邪にして碧たる水迷宮
「えーとコードネームは『アックス&ウィザーズ』だっけ? そこの『群竜大陸』発見の為に勇者の伝説や痕跡について猟兵みんなで追っていた件で進展があった……って話は、もう知ってるよね??」
スマイル全開、グリモア猟兵のひとりである巳六・荊(枯涙骨・f14646)はいきなり本題を切り出した。
「じゃあ、今から一泳ぎ、おねがいできるかな♪」
その後追って説明された彼女の話を纏めるとこうだった。
数多くの猟兵達に尽力によって、今までまったく『群竜大陸』を発見できていない理由が世界各地に存在する邪悪な柱『クラウドオベリスク』の所為であると判明。
同時に『クラウドオベリスク』の所在もすでに幾つか突き止められておりその内の一つを『アックス&ウィザーズ』辺境のとある海域の洞窟で発見した――と、いう事らしい。
つまり柱すべてを破壊すれば晴れて目指す大陸への道が開けるのである。
「まずは初っ端、岸からはちょっと離れた海域で浅瀬の海に同化して洞窟の番人役を務める水のオブリビオンと水中戦だね。小舟は幾つか用意してあるしうまーく立ち回れれば、水上戦だろうけど……まー、十中八九、引き摺り込まれるって覚悟した上でモロモロ準備しておいた方がいーんじゃないかな?」
ちなみに該当地域はほぼ常夏の気候。
現在ちょっと汗ばむぐらいの陽気なのでずぶ濡れに関してだけなら安心して欲しい。
「その次に向かう海底洞窟の内部は完全に水没してるワケじゃないからダイジョーブ! ちょ~っと廻り道になるけど岩の通路伝いでもちゃんとオベリスクにまで辿り着けそーだよ。ただ洞窟内のオブリビオンも最奥のガーディアン含めてみんな水を得意とするタイプ揃いだから、デキれば探索にも戦闘でもちょっとした水対策は欲しいトコかなー?」
ふわりと小首をかしげながらそう注意を喚起する一方で。
水中が得意だからこそ、逆に、警備のオブリビオン達はいずれも水没通路では『陸上からの侵入者』とは遭遇しないと油断し切っている……のでそこを突くというのも有効かもとグリモア猟兵はニコニコ付け加えるのだった。
「じゃ、そーいうワケで、あらためて――今から一泳ぎ、いってらっしゃーい♪」
銀條彦
めざせ、遥かなる竜の大陸。
と、いうわけで『アックス&ウィザーズ』の海にご案内です。
第1章では海底洞窟を守護するボス敵『水の大蛇』1体との戦いです。
浅瀬の岩場に隠された海底洞窟の入り口はこのオブリビオンを倒さないかぎり発見できません。
第2章は洞窟内を警護する水棲モンスターの群れとの集団戦。
第3章は洞窟の最奥、クラウドオベリスクの前に立ちはだかる強力なガーディアン1体とのボス戦です。
みなさまのご参加、心よりお待ちしておりますね。
第1章 ボス戦
『水の大蛇』
|
POW : 水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD : 口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ : 身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
イラスト:緒方ミカン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サリア・レヴァイア
【SPD】
この世界には、初めて来たけれど…良い海ね
でも、常夏の海は、貴方達の居場所では無い
…運命の導きに従い、骸の海へと還りなさい
私にとって、水中は地上よりも動き易い場所
占い師だから戦闘は得意では無いけれど、水中戦ならば、多少はましな筈
水泳技能に加え、翼を姿勢の調整に活用するわ…キマイラだからこそ、出来る事ね
UC:運命の波、第六感、野生の勘、身切り…これらを活かして、囮を演じてみるわ
他の人の攻撃チャンスを、作れると良いのだけれど
攻撃では、槍投げ、誘導弾、投擲を活かすわ
※アドリブ歓迎
――碧深きその海は陽光を浴びてきらきらと輝いてた。
撫でるかのように吹き抜ける風が潮の香を届けてくれる。
「この世界には、初めて来たけれど……良い海ね」
ほんのりと熱の篭もり出した青白い瞼を瞬かせながら。
サリア・レヴァイア(魔歌・f17984)は唄うように広がる風景へと語り掛ける。
だがすぐに、でも、と翳りを見せた占師の瞳が捉えたのは、大海の波間へと垂らされた『未来』なき悪意の存在。
しなやかに翻った尾ひれは太陽を透かせて煌めき、そして水泡を纏わせながら海中へと没してゆく。
(戦闘は得意では無いけれど、水中戦ならば、多少はましな筈)
慣れた占具を三叉槍へと持ち替えた有翼人魚のキマイラは、集う戦友達への援護の為にと先駆け、囮役を買って出たのである。
――海の底近く、邪紅に揺らめく双眸をサリアが見つけたのはそれからしばし後。
門番たるを担うオブリビオン『水の大蛇』は己が得意とする海の懐深くでただ待ち受けてさえいればいい。
必死に呼吸を継ぎながら、むざむざ己に狩られに沈み来る、小さき陸のもの達を。
だが警護の思惑は初手から大きく外される事となる……門侵す敵は何も陸のものばかりとは限らないのだ。
「常夏の海は、貴方達の居場所では無い……運命の導きに従い、骸の海へと還りなさい」
地上よりも……もしかしたら空中よりも。
解き放たれたかのように水を掻いて泳ぐサリアのさまは、そのからだもこころも、舞い踊るように自由だった。
身を任せるべき水流に混じり込む忌むべき一筋の濁流。
その悪しき流れの中心へ、逆巻くように海水が吸い込まれるや撃ち吐かれた水弾は百をとうに超え――だが『運命の波(ウェイブ・オブ・フォーチュン)』が告げるその全てをサリアの翼は摺り抜け躱し……。
(キマイラだからこそ……この身体だからこそ、出来る芸当ね……)
ひらりひらりとそんな攻防を何度か繰り返した後に。
突如サリアの側から投じられた反撃は、槍。
錆走るに任せた古めかしい三又の穂先はうっすらと炎纏い、投じ手の思うがままに繰られて的確に敵の喉元を突くも致命傷には程遠い。
しかしその一投に水の大蛇は更にその巨躯を荒ぶらせ、知らず、ゆっくりゆっくりと、水面近くにまで誘引されている己に気づく事も無かった。
鱗纏う水先案内人の導きに誘われ、
猟兵乗せた舟たちは続々と常夏の海へと漕ぎ出し始める……。
大成功
🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と
水中戦…
何とかなると思う
得意ってわけではないけれど
とりあえず小船で水の大蛇が出そうなところまで船を進ませる
なるべく水面等を注意してみて、不意打ちは受けないように気をつける
そっちの警戒は任せた
怪しげな動きが見えたらとりあえず弾丸を叩き込んでみるけれども
水上戦には拘らない
姿が確認され次第銃は置いてダガーを握って水の中へ
お兄さんと近接戦に持ち込む
そういえばこうやって一緒に並んで戦うの、なんだか珍しいかも
大丈夫、格闘戦だってちゃんと出来るよ
…まあ、早業暗殺寄りの格闘だけど
でも、お兄さんは俺が護るから
なんてね
とはいえやっぱり水上よりも動きが鈍るから
なるべく手早く片づけようか
オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
わたしもおよいだことあるよ
だいじょうぶっ
ひっぱられるくらいなら
とびこんだ方がいいよね
いくぞーって気持ちにもなるものっ
舟の上
リュカと逆側を確認
目が光ったり
一部だけ水の動きが早いとか
舟の影を狙って近づいてくる気がする
全員水の中に落としたいだろうから
ふふ、そうだね
並んで戦えるのもうれしい
リュカ、かっこういい
うれしくてにこにこ
わたしもリュカをまもるよっ
えーいっ
大蛇めがけ思いっきり斧を叩きつけてから
水中へ
【ガジェットショータイム】
細身の槍で
攻撃は【武器受け】
リーチを生かしてリュカには攻撃を届かせないよ
【属性攻撃】で大蛇に氷を仕掛けて
水と同化するのを防げるかな
うん
早く終わらせようっ
そして、海上。
囮役を買って出た味方猟兵の誘導はほぼ完璧で、後もうしばらくは小舟の列が転覆する心配は無い様子だった。
猛然と浮上を始めたオブリビオンをまず迎え撃ったのは、ヘッドショットの一射。
光の屈折まで折り込み済みで狙い定められたその狙撃は、海上から海中へのものでさえなければ、正確無比と呼べるものだっただろう。
だが――水中銃ならぬアサルトライフルの弾丸は、海へと着水するや数mも進まぬうちに急激に失速し水の弾丸の一つによって粉々に打ち砕かれてしまう。
水の抵抗下では大気中の様には銃弾は飛ばない。
銃器の扱いに長けた少年はおそらく撃つ前からこの結果を半ば予測していたのだろう。
眉一つ動かさぬままスコープから視線を外したリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は、やはり近接戦かと冷静に呟きながら、舟内へ銃を置いた。
ふと振り返れば、蒼穹を背に、今にも飛び出さんばかりの仔猫の青(キトンブルー)。
「水中戦……得意ってわけではないけれど」
同乗するオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)に対してリュカが掛けた言葉はごくそっけない、けれど、不器用な彼なりの深い信頼や親愛がちゃんと存在している事にオズはふわりと微笑んだ。
「でもでも――ひっぱられるくらいならとびこんだ方がいいよね。いくぞーって気持ちにもなるものっ」
年上の、青年姿のミレナリィドールが紡ぐ言葉は幼子のようにひどくたどたどしい。
とはいえ彼が必死に訴える、ひとたび握った戦いの主導権は譲るべきでないという旨の主張にはリュカも勿論大いに賛成なのである。
「うん……何とかなると、思う」
「わたしもおよいだことあるよ、だいじょうぶっ」
リュカが泳ぎながらでも取り回しのし易い無骨なダガーを抜き放てば、対照的に、オズは背の丈ほどの長柄斧を担ぐようにして構えた。
足元の舟板がざぶりとひと際大きく揺らぎ、跳ねる水飛沫と共に敵の動きを告げれば。
何も打ち合わせずとも、それが、彼らの攻撃開始の合図だった。
「えーいっ」
勇ましくもどこかのどかなそんな掛け声を伴いながら。
斧型ガジェットが大蛇めがけて投げつけられた。まるで童話の一場面のようにくるるんと長柄を回転させてじゃぼんと海に落ちたオズの斧は、ぷしゅんと、一度だけ魔導の蒸気を吐き出した後に標的めがけて加速する。
それは当たれば幸いの勢いで放たれた一投であったが、貪欲に潮水呑み続け遭遇前には既に肥大化が進んだ大蛇の尾の何処かに命中したらしい。
先行する囮猟兵との追いかけっこの途中、不意を襲った横槍ならぬ横斧の出現に大蛇が一瞬身動ぎの動作を取ったのを見逃さず……ふたりの猟兵達は泡立つ海へと思いっきり、ダイビング。
「そういえばこうやってお兄さんと一緒に並んで戦うの、なんだか珍しいかも……」
「ふふ、そうだね」
交わされた声と声。たてつづけに生まれた水柱ふたつ。
紺碧の戦場にのたうつ『水の大蛇』と呼ばれるオブリビオンの体はどうやら、水弾撒き散らす攻撃に執心する現時点では、物理攻撃も通せる状態であるらしかった。
気配を絶ち、水音も最小限。瞬く間に己が格闘の間合いにまで距離を詰めた少年傭兵は体表の一部と思しき水部位に白刃を奔らせた。
歴戦のその腕は微かに……だが確かに『命』削る手応えを拾い取る。
所詮は早業暗殺寄りだとリュカ本人はほんのり自嘲気味に評したその戦闘スタイルも、ひらりすらり、オズにとってはまるで竜退治の英雄譚だ。
(わぁ――リュカ、かっこういい)
瞳を輝かせ、我しらず、想ったそのままを声にしようとした人形からはぷくぷくと泡が吐かれるばかり。
あわてて口を噤んだオズの手にはユーベルコード『ガジェットショータイム』によってまた一振り、新たな長柄武器が齎されていた。
いかにも海戦に相応しい銛にも似たフォルムのその細槍には、しかし、長大な旗のようなパーツが備わっている。
(??? ……あぁ、そっかぁ)
敵と切り結ぶ大立ち回りにあたってはただ邪魔なばかりであろうそのパーツは、だが、水弾をリュカには決して届かせまいと闘うオズにとってはリーチといい守備範囲といい……なるほど形は奇妙だが『有効』であった。
くるりはらり、リズムよく『旗』が翻るたびに、降り注ぐ水弾は薙ぎ払いの要領で数発まとめて撃ち落とされてゆく。
(お兄さんは俺が護るから、 ――なんてね)
(わたしもリュカをまもるよっ)
攻と守をバランスよく役割分担して強敵に挑む猟兵ふたりの奮戦は、水中活動限界ぎりぎりまで続けられる事となる。
再び海上へと帰還するふたりへ追い撃たれた水の弾幕。だが、頑と、その全てを阻んだのは――『門』。
見上げれば水面にも同様の、小舟とは明らかに異なる重厚な巨大盾が幾つも足場として『浮かんで』おり、彼らふたりの一時撤退を悠然と迎え入れたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
出水宮・カガリ
※アドリブ絡み歓迎
…水中戦…しかも海水
水が怖い、というのではないが。得意でもないというか。
…まあ、十年単位で沈むので無ければ。錆びはしないか
(鉄門扉のヤドリガミ並感)
できるだけ船上にいたいが、転覆させられるのだろうなぁ
大量の水の弾丸が来る前に、【錬成カミヤドリ】で【鉄門扉の盾】を複製
【不落の傷跡】で強化した盾で幾重にも分厚い盾を作る
元より念力で浮かせているので、水中でも沈まないぞ
弾丸を受けきったら、防御用の数枚を残して、分厚い盾でそのまま大蛇を殴る
あるいは二つに分断して挟む
…うん。実は、足がつかない所で泳いだことは、ないのだが
まあ。その為にも、いつでも盾に捕まって浮上できるようには、しておく…
悠然と連ねられた鉄柵門の威容はまさに海上要塞。
その上に立つ男の姿は若き将軍とも見紛い、その顔傷には、歴戦を漂わせる。
古き鉄門扉のヤドリガミたる出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は出陣に際し、実は、しばしの葛藤を要していた。
(……水中戦…………しかも、海水……)
予め断っておくと、彼は別に、水恐怖症でもなければカナヅチという訳でもなかった。
「ただ、得意でもないというか……」
万軍の囲みにも砲弾の雨にも退かぬ『城門』にとっても水が齎す海蝕、あるいは、塩分が及ぼす腐食といった事象に対しては、肉体を得た今なお、どうしても忌避感が先立ってしまうのだ。
(できるだけ船上にいたいが、転覆させられるのだろうなぁ……)
ネガティブともいえるその予感は残念ながら見事に的中してしまい、彼の小舟は、先行した猟兵とオブリビオンとの攻防の煽りを受けて早々に撃沈している。
とはいえ。
「……まあ、十年単位で沈むので無ければ、錆びはしないか」
そんなスケールのアレなヤドリガミ並感はともかくとして。
自らの本体を複製して幾重にも重ねた足場は強き『念』に支えられ、浮動にして不動。
忌避はあくまでも先立ってしまうだけで彼へと備わる実力や勇猛には一片たりと翳りを落とせなどしない。
不落たるを盟う彼の『傷』に懸けて――新たな時代の勇者たるもの達の前途に立ち塞がる脅威の総ては、此処に拒絶され駆逐されるのだ。
――下から上へ。
逆向かいに降り注ぐ水の弾丸の雨霰の全てをカガリの堅守は全て受け止め、遂には跳ね返してみせる。
そして奮戦終えた戦友達を続々迎え入れ舟へと送り出せた事を確認した後、入れ替わるようにして、カガリは『水の大蛇』を己の射程内へと捉える。
「城門は、ただ守るのみに非ず」
きっちりと纏められた金色の髪を潮風に靡かせ、琅琅たる宣言と共に『門』の猛反撃は開始された。
自衛用の盾のみを最低限残し、傷負う分厚き『門』達は一斉に海中へと投下されるや、大蛇へと殴りかかったのである。
あらん限りの霊力籠めて、カガリによる完全制御下で繰り返される質量兵器での殴打はあまりにも『物理』であり純暴力だった。
ここに至り、荒ぶる『水の大蛇』の意識は攻撃からより防御へと割かれつつあった。
先から繰り返されてきた他の猟兵達による攻撃も概ね白兵武器だった点も重なり、大蛇を形づくる『水』の流れは物理攻撃の無効化を何にもまして重視した守備的な物へと劇的に変化を遂げてゆく……。
……ちなみに。
更なる大時化と化した波の中、足の着かない深さは未知の体験であったカガリが内心かなり必死になみのり鉄門扉状態だった事実は戦場の喧騒へと紛れさせておくが吉だろう。
成功
🔵🔵🔴
エリス・ガーデナー
いいわね、水の大蛇!
アタシが倒すべき門番に相応しい。腕が鳴るわ!
小舟で海域まで行き『可憐なる息吹』!
小石やボロ布を投げ入れて、敵を誘き寄せるの
船の揺れや沈む感覚があったり、水柱や波が起これば上空へ飛翔し
水蛇の頭や尾が見えたらホワイトピラーを構えて突撃!
「さあ、アタシの可憐な泳ぎを見せてあげる!」
一撃かましてもブレーキかけず水中まで突っ込んで追撃
ビキニアーマーだから平気!
飛翔能力で水泳スピードが上がるか駄目元だけれど
敵の摩擦抵抗減少でピラーが表皮を滑らないよう念動力で
ピラーの先端が触れた刺点を固定し、その首を貫いてやるわ!
「骸の海へと還りなさい。アタシ達は未来へ全力前進していくから!」
がぼがぼ。
紫谷・康行
相手が水だというなら
動きを止めれば対処しやすくなるだろう
流れるまま水に潜み
その力を取り込むとしても
お前の持つそのエネルギーを奪ってしまえば
その流動性を失わせることはできるだろうか
【コード・ポテンシャル・ゼロ】を使い大蛇を構成する水の熱エネルギーを奪い動きを止めて行動を阻害するとともに物理攻撃によるダメージを通りやすくしようとする
小舟に乗り味方の後方に位置し
大蛇が見えたらプログラムを走らせられるように準備しておき、攻撃のために浮かび上がるなど隙を見せたところを狙い全力でプログラムを走らせる
可能なら大蛇の頭部を狙い仲間に声をかけてそこを狙ってもらう
「形があるものならいつかは壊れる。固いならなおね」
レクス・マグヌス
【心情
アックス&ウィザード、この世界に帰るのも随分と久しぶりだな
でも、今は故郷へ戻ってきたことを楽しんでいる場合じゃない、か
さて、群竜大陸を見つけるために頑張ろう
大陸には何があるだろう?
【戦闘
敵の攻撃を「オーラ防御」と「地形を利用」で対処
状態異常を狙って攻撃してくるなら「毒耐性」で対応
「属性攻撃」で牽制しながら、周囲の水が少ない所へ敵を誘導する
必要があれば「吹き飛ばし」を使用
その上で相手が十分に水を得られないタイミングで、ウィザード・ミサイルを使用
一気に燃やし尽くす
「聞くがいい! 我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」
相手が体の復元を狙うのであれば、それ以上の速度で焼き尽くすまでだ
トリテレイア・ゼロナイン
クラウドオベリスク……魔術的なジャミング装置のような物でしょうか?
しかし所在が水の洞窟とは……いえ、騎士であろうと戦場は選びません
装着した水中用追加装備パーツで向上した●水泳の能力を活かし大蛇に水中戦を挑みます。●防具改造で防水処理も完璧
追加パーツのスクリュー、ジェットで移動。浮舟や岩場にワイヤーアンカーを撃ち込んでの●ロープワークでの巻き取りで急速移動して大蛇の攻撃を回避、●怪力で振るう剣で切りつけます
…効果が低すぎますね…
大蛇が噛みつきのタイミングを●見切り、口の中に大盾をつっかえ棒のように差し入れ、腕部格納銃器でUCを撃ち込みます
初めての(化学反応で水中で燃える)炎の威力は如何ですか?
ヴィクトル・サリヴァン
海。うん最高。
気候もうってつけ、もう暫く居付きたい位。
…勿論仕事を忘れてるわけじゃないよ?
ちゃちゃっと倒しちゃわないとね。
泳ぎに自信あるので小舟使わず。壊されちゃ後で困るし。
泳いで翻弄しつつ攻撃のタイミングを窺う。
…水中で水の体だと境目が判り辛いね。
ある程度こっちに意識向いたら水面へと加速、そのままジャンプ。
追って水から出た所に振り向きざまに開けた口の中に銛を投擲、UC発動。
摩擦減ってても口の中だと逸らしようもないだろうし、その上で召喚した水鯱で逆に齧ってしまおう。
これだけ周りに水があるならまるっと呑み込めるサイズのも出せるかなー。
UCの影響下にある水取り込めるのかなー?
※アドリブ絡み等お任せ
「海。うん最高。気候もうってつけ、もう暫く居付きたい位!」
転送直後からこんな調子でヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はずっと興奮気味なのであったが無理もない。
シャチのキマイラである彼にとって今の状況はまさに水を得た魚である。シャチは魚ではないけれども。
むろん猟兵としての務めだって忘れてなどいない。
水棲型キマイラとして囮役を途中から引き継いだ彼もまた自慢の泳ぎで『水の大蛇』の気を惹きつけ、ここまで水面近くにと釘づけて来たのだ。
「……やっぱり水中で水の体だと境目が判り辛いね」
多量の水飛沫振り撒いて、海から一気に宙へと――躍動する大ジャンプ!
釣られて跳んだ大蛇もまたその巨体の一部をついに水面上にまで露出させ始めており、遠目にも水の輪郭は露わとなりつつあった。その余波で無人有人の小舟があちこちで転覆を始めたがそれもまあどうせ遅かれ早かれ起きていた事だろう。
「ちゃちゃっと倒しちゃわないとね!」
「クラウドオベリスク――魔術的なジャミング装置のような物でしょうか? しかし所在が水の洞窟とは……」
白銀の兜の奥に灯る翠光をチカリとさ迷わせた理由は機械的なものからであるのだが、一方で、苦手意識のようなものを漏らすそのさまは何処かひどく人間的で。
しかしすぐさまに騎士であろうと戦場は選ばないのだとトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は気を取り直し己が臨むべき務めにと持てるその機能をフル稼働させる。
ウォーマシンたる彼の全身はいまや完全に水中戦特化機へのチューンナップが完了しており、音高きスクリュー回転を供に騎士はジェット噴射で海原を突き進む。
既に自軍『城門』がその猛威を見せ付けたことで大蛇からの水弾ばらまきはすっかりと途絶えており、猟兵達は、縦横に海を駆けることが可能となっていた。
「いいわね、水の大蛇! アタシが倒すべき門番に相応しい。腕が鳴るわ!」
エリス・ガーデナー(不器用なニンギョウ・f01337)もある意味で水中戦特化装備である。うれしいさまし乙女の味方(?)ビキニアーマーに身を包んでの参戦なのである。
水中戦は避けられぬにせよなるべく有利な戦場をと、少女はボロ布を準備し囮に仕立てようと考えるクレバーさも備えるあたりさすが最先端魔導技術の賜物と呼ぶべきか。
とはいえ水中活動を得意とする味方猟兵達の尽力でその備えは、さしあたって、不要であるようだった。
なんと頼もしき戦友達。ならば後は愛槍ホワイトピラーを構えて突撃あるのみである。
「さあ、アタシの可憐な泳ぎを見せてあげる!」
三者三様、こうして集結を果たした海の勇士たちの前でオブリビオンは自らの周囲から摩擦係数を徹底的に消失させるユーベルコードを発動させた。
いまやその『水』に物理的な衝撃でダメージが与えることがほぼ不可能となった点は、確かに厄介ではあるが多くの猟兵にとって予想の範囲内。
だが事態はそれだけに留まらず……このユーベルコードは『水の大蛇』自身のみならず、水に浸かってさえいれば他者をも対象に巻き込む事が出来るのである――つまり。
「アンカーは最早使い物になりませんね……」
まずワイヤーアクションによる高速回避手段を封じられた形となったトリテレイアの被害とて深刻といえば深刻、だがリカバリーできる範囲の被害である。
そして、もうひとり。
「ビキニアーマーだから平気…………じゃなかったーっ!!!」
エリスの肢体からは今まさに、もろもろ、つるりとずり落ちそうなのである。
おかしい、警護の側だってそんなエロ目的の思惑なんかまったくなかった筈なのに……どうしてこうなった……。
大蛇の水の身体対策として、水中吶喊を念動力で補うつもりだった少女は咄嗟に槍の穂先から防具へと集中を移して事なきを得ていた。ただ、このままでは攻勢に転ずることも出来ない。
――もしもこのまま摩擦ゼロの水に屈した14歳女子のビキニアーマーがインナーごと上下ともに全ポロリして全モロリとなり全年齢のラインを越えてしまったらそれは果してキュートなのか、というか、
「……もはやキュート云々どころのハナシではなくなっちゃうのでは……?」
そんな想いは荒れ狂う白波すら芳しく染めあげ『可憐なる息吹(プリティープリティーアンドプリティー)』で突っ切りながら飛翔中だった少女の力に翳りを落とす。
だが彼女にはまさかの一手が、まだ、残されていた。
「持っててよかった……まさかのボロ布っ!」
全身を覆う事も可能なほど大幅に広がったカバー面積で関節部位を隠しながら戦線復帰を果たしたミレナリィドールの少女戦士はウォーマシンの騎士と共に、今度こそ、その槍と剣を大顎へと叩き込む。
「あー隠すべき優先はそっちじゃない気もするけど何はともあれ一安心だねぇ」
ヴィクトルもまたタイミングを合わせて三又銛を投げつけた。
口内では吶喊後も踏み止まるエリスの念動力によって攻撃可能ポイントが無理矢理作りあげられ、維持されている。
「がぼっがぼがぼぼっっ!(骸の海へと還りなさい。アタシ達は未来へ全力前進していくから!)」
「うん、ありがとう。もう大丈夫。あとは……さあ――喰い千切れ!」
退避を促されたエリスが高速泳法で離脱を果たすと同時、銛の軌跡を追うようにして、顕れたのは巨大な水のシャチ。
ヴィクトルのユーベルコード『大海より来たれり(エモノハココダ)』によって解き放たれたそれは悪しき水の蛇を内側から食い破らんとしたたか暴れ廻った。
トリテレイアも何事か仕掛ける挙動を一瞬覗かせたが……彼の『切り札』は今この状況下で使うべきでないと判断して味方術士に機会を譲っていた。
これだけの水の力が借りられる戦場であればあのシャチを更に大きくは出来ないか……そう思案したヴィクトルの眼前で、唐突に巻き起こった破裂。
「!?」
度重なるダメージに耐え切れず海の門番が発動させた『復元』のユーベルコードの内へと水によって構成されたシャチもまた取り込まれてしまったのである。
こと水支配の魔力に関しては、残念ながら、敵の方が一枚上手であった様である。
だが、ならば――水ならぬ『海』の魔法でならば?
「――たとえ流れるまま水に潜みその力を取り込むとしても、お前の持つそのエネルギーを奪ってさえしまえば、その流動性は失われる……」
ぼんやりと癖っ毛頭を軽く掻きあげながら。
紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)はようやく口を開いた。
此処までずっと、交戦ポイントから大きく距離を開けた後方の小舟の上で、彼はひたすらに『プログラム』を綴り、組み立て、そして最適のタイミングで走らせる機会を耽々と窺い続けて来たのだ。
「電子の海に浮かぶ0と1が君のエネルギーをゼロにする。コードにも力は宿るよ」
灰衣の魔法使いの言霊はまるで優しく敵を言い聞かせるように説き、そして『解く』。
『コード・ポテンシャル・ゼロ』……康行によって手繰られる机上の空言は、熱運動を無とする『現実』として結実してゆく。
こうして蛇は水としての動きを封じられ、そして蛇を取り囲む水もまた蛇へと帰すことはもはや許されなかった。
「形があるものならいつかは壊れる。固いならなおね」
「復元以上の速度で焼き尽くしてやるつもりだったが……いずれにせよ好機か」
この一戦においてレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)の『災厄(ハザード)』はついぞ抜かれる事は無かった。
片傷刻まれた少年の紅瞳はいっそう爛と輝き、高みへと掲げられたその手の先では高まる魔力が、陽炎の如く、碧き風景を歪め揺らがせた。
「聞くがいい! 我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」
久々の帰郷となるアックス&ウィザーズの世界法則はしばし彼というウィザードに謁して跪きその頭を垂れる。
虚空からは次々と炎矢が射ち放たれ、門への道阻むオブリビオンの全身を責め立てた。
(群竜大陸を見つけるために……!)
防ぐも癒すもかなわぬ大蛇の身を紅炎が矢継ぎ早に穿ち貫いてゆく。
――猟兵たちとの死闘に敗れ、陽光きらめく海原をなおも激しく荒らし波立たせながら苦しみ足掻くは、もはや水の力薄くさほど大きくも無い、ただの蛇たるオブリビオン。
少年王より処された火刑の只中でのたうつそれを最期に滅ぼし尽くしたのは、
「碧き海すら燃やす炎の威力は如何ですか?」
機械騎士トリテレイアの前腕部銃器から発射された特殊弾『超高温化学燃焼弾頭(ヘルファイア・バレット)』が齎した慈悲の劫火(ミセリコルデ)の一撃であった――。
成功
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第2章 集団戦
『魅惑のマーメイド』
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POW : 人魚の槍
【トライデント 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 水を得た魚
【水の中に入る。または大量の水を召還し 】【自由自在に泳ぎまわり奇襲をかける。】【水の中で活性化されること】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 魅了する歌声
【同士討ちを誘発させる歌声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:chole
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
門番にして鍵であるオブリビオン『水の大蛇』は猟兵達の奮戦によって倒され、跡形も残さず泡と消えた後……大きな変化が海岸の岩場のとある一角で発生した。
明らかに自然とは思えぬ潮流によってそこには、確かに先までは存在しなかった筈の、洞窟へ続く大穴が出現していたのだ。
洞窟は苔むす岩壁それ自体がそこかしこでほのかな光を放って視界が確保され、潮の香濃くはあったが先迄閉ざされていたとは思えぬ程度には内部の空気も澱んでいない様子である。
おそらくはこれこそがグリモア猟兵が告げた最奥でガーディアンに護られているという『クラウドオベリスク』擁する海底洞窟を指すのだろう。
――何ト、アノ『蛇』ヲ倒セルホドノ陸ノ戦士ガ押シ寄セテキタノカ!?
――いぇーがートイウヤツラダロウ。『柱』ヲ守ラネバ。
――クソッタレ! ココハ『アイツ』ノ機嫌サエ損ネナケレバ安全地帯ダッタノニ。
――嗚呼嫌ダ嫌ダドウシテワザワザコンナ所ニマデ!
――ダガ……『アイツ』ニアンナ風ニ殺サレルヨリハマシダ……。
まず何人かの猟兵が注意深く歩を進めてみればそこでは海鳴りにも似た警報音が響き渡っており、更にその合間から漏れ聞こえてきたのは、警備につく兵士達が慌ただしく立てる戦闘準備の物音に混じって幾つかのざわめき。
武装する海棲オブリビオンは全て人魚姿の女性型であるらしい。
彼女達の声がここにまで伝わるという事は奥へと通すまいとする警備兵が既に何体もこの入り口へと向かっているのだろう。
むろん水没通路で待つ敵やより最奥近くの警備を固める敵もいるに違いない。
『クラウドオベリスク』を巡る猟兵とオブリビオンの戦いは今、碧海の底の洞穴でその第二幕が開けようとしていた……。
サリア・レヴァイア
【SPD】
「太陽」が示すのは、「成功」や「約束された未来」…その光の射さない場所を泳ぐ貴女達に、未来は存在しない
溶けなさい、泡沫の如く─
…姿だけは、同胞とも言えるわね
だから、その身体の急所はわかっている
第六感や身切り、野生の勘で動きを予測し、槍投げや誘導弾、投擲を活かしてUC:海神の雷火を使うわ
狙うのは…そう、その尾鰭
目に見える相手の尾鰭を、全て撃ち抜く
そうすれば、他の人も狙いやすくなるかもしれない
でも、同士討ちをする羽目になりたくないから…なるべく遠距離から、トリアイナを投擲するわ
私は、占い師…勝利という運命への、水先案内人
こんな場所で、斃れる訳にはいかない
※アドリブ歓迎
レクス・マグヌス
SPD
【心情】
奥になって来ると少し冷え込んでくるかな
とは言え、最近日差しも強いし、こういう場所は悪くない
さて、今度は人魚のお出ましか
さすがに数が多い。お前の力を貸してもらうぞ
【戦闘】
人魚が奇襲をかけて来るようなので、「聞き耳」を立てて気配を探る
防御は「残像」「オーラ防御」で行い、後の先を狙って攻撃する
囲まれそうになったら「敵を盾にする」で同士討ちを狙う
「力ため」からの抜刀で確実に命を奪う
『群竜大陸』、ドラゴンテイマー
龍に関しては気になることが多い
僕はこんな所で止まってられない
ふと疑問を口にする
「お前たちは猟兵の存在を知っているのか?」
ともあれ、答えはこの先に在り、か
ほのかに光放つ洞窟内部は迷路状になっており、猟兵達による探索の序盤はまずは手分けして行われる事となった。
広範囲で同士討ちを引き起こすという人魚達の魅了の歌声を特に警戒する者が多かったのもその一因であろう。
「少し冷え込んでくるかな」
レクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)はそう零しながら、軽く指先の感触を確かめた後、おもむろに外套を羽織り直した。
常夏の陽射し及ばぬこの敵地を、しかし、避暑の地としてならばそうは悪くは無いとも自然と思えるあたり少年はなかなかに豪胆であった。
淡光をはじいて輝く銀髪が掻き分けられ、露わになったのは白き耳朶。
聞き耳を立てて進み奇襲へと備えるレクスはほどなく群れの気配を拾い上げた。
「さて今度は人魚のお出ましか。今度はさすがに数が多い……」
――お前の力を貸してもらうぞ。
稚き疵面の『王』は黒き剣の柄に手を添わせ、悠然と微笑むのだった。
発見した侵入者が単騎でしかも陸の通路上での遭遇となれば、殆どの人魚兵は召喚した水を纏いながらの白兵戦を仕掛けて来た。
海の加護宿した三叉槍は鋭さを増し、ぬめる鱗は岩肌を苦ともせず滑り出して……殺到する水妖らが狙うは少年の首ただ一つ。
刺し貫いたと人魚兵の1体が歓喜の声を上げるも――それは縮地にも似た高速の足運びが見せた残像に過ぎなかった。
返し刀にとレクスが振り上げた剣刃からは黒嵐の如き禍々しき『力』が噴き上がり――溜め動作からのただの一閃のみで至近の人魚の胴部が両断され、広がる衝撃波は、忽ちに周囲の敵群をも血風の下へと斬り伏せた。
邪を討つはそれを凌駕する更なる邪。魔剣『災厄(ハザード)』は主たるレクスに応え彼に大いなる力与え、代償に彼の若き命を啜る。
「僕はこんな所で止まってられない」
時には自らの剣に狩られて足元へと転がる亡骸すらも肉盾と変えて。
『群竜大陸』、そしてドラゴンテイマーと……『龍』に纏わる謎へと挑む為に、少年の眼は只管に前へ前へと。
幾度かの交戦の後にレクスが遭遇したのは激しき剣戟の音立てる、とある一隊。
素早く反応したレクスは鮮血滴る魔剣を血振りして正眼に構え直す。
その群れの中心に立つひとりの人魚から、明らかに他とは異質な、抜きん出た『力』を感じ取ったからである。
だがもう一度よくよく見ればそれは三叉槍の人魚ではあったがオブリビオンではない。
キマイラでありそして――。
「……魔歌を耳にする前から、同士討ちをする羽目になるのは御免だわ」
特段慌てる様子も無く、悪魔を想わせる頭部の角や翼を示す仕草で逸る少年を制止してみせたその人魚とは、サリア・レヴァイア(魔歌・f17984)であった。
「なんだ猟兵か、失礼した」
「確かに……姿だけは、同胞とも言えるわね」
本人は特に気分を害した様子も無く、淡々と、だからその身体の急所はわかっているのだと包囲網からの攻撃全てを冷静に先読みして捌いた。
当初、距離を多めに取っての槍投擲をと考えていたサリアだったが 入り組んだ道続く天然の要害内では遠距離戦に適した地形ばかりで戦闘できるとは限らなかった。
――尤も。
多勢に無勢の乱戦下でならばかえって無差別攻撃である魔歌のユーベルコードは使い辛いらしく、サリアとレクスが合流して共闘した後も、剣槍交わしての戦いばかりがしばし続けられる事となる。
「さあ、受け入れて――『海神の雷火(トリアイナ・ファクス・カエレスティス)』が齎す、己の運命を」
サリアが視認できうる限りの敵マーメイド全てを、『真名』明かしてひととき神炎取り戻した彼女の槍は撃ち抜いてゆく。
海の加護を防御へ割いた少数だけがかろうじて息永らえたがいずれの傷も既に深い。
『……オノレ、オノレ……忌々シキいぇーがーメ……ッ』
「お前たちは猟兵の存在を知っているのか?」
トドメを刺して廻っていたレクスがふと浮かんだ疑問を最後の1体へと投げかけた。
全てのオブリビオンは、猟兵に関して、その呼称とそれが不倶戴天の敵であるという事を本能で『理解』するのだと話には聞くが少年にはどうにも腑に落ちなかったのだ。
対して人魚の喉が紡ごうとしたのはレクスへの回答ではなく、魅了の歌声。
この戦場内にはもはや彼女以外は猟兵しか存在しないのだから何憚る必要があろうか。
――だが彼女の歌声が響くことは未来永劫、無かった。
『殺シ合……、ッッ!?』
「『太陽』が示すのは、『成功』や『約束された未来』……その光の射さない場所を泳ぐ貴女達に、未来は存在しない」
敵の足掻きを見抜いたサリアの槍は、歌が紡がれるのに先んじてその青白い喉を深々と貫いていたのだ。
「ともあれ、答えはこの先に在り、か」
問うた答えが得られずじまいのままの幕引きとなろうともレクスの……魔剣と共に征くを選んだ『王』たる者の歩みは止まらない。
そしてこんな場所で止まれないのはサリアもまた同様。
既に『柱』隠されし最奥へと心向けた少年王を水妖の乙女は再び深き洞の道へと誘う。
(――私は、占い師……勝利という運命への、水先案内人)
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と
お兄さんとは少し距離を置いて移動
今度は最初からダガーを持っておく
洞窟の影に隠れるようにして、なるべく見つからないように進む
第六感も使って、先ずは不意打ちされるのは防ぐ
敵を見つけたときは問答無用で攻撃を仕掛ける
とにかく素早く仕留める
なるべく喉を狙って声を潰す
具体的に言うと魅了する歌声が何より怖い
(距離とって移動してたのもこのため
自分が掛かりそうになった場合は全力で敵めがけてダガーを投げて攻撃が出来ないようにしておく
お兄さんが掛かったならとりあえずそれは避けに徹して敵の殲滅を優先
秘密にしてるけどお兄さんに攻撃するようなことがあったら
多分本気で落ち込むから避けたい気持ち
オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
まわりみちでも陸の道をいくね
光る苔も洞窟も
ほんとうはわくわくしてるけれど
しずかにすすまなきゃ
近づいてもリュカが離れるから
気づかれても1人ですむようにかな?と想像して頷く
離れたまま進むね
同じように隠れて移動
音も立てないように
なにかいるよの合図は身振りとアイコンタクト
不意打ちを狙うよ
人数が多いなら【範囲攻撃】
声を出す前に倒したい
仲間をよばれてもたいへんだし
歌には気をつけなくちゃ
離れた場所の人魚が歌おうとしたら
シュネーに一直線に向かってもらって
顔面体当たりからの回し蹴り
攻撃は武器受け
ぜったいにリュカを傷つけたくないから
口を開こうとする人魚からねらっていくよ
しーっ
しずかにしてね
また一組、別の猟兵達が碧の底へと秘された空間を進んでゆく。
そこは入り組んだ地形、であるからこそ、潜む物陰や狭路にも事欠かない。
(まるで迷路みたいなひみつの海の洞窟に、ぼんやり光るふしぎな苔に……どれもこれもあそび場として出逢えていたらもっとわくわくだっただろうね)
岩影から岩影へと物陰伝いの連続。それはそれでどきどきではあるのだけれど。
オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)にとって何より残念なのは、眼に飛び込んで来る驚きや楽しみについてを、いつもみたいに声に出して同行のリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)へとつぶさに伝えられないこと。
そのかわり、伝えるべき発見や異変はあれこれ身ぶり目くばせで漏らさずに。
(だって、しずかにすすまなきゃ)
踵の音、衣擦れに、ガジェットたち……隅々まで注意を行き届かせた、せいいっぱいにこっそりなオズの足取りは、隠密行動として実戦で充分に通用するレベルである。
けれども少しずつ、ちょっとずつ。
同じように気配を潜め、けれどもオズよりも遥かに手馴れた所作でするすると陸の道を進んでゆくリュカとの距離は気がつけばどんどんと拡がってゆくばかり。
さすがはリュカ、……なのだけれど……。
(ちょっと、いつもとちがう?)
ミレナリィドールの青年が追いつこうとその足を速めても、それを上回る速度で少年はますます彼から離れていくばかり。完全に意図的にそれらが行われている事はどうやら間違い無いらしい。
(う~ん? 気づかれても1人ですむようにってことかなぁ??)
オズはちょこんと首を傾げて考え込――んだりはせず。いたって素直に頷いたっきり、またそろりそろりと忍び足を続けるのであった。
ところで。彼らふたりがそもそもこうして隠密を徹底するのは敵の眼から逃れる為ではあったが敵から逃れようとしている訳ではなかった。
むしろその真逆――より多くの敵人魚を確実に陸上で屠る為の、それは極めて攻撃的な作戦方針から来るものなのである。
――彼らは夥しい紅で道々を濡らしていった。
(……とにかく素早く、仕留める)
海底洞窟という地形を攻守において最大限に活かす為にリュカが選んだ武器は一振りのダガーのみ。
相手取る敵マーメイドは、彼らが進路にと選んだ道の性質上もっぱら単騎か、ごく少数で待ち伏せて猟兵への奇襲を目論む兵に偏るであろう故だ。
そしてそれは、それなりに腕に覚えがあるか少なくとも好戦的な人魚兵ばかりとの連戦、しかも不意を討つか討たれるかの遊撃戦の仕掛け合いを意味する。
(なるべく喉を狙って……)
少年の刃が殊更に喉笛ばかりを切裂いたのは何を置いても『歌』を封じる為。
同じく『歌』を歌わせまいと『弟』人形は雪白色の『姉』人形を舞わせて廻した。
(魅了する歌声が――お兄さんを傷つけてしまうかもしれないことが、何より怖い……)
避けるかのような位置取りの理由は絶対に秘密のその恐怖心ただ一点。
長く迂回路での探索を続けた甲斐あってか、彼らは水没通路はおろか潮溜まりの類いにすらも行き当たらぬ幸運に恵まれ、陸上での闘いを繰り返していた。
敵人魚達は魅了の歌よりもまず水を得る召還魔法の発動に力を割かねばならずそれ自体が歌声封じ策として機能してくれた。
だが彼らふたりはそれだけでは満足せず、いっそ執拗とさえ呼べる警戒の下。
先々の先を取るリュカの瞬殺とオズからの援護攻撃の前にオブリビオンらは何もできず仕舞いのまま蹂躙は繰り返されたのである。
「しーっ、しずかにしてね?」
『――――――ッ? ……ッ! ……ッッ!!』
ピンと立てられた人差し指が唇に添えられると同時の『ガジェットショータイム』。
味方を巻き込む事も厭わず歌を紡ごうとした人魚を狙ってオズが召喚したガジェットはがっちりと口元を塞ぐ水中マスクもどきだった。
さしもの人魚も、生前でも骸の海から還った後にもわざわざそんなものを装着させられた経験など皆無である。
すっかりと混乱した隙を突かれ、がら空きの喉をダガーの一閃が掻き切った。
――紅く紅く、鮮血がまた噴き上がる。
そろそろ洞窟の深部にまで到達したであろう頃合い。
隠身の警戒は解かぬまま先を急ぐリュカの前に現れた二又の分岐道。
さてどちらにと思案する少年を追い抜いてするすると右の道を選んだ青年は、念入りに安全を確認した後にニコニコと手招きした。
「あのね、わたしずっと見てたら気づいたんだ。ここの苔は、水が近くにあればあるほど深い碧いろに光るんだよ」
――あれらは決して『幸運』などではなく……。
事も無げな言葉にリュカは思わずぱちくりと瞳を瞬かせ、
「そうなんだ……お兄さんは、本当に凄いな」
ゆっくりとまた歩み出したリュカは、今度こそ、オズの横へと並び立つのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫谷・康行
水の中は、宇宙に漂っているときと似ているね
無重力なら慣れたものだけど、水圧だけはどうしようもない
なら、俺の周りの水圧だけを無かったことにすればいい
【無言語り】を使って、周りの水の圧を無かったことにしようか
万全とは言えないまでも、ここぞと言うときには役に立ってくれるだろう
声なら水の中でも届くからね
君達の歌が俺達に届く前に無かったことにさせてもらおうかな
いくつかでも止められれば、向こうに隙ができるだろう
危機は凌げば好機になる
仲間はそれを逃さないはずだ
「声は初めからなかった。お前の声が誰かを揺さぶることなどこれからも無い」
相手に隙を見つけたら無言語りで相手の喉を、存在理由を無かったことにしようとする
エリス・ガーデナー
さあ、水着を締め直して一直線に迷宮攻略よ!
歌声の射程外から人魚に『王女蜂の針仕事』を撃つ!これが理想!
道が入り組んでれば念動力でホーミングさせて撃つ!
けれど敵影目視しないと同士討ちに繋がるわね。
ならば耳を塞ぎながら自分の歌声で相手の歌を妨害したり、
ピラーで壁や地面をぶっ叩き、雷の足音で歌声をかき消したりで、
敵をアタシの射程に収めてから電杭を撃つ!
「アタシの歌声に痺れてしまいなさい!」
アタシが音痴ですって?そうよ残念だったわね人魚ども!
そのまま吹き飛ばして敵を押し込んで近距離に纏めて、
人魚同士が歌声で無差別攻撃しちゃうように仕組む!頭脳派のアタシ!
その類稀なる頭脳的ダッシュで最速で最奥に行くわ!
出水宮・カガリ
※アドリブ絡み歓迎
ん、歩いて行けるようになったのは何より
波乗り状態だと、沈没船の漂流物のようで…
まあ、実際それに近かったわけだが、ともかく
門とは境界、外と内を明確に分けて隔てるもの
この門のある限り、この壁の内で、味方を惑わす事は許されない
(【鉄門扉の盾】を打ち立て【追想城壁】)
音ならば壁越しでも通ると?笑止!
カガリが、脅威と認めるならば。この内へは音も通さんのだ。
施錠された門ならば尚の事。
(【不落の傷跡】【拒絶の隔壁】【隔絶の錠前】・呪詛耐性)
カガリの役目は、壁の維持にあるので
攻撃は他のものに頼めればと思う
トリテレイア・ゼロナイン
※引き続き水中用追加パーツでの●水泳技術を活かし水中戦
水中用追加パーツを付けているとはいえ、流石に機動性はあちらが上ですね。幸い水中の視界は●暗視で確保できますし、マルチセンサーで周囲の状況を●見切ることで包囲してくる敵の行動は把握できますが
接敵したら水底にUCの杭状の発振器を複数撃ち込みます
電磁バリアは感電が怖いので使用しませんが、ワイヤーアンカーを杭に撃ち込み●ロープワークで巻き取ることで、水中での移動の補助=回避による防御力向上に役立つでしょう
水の抵抗を●怪力でねじ伏せ武器を振るい攻撃を●盾受け●武器受けで防御した後、超重装甲フレームの伸縮機構を活かした剣の突きで着実に敵を倒します
●水の中の宙
一方、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は単騎探索中、水没通路の一角において敵の一隊との遭遇を果たしていた。
洞内は空気と同様に水の方も特に澱んではおらず、先の大蛇戦の為にと投入された彼の追加パーツは、引き続き、機械騎士の水中活動を支え続ける事となる。
「流石に機動性はあちらが上ですね」
ウォーマシンである自身と姿だけなら愛らしい乙女揃いの人魚とを比較すれば、倍近い身長やそれ所ではない体重差など互いに持ち合わせたその体躯故に、小回り等に関しては残念ながら敵側に軍配が上がる。
その分、個対個の馬力勝負ならばトリテレイア優勢なのだが、人魚兵達は数に物を言わせて包囲からの攻撃機動でそれを補おうとしている。
『ハハッ! 大仰ニ何ヲ持チ出ソウト、陸ノモノガ水中デ私タチニ勝テル筈ガナイ!』
『藻屑トナッテシマエ、鉄ノデカブツガッ!!』
魅惑のマーメイドなどと呼ばれる彼女達だが、御伽噺のそれに比べて随分と好戦的で、そしてとにかく口汚い。
海棲モンスターである彼女達とは水中会話が可能だったが辟易するばかりでとても語らい合う気になどなれなかった。
彼女達は決して人魚姫などではなく海のモンスターであり、そして今やオブリビオンに過ぎないのだとトリテレイアは再確認し、後は只、任務遂行を第一とする冷たきマシンとしての闘いを展開するのみである。
「これは本来、いわゆる『檻』というべきものでしたが……」
全身各所に装備された高感度センサーが伝える膨大な情報の処理とユーベルコード発動が並列して同時に実行へと移されてゆく。
先の闘いとは異なりこの戦場の『海』には空の代わりに厚き岩礁の天井が広がり、見回せば岩壁が存在する。
堅きそれらに向けてトリテレイアから一斉発射された杭状装備は水中戦に合わせて電磁障壁を完全オフにした状態である為、『檻』の役割を果たす事は難しいだろうが……その代わり、全てにワイヤーアンカーが取り付けられていた。
「摩擦係数の異常は、無事、解消されたようですね……」
今度こそ全弾ガッチリと突き刺さった事に安堵したトリテレイアはよりいっそうの機動性を獲得する事でその守備を高めた。当たらなければどうということはないのである。
(――水の中は、宇宙に漂っているときと似ているね)
スペースノイドである紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)もまた水没区画へと足を踏み入れていた。
とはいえ潜水に耐える為の備えといえば宇宙服のみの彼の移動速度はゆっくりとした進みではあったけれど、感覚的なその身のこなしに危なげは無かった。
水中であっても声は伝播する――ユーベルコードの『歌声』がそうである様に『言霊』もまた。
大きく遅れてトリテレイアの交戦ポイントにまで辿り着いた康行は『無言語り』を以ってまず己を包み込む水から水圧をまず『無かった』事にした。
「次は君達の歌だ」
これまでの何人もの猟兵と同様に、康行もまた同士討ちの危険孕む魅了の歌のユーベルコードを最も警戒しその封じ込めを第一と考えていた。
ウォーマシンの猛攻の前に散ったのであろう人魚の亡骸の多さは、残された少数の残敵が確実に追い詰められている事も意味する。
「声は初めから『無かった』。お前の声が誰かを揺さぶることなどこれからも『無い』」
虚空を泳ぐための白い宇宙服から伝播を始めた『虚無』は、1体また1体と地の底の海泳ぐ人魚達へと浸透を始める。
中には、新たに出現した猟兵を排除する為に歌声ではなく三叉槍での吶喊という直截的な武力をもって実行しようとする人魚もいたが……。
「させません!」
超重の金属装甲を押し立ててガッチリと受け止めたのはトリテレイアである。
槍に対する剣のリーチの不利に対しても、彼の四肢に備わる伸縮機構が補ってなお余りある威力を発揮する。
「君達には喉も『無かった』」
警護の闘いにおいてこそその性能を十全に発揮するウォーマシンの騎士に守護された、スペースノイドの魔法使いは容赦なく言霊を操り、重ね、遂には――。
「――君達にはそも、存在理由が、『無い』」
彼らを取り囲む敵の一隊そのものが泡沫も残さず無へと溶けてゆき、
戦いそのものを『無き』ものとしてしまったのだった。
●鉄と斬鉄の戦場
「さあ、水着もバッチリ締め直して一直線に迷宮攻略よ!」
「ん、歩いて行けるようになったのは何より」
ボロ布を投げ捨て水迷宮へと降臨果たしたエリス・ガーデナー(不器用なニンギョウ・f01337)は完・全・復・活で本来の溌剌を発揮していた。
一方で海原に揉まれる波乗り状態を沈みゆく漂流船の心地で乗り切った(?)出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は岩の大地の確かな感触をほっと踏みしめている。
最速で最奥を目指して吶喊する少女人形が切り拓いた警備網を、堅守をもって支援に徹する鉄門扉のヤドリガミが地均ししてゆくという絶妙なコンビネーションがそこには成立していた。
「ビキニの、魅了の歌対策はせずともよい。カガリに任せて攻撃だけに専念してくれ」
「なんて頼もしい! けど、アタシの特徴ってそっちなの!?」
「うん? 槍の、だとこのオブリビオン達や他の猟兵と被ってしまうからな」
どちらかといえばランスのと呼ばれたかったエリスであったが本家マーメイドにも勝るこの魅惑の夏スタイルこそが最大の特徴だと生真面目に評されればそれはそれで悪い気はしない乙女ゴコロなのである。
こうして快進撃を重ねる彼らだったが最奥に近付く程に敵の護りもまた厚くなるだろうとの彼女らの警戒は裏切られた。おそらくは洞窟各所で戦う他の猟兵達の抑えに戦力を割かざるを得なくなって来たのであろう。
『オイ! 『アイツ』ヘノ食餌ヲ途切レサセルナ!』
『ウルサイッ、最早ソレドコロデハ……』
なにやらとっても別件取り込み中らしき深層の人魚兵達めがけて降り注いだ更なる災厄は、鉄杭の雨と雷迅。
「アタシの歌声に痺れてしまいなさい!」
エリスの赤き靴が奏でる軽快なステップは真夏を想わせる鮮烈な落雷音を戦場へと轟き渡らせる。
これもまた彼女が幾重にも準備した魅惑の歌声対策の一つだったのだがそれ抜きでも奇襲によって烏合の混乱を助長させる効果は抜群なのである。
『ナ、何ダコノ音ハッ!?』
「アタシが音痴ですって? そうよ残念だったわね人魚ども!」
ふふんと不敵なウインクのせてばら撒かれた『王女蜂の針仕事(ハチノス・ツツイテ・ツラヌイタ)』の電杭は全て『斬鉄』属性纏わせておりその貫通力は抜群。
ビキニのが味方で良かったと心からの感嘆零したカガリもまた、後の無い人魚達からの総反撃を迎え撃つべく鉄門扉の大盾を構える。
――門とは境界、外と内を明確に分けて隔てるもの。
故に、『彼』ある限り、この壁の内で、味方を惑わす事は許されない。
一見しただけでも伝わるカガリの『門』の鉄壁の護りに対して人魚達が選んだ攻撃は、やはり『歌』。
もしもエリスが守りをカガリに委ねていなければ吹き飛ばしを駆使して敵を一纏めにして……と目論んでいたのだが、最後の守備ラインとしてそれなりの兵数を擁するこの戦場でそれは、可能ではあっても困難だった、かもしれない。
「音ならば壁越しでも通ると? ――笑止! カガリが脅威と認めるならば、この内へは音だろうが何物だろうが決して通さんのだ!」
その立ち姿は、宣言は、まさに威風堂々。
――都は無く人は亡く。儚き栄華は荒城と成り果てた……『されど、亡都の扉は此処に在り』!
『……ソ、ソンナ……』
『莫迦ナ……』
「カガリはカガリの役目を果たそう、行け――ビキニの!」
「ええ! この類稀なる頭脳的ダッシュで最速で最奥に行くわ! あなたと、そして他のみんなと一緒にね!!」
ひときわ大きく、強く、輝かしき『斬鉄』の掃射が既に施錠重ねた『鉄壁』に半ば心折られて立ち尽くすマーメイド達を灼き貫けば戦いは終焉を迎える。
――猟兵達は、此処に遂にクラウドオベリスクの領域への到達を果たしたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『貝塚の女王』
|
POW : おいしいおいしい、モットチョウダイ
自身からレベルm半径内の無機物を【肉を溶解する水流】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : 痛いトお腹ガへっちゃうモン
自身の身体部位ひとつを【無数の貝殻でできたドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : アナタもトッテモおいしソウ!
対象のユーベルコードに対し【精神力を弱らせる邪光】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:はる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニキ・エレコール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サリア・レヴァイア
【SPD】
…配下は皆、骸の海の泡沫と消えたわ
貴女も、後を追わせてあげる
女王だけが生き延びるなんて、滑稽でしかないもの
近付けば、肉を溶かされる…厄介ね
でも、貴女より先に、無機物を操作すれば…UC:【XXI】世界で、私の支配下に置いてしまえば……さて、どうなるのかしら
上手く行けば、身体能力を高めた上で、第六感や見切り、カウンター等々を駆使して有利に動けそうね
駄目ならば…素直に退いてから再びUCを発動し、私に有利な領域から遠距離戦を仕掛けるわ
「女王」…「感情的になり、焦る事で失敗する」、そういう意味も含まれる運命なの
……忠告が、遅かったかしら?
※アドリブ歓迎
紫谷・康行
【フロッカムの気まぐれな住人】を使い
黄色に青の縞を持つ寝ぼすけの蛙ホロンを呼び出す
臆病なホロンは寝ている間に電気を貯め込み触ったものに放電する性質があるから
悪食な相手にはピッタリだろう
ホロンの好物の魔界の松の実をたくさん食べさせたら子守歌でも歌ってゆっくり眠ってもらおう
後は敵に近づいてもらえればいい
「蛙にだって意地はあるだろうさ、黙って食べられないくらいの」
うまく敵に触れれば、水中だし大きな電流が流れるだろうから
ダメージを与えるだけじゃ無く痺れさせて動きを鈍らせられないかな
隙を作れば仲間を助けられるしね
仕事を終えたホロンには森に帰ってもらう
敵を倒したら壊す前にクラウドオベリスクを調べて見る
レクス・マグヌス
【心情】
ここが迷宮の最奥、クライドオベリスク……
さて、残す相手はお前だけだ、女王
僕自身の願いのため、この水迷宮は暴かせてもらうぞ
「嵐よ起きろ! 戦いの時だ!」
【戦術】
先ほどは見せなかったが、この刃の力は切ることが本質じゃない
刃の呼ぶしもべの力、とくと味わうがいい
「地形を利用」で水中からの不意を狙う
「高速詠唱」から敵の攻撃が始まる前に攻撃を開始する
「気合い」で術には耐えて攻撃
「生命力吸収」で体力を奪い、確実にその命を奪い去る
【戦闘後】
「情報収集」「うせもの探し」にて群竜大陸の手がかりを探る
ドラゴンも、いや、オブリビオン自体謎が多い
これが何か、奴らの正体を知るヒントになればいいけど
迷宮のような海底洞窟とそこを警備するマーメイドの群れを突破した猟兵達は、遂に、最奥に広がる空間へと到達を果たす。
そこは天井の高い吹き抜け構造となっており、照明代わりに光る苔の群生密度も面積も共にこれまでに無い規模の岩場であった。
一見した印象では厚い岩盤によって構成されたなだらかなスペースであり海にも直接は繋がっていない様子である――そしてこの空間の主たる存在は、最奥のさらに奥。
獣の耳と牙、蝙蝠にも似た翼の両腕、そして人魚を思わせる碧鱗の下半身。
それらの特徴を合わせもつガーディアンは美しき乙女の顔をほころばせ、みるからに幸せそうに猟兵達へと微笑みかけながら……既にべったりと血に塗れていた。
『まぁステキ! 久々にとっても気の利いたご馳走フルコースネ!!』
魚介類の残骸らしき物体があちこちに大量に散乱しており、特にうずたかく積もった彼女の足元から周囲にかけては半ば溶解しかかったまま肉体の一部分をばっくり失ったマーメイドの死体も幾つか散見される。そのいずれもが苦悶に歪んだままの絶命であった。
『貝塚の女王』と呼称されるこのオブリビオンは極めて我儘でいつだって腹ペコ。
故に、配下のオブリビオンであろうと己を討伐しに来た猟兵であろうと、彼女にとっては等しく食餌の肉でしか無いのだ。
「……配下は皆、骸の海の泡沫と消えたわ。貴女も後を追わせてあげる。女王だけが生き延びるなんて、滑稽でしかないもの」
悠長に『ご馳走』の列へ舌なめずりするばかりで自らから動こうとはせぬ女王に先んじて仕掛けたのはサリア・レヴァイア(魔歌・f17984)だ。
無機物を女王の『消化液』に変化させる能力こそ最も厄介だと彼女は考えていた。
「でも、貴女より先に、無機物を操作すれば――『【XXI】世界(ザ・ワールド)』で私の支配下に置いてしまえば……さて、どうなるのかしら」
堅い筈の岩盤がぐにゃりと歪んだと同時、それらは深きエメラルドグリーンの輝き湛えた一つの小さな『海』と化す。
それはただの水に非ず。今ひとときサリアにのみ力与える彼女の領域が女王を圧し包んだのである。
より有利な戦場を創り得た後は、『海』の内、一掻きニ掻きと錆槍の間合いへと二者の距離は瞬く間に縮まり矛先が突かれる。
だが……たとえ超自然的な加護は無くとも相手もまた水中を苦としない存在であり――そして遥か格上の、強大なガーディアンなのである。
涼やかな微笑を崩さぬまま女王から無造作に伸ばされた翼腕は渾身の刺突攻撃を、片腕ひとつ、鷲掴みで封じてしまう。
(退……かせる気は、無いようね……)
そのまま強引な怪力で一気に引き寄せられて肉薄したサリアの白い顎へ空いたもう片方の翼腕がそっと添えられ……占師として研ぎ澄まされた第六感に頼るまでも無くそこにはただ『食欲』という名の殺意しか存在しなかった。
サリアにしか味方しない『海』の存在は、他の猟兵の多くにとっては逆に女王を攻める際の障壁となる危険と隣合わせでしかも周囲の地面も『変換』の代償にごっそりと抉られ俄かに荒れ果てており……援護は間に合わぬかと思われた、その時。
(ここが迷宮の最奥……さて、残す相手はお前だけだ、女王)
突如出現した『海』へとその身を踊らせたレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)が再び抜き放った魔剣から繰り出された攻撃は斬撃ではなかった。
元より水中からの不意討ちを仕掛けるつもりだった少年にとってはサリアの『海』創出もサリア自身の特攻もまさに降ってわいた絶好の好機。
ただ、女王の死角へと位置する事に成功したレクスだったが、彼の気合いもってしても水中では高速詠唱もままならなかったのだ。
ならばさしあたってはまずサリアを敵手中から剣刃で救出するに留めるべきかと逡巡していたのだが……そんな彼の存在と意図に気づいたサリアが咄嗟に彼の周りの水を操作し――そして。
魔剣『災厄(ハザード)』の刃の本質たる力……『剣の軍勢(インベル・アウクシリア)』の解放が成されたのである。
「嵐よ起きろ! 戦いの時だ!」
『王』の命へ応えて女王へと斬りかかった嵐の騎士の手には下僕たる一振りの妖剣。
「……アナタはゼンッゼンおいしソウジャナイ」
魔剣の産物である生命なきしもべ達には食欲そそられる処が無いのだろう。
すっかりと気分を害した様子の女王は幾太刀かを平然と浴びるに任せたままユーベルコードの発動に集中する。水中ゆらりと灯された紫の邪光は騎士と剣を掻き消してしまうも、レクス本人は既にサリアと共に『海』の外。
そして『海』の内部に漂う者が討つべきガーディアンのみとなった今こそが紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)にとって攻撃の機。
『10の季節を持つ気まぐれな魔境フロッカムに住む1000の魔力を秘めし100匹の蛙よ。我が求めに答えここに来たれ――』
康行の召喚に応じた『フロッカムの気まぐれな住人(りんじん)』とは黄色地に青縞柄の、奇妙な蛙であった。
女王と仲間が『海』中戦を繰り広げている間、彼は、寝ぼすけで臆病な蛙『ホロン』の為に荷をひっくり返して見つけた松の実を腹いっぱいに与え、子守歌で寝かしつけ――という端からは奇行とも映るのどかな攻撃準備にここまでずっと勤しみ続けていたのだ。
そしてようやく蛙が深い眠りにつき、『力』を蓄え出すのを待った康行の前では『海』の中にひとり漂いいまだ目の前の『ご馳走』達にお預け喰らいっぱなしな女王の姿。
「蛙にだって意地はあるだろうさ、黙って食べられないくらいの」
「じゃあアナタだったら黙って食べられてクレルのカシラ?」
煽って自ら手に取って食べに来させるつもりだったが、マーメイド達による保身の為の給餌にすっかりと慣れた怠惰な女王はむしろ康行自身に狙いをつけつつある様だ。
一方で『ホロン』はといえば眠ったまま。
(そりゃ俺がついさっき丁重に眠っていただいたばかりだからね)
微かに苦笑を漏らした魔法使いは起こさぬようそっと『ホロン』を抱え上げるといまだサリアの魔力によって維持続く『海』へと歩み寄った。
――サリアの槍にせよレクスのしもべ達の剣にせよ貝塚の女王がここまで見せた戦闘スタイルは、いったん敵攻撃を受け止めてからの反撃という形ばかりである。
ならばと康行は、しましまのその蛙を、大きく振り被った。
綺麗な弧をえがいて蛙飛び込ませた『海』の中では、思わず両手を伸ばしてキャッチしてしまった女王の愉快げな笑顔。
そして『ホロン』がぱちくりと眼を醒ます――その性質上、眠る間に溜め込んだ莫大な量の電気を放電しながら。
「――キャッ!?」
「今よ……」
号令と同時に撃ちこまれたのは一筋の誘導弾。
いったんは後方へと距離を取ったサリアは当初、再び『【XXI】世界』を発動し直して遠距離戦へ移行する積もりだった。
だが『ホロン』が秘めた強い雷属性に気づくと同時に康行の狙いを読んだ彼女は、女王を包む『海』を維持したままの遠距離戦へと作戦に微修正を加えたのだ。
『ホロン』が負わせた感電や熱傷の前に少なからずダメージを負った女王に対して、『海』の外側からも猟兵からの追撃の集中砲火が浴びせられる。
「『女王』――『感情的になり、焦る事で失敗する』、そういう意味も含まれる運命なの……忠告が、遅かったかしら?」
冷ややかな託宣が、これら第一波が次へと繋がる確かな有効打となったという手応えをも乗せて紡がれる。
「僕自身の願いのため、この水迷宮は暴かせてもらうぞ」
一方で攻め手に加わりながらもレクスや康行の心は既にこの領域に有るべき『クラウドオベリスク』へと馳せられる。
女王の周囲のみならず、最奥空間全体を隈なく見回してみてもそれらしき物体は何処にも見当たらない。
だが――この場に足を踏み入れた猟兵の誰もが、邪悪な力の存在を感知しており、この悪食なガーディアンを倒すことでそれが姿を現すに違いないと確信するのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
トリテレイア・ゼロナイン
※引き続き水中用追加パーツでの●水泳技術を活かし水中戦
無機物変換の対象は猟兵や装備までは含まれないという前提で行動
(含まれていたら即死しかねないので)
空腹の女王の期待にはあらゆる意味で応えられそうもありませんね
オベリスクを破壊するため押し通らせて頂きます
肉を溶かす消化酵素が含まれているならば水温や比重は周りの水と異なる筈
●暗視で視界を確保しつつ、マルチセンサーでその差異や接近する振動を●見切り、回避や●盾受けでの防御に活用
●防具改造で装備していた投光器の光を●スナイパー技能で女王に当てて●目潰し。生じた隙にUCの隠し腕で打撃し、ワイヤーでの●ロープワークで捕縛。接近して●怪力で振るう剣で追撃
エリス・ガーデナー
人魚達の話からして、この辺の貝を独り占めしていたのね!許せない!
「貴様を倒して!この海の魚介類はアタシが頂くわ!」
『可憐なる息吹』!
ピラーを構えて高く、敵の視界の外へ外へと翔ぶわ!
無機物を操る力でアタシの武器も溶かされるのは困るから翔ぶ!
水流も避けて翔びながら靴を片方蹴り飛ばし!また片方蹴り飛ばして牽制!
そこからランスを投げつける本命攻撃!と見せかけて…
念動力で軸をずらして相手の足先?ヒレ先?を狙わせつつ。
アタシが飛翔の勢いそのままに、エリスパンチで打ち抜くわ!
「正義のパンチを食べてご覧なさい!」
そのまま連続攻撃!と雪崩れ込みたいけれど、
水流で溶かされないよう蹴りを入れてその反動で高速離脱よ!
――たぽんと、軽やかな水音と共に。
放電を終えた臆病蛙は、『海』から弧を描いて跳び出すとそのまま遥か遠き『森』へと還ってゆく。
先の戦いから引き続き、水中仕様を維持した状態で対ガーディアン戦にと臨んだトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとっても、猟兵のユーベルコードによる『海』の出現は好都合であった。
「見ての通りのこの機体、空腹のあなたの期待にはあらゆる意味で応えられそうもありませんね」
「ソウでも無イワ。どんなに殻が硬くテモ中にある魂はみんな柔らかデ美味シイモノ!」
貝と同じネと返された言葉にはクスクスと笑い声が混じる。
トリテレイアの予想に反して、ウォーマシンである彼もまた『貝塚の女王』にとってはご馳走の範疇であるらしい。悪食にしても見境の無い話である。
「やっぱり! 人魚達の話からしてそうじゃないかと思ってはいたけれど……」
そしてもう一人。ここまでの道中、警備のマーメイド兵達の口からは悪評や不平ばかりが漏れ囁かれていた敵を実際に目の当たりにして、エリス・ガーデナー(不器用なニンギョウ・f01337)は剛直たる白銀槍を構えて真っ直ぐな怒りをぶつけた。
「この辺の貝を独り占めしていたのね、許せない! 貴様を倒して! この海の魚介類はアタシが頂くわ!!」
……あさっての方角へと向けて。なんという食いしん坊対決。
エリスもまたミレナリィドールであったが、ウォーマシンですらOKな女王にとっては彼女も当然、活きのいいご馳走スイーツである。
「そうネ、確かにもう少しアナタにお肉が付いたらもっともっと美味しくなりそうだけど……でもダーメ、ごはんは誰にもあげナイ!」
「シャーラップ! 乙女の辞書に! 贅肉の2文字は無いのよ!」
心の落丁問題はともかくとして。
マーメイドからの食餌も途絶えて久しく戦闘の中でのダメージ重なる女王は、とにかく空腹を満たしたくて仕方が無いらしい。
初めての、受け身ではない彼女の側からの攻撃開始。淡紫の双眸をすぅと細められ……再びユーベルコード発動の為の、数秒の集中。
「……モットチョウダイ?」
女王がその言葉を紡いだと同時、猟兵の『海』の周囲へ、更に大きなもう一つの渦巻く『海』が押し包むようにして創り出された。
「オベリスクを破壊するため押し通らせて頂きます」
無機物を水流に変換するというこのユーベルコードの対象として猟兵であるトリテレイアの躯体が巻き込まれる事はなかった、が、彼本体と接触していなかった追加装備の幾つかは喪われてしまっていた。
(さしあたって即死さえ免れれば戦闘行動に問題はありません)
全身に組み込まれたセンサー類をフル稼働させれば猟兵の『海』は完全に呑まれた訳ではなく、依然、女王周辺を占めているとの分析結果が弾き出された。
考えてみれば、女王本人とて『肉』である以上、身喰いを避ける為にはある程度己からは水流を離す必要があるのだろう。
混ざり合う『海』の潮目を完璧に見切ったトリテレイアが大盾を翳しながらの高速潜航でひとたび女王にまで肉薄すれば『消化液』からの攻勢は格段に弱まっていく。
「騎士の戦法ではありませんが……」
「――ッ!?」
先迄はワイヤーアンカーが射出されていたウォーマシン体内の格納からその時出現した装備は投光器であった。
至近からの不意討ちで強烈な目潰しの光を浴びせる事に成功した機械騎士は即座に次なる内蔵武器……文字通り『奥の手』による追撃を敢行する。
ワイヤー制御の『隠し腕(ワイヤード・サブ・アーム)』で雁字搦めにされた女王が、心底不快げな表情を浮かべて脱け出そうともがくその隙をトリテレイアは決して見逃さず、持てる膂力の限りを籠めて剣刃を突き立てる。
「不意を、討たせて頂きました」
「痛ッ!! ……こんな糸……またスグに水に変えてしまエバ……」
だが。
再度の集中に入ろうとした女王にとっての完全な死角……その頭上の真上から迫る影は『ホワイトピラー』。
「――『可憐なる息吹(プリティープリティーアンドプリティー)』!」
赤い踵が宙を踊り、肉溶かす水を蹴り飛ばす。
機械騎士の拘束が効く今ならば牽制の必要は無いと踏んだ槍乙女の手から、女王の脳天めがけて重きランスの一投が放たれた。
ワイヤーに翼を裂かれながらも強引に伸ばされた女王の片腕がまたもランスを鷲掴む、かと、思われたその瞬間に銀槍は擦り抜けるように大きくカーブを描く。
念動操作を受けた『ホワイトピラー』はそのまま碧き足先から尾鰭にかけてを鮮やかに両断し……だがそれすらも本命攻撃では無かった。
今この瞬間アタシは最強に強くて可愛くて、つまり――世界でいちばんプリティであるとの絶対的自信がエリスを加速させてゆく。
「正義のパンチを食べてご覧なさい!」
強く握りこまれた少女の拳は、飛翔の勢いそのままを威力として乗せて白磁の如き女王の横っ面へと炸裂した。
「痛ッ……たァァァイッ!!!」
トリテレイアのワイヤー捌きとエリスの速さとがあればそのまま連続攻撃に持ち込む事も可能かと思われた、が……両者ともそれ以上の深追いはせず後方に控える他猟兵へ後を託して『海』からの高速離脱を開始する。
女王に攻癒一体の生命力吸収能力がある以上、敵前で少しでも隙を見せればこれまでの攻勢が水泡に帰してしまうかもしれないのだからその慎重は賢明と云えるだろう。
波状攻撃は第一波・第二波ともに首尾よく成功し、敵被害は既に甚大。返り血ではない紅を全身から流し始めた『貝塚の女王』からは、すっかりと優美な笑みは霧散していた。
「ああモウ、痛い痛い……。痛イト、お腹ガへってガマンできナイ――」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
出水宮・カガリ
※アドリブ絡み可
既に手負いならば、回復を試みるはず
生き残りたい、という本能
部下すら貪るほどの、常に食べたい、という欲望
それらは全て、生あるもののみが持つ意志に他ならない
敵の一部が変形してきたら、真の姿へ
(先に変身はしない。食欲失せそうなので)
門の姿で【大神の神眼】で見下ろし、【死都之塞】でその意志を奪う
空腹だと思う事も、痛いと思う事も、全て止めれば楽になろう
進んで苦しむこともあるまい
意志を奪っている間に、他のものにとどめを頼みたい
オベリスクは…ここまで来て海中、だったりするのだろうか
一応、破壊前に柱や、周辺を調べた上で、叩き折っておこう
リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と
…ん。俺もたぶん美味しくないと思うし、
お兄さんが齧られても困るから、がんばる
今回もダガーで至近まで接近して、
早業で暗殺を試みる
無理そうでも細かく何度も攻撃して傷を負わせられたら
後は余裕があればレプリカクラフトでフックつきワイヤーあたりを利用して動きを封じられればなおよい
防御は全部オズお兄さんに任せてるので、
なるべく離れないように。お兄さんの動きを邪魔しないように立ち回るよ
何よりお兄さんが齧られたら、速攻でそのドラゴンの頭は落とす
とはいえ、ここぞというときには突っ込むけど
機会は逃さずに行きたい
……その、
そんな風に期待されると
応えたくなるのが人情ってモノで
頑張ります
オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
クラウドオベリスクも気になるけど
さきにこっちをなんとかしなくちゃだね
わたしはたぶんおいしくないと思うけど
リュカもだれも食べさせないよ
相手が陸でも水の中でも
斧を振りかぶり蒸気を噴出
勢いが足りず届かないようならそのまま【ガジェットショータイム】
リーチの長い武器で刺す
リュカへの攻撃を防ぐことを最優先
だいじなともだちだからっていうのももちろんだけど
リュカがいればぜったいに倒せるってわかってるから
どんな攻撃からも守るね
攻撃は【武器受け】
武器に噛みついたドラゴンの頭を強く引くことで
相手に隙を作れるかな
リュカっ
絶対の信頼を込めて名を呼べばこたえてくれる
その頼もしさに微笑んで
ほら、ねっ
レクス・マグヌス
SPD
【心情】
今ので倒れていないとは思った以上にタフな相手だ
だが、それでもすでに体力は消耗していると見た
一気にケリをつけるぞ!
【戦術】
敵の攻撃に対しては、妖剣解放からの速度で対応する
「残像」で的を絞らせないようにして、逆にこちらが「生命力吸収」で体力を奪ってやる
後はひたすらに斬る
強力なオブリビオンであることは百も承知だ
だが、それとて無限の生命力を持っているわけじゃない
攻撃を行えばいつかは倒れる
僕の生命の一撃、決して軽くは無いぞ
【戦闘後】
思ったよりも、長引いたか
妖刀の怨念を身に纏っていた代償の分、体が弱って吐血する
だが、この程度のこと、どうということはない
僕が負った業だ
●碧たるもの
満身創痍のガーディアン……オブリビオン『貝塚の女王』の周囲で『海』を形成していた水が、突如、肉溶かす水流ごとざぶんと押し流すようにして掻き消えた。
これから攻め寄せる猟兵達が仲間に解除を要請したのである。
(――今回も狙うのは、至近まで接近して早業での暗殺)
リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)の場合、細かく何度も仕掛けなければならない可能性も考慮すると、やはり、陸上戦の方がやり易いとは考えた故であった。
一方で相手が陣取るのが陸の上だろうが水の中だろうが、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)のすべき事はずっとおんなじ。
敵から距離を取って戦場を俯瞰し、ガジェットを駆使してリュカへの攻撃をすべて防ぐことが何よりも彼の最優先なのである。
「クラウドオベリスクも気になるけどさきにこっちをなんとかしなくちゃだね」
「……ん、がんばる」
ガジェットの斧を手に俄然張り切るオズの横で、コクリと小さく頷いたリュカから返答はごく必要最小限。
だがそこには「(俺はたぶん美味しくないと思うしお兄さんが齧られても困るから、)がんばる」という想いがぎゅっと篭められており、たぶんそれらは稚き碧瞳の青年人形にもちゃんと伝わっている。
「わたしはたぶんおいしくないと思うけどリュカもだれも食べさせないよ」
そう笑い掛けてきたオズお兄さんにはかなわないなあと感じるし頼りにしているのだけど、一つだけ異論があった。
先に女王本人が告げた通り、その器が人であれ人形であれ関係なくあのオブリビオンが本当に『魂』まで食しているのだとしたら……オズお兄さんの味はきっととてもおいしいだろうと確信できるのだ。
急速に失われていった『海』の跡地の岩場の上で。
『クラウドオベリスク』のガーディアンたる女王はぶつぶつと憑かれたように痛イ痛イと呻いていた。
「もっともっと、食べ、ナキャ……だって痛いト、お腹ガへっちゃうモン……」
深き槍傷穿たれた女王の碧鱗の脚部尾びれがたちまちの内に無数の貝殻を寄せ集めた『貝塚』にと変わり、狂暴たるドラゴンの顎と牙を具えた頭部そのものとなる。
全身に絡みついていたワイヤー全てを強引に引き千切りった後、鎌首もたげたその『竜』の食欲がまず最初に向かった先はダガーを片手に近接戦の間合いにまで忍び寄っていたリュカだった。
突如生えた二つ目の頭部は、女王にとっては死角に当たる筈の後背へとデタラメな動きで伸びていたのだ。
「食べさせないっていったからねっ!」
蒸気を噴かせて加速する斧の軌道は『竜』の大口へと、真っすぐに。届かぬはずの距離を埋めたのはオズの想い受けて発動したユーベルコード。
『ガジェットショータイム』の力でパワーアップと伸縮自在な変形機構の搭載を果たした武器ガジェットの刃は貝竜の大口を突き抜けて更に喉奥――女王本体にまで到り強かに刺し抉る。ひときわ甲高く洞窟内に響く、女のものとも獣のものともつかぬ醜悪な悲鳴。
「だって、リュカはともだちだからってのはもちろんだけど、リュカがいればぜったいに倒せるってわかってるからね」
青年にとってその少年の名はまるで魔法そのもので。だって、絶対の信頼を込めて名を呼べばこたえてくれる。
「リュカっ」
防御を預けた青年からの、全幅すぎる信頼と期待に応えるべく駆けた少年も又。
(……その、そんな風に期待されると応えたくなるのが人情ってモノで)
頑張りますと、今度は敬語で応えたリュカにとっても、己の名を呼ぶその青年の声は、力湧かせる魔法なのであった。
ユーベルコードを以っての創造で精巧なワイヤートラップを張り巡らせたリュカは上半身の女王本体もろとも『竜』の動きを阻害した。
尚いっそう激しく荒れ狂う『竜』の気を自らへと惹きつける為、オズは突き貫いたままのガジェットを強く引き戻した。
狙い通り、林立する『竜』の牙が魂ごとミレナリィドールを噛み砕かんと襲いかかるも、ノーマークとなったリュカが縦横に奔らせた白刃はすべて的確に『竜』頭部の顎の付け根部分へと刺さって遂には粉砕し、その下顎を切り落とすのだった。
――ほら、ねっ!
激戦の狭間、言葉に出さずとも、振り返らずとも、リュカへと注がれるキトンブルーをひときわ輝かせたオズがそう言いたげなのははっきりと解る。
それは魂から力湧かせるとびきり甘美な魔法、ではあるのだが。
……少年にとって、そのくすぐったさだけはどうしてもぬぐえない様である。
●そして、邪なるもの
秘された水迷宮の『クラウドオベリスク』を巡る、オブリビオン最後の砦たるガーディアンと猟兵達との間で激闘は続く。
ダメージと空腹が積み重なった末に、自らの下半身を無数の貝で構成されたドラゴンへと変えた『貝塚の女王』だったが猟兵の連携攻撃の前にいったんは無力化を余儀なくされている。
だが、戦闘をというよりも猟兵の捕食を諦めないこの貪欲なガーディアンは、今度は、翼竜の飛膜想わせる紫の左腕を貝のドラゴンへと変化させる。
「痛イ……食べタイ……痛イ……食べナキャ……ッ」
先の『竜』と比べればサイズもその膂力も大幅に劣る代わりに、彼女の周囲に張り巡らされたワイヤーを掻い潜っての噛み攻撃が可能となったのだ。
(やはり回復を試みて来たか……)
長らく続けた防御支援から攻撃へと移行する出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)はヤドリガミたる己の真の姿をもってこの脅威を閉じ隔てる事を決意する。
先の女王の言葉を信じるのであれば、たとえ硬い鉄門扉であろうがそこに魂あるかぎり女王の食欲を喚起させる障害とはならぬだろう。
『是よろづのあそびを憎むもの。全ての命は、我が内に……』
小さきドラゴンのかたちへと肥大化した左の翼腕が牙剥いた先に立ち塞がったひとりの青年は、かつての黄金都市の城門における勇壮を取り戻してそこに『在る』。
大いなる門が戴く『大神の神眼』が――深淵たたえた一対の紫瞳が冷然とオブリビオンを見下ろしていた。
「何……コノ、魂ハ…………」
「生き残りたい、という本能。部下すら貪るほどの、常に食べたい、という欲望。 ――それらは全て、生あるもののみが持つ意志に他ならない」
紡がれる言葉はカガリの『認識』を再確認する為のもの。
――空腹だと思う事も、痛いと思う事も、全て止めれば楽になろう。進んで苦しむこともあるまい。
「嗚呼……あ……ア……?」
妄執とさえいえる女王の意志を受けたカガリの内なる神性は此処にその一端を覚醒させ、『死都之塞(カクリヨノシジマ)』の神たるその視線は、遂に眼前のガーディアンから無限とも思えたその食欲ごと『竜』産みだす力を奪い去ってしまった。
「思った以上にタフな相手だったがその消耗はすでに限界近いようだな……一気にケリをつけるぞ!」
レクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)の高らかな号令とともに居合わせた猟兵あげての最後の総攻撃が開始される。
『災厄(ハザード)』を伴い、再び最前衛へと舞い戻った少年王。
既に女王たる魂を喪失しつつあるそのガーディアンへ、レクスは彼は持てる剣技の限りを尽くして何度も何度も、魔剣を振り下ろしその生命を啜った。
それは彼女を侮ったが故の蛮行ではなくその逆……彼女が強力なオブリビオンであることは百も承知の上だからこそ小細工いっさい無し。
形振りかまわず、その魔剣が纏う怨念すべてを斬撃として浴びせ続ける戦法を、少年は選んだのである。
「僕の生命の一撃、決して軽くは無いぞ!」
斬ッ――、
横薙ぎにされた『災厄』の一太刀の前に、美しき乙女の首級があっけないほど容易く、コロリと断ち落とされた。
散乱する食べ残しまでも道連れに……亡骸と化した『貝塚の女王』は骸の海へと還ってゆく。
程無く、ガーディアンの守護を喪った最奥領域にぽっかりと更なる最奥への道が拓かれる。いかなる呪的な仕掛けなのか、またそれに護られた『クラウドオベリスク』とはいかなる力秘めた存在なのか。
時間許す限りの調査が猟兵の何人かによって行われたが、今この場で詳細を解き明かす事は叶わず……そして。
度重なる妖剣解放の反動に襲われたレクスが激しく血を吐いて倒れるに到り、オベリスク破壊は速やかに実行へと移された。
「思ったよりも長引いたか……だが、この程度のこと、どうということはない」
これは僕が負った業なのだと、仲間の手を振り切り何事も無かったかのようにオベリスク破壊へと加わった。
『竜』への道征く少年王の紅瞳は、ひどく冷たくそして――揺るぎ無い。
成功
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