色の鱗尾が揺れて。
「ダンジョン、罠トテモ怖いネ。モンスターもイッパイヨ。安全ニ進むノ大変ネ」
びったん!
勢いよく地に打ち付けられれば、迷宮の床が破損して穴が開く。
一拍遅れて世界に現れた娘はぱちりと目を瞬かせ、UDCによる紳士の声色で言葉を紡ぐ。
「ここはひとつ協力して進もうではないかサマー君。君の何か生きの良い尻尾を頼りにしているよ」
頼もしい開幕尻尾撃に八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)が夜色の瞳を和らげて提案すれば、尾をぶんぶんと振りながらサマーが陽気に頷いた。
「OKOK、任せテヨ! シッポでゼーンブ破壊ネ!」
2人の前には複雑に分岐した迷宮の道が広がっている。
「サマー君。思うに、ダンジョン攻略に必要なのはパワーだ」
くくりが目の前に広がる通路を見つめる。
通路にはとてもわかりやすい設置式の罠が並んでいる。だいたい3センチに一個の感覚でちょこちょこちょこんと愛らしく並ぶ大量のスイッチ群。我こそは罠よとアピールしているようなズラリ並ぶ姿はとてもデンジャラスだ。
「避けテ進んデたラお天道サンが海に隠れチャウヨー。デモ良い方法あるヨ! 危なクなクして通れバ良いネー!」
「意見が合ってなによりだ。力ずくで道を切り拓いていこう」
見解の一致を見た2人は勇ましく罠へと向かっていく。
「ククリ、鱗ナイかラ柔らかイネ。デコボコ踏まなイよウ気を付けルヨー」
ぶんぶん、びったん。
サマーが雑草を刈り取るが如く床を破壊していく。
「私の髪の毛ことUDCも多分君の尻尾に負けないはずさ」
くくりがマイペースに言いながら認識番号:64-91を操れば大蛇めいたお口がずるりぱくりとスイッチを食べていく。
「迷路の攻略も大事だが、やはり私は腹ごしらえも大事だと思う」
声は悟りを開いたが如き響きを纏い。UDCが食事を楽しんでいる。
どかーん、どかーん。
食事と並行し、元気に鱗尾が暴れている。
「しかしこんなに大量に並ばれてはプチプチの梱包材を目の前にしている気分だよ」
もぐもぐとUDCが咀嚼しながらくくりは自身もスイッチに立ち向かい。
「思いっきり強く押せば良いのではないかな」
ダンッ!
「へこんで元に戻らないくらいに」
メキョッ!
早押しクイズに挑むかのようにスイッチをぶっ叩き。
「なぁに押した瞬間足元が抜けようが爆発しようが私が動じることはない――うおっ、」
ドオオォォォォン!
ドカーーーン!
爆音2つ、迷宮全体を揺らすほどの爆発が連続して起こる。
「あっぶ、セーフ! ……気を取り直していこう」
「爆発は嫌ネー。レディの鱗大事にしテほしいヨ」
気を取り直した2人は互いの無事を喜びながら作業を再開し。
「ガルルルル!!」
「おっと、今のでモンスターが寄ってきたみたいだ」
「モンスターはUDCで頭からがぶがぶしてあげるからね。おやつが増えて私は嬉しい。大丈夫、私はなんだっていけるクチさ」
途中モンスターがやってくるも、がぶがぶはむはむとおやつにされてしまうのだった。
広い通路が順調に攻略され、曲がり角を曲がれば分かれ道。
「「右!」」
息ぴったりに右を決め、迷いなく進んだ先には左右に鏡、チカチカと順に光る床、そして今の所何もなさそうな天井の通路が伸びていた。
サマーが迷いなく前進し、鼻歌交じりに尻尾を舞わせる。
♪横カラの罠、尻尾デ破壊すル
びったん、ガシャーン! 鏡が割れて。
♪下カラの罠、尻尾デ破壊すル
ぶんぶんっ、バチバチ。光が消えて。
「ハッ! サマー君、前方から大きなチョコボールが!」
♪前カラの罠? 尻尾デ破壊す……
「何と言う事だろうめっちゃ美味しそうじゃないかね。あのチョコボールは私に任せてくれたまえ。何を隠そう私はまだここに来てからチョコレートを食べていないぞ! それでは、いただきます」
チョコボールは破壊する前にペロリと食べられた。
食事するくくりに微笑ましく尾を揺らし、ふとサマーは天井を見る。ここまで存在感の薄かった天井がようやく動こうとしていた。
♪上カラの罠? oh、尻尾届くカシラ……、
「ククリ、髪届ク? 天井落ちテきたラガブガブしちゃっテネ!」
なんと天井が「仕事するの忘れてました、実は僕も罠です」と言いたげにぐんぐんと落ちてくるではないか。
「なるほど、天井の方は任せてくれたまえ。私は意外と伸びるからね」
チョコボールに舌鼓を打っていたくくりがUDCをガジガジとさせて天井を迎え撃つ。2人の共同作業の結果、通路はすっかり仕掛けが破壊されて瓦礫の山となってしまった。
「怪我すル前ニ破壊すレバ安全ヨー! アトかラ来るヒトも罠ないト安心ネ! チョット散らかっテルくらイ許しテ欲しイヨ!」
サマーがニコニコ笑顔で胸を張る。
やがて2人は最奥へと辿り着いた。
先が視えない真っ暗な部屋の入り口でくくりがスマホを取り出し、慣れた様子で操作する。
「これ電池の消費激しいからあんまりやりたくないのだがね」
スマホのライトでぺかーっと照らせば部屋の中央に石造りのテーブルがあり、テーブルの上には真新しい見た目の本がある。
「ドウ? 何かアリそウ?」
背後からサマーが尋ねる声に頷き、くくりが本を慎重に調べる。
「魔法ソウチ、あったラ壊さなイようニネー」
スマホの光を頼りに自身も部屋へと入りながらサマーがくくりの隣に立ち。
「この本がどうも魔法装置のようね」
肉声がぽつり。UDCのものではない声は娘らしさの滲む愛らしさ。
サマーはにっこり微笑んだ。
「パーフェクトネー!」
――2人は顔を見合わせ、ハイタッチ。
「では、他の仲間を待とうか」
再びUDCに紳士の声で喋らせ、くくりが椅子に落ち着いた。
「ピカッと照らすネー」
こうして2人は室内に明かりを灯し、他の猟兵仲間を待つことにしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
二人組で挑めれば嬉しい
明り持参
外套羽織り直し靴のつま先鳴らし気合い充分
未知を切り拓く瞬間、新しい景色を見るのが好き
今だけ協力しようや
一期一会ってヤツで
古代迷宮とか心躍る依頼だなァ(目爛々
そこに眠る宝とか書物とか探せるのかねェ
最奥にいる醜女まで辿りつくには少し時間が掛かりそうだしよ
警戒は怠らないが少し楽しむ
罠発動は最低限に抑え慎重に進む(地形の利用・情報収集
水責めや針穴、鉄球などが転がってきたら走って飄々と回避(見切り・第六感
珍しい物見つけたら持ってく
敵に遭遇後【トリニティ・エンハンス】使用
攻撃力重視
迷宮内なので暴れすぎず冷静に炎の剣で叩っ斬る(属性攻撃・2回攻撃
魔法装置を探して起動
鏡島・嵐
判定:【SPD】
旅人と冒険家は似て非なるもんなんだけどな。
でも、こういう所に潜ってみるのもワクワクすんのは否定できねえ。
それにしても……迷宮に罠とか仕掛けとかがあるってのはどこの世界でも定番なんだな。
身につけた〈世界知識〉で罠とかについてのイロハを思い出しつつ《残されし十二番目の贈り物》で〈第六感〉〈失せ物探し〉あたりを強化して、知識と勘の両面から罠を探知しつつ進んでいく。
徘徊してるモンスターも〈第六感〉〈野生の勘〉を駆使して、避けられるなら極力回避して進んでいきてえな。
構造とかもある程度推測して、最短経路を割り出しつつ進んでいくようにするぞ。
●双金の点火具とトラッポラフェスタ
足を踏み入れた迷宮には古めかしい乾いた空気が満ちていた。
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が琥珀色の瞳をワクワクと煌かせて掌をぺたりと壁につけ。
「旅人と冒険家は似て非なるもんなんだけどな。でも、こういう所に潜ってみるのもワクワクすんのは否定できねえ」
冷たい石壁の感触を楽しむように呟いた。
声に滲む感情には、同時に転移していた傍らの猟兵も頷いた。
「古代迷宮とか心躍る依頼だなァ」
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が色彩異なる双眸を爛々と輝かせ、声には楽しさを滲ませて。
「宝とか書物とか探せるのかねェ。最奥にいる醜女まで辿りつくには少し時間が掛かりそうだしよ」
(あ。遊園地で見たなあ)
嵐がその姿にうさみっちランドを思い出しながら軽く頭を下げる。軽く手を振り挨拶をするクロウは明かりを手に道を照らし何処か楽しむような視線を周囲に投げている。闇に溶けるような上質な外套を羽織り直し革靴のつま先鳴らし。
「今だけ協力しようや、一期一会ってヤツで」
気合い充分に分かれ道を見つめるクロウへと嵐は自身も気合いを入れながら頷いた。
「ああ、頼もしいよ」
戦いを怖れる気持ちを抱える嵐にとって同行者の存在はなによりも頼もしい。心の底からの言葉に、傍らの男は笑みを浮かべる。
「それにしても……迷宮に罠とか仕掛けとかがあるってのはどこの世界でも定番なんだな」
「モンスターもな――ヤられる前にヤれ、だ。オラァ!」
曲がり角から出現した竜の成り損ないモンスターへと炎纏いし玄夜叉(アスラデウス)を閃かせ、あっさりと斬り伏せてクロウは同行者へと眉をあげる。
――少年の身体が怯えの気配を見せた事に気が付いたのだ。
「ま、気楽に宜しく頼むわ。楽しくやろうぜ」
大した脅威ではない、とモンスターの残骸を退かして先へ促せば、嵐は瞳を奮い立たせ、前を見る。
「占いの真似事なんてガラじゃねえけど……」
嵐の纏う空気がどこか神聖さを増してクロウは首を傾けた。
「ユーベルコードか」
「ああ、戦うのは怖ぇけど」
嵐がユーベルコードで罠を探知する。残されし十二番目の贈り物により研ぎ澄まされた超人的感覚は歩むにつれ危険の多さを嵐へと教えてくれる。
「罠がすげぇ……」
呆れた様子で呟く嵐にクロウが肩を震わせた。
「罠が大量にあるな」
2人の眼が交差する。
「ま、慎重に進もうぜ」
警戒は怠らないものの何処か楽しげに先導する背は大きく見えた。一見すると粗暴で口が悪い男は、世界に何も畏れるものはないとばかりに堂々としている。
(余裕があるんだな)
楽しむ余裕すら感じさせる背に自身も最初に感じていたワクワクを思い出し、嵐は目を細めた。
コツ、コツ。
2人分の足音が密やかに鳴り。
少し冷えた迷宮の空気は静謐だ。
「なあ、こういう道って上から岩が転がってきたりするよな」
「あるある」
「転がってきそうな気がするんだよな」
「お前も? 実はこっちもさっきからそう思ってたんだ」
2人は第六感が危険を囁くのを感じながら緩やかな坂道を下っていく。
ずしん、
ふと地面が揺れてどちらからともなく背後を見れば来た道を巨大な鉄球が転がってくる。
「うわ、やっぱりかよ」
「走れ!」
思わず笑ってしまいながら走る2人。
嵐が必死で足を動かしながら。
(――楽しそうだな)
ちらりと視界に入った傍らの男は楽しそうな顔をしていた。
(おれもちょっと楽しいかも)
後ろからは危険が迫っているというのに嵐は楽しむ自分を自覚し、くすりと微笑んだ。
「おっ、そこの小部屋飛び込もうぜ」
クロウが進行方向の扉を示す。
2人が部屋に入った瞬間、今度はガチャリと背後の扉が閉まり、部屋の隅にある複数の穴から勢い良く水が出る。
「罠だ!」
「次々と忙しい迷宮だな」
嵐が扉に飛びついた。先ほど入ってきたばかりの扉を押し、引き。眉を寄せる。扉はびくともしないのだ。
「あ、開かねぇ!」
焦りを滲ませる嵐にクロウが飄々と声をかける。
「こっちにも扉があるぞ」
部屋のタペストリーをめくり、隠されていた扉を見せてクロウが手招きする。
「よく見付けたな――、あ、待ってくれ」
感心する嵐にユーベルコードによる感覚が嫌な予感を知らせてくれる。
「クロウ、扉に罠が――」
「あァ?」
嵐が警告すると同時に扉を開けたクロウへと足首の高さの扉下部の穴から音もなく飛び出した針。眉をあげてそれをひょいと避けてみせ、クロウは肩を竦め。
「警告あンがとよ、しっかし罠まみれだな」
その手にくすんだ金の煌めきを放つ魔道具が握られているのを見て嵐が眼を瞬かせる。
「それ――」
「拾った」
カチリと指で起動すれば七色の小さな光炎が燈る。
「煙草に火つけるのに使えそうなんだよな」
「古代の人達が使ってたのかな……」
(いつどこで拾ったんだろう)
嵐は不思議に思いながら扉へと逃げ込む。
「なんとかなったな」
「ああ」
扉に逃げ込み一息つきながら宝を見る2人。
「2人分あったから片方やるよ」
「あ、ありがとう」
クロウが金の魔道具を一つ差し出してくれる。嵐は一瞬ためらってからそれを受け取り。息を整えながら表面の装飾を鑑賞する。
「星と花がモチーフにされた装飾なんだな」
呟き、同じように装飾を視ている男へと視線を巡らせれば不思議な夕赤と青浅葱が見返してくる。
「そろそろ行くか」
「ああ」
揃いの宝を手に先へ進めば、やがて猟兵仲間の待つ最奥の部屋が視えて来る。
明るい部屋の中、猟兵仲間が手を振って。
「魔法装置はこの本か」
「ふーん、どれどれ」
明るい部屋の中、猟兵たちが集まって思い思いにくつろいで。
「他の仲間を待つか」
「そうだな」
まだ他にも猟兵仲間が来るはずだ。
2人の第六感がそう告げていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アベル・スカイウインド
古代帝国人ってのは迷宮好きなのか?各地に色々作っていたようだが
......フッ、たまにはスリルを求めて冒険するのも悪くない。
罠は【見切って】回避する。【野生の勘】を働かせながら僅かな音にも【聞き耳】を立てて注意する
......フッ、並大抵の罠では俺には通用せん。
道中不意にモンスターと出くわすこともあるだろう。だが【竜慧】を使った俺を捉えることなどできん。フッ、【カウンター】で返り討ちにしてやろう。
清川・シャル
冒険ってわくわくします!
進めばいいわけですね?
破壊していいダンジョンは好きです
ぐーちゃん零をよーい構え!
12連グレネードの方使いましょう
撃って壊して進んで、撃っての繰り返しです
瓦礫なんか沢山出るでしょうし、地形の利用で足元に気をつけます
倒壊なんかは視力と野生の勘で回避
道のりは第六感で何となるはず!
邪魔な瓦礫の残り等は、そーちゃんて殴って道を作りますね。
もちろん、他の猟兵の方のご迷惑にならないように、そこそこ加減しますよ…?
シャル、空気読める子ですもん。
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
WIZ
【影達】を呼び出して入口から潜入させる
影達で得た情報は【学習力】で処理し、罠がありそうなところに目星をつけていく
「侵入者を拒むための罠なら、罠を研究しまくっている方もいるよね。その人のトラップにだけは当たりたくないかな」
モンスターに見つかりにくいよう【影達】を先行させているが、重さで稼働する罠もあるため【失せ物探し】で通過するルートは再度チェックする
マニアックな罠を見つけたら、今後の使う場面がありそうなのでメモを残す
「さて、こっちのルートはあらかた見たような気もするけど、隠し通路とかもあるのかね」
「大抵こんなところにあるような気もするけど…」
●道は壊すもの
ふわり、長い尻尾を揺らして青空色の瞳が迷宮の地形を確認し。ランスオブアベルを手に竜騎士ケットシーが誇り高く靴音を鳴らす。
「古代帝国人ってのは迷宮好きなのか? 各地に色々作っていたようだが……フッ、たまにはスリルを求めて冒険するのも悪くない」
アベル・スカイウインド(天翔ける稲妻・f12583)と名乗った。
「冒険ってわくわくします! 進めばいいわけですね? 破壊していいダンジョンは好きです」
ゆるふわな気配を醸し出す白金髪の少女が無垢な笑顔で物騒なことを言いながら礼儀正しく頭を下げる。名を清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)と名乗る少女はイケてるピンクのぐーちゃん零を優しく撫でて。
「よーい構え!」
「壊しながら進む方針なのか……」
少女の背後から冷静な声が挟まれる。
シャルが視線を向けると影を従えた仁科・恭介(観察する人・f14065)が立っていた。
「もちろん、他の猟兵の方のご迷惑にならないように、そこそこ加減しますよ……?」
シャルはふわりと首をかしげて意見を求めるように仲間を見上げる。シャルは空気読める子なのだ。
ふ、と笑みを零してアベルが首を振る。
「俺は構わんぞ」
危険があっても如何様にでも捌いてみせようと自信を見せれば、恭介が思案気に。
「影達に先行させて情報を得るので、罠がありそうなところを必要に応じて対処してもらおうかな」
「はい!」
シャルが嬉しそうに12連グレネードを撃ち、壊し、撃ち……、時には罠だけを。時には道ごと破壊して一行は先に進んでいく。
「この部屋はランプを消すことで先に進めるのか」
恭介が仕掛け部屋の仕組みを見抜いてメモしていき、ランプごとシャルが部屋を壊していく。
「仕掛けの意味が全くないな、フッ」
アベルがヒゲを揺らして笑い。
「侵入者を拒むための罠なら、罠を研究しまくっている方もいるよね。その人のトラップにだけは当たりたくないかな」
罠だったものとその周囲の残骸を跨ぎ、影の情報を吟味しながら恭介が前を見る。
シャルが桜色の鬼の金棒を「そーちゃん」と呼びながら道を塞いだ瓦礫を粉砕している。華奢な体躯に見合わぬ鬼子怪力に恭介が感心したように目を瞬かせ。
「今袖に入れたのは?」
何かを拾い上げて袖に入れた少女へと好奇の声を放つ。
「綺麗な硝子石みたいなのがあったのです」
シャルが取り出して魅せる石は蒼から白、白から紫と角度により色を変えて煌めく不思議な魔石だった。触るとひやりとした冷たさを帯びている。
「魔法の石だろうか」
「フッ、こっちにたくさんあるぞ」
アベルが2人に声をかける。
誘われて横道に入れば美しい魔結晶がごろごろと転がる一帯があった。
「罠は、ないようだな」
「この石は氷の魔力、この石は炎の魔力。持ち帰り鍛冶屋に頼めばよい武器が作れそうだ」
3人は好みの魔石をそれぞれの懐に入れ、先へ進んでいく。
「床にまだ重さで発動する罠があるようだ」
恭介が仕掛けを発見して警告を発した矢先、瓦礫が仕掛けへと落ちてカチリと小さな作動音が鳴る。
「罠が作動しているぞ」
猫の耳が僅かな音を聞き咎め、竜騎士アベルが注意喚起する。左右の壁にある小さな穴から――ほとんどの仕掛け穴は既に潰され壊されていたが――弓矢が飛び出した。
「フッ、並大抵の罠では俺には通用せん」
飛来した矢を軽やかに避け、アベルがヒゲをぴんとさせた。シャルはそーちゃんを唸らせて弓矢を地に落とし、恭介はゆっくりと後ろからついていく。
「さて、こっちのルートはあらかた見たような気もするけど、隠し通路とかもあるのかね」
影が齎した情報と頭の中の地図を合わせて道を算出した恭介はシャルを手招きし。
「大抵こんなところにあるような気もするけど……」
「了解しました!」
通路の壁を差せば、シャルがふわりと可憐に微笑みぐーちゃん零であっさり壁を破壊してくれる。
「あ、道がありますね」
壁の向こうには道があった。
「モンスターもいたみたいです!」
シャルがそーちゃんを構えて目を丸くする。
蒼の瞳が捉えたのは突如壁を破壊しやってきた猟兵一行へと襲い掛かろうとするゴーレムだ。
岩石を無理やり人型にしたようなゴーレムが鈍重に腕を伸ばし。
「遅すぎるな」
竜騎士アベルは竜慧を識る。空気の流れを読み切った気高き騎士は機敏にゴーレムの懐に潜り込み、カウンターの鋭い槍撃でゴーレムの胸の核を打ち崩すのであった。
「とどめです!」
シャルが元気にそーちゃんを振り、ぐしゃりとゴーレムが潰される。
「影達が向こうに仲間がいると教えてくれたよ」
戦闘の跡片付けをする仲間へと恭介が情報共有し、分かれ道を迷わずに選び進んだ先には猟兵仲間の待つ最奥の部屋があった。
「この本を起動すると灼熱迷宮に跳ぶみたいです」
互いの持つ情報を交換し合い、猟兵たちは灼熱迷宮へと跳んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『灼熱迷宮の進め』
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POW : 高温多湿の環境に耐えながら洞窟内を進む
SPD : 体力が尽きる前に洞窟内を素早く進む
WIZ : 高温多湿に耐える対策を行い洞窟内を進む
👑11
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●灼熱迷宮
古代迷宮の最奥に集まった猟兵達は、魔法装置を起動させた。
赤き光が眩く身を包み、次の瞬間、空気が変わった。
「ここは、先ほど居たのとは全く別の地点だな」
仲間が呟く声が聞こえる。
視界一杯に広がる赤色の乾いた土肌。
内から燃える灯籠めいた岩影から精霊使いでなくても視認できる火蜥蜴や火精霊が彼らを見つめている。
空は、青かった。
時折足元がぐらぐらと揺れ、床に亀裂が走る。
天井、足元、左右の土壁は触れれば火傷をするほどに熱を有している。
無風の赤き洞窟の中は茹だるような熱さ。
「人がどうしてこんなところに」
チロリ赤い舌を見せ、炎の吐息を零して火蜥蜴が問う。
「この灼熱迷宮は炎の眷属が住む場所。人の身体には辛いと思うよ?」
人が来る場所ではない、そう言いながらも火蜥蜴は猟兵に好奇心旺盛な瞳を向けるのであった。
猟兵たちは熱さに眉を寄せながら周囲を探る。
「野蛮な人間たちですわ、いやね」
岩陰の火精霊が高飛車に囁きを交わしている。
「放置していても勝手に動けなくなるでしょうけど、無礼なことをするようならわたくしが燃やして差し上げますわ」
――予知に寄れば、この洞窟を進んだ先に敵がいるはずなのだ。
「さて、どうしよう」
誰かが言った。
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
引き続き二人組希望
何だかんだ楽しい
魔道具を懐に忍ばせ灼熱の洞窟へ
汗が止まらず髪のセットが崩れる
外套は脱ぎ腰に巻く
クソ…思ったより暑ィ(汗拭う
そのまま渡るにはあまりにリスキーだなァ(靴の耐久力はあるが
俺はこの先に用があンだわ
ココを渡りてェだけなンでテメェらに危害加えるつもりはねェよ
【錬成カミヤドリ】使用
本体は神器の鏡
8枚召喚し操る
鏡の上に立って飛んで出口目指す
火精霊達は刺激せず
寧ろ友好的に話す
何時から此処にいるのか、かつて此処へ来た冒険者の話や洞窟先にいる敵の情報(弱点)などあれば聞く
等価交換も許容範囲なら可
特別に俺に乗せてヤる
来いよ!(手差し出し
火の粉は水宿した剣で武器受け・かばう
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
高温か多湿、かあ。
どっちかだけならまだ我慢できるけど、両方ってのはキッツイよなあ……。
しょうがねえ、さっさと切り抜けるか。
《幻想虚構・星霊顕現》で氷交じりの冷たい突風を通路内に吹き込ませて、熱気を一時的に相殺しながら先に進む。
天井とか壁とかを氷で覆っておけば、それなりの時間は暑さをある程度和らげられる……と思う。急いでるから流石に床はそのままかな。滑ってコケると痛ぇしさ。
火霊たちが黙ってねえかもしれねえけど……そこは〈目潰し〉〈属性攻撃〉で大人しくしててもらうかな。おれらの行きと帰りの時だけは勘弁してくれ。
●『灼熱』
「クソ……思ったより暑ィ」
魔道具を懐に忍ばせつつ杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が外套を脱ぎ腰に巻く。射干玉の黒髪が汗で乱れて肌に貼りつくのを手の甲で拭い。
「高温か多湿、かあ。どっちかだけならまだ我慢できるけど、両方ってのはキッツイよなあ……」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が困ったように首を振る。
「そのまま渡るにはあまりにリスキーだなァ」
クロウの革靴へと一匹の火蜥蜴が興味を示す。それは火蜥蜴と七色鮟鱇の革で作られた頑丈な革靴なのだ。
「俺はこの先に用があンだわ」
火蜥蜴と視線をあわせるようにしゃがみこみ、クロウは世間話でもするような口ぶりで言葉をかける。
「ココを渡りてェだけなンでテメェらに危害加えるつもりはねェよ」
火蜥蜴がぱちりと目を瞬かせ、クロウを見つめる。瞳はオニキスのような輝きを帯びて。小さな首が縦に揺れて理解を示すと、相対する男の頬が僅かに緩む。
「テメェらはずっとココに住ンでるのか?」
「そうそう、おれも気になる。ずっと此処にいるのか?」
嵐が隣にしゃがみこみ、一緒になって火蜥蜴に問いかける。
火蜥蜴は炎を燈す尾をゆらりと揺らしながら2人を見比べ、声を返した。
「ぼくは生まれた時からここにいるよ。ずっと、ずーっとだよ」
「俺達以外のヒトは滅多にこねェのか」
「この先にヒンメンベルクって女がいるってきいたんだけど、知ってるか?」
クロウと嵐が同時に尋ねれば、火蜥蜴は首を傾けた。
ぽたりぽたりと2人の汗が地に落ちる。暑さに息を吐きながらも友好的な2人へと火蜥蜴は尾をゆらし。
「他のヒトはあんまり来ないけど、ヒンメンベルクは知ってるよ。あの娘は、魔術を扱えて精霊達との交流方法もよく知ってるみたいだった。ぼくはあの娘と炎の花輪をつくって遊んだよ」
「炎の花輪か。きれいなんだろうな」
嵐が想像するように目を細めた。
「火山の火口付近に儀式場をつくって外から連れて来た悪心を抱くヒトやモンスターを火神に捧げてるんだ」
「火山?」
「火神?」
「そう」
火蜥蜴が迷宮の天井を示す。所々崩れ落ちた天井が僅かな隙間から空を見せている。
「あの娘は、帝竜ヴァルギリオスに仕えてるんだって。邪悪な存在を火神に捧げて火神の力でヴァルギリオスの帝国を不滅とするんだって、言ってたよ」
「帝竜ヴァルギリオス?」
その名はこの世界でオブリビオン・フォーミュラと目されている。2人の猟兵は顔を見合わせた。
「その火山ってのは――、」
「ここが火山だよ」
ぐらぐらと地面が揺れる。
「噴火したりしねェだろな」
ユーベルコードで鏡を召喚しながらクロウが周囲を見る。
「ココ地中洞窟、だよな? いきなり溶岩が噴出して来たりしねェよな?」
「外に早く出たほうがよさそうだな」
嵐がおっかなびっくり足元を見て眉を寄せる。
火蜥蜴はゆらゆらと尾を揺らして楽しそうに2人の周りをくるくるとする。
「溶岩はヒトの体にはちょっと熱すぎるんだよね、ぼく知ってるよ」
(この暑さだけでも厄介なのに)
嵐は壁に触らないようにしながら立ち上がり、ユーベルコード『幻想虚構・星霊顕現』で自然の力に働きかける。
「しょうがねえ、さっさと切り抜けるか」
暴走しやすい自然の力を少年は危なげなく制御し、氷交じりの冷たい風を呼ぶ。
「おっ、涼しいじゃねェか!! すげェ助かる」
クロウは機嫌よく双眸を細め、鏡を操る。きらり、きらりと焔の光を反射させ、8枚の鏡が煌めいた。
(これは、『錬成カミヤドリ』かな)
クロウが使ったものだろう、と嵐はユーベルコードに思い至る。琥珀の瞳に映る鏡は神々しく火の粉の光を細やかに反射して清廉だ。
(神器と呼ばれる類のものなんだろうな)
嵐が見守る中、クロウが鏡の上にひらりと乗る。
「特別に俺に乗せてヤる。来いよ!」
機嫌よく手を差し伸べるクロウへと嵐は躊躇いがちに頷いた。
「鏡に乗るのは初めてだな……と、一緒に来るのか?」
嵐の肩へと火蜥蜴がぴょこりと飛び乗った。
鏡が2人と1匹を乗せてふわりと飛翔し、出口を目指す。洞窟はゆるやかに上へと続いていた。
「なんだありゃ」
飛翔する先に燃え盛る炎が壁となっていた。
「突っ込んでって平気か?」
「ただでさえ暑いってのに」
クロウが顔を顰めて玄夜叉を抜く。清らかな水が溢れて黒の刀身を波打ち、烈しく斬り下ろせば剣風と水流が炎壁を消し去った。
しばらく飛ぶと、地表にぽっかりと開いた出口に辿り着く。
「ようやく出口か」
外へ出た2人は鏡に乗ったまま周囲を探る。
そこは、火山だった。
「隠れた方がいい」
気配を察知した2人が物陰に身を隠す。
頭上を骨蛇の従魔が飛んでいく。骨爪にひっ捕まえているのは、緑肌のゴブリンか。
「追ってみよう」
気配を殺して追いかける2人は、ぽっかりとした大穴から煌々と灼熱の焔が覗きボコボコと湧音を立てる火口へと辿り着いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
サマー・ルー
【海老天】
ワタシ知ってルヨ! お水入れテお鍋ニ蓋しテ蒸すノ!
エビシューマイヨ! ショーロンポもあルヨー!
デモ、ココでモ良い方法あルヨ!
暑いとこノトカゲチャン、片足火傷すル前ニ次ノ足出すヨ
そしたラ足火傷しなイネ!
ベリキュート! そしテ賢イネ!
トカゲチャン見習っテ、ワタシたちモ火傷すル前に足出すヨ!
ククリ、ダッシュヨ! ハリハリ、急いデ!
暑いトコ、早ク出ルのガ一番ネー!
精霊チャンたち、走るノ邪魔すルかしラ?
近付いテ来たラ尻尾デ消しちゃウヨ!
ワタシたち急いでルヨ! 急いでルノ前ニ出たラ危なイネ!
怪我してモ知らなイヨー!
アラ、お水あルノ?
そしたラ頭からザブザブしテくれルト嬉しイヨ!
鱗乾いちゃウからネ!
八津崎・くくり
【海老天】
暑い…いや熱い…壁にもたれかかることすらできない…
蒸し器にでも放り込まれたような気分ではないか、私達は食材ではないはずだが…?
なるほど、賛成だよサマー君
はっきり言って持久戦は生存するビジョンが見えない、極力速やかに抜けてしまおう
何か足の裏も熱いようだが、こうして走って疑似的に風を感じれば…ああ、汗が気持ち悪いな…
え、待って、はやくない…?
し、死んじゃう
向かう先はこれまで同様ノリで決めよう
野生の勘だよ野生の勘
精霊君達は申し訳ないが道を開けてくれないかな?
今ちょっと疲れてるから軽率にがぶっとしてしまいそうなんだ
一応水筒は持ってきた
君も飲むかいサマー君
正直少しぬるいが、まぁ許してくれたまえ
●激走・灼熱ロード!
「暑い……いや熱い……壁にもたれかかることすらできない……蒸し器にでも放り込まれたような気分ではないか、私達は食材ではないはずだが……?」
八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)が紳士ボイスで呟き。
「ワタシ知ってルヨ! お水入れテお鍋ニ蓋しテ蒸すノ! エビシューマイヨ! ショーロンポもあルヨー!」
傍らに佇むサマー・ルー(遠洋漁業・f00733)が通販番組のお姉さんのように明るい声を響かせた。
青い鱗が熱気に渇いているのを見てくくりがスッと水筒を差し出した。
「一応水筒は持ってきた。君も飲むかいサマー君」
「アラ、お水あルノ? そしたラ頭からザブザブしテくれルト嬉しイヨ! 鱗乾いちゃウからネ!」
「正直少しぬるいが、まぁ許してくれたまえ」
ザブザブと水をかけると乾いた鱗が水に濡れキラキラと宝石のように輝いた。
「しかし、水もあっという間に乾いてしまう……」
ザブザブした端から水が渇いていくのを見たくくりが眉を顰め。
「デモ、ココでモ良い方法あルヨ!」
「なんだって。それはどんな方法だサマー君」
2人の周囲には火精霊が集まっていた。
「まあ、一体どんな方法かしら」
「でも、お高いんでしょう?」
火精霊が財布を握りしめて注目する中、サマーがたっぷりと間を取って切り出した。
「暑いとこノトカゲチャン、片足火傷すル前ニ次ノ足出すヨ。そしたラ足火傷しなイネ!」
なんと足元で火蜥蜴が実演をしてくれている!
「ベリキュート! そしテ賢イネ! トカゲチャン見習っテ、ワタシたちモ火傷すル前に足出すヨ!」
「なるほど、賛成だよサマー君。はっきり言って持久戦は生存するビジョンが見えない、極力速やかに抜けてしまおう」
こうして2人は秘技猛ダッシュにて灼熱迷宮を駆け抜ける事にしたのだった。
「なんだか楽しそうね、ついていきましょ」
「お金は払わなくていいのかしら」
火精霊が後ろをついてくる。
「何か足の裏も熱いようだが、こうして走って疑似的に風を感じれば……ああ、汗が気持ち悪いな……」
くくりが靴裏から伝わる熱に眉を潜めながらサマーを追う。走るにつれて景色がぐんぐんと後ろへ流れていく。土肌、土肌、土肌……全く代わり映えのない土肌景色だ。土に囲まれてじっとりと汗ばむ肌に髪が貼りつき、汗がじっとりと全身に滲んで。
「ククリ、ダッシュヨ! ハリハリ、急いデ! 暑いトコ、早ク出ルのガ一番ネー!」
サマーがどんどんスピードを上げていく。何を隠そうこのサマー・ルー、逃げ足には定評のあるお姉さんだった。
「え、待って、はやくない……? し、死んじゃう」
くくりが思わず素になって呟きを零す。
「片方が遅れがちみたいよ」
「ちょっとちょっかい出してみようかしら」
火精霊がからかうようにくくりの前に躍り出て炎花を舞わせ――、
「精霊君達は申し訳ないが道を開けてくれないかな? 今ちょっと疲れてるから軽率にがぶっとしてしまいそうなんだ」
言いながらくくりのUDCが既に牙を剥いていた。
「ワタシたち急いでルヨ! 急いでルノ前ニ出たラ危なイネ! 怪我してモ知らなイヨー!」
くくりのピンチ(?)を知って道を戻ってきたサマーも会心の尻尾撃を披露する。
BOOOOOOOM!!!
一番容赦ないやつが揮われてメチャツヨイ尻尾撃が洞窟の壁や床ごと精霊たちを薙ぎ払う。
「きゃー! 通販のお姉さんが暴れ出したわ!」
「火花ちゃんが食べられたわ!」
火精霊たちが大騒ぎしながら退散していく。
「みんなぁー! 見棄てないでぇー!」
火花ちゃんはガジガジされながら2人と一緒に洞窟の先へと進んでいった。2人+1匹(?)は分かれ道をノリとイキオイと勘で選んで進んでいく。
「別れ道ネー特に理由ないケド右ネ」
「では次は左にしようか」
「→←←←→→↑↑最後にBボタンネー」
野生の勘に導かれ2人は華麗に心のコマンドを決めてフィニッシュのBボタンを押す。
やがて辿り着いたのは、行き止まりだった。
「Oh、ゴールネ」
「間違いない、ここが終着点のようだ」
何もない壁。引き返すしかないように思えるその壁を見つめ、次いで天井を見る2人。
グシャッ
ドーン!
2人の尻尾とUDCが道を造り出す。
「要するに地上に出ればいいのだよサマー君」
「結果オーライネー」
サマーのフック付きワイヤーで上へと登れば、そこはもう地上だ。嗚呼、大空を邪悪な骨鳥が飛んでいく。よく見れば骨鳥はビチビチと暴れるモンスター・イセエビを抱えている。
「Oh! Ise☆Ebiがピンチネ」
「あれはモンスターじゃないかな」
2人はのんびりと骨鳥を追っていく。
道中で火精霊の火花ちゃんがガジガジされながら解説をしてくれた。
「この火山には、おうちを追い出されたぼっちの女の子のオバケがいるのよー」
「ほう、その女の子は討伐対象な気がするぞ」
「ヒンなんとかチャンネー」
火花ちゃんはUDCの牙に慣れた様子でなでなでしながら炎を纏い。
「女の子は「ぼっちライフの時に手を差し伸べてくれたイケ竜の帝竜様の国を復活させる手伝いをする」ってこの前言ってたわー。それで最近、生贄を集めているのよ」
鳥が進む先にはぐつぐつぼこぼこと灼熱を吐く火口があった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アテナ・アイリス
一人なら、あっという間に抜けることはできるけど、助けが必要な様ね。
皆に声をかけて、有効な対処方法を持っていない人を集めます。
UC「プロテクション・フィールド」をつかって、火属性のダメージ無効もしくは大幅軽減する魔法を味方に唱える。
これで熱さには対処できるから、先に進みましょうか。
あとは、邪魔になりそうな、火蜥蜴や火精霊を退治すれば簡単に通れるはずよ。
でも、水属性の「アーパスブレード」の前では、相手にもならないでしょうけどね。
「わたしの魔法が役に立ちそうね。」
「さあ、これで暑さには耐えられるはずよ。」
「邪魔をするのであれば、水の剣の力。見せてあげるわ。」
アドリブ・連携好きです。
紅狼・ノア
古代の次は灼熱かぁ~ってアッツ‼(服脱いで中のビキニ状態【オーラ防御】発動・暑さで【殺気】も出てる)
防御してでもさすがに暑い…ん?恥ずかしくないかって?【恥ずかしさ耐性】全然?
立ってるだけでも体力ゴッソリ削れる…尽きる前にさっさっと抜けないと…
【第六感】てかさっきから声や視線を感じるんだけど?…念のため周りを警戒しとくか
敵が現れ、話が通じる相手ならいいけど無理ならやっぱ…戦うんだよな…(めっちゃ嫌だ‼)
コード【人狼咆哮】をやるから皆さん逃げるなり防御するなりして耐えろよ
耐えた敵が怯んでるうちに素早く【部位破壊・カウンター・暗殺】足音でバレない様に【忍び足・目立たない】でヤル
早く此処から出たい…
ハロ・シエラ
暑いですね……精霊の言う通りかも知れません。
ここは人間が来る場所では無いのかも。
ですが敵を倒す為にはここを通らなければなりません。
しかし丁寧に進んでいては干上がってしまいます。
若干無礼を働くかも知れませんが……ユーベルコードで突っ切ってしまいましょう。
鎧姿にはなりますが、装甲は少ないですし軍服よりは涼しいでしょう。
水着みたいなデザインなのが困りものですが、火や熱からも呪いの力が守ってくれます。
そして鎧から生えた翼でとにかく高速で飛び、洞窟を突っ切る事とします。
天井が低かったり、通路が狭い場所もあるでしょうが、なるべくなら止まらずに【空中戦】の要領で飛び続けたいですね。
ニレ・スコラスチカ
【POW】
……あつい。
この環境でわたしにできる事は、次の戦いに向けて体力の消耗を抑えることくらいしか…
……いいえ。
異端審問官は狼狽えない。
異端審問官は弱気になどならない。
異端審問官は暑さになど負けない。
【殉教】こそがわたしの使命。
…敵が出たら【怪力】をあびせて熱い壁や床に叩きつけます。他意はありません。
そういえば、友達のフェアリーから『しゅわしゅわの小瓶』を貰ったことを思い出しました。水の精霊の加護を受けたこのジェルなら暑さを軽減できるはずです。わたしの他に熱さに苦しんでいる人がいればその人にも。
【アドリブ・連携歓迎】
清川・シャル
高温多湿に耐える…
そもそもシャルは火が苦手ですね…
熱いし眩しいし、やだ。
頑張りますとも。
ぐーちゃん零に氷の魔弾詰めておきます
全力魔法で、氷のミストを生み出し、風魔法で自分の周りに纏わせて、
走ります!
障害物はアサルトの方で破壊っ
炎はグレネード弾で消炎!
視力、地形の利用、第六感、野生の勘で乗り切りましょう!
特別大変そうな炎があらわれたら、UCで消火しましょう。
これくらいの事を嫌がってたら猟兵出来ませんもん。
とはいえ、苦手くらいあるんです〜!
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
「こう熱いと走り回れないな」と転送地点で【学習力】を使い考える
とりあえず、炎の眷属達に【礼儀作法】を交えながら事情を話そう
「この先に炎の魔槍を持った敵がいてね。君達も攫われた仲間はいないかい?」
気圧が下がらない程度にUCでナイフに変えた酸素を炎にくべる
くべた先の炎が勢いを増した
まだ数本あるが手土産はこれでよいのだろうか
望めば水素のナイフも作れるが…
炎の眷属達に聞いた通りの方向に進もう
「いろいろありがとう。風が少し出るかもしれないけど」と断りをいれる
今度は気圧を少し下げるように空気のナイフを作りながら進む
流石に風を起こさないと熱い
風が起きれば進むのも楽になるはず
「しかし熱い」
アベル・スカイウインド
本当にこんな場所を進むことになるとは……俺は暑いのは苦手なんだ。オブリビオンと戦う前に倒れたんじゃ笑い話にもならん。とっとと切り抜けるぞ。
UC【竜胤】で水竜の力を引き出そう。まあ、これでなんとかなるとは思えんが気休め程度にはなるだろう。
さて、ぐずぐずしている暇はないな。火蜥蜴でもなんでも、もし道を知っているなら案内してくれ。一応俺は【動物と話せる】から会話は問題ないだろう。対価は……俺の携行している飯で気に入ったものがあればくれてやろう。干し肉と握り飯しかないが、人助け、いや猫助けだと思ってこれで手を打ってくれ。
あとは優秀な現地ガイドについていくだけだ。フッ、スマートなやり方だと思わないか?
●ダンジョン&パーティ(2)
息の詰まるような熱気の中、猟兵達が集まっている。
「こう熱いと走り回れないな」
仁科・恭介(観察する人・f14065)が転送地点で策を練る。
「ヒトがいっぱい来たね」
「いっぱいいるねえ」
炎の眷属が囁く声に気付き、恭介は礼儀正しく挨拶をした。
「この先に炎の魔槍を持った敵がいてね。君達も攫われた仲間はいないかい?」
眷属が眼を合わせ、少しずつ傍へと寄ってくる。
(一人なら、あっという間に抜けることはできるけど、助けが必要な様ね)
エルフのアテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)が周囲の仲間達を見る。
「高温多湿に耐える……そもそもシャルは火が苦手ですね……熱いし眩しいし、やだ」
清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)がふるふると首を振り、ふと天井の隙間から視える空色に目を留めて。
(上に空が視える……)
空を映す瞳がぱちぱちと瞬き。
「頑張りますとも」
少女はぽつりと声を零す。手には頼もしきぐーちゃん零が構えられていた。シャルは渾身の魔力を籠めた魔法で氷のミストを生み出し、暑さを和らげていく。
「古代の次は灼熱かぁ~ってアッツ?」
紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)が悲鳴をあげ、黒パーカーを脱いでクロスホルタービキニ姿となる。身にオーラを纏い、暑さのせいで殺気を滲ませながら少女は黒色の耳を伏せる。
「暑いですね……精霊の言う通りかも知れません。ここは人間が来る場所では無いのかも」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が汗を拭いながらノアに視線を向け。
「防御してでもさすがに暑い……ん? 恥ずかしくないかって? 全然?」
ノアはケロリとして目を瞬かせる。なんでも屋として危険な日々を過ごす少女には羞恥に対する耐性があった。
ノアに頷き、ハロは自身もユーベルコード『ドラゴノート』で翼の生えた軽鎧姿に変身する。水着めいたデザインの鎧は火や熱に対する耐性を持っていた。
「……あつい」
ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)は頬に張り付いた白髪をそっと摘まむ。髪はしっとりと汗に濡れていた。
(この環境でわたしにできる事は、次の戦いに向けて体力の消耗を抑えることくらいしか……)
ほんの一瞬、少女はそう考え。
(……いいえ)
ふるり、と奮い立つ心があった。
(異端審問官は狼狽えない)
少女は、そう思った。
(異端審問官は弱気になどならない)
少女は、息を吸い。
(異端審問官は暑さになど負けない)
肺の中を熱気が駆け巡り。胸が熱い。
(殉教こそがわたしの使命)
――それは、祈りにも似て。
「本当にこんな場所を進むことになるとは……俺は暑いのは苦手なんだ。オブリビオンと戦う前に倒れたんじゃ笑い話にもならん。とっとと切り抜けるぞ」
アベル・スカイウインド(天翔ける稲妻・f12583)が帽子を被り直しながら首を振る。
「竜の力をここに!」
『竜胤(ドラゴンブラッド)』で水竜の力を引き出し身に纏い、アベルは尻尾をふわりと揺らした。
「まあ、これでなんとかなるとは思えんが気休め程度にはなるだろう」
◆
(急がずに、だが休まずに。想う事を止めなければ必ず作れる)
恭介は『輝石の鼓動』で酸素をナイフに変え、炎にくべる。
「まぁ、このナイフはとても美味しいわ」
精霊が嬉しそうに炎のドレスを翻して礼をする。
「魔槍の使い手はヒンメンベルクのことね。あの娘は精霊には礼儀正しいから、わたしたちには被害はないわね」
「そうなのか。しかし、生贄を集めているのだろう?」
「そうよ。ダンジョンで斃れた冒険者の死体を運んだり、悪徳商人や民を虐げる貴族を攫って来たり。時にはモンスターも連れてきて、火山に放り込むの」
寄ってきた他の精霊たちにナイフを追加でプレゼントしてやれば、精霊たちは大喜びだ。
「何か、帝国を復活させようとしていると聞いたんだが」
「ええ、そうよ。ヒンメンベルクは帝竜に仕えているんですって。彼女なりの方法で帝竜のためになるだろうと思って、儀式をしているみたいだわ」
「それは阻止しなければならないな」
アベルが猫ヒゲを撫でながら青色の瞳を火蜥蜴に向けた。
「さて、ぐずぐずしている暇はないな。火蜥蜴でもなんでも、もし道を知っているなら案内してくれ」
「道案内?」
火蜥蜴たちが興味津々で寄ってくる。
「対価は……俺の携行している飯で気に入ったものがあればくれてやろう。干し肉と握り飯しかないが、人助け、いや猫助けだと思ってこれで手を打ってくれ」
ねこにぎりを差し出せば火蜥蜴たちが気に入った様子で啄んで。
「いいよ! お外まで案内してあげよう!」
「あとは優秀な現地ガイドについていくだけだ。フッ、スマートなやり方だと思わないか?」
アベルが火蜥蜴に頼もしそうに目を細めて笑う。
こうして一行は頼もしい現地ガイドを確保したのである。
「それにしても、立ってるだけでも体力ゴッソリ削れる……尽きる前にさっさっと抜けないと……」
ノアがうんざりと呟く。
「わたしの魔法が役に立ちそうね」
アテナが仲間達に声をかける。
「熱さを和らげることができるわ。希望する人はいるかしら?」
仲間達が周囲に集まる。
「障壁よ、我が仲間を守り給え!」
エルフの詠唱に応えて薄っすらとした水の障壁が仲間達の身体を覆い、ひんやりとした涼しさで身を守ってくれる。
「さあ、これで暑さには耐えられるはずよ」
「そういえば、友達のフェアリーから貰ったのを思い出しました」
ニレが懐から小瓶を取り出す。陽気なフェアリーのニィがくれたしゅわしゅわの小瓶は水精霊の加護を秘めた泡状のジェルが詰まっている。
「このジェルなら暑さを軽減できるはずです」
ニレが仲間たちにジェルを分け、一行は熱耐性を高めていく。
◆
耐性を高めた一行は揃って迷宮を歩き出す。
「それじゃあ準備万端ということで、いきましょうっ!」
シャルが元気よく走り出し、ぐーちゃん零で障害物をダイナミックに破壊していく。道を塞ぐ炎があればグレネード弾とユーベルコード『SNOW Apple』で消していく。
「これくらいの事を嫌がってたら猟兵出来ませんもん。……とはいえ、苦手くらいあるんです~!」
軽減してなお感じる暑さに辟易した様子で声をあげれば、後続の仲間たちも同意するようだった。
「いろいろありがとう。風が少し出るかもしれないけど」
恭介は恭しく炎の眷属達に礼をして空気のナイフを造り風を起こす。水の障壁や水精霊の加護ジェル、さらに風を得て、一行を取り巻く環境は大分快適になったのだが。
「しかし熱い」
それでも汗は止まらないのだった。
「てかさっきから変な声や視線を感じるんだけど?」
ノアが耳をぴくぴくと動かしながら周囲を警戒する。火精霊や火蜥蜴とは別の気配には悪意が混じっているような気がして、猟兵達はそろりと武器に手を伸ばして身構えた。
(話が通じる相手ならいいけど)
臨戦態勢を取る一行の前にぞろりぞろりと這い出したのは、溶岩で出来た巨大なゴーレムだった。
「あ、あのゴーレムは、人間が嫌いなんだ」
火蜥蜴が教えてくれる。
「やっぱ……戦うんだよな……」
ノアが嫌そうな顔をした。
「邪魔をするのであれば、水の剣の力。見せてあげるわ」
純白のマントを翻し、アテナがアーパスブレードを鋭く繰り出した。水のように透き通った刀身が易々と溶岩ゴーレムを貫き、身中の核を砕く。
「あつ……くない。あつい。あつくない」
ニレが自らに言い聞かせるようにしながら怪力を奮い、ゴーレムを熱い壁に叩きつけた。溶岩の身体と熱壁が衝突しジュッと熱気が増す。怪力が憤りをぶつけるかのように床へと敵影を押し込み。
「……他意はありません」
短い声は低く放たれた。
「……新手!?」
ぼこぼこと地面から溶岩ゴーレムが湧いてくる。
「皆さん逃げるなり防御するなりして耐えろよ!」
ノアが警告を発しながら前に出て息を吸う。――人狼咆哮。察した者達は皆距離を取る。
灼熱世界にノアの咆哮が轟いた。溶岩ゴーレムの群れが一掃され、消えたはしから再び湧いてくる。
「ゴーレムがどんどん増えるわ。しつこいわね」
アテナが眉を寄せて水剣で数体を斬り伏せる。白マントへと伸びたゴーレムの腕を火精霊が炎の障壁で防ぎ。
「野蛮なゴーレムはわたしたちも好きじゃないのよ」
火精霊がそう言って味方をしてくれる。
溶岩ゴーレムが忌々し気に火精霊に目を向けて突進する。
「この剣は、痛いですよ!」
ハロが火精霊に迫るゴーレムの腕をサーペントベインで斬り落とした。
「核を壊せば斃れるの?」
ノアが低く身を沈め、機敏にゴーレムの核を狙いすまして打砕く。
「全部吹き飛ばしてしまいましょう!」
シャルが氷の魔弾を乱射する。
「援護しよう」
恭介は2種類のナイフを器用に投げ分ける。1種類は火精霊の炎を燃え上がらせ、もう1種類は溶岩ゴーレムの熱を下げていく。
「水竜の力よ!」
アベルはランスオブアベルを鋭く打ち込み、溶岩ゴーレムを倒していく。
「丁寧に進んでいては干上がってしまいます。突っ切ってしまいましょう」
ハロが翼を羽搏かせ、仲間たちを先導する。
溶岩ゴーレムに追われて時に戦闘し、時に振り切り、一行は地上を目指す。
「早く此処から出たい……」
ノアがうんざりと呟いた。
「――出口です、ありました。出口です!」
ハロが声をあげる。
「もう少し、もう少し!」
「ああ、外だー!」
仲間達が一人また一人、出口から外へと脱出し。
――脱出した先は火山の山頂付近だった。
◆
「いけない。みんな、隠れて!」
エルフ耳がぴくりと動き、アテナが警告を発する。全員が素早く物陰に身を隠す中、ひとりの女が現れた。
(まだ気付かれてないみたい)
ぶかぶかの外套で小柄な全身を隠す女は、髪が長い。
ちらりと窺える肌は醜く焼け爛れているようだった。枯れ木のように細い手首が長い杖を握っている。ぞろり、ぞろり。女の後ろを屍の兵士がついていく。上空からは骨鳥と骨蛇が現れ、従魔を労うようにして女は歩みを進めていく。
猟兵達は密やかに女を追尾した。
やがて、火口に近づけば、そこには簡易に設えられた祭壇があった。祭壇にはゴブリンやモンスターイセエビが捕まえられている。
「あの方の力になりたい」
女はそう呟き、捕獲したモンスターに近づいていく。
「今の私では力及ばず、大きな貢献をすることは難しいけれど。火神の加護を得られればもっとお役に立てるはず」
喉を傷めているのか、その声は掠れてひび割れていたが猟兵達にはその女がまだ年若い少女のように思えた。
大成功
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第3章 ボス戦
『不死なる醜女ヒンメンベルク』
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POW : アメアリア・セルヴォ
【自身の血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【炎の魔槍グッシレンヤ】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : ファーン・ド・モルファーン
【魔眼より飛ぶ火花】が命中した対象に対し、高威力高命中の【大地より召喚した複数の凶刃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : ソンゾボルト・ユーゴッド
レベル×5体の、小型の戦闘用【従魔】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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●その名は『ヒンメンベルク』。
空が広がっていた。
火蜥蜴が傍にいた。
火精霊が傍にいた。
祭壇があった。
場所は、火山だ。
地図の何処に在るのかもわからぬ、名も知れぬ山だ。
女は醜い全身を外套で隠し、長い髪を風に靡かせていた。
とても小さな体だ。
とても細い体だ。
声は、意外と幼かった。
声は、願う響きがあった。
誰かのためにと戦う者の気配があった。
娘は、嘗て一族を追放されたのだという。
娘は、独りだったのだという。
娘は、竜に手を差し伸べられて仕えることにしたのだという。
娘は、帝竜ヴァルギリオスのために儀式を行う。
紅き炎が渦巻く火口。
少しずつ空が昏くなり、気付けば雨が降ろうとしている。
火口付近に降るは強き酸雨。
風は炎を含んで熱く頬を撫でていく。
「力が欲しい、力を得て、あの方のために」
少女は、そう呟く。
その声が猟兵達の耳を擽り、その感情が猟兵達に伝わる。
「あの方と共にありたい。そして、私を拒絶した世界を滅ぼすのだ」
ひび割れた声には世界への憎悪が篭り、使える主への忠心に溢れている。
――未だ敵は猟兵に気付いていない。
猟兵達はそっと視線を交差させる。
一人一人個性豊かな仲間達は、皆同じ目的のために此処までやってきたのだ。
ぽつり、ぽつり。地面に雨雫が落ちて濡らしていく。
こうして、酸雨降り注ぐ火口にて猟兵達は作戦を開始することとなった。
💠
火蜥蜴と火精霊は猟兵達にそっと囁く。
「あの娘との敵対関係はないけれど、愉快な猟兵さんたちにほんの少し力を貸しましょう」
「ここまで一緒に来たんだもの。ぼくたちにできることなら、何か手伝ってあげるよ」
気まぐれな炎の眷属は、猟兵の味方となったのだ。
紅狼・ノア
あれが『ヒンメンベルク』…なんか可哀そうな子…
この儀式を行うのは帝竜の望み?それともあの子の望み?
まぁ事情なんで聞いても僕らの目的を果たすのみ…恨まないでよ?
従魔の方はお任せなよ
火蜥蜴達、一緒に戦ってくれる?
【第六感・オーラ防御】で駆使し火蜥蜴達との素早い連携プレーをお見舞だ!
僕らが相手してるうちに仲間達はあの少女をお願いね
おっとお前達の相手は僕だよ!あっちに行かせない…てか逃がさない
こっちが片付け次第、そっちに行くよ
*片付け後*
ボスが他の仲間との戦闘に夢中になってる、今がチャンス!
【目立たない・忍び足】で背後から奇襲を仕掛ける【盗み攻撃】で武器を奪う
普通に奪えないなら腕を【部位破壊】して奪う
八津崎・くくり
【海老天】
雨が目に沁みる
私もやせっぽちの貧民の出だからね、わかるような気がするよ
世界に見捨てられたという感覚も、差し伸べられた手の暖かさも
でもね、生贄はダメだよ
その一点だけで、私達は相容れない
火花君、手伝ってくれるのならちょっと火を貸してくれたまえ
両手の食器に炎を宿して接近戦
サマー君が庇ってくれるなら、最大限に利用させてもらうのが感謝の仕方というもの
彼女の影で攻撃のコースを変える等、連携も重視
炎の槍には炎の食器で張り合って、UDCである髪を駆使して中距離攻撃
隙が見えたらUCを
君の願いと私の欲、どちらが強いか、勝負
ああ、サマー君も火花君も、ちょっと口から離れていたまえよ
君の槍ごと喰らってみせよう
サマー・ルー
【海老天】
恩返シ、大事ナ事ネー
デモ生贄良くナイヨ! 自分デ獲っテ食べルの一番ネ!
ワタシ飛ビ道具持っテないネ
デモ、モンスターとバチバチ火花邪魔ネー!
ヒンなんとかチャンに構ってタラとってモ痛イヨ!
コレ無くなっタラ、ククリ何とカスル?
OK! 何とカしまショ!
モンスター、攻撃さレル前ニ尻尾で薙ギ払ウネ
やられル前ニやル! 尻尾長いヨ! ドカンと一撃ネ!
バチバチ火花、チョット厄介ネ。当たルト強いノ飛んデくルヨ
ククリに当たらナイようニ、ワタシが火花叩キ落とスヨ
次ニ強いノくルノわかっテたラ、それモ叩けルネ!
任せテ任せテ! ここマデ全部破壊しテきタから、ここモいけルヨ!
槍ハ、アー
ククリ! 頑張っテ食べルネ!!!
ハロ・シエラ
今までの話を聞く限りでは、正直な所若干同情してしまう部分もあります。
ですが、世界を滅ぼそうというのなら戦うしかありませんし、私には戦う事しかできません。
炎の眷族の皆さんは……私としては、巻き込まれない様にしてくれれば十分です。
敵の武器は血液を代償に強化されるとの事。
私もユーベルコードにて、体力を削りながら戦います。
武器では私が不利かも知れませんが、敵の間合いを【見切り】懐へ飛び込めば勝機もあるでしょう。
どちらの精魂が先に尽きるか勝負!
と見せかけ、レイピアでの攻撃を【フェイント】とし【物を隠す】技で隠しておいたダガーで攻撃を仕掛けます。
それで怯めば、強化されたレイピアで一撃加えてやりましょう。
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
【携帯食料】を食みUC対象をヒンメンベルクへ
だが、UC対象にした事を後悔する
細胞を通して流れてくる感情は一途な乙女の想い
「依頼は依頼だね」
【覚悟】を決める
POW
【吸血】本能を解放し攻撃力を底上げ
瞳を真紅に変える
【目立たない】ように炎の眷属に話を聞く
「あの炎が出ている槍は掴んでも大丈夫なものか」
【学習力】で周囲を確認
奇襲はしない
戦闘が始まって堂々と挑む
【残像】と【ダッシュ】を使いインファイトに持ち込む
槍が掴める場合は槍の柄を持ち体勢を崩す
掴めない場合は槍の持ち手を狙い攻撃
槍の長さによる有利さを出来る限りなくすように戦う
「君の心は読んでしまった。だが君を倒すのが依頼でね」
アベル・スカイウインド
他の者はどうか知らんが、帝竜を信奉し世界を滅ぼすなどと宣う輩に情けをかけるほど俺は優しくはない。……どの道戦うしかないなら相手のことなぞ考えないほうが気が楽だぞ。
だが、この状況。いつもの俺なら不意打ちでさっさと始末するんだが……今回は正々堂々名乗りを上げてからやり合うとするか。フッ、猫の気まぐれだ。とはいえ、俺を竜狩りの騎士だと知って奴がどう思うかは想像に難くないな。
奴の攻撃を【見切り】ながら【ジャンプ】を織り交ぜた【空中戦】を仕掛ける。フッ、宙を舞いながら戦う猫は初めてだろう?
勝機が見えたら大技のUC【竜星】を叩き込んでやろう。この技でどちらの槍技が勝るか雌雄を決するとしよう。
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
気紛れなヤツ(くす
お前の名前何て言うンだ?
名を呼んだら思いきり火を噴け(火蜥蜴へ
ご褒美に後でお前の好物ヤるよ(首撫で
テメェの過去に同情はする
恩を返したい気持ちも
その行いは至極真っ当
俺には止められねェ
故に
お前の正義に俺の正義を真正面からぶつけるまで
最後まで貫け、お前の矜恃(誇り高き少女へ
…怖ェか?戦うのが
前だけ見てろ
心配すンな
一人じゃねェよ、お前は
背負ってた玄夜叉構え
滴る汗拭い外套羽織り
銀のピアス握り潰し【無彩録の奔流】使用
敵の腹に遠心力で重い一撃(部位破壊
敵の攻撃は変形した剣で武器受け・カウンター
酸雨に片目瞑り
仲間が危険ならかばう
属性攻撃・2回攻撃で魔風纏い周囲の熱や焔を取り込み剣撃
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
……なんだろうな。
すげえ怖ぇって気持ちとすげえ悲しい気持ちとが混じりあって、複雑な気分だ。
とは言え、ここまで来たからには後には退けねえよな……!
《笛吹き男の凱歌》で場にいる味方を強化しながら、おれ自身も〈援護射撃〉や〈鼓舞〉で味方を盛り立てつつ戦う。
取り巻きを召喚されたら、仲間がヒンメンベルク相手に専念できるように率先して潰していく。
道中知り合った火蜥蜴はから火の力を借りて〈属性攻撃〉も試してみるか。
向こうの攻撃は〈第六感〉で察知しながら〈敵を盾にする〉〈オーラ防御〉〈見切り〉あたりを駆使して防御・回避。
アテナ・アイリス
儀式を続けさせることは、できないようにしないとね。
右手にアーパスブレード、左手にフレースヴェルグ・ブラスターを手に持って、【2回攻撃】と【誘導弾】で攻撃するわ。
ブラスターは連射モードにして、手数で攻撃することにより、敵の体力を奪うようにするわ。
UC【神槍ケラウノス】をつかって魔法の槍を呼び出す魔法を使い、とどめを刺すわ。
「あの儀式はやめさせないといけないわね。」
「帝竜ヴァルギリオスの仲間をするのであれば、容赦なくいくわよ。」
「剣とプラズマ弾の両方はよけられないでしょ。これが新しいエルフの戦い方よ。」
「これで、とどめよ!」
アドリブ・連携好きです。
ニレ・スコラスチカ
自分を拒絶した世界を滅ぼす。
わたしもかつてはそうしようとしたことがあります。でも今は。
…わたしが然るべき罰をもってあなたを赦し、救いましょう。
【超過】を使い、限界を超えて身体強化を。強化に肉体が耐え切れず、わたしは自壊していくでしょう。聖紋の再生能力と【激痛耐性】で代償を抑え込み、正面から対峙します。
わたしの生体拷問器はわたしの肉体のみを原料としてできている。故にこの武器は今、【超過】の影響下にある…その魔槍とどちらの殺傷力が上か、勝負してみましょうか。
肉体再生を頼りに守りを捨て、【カウンター】狙いです。他の猟兵が与えた傷があれば、その【傷口をえぐる】。
執行、開始。
【アドリブ・連携歓迎】
●火の山に冒険者は集いて
それは、敵を討伐する依頼だった。
熱を孕んだ風が猟兵達の間を吹き抜けていく。
火口はぐつぐつぼこぼこと激しい音を立てて燃えている。
「自分を拒絶した世界を滅ぼす」
ぽつり、雨が地を濡らす。
「わたしもかつてはそうしようとしたことがあります。でも今は」
少女、ニレ・スコラスチカは世界を視る。薄い瞳が瞬きを堪えて静謐に。
そこに、猟兵達がいた。
森の主に拾われ、育てられし紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)。手癖の悪いなんでも屋は日々危険とスリルの中を生きている。
フルーツだと思ってUDCを食べてしまった八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)。組織の戦闘要員である彼女はUDCと共に食欲を理由に戦いに身を投じる。
竜派のお姉さんサマー・ルー(遠洋漁業・f00733)はいつも笑顔で陽気な肉食レイディ。尻尾はめちゃ強くてぼこぼこになるね。
元ダークセイヴァーの少年兵、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は幼少時から死線を掻い潜りしレイピアの名手。真面目な努力家は世界を越えて人のためにその腕を揮う。
柔和な表情を浮かべるダンピールの仁科・恭介(観察する人・f14065)は携帯食料を食むことで敵を識り力を高める能力者。彼は常に自身の心を抑えながら世界を観察し、学んでいる。
誇り高き竜騎士、アベル・スカイウインド(天翔ける稲妻・f12583)。ウインドブーツが空を蹴れば騎士の身は高き蒼穹に舞い風を斬り気高きランスが稲妻の如く鋭く敵を貫かん。
野心家ヤドリガミの杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は唯我独尊我が道を行く粗暴な男にして義に篤く仁義は通す熱き漢。大きな態度に見合うだけの実力を兼ね備えて身軽に戦場を駆ける頼もしい兄貴だ。
高名な占星術師である祖母に育てられし鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は自身も召喚系の能力に秀でた少年だ。社交的で裏表のない少年は怖がりで戦場では震えながら、けれど決して逃げることなく戦い続ける。
エルフのアテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)は勇者の行く末を見届けることを目的にパーティのサポートや指揮にまわる熟練の戦士である。
教会組織が造り上げた異端狩りの少女、ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)。全身に洗礼聖紋を刻まれし少女は使命を胸に。
●
刻一刻。時間が経過していく。
ヒンメンベルクが猟兵に気付かぬまま、儀式を始めようとしていた。物陰に潜みし猟兵達に密に相談する時間はなかった。ただ、互いの気配を頼もしく感じながらそれぞれが思いを胸に武器を取る。
くす、と笑む気配、ひとつ。
「気紛れなヤツ」
杜鬼・クロウが火蜥蜴に視線を合わせる。
「お前の名前何て言うンだ? 名を呼んだら思いきり火を噴け」
ご褒美に後でお前の好物ヤるよ、と言いながら優しく首を撫でれば火蜥蜴は気持ちよさそうに目を細め、火紗丸と名乗る。
「あれが『ヒンメンベルク』……なんか可哀そうな子……」
紅狼・ノアが紅玉の瞳に感情の波を湛えて揺らす。
「この儀式を行うのは帝竜の望み? それともあの子の望み?」
「……なんだろうな。すげえ怖ぇって気持ちとすげえ悲しい気持ちとが混じりあって、複雑な気分だ」
鏡島・嵐が敵の姿にじっと瞳を向け。
「とは言え、ここまで来たからには後には退けねえよな……!」
戦いを怖れる気持ちと豊かな感受性が齎す哀しみが全身を震わせながらも、戦意を失うことはなく。
「他の者はどうか知らんが、帝竜を信奉し世界を滅ぼすなどと宣う輩に情けをかけるほど俺は優しくはない。……どの道戦うしかないなら相手のことなぞ考えないほうが気が楽だぞ」
アベル・スカイウインドがそう言って髭を撫で。
「今までの話を聞く限りでは、正直な所若干同情してしまう部分もあります。ですが、世界を滅ぼそうというのなら戦うしかありませんし、私には戦う事しかできません」
ハロ・シエラがそう呟いてレイピアを抜く。
「炎の眷族の皆さんは……私としては、巻き込まれない様にしてくれれば十分です」
精霊が頷き、背を見守ってくれる。
仁科・恭介は携帯食料を食みユーベルコードの対象をヒンメンベルクへと定め――後悔と共にほんの一瞬爪を噛む。
細胞を通して流れてくる感情は、一途な乙女の想いだったのだ。
一息吐き、恭介は一度目を伏せてから。
「依頼は依頼だね」
敵の心を識る男が、静かに覚悟を決める。
「……落ち着け」
吸血本能を解放した恭介は瞳を深紅に変化させながら心を抑え、目立たぬよう潜んで炎の眷属に囁き問う。
「あの炎が出ている槍は掴んでも大丈夫なものか」
眷属は少し考えて。
「炎はヒトには熱いと思うよ」
「なるほど」
敵は、未だこちらには気付いていない。
どうするか、と視線が交差し。
「あの儀式はやめさせないといけないわね」
アテナ・アイリスが水のようにサラリと意見を話す。依頼経験の豊富なエルフはパーティ全員の顔を順にみて理性的に目的を示す。
「準備はいい?」
仲間達が静かに頷く。
彼らはそのために此処に来たのだ。
「いつもの俺なら不意打ちでさっさと始末するんだが……今回は正々堂々名乗りを上げてからやり合うとするか。フッ、猫の気まぐれだ。とはいえ、俺を竜狩りの騎士だと知って奴がどう思うかは想像に難くないな」
アベルがそう言って気高き愛槍を手に前へ進み出る。
「奇襲は、しないのね」
アテナは呟き、その背を追う。
英雄になりそうな人のサポートするのがアテナの夢だった。そのためにこのエルフは旅をしているのだ。
(わたしは此処に集いし英雄達の勇ましき戦いに手を貸し、見届けるわ)
清らかなる水の瞳は戦場を視る。
◆
雨が降っていた。
冒険者――猟兵が集まっていた。
舞台は、世界のどこか。名も知れぬ火山。古代の魔法で飛ばされた先の迷宮を抜け、彼らは辿り着いたのだった。
目の前には、敵がいる。
猟兵が一人また一人、物陰から現れて並び立つ。
敵は目深に被ったフードを手で押さえ、警戒心を露わに身構える。
「お前達は」
言葉には明確に敵意が宿る。ひと目で充分だった。骸の海より染み出た存在には、彼らが敵なのだと魂の奥底から湧きあがる何かが知らせてくれるから。
「お前達は――、私を討伐しに来たのだな」
声には哀しみが燈る。
この世界にただ一人として人間の姿をした味方がいないことを、少女は知っていたから。
「俺の名はアベル・スカイウィンド――竜騎士だ」
竜騎士は毛皮を熱気に撫でつけられながら透き通るような青空の瞳を少女へと向けた。
「!!」
少女の瞳が大きく見開かれる。
「竜を狩る者……」
ふ、と笑む吐息を零してアベルは槍を握る手に力を籠める。
「――お前は必ず、私が殺す」
「だろうな」
魔眼から跳んだ火花を高く跳躍して避け、竜騎士が穹を舞う。
戦いはこうして始まったのだった。
「帝竜ヴァルギリオスの仲間をするのであれば、容赦なくいくわよ」
火花を右手のアーパスブレードで振り払い、左手の連射モードのフレースヴェルグ・ブラスターを撃ち込みながらアテナが強気な笑顔を浮かべ。
「剣とプラズマ弾の両方はよけられないでしょ。これが新しいエルフの戦い方よ」
「エルフめ!」
ヒンメンベルクが顔を顰めて銃撃を避ける。避けた身を弾が追うように軌道を変えれば敵は動揺を見せながら悪態をつく。
「妙な攻撃を……」
必死に回避した先には飛翔から降下に繋げた竜騎士の槍撃が舞い降りる。降りてのちは即座にまた空へと飛び。
(この冒険者たちは、手練れだ!)
ヒンメンベルクは戦慄した。
高く高く騎士が跳ぶ。
空を蹴り、宙を舞い、稲妻の如く降下して槍撃を加え、再び空へ。
「恩返シ、大事ナ事ネー。デモ生贄良くナイヨ! 自分デ獲っテ食べルの一番ネ!」
サマー・ルーが鱗を雨水で輝かせながら加勢するべく進み出る。元気一杯に尻尾を振れば風が唸り掠めた地が砕けてその威力が知れる。
「危険な冒険者……!」
ヒンメンベルクは身の危険と共に今此処にはいない主を案ずる。
「これほどの腕の持ち主どもは、あのお方にとっての脅威となろう」
醜き女の胸には主への想いがある。
その身を刺し違えてでもこの禍刃が主に及ぶのを防がねばならぬ、と。
じゃり、と地を踏みしめて杜鬼・クロウが少女に声をかける。
「テメェの過去に同情はする。恩を返したい気持ちも。その行いは至極真っ当……俺には止められねェ」
外套を風に靡かせ、クロウは色の異なる双眸を静かに向ける。少女がふと気配を揺らす。己に理解を示す気配が感じられたから。
「故にお前の正義に俺の正義を真正面からぶつけるまで。最後まで貫け、お前の矜恃」
滴る汗を拭い、クロウは背負ってた玄夜叉を構えて銀のピアスを握りつぶす。
「術式解放(オプティカル・オムニス)──我が剣の礎となれ」
『無彩録の奔流(イマーティア・リアル)』の発動。ピアスを代償に封印は解かれ、刃渡り180cm程の変形した黒魔剣が風を唸らせ烈しく振るわれる。
ぽつり、またひとつ雨垂れが落ちて。
足元に染みが増えていく。
空から降り注ぐ雨は少しずつ少しずつ地面を濡らしているのだ。
「……わたしが然るべき罰をもってあなたを赦し、救いましょう」
ニレ・スコラスチカは厳かに断罪の時を告げる。救済を謳う。
「十四号洗礼聖紋、全開」
『超過(エクセス)』。
少女ニレの全身に刻まれし洗礼聖紋。生命の樹と繋がりを得る刺青の力を全開にすれば、代償として鮮血が全身から噴出し。けれど少女は動じない。ニレは限界を超えて身体強化しながら――強化に肉体が耐え切れず自壊しながら――聖紋の再生能力と激痛への慣れをもって淡々と地を蹴り、正面から生体拷問器を繰り出して戦いを挑む。
ニレの生体拷問器とクロウの魔剣の鋼線を低く身を沈めて避けながらヒンメンベルクは地を這う従魔を嗾けて銃撃と剣撃から守る盾とした。空から降ってきた槍撃に備えて飛翔する従魔を展開し、火花を四方に散らしながら猟兵達を牽制する。
(雨が目に沁みる)
八津崎・くくりが雨垂れに紛れるように言葉を零す。
「私もやせっぽちの貧民の出だからね、わかるような気がするよ。世界に見捨てられたという感覚も、差し伸べられた手の暖かさも」
胸の前でふと天に向けた掌に雫が落ちる。生暖かい雨雫は少しひりつく感覚を伝え――、
「でもね、生贄はダメだよ。その一点だけで、私達は相容れない」
夜色の瞳はひたりと敵に向けられる。
敵は瞳に宿る温度を感じ取り僅かに肩を揺らす。
「そうだ。決して相容れない。だから殺し合うのだ」
呟く声には戻れぬ道を視界から遮断するような響きがあった。
彼女はもう、道を選んでしまっていたから。
「これだけの実力者を前に全員を殺すとは言えぬ。私は未だ非力だから。だが、独りでも道連れにしてあの方を脅かす憂いを減らそう」
魔眼から放たれた火花が高速で迸り、くくりを襲う。
「守るヨ!」
「任せろ」
サマーとクロウが仲間を守るべく動き、尻尾と剣で火花を打ち払った。
「Ohッ」
「おっと」
火花に次いで地中から刃がせり上がり、仲間達が跳んで回避する。
「君を守ってくれるのは従魔だけ、か」
仲間へと感謝しながらくくりがそっと呟きを零した。
「まぁ事情なんで聞いても僕らの目的を果たすのみ……恨まないでよ?」
紅狼・ノアが柔らかな耳をふさりと揺らし、火蜥蜴に視線を落とす。
「火蜥蜴達、一緒に戦ってくれる?」
少女の聲に火蜥蜴が頷く。ノアは機嫌よく眼を細め、仲間へと告げた。
「従魔の方は僕らに任せなよ」
そう言ってノアが従魔を専門に引き受ける。
猟兵達は現地での即席の連携に慣れていた。敵と違い彼らは1人ではない。共に助け合い、補い合い、道を拓いていくことができるのだ。仲間を活かし共に戦う姿勢の有効性を彼らはよく知っていた。
◆
猟兵に囲まれながらヒンメンベルクが包囲の輪を突破するべく火花を飛ばす。
(あの技、当たったら追撃が来るタイプだ。さっきもそうだった……)
第六感が危険を知らせ、体を震わせる鏡島・嵐の前へと杜鬼・クロウが身を躍らせた。
剣風が火花を受け止め、続く刃を巧みに捌く。
酸雨に片目を瞑りながらクロウは唸るように言葉を吐いた。
「……怖ェか? 戦うのが。前だけ見てろ」
背を向け、前を向いたままの言葉は自分に向けたものなのだと嵐が理解をし、目を瞬かせる。
「心配すンな。一人じゃねェよ、お前は」
「……ああ」
(おれは逃げねぇ)
声に頷きを返し、嵐は道化師を召喚する。
「魔笛の導き、鼠の行軍、それは常闇への巡礼なり」
妖し気な気を帯びし道化師は優雅に魔笛を吹き鳴らす。笛吹き男の凱歌(ラッテンフェンガー・パラード)が戦場に響き渡る。
(召喚系の技が得意なンだな)
道中で見た技とあわせて嵐の技に慣れたクロウは軽く目元を和らげた。道中でも時折臆病な気配を見せた少年であったが――決して弱音は吐かなかったし、足を止めることもなかった。
正確には100年以上生きているが、杜鬼・クロウが保有する記憶の欠片は数十年余りのものだ。彼はヒトというものの在り様をモノとしての視点で知っていた。自分とは違い、けれど全く違うとも言えない。心通わせ、理解し合い、応援したいと思わせる。そんな温度をヒトは持っているのだった。
――♪
懸命に今を生きようとする少年が齎した笛音は神秘的でありながらどこか優しく暖かい。音を耳にした仲間達は皆、不思議な高揚を覚えその能力を大きく強化されていく。
自身もスリングショットを手に嵐が声をあげる。
「援護する……!」
「頼りにしてるぜ」
火花を斬り伏せながら冒険仲間が笑っている。だから、嵐も笑顔を浮かべた。
「……任せろ」
体はやはりガクガクと震えたままだった。だが、それを気にする者は此処にはいないのだ。
◆
「冒険者達、お前達は必ずや、あの方を脅かす芽となろう。私が今此処でその芽を摘む!」
ヒンメンベルクが高らかに宣言する。声には鬼気迫るものがあった。
(敵も一生懸命ネ)
魔眼から火花が飛ぶ。避けようとしたサマー・ルーの身体を地中から伸びた骨人従魔の腕が抑えつけ。
「Oh! 邪魔ネー!」
命中した火花目掛けて大地から凶刃がせり上がり、堅い鱗を打つ。鱗は刃を防いでいたが、衝撃が痛みを齎してサマーが悲鳴をあげた。
「とってモ痛イヨ!」
「おい、平気か」
「従魔がそっちいっちゃった、ごめん」
仲間が案ずる声を寄せる中サマーはぶんぶんと尾を降り骨人を砕きながらサマーがくくりへと視線を向ける。
「ワタシ飛ビ道具持っテないネ。デモ、モンスターとバチバチ火花邪魔ネー! コレ無くなっタラ、ククリ何とカスル?」
「火花君、手伝ってくれるのならちょっと火を貸してくれたまえ」
八津崎・くくりが火精霊の火花に声をかけながらサマーへと肯定を返す。何とかしよう、と。
「OK! 何とカしまショ!」
サマーが『一番容赦ないやつ』で従魔を薙ぎ払っていく。
「やられル前ニやル! 尻尾長いヨ! ドカンと一撃ネ!」
その両手には巨大な武器が握られていた。
1つは、喰(クラウ)。巨大なテーブルナイフの型を魅せ。
1つは、逸(ソラス)。巨大なフォークの型を魅せ。
「仕方ないわね、ちょっとだけよ」
火花が嬉しそうな表情でつれない声色を造りながら両手の食器に炎を宿してくれる。
「べ、別に手伝いができて嬉しいなんて思ってないんだから」
「唐突なツンデレ……?」
(あっちに行かないようにしなきゃ)
「狩りの時間ねぇ」
目を爛々と煌めかせ、紅狼・ノアが骨の群れへと駆ける。気を引くように咆哮をあげ地を蹴る少女の四方を火蜥蜴が共駆けしていた。
Syaaaaaaaaaa!!
蛇竜が身をうねらせて意外な速度で接近し、牙を突き立てようとする。ノアの眼前に広がる口腔、びっしりと生えた獰猛な竜牙。
牙が少女に突き立てられようとしたその時、――ゴウ、と炎が迸る。火蜥蜴が一斉に炎を巻き上げて盾としたのだ。
ノアの猫めいた口元が笑みの形を作る。ちらりと覗くは悪戯な八重歯だ。一瞬閃く金属光。鋼線が鮮やかに走り、骨を断つ。
「おれも手伝う!」
鏡島・嵐が火蜥蜴と共に加勢した。
「おっと、あぶね」
勘に従い右手から突っ込んできた骨人の後ろへと回り込み、骨人を盾にしながらオーラを巡らせてノアを守り。
「協力して片付けよう」
「オーケー!」
2人の連携により、従魔の数が減っていく。
◆
(このままではいけない)
「私は――負けぬ!」
ヒンメンベルクが杖を振り上げ――自身の胸へと突き立てた。ごぼり、と口から鮮血を吐き、杖を伝い夥しい朱が地を濡らす。
「血液を代償に武器の強化を?」
ハロ・シエラが眼を瞠る。
「蟲のような私、人であった証――セルヴォ・イェ・サン……」
嗤うような聲と共にズルリと身から引き抜く杖が槍へと変じていく。朱色に濡れる血が燃え上がり、気高くも哀しき朱を纏いし炎槍を手に敵が前傾し。
タン、と。
軽やかに過ぎる音を立て、次の瞬間には猟兵の眼前へと小躯が迫る。ブンと振られた槍が炎を吐いて熱気を伝える。
味方の前に躍り出たのは仁科・恭介。
深紅の瞳には冷静に局面を読む色を浮かべ、堂々たる足取りが地を蹴って。残像すら生じるほどの速度を伴い槍を確りと掴み、肉の焦げる音と匂いに僅かに貌を顰めてグイ、と体重を乗せ。
「――っ」
小柄な敵が体勢を崩す。
身を焦がしながら恭介は逆手の拳を叩きこみ、耳元に声を置く。
「君の心は読んでしまった。だが君を倒すのが依頼でね」
外套の内で敵が身動ぎする。
顔をあげた敵の一瞬見開いた瞳には恭介の深紅の瞳が映っていた。
――その鮮やかな色に。
(まるで血のようだ)
戦闘力を増しながら恭介は槍を起点に宙を跳び敵の背後に廻りながら背に掌撃を叩きこむ。手応えの軽さに眉を寄せ、見つめる一瞬で骨人の群れが割り込むように前方に湧く。
「逃しません」
骨人の群れを粉砕し、ニレ・スコラスチカが敵を追う。
「くっ」
短く息を吐き、ヒンメンベルクが魔槍を奮う。
「わたしの生体拷問器はわたしの肉体のみを原料としてできている。故にこの武器は今、超過の影響下にある……その魔槍とどちらの殺傷力が上か、勝負してみましょうか」
代償たる鮮血で全身を濡らし幽鬼の如く迫る異端審問官は護りを捨て自身の身体を魔槍に貫かせながらカウンターで拷問器・祝福処刑鋸を伸ばした。ニレ自身の骨肉を原料とした生きた鋸が肉を抉り骨を断ち深手を負わせる。
「アアアアアアアアッ!」
ひび割れ掠れた少女の聲が苦痛を叫ぶ。
よろけながら敵は火花を散らして必死に距離を取ろうとし。
「ククリ、バチバチ火花、チョット厄介ネ。当たルト強いノ飛んデくルヨ」
サマー・ルーがくくりへと警告を放ちながら前に立ち、尻尾で叩きとしていく。
「ワタシにお任せネ! 絶対守るヨ!」
火花に続いて地から突き立てられる刃をモグラ叩きのように叩きながら。
「次ニ強いノくルノわかっテたラ、それモ叩けルネ! 任せテ任せテ! ここマデ全部破壊しテきタから、ここモいけルヨ!」
ぼこん! ぼこん!
重い音と共に刃叩きがされていく。
(サマー君が庇ってくれるなら、最大限に利用させてもらうのが感謝の仕方というものだね)
サマーが庇ってくれているのに感謝の眼を向けながら八津崎・くくりがミドルレンジからフォークを突き出す。キン、と高い金属音を鳴らせて槍とフォークが噛み合い、押し合うように一瞬の膠着。
逆の手からナイフを薙げば、敵が後ろへと跳び避ける。
跳びながら、敵が息を呑む。
対峙していた娘の髪がぞわりと伸びて。
「――な、んだ、それは」
くくりの髪の毛に寄生、擬態していたUDCがパクリと口を開き、敵の肩口へと喰らいついた。
「アァッ!?」
悲鳴をあげてくくりへと魔眼の火花を放つヒンメンベルク。眼前に迫る火花を戦友の青き鱗尾がうち払い、続く凶刃をハロのレイピアが受け止めた。
「吼え猛れ、『シルバーフォックス
』!!!」
ハロが自身の体力を代償にしながらレイピアの封印を解く。サムライエンパイアで鍛えられしレイピアの妖狐の霊力が解放され、決意の瞳がキリリと前を見る。
(武器の間合いでは私が不利かもしれませんが)
槍が吐いた炎の軌跡を読み切りワンステップで避けながらハロが懐へと踏み込もうとし。
「どちらの精魂が先に尽きるか勝負!」
勇ましく声を放てば、ヒンメンベルクが戦意を高めて槍を操る。
「良いだろう! お相手する! 、っ?」
レイピアを迎え撃とうとし――慌てて身を捩る。
レイピアをフェイントとし、蛇切の名を冠するダガーが放たれたのだ。長い黒髪が背で華麗に舞う。少女ハロは幼き頃から吸血鬼と戦い、生き残ってきたのだ。ダガーを回避してバランスを崩した敵へとレイピアを突き出せば、肉を断つ手ごたえが柄を通してその身に伝わる。――こんな戦いには、慣れていた。
至近で鮮やかに色を覗かせる瞳がそう物語る。ヒンメンベルクは苦痛の声を漏らしながら後退した。
◆
「クぅ……ッ」
苦痛の聲が戦場に響く。
主の元に駆けつけようと首を巡らせる従魔達の背を紅狼・ノアのダガーが貫いた。
「おっとお前達の相手は僕だよ! あっちに行かせない…てか逃がさない」
(もう、さっきみたいな邪魔はさせないよ)
火蜥蜴を従え、素早い連携で着々と敵数を減らすノアには余裕があった。
「こっちが片付け次第、そっちに行くよ」
仲間へと明るく声をかければ仲間達は大きく鼓舞されるのであった。
「おれも、最後まで戦うからな」
嵐が援護をしながら、未だ震える身体に笑顔を浮かべて味方を鼓舞する。
◆
一行が戦い始めてからかなりの時間が経っていた。
火口は変わらずぐつぐつと煮立って熱気を吐いている。ちっぽけな人がどれだけ汗をかき必死になっていても、自然の山には取るに足らない事なのだと言いたげに。
「火紗丸!」
クロウが魔風を纏いながら高らかに火蜥蜴を呼ぶ。
火蜥蜴が合図に合わせて全力の炎を吐き、魔剣の周囲をぐるりと渦巻いた。
「一緒にヤるぜ!」
豪快に放った剣風に炎が乗り大きく体を斬り咲きながら灼熱が敵全身を包み込む。紅の血花と悲鳴があがり。
(他の仲間との戦闘に夢中になってる、今がチャンス!)
従魔を片付けた紅狼・ノアが気配を殺し、足音を消して姿勢低く地を駆ける。なんでも屋として死線を掻い潜ってきたノアにとって混戦での奇襲は得意分野だ。
(なるほど、手伝おうか)
敵味方の動きを冷静に観察し把握していた恭介が敵の気をさらに引くべく敵前に走り、隙を見せる。
(せめて、せめて、1人だけでも――排除しなければ)
焦る敵が恭介の意図を察せずに隙に誘われるまま武器を繰り出そうと振り上げた一瞬。
「もらったよ!」
高らかな声と共に武器がノアに奪われた。
「何っ、か、返せ」
――この隙に。
くくりがユーベルコードを解き放つ。UDCが抑えきれない飢餓感に促されるままに獰猛な牙を向け。
「君の願いと私の欲、どちらが強いか、勝負――ああ、サマー君も火花君も、ちょっと口から離れていたまえよ」
「君の槍ごと喰らってみせよう」
火口にボコボコと炎の泡がたち、雨足が強まる中、ムシクイハートがないものねだりの夢を見る。
「え、食べるの?」
ノアが奪った槍を差し出し。
「ククリ! 頑張っテ食べルネ!!!」
サマー・ルーが大食い大会の応援をするようなノリで声をかけ。
むしゃむしゃ、ごっくん。
槍が食べられてしまう。
(――勝機)
大きく跳びあがった竜騎士アベルが一筋の雷光の如く穹から降りる。
「執行、開始」
ニレが密やかなる影のように走り寄る。走る道には血痕を残し、けれど表情は苦痛に歪むことがない――慣れているのだ。
鋸が敵の身体を再び深く抉り、
「これで、とどめよ!」
アテナが味方に合わせてフレースヴェルグ・ブラスターを撃ち込んだ。
落下の勢いのままに突き立てられる槍と同時にアテナの弾が敵の全身を穿ち、生々しい血が噴出する小さな体を騎士の槍が竜星の名に相応しく貫いた。
大技は敵ごと大地を貫いて大きく地を割り、熱を含んだ石礫を巻き上げた衝撃波が周囲に奔る。全身を穿たれ槍に貫かれた少女はゴボリと臓腑からせり上がる血で喉を溢れさせ、目を最大に見開き。
「終いだ」
騎士が囁いた。
ピシリと割れた地板ごと少女の身体が重力に引かれて火口へ落ちていく。落ちていく小柄な身体、フードの隙間から覗く瞳は青い空を見つめたまま、既に事切れていた。
猟兵達が見守る中、少女だったものが火に呑み込まれて消えていく。
恭介は低い温度を湛えた瞳で静かにそれを見送った。
◆
やがて雨が止む。
風が雲を押し流して空が少しずつ青さを増していく。
小さな過去を呑み込んだ火口は来た時と変わらずぐつぐつと音を立て燃えていた。
「帰ろう」
熱い息を吐き、汗を拭って誰かが言った。
熱を孕んだ風が猟兵達の間を吹き抜けていく。
――依頼は、終わったのだ。
「けれど、帝竜との戦いはまだまだこれからね」
「ああ」
仲間達は顔を見合わせ、互いの健闘を称えながらそれぞれの世界へと戻っていく。
互いに戦い続けていれば、いずれまたどこかの戦場で偶然共駆けすることがあるかもしれない。
――そんな想いを胸に抱いて。
大成功
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