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額縁の向こうから、恋しいあなたを探してる

#UDCアース

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#UDCアース


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「集まっていただけて感謝する。当方は若輩グリモア猟兵ゆえ、緊張しておるが何卒よろしくお願いする次第だ」
 その言葉の内容通り、やや堅苦しい口ぶりと表情で、仙堂・十来(空駆ける角の民・f05493)は集まった猟兵達へと深く頭を下げた。

「さて、UDCアースにて邪神の復活の予兆を感じ取った。どうやら思慕めいた感情も感じ取れるのだが……その邪神がいかなる存在であるのかは、今の所私にもわからない」
 けれどその邪神は大規模な儀式ではなく、おそらくは偶然のような条件の重なりによって復活に近づいているのだという。
「ゆえにまずは調査から願いたいのだ。その邪神がどこでどのように、復活しようとしているのか……そして復活の完遂を阻止してほしい。またその際に現れる『不完全に復活してしまった邪神』の討伐をも依頼させていただきたい」
 折り畳んでいたメモを広げつつ説明すると、十来はそれと共にUDCアースの日本、その関東地方の地図の中で1つの市を指し示した。

「どうやらこの地図にあるこちらの街で、最近妙な事件が起きているらしいのだ。何でも『恋人に会わせろ』『あの世界に自分を返せ』と言いながら暴れる一般人、それも男性ばかりが多数現れている。1人くらいであればまだしも同じことを言いながら多数となれば明らかに異様、しかも彼らは間違いなくUDCアース出身であることが判明していてな」
 邪神の中には人々の自意識を狂わせることができる者も多い。今回もその事件に、復活しかけている邪神の力が関係しているのは確実だろう。

「まずは暴れる者を力づくで確保してもその者から情報収集ができるだろう。その他捜査であったり事件への考察を深めたり、様々に調査方法は考えられる。そのように男性が暴れだす事件は市内の様々な場所で起きているが、ある程度人通りの多い繁華街、その中でも歓楽街とはむしろ離れた場所での発生が多いようだ。恋人に会わせろ、という割には少しばかり妙か……」
 しばらく首を捻るも十来は思い直したように顔を上げ、猟兵達を真っ直ぐに見つめて告げた。
「実際の調査に赴いてもらうのはあくまで貴殿らだ、私があまり考えすぎても邪魔になってしまうかもしれん。調査に協力はできぬがその分、グリモア猟兵として貴殿らをしっかりとUDCアースまで送り届けさせてもらおう。どうか、よろしく頼むぞ」


炉端侠庵
 初めまして。炉端侠庵と申します。
 このたびは皆様をUDCアース、復活しかけた邪神の潜む街へとご案内させていただきます。

 まずは「恋人の元へ、あの世界へ返せ」と暴れる一般人についての調査をお願いいたします。
 次の調査の目的は、そこから見つかることでしょう。

 皆様の活躍のお手伝いができますこと、大変楽しみにしております。
 それでは、何卒よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『コズミックトラベラーシンドローム』

POW   :    暴れる民間人を力ずくで拘束する

SPD   :    事件の中心を追って捜査する

WIZ   :    事件の真相について推理する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

波狼・拓哉
んー?唐突に暴れだすとは中々不思議な…男ばかりというのも変な話だな。…というか恋人はどこにいるんだ。妄想?
さて…普通に無力化して話を聞き出すか。というか暴れるの分かってて放置とか出来ないわ…
騒ぎは多分普通に分かるだろうけどネットで情報収集して場所を特定。特定した場所に急行して騒ぎの真ん中にダイブしよう。暴れると言っても一般人…まあ、自分が本気出すまでもないかな。つーかミミックだしたら後も残らんし。戦闘知識から最適な動きを導きだしてぱぱっと制圧。その後はコミュ力と言いくるめ使って詳しい話を聞き出すか。
あ、後処理しやすいUDC組織から私服警官に変装出来るように色々借りとこ。
(アドリブ絡み歓迎)



 UDCアース、日本。6月らしく、雨が降ったり止んだりを繰り返す、何ら変哲のないある日――とはいかない様相のとある市街地。
「しかし唐突に暴れだすとは中々不思議な……男ばかりというのも変な話だな」
 SNSの情報をチェックしつつ波狼・拓哉は思わず首を傾げた。依頼の内容を聞いたときから気になっていたことである。目の前の画面ではリアルタイムに例の『唐突に暴れ出した男』の情報が現れては重なっていく。中には写真付きの投稿もあり、場所の特定には――充分!
「よ、っと……!」
 人垣を掻き分けてから軽く跳躍――着地したのはまさにその、暴れる男のすぐ隣。
「なんだお前はっ……お、お前が!お前が私と彼女を引き離したんだな!? 今すぐ私を元の世界に返さんと承知せんぞ!?」
 細面の壮年男性、丁寧に撫で付けたような髪。明らかに一般人とわかる、単に鞄を振り回して暴れているだけの動き。本来の戦闘力を振るうまでもなく、あっさりと鞄を持つ手を掴んだ拓哉はそのまま肘関節を極めて地面へと男を取り押さえた。おお、と人垣からどよめき上がる声。拍手やシャッター音まで上がっているのは、拓哉の無駄のない格闘術に目を奪われた者達によるものだろう。

 さっくりとUDC組織の方に連行した頃には、先程までの勢いはどこへやら、男は随分と消沈した様子だった。事情を聞けば素直に話しはするが、どうにも話が飛んだり戻ったり、要領を得ない部分も多い。
(というか恋人はどこにいるんだ……妄想?)
 どうにも悩み相談めいてきたその男の、やや漠然とした話を何とかまとめてみる。

 恋人は3人の少女。
 おとぎ話のような世界で出会った彼女に恋をしたが、その恋は引き裂かれてしまった。
 彼女に会うために、自分はやらなければいけないことがある。それは――、

「……絵?」
 ふと気になって、拓哉は男が暴れていた場所を確かめてみる。それは文具や画材を扱う店の前だった。
 そう。
「絵を描かなければ」と男は、言ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幻武・極
へえ、恋人に会わせろやあの世界に自分を返せねえ。
竜宮城にでも行ってきたのかな?
心を虜にされちゃってねえ。
それじゃあ、ボクが乙姫を退治して正気を取り戻させてあげるよ。

まずは竜宮城の場所を特定しないとね。
まあ、竜宮城に行って帰ってきたキミ達から聞き出すのが一番かな?



「へえ、恋人に会わせろやあの世界に自分を返せねえ」
 竜宮城にでも行ってきたのかな、と幻武・極は小さく肩を竦めた。既にUDC組織には、組織の方で取り押さえたり、拓哉がまたSNSで入った情報からとっ捕まえたりした男が何人か連行されてきている。
「心を虜にされちゃってねぇ……それにしてもまずは」
 竜宮城の場所を特定しないとね、とにまり笑って。『乙姫』――すなわち邪神を退治する方が本業趣味嗜好的に気になるだけに、まずは仕合場所、邪神の居場所の探しである。無論それは、直接『行ってきた』者に聞くのが一番だろう、というわけで。

「僕達は引き裂かれたんですよ! 何も悪いことはしていません!」
「そっか、そりゃ悲しいよねぇ。キミの恋人さんはどこにいた人?」
「僕らだけの世界です!」
「どんな世界?」
「恋人といるならばそれはいつでも僕らだけの世界に決まっています!」
 あ、面倒なのと当たっちゃったな、と極は小さく呻きつつも根気よく話を引っ張り出した。ややふくよかな眼鏡の青年である――結局話の途中で激昂しかけたのを取り押さえて、別の何人かにも話を聞いた。落ち込んだり悲しんだり怒ったり、とそれぞれ感情も話を聞かせてくれる度合いも色々ではあったが、統合すれば共通点が見えてくる。

「どれも3人の女の子が恋人で、元の世界で再会するために絵を描かなくちゃ、って……えーと、全員絵に関わりのある男の人、なんだね。仕事だったり趣味だったり、絵のジャンルもいろいろみたいだけど。うーん、本当に『行ってきた』のかな? それとも……『行ってきた気になってる』……?」
 情報を整理するうち、極の心にふと浮かんだ疑問。その答えを見つけるには、もう少し情報が必要そうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

葛籠雄・九雀
SPD

恋人…がどういうものかはよくわからんが、そこまで他人を惑わす『恋人』とやら、興味がある。

暴れる者を取り押さえたところでまともな情報など出るか疑問であるし、ここは既に捕まった者たちから話を聞くとするであるか。オレは原因が知りたいだけであるからな。

UDC組織に頼んで、当人やその知人らと会わせてもらい、情報を引き出すであるぞ。暴れた者らが『何時、何処で、何と接触したか』。目に見えておかしいと感じた期間があるならそれも。情報の精度は問わん。数があれば、ある程度絞れるであろう。

さて、何か面白いものは出るか。楽しみであるぞ。
出来れば今度は持ち帰ることが許されそうなものが良いであるな!

アドリブ連携歓迎



葛籠雄・九雀

「恋人……がどういうものかはよくわからんが、そこまで他人を惑わす『恋人』とやら、興味がある」
 どこか浮き立つような口ぶりで、葛籠雄・九雀は面白そうに呟いた。邪神の関わる事件ではあるが、暴れだした男達の『恋人』という概念、そして『恋人』に対する想いを利用している、という点は確かであろう。それゆえに九雀の興味はこの事件に惹きつけられたのだ。
 オレは原因が知りたいだけであるからな、とUDC組織と連絡を取って、既に取り押さえられた者達の情報を手に入れる。彼らはまだ暴れるか、大人しくしているかはそれぞれではあるが、未だその『恋人』への想いからは解放されてはいないため、身柄はUDC組織によって保護されている。その家族などにはそれぞれのパーソナリティに合わせた理由を説明してあるとのことだ。

「ふむ……では友梨ちゃんのお兄さんにはお付き合いしている人はいないのであるな?」
「ええ。でも、それが兄の行方に何か関係しているのでしょうか……?」
 既に何件目かの調査、大学の美術学部生だという青年の家族には、「事件性の考えられる急な失踪」と告げていると聞いた。物凄く心配はするだろうが、当人はとっくにUDC組織で保護されているから事件さえ解決すればすぐにでも家族の元に返してあげられるはずである。
「あ、でも……そう、失踪する前は急に忙しそうになったんです。学校から帰ってくるのも深夜で、どうしたのって聞いたら『あの子に会うために絵を描かなきゃいけない』って……」
「ほほう……なる、ほど?」
 それ自体はこれまで得ていたのとも共通する情報だった。
「もう完成も近いんだ、って言ってました。その次の日に、失踪したって連絡をもらって」
 九雀は彼から直接聞いた話と、暴れていた事件の概要を思い出す。絵具が足りなくなったから、と大学から出て、近くにある画材の品揃えの良い文具店に行く途中で通行人とぶつかり、急に「邪魔をするな」と激高して暴れだしたとのことだった。
 だいたいの時系列を青年の妹から聞き出して彼の家を辞すと、次に向かったのはその美術大学。まだ描きかけのキャンバスに、描かれていたのは……。
「なるほど、まさしく3人の女の子……であるなぁ!」
 それは青年からも、他の男達からも聞いた『恋人』と見事に一致するものであった。

 UDC組織に調査してもらった結果では、その絵自体は邪神召喚の祭具ではないようだった。しかし――それが『未完成だから』、だとしたら。
「さて、何か面白いものは出るか。楽しみであるぞ。出来れば今度は持ち帰ることが許されそうなものが良いであるな!」
 尚更テンションの上がった様子で、九雀は得てきた情報をまとめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア
ふむ、既にある程度、犯人……あ、いえ被害者かな?
ともあれ、何人か確保されているようですね。

出身世界は間違いなくここ……と言うことは、何かに憑依されて、それが彼らを操っていて、その記憶が混同された……と考えるのが普通でしょうか。
それともどこかに連れ去られた?

うーん……絵を描き始める前、『お伽噺のような世界で少女たちに会った』。
これに至った経緯を知りたいところです。
もしかしたら、呪いの絵本や絵画の類があったのかもしれません。
彼らが事件前に出向いた場所とか、共通点が無いかどうかを追いかけて調べてみるとしましょうか。



「ふむ、犯人……いえ、この場合は被害者かな? 彼らの出身世界は間違いなくここ……」
 シャルロット・クリスティアはこれまでに集まった情報を照合しつつ、小さく首を傾げて考え込んだ。
「ということは何かに憑依されて、それが彼らを操っていて、その記憶が混同された……と考えるのが普通でしょうか。それともどこかに連れ去られた?」
 ともあれ彼女の方針は決まりつつあった。
 彼らが絵を描き始める前、『お伽噺のような世界で少女たちに会った』、その経緯を調査することである。

 となれば後は、地道な聞き取りであった。
 呪いの絵本や絵画のようなものに、保護された男達が触れてはいなかったか。事件前に出向いた場所に共通点はなかったか。新たな情報が出るたびに保護されている男達とまた話したり、家族や友人との聞き込みのために接触したり、とシャルロッテは忙しく足を使って調査に勤しむ。
 彼らが共通して触れた絵、というものはなかったが、共通点自体はあった。絵を描く男性のみがターゲットとなっているならば、自然とその行動範囲は画材を扱う店や専門学校、美術展を行う場所などに集まっている。男達の中には趣味でデジタル作画を行う、という者も複数いたが、彼らの行動が逆に一種の鍵となっているとシャルロットは気がついた。
 デジタル作画をメインとする者達は『全くの偶然』で、キャンバスや絵具を使って描く者達と、ほぼ同じとある地点を訪れていたのだ。無論、絵に熱中し始める直前に。
 そしてその後の突如として暴れ出す事件は、絵具の買い足しだったり、壊れた機材の買い替えだったり――絵を描くための行動の最中で、誰かとぶつかった、とか偶然邪魔された、工事で通行止めだった、などのアクシデントと共に起きている。
 けれどその共通するとある地点そのものは、手がかりとなるような絵画や絵本は存在しない場所だった。
 ならば、と行き着いた結論に、シャルロットは小さく息を呑む。

「その呪いの絵画は『これから完成する』……つまり、誰かが絵を完成させたとしたら、それが邪神召喚の祭具として成立する……?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
共通点はある程度絞れてきているんだね?
……絵を描かなければならない、と
その絵が邪神へたどり着く道になる、と


……さて、あまり得意ではないんだけどねこのUCは
しかして私は情報収集が得意ではないし
聞き取りから得られるものはもう、ほぼ終わっているだろう
対象は当然、私


UDC組織に協力を仰ぎながら
彼らの描いていた絵や絵具、持ち物、共通して訪れた場所
そこで思念を炙り出すよ
……あーくそ本当苦手だこれ(UC)は、自分が侵食される
友人がいたらなあ、専門なんだけどなあそういうの
【失せ物探し+第六感】
【オーラ防御、呪詛耐性、破魔】

さてはて鬼が出るか蛇が出るか



「共通点はある程度絞れてきているんだね? ……絵を描かなければならない、と、その絵が邪神にたどり着く道になる……と」
 取りまとめられた情報をチェックしつつ、鈴木・志乃はぽつぽつと呟いた。
 既に聞き取り調査の結果は、かなりの量が集まっている。描きかけの絵や道具などの関係するだろう物品も、できる限り集められていた。
 とはいえその中には無論、完成された絵そのものはない。情報収集は得意ではない、という志乃は、だからこそ己の切り札を切った。
「……さて、あまり得意ではないんだけどね、このユーベルコードは」
 1つ、大きくため息をつく。そして志乃は覚悟を決めたようにユーベルコードを起動――その名の通り『朝焼け』のような、柔らかな光が残留思念の導管となり、それをはっきりと志乃へと伝える。
 彼女自身の意志による発動ではあっても、それは他者の強い念を己の精神に流し込まれることにも等しい。
「……あーくそ、本当苦手だこれは、自分が侵食される……」
 もしそれを専門としている友人の手が空いていれば、任せてしまいたいところではあった。それでもその残留思念を志乃はその精神で受け止め、情報として整理していく。

 三人の少女――三人でありながら『ひとつ』の少女。
 異世界からの邪神。恋心。離別の呪い。悲しみ。惜別。思慕。衝動。執着。絵を描けば会える。また逢える。再び遭える。あえる、あえる、あえる、かかなきゃ、かかなきゃ、かかないと――そう、絵を、完成させないと。

 何度も感じたのと同じ思念が、けれど何よりも濃厚な場所。そこは個人経営の小さな画材店だったが、開店時間であれば自由に使えるアトリエが2階にあって、主に若い絵描き達の創作の場となっている。
 ウェブサイトもないような小さな店だけに、集う者は多くはない。だがその場に漂う思念は、今までのどこよりも痛いほどに深い。
「ああ、ここしばらくは彼の貸し切りみたいなもんでね、長い付き合いでもあるし、遅くなるようなら施錠も任せてしまったりするんだが……」
 店主に案内されて階段を昇る、その一歩ごとに渦巻くように感じられる残留思念に志乃は眉を寄せる。これは――、

「っ! 大丈夫ですかっ!?」
「え、ええ!? まさか寝てるだけってわけじゃないだろう、え、ええと、救急車だ!」
 志乃が駆け寄り、床に倒れ伏した男性の容態を慌てて確かめる。息はある、鼓動も。だが、意識を取り戻す様子はない。
 そして、立てられたままのイーゼルには――あるべきはずの絵画が存在しないまま、ひどく強烈な残留思念だけが渦巻いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『狂気の芸術』

POW   :    美術館などをとにかく巡り絵画展を特定する等

SPD   :    聞き込みや美術商の調査で絵画展を特定する等

WIZ   :    絵画の魔力を辿ったり美術知識で絵画展を特定する等

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『祭具は完成した――』

 突如として暴れ出していた男達は、職業であれ趣味であれ全員が『絵描き』であり、絵を完成させなればいけないという衝動に突き動かされていた。
 情報を集め、辿った果てに辿り着いた小さなアトリエ。明らかに強い魔力と思念が渦巻くその場所には、意識を失った男性とキャンバスを外したイーゼルが取り残されていた。
 梱包資材が使用された形跡があり、近所の住民からはどうやら運送会社の集荷が来ていたらしいことが確認できている。ならば、その絵画は完成し、その作者である男性自身がどこかに送付したと考えられる。
 一般人である複数の男性が暴れ出す事件が起きた範囲を考えれば、邪神召喚の鍵となるであろう絵画がそれよりずっと遠くに送られる、ということは考えづらい。
 また、作者の男性には何度か、コンクールや展示会へ作品を出展した経験があり、今回もそのための書類などを準備したらしい痕跡が残っていた。

 この作品が展示されるであろう絵画展は不明。
 しかし、その展示会場こそが、『祭具』を置くことで邪神召喚儀式が成立するであろうもう1つの鍵――『座標』となっている可能性。
 そしてそのために邪神の影響力が働いている可能性は、非常に高い。
 猟兵達とUDC機関の協議によって、次の調査の目標は『祭具となる絵画が展示される会場の特定』と定められた。
鈴木・志乃
……頭痛いガンガンする
具合悪い
うう、まだ本調子じゃないけど行くか!


アナログアナログう!
UDC組織さん今度もお手伝いお願いねっ
とりあえず近辺で展示会場になりそうな場所リストアップ
家探し(家じゃないけど)開始します

UC発動
書類準備したんだったら場所についてのこととか
どっかに残ってそうなもんだけどね
【情報収集、学習力、失せ物探し、世界知識、第六感】
電話、インターネット、書類の履歴から漁れないかなあ

正直集荷業者に話訊きたいんだけど
近隣住民でどこの集荷業者かとか見てる人いない?

……はあ、おまわりさんごめんなさい
【コミュ力、演技、変装】
警察騙って訊いて回ります

ごめんください
突然恐れ入ります、私……



 そんなわけで。
 ごく最近まで残留思念を辿って調査を進めていた鈴木・志乃は、ユーベルコードの反動にまだ苦しんでいた。
「……頭痛いガンガンする……具合悪い……」
 何せ邪神の影響を受けた思念を自分の精神で受け止めていたのである。頭痛で済んでいるあたり多分割とかなり強靭なはずだ。

 ともあれここからの捜査なら、さっきまでのスピリチュアル部門よりだいぶアナログであるからしてテンションも高い志乃である。
 ユーベルコード『役作り』――舞台役者としての彼女が役に入るための力、そして必要な情報を得るための力は、猟兵として事件を解決するにも非常に有効だ。
「書類準備したんだったら場所についてのこととかどっかに残ってそうなもんだけどね」
 そんなわけでUDC組織を通じて店主に許可を取り、家探しあるいは現場検証へと戻ってきたところである。
 備え付けのパソコンは共用のものらしい。いくつかの書類の印刷履歴は残っていたが、展示会の種類までは特定できない類のものだ。
 だがそれとは別に、過去に送ってあった簡易書留の控えが見つかった。差出人はこの部屋で見つかって今はUDC組織の保護下で治療を受けている当人であり、宛先はこの市を中心に展示会の企画をしている団体だ。これだけでは展示会自体を特定はできず、また件の絵の展覧会と限らないが、少なくともこの市の美術事情に詳しいのは確か、有用な情報が手に入る可能性は高い。
 あとは集荷に来た宅配業者の情報が手に入れば組み合わせることで調査が進展しそうなのだが、部屋の中ではその控えなどの情報はどうにも見つからず――、

「……はあ、おまわりさんごめんなさい」
 現地協力組織、すなわちパワー。
 一応事件捜査という体なので、志乃が着ているのは制服ではなくスーツである。それでも偽の警察手帳を見せるとか、普通にやったらとてもやばいでは済まないやつだ。
 だがUDCアースでの事件解決には欠かせないことも多いので、こういう用意もサポートしてくれる。
「突然恐れ入ります。私……」
 最初は少しばかり警戒されるものの、志乃の口ぶりは丁寧だし、自分が何か疑われているわけではないとわかれば近所の人々の様子も和らぎやすい。
 そしてなかなか記憶に残りにくいような情報であっても、数を集めれば事実と思われるものが浮かび上がる。それを――調査すべき配送会社を探し出すべく、志乃は熱心に聞き込みに勤しんだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
展示会場事祭壇とは恐れ入ったな!…というかこれ祭壇、もとい座標の方が先にあったんじゃね?
まあ、今のは考えても仕方ないことだし置いておいて。取り敢えず情報収集か。この街で絵画展が出来そうな場所をピックアップして回ってみるか。ピックアップするのにはUDC機関にも手伝って貰うとして…まだ残ってるのなら暴れてた奴らからも心当たりないか聞いてみるか。絵描きしかしらない場所とかあるかもしれんし。後は…運送会社から絵画を多く運んだ場所が無いかも聞いとくか。
ピックアップ出来たら現地行って回ろう。当たりがあるといいなー。現地回ってる時に第六感で何かありそうなとこ見つけたらそこも行っておくか。
(アドリブ絡み歓迎)



 元々UDCアースで超常現象を扱っていた探偵稼業の家に育ち、今でもよく関わっている波狼・拓哉はすっかり厚くなった情報ファイルを見つつぽつりとつぶやいて首を傾げる。
「これ祭壇、もとい座標の方が先にあったんじゃね?」
 確かに考えられる可能性である。
 場所の方に邪神がまず拠点を作り、さらに祭具となる絵画を完成させるように男達を操っていたとしたら、まさしくそれは拓哉の言う通りの順番だ。
 とはいえそれを確信する手段がないのも事実。考えても仕方ないことだし置いておいて、と拓哉は次の調査に取り掛かる。
「取り敢えず情報収集か。この街で絵画展が出来そうな場所は……」
 まずは現地在住のUDC職員も知っているような大きな美術館やデパートの催事場から。さらに落ち着きを取り戻して話が聞けそうな保護されている男達からも、小規模だったり期間展示しかやらない場所だったり、絵描きでなければ知らないような場所を聞き出したりしていけば、思ったより多くの展示会可能な会場が集まった。その中からさらに、しばらく絵画の展示会が行われないと確定した場所を外していく。さらに件の完成した絵画を運んだ運送会社がほぼ特定できたので、かの絵画の配送ルートの追跡調査と共に、最近多く絵画を運んだ宛先がないか尋ねて優先順位をつけていく。
 あとはその優先順位を参考に、ひたすら訪問。足を運ぶ。歩く。とにかく歩く。
 完全に優先順位通りではなく、ある程度ルートを作ってリストに残っている場所を回っているので結構な距離だ。
「……ん……?」
 ふと、拓哉は足を止めた。既視感というにはもっと曖昧な、けれど思い当たる。そう、それは伝聞でしか聞いたことがなかったけれど――、

 絵は完成したのね。したわね。したんでしょ。
 ああ、ようやく会えるわね。あえるね。会いましょう。
 持ってきて。
 持ってきて。
 持ってきて。

 はっきりしたものではなかった。それでもうっすらと認識できる『3つ』の声。
「そうか、……確か事件の起きた範囲は」
 座標の方が先にある、それはふとした思いつきでしかなかったが、今ならもっとはっきりした可能性を感じられる。
 予定していたルートを変更するように地図に引いたラインを修正する。男達が暴れだす事件、それらが起きた場所の中心近くにも、いくつかの展示会場があることはわかっていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

葛籠雄・九雀
SPD

…完成した絵は、座標とセットでなければ効果がないのであるな?
ならば始末が着き次第で良い、譲り受けられぬか?
無論、UDC組織や猟兵ちゃんたちの意向に従うつもりであるが…。

まあ、何にせよまず見つけぬことにはな。客を装って、何件かの美術商に聞き込みへ行くであるぞ。
絵画を完成させた者の名前はわかるのであろうか?
わかるのであれば、「その者の絵画を別の場所で見て欲しくなった」などと告げ、【コミュ力】で誤魔化しながら他にも見たいと言い、展示場の場所を教えてもらうとしよう。信用させるために何枚か然程高額でないものを買っても良い。丁度、美しい絵の一枚でも飾ろうと思っていたところであるしな。

アドリブ連携歓迎



「……完成した絵は、座標とセットでなければ効果がないのであるな?」
 そのようです、と資料を確認しつつ頷くUDC職員。ならば、と目……っぽい部分を輝かせる葛籠雄・九雀。
 実際は表情をほぼ変えないタイプのヒーローマスクなのだが、雰囲気的には輝いている。多分。
「始末が着き次第で良い、譲り受けられぬか? 無論、UDC組織や猟兵ちゃんたちの意向に従うつもりであるが……」
「え、えぇと……その、邪神召喚儀式の詳細というか、阻止した結果とか、その後の絵に宿る力次第といいますか……」
 つまりは今の段階では、断言できないとのことである。
 もしかしたら絵を破壊しなきゃいけない、とかが阻止条件にあるかもしれないし。阻止はしたものの危険だったら封印しなきゃいけないし。逆に完全に邪神との繋がりがなくなっていれば、単なる芸術品として譲渡する余地はある。一般に売り出したりすれば流石に危険だが、相手はUDC組織メンバーの大半を、余裕で上回る戦闘力持ちの猟兵だ。
 つまりその辺の兼ね合い次第ということで、そこはこの事件を解決しないとわからない。
「まあ、何にせよまず見つけぬことにはな」
 とりあえず可能性はあるとのことで、九雀は足取り軽く美術商や作品も扱う画材店へと向かうことにしたのである。

「ああ、彼は結構うちを贔屓にしてくれてますからね。ポップアートなんかもたまに描くみたいですけど、うちで扱ってるみたいなこういう柔らかな色彩の風景画とか、人物画とかね、好きな方なんで」
 私の趣味なんで小さい商売になっちゃうんですけどね、とあまり目立たない路地を入ったところで店を開く美術商は、九雀から聞いた名前に嬉しそうに頬を緩めた。
 所狭しと絵画で飾られた壁の中でも、その一面を占めるのは例の絵描きの名前が添えられた、油絵を中心とした作品だ。落ち着いた彩度、柔らかな色彩、風景画であっても人物画であっても、どこか幻想的なモチーフを描いているものが多い。三人にして一人の少女、なるキーワードがふと浮かんだ。それはまだ、絵画という共通点とほぼ同時に聞き取っていたものだ。
(……それもまた、幻想的なものと言えようものか?)
 考えつつも、彼が出展する可能性のある展示会について、心当たりはないだろうかと尋ねてみる。一度何やら無料配布らしき美術会報のページをめくった店主は、ああ、と頷いて顔を上げた。
「ちょうどこの町の芸術月間が夏休み合わせなんでね、展覧会も多いんだが……彼の画風やテーマと会うのはそうだな、ファンタジー小説なんかと絡めたやつ、それから欧州の素朴派と現代の兼業画家の作品をテーマにした……」
 つらつらといくつかの美術展の情報を続けて並べたところで、ふと気付いて店主が顔を上げる。
「ああ、そうだ。どうせ無料なんだし一部持ってくかい? 彼が出してそうなイベントに印つけとくからね」
「お、お願いするでござるよ……」
 正直覚えられるかというとだいぶきつい情報量だった。
 とはいえそれでも、確実に開催される美術展に対象を絞れたのはかなりの収穫だった。さらに九雀は彼の絵画から、己の気に入った中で予算と釣り合う一枚を購入し、丁寧に包んでもらってから会報と共に抱えて店を出る。かの作者の絵が気に入った、ということを裏付けるためでもあるが、単にそれだけというわけではない。
「丁度、美しい絵の一枚でも飾ろうと思っていたところであるしな」
 そう言ったマスクの面差しは、なかなかに満足げであった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 複数の情報源からの収穫を総合したことで、対象となるであろう展示会は3つにまで絞り込まれた。
 全ての展示会は、同一の大型ショッピングモールで行われる。その中の文化ホール、臨時催事場、そして連絡通路の3箇所で、関連するテーマの美術展が同時開催されるとのことだ。
 それぞれの場所はショッピングモールの中でも離れた位置にあるが、有志作品の受付窓口は同じだったため「3つの中のどれか」までは特定できていない。
 ほぼ偶然によってようやく成立する邪神復活であるため、祭具である絵画があることで儀式を成立させる座標は非常に限られていると考えられる。少なくともそれぞれの美術展が行われる会場まで搬入されなければ、またもしかすると『特定の場所に設置されない限り』は、完全な復活の要件を満たさない可能性もある。
 逆に言えば会場さえ特定できれば、そこ以外で復活儀式が成立してしまうことはない。

 残るは会場の特定。
 そして、復活を阻止することのできる計画と、必要な情報、だろうか。
 完全な復活を阻止できたならば、不完全に復活した邪神を戦闘によって打ち倒すことで、今回の復活の野望を砕くことができる。
 そこに至るまでのパーツは、あと少し――!
幻武・極
このショッピングモールのどこかが邪神復活のための座標になるんだね。

う~ん、そうだね。
この3箇所は最初から展示場所として予定されていた場所なのかな?
応募作品が多くて急遽展示場所として用意された場所は除外できるし、元々展示場所の予定ではなかったけど、お偉いさんが突然展示場所に指定してきたとかだったら怪しいしね。



 市の中心部からはやや外れた大型ショッピングモールは、いわゆる文教地区にあるためか書店や音楽ショップ、映画館に催事ホール、それに美術品や画材・文房具店などのテナントが多めに入っている。同時に3つの美術展が開かれるというあたりは、経営陣の意向もあるのかもしれない。
「このショッピングモールのどこかが邪神復活のための座標になるんだね」
 優雅なアーチを描くエントランスをくぐり、幻武・極は館内案内で3箇所の美術展会場を改めて確認しつつ呟いた。それぞれの会場が離れているのは、ついでにショッピングモール全体を巡ってもらえればありがたいという思惑なのだろうが。
「この3箇所は最初から展示場所として予定されていた場所なのかな?」
 確かに――大規模な展示会だけに、規模の変更が途中で行われた可能性はある。
「応募作品が多くて急遽展示場所として用意された場所は除外できるし……元々展示場所の予定ではなかったけど、お偉いさんが突然指定してきたとかだったら怪しいしね」
 それを調べてみようと極はまずは展示場所となる3箇所を見て回り、さらにショッピングモールのWebページからこの美術展の告知を遡り、共催となっているテナントにも話を聞きに――。
 情報収集の中で浮かび上がった事実に、極はやっぱり、と頷く。
 そう、会場はやはり――『増やされて』いたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
嫌な 予感 しか しない
いやだーっ
だからUDC案件は苦手なんだよっ

普段秘匿してるUC発動
【演技、変装、歌唱、言いくるめ、礼儀作法、優しさ、第六感、失せ物探し、手をつなぐ、コミュ力】
ハハハ、徹底的に聞き込みするしかねーな
必要なら多少リスキーな恰好するのも辞さない(警察、店員等)
最終手段だよ! こんな人数集まるとこで
そんなことしたら流石に大変なことになる!

三か所全部での展示、もしくはその座標の中央地点だと
予め予測を立てた上で
絵の情報を伝えて関係者に聞き込み
ファンでダメなら親族騙ってやらあ
しかもちょっと耳遠いお婆ちゃん
でもって聞くまで帰らんって話聞かない系の

あくまで丁寧に丁寧にね
騒ぎになったら困る



「嫌な、予感、しか、しない……」
 今回の案件に巻き込まれかけたとき、鈴木・志乃は既に呟いていたものである。
 こう、確かな予感を感じているときの一言一言を強調するアレで。
 そして『案件の詳細確認』と書いて『抜け出せない領域』とふりがな付けるところまで来たところで、当地のUDC組織担当支部には。
「いやだーっ! だからUDC案件は苦手なんだよっ!」
 志乃の叫びがばっちり響き渡ったとのことである。

 おかげで普段はきっちり秘匿しているユーベルコード『道化師の心得』まで発動する羽目になった志乃はすっかり遠い目である。
「ハハハ、徹底的に聞き込みするしかねーな……」
 とにかくその聞き込みの上で、変装に演技に言いくるめ、そのあたりの技能に多大なブーストをかけるユーベルコードの有効性は計り知れない。
 あくまで最終手段ではあるが警察やショッピングモールの店員といった、いわゆる『バレたらリスキー』な格好をするのも辞さない勢いだ。
 ――しかしである。
 とりあえず今までの調査結果を元に予測を立てて聞き込みをかけ、展示会場の位置的に最有力と思われた文化ホールに行ったものの、まだ準備中の扉の前に立つ警備員のガードは固かった。
 普通の展示会について聞きに来た人とかファンとか美術関係者とか、挙句テナントの画材店の店員とかいろいろ理由つけて変装して、ある程度時間も空けてチャレンジしてみたわけだが、全敗である。
「美術展のことにつきましてはWebサイトに掲載してありますので」
「展示される作品につきましては当日よりパンフレットにてご紹介いたしますので」
「まだ準備中となっておりますので、それ以上のことにつきましてはお答えいたしかねます」
 ……強い。
 ここにきて強敵警備員の出現に小さく唸って、志乃は作戦を変えることにした。
 無論、使う手段は変装と演技であり、粘り強い聞き込みである。幸いにしてその変装に必要な情報は持っている。
 数度目の早着替えを済ませ――文化ホールの入り口へと歩みを進めたのは、まだ足取りはしっかりしているも少し背の曲がった、愛らしさを感じさせる老婦人であった。

「うちの甥っ子がこちらでねぇ、絵を飾ってもらうと聞きましてねぇ」
「え、あ、ああ……その、はい、こちらでの美術展示は只今準備中となっておりまして」
「ええ、ええ、ここ3つも会場があるでしょう? どこかわからなくって、甥っ子も仕事が忙しいみたいでねぇ」
「それにつきましては当日来ていただけますと……」
「それでねぇ、どこでやるのか、教えてもらおうと思ったんですよ。楽しみなんですけどね、3箇所全部行くのはこーんなおばあちゃんですからね、きつくってきつくって」
「あの、ですから」
「甥っ子の絵はどこで見れますかねぇ……」
 押せている。
 明らかに押せている。手応えが完全に違う。
 トラブルにはならないように丁寧な話し方や態度ではあるが、あっこれ言うまで帰らないな、と相手が察する感じの腰の据えっぷりで志乃は強敵へと立ち向かった。
 おばあちゃんって強い。

 というわけで結局会場責任者にまでつないでもらうことに成功し、ついでに会場を見せてもらって「こちらに飾られる予定ですよー」と教えてもらうところまで漕ぎ着けた志乃。
 作品自体はまだ展示されてはいない。が、そこがまさに『座標』であることは伺えた。
 この場所に祭具である絵画が飾られた瞬間、邪神は復活する――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ゼラの想恋慕心』

POW   :    私達は死した身、戦う資格はございませんので
【人間型の戦う意思や力を持たない使い魔】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
SPD   :    御礼はいたしますので、手伝っては下さいませんか?
技能名「【料理】【礼儀作法】【優しさ】【恩返し】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    霊能力のちょっとした応用、というやつですわ
レベル分の1秒で【殺傷能力のない大量の捜索用のポスター】を発射できる。

イラスト:花土竜

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 事象は暴かれた。
 儀式の詳細も明らかになった。
 とはいえ『祭具』と『座標』を邪神の影響から解放するためには、儀式を『阻止』することで『不完全な復活を遂げた邪神』を撃破しなければならない。いつの間にか準備が進んで『祭具』となった絵画が展示されるその前に。

 というわけでここからはUDC組織の裏工作パワーフル回転である。
 まず情報を引き出したその日の夜に文化ホールに侵入、さらに美術倉庫内にある絵画を確保。あとは絵画を近づけてから離してみたり、『展示しようとするのを阻止』したり、といくつかのパターンを試して不完全な邪神召喚を試みる。
 もちろん成功すればすぐに戦闘に入るため、猟兵達が立ち会った上での作戦だ。

 ――絵画を手にして『座標』の前に立ったUDC職員を猟兵達が引き離したところ事象発生。
『絵画』を媒体として不完全な状態で呼び出された邪神は、確かに絵に描かれているのと同じ『三人にして一』の少女の姿をしていた。UDC職員が依り代となる可能性もあったため、絵画の方が復活の鍵として使われたのは幸いであった。精神的な影響を受けたのかやや予定よりも強い抵抗を見せたUDC職員も、今は気を取り戻した様子で避難を済ませている。

 ――ああ、ちゃんと来られなかった、残念。
 残念でたまりません。
 会いたいのに。
 とっても会いたいのに……。

 おそらく戦闘力は高くはない。
 しかし復活前ですら『人間を操る』ことに長けた邪神だった。
 今ならばユーベルコードを活用し、猟兵達ですらもその完全復活に利用するかもしれない。

 ――手伝ってくださいます?

 向こうが狙うのが『儀式の完遂』ならば、こちらが狙うは『儀式の完全破壊』。
 心を強く保ち、邪神の思惑を撃破せよ!!
波狼・拓哉
…あれで不完全かぁ。完全だったらとかあんまり考えたくねぇなぁ。
じゃ、後は適当によろしくミミック。化け咆えな―。…いやまあ、相手がどのように手伝わせるか分からんし自分動かないスタイルの方が良くない?ミミックならまあ、精神支配とかされても再召喚で仕切り直せるし…後はまあ、思考狂わせたら楽になるんじゃねくらいかな。少なくともミミックは会いたい相手じゃないだろ。
自分は後ろの方で眺めてよう。攻撃飛んで来たら衝撃波込めた弾で弾くくらいかな。隠れてるわけでもないし追跡されても問題ないし。
何かされようが動く気はなし。おもてなしとかされたら自分は戦い難いけど戦ってるのミミックだしなぁ…
(アドリブ絡み歓迎)



 圧、というのがふさわしいだろうか。
 霊圧、であるかもしれない。あるいは圧力、か――重圧、か。
 殺意ではない。傷つけようという意図ではない。けれどその状態ですら明確な『圧』を感じさせる、それこそが。
「……あれで不完全かぁ。完全だったらとかあまり考えたくねぇなぁ。」
 波狼・拓哉が小さく溜息をつく。そう、不完全にしてこの存在感であるからこそ、目の前の存在は『邪神』と呼ばれるのだろう。
 それが例え、見た目は愛くるしい少女達の姿であっても。

「じゃ、後は適当によろしくミミック。化け咆えなー」
 しれっと委託した。
 めっちゃしれっと自分のミミックに委託した。
「……いやまあ、相手がどのように手伝わせるか分からんし、自分動かないスタイルの方が良くない?」
 実際なー。
 ほんと割とそうだからなー。
「ミミックならまあ、精神支配とかされても再召喚で仕切り直せるし……」
 さらにに言うと拓哉の操るミミックも狂気との強い繋がりを持つので、邪神に上手く入ればきっと強い。
「少なくともミミックは会いたい相手じゃないだろうしな」
 というわけで箱型生命体『ミミック』が前方へと飛び出しながら、美しく強固な鱗を持つ龍へと変化する。この龍の形態においては化け、咆える、以上の攻撃は持たぬミミックであるが――響き渡る咆哮は明白に邪神を狙い撃って衝撃波の爆発となり、感染させるかのようにミミック自身の狂気を共有させる。ユーベルコード『偽正・龍滅咆哮』、UDCアースの奥底に漂う狂気、別の世界でも威力を振るうそれは、この世界の『別の狂気』にも無論その力を緩めることはない。

 ――嗚呼。

 その与えられた狂気を振り払うようにか、それとも染め上げられてか少女達の口から溢れた溜息。伸ばした指の先にうっすらしたと煙が集まり形を取るかのように、メイド姿の女性が現れる。その狂気を与えた者へと、むしろ奉仕を返すかのように、甲斐甲斐しくメイドは膝を付く。……が。
「おもてなしとかされたら、確かに自分は戦い難いけど、なぁ……」
 戦ってるのミミックだからなー。
 というわけでドラゴン・ロアが響き渡る中、うんオーケーそんな感じで、と龍形態のミミックの奮戦ぶりを見守る拓哉なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
またしても秘匿UC発動

全身に【呪詛耐性の力も籠めたオーラ防御】張って戦う
いーや、手伝わないね。私の心は靡かないよ
私を動かそうってんならもっと強い意志を見せてよね!

【心の魔を破る祈りと魔力を籠めた全力歌唱の衝撃波】で全部なぎ払え
何人の人生狂わしかけたか分かってないんだこの子らは
実際問題ぶっ倒れてる人もいるし、ことの重大性分かってる?
……なんて、このUDCに話通じるか分かんないけど
言うだけ言ってみるか

おあいにくさま、私の心は既に他の人に捧げてるの
手伝って欲しいなら他の人をあたって下さいな

敵攻撃は光の鎖で第六感で見切り
早業武器受けからのカウンターなぎ払い

絵を欲しがってた猟兵さんいたね
私はいらないよー



 ――ねぇ、手伝って。
 御礼はいたしますので、手伝っては下さいませんか?

 ふわり、ひらり揺れるスカート。
 うっすらと透ける見た目、しかし圧倒的な存在感。
 無邪気にすら見える微笑み。
 ――その全てを、
「いーや、手伝わないね。私の心は靡かないよ」
 鈴木・志乃は即答で一刀両断した。
「私を動かそうってんならもっと強い意志を見せてよね!」
 なんかもう、今更である。ほんとこっちがどれだけ苦労したかって。どれだけ被害が出てるかって。
 志乃が起動するのは、やはり秘匿されしユーベルコードの1つ。聖なる戦いの力に特化した『祈願成就の神子』――さらに呪詛耐性を込めたオーラを防護として全身に展開して身に纏い、ある意味では純粋な、けれど事実として世界の敵たる邪神の、無垢な願いを拒む。その強制力を拒む。
「何人の人生狂わしかけたか分かってないんだこの子らは。実際問題ぶっ倒れてる人もいるし、ことの重大性分かってる?」
 呼びかけた言の葉は、通じているのかいないのか。

 ――だって、会いたかったんだもの。
 会いたかったんですもの。
 ねぇ、手伝ってほしいだけですのに。
「……通じれば、邪神じゃないか」
 言葉だけはもしかしたら通じていても、その意思はきっと通じない。互いに。
 小さく息をつくと、志乃はきっとその瞳を少女達へ向ける。
「おあいにくさま、私の心は既に他の人に捧げてるの。手伝って欲しいなら他の人をあたって下さいな――!」
 肺いっぱいに息を吸う。祈りを、魔力を、胸に喉に声帯に、心に込めて。意志を宿して。その魔を破れ、狂気の侵食を砕け、全力の歌が生み出す衝撃波が、全てを――味方からは心侵す邪神の影響を、そして邪神からはその存在を。
 薙ぎ払え!
 明白に志乃を敵と定めたらしき、ふわり現れた邪神の手を光の鎖が弾く。とうに視えている、とばかりに振るわれる鎖が薙ぎ払う。その歌と同じように全力で。
 相容れぬ視線が交わった次の瞬間、再び魔を断つ意志を込めた歌が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

葛籠雄・九雀
SPD

さて正直に言えば、戦う理由はないのであるが。オレは絵画が欲しいのでな。
…と思ったが…もしや、絵画を媒体としているということは、絵画を壊さねばならん…ということはあるまいな…?
…後で未完成の方についても交渉するとしよう。

料理?
オレは人前で食事をせん。礼儀も知らん。オレはどうも、育ちが然程良くないようであるからな。恩も優しさも興味がない。
礼と言うなら、絵画を渡して欲しいものであるな。

【ジャンプ+ダッシュ】で適当に接近して、グロリオサ+【串刺し、毒使い】を使用。使う毒は…幻覚作用とするか。霊体に効くかはわからんが。
誰にそれほど会いたいのか知らぬが、夢の中ででも会っているが良い。

アドリブ連携歓迎



「さて正直に言えば、戦う理由はないのであるが……オレは絵画が欲しいのでな」
 まぁ絵画を媒体にして召喚された邪神っていうことは、倒さなければどうあがいても手に入らない。
 が、そこで葛籠雄・九雀ははたと気付いてしまった。
「……と思ったが…もしや、絵画を媒体としているということは、絵画を壊さねばならん……ということはあるまいな……?」
 ちなみに今は絵画はどうやら邪神の『核』にでもなっているのか、見える場所にはないが――倒したら壊れた状態で出てきた、あたりはありそうな話である。
「……後で未完成の方についても交渉するとしよう」
 そんな遠い目をしつつ、戦いに身を投じる九雀だった。

 ――まぁ絵画、というかUDC相手となれば興味津々なのであるが。 
「料理? オレは人前で食事をせん。礼儀も知らん。オレはどうも、育ちが然程良くないようであるからな」
 半透明のメイド達をひょいひょいと避けながら、ご奉仕モードの少女に無造作に近づいていく九雀。
 恩も優しさも興味がない――つまりは恩返しとかで釣れない。
 現実の美少女よりもなんとやら、という言葉を連想させるやつである。いやまぁ邪神を現実の美少女カテゴリに入れていいのかはともかくとして。
 まぁともかく、である。
「礼と言うなら、絵画を渡して欲しいものであるな」
 ユーベルコード『グロリオサ』――毒仕込みの針という単純明快な一撃に、此度は幻覚毒を込めて。
「誰にそれほど会いたいのか知らぬが、夢の中ででも会っているが良い」
 その『夢』が、追い求める相手との再会なのかまでは、読み解くことはできない。
 けれど――6つの瞳が濁り、虚空を見つめる。伸ばした掌が掴んだのはただの空気、だけどその心の中では、もしかしたら、……九雀すらも真相は知らず、ただ邪神は『隙を見せた』。
 それだけが、この場の誰もが理解できる――虚ろを増した3人の少女の瞳が、語る事実だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
・UDCからの応援

お礼はします。手伝ってくれませんか……ね。
奇遇ね。今朝、そっくり同じようなことが書いてあるメールを貰ったわ。
その裏に悪意しかないことまで、本当にそっくり。

対処は一緒。
ゴミ箱に放り込むだけよ。
骸の海に還るのを手伝ってあげるわ。

・敵の精神汚染は【超感覚的知覚(精神感応)】で感知し、防壁を張る。
・情報収集用に力場を周囲に展開し、邪神のほか、その使い魔の存在位置を感知。
・感知した敵の動きを念動力で制限・阻害し、火焔、雷撃その他の属性攻撃で灼き払う。

邪神の完全復活の代償が、美味しい料理なんかじゃ割に合わないわ。
次に来るときは、別なプレゼントを考えておくことね。



「お礼はします。手伝ってくれませんか……ね。
奇遇ね。今朝、そっくり同じようなことが書いてあるメールを貰ったわ」
 存在感を徐々に薄れさせていく邪神が、けれど変わらず繰り返す言葉にアレクシア・アークライトは肩を竦めた。
「その裏に悪意しかないことまで、本当にそっくり」
 つまりはそう、迷惑メールというやつである。
 確かにどちらも好意を見せれば、それを自分達が利用する気しかないわけで。
「対処は一緒。ゴミ箱に放り込むだけよ」
 そのゴミ箱がメールソフトにあるか、それとも世界の外にあるか――それくらいだ。
 ユーベルコード『超感覚的知覚』を呼び起こす。邪神がアレクシアの精神へと干渉する気配を即座に感じ取り不可視の防壁を張り、さらにそれを一段拡張するようにして力場を周囲に展開。邪神は無論、使い魔がどこにいるかまで把握できるように。
 現実の存在感は薄い相手ではある。けれどアレクシアの知覚能力はいわゆるESPと呼ばれる超感覚の域まで達するものだ、むしろ相手が半ば実体を持たないのは、その本領を奮う機会に他ならない。
「骸の海に還るのを手伝ってあげるわ」
 すっと指差したメイド姿の少女――邪神の使い魔がアレクシアの指の先で動きを止める。ちょうど『ご奉仕』と称して猟兵達へと近づいてきたところに。
 そのまま軽く動かした指の先、炎が渦巻いて戦闘には向かぬ使い魔を焼き払う。少しずらした先でももう1体。
「邪神の完全復活の代償が、美味しい料理なんかじゃ割に合わないわ」
 数多の一般人をたぶらかすには、むしろそれが有利だったとしても。
 小さく肩を竦めると、アレクシアは邪神へとその『感覚』を向けた。手の中に作り出したのは雷撃、それを邪神の存在する位置へと向ける。違うことなく、その存在を打ち砕く。
「次に来るときは、別なプレゼントを考えておくことね」
 この街の絵描き達をたぶらかした3人にして1人の少女――絵画に頼り復活を果たそうとした邪神は、再び骸の海へと追いやられたのであった。


 ここからは、事件の報告、そして後日談となる。
 UDC組織に保護されていた者達は、全員が意識を回復し、検査の結果心身ともに後遺症なく、無事に元の生活に戻っていったとのことである。
 無論、祭具となった絵を描いた男性も含めてだ。
 ちなみにかの絵は邪神が消えた跡から焼け痕やら傷やら負った状態で拾い上げられ、調査の結果呪力や魔力といったものは感知されなかった。描いた本人も絵を手放す意向を示しており、希望していた猟兵に譲り渡すことも問題ないと判断した、とUDC組織からは連絡が届いた。

 なおその男性は意識を取り戻してから一昼夜かけて新たな絵を描いたかと思えばまた丸1日爆睡していたとのことで、UDC組織が慌ててまたその調査に向かったが不審な気配は感じられなかった。
 無事にその絵を代わりに飾り、行われた展覧会はなかなかの盛況だったとのことである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月23日
宿敵 『ゼラの想恋慕心』 を撃破!


挿絵イラスト