「皆さま緊急事態です、アルダワ魔法学園の校内にオブリビオンが侵入しました!」
グリモアベースに現れるや否や、慌てた様子で拡声器を使って叫ぶルウ・アイゼルネ(飄々とした仲介役・f11945)の周りに何人かの猟兵が煩さそうに耳を塞ぎながら集まった。
ルウは拡声器から口を離すと、その場に座ってタブレットを素早く操作し始めた。
「気づいた時にはオブリビオンはすでに校内に溢れ出ていたそうで、発生源は現時点では不明です」
今までの例からだとこのような事態が起きた時は未確認の迷宮への入口が発生した可能性が高いそうだが、その入口を見つけて封じない限りオブリビオンの侵攻を止めることは出来ない。
オブリビオンを相手にするために授業を受けてきた生徒達が周りにいるのでオブリビオンが校外に出ることは現時点では無いだろうが、このまま放置していればいずれ物量に押されて倒されてしまうだろう。
「確認されているのは飛行型ガジェット『スチームドローン』、自律防衛型ガジェット『メカふくちゃん』の2種類です」
ルウが操作するタブレットに一枚絵ではなく、実際に活動している様子を撮った物と見られる写真が表示された。
スチームドローンは熱線銃を撃ってくるだけでなく、体の前面についているカメラで撮った映像や情報をリアルタイムで仲間に送る機能がついている。
スチームドローン単体ではあまり脅威ではないが、手を見せすぎてしまうとその映像を見た他のオブリビオン達に対処されやすくなってしまうため、速攻か撮影範囲外でトドメを刺す必要があるだろう。
次にメカふくちゃんは見た目こそ可愛いが、ヒレを模した刃や猛毒のついたトゲを飛ばしたり、目からビームを放ってくる水陸両用の機体である。
陸上では水中よりも動きは鈍くなるが、攻撃の威力は変わらないためナメてかかると痛い目に遭うだろう。
「皆さまには校内に蔓延るこの2体を一掃。その上で問題の迷宮の入口を発見し、奥にあるであろう発生源かオブリビオンの親玉を破壊していただきます。……それでは、アルダワ魔法学園にお送りいたします、よろしくお願いいたします!」
平岡祐樹
今作は学園パニック物です、平岡です。
学園中に2種類のオブリビオンが放出されていますが、1章で戦えるのは1種類だけです。ルールだからシカタナイネ。
学内のオブリビオンを一掃し、発生源となった迷宮に潜む「何か」をぶっ飛ばし、学園に平和を取り戻してください!
第1章 集団戦
『スチームドローン』
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POW : 機関暴走
【過熱状態での突進】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自爆】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : スチームブラスター
【機体下部に搭載された蒸気熱線銃】を向けた対象に、【精確な射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 戦闘データ送信
戦闘力のない【観測用スチームドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【次章のボスへとそれらの情報が送信される事】によって武器や防具がパワーアップする。
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メリナ・ローズベル
話に聞いたところ、厄介な敵ね…
自信はあまりないけれど、速攻を狙ってみるわ
敵を見つけたら、相手が気づく前にこちらから攻撃する
カメラがない後方から狙えば撮影されないかしら?
撮影用スチームドローンが召喚されたら、最優先で攻撃してみましょう
敵は、一体ずつ確実に倒す方針よ
せっかくのカメラ撮影、敵に利用されるのはごめんよね
ウィザードミサイルで攻撃
後々の戦闘に響かないように、この単純な攻撃を繰り返すわ
敵の攻撃にはオーラ防御ではなく、逃げてかわすようにする
校舎や樹木は、身を隠す時と敵の攻撃をかわす時に利用する
周囲に学生達がいた場合の避難勧告は、私が敵に気づかれてからにするわ
「ここは私達、転校生に任せて!」
「話に聞いたところ、厄介な敵ね……自信はあまりないけれど、速攻を狙ってみるわ」
学園内の人目につかないところに転送されたメリナ・ローズベル(紅い花・f13268)は早々に、普段使われてないのであろう、埃を被った教材の入った箱の影に隠れる。
窓越しに見える渡り廊下にはメカふくちゃんやスチームドローンが我が物顔で闊歩していた。
右の方から爆音が聞こえてくる。オブリビオンの姿が周囲にないことを確認するとメリナは屈み込みながら廊下を前進していく。
その先では巨大な魔導蒸気機械を背に魔法を乱射する少年の姿が見えた。
「くそう、何で、何で当たらないんだ!」
機械の重いパンチも、少年が杖から放つ雷撃も近くにいたドローンはフワフワと滑空しながら避けていく。
とはいえ、近くにドローンだった物がいくつか転がっている。恐らく最初に撃墜されたものの、情報を仲間に伝達し終わった機体なのだろう。
「カメラがない後方から狙えば撮影されないかしら?」
メリナは炎の矢を生み出すと、矢継ぎ早に少年の周りを浮遊するドローンを撃ち落とした。
少年と他のドローン達の視線がが炎が飛んできた先、メリナが隠れている校舎の影に集まる。
そして分身したように見えるドローンが一斉にメリナを探しに接近してきた。
「せっかくのカメラ撮影、敵に利用されるのはごめんよね」
威嚇射撃の熱線がそばにある箱を撃ち抜いたのに合わせて、メリナは観念して姿を見せる。そして用意していたウィザード・ミサイルを一気に発射した。
「あなた方にはこの程度で十分です!」
後々の戦闘に響かないように、単純な攻撃を繰り返すメリナは、立ち尽くす少年に向かって檄を飛ばした。
「ここは私達、転校生に任せて!」
「あ、ありがとうございます!」
その言葉に少年は機械と連れ添って校舎の中へ飛び込んでいった。
成功
🔵🔵🔴
薬師神・悟郎
事前にUCで攻撃力を強化
聞き耳、野生の勘、第六感で周囲の状況を把握
以降全て早業で行動し死角からの奇襲攻撃を狙っていく
スチームドローンを発見後、敵との距離が開いた状態であれば弓を使い先制攻撃
これで壊れてくれれば楽なんだが…
駄目なら、その攻撃に気を取られた隙にダッシュで距離を詰めて止めを刺す
近接では戦闘知識、忍び足で近づき暗殺の如く奇襲をかける
先制攻撃で2回攻撃
怪力も乗せて、速攻で叩きにいく
敵が複数いれば、弓での先制攻撃、吹き飛ばし
混乱したところを、観測用スチームドローンを召喚される前に対象全てを破壊する
戦闘中で且つ苦戦している人物がいれば、援護射撃から戦闘に乱入
戦闘後は急いで避難するように促そう
『始めようか』
覚悟を決めた薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)は研ぎ澄まされた感覚を駆使して周囲の状況を把握していく。
そしてスチームドローンを発見すると、距離が開いた状態で弓を使って先制攻撃を仕掛けた。
「これで壊れてくれれば楽なんだが……」
悟郎が放った矢はドローンのプロペラ部分に当たり、ドローンが一瞬バランスを崩す。
しかし墜落とまではいかず、ドローンは矢が飛んできた方向に視線を移そうと体を旋回させる。
その反対方向から忍び足で近づいた悟郎は暗殺の如く奇襲をかけた。
怪力が乗った初手でドローンのカメラ部分を砕き、次の手でプロペラごと上から叩き潰した。
「ちくしょう、こいつらどこから湧き出してんだ!」
「うるせぇ、口を動かすヒマあったら倒せ!」
「倒してるだろうが!」
床にめり込み、完全に停止したドローンを見下ろしていると向こうの方から言い合う声と金属がぶつかり合う戦闘音が聞こえてくる。
悟郎は火薬を鏃に仕掛けた矢に火をつけて、次々と声のする方へ放った。
予想外の所から起きた爆風で吹き飛ばされ混乱したドローンやメカふくちゃんを空から降ってきた悟郎の義手が叩き潰した。
「ここは心配するところなんでしょうが……言い合う元気がある大丈夫そうですね。私たちが気を引いている間にあなた方は休んでいてください」
悟郎が義手についた金属片を払っていると人派ドラゴニアンの2人は慌てて頭を下げた。
「す、すまない!」
「すぐに戻ります!」
オブリビオンの姿がない方へ走っていく2人から視線を離し、悟郎は次の獲物に狙いを定めた。
成功
🔵🔵🔴
ジオレット・プラナス
(他の方との絡みやアドリブ歓迎)
手をこまねいていたら…不利になるのはこっちか。
自ら空中戦を仕掛け、特に観察しているカメラとか、送信しているアンテナなんかを優先して(場合によってはパーツ自体を『盗み攻撃』で奪って)攻撃を加えてみるよ。
即座に手が届かない位置(もしくは此方に特攻したり複数やって来る)なら…
ヘイロゥ・アクションを手数重視で投げ放って、撃ち落としてみるさ。
『生憎、手足だけが武器じゃ、ないから、ね…!』
余裕があれば撃ち落としたり、盗んだもの(特にカメラなんかの記録媒体)から発生源を早めに突き止めたいところだけど…
その辺の解析はルウ達に預けてお任せした方が無難かな…?
壁を蹴って宙を走るジオレット・プラナス(月夜の鎮魂歌・f01665)に気づいたドローン達が群れを成して集まってくる。
どのタイミングでジオレットが壁を蹴り、空中での行動を維持しているのかをあのドローンの前方に付いているカメラで撮られた映像から、敵は計算して対処してくるのだろう。
「手をこまねいていたら……不利になるのはこっちか」
ならば、一撃で倒してしまうのがスジだろう。
『あまり、乱暴には使いたくないんだけど……ねっ!』
ジオレットの手一杯に大量の光輪がどこからともなく現れ、一気に投じる。
光輪はドローンのプロペラやカメラに激突し、壊されたドローン達は次々と不時着した。
「生憎、手足だけが武器じゃ、ないから、ね……!」
ガチャガチャと変な音をたてて回るプロペラを改めて光輪で切り落とすとジオレットはドローンについているカメラ部分を無理矢理剥ぎ取ろうとする。
しかし本体のカメラにプロペラや熱線銃がおまけでついているらしく、中々切り離し方が分からない。
そうこうしているうちにドローンから変な音がしてきたことに気づき、ジオレットは咄嗟に離れる。
すると直後にドローンが跳ねるようにジオレットに近づき、大爆発を起こした。
素早く離れられたことと推進部であるプロペラが失われていたことからジオレットは爆風のみを感じるに留まったが、他のドローンにも誘爆したことで辺りのレンガや芝は焼き払われてしまった。
当然、最大の目当てであるカメラも木っ端微塵である。
「発生源を早めに突き止めたいところだったけど……」
カメラが発する電波の受信先を掴むことすら出来ればオブリビオンが湧き出ている迷宮の入口を見つけることが出来るはず、と踏んでいたジオレットは次の手を考えながら次のドローンを倒しに、前の壁を蹴って吹き抜けの校舎の中を伝って行った。
苦戦
🔵🔴🔴
伊吹・蒼空
「数が多い。それに、面倒な能力。なら、来て………伊吹。」
UCを使用し、遥か上空の撮影不可能の位置に電脳空間から宇宙船「伊吹」を召喚する。
伊吹からの映像から「情報収集」を行い、敵が密集している場所を探す。
「見つけた」
その地点の中心へ敵の攻撃を「見切り」ながら突撃する。
「残念。」
回避出来ない場合バリアをピンポイントで展開し、「盾受け」でダメージを最小限にする。
「効かない。」
敵の中心に突っ込んでいき敵の注意を自分に向かせる
敵が自分の周りに集まったら、上空の宇宙船から武装の一斉発射で「範囲攻撃」で一網打尽にする。
「これで、終わり」
他の人が苦戦していたら、「援護射撃」でサポート射撃する。
「サポートする」
セレスティア・ナイトリー
「『殲滅砲台』起動。砲撃戦闘モードへ移行……全フレームの砲撃戦対応確認、これより目標を掃討する」
【殲滅砲台】にて全武装を蒸気圧縮砲へと変換、遠距離からの精密砲撃の弾幕で一分の隙なく対象群の撃破を狙う。
初撃は全砲身からの一斉射撃を行って敵の数の減少を狙い、その後は砲身を入れ替えての随時射撃により各個撃破を狙う。
敵がアルゴリズムと学習で回避してくるならば、こちらも測的追尾プログラムと戦術予測プログラムの併用で敵機動を予測しながら偏差射撃を行う。敵の回避を阻止する際、必要に応じて砲撃の同時発射数を増加させる。
敵からの攻撃を受けた場合でも激痛耐性を以て怯むことなく攻撃を続行。
魔法学園から外に出る門の前に陣取っていた生徒達に向け、大量のドローンとメカふくちゃんが進撃していく。
「『殲滅砲台』起動。砲撃戦闘モードへ移行……全フレームの砲撃戦対応確認、これより目標を掃討する」
生徒達が切羽詰まった表情で思い思いの武器を構える中、その両者の間に割り入るように1体のミレナリィドール、セレスティア・ナイトリー(流転の機士・f05448)が玄関口に立ち塞がった。
セレスティアの持っていた剣や身につけている鎧が音と蒸気を上げながら巨大な圧縮砲へと変形する。
『全武装の蒸気圧縮砲への変換……成功、機体の全フレームを砲撃戦に対応、これより砲撃による殲滅を実行する』
そして射程に入った瞬間にセレスティアは全ての引き金を引いた。
凄まじい量の弾幕にちっぽけな熱線銃ごときは役に立たず、オブリビオンはあっという間に鉄くずと化していく。
しかし圧倒的な火力を前にしてもオブリビオン達は数の暴力で、セレスティアがオーバーヒートした銃身を入れ替える僅かな隙を縫って着実に距離を詰めていく。
それに気づいたセレスティアは一斉射撃を切り上げると走りながら、撃てるようになった物で各個撃破する方針に移行する。
相手がアルゴリズムと学習で回避してくるならば、測的追尾プログラムと戦術予測プログラムを併用して敵機動を予測しながら偏差射撃を行う。
ただ一斉射撃により数は減ったとはいえ、オブリビオンの数はまだまだ多い。
全校生が入れるほど巨大なエントランスで動けるとはいえ、1体1体撃破していくにはあまりにもセレスティアには不利過ぎた。……本来ならば。
「おいこら、何人形1人に働かせてるんだ!」
「今こそ俺らの意地をみせるぞー!」
「爆風に巻き込まれんじゃねぇぞ! 回復薬も少ねぇんだからな!」
「私達もいくよ!」
「ウラー‼︎」
勝ち馬に乗らんとばかりに、門の前に詰めていた生徒達も加わり戦場は三勢力が入り交じる乱戦模様と化していった。
「数が多い。それに、面倒な能力。なら、来て………伊吹」
その頃、セレスティアの猛烈な弾幕の前に恐れをなして別経路からの突破を試みに走った一部のドローン達は最前線から離れて調査する中で、普段は生徒達が演習を行う大きな校庭に出た。
巨大な魔導蒸気機械や精霊の登場に対応するためか、屋根は無いがドローンのカメラにはオブリビオンが外に出られないように薄い魔法による幕が張られているのを見逃していなかった。
そしてその中心にいた伊吹・蒼空(豪砲少女・f18399)の姿も捉えた。
「見つけた」
ビームによる剣を見せながらこちらに迫ってくる異物を排除して安全を確保しようと、赤熱したドローンが伊吹に向かって飛び込むが伊吹は全く慌てることなく、剣を引っ込めてバリアを張る。
「残念、効かない」
爆風が薄まり、傷1つ受けてない伊吹の姿を取り囲むようにオブリビオン達が動く。だがこの状況こそ伊吹が待ち望んでいた展開だった。
『多重ロックオン。……撃て』
カメラの届かない、魔法の壁の遥か上に鎮座していた宇宙船から放たれた光線が大気を切り裂いて校庭に降り注ぎ、包まれたオブリビオンが煤塵と化していく。
「これで、終わり」
周りに機械の反応が無いのを確認し、伊吹は未だに戦闘音が聞こえる入口の方を見やり呟いた。
「サポートする」
爆風に吹き飛ばされ、巨大なハンマーを持ったケットシーがエントランスから外へと転がされる。
そこに追撃をかけようと玄関口を越えてきたドローンを空から飛んできた光線が貫いた。
「え、え、え?」
何が起きたのか分からず、目の前で墜落したドローンをケットシーはハンマーにすがりつきながらきょろきょろと辺りを見回していた。
大成功
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第2章 集団戦
『メカふくちゃん』
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POW : 超振動ギアヒレカッター
【高速振動する鋼鉄のヒレ】が命中した対象を切断する。
SPD : ふくちゃんサーチライトビーム
【目】から【ビーム】を放ち、【突然の驚き】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : どくバリミサイル
レベル×5本の【毒】属性の【鋼鉄のトゲ】を放つ。
👑11
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猟兵達が溢れかえっていたオブリビオンを排除したことにより、問題の迷宮の入口が出来たと見られる場所が目視でも分かるようになった。
「普段、授業で使わないので人が寄り付かなかったんですよね……」
そう苦い顔で語る教師の視線の先には、今まさに「生物準備室」と書かれた看板がかけられた教室の割れたガラスから飛び出してきたメカふくちゃんの姿があった。
宮落・ライア
ふ……ふ…ふく?ふぐじゃなくて?
え?メカって事はこの世界に実在するのこれ?
それとも形を模しただけのナニカなの?
ええー?
向かってくるのから片っ端から斬って行くかー。
【二回攻撃・剣刃一閃】
【見切り】で近いのから順にヒレにあたらないように縦に真っ二つ。
物量が多かったら大剣【力溜め・なぎ払い・衝撃波・鎧砕き】で…周囲に被害が出るのはしょうがないしょうがない。
オブリビオンのせいだから。
または、こらてらるだめーじこらてらるだめーじ。
「ふ…………ふ……ふく? ふぐじゃなくて?」
「『ふく』ですね」
「え? メカって事はこの世界に実在するのこれ? それとも形を模しただけのナニカなの?」
「いえ、外の漁港ではよく取れる魚ですよ、ふく。今度食べてみてはいかがですか?」
教師からの説明に目を白黒させる宮落・ライア(ノゾム者・f05053)を尻目にメカふくちゃんの群れはピョンピョンとその場で跳ねながら、生物準備室へ向かおうとする彼女の行く手を阻もうと壁を作っていた。
「ええー? 向かってくるのから片っ端から斬って行くかー。【二回攻撃・剣刃一閃】」
壁から追い出されたメカふくちゃんがこちらに向かってくるのを見て、宮落が武骨で巨大な大剣を構えるとメカふくちゃんの両脇に付いているヒレの形をした丸ノコが音を立てて動き出す。
恐らくその丸ノコを複数体で当てることで大剣を削り、圧し折ろうとしているのだろう。
しかし丸ノコがあるのはあくまで横。縦からの攻撃を防げる訳ではなかった。
「どっ、せい!」
振り下ろされた大剣で先頭にいたメカふくちゃんが砕け散り、勢いそのままに宮落は遠心力を一切無駄にすることなく一歩踏み出して、周りの教室の壁ごとメカふくちゃんの壁を一掃する。
予定通りに丸ノコに当てても、刃こぼれを多少してもその重量で一気に押し切る大剣にメカふくちゃんは健闘虚しく切断されて中の部品をばら撒きながら飛び散っていく。
その一方で容易く抉り取られて向こう側が見えるようになった教室の壁の向こうでは奇襲を仕掛けようとしていたのか、別のメカふくちゃんやスチームドローンだった物が電気と煙を上げながらその場に伏していた。
「これはまた、派手にやりますね……」
「ここまでになっちゃったら周囲に被害が出るのはしょうがないしょうがない。オブリビオンのせいだから。または、こらてらるだめーじこらてらるだめーじ」
唖然とする教師に向け、肩に刃を乗せながら首を鳴らした宮落の周りには大量のオブリビオンと木材の残骸が散乱していた。
大成功
🔵🔵🔵
伊吹・蒼空
「新手?」
「今度はこれ」
UCを使用すると蒼空の背後に電脳空間から装着型武装を召喚する
武装を背部と腰部にある接続部に装備し、飛行する
「コール……韋駄天」
敵へ背部にある4つの大型ブースターを使って(見切り)で回避しながら、突撃行う。
「当たらない」
突撃中にブースターの左右にあるアームに接続しているビーム砲とブースター上部のミサイルポットから(一斉発射)の(範囲攻撃)を行う
「一網打尽」
接近する敵は、ビームソードとビーム砲の銃口からビームランスを出し(ランスチャージ)で攻撃する
「落とす」
ミサイルは腰部左右に装備したガトリングで(見切り)(カウンター)で迎撃する
味方がピンチの場合は(援護射撃)を行う
「新手?」
ピチピチと跳ね回るメカふくちゃんの群れを視認した伊吹は上の階の床で覆われた天井を見上げた後、正面を向き直した。
「今度はこれ。『コール……韋駄天』」
伊吹の背後が歪み、現れた電脳空間から装着型武装「韋駄天」が召喚される。
現れた武装を背部と腰部にある接続部に装備すると、4つの大型ブースターを点火させ、廊下から少し浮いて、まるで滑るように突撃していく。
「当たらない」
飛んで来た伊吹に気付いて斬りかかったメカふくちゃんのヒレが伊吹の圧倒的な速さの前に空振る中、伊吹は群れの中を一気に突っ切った所で旋回し、ブースターの左右にあるアームに接続しているビーム砲とブースター上部のミサイルポットの引き金を一斉に引いた。
「一網打尽」
凄まじい爆風が廊下中を包み込み、メカふくちゃんだった物が飛び散る中、辛うじて切り抜けた個体が自ら回転しながら伊吹にもう一度斬りかかる。
「落とす」
しかし射出モードから維持モードに変わり、槍状になったビームに突き飛ばされ、回転が失われた所でビームソードによって真っ二つにされた。
次々とやられていく同胞の姿から近距離が通用しないなら遠距離を、と思ったのか生き残ったメカふくちゃんが体を震わせ、全身にトゲを生やす。
「……ハリセンボン?」
そのフォルムが見覚えのある別の魚の姿に見えて伊吹は思わずその名前を呟くが、メカふくちゃんはトゲだらけになった体をさらに膨らませる。
そして体を一気にしぼませると同時に、体中に生えていたトゲを辺りにばら撒いた。
ばら撒かれたトゲはまるで操作されているかの如く、地面に突き刺さる前に方向転換して伊吹に向かって飛んでいく。
伊吹は無言で腰部左右に装備したガトリングをメカふくちゃんの方に展開すると再び引き金を引き、大量のトゲごとメカふくちゃんを薙ぎ払った。
「余裕」
成功
🔵🔵🔴
セレスティア・ナイトリー
ようやく一段落かと思いきや、今度は別のメカ群の登場ですね。
再変換して戻した武装は継戦劣化も考慮して不使用とし、別の手で攻めましょうか。
「特殊戦闘プログラム起動、地形検出プログラムおよび測的追尾プログラムと同期開始」
【侵掠機筒】にて地形を我が意のままに動く要塞と化す。
我が方へと飛来する攻撃に対する防御、逃走や回避を図る敵に対する拘束、そして地形を蒸気武装へ変換しての間接攻撃を行う。
「地形すべてが我が武器と思い知れ」
敵からの被弾に対しては激痛耐性によって痛覚データを無視、戦闘を継続する。
「特殊戦闘データ収集完了、帰投します」
戦闘終了後は侵掠機筒に命令を出して地形を元に戻しておきましょう。
「ようやく一段落かと思いきや、今度は別のメカ群の登場ですね」
エントランスでの乱戦を細かなかすり傷のみで切り抜けたセレスティアであったが、無茶な運用をしてしまった蒸気圧縮砲はやや赤熱していた。
「継戦劣化も考慮して不使用とし、別の手で攻めましょうか。特殊戦闘プログラム起動、地形検出プログラムおよび測的追尾プログラムと同期開始」
一瞥した銃身を下ろしたセレスティアは不意にしゃがみこみ、校舎の床に手を下ろす。
すると床の木材が触った所から波打ち出し、無機質な金属へと変貌し始めた。
『侵食式ガジェット起動、自己増殖機能のセーフティを解除してリリース、対象を駆逐する』
波打ち始めた床に驚いたメカふくちゃんの群れが原因とみられるセレスティアに向けて大量の毒針を飛ばす。
しかし木材だった物がセレスティアを隠すように競り上がると、毒針を全て受けた。
しゅうしゅうと金属が溶ける音がたつ中、セレスティアは壁に空いた穴越しにメカふくちゃんに向けて呟いた。
「地形すべてが我が武器と思い知れ」
するとメカふくちゃんを囲い込むように、床から壁が次々と突き出す。
突然の襲撃に跳び越えて逃げようとするメカふくちゃんを嘲笑うかのように、天井ギリギリまで一気に伸びた壁はメカふくちゃんに向けて短い筒が何十本も生やすと、一斉に火を吹いた。
外側に生えたシリンダーから排出された大量の蒸気と、くぐもっていても分かるほどの凄まじい銃撃音が廊下中に鳴り響く。
そして音と蒸気が止まった壁が静かに地中に潜っていくと、そこにはメカふくちゃんだった大量の鉄くずの山が出来上がっていた。
「特殊戦闘データ収集完了、帰投します」
壁が消えるのを見届けたセレスティアは少し溶けた自分の右頬をリストバンドで拭うと、金属から木に戻りつつある廊下を進んでいった。
成功
🔵🔵🔴
谷島・良司
「あれ、おじさん…もしかして遅刻?」
「まぁ、あれだ、ヒーローは遅れて来るみたいなやつだね。うん。」
子供達が困っているなら、大人が助けてあげないとね
しかし、相手がフグか。
食べれたりできたら、いいんだけどね、ロボットじゃ無理か。
UCを使用し、ブラスターで近くのフグから撃ち抜いていく。
「駄目だね。そんなんじゃ、当たらないよ。」
棘はブラスターで打ち落としていく。
「おっと、危ないな。」
ビームは(気合い)で避ける。
「ちょっと、おじさん年なんだから無茶させないでよね。」
接近されたら、(気合い)で回避して、(咄嗟の一撃)で(零距離射撃)を行う。
ジオレット・プラナス
…見目はともかく、数は多いし武器も豊富、ばら蒔ける毒のミサイルも厄介…
なら…分断してみようかしら。
高らかに歌唱で『歌が導く幻劇場』を紡ぎ、
作った音の壁で、広範囲の攻撃でも他の人が巻き込まれにくい舞台を作り上げるよ。
歌を口ずさめば見えない迷路の壁が見えるようになることを近くの人には伝えて、
私はメカふくの各個撃破に向かうわ。
「さあ…幕を上げましょう…!」
歌いながら迷宮を進んで、通路先のメカふくへ遭遇次第、鎧砕きによる攻撃も駆使して、破壊を試みるわ。
「容易くは合流も連携もさせない…歌う機能か音を可視出来るなら別かもだけど…ねっ!」
音壁の向こうに敵がいるなら、最低でも壁を盾にして、目の前の敵に集中…!
「……見目はともかく、数は多いし武器も豊富、ばら蒔ける毒のミサイルも厄介……」
あれから一気に屋上の手前の階まで駆け上がっていたジオレットは階段の踊り場から、下の階の廊下で飛び跳ねているメカふくちゃんの群れを冷静に観察していた。
「なら……分断してみようかしら。『あなたに歌を届けましょう。あなたに劇を届けましょう。四つの壁の向こうから、忘れられた歌劇を紡ぎましょう……♪』」
近くに人の姿が無いことを確認したジオレットは高らかに【歌が導く幻劇場】を紡ぐ。
すると音の壁が廊下や開きっ放しになった教室に淡い光に包まれながら生成され、その中にいたメカふくちゃんを取り囲んでいった。
「さあ……幕を上げましょう……!」
まるでどこかの劇団の演者のように歌いながら階段を降り、迷宮の中に入ったジオレットはミセリコルデを手の中で回してから構える。
そして早くも、もしくは偶然出口へと繋がる道を見つけ出し、進んできたメカふくちゃんに向けて一気に肉薄すると上から突き刺す。
前からやってきたジオレットに向けて毒針を飛ばすために膨らんだ肉体は刃が突き刺さると、金属で出来てるとは思えないほど派手な音を立てて割れた。
「容易くは合流も連携もさせない……歌う機能か音を可視出来るなら別かもだけど……ねっ!」
現に他のメカふくちゃん達は見えない壁の前に大混乱を起こしており、壁の向こうにいる仲間に向かって飛び跳ねたりヒレのカッターで切りかかったりするものの全て跳ね返されていた。
「あれ、おじさん……もしかして遅刻?」
そんな異様な光景を見つけた谷島・良司(元ヒーローのしがない探偵・f19831)は状況がわからず思わず目を白黒させた。
しかし教室から出てきた、短剣を回しながらメカふくちゃんと対峙しているジオレットの姿を見て目を細めた。
「まぁ、あれだ、ヒーローは遅れて来るみたいなやつだね。うん。子供達が困っているなら、大人が助けてあげないとね」
なぜか通れなくなっている廊下の攻略に勤しんでいることをいいことに、谷島はブラスター銃の充電確認を済ませる。
「しかし、相手がフグか。食べれたりできたら、いいんだけどね、ロボットじゃ無理か」
谷島のいる方を見ていた機体から通信を受け取ったのか、全く別の方向を見ていたメカふくちゃんが突如振り返り、黄色に光った目から谷島に向かってビームを放つ。
「おっと、危ないな」
谷島は目を腕で庇いながらそれを避けたが、ビームが当たった場所は焼けておらず、ただの強い光だったことを感じ取る。
「ちょっと、おじさん年なんだから無茶させないでよね」
恐らく本命の攻撃であろうヒレを回転させながら突っ込んでくるメカふくちゃんに向けて、谷島はコートの袖を犠牲にしつつも咄嗟の一撃で零距離射撃を撃ち込む。
物言わぬ骸になって落ちたそれを邪魔にならないように蹴り飛ばすと、後続のメカふくちゃんが大量の毒針を飛ばしてくるが、リロードいらずのブラスター銃で全て撃ち落としていく。
「でも、なめてもいけないよ?」
格好つけて銃口に息を吹きかける頃には目の前にいたメカふくちゃんは大量の銃創を作って沈黙した。
【歌が導く幻劇場】の中にいたメカふくちゃんを排除し尽くしたジオレットが壁を解除し、谷島に駆け寄って頭を下げる。
「すいません、囲い残しを排除していただいて」
「いいのいいの。この程度ならおじさんでも余裕だよ」
余裕と言いつつも額に滲んだ汗を拭った谷島は息を吐いて遠くの方を見た。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『殺刃人形・剛剣の轟郎丸』
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POW : "遍ク断チ斬ル、火ノ構エ"
【防御ごと断ち斬る上段斬り】が命中した対象を切断する。
SPD : "柄当スラモ、殺撃ニ至ル"
【衝撃が防御を突き抜ける、大太刀の柄】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : "剛ノ受ケ、鎧当タリ"
対象のユーベルコードに対し【鎧を叩きつけるような体当たり】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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見つけた尖兵を全て壊し尽くした猟兵達が生物準備室にポッカリと開いていた穴の中に突入すると、中には大量の蒸気機関で動く工場が広がっていた。
ベルトコンベアで流される部品が、自動で動くアームによって組み立てられ、スチームドローンやメカふくちゃんになっていく様子をはるか上から眺めさせられた猟兵達は階下に行くための方法を探す。
そんな中、侵入者に気づいた一体の用心棒が静かに刀を引き抜き、迎撃に動こうとしていた。
セレスティア・ナイトリー
ここが敵の本拠地で、あの鎧人形が番人というわけですね。
今までの戦闘データは敵に知られているものと考えましょう。
既に見せた手は使いません。
そして巧遅より拙速、スピード勝負です。
「通常戦闘プログラム起動、電撃戦モードにて一気呵成に敵を討つ」
会敵即突撃し、全武装を合体させての最大の一撃である【鉄機重破斬】を放つ。
たとえ外したとしても工場の一部にでも被害を与えられれば僥倖。
「ここが敵の本拠地ですね」
眼下に広がる工場をセレスティアは念入りに見学者専用っぽい高所にある通路から観察する中、向こうの方から1体の鎧武者が金属を鳴らしながら歩いてきた。
『お主、この工場に何用だ?』
「……あなたは」
『我はこの工場の守護を任されている物。今宵は見学者の予定は無かったはずだが?』
そう言いながら鎧武者は大太刀をゆっくりと引き抜く。どうやら口では確認しつつも、侵入者であることは一切疑っていないようである。
口先では回避できなさそうなことを察したセレスティアは表情一つ変えずに肯定した。
「そうでしょうね。私達はオブリビオンを地上に出している要因を潰しに来たもので」
『そうか。ならば案内はここではなくあの世へ詳しい者が必要だな』
そう言って鎧武者は大太刀を上段に構えた。
今までの戦闘データは敵に知られているものと考えていたセレスティアはまだ見せていないとっておきを発動させていた。
「通常戦闘プログラム起動、電撃戦モードにて一気呵成に敵を討つ」
セレスティアの持つ蒸気機関製の武器が纏まり、コードやパイプが複雑に絡み合って巨大な1つの刃へと形を変えていく。
『火ノ構エ、遍ク断チ斬ル!』
鎧武者が振り下ろした斬撃がとっさに動いたセレスティアが立っていた場所に振り下ろされ、鉄板製の床がまるで紙のように抵抗無く裂けていく。
『全兵装の蒸気回路連結を確認、最大の一撃を以て敵を粉砕する』
対して、振り下ろされたのを確認したセレスティアはすぐに攻撃に転換し、鎧武者に向かって突進する。
そして巨大な剣と化した右腕を振りかざした一撃は鎧武者が素早く戻した刃と衝突して火花を散らしたが、それを傷つける前に壊れかけになっていた通路が衝撃に耐え切れずに崩壊した。
バラバラになった鉄板が作業用機械に降り注ぎ、比較的形の残っていた鉄板が作業中の歯車に噛まれる。
異物を感知したことにより運転を停止した機械の真横に、一撃の衝撃で受け身を取ることに失敗した鎧武者が墜落する。
凄まじい音が鳴る中、セレスティアは背部に付けていた蒸気推進器でゆっくりと工場内に着地した。
成功
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ジオレット・プラナス
(他参加者との絡み歓迎)
早めに生産を止めたい所だけど…番人がいるならそうもいかないか。
「工場の警護してるところ悪いけど…
学園と私たちからしたらリコールもクレームもたっぷりなんだ。
…稼働、止めてもらうよ…っ!」
カラーコード・イミテイトのスイッチを入れて…歌い紡ぐのはマザーズウィスパー・イマージュ。
機械にとっては…精々スリープモードを促す程度のものだけど…
強引にでも距離を詰められそうなら、通路を飛び出して空中へ身を投げ出すよ。
『空中戦』の要領で、近くに作業アームなりコードがあれば、それを掴んで落下の制御を試みるね。
「別の世界じゃ、歌手(アイドル)にお触りはノーサンキュー…らしいよ、侍さん?」
アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
【POW】判定
お前どう見てもサムライエンパイア生まれだろこれ…
アルダワの迷宮はホント謎だらけだな…まあ、ぶっ飛ばすだけだけどよ!
敵の攻撃は防御貫通の斬撃、避ける方針で行こう。アルダワ育ちのバイク・ライドランに【騎乗】して敵に接近。斬撃は【見切り】と【騎乗】を駆使して回避を試みるぜ。そして、【エクスプローシブ・ドラゴンライド】を敵の腕に叩き込む!
攻撃後は光の鎖で縛り上げたボスの腕を【怪力】で引っ張り、右腕の【部位破壊】を狙うぜ!
「工場の警護してるところ悪いけど……
学園と私たちからしたらリコールもクレームもたっぷりなんだ。……稼働、止めてもらうよ……っ!」
先ほどの戦闘で壊れた足場から助走をつけて飛び降りたジオレットはスイッチを押したカラーコード・イミテイトで自分の声を全域に届ける。
『きらきら きらきら とおくにひかる、わたしのちいさな、おほしさま……♪』
歌声に呼応するように、ジオレットの体が仄かな光に包まれ、そこから伸びた光がお互いに組み合わさって楽譜のような形に変わっていく。
『ふん、甘いわ!』
第二撃に気づいて素早く立ち上がった鎧武者は、自分に覆い被さるように飛んできた楽譜の網を大太刀の柄で容赦なく吹き飛ばした。
『柄当スラモ、殺撃ニ至ル!』
楽譜をバラバラにしつつも柄から発せられた衝撃波はまだ鎧武者から距離のあるジオレットにも感じられた。
「うわっ……」
体勢を崩されたジオレットは咄嗟に近くに伸びていた荷物を運ぶためのクレーンの鎖に手を伸ばし、抱きついた。
「ふう……」
『女よ、そんな所にしがみついていても無駄であるぞ』
鎧武者が手を振るとクレーンが動き出し、地上へ下り始める。
もしクレーンが着くよりも先に跳び立って逃げようとしてもあの反応速度であればすぐに相手は対処してくるだろう。
着地予定地点へわざとゆっくり向かっているように見える鎧武者に向け、ジオレットは頭の中を回転させながら真顔で呟いた。
「別の世界じゃ、歌手(アイドル)にお触りはノーサンキュー……らしいよ、侍さん?」
『別の世のことなど知らぬ。ここではここの法に従え』
凄まじいエンジン音が響く中、ジオレットを乗せたクレーンの先が地面に着くか着かないかの刹那で、鎧武者は大太刀を素早く斬り払った。
鎖が地面に叩きつけられる音と地面を擦るタイヤの音が辺りに響き渡る。
「別の世のことなど知らぬ、ってお前どう見てもサムライエンパイア生まれだろこれ」
無傷のジオレットを抱きかかえながらドリフトで停止したアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)に向けて鎧武者はゆっくりと視線を移した。
「アルダワの迷宮はホント謎だらけだな……まあ、ぶっ飛ばすだけだけどよ!」
「ごめん、助かった」
『人の果たし合いに水を差すとは……ふざけた真似をしてくれる』
ジオレットを地面に下ろしたアーサーに向けてなのか、鎧武者は大太刀をその場で一振りしてみせた。
「楽譜はダメだったけど、歌を聴いている以上振りは遅くなっているはず」
「了解だ」
ジオレットが耳元でアーサーに囁く一方で鎧武者は挑発しながら刀を構えた。
『……スチームドローンの映像には映ってないか。映すほどの実力もないと見られたか』
「それは、戦ってみてから判断しな」
【Select……DRIVE ACTION!】
『行くぜ、ライドラン! 俺たちの一撃……受けてみやがれ!!』
カードをベルトにかざしたアーサーが一気にアクセルを踏み込んで突進していく。直線的な動きに鎧武者は怯むことなく呟いた。
『遍ク断チ斬ル、火ノ構エ』
迷いの無い一太刀がアーサーに向かって振り下ろされる。
その瞬間、バイクが槍へと変わり、それによって生じた余裕を縫うように、アーサーは身を屈めて刃と地面の僅かな隙間に滑り込む。
地面を叩きかけた鎧武者がすぐに振り返り、突き出された槍を受け止めると爆風が1人と1体を包み込んだ。
『目くらましか⁉︎』
「半分合ってて半分間違っている」
爆風が収まると鎧武者の右腕にアーサーの持つ光の鎖が繋がれていた。
「爆発が効かないとは思わなんだが……実力行使ならどうだ!」
そう言ってアーサーが思いっきり鎖を引っ張るとほぼ同時に鎧武者は大太刀を左手に移し変えて鎖を断絶する。
しかし鎖が千切れるよりも接合部が外れる方が速かったらしく、鎧武者の右腕がガシャンと地面に落ちた。
『能ある鷹は爪を隠す……だったか。やはり雑兵の言うことを鵜呑みにしてはいけなかったか』
鎧武者はそう言って右腕を掴むと何事もなかったかのように外れた場所にはめ直した。
成功
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伊吹・蒼空
「一体だけ?なら、建御雷」
UCを使用。
電脳空間から巨大なメカを背部に召喚して、装着。
装着後にメカが変形。
大口径ビームキャノン内蔵クローアームを肩の上部に左右に一本ずつ、更にシールド装備型重装甲五本指アームを体の左右に一本ずつ展開する
「これで行く」
敵が遠距離にいる場合は、クローアームのビームキャノンと五本指アームの掌内臓の高出力ビーム砲の(一斉発射)で攻撃
「消えて」
攻撃に対してクローアームで敵の攻撃を(見切り)で受け止め、五本指アームの先端からビームソードを発生させ、(カウンター)で切り裂く
隙が出来たところにビーム砲による(零距離射撃)の(一斉発射)を行う
「とどめ」
「一体だけ? なら、建御雷」
てっきり工場内にも大量のオブリビオンがひしめいている物だと思っていた伊吹はつまらなさそうにしつつも何かの名前を呟く。
するとまた伊吹の背後が歪み、現れた電脳空間から装着型武装「建御雷」が召喚される。
小さな部品の塊のように見えた建御雷は両腕を広げて待機している伊吹の背部を噛み付くように広がりながら装着された。
建御雷の変化は装着後も続き、両肩の上部に一本ずつ大口径ビームキャノン内蔵クローアームを、更にシールド装備型重装甲五本指アームを体の左右に一本ずつ展開していく。
「これで行く。……消えて」
伊吹の背面から生えた大量のアームの先にエネルギーが集中し、一斉に階下にいる鎧武者へと降り注いでいく。
『ちいっ……!』
大太刀で斬り払いきれない光線の雨あられに鎧武者は思わず舌打ちをする。
するとまだ無傷のクレーンが突如として勢いよく動き出した。
豪速球のように飛んでくるフックを掴んだ鎧武者はそのままの勢いで宙に浮かんで猟兵3人の包囲網からまんまと抜け出し、伊吹のいる通路へと飛び乗った。
そしてその衝撃を全く感じさせないほど自然な動きで鎧武者は大太刀を右斜め上に振り上げながら走り込む。
伊吹は片方のクローアームで鎧武者の攻撃を受け止めようとしたが、まるでブロックで作った作品かのごとく真っ二つに切り裂かれてしまう。
しかしそれで怯むことなく伊吹五本指アームの全ての先端からビームソードを発生させ、カウンターで鎧武者の前面装甲を斬りつけ、さらにダメ押しで無事な方のクローアームによる発勁で思いっきり弾き飛ばす。
『き、さま……!』
「とどめ」
体勢を崩された鎧武者にビーム砲による零距離射撃の一斉発射が放たれる。
大太刀を構えることが出来なかった鎧武者は全身でその一撃を食らい、再び工場のある階下へと突き落とされた。
成功
🔵🔵🔴
バオ・バーンソリッド
喋りが苦手なので筆談。不採用含め全て歓迎。
階下に突き落とされた轟郎丸に、上から【暗殺】で飛び降り不意打ちしよう。
轟郎丸が倒れている間に全力で攻撃を加える。
立ち直る寸前に【聖魔伏滅剣・壱ノ太刀】から弐ノ太刀、惨ノ太刀に繋げて攻撃。
連撃採用されたとは言え、使用不可と判断されれば壱ノ太刀のみ使用。
(……とにかく出来る限りのダメージを与えられればいいが……)
実力差を考えて轟郎丸が立ち上がった後は崩御と回避中心に立ち回ろう。
隙を見て足払いを仕掛け、成功すれば攻撃する。
とにかく無理はせず、初の実戦は生きて帰る事を目標とする。
重力に任せて墜落していく鎧武者に向けて、1人の女性が後に続くように飛び降りた。
『……聖魔……伏……滅……!』
鎧武者が地面に叩きつけられた瞬間にバオ・バーンソリッド(戦慄のワイルドタフネス!!・f19773)の振るった剣がその胴を叩く。
『む、体が……?』
『……疾……』
金属がぶつかりあう音と共に手が痺れるが、着地したバオはすぐに構えなおして連続の突きを与える。
目に止まらぬほどの速さの突きが、度重なる交戦で綻びが見え始めた装甲を少しずつ削っていくが鎧武者は全く抵抗しない、いや出来ないのだ。
『……この、煩わしい!』
鎧武者が見えない拘束を気合で打ち破る中、バオはさらなる追撃を狙って惨ノ太刀を使い、足払いを仕掛ける。
『……我が全霊の……一撃……!』
激しい斬撃をもろともせず、サイキックエナジーの影響から逃れて立ち上がった鎧武者が上段に大太刀を構えた所で、全身を使って振り回される火を纏った一撃が鎧武者のすねをしっかりと捉える。
しかし痛覚の無い魔導蒸気人形は体勢を崩すことなく大太刀を振り下ろしてきた。
すねに当てた衝撃に逆らわないことで体を飛ばし、鎧武者の斬撃から辛うじて逃れる。鎧武者は必殺の一撃を避けられても余裕そうに、大太刀を一回振りなおした。
『娘よ、そなたの速さは見事ではある。しかしその程度では我に膝をつかせることは出来ぬぞ』
久々に叫びすぎたせいか、喉に痛みを覚えたバオはせき込みながら口の中に鉄の味を感じた。
『……過ぎた力は自らの身を亡ぼすとはよく言ったものよ。苦しみぬいて死ぬ前に我がここで引導を渡してやろう』
勝手に哀れみ、結論付けるなと内心毒づきながらバオは口を拭う。反抗的な視線を感じ取ったのか、鎧武者は動かない顔から愉快そうな声を上げて突っ込んできた。
『さぁさぁさぁさぁ、生にしがみつきたいのならばこの斬撃全て避けて見せよ!』
自分の斬撃があまり効いていなさそうなことを感じ取っていたバオは、他の仲間たちがユーべルコードを叩きこむための隙作りと時間稼ぎのための防御と回避を中心にした立ち回りへスタイルを切り替えていった。
苦戦
🔵🔴🔴
源・ヨーコ
後は番人を倒して、生産ラインを止めるだけ!
魔導蒸気人形の番人……
その鋼鉄のボディに拳打が通じるかどうか、試させてもらうっすよ!
〇POW
[鎧無視攻撃]で遠当てを狙うっすよ。
表面に当てた衝撃を内部へ伝え、カラクリ部分を破壊して動きを封じるっす。
そも、接近戦ならお手の物。[野生の勘]と【正義執行】を使って防御力を高め、まずは回避に専念。カウンターで遠当てを入れて、少しずつダメージを積み上げていくっすよ。
「後は番人を倒して、生産ラインを止めるだけ!」
元々魔法学園の生徒であるが故に、スクラップになった源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)は遅ればせながら工場内に足を踏み入れていた。
忙しなく階段を駆け下り、最後の踊り場に差し掛かったところで斬撃を受け止めながら逃げるバオの後を追う鎧武者の姿を捉えた。
「魔導蒸気人形の番人……その鋼鉄のボディに拳打が通じるかどうか、試させてもらうっすよ!」
踊り場から助走をつけて一気に階段を飛び越え、重力による落下速度を生かした拳を声に気づいて振り返ったばかりの鎧武者の胸に叩き込む。
「いっ……だぁ……」
『……何のつもりか、娘よ』
しかし鎧武者の装甲にヨーコの拳の痕はつかず、あまりの体格差に殴ったヨーコの方が吹っ飛ばされていた。
あまりの硬さにヨーコは殴った拳に涙目になりながら息を吹きかける。一方鎧武者は何の工夫もせずに殴りかかってきたヨーコを胡散臭そうな目で見つめていた。
「心臓の辺りを狙ったんすけどねぇ……さすがに全部の人形が人間と同じように作られてはなかったっすか」
『御託はよい、妨害をするなら斬るのみ』
『我、神の名において正義を執行す。汝ら罪なし』
受けたらただでは済まない斬撃を少ない動きで躱し、カウンターで再び拳を振るう。その拳は鎧武者の装甲を捉えたり捉えなかったり、と確実性に難はあったが【正義執行】によって強化された分、痛みを感じることは無くなった。
だが依然としてヨーコの拳は鎧武者にダメージを与えていないように見えた。
『一般の生徒が我に挑もうとすることがそもそもの間違いである』
「それは、どうっす、かね!」
ヨーコがそう言い返したのとほぼ同時に鎧武者の体が突然震え、動きが止まる。そして先ほど取り付けなおした右腕がまた地面に落ちた。
攻撃の手が止まってしまったことに苛つきながらも、拾い直そうと鎧武者は身をかがめようとするが臀部の機構が動かず、腕に届く前で手が止まってしまう。
『貴様……何をした!』
突然思い通りに動かなくなった体を起こした鎧武者は原因とみられるヨーコに怒声を上げる。
ヨーコはわざとらしくファイティングポーズをとると獰猛に笑って見せた。
「悪かったっすね。自分はここの学生っすけど猟兵の1人でもあるんすよ」
何をしたのかは言わず、余裕そうに見せるヨーコに鎧武者は刃の下に自分の足を滑り込ませて蹴り上げると、まだ無事な左腕でそれを掴みとった。
苦戦
🔵🔴🔴
(上部リプレイ修正文)
元々魔法学園の生徒であるが故に、スクラップになったオブリビオン達の片づけをさせられ、何とか終わらせた源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)は遅ればせながら工場内に足を踏み入れていた。(以下同文)
不破・彩雅
はてさて、大変遅れ馳せながら馳せ参じたが……。
もはや大勢は決しているようだな。
では火葬でも執り行うとしようか。
【WIZ】
さて、貴様は体当たりが得意なそうだが……生憎その必要はい。
私のユーベルコードは体内からの発火、貴様もまさか自分の内側に体当たりなどできまいて。
その機械の体、全ての回路を焼き切るとしよう。
その後の工場の破壊は味方に任せるとしようか。
「はてさて、大変遅れ馳せながら馳せ参じたが……」
着物姿でふらりと現れた白い妖狐、不破・彩雅(忠義臣・f19165)は猟兵の攻撃を受け続けてボロボロになってもなお立ち上がる鎧武者の姿を見て、消える前に炎を一瞬だけ大きくする消えかけの蝋燭が脳裏をよぎった。
『次々とドローンが観測していない者が入ってくる……一体上で何をしておったのか!』
彩雅の姿を初めて見た鎧武者は目を赤く光らせて憤慨する。しかし対する彩雅はその言葉を鼻で笑った。
「もはや大勢は決しているようだな」
『すでに勝ったつもりか、調子の良い物だ!』
余裕綽々な態度に腹を立てた様子の鎧武者は体を低くかがめるとその巨体で真っすぐ彩雅に向かって突進してきた。
『剛ノ受ケ、鎧当タリ!』
「では火葬でも執り行うとしようか。『そら、早くせねば内側から燃え尽きるぞ』」
鎧武者を一点に見定めた彩雅が口元を御札で隠すと鎧武者の全身から黒い炎が噴き出してきた。
全容を知らない者が見れば鎧武者が本気を出したようにも見えただろうが、その炎は鎧武者ではなく彩雅が呼び起こした物だった。
「さて、貴様は体当たりが得意なそうだが……生憎その必要はない。私のユーベルコードは体内からの発火、貴様もまさか自分の内側に体当たりなどできまいて」
鎧武者は彩雅の言葉に反応せず、勢いそのままに走り続ける。
そして目を閉じて一、二歩横にずれた彩雅とすれ違っても止まることは無く、奥にあった工業機械に突っ込んだ。
激しい衝突音が辺りに響き渡る中、彩雅は複数枚に増やした御札を扇子のように仰ぎながら振り返った。
「さて、あとの事は味方に任せるとしようか」
全ての回路を焼き切られて完全に沈黙した鎧武者の体内から漏れた炎が延焼し、オブリビオンの部品やそれを大量に組み合わせていた機械が溶けていく。
猟兵達があらためて手を下す必要が無い勢いで燃え広がった炎は工場を焼き尽くし、入口が生成されていた生物準備室に届く前に自然に鎮火した。
こうして魔法学院を襲った機械兵の大侵攻は機械兵の本拠地の完全破壊という形で幕を閉じた。
しかし広大な敷地を保有している魔法学院全体を逐一確認して回るというのは至難の業である。
ひょっとしたらどこかにまだ確認されていない迷宮の入口があるかもしれない、という事実は生徒や教師だけでなく猟兵にもどことない不安感を残すこととなった。
成功
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最終結果:成功
完成日:2019年07月29日
宿敵
『殺刃人形・剛剣の轟郎丸』
を撃破!
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