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夏だ!水着だ!水上競技に挑戦だ!

#キマイラフューチャー #戦後


 キマイラフューチャー世界、都市部の某所。
 この都市はリゾートが施設中心に整備されており、どこもかしこも賑わいを見せている。その中でも一際の歓声が上がっているのがここ、スパリゾートキマイランズ。陽が強くなり始めた初夏、待ち望まれて遂に解禁されたウォーターリゾート総合娯楽施設なのだ。
 ヤシの木が影を作るメインストリートを抜けると、消毒水とプールの香りがキミ達を迎えるだろう。そしてまず目に留まるのがデカデカと広告された『新装!ウォーターアスレチック!』の文字。周囲ではしゃぐ新しい物好きのキマイラ達も、皆これがお目当てのようだ。
 競技内容は様々な身体能力を持つキマイラ達に合わせていくつかのコースがあるようで、得意なコースへと小走りで並びに行く姿が目に入った。

「っていう感じのウォーターリゾート施設で事件が起こりそうなんだよね~。」
 そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「問題は、予知だと黒幕が全然分からないことなんだ~。皆が楽しんでる所に突然現れるみたいで、黒幕を探すのは無理みたい。だから、みんなには思いっきり遊んでもらって、いっぱい盛り上げてもらいたいんだ!そうすれば黒幕が現れるはずだよ!」
 そこまでいうと、真多子はまた次の動画を流し始めた。キミ達がそれを眺めてみると流れている内容は男女の水着、そのカタログのように見える。
「これ?もちろんミ・ズ・ギ!プールで遊ぶんだから絶対着ないと!あ、でもでも激しく動くから着崩れには注意してね!普通に一般のお客さんもいっぱいいるから恥ずかしい思いしちゃうからね!本当に注意してね!!」
 謎の念押しをした後、真多子はキミ達が水着に着替えたのを確認してから施設内へと転移を始めた。


ペプシ派
 皆さん水着が受理されてイメージが固まってきたのではないでしょうか。
 早く見たい!という逸る気持ちを抑えるために、水着で遊べるシナリオを用意してみました。

 第一章は水着でアスレチックに挑戦しましょう(第二章もアスレチック続行です)!もしもハプニングに遭ってみたい方はプレイングの冒頭に◎を入れるか、プレイング内でハプニング内容を記載お願いします。

 第二章もアスレチックは続行です。ただしスタッフを自称する怪人が水鉄砲などで妨害してきますので、対処しながら進みましょう。ハプニングについては第一章と同様に◎か記載でお願いします。

 第三章はアスレチック終了後です。そして黒幕が登場!一般人の避難や被害は考えず、プールという戦場を駆使してド派手に暴れましょう!
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第1章 日常 『障害物盛り沢山!水上競技に挑戦だ!』

POW   :    激しい水流!近道ウォータースライダーコースに挑戦!

SPD   :    忍者感覚!ノンストップビート板渡りコースに挑戦!

WIZ   :    バランス重視!堅実水上スポンジ足場渡りコースに挑戦!

イラスト:音七香

👑5
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片桐・公明
【SPD】水着はハイレグノースリーブで紺を基調とし白のラインが入った競泳水着
いつもの青いパーカーを羽織っている

楽しそうに準備運動をしながらコースを分析する
(ビート坂の上に立つ。誰もが想像するけど、結構難しいのよね。)

タイミングを計りつつ、腕を後方に伸ばしUC
炎を推進力にして一気に駆け抜ける
直角カーブも慣れたように方向転換する。

「体重とビート板の大きさが分かれば沈みきってバランスが崩れるまでの秒数が算出できるわ。あとはその前に駆け抜けるだけよ。」
危なげなく、華麗に駆け抜ける

(アドリブ、絡み歓迎。ただしハプニングは発生させないでください)



 様々な身体特徴を持つキマイラ達が、己の特技を見せつける良い機会だと騒ぎ立て賑やかなエントランス。
 そんな中でこれといった特徴を持たない者がいた。
 それもそのはず、彼女、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は『人間』である。
 このキマイラ達の世界には既にいない種族であり、当然この施設のアトラクションは人間用に作られてはいない。
 人間が無事にゴールするためには相当困難な難易度になるだろう。
 しかし彼女はそんな些細なことなど気にしないと言わんばかりに、軽快に準備運動を行っていた。

 そんな公明の水着は股関節周りの動きを阻害しない攻めたハイレグ、同様に肩の動きが自由になるノースリーブな肩回りとなっている。
 さらには水の抵抗を減らすために余計な装飾を一切付けないデザインだ。
 見た目で魅せるのではなく競技で魅せるために作られた、紺を基調とし白のラインが入った競泳水着に身を包んでいる。
 またその上には公明がいつも好んで着用しているフード付きの青いパーカーを羽織っており、動くたびにパーカーから覗かせる剥き出しの腋と母親譲りの整った顔立ちへと、キマイラ男子の視線は忙しく行ったり来たり。
 男子諸君は例外なく美人に眼が無いようだが、隠されているものが見えてしまうことの方が余計に好奇心を湧き立てるようだ。

 公明はそんな視線に気が付かず、競技場のプールを観察していた。
「ふぅん意外だったわ、ビート板ってこっちの世界にもあるのね。でもあの上に立つのって、見た目や想像に反して結構難しいのよね。」
 眺めていると、丁度エリマキトカゲキマイラが挑戦するようだ。
 バタバタドタトタと初速の勢いこそ良かったものの、中ほどまで到達する前のカーブで足を取られて失速。
 無念そうな顔でそのままプールへ沈んでいった。

「思ったとおりね。あの足場じゃ方向転換のために一瞬踏ん張ることすら許されないみたいだわ。」
 先人のお手並み拝見といったところで、眼鏡を光らせてこのコースのおおよその注意点を見抜く。
 そして父親譲りの洞察力と知恵が、既に彼女へ解決策を導き出しているようで、公明の顔には余裕と自信に満ちた表情が輝いている。
 整った顔でそんな表情をされればキマイラ男子諸君も堪らないらしく、もじもじと身を屈めていた。
「さてと準備運動はもう終わり。見せてあげるわ、父さんから譲られたのは頭だけじゃないってことをね!」

 受付を済ませ公明の順番が周ってくると、クラウチングスタートの姿勢で合図を待つ。
 ブザーの音と共に姿勢を起こすと、腕を後ろに伸ばした姿勢のまま体躯を揺らさずビート板の上を駆け抜けた。
「よし、初めてやってみたけどコツはつかめてきたわね。体重とビート板の大きさが分かれば沈みきってバランスが崩れるまでの秒数が算出できたわ。あとはその前に駆け抜けるだけだものね。」
 観客達はその奇抜な疾走姿勢に大興奮、あれが噂のニンジャ走りか、違うケンポー走りだと口々に勝手な憶測が飛び交い歓声を上げる。

 コースの中ほど、先ほどのエイマキトカゲキマイラがリタイヤしたカーブに差し掛かった。
 勢いはあっても、それだけではこの難関を超えるのが難しいのは証明されている。
 そこで公明が用意していた秘策の出番であった。
「要は足だけで踏ん張らずに曲がればいいのよ、ね!」
 公明が掛け声と共に姿勢を崩さず軽く跳躍、そこで後ろに伸ばしていた手に持っていたもの、父の異名が付けられたMathem842の2丁拳銃が文字通り火を噴いた。
 噴き出すその火はさながらジェットエンジンのように轟音を響かせ火柱が尾を引いき、彼女の背を押して手助けする。
 公明が腕を振って角度を調節すれば、緩いカーブどころか直角カーブですら速度を落とさず走り続けることができた。
 その雄々しく優雅な動きに観客達は歓声を隠すどころか、感極まってプールに飛び込む者が出る程だ。

 割れんばかりの声援と数多のスマホカメラを向けられながら、悠々と危なげなしに中間地点へ見事に到達。
 額に伝う汗を拭うと、観客達へ振り向き華麗にポーズを極めてシャッターチャンスのファンサービスで歓声の返礼を返した。
「あらら、いきなり人気者になちゃったわ。父さんには感謝しなきゃね。」
 そう呟くと、未だ熱と硝煙を上げる2丁拳銃を見つめて微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

デュナ・ヴァーシャ

楽しんで肉体を鍛えられる施設と言うのは実に好ましい。それを脅かす者を打ち倒すのは、例え異世界と言えど肉体の女神たる我が責務と言えような。

水着は素直にシンプルな競泳水着にしよう。まあ我が肉体に合うサイズなど無いので、一番大きなヤツでもあちこち張り詰めるが……まあ、見せて恥じる肉体ではないからな。問題ない。
挑戦するのはウォータースライダーコースだ、激しい水流も難しいコースも、我が神躰には何の妨害にもならぬ。どのようなコースでも受けて立とう。

む、だが、狭い場所があると、胸やら筋肉が引っかかるか……壊せば通れるがそういう訳にもいかぬしな。
妙な姿でつっかえてしまうと、流石に恥ずかしいので気をつけねば。



 エネルギーを持て余したキマイラ達が、我先にと自ら進んで身体を動かし活気溢れるリゾート施設内。そこへグリモアの光から悠然と歩き出てくる人影があった。
「ふむ。此処がスパリゾートというものか。」
 胸を張りどっしりとした足取りから溢れる風格、それでいて空調の風になびいて流れる長髪を掻き上げる艶のある仕草。
 情報に敏感なキマイラ達はその人影の存在を知覚した瞬間、咄嗟に携帯を取り出しカメラを向ける。なぜなら、彼女から溢れるオーラはどう考えても一般人のそれとは比べ物にならないからだ。
 芸能人か、女優か、セレブか。ともかく只者ではないそのオーラに誰もが目を惹かれ、つかつかと歩けば道行く全ての視線を我が物としていた。

 女性陣はその美しくボリュームのある艶髪と、引き締まったプロポーションに嫉妬と切望の眼差しを向けていたし、男性陣はあの大きく実った二房の禁断の果実と、誰に聞いても美しいと答えるであろう整った顔に見惚れていたのだ。
 しかし、彼女、デュナ・ヴァーシャ(極躰の女神・f16786)にとってはジロジロと見られるそんな些細なことは、全くと言っていいほど気にならない。
 それもそのはず、彼女は『神』でありその中でも『肉体』を司る女神なのだ。だからこそ男女隔てなくデュナの誇る究極の肉体に憧れるのは当然であり、信仰の対象となりえるのだ。
 デュナの肉体に憧れを抱かせ信徒を増やすことが神としての義務でもあり、それが注目を集めることに全く抵抗が無い理由でもあった。

 デュナがエントランスに到達すると、興味深そうに周囲を観察する。
 エネルギッシュなキマイラ達が水着に身を包み、水の抵抗も気にせず全身を使ってはしゃいでいる様子が耳からも眼からも情報が入り伝わってくる。皆動くことが楽しくて仕方がないといった様子であった。
「うむ。楽しんで肉体を鍛えられる施設と言うのは実に好ましいものだな。なればこそ、それを脅かす者を打ち倒すのは、例え異世界と言えど肉体の女神たる我が責務と言えよう。」
 極躰の女神として周囲が望ましい環境に整っていることに満足すると、先ほどから歩くたびに弾むせいで何度もズレる競泳水着の肩紐を指で引っ張って直す。
 グリモア猟兵が用意したカタログには『一般人』が着ることを想定したサイズばかりであり、最大サイズの水着であっても規格外な『神』プロポーションの特に胸周りが圧倒的に足りていなかったのだ。肩紐は胸に埋まるし、隠すべき布地を押しのけ山がハミ出る始末である。
 また、ただ大きく実っただけではなく、若者特有の張りと弾力が潰れてなるものかとぽよんと肩紐に抵抗するために、胸周りの生地が引っ張られて股部の布地がキツく締め付け非常に際どいハイレグとなってしまっていた。

「しかし、そのためにもまずは人の子らが作り出した遊具を堪能せねばな。」
 神としての建前は述べつつも、目の前のアトラクションに目を輝かせる俗っぽさを見せたデュナ。周囲の楽しんでいるキマイラ達にすっかりと感化されているようであり、初めて見るアトラクションばかりでどのコースにしようかなどと期待と興奮を胸に抱いていた。
 
 迷った末に選んだのはウォータースライダー。
 スタート地点となる高台へ登ると、パイプを半切りしたような滑り台が出迎えた。内側を水が流れており、摩擦を減らすことで勢いが付けるものなのだろう。人の子らも面白いものを考えるものだとデュナは感心する。
「さて。神たる我を満足させるに足りるか、この身を以って試すとしよう。」
 早く堪能したいと逸るデュナが、係員の説明も聞かずに飛び込んだ。

 が、しかしその飛び込み方法に重大な問題があった。
 水泳ならば頭から飛び込むものというデュナの先入観から、うつ伏せの状態で突入。腕と脚をピンと伸ばし逞しい太ももと豊満な胸だけが接地するような姿勢を取っていた。
 しかしウォータースライダーでは布の接地面および、身体の接地面が少ないほどより摩擦がなくなる。前途の通り競泳水着の肩紐は埋まっておりハミ出た柔肌、そして水着が覆っていない太ももだけが接地しているこの状況は、偶然にも最大速度を叩き出す条件が揃っていたのだ。
 当然カーブでは大きく揺れるし、押しのける水飛沫が相対的に勢いを増して彼女の胸を激しく揺らす。これだけの負荷を貧弱な肩紐が耐えきれるはずもなく、バルンと音を鳴らしてデュナの隠すべき箇所を露わにさせる。

 覆うものが無くなったことに気が付いた彼女が、着崩れを直そうと姿勢を崩したのもいけなかった。
 丁度大きなカーブでスピードのバランスを崩して、デュナはぐるりぐるりと制御がつかずに回転し始める。これではまともに着崩れも直せはしないと、大股開きで両脚を開脚、水に濡れていないスライダーの縁へと踵を引っ掛け急ブレーキをかけた。
 だがこれまた何の偶然か。停まった場所は、客の滑っている姿を自動撮影し印刷してくれるシャッタースポットだったのだ。
 辛うじて両手で大事な部位は隠せていたが、大きく開いた両脚の中心でキツク食い込んだハイレグとはだけた上半身。そして留まっていたことで連続で撮影される女神の痴態。
 再び脚が滑って、デュナがその場で着崩れを直さなかったため大事な部分は記録されなかったものの、その写真を求めてキマイラ男子諸君が売り場に血眼で殺到したのは言うまでもないだろう。

 その後、なんとか滑りながらもルーフの付いている箇所で着崩れを直しスライダーを続行。激しい水流にも負けず、見事デュナは中間地点に到達することが出来た。

成功 🔵​🔵​🔴​

八剱・忍
◎(大胆にどうぞ!)

とにかく盛り上げたらええんやな!

水着はどないしよかな。この黒のビキニにしよか。
水着に着替えたら、早速アスレチックに参加やで!

ノンストップビート板渡りコースやってみよか!

バランス取りながら、ひょいひょい渡ろうとするで。
失敗恐れず、大胆にアクティブにトライや!
ポロリにも負けへん、恥ずかしいけど続行や!
がっつり激しくチャレンジするで!



 リゾート施設の天井、そこは一面ガラス張りとなっており、外の陽気が顔を出せば、途端に施設内は常夏の空気に豹変する。空気はカラリとしており、照りつく日光が地上を闊歩する者達の肌を健康的に焼き、小麦色へと染めていった。
 心地の良いその日差しは、身体を動かさずビーチチェアやビーチマットに横たわりたくなる衝動を湧き立てるが、今回この施設に集まるキマイラ達のお目当ては新アトラクションの数々だ。
 そして、アトラクションに挑みに来たのは陽気なキマイラだけではない。陽気な暗殺者の八剱・忍(黒の囀り・f13028)もまたその挑戦者の一人なのだ。

「ここってスパリゾートキマイランズていうらしいな。スパってことは温泉もあるんかな!うち、温泉大好きやから楽しみやで!アトラクションで一汗かいたら寄らせてもらうわー。」
 一仕事したあとの自分へのご褒美を思い浮かべ、暗殺者とは思えぬほどだらけた表情を晒す忍。そのままうーんと手を合わせて上に伸びをすると、傍目にはおよそ14歳には見られることはないほど発育したボディラインが強調された。
 忍の選んだ水着は、歳のわりには大人びた黒いビキニ。同年代なら可愛いフリルや肌を覆うふわふわのワンピースなどを選ぶのであろうが、如何せん発達し過ぎた忍の身体に合うものは大人っぽいものしかなく、サイズも本来であればオーダーメイドものだろう。
 それでも、カタログからなんとか入りそうなサイズを選んできたのだ。しかし、胸を覆うべき布地が心許なく半分ほど隠すのがやっとであり、無理やり詰め込んだふくよかな巨峰が、上からハミ出し零れ落ちそうになっていた。
 今も大きく伸びをしたことで圧迫されて胸にくっきりと表れる食い込みが、見た者にたゆたゆとした柔らかさを伝えるのに十分である。
 また、この水着は背中側を紐で結ぶタイプなのだが、前が引っ張られているせいか結び紐の長さが足らず、無理やり作った結び目はいつ解けてもおかしくない状態となっていた。
 布地が足りないのは上だけではない。ボトムも一回り小さいようで少しパツパツとしており、身体のラインがぴっちりと浮き出ていた。そのせいか歩くたびにバックの布が豊満な曲線に負けて中央へ寄っていき、その都度直さなければTバックのような攻めたデザインになってしまうのであった。

 合わないサイズの水着により色々と大人顔負けの色気と誘惑を無防備に振りまく美女がいるとなれば、年頃のキマイラ男子たちが放っておくわけもなく、忍の明るい雰囲気も相まって言い寄る男たちが詰め寄り円を作った。
「いやーほんまおおきに。みなはんの気持ちは嬉しいけどな、うち、これからアトラクションやらないかんね。そや、せっかくやし応援しててくれへん?それで無事ゴール出来たら皆で温泉に集合やで!ここは水着で入れるんやろ!」
 しつこく言い寄る男どもを軽くあしらいサポーターに仕立て上げる忍。これで一先ずは競技に集中できるだろう。ついでに温泉でのマッサージ等の世話役もちゃっかり確保し、ノンストップビート板渡りコースの列に気合十分で並んだ。

「さーて、とにかく盛り上げたらええんやな!」
 今回の依頼は、黒幕を誘き出すために施設内を盛り上げること。
 一部、忍のファンとなった観客席の男子たちの熱い声援のおかげで、既に達成していそうな感じではあるが、それはそれこれはこれ。任された依頼はしっかりやり遂げるのがプロであり、そこは暗殺者であろうと変わらない。

 ブザーの音と共に駆け出すと、踏まれたビート板が水飛沫を上げて大きく揺れる。地上と同じ感覚で走れば、あっという間に足を取られてバランスを崩したに違いない。
 しかし、普段から大鎌という不均等な得物を使い慣れている忍にとって、これくらいの障害でバランスを崩すなんてことはなく、涼し気な表情でスイスイ駆け抜けた。
 意地悪くビート板が歯抜けに配置されていようとも、その健康的な脚線美を魅せつけるかのようにひょいひょい跳び、大きく身体を動かし上下する度に、ギリギリで抑え込んでいる胸が零れ落ちそうになっている。

 忍の体力は笑顔を顔に出すほど余裕を保っており、その光景を観た観客の誰もが忍のゴールを確信した。しかし、忍が余裕でも酷使された水着はそれどころではなかった。
 これまで何度となく窮地を乗り越えて来た水着だが、大きくS字に曲がるコースをショートカットしようと忍が大きく跳躍、その着地の衝撃により胸の実った巨峰が暴発。重力の偉大さに完敗した水着が大きく引っ張られて、背中で留めていた結び紐が解けてしまったのだ。
 その拍子に、真っ白に燃え尽きたトップスがはらりとプールに落ちて沈んでいき、忍の大事な部分を空気に晒す。流石にいくら無防備な忍ぶでも、そこを見せるわけにはいかないと両手で隠しはしたものの、観客席で忍の一挙手一投足も見逃さない勢いで応援していた男子たちは大興奮。興奮のあまり鼻血と涙をたれ流し、互いに肩を組んで叫び出す。
 そして彼らの熱すぎる声援が、余計に施設内にいるキマイラ達の注目を集めていき、あれよあれよという間に忍の痴態へ視線が集まっていくこととなった。

 ざわめく周囲の異変に忍がようやく気が付き、このまま収集が付かなくなる前にゴールしなければと、ヤケクソ気味に再び駆け出す。しかし、大事なところを隠すために両手を使っているため、捲れてTバックになっていくボトムを直す余裕がなくなった。
 跳ねて走って上下する度、揺れる胸と尻に観客達の視線も揺れる揺れる。
 なんとか中間地点まで到達はできたものの、忍の身体は彼らの眼に十分すぎる程焼き付いたであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三千院・操
◎◎◎
うひょー! プールだプール!
折角夏も近いし戦争も終わったし、遊びたいと思ってたんだ~!
足渡りも板渡りも気になるけど、やっぱりウォータースライダーでしょ!
水着(紫の褌)に着替えて……っと、ゴーゴーゴーゴー!!

えっ? 着崩れ?(話を聞いてなかった人の顔)
まぁまぁまぁ! 大丈夫大丈夫! しっかり締め方教わったし!
もしうっかりハプニングで脱げちゃったり流れてっちゃったりしたらめっちゃ恥ずかしいから両手でがんばって隠さないといけなくなるけど、たぶん大丈夫だよ! 知らんけど!

それにほら……こう……筋肉でどうにかなるよ! ……たぶん。
ど、どうにもならなかったら呪詛つかって靄をかけるね!!



 スパリゾートキマイランズ。ここは、プールを中心としたアトラクションが中心に用意されており、楽しく遊びながらも自然と身体のシェイプアップが出来ると人気である。特にこの地域ではインドア派が多いために、汗臭い印象を持たれやすいアウトドア系スポーツや密室でトレーニングするジムなどは忌避されがちであった。
 プールでの運動は、水圧と水流に抵抗しながら全身を動かすため、通い詰めた多くのキマイラ達は筋骨隆々とはいかないまでも、皆引き締まりうっすらと腹筋が割れた身体を持つものが多かった。
 水着という、肌を晒し体型を人目に見せる服装であることも、自分たちを励ます一因でもあったのだろう。とにかくこの施設には大なり小なりの筋肉美自慢をするものが多いのであるが、一人の猟兵が現れてその価値観が一変することとなる。

「うひょー! プールだプール!折角夏も近いし戦争も終わったし、遊びたいと思ってたんだ~!」
 どこから持ってきたのか水中眼鏡にシュノーケルに、バナナフロートまで担いでおり、海水浴と勘違いしていないかというほどのはしゃぎよう。無邪気な笑顔と持ち前の明るさが、その場にいる全員を朗らかな気分にさせてくれた。
 しかし、その少年のような無邪気さとは裏腹に、彼、三千院・操(ヨルムンガンド・f12510)の身体は非常に凶悪な様相を見せる。
 割れに割れたバッキバキの腹筋。バナナフロートを担いでいることでくっきりと浮き出る、肩と背筋の締まり具合。太く逞しい幹のような首筋。力を込めれば血管がぽっこりと浮き出てる四肢。
 どこのグラディエーターだよと、そばで筋肉自慢していたキマイラ男子達が揃って縮こまるほどの威圧感を醸し出していたのだ。

 人受けの良さそうなベビーフェイスに不釣り合いなのは、操の身体だけではない。
 彼の選んだ水着はまさかの紫の褌。日本男児が古来より愛用し、己の魂と信念の柱を預ける相棒、その褌である。人がいなくなったことで古い文化が色々と途絶えたキマイラ世界において、この布一枚をねじって回して結んだ謎のファッションはさぞ斬新に映っただろう。
 まず見た目のインパクトが衝撃的であった。まるで強調するかのように盛り上がった前面部、股関節の動きを阻害するような箇所には一切の布を省きねじった布をベルトのように巻く形状。
 そしてなんといっても臀部が丸見えになっている背面部だろう。女性の攻めたTバックなんて目じゃないほどに露出しており、見かねた女性キマイラがキャーキャーと黄色い声を上げて目を覆いながらも、皆興味津々で指の隙間から彼の臀部をチラ見しているのだ。男性陣も盛り上がった前面部を前にして、アイツに負けたとしょぼくれる者が彼女らしきキマイラ達に慰められていた。

 そんな注目を集める操であったが、順番待ちを待ちきれなかったのか通常のプールの方へと駆け出した。
 皆、新アトラクションに並んでいるためか、ほぼ貸し切り状態の流れるプールをバナナフロートに跨り逆走してみたり、大噴水に腰を据えて浮き上がってみたりと少年のようにやりたい放題遊びつくす。その光景は、アトラクションの列に並ぶキマイラ達に好評だったようで、特に男性陣からは小学生並みの行動がツボに入ったのかゲラゲラと笑いながらも、もっとやれとはやし立てられていた。
 ようやく満足した操が競技場に足を運ぶ。
「どうしよっかなー!どうしよっかなー!足渡りも板渡りも気になるけど、でもやっぱりウォータースライダーでしょ!ゴーゴーゴーゴー!!」
 キラキラと子犬のように純粋無垢な表情でエントランスを走り抜けると、先ほどの観客達が気を利かせて優先的に操を前へ入れてくれていた。楽しませてくれたお礼なのだろう。
 どーもどーもと頭に手を当てながら、列の皆にハイタッチしつつスタート地点へと入った。

 パイプ状のコースを激しい水流と共に、己の身一つで流れゆく。全アトラクションの中でも最も男の子なアトラクションだ。
 当然、操も流れる水流の音に興奮を隠しきれないようで、説明のための係員が操を静止するために遮った手を勘違いでハイタッチすると、説明も聞かずに飛び込んだ。
 男は度胸と、脚からドロップキックのように跳ぶと、ガッチリとした男尻で水路に着水。ジェットコースターの要領で脚も腕も振り上げ、楽しそうに大声を上げながら滑り落ちていく。
 男尻ひとつで接地しているため、摩擦は少なくグングンとスピードを上げていく。これが普通の水着であれば尻も布で覆われ摩擦が増したのであろうが、そこはTバックをも超えるバックの露出度を誇る褌である。
 偶然にも操の水着の選択は、このウォータースライダーを楽しむことにうってつけであった。

 ただし、その選択が問題でもあった。通常の運動の範囲では、キツク結んだ褌が解けることはないのであろうが、操は教えを請いながらようやく結べた程度の褌ビギナー。結びが甘く、その上激流の水圧を受け続ける褌は、操の気が付かぬ内に徐々に徐々に少しづつ緩んでいった。
 そして、事件は待機列の客の横を滑る直線に入った時に起こる。男気を見せていた褌が操との別れを告げ、彼を残して一人失速していったのだ。
 布一枚、最後の砦を亡くした操は産まれたままの姿へとなってしまう。自分のモノへとダイレクトに水流が当たる感覚に驚いた操が、慌てて両手で隠すが、スッポンポンな筋肉男児が流れてくれば待機列の観客達を喧々囂々と騒ぎ出す。先ほど笑っていた男性陣は腹を抱えて笑う始末だ。
 悲鳴と歓声と笑い声に包まれつつも、無いものは仕方ないとそのまま突き進み見事中間地点へ到達。
 後ろを流れてくるはずの褌を待つ間、霧を作り局部を覆う。しかし、それがかえっていかがわしくなってしまったのか、男性陣が操に駆け寄り背中を叩いて大笑い。
 ハプニングはあったものの、何かと愛されるキャラとしてキマイラ達に歓迎されたようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

甘甘・ききん
◎改変連携歓迎
本日は私のUCにより、悲しき過去を持つモデル体型のビキニの私にお越し頂きました。幼少期に唯一自分に優しくしてくれた家庭教師(サムソン)が、溺れる私を命と引き換えに助けてくれた……そんな設定の私(UC)を観客席から応援する揚げ物大好きな私本体です。頑張れー!頑張れ無敵のわたしー!ゴールを追跡せよー!
こんな楽なお仕事でおちんぎん貰っていいのかなー猟兵サイコー!あの私がどんな目にあおうとも私は痛くも痒くも、あれっ辛い辛い辛い、脇腹しんどい。五感を共有……して……いる……?それに私の顔した私のハプニングって私の恥なのでは……?あっこれなんか違う思ってた楽なやつと違う!カメラ止めてカメラ!



 海や山、屋外レジャーの多くでは、大自然を堪能する代わりに大自然の厳しさとも付き合う必要がある。例えば、海であれば沖に流されたり波に飲まれたりと、非力な子供から目を離せば命の危険が伴うのだ。
 その点、このスパリゾートキマイランズには子供用プールやスイミングスクールも併設されているため、カップル以外にも家族連れや母子で訪れることも珍しくは無い。危険の少ない適正エリアで遊び場を選べるだけでなく、監視員が親の代わりに目を光らせてくれるので安心というわけだ。
 そんなファミリー層も多いこの施設で、身長差のある年の離れた二人組を見掛ければ誰もが親子と疑わないだろう。
 それは今回アトラクションへ挑戦しに来た猟兵に対しても例外ではない。

「水垢離みたいな冷たい水行と違って、温かくて気持ち良い水場で遊べると聞いて!わたしが来た!」
 やたらと威勢良くグリモアの光から飛び出す少女。ふわりと入り込む常夏の風に揺られて、黄金色に輝く髪、そしてその先端で主張する栗色の長い動物の耳。
 彼女、甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)は妖狐であり、丁寧にグルーミングされてほわほわと膨らんだ大きな尻尾が、妖狐であることをさらに主張していた。ただし、キマイラという様々な動物的特徴を持つ彼らの中では、狐のキマイラだろうとしか思われないのであろうが。
 
 ききんは聖者としての周囲に祀られていた過去があり、身を清めるための修行や儀式に嫌々ながらも無理やり付き合わされたこともあるのだろう。
 その反動か、それら苦痛な記憶を払拭してくれるような夢の条件を持つ、このスパリゾートというものに対して強い興味と期待を抱いているようであった。
 だがしかし、ただ遊びに来るということは当然できない。これは正式に依頼された『仕事』なのだ。
 でも仕事なんてしたくない。だけど遊びたい。
 そこでききんは、その両方をこなせる名案を編み出す。それは、優秀なもう一人の自分に嫌なことを押し付ければいいのだ。
 そうして呼び出されたのが、小柄なききんの隣で佇む大人の女性。
 彼女は悲しき過去を持つために街でも迫害され、孤独であった。そんな折、唯一彼女を気にかけて親身になってくれた家庭教師のサムソンのおかげで、塞いだ心を解し穏やかな表情を取り戻した頃……という設定があるらしい女性だ。
 その後、一途な思いを秘めたまま悲劇がなんやかんやとまた一波乱あるらしい(ききん談)。

 つまりは彼女の妄想と理想の産物ということである。
 そのため小柄で幼児体型なききんとは対照的に、理想の女性である彼女は背が高く、モデルのようなスラリとしながらも出るところは出ている体型をしており、着用しているビキニを引き立てた。
 穏やかな表情を取り戻した(という設定)とあってか、おっとりとした包容力のある優しいお姉さんの雰囲気を感じさせ、そのせいかききんは気付いていないようだが並ぶと余計に親子のように見えてしまっていた。

 二人揃ってエントランスに入ると、競技担当と娯楽担当の二手に分かれた。当然ききんは娯楽担当である。
 ききんはまず一直線に売店へ走る。狙いはジャンクフードだ。もう一人の自分が頑張る姿を鑑賞するには、美味しいものが不可欠だろう。
 唐揚げ、ポテト、オニオンフライにポップコーンシュリンプと揚げ物オンパレードのゴキゲンなパーティープレートを選択。さらに長く楽しめるようにキツめの炭酸が入ったブルーハワイな色をしたソーダを手に、レストエリアへ向かった。
 ここでは浅いプールに浮き輪などで浮かびながら飲食できるのだ。
 自慢の尻尾が濡れないようにお尻を突っ込み、水の心地よさを楽しみながら競技場を眺めるききん。
「こんな楽なお仕事でおちんぎん貰っていいのかなー猟兵サイコー!」

 一方、堅実水上スポンジ足場渡りコースを任された理想の自分は、ききんがくつろぎ出した頃には既にスタート地点に立っていた。
 ききんはじっくり鑑賞できるだろうと調べもせず彼女にこの競技を指定したが、実はこの競技は女性参加者が極端に少なかったりする。
 ブザーが鳴り、理想の自分が慎重に歩を進め出す。足場は柔らかい円筒状のスポンジであり、中に差し込まれている芯によりコロコロ回ってしまう。掴まって移動しようにも重心によりクルリと下側に回されてしまえば、後は落下を待つのみとなってしまうのだ。
 しかし、理想の自分は中々身体能力が高いようで、重心移動もお手の物といった様子で今のところは余裕を保っていた。

 だがそれも序盤の内だけであり、歩を進めるごとに様々な障害が追加されていく。
 コースの両脇から突如温風が吹き出し、競技者のバランスを崩そうとしてきたのだ。理想の自分は不意打ちにも冷静に対処し、上半身を揺らさないように固定しながらも腰を上下に何度もピストンさせて反動を殺す。
 おっとり美人がそんなことをするものだから、ききんの周囲で観戦していた男性陣が一斉に下心丸出しの目つきに変わる。口々に先ほどの技術を褒める建前をわざとらしく独り言しながらガン見し始めたのだ。
 あからさますぎるその豹変ぶりに、ききも流石に彼らの助平心に気が付く。
 しかし、彼女は彼女。自分ではないのだと自らに言い聞かせ知らん顔を貫くことにした。

 その後もコースは徐々に難しくなり、リンボーのように身体を逸らし胸を張る場所、ガラス張りの板の間を胸と尻を押し付けながら進む場所等があり、身体の全ての筋肉を酷使しようと容赦ない。
 ここまでハードなコースだったのはききんの誤算であった。理想の自分と五感を共有しているために、だらだらと運動不足に悦になるききんの筋肉にクリティカルヒット。まるで全身が成長痛にでもなったかのような筋肉痛がききんを襲った。
 さらにはレストエリアの上空で、足場が片足分の飛び石を大股開きながら進む場所などは、男性陣も見上げながらガッツポーズで大興奮。
 男性陣の興奮した姿を見ながら渡るためか、流石に理想の自分も羞恥心を感じ、五感を共有するききんまで顔を赤らめ、恥ずかしさで涙が込み上げる。
 しかし、周りの男性陣を注意しようにも身体が筋肉痛で動かせない。理想の自分が中間地点に到達するまでの間、さらにヒートアップしていく男性陣に比例するようにききんの顔はさらに赤くなっていったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
【SPD】◎
水着はアスリートタイプの赤のビキニで、下品にならない範囲で攻めたデザイン。

「これは楽しいですね。この系統の修行は義父がたまにやってました」
昔を懐かしみ、ビート板の上に立つ。
片足立ちで背筋を伸ばし呼吸を整え、綺麗な立ち姿で静止して【存在感】を発揮しつつコースを把握【情報収集、地形の利用】。

観客の視線を十分に集め、音の無い跳躍。【忍び足、ジャンプ】
空中で身を反らせ、一回転して着地。荷重を分散させればビート板は沈みません。
後は同じ要領で新体操のように板を渡り、楽しく盛り上げてからゴールを狙う【パフォーマンス】。
妨害があればポロリはあるかもですが、放送事故は【気合】で防ぎます。

「以上!」



 この娯楽施設、スパリゾートキマイランズでは娯楽使用以外にも、50mプールや飛び込み台なども用意されており、アスリート達の練習場と活用されたり、またそれに憧れるアマチュア達が足を運び挑んでいたりする。
 特に、本物のアスリート選手などは、普段は自分たちの贔屓にしているジムなどにしか顔を出さない。そのため、出現する日などは並走したり直にそのフォームを観察するチャンスでもあり、一般人まで興味本位でこのエリアに顔を出すことも珍しくはない。
 そして、偶然にもこの日は水棲系キマイラの選手が現れているらしく、アスリートエリアのプールサイドに人だかりが出来ていた。

 波のような形に作られた飛び込み台、大小並ぶ中でも一際大きな高いレーンに二人の人影があった。
 一人は、下で人を集める原因となったプロアスリート選手のトビウオキマイラの男性。逞しく、それでいて無駄な筋肉は省いた機能的な肉体。これぞアスリートだと見せつけるように、眼下のキマイラ達にポージングして注目を集めていた。
 もう一人は、この世界では珍しい『特徴のない』女性。強いてあげるのであれば、彼女もまた引き締まった身体を持っており、プロを隣にしても武者震いどころか緊張の欠片もないところであろうか。
「いやーハッハッハ!驚いたよこの『プロ』のボクに一騎打ちを申し込むなんてね!見たところキミは陸動物系なのかな?どうみても水棲系じゃないし、少~しくらいハンデをあげてもいいんだよ。」
 自身の勝利を確信しているのか、明らかに見下した態度を隠さないトビウオ男。
 しかし、挑戦者は気にしていないのか無視しているのか、審判役に無言で合図を送る。
「ハハハ…いいだろう。手加減は、無しだね。ボクのトビウオバラフライを余り甘く見てると後悔するぞ!」
 合図と共に二人がプールへ飛び込むと、お互いに違った泳法を選んだ。トビウオ男はバタフライ、挑戦者は沈んだままま潜水である。
 一般的に潜水は水面抵抗の無い分有利であるが、スピードを出すにはその分余計に体力を消耗する諸刃の作戦だ。プロ相手とあれば、余程心を制御出来る者でなければ泳ぎ切るのは困難だろう。
 しかし、そのレース結果には観客どころかトビウオ男ですら驚愕した。
 彼は負けたのだ。
 勝利した彼女、才堂・紅葉(お嬢・f08859)が先にプールサイドへ上がると、プロアスリートのトビウオ男に振り向き言葉を残す。
「良い『準備運動』相手がいて助かりました。身体も温まってきましたし、冷めないうちに失礼しますね。」
 顎が外れるくらいの唖然とした表情で残されたトビウオ男。余談ではあるが、慢心を捨て己を研くことに専念した彼は、後にバタフライ競技界隈での伝説となったらしい。

 その出来事はちょっとしたニュースとなって、噂とゴシップが大好きなキマイラ達により、たちまち尾ひれはひれ付きながらも広まった。
 ちょっとした有名人になりながらも、紅葉は微塵も態度を変えず、良いとこ出のお嬢様然としながらアトラクションエリアへと脚を運ぶ。
 彼女の飾り気のないアスリートタイプの水着は、娯楽施設では珍しく、すぐに例のプロ顔負けの超人だと気が付くようだ。噂ではゴリラのように筋骨隆々でカバのように力強い手足だなどと言われているようだった。
 しかし、彼女の本当の姿を目にすると皆態度を改め畏怖から尊敬の眼差しへと変える。飾り気の無い分胸元の開いた谷間が強調されて女性らしさを主張しており、手足はすらりと長く、それでいて健康的な筋肉の張り具合のバランスが整っているため非常に美しかったのだ。
 紅葉の放つ嫌味の無い色気と健やかな雰囲気は、一目で男性だけでなく女性までファンにして惹きつけているようだった。

「なるほど、これは楽しいですね。この系統の修行は義父がたまにやってました。」
 今回の依頼された仕事内容であるノンストップビート板渡りコース。その全体像を把握するために、観客席に立ちその様子を眺める紅葉が呟いた。
 その内容は、水面に浮かぶビート板を沈む前に渡りきるという単純なもの。単純であるがゆえに奥が深いのではあるが。
 スピードとバランスを両立させながら鍛えるのにも優れており、体躯の修行として過去に観たことがある紅葉は、すぐに要領を得た。

 ならばと、そのままスタート地点へ入る。
 ブザーが鳴るとスタートとなるわけだが、どういうわけか紅葉はそっとビート板に足を乗せると、片足立ちのまま動きを止めた。
 通常であれば皆初速の勢いに任せて突っ切ろうとするのであるが、その素っ頓狂な行動に、周りに集まったギャラリー達も首をかしげる。
 しかし、そんなギャラリー達の乱れる心とは対照的に、紅葉の心は澄み渡っていた。背筋を伸ばし、呼吸を整え、吐き出した息に揺れる水面の小波すら研ぎ澄ました感覚で探れるほどに。これが、先ほどのレースでも使った明鏡止水の力である。
 その悟りの境地に至る紅葉の表情は神々しく、道行くキマイラ達の脚を止め、さらに注目が集まっていく。

 完全に水の動きと波を読み切った紅葉が、突如跳躍し、身体を捻って宙返り。再びピッタリ同じ場所に着地してビート板が揺れても、紅葉の身体は微動だにしなかった。
 この水上で行われる見事な軽業に、ギャラリー達はわっと声を上げて拍手を送る。
 一気に観客の心を掴んだ紅葉が、そのまま派手に様々な軽業を披露し観客を盛り上げながらもスイスイ進む。あるプロレス団体に所縁を持つ彼女は、場を盛り上げる所作にも長けているのだ。

 調子がノッてきた紅葉が、大技を繰り出そうと大きく跳躍したその時であった。
 コース中ほどにあるアーチ状の渡り橋、その端にトップスの背面を引っ掛けてしまい、落下時に水着が捲れあがってしまったのだ。
 当然下に何も着用していない紅葉の肌が晒された状態となり、多くのものが注目する今、紅葉の嫁入り前の身体が大衆に目撃されてしまう危機であった。
 しかし、その時不思議なことが起こった。
 突如吹き上がる水面。それは紅葉を覆い隠し晒された肌を視界から遮断した。

 不可解な現象の原因は紅葉の拳圧。恥ずかしさの余り、力の一部を解放した全力ストレートが空を殴り、水面を叩きつけたのだ。
 胸を隠しながらも着地した紅葉は、顔を真っ赤にしながらも、何事もなかったかのようにそのまま駆け抜け中間地点に滑り込む。
 明鏡止水で心が澄んでいるはずの彼女であるが、今は見られたんじゃないかと心が乱れていることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
パニーニャさん(f15849)と一緒に
※ハプニング大歓迎◎

女物の水着(セパレートでスカートつき)を着てます

「アザレアさん、気を付けてくださいね?」
表に出てる人格のアザレアさんと手を繋いで慎重に、水流スライダーコースを行きます

足を滑らせないようバランスをとって、水流を乗り越え
「さてどうしましょうか…って、えっ?!」
スライダーについたら、アザレアさんに抱き締められた格好で一緒に滑ることに
胸の谷間に顔が埋まって…息がっ
高速で滑る中、苦しくてもがいて、顔を離そうとして、アザレアさんの胸に思いっきり手を…指が埋まって揉むような感じに…

そのまま気持ちよさと苦しさを感じながら、派手な飛沫をあげて着水します…


パニーニャ・エルシード


同行
彩波・いちご(f00301)

今回の人格メイン
アザレア(競泳水着)

私は大丈夫だけど…
流石にこんな大きなスライダーだと、小さないちごは吹き飛んでしまいそう…
……なら、こうすればいいよね
(ぎゅうっといちごを胸元に抱き抱えて…首もとに谷間が来るように)
これなら安定…いくよ。
(体の中でパニーニャが『くっつきすぎよはしたない!』…なんて怒ってるのを聞き流しつつ、抱いたまま勢いをいっぱいつけて滑り出す!)

あちこち揺さぶられるけど、ぎゅっとくるめるように包み込んで……

勢いつけすぎたせいでお尻から着水は、ちょっと痛い……あれ?(上が完全にはだけてて)

…壁になって(ぎゅっとしたまま水中で戻し…ほんのり赤く…



 陽の長く遊ぶ時間が増えて来る夏が始まり、思わず誰かと遊びに行きたくなる季節。せっかく遊ぶのであれば、当然誰もが彼女・彼氏と楽しい一夏の思い出を作りたいだろう。
 それはここ、スパリゾートキマイランズでも同様であり、カップルが肩を寄せ合い二人の世界に浸かっているのが、そこかしこで嫌でも目に付く。
 なぜなら、このスパリゾートではファミリーかカップルであれば入場割引と食事優待が付くからだ。
 特にカップルの優待割引で入ると、大きなグラスに2股に分かれたストローを刺した『ラブラブエナジードリンク』の優待プレゼントがあるのが目玉である。このストロー、二股ゆえに二人同時に吸わなくては飲むことが出来ない仕組みとなっている。当然、同時に吸うということは顔を近づけなければならないわけで、エナジードリンク成分も相まってとってもドキドキできるのだ。

「えっと、本当に良かったんですかアザレアさん?」
 申し訳なさそうに青い狐耳を垂らして、華奢で小柄な身体の妖狐が上目遣いで隣のアザレアと呼んだ女性の様子を伺っていた。
 妖狐の名は彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。温泉好きで、温泉が併設してあるというこの施設への依頼へ名乗りを上げた猟兵だ。
「まぁまぁ気にしないで。カップルだって言っておけば優待券が貰えてお得だったじゃない。」
『ちょっと!そういう問題じゃないでしょ!』
 やたらと上機嫌な声で頬を緩ませて答えた女性。いちごよりも頭一つ背が高く、額に赤い宝石を埋め込んだ褐色肌が妖艶でグラマラスな体型が目立つ。
 彼女の名はパニーニャ・エルシード(現世と隠世の栞花・f15849)。正確には、彼女は多重人格者であるため今はアザレアであり、セルフツッコミを入れているのがもう一つの人格の『パニーニャ』である。

 彼女たちは入場の際、特典目当てで『カップル』として入場してきたのだ。キマイラフューチャーは自由な世界、例え同性であろうと余裕でカップル認定してくれるのだ。
 深い意味があるのかは不明だが、『カップルですか?』と受付に尋ねられてからというものアザレアは上機嫌。カップルに見えたのが嬉しいのか食事券が貰えたのが嬉しいのかは、彼女ともう一人の彼女のみが知っている。
 ともかく、貰ったからには使おうと優待券を手に売店へ向かう二人。見た目ならアザレアが保護者のようにも見えるが、そこはいちごが漢を見せて手を引きエスコート。
 そう、彼こといちごは、女性にしか見えない容姿だが実は男性だったのである。
 そうはいっても、ビキニのように攻めたはいないがセパレート水着から覗かせる腰周りは、男性的特徴を全く想起させない。その上、ボトムはスカートになっており男性のシンボルが隠されていては仕方ないだろう。
 対してアザレアは布面積の多い競泳水着を着用している。ただしセパレートに対しての話であり、お腹周りが隠れていても、胸元で大きく谷間を解放しているので一般的には面積が少ない攻めたデザインである。
 というよりも、アザレアの胸が大きいために胸元が広がっているだけなのだろう。肩紐もキツそうに引っ張られて、アザレアの柔らかな肩に食い込みを作っていた。

 お互い手を繋ぐことに慣れていなかったのか、初々しく席に着くと特典のジュースを頼む。
 そしてお出しされたのが例の『ラブラブエナジードリンク』である。
 特典内容を知らなかった二人は目を丸くしたが、急によそよそしい態度をとるのも失礼だろうと、いちごが目を瞑り意を決してぱくりと口を付ける。
 プルプルと赤面しながらもう一つの吸い口が塞がるのを待つ、いちごのいじらしい姿を見たアザレアが顔を輝かせ続けて口を付けた。
 この飲み物、慣れないと中々吸うのが難しく、ちゃんと吸えているのか確認したくなる者が多い。先ほど恥ずかしさで目を瞑っていたいちごも同様で、上手く吸えないことに疑問を抱き目を開ける。すると目と鼻の先、相手の吐息も感じるような距離でいちごとアザリアの目線が結びつく。
 二人はつい、時間が経つのも忘れて吸いもせずに見つめ合った。

『もう!いつまでやってるの、恥ずかしくて死にそうよ!』
 パニーニャが身体の中からアザリアに叫んで、ようやく止まっていた二人の世界が動き出す。
 急に気恥ずかしくなったのか、お互い赤面しながら顔を逸らして、もう行こうかなどともごもご会話しようやく売店を後にした。

 甘酸っぱい空気に包まれながら、何とかウォータースライダーのスタート地点に仲良く入る。ここでも入場の際にチケットを確認されて二人仲良く挑戦することになったのだ。
 説明役の係員が言うには、下手に離れて流れると追突などの危険があるため、絶対にお互い離れない様にとのこと。つまり、抱き合って流れろというのだ。
 係員が言うのであれば致し方ない。ルールならば本意がどうあれ抱き着く必要がある。しかし、体格的にもいちごの方が小柄であるため、抱き着くならばアゼレアが後ろだろう。
 そう思い立ったアゼレアが、いきなり向き合った状態のままいちごを引き寄せる。
「あはは…さてどうしましょうかアゼ、もが!?」
 頭一つ大きいアゼレアがいちごを引き寄せると、丁度頭が胸に埋まる高さになる。ぎゅうといちごの首筋を押し付け、動かない様に固定すると、胸の中でいちごがもがもがと息を吸おうともがいてた。
『そんなにくっつく必要ないでしょ!だ、だめよはしたない!!』
 その細かな振動や柔らかな唇と温かい吐息が、アゼレアを刺激しとてもこそばゆい。身体の中のパニーニャが煩いが、これは競技場の安全のためで致し方ない不可抗力なのだ。

 そのまま押し倒すようにスライダーに滑り込むと、二人分の体重でカーブの度に遠心力が彼女達を大きく揺らす。アゼレアは楽しそうにキャアキャア騒いでいたが、豊満な彼女の胸に埋まったいちごはそれどころではない。
 少しでも新鮮な空気を求めようと次第になりふり構わなくなり、ついに頭を逸らそうと両手を前に突き出した。
 むにゅふわり。
 視界を遮られているためいちごは、最初何を鷲掴んでいたか気が付かなかったが、アゼレアのひゃんという鈴のような悲鳴で察する。これはもしや、やってしまったのでは?
 恐る恐る、と頭を離して状況を確認すると、いちごの両手はしっかりとアゼレアの柔肌に指を埋めて、掌には何やら固い感触まで敏感に感じ取れるほどであった。
 あ、あ、と言葉にならない声を出し、真っ赤になったアゼレアが恥ずかしさの沸点を超えて、蒸気を吹き出しながら取り乱し始めてしまった。

 ただでさえバランスを崩しやすいと係員が注意するだけあって、アゼレアが取り乱すとすぐに二人は体勢を崩してもつれ合う。
 ぐるりぐるりとお互いのポジションを交代するようにくんずほぐれつ、パニックになりもはやお互い何処を触っているかも分からないのだろう。
 いつの間にかアゼレアの水着の中へと突っ込まれていたいちごの指が、彼女の敏感な部分を刺激し艶のある声を出す。それに驚いたいちごが、咄嗟に腕を引き抜いた瞬間肩紐を外してしまったのだろう。アゼレアの水着の上半身、胸部の部分がぶるんと音を立てて捲れ落ち空気に晒された。
 キャアと悲鳴を上げたアゼレアは、反射でイチゴを引き寄せ胸を隠す。
 今度は直の胸に埋められたいちごがパニックに陥り、ともかく離れなければと胸を押し返すようにこねくり回す。
 押して引いてを繰り返し、中間地点の着水の衝撃と共に二人の興奮は感極まった。

 頭から水を被って、冷静になった二人がようやく離れようとしたところ、再びいちごはアゼレアの胸に引き寄せられる。
「い、今は離れちゃダメ!壁になってくれないと、その、見えちゃうもの…」
「むぐ、あふぇれふぁふぁん…ふるひいれす…」
 公衆の面前で散々いちゃつく二人に、周りのカップルたちはニヤニヤしながらはやし立てて、施設内は大人な雰囲気で盛り上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『水かけ三人衆』

POW   :    コーヒーポット怪人・ウェポン
【コーヒーポット兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ジョウロ怪人・ジェノサイド
【ジョウロ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    やかん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【やかん】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑7
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 ハプニングがあったりなかったりと、色々騒がしかったようだが、キミ達は見事コースの中間地点に辿りつくことができたようだ。
 ここからはコースの再選択が可能なので、前回と同じでも違うコースでも自由に選択出来るとのこと。(指定が無い場合は、前回と同じコースになります。)
 さらにここからは、さらなる妨害が新たに加わるらしい。
 各々対策を講じて次の競技、ゴール地点を目指すのだ。

「ぴんぽんぱんぽーん、これよりは我々ウォーターボーイズこと水かけ三人衆がエキストラスタッフとして参加するよ!色んな『液体』がつまった水鉄砲で、ヒートアップした熱い挑戦者の皆をさらに盛り上げるから楽しみにしててね!ぽんぱぽんぴーん。」

 楽屋裏、水かけ三人衆が肩を寄せ合い、息を殺して会話している。
「なあおい、本当にこんなくっつくネバネバなもの入れていいのかよ?」
「気にするなこっちは滑りやすいヌルヌルだ。」
「スポーツマンシップなんて今更きにするなよ、忘れたのか?ここでアイツらゴールしたら俺たちボスにお仕置きされるんだぜ!」
「そ、そうだよね。よし、それなら手加減無しだ!お前の分はこのドロドロのやつ用意しておいたからしっかり頼むぜ!」
 何かよからぬことを企む怪人達。
 もしかしたら何かハプニングの予感もするし、しない気もする。

(ハプニングについてはマスコメ参照です。彼らは倒しても倒さなくても構いませんがゴールは目指してください。)
三千院・操
◎◎◎
うへ~、うっかりうっかり……恥ずかしかった……。
褌どっか行っちゃったけど、親切なキマイラのお兄さんがいて助かった~。ちょっとサイズ小さい気もするけど……いっか!(今度はぴっちりとしたブーメランパンツを履いていて)
ん? 今度はスタッフも参加するの? へ~、面白そう!
コースは前回と同じ! ゴールを目指して、いっくぞー!

流石に今度は脱げたりしないでしょ!
思いっきりスライダーを滑りに行くよ! どんな妨害が入るのか楽しみだけど、相手がオブリビオンだって分かったら呪詛と怪力でなぎ払っちゃうかも。

キマイラのみんな~! 見ててね~!
さっき仲良くなったキマイラの人たちに手を振ってファンサしちゃお!



 中間地点入り口。
「うへ~、うっかりうっかり……恥ずかしい……。」
 三千院・操(ヨルムンガンド・f12510)は、前半コースでのハプニングにより解けてしまい流されてしまった褌の帰りを待っていた。
 つまり、現在は素っ裸なのだがそこは安心。彼の優れた能力により、彼の漢の象徴は霧で隠されていたのだ。
 しかしセルフ自主規制状態は、男性陣からすればいじらずにはいられない冗談みたいな真面目な行動であったため、キマイラ男性陣が操を囲んで仲良く大笑いの最中でもあった。
 大事な相棒(褌)を失い心許無い彼にとって、産まれたままの姿を大衆に晒すのは恥ずかしくはあったが、それ以上に皆が笑い飛ばしてくれたおかげで現状を悲観せずに済んだことに感謝していた。

 しかし、いつまで待っても褌はウォータースライダーを降りてこなかった。
 もしかしたら、何処かで引っ掛かっているのかもしれない。そうであるならば、操はこのまま霧のパンツで競技続行という、人間の尊厳との戦いが始まってしまうだろう。
 そんな不安が操の笑顔に陰りを入れていたのか、気を利かせたキマイラ男児の一人が操の肩を叩く。
「落ち込むな面白い兄ちゃん!俺の予備を貸してやるよ!これ履いてしゃんと気張りな!俺たちは兄ちゃんを応援してっからよ!」
「いいの!?やったー!親切なキマイラのお兄さんがいて助かった~。」
 操の手にキマイラ男児の手が重なる。彼の手に握られていたのは真っ黒なブーメランパンツ。
 操と彼が、束の間に芽生えた友情を確かめるように握り合うと、水着のゴムのような感触が伝わってきた。
 ちなみに、彼は未だに裸のままであるし、男たちに囲まれる中、漢同士で腕を組むという傍から見れば異様な光景であった。

 友情の証(ブーメランパンツ)をパンと広げてみると、思ったよりも小ぶりな見た目。ゴムのように伸びるからこれでも大丈夫ということなのだろうか。
 ともかく試してみれば分かるだろうと、操がその場で片脚を上げて足を通す。
「あー、ちょっとサイズ小さい気もするけど……履けるしいっか!」
 やはりそもそもサイズが小さいのか、ピチピチに伸びたブーメランパンツは一文字パンツとなっていた。
 本来であれば腰骨に引っ掛けてVの字を描くはずなのだが、伸縮の限界か超ローレグなパンツになっており、彼の引き締まった男尻は半ケツ状態。前半戦では褌で隠されていた尻の谷間が、その深さをしっかりと見せつけていた。
 しかし、それでも太ももに食い込みを作らないのは、彼の筋肉の逞しさを静かに、そして堂々と物語っていた。

「よーし、流石に今度は脱げたりしないでしょ!」
 今度は解けたりしない水着だ。先ほどのような痴態を晒すことはないはずであろう。操はそのまま激流ウォータースライダーを選択し、スタート地点へと脚を運んだ。
 すると、何故かコースの入り口がやたらと広い。
 おや、と疑問を持った瞬間、操の後ろから声が上がった。
「ぱんぱかぱーん!水かけ三人衆が一人、コーヒーポットお兄さんだよ!ここからは、ボクと一緒に競争しながら滑って、先にゴール出来ればキミの勝ち。OK?」
 自称エキストラスタッフの怪人が、指で輪っかを作って尋ねて来る。
「おっけーおっけー!!何それ面白そ~。それじゃ早速ゴールを目指して、いっくぞー!」
 明らかにオブリビオンだが、競技とあればそんなことはどうでもいいのだろう。操は新ルールに目を輝かせながら答えると、合図を自ら切り出しコースへ飛び込んだ。

 ウォータースライダーレースが幕を切ると、お互い拮抗した滑りを見せる。
 布面積はお互いほとんど変わない(というか怪人は裸なのでは?)ために、摩擦に差が無いため当然だろう。
 お互い先を譲らないレース展開に、観客席のキマイラ達も大興奮。その中でも、先ほどパンツ越しの握手で友情を分かち合ったキマイラ男児を中心とした男性陣が、一際大きな声で操の名前を呼んで声援を送っていた。
 操を応援しているというあの言葉は本当だったのだ。男同士の絆に、操の目頭が熱くなるがグッと堪えて笑顔を作る。
「キマイラのみんな~! 見ててね~!おれ絶対勝つから~!!」
 操が熱い声援をくれる皆へ振り向き、ファンサービスで力こぶを作って見せた後に手を振った。

 このままでは埒が明かないと焦っていたコーヒーポッド怪人。
 操がキマイラ達に振り向いた今、妨害の好機と判断して行動を開始する。
 ポッドに手を突っ込むと、隠していた水鉄砲が姿を現し、銃口を操へと向けた。勢いよく放たれたのはドロリとした白い液体。
 操の頭からぶっかかった液体は、顔から胸、そのまま腹部へとドロリドロリと垂れていく。顔にかかったものは、たちまち操の視界を奪い、口に入った液体の苦い味に操の顔が歪んだ。
「ぺっぺっ!うげ~なんだこれ!」
 操の広い胸板を白く汚し、水着の中にまで入った感触が不快極まりない。
 思わず水流で洗い流そうと体勢を崩したために、操と怪人に差が開く。

 これで怪人の狙い通り。このままいけば自分の勝ちだと、勝利を確信してほくそ笑んだ。
 しかし、不快な思いをさせられた操が、そのまま指を咥えて黙っているわけがない。キッと怪人を睨むと、呪詛で霧を作り怪人の頭を覆ってやり返した。目には目を、だ。
 そして歯には歯を、である。突然のことに驚きスピードを落とした怪人に迫ると、その逞しい腕で足払い。
 ほげーっと叫ぶ怪人が頭をスライダーに叩き付けて、ガボガボと水が口に入り込んみ気を失った。ドロドロとした苦いものを飲まされた分の仕返しである。
 そのまま操が先行すると、余裕を持って先にゴール。
 観客席のキマイラ達も、白熱した攻防戦に割れんばかりの大拍手で操の勝利を称えた。

 その後、水着の中に入った液体がやはり不快だったのか、再び男性の象徴を霧で隠すと、自らパンツを脱いで洗い始める。
 観客達は操のお決まりのオチにまたもや笑いながらも、仲良く彼を迎えに行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八剱・忍
◎(大胆にアドリブ大歓迎です!)

ま、まあハプニングはあったけど、第一関門はクリアーみたいな感じやな。色んな意味で注目浴びたし、多少は盛り上がってくれたやろか?

さーて気を取り直して、次はウォータースライダー行ってみよか!こういうスリルあるやつもおもしろいやんね。
ネックなんはひたすら滑るだけやから、妨害されてもなす術ないことやなあ……。

まあ、そん時はそん時や!はりきって行こか!



 中間地点入り口。
 はだけた胸を腕で押さえた忍が、物陰に隠れて周囲の様子をうかがっていた。
「な、なんでこんなことになってしまったんやろなあ……。」
 14歳という育ち盛りの真っ只中、自分の身体がどんどんと女性的になっていくことへの自覚が足りていない少女。八剱・忍(黒の囀り・f13028)は、何故水着がはだけてしまったのか理解できていなかった。
 先ほどの前半戦、同年代の標準サイズの水着では、彼女の豊満に育ちすぎた胸を納めきることが出来なかったのだ。その上、若さに任せた激しい運動により、重力が二つのたわわを暴走させて水着へトドメを刺してしまったのである。

 そして水着のトップスは、今やプールの中。
 流石に小学生じゃあるまいし、胸を晒したままで歩いていいわけないのは忍だって分かっている。
 さらには、先ほどのハプニングでやたらと人目を集めてしまったために、今迂闊に出て行けば忍の痴態を再び晒すことになるのだ。
「拾いに戻りたいけど……どうしたらええんやろな……。」
 その言葉を待っていたかは分からないが、忍のファンとなった男性陣が彼女の元へと駆け寄ってきた。皆口々に大丈夫かい、などと言ってはいるが、その視線は忍の顔ではなく豊かに実った二つの巨峰に向けられている。
 しかし、忍は下心にまだまだ疎いのか、下品な視線に気が付かずに男性陣へお礼を口にしていた。その時、周囲が男性陣に囲まれたことで、忍の姿が一般人から遮られたことに気が付く。
「あ、これなら見られずに水着取りに行けそうやねえ。みなはん申し訳ないんやけど、うちに協力してくれへんかな?」
 胸を押さえつけたまま、忍が頭を軽く下げた。
 頭を下げた際に、胸がたゆんと柔らかく形を変えて、谷間が深くなったのを男性陣は見逃さなかった。皆上の空のようにうんうんと頷き、忍の言われるがままに行動する。勿論視線は彼女の食い込みを作る胸に釘付けのままである。

 忍の作戦は、自分を囲むように男性陣を配置し、そのまま移動することで一般人の視線を遮るというもの。
 男性陣は喜んでこの作戦に参加し、忍を頭から爪先まで舐めるように凝視しながら大移動。
 後方に配置されたものは、忍の若く弾力のある桃尻を見つめてだらしなく鼻を伸ばしていたし、左右や前方に配置されたものも、器用に忍のはだけた胸や歩くたびに震える太ももを視線が突き刺していた。
 無事に水着は拾えたものの、一般人に見られるよりも恥ずかしい行為をしていたことに忍が気が付くのは、彼女がもっと色々な経験を経て成長してからなのだろう。
 そもそも、誰かに取りにいかせれば済んだ話だったのだが。

「はふう、ハプニングはあったけど、第一関門はクリアーみたいな感じやな。」
 なんとかこれで恥ずかしい格好から脱却した忍が、中間地点へ戻ってきた。
 やはり納まりきらないトップスを調節していると、突然アナウンスが流れてくる。
「ウォータースライダーコースを選らんだそこのお嬢ちゃん!これからお嬢ちゃんが流れるスライダーの各所の連絡橋には、ボク達エキストラスタッフが妨害のために待機しているよ!最後までギブアップせずにゴールできるかな?」
 どうやら、忍が新たに選んだこのコースでは妨害があるものの、滑りきれれば目標達成らしい。流されるだけでいいなら、先ほどみたいな恥ずかしいことにはならないだろう。
「それに、こういうスリルあるやつもおもしろいやんね。何かあっても、そん時はそん時や!はりきって行こか!」
 そう言ううやいなや、忍は助走をつけてスライダーへと飛び込んだ。

 序盤の内は単なる水流の激しいウォータースライダー。身体を包み、打ち付ける水流が彼女の柔肌を揉んで気持ち良いくらいだ。
 しかし、次期に第一連絡橋がスライダーの上部に見え始めた。
 段々と近づいていくと、そこに佇む水かけ三人衆の一人が、その手に持った水鉄砲を忍に向けているのが目に入る。
 だがスライダーというただ流れることしかできないこの場所では、彼らの武器に対抗する術を忍は持っていなかった。放たれた液体が無慈悲にも為す術のない彼女を襲う。
 べちゃりと忍に降りかかったのは、ヌルヌルとする白いトロロ。ヌタっと糸を引いたり水着の中へと入り込んでくる感触が不快極まりない。
 そして、トロロの厄介なところはそれだけではない。トロロが触れた所が段々とかゆくなってきたのだ。胸から股にかけて大量に浴びたために、水着の中まで浸透したトロロの脅威が忍をさらに襲い始める。

 経験のしたことのない身体の疼き、14歳の忍にはどうしていいかもわからず、ともかくトロロを洗い流して身体を一心不乱に揉む。
 最初はお腹周りや首筋。そして徐々に忍の手は胸元と下腹部へと移っていく。
 しかし、何故か疼きは止まらない。さらには忍の息が上がってきて、頬も赤みを帯びだした。
 もっともっとと、頭の中で何かが囁くような気がしているせいかもしれない。

「お楽しみはこれからだよお嬢ちゃん!」
 いつの間にか第二の連絡橋が既に上方に接近していた。
 次に放たれたのはベタベタのトリモチ液。それが、水着に両手を突っ込んでいた忍の腕をくっ付けて固定する。
「ずいぶんと大胆なお嬢ちゃんだね~。でも忘れているようだけど、その恥ずかしい姿を皆に観られているんだよ?早くギブアップしないと将来お嫁にいけなくなっちゃうぜ~!」
 身体の疼きにより注意散漫となっていたが、そういえばと周りを見れば、忍のファンたちが鼻血を流しながらとんでもない顔をしていたではないか。
 急に恥ずかしくなった忍が腕を離そうにもトリモチで動かない。
 今にもギブアップしたかったが、仕事は完遂しなければとプロ根性でグッと堪えた。
 
 第三連絡橋では、さらに再びトロロの追加。
 腕が動かなくても激流洗い流してくれたが、全身の疼きまでは抑えてくれない。
 身悶えするような疼き、徐々に敏感になっていく自分の身体。
 最後までギブアップは口にしなかったが、少しでも身体を動かし水着の擦れる摩擦で疼きを抑え、ゴールと同時に忍の頭の中が真っ白になって果てた。

 ゴールはゴール。
 水かけ三人衆も潔く負けを認め、忍の介抱をファンの男性陣に任せて退場した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明

敵の攻撃を軽々と避ける公明
本「こんなのに当たるわけないでしょ。」
ドリンク片手に観戦していた分身がしびれを切らして参戦する
分「んな方法で面白いことになるわけないだろ。あたしが手本を見せてやる!!」
本「あんたはどっちの味方なのよ。」

妖刀一閃、本体の水着が裂け下乳が顕わになる
分「競泳水着が水鉄砲ごときでどうにかなるかよ。やるなら物理で破るしかないんだよ。」

本「ていうかあんた、なんで私服なのよ。恥ずかしいから戻るか、せめて水着になって!!」
分「だが断る!!」
分身は私服のため汗と水飛沫で徐々に服が濡れて透けてくる。

敵は本体が好きを突いて銃撃で倒していく。
(アドリブ、絡み歓迎です。)



 中間地点入り口。
 健康的な四肢と華麗な動きで、観客のキマイラ達を盛大に盛り上げた片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。
 ただでさえ難しいコースだったのにも関わらず、涼し気な表情で難なくこなしたのだ。実際に身を以って挑戦し、失敗したキマイラ達などは彼女に憧れすら抱いただろう。
 さばさばとしたその仕草もあってか、男女隔てなく彼女に惹かれ、彼女を慕った。
 すっかりと人気者になった公明だが、この会場で唯一それを面白くないと、つまらなそうな表情を観客席から彼女へ向けていた者がいた。
「あーだめだめ。格好良くて綺麗で素敵!なんて、それだけじゃ客は本当に満足するわけねぇのになー。此処は一つ、あたしが優等生ちゃんに本当のエンターテイメントってやつを教えてあげるかね。」
 目深に被ったフードの奥で、怪人達よりも邪に光る瞳が公明を刺す。

 全力で駆け抜けるビート板渡りコース。それを突破した公明が汗をかいた分の水分補給にと、タオル片手に売店へ足を運んでいた。
 ドリンクショップのカウンターに並ぶ色とりどりの南国フルーツ。これらは全て注文されてから皮をむき、ジューサーで濃厚な果汁を絞り出す100%果汁ショップなのだ。
 せっかくだからと、店主にテイストをお任せして出て来たのはミックスオレ。
「さっきの走り見事だったぜお嬢さん。これはファンとしての俺からのおごりさ。運動した後ならキンキンに冷えたこっちの方が飲みやすいぜ。」
 バチンとウィンクでカウンターにグラスを置く、肌黒い大柄な店主。
 人受けの良い美貌に産んでくれたことに、公明は少しだけ母親へ感謝しながら席へ着いた。
 グラスの縁にはカットフルーツまで添えられたサービス満点の裏メニュー。ちょっとした贅沢に頬を緩めて、ゆっくりとストローに口を付けたその時である。

 突然もう一本のストローが挿し込まれて、一気に半分ほど飲み干されてしまったのだ。
「な、あんたいつの間に!?って、ああ!楽しみにしてたのに半分も飲んじゃって!何するのよ!」
「いーじゃんか別に。あたしはあんたで、あんたはあたし。あんたの半分のアタシなら美味しそうなジュースを半分飲む権利だってあるだろ?」
 ジュース泥棒がへりくつを言いながらフードを外すと、そこには公明と瓜二つの顔。彼女は公明の抱える闇の別人格、それが実体化したものである。
 公明の分身体である彼女は、公明のいるところ、例え火の中水の中。どこへ行こうと鬱陶しく着いてくる一蓮托生の相手なのだ。
「今回はただの競技。あんたの出番はないでしょ。」
 これ以上飲まれてなるかと、ジトっとした目で分身体を睨みながら公明がドリンクを啜っていく。口に含むと、甘すぎない果汁のうま味と、のど越しの良い冷たい牛乳の組み合わせは、店主の言う通り運動後にはありがたいと痛感する。
「なに、ジュースも半分、なら楽しい遊びも半分楽しませてもらおうと思ってな。」
 意地悪そうにシシシと嗤い、公明の反応を楽しんでいるようである。
 ジュっと音を立てて、公明が最後の一滴を飲み干すと、吸った息を吐き出すようにハァとため息をつく。
 やると決めたのなら分身体の彼女はやるだろう。
 諦めて覚悟を決めると、来なさいと彼女を手招きして中間地点へと戻った。

 公明は後半戦を再びビート板渡りコースを選択し、分身体を連れてスタート地点へと入る。
 するとコースは前半戦に見たものとは、全く違った姿を公明に見せた。
 一本だったレーンは複数となっており、まるで誰かが並走するかのようであった。
「やや、もう気が付いたのかな。お察しの通り、ここからは我々水かけ三人衆がエキストラスタッフとして加わるよ。妨害に耐え抜いてゴールしてね!」
 説明が終わると、しれっと分身体も混じってラインにつく。
 ブザーが鳴って、自称スタッフの怪人共々一斉にビート板を駆けだした。

 レースが始まり、序盤も序盤。
 堂々と妨害宣言していた怪人達が、さも当然のように頭から水鉄砲を取り出して攻撃し始めた。
 中身はどうやら、ヌルっと滑るローションのような潤滑液。
 もしも命中して足にまで垂れれば、即リタイアものの反則武器だろう。大人げが無さ過ぎる。
「あら残念。こんなのに当たるわけないでしょ。」
 しかし、前半戦でも披露した公明の類まれなる運動神経にとって、直線にゆっくりと飛んで来る潤滑液を避けるのなんて造作もない。
 ただでさえ今はレーンが増えており足場が豊富なのだ。あっちへヒラリ、こっちへヒラリと、舞う蝶を捕まえる稚児とのお遊びであるかのように余裕を持って避けられた。

「おいおい優等生。そんなんじゃ観客は満足しねえぜ!観客が本当に求めてんのはこういうの、だよ!」
 公明の動きは全て知っていると言わんばかりに、分身体がサッと着地点の近くに駆け寄り、隠し持っていた刀で横薙ぎに皮一枚一閃、公明の水着だけを切り裂いた。
「ちょっと、あんたはどっちの味方なのよ!」
 本来大きく豊満な公明の胸。それを水の抵抗が無くなるよう流線形に押さえつけるよう胸部の拘束具となっていた競泳水着。
 今、分身体によって水着のアンダーバストを切り裂かれ、その拘束具の支えが無くなったためにブルンと暴発。封印されていた本来の豊満な胸が切り口から顔を出し、その下乳の大きさから元のバストサイズを彷彿とさせるのに十分であった。
 あの美しい公明の柔らかそうにハミ出る下乳。それを見た観客達は大興奮。
 先ほどまでとは違ったボルテージの高まりが会場全体に広がりつつあった。
「ほらどうよ。みんなそっちの方がいいってさ。」
「あ、あ、あんたって子は~!!」

 羞恥心で公明の顔が真っ赤になると、お仕置きだと二丁拳銃を取り出し分身体へ向けて乱射。
 それをからかうように、彼女は逃げ回り、跳ねまわり、怪人達を盾にする。
「あばばばばば!!」
 盾になった怪人がハチの巣になると同時に、水鉄砲のボトルが弾けて分身体へふりかかる。
 彼女は水着ではなく白シャツであったために、潤滑液で濡れると地肌が透ける。薄らと桃色の箇所も浮き上がったではないか。
「待って、透けちゃってるじゃない!恥ずかしいから戻るか、せめてパーカー閉じなさい!!」
 彼女と公明は瓜二つ。つまり彼女のモノが見えてしまうということは、公明のモノが見えているのと同義なのだ。
 たまったものではないと、公明が必死に銃撃で分身体を止めようと銃の乱射は密度を増す。

 公明がなんとか分身体を捕まえパーカーを閉じさせた頃。
 いつの間にか二人はゴールしていたようで、振り返ればハチの巣になった怪人達がプールに浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミケ・ナーハ
ビート板渡りに挑戦♪

この世界では自分のセクシーな動画を
投稿する猟兵として知られている私です♪

スタイル抜群の体を見せつける
豊満な胸がはちきれそうなビキニ姿で登場♪

走ると胸がぷるんぷるん揺れ、こぼれそうに♪

「(みんな私に釘付けですね♪)」
注目されるのが好きなので、うっとり♪


「きゃっ!?ま、負けませんっ!」
水鉄砲を浴び、ますますセクシーな姿に♪

『超忍者覚醒』し
【念動力】で体を支え
本来ならバランスを
崩しそうな動きもしつつ
その後の水鉄砲を【見切り】
避けてゴールへ♪


「や、やりました♪」
観客に手を振りつつ
セクシーに頬を赤らめます♪

実は、危うく胸がポロリしかけたのを【見切り】
【念動力】で慌てて直したからです♪



 キマイラ達の世界では、生配信により自身の活動を他者に見せて、自己顕示欲を満たすことが生活の一部として浸透している。
 手の平サイズの携帯端末、そして浮遊することで360度の角度から自信を撮影することが出来るドローンの二つがあれば、老若男女誰かれ問わず気軽にできてしまうからだ。
 遠く離れた地での出来事、身体能力を活かした空の世界、限られたものしか潜れない深海の神秘、時には違法スレスレな奇行まで。様々な身体特徴、発想豊かな想像力を持つキマイラ達が、自身の得手不得手に合わせた配信を行い少しでも目立とうとするのだ。
 それゆえにインドア派や、活発なキマイラであっても不得手な部門について、他者の過激な行動を視聴することも人気となっている。
 だがしかし、どんなキマイラにも人気な不変のジャンルというのもある。それは、違法にならない程度に攻めたセクシーな配信だ。
 容姿、体格に優れた男女を見ることを嫌いな者はいない。もちろん、倫理的に問題のある配信は消されてしまうので、その一歩手前を攻めた配信はが最高の娯楽であり、三大欲求の一つを満たそうと皆がかじりついて視聴してくれるのだ。

 そしてここ、スパリゾートキマイランズにもそんな際どい配信を得意とする者が訪れる。
「イェイ!ミケ・ナーハ(にゃんにゃんシーフ・f08989)だよ~!皆私の活躍楽しみにしてたかな?今日はココに面白いアトラクションがあるって聞いてやってきました!」
 自分の目の前に浮かぶドローンカメラに向かって、ウィンクしながらピースするキマイラの少女。太陽に映えるオレンジ色の髪をなびかせ、頭頂部で白黒の猫耳がピコピコと揺れる。アトラクションが楽しみだったのか毛づやの良い尻尾をピンと立てている。
 彼女はこのキマイラフューチャー出身であり、当然配信で自身の活躍を世界へ発信するのに余念が無い。
 今カメラには彼女の顔がアップで映されており、次第に引き絵となって全身が現れていく。
「じゃん♪今日はなんとおニューのビキニです!」
 どうだ、とミケが胸を張って身体をカメラに見せつける。
 肉球のような形を二つ並べた可愛らしいトップス。ボトムは普段履いているデニムパンツをさらにローライズにしたデザインだ。
「どうですどうです!可愛いですよね!こことか私のお気に入りポイントですよ!」
 くるりと反転し、後ろを振り返り水着の全体像を見せていく。
 ミケがここを見て、とお尻を突き出しボトムを強調した。ミケが指差すのは尻尾の付け根。ローライズにしたことにより、穴を開けなくても尻尾が邪魔をしないのだ。
 しかし、実際に配信を視聴してる者が、尻尾に視線を向けることはないだろう。尻尾が出せるくらいのローライズ、ミケのパンと張った瑞々しい桃尻が半分顔を出しており、グッと突き出したことにより今にも零れ落ちそうなのだから。
 もちろんミケはわざとやっている。はしたないとは理解しているが、この方が皆ミケを見てくれるのだから仕方ないだろう。携帯端末に表示される視聴者数がグングン鰻登りしているのが目に入ると、ミケはうっとりと悦に入り、水着のお披露目ショーはしばらく続いた。

「それではそろそろアトラクションに挑戦してみましょう!皆さん私がゴールできるようにいっぱい応援しててくださいね!」
 ミケが選んだのはノンストップビート板渡りコース。
 配信の取れ高は、動きと勢いのあるものだ。このコースなら十分条件に合うだろう。
 早速エントリーするとエキストラスタッフを自称する明らかに怪人な男たちがミケに近付く。もちろん男なんてカメラには映さない。ドローンが自動で位置を調節してカメラから器用に外していく。
「ようこそお嬢さん!ボク達は水かけ三人衆。これからボク達の妨害を耐えながらゴールを目指してもらうよ!一回でも落ちたらリタイアだから注意してね!」
 怪人達もカメラを意識したのか、やた説明口調でミケに話しかける。怪人の癖に意外と律義なヤツラである。
「はい、わかりました!聴きましたか皆さん!もしかしたらこれからあられもない姿になってしまうかもしれません!これは見逃せませんね!」

 ブザーが鳴ると、ミケと怪人達は一斉に走り出す。
 ミケの方は一つ一つが固定されていない不安定なビート板を並べた一本道。
 対して怪人達は両脇の連絡路を駆けているために、スピードを落とさずミケにぴったりと並走していた。
 猫のキマイラであるミケにとって、バランスを取りながらしなやかに走るのはお手の物。ぴょんぴょん跳んでは華麗に着地を繰り返す。そしてその度に揺れる二つの肉球もといたわわな胸が、元気よく上に下にと縦横無尽にぽよんぽよんと跳ね回る。
 これこそ視聴者が求めていたもの、いわゆるサービスシーンというやつだ。
「(今頃きっとみんな私に釘付けですね♪)」
 追従するドローンカメラがミケの上半身を集中的に捉えているのを横目で確認。競技中のため反応は見れないが、盛り上がっているのは想像にたやすい。
 それを考えると、ついミケの頬も緩んでしまう。

 ミケが落ちないと悟った怪人達は妨害に移り出す。
 頭から取り出した水鉄砲でミケを正確に狙い撃ったのだ。
 ミケに降り注ぐトロリと粘り気のある白濁した液体。顔に掛かった液体が顎を伝って、弾む胸に滴り谷間に水溜りを作り出す。
 今回の中身は溶いた片栗粉。あまり過激な液体をカメラに映すと施設にクレームが入りかねないので配慮されたのだ。
「きゃっ!?ま、負けませんっ!」
 しかし、それでも十分にインモラルな光景に、視聴者はさらに大興奮。
 だがミケからしてみれば、全身に絡みつく粘液が足を滑らせそうになり、脚を止める羽目になった。

 なればと、ミケも秘策を打つ。
 突然ミケの水着が輝き出すと、光が納まると同時にその姿を変貌させる。
 全体がメッシュ素材に切り替わり、かなりスケスケな見た目に、そして首元に巻かれた赤いスカーフがクノイチ然とした姿に変えていた。
 衣装が変わると、ミケは今まで以上の運動能力を魅せ、水鉄砲を躱していく。
 あまりに当たらないために残弾が尽きるころには、ゴールに辿りつけてしまったほどだ。

「皆さん!や、やりましたよ♪」
 スケスケな衣装に滴る白濁液。流石にミケも恥ずかしく赤らめた顔でカメラに向かってピースを決める。
 しかし、カメラの画面が実際に捉えていたのは、彼女の股に伝う白い雫だったらしいことをミケは後日知ったらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
◎◎◎
先程は不覚でしたね。
サービスし過ぎました。

同じコースの折り返しです。
今回は遊びを入れず最速最短で行きますね。
怪人の妨害も【野生の勘、見切り】で、緩急をつけた動きと跳躍で回避します。

「今回はもうこれ以上のサービス提供は不要ですので……きゃっ!?」

ですが、ヌルヌル弾が足場にしようとしたビート板にヒット。
足を滑らせ、咄嗟に四肢を広げたブリッジで際どく身を支える事に……。
そこにヌルヌルが何発も被弾し、素肌がなまめかしく光ります。
摩擦を失った上下の水着もずり落ちそう。

(あいつら後でコロす……)

怪人達に微笑【殺意】し、重力を纏う両掌で水面を打ってリカバリー。
上下の水着が滑り落ちる前にゴールを狙う。



 中間地点入り口。
 人目を憚る物陰に隠れる少女が一人。
 その少女、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は先ほどの競技で水着のトップスが盛大に捲れ上がってしまい、危うく嫁入り前の初心な身体を大衆に晒してしまうところだったのだ。
 瞬間的に全力の力を発揮して難を逃れたが、直す暇もなく中間地点へ滑り込んで現在に至ると言うわけである。

 今は、ともかく捲れあがった水着を直そうと悪戦苦闘中。
 紅葉の選んだアスリートタイプの水着は、普段は激しい運動でもズレたりしないようになっているのが逆に仇となり、着たまま着崩れを直すのがなんとも難しい。
 ただでさえ恥ずかしさで手元がおぼつかないのだ。このままでは埒が明かないだろう。
 仕方が無いと、周囲を何度も見渡して人影が無いことを確認し、身を切る覚悟で一度トップスを外すことに。
 肝の据わった紅葉だが、潜入調査でもこんなにドギマギしたことはない。もしも本当に神がいるのなら、今すぐ入信するからこの状況を解決してみせてほしい。

 背に掛かるポニーテールを巻き込まない様に、水着を頭から通して裏返す。
 紅葉の上半身は、今や何も彼女を押さえつけるものはなく、ただ重力のみが彼女の健やかに育った膨らみを引っ張り自然な美しさを作り出した。
 脱いだ水着をいそいそと直し、もう一度頭を通して着用しようと掲げたその時。
「探しましたよお嬢さん!さぁ次の競技へ移ってください!ここからは我々水かけ三人衆ことエキストラスタッフも参加しますからね。時間が押しているんですよ!」
 突然の声。逸るあまりに気配に気が付けなった。
 紅葉が顔だけ振り返り、横目で声の正体を確認する。
 すると何故かカメラをその手に抱え、自称スタッフの怪人達が紅葉の後ろから声を掛けて来ていたのだ。
 紅葉の頭が一瞬真っ白にフリーズする。
「(カメラ、スタッフ、これはもしかして中継されているの?)」
 紅葉の予想通り、カメラは観客席にバッチリ中継されていた。
 意識が張り詰めだすと、外から確かに観客達が興奮する声が漏れてきている。
 幸いにも、紅葉の薄らと肌白さのあるが肉付きの良い背中しか映されていないはずだが、自分の肌を人目になんて見せ慣れていない。
「きゃぁぁぁ!!」
 普段なら演技でもなければ絶対に出さないような声が自然と込み上げてきた。
 紅葉自身も、こんな声が出たことに驚いたほどだ。
 パニックになり、思わず身体を丸めてしゃがみ、両腕で胸を隠して生娘のようにしなを作る。その姿のせいなのか、紅葉の耳には余計に外の歓声が大きくなった気がした。
「おっと、失礼。これはちょっとしたハプニング!悪気はなかった事故だよ事故!それじゃ美味しい画も撮れたしスタート地点で待ってるよ!」
 わざとらしく白々しい言い訳をきっぱりと言い切る怪人達。
 美味しい画と言っていたのだ十中八九故意だろう。
 紅葉が顔を蒸気し茹たせ、あいつら後でコロすと呻くように呟いた。

 物陰でようやく着崩れを直すと、紅葉はスタート地点に入る。
 隣には既に準備万端の怪人達が、嫌がらせのように先ほどの中継のリプレイを観客に見せて煽っていた。何度も聞こえてくる自分の悲鳴に合わせて観客も盛り上がるものだからやりきれない。
 恐らくこちらの集中力を削ぐのが目的なのだろうが、覚悟を決めた以上、もはや動じる紅葉ではない。
 効果が見られないと判断したのか、観客が惜しむ中リプレイは中断された。

 紅葉の目の前に広がるのは前半戦と同じノンストップビート板渡りコース。
 以前と違うのは、忌々しい怪人達が紅葉の横に並び、妨害してくる気を隠そうともしないところだろうか。
 あの様子では、この先どんな辱めを受けるかわかったものではない。ここは前半戦のようなパフォーマンスでの遊びは捨て、最速最短を狙って終わらせるのが最善策だろう。
 ブザーが鳴り、紅葉と怪人達が一斉に駆け出す。
 案の定、怪人達が早速頭から取り出した水鉄砲を紅葉へと向け始めた。
 予想が用意であったために遅れは取らないと、後方から聞こえてくる水音に合わせて跳躍。易々と怪人達の妨害を躱していく。
「この程度なら子供のお遊びですね。今回はもうこれ以上のサービス提供は不要だと心配して損し……きゃっ!?」
 水鉄砲から放たれた中身がただの水であったなら、確かにお遊びだっただろう。
 しかし、怪人達は前半戦の紅葉の身体能力の高さを知っているため、卑劣な作戦を仕込んでいたのだ。
 紅葉が躱した水鉄砲の中身は、摩擦を無くすためのヌルヌルローション。水なんて目じゃないくらい保湿性と潤滑性に富んでおり、紅葉が躱した分はそのまま着地するはずのビート板へ振りかかっていたのだ。
 中身を知らなかった紅葉は、そのままツルリと脚を滑らせ、あわやこのままあっけなくゲームセットかと思われた。
 しかし、持ち前の反射神経で咄嗟に四肢を広げてブリッジの体勢を取り、前後のビート板に手足の指で器用に掴まる。脚側などに至っては、ビート板を足の指で挟み込みように広げているため、大変はしたない大股開きを披露してしまっていた。

「これは画になるぞ!カメラ回せー!アップだアップ!」
 紅葉のあられもない姿勢に目を付けて、すかさず怪人達が中継カメラを振りかざして、強調するように突き上げた胸部、そしてご開帳された健康的なおみ足の間を二つのレンズがしっかりと捉える。
 残り一人の怪人が、その手に持った水鉄砲で露出している肌の部位を狙ってローションを噴射。若々しい艶肌がなまめかしくライトに照らされて、中継モニターに映されたその光景に観客達が声を出すのも忘れて息をのむ。
 紅葉の身体があらかたぬたりと反射すると、今度は水着目掛けて直に発射。どこから持ってきたのか、わざわざ高水圧タイプに切り替わっており、姿勢を維持するのに必死な紅葉は手も脚も出せずに水着が徐々に捲れていく。
 観客達はこのパフォーマンスに大興奮。あとちょっとだと怪人達を応援するものまで現れ始めた。
「(あいつら……やっぱり後でコロす……)」
 公然と行われるセクハラ行為が、遂に紅葉の琴線に触れた。

 今までは外面用の仮面を張り付けていた紅葉だが、怪人達に向けてその本性を垣間見せるような殺意に満ちた氷の微笑を放つ。すると、怪人達は心臓を鷲掴みされたような恐怖に支配されて、手に持っていたカメラや水鉄砲をプールに落としてしまった。
 ローション攻撃が止まった隙を突き、紅葉は前半戦でみせた拳圧によるリカバリーで体勢を直す。その余波は、水を伝い波となって怪人達まで飲み込んだ。
 沈んでいく怪人達をゴミでも見るかのように見下すと、邪魔ものがいなくなったコースを独走。あっという間にゴールすることが出来た。
 ちなみにその後、中継の録画テープは何者かによって念入りに破壊されていたらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
パニーニャさんと一緒
※ハプニング大歓迎◎

人格交代したパニーニャさんと、コースを変え浮島ルートに

妨害の液で足を滑らせた彼女を支えようと手を伸ばしたら…背後から胸を鷲掴みに
「あわわ…すみませんっ?!」
すぐ離そうとしますが、動くとバランス崩して落ちそう
さらにねばねばの液が当たって、胸を掴んだまま離れなくなり
「あの、それは…はい、すみません」
彼女におんぶされて進むことに
揺れるたびに胸を揉んでしまう事にっ(汗

更に手が水着にくっついているから、最終的にはバランス崩して、ずるっと水着を剥がしてしまい…
そしてどろどろの液をぶっかけられるのでした

さすがに頭に来たので【異界の抱擁】の触手で怪人を締め上げますね


パニーニャ・エルシード

同行
彩波・いちご(f00301)

メイン人格
パニーニャ(真面目で突っ込む事多め)

コース移動:浮島へ


正直、いちごといちゃつくアザレアが、
凄く羨ましくて
だから…私も少しくらいは『彼』とのデート、長く楽しみたいなぁ…


「―っ…ひゃん!?」
注意散漫モードが拙かったのか、足元が滑り…
…そうな所でいちごに支えられて。

「大丈夫…支えてくれてありがと…んっ…♪」
いちごの手ごと胸にねばねばがくっついてて
「ぁぅ…んっ、いちご…背中、乗れる?」
(胸の感触に声時々零れつつ…いちごを背負ってコースをダッシュ!)

UCで身体能力あげて突破試みるけど…
「ひぅ!?や、力はいんな…」
気持ちよくて何度もへたりこんじゃうかも…



 中間地点入り口手前。
 ウォータースライダーの終点となる小規模のプールにて、二人の少女、もとい二人の男女が抱き合っていた。
 現在の主人格がアゼレアであるパニーニャ・エルシード(現世と隠世の栞花・f15849)が彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の頭をはだけた胸に埋めている状況である。
 激しい水流の中、もみくちゃ(いちごは揉んでいたが)にされてアゼレアの競泳水着の上半身がはだけてしまい、いちごを抱きしめることで周囲の一般客から視界を遮っていたのだ。
 しかし、いつまでもこうしているわけにもいかないだろう。アゼレアの少年の頭を包み込むのはわけないほどに豊満な胸が、まるで少女のような彼、いちごの呼吸を阻害してしまっているのだ。
『ちょっと!このままじゃいちごが死んじゃうわよ!いいから早く私に変わって!』
 見かねてアゼレアの中からパニーニャが慌てて注意してくる。
 もう少しこのままでいたかったという名残惜しさを顔に出しつつも、いちごを困らせるわけにはいかないとアゼレアも渋々承諾。
 目を閉じると、額の宝石が赤から青へと変化し、主人格がパニーニャへと交代した。

「(正直、いちごといちゃつくアザレアが凄く羨ましかった……。だから……私も少しくらいは……)」
 前半戦、二人でジュースを飲んだり、肌を重ねたりと色々あった。しかし、それはアゼレアといちごの思い出である。同じ身体であってもパニーニャの思い出ではないのだ。
 だからと、少しでもいちごとの思い出を残そうと、アゼレアには内緒でこの機会を利用させてもらうことにした。

 まずはいちごをマシュマロサンドから解放するために、目を塞いでもらうことを伝える。
 いちごに目を瞑ってもらいながら、水着をたくし上げてもらうのだ。
『なんで自分で直さないのよ。』
 アゼレアが横やりを入れて来るが、パニーニャは自分の胸の先端を隠すために手が離せないのだから仕方がない。
 そして、ここから起こることはいちごがやったことだから、自分ははしたない子ではないと自らに言い聞かせて、頬を赤らめながら小さく震える。
 
 水着が着崩れたのは半分は自分のせいなのだ。これ以上パニーニャに恥をかかせることは出来ないといちごが覚悟を決めて暗黒の世界を手探りで伝う。
 まずは目の前に手を伸ばす。
 柔らかでいて滑らかな肌触り。そして恐る恐る優しく掴んでみれば、やや体温の高い人肌を感じる。これはきっとパニーニャの腰回りの素肌だろう。
 掴んだ瞬間、パニーニャから甘くか細い声が漏れた。
 捲れた水着の端はもう少し下かと、慌てて一度手を放して、再度手を這わせる。
 しかし、またも同じ感触。水着はどこだとまさぐると、パニーニャの声が大きくなった。どうやらここは太ももなのかもしれない。
 まらば、中間あたりだろうと、そのまま手を放さずにつつと手でボディラインをなぞって捲れを流す。
「ご、ごめんなさいパニーニャさん!すぐ、すぐに終わりますから!」
 どんどん痺れるような艶のある声に変わっていくパニーニャを前にして、いちごはしどろもどろになりながらも、捲れた部分に指を掛けた。
 あとはこれを上に引っ張り上げていけばいいはずだ。
 グッと、持ち上げるとすぐに何かがつっかえた。
 不思議に思ったいちごが薄らと目を開けると、パニーニャの胸がつかえていたのだ。
 直に晒された肌を見てしまったことを心の中で謝りながら、つかえていた原因をふんわりと押さえて水着をたくし上げる。
 肩まで上げると、後はお願いしますと叫んで、いちごは頭を冷やすためにプールに顔を潜らせた。
 このままでは間近で見たあの光景が目に焼き付いて、どうにかなりそうだったのだ。

 先ほどの一件でお互い恥ずかしくなり、まともに顔を合わせられないながらも寄り添って歩き、次のコースに辿りつく。
 今回の競技は水上スポンジ足場渡りコース。水上に浮かんで不安定に揺れるスポンジ足場を歩いて渡るコースだ。
 本来ならばゆっくりと進めばさほど難しくはないコースなのだが、今回は厄介なことにエキストラスタッフを自称する怪人達が邪魔をすることになっている。
 スタート地点には姿が見えないので、コースの各所で待ち構えているのだろう。

 設営準備が終わったのか、ブザーが鳴って二人は一緒に歩みだす。
 体勢が崩れてもお互いにカバーできるよう、手を繋いで歩いているために序盤は難なく進めていた。
 しかし、遂に最初の関門。水かけ三人衆の一人が姿を現した。
 彼が手にする水鉄砲から噴射されるのはヌルっと滑るローションのような潤滑液。
 それをいちごたちの歩くルートの先に、これでもかと隙間なく吹き付けた。
 いちごが恐る恐ると脚を踏み入れると、慎重に歩けば問題なさそうである。
 それを見たパニーニャが安心したよう顔で歩み始めたところ、油断に足をすくわれたのか、一気にバランスを崩して身体後ろへ倒れ初めたのだ。
 それを見たいちごは、すかさず回り込んで抱き留める。身体はパニーニャの方が大きいために、しっかりと力を込めて抱きしめなければならなかった。
「……ひゃん!?」
「あわわ……す、すみませんっ?!」
 パニーニャの悲鳴に、いちごは自分がどこを鷲掴んでいたかに気が付く。
 両手を埋めるこの柔らかな感触。散々己の顔で堪能したのだから忘れようがない。
 いちごの両手は、深々とパニーニャのたわわに実った胸に食い込んでいた。

 前半戦でのデジャヴ。またやってしまった、しかもこれで彼女達『二人共』にだ。
 顔を真っ赤にして、いちごが慌てて手を放そうとするが、パニーニャはそもそも後ろに倒れそうになっていたのだ。この状態で手を緩めれば、急にいちごへ体重が掛かり二人一緒に倒れてヌルヌルになってしまった。
 そこへ見計らったように次の怪人がやって来て水鉄砲を構える。
 今度の中身は、どうやらネバネバと粘着性のあるトリモチ液。
 それが倒れ込んだ二人の上から振りかかる。この状態でくっつくと、パニーニャの胸にいちごの両手が覆う形で固定されることになる。
 そんなことを知らない二人が、なんとか起き上がろうと、パニーニャが先に身体をどかす。
「結局転んじゃったけど……支えてくれてありがと、んっ……♪」
「ふわわ!?」
 彼女が身体を起こすと、それにつられていちごもくっついてきたのだ。
 そこで彼女達は自分達がくっついていることに気が付いた。
 いちごが頑張って引っ張ると、パニーニャのもち肌がそれに合わせて自在に形を変えて刺激を与える。
「ぁぅ…んっ、このままじゃ歩けないわよね。いちご…背中、乗れる?」
 このまま引っ張られると、いちごに自分の恥ずかしい声を聴かれてしまう。
 ならばと、剥がれないならそのままいちごを背負ってしまおうというのだ。

 おんぶした状態でパニーニャがヌルヌルした道を危なげに駆ける。
 二人分の体重を支えるために身体強化で事なきを得てはいるが、その分力加減を微調整しながら動くのは難しく、そうしても揺れてしまう。
 走るたびに上下に揺れる彼女の胸が、その度にいちごの手を埋めて食い込むせいで意識がいってしまう。
 いちごもまた、自身の下腹部がパニーニャの背に当たっているために、自分の両手の感覚を意識しないようにしているが、これだけぶるんぶるんと震えば意識しない方が無理だろう。彼は今、試練の時を迎えていた。

 順調に進む彼女達を阻むため、最後の怪人が現れた。
 彼が繰り出してきたのは、なんだかドロっとした白い何か。
 なんとかパニーニャは避けてくれているが、このままでは時間の問題だろう。
 しかし、背負われてるいちごがこれ以上彼女を辱めはしないと怒りの眼を向ける。
 彼が集中してパニーニャの耳に届かぬよう何かを唱えると、怪人の足元から無数のおぞましい触手が出現して絡みつく。
 動きが止まれば、後は障害なんてないようなもの。
 パニーニャが胸に感じるいちごの温もりで、腰を抜かしそうになり、何度もしゃがみ込んでは立ち上がり、くたくたになりながらもなんとかゴール。
 粘着液は硬化したために割れたのか、今はいちごの両手も自由になった。

 しかし流石にパニーニャは力尽きたのか、息を荒げていちごにもたれかかり、身体を支えるように抱きしめる。
 きっとこれも仕方のないことなのだ。不可抗力なら『もう一人の彼女』も多めに見てくれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

甘甘・ききん
◎改変連携歓迎
過酷な任務の果てに体すら満足に動かせなくなった設定重めのヒロインが今立ち上がる!具体的には満腹と筋肉痛で正直もう座っているのも辛かった私ですが、度し難い観客共からちょっとずつ盗むように生命力を吸収していたら不思議と力が湧いてきました。私…まだ、戦える!
今回は私自身がUCの変化の力(ただのサイド紐ビキニ姿)で無敵になってスライダーを滑るだけ。接水面を減らしたポーズで固定すれば動けないのもむしろヨシ!デメリットを利用する実に賢い策ですね。多分IQ134位ある。いやー猟兵ってこんな楽なお仕事で…なにこの不安?既視感?まあ行ける行ける。妨害攻撃?無敵の私に敵うなら好きなだけするといいよ!



 甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)は非常に焦っていた。
 自分は自堕落に食べ遊び、尚且つ仕事もこなせる一石二鳥の秘策。空想から作り出した理想の自分(かなり体型を盛っている)に競技を押し付け、自分はぬくぬくと観戦するこの作戦に重大な欠点があったのだ。
 理想の自分は望んだだけの身体能力を得るために、競技を苦戦することなく順調に進んでくれていた。しかし、彼女とききんの五感が共有されていたために、緊張感無くだらけていたききんの全身へ強烈な負荷がかかったのである。
 そのため、ききんは全身重度の筋肉痛で動けなくなってしまい、抜群のスタイルで男性客を魅了する理想の自分へ数多のいやらしい視線が突き刺さる感覚、顔を真っ赤にするほどの羞恥心がききんにまで伝播してきたのだ。

 このままでは、理想の自分が中間地点に到達するまでに恥ずかしさと筋肉痛で死んでしまう。
 それが彼女の焦る原因であった。
 しかし、動けない自分に出来ることなどあるだろうか。そう絶望的な状況に悲観していたところに、打開のチャンスが訪れる。
 理想の自分が過激なポーズを取りながら足場を渡るのを見ようと、ききんのいるレストエリアに男性が殺到。
 ぷかぷかと浮かんでいたききんの周囲、目と鼻の先にも並びだしたのだ。

 彼女、ききんは妖狐である。キマイラと妖狐の最大の違いは吸精能力の有無だろう。そして彼女は過去に吸精のし過ぎで懲らしめられた経験があるほどに、その能力に長けていたのだ。
 彼女の周囲には、吸ってくれと言わんばかりに三大欲求の内の一つ『性欲』に頭を支配された残念な輩が集まっている。生きる上で大事であるほどエネルギーの質は良くなり、煩悩も当然良質なエネルギーだ。
 もう一人のききんを辱しめた対価として、こいつらから動くためのエネルギーを拝借しても流石にバチは当たらないだろう。
「食い殺さない程度に……あっほんのちょっと吸いすぎちゃった!」
 水を媒介に自分へ吸精の波紋、このレストエリアのプールにいる男性たちの精を妖狐の力の源である尻尾へと集めていたのだが、エネルギー不足で危機的状況なことに対しての本能か、加減を間違え予定より大幅に吸い取ってしまう。
 その瞬間、レストエリアに群がってヒートアップしていた男性陣が一気にしんと静まる。皆、その顔はまるで悟りを開いた賢者のような、何とも言えない気の抜けた表情をしていたという。

 幸いにも食い殺すことなく賢者モードとなった男性陣は放っておき、ききんは理想の自分の回収へと向かう。
 先ほどの吸精により、ききんの身体は全回復。それどころか、毛並みは流れる小川のように整いを見せ、毛ヅヤは光り輝く稲穂のような眩しさだ。肌ももっちりしとやかで、今なら不可能なんてないという根拠のない自信が湧くほどにききんは絶好調である。
 ルンルンと軽やかに跳ねてもう一人の自分に会うと、お役御免を言い渡して空想の世界へと帰らせた。
 もう彼女に任せなくても、ききん自身で仕事を終わらせることが出来るはずだ。何よりも、エネルギーが溢れてきて自分で何かやりたい気分なのだ。

 さぁやるぞと奮起して、ききんが中間地点を抜けて後半戦のスタート地点に立つ。
 今回は前半戦と違いウォータースライダーだ。これなら滑るだけであるし、理想の自分ほどの身体能力が無くても問題ないだろう。
 すると、見計らったようにエキストラスタッフを自称する怪人達が現れた。
「あれ?お嬢ちゃんなんか色々と縮んだ?まぁ細かいことはいいか。ここからは知っての通り我々水かけ三人衆が妨害に入るよ。最後までギブアップせずにゴールできたらクリアだ!」
 先ほど参加していた同じ顔の女性、理想の自分と勘違いしているのだろうか。ジロジロと(主に胸を)、ききんを見るがそのまま気にせず進行。
 説明を終えると、彼らは配置に付くため去って行った。

 準備が出来たのだろう。ブザーが鳴ると、ききんは勢いよくスライダーに飛び込んだ。
 運動能力が無くとも、彼女には先ほどしこたま溜めた力がある。それを使ってこの競技を切り抜ける秘策を用意していたのだ。
 少し滑って感覚を掴むと、なんとか姿勢を安定させて仰向け、尻尾を抱えてお尻だけで身体を支えるポーズを取る。色々試した結果これが一番速く滑れたのだ。
 さっさと済ませないと妨害が入ってしまうと、すぐさまききんは術の準備に移る。
「むにゃむにゃ(詠唱の暗記が曖昧なのでそれっぽく誤魔化す)……この声が聞こえたなら仏よ助けたまえー(棒)」
 本当に声が届いたのかは仏のみぞ知るが、どこからともなく風が吹いて、ききんの自慢の尻尾がぼわぼわと毛羽立ち、輝き出す。
 するとききんを光が包み、ききんに変化を与えながら収束していく。そして光はききんの新たな水着の形となって納まった。

 新たな水着はやたらと布面積の少ないタイサイドビキニ。理想の自分よりも攻めたデザインなのは、怪人達にキミ色気無いねという目で見られたことへの当てつけであろうか。
 そしてその格好のまま、一切微動だにせずに加速しながらスライダーを滑り降りていく。というよりも、術のせいでききんは傷つかないが身動ぎ一つできなかったのだ。
 しかし、これでどんな妨害が来ようとも怖いものはない。仏の威を借りた無敵の狐状態なのだ。

 早速効果を試す相手、水かけ三人衆がスライダーの連絡橋に立ちこちらに水鉄砲を向けている。
 だがききんは何も心配はしていない。自称IQ134はあるこの完璧な作戦の前には何者も無力なのだ。
「ふははは!無敵の私に敵うと思うなら好きなだけするといいよ!」
 調子に乗ると、大体良くないことが起きるものである。
 挑発された怪人達は、憤慨しながら特製弾に詰め替え撃ち放ってきた。
 ききんに降りかかる液体、その正体は瞬間接着トリモチ弾。
 トリモチは神か仏にでもいたずらされたかのように、器用にききんの水着だけに着弾。そしてその勢いのままスライダーの縁とくっついた。
「ふははは……は?き゛に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
 当然、紐水着はスライダーに取り残され、ききんは産まれたままの肌色な姿に。

 不幸中の幸いか、仰向けで脚を開いた姿勢だが、尻尾を抱えていたためにギリギリ乙女の秘密を見せることは無かった。
 しかし、前半戦で理想の自分が振りまく大人の色気に興奮しなかった別の層が、観客席で大興奮。皆一斉にカメラを取り出し連射モードによるシャッター音の雨あられ。
 仏を利用し楽をすることを考えた報いなのか、またも恥ずかしさで泣きそうになりながら、ききんはゴールまで流されていった。
 それでもギブアップしない気概は褒めてあげるべきだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『軟体魔忍マイカ』

POW   :    いイカくごだが無意味だな。潰えろ、デストロイカ!
【投げ槍バリスクイッドランサーの装備破壊】【蛇腹剣イガリアンソードによる範囲攻撃】【手裏剣イカスミケンによる制圧射撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    いイカら、その目に焼き付けろ!イカタストロフィ!
【攻撃を弾きながら高速回転してイカスミケン】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    イカなる攻撃も当たらなければ…イカスミセンプク!
【音速で放たれる水圧カッターのイカスミケン】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【や相手に付着、その墨を通して瞬時に移動し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:ぐれしー

👑7
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 スパリゾート施設の裏手。
 暗闇の中から施設内の盛り上がり様を見て、不気味に微笑む白い影があった。
「ふむ、いイカんじの雰囲気だな。SNSでの拡散もされて集客も鰻登りというじゃなイカ。」
 白い影、軟体魔忍マイカは今回の新アトラクションを企画した張本人である。
 彼女は別にキマイラ達を楽しませるためにこんな用意をしたのではない。
 その真の目的は、出来るだけ人を集めて暴れることで、己の活躍をより多くの人の眼に留めることなのだ。
 そのためにはどんな努力も惜しまないし、これから起こる大騒動で何人犠牲が出ようと構わないのだ。

「さて、そろそろイカないとな。だがその前に役立たずは始末してからだ、忍者が失敗した配下をイカしておくわけにはな。」

 突如施設中に響く3度の悲鳴。
 猟兵のキミ達は、それが先ほど妨害してきた水かけ三人衆のものだと気が付いただろう。
 その声に振り返ると、そこには彼女、今回の黒幕のマイカが得物を振り上げて対峙していた。

(マスコメでも記載しましたが、今回は純粋に戦闘パートなのでハプニングは予定してません。それと、敵は猟兵を優先して狙うため、客の避難等は考えなくても大丈夫です。周囲にあるアトラクションなどは利用しても大丈夫です。)
片桐・公明
競技終了後
分「パーカー閉じたら苦しくて動きにくいだろうが」
本「ダメよ。恥ずかしいじゃない。だったら水着に着替えてきなさい。」
分「脱ぐだけじゃダメなのかよ」
本「最悪でしょうが!!」

【WIZ】
敵のイカスミを回避していく二人
しかし二人の動きが少し悪い
分「やっぱ閉めると苦しいな」
本「私もあんたのせいで動きにくいんだから我慢なさい」
分「肉体に恥じるところはないんじゃないのかよ」
本「それとこれとは話は別よ」

分「やっぱり無理!!」
パーカーを開け放す分身
濡れて透けたシャツが顕わになりながらもそのまま突っ込んで刀を振るう
分「捌いてゲソ焼きにしてやらぁ」
本「その前に着替えよ!!」
本体も覚悟を決めて援護に集中する



 後半コースのゴール地点。
 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)の後方に広がるプールには、彼女とそして彼女の分身体を妨害してきた怪人達が死屍累々と浮かんでいた。
 乱入してきた公明の分身体は、私服の白シャツのまま水場に来たのに、乙女としての恥じらいゼロで暴れるものだから肌が透けるわ桃色のポッチが浮かぶわで、正直なところ公明は怪人どころではなかったのだが。
 なまじ、分身体が公明と瓜二つのなものだから、彼女の恥は己の恥として、他人ごとではなかったのだから仕方も無いだろう。

 ゴールと同時に分身体を捕まえると、ようやく彼女のパーカーの前を閉じさせて、観客達(特に男性陣)の食い入るような視線から遮る。
 競技場と観客席では少し距離もあることだし、はっきりとは見られていないことを公明は祈るばかりである。
「んだよー。パーカー閉じたら苦しくて動きにくいだろうが。自分は思いっきり下乳晒してるくせによ。」
 分身体がぶつぶつと文句を言いながらも、公明に手を出して抵抗したりする様子はない。かわりにささやかな抗議として、公明の切り裂かれた水着から覗く、柔らかに食い込みを作る晒された胸部を指先でつつく。
「ダメよ。恥ずかしいじゃない。そんなに嫌なら水着に着替えてきなさい。それと……。」
 ぺしっと分身体の伸ばす指を軽くはたき落として、今度は公明が分身体の頬をぽにっとつねる。
「これはあんたが切ったんでしょうが!ごめんなさいは?」
「ぬ~……ごへんらひゃい。」
 頬を引っ張られては逃げ場が無くなったのか、分身体は心底不服そうに形だけの謝罪を述べる。
 きかんぼうの妹を躾けるように真っ直ぐ見つめる公明とは対照的に、分身体は目を合わせようともしない悪ガキぶりだ。
 根負けした公明が、はぁとため息をついて頬を離してやる。
「しょうがない子ね。なら、ちゃんとそのまま閉めときなさいよ。」
「シャツが透けるのが駄目なのか?なら脱げば開けていいんだよな!」
「最悪でしょうが!!」
 恥じらいというものを知らないらしい分身体が、早速脱ごうとするのを見て公明は頭を優しくはたいて突っ込んだ。

 二人の和気藹々とした漫才に割り込むように、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 何事かと二人が振り返ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
「ほう、随分と余裕そうじゃなイカ。敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが効く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

 触手のような腕に墨を溜めると、勢いよく振るってそれを投げつけて来る。
 まるで水圧カッターのような鋭さを一瞬で見抜くと、二人は別々の方向に飛退いた。
 公明が跳躍中に着弾地を見ると、まるで抉られたような鋭い切断面がコンクリートの壁に残っている。人体に受ければ骨までスッパリといくのは目に見えているだけに、注意しなければならないだろう。
 初撃の奇襲は無事回避できた。しかし、彼女の腕は大小合わせて8本もあるのだ。次いで飛んで来る墨手裏剣が息つく暇もなく矢継ぎ早に飛んできた。
 別々の方向に移動して攻撃の分散を狙う公明と分身体だが、その動きは競技で魅せたほどのキレがなく、どんどんと追い詰められているようである。
「くそ。やっぱ閉めると苦しいな。」
「私もあんたのせいで動きにくいんだから我慢なさい!」
 胸の圧迫、それは呼吸器官である肺を圧迫することであり、大きくそして荒々しく暴れることが本分の分身体にとって、パーカーを閉めていることがストレスなようだ。
 逆に開放的になっている公明の方は、恥じらいのために、なんとか晒された肌を隠そうと腕で覆っているために細かい動きが出来ていないようである。
「おい、肉体に恥じるところはないんじゃないのかよ。」
「あのねぇ……普通それとこれとは話は別でしょうが!」
 力強い動きを阻害された分身体、繊細でしなやかな動きを封じられた公明。
 お互いに長所が潰されて、マイカの猛攻への反撃に上手く移れないでいた。

「だぁぁぁ!!やっぱ無理!!」
 逃げるだけでじれったくなった分身体が、堪忍袋の緒の代わりにチャックを壊して透けた胸部を曝け出す。
 すると、水を得た魚のように素早い瞬発性を発揮しだした。向かってくる墨手裏剣も一瞬で軌道を見抜いて、妖刀を居合いで抜き放つと縦一閃で両断。
「生ぬるい泥かけ遊びは終いだ!捌いてゲソ焼きにしてやらぁ!」
 そのまま猛々しくマイカに向けて猪突猛進する分身体。

 真っ直ぐ突っ込んで来る分身体を脅威と判断したのか、軟体魔忍マイカはその8本の腕全てを分身体に向けて振るう。
 いくら剣筋が素早くとも、一閃で薙げるのはせいぜい墨手裏剣の半分ほどだろう。
 彼女を護るために、己の恥を捨てて公明が援護に回る。
「もう、本当に世話の焼ける子ね!」
 譲り受けた二丁拳銃を両手に構え、胸が晒されるのも構わず墨手裏剣を正確に撃ち落としたのだ。

 まさか音速で飛ぶ水圧カッター全てを撃ち落とされるとは、軟体魔忍マイカも予想外だったのだろう。
 腕に墨を再充填している隙に、分身体がその腕をVの字に二閃して全て切り落とす。
 しかし、それでも諦めないのか、分身体が剣を振りきった隙に高く跳躍して間合いを逃れる。
 それは、確かに妖刀の間合いからは逃れたであろうが、相手は二人いるのだ。当然もう一人、公明の銃口がマイカを捉え逃がさなかった。
 両手の銃が焼け付き、弾が無くなるほどに絶え間なく連射。
 先ほどまで撃たれた分を返し終えると、空中にはもうマイカの姿は燃え尽き、骸の海へと返されていた。

「はは、やっぱり夏はイカ焼きだな!」
「そんなことより、さっさと着替えるわよ!どうしてもパーカー開けたいんなら、あんたの分の水着も買ってあげるから来なさい。」
 騒ぎが納まると観客達がぞろぞろと戻って来ていた。
 これ以上、透けと破れた格好でいるわけにもいかないだろうと、分身体の手を引いて施設内の水着売り場へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
【アドリブ、連携歓迎】

ヌメるビキニを食い込み気味にでもきつく結び直し、【恥ずかしさ耐性】で知らぬ顔で六尺棒を構える。

「さぁて、大分余剰サービスをしましたが。あなたは大変に分かり易くて良いですね」

何となく感じる気真面目さと空回り感は好ましいが、犠牲に全く思慮が行かぬ奈落の眼差しは看過出来ない。

さて知っている流儀だ。厄介なスリケンを封じるため、ダッシュで白兵を挑む。
投げ槍に対して、棒を三節で伸ばした突きで投擲前に迎撃。
後は棒と三節を使い分け、厳しい蛇腹剣の攻めを凌ぎつつ焦らず隙を探す。

隙有らば【カウンター、見切り】で懐へ入り、蹴り上げからUCの空中コンボを狙おう。

「これでのしイカになりなさい!!」



 後半コースのゴール地点。
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)の後方に広がるプールには、彼女を妨害してきた怪人達が死屍累々と浮かんでいた。
 海上に漂うごみのようにプールで浮かんでいる彼らは、紅葉のパフォーマンスと肉体美による人気に目を付けて、卑劣な手段で紅葉の恥ずかしい姿を撮影・中継していたのだ。しかし、それが彼女の逆鱗に触れて波に飲まれ今に至るというわけである。
 後ろ姿とはいえ、嫁入り前の乙女の裸を多くの観客に観られただけでなく、ローションを用いて卑猥なポーズのアップを撮られたのだから、これでもかなり生温い制裁だろう。

 ゴール地点まで辿り着いた紅葉は、観客の声援に応える暇もなくそそくさと物陰へと非難する。今はこの格好のままでいたくないのだ。そもそも、声援を送ってくる観客の多くは先ほどあられもない格好になった紅葉に対し、もうちょっとで脱げるぞ等とセクハラな声を上げていた連中なのだから構う必要も無いだろう。
 物陰に隠れると、周囲に誰もいないかしっかりと確認する。後半コースの前にやったような、気配を探ることへの油断はもうしない。
 誰もいないことを確認すると、ぬたりと滴るローションにまみれた水着を脱いで、ギュッと絞る。はだけた胸の前でぼたぼたと零れる粘性のある液体の量が、どれだけ高水圧で紅葉の水着を脱がそうとしていたのかが分かりうんざりする。
 あいつらのあの異様な情熱はどこから来るのか。男とは不思議な生き物である。

 紅葉がトップスを綺麗にしたところで、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 咄嗟に絞っていた水着を抱えて前を隠すが、周囲に怪人の気配はない。
 何があったかは分からないが、すぐに様子を見に行かなければならないだろう。
 仕方が無いと、ため息を吐きながら生乾きのほんのりとぬめりを残したトップスを着直す。ボトムは綺麗にできなかったので、内側までぬるぬるとした気持ち悪い感触を我慢しながらギュッと着崩れを直して物陰を飛び出した。
 股を伝う粘液がこそばゆいが、今はそれどころではないのだ。

 紅葉が何事かと声の上がった場所に飛び出ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
「さぁて、その足元の方々のせいで大分余剰サービスをしましたが。あなたは大変に分かり易くて良いですね。おおよそ出来の悪い部下を始末しに来た黒幕ってところでしょうか。」
 紅葉が今回の騒動の黒幕と睨むその怪人。腕が通常の人間よりも多く、そして様々な得物を構えているのを確認すると、紅葉も自分の身の丈よりも長いアルダワ特殊鋼製の六尺棒を取り出した。
 得物相手にステゴロで挑むには厳しい。そう確信させる鋭い眼光がこちらを刺していたために、紅葉の本能がそうさせたのだ。
「ほう、随分と余裕そうじゃなイカ。敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが聴く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

 軟体魔忍。彼女が口にした流儀に紅葉は心当たりがある。タコのような赤い少女を思い起こすと、あの子も確かに忍者のような戦法を多用していた。
 だからこそ、紅葉にはマイカが牽制で放ってくるであろう初撃を容易に見切ることが出来た。
 最小の動き、頭を逸らして墨の水圧カッターを避ける。軽く頬をかすめた墨を拭って舐めてみると、恐らくイカスミの味だろうか。
「……なるほど。その動き、貴様軟体魔忍を知っているようじゃなイカ。ならばこちらも様子見しているわけにはイカんな!」
 
「様子見などと言いつつも頭を狙ってくる容赦の無さは暗殺のプロ。これは先に隙を見せた方が狩られますね。」
 紅葉は裏の顔の傭兵稼業でこの手の手合いは良く知っている。
 冗談も言い訳も通じない、人を殺すのが仕事のキラーマシンだ。
 だからこそ、狙いは分かる。確実に急所を狙い、的確に命を狩りに来るはずだ。
 初撃を躱した紅葉は、次弾が来る前に六尺棒を盾のように構えて走り出す。
 そのままアトラクションを支える柱などでカバーしながら、被弾を避けつつマイカに近付いて行った。

「ふむ、防がれるな。あの棒きれのせイカ。」
 墨手裏剣では埒が明かないと判断したマイカが、手にしていた投げ槍を構えて紅葉
に向けて大きく振るう。
 狙いは盾のように構えている紅葉の六尺棒だ。
 墨手裏剣で動きを誘われた紅葉に、ごうと音を立てて巨大な投げ槍が襲い掛かる。
 逃げ場のない紅葉が六尺棒で防ぐが、質量負けしたのか衝撃でポキりと折れた。
「残念ですが、これは元々三節棍です!」
 もう一つの槍を投擲しようとしている隙を突き、紅葉が懐へ滑り込む。
 そして、折れた六尺棒を捻ると、折れていない側が勢いよく二つに割れて飛び出し、投げ槍を弾き飛ばす。紅葉の手には、三節に分かれた元六尺棒が姿を現した。

 槍を弾かれ痺れる腕を忌々しそうにマイカが睨むと、残る得物の蛇腹剣を両手から振るい、目の前の紅葉を挟み切ろうとする。
 しかし、紅葉が三節の中央を掴んで大きく振ると、残る二節が別々に動いて蛇腹剣まで弾いた。
「蛇腹剣、そのリーチは素晴らしいものですが、この距離で使うべきではなかったですね!」
 弾かれた反動で大きく仰け反る二刀の蛇腹剣。完全にガラ空きとなったマイカの隙を紅葉は見逃さなかった。
 
 三節棍を手放し、敵の得物よりも確実に先手を取れる、さらに懐へと潜り込む。
 紅葉の昂りに呼応するように、手の甲はハイペリアの紋章が青白く浮んでいた。
 その手を広げ、掌底でマイカの顎を打ち上げる。
「がっ!?」
 頭を強く揺らせば、どんな生き物も意識を保てない。
 上空へ飛ばされるマイカを追うように、紅葉も地面にヒビを作りながら勢いよく跳躍し追い付くと、両手を握り合わせてマイカの内臓に振り下ろす。
『コード:ハイペリア承認。高重力場限定展開ランク1実行』
「これでのしイカになりなさい!!」
 叩き付けた瞬間、空気が震え、マイカが音を置き去りにしながら、地面を抉って生き埋めになる。
 大きく空いた穴には既にマイカの影は無く、骸の海へと帰ったようで、千切れた配管から水が漏れているのみであった。

「ふぅ、これで一件落着ですね。……いえ、そういえばまだ仕事がありました。」
 そう呟くと、紅葉は管理室へと向かう。自分自身の恥ずかしい過去を抹殺するために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
引き続きパニーニャさんと

色々大変でした…パニーニャさんもアザレアさんもごめんなさい
とはいえ、ここは戦闘に集中です!
【異界の抱擁】の触手を召喚して捕まえようとしますけど、なかなか素早くてうまくいかず
「アザレアさん?了解ですっ」
アザレアさんの指示通りに、捕まえること考えずに暴走気味に触手を動かしまくります
「巻き込まれないでくださいねっ!」

…やっぱり巻き込んでしまったみたいで、あとで平謝りですが

ええ、埋め合わせはデートの続きですね
それはいくらでもやりますよっ

そんなことを言いながらついに触手で捕まえて
「今ですよ、パニーニャさん!」
息の合ったコンビネーションで決めましょうっ


パニーニャ・エルシード
(初期人格…パニーニャ)
いちごと共に迎撃

もう少し寄りかかっていたかったのに…!


にしても、イカっぽいのにやたら素早すぎ…っ!
せめてカウンターで攻撃を重ねれば…当てられるかしら…?

(アザレアに主人格交代、そのままUCで分身し)

私の方で見に回ってたけど…
パニーニャ、選手こーたい
いちごもちょっとこっちに。
(そっと二人に耳打ちし…まずはプールで二人へかかった墨を落とす提案、そして…)
『パニーニャは奴の蒔いた墨を場所ごと氷の属性魔法で凍らせて』
『いちごは私と一緒に、触手で派手に目を引いて…奴の有利地形を…塗り替える』
…玉に私もいちごの触手に巻き込まれるけど…
反省会は後で三人のプールデートの続きで、ね?



 後半コースのゴール地点。
 困ったような恥ずかしいような顔で、おろおろと空で手を掻く彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。
 そして、そんな慌てふためくいちごに寄りかかるように抱き着き息を荒げているパニーニャ・エルシード(現世と隠世の栞花・f15849)。
 先ほどの後半コース終盤で不可抗力とはいえ、背負ったいちごに胸を揉みしだかれながらパニーニャが走ったために、精根尽き果ていちごに支えてもらっているのだ。
『パニーニャ!あなたいちごにくっつきすぎよ!抱き着かなくても横になればいいじゃない!』
 すると、パニーニャの内に眠るもう一人の人格、アザレアが口を出してきた。
 恐らくはいちごを独占されていることに妬いているのだろう。
「(自分だって、さっきくっついてたくせに……)」
 前半戦ではアザレアが主人格として現れており、ウォータースライダーでは長い間密着状態でいちごと競技していたのだ。
 後半戦でパニーニャがくっついていた時間に比べれば、全然美味しい思いをしていただろう。
 そう考えたパニーニャが、アザレアの言葉が聞こえなかった(実際には心の声なので聞こえないわけないのだが)ように顔を背けて、より一層強くいちごを抱きしめる。
「ふわわ!?」
 座り込んでいちごを抱きしめるパニーニャの胸が丁度いちごの下腹部に当たるものだから、少女のような見た目とはいえ、れっきとした男の子であるいちごにはたまらない。
 自分でもどうしていいか分からず、真っ赤にした顔をパニーニャから隠すように小さな両手で覆った。

 見ているとこちらが甘酸っぱさで恥ずかしくなりそうなやり取りへ割り込むように、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 何事かと二人が振り返ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
 一目で敵意をむき出しにするその怪人を前にして、いちゃついている場合ではないといちごがパニーニャの肩をとんと叩いて注意を促す。
「色々大変な思いをさせてしまいました……でも、パニーニャさんもアザレアさんもごめんなさい!今はゆっくり休んでもらうわけにもいかないようです!」
 肩を叩かれたパニーニャを見ると、こちらも臨戦態勢に移るのだろう。額の宝石が青から赤へと変色していくため、急な荒事に対応できるようアザレアに主人格を交代しているようだ。
 アザレアの到着を待つまでもなく、いちごは彼女の腕をそっと剥がして自由になると、盾になるように前へ一歩出て、目の前の怪人に睨みを利かせた。
「ほう、ナイトごっことは随分と余裕そうじゃなイカ。だが、敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが効く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

 マイカは複数の腕に溜めたイカスミを勢いよくこちらに放ち、すぐさま次弾の準備をしている。放たれた墨は水圧カッターのように鋭く正確で、いちごが後ろにいるアザレアを護るため咄嗟に呼び出した触手達が、易々と断ち切られていく。
 そして驚くことに、いちごの呼び出した触手に付着した墨を通して、マイカがぬうっとワープしてきたのだ。
 一気に間合いを詰めて、本体を直接叩く狡猾さ。この怪人は侮れないといちごの額に汗が滲む。しかし、大切な人を護るためにいちごも本気を出して触手を増員。
 触手から現れたマイカをさらに触手で囲んで捕まえようとしたが、来た時と同様に墨を投げて逃げられてしまった。
「ああん惜しい!何よあれ、イカっぽいのにやたら素早すぎ…っ!」
 パニーニャとの交代が終わったのだろう。アザレアがいちごの肩越しに顔を覗かせていた。
「そうね、あんなに動かれては私たちの攻撃が通じないもの。」
 すると、もう片方の肩越しにもう一つ同じ顔、意識をひっこめたはずのパニーニャが顔を覗かせる。
 彼女達は有事の際、一時的にもう一つの身体を作り戦うことが出来るのだ。そして今は、不公平が出ないように二人でいちごの肩を抱いているのである。

 そして、触手を操るのに意識を集中していたいちごと違い、二人は冷静にマイカの忍術を観察することができた。それにより、何か彼女達に思う所があったようであり、いちごの両耳から囁きかけるように小声で秘密の作戦を伝える。
 温かくこそばゆい吐息の気持ちよさで鳥肌を立てながらも、いちごはなんとか話を聞いて頷いた。
「二人共了解ですっ!では、ここは私に任せて後はお願いしますね。……あっ絶対に巻き込まれないでくださいねっ!?」
 二人に注意を呼び掛けるいちご。これから制御できるギリギリまで触手達を暴走させるので、巻き込まれても助けている余裕が無いのだ。

 いちごが作戦に頷くと、アゼレアとパニーニャはすぐさま飛び出し、自分たちの分の作戦を進める。
 運動神経に長けたアゼレアは、プールの方へと向かい軟体魔忍マイカの注意を惹きつける。いちごが触手を暴走させているように見せかけ、プールの周囲に壁を作るまで耐えるのだ。
 一方、魔力の扱いに長けたパニーニャは、隠れながらも隙を見て墨を凍らせていく。先ほど観察したところ、墨の付着範囲が増える程にこちらが不利になっていくのに気が付いたので、先手を打って潰しているのだ。

 水上アトラクションの浮き島で対峙するアゼレアとマイカ。
 アゼレアの予想通り、水に溶けてしまうと墨のワープが使えないようであり、この地形では目に見えて動きが鈍くなった。
 周囲へ逃げようとも、アゼレアに気を取られている隙にいちごの荒ぶる触手が壁を作り逃げ場はない。
 そこへ、反対側からパニーニャが飛び降りて来る。上空のウォータースライダーから地上に向けて氷魔法を放っていたが、ようやくほとんど潰したので加勢に来たのだろう。
 アゼレアとパニーニャ、瓜二つの顔が忌々しそうに睨むマイカを挟み込み追い詰めた。
「いちご!」
「今よ!」
 二人の掛け声に反応し、周囲の壁になっていた触手達が一斉に浮き島へ向けて襲い掛かる。
 逃げ場のないこの場所ではどうにもならなかったのか、不気味に蠢く触手達はマイカをあっさりと捕らえたまでは良かったが、なんと付近にいたアゼレアとパニーニャまで巻き込んでしまったのだ。
「あぁ~……やっぱり巻き込んでしまったんですね……」
 プールの外から様子を見ていたいちご。後でこの埋め合わせをしなければと罪悪感を抱きながらも、必死に逃れようとするマイカを封じるために触手の手を緩めるわけにはいかなかった。

 蠢く触手にもみくちゃにされるが、二人はなんとか姿勢を直すと、パニーニャが至近距離からマイカに向けて氷結魔法をかけて触手ごと氷漬けにする。
 そして、アゼレアが拳を握りしめて渾身の一撃を叩き込むと、氷と共にマイカの身体が砕け散り墨へと変わっていく。
 墨は水に溶け消えていく様子から、骸の海へと帰せたようだ。
 触手を通じていちごも感じ取ったようで、二人を巻き込んでいた触手は大人しくなっていき、やがて姿を消した。

「二人共巻き込んでしまって、本当にすみません!」
 合流するなり、いちごは二人へ平謝り。
 アゼレアとパニーニャは、二人で顔を見合わせ頷くと、悪戯な表情を浮かべていちごに向き直る。
「そうね、色々とまさぐられて水着も台無しになってしまったし……。」
「このまま水着を選びにつれて行ってくれるなら私達も許してあげようかしらね。」
 あくまでも怒っているのではなく、三人でプールデートをするための方便であることは、二人の嬉しそうな声色で伝わってくる。
 ほっと無い胸をなでおろしたいちごは、快く承諾して両脇に美女を携えて施設内の水着売り場へと向かった。

 しかしこの後、水着の試着や更衣室でのハプニングがいちごを襲うことは彼はまだ知らないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

甘甘・ききん
改変連携歓迎
イカなるおふざけも許されないかなり非情な雰囲気。水泳大会までのイカがわしさが突然消えてなイカな?良イカんじに楽にイカせて欲しかったけど、これはイカん!こういうイカめしい戦い方だと私イッカんの終わりなので!あと滅びろSNS!
ふざけてたら割と心の余裕が戻ってきた…。でも一巻の終わりなのは変わらないわたしです。音速?むりむりお手上げだよね。死ぬわこれ。やるか…土下座!…ん、水圧?干乾飢饉で当たる前に乾かしたらなんとかなるのでは?それにイカは乾燥に弱いのでは?…いける!
その程度か~さっきまでの威勢はどうした~?抵抗は終わりかいイカのお姉ちゃん。おらっ狸ども(喚びました)可愛がってやりな!



 後半コースのゴール地点。
 ウォータースライダーの終着点である浅いプールで、自慢の尻尾が濡れるのも気にせず甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)が顔だけ水面から出していた。
 彼女は先ほど、吸精したことによる余りあるパワーを活かして調子に乗ったために、バチが当たって水着を奪われてしまったのだ。
 仏の力を借りて楽しようとしたのだから仕方もないだろう。
 おまけに尻尾で隠れていたとはいえ、産まれたままの姿を観客達に激写されてしまい、恐らくは今頃全世界にききんの赤裸々な画像が出回っていることだろう。滅びろSNS。
 そういうわけで、ききんは終着点の小プールへダイブした後も、出るに出られず縮こまっているというわけなのだ。
 しかし幸いなことに、あの水着はききんの能力で生み出したものだ。術の効力が切れれば、ききんの元々着ていた水着が返ってくるはずである。
 そうこうしているうちに、小プールの水面、ききんの身体が輝き出す。光が収束すると、そこには待ち焦がれていたききんの子供用水着を身に纏っていた。
「おお~神はいた!救いの神がわたしを見捨てなかった!!」
 都合よく仏を捨て神頼みしていたのが通じたのか知らないが、ようやく戻ってきた水着に歓喜し、勢いよくプールを飛び出す。

 ぶるぶると身体を振るって、身体と尻尾の水気を飛ばすと、再び術の構えをとる。今度は神頼みではないようだ。
「見れ見れ唆れ、それ見やれ。干乾飢饉、禁過慢!」
 すると、まるでドライヤーで念入りに乾かしたかのように尻尾と耳がふわふわになり、身体もカラッとふき取ったように綺麗になった。
 徳の高い人が見たら妖力の無駄遣いだと怒られそうだが、妖狐のききんにとって毛が濡れて重いのは非常に不快なのだからしゅうがないだろう。
 我慢と努力はしないに限る。ききんはなるだけ楽に生きたいのだ。
 毛ヅヤの確認でもふりもふりと尻尾を撫でて満足すると、術を使って疲れたのか食べ残していた揚げ物プレートを取りに行こうとレストエリアへ脚を運ぼうとするききん。
 ついでにと、途中にあったドリンクショップで本格的なココナッツ容器に入ったココナッツミルクを購入して、飲み歩く。

 再びリゾートを楽しもうとするききんに割り込むように、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 何事かとききんが振り返ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
「ほう、随分と余裕そうじゃなイカ。敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが効く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

「いやいやいや!わたしそんなにイカれたバトルジャンキーじゃないんだけど!?それにこのイカなるおふざけも許されないかなり非情な雰囲気。いきなり水泳大会までのイカがわしさが突然消えてなイカな?」
 鬼気迫るマイカの表情。なぜか強者認定されてこちらへ向かってくる脅威に対し、冗談を交えながら飛んで来る墨の水圧カッターを避けるききん。
 マイカの格好はイカがわしいといえばイカがわしいが、避けた地点を鋭く抉るあの墨手裏剣を目の前にしてそれどころではない。
 彼女が出てこなければ、楽にリゾートを楽しみにイカせてもらえたのに、このままでは逆に地獄の殺し合いだ。いやむしろ一方的な狐狩りだろう。

「こ、これはイカん!こういうイカめしい戦い方だと私イッカんの終わりなので!」
 必死に這いずり回って避けてはいるが、相手は8本もの腕から墨手裏剣を放ってくるのだ。徐々に追い詰められて、着ている水着にかすり、どんどん露出が増えていく。
 自分たちがターゲットじゃないと分かった野次馬たちは、綻んでいくききんの水着にカメラを向けてシャッターを切る他人ごとぶり。どうせまたききんのあられもない姿がネットの海に流されているのだろう。やっぱり滅びろSNS。

 しかし、冗談を口にしていると僅かばかり心の余裕が戻ってきた。
 だからといって、逃げ一辺倒で追われる狐である状況は何も変わらない。
 こうなれば音速で飛んで来る無数の墨手裏剣を抜け、一か八かの逆転の一撃に賭けるか……いやききん自身がそんなこと無理なことは一番良くわかる。
 完全にお手上げ。王手。詰み。
 そのうち、転んだ隙を突かれてサボテンになる未来が目に見える。
「うぅ……最後の手段、やるか…土下座!……ん、墨?干乾飢饉で当たる前に乾かしたら蒸発するのでは?それにイカは乾燥に弱いのでは?……いける!!」
 水着と尻尾を一瞬で乾かしたききんの術、干乾飢饉。
 襲われ、気が動転していたために忘れていたが、自分にもとっておきの対抗手段があったではないか。
 今こそ、吸精で貯め込んだ妖気を使い切る時。

 勝機が見えた途端、先ほどまでの情けない動きとは一転。
 既に勝ち誇った顔で物陰から飛び出すと、わざわざ狙ってこいとマイカを挑発。
 8本同時に投げられた墨手裏剣がききんに迫るが、それは届くことは無かった。
 マイカがききんを倒したいと執着すればするほど、ききんの術は効果を発揮して絶対に届くことは無く墨は蒸発する。
 墨ある限り無限に打てる反面、液体としての弱点がもろに裏目に出てしまったのだ。
「おやおや~その程度か~さっきまでの威勢はどうした~?狐狩りは終わりかいイカのお姉ちゃん。おらっ狸ども可愛がってやりな!」
 ききんの掛け声と共に、マイカの周囲の物陰から二足歩行の狸達がわらっと飛び出す。彼らはキマイラとかではなく、何故かぽこ~と鳴く二足歩行の普通(?)の狸である。
 小さく無力ではあるが、とりあえず化かす力くらいは多少持っていた。
「それいくよ!見れ見れ唆れ、それ見やれ。干乾飢饉、禁過慢!」
『『『見れ見れ唆れ、それ見やれ。干乾飢饉、禁過慢!』』』
 ききんの音頭で狸達が術を復唱し、その力を強めていく。
 何故か一匹青いゴリラが混じっており、ドラミングでリズムを刻む。
 その力は、マイカが墨を吐き出すことすらできないほどになり、遂には彼女の身体までも乾かしていく。
 次第に干物のように干からびると、塵のように霧散し、骸の海へと帰ったようである。

 やったやったと、ききんが狸達(内ゴリラ一匹含む)と喜び合うと、皆でレストエリアへ向かった。
 置いておいた揚げ物プレートを皆で分け合い、今度こそリゾートを楽しむのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八剱・忍
【アドリブ大歓迎です!】

人を盛り上げ役に仕立てて、己は後から美味しいトコだけかっさらってく算段かいな。
抜け目のないやっちゃで。

せやけどな、そうは問屋は卸さへんで!

ちゅうわけで、大鎌抱えて一気に駆け寄り、間合いを詰めるで!

相手の間合いにあえて踏み込んで、敵の攻撃を誘い【見切り】でかわして、【残像】で撹乱するスタイルや。

散々かわして、相手を苛立たせたら、隙を見て【暗殺】で死角に回り込んで、背後からそっとマイカを抱擁するで。
そこでユーベルコード 【痺れる誘惑】発動や!

うちの抱擁……身も心も痺れるくらい刺激的やろ?



 後半コースのゴール地点。
 ウォータースライダーの終着点である小プールのすぐ近くで、八剱・忍(黒の囀り・f13028)がくたりと横に伏せっていた。
 時折、全身に疼きが走り悶えて息を荒げるが、意識はないようである。
 こうなったのも、先ほどの後半コースでの妨害によりトロロをぶっかけられたせいだ。ウォータースライダーに流れる激流で、ある程度は落ちてはいたものの、それでも痒いものは痒かった。
 その上、腕の動きも封じられたものだから全身の疼きに耐え切れず、身体をもぞもぞと少しでも動かして水着の擦れる刺激で耐え凌いでいたのだ。そして、最後までギブアップせず諦めなかったまでは良かったが、ゴールの着水の衝撃で果てて今に至るのである。

 妨害していた水かけ三人衆は、彼女がゴールしたことを認めると忍のファンを呼んで介抱させた。
 複数人の男たちが濡れタオルで忍の身体をくまなく擦り、白く粘つくトロロを拭って綺麗にしている。擦るたびに疼きが納まるのか、意識は無くとも忍が気持ちよさそうに声を上げる。
 幼い歳の割りにやたらと発育の良い少女を囲み、肌を撫でていく異様な雰囲気。
 ついに露出しているところは拭き終えて、男たちは水着の下をどうするかと言い合いになった。
 ギリギリで理性を留める者とタガが外れ始めたものの口論が大きくなり、その声が深く沈んでいた忍の意識を浮上させる。
「んん……なんやみなはん、もしかしてうちのこと看てくれてたんやろか。えらいすっきりしたし、ほんまおおきに!」
 忍の見せた健やかに輝く純粋な笑顔。自分たちが下心を持って彼女に接していたことを恥じ入らせるのに十分な破壊力で、男たちを黙らせた。
 罪悪感からか、男たちの何人かがいつの間にやら飲み物を買ってきており、忍の機嫌を取ろうと様々な種類が差し出される。
「なんや目が覚めて至れり尽くせりなんて、お姫様みたいやんねえ。」
 あまりそういう趣味はないが、たまには男たちに囲まれてちやほやされるのも中々良い物だなどと、せっかくだからと忍はたっぷり堪能する。

 忍のゆったりとした休息に割り込むように、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 何事かとその場の全員が振り返ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
「ほう、随分と余裕そうじゃなイカ。敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが効く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

「名を上げる……つまり人を盛り上げ役に仕立てて、己は後から美味しいトコだけかっさらってく算段かいな。抜け目のないやっちゃで。せやけどな、そうは問屋は卸さへんで!」
 水かけ三人衆とは違い明確な殺意。
 敵襲を受けて、ぼうっとしている忍ではない。暗殺者として育った彼女には、マイカの向ける視線の圧に反応して咄嗟に武器を構えるよう仕込まれている。
 そして、既に彼女の手には身の丈ほどもある愛用のデモン・サイズが握られていた。
「みなはんは逃げておいた方が身のためやで!」
 忍の視線はマイカを見据えたまま離さないが、その声が周囲にいた彼女のファンに向けてであることは明確だろう。そしてマイカの狙いは強者である忍ただ一人だが、マイカとの戦いで周りの人間はお荷物になると。
 言葉の意味をすぐに理解した男たちは、クモの子を散らすように一目散に四散する。

「ちゅうわけで、これで心置きなくやれるで!」
 周囲の安全が確保されると、自慢の大鎌を抱えてマイカに向かって一気に駆け寄る。
 それを見たマイカが、冷静に腕に墨を溜めて勢いよく放ってくる。
 音速で飛ぶ水圧のカッター、それはコンクリートを易々と抉り、人体に触れれば骨まで切断するだろう。
 しかし、忍が抱えるのは悪魔が鍛えたとされるデモン・サイズだ。その異様な鋭さと硬度で薙ぐと、墨手裏剣があっけなく弾けて霧散する。
 しかし、それでもマイカは手を止めない。
 いくら放とうと、忍の鍛えられた動体視力が全てを見切り薙いでいくが、何かがおかしい。
 暗殺者としての勘か、暗器、もしくは隠し持った何かがあると忍は直感する。

 あともう一歩踏み込めば、鎌の間合い。にも関わらずマイカは動こうとしなかった。
 最後の一歩を踏み込んだと同時に忍が大鎌を振るうと、そこにいたはずのマイカが消えた。手応えなく切ったのは残像。してやられたのだ。

 次の瞬間、振り切った大鎌がグッと重くなる。
 視線を横に向けると、そこには大鎌に付着した墨から半身を出すマイカの姿。
「どこを見ていた、よそ見はイカんな。」
 既に腕に墨を溜めていたマイカが、そのまま至近距離で墨手裏剣を振るう。
 だが墨が抉ったは地面のコンクリートであった。
「それはうちの台詞や!『そういうの』ができるのはあんただけやないで!」
 残像返し。素早く動き、相手の死角を取るのは忍者の専売特許ではない。暗殺者とてその術を持つのだ。

 反射的に鎌を手放し、残像を残してマイカの裏へと回り込んでいた忍。
 先ほどのようにまた墨へ逃げ込まれては面倒だと、とっておきの奥の手に移る。
 敵意を感じればこちらの動く前に逃げられる。だからこそ、心を無にしてそっとマイカの背中から抱き着いた。
「覚悟しとき、身も心もシビれさせたるわ!」
 マイカが気付いた時には既に遅かった。
 肌が密着しあった部分から、甘く痺れるような香りと疼き。
 感覚が蕩けて無くなっていき、力が抜けて骨抜きになっていく。

 抵抗も出来ないマイカに、最後の一押しと頬が触れ合うほどに身体を寄せて密着する。
 脳内にまで達する甘い芳香に、マイカの意識までもが染まり消えていく。
「うちの抱擁でイカされるなんて最高やろ?」
 耳元で囁かれる声に小さく震えて声を上げると、マイカは骸の海へと帰り消滅した。

「一件落着!お仕事終了やでー!みなはん約束通り施設の温泉へ突撃やー!」
 怪人が消えて、忍のファンたちが戻ってくると、開口一番風呂へ行こうと笑顔で切り出す。
 水着着用であれば混浴可能であるため、先ほど同様に彼らに至れり尽くせり世話してもらうのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三千院・操
お! やっと主催者の登場?
てか、オブリビオンもオブリビオンを殺しちゃうんだね!
まぁいいけど。
さぁて! たくさん楽しませてもらったし、その分お礼しなきゃ!
それじゃあ、いくよ!

水っていうのは一番彼岸と繋がりやすいもの!
【クロウリーの祭壇】を使ってこの場所をある悪魔の儀式場にしちゃお!
水の中に潜む悪意、強いものを食らう嫉妬の悪魔──その名はレヴィアタン!!
いつもはちょっとだけしか呼べないけど、今は別! 全力でやっちゃってよ!

相手からの攻撃は呪詛を高速詠唱して水壁を展開して、それをレディ・リリスで凍りつかせて防御するよ!
足元も凍りつかせたり氷に映る鏡像を使って儀式場完成までの時間を稼ごっかな!



 後半コースのゴール地点。
 三千院・操(ヨルムンガンド・f12510)がキマイラの男子達に囲まれて和気藹々と笑い声が上がっている。
 話題の中心は操の下腹部を覆う霧だ。
 先ほどの後半コースでの妨害により浴びたドロリとした液体が水着の中に入ったため洗おうと脱いで、代わりに呪詛で作った霧で覆っていたのだ。
 この産まれたままの姿に霧のモザイクというスタイルは、前半レースでも観客のキマイラ達へ盛大に披露しており、もはやお約束な光景が男子達にウケたのだ。
 別にそんなつもりはなかった操だが、ウケているなら別にいいかと流して水着をサッと洗う。
 パンと広げて水けをきると、男子諸君に観られながらもいそいそ履く。
 やはり、この借り物のパンツは小さくどうしてもパツパツになるが、霧のままでいるわけにもいかないこれで十分だろう。
 着替え終わった操を待っていたキマイラ男子達は、操を気に入ったのか他のアトラクションで遊ぼうと手を引き誘ってきた。
 それもいいかと、操も乗り気になって猟兵の仕事で来たことを置いてはしゃぎ始める。

 操たちの和気藹々とした雰囲気に割り込むように、後方、プールの方から野太い悲鳴が上がる。
 この声は確か先ほどの怪人達だ。
 何事かとその場の全員が振り返ると、そこには倒れた怪人を足蹴にする白い怪人。
「ほう、随分と余裕そうじゃなイカ。敵が強イカらこそ名を上げるのに好都合というもの。私は軟体魔忍マイカだ覚えておけ。悪いがこちらの都合で、問答無用でイカせてもらうぞ!」
 音も無く急に姿を現し、水かけ三人衆を始末した今回の黒幕、軟体魔忍マイカが効く耳持たずといった様子で襲い掛かってきた。

 怪人を見て、そういえば場を盛り上げて黒幕を誘き出す作戦だったのと、操が目を吊り上げて相手を睨む。
「お! やっと主催者の登場?てか、オブリビオンもオブリビオンを殺しちゃうんだね!まぁいいけど。」
 変わったオブリビオンもいるものだという疑問が頭の隅をよぎるが、今はそんなことはどうでもいいだろう。
 目の前に殺意を持った怪人が出た。ならば猟兵たる己の仕事が最優先なのだから。
「さぁて! たくさん楽しませてもらったし、その分お礼しなきゃ!それじゃあ、いくよ!皆は危ないから下がっててね!」
 操の闘争心が燃える。
 今日はいつもと違い、存分に遊んでやっぷりと英気を養ったのだ。少しくらい多めに暴れてもバチは当たらないだろう。
 闘志に満ちた操の瞳は怪人を捉えて離さないが、キマイラ男子達が頑張れと声援を残して去っていくのが気配で伝わる。
 両手を重ね拳を作ると、ボキボキと骨を鳴らして首や肩も念入りに回す。
 これからちょっとした大仕事をする前準備だ。

 さて相手はどう来るかと出方を伺うば、人よりも多いその複数の腕に墨を溜めていた。儀式か何かの触媒かと思い眉をしかめれば、それをこちらに向けて思いっきり投げてきた。
 流石に直撃は不味いとギリギリで避けられはしたが、恐らくは音速並みの速さで飛ぶ墨。それは水圧のカッターとなって操がいた地面のコンクリートを深く鋭く抉っていた。
 直撃すれば人体なんて豆腐のようにスパっと切断されかねない。
 しかしも、先ほどの一発で打ち止めというわけではないのか、次々に複数の腕を動かし操の首を狙って放ってくる。
 ぼうっとしている暇はないと、ともかく逃げ回るがどうにも隙が無い。
 このままでは反撃に移れないと焦り始めたが、そこで操はあることに気が付いた。
 水場に放たれた墨は、水に溶けて水圧カッターとしての威力が出ていないようなのだ。
 それを見た操は、これ幸いとプールに飛び込み身体を沈める。
 これでようやく準備に集中が出来ると、息を止めて操が目を閉じた。

 操がやりたかったちょっとした大仕事。
 それは、このプール全体を儀式場として作り替えること。
「(水っていうのは一番彼岸と繋がりやすいもの!)」
 そしてこれだけ大量の水と広さがあれば、多少強引にでも大物を呼び出すことが出来るはずだ。
 操の頭上、水面では一瞬でも息継ぎで顔を出そうものなら切断してやろうと、怪人が幾度も墨手裏剣を放ってボトボトと音を立てている。
 しかし、一度集中出来てしまえばこっちのもの。浮上する前に既にここは悪魔の儀式場として改変済みだ。
 これから操が呼ぼうとしているもの、その名は――
「(さぁ、これで完成!出てきてレヴィアタン!!)」

 プールに突如巨大な渦が巻く。
 波を起こす機能等持たない普通のプールであったが、今は波が荒れ、水柱が上がり、登った水流が雨となってプールに降り注いでは渦に飲まれる。
 水底には黒い影が鎮座し、二つの赤い光が怪人を見据えていた。
 その眼光、この世の物とは思えない凄まじい気配に、怪人が慄き後ずさると、逃がすものかと言わんばかりに眼光の主が頭を持ち上げる。
 その巨大で重厚な頭から波を落とし、頭頂部に操を乗せた嫉妬の悪魔・レヴィアタンが姿を現す。
 その姿はまるで大きなウミヘビのようでもあるが、あまりに悍ましいがゆえにとても同じものとは思えない。しかし、その長い胴が得物をどこまで執拗に追い詰めるという意思を彷彿とさせ、恐怖を煽る。
「いつもはちょっとだけしか呼べないけど、今日は別!全力でやっちゃってよ!」
 頭に跨った操の掛け声に応えるように、腹の奥に響くような低温で唸る。
 すると口を大きく開き、顎が裂けて喉元まで割れる。
 ごうという音、そして海底火山のような灼熱の熱気が辺りを包むと、嫉妬の炎が渦を巻いて怪人に放たれる。
 相手は蛇に睨まれたかのように、恐怖で絶望した顔で竦んでおり、一瞬の内に獄炎が怪人を飲み込んだ。
 後に残るには、消し炭一つありはしない。
 嫉妬の悪魔はこの世にどんな痕跡だろうと残すことを許さなかったのだ。

 怪人が消え去ると、操はレヴィアタンに礼を言って帰ってもらう。
 すると、遠くで見ていたのだろうキマイラの男子達が、操へ全力で駆け寄ってきた。
 皆、操のことを変わった兄ちゃんから尊敬の対象へと変えたようで、口々にすごいだの格好良いだのと騒いでいる。
 男の心を忘れない彼らには、ドデカイ龍を使役することが最高にイカしていると映ったのだろう。
 操が帰ると言い出すまで、彼らの大騒ぎと操の祭り上げは止まらなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月05日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦後


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠明石・真多子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト