ヒーローズ・トラブル・リポート~受難の日
#ヒーローズアース
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●ミス・キティの憂鬱
ヒーローズアースに数多ある、ヴィランによる事件とそれを解決するヒーローを報道するタブロイド紙を発行する新聞社。その新人記者であるキティことキャサリンは、新しく買ったばかりのカメラを手に航空機の座席で溜息を吐いていた。
「あああもう、なんで私がこんな目に……」
こうなったのも彼女の上司がそもそもの原因だ。彼女の勤める新聞社は大手に比べて規模も社屋も格段に小さい。勿論タブロイドの売り上げも同様で、会社として存続していられるギリギリの線の上で常に綱渡りをしているような状況だ。上層部はとにかく売れるネタを掴んでこい、と彼女を始めとした記者たちの背中を叩いてくるのだが、いくらヴィランによる事件が多発していてもスクープ写真を撮るにはやはりタイミングというものが肝心らしい。取材も空振りに終わったキティへと上司から送られてきた次の仕事が、地方都市で起きた事件の取材だった。
もしヴィランが関わっていた場合に備えてという事だが、こんな小さな新聞社でも掴めるような情報なら、キティが到着する前にもう大手が取材を終えていてもおかしくない。電話先の上司へ舌打ちしそうになるのをこらえて首から下げたカメラと赤毛のポニーテールを振り回し、シャトル便の受付へと走ったのがもう何時間も前のことの様に思える。
少なくとも、飛行機が空港から離陸するまでは順調だったのだ。
「うふふ、皆さぁーん。当機は今より、目的地を変更してぇ……おっきな街の中心にぃ、私と一緒にダイブしちゃいまぁーす!」
「おーまいがー……」
──ぬいぐるみの形をした時限爆弾を携えた、このヴィランの少女が現れるまでは。
●
ヴィランによるハイジャック事件の発生。甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)が告げたのはそんな内容の予知だった。
「ヒーローズアースで起きた事件の裏には、オブリビオンの影が見える。そしてこのヴィラン、少女の形とて油断はならぬぞ。彼女の持つ愛らしいぬいぐるみの中身は時限爆弾、しかもそれに人並みの知性を与えて使役する爆弾人形使いなのだ」
現場は飛行中の小型航空機。座席は二列シートが縦に五組、機内の左右に置かれて合計二十席。座席はすべて窓側で中央の通路のみが開いた配置となっている。前方のコックピットと後方の添乗員用スペースの間には扉があり、ヴィランがいるのはコックピット側の扉の前だ。もし猟兵たちが機内へ突入するなら、後部の扉にゲートを繋げての奇襲になる。幸いというべきか、乗客の数は十人にも満たないので、あまり派手な立ち回りをしなければ乗客への被害も少ないだろう。
だが、ヴィランを取り押さえるだけでは問題の解決とはならない。
「既にエンジン部分はヴィランの爆弾で破壊されていて、墜落はもはや時間の問題なのである。つまり街への被害も乗客の被害も抑えるつもりならば、飛行機をどこかへ着陸か不時着させねばならぬ」
ううむ、とヒゲをくいくい引っ張って、クヌギはどうするべきか悩んでいるようだ。
「もし外部から何らかの方法で干渉するつもりなら、我輩が周辺で一等高いビルの屋上へと転送しよう。中で自分が飛行機を操縦するという手もあるが、こちらはヴィランの対処をしてからの方がやりやすい筈である」
ヴィランは悪人ではあるが、オブリビオンではない。これから先ヒーローになる可能性も持っている為、殺さず捕まえてほしいという依頼をヒーローアース側の組織から受けている。難しいかもしれないが彼女もまたオブリビオンの計画に巻き込まれた一人。無闇に命を奪うようなことは避けるべきだろう。
「事件を解決すれば、裏で糸を引いていた黒幕も姿を現す筈である。はた迷惑な計画を考えた者をぶっ飛ばし、ヒーローアースに平和を取り戻すのだ!」
おお、そうだ。クヌギはピンと髭を爪で弾く。
「なんでもな、あちらでは猟兵はヒーローと同じくらいメジャーな存在であるらしい。ふふ、もしかするとお主たちの活躍した姿が、どこぞの新聞の一面となるかもしれないぞ。カメラを構えた者がいたらひとつ、撮られてみるのも悪くはなかろう」
クヌギはそう言って笑うと、ヒーローズアースへ繋がるゲートを開くのだった。
本居凪
六月です。初めましてさんもご贔屓さんもこんにちは、こんばんは。本居凪です。
今回はヒーローズアースで、ヴィラン事件を解決しよう!という依頼です。ヴィランなどのざっくりとした情報は以下の感じで。
●
ヴィラン『ドーリーボマー』
・甘ロリ風病みかわ系少女です。包帯ぐるぐる巻きのぬいぐるみを抱えていますが、その中身はすべて爆弾となっています。ティーンエイジャー特有の多感で思い込みが激しい性格です。イメージは『ゴッド・クリエイション』×『トリックボックス』。
『ミス・キティ』
・タブロイド紙『デイリーヒーロー』の新人記者。人間、赤毛のポニーテール、二十歳。まだまだ新米の彼女はスクープを求めていますが、どうにも縁がありません。
彼女にカメラを向けられてもいいよ、という方がもしいましたら、プレイングで『撮影可』と言っていただければ幸いです。無かった場合も、ヴィラン捕縛の瞬間を撮影する予定です。彼女に関しては、シナリオの成功とはまったくの無関係です。
●シナリオの流れ
一章で事件を解決、二章はボスオブリビオンの配下戦、三章でボス戦です。
どの段階でも途中からの参戦を歓迎しています。
ペアもしくはグループでの参加の際は、お名前、ID記載をお忘れなく。もし字数に余裕があれば互いの呼び名、関係性等をちょこっと書いて頂けると、こちらの誤解が少なくてすみます。ステシの口調設定と別に特別な呼び方をしている場合は特に。
それでは、皆様の参加を心よりお待ちしています。
第1章 冒険
『旅客機墜落の危機!』
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POW : 落下してゆく機体を外部から直接押さえる
SPD : コックピットへ行き、ハンドルを握り操縦をする
WIZ : 着陸又は不時着が出来そうな場所を探し、誘導する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セシリア・サヴェージ
機内への転送を希望します。飛行機への対処も必要ですが、まずはヴィランがこれ以上問題を大きくしないよう取り押さえなくては。
機内では剣は危険なので使えませんね。なので【念動力】を使います。ぬいぐるみ型爆弾を無理矢理取り上げてからUC【呪縛の冷気】で凍結させれば起爆を防げるかもしれません。
他の猟兵の方が機体のコントロールが可能ならお任せしますが、無理そうならUC【闇の魔力】でなるべく建物が少ない場所に誘導します。とはいえこれほど大きな物体を操ったことはないので少々不安ですが……。
え、撮影ですか!?わ、私は当然のことをしたまでで……(動揺&赤面)
『撮影可』
●乙女心は爆発寸前
「ふむ、あのスペースで剣を振るうのは乗客にとって危険でしょうか。ここでは念動力を使ったほうが良さそうですね」
扉から客席を観察し、冷静にヴィランへの対応策をセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)は考える。彼女の得意とする剣はこの狭い機内ではデメリットしかない。ならばと彼女は籠手に覆われた手をぐっと握った。
息を整え、機内の扉を開け放つ。
「もう、なんですかぁ、まだ人がいたんですかぁ?」
扉の開く音に操縦席の扉に寄りかかっていたドーリーボマーはゆるゆると、面倒そうに顔を上げた。くるくるのツインテールがぴょんと跳ねて、彼女の頭の左右で揺れる。包帯がぐるぐるに巻かれ、眼帯をつけたぬいぐるみがぴょこんと、抗議するように両手をぶんぶんと上下する。
「うぅぅぅ、なになに、なんなのよー……!」
一方のミス・キティ。情け無い事に座席で頭を抱えて蹲っている。後ろの方で扉が開いたことは分かったが、いかんせん目の前のヴィランは座席を一望できる位置にいるのだ。彼女が何かしようと頭を上げた途端にこっちが狙われるんじゃないかという不安で頭はいっぱいである。
「幼きヴィラン、この飛行機は落とさせはしません!」
「いきなり現れて、なにをいってるんですかぁ? 私のボムちゃんをぉ、なめないでくださぁい。もう、ぷんぷんですよぉ」
セシリアの凛々しい声が機内に響く。キティはヒーローが来たのかと頭を上げようとするものの、ドーリーボマーの苛立ったような声に身体はびくびく、心臓もバクバク。それでも意地でカメラを取り出したが、手の震えが止まらない。
「……そういえば、こんなに機内に冷房かかってたっけ……?」
ひやりとした風がキティの足元を通り抜けた。乗った時は気がつかなかったが、この機内の冷房はまだ初夏であるにも関わらず、やけに涼し過ぎる気がする。キティがそんなことを思っている間にも、セシリアは少しずつヴィランへと近付いていく。
「そうですか、ならば実力行使といきます」
「っ、に、にらんだってぇ、無駄ですよぅ!!」
セシリアの銀色の瞳が、鋭くドーリーボマーを睨むんだ。黒い鎧が放つ闘志は対峙する者の心へ恐怖を呼ぶ込む。闇の力を行使し悪を斬り続ける彼女の放つ気合に、年若いヴィランの少女は一瞬怯んだ様子を見せた。
「ボム、ボムっ、あいつもばぁんってやっちゃって……ぇ、えっ?」
フリルスカート翻し、振り上げた少女の手から離れていくぬいぐるみ。だがそれはドーリーボマーの能力ではない。その証拠に少女はひどく取り乱している。
「なんで飛んでいっちゃうのぉ……あ、あなたの仕業ですねっ?!」
「ええ、その通りですよ。それは危険なので、取り上げさせて貰います」
念動力を操り、ぬいぐるみ型の爆弾をヴィランの手から取り上げたセシリアは、左手から放出した【呪縛の冷気】で凍結させる。可愛らしいぬいぐるみは氷の中、爆発させてもその衝撃は、氷が飛び散るだけにしかならないだろう。まだ不利を認めないドーリーボマーは隠し持っていたぬいぐるみを次々に取り出すものの、どれもセシリアの念動力によって没収され、凍らされてしまう。
「投降しなさい、今ならまだ、あなたを縛る程度で済みます」
「いやですよぅ! 私は誰にもつかまりませんからぁ!」
「……仕方ないですね」
子どもには優しくしたいと思うのだが、多少のお灸は据えておくべきだろうか。
耳を貸さない様子のドーリーボマーに溜息ひとつ漏らしてセシリアがその左手を彼女へかざせば、黒い冷風が足元から少女の華やかなドレスの布地を凍らせていく。ものの数秒で少女の足と腕は冷たい氷に包まれ、かろうじて首と顔だけを残して全身凍ってしまったのだった。
「では、飛行機が着陸するまで少し大人しくしているように」
凍ったまま睨みつける少女と目を合わせてそう言い聞かせる。その力を正しく使えれば、ヒーローと呼ばれるのだろうが、彼女が改心するにはまだ時間が必要そうだ。そのまま操縦席の様子を見ようと扉に向かうセシリアを呼び止める声があった。
「あの! あの!」
「心配せずとも大丈夫です、この機体はすぐに着陸させますから」
「いえそうではなくって、しゃ、写真を撮ってもよろしいですか!!!」
いつの間に席から飛び出したのか、ミス・キティはカメラを手に興奮した様子で、目を輝かせてセシリアに撮影を求める。セシリア自身、流石にこうも盛大に称賛を受けることはあまりなかったせいか、鬼気迫るミス・キティの勢いには先ほどまで凛々しく戦っていた黒鎧の暗黒騎士も圧され気味である。
「え、撮影ですか!? わ、私は当然のことをしたまでで……!」
「いいえ、あなたは私にとって命の恩人です! ヒーローです! ついでに私の記者生命も救うと思って、お願いしますー!!」
涙声の懇願とそのきらきらした瞳に根負けして、セシリアは数秒だけならと、ミス・キティのカメラに向かって照れたように控えめな様子で笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
永門・ひかり
アド可撮影可
『』マスクの声
「」ひかりの声
『じゃ、今回の事件もいってみっかァ。何かあるかひかり?』
「うん。ゴッドスピードライドの速度に、スーパージャスティスの飛翔能力と速さを相乗して空を翔ける。
それからありったけの戦闘力増強を込めて、墜落する機体を外から持ち上げて支えながら、安全に着陸できる場所まで走るんだ」
『成る程な、ひかりの案、オレもビックリの脳筋正義だが上等だ!!』
「出来るよねメテオラ!行こう!!!」
例え一人じゃ、歩くことすらままならない僕も。『メテオラ』となら、一筋の流星にも、無謀なスーパーヒーローにもなれる。
キャスケット型の相棒を深く被る。
エンジンが唸りを上げ、
二人は空へと疾駆する
雨音・玲
◆空が黒く染まる時
俺は一等高いビルの屋上へと転送して貰い
黒煙を上げながら迫る旅客機を厳しい表情で見つめ
おもむろに手を空に上げUC『群れなす黒影』で『烏の大軍』を召喚!!
UC『月夜の烏』+『スカイステッパー』+『スキルマスター「クイック」』の合せ技で、自身の両腕を烏の翼に変え、大軍を率いて旅客機に向かって飛び立ちます。
更に移動中にも、相棒の「八咫」を中心に
「動物使い」「動物と話す」で街中の烏たちにも協力を仰ぎ
群れの数をどんどん増やして行きます。
『機体を烏たちで下から持ち上げて安全な場所に不時着させる作戦』
「行くぜ!みんな!!街を守るぞ!!俺たちの底力見せてやろうぜ!!」
●We・Can・Fly
空の上でヴィランが捕縛された一方。
高い高いビルの上には、二人のヒーローがいた。
永門・ひかり(メテオラ・f19090)とキャスケット帽型ヒーローマスクのメテオラは空を見上げ、その横で雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)が厳しい表情でゆっくりと高度を下げていく飛行機を見つめていた。
小型とはいえそれなりの大きさの飛行機。その機体が落とす影と爆破された箇所から伸びる黒煙で、今や都市の空は真っ黒に染まっていた。
玲はおもむろに、空へと向かって手を上げる。
「悪りぃな、ちょっと働いてくれっか?」
赤い瞳の鴉の声に【群れなす黒影】が呼応する。玲の声を聞き届け、バサバサと羽音を響かせ現れたのは烏の大軍だ。呼びかけに集まった烏たちをぐるりと見渡して、お調子者の先導者は翼に変えた自分の両腕を大きく広げる。八咫の名を持つ烏が一羽、その肩から空へと舞い上がり、烏たちが鬨の声を上げた。
『へっ、こらまた大層なデカブツだぁな。どうよ、ひかり』
「うん、大きい。でも君と僕なら、きっと支えて走れるさ!」
頭上から聞こえる斜に構えた声に、自信たっぷりの声でひかりも返して、ブーツを履いた義足でカン、と宇宙バイクのフレームを叩いて見せる。黄金のオーラをハンドル握る手に纏ってみせれば、ひかりが詳しく語るまでも無く、頭の上に座す相棒は自分の意図をちゃんと理解してくれたらしい。
少しの間を置いて聞こえてきたのは呆れた様な、馬鹿な奴だと言いたげな、だがそれでこそだと信頼に満ちた声。
『あー。あー……ったく、ちょいとオレもビックリの脳筋正義だが、上等だ!! やってやろうじゃあねぇか!』
「だよね! 出来るよね、メテオラ!」
やっぱり彼は最高の相棒だ。例え一人じゃ、歩くことすらままならない僕も、『メテオラ』となら、一筋の流星にも、無謀なスーパーヒーローにもなれる。
しっかりとバイクの重量を支えているひかりの両脚から下にある筈の感覚は無い。だが彼がいるのなら、鉄の棒になったひかりの脚は、どこまでだって無限に進んでいける宇宙一の脚になるのだ。
お前はただ前だけを見ろと心で叫ぶ流星に、ひかりは己の身を委ねる。
「行こう!!!」
「行くぜ、みんな!! 街を守るぞ!! 俺たちの底力見せてやろうぜ!!」
甲高く、エンジン唸るエキゾーストノート。けたたましく、劈く烏の高声。
疾駆する流星と赤い瞳の烏による騒々しき重唱が都市の空に広がった。
空へ、空へ。
駆けるバイクは正義の神速。誰にも追いつけないアキレウスの勇ましさ。
空を、空を。
翔ける翼は群れの先駆者。街の鳥を更に迎えて、拡大する群れを束ねる八咫烏。
飛んで、飛んで。向かうは飛行機、傾き始めたその機体の下へ。街中から集まった鳥たちが、鉄の鳥の墜落を体でもって支えて浮かす。
その群れに垣間見える黄金は、星の光。どちらも足りない力を補い合って、烏と星が、鉄の鳥を広い大地へ向けて運んでいく。
走れ、走れと、飛行機を支える二人に都市の人びとは見上げて祈る。
機体を支える彼らによって、墜落の速度は緩やかになりつつある。
だが、着陸のできる安全な場所までは、まだ遠かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
ビルの屋上に転送を願う
飛行機を見るのは初めてかもしれませんね
まるで巨大な鉄の鳥
それをなんとかしないといけないわけですか
【追憶の星】を発動
古き記憶より赤きドラゴンの姿を思い出しその姿に変身する
他の方々のお蔭で飛行機の落ちるスピードは緩やかなはず
だから竜の足で飛行機を掴むのも容易いでしょう
中には乗客達がいますが、きっとカガリが避難をさせているはずです
しかし彼はそのままですから、できるだけ揺らさないように気をつけます
運びつつ空から【情報収集】
この鳥を置くに相応しい広い場所はあるでしょうか?
着陸後、中の様子を確認しよう
揺らさないようにしたとはいえ、大丈夫でしょうか?
『撮影可』
出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と
ひこうき、を。見るのも乗るのも初めてだが…
カガリは機内に送ってくれ
確か、機内全体へ声を届けられるらしいので
それで、猟兵が必ず安全に助けるので安心して欲しい、と伝えて欲しい
その後は、外からステラに支えて貰いながら、
【亡都の紋章】へ乗客と乗員を触れさせ、【夢想城壁】へ避難を
いいと言うまで、出口の城門を通るなよ
(ヴィランへ)お前は、念の為ここだ
そもそもだ。これが落ちたら、お前もすごく痛いのだぞ?
たぶん、微妙に即死はできずに、とても苦しむ
それともなにか、痛いのが好きなのか?
(【籠絡の鉄柵】で拘束したまま機内に。着陸後一緒に脱出)
ステラに運ばれ、着陸後に紋章の人々を解放
(撮影可)
●昼空に護り星は輝く
鳥たちに支えられて都市の空をゆっくりと進む飛行機を屋上で見上げて、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)はゆっくりと瞬く。
「飛行機を見るのは初めてかもしれませんね」
両翼を広げて浮かぶ姿はまるで巨大な鉄の鳥。自身の本体を思い浮かべて、比べるのも意味が無いほどに大きな鉄の塊が空に浮かんでいるのをまた見て、それをなんとかしないといけないわけですか、とステラは苦笑を浮かべた。
「この身に纏うは幻影の記憶。過ぎ去りし者の在りし日の姿──」
白き騎士は胸に手を当て、蒼い瞳を閉じる。忘れていない、遠いあの日に見たものをまた思い出す為に。かつての貴方と見たものを、今の我が身とする為に。
【追憶の星】が輝いて、そこへ現れるのは一頭の赤きドラゴン。巨大な体、鋭い爪を持つけれど、彼女の優しい碧玉だけは変わらない。ステラは都市の空へと飛び立ち、尚もゆっくりと墜落を続ける飛行機へと羽ばたいた。
飛行機を支えていた鳥たちも、突然の見知らぬドラゴンにはさぞ驚いたことだろう。しかしその存在が害を成すものではないと自然に悟ったのか、ドラゴンとなったステラが近づいても鳥たちが逃げ去ることは無かった。ステラはそのままドラゴンの足で飛行機を上から掴んで、その重みにややバランスを崩しながらも翼を羽ばたかせ、ステラは飛行機の水平を保っていた。
「中の彼はきっと上手くやっているでしょうけれど、揺らしたりはできませんからね。さて、この鳥を置くに相応しい広い場所はあるでしょうか?」
足元の飛行機のスケールを収められる公園か道路。上空から都市を見下ろして探しながらもステラは、飛行機の中にいるあの菖蒲色の瞳を心に思う。
「ひこうき、を。見るのも乗るのも初めてだが……」
鉄の鳥の外、一瞬揺れた振動を機内のシートに掴まってやりすごしながら、出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は窓の外に目をやった。窓越しに見える都市は小さな模型のようで、それだけ自分が高い所にいるのだと改めて感じさせる。
「さあ、猟兵が来たぞ。ここにいる全員、必ず安全に助けるので安心して欲しい」
カガリは機内にいる乗客へと向けて、転移してくる前に伝えた言葉を再度伝える。犯人のヴィランが既に捕縛されていたこともあってか、乗客は比較的落ち着いている様子で、張り詰めていた緊張が解かれて脱力した様子の乗客と乗員たちに、カガリは亡都の紋章を触れさせていく。約一名はやけに感動した様子でカメラを手にしていたが、あとでなら、と言い含めればしぶしぶとだがカガリの指示に従ってくれた。
「大丈夫だ、着陸するまではこの黄金の城壁がお前たちを守ろう。だがいいと言うまで、出口の城門を通るなよ」
──守るべきものを我が内へ。往くべきものを我が外へ。
【夢想城壁】の向こうへ全員を送り出したカガリはさて、と振り返る。そこには凍らされたままのヴィラン、ドーリーボマーがぷぅっと頬を膨らませて、一番前の座席に座らされていた。
「なーんですかぁ、お兄さん。ここまで邪魔してくれちゃったのはもうおこです。おこのおこですぅ、その顔もあの顔も、みぃーんな覚えましたからねぇ!」
「お前は、念の為ここだ」
その言葉にドーリーボマーはさらにむくれる。ぽっぽと沸騰する薬缶のようだと思いつつ、カガリは言葉を続けた。
「そもそもだ。これが落ちたら、お前もすごく痛いのだぞ? たぶん、微妙に即死はできずに、とても苦しむ。それともなにか、痛いのが好きなのか?」
「うふふ、おっかしい、私は大丈夫ですよぉ? だって大丈夫って、私だけはなんとかするからって、言われましたもん。だから大丈夫なんですよぉ?」
「……言われた、誰にだ?」
「言う訳ないでしょぉ、内緒のお約束なんです、誰にもいっちゃダメなんですぅ」
ぷい、と少女は顔を背ける。もうこれ以上は話すつもりもないのだろう。カガリは彼女の手足の氷は残しつつ、篭絡の鉄柵でドーリーボマーを拘束する。宙を泳いで近付く頭の無い黒い魚の骨にぐるぐると巻き付かれた少女は観念したのか、座席の背もたれへ深く身を沈めた。
飛行機の四角い窓の外に見える都市の光景は、カガリの知らないものである。少なくとも、あの黄金都市とはまるで違う。カガリが背の高いビルが煩雑に並ぶ風景を興味深く見ていると、徐々にこちらへ近づいてきているような気がしてくる。
「あ、いや。実際に近いのだな、これは」
ならば彼女は上手くやったらしい。ビルが少なく、緑の増えていく都市の景観を確認したカガリは機内の天井を見上げて小さく笑った。
●
「お疲れ様だ、ステラ」
「カガリ。──こちらこそ、お疲れ様、だ」
ドラゴンとしての形を解いて息を吐くステラへと、カガリは声を掛ける。彼らの後ろ、燦々と日が射す緑の芝生の上には無事の生還を喜ぶ乗客たちの姿があった。ヴィランの少女もヒーローアースの警察が責任を持って収監所へと連行するらしく、飛行機墜落の危機もハイジャック事件もひとまず解決といったところを見て二人は微笑みを交わしあう。
「あのう、ええと……良い雰囲気のところ、すみません……」
「ああ、カメラの。すまないな、無事だったか?」
「お陰様でこの通り、怪我ひとつありません!」
背筋をびしっと伸ばして、ミス・キティは敬礼する。そして自分たちを助けてくれた猟兵たちの写真を撮らせてはくれないかとお願いしているのだと話す彼女からの頼みにステラもカガリも、顔を見合わせてから頷いた。
「ありがとうございますっ、皆さんのお陰で私、これ以上ないくらいに過去最高の記事が書けそうです!!」
初スクープの喜びにほろほろと泣きそうなキティを宥めながら、何かポーズを取りましょうかとステラが尋ねる。その言葉に二人の顔、その服装を見て、ミス・キティは顎に手を当てぶつぶつと何かを呟き出す。
「……さっきのバイクの子でジュニア層への人気は確保できそうだし……美男子二人なら絵的にも映えるし、女性層の購買力を舐めちゃいけないわよね……」
うんうんと頷いて、カメラを構えるミス・キティ。その目はターゲットを前にしたスナイパーの如くに栄光の未来(大増刷)を見据えて情熱に燃えていた。
「それでは飛行機を背に……そうです、その感じで、もう少し目線こちらへ!」
増えていくキティからの注文にやや固い笑顔のカガリと微笑むステラ。
物語から飛び出した騎士のような二人の姿を、仔猫のカメラが切り取った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『サラリーマン』
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POW : シークレット・ガン
【手に持つアタッシュケースに内蔵された兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : エンシェント・マーシャルアーツ・カラテ
【カラテ】による素早い一撃を放つ。また、【武器を捨て、スーツとネクタイを脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 情報解析眼鏡
【スマート・グラスで敵の情報を解析し、】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●アテンション・プリーズ・イェーガー!
気付けば、着陸させた飛行機の周りにざわざわと野次馬が集まりだしていた。この公園からオフィス街が近いのか、どこを見ても同じ黒いスーツのサラリーマンばかりだ。公園には場違いな飛行機を取り囲むように見ている彼らは皆、銀色のアタッシュケースを手に、どこかへ電話を掛けている。
……電話、だろうか?銀色の端末は無骨すぎて、スーツの男たちが持つには少し違和感がある。そのまま一人が耳元へ当てていたそれをおもむろに投げ捨てる。
投げ捨てられた銀色の端末がどかんと、派手な音を立てて爆発した。
平和な空間を切り裂いたその音に誰かの悲鳴が上がる。
そして爆発音をきっかけにサラリーマンたちが一斉にその手にしたアタッシュケースを猟兵へと向け、ガコン、ジャキン、と金属音が響いたかと思えば、開かれたアタッシュケースの隙間から覗く黒光りした銃口が猟兵たちを捕捉していた。
「初めまして、猟兵たち。今回のプランは完遂とはなりませんでしたが、まだ挽回の可能な範囲。これよりプランの障害である貴方方をオミットさせて頂きましょう」
眼鏡を掛けた男が一歩、前へ進み出る。
にやりと笑う男の目は、蛇の様に狡猾な光を宿していた。
出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と
武装もしていないひとの前で爆発とは
服装的に見分けにくいのが憎らしいが、早めに野次馬を隔離せねば
ぷらんとかおみっととか知らんが、
お前達より優先すべきことがあるのだ、こちらには
【錬成カミヤドリ】で【鉄門扉の盾】を複製、自衛用の数枚を残して野次馬達への防御に回すぞ
柵状の門なので、視界もさほど遮らんだろう
ステラの活躍が見えるように、
しかし身の危険にならん程度に遠ざかるように盾で誘導しておくな
【不落の傷跡】が、攻撃を防いでくれる
こちらへの攻撃は【拒絶の隔壁】と念動力も使って盾を操りながら、防御を固めて複数の盾で反撃していくぞ
ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
あの銀の箱はなんでしょうか? 魔術道具の類?
なんにせよ……油断をしてはいけない相手だな
まずはカガリに任せようか
行動をサポートしつつ攻撃を剣で【武器受け】して受け流す
一般人はカガリが守ってくれるとはいえ早めに片付けよう
【真の姿】に変身し【高速詠唱】で【全力魔法】を剣に【力溜め】
人々の安全を脅かすお前たちの存在を我々は許しはしない!
声高々に宣言し周囲の人達を安心させるよう【存在感】を持って
この世界のヒーローのように【演技】し【鼓舞】しよう
そうすれば少しは我々を応援してくれる人達が現れてくれるはず
その声援を【祈り】を力に変えて我が剣に
【願い星の守護剣】にて敵を倒しましょう!
●ヒロイック・フォーメーション
公園に響く爆音に集まっていた人々は浮足立ち、我先にと逃げ出そうとする。その人の波にスーツ姿のサラリーマンは影のように紛れ、猟兵たちの目からその姿を隠した。
「武装もしていないひとの前で爆発とはな、服装的に見分けにくいのが憎らしい」
人混みに隠れた奴らの動きも気になるが、早めに野次馬を隔離しなければこちらの戦闘に巻き込んでしまうかもしれない。カガリは両手を芝生へ向けると、ぐっ、と掌に力を込める。イメージするのは、扉であり、門であり、盾である。ややあって、芝生の上に勢い良く飛び出した鉄門扉の盾が逃げ惑う群衆とカガリたちを隔絶する。
カガリの周囲にも数枚を残し、簡易ではあるが防壁となったその柵状の門からは、彼ら野次馬にも猟兵の戦う様子がよく見えることだろう。
「よし、盾の準備は出来たぞ、ステラ」
そう言って顔を上げれば、白銀の鎧がひとつ頷く。盾を乗り越えて、上空から黒い影が四方八方から襲いかかってくるのを見ても、その鎧騎士は──ステラは堂々と立っている。その太陽の光にきらめく白銀の鎧と、はためく蒼いマントは、正に。
「人々の安全を脅かすお前たちの存在を我々は許しはしない!」
「ヒーロー、」
アタッシュケースに隠された銃から発射された弾丸を剣で弾き、高らかに宣言したステラの声に、隔てられた門の向こう側で誰かがぽつりと呟いた。
黒いスーツの集団がぐるりと取り囲めば、その清廉な白さはより観衆の目を引く。彼女は自分がこの世界のヒーローだと思わせるようにはっきりとした動きで剣を構え、カラテで挑んで来るサラリーマンの拳を剣で受け流す。
「流石は猟兵と言ったところでしょうか、この数を捌くとは、ね」
にやりと笑うあの男。首から下げた社員証には『主任』とあるが、おそらくはそれも普通の会社員を装うカモフラージュの為の模造品なのだろう。『主任』は銀色のアタッシュケースを武器にして、ステラの剣と打ち合っている。
(あの銀の箱はなんでしょうか? 魔術道具の類?)
知識の薄いステラには未知の物品。だが先ほど、その銀の箱から伸びた黒光りする筒から火薬が出たと記憶している。
「なんにせよ……油断をしてはいけない相手だな」
ならばあの箱の近くに居過ぎては危ないかと考えた瞬間、再び箱の側面が開いて、顔を出した円筒の、その先端から火花が散った。キィン!と、硬い金属の弾かれた音は、ステラが剣で斬り払ったからではない。彼女の輝く鎧を守るように浮かぶカガリの盾が銃弾を弾いた音だ。間に合ったことにふうと息を吐くカガリとその盾を、蛇の目は好奇の視線で見る。
「おや。随分と頑丈な盾ですねえ、真に厄介、厄介!」
「その輝きに、傷は一つとしてつけさせないぞ。まったく、ぷらんとかおみっととか知らんが、お前達より優先すべきことがあるのだ、こちらには」
「こちらの技術を上回るその盾の材質を調べたいところではありますが、協力はしてはもらえないのでしょうねえ、残念なことに」
「当たり前だ」
ニコニコと営業スマイルを崩さない主任に、カガリは呆れたような声音で返す。そもそもの話。いかなる脅威も拒絶する彼の意志が盾をより堅固にするのだから、材質などは関係が無い。益体の無い会話はこちらの気を引く為だったのか。右から迫るスーツの蹴りをカガリは盾で受け、その衝撃を突き返すように殴打する。並んだサラリーマンが一斉に放った銃弾はカガリが手元へ引き寄せた盾で弾き返し、その盾の後ろを走るステラの剣が、アタッシュケースを持った彼らへと迫る。
「ヤアッ!」
振り抜いたステラの剣に吹き飛ばされるサラリーマンたちだが、そこに主任の姿は無い。彼らを盾に避けたかと、この混戦模様の戦場を把握しながらステラは考えた。だがいくら数が多くとも現状は決して劣勢ではない。それは隣に信頼する彼がいるから、というだけではなくて。
柵の盾の向こう側、猟兵たちの活躍を見た群衆たちから歓声が挙がる。スーツ姿のサラリーマンが吹き飛ばされる度、その声は大きくなっていた。
オブリビオンと戦う英雄に送られる声援は、彼らの勝利を信じる声だ。
「がんばれ! 負けるな!」
「お兄ちゃんたち、がんばってー!」
「あいつらなんて、倒しちゃえっ──ヒーロー!!」
信じることは祈ること。輝く星に祈りが届き、星の光が剣に宿る。
「我は願い叶える星。祈りを守護する、剣!」
輝く剣の一撃がダークスーツを吹き飛ばす。
人々の祈りが与えた力が、決して弱いはずは無い。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セシリア・サヴェージ
あなた達が黒幕というわけですか?この世界からオミットされるのはあなた達です。大人しく斬られなさい。
あの物騒なアタッシュケースが敵の主兵装のようですね。まずはあれに対処します。
UC【闇の魔力】を使います。【オーラ防御】で攻撃を防ぎながら、先程ヴィランに使ったものよりも強力な【念動力】でアタッシュケースを【吹き飛ばし】たり破壊したりして攻撃手段を奪います。
そうなれば最早勝敗は決したようなもの。我が暗黒剣で骸の海への引導を渡して差し上げましょう。
●ブラック・ソード・オペレーション
「あなた達が黒幕というわけですか? この世界からオミットされるのはあなた達です。大人しく斬られなさい」
「これは手厳しい。ですがこちらもビジネスですので、斬られるのは遠慮致します」
スーツの腕から投げられた銀色の小型爆弾がセシリアの周囲で小規模の爆発を起こす。見るからに強大な彼女の暗黒剣を敵は警戒しているのだ。遠距離から囲むように、セシリアへとアタッシュケースの砲火が集中する。銃弾を防ぐ彼女のオーラが無ければいくら剣を振ろうとも、数の暴力で一方的に攻撃されるだけだったろう。オーラは三百六十度から襲いくる銃弾を弾き、火花が散った。
セシリアはオーラで銃弾を防ぐ傍らで彼らの持つ銀色のアタッシュケースを観察する。セシリアへと向けられた敵の主兵装のアタッシュケースは連射性能に優れているのか、銃口からその火が途切れるタイミングは一瞬しかない。厄介なものだと眉をひそめて、セシリアは剣の柄を握る手に力を込める。
「阻むのならば容赦はしない。暗黒の力を思い知るがいい」
ズ、と【闇の魔力】が彼女の体から引き出され、視界に入ったサラリーマンたちの手元へ走る。銃撃の閃光に対するように放射された不可視の黒い魔力は銀色のアタッシュケースを包み、彼らの手元から勢いよくアタッシュケースを弾き飛ばす。
「チ、……回収急げ、誘爆には警戒せよ!」
「回収はさせません、回避も無駄です!」
シークレット・ガン、銃の隠されていたそのケースをセシリアは暗黒の波動で掴み、握り潰すようなイメージに意識を集中させる。
サラリーマンたちの手から吹き飛ばされたアタッシュケース。そのメタリックな銀色と四角いケースはバコ、ベコン、と押しつぶされたように凹んでいき、大きな音と共に爆発した。
「我が暗黒剣で骸の海へと、帰りなさい!」
攻撃手段を無くした集団へと、一斉攻撃が止まって動けるようになったセシリアが飛び込み、その大きな暗黒剣を振り回す。集中攻撃を受けたそれまでの我慢を解き放つように、黒き嵐のような斬撃が彼らを文字通り吹き飛ばしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと
「さすがマニトゥは人混みでも目立つね」
先の2人が戦っている間に【目立たない】で近づく。
変装マスクをつけているよ、この世界ではその方がウケが良さそう。
一般人に紛れ込まれたらややこしいから、見分けがつくようにしないとね。
【アート】で君にマーキングしてあげよう。
塗料は君の血だよ。【串刺し】。
さっきスーツが飛ばされていたので白いシャツはさらに目立ちやすいね。
※アドリブ大好き大歓迎。追加省略ご自由
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加するのじゃ。
レニー殿(f00693)と連携。
うむ、マニトゥの綺麗な毛並みは遠くからでも良く分かるでな。
じゃが、こういう事も出来るのじゃよ?
【風精霊のベール】使用して姿を消す。レニー殿を同乗させ【目立たない】ように敵に近づく。
接近後、レニー殿が攻撃を開始したら、【援護射撃】で敵をけん制するかの。(姿をくらました状態で『サラリーマン』を奇襲して回る)
マニトゥ、レニー殿が敵に目印をつけてくれたようじゃな。
目印のある敵から順に仕留めてくれぬか?お主の牙の鋭さを教えてやるのじゃ。(騎乗+目立たない+動物使い)
※連携・アドリブ歓迎
●ビースト・ザ・レッドライン
ごう、ごうと風を切る。踏みつけた芝生の緑が舞う。
ガル、グル、獣は唸りを上げて、敵へと吠え掛かる。
変装の為に目元を隠す黒いマスクをつけた琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)とエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)、【依頼掲示板前広場】の二人がエウトティアの使役する巨狼マニトゥの背に乗って戦場を駆けて行く姿は背広姿の多い芝生の上では大いに目立つ。
「さすが、マニトゥは人混みでも目立つね」
「うむ、マニトゥの綺麗な毛並みは遠くからでも良く分かるでな。じゃが、こういう事も出来るのじゃよ?」
狼の毛並みから匂い立つ大地の息吹を感じつつ自分の後ろに座るれにの言葉に頷くエウトティア。彼女はふふんと得意げにマニトゥの硬くも芯には柔らかさのある毛並みを撫で、精霊への祈りを捧げる。
「風の精霊よ……隠秘のベールで覆い隠しておくれ」
エウトティアとれに、巨狼の背中に乗る二人を【風精霊のベール】が包み、その姿をサラリーマンたちの目から隠す。敵の多い中、スマートグラスで観察されていた二人が透明になってもすぐに存在が露呈せずに済んだのはこの戦場で他にも戦っている猟兵がいたからだろう。目前に立ちはだかった対処すべき明確な存在が、敵の意識を透明になった二人から逸らす一因ともなっていた。
カガリの盾によって一般人のいる場所と隔てられているとはいえ、黒い背広の男たちの中には猟兵との戦闘で一般人へ偽装する為のその黒い装甲を剥され、白いシャツにネクタイのラフな格好になっている者もいる。お昼休みのサラリーマンとでも言おうか、戦闘で受けた負傷や破れた衣服を無視すればそのまま人混みに紛れてしまえそうな恰好の彼らを見て、れには刀身にルーンを刻んだ細身の剣を抜き放つ。彼女は白銀色の輝きをまっすぐに敵へと向けて、揺れる狼の背の上で意識を研ぎ澄ませた。
「一般人に紛れ込まれたらややこしいから、見分けがつくようにしないとね。白いシャツに君の血は、とてもよく目立つことだろう」
王子様のように細剣を構えたれにの紫色の瞳が見開かれ、その瞳は真紅に染まる。走る狼の背から闇を纏う銀色の疾風が吹き付けて、サラリーマンの白いシャツに咲く赤い花はれにの与えた目印だ。攻撃を受けた者が咄嗟にアタッシュケース・ガンの銃口を向けるも、既にそこにマニトゥはいない。
「レニーの殿の剣、マニトゥの速さ、わしの弓矢、はたして捉えきれるかのう!」
金髪を向かい風に逆立てて、エウトティアの赤い瞳がにまりと笑う。つがえた矢は彼らを牽制し、足を止めた彼らの腕にれにの剣が傷を与えていく。エウトティアはその赤い花を見据えて、己が聖獣へ耳打ちをする。
「さあ、お主の牙の鋭さを教えてやるのじゃ、マニトゥ」
風の奥で吼える声は短く、だが力強く。疲労の重なる身体が振り落とされないようにその身を彼へ預けるエウトティア。背後に座るれにの手が自分の体を支えるのを感じながら、力強い狼の脚が大地を蹴る振動をエウトティアは感じていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ペイン・フィン
ファン(f07547)と参加。
ステラに、カガリ。
仲間が、戦っていると聞いて、駆けつけたよ。
……成る程、これが、サラリーマン。
……体術、結構な使い手、みたいだけども、
まあ、なんとかしていこうか。
コードを使用。
拷問具8種を複製し、展開。
……速さに、自身があるみたいだけど、
この数、捌ききれるかな?
傷口をえぐる、鎧無視攻撃、属性攻撃、部位破壊、なぎ払い、念動力、範囲攻撃、
ファンの攻撃に合わせて、複製した指潰し、ナイフ、膝砕き、焼き鏝を、相手に当てて、相手に落ちる避雷針代わりに。
あと、毒湯で、電撃の攻撃範囲を広げようか。
……さて、
貴方たちのプランを、潰させてもらうよ。
ファン・ティンタン
【WIZ】サンダー・ヴォルト
ペイン(f04450)と参加
カガリ達が来てるっていうから初旅行がてら来てみたけど、賑やかなトコだね
そしてコレが、噂に聞くサラリマン?
慇懃無礼って、こーゆーのを言うのかな
【精霊使役術】で雷精ヴォルトを使役、【属性攻撃】を放つ
自身の魔力を雷精に供給し、雷の雨によって【マヒ攻撃】の【範囲攻撃】
雷速は“遅い方”でも秒速約150Km/h、避けれるなら、頑張って避けてみてね
仮に、雷撃に耐える人がいたら、【天華】を【投擲】して【串刺し】に
雷撃で即死してた方が楽だろうに…
…あ、言い忘れてたけど
落雷って多発放電現象の総称なんだよね
一度起こると、次の雷速は“もっと早いよ?”【2回攻撃】
●ファントムペイン・ライトニングバーン
戦っている仲間の助太刀にと、ゲートをくぐって駆けつけたファン・ティンタン(天津華・f07547)とペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)。ヒーローアースへ降り立った二人は放り込まれた戦場で早速襲いかかって来たサラリーマンをファンが斬り、周囲をペインが複製した拷問道具で牽制しながら戦闘態勢を整えた。
「カガリ達が来てるっていうから初旅行がてら来てみたけど、賑やかなトコだね。そしてコレが、噂に聞くサラリマン? 慇懃無礼って、こーゆーのを言うのかな」
「……成る程、これが、サラリーマン。……体術、結構な使い手、みたいだけども、まあ、なんとかしていこうか」
興味深そうに戦場となった公園を囲む大きなビルと並んだ鉄柵の盾の奥でこちらを応援しているヒーローアースの人びとを見て、二人を囲んでカラテの構えを見せるサラリーマンの一挙一動を油断無く見るフィンとペイン。二人の前には眼鏡をかけた七三分けの男がいる。奴が例の『主任』だろう。
「おや、千客万来! まだ増えますか、しぶとい奴等ですねぇ。いえいっそ、そのしぶとさで稼いでみるのはいかがですか。新兵器の威力実験、新薬の被験者など、良い会社を紹介しますが」
「……ほんと、嫌だな……」
喜々とした顔で営業トークを始める主任へ、うんざりした顔のペインは両腕を伸ばし、その広げた両手で宙を掻けば拷問具が現れる。【地獄はここにあり】と、そう呼べば、ペインの手によく馴染む、使い込まれたのが一目でわかる黒光りする拷問具が数を増やしていく。誰かの悲鳴と血がよく染みた道具が馴染み深いらしく、それを見た主任の顔に更なる喜色が浮かんだ。
「おや。おーやおやおや、あなた、実に素晴らしい道具をお持ちで! ええ、丹念に使い込まれ、使用された側の怨念もよくよく篭った良い道具ですね!」
べらべらと煩わしく喋り続ける男を前にペインは溜め息を吐きそうになる。その気も無いのに続けられるセールストークは、苦手だ。
「いつまでも喋り続けているなんて、意外と余裕?」
「プレゼン力はサラリーマンの必須スキルですからね。顧客の心を掴む笑顔に、営業先へ即座に参上する脚力。スーツを纏った手前、下手な仕事は致しませんよ」
口を挟んだファンの刃がサラリーマンを狙えども、逃げるスーツの袖に傷をつけただけ。余裕を見せる主任へと、しかしファンは軽く開いた左目を動かして、白き刀の切っ先を天へと向けて突き上げた。
「森羅万象に宿る精霊達よ、私の声を聞いて頂戴」
青天霹靂、晴れた空に雷鳴轟く。ファンの魔力を【精霊使役術】を通して受け取った雷精の導いた一閃が、芝生の上に立つ者へ雨霰と流れて落ちる。ドンドンと太鼓を叩く様な音とともに稲光が走り、背広の男たちの間を駆け巡った。
「雷を操るとは、なかなかの腕前です! ……あぁ、光を視認してからでは間に合わないというのに。これは次回の新人研修でみっちりと対策すべきですね」
「雷速は“遅い方”でも秒速約150Km/h、避けれるなら、頑張って避けてみてね」
「……速さに、自身があるみたいだけど、この数、捌ききれるかな?」
スーツとベストを脱ぎ捨てネクタイを外して雷撃を避ける男たちへ、ペインは拷問道具をさし向ける。苦痛を与える為の物、向こうも勝手知ったる物たちで。噛み付こうとする拷問道具、特に指潰しと膝砕きを警戒する敵には避けられていたが、本当の狙いは違う。芝生に溜まる毒湯の水。迸る雷。鳴り止まない、神鳴りの音。
「……あ、言い忘れてたけど。落雷って多発放電現象の総称なんだよね。一度起こると、次の雷速は“もっと早いよ?”」
避雷針となったペインの拷問道具に向かって落ちる雷。それも耐えた者を貫くのはファンが投擲した天華の刀身。降りる雷の中を舞い踊る。一人だって残さない。
「……さて、貴方たちのプランを、潰させてもらうよ」
「……やれやれ、折角のご依頼だったのですがねぇ。流石にこれでは目標達成とはまかり間違っても言えません。人的被害も莫大ですし、残念ですが手を貸すのはここまでにさせていただきましょう」
雷に焦げ付いた顔で肩をすくめて、主任は眼鏡に触れる。カチ、と何かのボタンが押される音に気付いた二人が反応するよりも先に、閃光と爆風が男を包んだ。
「げほ、」
「……ダメージは、それほど無いみたい……だ。逃走用の煙幕、みたいな……」
あるいはそれは、傷つき倒れる瞬間を見られるまいと言う矜持だったのかもしれない。芝生は戦闘で踏み荒らされていたものの、その上にいたサラリーマンたちの姿はもうどこにも無い。昼の晴れた空から鳴り響く雷の音に静かになっていた鉄柵の向こうから、人びとの歓声が聞こえてくる。
だが、猟兵たちは感じていた。
影の中からひたりひたりと、こちらを狙う邪悪の眼差しを。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『ヴァンパイアバット』
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POW : ブラッディ・トレイター
【衝動に身を任せた暴走状態 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ヴァンプ・シザーズ
【鋭い爪 】による素早い一撃を放つ。また、【六枚の羽で飛翔する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : ゴーストナイト・ボディ
自身の身体部位ひとつを【不可視かつ不可触のエネルギー 】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「クロゥ・クガタチ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ブラッディ・ランページ
「ギシシ! 油断大敵ってなあ、猟兵共!!」
サラリーマンを撃破した猟兵たちを、どこからか衝撃が襲う。猟兵たちの立った場所だけを避けるように芝生が爪の形に抉れ、誰だ、と叫ぶ猟兵の声には、更に大きな声が返ってくる。
「俺は俺だが、名乗りが必要か? 折角だしなあ、あのクソったれなヒーロー共みてぇに名乗ってやろうか、お前らを倒すヴィランの名前を、よォ!」
見えない、否、速すぎるだけだ。赤い影が翼を広げて、街灯の上に降り立つ。
三対の黒い蝙蝠の翼、赤いスーツの男はニィと歯を剥き出して笑う。
「何の因果か生き返ったんだ、散々やりまくった暗殺だの破壊工作だのも楽しかったけどなぁ、今度はそれをやったのが俺だと知られた上で流れる悲鳴と涙を思う存分浴びてぇと思ったっていいだろう?」
「ああ、俺こそは、お前らを殺す者、ヴァンパイアバット!」
さっさと殺してしまう前に、精々上手く泣いてみせてくれよなぁ!
青い光が格子状にその赤い身体を覆い、黒い翼を広げた蝙蝠が、飛んだ。
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】
エウトティアと
名乗られたなら返さないと失礼だ。
僕はレニー、僕らは猟兵!
お前らの野望を止める者。
君が考えるようにはいかないさ。
真の姿を解放。
ヴァンパイアの姿だ。
自前の翼で空で戦闘。
ブラッドガイストで体を変化させて出来た大きな口で【吸血】
「ヴァンパイアの血、さぞかし他の者の血を蓄えているのだろう」
ただ、これじゃあ見た目が怖いからね…他の者にはどちらが敵か分からないかも。
でも、【威厳】と【礼儀作法】きっと一般人もわかってくれるだろう。
エウトティアの攻撃で挟み撃ち、動きを止めてもらえたなら大振りな攻撃で部位を一本くらい持っていきたいね
※アドリブ大好き。追加省略ご自由に。
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加。
空中を飛翔する相手ならレニー殿が適任じゃな、主攻はレニー殿にお任せしてわしは援護に徹するとするか。
(騎乗+動物使い)まずはマニトゥに騎乗し、『ヴァンパイアバット』の攻撃をかわせる程度の距離を維持して機会をうかがうのじゃ。
(属性攻撃+援護射撃+誘導弾)レニー殿が交戦に入ったら敵のスピードを削ぐとするかの。
彼奴は速い、無理に狙うより進路を制限するように矢を配置するのがよいじゃろう。
更に矢に込めた風術による衝撃波を発して敵の飛行を乱すのじゃ。
(野生の勘+属性攻撃)野生の勘を研ぎ澄まし、タイミングを見計らって【氷縛の鎖】で敵を捕らえるのじゃ。レニー殿後は頼んだぞ!
●ブラッド・バッド・スカイ
空を走る血色の蝙蝠、ヴァンパイアバットの翼が風を切り猟兵たちへと襲いかかる。腕を振り上げ繰り出される鋭い爪をマニトゥに騎乗したエウトティアは避けようとするが、その爪は不可視の斬撃へと変わり、彼女を翻弄する。
「マニトゥ!」
痛みに怯むことなく、聖獣とエウトティアは敵から距離を取る。再び空へ飛ぼうと翼を広げたヴァンパイアバットに、れには高らかに声を上げ、その真の姿を解放した。
「名乗られたなら返さないと失礼だ。僕はレニー、僕らは猟兵! お前らの野望を止める者。君が考えるようにはいかないさ」
「なんだ、その姿は……! お仲間なんぞ、求めちゃいないぜ!」
相手の言葉通り、紫色の鎧を纏い、黒い翼を大きく広げたその姿は、目の前にいる蝙蝠と同じ吸血種のもの。硬質な装甲、細身の剣、その胸元を飾る白いフリル。見た目からではまるきり相手と同質の物にしか見えないだろうと、れには剣を構えて思った。だが、これが自分の真の姿だとも、誇りを持って言えるだろう。そしてその威厳溢れる立ち姿も、民衆の目から見れば立派なヒーローであった。
目の前の相手は自分以外に空を飛ぶ者の存在に苛ついているのか、敵視した視線がれにへと針の様に突き刺さる。
「さっさと落ちていきやがれ!!」
一瞬で距離を詰め、れにの翼を折ろうと爪を振り被ったヴァンパイアバットの一撃。細剣で弾くが、その勢いは殺し切れるものではなく、れにの身体を鋭い爪が傷つけていく。
「やれ、速い相手はやり難いのう」
その様子を地上で見つつ、エウトティアは矢を空へと向けて放っていく。矢はヴァンパイアバット本体を狙ってでは無くその進路を制限するように、れにへ近付こうとする敵の一歩先を常に塞いでいた。いくら爪で振り払おうと、地上から昇っていく矢の雨は止まらない。それに加えて、エウトティアは矢に込めた風術を解放する。
ぶわりと、矢を中心に発生した衝撃波。風の流れが変わり、ヴァンパイアバットの翼がバランスを崩したお陰か、れにを狙った攻撃が大きく逸れる。
「そして……今じゃ!」
翼を叩く冷たい風。空間から飛び出す【氷縛の鎖】が彼の翼を捕らえ、凍結させる。生まれた隙は一瞬だが、その一瞬はとても大きい。
「レニー殿、後は頼んだぞ!」
「邪魔、邪魔、邪魔ッ……だぁっ!!」
「ヴァンパイアの血、さぞかし他の者の血を蓄えているのだろう」
れにの体が動く。翼が凍り落下していく寸前の蝙蝠へ、彼女の体に生まれた大きな口が迫る。拒絶する爪に流れていく血はむしろ今の彼女には好都合、彼女の血に反応して牙は殺傷力を増していく。
「グッ、があああああああああああ!!!!」
ヴァンパイアバットが痛みに呻く。喰らいつかれた右の肩を押さえて、蝙蝠は地上へと落ちていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
【ヤド箱】ステラと、ペインと、ファンと
ん。名乗りは立派だ。
生憎こちらは、ヒーローではな…
(いや、ステラがあのように振る舞った手前、ヒーローらしい体は崩さない方がいいのかな、などと思い立ち)
ちょこまかとすばしっこい奴め
元よりカガリは不動の城門、ここに在る事で意味を為すものだ
真の姿を解放し、【追想城壁】を
この内では不可視の体は使えんぞ
その身ひとつで立ち合うがいい
基本的に攻撃は仲間に任せるが、機会があれば【大神の神眼】で敵を見つめ動きを阻害する(呪詛・全力魔法)
飛んでいるのを腕で掴んで、地に叩きつけたりもするぞ(怪力・視力・鎧砕き)
ファン・ティンタン
【WIZ】勧善懲悪
【ヤド箱】で参加
敵の隙を作るべく【挑発】
悪事働いたヤツが自らを誇示するのってさ、それ、自意識過剰の極みだよ
イキってるってヤツなのかな…
【天声魂歌】で自身を含む仲間を【鼓舞】
相手が悪を貫くのなら、それを制するのは正義と呼べるかも知れない
私達が絶対の正義とは言わないけれど、嬉々として悪事を語るヤツよりはずっと自らを誇れるよ
さ、名も知らぬ誰かの平穏のために…仕事、しようか
挑発で敵の攻撃を単調に出来るようなら好機
敵からの攻撃を【見切り】、【カウンター】を狙って非可触部分以外への斬撃
上手く翼へダメージを与えられれば、みんなとの連携にも繋がるかな
悪は、滅びるんだよ
進んでなるものじゃないね
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】カガリ、ペイン、ファンと共に
ほう、それが貴様の名か
ならば私も名乗りをあげよう
我が名はステラ・アルゲン
貴様の蛮行を止める、流星の名を持つ正義の騎士だ!
【真の姿】のまま声高々にヒーローのように【存在感】を持って名乗ろうか
……我々猟兵もヒーローと似たものだと思いますよ
まぁ相手もヴィランと言いつつ、オブリビオンです
いつものように行きましょうか!
カガリが敵の技を封じ、ペインが羽をもいだなら
ファンの動きを見つつ【全力魔法】で【高速詠唱】し【力溜め】した【流星雨】を放とうか!
降り注ぐ無数の流星は【祈り】と【破魔】の力がある
不可思議な力を打ち消し、貴様を打ち砕こうか!
ペイン・フィン
【ヤド箱】
……名乗りは、正直、どうでも良いんだけど……
あれ、カガリ達って、ヒーローだったの?
……自分は、ヒーローに向かないから、名乗りはしないよ。
コードを使用。
猫鞭”キャット・バロニス”を除いた拷問具を装備から外すよ。
……蝙蝠相手には、やっぱり猫かなって。
ヴィランの加速に合わせて、自分もどんどんと速度を上げる。
そして、その6枚の羽を、”キャット”で引っ掻いていこうか。
そっちの加速は、羽に依存する。
なら、話は簡単。
……羽を、もいでしまえば……、ね。
……それにしても、カガリ、ヒーローだったのか……。
後でサイン、もらおうかな?
●チェイン・アタック・ライトニング
地上にどさりと落ちたヴァンパイアバットは、しかし未だ健在だ。その身体に浮かんだ光の紋様を点滅させながら彼は猟兵たちを見ている。
ヴァンパイアバットと名乗ったオブリビオン。取り囲む人々の不安の声を感じたステラは眼前の脅威に負けじと、白銀の鎧のままで名乗りを上げる。自分は今、英雄として立っている。ならばかつての主と同じように、誰かを守る英雄として当然の行動をするまでだ。
「ほう、それが貴様の名か。ならば私も名乗りをあげよう──我が名はステラ・アルゲン。貴様の蛮行を止める、流星の名を持つ正義の騎士だ!」
堂々と、高らかに。人々の声援がワッと後方から聞こえてくる。
ほぅ、とカガリが関心した様に頷いた。
「ん。名乗りは立派だ。生憎こちらは、ヒーローではな……いや、」
思い直す。ステラがああ振舞った手前、自分もヒーローだという体は崩さない方がいいのかもしれない。本当は違うとはいえ、この世界の人びとにとってはどちらも同じく、自分を救ってくれる存在なのは確かなのだから。
「ああ、ならば、ならば──カガリは出水宮・カガリ! 悪の攻撃、何一つとして通しはしない、不動の城門だ!」
だが、これでいいのだろうか。名乗りなど門であった頃でさえしたことが無い。
「……名乗りは、正直、どうでも良いんだけど……あれ、カガリ達って、ヒーローだったの?」
「……我々猟兵もヒーローと似たものだと思いますよ。まぁ相手もヴィランと言いつつ、オブリビオンです、いつものように行きましょうか!」
不思議そうに呟くペインに、ステラは兜の奥で笑ったようだった。
「ペインはどう。名乗らない?」
「……自分は、ヒーローに向かないから、名乗りはしないよ」
ファンに聞かれて口でそう言うけれど、ペインは驚いてもいたのだ。なんと、カガリがヒーローだったなんて。先程も名乗りを上げていたし、そうなのだろう。
(後でサイン、もらおうかな?)
そんな事を思われているとは露とも知らずに、ステラを筆頭に、カガリが、ファンが、ペインが、オブリビオンの前へ並び立つ。イェーガー・ヒーローズ、チーム【ヤド箱】揃ったり、だ。
「俺を空から引き摺り下ろした程度で、調子に乗るんじゃあないぜ」
「調子に乗る? 全く、全然、そうは思わない。悪事働いたヤツが自らを誇示するのってさ、それ、自意識過剰の極みだよ。イキってるってヤツなのかな……」
「な、ん……!!」
立ち上がったヴァンパイアバットへとファンは煽るような口調で語りかける。自分たちはお前のことなど、ただの一体のオブリビオンとしか見ていないと告げてみせれば、ファンの思惑通りに彼は随分と激昂したようだった。生前──オブリビオン化する前は自分の存在を隠した工作任務が多かったのだろうか。甦った男は余程、自分の力を衆目に見せつけたいらしい。
(挑発は成功、ってところかな)
相手が悪を貫くのなら、それを制するのは正義と呼べるかも知れない。だが単なる正義は、制される側にしてみれば一方的なものである。けれど誰かが悪に泣くならば、暴力に傷つけられているのなら。それを許せないと思う心を、正義と呼ぶのは間違いじゃない。
「私達が絶対の正義とは言わないけれど、嬉々として悪事を語るヤツよりはずっと自らを誇れるよ」
ファンの声は凛として、猟兵たちの心に直接響くようだった。
【天声魂歌】に込めた言霊は皆を鼓舞し、戦う力を与えていく。
「さ、名も知らぬ誰かの平穏のために……仕事、しようか」
ギ、ギ、と呻きながらも、ヴァンパイアバットはその身体を不可視の物とせんが為、青い燐光を纏う。だが、それはもう許されなかった。
「ちょこまかとすばしっこい奴め」
逃がしはしない。ここにカガリがカガリとしてある限り。
「都は無く、人は亡く。儚き栄華は荒城と成り果てた──されど、亡都の扉は、此処に在り」
カガリの体が光に包まれ、巨大な門へと変わっていく、いいや、これは真の姿へと立ち戻っているだけだ。黄金の屋根を頂く鉄の門、紫色の二つの眼がヴァンパイアバットの姿をしっかと見つめている。その体から伸びる城壁を広げながら。
この城壁はいつの間にここに在ったのかと、思った時にはもう遅い。半径おおよそ五十メートル、ぐるり取り囲む城壁の圧に溶けようとした彼の光は萎縮したように体の上で輝くだけで、その肉体を不可視へ変えることは無かった。
「何をしやがった、テメェ」
怒気をはらんだ低い声、消えないと気がついたヴァンパイアバットは即座に身体を低くして、猟兵たちの出方を見ている。
「この内では不可視の体は使えんぞ。その身ひとつで立ち合うがいい」
城門から聞こえるカガリの声にヴァンパイアバットの目がぎらりと光る。
「壊される為にある門風情がっ! そこから動けもしない癖によォ!」
脚をバネに跳ね、その背にある翼でもって内部から門をこじ開けようと蝙蝠が低く飛ぶ。動かない、つまりは回避の出来ないカガリに向かって、崩れてしまえと手を伸ばしその忌々しい瞳を狙ったが、しかし。
ギ、ィィィィィン!
なにか。硬い物に拒まれる音がした。パッと火花が散って、視線を向ければあの白い女の刀がヴァンパイアバットの爪を受けている。拮抗する刀と爪はギシギシ軋み、男の苛立ちはそのまま声となって吐き出される。
「お、まえェ! さっきも、今も、調子に乗りやがってェぇぇ!!」
「悪は、滅びるんだよ。ま、進んでなるものじゃないね」
「うるさい女だ、吹き、飛び……っ、やがれ!」
体から理性を剥がし、ぶわりと膨れ上がる彼の赤い腕。衝動のままに動くヴァンパイアバットの膂力はファンがいくら刀で捌こうとも執拗なまでに彼女の命を狙う。ただ当てようとするだけの技も何も無い暴力を見切り、弾き返さんと素早く動けば動くほど、ファンへの攻撃は激しさを増していった。
「ファン」
任せて。自分を呼ぶ声に込められたものを感じ取り、ファンは刀身で爪を受け流す。増した勢いで痺れそうな腕を歯を食いしばってヴァンパイアバットのバランスを崩してやれば、その背中の翼が、猫鞭を手にしたペインにも良く見えた。
翼は彼にとって機動力の要、狙われるべき箇所だとヴァンパイアバットも理解していたのだろう、翼をはためかせ回避を試みるが、ペインの猫鞭の鉤爪からは逃れられない。【命の数ほど痛みはあり】、それでもいずれ、命の落ちる地獄は一つと定まるものなのだ。他の拷問具を捨てて身軽となったペインの速度はヴァンパイアバットにも負けてない。
「……翼を……この、クソッ、」
「……蝙蝠相手には、やっぱり猫かなって」
自分の速度は猟兵達には追いつけないと高を括っていたヴァンパイアバットには最早、気を緩める隙も無い。襲いかかる猫の爪にその翼を絡め取られぬようにと回避へ専念させられてしまう状況に、更に苛立ちが募っていく。
「そっちの加速は、羽に依存する。なら、話は簡単」
「ギ、グァ、このガキィ……ッ!!」
「……羽を、もいでしまえば……、ね」
ペインが力を込めて猫の爪を引けば、蝙蝠の翼は音を立てて折れてしまう。もがれた翼に見切りを付け、残った翼を庇い転がった彼の目に映る眩いばかりの白銀。
「さあ、最後にしましょうか」
「まだだ、まだ! 俺を、俺の力を、見るがいい!」
見ろ。俺こそは、闇より出でたる血の蝙蝠。ヴァンパイアバット!
翼の大半を失って尚、その体は跳ね上がる。肉体の動く限界など痛みと共に捨て去って、蝙蝠は目障りな星の輝きを掻き消さんとステラへ向かって跳躍し、対するステラは詠唱を終えた剣先を空から閃かせ、彼へと向ける。
「降り注げ、流星たちよ!」
ヒーローズアースの空に展開した魔法陣。燦々と星の如くに輝くのは凝縮された魔力のきらめき。祈りと破魔の力を宿した星々の矢が降り注ぎ、蝙蝠の青い燐光を星の矢が打ち砕く。血色の体は破壊衝動を原動力に暴虐そのもののかたちとなって流星雨の間を走るが、白銀の騎士へと近付く程に星に照らされ矢に貫かれ、ヴァンパイアバットの力は剥がされていく。六枚の黒い翼は既にボロボロに崩れてしまって、すべてが失われるのも時間の問題だ。
「あァあああああああアアアア!!!!!!!!!」
怒りに震えるヴァンパイアバットの咆哮が猟兵たちの耳を劈く。
悪は倒されなければならない。
その時が、近かった。
大成功
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セシリア・サヴェージ
ヴァンパイアバット……私の故郷に巣食う幽鬼たちとはもちろん違う存在なのでしょうが、吸血鬼の名を冠する者とこの世界でも対峙することになるとは因縁めいたものを感じます。
いかに強力な攻撃であろうとも、衝動に身を任せた技術の無い攻撃など恐れるに足りません!【武器受け】【オーラ防御】を駆使した暗黒騎士の鉄壁の護りで応えましょう。暗黒が齎す【怪力】があれば力押しも私には通用しません。
他の猟兵の方も【かばい】つつ、攻撃のチャンスが巡ってきたらUC【暗黒剣技】を叩き込みます。数少ないチャンスをものにするためにも攻撃力を重視した必殺の一撃を見舞いましょう。
●ブラック・バッド・デストロイ
流星の雨が降り止み、ヴァンパイアバットはボロボロで、しかしそれでもまだ彼は勝利を諦めてはいない。耐久力の代償として理性を失くしたその目に残っているのは、ただ目前の猟兵を、自分の障害たる存在を破壊し尽くす衝動のみ。
幾つもの流星に照らされた彼の、最後に残った影。
それを喰らい尽くすのもまた、影だった。
「ヴァンパイアバット……」
セシリアは剣を構え、呟く。声に出せば響きは同じ、だが名前が同じだけで、彼は故郷に巣食う幽鬼たちとは違う存在であるのはセシリアも解っている。それでも、吸血鬼の名を冠する者と光に溢れたこの世界でも対峙することになるとは。この光景にもどこか因縁めいたものを感じてしまう。
「ギ、ぎギギ、猟、兵ィァア……ッ!!」
「言葉を語る頭さえ、残ってはいませんか」
鋼の様な銀色が、血色の蝙蝠を射抜く。相手も、自分も、何かを削り戦っているという点では同一であるのに、どうしてこうも。
「シャァッッッ!!!」
ヴァンパイアバットの鋭い爪がセシリアを襲う。力と硬さを理性すら傾けてまで強化した男の一撃は腕が痺れる程に重く、速い。だが彼女も誰かを護る騎士。大剣で受け止めきって押し返す。だがすぐさま、同じ場所へ同じ攻撃が返ってきた。
「壊れロ、コワレロこわれろ壊れろ、壊れてしまえぇぇぇええええ!」
「いかに強力な攻撃であろうとも、衝動に身を任せた技術の無い攻撃など恐れるに足りません!」
堂々と告げた言葉の通り、セシリアは全てを受け流す。ぼんやりと滲む光の腕による半分不可視の攻撃さえも暗黒の闇で呑み込んで届かせない。闇の力を駆使し、決して破れない鉄壁の防御を見せるセシリアにヴァンパイアバットは破壊衝動のままに何度も何度も腕を振り上げ、爪で切り裂かんとする。
だが、どれも、何も、通じない。
「貴方の攻撃はもう通用しません!」
「許さねえ、許さねえぞ、猟兵共ォ!」
「いいえ、ここまでです。もう終わりにしましょう」
「違う! 終わりなど、俺の負けなど、認めるものかァ!」
爪と大剣がぶつかり合い、弾かれるヴァンパイアバットの爪。
──ふと、彼は気付く。
今、今だ。たった今、世界の空気が、変わった。
「現世に縋る者よ……我が暗黒剣でお前を在るべき場所へ還そう」
目の前にいる女が纏う空気が、より昏いものへと近付いていく。ヴァンパイアバットはそれをよく知っていた。暗闇だ。何より暗く、前も見えない暗闇。静かで真っ黒なあの世界によく似た空気があの女の持つ大剣に集まっている。
それを避けなくては、と思うのに。力を失いすぎた身体ではもう逃げられない。ただセシリアと戦うことだけを考えている身体は前にしか動けない。爪を振りあげただ一撃を与える動き方しかもう、この身体、では──。
ヴァンパイアバットへと、セシリアの【暗黒剣技】が叩きこまれる。暗黒剣となった剣を振る。これはただ一度にして、最後の一撃。
暗黒剣は赤い蝙蝠の身体を砕き、その黒い翼一面に罅が入ったかと思えば、一瞬ですべては砕け散る。呆然と伸ばされた手の爪はセシリアに触れることなく、その眼前で赤い身体と同様にさらさらと砕けて散っていく。
「……さらば、だ」
ヴァンパイアバットが最期に見たものは、暗黒の闇にただ光る銀色。
セシリア・サヴェージという、一人の守護者の姿だった。
●英雄たちに誉あれ
ヴァンパイアバットの消滅と共に防壁は解除され、人びとの喜びの声と笑顔が芝生の上に溢れる。猟兵たちは一息つく暇も無く、あっという間に囲まれてしまった。
「助けていただき、ありがとうございます!」
カメラを手にした赤毛の女性、ミス・キティは盛り上がる人々の波に押されながらもしっかりちゃっかり、感謝の言葉を述べつつ猟兵たちの写真を撮ってまわっている。明日どころか号外にして配るつもりか、写真を取る合間にもどこかへ電話を掛けている。その顔は晴れ晴れとして、やる気に満ち溢れていた。
航空機のハイジャック事件から始まった日中堂々の大立ち回り。それはいつの間にか周囲のオフィスビルからも見物人を集めていたらしい。芝生の上で万歳と誰かが叫んで、それに倣うようにまたどこかで誰かが万歳と言って。感謝の言葉は波のようにさざめき、やがて怒涛の様に中心地の猟兵たちへと届く。
止まない喝采、万雷の拍手。
ありがとう、ありがとう、ありがとう、僕らのヒーロー!
彼らの声は真っ青な晴れ空に、いつまでも、いつまでも、響いていた。
大成功
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