親愛なる貴方へ~ブランの花園
「おにいちゃん……どこいっちゃったんだろ」
ぐすんと泣きべそをかきながら彷徨っているのは、10歳ほどの年の少女。
ゆるり流れるストロベリーブロンドに、涙をいっぱいに溜めた熟れた苺の如き赤の瞳。
どこから、どうやって此処に来たのか、それは何故か覚えていないけれど。
大好きな双子の兄と一緒に、このへんてこな国に迷い込んでしまって。
そして兄と、逸れてしまった。
いや――何となく、こっちに行けば帰れそうな気がする、と。
兄のことは気がかりながらも、不思議と、少女はそんな予感がしているのだけれど。
やはりひとりぼっちの不安から、また泣き出しそうになる。
……けれど。
「わ、きれい……!」
刹那、瞳に飛び込んできた景色に、少女は思わず足を止める。
少女が辿り着いたのは――白い薔薇が美しく咲き誇る花園であった。
そのひたすら咲く白の世界へと足を踏み込んで。
きょろきょろと視線を動かしていた少女であったが。
「あ……あそこだけ、おはなのいろがちがう?」
ピンクを纏う金の髪をふわり揺らして、さらに花園の奥へと進めば。
そこだけ何故か白ではなく、艶やかな赤のいろをした薔薇の花が。
けれど……その色は、妙にまだらで。
ぽたりと――赤の色が雫となり、地へと落ちた瞬間。
「……!」
少女はつぶらなその瞳を、さらに大きく見開いてしまう。
刹那、白薔薇を赤へと雑に染めたのは、飛び散った鮮血であった。
喰い千切られた人の腕がごとりと目の前に放り出され、ぴくぴくと痙攣していて。
『グォォォ……!』
頭からかぶりつかれた、人であったらしきそれは最早、胴しか存在していない。
そして貪り喰われている人間――アリスに群がるのは、巨大な芋虫たち。
べちゃべちゃ行儀悪く不快な音を立てながら、引き摺り出した中身を奪い合っている。
――逃げなきゃ。
気付かれていない今のうちに、一刻も早くここから逃げなければと。
頭ではそう分かっていても……身体が動かない。
けれど、少女は恐怖に震える足を何とか動かして。
おぞましい虫の群れからようやく、くるりと背を向けたけれど。
「あ……」
ぬっと落ちる、何ものかの不穏な影。
そして、おにいちゃん――そう叫ぶ暇すらなく。
『キシャアアァァ……!』
少女は背後から現れた巨大芋虫に、ばくん、と頭を喰われたのだった。
●
「新しく発見された新世界、アリスラビリンスについては、皆も聞いているかと思う」
筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、集まってくれた猟兵たちに礼を言った後、予知に視た内容を語り始める。
「そのアリスラビリンスの世界で、ひとりの少女が、無残にも人肉を食べるオウガ……オブリビオンの餌となってしまう。だが今から赴けば、彼女を助けられる。少女を守ってオブリビオンの撃破を皆にお願いしたい」
ストロベリーブロンドのゆるふわな長い髪と熟れた苺の如き赤い瞳を持つ10歳の少女。
彼女の名はルージュといい、共にアリスラビリンスに来た双子の兄がいるらしいが。
頼りにしている大好きな兄とはぐれ、ひとりこの世界を彷徨っているらしい。
「だがこの少女・ルージュは、元の世界に戻る「自分の扉」の存在を感知しているらしい。失われていた元の世界の記憶も、少しずつ蘇りつつあるようだ。なので彼女を、その扉のある場所まで連れて行き、元の世界へと返してあげられればと」
ルージュの記憶は曖昧で、元いた世界がどこかも現時点ではわからないし。
元の世界の記憶が良いものとも限らなければ、真実かすら分からないけれど。
でも、アリスラビリンスに召喚された人間――アリスは、オウガの餌。
どのみちこの世界に居続ければ、オウガに喰われてしまう運命を辿るであろう。
「まずは、白薔薇の花園に転送するので、巨大な芋虫型のオウガの群れを倒してルージュを救って欲しい。その後、彼女を「自分の扉」へと連れていってくれればと」
だが、その道中襲い来るオウガは、巨大芋虫だけではないかもしれないし。
「自分の扉」を見つけたからといって、兄とはぐれているルージュが素直に元の世界に帰るかもわからないし、元の世界に帰って彼女が幸せかも限らない。
そしてこの広い世界の中から逸れた兄を探すことは、残念ながら不可能だ。
ただ、この世界に少女が留まっても、待っている末路はオウガの餌食となるだけ。
ルージュを守りながら、できる限り悲劇が起こらぬよう、導いてあげて欲しい。
「メルヘンな世界に孕む残酷さ、か。オブリビオンの餌となってしまう悲劇の未来から、ルージュをどうか救ってやってくれ」
よろしく頼む――そう清史郎はもう一度頭を下げてから。
その掌に、メルヘン世界へと猟兵たちを送る桜のグリモアを満開に咲かせるのだった。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願いします!
●はじめに
このシナリオは、珠樹聖マスター「親愛なる貴方へ~ルージュの鳥籠」とのリンクシナリオとなっております。
時系列が異なる為、珠樹MSのシナリオと同時参加も可能ですが。
それぞれ独立した事件として、プレイングをお願いいたします。
時系列が異なるため、兄を探す事はできません。
各シナリオの結果がもう一方のシナリオに影響を及ぼす事もありません。
また、各シナリオ内で開示された以上の情報をもう一方のシナリオから得て行動かけた場合や兄を探すプレイングは、マスタリング対象もしくは不採用返金となる事があります。
●当シナリオについて
※ご連絡※ 第1章プレイングは、6/25(火)朝8:30から受付開始します。
それ以前に送信されると流れる可能性があります。
今回は、アリスラビリンスが舞台です。
当リンクは展開次第では残酷気味な描写や後味悪い結末となる可能性もあります。
ご承知の上、ご参加お願いいたします。
各章の内容は以下です。
第1章:グリードキャタピラー(集団戦)
第2章:??(ボス戦)
第3章:??(冒険)
各章終了後、次の章の詳細をOPに追加します。
また、受付開始日時等の連絡をOPやMS個人ページ、Twitterでいたしますのでご確認ください。
第1章は、アリスの少女・ルージュが最初にオウガに気付いた頃に駆けつけられます。
現場の傍に転送されますのでそこまで赴くプレイングは不要です。
戦闘において、広さや視界等に問題はありません。
第2章3章に関する詳細は、各章に進んだ時にお知らせします。
●アリスについて
名前はルージュ、10歳の女の子。双子の兄がいるが逸れて今はひとり。
ユーベルコード「ガラスのラビリンス」を使えます。
戦闘はあまり得意ではないです。
●お願い
ご一緒に行動する方がいる場合は【相手の名前と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
ご記入ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。
グループ参加の場合は失効日の関係上、送信タイミングが一日前後程度の誤差だと助かります。
問題ある内容や送信タイミングで採用できない場合をのぞき、基本参加者様全員採用したく思っています。
参加人数で不採用という事はほぼないので、人数気にせずお気軽にご参加ください。
それでは、ご参加お待ちしています!
第1章 集団戦
『グリードキャタピラー』
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POW : キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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月舘・夜彦
マリス殿(f03202)と参加
新しい世界へは初めて来ましたが何と面妖な
しかしながら、オブリビオンの出現は何処も共通なのですね
我々の力が通用するのならばやるべき事は一つ
往きましょう、マリス殿
少女を守りながら戦います
守りが十分ならば前に出て敵の数を減らしていきましょう
敵の多い所へダッシュにて接近
早業・先制攻撃にて抜刀術『陣風』、2回攻撃・なぎ払いにて
より多くの斬撃で攻撃を与える
噛み付きは武器受けにより受け止める
突進は残像・見切りより回避を優先
いずれも隙を見てカウンターによる斬り返し
少女が狙われそうならば庇い、その場で防ぐ
マリス・ステラ
夜彦(f01521)と行動
【WIZ】ルージュの救助を最優先です
ルージュを『かばう』
彼女を保護しながら敵と距離を取ります
「あなたを助けに来ました」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「夜彦、援護します」
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
響く弦音は『破魔』の力を宿して敵の動きを鈍らせる
軽傷は無視
重傷以上で【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
敵の姿がいかなるものでもやることは一つです
敵意や嫌悪は感じません
彼らに魂の救済を
「灰は灰に、塵は塵に」
オブリビオンは骸の海に還します
頼もしい宿神の美丈夫がいます、大丈夫ですと微笑みかけましょう
この花園に咲く白い薔薇も綺麗だけれど。
女王様と同じ。ボクも赤い薔薇の方がすき。
だから、色を塗り替える。
おなかをすかせた芋虫さんが、アリスの首を、ぱくりと捥ぐんだ。
転送された先は、一面の白。
降り立った花園の光景は、一見すると眩いばかりの美しさを放っているけれど。
「……!」
眼前に見えるのは……表情を強張らせ立ちすくむ10歳の少女と。
『グォォォ……!』
人間であった肉片を取り合って貪り喰う、嫌悪感を覚えるような虫たち。
「あなたを助けに来ました」
マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)のその声に、顔面蒼白な少女・ルージュは、一瞬びくりと身体を震わせたけれど。
それはまるで恐怖の闇に灯る、救いの光かのように。祈りを捧げるマリスの星辰の片目には、輝きが瞬いていて。
少女の耳を擽り安心感を与えんと響いたのは、美しき星の転がる音。
その身を包み込む守りの光は眩く、星の輝きと煌めきが悪しきものどもの攻撃に備える。
「新しい世界へは初めて来ましたが何と面妖な」
月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)がそう零すのも、無理はない。
可愛らしい印象のメルヘンな世界に巣食い蠢く、人肉を貪る虫の群れ。
けれど、世界の雰囲気や景色は違っても。
「しかしながら、オブリビオンの出現は何処も共通なのですね。我々の力が通用するのならばやるべき事は一つ」
――往きましょう、マリス殿。
夜彦は、ルージュへと声を掛けたマリスへと視線を投げれば。
「夜彦、援護します」
マリスが番い放つのは、流星の如く白薔薇の園を流れる星。
大型の弓矢から溢れる輝きは、まるで星屑を散りばめたようで。
『ギャアアアッ!』
解き放たれ鳴る弦音に宿りし破魔の力が、悪しく醜い虫の動きを鈍らせる。
そんな星の輝き満ちる中、ルージュを守るよう心掛けながらも。
大きく地を蹴って駆け、静かな夜の如き藍の色をした髪を白の花咲く世界に流れるように靡かせながら。
――全て、斬り捨てるのみ。
巻き起こすのは、抜いた刀閃く『陣風』。
その鋭き風のような刃が、周囲にいる虫たちを巻き込んで連続で斬りつけ、容赦なく薙ぎ払う。
『シャアアァァ!!』
そんな眼前の夜彦に、大口を開けた虫が無数の歯で噛みつかんとすぐ傍まで迫ってきたけれど。
確りと行儀の悪い歯を受け止めたのは、夜天に移す銀の月。
曇りなき刃が、ひらり、ひとひらの白き花弁を映すけれど。
それすらも決して逃さぬような隙無き剣捌きで斬り返し、醜い虫を叩き斬れば。
「敵の姿がいかなるものでもやることは一つです」
敵意や嫌悪は感じません、と。
――彼らに魂の救済を。
「灰は灰に、塵は塵に」
再びぐんと引いた大きな弓で狙いを定め放たれた、煌めき纏いし流れる星のような一矢が。
風の如き鋭き刃で深手を負った災魔へと追い打ちを掛け、在るべき場所へと還す。
そしてマリスは、煌めく星辰の瞳にルージュの姿を優しく映し、彼女へと微笑む。
――頼もしい宿神の美丈夫がいます、大丈夫です、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
城島・侑士
【愛しの愛娘、冬青(f00669)と】
普段容赦なくオブリビオンをぶった斬る娘が芋虫を見て怯えているのは女の子らしくて微笑ましい(しっかり背に庇う)
でももしかしてこれは返り血を浴びたら娘から「お父さん汚い!近付かないで!!」とか言われるやつでは?……そんなこと言われたら立ち直れない…!俺も気をつけよう…
虫から一定の距離を取り【援護射撃】で娘の攻撃サポートをしつつ
自分も【二回攻撃】で一体ずつ始末していく
虫の突進は回避できなければ【盾受け】で対応
虫との距離が十分あるならばUC【千里眼射ち】を使用して攻撃
猟兵活動を再開してそう経っていないが
こうして戦っているとあの頃の感覚が少しずつ蘇ってくる
城島・冬青
【お父さん…城島・侑士(f18993)と】
ヒェ虫は割と平気な方だけどこれには鳥肌が…
こんなのが人を襲ってるのを見たら小さな女の子はトラウマ間違いなしだよね
絶対に助けないと!
てかこれの返り血ならぬ返り汁?を浴びたらかなり嫌なんだけど…
よし!なるべく遠距離で倒していこう
【衝撃波】とUC死神の矢主体で戦っていくよ
お父さんが銃で撃ったところを【傷口をえぐる】で更に追撃し数を減らしていく
接近されたら【ダッシュ】と【残像】で回避
囲まれたら【衝撃波】で弾き飛ばす
ブランクがあるお父さんの動きと狙いが段々と的確になってきてる…
猟兵活動の年数は私より上だもんね
まぁ口に出したらデレデレしそうだから言いませんけど!
美しく咲く花に、虫はつきものだとはいえ。
「ヒェ虫は割と平気な方だけどこれには鳥肌が……」
眼前の人喰い芋虫にそう思わず零す城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
虫が割と平気だと思っている自分でも、目の前で奇声を上げ、アリスを貪り食っている姿は目を背けたいというのに。
(「こんなのが人を襲ってるのを見たら小さな女の子はトラウマ間違いなしだよね」)
――絶対に助けないと!
そう鳥肌を擦った後、橙色の髪をこくりと小さく揺らして頷く。
そんな冬青の姿を藍色の瞳で微笑まし気に映しているのは、城島・侑士(怪談小説家・f18993)。
普段容赦なくオブリビオンをぶった斬る娘が芋虫を見て怯えているのは、女の子らしい。
そう心に思う侑士のその見目は、どう見ても父親というよりも兄妹のように見えるが。
しっかりと愛娘を背に庇いながら、侑士は冬青のこんな呟きを耳にする。
「てかこれの返り血ならぬ返り汁? を浴びたらかなり嫌なんだけど……」
もしかしてこれは返り血を浴びたら――娘から「お父さん汚い! 近付かないで!!」とか言われるやつでは?
(「……そんなこと言われたら立ち直れない……」)
俺も気をつけよう……と。
娘と同様、距離を取った戦い方を選択する侑士。
むしろここは、いいところを見せて、娘の株をあげたいところ!
ふと、狙い構えるは、使い古されている年代物のショットガン。
その銃口が火を噴き、芋虫へと見舞われた瞬間。
――切り裂け、疾風!!
白薔薇の花弁をも巻き込んで、敵を斬り裂くカマイタチ。
冬青の展開した『死神の矢』が芋虫の身を斬り裂き、被弾して生じていた傷口を抉って。
風の衝撃を間髪入れずもう一撃、敵へと見舞って確実に始末していく。
『シャアアア!』
「!」
刹那、突進せんと無数の足を蠢かせ向かってきた芋虫に気付き、冬青が残像を駆使しつつ回避するべく花園を駆ければ。
意識を集中させ、侑士が撃ち放った寸分の狂いもなき衝撃が、的確に芋虫の急所を貫いた。
『ギャアア……!』
倒れゆくその断末魔さえも不快な敵を後目に。
娘の猟兵活動が心配で、取材も兼ねてゆっくりと猟兵活動を再開したばかりという侑士であるが。
――こうして戦っているとあの頃の感覚が少しずつ蘇ってくる。
そう、使い古された獲物をそっと撫でながら瞳を細めて。
(「ブランクがあるお父さんの動きと狙いが段々と的確になってきてる……」)
正確に敵を射貫いた衝撃を目の当たりにし、猟兵活動の年数は私より上だもんね、と冬青は感心したようにそっと父を見るけれど。
(「まぁ口に出したらデレデレしそうだから言いませんけど!」)
父が猟兵活動を再開し始めて、正直、胃が痛いし。
まだ、猟兵の先輩として少し見直したなんてことは……言ったらきっと調子に乗るから、内緒です!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
逢月・故
はぁい、お嬢さん
ほらほら、オレの手を取って
大丈夫、オレは時計ウサギ
かわいいアリス、君を導く生き物さ
此処は良くないなあ、白い薔薇は良くないよ
知ってるかい、芋虫共。気難し屋の女王陛下は白薔薇がお嫌いなんだ
首を斬られる所か、あの高いヒールで踏み潰されちゃうかもねぇ?
あっはっは、か弱い時計ウサギは女王陛下のご威光にお縋りするばかり、なんちゃって
赤いペンキを散らして場を作りながら、【恐怖を与える】で芋虫共を牽制しよう
かわいいアリスは出来るだけ背に庇おうか。女のコを怖がらせるのは趣味じゃないしなあ
裁ち鋏を巨大化させて、【部位破壊】でジョッキン!ってね
知ってるかい、「首をお斬り!」って女王陛下は喚くのさ
ルベル・ノウフィル
新世界は初めてですが、こんな敵がいるのですね
ルージュ殿を体を呈して庇い、お守りしましょう
甘いものはお好きでしょうか?金平糖を差しあげましょう(懐から花金平糖の入った小瓶を出して)
甘食をお楽しみの間に僕が怖い芋虫さんを退治しますゆえ
UC:火翔
妖刀・墨染を手に僕は赤き炎の翼で飛翔し、早業と鎧無視攻撃で芋虫さんの頭部を狙いましょう
オクチはおっかないですからナ
オクチを閉じるのでございます、あまりおっかないお姿を見せると小さなレディのトラウマになってしまうではありませんか?
兄君も気になりますが
僕は目の前の貴女をまずは全力でお守りし、扉をお探ししましょう
平穏な日常、暖かなおうちに戻して差し上げます、必ず
リリスフィア・スターライト
今回のアリスであるルージュを守りながら
グリードキャタピラー達と応戦だね。
他の猟兵達とも積極的に連携していくよ。
数も多く敵意を持って攻撃するほど強化されるみたいだし
エレクトロレギオンを呼び出して攻撃面ではそっちに任せて
私自身は剣でルージュを守る事を優先するね。
私達の事も信頼してもらえるよう、優しくルージュに
接して安心させるようにかな。
キャタピラーたちを排除しつつ彼女が安全でいられる場所を
確保するようにして襲われないよう
目の届くところにいてもらえればかな。
「こういう世界にはナイトも必要だよね」
「悪い虫が寄り付かないようにしてあげるね」
ジョー・グラム
レディの誘い方がなってねぇ奴らだ。
さて、嫌なシーンはとっとと終わらせてしまうか。
「お嬢ちゃん、少しだけ我慢しておいてくれよ」
少女を背中にかばいつつ、近づいてくるイモムシをクイックドロウでぶち抜いていく。
「折角のいい景色が台無しじゃねぇか、ホント空気の読めねぇ奴らだぜ」
イモムシが少女に接近するようなら、抱えて他の猟兵の側や空いているスペースへ移動する。
「やれやれだぜ。レディのエスコートならもっとマシな所に行きたいもんだ」
「はぁい、お嬢さん。ほらほら、オレの手を取って」
「えっ?」
苺色の瞳で見上げる小さなレディは、差し出された逢月・故(ひとりぼっちのワンダーランド・f19541)の手に一瞬だけ戸惑うけれど。
「大丈夫、オレは時計ウサギ。かわいいアリス、君を導く生き物さ」
「とけいうさぎ、さん?」
社交的で人懐こくみえるその笑顔と、無邪気で朗らかな色を宿す声に、そっとその手を取って。
そうだよ、オレは時計ウサギ、と。ルージュへと微笑んでみせた後。
「此処は良くないなあ、白い薔薇は良くないよ」
――知ってるかい、芋虫共。気難し屋の女王陛下は白薔薇がお嫌いなんだ。
故はふっと、人懐こさの裏に孕む、どこか厭世感漂う瞳を細めて。
「首を斬られる所か、あの高いヒールで踏み潰されちゃうかもねぇ?」
くすりとそう、せせら笑う。
「新世界は初めてですが、こんな敵がいるのですね」
赤き星の如き瞳で、醜悪な芋虫の姿を見据えながらも。
「甘いものはお好きでしょうか? 金平糖を差しあげましょう」
ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)がルージュへと差し出したのは、甘い星の詰まった小瓶。
その色とりどりの花金平糖に、わぁっと少女は声を上げてから。
彩られていた恐怖の色が少し薄れたそのつぶらな瞳でルベルを映し、ありがとう、と礼を紡いで。
同じ目線に屈んで、乱れたストロベリーブロンドの髪をそっと整えてあげながら、ルベルは少女の姿を映した瞳を細める。
「甘食をお楽しみの間に僕が怖い芋虫さんを退治しますゆえ」
ルージュ殿を体を呈して庇い、お守りしましょう――と。
「こういう世界にはナイトも必要だよね」
そう優しく紡ぐのは、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)。
リリスフィアは芋虫の排除を行なうべく動きながらも。少女が安全でいられる場所を確保し、目の届くところにいてもらえればと誘導しつつ。
「悪い虫が寄り付かないようにしてあげるね」
私達の事も信頼してもらえるようにと――緋色に輝く刃を構えながらも、そう、安心してもらうべくルージュに接すれば。
――レディの誘い方がなってねぇ奴らだ。
そうくしゃりと、軽く自らのくせっ毛黒髪をざっと撫でてから。
ふっと大きく息を吐くのは、ジョー・グラム(サイボーグのブラスターガンナー・f02723)。
「さて、嫌なシーンはとっとと終わらせてしまうか」
そうスッと、握る銃を構えれば。
『ギャシャアア!』
刹那素早い動きから撃ち出されたのは、芋虫を焼き尽くすような熱線。
そして、小さな少女を大きな背中に庇いつつも。
「お嬢ちゃん、少しだけ我慢しておいてくれよ」
無数の足をうごめかせ近づいてくるイモムシを、次々とクイックドロウで狙い撃ち、ぶち抜いていくジョー。
アリスであるルージュを守りながら、グリードキャタピラー達と応戦することになる今回の戦い。
群れているというくらいその数も多く、敵意を持って攻撃するほど強化されると予知されているから。
だったらと、リリスフィアが戦場に喚ぶのは、無数の戦闘用の小型機械兵器。
機械であれば敵意などないからと、攻撃は小型機械兵器たちに任せて。
「もう大丈夫だよ」
リリスフィアはそう青の瞳を細める。
そんな彼女の立ち振る舞いは、まさに言葉通りナイトのようで。
握る緋色に輝く刃で、ルージュを守る事を優先するべく立ち回らんと、仲間の攻撃で傷を追った芋虫を斬り捨てる。
けれど、芋虫たちもただやられてばかりではない。
『キシャアア!』
アリスであるルージュを狙ってか、偶然か。
ルージュを囲むように、一斉に襲い掛かってきた芋虫の群れ。
けれど、リリスフィアの小型機械兵器のいくつかが体当たりして妨害すれば。
「折角のいい景色が台無しじゃねぇか、ホント空気の読めねぇ奴らだぜ」
「きゃっ」
ふわりと、ルージュの小さな身体を抱えて。
「やれやれだぜ。レディのエスコートならもっとマシな所に行きたいもんだ」
ジョーは芋虫の牙が及び憎い場所へと、ルージュをすかさず移動させる。
そんなルージュのところには行かせないと。
――火精霊が共に戦ってくれる……。
真昼の月の加護受けし不死鳥騎士と化したルベルは、握る冷たくも哀しい妖気纏いし黒刀を尚、夜に啼かせるかのように強化させて。
ばさり、白き花弁舞う花園の空へと、赤き炎の翼を大きく羽ばたかせれば。
「オクチを閉じるのでございます、あまりおっかないお姿を見せると小さなレディのトラウマになってしまうではありませんか?」
オクチはおっかないですからナ、と。
芋虫の牙が剥く暇も与えぬほど素早く、その頭部目掛け刃を振り下ろして。
頭の上からおっかないそのお口ごと、真っ二つに敵を斬り裂く。
そして守るようにルージュの前にストンと着地し、こう約束を。
「兄君も気になりますが、僕は目の前の貴女をまずは全力でお守りし、扉をお探ししましょう」
――平穏な日常、暖かなおうちに戻して差し上げます、必ず、と。
そして、白薔薇を染める赤いペンキを散らしながら声高に笑うのは、時計ウサギ。
「あっはっは、か弱い時計ウサギは女王陛下のご威光にお縋りするばかり、なんちゃって」
だって、女王様は白い薔薇が嫌いだから――赤に、染めなくちゃ。
それに。
「女のコを怖がらせるのは趣味じゃないしなあ」
仲間が退避させてくれたかわいいアリスに微笑んでみせたあと、迫る芋虫に向き直って。
「知ってるかい、「首をお斬り!」って女王陛下は喚くのさ」
故は芋虫たちを牽制しながらも、女王様の好きな赤を撒き散らす。
巨大化させた裁ち鋏で、ジョッキン! って。
女王様のかわりに、容赦なく芋虫を刎ねていきながら。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
栗花落・澪
この事件のせいで
彼女が花を嫌いになったら寂しいからね
自前の翼と風魔法を宿した★Venti Alaで空中移動
【空中戦】+服が纏う甘い香りの【誘惑】で芋虫さんの気を引く
君の相手は僕がしてあげるよ
幼虫は寒さに弱いらしいね
体が粘液で濡れてるなら好都合
ある程度気を引いたら★爪紅の【投擲】で視界を奪い
ルージュさん
貴方の技で一時的に逃げ道制限できる?
足場も土じゃない方がいいから
水の【高速詠唱、全力魔法】で床ごと濡らし
氷の【属性攻撃】でまとめて凍結
動きを封じた所で【指定UC】
【催眠歌唱】で操る【破魔】の花弁で斬撃
芋虫さんも生きるために必死なんだろうけど
こんなに綺麗な花を
悲しみで穢した罪は重いから
ごめんね
吉柳・祥華
◆心情
ふぅむ、此処が噂の新世界ざんしかね
そういえば、昔、誰かが言っておったざんしな
童話って本当は怖い、とな
まぁ、美しい物語程怖い、というのは…どこの世界も共通なのざんしかね
◆探し人
さて迷子のアリスはどこざんしかね
おお、居った
ああ、花園に虫は付き物ざんしが…あれは、可愛くない!
普通の青虫はコロッとしていて触るとなんかざらとしているのざんしが…
◆戦闘
とりあえず、この薔薇園からアレを消し去ろうかのぉ…
【高速詠唱、範囲攻撃、2回攻撃】これらをひっくるめてユーベルを使用
取りこぼしは、なぎなたで【早業・串刺し・鎧無視攻撃】等で攻撃ざんしな
出来るだけ、薔薇を散らさないようにざんしかね
「娘っ子、大丈夫かえ?」
泉・星流
OPでの話を聞いて…
『泣いている妹を』助けたいと思って参加
(ルージュと同じ歳ぐらいの妹がいる)
戦闘
マジックフォールディングボウで魔力を物質化した矢で応戦
【スナイパー】【力溜め】
ルージュが「ガラスのラビリンス」で【以下の内容の迷路】を作れるなら(まだ未熟・自由に設定できる…理由は問わず)
【範囲は小規模(戦場全体までいかない)…迷路と呼べる代物でなくていい】
ルージュだけ迷路の中で待機(仮称)…星流(達)は迷路の出入り口で敵の侵入を阻む
ひたすらに真っ直ぐな【ガラス(の壁)の通路】
ブルームロッドに持ち替えて、指定したユーベルコードで直線に並んだ敵を一掃する(上記の技能に【全力魔法】【掃除】を加える)
「ふぅむ、此処が噂の新世界ざんしかね」
そっと口元に袖を宛がいながら、興味深げにぐるりと白薔薇の花園を見回すのは、吉柳・祥華(吉祥天龍・f17147)。
新しく見つかったこの世界は、メルヘンの国。
――けれども。
「そういえば、昔、誰かが言っておったざんしな。童話って本当は怖い、とな」
この世界にいるのは、人肉を食すオウガ。
そして……オウガの餌となるべく召喚された、アリスという存在。
「まぁ、美しい物語程怖い、というのは……どこの世界も共通なのざんしかね」
この世界も、どうやらそれは例外ではないようだ。
此処は可愛らしいメルヘンと残酷さ、その両方を孕む世界。
それから祥華は今度は、迷子のアリスの姿をきょろりと探して。
おお、居った、とその姿を見つけて瞳を細めるも。
『キシャアアァァ!』
「ああ、花園に虫は付き物ざんしが……あれは、可愛くない!」
普通の青虫はコロッとしていて触るとなんかざらとしているのざんしが……と。
グロテスクな見目で不揃いの牙を剥く芋虫の群れに、思わずふるりと首を振る。
――泣いている妹を助けたい。
グリモアベースで予知を聞いてそう思い駆けつけたのは、泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)。
今回の一件を聞いて、どうしても見過ごすことはできなかったのだ。
星流にも、ルージュと同じ歳ぐらいの妹がいるから。
そして、この事件のせいでルージュが花を嫌いになったら寂しいからね、と。
美しく咲く白薔薇の花園に皆と降り立ったのは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
澪はバサリと白薔薇の花弁舞う空に、白くしなやかな翼を広げて。
風の魔力を宿した靴にも、ぴょこりと翼が。
それから薔薇の花弁とともに空へと舞い上がると、甘い香りの誘惑で芋虫の気をひきつける。
「君の相手は僕がしてあげるよ」
そんな澪が敵をひきつけている間に。
「とりあえず、この薔薇園からアレを消し去ろうかのぉ……」
――大いなる流動、無垢なる凍刃、我が手に集い、射てよ。
高速詠唱を終えた祥華が戦場に成したのは、数多の水と氷の弾丸。
広範囲に及ぶ弾丸の雨が、1度ならず2度までも戦場に降り注げば。
できるだけ、薔薇の花を散らかさないように、心掛けながら。
「娘っ子、大丈夫かえ?」
祥華は最初怯え切った様子であった少女に、そう声を掛ける。
やはりまだすぐに笑むなんてことは、幼い少女にはできなかったが。
こくりと、一生懸命頷いて見せるルージュ。
そんな様子に、優しく琥珀色の瞳を細めてから。
「幼虫は寒さに弱いらしいね」
体が粘液で濡れてるなら好都合、と。ある程度気を引いた芋虫の群れへと
澪は己の琥珀を飾り揺れる赤い花を手にすると、不意におしべを引っ張ってそれを投擲する。
刹那、爆発が巻き起こり、その余波で敵の視界が奪われる。
その隙に、澪が声を掛けたのは、ルージュ。
「ルージュさん。貴方の技で一時的に逃げ道制限できる?」
「範囲は小規模……迷路と呼べる代物でなくていいから」
星流もそう、アリスの力を持つという少女に声をかければ。
「で、できます。がんばります……!」
一所懸命発動した彼女のユーべルコードが、花園にガラスの迷宮を作る。
「足場も土じゃない方がいいから」
澪はそう首を小さく傾けつつも、水の魔力の高速詠唱や全力魔法で床ごと濡らさんとした後。
氷の属性攻撃で、まとめて、寒さに弱いという芋虫を凍結させてから。
――幸せのままに眠れ。
刹那響くのは、ひらりはらり舞う、歌声で操る無数の花弁の刃。
その美しくとも鋭い刃が、迷宮の中に閉じ込められ身動きができなくなった芋虫たちを斬り裂いて。
星流の大弓が番えられた刹那。
マジックフォールディングボウで魔力を物質化した矢が戦場を飛び交う。
そして敵を閉じ込めるだけでなく、ルージュ自身も迷宮に入って貰って。
星流はその出入り口で、敵を通すまいと少女を守りながら。
振り翳すは、箒型の魔法の杖。
直線におびき寄せた敵の群れを一掃するべく、魔力を編み上げる。
そして祥華の水と氷の弾丸が再び敵を射貫く中、澪は倒れゆく芋虫へと視線を向けた。
(「芋虫さんも生きるために必死なんだろうけど」)
――こんなに綺麗な花を悲しみで穢した罪は重いから、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヴィクティム・ウィンターミュート
アドリブ歓迎
事態は一刻の猶予も無さそうだ
スロット・アンド・ラン…さっさと殲滅するとしようぜ
しっかし、仕方ないとはいえ…救出しなきゃいけねーとはな
楽な仕事にはならないか…いや、楽な仕事がそもそも無かったな
まぁいい、新しい「手札」を実戦投入するいい機会だ
存分に…楽しんでくれよ?オウガども
規模決定、座標固定
プログラム実行…クエイカーズ
逃走しながら爆破する迷宮を構築
できるだけ味方は巻き込まないように、敵を大量に巻き込めるように使う
万が一巻き込んだら出口までオペレートする
味方が内部にいない且つ敵が出ようとしている時に起爆
爆発で一網打尽にする
迷宮踏破の景品にアリスはくれてやらねえよ
──じゃーな、フリークス
雷陣・通
(アドリブ、共闘など歓迎)
へへーん!
いっぱい来たな!
ここは一発先制攻撃の『逐電』にマヒ攻撃を乗せて、まとめて一掃&動きを止めにかかるぞ!
「大丈夫か! あとは俺達に任せるんだ」
「兄ちゃん達、彼女は頼んだ!」
防御は性に合わねえ
男は突っ込むのが商売だ
ここから先は先制攻撃と二回攻撃でガンガン当てていくぜ!
敵の攻撃に関しては視力で距離を見切り、残像とフェイントで引っ掛けたりして空振りを狙いつつ、カウンターで一撃叩き込む
とにかく倒すことより、当てることに重点を置くんだ!
トドメは火力に優れた他のみんながやってくれる!
「今だ! 任せたよ!」
ユエイン・リュンコイス
・連携アドリブ歓迎
そうかそうか、腹が減っているのかい。であればたんと馳走しよう…127mm砲弾をたっぷりとね。
少女が逃走すると同時に機人で【援護射撃】。芋虫の群れへ『月墜』の砲弾を叩き込もう。装填に時間は掛かるけど、【スナイパー、範囲攻撃】で多勢を巻き込み【時間稼ぎ】だ。少女が安全な距離を取るまで砲撃を継続。
彼女を巻き込む心配が無くなれば、あとはもう憂いも無い。ユーベルコードを起動、思うままに蹂躙するよ。
少女を一呑みにするとは中々の図体だが、流石にこれに匹敵はしないだろう?
粘液、戦闘力増強、生命吸収。どうぞご自由に。超重量の一撃に耐えきれるとは思えないけれどもね。
蟲は叩き潰されるものだろう?
アルノルト・ブルーメ
ストロベリーブロンドの髪の娘…
それだけで僕には特別な子に思えてしまうのは
まぁ、大概に親馬鹿なのだろうね
僕の大切な娘はチョコレート色の瞳だけれど
それはさておき、ルージュの保護を最優先に
敵との間に割って入る
心細い思いをする娘の事は任せられる者に
血腥い状況など見せる必要などないのだから
影の堕とし仔使用
召喚した蝙蝠達には身代わりになって貰おう
僕自身はViperで先制攻撃からのなぎ払い
手首を返しての二回攻撃で範囲攻撃
敵の攻撃は見切りで回避
回避が難しい場合はオーラ防御で防ぐ
接敵したらVictoriaとLienhardでの攻撃に切替
傷口をえぐるかい?それとも串刺しがお望みかい?
選ばせてあげるよ、オブリビオン
(「ストロベリーブロンドの髪の娘……それだけで僕には特別な子に思えてしまうのは、まぁ、大概に親馬鹿なのだろうね」)
僕の大切な娘はチョコレート色の瞳だけれど、と。
大切なものを慈しむように。柔く優しく緑色の瞳を細めた、アルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)だけれど。
白薔薇の花園に蠢くのは、不快な見目のオブリビオンたち。
そんな芋虫たちから、ストロベリーブロンドの髪の娘――ルージュを守るために、敵の群れとの間に割って入って。
(「血腥い状況など見せる必要などないのだから」)
迷子となり、恐ろしいオウガに遭遇した娘の心細さを気にかけながらも。アルノルトは、娘のことは任せられる者に託し、得物を構える。
「大丈夫か! あとは俺達に任せるんだ」
そう白薔薇の花園に降り立つやいなや、ダッと地を蹴り、ルージュを守るように立ちはだかったのは、雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)。
年のそう変わらぬ通に声を掛けられ、ルージュは一瞬、ぱちくりと瞳を瞬かせたが。
その背中は、逸れてしまった頼もしい兄と似ていて――素直に、こくりと頷いて下がる。
そんなルージュの様子を一度振り返って確認してから。
「兄ちゃん達、彼女は頼んだ!」
通も、ルージュの保護を主に動いている仲間たちに、彼女を託して。
「へへーん! いっぱい来たな!」
――防御は性に合わねえ、男は突っ込むのが商売だ!
そう、通は自分の周囲を囲むように迫りくる芋虫たちをぐるりと見遣ってから。
ぐっと握りしめた拳を振り上げ、思い切り真っ直ぐに地面へと打ち込む。
刹那、生じた拳の衝撃跡を中心に、白薔薇の花園に轟きはしるのは、激しい電撃。
『ギャギャッ!!』
通を頭から貪り喰うべく牙を剥かんと迫っていた芋虫たちが痺れる衝撃に身を捩り、堪らず声を上げて。
身体の自由を奪われ、すぐ傍に居る通の頭に噛みつくことすらできなくなる。
「事態は一刻の猶予も無さそうだ」
――スロット・アンド・ラン……さっさと殲滅するとしようぜ。
ゴーグルの奥の自信に満ち溢れた青の瞳で敵を素早く解析するように見遣り、ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は即座に判断する。急ぎ、眼前の標的は駆除するべきだと。
「しっかし、仕方ないとはいえ……救出しなきゃいけねーとはな」
ただ敵をデリートするだけならば、そう難しくはない。
だが、今回はそうもいかない案件。
いや、今回は、ではなく今回も、というべきか。
――楽な仕事にはならないか……いや、楽な仕事がそもそも無かったな。
これまで首を突っ込んだ仕事を振り返ってみても、楽な仕事など思い当たらないことに気付き、ヴィクティムはやれやれといわんばかりに瞳を細めるも。
「まぁいい、新しい「手札」を実戦投入するいい機会だ」
――存分に……楽しんでくれよ? オウガども。
そうニッと口角を上げた刹那。
――規模決定、座標固定。プログラム実行……クエイカーズ。
刹那構築されるのは、逃走しながら爆破する迷宮。
迷宮にご招待するのは、蠢く気色悪い芋虫どもだけ。
――ラン! ラン! ラン! 駆けずり回れよスクィッシー! 死にたくなきゃスロット・アンド・ランだ!
仲間を巻き込まぬよう、敵が固まっている場所を狙い展開されたのは――Create Program『Quakers』。
『ギシャアァァ!』
閉じ込められた芋虫は迷宮から出るべくと、ずるり押し合って歩みを進めようとするけれど。
迷宮に閉じ込められたが、最後。
──おめでとう! そこが出口だ! ……じゃ、死ね。
刹那、内部に轟くは、激しい爆破音。
迷宮に仕込まれたクエイカーズが起動し、木っ端みじんに吹っ飛ぶオウガたち。
迷宮に閉じ込めた芋虫どもを一網打尽にして。ヴィクティムは跡形もなくなった芋虫たちへと紡ぐ。
「迷宮踏破の景品にアリスはくれてやらねえよ」
──じゃーな、フリークス、って。
そんな、派手に敵を爆破させたヴィクティムとは逆に。
――影から産まれ、影にお還り。
夜の闇の如き蝙蝠の形をした影が、密やかに戦場へと落とされて。
蝙蝠たちが身代わりになっている隙に、芋虫よりも素早くViperを放ち薙ぎ払いにかかるアルノルト。
さらに間髪入れず巧みに手首を返し、衝撃の範囲を広げて。
剥かれた芋虫の鋭い牙も見切り躱し、すかさず地を蹴って敵の懐へと飛び込めば。
「傷口をえぐるかい? それとも串刺しがお望みかい?」
『キシャアアァァ!』
容赦なく、その身を串刺しにする。
そして戦場を縦横無尽に駆けながら、ガンガン攻めの姿勢で敵へと向かっていく通。
刹那、噛みつかんと襲い来る芋虫の牙が通へと突き刺さった――かと思いきや。
それは、フェイントを駆使した残像。敵の動きや距離を確りと見切り、空振りしてできた大きな隙を狙い、素早く懐に入り込んで。
ぐっと踏み込み勢いをつけ、芋虫の巨体にカウンターの一撃を確実に叩きこむ。
そして別方向から迫り来る敵の牙に気付き、深追いせずに後方へと飛んで、再び戦場を駆ける。
――とにかく倒すことより、当てることに重点を置くんだ!
トドメは火力に優れた皆がやてくれるから。自分は、自分のできることを全力でやるのみ!
通は再びまた別の芋虫へと、握りしめた拳を叩き込んで。
「今だ! 任せたよ!」
そう、仲間へと声を張り上げる。
それに応えたのは、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)。
「そうかそうか、腹が減っているのかい。であればたんと馳走しよう……127mm砲弾をたっぷりとね」
ルージュが仲間に保護されるまでの間、十本の絹糸と魔力で操る黒鉄機人で援護射撃し、機人用携行砲『月墜』の砲弾をお見舞いして。
――叛逆の祈りよ、昇華の鉄拳よ、塔の頂より眺むる者よ。破神の剣は我が手に在り――機神召喚!
少女の姿が遠く離れたことを確認するやいなや召喚される0は、黒鐡の機械神。
敵の身を揺るがした通や仲間の声に応え、思う存分、蹂躙しにかかるユエイン。
「少女を一呑みにするとは中々の図体だが、流石にこれに匹敵はしないだろう?」
オウガである巨大人喰い芋虫からみれば、人間などぱくりとひと飲みだろう。
けれど、黒鐡の機械神はそれを優に凌ぐ。
それに、ずっと一緒にいる、頼もしい黒鉄機人の扱いは熟知しているから。
――粘液、戦闘力増強、生命吸収。どうぞご自由に。
「超重量の一撃に耐えきれるとは思えないけれどもね」
『ギャギャアアァァ!!』
――蟲は叩き潰されるものだろう?
表情こそ変わらないようにみえるが……戦場に銀色の髪をふわり靡かせながら。
ユエインは黒鉄機人の強烈な一撃に沈んだ芋虫を後目に、ふっと漆黒の瞳を細める。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ザザ・クライスト
【HSC】で参加
【POW】連携して敵を殲滅する
「サイズ的ってヘル・百合根のがデカいンだし適任じゃねェか?」
悪党面じゃなくオトナの魅力と言って欲しいモンだぜ
ヘル・篝もそう思わないか? イヤ、訊いたオレがバカだった
【ブラッド・ガイスト】で火力アップ
バラライカをぶっ放して【先制攻撃】
派手に弾をばら撒いて二人やルージュの【援護射撃】
防御は【武器受け】【盾受け】【野生の勘】
ルージュへの攻撃は【かばう】
「オラッ、ボサッとしてンじゃねェ! 自分を守ンのはまず自分自身でだ!」
叱咤しつつ攻撃が及ばないようフォローする
【戦闘知識】を駆使して有利なポイントで【二回攻撃】
「二人とも畳みかけンぞ! ロックンロール!」
篝・倫太郎
【HSC】
……ぶっ!
や、否定出来ねぇけどもよ、リカおま……
あー……違う違う
デカイと逆にびびらせるってコトだと思うぜ
ま、任せられるなら安心ってな?
こいつらはきっちり倒そうじゃねぇの
エレクトロレギオン使用
召喚した機械兵器はルージュを追わせないよう立ち回らせて
攻撃への身代わりと牽制させとく
俺は華焔刀で先制攻撃
刃を返して2回攻撃からのなぎ払いで範囲攻撃
あんま動きが単調でもアレだから時折フェイントいれてく
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避しきれねぇ場合は咄嗟の一撃で反撃
範囲攻撃丸投げかよ?!
いや、やるけども!やるけども!
言われるまでもねぇってな同意だ
きっちり潰そうぜ
さってと、ルージュは無事に逃げ果せたかね
百合根・理嘉
【HSC】
ルージュの保護は適任な奴らに任せて敵排除してくー
だって、こう、ホラ、向かねぇじゃん?
サイズ的にはザザ辺りはいーかもだけど
面がなー悪党面だもんなー(自分の愛想の無さ棚上げ)
バトルキャラクターズ使用
召喚したにーさんらは敵の突進攻撃の身代わりとか囮とか任せる
あと死角のフォローも任せる
俺自身はBlack Diamondを纏わせた手足で先制攻撃からの2回攻撃
鎧砕きや鎧無視攻撃で確実に砕いてく
や、まだうまくコントロール出来ねぇけど
範囲攻撃出来ねぇの難点だな、これ
でもま、その辺はりんたろやザザがやってくれっからいーや
あ、うん。にーさんらもな!
言われなくても追わせねぇし
全部潰す
つーか、ザザ元気だなー
白薔薇咲き誇る、メルヘンな世界。
そこに転送され降り立ったのは、男3人。
10歳の少女・ルージュの保護は適任な仲間に任せて。
敵の排除に動かんと、白き花園に降り立つ百合根・理嘉(風伯の仔・f03365)。
「だって、こう、ホラ、向かねぇじゃん? サイズ的にはザザ辺りはいーかもだけど」
そう言って、共に赴いたザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)をちらりと見るけれど。
「面がなー悪党面だもんなー」
自分の愛想の無さを棚上げして言えば。
「……ぶっ! や、否定出来ねぇけどもよ、リカおま……」
「悪党面じゃなくオトナの魅力と言って欲しいモンだぜ」
思わず吹き出してしまう篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と、ひとつ息をついてふるりと首を振るザザ。
そんなザザは、逆に理嘉を見遣って。
「サイズ的ってヘル・百合根のがデカいンだし適任じゃねェか?」
ヘル・篝もそう思わないか? そう倫太郎に同意を求めるけれど。
「あー……違う違う。デカイと逆にびびらせるってコトだと思うぜ」
相手は10歳の女の子。長身の男が話しかけたら、きっと驚かせてしまいそうであるし。
少女からしたら、大きな野郎が3人でいきなり近づいてきたら、多分怖いに違いない。
……イヤ、訊いたオレがバカだった。
そう再び息を吐いたザザに、倫太郎は笑って。
「ま、任せられるなら安心ってな?」
他にルージュの保護へと沢山の猟兵達が向かっているのを目にしながらそう言った後。
『キシャアアッ!』
「こいつらはきっちり倒そうじゃねぇの」
眼前の不快な奇声を上げる芋虫の群れへと視線を映す。
ザザは己の血を糧に、握る『バラライカKBN18』の封印を解くやいなや。
気色悪い芋虫目掛け、豪快に弾丸をぶっ放す。
そして戦場に弾をばら撒き、少女の保護や二人の援護射撃にと立ち回りつつ。
「オラッ、ボサッとしてンじゃねェ! 自分を守ンのはまず自分自身でだ!」
そう仲間に保護され離れようとしているルージュを叱咤しつつも、攻撃が及ばないようにフォローを。
そしてザザの放った弾丸ばら撒かれる戦場に、倫太郎と理嘉が喚んだのは、小型の戦闘用機械兵器と、にーさんと呼ぶキャラクター。
倫太郎の機械兵器が少女を追わせぬよう、芋虫の行く手に立ちふさがれば。
理嘉のにーさんたちは、無数の足を蠢かせ突進した敵の囮となり、死角のフォローも担う。
そんな中、倫太郎の握る焔舞い踊る柄の薙刀が、美しい刃紋を煌めかせ閃いて。
動きが単調にならぬよう時折フェイントを入れたり敵を翻弄しながらも。
すかさず刃を返し、数体纏めて芋虫どもを薙ぎ払う。
理嘉も闇色を帯びたダイヤのような、硬度を誇るオーラをその手足に纏わせて。
芋虫がその牙を剥くよりも早く、まだうまくコントロールはできないのだけど、防御ごと打ち破らんと確実に砕いていく。
そのオーラも十分有効ではあるのだけれども。
「範囲攻撃出来ねぇの難点だな、これ」
そう理嘉はふと首を傾けて。
「でもま、その辺はりんたろやザザがやってくれっからいーや。あ、うん。にーさんらもな!」
「範囲攻撃丸投げかよ!? いや、やるけども! やるけども!」
薙刀でまさに範囲攻撃を放ちながら、思わず倫太郎はツッコミを入れるけれど。
「言われなくても追わせねぇし。全部潰す」
「言われるまでもねぇってな同意だ。きっちり潰そうぜ」
敵へとオーラの衝撃を叩きつける理嘉に同意しつつ、倫太郎はルージュが無事なことを確認してから。
敵の殲滅へと専念するべく華焔刀を改めて握り直し、芋虫の群れへと心置きなく向き合って。
「二人とも畳みかけンぞ! ロックンロール!」
戦闘知識を駆使し、有効な位置まで地を蹴りつつバラライカをぶっ放すザザに、理嘉は視線を向けて。
「つーか、ザザ元気だなー」
きっちり芋虫の群れを駆除するべく、闇色纏うオーラで1体ずつ確実に敵を潰していく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
東雲・円月
双子の姉の咲夜(f00865)と共に
双子の片割れとはぐれて、ですか……
気持ちは痛いほど解りますね
心配なのと不安なのと。俺の場合は心配が先に来ますけれど
それは俺が戦う力を持っているから、ですがね
戦う力のない子には恐怖しかないでしょう
守ってあげなくては。双子というのは双子だからこそ、です
……一人になったら生きていけない
芋虫か。咲夜、虫は平気?
……ダメみたいだな。あんまり近づく必要はないよ
俺が前に出て全部食い止めるから、まァ、誤射だけはしないでくれよ
昆虫採集とか昔はやってましたねェ
これは昆虫じゃないですが、虫には変わりないでしょう
なぎ払いと二回攻撃、こういう手合いは力任せに両断してやりましょう
東雲・咲夜
双子の弟・えっくん(f00841)と
アドリブ可
嗚呼、可哀想に
他姉弟と比べても
双子の片割れは唯一無二の存在
うちらもそうなんよ
弟くんが見つからへんとしても
生きとったらきっとまた逢えます
なんとしてでも、生きて帰して差し上げます
せやから安心しはってね
ぱらり、《神籠》を開き対峙する這虫
途端に全身へ拡がる鳥肌
軟質な体躯に無数の手足
究極の悍ましさに喉を引き攣らせ
うち、芋虫は、芋虫だけは……!
常から寿命を犠牲とする術は控えとりましたが
今回に限り、なりふり構っていられまへん
野に咲く花々の命に配慮し
念動力で這虫を空中へ
《花漣》水神霊の力にて
巨大な水泡に閉じ籠めます
扇をくるり、旋回させれば
絶対零度の檻と成す
白薔薇の花園に迷い込んだ、ちいさなアリス。
「おにいちゃんと……はぐれちゃったの」
一生懸命泣かないように我慢しながらも、そう紡ぐ少女・ルージュ。
嗚呼、可哀想に――そんな彼女の不安な気持ちが人一倍、心から理解できるから。
東雲・咲夜(詠沫の桜巫女・f00865)は、慈愛に満ちたその瑞々しい藍眸を優しく細め、少女に声を掛ける。
「うちらもそう、双子なんよ。見つからへんとしても、生きとったらきっとまた逢えます」
その言葉に、ルージュは咲夜と、その隣にいる東雲・円月(桜花銀月・f00841)にも苺の様な赤の瞳を向けて。
「おねえちゃんたちもふたご? またわたしも、おにいちゃんに、あえるかな……」
そうぽつりと零したルージュへと、桜銀糸の美髪を甘く薫らせ揺らしながら、大きくひとつ頷く咲夜。
「ええ、きっとまた逢えますから。なんとしてでも、生きて帰して差し上げます。せやから安心しはってね」
そんな様子を見守りながら、円月も思う。
(「双子の片割れとはぐれて、ですか……気持ちは痛いほど解りますね。心配なのと不安なのと。俺の場合は心配が先に来ますけれど」)
そうそっと藍の瞳に映すのは、双子の姉の姿。
不安よりも心配な気持ちが先に生じるのはきっと、自分が戦う力を持っているから。
だから戦いが得意ではない幼い少女にとって、双子の兄と離れひとり彷徨うしかない現状が恐怖でしかないことは、想像に易いし。
(「守ってあげなくては。双子というのは双子だからこそ、です」)
ぐっと、無骨な両刃の巨大斧を握りしめ、眼前の敵の群れへと視線を映す。
……一人になったら生きていけない、と。
『シャアアァァァ……!』
倒すべき敵の群れは、鋭利な牙を無数に持つ虫。
「芋虫か。咲夜、虫は平気?」
円月はそう訪ねつつ、咲夜へとふと目を向けてみれば。
ぱらり、永遠の花を宿す神籠を羽のように手元で咲かせながらも。
途端に全身へ拡がる鳥肌、軟質な体躯に無数の手足、究極の悍ましさ――。
「うち、芋虫は、芋虫だけは……!」
喉を引き攣らせ、そうぶんぶんと首を振る咲夜の様子に。
……ダメみたいだな。
そう、円月は呟いてから。
「あんまり近づく必要はないよ。俺が前に出て全部食い止めるから、まァ、誤射だけはしないでくれよ」
芋虫が苦手な姉を庇う様に、大きく地を蹴って敵前へと躍り出る。
芋虫は本当に苦手だけど。でもだからといって、近寄れはしなくとも、引き下がる気はない。
――浄穢の前に月の依代 契に謡て水の御霊へ希う。
常から寿命を犠牲とする術は控えていたが……今回に限り、なりふり構っていられないと。
咲夜が覚醒するは、青髪と金の双眸を持つ、水の姫巫女。
白き花を咲かせる薔薇たちの命に配慮し、念動力をもって這虫を空中へと舞い飛ばした刹那。
纏うは、花と戯れる風と水の神霊の耀き。
花漣の水神霊の力を以って、おぞましい這虫を巨大な水泡に閉じ籠めて。
永遠の花咲かせる扇をくるり、旋回させれば――成されるは、何物をも凍てつかせる絶対零度の檻。
そして、戦場の只中で勇ましく振るわれるは、巨大な斧。
「昆虫採集とか昔はやってましたねェ。これは昆虫じゃないですが、虫には変わりないでしょう」
そう昔を振り返りながらも、こういう手合いは力任せに両断してやりましょう、と。
『ギャアァァ……!』
ぐっと地を踏み込んで豪快にぶん回される円月の斧。
その刃が描く猛り唸る軌道が容赦なく虫たちを真っ二つに両断し、その首を刎ねていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「気色悪い虫は退治するに限るわね」
すぐそばの虫は弓の抜き打ちで撃破を狙う。
倒すか、少なくとも隙ができたらルージュの手を取って敵との距離を取るわ。
そして千里眼射ち。
確実に敵を射ち貫いて見せるわね。
「ここは危険よ。扉へ行きましょう」
周囲を警戒しながら彼女の扉へエスコートするわね。
お兄さんのことを気にするようなら、きっと出口で待っているわよ、と説得しましょう。
金白・燕
他参加者との共闘、アドリブなどは大歓迎です。
お嬢様、私共を呼ばれましたね
ご利用ありがとうございます、私「R.D.C」の燕と申します
まずはお嬢様にお茶を。
お辛い思いをされましたでしょう
お砂糖たっぷりのミルクティーはいかがでしょうか
大丈夫、あの醜い芋虫どもは私が相手を引き受けましょう。
お嬢様の邪魔をするもの、私の時計ではじき返してみせます。
それとも私のこの金色の鎖で縛られることを好まれますか?
ええ、私の敬愛する我が社のレディ・レッドの赤は素敵です
しかしこんな不愉快な赤ではない
こんな色は許せない
ああ、私の中の苛立ちが骨の形となってバロックとなってしまう
抑えなければこの芋虫も醜く轢き潰してしまうよ…?
黒金・菖蒲
やれやれ、無作法な青虫だ。
空腹なのはわかるが、力のない幼子を狙うのは、いかがなものかと思うがね。
まあ、言葉もない獣に言うだけ徒労か。
さあ、「掃除」を始めるとしよう。
とはいえ、私がお嬢さんに近付くと怖がらせかねない。
先ずは戦万で長剣型のバヨネット(銃剣)を数多に創造し、次々と投擲。
毛虫のようにしてあげよう。
注意がある程度こちらに向いたのなら……皆、出番だ。
我ら共に在り――
――軍影
無数の機関銃や無反動砲等の火器を装備した、黒服の「家族」を呼び出して纏めて掃討してあげよう。
ユーベルコードが大本だ、耐えきれまい。
近づいてきたなら、戦万で剣を創造して切り伏せていこう。
汚れ仕事は慣れているからな。
白き薔薇の花園に蠢くは、おなかをすかせた芋虫。
そんな芋虫の大好物は――アリスの頭部。
「やれやれ、無作法な青虫だ。空腹なのはわかるが、力のない幼子を狙うのは、いかがなものかと思うがね」
まあ、言葉もない獣に言うだけ徒労か、と。
黒金・菖蒲(影の刃・f18670)は、行儀の悪い芋虫たちの様子に嘆息しながらも。
――さあ、「掃除」を始めるとしよう。
放っておけばこの醜悪な芋虫の餌になってしまうというアリスの少女・ルージュの姿を確認してから。
……とはいえ、私がお嬢さんに近付くと怖がらせかねない。
内面こそ穏やかで紳士的である菖蒲だが……何せ、長身にオールバックにかなりの強面という、10歳の少女を怖がらせてしまうかもしれない見目をしているから。
ルージュの保護は他の仲間に任せて。
――万事に備えよ。
刹那紡げば、戦場に創造されしは、数多の長剣型バヨネット。
「青虫ではなく、毛虫のようにしてあげよう」
『ギシャアアァァ!』
そう菖蒲が、創り出した銃剣を次々と芋虫へと投擲している間に。
「気色悪い虫は退治するに限るわね」
一番近くにいた芋虫を、番えた弓で鋭く射貫いてから。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は、藍と紫の宝珠の瞳をルージュへと向けて。
すっと少女の手を取って、先程射抜いた虫たちから遠ざかるように距離を取る。
そして十分離れた後、くるり再び敵の群れへと振り返ってから。
金の髪をふわりと靡かせ、ぐっと再び呪刻まれし弓を番え、暫し集中して。
「……!」
「ここは危険よ。扉へ行きましょう」
離れた場所にいる芋虫を見事的確に射ち貫いた後、そう、驚いたように瞬いているルージュへと紡いだ。
けれど、やっぱり。
「あ……でも、おにいちゃんが……」
双子の兄のことを気にするルージュ。
そんな彼女に、ヴィオレッタはこう説得しつつ促してみる。
「きっとお兄さんも、出口で待っているわよ」
そんな迷えるアリスの元へと次にやって来たのは、仕事熱心な時計ウサギ。
「お嬢様、私共を呼ばれましたね。ご利用ありがとうございます、私「R.D.C」の燕と申します」
そう丁寧にぴょこりと耳を揺らし声を掛けてくるのは、金白・燕(時間ユーフォリア・f19377)。
そして、まずはお嬢様にお茶を、と。
「お辛い思いをされましたでしょう。お砂糖たっぷりのミルクティーはいかがでしょうか」
手慣れたように、甘いミルクティーを給仕すれば。
「えっ?」
「大丈夫、あの醜い芋虫どもは私が相手を引き受けましょう」
紅茶を楽しんでいない、無粋な芋虫どもの行動速度を封じる。
そして、甘いミルクティーの味に少し顔を綻ばせた迷えるアリスへと、燕は笑んで。
「お嬢様の邪魔をするもの、私の時計ではじき返してみせます。それとも私のこの金色の鎖で縛られることを好まれますか?」
ふっと今度は、醜悪な敵の群れへと……少女へと向けていたものとは印象を変えた、赤い瞳を向ける。
燕はアリスラビリンスの観光業などを主体としているという「R.D.C」の一員。
けれど、いや、だからこそ。
「ええ、私の敬愛する我が社のレディ・レッドの赤は素敵です。しかしこんな不愉快な赤ではない」
――こんな色は許せない。
ああ、私の中の苛立ちが骨の形となってバロックとなってしまう、と。
ふるり白い髪を小さく揺らしながら首を振って。
赤の瞳に映った敵の群れを見遣り、ふっとその双眸を細める。
――抑えなければこの芋虫も醜く轢き潰してしまうよ……? って。
そんな、仲間達が少女の保護へと向かう中。
『キシャアアァァ!』
敵の注意を、ある程度ひきつけた頃合いを見計らって。
……皆、出番だ。
芋虫どもを纏めて掃討するべく、菖蒲が戦場へと喚んだのは。
「我ら共に在り――」
――軍影。
無数の機関銃や無反動砲等の火器を装備した、黒服の「家族」。
そして再び数多の剣を創造し、芋虫の群れを斬り伏せていきながらも。
菖蒲はその銀の瞳をふっと細める――汚れ仕事は慣れているからな、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
出水宮・カガリ
【ヤド箱】ステラと、狐像(狐珀)のと
まずはオウガと娘(ルージュ)を引き離す
念動力で【鉄門扉の盾】を飛ばしてぶつけるぞ
その後は【錬成カミヤドリ】で盾を複製
娘を安全な場所まで連れて行く間、敵が近付く度にこれをシールドバッシュで弾いていこう
突進に対しては【拒絶の隔壁】を発動して、複数枚でこちらからも押し出す
盾ごと食われそうになったら、盾を炎上させる(属性攻撃)
娘の説得は、二人が当たってくれるようなので
あまり大勢で囲むのも逆効果だろうし、カガリは見張りをしていようかな
迷宮が展開されたら、虫が通るであろう通路を炎上する盾で塞ぎ妨害を
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】カガリ、狐珀殿と
まずはルージュ殿を助けに参りましょう
狐珀殿がルージュ殿を安全な場所まで誘導してくれるはずなので
その間守るように敵を倒しましょう
もう大丈夫ですよ、ルージュ殿
兄のように【演技】し【存在感】を出して【優しさ】と【コミュ力】を持って話しかけ
安心させるようにしゃがみ込んで目線を合わせて【手をつなぐ】
【マカロン】があるのであげておきましょうか
これで少しは安心して私達に協力してくれるでしょうか?
協力してくれるなら、あなたの力を貸して欲しい
ガラスの迷宮で敵を迷い込ませたら【赤星の剣】を発動
【太陽剣】ことソルなら私より炎の扱いは上。ソルに敵を焼き尽くしてもらおうか!
吉備・狐珀
【ヤド箱】ステラ殿、カガリ殿と参加です。
まずはルージュ殿を安全な所まで誘導した方がいいですね。
お兄様とはぐれたあげく、オウガをみて怯えているルージュ殿に【優しさ】と【コミュ力】を活用し不安を取り除きつつ近づきます。
【手をつなぐ】でルージュ殿の手を取り安全な場所へ。
ステラ殿のお兄様の演技でルージュ殿が私達を信頼して下さったら戦闘開始です。
UC【稲荷大神秘文】で皆さんを強化。
ルージュ殿の【ガラスのラビリンス】の迷宮に誘いこんだらステラ殿に焼き払ってもらいます。
白薔薇が見事に咲き誇る花園は、普通ならば、美しいと感じるだろう。
だが……その純白を赤が侵した瞬間を見てしまった少女の顔に浮かぶのは、ただ恐怖のいろだけ。
『キシャアァァ!』
悍ましい芋虫の群れが、アリスの頭を喰わんと奇声をあげる。
けれど、すかさずその間に割って入ったのは、駆けつけた猟兵たち。
「カガリ、任せてもいいか?」
ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)の短い問いに、こくりと頷く出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)。
「ん、任された」
刹那、鉄門扉で成した盾が白の花弁と共に戦場を舞い、迫る芋虫へとぶつけられれば。
ステラと吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)が、幼い少女の元へと駆ける。
敵と少女を決して近づけさせぬようカガリが成すは、数多の鉄門扉の盾。
芋虫が近づこうものなら、いかなる脅威も遮断する意思――拒絶の隔壁にてより守りを強固にした盾がそうはさせぬと、敵を弾き吹き飛ばしていく。
『ギャギャ
……!!』
芋虫も懲りず、無数の足を蠢かせ突進してくるけれども。
「カガリは城門だからな、喰っても旨そうではないんだがなぁ」
余程腹が減っているのか、それとも雑食なのか。
掲げられた盾ごと喰わんとかぶりついてきた芋虫の巨大な口の中が刹那、炎上させた盾の激しい赤で燃え上がり、焦がされる。
そんな、カガリが、オウガとルージュを引き離している間に。
まずは彼女を安全な場所まで誘導するべき、と。
狐珀は、頼りにしていた兄と逸れ、人肉を喰う芋虫を目の当たりにして怯え切っている少女へと、その不安を取り除くように声を掛ける。
「ルージュ殿、助けに参りました」
その優しい響きを持つ声に、少女はふと顔をあげて。
不安そうな苺のような赤の瞳を二人に向ければ。
「もう大丈夫ですよ、ルージュ殿」
そう安心させるように彼女の目線までしゃがみこんで、兄のように話しかけながらも。
ステラが手渡したのは、まんまるくて甘いマカロン。
「わぁ、かわいいおかし……さっきもらったあまいお星さまも、このまあるいおかしも……はじめて」
ぽつりと紡がれた、ルージュの呟き。
少しずつ元の世界の記憶が蘇っているらしい彼女であるが……どうやらルージュが元いた世界には、金平糖やマカロンはないようだ。
「ルージュ殿、ひとまず安全な場所へ」
恐怖のみであった色の表情が少し和らいだことを確認してから、ステラと狐珀がそっと、少女へと手を差し出せば。
きゅっと小さな手が、ふたりの手を握りしめる。
そんなルージュを、心細かったですね、と労いながらも。
二人は彼女に、こんなお願いを。
「協力してくれるなら、あなたの力を貸して欲しい」
白薔薇咲く花園に、ガラスの迷宮を作って欲しい――と。
その言葉に、ルージュはこくりと頷いて。一生懸命魔力を集め、花園に光に煌めく迷宮を成す。
そして複数の芋虫が、少女が懸命に成した迷宮へと閉じ込められた瞬間、響くのは。
――天狐地狐空狐赤狐白狐 稲荷の八霊五狐の神の光の玉なれば 浮世照らせし猛者達を守護し 慎み申す。
狐珀の紡ぐ、祝詞。
ふわり白薔薇の花弁舞う戦場に黒髪を靡かせ唱えられたその神聖なる詞章は、耳にする仲間たちの戦う力を増強させて。
迷宮を何とか脱出せんと蠢く虫たちの行く手を阻まんと、カガリの炎上する盾が、迷宮の通路でとおせんぼ。
そして、ステラが手にする一振りは、太陽の如く燃え盛る炎宿す黒の大剣。
……ソルなら私より炎の扱いは上。ソルに敵を焼き尽くしてもらおうか!
刹那、白く流れる美しい髪に紫の安寧を煌めかせながら。
――赤く燃えろ、我が星よ。
『ギャアァァ……ッ!』
戦場に赤星の如く輝く一閃が放たれ、迷宮を染める炎の紅蓮が、敵の群れを燃やし尽くす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
織銀・有士郎
【KOR参加】
新しい世界を観光……という暇はなさそうだな。
「行くぞ、狸神様。まずは嬢さんの確保だ!」
まずはルージュの安全を確保せんとな。
狸神様に乗って【ダッシュ】し、ルージュの元へ急行。
(ヘイ、お嬢ちゃん。拙者の背中に乗るでござるー)
……聞こえてないと思うが。
サクラコの盾が守っている間にルージュを狸神様に乗せ、サクラコやアヤネのいる辺りまで後退する。
その後狸神様はルージュの傍で護衛。まぁ可愛い動物が傍にいれば少しは気が休まるだろ。
自分はアヤネの情報とサクラコの指示の下【ダッシュ】で接敵し、深青やオクと連携しつつ【早業】による抜刀術で敵を倒していくかね。
壱季・深青
【KOR参加】
呼び方:名前の方を呼び捨て
ルージュ…見つけた
傷つけられないよう…背後に庇いつつ…しゃがんで…
視線合わせて…大丈夫だよって…少しでも…安心させてあげたい
すぐに…仲間が安全な場所に…連れて行って…くれるから
漆黒の刀を…握りしめて…攻撃態勢
【黒曜の導】の「猩々緋」で…攻撃力上げる
敵の動きは…観察しながら…行動パターンを…見極める
前衛で…隙があれば正面から…難しければ…横や背後に回って、攻撃
攻撃したら…すぐ離れる、の繰り返し
群れ…仲間がいるみたいだから…複数の動きも…把握しておく
アヤネの情報…サクラコの指示…耳に入れたら…その動きに合わせる
【「…」「、」は適当で可】【アドリブ可】
アヤネ・ラグランジェ
【KOR参加】
新しい世界に見たこともない動植物に気分が高揚する
生物学的でも魔法寄りでも学術的に観察したい
でもオブリビオンの見た目は最悪
全く情けをかける気分にもならない
まあいつも通りではあるネ
ミッションを開始しよう
配置は後方
Phantom Painを構え援護射撃を行う
一手目は救護対象に対する攻撃を止めよう
敵の攻撃を妨げて救出時間を稼ぐ
電脳ゴーグルで分析した状況情報を伝える
正面から近づき過ぎるのは危険
敵意や嫌悪の感情に比例して強くなるので、冷静に対処して
弱点は…脱皮直後なら外皮が柔らかいから集中攻撃すれば倒せるはず
余裕があればSilver Bulletに持ち替えてタイミングを待つ
はずすわけがないネ
日隠・オク
【KORで参加】
ここがアリスラビリンスですね
ルージュさんを助けるため、みんなと頑張ります
私は前に出てUCはガチキマイラ
片手をライオン化させて攻撃に出ます
前衛のみんなと協力をしながら
情報を聞きながら戦います
敵の突進は避けたいですが、でもこちらに惹きつけられるなら当たってもいい
自分の身を回復しながら攻撃
敵をルージュさんのほうには行かせない
敵の風貌に負けないように
こんなに綺麗な世界なのに、オブリビオンは、なんて、ひどい
いかせません!
私たちが相手です!
鏡彌・サクラコ
【KOR参加】
アリスラビリンスには初めて来ました
目に映る光景はきれいなのに
悪夢のような邪悪さを感じるでいす
ゆっくりしている間は無さそうですねい
現場に到着次第すぐに行動いたします
間に合いました!もう安心してくださいませ
ルージュちゃんと敵の間に銅鏡を盾のように並べて守ります
オクちゃん深青さまの動きをフォロー
有士郎さま救出をお願いしますねい
サクラコはチームの中央辺りに位置取ります
攻撃はハクナキを遠隔操作して前衛を手伝います
UCで敵の攻撃から味方を守りつつ
後方から聞こえるアヤネさまの情報を元に団員に指示を出します
ルージュちゃん、いっしょに「自分の扉」を見つけに参りましょう
サクラコたちがご一緒するでいす
はじめて降り立った世界に広がるのは、咲き乱れる一面の白。
その花園の雰囲気はまさにメルヘン、まるで童話の中に入り込んだような気さえ一見するけれど。
「ここがアリスラビリンスですね」
きょろりと緑色の瞳で周囲を見回す日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)の隣で。
鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)も同じように眼前の光景を見遣って。
「アリスラビリンスには初めて来ました」
ふと金の瞳を細め、思う。
(「目に映る光景はきれいなのに、悪夢のような邪悪さを感じるでいす」)
そんな不穏な雰囲気を感じ取っているサクラコとは逆に。
(「生物学的でも魔法寄りでも学術的に観察したいネ」)
新しい世界に、見たこともない動植物。
知的好奇心を擽られ、気分が高揚するアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)であったが。
でも――オブリビオンの見た目は最悪。
『キシャアアァァァ!』
群れて蠢いているのは、醜悪な巨大芋虫たち。
しかも人肉を貪り喰うという悪食。
「ゆっくりしている間は無さそうですねい」
耳障りな虫の声のした方へと視線を映し、仲間と共に、花園の奥へ急ぎ進んだサクラコは。
「間に合いました! もう安心してくださいませ」
刹那、戦場に生み出されしは、数多の銅鏡。
八咫鏡同様文様が背面に施された円形の鏡が、迷子のアリスの盾となって。
全く情けをかける気分にもならない見目の敵の群れへと、狙いが定めやすい距離をはかりながら。
「まあいつも通りではあるネ」
ミッションを開始しよう――そう、アヤネは構えた『Phantom Pain』に装備されたスコープを覗き、敵へと照準を合わせた瞬間。
『ギャァ……ッ!』
迷い込んだアリスを喰わんするかのように大口を開けた芋虫へと、寸分の狂いもない弾丸が見舞われれば。
「ルージュさんを助けるため、みんなと頑張ります」
「ルージュ……見つけた」
同時に地を蹴ったのは、片手を猛るライオン化させたオクと、漆黒の刀を握る壱季・深青(無気力な道化モノ・f01300)。
オクの手の百獣の王が敵へと容赦なく牙を剥く中、深青は少女が決して傷つけられないようにと背後に庇いつつ、しゃがんで。
「……大丈夫だよ……すぐに……仲間が安全な場所に……連れて行って……くれるから」
視線合わせて、安心させるように紡ぐ。
そんな深青やオクの動きをフォローしつつ立ち回りながら。
「有士郎さま救出をお願いしますねい」
サクラコが視線を向けたのは、織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)。
「新しい世界を観光……という暇はなさそうだな」
有士郎は白薔薇咲く花園をぐるりと一度見回しつつも、そう呟いた後。
「行くぞ、狸神様。まずは嬢さんの確保だ!」
――遥か彼方より我が声に応えよ……頼むぞ、相棒!
戦場に喚んだ愛らしいまめだぬきに騎乗し、安全を確保するべくルージュの元へ。
「……!」
ルージュは潤んだ苺のような瞳をぱちくりとさせるけれども。
――ヘイ、お嬢ちゃん。拙者の背中に乗るでござるー。
そう言ってそうな愛らしい狸神様の様子に微かに笑んで。
「まずは、ここから離れようか」
有士郎は狸神様にルージュを乗せ、敵から距離を取っているサクラコやアヤネが位置取る辺りまで後退させて。
(「まぁ可愛い動物が傍にいれば少しは気が休まるだろ」)
引き続き狸神様に、ルージュをすぐ傍で守ってもらう。
そして少女を任せた有士郎は、『涼鳴』を抜刀するやいなや、鋭く素早い一閃を敵へと見舞って。
――我が身纏いし烏羽は、黒曜の導にて彩を放つ……。
深青は展開した『黒曜の導』の猩々緋で己の力を漲らせ、その行動パターンや動きを見極めつつも、有士郎の攻撃で隙のできた敵の身を斬りつければ。
斬撃を見舞い一旦すかさず下がった深青と入れ替わりに前へと出たオクが、ライオンの牙で敵をかみ砕く。
そんな中、後方から確りと敵を観察して。
アヤネが伝えるのは、電脳ゴーグルで分析した状況情報。
「正面から近づき過ぎるのは危険。敵意や嫌悪の感情に比例して強くなるので、冷静に対処して。弱点は……脱皮直後なら外皮が柔らかいから集中攻撃すれば倒せるはず」
「正面からは危険でいす、なるべく敵の死角にはいりましょう! 外皮を集中攻撃でいす!」
そしてチームの中央に位置取るサクラコが、すかさずアヤネからの情報をもとに、皆へと声を掛けて。
情報を共有し、引き続き成した盾で皆やルージュを守りながらも、ハクナキを前衛へと送り出す。
周囲の虫たちの動きを把握しつつ、深青はサクラコの声に合わせ、芋虫の死角に入るよう動いて。
深い蒼色の雫がそっと髪で揺れる中、外皮を狙い一閃。
放った黒曜の刀の鋭い一振りが、敵の身を斬り裂けば。
『シャアアァァ……!』
大きく揺らいだその巨体を、有士郎の抜刀術が容赦なく斬り伏せる。
そしてアヤネの情報を聞いて、敵の風貌に負けないようにと、果敢に前へと出ながら。
「こんなに綺麗な世界なのに、オブリビオンは、なんて、ひどい」
オクは傷を負うことを厭わず、負った怪我を相手の生命力で癒すべく、敵の懐に入って。
「いかせません! 私たちが相手です!」
ルージュを守るように、迫る芋虫の外皮目掛け、ライオンの牙を叩きつける。
そしてそんなオクへと、芋虫が無数の足を蠢かせ突進を仕掛けようとするも。
刹那、躍り出たハクナキの攻撃が敵へと見舞われて。
「はずすわけがないネ」
持ち替えた『Silver Bullet』から狙い撃たれたアヤネの正確な一撃が、芋虫の頭を吹き飛ばす。
そんな息の合った連携で、仲間たちと共に敵を次々と滅していきながらも。
サクラコは、守護する迷子のアリスへと微笑んで、彼女へと紡ぐ。
「ルージュちゃん、いっしょに「自分の扉」を見つけに参りましょう」
サクラコたちがご一緒するでいす、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千家・菊里
【花守】
一寸先も闇やもしれぬ、とはいえ――少なくとも今此処で、斯様なモノ達の餌になって幸いとなる訳も無し
ならば、せめて、手の届く限り――
何が待ち受けようとも、お付き合い致しましょう
急ぎ少女を庇う様に、その視界にこれ以上の惨劇が入らぬ様に、前へと飛び込み護衛を
同時に不安和らげるべく一声
こんにちは、お嬢さん
これより俺達がお供致します
どうか慌てず、傍を離れぬよう
迫る敵達にはフォックスファイアにマヒ・範囲攻撃混ぜ展開
強い個体には合体強化
接近や加速許さぬよう牽制
加えてオーラ防御も常に少女へ
敵意や嫌悪を糧とするなら、唯無心に、無感情に――目に毒なモノは、悉く焼き付くしましょう
そして道を、開きましょう
鳳来・澪
【花守】
進む先も険しいかもしれん、でも…こんなとこで終わってええ筈ない
願わくは無事にまたお兄ちゃんに会えるように――一緒に生きていけるように
精一杯尽くすよ
着くと同時に少女庇護へ
菊ちゃんと合わせ敵の姿も攻撃も遮る配置を常に
コミュ力と鼓舞活かし励ます声掛けも
助けに来たよ、ルージュちゃん
話は後で、今はちょっと堪えてね
大丈夫、もう一人にはせんから
攻撃は巫覡載霊の舞の衝撃波でなぎ払い&急所狙い気絶攻撃仕掛け接近阻止
衰弱個体から2回攻撃でトドメ
守備はオーラ防御を少女へ
自分は第六感で敵動作や速度警戒し神霊体で軽減
敵意等より少女を護る一心を強く胸に
悪い事ばっか考えてても始まらん
希望をきっと、見つけ出してみせる
咲き誇る白薔薇は一見すると美しく、足を踏み入れた新世界はメルヘンな雰囲気を醸し出しているけれど。
可愛らしく綺麗なその光景が孕むのは……どこか不穏で、残酷な色。
少女が進むその先は、一寸先も闇やもしれない。
(「とはいえ――少なくとも今此処で、斯様なモノ達の餌になって幸いとなる訳も無し」)
ならば、せめて、手の届く限り――何が待ち受けようとも、お付き合い致しましょう、と。
迷えるアリスのその視界に、これ以上の惨劇が入らぬ様に。
敵前へとすかさず飛び込み彼女を護るのは、千家・菊里(隠逸花・f02716)。
同時に、少女の不安を和らげるべく、声掛けも。
「こんにちは、お嬢さん。これより俺達がお供致します。どうか慌てず、傍を離れぬよう」
(「進む先も険しいかもしれん、でも……こんなとこで終わってええ筈ない」)
願わくは無事にまたお兄ちゃんに会えるように――一緒に生きていけるように、って。
――精一杯尽くすよ。
菊里と共に少女の元へと真っ先に駆け寄った鳳来・澪(鳳蝶・f10175)も。
「助けに来たよ、ルージュちゃん。話は後で、今はちょっと堪えてね」
そう、小さな少女を護りのオーラで包み込みながらも、持ち前の人懐こさを活かし、鼓舞して励ます。
だが眼前にいるのは、勿論、迷えるアリスだけではない。
『キシャアアァ!』
アリスを頭から行儀悪く喰わんと迫る、芋虫のオウガたち。
その姿は思わず眉を顰めたくなるほどの嫌悪感を抱いてしまいそうになるけれど。
敵意や嫌悪よりも、目の前の小さな少女を護る一心を強く胸に。
漆黒の髪を白き花弁舞う空へと流れる様に躍らせながら、神霊体へとその身を変化させた澪が戦場を舞えば。
生じた強烈な衝撃波が、迫る敵を容赦なく薙ぎ払って。
これ以上近寄らせぬよう急所を狙い意識を刈り取るよう衝撃を繰り出し、大きく状態を揺らす敵へと連続で攻撃を叩き込んでは、薙いで斬り伏せていく。
(「敵意や嫌悪を糧とするなら、唯無心に、無感情に――目に毒なモノは、悉く焼き付くしましょう」)
――そして道を、開きましょう。
少女が進む先を照らす道標となるかのような数多の狐火を戦場へと灯していく菊里。
その揺れる猛火が醜悪な虫を浄化する様に、敵を容赦なく焼き尽くしていって。
ひとつ、ふたつ、みっつ……重なり合い、激しさを増し燃え盛る炎が。
花園の白薔薇を一瞬だけ、飛び散る血のような無粋な色ではない、綺麗な彩りに染め上げる。
『ギシャアァ……!』
耳障りな声を上げながら、菊里の成した炎に燃やされ崩れ落ちていくオウガ。
そんな炎を、苺の如き瞳に映しながら……ぽつりぽつりと、ふと言の葉を零し始めるルージュ。
「……わたしたちの村、おにいさんのそのきれいな炎とはぜんぜんちがう、こわい火で、やけちゃったの」
「ルージュちゃん?」
「こわいりょうしゅさまがね、お父さんもお母さんもころして……村も全部やけちゃったから、おにいちゃんと、にげたの」
それは予知でも語られていた、ルージュの元の世界の記憶だろうか。
ルージュと、そして彼女の兄がいた世界。
それは――。
「ルージュちゃん。大丈夫、もう一人にはせんから」
澪はそうぎゅっと、視線を虚空へと泳がせる少女を優しくそっと抱きしめてあげてから。
(「悪い事ばっか考えてても始まらん」)
――希望をきっと、見つけ出してみせる。
燃え盛り揺れる狐火と共に、再び舞う様に衝撃波を放ち、一心に敵を薙ぎ払っていく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
狗衣宮・藍狐
◎
ティノちゃん(f19825)と一緒!
こんなに景色は可愛いのに、出て来る敵が可愛くなーい!!
ティノちゃんが言ってたから覚悟はしてたけど、こんなにキモいとは思わなかった!
女の子はティノちゃんにお任せして、あたしは敵を牽制するわ
虫なんだったら炎が苦手だよね。……苦手でいてお願い!!
早業で生み出したフォックスファイアをアートの要領で操作して、敵を誘惑して惹きつける!
ちょっとした時間稼ぎだけど……ティノちゃんそっち大丈夫ー?
ティノちゃんたちが防衛線を作り上げられたら、そっちの方に逃げ込む!
ここから先は防衛戦ね!
あたしは今だけアリスのナイト。ティノちゃんが送り届けるまで、ここは絶対通さないんだから!
ティノ・ベアトリーチェ
藍狐ちゃん(f00011)と一緒!
えー私は可愛いと思うんだけど
ほら
あのつぶらな瞳
可愛いくないかなー?
戦いは藍狐ちゃんに任せて
私は兎穴を使ってルージュちゃんと避難
私が先導しなくちゃ誰も入れない筈なんだけど
一応ルージュちゃんに硝子のラビリンスをお願いしちゃおうかな?
兎の穴と硝子の迷宮
貴方は全部正解出来るかな?
あばばば……!た、多分だいじょうび!(噛む
世界から送り出し
頭の王冠をルージュちゃんにあげちゃいます
貴女は今からお姫様
お姫様は王子様を待って
遅れて来た王子様をメッてしなくちゃいけないの!
だからちょっと先に行って待っててくれるかな?
仕方がないお兄ちゃんを連れていくから
叱る内容考えていてほしいんだぁ
白薔薇で飾られた風景は、とてもメルヘンチックなのだけれども。
「こんなに景色は可愛いのに、出て来る敵が可愛くなーい!!」
そうぶんぶんと、銀髪を揺らし拒絶するように首を横に振るのは、狗衣宮・藍狐(キューティースタイリスト・f00011)。
綺麗でもなければ、チャーミングでもなく、全く美しくもない。
『シャアアァ
……!!』
「ティノちゃんが言ってたから覚悟はしてたけど、こんなにキモいとは思わなかった!」
全くもって藍狐の美的センスと合わない醜悪な芋虫のその姿に、半ば悲鳴に近い声を上げる藍狐。
そんな藍狐の反応を、青の瞳でぱちくり見ながらも。
「えー私は可愛いと思うんだけど。ほら、あのつぶらな瞳、可愛いくないかなー?」
ぴょこり長い耳を揺らして首を傾けるのは、ティノ・ベアトリーチェ(ぴょんぴょんぴょん!・f19825)。
けれど、ティノ的には可愛い芋虫さんなのだけれど……アリスを食べさせるわけにはいかないから。
戦場を跳ねるように、他の仲間も声掛けをしているルージュの元へと向かうティノ。
ルージュの保護はそんなティノに任せ、藍狐は敵前へと立って。
「虫なんだったら炎が苦手だよね」
……苦手でいてお願い!!
そんな願いも目一杯込めつつ。すかさず生み出すのは、戦場を灯す数多の狐火。
まるでいつも遊女たちを美しく粧い飾っているのと同じように、花園の白を揺らり燃ゆる炎で彩りながら。
醜悪な虫さえも惹きつけるような、感性の赴くまま、芸術的に操作する藍狐。
そんな美しき炎が舞う中、ティノは駆け寄ったルージュへとお願いを。
「ルージュちゃん、硝子のラビリンスを作るの、お願いできるかな?」
「え? ……は、はいっ」
小さな少女はまだ未熟ながらも、言われた通りに一生懸命迷宮を生み出して。
同時にティノがぽっかり作り出すのは、兎の穴。
――兎の穴と硝子の迷宮、貴方は全部正解出来るかな?
アリスラビリンスの世界からの脱出は、アリス自身が感知できる「自分の扉」からしかできないようだけれども。
この場所から少し離れることは、この兎の穴を潜れば可能かもしれない。
「ティノちゃんそっち大丈夫ー?」
「あばばば……! た、多分だいじょうび!」
噛み噛みながらもそう返ってきた声に、藍狐もすかさず二人の元へ。
「ここから先は防衛戦ね!」
迷宮に迷い込んだ虫たちを美しく燃え盛る炎で焼き尽くしていきながらも。
――あたしは今だけアリスのナイト。
ゆるく波打つ銀色の髪を靡かせ、藍狐は芋虫たちの群れを青を湛える瞳で確りと見据える。
「ティノちゃんが送り届けるまで、ここは絶対通さないんだから!」
そんな藍狐が敵を防いでくれている中。
ティノがそっとルージュにあげたのは、頭の王冠。
――貴女は今からお姫様。
そう微笑みながら、兎の穴へと少女を先導するティノ。
「お姫様は王子様を待って。遅れて来た王子様をメッてしなくちゃいけないの! だからちょっと先に行って待っててくれるかな?」
「ありがとう、うさぎのおねえちゃん。でも……」
少し不安げなルージュ……いや、小さなアリスのお姫様に。
ティノはそっと優しく頭を撫でてあげながら、こう続けるのだった。
仕方がないお兄ちゃんを連れていくから、叱る内容考えていてほしいんだぁ――って。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
古高・花鳥
鈴木・志乃さん(f12101)さんと参加します
ルージュさん、怖かったよね、不安だったよね、一人でここまでよく頑張ったね
「手をつないで」「優しく」接します
あなたのことはわたし達が必ず守りますから
鈴木さんの「催眠術」そして【晴れ舞台】で、まずは敵の外見を変えて認識します
嫌悪の感情で強化されてはたまりません
そうですね、芋虫の形は変わらずに、もう少しデフォルメした怖くないデザインになってもらいましょう
それが終われば、一気に「先制攻撃」で斬り込みます
単調な動きは「見切り」、【居合域】で数を把握しながら【月下抜刀流・花鳥一閃】を放ちます
狙うは、一太刀での引導を
(アドリブ歓迎です)
鈴木・志乃
古高さんf01330と連携
アド絡み歓迎
ルージュさんのことは古高さんの方がきっと安心させられるかな……
何せ一家のお姉ちゃんだし、優しく強い心を持ってるからね
大丈夫、ルージュさん、ゆっくり呼吸して
……さあ、ショータイムだ!
UC発動【晴れ舞台】で敵の外見を変えて認識
自分たちに催眠術をかけてさらに誤認させる
ルージュちゃんも怖がらせないようにね
歌唱の衝撃波と催眠術で集団に全体攻撃
味方は巻き込まないように気を付けるよ!
敵攻撃は第六感で見切り古高さんの後方から回避指示も出す
光の鎖で武器受けからのカウンターなぎ払い
必要に応じて早業念動力で縛り上げ
古高さんのフォローに回る
トドメ任せましたよ!
オーラ防御常時発動
美しき白薔薇の花園におぞましく蠢く、芋虫のオウガ。
人を喰う醜悪な虫を目の前にして、まだ幼き迷子の少女が足を竦ませるのも無理はない。
「ルージュさん、怖かったよね、不安だったよね、一人でここまでよく頑張ったね」
――あなたのことはわたし達が必ず守りますから、と。
そうそっと、震えている小さな手を取って。
優しく少女へと声を掛けるのは、古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)。
(「ルージュさんのことは古高さんの方がきっと安心させられるかな……」)
何せ一家のお姉ちゃんだし、優しく強い心を持ってるからね、と。
少女への声掛けは主に花鳥へと任せ、鈴木・志乃(ライトニング・f12101)はその様子を見守りつつも。
「大丈夫、ルージュさん、ゆっくり呼吸して」
志乃なりの言葉で、小さきアリスを気遣い、声を掛けてから。
……さあ、ショータイムだ!
ルージュの完全なる退避は他の仲間へと託し、猟兵たちの手によってその数を大きく減らした虫の群れへと、花鳥と共に向き直る。
その見た目だけで、十分におぞましい芋虫たち。
けれど、ルージュをこれ以上怖がらせないように。
そして、嫌悪の感情で相手の能力の強化をさせないために。
――ここは貴方の為の舞台。さ、ド派手にお願いしますね!
戦場に志乃が響かせるのは、祈りと催眠術のこもった歌。
それは白薔薇の花園の地形に、催眠という名の魔法をかけて。
恐ろしい芋虫の外見を、少しデフォルメした怖くないものへと変える。
そして戦場に響くその歌声が、芋虫たちに衝撃を与えて。
揺らいだ敵よりも早く動きをみせ、まずは一体、振るう頑丈な打刀で敵を斬り伏せた花鳥。
これで残る芋虫は、残り1体となったけれども。
『キシャアァァ!』
「古高さん、上から噛みつきが!」
ちょっぴり可愛らしくなったとはいえ、やはり鋭利な虫の歯が、花鳥へと襲い掛からんとする。
だがそれを察知して咄嗟に掛けられた志乃の声を聞いた花鳥は、すかさず身を躱して。
早業で繰り出した念動力で敵の身を縛り上げ、花鳥のフォローを担う志乃。
そして敵の動きを封じながら、視線を花鳥へと向ける。
「トドメ任せましたよ!」
それに応えるように、ふぅーっと大きく息を吐き、確りと精神を集中させて。
球状の領域――『居合域』を展開し、迫る敵の存在を改めて感知してから。
やぁっ! と気合い一閃……月下抜刀、一の太刀を。
突進と同時に放たれた逆手の居合抜きが、鮮やかに敵の身体を切断して。
強烈な一太刀が敵を斬り伏せ、花園を荒らす最後の芋虫に、引導を渡したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ストーリー・テイラー』
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POW : ああもう、苛々するなぁ!このシナリオは全部没だ!
自身が【望んだ通りに話が進まない苛立ち】を感じると、レベル×1体の【大きなハサミを持った小型のオブリビオン】が召喚される。大きなハサミを持った小型のオブリビオンは望んだ通りに話が進まない苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : 必要ないキャラクターは引っ込んでろ!
【本の頁で出来た大型オブリビオンの群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : おっと、その展開は無しだ。
【まるで物語の先を読んだかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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※お知らせ※
第2章プレイング送信の受付は、追加オープニング掲載後から開始します。
追加オープニングは、7/2(火)中に掲載いたします。
送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください
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●救いなき物語
この白薔薇の花園は、一体どこまで続いているのだろうか。
兎の穴から出た先もまた、先程と同じく白薔薇が咲き乱れていたけれど。
「もうここまでくれば、大丈夫かな」
芋虫たちが群れていた場所からは、どうやら離れられたようだし。
何より、醜悪なオウガたちは全て、猟兵たちの手によって倒されたのだから。
「あ……あの、ありがとう、ございました」
ルージュは少しおどおどしながらも、周囲の猟兵たちにぺこりと一生懸命お辞儀をする。
そんな彼女がぽつりぽつりと紡いでいた、恐らく元の世界の記憶だろう言葉。
『わぁ、かわいいおかし……さっきもらったあまいお星さまも、このまあるいおかしも……はじめて』
『……わたしたちの村、おにいさんのそのきれいな炎とはぜんぜんちがう、こわい火で、やけちゃったの』
『こわいりょうしゅさまがね、お父さんもお母さんもころして……村も全部やけちゃったから、おにいちゃんと、にげたの』
マカロンや金平糖などのお菓子がない世界。
村が焼かれ、双子の両親を殺した『こわいりょうしゅさま』。
だから双子の兄と二人で逃げた――。
ルージュの元居た世界、それはきっと――。
猟兵たちが何かをルージュに問おうとした、その時だった、
「あ……」
先程まで芋虫たちから逃れられてホッとしていたルージュの苺のような瞳が、再び恐怖の色に染まる。
「!」
白薔薇が静かに咲いていた光景が、一変。
周囲が激しい炎に包まれて。飛び交う蝙蝠、蹂躙される村、そして――。
「おかあさん、おとうさん……!」
そうルージュが叫んだ刹那、目の前にいた男女の夫婦の首が、いとも容易くちょんっと刎ねられて。
溢れ出る赤に塗れながら、ころりと、足元へと転がってくる。
「い、いやあァあああァァァ!!!」
必死に目と耳を押さえながら発狂し、どこかへと咄嗟に逃げようとするルージュ。
「ルージュちゃん!」
逸れて少女がまた迷子になってしまったら、今度こそオウガの餌になってしまう。
猟兵たちはそんな彼女を身体を張って引き留め、宥めるように言って聞かせる。
「これは幻影だ、だから落ち着いて。大丈夫……!」
「おかあさん、おとうさんっ! おにいちゃん……どこ……っ」
白薔薇の花園に映し出された光景、それは幻影であった。
そしてそれは恐らく……ルージュの過去の記憶を映したもの。
その時、ふと白薔薇の花園に響いたのは――声。
「ほら、ボクの思い描いた物語の筋書き通りにならなかったから、そうなるんだよ」
ちょっとイラついたような、その声色。
それは本と杖を持った、耳と尻尾が生えている少年のような存在。
「ボクの思い描いてたストーリーみたいに、さっきの芋虫に頭からぱくっと食べられてたほうが、その子にとってはハッピーエンドだったはずなのにね」
でも……と続けたその口元に宿るのは、不穏な笑み。
「まぁ予定通りにストーリーが進まなくて、予定にない登場人物がでてきたのは、頭にくるけど。主人公の少女がもっともがき苦しんで死ぬ……そんなバッドエンドも、面白いかもね」
「!!」
刹那、白薔薇の花園に飛び交うのは、激しい炎と漆黒の蝙蝠。
「!! やだァァ!! いやあああァァァ!!!! おにいちゃんっ」
「おにいちゃん? ああ、そのおにいちゃんね。今はもう、生きているかどうか。もうとっくに、首をパクリと……」
「やだ、やだ!! おにいちゃんっ」
「落ち着いて、ルージュちゃん!」
くすくすとルージュの心を抉ってくる少年――ストーリテイラーに、猟兵たちはキッと視線を向ける。
飛び交う炎や蝙蝠は、何故かは分からないが、どうやらルージュの過去の記憶とリンクしているようだ。
だが逆に、強くリンクしているこの状況、アリスの少女の過去のトラウマに関連する弱点を、もしかしたら持っている可能性もある。
無理して弱点を探す必要はないが、見つけられれば、強敵であるオウガとの戦いを有利にすすめられるかもしれない。
ただ、過去のトラウマを穿り返され、ルージュがかなり取り乱している状態。
先程の様に彼女が戦いに参加することは難しいかもしれないし、正直、戦闘に参加しても足手纏いにしかならなそうだ。
そして、このままトラウマを見せられ続けたら、この場から逃げようと暴れてしまうかもしれない。
今回の依頼の目的は、ルージュの「自分の扉」を見つけ、彼女を導いてあげること。
下手に乱暴な対策を取ったり、彼女の気持ちを乱すようなことを言ったりしたりすれば、完全に信用を失ってしまうだろう。
戦闘中、暴れて飛び出して、怪我をしてしまうかもしれない。
少女のトラウマである炎や蝙蝠が飛び交う中、取り乱す彼女を宥め守りながら、強力なオウガを倒す。
それはとても厄介で難儀な戦いになるかもしれないが――やるしかない。
震え取り乱すルージュに声を掛けながらも、猟兵達は、オウガが勝手に描いた悲劇の物語を打破するために。
各々得物を握りしめ、白薔薇の花弁舞う戦場を駆ける。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
そっとルージュを抱き寄せて周りの光景を見えないようにするわ。
多少の攻撃は体で受け止める。
厳しいようならユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】
私と触れているルージュは敵に視えない。
そして優しく
「ねえ、ルージュ・・・貴女の楽しかった思い出を私に聞かせて。素敵な思い出だけを教えて」
落ち着いてくれたなら
「私たちを信じて。そうしたら私は貴女に・・・希望をあげる」
後はオウガを攻撃して仕留めるだけ。
え、落ち着くまでのオウガへの攻撃?
きっと他の皆がうまくやってくれるわ。
リリスフィア・スターライト
ルージュの居た世界はきっとダークセイヴァーかしらね・・・
それなら尚更、気持ちを強く持ってもらわないと
近接戦闘が得意な強気なリリスに人格を変えて戦いに挑むわね
すぐにでもオウガを黙らせてやりたいけれど、
それ以上にルージュが心配だし彼女を守る事を優先するわ
水の魔力で防御を固めて襲い掛かる炎や蝙蝠に
小型のオブリビオンを消し去ってやるわ
戦いの最中でもルージュに呼びかけてトラウマに
負けないよう励ますつもりよ
双子の兄さんがどんな子なのかとか聞いて彼の姿を思い出させたり
敵の攻撃を完全に凌いで見せる事で勇気づけられればかしら
「ちゃんと向き合えば案外怖くないものよ」
「ルージュの物語はルージュ自身で作るものよ」
アルノルト・ブルーメ
こいつのような存在に僕も心当たりがない訳じゃない
だからこそ、思う
この、下衆が――
そんな気持ちはしっかりと隠し
ルージュ、僕の娘によく似た、君
君を襲った醜悪な虫達
あれをすべて倒した僕らを信じて欲しい
必ず、君が今見ている恐ろしいものを全部消すと約束しよう
だから、深く息を吸って
どうか、落ち着いて……
彼女からは見えない位置取りで血統覚醒使用
この姿はあの娘のトラウマを更に抉りかねないだろう
だから、常に彼女の視界に入らないよう
入っても、『そう』だと判らないよう注意して立ち回る
召喚された敵にVictoriaとLienhardで先制攻撃から2回攻撃
傷口をえぐる
テイラー自身は串刺し
敵の攻撃は見切りと残像で回避
黒金・菖蒲
やれ、物書きよ。
さては自分の力に自信がないな?
自分の語りに御せる弱者しか狙えないとは、ストーリーテラーの名は捨てた方が良いのではないかな?
さて、蹂躙には蹂躙を。
さぁ家族達よ、掃除を始めよう。
軍影を使用し、「家族」を具現。
現れるオブリビオン共に対し機関銃や無反動砲の掃射を絶えず放ち、一切の接近を許さず消し飛ばそう。
書かれた文字が読めなくなるまで、な。
しかし、面白いな。
彼奴はどうにも「頭」ないし「首」にこだわる殺し方をしているな。
それは、そこを狙えということかな?
戦万で投擲短剣のウォシェレを具現。
戦乱に乗じて語り手に投擲。
当たればよし、外れれば爆棘で起爆。
その隙に、涯無で奴の首を刎ねんとしようか。
雷陣・通
(アドリブ、連携歓迎)
みんなはルージュを頼む
俺は――炎を斬る
誰か手伝ってくれ!
炎の中にあえて飛び込み
『手刀』を振るう
断つのはストーリーテラーではない、炎
トラウマたる炎を断ち切ることでルージュの気を落ち着かせる
「もう大丈夫だ、偽物は消えた。あとは俺達に任せろ!」
炎や蝙蝠の再生?
お見通しだ
カウンターで先制攻撃による先の先を実践させた棒手裏剣の投擲
マヒ攻撃と雷属性攻撃による、行動の一時停止を狙う
あとは
「――兄ちゃん達任せた!」
そして小型オブリビオンに対しては
おびき寄せからの『前羽の構え』での庇い
お前の攻撃、一つも通しやしねえ!
白き薔薇の花園に舞う花弁を染めるのは、燃え盛る炎と飛び交う蝙蝠の色。
「いや、いやあぁぁ!!」
それは幻影……幼きアリスのトラウマ。
ルージュが少しずつ取り戻している、元の世界の記憶。
飛び交う炎や蝙蝠、焼かれた村、怖い領主、目の前で首を刎ねれた両親――。
(「ルージュの居た世界はきっとダークセイヴァーかしらね……」)
リリスフィアはルージュが語った記憶や眼前の幻影から、そう確信する。
恐らくきっと、彼女たち双子がいた世界は、ヴァンパイア達に支配された夜と闇の世界。
(「それなら尚更、気持ちを強く持ってもらわないと」)
ルージュが帰るべき世界も、厳しく苛酷な世界であるから。リリスフィアはそう思いながらも。
「あーあ、ボクの筋書き通りに芋虫に食べられていれば、こんなことにならなかったのにね。さぁ、新しい悲劇の物語のはじまりだよ、アリス」
己の筋書き通りにいかなかったことへの八つ当たりかのように、ルージュのトラウマを執拗に抉らんとしてくるオウガ・ストーリー・テイラー。
そんなオウガをすぐにでも黙らせてやりたい、そう思うけれども……それ以上にルージュが心配だから。
リリスフィアは、ピンクのポニーテールの髪を靡かせ戦場を駆けるリリスへと人格を変え、彼女を守る事を優先に動かんとする。
そんな中、まるで戦場にはしる稲妻の如く。
「みんなはルージュを頼む」
躊躇なく炎の中へと飛び込むのは、通。
飛び交い牙を剥く蝙蝠の群れにも臆さず、ぐっと力強く一歩踏み出して。
「俺は――炎を斬る」
断つのはストーリーテラーではなく、炎。
燃え盛る炎目掛け通が繰り出すは、肘のスナップを利かせた鋭い手刀。
腰を回転させ遠心力を利用した一振りが、薙ぐ様に炎を斬って。
ルージュのトラウマたる炎を断ち切ることで彼女の気を落ち着かせんと立ち回る。
けれど、その炎全てを自らの手で消せないことは、通にも分かっているし。
「誰か手伝ってくれ!」
今戦場にいるのはひとりではないから。心強い仲間へと、そう声を掛ければ。
水の魔力で防御を固め前へと踏み出したリリスの緋色に輝く魔剣が、炎を斬り裂いて消滅させる。
そしてリリスは、少女のトラウマである炎や蝙蝠を仲間と消し去ってあげながらも、ルージュへと呼びかけて。
「双子の兄さんはどんな子なのかしら、教えて欲しいわ。それに、ちゃんと向き合えば案外怖くないものよ」
兄の姿を思い出させるように、トラウマに負けないよう少女へと励ましの声を。
「やれ、物書きよ。さては自分の力に自信がないな?」
そんな中、ふと炎と蝙蝠の奥にいるオウガへと銀の瞳を向けるのは、菖蒲。
「は? ボクが? 何を根拠に」
その言葉にイラついたような表情を宿す存在に、さらに煽るように言葉を重ねる。
「自分の語りに御せる弱者しか狙えないとは、ストーリーテラーの名は捨てた方が良いのではないかな?」
「必要ないキャラクターは引っ込んでろ! 登場人物は大人しくボクの物語に従えばいいんだよ!」
刹那、開いた本の頁で成されたオブリビオンの群れが解き放たれるも。
「さて、蹂躙には蹂躙を。さぁ家族達よ、掃除を始めよう」
我ら共に在り――軍影を展開した菖蒲が戦場へと喚ぶのは、『家族』。
そして一切の接近を許さぬほどの機関銃や無反動砲の掃射が、本で成された敵を容赦なく消し飛ばしていく。
書かれた文字が読めなくなるまで、と。
「せいぜい足掻くといいよ。物語には調整も必要だ。でも足掻いた挙句に主人公が無力に死ぬ、それがボクの筋書きだからね!」
(「こいつのような存在に僕も心当たりがない訳じゃない」)
アルノルトは身勝手な悲劇を紡がんとする敵を見遣りながらも、だからこそ、思う。
……この、下衆が――。
けれども、そんな気持ちはしっかりと隠して。
「ルージュ、君を襲った醜悪な虫達、あれをすべて倒した僕らを信じて欲しい。必ず、君が今見ている恐ろしいものを全部消すと約束しよう」
自分の愛しい娘によく似た、ストロベリーブロンドの髪の少女へと、柔い緑の瞳を向け、優しく紡ぐ。
「だから、深く息を吸って。どうか、落ち着いて……」
そんなアルノルトの声に、まだ震えてはいるものの顔をあげたルージュを。
そっと抱き寄せてあげるのは、ヴィオレッタ。
迫り来る攻撃を体を張って受け止めんと位置取りながら、周りの光景を見えないようにしてあげて。
展開するのは、インヴィジブル・イグジスト――これでヴィオレッタに触れている限り、ルージュの姿は敵には視えない。
そして感じる疲労をみせず、ヴィオレッタも優しくルージュへと声を掛ける。
「ねえ、ルージュ……貴女の楽しかった思い出を私に聞かせて。素敵な思い出だけを教えて」
「たのしかった、おもいで……」
ルージュは頭をそっと撫でてくれるヴィオレッタの声に、少しだけ考えて。
「……おにいちゃんがね……白いおはなで、冠をつくってくれたの」
失っていた記憶を辿るように、ぽつりとそう答える。
まだ震えてはいるけれど。叫んで取り乱すことは今のところなくなったルージュに。
藍と紫の輝きを纏うふたつの宝珠をそっと細め、ヴィオレッタは彼女へと告げる。
「私たちを信じて。そうしたら私は貴女に……希望をあげる」
そんなヴィオレッタは、所有者に不幸な最期をもたらすとされた、希望の宝珠だから。
ルージュが落ち着いてくれれば、後はオウガを仕留めるだけ。だからヴィオレッタは、少女を落ち着かせることに専念する。
それまでのオウガへの攻撃は、きっと他の皆がうまくやってくれるだろうから。
そんなルージュの目が、戦場から逸れたことを確認しながらも。
少女から見えない位置取りをし、アルノルトが姿を変えたのは……真紅の瞳のヴァンパイア。
(「この姿はあの娘のトラウマを更に抉りかねないだろう」)
彼女の言う『こわいりょうしゅさま』は、きっと今の自分と似たような姿をした者だろうから。
だから、常に彼女の視界に入らないように……入っても『そう』だと判らないように立ち回るアルノルト。
迫り来る蝙蝠も、ヴァンパイアと化した彼にとっては眷属のようなもの。
その牙が剥く前に、戦場へと解き放たれたのはVictoriaとLienhard。
ナイフ形状の戦闘用処刑道具と異端の血を啜る呪われた黒刃の黒剣が、敵の血を啜り容赦なく傷口を抉って。
オウガを串刺しにせんと、唸りを上げる。
「くっ! ああもう、苛々するなぁ!」
このシナリオは全部没だ! そう向けられた衝撃に顔を顰めながらも。
ストーリー・テイラーが放つのは、大きなハサミを持った小型のオブリビオン。
その全てを見切り避けることはできなかったが、己の血さえもVictoriaの糧とするアルノルト。
リリスも、敵の攻撃を凌いで見せる事でルージュを勇気づけられればと。
自分の存在を少女へと示すように、纏うプリズムライトをひらり翻して。
「ルージュの物語はルージュ自身で作るものよ」
豪快に振り下ろした魔剣で、オブリビオンの幻影を薙ぎ払っていけば。
「もう大丈夫だ、偽物は消えた。あとは俺達に任せろ!」
白薔薇を染めていた最後の炎を振り下ろした手刀で消し去り、ルージュを安心させるように声を上げる通。
けれど、そんな声を聞いて、鼻で笑うストーリー・テイラー。
「はは、ここはボクの物語の舞台だよ? 消えてもまた生み出せばいいだけ」
そして本を開き、再び少女のトラウマを抉らんとするけれど。
「炎や蝙蝠の再生? お見通しだ」
オウガが幻影を生み出すのよりも早く、通が戦場へと投じたのは、11本の棒手裏剣。
「……!」
帯電性の高い鋭き刃は、通の纏う痺れるような雷撃を帯び、突き刺さった敵の動きを阻害して。
「お前の攻撃、一つも通しやしねえ!」
――三戦、そして掌を前に。
敵をおびき寄せ取るのは、絶対防御を誇る前羽の構え。
その攻撃を寄せ付けぬ構えで守るべき少女を庇いながら、通は仲間へと託す。
「――兄ちゃん達任せた!」
その声に応えるかのように刹那戦場に具現化したのは、投擲短剣ウォシェレ。
そして創造主の菖蒲が、散れ、と短く紡げば。
戦万で成された刃が爆ぜる棘と化し、激しい爆発音が戦場を揺るがして。
「しかし、面白いな。彼奴はどうにも「頭」ないし「首」にこだわる殺し方をしているな」
――それは、そこを狙えということかな?
瞬間、何処へも――と。眼前の敵を菖蒲が斬らんとすれば発生するは、虚空からの斬撃。
「……っ!」
その鋭き『涯無』の閃きが。
まさにオウガの首を刎ねんと、容赦なく戦場に繰り出される。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
篝・倫太郎
【HSC】
ルージュ落ち着けンのとその身の安全はザザに任せる
ザザの言葉にルージュが落ち着くかどうかは判んねぇ
けど、きっちり片ぁ付けねぇとな
拘束術使用
視界に入る攻撃範囲内の召喚されたオブリビオンを鎖で攻撃
りかや他の猟兵が召喚させちまった対象も全部、だ
一体たりとも逃さねぇ
俺自身は華焔刀で範囲攻撃のなぎ払い
刃先返して2回攻撃
攻撃に関しては見切りと残像で回避
回避が間に合わねぇ場合はオーラ防御で防ぐ
防ぎ切れない場合は咄嗟の一撃で相殺を狙ってく
フェイントを交えて拘束術も継続して使用して
テイラーの元までの道を切り拓く
りか!ガツンと一発殴ってこいッ!
ばぁか、何がヒーローだよ、ザザ
お前の出る幕なんぞ残してねぇぞ?
ザザ・クライスト
【HSC】
「ルージュ、大丈夫だ。問題ねェ」
戦いは二人に任せて語りかける
【勇気】と【覚悟】を微笑みに代えて優しく穏やかに話そう
ルージュは全力で【かばう】
「ハッキリしてるコトがある。お前サンの兄貴は無事だ」
もし捕まえるなりしてンなら、ココに連れてきてオレ達を脅せばイイ、そうだろ?
タブン兄貴も同じように戦ってるが、助けに行くならココが正念場だぜ
武器を振るうだけが戦いじゃねェ、信じるコトだって戦いだ
兄貴を信じろ、兄貴が信じてるお前自身を信じろ
「オレ達のコトはこれから信じてくれりゃイイさ」
ウインクして戦闘に参加
【ブラッド・ガイスト】を使用して【援護射撃】
「遅れてくるのはヒーローのお約束だろォが!?」
百合根・理嘉
【HSC】
ルージュと話すのはザザに任せる
恐慌状態、落ち着きゃ良いけど
くっそ!ムカつく
ルージュから出来るだけ離れた状態で交戦
バトルキャラクターズ使用
ルージュが射程範囲内に居る状態で無差別攻撃なんぞ仕掛けられたら
堪ったもんじゃねぇからよ
俺自身はBlack Diamondを手足に纏って戦闘
範囲攻撃的なのは苦手だけど
漸く一撃一打の重さはモノになってきてンだ
攻撃に使う手足に、鎧砕きと鎧無視攻撃
どちらも乗せて、確実に敵仕留めてくー
敵の攻撃は見切りと残像で回避
最悪にーさんらを身代わりして防ぐぜ
わぁってる!
ちょっくら、ぶん殴って来る!
お前とザザの分もな!
遅い、遅いぜ、ザザ
美味しいとこは俺がもらっちまったぜー?
大人でも、力をもった猟兵でさえも、トラウマを抉られたら辛いのに。
「! いやぁっ!!」
そう声を上げて震えているのは、まだ10歳の少女。
その苺のような赤の瞳を支配してるのは、恐怖のいろ。
「くっそ! ムカつく」
そう理嘉はぐっと拳を握りしめ吐き出すも。
(「恐慌状態、落ち着きゃ良いけど」)
ルージュと話すのはザザに任せ、戦場にバトルキャラクターズを展開、にーさんらを再び戦場へと喚びながら。
少女からできるだけ離れた位置取りで敵を迎え撃つ。
(「ルージュが射程範囲内に居る状態で無差別攻撃なんぞ仕掛けられたら、堪ったもんじゃねぇからよ」)
「必要ないキャラクターは引っ込んでろ!」
それと同時に、本の頁で出来た大型オブリビオンの群れがオウガの手によって生み出され、無差別に暴れんと猛り吼える。
倫太郎も理嘉と同様に、取り乱してしまっているルージュを落ち着けることとその身の安全を、ザザへと託して。
(「ザザの言葉にルージュが落ち着くかどうかは判んねぇけど、きっちり片ぁ付けねぇとな」)
一瞬、少し心配気に琥珀色の瞳を向けるけれど。
自分がやるべきことを、成す為に。
――縛めをくれてやる。
視界に入るオブリビオンに片っ端から衝撃を与えるべく、災いを縛る見えない鎖を解き放つ。
理嘉や他の猟兵が召喚させた対象も全部。
「一体たりとも逃さねぇ」
倫太郎は今度は、描かれた黒塗りに舞い踊る焔のように、多くの敵を薙ぎ払わんと立ち回って。
敵の只中にあり回避が間に合わず鮮血がはしるも、纏う防御の気でその傷は浅い。
そして襲い来るオブリビオンの攻撃を咄嗟の一撃で相殺し、刃を振るうフェイントをかけつつ、再び成した鎖で敵の意表を突いていく。
そんな多くの敵を巻き込むよう動く倫太郎とは逆に。
理嘉は己の手足に硬度を持つ闇色を纏い、漸くモノになってきたという一撃一打の重さを活かして。
敵の防御ごと砕きその護りを無視するほどの力を乗せて、確実にオブリビオンを倒していく。
「ああもう、苛々するなぁ! このシナリオは全部没だ!」
強力なオウガであるストーリー・テイラーは自らの身勝手な物語へと筋書きを変えるべく、次々と敵を生み出していくけれど。
にーさんらが立ちはだかり、理嘉にはその攻撃は届かない。
そんな二人に戦闘は任せて。
「ルージュ、大丈夫だ。問題ねェ」
先程は悪党面だとか言われていたザザであるが。
その微笑みに宿すのは、勇気と覚悟。そして全力で少女を庇いながら、優しく穏やかに声を掛ける。
「ハッキリしてるコトがある。お前サンの兄貴は無事だ」
もし捕まえるなりしてンなら、ココに連れてきてオレ達を脅せばイイ、そうだろ? と。
そう告げるザザに、おにいちゃんはぶじなの? あえる? と。
怯え切っていたルージュの瞳が微かな輝きを取り戻して。
「タブン兄貴も同じように戦ってるが、助けに行くならココが正念場だぜ」
――武器を振るうだけが戦いじゃねェ、信じるコトだって戦いだ。
「兄貴を信じろ、兄貴が信じてるお前自身を信じろ」
しっかりとルージュの瞳を見て、そう紡ぐザザ。
「おにいちゃんをしんじて、じぶんもしんじる……できる、かな?」
そうぽつりと呟いたルージュに、ああ、とザザはニッと宿した笑みを返してから。
「オレ達のコトはこれから信じてくれりゃイイさ」
ウインクして、戦闘に参加するべくバラライカKBN18を手にすれば。
「りか! ガツンと一発殴ってこいッ!」
「わぁってる! ちょっくら、ぶん殴って来る! お前とザザの分もな!」
一瞬開けた元凶への道を見逃さずに。
「く……!」
すかさず地を蹴った理嘉の漆黒の一撃が、オウガへと見舞われる。
刹那、派手にぶっ放されるのは、殺戮捕食態に変化させた短機関銃。
「遅い、遅いぜ、ザザ。美味しいとこは俺がもらっちまったぜー?」
周囲の敵へと弾丸をばら撒くザザに、そう理嘉は笑んで。
「遅れてくるのはヒーローのお約束だろォが!?」
「ばぁか、何がヒーローだよ、ザザ。お前の出る幕なんぞ残してねぇぞ?」
倫太郎も幻影の蝙蝠や炎を薙ぎ払いながらも、そう思わず笑って返すのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
栗花落・澪
僕は主な戦闘は他の猟兵に任せ
【催眠】効果のある子守唄の【歌唱】を響かせる
眠らせるためじゃない
ルージュさんの心を落ち着かせるために
そして小さな【手を繋ぎ】
ルージュさんの目を見ながら
今貴方は1人じゃない
僕達がいる
ここに…側にいる
怖かったら目を瞑っても
耳を塞いでいてもいい
貴方もお兄さんも、僕達が護るから…
ね、信じて
【オーラ防御】で守りつつ戦況を【見切り】
隙があれば【空中戦】の機動力で
ランダム位置に★花園を複数生成しては護りに戻る
更に敵の挙動から動きを予測し【指定UC】を発動
進行方向を妨害するように木々を生成し行動範囲を制限
いずれかの花園上に誘導したら
【破魔】の花弁を風の【全力魔法】で舞い上げ斬撃
逢月・故
あー物騒だね、この国は
平和で愉快な気狂いだらけのオレの国を見習いなよ
迷子のアリスは猟兵に助けられながら苦難を乗り越え、元いた場所に帰って兄と再会
それでめでたしめでたし、さ
この世界で至極在り来りで使い古されたバッドエンドを望むなんて、君、創作の才能がないんじゃないかい?
もっと鮮やかに、目の覚めるような世界に変えてあげようか
【恐怖を与える】で程よく煽っておこう、無力なマドモアゼルよりオレの方が良い獲物さ
It's Showtime!
高らかに指を鳴らせば舞い踊るトランプ
想像力と魔力さえあればなんだって出来る、それがオレさ
UCトランプを【投擲】で腕に狙い定めて【部位破壊】
駄作を綴る腕は要らないよね?
泉・星流
【優しさ】使用
ルージュを抱きしめ耳元で
「大丈夫だっ!!…今は僕達がいるっ!!」
この光景が過去のものなら、『兄妹で生き抜いたのだろう』
その事を踏まえた上で
「君を心配して探しているに決まってる…再会したら離れていた間の君の物語を話してあげると良い」
トラウマ
本音はここで乗り越えてほしいが…
「きついなら…目も耳も塞いでいてくれて良い…」
絶対に僕(達)が守るから…と
戦闘
(兄:ブランの代わりに)ルージュを守る事に専念
BMMを自分とルージュの周辺に旋回させる
【範囲攻撃】【属性魔法】【全力魔法】
その防壁に捕まる・抜ける関わらず、武装『BSG』で攻撃
【クイックドロウ】【範囲攻撃】…ときに【零距離射撃】
この世界にやってきた当初は綺麗に忘れていた、過去のトラウマ。
それは今、白き薔薇の花園に映されている、小さな少女の脳裏に焼き付いて離れない光景。
幼きアリスがこの世界から脱出できる扉を察知すると同時に、皮肉にも、忘れていたトラウマが少しずつ彼女に蘇ってきているのだ。
村を焼いた炎が渦巻き、蝙蝠が飛び交う戦場。
「……ッ!」
堪らずにぎゅっと苺の如き赤の瞳を閉じるルージュ。
けれど、そんな彼女の恐怖を和らげるかの如く。
響き渡るのは、まるで子守唄のような、優しくて美しい澪の歌声。
でも子守唄のように心地良いけれど、それは眠らせるための歌ではなく、怯える少女の心を落ち着かせるための響き。
そしてふわり、小さな手を取って。そっと恐る恐る再び開いたつぶらな真紅の瞳を見つめ、澪は歌うように紡ぐ。
「今貴方は1人じゃない。僕達がいる。ここに……側にいる」
少女の心を包み込むのは、澪が纏う花のような甘い香りと優しい言の葉。
そして自分だけを映す幼き瞳を琥珀の双眸で見つめ返し、続ける。
「怖かったら目を瞑っても、耳を塞いでいてもいい。貴方もお兄さんも、僕達が護るから……」
ね、信じて――って。
そして澪は守りのオーラをその身に纏い、戦況を見切りながら。
まるで魔力の風に乗るかように、翼が生えた靴で大きく地を蹴って。
ばさりと背中の翼を羽ばたかせ、白薔薇の花弁舞う天へと舞い上がれば――かざされた花の如き聖痕の魔力が戦場に成すは、花畑。
いや、生み出されたのは、咲き誇る花々だけではない。
――決して逃がさない。
戦場を舞い飛ぶ蝙蝠の行動範囲を制限する美しい森が生成され、牙剥く闇色の群れを花咲かせた場所へと誘えば。
舞い上がる虹色の煌めきがその動きを封じ、刹那、全力魔法で巻き起こる破魔の花弁の嵐が夜を飛ぶ羽を斬り裂いて撃ち落としていく。
そして澪が天から沢山の花を咲かせている間に。
「大丈夫だっ!! ……今は僕達がいるっ!!」
ルージュのフォローに回るのは、星流。
眼前の光景は、少女にとって思い出したくないものだろう。
けれど、だからこそ――そんな苛酷な状況下を生き抜いてきた双子の兄妹。
それを踏まえた上で、星流は優しさをもって、ルージュへと声を掛ける。
「お兄さんも、君を心配して探しているに決まってる……再会したら離れていた間の君の物語を話してあげると良い」
そしてそっと、少女を見つめる赤の瞳を細めて。
負ったトラウマ……本音はここで乗り越えてほしい、そう星流は思うけれども。
「きついなら……目も耳も塞いでいてくれて良い……」
震えている迷える幼きアリスに、約束する。
絶対に僕が――僕達が守るから……と。
そして天より降りてきた澪にルージュを任せ、星流は少女に告げたことを今度は行動で示すべく。
少女が頼りにしている兄の代わりに、彼女を守ることに専念する。
――壊したり傷つけたりするばかりじゃ無い……こういうのも使えないと駄目だっていうのを教えてあげる。
撃ち出された高粘着力の粘液は殺傷能力はないが、強力な拘束を可能にする魔力弾。
その拘束魔力弾が、飛び交う蝙蝠の残党を確実に絡めとって。
戦場を刹那流れるのは、箒星のように煌めく軌跡。
周辺魔力により成した散弾銃の弾丸が、少女のトラウマを着実に撃ち落としていく。
そしてその弾丸が、悲劇を紡がんとする悪趣味なオウガにも向けられて。
「おっと、その展開は無しだ」
まるで物語の先を読んだかのように、ひらり躱したストーリー・テイラーだけれども。
「あー物騒だね、この国は。平和で愉快な気狂いだらけのオレの国を見習いなよ。迷子のアリスは猟兵に助けられながら苦難を乗り越え、元いた場所に帰って兄と再会。それでめでたしめでたし、さ」
さらに物語を紡ぎ変えるかの如くそう口にした故は、ふうっとひとつ息をつきつつオウガを見遣って。
「この世界で至極在り来りで使い古されたバッドエンドを望むなんて、君、創作の才能がないんじゃないかい?」
煽るように大きく首を傾げてみせながらも、手品のようにパッと手の中に現れたトランプをぱらりと広げ続ける。
「もっと鮮やかに、目の覚めるような世界に変えてあげようか」
――It's Showtime!
パチンと、高らかに時計兎が指を鳴らせば、行進するかのように舞い遊び踊るトランプたち。
「想像力と魔力さえあればなんだって出来る、それがオレさ」
無力なマドモアゼルよりオレの方が良い獲物さ……そう、その瞳でオウガの姿をを捉えれば。
瞬間、悪趣味な物語を紡がんとするその腕を狙い、魔力を帯びた舞い踊る大量のトランプが、一斉に鋭き刃となる。
「……っ!」
そして宣言通り、鮮やかな彩を飛沫かせる敵へと、一見すると無邪気に見える笑みを向け、故は紡ぐ。
――駄作を綴る腕は要らないよね? って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
夜彦(f01521)と行動
【WIZ】ルージュを導きます
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「ルージュ、あなたにしかできないことがあります」
それは”自分の扉”を探すこと、敵と戦うのは私達が引き受けましょう
ブランなら無事です。お兄さんに会う為にも力を貸して下さい
「夜彦、あなたと共に舞いましょう」
六禁を振るい共に前で戦います
現れる大小のオブリビオンを『破魔』の力で打ち砕く
夜彦の死角を『かばう』
重傷以上で【不思議な星】
「私たちも少しは良い所を見せましょうか」
夜に星が舞う二人の『存在感』でルージュを励ます
黒瘴の舞です
月舘・夜彦
マリス殿(f03202)と参加
ルージュ殿の心を乱すのは村を焼かれ両親を亡くした事
彼女の世界はダークセイヴァーに近い所なのかもしれません
ですが話を伺うに、兄君とは逸れただけで彼も殺されたわけではない
ルージュ殿に少しでも希望を持たせてあげなくては
その為には我々の戦う事、行動にて示す
良い所を見せなくては、ですね
基本は2回攻撃、併せ抜刀術『風斬』
ハサミのオブリビオンへは攻撃力重視して早期撃破
オブリビオンの群れへは攻撃回数を重視して一掃
相手に合せて手数を決める
敵の攻撃は残像・見切りより回避、カウンターによる斬り返し
私達は貴女達の情報を得て此処へ来ました
まだ助けられる、その可能性があるから此処に居るのです
村を全て焼き尽くさんと燃え盛る炎に、闇の世界を飛ぶ蝙蝠……白き薔薇の花園に広がる幻影。
そんな眼前の風景をした世界に、夜彦は心当たりがあった。
(「ルージュ殿の心を乱すのは村を焼かれ両親を亡くした事。彼女の世界はダークセイヴァーに近い所なのかもしれません」)
ルージュが、いや双子が元居たと思われる世界。
その破滅へと向かう絶望の世界は、常に深い夜と闇で覆われているけれど。
「ルージュ、あなたにしかできないことがあります」
少女の苺色の瞳に宿るのは、眩いばかりの星の輝き。
祈りを捧げた、愛と星を司る聖者の星辰の片目に光が灯れば。
全身から光が放たれ、星の輝きと煌めきがマリスの身に満ち溢れる。
そしてマリスの言う、ルージュにしかできないこと。
それは――『自分の扉』を探すこと。
「敵と戦うのは私達が引き受けましょう、お兄さんなら無事です。お兄さんに会う為にも力を貸して下さい」
「……おにいちゃんに?」
ホント? と。恐怖に染まっていた少女の瞳に耀くのは、小さな希望の星。
話を聞くに、ルージュの目の前で死んだのは、両親だけ。
(「兄君とは逸れただけで彼も殺されたわけではない。ルージュ殿に少しでも希望を持たせてあげなくては」)
その為に自分が、駆け付けた猟兵ができること――それは、行動にて示すということ。
……良い所を見せなくては、ですね、と。
スラリと抜き構える刃は、夜天に弧を描く曇り無き銀の月の如し。
そしてその銀月の傍らで光輝く、愛を宿す聖なる星。
「夜彦、あなたと共に舞いましょう」
まるで、星屑や桜花弁を舞い遊ばせ輝かせるかのように。
刹那ひらりと戦場の前線にて翻されるは、星の欠片を鍛えたとされる頑丈な扇。
「ああもう、苛々するなぁ! このシナリオは全部没だ!」
そう負けじと、ストーリー・テイラーは苛立つように吐き捨てて。
戦場へと、複数の大きなハサミを持ち小型のオブリビオンを放つけれど。
月の如き冴えた閃きをもって、大きなハサミ諸共、夜彦が敵を斬り伏せていく中。
翻る扇が破魔の力で小型な敵を打ち砕き、夜彦の死角をカバーするマリスは。
「私たちも少しは良い所を見せましょうか」
――黒瘴の舞です、と。
夜に星が舞う二人の『存在感』でルージュの目を惹き励ますように、星を散りばめ立ち回って。
刹那、戦場に生じるは、風の如く鋭き一閃。
攻撃力を重視し鋭さを増した居合斬りが一閃、そしてまた一閃と立て続けに敵を斬り伏せていく。
そしてマリスと共に戦場を舞う様に、風の斬撃を生む夜禱を振るいながら。
実直なる美丈夫は、行動と言の葉で、迷える少女へと紡ぐ。
「私達は貴女達の情報を得て此処へ来ました」
まだ助けられる――その可能性があるから此処に居るのです、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】カガリ、狐珀殿と
ルージュ殿の辛い過去、それを穿り返しあまつさえ苦しむ姿を見て喜ぶとは
貴様のような輩は私が一番許しておけない存在だ!
ルージュ殿を狐珀殿に任せ、彼女を過去の悪夢から遠ざけようか
剣に悪夢を切り払う【祈り】を込めて【全力魔法】と【高速詠唱】にて【凍星の剣】を発動
氷【属性攻撃】で敵はもちろんの事燃え盛る炎を沈め、飛び交う蝙蝠を氷漬けにする
少しでもルージュ殿の心が落ち着くように、ただ氷漬けるだけでなくこの花園に似合う花の彫像としよう
だがいくら落ち着かせることができたとして元凶をなくさなければ意味がない
あぁ任せてくれ、カガリ
この光景を見せる敵、貴様を我が剣にて叩き斬ってくれる!
吉備・狐珀
【ヤド箱】カガリ殿、ステラ殿と参加です
随分と悪趣味な筋書きを思いつくものですね。
ルージュ殿がこれ以上恐怖に蝕まれないためにも貴方を倒します。
UC【稲荷大神秘文】で強化。ステラ殿の【凍星の剣】を予想し回避行動をとろうとするなら、
その隙をついて人形で【暗殺】を仕掛けます。
攻撃が当たれば御の字、当たらなくてもステラ殿が詠唱する時間がとれればいい。
ルージュ殿、消せない炎はないし追い払えない蝙蝠も存在しません。
現に貴女が怖いと怯えていた炎も蝙蝠もステラ殿があの様な美しい花に変えてくれましたよ?と【優しく】【手を繋ぎ】ながらなだめて、ルージュ殿の正気を取り戻します。
出水宮・カガリ
【ヤド箱】ステラと、狐像の(狐珀)と
物語として苦痛を思い描き、筋書きを実行する
作家がどのような物語を書こうと自由だが、それは紙の上の話だ
作り手が直接、物語を実行している時点で――お前は「展開」とやらに囚われてしまったのに
おかしなことをするな?
虚構と現実の境はこの城壁にて
物語の展開を読む力を、この壁の内では拒絶する(【追想城壁】)
所詮ここに「登場した」時点で、お前は「作家」でなく「登場人物」になってしまったのだ
虚構の登場人物に、現実での居場所はない
敵を煽る事で、こちらから近付きつつ城壁の範囲内へ留め置く(挑発)
城壁外へ離脱せぬよう、不可視にしておいた【籠絡の鉄柵】を背後から絡ませる
――ステラ!
白薔薇の花弁と共に戦場に舞うのは、村を焼き尽くす猛火と飛び交う無数の蝙蝠。
少しずつ元居た世界を思い出すたびに、ルージュの中で蘇ってくるトラウマ。
そしてそれに追い打ちをかけるように、幻影を生み出している元凶。
「可哀想なアリス。芋虫に頭を食べられていれば、こんな辛い思いはしなかったのにね?」
くすりと笑む――ストーリー・テイラーというオウガである。
「余計な邪魔が入ってプロット通りにはいかなくなったけど。これはこれで、もっと救いようのない物語が描けそうだよ」
「……っ!」
瞬間、オウガの生み出した幻影の炎と蝙蝠が、再び戦場に解き放たれて。
恐怖に顔を引きつらせ、目と耳をぎゅっと塞いでしゃがみ込んでしまう少女。
そんな小さなアリスの様子に堪らず同時に声を上げるのは、ステラと狐珀。
「ルージュ殿の辛い過去、それを穿り返しあまつさえ苦しむ姿を見て喜ぶとは。貴様のような輩は私が一番許しておけない存在だ!」
「随分と悪趣味な筋書きを思いつくものですね。ルージュ殿がこれ以上恐怖に蝕まれないためにも貴方を倒します」
そんなふたりと共に、カガリも敵を倒すべく戦場に位置取らんとしながら。
自分勝手な悲劇を描こうとしている敵へと、紫を帯びた視線を投げる。
「物語として苦痛を思い描き、筋書きを実行する。作家がどのような物語を書こうと自由だが、それは紙の上の話だ」
紙の媒体で悲劇というものは沢山存在するし、その結末だからこそ美しいものも多く存在する。
けれども、それと今回の眼前の光景は、また別の話だ。
カガリは自らの手で強引に筋書きを操らんとする敵を見遣り、金色の髪を小さく揺らして首を傾ける。
「作り手が直接、物語を実行している時点で――お前は「展開」とやらに囚われてしまったのに」
――おかしなことをするな? と。
その時点で、物語の語り手として、たかが知れている。
「おっと、その展開は無しだ」
けれど、まるで先のストーリーを読むかのようにそう呟いて。
ストーリー・テイラーは自分の言いように物語を進めようとするけれど。
「天狐地狐空狐赤狐白狐 稲荷の八霊五狐の神の光の玉なれば 浮世照らせし猛者達を守護し 慎み申す」
狐珀の祝詞が再び戦場へと響き渡り、聞く仲間皆の戦闘力を増強させる中。
物語の筋は変えさせない、と。
敵の隙をつき暗殺せんと密やかに戦場を躍るのは、大切な魂を秘めた絡繰人形。
「チッ……!」
オウガはそんな展開を読み、迫り来る人形の攻撃を躱すけれども。
攻撃が当たれば御の字、当たらなくても問題はない……それは、ステラが詠唱する時間を稼ぐための時間稼ぎだから。
――凍てつき輝け、我が星よ。
狐珀が敵を惹きつけている間、ルージュを過去の悪夢から遠ざけようと、ステラは祈りを込めて。
高速詠唱による全力の魔力をもって、青き流星の魔剣に凍星の煌めきを宿せば。
「ルージュ殿、貴女のためにこの花園に似合う花を咲かせましょう」
騎士然とそう守るべき少女へと声を掛けると同時に、幼き心を抉らんとする炎や蝙蝠へと振るわれる凍星の閃き。
少女を恐怖に陥れるものを氷漬けにし、戦場に氷の花の彫像を咲かせていくステラ。
「ルージュ殿、消せない炎はないし追い払えない蝙蝠も存在しません」
そんな様子を苺の如き瞳に映すルージュを、狐珀は優しく宥める様に。
「現に貴女が怖いと怯えていた炎も蝙蝠もステラ殿があの様な美しい花に変えてくれましたよ?」
取り乱していた少女の心を落ち着かせるべく、そっと小さな手を取る。
そしてルージュが少し落ち着いたのを確認しながらもカガリが展開するのは、周囲を覆う城壁の幻影。
――されど亡都の扉は此処に在り。
「所詮ここに「登場した」時点で、お前は「作家」でなく「登場人物」になってしまったのだ」
……虚構の登場人物に、現実での居場所はない。
カガリは煽るようにそうはっきりと、身勝手な物語の紡ぎ手へと告げる。
そして虚構と現実の境を城壁にて明確化し、壁の内に敵を留めて。物語の展開を読む力を拒絶する。
カガリは城壁外へ逃がさぬよう、不可視化させた籠絡の鉄柵を背後から絡ませながら。
「――ステラ!」
そう、戦場を美しく流れる青き耀きの名を飛ぶ。
傍に狐珀がついていることもあり、暴れて取り乱すことこそ現時点ではなくなったルージュだけど。
(「だがいくら落ち着かせることができたとして元凶をなくさなければ意味がない」)
「あぁ任せてくれ、カガリ」
己を呼ぶその声に応え、花園に舞う花弁と同じ白き髪を流星の如く靡かせながら。
「この光景を見せる敵、貴様を我が剣にて叩き斬ってくれる!」
「……くっ!」
ぐっと敵前へと踏み込んだステラの凍てつく冷気纏う一閃が、身勝手な語り手へと振るわれる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東雲・円月
双子の姉、咲夜(f00865)と共に
落ち着いて、大丈夫。お兄さんがいるんでしょう?
お兄さんはきっと無事だから
だから、お兄さんと会うために、お兄さんと一緒に遊ぶために
今はそのことだけを考えて……
お兄さんと会ったら何がしたい、どうしたい?
楽しいことを考えよう、大事なのはこれからだよ、ね?
……とは言うものの、弱点が皆目検討が付かない
考えるの苦手なんですよねェ……
取り敢えず、他の方々の攻略に期待しつつ、俺は敵を殴る、か……!
鋏なんかで俺の攻撃を防げるものですか!
咲夜、俺に合わせて攻撃して!
見切りと薙ぎ払い、ダッシュで相手に近づいてとにかく早く潰しましょう!
戦う姿をあの子に長く見せたくありませんので!
東雲・咲夜
🌸アレンジ可
弟のえっくん(f00841)と
ルージュちゃんの錯乱しはる姿が胸に痛い
怖いよね、苦しいよね…このまま何も出来ひんなんて嫌や…!
花の眷属に冀い
焔の中を回り廻る雨の華、紫陽花の花
そうしてふぅわり漂う甘い毒の匂い
今、此の子が逢いたいひとを魅せる幻
大丈夫、お兄ちゃんは死んでへん
この世界に一緒に来はったのですやろ?
うちらが怖いひとから守りますさかい
探しに行きましょう
あんさんは、如何やって此処へ来はったの?
炎は花、蝙蝠は…蝶?
せやったら安全なんは…そうや、水のある処はどうかしら
何や手掛かりがあるやも
おこしやす、白雪ちゃん
一緒に『扉』を探しましょう
数本の鋭利な氷槍をえっくんの援護に飛ばします
全てを焼き尽くさんと燃え盛る炎、不気味に飛ぶ闇色の蝙蝠。
そして飛ばされた知らない世界で頼りにしていた兄と逸れ、ひとり彷徨っていた幼い双子の妹。
「いやぁっ! おにいちゃん、どこ……っ」
怖いよね、苦しいよね……と。
恐怖に足が竦み思わず叫んで震えている双子の少女の気持ちが、咲夜には痛いほどよくわかる。
「落ち着いて、大丈夫。お兄さんがいるんでしょう? お兄さんはきっと無事だから」
だから、お兄さんと会うために、お兄さんと一緒に遊ぶために、今はそのことだけを考えて……と。
咲夜がふと瑞々しい藍眸に映すのは、そう優しくルージュへと声をかける双子の弟の姿。
「お兄さんと会ったら何がしたい、どうしたい?」
「おにいちゃんと、あったら……?」
円月の言葉にルージュはその顔をふと上げ、つぶらな瞳に微かな希望のいろを宿して。
……楽しいことを考えよう、大事なのはこれからだよ、ね?
こくりと頷き返しながら、円月は双子の姉へと視線を向ける。
離れるなんて――そんなこと、考えただけでも無理だから。
咲夜も、ふるりと甘い香りを振り撒くように桜銀糸の美髪をそっと揺らし、首を横に振って。
――このまま何も出来ひんなんて嫌や……!
花の眷属に冀えば……それにこたえるかの如く、様々な花々が戦場に咲き誇る。
焔の中を回り廻る雨の華、紫陽花の花。ふぅわり漂う、甘い毒の匂い。
それは、とても優しく侵す慈愛の香。
「大丈夫、お兄ちゃんは死んでへん。この世界に一緒に来はったのですやろ?」
……うちらが怖いひとから守りますさかい、探しに行きましょう。
そう、小さな少女へと寄添い微笑む咲夜。
そんな咲夜を見上げ、ルージュがこくりと頷いたのを見届けてから。
円月は二人を守るように前へと出つつも、そっと首を傾ける。
(「……とは言うものの、弱点が皆目検討が付かない。考えるの苦手なんですよねェ……」)
でも、この戦場にいるのは自分たちだけではないから。
得意な仲間に敵の弱点や攻略は任せて。
(「俺は敵を殴る、か
……!」)
自分がやるべきことを、やるだけ。
「ああもう、苛々するなぁ! このシナリオは全部没だ!」
「鋏なんかで俺の攻撃を防げるものですか!」
――咲夜、俺に合わせて攻撃して!
ストーリー・テイラーが気に食わない筋書きや自分たち予期せぬ登場人物を、小型オブリビオンの大きなハサミで斬り裂こうとする中。
上がる声に合わせたように刹那戦場を飛ぶ、数本の鋭利な氷槍。
そして咲夜が飛ばした冴えたる氷の援護を受け、素早く地を蹴った円月が繰り出すのは、力任せに振り回し叩きつける大斧の重い一撃。
刹那、轟音と共に戦場に刻まれる衝撃痕。
戦う姿を少女に長く見せたくないから……とにかく早く潰す。
そう、豪快に大斧を再び振るい立ち回る円月を支え、ルージュを守りつつも。
――喩え朔月の世と在りしも、儚き倖せの燈火を抱いて――おこしやす、白雪ちゃん。
咲夜は己と同じ声を持つ狐耳の幼女を戦場へと喚び、考えを巡らせる。
(「炎は花、蝙蝠は……蝶? せやったら安全なんは……そうや、水のある処はどうかしら」)
そして飛び交う炎や蝙蝠から視線をルージュへと映して、咲夜はこう訊ねてみる。
「あんさんは、如何やって此処へ来はったの?」
「……おにいちゃんと、にげてるときに……穴に、おちた気がする」
花に蝶、そして水。眼前の幻影はルージュのトラウマであると同時に、元の世界へと帰る手掛かりとなるかもしれない。
咲夜は、喚んだ白雪や双子の弟や猟兵の仲間たち、そして勿論ルージュと共に。
一緒に『扉』を探しましょう……少女が歩むべき未来の物語を正しく紡ぐべく。
散りばめられたピースを集めんと、戦場をもう一度、見回すのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルベル・ノウフィル
僕は真っ白狼になって、ふわふわ毛並でルージュ殿を包み込み、彼女を傷付ける外界からお守りしましょう
オーラ防御を纏い怖がらせないよう、優しく
僕には少女の体温と鼓動がわかります
この子にも伝わるでしょうか
この子の物語は始まったばかり
これからたくさん笑って、人と温もりを分かち合い、元気に生きていくのです
◆
攻撃は他の方にお任せしUCで星飴をふらせましょう
少女含む味方全員を対象に
僕は癒しましょう
いたいのいたいのとんでけ、と
僕は笑って甘やかな夢をふらせましょう
人はつらいものばかりでは生きていけないもの
目を逸らし、誤魔化し、痛みを緩和して、少しずつでも前に進めればよい
…この子はまだ10歳じゃないですか
吉柳・祥華
◆心情
怖い領主様?
炎はさておいて…蝙蝠?
既に発見されている『世界』から
いわゆる神隠しで此処へ飛ばされたのざんしかね…?
◆ルージュ
(聞こえているかは知らん)
ルージュよ、おぬしの兄の元にも猟兵が向かったと聞くぞ?
だから、兄は無事じゃろ。
もしかしたら、おぬしの帰りを既に待っておるかもしれぬぞ?
◆戦闘
とりあえず、動きでも止めておこうかのう
ボスは無理でも放たれた敵の群れの足止めぐらい出来るじゃろ
覚悟・気合い・オーラ防御・第六感・残像・見切り…で回避
生命力吸収などで回復を行い
属性攻撃・衝撃波・2回攻撃・なぎ払い・吹き飛ばしなどで近づく敵を排除
でもしておくざんしよ
場合によって
『陽気な~』の中に入ってもらう?
一見すると、メルヘンな雰囲気を醸し出しているけれど。
この世界で「アリス」と呼ばれる者たちは、肉を喰らうオウガの餌として「アサイラム」と呼ばれる場所から召喚された異世界人。
そして、すぐ傍で恐怖に怯える少女が居たらしき「アサイラム」とは。
(「怖い領主様? 炎はさておいて……蝙蝠?」)
「既に発見されている『世界』からいわゆる神隠しで此処へ飛ばされたのざんしかね……?」
他の猟兵たちと同じように、それは恐らく祥華も見知っている世界であるだろうと。
少女のこれまでの言動と眼前に広がる幻影から、推測する。
そんな中、ルージュをふわり包み込むのは、真っ白くてあたたかいふわふわ毛並み。
幼き少女のつぶらな赤き瞳に、もうこれ以上怖いものを映さないでいいように。
真白の狼と姿をかえたルベルは、少女を怖がらせぬよう優しく守りの気を纏いながら、迷えるアリスの小さな身体を覆ってあげる。
目の前の少女は恐怖で震えているけれど。じわりとその体温や鼓動は、ルベルには伝わっているから。
きっとルージュにも、同じ様に伝わっているはず。
紡ぐべき少女の物語は、色々な苦難や困難はあるかもしれないけれど、決して悲劇などではない。
(「この子の物語は始まったばかり。これからたくさん笑って、人と温もりを分かち合い、元気に生きていくのです」)
だからルベルたち猟兵は、この白薔薇の花園に赴いたのだ。ルージュの正しき物語を、未来に紡ぐために。
場合によってはと、少女への対処も考えてはいたが、今はひとまず落ち着いているルージュの様子を確認してから。
祥華は、戦場を飛び交う炎や蝙蝠の動きを止めるべく持てる技能を駆使し立ち回り、はしった傷も薙ぎ払った敵の生命力を奪い抜かりなく癒しつつ。
「ルージュよ、おぬしの兄の元にも猟兵が向かったと聞くぞ? だから、兄は無事じゃろ。もしかしたら、おぬしの帰りを既に待っておるかもしれぬぞ?」
そう、少女へと声をかけて。
「……おにいちゃんが?」
兄という言葉に反応を示した彼女へと頷きつつも、迫る敵を排除するべく龍が巻きついた柄を握り、波状の穂先に取り付けし月牙を振るう。
そして、敵の生命力を吸収するだけでは間に合わぬ傷を、たとえ負ったとしても。
――杯を逆さに、高虚より降り注ぐは夢の星粒。
白き薔薇の花弁が舞う空より優しく降るは、煌めき宿す夢の星雨。
ルベルは笑って、甘やかな夢を白の花弁舞う花園にふらせる。
いたいのいたいのとんでけ――って。
その金平糖の雨は、少女は勿論、戦場に立つ仲間をも癒して。
「わぁ……きれい」
恐怖に染まっていたルージュの瞳の中にも、煌めきの星を瞬かせる。
そんな、ようやく顔を上げ天へと視線を向けた少女の姿を映した赤の瞳を、優しく細めるルベル。
生きていく上で、つらいことや苦しいこと、かなしいことを、全て避けてなんて通れないけれど。
(「人はつらいものばかりでは生きていけないもの。目を逸らし、誤魔化し、痛みを緩和して、少しずつでも前に進めればよい」)
だって……今自分のふわふわ毛並みの中にいるこの子はまだ、10歳の少女なのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
狗衣宮・藍狐
◎
ティノちゃん(f19825)と一緒!
そんなストーリー全っ然可愛くなーい!
遊女の寝物語の方がまだマシよ!
ティノちゃん、こんな結末変えちゃおう!
まずはルージュちゃんを落ち着かせなきゃ…
飛び交う炎や蝙蝠にあたしのフォックスファイアを早業で混ぜて、即興のアートに仕立て上げる!
大丈夫、炎はキレイで怖くなんてない
だからお願い、落ち着いて…!
そしてそのまま狐火で敵を攻撃!
素敵なものほど形容の言葉って単純になるらしいわよ
あたしの素敵な狐火は、あなたの物語で形容しきれているかしら?
ティノ・ベアトリーチェ
藍狐ちゃん(f00011)と一緒!
むぅー!この人嫌-い
うんっ
ハッピーが一番だもんね!
何事も紅茶を飲んで落ち着くのが一番だよっ
紅茶の時間を使い
周囲の蝙蝠とか敵の行動力を落とす
ねね、ルージュちゃん
落ちついて、これ飲んでくれるかな……?
甘ーいアールグレイ
ストレス解消効果もあるし
私が淹れる事によって不思議な力が……あるといいなぁ!
デバッファーとして藍狐ちゃんを支援するんだ
そうやって自分の思うような物語を作って皆に認めて欲しいのかなー?
ストーリーテイラーだっけー?
物語の語り手だなんて大層な名前だけど
貴方はただの語り手の出来損ない(テイラーフェイリヤ)だよー?
とか挑発して気を引いたりもするよっ
白薔薇咲き誇る不思議の国の花園は、芋虫さえいなくなれば、美しい風景であると折角言えるのに。
舞い踊る白い花びらを無粋な炎と蝙蝠のいろで染めんとするのは、悲劇を勝手に紡がんとする語り手。
「さぁアリス。ボクの描く筋書き通り、苦しんでもがいて無力に死んでくれよ!」
それがボクの考えた完璧な悲劇のストーリーだから――!
そう高々に声を上げるオウガに、ティノと藍狐は同時にぶんぶんと大きく首を振る。
「むぅー! この人嫌ーい」
「そんなストーリー全っ然可愛くなーい! 遊女の寝物語の方がまだマシよ!」
たとえ悲劇の物語だとしても、儚い情緒や心情が込められていれば、それはそれで美しい。
けれど、眼前のオウガが身勝手に思い描いた筋書きは、可愛くも美しくも面白くもないから。
「ティノちゃん、こんな結末変えちゃおう!」
「うんっ、ハッピーが一番だもんね!」
笑って歌って、世界をキラキラに輝かせて。楽しく幸せになる物語の方が、ずっと素敵だもの。
そのためにはまず、この物語の主人公に、幸せな気持ちになってもらわなきゃ!
「ねね、ルージュちゃん。落ちついて、これ飲んでくれるかな……?」
オウガの生み出す炎や蝙蝠に怯えていた少女は、掛けられたティノの声に、一瞬だけびくっと身体を震わせたけれど。
向けられる笑顔と、ふんわり鼻をくすぐる良い香りに、ぱちくりと苺のような瞳を瞬かせてから。
そっと、ティノの淹れた紅茶に口をつけてみる。
「わ、甘くてあったかい……!」
「甘ーいアールグレイだよ! ストレス解消効果もあるし」
なんてったってこれは、ぴょっこりお耳の時計ウサギが淹れた、不思議で幸せな紅茶だから。
紅茶を楽しめないような無粋な存在は、お断り!
「は? そんなお茶会のシーンなんて、ボクの物語にはいらないんだけど!」
怖い炎や蝙蝠にではなく、ティノの淹れた紅茶へと視線を落とすルージュに、気に食わぬ顔のストーリー・テイラー。
苛々が募っている敵が、紅茶の不思議な効力で動きを鈍らせている間に。
――まずはルージュちゃんを落ち着かせなきゃ……。
「大丈夫、炎はキレイで怖くなんてない」
だからお願い、落ち着いて……!
そう思いを込めて、藍狐が戦場に生み出す数多の狐火は。
炎は炎でも、少女を怖がらせるような灯火ではなく……あっという間に戦場を舞い踊り染め上げる、即興のアートを彩るもの。
ただ乱暴に燃やし尽くし牙を剥かんと飛び交う無粋な炎や蝙蝠さえも。
可愛く美しく仕立て上げることが御役目のスタイリスト・藍狐の手にかかれば、たちまち芸術的な彩りに。
ティノはそんな美しい光景から、ふと悲劇を紡がんとイラついている敵へと視線を映して。
金色の髪を揺らしながら、ふと首を傾ける。
(「そうやって自分の思うような物語を作って皆に認めて欲しいのかなー?」)
けれど、一方的に不穏な悲劇の物語なんて、やっぱり認められないから。
「ストーリーテイラーだっけー? 物語の語り手だなんて大層な名前だけど、貴方はただの語り手の出来損ない――テイラーフェイリヤだよー?」
「なっ、必要ないキャラクターは引っ込んでろ!」
ティノの言葉に余計に苛立ったような声を上げて、戦場に本の頁で出来た大型オブリビオンの群れを解き放つオウガ。
けれども、ルージュが不思議な時計ウサギの紅茶を楽しんでいる今、やはりその動きは緩慢で。
ルージュを落ち着かせながらも、挑発や状態異常を敵に仕掛けるデバッファーとして、藍狐を支援する立ち回りをするティノ。
そして戦場に召喚された、本のオブリビオンの群れだけれど。
「物語には美しさも必要よ? だからこのワンシーンを美しく仕立ててあげる!」
刹那、紙で成されたオブリビオンたちが藍狐が操る炎に包まれて。
狐火がゆらり揺れ灯り白薔薇の花弁舞う戦場を、より鮮やかに彩っていく。
「素敵なものほど形容の言葉って単純になるらしいわよ」
作り手がただ身勝手に創作しても、その作品は結局、ただの独りよがりでしかない。
藍狐は悲劇のいろを、美しい炎で塗り替えていきながらも。
ゆるり波打つ銀髪を戦場へと靡かせ、仄かに炎に色づく青の瞳をそっと細める。
――あたしの素敵な狐火は、あなたの物語で形容しきれているかしら? って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
日隠・オク
【KORで参加
UCはサモニング・ガイスト ルージュさんを保護しながら霊を召喚し攻撃
ナイフ持ち構え
気を少しでも散らすことができれば
攻撃は盾になってでも当たらせません
そのための、素早い動きを
ルージュさん保護優先に動きます
声かけ試みます
ルージュさん村から出ましょう!
あなたはお兄さんと村から逃げた
お兄さんはきっと生きてます
生きていればきっと会えます
でもあのときルージュさんはお兄さんと一緒に逃げた、ここは一人で逃げちゃだめです
今は私たちが一緒です
村から外までどういけば出れますか?
思い出すんです
大丈夫です
ここは村じゃない
何度でも出れます
生きてお兄さんに会うんです!
私たちはあなたを助けます
アヤネ・ラグランジェ
【KOR参加】
状況は厳しいネ
ルージュを助けて元の世界に戻しても
今度はヴァンパイアに追われるだけ
どちらの道も塞がっているならいっそここで終わりでもいいかしら?
なんて、今は言わないよ
依頼の目的は彼女を「自分の扉」に連れて行くこと
扉の向こうに行くか止まるかはその後の話だ
ルージュを宥めるのは仲間に任せた
その子に届く言葉を僕は持たない
「悲惨な心象風景っていうヤツは見慣れているからネ」
自分で声に出して気づく
わずかに感じるこの苛立ちはシンパシーだ
ルージュと敵の間に立ち塞がり
ずるりと大鎌を取り出し構える
敵の攻撃回避を警戒して守備を重視
少しでも隙が見えたらUCで捕まえる
攻撃のチャンスだネ!
壱季・深青
【KOR参加】
ルージュ…お兄さん…きっと無事
だって…ルージュも…こうして無事
なら…お兄さんも…きっと大丈夫
ルージュが…信じてあげないと…お兄さん…かわいそう
敵は…ルージュを怖がらせてる…楽しんでる
だから…ルージュ…怒らないと
怖がるより…怒って…敵に…負けないで
大丈夫…ルージュには…俺たちが…いるから
仲間と連携を取る
「そんな…つまらない話…誰も読まない…見ない、よ」
前衛でギリギリまで近付いて【黒曜豪剣】を使用
『黒曜染まりし刃にて、宿りし魂の破滅望まん…』
【第六感】【野生の勘】を使用して、小型のオブリビオンの
動きに注視
ルージュの身の安全を守ることを最優先
(「…」「、」は適当で可)(アドリブ可)
織銀・有士郎
【KOR参加】
「悪夢はいつか終わる。ま、自分たちを信じて待ってな」
必ず悪夢を終わらせ、ルージュを救う……その誓いを込めて彼女の【手をつなごう】
少しの癒しと彼女の盾となる為、狸神様は引き続きルージュの傍に。
「さしずめ、お前さんがこわいりょうしゅさまってか……全然ヴァンパイアらしくないじゃないか」
【ダッシュ】で素早く接敵、【早業】にて抜刀術を叩き込む。
ルージュの防衛は狸神様や他の仲間に任せた。
自分は全力で目の前の敵を倒す。
敵の攻撃は【野生の勘】で【見切る】か、【武器で受け】てみよう。
もし無差別攻撃がルージュに飛んでいったら頼むぞ、狸神様。
多少のダメージは踏ん張るかね……誓いは果たさんと。
鏡彌・サクラコ
【KOR参加】
ルージュちゃんをなんとか支えつつ
敵をやっつけるでいす!
ルージュちゃん、しっかりするでいす!
サクラコ達の使命はルージュちゃんを無事に「自分の扉」までお連れすること
その扉の向こうできっとお兄様も待っています
意地悪な敵の言葉よりもサクラコ達を信じてくださいませ!
心象風景ということは
ストーリー・テイラーの力とは
幻の世界に相手を引き込んで好き勝手すること
もっと強い自分勝手力で上書きすることもできるかも?
UC展開
銅鏡でルージュちゃんと仲間を守ります
サクラコ自身は敵の範囲攻撃に備えて距離を取ります
本は読むものでいす
人を傷つけるためのものではないですねい!
ハクナキを遠距離で操り敵を攻撃します
白薔薇が咲くメルヘンの風景を、勝手に自分の悲劇の物語の色に染め変えようとしている無粋な語り手。
「可哀想なアリス。生きていても辛いだけなのに。ボクの筋書き通り、残酷に死ねよ!」
かなりイラついた様子でそう吐き捨てるストーリー・テイラー。
予期せぬ登場人物――猟兵たちのせいで、自分の筋書き通りにいかないことが気に食わない様子であるが。
眼前のオウガはふっと不穏な笑みを宿し、こう続けるのだった。
「例えまた筋書きが変わろうとも、紡ぎ手が誰であろうとも……そこの主人公のアリスがハッピーエンドを迎えられるなんて、まさかそう思ってるのか?」
だとしたらどれだけ脳内お目出度いの、と。ぱらりと本を捲りながら、鼻で笑う。
そんなオウガの言葉を冷静に聞いているのは、アヤネ。
(「状況は厳しいネ。ルージュを助けて元の世界に戻しても、今度はヴァンパイアに追われるだけ」)
ルージュの元居た世界は、十中八九、ダークセイヴァーであるだろう。
この世界でオウガの餌にならなくても、では、帰って彼女が果たして幸せに暮らせるのか。
アヤネには、それも難しく思えてならない。
それならいっそ――どちらの道も塞がっているなら、いっそここで終わりでもいいかしら……?
(「――なんて、今は言わないよ」)
向かう物語のエンドがハッピーかバッドか、そんなことはわからない。限りなくバッドに近いかもしれない。
けれど、何故自分たちが此処に赴いているのか。何を成す為にこの世界へとやって来たのか。
それは――ルージュを「自分の扉」に連れて行くため。
(「扉の向こうに行くか止まるかはその後の話だ」)
だからアヤネは自分がやるべきことを成す為に、仲間と戦場に立つ。
そして無粋な物語の主人公にされてしまったアリスを宥める役割は、皆に任せる。
(「その子に届く言葉を僕は持たない」)
「悲惨な心象風景っていうヤツは見慣れているからネ」
そう声に出してみて、そんな自分の言葉で、アヤネは気付くのだった。
オウガが戦場へと生み出すものは、少女の心の傷を抉るトラウマの風景。
このわずかに感じるこの苛立ちは――シンパシーなのだと。
そんな中、ナイフを持ち構え、素早く動きをみせるのはオク。
気を少しでも散らすことができれば……そう、戦場に古代の戦士の霊を喚び、繰り出しながらも。
(「攻撃は盾になってでも当たらせません」)
ルージュの保護を優先に立ち回って。
(「ルージュちゃんをなんとか支えつつ、敵をやっつけるでいす!」)
――サクラコ達の使命はルージュちゃんを無事に「自分の扉」までお連れすること。
「ルージュちゃん、しっかりするでいす!」
サクラコもそうきっちり、自分たちの目的を再確認しつつ。
「その扉の向こうできっとお兄様も待っています。意地悪な敵の言葉よりもサクラコ達を信じてくださいませ!」
トラウマに震えるルージュへと、声を。
そしてそっと小さなその手を取った有士郎は誓う……必ず悪夢を終わらせ、ルージュを救う、と。
だから彼女の心を少しでも癒し、その身を護るために、狸神様には引き続き盾として傍に居て貰うことにして。
自分は全力で目の前の敵を倒す――有士郎は炎と蝙蝠飛ぶ中、躊躇なく大きく地を蹴った。
今自分がやるべきこと。それは眼前の小さな少女を少しでも落ち着かせて、前を向いて貰うこと。
「ルージュ……お兄さん……きっと無事。だって……ルージュも……こうして無事。なら……お兄さんも……きっと大丈夫」
深青の紡ぐ言葉に、ルージュはまだ少し不安げに、けれども一筋の希望の光をその瞳に灯す。
「おにいちゃんも、無事……かな?」
「ルージュが……信じてあげないと……お兄さん……かわいそう」
深青はこくりと頷きながらも、少女の問いかけにそう返した後。
彼女を追い詰め、身勝手な独りよがりの物語を完成させんとする敵へと、一見眠たげにみえる青の眼を向けた。
その瞳に宿るのは、気怠さや諦めでは決してない。むしろ宿るのは、強い光だ。
「敵は……ルージュを怖がらせてる……楽しんでる。だから……ルージュ……怒らないと」
「てきに、おこる」
「そう、怖がるより……怒って……敵に……負けないで」
今まで、怖いと震えるばかりだった少女は、ぱちくりと瞳を瞬かせる。
トラウマを抉られ、そんな発想に今まで全く至らなかったけれど。
言われてみればそうだ、どうしてこのような目に遭わなければいけないのかと。
そんな怒りを糧に、少女は漸くその赤き瞳を、怒りの対象となるオウガへとはじめて真っ直ぐに向けた。
そしてナイフを振るい、飛び交う蝙蝠を斬り裂きながら。オクも少女へと声掛けを試みる。
「ルージュさん村から出ましょう! あなたはお兄さんと村から逃げた。お兄さんはきっと生きてます。生きていればきっと会えます」
少しずつ蘇っているルージュの記憶。
それは彼女にとって、トラウマであるかもしれないけれど。
「でもあのときルージュさんはお兄さんと一緒に逃げた、ここは一人で逃げちゃだめです。今は私たちが一緒です 」
村から外までどういけば出れますか? 思い出すんです、と。
オクは敢えてルージュに思い出させる。
「村から、どうやってにげたのか……」
悲しくて怖いことはあったけれど。兄と手を取り合って、逃げ延びた時のことを。
「おかあさんが、おしえてくれたの。みずうみのそばに、抜け道があるって……そこを通って、おにいちゃんと村からでたわ」
まだ思い出すのは辛いのか、ふと俯くルージュ。
だけど、オクは希望の可能性を紡ぐ。
「大丈夫です、ここは村じゃない 。何度でも出れます 。生きてお兄さんに会うんです! 」
――私たちはあなたを助けます、と。
そんな真摯な皆の声掛けに、まだ共に戦うとまではいかなくとも、少し落ち着きを取り戻した様子のルージュ。
そうなればあとは――眼前のオウガを、倒すのみ。
「必要ないキャラクターは引っ込んでろ!」
刹那、苛立った声と共に戦場を暴れまわらんとするのは、本の頁で出来た大型オブリビオンの群れ。
(「心象風景ということは、ストーリー・テイラーの力とは、幻の世界に相手を引き込んで好き勝手すること」)
……もっと強い自分勝手力で上書きすることもできるかも?
サクラコは眼前に迫るオブリビオンの姿にも全く臆することなく。
素早く展開するのは、ルージュや仲間たちを守る銅鏡を数多生み出すユーベルコード。
戦況を見極め、敵の範囲攻撃に備えて距離を取りながらも。
「本は読むものでいす。人を傷つけるためのものではないですねい!」
肩で切り揃えた白い髪の少女の人形、ハクナキを敵へと向かわせて。
頼むぞ、狸神様――無差別攻撃から少女を守ってくれると信頼を寄せる様に、狸神様や仲間へと一瞬視線を向ける有士郎。
そんな猟兵たちの攻撃に、ストーリー・テイラーは顔を顰めるけれど。
「く! じゃあそろそろ、とっておきの人物を登場させようか」
そう、不敵に紡いだ刹那。
「!! いやっ」
ぎゅっと瞳を瞑るルージュ。
そんな彼女を宥めつつも、猟兵が見遣る戦場に現れたのは、ひとりのヴァンパイアらしき者の幻影。
「さしずめ、お前さんがこわいりょうしゅさまってか」
「そんな……つまらない話……誰も読まない……見ない、よ」
けれども、同時に接敵した有士郎と深青の連携の刃が、すぐさまそれを叩き斬って。
「ああもう、苛々するなぁ! このシナリオは全部没だ……っ!?」
召喚されたオブリビオンの大きなハサミの衝撃に、傷を負うことは覚悟の上。
多少のダメージは踏ん張るかね……誓いは果たさんと、と。
素早く抜いた涼鳴の斬撃を敵へと叩き込む有士郎。
そして敵の前に立ち塞がったアヤネがずるりと取り出し手にしたのは、ウロボロスの大鎌。
「おっと、その展開は無しだ」
まるで物語の先を読んだかのように、ストーリー・テイラーは猟兵たちの攻撃を回避せんとするけれど。
そんな行動こそ、お見通し。
「――UDC形式名称【ウロボロス】術式起動。かの者の自由を奪え」
敵の攻撃回避を警戒し守備を固めていたアヤネは、敵に生じた隙を見逃さず。
自身の影から放った、複数の蛇に似た異界の触手でストーリー・テイラーの身を拘束して。
「……なっ!?」
「攻撃のチャンスだネ!」
そんなアヤネの声に応えるように。
――黒曜染まりし刃にて、宿りし魂の破滅望まん……。
刹那閃くは、漆黒の刃。
「!! ぐ……っ!」
間近まで距離を詰めた深青が放つ黒曜豪剣の斬撃が、オウガへと叩き込まれる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
城島・侑士
【愛娘、冬青(f00669)と】
この子は俺と同郷か
いま此処にいるよりはまだ安全ではあるが
あの世界も残酷なことを嫌というほど俺は知っている
無事に帰れたとしても…いや、今は言うまい
先ずはあの作家をなんとかしないとな
はう!娘に悪趣味な話と言われて父さん心にダメージ!
でもすぐにお父さんの書く話好き❤️と言われてすぐに気分が良くなる
❤️はついなかった?まぁいいじゃないか
ルージュを守りつつ敵へ斬り込む娘を【援護射撃】【2回攻撃】でサポートする
無差別攻撃が来たらルージュを庇い【盾受け】で凌ぐ
やれやれ、作家の八つ当たりはみっともないぞ?
冬青がつけた傷へとUC【千里眼撃ち】を用いて【傷口をえぐる】で追撃する
城島・冬青
【お父さん…城島・侑士(f18993)と】
小さい女の子に悪夢を見せて泣かせるとかサイテー
ルージュちゃん
さっきの怖いのは嘘なんだよ!騙されちゃダメ
悪趣味な話を書く悪者はお姉さん達がやっつけるから!
悪趣味な話でお父さんがさりげなく精神にダメージ負ってるけどお父さんの書く話も趣味がいいとは…正直(目を逸らし)
でも、お父さんの書く話は好きだから元気出して!
UC【廃園の鬼】発動し
そのまま【ダッシュ】でストーリーテイラーの懐に接近し斬りかかるよ
接近戦で注意をこちらに向けてルージュちゃんが狙われないようにするんだ
ハサミは【第六感】で軌道を予測
【残像】を駆使して回避するか避けるのが無理なら【武器受け】で凌ぐよ
白薔薇の花園に映し出される風景。
村を燃やす猛火に、飛び交う蝙蝠。
その光景は、まだ幼きアリスの少女の記憶であるというが。
(「この子は俺と同郷か」)
侑士は、自分の故郷の風景と似た幻影を映した菫青石の瞳をそっと細める。
オウガの餌としての運命しか待っていないこの世界よりはまだ安全かもしれないが。
(「あの世界も残酷なことを嫌というほど俺は知っている」)
無事に帰れたとしても……そう紡ぎかけて、侑士はふるりと微かに首を振る。
いや、今は言うまい、と。
「先ずはあの作家をなんとかしないとな」
そして菫青の視線を、悲劇を綴らんと躍起になるストーリー・テイラーへと向けた。
「小さい女の子に悪夢を見せて泣かせるとかサイテー」
冬青は軽蔑したようにオウガへと言い放った後。
くるりと橙色の髪を揺らし振り返って、怯えた様子の少女へと、力強く声を掛ければ。
「ルージュちゃん、さっきの怖いのは嘘なんだよ! 騙されちゃダメ。悪趣味な話を書く悪者はお姉さん達がやっつけるから!」
「……はう!」
その言葉に精神的ダメージを受けたのは、作家を生業とする父親の侑士!?
そんな父の様子をチラ見しながらも、お父さんの書く話も趣味がいいとは……正直、と。
ふと一瞬、目を逸らす冬青だけれども。
「でも、お父さんの書く話は好きだから元気出して!」
このままダメージを負われたままでもある意味厄介だから、そうフォローしておく。
そんな娘の思惑通り、お父さんの書く話好き❤️ というその言葉に、すぐに気分が良くなる父。
(「……ハートはつかなかった? まぁいいじゃないか」)
作家という想像力豊かでなんぼな仕事をしている侑士にとって、脳内変換や妄想はお手の物です!
そんなちょろい……もとい、元気を取り戻した父にルージュと背中を任せて。
――花髑髏の本当の姿を見せますね。
漆黒の吸血武器へと変化した花髑髏を握り、仲間が与えた衝撃に上体を揺らしたストーリー・テイラーの懐へと一気に接近せんと動く冬青。
「ああもう、苛々するなぁ!」
……このシナリオは全部没だ!
そう何度目か分からない没の声を上げ、オウガも負けじと、大きなハサミを持つ小型オブリビオンを解き放つけれど。
その軌道を予測し残像を駆使して避けながらも、向けられた鋭利な刃を花と髑髏の刀で確りと受け止めて。
「……!」
父の使い古された年代物のショットガンからの援護射撃に、敵が気を取られた一瞬。
オウガの眼前へと躍り出た冬青が放つは、強烈な斬撃。
その衝撃にさらに揺らぎながらも。オウガは今度は、本の頁で出来た大型オブリビオンの群れを戦場に喚ぶけれど。
ルージュを守りつつも、侑士は集中し確りと狙いを定めて。
「やれやれ、作家の八つ当たりはみっともないぞ?」
物書きが苛立っていては決して名作など生まれやしない、と。
娘のつけた傷を抉るように、的確に追撃を撃ち込んでいく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
アドリブ歓迎
──よう、やっと来たかい
癇癪持ちの能無し作家…ハッ、無様だな
悪ィけど、"脚本は俺が書く"
お前の筋書きじゃ観客は冷めちまってるからよ?
さて、ルージュ?
お前には一言だけ言っておくよ
「任せろ」
さぁさ、さぁさ…お立合い
これより見せますは「端役」の逆転劇
つまらない悲劇をひっくり返し
くだらない不幸にさようなら
【見切り】と【第六感】でUCの発動を予知
【早業】でUCを発動
奴のUCが効果を表す瞬間──【カウンター】の「反転」が発動する
全てを傷付ける攻撃が「全てを癒す治癒」に変ずる
そしてその「反転」を解析、応用することで
トラウマの「反転」も実現できる
──ルージュ
お前の視界は、嫌なもので満ちているかい?
金白・燕
参加者との共闘、アドリブは大歓迎
真の姿の詳細はお任せさせて頂きます
ルージュの目元をそっと覆って
彼女が暴れれば、優しく抱きとめて
彼女に攻撃されたとしても、それに耐えましょう
私には特に痛みなど存在しないのだから
私のアリス、お客様
君のお兄様も我らのような猟兵が助けに向かっている事でしょう
私のアリス
皆があなたを守ります
さあ、貴方の世界の素敵なところを思い浮かべて
あなたとお兄様の帰りたい場所を思い浮かべて
それにしても、反吐が出るような下衆ですね
ああ、恐ろしい、気色が悪い
私の歪みがこの傲慢な下衆に向かうでしょう
アリスの道行が全て幸福だとは思わない
ただ「D.R.C」として
お客様を送り届ける必要がありますから
千家・菊里
悪趣味な連中揃いで困りますね
人の心に土足で踏み込み荒そう等と――どうせならば、その面白味の欠片もない筋書きを踏み荒らした方が愉しいというもの
無差別攻撃に備え、そして何より『一人ではない』と僅かでも心を支えられる様に
少女の傍を離れず行動
声掛けも常に
貴方の過去は、蝙蝠と炎の一色だけではない筈
どうか大切なお兄さんの姿を思い出し――また手を取り合う未来こそを、強く胸に
UCは早業・フェイント・2回攻撃絡め重ねて、予測回避追い付かぬ様に畳掛けを
守りは俺より少女最優先
オーラ防御と身を挺し、二重に守護を
何かあっても激痛耐性で平然と堪え不安与えぬよう
とうに終わった筈の物語――貴方こそを過去に、海に、還しましょう
白薔薇の花園を舞台にした、幼きアリスの物語。
その序章で、芋虫の大群を蹴散らした猟兵たち。
そして、紡がれる次なる展開。
――よう、やっと来たかい。
ヴィクティムのゴーグルの下の瞳が捉えたその姿は、悲劇を紡ぐ元凶。
いや……もとい。
「癇癪持ちの能無し作家……ハッ、無様だな」
身勝手な物語を紡ぐのに躍起になる、カルシウム不足の三流作家。
そんなイラつきを隠せない能無しが紡ぐ物語なんて、誰の心も熱くしない。
「お前の筋書きじゃ観客は冷めちまってるからよ?」
――悪ィけど、"脚本は俺が書く"。
ヴィクティムはそう宣言してから。
「さて、ルージュ? お前には一言だけ言っておくよ」
くるりと、物語の主役を振り返って。
このつまらない物語を心躍るものに書き換えるべく。
超一流の脇役は、ただ一言、こう台詞を投げる。
「任せろ」
白薔薇の花園に描かれようとしている、ろくでもないオウガの紡ぐ物語。
「人の心に土足で踏み込み荒そう等と――どうせならば、その面白味の欠片もない筋書きを踏み荒らした方が愉しいというもの」
それを台無しにして書き換えたいのは、菊里も一緒。
むしろ既定の展開を覆すことこそ、心沸き立つ物語の醍醐味。
そのためには、主役の少女を確りと守って。
大好きな兄と逸れ不安に思うその心を――『一人ではない』と、支えられればと。
「貴方の過去は、蝙蝠と炎の一色だけではない筈。どうか大切なお兄さんの姿を思い出し――また手を取り合う未来こそを、強く胸に」
菊里はルージュの傍を離れぬよう立ち回りつつ、そう少女へと声を。
そんな猟兵たちへと、受けたダメージを次第に隠しきれなくなりながらも。
「さっきから黙って聞いていれば、言いたい放題だな。必要ないキャラクターは引っ込んでろ!」
悲劇の物語の邪魔をする想定外の登場人物を排除し、少女の心を抉るべく。
再び炎や蝙蝠の幻影を戦場へと生み出し、本の頁で出来た大型オブリビオンの群れを解き放つ。
「! きゃっ」
ルージュは飛び交う幻影に、思わず短く声を上げるけれど。
――私のアリス、お客様。
ふわりとその熟れた苺の様な瞳をそっと覆い、小さな身体を優しく抱き留める燕。
たとえ少女が取り乱し暴れたとしても。
それを受け止め耐える覚悟で、燕はアリスを全身で包み込む――私には特に痛みなど存在しないのだから、と。
そして仕事熱心な時計ウサギは、大切なアリスを優しく諭す。
「君のお兄様も我らのような猟兵が助けに向かっている事でしょう」
私のアリス……皆があなたを守ります、と。
「……おにいちゃんもところにも、助けが?」
これまでの猟兵たちの戦いぶりを目の当たりにしてきたルージュにとって、その言葉は心強く。
怯えているばかりであった瞳に、希望の光が小さく灯る。
兄の方へと猟兵が向かった事実は、この戦場にいる者には確認できない、想像の域に過ぎないことであるし。
猟兵が助けにいった事実がもしあったとしても、今少女の兄がどうなっているのか、正直その安否はわからない。
けれども双子である縁深い二人が、それぞれグリモアで予知されている可能性は、あるかもしれないことも事実。
だから燕は、少女にとっての希望の言の葉を紡ぐ。
「さあ、貴方の世界の素敵なところを思い浮かべて。あなたとお兄様の帰りたい場所を思い浮かべて」
「アリスの行く先はどこも絶望しかないね」
そうくすりと不穏に笑む、ストーリー・テイラー。
オウガはまだ懲りずに、悲劇のストーリーを仕立て上げんと本をぱらりと広げて。
「何度も言わせるな、苛々するなぁ! このシナリオは全部没だって言ってるだろ!」
猟兵たちを追従し斬り裂かんとするオブリビオンを再び放たんとするけれど。
そろそろ、三流作家が紡ぐ身勝手な物語にも飽きてきたから。
――さぁさ、さぁさ……お立合い。
「これより見せますは「端役」の逆転劇。つまらない悲劇をひっくり返し、くだらない不幸にさようなら」
ヴィクティムは宣言通り、満を持して『脚本を書き換える』。
刹那発動するのは、盤面も、運命も、敗北すらもひっくり返す――Attack Program『Reverse』。
それは超一級の脇役が展開する、大どんでん返しの筋書き。
「……なっ!?」
主役のアリスや猟兵たちを傷つけんと閃いていた鋭利な鋏が、全てを癒す治癒へと性質を変化させて。
その「反転」を解析、応用することで、トラウマの「反転」も実現できる――少女を怖がらせていた幻影が、幼い心を癒す美しい花弁へと姿を変える。
けれども、ひとつだけ変わらないものがある。
「―――あぁ、悪い。お前の敗北だけは覆らねぇよ」
そしてヴィクティムは、主役のアリスへと問う。
──ルージュ。お前の視界は、嫌なもので満ちているかい?
ひらひらと舞い踊る花弁を見上げるその瞳をみれば……その答えは、一目瞭然。
「くっ!」
物語を根底からひっくり返されたストーリー・テイラーは、最高にイラついた表情を浮かべて。
また悲劇の風景へと舞台を塗り替えんと、本を開こうとするけれど。
「それにしても、反吐が出るような下衆ですね。ああ、恐ろしい、気色が悪い」
まだ少女のトラウマを抉らんとする無粋なオウガに、燕は嫌悪感をあらわにして。
その感情の歪みが戦場にバロックレギオンを喚び、傲慢な下衆を排除せんと攻撃を繰り出す。
――アリスの道行が全て幸福だとは思わない。
それは燕にも分かっているけれど。
全身で包み込んでいるアリスは、大切なお客様。
「ただ「D.R.C」として、お客様を送り届ける必要がありますから」
己の仕事を全うするべく、そうそっと燕は赤の瞳を細める。
「ぐ、くそ……!」
そして物語を覆され、衝撃に大きく揺らぐ哀れなオウガは、舌打ちしつつ体勢を立て直さんとするけれど。
――もう、物語の先は読ませない。
菊里の七星の加護宿る符が、機を決して逃さぬと。
敵目掛け素早く幾度も畳みかける様に、はらり花弁舞う戦場へと放たれて。
「とうに終わった筈の物語――貴方こそを過去に、海に、還しましょう」
「……!」
迎えるのは、章の終わり。
紡ぐ手段を失った身勝手な語り手へと、猟兵たちが一斉に獲物を振るえば。
「ぐうっ!! けれど、アリスの、物語は……どう足掻いても、悲劇……がは……っ!!」
最期に、そんな不穏な捨て台詞を吐きながらも。
愚かなストーリー・テイラーはアリスの物語から、完全に退場したのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 冒険
『永遠のお茶会』
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POW : 歌やダンスで楽しませる
SPD : 料理や飲み物を振る舞って楽しませる
WIZ : 話芸で楽しませる
👑11
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※お知らせ※
第3章プレイング送信の受付は、追加情報を掲載した追加OP公開後から開始します。
追加OP掲載の際や締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
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●アリスの選択
――ありがとうございます、と。
ぺこり、ストロベリーブロンドの髪を揺らしながら猟兵に礼を告げるルージュ。
その表情から恐怖の色は消え失せている。
次の目的は、ルージュの『自分の扉』を探すこと。
しかし、どうやって……。
そうふと首を傾けた猟兵たちだけれど。
「あの、たぶん……こっち、かな」
白薔薇が咲く花園の奥へと続く道を指すルージュ。
彼女には分かるのだ、『自分の扉』の在り処が。
それと同時に、元の世界の記憶も、ほぼ思い出しているようだ。
助けてくれた猟兵たちに、それなりに心許している様子ではあるルージュであるが。
「…………」
その表情は、何故だかそれほど冴えない。
ふわり、ストロベリーブロンドの髪を靡かせ進む少女が導くままに。
また芋虫やオウガが出てきても迎え撃てるよう、猟兵たちは美しい白薔薇の花園を慎重に進んで。
どこまでも続くかと思われた、白い薔薇咲くの世界の出口。
広がった視界に飛び込んできたのは、キラキラと輝く湖であった。
そして――そのほとりに見えるもの。
それは、ぽっかりと口を開けている扉と、楽し気なお茶会の風景。
「あれが、ルージュちゃんの『自分の扉』?」
猟兵の問いに、こくりと頷くルージュ。
これで元の世界に彼女を戻してあげられる、そう安堵する猟兵であったが。
「……わたし、かえりたくない」
ぽつりとそうルージュの口から零れる言葉。
幾つもの猟兵たちの視線が同時に集まる中、ルージュはさらにこう続けたのだった。
「わたし、もとのせかいにかえりたくない、です。かえるなら、おにいちゃんといっしょじゃなきゃ……」
――その時だった。
甘いチョコレートやケーキ、スコーン、マカロンやパフェ。
可愛くて美味しそうなお菓子がたくさん飾られた3段のスタンドに、良い香りの紅茶。
しゅわしゅわサイダーにサンドイッチなどの軽食も。
お茶会の準備をしているのは、トランプ兵隊の姿をした愉快な仲間たち。
「じゃあ、そこのお嬢さん。ボクたちとお茶会しようよ」
「白薔薇を赤く塗るの、飽きちゃったし」
「毎日がお茶会さ。永遠のお茶会を楽しもうよ、オウガにぱくりと食べられちゃうかもしれないけど」
「その時は、その時さ」
トランプ兵隊たちは、そう口々に声を掛けてきて。
「あ、ルージュ……!」
トランプたちの誘いのまま、ルージュはセッティングされたお茶会の席にストンと座ったのだ。
それも、無理はないかもしれない。
少女が思い出した元の世界の記憶。逸れた兄の存在。
オウガを倒し、『自分の扉』を見つけられた――けれども、進むその先がハッピーエンドとは限らない。
むしろ少女は分かっているのだ。幸せな未来など、きっと待ってはいないことを。
しかもアリスの知覚できる『自分の扉』は、そのアリスだけのもの。
たとえここにルージュの兄がいたとしても、扉を潜れるのは結局、ルージュだけなのだ。
まだルージュは10歳の少女。
目の前に甘いお菓子があれば、現実逃避でそれに縋るのも無理はない。
しかし、このまま彼女がアリスラビリンスに留まるのならば、確実に待っているのはオウガの餌となる未来。
だが扉を潜り元の世界に帰っても、闇に覆われたオブリビオンの支配する世界での苛酷だろう未来が待っている。
けれども――どのような未来を彼女が選択するにせよ。
現実逃避したままというわけには、いかない。
とりあえず、一緒にお茶会をたのしみながらルージュと話をして。
彼女を導いてあげて欲しい。
それが――たとえ、彼女が進む先が、どのような未来であっても。
出水宮・カガリ
※アドリブ絡み可
ここから帰れば、兄がいる…などと
無責任なことは言えない
むしろ元の世界を思えば、こちらの方がまだ…という気持ちも
…ちょっとはわかる、が
お茶会で、好みの茶菓子など聞きながら、兄について聞いてみたいな
一緒でなければ出たくないほど、大好きな兄なのだろう
名前とか、好きなところ、嫌いなところ、直してほしいところ。色々聞かせてくれ。
そして、そんな兄が。もし一人で、元の世界に戻っていたら。
やはりとても、寂しいと思うのだ。ルージュを、探すと思う。ここにいる限り、二度と見つからないお前を。
お前が一歩、頑張れば。
少なくとも兄と、ルージュは寂しくなくなる。
それは、ここでは叶わないぞ?
(少し鼓舞)
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】アドリブ・連携OK
彼女がいた世界はきっとダークセイヴァーなのでしょう
その世界で両親を殺され、兄とははぐれたまま……
元の世界に戻ったところで彼女に希望はあるのか、どうか
一先ず彼女とお茶会を
紅茶の淹れ方は知っていますから、彼女に入れてあげましょう
ルージュ殿のお兄さんは貴女を探して元の世界に戻っているかも知れません
元の世界は怖いかも知れませんが、貴女の世界を私達のような猟兵は知っている
何かあればまた私達が助けに行きますよ
氷【属性攻撃】でけして溶けない魔法の氷花を作り、髪飾りにして彼女へ
貴女に何かあればこの髪飾りが守ってくれます
そういう魔法をかけておきました
どうか貴女に希望があらんことを
吉備・狐珀
【ヤド箱】で参加です。
元の世界、恐らくダークセイバーだとおもいますが…。
戻っても幸せな日々が待っていると言い難いのはルージュ殿の様子でわかります。
ルージュ殿、ここにお兄様も来ているなら同じ様に猟兵に助けられているはずです。
そして、ルージュ殿に会いたがっていると思います。
残念ながら同じ扉から帰ることはできません。なのでお兄様に会うには扉の向こう、元の世界に帰らなければ…。
(狐のぬいぐるみを差し出し)この子が貴女とお兄様を守ってくれます。もちろん、貴女に何かあれば、またグリモアの皆さんが感知してくれます。
必ず、駆けつけます。
だから、お兄様に会いにいきませんか?
(お茶を飲みながら優しく鼓舞します)
これが、子どもたちのために書かれた可愛い挿絵のついた絵本だったら。
優しいお母さんが、眠る前に子どもに話して聞かせる御伽噺だったとしたら。
きっと……主人公の少女は、選択した世界で大好きなお兄ちゃんと再会して。
アリスの双子は幸せに暮らしましたとさ、おしまい、って――そうなるのかもしれない。
これは確かに小さなアリスの物語。だけど、この物語のおわりは、ハッピーエンドとは限らない。
扉を潜って少女が元の世界に戻っても、『こわいりょうしゅさま』に捕まって、苛酷な生活を強いられた挙句に無残に殺されるかもしれない。
かといってこの世界に留まっても、オウガにぱくりと頭から喰いつかれ、むしゃむしゃと貪り喰われるかもしれない。
それに、もしかしたら。
すでに彼女の兄は――オウガの鋭い爪に引き裂かれて、赤に塗れているかもしれない。
けれど、少女の物語の結末は、まだ決まってはいないから。バッドエンドとも、限らない。
●永遠のお茶会
「いらっしゃい、小さなアリス」
「ぼくたちは誰でも歓迎するよ」
「オウガに食べられちゃったらその時さ」
「だからせめてそれまで、お茶会を楽しもうじゃないか」
お茶会の席についたアリスへとそう口々に声を掛ける、トランプ兵隊の姿をした愉快な仲間たち。
オウガ、という言葉に、一瞬びくりと身体を震わせたルージュではあったが。
元の世界ではみることも、口にすることもできない眼前のお菓子に、熟れた苺のような瞳をそっと輝かせている。
そんなルージュを見つめながら、ステラと狐珀が胸の中で推測することは同じ。
ぽっかりと開いたルージュの『自分の扉』の先――彼女の元いた世界はきっと、ダークセイヴァーなのだろうと。
いや、グリモアを通じ世界を股に掛ける猟兵たちならば皆、ステラや狐珀と同じく、容易にその推測に辿り着くだろう。
そして扉の向こうがどのような世界なのか、猟兵たちは知っている。
(「その世界で両親を殺され、兄とははぐれたまま……元の世界に戻ったところで彼女に希望はあるのか、どうか」)
(「戻っても幸せな日々が待っていると言い難いのはルージュ殿の様子でわかります」)
ルージュはまだ10才の幼き子ども。目の前のお菓子で現実を忘れようとするのも無理はない。
まずはお茶会を楽しむことを選択したアリスを、ステラや狐珀はとりあえず見守って。
カガリも、少女の姿を紫の瞳で映しながら。
(「ここから帰れば、兄がいる……などと、無責任なことは言えない」)
どう彼女と接触し声を掛けるか、そっと思案する。
憶測や希望だけで無責任なことを言えば。元の世界でそれが叶わなかった場合、さらに彼女を不幸にすることになるかもしれない。
それにルージュがいたダークセイヴァーの世界のことは、カガリも勿論、知っているから。
(「むしろ元の世界を思えば、こちらの方がまだ……という気持ちも……ちょっとはわかる、が」)
かと言って、このアリスラビリンスが幸せな世界かといえば――それは否、である。
だが、どの選択を彼女が取るにしても。
今、ルージュは甘いお菓子が並ぶ席にちょこんと座っているから。
無理強いすることはせず――先ずは、彼女とお茶会をと。
「ルージュ殿、紅茶でもいかがですか」
「色々あるようだが、どんな茶菓子が好きなのか?」
紅茶を淹れてあげるステラに続いて、そうルージュと会話を試みるカガリ。
「こうちゃ、どうもありがとう。えっと……こんなあまいものって、あまり食べたことないけれど。さっきおねえさんにもらった、まんまるいおかしは、すき」
「マカロンは私も大好きですね」
そう思わず笑むステラに、カガリは微笑まし気にそっと瞳を細めた後。
さらにルージュへと尋ねてみる。
「一緒でなければこの世界を出たくないほど大好きな兄とは、どんな人なんだ? 名前とか、好きなところ、嫌いなところ、直してほしいところ。色々聞かせてくれ」
「うん。おにいちゃんの名前は、ブランっていいます。好きなところは、やさしくていつもまもってくれて、つよいところ。きらいなところはないけど……直してほしいところは、あぶなくても無茶しちゃうことがあるところ、かな」
「優しくて強くて、いつも守ってくれる兄か」
本当に仲が良いのだな、と。
嬉しそうに兄のことを語る少女の様子を見つめながらも、カガリはこう続ける。
「そんな兄が、もし一人で、元の世界に戻っていたら。やはりとても、寂しいと思うのだ。ルージュを、探すと思う」
ここにいる限り、二度と見つからないお前を――と。
「ルージュ殿のお兄さんは貴女を探して元の世界に戻っているかも知れません」
「おにいちゃんが?」
「ルージュ殿、ここにお兄様も来ているなら同じ様に猟兵に助けられているはずです。そして、ルージュ殿に会いたがっていると思います」
ステラの言葉に顔を上げたルージュに、狐珀もこくりと艶やかな黒髪を小さく揺らして頷きながらも。
「残念ながら同じ扉から帰ることはできません。なのでお兄様に会うには扉の向こう、元の世界に帰らなければ……」
「お前が一歩、頑張れば。少なくとも兄と、ルージュは寂しくなくなる。それは、ここでは叶わないぞ?」
「元の世界は怖いかも知れませんが、貴女の世界を私達のような猟兵は知っている。何かあればまた私達が助けに行きますよ」
現実をきちんと伝えながらも、皆で、少女の背中を押すように紡ぎつつ。
兄のブランと再会を果たすまでひとりで頑張らなければならないルージュの不安を、少しでも軽くしてあげられるようにと。
「貴女に何かあればこの髪飾りが守ってくれます。そういう魔法をかけておきました」
「この子が貴女とお兄様を守ってくれます。もちろん、貴女に何かあれば、またグリモアの皆さんが感知してくれます。必ず、駆けつけます」
ストロベリーブロンドの髪にそっと、決して溶けない魔法の氷花で作った髪飾りをステラは飾ってあげて。狐珀も狐さんのぬいぐるみを差し出す。
わぁ、氷のお花はきれいで、狐さんはかわいい――どうもありがとう、と。
それを受け取りながら微笑むルージュと一緒にお茶を楽しみつつも。
「だから、お兄様に会いにいきませんか?」
狐珀は鼓舞するように言の葉を紡ぎ、そしてステラは願うのだった。
――どうか貴女に希望があらんことを、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルノルト・ブルーメ
暫くはお茶会を楽しむのも悪くないのかもしれないね
何せ、怖い思いをし通しだったのだから
けれど、ルージュ
君はずっとここにいるのかい?
そんな事を思いながら彼女の緊張が解れるのを待とう
強張っていた気配が少しずつ解けたら
そっと彼女の名を呼んで
やぁ、ルージュ
少しは落ち着いた?
椅子に腰かける彼女の傍、片膝を突いて苺色の瞳を見つめて
君は、どうしたいのかな?
帰りたくない、ということは……
ここに居る、と言うことになるけれど
それはもうお兄さんとは会えないという事だよ?
君と同じように
どちらかを選ばなければならなくなったとき
戻らないで君を独りぼっちにする
それを選ぶお兄さんかい?
違うのなら……きっと待っているよ、君の事を
トランプ兵隊たちがテーブルに並べていく甘いお菓子を、物珍しそうにきょろきょろと眺めた後。
そっとひとつ摘まんで、口に運んでみる少女の姿。
(「暫くはお茶会を楽しむのも悪くないのかもしれないね。何せ、怖い思いをし通しだったのだから」)
そんなほわり小さく笑む幼い笑顔を、微笑まし気に見守るアルノルトだが。
彼女の緊張が解れるのを待ちながらも、愛しいストロベリーブロンドのいろを柔い緑色の瞳と重ねつつ、思う。
(「……けれど、ルージュ。君はずっとここにいるのかい?」)
10才の少女に、先行き不安ばかりの未来の選択を迫るのは、酷なことなのだろうけれども。
ルージュのためにも……このままにしておくわけは、決していかない。
「やぁ、ルージュ。少しは落ち着いた?」
椅子に腰かける彼女の傍に片膝をついて。
愛しい娘のものとは違う苺色の彩りをした瞳を見つめ、アルノルトがそう声を掛ければ。
「もう、今は……だいじょうぶ、とおもいます」
おそるおそる、少しだけどこか自信なさそうながらも、そう答えるルージュ。
そんな少女に微笑んでから。アルノルトはこう、続けてルージュへと訊ねてみるのだった。
「君は、どうしたいのかな?」
その問いに、思わず少しだけ俯いてしまって。
ぼそりと、少女は呟く――かえりたくない、と。
アルノルトは返ってきたその言葉に、優しく諭すように。
けれど確りと彼女へと、その選択をした場合の未来を自ら考えさせるようにこう伝える。
「帰りたくない、ということは……ここに居る、と言うことになるけれど。それはもうお兄さんとは会えないという事だよ?」
「ここにいたら、おにいちゃんと、もう会えない……?」
「君と同じようにどちらかを選ばなければならなくなったとき、戻らないで君を独りぼっちにする。それを選ぶお兄さんかい?」
アルノルトを見上げつつ、ふるりとすぐに横に首を振るルージュ。
兄は自分を独りぼっちにしたりなんてしない、と。双子の妹はそう、信じているのだ。
そんな様子に、瞳を細めて。
まるで、少しずつ自らの道を歩まんと手を離れていく娘を見守り、そしてそれを後押しするかのように。
アルノルトはストロベリーブロンドの髪の少女へと優しく紡ぐ。
――違うのなら……きっと待っているよ、君の事を。
大成功
🔵🔵🔵
篝・倫太郎
【HSC】
リカもほっとけないンだろな
ザザ……黄金色のは後でな?
クローデットクリーム付けるともっと美味い
(クリームをたっぷり添えてやり、サンドイッチもぐもぐ)
今は帰りたくねぇんだとしてもよ
今はココは平和だけどよ
多分、きっとすぐに思うと思うぜ?
おにーちゃんに教えてあげたい
おにーちゃんと一緒だったらいいのに
そう思うと思うぜ?
戻った先がどうなのか、こえぇってなあるんだろうけど
でもよ、にーちゃんはルージュのコト待ってんじゃね?
探してんじゃねぇの?
独りは怖い
でも、にーちゃん一緒なら頑張れるんじゃね?
帰る帰らないに関しちゃ、押し付けるつもりねぇし
大変な事言ってンのも判ってっけど
良く考えて決められるといーな?
ザザ・クライスト
【HSC】で参加
「帰りたくない、ねェ……」
二人には思うコトがあんだろォなと話を聞いている
オレ様は優雅に黄金色に輝く一杯を(ビール)……ないのかよ!?
諦めて紅茶に口をつけて、林檎マフィンを頬張る
「スコーンもいけンのか? このマフィンも紅茶に合うぜ」
スコーンに手を伸ばしつつマフィンの皿を中央に押し出す
頷きながら食べてどこか満ち足りた笑顔
知己のご婦人方に持ち帰れば喜びそうだな
スコーンを口に運びながら二人の話に、
「……次は駄目かもしれないぜ?」
ルージュにはそう言っておく
扉を誰かと一緒にくぐれないコトもな
しかし、十やそこらのガキに決断しろって厳しィ話だ
まァ今くらいは甘い物で満たされてたってイイだろ
百合根・理嘉
【HSC】
かえりたくない、かぁ……
まぁ、判らなくもねぇけどよ……
あ、このスコーン美味い
ルージュ、ルージュ、このスコーン美味い
(お裾分けーと彼女の皿に乗せると、テーブルに顎乗せて)
なー?ほんっとーに帰りたくねぇの?
無理に帰れとか言わねぇし、言う権利とかねーけど
なんで帰りたくねぇのかきーてもいーか?
多分、思い出したものが重いんだろーなぁ
俺もまぁ、ガキの頃の記憶はまだ結構曖昧だし
不透明な部分多いけども
でも、一人じゃねぇから
何とかなってたってのはあるからなー
(サンドイッチ美味そうに喰ってるりんたろを見)
何とかなったからつーのもあっからなー
(優雅にお茶してるザザを見)
にーちゃん、お前の事探してんじゃね?
自分たち猟兵が来なければ、目の前の少女はオウガにぱくりと食べられていただろうし。
彼女自身、この世界で怖い目に幾つもあってきたのだろうけれど。
それでも、元の世界の記憶を取り戻したルージュが口にした言葉は――かえりたくない、と。
(「かえりたくない、かぁ……まぁ、判らなくもねぇけどよ……」)
ルージュの元居た世界、ダークセイヴァーの現状も、猟兵である理嘉は知っているし。
オウガに食べられそうにはなったとはいえ、今まさにの現状は、ダークセイヴァーにはないだろう美味しいお菓子がずらり並んだお茶会の風景。
苛酷な現実から目を逸らして眼前のお茶やお菓子を楽しみたい、その気持ちもわかる。
何せ彼女はまだ、10歳という幼い少女なのだから。
理嘉はルージュの様子をそっと見ながらも、はむりと目の前のスコーンを取って口に運んで。
あ、このスコーン美味い、と呟いた後。
「ルージュ、ルージュ、このスコーン美味い」
お裾分けーと彼女の皿にもスコーンを乗せて。
「クロテッドクリーム付けるともっと美味い」
サンドイッチをもぐもぐ食べながらも、クリームをたっぷり乗せてあげる倫太郎。
そして、ルージュへと声をかけた理嘉をちらりと見て、思う。
――リカもほっとけないンだろな、と。
そんな当の理嘉はテーブルに顎を乗せて、ルージュにこう訊ねる。
「なー? ほんっとーに帰りたくねぇの? 無理に帰れとか言わねぇし、言う権利とかねーけど、なんで帰りたくねぇのかきーてもいーか?」
暗くならないような口調で聞いてみながらも、ふと俯いたルージュを見て、理嘉もある程度理由を察してはいる。
(「多分、思い出したものが重いんだろーなぁ」)
そしてルージュは、お裾分けされたマフィンに手を受けないまま、こう答えたのだった。
「おかあさんも、おとうさんも、ころされて。かえる村も、家も……焼けて、もうないから。おにいちゃんも、まだこの世界のどこかにいるとおもうし」
だから……かえるところもないし、ひとりでかえりたくないの、と。
「帰りたくない、ねェ……」
二人には思うコトがあんだろォなと、ザザはそうルージュに声を掛けている理嘉や倫太郎を見ながらも。
「オレ様は優雅に黄金色に輝く一杯を……ないのかよ!?」
「ザザ……黄金色のは後でな?」
お茶会に黄金の一杯……ビールは残念、ありません!
仕方なく諦めて紅茶に口をつけ、ザザは林檎マフィンを頬張りつつも。
「スコーンもいけンのか? このマフィンも紅茶に合うぜ」
そうスコーンに手を伸ばし、マフィンの皿を中央に押し出す。
そして、知己のご婦人方に持ち帰れば喜びそうだな、と呟いて。
頷きながらスコーンを食べるそんなザザの表情は、どこか満ち足りた笑顔で。
元の世界のことを思い出し険しい表情になっていたルージュも、はむっとザザにつられてクリームを乗せたマフィンを食べてみれば、そっと表情が和らぐ。
そんな少しだけ笑みを取り戻した少女の様子を見ながら、言葉を掛けるのは倫太郎。
「今は帰りたくねぇんだとしてもよ、今はココは平和だけどよ。多分、きっとすぐに思うと思うぜ?」
――おにーちゃんに教えてあげたい、おにーちゃんと一緒だったらいいのに。
そう思うと思うぜ? と。
「戻った先がどうなのか、こえぇってなあるんだろうけど。でもよ、にーちゃんはルージュのコト待ってんじゃね? 探してんじゃねぇの?」
「おにいちゃんが、わたしのことを……」
ぽつりとそう零したルージュに、こくりと頷いて。
「独りは怖い。でも、にーちゃん一緒なら頑張れるんじゃね?」
そう確りと、けれども優しく、幼い少女へと紡ぐ。
そんな倫太郎の言葉を聞きながら、その漆黒の瞳に、理嘉はルージュの姿を映して。
(「俺もまぁ、ガキの頃の記憶はまだ結構曖昧だし、不透明な部分多いけども」)
……でも、一人じゃねぇから、何とかなってたってのはあるからなー。
ちらり、サンドイッチを美味そうに食べている倫太郎を見てから。
……何とかなったからつーのもあっからなー。
次に、優雅にお茶をしているザザへと視線を映す。
そして再びルージュを見つめ、口を開く。
「にーちゃん、お前の事探してんじゃね?」
そんな二人の話を、スコーンを口に運びながら聞いていたザザは。
「……次は駄目かもしれないぜ?」
そう、ルージュへと言っておく。
そしてもうひとつ――念を押しておくべきことも。
「その扉はルージュだけのモンだ。誰かと一緒にはくぐれねェ」
最終的にどうするか決めるのは、ルージュ本人。
……けれども。
(「しかし、十やそこらのガキに決断しろって厳しィ話だ」)
まァ今くらいは甘い物で満たされてたってイイだろ、と。
ザザは、これもいけンぞ、と。甘い林檎マフィンをひとつ、ルージュの皿へとお裾分けしてあげて。
(「帰る帰らないに関しちゃ、押し付けるつもりねぇし、大変な事言ってンのも判ってっけど」)
倫太郎はぱくりとサンドイッチを再び口に運んでから。
琥珀色の瞳を細め、ルージュにこう声を掛けたのだった。
……良く考えて決められるといーな? と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
すぐに選択しろっていうのも、やっぱり酷だよね
トラウマはそう簡単に消えるものじゃないし
どちらの世界も過酷なのは確かだから
でも…
考えて、ルージュさんより目線が低くなるようにしゃがみ
ねぇ、ルージュさん
少し頼みごとしてもいいかな?
【破魔の祈り】を宿した自分の羽を二枚摘み
改めて、僕と友達になってください
これは僕から貴方達への友情の証
僕は時間が来たら戻らなきゃいけないから…
君の手で、お兄さんにも渡してくれないかな?
再会のためにどうするかは任せるよ
その分この"お守り"が貴方達を護るから
【指定UC】で羽に寿命重視で命を授け
破魔が極力長続きするように
気休めにしかならなくても
少しでも前を向く手助けになるのなら
ルベル・ノウフィル
お茶をお淹れしましょう
甘いイチゴの乗った真っ白クリームのケーキもどうぞ
お菓子は美味しい、お茶も美味しい、穏やかな時間は良きものでございます
ところで、兄君はご心配ですナ
僕は他のチームの動向を知りませんが
現実は厳しきもの
悲しみ、痛みがたくさんあります
けれど、それを感じるのもやはり生きているからこそ悲しみや痛みが全くないのは、いっときは幸せかもしれませんが、長く身を置いてはこれではいけないと自ら思うことでしょう
休んだ後は、歩くのです
人は休み休み、支え合って歩いて生きるもの
現実は辛いけど、帰りましょう、ナ
あるがまま、生まれた世界で生きて死ぬこと
それが、人の幸せだと思うのです
兄君も、待ってると思うから
雷陣・通
(アドリブ、連携歓迎)【Pow】
よっこらせっと、席に座って紅茶を飲む
俺も混ぜてもらっていいよな?
(お茶を飲み、菓子を食べながら)
なあ……分かってるだろ?
俺はバカだから、頭のいい事は浮かばないし、君をどうこうしようとする魔法の言葉も知らない
でも、このままだと行けないのは知っている
君の靴がいつか合わなくなって違う靴に変えないと行けないように、君もここから出ないといけないんだ
たとえだ
たとえ、過酷な未来があっても生きていればきっとチャンスはある
その為に俺達は居るし、戦っている
もし、君がその道を選ぶなら、きっと交わる
そして俺が、俺達が、閉ざされた未来を拓く
だから、行こう……靴も服も変える時期は今なんだ。
泉・星流
『彼女は知らない事が多すぎる…』
《ここと元の世界》だけ
《過酷な運命に抗う力》がその身に宿っている
望むなら多くの選択肢があるという事も…
別に(兄妹とも)元の世界へと帰る必要も無い
宿った力を扱えるようになれば、自分の身も…大事な兄の身も守れるだろう(後者は兄としてどうかとも思ったり)
行動
《ルージュに未来を思い描き、そこへ歩を進めるようにする事》
手を引く…のではなく、可能性を示す
アルザワ学園在住…なので、アルザワ学園での自分…と妹達との生活を語る
(少なくとも…ここや元の世界よりは平穏だと思う)
「もっと世界は存在してる…望めば連れていく事も…君次第では自分の意思で自由に行くことだって出来るんだよ」
元の世界に戻れる『自分の扉』を目の前にして――かえりたくない、と。
トランプ兵隊たちが用意したお茶会の席に座ったルージュ。
そんな少女を琥珀色の瞳で見守りながらも。
(「すぐに選択しろっていうのも、やっぱり酷だよね。トラウマはそう簡単に消えるものじゃないし」)
……どちらの世界も過酷なのは確かだから、と。
これまで見てきたアリスラビリンスと彼女の元いた世界と思われるダークセイヴァー、そのどちらの世界も知っているだけに、少女の気持ちに理解を示す澪。
――でも……。
ふと考えてから、澪はルージュよりも目線が低くなるようしゃがんで。
「ねぇ、ルージュさん。少し頼みごとしてもいいかな?」
「……たのみごと?」
きょとりとストロベリーブロンドの髪を小さく揺らし、首を傾ける少女に。
澪が手渡したのは……破魔の祈りを宿した、二枚の自分の羽。そして苺のような少女の瞳をまっすぐに見て、こう紡ぐ。
改めて、僕と友達になってください――って。
「これは僕から貴方達への友情の証。僕は時間が来たら戻らなきゃいけないから……君の手で、お兄さんにも渡してくれないかな?」
破魔が極力長続きするようにと、生命の息吹を使って、羽に寿命重視で命を授けてから。
澪は自分の羽を受け取ったルージュに、優しく微笑む。
「再会のためにどうするかは任せるよ。その分この"お守り"が貴方達を護るから」
「わたしと、おにいちゃんに……?」
ふわりと小さな手をくすぐる、二枚の羽。
一枚はルージュへ、そしてもう一枚は彼女の双子の兄にと。
ルージュはそう微笑む澪の姿を、そのつぶらな目に映してから。
「おまもり、どうもありがとう……おともだちになってくれて、うれしい」
そうそっと、微かに笑んで。
(「気休めにしかならなくても、少しでも前を向く手助けになるのなら」)
改めて友達になったルージュと、あともう少しだけ、お茶会を楽しむべく。
澪は少女へと、甘いお菓子を分けてあげるのだった。
(「彼女は知らない事が多すぎる……」)
そっとそうルージュを見つめ思うのは、星流。
目の前の少女が知るのは、このアリスラビリンスと、元いた場所……恐らく、ダークセイヴァーだろう世界だけ。
いや、彼女が知らないのは、数多に渡る様々な世界のことだけではない。
過酷な運命に抗う力――それが、その身に宿っていること。
(「望むなら多くの選択肢があるという事も……」)
星流は、ルージュも、そして彼女の双子の兄も、元の世界へと必ずしも戻ることはないと思っていて。
それよりも重要だと考えるのは、宿った力を扱えるようになるかどうか。
(「力を扱えるようになれば、自分の身も……大事な兄の身も守れるだろう」)
妹に守られるのは兄としてどうかとも思ったりはするけれど。
星流が導かんとするのは――ルージュに未来を思い描かせ、そこへと彼女自身が歩みを進めるようにする事。
手を引く……のではなく。可能性を示すべく、少女へと星流は語る。
蒸気と魔法が発達した、地下迷宮が広がる世界。
(「少なくとも……ここや元の世界よりは平穏だと思う」)
アルダワ魔法学園世界で、妹達と過ごす生活のことを。
どこにいても、生きている限り、辛いことや悲しい事はあるだろうけれども。
世界は、苛酷で絶望に覆われたこのアリスラビリンスやダークセイヴァーだけではない。
「もっと世界は存在してる……望めば連れていく事も……君次第では自分の意思で自由に行くことだって出来るんだよ」
「じぶんで……自由、に?」
彼女にとって、自由とは、今まで一番縁遠い言葉だったかもしれない。
これから少女が進む道にも、もしかしたら自由なんてないのかもしれないけれど。
けれども星流は、幼き少女へと伝える。宿った力が秘める、その可能性を。
そして――お茶をお淹れしましょう、と。
ルージュの前に差し出されたのは、良い香りが鼻をくすぐる紅茶。
ルベルはそれに、ぱらりと、金平糖の星たちを散りばめ浮かべて。
瞬くように、じわりと甘い星々が溶けていく中。
「甘いイチゴの乗った真っ白クリームのケーキもどうぞ」
「わぁ……」
ふわふわなスポンジにたっぷりクリーム、少女の瞳と同じ色をした苺がのったケーキも一緒に、彼女の前へ。
そして、今まで見たことがないケーキに目を輝かせるルージュに赤の瞳をそっと細め、紡ぐ。
お菓子は美味しい、お茶も美味しい、穏やかな時間は良きものでございます――と。
ルベルは、そんな穏やかで美味しくて、そして少しでも楽しい時間を過ごして貰うべく、少女へとお菓子やお茶を用意してあげてから。
「ところで、兄君はご心配ですナ」
そう、星空のような藍色の髪を小さく揺らし、首を傾ける。
「おにいちゃん……どこにいるんだろう」
ルベルの言葉にぽつり呟かれた声は、不安の色を帯びているけれど。
「僕は貴女の兄のことは知りませんが。現実は厳しきもの、悲しみ、痛みがたくさんあります」
ルージュの帰るべき場所。
そこが苛酷な世界だという事を、ルベルは知っている。
少女の両親と同じように、ルベルの主人もまた、吸血鬼に奪われたのだから。
けれど……そんな悲しみや痛みをを感じるのも、やはり生きているからこそ。
悲しみや痛みが全くないのは、いっときは幸せかもしれないが。
(「長く身を置いてはこれではいけないと、自ら思うことでしょう」)
そう信じながらも、甘いものを物珍しそうに口に運ぶ少女へと、ルベルは優しくこう紡ぐのだった。
「休んだ後は、歩くのです。人は休み休み、支え合って歩いて生きるもの」
――現実は辛いけど、帰りましょう、ナ……と。
そして自分を映す苺の如き瞳を見つめ返しつつ、改めて思う。
あるがまま、生まれた世界で生きて死ぬこと……それが、人の幸せだと。
「兄君も、待ってると思うから」
「おにいちゃん……」
そう呟いて、逸れた兄を心に思うルージュ。
そこに、よっこらせっとやってきて席に座ったのは、通。
「俺も混ぜてもらっていいよな?」
「うん、もちろん」
こくりと頷いたルージュの隣で、紅茶を飲んで。
同じ年頃の少女と一緒にお菓子を摘まみながら、通はルージュへと、その思いの丈を言葉にする。
「なあ……分かってるだろ? 俺はバカだから、頭のいい事は浮かばないし、君をどうこうしようとする魔法の言葉も知らない。でも、このままだと行けないのは知っている」
君の靴がいつか合わなくなって違う靴に変えないと行けないように――君もここから出ないといけないんだ、と。
「でも……」
それはルージュにも、もう分かっていることなのかもしれない。
けれども、頼りにしていた兄とも逸れ、ひとりで苛酷な世界に帰る勇気が、なかなか少女には出せないのだ。
いや――けれどもルージュは、決してひとりではない。
通は俯く少女へと、輝きを宿した緑色の瞳を真っ直ぐに向けて。力強く、大きな声で続ける。
「たとえだ。たとえ、過酷な未来があっても生きていればきっとチャンスはある。その為に俺達は居るし、戦っている。もし、君がその道を選ぶなら、きっと交わる」
そして俺が、俺達が、閉ざされた未来を拓く、と。
現にグリモアで予知されなければ、猟兵たちが駆け付けなければ。
ルージュの物語は、芋虫に頭から食べられてそこで終わっていた。
けれども今彼女はちゃんと生きていて、『自分の扉』を見つけられている。
だから生きていれば、同じようにまた世界を渡って、未来を拓いてあげる手助けがきっと自分たちにはできるから。
「未来を、ひらく……?」
通はニッと笑んで、そして大きくこくりと頷く。
「だから、行こう……靴も服も変える時期は今なんだ」
未来へと続く新しい第一歩――それを少女が踏み出すのはきっと、今に違いないから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月舘・夜彦
マリス殿(f03202)と参加します
マリス殿もお疲れ様でした
しかし……ルージュ殿の行く末を見届けなければなりませんね
マリス殿からおはぎを頂きながら、暫し考えて
此処で手作りのおはぎを頂けるとは……とても美味しいです
私はどちらで生きようと構いません
ルージュ殿、彼女に悔いが無いのならば
今回で少なからず解ったでしょう
どの世界で生きようとも、困難に直面しない事はありません
そのおはぎという菓子は私の世界にあるものです
私の世界にも貴女のように大切な誰かを失った人が居る
それでも先に良い事がきっとあると信じていた
貴女が此処で幸せなら良いのです
ですが、勇気を出したその先に
貴女が求めるものを見つけられるかもしれない
マリス・ステラ
夜彦(f01521)と行動
「お疲れ様でした、夜彦」
アルカイックな笑みを向けて労う
しかし、ルージュは今また新たな岐路にいます
「夜彦はどうお考えですか?」
問いかけて、私は手製のおはぎをルージュに差し出す
以前夜彦に作ってみてはどうかと言われて練習に励んでいました
夜彦にも勧めて見守ります
ルージュの故郷は闇に覆われたまま、ブランに会えるとも限らない
それでも困難は立ち向かう事で道が開けます
私達がそうしたように、あなたならもうできる筈
【親愛なる世界へ】を使用
ブランの無事と再会を『祈り』ます
「ルージュ、あなたを私は赦しましょう」
どのような選択でも受け入れます
けれど、ブランと会いたいのなら勇気が必要なのです
並ぶスイーツ、鼻をくすぐる紅茶の香り、そしてストロベリーブロンドの髪を持つ少女の姿。
目の前に広がる光景は、湖のほとりでトランプの兵隊が催す永遠のお茶会。
それは一見、平和な風景にみえるのだけれど。
「お疲れ様でした、夜彦」
「マリス殿もお疲れ様でした」
艶やかな唇の両端をそっと上げ、アルカイックな笑みで労いの言葉を掛けるマリスに、緑を湛えた瞳を細めて応える夜彦。
ルージュの命を脅かすオウガを撃退することができ、眼前には、ルージュの元いた世界に繋がっているであろう『自分の扉』がぽっかりと口を開けている。
けれど、まだ彼女の物語の章は、終わりを迎えてはいない。
(「ルージュは今また新たな岐路にいます」)
(「……ルージュ殿の行く末を見届けなければなりませんね」)
全ての記憶を取り戻した少女は今、現実を忘れるかのように、お茶会に興じている――かえりたくない、と。
マリスは眩い星の煌めき宿る青き瞳をルージュへと向けた後。
「夜彦はどうお考えですか?」
そう問いかけつつも、ルージュと夜彦に差し出すのは、手製のおはぎ。
それは以前、マリスが夜彦に作ってみてはどうかと言われ、練習に励んだもの。
「すごい、おねえさんが作ったの? これも、おかし?」
ありがとうございます、とルージュはぺこり頭を下げつつも、見たことがない和菓子に興味深々。
沢山怖くて辛い目にあってきても、その姿は、まだ幼い年相応の10歳の少女のもの。
「此処で手作りのおはぎを頂けるとは……とても美味しいです」
夜彦はひとくち、マリスのおはぎを口にし、そう微笑んでから。
彼女の問いに、暫し考えて。こう、返答する。
「私はどちらで生きようと構いません。ルージュ殿、彼女に悔いが無いのならば」
それから今度は、ルージュへと視線を映し、優しくけれど確りと夜彦は言の葉を紡ぐ。
……今回で少なからず解ったでしょう。どの世界で生きようとも、困難に直面しない事はありません、と。
「そのおはぎという菓子は私の世界にあるものです。私の世界にも貴女のように大切な誰かを失った人が居る。それでも先に良い事がきっとあると信じていた」
どこの世界で生きるにしろ、幸せなことばかりでは決してない。
けれど、進む先に幸せがあると信じて。皆、今を生き、未来へと必死に歩んでいる。
ルージュの故郷は恐らくダークセイヴァー。その闇に覆われたままで、扉を潜った先の世界で兄に会えるとも限らない。
……それでも。
「困難は立ち向かう事で道が開けます。私達がそうしたように、あなたならもうできる筈」
――主はあなたと共に。
刹那満ちる煌めきは星の加護による聖なる光、舞う薄紅の花弁は桜の精の守護。
「ルージュ、あなたを私は赦しましょう」
発動した『親愛なる世界へ』の大いなる祈りにのせる思いは、ブランの無事と再会。
どのような選択を受け入れると、そうルージュを赦しながらも。
マリスは少女へとこうも告げる。
「けれど、ブランと会いたいのなら勇気が必要なのです」
「勇気……」
両親も殺され、兄とも逸れ、ルージュの言う怖い領主様……恐らく、オブリビオンであるバンパイアが支配する闇の世界。
そこにひとりで帰る勇気は、なかなか少女には出せずにいるけれど。
夜彦も、未来へと踏み出す彼女の一歩の、後押しを。
「貴女が此処で幸せなら良いのです。ですが、勇気を出したその先に、貴女が求めるものを見つけられるかもしれない」
甘いお菓子や美味しい飲み物が並ぶお茶会の風景は、今は幸せにみえるけれども。
恐らく、待っているのは、オウガの餌となる未来。
帰った先の世界も絶望かもしれない。
けれども、ルージュの求めるものがこの扉の向こうで見つけられるかもしれないから。
ルージュは二人の言葉に、考えるような表情を宿しながらも。
「このおかし……とっても、やさしい甘さ」
ぱくりとマリスのおはぎを口に運んで、そうそっと微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
アドリブ歓迎
ま、休息は必要だな
空腹も渇きも、癒せてねぇだろ
好きなだけ食って飲むがいいさ…話はそっからだ
さ、満足したかい?
そんじゃぁ…そろそろ本題に入ろうぜ、ルージュ
お前には今、2つの選択肢がある
元の世界に帰るか、ここに留まるかだな
──自分でもわかってんだろ?
どっちを選んでも、行く先は真っ暗だってこと
それでも選ばなきゃならねえ
どっちを選べとは言わねえけどよ
選択肢から目を逸らしても
「何も変わりはしねえぞ」
先は真っ暗かもしれねえけどな
自分の手で何を変えられるかもしれねえし
何なら、俺たちがまた助けてやる
だから──
真っ暗な道を歩き出すことを、恐れるな
後悔しない生き方をしな
──俺のように、ならないようにな
逢月・故
おや、帰りたくないと来た
優しい言葉はきっと他のみんなが掛けてくれるんじゃないかなあ
オレは生まれつきこの世界の住人だから、別にこの世界の在り方が嫌いじゃないんだよね
だから、まあ、アリスが増えても今更だし、どうせ少ししたらまた減るし増えるし
……でもさぁ、今回手伝った誼で言うけど
随分怖かったんじゃないのかい、マドモアゼル
ねぇ、オレたちがいなかったら君は引き裂かれて化け物の腹の中さ
そして、今回は助けてあげたけど、オレたちはいつでも一緒にいるワケじゃあない
ま、当たり前だね
オレたちにマドモアゼルの扶養責任はない
……つまり、だ
お選びよ
十中八九オウガの餌になる此処に残るか、兄と逢える可能性を信じて進むか、さ
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
幸せな未来が待っている、ね。
確かにそれはないかもしれないわ。
でもここにいれば不幸な未来が待っているだけ、なら。
私は言葉を尽くすだけ。
「ねえ、ルージュ。今なら落ち着いてお話しできるわね。
以前の楽しかった思い出、もう一度私に聞かせて?」
ひとしきり聞き役に徹してから
「その楽しかった出来事は、どこからか降ってきたのかしら?
そうじゃないでしょう?」
「それは貴女が行動して、得られた結果よ。
未来は待っているものじゃなくて、自分でつかむために歩んでいくものなの」
「私たちは貴女に希望をあげたつもり。
ここにとどまって希望を無にするのも、
扉の向こうに踏み出して、未来へと進むのも、貴女の選択よ」
自分を捕食せんと迫るオウガを前に、恐怖のいろしか湛えていなかった、苺のようなつぶらな瞳。
そんな絶望の色は、猟兵たちのおかげで、今の彼女の両の目からは消えているのだけれど。
猟兵たちが彼女と共にいられる時間、してやれることは、限られている。
(「幸せな未来が待っている、ね。確かにそれはないかもしれないわ」)
ヴィオレッタも知っている。ルージュが帰るべき場所が、どういった世界なのかを。
まだ少女の未来は決まってはいないけれども。幸せが待っているとは、正直、言い難い。
けれども……一見平和にみえるお茶会が繰り広げられているこの世界にいれば、オウガの餌となる未来しかみえない。
ここにいれば不幸な未来が待っているだけ、なら――私は言葉を尽くすだけ。
ヴィオレッタは、青金剛石のような瞳を優しく細め、少女へと声を掛ける。
「ねえ、ルージュ。今なら落ち着いてお話しできるわね。以前の楽しかった思い出、もう一度私に聞かせて?」
「たのしかった、おもいで……おにいちゃんが、白いお花で、はなのかんむりをつくってくれたわ。あとは……おかあさんが、おいしいおかしを作ってくれたの」
ダークセイヴァーは夜と闇に覆われた世界。
けれどもそこで過ごしてきた彼女の10年の中でも、楽しかった思い出は確実にあって。
「その楽しかった出来事は、どこからか降ってきたのかしら? そうじゃないでしょう? それは貴女が行動して、得られた結果よ。未来は待っているものじゃなくて、自分でつかむために歩んでいくものなの」
ヴィオレッタは、ルージュへと言葉を紡ぐ。
此処で止まって未来を待っていても、何も生まれない。
未来は、自分のその足で歩いて、自分でつかむものなのだ……と。
グリモアの予知に引っかからなければ、猟兵たちが駆けつけなければ、芋虫に頭から貪り喰われ、彼女の未来はなかった。
でも今は、ルージュの前に、未来の道は拓けている。
「私たちは貴女に希望をあげたつもり。ここにとどまって希望を無にするのも、扉の向こうに踏み出して、未来へと進むのも、貴女の選択よ」
「未来へと、すすむ……」
まだ少女に、進むか留まるか、その決断する勇気はないのかもしれない。
でも、猟兵たちが手を貸してあげて、そして与えた希望。
だからルージュには、自分で未来への一歩を踏み出して欲しいと。
ヴィオレッタは金色の髪をそっと靡かせながら、希望の宝珠の様な色味の違う、少女を映すその両の目を細める。
助けて貰った猟兵たちに沢山の言の葉を投げられ、色々なことを考えている様子ではあるが。
やはり目の前のルージュは、まだ10歳の幼い少女。
テーブルに並べられたお菓子や紅茶に瞳をそっと輝かせつつ、きょろきょろと目移りしている。
(「空腹も渇きも、癒せてねぇだろ。好きなだけ食って飲むがいいさ……話はそっからだ」)
オウガに立て続けに襲われ、猟兵たちのおかげで今、生き延びているルージュ。
そんな少女が、生きているからこそ感じる空腹や渇きを、ある程度満すまで。
見守っていた、ヴィクティムであったが。
皿の上のお菓子をぱくりと綺麗に食べ終え、甘い紅茶でほうっと一息ついた少女の姿を確認して。
「さ、満足したかい? そんじゃぁ……そろそろ本題に入ろうぜ、ルージュ」
ガタリと隣の席へと座ると、人差し指と中指を立て、分かり易いストレートな言葉で現状を整理する。
「お前には今、2つの選択肢がある。元の世界に帰るか、ここに留まるかだな」
「もとの世界に帰るか、ここにとどまるか……」
そう呟いたルージュの表情は、冴えない。
そんな顔を見れば、彼女も本当は理解しているのがわかる。
それを、敢えて口にするヴィクティム。
「――自分でもわかってんだろ? どっちを選んでも、行く先は真っ暗だってこと」
「どっちも、いや……でも、おにいちゃんがこっちの世界にいるし。ひとりじゃ……かえりたく、ない」
ぽつりとそう呟くルージュ。けれども、その声は迷いの色を帯びていて。
未来を選択しているというよりは、ただ、目の前の一見楽し気なお茶会に、逃げているだけ。
「どっちを選べとは言わねえけどよ。選択肢から目を逸らしても」
ヴィクティムはひょいと、クッキーとマカロンのふたつを、目の前の皿にのせて。
熟れた苺のような瞳を覗き込むように見ながら、続ける。
「何も変わりはしねえぞ」
ぽっかりと開いている『自分の扉』を潜れるのは、その名の通り、ルージュだけ。
そしてルージュと一緒に扉の向こうまで行くことはできないし、その先に続く世界は闇に覆われているかもしれないけれど。
「先は真っ暗かもしれねえけどな。自分の手で何を変えられるかもしれねえし。何なら、俺たちがまた助けてやる」
ルージュはそんなヴィクティムの言葉を、じっと素直に聞いている。
確かに、彼は言葉だけでなく、すぐ目の前で変えて見せたのだ。
人を傷つける攻撃を癒しに、そして、トラウマを抉る怖い炎を綺麗な花弁に――。
ヴィクティムは自信家の彼らしい笑みをニッと浮かべ言った後。
近い未来、どう進むか選択をしなければならない少女へと、こう続ける。
「だから――真っ暗な道を歩き出すことを、恐れるな。後悔しない生き方をしな」
――俺のように、ならないようにな。
そして皿の上のクッキーとマカロンの両方を、ぱくりと口にするのだった。
そう――アリスの少女は、いずれ選択をしなければならない。
この世界に残るか、元の世界に帰るのかを。
……おや、帰りたくないと来た。
故は大きく首を傾け、そっと細めた瞳で少女を見遣るけれど。
帰りたくないという言葉は、未来を決めたというよりは、現実から逃げて目を逸らしているだけ。
優しい言葉はきっと他のみんなが掛けてくれるんじゃないかなあ、と。
そう見た目人懐っこく笑んでみせてから、元々この世界の住人である故は思う。
(「オレは生まれつきこの世界の住人だから、別にこの世界の在り方が嫌いじゃないんだよね。だから、まあ、アリスが増えても今更だし、どうせ少ししたらまた減るし増えるし」)
アリスはオウガの餌として、アサイラムから召喚された人間。
この少女が食べられても食べられなくても、どのみちルージュのようなアリスは次々と召喚されるし。
助けられずに、ぱくりとオウガに食べられて死んでしまうアリスの方が、この世界の現状をみれば正直圧倒的に多いだろう。
――けれども。
「……でもさぁ、今回手伝った誼で言うけど。随分怖かったんじゃないのかい、マドモアゼル」
故の声に、ルージュはかちゃりとティーカップを置いて。
ストロベリーブロンドの髪を小さく揺らし、こくりとひとつ、頷く。
そして俯くルージュに、故は改めて、現実を教えてあげる。
「ねぇ、オレたちがいなかったら君は引き裂かれて化け物の腹の中さ。そして、今回は助けてあげたけど、オレたちはいつでも一緒にいるワケじゃあない」
――ま、当たり前だね。オレたちにマドモアゼルの扶養責任はない。
故のその言葉に、少女の熟れた苺のような瞳が不安の色を宿すけれど。
いつまでも目を逸らすことなんてできっこない。それが、逃げる事のできない現実なのだから。
「……つまり、だ。お選びよ」
だから故は、少女へと示してあげる。
彼女の前に並べられた、2枚の運命のカードを。
十中八九オウガの餌になる此処に残るか、兄と逢える可能性を信じて進むか、さ――と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リリスフィア・スターライト
帰ってもらわないといけないけれど
このまま帰ることでルージュの
未来を閉ざすなんてこともさせたくはないかな。
まずルージュと話してこの世界に留まるのを
止めてもらうようにだね。
ルージュの居た世界やこの世界だけでなく
他にも色々な世界、宇宙とかヒーローたちが
沢山いる世界のこととかを話して
興味を持ってもらうようにだね。
そして帰ってもまた会えて辛い事を
一緒に乗り越えて兄とも再開できると勇気づけたいかな。
私が出来なかったとしても他の猟兵達なら必ず見つけてけれるはずだしね。
可能なら連絡が取れる携帯用端末も渡すね
使い方も教えるよ
「他の世界でもいい事ばかりではないけど、何より共に立ち向かう仲間が、そこにもいるからね」
金白・燕
お嬢様、紅茶は足りていますか?
と、笑顔で紅茶を振舞って
クッキーもケーキもたくさんありますが、
何か足りないものはありませんか?
本当に……寂しくは、ないのですか?
ここにいれば君は苦しまないかもしれない
しかし、ここで待っているのは確実な死だ
元の世界には苦しいこともあるかもしれない
それでも君の側に、本当に君のことを思っていてくれる人が…
いるかもしれないし、できるかも、しれないよ
それは幸せな夢、かもしれない
けれど、私たちは少しでも送り出したアリスの幸せを祈りたいのです
君に、幸せを。
少しでも、幸運を。祈ってやまない。
ぽかりと開いた、ルージュの『自分の扉』。
けれどもまだそれを潜って元の世界に戻る勇気は、少女にはない。
(「帰ってもらわないといけないけれど、このまま帰ることでルージュの未来を閉ざすなんてこともさせたくはないかな」)
この世界に残っても、待っている未来はオウガの餌となるだけ。
だから、この世界に留まるのを止めてもらうようにと、ルージュと話をするリリスフィア。
けれども、帰るようにと強制するような言葉ではなく。
リリスフィアがまだ幼い少女へと伝えるのは、様々な世界の事。
「ルージュの居た世界やこの世界だけでなく、他にも色々な世界があるんだよ。宇宙とかヒーローたちが沢山いる世界とか」
「……うちゅう? ヒーロー?」
夜と闇に覆われた世界しか知らない少女は、そんなリリスフィアの話にきょとんとしつつも。
興味を持ったように、それはどんな世界なの? と訊ねてきて。
自分の見てきた色々な世界のことを一通り話してあげた後。
「帰ってもまた会えて辛い事を一緒に乗り越えて、お兄さんとも再開できるよ」
そう、リリスフィアはルージュを勇気づける。
それに、確かにひとりで眼前の扉は潜らないといけないけれども。
ルージュの元いた世界――ダークセイヴァーにも、猟兵たちは赴けるのだ。
「私が出来なかったとしても他の猟兵達なら必ず見つけてくれるはずだしね」
何かルージュの身にあれば、またグリモアの予知に引っかかって。
そしてリリスフィアが赴けなくても、他の猟兵たちが駆けつけることは不可能ではないのだ。
それから、連絡が取れる携帯用端末を渡し、簡単な使い方を教えながら。
「他の世界でもいい事ばかりではないけど、何より共に立ち向かう仲間が、そこにもいるからね」
「なかま……」
わたしにも、できるかな、と。
苺のような瞳でそう問う少女に、リリスフィアは大きくひとつ、頷く。
そんな中――お嬢様、紅茶は足りていますか? と。
笑顔で紅茶を振舞うのは、燕。
「クッキーもケーキもたくさんありますが、何か足りないものはありませんか?」
そしてそう訊ねた後、燕は赤の瞳を細め、少女へとこう続ける。
――本当に……寂しくは、ないのですか? と。
(「ここにいれば君は苦しまないかもしれない。しかし、ここで待っているのは確実な死だ」)
彼女の元の世界では決して食べられないような、甘いお菓子に美味しい紅茶。
一見楽し気で和やかなお茶会に、まだ幼い10歳の少女が現実逃避するのも、無理はない。
けれども、ここに留まれば、待っているのはオウガの餌となる未来。
「元の世界には苦しいこともあるかもしれない。それでも君の側に、本当に君のことを思っていてくれる人が……いるかもしれないし、できるかも、しれないよ」
――それは幸せな夢、かもしれない。
むしろ扉を潜った先もきっと、苛酷で辛い世界が待っているだろう。
でも燕は、いや猟兵たちは皆、祈りたいと思っている。
送り出したアリスの幸せを。
「わたしも……ひとりぼっちじゃなくなる、かな」
おにいちゃんとはいっしょにいたいけど、と。
ぽつりと呟いたルージュに頷きつつ、燕は仕事だからではなくて。
改めて、心から祈るのだった。
(「――君に、幸せを」)
少しでも、幸運を――祈ってやまない、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千家・菊里
【花守】
何はともあれ、腹が減っては何とやら
ここまで大変でしたし、時には一休みも大事ですよね
今は一旦お茶をしつつ
一休みした先の物語を紡ぐ為のお話を、ルージュさんと
俺は嫌な事を聞くと思いますが…出来る範囲で、答えて頂けると嬉しいです
故郷や領主の特徴
周囲の人や行商人の名
この扉の先――
貴女達の本来の居場所に繋がる、手掛かりを
この明るい様で暗い世界も
夜が覆い続ける世界も
一寸先は見事に闇
それでも止まるよりは、進んだ方が何か見つかる――見つけられる可能性は、僅かでも
貴女を、そして貴女達兄妹が少しでも穏やかに歩める道を――探しに行きます
どうかその先で、待っていて頂けませんか
(澪のお守りに金平糖の包みを添えて)
鳳来・澪
【花守】
ほんまに幸せな時間が永遠に続くなら、ええのにね
…うん、でも、腹拵えは大事!
停止でも逃避でもなく、前に踏み出す力を得る為に、まずはルージュちゃんとお茶会を
ダークセイヴァーにも猟兵がおる事
うちらも此処からは無理やけど、違う形でルージュちゃんの世界に向かえる事
菊ちゃんの話と合わせてゆっくり伝えてみる
――お兄ちゃんとの再会も、多分此処に残るよりは望めると信じてる
ね、ルージュちゃん
また会いに、美味しいお菓子を届けに行くから
貴女の世界にも光が届くように、うちらも力を尽くすから
どうか――確実に鬼が待つ未来とは違う未来を、選んでくれんかな
(例え気休めでも…破魔の力と無事の祈りを託したお守りを、彼女へ)
煌めく湖のほとりで、アリスの少女とトランプ兵隊と、そして猟兵たちが楽しんでいるお茶会。
(「ほんまに幸せな時間が永遠に続くなら、ええのにね」)
澪はそれが永遠では決してないことも、知っているけれど。
「……うん、でも、腹拵えは大事!」
そう、並ぶお菓子に目を向ける。
そんな澪に同意するように。
何はともあれ、腹が減っては何とやら、と。
菊里も遠慮なくルージュや皆とともに甘味を楽しまんと、お茶会に参加する。
今はまだ、現実から逃げたくてお茶会の席に座っているルージュだけど。
でも、停止でも逃避でもなく、前に踏み出す力を得る為に。
ここええかな? と、澪も少女の隣に座った。
「ここまで大変でしたし、時には一休みも大事ですよね」
菊里はお茶をしつつ、ルージュへとそう声を掛け、微笑んでから。
少女が、自分の物語の頁を、自分の手で捲って綴れる様に。
一休みした先の物語を紡ぐ為の話を、彼女と交わす。
「俺は嫌な事を聞くと思いますが……出来る範囲で、答えて頂けると嬉しいです」
それは、少女にとって思い出したくないことかもしれない。
故郷や領主のこと、周囲の人や行商人の名前など。
(「この扉の先――貴女達の本来の居場所に繋がる、手掛かりを」)
見つけたルージュの『自分の扉』の向こうの世界について。
「わたしのいたところは、ずっと夜で……ちいさな村だったけど、こわいりょうしゅさまが、ぜんぶ焼いちゃった。おにいちゃんの名前はブラン、りょうしゅさまやぎょうしょうさんの名前は、しらない」
ぽつりぽつりと、記憶の糸を辿るように語るルージュ。
そして、かえりたくない、と再び零す。
そんなルージュに、澪は優しく、でも確りと話して聞かせる。
「ルージュちゃんの故郷のダークセイヴァーにも、うちらと同じ猟兵がおるんよ。うちらは此処からは無理やけど、でも違う形でルージュちゃんの世界に向かえるから」
こわいりょうしゅさま――恐らくヴァンパイアだろう存在と戦える力を持っている猟兵が、扉の向こうにもいること。
自分たちもルージュの帰る世界に赴けることを、幼い少女にも分かりやすく伝えて。
「みんなも、わたしの世界に……?」
驚いたような、けれども心強さを感じてホッとしたような表情のルージュに、こくりと頷きながらも。
――お兄ちゃんとの再会も、多分此処に残るよりは望めると信じてる。
澪は、願うように、そうそっと思う。
(「この明るい様で暗い世界も、夜が覆い続ける世界も。一寸先は見事に闇」)
菊里も、目の前の幼い少女がどのような選択をしたとしても……進む先は、苛酷な闇に覆われていることを知っているけれど。
「それでも止まるよりは、進んだ方が何か見つかる――見つけられる可能性は、僅かでも」
どれほど低く僅かであっても、可能性がゼロではない限り。
「貴女を、そして貴女達兄妹が少しでも穏やかに歩める道を――探しに行きます」
菊里はそう少女へと約束して。
そしてルージュへと、こうお願いをする。
だから――どうかその先で、待っていて頂けませんか、と。
「ね、ルージュちゃん。また会いに、美味しいお菓子を届けに行くから。貴女の世界にも光が届くように、うちらも力を尽くすから」
澪はルージュのために取ってきた甘いマカロンをお裾分けしてあげた後。
手渡すのは、破魔の力と無事の祈りを託した、金平糖の包みが添えられたお守り。
これ、わたしに? と苺色の瞳で自分を見つめるルージュに笑み返してから。
澪は改めて、ルージュへと告げるのだった。
どうか――確実に鬼が待つ未来とは違う未来を、選んでくれんかな、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
城島・侑士
・冬青(f00669)と
ルージュを元の世界へ帰す
冬青〜
父さん紅茶より珈琲派なんだ
珈琲探してきてくれない?と離席させ
ルージュへ静かな口調で話し始める
今は違う世界に住んでるが俺も君と同じあの世界で生まれ育った身でね
帰りたくないという気持ちはわかる
あそこは優しくないからな
寒くて苦して辛くて…
甘い菓子も温かな紅茶もあの世界では手の届かない代物だ
だがここに居続けたら君は確実に死ぬ
兄にも会えずに
…辛い世界に帰すという選択しか用意できなくてすまない
だがどんなに残酷な世界でも生きてさえいれば
光を掴める可能性がある
俺がそう出来たように
それに君は1人じゃない
どうか元の世界へ帰っても光を求める気持ちを捨てないでくれ
城島・冬青
【お父さん…城島・侑士(f18993)と】
ダークセイヴァーの厳しい環境は何度か見ているけど私はあそこで暮らしているわけじゃない
ぬくぬく暮らしてる私がルージュちゃんに元の世界へ帰った方がいいと説得するのは酷く傲慢なんじゃないか…そう思ってしまって上手く言葉を紡げない
何か言わなきゃ…でも…でも
は?お父さん急に何??
もう仕方ないなぁ(立ち上がり珈琲を取りに行く)
ルージュちゃんへの声かけはお父さんに任せて一時離席
戻ってきたら少しでも前向きになってくれるといいんだけど
私、ダークセイヴァーに行ったらルージュちゃんを探して絶対に会いにいくよ!マカロンとかお菓子を沢山持っていくから
だから必ずまた会おうね
眼前には、ストロベリーブロンドの髪と苺のような瞳を持つ少女の姿。
そんな幼い少女を前に、上手く言葉を紡げずにいる冬青。
(「ダークセイヴァーの厳しい環境は何度か見ているけど私はあそこで暮らしているわけじゃない」)
ダークセイヴァーという世界を見て聞いて、知っているからこそ。
――ぬくぬく暮らしてる私が、ルージュちゃんに元の世界へ帰った方がいいと説得するのは酷く傲慢なんじゃないか……。
冬青はそう思わずにはいられなくて。
けれども、黙っているままというわけにもいかないから。
(「何か言わなきゃ……でも……でも」)
掛ける言葉が見つからないまま、ただ密かに焦るばかり。
そんな娘の様子をちらりと、菫青石色の瞳に映して。
「冬青〜。父さん紅茶より珈琲派なんだ」
……珈琲探してきてくれない? そうお願いする侑士に。
「は? お父さん急に何??」
もう仕方ないなぁ、と言いながらも。
立ち上がり、珈琲を取りに行ってあげる冬青。
(「戻ってきたら少しでも前向きになってくれるといいんだけど」)
声かけは父に任せて。内心、少しだけホッとしながら。
そして娘が離席したのを見届けてから。侑士はルージュへと、静かな口調で話し始める。
「今は違う世界に住んでるが俺も君と同じあの世界で生まれ育った身でね。帰りたくないという気持ちはわかる。あそこは優しくないからな」
「……え? おにいさんも?」
見た目20代くらいの若者に見える侑士は、ルージュの言葉に思わず笑みながらも。
すぐに真剣な表情を取り戻して。
寒くて苦して辛くて……甘い菓子も温かな紅茶もあの世界では手の届かない代物だ、と。
眼前に並ぶお菓子や紅茶に、ふと目を移すけれども。
改めて、こう少女へとはっきりと紡ぐ。
「だがここに居続けたら君は確実に死ぬ。兄にも会えずに」
目の前のルージュはまだ10歳。しかも両親を亡くし、兄とも逸れている。
そんな状況だから、尚の事。
……辛い世界に帰すという選択しか用意できなくてすまない。
侑士はそう、申し訳なくも思うのだけれども。
「だがどんなに残酷な世界でも生きてさえいれば、光を掴める可能性がある」
あの苛酷な世界で生き抜き、そして今がある自分の経験をもって、ルージュを説得する。
――俺がそう出来たように、と。
そして確かに少女はひとりで扉を潜って、元の世界に帰らなければならないのだけれど。
優しく瞳を細め、侑士はルージュへとお願いする。
「それに君は1人じゃない。どうか元の世界へ帰っても光を求める気持ちを捨てないでくれ」
そんな父へと、調達してきた珈琲を手渡しながら。
戻ってきた冬青も、父と同じように琥珀色の瞳を細めて。
「私、ダークセイヴァーに行ったらルージュちゃんを探して絶対に会いにいくよ! マカロンとかお菓子を沢山持っていくから」
ルージュのためにと貰ってきた、色とりどりの可愛らしいマカロンを差し出しながらこう続けるのだった。
――だから必ずまた会おうね、って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東雲・円月
双子の姉の咲夜(f00865)と共に
お茶会か。俺もご一緒させてもらおうかな
甘いもの、嫌いじゃないし
そうだなー、チーズケーキと……紅茶はストレートで
しばらくのんびりするといいよ。付き合う
……怖い目に遭った後だ、ゆっくりするといい
お兄さんの話は俺も聞きたいな
どんな人なんだい?
俺の双子の姉はね、まあ目の前にいるけど……
面白くて優しくて、でも意外とおっちょこちょいで、ほっとけない
それに、甘くていい匂いがする
抱きしめて離したくないぐらいの、いい匂い
ふふ、キミのお兄さんはどうかな?
双子って言うのは片方がいなくなったらもうダメなんだ
だから、キミは元の世界に帰らないと
……そう、双子だから、帰らないと、ね?
東雲・咲夜
弟のえっくん(f00841)と
ほんまに水辺に『扉』があるやなんて…
うちは少しくらいのんびりしとっても
かまへん思いますよ
ルージュちゃん、隣に座ってもええですやろか?
甘酸っぱいベリーのマカロンに
まろやかなミルクティーを味わいながら
…ね、お兄ちゃんはどないな御人なん?
うちにもちょっとばかし聴かせておくれやす
少女に刻まれた愛おしい想い出の頁たち
微笑ながら記憶の囀りを受け止めて
えええっくん、突然何言ってはるん!?
後生です気にせんといて…!(真赤)
ルージュちゃんが大切に想わはるように
きっとお兄ちゃんも「帰りたい」願っとる筈
其の想いが、どないな形でもあんさんの許へ戻って来はります
せやから…ね、往きましょう
陽の光にキラキラと輝く湖のほとりに、ぽっかりと開いたルージュの『自分の扉』。
(「ほんまに水辺に『扉』があるやなんて……」)
咲夜はそう、藍色の双眸をぱちくりとさせてから。
(「うちは少しくらいのんびりしとっても、かまへん思いますよ」)
そっと、その瑞々しい色に幼い少女の姿を映して。
「ルージュちゃん、隣に座ってもええですやろか?」
彼女の心に寄り添うような微笑みを宿し、ルージュの隣に座れば。
「お茶会か。俺もご一緒させてもらおうかな」
甘いもの、嫌いじゃないし、と。
円月も、咲夜と反対側の隣の席に着いて。
「そうだなー、チーズケーキと……紅茶はストレートで」
双子の姉と同じ藍色の瞳で並ぶお菓子を見回し、目当てのスイーツや紅茶を確保してから。
「しばらくのんびりするといいよ。付き合う」
……怖い目に遭った後だ、ゆっくりするといい。
そう、小さな少女へと紡いだ。
咲夜も、甘酸っぱいベリーのマカロンに、まろやかなミルクティーを味わいながら。
可愛らしい目の前のマカロンと似た色をした瞳のルージュに、そう訊ねてみれば。
「……ね、お兄ちゃんはどないな御人なん? うちにもちょっとばかし聴かせておくれやす」
「お兄さんの話は俺も聞きたいな。どんな人なんだい?」
ぱくりとチーズケーキを口に運びながら、円月も少女へと目を向ける。
そんなふたりを交互にきょろりと見た後。
「おにいちゃんは、やさしい。あぶなっかしいこともするからときどき心配だけど、でもつよくて……いつも、わたしのこと守ってくれるの」
それから、白い花で花冠を作ってくれた話や、自分を助けようとしてうっかり木から落ちた話、凶暴な犬から守ってくれた武勇伝――どの話も嬉しそうに口にする。
咲夜は、そんな少女に刻まれた愛おしい想い出の頁を、一緒に微笑みながらそっと捲っていき、受け止めて。
「そういえば、おにいさんとおねえさんも、双子……?」
ルージュのそんな問いに、円月は頷いてから。
「俺の双子の姉はね、まあ目の前にいるけど……面白くて優しくて、でも意外とおっちょこちょいで、ほっとけない」
視線を咲夜へと移して、こう続けるのだった。
「それに、甘くていい匂いがする。抱きしめて離したくないぐらいの、いい匂い」
「えええっくん、突然何言ってはるん!?」
後生です気にせんといて……!
そう、ベリーのマカロンよりも顔を真っ赤にする咲夜の姿に思わず笑んで。
「ふふ、キミのお兄さんはどうかな?」
きょとりとしつつも、おにいさんとおねえさんも、やっぱりなかよしなんだ、と。
そうつられて微笑むルージュに、円月はもう一度頷く。
そしてまだ火照ったままの頬をそっと抑えながらも。
咲夜は小さなルージュの背中を、その言の葉で優しく押す。
「きっとお兄ちゃんも「帰りたい」願っとる筈。其の想いが、どないな形でもあんさんの許へ戻って来はります」
――せやから……ね、往きましょう、と。
それに、相手を想うその気持ちや絆は、よく分かるから。
「双子って言うのは片方がいなくなったらもうダメなんだ。だから、キミは元の世界に帰らないと」
一人になったら生きていけない――円月はそうそっと、咲夜を見つめた後。
兄を想うルージュの気持ちに寄り添うように、言って聞かせるのだった。
……そう、双子だから、帰らないと、ね? って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鈴木・志乃
古高さんとf01330
帰るべきだとは言わない
私もあの世界の出身だ
でもルージュちゃん
扉をくぐらなかったら、多分お兄ちゃんとは会えないよ
(同じ扉からは帰れないし
待ってる間に殺されるだろう。
確実なのは扉を潜ることだと簡単に説明)
この世界は広いし
すぐに襲われちゃうのはここも同じだもの
きっとお兄ちゃんも会いたいと思ってるね
だからこそ、だ
今一時の感情に流されないで
一生の後悔を背負うかもしれない
UC発動
攻撃ではなく、ルージュちゃんの失われた気持ちを
取り戻す為に使用する!
正直何が正しいのか私にも分からん
ただこの場合の最良は
お兄ちゃんと再会すること
私なら
向こうで貴女を待つだろうから
古高・花鳥
鈴木さんの話を聞いて、あの世界がどれ程過酷なものかと知りました
だからこそ、生き抜いてほしい
頑張ったルージュさんなら、きっとできるから
「手をつないで」「優しく」話をします。加えて【お姉ちゃんの心得】
お兄ちゃんに会えるかもしれない、会えないかもしれない。確信がないなら、どうか明るい道を信じて。あなたが後悔しない為にも、辿り着く為にも
それから、持ち物の〈お守り〉。これをひとつルージュさんに贈ります
何の意味もないのかも知れないけれど
希望を忘れないで、鈴木さんが取り戻させてくれた想いを失わないで、生きていけるように。そう願って。
大丈夫、ひとりじゃないよ
(アドリブ歓迎です)
この世界……アリスラビリンスは一見、明るくてキラキラしているけれど。
扉の向こう――ダークセイヴァーは夜と闇に覆われていて。
ヴァンパイアが支配する、理不尽だらけの世界。
それをよく知っているからこそ、志乃には軽々しくは言えないのだった。
闇に覆われた、ルージュと同じそんな世界出身だからこそ――帰るべき、だとは言えない。
……けれど。
「でもルージュちゃん。扉をくぐらなかったら、多分お兄ちゃんとは会えないよ」
「おにいちゃん、でもまだたぶん、この世界に……」
「同じ扉からは帰れないし、お兄ちゃんを待ってる間に殺されちゃうよ。確実なのは扉を潜ることだと思う」
志乃の言うことは、頭では理解しているようだけれども。
でもやはり小さな少女にとって、選ばないといけないと分かっていても……勇気が出ないのだ。
(「この世界は広いし、すぐに襲われちゃうのはここも同じだもの」)
アリスラビリンスは一見、可愛らしいメルヘンな世界に見えるけれど。
ルージュのようなアリスは、この世界ではオウガの餌でしかない。
見つけられれば、ぱくりと頭から齧られてしまうだろう。
どちらの世界を選ぶにしても、苛酷な道であるだろうけれど。
餌としての未来しか待っていないよりは、まだ扉の先の世界の方がマシなのかもしれない。
(「鈴木さんの話を聞いて、あの世界がどれ程過酷なものかと知りました」)
オブリビオンが支配する絶望の世界。
けれども、だからこそ、花鳥は思う――生き抜いてほしい、って。
「頑張ったルージュさんなら、きっとできるから」
――本当によく、がんばったね。
刹那、花鳥がルージュへと向けるのは、優しさに満ち溢れた『お姉ちゃんの心得』。
その大いなる優しさに触れ、今までずっと我慢していた涙が、ぽろりと苺色の瞳から零れ落ちて。
「お兄ちゃんに会えるかもしれない、会えないかもしれない。確信がないなら、どうか明るい道を信じて。あなたが後悔しない為にも、辿り着く為にも」
「きっとお兄ちゃんも会いたいと思ってるね。だからこそ、だ。今一時の感情に流されないで。一生の後悔を背負うかもしれない」
――飛んでけ。
そう、花鳥に続いてルージュへと言の葉を紡いだ志乃が発動させたのは『旅立ち』。
祈りを籠めた千羽鶴が刹那、失われた想いを引き寄せる光の鳥と成って。
心を乗せた千羽の祈りの鳥が、やさしい嵐となって、ふわりルージュを包み込む。
ルージュの失われた気持ちを、取り戻す為に。
(「正直何が正しいのか私にも分からん」)
千羽の祈りでメルヘン世界の風景を満たしながらも、そっと微かに首を横に振る志乃。
けれども、これだけは分かる。
「この場合の最良はお兄ちゃんと再会すること。私なら、向こうで貴女を待つだろうから」
「むこうで……おにいちゃんと」
だから、取り戻した気持ちを胸に一歩を踏み出して、旅立つ勇気を持って欲しいと。
そして花鳥がひとつルージュへと贈るのは、ころんとした丸型のお守り。
何の意味もないのかも知れないけれど……でも、溢れる優しさと千羽の祈りが取り戻させた、少女の想い。
「大丈夫、ひとりじゃないよ」
花鳥は、ゆるやかなストロベリーブロンドの髪をそっと優しく撫でてあげる。
取り戻した想いを失わないで、生きていけるようにと――そう願いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
壱季・深青
【KOR参加】
俺が歌うと…何故かみんな…眠くなるって(お経のように歌うため)
でも…歌う…楽しい…歌(お経(以下略)
俺たちも…最初から…強かったわけじゃ…ない
みんな…それぞれ…事情があった
強くなりたかった…強くならないといけなかった…いろいろ
俺は…後悔したくないから…強くなりたいと、思った
ルージュは…お兄さんに…会いたいと願う…自分のために
さっき敵に怒った…強い気持ち…忘れないで
強い気持ち…あれば…いつかきっと…会うことができる
でも…諦めたら…おしまい
もしお兄さん…来てくれないのなら…会えないのなら
…キミが探しに、行くんだ
強くなったら…探せる…誰にも邪魔されずに、ね
留まる…帰る…選んで…ルージュ
アヤネ・ラグランジェ
【KOR参加】
そう。依頼はルージュを「自分の扉」まで連れてくること
目標は達成している
この先の選択は彼女次第だ
どちらがよい選択なのか僕には判断できないネ
仲間と相談した結論は元の世界に戻すこと
流れに沿うことにしよう
紅茶は飲む
チョコレートは食べる
適当に談笑して
空気を壊さないように気を使う
頃合いを見計らってライフルのケースを開き
わざとゆっくり組み立てる
オウガが出たら君が食べられてしまうからネ
ライフルを構えて見せ
扉の向こうに行くまでは守ってあげたいと思う
でも
僕らもいつまでもこの場にいられるわけではない
この場に残ってオウガに食べられるか
扉の向こうに戻ってお兄さんに会う可能性に賭けるか
君が決めるんだ
織銀・有士郎
【KOR参加】
(では拙者の愛らしい踊りを存分に堪能するでござるっ)
お経のような歌をBGMに、狸神様が着ぐるみショーの如き見事な踊りを……宴会芸か?
それを肴に酒……じゃなく紅茶でも飲むかね。
「さて、嬢さんには二つの道がある。ここで永遠の茶会を楽しむか、元の世界で兄と共に楽しめる未来を探すかだ」
茶会を満喫し、ルージュの心が落ち着いてきたところで説得開始といこう。
ここは楽しいがルージュの兄はいない。
だが元の世界なら、兄と再会して幸せな未来を掴みとれるかもしれん。
それに……自分たち猟兵が、嬢さんの世界を平和する時が必ず来る。
だから、元の世界に戻って兄を探し、二人でその時まで頑張ってほしい。
鏡彌・サクラコ
【KOR参加】
悩む必要はありませんねい?
100パーセント食べられちゃうのが確定しているこの世界よりも
50パーセントくらいは望みのある元の世界に戻るのが正解でいす
まずはネガティヴな気分を和らげて
やさしく説得するしかないでしょう
お茶会をいっしょに楽しみますねい
マカロンが色とりどりできれいですねい
スコーンにはクロテッドクリームをたっぷりつけて
オクちゃんにパフェをあーんして
紅茶もよい香りでいす
皆様のお話を聴きつつ
お経?スローですけどよい歌声ですねい
着ぐるみショーみたいで楽しいでいす
アヤネさまはやはりお優しいですねい
明るい笑顔で
大丈夫!お兄さまが扉の向こうで待っていますねい!望みは叶うでいす!
断言します
日隠・オク
【KORで参加】
美味しそうなお菓子!
ルージュさんにもすすめ
あーん…おいしい…(へへへと嬉しそう
みなさんの歌や踊りを楽しく見ます
ルージュさんのお兄さんはどんな方ですか
お兄さんというのがどんな存在なのか私には分かりませんがルージュさんはとても好き…なんでしょうか
私たちもずっとここには居られません…
今お兄さんと離れていても頑張れていますよね。
お兄さんと一緒にいられたのはこの世界じゃない、元の世界なんです
強いお兄さんならきっと元の世界に帰って待ってます
いえ、先に帰って待っててもよいかもしれません
ずっとここにいたらいつまでも会えません
私は応援しか出来ませんが、強く、生きてください
扉を開いて元の世界へ…
甘いお菓子や美味しい紅茶、トランプ兵隊たちと少女と猟兵の、湖のほとりのお茶会。
美味しいものと交わされる会話、それだけでも楽しいのだけれど。
目の前の少女のその表情は、どこか悩まし気。
そんなルージュを少しでも楽しませたいと……響くのは、お経!?
(「俺が歌うと……何故かみんな……眠くなるって」)
聞いていると何だかちょっぴり眠気がくるようなリズムとテンポだけど……それは深青の歌声です!
「でも……歌う……楽しい……歌」
けれど歌えば、とても楽しいし。
――では拙者の愛らしい踊りを存分に堪能するでござるっ。
そう言っているかの如く、お経のようなBGMに合わせ踊り出すのは、有士郎の喚んだ狸神様。
愛らしくぽんぽこ見事に踊る様は、まるで着ぐるみショー? いや宴会芸??
そんな愉快な歌や踊りを肴に、酒……ではなく紅茶を飲みつつ楽しむ有士郎。
「お経? スローですけどよい歌声ですねい。着ぐるみショーみたいで楽しいでいす」
サクラコも、響く深青の歌や狸神様の踊りを楽しみながらも。
(「悩む必要はありませんねい? 100パーセント食べられちゃうのが確定しているこの世界よりも、50パーセントくらいは望みのある元の世界に戻るのが正解でいす」)
楽し気に愉快な歌や踊りを眺めているルージュへと、そっと視線を向けてから。
(「まずはネガティヴな気分を和らげて、やさしく説得するしかないでしょう」)
少しでも少女が落ち着いて話を聞いてくれるようにと、まずは、お茶会をいっしょに楽しむことにする。
「美味しそうなお菓子! よかったら、ルージュさんも……美味しそうです」
「あ、かわいい……ありがとう、ございます」
色んな動物さんのカタチをしたカラフルなアイシングクッキーをいくつか取って。
オクはルージュにもお裾分けしてから。
「オクちゃん、パフェをあーん、でいす」
「あーん……おいしい……」
今度はサクラコに、あーんしてもらって、へへへと嬉しそうな笑みを。
「マカロンも色とりどりできれいですねい」
サクラコはそういくつか、コロンと可愛いマカロンを皿に取って。
スコーンにはクロテッドクリームをたっぷり。ふんわり、よい香りの紅茶と一緒に。
そしてオクは、ルージュにふと訊ねてみる。
「ルージュさんのお兄さんはどんな方ですか」
「おにいちゃん? おにいちゃんは……ちょっとあぶなっかしいところもあるけど……つよくて、わたしのことをいつも守ってくれる、やさしいおにいちゃんかな」
ルージュは苺のような赤の瞳をそう細め、答えて。
「お兄さんというのがどんな存在なのか私には分かりませんが、ルージュさんはとても好き……なんでしょうか」
「うん、だいすき」
再度のオクの問いに即、頷く。
その様子をみれば、彼女が本当に兄のことが大好きなのだと窺い知れて。
そしてアヤネは、そんなルージュや仲間たちの様子を見つつも、思うのだった。
(「そう。依頼はルージュを「自分の扉」まで連れてくること。目標は達成している。この先の選択は彼女次第だ」)
――どちらがよい選択なのか僕には判断できないネ、と。
ルージュをオウガから守り、彼女が『自分の扉』を見つける手助けをする。
そんな猟兵としての仕事は完了しているし、これからの彼女の未来に関してあれこれ口を出すつもりもないアヤネ。
けれど、仲間と相談した結論は――ルージュを元の世界に戻すこと。
だから、流れに沿うことにしようと。
アヤネも、紅茶を飲み、チョコレートを摘まみながらも。適当に談笑しては仲間の意向を汲み、空気を壊さないように気を使う。
そんな姿に、アヤネさまはやはりお優しいですねい、とそっと金の瞳を細めてから。
一度ぐるりと、仲間たちを見回すサクラコ。
楽しいお茶会も、トランプの兵隊の言う様な永遠……というわけにはいかないから。
ルージュの心が十分に落ち着いた頃合いを見計らい、それぞれが、彼女へと言葉を掛け始める。
「さて、嬢さんには二つの道がある。ここで永遠の茶会を楽しむか、元の世界で兄と共に楽しめる未来を探すかだ」
はっきりとそう言い放った有士郎の声に、ルージュはハッと顔を上げて。
「私たちもずっとここには居られません……今お兄さんと離れていても頑張れていますよね」
――お兄さんと一緒にいられたのはこの世界じゃない、元の世界なんです。
オクも、現実から目を逸らしている今のルージュを諭す。
少女もきっと分かっているのだ。けれども、幼い少女がなかなか踏み出せないのも分かる。
「わたし、おにいちゃんに守られてばかりで……つよくないし」
「俺たちも……最初から……強かったわけじゃ……ない。みんな……それぞれ……事情があった。強くなりたかった……強くならないといけなかった……いろいろ」
深青は少女の気持ちに寄り添いながらも。
「俺は……後悔したくないから……強くなりたいと、思った」
自らのことを語り、小さな背中を押してあげる。
「こうかい、したくないから……か」
「ルージュは……お兄さんに……会いたいと願う……自分のために……さっき敵に怒った……強い気持ち……忘れないで」
先程のオウガとの戦いで、最初は恐怖で動けなかったけれど。
怒りを感じることで強くなれた。
だから、今は怖くて勇気がなかなか出ないかもしれないけれど。
「強い気持ち……あれば……いつかきっと……会うことができる」
――でも……諦めたら……おしまい。
深青の言う様に、怖がっているばかりでは、逃げてばかりでは、きっと何も変わらない。
そして一見楽しいこのお茶会も、永遠には続かない。
「ここは楽しいがルージュの兄はいない。だが元の世界なら、兄と再会して幸せな未来を掴みとれるかもしれん」
戻る世界も苛酷かもしれないが。
このまま此処に留まっていても、兄との再会は確実に叶わないだろうから。
有士郎もルージュへと、微かな可能性を示して。
「それに……自分たち猟兵が、嬢さんの世界を平和する時が必ず来る。だから、元の世界に戻って兄を探し、二人でその時まで頑張ってほしい」
闇に覆われた世界をも打破するべく、自分たち猟兵も動いているのだと告げる。
だから在るべき世界に戻って兄を探し、そして自分の足で、その手で、未来を掴んで欲しいと。
狸神様も見守る傍らで、有士郎も願う。
そんな中、かちゃりとライフルのケースを開き、ゆっくりと組み立てはじめるアヤネ。
敵襲か何かと一瞬、ルージュは身を震わせ、思わず瞳を見開くけれど。
「オウガが出たら君が食べられてしまうからネ」
それだけ言って、アヤネはライフルを構えて見せる。
「扉の向こうに行くまでは守ってあげたいと思う。でも、僕らもいつまでもこの場にいられるわけではない」
選択を迫られた少女が、この世界の現実から確りと目を逸らさぬように。
そして、誰でもないルージュ自身が、自分で未来を選択できるように。
「この場に残ってオウガに食べられるか、扉の向こうに戻ってお兄さんに会う可能性に賭けるか。君が決めるんだ」
そう、ルージュへと緑色の瞳を向けて。
「もしお兄さん……来てくれないのなら……会えないのなら……キミが探しに、行くんだ。強くなったら……探せる……誰にも邪魔されずに、ね」
そのためには、強くならないといけないけれど。
待っていて会えないならば、探せばいいと。
――留まる……帰る……選んで……ルージュ。
深青も、少女に、そろそろ選択の時だと告げれば。
「強いお兄さんならきっと元の世界に帰って待ってます。いえ、先に帰って待っててもよいかもしれません。ずっとここにいたらいつまでも会えません」
「大丈夫! お兄さまが扉の向こうで待っていますねい! 望みは叶うでいす!」
オクの言葉に続き、断言します、と明るい笑顔を向けるサクラコ。
そんな猟兵たちをぐるりと見回して。
ルージュはがたりとおもむろに立ち上がり、そして決断したのだった。
「おにいちゃんに、また会いたい。だから……わたし、かえります」
そして『自分の扉』を潜る直前にもう一度、見守っている猟兵たちを振り返り、ぺこりとお辞儀してから。
「さようなら、ありがとう」
ルージュは扉を潜り、元の世界へと帰っていったのだった。
そんなルージュを見送りつつ、オクは皆とともに願う。
私は応援しか出来ませんが、強く、生きてください――って。
●優しくて残酷な章のおわり
芋虫に頭をぱくりと齧られて、死んじゃうはずだったアリス。
けれどアリスは、強くてやさしい猟兵たちに助けられました。
芋虫も、意地悪な物語の紡ぎ手も、猟兵たちがみんなやっつけてくれました。
そして一緒に、元の世界へと帰るための扉まで、見つけてくれました。
そんな猟兵たちのおかげで、アリス――いや、ルージュという名の少女は、元の世界に帰ることができたのです。
やさしい猟兵たちは、口々に少女に言ってくれました。
『扉のむこうにはお兄ちゃんが待っているはず』
『お兄ちゃんもきっと元の世界に戻ってきて、また会えるはず』
幼い少女はその言葉を信じて、きっとお兄ちゃんに会えるという希望を抱いて。
キラキラと、熟れた苺色の瞳を輝かせ、帰っていきました。
おかあさんもおとうさんも、おにいちゃんもいない。
生まれた村も、帰る家もない。
そんな闇に覆われた、苛酷な世界へと。
そしてやさしい猟兵たちは、自分たちがやるべきことを、きっちりと成し遂げたのです。
オブリビオンを倒して、少女の『自分の扉』を見つけ、ルージュを元の世界へと帰すという目的を。
扉を通って元の世界に帰れるのは、『自分の扉』を見つけた、双子の妹だけ。
もしも兄が生きていたとしても、兄はまだまだ帰れないのです。生きて帰れるかもわかりません。
妹の方が先に、こわいりょうしゅさまに捕まって殺されてしまうかもしれません。
いつかお兄ちゃんに会えると――ずっとずっと、信じたまま。
そして猟兵たちはただ、元の世界へと帰した少女の無事を願うばかりです。
けれど、紡がれる少女の物語の次の章は、猟兵たちにはもう見る術がありません。
グリモアの予知に、再び引っかからない限り。
大成功
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