乾杯、ハイホー、もう一杯!
●アックス&ウィザーズ
「やはり冒険者に任せるしか……」
「しかしあんな連中に勝てる者がおるのか?」
「ううむ」
大きな兜ともっさりヒゲで顔を隠したドワーフ達が、車座になって議論している。
だが雲行きが怪しい。それもそのはず、彼らを悩ませるのは恐るべき敵なのだから。
「ええーいっ、誇り高きナティビアード氏族が、揃いも揃ってそれでええのかーっ!!」
と、ひとりのドワーフが辛抱たまらずに叫んだ。見た目は全く同じ兜とヒゲだが。
「しかしのう」
「あいつら強いし……」
「わしらこてんぱんにされたしのう」
すっかり弱気な同族の様子に、立ち上がったドワーフはぷるぷる拳を震わせる。
「もうええわいっ、だったらわしひとりで叩きのめしてくるわ! ハイホー!!」
慌てた同族の制止も聞かず、勇み足のドワーフは集落を飛び出してしまったのだ……!
●グリモアベース
「よく来てくれた。オヌシらには今回、オブリビオンの山賊団を倒してもらいたい」
ムルへルベル・アーキロギアは、そう言って事件の概要を説明し始めた。
そう、先の勇敢(かつ無謀)なドワーフの相手はオブリビオンだったのだ!
賢者はかのドワーフの戦士が命を落とす光景を予知した、というわけである。
「敵は『骸団(スカルズ)』などと洒落た名を名乗っているものの、所詮は山賊。
ユーベルコードの力で子分を無作為に増やし、あちこちを荒らし回っておるらしい。
そして『ナティビアード氏族』というドワーフ達の集落を襲い、"あるもの"を奪った」
ナティビアード(しゃれたヒゲ、ほどの意味)氏族は、少々変わったドワーフ達だ。
彼らは常に大きな兜を被り、さらに(自前あるいは作り物の)ヒゲで顔を隠している。
『立派でもっさりしたヒゲの者ほど優れたドワーフ』というのが、彼らの価値観らしい。
「このドワーフ達が造る酒は美味で知られておるらしい。"あるもの"というのも、
まあ言ってしまえば酒に他ならぬ。山賊どもも、罰当たりなことをするものよなあ」
たかが酒、されど酒。
氏族からすれば、主要産業を台無しにされたも同然である。
折しも季節は夏。ちょうど酒がうまくなる季節……被害程度は考えるべくもない。
「もともと酒や鉱石の取引以外では、あまり外界との交流がない集落である。
冒険者に助けを求めるか話し合いが行われ、そこで……まあ、先に説明した通り、と」
残った氏族の面々は慌てて依頼を出したようだが、時すでに遅し。
飛び出したドワーフの戦士の行方は杳として知れず、手をこまねいている状況だ。
「このまま放っておけば、件のドワーフは殺され山賊どもも姿を晦ますであろう。
幸い隠れ家は特定できたゆえ、ワガハイがオヌシらをそこへ転送する。
件のドワーフと鉢合わせになるやもしれぬが、気にせず山賊どもを懲らしめてしまえ」
敵は無数の『山賊』と、頭目である『山賊親分』が一体。
特筆すべき点は、山賊親分は他の個体より子分を生み出す能力に優れることか。
「彼奴は戦闘中も次々に子分を生み出し、数でオヌシらを圧倒しようとしてくるだろう。
とはいえオヌシらも歴戦だ、いまさら一山いくらの三下に遅れを取ったりはすまい」
小賢しい数頼みの山賊を、自慢のユーベルコードでぶちのめしてやれ、と賢者は云う。
舞台となるのは、とある山の麓。骸団は周辺一帯をその数で縄張りとしている。
裏を返せば、周辺の被害を考慮しなくてもよい、ということでもある。
「現場に居合わせるのは件のドワーフひとり。まあ特別かばったりする必要はあるまい。
むしろいっぱしの戦士として、オヌシらに肩を並べて戦いたがるやもしれぬ」
賢者は手をひらひら振って、"ま、そのあたりはほどほどにな"と、だけ言った。
あくまで戦闘の趨勢は、猟兵の戦いぶりにかかっているのだ。
首尾よく山賊を倒すことに成功すれば、奪われた酒やその他の物資も取り戻せる。
変わり者とはいえドワーフであるからには、きっと盛大な宴を催すことだろう。
「報酬代わりに、ひとつ呑んで食って騒いでみてはどうだ? 正直ワガハイも行きたい。
ドワーフ仕込みの種々を楽しむもよし、逆に持ち込むもよし。ワガハイも行きたい」
微妙にグリモア猟兵の欲望が漏れているが気にしてはいけない。
なお酒、酒と言ってはいるが、もちろん普通の飲み物だってたんまりとある。
下戸や未成年の猟兵でも、気負うことなく参加できるだろう。
「暑さを吹き飛ばすには、やはり呑んで食って騒いでこそよなあ。ワガハイも行きたい。
ともあれまずは山賊どもを倒すことから、油断はするなよ。……ワガハイも行きたい」
ワガハイも行きたい、と三回ぐらい言いながら本を閉じる賢者。
「とある偉大な歌手が息子を初めての酒盛りに連れて行った時、彼はこう言ったそうな。
"酒は人類にとって、最大の敵かもしれない。だが主の教えには『汝の敵を愛せよ』とあるじゃないか"……などとな。
酒飲みの屁理屈? うむ、まあそうとも云う。オヌシらの健闘……と、健康を祈る」
賢者は、ニヤリと笑って転送を開始した。
唐揚げ
ウォッカです。
こんなシナリオ出してますが、自分は下戸なんですよね。
まあさておき、軽く概要をまとめておきましょう。
●目的
オブリビオン山賊団『骸団(スカルズ)』の撃滅。
ドワーフ集落から盗まれた物資(主に酒)の奪取と、飛び出した戦士の保護。
●敵戦力
『山賊』多数(1章・集団戦)
『山賊親分』一体(2章・ボス戦)
山賊親分は、他の同個体よりも子分を生み出す能力に優れている。
●備考
1・2章には、NPCのドワーフの戦士が存在する。が、特別護衛する必要はない。
さらに戦闘後(3章・日常)には、ドワーフの集落で酒宴が催される(持ち込み歓迎)
酒以外の飲み物もたくさんあるので、年齢などによる参加の制限はない。
(未成年の方は当然、お酒は飲めません)
3章では、希望があれば担当NPCのムルへルベルを登場させることも可能です。
その場合、プレイングにその旨をご記載いただければ、可能な範囲で描写いたします。
では前置きはこのあたりにして。
皆さん、S! A! K! E! な感じでよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『山賊』
|
POW : 山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●アックス&ウィザース:"皆殺し山(オーバーキル・マウンテン)"山麓
「「ワーハッハッハッハ!!」」
ガシャーン! 小気味よく打ち鳴らされる木製ジョッキ!
並々と注がれた酒をぐびぐび勢いよく飲み干していく、恰幅のいい山賊ども。
どん!! とジョッキを机に叩きつけ、
「「ワン・モア!!」」
と、なぜかカメラ目線で叫んだ。
ここは山賊団『骸団』のアジト。奴らが呑むのは……盗まれた酒である!
「ぐぬぬぬ……おのれ、美味そうに飲みおって……!!」
草葉の陰に隠れた(兜が大きすぎて微妙に隠れていない)ドワーフの戦士は拳を震わせる。
もはや我慢ならぬ。たとえひとりだろうとあの悪党どもをぶちのめすべし!
「うおおおーっ! 小癪な悪党ども、恐れおののけーい!
ナティビアード氏族が"無敵の"ガラット、ここにありじゃーっ!!」
無謀にもドワーフの戦士……もとい、ガラットはハンマーを手にそう叫んだ!
悪党どもの視線が集中する……その数ゆうに数十、いや百以上にものぼる!
「……ん? ワシひょっとしてめっちゃヤバいのでは?」
いまさらこてんと首を傾げるガラット。雄叫びを上げる山賊ども!
大ピンチだ! 猟兵よ、いますぐ介入しなんとかせよ!
ドロシー・ドロイストラ
なんて悪いやつらだ、生かしておけぬ
酒とつまみとお菓子とあといたら美人の姉ちゃんを置いていけば許してやろう
ないならちょっと早めの真冬を味わわせてやる
「おうお前らドロシーの酒を飲むんじゃない」
愛剣「トゥズ」を怪力にまかせてぶん回して躍り出つつ
山賊どもの真っただ中に突っ込んでいく
べ…別にガラットを助けるためにひきつけてるわけじゃないんだからっ
ただ「氷の狂暴な嵐」の【範囲攻撃】で山賊どもを氷漬けにしたいだけだしな
下卑た叫びとかあげてみるがいい、もう顎ガッチガチ鳴らすくらい冷やしてやるぞ
ある程度数を散らしたら攻撃は「ラース・ヴィーング」の【オーラ防御】で受け流しつつ剣でボコボコにしてやろう
ロク・ザイオン
いいにおいがする。
(故郷の森は、このくらくらするような甘い匂いに満ちていた。
森番、とてもイキイキしている)
小さいヒゲの男。
……咆えるなら。
こう。
――ああァアアア!!!!
(小さいヒゲを【かばい】立ちながら
【殺気】を乗せた「惨喝」をぶちまけて【恐怖を与え】る。更に気合が入って攻撃力が強くなる。
これに怯んで動きを止めるような者は、この小さいヒゲに任せよう。
自分で狩りをする姿勢を森番は心から応援する)
(それでも突っ込んで来る者は自分が相手取ろう。
【野生の勘】であの刃物はやたら切れると理解する。
【地形利用】し躱しながら二刀で纏めて【なぎ払う】)
(ぶち撒けられる酒の香りに酔う。
森に居た頃のようで、楽しい)
●ウォー・クライ
かくして哀れなドワーフの戦士、ガラットはバラバラに引きちぎられた。
……はず、である。だが現実はそうはならなかった。
バラバラに引きちぎられ、無惨にも飛び散ったのはドワーフの身体ではなく、
それに襲いかかった不埒な山賊どものほうだったのだ!
「どぉお!? なんじゃあ!?」
「こんな悪党どもには……ディノク……まったき死が相応しい。生かしておけぬ」
剣とも斧ともつかぬ刃物(トゥズ)の血漿を払い、
竜の少女……実際は年かさを経た戦士だが……ドロシー・ドロイストラが、
ガラットの前に降り立った。山賊どもを薙ぎ払ったのは、無論彼女である。
「おおっ!? お、お前さんがやったのか! すごいのう!」
「それほどでもない。それよりもだ」
ギロリ。ドロシーはめちゃくちゃ剣呑な面持ちで山賊どもを睨みつけた。
「お前ら、それはドロシーの酒だ。勝手に呑むんじゃない」
「いやわしらの造った酒なんじゃが!?」
というガラットのツッコミも、怒髪天を衝いたドロシーには当然届かない。
「酒と、つまみと、お菓子と、あといたら美人の姉ちゃんを置いていけ。
そうすれば許してやる。なければ……コラー……ちょっと早めの真冬を味わわせてやる」
山賊どもは突然の闖入者に顔を見合わせ、しかしその正体を看破し、叫んだ。
「なに言ってやがる、猟兵め! ぶっ殺してやるぞ!!」
「そうか。じゃあ死ね」
そして再び殺戮の暴威が吹き荒れた! すさまじい怪力と蛮勇である!
しかし敵もさしたるもの、次々に現れる現れる、無数のごとき山賊の群れ!!
「……はっ、しまった!」
突然のことに我を忘れていたガラットは、ぶんぶんと頭を振る。そしてずれた兜を直す。
あの少女が誰かは知らないが、助けられたことは事実。
であればいまこそ、勇ましき氏族の戦士として戦線に加わる時ではないか!
「うおおおーっ! "無敵の"ガラットが相手じゃーっ!!」
「「「くそっ、まずこのちびから殺しちまえ!」」」
ドロシーは目についた山賊を次々に斬り殺し暴れまわるが、ひとりでは限界がある。
しかもガラットが自分から飛び込むとあってはなおさらのこと。
暴威を逃れた山賊どもが、勇猛果敢なドワーフを取り囲んだ……その時!
ごぉうっ!! と、横合いから走った山火事じみた炎が山賊共を飲み込んだ!
「こ、今度はなんじゃあ!?」
「……ちがう」
烙印の山刀を手に、ドロシーに続いて現れた新たな猟兵は、赤髪の女。
名をロク・ザイオン。その声はざりざりと罅割れ、なんとも耳障りである。
「咆えるなら、こう」
ロクはガラットにそう云うと、すうっと思い切り息を吸い込み――!
「……――ああァアアア!!!!」
と、獣もかくやのすさまじい雄叫びをあげた。もはやそれ自体が禍(まがつ)。
惨喝の音はびりびりと大気を震わせ、十数の山賊どもを怯えすくませたのだ!
「うひいっ!?」
「わかったか。小さいヒゲの男」
びくう! と身をすくませたガラットに対し、ロクはふんすと鼻を鳴らす。
普段のロクを知る者がここにいれば、彼女がやけに乗り気であると気づくだろう。
然り。ここは自然に囲まれたアックス&ウィザース、それだけでも心地が良い。
それに加えてこの酒気。立ち込める香りは、ロクにとって"馴染みがある"のだ。
「お、お前さんは一体……」
「狩るなら、まかせる」
ロクはただそう言って、耳を抑えてのたうち回る山賊どもには目もくれず、
今まさに暴れ狂うドロシーに加勢するために敵の真っ只中に飛び込んだ。
ガラットはぽかんとそれを見送り、しばらくして二度我に返る。
「わ、わしに任せるということか! ええい、ならばやってやろうではないか!
ってやっぱり待て、おいお前さん! わしはなあ、ヒゲではあるが……ええい!」
もはや声は届かぬ。彼方に生まれたのは炎と氷の歌。
すなわち、荒ぶるふたりの戦士によるすさまじい鉄火場なのだから!
「むう。なかなかいいスゥーム(叫び)だった」
「(どやぁ)」
駆けつけたロクに対し、ドロシーは素直に先の喝破を称賛する。
しかし独自の言語を操る旧き竜として、叫びにおいて遅れは取れぬ。
「ドロシーの力(ファス)も見せてやろう。こいつらは氷漬けにしたい」
ちらりとガラットのほうを見てから、ドロシーに目を向けるロク。
ようは、『ガラットのためなのか』と視線で語りかけているのだ。
するとドロシーはなぜか腕を組んで小生意気な表情でそっぽを向き、
「べ、別にあれのために惹きつけてるわけではないっ」
と、ちょっとツンデレっぽい感じで言った。なぜだ。
「「「猟兵どもがぁ、なめんじゃねぇー!!」」」
そこへ殺到する山賊! ロクの烙印刀が足元を撫で斬りにし戦線を崩す!
「それはドロシーのセリフだ。よくもドロシーの酒を奪ってくれたな悪党ども。
約束通り味わわせてやる――Iiss=Nah=Kest(イーズ・ナーケスト)!!」
龍の咆哮とみまごうほどの力強いシャウト!
するとその音波は瞬く間に凍りつき、すさまじく凶暴な嵐として吹き荒れる!
錆びた大鉈を振り上げて飛びかかった山賊どもは一瞬にして氷の彫像に!
「……すごい、力」
「これがドロシーのファスだ!」
感嘆するロクに、今度はドロシーがドヤ顔を見せる番である。
そして少女めいた龍と獣の相を持つ女は互いに目配せして頷きあった。
「「――かかってくるがいい!!」」
ひび割れた声と龍の咆哮が合わさり、山賊どもを迎え撃つ。
まさに鬨の声(ウォークライ)。そして後に続くはふたつの刃風だ。
剣斧の暴威と、炎を鋳込んだ剣鉈二刀による鮮やかにして疾き刃。
飲みかけの酒がこぼれ、ぶちまけられ、新たな酒精が戦場に立ち込める。
ドロシーはそれを嗅ぎ、さらに怒りを増幅して山賊どもを蹴散らした。
ロクはその香りに酔いしれ、楽しそうに笑いながら只中を駆け抜ける。
「……なんという戦いぶりじゃ……!」
ガラットは、いっそ美しくすらあるふたりの叫びと勇猛さに、ただ胸を打たれる。
それは、氏族の中で生きてきた戦士にとって、初めて見る力だったのだ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】【POW】
酒。私は酔わないが酒の味は好きだ。
だが今回は暴れられるのが何よりも嬉しい。
守るのは嫌いじゃない。それが私の使命だから。
だがそれはそれとして、思い切り体を動かしたかった。
二人とも、後はよろしく頼む。
大地を蹴って(怪力)近づき、UCで頭を四散させる。
刃物は握りつぶす。刃に当たらない様、峰から握る。
明かりの類いも潰す。その方がアルバートが動きやすい。
尾を振るい、杖で打ち、足を地面ごと踏み抜こう。
さあ、掃討だ。殲滅だ! はは、はははっ!
荒・烏鵠
【万嶺殿】@WIZ
飲みホーダイと聞きましてェ!!うはは、オレサマ酒だーいスキ!
でも酒飲んではしゃいでるニンゲンはもーっとスキ!陽の気タップリ放出してっからなー。妖狐のゴハンに最適なンすよアレ。
つーワケで行くゼ、ヤロー共!
逃げ足や聞き耳を活かして攻撃を避けつつ、メッチャ煽って意識惹いて、【羊サン】で聴覚を奪うぜ!へっへー、耳聞こえない状態じゃまともに喋れんモンなのさ!
あとは『シナト』クンと一緒に局地的台風でも起こしますかねェ!ア、お酒は巻き込まねーよー気をつけないとナ。
……そーね。ちょっとヤバ気ね。ストレス貯まってたんかな……全部終わったら羊さんで【高揚】消しとくわ。
アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
お酒かあ。嫌いじゃないよ。兄弟と飲む酒はまずくないから。
今回はイルが暴れられるって言うんでノリノリなんだよね。アリス世界で護衛ばっかりしてたからかな?
ふふ、目立つのは『兄さんたち』に任せて。今回、僕は暗殺に精を出そうかなあ。
山の中のアジトなんて隠れる場所たくさんありそうだものね。
【梟狩】でそっと忍び寄って、伸ばした爪をオーラ防御で硬化して、首を掻っ切ってあげよう。
月の無い夜ばかりと思うなよってね。
荒さん、ねえ荒さん、イルちょっとやばくないかな、あれ。
僕も水ぶっかけようかな……お酒でもいいか、あいつ酔わないし。
●オーヴァー・キル
そんなわけで女ふたりによる先制攻撃は、大変な成果を挙げた。
大変な成果を挙げたからには、向こうだって本気で応戦するというものである。
「猟兵が来やがっただと!?」
「まとめてぶっ殺してやるぜ!」
「こちとら数で勝ってるんだ、怖かねぇ!」
オブリビオンは、それを見たとき本能によって天敵を知る。
なぜなら彼奴らは世界の大敵であり、猟兵とはその逆――世界に愛された者。
ゆえに山賊どもに慈悲や容赦といったものは一切存在せず、
その恐ろしさに、さしもの戦士・ガラットとて驚嘆し震えるほどだった。
「ひえっ!? まだおるのか!? ぞろぞろ出てきたんじゃが!?」
だが誇り高きナティビアード氏族のヒゲにかけて、臆するわけにはいかない。
勇んでハンマーを構えたガラットの肩……というか大きな兜に、ポンッと誰かの掌が載せられた。
「ハイそこまでってなァ。ウチの弟がノリノリだから任せてくンね?」
「ほあっ?」
と見上げたガラットに、ニッと陽気(しかしどこか胡散臭げ)な笑みを返す男。
ひょこひょこと揺れる狐めいた耳に、ガラットが違和感を持つことはない。
だがその男――つまり荒・烏鵠と並んで現れた2メートル近い偉丈夫と、
そんな彼……イリーツァ・ウーツェの隣で肩をすくめている黒髪の優男、
アルバート・クィリスハールが並ぶと、いよいよ妙な気配があった。
「まあ、ここのところ【護衛】ばっかりだったもんね。そのせいかな?」
「……護るのは嫌いじゃない。それが私の使命だからな。だがしかし……」
兄弟というには見た目もなにもかもちぐはぐだし、雰囲気もそぐわない。
しかしもっとなんというか、どんな場にあろうと浮きだつ違和感というか、
ここが戦場であることを差し引いても彼らは"不思議な感じ"があるのだ。
……あくまでこの世界の住人であるガラットに、その意味がわかるはずもない。
彼らは、"異郷"の人ならぬもの。どこでもない場所の住人なのだから。
さて、そんなわけで男が三人、新たに転送されてきた。
彼らが相対するのは、炎と氷の暴威を蛇行して抜けてきた山賊ざっと50以上。
どうやら山麓には小規模なアジトがいくつも点在していると見え、
その数はむしろ増え続けている。あきらかに異常な規模の山賊団である。
「オーオー出てくる出てくる。まるで虫だなァ、ってコトは酒もそンだけある!
つまりは飲みホーダイってワケだナ! うはは、オレサマ酒だーいスキ!」
まだ事が済んでいないというのに、烏鵠はもう酒宴のことに頭が行っていた。
酒はいい。百薬の長とはよく言ったもの、飲めばどこであろうが桃源郷だ。
しかし古狐からしてみれば、それよりも"良い"のは酒そのものよりも人のほう。
酒を酌み交わす人々の陽気は、まさに精髄を喰らう妖狐の御馳走なのだから。
「お酒ねぇ。イルや荒さんと呑む酒はまずくはないし、嫌いじゃないよ僕も。
……イル、もしかしてだけど、お酒の匂いで高揚してるなんてことないよね」
イリーツァが酒に酔わないことは重々承知なものの、アルバートは少々不安だ。
なんせ今日の彼はだいぶノリノリだ。傍目から見ると無愛想な面構えだが、
兄弟としてつるむ彼らだからこそ、わかるものもある。この竜、ウキウキである。
「当然だ。私はただ、思いきり体を動かしたいだけだ。だからこの機会は嬉しい」
家族にだけわかるほどに微かに浮ついた声で、イリーツァは言った。
迫りくる山賊(えもの)の数を計る。どれもゴミのような雑魚どもだが、
数だけは十分。遥かにいい。やる気が出てきた。身を低くかがめる。
「そういうわけで、私は存分に暴れるとしよう。ふたりとも、あとは頼んだ」
「もちろん、そこは任されるよ。僕は僕で"うまくやる"し」
早速算段を立て始めているアルバートをちらりと見やり、烏鵠は楽しげに笑う。
そしてもう一度ガラットの兜をポンと叩くと、その手を掲げ――下ろした!
「ンじゃ始めっかァ! 行くゼ、ヤローども!」
それが号令となり、竜と翼は解き放たれた。つまり山賊どもの終わりである。
とはいえ、山賊どもとて、曲がりなりにもオブリビオンである。
猟兵を相手にまごまごしているつもりはない――"なかった"のだ。
ではなぜ手をこまねいていたかといえば、あの身をかがめた男(イリーツァのことだ)の放つ威圧感のせいだ。
踏み込めば死ぬ。そういう確定的な死の予感が彼らを踏みとどまらせた。
ゆえに山賊どもはまず三人(と、そばにいたガラット)を包囲したのだが、
結果からすると、それが連中の最期をより無惨なものにした。
「よォし、全員かかれェ! 数でぶっ殺――」
陣頭指揮を執っていた個体の頭が、前触れもなく爆ぜた。まるでスイカだ。
しかし銃弾が放たれたわけでも、脳髄を破裂させる念力が迸ったわけでもない。
握力である。そして爆ぜたのは頭だけでなく、大地も同じくであった。
つまりイリーツァが、ありったけの力で……"怪力"で、大地を蹴ったのだ。
文字通り爆発的なその加速力で、山賊どもには捉えられない速度で近づき、
指揮格の山賊の頭部を、握りしめた。ただそれだけである。
それだけで件の個体の頭は爆ぜて、次にその周囲の敵四体が四散した。
「「「はっ?」」」
残る個体は呆けたような声を出し、その下半身が枯れ木のようにへし折れた。
杖だ。魔杖"竜宮"が地を這うほどに低く振るわれ、"足並み"を乱した。
崩れ落ちる山賊どもを嘗め尽くすかのように、追っての龍尾が屍を平らげた。
「「「な、なぁああああっ!?」」」
体感時間が現実に追いつく。一瞬にして吹き荒れた暴威の内容を理解する。
慌てた山賊どもは刃を抜き放とうとし……その刃も、圧潰された。
「ほれほれェ、ボケッとしてッといーちゃんに平らげられちまうぜェ?
それともコッチを狙うヨユーなんてねェかなァ? 鬼さんコーチラー!」
状況に対応しようとした山賊どもを、またタイミングのいい古狐の挑発が遮る。
連中は粗にして野、そして卑の者どもである。それを無視するすべがない。
「あいつだ! あいつから殺せェ!」
誰かが叫び、暴風じみた龍の暴威をきりきり舞いでかいくぐって、
にやにやと笑う烏鵠をずたずたに引き裂いてやろうとした。
もちろん龍はそれを許しはしない。彼ならばまとめて根こそぎに出来た。
だがイリーツァはそうしなかった――なぜか? 理由は簡単だ。
「さよなら」
ひそやかな声が、奴らにとっての冥土の土産となった。
あるいはそれすらも聞こえないままに、首を掻き切られて死んだか。
いずれにせよ、見逃された山賊どもを仕留めたのは、アルバートである。
包囲されていたはずだ。だが雑魚どもの包囲など、ザルのようなもの。
黒き翼を持つ青年はあっさりとそれを潜り抜け、闇や影に溶け込むように沈み、
相手の意の外から爪を振るった。夜を見つめる梟とてそれには気づくまい。
いわんや、挑発で頭に血が上った山賊をや。見事なまでの連携である。
ではこれが狙いすました策なのかといえば――もちろん彼らにとって常道のひとつではあるが――そんなことはない。
息をするかのように、互いの意と気を知って読み、合わせ、仕留める。
阿吽の呼吸とはよく言ったもの。これが"兄弟"たちの平静なのだ。
「殺せ! 殺せーッ!」
「俺らの酒を奪いにきやがったぞォ!」
「猟兵めェ、死ねーッ!」
次から次へとゴキブリめいて溢れる山賊、山賊、山賊の群れ!
イリーツァは頭を砕き、刃を潰し、灯りを奪い、足をへし折り、地を砕く。
砕きながら、嗤う。表情は変わらぬが、龍は確かに嗤った。
「いいぞ。もっと徒党を出せ。私にお前たちを殲滅させろ」
敵がそこにいる。オブリビオンは敵なので、滅ぼしてよい。せねばならぬ。
つまりは暴れられる。それは――とても、とてもいいことだ。甘美ですら。
「さあ、掃討だ。殲滅だ!」
まるで、尽きぬ酒に酔いしれる漢のようであった。
だが龍は血を呑まぬ。雑魚どもの血を啜るなど彼の性に合わない。
「はは、はははっ!」
ただ殺す。いや、壊すというべきか。文字通りの鎧袖一触。
龍の鱗や爪を纏う人は多い、だがイリーツァは逆である。彼は龍なのだから。
人の姿を纏い、人とともに生きる。今このときはそれを棄てる。暴威となる。
「近づくがいい、私に! 近づき、寄れ。すべて掃除してやる!」
龍とは傲慢なものだ――それに見合う力を持っているのだから。
一方で、それを奇跡的に(あるいは龍の意図的に)逃れた山賊どももいる。
こいつらは当然、挑発をする飄々とした古狐を殺そうとする。
だが意識を割いた時点で負けた。それはつまり烏鵠の術中ということだ。
近づいて刃を振るったとして、動きはすべて狐の耳に読まれているし、
あいにくこの男は逃げ足が早い。だから何一つ当たらない。
「囲め! ひとりひとり潰して――」
「羊サァン! いっちょ一声頼むわァ!」
意識を割いた時点で、その挑発に乗った時点で、目障りと思った時点で終わり。
猛る山賊どもは皆、存在しないはずの子羊を視た。桃花で飾られた幻を視た。
海の果てまで届くような羊の声ひとつ。三千世界に夜明けを告げる暁鴉のよう。
ともあれその鳴き声が奴らにとっての手向けであり、現世で聴いた最期の音となる。
死ぬわけではない。ただ、すっぽりと、ぷつんと聴覚が"落ちた"のだ。
「ああ、うっ!?」
白痴めいた声をあげながら、山賊どもは互いを見ながらうろたえた。
耳が聞こえぬ。あの鳴き声によるものか? 目は見えるが闇に落ちたような錯覚。
「月のない夜ばかりと思うなよ……っていっても、聞こえないか」
その後ろから闇に沈んだ狩り手が現れて、首をばっさりと削ぎ落とした。
目ざとい山賊がそれを見る。そして返り討ちにしようとする。もういない。
代わりにその山賊の後ろからアルバートが現れて、爪をもう一振り。ごとり。
誰かがそれを見咎める。追おうとする。あるのは闇ばかり。そして死ぬ。
ごとり。ごとり。まるでそれは、稲穂を刈る秋の収穫のようだった。
聞けばステロタイプな死神の姿――大鎌を持つ髑髏のイメージは、
元を辿ればそうした収穫を斬首になぞらえた、古代の価値観に拠るという。
であれば、今このとき、アルバートはオブリビオンどもにとっての死神だった。
ごとり。ごとり。盗んでかすめた酒の陽気など、とっくのとうに失せていた。
興醒めとばかりに孤精が一声鳴いて、やがてそれは一陣のつむじを生み出した。
山賊の残骸も、まだ生きている敵も、煽られ巻き上がり、地か天に当たって死ぬ。
「お、おお……?」
「あァ酒は巻き込ンでねーからサ、気ィつけてッから安心してくれよ!」
驚嘆を通り越して呆然としているガラットに、烏鵠はからからと笑って言う。
その側に、いつのまにかアルバートがいた。爪には血のあとひとつなし。
「荒さん、ねえ荒さん。イルちょっとやばくないかな、あれ」
「ア? ……あー、そーね。ちょっとヤバげね。ストレス溜まってたんかな」
などと世間話めいて語り合うふたり。目線の先では高揚する龍の暴威がある。
もはや山賊は蹴散らされるばかりである。イリーツァは嗤っていた。
「頭から水でもぶっかけようかな……いや、お酒でもいいか。あいつ酔わないし」
「やめとけよ勿体無いジャン! 羊サンで落ち着かせるからダイジョブだって」
ガラットには見えぬ子羊があくびめいて伸びをした。呑気なものだ。
人ならざる者どものもたらす鏖殺は、酒池肉林よりも恐ろしい。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
●業務連絡
プレイングの暫定締切は【19/07/14 08:30前後】です。
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
うっ、無理……気持ち悪くなっちゃう
お酒のにおいってやっぱり駄目みたい
そうだね、酔っ払いは嫌だよね……
やけに饒舌になるし人の羽に悪戯してくるしこっちの事情なんてお構いなしだし終いには床で寝ちゃうし
先生のことじゃないけど……はぁ
もちろん賛成だよ
早く片付けちゃおう
いつも通り前に……ううう、近いのやだ!におう!
助けてヨハン!
なるべく息を止めながら槍を振るう
【範囲攻撃】で一人でも多くの敵を薙ぎ払おう
石つぶては【見切り】
但しヨハンに流れ弾がいきそうなら【武器受け】
駄目!振らないで!!
癪なのはすごくわかるんだけど
盗んだお酒を楽しむなんて最低の奴らだもの
痛い目に遭う姿こそ、お似合いだよ
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497と
酒が飲める歳でも無いですし、
どうでもいいと言えばどうでもいいんですけどね
人が作った売り物を強奪するという行為は……罰するに値するか
……酔っ払いって嫌いなんですよね
人の話を聞かないわ管を巻くわ物を散らかすだけ散らかしてそのまま寝落ちるわ
別に具体的に誰かのことを指している訳ではありませんけど。兄とか兄ではないですけど
ともかく
目障りなのでどうにかしましょう
いつも通り彼女に前を任せ後ろへさがる
呪詛絡めの全力魔法で……全力出すのも馬鹿らしいが
足元に闇を這わせて一人ずつ吊り上げる
確か酒飲んでるんですよねこいつら
振ったら口から戻しませんかね
戻したところでどうにもなりませんが
癪なので
●一方その頃山麓にある別のアジトにて
「……うっ」
立ち込める酒の香りに、オルハ・オランシュはしかめっ面で口元を覆った。
「大丈夫ですか? まあ匂いだけでも、ダメな人はダメなものですよ」
と、傍らに立つヨハン・グレインがぶっきらぼうに言う。
わかりにくいが、これでもオルハの体調を慮っての気遣いである。
もちろん、色んな意味で彼と親しいオルハにはそれもわかっている。
「うん、どうしても気持ち悪くなっちゃうね……ヨハンは大丈夫なの?」
「一応は。とはいえ、まだ酒が飲める歳でもないですし、どうでもいい話です」
酒に対する憧れも嫌悪もヨハンにはない。しかし山賊どもの所業は話が違う。
誰かが作った大事な売り物を強奪する……わかりやすい悪事だからこそ、
それを看過する余地などない。オブリビオン相手となればなおさらのことだ。
「……ただまあ、酒はどうでもいいんですが」
あちらを見やるヨハンの視線が、明らかに嫌悪を帯びたものに変わる。
オルハもまたそれを追って、同じように嫌悪をあらわにした。
ふたりの視線の先には、ふたりの接近に勘付き武器を構える山賊の徒党……!
……だが、ふたりは何も盗人だから山賊を軽蔑しているわけではなかった。
いや、先にも述べた通り、もちろん道徳的、倫理的な悪党への嫌悪感はある。
だがそれだけではない。ないのだ。なにせふたりは……。
「…………酔っ払いって、嫌いなんですよね」
ぽつりと、ヨハンが言った。赤ら顔の山賊どもを睨みながら。
「人の話を聞かないわ、管を巻くわ、物を散らかすだけ散らかしてそのまま寝るわ」
やけに具体的であった。誰某を批判しているわけではない。決して。
「そうだね、酔っ払いは厭だよね……」
オルハも首肯し、同意した。ひっく、としゃっくりしている山賊どもを睨んで。
「やけに饒舌になるし、人の羽に悪戯してくるし、こっちの事情なんてお構いなしだし、終いには床で寝ちゃうし」
やけに具体的であった。誰某を批判しているわけではない。決して。
ヨハンとオルハはそれぞれ特定の人物をがっつりと脳裏に思い浮かべていたが、
別に実兄や先生に対する不満ストレス怒りが吹き出したわけではない!
ましてやそれを山賊共にぶつけてウサを晴らそうなどというつもりはこれっぽっちも! ないのだ!!
「目障りなのでどうにかしましょう」
「もちろん賛成だよ! 早く片付けちゃおう!」
いやごめんストレス解消する気満々だったわこのふたり! 理不尽!!
それはさておき、山賊の皆さんは酔っ払ってめちゃめちゃ上機嫌だった。
そこへ猟兵が来た上に、なんか中枢部のほうは騒がしいしで、
本来ならもっと警戒すべきなのだがかなりハッピーな気分になっている。
「おいおいお嬢ちゃんに兄ちゃ~ん、ここは危ないぜぇ?」
「デートにでも来たのかなぁ? ヒューヒュー!」
「学校とか行ってんのぉ? うまくいってんのかなぁ?」
ウ、ウザい! 娘との距離感を測りかねた父親のようなウザさがある!
オルハはうんざりした顔で、いつものように翼をはためかせ吶喊する、が!
「ううう、近いのやだ! 臭う! 色んな意味で!!」
と、思わず目を背けてしまった! 酒とか不潔な体の臭いとかである!
なにせオルハはまだ14歳の乙女、若者としてそういうのが当然気になる。
ましてやキマイラとなればなおさら! これは予想だにしないトラップだ!
「ヒヒヒヒー!」
「生娘!」
「お酌をしておくれよぉ~!!」
居酒屋のおっさんそのもののノリで絡んでくる山賊! キモチワルイ!
「た、助けてヨハン!」
「――俺の前でよくやってくれたものですね」
オルハが悲鳴をあげるよりも先に、後方のヨハンは術式を練り上げていた。
酔漢どもがオルハの鼻孔を苦しめるだけでも彼としては十分に有罪だが、
調子に乗った山賊どものノリが、色んな意味で逆鱗に触れたらしい。
足元を蛇めいて黒闇がのたうち這い回り、盗賊どもの足を絡め取る!
「ウワーッ!?」
「ゲエーッ!?」
哀れ、山賊どもは密林の罠にかかった獲物めいて宙吊りに!
「……このまま振ったら口から戻しませんかね、酒」
「だめ! 振らないで!!」
「ですが癪ですし。いや戻してもどうにもならないんですが」
「それはわかるけど! 私たちだって被害に遭うよ! 色んな意味で!!」
オルハの言葉はさもありなん。リバースしたら色んな意味で大惨事である。
しかしこのまま消し飛ばすだけでは、ヨハンの気が収まらないようだ。
「こんな奴らは――」
そこでオルハは気を取り直し、酒精を祓うかのように力強く翼を打ち震わせる。
闇の拘束を逃れた山賊どもの礫をウェイカトリアイナで一閃し、
続けざま三叉矛が、酔いどれ山賊どもの体をずたずたに切り裂いた!
「「「グワーッ!?」」」
「……こうやって、痛い目に遭う姿こそお似合いだよ」
ヨハンは鼻を鳴らすように息を吐いた。そこそこ溜飲は下がったらしい。
オルハがその気なら、彼としても悪ふざけをするつもりはない。
「そうですね。とっとと蹴散らして根を断つのが一番ですか」
「そういうこと。盗んだお酒を楽しんだぶんは、痛みで贖ってもらうよ!」
敵はいまだ無数。されどふたりは、日常の不満も相まって意気軒昂だ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ロゼ・ムカイ
都亨(f01391)と
ま、盗んで酒飲むなんてナンセンスだよなぁ。
しかも盗むだけじゃ飽き足らずドワーフ殺すらしいし。
放っておくとヤベェからさっさと始末するぞー。
ん、なんだ。酒の味とか気になっちゃう系?
仕事終わりに呑むビールとかマジでうめぇよ。
都亨って就職してんだっけ。試してみなよ。
このペアなら俺が前衛だよなぁ。
まあ任せときなって。しっかりやるさ。
基本は日本刀で応戦しつつ、ナイフやフォーク等のグルメツールの投擲で柔軟に
【咎人封じ】にて敵の行動を妨害。
おう、そっち行ったぞ!トドメ任せた!
叶・都亨
ロゼくん(f01535)と
うわぁー!野蛮人だ!!
っていうかさー、もうなんでそういう事するの?買えばいいじゃん!
強奪とか略奪って嫌いだよぉー!
しかも酒!お酒!金ならまだわかる!俺も欲しい!
でも酒なー!飲むために奪うとかなー!自分で作ってよもう!
はあ…はあ…一通り叫んだからいったんすっきりしたよ!!
ロゼくん的には酒ってどうなん?おいしい?
俺はジュースの方がいいなあ。いや別に子供って訳じゃないですけどね?!
俺は遠距離しか向いてないし、主に後ろからちくちく攻撃するよ
『スピカ』で相棒のハルカを呼び出し【先制攻撃】させる
【スナイパー】【援護射撃】でロゼくんに向かってく敵を射ろう
俺の方には来ないで!ばか!!
●これまた所変わって山麓の別アジトにて
「いやードワーフの酒はうめえなあ!」
「しかも盗んで呑むってのがまた格別だぜ!」
「他人のものを奪って楽しむのサイコー!」
ザ・人間のクズって感じのことを口々に言いながらジョッキを傾ける山賊ども。
オブリビオンであることを差し引いても、まさに外道の所業である。
「うわぁー! 野蛮人だ!!」
「「「!?」」」
突然の少年の声に、驚いた表情で山賊どもが振り返った。
すると声の主である叶・都亨は、てへぺろ☆って感じの顔で頭を小突く。
「いっけね、あんまりにサヴェッジすぎて声出しちゃった☆」
「「「てめーさては猟兵だな!!」」」
手に手に刃を抜き放ち、赤ら顔の山賊どもがいきり立つ! 危険だ!
だが奴らがいままさに都亨に襲いかかろうとした瞬間、何かが飛来した!
「ウオーッなんだ!?」
「ムゴゴゴゴーッ!?」
「う、動けねえーっ!」
手枷、猿轡、そして拘束ロープ! おなじみ咎力封じの三種の神器!
だが都亨は咎人殺しではない……つまりこれを発動したのは!
「ったく油断もスキもありゃしねぇな。ま、俺の目を逃れられるわけないけどな」
都亨とともにここへ転移された、ロゼ・ムカイその人である!
じたばたともがく山賊どもを、鷲の羽根の矢が一撃で仕留めた。ひとまず落着だ。
「いやーうっかりうっかり。でもさぁ、いくらなんでも野蛮すぎない!?」
「ま、盗んで酒飲むなんてナンセンスだよなぁ。おまけに殺す気満々だし」
「そうだよ! お酒なら買えばいいじゃん! 強奪とか略奪って嫌いだよぉ!」
「そういう理屈が通じないからオブリビオンはオブリビオン、だろ?」
ロゼの言い分はごもっとも。しかし都亨としてはまだ言い足りないらしい。
「いやだって、酒だよ! お金とかじゃないんだよ! それならまだわかるもん!
ていうか俺だって欲しい! ギブミーマネー! 俺に金を頂戴!?」
「なんで主義主張から物乞いにすり替わってんだよ」
「はっ、しまった。いやでもそのぐらいわかんないんだよ、酒を奪うってさぁ。
そんなやる気があるならいっそ自分で作ればいいのにもう……理解不能だよ!!」
ぜーはーぜーはー。一通り叫んだのち、深呼吸する都亨。
「はぁ、はぁ。とりあえずすっきりしたよ……」
「都亨も都亨で妙なヤツだなぁ。まあ気持ちはわかるけどな。ところで……」
どたどたといういくつもの足音。あっという間に周囲を取り囲む盗賊の群れ!
「……その大声でご覧の有様なんだけど、なんか一言あるか?」
「………………てへぺろ☆」
可愛くカメラ目線で頭を小突く都亨だが、盗賊どもは容赦しちゃくれないのだ!
そんなわけで、四方八方を取り囲まれ一気に襲いかかられたふたり。
これが絶体絶命のピンチなのかといえば、もちろんそんなことはない。
「まあ任せときな、こういうときに前に出るのが俺の仕事だからなぁ!」
ロゼは恐れひとつなく都亨の前に立ちはだかり、近づいてきた山賊をなます斬り。
遠くから石つぶてを投げてくる不埒な輩には、カトラリーを投げて反撃だ!
「ぐえっ!?」
「遅い遅い、そんな動きで俺を出し抜けるわけがないだろ?」
山賊の手の甲にフォークをナイスヒットさせ、ロゼがにやりと笑う。
その後ろから飛びかかる山賊を、振り向きもせずに日本刀で一閃だ!
「うおおーロゼくんかっこいい! 頑張れー!!」
「いや都亨も働けよ! この状況都亨のせいだぞ!?」
「ごめんわかってる!! うおおー俺の方に来るなー!!」
呼子の響きに応じて、高らかに鳴きながら駆けつける相棒のハルカが頭上を舞う。
猛禽の爪と迅速な羽ばたきは、練度に乏しい山賊にとっては脅威的な対地攻撃だ!
「なんだこの鳥公!?」
「くそっ、こいつ素早いぞ!」
「ハルカをただの鷹扱いするなよ! えーと……とにかくすごい鷹なんだぞ!!」
相棒を自慢しようとしておもいっきりクラッシュしている都亨はさておき、
彼の射手としての腕前は折り紙付きだ。決して敵を近づけはしない。
相棒を掴み取ろうとする輩は矢衾にし、ロゼの不意を突こうとする輩も見逃さず、
目覚ましいほどの速度で矢をつがえ、ひとりまたひとりと山賊を倒すのだ!
「ところでロゼくん!」
「なんだよ!」
「ロゼくん的には酒ってどうなん! おいしい!?」
「この状況でそれ聞くか!?」
大立ち回りを繰り広げながら、大声でがなりたてる両者。
「まあ場合によりけりだな! 少なくとも仕事終わりのビールとかはマジうめぇ!」
「そっかー俺はジュースのほうがいいなぁ! いやそもそも飲めないんだけど!」
「未成年だししょうがねーな! 大人になったら試してみろよ!!」
「そうする! いや今だって子供ってわけじゃないですけどね!?」
山賊の数は増えるばかり。さりとてふたりの軽口はむしろとめどない。
これもまた、後々に控えている(予定)の宴のための準備運動だ。
「「とにかくさっさと蹴散らすかぁ!!」」
数分後、ふたりの言葉は見事に現実になったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
灰炭・炎火
【結社】
あーし、お酒きらーい。変な匂いするもーん。
あと、酔っぱらいもきらーい。面倒だもーん。
ハゼル君何でそんなノリノリなのぉ……うぇー、びみょーにやる気でなーい。
最近ちょこちょこ失くすし……今日はニャメおいていこっと
ってぇ、結構数おるやん……あーしパーンチ! ……ああ! ふっ飛ばした山賊が酒樽にぶつかって壊してもうた!(説明口調)
思い切り出来へんね……加減せぇへんと……あーしキーック(弱)、あーしタックルー(弱)
…………うぇー、全然居なくならへん…………あーーー! 手加減飽きた!!
そもそもお酒が悪いんや! 飲み過ぎ禁止ー!(中身の有無にかかわらず酒樽を持ち上げて辺り構わず投げ始める)
アダムルス・アダマンティン
【結社】◎
鍛冶を得てとする種族、ドワーフ
我が眷属に近しき性質を持つ人の子らか
良かろう。鍛冶の権能を失いし我が身なれど、貴様らを助くのもやぶさかではない
酒だなんだと連中は騒いでいるが
やることは変わらぬ――行くぞ
纏うは漆黒、ダークヴェンジャンス
存在感を放ち、敵の矢面に立つことによって盾役になる
(炎火の樽が飛んで来る)……(鉄鎖網で受け止める)
(ペルが暴れ回る)……(無言で封印を解く)(トールの能力でドワーフたちを保護する)
……気は、済んだな?
つくづく酒とは狂わせる物の象徴よ
神殺しに使われるわけだ
まったく、これでは神酒でもなければやってはおられん……
ハゼル・ワタナベ
【結社】
オイ酒だってよ、酒!
俺ぁ最近ストロング系しか飲んでねーから
別の世界の酒って愉しみなンだよなぁ
骸団でスカルズとかシャレオツに名乗りやがって!
おい行くぜ皆!俺ら結社で派手に暴れて殲滅して宴だぜ宴!!
(いつも以上にノリ気)
ガラットのおっさん、単身で立ち向かうその勇気には感服するぜ
ただおっさんを死なせる訳にはいかねぇ
俺らに任せとけ!
狙ってくる山賊は刻器身撃で絡め取り、毒でじわじわ苦しませてやんよ
おうどうした?もう悪酔いか?ハハッ!
俺の役目は毒で山賊達を苦しませ、結社の皆にトドメを刺しやすくするよう支援することだ
っておい炎火なにやって……待て待てアァーーッ!?!(飛んできた酒樽に巻き込まれ重傷)
ペル・エンフィールド
【結社】
あんなに飲んでそんなに美味しいです?
ペルも味見くらい…あ、駄目ですか、仕方ないのです……
今回ハゼルとビルウッドがやる気みたいですし援護に回ってあげるですよ
室内だろうとなかろうと関係無しに飛び回って灯りを蹴り落とし、山賊の同士討ちを狙って、炎火の被害から逃げるです
それにしても…この匂いとっても不思議な香りなのです
何だかほわほわしてきて…
あはっ、全部ぶっ飛んじゃえ!
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
──結社の冷蔵庫に保管しておいた酒が、切れた
これは由々しき事態なんだよ?分かるかい?
自慢じゃないけど、私は酒が無いと心が渇いてしょうがないんだ
そこに酒が盗まれた依頼だって?頑張れば飲めるじゃないか
酒ッッ!!飲まずにはいられないッッ!
ユクゾッ 不届きな山賊を穴だらけにしてやろうじゃないか
バロウズ!形態変化『バレット・ダンサー』
派手にぶっ放して酒樽を壊してはいけない
銃を仕込んだ籠手、ブーツによる銃弾徒手空拳を仕掛ける
私は魔術師にしてガンナー、その通りだが…「それだけじゃない」のさ
飲みたいけど我慢我慢
…ハッ!酒樽が!守らなければ!!
酒樽=アダム>炎火=ペル>ザザ=ハゼル>ガラット
ザザ・ロッシ
【結社】
俺は仲間が敵をババーンと倒してくれると信じて物資を守るぜ
敵が奪い返そうとしてくるかもしれないしな
まも…守る…
守り切れねぇ!!
酒樽を一番壊そうとするやつがナンバーズってどういうことだよ!!
いくら刻器つっても封印解かなきゃただの鈍器だ
頼む、プロメテウス……力を貸してくれ
お前の力が必要なんだ ―――酒樽を守るために!
(いくら呼びかけても剣の封印が解けずに鈍器のまま振り回す)
あ、そういえばドワーフの人もいるんだっけ
ガラットさん? 守らないと
(剣の封印が解けてパアアアッと輝きだす)
判定ガバガバァ!!
今度こそ力を貸せ、プロメテウス!
酒樽とか怪我人とかドワーフ担いで避難させるために!!
●酒に関する悲喜こもごも
この世界にドワーフ族の多くは、鍛冶技術に秀でている氏族が多い。
であれば、かつて鍛冶の権能を持っていたアダムルス・アダマンティンが、
それを助くのは当然のこと。凋落したとはいえ神として相応しい行いだろう。
「我が眷属に近しき性質を持つ、人の子らよ」
ドワーフの戦士ガラットは、突如として目の前に現れた巨躯の荘厳な声に、
その巨きさも相まって尻餅をつくほどに圧倒され、ただ畏怖していた。
「貴様らに手を貸してやろう。我が身を以てその行いの盾となり――」
「オイ酒だってよ、酒!!」
神オーラばりばりのアダムルスの語りを、ハゼル・ワタナベが速攻で台無しにした。
転移した瞬間からこれである。両目に『酒飲みたい』と書いてあるこれ!
「俺ぁ最近ストロング系しか呑んでねーから、別の世界の酒は愉しみなンだよ!
山賊団のくせにシャレオツな名前しやがって、皆でぶちのめしてやろうぜ!!」
ノリノリであった。なにせこの蛇めいた男はアルコールが大の大好きであった。
アルコール・イズ・ジャスティス。ダークヒーローだけど、ジャスティス。
それが敵をぶちのめしたらただで振る舞ってもらえる(グリモア猟兵のお墨付き)とあらば、もうやる気十分である。
「ハゼル君、なんてそんなノリノリなのぉ……あーし、お酒きらーい。
あと、酔っぱらいもきらーい。変な匂いするし面倒だもーん。やる気でなーい」
一方、普段ならノリノリで暴れている灰炭・炎火はげんなりしていた。
もともと未成年であるために酒を好むわけがないというのはともかくとして、
色々と思い出したくない記憶があるらしい。居酒屋勤務では、さもありなん。
なお、彼女のトレードマークであり、そもそも結社の一員の証たる刻器、
すなわち超重量の戦斧『ニャメの重斧』はここにはない。
なんでって? いやなんか彼女、割とあれ失くすらしいんですよ。
……3メートル超かつ質量がとんでもない重斧を失くすとはどういうことか?
それが炎火という少女なのだ。つまりこう、お気楽極楽系の軽めのガールである。
「しかもまだまだ数おるやん……そんなに酒が好きなん? はーめんどくさーい」
「わかってないね炎火。今回の事件は私達結社にとっても無縁じゃないんだよ。
――なにせ、結社の冷蔵庫に保管していた酒が、切れてしまったんだからね」
と、めちゃめちゃシリアスな表情でビリウット・ヒューテンリヒが言った。
普段から余裕をたたえた魔術師の声音は、割とガチめに切迫していた。
そんなにか。酒が切れるって、そんなになのか。そもそも切らすってなんだ。
単にお前やハゼルのような飲ん兵衛がやりすぎたのが原因ではないのか。
誰もツッコミは入れない。入れたところでマジ顔で首を傾げられるからだ。
「自慢じゃないけどね、私は酒がないと心が渇いて叫びとか上げたくなるんだよ!
そこに酒が盗まれた依頼だよ? 頑張れば飲めるじゃないか。旨い酒を!!
不届きな山賊どもを穴だらけにしてただ酒……もとい対価を得るチャンスだよ!」
酒ッッ!! 呑まずにはいられないッッ!! という感じの顔である。
炎赤がテンションダウンしてるのも無理からぬ。この女ダメ人間であった。
「ハゼルもビリウットもやる気ですねぇ、ペルはよくわからないのです。
なんだか山賊どももグビグビ呑んでるですし……ペルも味見くらいしてみても」
「いやいやいや! 未成年なんだから呑んじゃダメだって俺らは!」
興味津々な様子のペル・エンフィールドを、ザザ・ロッシが慌てて留める。
そもそもこれから戦闘、というかもう戦端は開かれているのに悠長すぎるとか、
まあそういうのもあるが最大の問題はやはり年齢だ。未成年の飲酒、ダメ絶対。
たとえナンバーズだろうが侵してはならぬ禁忌というものがある。ダメ絶対。
「だいたいな、酒の味なんてろくなもんじゃないって。いや俺わかんないけど。
……それにほら、見てみろよあれ。呑んでばっかだとああなるんだぜ、多分」
「あー……それは勘弁ですね。あれはちょっと……」
ノリノリで酒サケSAKEと歌っているダメ大人ふたりを見て頭を振る未成年たち。
大人は時としてその姿を反面教師として若者に示し、自立を促すのだ。立派だ。
単に呆れられてるだけだろこれ、とか決して言ってはいけない。決して。
などと言いつつあんまり失望していない様子のペルを見て、ザザは思った。
大丈夫なのかナンバーズ。ほんとに肩を並べていいのかナンバーズ。
いいやそんなことはない。なにせ俺達は同じ力を与えられた仲間同士なのだ。
このどがちゃか依頼でもなんやかやシリアスしてくれるはず……!(フラグ)
期待を込めた眼差しをチラッチラッとアダムルスに向けるザザであった。
なお、当の神は、全力で沈黙を貫くことで神の威厳を守ろうとしていた。
「なんじゃあんたら、酔っぱらいの集団かなんかか!?」
ガラットのセリフである。いや保ててねえわこれ! 守護れなかった……!!
そんなナンバーズの皆さんはさておき、山賊どもは新たな猟兵の姿を警戒する。
今なお先駆者たちによる破滅がめちゃめちゃ吹き荒れている最中なのだが、
まあそれを差し引いても出てくる出てくる山賊の群れ。どんだけだ。虫かな?
「この酒を奪おうったってそうはいかねぇー!!」
「こいつは俺たちのものなんだぜぇ、ゲヒヒヒヒーッ!」
「欲しければ奪い返すがいい……出来るものなら!!」
なんかそこはかとなくボスっぽいオーラを出してる個体がいるがさておこう。
「おい行くぜ皆! 俺たちの酒を奪い返すんだ……俺たちの! 酒をな!!」
「いやあれわしらの造った酒なんじゃが!?」
「ガラットのおっさん……単身で立ち向かうその勇気には感服するぜ」
「えっ」
「ただ、おっさんを死なせるわけにはいかねぇ……俺らに任せとけ!」
反論したガラットを、なんかふわっとしたシリアス台詞で丸め込もうとするハゼル。
「その通り、安心してくれ酒樽を壊したりはしないからね。そこは保証する」
「いや呑む気満々の顔で言われても託すつもりにならないんじゃが」
「私は魔術師にしてガンナー、だけれど"それだけじゃない"のさ。任せたまえ」
キリッとしたクールでミステリアスな微笑みを見せるビリウット。
こっちもこっちで全力で丸め込もうとしていた。救出に来たんじゃないのか。
なお、こんなこと言っちゃいるがビリウットの頭の中の優先順位的には、
まずはるか上に酒樽があり、それと同じところに御大将つまりアダムルス、
あと仲間のことが順繰りにあって最後にこのドワーフがあった。し、辛辣!!
「酒だなんだと騒ぐのはそこまでにしておけ。やることは普段となんら変わらぬ」
と、ここでアダムルスがバシッとシリアスに決めに来た! さすがナンバーⅠ!
ぞわぞわと漆黒の粘液――すなわちダーク・ヴェンジャンスをその身に纏い、
神に相応しきプレッシャーを放ちながら、無造作に最前線へと歩み出る!
か、かっこ、いい……!! ガラットも仲間も皆盾として守ろうというわけだ!
「さあオブリビオンども、覚悟するがいい――仕事の始まりだ。行くぞ」
重々しい台詞で一同を睥睨する! これだ、これこそがナンバーズたるもの!
刻器を振るう責任感に相応しき重みなくして、この役目は務まりはしない!
「あーしパーンチ!! ああっ! ふっとばした山賊が酒樽にぶつかってもうたー!」
「今回はペルが援護に回ってあげるですよ、どこだろうが関係ないのです!」
そして、そのかっこいい台詞を秒で台無しにする炎火とペルであった。
……ザザという少年は、ナンバーズとしても猟兵としても新米である。
この世界とは異なる場所での、とある事件をきっかけに、彼は力を得た。
ユーベルコード。あらゆる物理法則を超越した奇跡の力。だがそれだけではない。
すなわち、ナンバーズ――十と二つの刻器に選ばれたる武器の担い手。
長針のⅤにして、封印されし剣を振るう少年は、いまだ学ぶこと多き雛なのだ。
だが、戦うことに対する恐れや不安など一切ありはしない。それはなぜか?
……仲間だ。同じ猟兵であり、同じナンバーズたる仲間たちが隣にいる。
であれば、彼が敵を、そして己に降りかかる試練を恐れることなど――。
「守りきれねぇ!!!!!!!!!!」
ないのだが、それはそれとして悲鳴と愚痴と叫びが渾然一体になって飛び出した。
ザザは信じていた。仲間を、仲間がなんやかやきちんと戦ってくれるのを。
あのハゼルやビリウットだって、いつかの事件ではかっこいいことしていたのだ。
正義のなんたるかをバシーっと答えたり、こう、とにかくシリアスだった。
やってたんですよ。やったんです必死に! その結果がこれ(惨状)なんですよ!!
いやふたりは悪くない。あのふたり一応(酒樽を)意識して戦ってるし。
問題はあれだよ! なんか酒樽振り回して暴れだしたあの妖精だよ!!
「おいィなんで炎火が酒樽持ち上げてぶん投げてんだよ!? 壊れるだろ!!
っていうか、盗品を一番ぶち壊すのがナンバーズってどういうことだよーっ!?」
「うるさいうるさいうるさーーーーーい! あーしもう手加減あーきーたー!!
そもそもこんな、この……お酒が悪いんや! 飲み過ぎ! 禁!! 止ーっ!!!」
一応盗まれた大事な品物ということで、最初は酒樽を壊さないよう配慮していた炎火。
だが蹴ろうがタックルしようが山賊は増えるばかりで減りゃしねえ。
おまけに酒・サケ・SAKEと敵も味方もやかましい。そして彼女は短気であった。
そんなわけで炎火……キレた!! 酒樽を持ち上げてぶん投げ始めたのだ!
中身があろうがなかろうが関係ない。いやむしろ中身ありから壊していく。
「あーっ!? わしらが丹精込めて大事に造った酒がぁー!?」
ガラットも悲鳴をあげる。そりゃそうだよ取り戻しに来たんだもんよ。
だがこうなると炎火は誰にも止められない。小さな体に大きなパワー!(迷惑)
「炎火は相変わらずですねぇ、でもおかげでペルもやりやすいからいいですよ!
それにこの香り、なんだかとっても不思議な匂いでほわほわしてきて……あは!」
その惨状に文字通り火を点けている(物理)のが、頭上を飛ぶペルだ。
巧みな空中機動で炎火の被害を逃れつつ、次々に灯りを蹴り落としていく。
割れた酒樽からこぼれた酒が灯りに引火し燃え上がる! うわあ大惨事!
「ぎゃあー!?」
「熱い熱い熱い!!」
「お前ら酒がどうなってもぶべぇ!?(トルネードでふっとばされる)」
山賊のみなさんがこの物理的カタストロフに抗えるわけもないのでみんな死ぬ。
けどまだ出てくる出てくる。そしてまた死ぬ。酒樽もどんどんぶっ壊れていく。
ザザは思った。ナンバーズってなんなんだ。正義のミカタじゃないのか?
「グワーッ蛇毒グワーッ!?」
「おうどうした? もう悪酔いか? ハハッ! いい気味じゃねえか!
おい皆、弱らせてやったからよぉ、トドメは任せっておい炎火何やってアァーッ!?」
「ああっ、ハゼルが脳天に酒樽を食らってぶっ倒れてしまったじゃないか!
……酒の海に沈むとは、羨ましいなあ……私もちょっと呑み……いや我慢我慢」
バレット・ダンサー形態で華麗に徒手空拳を繰り広げるビリウットも、
たちこめる酒の匂いに気もそぞろであった。あと樽のことが気になってしょうがない。
暴れる炎火。飛び回るペル。重傷扱いでぶっ倒れているハゼル。よだれを垂らすビリウット。
ザザは思った。ナンバーズいいかげんにしろよ……と。
しかし、しかしだ。こんな無法者どもを取りまとめる苦労人がここにいる!
「…………気は、済んだか」
飛んでくる酒樽を鉄条網で絡め取り、ペルが無節操に引火させる炎を沈め、
あとそんな合間にもしつこく攻撃してくる山賊どもをぶちのめし、
刻器の能力でちゃんとガラットとザザを守るアダムルス。さすがの八面六臂だ。
いやしかし、敵を倒すためではなく仲間の被害から守るために封印を解くのはどうなんだ。
「気は、済んだな? もう暴れる必要は、ないな」
「こんなもんがあるからみんなダメになるんやーっ!!(ぶーん)」
「あはははっ! 全部全部吹っ飛んじゃえ! 燃えちゃえー!(がしゃーん)」
「グワーッ頭血! 頭血グワーッ! あっでも酒うめえ(ぺろぺろ)」
「くっ羨ましい……いやそうじゃない、守護らねば、酒樽を……!(バーン)」
四人とも聴いちゃいねえ。暴れまわるばっかりだこれ!
「……つくづく酒とは、狂わせるものの象徴よ。神殺しに使われるわけだ」
アダムルスは嘆息して頭を振った。もう何度目だってレベルだが心底呆れた。
これではお神酒でもなければやっていられない。ああ、神話の時代が懐かしい。
「ザザ、あいつらのことは貴様に任せよう。ナンバーズならばなんとかしてみせろ」
「えっ俺!? ……くっ、頼むプロメテウス、力を貸してくれ!!」
今こそ剣の封印を解くときだ――酒樽を守るために! 注目の判定は!?
……無言! 無言である! こんなんで封印が解けるわけもなかった!
もうこれ鈍器扱いで振り回すしかないんじゃないか? 物理には物理か?
「わ、わしらの酒が! あとわしおっさんじゃないんじゃがーっ!?」
そこでザザは思い出した。そうだそういえば一般人のドワーフいたじゃん。
守護らねば。……ピカーッ!!(ものすごい勢いで剣が発光する音)
「判定ガバガバァ!!!!! ああもうとにかく力を貸せプロメテウス!
酒樽とか怪我人(一応同僚で猟兵)とか、あとドワーフ担いで避難させるために!」
光り輝くプロメテウス! 暴れる妖精! 場酔いキマイラ! 倒れる酒飲み!
阿鼻叫喚の地獄を、切り開けるか! 新たな猟兵よ!!
次回、『それでも山賊は増え続ける』ご期待下さい!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
レイナ・オトゥール
ヴィリヤ(f02681)おねえさんとご一緒いたします!
多勢に無勢っていう言葉もありますし
数を減らすのを優先です!
【精霊竜召喚】で炎のドラゴンさんを召喚!
炎の力を纏ってとパワーアップ!
ヴィリヤお姉さんの邪魔にならないように気を付けながら
「ダッシュ」で敵の集団に突撃して、「怪力」で水竜「ウィル」のハルバードでうぉーりゃー!って「なぎ払い」!
その際に、ウィルの水の力と纏った炎を刃先で良い感じで調節して、ばーん!ばーん!ばーん!
って小規模な水蒸気爆発を連続で起こせたらより効果上がりますかね?
刃物や石つぶては、晶竜「クリスティア」で防御
特に刃物で攻撃は盾で受けた後、そのまま体当たり的にシールドバッシュ
ヴィリヤ・カヤラ
レイナ・オトゥール(f11986)と一緒に。
呼び方はレイナちゃん
この敵の人数の中に一人で
飛び込むのは無謀すぎるよ……。
もう少し周り見ようね。
周囲の状況の確認は出来る時にするようにして、
危なそうなら声掛けもしていくね。
とりあえず数を減らすのと足止めに
【氷晶】を使って着弾点で爆発させるね。
レイナちゃんのドラゴンもいるから、
数は減らせそうかな。
レイナちゃんもドラゴンちゃんも頑張れ!
って、私も頑張るよ!
あとは鋼糸の刻旋で敵を盾にしたり、
ぶつけたりして敵を倒していくね。
ガラットさんが危ない時にも、
出来るなら割り込んでフォローするね。
アドリブ歓迎
●中にはちゃんと戦う猟兵だっているんですよ
そんなわけで酒樽がぶん投げられたり割れたり燃えたり大惨事ななか、
新たに転移されてきた猟兵ふたり。
すなわち、レイナ・オトゥールとヴィリヤ・カヤラのコンビである。
「大惨事ですね!」
「大惨事だね……」
そして顔を覆い、頭を抱えた。なんせ猟兵のほうが暴れ狂ってる有様なのだ。
とりあえず、あの一角は見なかったことにしよう。ほら敵たくさん来てるし。
「うおおーっ、これ以上わしらの酒を台無しにされてたまるか! ハイホー!!」
「って、ああ! この状況でまだひとりで飛び出すのガラットさん!?」
ヴィリヤは慌ててガラットを制止しようとするが、ドワーフの猪突猛進さは彼女の予想以上であった。
しかし、そんなヴィリヤの意を汲んだレイナが、風のような速度でダッシュしている!
「いけませんよドワーフさん! ここは私たちにお任せくださいっ!」
無手に見えたレイナの両掌には、ごうごうと渦潮めいて水の元素が集まっている。
これこそ、偉大なる龍の王に希うことで招来される、精霊龍の化身なのだ!
「我が魔力と想いを糧に――現出せよ、水竜ウィル! うぉーりゃー!!」
寄り集まった水の中から、子犬ほどの大きさの龍が飛沫をあげて出現した。
それは身を捩りながら巨大なハルバードに変身し、レイナの手の中に収まる!
そして怪力を以てガラットに先んじて薙ぎ払われた一撃が、山賊を吹き飛ばす!
「「「グワーッ!?」」」
「ぬおうっ!? こ、これはまた救われてしもうたか!」
「さすがレイナちゃんだね! ガラットさんも、ちょっと無謀すぎるよ?
もうすこし周りを見て、頼ってくれてもいいんじゃないかな? 私たちを」
追ってきたヴィリヤも、ガラットを窘めつつも表情はあくまで柔和だ。
そう、一山いくらの山賊に、ふたりが遅れを取るはずがないのである!
そして騒ぎを聞きつけ、アジトの奥からわんさかと山賊どもが現れた!
「っと、そんなこと言ってたら新手だね。ほんとにキリがなさそうだよ」
「大丈夫です! ヴィリヤお姉さんの邪魔はさせませんよっ!」
ハルバードを担いだレイナは意気揚々と言って、再びまっすぐにダッシュ。
続けざま、今度は穂先に炎の力を纏わせ、振るうと共にそれを解き放った!
すると水の元素と炎の魔力が混ざり合い、一種の水蒸気爆発を起こすのだ!
「ばーん、ばーんっと! いくら来ても吹き飛ばしてあげますよーっ!
多勢に無勢はさせません! さあさあ、次は誰が私たちの相手ですかっ!?」
「むう、あの力強さはわしには真似できなさそうじゃのう……」
「そういうこと。それじゃあ、私も少しは働かせてもらおうかな」
ガラットににこりと微笑んだあと、ヴィリヤもレイナを追って前に出る。
彼女に襲いかかろうとした山賊を鋼糸で絡め取り、スリングめいて投擲。
その体を盾兼投擲物として一群にぶつけながら、さらにユーベルコードを発動!
「氷よ、射抜け! 頑張ってるレイナちゃんやドラゴンちゃんに負けないように!」
都合200本以上の氷の刃が空中に出現し、指し示された先へ飛翔。
地面や壁に突き刺さったそれらは、グレネードめいて爆発し飛び散る!
「な、なんだぁ!? 氷が、ギャーッ!?」
「い、いてぇ! 腕が、腕がーっ!!」
前衛を務め敵の足並みを乱すレイナと、それを援護するヴィリヤ。
ふたりの連携はさすがの一語。あのドラゴンテイマーにさえ抗ったほどなのだ。
いわんや、数で攻めるばかりの山賊など、まさに鎧袖一触と言えよう。
「ヴィリヤお姉さんっ、さらに突っ込みますね!」
「了解。ガラットさんのことはこっちに任せておいて!」
ふたりは言葉を交わして視線で頷きあい、前後衛を分担する。
突っ込むレイナを山賊どもの刃と礫が迎え撃つが、なにするものぞ。
水晶龍"クリスティア"が変じた堅牢な盾で石の飛礫をなぎ払い、
振るわれる刃をウィルのハルバードで絡め取り、反撃の一撃を叩き込む。
たたらを踏んだ山賊どものど真ん中にヴィリヤの氷刃が突き刺さり、
不意打ちを企む輩は鋼糸に絡め取られて振り回されてしまうというわけだ!
「す、すごいのう!? お前さんたちは一体!?」
その戦いぶりを目の当たりにしたガラットは、戦士としての感嘆を漏らした。
可憐な乙女たちは、その視線に振り返りウィンクをしてみせる。
「通りすがりの猟兵……まあ冒険者みたいなもの、かな? ね、レイナちゃん」
「はい! ここは私たちにお任せください、です! ヴィリヤお姉さんっ!」
女だてらと侮るなかれ。彼女たちもまた、歴戦の猟兵なのだから!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
私の天才社長は少々頑張りすぎるところがあってね
酒でも飲んでストレスを晴らすのがいいと思った
ええ?じゃあ私のことも君に差し上げたらいいのかな?交換する?
ああ、ここは……うわ、酒臭い。
そもそもアルコールは消毒用のアルコールくらいしか飲んだことないよ
【対人論証】でお相手しよう。蜘蛛脚で酒をかけてってあげる
うーん、やはり酒ってにおいが強いなぁ
さあほら、飲めや飲め飲め!そして死ね。
燃えた燃えた、あはははっ
なんだっけこういうのを飲みハラって言うんだっけ?まぁいいか!!
くははは、あはははっ、酔ってない!
大丈夫だよ灯理。まだ酔ってないから!ぅははっ
鎧坂・灯理
【鎧坂探偵社】
お気遣いは有り難く頂戴しますがね、不穏な所有格を付けないで頂きたい。
私は私のものです。
消毒用のアルコールを飲まないでください。そんな事だから助手殿に嫌われるんですよ。
その樽は、ドワーフに返す……ああ、もういい。
そも、何故私がここまで他人に気を遣わねばならんのだ?
依頼の内容は山賊を片付ける事。で、あれば。
罪悪感も配慮も必要ない。総じて無残に死ぬがいい。
酒に濡れた山賊へ焼夷弾。空気が回るよう壁を榴弾で破壊。
生きている輩は念動力で捩じ切り千切り、壁床に叩き付けて破砕。
ああ、臭いな。周囲の壁や天井を壊してしまおう。銃を変形させてミサイル砲へ。余波は念動力で防ぐ。
マダム、飲み過ぎです。
●探偵と教授、あるいは無節操な破壊者たち
ヒーローにはライバルが必要なように、探偵には対立する悪党が必要だ。
そのせいなのかどうかはともかく、鎧坂探偵社には奇妙な女がひとりいた。
……いや、社長であり唯一の探偵である鎧坂・灯理のことでは、ない。
彼女も変わり者ではあるが、そんな灯理が擁するもうひとりの社員のことだ。
悪徳教授、ヘンリエッタ・モリアーティ。四つの人格を宿す多重人格者。
実際のところ、ふたりの関係は単なる上司と部下というには留まらないのだが、
おそらく余人から問われれば(特にヘンリエッタのほうが)そう答えるはずだ。
なにせこの女(悪徳教授などと自ら名乗るだけあり)性格が、いや意地が悪い。
なので、転移されてくるなり、さっそく教授の毒舌が灯理をからかった。
「うわ、酒臭い。いやしかし、少々頑張りすぎの君にはこのぐらいが丁度いい。
酒でも呑んでストレス解消したほうがいいんじゃないかな、私の天才社長殿」
という具合である。それを受けた灯理は、あからさまに顔を顰めた。
もともと演技ぶれば演技ぶるほど、毒舌と慇懃無礼が表に出る麗人である。
ましてや、ヘンリエッタを相手に、灯理が遠慮などをするはずもない。
「……お気遣いはありがたく頂戴しますがね、不穏な所有格をつけないで頂きたい」
"私の"天才社長、などという物言いが、一番気に入らなかったらしい。
己のエゴを己のものと定義し、世界に我を張る灯理らしい逆鱗と言えるだろう。
「ええ? じゃあ、"私"のことも君に差し上げたらいいのかな?」
「要りません。交換でも譲渡でも御免被ります。正直、ご心配も不要です。
そもそも、頭脳労働はあなたの本分でしょう。呑みたければどうぞ存分に」
「そう言われてもなぁ。あいにく、私は消毒用のアルコールしか呑んだことが」
「消毒用を呑まないでください。そんなことだから助手殿に嫌われるんですよ」
ああ言えばこう言う、売り言葉に買い言葉。喧々諤々とはまさにこのこと。
どの世界だろうが、誰が相手だろうが、女たちのやりとりが変わることはない。
互いに強烈なエゴを持つ、厄介者同士の奇妙なシンパシーとも言える。
……しかしここは戦場だ。おまけにとっくに戦端が開かれている。
周りを気にしないふたりだが、山賊のほうが馴れ合ってくれるわけもない。
つまり、ふたりはとっくに囲まれていた。数はざっと3、40オーバーか。
「女ふたりかよ、嘗めてくれるぜ!」
「俺たちに勝てると思ってのこのこ来たのかぁ?」
「どうせ猟兵なんだ、バラバラにして酒の肴にしちまおうぜ!」
オブリビオン……世界の大敵たる山賊どもに、倫理や道徳は存在しない。
ましてや相手が天敵たる猟兵となれば、なおさらのこと。下卑た笑みを浮かべる。
どいつもこいつも酒を煽って酔いどれていると見え、下賤に拍車をかけていた。
「なるほど。水を差しちゃったか。うん、じゃあもっと呑ませてあげよう」
などと思いついたように呟いたヘンリエッタの腰から、蜘蛛の脚が"生えた"。
……否、それは機械式の、駆動するUDC……つまりは兵器であり怪物である。
「動くのも面倒だから、とりあえずお酌を頼むよ」
ぎちぎちと声なく蠢く蜘蛛足が、慄いた盗賊どもに素早く伸びていく。
それらは山賊どもを切り裂……きはせず、代わりに奴らの盗んだ品々、
つまり奪われた酒樽に突き刺さり、悠々と持ち上げ……バラバラにしたのだ!
「なんだぁ!?」
「ぶべっ、酒が!!」
ばしゃあっ! と、樽の中に並々詰まっていた度数の強い酒が溢れかえる。
嫌気が差すようなアルコールの臭いが強まり、灯理はなおも顔をしかめた。
「なにをしているのですか、マダム。それはドワーフたちに返す……」
「ええ? いいじゃない。ほら、呑みたいんでしょ? 飲め飲め! あははは!」
ヘンリエッタは聞く耳を持たない。その勝手さに探偵はまた嘆息する。
……そして、嫌気が差したので、やめることにした。
だいたい、自分のような人間が、やれ依頼人だなんだと他人を慮るなど、
それこそ"らしくない"行いだ。つまりこの女は、そこを楽しんでいるのだ。
常識人みたいなポジションを自分にやらせて、振り回そうというわけだろう。
そこが気に入らない。なので、灯理も"好き勝手にやる"ことにした。
さて、山賊どもは、いきなり酒をぶっかけられたもんだから驚いていた。
ふざけているのか嘗めているのか、いずれにしてもバカにされた気分である。
「このアマ……げええっ!?」
そこへいきなり砲弾が――この世界のオブリビオンである奴らは知る由もないが、それは焼夷弾(テルミット)である――飛んできたものだから、いよいよ仰天した!
着弾、そして炎上! 酒の度数の強さが、ここで奴らにとっての仇となる!
「火、火が! 火ぃ!? がぁああああっ!?」
「あああああ! 熱いぃいいいいっ!!」
一瞬にして焼夷弾の炎は燃え広がり、酒を導火線めいて伝って山賊を飲み込む。
慌てて火の手から逃れようと飛び退いた山賊は、幸運だが運が悪かった。
なにせそいつらは、灯理の機械逃さぬ目に囚われ、雑巾めいて捩じ切れたからだ。
「ああ、臭い。臭いな。臭いのもとは徹底的に掃除せねばなるまい」
念動力である。一流のサイキッカーたる灯理のそれは脅威的なものだ。
見えない力を山賊風情が阻めるはずもなく、一体また一体と四散していく。
そして燃える。ダメ押しとばかりに放たれるミサイル! KRA-TOOOOM!!
「盗人なんぞに罪悪感も配慮も必要あるまい。総じて無惨に死ね」
「「「ぎゃあああああっ!?」」」
阿鼻叫喚である。いくら盗賊、そしてオブリビオンだからとはいえ、
ここまで無惨に殺される謂われがあるだろうか!? ……わからない。
が、灯理が誰かに問われたならばこう答えるだろう。それがどうした? と。
「あははは、燃えた燃えた! なんだっけぇ、こういうのアルハラって言うんだっけ?」
「マダム」
「まぁいいか! くははは、あはははっ! ほーら追加のお酒よぉ!」
「……マダム、呑みすぎです。少し控えてください」
「酔ってない、大丈夫だよ灯理。まだ酔ってないから! ぅははっ!」
けたけた笑いながら蜘蛛脚を蠢かせるヘンリエッタに、灯理は舌打ちした。
「……酔っているでしょうが。酒じゃない、ゴミどもの死に様に、ですよ」
探偵は淡々と殺す。それを悪徳教授は、手を叩いて爆笑して煽る。
どちらが悪党だかわかりゃしない。あるいは、最初から正義の味方などここにはいない。
ただ、雑魚どもを駆逐する、暴威のような悪党ふたりがいるだけだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と
やあ、ガラットどの
間に合ったようで何よりだ
我が姫の命により、及ばずながら力を貸そう
さて、マリー様
この悪党共への罰はいかがなさいましょう
愛用の竜槍をなだめるように撫でる
……だそうだ。ジゼル、すまないな
あとで好きなものをやるから機嫌を直してくれ
主とドワーフを襲い来る刃物から武器で受け守り
露払いとばかりに返す刃を振るう
ドワーフの戦士と轡を並べられられるとは、良い自慢話になるな
要所でヨイショしながら共闘
背後の猫なで声にぞわぞわと鳥肌立たせて
おい、マリー…
苦言を述べかけるも、近づく影があれば槍の刃先向け
纏った冷気がその周囲含め凍らせる
──この方に触れるな、無礼者。凍らすぞ
マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
御機嫌よう、ドワーフのおじさま
アラン、彼方のそそっかしい方の盾になってあげて
罰は――氷漬けなんていかが?
頭も体も冷やせば考えも変わる事でしょう
うふふ、アランの腕の見せ所ね
向かってくる敵らに愛嬌を振り撒き油断を誘いましょう
王室仕込みのロイヤルスマイル浮かべ手を振り、誘う
鬼さんこちら。わたくしと楽しく遊びましょ?
護身用ダガー片手に戦場に舞い出て狙うは敵の刃物
どの敵にも等しく微笑み虜に
手が止まった一瞬を見逃さず、山賊らの刃物を時に破壊し時に盗む
石つぶてを見切りながらひらりとアランの盾影に隠れ凌ぐ
ひぃふぅみぃ……見て頂戴、たくさん!
うふふ、わたくしの騎士に自慢しましょっ
●そのふたり、瀟洒にして実直
山賊の数は、これだけの猛攻を受けてもなお尽きることなく増えるばかり。
どうやら、件の山賊親分の増殖能力はたしかに他のそれを凌いでいるらしい。
猟兵たちはそれぞれに(好き勝手に)戦っていることもあって、
ドワーフの戦士・ガラットは右往左往……もとい、戦うべきか否か、
愛用のハンマーを片手におろおろと迷い続けていた。
「誰も彼もよくわからんが、えらく強い冒険者ばかりじゃのう!
ここはわしも、誇り高きナティビアード氏族の戦士として戦わねば!
……戦わねば、なのじゃが……ど、どこに加勢したものか!!」
あっちではなんかシャウトが炸裂しているし、
こっちではなんかめちゃめちゃ怖い男が殲滅しているし、
そっちでは酒樽を放り投げる妖精とその仲間がわちゃっているし、
なんだかもうてんやわんやである。山賊のほうが若干かわいそうになってきた。
「やあ、ガラット殿。そのご様子では、我々も無事間に合ったようでなによりだ」
そんなガラットに声をかけたのは、気さくな貴族青年というふうの男であった。
にこりと品のいい笑みを浮かべ、片膝をついて胸に手を当てて一礼してみせる。
「なんじゃ!? と、都会のお偉いさんか!?」
「とんでもない。わたしは姫様に仕える一介の騎士に過ぎぬ身。
私はアラン・サリュドュロワと申す。よろしくお見知りおきを」
ガラットは驚いた。おとぎ話に出てくるような立派な騎士ぶりに。
氏族の集落で育ってきたドワーフにとって、それはまさに空想の存在なのだ。
「ごきげんよう、ドワーフのおじさま」
そんなアランに続いて現れた、きらびやかな髪の少女ときたらなおさらだ!
「わたくしはマリークロード・バトルゥール。よしなにお願いしますわね?
アラン、そちらのそそっかしい方の盾になってあげて。もちろん出来るわね」
「御意にございます、我が姫よ」
ぽかんとしているガラットに対し、少女……マリークロードは微笑みかけた。
そう、どう見てもお城から抜け出してきたお姫様。貴き身の御方だ。
実はそこにはものすごく大きな秘密があるのだが……ガラットにわかるはずもない。
「ハ、ハイホー! まさかお姫様まで冒険者とは……あ、いやしかしわしは」
「ええ、ええ。詳しいお話は後ほどお伺いしますわ、おじさま?」
「だからわしはおじさまなどでは……ああ、行ってしまった」
がくりと肩を落とすガラット。がらんと兜がずれたのを慌てて直す。
どうやら、こちらのヒゲドワーフにもなにか秘密があるようだが……それはさておこう。
「おいおい、見ろよ! お姫様までおいでなすったぜ!」
「こりゃいいや、お酌をしてもらいたいねぇ!」
「高く売れそうだぜ、ギヒヒヒヒィーッ!」
新たに現れた盗賊どもは、ザ・テンプレ雑魚といった感じの台詞を並べる。
愛用の竜槍"ジゼル・ド・グレイス"をなだめるように撫でつつ、アランは微笑。
「さて、マリー様。この不遜で下賤な悪党どもへの罰はいかがなさいましょう?」
「そうですわね……」
マリークロードは、いかにも思案げに顎に指を置き、小首をかしげてみせる。
そして妙案を思いついた、とばかりに、晴れやかな笑顔で手を叩いた。
「では、罰は――氷漬けなんていかが? どうやら酔っているようですし、
頭も体もまとめて冷やせば考えも変わることでしょう。うふふっ」
お淑やかな、しかし敵からしてみれば死刑宣告に等しい恐ろしい言葉である。
だが、人々の物資を盗み、酒宴に騒ぐ山賊どもに容赦は必要ないのだ!
「……だそうだ。ジゼル、すまないな。あとで好きなものをやる」
だから機嫌を直してくれ、と槍に変じた相棒の竜に語りかけるアラン。
山賊どもが殺気立ち、手に手に刃を抜き放ちスリングを頭上で振り回す。
数は圧倒的――だからどうしたというのか。主が罰を下せと命じたのである。
ならば、それに従う。それが騎士であり、"彼"を監視する者としての――。
「嘗めやがって、死ねぇ……ええっ!?」
がきんっ! 突き出された山賊の刃は、竜の槍にあっさりと受け止められた!
「ではガラット殿、ひとつお力を借りてもよろしいかな?」
「お、おう! "無敵の"ガラットが手を貸すわい! ハイホーっ!!」
こんな立派な騎士に褒められたとあれば、ガラットも途端にいい気持ちになる。
そしてハンマーと槍を構え、ふたりの戦士が恐れひとつなく突き進んだ!
しかして、山賊はアランもガラットもバカ正直に相手するつもりはなかった。
その後ろに佇む王女――つまりマリークロード! あれを捕らえればいいのだ。
おそらくあの騎士(つまりアラン)はそれで無力化出来るだろう、
という下賤な山賊らしい考えである。ある意味で、それは正しいといえる。
それはマリークロードにもわかっている……なにせ彼女、否、"彼"は、
そのために王女の影武者として振る舞う立場のエルフなのだから。
ゆえに彼は、むしろ逆に山賊どもを挑発したのだ! にこりと笑みを浮かべて!
「鬼さんこちら、わたくしと楽しく遊びましょっ?」
「ヒヒヒヒヒ、おてんばなお姫様だねぇ!」
「やけどしちまうぜぇーっ!?」
途端に戦線は乱戦状態に! 敵を薙ぎ払いながらアランは顔をしかめる。
王女のおてんばに? ……いや、どちらかというと、その猫なで声に、だ。
なにせ彼は、マリークロードの正体、その役割を知っている。
つまり少女は少年であり、影武者として姫を演じる傀儡なのだから。
「おい、マリー……あまり悪ふざけをするんじゃ……」
振り返りかけた騎士の瞳は、とたんに刃めいて細まった。
主の影に迫る不逞の輩。迅雷じみた速度で竜槍が煌めき、それを貫く!
ぱきぱきと音を立て、絶対零度の冷気を纏う氷刃が空気を凍らせた!
「げええっ!?」
「この方に触れるな、無礼者!」
そこからのアランの戦いぶりたるや、鬼神もかくやというほどであった。
ガラットも、ハンマーを思うがままに振り回しながらそれを讃える!
「ほほっ、さすがは騎士殿じゃ! 王女殿も見事なもんじゃのう!」
「ふふ、そうでしょう? アランは、わたくしの騎士は強いんですものっ」
少女の姿をした少年はおてんばに笑いながら、護身用の短刀を振るう。
その身のこなしは、淑女というよりは街の闇を駆けるシーフそのものである。
風が一陣過ぎ去ったあとには、砕けて割れた山賊の刃物が散らばるのみ!
「な、なんだこのガキ! 早ぇ!」
「捕えられると――思いまして?」
刃に映る王女の相貌は、つかの間本来の少年の不敵な笑みに戻ったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
一郷・亞衿
【WIZ】
乱戦気味だなあ……範囲攻撃する手段は色々持ってるけど、攻撃対象絞るのが面倒かも。という訳で、『ヘイトフル・エイト』を使用。
相手はオブリビオン。他の人と戦闘中だろうが何だろうが、他の猟兵──もとい、あたしの姿を見れば一目で“敵だ”って判るんだろうし、敵意も抱くはずだからね。あたしはただ、UCを発動し続けながらそこに佇んでいればいい。
……まあ、[軍用鉄線鋏]とかぶん回して物理暴力面での支援もするけどさ。流石に何もしないってのは外面が悪いしね。
魔術使うならともかく、肉弾戦で乱戦するのはそこそこ得意な方……だと思う!多分!その辺に転がってるジョッキやら何やらでの<咄嗟の一撃>を喰らえーっ!
エドゥアルト・ルーデル
ガラット氏!なんたる無茶をッ!
だが無事に酒は取り戻せるッ!一人の強力な援軍が来て共に戦うからな!
拙者だよ
相手が100人居ようが関係ねぇ爆撃してぇ
爆撃して更地に変えてぇ
という訳で一人につき【爆撃機】を2機ずつ差し向けて攻撃でござるよ
【下卑た雄叫び】をあげる暇も無く、
仮にあげられたとしても爆撃で【恐怖を与え】て声を爆音でかき消すまでよ!ふはは怖かろう!
ついでにここはアジトですからな
【地形の利用】ってことで見張り台の上からゆるりと見物ですぞ!
運良く逃れて近付いてきたら狙撃でその汚ねぇ顔を吹っ飛ばしてやる!
盗賊なんざ一山幾ら!今ならアイテムドロップし放題だ!
ヒャッハー!頭ねじ切って玩具にしてやるぜー!
バルディート・ラーガ
イヤー、なんとも芳しい酒精の香り。ついついベロが出ちまっていけねエや。
こりゃア、良いお酒をしこたま貯め込んでいるとお見受けしやした。
意地でもおこぼれに預からにゃなりやせんねエ、ヘッヘッヘッ。
腕を蛇に変えやして、「グラップル」「クライミング」でするりするりと天井へ。
梁だかでっぱりだかに尻尾を巻きつけ、そのままヒョイと飛び降りてやりゃア
グイグイ呑んでらっしゃる卓の真ん中へ、上からコンニチワってな寸法よ。
ちょいとばかしつまみ食いなぞさして頂きつつ、
宙吊りのまま、四つ腕で油断したツラをはっ倒してやりやしょ。
こーいう構図、なんつーンですっけ……キモネリ?カラマリ?
大分違うよな気もしやすが、まアいっか。
●ソルジャー・JK・リザードマン
「クソッ、なんなんだよこのざまは!?」
「まさか猟兵がこんなに来るとは誰も思わねえだろ!」
「……ほんとに数多すぎねえか!? 俺らより多くね!?」
すでにここ以外の小規模な拠点も、様々な猟兵により襲撃を受けているようだ。
その数ざっと20前後。恐るべきことにまだ増えるのである。
……そう、山賊どもはオブリビオンであるがゆえ、知る由もない。
いやオブリビオンでなくとも知るはずがない。後詰めの猟兵が、
まだあとざっと50近くはいるなど、誰が思えようか? いやほんとにだよ!
「ん? おい見ろ、なんか妙な女のガキがいるぞ」
そこでふと、一体の山賊がなにやら違和感のある人影に気づいた。
この男所帯には似つかわしくない、線の細い少女……若い女が、ひとり。
まるで幽霊めいている。しかし山賊どもは、恐れおののくより先に敵意を抱く。
なぜならば奴らはオブリビオン。過去の残骸、世界の破壊者。世界の大敵。
「猟兵だ」
「猟兵がいるぞ」
「しかもひとりでだ」
己らの天敵――猟兵は、それと見ただけでわかるのだ。
だから少女を見たとき、山賊どもはそれを理解し、即座に刃を構えた。
「たかが女ひとり、怖がるこたぁねえ! 殺っちまえ!」
「そうだそうだ、バラバラに引き裂いてやるぜ!」
「酒の肴にしちまおうぜ、ゲヒヒヒヒヒーッ!」
よくもまあここまでのテンプレ台詞が出るものだ、という勢いで勇む山賊ども。
危険だ、少女よ! いくら猟兵だからといってこの数にひとりでは!
「ああ、来た来た。うーん、まあ数としては十分かなあ」
だがそのマスクをした女子高生――一郷・亞衿は、淡々と敵を数え、そう呟いた。
恐れや不安などは、かけらもない。なぜなら最初から"狙い通り"だからだ。
あえて敵の前に姿を晒したのは、すべて亞衿が用いる"あるユーベルコード"のため。
「……で? お前ら、その下卑た顔はなんだ?」
絶対零度の冷たい眼差しが、ぎらりと山賊どもを睨みつけた。
山賊どもはその不敵な言葉になお敵意を燃やした。亞衿の狙い通りに。
直後……ウォークライをあげようとした山賊が、喉を抑えてその場に倒れた!
「が、かは……かはっ」
「おい、どうした!? てめえガキ、なにかしやが……ぐけっ」
石礫を投げようとした山賊の頭部が、まるで石礫を受けたかのように爆ぜた。
これこそが亞衿のユーベルコード"ヘイトフル・エイト"。
己に向けられた敵意、害意、あるいは邪気といったマイナス感情を、
呪いに変換して相手に跳ね返す。陰陽道でいうところの返し矢のようなものだ。
敵は間違いなく猟兵に殺意を抱く、その確信があらばこその単独行動。
「乱戦気味だから攻撃対象絞るの面倒くさくてね、だからこうしたんだ。
さすがに酔っ払っててもオブリビオンはオブリビオンだね、いい気味だ」
オブリビオンに対する敵意甚だしい亞衿は冷たい瞳で見下ろしながら、
倒れた山賊を軍用鉄線鋏でばちん、ばちんと的確に"仕留めて"いく。
めちゃめちゃクール、そしてノワールでかっこいい絵面だ。
このままで終わると思いました? 残念! このシナリオはギャグなんだ!
「ガラット氏! それに一郷氏! なんたる無茶をッ!!」
「はいっ!?」
「なんじゃあ!?」
ちょうどそこにやってきたハンマー持ちのドワーフも、亞衿も驚いた。
現れたのは……おお、新たな山賊だ! 髭面だしめちゃめちゃ悪い顔をしている!
「山賊だ!」
「山賊じゃな! 退治せんと!!」
「ステイステイステイ! 拙者どう見ても猟兵! 猟兵でござるから!!」
「「…………」」
「えっなんでござるかこの沈黙」
「山賊だ!」
「山賊じゃな! 退治せんと!!」
「命が関わる天丼ネタはノーセンキューなのでござるがぁ!?」
と、エドゥアルト・ルーデルは己が同じ猟兵であることを必死にアピールする。
だが全身迷彩服、黒ひげをめちゃめちゃ生やした顔色の悪い男である。
しかも生JKが目の前にいるのでニヤニヤしていた。気持ち悪い。やっぱ敵では?
「とにかくでござるな! すでに酒樽にも被害が出始めているがご安心めされよ!
なにせここに、ひとりの強力な援軍が来て共に戦うのでござるから!!」
「援軍? 誰それ?」
「まだ冒険者がおるのか?」
「拙者だよォ」
にまぁ。めちゃめちゃ気持ち悪い笑みを浮かべるエドゥアルト。コワイ!
「相手が何人いようが関係ねぇ爆撃してぇ。爆撃して更地に変えてぇ!!」
新たにどたどたと駆けつけた山賊どもが聞きつけたのはプロペラ音である。
あとサイレンの音。そう、小型の戦闘用爆撃機部隊の出撃だ!!
「「「なんじゃこりゃグワーッ!?」」」
KRA-TOOOM!! KBAM! KBAM! KA-BOOOOOOOM!!
すさまじい勢いの爆撃の前に、山賊どもでは為す術がない!
「ふはは怖かろう! さあ休んでいる暇はないぞ出撃だ! でござる!!」
「……あれほんとに山賊ではないんじゃな?」
「多分、うん……ていうかあたしのかっこいいところ……」
呆れた顔でエドゥアルトを追う、ガラットと亞衿であった。
所変わって、ここは酒や食料などの物資が隠されている保管庫。
「イヤー、なんとも芳しい酒精の香り。ついついベロが出ちまっていけねエや。
敵を倒さなきゃいけねエってンのに、あっしもワルでごいやすねエ、キヒヒ」
しゅるしゅると蛇めいた舌を出したり引っ込めたりしながら、盗人……もとい、
一応エドゥアルトと同じ猟兵である、バルディート・ラーガが呟いた。
眼の前には、ドワーフ印の酒がたんまり詰まった酒樽が山のように積んである。
いい匂いだ。実にいい匂いだ。ちょっとぐらい呑んでもバレないのでは?
「ちょいとばかし味見なアんてのも、まあ役得ってモンで……ぇえっ!?」
KA-BOOOOM!! 地下から響いてくる何やら凄まじい爆音!
「なんでさア!? ひょっとしてあっしのつまみ、もとい味見が、バレて……!?
やべエやべエ、誰ぞかに見つかる前に……すたこらさっさしねえとなッ!」
しゅるしゅる。もともと身軽だがこう云うときの動きはさらに素早い。
あっという間にアジト内部に潜り込んだバルディート、
爬虫類らしい天地自在の匍匐移動で酒盛り中の山賊どもの頭上を取りまして、
まさに一気飲みを終えたところにぶらりと虫めいて顔を出す!
「「「げえええっ!?」」」
「やアやアコンニチハ、あっしもひとつご相伴に預からせてくださいよう」
宙吊りのまま片腕を燃え上がる四匹の蛇の頭部に変化させ、山賊どもをがぶり。
向きを変えてさらにがぶり。油断していた山賊どもでは逃走不可能だ!
「キヒヒヒ! そらそら、ヒトのモン盗ンだンならアンタらも食い物にされねえとなア?」
「「「た、助けてくれーっ!!」」」
少なからぬ山賊どもは泡を食って外に出て、そしてさらに慄いた!
見張り台の上で、悠々とこちらを見下ろす同族……いや猟兵の黒ひげ!
さらにその周辺空域に展開する無数の爆撃機! さらに堕ちてくる爆弾!
「ヒャッハー! 頭ねじ切って玩具にしてドロップし放題でござるぅー!!」
「「「アバババババーッ!?」」」
「はいそこに転がってたジョッキをドーン!」
「「「グワーッ!?」」」
狙いすましたように飛び出してきた亞衿とガラットによるアンブッシュ!
そんなこんなで足踏みしていたら、しゅるしゅるとバルディートまで合流だ!
「おやまア、こりゃア派手におっぱじめたモンで!」
「結局乱戦状態か、まあ騒がしくていいけどね!」
かくして、ソルジャー・JK・リザードマンが山賊どもの駆逐を開始した。
酔いどれ頭をハンマーでぶん殴るような衝撃。山賊共は浮足立つばかり!
「……冒険者ってのは、色々なんじゃのう!」
ガラットは、とりあえずそんなところで納得しておくことにした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
共闘・アレンジOK
酒、しかも主要産業の物を盗むなんて許せんな!
これはぜひ相伴にあずかり、もとい山賊は倒さないとな。
UC錬成カミヤドリでナイフを複製。
とにかく数がいるっていうのなら片っ端から倒していくしかないだろう。
隠れて【暗殺】とかやりたいが、ここは逆に目立った方が飛び出したドワーフに目がいかなくなるかな。
敵の攻撃はなるべく【見切り】【第六感】で回避。
回避できない物は本体で【盾受け】流し。
一応ドワーフのおっさ、じゃない戦士を【かばう】事は忘れないようにする。
須藤・莉亜
「お酒が飲み放題って聞いて」
お酒の為なら、悪魔にも鬼にもなるのが僕です。
暴食蝙蝠のUCを発動。敵さんらを霧で覆って撹乱。んでもって、目についた奴を片っ端から【吸血】して【生命力吸収】。
ドワーフの彼がヤバそうだったら蝙蝠で囲んで保護。
「ハイホー。元気?楽しんでる?」
最近、訳あって徹夜続きだったから栄養補給しないと。
「山賊、つまりは山の幸。栄養豊富な血と見た。」
薬袋・布静
美味い酒が呑めるんなら、喜んで山賊退治しやしょう
美味い酒があるなら美味いつまみがあると相場が決まっている、筈や
ついでにそれも頂いても大丈夫やろ
【蛟竜毒蛇】を発動させ
煙管の先からアオミノウミウシの群れを産み出す
次第にソレは山賊達に【恐怖を与える】だろう
徐々に【毒使い】による毒が蝕み
奪われて行く命の時間
歯には歯を数には数を…
其方さんが略奪者いうなら、此方は捕食者なんですわ
一方的に無慈悲に略奪したんや。捕食される覚悟あるんやろ?
――ほぉら、喰らえ喰らえ
小さな傷口からも入り込んでいき【傷口をえぐる】
小さくても獰猛、内部から啄み捕食していく
酒の海に溺れとるからや、略奪風情のド阿呆共
●ただ酒とは言うが戦いはあるわけで
酒はヒトを狂わせる麻薬のようなもの。あるいは恋人と言ってもいい。
人類の文化は、つねに酒とともにあったのだ。それほどに、歴史は深い。
なので、『戦いを無事に終わらせれば酒が飲める』と聞いて食いついた彼らは、
まったくもっておかしくない。むしろ健全である。それが普通。
どちらかというと、食いつかないほうがおかしいのだ。イカれてるのだ!
……ほんとかな? ただの飲ん兵衛飲んだくれじゃないかな?
「お酒が飲み放題と聞いて我慢できずに駆けつけました」
第一の飲ん兵衛、須藤・莉亜は酒目的であるのを隠しもせずに言い放った。
お酒のためならば、悪魔にだろうが鬼にだろうがなってしまうのが彼だ。
もとから悪魔の腕を振り回したり変身したりしているが、そこはご愛嬌である。
「おいおい、そんな下心丸出しはダメだぜ! これはれっきとした人助けなんだ。
酒を……いや大事な主要産業を台無しにするなんて、ぜひ相伴に……いや違う。
とにかく山賊は倒さないとダメなんだ。酒目的なんかじゃないんだぜ」
と、ヤドリガミの青年――黒鵺・瑞樹は、バレバレの嘘をついていた。
目が泳いでいる。お酒を呑みたくて呑みたくて仕方ないという顔である。
そんなに隠さなくていいのに、的な莉亜の生暖かい眼差しを見ないふりしつつ、
あくまでドワーフの窮地を救う真面目な猟兵顔を崩さない瑞樹であった。
「まあまあ、我慢は体に毒って言うでやしょう? ごまかさないごまかさない。
旨い酒を呑みたいのは人間として当然のこと。キマイラにだって当然ですわ」
などと、薬袋・布静は食えない笑顔を浮かべながら瑞樹をからかう。
一見欲望に正直に見えるが、そこで早合点してはいけないのがこの男である。
口布の下の愛想のいい笑みは、その実人の不安を煽る嫌味なものなのかもしれない。
ともあれ、偶然同じタイミングで転移した三人は、飲ん兵衛という共通点があった。
となれば、酒場で相席した酔いどれめいて、意気投合も早いというもの。
なにせ、酒は大量にある。……このまま飲み干されなければ、だが。
それを防ぐにはどうすればいいか? もちろん答えはひとつだ。
そう、さっさと山賊どもをぶちのめしてしまうことである!
「居たぞ! 猟兵どもだ殺せグワーッ!?」
「こっちは数がいるんだ圧殺してやれグワーッ!?」
「散開して奴らを包囲して倒しグワーッ!?」
と、アジトの奥からわらわら出てくるが、出てくる端からやられていく。
まず最初に奴らに襲いかかったのは、正確に言えば深い霧とコウモリの群れだ。
莉亜が発動したユーベルコード、"暴食蝙蝠(グラトニーファングズ)"である。
『団体様ご到着~、てなわけでさっそくだけど血を呑ませてね』
「「「アバーッ!?」」」
ダンピールである莉亜は、いまや山賊よりも多い無数の蝙蝠に変じている。
霧を裂こうが突こうが払えるわけがない。つまり、どうしようもない。
キイキイなきわめく蝙蝠にまとわりつかれ、やがて山賊どもは足並みを乱した!
「んー手間が省けてなによりだな! んじゃ矢衾、ならぬ刃衾にさせてもらうか!」
瑞樹はからっとした声でそういうと、錬成カミヤドリを発動した。
ヤドリガミたる瑞樹の本体は、かつて暗殺者が愛用していた大振りな刃物。
生み出された四十と五のそれらは、まるで軽業師のジャグリングめいて擲たれ、
ほうぼうの体で霧から這い出した山賊どもを一撃で仕留めていく!
「ち、畜生……がはぁっ!?」
死に物狂いの山賊どもはスリングを用いて石飛礫を投げ返そうとするが、
歴戦の猟兵たる瑞樹に、満身創痍の雑魚の攻撃が届こうはずもない。
ひらりと軽やかにかわし、あるいは刀でもってあっさりと切り払って防ぎ、
お返しとばかりに複製ナイフを投げる。変幻自在の軌道は、敵の喉元に至るのだ。
「おやまあ、お二人さんとも見事なもんで。こりゃ俺の仕事はなさそうやなあ。
とはいえ、ま、少しは仕事しとかんと、酒のあがりがなくなりそうやしな」
などとけろっとした顔で言い、布静は愛用の煙管をのんびり銜えた。
……いや、違う。呑気に紫煙をくゆらせ高みの見物、というわけではない。
もやもやと漂った煙は、美しくも禍々しいアオミノウミウシの霊体である!
たかがウミウシと侮るなかれ。この蒼き竜、猛毒を持つ恐るべき生物なのだ!
よろよろと霧から這い出てきた山賊に、霊体は容赦なく猛毒のトゲを突き刺す!
「い、いてぇ! なんだこいつ!」
「が、か、体が、動かな……く、苦し……!!」
心臓を抑え、またあるものは喉を抑え、流し込まれた猛毒にのたうち回る。
それを見下ろす布静の口元には、見事な弧が描かれていた……!
「歯には歯を、数には数を。罪には罰を、略奪者には捕食者ってとこですわ。
一方的に無慈悲に略奪したんや、捕食される覚悟はあるんやろ? ん?」
「た、たすけ」
「――ほぉら、喰らえ喰らえ」
おお、なんたる酸鼻たる責苦……これが布静の戦い方なのだ……!
「な、なんじゃあの奇っ怪な生き物は!? わしは見たことないぞい!」
「お、来たな例のドワーフのおっさ……じゃねえや、戦士のガラット、だったか」
『ハイホー、元気? 楽しんでる?』
あらかた山賊どもを片付けた瑞樹、そして莉亜がガラットの前に立つ。
万が一にも山賊に襲われ、命を落とすことがないようにという配慮だ。
かくして増援は途切れたのだが、酒呑みたちの本題は別にあった。
「……ところで、俺が何を考えているかは言うまでもないと思いやすが」
「うん、わかるよ。僕らにとっては死活問題だよね」
「……そこまで重々しい口ぶりで言うことか? いやまあいいけどな」
やや呆れた様子の瑞樹、かたやシリアスな表情で目配せし頷きあう莉亜と布静。
一体彼らは何を警戒している、あるいは懸念しているというのか?
「…………つまみがどこにも見つからねえんですわ……!!」
「あ、やっぱり。こいつらの血もまあ美味いんだけど塩気がなくてさあ」
「やっぱりそこかよ! ……こいつらつまみなしで呑んでたのか?」
予想通りの二人の言葉に瑞樹は改めて呆れつつも首を傾げた。
酒にはつまみが必要だ。旨い酒に美味いつまみがあって初めて成り立つ。
が、山賊共はそこらへんの風情を知らんらしい。所詮オブリビオンだ!
「なんじゃお前さんら、つまみが欲しいのか?」
「当たり前やろ! つまみなしにどうやって飲めっちゅう話ですわ!」
「さすがに塩漬け肉はつまみにはならなさそうだしねえ……」
「ぬははは! それならば案ずるでない、集落には美味いつまみが山程」
「よし全力で戦おう。ドワーフの集落の明日を守るために! な!!」
途端にやる気になるあたり、瑞樹もやっぱり飲ん兵衛であったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
草野・千秋
ドワーフさん、気持ちはわかりますが
冒険者さんでは不安ですから
僕達猟兵に頼ってる下さってるんですよね?
なら、どーんと任せて下さい!
UDCアースには「大船に乗ったつもりで」
という表現があります
そのつもりでどーんと任せて下さい
戦いが終わったらお酒!
楽しみですね
戦闘前にUCで防御力アップ
信じ認めたもの
それは仲間の皆さんですよ
攻撃は第六感で見切りつつ
2回攻撃を主軸にして戦います
怪力と投擲を利用して
敵を地面に叩きつけたりもしましょう
仲間さんが攻撃されそうなら
盾受け、かばう、激痛耐性でお守りしますよ
この程度の傷、なんのことはないです!
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
なんだか面白そうな世界。お髭さんがたくさん。
初めての世界だし終わったら観光しないと。パーティ?そう。
混じって楽しむならなりきる事も必要そう。兜とお髭を変装用に調達、と。
兜はなんとかなるかもしれないけどお髭が大変。……むしる?
相手の数が多いみたいだしこっちも数を。皆にお髭をつけて変装しよう。
簡単に演技も教えてちゃんとできる様にしておかないと。
初めての世界だし相手でも勉強できるところはちゃんと吸収。
盗まれたものが残っているならちゃんと返すために回収を。
大事なものみたいだから最後には返してあげないと。
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
ナティビアード…ああ、あそこのお酒なのねぇ。うちの店にもいくつか置いてるわぁ。
あたしあそこのお酒好きなのよねぇ。
…うん、叩きのめさない理由がないわねぇ。
周り気にしなくていいんなら、好き放題暴れてよさそうねぇ。
〇ダッシュ・ジャンプ・スライディング駆使して敵陣に突っこんで、〇第六感で攻撃〇見切りながら〇範囲攻撃。
誤射と流れ弾にだけ気をつけて、●鏖殺とグレネードの〇投擲で派手に吹き飛ばすわぁ。
数だけはいるみたいだし、〇グラップルで〇盾にしたり吹き飛ばしたりもしたほうが楽かしらねぇ。
というか、あんまり飲み散らかさないでほしいわぁ。
…あたしの飲む分が減るじゃない。
●商売色々、観光色々
とまあそんなこんなで、猟兵たちはそれはそれは自由に荒ぶっていた。
ドワーフのことなんぞ知ったことなし、とばかりに山賊を抹殺するもの。
ガラットのことを第一に考えて、戦士と共に戦うもの。
あるいはこのあとの宴のことに気が行っている、気が早すぎるもの。
新たに転移してきた草野・千秋の場合は、まずガラットのことを気遣っていた。
そんな彼の目の前に、ちょうど乱戦から抜け出してきたばかりのガラットがいたことは、千秋にとっては僥倖と言えるだろう。
「ドワーフさん、ここにいましたか! いまのところ無事なようでなによりです」
「ハイホー!! お前さんも、あの変わり者の冒険者たちの仲間か?」
「ハイホー……? ああ、なるほど、ドワーフ氏族の挨拶かなにかですか……」
変わった挨拶もあるものだ。おそらく彼らの氏族の風習なのだろう。
「ええ、ではハイホー、とご挨拶しておきます。そしてその問いはイエス、です。
あなたの気持ちはわかりますが、ここであなたが殺されては元も子もありません」
「むむう、たしかにわしはひとりで勇んだのはたしかじゃが……」
ここまで何人もの猟兵に窮地を救われていることもあり、ガラットは素直だ。
千秋は小さなドワーフの、しかし兜とヒゲで素顔を隠した風変わりな姿に微笑みつつ、膝をついて目線を合わせる。
「なら、このまま僕たちに、大船に乗ったつもりでどーん、と任せてください!」
「大船に……? お前さんの故郷の言い回しかなにかかのう?」
「ああ、そんなところです。とにかく、そのつもりでどーん、と!」
ヒーローを名乗り、また志す千秋にとって、ガラットの安否こそが重要。
そしてドワーフが素直に頷いてくれたいま、なすべきことは……ひとつ!
「さて、それでは僕の力をお見せしましょう。変し」
「ぎゃあああ! やめろ! やめてくれぇー!!」
「お、お助け! どうかご勘弁を……ギエエエエ!!」
意気揚々と変身ポーズを取ろうとした状態で、千秋は固まった。
なんかやけに切迫した、そして情けない山賊どもの悲鳴が聞こえてきたからだ。
ほうぼうの体で逃げてくる山賊のあとに現れたのは……あ、あれは一体!?
「待って。痛いことはしないから。ただむしるだけだから」
「それどう考えても痛いじゃねえかグワーッ!?」
「アアアアアアアーッ!!?」
む、むしっている! 無表情な少女が、なんか盗賊のヒゲを!
ぐわしと掴んでそのままぶちぶちむしっている! あんなん痛いわけがない!
そのミレナリィドールの少女、もとい神元・眞白は、むしったヒゲを撚り合わせると、どことなくガラットのそれに似てなくもない付け髭を完成させた。
しかし無理やり引きちぎったヒゲで作ったもんだから、ヒゲというよりミノムシみたいな有様である。
しかも、ご丁寧にガラットのものと同じ作りの兜まで持参しているのだ。
がぽっ(兜をかぶる音)
むしっ(付け髭? を装着する音)
「……変装完了。うん、これなら完璧、バレるはずがない」
「「どこがですか(じゃ)ーーーーーーーっ!?」」
二人揃って思わずツッコんでしまうほどのボケボケぶりであった。
……そんなわけでヒゲをむしられた山賊どもにトドメを刺したあと。
「パーティに交じるならなりきることも大事かな、って」
「いやパーティではないですし、いまここは戦場なんですが……」
ドワーフのなりきりコスチュームのためにヒゲをむしっていた、
などと言われて五回ぐらい聞き返した千秋は、呆れた顔で頭を振る。
「そうじゃぞ! そんなガラクタではナティビアードの名が泣くわい!」
「えっ、突っ込むところそこなんですか!? この状況ではなく!?」
ガラットもガラットでだいぶずれていた。千秋は思わず頭を抱える。
「あらぁ、やっぱりあなたはナティビアードさんとこのドワーフなのねぇ~?」
と、そこにやけに甘ったるい激ロリボイスが響いてきた。
ぽぇぽぇした笑顔(よく見ると微妙に目が開いていて怖い)の女フィクサー、
ティオレンシア・シーディアは、どうやらガラットの氏族に聞き覚えがあるらしい。
「あそこのお酒ぇ、うちの店にもいくつか置いてるわよぉ」
「おおっ、わしらの取引相手か! これはありがたいのう!」
「なるほど……ティオレンシアさんのお店はバーかなにかなんですね」
と、駄菓子屋の店主を務めているだけあってちょっと親近感を覚える千秋。
そしてはっと我に返り、慌てて頭を振る。そんな呑気な話してる場合じゃねえ!
「ってそんな場合じゃないですよ! ここは戦場ですよ!?」
「そうねぇ、あたし、あそこのお酒好きなのよねぇ」
「……お酒、私の製造年数じゃ、まだ飲めない……」
全然緊迫感のないティオレンシアと眞白にがくりと肩を落とす千秋である。
そこへ! ドタドタと騒がしい足音とともに、新手の山賊どもが出現した!
「「「猟兵をぶっ殺してやらぁ!」」」
「くっ、また新手ですか! そうはさせません――変身っ!!」
今度こそかっこよくポーズを取り、千秋は断罪戦士ダムナーティオーに変身!
ガラットも、このややボケボケな女たちも、仲間と決めたからには守る。
それがヒーローの信念なのだ。ズビシィ! かっこよく決まった!
「……うん、あれだけいるなら十分ねぇ。叩きのめしがいがあるわぁ」
「この数、やっぱりパーティ? なら、私もたくさん楽しまなきゃ」
「やる気なのかやる気じゃないのかわからんなお前さんたち!?」
ツッコミ疲れの激しい千秋の代わりにツッコミを入れてあげるガラットである。
ともあれティオレンシアも眞白もやる気だ。ばりばり戦意がみなぎっている。
「あなたたちねぇ――あたしの呑むお酒を、奪わないでほしいわぁ!」
「お前さんの取り分と決まったわけじゃないんじゃがーっ!?」
ガラットのツッコミもむなしく、先陣を切ったのはティオレンシア!
ダッシュからの鋭角スライディングで敵陣へ突っ込み、神速のファニングだ!
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! リボルバー拳銃とは思えぬ量の銃声!
「6発撃ったら終わり、なんて誰が決めたのかしらぁ? お釣りよぉ」
カキン、POW――KRA-TOOOOOOM!! グレネード投擲!
「「「グワーッ!?」」」
「戦術器の皆も、一気に攻めるのじゃー」
「そ、それドワーフのつもりなんですか……?」
眞白のいまいち気の抜ける号令に応じ、無数のからくり人形が出現。
数でまさる山賊に襲いかかり、あちこちで乱戦状態へとなだれ込んでいる!
「い、いけないいけない。僕も戦士として戦わねば! さあガラットさん!」
「う、うむ! わしらもがんばらんと置いてけぼりになるなこれは!」
ドワーフの戦士とともに気を取り直し、千秋もまた戦場に馳せ参じる。
仲間と認めた者……だいぶぽぇぽぇでぼけぼけだが……のためならば、
ダムナーティオーはどこまでも強くなれるのだ! だいぶ絵面はギャグだが!
「さあ、何人でもかかってくるがいい、オブリビオン! 僕が相手だ!」
「私もいるのじゃー」
「あたしも皆殺しにしてあげるわぁ」
「……ぼ、僕らが、相手だ!!」
決まったかな? うーん、多分決まったんじゃないでしょうか!
ともあれ、山賊どもを駆逐する新たな猟兵たちの戦いはなおも続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
夏目・晴夜
いいですねえ、酒飲めて
随分と楽しくやってたみたいですね、酒飲んで
この私がまだ一滴も酒を飲めないってのに
盗んだ酒をゴクゴク飲んで楽しく宴ってたんですね
あまりにも許しがたい、まさに悪魔のような所業です
地獄に落ちればいいのにマジで
発射してきた石つぶては人形のニッキーくんにまるっと庇わせるか、
あるいは手近な【敵を盾にして】代わりに受けてもらいます
盾にした敵はついでに【目潰し】しときます。視線が何となくムカつくので
折を見て『愛の無知』を、アルコールを大量に流し込まれて泣いているであろう肝臓あたりを狙ってぶち込ませます
盗まれた酒はきっと本当に極上のものなのでしょうね
でも身体もちゃんと労わらないとダメですよ
真守・有栖
とっっっても美味しそうにぐびぐびしてるわねっ!?
おなかがぺこぺこな狼の前で、このおにちくな所業。許すまじだわ!
どわーふのおじさん!助太刀するわっ
えぇ、恐れおののきなさい!
美狼にして麗狼。勇狼にして猛狼たるはこの私!
真守・有栖、此処に在り。いざ参る……!(ぐぎゅぅぅう)
…………
おなかがへって、ちからがでないわ。
おみみもしっぽもへんにょりと垂れ下がり。
ぺこぺこのあまり、ふらふらのゆらゆら。
わぐぐ……っ…ひょーろーぜめとはやるじゃないの!!?
けれども。
――月食
光刃、一閃
延びる斬光にて、迫る輩をずばっ!と成敗っ
わふん!ぽんぽんがぐーぐーでも冴え渡る、刃狼の剣閃たるや!
さっっっすが私ね!
(ぎゅるるるる)
安喰・八束
またえらく景気の良い戦場になっちまったもんだ。若えのはいいねぇ。
向こうが荒れて浮足立ってくれているなら、都合がいい。
千里眼射ちの届く距離まで引いて、身を隠しながら狙撃する。(目立たない、スナイパー、援護射撃)
ここまで飛んでくる礫は躱すか撃ち落とす……か、銃剣か銃床で叩き落とすしかねぇなあ(咄嗟の一撃、武器落とし)
……仕事が終わるまでヘソ曲げないでくれよ。
●人狼と一言に言っても色々いらっしゃるもので
乱戦である。いや一部に至ってはなんかもう酒盛り開始してる気配すらある。
相手が山賊ということもあってか、誰も彼もハッスルしまくりのようだ。
「またえらく景気のいい戦場になっちまったもんだ……やれやれ」
人狼の男、安喰・八束はそんな喧騒に疲れたようにため息を付いた。
呆れているわけではない。なにせ八束は不惑を迎えた、年かさの男である。
色々と血生臭く妻子に先立たれたこの射手は、だいぶ疲れ果てているのだ。
コミカルに言うと、本格的に四十路に突入して色々無理が祟ってるのである。
「酒は嫌いじゃないが、そんなにやる気になれるってのは羨ましいもんだ。
誰も彼も、若えのはいいねぇ……っと、ぼやいてたらいよいよ年寄り臭いな」
やれやれとばかりに愛用の猟銃を担ぎ、戦場に加勢しようと歩き出す。
ちょうど一歩目を踏み出した瞬間、足元になにか妙なものが当たった気配。
「ん? ……んん?」
人、か? 倒された山賊の屍体か何かが転がっているのだろうか。
訝しんで足元を見下ろす八束。倒れているのは山賊ではなく少女であった。
「……おいおい、まさか連中にやられちまったとかじゃ」
ぐううぉおおおおおおうぎゅるるるるるきゅるるるるるる。
「…………ねえな、これは」
返事代わりにものすごい重低音で響いた腹の虫に、呆気に取られつつ納得。
そう、この少女――真守・有栖という名の人狼は、けしてやられたわけではない。
「おなかがへって、ちからがでないわ……」
……空腹なのだ! もう立ってらんないぐらいお腹がぺこぺこなのである!!
「うううう、ひょーろーぜめとはやるじゃないの、山賊のぶんざいで……っ」
「いや、お前さんが勝手に腹減らして倒れてるだけだろ?」
「とっっっっても美味しそうにぐびぐびして、ずるいわ、おにちくだわ!」
「不平不満をわめく元気はあんだな……ったく」
駄々っ子めいてじたばたする有栖の前に、呆れた顔でしゃがみ込む八束。
同じ人狼同士、そして猟兵同士、助けてやりたいのはやまやまである。
というかこんな戦場で腹減ったからってふらふらばたんきゅーしてたら死ぬのだ!
「おなかがぺこぺこよぅ。このまま私は死んじゃうんだわ、しくしくしく……」
「気が早すぎだろ。しかしどうしたもんかな、さすがに食い物の持ち合わせは……」
「それもこれもオブリビオンのせいだわー! 血も涙もないわー!」
「うんうん、わかります。あいつらマジで悪魔の所業ですよ。絶対に許せない」
と、有栖の(かなり責任転嫁甚だしい)オブリビオン批判に、いきなり同意する少年。
奇しくもこれまた人狼の美男子、夏目・晴夜という人物である。
怜悧な相貌を厳しく顰め、有栖の言葉にわかる、それな、と頷いていた。
「見せつけるのはずるいわ~、おかげで私はこんな目に、わぐぐぐ……っ」
「いや本当ですよ。いいですよねあいつらは酒飲めて。ずいぶんと楽しげで。
この私、ハレルヤがまだ一滴も酒を飲めないってのに、その一方でですよ。
盗んだ酒をごくごく呑んで楽しく宴。私を差し置いてあまりにも許しがたい」
「お前もお前でだいぶずれたこと言ってるな……」
このハレルヤという男、それはもうすさまじくプライドが高い。
傲慢とかそういうレベルをはるかに通り越した、俺様最高系の男子である。
その名前の割に神に対する畏敬とかこれっぽっちもない。
そんなハレルヤにとって、誰かが楽しくしてるのはそれだけで業腹だ。
しかも自分が飲めない酒で! はい有罪殺すしかない! とガチで思っている。
そんな晴夜、なにやらおもむろにスッ……と懐に手を入れた。
そして取り出したのは……お、おお! お菓子入れである! おいしそう!
「きゅぴーん!!」
スイーツの臭いを感知した有栖、野獣じみた眼光を煌めかせた!
そんな機敏な反応できるなら動けや、とか言ってはいけない。空腹は敵だ。
「ああ、持つべきものは戦友ね……さあ、それを私に」
「え? 食べるのは私ですけど?(さくさく)」
「そこで生殺しするのかよ、血も涙もねえな!」
何言ってんですかあげるわけないでしょ、みたいな顔でお菓子を頬張る晴夜。
有栖はあまりにも予想外の事態に、へなへなと崩れ落ちて今度こそ倒れた。
「もう終わりだわ、せかいのおわりだわ……しゅうまつよう……」
「いいですね、その無様さとてもいいです。なるほどこれがつまみですか」
「明らかに間違ってるし、そのうえすさまじく底意地が悪いな……」
しくしく泣く有栖の大げささと、晴夜の性格の悪さに呆れ果てる八束である。
しかし呑気にしているのはここまでだ、どたどたと現れる山賊ども!
「「「見つけたぞ! 猟兵だグワーッ!?」」」
そこに弾丸めいてタックルを仕掛けたのはオーバーオール姿の殺人鬼!!
いや違う。晴夜が操る、優しく可愛いニッキーくん(ここまでアイテム名)だ!
「お酒を楽しんでたくせに因縁つけてくるとかムカつきますね。死罪ですね。
ニッキーくん、愛の無知(誤字ではない)をレバーあたりに、ガッと」
ガッ(お酒で酷使された肝臓にニッキーくんの豪腕が刺さる音)
「「「アバーッ!?」」」
「敵にも容赦がねえ……いやそうじゃなくてな。
その菓子、一つぐらい分けてやってもいいんじゃないか」
と、あくまで有栖の肩を持ってやる八束。そうしないと埒が明かないので。
晴夜はしばらく物言いたげな顔をしていたが、観念したように頷くと、
大事な大事なお菓子入れから、スナック系のお菓子を有栖に分けてあげたのだ!
「!!!!!(ぱくっ、もぐもぐ!)」
音速で咀嚼する有栖! 途端にうさぎかな? みたいな速度で跳ね起きる!
「私、完全復活! さあ恐れおののきなさいオブリビオンどもっ!
美狼にして麗狼。勇狼にして猛狼たるこの真守・有栖、いざ参るわよっ!!」
「元気有り余ってんじゃないか……やれやれ」
嘆息する八束をよそに、有栖は愛刀・月喰を構え、神速の斬撃を放った。
込めた思念を光に変えるこの刃、その滾りと猛りに応じてどこまでも鋭く。
そしていまの有栖は怒っていた! 兵糧攻めで自分を苦しめた山賊どもに!
あまりにも濡れ衣がすぎるとか、そんなことは言ってはいけない!
「――月食」
目にも留まらぬ踏み込み。山賊どものはるか後ろに有栖はある。
光刃、一閃。納刀とともにどさどさと倒れ伏す山賊ども……!
「わふん! ぽんぽんがぐーぐーでも冴え渡る、この私の剣閃たるや!
さっっっすが私ね! さあ、この調子でどわーふのおじさんにも助太刀よっ!」
などとノリノリの有栖を狙う不埒な山賊を、八束が油断なく狙撃で仕留める。
あっちのほうで、駆けつけた有栖の名乗りに驚くドワーフの声がした。
「……ほんと、若いのはいいねぇ」
「ところでさっきのお菓子の代金なんですけど」
「俺に請求すんのか!?」
愛銃"古女房"がへそを曲げないように使い方に細心の注意を払いつつ、思わず大声を出してしまう八束であったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シーザー・ゴールドマン
【POW】
君達に興味はないが……まあ、何かの縁だろうね。
滅びたまえ。
(たまたまグリモアベースで話を聞いた)
ドワーフの酒も楽しみではあるね。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
数が多いようなので雷で数を減らすかな。
(属性攻撃:雷×範囲攻撃×全力魔法×『破壊の魔力』)
残りはオーラセイバー(×『破壊の魔力』)で刈っていくかね。
(先制攻撃×怪力×なぎ払い)(フェイント×2回攻撃×衝撃波)など
敵POWUC対策
見切って避けざまに斬り捨てます。
(第六感×見切り→カウンター)
矢来・夕立
自然地形なら《忍び足》で隠れるのも容易です。
しかしやることが盗みだけて、甘…いいえ。なんでも。
アウトローにしちゃ随分しみったれた賊どもだな、と思っただけです。
同業他社の悪評は業界全体のイメージダウンに繋がります。
集落を襲うのであれば、もっと容赦なく潰していかないと。
《暗殺》【神業・否無】。
……こうして、思いもよらない反撃をもらうことになる。
範囲攻撃をする猟兵さんが多いでしょうから、
こちらは一匹一匹仕留めていきます。
なるべく綺麗に殺せば《敵を盾にして》《だまし討ち》にも使えるし。
…そうですね。例えば親玉のほうへ、報告のために逃げるヤツ。
厄介なんですよね。増援が来たりして。
一匹も逃しませんけど。
狭筵・桜人
フンフンフーン。
お酒は飲めませんけどタダ飯が食えると聞いて!
エレクトロレギオンを展開。
砲撃の【一斉発射】で有象無象をドババババってしてる隙に
私は山賊のお宝を物色します。
宝箱とかないかなー。
その辺転がってる山賊の懐を漁ってみてもいいですねえ。
違うんですよドワーフさん。
火事場泥棒を働いてるわけじゃなくて盗まれた物品を取り戻そうとね?
これも正義のため……。
ちゃんと並列思考でレギオンの操作とかしてるでしょう。
あれ?よそ見してる内に半分くらい減りました?
ま、いいや。
こんな乱痴気騒ぎの輪に入っていくわけないじゃないですかって……誰ですジョッキ投げたの。
ちょっと暴れすぎじゃないです?
クレームつけてきます。
●"正義"の執行
罪もないドワーフの集落から、大事な取引物である酒を根こそぎ盗み出す。
あまつさえそれを自分たちで呑み干してしまう。血も涙もない山賊どもを倒す。
まごうことなき善行である。オブリビオンが相手となればなおさらのことだ。
これは世界の滅びを防ぐ大事な戦い(にしてはあっちゃこっちゃで大騒ぎだが)であり、つまりは"正義"の戦いである。
「いやー、いいですね正義! 人助けとか悪人退治とか大事ですよねえ!」
「ってそこのお前さん! そんなこと言いつつ何ごそごそ家探ししとるんじゃ!」
偶然そこに居合わせたドワーフの戦士・ガラットに指摘されると、
狭筵・桜人は露骨に舌打ちを……したりはせず、ニコニコと笑顔のまま言う。
「いやいや、違うんですよドワーフさん。これは火事場泥棒ではなくですね?」
「"盗まれた物品を取り戻そうと、正義のために働いていただけなんですよ"
……とか、そんな感じですかね。まあ多分、言うまでもなくウソですが」
いつからそこにいたのは、桜人の言葉に被せたのは黒髪の少年である。
矢来・夕立。この笑みを貼り付けたような胡散臭い少年とは知らぬ仲ではない。
そもそも、夕立も夕立であれこれと言葉を弄するタイプであるからして、
このどこからどう見てもウソ以外の何物でもない台詞の予想は容易なようだ。
「……いやいやいや! そんなウソつきの悪党じゃあるまいし、ねえ?」
「その台詞でオレに同意求めてくるのやめてくれませんか」
砕けているようでさっぱり友誼もクソもありゃしないふたりのやり取りを見て、
ガラットは思った。こいつら、どっちもどっちでろくでなしなんだなと。
「とにかくじゃ! お前さんたちもあの冒険者の仲間かひとりなんじゃろ?
ならわしに力を貸してほしいのじゃ! もちろん礼はあとでするからのう!」
「そう、それです、それ! フンフンフーン、やる気出てきましたよ!」
「タダ飯目当てでこんなところに来たんですか、相変わらずですね」
あからさまにごまかしにかかった桜人に、ぶっすり毒舌を突き刺す夕立。
こんなんでも、一応このろくでなしどもにとっては挨拶代わりですらない。
口を開くと相手の皮肉を言わずにはいられない、そういう性分なのである。
ひねくれ者、意地が悪い、皮肉屋、悪党、まあ言いようは色々だが、
こうして舌鋒のやりとりを出来ることは、相応の信頼の表れでもあった。
「というかですよ、ここにいるのが妙という意味ではそっちも大概でしょうに」
あんたそういうキャラじゃないだろ? と、桜人が夕立の痛いところを突く。
なにせこの少年、忍である。仕事として請け負うのはもっぱら悪行ばかり。
こんなところで困っているドワーフに手を差し伸べるなど筋違いもいいところ。
「あいつら、アウトローにしちゃずいぶんしみったれた賊じゃないですか。
同業他社の悪評は、業界全体のイメージダウンに繋がります。そういうことです」
「やるならもっと手ひどくやるべきって? うわー極悪ー怖いー。
ドワーフさんどう思います? あの悪党と私ならどっちが信じられます?」
「どっちも信用ならんのじゃが!?」
「うわー私ショック~。まあウソですけど!」
これみよがしに夕立の口癖をパクってみせる桜人。満面の笑顔である。
実際のところがどうかはさておき、夕立は感情の読めない顔で呟いた。
「オレだけが変わり者ってわけでもないですけどね。
なにせほら、"何かの縁"で駆けつけた人もいるわけですし。ほら、あそこ」
と、夕立が指さした先には――。
山賊がざっと20以上。これだけの数となると雑魚としても脅威的である。
刃物を腰だめに構えて警戒する山賊の包囲網は、たったひとりの猟兵のためのものだ。
すなわちその中心に立つ、このアジトには場違いな赤いスーツの男に対するもの。
「さて、君達には正直、興味はないのだが……」
金目の紳士、シーザー・ゴールドマンは薄い笑みとともに言った。
事実、シーザーはこの一山いくらの山賊どもに対した興味を持っていない。
ドワーフの酒……は、まあ風流を愛でる男にとっては楽しみではある。
しかし、それもこうして、わざわざ足を運ぶ理由にはならない。
ではなぜここに居たのか。その答えが先に夕立が呟いたとおりのこと。
グリモアベースで偶然話を聞きつけ、何かの縁とばかりに立ち会ったのだ。
なんとも酔狂なものだが、このシーザーという男、元来そういう性分である。
気まぐれにしか思えない奇行をも楽しむ。あえて自分を裏切ってみせる。
どこまでも、底知れず何を考えているか一切読めない怪人と言えた。
「こいつ、涼し気な顔しやがって!」
「勝ち誇ってんじゃねえぞ猟兵がぁ!」
「この数に勝てると思ってんのか? ぶっ殺してやらぁ!!」
しかして山賊どもにとっては、その余裕自体が苛立ちの種である。
案の定迂闊にもいきり立ち、激情のままにシーザーに襲いかかる……が!
「やはり口ほどにもないな。せめて数以外にも揃えたまえよ」
赤い雷が、ばちばち!! と大気を灼いた。増大した魔力のプラズマである。
シーザーを中心につかの間荒れ狂った雷鳴は、近づいた山賊を焼き焦がし、
その威力に慄いた後続は、己が何をされたか自覚する前に息絶えた。
……斬撃である。シーザーはただ魔力を高め、無造作に光刃を振るっただけだ。
それだけで、20を超える山賊は全滅した。反撃など出来るはずもなく。
「こうも手応えがないと退屈なのだが、まあそれも一興と思おうか。
君たちがどこまで数を保てるのか、一つそれを試してみるとしよう」
新たに駆けつけた山賊の群れに、シーザーは余裕綽々の足取りで近づく。
それはまるで、逃げ惑う渡り鳥を飲み込む海の嵐めいてもいた。
「うーん、だいぶ無双してますね! これ私いらないのでは?」
「だからって火事場泥棒しようとはそうはいか……ぬおっ!?」
ひょうひょうと家探しに戻ろうとした桜人を咎めたガラットは目をむいた。
いつのまにかもう一人の少年……つまり夕立が居なくなっていたからだ。
「あ、逃げた。ずるいなあ、こっちは正義のために戦ってるっていうのに」
「驚かんのか……ってどの口が言うんじゃ、どの口が!」
「やだなあ、戦ってますって! 私どちらかというと頭脳労働タイプでして」
桜人も油断ならない男だ。いつのまにかユーベルコードを発動している。
エレクトロレギオンの機械兵器群を召喚し、山賊どもを乱撃しているのだ。
「ってあれ、思ったより数減ってません? うーん私の有能さのせいかな?
いやまあ、そんなわけないですね。……ほんと、イヤな悪党だなあ」
桜人にはわかっていた。エレクトロレギオンの攻撃を隠れ蓑に、
逃亡しようとする盗賊をひとりひとり丁寧に仕留める影の存在を。
夕立である。その姿は不可知であり、ガラットにも、敵にも捉えられない。
桜人とて同じだ。ただ、『間違いない』という確信だけがあった。
あそこまで鮮やかに、確実に、否応なく敵を殺せるのは彼ぐらいなものだ。
「さあドワーフさん、私たちも頑張って正義のために戦いましょう!」
「どの口が言うんじゃ本当に!?」
「いやだって、あんな乱痴気騒ぎの輪に入っていくわけないじゃ、いてっ」
こつん。どこかからジョッキらしきものが飛んできて、桜人に当たった。
「……よし、クレームつけてきましょう。直談判ですよこういうのは」
「お前さんさっきと言ってること変わりすぎとりゃせんか!?」
……と、そんな桜人の飄々とした様子を、夕立は淡々と眺めていた。
喉元を一撃で突き殺した山賊の屍体を投げ捨て、忍は沈思黙考する。
(正義、正義って、これみよがしにうるさいんですよ)
夕立は悪党である。自他ともに認める、掛け値なしのクズだ。
……本当に、どうしてこんな人助けめいたことをしているのか。
考えを巡らせるかわりに、死の刃を振りかざし、闇に沈む忍であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヌル・リリファ
◆アドリブ、連携など歓迎です
おさけ。そんなにいいものなの
……?(さっぱりわからない顔)
そのために、これだけのかずを相手にたちむかうんだから。わたしにはわからなくてもすごくいいものだったりするのかな?
……まあいいか。仕事ならわたしのすることはかわらない。
敵を滅ぼす。それだけだものね。
UCを起動。うるさいのはそんなにすきじゃないし、【属性攻撃】でひかりのちからを強化した武器で、声をあげるまえにきりすてていく。
……殺したらまずい?もしそうなら手加減は一応がんばる。きにしなくていいなら遠慮なく。
(飲みはしないが、アルコールのはいっていたコップを持ち上げて眺め)
もっとわたしが大人になったらわかるのかな?
リュシカ・シュテーイン
鉱石ぃ!?今鉱石の取引などと仰いましたかぁ!?
いやぁいやぁここは私めにお任せいただけないでしょうかぁ
無事に解決できましたらぁ、是非是非報酬でジュエルを頂けると嬉しのですがぁっあぁ、お酒は少量で構いませんのでぇ
頑張りますよぉ、皆さんぅ!頑張りますからねぇ!ほら元気よくぅ!
うふふふぅ、研究用のルビーやサファイアぁ……ダイヤなんかあれば最高ですねぇ
ああいえいえぇ、今はお仕事ですねぇ
【狙撃】には自信あるんですよぉ
巨大なスリングを用いてぇ、衝撃を与えると即座に爆破するルーンを鉄鉱石に籠めたぁ、私の法石で後方から攻撃いたしますぅ
こう見えて一流のスナイパーですのでぇ、お酒には必ず当てないと保証いたしますよぉ
●何かの大切さ
……ドワーフの戦士、ガラットは大変に辟易していた。
たしかに一番最初に勇み足を踏んだのは、他ならない自分である。
山賊がわっと出てきたとき、あっ、これ死ぬなという確信もあった。
猟兵(ガラットからすると風変わりな冒険者)が駆けつけて助けてくれて、
感謝している。勇猛な戦士も数多く、ひとりの戦士として尊敬もしている。
だが、そう……だが、しかし! ガラットは大変に辟易していた!
「どいつもこいつも自由すぎやせんかぁあああっ!?」
はちゃめちゃフリーダムな猟兵たちの自由さにもう疲れ果てていた!
自分は何のためにここに来たんだっけ? と思わず自問自答したほどである。
言うまでもない、奪われた氏族の酒と物資を取り戻すためだ!
猟兵たちだってそのために来てくれた(はずなのだがそうでないものも割といるのが不思議だ)のだ! そのはずなのに!!
もうけっこうな数の酒樽が割れたりぶん投げられたり燃えたりしていた。
帰ったらどう言えばいいんだろう。ていうかこれ持ち帰るぶん残るんだろうか。
割と不安になってきた。そんなわけでガラットはもううんざりしていた。
「わし、助けられておるはずなのにどうしてこんな疲れておるのか……」
もうなんか氏族の酒とか、いいかな。帰って秘蔵のお酒でも飲もうかな、
とか後ろ向きなことも考え始めた。いけない、せっかくの酒宴が台無しに!!
「あぁ~っ、ようやくですぅ、ようやく見つけましたよぉ!」
「……んぉ?」
心なしかヒゲもしんなりしているガラットに、のたのた駆け寄ってくる人影。
なんだかぼんやりしている上に、格好からして明らかに魔法使いの類だ。
しかし何やら急いだ様子の魔女――リュシカ・シュテーインは、
息を切らせながらガラットのもとへやってくると、がしっと手を掴んだ!
「なんじゃあ!?」
「鉱石ぃ!! 鉱石とおっしゃいましたよねぇ!?」
「はっ?」
「あ、いや、ですからぁ。ガラットさんの集落ではぁ、取引をしてますよねぇ。
お酒だけじゃなくてぇ、鉱石も取り扱っているとぉ、酒場で聞いたのですがぁ」
実際はグリモアベースの予知で説明されたのだが、そこはご愛嬌である。
ともあれいきなりぐっと迫ってきたリュシカの勢いに気圧されるガラット。
「う、うむ。そうじゃな、わしらは鉱石も算出して」
「いやぁいやぁ! ここは私めに、どうぞお任せいただけないでしょうかぁ」
「えっ!?」
「実は私ぃ、こう見えて法石屋などを営んでおりましてぇ……」
間髪入れずに営業モードに入るリュシカ。め、めざとい! 商魂たくましい!
ぼんやりしているように見えるこの女、実は商売に関しては割と抜け目ない!
彼女の目当ては、酒ではなくドワーフが算出する鉱石のほうなのだ!
「このまま無事にこの件を解決できましたらぁ、ぜひぜひ報酬で鉱石をぉ……。
そうですねぇ、ジュエルをいくつかいただけると嬉しいのですがぁっ!」
「えっ、いや」
「あぁ、お酒は少量で構いませんのでぇ。もちろん品はちゃんと守りますしぃ、
これ以上被害を出させないよう、私のほうでしっかり立ち回りますよぉ」
にこにこにこにこ。立て板に水を流すようなセールストークである。
"圧"もさることながら、辟易していたガラットにはこの真心が効いた。
商魂のたくましさはさておき、ちゃんと氏族の品の価値を見出してくれている……!!
「……ハ、ハイホー! もちろんじゃ! 任せてほしいぞい!!」
ちょっと目をうるうる(兜の下で見えないが)させながら頷くガラット。
リュシカもにこにこ笑顔になり、そのままくるっと振り返り頷いた。
「商談成立ですよぅ、さあがんばりますよぉ、ヌルさんぅ!」
「……えっと」
「がんばりますからねぇ! ほら元気よくぅ!」
「……うん、がんばる」
対する人形めいた少女は、やや困惑しつつ頷いた。
……その人形めいた、いや事実ミレナリィドールである少女、
つまりヌル・リリファは、なにもリュシカの店の人間というわけではない。
どちらかというと、とある縁から彼女の法石店を利用した客の立場である。
なのだが、転移するなり偶然見知った顔と出会い、先のような勢いで巻かれ、
気がついたらなぜかリュシカの商売の手伝いをすることになっていたのだ。
「……リュシカさんが、法石にかちをみいだすのは、わかるんだけど」
かくして早速一働きすることとなり、その折にヌルは呟いた。
「そもそも、この仕事って、おさけをとりもどすためのものなんだよね。
おさけって、そんなにいいものなの? わたしには、そこがわからなくて」
「うふふふふぅ、研究用のルビーにサファイアぁ、ダイヤもあれば最高ですねぇ……」
「……リュシカさん、きいてる? だいじょうぶ?」
「はっ!」
我に返ったリュシカは、てへりと頭を小突きつつヌルに答えた。
「モノの価値はぁ、多くの人々が関わり合って初めて決まるものですからねぇ。
私もお酒はあまり呑まないのですがぁ、皆さんにはそれだけの価値があるのかとぉ」
「ふうん……。価値、かぁ」
ヌルは人形である。"マスター"に作られ、そのために働く人形だ。
己の性能はすべて"マスター"の目的のためにある。つまり己は、モノだ。
であれば己の価値は誰が決める? 言うまでもなく造物主である。
モノの価値について思索を深める以上、そのテーマからは逃れられない。
「……わたしには、おさけの"価値"はさっぱりわからないけど」
アルコールが入っていたであろうコップを手に、ヌルは黙ってそれを眺めた。
「もっとわたしが大人になったら、わかるのかな?」
「かもしれませんねぇ。ふふっ」
リュシカの笑みは、なんだかヌルにはわからない意味がありそうだった。
なんにせよやることはひとつだ。そら、タイミングよく敵がぞろぞろ現れた。
「なんにしても、まずは仕事をしなきゃね。わたし、がんばるね」
ヌルの指先が空中を撫でる。応じるかのように無数の光の武器が生まれた。
「わたしにできること。敵を殺すこと。それだけはたしかだから」
山賊どもは雄叫びをあげようとした。だがヌルはそれを好まない。
光の刃は人形少女の意思に応じ、山賊どもの喉元を貫き一撃で絶命せしめる。
「あ、ヌルさんぅ、お酒は壊しちゃだめですよぉ」
「うん。リュシカさんがそういうなら、そうするよ」
素直に頷くお客様ににこりと微笑み、リュシカもまた武器を取り出した。
巨大なスリングである。収まっているのはルーンを刻んだ鉄鉱石!
「これでも狙撃には自信があるんですよぉ? ひとつ実演販売ですねぇ」
ヒュパ――KBAM! KA-BOOOOM!!
精密無比な狙いで放たれた法石が、着弾と共に爆破のルーンを発動する!
いつ見ても、我ながら惚れ惚れする威力だ。宣言通り酒樽は無事である。
「それでは私たちのお仕事のためにぃ、お掃除させてくださいねぇ!」
実に柔和でのほほんとした声音だが、敵にとっては死刑宣告である。
山賊どもの雄叫びが悲鳴に変わるのは、そう時間のかからないことだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒川・闇慈
「ドワーフにとってのお酒は魔術師にとっての魔導書のようなものなんでしょうねえ。私は嗜む程度にしか飲みませんが、ドワーフのお酒がどんなものか気になりますし、頑張ってみましょうか。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱、範囲攻撃の技能を活用し、氷獄槍軍を使用します。
山賊が相手ですし、高尚な戦術を用いるより力押しの方がよいでしょう。氷の槍で広範囲を掃射しましょうか。味方を巻き込まないようにだけ注意しておきましょう。
「お酒といったらロックでしょう?さあさご遠慮なさらずに。クックック」
【連携・アドリブ・組み合わせ歓迎】
クロト・ラトキエ
ドワーフさんが勇み出そうなら、此方は我々にお任せくださいな、と。
背は預けますね?なんて乗せつつ、退がっていて頂きたく。
騎士など気取る気はありませんが…
若人と女性を守るのは、甲斐性ってものですので。
逆を言えば。
荒くれ男、それも敵意剥き出しのオブリビオン…
何より美酒を強奪する様な輩は、
燃えて凍って斬られ殴られ飛ばされ締められ落とされ果てるべし♪
そんな感じで挑発、一般人より此方へ意識を引いて。
指の向き、動き、一発目の軌道…等、礫は極力見切りつつ、
躱す動作の合間に周囲の家財や凹凸に鋼糸を仕掛け。
なるべく多くを範囲攻撃の内に捉えて、
UC拾式。
えぇ。
これっっっっっっぽっちも、イラッとしてなどおりませんよ?
非在・究子
さ、酒か。
あ、あんまり、ろくなものではない、な……い、いや、イメージだ、ぞ? た、試しに飲んで、バッステくらったりは、してないから、な。み、未成年だから……あ、A&Wの世界じゃ、気にしないかも、だが。
あ、相手の数も、多い、事だし、フィールドを、ゆ、UCの、力で【ハッキング】して、味方に、有利な戦場にする、ぞ。
ぐひひっ。り、リアルタイム、ウォーシミュレーションのはじまり、だ。(手にしたゲーム機の中に、デフォルメされた『現実』の戦場が映し出され)
げ、ゲームのオブジェクトとして、壁を、作ったり、落とし穴やらの、罠を、設置したり、自動バリスタで、攻撃したり、好きに、フィールドをいじらせて、もらう。
トルメンタ・アンゲルス
無謀と勇敢は違うと思うんですがねぇ。
ともあれ、お助けしましょう。
消えなくてもいい命は助けねば。
さぁ、行くぜ相棒!
変身、アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
突入と同時に変身、トップスピードへ!
勢いのまま跳び蹴りで適当に薙ぎ払っていきましょう!
ただ、真っ当に相手していくほど、お人よしじゃあ無いんですよねぇ!
OverClock!
時間も敵も置き去りにする程加速し、纏めて一気に叩きのめしてやりましょう!
……にしても、そこまでするって、お酒ってそんなにいい物なんですかね?
俺はまだ飲めないんで、よくはわかりませんが……。
そこまでするってことは、大事なのでしょうねぇ。
●お酒にまつわるクエスチョン
酒。
それは、人類の心と肝臓を掴んで離さぬニクいヤツ。
サケ。
それは、人類の健康とお財布にダメージを与えるヤバいヤツ。
SAKE!
それは、どう考えても呑まないほうがいいんだけど呑まずにはいられないヤツ!
飲ん兵衛は云う。酒の良さは、わかるやつにしかわからないと。
当たり前の理屈なのだが、飲ん兵衛ほどなんか得意げな顔で云う。気がする。
その真偽はさておき、酒というのはその良さを理解した者とそうでない者でばっさり評価が分かれるものである。
「……にしても、ひとりで飛び出すなんて無謀なことをするって、
お酒ってそこまでいいものなんですかね? 正直よくわかりませんよ」
青い装甲を纏うスターライダー、トルメンタ・アンゲルスは肩をすくめた。
その背後、駆け抜けた空間は真空に変じていて、気がついたように空気が流れる。
「「「グワーッ!?」」」
山賊どもの悲鳴! バキュームじみた空気の変動に巻き込まれた断末魔だ!
トルメンタがそれを振り返ることはない。最速を標榜する彼女にとって、
見据えるべきは前。駆け抜けたあとの背後を顧みるなど"遅すぎる"からだ。
「そうですねえ、私も嗜む程度にしか呑みませんが、あえてたとえるならば……。
ドワーフにとってのお酒とは、魔術師にとっての魔導書のようなものなのかと」
陰気な笑みを浮かべた男、黒川・闇慈が、トルメンタの言葉にそう答えた。
何気ない世間話などをしつつ、彼は有り余る膨大な魔力を術式に練り上げ、
およそ200本近い恐るべき氷の槍を生み出し、それを敵へと向けている。
アジトの奥からなだれ込んできた山賊どもは、避ける間もなくこれを食らった!
「「「グワーッ!?」」」
「私としても疑問ですよ。だからこそどんなお酒か気になりますからねぇ。
とりあえず、事が解決するまでは頑張ってみるとしますよ。クックック」
「ああ、呑める年齢の人は羨ましいですね。俺はまだ飲めないからな……」
酒の美味とやらを確かめることができない、という意味では、トルメンタにも一種のもどかしさがある。
まあ、だからといって、呑みたくて呑みたくて仕方がないというわけではないが。
「さ、酒か。あ、あんまり、ろくなものではない……ぞ」
と、そんなふたりの会話に、バーチャルキャラクターの非在・究子が口を挟んだ。
そんな彼女が手に持つのは、このA&Wにはそぐわない最新鋭のゲーム機である。
映し出されているのは……今まさに彼女らが立つ、このアジト=戦場に酷似したマップ。
いや、実際それは、この現実をコピーした一種の仮想空間なのである。
究子がゲームの中でオブジェクトを設置すれば、現実にもそれは反映される。
壁を作って敵の攻撃を防ぎ、落とし穴を作って増援を文字通り陥れる。
はたまた天井を崩して崩落させることも、自動バリスタの設置迎撃も自由自在。
まさにリアルタイムウォーシミュレーション! こいつはどえらいユーベルコードだ!
「……あ、い、いや、イメージだ、ぞ? た、試してなんて、ないぞ?
ま、まあ、この世界じゃ、気にしないかも……い、いや、それはない、か」
慣れた手付きでゲームを操作しつつ、究子は慌てたようにふたりに言った。
もともとゲームの世界から現実世界にやってきた究子は、どこからどう見ても子供だ。
ゲームキャラクターとして過ごした年月はさておき、現実での経過時間がすなわち年齢である。
つまり未成年であるからして、彼女はお酒を飲めない。呑んではいけないのだ。
ともあれ偶然から肩を並べて共闘する三人。酒への見解もだいたい一致していた。
よくわからない。
ろくでもない。
けれどもそこそこ興味がある。
とまあ、そんな具合である。
もちろん酒の価値が理解できないからと言って手を抜くわけではない。
トルメンタは常にトップスピードで山賊どもを彼方へと吹き飛ばし、
闇慈の魔術は力押しだが、力押しだからこそ一山いくらの雑魚には覿面に効いていた。
敵の進行を抑える究子との連携は、即席のチームとは思えないほどである。
「しかしほとほと疑問ですよ、噂のドワーフはともかくこいつらを見てるとね!
次から次へと、俺と相棒に追いつけなくせに性懲りもなく出てくるものだッ!」
時間流すらも意のままに操るトルメンタの"OverClock"に、山賊では追いつけない。
奴らが武器を構えたときには、すでにトルメンタは走り抜けているのだから。
まさに目にも留まらぬ早業。新たに現れた山賊30体がバラバラに吹き飛ぶ!
「まあ、私たちを目の敵にしているというのもあるのでしょうがねえ。
恐れもせずに盗品を守りたいという欲望もあるのでしょう、酒の魔力ですか」
クック、と陰気な笑みを漏らしながら、闇慈がさらに魔力を編み上げる。
降り注ぐ氷の槍が、超高速走行するトルメンタを貫くことなどありえない。
仮に狙いを違えたとしてトルメンタはあっさりと回避してのけるだろうし、
その"万が一"を起こさない精妙なコントロールが闇慈の武器なのだ。
「た、タワーディフェンスってか、感じで、あ、アタシは楽しい、ぞ!
で、でも、強ユニットとか出てきてくれたほうが、あ、飽きない、な」
などという究子の感想は、いかにもバトルゲーマーらしい。
壁を作ってみたり、足元を盛り上がらせて一網打尽にしてみたり、
だんだん妨害と罠の作り方が遊び入ってきてるのは気のせいだろう。
「ちょっと待ったぁ!」
「「「!?」」」
そこに颯爽たる声! まさか敵の新手か? ついにボスが登場したのか!?
「皆さんのその酒に対する誤解と偏見、僕に解かせていただけませんか!?」
違う! 飲ん兵衛だ! 酒に対する懐疑的な眼差しを感じて駆けつけたらしい!
黒髪の男、クロト・ラトキエはこの場違いすぎる主張も全力のスマイルで乗り切る!
「ああ、もちろんドワーフさんのことは僕のほうで守っているのでご遠慮無く。
そしてどうぞ、皆さんの手も休めず続けてください。むしろもっと激しく!」
「いきなり現れてえらく剣呑ですね!?」
「それは当然でしょう。美酒を強奪するような輩……しかも荒くれ男ですよ?
燃えて凍って斬られ殴られ飛ばされ締められ落とされ果てるべし、です!」
「め、めちゃめちゃ、し、私怨入ってる、ぞ……」
トルメンタ、そして究子の未成年組はやや呆れ顔である。心象ダウン!
「「「ふざけたこと抜かしてんじゃねえぞてめーっ!!」」」
「さて、ふざけているのはどちらでしょうかね?」
案の定挑発に乗った山賊の群れに、クロトはにこりと爽やかに微笑んだ。
そして……おお、見よ! すでに彼の伏線は"張られて"いたのだ。鋼糸!
「「「えっ?」」」
「断裁といきましょう――拾式(ツェーン)」
ぴん、と張った糸を何気なく引いた瞬間、絡め取られた敵はバラバラになった。
なんたる鮮やかな、そして無慈悲な攻撃であろうか。これがクロトの真骨頂!
「糸使いですか、なかなかやりますねぇ。クックック。しかし無惨すぎでは?」
「いえいえ、これっっっっっぽっちも、イラッとしてなどおりませんし?」
闇慈の言葉にも変わらぬ笑顔で応じるクロト。明らかに目の前で酒を呑まれたことに対するやっかみなのだ!
まあその腕前はさておき、酒飲みらしいとあっては三人の目はやや訝しげだ。
「待ってほしいのじゃ! この男は悪いやつではないぞい!」
と、ここでクロトに守られるようにしてガラットが口を挟んでくる。
「なにせこの男は……!!」
「「「この男は……??」」」
なにやら大それたいきさつでもあるのか。思わず耳を傾ける三人。
ガラットは……なにやらもじもじ指つんつんしながらこう言った。
「わ、わしのこと、おっさんとか間違えんでくれたし……」
「「「……ん!?」」」
そう、実はガラットは……女性だったのだ!
『騎士を気取るつもりはありませんが、若人と女性を守るのは甲斐性ってものでしょう?』
出会い頭にかけられたクロトの台詞が、どうやら大いにヒットしたらしい。
ドヤ顔の酒飲み(36)、そしてもじもじつんつんしている兜にヒゲのドワーフ(素顔不明)
「……やっぱり、酒のよさってのはよくわかりません」
「呑んでいる私がいうのもなんですが、ぐうの音も出ませんねぇ。クックック」
「さ、酒も、酒飲みも、ろ、ろくでもない……な」
三人の結論は、やっぱり変わらなかったようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルーナ・ユーディコット
こいつ相手に命を削るのもどうかと思うオブリビオン……偶に、居るよね
山賊とか厄介者だからオブリビオン扱いされてるだけの様な
いやまさか
作戦はシンプルに
敵中央に怪我覚悟で切り込んで敵陣中央で人狼咆哮
多分、敵の真ん中に食い込めば食い込めるほど、
一気に敵を突き崩せるのだけど……どこまで行けるか
見た目が、そも本当に人間だとしても
これからユーベルコードの餌食にしようって相手を慮る事はしない
ジャンプの踏み台でも盾にでも利用はする
人狼咆哮は…他の戦い方より己を獣と認めるようで
癪だけど
使える手を使わない方が、いつか後悔する
だから……ここから向き合い始めよう
え、やりすぎで酒樽が壊れた?
やっぱ向き合うの……やめようか
●前を向いて
ユーベルコードの中には、己の寿命を代償とするものも多い。
ルーナ・ユーディコットの使う術式は、特にその比率が高いのだ。
だから彼女は、敵――すなわち世界の破壊者たるオブリビオンを殺すために、
己の命を燃やすことを躊躇しない。恐れない。恐れることを選ばない。
それが生き延びた己の命の使い方だと、彼女は己に強いている。
……そう、とてもシリアスで、刹那的で、かっこいい生き様なのだ。
なのだが! 今回ばかりはどうかな!? 相手が一山いくらの雑魚である!
「おまけに見た目がどう見ても人間……まさか濡れ衣ってことは、いやまさか」
などと、ぞろぞろ出てくる山賊を睨みつつルーナはぶつぶつ呟いていた。
もちろん実際はそんなことはなく、ご覧の数からして明らかに人外なのだが、
見た感じは人間そのままなのが盗賊オブリビオンの厄介なところである。
しかしそれがどれもこれも同じ顔で、おまけに酒の臭いがプンプンで、
猟兵を殺してバラバラにするつもり満々だとしたらどうだろう?
「うん、殺すか。躊躇要らないなこれ」
秒であったという。そういうわけでルーナは敵陣に突っ込んだ。
……使うユーベルコードの代償もそうだが、そも彼女は傷を恐れない。
負傷を恐れない。命を賭けた捨て身の作戦というものを惜しまない。
失敗すれば即、死が待つような分の悪い賭けにも躊躇なく身を投じる。
あまりにも前のめり。猪突猛進とはまた異なる、一種の覚悟の境地である。
もしくは、それは、生まれ故郷と共に死ねなかった村娘なりに、
自分の命を満足に散らすことの出来る死地を求めてのことなのか。
……そう、これもやっぱりとてもシリアスで、物悲しい生き様なのだ。
生き様なのだがなあ! 相手が酒の臭いプンプンの山賊となるとどうかなあ!
「くそっ邪魔くせえぞこのガキ!」
「おい俺にぶつかったの誰だよ!?」
「うるせえな黙ってろ酔っぱらい!」
「お前だって酔っぱらいだろうがグワーッ!?」
と云う具合に酒臭い息を吐きあって仲間内で喧嘩している始末である。
もうこれ皆殺しでいいな。ルーナはもう完全に躊躇とか手加減の線を棄てた。
千鳥足の盗賊どもを飛び越え、その頭を飛び石めいて蹴り渡り、
刃を振るって襲いかかる者があれば仲間を盾にして同時打ちさせる。
敵の数は多い。裏を返せば、中枢に食い込みさえすれば一網打尽なのだ。
連中が宴会を開いていたことは、ルーナにとっては僥倖と言えた。
風のように駆け抜ける人狼少女を、雑魚どもが捉えられるわけがないのだ!
(――さて)
人垣じみた山賊どもの群れのど真ん中に着地し、ルーナは息を吐いた。
そして、吸う。命を棄てることを惜しまぬ少女にも逡巡がある。
人狼咆哮。そのユーベルコードは、獣のごとき咆哮を以て敵を討ち滅ぼす。
ウォークライとも違う、獣の相。まるでそれは、己が人狼ではなく、
本物の獣に堕ちたかのように思えてならない、正直厭な力だ。
(けど、使える手を使わないで倒れたら、それこそ絶対に後悔する)
だから、今ここから前を向こう。死ぬために戦うのではなく、
生きて、また誰かと出会うために戦おう。そのために力を使おう。
決意とともに、肺いっぱいに吸った空気を――咆哮として、吐き出す!
「――アァアアアアアアアッ!!」
「「「がぁあああ……っ!?!?」」」
あるものは鼓膜から血を吹き出し、またあるものは音の波に吹き飛ばされ、
まるで内側から爆ぜるようにして盗賊の群れは根こそぎ吹き飛んだ。
一瞬の静寂。ルーナは……ふう、と、すっきりしたようなため息を漏らした。
「ここから、私は向き合うんだ。私自身の、この力に」
一陣風が吹いた。やけに酒臭い風……ん? 酒臭い風?
「あっ」
ぶっ壊れていた。盛大な咆哮によって、酒樽が盛大にぶっ壊れていた。
「…………やっぱ向き合うの、やめよっか」
そそくさとその場を逃げ……もとい次の戦いのために離れるルーナであった。
大成功
🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎
お酒よ!あたしお酒大好き
飲んだあとちょっと記憶がないけど
え、ダメ?
…お酒は飲まない
飲みたいけど
リィが言うなら我慢する
それより今は!そう山賊狩りよ!
見かけは不細工だけど、首は首
幾つとれるかしら?リィにもあげる
うふふ
楽しみだわ!
刀に宿らせるのは呪詛
駆けてまとめてなぎ払い何度でも斬り裂いて
グラップルで殴り砕いて
遊びましょ!
リィに手出しはさせないわ
あの子を見た下賎から斬ってあげる
歌が心地よい
衝撃波には生命力吸収をのせて歌に合わせて剣舞を魅せる
『散華』咲かせてほら綺麗
でも少しだけなら
今はリィと一緒だし
朝起きたら知らない人が横に寝てる
なんてことないもの
尾鰭ビンタはいやよ!
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎
櫻、いい?お酒は絶対飲まない
繰り返して
絶対!飲まない
いいね
櫻宵がお酒を飲まないよう目を光らせ
嬉嬉として駆ける櫻にため息
仕方ないななんて嘯いて歌うのは鼓舞を込めた「凱旋の歌」
下卑た声を君の耳に届かせたくない
僕を庇ってくれたなら君ごとオーラ防御の泡で守る
酔っているのはお酒に?それとも
僕に君を酔わせることができたなら
僕ばかり戀に酔うのは不公平
誘惑こめて歌う『魅惑の歌』
留めて蕩けて真っ二つ
…櫻に首を刎ねられるんなんて
それすら少し
羨ましい
ダメだってば!
君はお酒をのむと見境ないんだから!
……そんなの許さない!
だって酔っ払って違う人とか口説きだしたら
我慢ならない
尾鰭でぶつぞ!
●犬も喰わないじゃれ合いの話
酒癖の悪さとは、如何ともし難いものである。
人によっては、酒を呑んで酔っ払ったときの姿こそ、その人の本質とも云う。
その真偽はさておき、別人のように乱れて暴れる人というのはたしかにいる。
「櫻、いい? お酒は絶対呑まない」
「え、ダメ?」
「お酒は、絶対、呑まない」
「…………」
「繰り返して。お酒は。絶対! 呑まない!」
「……ダメ?」
「繰り返して!」
「……………………お、おさけは、のまない」
「いいね」
「…………」
「い・い・ね!」
「………………はい」
そのおかげで、仲睦まじいふたりにこんな険悪(?)な空気が流れたりもする。
……誘名・櫻宵は、お酒が大好きである。
なんかもう見た目からしてザルって感じがプンプンするし、酒の匂いもする。
そんなわけで大好きである。アイラブ酒、酒ラブミー。わからんけど多分そう。
UDCアース風に言うと『お酒が嫌いな人おる? おらんやろ~』みたいな感じだ。
なんか話が脱線してきた気もするが、とりあえず櫻宵はお酒が大好きである。
ただ、呑んだあとちょっと記憶がなくなる。ちょっとだけ、数時間ほどですよ?
ちょっと目を覚ましたら朝になってて、なんか知らない人が隣で寝てて、
なんかふたりしてあられもない姿になってたりする。それだけですよ?
それだけなのだが、恋人であるリル・ルリはそんなもん許しゃしねえ。
当たり前である。酒癖が悪い人はみんなそう言うんだよぉ!
……話が脱線した気がするが、とにかく櫻宵は酒癖がよろしくない。
暴れるとか笑い上戸になるとかではなく、完全にタガが外れるのだ。まずい。
であるからして、今回の依頼でも酒を呑むつもり満々であった。
なんだったら山賊を殺しながら呑むつもりである。蛮族かな?
ので、リルは先程の通り、口を酸っぱくしてダメだと言い続けているのだ。
普段からしてこのふたりは割とフリーダムな気質が強かったりするのだが、
今回ばかりはリルが外付け良心装置状態である。あるいはお母さん。
もちろん、櫻宵も、愛するリルが云うからには我慢するつもりである。
つもり、である。頑張りはする。そういう方向で前向きに検討する見込みだ。
でもちょっとは覚悟しておけ。とかそんなことをちょっぴり思っていた。
いやだいぶ思っていた。これやっぱダメじゃないですかね?
さておき。
「そ、それより、そう! 山賊狩りよリィ! ブサイクでも首は首だもの!」
「…………」
「いくつ獲れるかしら? リィにもあげるわ。うふふ、楽しみだわ!」
「………………」
「あ、あの。呑まないから。さすがに首獲ってる間は呑まないから、ね?」
めちゃめちゃ目を光らせてるリルにたじたじになりつつも、
いざ敵が現れると、とたんに櫻宵は幼子めいて目を輝かせ、戦場を駆ける。
嬉々として、心の底から楽しげに首を伐って廻るさまは、ああ、やはり美しい。
刀に呪詛を宿らせ、振るうたびに首が、鮮血が乱れ飛び、まさに桜のよう。
刃を構えるより先に刃風を巻き起こし、グーパンで顔面を砕き……んっ?
「おいなんだこいつ素手ゴロも強いぞ!?」
「剣士じゃないのかよ!?」
「ヤッパ振り回して拳骨までしてくるとか完全に蛮族グワーッ!?」
ちょっとバイオレンス濃度が高まりすぎた気がしないでもない。気のせいか。
愛する人魚に色目を使うような、不逞な輩に関しては特に念入りに殺す。
刀と、あとグーパンで。なんでグラップルが75もあるんですか……?
「……仕方ないな」
しばらく目を光らせていたリルも、観念したように、嬉しそうに呟いて、
歌(おのれ)を解き放つ。奇跡のように澄みきった、綺羅星の歌声(じぶん)を。
挑発も、断末魔も、あんな下卑た輩の声を愛する櫻に届かせたくはない。
飛び散る血で彼が汚れることすら厭わしい。浮き立つ泡がそれを遮る。
……リルは未成年である。だから、酒に酔うということ自体がよくわからない。
ただ、酔いしれることはできる。あるいは今はずっと、酔っているのだろうか。
踊るように敵を殺して回る、愛しくて愛しくて仕方ないあの木龍に。
「ああ、心地いいわ、リィ! ほら見て、また首を獲ったわ!」
……彼に殺されることすら、人魚にとっては妬ましかった。
そんなこんなで、あっというまに数十の敵を伐って殴って蕩かせたふたり。
増援が一旦切れたとき、案の定櫻宵が呟いた。
「……ちょっとだけなら」
「櫻?」
「いまはリィが一緒だし、ほら、ね?」
「ダメ」
「でもほんとはリィも呑みたかったり」
「ダ・メ! 君はお酒を呑むと見境ないんだから、そんなの許さない!」
「と言いつつ、からの~? 実は~?」
「尾鰭でぶつぞ!!!!!!!!!」
「尾鰭ビンタはいやよぉ!」
犬も食わない、じゃれ合いの話。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネロ・バロック
シオン(f09324)と参加だ
仕事だから来てみたけどよぉ
酒なァ…こっそり飲むには良い子ちゃんが多すぎんなァ……
この鬱憤は山賊共にぶつけてやんぜ
俺もシーフだからよ…
盗みがどうこう言えた立場じゃねぇ(相手は選ぶがな)
だけど酒に関してはテメーらばっかりズリぃぞ
なんで未成年は飲んじゃ駄目なんだよ
あんま身体の作り変わらねーだろ!
(俺にもちょっと位飲ませやがれ…!)
怒り隠さず羅刹旋風で雑魚盗賊を纏めてぶっ飛ばす!
シオン、お前もお得意の風で手伝えよなー
たくっ…まあ、大した奴らじゃねぇから俺のストレス解消のためのサンドバッグにしてやらぁ
食いもんの恨みならぬ飲みもんの恨みだぜ
覚悟するんだなァ…!
シオン・ミウル
ネロ(f02187)と
俺達まだ酒飲めないからよくわかんないよねー
そんなに美味しいもんなのかな? ちょっと興味あるけど
さすがに味見しようとしたら他の猟兵に止められちゃうかな
ざーんねん
ネロ、あいつらに混じってみたら馴染んじゃうんじゃない?
一緒に乾杯なんてしてたら攻撃しちゃうかも あはは
ま、いつも通りに蹴散らしてやってよ
俺うしろの方で見てるねー
暴れまわるのはネロの専門でしょ
下手に手を出すより任せちゃった方が安心だし
サボってる訳じゃないよ
こっちに来たら《全力魔法》で風刃を使おう
汚い手で触られんのも嫌だし飛んでおこうかな
風の障壁を作って暴れるネロの見物しとこ
怪我したら【春風】で癒してやる
俺って優しいなあ
●お酒を呑みたい悪い子たちの話
こっそりちょっといただく程度ならいけるかな? どうかな?
ダメですね。なにせこれは猟兵としての依頼、領分というものがある。
「仕事だから来てみたけどよぉ……ちぇっ」
などと、ネロ・バロックは見えない何かを厭うかのように唇を尖らせた。
いかに羅刹らしい荒々しい覇気を纏い、恐ろしの魔剣を振り回す豪傑とて、
年頃で言えばまだ14の若者。酒を口にするなどもってのほかである。
いわんやこの乱戦状態をや、たとえ大人だろうが酒をちょいといただくなど、
それこそラクダを針の穴に通すよりも難しいだろう。ばりばり戦闘中である。
そんなわけで、ネロはフラストレーションが溜まっていた。
自分は(色んな意味で)飲めないものを、目の前で山賊どもがグービグビ。
めっちゃ美味そうで楽しそうだ。なんだそれ、殺すしかないのでは? 殺す。
「まあまあ、そうヘソ曲げてないでさ、ちゃちゃっと仕事済ませちゃおうよ。
云うほど美味しいもんなのか、興味はなくもないけどねー」
そんなネロの友であるシオン・ミウルは、いつも通りの軽さで彼をなだめた。
シオンもシオンで未成年であり、やはり酒に対する憧憬や興味はある。
が、やはり同じような理由で、背伸びは許されないのであった。ままならない。
「まあ仕方ねぇ、ならこの鬱憤は山賊どもにぶつけてやんぜ!」
「残念残念。ところでネロさ、あいつらに混じってみたら馴染んじゃうんじゃない?」
「あぁ!? ンなわけねーだろ!」
「っははは! 一緒に乾杯なんてしてたら攻撃しちゃうかも!」
などとじゃれあう少年たちのもとに、どたどたという慌ただしい足音が近づく。
雑魚どもである。それを聞いても、ふたりには緊張らしい緊張すらなかった。
何もネロとシオンを相手取った山賊どもに限った話ではないのだが、
オブリビオンというものは、なぜか猟兵を見くびって侮る傾向がある。
ましてや、骸団の山賊は数で勝っているぶん、その色が強いのかもしれない。
そしてふたりの前に現れた山賊どもは、もうひとつ愚を犯した。
「ハッ、何かと思えばガキがたったふたりじゃねえか!」
「酒も飲めねえガキどもに負けるわけがねえだろ!」
……といったふうに、ふたりの見た目だけを見て子供と侮ったのである。
致命的といえよう。たしかにネロもシオンも、年端もいかない少年ではある。
だが生半な猟兵が、自らオブリビオンの大群を狩りに来るはずもないのだ……!
「俺もシーフだからよぉ、盗みがどうこう言えた立場じゃねぇ」
名無しの魔剣を担いだネロが、苛立ちを隠しもせずに無造作に間合いを詰める。
「だけどなぁ、酒に関してはテメーらばっかりズリぃぞ。
なんで! 未成年は! 呑んだらいけねェんだよォ!!」
「こいつ何言ってグワーッ!?」
「そんなもん俺らが知ったこっちゃグワーッ!?」
「八つ当たりにもほどがグワーッ!?」
子供の癇癪? 否、ネロの怪力を以て振るわれたそれは、まさに暴風。
いくら理由が子供じみていようがなんだろうが、山賊どもにとっては猛威だ!
徒党を組んだ雑魚どもは、侮りと愚行の報いを己らの命で支払うこととなる。
「未成年だろうがよぉ、あんま体の作り変わらねーだろうが!
俺にもちょっとぐらい……呑ませやがれぇーっ!!」
羅刹旋風ここにあり! 攻撃は勢いを生み、勢いは次の攻撃を強める!
「おいシオン! お前もボケッとしてねえで風で手伝えや!」
「えー? いやいや、暴れまわるのはネロの専門でしょ?
下手に手を出すよりそっちに任せちゃったほうが、色々安心だし?」
サボってるわけじゃないよー、などと手をひらひらさせながらシオンが云う。
ネロは舌打ちこそするものの、不平不満を吐くでもなく再び攻撃に気を戻した。
シオンの言葉は事実であり、こんな雑魚どもにやられる己でないと自負しているからだ。
「くそっ、なんだこのガキども!?」
「おい、応援だ! 応援を呼べグワーッ!?」
「あそこのガキから殺せ! あいつをなんとか……ぐへっ!?」
後方のシオンを狙おうとした山賊の首が、ギロチンめいて刎ね飛ばされた。
魔剣? 否。シオンが放った、見えない風の刃である。
「汚い手で触られんのも厭だし、大立ち回りも趣味じゃないなぁ」
ばさりと羽をはためかせて空へ。さらに風の障壁を生み出し高みの見物だ。
万が一怪我をしたらさすがに癒やしてやる準備はしていたシオンだが、
思った通りそれは杞憂となった。
「おいお前ら! 全員かかってこいや、ストレス解消のサンドバッグだぜ!!」
「いやー、怖い怖い。それに比べて俺って優しいなあ」
ブチギレ状態のネロと、それを悠々と見下ろすシオン。
敵にとっては、どっちであろうが恐ろしい悪ガキに変わりない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アストリーゼ・レギンレイヴ
【妹のセレナ(f16525)と】
大切なものは自らの手で取り戻したい
……という気持ちもわからなくはないけれど
無謀は少々いただけなくてよ
あとは任せて、お下がりなさい
《漆黒の夜》を纏いて前へ
背に庇う妹たちへ危害の及ばぬよう
【殺気】を放ち【存在感】を示し、敵を引きつけましょう
向かってきた者たちの攻勢をいなし
押し返して、斬り伏せることを主とする
……その下卑た叫び声、あたしの妹の耳に入れないで欲しいものだわ
虫唾が走る、今すぐ黙りなさい
殺気に怖じて足を止める者、あるいは背を向け逃げる者があれば
そちらへは目を向けず、目の前の敵に集中する
その隙を逃す彼女(いもうと)ではないわ
あの子を信じているから、任せられる
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アスト姉さん(f00658)と
大切なものを奪われるというのはつらいですからね
大丈夫です、私たちが参りました
どうか力添えをさせてください
……広域攻撃は、得意なんです
ミトロンの書に乞う願いは奪還と制圧
【祈り】を籠めて広範囲に光の雨を降らせましょう
刃が迫っても、決して祈りを止めたりはしません
共にいるのは大切な姉
けして山賊などに後れを取るはずがないのですから
味方の傍の敵や確実に仕留められそうな敵を優先的に、光で射抜きます
あなた方は過去の夢
今生きる者から奪うというのならば、ここで止めましょう
降った光で味方を【鼓舞】し、戦線を押し上げてまいります
立ち塞がるというのならば何度でも光を降らせていきますね
●奪われたからこそ、奪わせない
たかが酒と人は云う。しかしそれは立派な『生きる糧』だ。
呑まなきゃやってられないとかそういう話では……いや、
そういう者も中にはいるのかもしれないが、それはさておき。
ドワーフたちは丹精込めて酒を醸造し、取引によって生活の糧を得て、
日々を凌ごうとしていたのだ。彼らにとっては楽しみであり生活の種である。
それを奪う。連中は陽気な酔っぱらいめいているから忘れがちだが、
あってはならない蛮行、許しがたい悪行であることは言うまでもない。
……ついさっき妹の同業者がそれをぶん投げて回ってたことは忘れよう。
ともあれ、彼女ら姉妹は『大切なものを守る』ということに関して、
人一倍強い思い入れがあった。なにせお互いこそが"そう"であるのだから。
「ぬおわーっ!?」
乱戦状態の最中、戦闘の余波ですってんころりんともんどり打ったガラット。
ボウリングの玉めいて地面をゴロゴロと転がる彼女……そう、実は"彼女"なのである……を受け止めたのは、かの姉妹の姉である。
「お、おう? 誰かは知らんが助けてくれてありがとうじゃ!」
「礼には及ばないわ。けれど無謀は少々、いただけなくてよ」
小さな体を抱えて立たせてやりながら、アストリーゼ・レギンレイヴは言った。
「大切なものは、自らの手で取り戻したい……という気持ちは、
あたしとしてはわからなくはないけれど、ね。あとは任せて、お下がりなさい」
「む、むう。お前さんたちは不思議じゃな、なんでもお見通しとは……!」
己の事情を知られていること、そしてアストリーゼの声音に込められた、
同意や決意、あるいは覚悟といった感情の色に、ガラットはううむと唸った。
己は彼女のことをよく知らない。が、任せてもいいのではないかと思わされる。
そういう、不思議な迫力……あるいは力強さが、アストリーゼにはある。
「ええ。大切なものを奪われるというのは……辛いですからね」
そんなアストリーゼの後ろから、妹であるセレナリーゼ・レギンレイヴが言った。
ガラットは、この乙女の声音と表情の裏に、なにか壮絶なものを感じた。
それはおそらく、こうして出会ったばかりの己が踏み入るべきでない領域だ。
「でも、もう大丈夫です。ここにはもうすでに多くの猟兵がいらっしゃいますし、
こうして私たちも参りました。だからどうか、私たちにも力添えをさせてください」
あくまで穏やかで淑やかに言いつつも、セレナリーゼはくすりと笑う。
「……こうみえても、広域攻撃は得意なんですよ?」
と。
「……いやな、わしも何も、お前さんたちを疑っていたのではないぞ」
「はい?」
「たしかにお前さんたちのことは信頼した。したがな、しかし……」
きょとんとした顔のセレナリーゼのとなりで、ガラットはくわっと顔を上げた。
「こ、これは……"得意"とかそういうレベルの話かのう!?」
首を傾げるセレナリーゼ! 天から降り注ぐ無数の光条! 阿鼻叫喚!
おお、恐ろしきはミトロンの書、祈りを糧に魔力を回す刻器のその力……!
てな具合に、どたどたとやってきた山賊どもはものの見事に蹴散らされている。
奪還と制圧を願い祈るセレナリーゼの祈りを、かの書が拒むはずもなし。
彼女の祈りを遮る者はなく、それゆえに光芒は無尽蔵に降り注いだ。
一方で、倒される側の山賊どもは、それを黙ってみていたというのか?
否である。だが、やはり、奴らではセレナリーゼを害することは出来ない。
出来なかった、というべきだろう。出来るはずがない、とも。
「お前たちのその下卑た眼差しを、あたしの妹に向けないでもらえるかしら。
その下賤な叫び声も、断末魔も、妹の耳に入れはしない。聞かせはしないわ」
アストリーゼである。常より彼女は、前に出て敵を退け刃を防ぐ。
その背に守るのが妹……彼女にとっての、唯一の肉親であり大切なものとなれば、
その身を覆う暗黒の闘気の威圧感たるや、常のそれを遥かに超える。
「こ、このアマァ!」
「――虫唾が走る。いますぐ黙りなさい」
斬撃。肉厚の刃は、その剣風ですら必殺である。雑魚相手に鈍るはずもなし。
一撃で数体の山賊を薙ぎ払う剛刃を手に、闇の戦士はただ戦場を征く。
少なからぬ敵が、その威風に慄き、あるいは味方を呼びに下がろうとした。
迂闊な背を、しかしアストリーゼがそれ以上に追うことはない。
代わりに、光芒が天から突き立ち、異教徒を裁く主の怒りめいて滅ぼすのだから。
「お前たちは、たしかに数で勝るのでしょうね。まるで黴のようだもの。
けれどね、あいにくあたしには、信じて背を預けられる妹(あのこ)がいるの」
「私の祈りは、決して妨げられることはありません。あなたたちの目論見も。
なぜなら、私を守り、前に立ってくれる姉様(あのひと)がいるのですから」
大切な家族を守ろうとするふたりの絆は、何よりも固い。
「……大したものじゃなあ! ハイホー!」
それを目の当たりにしたドワーフの戦士は、快哉を叫び、ふたりを応援した!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桜・結都
グィーさん/f00789と
大切な商品を奪われてしまうなんて
大変なことですね
困る人がいる事を知りながら悪事を働く人を
私はよく理解できません
グィーさんの気遣いの言葉にあたたかい気持ちになって
ええ、いきましょう。一緒にお仕事ですね
グィーさんはお酒を嗜みますか?
よほど美味しいものなのでしょうね
大人が上機嫌にしている様子は何度か見た事があるんです
酒癖が悪いという人もいるようですけれど
ふふ。酔ったグィーさんも見てみたいものです
しっかり懲らしめてあげましょう
霊符を展開し破魔による防御を整えましょう
グィーさんへ石つぶてが向かったら符を送って守ります
【桜花の宴】で近付く者達に仕置きを
人の物を盗ってはいけませんよ
グィー・フォーサイス
結都(f01056)と
悪い事する理由がある場合もあるけど
してはいけない事だからね
君が理解して心を傷める必要はないさ
さあ、お仕事といこうじゃないか
お酒は、そうだね
人並み程度には嗜むかも
美味しい物もあるけど酔いたいからって飲む人も多いかな
またたび酒とかあったら僕でも…
君に悪い大人の見本と思われないように気をつけないとだ
わ、結都は紙を飛ばして戦うんだ?
僕も一緒だよ
間近な山賊へ『郵便配達』
僕のお手紙は追跡サービス付き
当たった君に告げるルールは「指に力を入れてはいけない」
攻撃は見切ったり地形を利用して上手に躱そう
刃物が飛んできたら
危ないな
ジェイド、風を
ぐるぐる渦巻く風を喚んで、落としてしまおうか
●猫と少年の話
この世界にもフェアリーという……言ってしまえばドワーフもそうだが、
見た目と実際の年齢が(余人の感覚からすると)一致しにくい種族がいる。
別世界における好例はケットシーだろう。猫の妖精の名を冠した、獣人たち。
新たに転移されてきたふたりの片割れはまさにそのケットシーであり、
驚くべきことに"そちら"のほうが年上だった。彼の名はグィー・フォーサイス。
「大切な商品を奪われてしまうなんて、大変なことですね……」
「まったくもって。僕の稼業でそんなことになったらと思うと、ぞっとしないね」
傍らに立つ桜色の髪の少年……桜・結都の言葉に、運び屋の猫人は肩をすくめた。
郵便物を届ける仕事は、いわば信用のもとに成り立つ商売である。
荷物を安心して預けられるからこそ、届けるという使命を託せるのだ。
運び手がくすねてしまうなどもってのほかだが、誰かに奪われるのも同じぐらいに問題である。
となれば、その商品を掠められたこの事態に、グィーが思うところあるのも納得か。
「……でも、そもそもどうして、悪いことをしてしまう人がいるんでしょうか」
一方で、結都の抱いた疑問は、グィーのそれとまた異なっていた。
箱庭めいた屋敷に住まい、由緒ある家系で何不自由なく育った少年にとって、
悪人の思考回路は理解しがたい別次元のもの、別の生き物のそれである。
もちろん、山賊どもがオブリビオンであることを差し引いても、だ。
「困ってしまう人がいると、少し考えればわかると思うんですけれど……」
結都なりに真摯に考え込んでいる様子を、年長者のグィーは穏やかに見守る。
ふたりは、そう長い付き合いというわけでもない。出会いは偶然からだ。
ただ、初夏の頃の夜、あの季節外れの花見の最中に出会ったときから、
グィーはこの少年……結都のあどけなさを好ましく感じていた。
「たしかにそうだね。それをわかっていても、悪いことをしなければならない、
そんな理由がある場合も、まあなくはない。今回はそうですらないわけだけど」
「なら、一体どうして……」
「さあね。してはいけないことだと、わかっていてもやってしまう。
そういう人もいるのかもしれないよ。なんにせよ、君が心を傷めることじゃない」
世の中には理解が到底及びつかないものもある。大人であるグィーはそれを知る。
だが少年はそうではない。それは好ましくもあり、危ういことでもある。
ならば、自分に出来る限りで、少年に世の理を説くのも、年長者の役目だろうか。
「さあ、ともあれお仕事といこうじゃないか」
「……そうですね」
そして結都もまた、グィーの心遣いをはっきり感じていた。
理解できないことに心を悩ませ、必要のない痛みを感じなくともいい。
そういう大人らしい気遣いを、少年も同じように好ましく感じている。
「ええ、いきましょう。一緒にお仕事、ですね」
猟兵としてははじめての共同戦線。心にあるのは暖かさと、期待と高揚だ。
そこへ、おあつらえ向きに、山賊どもがどたどたと慌ただしく駆けつけてきた。
数はざっと10……いや、20に届くか。手勢としてはなかなかの数と言えよう。
「おうおう、なんだぁ? 猟兵にしちゃ情けねえ面してやがる!」
「ガキに、あっちのは猫か? よくわからねえが大したことはなさそうだな!」
雑魚どもは見た目だけで少年と運び屋を侮り、げらげらと嘲笑った。
下賤である。結都は、きっと表情を引き締め、その手に霊符を展開した。
「へえ、結都は紙を飛ばして戦うんだ? 奇遇だね、僕もだよ」
などと言いながら、グィーが取り出したのは、手紙入りの白封筒。
刃物を構えた山賊どもを相手にするには、いささか奇妙で心もとない……が?
「そんなもんでどうしようってんだ、あぁ!?」
「知りたいなら見せてあげます。ね、グィーさん」
「うん。ちゃちゃっと片付けてしまおうじゃないか」
ふたりは目配せして頷きあう。そこへ山賊どもが、雄叫びを上げ襲いかかる!
だが、振り上げた刃が届くことはない。見えない障壁が刃を弾いたのだ!
「っがぁ!? なんだこりゃあ!」
「人のものを盗ってはいけません。そんな当たり前のこともわからないというなら、
ここで私たちがあなたたちを、しっかりと懲らしめてあげましょう!」
霊符である。破魔の結界が、ドーム状に展開してふたりを守っているのだ。
気勢を削がれた山賊めがけ、グィーは白封筒の手紙をナイフめいて擲つ。
「くっ!?」
とはいえ、所詮は紙だ。ピッと肌を浅く裂いたが、ダメージはさほどでもない。
本領はここから。グィーは相手を指さしながらこのように宣誓する。
「それは君へのお届け物だよ。そして届いたからにはルールを守ってもらおう。
いいかい? 痛い目を見たくなかったら、"指に力を入れてはいけない"よ?」
「何ワケわかんねぇこと言ってやがる、死ね――がぁあっ!?」
聞く耳持たずで刃を握りしめた山賊は、とたんにそれを手落としてしまった。
なんだ? 触れられてもいないのに、電流じみた痛みが手首に走った!
「な、何をしやがったてめ――ぎゃああっ!?」
よろけながら立ち上がろうと、地面に手をついて、またのたうち回る。
「だから言っただろうに。"ルールを破ったからそうなる"のさ」
これがグィーのユーベルコード。白封筒は破ること能わぬ誓約の切れ端。
結界を破ってさらに襲いかかる山賊を、ネコ科動物めいたしなやかさでかわし、
さらにひとつ、ふたつと手紙を"配達"する。盗賊どもは次々に倒れていく!
「なるほど、あれがグィーさんの……私も頑張らないと」
結都はおもむろに錫杖を取り出し、その柄を指先で軽く撫ぜた。
「桜咲よ。その名のごとく、咲いて、裂いて、桜色から紅色へ!」
途端に錫杖は本来の姿――すなわち桜花の精のそれを取り戻し、
さらにその実体は、無数の桜の花びらに解けて散らばる。まさに花吹雪!
花びらは、一つ一つがナイフよりも鋭利かつ危険な刃なのである!
「へえ、これは風流だね。ジェイド、君も力を貸してくれるかい?」
グィーの呼び声に答え、こちらでは万年筆が翡翠色の鳥の姿に変じた。
風の精霊たる翡翠鳥の羽ばたきは、花吹雪をさんざめかすつむじを起こす。
「うん、見事なものだ。ちょっとお酒を呑みたい気分になりそうだね」
「……グィーさんも、お酒を嗜むんですか?」
意外そうな結都の言葉に、猫人はおどけて片目を瞑ってみせた。
「人並みにはね」
「私も、大人が上機嫌にしている様子は何度かみたことがあるんですよ。
グィーさんのような猫さんも呑むのなら、よほど美味しいものなのでしょうね」
「うーん。味よりも、酔いたいからっていう人も多いんじゃないかな?
かくいう僕も、またたび酒とかあったら飛びついてしまうかも……」
なんて云うグィーに、桜吹雪のなかで少年はくすりと笑った。
「ふふ、酔ったグィーさんも見てみたいですね」
「……君に、悪い大人の見本と思われないように、気をつけないとね。
さあ、どうやらおかわりが来たようだ。もう一働きするとしようか」
桜吹雪が途絶え、新たな敵の足音と怒号が届く。ふたりは再び符と文を手に。
穏やかな語らいは、宴のときまでお預けになりそうだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鬼灯・ほのか
ドワーフの旦那はんの気持ち、うちはよおくわかりますえ…うちも大概なことでは怒らへんけど、お酒を盗むような輩はなます切りにしたくなってまうなぁ。
うちは出来るだけ敵の集団の中心まで行って新月で山賊はんらを攻撃したいどすな。お酒や物資は傷付けないようにに注意しときまひょ。敵の攻撃は「見切り」や「武器受け」で防ぎ「カウンター」からの「二回攻撃」で殲滅しよか。ああ、後余計なお世話かもしれへんけどドワーフの旦那のはんに向かう敵を優先的に攻撃しよかねぇ。
はあ、ええ戦いやったねえ…なあ、今お酒の味見とかアカン?ほんのちょいでかまへんから…
露木・鬼燈
味もわからないような盗賊風情が…
しかも…つまみも雑っ!
許せないのです!
僕のような違いの分かる男の手元にあるべきだよね。
故に殺す!
無駄に飲まれたお酒の弔いっぽい。
<隠忍の見えざる手>を発動。
念動手を補助に用いた格闘術で戦うのです。
決してお酒に被害がいかないようにっ!
派手に吹き飛ばすとかは危ないかも。
首を捩じ切る。心臓を貫く。絞め殺す。急所を毟り取る。
確実に殺るのですよ。
中途半端にして暴れられたらお酒が危ないからね。
慈悲はない。
敵の攻撃は避けるより受けるほうがいいかな?
力を利用して地面へ倒して踏みつけ。
念動手と合わせて印を組み氷遁を発動。
氷の棺に封印する。
お酒も冷えて美味しくなる。
いい感じっぽい!
オニバス・ビロウ
酒か、ならば俺は黒糖焼酎を好む
更に言うなら我が妻の作った豚の角煮をつまみに飲むのが良い
…いや、ここはそういうアレではなかったな
どわあふ、の…なてぃ、び…髭が素晴らしく凄い御仁!
多少へばっておられるようだが、助太刀に来た!
さて、いくら斬っても溢れてくるようなものどもが相手か
ならば相手の石つぶてが飛んでくるのを【見切り】、それに【カウンター】をしようか
まずは飛んでくる石を刀ではじき返すだけでいい
…この程度の石で、刃毀れするのを期待されても無駄だ
それを知らしめる為に更なる攻撃を
UCを使用し、山賊どもに斬りかかろう
髭の御仁には申し訳ないが、攻撃が当たらぬ場所に避難してもらおう
…当たると凄く痛いからな
パーム・アンテルシオ
…あの様子だと、事が終わったら…飲むんだろうなぁ。
ずるいよね、大人は。皆、楽しそうにお酒飲んじゃって。
子供は飲んじゃダメ、なんて決まりまで作って。まったく。
…決まりは決まりだから、守るけど。
私は、良い子でいないと…良い子にならないと、だからね。
さて。何にしても、元凶を倒さないと、ね。
ドワーフさん達の為にも、皆の為にも。
相手はたくさんいるみたいだし…
気にせず大技、使っちゃおうかな。
ユーベルコード…白桃火。
お酒に溺れるのも、楽しいんだろうけど。
たまには…甘さに溺れてみるのも、良いと思わない?
大人はずるい、とは思ったけど。
人から奪ったもので楽しんでる人たちは…もっとずるいよね。
…そう。ずるい、よね。
●酒飲みどもと羨ましがりのいい子の話
呑ミュニケーション、などというたわ言が割と真面目に使われているあたり、
酒というものはコミュニケーションを円滑にする力がある……らしい。
まあそれはわかる。酒といえば宴会だし、呑んでる大人はみんないい顔してるし、
きっと、おそらく、楽しくなって舌も回るとかそんなところなのだろう。
「……ずるいよね」
しかしだからといって、いやむしろ、だからこそ……ずるい。
そんないいものを大人だけで独り占め(というのは語弊があるが)するとか、
ずるい。パーム・アンテルシオは、子供なのでそう思う。無理もない。
なにせ彼女の目の前では、まさにいま飲ん兵衛どもがわいわいしていたからだ!
「かくいう俺は黒糖焼酎が好みでな。この世界で言うと"らむ"が近いだろうか。
我が妻の作った豚の角煮をつまみに呑むと、まさに格別の味わいというやつよ」
「う~わ~、この状況でつまみの話までされるとか拷問に近いっぽい~。
ていうかあいつら、つまみまで雑じゃない? やっぱ殺すしかないっぽい?」
「お前さんえらい剣呑じゃな!? いやまああの腐れ盗賊どもはわしも殺すが!」
といった具合に、ドワーフの戦士ガラットと意気投合する飲ん兵衛ふたり。
具体的に言うと、嫁さんのつまみ自慢をしているのがオニバス・ビロウという男で、
それを羨みつつ味音痴の盗賊どもに殺意を燃やしているのが露木・鬼燈である。
「いやしかし、どわあふ、の……なてぃ、び……あー、髭が素晴らしく凄い御仁!
多少へばっておられたのであわやと思ったが、その強さも呑みっぷりも見事よ」
「ぽいぽい! それに比べてあの盗賊ども……許されざる悪党どもっぽい!
やっぱ美味しいお酒は、僕みたいな違いのわかる男の手元にあるべきっぽい~」
「ワハハハ! ハイホー! それほどでもあるのじゃ! ハーイホー!」
盛り上がっていた。めちゃめちゃ盛り上がっていた。
酒を呑んですらいないのに、その話題だけであの盛り上がりようである。
パームはぷくーと頬をふくらませる。いや別に混ざりたいわけではないのだが、
子供だからといって呑むなと言われるのは実に業腹である。
「……ずるいよね」
「うんうん。わかります、わかりますえ」
えっ、という顔で振り返ったパームの後ろには、いつのまにか羅刹の女がいた。
鬼灯・ほのかという剣豪である。パームとは面識のある、陶然とした女傑だ。
「うちも大概なことでは怒らへんけど、ああいう悪党どもは許せへんからなぁ。
……あ、あそこの旦那はんたちやのうて、盗賊どものことですえ?」
うふふふ、とかめっちゃ怖い笑顔である。わかってるようでわかってない。
一瞬味方が出来たと思ったパームだが、やっぱり疎外感を覚えて頬を膨らませた。
決まりは決まりだから守りはするが、ずるいったらずるいのである。
とりあえず、この怒りはあの山賊どもにぶつけよう。彼女はそう思った。
「くそっ、ここにも猟兵どもが来やがってるぞ!」
「たかが4、5人じゃねえか! 数で押し潰しちまえ!」
「おうおう、ガキに女に雁首揃えてよくも来たもんだなぁ!?」
いかにもチンピラらしい台詞を吐きながら、ぞろぞろやってくる山賊ども。
倒せど倒せど奥からわらわら出てくる様は、さながらゴキブリめいている。
「おのれまだまだ来よるか盗人どもめ、わしが相手じゃ! ハイホー!!」
「いやいや、俺もいるぞどわあふの。ここは俺たちに任せておくがいい」
オニバスは怒り猛るガラットを(髭を褒めることで)うまいこと宥め、
一之太刀とばかりに名乗りを上げ、ずんずんと敵へ突き進んだ。
やっかみ同然に飛来する石飛礫など、剣豪たるその身からすれば見切りは容易。
あっさりと斬り伏せて、おもおむろに青く輝く闘気をその身に纏った!
「な、なんだぁありゃあ!?」
「これぞ鉄樹開花よ。さあ、我が剣は一にして九、避けきれるかぁ!?」
疾い! 言葉通り、途端にオニバスの剣は九倍の速度で敵を切り裂いていく!
本来このユーベルコードは、代償として味方の血を必要とする陰惨なものだ。
でなければ、使い手本人の命を削る。闘気は強力だが代償も同様。
されどいましがたガラットを下がらせ、そして一之太刀を買って出た彼に、
己の命のために味方を犠牲にするつもりなどかけらもありはしない!
「あらあら、同じ刀使いとして羨ましゅうなってまうねえ。うちも混ざろか」
おっとりとした様子でほのかは言い、揺らめくような足取りで戦線に加わる。
夢遊病患者めいた足取りであるにも関わらず、その体捌きは玄妙にして精妙。
山賊どもが気づいたそのときには、女はすでに戦場の真っ只中だ!
「うちの太刀筋、あんたはんらに見切れるとは思えまへんけど、どうやろな?
見切れるんなら見切ってくれたほうが嬉しいどすなぁ――切り応えあるさかい」
斬影。数こそはオニバスに軍配が上がれど、速度はこちらが上である。
影すら遺さぬがゆえに、この光速の不可視斬撃、銘を"新月"と呼ばう!
「「が――っ!?」」
血を吹き出し、己が何をされたかもわからぬ驚愕の表情でばたばた倒れる山賊ども。
しかして、運良く――あるいは運悪く生き残った山賊どもに、恐れおののく暇などありはしない。
「ぐげっ!?」
「お、おいどうした……ひい! し、死んでる!?」
「どこだ、どこからやってきやがった!?」
突然首があべこべにネジ曲がって死んだ同族に、悲鳴をあげる雑魚ども。
だが右を見ようが左を見ようが、その仕手が見つかるはずもない。
「残念だけど、そこもあっちも、全部僕の領域っぽい!」
然り。これなるは、屠龍の忍たる鬼燈の術式、"隠忍の見えざる手"。
念動力によって生まれた浮遊手は、使い手たる鬼燈の膂力と業前を模倣し、
忍さながらの無惨にして容赦なき手さばきで盗賊どもを血祭りにあげるのだ。
首を捻じ曲げ、心臓を貫き、絞殺し、さらには肉をむしってえぐり取る。
隠忍とはすなわち鬼。羅刹に相応しき、華麗にして凄惨なる殺戮……!
「「「ぎゃああああっ!?」」」
「あいにく慈悲はないっぽい~。無駄に呑まれたお酒の弔い合戦っぽい!
あ、でも僕は優しいから、"頭を冷やしてあげる"ことにしたっぽい!」
すさまじい速度で印を結び、繰り出すは忍法・氷遁。凍りつく山賊ども!
冷気はいい感じにアジト内部をひんやりと立ち込めて、お酒も冷やしてくれる!
一石二鳥とはまさにこのこと! ……本当か?
「あんなに楽しそうに、頑張っちゃって……大人ってほんと、ずるいよね」
相も変わらず拗ねた様子でパームは呟いて、とりあえずストレス解消することにした。
具体的に言うと、周りを一切考慮しない、大群相手の大技を使おうというわけだ。
お酒? お酒はまあなんとか無事でいられるのではないだろうか。
万が一巻き込まれても、大人たちがなんとかするだろ、とか思ってるかもしれない。
「お酒に溺れるのも、楽しいんだろうけれど――たまには、さ。
甘さに溺れてみるのも、いいと思わない? さあ、ほら――」
指先からこぼれ落ちた火種は、地面に跳ねるとともに桃色の炎の大波に変わる。
だが見よ。哀れにも呑まれた山賊どもの表情。それは苦悶でも恐怖でもなく、
「お、おお……?」
「はは、は……なんだこりゃ、甘ぇ……!」
まるで頬がとろけるほどの甘ったるい菓子を頬張った幼子のよう。
然り。これなる"白桃火"、骨身まで焼けど与えるのは苦痛にあらず。
脳髄を浸らせ麻痺させる、毒のごとき甘やかさ。それがこの甘い炎の正体だ。
「人から奪ったもので楽しんで、あなたたちは大人よりもっとずるいよね。
……私は、いい子だから、ね。あなたたちを、おしおきしてあげるよ」
そう言って微笑むパームの相貌は、ちろちろと燃える炎に逆光で照らされて、
どこか妖しくも恐ろしい人外の美しさを帯びていた。
それはおそらく、酒精よりももっと危険な、化外の証左なのであろう。
たかが山賊風情が、そのあぎとから逃れることなどできはしない――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霑国・永一
いやぁ、流石は山賊。奪い方が荒っぽいなぁ。盗むならスマートにやりたいものだといい反面教師にはなるね
では、酒臭いこの宴を血生臭いものに変えに行くかぁ
狂気の予知を発動
此方に意識を向けている山賊の思考を盗み読み、石の礫の攻撃軌道やタイミングを予測して回避、または銃撃で相殺しつつ、山賊自体にも銃撃を加えていく
特に石を投げてくる手を優先的に狙い、その後に頭や腹を狙う。すぐ即死じゃ面白くない、少しは痛みに苦しむ時間を与えたいところ
接近する輩は足から狙う
思考を盗み読んで回避は出来るとはいえ、複数に囲まれるのは面倒なので、囲まれない位置取りを意識する
「おっと、腹に穴をあけてしまって呑んだ酒がこぼれちゃうねぇ」
●盗人が盗人から盗むものは
上には上がいる。とは言い得て妙で、どんな分野にもエキスパートは存在する。
ましてや盗賊どもは数で攻めるが関の山の三下風情であり、
こと"盗む"という一点の技術に関しては、無慈悲なだけでプロではない。
つまり、彼からするとこういうのは"荒っぽくてずさん"ということになる。
「いい反面教師になるよねぇ。いやほんと、もっとスマートにやりたいもんだよ。
……ははは。そりゃそっちはそう思うだろうけどねぇ、俺は違うのさ」
まるでここには居るが、居ない誰かと会話するかのように、ぶつぶつと独り言を喋りながら、優男が血の海を征く。
然り、血の海である。男……霑国・永一の足元は、一面血が広がっている。
やったのは永一だ。倒れ伏す盗賊どもの表情は、きょとんとしたものだった。
つまり奴らは、永一という殺害者が忍び寄っていることすら気づかずに死んだ。
山賊の目すらも欺く手口。それが可能なのは、この男が生粋の"盗人"だからこそ。
「酒臭い宴もいいけどさぁ、やっぱ血腥いほうが性に合うんだよねぇ」
盗みを日常と捉えるこの男の思考はそれ自体が狂気に浸りきっているが、
この独り言は、なにもその狂気の片鱗としてこぼれ出たというわけではない。
多重人格者。薄笑いしながら殺しと盗みを行う男の裡には、別のモノが潜む。
おそらくその粗暴な狂気が表に出ていれば、ここには静謐でなく阿鼻叫喚があったろう。
「なっ!? なんだてめえは!? どこから――」
BLAMN! 驚いた山賊の頭部が、果実めいて派手に爆ぜ散った。
永一の銃撃によるものである。オブリビオン相手に躊躇や制止などしない。
もともと、誰が相手だろうと躊躇をするような男ではないが。
「あー、けどやっぱ、即死じゃ面白くないなぁ」
思い出したように物騒なことを言うなり、永一はめくらめっぽうにあちこちを撃ちまくった。
当然、銃声と跳弾の物音を聞きつけ、すぐに増援がどたどたと駆けつける。
金色の瞳でその数をざっと一瞥し、永一は愉快げに笑った。あるいは、嗤った。
「てめえ! よくもやりやがったな!」
「猟兵が……ぶっ殺してやるぜぇ」
「ははは。そりゃいいや、じゃあ俺は"殺さないでおく"よ」
BLAM! BLAMBLAMN! 銃撃の狙いは、宣言通り急所をわざと外したもの。
石飛礫を迎撃し、その手を、あるいは攻め込もうとする足を撃ち抜いていく。
盗賊どもは悲鳴や苦悶、あるいは苛立たしげな罵詈雑言を漏らして倒れ、
痛みと屈辱に芋虫めいてのたうち回った。永一はへらへらと薄笑いを浮かべる。
「な、なんだこいつ……っ、お、俺らの動きを読んでるのか!?」
「ああ、まあそんなところかなぁ。正しくは"盗んでる"んだけどね」
「どういう意」
BLAM!
「説明はめんどくさいから、殺しとくよ」
……永一は、眠り、食い、楽しむように盗む。おなじぐらいに当然に盗む。
盗むという行為はそれほどに当たり前のものであり、だから彼は狂っていた。
それほどのシーフにとっては、思考を盗むのも命を盗むのも大して変わらない。
BLAMBLAMBLAMBLAM! 新たにやってきた盗賊どもの腹部を正確に撃ち抜く。
「おっと、腹に穴を開けちまった。呑んだ酒がこぼれちゃうねぇ」
死にかけの虫めいて蠢く雑魚どもを、永一は嗤いながら見下し、通り過ぎる。
とどめをくれてやる慈悲などない。その矜持を、男はとっくに盗んだのだから。
成功
🔵🔵🔴
リア・ファル
共闘アドリブ歓迎
SPD
お酒かあ。興味あるけどボクまだ未成年なんだよね。
成分分析(毒素利用)と市場調査(商売)に関してはバッチリ予習済みだけど!
というわけで、暴動鎮圧といこうか
陽気で愉快な仲間達ってやつだね、僕も似たようなものサ
(と言いつつ、肩に乗ったヌァザがにゃあと鳴く)
状況をかき混ぜるなら、ボクの出番かな
予め、迷彩で秘匿しつつ地形を利用した地盤沈下の罠を仕掛けておこうか
UC【召喚詠唱・流星戦隊】を使用
戦闘機群で縦横無尽にかき乱しつつ、
罠のある1点に追い込む
「そんな所で固まって、しかも投石とか、危なくない?」
最後はヌァザでロープを切って発動
崩落現場のできあがりってね
「少しは懲りてくれるかな?」
アテナ・アイリス
山賊あいてなら、まともに戦う必要は無さそうね。
剣なら余裕の相手だけど、ここは、次世代エルフの戦い方を見せてあげるわ。
UC「ディバイン・フェザー」をつかって、上空に舞い上がる。
右手にフレースヴェルグ・ブラスターを手に持って、【誘導弾】で攻撃するわ。
上からなら、簡単に狙い撃ちできるわね。ブラスターの練習の的にちょうどいい感じね。
下からの石つぶては、【盾受け】で、盾で弾き返せば問題ないしね。
「お酒の為だもんね、頑張らないと。」
「狙いたい放題ね。さあ、やりますか。」
「そんな攻撃、当たらないわよ。さあ、お返しよ。」
アドリブ・連携好きです。
アーデルハイト・フレイ
罪状・略奪
ただ物を盗んだだけならば…私のいた国であれば強制労働といったところですが
ドワーフの法ではどうなのでしょうね?
ひとまず「咎力封じ」で山賊を拘束していきます
「抵抗しなければ命は奪いません」
拘束した山賊は後でドワーフ達に引渡し法の裁きに委ねましょう
抵抗するならば、我が名において処刑を行わねばなりませんがその場合もご心配なく
我がフレイ家の処刑方法は痛みを与えぬことを第一としています
鍛えし【部位破壊】の技で一瞬で首を落として見せます
ああ、ところで…行われたのは略奪のみですか?殺人は行われておりませんか?
彼らが殺人者であれば悲しいですが裁判の余地無く首を落とさなくては…
●実直な処刑人と空舞う乙女たちの話
「いやあ、美味えなあ! 盗んだ酒ってのは最高に美味いぜ!」
「もともと味もいいってのに、他人のものとなるとこうもうまくなるかね」
「ああたまらねえ! おい、新しい樽を開けようぜぇ!」
襲撃真っ只中だというのに、中にはこうして呑気こいている連中もいる。
アジトの奥、げらげらと下卑た笑い声をあげて酒宴にふける悪党ども!
「……罪状・略奪。反省は見えず。情状酌量の余地はなさそうですね」
「あぁ? 誰だてめえ!」
そこへざっ、と現れたのは、切れ長の黒い瞳をした女である。
「アーデルハイト・フレイと申します。あなたがたが例の略奪者ですね。
私は咎人を捕え、然るべき罪あらば裁きを執行するもの。すなわち――」
ぶおん――その手に収まった、剣呑な処刑刃が鈍く剣風を放った。
「処刑人です」
それこそが女の武器であり、ヤドリガミたる彼女の本体である。
……ややあと!
アジトに繋がるいくつもの窖のひとつから、ほうぼうの体で山賊どもが飛び出してきた!
少なからぬ者は、あちこちに無慈悲な斬撃痕を受け出血している。
「な、なんだあの女!? べ、べらぼうに強ぇ……!!」
「くそっ、生き残ったのはこんだけか。おい、応援はまだ来ないのか!」
「……残念ですね。抵抗しないのならば捕縛で留めるつもりだったのですが」
穴の奥から響いていた怜悧な女の声に、山賊どもはびくりとした。
暗がりから現れたのは、戒めを手に、もう一方に処刑剣を持つアーデルハイト!
そう、この盗賊どもは、ついさっきまで自分勝手に酒盛りを楽しんでいた連中だ。
アーデルハイトの慈悲深い降伏勧告を無視し、抵抗したのが運の尽き。
まず三体がその愚かな首を刎ねられ、逃げる間に四人が裁きを執行された。
「あまり逃げたり暴れられては困ります。あなたたちにとってもいい話ではない。 我がフレイ家の処刑方法は、痛みを与えぬことを第一としているのですよ」
当然、葬送剣が本体たるこの女処刑人に、罪人への容赦など一切ない。
むしろ痛みもなく斬首してやるだけ、そちらのほうが慈悲深いというものだ。
「おとなしくしていれば、気づく間もなく送ってさしあげますが……」
「ふ、ふざけやがってぇ! 誰が殺されてたまるかってんだぁ!」
山賊がおとなしく処刑されてくれるわけもない! ましてや敵はオブリビオン!
人の姿をすれど人にあらざるもの、この世ならぬ骸の海から還りし過去。
人の法、人の裁きで処理できるような手合いではないのだ!
……と、そのとき! 空から無数の光条が降り注いできた!
「「「な、なんだぁ!?」」」
たたらを踏む山賊ども、それを焼き焦がす光の正体はプラズマ弾である!
訝しげに空を仰いだアーデルハイトは、そこに鳥めいた女を見た。
否、それは聖なる青白き光を纏い、空を飛翔するエルフの乙女の姿だ!
「自分たちのほうから、穴ぐらから出てくるなんて見上げたものね!
おかげで狙い放題だわ、新世代エルフの戦い方、教えてあげるっ!」
金色の髪をなびかせて、戦乙女めいたパラディン……アテナ・アイリスが云う。
そしてさらなるプラズマ弾の雨! 山賊どもは四方八方に逃げ出す!
「おっと、逃げようったってそうはいかないわよ!」
ZAP!! フレースヴェルグの名を関したブラスター砲は、狙った獲物を逃さない。
哀れ、背を向けた山賊どもは、悲鳴も遺さずに焼け焦げて消滅である。
「……哀れな。ですが痛みがなかったのはたしかでしょう」
「あら、ひょっとして獲物の横取りしちゃったかしら? ならごめんなさいね!」
消滅跡に黙祷を捧げる眼下のアーデルハイトに、アテナは悪びれず云う。
処刑人がなにか言葉を返そうとしたその時、声音を遮り新手の山賊どもの怒号が!
「「「あそこだぁ! 猟兵め、ぶっ殺してやらぁー!!」」」
「次から次へとぞろぞろ出てくるわねぇ、ま、お酒のためなら頑張らないとね。
オブリビオン相手に、わたしたちが怯えて逃げると思ったら大間違いよっ!」
再び青白い軌跡を描き、アテナは空からの対地攻撃で敵を攻め立てる。
アーデルハイトはそれを見送りつつ、一瞬考え込んだあと何やら頷いた。
「ここで見過ごしていては処刑人の名折れ。私もこの刃で裁きを執行しましょう」
敵はオブリビオン。いくら慈悲をかけようと、連中が改悛することはない。
在るだけで世界を害する過去の残骸に対しては、ただ裁き滅ぼすことこそ慈悲。
ゆえにアーデルハイトは、決然たる歩みで戦場へと馳せ参じた!
「うわー、派手にやってるなぁ」
と、そんな乱戦模様を、高速で飛翔しながら見下ろすもうひとりの乙女あり。
高速戦闘機『イルダーナ』を駆る彼女の名は、リア・ファル。
選定の岩の名を与えられた、機動戦艦のヒューマンインタフェースである。
「やっぱり、お酒絡みってことでみんなやる気になってるのかな?
ボクはまだ未成年だからなぁ……商品としては予習済みなんだけどね」
いくらバーチャルキャラクターだろうが、未成年は未成年である。
商売人(彼女は食料から軍用の爆薬まで幅広い品を手がけるECサイトの運営者でもある)としても、酒のパワーは侮りがたいものである。
実際のところ、そこで戦う女の片割れは、酒がどうこうというより処刑人としての責任感によって燃えていたのだが、まあそこはさておこう。
「よっし、ボクも暴徒鎮圧といきますか! はいほーっ!」
意気揚々とイルダーナを駆る乙女の肩で、銀虎猫がにゃあ、と呑気に鳴く。
するとどうだ、リアに追従するようにして、高速戦闘機の分身体が44体出現した!
「マテリアル転写生成完了っ。稼働全機、発艦、始めて!」
召喚詠唱・流星戦隊(ファンクションコール・メテオレギオンズ)!
無から有を創造することこそユーベルコードの真髄、であればイルダーナの複製体を瞬時に生み出すことも、リアにとっては朝飯前。
縦横無尽に空を舞うアテナに混ざり、戦闘機群が敵を追い詰めていく!
「お、おい、また増えたぞ! あいつらは鳥かなんかか!?」
「くそっ、石だ! 石で撃ち落としちまえ! あの処刑人は後回しだ!」
「あ、後回しったって、あいつ全然ビビらずこっちに……ぎゃああ!!」
咎力封じの拘束具で動きを捕えられ、プラズマ弾や葬送剣にトドメを刺される山賊ども。
そこに無数の戦闘機群による対地攻撃が合わされば、いよいよ形無しである。
原始人めいて石飛礫を空に投げながら、奴らは必死に穴ぐらに戻ろうとするが……!
「残念! そこはもう罠が仕掛けてあるんだなあ!」
KRAAAAASH!! リアの仕掛けた地盤沈下罠が作動し、盗賊どもは生き埋めだ!
「……やはり、フレイ家の伝統たる処刑方法に勝るものはありませんね」
「わたしがいうのもなんだけど、あれは派手すぎて驚くわね!」
もうもうと立ち上る土煙を見、アーデルハイトとアテナは驚き呆れるばかり。
「いやあ、やりすぎかな? でも、これで少しは懲りてくれるよね!」
そんなふたりのほうを見やり、リアはいたずらっ子めいて笑うのだった。
大成功
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ジャガーノート・ジャック
◆ロクと
(ザザッ)
~次回予告~
【食うものと食われるもの。
場の空気に酔いしれる相棒の元へ遅れて馳せ参じる豹鎧。
オーバーキルの名を冠する山に醸成された血と殺戮の匂いに引かれ、物騒な奴が集まってくる。
次回:『君相当酔っているだろうロク』
次回もジャック達と地獄に付き合ってもらう。】
(ザザッ)
偶に酔いどれる君は稀に見るがほどほどにして――聞いてるか?
そうか……。
ともあれ任務開始だ。オーヴァ。
(ザザッ)
『C.C.』:クイックドロウ。
砲門は42機。
1射1/42秒の熱線を、炎と戦乱の隙間を縫う様に。
針に糸を通すかの如き精度で敵と敵の飛ばす礫のみ穿つ。
――。
しかし、そろそろ真剣に食事機能を追加するべきかもな。
ロク・ザイオン
※ジャックと
〜次回予告〜
【氷嵐炎禍を逃れた盗賊に襲い来る鏖殺の化身。
砕ける酒瓶。積み上がる骸。
咆哮と業火、弾雨と血煙とをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、
ここは地獄の釜の中。
次回「場を暖めておいた。ジャック」
森番の飲む、仕事の後の一杯は、たぶん旨い。(ノンアル)】
…そうか。
そうか。
ごはんな。ふふ。
(ごはんを食べる機能を持たないキミまでがここにいるのがもう
楽しくて可笑しくて仕方無いのだ
森番、なかなか出来上がっている。
髪を解き「轟赫」39本をばらばらに、盗賊共を囲い込む。
炎は風を喰い熱を産む。喉が灼けてしまえば、雄叫びも上げられまい)
酔ってない。
呑んでない。
……いいにおいがするんだもん。
●これまでのあらすじ(山賊視点)
……言うなれば、運命共同体。
互いに頼り、
互いに庇い合い、
互いに助け合う。
一人が五人のために、
五人が一人のために。
だからこそ、戦場で生きられる。
「嘘を言うな!」
「ほんとだよ! 俺らばりばり死んでるじゃねえか!」
「もうだいぶ追い詰められてるじゃねえか!!」
ご覧の有様にに歪んだ暗い瞳がせせら笑う、っていうかビビって震える。
「お前が!」
「お前が!!」
「お前が!!!」
「「「俺のために、死ね!!」」」
《――君、相当酔っているだろう、ロク》
「場を暖めておいた、ジャック」
「「「ひいっ!?」」」
次回、『骸団』
こいつらは何のために盗みを働いたのか?(答え:呑むため)
●なんだかむせる気配がするけどそんなことはさておいて
凍れる嵐とともにもうそれはそれは荒れ狂う炎禍となって暴れ狂ったロク・ザイオン。
そんな彼女のもとには、いま、相棒であるジャガーノート・ジャックがいた。
バーチャルキャラクターである。ばりばりに装甲を纏った、兵士である。
そんなわけでジャガーノートは飯を食べたり飲んだりなどまったく出来ない。
が、いた。だってなんか、お山の名前がすごくシンパシーだから……!
あと相棒がめちゃめちゃ(場の空気に)酔っ払っていたから……!
《――たまに酔いどれる君は、稀に見るが》
赤いカメラアイからは、あからさまに呆れた気配があった。
なんせ相棒はめっちゃニコニコフラフラしてるし、いい感じの火照り顔だ。
これで酒の一滴も口にしていないというんだから逆に驚きである。
「ふふ」
《――いくら呑んでいないとはいえ、場酔いも立派な酩酊だ。ほどほどにして……》
「ふふふ」
《――……聞いているか?》
ふふふ、ふふ、とか、なんか笑ってばっかりなのでジャガーノートも不安だ。
明らかに聞いていなさそうな顔で、しかし森番はこくこく頷いた。
頷いたっていうか、どちらかというと赤べこが首かくんかくんしてるアレだ。
「聞いてる、聞いてる。ふふ、そうか、キミがここに、な。ふふ」
《――……そうか……。まあ、聞いているというならいいのだが》
おそらくジャガーノートはため息をついたらしいジェスチャーをして、
頭を振ったあと、ビビりきっている山賊どもに赤い視線を向けた。
応じるように複製生成される砲門、およそ40と2。向けられる先は視線と同じく。
「ごはん、ごはんな。ふふ、ふふふ」
くすくすと笑っている森番の髪もまた、じわじわと燃え上がる。
髪から伸びた蔦めいた赤い炎、およそ30と9。すなわち轟赫たる赤。
ちろちろと蛇めいて燃え上がるそれらは、山賊どもの逃げ場を奪っていく。
「いや、おれは酔ってない」
《――えっいまさら?》
「のんでない」
《――それはわかっているが酔っているだろう》
「よってない。いいにおいがするんだ、もん」
《――……やれやれ。ではとにかく》
弾丸装填。キュイン、という駆動音が鋼の豹鎧から微かに響いた。
《――任務開始といこう。オーヴァ》
「狩りのつづきだ。おーば」
かくてまず、森番が微妙~にふらっとした身動ぎで体を縮こめ、消えた。
瞬速の踏み込みである。山賊どもは刃と石の飛礫で迎え撃とうとする。遅い。
《――そんな動きは、"読むまでもない"》
ZAP。ZAPZAPZAPZAPZAPZAP!!
熱線。クイックドロウ。形なき光芒は、炎も、いわんやその刃を熱することはなく、
敵がいじましくも擲った飛礫と、あるいは敵そのものを精妙に撃ち抜く。
かくて地獄が生まれる。敵にとっての地獄、狩人にとっては乱痴気騒ぎ。
物騒である。まるで弾雨と血煙をコンクリートミキサーにかけてぶちまけたよう。
敵にとっては地獄の釜の中。ふたりはまさに、鏖殺の化身。
「のこさず、灼けろ」
《――ひとり残らず殲滅する》
否応なく、盗賊どもはこの地獄に付き合わされる目に遭うのだ。
……それはさておき。
豹鎧の下の"彼"は、森番の上機嫌な様子の見当がついていた。
おかしいのだろう。いや、楽しいと云うべきか。己がここにいることが。
共に食事することで、ヒトとしての実感と証明を得ようとする彼女にとって、
相棒である己が酒と食い物の乱痴気騒ぎに駆けつけた、だなんてことは。
(……そろそろ真剣に、食事機能を追加するべきかもな)
なんて言ったらもっとへらへらさせそうなので、"彼"は言わないことにした。
きっと、その楽しい考えも、森番には悟られ(あるいは期待され)ているだろうが。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネグル・ギュネス
【アサルト】
アドリブ歓迎
…何やってんだあのオッサンは…危ないだろ
え?私も最近やった?記憶にございません
一先ず紛れながら、アンブッシュと行こう
【迷彩】で姿を隠しながら、ユーベルコード【ヴァリアブル・ウェポン】に内蔵した鋼糸で、敵の武器を絡めて奪う
抵抗したら、スパーク発動、雷の【属性攻撃】で痺れて貰おうか
残った敵の攻撃は、鞘付き刀で【武器受け】しながら、華麗に受け流したり、回避主体でヘイトを集め
頃合いを見て、銃を空に一発
敵は集めた、全員此方にご執心ときた
【ダッシュ】で木走りしながら登り逃げる
あとは、最高の指揮と、最強の射撃で一気制圧を狙って合図!
此方は敵が逃げたり、伏兵がいないかチェックしておこう
鳴宮・匡
◆アサルト
今日のお前が言うな大賞来たな……
記憶にございませんじゃねーよ、海よりも深く反省しろ
ったく……切り替えて仕事するか
とはいえ、あのバカが囮役を買って出たからな
それの首尾がうまく運ぶまでは出来るだけ【目立たない】よう
周囲の景色に【迷彩】して待機
オーケー、……そっちの準備もできてんだろうな?
遠慮なしでいくから、うまく逸らせよ
合図を受けた段階から攻撃開始
視界内、射程におさめた相手から撃っていく
射線上に味方……と保護対象を入れないようには心がけるけど
万が一の時はまあ、ヴィクティムがうまくやるだろ
余り気にせず殲滅を優先
……「それ」しかできないんだ
せめてそれくらいは期待通りにこなすさ
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】
威勢が良いのは結構だが、視野狭窄っぷりを晒して自滅は笑えねぇな。
一人で突っ走るのはダメだぜ、なぁ?(ネグルをニヤニヤ見る)
さて、素人山賊連中なんざ、さくっと処理してやろうぜ
ネグル、サポートは任せる
──アイツ、あんな武器も扱えるのか
こいつは収穫だな…今後のプランに活かせる
っし、準備できたってよ
「Reflect」の展開はもう終わってる
遠慮なくぶっ放せ!
何割かは味方を守る障壁にする
2人が放つ飛び道具の類を【早業】で反射反射
【ドーピング】【ハッキング】でニューロンをかっ飛ばす
ぶち上げた演算能力で、飛び道具の結界を作るように反射板操作
悪ィけど……
この「殺界」に入っちまった時点で負けなんだよ
●強襲する強者ども、あるいは気のおけない悪友どもの話
突然だが、ネグル・ギュネスという男はああ見えてかなりの激情家である。
"ああ見えて"などと云う必要もないくらい、彼と親しい人ならばよく知ることだ。
なぜなら彼は普段から気さくで、紳士的で、そしてウェットな男だから。
裏を返せば、それはどうしようもない悲劇や、醜悪で下劣な悪事に対し、
まっすぐに――ともすればまっすぐすぎるほどに――強い怒りを燃やすということ。
彼を慮る側としては、己の身を厭わずに突き進む姿は危なっかしくて仕方ない。
「てなわけでな、威勢がいいのは結構だが、視野狭窄っぷりを晒して自滅は笑えねぇぜ?」
危うく盗賊の群れに轢殺(この数となると比喩でもない)されかけたガラットを救った少年、ヴィクティム・ウィンターミュートは、これ見よがしに言った。
ニヤニヤとした表情で、視線はとうの"激情家"のほうを見ながら。
皮肉である。なにせネグルという男を支援し、あるいは止めたことなど、
彼ともうひとりの戦友からすればもう何度もあったことなのだから。
「…………きおくにございません」
とかなんとか、当人はあからさまに目線を逸らしながらどこ吹く風である。
いやしてないけど? そんな危なっかしい真似、私全然してないけど? みたいな顔だ。
「記憶にございません、じゃねーよ」
「い、いやしかし、見境なく突っ込むのが危険なのは事実だろう、相棒?」
「今日のお前が言うな大賞来たな……」
しどろもどろのネグルの言い訳を一蹴し、鳴宮・匡がズバッと指摘する。
彼もまた、ヴィクティムとともに手間を幾度もかけさせられた側の人間である。
まあ、それをただの手間と取らずにいるからこそ、その呼びかけに応じ、
こうして今も肩を並べているのだが……そこを言及するのは無粋というもの。
海よりも深く反省しろ、と口をすっぱくして言うさまは、
彼が下宿先の年少者たちに、年上の男として説教する様子にも似ていた。
なにかと貧乏くじを引かされがちな匡お兄さんである。そこもまたあざとい。
話がそれた。とにかく、彼らは窮地のガラットを救ってやったわけだ。
「ま、そういうわけだからな、ひとりで突っ走るのはダメだぜ。なぁ?」
相も変わらずニヤニヤとからかう視線を向けつつ、ヴィクティムが云う。
「う、うむ、すまんのう……じゃがわかったわい、仲良し三人組よ!」
「「「仲良し三人組て」」」
え? なんか間違ったこと言った? みたいな顔(多分)で首を傾げるドワーフ。
さておき、気を取り直して、盗賊の名を持つハッカーはニヤリと笑う。
「さて! んじゃ心配事を片付けたところで、ビズを始めようや、チューマ。
所詮素人の山賊連中なんざ、いつも通りにさくっと処理してやろうぜ!」
「ん、んんっ。ああ、そうだな、何事も切り替えが大事だ、切り替えが。
昔のことは置いておいて、私たちが為すべきことを為すとしよう」
露骨に咳払いしてごまかしにかかったネグルに、匡の絶対零度の視線が刺さる。
ばりばり刺さる。ダークセイヴァーでの一件のことはまだまだほじくれそうだ。
が、切り替えて仕事をしろと言われれば、匡が拒むべくもない。
「ったく、こいつは……まあ、いいか。いつもみたいにやるだけさ」
囮役でも買って出るんだろうと、相棒の考えはあっさり読んでいた。
話は彼が思ったとおりに進むわけで、三人のミーティングは10秒もかからない。
準備不足? まさか、こんな雑魚どもを相手に? この男たちが?
それは敵を買いすぎというものだ。なにせ彼らは、そう。
「……ところでお前さんたち、仲良し三人組でないならどう呼べばよい?」
戦場に加わろうとした三人は、ガラットの言葉に一瞬きょとんとした。
そして顔を見合わせて、ふっと笑い、誰かが――あるいは揃ってこう言った。
「チーム・アサルト、さ」
と。
さて、それから何が起きたかを記すには、おそらく敵の目を使うのがいいだろう。
なにせ相手の数は無尽蔵に思えるほど多い。当然奴らも、気を大きくしている。
ぞろぞろと穴ぐらの中から這い出てくるさまは、まさに羽虫のようだ。
「おい、猟兵どもはまだいやがるのか?」
「ああ、だが大したこたねえさ。血祭りにあげてやろうぜ!」
「違いねえ、宴の肴にしてや――ん?」
げらげらと下卑た笑いを浮かべていた徒党のひとりが、ふと何かを訝しんだ。
腰元に佩いている山刀が、ない。すかすかと、手が何もない場所を握っていた。
「なんだ、落としたのか?」
「いや、たしかに持ってたはず――なあ!?」
その時である! きらり、と虚空に光の筋が走ったように見えた。
それは鋼糸だ。目視するのも精一杯なほど、細く強靭な糸。結界のように!
「なんだこりゃあ!?」
「くそっ、もしかしてもう猟兵が……げえっ!?」
クモ糸めいてかきむしろうと触れた愚かな山賊は、びりり! と痙攣した。
そして目と口から煙を噴き出し、苦悶の表情で硬直したままどさりと倒れる。
高圧電流である。山賊どもは、敵が潜んでいるとようやく理解した!
「どこだ、どこにいやがる!?」
「――こちらだ」
すぐそばで囁かれた声に、山賊は殺気立った表情で振り返った。
そして振り返りざまの斬撃。だが遅い。あまりにも遅く、そして稚拙だ。
「だが場所がわかったとて、お前たちではその程度だな」
山刀は刀の鞘であっけなく受け流され、次いで柄尻がみぞおちに突き刺さる。
苦悶する盗賊の首元にシュッと何かが走り、直後、そいつは事切れた。
「「「て、てめえ! いつのまに!?」」」
「お前たちが暢気していた間だよ。あいにく、私はずっと疾いのさ」
気取った様子で下手人――つまり隠密行動をしていたネグルは不敵に笑って、
おどけてみせて、これ見よがしに隙を晒す。当然、これは敵に対する挑発だ。
一流の戦士ならば警戒しただろう。だが山賊どもはそうではない。
ゆえに奴らは下卑た雄叫びをあげ、鋼の男を引き裂こうと襲いかかる!
「言ったはずだ、お前たちでは私に追いつけない、となッ!」
そして言葉に偽りなし。敵陣を駆け抜けるネグルの身軽さ、迅速さたるや!
丁々発止に刃と飛礫を避け、すれ違いざまに斬撃を、あるいは手刀を繰り出し、
騒ぎをあえて大きく、ジグザグに敵陣を駆け抜けてその目と意を奪いなお奔る!
「へえ、アイツ、あんな武器も扱えるのか」
たったひとりの男によってかき乱された戦列と喧騒を、高みから見下ろす男あり。
すなわちヴィクティム。彼にとって、戦場はチェス盤めいた俯瞰視点である。
高みから見下ろすといいつつも、その実彼の体は地表にある。
展開した無数の小型ドローンによる、戦場の把握と支配。ハッカーとしての、
ずば抜けた情報処理能力が可能とする、脅威的な演算能力の賜物だ。
「こいつは収穫だな。今後のプランに活かせる」
《情報収集はいいんだが、そっちの準備はできてんだろうな?》
内耳埋込み型聴覚強化装置から響く匡の声に、ヴィクティムは笑う。
彼はいま、どこにいるのか。実のところヴィクティムでも正確にはわからない。
匡の隠密能力はそれほどまでに特化しているためだ。捜査には時間がかかる。
発振器などで共有も可能だろうが、そこには探知の危険が伴う。
こんな世界で? などというのは素人の考え。ランナーはあらゆる危険を考慮する。
だからヴィクティムは、あえて匡やネグルの現在位置を探知していない。
"あいつらならここにいるはずだ"という目測でナビゲートしているのだ。
そして事実、それは当たっている。それこそが彼らの信頼と連携の証左であり、
またヴィクティムの人心掌握・読心術が際立っている証拠でもある。
「愚問だなチューマ、俺はいつだってエマージェントな男なんだぜ?」
《オーケー、それならいいさ。あとはあのバカの仕上げを待つだけだな》
相棒に対するずいぶんな軽口に、ヴィクティムは思わず噴き出した。
そのノイズはあちらに伝わらないようフィルタイングしつつ、モニターを続ける。
その時、BLAMN! 空に、銃声がひとつ鋭く鳴り響いた!
「っしゃ、まさにブルズアイだな! 匡、いつでもいいぜ。遠慮なくぶっ放せ!」
とっくに手札は伏せたあと。あとは仕掛けを御覧じろ。
つまりは、エース・オブ・スペーズの時間である!
そして匡! 盗賊はおろか、多数の猟兵にも気取られぬ位置に溶け込んだ彼は、
あろうことかネグルを含んだ敵の一団めがけ躊躇なくトリガを引いた!
BRATATATATATATATATATA!! アサルトライフルがけたたましい銃声をあげる!
「大騒ぎが好きなんだろ? だったら遠慮はなしだ。たっぷりくれてやるよ」
BRATATATATATATA!! BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! 耳が爆ぜるほどのバレットファイア!
味方ごと敵を一網打尽にしようと? 凪の海よ、お前の心は凍てついたのか!?
……否。それはヴィクティムの"布石"を信じているからこそ出来る無謀。
当然彼は、その恐ろしいまでの計算能力と鋭敏感覚によって敵味方を識別し、
射線上から可能な限り取り除いてはいる。だが、何事も限界はある。
そこを補うのはヴィクティムだ。彼が敷き詰めた反射障壁プログラム、
これによるナノセコンド単位の跳弾予測と計算、そして実演によって、
雨あられと降り注いだ弾雨は、原子世界めいたピンボールのごとき全方位攻撃に変わる!
「……こちとら、"これ"しか出来ないんだ。なら、せめて」
BRATATATATATATA。次から次に武装を撃ち抜きながら、淡々と傭兵は思う。
「それくらいは、期待通りにこなすさ」
BRATATATATATATA。けたたましい弾雨も、彼にとっては慣れたもの。
だからこそ、そんな些細な思索も、弾丸の雨はかきけしてはくれない。
そして、ネグルの行動は、このバレットタイムに落着する。
彼の姿はいまどこに? 見よ、あそこの大木を。幹駆け抜ける姿を!
「さすがだ相棒! ああ、こうも一網打尽だといっそすがすがしい気分だな!」
敵はみな、ネグルにご執心。挑発に乗ってのこのこついてきたと来る。
集めたのはこのため。彼は弾丸よりも早く駆け抜けて、安全地帯でクールに笑う。
無論、その瞳は、伏兵逃亡者のたぐいを油断なくスキャンしていた。
弾丸が頬の1mm横をかすめる。恐れない。ハッカーならば当てないと確信しているから。
「たっぷり味わえよ悪党ども。これが、最高の指揮と、最強の射撃のフルコースだ」
盗賊どもは、とびきり嬉(くる)しそうに悲鳴のコーラスを撒き散らした。
強襲一閃、チームのその名、鏖殺の山に高らかに鳴り響く!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
【双星】
アドリブ◎
おっさん後ろ下がってな!
『ジャンプ』で敵陣に飛び込み『先制攻撃』
回し蹴りで敵をいなしながら
ああ、遅れんなよアレス!
お前らに恨みはねぇが酒の為に死ね!
アレスが引き付けてくれんなら
後ろは心配ねぇな
その代わりお前も怪我すんなよ
『歌』で身体強化して跳び回り『2回攻撃』で沈める
敵の攻撃は『咄嗟の一撃』手首を蹴りつけ狙いをそらし『鎧砕き』の一撃を
攻撃こそ最大の防御ってな
いいぜ、アレス!
ハッ…!動いて消費した分以上に力が湧いてくるみたいだ
【暁星の盟約】アレスの光と俺の歌二つの力で更に高めた力を攻撃力に
『力を溜め、衝撃波』を
アレスの攻撃で宙に浮いた山賊達に思いっきりぶつける
これが『全力』だ!
アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎
『かばう』ようにガラット殿の前に出ると『先制攻撃』で斬る
ご無事ですか、ガラット殿
ここは僕達が切り拓きます
征こう、セリオス!
…君、言ってることが向こう側だぞ
兎も角、掠奪もここまでだ
覚悟してもらおう
セリオスの盾役になるべく敵を引きつけ、戦う
君こそ、また前に出すぎるなよ
光属性を纏わせた剣で『二回攻撃』
敵の刃物は『見切り』で躱し、盾で殴る
セリオスへのカバーに『麻痺』を乗せた雷属性を迸らせるように『範囲攻撃』
数だけは多いな…!
なら…一気に決めるよ、セリオス!
僕を中心に最大範囲で【天聖光陣】を展開
セリオスには光を与えるように
敵には光の柱を打ち上げるように放つ
追撃は…セリオス、任せた!
●暁星と聖なる光の話
BRATATATATA!! すさまじい弾丸のコンチェルトに、ガラットは震えた。
恐怖? いや違う、高揚だ。これほどまでの腕前を持つ戦士が、なんたる数!
これまで邂逅し、護られ、あるいはともに戦った冒険者=猟兵たちも皆、
誰も彼も優れた戦士ばかりである。フリーダムな輩も同じぐらい多いが。
「ぬうう! 無理はするなと散々言われておるが、わしも戦士のはしくれ……!
出来ることをやらねば、代々のご先祖様に申し訳がたたーん! ハイホー!!」
ハンマーを掲げ雄叫びを上げる。無理無茶無謀などでは断じてない。
これほどの戦場で、何もしないまま見ているだけというのは出来ないのだ。
なぜならガラットは"無敵"の戦士。心を高ぶらせ、髭ももふもふさせる!
「っと、テンション上がってんな! だったら一緒に行くか!?」
そこへ颯爽たる声! 直後、山賊の一群が映画めいて全方位に吹き飛んだ!
中から回し蹴りの残心もそこそこに姿を表したのは、黒髪に青い瞳の男。
なびく髪を鳥の尾羽根めいて引きながら、ニカっと爽やかに笑い跳躍、着地。
「お前さんは!? もしや、猟兵とやらか!」
「はっ、そんな真っ正直に誰何されると、なんだかこっ恥ずかしいな!」
くすぐったそうに鼻の下をこすりながら、セリオス・アリスははにかんだ。
気持ちのいい男である。その身軽さ、そして体捌きの切れ味たるや!
「うおおおおっ、死ねやーっ!!」
だがそこへ、無粋にも山刀を振り上げて躍りかかる山賊あり。
……いや、あった、というべきか。この者、胴体をなます斬りにされどさりと斃れた。
ガラットは瞠目した。斬撃である。目にも留まらぬ早業の一太刀なのだ!
「ご無事のようですね、ガラット殿。それはなにより」
血漿を払うのもそこそこに、怜悧な金髪の美男子が微笑みかけた。
その名、アレクシス・ミラ。セリオスの朋友にして、幼馴染たる聖騎士。
陽光を浴びて煌めく白い肌と金の髪は、まるで白絹のように眩しくすらある。
「戦士としてのその猛り、手前味噌なれど騎士剣を振るう者として理解できます。
然らば僕達も、共に剣を振るい、あなたの武勇に名を連ねたく……」
慇懃にすらすらと言ってみせるが、彼の素からするとこれは演技である。
さりとて、ガラットに対する言葉が、まったくの偽りというわけでもない。
「ハ、ハイホー! こちらこそ光栄じゃわい! 殿は任せよ!」
安全圏での戦いを確約したドワーフの戦士に対し、ふたりは目配せして頷きあう。
万に一つの杞憂もなし。ならばあとは、突き進んで徒党を切り払うのみ!
「では、ここからは僕達が切り拓きます。さあ征こう、セリオス!」
「言われるまでもねえな! そっちこそ遅れんなよ、アレス!」
かくて双星、戦場に降り立つ。向こうに回すは無尽蔵の盗賊ども!
恐れなし。不安もなし。並び立つ相手は、知る限り最高の相棒だからだ!
さて、だからといって山賊どもも黙ってやられるわけはない。
新たな一群がわらわらと虫のようにアジトから現れ、陣形を組んだ!
「数だ! こっちは数で勝ってるんだ、猟兵ごとき恐れるこたあねえ!」
「囲んで押しつぶせ! 相手はたかが三人、いや猟兵はふたりだぞぉ!」
怒号はまさに獣のよう、山刀を構え並ぶ姿は十か二十か、いやもっとだ。
セリオスはそんな敵の数を鼻で笑い、ニヤリと笑ってこう返す。
「お前らに恨みはねぇよ、俺らの美味い酒のために死ね!」
「……君、言ってることが向こう側と一緒だぞ。まったく」
幼馴染の減らず口に苦笑しつつ、敵に向けるアレクシスの視線は鋭いもの。
「ともかく、略奪もここまでだ。覚悟してもらおう!」
そして騎士は風となる。颯爽と、雄々しく、軍馬よりも力強く地を蹴り、疾駆。
大群の只中に飛び込み、振るう剣に光を纏わせ一度に二度の剣劇を放つ!
「「「がはぁっ!?」」」
「さあどうした、数を揃えておいてこの程度か? 他愛もないな!」
一度は引いた敵の波は、聖騎士の裂帛たる挑発にどっと押し寄せた。
そこに突き刺さるのが、セリオスという名の蒼き鏃である。奏でる風音は歌!
吸血鬼すらも魅了する歌声は、その身を高め威と速を呼ばう綺羅星の音なのだ。
「アレスが惹きつけてくれんなら心配ねぇな! 俺様も忘れんなよなぁ!」
疾い。斬撃の速度たるや、盗賊どものなまくら眼では捉えられもせぬ!
めくらめっぽうに振り回そうと山刀を振り上げたその腕先を、剣閃が叩き斬る。
たたらを踏んだ敵に見舞われるのは、その略奪を終わらせる鋭い二の太刀だ!
バチリ! 蜘蛛の巣じみて広がる雷撃が、山賊どもの足を麻痺させた!
「よし。動きは止めた――セリオス、一気に決めるよ!」
「いいぜ、アレス! タイミングは任せてやるよ、いつでもやりな!」
二人は一瞬の間に視線を交錯させ、それで互いの狙いと意図を完全に理解する。
すると雷鳴が轟いたあと、そこに光のまばゆい陣が浮かび上がり、いくつもの柱を立ち上らせたのだ!
「払暁の聖光を今此処に――天聖光陣! 邪悪よ、退けッ!」
高らかな口訣。光はオブリビオンを滅ぼし退ける槍柵の如き威容となり、
その一方で奔る蒼星に対しては、星を照らす月光のように力をもたらす!
「ハッ……! 動いたぶんより力が湧いてくるみたいだ、こうでなきゃな!」
セリオスが見据えるのは、光柱によって打ち上げられた盗賊ども。
その身は光陣のど真ん中。口ずさむ歌により、根源から魔力を汲み上げる。
求むるはいま。ふたり拓くは明日。かくて、蒼き星はそこに暁光を見る。
「深奥に眠る光は我らの手に! さあ行くぜ、こいつが俺と!」
「僕の!」
「「全力だッ!!!」」
おお、アンタレスもかくや、空を貫く光は闇夜を退ける暁星そのもの!
青白き輝きは不死鳥めいた形を伴い、空を舞う獲物を飲み込み焼き尽くした!
「……なんてまばゆい輝きなのじゃ……!」
卓越たるふたりの猟兵の連携攻撃に、ドワーフの戦士はただ打ちのめされた。
その輝きは、戦いに参じた誰の目にも、まばゆく、美しく届いただろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルーク・テオフィルス
【炎心】
アドリブ◎
頑張って作ったものを奪うなんて許せない
僕らも行こうジーク
想像するのは味方を傷つけない優しい炎
その炎でジークを包んで
【光を運ぶもの】
僕はまだ弱いけど
お前が強いのだけは知っている
覚えている
だから負けない
お前がこの場で最強だ!そう強く『祈る』
ジークのそばで弓を射って『援護射撃』
想像の矢を射ってはつがえ
射ってはつがえ僕にできる精一杯を
攻撃されても逃げ出さない
ギリギリまでしっかり目を見開いて睨み付ける
大丈夫、信じよう
ドキドキと心臓はうるさいけど
僕が信じる限りお前は無敵だから
心配して怒鳴るジークに笑って見せ
でもほら、ちゃんと間に合ったじゃないか
無敵のお前が守ってくれるから
つまり僕も無敵だ
ジークムンド・コンラッド
【炎心】
アドリブ◎
はいよ、姫さん
アンタが望むなら
姫さんが生み出した炎に恐れることなく手を伸ばす
これでやけどしたら恨みますよ何て思ってもない事を言って
…その言葉が何よりの力だ
いっちょ暴れてやりますか
得物を構えてぶんまわす
あんま離れないでくださいね
大きく武器を振り『2回攻撃』
敵の攻撃を『見切り』避けたら『咄嗟の一撃でカウンター』
振り回した武器の柄を棍の様に扱いぶん殴って
技なんて大したもんじゃねぇこれは【唯の暴力】だ
姫さんに害が及びそうなら『ダッシュ』で割って入ってぶちのめす
アンタも避けるとかしてください!
思わず大きな声で叱るが
…ああ、もうそう言うところがダメなんだ
はいはい、何とかすりゃいいんでしょ
●偽りの従者と亡国の皇子(ひめ)の話
もう散々な数の猟兵が、散々な勢いの、散々な戦いぶりで盗賊を蹴散らしている。
しかし何より散々なのは、それでもわらわら湧いてくる盗賊どもである。
かの盗賊親分は、いったいその力でどれほどの配下を生み出したというのだ?
あるいは今まさに製造中なのだろうか。一体一体は弱いが数が脅威的である。
「……だからって、誰かが頑張って作ったものを奪うなんて、許せないな」
負けん気の強そうな、育てのいい顔を努めて険しくこわばらせながら、
ルーク・テオフィルスが呟いた。その手に握りしめるは美しき弓。
かつて血族の反逆によって城を追われ、目もくらむような逃避行の果て、
追われ逃げる側ではなく追い刈り取る側、すなわち猟兵の力に目覚めた少年。
未だその旅路は途上であり、その精神は幼く成長途上なれど、
いやあるいは、だからこそ――ありきたりな邪悪を強く憎み、彼は怒るのだ。
「……で、どうする? 姫さん。高みの見物でもするか?」
傍らに立つ従者――ジークムンド・コンラッドは、おどけたような調子で云う。
従者と云うよりは道化師めいた口振る舞いだが、それも無理はない。
なにせ彼は、本来の従者ではない。すでにそれは斃れ、過去となっている。
今ここにあるのは、その記憶を継いだ残滓、いや時計じかけの別人なのだから。
「征くさ。征こう。僕らが一緒に行って、あいつらを倒すんだ。ジーク」
決然たる――しかしどこかに恐れを隠せぬ――主=少年の言葉に、
兄貴分めいた従者は肩をすくめ、しかしどこか暖かな笑みを浮かべた。
「はいよ。アンタが望むなら、俺はどこへだってついてくさ」
その言葉に偽りはない。きっと、本来の"彼"ならそうしたはずだ。
だから、そうする。その記憶が己のものでない、借り物のものであれ。
そうしたいと思う心は、己の裡から湧き出たものであるはずだから。
かくしてルークはおもむろに手を伸ばし、その手の上に炎を揺らめかせた。
当然、この世のものではない。ユーベルコードに生まれし熱である。
その炎は、まるでルークが秘める強さと優しさを形にしたようなものだ。
味方を傷つけることはなく、されど何物によっても消されはしない。
国を追われ、住むべき場所を奪われ、しかし諦めることなき皇子の希望のように。
光を運ぶもの(ルークグラシア)。それは希望であり、灯火であり、道標である。
「僕はまだ弱い。けど、お前が強いことだけは……知っている。覚えている」
言いながら、ルークはその手を、炎を、従者に向け、そして伸ばした。
ジークムンドはそれを恐れない。拒みもしない。優しい炎をただ受け入れる。
「これで火傷したら、恨みますよ?」
なんて言葉は、思ってもないからかい言葉だ。
本当は、その期待に応えようと。その言葉こそ我が力であると言いたい。
だがそれは胸に秘め、ただニヒルに笑い、己を包む炎を受け入れて力をもらう。
「お前は負けない」
「姫さんがそう云うなら、そうなんでしょう」
「お前は、この場に居る誰よりも強い。敵よりも、味方よりも」
「そうですとも」
「最強だ。……最強だ! だから、行って、戦え!」
「――ならいっちょ、ひと暴れしてやりますか」
炎を纏い、グレイヴを担ぎ、従者の姿をした時計ウサギは戦場へと踏み込む。
その背に、ひたむきなまでの主の想いと、眼差しを背負って!
シュパ――弓をつがえ、弦を引けど、ルークは矢を構えはしない。
そこにあるのは想像である。何者にも防がれず、妨げられないものだと想像した、
存在しないはずの矢。だがアリス適合者がそう願うならば、それは在る。
ゆえに美弓はありえない矢を生み出し、つがえ、そして弓弦とともに放つ。
山賊が、心の臓腑を貫かれて斃れた。雄叫びを上げ、残る敵が彼を狙う。
「逃げないぞ」
少年は言葉通り退かない。恐れはある、だが己を強いて険を帯びて敵を睨む。
目は閉じない。見据える先は矢で射抜くべき敵の急所であり、
目を閉じて震えることはやめるのだと決めたのだから。
「させねぇよ!」
間に割って入るのはジークムンド。グレイヴがごう、と大気を薙いだ。
炎纏いし一撃は、主たる皇子を狙わんとした不逞の輩を両断してみせる。
柄による打撃である。されどもたらされるのは斬。洗練された暴力の威。
「けどね、アンタも少しは避けるとかしてくれませんかねぇ、姫さんッ!」
本人が思った以上の怒声に、皇子はびくりと身をすくめたが、しかし、
「必要ないだろ? だって――お前は、誰より強いんだ」
笑ってみせたその表情と声に、時計ウサギは呆気として嘆息した。
「だから、僕も無敵だ。現にちゃんと間に合ったじゃないか」
「ああ、はいはい。そうですか、そういうところですよ、ったく」
武器を担ぐ。次の敵が来る。ジークムンドは笑っている自分に気づく。
「そういうとこがいけないんですよ、アンタは。まったくなっちゃない。
――んなこと言われたら、やってやるしかないってえのに! まったく!!」
炎が奔る! 先の二倍近い速度の踏み込み、そして地形もろとも薙ぎ払う斬撃!
矢が奔る。従者をさらに前へと進めるため。その背を押し出すために。
ふたりの心の裡に燃える、信頼という炎は、どんな闇にも消せはしない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
斬崎・霞架
【POW】
勇敢なのは結構ですが、勝てなければただの間抜けになってしまいますよ。
…ええ、要するに、勝ってしまえばよいのです。
よくもまぁこれだけの数がわらわらと。
一匹いたら百匹はいると思え、とは何の事でしたかね。
骸団…でしたか?文字通り、骸の群れにして差し上げますよ。
(敵の集団に向かって、『ネクロシス』を構え、問答無用で【極光】を放つ)
失礼。お邪魔致しますよ。
いえ、一応これでも狙いはしたのです。
味方や、酒を巻き込まないようにね。
…敵であるならば、加減も慈悲も不要でしょう。
残った敵は動きを【見切り】、【早業】を駆使した【呪殺弾】で撃ち抜きましょう。
前座には、早々にご退場願いたいものですね。
マルコ・トリガー
フーン、お酒ねぇ
ボクは未成年ってやつだから飲めないけど、どんな味がするのかは興味あるね
この戦いが終わったらどんな味なのか誰か教えてくれない?
それで奪取する物資は何処にあるのかな
【暗視】と【忍び足】で【目立たない】ようにして【聞き耳】や【鍵開け】で物資の場所を探ろうか
他の猟兵があれだけ賑やかに戦闘をしてたら山賊もよっぽど出払ってるとは思うけど、物資の見張りぐらいはいるだろうし、周辺の山賊を【掃除】して運び出しやすくしておきたいね
物資の周りで戦闘したら酒樽が割れそうだから、少し離れた場所で音を立てて【おびき寄せ】て物陰から【クイックドロウ】かな
囲まれないように1人ずつ確実に倒していきたいね
千桜・エリシャ
あら、これは
思いきりやっても怒られないやつですわね?
嗚呼、首があんなにも沢山
でも焦らないで
ちゃんと一つずつ順番にいただきますから
ごきげんよう
私、お酒はまだ飲めませんが
宿のお客様方が気持ちよく酔うのを見るのは好きですから
だから一つ残らず
返していただきますわね?
攻撃は見切りと空中戦でくるりふわりと回避
ガラットさんもさり気なく庇いましょう
酔っ払いに遅れを取る私ではありませんの
それにしても随分と下品なことを口になさるのね
その口、聴けなくしたほうがいいかしら
言葉と視線に呪詛を乗せ恐怖を与えて
怯んだ隙に首を斬り落としてしまいましょう
ほらほらガラットさん
早くしないと
首も手柄も私が独り占めしてしまいますわよ?
●涯てに咲きし花の宿の人々の話
……忘れてはいけないが、この依頼のそもそもの目的は奪われた物資にある。
山賊どもがガブガブ呑んでいた、あれだ。忘れている猟兵は割と多い。
忘れていないせいで気もそぞろな猟兵も割といるが、まあそれはさておこう。
「あれだけの人数が騒ぎに騒いでたら、まあ、こうもなるよね」
アジトの奥の薄暗がり、マルコ・トリガーは拍子抜けした様子で呟いた。
彼はまず、他ならぬ酒に目をつけた。いや、何も呑みたいわけではない。
物資を確保しておけば、後顧の憂いも断てるだろうという戦略的判断d値ある。
「変な匂いだな……こんなものに敵も味方も夢中だなんて」
化身の肉体年齢は未成年であり、また人ならぬヤドリガミとして、
マルコが酒というものがよくわからないと感じているのも、無理はないだろう。
しかし問題は数である。敵はどうやら集落中の樽という樽をかっぱらったらしく、
一流ワインセラーめいた量の樽が堂々と鎮座していた。運び出すのは不可能か。
「まあ、もともとそんなつもりはなかったけど……見張りすらいないとは」
多少の戦闘を警戒していたマルコにとっては、僥倖だが肩透かしである。
裏を返せば、あれだけの数の猟兵による襲撃は、敵にとっても蜂の巣をつついたような大惨事ということでもある。
「とりあえず、辺りの安全を確保しておこうかな。……"女将"のほうも派手にやってるみたいだし」
本体である古い短銃型のブラスターを取り出しつつ、マルコは呟く。
脳裏に描くのは、胡蝶と桜花を纏う羅刹の剣客の、おそらくは美しく無慈悲な姿――。
一方その頃、アジト外縁部――つまり山麓の地表部。
あちこちで猟兵と盗賊団による激突が行われているそこは、まさに鉄火場。
そんな中、およそ二十の盗賊を敵に回しながら、艶然と微笑む女がひとり。
年頃で言えば十と七つ。女というにはまだ少し若く、少女というにはやや高い。
されど浮かべた笑みは妖しく蠱惑的で、瞳の色といえばいよいよ恐ろしい。
鬼のようである。猛り荒ぶるものではなく、はらわたを喰らう、妖しの鬼だ。
「あら、あらあら、これは――」
転移されたばかりだというのに、炯々とした瞳で、楽しげに、少女は謳う。
千桜・エリシャ。首を求める羅刹。屍体を苗床に咲く桜めいた女。
「これは、これは。"思いっきりやって"も、怒られないやつですわね?」
ならば、いい。人の物を盗んで楽しむ下賤の悪党。ああ、実に良い。
なにせ伐っても怒られない。斬っても斬っても尽きはしない。実に、善い。
いかにもそれは強者のふるまいである。狩り、貪る側の笑みである。
「ああ、嗚呼。首がこんなにもたくさんだなんて、嬉しいですわ。夢のよう。
けれど、でも、焦らないで――ちゃんと一つずつ、順番にいただきますから」
くすり、くすくす。女と見れば盗賊どもは下衆な笑みを浮かべるだろうに、
対峙する二十の悪党どもには脂汗と警戒と、畏怖めいた表情があった。
当然だろう。いかに雑魚とて、絶対的強者の重圧には敏感なものである。
ましてや彼女は、それを芳香めいてたなびかせるものなのだから……。
「あいにく私、まだお酒は飲めませんが、こう見えても宿を営む身でして。
お客様がたが気持ちよく酔うのを見るのは、けっこう好きなんですのよ」
だから、と、形の良い唇が笑んだまま紡いだ。
「――一つ残らず、"返して"いただきますわね?」
そして胡蝶が舞う。それよりもなお軽やかに、ふわりと乙女は跳んだ。
緩やかに。しかし、疾い。まるで幻めいた玄妙な体捌きである。
盗賊どもは身構えようとした。しかしその時、すでに女は目の前にいた。
「まず、ひとつ――」
ごとり。音もない斬撃ひとつ、落ちて転がる首ひとつ。
そしてまた、桜の花びらのように乙女は舞う。刃でも石でも捉えられない。
己らを昂ぶらせ高めるはずの雄叫びは、すぐさま恐怖の悲鳴に変わった。
「……なんじゃあ、ありゃあ」
そのさまを、遠巻きに、ドワーフの戦士ガラットは見ていた。
そして、恐れた。あれは強いとか弱いとか、そういう次元のモノではない。
少なくとも自分は、その二元論で語れるほどに、あれに比肩していない。
別次元、というやつである。動きも、その狙いも、何も読めないのだから。
「ここには多くの猟兵……失礼、あなたの言葉で言うと冒険者ですかね。
ともあれ、そうした者がいます。しかし彼女は、やはり頭一つ抜けている」
その傍らで、薄く笑みながらも、眉根を顰めた青年が呟いた。
斬崎・霞架。かの女将の宿の一員にして、騎士であり、術士であり……。
「……ええ、彼女は強い。それは、僕にもわかります」
いつかの日、龍を従えたる強壮なる地獄との戦いのあと。
傷を手当された記憶が蘇る。語らい、言葉の交錯、あの女の笑みが。
……様々な感情が、ある。それは妬みであり、対抗心であり、羨望であり、
畏怖であり、感嘆であり、あるいは――筆舌に尽くしがたいないまぜの心。
「しかし、だからといって、見ているだけでは退屈ですよね」
「……お前さんも行くのか?」
ガラットの言葉に、青年はにこりと微笑んで、頷いた。
「ここで勝てなければ、あなたのその結構な勇敢さも間抜けになってしまうでしょう。
僕も同じですよ。ええ、そう――要するに、"勝ってしまえばよい"のです」
おあつらえ向きに、骸の団を名乗る徒党がさらに殖えた。
構えるはネクロシス。乙女めがけた一団に、過剰装填された極光の呪いを放つ。
断末魔。禍々しいドームが生まれ、骸を飲み干し、そして消えた。
「では、また後ほど。――そして失礼。お邪魔致しますよ?」
見返す乙女は目を細め、応じるように笑み、ごきげんよう、と言った。
「あら、あら。あなたもお酒目当てにいらっしゃいましたの? 霞架さん」
「まさか。あなたと同じですよ。加減も慈悲もなく、敵を殺すためにここへ来ました」
転がる首はいくつか。呪われ死んだ屍はいくつだろう。
それらを間に敷いて、少女と青年は相対し、互いに油断ならぬ笑み。
囲う盗賊どもは、じりじりとひりつくような威圧感に手を出せない。
「どうです。あなたは首を落とし、僕は吹き飛ばす。やり方は違いますが」
「ああ、数を競うと? ふふ――なるほど。それはいかにも、余興ですわね」
ちらり。少女の瞳が、あちらでそれを見ていたドワーフを眺めた。
「であればガラットさん、あなたもいかがかしら? ほら、ほら。
早くしないと、首も手柄も、ぜぇんぶ私が……独り占めしてしまいますわよ?」
霞架は口を挟まない。それは遠回しの、己に対する挑発と心得ている。
そうとも。たしかに彼女は強い。しかし、己はそこに甘んじるつもりはない。
「敗けませんよ。一匹だろうが百匹だろうが、掃除するとしましょうか」
そして恐ろしき視線が四つ、敵を見た。今度こそ、盗賊どもは痺れを切らして飛びかかる。
……そしてそのさまを、穴ぐらから戻ったマルコは目撃した。
「フーン……相変わらずだな、女将も」
ZAP。後ろから不意打ちを仕掛けようとした盗賊を振り向きもせず撃ち殺し、
マルコはただそう呟いた。彼は酒の味を知らない、妬みも羨みもしない。
「せっかくだし、彼らにお酒の味でも聞いてみようかと思ったけど、
ほかを当たったほうがよさそうかな。――あれは、お酒なんかより、よほど」
……よほど、血と闘争の滾りに酔いしれている。
短銃の器神とて、それはわかる。舞い踊るようなあの狂乱の熱を感じる。
逃げ出した敵を狙い撃つ。ここに三人が居る以上、もはや盗賊に先はない。
「やっぱり酒のことは、よくわからないな」
ただ、少年はそう呟いた。それは彼が、年若く人でないからではない。
それよりも妖しいモノを、彼は見て聞いて知っているからだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
三咲・織愛
【POW】
人のお金で食べる焼肉は美味しいといいますけど
人から奪ったお酒を飲むのは美味しいですか?
ええ、ええ。そうですよね。美味しいと思うからこそやれるのでしょうね。
五臓六腑に染み渡りますよね。そうですよね。
五臓六腑がどこなのか、教えてあげますね。
一つずつ握り潰していきましょうか
<殺気>を放ちながら<怪力>で
刃物は<見切り>、いなしてそのままお返ししましょう
それでは五臓から順に、肝、心、脾、……あら、気絶してます?
にっこり笑って<恐怖を与え>ながら、手刀で<串刺し>にし手当たり次第に攻撃して回りますね
ふぅ。なんだか頭が痛くて。匂いに酔ってしまったのかもしれません。
リンタロウ・ホネハミ
かーっ、旨い酒を独占しようとはふてぇ山賊どもっすね!
悪党どもをブチのめす、それが終わったら酒宴で騒ぎ放題
こんな美味しい戦場、傭兵が見逃すわけないっしょ?
"骨食”リンタロウ、やってやりまさぁ!
モグラの骨を食って【〇三七番之掘削者】を発動!
まず地中を掘り進んで山賊共が集まる地面の真下まで行くっす
そっから地上へ掘り進んで、後詰の山賊共を一人一人縦穴に落としてやるっす!
気づいた他の山賊共が追ってこれないよう、深い深い縦穴へとね
落下死の縦穴にオレっちが動き回る迷路の横穴
さぁて、オレっちの働きで前線がいくらか楽になってくれると良いんすけどね
アドリブ大歓迎
杜鬼・クロウ
アドリブ連携◎
この依頼で初めて会うの歓迎
お前は後先考えてねェつーか…若ェな
その心意気は買うが
勇気と無謀は履き違えンなよ
人生は一度限り、ヤり直しが効かねェンだ
美味ェ酒飲む為にも運動がてら派手に暴れてヤんよ
盗ンだ物資は返してもらうぜ
敵に煽られたら愉しげに恫喝、挑発
外套脱ぎ捨て身軽な格好に
肩に担いでた玄夜叉をくるんと回し素振りして構え
【煉獄の魂呼び】使用
蠍の様な尾で凪ぎ払う
尾の先端が刺さったら毒で多少動き鈍る筈
そこを禍鬼が棍棒で敵の頭を叩く
余す事無く斬って斬って斬る(2回攻撃
敵の急所狙うと見せ掛け腕狙う…と見せ掛けやっぱり心臓狙う(部位破壊・フェイント
属性攻撃で剣に炎宿し空中で一回転しながらぶち込む
カイム・クローバー
(常時【挑発】状態)
おいおい、パーティの会場に俺を忘れて貰っちゃ困るぜ。
ドワーフの職人達が作った酒だって?んなモン、全力で味わいに行くに決まってるだろ!タダ酒、最高!
【POW】
ヒュー♪やってる、やってる。多少、距離があっても銃弾をぶっ放すぜ、どうせ派手な戦場だ。適当な流れ弾でも山賊に当たりそうだ。
【二回攻撃】で銃弾の手数を増やして【属性攻撃】で銃弾に紫雷を纏わせる。【範囲攻撃】にUCを織り込み、一網打尽ってやつだ。ドワーフのオッサンは居るのかい?【援護射撃】で軽くフォローする。降りかかる火の粉ぐらいは自分で払えるだろ?
【残像】【見切り】【第六感】で攻撃に対処。おい、その酒、俺にも寄越しやがれ!
●宴も酣、あるいは飲ん兵衛どもと乙女の話
さて、集いに集った猟兵、実に70とひとり! 明らかなオーヴァーキル!
山の名前は、さてはこの事態を予期した古代人の発想だったのか?
とか益体もないことを考える(誰がかはわからない)ほどに途方もない数である。
さすがに盗賊どもの数も、いよいよ終わりが見えてきた。しかれどまだ幾百。
つまりはここが宴も酣、パーティで言えばクライマックスというところ。
「そんな時に遅れてちゃあらしくねえよな! 俺を忘れてもらっちゃ困るぜぇ!」
「「「誰だっ!?」」」
盗賊どもは声の方を見やる。ニヒルな笑みを浮かべた浅黒い肌の男がひとり!
風に銀色の風とコートをなびかせ、魔剣を手に佇むその男の名は!
「おいおい、俺を知らないのかい? 便利屋Black Jackの名が泣いちまうぜ。
ま、この世界のチンピラどもじゃあ無理もねえか――なら覚えておきな!」
ガチャリ! まさに早業、その手に収まるは魔犬の名を冠した二挺拳銃!
「お前らを狩る猟兵の名、カイム・クローバーってな! さあ、ショータイムだ!」
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! 馬鹿げたほどのマズルフラッシュ!
これほどの数、しかも乱戦状態とあらば、いちいち狙いをつけるまでもない。
一瞬でリロードを終え、目につく敵を右から左へ次々に撃ち抜くぶちのめす。
矢継ぎ早の弾雨は、その一つ一つが紫雷を纏った魔術弾頭なのである!
「ハッ、なかなか派手なキザ野郎じゃねェか! 気に入ったぜ!」
新手か!? カイムの対面、ひらりと風めいて降り立ったのは黒髪の男!
不敵な笑みの相貌は20と5の年頃にはそぐわぬ不思議な知的さをたたえ、
異色の双眸には力強き意志の瞳。その者、人ならぬヤドリガミにして魔術の騎士。
名を杜鬼・クロウ。酒と派手をこよなく愛する伊達男である!
「どうせ騒ぐンなら多いほうがいいだろ? いっちょ噛ませてくれや!
美味ェ酒呑むためにも運動は大事だからなァ、モチロン相手はお前ェらだ!!」
黒魔剣"玄夜叉(アスラデウス)"、身の丈を超える刀身のそれを軽々と振るい、
烏めいて外套をはためかし偉丈夫が降り立つ。そして弾雨の中を駆け抜ける!
疾い。紫雷の弾丸をきりきり舞いで躱し、くぐり、不逞な輩を真っ二つだ!
「く、くそっ、なんだあのやろうども!? とんでもねぇ強さだ!」
「ここは一旦退却だ! 盗んだモンを集めてよそのアジトに――」
カイムとクロウによる狂乱波濤の大騒ぎを死に物狂いで逃げ出して、
悪党どもが不埒でみみっちい遁走計画を立てているその時。
にこにこと柔和な、しかしなぜかめちゃくちゃ恐ろしい笑みを浮かべて、
エルフの乙女がいつのまにか正面に立っていた。
「人のお金で食べる焼き肉は美味しい、と言いますけれど。
人から奪ったお酒を呑むのは、そんなに美味しくて楽しいんですか?」
にこにこにこ。三咲・織愛の笑みは、笑っているがまったく笑っていない。
なにせ彼女は正義感が強い。あと、腕っぷしも強い。そらもうべらぼうに強い。
グーを握るとダイヤモンドより硬くなるし、パンチすると岩が砕けるのだ。
スーパーロボットか何かかな?
「な、なんだてめえ!」
「ええ、ええ。そうですよね、そう言いますよね。盗賊なんですし。
五臓六腑に染み渡る、とか言いますよね? 私、飲めないけど知ってますよ」
にこにこにこにこ。無造作に間合いを詰める織愛を威圧しつつ、
しかし盗賊たちは強く出れない。出たら死ぬなっていう確信があった。
でもね、出なくても死ぬんだ。だってここで会っちゃったから。
「ところで、五臓六腑ってどこにあるのか、どこなのか、ご存知ですか?」
「「「えっ」」」
「教えてあげますね。物理で」
「「「えっ!?」」」
ひゅん。振るわれた山刀をするりとかいくぐり、白魚のような指を伸ばす。
そして、掴む。で、握る。するとどうなる? 知らんのか、ミンチよりひどいことになる。
「「「アバーッ!?」」」
「まずここが肝臓ですよ。で、ここが膵臓で(むんず)」
「「「アバババババーッ!?」」」
「その次が心臓……ってあれ? 気絶してます? ダメですよまだですよ」
「「「ギャーーーーーーッ!!」」」
にこにこにこにこにこにこ。殺気をばりばり放つ笑みで五臓六腑を握って砕く。
むーざん、むーざん。あーかいはなびらさーいた(破裂した臓器の暗喩)
一方アジト深部!
「畜生、畜生! もう親分に頼るしかねェーッ!」
「親分ーッ! 助けてくれ親分ーッ!!」
ほうぼうの体で地獄から逃げ出したチンピラどもが、泣きながら走っている。
それでも親分なら、俺たちをユーベルコードで生み出した親分なら!
もうなんか74人ぐらい猟兵がいるけど、きっとなんとかしてくれるはずだ!
無理ですね。でもまあ他に頼るとこないからね。泣きつくしかないよね。
「――っても、そうは問屋が下ろさないっすけどねぇ!」
「「「げーっ!? 足元からーっ!?」」」
然り! 固く分厚い岩盤を砕き、ぼごぉ! と現れたのは猟兵だ!
にやりと笑った口の端、ばきりと砕けたのは……骨。もぐらの骨である!
「旨い酒を独占した上、情けなく敵前逃亡たぁどうしようもない連中っすね!
あいにくこの"骨食"リンタロウ、その程度の考えはお見通しっすよ!」
この者、名をリンタロウ・ホネハミ。呪いを受けし傭兵の黒騎士である。
骨を喰らうことでその力を引き出す特異なユーベルコードの使い手たる彼は、
あろうことか素手で岩盤を掘り砕いてきたのである。そして、KRAAAAASH!!
「「「グワーッ!?」」」
「てなわけで、奈落の底にご招待っと。いやーどこまであるんすかねぇこれ!」
びゅううううう……と、深い深い竪穴の底へと断末魔が消えていく。
陽気な傭兵は落ちていった盗賊を見下ろすのもそこそこに、再び土の中へと消えた!
大惨事である。でもまあもともと悪いことしてたんだから自業自得というものだ。
織愛とリンタロウという(それぞれ別ベクトルで)恐ろしい襲撃者から逃れようと、
盗賊どもは煙で燻されたゴブリンめいて穴ぐらから飛び出してきた。
「むむっ、あやつらが最後か! ハイホー!!」
目ざとく見つけたドワーフの戦士、ガラットが勇ましくハンマーを振り上げる!
「ってまた無茶しようとしてンじゃねェよ、ったく後先考えねェとか若ェなァ」
「なんじゃと!? たしかにわしは若いがお前さんだって若いじゃろうが!」
などと、飛び上がって怒るガラットを、クロウはハッと一笑に付した。
「その心意気は買うが、勇気と無謀は違うンだぜ。なにより人生は一度きりなのさ」
「やり直しが効かねえってか? ああ、いいね、悪くねぇ考え方だ。
だからこそ、やりたいようにやって騒いで楽しむのが粋ってもんだろ?」
カイムの言葉に、クロウはやれやれと肩をすくめつつも、まんざらでもない。
盗賊どもを蹴散らす最中、派手好きの男たちはすっかり意気投合したらしい。
焚きつけるようなことを言いながらも、カイムとてガラットを見捨てるつもりはないらしく、紫雷の銃弾はそのハンマーさばきを的確に援護していた。
「降りかかる火の粉は自分で払う、ってのも、まあ必要な責任ってヤツだよな?
――どうやらパーティの参加者も追加みたいだ、パーッと騒ごうじゃねえか!」
カイムの言葉通り、盗賊を追ってそれぞれ別の道から乙女と傭兵が現れた!
「おわっと! 思わず地上に出てきちゃったっすね、けどなによりっす。
こっちが穴ぼこ掘ってる間に、おおよその敵は片付いたみたいっすからね!」
「ってあら、クロウさん! あなたもここにいらっしゃったんですね?
それに、そちらのおふたりも、なんだかとっても強そうですね。お酒呑むんですか?」
「「「えっ」」」
「呑むんですか? 呑むんですね? 五臓六腑の場所教えてあげましょうか?」
出くわしたのだが、そこでいきなり笑顔で"圧"をかけてくる織愛にビビる飲ん兵衛たち。
なんか怖い。いや自分たちは盗んでないしまだ呑んでもいないんですが!?
「織愛、お前もしかして酔ってンのか……?」
顔見知りであるクロウが、若干ビビリつつも問いかける。
「え? 酔ってないですよ、でも、ふふ。なんだか頭が痛くて、いえ気持ちよくて?
よくわからないんですけど、匂いを嗅いでたら妙に肝臓とか握りつぶしたく……」
「可愛い顔しておっかねぇな!? ていうかそれ場酔いしてるだろ!」
「酒の匂いだけでそれとか、将来酒呑んだときのこと考えたくもないっすね……」
思わず突っ込むカイム、未来の酒豪の気配に密かにおののくリンタロウ。
なんだかこのままだと、この物理系エルフの手でレバーをむしられそうだ。怖い。
「と、とにかくだァ!」
ごまかすように(あるいは景気づけに)クロウは派手にいい、外套を脱ぎ捨てた。
そして即座に印を組み、招来せしは煉獄の魂、赤錆色の棍棒を持つ禍鬼!
「どうせ心臓殺《ト》るなら、あのチンピラどもを血祭りにあげようや!」
「あ、そうですね! 心臓、とりましょう! むしっと!」
「擬音がおかしいだろ……とにかく、こいつがフィナーレってとこか?」
カイムはガンスピンして並び立ち、バチバチと紫雷の魔力を弾倉に込める。
「どうせなら裏方に励もうと思ったんすけどね、ならオレも付き合うっすよ!
こんな美味しい戦場に晴れ舞台、傭兵が見逃すわけもないっしょ!」
魔剣"Bones Circus"を肩に担ぎ、リンタロウも力強く笑った。
「わしもおるのじゃ! ナティビアードの力を見せたるわい、ハイホー!」
それが鬨の声、そして最後の掃討戦の火蓋を切って落とす兆しとなった。
盗賊どもは狂乱する――四人の猟兵の猛威に、奴らは抗うことなど出来なかったのだから!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『山賊親分』
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POW : 強欲の叫び
【酒!】【金!!】【女!!!欲望に任せた叫び声をあげる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 剛斧一閃
【大斧】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 手下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【山賊子分】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルル・アークライト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「おかしくねぇか!?!?!?!?!?!?」
かくして山賊どもが完膚なきなまでに全滅すると、大音声が響いた。
あっ、逃げずにちゃんといたんですね、山賊親分。死にたがりなのかな?
「いやおかしいだろ!? 俺らたしかに無敵で素敵な骸団(スカルズ)だけどよ!
お前ら! なんだその数! それになんだその強さ!? おかしくねえか!?!?」
さもありなん。多分手数に絶対の自信があったのだろう。もう粉々である。
「だいたい俺らが何をやったってんだ、えぇ? ただ酒をパチっただけだぜぇ?
まあ他の街じゃ2個か3個ばかしは皆殺しにしてやったけどなぁ、ゲハハハハ!!」
あ、悪辣! ナティビアード氏族の集落はどうやら幸運を拾っていたらしい!
「まあいい――てめえらの首を取ってやりゃあ俺様も名をあげるってもんだ。
おい野郎ども、出てこい! 骸団のなんたるかを、このボケどもに教えろぉ!」
そして両手を広げれば、ぞわぞわと出てくる出てくる新たな山賊ども!
この特異なまでの増殖能力があらばこそ、やつは自ら姿を見せたということか!
「その首ィ、伐って捌いてジョッキ代わりにしてやるぜェ、天敵ィ!!」
人のカタチをした残骸が下品に笑う。悪鬼、ここに誅戮の時!
「お前さんたちの強さはよーくわかった! 氏族の代表として頼むのだ!
あやつを倒し……わしらと多くの人々の品々を、どうか奪い返してくれぃ!」
ハイホー! と、ドワーフの戦士・ガラットもまた力強く雄叫びを上げ猟兵を鼓舞する。
それでは酒宴の前に、もうひとつ馬鹿騒ぎを始めよう!
●特殊ルール
山賊親分は常に大量の雑魚を召喚し続けており、戦場にはこれらの盗賊がひしめきます。
山賊親分を直接攻撃する以外にも、これらの雑魚を(1章のように)派手に薙ぎ払うプレイングでも参加可能ですので、お好みのほうをお選びください。
(なお、ガラットは戦闘に参加しますが、雑魚や親分の攻撃からかばう必要はありません)
(お酒などの物資も無事です。投げたり燃やされたりしてた? それでも無事なんです、多分!)
●業務連絡
プレイング受付は【19/07/17 08:31】~【19/07/19/08:29頃】までが目安です。
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
はぁ……いい加減にして欲しいものですよね
騒がしい、見苦しい、賤しい 汚らしい、……いいところが一つもないですよ
よく生きていられますよね。恥ずかしくないのだろうか
死ねばいいのに。殺すか。殺そう
さっさと終わらせましょう
長く見ていたいものでもないですし
一先ずいつも通りに後ろに下がりますが……
……あ? 何故服を脱ぐ 殺すぞ
【蠢く混沌】と<呪詛><全力魔法>で一気に片をつける
汚らしい物を見せて堪るかよ
彼女の手を引き下がらせる
交代しましょう
……いや、子分共の相手をさせるのも駄目だな
もうとりあえずそこにいてください
向かってくる子分を引きちぎって裂いて沈めて殺す
早く終わらそう
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
お頭まで声が大きい……
なんだか耳が疲れちゃった
ねぇヨハン、いつも以上に殺意高くない?気のせい?
私だって早く視界から消したいよ
さくっと片付けちゃおう!
いつも通り前に出て、先制を仕掛けようと槍を振るう
見切れるなんて、思……えっ!?
服を脱ぎかけられれば驚いて動きは止まって
ヨハンが放った闇が敵を沈めればますます驚いて
手を引かれれば何がなんだかわからなくなる
こ、交代……??
ヨハン一人に戦わせるなんて嫌に決まってるでしょ!
とは言ったものの、加勢する必要も庇うべき隙も見せない彼を前に
私の出る幕なんて全くなさそうで
呆然とその背中を眺めるのだった
すごい……、先生が放つ殺気よりも怖いよ……
●汚物は消毒とか生ぬるいので闇に沈める
ヨハン・グレインとオルハ・オランシュは、辟易していた。大変に辟易していた。
斬っても燃やしても突いても闇に沈めても次から次へと現れる酒飲みども。
いや盗賊なのだが、酒飲み(の悪酔い)にいい思い出のないふたりはげっそりしていた。
そこに、あれである。ご覧の通りの、絵に描いたようなザ・サヴェッジである。
2メートルを超す巨体はもうバッキバキにキレており、そして汗臭く、酒臭い。
「骸団は最高最強やり放題ィイイーッ!!」
「「「やり放題ィイイーッ!!」」」
おまけになんか、山賊団オリジナルの号令とかある。ウザい。
「お頭まで声が大きい……なんだかもう、耳が疲れちゃった」
オルハはうんざりした様子で頭を振り、そしてぎょっとした顔でヨハンを見た。
彼のこぼしたため息が、というか全身からすさまじい殺気が放たれていたからだ。
「よ、ヨハン?」
「はぁ~~~…………本当、本ッ当、いい加減にしてほしいものですね。
騒がしい。見苦しい。賤しい。そして汚らしい……いいところが一つもない」
オブリビオン相手に美を見出すようなタイプでないことはたしかだが、
それを差し引いても、ヨハンは心の底から、本気で、忌々しげに睨みつけた。
「よく生きていられますよね。いえ、オブリビオンなので死んでるんですが。
恥ずかしくないんでしょうか……死ねばいいのに」
「ヨハン? ねえいつも以上に殺意高くない? 気のせい?」
「殺すか」
「ヨハン!? いや私だってはやく視界から消したいけど!」
「殺そう」
「う、うん。さ、さくっと片付けちゃおう!」
そういうことになった。
とはいえ、盗賊親分もむざむざとやられるつもりはない。
「おうおうお熱いねぇおふたりさん! 未来有望な若者ってのはいいねェ!
そういうのをぶっ殺して捌いて食っちまうのが俺ぁでえすきなんだよォ!!」
ぐばぁ、と口を裂くような笑み、それは人間の形をしているがまるで人間らしくない。
だからこそ、敵はオブリビオン。生命の大敵たる過去の残骸なのだ!
「いつまでもそんな得意げな顔、させないんだからっ!」
オルハはいつもどおりに翼をはためかせ、勇敢な面持ちで前に出る!
その時、山賊親分の鋭い瞳がギラリと輝いた! そして奴は服を脱いだ!
…………ん?
「フンーッ!!」
「えっ!?」
突然服を脱ぎ、めちゃめちゃ汗臭くギャランドゥもたっぷりな胸板を晒す親分。
さすがに予想だにしなかった行動に、オルハは驚いて虚を突かれてしまう‥…!
「隙アリィーッ!! これぞ俺様の秘奥義、胸板コンボグワーッ!?」
だが悲鳴を上げたのは山賊親分のほうだ! 影から伸びた黒闇の槍が、
分厚い筋肉を貫き、山賊親分の脇腹を深々と貫いたからである!
「…………何故服を脱ぐ。殺すぞ」
張本人であるヨハンは、オルハの手を引きつつめちゃめちゃ怖い顔で言った。
というかもう、常人なら殺すレベルのえぐい攻撃をしているんですが!?
「て、てめえ、後ろからなんざ卑きょ」
「あ?」
「ひいい!!」
山賊親分は、少年の青筋とか浮かんでそうなガン付けにしおしおと縮こまる。
オルハはキョトンとしていた。敵の行動も、ヨハンのキレっぷりにも。
……実際のところ、ヨハンがここまでキレているのはオルハにこそ理由がある。
彼女が悪いことをした、というわけではない。彼女のため、というべきか。
こんな臭くて酔っ払ってて醜い連中の、汚らわしい姿を見せたくない。
それは紳士的で、真摯で、そしてちょっぴりの独占欲の顕れである。
なにせ彼と彼女は……ねえ! お熱いですねえ! ありがたいですねえ!!
「交代しましょう」
さておき。ヨハンはオルハの手をさらに強く引いて、後ろに下がらせると、
断定的な口調でそう言って、自らはぐいっと一歩前に出る。
「こ、交代??」
「オルハさんは子分どもを……いや、あれと戦わせるのも癪だな。
後ろに居てください。もうとりあえず、そこにいてくれればいいです」
「って、ヨハンひとりに戦わせるなんて厭に決まってるでしょ!」
ヨハンはその言葉に『ほんともうそういうところだぞこの娘は』的な間を一瞬空けつつ、
眼鏡をかちゃりと掛け直し、少しだけ目元をほころばせた。
「大丈夫です。あなたのぶんまで俺が戦いますから」
ぎろり。そのまま、同一人物とは思えない殺意の瞳が敵を睨みつける。
「全員殺しますので。ていうか殺す。消毒とかそういうレベルではなく殺す」
「…………」
ぽかーん、と、ヨハンの背中を見送るオルハ。響き渡る血しぶきと悲鳴。
彼女の"先生"なんか目じゃないレベルの、すさまじい殺気であったという。
「よ、ヨハン、キレるとこんなに怖いんだね……!?」
その理由が自分にあるとは、露程も思わないオルハであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヴィリヤ・カヤラ
レイナ・オトゥール(f11986)と一緒に。
呼び方はレイナちゃん
【真の姿解放】
親分さんは逃げてるかと思ったけど、
まだいたんだね。
遠慮無しで良いって事だよね、
なんて遠慮するつもりも無いけど。
レイナちゃんの大技に期待して、
全力で足留めだね。
【四精儀】の氷の霧で敵を少し凍らせるか
寒さで動けないようにしたいな。
足りなければ【氷晶】も追加で使うね。
足留めと一緒に命も止めちゃうかもしれないけど、
この後にレイナちゃんの大技があるから
早いか遅いかの少しの差だよね。
アドリブ歓迎
レイナ・オトゥール
引き続きヴィリヤ(f02681)お姉さんとご一緒いたします
聞き捨てならない事が聞こえました
ドワーフさんたちが一生懸命作ったお酒を盗っただけでなく、人殺しまでしていましたか
……しかも2,3個?
つまり命を奪っておきながらはっきりと覚えてもいないと?
人の命というものを何と思っているんですか!
ウィル、アイリス、クリスティア、ディーナ、フィニア、リーゼ、オーディス、ドラゴンさんたち全員集合!
とっても悪い人たちです、お仕置きじゃなくて殲滅に切り替えです!
ヴィリヤお姉さんに敵の動きを止めてもらっている間に
想竜剣を通じて7匹同時に【竜王召喚】で一斉に全力でブレスをお願いします!
反省しながら吹っ飛んでください!
●なんだかんだこいつもオブリビオン
山賊と言われて、しかも見た目は完全にただの野蛮な人間となると、
実はオブリビオンじゃないのでは? みたいな気持ちになるのも無理はない。
しかし、奴らはたしかに、猟兵の大敵にして世界の仇敵たる過去の残骸だ。
オブリビオンとして生じた過去の人間は、たとえ生前がどれほど高潔であれ、
そうなった時点で、世界とすべての生命に対する憎悪と軽視を抱く。
例外はない。ゆえに、山賊親分とて、非道というレベルではない冷血漢なのだ。
「……聞き捨てならないですね」
酒宴を繰り広げる子分どもの陽気(?)さに騙されかかっていた少女、
レイナ・オトゥールは、山賊親分の台詞に、眦を決して相手を睨みつけた。
「ドワーフさんたちが一生懸命作ったお酒を盗んで楽しんだだけではなく、
人殺しまでしていたと? しかも、"街の2、3個"とは、どういうことですか?」
「"どういうことですか?"だってよォ、ギャハハハハ!!」
レイナの真剣な言葉をオウム返しに茶化し、山賊親分は呵々大笑する。
「そのまんまの意味でございますがァ? ああ、正確な数はわかんねえよ?
なァんせ、殺した人間の数なんざいちいち覚えてられねェんでな、ゲハハハ!」
「……ッ!!」
拳を握りしめて踏み出しかけたレイナを、ヴィリヤ・カヤラが留める。
「ダメだよレイナちゃん、ここで踏み込んだら数で押し潰されるだけだ」
「……すみません、ヴィリヤお姉さん。けど、けど……!」
「気持ちはわかるよ。あいつら、人の命をなんとも思ってないんだから」
と言いはするが、ヴィリヤはその出自――吸血鬼の父のもとで育てられ、
ヴァンパイアの非道を日常的に目の当たりにしながら過ごした――ゆえに、
レイナのような強い義憤を抱くことは、まれだ。現に、いまだってそうである。
……しかしだからといって、ヴィリヤが敵に何も抱かないのかと言えば、違う。
「それにしても、親分さんはさすがに逃げてるかと思ったんだけどね」
「あぁ?」
ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべていた山賊親分が、睨みを利かせた。
「どういう意味だ? あ?」
「あんなチンケな子分をはべらせてる親玉は、同じぐらい小心者かなって。
だから私としては、そう――"まだいたんだ"って、驚いたぐらいだよ?」
びきり。と、山賊親分の額に青筋が浮かぶ。すさまじい怒気!
だがヴィリヤは臆さず、薄い笑みすら浮かべて挑発を続けてみせる。
「遠慮無しでいいってことだよね? ――なんて、遠慮するつもりもないけど」
そしてヴィリヤはレイナのほうを見、微笑んだまま頷く。レイナもまた笑った。
「このアマどもがァ……いい気になりやがってェ!!」
敵を倒す、という意気において、ふたりのそれはなんら遜色ないのだ!
怒りに怒った山賊親分は、まるで獣のごときすさまじい雄叫びをあげた。
口元からよだれを垂らし、大口を開けるさまは飢えた豚のようである。
途端にミシミシと筋肉が緊張し、もはや一個の要塞じみた有様だ!
「そんなパンプアップで、いまさら私とヴィリヤお姉さんが怖がるとでも?」
「レイナちゃん、大技期待してるよ! 足止めは私に任せておいて!」
言いながらヴィリヤは術式に魔力を練り上げ、周囲の自然を属性制御する。
途端に空気中の水分がパキパキと凍りつき、極寒の氷霧があたりを包んだ!
「ゲハハハハ!! 野郎どもォ、あの女で暖を取ろうぜェ!」
げたげたと笑う山賊親分の両掌から、赤黒い拳大ほどのオーラが溢れ出る。
それらはまるで種が芽吹くような忌まわしいプロセスを経て、子分に変化した!
「さすがの数だね、けど……!」
ヴィリヤは険を深め、両掌を敵向けてかざし、さらに氷霧を濃く形成する。
殺到しようとした子分どもの手足は霜を張り凍りつき、身動きが取れない!
「な、なんて寒さだぁ……!」
「チッ、おい凍ったやつは殺せ! 血を浴びりゃあ数秒は動けるだろ!」
なんたることか。山賊どもは凍りついた個体を仲間が即座に殺し、
ほとばしる熱血を浴びることで氷霧の冷気をつかの間払いのけようとする!
いかにヴァンパイアとて、ここまでの前のめりかつ捨て鉢な蛮行はしない。
ヴィリヤはその下賤さに顔を顰め、守りを捨てて全魔力を解き放った!
「レイナちゃんの大技の前に、こっちのほうで息の根が止まっちゃうかな?
ま、それでも早いか遅いかの差だよね。自分たちで殺し合いするならなおさら!」
しかし徐々に徐々に、山賊どもは氷霧を抜けてヴィリヤを追い詰める。
時間は残り少ない。一方その頃、後方のレイナは……!?
「ウィル! アイリス、クリスティア、ディーナ、フィニア、リーゼ!
オーディス――ドラゴンさんたち、私の声に応じて全員集合してください!」
レイナの声によって、いくつもの属性――すなわち水・氷・風・炎・光・地、
さらに水晶めいた光の粒子が、虹色の花びらめいて彼女の周囲に滞空した。
それらは見た目もサイズも異なる七匹の龍に変じ、思い思いの鳴き声をあげる!
「あの人たちはとっても悪い人たちです。お仕置きするつもりでしたが、
こうなったら目的は殲滅に切り替え! さあ、あなたたちの力を貸して!」
レイナの掲げた刃――想竜剣へと竜は溶け込むように吸い込まれていき、
虹色の輝きは、その刀身を分厚く覆う小さく力強いオーロラへと変化した!
「時の先にて至るものよ、我が時と存在を糧に、仮初の未来を汝に与えん――」
見据える先、雲霞の如き敵を前に冷気を放つヴィリヤの背中が見える。
「その力、その威容を! 今この場に示せ! 偉大なりし、龍の王っ!!」
これぞレイナの奥の手、彼女が有する最大最強のユーベルコード!
自らの命と時間を糧に、今この時には在らぬ龍の王を招来する召喚術式!
「竜王(サモン)――召喚(ドラゴンロード)ッ!!」
おお、見よ。極光はオーロラに相応しき輝きと雄々しさを取り戻し、
それを空間の裂け目として、膨大なる生命力を持つものが来たる。
下卑た笑みを浮かべた山賊どもは、恐るべきイモータルの威容を見上げ、
あるものは恐怖に慄き、またあるものは射竦められて凍りつく……!
「さすがレイナちゃん、そうこなくっちゃね」
ヴィリヤはその龍の闘気に武者震いめいてかすかに震えながらも微笑み、
冷気を最大出力で展開。暴走寸前の氷霧は、山賊どもに逃亡を許さない!
「因果応報の時だよ。王様に裁いてもらうがいい」
ヴィリヤの言葉の直後、竜王の咆哮が山を……いや、世界を震わせた!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】
大分すっきりした。
次はあれだな?
ああ、委細承知した。あれをやる。
怪力を持って踏み込み、殴りつける。
喉を杖で突く。声が五月蠅い。
アルバートに向かう大斧も殴って砕く。柄も折る。
頭を杖で殴る。防がれたらすかさず銃で撃つ。
上半身の防御が薄いからな。徹底的に狙う。
頭を掴んで、胸部や腹部にUCを使いたいな。
他の二人が小物を散らしてくれるから戦いやすくていい。
やはり皆で来ると楽しいな。
アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
落ち着いて良かったよ。
じゃあ次は僕の番だね!
あんな目の前で楽しく暴れられたらさあ、僕だってやりたくなるんだよね…!
おあつらえ向きに人型で、無限ザコ発生機なわけだし?
これはもうやっちゃっていいよねえ!?
アッハハハハッ!!テメーら全員、消えてなくなれェッ!!
(以下、ただ衝動と憎悪のままに楽しく暴れます)
荒・烏鵠
【万嶺殿】
セーカクには〝落ちつかせた〟だな。
そーよ、次はあのオッサンが敵……ってあっちゃん、今なんて?
(深いため息)……マ、オブリビオンだしな。やっちゃえあっちゃん、ザコ散らしまかせた。よろヨロ~。
よーしいーちゃんはオッサンやっちゃって。オレはサポートと物資とドワーフのおっちゃん守っからサ。
っし、切りかえていくか。
ユベコを周囲の壁を泥に変えて操る。物資を泥に沈めるようにして地中を通らせてコチラの手元へ。ドワーフのおっちゃんと同じ位置に集めたら、泥で頑丈な檻(拠点)作って鋼鉄に変える。あとはコッチに流れ弾が来ないよう注意しつつ、戦況を見守る。
わるいこじゃねーんだがなあ。なあ、シナト?
●かくて凶鳥踊り舞う
メリメリと音を立てて、周囲の大地が泥に変じていく。
先に仕掛けた猟兵のユーベルコードにより、辺り一帯に氷霧が展開し、
溶けた氷によって、そこかしこが湿っていたことも功を奏した。
山賊どもが盗んだ物資は、ずぶずぶと音を立て、泥中に沈んでいくのだ。
「ぬおっ!? な、なんじゃあ、大丈夫なのかあれは!?」
「ダイジョブダイジョーブ、コレも魔法みてーなモンだからサ?」
驚くガラットに対し、荒・烏鵠はこの世界に合わせた言葉でうまくごまかした。
彼はさらっとこともなげに云うものの、当然、並大抵の術式ではない。
十三術式:九羽狐。己から限られた範囲にある命なき無機物を、
自由自在に作り変える神の如きユーベルコード。いや、その権能は、
実のところ無機物に留まらず、有機物や自分自身すらも含むのだが……。
「ンで、この泥をこうしてこォしてっとォ」
「お、お、おお?」
たちまち、ガラットと烏鵠を守るようにして、堅牢な鋼鉄の檻が生まれた。
仮に山賊親分が烏鵠に狙いを定めたとしても、この守りはそう簡単には崩せまい。
いわんや山賊子分をや、もはや烏鵠とガラットは無事を保証されたようなものだ。
「拠点いっちょ出来上がり、ってナ。まァ高みの見物といこうぜ?」
「そ、それはよいのじゃが……お前さん、ほんとによいのか?」
いまだユーベルコードの規模に当惑しつつも、ガラットは問いかけた。
烏鵠は一瞬片眉を釣り上げ、やや驚いたような表情をしてみせたあと、笑う。
「あー、まーナ。正直言うと、兄としちゃ呆れるっつーか疲れるっつーか」
などと肩をすくめて常識人ぶったことを言いつつ、風精の子狐を撫ぜる。
「"わるいこ"じゃねーんだがなあ。なあ、シナト?」
くすぐるような指心地に目を細める子狐は、コン、と一声鳴いた。
心なしか、その鳴き声には、烏鵠のように呆れめいたニュアンスが感じられる。
彼らは何の話をしているのか。それを説明するにはやや時間を遡る必要がある――。
時間は、先の子分どもを蹴散らした直後にまで遡る。
山賊親分が姿を現す直前のこと。イリーツァを"落ち着かせた"その瞬間だ。
「いやー、イルが無事に落ち着いてよかったよ」
アルバート・クィリスハールは、あっけらかんとした様子でそう言った。
実際には、高揚し暴れ回る盾の龍を相手に、結構な大立ち回りがあったのだが。
「うむ、おかげでだいぶすっきりした」
当の竜……イリーツァ・ウーツェも、けろっとした顔である。無表情だが。
「オツカレサマとか労いの言葉はネェのかよ、せっかく一肌脱いだのにナー」
「はいはい、荒さんのおかげで助かった助かった」
アルバートの反応がやや塩なのは、それだけ気のおけない仲だからこそだ。
まあ、何かと悪巧みで彼らを振り回しがちな烏鵠に対する、意趣返しもある。
「烏鵠には感謝しているぞ。それよりも、次は親玉を叩けばいいんだな?」
ちょうどそのとき、山賊親分が姿を表し呵々大笑していた。
下卑た欲望と下賤な悪行を嬉々として語るさまを、イリーツァは鋭く睨む。
とはいえ、義憤や激情を抱いている……というわけではない。
たとえるならそれは、海面に姿を見せる獲物の魚をじっと睨みつける、
狩りの最中の猛禽めいた眼差し。つまりは、一種の"値踏み"といえよう。
「マ、いーけどな。んで、そーよ。次はあのおっさんが敵――」
「じゃあ次は僕の番だね!!」
「……は? あっちゃん、いまなんて?」
さすがの烏鵠も、だいぶ呆気に取られた顔で思わず聞き直した。
対するアルバートは、ニコニコ笑顔である。顔が整ってるから余計怖い。
「だから、次は僕が暴れる番だよね、って。イルはいいよね?」
「問題ない。敵についても同様に、委細承知した」
「イヤイヤイヤ! そこで確認取るべきハいーちゃんじゃなくてオレ! オレ!!」
思わずツッコミを入れる烏鵠。ある意味で珍しい光景である。
「えー? だってさぁ、目の前であんな楽しそうに暴れられたらさあ、ねえ?」
「ねえ? じゃねーよ!!」
「僕だってやりたくなるんだよ……なっちゃったの!
おあつらえ向きに人型で、しかも無限ザコ発生機なわけだし?」
これはもう、やっちゃっていいよねえ!? とハイテンションなアルバート。
こうなるともう、この弟分はてこでも動くまい。烏鵠は深く深くため息をつく。
とはいえ、相手はオブリビオンだ。そしてアルバートはオブリビオンを嫌う。
そして役割分担の観点から見ても、アルバートが雑魚を叩くのは的確。
だからこそ、拒みようがない。烏鵠は、また深い深いため息をついた。珍しい。
「マ、しょうがねーか。やっちゃえあっちゃん、ザコ散らしよろヨロ~」
「はい荒さんからの許可出たぁ! んじゃ派手にやりますかァ!」
ばさり! と翼を拡げ、牙を剥き出すような笑みで飛翔するアルバート。
向かう先は、言わずもがな今まさに再出現したザコどもの群れである!
「私は"あれ"をやればいい、そうだな? 烏鵠」
「ン、だな。いーちゃんはオッサンやっちゃって。オレはサポートすっから」
イリーツァは烏鵠の言葉に頷き、再び視線を"獲物"へ。みしりと何かが軋む。
……空気である。龍の戦意高揚に、世界そのものが軋んだようなものだ。
「改めて、了解した。あれをやるとしよう」
高揚は消えたとはいえ、このイリーツァも威圧感がものすごくて怖い。
そしてズカズカと山賊親分に無造作に歩み出す。しかして守りは盤石である。
「……って! よいのか!? 三人ひとまとめで戦うとかは」
そして、それを見ていたガラットが口を挟んだ……と、そういう具合である。
……そもそも、烏鵠はなぜ呆れたような反応をし、ため息などついたのか。
ガラットから見れば、それは弟(と彼が呼ぶ男たち)の浅薄な行動ゆえだろう。
敵を侮れば、足元を掬われる。己が単身山賊に突っ込もうとしたように。
その蛮勇を諌め、呆れ返っているのかと、ドワーフの戦士は考えていた。
だが違う。烏鵠は、間違ってもそういった杞憂に心を痛めているわけではない。
こんな程度の、一山いくらの残骸どもに、弟たちが負けるはずは、ない。
彼が嘆息したのは、ただ単に――そのやんちゃさに辟易した、それだけの話。
なにせ烏鵠は、そこの知れない古狸……ならぬ、"古狐"なのだから。
さて、では実際、ふたりの戦況はどうなったのか。
……どうなっているのか。
それは、ガラットはおろか、誰から見ても一目瞭然であった。
圧倒的なまでの、蹂躙。ともすれば、あの龍の昂りよりも荒々しい暴威。
「アッハハハハハハッ!!」
笑っていた。ヒトのカタチをしたゴミどもを無造作に引きちぎり、
切り裂き、あるいはねじ切り、押し潰し、黒き猛禽の男は高らかに笑っていた。
まるで、買い与えられたぬいぐるみを手荒に扱う、やんちゃな子供のよう。
ただしアルバートが弄ぶのは(人のカタチをしてはいるが)人形ではなく、
敵であり、そして彼は無邪気な子供でもなく――そこには激情があった。
嫌悪。怒り。憎悪。高揚。破壊衝動。殺戮衝動。衝動、衝動、衝動。
「テメーら全員消えてなくなれェッ!!」
そして歓喜。この世に在ってはならぬ、在ることをけっして許さぬモノどもを、
自らの手で確実に、完璧なまでに、無に帰し燼滅することへの興奮。恍惚。
楽しげである。だからこそ、余人から見ればそれは恐ろしい。
まさに怪物のよう。歪曲した激情を爆裂させ、暴力という形で発露させ、
ただ相手を消す。殺すのではなく、消滅させるのだ。消して、滅するのだ。
「オラオラオラオラァ!! 泣いて叫んでみろよゴミらしくよォ!!」
技もない。型もない。衝動に身を任せた、ひどく野蛮で傲慢な攻撃である。
だからこそ止められない。ゆえにこそ、妨げられない。
たとえば、山の頂上から雪崩れ落ちてくる雪や土砂をヒトは止められるか?
ごろごろと鳴り響く稲妻を受け止め、黒雲を切り裂くことは出来るか?
川を溢れさせすべて飲み込む津波を、それを生む雨を押し返すことは出来るか?
出来ない。だからこそヒトは、神に伏して希うのだ。願ってきたのだ。
あれは――ここにある暴力機構は、そういう類のモノであった。
「それすらも出来ねェなら、消えろ! 消えてなくなって、また消えろォ!!」
ただただ、衝動と憎悪のままに敵だったものを抹殺する、暴力機構である。
対して、イリーツァはどうか。
大声を上げて二回り近くパンプアップした山賊親分。
その恐るべき剛斧を、真正面から――しかも、素手で、こともなげに受け止めた。
「なあッ!?」
「やかましい」
ごうん――!! 地割れがめきめきと裂けたような轟音が響いた。殴打の残響だ。
怪力を以て強く強く拳を握りしめ、山賊親分の顔を殴りつけた。それだけだ。
それだけで、3メートル近くなった筋肉の要塞が、あっさりと揺らいだ。
たたらを踏む山賊親分の喉めがけ、魔杖が稲妻じみた速度で刺突を放った。
「ごえっ!?」
「五月蝿いと言っている。叫び声も、苦悶も、やかましい」
振り上げようとした斧――正しくはそれを握る手を無造作に石突で打ち、
流れるように斧そのものを打ち、これを砕き、さらに柄をへし折った。
動きは止まらぬ。魔杖はそのままスイと頭を殴りつけ、つんのめらせ、
パンチドランカーめいて痙攣する頭部を、龍の掌(かいな)が掴んだ。
「か、かは……ッ」
「あの手勢のおかげで、ここのところの鬱憤がいくらか晴れた。その点は有難い。
ゆえに、私は言おう――"歯を食いしばれ"。『これ』は、すこぶる痛いぞ」
みしりと、握りしめられた手の骨が、筋肉が、全身が巌めいて軋んだ。
然り、拳である。頭をつかみ、もう一方の手を固く、固く握りしめている。
山賊親分は何かを言おうとした。
その音が口から放たれるより早く、
音を言葉にしようとするよりも早く、
息が吐き出されるよりも早く、
肺が脈動するよりも早く、
脳髄から信号が奔るよりも早く、
拳が霞んだ。満身の力を込めて、満身の殴打がオブリビオンを襲った。
一撃。二撃。三撃。四、五、六七八九十二十三十四十五十――!!
「がはぁああっ!!」
べこり、と、山賊親分の筋肉が、骨が、臓物が凹んだ。
威力を逃すことも出来ない。龍はそれを許さない。そのための掌だ。
「……やはり、敵に塩を送るような真似は、私には不得手だな」
苦悶し嘔吐する山賊親分を無造作に投げ捨て、イリーツァは淡々と言った。
「歯を食いしばれ、と言ってやっただろうに」
「が、ごが……で、でめぇ……!!」
睨めあげる敵を無視し、イリーツァはアルバートたちのほうを見た。
それを見守る兄を見た。そして、無表情のまま頷いた。
「やはり、皆で来ると楽しいな」
それはいかにも子供めいた、しかしヒトならざるものの感嘆である。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
桜・結都
グィーさん/f00789 と
この人が首魁。一番悪いお人なのですね
出来れば改心して欲しいものですけれど
オブリビオンとなってしまってはそれも叶わないものでしょうか
これ以上の罪を重ねる前に、骸の海へと還っていただきましょう
私が動きを止めます
グィーさんは攻撃をお願いできますか
『桜咲』を振るい<全力魔法>で桜吹雪を起こします
【桜色の君】を喚び、視界を僅かでも奪えたらその隙にマヒ攻撃のお願いを
吹雪に霊符を交え子分の方々も<破魔>で足止めします
叫び声には僅かに顔を顰め
大きい大人の人の声はあまり好きではありませんね
ふふ。大丈夫ですよ。ありがとうございます
私にはグィーさんの言葉の方が
大切でとても心に残りますから
グィー・フォーサイス
結都(f01056)と
親分のお出ましかい?
そうだね、彼等はオブリビオンだ
一時手を休めることはあるかもしれないけれど
きっとまた悪さをするよ
だから、骸の海へとお帰り願おうか
とりあえず、子分たちが邪魔かな
結都に合わせ、僕も手紙を飛ばそう
ジェイドにお願いして、桜吹雪を嵐にしようか
風属性に範囲を広げて
広く広く、多くを吹き飛ばしてしまおうよ
道が開いたなら結都が動きを止めている隙に
親分へ【郵便配達】
さっきから、耳につくんだよね
その下卑た声がさ
結都の情操教育にも悪そう
だからね
君に告げるルールは「声を発してはいけない」
ああ、もちろん
悲鳴もだよ
結都、ああ言う言葉は覚えたらダメだよ
出来るだけ耳にも入れて欲しくないな
●猟兵として戦う、ということ
オブリビオンとは、生命あるもの――世界すべてにとっての絶対敵だ。
個々の違い(それは過去そのものであれ、現世に生じてからの変化であれ)はあれど、こと『生きとし生けるものを憎悪する』点において、例外はない。
だからこそ、奴らは世界を支配する存在であり、倒さねばならない敵なのだ。
「一時手を休めることはあるかもしれない。けれど、それは"時々"の話だ。
だから結都、過去(かれら)が改心するというのは、ありえない話なんだよ」
グィー・フォーサイスは、傍らに立つ少年……桜・結都に言った。
一方の結都は、その事実に嘆息し、少しだけ寂しそうな顔で頭を振る。
彼はいまだ年若いが、グィーの言葉に反論するようなことはない。
彼がウソやごまかしを口にするとは思っていない、というのもある。
それ以上に、"理解"出来たのだ。猟兵として、グィーの言葉の本質を。
「……だからこそ、私たちが倒さねばならない……というわけですね」
猟兵はオブリビオンの天敵であり、狩るべき敵であり、獲物だということ。
世界の規矩そのもの、無限めいた骸の海に挑むということ、その意味と重さが。
……しかして、結都は若い。逆に言えば、いい意味でも向こう見ずだ。
この戦いを通じて垣間見た未来、すなわち猟兵として戦い続けることの重さ、
それを前にしても臆することなく、戦いに挑む気概を燃え上がらせる。
ともすれば無謀だが、幸い彼には友があり、ここには多くの仲間がいた。
「なら、あの人を倒すのが私たちの役目。猟兵として出来ること、なんですね」
「そうとも。ここで見逃せば、彼らはまたきっと悪さをするよ」
だから。そう言葉を切ってから、グィーと結都は声を揃えた。
「「骸の海へと」」
「お帰り願おう」
「還っていただきましょう」
それはいわば、戦いを前にしたふたりの、改めての宣誓の儀式である!
「うううぅおぉおおおおおおおお!!!」
山が震えた。そう錯覚してもおかしくないほどの、すさまじい大音声である。
言わずもがな、それは山賊親分があげたものだ。木々がびりびりと震えた。
「猟兵、猟兵、猟兵ィッ!! いい気になってんじゃあ、ねえぞォッ!!」
血反吐をこぼし、ズタズタの筋肉をいびつな生命力で再生させながら、
山賊親分が丸太じみた腕を振るう。応じるように、大気が裂けて業風がうねる。
猟兵の攻撃で破壊された剛斧は、ヤツが地面に手を突き刺すと再び出現した!
「私が動きを止めます。グィーさんは攻撃を!」
「わかったよ。しかし子分どもが邪魔だね、一体どうするんだい?
問いかけに視線で応える
結都の周囲に、合計21体の桜の精霊が召喚された。
その花びらの色にふさわしい、桜色の燐光を纏い揺蕩う精霊たち。
一体一体の戦闘力はさしたるものではない。皆無と言ってもいいだろう。
しかし、その召喚者にして、桜の魔性を操る陰陽師が力を撚り合わせれば……!
「桜の精霊たちよ、どうか私に、そしてグィーさんに力を貸してください。
あってはならない骸の海から現れたモノを、この世界から追い返すために!」
桜の精が変じた錫杖を振るうと、桜の精霊たちはそれに応じて舞い踊り、
やがてその輝きは杖を中心にぐるぐると螺旋を描く!
しゃりん――!
輝きを纏った錫杖を山賊どもに差し向けた瞬間、清らかな音が響いた。
そして直後、杖に完全に収束した光は、めくるめく桜吹雪となって舞い散る!
「これはすごいね、これが結都の力……なら僕たちも頑張らないとね、ジェイド!」
風の精は高く鳴いてはばたき、さらなる風を生み、吹雪を嵐に変える。
もはや、山賊どもは目を開けていることすら出来ない有様だ!
「たかが花びらだぞ、こんなもん!」
「い、いてぇ! 違う、花だけじゃねえ、なんか混じってやがるぞ!」
びり、ばちばち、と、桜の嵐の中にかすかな電光がさんざめいた。
それは、結都が桜吹雪の中に仕込んだ、霊力を込めた符の反応である。
破魔の力を宿した符は、邪悪なオブリビオンにとっては高圧電流も同然。
視界と手足を封じられた子分どもに、グィーの攻撃を阻む手立てはないのだ!
「てぇめええええ、たかがガキがぁあああああ!!」
ごろごろと稲光めいた山賊親分の大音声に、結都はわずかに眉根を顰める。
小柄な少年の二倍以上はある山賊親分は、まさに立ちはだかる世界そのもの。
あるいは、複雑な環境にある少年にとっては、ままならぬ大人の世界の権化か。
「……大きい大人の人の声は、あまり好きではありませんね……っ!」
そんな少年の呻き声を、グィーの猫耳はしっかりとキャッチしていた。
だから彼は気取った仕草で封筒をひとつ取り出すと、それを親分めがけ擲つ。
ピッ、と肌が裂かれる。だがその程度だ。筋肉の鎧を突破することは出来ない!
「なぁあんだぁ? このガラクタはぁあ!!」
「その、下卑た声。さっきから耳につくんだよね――だからさ」
ぴしりと指を突きつけ、グィーはルールを宣誓する。
「キミはもう、"決して声を発してはならない"」
「なぁあんだとぉ!? てめえ、そんな命令聞くわけ……がッ!?」
がくん! 山賊親分は、全身に走ったすさまじい激痛に膝を突く!
途端ににじみ出る脂汗。なんだこれは、まるで臓物が軋むように痛い!
「てめ、何、をォオオオヲヲヲヲ……!??!?」
「もちろん悲鳴も、ね。君の声は結都の情操教育に悪そうなんだ」
声を出せばルールを破った制裁が加えられる。それに呻き喘げばさらに。
無限地獄じみた苦痛にのたうち回る巨体を見やりつつ、猫は少年にウィンクする。
「結都、ああいう言葉は覚えたらダメだよ?」
「……ふふっ、大丈夫ですよグィーさん。ありがとうございます。
私にとってはあんな人の言葉より、あなたのほうが大切で、心に残りますから」
猫人の何気ない気遣いと優しさに、桜の花びらを纏う少年は柔らかく微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロク・ザイオン
※ジャックと
※集団戦
(ふわふわ)
(遠い目)
……この戦いがおわったら。
おれ……
いや。
いいんだ。
そうか。よめ…?が、いるのか。
じゃあ。ちゃんと、帰らないとな。
さあ。
おれに構わず行け。
大丈夫。
あとからすぐに行く。
………。
今度、ともに海に行こう。
(死亡フラグである。
どこからどう見ても酔っぱらいがフラフラしながら死亡フラグを垂れ流している。
これはカモかろう。森番はそれを知らないが)
……なんでこっちに集まってくる……?
(寄らば斬るに決まっている。
「烙禍」で足元を脆くしては【ダッシュ、ジャンプ】で瞬時に離脱
戦線が崩れたところを【早業、なぎ払い】)
やったか。
……そういうのはやめろ?
そう。
ジャガーノート・ジャック
◆ロクと
※集団戦
(ザザッ)
(何故か酔ってるのか滅茶苦茶死亡フラグを乱立する相方の言葉を聴いてる。)
(えっ何なの)
(だが今日はそう言う日なのだろう。毒を食らわば皿まで。仕方ないのでトコトン付き合う豹鎧だった。)
(ザザッ)
……ふ、なんだ、歯切れの悪い奴だな。
言っただろう、一緒に帰って嫁の作ったパインサラダを食べるんだって(※言ってない)
ここまで来たら一蓮托生だ。
必ず生きて帰るぞ
("ROLE PLAY"。死亡フラグを乱立する兵士の相方の"役"を被る。)
―死亡フラグは重ね過ぎると生存フラグに昇華されるらしいな。
(ZAP ZAP。)
ロク。
それは死亡フラグじゃなくて失敗フラグだから。
やめなさい。
(ザザッ)
●さよならに飽きたわけではないがそっとしておいてほしい
そんなこんなで、山賊親分相手に激戦が繰り広げられているその一方。
猟兵の中には、わんさか召喚され続ける山賊どもを相手にする者たちもいた。
たとえ頭目相手でなくとも、この数を自由にさせてはそれ自体が危険である。
ゆえに彼らの戦いは、日陰であろうと勇ましく、そして重要な……。
「……この戦いがおわったら、おれ……」
《――えっ》
「…………いや、いいんだ」
《――は?》
「そうか、よめ? が、いるのか。じゃあ、ちゃんと、帰らないとな」
《――いや本機、まだ何も言っていないのだが。どうしたロク、ロク?》
ふわふわしている。場酔いしたロク・ザイオンが、ふわっふわしていた。
ふわふわフラフラしながら、なんか虚空のほうを見ながらブツブツ言っている。
なんだこれ。ジャガーノート・ジャックは割と驚いた。というかちょっとヒいた。
おかげで兵士のロールプレイもちょっと外れかけた。いやほんとなんだこれ。
ロクはまだ未成年なので、彼女は決してお酒を口に含んだわけではないが、
明らかに酔っ払っていた。匂いと気分でここまでなるなんてやばすぎる。
(……まさか、そういう演技で敵を引きつけようという作戦か……?)
ブツブツ言ってるロクをじ~~~っと見ながら、ジャガーノートは考えた。
割とマジで、心底シリアスな顔で、じっくりじっくり考えた。
だってこれどう見ても、いやどう聞いても死亡フラグなんだもんよ。
なんか幼馴染がどうこうとか、どこで覚えたか知らん台詞ぶつぶつ言ってるし。
たしかに敵は集まりそう。あと因果レベルでなんか不幸が起きそう。
ほんとになんか起きたら笑い話にもならないが、いや、だからこそ……?
(毒食う虫は皿まで大好き……いや違う、毒を喰らわば皿まで、か)
多分今日はそういう日なんだろう。ジャガーノートはそう思うことにした。
ようは、相棒の素っ頓狂な振る舞いに、とことん付き合うことにしたのだ。
このレベルまで酔っ払った相棒を、元に戻せる自信がなかったとかではない。
ほんとだって。酔っ払いの介抱めんどくさいとかそういう話でもないって!
「やべえよやべえよ、親分の相手どいつもこいつも強すぎだよ……」
「俺らあそこいたら秒で死ぬって。マジっべえって」
「もう俺らこっそり穴ぐら戻って酒飲もうぜ」
とかなんとか言いながら、不まじめな盗賊どもがこそこそしていた。
しかしそいつらは、ちょうど穴ぐらの入り口近くに猟兵がいるのを見つけたのだ。
女と、鎧だ。片方はフラフラしている。なんだあれ。
《――……ふっ。なんだ、歯切れの悪いやつだな》
すると、なんか、黒い鎧のほうがザリザリノイズ混じりの音声で、
いかにも演技してますよー的な身振り手振りの芝居を始めた。なんだあれ。
《――ロク、言っただろう。本機と君は、一緒に生きて帰るのだと》
「え? そうなのか、ジャック?」
ジャガーノートは『えっここで本機に聞き返すの!?』的なリアクションをしつつ、咳払いっぽいモーションをして切り替えた。軌道修正した。
《――そうとも。本機の……嫁の、パインサラダを一緒に食べると約束したじゃないか》
「ジャックにはよめ? がいたのか……」
自分で生やした設定のくせに、ロクのふわふわ脳みそはもう抜け落ちていた。
ふーん、とか、なるほど、とか、せやな、とか言いながらこくこく頷く。
「ならジャック、ここでお別れだ。おれに構わず、先に行け……!」
(あれっ、ここ普通なら僕が一緒に残って戦う感じの流れにするとこじゃ???)
「安心しろ、おまえのよめ? は……おれより、つよい」
(嫁(架空)になんか設定増えてるんだけど!?)
ジャガーノート……もとい、"彼"は鎧の下で予測不可能なロクの路線変更にビビった。
やべえ。口裏合わせようとしても秒で裏切られる。どうすんだこれ。
しかしこんな時のため(?)の、ユーベルコード"ROLL PLAY"である!
《――ああ、そうさ。だから、本機がひとりで帰ったらどやされてしまう》
恐妻家ムーブ! これは強い! 実際かなりナイスなアドリブと言えるだろう!
システムによっては、なんか花束とかトランプとかもらえそうな勢いだ。
もしくは運命の糸とかがなんか……増える感じの……いや、さておこう。
《――ここまで来たら一蓮托生だ。必ず生きて帰るぞ》
「今度、一緒に海を見に行こう」
(あれやっぱり僕の軌道修正効いてないよね!? ていうかそれ、
戦友に投げかける言葉じゃなくて、どちらかっていうと片思い相手のじゃない!?)
ツッコミは鎧の下にしまいこむ、奥ゆかしく冷静な"彼"である。
《――ああ。嫁(架空)と、ロク、君と、三人でだ》
「よめはつよいからな……」
なぜかしみじみ頷くロクであった。
「なんだあれ」
「わかんねえ」
「いやでもやれそうじゃね?」
「やっちゃいますか」
「そのためのユーベルコード……あと、そのための石飛礫?」
「酒、暴力、REX!(あふれる恐竜への愛)」
山賊どもは、の、乗り気だ! なんかぞろぞろとふたりを囲んでいる!
こんなふにゃふにゃの、リレーSSみたいなちぐはぐ会話でも引っかかるのだ!
だって死亡フラグってそういうもの。悪党にとっては垂涎ものですよ!
《――来たぞ、ロク。君の作戦が成功したんだ》
「…………」
《――ロク?》
「……………なんで、あいつらはこっちに集まってきてる?」
《――…………ミッションを開始する、オーヴァ!!!!!!!》
ジャガーノートはツッコミを諦めた。代わりにトリガーを引くんだね!
「「「グワーッ!?」」」
ZAP! ZAPZAPZAP!! コミーなミュータントめいて抹殺される雑魚ども!
状況をよく飲み込めてないロクも、敵が来たなら斬る。寄らば斬るの勢いだ。
いや寄らなくても斬る。むしろ寄って斬る。どちらかというと酔って斬る。
千鳥足で(なのに怖いほどスピーディに)間合いを詰めてざーんと斬る。
地形効果入りの烙禍である。ふわふわなのに殺意はゴリゴリだこれ!!
「…………」
《――ひとまず、接近してきた敵は》
「……やったか!!!!!」
くわわっ。なぜか目を大きく見開いて突然叫ぶロク。
えっ、て感じで二度見するジャガーノート。増える山賊ども。
《――ロク》
「うん」
《――それは死亡フラグじゃなくて失敗フラグだから》
「うん?」
《――やめたほうがいい。いや、ていうかやめなさい》
「うん……」
若干またロールプレイが外れかけるジャガーノート。お母さんだこれ。
うん、うん、と明らかにわかってないふわふわ顔で頷くロク。攻撃はする。
《――死亡フラグは、重ねすぎると逆に生還フラグになるそうだが》
はたしてこれはどっちなんだ。ジャガーノートは淡々と思った。
周りには炎が燃え上がり、熱線が飛び交い、なんかもう死屍累々だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叶・都亨
ロゼくん(f01535)と
うわぁー!山賊だ!いやさっきも山賊だらけだったけど!
もろ山賊!お頭!生まれながらの悪い顔!
こんな顔で生まれちゃったらもう山賊になるっきゃない!!
悪いことしていいって意味じゃないけどね!
なんか俺…恵まれた環境にいたんだなって…
だって父さんかっこよかったし、母さん美人だったもん!
かくいう俺もほうら!プリティフェイス!(予定)
まあいいや!ロゼくんや、顔面格差ってやつを見せつけてやってよ!
後ろの方からめちゃくちゃ応援するぜ!
ひゅーひゅー!ロゼくんイッケメーン!
ちゃんとスナイパーと援護射撃もするよ!
【流星】もちゃんと…ギャアアア脱いでる!キモイ!
俺後方支援型でよかった…
ロゼ・ムカイ
都亨と
よく見ておけよ都亨 、散々奪って殺して回った極悪人のツラだ。
そしてこれから床に転がってサッカーボールにされちまうツラだ。
好き放題やったツケをここで払ってもらうぜ!
なんか急に家族の美形自慢始めたけどこれあれか、ブサメン親分への精神攻撃か?
一先ず、物資の中にある肉を拝借して食らうぜ。
そしてフードファイト・ワイルドモードを発動だ。
オキニの日本刀でその首落としてやんよ。
地面を蹴り込み縮地的な動きで接近!
あ?金だか女だか叫んでやがるが知るか!
渾身の一撃を喰らいな!!
●人は見かけによらずっていうけどまああいつオブリビオンだし
「うわぁーーーーーーーーっ!! 山賊だ!!!!!!!」
すさまじい大音声である。文字通り飛び上がっての驚きのリアクションだ。
いやさっきまで君が相手にしてたのも山賊ですよ感じの視線が叶・都亨に集まるが、
当の本人はそんなことさっぱり気にせず、愕然とした面持ちである。
なにせ、姿を表したのが、ザ・山賊って感じの蛮族だったから……!!
「もろ山賊! お頭!! 生まれながらの悪い顔!!! 天性の悪人顔!!
こんな顔で生まれちゃったら、そりゃもう山賊になるっきゃないよね!!」
「ちょっと待ててめぇそれは言いすぎだろ!!」
「お頭ちょっと泣いちゃったじゃんよ!!」
「言っていいことと悪いことがあるんだぞ!」
顔を覆う山賊親分。間に割って入ってなんかフォロー(?)を入れる山賊。
なんだこれ。
「いいや、よく言ったぜ都亨。そしてよく見ておきな。
あれが散々奪って殺して回った極悪人のツラ、どうしようもねえ外道の顔だ」
すかさず隣のロゼ・ムカイが、山賊どもを突き刺す言葉のナイフで加勢する。
さめざめと嗚咽する者もいる。このふたりには人の心がないのだろうか!?
いや、なんか山賊の反応で騙されがちだが、こいつらはたしかに極悪人であった。
生前からそうだったのかはともかく、被害者面するいわれなどない。
顔だけに。顔だけに~!!
さておき。
「そしてこれから、床に転がってサッカーボールにされちまうツラだぁ!
これまでさんざん好き放題やったんだ、ツケはここで払ってもらうぜ!」
と、ロゼはノリノリで言った。うまいこと言ってやったって顔だ。
事実だが、その言い回しと表情ではロゼのほうが悪人っぽいのだが!
「うわーロゼくんも言うねー、まあ顔がどうでも悪いことしていいわけないしね」
「顔を執拗に攻撃するお前に言われたかねえよ!」
なんてボケツッコミをしているふたり。山賊たちはもうプンプンだ!
「よくも、よくも俺様の、このプリティフェイスをバカにしてくれたなぁ!!」
「言うに事欠いてプリティ!? 言葉を開発した誰かに謝って!?」
「どんだけ時間遡るんだよ。あっちもこっちもふてぶてしいな!」
かくしてなんか、なだれ込む形で都亨・ロゼコンビのファイトがスタートだ!
そしてこんだけボコボコに罵詈雑言(本人はそのつもりはないようだが)をぶつけておいて、あろうことか都亨はスーッと後ろに下がった。
あまりにナチュラルかつ華麗、そしてスピーディな後退ぶりだったので、
敵の山賊どもはおろか、前に立つロゼすらも二度見したほどである。
「ロゼくんや、顔面格差ってやつを見せつけてやってよ!」
「ここでまだそこを攻撃すんのな!」
「ひゅーひゅー! ロゼくんイッケメーン!」
「よぉーし、ここはイケメンの俺に任せときなぁ!!」
乗せられるロゼも大概に、こう、ちょっとアレな猟兵である。殺到する敵!
「ちょいと肉を拝借、っと……もぐもぐ」
「「「てめえ呑気に最後の晩餐かぁーっ!?」」」
「食事中にうるせえぞてめえら!!」
「「「グワーッ!?」」」
迂闊にも飛びかかってきた子分の群れを、ロゼの刀がずんばらりと切り捨てた!
そう、彼はフードファイター。食事はすなわち戦いなのである!
「いい感じに熟成されて美味いじゃねーか。おかげでパワーが漲ってきたぜ!」
口元を拭い、不敵に笑うそのさまはたしかにIKEMENである。
「いやー、ほんと俺、恵まれた環境にいたんだなあ……」
一応スナイパーらしく、背後から弓や相棒への指示で支援攻撃しながらも、
都亨はしみじみとした様子で呟いた。主に、敵の顔面をガン見しながら。
「父さんはかっこいいし、母さんは美人だし!」
「おいなんか急に家族の美形自慢始めたぞあいつ」
「畜生、持つものはいいよなぁ~~~~!!!」
「あっ割と効いてるな!? ブサメン親分への精神攻撃大成功だ!」
「てめぇもぶっ殺す~~~~!!!!」
追撃するロゼに、青筋を浮かべまくって威圧する山賊親分。コワイ!
「かくいう俺もほうら、プリティフェイス!」
調子に乗った都亨は、自らの顔を指さしてにぱっ☆と微笑んだ。
……その瞬間、なんか急に、戦場に驚くほどの静寂が訪れた。
山賊も、あとロゼも都亨の方を見て、困惑というかいたたまれない顔をしている。
「えっ、何? この沈黙何!?」
「いやなんつーか……都亨、そのアピールはハードル上げてねえかな?」
「ロゼくん何それどういう意味!?」
「もうちょっと時期を見たほうがいいっつーか」
「だからそれどういう意味!? なんでちょっと言いにくそうなの!?」
世の中には色々ある。まだお酒が飲めない都亨にはわからない色々が。
それはさておき、この隙はチャンスだ。ロゼはぎゃーぎゃー騒ぐ都亨を置いて、
地面を踏み込み縮地(的な、なんかこうかっこいい動き)で間合いを詰める!
「ぬうおっ!?」
「金だか女だか叫ぼうが、知るか! 喰らえ俺の渾身の一撃ッ!!」
ズバァッ!! 防御しようとした山賊親分、だが刀の斬撃をまともに食らう!
何故? その答えは、後方――都亨による的確な支援射撃にあった!
「グワーッ!?」
「よっし、サンキューな都亨!」
「どういたしまして! ところでロゼくんさっきのアレ何!?」
「よし、この調子で頑張ろうぜ都亨!」
「うん頑張るよ! なんか脱ぎだしてるキモい!! でも俺頑張るよ!!
ところでさっきのなんなのロゼくん、ねえなんて顔見てくれないのロゼくん!?」
大人には、色々あるのだ……! まだ少年には、いろんな意味で早いのだ!
こう……なんか、成長というか、納品というか、そういうのを待つ……そんな時間も、必要なのだ!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シオン・ミウル
ネロ(f02187)と
うーん……
ネロも将来こんな感じになるのかなあ……
うわぁー、やなもん想像しちゃった。今のナシナシ
これ終わったら宴があるって言うし、楽しい事考えとこっと
え、上品? 気高い? 誰のこと言ってんの。笑わせないでよ
ま、安心してよ
さっきたっぷりサボ……休んでた分、今回はがんばるからさ
《全力魔法》で風を練りあげて、ネロの援護をしよう
たっぷり暴れられるようにしてあげるよ、ネロくん
さあ、がんばりたまえー
Tackを振るって歌うように言ってやろう。激励ってやつだよ、これ
やばそうだなって感じたら【奏風】で動きを止めよう
あんまり根性見せないで欲しいんだよなあ
さっさと終わらせたいんだからさ
ネロ・バロック
シオン(f09324)と一緒
なんだァ…?
この有りがちで小物の吐きそうな台詞を恥ずかしげもなく宣うのがコイツらのボスか?
まぁシンプルなのは嫌いじゃねぇけどな
おい、シオン。なんか失礼なこと考えてねェだろうな
俺はもっと上品で気高いっつーの、高潔さが違うんだよ高潔さが
「おかしいのはテメェの頭だぜ。俺らに見つかったのが運の尽きだと思うんだなァ」
遠慮しねぇ。力任せにぶっ潰す!
何度か刃を交合わせるぜ
傷つくことも有るだろうがよ、風の護りが俺を助けてくれる
その間に太刀筋の隙を見切って
覚悟をキめた2回攻撃をぶちかます
唯我独尊斬りでまかり通ってやる!
どっちの根性が上か勝負だぜ!!
●蛮性 VS 蛮性
シオン・ミウルは、腕組みし、顎に手をやって静かに考え込んでいた。
なにやら真面目な顔つきである。この少年にしてはとても珍しい表情と言える。
「うーん……」
「なんだァ、どうしたシオン。野郎の小物っぷりが気になンのか?」
そんなシオンの戦友であり相棒とも言うべきネロ・バロックの言葉に、
シオンはうーん、とか、なるほど、とか考え込んだすえに、こう答えた。
「いや、ネロも将来あんな感じになるのかなーって」
「ならねェよ! どんだけ失礼なコト考えてんだよ!!!!」
ゴォン!! と名無しの魔剣を地面に打ち付けつつ、ネロ、キレた!!
さもありなん。あの猟兵と大立ち回りする山賊親分を未来予想図にされるなど、
100人いたら100人がカンカンに怒ること間違いなしである。
なんだったら泣き出す人までいるかもしれない。ネロの怒りも納得だ。
「うわァー、言葉にしたらなんか具体的に想像しちゃった。やだなー、ナシナシ」
「お前全然悪びれてねェな!? いやいつも通りだけどよ!?」
あっけらかんとしたシオンの様子に、逆に毒気を削がれたネロである。
呆れたとも言うが。ともあれ、翼の少年はへらへらと軽薄な笑みで手を振る。
「これ終わったら宴があるっていうしさ、楽しいこと考えようよ。気にしない気にしない」
「言い出しっぺが言う台詞じゃねェだろそれ……だいたいなァシオン、
色々と考え違いをしてねェか? 俺があんな下品なオッサンになるだァ?」
ネロは、そんなことはありえない、とでも言いたげな自信満々の表情だ。
まあたしかに『やばい、俺もしかしたら毛むくじゃらでムキムキでしかも毛皮被っててゲハハ笑いの山賊になっちゃうかも』と悩むような少年少女はいないが、
それにしてもネロの自信はどこから来たのか見当がつかない。
訝しげな顔をするシオンに対し、ネロは不敵に笑ってこう続けた。
「俺はもっと上品で気高いっつーの、高潔さが違うんだよ高潔さが」
間。
「えっ?」
「は?」
「え? 上品? 気高い?」
「おう。上品で、気高いだろうが」
「…………」
しばらく呆然としたあと、シオンは……あっ、噴き出した! 大爆笑してる!!
「ぷっはははははは! だ、誰のこと言ってんの、笑わせないでよ!!」
「お前そこまで笑うことねェだろ!?」
「やばいやばい、戦う前に笑い死ぬ! ぶ、あはははははっ!!」
「そこ笑うとこじゃねーっつーの!! どう見たって高潔だろうがァ!!」
笑い転げるシオン、地団駄を踏むネロ、なんだこの絵面。
戦いの場でそれはどうなんだってのはさておき、いかにも若者らしいのは確か。
ずけずけと互いに物を言い合うのも、彼らなりの友情の証左なのだろう。
「――ってまとめたらいい話になるとでも思ってんのか、あぁ!?!?
まるで俺様が、なった瞬間お先真っ暗のバッドエンドみてーに言いやがって!!」
「「いやそれは事実でしょ(だろ)」」
すっくと立ち上がるシオン。ネロと声を揃えて山賊親分にツッコミを入れる。
ブチィ! 山賊親分のこめかみから、熱血が噴き出した! き、キレた!!
「このクソガキどもがァ、そんなにおかしいなら笑えなくしてやらァ!!」
ごぉう! と獣じみた雄叫びを上げ、筋肉の戦車となって襲いかかる!
「あぁ? おかしいのはテメェのその面と、おめでたい頭のほうだぜ!
俺らに見つかったのが運の尽きだと思うんだなァ――行くぜシオン!」
「あーあ、笑った笑った。はいはい、んじゃやりますとしますか。
ま、安心してよ。さっきたっぷりサボ……休んだぶん、今回は頑張るから」
迫りくる威容を前にしても、シオンとネロのペースはいつも通りだ。
そしてシオンがタクトを振るうと、途端に彼を中心に風が渦を巻いた!
見よ。風の渦はそのまま細いつむじとなって舞い上がり、蛇めいたうねりに。
それはより合わさりながら、見えず触れることも出来ない風の輪となるのだ!
「うおうっ!?」
まるで鞭のような風の圧に、殺戮戦車じみた山賊親分もたたらを踏むほど!
ネロはぎしりと獰猛な笑みを浮かべ、魔剣を担いで無造作に詰め寄る!
「おらおらおらぁ! 呑気こいてんじゃねえぞォ!!」
がつん! なだれ込むような荒々しいモーションからの振り下ろし!
山賊親分はかろうじてこれを斧で迎え撃つが、手に強烈な痺れが奔る!
「このガキッ、重い一撃くれるじゃねえか……!!」
「こんなもんじゃ終わらねえぞ? 次いくぜぇ!」
ガンッ、ゴッ!! 鋼と鋼が打ち合わさり、土砂崩れじみた轟音を放つ。
時折、動きを見きった山賊親分の斧が、ネロの体を両断しようとする。
だがそのたびに、生き物のように荒れ狂う風が刃を防ぎ、ネロを守るのだ。
「たっぷり暴れられるようにしてあげるよネロくん、さあがんばりたまえー」
「シオン! ありがてェけど、その気が抜けるアホな声はやめろ!!」
「えー? 激励してるつもりだけどなぁ、これ。さあがんばりたーまえー」
「妙な! 節を!! つけんじゃねえ!!!」
ガッ、ゴッ! と重い攻撃を打ち合いながら、ネロはぎゃあぎゃあと叫ぶ。
指揮者めいてタクトを振るうシオンは、そんな戦友の様子にけらけら笑いつつ、
山賊親分が必殺の一撃を狙おうとしていることを、目ざとく見抜いた。
「んじゃもう少し真面目にやろっか? はいよっと」
「ぐえええっ!?」
途端に風の輪がすぼまり、山賊親分の太い首を締め上げる!
筋肉が軋む。いかな巨漢とて、喉輪を抑えられればひとたまりもない!
「いくら蛮族みたいだからって、あんまり根性見せないんでほしいんだよね。
こっちはさっさと終わらせたいんだからさ。んじゃ、あとよろしくね、ネロ?」
「言われるまでもねえなあ!!」
悪足掻きじみた斧の一撃を、巧みな剣捌きで受け流して弾くネロ。
ぎらりと少年の瞳が燃え上がる。覚悟を以てさらに一歩踏み込み、巻き打ち一閃!
「がはぁあっ!?」
「もう一発だオラァ! 唯我独尊斬り、まかり通ってやるぜ!!」
剣閃は魔剣の重みを得てさらに疾く、鋭く! これがネロの我流剣術だ!
分厚い筋肉を断ち割る強烈な斬撃、骨に届いたか! 山賊は滂沱の血を吐く!
「さあ、どっちの根性が上か! 勝負を続けようじゃねえか!」
「手っ取り早く終わらせてほしいんだけどなー、やれやれ」
燃え上がるネロに対し、シオンは相変わらずの様子で肩をすくめた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アスト姉さん(f00658)と雑魚対応
何をやったかわからないなら何度でも分からせるだけ
書に【祈る】のは神罰と救済とお酒美味しい
光の雨で足りないなら、これなんてどうでしょう
普段は収束させる光を拡大し巨大な光の槌へ
巻き込む?
いえ、姉さんなら避けます
他は分かりません
姉さんどうしたんです?
お酒も飲んでいないのに、酔うはずないではありませんか
こうしていたら酔うかもしれませんけれど(放置されていたジョッキをぐいっと飲み干し)
いえ、大丈夫です
飲んだら覚えてないだけで、テンションは変わらないらしいですし
こんなに美味しいものを禁止だなんて
ひどいです
いじわるです
今日は飲むんです
さぁ、もうひと頑張りしちゃいますね
アストリーゼ・レギンレイヴ
【雑魚対応】
【妹のセレナ(f16525)と】
まあ飽きもせず出てくるものね
いいわ、潰えるまで相手をしてあげる
《漆黒の夜》と供に前へ
あたしのすることは変わらない
妹に迫る敵を薙ぎ払い、あの子の祈りを守
セレナ、ちょっと待って
今何か違う発言が混ざ(光の鎚を寸での処で回避)
容赦のない攻撃、ふわっふわした言動
これは、セレナ、
……酔ってるわね?!
お酒に弱いのは知っているけれど、匂いでも駄目とは……
それとも誰かが投げた酒の飛沫でも浴びてしまったかしら、って
やめなさい、そんな誰が口をつけたかもわからないお酒を飲むのは
ああ、もう
あとで付き合ってあげるから、今はこれ以上飲まないように
ね、ほら、まずは敵を倒しましょう?
●しっかりした人ほど大トラになると言いますが
ZANK! ZANK!!
降り注ぐのは光の雨。そう呼ぶにふさわしいほどの量の光芒である。
これなるは、刻器たるミトロンの書がもたらす、神々しくも恐ろしい裁きの光。
愚かしき罪人ども――すなわちオブリビオンは、ただ慌てふためき慄くのみ。
逃げ惑おうが、防ごうが、待っているのは破滅という終焉なのである。
(さすがはセレナね、こうして戦いを供にするたび、成長しているわ)
そんな光の雨を恐れることなく、敵陣の真っ只中を進む漆黒の戦士がいる。
アストリーゼ・レギンレイヴ。この光の雨を降らせる祈り子の姉であり、
いまはその闇の力を以て敵を圧し、半身とも云うべき妹を守る騎士である。
黒き剣が分厚い刃で大気を薙ぎ払うたび、あとには屍だけが遺されるのだ。
「それにしても、飽きもせず出てくるものね……まあいいわ。
すべて潰えて絶えるまで、あたしは戦う。あの子のためにも、ね」
敵の前に突き進むとき、アストリーゼが恐怖を抱くことはない。
背中に置くのが、愛する妹……セレナリーゼ・レギンレイヴならなおのこと。
むしろ誇らしげに、胸を張って戦える。姉は、それを嬉しく思っていた。
(きっとあの子も、同じように祈っているのでしょう。あたしはそう信じてる)
戦いのさなかにあっては迂闊だが、アストリーゼはふと背後を仰いだ。
それは決して油断などではなく、事実彼女がその程度で遅れを取ることはない。
ない、のだが……すみません、シリアスはこのへんで途切れます!!
ニコニコ笑っていた。セレナリーゼは、そりゃもう満面の笑みだった。
柔和な表情はそれだけでも可憐なのだが、あの、今は戦闘中なんですが……?
「ミトロンの書よ、私に力を貸してください。その魔力を我が意志のもとに。
私は祈りましょう。悪しきものへの神罰と救済、そしてお酒美味しい~」
んっ?
「あら、光の雨では足りませんか? ではこれなんてどうでしょう!」
「セレナ?」
「災いを呼ぶ者を過去に還し、世に平穏を取り戻し、お酒美味しいのために!」
「セレナ!?」
「ミトロンの書よ、祈ります! 刻器神撃・裁光降天――!!」
カッ! 天空がまばゆく輝き、辺り一帯を神々しくも照らし出した!
やばい。アストリーゼは戦士としての直感に従い、素早く後方へ跳躍!
直後……SMAAAAASH!! 光で出来た巨大な槌、つまりハンマーが地面に激突だ!
「「「グワワワーッ!?」」」
当然山賊どもはこれを避けきれず、その衝撃波で多くのザコが吹っ飛ぶ。
「ふふふ、さすが姉さんです! 避けると信じていましたよ!」
「ちょっとセレナ、ちょっと待って。いえたしかにあたしは避けたけど。
いまなにか違う発言が混ざってない? あなたいま何に祈っていたのか」
SMAAAAASH!!(光のハンマーがまたしても着弾した音)
「「「グワワワーッ!?」」」
「ふふふ! さすが姉さんです! 避けると信じていましたよ!」
「セレナ??? あなた普段の五倍増しで容赦なくなってないかしら!?」
たしかに避けられるんだが、いくらなんでも攻撃の手が容赦なさすぎる。
妹らしくもない。ならば激憤しているのかというと、なんか笑顔だし……。
ん、笑顔? うん、たしかにニコニコ笑顔だ。ふわふわとした表情である。
「ふふふ~。ミトロンの書よ~、私の祈りは決して尽きることはありません~。
悪しき者をその光を以て裁き滅ぼし~、そして美味しいお酒を守りましょう!」
SMAASH! SMAAAASH!! あたりはソドムとゴモラじみた終末的混乱に陥った!
「…………」
アストリーゼのこめかみを冷や汗が伝う。まさか、これは、いやしかし。
ありえない。だが、この状況証拠は、一つの結論を示している……!
「……セレナ」
「はぁい? なんですか姉さん、どうしたんです?」
「…………あなた、酔ってるわね!?」
妹は……酔っ払っているのだと!!!!
そんな姉の迫真の表情に対し、セレナリーゼはきょとんとした顔をする。
そしてこてん、と首をかしげて、心底不思議そうにアストリーゼを見上げた。
「はい? お酒も呑んでないのに、酔うはずがないではありませんか」
たしかにセレナリーゼは、まだお酒を口にしていない。ちょっと嗅いだだけだ。
そう、酒の匂いを、ちょっと嗅いだだけだ。だけなのに酔ってるこれ!!
「お酒に弱いのは知っているけれど、匂いでもダメとは……」
あちゃー、という顔に手を当て、光が降り注ぐ空を見上げるアストリーゼ。
おお神よ、もしおわすというなら、ハンマー降らせる前に酔い止めをください。
それか水をください。冷たい雨とか降らないとどうしようもなさそうです神よ。
「それとも、誰かが投げた酒の飛沫でも浴びてしまったかしら……って!!」
そこで妹に視線を戻したアストリーゼは、ぎょっとして歩みかかる。
そしてセレナリーゼがんくんくと豪快に傾けていたジョッキを取り上げた!
「あなた何してるの!?」
「姉さんが、私が酔っているなんてことを言うからいけないんですよ!」
「そこであたしのせいになるの!?」
「たしかに、こうしていたら酔うかもしれませんけれど、呑んでないですから」
「おもいっきり飲み干しているじゃないの!?」
ジョッキは空! 逆さにしても酒のしずく一滴すらこぼれ落ちやしねえ!
「ああ、もう。とにかくやめなさい、こんな誰が口をつけたかもわからないお酒を……」
「なるほど~、ではちゃんと樽から注いで飲めばいいのですね」
「そういう話はしていないの! 呑むのをやめなさい!!」
こうしてみると、いかにもアストリーゼは姉らしいと言える。
ほんわか笑って二杯目をイッキしようとするセレナリーゼを押さえつけ、
あれこれと説教しているが妹は当然さっぱり聞いちゃいない。
「いえ、大丈夫です」
「あたしまだ何も言ってないわよセレナ」
「呑んだら覚えてないだけで、テンションは変わらないらしいですし、私」
「正直そこもあたしとしては疑問だわ……」
「そもそも、こんなに美味しいものを禁止だなんてひどいです。いじわるです」
「呑む前から酔っていたでしょうあなた、ああ、もう!」
うんざりした様子で姉は頭を振り、そしてセレナリーゼの肩に手を置く。
「あとで付き合ってあげるから、いまはこれ以上呑まないように!」
「今日は呑むんです!」
「わかったから! ね、ほら、今は敵を倒しましょう!」
「そうですね、もうひと頑張りしちゃいますね。ドリルとか落としますか?」
「なんで光の形状をさらにえぐくするのセレナ!?!?」
暫くの間、山賊どもは弾幕シューティングめいた阿鼻叫喚に晒されたとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
ごついおっさんがひしめきあってるとかすごい絵面(たぶん)。
とにかく無限湧きどっかで限界はあるだろうから、配下を倒す方に集中しようか。
右手に打刀の「胡」、左手にナイフ(本体)「黒鵺」の二刀流。
基本動くときは【存在感】を消し【目立たない】ようにする。
胡で【暗殺】【鎧無視攻撃】のUC剣刃一閃で攻撃。もちろん【傷口をえぐる】もやってダメージ増で確実に倒す。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】頼りで回避。回避しきれないのは黒鵺で【盾受け】からの【カウンター】を叩き込む。
ちまちまとした倒し方になっちまうが、やらないよりマシだろ。たぶんな。
須藤・莉亜
「よし、もうひと頑張りってとこかな?はいほー。」
お酒の山が僕にはもう見えてるよ。あ、つまみは生ハムとかが良いかな。
血狩りのUCを発動。46人の僕で親分の血を吸い尽くしにかかろう。
分身の中にLadyをぶっ放す僕、奇剣で斬りかかる僕、深紅で縛り上げる僕なんかを混ぜて攻撃。
本体の僕は血飲み子と悪魔の見えざる手で攻撃していく。
もちろん全員【吸血】も狙っていくよ。
喉が渇いて来たら、そこらの雑魚盗賊を【吸血】して水分補給しとこう。
「一仕事すればその分お酒が美味しくなるんだよねぇ。」
まあ、血は別腹だけど。
露木・鬼燈
強敵との戦いの方が好みだけど。
まぁ、所詮は山賊。
期待できないよね。
何より雑魚が…うっとしい!
化身外装<骸晶>を展開。
宙に浮かび射線を確保。
長銃型魔杖に呪詛を集め、如意宝珠の魔力と演算でブースト。
<暴喰之呪法>をベースにした呪殺弾を発射。
命中すると対象を百足型の呪詛が内側から喰い殺す。
さらに絶命するまでに感じる苦痛と絶望を糧に類感呪術が起動。
雑魚を次々と喰い殺していくです。
呪詛の扱いには慣れてるからね。
呪殺なんかも得意なのですよ?
判を押したような作りのこいつらには最適っぽい!
次々と呪殺弾を撃ち込み、殺してゆく。
絶望と怨嗟の念で濃密で膨大な呪詛がっ!
この呪詛を捧げ、大百足を限定召喚。
喰い殺せっ!
クロト・ラトキエ
おっ。フラグ立てましたね?
盛大にフラグ立てちゃいましたね?
それでは、回収の時間と参りましょうか。
親分…?
親分というからには、別室でゆったりしながら他の街で奪った美味を肴に、
一等いい酒を飲んでいたという事…?
そうですよね?
そうに違いありません!
えぇい、言い訳など聞きません☆
(当たらなくとも掠れば上々、スパーンとナイフを投擲、口出し阻止)
何たる悪辣、何たる暴虐!
三度斃しても余りある!
(暴論の間にも子分に鋼糸をピシピシと)
…とまぁ、仕込みはこの辺にして。
初手から用いていたはトリニティ・エンハンス。
引き上げたは状態異常力。
毒の味…
美酒には及ばぬでしょうが、どうぞご賞味を。
二日酔いの心配は…無用ですよ?
●食って吸ってバラして斬る
山賊親分、いまだ健在! ザコに至ってはまだまだ増え続けている!
「うおおおおお!! 俺様は敗けねぇ! 骸団は不滅だぁあああ!!」
台詞だけ見ればかなり熱血、かつ善玉キャラっぽい発言だが、あいにく山賊だ。
しかも見た目はむくつけき大男で、筋肉もりもりマッチョメンの変態である!
「しぶとさは一級品っぽい? けどそれだけじゃ、強敵とは言えないよね~」
化身忍者である露木・鬼燈は呆れた様子でそう言って嘆息すると、
ぞろぞろと新たに現れた山賊どもを、堕ちた聖剣によってまるごと叩き斬る。
一体一体の能力は、当然ながらさしたるものではない。
問題は、数だ。鬼燈は、苛立ちを舌打ちで表しながら敵を切り裂いていく。
「ごついおっさんがひしめきあってるとか、もうなんか絵面がすごいな!
汗臭いし暑苦しいし、おまけにどいつもこいつもやかましいし……ったく」
ヤドリガミの青年、黒鵺・瑞樹のうんざりした呻きも無理からぬもの。
とはいえ、彼もまた剣豪としては一流の戦士。
手元がブレたかと思った次の瞬間には、抜き放たれた刃が敵をなます斬りである。
時折、目ざとい山賊が不意を打とうと死角に回り込もうとするが、
瑞樹の目を逃れるような輩はそうそういないし、仮にいたとして、
彼の優れた第六感と見切りの前では、大声で喧伝しているようなものだろう。
これでは、酒だ宴だに想いを馳せているどころではない!
……のだが、もうばりばり酒のこと考えている奴らもいるにはいる。
「みんなー、たぶんあともうひと頑張りだよー。がんばってこー、はいほー」
などと気の抜けた声で周囲の猟兵を激励するのは、ダンピールの須藤・莉亜。
自他共に認めるヘビースモーカー、かつ大酒飲みということもあり、
今回の事件に対する莉亜のモチベーションは(気だるげだが)割と高い。
……はず、である。なんだかんだ、大鎌を振るって敵を蹴散らしてはいる。
つまみは生ハムとかがいいなー、とか皮算用しているのは聞かなかったことにしよう!
「それにしても、あれですねえ。フラグ立てた割には、けっこうしぶといですね。
まあ回収はさせてもらいますが。ええ、私は絶対に見逃しませんので♪」
眼鏡をかけた優男――に見えるものの、実際は30がらみの男だ――こと、
クロト・ラトキエは、笑顔で不穏な台詞を吐いていた。やや怖い。
彼の武器は強靭な鋼糸であり、山賊の群れを絡め取ってはバラバラに引き裂く。
当然、血しぶきがクロトの白い肌を汚すようなことは、まったくない。
鮮やかですらある手際。そこには、何か黒黒とした怒りが感じられる……!
何って? そりゃあなた、お酒を独占されたことへの怒りですよ。
彼の頭の中では、すでにだいぶ敵の罪状(濡れ衣)が積み重なっているのだ!
ともあれ成人男子四人、まだ見ぬ酒と宴を夢見て山賊どもを斬っては棄てる。
虫のように湧いて出てくる軍勢の奥、あちこちに傷を負った山賊親分が高笑いした!
「ゲハハハハハ!! どぉだ、これが骸団の必勝戦法、名付けて数の利作戦だぁ!!」
「身も蓋もなさすぎるっぽい!?」
「うーん、さすが山賊。IQ低すぎじゃないかな?」
鬼燈、そして莉亜は、勝ち誇った様子の山賊親分に呆れ返っていた。
とはいえ、豪語するだけあってこの数は脅威的である。
なるほどこれだけの生成能力を誇るならば、ヤツの言葉通り、
街の一つや二つは一夜にして灰燼と帰すことが出来るだろう!
「っても、無限湧きにもどっかで限界はあるはずだよなあ?」
「ええ、しかし根比べを待っている余裕は(色んな意味で)ありませんよ」
瑞樹のこぼした言葉に、クロトは笑顔のままで頷く。
なぜならば? クロトは、おもむろにビシッと山賊親分を指さした!
「親分であるあなた! あなたは私たちがこうして戦っていた間も、
別室でゆったりしながら、他の街で奪った美味を肴にしていたのでしょう!?」
「はあっ!? いやたしかに隠れてはいたけどそんなこたしてねえよ!!」
山賊親分のほうが真面目な顔をしていた。クロトの発言には何の根拠もない!
「しかも自分だけ、一等いい酒を呑んでいたのでしょう?」
「いやそんなことがあるわけ」
「なにそれ、羨ましすぎるっぽい! 味もわからない貧乏舌のくせにずるいっぽい!!」
すかさず鬼燈がフォロー……いや、これはおそらくマジで言っている。
自称・味のわかる男として、豪快に呑むだけの山賊には我慢ならない鬼燈だ!
「まあ別にそんなことなくても殺しはするけど、そう言われると妬ましいよねぇ」
「ものすごく不服そうな顔でなんか騒いでるぞ、あの親分?」
莉亜にとっては、クロトの発言が事実なのかどうかは割とどうでもいい。
そんなことより、宴では何を肴にどんな酒を呑むのか考えるのに忙しい!!
とでも言いたげな莉亜を呆れた目で見つつ、瑞樹はちょっと山賊親分が可哀想に思えた。
まあ、だからといって、非道なオブリビオンを見逃すつもりはないが。
「いいえ、そうなのです。そうに違いありません! 言い訳無用ですよ☆」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ山賊親分を笑顔で威圧するクロト。コワイ!
なおも反論(というのもおこがましいが)を喚き立てる山賊親分に対し、
笑顔のままナイフを投擲した! 死刑囚の裁判だってもう少し理を聞くものなのに!!
「うおおっ!? あぶねえな!? ていうか一方的すぎるだろ罪の着せ方が!?」
かろうじてナイフを肌一枚裂く程度でかわし、山賊親分が一同を指差す。
じわり……残る三人からも、何やら怒気的なオーラが湧き上がった。
「こうなりゃとことん苦しめてぶっ殺すしかないっぽい……!!」
「お酒もいいけど血も欲しいからさぁ、キミからもらうね。体液全部」
「こいつらおっかねえな……だがまぁ、あいにく見逃すつもりはないんだ」
鬼燈、莉亜、瑞樹、そしてクロト。ここに四人の正義の猟兵が集った!
言いがかりにも程がある濡れ衣だが、悪を裁く時である!!
「うおぉおおおおお、なあめやがってぇええええ!!」
ごおう! と、大型肉食獣もかくやのすさまじい咆哮をあげる山賊親分。
あちこちの負傷がみちみちと嫌な音を立てて急速に再生していき、
ただでさえ暑苦しいマッスルがさらにパンパンに張り詰める。キモい!
そのパンプアップに呼応するかのように、ザコの増殖速度がさらに加速した!
「この期に及んでまだしらを切るとは、なんたる悪辣、なんたる暴虐!
三度倒しても余りある……いいえ、百度滅ぼしても足りないでしょう!」
「まだ煽るのかよ!? 考えておいたようにスラスラだなおい!」
鋼糸を振るい、子分どもを切り裂いて引き裂きながらアジテーションするクロトに、
瑞樹は何度目かわからないツッコミを入れつつ、刀を振るい殲滅を補佐する。
一度に複数の敵を殺すことは出来ないが、そのぶん確実性は高い。
たとえ少しでも、倒さずに放っておいては元の木阿弥だからだ!
「こうなったら僕も手伝うっぽい? 化身鎧装<骸晶>、装着! っぽい!」
なにやら変身ヒーローめかしたポーズを取った鬼燈の全身を、
禍々しく燃え上がる呪いの炎が覆い、そして一瞬にして内側から爆ぜた。
そこにいたのは化身忍者……ではない。長銃型の魔杖を雄々しく掲げる、
屠龍の忍ならぬ"龍骸の魔道士"。魔剣を核とした必殺魔法戦闘形態である!
「如意宝珠、魔力抽出と演算ブースト開始――呪殺弾生成、装填っぽい!
名付けて"暴喰之呪弾"ってとこっぽい? んじゃ、いっくよー!!」
BRATATATATATA!! 魔杖の砲口から放たれる、草木を枯らすほどの呪詛弾頭!
それは魔弾としての破壊力もさることながら、本質は呪詛にこそある。
被弾した山賊の弾痕から、めきめきと音を立てて百足型の呪いが現れ、
あるものは全身を締め付けて、またあるものは内側から食い殺していくのだ!
「おー、ナイスなユーベルコードだねー。僕もちょっと頑張ろっかな?」
それを見ていた莉亜がにへらと薄く笑うと、その目がぼんやりと妖しく煌く。
するとどうだ。気だるげな莉亜の像がブれ……分身が何人も現れた!
『やっほー』
『いやー喉渇いちゃったよー』
『いい獲物はいないかなぁ?』
声音こそは気だるげで呑気だが、分身たちと本体の目は炯々と紫に輝く。
すなわち、吸血衝動。蝙蝠じみて輝く、合計90と4つの目が……ぎらりと"獲物"を睨んだ。
「獲物はあれ。捕まえてみんなで味見しようか。ごーごー」
呪詛弾頭に悶え苦しむ山賊どもを、ある分身は白い対物ライフルで射殺し、
あるものは禍々しい奇剣で切り裂き、あるものは鎌で真っ二つに両断する。
まるで死の軍勢だ。血狩り(ブラッド・ハント)の化物どもだ!
「う、うおおおおお!? 来るな、来るんじゃねえぇ!!」
巨大な斧を振り回し、ザコを生み出し、山賊親分は呪詛と血の鬼を退けようとする。
だがその時……巨体が、出し抜けにぐらりとよろめいた……!!
何が起きたのか、他ならぬ山賊親分自身が理解できず、混乱した。
ただひとり、にこにこと微笑み続けるクロトを除けば、誰もがそうだ。
「まさかとは思いますが、私がただ伊達や酔狂でナイフを投げたとでも?
すべて"仕込み"ですよ。いかがです? 美酒とは異なる、毒のお味は」
……そう、あの素っ頓狂な弾劾と、やや不自然な投げナイフ。
最初から傷をつけ、毒の魔力を流し込むための演技だったのだ!
「て、てめえ……ッ!?」
「はは、こいつは一本取られたな! 敵を欺くには味方から、ってか?」
山賊親分は、背後から聞こえた瑞樹の笑い声に、背筋をぞっと冷たくした。
然り。彼はすでに背後にいる。身の回りを護らせていた盗賊は、もういない。
「悪いな、俺にもあんな派手なユーベルコードがあればよかったんだがね。
あいにく俺は、こうして斬って棄てるくらいしか出来ないヤドリガミなのさ」
自嘲めいて笑う瑞樹の横顔は、爽やかだがしかし刃物めいて恐ろしい。
たかが剣刃一閃と侮るなかれ。その鋭さ、疾さ、一流のさらに先を征く!
「う、うおおおお……うううおおおおおおおっ!?」
呪詛弾頭によって招来されたオオムカデ、そして迫り来る飢えた吸血鬼の群れ。
己がその一撃を防ぐすべがないと察した時……山賊親分は、恐怖に吠えた!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
夏目・晴夜
いくつもの街で皆殺しとは極悪すぎて流石の私もドン引きです
性格が悪いにも程がありますよ
大量の雑魚もニッキーくんなら苦にならんでしょう
一所懸命に雑魚を【怪力】で掻き分けて【なぎ払い】ながら
親分目指してブルドーザーばりに真っ直ぐダッシュで突っ走り、
『死の抱擁』で雑魚ごと親分を力いっぱいハグしたり
殴る蹴るなどの暴行を加えたりするスタイルで参りましょう
愛に飢えているから性根がねじ曲がり乱暴な行いに走ってるんでしょう、多分
なので愛情を受ければ受けるほどに戦意を失うかなとハレルヤ的に思うんですよね
でもムキムキの男はちょっと私の趣味ではありませんので、
私の代わりにニッキーくん、彼らに愛の贈与をよろしく頼みます
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
…うっわあ…なにあれめんどくさぁい…
どんだけいるのこれぇ…
…いーやもう。お酒も無事みたいだし、自重するのやぁめた。
こんだけわらわら雑魚がいるんなら、ボスだけ狙ってうのはやるだけ無駄ねぇ。
「だいたいあのへん」で雑に取り巻きごと吹っ飛ばしちゃったほうがいいかしらぁ。
…実は手に入れたはいいけど攻撃範囲広すぎてお蔵入りになってた装備、そこそこあるのよねぇ。
SSW世界のよくわかんないプラズマボムとか、シゲルのルーンを二乗して組み込んだ炸裂弾とか…他にもいろいろ。
いい機会だし、〇全弾発射でどっかぁんと在庫一掃しちゃいましょ。
…流石に、味方巻き込まないように気をつけはするわよぉ?
アテナ・アイリス
山賊親分は、この人数ならなんとななるはずね。
じゃあ、わたしは、雑魚どもの相手もしましょうか。
右手にアーパスブレード、左手にフレースヴェルグ・ブラスターを手に持って、【2回攻撃】と【誘導弾】で攻撃するわ。
剣と銃の戦い方の練習をさせてもらいましょうか。
防御は、UC【守護女神の煌めき】をつかって、全部かわしていきましょう。
「まあ、山賊親分にはちょっと同情するわね。」
「剣とブラスターの連携技よ。かわせるものならかわしてみなさい。」
「残念だけど、その攻撃は当たらないわよ。」
アドリブ・連携好きです。
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
なんだか人が多いかと思ったらやっぱり多かったみたい。
これだけ多いと動くのも大変。……うん、逆にもっと多くしてみよう。
人を隠すなら~って前に聞いたし、今回は近づくために協力してもらおう。
相手が数を増やすのにも合わせてこっちもリフレクション。
攻撃の威力だけを相殺して、数はそのままに。皆変装は山賊風にしてみよう。
相手とこっちでとにかく数を増やして、場を乱してから親分さんに接近。
山賊と装って暫く様子を観察。すぐに仕掛けると面白くな……気づかれるし。
必要なところで合わせるてみよう。
そうそう、パーティもあるし飲み物や食べ物はあるのかどうか確認しないと。
●バレット・アンド・マリオネット・パーティ
ズズン――!!
呪詛弾頭によって生み出された巨大な百足型の思念体が、地面に着弾した。
山賊親分を中心に、すさまじい衝撃波が放射状に巻き起こり、山賊を吹き飛ばす!
はたして先遣の猟兵たちによる攻撃は、山賊親分の致命打となったのか?
……その答えは、周囲の状況を見てみれば、ある一点に於いては明らかだ。
山賊の群れはなおも出現し続けている。眷属の召喚が収まっていない!
つまり――甚大なダメージを受けたことは間違いないものの、
山賊親分はいまだ健在。なんたるタフネス、そしてしつこさか!
「この人数ならなんとかなるはず、と思ってたけど……すこし不安ね。
こうなったら、徹底的にあの山賊どもを蹴散らすとしましょうか!」
状況を俯瞰していたエルフのパラディン、アテナ・アイリスは掃討を決意した。
この女、たしかにエルフはエルフだが、ただのエルフと思ってはいけない。
人呼んで"次世代エルフ"。オーバーテクノロジーを惜しみなく発揮し、
空を舞い万軍を光の中に飲み込む、超高機動型広域破壊エルフなのである!
「あらぁ、その様子じゃ一切合切吹っ飛ばしちゃうって考えなのかしらぁ?
ちょうどいいわぁ、あたしも自重するのはやめようと思ってたのよぉ」
と、なにやら超弩級に甘ったるいロリボイスが聞こえてきた。
見ればそこには、満面の笑み……しかしよく見ると実は微妙に目が開いている……を浮かべる、黒髪の女がひとり。
名はティオレンシア・シーディア。こう見えて生粋の戦場傭兵であり、
とある街でフィクサーとしてバーを経営する、やり手の女主人でもある。
当然ながら、ティオレンシアの得物は銃だ。何の変哲もないリボルバー拳銃。
これを神業的なファニングとリロード技術で、マシンガンにも比肩するほどの連射と広域破壊をもたらすのが、ティオレンシアのスタイルである。
つまり、プラズマ銃とリボルバー。使う道具は似ているようで異なれど、
アテナとティオレンシアがもたらす結果は同じ、というわけだ!
「うおおおおお!! お頭を守れぇー!!」
「猟兵なんぼのもんじゃーい!!」
「骸団の最高最強なところを見せてやるぜぇー!!」
山賊親分のピンチに召喚された山賊どもは、まさに意気軒昂そのもの。
獣じみた雄叫びをあげ、山刀を振り上げ土煙とともに進軍してくるのだ!
まさに豚の大移動……あるいはバッファローの群れというところか。
そのひとりひとりが、髭面のむくつけき野郎だというのだから気味が悪い!
ティオレンシアとアテナがそれぞれの武器を構えたまさにその時、
盗賊の軍勢めがけ、戦車じみた勢いで猛進する巨大なフォルムが現れた!
見上げるほどの巨体、そしてはちきれんばかりの筋肉もりもりマッチョマン。
しかしてその顔は、パッチワークめいたツギハギのうさぎ耳仮面で隠され、
衣装はといえばパッツンパッツンのオーバーオールに長手袋である。
どこからどう見ても、人里離れたロッジに隠れ住むシリアルキラーか何かだ。
「さすがニッキーくんですね、この程度のザコでは苦にもなりませんよ!」
ブルドーザーのような勢いで雑魚を吹き飛ばし突き進むマッチョ殺人鬼……もとい、
『優しく可愛いニッキーくん(ここまで正式なアイテム名)』の勇姿を、
その使い手である夏目・晴夜は誇らしげに見つめていた。
そう、このどう見てもシリアルキラーな見た目のマッチョメン、
恐ろしい……もとい奇妙なことに、実はれっきとしたからくり人形なのである。
時々ひとりでに動いてる? まあそういうこともある。計算されてる角度とか。
「うっわあ……なにあれ、パワフルすぎじゃないかしらぁ……」
筋肉と筋肉、髭と人形のぶつかりあいに、ちょっとヒき気味のティオレンシア。
「ふふ、けど悪くないわね! おかげで連中が近寄ってこないし!
……まあちょっと筋肉密度高すぎる気はするけれど! 一応味方だしね!?」
一方のアテナは好意的な反応であった。……好意的のはずである。
ちょっと無理してフォローしてる気配がある? 気のせい気のせい。
「ほほう、ニッキーくんの可愛さに気づくとは、なかなかお目が高いですね!」
「「かわいい……?」」
「どこからどう見ても可愛いでしょう? それに優しいし、強いんですよ。
なにせこのハレルヤの人形なのですから。あんな極悪人どもとは大違いですよ」
と、晴夜はもっと褒めろそれが当然なにせ私なのだからって顔で勝ち誇る。
さりげなく極悪人とかなんとか山賊どもディスっているが、
実は彼もドSで意地が悪いという点に関してはなかなかなものであることは置いておこう。
ともあれニッキーくんの主導(物理)のもと、三人は群れをかき分ける!
「そろそろあたしも仕事しないとねぇ」
「そうね……ってなにそれ!? どこから取り出してるの!?」
アテナはぎょっとして、ティオレンシアのほうを二度見した。
どこにどうやってしまいこんだのか、出てくる出てくる超威力の兵器の数々!
スペースシップワールド原産のなにやら危険そうなプラズマボムを始め、
明らかに超威力を込められた炸裂弾頭などなど、まさに火薬庫という具合である。
「一度手に入れたはいいけど、攻撃範囲が広すぎてお蔵入りにしてたのよぉ。
こんだけ敵がいるなら、『だいたいあのへん』で撃って吹き飛ばしたほうが楽でしょお?」
ぽーい。雑に放り投げられたプラズマボムが、敵頭上で起爆!
ZAAAAAP!! 蜘蛛の巣めいた稲妻の網に呑まれ、敵の一角が黒焦げ消滅!
「……あー、まあ、そうね! 派手なのはいいことだと思うわ!」
細かいことは水に流したアテナ、ぐっとサムズアップして笑った。
あまりの破壊力にちょっとヒいているアテナだが、そんな彼女も得物は熱線銃。
もう片手には水のように透き通った刀身の"アーバスブレード"を構え、
人体などバターめいて切断しながら踊るように敵を切り裂き射殺焼却する!
「剣とブラスターの連携技よ? そこに人形タックルと火線もついてくるわ!
かわせるものならかわしてみなさい。避けさせるつもりなんてないんだけどね!」
言葉通り、アテナの斬撃は常に敵の急所を捉え、銃口は敵陣を貫く。
その一方で、山賊どもの反撃は、守護女神の啓示に従い突き進んでかいくぐる。
万が一死角を取られたとしても、不逞な輩はニッキーくんが圧殺だ!
「ニッキーくん、あの極悪で下賤でキモくて可哀想な人たちを、
その優しく愛らしい体で受け止めてあげてください。で、絞め殺してください」
メキメキメキメキィ! 盗賊をベアバッグして引き裂く人形の暴威!
「ミンチよりひどいわぁ」
「……抱擁? プレスの間違いよね?」
「とんでもない。彼らは愛に飢えているから性根がねじまがり、乱暴になったんです。
なので愛情を受ければ受けるほどに戦意を失うはずなんですよ。多分」
「「多分……」」
「いやまあ、別に違ってもいいんですけどね。私、ムキムキの男はノーサンキューなので。
というわけでニッキーくん、どうぞハレルヤの代わりに愛の抱擁をよろしく!」
ごうーん。邪魔者を吹き飛ばし、抱きしめ、そしてベアバッグ(敵は死ぬ)。
途端に山賊どもは足並みを乱した。しかし何か様子がおかしい……。
「おい、もっと連携して戦え!」
「お前ら! 俺たちと一緒にあいつらを……ん? お前らなんかおかしくね?」
「おいこいつら仲間じゃなアバーッ!?」
なんか敵陣の一角で不穏な同時討ちが発生している!
「あらぁ、仲間割れかしらぁ? まとめて吹き飛ばすチャンスかしらねぇ」
「そうですね。やっちゃいましょう。さあ存分に、こう、バーンと」
「そそのかしちゃダメでしょ! 何か様子がおかしいわ、あれはまさか……」
銃を構えるティオレンシアと、それを煽る晴夜をなだめつつ、アテナは見た。
盗賊と盗賊……いや、違う。一方はよく見ると、盗賊に擬態したからくり人形だ!
「なんだか人が多いと思ったから、逆にもっと多くしてみたけれど。
うん。作戦成功? 人を隠すなら人の中、っていうのかな……」
盗賊に変装した人形たちを指揮するのは、一見すると令嬢めいた少女。
その名は神元・眞白。彼女自身もまた、ミレナリィドールの猟兵なのである!
【伏兵】に気づいた山賊どもは慌てて彼女(と人形たち)を排除しようとするが、
それは見越した上での潜伏。ミレナリオ・リフレクションが攻撃を阻む!
「みんな、もっと暴れて増えて、とにかく場を乱してしまって。
パーティって、そうやって騒ぐのがマナーだって、聞いたことあるし」
「これはパーティとは違うんじゃないかしらぁ……?」
「なんにせよチャンスね、このまま切り込むわよっ!」
「そうですね、ニッキーくんの暴力(あい)を親分さんに届けませんと」
呆れるティオレンシアをつっつき、アテナと晴夜も戦線を一気に押し上げた。
やや天然、もといポンコツ、もとい独特のノリの気がある眞白だが、
今回ばかりはその奇策が功を奏した、と言えるだろう!
「……ところで、飲み物とか食べ物はあるのかな。持ち込み歓迎?」
いまいちずれたことを言う彼女を加えて、四人は敵陣を矢のように駆け抜ける!
刃が、銃が、筋肉が、人形が踊るたび、敵の数が増えその勢いは増すのだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルジャンテ・レラ
ガラットさん、ご無事のようで何よりです。
はい。必ずや。
しかし聞き捨てなりませんね。
あなた方が盗んで呑んだ酒も、職人が丹精を込め作った代物でしょう。
"パチった"などという言葉はよくわかりませんが……
潔く償ってください。
盗賊は数が多いですが、戦力としては雑魚。
この際捨て置きます。
盗賊の攻撃から身を守りながら山賊頭のみ狙いましょう。
先ずは両脚を狙い体の動きを鈍くするよう試み、次いで両腕を。
麻痺毒の効果が表れれば御の字ですね。
その後は千里眼射ちでダメージ重視の一矢を。
このような下劣な輩でも、慕う手下は大勢いるのですね。
不思議なものです。
私には到底理解が及びませんが……。
オニバス・ビロウ
つい酒の話に興じてしまったが、本来の話の本筋は…
ああ、人の形をした鬼を斬らねばならぬという話だったな
だがこれは乱戦と化してきたな…ならば共に行くか、雪手亡
これだけ大量の悪鬼がどんどん出てくるだけの広さ、そして猟兵が暴れまわっても大丈夫なほどの頑丈さがある場所なのだ
馬のお前が暴れたところで…何も問題はあるまい
乱戦に馬…これもまた戦の華と言えよう
UC白馬の王子様を使って味方の元へ駆けていこう
駆け寄るついでにあの親分らしきモノも跳ね飛ばそう
この程度で死にはしないだろうが、馬に飛ばされることで相手の虚をつき、隙を生み出せれば儲け物だろうか
その隙に下馬し、更に斬りかかりたいところであるが
(アドリブ等歓迎
三咲・織愛
わぁ。心臓をむしり易そうな御仁ですね
2個3個も街を皆殺しにしただなんて……百万回むしっても足りませんね
つまり百万回むしっても良いということです。そうなんです
握る!潰す!!むしりとる!!! と殺気を乗せた声をあげる事で自身を強化した気になります。重視するのは攻撃力です。
今日の私は素手の気分ですので
ノクティスはそこで見ていてね
【ものすごく痛いこと】をしますね
ガッと顔を掴んで地面に叩きつけます。叩きつけます。叩きつけます
何度も何度も叩きつけます。びったんびったんします。
反省してますか? え? してない?
そうですか
反省しました? してない? するつもりもない?
仕方ありませんね
するまでびったんしますね
●王子様は見た!
「おかしい……」
銀髪の少年、アルジャンテ・レラはシリアスな表情でそう呟いた。
見た目こそまったき人間だが、その実彼は造られしモノ、命なき人形である。
ミレナリィドール。ひび割れた感情回路を持つ、知識と感情の探求者。
そんな書痴にとって、この世界は多くの未知が秘められた場所であり、
だからこそ思い悩むことも多い。
そんなアルジャンテが訝しむのだから、これはもう重大な事態に違いない。
「織愛さんはあんな暴力を人の形に捏ねたような方だったでしょうか……?」
おっと雲行きが怪しいですね? アルジャンテの視線を追ってみましょう。
人垣めいて立ちはだかる山賊の群れ、群れ、群れ。
なにやらグレネード弾の炸裂音やら、人体を引き裂く筋肉の音やら、
あとプラズマ銃が何もかもを消し飛ばす不穏な轟音が別方角から聞こえるが、
それはさておいて群れは健在である。いや、健在だった。もういない。
エルフの少女が近づいて、掴んで、握力で捻り潰してぶん投げたからだ。
暴力であった。あまりにも無慈悲な、天才めいた暴力である。
「……やはり、おかしい……」
アルジャンテは考える。もしやあれは、何かのユーベルコードの暴走?
しかし真実はもっと、シンプルでくだらないものだったのだ……!!
一方その頃、同じ風景を別の角度から目の当たりにする者がいた。
「……あー、雪手亡よ。あの娘は、その、なんだ……すごいな?」
光り輝く白き愛馬にまたがる剣豪、あるいは王子様である時代がかった男。
この者、名をオニバス・ビロウと云う。藍色の瞳に金髪、そして浅黒い肌。
双眸は剣を振るう者にふさわしく鋭く、凛々しく、そして力強い。
のだが、その厳しい顔も、やや困惑気味にハの字繭になっていた。
なにせ可憐な、とても細身で柔和そうなエルフの少女が、暴力だったのだ。
いや語彙力が多少壊れた。暴力を振るって、道を物理で開いていたからだ。
実はこのエルフの少女、三咲・織愛という猟兵の槍手である。
普段はおしとやかで、年頃にふさわしく好奇心旺盛な性格なのだが、
なんでだかはちゃめちゃな握力で暴威を振るうサヴェッジな乙女であった。
「……握りつぶして、おるな。人体を。あれは益荒男か何かか……?
あるいは猟兵とはそういうもの、なのか? ううむ、なんとも面妖な……」
オニバスは唸った。見た目で人の多寡を測ってはならぬということか。
いやだってすごいもの。細い指先でぐって握ると、あーあミンチよりひどい。
とはいえ、あんな若い少女に、最前線を任せるのは、天狐に力享けし者の名折れ。
「何が何やらだが、とにかく我らも駆けよう。行くぞ、雪手亡!」
拍車をかけられた愛馬は前足を高く掲げいななき、戦場をひた走る。
道中の敵は、すべて蹄で蹴立てて薙ぎ払う。それが愛馬の征く道だ!
……その道が暴力のせいで割と血みどろで汚れてるのは、見なかったことにしよう!
ところで、そんな感じで少年と剣豪を困惑させている暴力、もとい織愛。
そもそも彼女はなぜ、立ちはだかる敵を握って潰して引き裂いているのか?
本来の彼女は、相棒である藍色龍『ノクティス』を槍に変化させて戦う。
時々ダイヤモンドみたいな硬さのパンチで敵を物理的に砕いたりもするが、
あくまで基本は槍なのだ。こんなパワープレイは時々しかしない。
「皆さんもきっと、あの親分さんと一緒に悪いことをしたんですよね?
なら、むしりますね。してなくても、むしりますね。心臓とか、頭を」
そのエルフの少女は、満面の笑顔で物騒極まりねえことを言っていた。
あまりの"圧"にビビり散らした山賊どもは悲鳴を上げて迎撃するのだが、
あいにく起きるのは、織愛が宣言した通りの出来事であり、つまり暴力である。
「さあ山賊親分さん! どこにいるんですか? 出てきてください。
出てこないとむしりますよ! 心臓を! もしくは、他の臓器を!」
「いやなんでいちいち五臓六腑を狙いにかかるんだよぉ!?」
ぬっ、と姿を表した山賊親分、さすがにこらえきれずにツッコミを入れた!
織愛はどうしたか? にこりと柔らかく微笑んで、そちらにずんずん進む。
傍らには『ほんとに大丈夫なのかこれ』って言いたげの藍色龍が飛んでいるが、
なんだか今日は素手の気分らしいので、ノクティスは見学勢である。
「いくつも街を滅ぼして皆殺しにしただなんて、百万回むしっても足りませんね。
握り、つぶし、むしり取ります。むしろ! 取り!! ます!!!!」
「だからなんだよその力強い宣言は!? こえーよ!!」
くわわっ、と目を見開いた織愛の"圧"にたじろぐ山賊ども。
一体織愛に何が起きたのか? それはとてもシンプルでわかりやすい!
それはさておき、そこへまず、アルジャンテの放った矢が降り注いだ!
「ハイ、ヨー! 雪手亡よ、お前の健脚を見せてやるがいい!」
さらにオニバスの到着だ。高らかにいななく白馬の前足が盗賊を打ち払う!
振り下ろされた蹄は、腰が引けまくっていた山賊親分をしたたかに打ち据えた!
「グワーッ!?」
「特製の麻痺毒入りの矢です。そう簡単に身動きは取れませんよ」
然り。すでにその手足には、アルジャンテの矢が突き刺さっている。
白馬に蹴られた衝撃も大きい。山賊親分は、がら空きの隙を曝け出している!
「チャンスですね。では、ものすごく痛いことをしますね」
「織愛さん?」
「むっ?」
そこでなんか不穏なことを言いだした織愛のほうを二度見するふたり。
一方の少女は、ずんずんと決断的な足取りで山賊親分に間合いを詰めると、
細い指でその顔面をむんずとアイアンクローし、持ち上げて、下ろした。
KRAAAASH!! いやだいぶ語弊がある。正確にはその体を地面に叩きつけた!
「グワーッ!?」
「まだまだですよ」
KRAAAAASH!! KRAAAASH!! KRAAAASH!!
「グワーッ!? グワーッ!? グワーッ!?」
おお、おお……まるでどこぞの北欧神話のトリックスターめいて、
顔面を握りしめられながら右に左にと地面にパウンドさせられる山賊親分!
暴力である。あまりにも圧倒的な暴力であった。
「…………そこな少年よ、あの娘はお前の知己か?」
「えっ。はい、そうですが……」
ふと、傍らに降り立ったオニバスに問われ、アルジャンテは答えた。
ふたりの視線の先では、織愛が笑顔のままものすごく痛いことをしている。
つまり、その握力で、相手を掴んで振り回してぶん投げている。
「なんだかすさまじい怪力の持ち主のようだが、アレは一体……」
「いえ、それが私も、織愛さんの様子が妙だと思っていまして」
つまりあの暴力は、おそらく普段の織愛の振る舞いには程遠いということか。
オニバスはそれを見守ってしばし沈思黙考したのち、ふと呟いた。
「……酔っているな」
「え?」
「あの娘、酔っている。まさか匂いだけで……?」
「ええ……」
そう。織愛は、どうやらとんでもなく酒に弱かったようなのだ!
「……まあ、あれなる人の形をした鬼には、ああして痛めつける必要もあろう。
いや少々、だいぶ、かなりやりすぎな気がしないでもないが。うむ、まあ、うむ」
思えば、今は傍らになき愛する妻も、ちょっとあんな一面があった気がする。
……ほんとか? 妻恋しさにちょっと記憶捏造してないか?
オニバスは自分の記憶力が少し心配になったが、口には出さないことにした。
「あの山賊の親分が言っていた、"パチった"とかいう言葉もそうですが、
なんだか不思議なことだらけですね、今回の仕事は……あれが、酔いですか」
右に、左に、山賊親分を投げて叩いて潰している織愛。笑顔である。
酔うとああなるのか。アルジャンテはまたひとつ間違った理解を得た。
「ですがあの痛みで、潔く償ってくれるならばなによりですね」
「それはない気がするのだがなあ……」
「グワーッ!! グワーッ!? グワーッ!!」
「まだですよ。まだまだいきますからね。まだまだ痛いですよ」
しばし、山賊親分の悲鳴が響き渡ったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
一郷・亞衿
“欲望に任せた叫び声をあげる”ことで攻撃を強化する。
……なら、首を絞めるなり口を塞ぐなり、あるいは口腔に何か詰め込むなりして声を発せなく出来れば『強欲の叫び』は使えなくなるよね?ついでに手下を“呼ぶ”ことも出来なくなりそうな気がする。
『デッドマン・ダウン』を発動!
奴に滅ぼされた街の人々の亡霊を召喚して、山賊親分の声を出せなくするべく首を絞めたり口を塞いだりさせよう。
因果応報、己が滅ぼした街数個分の<呪詛>をその身に受けろ!
あちらさんも重々承知してるとは思うけど、戦いは数って奴だよね。
大量の猟兵たちからの攻撃を無防備な状態で一斉に喰らったら果たして彼はどうなってしまうのか!正解は180秒後!
アーデルハイト・フレイ
自ら罪を自慢するとは、もはや裁判の必要もなし
処刑人の義務を遂行するとしましょう
相手が手下を呼ぶというならばこちらも同士を呼びましょう
「十字架に架けろと言う人々」はただの武装した暴徒ではありません
斧や棍棒等思い思いの武装をし咎人殺しの手助けする勇敢なる戦士たちです…民兵や私兵とも言います
本来は痛めつけて捕らえ、十字架にかけた後
私が処刑するのですが今回その必要はありません
禁じる事はただ一つ「楽しむ事」粛々と遂行してください
子分は群集に任せ私は山賊親分を狙います
【部位破壊】…斬首を極めんとするフレイ家咎人狩りの技巧を見せましょう
「名も知らぬ賊よ、頭を垂れ首を差し出すならば楽に逝けることを約束します」
エドゥアルト・ルーデル
ヒャッハー!ユニークボスだー!
レアアイテム持ってんだろ!?もっとだ!もっと寄越せ!
可愛くねぇ山賊がどんどん出てくるでござるね
そんなに処理落ちしそうな勢いで無駄に増やしたら…ほら見ろ!【物理演算の神】がお怒りだ!【お戯れのバグ】が来るぞ!
ある者は天高く射出され、ある者は体が異常に伸び縮みし、ある者は地面にめり込んでブレイクダンスを踊ってこれは…地獄絵図
部下が封じ込まれた…封じ込まれた?今がチャンスでござるね!
ヒャア がまんできねぇ【スナイパー】でヘッドショット決めつつ浮いてる部下共を踏み台にして【空中戦】!華麗な空中殺法を見せつけますぞ!
ただ拙者もバグで空中を歩きだしても気にしないでくれよな!
●時として奇跡的なコンビネーションも生まれる
そんな感じで暴力によって徹底的に痛めつけられた山賊親分。
ほうぼうの体でなんとか逃げ出したはいいものの、なんかもう心が折れていた。
「ひ、ひでえ、ひでえよぉ、猟兵なんなんだよぉ……」
地面に突っ伏して、おいおいと嗚咽を漏らす山賊親分。顔はボコボコだ。
「いったい俺様が何をしたってんだよぉ、ちょっと奪って殺しただけじゃねえかぁ……」
「それは本気で言っているのですか? だとすればなおのこと裁判の必要はなし」
ざしゃり。そこに現れたのは、処刑剣を携えた、怜悧な風貌の女である。
アーデルハイト・フレイ。その身、咎人殺しなれど本来の意味のヒトに非ず。
葬送の剣を本体として化身したヤドリガミ。つまりは理想的処刑人だ。
「自ら罪を明らかにしたのはよし。ですがそれを自慢するのは言語道断です。
あなたに反省の余地が無いことはいまので知れました。処刑人の義務を遂行します」
「な、なんだぁてめえ!! おい、お前ら、来やがれぇ!!」
途端に、ぞろぞろと無数の山賊どもが駆けつける。その数200以上!
あっという間にアーデルハイトは周囲を囲まれるが、ただ相手を睨めつけるのみ。
「――手勢を呼べるのが、あなただけだと思いましたか?」
怜悧な女は淡々とそう言い、おもむろに処刑剣を掲げた。
「"彼の者の魂を救うためには、何が必要だ! 者ども、応えよ!!"」
びりびりと肌を震わせる大音声。当然、盗賊どもはそれを鼻で笑うのみ。
だが。盗賊のものではない、誰かの……いや、多くの人々の声が、聞こえてきた。
『死だ』
『死の他に非ず』
『死こそが汚れた魂を救済する!』
はじめはひそやかに、やがてそれはさざ波めいて連なり大きくなっていく。
おお、見よ。アーデルハイトの周囲に、篝火を掲げる人々の群れが現れた!
『死だ!』
『死の他にない!』
『死を! 罪を裁く死を彼の者に!』
十字架に架けろ(クルシファイ)。
磔刑にせよ(クルシファイ)!!
「な、なんだぁこいつらはぁ!?」
「民兵。私兵。呼び方はどうでもいいですが、彼らはみな勇敢な人々です。
この私を、ひいては咎人を殺すための職務を手助けしてくれる、勇気ある者たち」
あるいは暴徒の群れ。それはアーデルハイトの制裁に呼ばれしモノたち。
身に帯びた武器は棍棒や斧などいまいち心もとないが、その眼差しは固く、
口々に叫ぶ処刑の熱望たるや、欲望にたぎる山賊のそれをたやすく超えるほど!
「者どもに命ず。"楽しむなかれ"。ただ粛々と、行為を遂行すべし」
『『『然り! 然り! 然り!!』』』
数は圧倒的な差である。だがその熱狂的な怒りは山賊の非ではない!
群衆の怒りが、咎人に対する憎悪が、今まさに解き放たれようとしていた!
これに対し、山賊親分はありったけの力を腹に込め、雄叫びをあげんとした。
戦いの趨勢を決めるのは数、そして士気だ。戦意は高ければ高いほどいい。
親分である己が、敵を圧するほどの咆哮をあげれば、手下はそれに追従する。
そして敵の意思を砕く。それは武器を用いない、しかしれっきとした戦いなのだ。
「――だからさ、お前が一言も喋れなくなれば、それはもうどうしようもないよね?」
胸板が一回り近く膨らみ、大気を聾する大音声が解き放たれようとしたその時。
いつのまにそこにいたのか、群衆の中から進み出る女子高生が、言った。
「何を叫ぶか、誰に叫ぶかなんて関係ない。ようは声を出せなければおしまい。
首を絞めるなり口を塞ぐなり、それか猿轡でもしてやれば完封じゃない?」
マスクで口元を覆った女子高生、一郷・亞衿が勝ち誇ったように云う。
するとどうだ。暴徒たちは、子分どもではなく山賊親分に立ち向かっていく!
「な……なんだぁ!? この、雑魚どもがぁ!!」
まとわりつく20と1体の暴徒を斧で薙ぎ払おうとする山賊親分。
だが体を真っ二つにされながらも伸ばされた暴徒の手が、その口を……塞いだ!
「はい実証成功! 慢心は死を招く、ってぇことで! カモン、亡霊の皆さん!!」
パチン! と亞衿が指を鳴らすと、群衆に紛れて現れたのは……おお、おお!
「あれは……なんと禍々しい亡霊の群れ……!」
アーデルハイトは息を飲んだ。亞衿のユーベルコードによって現れたのは、
みな無惨にも殺された人々の群れ。老若男女、人種種族を問わぬ犠牲者たち。
「"デッドマン・ダウン"。あたしがユーベルコードの欠点を実証することで、
そいつに恨みを持つ人たちが力を貸してくれる。あなたの"それ"みたいにね」
亞衿はアーデルハイトの視線に、どこか妖しい瞳を返し、くすりと笑った。
……そうだ。この亡霊たちはみな、山賊どもに殺された犠牲者の成れの果て!!
『許さない』
『許さないぞ』
『お前たちを絶対に許さない』
おお、おお。亡霊どもは山賊親分を、さらには周囲の山賊どもを圧倒する!
「う、うおおおおおおっ!?」
「お前の処刑を望むのはこんな数じゃない。因果応報ってやつだよ!」
「……そうですね。その重き罪を裁くことこそ、フレイ家処刑人の責務……!」
ふたりは身構える。周囲の山賊ども――すでに召喚されていた残存個体ら――が、
亡霊どもを振り切り、ふたりめがけて殺到しようとしていたからだ!
……していたはず、だったのだ。
が、突然、そいつらは前触れもなくずどーん!! と天高く跳ね跳んだ!?
「えっなにあれ!?」
「間欠泉……?」
訝しむアーデルハイトと驚愕する亞衿。だが奇怪な現象はそれに留まらない。
あるものはなんかものすごい勢いで体がぐにょーんと伸びたり縮んだりし、
またあるものはいきなり頭から地面にめり込み、手足をばたつかせている! コワイ!
「可愛くねぇ山賊どもの可愛くねぇ神罰がどんどん出てくるでござるね!」
見よ! 爆撃機群を従えて現れた新たな山賊……いや違う、猟兵!
エドゥアルト・ルーデルだ! この怪現象は彼の力なのか!?
「これ何が起きてるの!?」
「見てわからぬでござるか、神の怒りでござるよぉ!」
「神の……? いや、どちらかというとこれはポルターガイスト的な……」
「物理演算の神の! お怒りでござるよぉおおお!!」
「「…………」」
「ハッ!?(盗賊Aの断末魔)」
「ヴォッ!!(盗賊Bの断末魔)」
「クゥッ!!(盗賊Cの断末魔)」
見えない、見えないがなにやら神がご降臨あそばれているのは確からしい!
おお、静まり給え神よ、なにとぞそのお戯れのバグを鎮めたまえ……!
盗賊どもは荒ぶる動きで完全に動きを封じ込められ……封じ込められ……?
とにかく動けなくなっているのは確かだ! つまりチャンスである!
「ヒャアがまんできねぇ! ゼロだ! でござる!!」
「あっ、ちょっと!?」
「待ちなさい、処刑は斬首によって行われるのが」
なにやらチンピラめいた台詞を吐きつつジャンプしたエドゥアルトを、
亞衿とアーデルハイトは慌てて制止しようとした。だが止まらぬ。
そのままエドゥアルトは爆撃機群を足場にジャンプ……したのだが、
おお、哀れ……彼もまた荒ぶる神の荒ぶるバグに触れてしまった……!
「アバババババーッ!?」
跳ね上がったり地面にめり込んだり、ぐるぐる回転したりもう散々である!
しかもその状態でトリガーだけは連射してるから、弾丸が飛び散る飛び散る!
「一気に大惨事だこれー!?」
「処刑どころではありませんね……ええい、ならば!」
アーデルハイトは弾雨を切り払い、山賊親分へと疾駆する!
「名も知らぬ賊よ、頭を垂れ首を差し出すならば楽に逝けることを」
「アバーッ!? 拙者の胴体がアババババーッ!!」
「そこ! 大事な宣誓の文言なんですから静かにしてください!!」
いまいち締まらない。山賊親分の瞳がぎらりと輝く!
「させるかっ!!」
疾い! 亞衿の飛び蹴りインターラプトが敵の斧攻撃を防いだ!
アーデルハイトは瞳を燃え上がらせ、処刑剣を躊躇なく振り下ろす!
「――っがぁあああああっ!!」
「落とし損ねましたか、ですが……!」
なんたる精緻な剣筋か。山賊親分の頸動脈から噴き出す汚らわしい熱血!
斬首をしそこねたことは処刑人として、業腹ではある。
だがそれでもよかろう。この者の罪、ただ一度の斬首で贖われるには重すぎるゆえ!
「咎人狩りの流儀にはやや反しますが――」
「因果応報、まだまだ味わわせてやるよ、オブリビオン!」
「アバババババーッ!?」
戦いは、続く!(上空でブレイクダンスしてるのも多分まだ続く)
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ドロシー・ドロイストラ
そうかそうか酒泥棒だけじゃなく殺しもやったか
先ほどは場合によっては許す的なことを言ったがやっぱり無しだ
彼らのセィル…魂の安らぎのためぶっ飛ばしてやろう
真の姿を開放し一体の白きドヴァー…ドラゴンとなる…狭い
雑魚なんぞ無視だというか、かかってこれるなら来るがいい
ドロイストラと戦う勇気があるならば応えてやろう
親分まで飛び掛りまずは爪による一撃
【衝撃波】さえ起きる【怪力】だ、ちょっと痛いぞ
そして次はドロイストラの「偉大なる力」を浴びせてやる
傍目にはただ親分に叫んでいるだけだが
スゥームの力による不可視かつ音速の一撃なのだ
この姿で叫ぶのは久しぶりなんだ、ありがたく聴くがいい
シーザー・ゴールドマン
【POW】
子分といい、君といい絵に描いたような山賊姿だね。
少しおかしみを感じるよ。
だが、もう良いかな。そろそろ消えたまえ。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーを振るって山賊親分と少し楽しんでから、敵POWUC発動に合わせて無手となって決めに掛かります。
敵POWUC対策
直感で見切って、回避と同時に踏み込んで『バベルの消失』の一撃を
(第六感×見切り→カウンター×先制攻撃×『バベルの消失』を込めた拳打)
欲望に素直で結構な事だ。後は力があれば、それらを手にする事が出来る。
君はどうかな?
カイム・クローバー
何もおかしくねぇさ。パーティ会場なんだ。猟兵の70人やそこら居たって不思議じゃねぇだろ?ま、お前らは運が悪かったって事だ
【SPD】
山賊のボスを叩くぜ。
パーティ会場には相応しくない格好だな。どうしてこう、山賊ってのはファッションセンスが無いのかねぇ…。【挑発】を用いて大斧の一撃を【見切り】、【残像】を残しつつ躱す。空いた隙に魔剣の先端を使って【串刺し】と紫雷の魔力を宿した【属性攻撃】、周囲に拡散する魔力で【衝撃波】と【範囲攻撃】を利用してUCを決めるぜ。手下共も纏めて吹き飛ばす。
……しっかし、思い切った事したもんだな。ガラット。
これだけの数の冒険者を一気に雇うんだ。酒なんざ多分、到底残らねぇぜ?
●オブリビオンに明日はない
山賊親分の全身は、もはや傷のない場所が見当たらなかった。
道理である。なんせとんでもない数の猟兵に波状攻撃を受けているのだ。
むしろ現時点でいまだ存在を維持していること自体、脅威的なタフネスと言える。
「ぢ、ぢぐしょう、調子に乗りやがってぇ……」
「おや? これは不思議だな。調子に乗っていたのは君のほうだろうに」
突如として降ってきた声に、山賊親分はぞっと背筋を冷やし、空を仰いだ。
……誰も居ない。直後、背後からすさまじく鋭い、氷めいた殺気!
「うおおおおっ!?」
振り向きざまの斧一閃! 大地をも削り取るようなパワフルな一撃だ!
それをリーチの外で、涼やかな表情で見ている赤いスーツの偉丈夫がひとり。
「子分といい君といい、格好から言動から行為から、絵に描いたような山賊ぶりだね」
少しおかしそうに、シーザー・ゴールドマンは金色の瞳を細めた。
笑っている――だが、頭を振ると、赤公爵はこのように続けたのだ。
「だが、もういいかな。そろそろ消えたまえ」
その瞬間、山を、天を揺るがす、強大な龍の咆哮が轟いた。
龍の咆哮(シャウト)が響き渡った瞬間、一瞬にして多くの出来事が起きた。
まずシーザーは、己のオド――魔力による全身の防御――を活性化させ、
残像すらも消え去るほどの速度で、山賊親分に向かって間合いを詰めた。
斬撃。オーラセイバーは、敵の守りをあざ笑うかのような袈裟懸けの太刀を刻む。
山賊親分は滂沱の血を流してたたらを踏みつつ、さすがにまだ健在。
血を吐きながら雄叫びを挙げようとして……そこで、改めて空を仰ぎ、見た。
己を周辺地形もろとも睥睨し、陽光から覆い隠す、白き龍の威容を。
『先程は場合によっては赦す的なことを言ったが、やっぱり"無し"だ』
その龍は、不思議と頭の中に響く声……思念波を以てそう言った。
『お前に殺された人々のセィル……魂の安らぎのために、ぶっ飛ばしてやろう』
その龍の名を、ドロシー・ドロイストラという。旧き龍の血の者である。
そして龍は翼を打ち振るわせ、急滑空で飛びかかり爪の一撃を振り下ろした。
シーザーの斬撃もかくや、勝るとも劣らぬ、まさにドラゴンの一撃。
衝撃波さえ起こすほどの爪は、ちょうど先の剣閃とバツ字になるような傷を与え、
肉を削がれ骨が砕ける強烈な苦痛に、山賊親分は苦悶し絶叫する。
その声が呼び声となり、周囲にわらわらと山賊どもが現れ包囲を始めた。
シーザーがそちらを見ることはない。代わりに、ドロシーがそれらを見た。
ただそれだけで、盗賊どもはびくりと身をすくめ、足止めを余儀なくされた。
無理もない。いかにオブリビオンとて、強大な龍を相手にしては恐れを抱く。
その隙に、シーザーは再び踏み込み、もてあそぶような斬撃を一瞬のうちに叩き込む。
避けるなどもってのほか、防ぐ技巧など山賊親分にはありはしない。
文字通り血反吐混じりの雄叫びをあげ、山賊親分は死に物狂いでこれに抗う。
めきめきと全身が緊張し、一回り以上大きな巨体にパンプアップ。
そして引き絞られた弓弦めいて、汚らわしい活力が破壊力に還元され、
シーザーを大地もろとも吹き飛ばそうと、解き放たれようとした。
「よぉブサイク野郎、ダンスも出来ねえならとっとと退場しなッ!」
「!?」
その時である。新たな男の声が、斧を構えた山賊親分を挑発した。
シーザーめがけ振り下ろされようとしていたそれを、山賊親分は、
声のした方に叩きつける。一瞬の怒りが、狙いを逸らさせてしまったのだ。
ごがぁん!! と音を立て、斧が激突した大地が裂けて砕けた。
飛び散る土塊をものともせず、コートをはためかせ現れたのは、色黒の美男子。
「どうしてこう、山賊ってのはファッションセンスも戦闘勘もないのかねぇ?
やりやすくて助かるのはいいんだけどよ――そら、デカいのを食らっとけ!」
カイム・クローバーである! 構えた魔剣の先端にバチバチと紫雷が集まる!
そして文字通り稲妻の速度で放たれた刺突が、山賊親分の土手っ腹をぶち抜いた!
「がぁああああっ!?」
「あいにくこいつで終わりじゃないのさ――俺の雷は、二段構えなんだよ」
バチィン!! 傷口からほとばしる魔力! 紫雷は放射状に敵を吹き飛ばす!
子分もろとも宙に舞い上がった山賊親分の目の前、そこにはシーザーが……!
「やめ――」
「やめる? あんなに欲望に素直なことを叫んでおいて不思議なことを云うね。
欲しがるのは結構、だが力がなければ、望んだものは手にはいらないのだよ」
制止であれ、命であれ。そしていま、絶対的強者は彼の方である。
オドがシーザーの掌に収束、空間を歪めるほどの破滅的極光となって揺らいだ。
そして、叩きつける。無造作に、無慈悲に、容赦なく、まっすぐと。
"バベルの消失(デウス・イーラ)"。超接近距離のみで可能な断罪の一撃。
骨を、肉を、その存在そのものを砕く鉄槌を叩きつけられ、絶叫が響いた。
ドロシーはそれに煩わしげに目を顰め、そして大きく息を吸う。
『お前の叫びは聞くに堪えん。叫ぶとはどういうことかを教えてやろう』
傲慢である。だがドラゴンとは、相応の力を持つから傲慢なのだ。
『――Lot=Fus=Fonaar!!』
ごう――と、傍目には、それはただの龍の咆哮にしか聞こえない。
事実そうである。だが、ドロシーの用いる旧き龍言語はただの言葉ではない。
見えず、触れられず、されどその力(ファース)はたしかに在る。
偉大なりし力が堕ちた。波動が、満身創痍の山賊親分を……叩き落とす!!
――ごぉおんっ!!
立て続けに叩き込まれた三発の衝撃を受け、山賊親分は地に落ちた。
あまりの衝撃に山が揺れ、高層ビルじみた土煙が大きく巻き上がる。
「うむ。あの姿で叫んだのは久しぶりだが、おかげですっきりしたぞ」
ドラゴニアンの姿に戻って降り立ったドロシーを見、カイムは驚いた。
「うおっ!? どこの龍かと思ったら、ドロシーかよ!?」
「おや、顔見知りかね? ふっ、これだから猟兵の縁というのは面白いね」
そんなカイムと知己であるシーザーは、愉快げに肩を揺らした。
そこへ、轟音を聞きつけ、慌ててやってきたのはドワーフのガラットである。
「なんじゃあ!? 何が起きたんじゃあ!?」
「やあガラットくん。見ての通り、少しばかり痛めつけたところさ」
「あれだけの攻撃を受けたのだ、間違いなく死んでいるはずだが」
「……ま、何が起きてもおかしくはねえわな」
ドロシーとシーザーの言葉に肩をすくめつつ、カイムはガラットの方を見た。
「しっかし、思い切ったことをしたもんだな。ガラット?」
「へっ?」
「これだけの数の冒険者を一気に雇うんだ。酒なんざ多分、到底残らねぇぜ?」
「……あっ!!」
そう、土壇場とは言え、ガラットは氏族を代表するとまで豪語したのだ。
つまり報酬が生じる。つまり、グリモア猟兵の予知通りの、アレである。
「あーーーーーーーーーっ!!」
「おやおや、まさか忘れていたのかね? それは頂けないな」
「そうだぞ! ドロシーはもうお腹がペコペコだ! 酒とつまみをよこせ!!」
さっそく現金なことを言い出した龍の少女に、男たちは肩を揺らして笑ったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒川・闇慈
「いやあ、随分とまた湧いて出たものですねえ。この数だけは大したものです。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
この数をいちいちまともに相手はしていられませんねえ。手下を呼び出す親分を狙ってとっとと仕留めてしまうに限ります。まともに狙うと手下が壁になって邪魔ですので、遮るものがない上方からの攻撃を仕掛けましょうか。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱、範囲攻撃の技能を活用し、岩獄破軍を使用します。隕石を召喚して頭上から叩きつけてやりましょう。周囲の手下も多少は巻き込めるでしょう。
「お酒一つで壊滅の憂き目とは……なんとも間抜けなことです。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
草野・千秋
酒!金!女!とは……
(やや呆れ顔)
また自分の欲求に正直過ぎますね
2個か3個は皆殺しって充分にそれは罪です!
相手の首を取って捌いて盃になんて
まるでアースジャパンやサムライエンパイアの織田信長のようですね
徹底して退治させて頂きます!
まったく、こういう悪は少しづつでも着実に潰していかないと
いつまでたっても世界に平和は訪れない
UCを発動
範囲攻撃を強化させる
僕の本気の歌声聞きたいか?
2回攻撃、怪力なども交えて攻撃
怪力パンチだ喰らえ!
武器改造で炎属性の属性攻撃も織り込む
武器をしっかりチューニング
敵からの攻撃は第六感でかわすか
盾受け、激痛耐性で耐えてみせる
このダムナーティオーにその攻撃が通じると思ったか!
トルメンタ・アンゲルス
そうですか……。
既にいくつも村を……。
いいだろう、あんたも根源から擂り潰してやるよ……!
一片残さず叩き潰す!!
Mode:Buster、移行!
『Power Convert, Mode:Buster.』
遠慮はしない。
雑魚がいくら出ようと関係ない。
全て叩きのめす!
お前らが消え去るまでなぁ!
MaximumEngine!
セーフティを外せ!
DeadHeatの始まりだ!
『OverHeat――Danger! Out of Control!』
全身の装甲を黒く染め、禍々しいオーラを纏って暴走。
防御力とパワーと超スピードで、攻撃や防御の上から敵を殴り、蹴り、破壊していきます。
敵を殲滅するか仲間が止めるその時まで……
●降るは星、駆け抜けるは光
……激甚たる破壊を叩き込まれ、大地に突き刺さった山賊親分。
あまりの衝撃にクレーターじみた有様で、周囲の地形は陥没してしまっている。
土煙がもうもうと立ち込めて、さながら本当に隕石が堕ちたかのようだ。
「クックック……誰も彼も、皆さん容赦というものがありませんねえ」
空高くからふわりと、黒ずくめの魔術師が舞い降りた。
黒川・闇慈は陰気に笑いながらも、土煙の向こうを見透かすように目を細める。
「まあ、私も特に哀れんでいるわけではないですが、これはもうお役御免でしょうか?」
相手は山賊の頭目だ。オブリビオンとして戦闘能力を有するとは言え、
ここまでの波状攻撃を浴びては生き残っているはずがない。ほぼありえない。
だが、闇慈は警戒を緩めない。"ありえない"はありえないと彼は知っている。
この世の真理を、叡智を以て紐解こうとする魔術師だからこそ。
……むしゃり。ごり、がつん。
「……クックック。ああ、やはりですか。まあそうだろうと思っていました」
むしゃり、ごり、がつん。土煙の向こうから何かの咀嚼音が響いてくる。
「結構ですよ。そうでなくば、私が馳せ参じた意味もないですからね」
魔術師は陰気に笑う。その体に、周囲に、膨大な魔力が集まり収束する。
土煙が晴れ――おお、なんたることか。そこにいたのは……!!
「あれは……!?」
草野・千秋は、すさまじい激突音の正体を確かめようと駆けつけ、我が目を疑った。
どうやら猟兵の攻撃によって生まれたクレーターの中心部に、それはいた。
山賊親分……で、あるはずだ。見た目はたしかに、かつての下賤なそれだ。
ただし体は一回り、いや二回り近くは膨れ上がり、筋肉はグロテスクなまでに膨れ上がり、そしてなによりも……そう。
「……自分の手下を、食っている……!?」
がり、ごり、がつん。むしゃり、ごり、ばきん。
然り。山賊親分は、喰っていた。己が呼び出した山賊を、頭からむしゃむしゃと。
脳漿と血と骨片まみれの口が、もごもごと獣じみて蠢く。おぞましい光景。
「もともとそうだったのか、それとも土壇場でなにかに目覚めたのか……。
酒や金に飽き足らず、ついには仲間にまで手を出すとは、どこまでも欲求に正直ですね」
千秋は、心底嫌悪した表情で山賊親分……であるはずのもの……を睨めつける。
それはともすれば、彼にとって馴染み深い故郷の世界……すなわち、
UDCアースに現れる邪神の眷属、それに似たおぞましさを放っていた。
「ぐ、ぐぶ、ぐへへへ……ゲハハハ、ハハ、ハハハハハ!!」
"食いかす"を放り捨て、山賊親分は血まみれのまま空を仰ぎ笑う。
全身の傷は反自然的な再生によって、醜くよじれてただれた再生をしていた。
「うめえ、うめぇ!! それに力が湧いてくる、最高じゃあねえかァ!!」
炯々と輝く瞳! 千秋、そして対岸に滞空する闇慈はどちらも身構えた。
敵は未だ健在。おそらく、召喚した同族を捕食することで再生することが可能になったか。
戦闘力が激烈に高まったわけではない……だが、これは厄介である。
「さあ、かかってきやがれよ猟兵! 天敵ども!! 全員ぶっ殺してやる!!
盃の代わりにィ、てめえらを頭から貪ってやるぜぇ!! ゲハハハハハ!!」
『……そうですか。なら、こっちはあんたを――』
その時、千秋でも闇慈でもない、誰かの新たな声が響いた。
頭上! 三人はそれぞれに空を仰いだ。そして、そこに一陣の流星を見た。
『――根源から磨り潰して、一片残らず叩き潰してやるッッ!!』
おお、降り注ぐあの輝き、鋭角的形状の装甲を纏うあの姿は!
《Power Convert, Mode:Buster》
『オオオオオオオッ!!』
仮面を纏い、速度から解き放たれ疾走する一陣の流星。
誰よりも疾き鎧装騎兵、トルメンタ・アンゲルスの変身した姿である!
――KRAAAAAAASH!!
超加速を以て垂直落下をしたトルメンタは、狙い過たず山賊親分を捉えた。
その衝撃が再び大地を砕き陥没させ、皆殺しの山が痛みに鳴動する。
「ここは、"やったか!"とでも云うところ、ですかねえ?」
「縁起でもありませんよ! それよりも……気をつけてくださいッ!」
冗談めかす闇慈に言いつつ、千秋……否、彼もまた装甲を纏い、断罪戦士ダムナーティオ―となった……は、鋭く警告を発した。
いつのまにか、周囲には大量の山賊どもが姿を表している!
「なんて数だ……こうなったら、僕が盾になって奴らを足止めします!」
「いいでしょう、ならば私はあちらを叩きますよ。――あなたはどうされます?」
闇慈の視線は、シュバッ! と着地したトルメンタに注がれている。
ゆらりと立ち上がった鎧からは、煮え立つような怒気が溢れていた。
『……敵は全て倒します。申し訳ありませんが、少し荒っぽくなりますよ』
「そんな、ここは協力して連携を――」
千秋の言葉を一蹴し、トルメンタはマシンベルトに触れた。
『MaximumEngine、セーフティを外せ! デッドヒートの……始まりだッ!!』
ビコン――! カメラアイが瞬き、その装甲が黒く染まっていく!
《OverHeat――Danger! Out of Control!》
「暴走状態!? なんてことだ、待――」
千秋の声は届かない。トルメンタは、風のように姿を消したからだ。
直後、流星が着弾した箇所から、すさまじい戦闘音と阿鼻叫喚が響く!
「く……ッ、僕の前で、あんな前のめりな戦いは……見過ごせない!」
「どうするかはあなたにおまかせしますよ。私は荒事が不得手なのでね」
土煙のむこうから、獣じみた咆哮。千秋は口惜しみつつも状況判断し、
群がる敵の軍勢へと吶喊した。魔術師はそれを見送り、魔力を練り上げる。
「さて、ではひとつ、本物の流星を落とすとしましょうか――」
祝詞めいて呪文が響く。戦場は混迷を深め始める……!
『ウォオオオオオッ!! オ・オ・オ・オ・オォオオアアアアッ!!』
そして敵軍勢の真っ只中。そこには恐るべき暴威の顕現がいた。
己の意思からすらも、自分自身を解き放った、超速の暴走状態。
"DeadHeat"を解禁したトルメンタは、目に入る敵をすべて鏖殺する破壊だ。
敵を砕き、蹴り、破壊する。一体殺したら次へ、次へ、またその次へ!
『オォオオオオオッ!!』
誰にも止められない。止まることはない。竜巻とはそういうものだ。
それを目の当たりにしながらも、断罪の戦士は近くの敵を叩いて潰し、進む。
「なんて疾さだ、いくら今の僕でも、あそこまでの速度には届かない……!」
ではどうする。理性を失った獣の如き暴威をただ見届けるか?
否である。それは、彼が己に課したヒーローのあり方ではない!
「こんな邪悪を倒し、潰して、同じように護るべきものを護る!
そうしなければ、世界に平和は訪れない――だから僕は、戦うんだッ!!」
高らかな叫びは、拳を振るい地を蹴る千秋の意思に呼応し、歌となって響き渡る。
「僕の歌は罪人を許さない! そして、守るべきものを守ってみせるっ!」
山賊どもの刃が、飛礫が、断罪戦士の装甲を砕こうとする。
何するものぞ。千秋は叫ぶ、ヒーローとしての決意とその意思を!
『…………!!』
その歌声を煩わしげに振り払うかのように、トルメンタが振り返った。
そして千秋めがけ襲いかかろうとした、その時! 頭上から斧の一撃!
「隙ありィッ!!」
『オオ……ッ!!』
トルメンタはこれに獣じみた反射神経で反応し、打ち上げるようなアッパーカット。
斧と拳が打ち合い、反発し、なおも暴れようとするトルメンタ!
だがそれと入れ替わりに、駆けつけた千秋が割って入り、さらなる追撃を防いだ!
「オブリビオンどもを滅ぼしたいという気持ちは、僕にもよくわかります!
けど、そのために自分の意思すら捨てたなら、何の意味もないでしょう!」
『…………ッ』
「ごちゃごちゃうるせえぞ、死ねェ!!」
斧が断罪戦士の装甲を打ち据える! だが、その身が揺らぐことはない!
「このダムナーティオ―に、そんな攻撃が通じるとでも思ったかッ!」
「ぐほぉっ!?」
強烈! 踏み込みからの怪力パンチが、ヤツの腹部に突き刺さった!
燃え上がる殴打痕を刻み込みつつ、千秋は再びトルメンタの方を振り返る。
「ただ力のままに暴れ、全てを破壊するのがあなたの正義だというなら……。
僕はそれは、間違っていると思います。たとえあなたがどれだけ疾くても!」
『…………クッ』
敵の殲滅、あるいは仲間による強制停止。
デッドヒート状態を解除するにはそのどちらかしかない。
……はず、だ。あらゆる干渉を無効化する、それがこの超速暴走形態なのだから。
しかし、本人の内なる心、そのゆらぎまでは防げない。
気がつけば、トルメンタの装甲は、再び元の青色を取り戻していた……。
そして頭上! 山賊親分めがけ降り注ぐものあり!
「隕石だとォ!?」
「ええ、おかげで私から皆さんの注意がそれてくれましたからねぇ。
どれだけしぶとく立ち回ろうが、所詮あなたはただの犯罪者なんですよ」
魔法陣の只中、闇慈が超越者めいた声音で云う。
「お酒一つで星に呑まれる。なんとも間抜けなことですね。クックック」
「てぇええめぇえええええ!!」
「彼方より冥獄の流星よ。一切全てを打ち砕け――岩獄破軍(ハデス・トループ)ッ!」
燃え上がる隕石が、星が! 空を突き抜けて堕ちてくる!
怒りと恐怖に雄叫びを上げる山賊親分も、その周囲の敵も、何もかもが星に呑まれた――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霑国・永一
なんだか凄い数だなぁ。自爆分身でもまた使って……ん?あぁ、はいはい、任せるよ、《俺》
『分身ばっかじゃ愉しめねぇだろうがよ!頭領も子分も皆殺しにさせろや!』
戦闘狂人格に肉体主導権全て譲渡した真の姿の上で狂気の戦鬼発動
さぁて、いつもみてぇに高速移動で山賊の親分とやらに接近してぶちのめすかぁ!道を阻む雑魚どもは衝撃波でも食らってろ、邪魔くせぇ!
ハハハハ!でけぇ図体に得物持ってる割りにゃあ速えーじゃねぇの、山賊!
いいぜ、そうでなくちゃ俺様は愉しめねぇ!
死角に回って衝撃波をぶっぱしまくってやるか!派手にやろうぜ、派手に!なに、衝撃波外してもてめぇの子分共が地形ごと吹き飛ぶだけだ、問題は塵一つ無ぇよ!
パーム・アンテルシオ
なんていうか…絵に描いたような悪党、だね。
悪い事を、悪いと思ってない。根っからの悪人。
これも…人。なんだよね。
それじゃあ…悪い子たちには、少し。怖い目に会って貰おうかな。
九ツ不思議…化猫。
さぁ、あなた達。寝てる場合じゃないよ。
気を失ってるあなたも。
首がないあなたも。焼け爛れたあなたも。
未だ暴れる悪い子たちに。
その姿を見せてあげよう。
その姿にしてあげよう。
その悪い子たちは、たくさん増えるんだから。
あなた達の仲間も…いくらでも増やせるよ?
悪い子は、死んだ後にも、安らかには眠れない。
悪い子のおしおきは、良い子がするものだけど…
たまには、悪い子がしても。いいよね。
こういうの、因果応報、っていうのかな。
ルーナ・ユーディコット
変なオブリビオンだって思っていたのだけど
過去に集落を皆殺しているのなら、認識を改めないといけないかな
ここからは……捨身の覚悟で行くよ
さっきの一山幾らの雑魚に命を賭ける覚悟をするのは少し躊躇われたのだけど
故郷を埒外に奪われた身としては、人っぽくても容赦は出来ない
ユーベルコードを伴う最高速で突っ込んで
狙うは山賊親分の素ッ首か腕の筋
首を狙うの難しくとも、武器を振り回す腕の筋を断てば、然るべき人がトドメをさすだろうから、最終的に倒せるのなら私はどちらでもいい
骸を名乗るなら、土の下から二度と出てくるな
直接の仇でないにしても、世界を跨いでさえ
お前のような奴には憎悪が燃え上がるような心地だ
●
『ハハハハハハ! ハッハハハハハハハ!!』
けたたましいほどの、まさに狂ったような笑い声が響き渡る。
そしてそれと同じぐらいに激しい衝撃音。ヒトの形が引き裂かれる音。
血と肉と骨が飛び散り、辺り一面がひどい有様になる音がびちゃびちゃと響く。
『ハハハハハ! これだ! こうでなきゃなァ! 分身もいいがやっぱこれだァ!!』
目を見開き、風よりも疾く大地を駆け、山賊どもを蹴散らす男がいる。
それは霑国・永一……で、あるはず、だ。盗みを常識と考える狂った男のはず。
だがいまの永一は、その生来のシーフとは異なった狂気に浸っていた。
『さぁて、どこだぁ? お頭はどこだよ! あぁ!? 出てこいよォ!!
雑魚なんかいくら殺しても満足出来ねーんだよぉ、遊ぼうぜぇ! ハハハ!』
まるで別人だ。声も、表情も、何もかも同じであるはずなのに。
……それは比喩ではない。なぜならば彼は、多重人格者なのだから。
その身に秘めたもうひとりの人格。盗みではなく、戦いに狂ったモノ。
殺戮を肯定し、ただそれだけを求める鬼が、戦場を蹂躙していた。
では、当の山賊親分はいま、どうしているというのか?
その答えは明らかだ。ヤツは、別の猟兵と交戦していたのである。
「鬱陶しいぜ、ガキィ!!」
「そっちが鬱陶しがっても、消えるつもりはないよッ!」
獣の相を持つ娘、ルーナ・ユーディコットは眦を決して戦いを挑む。
捨て身である。全身に蒼火めいた魔力を纏い、その姿はまさに風のよう。
一挙一動が衝撃波を生み出し、魔力を放射するという点でもよく似ている。
……あの狂った男と対照的なのは、ルーナは悦んではいないということだ。
彼女の目に燃えるのは愉悦ではなく憎悪であり、それは彼女の原動力だった。
オブリビオンを許さない。悪辣なるこの罪人をなんとしてでも滅ぼす。
その悪行が明らかになったいま、彼女は命を燃やすことを惜しまない。
ゆえに、蒼火を昂ぶらせる。このヒトのカタチをした者を、殺すために。
「街を襲って、人々を皆殺しにしてッ! それでお前は何を得たッ!?」
「なあんにもぉ? 盗んだもんぜぇーんぶ売っぱらったし喰って呑んだからよぉ!
強いて言うなら楽しいってだけだなァ、ゲッハハハハハハハ!!」
「――このォッ!!」
口を裂けんばかりに開いてあざ笑う親分に、ルーナは獣じみて飛びかかる。
偃月刀が三日月じみた軌跡を描き、分厚い腕の腱をばっさりと切り裂いた。
致命傷だ。頸動脈が断たれているし、仮に血を止めたとしても武器を振れない。
……はず、だ。だが、いまの山賊親分は明らかに何かが違う。
手近に現れた子分の頭を掴み、やつはその大口でむしゃりと頭を喰った。
ごりごりと骨ごと肉を咀嚼するうち、傷口がいびつに再生していく……!
「……! 喰ったの、仲間を……!?」
「げぇっぷ。だぁからなんだぁ? 次はお前かぁ? ゲハハハハ!!」
危険だ。戦いの中で、やつは何らかの変異を起こしたとでもいうのか?
命を燃やす捨て身の攻勢は、やがてタフネスによって逆転し始める……!
……そうしたふたつの風と炎が駆け抜けた先には、何も残らない。
食いかす、あるいは衝撃波や魔力によってバラバラにされた骸が遺るのみ。
そんな中に、パーム・アンテルシオは悄然とした様子で立っていた。
故郷の世界では嫌というほど見れる光景。ともすればあの黄昏の世界でも。
「……絵に描いたような悪党に、絵に描いたような死屍累々に。
悪いことを、悪いと思ってない人がやることは、同じ結果を生むん、だね」
殺されたのが人のカタチをした人でないものであるにせよ、
殺したのが自分と同じ猟兵であるにせよ、結果は結果だ。だからこそ彼女は俯く。
この殺戮を、この暴威を、この寂寥を起こすモノこそがヒトなのだ。
敵の屍であれ、荒廃を見下ろすさまは、否が応でもそれを意識させる。
「……それじゃあ、悪い子たちには、少し怖い目に遭ってもらおう、かな」
しかして、パームはヒトではない。罪深き烙印の子、許されざる妖狐なのだから。
その歌声は、己が解き放ちし九つの妖異、その一を喚ばう。
にゃあ、と、猫めいたフォルムの霊体が、ぞっとする鳴き声をあげた。
……するとどうだ。大地に散乱していた残骸が、身動ぎし、立ち上がった。
頭部がないもの。まだかろうじて生きていたもの。焼けただれたもの。
区別なく、倒れ伏す骸は、全て皆化け猫の呼び声に応じて黄泉帰った。
「古より、汝は戯れる者。生と死の境界を、曖昧にしてしまう者。
……さあ、まだ暴れる悪い子たちに、その姿を……見せてあげよう」
歩き出す少女に続き、死人の群れは幽鬼めいた足取りで列をなす。
それはまるで、同類を求め生者を引き込む、恐ろしき百鬼夜行のように――。
斧がルーナめがけ振り下ろされようとした瞬間、永一は飛び出していた。
彼女を助けるため? まさか。その隙に敵をぶち殺すためだ。
だが山賊親分はこれを読んでいた。振り向きざまの斧の横薙ぎ斬撃!
『ハハ、ハハハハハ! でけえ図体にでけえ得物の割にゃあ疾ぇーじゃねえの!!』
「ゲハハハハ! 俺様をその程度で殺せるわけがないだろうがバカがぁ!!」
「……永一、さん……?」
ルーナは、現れた見知った顔の姿を見、しかし訝しげに眉根を顰めた。
あれは、違う。それがわかっただけで、緩みかけた意識が再び引き締まる。
一瞬だけ、戦鬼は少女を見た。『俺は勝手にやらせてもらう』と目が言っていた。
……少女もまた、頷く。この憎悪と命を燃やし、好き勝手にやるとしよう。
「二対一かぁ? ゲハハハハハ!! だったら俺様の仲間を――」
「……残念だけれど、来たのはあなたの仲間じゃ、ないよ」
新たな手勢を呼ぼうとした山賊親分は、少女の声に驚き、あっけにとられた。
「……てめえ、なんだ、それは?」
「あなたたち、"骸団"って云うん、でしょ?」
無数の死人たちをはべらせ、妖しの狐少女は目を細めた。
「だったら、ちょうどいいよね。悪い子は、死んだあとも、安らかには眠れない。
仲間を呼ぶなら、好きにしたらいい。悪い子は、みんな"こう"なるんだから――」
駆けつけた増援たちは、同類の成れの果てを見て恐怖し、悲鳴を上げた。
足並みが乱れる。そして死人どもが……わっ、とゾンビめいて襲いかかった!
「うおおおおおっ!?」
『いきなり隙だらけすぎンだよォ、ハッハハハハァ!!』
永一は"派手に行った"。つまり、手勢もろとも衝撃波で吹き飛ばし、
死人も、まだ生きている山賊も消し飛ばして、山賊親分を狙った。
分厚い鋼じみた筋肉が抉り散らされ、熱血とともに骨肉が大地を濡らす。
「――お前のような奴を、私は絶対に許さない」
そこに間隙がある。かくして、憎悪に燃える彗星が、蒼火を引いて駆けた。
防御を一切考慮せぬ、ルーナによる真正面からの、真っ直ぐな突撃。
心臓を狙った偃月刀の一撃が、肋骨ごとその肉をえぐる。砕く。燃やす!
「がぁああああっ!?」
「いくらでも憎悪が燃え上がる! それでお前たちを焼き尽くしてやる!!」
故郷を奪われた痛みは消えない。その耳に狂った笑いがこびりつく。
死人をはべらせる少女は、狂った男と憎悪に燃えるルーナとをそれぞれ見て、
「――これも、ヒトの姿、なのかな」
生と死のはざまで、ぽつりと寂しげに呟いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
壥・灰色
はいほー。
(一見して『普通に鍛えている程度の青年』。武器らしい武器と言えば手に嵌めたゴツゴツとしたメリケンサックのみ)
(ガラットに応じてはいほーしながら参戦。鷹揚たる足取りでスカルズのヒラ山賊達を相手取るべく敵の多い方多い方へ歩いて行く)
(魔術回路『壊鍵』を起動。魔力を過剰装填)
(ゴオォォォオアァアアァズゴッゴゴゴゴゴ)
(魔力の激しく渦巻く音、肘から突き出る余剰魔力)
壊鍵、『鏖殺式』起動
ロード
マーシレス・マグナム
(起動するは『鏖殺式』)
(装填した『侵徹撃杭』が音速の直進性能に加え、追尾性能を帯びる)
――連射
連射連射連射連射連射ッ!!!
歩みを止めず、進路上の敵を文字の通りに鏖殺して推し通るッ!!
●その者、破滅的につき
時間は、戦端が開いた直後まで遡る。
「はいほー」
「うおうっ!?」
いつのまにそこにいたのか、男がひとり立っていた。
笑み一つない無表情は、まるで表情筋が根こそぎ死に絶えたかのようである。
そんな青年が、片手を挙げて、ナティビアード氏族の挨拶を律儀にしているのだ。
「……お、お前さんも、冒険者なのか」
「はいほー」
「…………は、ハイホー!」
うむ、それでいい。とばかりに頷く青年。なんだか独特のペースである。
「そうだ。おれは依頼を果たしに来た。それが氏族の挨拶なのだろう」
「う、うむ、そうだ! どんなときでもハイホーと叫べば楽しくなるのじゃ!」
氏族の文化を誇るように云うガラットに対し、青年はいまだ無表情である。
だが不思議と、ガラットは、そんな彼に警戒心を抱くことはなかった。
たしかに顔つきこそ死んでいるが――戦う意志があることは、気配でわかった。
握りしめられた拳(そこにはメリケンサックが嵌められている)には、
びっくりするほどの強い力が込められていたからだ。
「あいつは他の猟兵がやってくれるだろう。おれは他の奴らをやる」
「い、いいのか? お前さんひとりで……ああ、行ってしもうた」
鷹揚とさえ言える足取りで去っていくさまを、ガラットはただ見送った。
「不思議な男じゃのう、冷たいような顔をしとるがそんな冷たくは感じないし。
……うん? そういえば、あの男、名前はいったいなんだったんじゃ……?」
ガラットは知らない。その男が、いかに破滅的な戦闘能力を秘めたモノなのか。
男の名は、その瞳と髪の色になぞらえて、壥・灰色と云った。
……傍目から見れば、体つきが鍛えられたごく普通の青年、というところ。
狂気じみた殺気を纏っているわけでも、逆に緩みきっているわけでもない。
ただ、周囲に展開していた山賊の伏兵たちは、びくりと身をすくませた。
「……なんだ? あいつは」
歩いてくる。灰色の髪をした男が、すたすたと散歩めいた足取りで。
だが、なんだ。何か――己の中の何かが、すさまじく警鐘を鳴らしている。
"それ"が、猟兵であるからか。否、違う。もっと根本的な……。
「お、おい? 何の音だ?」
そこでふと、山賊のひとりが言った。
……ゴォオオオ……。
それはまるで、突風が吹き込み渦巻く洞窟のような風鳴り音だ。
だが、風はまるでない。しかし、何か重く低い音が、ごうごういっている。
「あいつじゃないのか」
「ああ、あいつのほうから聞こえるぜ」
「しかもだんだん大きくなってるな……」
男が近づいてくるたびに、ごうごうという渦巻く音は強まる。
ごう、ゴォオオオオ……ゴォオオォオ、アアアアア……!
ゴォオオ、ゴォオオッ、オォオオアァァアア、ズゴ、ズゴゴゴゴッ!!
ZZZZZZTTTTTT……!!
もはやそれは、黒雲で渦巻く稲光めいていた!
「おい、てめえ! そこで止まりやがれ! ぶっ殺すぞ!!」
「いや、もういい。殺しちまおうぜ、相手はひとりだぜ!」
盗賊どもがわめきたてている。
「――"壊鍵"」
山刀を構え、脅しらしき何かを口にしている。
「『鏖殺式(ザ・カラミティ)』、起動」
ごう、ゴオオォウウ、ゴオウウウッ!! ゴウ、ゴアォオオンッ!!
「なんだこいつ、なんかわかんねえがヤバいぞ!」
「もういい、殺せ! バラバラに引き裂いちまえ!」
奴らがやってくる。前後左右を取り囲み、まったく同時に襲いかかって――。
……襲いかかってきて、"消えた"。
「はっ?」
後方支援をしようとしていた山賊が、素っ頓狂な声を漏らした。
あいつらはどこだ。なんで消えた? 何かのユーベルコードか?
……きょろきょろと周りを見渡して、ふと何かに気づいた山賊は、
恐る恐る、いまだ歩み続ける男の足元を見た。
あった。消し飛んだ同族どもの残骸、くるぶしから下の"欠片"が。
「ひ――!!」
ごぉう――渦巻く音を耳にして、何かが視界を覆うのを感じた。
そこで山賊の意識は永遠に途絶えた。やつもまた消し飛んだからだ。
何がそうした? ……拳である。正しくは拳から放たれた撃力……だ。
侵徹撃杭(マーシレス・マグナム)。
四肢に装填した撃力を、激突と同時に"殴り放つ"ユーベルコード。
鏖殺式は、この撃力を解き放つ。音よりも疾き、見えない弾丸として。
渦巻くのは魔力。そのメイルシュトロームは撃力を生む。
「連射」
ごうッ。拳が霞み、侵徹撃杭が音よりも疾く放たれ、敵を消し飛ばした。
「連射」
ごうッ。ゴウ、ゴオウ――! ゴウ、ゴゴゴゴ、グォングオゴゴゴゴッ!!
連射。
連射、連射、連射。
連射連射連射連射連射連射連射連射ッ!!
盗賊どもが現れる。そして地形もろとも、えぐられたように消し飛ぶ。
誰も阻めない。阻めるはずがない。その男は忌まわしき魔剣の六なのだから。
灰色は歩みを止めぬ。ただ歩きながら魔力=撃力=殺意を装填し、放つ。
己の五体をチャンバーとし、必滅鏖殺の威力を意志の速度で放つ。
「推し通るぞ。お前たちは、全員破壊する」
それは脅しではない。宣言でもない。因果逆転した結果の言及だ。
魔剣がここに現れた。その力を振るい、戦士を救うと決めた。
ならば敵は破壊される。それが結果。確定された敵の運命!
「――全弾、持っていけ……ッ!!」
かくて、皆殺しの名を冠せられた山は、その一部がえぐれて変形した。
それを為したのは、王のように凛々しく歩む、破壊の権化の撃力である。
大成功
🔵🔵🔵
セリオス・アリス
【双星】
アドリブ◎
おいおい酒以外の罪も自白したぞアイツ
余りにも死にたがりか…?
死にたがりはさっさと送って酒盛りだ
だってなんかふわふわして楽しいだろ
そういやアレスが飲んでるとこそんな見た事ねぇし
いや~たのしみだなぁ
歌で身体強化して
アレスが切り開いた道を行く
靴に風の魔力を送りダッシュで距離を詰め
いや…うん、モテなさそうだもんなぁ
僅かに憐れみの顔で
攻撃は見切り避け
後ろにアレスがいるから前だけ集中してりゃいい
楽勝楽勝♪
敵が振り下ろした瞬間を狙って『ジャンプ』
空中で回転して勢いをつけ
炎の属性を纏わせた【星球撃】
拳に込めた全力の一撃を
その浮かれた頭に叩きこんでやる!
ダメ押しに背中を蹴飛ばし距離をとろう
アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎
…ああ。呆れて物も言えないね
酒にも己にも酔ってるのか、あれは
…そして、セリオスも酒好きになったね
見たことない…?そういえばそうだね(※偶に一人で飲んでる系騎士)
酒を楽しみにするのはいいがあまり調子に乗るんじゃないぞ?
さて、そろそろ…征こうか
奪ったものも返してもらおう!
何人来ようと、その欲望ごと斬り伏せてみせよう
ボスまでの活路を切り拓くように、剣を振り抜き【天空一閃】を放つ
行け、セリオス!後ろは任せてくれ!
僕は雑魚の相手をしよう
地面に剣を突き刺し、光の奔流をぶつけるように『範囲攻撃』
怯んだ隙に雷を纏わせて斬り込む
セリオスへと向かう敵には『衝撃波』を当てる
僕の剣と盾は…護る為に!
マルコ・トリガー
アドリブ歓迎
フーン、誰の首を取るって?
ああ、寝言か
飲みすぎて寝ちゃってるのか
そのまま寝ながら骸の海に帰りなよ
しかし、増殖能力が面倒だね
いくら有象無象でもこれだけいると親分に攻撃が当たりづらい
ボクは雑魚散らしに徹するとしようか
ボクね、熱線銃だけじゃなくて魔法の銃も扱えるんだよね
まずは【エレメンタル・ファンタジア】で水の竜巻を起こそうか
竜巻で雑魚を一ヶ所に固められたら、他の仲間も倒しやすくなるかなって
まあ、ちょっと魔法が暴走するかもしれないけど、そこはご愛嬌ってことで
雑魚が竜巻に巻き込まれたところを狙って、雷の精霊の力を借りて【属性攻撃】しよう
今日の精霊のご機嫌次第じゃ、黒焦げにされちゃうかもね
杜鬼・クロウ
アドリブ厨二◎
愉しげ
見所あるヤツらと共闘出来たのはイイ
だが
五臓六腑って聞くと心臓のあたりがキュッてなるンだが何とかしやがれ!(八つ当たり
掛かってこいや
返り討ちにしてヤるぜ
雑魚、親分、両方可
人差し指で手招き(挑発、威厳
靴のつま先トンと慣らし臨戦態勢
【トリニティ・エンハンス】使用
攻撃力重視
敵の攻撃は外套でカウンターか第六感で回避
敵の攻撃パターン読んでわざとスレスレの所で見切り胴を凪ぎ払う(部位破壊
周囲の敵を華開く沈丁花の如き薙ぎ倒す(薫る前に敵は沈む
汚い花弁(敵の服)が舞う
属性攻撃・2回攻撃で荒々しく重い紅焔の連撃
欲望に忠実なのは結構
お前らの不運は俺達猟兵が相手だったコトだ
永遠にお寝んねしてなァ
●輝くは双星のみに非ず
追い詰められた山賊親分は、あろうことか新たな能力を獲得した。
それこそ、自分で召喚した山賊どもを、貪り喰らうことで再生する、というものだ。
無尽蔵の召喚能力に、事実上無尽蔵の再生能力。
もしもこれを手に入れたのが、この山賊親分などではなく、
もっと強大なドラゴンや同格の恐るべきオブリビオンだとしたら……。
考えるだにぞっとしないが、ならばいまの状況が易いものかといえばそれも否。
酒盛りへの道は、まだ難いと見える。一般的な戦士ならば、そう考えるだろう。
「って怖気づくとでも思ってんのかぁ? 死にたがり相手にビビるもんかよ!
てめえみたいな野郎はさっさと骸の海に還して、こっちは楽しく酒盛りだぁ!」
しかし、セリオス・アリスのような猟兵はその概念に囚われない!
相手が巨大化しようが何をしようが、彼は笑って斬りかかるだろう!
「大口叩くじゃねえか、えぇっ!? 死にたがりはどっちだろうなあ!」
舞うように切りかかったセリオスの剣を大斧で弾いた山賊親分は、
その勢いを乗せるようにぐるんと一回転し、強烈な横斬撃を放つ。
回避の難しい、野卑な山賊にしてはなかなか姑息な手管である。
「酒にも己にも酔い果てた愚かな輩の物言いには、もはや呆れて言葉もないッ!
そして――その程度の攻撃で、私たちを傷つけられると思っていることもだ!」
がぎぃ!! 剛斧を受け止めたのは、割って入ったアレクシス・ミラの盾だ。
いかに彼が180cmを超える体格とはいえ、そのまま喰らえば衝撃で吹き飛ぶ。
ゆえにシールドバッシュの要領で、自ら盾を打ち付けることにより、
正面からではなく斜め上に反らすようにして、セリオスをかばったのである。
無論、それでもなお、斧の一撃がもたらす衝撃は凄まじい。
アレクシスはざりざりと両足で地面を削りながら後退を余儀なくされ、
追撃を試みたセリオスも、ぐるぐると棍棒めいて振り回される斧を足場に、
素早くバックフリップを打って、相棒である騎士と肩を並べるように着地した。
「悪ぃなアレス、サンキュ! そっちは大丈夫か?」
「もちろんだとも。あんな下賤の輩にやられる僕ではないさ」
ふたりは互いが無事であることを認めて微笑む。が、状況は変わらない。
呵々大笑する山賊親分は、地面をどぉん! と大きく削りながら後方跳躍し、
空いた空間を埋めるように、大量の山賊どもがなだれ込みふたりに迫ってきた!
そして鋭い山刀の攻撃を防ぎ、あるいはかわしながら、ふたりは反撃を叩き込む。
数が多いとはいえ、山賊どもの個体能力は、先の集団戦のそれとほぼ同等。
つまり、一体一体の腕前はさほどでもない。ふたりの力量ならば弱敵だ。
「まるで海の波みたいだな! 寄せて引いて鬱陶しいったらねえ!」
「完全に攻撃のチャンスを潰しに来ているからな、とはいえ……」
先の集団戦で放った合体攻撃は、範囲が広いぶん発動とそのあとの隙が大きい。
周囲の山賊どもを蹴散らせたとして、親分本体は姿を消してしまうだろう。
「こうなったら、セリオス。僕が君を送り出す。道を切り開こう」
「やっぱそうなるか。そこに異論はねえよ。お前になら背中を任せられるさ」
信頼の籠もった眼差しを受けて、盾と剣を振るいつつ、アレクシスは笑った。
「しかし、セリオスもずいぶん酒好きになったものだね」
「だってなんかふわふわして楽しいだろ。それに俺が、楽しみなのはなっ!」
襲いかかる雑魚どもを裂帛の剣閃で切り捨て、セリオスがアレクシスを見る。
口元には、いたずらな子供じみた、やや意地の悪い笑み。
「アレスの呑んでるところが見れるってのが、楽しみなんだよなぁ」
「僕が? ……ああ、そういえば、セリオスに見せたことはなかったね」
酒を呑むときは、もっぱらひとりで盃を傾けるのがアレクシスの流儀だ。
特別酒癖が悪いというわけではない……はず、なのだが、この顔からすると、
セリオスはアレクシスが何か醜態を晒すのでも期待しているのだろう。
「まったく、酒を楽しみにするのはいいが、あまり調子に乗るんじゃないぞ?」
「はい、はい。……んじゃ、そろそろ征くか。楽しみにしてるぜアレス!」
「だから、それは置いておけ! 奪われたものを、取り返してからの話なんだ!」
アレクシスはあえて身を引き、敵がなだれ込んでくるのを誘う。
そこで逆に盾で押し返し、敵を怯ませた上で、ぐるぐると剣を振り回した。
「何人来ようと、その欲望ごと斬り伏せてみせる! 刃も、敵も、運命すらも!
刮目するがいい、邪悪ども! これが――全てを切り開く僕らの輝きだッ!」
手首のスナップで回転する剣の刀身を、オーロラめいた極光が覆う。
掲げた剣の輝きはいや増しに強まり、アレクシスはそれを逆手に持ち替えて、
地面に突き刺す。途端に、輝きは地面に浸透し放射状に溢れた!
「行け、セリオス! 後ろは任せてくれ!」
「いまさら言われるまでもねえさ、アレス!」
わずかに生まれた間隙を、セリオスは飛び渡るようにして疾走した。
吸い込んだ空気を吐き出すと、それは口笛めいた妙なる歌として奏でられる。
歌声はセリオス自身を強化する一種の魔術であり、一歩踏み込んで跳ぶたび、
その力は高まり速度をもたらすのだ。山賊には捉えきれない!
一方、そんなセリオスを送り出したアレクシスは、光の奔流を放ち終えると、
その隙を逃さぬように力強く踏み込んだ。足踏みに呼応して、剣が雷を纏った。
「さあ、ここは通さないぞ、この私がいるからにはッ!」
物語の騎士もかくや、という朗々たる声で敵勢向けて吠えて切りかかり、
倍の剣が返ってくれば、これを盾で受けて弾き、さらに切り返す。
孤軍奮闘である。もともとアレクシスは攻防どちらにも優れたパラディンだが、
ひとりで戦い続ければ、それだけ数の利が彼に重くのしかかることになる。
(セリオスを煩わせるわけにはいかない、少しは負傷を覚悟しなければ)
心の中でそうひとりごちた直後、予想以上の速度で走った山刀が、
その怜悧な風貌の頬を浅く切り裂く。アレクシスは己の油断を戒めながら、
応報の剣を返したうえで、周囲を一瞥。……囲まれている。数は50以上。
「てめえの首を取らせてもらうぜぇ?」
「ヒヒヒ、助けなんざこねえよ!」
悪辣な山賊どもの罵詈雑言を涼やかな顔で受け流し、アレクシスは剣を構える。
……だが、彼が言い返すより先に、一発の銃声が山賊どもの罵声を切り裂いた。
ざわっ、と敵が動揺する。しかし山賊どもは、そこで混乱すべきではなかった。
なぜならば銃声がもたらしたのは、わかりやすい弾丸などではない。
弾丸の撃ち込まれた地面の銃痕から、間欠泉めいて水が噴き出したのだ!
「「「な、なんだぁ!?」」」
「これは……?」
訝しんだアレクシスをよそに、水のうねりはごうごうと渦を巻く。
やがてそれは竜巻めいて高く長く伸び上がると、大蛇のように鎌首をもたげ、
周囲の盗賊を薙ぎ払うように、ぐるんと地面を支点に一回転したのだ!
「フーン、誰が誰の首を取るって? その割には鎧袖一触なんだけど?
……ああ、それとも寝言か。飲みすぎて寝ちゃってたのかな?」
などとふてぶてしいことを言いながら、エレメンタルガンを手に現れた少年。
アレクシスの怪訝そうな顔は、彼を見るなりほっとしたように安堵した。
「マルコくん……! すまない、助けられてしまったね」
名を呼びかけられた少年――マルコ・トリガーは、アレクシスを一瞥した。
そしてつん、とした様子で目線を逸らしつつ、銃で肩を叩いた。
「うん。まあ、もしかしたら必要なかったかもだけど」
ややつっけんどんな態度だが、それは彼なりの距離感を測ろうとしている証。
アレクシスはかつて、マルコとともに強敵に挑んだことがある。
だからこそ、それがわかる。微笑みながら、いいや助かったよ、と頭を振った。
「やっぱり面倒だね、この増殖能力。これじゃあ親分を狙うわけにもいかない。
だから雑魚散らしのつもりで来たんだけど、アレクシスさんがいてよかったよ」
守りの面で不安のあるマルコがひとりで戦えば、アレクシスのようには行かず、
おそらく数で押し潰されただろう。その連携を求めての横槍でもあるのだ。
「ならば、私が……僕の盾は、仲間であるマルコくんも守ろう。しかし……」
アレクシスは、いまだ渦巻く勢いを増す水の竜巻を見上げた。
マルコもその視線に続いて水の嵐を見上げ、こくりと頷く。
「うん。ボク、こう見えても熱線銃だけじゃなくて魔法の銃も扱えるんだ。
だから精霊に呼びかけて、この山の地下深くにある水を呼び出してみたのさ」
水の嵐は高く高く空をめがけて伸び続け、飛沫は雨めいて降り注ぐ。
「ちょっと魔法が暴走するかも、なんて思ってたけど、これは予想外かな。
このあたりの精霊たちも、あいつらの好き放題にだいぶ腹が立ってたみたいだ」
無理もない、といった様子でアレクシスは頷き、雷纏う剣を掲げた。
マルコはそれをちらりと見て、一瞬思案したあと、そこに銃口を向けた!
「だから、精霊たちにはもっともっと暴れてもらおうか。黒焦げになるかもよ?」
「問題ないとも。荒ぶる雷の精霊ならば、私の光をもって鎮めてみせるさ」
頼もしい言葉にマルコは少しだけ頷き、躊躇なくトリガーを引いた。
銃声の代わりに響いたのは、雷鳴だ。そして銃口から稲妻が迸り、
アレクシスの剣に撃ち込まれると、たちまちふたつの雷は混ざり合い荒れ狂った!
「さあ、寝ぼけてるならそのまま、骸の海に還ってもらうとしようか」
「この雷を以て、消え去るがいい! 僕の剣と盾は、そのためにある!」
バチバチと稲妻を纏う剣を、アレクシスは嵐めがけ――振り下ろした!
……同じ頃、敵陣を駆け抜け、山賊親分にたどり着いたセリオスはというと。
「そらそら、どうしたよ? まだ一撃も当たっちゃいないぜ!」
「ちぃ、ちょこまかと鬱陶しいガキがァ!」
山賊親分と一騎打ちに持ち込み、叩き込まれる攻撃を軽やかに避けていた。
足元に風を纏ったセリオスの身のこなしはまさに鳥のように空を舞い、
いかに山賊親分の斧が恐ろしく重く速かろうと、捉えるのは至難である。
(けど、こいつもなかなかやるな。攻撃の隙が思ったより見出だせねえ)
問題は、セリオスが斬りかかるチャンスをなかなか見出だせないことだろう。
業を煮やした山賊親分は、獣もかくやという欲望にまみれた雄叫びをあげ、
メキメキと筋肉をパンプアップさせ、自己強化を始めた!
「ウォオオオオオ!! ぶっ殺してやるぜェエエエエエ!!」
「――っせェな、ぎゃあぎゃあ騒ぐンじゃねェよ」
その時! セリオスとは別の男の声が、野卑な雄叫びを諌めた。
直後、燃え上がるような紅蓮の剣戟が一閃、山賊親分の腹部を切り裂く!
「っと! こいつは思っちゃねえ味方だな!」
一瞬敵の増援かと身を固めたセリオスは、その正体を察しニヤリと笑う。
然り、苦悶する山賊親分を駆け抜ける形で現れたのは、よく知る美丈夫の姿。
「助けはいらなかったかァ? まァご愛嬌ってコトで勘弁してくれや!
この野郎をブチのめしてェのはよ、俺も同じなモンでな!」
オッドアイの剣士――杜鬼・クロウは、言葉と裏腹にふてぶてしく笑う。
ばさばさと身のこなしに翻る外套こそ、セリオスとの絆を示すものである。
「いや、手間が省けてなによりさ。こっちは後ろは気にしなくていいんだし」
「ずいぶん信頼を置いてるみたいだなァ? ま、あっちも派手にヤってるみてーだ」
渦巻く水の嵐と、それに絡みつく稲妻を遠くに見やり、クロウは笑った。
そしてそのまま、ふたりの視線は山賊親分をぎらりと睨みつける。
「ひとり増えようが知ったことか、五臓六腑をバラバラにしてやるぜェ!」
「五臓六腑だァ? テメエ――」
クロウは舌打ちし、怒気を増して敵を睨んだ。
「心臓のあたりがキュッてなるじゃねェか、むしられそうでよ!」
「は? むしるってなんだ? 心臓を???」
「……いや、なンでもねェ。深く考えると俺もトラウマ呼び覚ましそうだ」
何いってんだ、という顔で首をかしげるセリオス。まあ無理もない。
クロウの知己である少女が笑顔で撒き散らした暴力を、彼は知らないのだ。
「とにかくだ、こっちは二対一だぜ? あ? まだやるかよ親分野郎」
クロウは掌を上向けたまま、くいくいと人差し指で手招きしてみせる。
「それでも臆さねェならかかってこいや。返り討ちにしてやらァ」
「ハッ、張り切りすぎんなよ? いいとこは俺が持ってかせてもらうんだしな!」
クロウの挑発、そしてセリオスの不敵さに、山賊親分は堪忍袋の緒がキレた。
再び雄叫びを上げて巨体を膨れ上がらせると、猛牛めいてチャージを仕掛ける!
「来るぜセリオス、隙は俺が作ってやらァ!」
「無茶すんなよ? クロウ!」
ふたりは一瞬だけ視線をかわし、笑いあうと、まずセリオスは上に跳んだ。
対するクロウは、そのまま地面を踏みしめ敵の突進を迎え撃つ構えだ。
「ウォオオオオオッ!」
「見え見えなンだよ――オラァ! 相変わらず胴ががら空きだぜェ!」
衝突の一瞬前、クロウは地を這うほどに身を縮こませ、突進をかわした!
そしてすれ違いざま、回転速度を載せた剣閃をふたつ、胴に叩き込む!
上から見れば、その剣戟はまるで咲き誇る花びらのように見えたことだろう!
「で、喰らうとさらに隙だらけなんだよな? ――ほらよ、こっちだぜ!」
上だ! 山賊親分の頭上には、鞠めいて丸まり回転するセリオスの姿!
重力に絡め取られた瞬間、その身は勢いをつけた一条の星となる!
山賊親分は、襲い来る剣戟を防ごうと斧を振り回した……が、それこそ不用意!
「武器が剣だけと思うなよ? オラァッ!!」
「がはぁあっ!?」
拳だ! 魔力を集中させたセリオスの拳が、ドタマを全力で打ち付ける!
ダメ押しの蹴りをくれて後方に飛び抜けたセリオスと、クロウが再び並び立つ!
「名付けて星球撃(モーニングスター)だ、酔った頭も覚めただろ?」
「ハ、ありゃ効きそうだ。俺が酔っ払ったときにゃカンベンしてくれよ?」
燃える紅焔と、朝焼けを告げる星のような炎。
異なるふたつの炎が、雄叫びを上げる敵を討たんと更に強く燃え上がる!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真守・有栖
ふぅん?数だけはいっっっぱい揃えたわね!
いっくら群れても孤狼にて刃狼たる私の敵ではないわっ
さぁ、いく…わ……よ……(ぱたり)
おなかがへったわ。ぽんぽんがくぅくぅだわ
とってもおいしかったけれども、おかしだけじゃぺこぺこよ
おかし。おやつ。おにく。しゅわしゅわ(の、じゅーす)。もふもふ。
あたまにぷかぷか、浮かんで消えて
おめめはぐるぐる。おなかはぐーぐー。
絶不狼だわ……おわりよ……はめつよぅ……
それもこれも。わらわらでもぐもぐするから
わたしのぶんまで、わぐわぐするから……!
――月喰
おおかみぢからを振り絞り
がるる、ぐぅう。唸りを上げて
刃に込めるは“断”の一意
光刃、裂閃
成敗!あとは……まかせたわ……わふっ
狭筵・桜人
家捜しを止められたのでちゃんと戦います。
親分は勇猛果敢な猟兵の皆さんに任せて私は湧いて出る雑魚の相手をしますね。
乱痴気騒ぎを隠れ蓑に死角からUDCでガッと捕まえてー……
一匹ずつ隅の方へ引きずりこんでー……
さぁ痛めつけられたくなければ
金目の物を出してください。
衣類とか装飾とかなんなら武器とかあるでしょう。
違うんですよドワーフさん。
これは追い剥ぎじゃなくて暴力に頼らず一人一人丁寧に降伏させようとね?
ほらー生きていくのにお金は必要でしょう。
いくらドワーフさん方でも自前ですべての生活物資を賄えるわけではないのだし……。
ダメ?ダメなら食べさせちゃいますね!
弱肉強食。弱者も肉になれるのだから良い世界です。
●乱痴気騒ぎ……の前の、乱痴気騒ぎ
出てくる出てくる、むさ苦しい髭の山賊どもが出てくる出てくる!
「ふぅん? 数だけはいっぱい揃えたわね!」
しかして一山いくらの雑魚など恐るるに足らず、とばかりに真守・有栖は笑う。
そんな彼女の前に、出てくる出てくる。まだまだ出てくる山賊ども!
「…………本当に、いっっっぱい揃えたわね!?」
あんだけの数を倒したのにまだ出てくるの!? と若干驚いた。
ちょっとだけ、ちょっとだけびびった。ちょっとだけね。
「ふん、けどいっくら群れても、孤狼にして刃狼たる私の敵ではないわっ!」
自信満々に髪をかきあげ、勇猛たる人(刃)狼少女は愛剣抜刀……おや?
「さぁ! いくわ……よ……!?」
ふらり、へろり、ばたり。なんとその場にふらふらへたりこんでしまった。
そのまま流れるように地面に横たわる。一体どうしたというのだ、有栖よ!?
「…………おなかがへったわ」
ぐぅううきゅるるるぐろごごごごっごごごごだだどむぅ(腹の虫が鳴る音)
「ぽんぽんがくぅくぅだわ……おかしだけじゃぺこぺこよぉ~!!」
じたばたと斃れた状態で手足をばたつかせる有栖。傍目から見ると子供である。
そう、彼女は食いしん坊なのだ! そこで山賊どもが呑んで歌ってたら、ねえ?
「おかし、おやつ、おにく、しゅわしゅわ(のジュース)、もふもふ……」
さめざめと空腹に頬を濡らす有栖の視界が、だんだん揺らぐ。
じりじりと近づいてくる山賊どもが、だんだん美味しそうな料理に見えてきた。
肉とか、肉とか肉とか肉とか、あと……肉とか……。
いやいや待て待て、さすがにカニバルカーニバルはまずいぞ。
オブリビオンだけど。オブリビオンだけど! 牛肉とか豚肉食べたい!!
「ドラゴンステーキもいいわぁ……じゅるり」
だんだん視界が万華鏡じみて揺らぎ、有栖の目もぐるぐるしてくる。
お腹もぐうぐう鳴っている。ぐうぉおごごごごごぎゅるるる(お腹の音)
「絶不調、いえ絶不狼だわ、おわりよ……はめつよぅ……」
ニヤニヤ笑った山賊が、有栖に手を伸ばそうとする。おお、神よ……!
……するとその山賊が、ぐいっと襟首を掴まれ、暗がりの方へ。
なんだ? と暗がりの方を覗き込もうとした山賊も、またガッとなにかに掴まれる。
また一体。これまた一体。……暗がりになにかいる!?
「おい、なにかいやがるぞ……お前ら、そいつはいいからこっちに来い!」
斃れている有栖は後回しにして、山賊どもがじりじりと暗がりを包囲する。
そして一気に突入した山賊どもが、そこで見たものとは!?
「……いや、違うんですよドワーフさん。これは追い剥ぎじゃなくて」
「どこからどう見ても追い剥ぎじゃろうが!?」
「そうではなくてですね、暴力に頼らずひとりひとり丁寧に、ね?
こう、降伏させようとですね。ちょっと話し合いをしているだけで」
「ならなんで"金目の物を出せ"とか脅してるんじゃおかしいだろ!!」
「そこはこう特殊な交渉術とかなんかそういうあれで」
と、ドワーフの戦士と、ピンク色の髪をした少年が言い争い(?)をしていた。
そして、暗がりに引きずりこまれた山賊たちは、みんなステテコパンツ一丁にひん剥かれている!
「「あっ」」
そこでようやく、少年……狭筵・桜人とガラットは、包囲に気づいた。
顔を見合わせるふたり。桜人は……とっさに山賊のひとりを盾にした!
「お前さん何をしとるんじゃ!?」
「動くな! 動くとこいつの命はないぞ! あんたたちも金目の物を出せ!」
「やっとることがまるっきり強盗ではないかーーーーーっ!?」
「いやほら、生きていくのにもお金が必要でしょう? これは処世術的な」
ジャキッ(山賊どもが一斉に山刀を抜いて構える音)
「…………ですよね~」
桜人、用済みの山賊を放り捨てつつ、笑顔でホールドアップする。
怒りの山賊どもがにじり寄る……だが桜人は笑顔のままだ。
「あー、ただ? 後ろにも注意したほうがいいんじゃないですかね?」
そう、彼には見えていた。山賊どもの後ろににじり寄る獣の姿が。
「………おなかがすいたわ」
ぐるるるるるる、と、飢えた狼のような唸り声(お腹の音)を響かせて、
炯々と目を輝かせる飢えた獣がそこにいた。まあようは有栖なのだが。
「それもこれも、あなたたちがわらわらでもぐもぐするから。
わたしのぶんまで、わぐわぐするから……いけないのよぅ!!」
「いやお前さんもなんだかものすごい勢いで濡れ衣着せておらぬかーっ!?」
「問答無用! 月喰ぃーっ!」
くわわっ! ガラットのツッコミを無視した有栖が愛剣たる光刃を掲げた!
がるる、ぐぅう。狼の如き唸り声(お腹の音)をあげ、刃に込めるは"断"の一意!
「光刃――裂・閃っ!!」
刃風駆け抜ける! 数十体の山賊どもが、ただの一振りでばっさりと断ち切られた!
「あーあ、ほらー後ろ注意してないからー」
「そもそも恐喝なんぞしとるからいけないんじゃろ!?」
「え、だめでした? だめなら仕方ないですねー」
ホールドアップしたままガラットの言葉に応じた桜人の影から、『なにか』がぞわりと湧き出た。
それは、触手だ。アンディファインドクリーチャーの触手である!
「駄目ならみんな食べさせちゃいましょう!」
笑顔の桜人の影から現れた"なにか"は、その触手で生き残りどもを絡め取る。
そして恐怖する山賊どもは、そのまま"なにか"に引きずり込まれ――。
ぐしゃり、
がり、
ごつん。
「ひいいい……!!」
あまりにSANチェックな案件にビビリ散らすガラット。笑顔の桜人。
「とまあ、弱肉強食ですからね。お肉大事」
「おにく……?」
「えっ」
お肉、という響きに、飢えた狼……有栖がぐりんと反応した。
「おにく……たべたい……」
「えっ、いやまさか私をカニバルカーニバルするとかはちょっと」
「はぎゅう……」
「倒れたー!?」
ばたん、と顔からつんのめった有栖。ぐおぉごるるるる(お腹の音)
「……どうしましょうかねこれ」
「助けるじゃろ普通!? お前さんどこまで薄情なんじゃ!?」
「うううううう……おにく、おにくぅ~……」
しばらく、お説教と飢えたけものの寝言が響いたとか。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
斬崎・霞架
【POW】
戦意が全く衰えていませんね。
大した胆力の持ち主か、大した阿呆かのどちらか。
どうあれ、ご退場頂く事に変わりありませんが。
酒、金、女…。いっそ清々しい程に典型的だ。
世の中には、安易に手を出すべきでない、悪鬼羅刹が如き女性もいるのですが…、もう手遅れですか。
冥途の土産だと思って頂きましょう。
『ジャック』、相手は紛う事なき外道です。
…ブチのめして差し上げましょう。
【呪詛】を纏った拳を振るいます。
ジャックのリーチなら、それで【範囲攻撃】足り得る。
雑魚には退いて頂きましょう。
相手がどう強化しようが関係ありません。
倒れるまで、【早業】で何度も拳を叩き込めば良いのです。
―さぁ、勝負と参りましょうか。
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎
櫻、お酒はダメ!
変わらず目を光らせる
朝、隣にあられもない姿の山賊親分がいてもいいのか?!
僕は許さないからな!
親分が叫ぶ女も酒も金も
…許せそうにないのは心が狭いからなのだろうか
僕を妬かせて楽しんでない?
ただ、微笑んで応える
僕は君だけがいればいい
首を盃にするなんて……いやいいよ
わくわくする君に仕方ないなと微笑んで
僕は君が好きなんだ
歌唱に込めるのは櫻宵への鼓舞
「凱旋の歌」は君の為
いつも同じ歌では飽きてしまうかな
誘惑の歌声で蕩かせ櫻へ触れる
オーラ防御の泡と重ね歌う「花籠の歌」で守りを
どれだけ敵が多くとも強くとも
僕の櫻を守るんだ
ご褒美?
…このまま閉じ込めといてもいいんだぞ
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎
ヤダー!!
山賊親分が隣にいるなんて嫌!絶望よ!!
あられもない姿のリィがいいわ!
リィはヤキモチ焼きよね
嬉しいわ
いいのよ
もっと愛して
お金はあればいいけど
あとお酒も
リィがいてくれればそれでいいの
頭蓋の盃?
リィにもかしたげる
子分達は広範囲になぎ払い衝撃波を放ち退けて
狙うは1つ親の首
リルが守ってくれる
リルはあたしが守る
斧をいなし見切り躱して咄嗟の一撃
かけて生命力吸収の呪詛こめてなぎ斬る
傷を抉り何度でも斬るわ
時にはグラップル混ぜ殴り蹴り砕き楽しむわ
骨太そうだから怪力こめて思い切り
踏み込んで放つのは「絶華」
首を頂戴
綺麗な盃にしてあげる!
綺麗に斬れたらご褒美に……なんてどう?
千桜・エリシャ
まあ…もう下品で嫌ですわね
ふふ、でも私の首を狩ろうだなんて
その度胸は褒めて差し上げても構いませんが
――御首をいただくのは私ですわよ?
そちらがお仲間を呼ぶのでしたら
こちらも仲間の数を増やすまで
私の可愛い大鬼を召喚してはその巨体に飛び乗って
ふふ、いい子ですわね
あんな下賤な悪鬼よりも
あなたの方が優れていると証明してくださる?
さあ突撃ですわ!
子分共を蹴散らし捕まえては投げつけて攻撃の手段として
傷を受けたらなら噛み付き捕食して生命力吸収
そうして親分へ突貫
体当たりして怯んだ隙に御首を斬り落としてしまいましょう
あなたの美しくない首なんて
これっぽちも価値を感じませんが
まあ、盃の代わりくらいにはなるかしらね?
●
ぐおん――ズシンッ!!
鬼である。見上げるほどの大きさの鬼が、その巨大な腕(かいな)を振り下ろした。
盗賊どもも人間としてはガタイのいい連中が揃っているものの、
こうして比すれば大鬼にとってはアリも同然。力量差は象とのそれをも凌駕する。
つまりは鎧袖一触であり、鬼が腕を振るうたびに子分はその数を減らしていく。
「な、なんだぁあのデカブツはぁ!?」
「おや、やっぱり気づいていなかったようで、何から何まで典型的ですね」
慌てふためく山賊親分の言葉に、斬崎・霞架は冷ややかな声音で言った。
いつの間にそこにいたのか。大鬼の蹂躙で慌てふためく戦線を駆け抜けたと?
「てっ、てめえは……!?」
にこりと笑う――しかしてそれはぞっとするような笑みだ――霞架の背後に、
傷だらけの大男の霊がぼんやりと揺らめき、手に持っていたものを握り潰した。
……頭である。もぎ取った山賊子分の頭。つまりはこれが"正体"か。
「まあ、これから"ジャック"でブチのめしてさしあげるのですし、
冥土の土産に一つ教えてあげましょうか。外道のあなたにもわかるように」
眼鏡を掛け直しながら、霞架は金色の瞳をうっすらと細めた。
「世の中には、安易に手を出すべきでない悪鬼羅刹の如きモノもいるのですよ。
――残念なことに、どうやらそれは女性には限った話ではないようで、ええ」
「なん――」
「手遅れなんですよ、あなたは」
霞架の言葉に応じるように、ずしん!! と大鬼の拳が近くに叩きつけられた。
……そして鬼の腕を伝い、ふわりと降りてきた女がひとりいる。
常ならば纏う胡蝶は、いまその女……千桜・エリシャのそばにはない。
なぜならば、死者の魂たるそれこそが、あの大鬼の正体だからである。
鬼薊啾々(リビングデッド・ニードル)。
魂の化身たる胡蝶は、今は蜜に誘われた羽虫がやるようにその身を集わせ、
雑魚どもを蹂躙する恐るべき大鬼へと姿を変えているのだ。
「ふふ。いかがいたしましたの? 私の首を狩ると息巻いていたでしょうに。
――残念ね。その度胸も失くしたなら、どうしてあなたを褒めてさしあげましょうか」
と、エリシャは、困ったように微笑みつつ首を傾げてみせる。
「この私を前にして、"首を取る"などと吐いた大言壮語。
それぐらいしか、あなたを褒めて差し上げるところなんてありませんのに」
「て、てめえ! ガキの分際でずいぶんと……!」
なおも減らず口を叩く山賊親分の気勢に、霞架はやれやれと肩をすくめてみせる。
そんな彼をちらりと一瞥しながらも、エリシャは艶やかに微笑むのみ。
「それとも、私では少しばかり迫力が足りないのかしら? それは残念ですわ。
じゃあもう一つ――あなたの御首を狙っているのは、私だけではありませんよ?」
「なっ」
「だから言ったでしょう。"悪鬼羅刹の如きモノは女性に限らない"んですよ」
山賊親分は、エリシャと霞架の言葉の意味を、肌で感じて理解した。
ぞっとするような殺気を放つモノが、またひとり……いや、ふたり増えたからだ。
「櫻、お酒はダメ!」
「ええ? いいでしょうちょっとぐらい、ちょっとだけなら」
「そんなこと言って、朝、隣にあられもない姿の山賊親分(あいつ)がいてもいいのか!?」
「えっ」
「あの毛むくじゃらがいてもいいの!?」
「……や、ヤダー!!!! そんなの厭! 絶望よ!!」
……そのふたりは、現れるなりぎゃあぎゃあと言い争い(?)をしていた。
話している内容とそのノリは実にスラップスティックであるものの、
「どうせなら、あられもない姿のリィがいいわ!」
「な……っ」
「ふふ。リィはヤキモチ焼きよね。嬉しいわ。いいのよ? もっと愛しても」
「そ、そんなこと言っても、僕はお酒は許さないし……(ぼそぼそ)」
いや、訂正しよう。コミカルで、かつイチャコラしているけども。
ふたりが纏う血臭は、彼ら……然り、"彼ら"である……が、
ここまで山賊の群れを切り捨て、滅ぼし、進んできたことを示している。
「お金が、あとお酒もあればいいけど……でも、リィがいてくれればそれでいいの」
どことなく、桜纏う羅刹たるエリシャによく似た雰囲気の木龍の麗人、
すなわち誘名・櫻宵は、傍らにたゆたう人魚の青年にそう微笑みかけた。
一方で、当の人魚……リル・ルリもまた、そんな彼に微笑み返す。
「僕だってそうだよ。櫻、君だけがいればいい。……妬かせて楽しんでない?」
と、言葉尻はやや拗ねたようだが、それはさておき。
そこでようやく二人の世界から戻ってきた両者は、いまさら視線に気づいた。
「あら! うふふ、ごめんなさいね。エリシャの邪魔をしてしまったかしら?」
「とんでもないですわ、櫻宵さん。だって私たち、狙いは同じでしょう?」
桜を纏う女と、枝垂れ桜の翼を持つ男――鮮やかなふたりが、微笑み合う。
山賊親分は理解した。霞架の言葉の意味。悪鬼羅刹の如きモノ。それは、"これら"だ。
「言ったでしょう、手遅れだと」
霞架の念押しするような言葉に、山賊親分はびくりと身をすくませる。
「ああ、そうか。そういえばこいつ、首がどうとか言っていたっけ」
リルもまた、すっと酷薄げに目を細め、冷たい声音で言った。
首。
羅刹の剣士エリシャ、龍人の陰陽師たる櫻宵。
ふたりは"同志"である。つまり――敵の首を狩る、そんな悪鬼羅刹同志なのだ。
「う……うおおおおおおッ!!」
四面楚歌を直感した山賊親分は、雄叫びとともに多数の増援を召喚した。
微笑んだままエリシャはふわりと宙返りを打ち、大鬼の肩に着地。
再び胡蝶の鬼が腕を振り上げ、蠢く有象無象どもを掴んでは引きちぎる。
「さあジャック、わからず屋に身の程を知らせてあげるとしましょう。
いまこそあなたの怒りと悲しみを解き放ちなさい。存分に、心ゆくまで」
メキメキと音を立て、霞架の背後に立つ"乱暴者"が咆哮した。
生きたかった。生きようとした。だが出来なかった。この怒り、この悲しみ!
いたずらに命を奪い、それを嘲笑う外道に、叩きつけてくれんと!!
「今日は観客が多いや。でも残念、僕がいま歌うのは、櫻のための歌なんだ。
――ラ・カージュ、花を飾って。ラ・アージュ、閉じ込めて――……」
尾鰭を揺らめかせながら、リルは人魚の歌を口ずさむ。
するとその歌声に応じるように、虚空にいくつもの"あぶく"が生まれ、
それらはリルが伸ばした指先から伝わるように、櫻の周囲をぷかぷかと浮かぶ。
「ああ、リィが守ってくれる! なら、リィはあたしが守るわ!
だから首を頂戴。いくらあってもいいの、なんなら数で競争でもしましょうか!」
櫻宵はその風貌に似合わぬ力強さで、寄せ来る敵を殴り、蹴り、砕き、笑う。
楽しげに。ただ楽しげに。雑魚には目もくれず、向かう先は山賊親分のみである!
「競争だなんて、楽しいですわ。ねえ、そうでしょう親分さん?
あなたの美しくない首なんて、これっぽっちも価値を感じないけれど――」
ぐおん! 巨腕を振り上げた大鬼が、"乱暴者の"ジャックに合わせるようにそれを下ろす!
強烈な衝撃! さらに大鬼の巨体が、飛び退いた山賊親分を打ち据えた!
「ごはぁっ!?」
「――盃の代わりにくらいには、なるかもしれませんわね?」
エリシャ、再び跳躍。目視すら出来ぬ速度での斬撃を一閃。
「盃ですって! ねえリィ、ならあなたにも貸してあげましょうか?」
応じるように、櫻宵による剣閃がもうひとつ。刻まれた刀筋はバツ字である。
ぞっとするような量の血が、山賊親分の頸動脈から噴き出した。
「そんなのいいよ。だって僕は君が好きなんだ。このまま閉じ込めたいくらい。
ああ、櫻。僕の櫻。そんな汚らしい血で汚される君なんて、見たくない」
ヤキモチ心を込めて歌うリルの歌声は、そして生まれるあぶくという水槽(まもり)は、噴き出した山賊親分の血すらも触れることを許可しない。
空間すら断ち切るであろう致命打が、凄まじい速度で放たれる。ふたりの鬼。
山賊親分は悲鳴を漏らした。そこを金色の瞳が、霞架の眼差しが射竦めた。
「――さぁ、勝負と参りましょうか。ああ、ただしあなたと僕らの勝負ではなく」
にこり。微笑みすらも見えなくなるよう、"乱暴者"の拳が顔面をひしゃぐ。
「猟兵の誰があなたを討てるのか、という勝負ですがね?」
つまりは、ここが酒池肉林。阿鼻叫喚の地獄の最中である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
灰炭・炎火
【結社】※バラバラでも大丈夫、アドリブ等歓迎
もー! 沢山たくさん出てくるから、さすがにあーしも我慢の限界!
一気にぶっ飛ば…………あー! ニャメ忘れた!
もー……どうしてこういうときに限って!
来てよー! ニャメーっ!(呼ぶ。来る。空から降ってくる。突き刺さった衝撃で深い地割れが発生しA&W新たな名所ができる)
あ、来た! さすがあーしの刻器!
よーし、それじゃあ大暴れしよっか!
何百人、何千人、何万人だろうと関係あらへん!
あーしの欲しい闘争に、あんたらはついてこられんもんね!
アダムルス・アダマンティン
【結社】
賊如きが神殺しを目論むとは片腹痛い
窃盗、一度目は手を斬り落とし。二度目となれば首が斬り落とされる。人の子を殺めたとなれば言を俟たず
これは古き法だが――なに、オブリビオンにはむしろ馴染み深いものであろう
存在感を放つことで敵意を集め、人の子らを庇う盾とする
刻器、神撃
地獄を纏うた大槌を振り、現れる雑魚どもを薙ぎ払って道を切り拓こう
正義神ならぬ身ゆえ、貴様らを今ここで裁くことはない
貴様らを裁くのは、人の子だ
ザザ・ロッシ
【結社】
くそ、ついに敵のボスが出てきたのかよ
まだまだ手下も多いし
せめて俺はまだ無事な酒樽を守ったり、怪我人を守ったりしよう
……酒樽が無事???
なんで?????
頼れる仲間が全然いねぇ
ビリウッドさんはもうだめだ
酒は人を狂わせるって本当だったんだ
炎火もだめだな
酒がなくても人は狂うんだな
……じゃあ俺しかいないじゃん??
※
味方の攻撃(特に地割れ)から巻き込まれないように逃げながら
半泣きで封印を解いた剣使ってユーベルコードぶんぶんします
いや、ドワーフの大切にしてるお酒は守りたいんですよ
でもね、どうしても無理なことってありますよね
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
──渇く
この魂の渇きが私に訴えている
敵を殺せ/酒を飲め とね
なんだいなんだい
酒!金!女だって?酒以外はなんとも下卑た欲望じゃないか
ならば私は酒!酒!!酒!!!アルコール!!!!
この後の酒が飲みたいから私は今頑張っているんだよ!!
バロウズ!!フルスロットルでいくよ!
形態変化!フレシェットショットガン【インフィニティ】
至近距離から強烈な一発をお見舞いしてあげよう
どうせその斧がメインウェポンなんだろう?
なら近づくのは容易いし…引き金を引くのは私の方が速い
追蹤魔術、セット
フレシェット一つ一つに込める記憶は…
「この場で行われたナンバーズたちの攻撃」だ
さぁ、おかわりを受け取れ
おちゃけのみたい……
●ひょっとすると結社ってはみ出し者の集まりなのでは
「賊ごときが神殺しを目論むとは片腹痛い」
「あああああ渇く! 渇く渇く渇くぅ!! この魂の渇きが私に訴えている!
敵を殺せ……酒を飲め……いや、酒を殺せ? 敵を飲め? わかんなくなってきたな」
「ビリウットさん? ビリウットさん!? アダムルスさんがキメてんだからしっかりして!?」
「あーもー! まだ出てくるのぉ!? あーしもう我慢の限界なんだけどぉ!」
「……窃盗、一度目は手を切り落とし、二度目となれば首を切り落とされる。
人の子を殺めたとなれば元を俟(ま)たず。これは旧き法だが……」
「一気にぶっ飛ばし……あれ? なんでニャメあらへんの? えっなんで?
もしかして盗まれた!? わーどうしよう! あーしのニャメがー!!」
「いやいや炎火自分で置いてきてただろ何記憶捏造してるの!?
あっ盗賊だから? 相手が盗賊だからってやかましいわ正気に戻れって!」
「酒! 金! 女だって? 酒以外はなんとも下卑た欲望じゃないか!
私は酒! 酒!! 酒!!! だよプリーズアルコール! アーッ!!(叫び)」
「…………………」
阿鼻叫喚である。シリアスを保とうとしていたアダムルス・アダマンティンもいろいろ諦めた。
そんな彼の背後では、灰炭・炎火が存在しない盗人に斧の返還を(虚空に)叫び)、
アルコール切れでなんかダメになっちゃったビリウット・ヒューテンリヒが狂い、
そんな彼女らを見てザザ・ロッシがこの世の終わりみたいな顔をしていた。
ハゼル? 彼は重傷なので搬送されました。どうしてこうなった。
「ここがあーしからニャメを盗んだおっちゃんどものハウスやね……!
ニャメを返して! あーしのニャメ返して! もしくはおやつ買うお金かーして!!」
「酒、酒だ、酒がないと私はもうダメだ、具体的に言うとバロウズを乱射しそうだ。
……ここで見えるもの全部撃ち抜けば酒は私が独り占めできるのでは……???」
「やべえ頼れる仲間が全然いねぇ。酒は人を狂わせるって本当だったんだ。
いや酒呑んでない炎火もだめだけど。ねえどうしようアダムルスさん!?」
「覚えておけザザ。ナンバーズに必要なのは、いかなる時にも動じない心だ」
「やべえアダムルスさんも頼れねえこれ!!!!!!!」
何とでも云うがいい。でないと団長なんてやってられないんだぞ。
とか自棄気味に思ったかはさておき、アダムルスは問題児どもを意識からシャットアウトした。
見据えるべきは山賊親分のみ! あっちもなんだか全身ズタボロだぞ!
「なあお前よぉ……お前も苦労してんだな……?」
「哀れみを投げかけるなど、己の身の程を理解していないようだな」
「いやほら俺様も親分だしさあ? なあ?」
「……トールの大鎚よ、地獄を纏え!!」
アダムルスは敵の甘言を振り払うかのように己の炎を解き放つ!
決して、その哀切あふれる一言に、目頭が熱くなったとかではない!!
そんなアダムルスが、神にふさわしい存在感で敵を集めて薙ぎ払っている頃。
「……はっ!! 思い出した! あーし別に盗まれたわけじゃなかった!!」
「今更!?」
「んもーザザくん、そういうことならはじめから言ってやー」
「俺の努力完全無視!?」
まったく焦ったなーとか手をひらひらさせていた炎火、またはっと我に返る。
「いや忘れたか盗まれたかとか関係なしに、やっぱニャメあらへんやん!?」
「そうだよ!!!!!!」
「もー! こうなったら……来てよー! ニャメーっ!」
「いやいくらなんでも、そんな呼んだからって来るわけが」
ひゅーーーーーーーーーーーん……ズ、ゴッッッッッッッ!!!!
「落ちてきたーーーーーー!?」
ザザは愕然とした。あの恐るべきハイパー質量兵器が呼んだら来たのである。
ローマのアレになぞらえるなら、呼んだ、来た、降ってきた。みたいな感じだ。
ところで、ニャメの重斧は重い。ただ持てるだけで炎火が使い手に選ばれるぐらいだ。
そんなもんが重力にしたがって落ちてきたらどうなる?
「知らないのかい? 山が割れわぁあああああああ!!!」
「ぎゃあああああああああ!!」
宇宙海賊みたいな顔をしていたビリウットもザザもすさまじい衝撃でふっとばされた!
炎火はフェアリーなので、浮いているから特に関係なかった。こいつ……!!
なお、この衝撃でえぐれた地面が、アックスアンドウィザーズの新たな名所になったことは言うまでもない。
なんか『龍の爪痕』とか呼ばれるようになったらしいですよ。歴史修正主義かな?
「来た来た、さすがあーしの刻器! よーし、それじゃ大暴れしよっか!」
ウソだろまだ暴れるつもりなのかこの妖精という顔で山賊たちがぎょっとした。
ずぼっ(力任せにニャメの重斧が引っこ抜かれる音)
ぶーん(力任せに振り回された重斧の衝撃波で前線が吹っ飛ぶ音)
ずしん!(斧を肩に担いだ衝撃波で第二陣も吹っ飛んだ音)
「何百人、何千人、何万人だろうと関係あらへん!
あーしの欲しい闘争に、あんたらはついてこられ……あれ?」
キメ顔をした炎火。きょろきょろ周りを見る。山賊どもは誰も居ない。
「なんやのんもー、来たと思ったらいなくなるとか、もー!」
いまあなたが吹き飛ばしたんですよ? ほら空を見れば吹っ飛んだ山賊が。
「御大将! 空から山賊が!!」
「40秒で蹴散らせ。俺はもう知らん」
「ひどいね御大将! 私たちが何をしたっていうんだい!?」
何もしてないからアダムルスさんも怒ってるんじゃないですかね。
それはさておき、落ちてくる山賊どもを見上げ、ビリウットは魔銃を構える。
「ここで撃ち落とせばポイント倍点、私の取り分(酒)も倍点!!
バロウズ! フルスロットルで行くよ、形態変化だッ!!」
ガキーン! 魔銃の新たな姿、それはフレシェットショットガン!
BLAMN!! BLAMN!! 落ちてきた山賊どもは次々に散弾で撃ち抜かれる!
「ウオオオこのまま山賊親分も仕留めてくれようじゃないか!」
「ちょっビリウットさん酒樽運ぶの手伝」
「追蹤魔術、セット――この場で行われたナンバーズの攻撃を、再現する」
「なんで炎火があんなことやらかしたあとにそんなことするんです!?!?!?」
ザザはもう半泣きである! あれが繰り返されたら山がもうだめでは?
「お前らさすがにそれはヤバ」
「させん。刻器、神撃――!」
「おいお前なんてこんなときだけシリアスに俺様を攻撃グワーッ!?」
アダムルスの振るう大槌から地獄の炎が吹き飛ばし、インタラプトしようとした山賊親分もろとも子分どもを吹き飛ばす!
おかげでビリウットはトリガーを引けてしまうんだね! 疾いからね!
カチリ。魔銃が記憶を再現する……吹き上がる地獄の炎! 割れる地面!
「ウワーーーー頼むプロメテウス命を焼べろーーーー!!」
ガン泣きしながら、太陽の輝きを宿す聖剣を振り回すザザ!
命を削るユーベルコードをこんなところで使ってしまっていいんですか!?
「あーなんや敵おるやん! ザザくんもおっちゃんもずーるーいー!
あーしも! あーしも暴れるー!!(ニャメの重斧ぶんぶん。地面ぐらぐら)」
「お、お酒だけは! お酒だけはなんとしても守護らないと……!」
「おしゃけ? おしゃけのみたい……バロウズ! 倍プッシュだよ!!!」
「ビリウットさんーーーーー!?」
揺れる地面、割れる山、吹き飛ぶ敵、悲鳴をあげる山賊親分。
暴れる味方。暴れる味方。泣いてる味方。全てを睥睨し、アダムルスは言った。
「……正義神よ、貴様ならば一体誰を裁いたのだ。賊か、あるいは我らか――」
人に原罪ありき。それはつもりこういうことなのかと、神は思った。
思ってないで酒樽を保護したほうがいいかもしれない。いやすべきでは!?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リンタロウ・ホネハミ
トーヤ(f05271)と共闘
おーし、楽しい楽しい修行の時間っすよー!
ん?いやいや、だってこんないっぱい試し斬り出来る敵がわんさかいるじゃないっすか
おっ、ちょうどいいっすねー一対多の実戦経験積めるじゃないっすか
ほらほら、新技完成させたり秘めた力を覚醒させたりしないと死んじまうっすよー!
そんな感じでトーヤにスパルタな無茶振りしつつ
蝙蝠の骨を食って【〇〇六番之卑怯者】を発動!
超音波ソナーで全周囲を把握
片手は骨剣で雑に周囲を薙ぎ払いながら
もう片方の手でダガーを投げたりワイヤーで敵を引っ転ばしたりしてトーヤを援護するっす!
そうして親玉まで突き進み、一撃見舞ってやりまさぁ!
久賀・灯夜
ホネハミさん(f00854)と共闘
アドリブ歓迎です
まーかせといてよホネハミさん!
俺だってちったぁ強くなって……
って、この数一人で相手にすんの?
俺、あんま多人数相手すんの得意じゃないんだけど……
ですよねー! んな事言ってる場合じゃねえ!
いい加減ホネハミさんの無茶ぶりも慣れてきたっつーの!
という訳で今回は身軽さ重視!
サイキックブラストを両手に纏って山賊共に攻撃!
【早業】や【目潰し】で触る者みな感電させてやる!
お前らの自分勝手な理屈で、ガラットのおっさんや
罪のない人が傷つくなんて絶対に間違ってる……!
止めさせてもらうぜ!
雑魚を足止め出来たら親分にも電撃をお見舞い
仲間の為に隙を作る!
●傭兵式超スパルタ実践訓練
久賀・灯夜はウキウキしていた。
なにせ尊敬するリンタロウ・ホネハミが、彼に修行をつけてくれるというのだから。
修行。いい響きである。なんやかや男の子であるからにはロマンを感じる言葉だ。
「っつーわけで! おーし、楽しい楽しい修行の時間っすよー!」
「まーかせといてよホネハミさん! 俺だってちったぁ強くなって……」
そこで灯夜は、ちょろっと敵方のほうを見やった。
……ざっと数十、いや100を超える量の山賊の皆さまがいらっしゃるほうを。
「って、あの、ホネハミさん?」
「ん? なんすかトーヤ、早くゴーっすよ」
「いやいやいや! まさかあの数をひとりで相手すんの!?」
ムリムリムリ! って顔で手をぶんぶん振る灯夜に、リンタロウは笑った。
「だってこんないっぱい試し斬り出来る敵がわんさかいるじゃないっすか!」
「俺、あんま多人数相手すんの得意じゃないんだけど!?
前のサムライエンパイアのときだって、だからホネハミさんが」
「おっ、つまりちょうどいいってことっすねえ! 一対多の実戦経験大事!
はい、んじゃそんなわけで、言い訳はやめてゴーっすよトーヤ!(どんっ)」
「あっ」
ニコニコ笑顔のまま、ずどどどどど……と襲い来る敵に灯夜を突き飛ばすリンタロウ。
灯夜は思った。――この人の無茶振り、相変わらずスパルタに過ぎると!!
「ほらほら、新技完成させたり秘めた力を解放させたりしないと死んじまうっすよー!」
「ですよねー!! ってんなこと言ってる場合じゃねぇええええええ!?」
立ち上がれ灯夜! あそこでニヤニヤしてる傭兵を一発ぶん殴るために!
いや違った。生き延びるために、とにかくなんとかどうにかせよ!
とはいえ、灯夜もなんやかやリンタロウとの付き合いはそこそこにある。
あそこで高みの見物決め込んでる輩が、こんな無茶振りをやらかす予感はしていた。
すぐさま気を取り直し(彼は普段こそ気弱で臆病だが、この切替の速さは武器と言える)、念動力を両手に集中させる。
バチ、バチバチ――指先から肘にかけてを覆う高圧電流の飛沫!
「触れるものみな傷つける15歳ナメんなこらーっ!!」
サイキックブラストによって生み出した電撃を接触発動で流し込み、
敵を感電させてはまた次へ、殲滅ではなく麻痺を狙って駆け回るのだ!
「ほー、ありゃなかなかっすねえ」
一方、それをのんびり見物中のリンタロウは素直な感心を漏らした。
もっとも灯夜本人に、いちいちそれを素直に教えてやるつもりはないが。
「そうそう、大人数相手のときゃまず『生き残ること』を最優先にするんすよ。
喰らえば身動きが取れなくなる上、防具なんざ関係ない電撃は良い判断っすね」
サイキッカーとしてそれが慣れている、というのももちろんあるのだろうが、
瞬時にあの判断を為してみせたことは実際長所と言えるだろう。
その身のこなしも、初めて会った時に比べれば格段に進歩している。
「……っと、オレもボケっとしてたらヤバいっすね」
銜えていた蝙蝠の骨をそのままぱくり、ごりごりと咀嚼嚥下するリンタロウ。
すると彼の耳がほんの僅かに蝙蝠めいて尖り、途端に五感が超鋭敏となった。
正しくは、聴覚と触覚が、超音波をソナーめいて感知出来るようになったのだ。
骨喰によって生成された特殊器官から、目に見えない特殊な音波を放つ……!
「……っとと、やっぱこれ慣れないとぐわんぐわんするっすね……」
急激な情報量の増加による、頭脳へのダメージに立ちくらみを起こしかける。
だが目を閉じて集中すれば、訓練したリンタロウならば造作もないレベルだ。
「さってとぉ……お、大物はこっちっすねぇ?」
にやりと笑って踏み出したリンタロウめがけ、背後から山刀が!
「はい残念、そんな不意打ち当たんねえっすよ!」
疾い! 骨剣による、雑だが的確な横薙ぎ斬撃が盗賊を吹き飛ばす!
手応えを感じたリンタロウは、目を閉じたまま敵陣へ駆け込んだ!
その頃、放り込まれた哀れな灯夜はというと!?
「ぜえ、ぜえ……っ、く、くそっ、やっぱ数が多い……!」
息を切らせながらも、近づいてくる山賊は片っ端から痺れさせていく。
もともと一般人である彼は、いくら訓練したところで所詮は15歳の少年。
もっと昔から日常的なトレーニングを積んでいたというならともかく、
これほどの戦闘を長時間続けるためにはスタミナが足りなすぎるのだ。
僥倖なのは、消耗したスタミナを回復する速度はそこそこあることだろう。
「……けど、負けないぞ!」
しかし灯夜の長所は、そのスタミナを補って余りある正義感、意志の強さだ。
ギロリと力強く敵を見据え、さらに電圧を高めて紫電をほとばしらせる!
「ゲハハハハ! なぁんだ、ガキひとりにまごつきやがって!」
だが見よ! そんな盗賊どもを押し退けて現れた、傷だらけの山賊親分!
なんたることか、ヤツは同族である子分を頭から喰って回復しているのだ!
「お前が親分か!? まだ生きてやがったのか!」
「当たり前だろぉ? 俺様とこいつらは、まだまだ奪って殺すんだよぉ!」
「そんなことする権利、お前らにも誰にもないだろっ!」
少年の真っ直ぐな言葉を、盗賊どもはげらげらと鼻で笑う。
「くっだらねぇ! 俺様が俺様に許した! 理由なんざそれで十分よぉ!」
「……その自分勝手なり靴で、ガラットのおっさんや罪のない人々が傷ついた。
そんなの絶対に間違ってる……だから、ここで止めさせてもらうぜっ!!」
そして灯夜の意志は、巨悪を前にしたときこそ最大限に強まるのだ!
殺せ! という山賊親分の号令のもと、山賊どもが一斉に灯夜に襲いかかる。
主観時間が鈍化する。リンタロウの冗談交じりの言葉が脳裏に蘇る――。
(秘めた力は俺にはないけど、でも……これならっ!!)
おお、なんたることか。灯夜は両掌を自らの体に押し付けた!
そんなことすれば、高圧電流が君の体を麻痺させてしまうというのに!
「――ッ!! お、おぉおおおおっ!!」
脳裏に思い描いたのは、骨喰によって力を得る彼の姿。
電流を己の者とせよ。物の本によれば、人間は電気信号で駆動する――!
「何っ!? こ、こいつ、疾ぇっ!?」
然り! 電気ショックで一時的に全身の筋肉を爆発的強化した灯夜は、
バチバチと電光を放ちながら、稲妻じみた速度で敵の足元を潜り抜けた!
そして彼が振り返ったとき――灯夜は瞠目した。地面に突き刺さるダガー!
「トーヤ! お兄さんからのサポートっすよ、そいつを使え!」
「……っす!!」
灯夜はそのままダガーを――ダガーに括り付けられたワイヤーを掴んだ。
ZZZZZZTTTTTT!! ワイヤー伝いに、盗賊どもを電流が駆け抜けていく!
「「「グワーッ!?」」」
「なっ、いつの間に!」
「ついさっき、だよ」
山賊親分は振り返る。そこにはニヤリと笑う黒騎士の姿。
素早く斧を振り上げ――ようとしたとき、電撃は斧を絡め取る!
「がぁあああっ!?」
腕が動かない! 視界のなかで、リンタロウは骨剣を振りかぶる!
「ほんとに新技思いつくとはやるじゃないっすか! たいしたもんっすよ!
んじゃまあ――おいしいところは、もらっていくっすよぉ!!」
そして、鋭い傭兵の斬撃が……山賊親分の胸板を、切り裂いた!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薬袋・布静
ホォー……
街を2〜3個皆殺しとは、中々にえげつない事をしよったようで
それでも“おかしい”と“酒を盗んだだけ”やと
随分と甘ちゃんでお可愛らしい脳味噌してるんやなあ?
ま、生き方は其々やし罪を犯しとる奴なんぞ
世の中少なくない
UC発動条件の怒りを煽るように
山賊親分を言葉で【誘惑】し【言いくるめる】
発動条件が整えば【海恕】展開
煙管から海のように漂う青煙を泳ぎ現れたイッカク
代弁者となり母なる海の怒り振るう
それでもなー
山賊親分風情が粋がって恥ずかしい
100万人殺せば英雄と言いますけど達しとらん
アンタが名を挙げるもクソも無いんだわ
それに数によって神聖化された英雄は
幾ら殺そうとも人殺しは人殺し――決して赦されん
安喰・八束
髑髏杯たあ、お前も随分と悪趣味の手合いだな。
お前も方々で散々やんちゃを働いたんだろう、文句言う筋合いは無かろうよ。
無茶はそろそろ堪えるが……久々に早駆けの真似事でもするかね。
真の姿、黒狼の獣人に変化。この方が皮が厚いし何かと鼻が利く。
寄ってきた破落戸を人狼咆哮で潰しながら駆け抜け、
頭領の大斧は銃剣で叩き落とし、更に踏み込む。(武器落とし、咄嗟の一撃、鎧無視攻撃)
……救えねえ悪党ってのは、返って気が楽でいい。
ああ、終わった後さぞかし酒が旨いんだろうなあ。
非在・究子
こ、こいつが、無限に手下を呼び出して、くるの、か?
て、手下で、経験値とか、ドロップが、稼げるなら……う、うん? だめ? そ、そういうの、ない?
……く、クソボスめ……
だ、だったら、こっちも、マジメに相手なんて、してられるか。
ゆ、UCで魔砲少女モードに、なって、飛行能力を、駆使して、空から、ボス敵を、狙い撃つ、ぞ。
……へ、変身モーションとか、セリフのことは、気に、しないで、くれ。あ、アタシが、好きでやってるんじゃ、無いんだ。そ、そういう、仕様なんだ……
こ、コホン。
と、とにかく、空から、魔砲形態に、変形させた『ゲームウェポン』で、雨あられと、敵に砲撃の雨を降らせて、やる。
む、無双ゲーの始まり、だ。
パラス・アテナ
連携可
さて、と
旨い酒を仕入れる前に、ひと働きするかね
この人数を前に逃げないのは、その特殊能力があるからだろうけどね
目には目を 歯には歯を 人数には人数を
滅ぼした村の村人達へ詫びを入れながら、骸の海へお還り
後方から前衛の味方を【弾幕】で支援
二回攻撃、範囲攻撃、鎧無視攻撃も併用するよ
敵の手下が大体捌けたら親分を攻撃
ごつい斧を食らわないように、銃弾の雨で足止め
強欲の叫びを銃声でかき消しながら、弾幕の範囲を親分に絞る
「何だい? 聞こえないね。言いたいことがあるなら、もっと滑舌よく話しな」
見たところ、アンタは色んな場所で強盗してきたんだろうね
どうだい? やり返される気分は
こういうのを因果応報、ってんだよ
●駆ける獣、落ちる弾幕、下る裁き
ぐるるる……うぉおおおッッ!!
獣の咆哮が戦場を圧し、裂帛たる雄叫びを伴い風となった。
それはたしかに獣の雄叫びだが、しかしてあげるものは獣ではない。
見よ。戦場を駆け抜ける黒き毛並みの狼、それは四足ではなく二足の人。
人でありながら獣であり、獣でありながら人であるもの、すなわち人狼。
『邪魔だァッ!!』
常よりも荒々しく野卑な叫びを咆哮をなし、安喰・八束は爪を振るう。
普段の人生に疲れ切ったような、不惑の男の相貌はそこにはない。
人狼病によって蝕まれた体、己の獣性を解き放った真の姿がこの相なのだから。
「ちぃいいいっ、ケダモノ野郎が! なんとしてでも食い止めろぉ!」
山賊親分は次々に子分どもを生み出し、獣人を足止めするよう命令する。
いかに八束が獣の速度で踏み込み切り裂こうと、彼はひとりだ。限界がある。
――ゆえに、それを補佐するものは、いつでもどこでも存在する。
BLAMBLAMBLAM! BRATATATATATATATA!!
「な、なんだ!?」
「銃だ! どこから撃ってきやがった!?」
「ここだよ、節穴どもが」
BLAMN! たじろぐ山賊の頭が、顎下からの射撃で吹き飛んだ。
いつの間にそこにいたのか、男どもの影からぬうっと身を表す老婆がひとり。
名をパラス・アテナ。当然の如く偽名――それは彼女の傭兵としての二つ名だ。
戦いの女神の異名は、たとえ老いたとしても……いや、老いてなお健在か。
一瞬の混乱を突いて敵の間に忍び込み、近接射撃で仕留めるなど造作もなし。
存在に気づいた山賊どもがいまさら彼女を襲おうとするが、あまりに遅い。
「そうそう、目についた敵をとりあえず片付けようとするんだね、あんたらは。
そして狙いをダブらせて、しなくてもいい攻撃をしちまう――ほら、そうだ」
一説によれば、どれだけ大群がいようと近接戦は1:4が限度になるという。
前後左右。敵を包囲したならば、すなわちそれ以上攻め手が増えることはない。
老婆は淡々とそのメソッドに従い、山刀をのらりくらりと躱して距離を取り、
立つ鳥跡を濁さずとばかりに、銃弾の置き土産を食らわせてまた姿を消すのだ。
そして、猟兵とオブリビオンの戦闘は、往々にして常識を覆す。
山賊どもは過去の残骸だが、翼を持つわけでも爪があるわけでもない。
その点で奴らは常識に支配されている。であれば、蹂躙は非常識によって行われる。
「む、無限湧きのくせに、け、経験値もドロップも、な、ない、とか、クソボスめ……!
あ、アタシの、き、期待を裏切った罪は、お、重いぞ……め、メンテ延長ぐらい」
などと陰キャっぽいことをぶつぶつと言う非在・究子、彼女の現在位置は上空。
然り。バーチャルキャラクターでありバトルゲーマーたる究子ならば、
空を飛び電脳の世界から武器防具(アイテム)を取り出すなど造作もない。
ただよく見ると……なんでか、その格好はやけに魔女っ子めいていた。
「よ、よし。今回のパッチ、うまく当たってる、な。これなら変身ポーズなし、で」
ブービー(エラー音)
《不正なアクセスが検出されました。改造ツールの使用は禁止されて》
「や、やっぱりダメ、か! ええい、まま、よ……!!」
ふわっと落ちかけた究子、覚悟を決めてびしっとポーズを決める!
『ラジカル・エクステンション! 魔砲の力でなんでも壊決! ラジカルQ子、ただ今、惨状☆』
ぴっしーん。媚び媚びの変身モーションとウィンクつきの台詞だ!
一瞬……そう一瞬だけ、敵も味方もしーんと静まり返った。
見られている。敵にも味方にも、『なんだあいつ』って顔で見られてる!!
「あ、アタシだって、す、好きでやってるんじゃないんだ、仕様なんだーっ!!」
究子、半泣きになりながら魔砲形態にコンバートしたゲームウェポンを放つ!
BRAKABBRAKKKA!! バズーカじみた砲声とともに降り注ぐ飽和攻撃!
「そ、それもこれも、お、お前らみたいなクソエネミーのせ、せいなんだから、な!
む、無双ゲーの始まり、だ! そ、その汚い顔を、ふっとばして、や、やる!」
半ばヤケである。だが、そのぶん破壊の範囲と威力は絶大だ!
「なんだあ、クソっ! 次から次へと、獣に傭兵に魔砲少女だとぉ!?」
「いやあ、山賊相手にしちゃあずいぶんバリエーション豊かな手勢っすわなあ」
「!? だ、誰だ!!」
砲声と銃声と咆哮の阿鼻叫喚のなか、涼やかな声に振り向く山賊親分。
そこには、まるで最初からいましたよとばかりの面で、煙管を吹かす男あり。
鼻から下を布で覆った怪しげな男……薬袋・布静は、ふうと息を吐き出す。
「おやあ? 街を2~3個皆殺しにしたとか豪語しとった割に、ノミの心臓やな。
あんな呵々大笑してたのは強がりだったって? ま、そないなわけあらへんわな」
布静の声音には、侮蔑も嘲笑もない。淡々と山賊親分の悪行を論った。
「そのくせ"おかしい"だ"酒を盗んだだけ"だの、まあ甘ちゃんなこと言いよって。
あれっすわ、アンタずいぶん、お可愛らしい脳みそしとるみたいで羨ましいですわ」
こんこん、とこめかみを叩きながら、布静は心底冷たい目で言った。
生き方は人それぞれ、罪を犯している者も、世の中には少なくない。
しかしだからといって、この悪逆非道をはいそうですか、と許せるはずもない。
「て、てめえ……言うに事欠いて、俺様をバカ扱いかぁ!?」
「バカ? バカになんてしてないですやろ。俺はただ――」
こん、と、煙管を叩いて灰を落とす。にたりと指でこすった絵の具めいた笑み。
「お可愛らしい頭で、とびっきりこっ恥ずかしい井の中の蛙っちゅうただけですわ」
ぶちり。山賊親分の頭からそんな音がして、実際にこめかみから血が吹き出した。
「てめぇえええぶっ殺してやらぁあああああ!!」
ごうごうと山の木々を揺らすほどの、恐ろしい怒声。だが布静は笑顔のままだ。
「そらどうも。――ただな、怒ってるのはアンタだけじゃないんですわ」
ゆらり。煙管から立ち上る煙が蒼く海めいて染まり、さらに広がる。
中からざばんと顔を見せたのは、おお……4メートルを超えるイッカク……!!
「な――」
「100万人殺せば英雄とか言いますけど、アンタそこにも達しとらん。
てなわけで、ひとつ母なる海の怒りっちゅうもんを食らっとけや、蛙」
重く鳴いたイッカクの角が、山賊親分めがけ襲いかかる――!
しかし山賊親分とて、現にここまで生き延びているひとかどの敵である。
腕を犠牲に強烈な角の突撃をかわし、そのまま転身して逃げようとした。
「100万人殺せば英雄、かい。ああ、たしかにそりゃよく言う台詞だ」
BLAM、BLAM! その丸太めいた足を、槍で縫い止めるように射抜く銃弾!
年季を皺として刻んだ老婆が、硝煙あげる短銃を手に姿を現す。
「いまさら滅ぼした街の人々へ詫びを入れろ、なんて言っても聞かないだろうね。
それとも、今ここで懺悔でもしてみるかい? なら聞いてあげないこともないよ」
山賊は痛みを押し殺すように、獣じみた雄叫びをあげようとした。
BLAMBLAMBLAMBLAMBRATATATATATATA!! すかさずのすさまじい銃雨!
「おお、怖っ」
さっぱり怖がっていそうな声で言いながら、布静は流れ弾を恐れて退く。
全身を銃弾で撃ち抜かれ、再生をしながら、山賊親分は立ち向かおうとする。
「ガ、グ、ゴ……ッ!?」
「あん、なんだい? 聞こえないね。言いたいことがあるなら、もっと滑舌良く話しな」
「ゴ、ノ、バ、バ……ガハアッ!!」
「年寄り捕まえといてでかい口叩くじゃないか、ん?」
BRATATATATATATA!! そこへ空からの究子の砲撃も叩き込まれた!
「ど、どうせ、こいつ懺悔なんて、し、しない、ぞ。あ、アタシは詳しいんだ。
か、改心するようなヤツは、オブリビオンになんて、な、ならないんだからな」
「違いないね。となりゃあ、旨い酒の仕入れのためにも殺すしかない。
目には目を、歯には歯を、人数には人数を。そして――」
言いかけた老婆の脇を、黒き旋風が一陣吹き抜けた。それは獣である。
獣だが、人である。すなわち、獣人形態をとった八束の姿。
彼と老婆が通り抜けた先には、無惨なまでの血みどろの死屍累々だけがある。
『罪には罰を……因果応報、だろ!』
ざくり。強靭な爪が、傷だらけの山賊親分の巨体を切り裂いた!
「がぁああああああっ!?」
『救えねえ悪党ってのは、却って気が楽でいい……俺も旨い酒が呑みたいんだ。
ここらでそろそろ、そのやんちゃのツケを払ってくたばっとこうや……!!』
獣じみた吐息に憎悪と怒りを押し込めて、八束はなおも爪を振るう。
反撃の斧。銃剣で弾く。弾かれた腕をイッカクの角が串刺しにした。
「よかったなあ? アンタ、数だけ見て神聖化されたりせんで済むんや。
人殺しは、いくら殺そうが人殺し――決して、絶対に、赦されんのですわ」
薄く笑った布静の言葉に、傭兵として戦場を駆け抜けた老婆と獣人は何を思うか。
英雄を模倣して楽しむゲームの申し子は、なにを思うか。
それを問うて論ずる必要はない。ここで必要なのは、この邪悪を討つことだけなのだから!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
矢来・夕立
ですよね〜。
いや、オレもなんかおかしいなって。主に戦力差が。
途中からちょっと可哀想になってきましたもん。ウソですけど
『そこまでせんでもよくない?』ってこのオレが思っちゃうくらいですからね。ウソですけど
…てコトですんで、雑魚の掃除をします。挙げて楽しくなれる首級でもなさそうだし。
それはそれとして、ひとつ目印になる敵がいると便利ですよね。
「それしか目に入ってない」っていう「フリ」ができるんで。
《だまし討ち》【紙技・冬幸守】。
視界内にいないやつは他の猟兵がなんとかしてくれるでしょう。
…近くに性格の悪いひとがいると、相対的にオレが善人に見えたりするんでしょうか?
酔っ払ってるとしか思えない理論ですが。
ヘンリエッタ・モリアーティ
いや都市を二個三個落とした程度でマウントを取られてもな
弱いものいじめは好きじゃないんだよ
うーん、君たちには銃撃の練習台になってもらおうかな
使用するのは【観察終了】。
私を傷つけるのは残念ながら灯理が許さないよ
のんびり躱しながら発砲していこうか
双銃『S.E.Ve.N 277』――出番だ。
まだ酔ってるのか、それとも慣れてないからか
攻撃は思った通りには当たらないけど
まぁ向こうの攻撃も当たることはないか
ワンサイド・ゲームは大好きなんだ
――林檎(あたま)をよく狙って、BANG!
鎧坂・灯理
粋がるな盆暗。己の犯罪歴を声高に喧伝するのは、小物の典型と知れよ。
マダムは――あの調子であれば問題あるまい。
かかしの群れと遊んでいて頂こう。私もその方が気が楽だ。
何故かかしかって? 頭が空っぽだからだよ。
さあ、【仕事の時間】だ。
唸れ『白虎』歌え『朱雀』、我が声なき同輩達よ。
子分を轢き潰しながらデカいのを狙う。
相手の攻撃を念動力でねじ曲げ、近付いてショットガン。斧を持つ手は剣鉈で落とす。
手足の腱を切るべきか? デカい斧で子分を減らさせるか?
今の私に道徳はなく共感もない、どれほどの残酷も演じられよう。
私が気に入らない、故に殺す。簡単だな。貴様の頭でもわかるだろ?
せいぜい無残に死ぬがいい。
●悪党どもの"お仕事"
パスッ、パス、カシュッ、と、缶切りでも差し込んだような消音が響く。
しかしてそれは紛れもなく銃声であり、もたらされる結果は控えめな発砲音に反して、甚大だ。
おまけに酩酊のせいか不慣れなためか、双銃の狙いはいまいちずれている。
それが、的に選ばれた――選ばれてしまった山賊どもにとっては不幸である。
なにせ、一撃で死ねないのだ。急所を的確に外した(実際はちゃんと一撃で殺すつもりなのだが)弾丸で手足を飛ばされ、連中は苦悶してのたうち回る。
「おかしいなあ、弱い者いじめをしたいわけじゃないんだけど」
ヘンリエッタ・モリアーティは、困ったように頬をかいた。リロード。
パスッ、パス、カシュッ。よくよく狙いを定めてトリガを引く。
だがどうもうまくいかない。ああ、また哀れな的を死に損なわせてしまった。
「ねえ灯理、射撃ってもっとこう、コツとかないのかな?」
「マダム、せめて撃つなら相手を見ながら撃ったほうがよろしいかと」
「え~? じっと見つめるのなんて飽きちゃったよ」
パスン、パスン、と、ヘンリエッタはノールック射撃で敵を撃つ。
そんなものが狙い通りに当たるはずもなく、あらぬほうを撃たれて敵は倒れる。
狙いは外れる、しかし体にはしっかり当たっているのが実に悪辣と言える。
「私も、あなたの酔狂にツッコミを入れるのはいい加減飽き飽きですよ」
「わざとやってるんじゃないけどなぁ……」
ビュンッ。苦し紛れの石飛礫をやはり見もせずにのんびりと躱す悪党教授。
それ以上、鎧坂・灯理がヘンリエッタの相手をすることはない。
(かかしの群れでも、マダムの遊び相手になる程度なら役に立つ、か)
賢しらな脳みそすらも骸の海に置いてきた木偶の坊では、かかしにすら劣るが。
「でもいいなあ! やっぱり一方的(ワンサイトゲーム)は大好きだよ。
どうしたんだい君たち、名うての極悪人なんだろ? ほら、立ってごらんよ」
パスン。ドタマ狙いの弾丸が、あえて逸れて愚か者どもの両足を撃ち抜く。
「ああ、また外した。銃の調整が足りなかったのかなあ?」
パスン。心臓狙いの弾丸が、山刀を振りかぶった山賊の腕を吹き飛ばす。
ヘンリエッタは、目では困ったように、口元は笑って引き金を引いていた。
「くそ、クソが……次から次へと……!!」
口から血を吐き、全身傷だらけの山賊親分がぜいぜいと荒い息をつく。
生み出した子分どものうち、1/3は己の再生のために即座に食らっている。
それでもいよいよ、負傷が追いつかなくなりつつある。ここが正念場か。
「正念場だと? くそったれめ。まだだ、まだ殺したりねえ。奪い足りねえ!」
――グォオオオッ、ギャリ、ギャリリリッ!! ゴキキキッ!
バキバキとなにかを踏み潰しながら、大型獣の蹄音じみたエンジン音。
二代目・白虎。探偵ご愛用の、恐るべきモンスターマシンが轢殺蹂躙している。
なにを? 当然、召喚された山賊どもを、轢き潰しているのだ。
狙いはもちろん山賊親分。バイクがうなるたびに山が血反吐に染まる。
「こ――殺せぇええ!! たかが女ひとりだぞぉおおお!!」
横列をなした山賊どもが、スリングを振り回して石飛礫を放つ。
いじましい攻撃だ。灯理は笑みすらなく、念動力の盾でこれを捻じ曲げた。
「なんでだ!? なんでここまで俺様の縄張りを荒らし回りやがる!?」
山賊親分は口から泡を吹いて叫ぶ。灯理は意に介さない。
「その面ぁ見てりゃわかるぞ、てめえらだって俺様と同類の悪党だろうがぁ!!」
「そうなんですよね~。ただまあ、殺さない理由もないんですよ」
「!?」
突然の声に振り返った山賊親分の足の腱が、ばっくりと切り裂かれた。
矢来・夕立による、すれ違いざまの容赦ない斬撃の成果である。
「そこまでせんでもよくない? って、ちょっと可哀想になってきましたよね。
だからオレは、これ以上あなたをいじめないですよ。まあ、ウソですけど」
「て、てめぇえええええっ!!」
「じゃ、そういうことで」
夕立はこちらめがけて疾走する探偵をちらりと一瞥し、闇に沈んだ。
山賊親分は膝を突きながらも少年を追いかけて、そしてエンジン音で気づく。
「私が貴様と同類だと? 結構、価値観の違いは多様性の証拠だ、好きにしろ」
部下どもを轢殺し、剣呑極まりないショットガンを片手にアクセルを吹かす女を。
「肯定も否定もするつもりはない。そもそも貴様の観念など私にはどうでもいい」
斧を振り上げて迎え撃とうとした。BLAMN!! 散弾が斧ごと手を吹き飛ばす。
「貴様が声高に宣伝した悪行も何もかもどうでもいい。所詮貴様は盆暗だ。
私が気に入らない。ゆえに殺す。簡単だ、貴様の頭でもわかるだろ?」
「う、うぉおおおおおおっ!?」
BLAMN!! 雄叫びを上げた口の中に再びの銃撃。白虎は目の前に。
「せいぜい無惨に死ね。貴様程度の悪など、私はとうに見飽きている」
ぐしゃっ!! べき、ごきごきごりごり……!!
轢殺タイヤが、鋼じみた筋肉と骨をこそげ取る嫌な音が響き渡った。
そんな耳障りな殺戮音を遠くに聞きながら、夕立は敵陣の真っ只中で考える。
誰にしようか。ああ、あれがいい。手足が吹き飛んで達磨状態のあの山賊。
じっと見つめてそちらへ歩み寄る。介錯でもしてやろうかというふうに。
「てめええ、こっちを見やがれぇえ!!」
「ぶっ殺してやらぁああ!!」
「最初から見てますよ? ――まあ、ウソですけど」
ヒュン、と、夕立の両手が霞んで煌めいた。山賊どもが動きを止める。
見よ。彫像めいて身動ぎひとつしなくなった山賊どもの周囲を、
きいきいと鳴きながら蝙蝠たちが飛んでいる。屍肉を求めるハゲタカめいて。
されどそれらはもう"役目を終えた"あと。
それらは鳴きながら夕立の手元に戻り、ぱたんぱたんと紙に戻る。
「"紙技・冬幸守"。オレがいちいちとどめ刺しに行くワケ、ないじゃないですか」
三秒間の目視など、最初から済んでいる。必要なのは敵を近づける騙し討ちだけ。
目印として利用した達磨のほうを見やると、ちょうどそいつの頭が吹き飛んだ。
「ああ、やった、ようやく当たった! あははは、林檎が吹っ飛んだ!」
射的ゲームで目当てのおもちゃを当てた子供のように、悪党の女が喜んでいる。
それを見やって、また別の敵を殺しながら、夕立は淡々と思った。
「……悪党が悪党の横に並んだら、同じぐらい悪党に見えるだけですよね」
相対的に自分が善人に見えるようなことなど、まあありえない話だ。
あの女も、あの探偵も、己も。全員、どうしようもない悪党揃いなのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
【チームアサルト】親分狙い
さっすが匡だ
っし、行くぞ!(掴まる)
散開
状況開始
【ハッキング、ドーピング】を併用して即席の身体、サイバネ強化を実行
ヘイトを買い過ぎず
「鬱陶しいが注力するレベルじゃない」程度で
飛び回って射撃をかますネグルの方がよほど脅威だろ?
それが狙いさ
そら、これ見よがしにネグルがチャージした
「山賊親分が軽く身を捻れば後ろの俺に当たる」位置へ
──UC起動
ネグルの一撃を【覚悟】を決めて受け、変換…増幅
誤射されてくたばったと思ったか?
【迷彩、目立たない、忍び足、騙し討ち、暗殺】で背後から奇襲
貫通、剛力、加速
ペネトレイトブラスターが持つ力さ
──防御も回避も、許さねえ
さ、匡を迎えに行こうぜ
ほい
ネグル・ギュネス
【チームアサルト】
アドリブ歓迎
親分狙い
匡が抑えている間に突っ切るぞ!
【スターダスト・トリガー】起動、飛翔する!掴まれ!
到着後、散開して戦闘開始
【ペネトレイトブラスター】で風の【属性攻撃】による【衝撃波】を叩き込み、抑え込む
【残像】で敵を撹乱しつつ、射撃
───ところで。
皆殺しにしたと言ったな?
報いを受ける時が来たぞ、喰らうが良い!
【封印を解く】ことで、トリガーのパワー全開
銃の属性を雷に切り替えて、マックスパワーで解き放つ!
───ただし、ヴィクティムに向かって放つ
誤射?Non.
賽は投げられた
結果は勿論────Jack pot(大当たりだ)!!
終わったら、相棒を迎えに行こう
まあきっと大丈夫だろうけど
鳴宮・匡
◆チームアサルト
◆雑魚戦
よくもまあ雲霞の如く出てくるもんだ
さて――道はこっちで作るから
でかいのは任せたぜ
さっきと違って今回は気にするものもない
【涯の腥嵐】、全員ここで沈んでもらう
視界に捉えた相手から順に撃っていく
基本はアサルトライフル
リロードの合間に拳銃での狙撃と
近づかれた場合は、ナイフでの近接戦闘も織り交ぜ
攻撃が途切れないように立ち回っていく
一瞬だけでいい
一瞬だけ、首魁への道を遮る敵を全て排除できれば
あいつらなら、その僅かな隙だけで十分だ
二人を通した後は、そちらへ雑魚を通さぬように防戦
……変な感じだな
よくわからないけど、いつもとは――
ただ、殺すだけの戦いとは、
少しだけ、違うような気がするんだ
リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎
雑魚狙い
三下、山賊、三倍増。
尽きる事が無いかのようだねえ。…けど!
ボクたち猟兵の力もまだまだココから!
もう一暴れと行こうか!
「戦略上、補給を制すモノは戦場を制す!ってね!」
UC【神出鬼没の緊急配送】で、知り合いから、そうでない初見の味方まで
補給物資と暴れるのに都合に良いアイテムの配送を実施
「ボク一人だけ狙っても補給路は絶てないし、ボクがいれば、やっぱり補給路は絶てないよ~?」
狙われても、イルダーナをとばして退避。
邪魔な相手には銃撃剣戟、浴びせては一撃離脱
「どいてどいて! Dag's@Cauldronの配達は止められないよ?」
(技能:操縦、逃げ足、運搬、範囲攻撃、なぎ払い)
ヌル・リリファ
◆アドリブ、連携など歓迎です
トップをたおさないとずっと雑魚がわくんでしょう?
なら、することはひとつだよね。
サイキックエナジーをたたきつけてうみだす【衝撃波】と【シールドバッシュ】ではじきとばしながら、山賊親分にちかづくよ。
あくまでもはじくだけだから、そのうち上記では対処しきれないかずになったと判断したら、UC起動。
敵の注意を偽物にひきつけて、子分がそっちにいったすきに【属性攻撃】をつかったルーンソードで親分を攻撃。
……どこをみてるの?
あれは湖面にうつったつきにすぎないってきづけなかったみたいだね。
あ、偽物はある程度敵にむらがられたら自爆させる。子分がいていいことがあるわけじゃないしね。
●
山賊親分の子分生成能力は、無尽蔵だ。
無尽蔵であるはず、だった。だがついにそこに終わりが来た。
「……あ?」
新たな手勢を生み出そうとしてそれが叶わなかった時、当の山賊親分本人が、
信じられないことが起きた、という表情で己の手のひらを見下ろした。
「ウソだろ。俺様の最強の能力が!!」
「最強なモンかよ。さあ、いよいよ手詰まりだな?」
すかさず、ヴィクティム・ウィンターミュートが皮肉を飛ばしてみせる。
これまでの山賊親分ならば、それすらも一笑に付して戦い続けたことだろう。
だがもう、これ以上手勢が生まれることはない。骸団には終わりが来たのだ。
……ここで己が死ねば、ほんとうの意味で終わる。団も、いや、団が?
違う。団がどうこうじゃない。己だ、最強の個体たる己が死ねば意味がない!
「う、うぉおおおあぁあああああっ!?」
逃げ出した! 山賊親分は脇目も振らず、悲鳴を上げて背を向けたのだ!
「逃すかッ!」
ネグル・ギュネスは眦を決してその後を追おうとする。
だがここに来て、残存個体すべてが彼らの前に集結。
さらにいくつもの横列をなし、オリジナルへ通すまいと陣を張ったのだ!
「……よくもまあ雲霞の如く出てきたもんだ」
その状況を目の当たりにした鳴宮・匡は、一瞬で状況判断した。
愛用のアサルトライフルの安全装置を外しながら、戦友たちを見やる。
「あいつはお前らに任すよ。またネグルがひとりで殿になるとか言い出したら厭だからな」
「私がそんなことを云うわけが」
「あるな、大アリだ。けどどうする、匡?」
ネグルの言葉を制して、ヴィクティムが問いかけ、小首をかしげる。
いや実際のところ、彼が何を云わんとしているのかはふたりにもわかっている。
匡は嘆息した――それは呆れではなく、おそらく己の判断そのものに対して――あと、一つ小さく頷いて、はっきりと己の意図を言葉にした。
「俺が残る。道はこっちで作るから、さ」
三人は視線を交わし、もはや一言も漏らさずに頷きあった。
仲間がそう決めたならば、最良の結果を、最速の形で生み出すまでなのだから。
そこからはもはや、コンマゼロ秒とて惜しい状況である。
匡はすぐさまにアサルトライフルを構え、トリガーを引いた!
BRATATATATATATA!! 消された銃声は、空気を揺らさずただ水面のみを反響する。
敵の第一陣がバタバタと倒れる。だがまだだ、二陣、三陣!
「ヴィクティム、私に掴まれ!」
「Okayチューマ、ドライブは任せたぜ!」
するとその瞬間、ペネトレイトブラスターを握るネグルの半身が輝き、
指先から順に、青白く輝く装甲がその身を覆っていく。それはまさに星のような輝き!
《MAX POWER ON! STARDUST-TRIGGER!!》
「光差す思いの流れ星――さあ、飛翔する!」
バシュウッ!! とすさまじい空気を噴射し、ネグルの姿が消えた。
残像すら赦さぬほどの速度で地を蹴り、流れ星めいて敵陣へ飛び込んだのだ。
その背にしがみついたヴィクティムは匡を振り仰ぎ……BRATATATA! BLAMBLAM!!
匡は視線を返すことなく、淡々とリロードしながらの拳銃狙撃を行う。
横列にばらまいていた射撃を、一点に集中。すなわちネグル達の行く先へ。
山賊どもは被弾を恐れ両翼にばらけた。道が……啓いた!
「さっすが匡だ! 行ってくるぜ、任せときな!」
ドップラー効果を残して遠のいていく戦友の言葉に、匡はまたため息をついた。
「……任せるさ。だからこっちも、全員ここで沈めておくぜ」
開かれた一筋の道が閉じる。あとには、傭兵ひとりが残された。
残存個体数百体に包囲された、あまりにも危険な状況に、ただひとりで。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!!」
山賊親分は山を抜けようと、森林地帯に身を隠し走っていた。
もう手勢はいない。存在しているモノは全てあそこで守りに使った。
「し、死んでたまるか、死んでたまるかよぉ……!!」
己は過去に一度滅んだ身。おそらくはそれからも幾度となく。
ここに居る己は同じ"己"の破滅を知らない。知りたくもない。まっぴら御免だ。
死にたくない。だが殺したい。そして奪いたい。だから逃げなければ。
なぜ自分が死ななければならない? 理不尽だ。悪いことを"しただけ"なのに。
「へ、へへ、へへへへ……! ち、力が戻ったら、また子分を生み出して……!」
『――言ったはずだ、"させるか"となァッ!!』
――ドゴッッッ!!!
超高速の疾走から放たれたネグルの飛び蹴りが、山賊親分の背中を叩いた。
「ごはぁッッ!!」
矢の如き一撃を受け、3メートル以上にまで膨れ上がった巨体が木々をなぎ倒し吹き飛ぶ。
後方ムーンサルトからの着地。同時に、ヴィクティムも背から降り立つ。
「状況開始だ。プランは確認不要だな?」
「当然だ。ここで仕留めるぞ!」
ヴィクティムは全身のサイバネ機能をオーバークロック状態で起動し、
亜音速戦闘形態に入るとともに、山賊親分を追って疾走する。
ネグルもまた同様。ただし、ふたりは左右バラバラに散開した上での接近だ。
「がは、げほ、ごほ……ッ、ち、畜生がァッ!!」
ブゥン! 怒り任せに振るわれた斧が大木をバキバキとなぎ倒す!
「ハ! 大した狙いだなウィルソン! 残念だが大外れだぜ!」
間合いのギリギリ外で急ブレーキを踏んでいたヴィクティムが挑発する。
親分は立ち上がり全身に青筋を浮かべてそれを追撃しようとするが、BLAM!!
『私を忘れてはいないだろうな? そう簡単にやらせはせんッ!』
ネグルの射撃! ペネトレイトブラスターが風の衝撃波で敵を狙い撃つ!
山賊親分は怒りにバキバキと骨肉を歪め、しゅうしゅうと獣じみた呼気を漏らす。
本来、子分どもを召喚するために使われるはずのリソースが、その巨体を再生強化しているのか。
「ウウウウォオオオオオオッ!!」
ネグルを狙おうと奔る。その足元をヴィクティムのナイフが削ぐ。
ならばと狙いを戻せば、こちらを見ろとばかりに風の衝撃破が吹きすさぶ。
山賊親分は苛立つ。それこそがふたりの狙いであるとも知らずに……!
……一方、ひとり残った匡は! はたして無事なのか!?
「はいはーい、どいてどいてーっ!」
「は? リア?」
突然割って入った聞き覚えのある声とイルダーナのエンジン音に、
匡はやや気の抜けた声で空を仰いだ。そこには確かにリア・ファルの姿!
「は? ってご挨拶だなあ、匡さん! 毎度おなじみDag's@Cauldronの配達なのに!」
「いや、配達も何も注文してないだろ」
「いやいや! たしかにしたとも!」
迫りくる山賊をイルダーナの旋回衝撃破で吹き飛ばし、リアは云う。
「ひとり残って仲間を送り出した匡さんに、とっておきの"補給物資"をね!」
片目を瞑って空を指差すリア。その先から、なにか……いや、誰かが、落ちてくる?
ばさり! と服の裾をはためかせ、華麗に着地したのは空色の瞳の少女。
地面に手足をついた瞬間、強烈なサイキックエナジーが敵を放射状に吹き飛ばした!
「……ヌル」
「うん。配達されてきたよ。わたし、人形だし」
と、けろっとした顔で、ヌル・リリファが小首をかしげた。
その周囲に光盾"アイギス"が精霊あるいは使い魔めいて滞空し、
ビュビュンと降り注ぐ石飛礫を弾き飛ばし、己と匡の被弾を防ぐ。
「お届け完了~! じゃあボク、ネグルさんたちのとこにも配達いってくるね!」
「うん。リアさん、"わたし"をあっちにもとどけてあげてね」
「任せておいて! 匡さん、こいつはボクからのおまけだ~!」
サンタクロースか何かのように投げ渡されたのは、ごっちゃりと火器弾薬の詰まったボックスだ。
目の前に落ちてくると同時にボックスはばかりと開かれ、
アサルトライフルやサブマシンガンのような機関銃を始め、
およそ常人が使うべきではない凶悪なアンチマテリアルライフル、狙撃銃、
はたまたグレネードランチャーにミニガン……まさに兵器の見本市状態である!
「おい、これ支払いは」
「サービスだって」
あっという間に見えなくなったイルダーナの姿を見やり、匡は肩をすくめた。
最悪のクロースコンバット用に片手に持っていたナイフをホルダーに戻し、
つま先で新たなアサルトライフルを蹴り上げて、流れるようにスライドを引く。
「……こりゃちょっと過剰火力かもな」
「そうだね。でも、いいんじゃない? 気にするものはないし」
「ああ。遠慮はなしだ。大盤振る舞いで、全員消し去ってやるさ」
これほどの火砲を、たったひとりで扱い切るワンマンアーミー。それがいまの匡だ。
たとえ敵が何百人いようが、もはや物の数ではあるまい。
並び立つ仲間がおり、そして己を信じて駆け抜けた奴らがいる。
「その盾、頼りにさせてもらうぜ、ヌル」
「うん。それにしても匡さん、どうしてこんなことしたの?」
ふと問われて、匡は一瞬だけあっけにとられたような間を置いてから、
少しだけ笑って、わからない、とでも言いたげに頭を振った。
「それが最適だから、さ。ただ……」
ジャキッ。狙い定めたスコープの向こう、有象無象を見据えた目に蒼が宿る。
「――よくわからないけど、いつもの"ただ殺すだけの戦い"とは、
なんだか少しだけ、違うような気がするんだ。……なんて、な」
「そうなんだ。じゃあ、いきのびなきゃだね」
ヌルは頷いて盾を展開する。大切な人を守ることも、彼女の使命のひとつなのだ。
……カメラは再び、山賊親分とネグル・ヴィクティムたちに戻る!
ふたりによるヒットアンドアウェイは、一進一退の状況を作り出していた。
山賊親分の斧は届かない。だが逆に、引き気味の攻防ではダメージが足りない。
つまり、山賊親分を倒すこともできないまま、時間だけが過ぎているのだ。
「こォの野郎どもォ、邪魔だァ!!」
ばきばきと大木が崩れる。ヴィクティムもネグルも、慌てずにこれを回避!
もう少しだ。もう少しでお膳立ては整う。布石は着々と揃いつつある。
――そしてここで、イルダーナが現在時刻に追いついた!
「やあふたりとも! 宴も酣ってとこかな? 時間に間に合ってなによりだよ!」
間に合った? 一瞬だけネグルは、装甲の下で訝しげな顔をするが、
ふと一瞥したハッカーの不敵な笑みを見て、その意図を理解する。
「ナイスタイミングだぜ、チューマ! 注文の品は用意してくれたかい!」
「もっちろん! 戦略上、補給を制すモノは戦場を制す、ってね!」
リアは自信満々に言い、銃撃とともに無数の爆薬を山賊親分に投擲!
BRATATATATA! KBAM! KBAM!! 一瞬だけその身が土煙に包まれる!
「ネグル、手はず通りに行くぜ!」
『――了解した!』
土煙に飛び込むヴィクティム。そしてスナイプモードに入るネグル。
その頃、土煙の中……山賊親分は、もうひとりの伏兵に出くわしていたのだ。
「チィ、次から次へと! 邪魔だ、ガキイッ!!」
目の前に立つのは空色の瞳の少女、すなわちヌルである。なぜ!?
しかもヌルは、棒立ちのままその斧を……おお、まともに食らった!
「ハハァ! まずこれでひとりめ――」
《なにをいっているの?》
ヌルは……ヌルの姿をした幻影は、本体よりも人形めいた声で言った。
《わたしは湖面にうつったつき。水鏡にうつる、うつろなまぼろし》
「な――」
《めがくらんだら、もうおわり。さよなら》
――KA-BOOOOOM!! ヌルの幻影はそのまま自爆したのである!
魔力の炎に呑まれた山賊親分は、もがくようにその炎を振り払う。
そこへヴィクティム! だが迂闊だ、間合いに飛び込んでしまった!
「その隙、命取りだぜウィルソン!」
「てめえ! ナメんじゃねえぞぉ!!」
だが山賊親分が振るった斧は、わずかにハッカーを捉えそこねた。
ヴィクティムは背後に回り、これ見よがしに彼方を見て叫んだ。
「ネグル、いまだ! ブチ当ててやれ!」
『応ッ!』
土煙が晴れる。山賊親分に狙いを定めたペネトレイトブラスター!
「てめえ――ハハッ! バァカがァ!!」
だが笑ったのは山賊親分である。あれでは狙撃位置を教えるようなもの!
しかも背後にはヴィクティムがいる。山賊親分が身をよじれば、彼に当たる位置取りだ……!
KRIK――ネグルは引き金を引いてしまった。ああ、なんたることか!
放たれた稲妻のエネルギーは、最大出力で解き放たれてしまっている!
ZZZZZZTTTTTTT!! 山賊親分はその稲妻を……避けてしまった……!!
「もう一度言ってやるぜェ、バァカめぇ! てめえは仲間を」
『――誤射したと、思っているのだろう?』
山賊親分の顔から笑みが消えた。彼方から強烈な爆音。
火器を惜しまず放出した匡が起こした破壊音だ。それが届いたのだ。
相棒は生きている。当然だ。そして、いましがた撃ち抜いた戦友も"生きている"。
『皆殺しにしたと言ったな。報いを受けるときが来たぞ、食らうがいい!』
「ど、どういう意味……」
『「――Jack pot(大当たり)ってことさ!」』
KRASH!! 木々を揺らすほどの大音声と衝撃波が響いた!
その時、その場にいたすべての人々の視界を、再び爆ぜた稲妻が灼いた。
持たざる者の竜殺し(バルムンク)。
覚悟を以てその身に一撃を受けた端役が一度だけ可能とする神話の聖剣。
増幅されたエネルギーは、いかな龍とて殺すだろう。
稲妻を受けたのはこのため。信頼があるからこその"大当たり"。
その腕から迸った雷は、邪悪を貫き――空までもを、焦がした!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と
アレンジ絡み歓迎
ガラット殿、いやガラット嬢か
ドワーフ族を見慣れぬからといって大変失礼した
非礼はまたのちほど詫びよう、貴女たちの宝を取り戻してからな
…さて、数は厄介だが首領を討てばどうせ消滅するのだろう
そうだな。突破する、離れるなよマリー
主や周囲の仲間を背に、斧槍で有象無象をなぎ払い串刺し首領までの道を作る
御前だ、控えろ下郎
主へ向かう首領の一撃は城塞とした己を盾にし、触れることは許さない
姫は慈愛溢れる方だ
貴様のような輩でも心から悔いればお赦しされるだろう
──御意に、殿下
仮初めの主であれど、命があればこの腰の刃を振るう
かの魂が地の国で、とくと悔い改めんことを
マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
アレンジ歓迎
まあ!ごめんあそばせ
お嬢さんだったのね
うふふ、あとでよくと顔を見せて頂戴
ね、約束よ。絶対ですからね
有象無象に構っている暇なんてありません
頼みましたよ、わたくしの騎士
従者の背後で取りこぼしを丁寧にいなしながら道を往く
ごきげんよう、山賊親分さん
王女に相応しく微笑んで眼前の元凶に問いた
『あなた、懺悔する気はありまして?』
問と共に盾影から潜ませ伸ばした影を用いて捕えれば一層笑みを深めた
お答えになって、と鈴鳴るような声で首を傾げる
――あなたの言い分よくと理解いたしましたわ
大丈夫、わたくしはあなたを許します
ええ、その命を持って
アラン、この御方を改心させて差し上げて?
●顛末
……かくてひたすらしぶとく生き続けた山賊親分は、滅んだ。
天をも貫く、龍殺しの稲妻は、たしかにその身を貫いたのだ。
だが。
「…………が、げほ……っ」
なんたることか。これほどまでの状態になってまだ、まだ生きている。
いや、もはやこれは生きているというべきなのだろうか?
片腕と両足、否、腰から下を失い、全身は焼け焦げ炭化している。
再生も起こらない。手勢も呼べない。すべて、すべて滅ぼされたのだ。
「まだ、だ……」
しかしまだとそれは云う。肉の塊、焦げた炭の塊に出した過去の残骸は、
まだ欲望を求める。求めて、ひとり、山のあわいを這い進む。
「まだ、まだ奪い足りねえ……殺し足りねえ……!!」
ぎらぎらと汚らわしい両目に輝くのは、間違いなく欲望である。
奪い、殺し、貪る。何も産まぬ、何の益もなき、ただ悪辣なだけの暴威。
憎悪も怒りも義憤も大義も役目もなにもない。"そうしたいからそうする"。
それはおそらく、悪辣な吸血鬼どもよりも原始的で、だからこそ手に負えない。
「――手勢を滅ぼされ、ここまで貶められて、なお足掻くとは」
そんな無様なオブリビオンの成れの果てを、冷たく見下ろす騎士がいた。
傍らには、いっそ憐憫のこもった眼差しを向けるドワーフの戦士。
「ガラット殿……いや、ガラット嬢。先程は大変失礼した。
非礼は改めて後ほどお詫びするとして、あなたが望むならばこれを……」
騎士、アラン・サリュドュロワの言葉に、ガラットは頭を振る。
「わしはもうよい。お前さんたちに任せると依頼したのじゃからな。
それにもし、こやつが何かをしでかそうとしたとて、お前さんの守りは越えられまい」
然り。仮にこの残骸――死にかけたの山賊親分――が悪足掻きを目論んでも、
油断なく睨みつけるアランの守りを抜けることはできないだろう。
彼は傍らに立つものを絶対に守る。その決意のもとに、己を城塞としている。
もちろん、そんな力もやつにはもはやない。だからこそ見下しているのだ。
「……わかった。ならば、あとの沙汰は――」
振り返った先、にこりと微笑みながら続いてきた主がいる。
「我が主におまかせするとしましょう」
……マリークロード・バトルゥールは、あえてあとからついてきた。
危険だから、というわけではない。ガラットに最期を任せるつもりだったからだ。
そもそもの発端は彼――いや、彼女か――の依頼であった以上、
それを手ずから仕留められるならば、そうするのが流儀と考えた。
だがやってきたマリークロードは、ガラットの選択を改めて聞くと、
「まあ! わかりましたわ、ガラット様。そして、さきほどはごめんあそばせ?
うふふ。このまま無事に氏族の方々の元へ戻ったら、どうか素顔を見せて頂戴ね」
淑やかに微笑んで言えば、ガラットと入れ替わる形で前に出る。
「ごきげんよう、山賊親分さん」
「…………て、めえ…………」
もはや一撃で死ぬであろう残骸を見下ろしながら、マリークロードは問いかける。
「"あなた、懺悔する気はありまして"?」
……それは、ここまでの残虐を働いた盗賊に対しては、あまりにも慈悲深い問いである。
「何を……云……」
「問い返すな。立場をわきまえろ、下郎」
アランは鋭い声で山賊親分を制した。
「貴様のような輩でも、心から悔いれば、姫はお許しされるだろう。
姫は慈愛溢れる方。たとえ貴様が我らの大敵、過去の存在だとしても、だ」
山賊親分は何も言わない。……この状況で、そんな慈悲をかける理由が理解できないからだ。
「さあ、どうかお答えになって?」
マリークロードはただ笑う。それはいかにも慈愛溢れる姫の笑み。
……山賊からすれば、食い物にし放題の、愚かで甘いいい子ちゃんの笑みだ。
「……へ、へ……懺悔? するさ、ああ……だからよぉ、許してくれよ……。
俺はもう……ひ、ひひ……今までの罪を、懺悔するさ……するよぉ……」
……マリークロードは、かしげていた首をもとに戻した。
すでにヤツには、"賢者の影"を伸ばして捉えてある。
だがもたらされるべき虚偽への裁きはない。つまりこれは"真実"だ。
「そう。懺悔するのですね。"これまでの罪"は」
姫は、本来の声音で言った。
「そしてまた殺すんだな。奪って、誰かを不幸にするのか」
侮蔑。山賊親分はただニタニタと笑って……いや、怯えた表情になる。
「いいでしょう。ならばわたくしはあなたを許します」
「……おい」
「アラン。この御方に"改心"をさせてさしあげて?」
「おい、助けてくれよ」
「あら? それはできませんわ」
踵を返した姫は言った。入れ替わりに、剣を鞘走らせた騎士が前に出る。
「あなたの改心は、命を以てするほかにありませんもの」
「――御意に、殿下」
そして、騎士の剣は、主命のとおりに振り下ろされたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『利き酒選手権~ジュースもあるよ~』
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POW : 味なんて知ったこっちゃねぇ!と豪快に飲む
SPD : 研ぎ澄まされた感覚でテイスティング
WIZ : 酒、ジュースの出し方から出題者側の心理を推察
イラスト:小日向 マキナ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●乾杯、ハイホー、もう一杯!
「「「「「ハイホー!!」」」」」
ガッシーン! と、小気味いいジョッキの打ち合う音が響き渡る。
ここはナティビアード氏族の集落、その中で一番大きな酒場"逃げ惑う兎"亭。
無事に物資の大半(一部は不慮の事故で破損していた。不慮の事故で)を取り戻した猟兵たちは、ガラットが流れでし(てしまっ)た依頼の報酬代わりに、酒場での宴に招かれたのだ。
取り戻された酒樽の中身をはじめとして、同じように骸団に苦しめられていた近隣の村落などから、各地の名産品をはじめ肉・魚・野菜といった豊富な食材も届けられている。
もちろん最初にグリモア猟兵が言っていた通り、自慢の品や酒を持ち込むのも大歓迎されるだろう。
「いや、今回は本当に世話になった! 氏族を代表して礼を云うのじゃ!」
集まった猟兵たちを前に、ガラットは胸を張ってそう言った。
「……などと言葉を並べても、わしらの感じた謝意は伝わりきるまい。
ゆえに、わしはあえて氏族のしきたりを破って、じゃな……」
ごそごそ。なにやら大きな兜をしゅぽんっ! と引っこ抜いて、髭を外す。
……外す? なんと、もふもふ髭は付け髭だったらしい!
兜の下から現れたのは、見目麗しいうら若きドワーフの乙女だったのだ!
あ、もちろん成人ではある。女性は何歳であろうと乙女なので。はい。
「本来ならば家族以外に見せるべきでない、この素顔で改めて礼を言おうぞ!
風変わりな冒険者たちよ、今日はわしらの自慢の酒と品々をたっぷり振る舞おう!
さあ、どうぞ心ゆくまで楽しんでくれ……っと、ああ、もうひとつ!」
ジョッキを手に持って掲げてみせる。
「乾杯の音頭は、どうぞわしらの合言葉である『ハイホー!』でお願いしたい!
これは我らの喜び、鼓舞、決意、それらすべてを示す大事な大事な言葉なのじゃ!」
ドワーフたちは陽気に叫び、またジョッキを掲げて口々にハイホー! と唄った。
さて、肝心の酒類だが、酒樽の中身は実に多種多様なものばかり。
集落以外で造られた酒なども残っていたため、枚挙にいとまがないのだが、
あえて氏族手製の酒を楽しみたいならば、以下のメニューが参考になるだろう。
『~~殺し(~~スレイヤー)』
とてつもなく度数の高い酒。味わうというより度胸試しのために呑まれる。
この酒には以下のようないくつかの段階があり、右に行くほど度数も高まる。
トロール(キツい)→巨人(めっちゃキツい)→ドラゴン(ヤバい)→悪魔(死ぬ)
後味は甘いと言われているが、舌の感覚が残る大酒飲みは稀である。
割った場合は『半殺し(ハーフスレイヤー)』と呼ばれる。それでもキツい。
『溶岩酒(ラヴァ・ロック)』
~~殺しほどではないが、かなり度数の高いブランデー。
名前の由来は、溶岩を呑んだかのように体がかっかと暖かくなることから。
なお、ブドウではなく林檎やさくらんぼ、あるいは木苺などを使ったものもあるが、
これらは多少度数が落ちるため、『岩焦がし(バーン・ロック)』と呼ばれる。
『ハイ・ホー!』
ナティビアードお手製のエール。色味はやや黒みがかっていて口当たりがよい。
ドワーフからすると度数は低めなのだが、そのぶん量が呑めるので評判がいい。
集落の外からやってきた人々をもてなすときも、主にこれを出す。
『ちょび髭酒(ムスタッシュ)』
ハイ・ホー! よりはやや度数と苦味が強めのドライスタウト・ビール。
独自の製法により非常に泡立ちがよく、夕方に注いだ泡が朝になっても消えないという。
勢いよく呑むと、ちょうど泡がちょび髭のように残ることから名がついた。
『もぐらの忘れ物(モールズ・アンバー)』
綺麗な琥珀色が特徴的なラガービール。苦味そこそこで割と"上品な味"と評判。
名前の由来は、氏族が有する鉱脈で時たま出てくる琥珀の俗称から。
集落外では『騒がしい春(ハウリング・スプリング)』とも呼ばれている。
(製法上、この酒が外に出回るのは春真っ盛りであるため)
●業務連絡
……と、いろいろ考えてみましたが、これはあくまで一例です。
なんかそれっぽいお酒があることにしてもよし、持ち込んでもよし。
食べるにせよ呑むにせよ、好きなように宴を楽しんでください!
なお、ムルへルベルについてはマスターコメントの通り、プレイング中でご希望があれば登場させることもできます。
あと、ガラットも出せます。気が向いた方はご自由に絡んでみてください。
プレイング受付は【19/07/23 08:31】から【19/07/25 08:29前後】までです。
グィー・フォーサイス
結都(f01056)と
香りは…そうだね
あっ、そうだ結都
香りが強すぎて気分が悪くなったら言うんだよ
君の出身だと水みたいな酒が主流だよね
僕は何方かと言うと葡萄を嗜む方だけれど
お仕事お疲れ様、結都
普段一人で食べる事が多いのかい?
僕は独り身で暇をしている事が多いからさ
また誘ってよ
ご馳走しちゃうよ
僕は『もぐらの忘れ物』にしたよ
ほら見て、僕の色と一緒
うん、乾杯
ハイホー!
箸、聞いてみようか
すみませーんって尋ねてみるよ
結都はいっぱい食べて大きくならなくちゃ
背伸びして肉を取り分けて、君へ
えっ、初仕事なのかい?
猟兵としての仕事か
普段の仕事か
それともそれ以前の…
僕はね…
賑やかな声
楽しい時間
穏やかな気持ちで君と過ごす
桜・結都
グィーさん/f00789 と
香りが……なんだかとても独特ですね
私の知っているお酒とは違うみたいです
綺麗な色がついています
葡萄の、わいんでしょうか。グィーさんに似合いますね
お仕事の後の食事は美味しく感じられますね
一人ではない食事も久しぶりです
皆さんとても楽しそうで、……僕、こういう雰囲気好きだなぁとぽつり
グィーさんは何を頼んだのでしょうか
私は麦茶をお願いしました
乾杯しましょう。はいほー、です
お箸、あるでしょうか
無ければフォークをお借りしましょう
うん、美味しいです。私は初めてのお仕事でしたけど
グィーさんの初めてのお仕事はどうでしたか?
色々聞かせてください
楽しい時間がいつまでも続けばいいと願いながら
●初陣のそのあとに
かくして酒宴が本格的に始まり、あちこちで乾杯の音頭と小気味いい音が響く。
ごろごろと滑車に載せられていくつも酒樽が運ばれてくると、歓声まで上がり始めた。
もちろん、料理だってどれもできたてだ。きっと厨房は大忙しだろう。
あたりにはかぐわしい匂いが立ち込め、誰だって腹ペコになること請け合い。
そんななか、桜・結都は、席の隣を通り過ぎていく給仕に目を奪われた。
「おや、どうしたんだい結都? なにか気になることでも?」
そんな少年の様子に、対面に座るグィー・フォーサイスは首を傾げた。
「いえ、香りが……なんだかとても独特で」
「香り……ああ、そうだね。なるほど」
結都の視線を追ったグィーは、給仕が持つワインボトルを見て納得した。
少年はサムライエンパイアの出身である。いわゆる"和風"の世界だ。
もちろん少年が酒を呑んだことはないのだろうが、宴などで嗅いだことはあろう。
かの世界でのポピュラーな――我々でいうところの日本酒――ものと、
ワインやブランデーといったものは、そもそも製法からして異なる。無理もない。
そう考えたところで、グィーははっと何かに気づき、真剣な表情になった。
「そうだ結都、香りが強すぎて気分が悪くなったら、ちゃんと言うんだよ?
いくら呑んでなくても、匂いだけで酔ってしまう人も居るというくらいだしね」
「ふふ、そうならないように、ちゃんと気をつけますから安心してください」
グィーの真面目くさった様子にくすくすと笑う結都。
その視線は、とくとくと注がれるワインの、芳醇な葡萄色に見入っていた。
「……綺麗ですね。グィーさんによく似合いそう、というか」
「僕に? まあ、たしかに僕も、呑むのは基本的にワインだけれどね。
ただ、今日はせっかくだし、別のお酒を注文してみたのさ。そろそろ来るかな」
猫人ゆえか、はたまたグィーもなんだかんだで喉と腹がぺこぺこだったのか。
ちょうどそう言った瞬間に、ふたりの注文した品が運ばれてくるのだった。
といっても、ふたりはこの世界の料理や飲み物にそこまで詳しくはない。
『お腹が膨れて、ついでにお酒に合うような料理があれば』ぐらいの注文だった。
実際に運ばれてきたのは、じっくりローストされた骨付きの豚すね肉である。
ドワーフの給仕が慣れた手付きでナイフを入れれば、やや赤みがかった断面からにんにくや香味野菜の薫りが漂い、ふたりの食欲を刺激した。
付け合わせにはじゃがいもの団子。ただし焼いたものではなく茹でたものだ。
こちらも塩コショウで丹念に味付けがされ、パセリが散らされている。
「いい匂いですね……! それにすっごい大きさです、食べきれるでしょうか」
「なあに、あれだけ動いたあとなんだから心配いらないさ。ナイフは使えるかい?」
「あ、はい、フォークなら一応。お箸があれば一番だったんですけど」
念のためグィーが給仕に訊ねてみたが、ドワーフの集落に箸はなかった。
そういうわけで、ドワーフサイズに切り分けられた肉をさらに取り分けるのは、
年長者でカトラリーの扱いにも長けた、グィーの仕事ということになる。
「そういえば結都は、普段のご飯はひとりで食べることが多いのかな?」
「ええ、そうですね……だから、ひとりでない食事は久しぶりです」
そう言って結都は、周囲を見やる。楽しげに歌い騒ぐ宴の席を、感慨深げに。
「……僕、こういう雰囲気好きだなぁ」
思わずぽつりと言葉が口を突いて出て、はっと我に返って対面を見た。
お肉を取り分け終えたグィーが、にこにこと結都のことを見返している。
「なら、ぜひまた食事に誘ってほしいな。僕も独り身で暇してることが多いんだ。
今日はふたりそろってご馳走になってるけど、次は僕が君にご馳走するからさ」
なんだかちょっと軟派な台詞だが、結都にとっては嬉しい申し出のようだ。。
結都ははにかみながら頷いて、麦茶によく似たお茶入りのグラスを手に持った。
「あ、乾杯。乾杯もしないと、ですよね? グィーさんは何を頼んだんです?」
あの"わいん"とやらではないなので、ちょっぴり気になっていたらしい。
「"もぐらの忘れ物"っていうお酒を頼んでみたんだ。ほら、見てごらん」
チューリップ型のビアグラスの中には、琥珀色の液体がなみなみ注がれている。
軽くグラスを振れば、焼きたてのパンに似たトースト香がほのかに漂う。
「僕の色と一緒だろう? きっと味も好みなんじゃないか、ってね」
「ふふ。じゃあさっそく呑んでみないと、ですね」
少年はにこりと微笑んで、すこし椅子から腰を浮かせてグラスを掲げた。
グィーもそれに応じてぐっと手を伸ばすと、カチン、と杯が小気味よく打ち鳴らされる。
「ハイホー!」
「はいほー、です」
そして、くぃっと一杯。
結都のほうは、よく冷えたお茶が渇いた喉を心地よく駆け抜けていく。
"忘れ物"のほうはといえば、エールらしい苦味は前評判通りそこそこで、
モルトの甘みが舌を楽しませ、あとにはほんのりとカラメルの香りが残る。
なるほど、この豚すね肉のローストには、すこぶる相性のいい酒と言えよう。
結都はようやくひと心地ついた様子で、ふう、と安堵のため息をつき、
グィーは、鼻先についた泡をちろりと舐め取りながら、機嫌良さそうに微笑んだ。
肝心の豚すね肉のローストの味の濃さも、食後の空腹にはいっそ心地よい。
マスタードをつけて食べるとそこにぴりっとした辛味が混ざるおかげで、
ふたりは思っていたよりもすいすいと食べ進めてしまったほどだ。
「うん、美味しいです!」
「あはは、もっと食べたほうがいいよ。結都は育ち盛りなんだからね。
いっぱい食べて大きくなれば、あんな奴らに嘗められたりもしないだろうさ」
「そういうものなんですか? 実は私、猟兵としての仕事は初めてで……」
「えっ、そうだったのかい? それは驚いたな、あんなしっかり戦えてたのに」
おどけてみせるグィーの言葉に、嘘偽りの気配は見当たらない。
それがなんだか誇らしくて嬉しくて、結都は少し頬を赤らめてしまった。
「そう言われると嬉しいです。……あ、はじめてのお仕事と言えば、ですね。
グィーさんのはじめてのお仕事は、どんな感じだったんですか?」
「僕の? それって、猟兵としての? それとも、それ以前の仕事……かな?」
「どっちもです。もっと色々、グィーさんのお話を聞いてみたいんですよ」
結都の瞳が、年相応にきらきら輝くのを見て、グィーは思わず苦笑した。
けれどもこの琥珀色の"忘れ物"があれば、舌も滑らかに回ってくれそうだ。
「ああ、わかった。じゃあそうだね、まずは星の海での戦いの話をしようか。
スペースシップワールド。あの世界での戦争は、それはそれは大規模なもので……」
芝居がかって語って聞かせる猫人の声も、
それを興味津々といった様子で聞き入る少年のうなずきも、
にぎやかで楽しげな人々の喧騒に呑まれていく。
ふたりのグラスの中では、冷たい液体が穏やかに揺れていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
食べながら喋るのは楽しいからいいでしょ!
まぁ、君がこういう雰囲気好きじゃないのはわかるし
もちろん構わないよ
もう少し静かなところがいいよね
……ん?
ヨハンから話し掛けるなんて
もしかして親しい、のかな?
お邪魔します、えっと……ムルヘルベル、だよね
ヨハンの隣に腰掛けて
……え?それ私に聞く!?
ごめんね、ヨハンったらこういうところだいぶ不器用で
ヨハンに耳打ちする
いつも現地まで送り届けてくれてありがとう、でしょ?
……こほん
君にはお世話になりっぱなしだね
いい機会だし、お礼を言ってもいい?
いつも本当にありがとう!
ジュース頼まなきゃ
うん、3人で乾杯しよう!
私はみんなで合言葉いいたいなぁ……
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
騒がしい……。あまり好きではないんですよね、こういう雰囲気は
食べながら喋るっていうのも行儀が悪いじゃないですか
少し静かなところを探していいですか?
人混みを避けるように歩いた先、普段の依頼では見られない賢者の姿を認め
ちょうどいい。少しお邪魔させてください、ムルヘルベルさん
彼女と共に席へと
………………、
いや別に話すこともないんですけど。何かありますか?
耳打ちされ
それって今更じゃないですか?
とはいえ伝える機会もそう無いか
いつもありがとうございます
……改めて言うと居心地がよくないな……照れている訳ではない、決して
まぁ折角なので乾杯くらいはしましょうか
合言葉は言いませんけど
●少しだけ静かなところで
がやがやと騒がしく楽しげな宴、しかし誰もがその喧騒を快く感じるわけではない。
たとえばここにいるヨハン・グレインなどは、こういう騒がしい空気は苦手な性質だった。
そもそも、酒飲みの悪酔いに一家言ある少年である。酒宴とは相性がよくない。
「食べながら喋るっていうのも、行儀がよくないじゃないですか」
「それは楽しいからいいでしょ! まったくもう……」
そんなヨハンがぶつぶつ垂らす文句に、オルハ・オランシュは嘆息する。
ヨハンがこういう騒がしい雰囲気を好まないのはよく知っているとはいえ、
まさかマナー方面でまで文句をつけてくるとは、なんとも気難しいものである。
まあ、そんな堅物なところもまたなかなか……とか頭の中で考え始めていたので、
オルハは頭をぶんぶんと振って雑念を払った。いかん、浮かれた空気のせいか。
「……どうしました?」
「ううん、なんでもないよ! とにかく、もう少し静かなところへ行こっか」
愛想笑いでごまかしつつもそういうと、オルハはそそくさと歩き出す。
顔を見られると、赤くなった頬を悟られそうな気がしたからだ。
そんな少女に、ヨハンは首を傾げつつもついていく。相変わらず凸凹なふたりである。
そうして人混みを避けるように、隅へ隅へと流れていくふたり。
するとそこで、ヨハンのほうが、あ、という彼らしからぬ声を漏らした。
「どうしたの、ヨハン?」
「ああ、いえ。ムルヘルベルさんがあそこにいらっしゃったので」
言われて見れば、なるほど、たしかにグリモア猟兵の姿がちょこんとあった。
見た目だけは少年めいていることから、この酒宴の席にはあるいみふたり以上に似つかわしくない。
しかし彼らの何杯も生きている賢者は、すでにちびちびと酒を頂いているようだ。
「ちょうどいいですね。すこしお邪魔させてもらいましょうか」
「うん、いいよ! 色々、伝えたいこともあったし……って、あれ?」
ヨハンの後ろに続きながら、オルハはキョトンとした顔で首をかしげる。
この堅物……というよりはやや偏屈なヨハンである、人付き合いは得意ではない。
むしろ、本人がそういう相好を厭っているフシすらあるほどだ。
そんなヨハンが、自分から誰かに話しかけに行くというのはかなり珍しい。
「こんにちはムルヘルベルさん。お邪魔でなければ俺たちも相席を……」
(……もしかして、割と親しい……の、かな?)
まだまだヨハンには知らない一面がある。
そんな当たり前の事実を改めて感じつつも、オルハは彼らの姿を見ていた。
そういえば魔術師同士。なにかしらの繋がりがあってもおかしくはない……のか。
なんにせよヨハンに倣って、ふたりして対面に座る。ちらりと賢者が少女を見た。
「やあ、今日もふたり揃って無事なようでなによりである」
「えっと……うん、お邪魔します。おかげさまでね」
とはいえこうして、面と向かって話をしたことはないオルハ。
いくらグリモアベースで何度も顔を合わせているとはいえ、
改めて卓につくと話題に窮するもの。困った様子で笑いながら頭をかいた。
(まあ、ヨハンのほうが親しいなら、何かしら話を提供してくれるよね)
と楽観的に(当たり前ではあるのだが)考えていたオルハ、だが……。
「……」
ヨハンは黙りこくっている。オルハはそんな彼の顔をきょとんと覗き込んだ。
「…………」
「……ヨハン?」
「………………いや、別に話すことも特にないんですけど」
「「ええっ!?」」
ムルヘルベル、そしてオルハはふたりして、声を合わせて驚き呆れる。
一方の少年はそんなふたりに、なんですか、とやや不満げな表情だ。
「そんな反応をするなら、なにかないんですかオルハさん」
「えっ、ここでそれを私に聞くの!? 話しかけたのヨハンなのに!」
なんていつも通りのやりとりが始まって、気づけばくっくっく、という笑い声。
見れば、対面に座る賢者が、ビアグラスを片手に愉快げに肩を揺らしていた。
「あ、あの、ごめんね? ヨハンったらこういうところだいぶ不器用で」
「待ってくださいよ、そこまででもないでしょう。現にこうして機会を設けましたし」
「そこが不器用だって言ってるの! だいたいヨハンは……」
「それを言うならオルハさんだって……」
賢者、いよいよこらえきれずに噴き出し、声を上げて笑う。
「ぷっ、はっはっは! いやいや、仲良きことは美しきかな、よなあ!」
なぜか上機嫌のムルヘルベルに、揃って首をかしげる二人だった。
そうして、賢者がようやく笑い疲れて落ち着いた頃。
「しかし、オヌシらにはいつもいつも、助けられてばかりであるな」
とムルヘルベルのほうが言い出したものだから、ふたりして、えっ、と声を漏らす。
「それは……どうして?」
「ん? だって、そうではないか。ワガハイがいくら事件を予知したとて、
それを解決してくれる、心ある猟兵がいなければワガハイには何も出来ぬのだ」
だから、何度も予知に耳を傾けてくれるふたりには、感謝している、と。
ムルヘルベル自身はもとより、あの自称・可憐な猟兵もそう語っているらしい。
ふたりは顔を見合わせて、やがてこそこそと耳打ちなどをする。
「……どう返したものでしょうか」
「いやいや、そこは"どういたしまして"でいいんじゃないかな。
それよりもヨハン、私たちも伝えたほうがいいこと、あるんじゃない?」
「(耳打ちされ)……それって、いまさらじゃないですか?」
「だからこそ、だよ。ほら、伝える機会もあんまりないだろうし」
今度は賢者が首をかしげる番だ。やがてふたりはそんな彼を見返して、
「えーと、こほん」
「…………」
「ほら、ヨハン。君が呼び止めたんだから」
こつんとオルハに肘でこづかれて、少年は真面目くさった様子で咳払いすると、
「あー……その、どういたしまして。むしろ、こちらこそ……です。
いつも、俺たちを送り出してくれて、ありがとうございます……はい」
照れくさそうな様子に、オルハはくすくすといたずらっぽく笑った。
「というわけで、君にはお世話になりっぱなしだね。いつも本当にありがとう!」
ムルヘルベルは一瞬驚いたような顔をしたあと、くすりと笑って、
「お互い様、というところであるかな? どういたしまして、と返しておこう。
……どれ、せっかくだ。互いへの感謝と健闘を讃えて、乾杯などせぬかな?」
そう言ってムルヘルベルは給仕を呼び止め、新しい酒杯を注文する。
ふたりは未成年ということもあり、喉越しのいい冷えた果実水が供された。
「わあ、ドワーフの集落なのに、こんなものもあるんだね?」
「そもそも酒というものの多くは、おおよそ果実を発酵させたものであるからな。
"教育の根は苦いが、その果実は甘い"という言葉も……いや、これは違うな」
「酒飲みの薀蓄を垂れ流すのは、程々にしておいて頂けると助かりますよ」
などと語らいつつ、オルハとムルヘルベルはそれぞれのグラスを掲げる。
そんなふたりの視線を受けて、ヨハンもおずおずと杯を持ち上げるのだが、
「……先に言っておきますが、合言葉は言いませんよ」
「ええっ? 私はみんなで合言葉、言いたいんだけどなあ」
オルハはこれみよがしに、残念そうにしょんぼりしてみせた。
ムルヘルベルは何も言わない。意味ありげに、にやにや笑って彼を見るだけだ。
「………………今回だけですよ」
やがて根負けしたヨハンに、またふたりして笑い、今度こそかちんと乾杯。
「「「ハイホー!」」」
酒宴に、密やかで楽しげな声(と恥ずかしそうな少年のもの)が3つ、響いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロゼ・ムカイ
都亨(f01391)と
ハハッ、ドワーフ美女たちとの宴会たぁテンション上がるじゃねぇか!
仕事サボってきた甲斐があったぜ!
おう、そこのネーチャン!一緒に呑もうや
俺らちゃんと奴らを始末したんだからよぉ。サービスしてくれや
それと、うちの若者に色々教えてやってくれよな!
(都亨をバンバンと叩きながら)
おう都亨、酒なら飲んでるしメシも食ってるぞ。(ひゅごおお)
お、酒に強い俺にそんなことしちゃう?任せとけって
てか折角だし全部飲むだろ
ハイ・ホー→ちょび髭→もぐら→溶岩→トロール→巨人→ドラゴン→悪魔
の順で飲む。
力尽きたら虹色の物体を都亨のプリティフェイス()にリバース!
綺麗なネーチャンに介抱されて悪くねぇ気分だ
叶・都亨
ロゼくん(f01535)と
ハイホーーー!(ガッチーン)
宴だ宴だぁーーー!!
飲んで食って騒いで踊ろーう!ひゅーーーう!
もうね!楽しいね!こういうとこにいるだけでテンション爆上がっちゃう!
よぉーっしゃあ!腹踊りじゃあ!
あ、だめ。脱ぐのだめ?半裸ですけど!全裸じゃないんですけど?!いやぁーーー…
ふぅ、あぶない。お縄につきそうになっちゃった!
ロゼくん飲んでる~?っていうかすげぇ食べてる?!
せっかく飲めるんだからもっと飲みなよ!俺なんてトロピカルジュースだよ!
ぐいぐい突っ込んで飲ませてやる!
ぎゃあ汚い!やめて!俺のプリティフェイス(予定)が見れないものになっちゃう!
え、見えない?なんで?ねえなんで??
●お酒は適量を守りましょう
「ハイホーッ!!」
ガッチーン! と、小気味よいグラスの音と元気な乾杯の音頭。
ロゼ・ムカイ、そして叶・都亨の元気な野郎どもはノリノリで酒宴を楽しんでいた。
とはいえ、未成年である都亨のほうは、お酒ではなくジュースなのだが。
「宴だ宴だぁー!! 呑んで喰って騒いで踊ろう! ひゅーうっ!!」
「都亨、ノリノリだなあ。あんまりハメを外すなよ~? 未成年なんだし!
……なぁんて、いかにも大人っぽいお小言は、俺のキャラじゃねえなッ!」
保護監督責任とか、なんかそういうのを秒で捨て去るロゼ。悪い大人だ。
実はロゼは、この仕事のためにわざわざ本業のほうをサボってきたのである。
猟兵としての戦いは何者にも勝るとは言え、目的はあきらかに酒!
……と、今まさにあっちゃこっちゃで色目を使っている、美女であろう。
酒に女、あと(もう振るいまくったあとだが)暴力。
あれ? 退治したはずの盗賊が、実はここに残ってないだろうか?
「おう、そこのドワーフの美女のネーチャン! 一緒に飲もうやぁ~。
俺らちゃんと奴らを始末したんだからよぉ、サービスしてほしいねぇ?」
「うわーっロゼくんそれ普通にチンピラだよ! ていうか山賊じゃん!!」
さしもの都亨も、浮かれ気分をよそにやってドン引きするほどである。
こんな大人にはならないようにしよう。彼は友人の姿を反面教師にすることにした。
「まあまあそう言うなって、なあネーチャンたち、うちの若いのに色々教えてやってくれよ!」
「痛い痛い! そんな背中をバンバン叩かないでよ! あと、色々ってなに!?」
「そりゃお前、なあ? こんな席で色々っつったら……なあ! ぐへへへへ!」
「うへへへへ! それ知りたい、俺ちょー知りたあっ痛い痛いドワーフのお姉さんたちまで叩かないで!!」
調子ぶっこいてるところをすこすこに叩きのめされたふたりである。
かくして山賊、もとい猟兵のふたり、頭にでっかいたんこぶを作りつつ宴を楽しむ。
「くそっ、まさか若いネーチャンたちの代わりにあんな腕っぷしのいいババアが出てくるなんて……!」
「すごかったねあのドワーフの肝っ玉母さん、俺お玉であんな叩かれたの初めてだよ……」
最初はしおしおとしわくちゃの顔で肩を縮こませていたふたりだが、
だんだんと宴の空気にまた和らぎ、もといテンションが加速度的に高まり、
気がつけば都亨が大きなテーブルに飛び上がり、なにやら注目を集めていた。
「おう都亨、なんだ? 腹踊りでもすんのかぁ~?」
「いいね腹踊り! もうねこういうところにいるだけで楽しいからね!!
よぉーっしゃあみんな見ろ! 見て!! 俺の華麗な腹踊り見てぇーっ!!」
「いいぞいいぞ、やれやれ! なんなら全部脱いじまえ~!」
手を叩いて煽るロゼ。ノリノリで服を脱ごうと手をかける都亨。
「ようしじゃあ早速……あっ、さっきのドワーフのお母さん!?
いや待って、全部は脱がないから! 半裸ですよ半裸! 半裸ならいいでしょ!?
えっダメ? 脱ぐのダメ? いや違うんだよ全裸になれってロゼくんがさあ!」
「あいつが自分からわいせつ物を陳列しようとしてました!
俺は止めました! 俺止めたんで! 無罪なんで無関係なんで!!」
「ちょっとロゼくぅん!?」
なお、ふたり揃ってきっちりお仕置きされた。
「ううっ、危ない、今度こそ地下牢に繋がれるところだったよ……!
ちょっとロゼくん、ひどくない!? まあいいけど! てか呑んでる~?」
たんこぶをもう一段増やした都亨が戻ってくると、ロゼが掃除機になっていた。
いや、正しくは、掃除機みたいな勢いでヒュゴウっと酒と飯を吸い込んでいた。
「おう都亨、ご覧の通り酒も飯も楽しんでるぜ(ひゅごおお)」
「なんかすげえことになってる!? くっそー余裕の顔しててずるいなー!
せっかく呑めるんだからもっとガンガン呑みなよ! 俺なんてトロピカルジュースだよ!?」
「おっ、酒に強い俺にそんなこと言っちゃう? 振っちゃう~?
てかまあどうせ全部呑むだろうしな、まあ任せとけよ、よく見とけ!」
調子に乗ったロゼ、都亨に煽られるままジョッキ一杯のエールをぐいっと行く。
さらに今度は"ちょび髭酒"。ビール程度の度数ではロゼの余裕面は揺るがない!
「っぷはぁ! んー、どっちもいいボディしてんなあ!」
「えっなにそれかっこいいんだけど! お酒のみっぽくてかっこいいんだけど!」
「呑んでんだよ酒を! じゃあ次はこのもぐらの忘れ物かなあ~?」
ぐびっぐびっ。よその席の手つかずのジョッキまでガンガン奪う始末である。
しかし騒がしいモノ好きのドワーフたちのこと、目くじらを立てるこどもなく、
やがてロゼを中心に煽りに煽りまくるオーディエンスの輪が出来ていた!
「よーしロゼくん次はこの溶岩酒ってのいってみよう!」
「おう。任せとけ! んぐっ、んぐっ、んぐっ……」
大仰な名前こそついているが、ようは我々の世界で言うブランデーである。
とはいえ、それを割りもせずにストレートで一気飲みはもはや度胸試しの域。
酒に強いと豪語するだけあって、飲み干したロゼの顔色はけろっとしている。
「うおおおすげー! よしじゃあこのスレイヤーシリーズいこうぜロゼくん!」
「任しとけオラァ! 見とけよネーチャンたちぃ!!」
この期に及んで、ドワーフの美女たちに色目を使う辺りは冴えないが。
都亨の差し出す酒を飲も……うとして、ロゼは一瞬ぴたっと動きを止めた。
「いや待てこれほとんどアルコールじゃね!?」
「それが一番弱いのなんだってさ!」
「マジかよ……ええい、ままよッ!!」
トロール殺し、完飲!
「次よこせオラァ!」
「はい巨人殺しどうぞ!」
巨人殺し、完飲!」
「つ、次……げほっ、よこせ、オラァ!」
「えっロゼくん大丈夫? むせてるけど?」
「俺は酒に強ぇんだよぉ!!」
そして差し出されたドラゴン殺し。もはや匂いが完全にアルコールだ。
樽には『火気厳禁』の力強いドワーフ語の禁止マーク。それだけヤバいのだ。
(まだこのあとには"悪魔殺し"がある……いけるか? いや生けるか?)
さすがのロゼも逡巡した。だがそこで彼は見た……美女たちの眼差しを!
実際は呆れ返っているのだが、彼に期待しているように(酔っ払った頭では)見えた!
「うおおおおおお!! 死なばもろともーっ!!」
の、呑んだ! 男ロゼ、ドラゴン殺し完飲……?
「……」
「すっげーロゼくん! さあ、それじゃあ最後の悪魔殺しが」
「うっ」
「うっ?」
「うおぇえええええええええッ!!」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ああっ! お見せ出来ない! これはちょっと倫理的にもお見せできない!
都亨のプリティフェイス(おそらく)が! 色んな意味でお見せできない!
虹色の液体をリバースするロゼ! 正面から虹色を浴びる都亨!
「オゴゴーッ!!」
「ぎゃああ俺のプリティフェイスが! 見れないものになっちゃう!!
えっ見れない? なんで? ねえなんで!?!?」
大惨事であったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィリヤ・カヤラ
同行:レイナちゃん(f11986)と一緒に行くね。
ジンジャーエールかネモネードはあるかな?
あればエールの『ハイ・ホー!』をカクテルにして飲むね。
「ハイホー!」
レイナちゃんもドラゴンさんも頑張ったもんね。
持ち込みでジンジャークッキー持ってきたから食べてね。
ドラゴンさんの分もあるからね。
酒場ならフライドポテトはあるかな?
好きだからあったら頼んで、これも皆で食べよう。
あ、ガラットさんとムルへルベルさんにも
よかったらしいお裾分けするね。
スタイルは普通だと思うけど秘訣は……
うーん、食べた分は動く事かな?
動いたからカロリー実質0……。そうだね!
逆じゃないかなって思ったけど黙っておくね!
レイナ・オトゥール
同行:ヴィリヤ(f02681)お姉さんとご一緒します!
「ハイホー!!」
ドラゴンの皆も頑張ったので
一緒に御呼ばれさせて頂いても宜しいでしょうか?
彼らも美味しいもの食べるの大好きなんです!
って、ガラットさん、女性の方だったのです!?
もふもふ付け髭はちょっと私やドラゴンの皆にもつけてみたいですね!
さてさて、私はまだ未成年ですのでお酒は飲めませんが
皆で楽しくジュースと名産品をたっくさん頂きますよー!
美味しいものは正義なんです!!
頑張って働いた分、たくさん食べてもカロリーは実質0のはずですので、体重とか気にしません!
って、体重といえばヴィリヤお姉さんってスタイルいいですよね、何か秘訣とかってあります!?
●パブ・タイム
ドワーフの戦士、ガラットは上機嫌であちこちを練り歩いていた。
そんな彼女が目をつけたのは、ヴィリヤ・カヤラとレイナ・オトゥールのコンビだ。
はたから見ると、仲のいい姉妹に見えなくもないふたり。
ガラットも(一応は)女性ということもあり、親近感が湧いているらしい。
「ハイホー! どうじゃ、宴は楽しんでおるかおふたりさん!」
「やあガラットさん、ちょうどいまから呑み食べ始めようかと思ってたところだよ」
「ハイホー、です! 今日はほんとに頑張りましたよぉ~」
ふにゃんとテーブルに突っ伏すレイナ、しかしすぐにぐわっと顔を上げて、
「あ、そうだガラットさん! ものは一つ相談なんですけど……」
「むむ? なんじゃ?」
「ドラゴンの皆も頑張ったので、一緒にお呼ばれされていただいてもよろしいでしょうか!」
「なんじゃ、そんなことか! お前さんたちの仲間はドラゴンまでおるのじゃのう!
もちろん歓迎だとも。ただし、酔って暴れたりはしないようにするのじゃぞ!」
当然ですよとレイナは笑顔で応え、相棒である龍たちを召喚する。
「それにしても、ガラットさんがまさか女性だったとは……!」
「うん、あんな兜に髭をつけてたらさっぱりわからないよね。声もくぐもってるし」
「わっはっは、よう言われるわい! ところでお前さんは、酒はいけるのじゃろ?
何を呑む? わしらの酒は、どれもこれも美味いとあちこちで評判なんじゃ!」
氏族の文化を心から誇りに思っているのだろう、笑顔でそう豪語するガラット。
ヴィリヤはいくつも並べられた酒樽を、順番に眺めていき……。
「じゃあ、ハイ・ホーと……あと、ジンジャーエールかレモネードはあるかな?」
との注文に、ガラットはほほう、と感心した様子。
一方でレイナは、キョトンとした顔で首を傾げた。
「ヴィリヤお姉さん、どうして一気にふたつも飲み物を頼むんです?」
「そっか、レイナちゃんはまだ未成年だもんね。知らなくても無理はないか。
カクテルって言ってね、お酒をお水や果実水とか、他のお酒と混ぜて呑むんだよ」
運ばれてきたビアグラスには、エールとレモネードがほぼ1:1で割られている。
我々の世界で言うところの、シャンティ・ガフやパナシェの出来上がりだ。
「お前さん、そこまで強くはなさそうじゃが、かなり好きな性質と見たぞ?」
「それほどでも。じゃあ、レイナさんはこのレモネードを飲んでみる?」
「わ、わかりました! なるほど、村の外にはそんなものもあるのですね……!」
もともとカクテルというと、おしゃれな飲み物というイメージがあるが、
ヴィリヤのようなパリッとした女性が手に持つといよいよ画になるさまだ。
そんな彼女に年下なりの憧憬と尊敬を抱きつつ、レイナもグラスを受け取った。
「「「ハイホー!」」」
カチン! 小気味よくグラスを鳴り響いた。
そしてそのまま、三者は勢いよく杯を煽る。こういうのは景気の良さが大事だ。
レモネードは天然の氷窟を使ってよく冷やされた喉越しのいい炭酸飲料で、
カクテルも苦味が緩和されていて、非常に飲みやすく爽やかな味わいである。
「ん~~~~~、生き返る気分ですっ!」
「あははは。そうそう、今日はジンジャークッキーを持ってきたんだ。
レイナちゃんもガラットさんも遠慮しないでいっぱい食べてね?」
「おお、さすがは冒険者どの! ではありがたくご馳走になるのじゃ!」
ヴィリヤは実に用意がいい。そこもまたレイナを憧れさせるポイントだろう。
そこで彼女はきょろきょろと周囲を見、見知ったグリモア猟兵を見つけると、
「ムルヘルベルさん、こっちこっち!」
と、少年めいた賢者に呼びかけ、手招きした。
「おや? おそろいの様子だが、ワガハイになにか用かな?」
「あ、こんにちはムルヘルベルさん! お疲れさまですっ!」
レイナは元気よく挨拶する。ヴィリヤはそんな彼に、クッキーを差し出した。
「はい、これ。せっかくだしムルヘルベルさんにも、と思って」
「おお、おすそ分け感謝である。なんだか悪いな」
いいつつも笑顔で受け取った賢者、その手には立派なビアグラス。
「あれっ、ムルヘルベルさんお酒呑んでいいんですか!?」
「ん? ああ、ワガハイはこう見えてもオヌシらよりもずっと年上ゆえな」
にやりと笑って酒を呑む姿に、なんだかずるいと思うレイナであった。
そうして一同がクッキーに舌鼓を打っていると、さっそく料理が運ばれてくる。
ナティビアードの集落は、鉱山の一部を使って牧畜も営んでいるらしい。
衣食住を自給自足できるからこそ、周囲の世界との関わりが薄いのだろう。
まるまると肥え太った豚のローストや、牛肉の甘辛煮といったつまみをはじめ、
レイナのような未成年でもたっぷりと頬張れるボリューミーな料理がたっぷりだ。
鉱山という環境もあって、野菜に関してはやや不足気味ではあるが、
そのぶんザワークラウトをはじめとする発酵食品が揃っているあたりドワーフらしい。
「んんーっ、これ美味しいですねっ! いくらでも食べられそうですっ!」
色気より食い気という年頃か、ドラゴンとともにがつがつ平らげていくレイナ。
「美味しいものは正義! 頑張って働いたぶん、たくさん食べてもカロリーは実質0!
つまり体重とか気にしなくても、今日は全然問題ないってことですね!」
「……(それは逆じゃないかなって思ったけど黙っておこう!)」
なんだかんだ、ヴィリヤもお腹はぺこぺこなのだ。
カクテルがすいすいと飲めてしまうこともあり、食事の手もよく進む。
「あ、そういえばヴィリヤさんって、すっごくスタイルがいいですよね。
私気になります……! そのスタイルを維持する秘訣とかあるんですか!?」
「うーん、食べたぶんは動くこと、かな?」
本人的にはあまり特別なことはしていないらしい、ヴィリヤは首を傾げている。
「むむむ、わしだってスタイルはよいぞ! ほれほれ!」
「……ドワーフの方のスタイルってよくわからないんですが!?」
「やれやれ、実にかしましい話題であるな」
三人娘(?)のやりとりを、苦笑しながら眺める賢者。
宴の席は、美味い飯に爽やかな飲み物のおかげで、朗らかに進むのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アスト姉さん(f00658)と
はいほー、ですよ
わぁ、おいしそうなお酒がたくさん
どれから飲むか悩んじゃいますけど
悪魔殺しってかっこいいです
ええ、駄目ですか?
お姉ちゃんいじわるです、いけずです
飲んでいいって言ったではありませんか
あ、これもおいしそうですねどっちから飲みましょう
持ってかないでください、一緒に飲みましょ
あ、ドワーフの皆さんもさすがです
ではお注ぎしますね
あ……もう飲んでくださらないんですか?
そうですか、お酒は美味しく飲むものですから、無理にとは言いません
こんな田舎娘が注いだ酒など美味しくないとおっしゃるのですね
いいんです、一人で枕を濡らします
お姉ちゃん……!
はい、いっぱい飲みましょう
アストリーゼ・レギンレイヴ
【妹のセレナ(f16525)と】
……片付いたわね
セレナ、少しは酔いが醒め――てないわね
って、いきなりそんな強いお酒はダメよセレナ
軽いのから楽しみなさい、ほら、これとか
(『もぐらの忘れ物』を渡して)
綺麗な色だし、美味しいと思うわよ
どっちから……ではなくて
とにかくこれは没収(悪魔殺しを取り上げる)
(一口口をつけて)……結構いけるわね
際限なくお酒を勧める妹の様子に嘆息
泣き落としに掛かられては相手も困るでしょうね……
……ほら、セレナ、こっちへいらっしゃい
お姉ちゃんの相手もしてくれないと、寂しいわ
しょうがないわね
いいわよ、好きなだけお飲みなさい
眠くなったら膝を貸してあげるわ
※いくら飲んでも酔いません
●レギンレイヴ姉妹の貴重なパーティ・タイム
にこにこ。にこにこにこにこ。
宴が開始されてからというもの、セレナリーゼ・レギンレイヴは笑顔である。
事情を知らない者が見れば、ああいかにも聖女らしい穏やかな微笑だ、
と、溢れ出る慈愛と優しさに思わず祈りを捧げたくなるほどだろう。
だが、酔っ払いなのだ。この23歳、すでにけっこう呑んでいる。
「少しは酔いが醒めたかと思ったけど、全然ね……」
そんな妹の様子に、姉であるアストリーゼ・レギンレイヴはため息をついた。
まあ、幸い戦闘は無事に終わったし、宴が始まったからには無礼講……とは、
問屋がおろしてくれない。放っておくと何をしでかすかわからないからだ。
「うふふふ。おいしそうなお酒がたくさんありますね、お姉ちゃん!」
「そうね。けどセレナ、呑むなら少しは量とペースを考えて」
「どれから呑みましょうか、悩みますね。とりあえず樽でください!」
「セレナ、話を聞いて??? せめてピッチャーか瓶で呑んで???」
酒の単位からしてぶっ飛んでいる妹の酔いっぷりに、姉は確信した。
宴だろうが気は抜けない。気を緩めた瞬間、ここは地獄絵図になるのだと。
とはいえアストリーゼも、宴だからといってそうやすやすハメを外すタイプではない。
なので、そこは特に問題ない。ただ妹が気がかりで仕方ないようだ。
「ええ、ダメですか? じゃあこの悪魔殺しっていうかっこいいお酒を……」
「だから、いきなりそんな強いお酒はダメよセレナ。軽いのから楽しみなさい」
とか言ってる矢先に、常人が呑むべきでない酒を頼もうとするセレナリーゼ。
……よく聞くと、それを止めるアストリーゼもちょっと妙な言い回しである。
まるで、順番に呑んでいくなら殺人的アルコールの悪魔殺しを呑んでもいいかのような……。
「とにかくほら、これとか。きれいな色だし、美味しいと思うわよ」
通りがかった給仕から"もぐらの忘れ物"を受け取ると、それを差し出す。
我々の世界で言うと、いわゆるメルツェンビールに近い琥珀色の液体は、
ふわふわと揺らぐたびにフルーティな香りを漂わせ、実に美味しそうである。
「あれもだめこれもだめなんて、お姉ちゃんいじわるです。いけずです。
呑んでいいって言ったではありませんか、まあいただきますけどぅ……」
ぷちぷちと文句をいいつつ、チューリップ型のビアグラスを受け取るセレナリーゼ。
「あ、でもこれも美味しそうですね」
「そうでしょう?」
「どっちから呑みましょうか……すみません悪魔殺しをください!」
「だから、どっちとかでなくて……あら?」
さりげなく悪魔殺しを注文しようとしているセレナリーゼを、アストリーゼは改めて叱りつけようとして、はたと気づいた。
なにやら、周囲のドワーフたちが、ざわざわしながらこちらを見ている。
「? お姉ちゃん、なにかしたんです? めっ、ですよ」
「どちらかというと明らかにあなたがなにかしたんでしょうに……何かしら」
怪訝そうな顔をしているレギンレイヴ姉妹に、ひとりのドワーフが云う。
「娘さんたち、悪いこた言わねえ。悪魔殺しを呑むのはやめときなあ。
いくら冒険者だからって、呑めるもんと呑めねえもんがあらあな!」
なるほど、ドワーフたちはレギンレイヴ姉妹を慮っているのだろう。
だがそう言われると、大抵の酒飲みは『できらぁっ!』と意固地になるものだ。
「うふふ、お姉ちゃん聞きました? 呑むなですって、うふふ」
にこにこにこにこ。セレナリーゼは笑っていた。そりゃもう満面の笑みで。
いけない。アストリーゼは本能的によくない気配を直感する。
「あー、そうね。あたしよ。あたしが呑もうとしてたの。だからいいでしょう?」
「いや娘さん、どっちがって話でなくて」
「いいから。とにかく持ってきて頂戴、あとはこちらでなんとかするから」
これ以上下手に止めるよりは、一度現物を持ってこさせたほうがいいだろう。
ほどなくして、三回ほど『本当に大丈夫か』と念押しされたのち、
酒というより純粋なアルコールじみた匂いの液体が運ばれてきたのである。
「わぁ、美味しそうですね~」
「あなたはだめよ。まずそれを呑みなさい」
「お姉ちゃんのけちぃ……」
もちろん、セレナリーゼに許可は降りなかったのだが。
妙なことになった。
セレナリーゼの過度の飲酒を咎めていたはずが、なぜかアストリーゼの手にも酒がある。
しかも、常人が呑んだら昏倒間違い無しの"悪魔殺し"である。
気がつけば、なにやらギャラリーの人だかりもちらちらこちらを見ていた。
「さあお姉ちゃん、一緒に呑みましょう」
「ええ、それはいいけれど……」
「ドワーフのみなさんも、さあどうぞ。さあさあどうぞ」
「ちょっと、セレナ?」
にこにこ笑顔の妹、周りのドワーフたちにもお酒をついで回る。
しかも、ドワーフですら割とキツいと噂の『ドラゴン殺し』を、である。
「あれ……呑んでくださらないんですか? そうですか……。
お酒は美味しく呑むものですから、無理にとは言いませんよ、はい。
こんな田舎娘が注いでおすすめした酒など美味しくないとおっしゃるのですね」
拒むとご覧の有様である。ドワーフたちもたじたじだ。
「いいんです。一人で枕を濡らします。くすん」
自分が呑むどころか、人にも勧めて回るのが妹の悪いところだ。
泣き上戸ならぬ泣き落とし上戸なセレナリーゼを見て、姉は何度目かの嘆息を漏らした。
「はいはい、セレナ。こっちへいらっしゃい」
「お姉ちゃん?」
「他の人たちもいいけれど、お姉ちゃんの相手もしてくれないと寂しいわ」
などと言ってやれば、セレナリーゼはぱあっと笑顔になってすり寄ってくる。
仕方のない妹だ、と苦笑いしつつも、アストリーゼもまんざらでもなさそうだ。
「はい、一緒にいっぱい呑みましょう!」
「一杯は……ああ、もういいわ。眠くなったら膝を貸してあげるから」
かくしてアストリーゼは困ったようにほほえみつつ、ちん、とグラスを打ち付ける。
「ハイホー、だったかしら?」
「はいほー、です。お姉ちゃん」
ドワーフたちも口々に合言葉を叫び、あっという間にあたりは酒盛り状態。
アストリーゼ、悪魔殺しを恐れもせずにぐびりと呑んだ! はたして!?
「……あら、意外といけるわね、これ」
驚くなかれ。この女、ザルとかワクというレベルでない大酒飲みだったのだ……!!
おかげで、ドワーフたちはへべれけになりつつふたりを称賛したという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
矢来・夕立
狭筵さん/f15055
狭筵さんがタダご飯(ただごはん)食べに行くのに付き合います。
オレはお弁当に兵糧丸を持ってき……あっちげえ、これ乾燥タピオカじゃん。地で間違えた。
家庭的が売りの美少年なのにお弁当がない。
ないもんはしゃあなしですね。台所借りますよ。
タピオカ煮てきます。はい煮てきました。
こちらを何か映えそうな色合いのものに適当に突っ込みます。
そういたしますとなんと、
驚かずに聞いてほしいんですが、
―――映えます。
だから、映えます。万事塞翁が馬。兵糧丸が爆fav。
はいコレ持って。撮りますよ。(色合いと顔面だけは)綺麗だな〜
……。コレが夕餉ですか。侘しい。
図らずしも賊時代思い出しちゃう日だな。
狭筵・桜人
矢来さん/f14904
一人酒ができる歳でもないしご飯食べましょう、ご飯。
矢来さんは付いてきといてタダご飯(ただごはん)食べないんです?
あーハイハイお弁当族ですか。家庭的ですねえ。家庭的か?
似てる似てない以前になんで手元に乾燥タピオカがあったんだ。
いやご馳走に囲まれながら酒場でタピオカ煮る人と
知り合いと思われるの恥ずかしいんですけど……。
アッハイ煮えてますね。なんと?
は?
はい。
あっ私のぶんまでご丁寧にどうも……。
写真撮るんです?
わ~きれい~フォトジェニック~。私たち素面ですよね?
急に湿っぽくなるのやめてくださいよ。
なんで私までタピオカ咀嚼してるんだろう……
モチモチしてるのがムカつくな……。
●映えが爆アドで撮れ高ハンパねぇふたり
別に、互いに示し合わせてこんな仕事にやってきたわけではない。
矢来・夕立のほうは、本人曰く『同業者としての職務上の問題』とやらで、
狭筵・桜人はというと、もう完全に火事場泥棒するつもり満々の魂胆であった。
揃いも揃ってろくでもない。
当然だ、なにせ彼らは自他ともに認める悪党なのだから。
それを馬鹿正直に感謝されてさあ祝おうと言われると、ひねくれ者の血が騒ぐ。
そんなわけで、ふたりはさっぱり馬鹿騒ぎに馴染めずにいた。
というか、馴染む努力すらしていない。彼らはこういう天の邪鬼なのだ。
「ひとり酒が出来る歳でもなし、タダご飯はありがたくいただくとしましょうか」
「付き合いますよ。といっても、オレはタダご飯とか食べませんけどね。
ほら、どこかの誰かとは違って、遠慮が出来る控えめな若者なんですよオレ」
「はいはい、ウソですけどウソですけど」
仲がいいんだか悪いんだか、まあふたりとも表情はいつもどおりなので前者なのだろう。
「ご馳走出るって話出てたのに、わざわざお弁当持ってくるとか家庭的ですね。
……家庭的か? それ、単にひねくれ者って言いません? うわ~陰湿~」
「狭筵さんに言われるのさっぱり悔しくないですね。まあ見ててくださいよ。
忍者らしく兵糧丸持ってきたんですよ、兵糧丸。これだけあれば献立要らず」
さっぱりドヤ顔していない表情で言いながら、懐をごそごそと漁る夕立。
そして取り出した包みの中からは、豆粒ほどの黒く丸い物体が出てきた。
「……あっちげえ、これ乾燥タピオカじゃん。地で間違えた」
「ええ……」
怪奇! 兵糧丸と間違えて乾燥タピオカを持参してくる忍者(17歳)!
「いやー似てるから間違えちゃいましたよ。よくありますよねこういうの」
「ねえよ。そもそも似てる似てない以前に、なんで手元に乾燥タピオカがあるんだよ」
桜人のツッコミはごもっともである。わざとだとしても意図が不明だ。
仮に『いやー兵糧丸と間違えて乾燥タピオカ持ってきちゃったよー』とか言い出すクラスメイトがいたら、一瞬で孤立すること請け合いだろう。
逆に言うと、いじめとかに悩む学生はそういう手を取るのもいいかもしれない。
いじめがなくなる代償に、他のいろんな大事なコネまで失いそうだが。
「家庭的が売りの美少年なのにお弁当がないとは……」
「それ自分で言います? "ウソですけど"つけないんですか?」
「いや、真実なので。まあ、いくら悔やんでもないもんはしゃあなしですね」
「じゃあタダご飯」
「台所借りてきますよ。タピオカ煮てきます」
「ええ……私もう他人のふりしたいんですけど……」
さしもの桜人もドン引きであったという。
夕立はウソつきである。なので、時々真顔でわけのわからんことをする。
それがマジなのかどうかわからんあたりが、実にこの少年の付き合いづらいところだ。
夕立少年、本当に煮てきた。台所のドワーフたちに怪訝な顔をされたとか。
「というわけでこちら、タピオカの煮でございます」
「アッハイ煮ですね。私やっぱり他人のふりしてていいですか?」
「まあそう焦らないで。いいですか、このタピオカをですね」
「なんでちょっとミスディレクション狙うマジシャンみたいなんです?」
「……そう、このタピオカを、ですね」
「もったいぶらないで早く話進めて???」
なぜか迫真の表情の夕立、持ってきてもらったのはフルーツの盛り合わせ。
そこによく冷やされた炭酸飲料を入れて、あと持ち込みの生クリームをどろっと。
仕上げにタピオカを添えると……おお、こ、これは……!!
「……え? こんだけ?」
「そう思うでしょう」
「思うも何もそこまでもったいぶる必要ありました? これ」
「それがですね、驚かずに聞いてほしいんですが」
なぜか周りをきょろきょろと伺う夕立。おもむろに桜人に顔を近づける。
桜人少年、もうさっさとご馳走を腹いっぱい食べたいのだが仕方なく付き合う。
「…………――映えます」
「は?」
「だから、映えます。万事塞翁が馬、この世に不思議なことなどない」
「何言ってんのか累乗倍でわけわかんないんですが、は?」
神妙な表情のまま、うんざりした顔の桜人にそれをもたせる夕立。
そしておもむろに、持参したカメラでパシャリ、と桜人を撮影する。
「あ、どうも」
「ほら見てください。兵糧丸が爆favですよ」
「言い方古いなオイ。あ~でもすご~いフォトジェニック~かわいい~」
「でしょう? いや~色合いと顔面だけは綺麗だな~」
「そこせめて前半部分心のなかに留めときましょうよ。てか留めとけよ」
パシャー。パシャー。シャッターごとに女子力高めなポーズをとる桜人。
あときゃっきゃとSNSに写真を投稿するJKっぽい身振り手振りもする。
なんだこれ。
「…………これが夕餉ですか。わびしい」
「急に湿っぽくなるのやめてくださいよ」
「図らずしも賊時代思い出しちゃいますね。オレに悲しい過去……」
「だから自分で言うことじゃないでしょそれ。なんで私までタピオカ咀嚼してんだろう。
くそ、割ともちもちしてて美味いのがムカつくな、もちもちだな……」
男子ふたり、異世界にて映えを目指しタピオカをもちもちする。
ふたりの周囲には、あからさまな空白が生まれていた。だって近づきたくない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
【兄妹】
アドリブ◎
普段はさほど酔わないが気心知れる相手と飲むと酔う率高め
自覚無しだが結局弟に甘い
ムルヘルベルへ挨拶と日頃の感謝を
酒強いのか聞く
軽く酒交わしガラットとも乾杯(女で驚き
背後の視線で弟に気付く
何でテメェがココに…はァいつもの(苛々
戦いの後の酒は美味ェ!
ハ、お子様は飲めねェモンなァ?(煽り
一覧の酒5種を順に飲む
溶岩酒ら辺から酔う
お前って俺のどこが好きなワケ
ホントにお前の本心?
境目が不透明じゃん
稀にお前の中のお嬢を見てる俺も大概だが
だから離せねェのも
囚われてンのは…
自分の甘さに下吐が出る
酔いが回り弟に寄り掛かる
蒼のピアス光る
喧騒の中の静寂
知ってる
今、誰よりも近いのは
俺だけしかいないから
杜鬼・カイト
【兄妹】
アドリブ歓迎
楽しそうに乾杯する兄さまを背後から視線でさす
…てへ、きちゃった♪
やだな【追跡】とかしてないですよ
偶然です。兄妹愛の力です
一応未成年だからお酒は飲まない
ひたすら兄さまにお酌します
大きくなったら一緒に飲んでくれます?
オレ、たぶん酒には強いですよ
本心かなんて、なんでそんなこと聞くんですか?
兄さまってば結構酔ってますね
ちょっと横になったほうがいいのでは?
……兄さまを慕うこの気持ちは、主さまのものなのかもしれない
でもそれなら、オレの心はどこにある?
認めない。認めたくない
兄さまへの気持ちは、この心は、オレだけのものだ
誰であろうと否定することはゆるさない
……オレも酔えたらよかったんだが
●兄妹(?)の、ふとした時間
杜鬼・クロウは、豪放磊落で竹を割ったような英雄好漢である。
義を重んじ、弱きを助け強きを挫き、強敵を前には戦士としての高揚を見せる。
その者、粗にして野だが卑に非ず。今どき珍しいぐらいの直情漢だ。
であるからして、大人の男として酒を愛でるのも納得と言えよう。
ましてや悪党どもをぶちのめしての酒宴など、ただ杯を傾けるよりもいい!
「ハイホー! ってなァ、さすがドワーフだ、酒も美味いのばっかじゃねェか!」
そこらへんのドワーフたちと意気投合しては乾杯を繰り返しているこの男、
すでにけっこう呑んでいる。エールとはいえかなりの量だ。潰れてもおかしくない。
だのに平気な顔をしているあたり、どうやらかなりのザルと見えた。
「おやおや、すでにだいぶ出来上がっておるようではないか、クロウよ」
そんなクロウの前に、グラスを手に散策をしていたムルヘルベルがやってきた。
送り出す側と戦いに赴く側、何度も顔を合わせていれば名前も覚えようもの。
「よォ、ムルヘルベル! そっちこそ呑ンでっかァ? せっかくの酒の席だぜ!」
「見ての通り、嗜む程度に楽しんでおるよ。こうして膝を突き合わすのは初めてであるな」
「ハッそうだな、テメェにゃ前々から、キチンと挨拶しときたかったンだよ」
クロウのような偉丈夫が笑いながら言うと、なんだか別の意味に聞こえそうだ。
それはさておき、彼の表情は嬉しげで、どこかやんちゃな子供めいていた。
ふたりは空いていた手近な席に座り、カチン、と小気味よくグラスを打ち鳴らす。
「しかし、ワガハイに挨拶とは? なにか言いたいことでもあったかな?」
「そうじゃねェよ。ホレ、なンだかンだ、オレも色々関わってるだろ?
たしか最初ンときゃ……あーそうだ、思い出したぜ。UDCアースの」
「その話はやめてくれぬかな!? ワガハイ的に思い出したくないのだが!?」
慌ててクロウの話を遮る賢者に対し、クロウのほうはやや不満げである。
というか、なんでそんな慌てるのかよくわからないといった顔だ。
「オイオイムルヘルベル、まさかテメェ、酒が呑めるってのに恥ずかしがってンのかァ?」
いつぞやの依頼のときの振る舞いを思い出し、ニヤニヤと笑うクロウ。
「当たり前であろうが、あんないかがわしい……まあオヌシはなにやら、
ずいぶんと楽しんだようであるが。その話はさておこう、さておかせてくれ」
「ったく、しょうがねェな。あとはサムライエンパイアと、この世界と……」
「バトル・オブ・フラワーズであるな。オヌシらには本当に世話になっている」
しみじみとした様子で頷くムルヘルベル。
グリモア猟兵としての責務は、裏を返せば誰かの力を頼らざるを得ないもの。
ひとりの猟兵として、事態を知りながら現場に赴けない口惜しさはあるらしい。
「そりゃコッチの台詞だぜ? いつも世話ンなってるな、ムルヘルベル!」
互いに感謝と日頃の無事を称え合い、もう一度乾杯し盃を煽る。
自然とふたりして笑顔がこぼれ出て、楽しい時間を過ごしていた。
「おお、冒険者どの! ハイホーじゃ! 楽しんでおるようじゃの!」
「っと、その声はガラット……あァ!? テメェ女だったのか!?」
やってきたドワーフの戦士を見て、やや遅れ気味の驚きを見せるクロウ。
無理もない、なにせ一足先に宴を初めていたのだ、気づいていなかったらしい。
しかしだからといって、あれこれ差別をするようなせせこましい男ではない。
呵々大笑しながら、ガラットとも乾杯し、幾杯目の酒を飲み干した。
実にいい気分だ。普段なら酒は強いが、こういう楽しい酒は酩酊してしまう。
段々と視界がぼやけてきて、火照った体が微睡むように心地よく……。
「ところでクロウよ、後ろの者はオヌシの知り合いか?」
「ア? 後ろの……?」
そういえば、なんだかさっきから背中に刺すような視線が注がれていた。
怪訝な顔をしたクロウは振り返り……そして、ぎょっと表情を一変させた!
「なんでテメェがここに!?」
問われた先、視線の主は、この酒宴にそぐわぬセーラー服の少女である。
……いやよーく体つきを観察してみると、それは異性装だとわかるだろう。
つまり、少年だ。セーラー服の少年が、てへりと舌を出して笑った。
「兄さま、来ちゃった♪」
「「兄、さま……!?」」
ムルヘルベルもガラットも、少年の呼び名に唖然とした……!
そう、この少年――杜鬼・カイト、よく見ればクロウと同じ赤青の虹彩。
しかも弟ではなく妹を自称する、クロウの頭痛の種なのである……!
……しかし共通点といえば髪の色とオッドアイくらいなもので、
並べてみると、このふたり兄妹(弟)とは思えぬほどに雰囲気がちぐはぐだ。
なにせ、かたや傾奇者めいた野卑でエッジな雰囲気の美青年、
カイトのほうは反対に、小悪魔めいた可愛らしさが特徴的な少女……少年である。
線の細さも表情もなにもかも、兄妹というにはベクトルが違いすぎる。
「ったくテメェ、どうやってココに来たンだ? 追跡でもしてたのか?」
呆れた様子のクロウに対し、カイトはぶんぶんと首を振った。
「そんなのしてないですよ、偶然です。兄妹愛の力です☆」
人を喰ったような物言いに、兄はイライラした様子で髪をかきあげる。
が、ここはせっかくの宴の席。自分で水を差していては酒もまずくなる。
気を取り直して盃の中身を一息に飲み干し、クロウは小言を言おうとするのだが、
「あ、空っぽになりましたね。お注ぎしますよ兄さま♪」
と、カイトがにこにこしながらお酌を始めた。慣れた手付きである。
なお、クロウと同じヤドリガミとはいえ、カイトは立派な未成年。
(兄以外のことでは)分をわきまえている彼のこと、もちろん口はつけていない。
「そんな顔しないで、兄さま? ほらほら、どんどんお酌しますよ?」
こてん、と可愛らしく首をかしげる弟に、兄はまたしてもため息をついた。
「ハ、けどま、お子様には呑めねェモンなァ?」
「まあ確かに今は呑めないですけど~。大きくなったら話は別ですよ」
給仕に頼んで次から次に多種多様な酒を運ばせながら、カイトは食い下がる。
口当たりのいいエールをあっという間に飲み干していくクロウ。煽り顔だ。
「それにほら、兄さまの妹なんだから、オレたぶん酒には強いですし?
だからオレが大きくなったら、兄さまに一緒に呑んでほしいなあ~」
などと猫なで声で言いながらお酌をする姿は、よからぬお店のようである。
カイトがクロウに向ける熱っぽい眼差しもあればなおさらのことだろう。
……やがてエールを飲み干して、ブランデーである"溶岩酒"を呑みだした頃、
だんだんとクロウの表情がぼんやりとしたものになり、頬が上気しだした。
戦いのあとの酒だ。なんだかんだ、お酌をされていい気分になったのもある。
火酒の熱が、義侠漢に心地の良い酩酊感を与えていた。
「お前ってよ……俺のどこが好きなワケ?」
そんなクロウが酔いからこぼした問いかけに、カイトは肩をぴくりとさせた。
「え~? そりゃもちろんかっこいいところとかぁ、強いところとかぁ」
「……それ、ホントにお前の本心かよ?」
静かな声。妹……弟は、兄の眼差しをじっと見返す。
「……本心かなんて、なんでそんなこと聞くんですか?」
クロウはその問いかけにハッと一笑し、やけ酒めいて火酒を煽った。
お酌をしようとするカイトの手を留め、"溶岩酒"の隣に置かれたボトルを差す。
トロール殺し。その名の通り、トロールすらも酔いつぶれさせるという劇物だ。
本来はストレートではなく、他の飲料で割って呑むような代物である。
「兄さま、これかなり強そうだけど」
何も言わないクロウの様子に根負けし、カイトはボトルを開けて盃を満たした。
兄はそれを一息に煽る。かあっ、と、胃が痛いぐらいの熱を持った。
「境目が不透明じゃんよ。お前の、その想いとやらは」
「…………」
言いつつもクロウは自嘲する。実際のところ、偉い口を叩ける立場ではない。
誰よりも自分こそが、カイトの中に"彼女"の姿を見ているのだからたちが悪い。
「兄さまってば、けっこう酔ってますね」
カイトはそんな自嘲の笑みに気づかないふりをしてそう言うと、
次を催促する兄のグラスに手を重ね、やんわりと首を横に振った。
「ちょっと横になったほうがいいのではないですか?」
「俺の酒に口出しすンなよ……」
「……やっぱり、酔いが回ってますよ。ほら、ね」
カイトはクロウの隣に席をずらし、うわ言めいて呟く兄の頭を抱き寄せる。
もうクロウの視界はだいぶ夢見心地で、弟のかんばせが"彼女"のものに重なった。
「……あァ、だから俺は、お前を離せねェのか……」
「…………兄さま」
「囚われてンのは……ハ、どっちなンだか」
己の甘さ、至らなさに反吐が出る。そんな自嘲の笑みが口元を歪ませた。
「……オレは、兄さまのことが好きですよ」
そんなクロウに語りかけるように、あるいはひとりごちるように。
カイトは、寄りかかって目を閉じた兄の髪を撫でながら、ふと呟いた。
この想いは、兄に対する燃えるような想いは、本当に自分のものなのだろうか。
かつての主、兄が"お嬢"と呼ぶ彼女の、その熱の残滓ではないのか?
「オレは、兄さまが好き。主さまのものじゃない、オレが好きなんです。
……だってそうじゃなきゃ、オレの心がどこにあるのか、わからないもの」
クロウの耳元で、菫青石のピアスが揺れて、鈍い輝きをかすかに放った。
「――この心は、オレだけのもの。誰であろうと、否定させたりなんてしない。
だから、ねえ、兄さま。どうかオレに、あなたを好きでいさせてくれませんか……」
か細い少年のつぶやきは、兄にも、誰にも届くことはない。
喧騒の中で、ふたりきりの静寂はいやに感じられた。ひそやかな寝息。
……遺された器物(モノ)たちは、いまはただ、酒宴の熱に寄り添い眠りにつく。
過去がもたらす未来への痛みから、一時逃れるように。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】
(既にとても楽しんでいる)
(ド低音でハイホーと言ってはジョッキを煽っている)
(『ドラゴンスレイヤー』を飲んで)
流石に酒精を感じるか。だが酔い潰れはしないな。
『悪魔殺し』を頂けますか。はい、ストレートで。
ハイホー(煽る) おお。久しぶりに酒を飲んだ気がする。
随分と甘いですが、これは何を入れているのですか?
作りたいな。作れないだろうか。
流石に完全な再現は出来まいが、醸造方法を聞きたいものだ。
そうだ、これは返杯です。
私が作った『八鬼折』という酒です、よろしければ。
(度数:ドラゴン以上悪魔未満。辛め)
今日は食事は要らないな。久しぶりの酒を楽しみたい。
ああ、今日は楽しかった。
アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
あーすっきりしたぁ!!
あ゛ー……ひっさしぶりに暴れ回れて本当に楽しかった!
これでしばらくはまた仮面生活やってられるよ……。
予知してくれた賢者さんと誘ってくれた荒さんに感謝だね、これは。
なんだいその顔。まあ、その…いつも迷惑かけてるしね、荒さんには。
わ、ってぇ! 痛い! 背中バンバン叩くな!
なんだよ照れ隠し? 強くないなら飲むなよな…。すみません、『もぐらの忘れ物』を一つ。
ありがとうございます。…はい、じゃあ、ハイホー。お疲れ様でした!
ところで荒さん。あれ(イルを指さす)どうする? ほっとく?
あ、そう。まあ大丈夫でしょ、多分。じゃあ僕は実り苔ガメの串焼き頼もうかな。
ふふ、楽しかったね。
荒・烏鵠
【万嶺殿】
おっさけーおっさけーよっぱーらいー!!
いやァいーねイーネェ、楽しい!賑やか!陽の気がいっぱい!はー若返るわーマジで。まーた寿命が延びてしまったゼ、リアルに。
アラ素直。めっずらしーの。けけ、気にすンなってェ!オレが好きでやってンだからサ!
ほらホラせっかくだし酒も飲もうぜ!オレあんま強くねーケド!
すんませーん、この『ハイ・ホー!』ってのくださいナ!ハイじゃああっちゃん、ハイホー!おっかれー!
あ~……オウ、ほっとこーぜ。別にメーワクかけてねーし。久々に『酒』が飲めてウレシーンだろ。
それよりメシ食おーぜメシ!オレ温泉魚と沈黙菜の煮付けがイイ!意味わかンねー名前で気になる!
だな!楽しかった!
●かくて人外たちは酒精を楽しむ
がやがやと騒がしく、陽気に満ちた酒宴の場、誰も彼も笑顔で楽しんでいる。
……のだが、荒・烏鵠の溌剌とした様子は、なんだか少し他と異なっていた。
「おっさけーおっさけーよっぱーらいー!!」
上機嫌である。心なしか、赤茶色の肌もいい感じにテカっているような。
お酒のせいだろうか。はたまた、贅を凝らしたドワーフ料理の味が気に召した?
どちらでもない。なにせ烏鵠は妖狐なのだから。
かの化生たちは、人と同じように骨肉を得て現世に生まれながらにして、
まるで妖怪鬼神がそうするかのように、生きる者の精気を吸って生きるのだ。
つまり烏鵠が酔いしれているのは酒ではなく、酒を楽しむ人々の陽気であり、
これでもかと味わっているのは、料理ではなくうわばみどもの酩酊感なのである。
「いやァいーねイーネェ、楽しい! 賑やか! 陽の気がいっぱい!!
はー若返るわーマジで。まーた寿命が伸びてしまったゼ、リアルに」
などと、アンチエイジングにこだわる奥様のような台詞を云う。
それが冗談ではないから、この古狸ならぬ古い狐は底が知れないのだ。
とはいえ、彼は人間を好いている。人間の文化、営み、その全てを愛する。
敵を騙し味方をかどわかし、数多の人々を己の策に絡め取る妖狐とて、
その一点に偽りはない。つまり、彼は心から、言葉通り宴を楽しんでいるのだ。
そんな烏鵠のうきうきした様子を、いつもなら揶揄しそうなものだが、
「あーすっきりしたぁ!! 本ッ当に楽しかったぁ……!」
アルバート・クィリスハールも、のびのびとした様子で嬉しそうだ。
なにせ彼の普段の好青年めいた振る舞いは、実のところすべて努力の成果。
実際は時折垣間見えるように、オラトリオというより人狼か羅刹なのかな?
って感じの狂犬ぶりこそが素(というのもやや語弊があるが)なのである。
普段からあれこれと気を回しているせいか、苦労が絶えないらしい。
山賊を相手に衝動を解き放ったのは、いいストレス解消になったようだ。
まあ、それで蹴散らされたオブリビオンも、なんとも哀れなものである。
「あ゛ー……これでしばらくはまた、仮面生活やってられるよ……。
予知してくれた賢者さんと、誘ってくれた荒さんに感謝だね、これは」
「アラ素直、めっずらしーの」
「なんだいその顔」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔で驚ぐ烏鵠に、アルバートは唇を尖らせる。
「……まあ、その……いつも迷惑かけてるしね、荒さんには……」
などとぽつぽつ云うさまは、いかにも弟らしいものだ。
「けけ、気にすンなってェ! オレが好きでやってンだからサ!」
「わ、ってぇ! 痛い! 背中バンバン叩くな!」
まんざらでもなさそうな顔で文句を垂れるアルバートと、
そんな彼の背中をケケケと笑いながら叩く烏鵠。傍から見れば兄弟そのものだ。
「ほらホラ、せっかくだし酒も呑もうぜ! オレあんま強くねーケド!」
「なんだよ照れ隠し? 強くないなら呑むなよな……」
「「すみませーん!」」
ふたりは声を揃えて給仕を呼び、それぞれ烏鵠は"ハイ・ホー!"を、
アルバートのほうは"もぐらの忘れ物"を注文した。
氏族が有する氷窟でキンキンに冷やされたこれらの酒は、運動のあとに呑むにはたまらない一杯と言えるだろう。
幸い、どちらも度数・苦味ともに控えめなものとなっており、酒に慣れていない身でも比較的飲みやすいと評判の品である。
つまみを持ってくるかと問われたが、ひとまずふたりは乾杯をすることにした。
「どうもありがとうございます。よし、じゃあ荒さん」
「おう、あっちゃん! 乾杯しよーぜカンパイ!」
「「ハイホー!」」
カチーン! 冷えたビアグラス同士が小気味よい音を立てて打ち鳴らされる。
そしてぐいっと一息。まずは勢いよく喉越しを楽しむのが、エールのマナーだ。
たっぷり運動したあとの体に、麦の旨味とモルトの甘みが染み渡る……!
……ところで、実に爽やかな打ち上げって感じでそれはなによりなのだが、
なんだかひとり足りなくないだろうか? いや、気のせいではないはずだ。
「っぷはぁー! 美味い、もう一杯! なんっつってナ!」
「思ったより甘みがあって美味しいなあ、これ。……ところで荒さん」
「え? なんだよあっちゃん、コッチも呑ンでみたいとか?」
「いやそうじゃなくてさ。"あれ"、どうする? ほっとく?」
やや呆れた、あるいは苦笑いめいた表情のアルバートが指差す先には……。
「ハイホー(マジかよってドワーフが二度見するレベルのド低音ボイス)」
呑んでいた。いつも通りの無表情で、イリーツァ・ウーツェが酒を呑んでいた。
なんかもう、呑むというよりスイーっと口の中に滑り込むレベルである。
言うまでもなく、この盾の龍、ワクというレベルではない大酒飲みなのだ。
だもんで、どんだけ呑もうが強い酒だろうが、顔色一つ変わりはしない。
「"ドラゴン殺し"と聞いて呑んでみたが……ふむ、さすがに酒精は感じるな」
酒を運んできたドワーフの給仕は、そんなイリーツァに唖然とした顔だ。
ドラゴンも酔い潰れるぐらい強い酒、ということでつけられた銘なのに、
この冒険者は水か何かのように飲み干している。そして出た台詞がこれ。
「あ、あんた、バカみたいに強えんじゃな……!?」
「それほどでもありません。せっかくなので"悪魔殺し"を頂けますか」
「えっ」
「ストレートでお願いします」
「えっ」
4、5回ほど、聞き間違いなのか確認をするドワーフ。
さらに5、6回ほど、本当に大丈夫なのか、とコーションが入った。
「大丈夫です。問題があるならば諦めます」
とイリーツァは鉄面皮で云うものだから、もしかしたらこの男なら、
ということでドワーフたちも乗り気になり、さっそく酒が運ばれてくる。
明らかに危険物とわかるよう、ドワーフ語で色々彫り込まれた樽である。
蓋が開けられた瞬間、大酒飲みでも思わず顔をしかめてしまいそうな、
極めて強いアルコール臭が辺りを支配した。なんだなんだと野次馬が増える。
「なるほど」
イリーツァは一切物怖じせずにグラスを受け取り、
「ハイホー」
えっそれあなたが出したの? ってド低音ボイスで言って、一息で呑む。
どうも、ハイホーというのを酒を飲む合図か何かと思っているらしい。
並の人間が一気飲みしたら、急性アルコール中毒でぶっ倒れるような劇物だ。
が、イリーツァの鉄の肝臓にはなんら影響なし。顔色変化せず!
「おお、久しぶりに酒を呑んだ気がする」
「「「マジか兄ちゃん」」」
「ずいぶんと甘いですが、これは何を入れているのですか?」
「「「マジか兄ちゃん!?」」」
ざわざわざわ……! さすがにあたりがにわかに騒がしくなり始めた。
「作りたいな。作れないだろうか……醸造方法をお聞きしても?」
「お、おう。まずはじゃな、わしらの畑で穫れる穀物と芋を蒸留して……」
ドワーフたちがこぞって物見遊山に集まり、ちょっとした人だかりが出来る。
あっというまに、質問攻めされるのはイリーツァのほうとなった。
「……あ~。オウ、ほっとこーぜ」
そんな様子を遠巻きに見ていた烏鵠、しばしののちにそう言って首肯する。
「あ、そう。まあ大丈夫でしょ、多分」
「そうそう、別にメーワクかけてねーし! 久々に"酒"が呑めてウレシーンだろ」
イリーツァの次元の違う酒の強さは、どうやら兄弟たちも知るところ。
「それにドワーフのおっちゃんたちもみんなウレシそーだしナ!
それよりメシ食おーぜ、メシ! オレ、この温泉魚と沈黙菜の煮付けがイイ!」
「あきらかに名前の意味のわからなさで気になったってヤツでしょ、それ。
じゃあ僕は、この実り苔ガメの串焼き頼もうかなあ。すいませーん!」
「それもワケわかんねー名前してンな! 何が出てくるか気になるわー!」
きゃっきゃと男子学生のように騒ぎながら注文をするふたり。
「なるほど……参考になりました、ありがとうございます。
これは返杯ということで、私が作った"八鬼折"という酒です。よろしければ」
なにやらこれはこれで化け物のように強そうな酒を差し出すイリーツァ。
ドワーフたちはホクホク顔で、謎めいた大酒飲みである龍の相手をしている。
三者三様、楽しみ方はそれぞれ。けれど感じている気持ちは同じだ。
「ストレス解消に、久しぶりの酒。ああ、今日は楽しかった」
「だな、楽しかったぜ!」
「ふふ、そうだね。楽しかったね」
かくて人外たち、ひととき酒宴を楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
伍島・是清
【ギドf00088】
ラリ……ハイ・ホー!
酒だ、呑むぞ
折角だから”悪魔殺し”
酒酔わねェンだよな、サイボーグになったからかなァ
味も問題ねェよ、日頃どンだけ不味いバーで呑んでると思ってンだ
おっさん、全然腕あがらねェよな、ポンコツか?
…脳…俺の脳は如何なっているンだろう…考え出したらちょっと酔ってきたような
机の上に半分寝そべりながらギドの顔を仰ぎ
そうだな、サシは初かもしンない
ギドは何呑むの?
御前が酔っぱらって羽目外してンの見たことねェよな
ふーん、ギドは若い時から落ち着いてンだな
サシはあまりねェ機会、じーっと所作を眺めながら
…俺もお腹減った、喰う
じゃあ残った料理は、まずいバーの土産にでもしてやっかな
ギド・スプートニク
是清/f00473と
ハイ・ホーと乾杯
こうしてお前とサシで飲む機会はあまり無かったな
脳が酩酊すれば酔うことになるのだろうから、構造次第か
言ってやるな
どうせ機械で調合しているのだ、腕だの何だのそれ以前の話なのであろう
酒に呑まれるような歳でもない…
と言っても、昔からハメを外すほど飲んだ記憶は無いな
真っ赤なワイン、とでも言えば吸血鬼らしいのやも知れぬが、違いが分かるほどの酒好きでは無いよ
折角の機会だし手製のエールとやらを頂いている
しかし…
テーブルに届けられるおすすめ料理の数々
私は基本、酒よりも食い気なのでな
尤も、それほど健啖家でも無い
余るようなら周囲に振る舞うか、連中の土産にでも包んで貰えば良かろう
●Rally-Hoではないのでご注意!
これだけの数の猟兵が集まると、もはやちょっとしたフェスめいている。
中には何やら、単に酒を呑みに来ただけのような顔もちらほらいた。
ちょうどあの席がそうだ。カチン、という小気味よい乾杯の音。
「酒、酔わねェンだよな」
だのにつまらなさそうに頬杖を突いて、殺人級のアルコール度数と噂の"悪魔殺し"を、かぱかぱ呑んでいる男がいる。
伍島・是清である。言葉通り、さっぱり酔った様子もその兆しもない。
「サイボーグになったからかなァ。まァ便利だけどな」
「酩酊を感じるかどうかは、脳にアルコールが届くかどうかによる。
お前の場合はそういう構造をしている。というだけの話なのだろう」
対面に座る怜悧な男、ギド・スプートニクはそうひとりごちた。
「ところでお前、さっきなにか妙なことを言わなかったか?」
「は? 何がだよ。ちゃンと乾杯しただろうが」
「いや、なにかハイホーではなく、ラリ……」
「細かいことは気にすンなって。酒がマズくなるだろ」
なにやらごまかされた気がする。が、ギドもこれ以上根掘り葉掘りはやめておくことにした。
ふたり揃って曰く付きの酒場に腰を落ち着けている根無し草同士なのだが、
思えばこうして膝を突き合わせて呑むのはなかなかないような気がする。
そんな時にああだこうだと細かいことを云うのは、なるほど無粋というものだろう。
「さすがに日頃あンだけ不味いバーで呑んでると、まるで別物みたいに感じるな」
「酒は酒だ。違いはない……と、言いたいところだが、うむ。まあ、うむ」
「……おっさん、全然腕上がらねェよな。ポンコツか?」
ふたりの脳裏に、格好ばかりはバーテンらしいあのウォーマシンの姿がよぎる。
たむろしておいてなんだが、ギドすらフォローを諦めるほどにあの男の酒は不味い。
酒という概念に対する、明確な反逆かつ挑戦ではないのかと疑うほどだ。
あるいはあの男は、何か酒の精霊でも怒らせて呪いを浴びたのではないだろうか?
呪われた店に、呪われたマスター。ある意味で似合いの悪い冗談だ。
「……まあそう言ってやるな。どうせ機械で調合しているのだ、あれは。
腕だのなんだの、それ以前の話なのだろう。別に不味さは変わらんのだがな」
それに比べると、ドワーフの酒はまさしく別次元の代物である。
ふたりして、他愛もない話をしながら、しばし盃を思い思いに交わしあった。
脳がどうとか、アルコールの分解は肝臓の機能がどうとか、こうとか。
小難しいことを考えていそうな男が、小難しいことを考えてそうな顔で、
小難しいことを云う。是清はだんだんとろんとした顔で机に半分寝そべる。
「なンか御前の話聞いてたら、だんだん酔ってきたような気がする」
「それはなによりだ。私には理解及ばず眠気に襲われているようにしか見えんが」
「そうかもしンね。まア、どっちでもいいだろ……」
酔えない男と、酔っ払うところがなんら想像できない男。
特に祝いたい何かがあるわけでも、分かち合いたい達成感もない。
酒があるから呑む。だらだらとした、贅沢で怠惰な、大人の時間である。
「つーかさ、ギドは普段何呑むの?」
「私か? 真っ赤なワイン――とでもいえば吸血鬼らしいのやもしれぬが」
ギドがエールを呷る。なるほど、謳われるだけあって爽やかな喉越しだ。
こういうのを、たしか薀蓄めかすとライトボディとか云うのだったか。
かといって子供用の甘口なのかといえばそんなことは一切なく、
喉元を過ぎた頃に、ホップの苦味が自己主張して酒の旨味を知らせるのだ。
「違いがわかるほどの酒好きではないよ。昔から嗜む程度、というやつだ」
「ふーん。ギドは若いときから落ち着いてンだな。
まァ、御前が酔っ払って羽目外してンの、見たことねェしな」
「そうだな。ハメを外すほど呑んだような記憶は、私にもないな。
別段、酔うのが怖いとか厭、というわけでもないのだが……なんとなく、だ」
そんなギドがちらりと視線をやると、ちょうどドワーフの給仕がやってきた。
トレイ一杯に、肉や魚、はたまた芋団子や漬物野菜など料理をこんもり載せている。
「私は基本、酒よりも食い気なのでな。もっとも、それほど健啖家でもない」
「とか言いつつ、だいぶ頼んでンじゃねェか……いやこれ勧められたのか?」
特に目を引くのは、海辺の港から取り寄せたという生牡蠣のレモン絞りだ。
さらに、断面からチーズがとろりと溢れる、肉汁豊かなカツレツ。
「コルドン・ブルーと云うらしい。この集落は牧畜もしているのだな」
「……俺もお腹減った。喰う。このマッシュルームの串焼きも美味そうじゃん」
起き上がった是清は、皿を並べるついでにグラスを新しい酒で満たす。
ちょうどギドのほうも、ドワーフの勧めでエールをもう一杯注いだところだ。
ふたりの視線が、なにやら物言いたげに束の間絡み合う。
「……さすがに、この量は私たちふたりでは無理そうだな」
「なら、あのまずいバーの土産にでもしてやりゃいいンじゃねェの?」
ふたりしてそういって、特に反対意見も肯定意見もなく、なあなあでそのように。
そして示し合わせたふうもなく、互いにグラスを掲げて打ち鳴らした。
「「ハイホー!」」
こういう酒宴も、たまにはいいのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シオン・ミウル
ネロ(f02187)と
やー、待ってましただね
このために汗水流して甲斐甲斐しく山賊退治したんだもんなあ
ほーんと大変だったんだから
さ、あとは楽しもうぜーネロ
酒飲もうとしたらさすがに怒られるだろうし、
代わりの美味しい飲み物ないかドワーフの人達に聞いてみよっと
おすすめある?
ハイホー! グラスを合わせよう
食べ物も美味しいし言うことなしだなあ
食事も、楽しそうな賑わいもさ、なんかこういうのっていいよね
とはいえ
……うっさいなあ。モヤシじゃないっての
って、こんだけ食べといて人の分まで食べる?
別にとってた訳じゃないしいいけどー? ったく
……あれ、倒れちゃったりしないよなあ
俺が連れて帰らなきゃじゃん
うええめんどい
ネロ・バロック
シオン(f09324)と
あのボスみたいにはなりたくねェなァ…(シオンに言われたことを気にし)
ま、気品溢れる俺様があんな冴えねェおっさんになるわけねぇ!
ともかくいよいよ飯だ!
肉だ肉!
酒以外の飲みモンもあんだろ?
「ハイホー!頂くぜ!」
シオン、お前もっと食えよ!
そんなんだからモヤシなんだよ
(自分の漫画肉を差し出し)
いらねー?じゃあ俺が食っちまうぜ!ついでにその大事そうにとってあるやつもな(シオンの皿の食べ物をフォークで刺して)
酒飲めねえのがこんなに悔しいとは思ってなかったぜ
ちょっと位よくねーか?
「目立たない」で酒樽に近付く
〜殺しだァ?勝負してえなぁ!
ガキだから匂いだけで酔っちまうかもしれねーけどな!
●悪ガキどものワルい宴
数えるのも馬鹿らしくなるほどの山賊どもを相手に、切った張ったの大立ち回り。
しかもこの暑さだ。シオン・ミウルとネロ・バロックのふたりがいくら若者でも、
あれだけ動いて戦ってのあとではへとへとになっても無理はない。
「……あのボスみたいになりたくねェなァ……」
訂正する。特にへばってはいなかった。代わりに別のことを気にしていた。
あのボスというのは、言わずもがな骸団の頭領である山賊親分のことだろう。
おおかた、戦いの際にシオンが笑い転げたのをネロは未だに気にしているらしい。
「「ま、気品あふれる俺様があんな冴えねェおっさんになるわけねぇか!」
訂正する。秒で忘れていた。いっそ清清しいほどのシンプル脳みそであった。
とはいえネロが中年になるのははるか未来のこと、思い悩んでも仕方ない。
いくらネロが野卑で豪快なパワータイプだとしても、
あんな下品で毛むくじゃらなおっさんになるわけが、な……いやどうだろう。
「さっきから何ブツブツ言ってんの? ネロらしくないなあ。
なんか知らないけどそれよりさ、待ちわびた宴なんだし派手にやろうよ!」
そんなことを言って笑い転げた当人、もといシオンはけろっとした顔である。
仮にネロにあのときのことを指摘されても、『なにそれ?』と真顔で言いかねない。
「このために汗水流して甲斐甲斐しく山賊退治したんだもんなぁ」
ほーんと大変だったんだから、とか言っているシオンだが、別に汗は流していない。
むしろ基本的にはネロにまかせて、ほとんどサボ……後方支援に徹していたのだ。
それを素面で(かつ真顔で)言えるあたり、彼もかなりいい性格をしている。
さりげなくまだお酒を諦めていない部分もあるが、決まりは決まり。
試しに酒以外でのおすすめを聞いてみたところ、ドワーフたちは喜んでおすすめを教えてくれた。
どうやらナティビアード氏族は、鉱山に独自の氷窟を持っているらしく、
この世界にしては珍しいことに、魔法なしで飲み物や食べ物を低温保存しているのだ。
はたしてふたりのテーブルは、これでもかとばかりに冷やされたレモネードに、
ローストや煮物、あるいは石の皿でまさに今焼き上げた分厚いステーキなど、
食いでのありそうな肉料理が豚・牛・鶏を問わずに並べられている!
「うははは! やっぱ飯といえば肉だよな、肉!」
「新鮮な野菜もあるのが嬉しいね。魚も仕入れたばっかりなんだってさ!」
脂の乗った白身魚をふんだんに使ったボリューミーなバターの蒸し焼きや、
大きな豚の足を一本まるごとローストしたもの(ステルツァ、と呼ばれる)など、
運動後の空腹にはいっそ毒に思えるくらいの品々が目と鼻を楽しませる。
「うっし! んじゃ喰うか、シオン!」
「はいはい、そいじゃお疲れ様ってことで」
「「ハイホー!」」
アルコールがあろうがなかろうが、宴の席には対して関係ない。
シュワシュワと泡をたたえたレモネードのグラスが、小気味よく打ち鳴らされた!
「ドワーフっていうからもっと焼き! 煮! あとは切っただけ!
とか雑なの想像してたけど、意外と手の込んだ料理もあるんだなあ」
そう云うシオンのフォークには、じっくりと時間をかけて漬けられたサーモンのマリネが刺さっている。
この暑い季節にありがたい酢の酸味はもちろん、ピンクペッパーの香味が、
サーモンの脂っこさを打ち消して爽やかな味わいを醸し出している。
「がつがつがつ……なんだこれ、うめェな! ドワーフやるじゃねェか!」
ネロががっついているのは、両側から骨が飛び出た絵に描いた『マンガ肉』である。
なんでもこの世界にしかいない変わった獣の希少な部位を使っているとかで、
噛みしめるほどに肉汁が溢れ出て、さらなる食欲を誘うのだ。
料理はどれも味付けが濃く、やはり第一義は酒なのだと感じさせられる。
それをよく冷えたレモネードで流し込むのが、行儀は悪いが格別の味わいだ。
「食べ物も美味しいし、みんなしてなんだか楽しそうに賑わってるし。
なんかさ、こういうのっていいよねえ。うん、悪くないんじゃないかな」
シオンもなんだかんだで満足げである。……対面の山賊めいた少年を除けば、だが。
「おいシオン、お前もっと食えよ! そんなんだからモヤシなんだよ」
「うっさいなあ、モヤシじゃないっての。ちゃんと食べてるってば」
ものすごい速度で皿を重ねていくネロの食い気に呆れ気味のシオン。
かじっていたマンガ肉の骨で差されると、顔をしかめて言い返してやりたくもなる。
「え? なにいらねーの? じゃあ俺が喰っちまうぜー!」
「いらないなんて言ってないじゃん!? てか、そんだけ食べて人のまで食うの?」
ひょいっと油断なく伸びてきたフォークから、皿を持って料理を守る。
しかしネロは諦めない。お行儀悪く、フォークとナイフで徹底攻撃の構えだ!
「その大事そうにとっておいてあるやつ、よこせよ!」
「別に取っといたわけじゃないけど、絶対ヤだ」
「よこせって!」
「いーやーだー!」
今日ばかりは無礼講。そんな意地汚いやりとりを叱る大人もいない。
そんなふたりの喧嘩も、山盛りのスパゲッティが運ばれてくると一時休戦(?)となったとか。
……しかし食えば食うほど、酒の存在は気になってくるもので。
腹が満ちたおかげで余計な欲が湧いてきたのか、ネロがなにか良からぬ顔をしている。
「やっぱよォ、ちょっとくらい呑んでもよくねーか?」
「気持ちはわかるけど、俺は別に手伝わないからね?」
しれっと突き放したシオンにぶちぶちと文句を言いつつ、席を離れるネロ。
狙うは、ごろごろと運ばれてきたなにやら物々しいマーク入りの酒樽だ。
「たしか巨人殺し、だったかぁ? 大仰な名前しやがってよォ……。
こちとら悪魔もドラゴンも殺してるっつーの。呑ませろよなァ!」
幸か不幸か、ドワーフたちはネロの存在にさっぱり気づいていない。
しめしめといった顔で樽に近づき、おもむろにキャップを引き抜く……!
「さァて、いっちょ酒の味を楽し……お?」
ふんわりと漂ってきたアルコール臭……と呼ぶにはだいぶきつい刺激臭……を嗅いだ途端、ネロの悪ガキめいた顔はとろんとしたものに。
「お? お? おお……おおう」
そのままくらくらと目を回し、ばたーんと仰向けに斃れてしまった!
「……ったく、ほんとなーにやってんだか。俺が連れて帰らなきゃなの~?」
めんどくさーい、とか言いつつ、そんなネロを遠巻きに眺めるシオン。
ネロが食後に残しておいたデザートは、そんな悪ガキのお腹にちゃっかり収まったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドロシー・ドロイストラ
お前…女だったのか…
ドロシーはどっちかっていうと酒が強いほうじゃないんだ
でもな、なんだこの銘柄は
ドラゴンスレイヤーだと…ドヴァークリードだと……
売ってるのか…ドロシーに…喧嘩を…!
ハイホー!
いいから持ってこい!ドロシーは死なん!
酒なんてのは気合でなんとかなるんだ、ならない時もあるがなるんだ
それをお前…こんな人のアークリン…勇気を試すようなものってのはだな…
そうなるとドロシーの地元じゃあな…逃げ出すやつはニヴァーリン…いいか…ニヴァーリンだ…
ん、ドヴァーの姿になってるのがなんだというんだ…
ドワーフはドヴァーに飲ませる酒がないっていうのか…!
ドロイストラは負けない!!
バルディート・ラーガ
なンだかすっげエ人波でございやしたモンで、ちょいと遠くから
ぼーっと山賊方の壊滅を眺めておりやした身ですけども。
やアやア、とにかく奪還はめでてエ限り!さ、さ、祝いやしょうぜエ。
さて、なにやら酒比べなるモノをしてるトコにひょいと首を突っ込み。
……ン?ドラゴンがなンですって?何やら濃いいお酒の香りが。
呑んだ事のねエ銘柄ですし、ちょいと味見でもしやしょか。
どれどれ、一献……
ぐ……ぐあーッ!キツい!きちい!喉が焼ける!
イヤお味もすげエんですが、このクラクラくる酒精!
様々な逸話に伝わりやす通り、どうも古今東西竜の一部はお酒に弱く。
グッスリ眠って8本首落とされっちまうよな……お話が……
グウ。
露木・鬼燈
勝利の美酒、飲まずにはいられない!
ハイホー!
って、ことでお酒を楽しむっぽい。
まずは度数より香りと味。
マイルドな方から楽しむですよ。
つまみはナッツやチーズで。
評論家みたいに感想とかは言わないですよ?
言葉にせずとも僕が楽しければいいのです。
少しずつ度数が強いものへ移行していく。
最後に辿り着くのはドラゴンスレイヤー。
竜喰たる僕に相応しいお酒だよね。
まぁ、悪魔殺しもいけそうな気はするけどね。
でも名前で決めました。
つまみには最近参加した依頼で狩ったドラゴンの肉。
燻製ドラゴンジャーキーはイイ感じっぽい。
熟成肉のステーキとか生ハムも美味い!
気功術によるアルコールの排出なんて裏技もある。
浴びるほど飲むっぽい。
●ドラゴン×2と、ドラゴン殺しと、ドラゴンスレイヤーと
相手がどんな輩であろうと、勝利の美酒は甘く芳醇なものである。
ましてやそれが、ただ酒となればなおのこと。人の金で呑む酒がうまい。
そんなわけで、露木・鬼燈は気兼ねなく念願の美酒に酔いしれていた。
「ん~ん~、んっふっふ~」
上機嫌に鼻歌などをば歌いつつ、『ハイ・ホー!』や『チョビ髭酒』といった、
多種多様なエールと堪能する。違うの分かる男は闇雲に呑んだりしないのだ。
「美味しいお酒にたくさんのおつまみ、そして心地よい疲労感と達成感……。
これだけ揃ってれば、もう他のものなんてなくても十分っぽい~♪」
あれこれと薀蓄を垂れ流すのは、自己顕示欲の強い輩の悪い癖だと彼は考える。
言葉にせずとも、香りを堪能し味を噛みしめる自分が楽しければそれでいい。
鬼燈の酒の哲学はそういうものである。今時珍しい硬派なスタイルと言えた。
肉だ魚だといった腹をふくらませるような料理も興味を惹かれるが、
酒を楽しむのには、やはりチーズやナッツといったつまみが最適らしい。
この酒宴の喧騒の中では、いささかお上品で落ち着きすぎな呑み方だが、
こだわりとは得てしてそういうもの。鬼燈はかかずらうことなく盃を傾ける。
「さて、エールもだいたい楽しんだし~……」
鬼燈の視線は、テーブル上に並べられたブランデーボトルに移った。
溶岩酒とは仰々しい名前だ。だが、火酒には火酒の味わいというものがある。
まずはストレートで樽の味わいや香りを十分に楽しんで、そのあとにオンザロックといこう。
「さてさて、それじゃあさっそく……っぽい?」
そこで鬼燈は、なにやら近くの席が騒がしくなっていることに気づいた。
大抵の喧騒はスルーしていた彼が、なぜそれに耳を奪われたかというと……。
「いいから持ってこい! ドロシーは死なん!!」
と、ドワーフたちを前に騒いでいるドラゴニアンの少女がひとり。
名はドロシー・ドロイストラ。一見すると酒が飲めそうにない見た目だが、
そこは生命の慮外たる猟兵のお約束(?)、実年齢は相当なものである。
「なンですなンです、ずいぶん騒がしいじゃアねえですかい」
困り果てたドワーフたちに助け舟を出す形で、もうひとりのドラゴニアンが割って入った。
ドラゴン、というよりは蛇……あるいはリザードマンを思わせる風貌をした、
バルディート・ラーガという男である。シュルル、と舌を出してはしまう様は、まさに爬虫類だ。
この男、気さくで三下めいた口調だが、なかなか油断ならないシーフである。
「なんだお前は! よもやお前も、ドヴァー……ドラゴニアンの分際で、
このドロシーに売っているのか……喧嘩を……! ならば受けて立つぞ!!」
「いやいきなりおっかねえな!? まず話を聞かせてくれやせンかねエ!?」
バルディートが必死に宥めつつ、話を聞いたところによれば。
「あー、つまり? ドロシーのお嬢……いや姐さンでございやすかね、
まあとにかく、気に食わねエ銘柄の酒があったと。そういうことでさアね?」
「そうだ。ドヴァークリードなどとは……聞き捨てならん!!」
なにやら一風変わった龍言語が交じるドロシーの話し方は、実に奇妙である。
おかげでバルディートは、それが"ドラゴン殺し"と呼ばれるもの……、
ドラゴンすらも酔い潰れると評判のめちゃキツい酒であることに気づかない。
「酒なんてのは気合でなんとかなるんだ! ならない時もあるがなるんだ!!」
「えらく不安になる根性論出してきやしたねまた……」
「それをお前……こんな、ドロシーのアークリン……勇気を試すようなものってのはだな……!
そうなるとドロシーの地元じゃあな、逃げ出すやつはニヴァーリンなんだ!!」
「いやなンなんですかそのニヴァ……なんとかって」
「いいか! ニヴァーリンだぞ! わかるか!?」
「わかンねエから聞いてンだけどなァ!?」
とまあ、ご覧のような有様、というわけである。
「……ンで、ドワーフのダンナがたは、出すわけにゃアいかねエと」
然り。ドワーフたちは、ドロシーのことを気遣って出し渋っているらしい。
猟兵がその見た目によって、世界の住人に違和感を持たれることはないため、
子供に酒を出すわけには……と言っているわけではないのだろう。
つまり、酒飲みのドワーフたちをして、そう言わせるだけのものということだ。
「いいから出せ! ドロシーはお前たちの挑戦を受けてやる!!」
くわわっ! 興奮のあまり、その場で真の姿……髪と同じ白い鱗の龍……に変異するドロシー!
「そこまでですかい!? どうどう、ドロシーの姐さン、落ち着いてくだせエって!」
『ドロイストラは負けない! どっちかというと酒が強いほうじゃないがな!!』
「そこでフラグ立てンの不穏すぎやせンかね!?」
こうなると、もうドロシーは駄々っ子同然である。取り付く島がない。
「……まアせっかくの宴の席なンでやすし、いいンじゃねエですかい?
いや、あっしもちろっと、一献つまんでみてエとか、そういうンじゃなく」
明らかに『そこまで言われる酒なら飲んでみたい』という顔で、蛇男が言う。
これで二対一である。ドワーフたちも恩人たちの願いを無碍には出来ず、
ついに根負けして、なにやら物々しい火気厳禁マークの書かれた樽を持ってきた。
……と、ここまでのドラゴニアンたちの騒ぎを、鬼燈は横から盗み聞きしていたのだ。
「ふーん、ドラゴンがドラゴン殺し呑むなんて、これは面白そうっぽい?」
ワクワクした様子の鬼燈。何を隠そう、彼はただの化身忍者ではない。
龍を屠り、その力を己のものとする異形の技を極めた一族の出身なのだ。
グラスに残った巨人殺しの最後の一杯をぐいっと飲み干すと、席を立ち、
「はいはいはーい! 僕も一口呑んでみるっぽいー!」
と、バルディートとドロシーの輪にするっと加わってしまう。
『ほう、見上げたものだな……ならば見ているがいい! ドロシーの戦いを!!』
「ホントに大丈夫なンですかねエ……」
「んー、まあ結果はだいたい見えているっぽい?」
ひそひそと話すバルディートと鬼燈をよそに、ドロシーはグラスを手に持つ。
というより、なぜか龍形態のままなので、爪でつまむというのが正しいが。
とにかくアルコール臭のキツいドラゴン殺しを、ぐいっと一気飲みしてしまった!
「あーあ、一気に呑ンじまいやンの」
「フラグ回収っぽい~」
『そんなことはないぞ!! どうだ、ドロシーは無敵だとわかっきゅう』
「「あーあ……」」
どしーん! と、目を回してぶっ倒れる龍。そのまま人間態に戻ってしまう。
さしもの誇り高きドヴァーとて、アルコール度数の前には無力である!
「しっかし、どういう味がするンですかねィ、ンじゃまあっしもちびっと」
ショットグラスに注がれたドラゴン殺しを、くいっと呷ってみるバルディート。
「ぐ……ぐあーッ! キツい! きちい!! 喉が焼ける!!」
喉元をかきむしる! さすがはドラゴン殺し、灼けるような喉越しだ!
「イヤすげエなこれ、あーでも味は甘くて中々……かーックラクラきやす!」
「うんうん、名前にふさわしい強さっぽい~?」
「アンタすげエな!? あーやべエ、あっしも意識が、ちょいと……グウ」
古今東西において、龍の一部は酒に弱いもの。
いかに蛇めいているとはいえ、ドラゴニアンたるバルディートも例に漏れず、
あるいは彼の真の姿がヤマタノオロチめいた多頭の龍ゆえか……昏倒してしまった。
「あっはっは、これじゃほんとに名前の通りっぽい~?
まあふたりとも起きるまで、ドラゴンジャーキーでもつまみに呑むっぽい~」
さっそく賞味を始めた鬼燈の酒の強さに、唖然とするドワーフたちであった。
足元では、ドラゴン二体がぐうぐうと夢見心地でいびきをかいていたとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アーデルハイト・フレイ
SPD
お酒は嗜む程度にしているのですが
出されたお酒を断るというのも道義に反しますね
では(オホン)ハイ・ホー
泡の酒は苦手ですので「岩焦がし」を水か紅茶で割っていただきます
果実の香りは良いものです、ましてや職務を遂行した後ならば
血や肉とほど遠い華やかな香り…我が身はただの剣と自負していますが
こうした楽しみは仮初の身あってこそですね
……それにしてもここは暑いですね
宴会の熱か…酔ったせい?ましゃか
ねえ、ねえキャラット(ガラット)さんいつのまにかおひげがないではないですか
それならわらしがふくをぬいでもべつにだれもおこりませんよね
とめるとはなにごとですか わらしはしょけーにんれすよ
しけいにしちゃいますよ
オニバス・ビロウ
・SPD
ここの礼儀であるならば、その礼儀に従うべきだな
はいほー!
火縄銃の戦術である繰抜のように次々と酒と肴を喰らう宴というのも、宴会の花ではあろう
だが俺は静かに酒を堪能したい方でな
果実の酒というのが気になったし、まずは抑え目にこの岩焦がしという…ぶらんでー?を味わうか
何、木苺で出来たものなのか…ではそれを頂こう
酸い味が舌をつくが、甘やかさがあるためそこまで酸味は強くないな
つまみは…なるほど、ちょこれーとなる甘いものが合うのか
これは良い事を聞いた
…いや、木苺の味は妻との思い出の一つ故
妻と再び巡り合えたのならこういった酒があったと伝えたいのだ
彼女も酒には強い方なのでな、きっと喜んでくれるだろうよ
ナトゥーア・クラールハイト
※酒の強さはワク。アドリブ・絡み歓迎
祭りと聞いて我慢できずに駆け付けた
ナトゥーア・クラールハイト
……え、祭りじゃない?
堅っ苦しいことはいいじゃないかい。
折角の宴なんだ、呑んで食べて騒ごうじゃないか!
……え、お前何もしてないじゃないかって?
細かいことはいいじゃないかい。
こんなに美味しそうな酒と食事が前にあるのに、そんな事言ってたら勿体ないじゃないか!
さあ乾杯だよ! ハイホー!!
ほら、あんたも遠慮せずに呑みな!
……え、何、未成年?
じゃあ駄目だねぇ。ほら、こっちのジュースも美味しいってよ!
やっぱ呑むならご当地酒だねぇ!
この何とか殺し?って言うのも美味いけど、
ごくごく飲むならこっちだねぇ。ハイ・ホー!
エドゥアルト・ルーデル
ハイホー!ワーッハッハッハッハ!!
麦茶だこれ
ま、気を取り直して
せっかくだしィ?アーキロギア氏とガラット氏両人呼んじゃう欲張りセットでござるよ
合法ロリいいよね…一緒に適当に酒やらツマミで腹を満たしながら雑談したり騒ぎますぞ!
冒頭で散々アピールしてた賢者も飲みたいんだろ!今なら何でも手に入るからな!でかい肉!いいツマミ!うまい酒!
今回は日常回なんだからUCは使ってないはずでござる
だからもし…万が一…【知らない人】が出てきたらちょっとアーキロギア氏に押し付け…交流を温めてもらいますぞ!拙者も知らない人だけど…
最後に"悪魔殺し"に一発勝負で挑戦ですぞ!
ダイスがゾロ目で無事飲みきって生還!
それ以外は死ぬ
一郷・亞衿
宴だ!ハイホー!
……まあ、あたしは未成年だしお酒飲めないんだけど。乾杯の音頭に参加だけしとこう。
人多い場所であんまりマスク外したくないし、何か食べたりするのもなー。どうしたもんか。
おや、喧騒に紛れて何処かから音楽が。
酒場の吟遊詩人ってすごいファンタジーっぽくていいねえ……そうだ、どなたか楽器貸して頂けますー?
……見たことない楽器出てきたな?まあいいや、どのみち素だとちゃんと楽器弾けないし。
『ザ・27クラブ』を使って即興ギグに参加。“音楽はハイになるための安全な方法だ”って奴だね。
最大の目的は、この宴を盛り上げることです。
その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。(定型)
●大惨事には大惨事をぶつけるんだよ!
……オニバス・ビロウ、正しくは漢字で蒲葵・鬼蓮と書く眼光鋭きこの男は、
酒は静かに、そして穏やかに堪能してこそ、という人生哲学を持っている。
("穿ち抜け"……いや"繰抜"ののように。次から次へ酒と肴を喰らうのも、
火縄銃でがむしゃらに突っ込み戦況をこじ開けるように、宴の華と言えよう)
サムライエンパイアからやってきたこの男、かの世界の者らしく実に古風である。
金の髪に藍の瞳は逆に"らしからぬ"風貌であるが、それにも色々と事情がある。 ……ともあれオニバスは、盃を静かに傾け風雅を愛でるのをよしとする。
酒宴の喧騒を嫌うわけではない。ただ、己には己の楽しみ方があるだけの話。
いまは傍らに無き妻との思い出を肴に、グラスを淡々と傾けるさまは、
どこか雅やかで、艶やかな色気に満ちていた――。
……過去形である。そう、"満ちていた"のだ。
いや、酔い潰れたわけではない。オニバスは絶賛素面である。むしろ酔いが醒めた。
「それにしてもこの岩焦がしという……ぶらんでー? とやら、なかなかにいい」
「とめるとはなにごとですか、わらしはしょけーにんれすよ」
「誰かー! 誰かこやつを止めるのを手伝ってくれぬかー!?」
「止めるとかそれ以上いけない! ここはむしろ自由にさせるべきでござる!!」
「よしグーでいこうか! それともこの楽器でガツンと殴ろうか!?」
「あっはっはっはっは! いいねぇ、裸踊りも乙なもんだ!」
「いやオヌシも笑ってないで止めたほうがよいのではないか!?」
「……酸い味が舌をつくが、甘やかさがあるためそこまで酸味は強くないな。
つまみは……なるほど、ちょこれーとなる甘いものが合うのか……」
「しけいにしちゃいますよ! しょけーにんなんれすよ!」
「こやつめっちゃ力強いのじゃが!? わし負ける! 普通に負ける!!」
「むしろガラット氏もがばーっといっちゃうべきでは!? 拙者大賛成でござるよ!!」
「よしわかった、あたしBGMに徹しよう。これもう収拾つかないや」
「いいぞいいぞー、暴れろ暴れろー! あっはっはっはっは!」
「投げ出すなー!? そしてオヌシは笑いながら煽るなー!?」
「…………………」
ブランデーとチョコを手に、ぷるぷると震えるオニバス。大惨事の背後。
なぜこんなことになったのか、その原因を探るには時間を遡る必要がある……!
……さきほどの大惨事からちょっと前のこと。
ちょうどオニバスが呑み始めて、ほどなくしてのタイミングである。
「「「ハイホー!!」」」
がっちゃーん! と、小気味よくというか勢いよくグラスを打ち鳴らす三人。
「ワーッハッハッハッハ!!」
そのひとり……山賊めいた黒ひげに迷彩服という、
どう見てもオタクかつ不審者の見た目の男、エドゥアルト・ルーデルは、
なぜか呵々大笑しながら、このすごい勢いでジョッキを呷った。ダン!!
「麦茶だこれ!」
「オヌシなんなんであるかそのテンション……」
「しかもわざわざ酒でない水でやるのがわけわからんのじゃな!」
そんなエドゥアルトと乾杯したのは、今回のグリモア猟兵であるムルヘルベルと、
ナティビアード氏族を飛び出してあわや死にかけたドワーフの戦士、ガラットだ。
「ま、気を取り直して……せっかくだしィ? ネタは鮮度が大事でござるよ!」
「何がせっかくなのかわからんのである。オヌシ本当に変わった男であるな」
「なんだかわしを見る目がいやらしいのを除けばいい飲みっぷりじゃの!」
呆れるムルヘルベル、微妙に釘を差しつつ飲みっぷりは評価するガラット。
そんなふたり……というかガラットを見つめるエドゥアルトの顔は、キモい。
本人は無表情を貫いているつもりなのだがろうが、顔面中に
『合法ロリいいよね……』という、口に出したら手が後ろに回る煩悩が溢れていた。
「おやぁ、なにやら騒がしいじゃないかい。宴ってのはそうでないとね!」
と、そんな三人に横からにゅっと割り込んできたのは、金髪の女である。
グラマラスな体にちゃきちゃきの姉御肌、絵に描いたようなノリのいい美女だ。
もちろん一般人ではなく、ナトゥーア・クラールハイトという猟兵である。
実は盗賊退治にはまったく参戦していなかったのだが、
タダで酒が呑めると聞いて、我慢できずに駆けつけた飲兵衛のようだ。
「いくら宴とはいえ……あまり羽目を外しすぎるのも考えものですよ」
そんなナトゥーアと対照的に、冷静沈着といった風貌の女も口を挟む。
どことなく峻厳な雰囲気を讃えた処刑人――アーデルハイト・フレイ。
にこにこ笑ってすでに何杯か呑んでいるらしいナトゥーアと並べてみると、
まるでノリとテンションをそのままひっくり返したように見えなくもない。
「まあまあ~、あんまり堅いことはいいっこなしのほうがいいと思うなあ。
いやまあ、あたし未成年だから、みんなみたいにお酒は呑めないんだけどね」
ここでマスクを付けた女子高生、一郷・亞衿が仲裁に割って入った。
言葉通り、彼女はまだ18。当然、酒を呑むことは出来ない。
風邪でもないのに鼻から下を覆ったマスクには"ある理由"が存在しているため、
人前でこれを外すのもはばかられる……ようは、飲み食いしかねる状態なのだ。
そんな亞衿でも、宴の喧騒に水を差すまいという気遣いはあるらしい。
「あっはっは、そうそう! 堅っ苦しいことはいいじゃないかい。
それよりほら、こうして集まったのもなんかの縁なんだ。あんたらも乾杯しようじゃないか!」
当のナトゥーアはアーデルハイトの物言いをこれっぽっちも気にしておらず、
むしろ宴の仲間に引きずり込もうと、笑顔で乾杯を催促する始末である。
「いえ、私は……まあ、出されたお酒を断るのも道義に反するでしょうね」
「んー、見ての通り呑まないし飲まないんだけど、乾杯ぐらいはしとくかー」
あれよあれよとふたりはノリに飲まれ、それぞれグラスを持たされる。
もちろん、そんなナトゥーアに声をかけられた三人も、改めて乾杯の構えだ。
「はい、それじゃあ祭りの乾杯だ! ハイホー!!」
「「「「ハイホー!!」」」」
「(おほん)ハイホー」
がっちーん! と、再び6つのグラスが小気味よく打ち鳴らされた。
「……って気がついたら拙者もペースに飲まれているのでござるが!?
大した金髪美女でござるな、そういうのも嫌いじゃないわ! 嫌いじゃないわ!」
「相変わらず妙なノリしてるねエドゥアルトさんは……まあいいんだけど」
亞衿、呆れつつ空のグラスをテーブルに戻す。マスクは外さない。
「まあ宴の席で細かいことをいうのも無粋であろうよ。迷惑をかけぬ範囲であればな。
アーデルハイトも、そういうことが言いたくて口を挟んだのであろう?」
「……ええ、おおよそそんなところです。節度は大事ですから」
ムルヘルベルの補足に、アーデルハイトはちびちび酒を呑みつつ頷いた。
彼女が呑んでいるのは、"溶岩酒"を割った"岩焦がし"という酒である。
ブランデーはストレートで呑んでこそ……というのは酒飲みの常套句だが、
ロックで頂くのが邪道というわけではない。それにはそれのよさがあるものだ。
「我が身はあくまでただの剣。咎人を狩り、裁きをもたらす処刑人です。
とはいえ……ええ、果実の香りに酒の楽しみ、これは人の身があってこそ、ですね」
処刑剣のヤドリガミたるアーデルハイトには、宴の雰囲気自体が縁遠いもの。
峻厳で無慈悲な処刑人をして、ほだされる温かみが酒にはあるのだろう。
「うんうん、そうこなくっちゃあねえ! ハイホー、ハイホー!」
「やべえでござるよ一郷氏、クラールハイト氏バリバリの陽キャなのでは?」
「あたしを陰キャの仲間みたいに耳打ちしてくるのやめてもらえませんかね!?
や、まあ陽キャのつもりもないけど……明るいのはいいことなんじゃないかな」
"陰の者"たるエドゥアルト、ナトゥーアのノリにやや圧され気味である。
「こうなれば拙者もウザ絡みして対抗するほかなし! ねーアーキロギア氏!」
「そこでワガハイを矛先に選ぶのであるか!?」
「またまた~あんだけ予知時にアピっといて呑みたくないとは言わせませんぞ~?
今なら何でも手に入るからな! でかい肉! いいツマミ! うまい酒!!」
「品性は金で買えんのであるよエドゥアルトよ……」
少年めいた賢者は思う。この怪しい不審者……もとい猟兵との縁を。
本人的には黒歴史な"男の世界"にまつわる戦い、あとなんか邪神との戦いとか……。
「……あの時みたいな物理演算のバグは起こすでないぞ? 絶対起こすでないぞ?」
「モチのロンでござるよアーキロギア氏~ウフッフ~」
「フラグすぎる……絶対大惨事起こす顔だよねエドゥアルトさん!!」
たまらずツッコミを入れる亞衿である。嫌な予感しかしない。
さて、とはいえこんな席、呑みもせず食いもせずはいささか手持ち無沙汰だ。
そんな折、亞衿はふと、喧騒に紛れて聞こえてきた音楽に耳を澄ませた。
「おー、酒場の吟遊詩人って、なんかすごくファンタジーっぽくていいねえ」
ここはひとつ、ユーベルコードの力で即興演奏でもしてみせようか。
そう考えた彼女は、ドワーフに頼んで適当な【楽器】を貸してもらうことにした。
「おおう? 冒険者どのは音楽も嗜んでおるのじゃな! さすがじゃ!」
「へえ、いいね! いよいよ祭りっぽくなってきたじゃないか!」
目ざとくそれを見つけたガラットとナトゥーアが亞衿をはやし立てる。
「いやあ、あたし素だとちゃんと楽器弾けないんだけどね~。
"音楽はハイになるための安全な方法だ"っていうし? ギグってみようかと!」
「ジミ・ヘンドリクスであるな。うむ、いい言葉である」
うんうんと頷くムルヘルベルも、グラスを手に耳を傾ける構えだ。
そんな亞衿のそばに、なにやら黒い外套を着た大男……これはユーベルコードで召喚された、音楽の権能を持つ悪魔である……が現れたかと思うと、
ギャイーン! と、エレキギターさながらのエッジなサウンドが鳴り響いた!
「“You're with patriotism to Earth have.”──けだし名言だね!」
たちまち即興ギグが始まり、他の楽器を持ったドワーフたちも参加する!
さながらパブというよりライブハウスか何か、といった喧騒が辺りを支配して、
誰も彼もがノリノリでそのサウンドに酔いしれていた!
……そう、ここまではよかった。ここまでは実にうまくいっていたのだ。
近くにいたオニバスも、彼らの騒がしい宴に参加することこそないものの、
近くて遠い楽しげな歓声を一種の肴にしながら、盃を傾けていた……のだ。
(どのような世界であれ、人々が集い酒があればこうした語らいが生まれるのだな。
音も何もかも違えど、俺はこの喧騒を愛そう。そして、護らねばならぬのだ)
と、一人静かに呑む剣豪は、心の裡で誓いを新たにしていたはずだ。
いい話なのだ。いい話で終わるはずだった、の、だが……!!
「……それにしても、ここは暑いですね」
それまでだんまりを決め込んでいたアーデルハイトが、ふと言った。
ギグの騒がしさもあって、そのつぶやきは最初誰にも届かなかった。
「宴会の熱か、あるいは皆さんの騒がしさと音楽のせいか……フムン」
「んん? フレイ氏、なにやら酔ったのでござるか?」
「酔った? ましゃか、そんにゃわけはありましぇん」
最初に気づいたエドゥアルト、なんか様子が変なことに首をかしげる。
「あのフレイ氏? あの、もしかして、いやそんなまさかなのでござるが、
まさかまさか……ひょっとして、べろんべろんに酔っているのでは!?」
「れすから、そんにゃわけはないといっへるれしょう! わらしはしょけーにんれすよ!」
がたん! と立ち上がったアーデルハイトの様子に、ここで全員が気づく。
そして顔を見る。処刑人の顔は……もうべろんべろんに酔っ払っていた!!
「ねえそうれしょうキャラットさん! わらしはよっていまへんよね!」
「そこでわしに振るのか!? 誰がどう見てもよっておるんじゃが!?」
「おかしいれふね……おかひいといえば、キャラットさんにおひげがない……」
完全に据わった目で、じとーっとガラットを睨むアーデルハイト。
「……それならわらしがふくをぬいでも、べつにだれもおこりませんよね」
「「「「「はい!?」」」」」
一同、耳を疑った。そしてアーデルハイトは、ああ! 服の裾に手を!
「ちょ、ちょちょちょ! 何をしておるんじゃお前さん!?」
慌てて止めるガラット!
「あっはっは! こりゃいいや、脱いじまえ脱いじまえ!」
けらけら笑いながら煽るナトゥーア!
「うわーこれカタストロフの幕開けだーでもあたし演奏で手一杯ー」
わかっていながらスルーを決め込む亞衿!
「むっ!!!!! いいねェ、処刑人の生着替えとか流行るでござるよ」
なぜか筋肉もりもりのグラサン妖怪みたいな顔をするエドゥアルト!
「オヌシ最低であるな!? いやしかしどうしたものかこうしたものか……」
常識派みたいな面をしてながら止める手立てが思いつかないムルヘルベル!
(……なんだこれは、なんだこれは……!?)
あからさまに雰囲気がおかしくなったことに内心で困惑するオニバス!
といった具合に、どんどんてんやわんやの大惨事が起きたのである……!
……そして、時間軸は現在に戻る!
アーデルハイトは脱ごうとしてはわけのわからない理屈を並べ立て、
ついには自身の本体である処刑剣を振り回して暴れ始める有様!
ナトゥーアとエドゥアルトはそれを煽りながらゲラゲラと笑い、
ムルヘルベルとガラットはなんとかして事態を落ち着かせようとするが無駄!
亞衿は完全にスルーして演奏続行! むしろカオスをご提供していた!
「………………もう少し追いついて酒を呑めないのか!?!?!?!?」
そしてオニバス! 我慢の限界が訪れ、思わず席を立って叫んでしまった!
一同の視線が彼に集まり……そしてまた完全にスルーされる!
「そこで無視をするのはなぜだ!? おかげで落ち着いて酒が呑めんのだ!
そも! いかな存在であれ、嫁入りもしてない女が肌を晒してはならんぞ!」
「はー? わらしはしょけーにんなんれすがー? もんくをいうのれすかー?」
「おっ、なんだ喧嘩かい? いいねぇ、それも祭りらしいじゃないか!」
「だからオヌシもう少し止めんかー!? うわなんかめっちゃキツい酒呑んでるのである!」
ナトゥーアがかぱかぱ呑んでる酒の臭いに割とドン引きするムルヘルベル。
しかしザルを越えたワクのこの女、さっぱり酔ってないからたちが悪い!
「落ち着くでござるよアーキロギア氏! ガラット氏! ふんど氏!!」
「お前さんが一番混乱しとるわ!?」
「ここは拙者に任せてほしいのでござる! こんなこともあろうかと!
このカオスを唯一止めることの出来る助っ人を呼んだのでござるよ……!!」
迫真のシリアス顔のエドゥアルトに、期待と怪訝と疑惑の視線が集まる。
そんなエドゥアルトの背後から現れたのは……!
「……誰であるかこれ」
「誰じゃこのおっさん!?」
「ええ……誰ですかこれ」
「誰だい!?」
「誰なのだこの男は……」
「だれれしゅかそれ」
なぜか首にギブスを巻いた、やや肥えた奇妙な顔立ちの男である。
首から片腕を包帯で吊るしており、どうやら怪我人か病人らしい。
「誰? ねぇ誰なの!? 怖いよぉ!! あっちへ行け!!」
エドゥアルトも知らないらしい。誰こいつ! 誰このおっさん!
ともあれ、謎のおっさんはそのまま去る……かと思いきや、
なぜかそのまま流れるようにムルヘルベルのほうに近づいてきた。
「ゲェーッ!? なんでワガハイのほうにーッ!?」
「いや拙者知らない人なので交流を暖めてもらおうかなって」
「全力でカオス煽ってるじゃん!? 見つけたぞ! 世界の歪み!!」
「グワーッ!? ちびちび呑もうとしてた悪魔殺しが口の中にアバーッ!?」
なんたることか、演奏でハイになった亞衿の楽器アタックが黒髭にヒット!
そのショックで悪魔殺しを一気飲みし、白目でぶっ倒れるエドゥアルト!
げらげら笑うナトゥーア! 触発されて暴れだすアーデルハイト!
「しょけーれすか! わらしもします! しょけーにんなので!」
「誰かこやつを止めてくれぬかー! 誰かーっ!!」
「というかナチュラルに気絶者出ているのであるが!?」
「それも祭りだよ、細かいこたいいっこなしさ! あっはっは!」
「すごい! いまのあたし、タイタニックに乗ってた楽団みたいな気分!!」
カオスにカオスを重ねて100倍の大惨事だ、わかるかこの算数が、エエッ?
「だから……俺に! 静かに!! 酒を楽しませてくれーーーーっ!!」
今は無き妻との、木苺の味にまつわるなんかセンチメンタルな思い出とか想起しようとしていたオニバスは、たまらず悲鳴じみて叫んだ。
しかし そのさけびは むなしくこだました……。
大成功
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シーザー・ゴールドマン
ドワーフ主催らしい宴だね。多種多様の酒は楽しみだ。
※宴に出ている酒は一通り、試します。
『悪魔殺し』が名前を含めて気に入ったよう。
ムルヘルベル君を見かけたら、楽しんでいるかい? と声を掛けます。
「酒に対いては当に歌うべし、だよ」
差し入れとしては何処からともなく他の世界の酒
スペースシップワールド産やサムライエンパイア産を樽レベルで出して振舞っておきます。
アドリブ歓迎です。
カイム・クローバー
ハイホーっ!!(ガシャンとジョッキを合わせ)
良いねぇ!依頼後の酒は別格。それに旨い飯と陽気な仲間!偶にはこういう報酬も悪くねぇモンだな!
ムルヘルベルも来たがってたし、一緒にどうだ?他にも呼ぶ奴が居るなら飲まされ過ぎて倒れちまうかもだが(笑)
俺は当然『~殺し』を飲むぜ。いつもなら一気に悪魔って呷りてぇトコだが、トロールから始まり段階を上げていくぜ。キツイ酒は慣れる事と徐々に胃を慣らす事が秘訣だ。後、飯食うことな?空腹時はこんだけキツけりゃ、死ねる。半殺し?ストレート以外は飲まねぇよ。
最終的に悪魔殺し飲みながら、共闘した連中を見つけれれば絡んでいくか。お疲れさん!飲んでるかい?
(どんな描写も歓迎)
安喰・八束
へぇ、こんな酒があるんだな。
いやなに、昔の悪名でなぁ。狼殺しと呼ばれたことが……
飲み比べ勝負?
こう盛り上がられちゃな……
……祝い酒を断る野暮でもねえよ。
安喰・八束、御相手仕る。
好きな得物を選びな。
………ッ
(きつい。タワシみたいな狼尻尾がはみ出す)
……。
まだまだッッ!!
(酒の強さはそれなり、あとは男の意地)
……年甲斐もねえやんちゃはするもんじゃあねえな。
完全に空気にアテられちまった。
まあ、久々に楽しい酒宴だったがね。
●男たちのささやかな宴、ささやかな戦
「「ハイホー!!」」
ガシャーン、と、木製のジョッキが力強く音を打ち鳴らした。
並々と注がれたエール『ハイ・ホー!』を、銀髪の男は一息に飲み干してしまう。
対する少年めいた賢者……今回の事件の予知をもたらしたグリモア猟兵、ムルヘルベル……は、一口だけ呷るに留め、対面の男の飲みっぷりに呆れたように苦笑した。
「豪快であるなあ。その程度ではこれっぽっちも酔わぬと見える」
そんな言葉に対し、男……カイム・クローバーは、ニヤリと不敵に笑った。
「まぁな! それによ、こういうのは勢いよく呑むのが礼儀ってもんだろ?
依頼後の酒は別格だ。それに旨い飯と陽気な連中、自然と酒も進んじまうって」
己のなかの主義信条と善悪に従い、猟兵兼便利屋として生きるカイムの言葉は、 粗暴にも聞こえるがしかし不思議な爽やかさを感じさせるものだ。
せっかく来たがっていたのだし、とこうして酒の先に招かれたムルヘルベルも、
彼の竹を割ったような言葉には、思わず口元を笑ませてしまう。
「気持ちのいい男よな。ワガハイはオヌシのその気性を快く思うよ」
「小難しい言い回ししやがるねえ。気に入った、だけでいいんじゃねえか?」
「違いない」
何がおかしいのやら、温かい料理を挟んではっはっはと大きく笑うふたり。
そうこうしている間にも、カイムのもとにはまた新たな酒が運ばれてくる。
「おや、なにやらふたりして楽しそうだね。ドワーフの流儀に倣っているのかな」
そんなところへやってきたのは、ふたりの共通の知り合いである。
赤スーツを上品に着こなした、どこか得体の知れない切れ長の瞳の男……。
シーザー・ゴールドマン。言葉は気さくで、穏やかだが油断ならない雰囲気がある。
「よおシーザー、あんたもお疲れさんだぜ!」
「戦ったあととは思えぬ落ち着きぶりよな。ま、いまさらな話か」
カイムはニカッと笑いながら、また空っぽになったジョッキを掲げてみせ、
ムルヘルベルはなにやらふむと頷きながら、またちびちびと酒を呑んでいた。
「楽しんでいるなら、なによりだよ。宴こそ楽しまなければ甲斐がない。
そう、云うなればちょうど、"酒に対いては当(まさ)に歌うべし"だよ」
「なんだそりゃ? 誰かの格言かなんかか?」
「"人生幾許ぞ、たとえば朝露の如し"。魏の英雄、曹操孟徳の詩であるな」
シーザーとムルヘルベルは顔を見合わせて笑う。カイムは感心した様子だ。
単に粗野な乱暴者ならば、知識をひけらかされたと憤りもするだろうが、
カイムは違う。ただのお喋りで軽薄な男ではない、一種の好漢と言えよう。
そんなカイムは、まるで水のように次から次にエールを飲み干しているのだが、
何杯めかの盃を空にしたところで、ふと近くを見やって何かに気づいた。
「おいふたりとも、もうひとりぐらい同席者が増えても構わねえよな?」
「ワガハイが断るべくもなし、むしろ歓迎するところであるよ」
「右に同じく。多くで飲む酒も楽しいものさ」
シーザーとムルヘルベルの応答を確認して頷いたカイムは、何やら席を立ち、
ややあってひとりの男を、半ば引きずるような形で連れ戻ってきた。
「面子不足だなんだって言われて引っ張ってこられたが……もう三人いるじゃねえか。
やれやれ、まあわざわざ誘われたんだ、せっかくだし俺も相席させてもらうぜ」
ため息交じりに苦笑して、不惑の人狼である安喰・八束がテーブルに就く。
カイムとは、かつてダークセイヴァーで起きたある事件で共闘した仲である。
「こんな楽しい宴ってときに、ひとりで呑んでるのもつまらねぇだろ?」
「大人数でガヤガヤ騒ぐなんてのはもう歳じゃないんだがねえ……」
カイムの言葉に苦笑しつつそう返す八束だが、表情はまんざらでもなさそうだ。
れっきとして肩を並べて戦ったわけではないものの、シーザーも含めれば、
この三人はあの恐るべき魔神・アークデーモンを相手に死闘を繰り広げた者同士。
戦場でちらりと見かけた姿も、こうして同じ卓につくと奇妙なものである。
「いや実際、頭数が増えてくれると私としても色々と楽なんだ。差し入れがあってね」
言いながらシーザーは懐に手を入れて、なにやらボトルを取り出した。
「んぅ? それはスペースシップワールドの銘酒ではないか?」
「こっちはサムライエンパイアの、けっこう値の張る代物……だな」
手品めいて出てきた酒瓶の銘を見て、ムルヘルベルと八束はやや驚いた顔。
「ドワーフの彼らには、樽で供したんだけれどね。この通りボトルも余ってたんだ。
よければ君たちで楽しんでくれたまえ。酒は大いに越したことはないからね」
「っははは、こりゃいいや! 国どころか世界ごとの酒の飲み比べときたか!」
カイムは酒が増えたということもあっていよいよ上機嫌だが、
八束とムルヘルベルは顔を見合わせ、口を揃えて首を傾げた。
「いま、樽でって言ったよな」
「うむ。あんな高い酒をいったいどうやって持ってきたのやら……」
皆目見当がつかぬ。本人に聞いたところで、微笑して受け流されるだろう。
それがシーザー・ゴールドマンという、どこか底知れない男なのだから。
「よし、せっかく野郎がこれだけ揃ってるんだ! 飲み比べでもしようじゃねえか!」
そこでカイムがぱちんと指を鳴らし、なにやらとんでもないことを言い出した。
とんでもないこと、というのは……彼がテーブルに並べたボトルの銘柄である!
「って待てカイムよ、それは火気厳禁・取り扱い注意の"トロール殺し"では!?」
「そうだぜムルヘルベル。もちろん他のシリーズも用意してもらってあるのさ」
ごとり、ごとり、ごとり。巨人、ドラゴン、悪魔の三劇物が見事に鎮座する。
まだ封を開けていないというのに、かなりのアルコール臭が場を支配した!
「おいおい、さすがにこんなので飲み比べなんざ、斃れちまうぞ?」
「おや、八束はビビっちまったか? ま、歳なら仕方ねえよな?」
挑発するようなカイムの言葉に、八束はむっと軽く眉根を顰めた。
……何も本気で怒ったわけではない。現に、彼はにっと笑ってみせている。
「まったく、こう盛り上がられちゃな……祝い酒を断る野暮でもねえよ」
「そうこなくっちゃあな! あんたとならいい勝負ができそうだ!」
ムルヘルベルは青い顔で棄権敗退、シーザーは実はとっくに賞味済み。
であれば矛先は八束に向かうことになる。残る二人は観客兼ジャッジだ。
「……シーザーよ、あれ、止めなくてよいのか?」
「楽しいからいいじゃないか。彼らも愉快そうだよ」
「オヌシのそういうところは悪癖だと思うぞ、ワガハイは」
賢者はやれやれと頭を振る。こうなるともう見守る他にないのが酒の席だ。
「安喰・八束、御相手仕る。"とろうる殺し"から始めるんだな?」
「応さ。便利屋Black Jack、カイム・クローバー。挑ませてもらうぜ!」
ドワーフでも完飲は難しい酒ということもあり、気づけば周囲は人だかり。
ふたりは互いのショットグラスに、火がつきそうな酒を並々と注ぎ、
じっと相手の顔を見つめ……シーザーの合図で、同時に一息に呷った!
「……ッハ!」
「…………ッ!」
かたや不敵な笑み、かたや押し殺したような鉄面皮。
しかしよく見ると、八束の腰のあたりからは狼のしっぽが飛び出している。
たわしか何かのような毛の逆立ちは、その酒のキツさをまざまざ伝えていた。
「……次だ。たしか、巨人殺しだったな!」
「おや、休憩はいらねえのかい?」
「年上を敬うのもほどほどにしとけよ、若者……!」
カイムと八束、年齢差は一回り以上もある。だが男の意地は同程度。
さらに一杯。さすがのカイムも、眉根を顰めてふつふつ脂汗をかいている!
「……こいつぁ確かに、巨人もぶちのめられそうだ……!」
「どうした若いの、ギブアップするなら今のうちだぜ……ッ」
かはぁ、と吐き出したふたりの息は、燃えるような熱さを讃えていた。
ぶつかりあう火花は、酒に引火して大爆発を起こしそうなほどに激しい!
そして続くは"ドラゴン殺し"。人垣の中にはふたりを案じる者もいる。
「じゃあ、いくぜ……! このために腹いっぱいにしといたからよ……!」
「知恵が回るじゃねえか、だが、こっちだってまだまだだ……ッッ!!」
グラスを手に持ち、意を決して目を見開き、やはり同時に一気飲み。
強烈なアルコールがハンマーめいてふたりの脳髄をぶん殴り、血流が巡る。
しばしもんどり打ったあとに漏らした吐息は、まさに火竜のブレスのよう。
「っはぁー……! どうする若いの、次が最後だぜ……!」
「だったら挑んでこそだろ、なあ? さあ、始めようぜ」
八束は思わず口元の笑みを引きつらせる。この男のうわばみ加減ときたら!
実際のところ、肝臓はとっくに悲鳴を上げているが、これはまさに意地だ。
目が痛くなるほどの酒精を放つ酒を……ふたりは、やはり同時に飲み干し……!
「……っはぁ! 無理だ、こいつは……げほ、かはっ!」
むせる八束に、すぐさま冷えた水が差し出され、彼はそれを一気に呷る。
カイムも無事ではない。が、水は呑んでいない。つまり勝敗は明らかだ!
「ったく、年甲斐もねえやんちゃはするもんじゃあねえな……ふう」
二杯目の水を飲み干して荒く息を整える八束。そんな彼にカイムは手を差し出す。
「けど楽しかったろ? やっぱ酒ってのはこうじゃあないとな!」
「たく、ザルかワクか、それとも穴の空いた大鍋か……勘弁してくれよ」
カイムに毒づきつつも、八束は若者の手をがっちりと握り返すのだった。
「ふう、やれやれ。気絶者が出なかったのがなによりであるよ、本当に」
「それはそれで、楽しい事態になったかもしれないがね」
「オヌシなあ、なんでもかんでも楽しむのでは……っと」
ムルヘルベルが隣を見たときには、赤いスーツの男はもういない。
「……まったく、酒飲みが見る幻じゃあるまいに」
盛り上がる宴の席を尻目に、賢者はひとりごちるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
非在・究子
は、ハイホー?
え、宴会、か。
の、飲んだり、食べたりは、出来るけど……(残るのは、HPが回復した、MPが回復したといったログばかりで)……あ、味とか、よくわからないんだよ、な。(だから、ちょっと、もったいないって)
……ま、まあ、すこし、賑やかしでも、してみる、か。
ゆ、UCを、使って、周囲の無機物を一時的に、『ゲームのオブジェクト』に、変えて、操作する。
そ、それで、今回の、顛末の、人形劇、でも、やってみる、か。
げ、ゲームの、プレイ動画、みたいな、もんだ……楽しんで、もらえたら、いいけど、な。さ、再生数が、少ないのは、こたえるから、な。
……さ、最後は、忘れずに、ちゃんと、元に戻すから、な?
真守・有栖
わっふぅうう……じゃなくて、はいほぉおおおお!!!!!!(がばっ)
がつがつ。ごくごく。わぐわぐ。
わぅうう……っ…ぷはぁ……からっぽのぽんぽんにしゅわしゅわ(の、じゅーす)が染み渡るわ!
そして、おにくだわ!おにくよ!?おにくなのよ!!?
ほかほかのあつあつでもーもーでぶーぶーでめぇめぇで……うぅっ……おいしい……っ……おいしいわ。おいしいの!おいしいわよ!?!?
なみだがぽろぽろ。ほっぺはゆるゆる。にこにこえがおで。
ありがとう……どわぁふのおじさ……おねえさん!?
ほんとうにありがとう……っ……すっっっごくおいしいわしあわせだわいきててよかったわ……ぐすっ
えぇ、改めて。はいほー!そして、わおーん!よっ
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
ん、予想通りやっぱり女の人。兜とつけヒゲを作っておいて正解。
上手く作る方法を聞いておかないと。あと変装の方法も。
ガラットさんがどれだけの活躍をしたかを皆の前で再現してみないと
SEやアレンジを加えて……そんなことない?またまた御冗談を。
お酒のお話を聞くのは何回かあるけど、実際に見るとすごそう。
飲むのは飛威に止められたし、いい匂いだけ感じてみよう。
……お土産用にいいものがあればいいけど。
飲み物だけじゃなくて料理もいっぱい。
これだけあると目移りしそう。お勧めを聞いて回って少しずつ。
戻って作れたりできるなら飛威はレシピを確認しておいて。
●こうして歴史はたやすく修正されていく
「はいほぉおおおおおおっ!!!!!!!」
がばぁっ! と力強く、バネじかけめいて跳ね起きる人狼の少女あり!
紫色の瞳をぱちくりと輝かせ、銀髪の少女こと真守・有栖がニコニコ笑顔になる。
自らを人狼ならぬ"刃狼"と称する剣豪、光刃に全てを乗せる戦巫女。
そんな雄々しい猟兵の有栖にもひとつだけ弱点がある、それは……。
「おなかがぺこぺこなのよ! くうくうなのよ!! うたげなのね!?!?」
とんでもなく燃費が悪く、そして腹ペコキャラなことである……!
盗賊どもを蹴散らしている間も割とずっと空腹状態であったためか、
有栖はもんのすごい勢いで料理を平らげていく。いやむしろ吸い込んでいく。
「がつがつ、ごくごく、わぐわぐ……!!」
テーブル一杯に並べられた肉・魚・はたまた芋や野菜料理を、
口いっぱいに頬張ってはジュースでごくごくぐびぐびと押し流す。
未成年である。だが、その食べっぷりと飲みっぷりは紛れもなく飲兵衛だ。
……繰り返すが未成年である! 彼女が飲んでいるのはただのジュースだ!
「わぅうう……っ! ……ぷはぁ……!」
ざっと十皿近くは積み重ねたところで、満腹になったのか感嘆の吐息を漏らす。
「からっぽのぽんぽんに、しゅわしゅわのじゅーすが染み渡るわ!!
これでようやく、ごはんを本格的に食べるおなかの準備が整ったのよ!!」
そんな馬鹿な。満腹どころか腹八分ですらなかったとは!?
……そんな有栖の大食いっぷりを、ぽかーんと呆気にとられて眺める者がいた。
猫背で目元が隠れたさまはいかにも陰キャめいた、小学生ぐらいの少女。
バーチャルキャラクターであり、バトルゲーマーの非在・究子である。
「す、すごい食べっぷり、だな……み、見てて気持ちいい、ぐらい、だ」
どもり声で感心するぐらいには、有栖の食べっぷりに見入っていたらしい。
「わぅ? ……なによぅ、まさか私の料理を狙っているのよっ!?」
「い、いや、別にそんなつもりはない、けど……」
がばっと料理の上に覆いかぶさって、警戒した表情になる有栖。
そんなに必死にならなくても、と究子はやや呆れ気味である。
「狙わないの!?」
「ね、狙ってほしいのか、ね、狙ってほ、ほしくないのか、どっちな、なんだ」
「だっておにくよ!? おにくなのよ!? おにくなのに!?」
「さ、三段活用するぐらい、に、肉が好き、な、なんだな……」
苦笑いしつつも、究子は改めて首を振り、つまみ食いする意志がないことをアピールする。
「そ、そもそもだな、あ、アタシは、し、食事の意味が、な、ないんだ」
有栖は、究子の言葉がよくわからない、といった様子で首をかしげる。
百聞は一見にしかず。究子はおもむろに、自分のテーブルに運ばれてきていたフライドポテトを一本手に取ると、ぱくりと口にする。
もぐもぐ、ごっくん。……するとなにやら、ピロリロリ♪という電子音が!
「わうっ!? なにそれ、変な音がしたのだわ!」
「お、音だけじゃないぞ。ほ、ほら、あ、アタシの、頭の上」
ついつい。究子が指差す頭の上をよく見ると、『+10』という緑色の文字。
いわゆるフライテキストが、ふんわり浮かび上がってそのまま消えた。
「…………一体なんなのよぅ!?」
「か、回復したってこと、だ。あ、アタシ、ゲームのキャラクターだから、な」
もうひとつフライドポテトをぱくり。同じように数字が出て音がした。
よく見ると、音に合わせて究子の体をキラキラした光が一瞬覆っている。
いかにも、ゲームキャラが回復アイテムを使ったときのようなエフェクトだ。
……そしてそれは、"のよう"ではなく、事実としてそうなのである。
「だ、だから、あ、味とか、よくわからないんだよ、な……」
そう語る究子の表情は、すこしだけ寂しげでもったいなさげであった。
味がわからない自分が食事をしても意味がない、と考えているのだろう。
「…………」
そんな究子の顔を、しばしぱちくりと見つめていた有栖だが、
やがて何かを思いついたように、ぴん! と耳と尻尾を逆立たせた。
「いいこと思いついたわ!」
「い、いいこと……?」
「あなたのぶんまで私がいっぱいいっぱい食べればむもんだい! だわ!!」
どーん! さあどうだ、名案だろうとばかりにドヤ顔をする有栖。
さきほどのように究子はぽかーんとした顔になり……やがて、思い切り噴き出した。
「ふっ、ぷ、ぷぷ……あ、あは、あっはははは!」
「なによぅ!? ないすあいであなのにっ!」
「そ、そうだ、な! ふ、ふふ、い、いいプランだと思う、ぞ」
ぷんすこ怒る有栖とくすくす笑う究子。なんだか妙にウマがあっていた。
「これ、どう? 私が自作してみた、兜と付け髭なんだけれど」
「あのドタバタの中でよくそんなもんを作ったなお前さん……」
一方その頃、ガラットと並んで歩くミレナリィドールの少女が、
手作り(にしては異様に精巧な)氏族の兜と付け髭を披露していた。
人形の少女……神元・眞白は、無表情のままがぽっと兜を被ってみせる。
「サイズもぴったり。でも、まだまだ試行錯誤の余地がある」
「わしから見ると完成度高すぎるんじゃが、職人か何かかのう!?」
やや天然(ポンコツともいう)の気が強い眞白は、常に奇矯な行動をとる。
なにやら変装にこだわりがあるのか、無表情だが割と語気が強い。
「そもそも変装して、何をどうするんじゃ?」
「ガラットさんの活躍を、みんなの前で再現しようかと」
「明らかに話を盛るつもり満々じゃよなそれ!?」
びしぃ! と鋭いツッコミを入れるガラットである。貫禄がある。
なお、眞白は当然話を盛るつもり満々であり、なんなら敵も盗賊じゃなくてドラゴンとか巨人とか、世界を破滅させる邪神とかにグレードアップする目論見だ。
おつきのからくり人形(彼女は戦術器、と呼ぶ)の飛威と苻雨も、
SE代わりの小道具や敵キャラ用のきぐるみをせっせと用意していた。なんという無駄な努力。
ともあれそんなやりとりをしながら、ふたりが究子と有栖のところを通りがかったところ……。
「ありがとう!!!!!!」
「ぬおうっ!?」
がしぃ! といきなり有栖に掴みかかられ、ガラットはガチでビビった。
しかもその少女が、ぽろぽろ涙を流しながらニコニコ笑顔となればなおさらである。
なんか変なクスリやっちゃったのかな? と不安になることうけあいだ。
「どわぁふのおじさ……えっ、おねえさんだったのだわ!?」
「お、驚くポイントが、い、いまさらすぎる、な……」
「私は最初から予想してたけど」
なにやら作業をしている究子は呆れ顔、眞白はそこはかとなくドヤ顔だ。
ともあれ有栖、どうやらおいしい食事のお礼をいいたいらしい。
「どわぁふのおりょうり、すっっっごくおいしいわしあわせだわいきててよかったわ!!
ありがとう、ほんとうにありがとう……っ、ぐすっ、よよよよよ……」
「ど、どういたしましてなのじゃが、そんなに泣くほどかのう!?」
あまりのガチの感謝っぷりに、ちょっと驚きつつ引き気味のガラットである。
「だって! おいしいわ! おいしいの!! おいしいわよ!?!?」
「流れるような三段活用、参考になる」
「な、なんの参考に、するんだ……」
なにやらメモを取る眞白に、すっかりツッコミ役の究子である。
ところで、そんな究子の手元に、なにやら眞白の興味が注がれた。
「……あなたは一体、何の準備をしているの?」
「ん? こ、これはな。人形劇、みたいなもの……だな」
究子がAR投影したキーボードのエンターキーをポンと押すと、
近くにあった空いたテーブルや椅子が一瞬光り輝いて波打ち、
がちゃがちゃと音を立て、人型に変形して動き始めたではないか!
「のおうっ!? これはなんか、魔法かのっ!?」
「……電脳魔術。なるほど、これも興味深い、かも」
ミレナリィドールだけあって、眞白の分析は正確である。
「そうなのよ! この子のにんぎょーげき、わーわーできゃーきゃーなのよ!」
「擬音ばっかりでよくわからないけど、人形と聞いたら私も負けてられない」
実はドールでありながら人形遣いである眞白も、対抗心が刺激されたらしい。
戦術器をフィンガースナップで呼び出し、劇に参戦させる。
「あ、アタシは、食事出来ないし、飲んでもお、同じだから、な。
こ、今回の顛末を、げ、ゲームのプレイ動画みたいに、や、やってみようか、ってな」
無機物が変化した人形=オブジェクトは、盗賊役と猟兵役に分かれて戦い合う。
そこに眞白の戦術器たちも混ざって、なんだかカオスになりつつあった。
「おお、おお! すごいのう、これはなんだか楽しいのじゃ!」
「と、ここで、ガラットさんが斧を振るって破壊神を倒し……」
「そんな展開なかったのよ!? それより私の活躍をわうっと再現してほしいわっ!」
「あ、アタシ、それ見てないんだけど……が、頑張って、みるか」
苦笑しつつも、人形劇の操演に熱が入る究子。なんやかやノリノリだ。
気がつけば彼女らの周りには多くのギャラリーが集まり、呑めや歌えやの大騒ぎ。
猟兵も、ドワーフたちも、みな楽しそうにひとときの不思議な劇を楽しんだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
確かに酒のみではあるんだが、ドワーフ達のようには飲めないよなぁ(死ぬ)
はじの方でチビチビ飲んでよう。
・ちゃんぽんしない。
・一口ずつなら呑み比べはする。
・普段はウィスキー(40度前後)あたりをロックでグラス1~2杯(二日酔いしない量)飲んでる。
・料理は嫌いでないので美味そうなものがあったら作り方を聞く。
以上踏まえてならば、好きに書いてください。
須藤・莉亜
「ふむ、悪魔殺し。良いね、面白そうなお酒だ。」
死ぬほど美味いって事だよね?
「んじゃ、はいほー。」
それじゃあ、一気に煽ってみよう。ダメだったらその時はその時。
「意外と美味しい?…いや、流石の僕でも結構くるな…。」
とりあえずもう一杯頼んで、ゆっくり飲んどこう…。あ、後は生ハムがあれば完璧だね。
●喧騒から離れて
悪魔殺し。デーモンスレイヤー。
……実に、面白い。面白い名前だ。須藤・莉亜は心からそう思う。
なにせダンピールである彼は、ユーベルコードや術式の多くで悪魔の力を用いる。
悪魔大王とあだ名される、この世ならぬ地獄の強大存在を召喚したり、
あるいは自分自身が悪魔に変じて暴れ狂う、なんて芸当までやってのけるのだ。
であるからして、悪魔殺しと聞いたら興が乗るのも当然と言えよう。
「いいね、面白そうなお酒だ。飲ませてもらっていいかな?」
いつもどおり気だるげに申し出たが、ドワーフの給仕は浮かない顔である。
「あれを呑むのはやめといたほうがええんじゃないかと……」
「えー? だって、死ぬほど美味しいお酒なんでしょ?」
「ええ……」
莉亜の顔は、マジであった。心の底からそう思っているらしかった。
はたして大丈夫だろうか……しばし考えたのち、ドワーフも根負けする。
「一気飲みはダメじゃぞ」
「わかってるよー」
「絶対ダメじゃぞ、絶対じゃからな」
「わかってるわかってる、うんうん」
あきらかに一気飲みする顔である。ドワーフは不安な顔で見送るのだった。
……さて、悪魔殺しとあだ名されるだけあり、この酒はもはや酒ではない。
云うなればアルコールの純液。あまりの刺激臭に目が痛くなる。
「…………」
銜えていたタバコを近づける莉亜。ぼわっ、と水面がにわかに燃え上がる。
「おお」
危険である。グラスを手に、莉亜はしばし考えた。
とはいえかなりのザルであるダンピールとして、飲まないという選択肢はない。
「まあ、ダメでもともと。そのときはそのときだよね。はいほー」
ぐいっと一気飲み。なにげなく莉亜を見たドワーフたちが青い顔をした。
喉越しは……灼けるようだ。いや、事実粘膜が焼けているのではないか?
「意外と美味し……いや、さすがの僕でもけっこう来るな、これ……」
こめかみを押さえつつ、とりあえずもう一杯呑む莉亜であった。懲りない。
一方その頃、酒宴の喧騒からやや離れた、会場の隅のほうの席。
「いやー、さすがにドワーフたちのようには呑めないよなあ……」
ヤドリガミの剣豪、黒鵺・瑞樹はため息交じりにそう呟いた。
瑞樹は、自他ともに認める酒飲みである。しかしそれはあくまで常識の範疇。
あんなに度数の高い火酒を、かぱかぱ呑むようなワクではない。
「酒は自分のペースで、香りを楽しみながらじっくりと呑む。うん、大事だな。
こんなとこで悪酔いするわけにもいかないし、俺は俺のペースで呑むとしよう」
ドワーフ秘蔵の火酒"溶岩酒"をロックした、"岩焦がし"をちびちび呑んでいる。
特に注文せずとも、気を利かせたドワーフたちがあれこれと料理を運んでくれる。
「これは……カツレツか? 美味そうだな。レシピを教えてくれてもいいか?」
「もちろんだとも! この肉はわしらが手塩にかけて育てたものでのう」
「へえ……鉱石業に酒の醸造、牧畜までしてるのか。多彩なもんだ。
そんだけ集落で自給自足できたら、そりゃ外の世界と交流が途絶えるよな」
ドワーフ手製の料理だけあって、香辛料や味付けはこれでもかと濃いめに使う。
日常的に食していたら、並の人間では体調悪化間違い無しのレベルである。
それでも、こうして酒のつまみに味わうにはまさに最適だ。
「マリネもあるんだな。なるほど、仕入先がこの村で……」
「あーごめん、ちょっととなり、いいかな?」
レシピのメモに勤しんでいた瑞樹が、ちらりと声の方に目をやる。
そこには気だるげなダンピールの青年……つまり、莉亜がふらふらと立っていた。
「ああ、騒がしい席じゃないけどいいか?」
「そのほうがありがたいなあ。ちょっと呑みすぎちゃってさ」
ふわっと漂う酒精の香りは、瑞樹をしてちょっと顔をしかめるレベルである。
相当強い酒を呷ったのだろう。それが悪魔殺しであることを知る由はない。
「先に言っておくけど、飲み比べとかは勘弁してくれよ?」
「大丈夫大丈夫、僕も自分のペースを守るタイプだからね」
男ふたり、喧騒から離れた隅の席で、それぞれの酒をちびちびと傾ける。
そこで莉亜は、瑞樹がアテにしている肴を見て目を瞬せた。
「おお、生ハム……! それ、ちょっと分けてもらっていい?」
「物事は物々交換だぜ? そっちの……その魚の蒸し焼き、分けてくれよ」
酒に好みがあるように、アテにするつまみも色々と好みが分かれるもの。
「うーん、旨いお酒に生ハム。完璧すぎる……」
「あんた、かなり呑むタイプだな? こっちのつまみも旨いぜ」
「おー、じゃあ頂こうかなあ」
酒飲み同士は盃を傾ければ、自然と仲良くなるもの。
喧騒から離れた片隅で、男たちはしばしちびちびと酒を楽しんだという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サイラス・レドモンド
【POW】
酒が飲める仕事だって?!そいつァ最高じゃねぇか!!
丁度倉庫にある酒も金も切らしちまってたんだよなァ!
っと、いけねぇいけねぇ仕事だよなァ!
乾杯の音頭はハイホーか、いんじゃねぇの?ハイホー!
うらうらァ!ガッツリ飲んでやるぜ!
ケットシーだからってバリバリ成人でオッサンのオレに飲ませねェなんて
今更言わねぇよなァ?ハッハッ!
まずは『ハイ・ホー』で舌準備
それから『ちょび髭酒』、『もぐらの忘れ物』、『溶岩酒』で飲み慣れてから
『巨人殺し』辺りでも挑戦してみてェところだなァ!
ッッッーーーーー!!!!
カァーーーーーッ!!!!物理的に死ぬ程うめェってのはこれの事か!
危うく逝っちまうところだったぜ……へへへ
草野・千秋
憎き山賊も倒して酒宴ですね、わくわく!
ガラットさん、いえいえですよ
住む世界は違えど僕達猟兵は危機があれば助けに行くのです
って付け髭だったんですあれー!?
た、確かにドワーフ女性はいくつになっても乙女ですね
見抜けなかったのもちょっとお恥ずかしい
ハイホー!(乾杯)
僕はもぐらの忘れ物を頂きますね
苦味がたまらないのです
僕はサイボーグなのでアルコールには酔いませんが
雰囲気には酔ってしまって笑い上戸に!
岩焦がしも気になるところです
林檎にさくらんぼに木苺
フルーティーなのもまた好きですよ
あとおつまみありますかね!
チーズとかお肉!
そして酒のシメには炭水化物か甘いものが欲しいです!
気持ち良くなったので歌も歌います!
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
んー、最高ねぇ。ここのお酒飲み放題なんて幸せだわぁ。
あら、ガラットさん…ちゃん?はいほー。
…あらぁ?どうしたのぉ、オバケに遭ったみたいな顔して。
(この女、シラフである。
…「『悪魔殺し』を中心に」「ある酒を片っ端からチャンポンしてガンガン飲み続け」「既に数十杯空けて」シラフなのである。恐ろしいことに。
実はこの女、そもそも「酩酊」という感覚を経験したことすらない蟒蛇というにも生温いバグじみたナニカである)
噂には聞いてたけど、ホントに後味甘いのねぇ、このお酒。
せっかく縁もできたし、仕入れる本数もう少し増やしてもいいかもしれないわねぇ。
…あ、おかわりちょうだぁい。
●おそらく臓器の作りが別物
「「「ハイホーッ!!」」」
ガッチーン! 実にテンションの高い音頭とグラスの音が鳴り響く。
乾杯をしたのは奇妙な三人――眼鏡の優男と、ケットシー、そしてドワーフだ。
グビグビとエールを呷る優男、草野・千秋……一見すると生身の人間だが、その実彼はサイボーグである……と、ドワーフの戦士ガラット、そしてケットシーの男はサイラス・レドモンドという猟兵である。
どうやら盗賊退治には参加していなかったらしく、酒の気配に馳せ参じたらしい。
とはいえ、そんなことは猟兵の依頼ではよくあること。細かい話だ。
ましてやこうして、旨い酒に舌鼓を打ちながら騒ぐときには無礼講である!
「憎き山賊どもも倒して楽しい酒宴、そして美味しいお酒に料理の数々!
いやーガラットさん、本当によかったですね! 無事に取り戻せて何よりです!」
「それもこれも、お前さんたち冒険者のおかげじゃよ。本当に感謝しておる」
「いえいえ、僕たち猟兵は、危機があればどこであろうと助けに行くのです」
「酒が飲める仕事にだって、この通り飛んで駆けつけるぜ! ハッハッハ!」
にこやかに語り合うガラットと千秋に、サイラスが合いの手を入れる。
ドワーフの厚意を心から味わうのも、一応は立派な猟兵の仕事である。
千秋もガラットもやれやれといった様子で苦笑している。無礼講なのだ。
「しっかし猟兵ってのは便利だよなァ。見た目であれこれ言われねえんだから!」
「とはいえ、ケットシーの方がグビグビお酒を呑んでるのはなんだか不思議ですね!」
こう見えて、サイラスは千秋よりも一回りは年上であるらしい。
ガラットはそんなふたりの見た目に違和感を抱くことはないものの、
同じ猟兵である千秋からすると、サイラスの様子はやはり不思議に見えるようだ。
「こう見えてもバリバリ成人でオッサンだぜェ? そこんとこよろしくな!」
客人用のエール"ハイ・ホー"を呷るサイラスのペースは、かなりのハイだ。
酒が飲める機会に飛びつくだけあって、どうやら相当のうわばみらしい。
「うーん、まだまだ他の種族の方々に対する目が足りないようですね……。
よもやガラットさんが女性であることを見抜けなかったとは、少しお恥ずかしい」
「なあに、気にするでない! お前さんは紳士的じゃったからのう!」
呵々大笑しながら、ガラットはバシバシと千秋の背中を叩いた。
ドワーフの馬鹿力で叩かれても、サイボーグボディなら無傷である!
「あははは、そう言ってもらえると嬉しいです! あはははは!」
琥珀色のエール『もぐらの忘れ物』をかぱかぱ呑みまくる千秋。上機嫌だ。
サイボーグボディではアルコールで酩酊することはないのだが、
にこにこしながら顔を赤らめている様子は完全な笑い上戸である。
……場酔いだ! この21歳男子、酔わないくせに場酔いをしている!!
「こうなりゃオレも負けてられねえなァ、次はちょび髭酒をくれや!」
「そうですそうです、どんどん呑みましょう! おつまみも持ってきてください!」
バンバン煽る千秋。バンバン強い酒を呑んでいくサイラス。
ガラットは思った。これ、なんだか悪い流れではないのか……? と。
そんなこんなで、肉料理や作りたてのチーズなどを肴に酒を楽しむ一同。
するとそこに、ティオレンシア・シーディアが通りがかった。
「あらぁ、お揃いで楽しそうねぇ。ガラットさん……ちゃん? はいほー」
「おお、冒険者どの! ハイh……ッ!?」
ティオレンシアの激甘ロリボイスに手を上げて応答したガラット、
彼女が手に持っているボトルの銘柄を見て、愕然とした表情でフリーズした。
「……あらぁ? どうしたのぉ、オバケに遭ったような顔して」
口をぱくぱくと開けるガラット、なにやら顔を青くしている。
そんなガラットの顔を覗き込んだふたり、そのままティオレンシアのボトルを見る。
「「あくまごろし……?」」
……そう、ティオレンシアが水のように飲んでいるのはあの"悪魔殺し"!
常人は倒れるどころか死にかねない、とまで謳われる劇物である!
「オイオイ、平気な顔してるじゃねぇか……?」
「実はそこまで大したことないお酒だったのかもですね!」
訝しむような様子のサイラスに対して、千秋が笑いながら云う。
ガラットは『おいちょっと何言っとるんじゃ!?』という顔で振り返るが、
当のティオレンシアがかぱかぱ呑んでいるおかげで信憑性がないのだ!
「んー、最高ねぇ。個々のお酒飲み放題なんて幸せだわぁ。
それにこのお酒、後味が甘くておいしいわねぇ。ふふふぅ」
しかもこの女、なにもこれが初めての一本というわけではない。
……うわばみとかそういうレベルを越えた化け物がここにいる……!!
そんなことをつゆ知らず、『悪魔殺し大したことないんじゃね?』モードに入るふたり。
「よォし、ならオレも呑んでみるぜェ!」
「おー! ガンガンいっちゃいましょー! イッキ! イッキ!」
「ちょ、おま!」
「なんだかわからないけど、これ美味しいわよぉ」
ティオレンシアまで(無自覚に)煽る! サイラスは完全にその気だ!
ガラットが顔面蒼白で止めるより一瞬早く、ぐいっと悪魔殺しを煽り……。
「ッッッーーーーーーー!?!?!?!?!?」
ケットシー、すさまじい顔をして口から火を吐いた! 誇張ではない!
危うくどころか、本当に三途の川を見かけた気がする、とサイラスは後に語ったとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャガーノート・ジャック
◆ロクと
◆ムルヘルベル召喚
※その他既知も歓迎
(ザザッ)
(頭部を既存の鎧装とは違う豹頭に変換。
経口で食料を摂取。なんかこうドッと疲れたので吸収で回復せんとガツガツ食う。やけ食いの境地である。)
聞いてるかロク。
今回の君は些かフワフワすぎる。
味?美味しいが。
ヒック。
この機能?
紅茶を飲めないと強化対象になれないUCも出来たらしいからな。
ヒック。
別に
断じて
断 じ て。
食事機能がなくて前の打ち上げに参加できなかったのが悔しくて作ったとかそう言う訳ではない。
ヒック。
む。
ムルベルヘル。
君も来たのか。唐揚げは好きか?レモンは掛かるか?
(酒気や空気に当てられてか結局豹鎧もふわふわし出す)
(お好きに料理して下さい)
ロク・ザイオン
※ジャックと
※ムルヘルベル氏召喚
※その他既知歓迎
……うん。
うん。
ふふ。
なあ、おいしいか。
そうか、そうかぁ。
おいしいな。
ふふ。
(酒の、よい匂いがする。
懐かしいととさまの匂いだ。
鋼の豹に寄り添ってはゴロゴロ唸る。
森番、終始フワフワであった)
ムルヘルベルとも。
たくさんと。
ご飯を食べるといい。
キミは、ひとと、ご飯を食べるといいよ。
……おいしいなぁ。ふふ。
(未成年二人は場酔いここに極まっているのだ)
(宝石賢者は鋼豹と共に森番を叱ってもいいし、
二人纏めて訓戒を述べてもいいし、
その皿の上に容赦なくレモンを絞っても構わない)
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】既知絡み可
終わった終わった
英気を養うとしようぜ
ガラットも来いよ
しかし酒ってそんなにいいもんか?(悪魔殺しの匂いを嗅ぐ。強烈なアルコール臭で酔う)
頭ぐらぐらする…
あー……
ネグルはなー
人情に厚くて真っ直ぐで、俺たちの精神的支柱でよー
いつも危険を請け負ってくれる、すげー奴なんだよ
んで匡はー
ドライでクールな感じだけど、面倒見良くて優しくて、いつでも頼りになる男でさー
俺たちの中心なんだよー
ジャックもロクもムルヘルベルもよー
できること精一杯やってさー
みんなを助けてくれるすげーいい奴なんだよー
(酔いで異様に素直になり、本人たちの目の前でガラットに仲間はすげーんだと熱く語ります。寝落ちはしません)
鳴宮・匡
◆アサルト
◆既知絡みOK
※出先なので飲みません
わかってたけど随分な騒ぎだな
いや、付き合うけどさ
ネグル、飲みすぎるなよ
お前酔うと面倒なんだからな
は? ヴィクティムなんで酔ってんだよ
……匂いだけで当てられんのか
ほら水飲め、水(自分への賛辞が聞こえたあたりで無理やりグラスを押し付ける)
……え、ジャックなんか頭の形違くない?
あ、気にしてたんだそれ……いや次から誘うから
あとお前ら二人もふわっふわしてね?
あーうるせー泣くなネグル、完全に悪酔いじゃねーかこのバカ
ヴィクティムも少し黙って飯でも食っててくれ、頼むから
……
なんなんだ、本当これ
(介護専念型、最終的にめっちゃ気疲れします)
(その他アドリブOK)
ネグル・ギュネス
【アサルト】
既知絡み歓迎
ハイホー!
しっかり仕事した後は酒が美味い!
ほら、ムルへルベルも呑もう!
堅いこと言うなよ、匡
ほらヴィクティムも───え、なんであいつ酔ってんの、しかも絡み酒だこれ?!
そんなこんな言いながら、ハイホー、ドラゴン殺しをちゃんぽんして飲むと、ガチ酔い
なあ、匡、ヴィクティム、ムルへルベル、皆───ありがとうぅ…
いつも皆のお陰で、私は戦えてさー
私の行く先はまだ見えないし、恐らくロクなもんじゃ無いけどさ
皆がいるだけで、なんとかなると思っちまって、ヒック
私さ、記憶が一部戻ってさー
ほんとの名前はさー、…………ぐぅ
寝落ちる
勿論起きたら綺麗さっぱり記憶が吹き飛んでいます
名前?忘れてしまいます
●※5人中半分以上が未成年なのにこのざまです
場酔い、というものがある。
その場の雰囲気で、なんとなく酩酊した気分になってしまうというものだ。
錯覚である。実際に、酒精を呑んでいるわけではないので酔ってはいない。
……酔ってはいない、はずなのだ。はずなのだ、が!!
「ふふ」
ふわふわしていた。ロク・ザイオンはにこにこふわっふわしていた!
馴染み深い酒の匂いが一種の懐旧を呼び起こして後押ししたのか、
はたまた自己催眠めいて酩酊感を自己出力しているのか。
あるいはキマイラにはそういう生態があるのか……すべては謎である。
『聞いてるか、ロク』
「うん」
『今回の君は、いささかふわふわすぎる』
「うん。なあ、おいしいか」
『味? 美味しいが』
「そうか、そうかぁ。ふふ」
……だが、森番をにこにこさせている理由はもうひとつあった。
彼女の隣に座り、あれこれと小言を並べるジャガーノート・ジャックだ。
普段なら無骨な(あるいはタイトでスリムな)豹めいた機械鎧である彼は、
当然ながら食事をするような機能がない。兵士にそんな団らんは必要ない。
……なかった。だが今のジャガーノートを見てみれば、それは過去の話。
なにやらいまの彼の頭部は、がぱっと大きく口を開けて食事をしているのだ!
「おいしいか」
『ああ、美味しいが』
「おいしいな。ふふふ」
ロクは食事を神聖視する。食事をともにすることで"人間"である追認を得る。
これまで何度となく死線を潜り抜けた相棒が、兵士であるジャガーノートが、
ついに共に食事を出来るようになったことが、嬉しくて嬉しくて仕方ないのだ。
そんなところに、ぞろぞろと三人の男たちが露わにやってきた。
無茶をしたあと相棒を拾いに戻ったりなんだりで、宴への参加にやや遅れた、
ご存知(?)チームアサルトの三人である。
「あー、終わった終わった。さて、英気を養うとしようぜ~」
大きく伸びをしながら、ヴィクティム・ウィンターミュートが云う。
「わかってたけど随分な騒ぎだな……いや、付き合うけどさ」
そんなハッカーのあとから、口元を抑えつつ鳴宮・匡が続いてくる。
そして最後。彼を相棒と呼ぶネグル・ギュネスがやってくるのだが……。
「しっかり仕事したあとは酒が美味い! ほら、ムルヘルベルも呑もう!」
「わ、わかったわかった。そう腕を引っ張らぬでもワガハイは応じるとも!」
ぐいぐいとテンションの高いネグルに引っ張られ、少年めいた賢者がやってくる。
というか、半ば引きずられている。だが表情はまんざらでもなさそうだ。
かの強者たちに救われたこと、グリモア猟兵としては枚挙に暇がない。
「あ、そうだ、せっかくだしガラットも来りゃいいんじゃねえか?」
「俺は別に構わないぜ。こうなったら一人増えても同じだろ」
「そうだな! 酒の席には、ドワーフがいてこそだろう!」
「……あっ、これ呼んでくるのワガハイの役目であるな? まあよいが!」
てな具合に、ちょうど暇をしていたガラットもご招致された形である。
「ハイホー! やあやあ冒険者どのらよ! 楽しんでおるようじゃな!」
「ハイホー!! ああ、たっぷり呑ませてもらうとも!」
「ってネグル、お前は呑みすぎるなよ。酔うと面倒なんだから」
調子のいいことを云う相棒に、肘でつっつきながら匡が釘を差した。
どうも、過去にしでかしているらしい。ネグルはその手の前科が多い。
「堅いこと言うなよ、匡。まあヴィクティムは呑めないで残念だが……」
なにげに未成年であるヴィクティムのほうを、ネグルがちらりと見やる。
その視線を受けた17歳――推定だが――の少年は、やれやれといった様子。
「別に羨ましくもねーよ。そもそも酒ってそんなにいいもんなのか?」
本音半分、やっかみ半分。若者らしい台詞と言えるだろう。
……そう、その台詞自体は、実に若者らしいありふれた台詞なのだ、が!
そこへふわりと、どこかで開けられた"悪魔殺し"の香りが漂ってくると、
ヴィクティムの鼻がひくんと動く。途端に、こめかみを押さえてよろめくヴィクティム。
「……なんか頭ぐらぐらするんだが」
「は? おいヴィクティム、まさか匂いだけで当てられてんのか?」
「んなわけが……あー……」
語気強く否定しようとするヴィクティム、だが顔はとろんとしている!
酔っている! ヴィクティム少年17歳、酒精の香りだけで酔っ払っている!
匡が止めようとするより先に、そのまま千鳥足でふらふら歩くヴィクティム。
向かった先は、むしゃむしゃやけ食いするジャガーノートとすり寄る森番のところだ。
「よおーロクにジャックぅー、楽しくやってるかぁー?」
『見ての通りだが? 美味しいが?』
「うん、おいしい。ふふ、おいしいなぁ」
匡、ネグル、ムルヘルベル。顔を見合わせて唖然とした表情(ガラットはきょとん顔)
「あっちも完全に出来上がってるみたいだな」
「なんであいつ酔ってんの、しかも絡み上戸だあれ!」
「偶然この面子が揃ったのはよいことだが、これ大丈夫なのであろうか……」
ヴィクティムを放っておくわけにもいかない。慌てて歩み寄る三人とひとり。
「……え、よく見るとジャック、なんか頭の形違くない?」
匡の指摘はもっとも。一方ジャガーノートは、ふんっと顔をそむけ……ようとして、ヒック! と、これまた大きくあからさまなしゃっくりをした。
「「「ん?」」」
『この機能は、ヒック。紅茶を呑めないと強化対象になれないユーベルコードもあるというので、そのためにだな……ヒック』
「「「……こっちも酔ってるこれ!」」」
ご明察であった。森番どころかジャガーノートも完全に場酔いしていた。
呆れる三人(ときょとんとしているガラット)をよそに、豹鎧が語るに曰く、
『別に、断じて、だ・ん・じ・て。
食事機能がなくて前の打ち上げに参加できなかったのが悔しくて作ったとかそういうわけではない』
「「「ものすごい早口だ……」」」
『ヒック』
「「そして酔っている……」」
「っつーか気にしてたんだそれ……」
『別にそのことは関係ない』
「いや次から誘うから。気にしないでくれよ」
『関係ないったらない。ヒック』
匡がなだめようとするが、豹鎧は完全にヘソ曲げモードであった!
こんな状態の未成年どもを放っておくわけにもいかず、なし崩しに一同は卓を同じくする。
ネグルはというと、難しいことは匡に任せるリラックスモード全開で、
さっそくドラゴン殺しやらなんやらのちゃんぽんを始めていた。こ、この男!
「やれやれ、酒宴といえば酩酊は勲章のようなものだが、どうしたものかなこれは」
グラスを受け取るのもそこそこに、ムルヘルベルが苦笑して言った。
「なにやら大変なようじゃのう、冒険者も場酔いするのじゃな!」
彼らの事情や人となりに疎いガラットは呵々大笑している。こ、この女!
『……む。ムルヘルベル。君も来たのか』
「いやジャックよ、オヌシ気づくのだいぶ遅いのではないか!?」
『唐揚げは好きか? レモンはかけるか?』
「やっぱり打ち上げのことバリバリ気にしておるではないか!?」
『していない。本機は常に冷静だし、気にしていない。ヒック』
そんな相棒の奔放な様子も、森番のほうには楽しくて仕方ないらしい。
豹鎧に寄り添って、どこから出しているのか猫めいたゴロゴロ音を出しながら、
ふわふわした笑顔でにこにこ笑っている。
「うん、うん。ムルヘルベルとも、たくさんとも。ご飯を食べるといい。
君は、ひとと、ご飯を食べるといいよ。……おいしいなぁ、ふふ」
「ロクは輪をかけてダメになってんな、これ……」
「酒の匂いに特別弱い……いや、好みか何かのようであるな」
もはや最後の砦めいた匡とムルヘルベルは、顔を見合わせて肩をすくめる。
「まあまあいいじゃないか、宴の席なんだしな! ハイホー!」
「だからお前は呑みすぎるなって! 話聞けよ!」
ちゃんぽんしまくりのネグルにも改めて釘を刺す匡である。お母さんだこれ。
しかしネグル、場酔いほどではないがテンションが上がっている。耳を貸さない。
ぐいーっと一気に酒を煽り……ああっ、あっという間に赤ら顔に!
「……あー」
「む。ヴィクティムよ、そろそろ落ち着いたか?」
そこで、それまでだんまりしていたヴィクティムの呻きに賢者が気づいた。
顔の前でぶんぶんと手を振ってみるが、酩酊は相変わらずのようであり、
「……ネグルか。ネグルはなー」
へべれけ状態になりつつある鋼の男を見て、ヴィクティムは口を開いた。
「人情に厚くてまっすぐで、俺たちの精神的支柱でよー」
「「は?」」
傭兵と賢者、突然ののろけ……もとい持ち上げに唖然とした顔をする。
『ふむふむ』
「うん、うん」
鋼の豹と森番は、もう『わかるわ~』って顔でコクコク頷いている。ダメだこれ!
「いつも危険を請け負ってくれる、すげーやつなんだよ」
「ほほう! なるほど、お前さんたちは仲が良いのじゃな!」
憧れの冒険者の話が聞けるということで、ガラットが目を輝かせて頷く。
「うん、わかる。ネグルは、とてもいいやつだ」
『本機も同意する。彼はとても頑強で、熱い人柄だ。ヒック』
匡とムルヘルベル、まさかという顔で揃ってネグルのほうを見た。
「……なあ匡、ヴィクティム、ムルヘルベル、それにジャックとロク……。
皆――ありがとう、本当にぃ、ありがとうぅなぁあ……!!」
「「やっぱりか……」」
かたや、普段なら絶対に口にしないであろう賛辞をつらつら挙げるハッカー。
かたや、ある意味普段から言い出しそうなラッパーみたいな感謝を始めるスターライダー。
サラウンドポジティブポエム。心の弱き闇の者は蒸発しそうな地獄である。
「いつも皆のおかげで、私は戦えてさー……!
私の行き先はまだ見えないし、おそらくロクなもんじゃないけどさ」
「そんなことはない、ないぞ、ネグル。ふふ」
「慰めておるのか笑っておるのかわからぬなロクの酔い方は……」
『本機もそう思う。ヒック。本機もそう思う』
「なんで二回言った? ジャックお前マジで大丈夫か???」
「皆がいるだけで、なんとかなると思っちまって……ヒック」
ありがとう、いつもありがとう、と言いながらガチ泣きを始めるネグル。
「そんなことないぞー、お前はすげーやつだぞネグルー。
んでなー、匡もなー、ドライでクールなやつだけど、面倒見よくて優しうぐっ」
おか……もとい匡、自分が賛辞の標的となると容赦なくグラスを口に突っ込んだ!
半ば強制的に水を飲まされるヴィクティム。酔いが醒める気配はない。
「がぼぼぼがぼがぼがぼ(いつも頼りになる男で俺たちの中心なんだよー)」
「その状態で仲間語り続けるのかオヌシ!?」
「うん。わかる。おれもそう思う。匡も、すごいやつだ」
『本機もそう思う。ヒック。だが打ち上げに参加できなかったことは気にしていない』
「まだそれ言うのかよジャック……わかったから、ロクも水呑めって。
ヴィクティムはもう頼むから黙って飯でも喰ってくれ、ほんと頼むから」
慣れた様子で酔っ払いたちを介護する、チームアサルトの良心。
さすがに今回ばかりは、ムルヘルベルもからかうようなテンションではない。
一同の仲の良さに苦笑しながらも、匡を手伝って酔っ払いたちをなだめるのだ。
「酔っ払って素直になるというのは、まあありがちな話であるが」
「だからってこんなタイミングでは勘弁してくれねえかな……」
「オヌシの気苦労は察するに余りあるのだよ、匡……」
どっと疲れた様子の傭兵の肩を、ぽんと叩いてやるムルヘルベルである。
最初は叱りつけてやろうと思ったが、なんかもうそういう問題じゃねえこれ!
『ムルヘルベル、なにやら疲労が見えるが、もしやビタミンが足りないのか。
であれば唐揚げを食べるか? レモンは用意してある。存分に、ヒック』
「うん、存分にかけるといい、レモンはいい。ふふ。でもおれはいらない」
「ふたりしてそれぞれ別のトラウマ抱えておるのなんか面白いのであるな……」
結局、のんびりとエールを飲んでいるのはこの賢者ひとりである。
出先ということもあり(そもそもこんな連中がいるのに酔っ払えるわけもない)匡は酒に一切手を付けていない。
「でよー、ジャックもロクもムルヘルベルもよー、できること精一杯やっててさー」
「ほうほう! なるほど、わしはもっと冒険者の話が聞いてみたいのじゃ!」
「ガラットも煽るなって、ヴィクティムはもう口閉じてろって本当」
「実は私差、記憶が一部戻ってさー」
「「は?」」
「なるほど、わかる。ふふ」
『本機もそう思う』
「ほんとの名前はさー……」
「「…………」」
「………………………ぐぅ」
「「そこで寝るのか!?」」
シリアスな表情でネグルの言葉に聞き入った賢者と傭兵がバカみたいだよ!
かくして寝落ちたネグル。水入りグラスを突っ込まれてがぼがぼ言うヴィクティム。
しきりに唐揚げを勧めるジャガーノート(指摘すると否定する)
笑いながらよくわからない事柄にもとりあえずそれな、と同意するロク。
「…………なんだこれ。本当、なんだこれ」
「ワガハイが聞きたいのである……」
賢者と傭兵、もはや何度目かわからぬため息をついたという。
「もっと冒険者どのの話が聞きたいのじゃー!」
「「まずこいつ(こやつ)を黙らせるべきでは……?」」
とっぴんぱらりのぷう。
大成功
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リンタロウ・ホネハミ
トーヤ(f05271)と参加
よっしゃトーヤ!勝ち戦の後は酒でバカ騒ぎが傭兵の流儀っす!
さあ飲んで飲んで飲みまく……ああ!?オレっちの酒が飲めねってんすか!!
生意気っすよトーヤの癖にーー!!(ムスタッシュの樽ジョッキぐいぐい押し付ける)
せめてなんか飲めなんかーー!!(変則アルハラ)
まあそれよか、アレどうすんすか?
今日なんかバチバチ新技やってたっしょ。新しく技を作ったら名前をつけなきゃあ
……ほう、良い名前じゃないっすか
あの山賊の親玉にあんな啖呵を切ったんす
またラフメイカー(笑顔を作り出す者)で、無辜の民の笑顔を作り出すといいっす
今回の戦みてぇにね(笑顔に溢れる酒宴へと目を向ける)
久賀・灯夜
ホネハミさん(f00854)と参加
よっしゃあ祝勝会だぜってガラットさんって女の人だったの!?
びっくりだけどジュース片手にハーイホー!
いや、酒は飲まないよ! 飲んで強くなれるとかなら考えるけど…
ああもう、ホネハミさん既に酔ってんじゃねえ!?
じゃああれだ、俺が成人したら、そん時一杯奢ってよ
あー、あれね、まだ体がビリビリしてる気がする…
そんで、ラフ・メイカーって名前にしようかと思ってる。
あれやってる時さ、電流で顔が引きつって笑ってるみたいになるんだよね
あんまカッコいい由来じゃねーけどさ…
…へへ、ずりーよホネハミさん
そんなカッコいい事言われたらやるしかないじゃん
俺なりに、笑顔を作れるようにがんばるよ!
●戦いの果てに得たもの、得られるもの
傭兵たるもの、いつも戦いのことを考えていてはどこかで"疲れて"しまう。
だから戦いを終えて生き延びたなら、面倒なことは忘れて騒ぐのが利口というもの。
そして何かを忘れるのに、酒というものは実にご都合がよろしい。
「てなわけで、勝ち戦のあとは酒でバカ騒ぎが傭兵の流儀ってわけっすよ!
さあトーヤ! 飲んで飲んで飲みまくるっすよぉー!」
"ちょび髭酒"がなみなみと注がれた樽ジョッキを手に、
リンタロウ・ホネハミはニコニコと明るい笑顔で久賀・灯夜に言った。
一方の灯夜は、もちろん言うまでもないが、酒が呑める年齢ではないわけで、
そもそもウェイウェーイって感じのリンタロウのノリに、たいへん辟易している。
「いや、俺は酒は呑まないよ! そもそも未成年なんだからさ!
……まあ、呑んで強くなれるっていうなら、考えないでもないけど……」
「あぁ!? 何言ってんすか子供が酒呑んだらだめっすよ!」
「や、やっぱそうだよな! さすがホネハミさんだ!」
「あぁ!? オレっちの酒が呑めねーってんすか!!」
「って今度はそっちで絡んでくるのかよ!? もー、なんなんだよー!!」
……という具合である。リンタロウはけらけらと笑っている。
「ああ言えばこう言う、生意気っすよトーヤの癖にー!!(ジョッキをぐいぐい押し付ける)」
「それはこっちの台詞なんだけど!? もしかしてもう酔ってんじゃねえ!?」
「せめてなんか飲めなんかぁー!!」
「あっこれアルハラか? もしかしてアルハラってやつなのか!?」
誰がどう見ても、ただ単に灯夜をからかって絡みたい感バリバリであった。
兄貴分兼師匠的存在としては、弟子的な少年をいじりたい欲求があるのだろう。
すでにリンタロウはだいぶ上機嫌だったが、灯夜だってこのままは面白くない。
「じ、じゃああれだ、ホネハミさん」
「あー? 何があれなんすか」
「……俺が成人したらさ、そんとき一杯奢ってよ」
灯夜のいじらしい言葉に、今度はリンタロウがきょとんとするターンだ。
「へっ、トーヤのくせに生意気なこと言うじゃねっすか。けど50点っすね!」
「ええっ!? いまの、何がダメだったの!?」
驚く灯夜に対し、リンタロウはふっとシニカルな笑みを浮かべる。
「"いつか"の話なんて、傭兵の世界じゃ叶わねえも同然なんすよ」
「…………」
「いつかそのうち、なあんて話してるヤツが、明日には死んでる。
そんなの当たり前っすからね。約束なんてしても、意味ないわけっす」
戦場で生き抜いてきたリンタロウだからこそ、その言葉には重みがあった。
さっきまでの浮かれた雰囲気が吹き飛んでうつむく灯夜に、しかし騎士は笑う。
「だぁから! そういうときは"一杯奢らせてやる"ぐらいのこと言やいいんす!」
「な、なるほど……って、それ俺が言ったら、生意気だーって怒るんじゃ?」
「あっ、バレたっすか?」
「やっぱりそーかよ! ああもう、ホネハミさんやっぱ酔ってんな!?」
そしてまた、ぎゃあぎゃあと笑いながらじゃれあう男たちであった。
そんなこんなで宴もたけなわ、ふとリンタロウが口を開いた。
「まあ宴のこともいいんすけど、それよかアレどうすんすか? アレ」
「アレ? アレってなんのこと?」
「だからほら、あの……山賊ども蹴散らすときにやってた、アレっすよ。
パチパチ自分に押し付けて、えらく疾い動きで駆け抜けてた、あの新技」
「あー、あれね。……思い出すと、まだ体がビリビリしてる気がする」
灯夜は自らの手のひらを見下ろして、指を握っては開き、体の具合を確かめる。
とっさの判断で、サイキックブラストの高圧電流を自らの体に叩き込み、
それによって電気信号の伝達速度を上昇させ、身体能力を増大させたのだ。
あのときはかろうじて成功したが、程度を間違えれば自滅の危険もある。
リンタロウはその危険性を指摘する……の、かと思われたが、
「新しく技をつくったら、名前をつけなきゃあ。そゆの、大事っすよ?」
と、なかなか男の子なロマン溢れることを言い出した。
どうやら、新技でも閃け、というあの時の言葉、冗談でもなかったらしい。
「ホネハミさんらしいや。実はそれ、もう考えてあるんだ」
「へえ?」
「……ラフ・メイカーって名前にしようかと思っててさ」
リンタロウは片眉を吊り上げる。電気を用いた技にしてはやや詩的な名前だ。
灯夜は片手の親指と人差し指で、ぐっと両頬を持ち上げて笑みを作ってみせた。
「あれやってるときさ、電流で顔が引きつって笑ってるみたいになるんだよね。
だからちょうどいいかなって。……あんまカッコいい由来じゃねーけどさ」
「……そっすかね? オレはいい名前じゃないかと思うっすよ?」
灯夜の言葉を聞いたリンタロウは、そう答えると、視線をあちらへやった。
そこでは、ドワーフや猟兵たちが、思い思いに宴を楽しみ騒いでいる。
「あの山賊の親玉に、あんな啖呵を切ったんす。ならその名前は妥当っしょ。
"笑顔を作り出す者(ラフメイカー)"として、無辜の民の笑顔を作り出す。
そのために戦う。……いいんじゃないっすか? そういうモチベーションも」
いま彼らが身を置く、この喧騒と陽気のような幸せを勝ち取るために。
今回の戦いは、その試金石であり、貫くべき信念のひとつの証左にもなったのだ。
「……へへ! ずりーよホネハミさんは」
一方の灯夜は、リンタロウの言葉に、くすぐったそうに鼻の下をこすり、
「そんなカッコいいこと言われたら、やるしかないじゃん!」
「当たり前じゃないっすか、オレは"骨喰"リンタロウっすよ?
ま、そうやって笑顔で答えられるなら、名付けた意味はありそうっすね」
「うん。俺なりに、誰かの笑顔を作れるように頑張るよ!」
元気よく頷いた少年の頭に、ポンっと手を載せるリンタロウ。
そして空になっていたジョッキを、クリーミーな泡のエールで満たす。
灯夜も頷き、ジュースが注がれたグラスを手に持った。
「んじゃ乾杯でもするっすか! そうだなあ、トーヤのこれからに、とか」
「いや、"これから"はいいよ」
「ん?」
訝しむリンタロウに、灯夜はにっと悪童めいた笑み。
「"いつか"の約束はしないんだろ? なら、"やってやる"でいかないと、さ。
俺はホネハミさんやみんなみたいに、もっともっと強くなる。そういう決意の乾杯がいいな!」
「……その台詞は99点っすね。足りない1点は、トーヤだからっす!」
「なんだよそれ、ホネハミさんずりーなあ!」
男たちは吹き出して笑い転げ、やがて互いに頷き杯を打ち鳴らした。
「「ハイホー!!」」
そこにはたしかに、戦う者たちの笑顔があった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
【星銃】
アドリブ◎
※すぐ酔う酔ってからが長い
あれ、マルコじゃん
よーしマルコも一緒に酒盛りだ!
バカ言えどっから見ても立派な大人だろ
行こうぜアレス
逃げられる前にマルコを担ぎ上げ連行だ
林檎の岩焦がしを飲む
甘いしうまいな!
これならたくさん飲めそうだ
マルコも飲んでるか~?
ああ、マルコはお子様だから飲めねぇか
ニコニコご機嫌で近所の猫にするようにマルコに絡んで
ついでにわんこそばみたいにアレスの杯に酒を注ぐ
いっぱい?わかった
マルコの分がもったいないしな!
ん~酔ってねぇから迷惑かけてねぇ
かけてねえけどアレスが寂しそうだからアレスのとこにいってやろう
アレスにべたべたくっつきながら
減ったアレスの杯にまた酒を注ぐ
アレクシス・ミラ
【星銃】
アドリブ◎
酔ったら:騎士様全開(※無自覚)
お疲れ様、マルコくん
僕の方こそ…あれ、セリオス?
あ、こら!
セリオスに担がれるマルコくんを見ながら額に手を当て
…すまない、マルコくん…
僕は一人で呑む事が多いけど、宴の空気も好きだな
まあ、酒にも空気にも呑まれないにね
今のセリオスみたいに…君、また調子に乗って呑んだな
あ、おい!僕は一杯で…違う、沢山の方じゃない!
…
……ああ、私の事はご心配なく。いつもの事ですから
くっついているセリオスを撫でながら
そうです。マルコくん
改めて貴方に礼を…先の戦いでは助かりました
ありがとう。貴方の銃の腕前はとても頼りになりますね
それに優しい子だ
楽しげに微笑みながら杯を傾ける
マルコ・トリガー
【星銃】
アドリブ歓迎
しかし、しぶとい敵だったな
アレクシスさんには助けられたね。一応お礼を言っておくよ
どこかのセリオスと違って攻守共に隙がないのはさすが騎士と言ったところかな
はぁ、酒盛りねぇ
ボク、未成年ってやつなんだけど
って、ちょっとセリオス!行かないとは言ってないだろ(担がれる)
そういうとこが子どもだって言うんだよ!
サッパリしたものが飲みたいな
セリオスはもう酔っ払ってるし
周りもお酒で盛り上がってるみたいだし
ボクにはお酒の良さはさっぱりわからないけど、まあ、この賑やかさは嫌いでは無いよ
ただ、子どもみたいな大人に絡まれるのは、好きじゃないな!
アレクシスさんに迷惑かけるのもほどほどにしなよ
●酔っ払った姿が、その人の真の姿と云うけれど
それにしても、骸団と名乗るだけあってか恐ろしくしぶとい敵だった。
宴が始まった酒場の入り口付近で、マルコ・トリガーはそう物思いに耽る。
「あれ、マルコじゃん!」
そんなマルコに声をかけたのは、見知った仲のセリオス・アリスである。
セリオスにやや遅れて、先の戦いでマルコが共闘したアレクシス・ミラもやってきた。
マルコはちらりとセリオスのほうを見てから、あえてスルーして、アレクシスのほうに視線を向ける。
「やあ、アレクシスさん。さっきは助けられたね。一応礼を言っておくよ」
「それは僕のほうこそだよ。お疲れ様、マルコくん」
アレクシスは柔和に微笑んで頷く。セリオスは露骨に拗ねた顔になった。
「マルコ~、お前わざと俺のこと無視してんだろ、こいつ!」
「別に無視なんてしてないよ。ただ、攻守ともに隙のないアレクシスさんと違って、攻撃も防御も隙だらけなどこかの誰かさんに、呆れてただけ」
「それ俺のことか? 俺のことだな!? 隙だらけじゃねーし!!」
飛び上がって怒る幼馴染と、減らず口を叩くマルコの鉄面皮に、アレクシスは思わず苦笑を浮かべた。
とはいえ、こうして歯に衣着せぬやりとりが出来るのも、ふたりの仲の良さあってこそだろう。
……仲、いいはずだよな。一瞬不安になったが、アレクシスは考えを振り払った。
「まあまあ、セリオスもそんな怒らないで」
「怒ってねーっつーの! ……いや待てよ? ははーん、そういうことかマルコ」
「そういうことって、なに? よくわからないけど、ニヤニヤしてると不気味だね」
ぐっさり皮肉を突き刺すマルコだが、セリオスはニヤニヤ顔をやめない。
「さては誰にも酒盛りに誘ってもらえなくて、寂しいんだろ~?
こんなとこで暇してるぐらいだもんなあ、わかってやれなくてごめんな!」
「こらセリオス、またそうやってマルコくんのことをからかって……」
アレクシスはやや呆れ顔で幼馴染をたしなめた。マルコは平気な顔をしている。
「そもそも事実じゃないから、どうでもいいよ」
「いーや、事実だね! よーし、そういうことならマルコも仲間入りだぁ!」
「はぁ、これだよ。そもそもボク未成年ってやつなんだけど……って」
セリオスは勝手なことを言いながら、マルコをぐっと担ぎ上げてしまった。
「あ、こら! セリオス、マルコくんが困ってるじゃないか!」
「だって、こうしないと逃げられそうだし」
アレクシスに叱りつけられても、セリオスは悪びれもせずにそう答えた。
「別に行かないとは言ってないだろ! そういうところが子供なんだよ!」
「バカ言え、どっからどう見ても立派な大人だっつーの!」
「そういうとこだよ!!」
「あーもーうるせーなー! 行こうぜアレス!」
ぎゃあぎゃあと言い争いながら、マルコを強制連行してしまうセリオス。
アレクシスはそんなふたりを、唖然とした顔で見送り、額に手を当て天井を仰いだ。
「まったく……すまない、マルコくん。せめてフォローはするよ……」
そのためにも、もう若干場酔いした感のある幼馴染を追わなくては。
我に返ったアレクシスは、慌てて小走りになり、セリオスらに続くのだった。
なんやかやでテーブルを同じくすることになった三人(マルコも嫌がっているわけではなく、おとなしく同席した)
(主にセリオスの主張で)駆けつけ一杯ということで、先に飲み物を頼むことに。
やがて運ばれてきたのは、まずセリオスが"溶岩酒"をロックにした"岩焦がし"である。
本来、"溶岩酒"はブドウで醸造されるのだが、もちろん他の果実のパターンも存在する。
彼が頼んだのは、新鮮なリンゴを使った銘柄である。甘みが増しているようだ。
ブランデーはストレートでこそ、なんて通ぶる酒飲みも少なくはないが、
もともと度数の強い"溶岩酒"は、割ってこそ旨味が出ると考える者も多い。
「ちょっと味見してみたが、甘くて旨いな! これならたくさん呑めそうだ!」
「セリオス、だからって酒にも空気にも呑まれたらいけないよ」
幼馴染の酒癖はよく知っているため、アレクシスはあらかじめ釘を差した。
一方そんなアレクシス本人は、酒は基本的に一人で呑むタイプである。
とはいえ、こんな宴の喧騒も、決して嫌っているわけではない。リラックスした表情だ。
「ボクはレモネードを頼んだよ。アレクシスさんは……エールってやつか」
マルコが覗き込んだビアグラスには、きめ細やかな泡が立っていた。
アレクシスの頼んだ『ハイ・ホー!』は、度数も苦味も控えめなエールだ。
飲みやすく酔いにくい万能な酒だが、そのぶん呑みすぎる客も多い油断ならない酒である。
周囲のドワーフたちがかぱかぱ呑んでいるのも、哀れな泥酔者を増やす要因のひとつである。
「ふたりの杯も来たな~? んじゃ、乾杯しよーぜ!」
「はいはい。まあ、ボクはジュースだけどね」
「なんだかこういうのは久しぶりだ。では、僕も」
三人はそれぞれのグラス(ジョッキ)を掲げ、カチンと打ち鳴らす。
「「「ハイホー!」」」
ドワーフに倣って(マルコはやや平坦な感じに、だが)合言葉を交わし、杯を傾ける。
……セリオスは傾けるというより、一口で一気に飲み干しているが。
「っぷはー!! うまい! 戦いのあとの酒は最高だぜ~!!」
「さっそくハイペースになってるな、先行きが不安だ……」
「いっそ酔い潰れてくれたほうが、色んな意味で楽なんだけど」
アレクシスとマルコは、呆れと苦笑が入り混じった表情で顔を見合わせた。
……そしてふたりの不安は、やっぱり速攻で的中することとなる。
「マルコ~、アレス~、ふたりとも呑んでるか~???」
アレクシスの忠告を無視して、予想以上のハイペースで呑みまくったセリオス。
ご覧の通り、もうすでにぐでんぐでんになって絡み酒をしていた。
ちなみに、この質問も、まったく同じセリフですでに三度繰り返されている。
「すまないマルコくん……セリオスは調子に乗りやすいんだ」
「大丈夫、よく知ってるから。でも、まさかここまでとは思わなかったよ」
マルコは心底うんざりした様子でため息をついて頭を振る。
「何暗い顔してんだ~、せっかくの宴なんだからパーッとしようぜぇ~?
……あ、マルコはお子様だから、お酒呑めねぇのか。ワッハッハ!」
「ボクのこと、近所に住んでる猫か何かと勘違いしてるんじゃないの、これ」
ニコニコと好々爺みたいな笑みで絡んでくるセリオスに、マルコは呆れた。
嫌そうな顔をしつつも逃れないあたり、ある意味マルコの言葉通り猫っぽくはある。
「まあ、それだけマルコくんのことをよく思っている、ということでなんとか。
……ってセリオス、なに僕の杯に酒を注いでるんだ? 僕は一杯でいいんだ!」
「"いっぱい"? わかったわかった、いっぱいだな、いっぱい~」
「違う、沢山ってほうの意味じゃない! ああもう、これだから……」
(……勿体無いからって呑んじゃったら、また同じことされる気がする)
予想通り仕方ないなと杯を傾けるアレクシスを横目で見つつ、思いはするが口には出さないマルコである。
なんとなく、アレクシスは酒に強いのではないかという期待があったのだ。
だが、期待とはえてして、裏切られるのが世の常である。
「……ああ、マルコくん。私のことはご心配なく、いつものことですから」
「え? う、うん。心配はしてないけど、どうしたのアレクシスさん」
マルコは訝しんだ。アレクシスの表情はしゃんとしているし、喋りもはきはきしている。
まるで酔っていないかのようだ。……これ、そういう酔い方なのではないか?
「そうだ、マルコくん。改めて、あなたにはお礼を言わねばなりませんね。
先の戦いでは助かりました。それに、セリオスの相手をしてくれてありがとう」
「いや、別にどっちも気にしなくていいんだけど……やっぱりなんかおかしい気がする。
まあ、子供みたいな大人に絡まれるよりは、こっちのほうがマシかな……」
「酔ってねえ~。俺のどこが酔ってるっつ~んだよ~」
その子供みたいな大人、もといセリオスはもうへべれけである。
にまにま笑いながら、軟体動物めいてふにゃふにゃした動きで、アレクシスに抱きついた。
「アレスが寂しそうだから、こうやってるだけだっつーの~」
「あんまりアレクシスさんに迷惑をかけるなよ……」
「迷惑かけてねえ~。酔っ払ってもいねえ~」
完全に馬の耳に念仏である。マルコは頭を振ってため息をついた。
「マルコくん、あなたは優しい子ですね」
「えっ」
「銃の腕前も頼りになりますが、その優しさを私は快く思います。ありがとう」
感謝を述べるBotみたいになったアレクシスは、表情は楽しげな微笑だ。
やっぱり酔っている。おそらく、彼の理想の騎士然としたものなのだろう。
ぐりぐりとくっついてくるセリオスの頭を撫でながら、にこにこ笑っている。
もはや、杯を満たされることも、それを呑むことも意識すらしていない。
「……やっぱり、お酒の良さってさっぱりわからないなあ」
マルコは遠い目をして、レモネードをちびちびと飲むのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
ああ楽しかった。燃やしたけど結果オーライじゃないのかね
私は何を呑もうかな、何を呑んでも楽しめそうだけれど。
飲み比べでもする?酔っぱらってる君のことは見てみたいけれどね
え?だめ?ああ、そう……。
じゃあ私はどれにしようか、君が選んでよ。「社長」のおすすめなら社長の責任だしね。
さあ、ジョッキを。我々は淑女だから穏やかに、「ハイホー」。
ふ、ははは!!あははははっっ!なんだこれ、アツ、熱いな
灯理、みてごらん、私の肌が真っ赤!ははははっ、死んだなこれは。
いや生きてるか?そりゃそうだ!はははは!!
いやぁ、楽しい、楽しいなぁ!君は本当にかわいい顔をしてるよなぁ!
好きだ!――君が大好き!はははッ!
鎧坂・灯理
お疲れ様です、マダム。
しません。
見せません。
(ため息)失礼、もっともアルコール度数が低い物をお願いします。
いえ、私はいりません。自前(UCでウーロン茶を作成)があるので。
ご配慮願えて幸いですよ。「ハイホー」。
弱すぎるだろう……!(頭を抱える)
なぜこんなに弱いのに飲もうとしたのですか?【助手殿】は何をしているのだ!
マダム。マダム、ちょっと。生きてますから落ち着いてください、マダ……
……、……っ、わかった、わかりました。その話は後で聞きますから。
彼女を外の風に当ててきます。お勘定は?ああ、御釣りはいりません。
失礼。
●予測可能・回避不可能・不羈奔放
ドワーフの給仕たちが、酒場のなかを慌ただしく駆け回っている。
なにせこの人数の猟兵たちだ。もちろん氏族の連中も酒盛りしている。
かつてこの酒場のマスターは、『いつかこの店が冒険者で一杯になるように』と、この集落の酒飲み全員を抱えられるぐらいの大店舗を設けた。
当時のドワーフたちは皆、何を大言壮語を……と、笑い飛ばしたものである。
だが、給仕たちは思った。その判断、結果的に見れば大正解だと。
なにせいま、店は中も外もパンクしそうなほどにいっぱいなのだから!
さて、そんな店内に、新たにやってきたふたりの女たちがいる。
ドワーフでないならば、それは冒険者だ。給仕のひとりがぱたぱた駆け寄った。
「いらっしゃいませ! おふたりとも、何を呑みます?」
そんな給仕の言葉に、まず黒ずくめの女――ヘンリエッタ・モリアーティが応える。
「私は何を呑もうかな、何を呑んでも楽しめそうだけど。
ねえどうしようか灯理、せっかくだし飲み比べでもしてみる?」
水を向けられた女――給仕は男だと思っているが、れっきとした女性だ――こと、鎧坂・灯理は、そんなヘンリエッタの言葉にギロリと鋭い目を向けた。
「しません」
短い、が、恐ろしくはっきりとした拒絶の言葉である。
「そう? 酔っ払ってる君のこと、私は見てみたいんだけれどね」
「見せません」
そう言ったからには、たとえ爪を剥がされ五臓六腑を焼かれても見せまい。
なんなら、三千世界の誰にも見せても、この女には絶対に、断じて、見せまい。
給仕をして、そう確信させるほどの、力強い断定の言葉であった。
「え~? だめ?」
「ダメです。飲み比べも、酔い潰れさせようとするのも」
「ああ、そう……じゃあ、そうだなあ。せっかくだし、君が選んでよ」
「は?」
「"社長"のおすすめなら、社長の責任だしね」
「さてはもう酔っ払っていらっしゃるのですか? リーズナブルなようでなによりだ」
なにやら皮肉の応酬を始めたふたり。給仕は笑顔を引きつらせた。
そんな彼女を見て、灯理はふうとため息をつき、メガネをかけ直した。
「失礼。では、もっともアルコール度数が低いものをお願いします」
「は、はい。そちらの方は……」
「いえ、私はいりません。"自前"があるので」
なにやら魔法らしき力(もちろんそれはユーベルコードである)で、烏龍茶を手のひらの上に、グラスごと作成してみせる。
給仕は納得し、もっとも度数の低い『ハイ・ホー!』をひとつ持ってきた。
「……ああ、それにしても楽しかった!」
どうしてグラスが揃ったところで、ヘンリエッタは堰を切ったように言う。
「まあちょっと燃やしちゃったけど、こうしてみると結果オーライじゃないのかね」
「その意見には同意しかねますが、ともあれ、お疲れさまです。マダム」
この悪党教授のたわ言に、真面目に付き合うのはバカか物狂いだけだ。
灯理はそう心のなかで断じると、彼女が何か言う前にグラスを掲げた。
「うん、さすが灯理。我々は淑女だからね、穏やかに行こう」
ヘンリエッタに乾杯の話を切り出させると、話が長くなりそうだからである。
ともあれ教授もグラスを手にして、カチンとジョッキと打ちあわせた。
「「ハイホー」」
なるほど淑女(一方は男装の麗人)らしい、穏やかで慎ましい乾杯である。
だからこのまま何事もなく終わると思いました? そんなわけないじゃん!
「ふ、ははは!! あははははっ!! なんだこれ、アツ、熱いな!」
一杯……どころか、一口二口である。杯ではなく、口である。
リットルどころかミリリットルぐらいの量なのに、これだ。
笑っていた。ヘンリエッタは、狂ったかのようにケタケタ笑っていた。
酒の味で笑い、アルコールの熱で笑い、グラスの形で笑い、灯理のしかめっ面で笑う。
風の音で笑い、周囲の喧騒で笑い、笑っている自分の笑い声で笑っていた。
「灯理、みてごらん、私の肌が真っ赤! ははははっ、死んだなこれは」
スン、といきなり無表情になる。そして、また笑う。自分の無表情で。
「いや生きてるか? そりゃそうだ! はははは!!」
「弱すぎるだろう……!!」
無表情を貫いていた灯理をして、頭を抱えて突っ伏すほどの泥酔っぷり!
繰り返す、一口二口である! 背伸びした悪い子供だってそんな弱くねえぞ!
「なぜこんなに弱いのに呑もうとしたのですか? "助手殿"は何をしていたのだ!」
残念ながら、触手系名誉助手は暇を頂いている。だって日常章だし。
あとたぶん、そう嘆いているあなたがなんとかしてくれると思ったのでは?
「ああ、ああ、とにかく切り替えなくては……マダム、マダム!
ちょっと、生きてますから落ち着いてください。マダム、聞こえますか」
けたけた笑うヘンリエッタの肩を掴み、ぐわんぐわん揺らす灯理。
それだけでリバースしそうだが、ヘンリエッタはそんな彼女を見つめ、ふと押し黙った。
「……マダム?」
「……君はかわいいなあ」
「は?」
鳩が豆鉄砲を秒間50発で食らったような顔になる。
「君は本当に可愛い顔をしているよなぁ! いやぁ、楽しい、楽しいなぁ!」
「あの、マダ」
「好きだ!!」
くわっ。ヘンリエッタは突然目を大きく見開いた。
「……っ」
「私は君が大好き! はははッ!」
「…………」
灯理は無言である。照れたのか、呆れたのか、それは定かではないが。
「どこが好きかというとねぇ、まずその可愛い顔と、あと」
「わかった、わかりました。その話はあとで聞きますから」
灯理はやや早口に言うと、ヘンリエッタの口を塞いでそのまま立たせた。
がたんっ、という椅子の音が、自然周囲の耳目を集めてしまう。
「彼女を外の風に当ててきます。お勘定は……いらない? であれば結構。失礼します」
ぺらぺらと一方的にまくし立てて、引きずるように教授をつれていく。
淑女とやらの台詞は、いったいどこへいったのやら!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルーク・テオフィルス
【炎心】
アドリブ◎
わいわいと賑やかで
みんなが楽しそうな顔をしていることはとても好ましいけど
チラッと周りを見渡して
僕の従者を改めて見る
大人だけ、飲み物が多くて狡い
あれらを飲んでる人は他の誰より楽しそうだ…例外もいるけど
好奇心が抑えられずお酒に手を伸ばそうと
…ああ!
こっそり飲もうとしたお酒はジークの胃のなか
何時もと同じようで何時もより機嫌のいいジークが羨ましくて口を尖らせる
少しくらいいいじゃないか…
拗ねながらもジークが持ってくる食べ物も飲み物も持ってこられる分だけ素直に食べる
…おいしい
ああ、これも美味しそうだな
新しい食べ物に手を伸ばせば
ジークに食べられて
行儀が悪いぞ!自分でとれ!
全く、困った従者だ
ジークムンド・コンラッド
【炎心】
アドリブ◎
いや~宴会を開いてくれるなんて中々太っ腹だな
姫さんも楽しんでますか?
はい、それはダメですよ~
こっそり酒に手をつけようとしてる姫さんからグラスを取り上げて代わりに中身をあおる
ほら、姫さんはこっち
そう拗ねなさんな
こっちの飯もうまいですよ
飲み物も食べ物もさりげなく先に食べて毒味を済ませルークに渡す
ね?美味しいでしょ
機嫌がなおってきた姫さんが新しい食べ物を食べようとしたらひょいっと噛って確認して
いや~美味しそうだったからついね
育ちが悪いんでと悪びれなく
あーほらほら姫さんが気に入ってたヤツ出来立て来たみたいですよ
ちょいととってくるんで
じっとしててくださいね
ごまかし甲斐甲斐しく世話を焼く
●大人のずるさ、子供の特権
酒場のなかには、猟兵もドワーフも、種族立場を問わずにわんさかと詰めかけていて、それぞれ思い思いの時間を楽しく過ごしている。
みんな、楽しそうだ。あの山賊どもをこてんぱんにした甲斐があるというもの。
盗まれたものが取り戻されたことはもちろんだが、やはり人々を悩ませていた悪党が潰えたことが、この笑顔のなによりの証左なのだろう。
猟兵たちの笑顔は、そんな戦いを駆け抜けた達成感と高揚がためだろうか。
……あるいは、感謝の印に供されている、この品々と酒のおかげなのだろうけど。
とにかく、みんな笑顔で楽しそうだ。それはいい。それは、とても好ましい。
「…………はぁ」
ルーク・テオフィルスは、そう思いながらも、視線を隣の席へやった。
そこには、やはり周囲の誰もと同じように、楽しげな従者の姿がある。
そんな従者こと、ジークムンド・コンラッドもやはり楽しそうな笑顔だ。
「いや~、宴会を開いてくれるなんて、なかなか太っ腹なドワーフたちだなあ!」
ニコニコと上機嫌である。もちろん、その手にはビアグラスがある。
なみなみと注がれたのは、飲み口のいい"もぐらの忘れ物"だ。
琥珀色の液体はクリーミーな泡を立てていて、得も言われぬ酒精を放つ。
甘やかでフルーティな香りと、慣れぬアルコールの匂いがルークを誘っている。
(……大人だけ飲み物が多いのは、ずるいな)
ちらちらと琥珀色の液体を見ながら、ルークは心のなかで唇を尖らせた。
酒。言うまでもなく、16歳――つまり未成年であるルークには過ぎた代物。
世界を問わず国を問わず、彼の年齢が口にするのはご法度である。
しかし、だからこそ――もちろん、それを呑んでいる大人たちが、他の誰よりも楽しそうなのもあるが――好奇心というものが湧いてくる。
子供とは、えてしてそうして、大人の言いつけを破るものだ。仕事と言ってもいい。
たとえ高貴な生まれだろうと、ルークもその例外ではなく……。
「姫さんも楽しんでますか……っと、はいそれはダメですよ~」
「ああっ!」
こっそり掠め取ろうとしたグラスをジークムンドにあっさり取り上げられ、
琥珀色の液体は、哀れ、自慢げな顔の従者の口の中に流れ込んてしまった。
「少しぐらいいいじゃないか……」
「そう拗ねなさんな。ほら、姫さんはこっち」
代わりのジュースを差し出されても、ルークは唇を尖らせた表情のまま。
恨めしげに見上げる視線が子供らしくて、ジークムンドは思わず吹き出した。
「わ、笑うな! まあ、その飲み物はありがたくもらうけど……」
「わかりましたわかりました。ほら、こっちの飯も美味いですよ」
さりげなくあれもこれもと差し出しているジークムンドだが、彼は一応は従者。
高貴な主の口に(たとえ自分たちが救ったドワーフのものだとしても)得体の知れないものを含ませるわけにはいかない。
何気ない所作で、彼はすでにそれらの毒味を、自らの体で済ませている。
繰り返すが、ドワーフたちを警戒しているとか、そういうことではないのだ。
むしろ信頼があるからこそ、それを確たるものにするための行為といえる。
もしもオブリビオンの残党や、彼らのことを良からぬ思う誰かがいて、
ドワーフたちの知らない間によからぬものを盛っていたりしたら?
あるいは、なんらかの手違いやミスから、痛んだ食物が供されていたら?
故意にせよそうでないにせよ、実際に何かが主のみに起きてしまったならば、
ジークムンドは"従者 ”として、その応報を、然るべき手を打たねばならない。
そして、この喧騒と陽気と笑顔は失われるだろう。
それは、誰にとっても不幸な出来事なのだ。
……もちろん、そんなジークムンドの懸念は、懸念のまま終わる。
毒味はどれも問題なく、ルークもなんだかんだで美味そうに舌鼓を打っている。
「……うん。美味しいな。この肉料理はなんと言うのだろう」
「ステルツァ、とかいうらしいですよ。すね肉のローストなんですって」
豚スネ肉をじっくりマリネし焼き上げたそれは、味が染み通った絶品のものだ。
「ね、美味しいでしょ? 機嫌も直ってきました?」
「うん、まあ……って、別に僕は拗ねてなんてないっ!」
「っはは、そうでしたそうでした。姫さんは立派な方ですからね~」
などと言いながら、ジークムンドはぐびぐびとグラスを傾けている。
いつもどおりのようでいて、しかしいつもより明らかに上機嫌である。
やっぱり、ずるい。ルークはそう思うが、もう口に出したりするようなことはない。
またからかわれるのが目に見えているし、いつまでもそんなことをしているのは主たる自分のすべき行いではない。
そんなところへ、今度は揚げたポテトが山盛りで運ばれてきた。
「ああ、これも美味しそうだな。どれ、さっそく一口……」
何気なく手を伸ばそうとしたルーク、しかしつまもうとしたフライドポテトは、よこから伸びたジークムンドにかっさらわれてしまった。
「あっ!」
「おっと失礼~、いやー美味しそうだったからつい、ね」
これみよがしに食べてみせるジークムンドに、ルークは眦を吊り上げる。
「行儀が悪いぞ、自分のぶんは自分で取れ! わざわざ僕のを取るな!」
「いやすいません、へっへ」
もちろん、それが主を慮っての行為であることを、従者は言わない。
いわばそれは、主の――いや、子供の特権なのだから。
「まったく、困った従者だ」
「はいはい、困った従者ですいませんね。また姫さんのお気に入り頼みますから」
「そういう問題じゃない。……まあ、料理は食べるけど」
「でしょ? だから怒らない怒らない」
ずるい大人は、主のためにそれとなく甲斐甲斐しく世話を焼く。
特権持つ子供は、そんな従者を、やれやれと呆れつつ認めてやるのだった。
これもまた、宴の中の喧騒のひとつである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アラン・サリュドュロワ
マリー(f19286)と
アレンジ歓迎
ハイホー、か
ああ、ドワーフらしい力強い言葉だ
主と共に酒宴の中でガラットを探し、手を取り正式に礼をする
ガラット嬢、今回は世話になった
姫のおっしゃる通り、目映いほどに麗しい乙女だ
勇ましい戦士としてのあなたも好ましいゆえか、こうして見ていると戸惑ってしまうな
いつか我々の国に来たときには歓迎するよ
ドワーフの酒は私も初めてですね
では、そちらと同じものを
殿下はこちらを、と冷えたグラスを差し出し
ハイホー!と笑顔で乾杯をして煽る
──ッ、いや、これは……ガラット嬢、この酒は何の……
未知の強度数に目を白黒させて──
後に報告書にこう綴られる
ドワーフの酒とは、悪魔よりおそろしい
マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
アレンジ歓迎
ハイホー!!
うふふ、素敵に陽気な挨拶ね
酒場の喧噪を取繕ってガラットの姿を探せば近寄って礼を
ガラット、此度わたくしはあなたの助けと為れて光栄でしたわ
でも、本当に可愛らしい方。アランもそう思うでしょう?
わたくしは今の姿のガラットも好きよ
……どうかこれからもあなたらしく生きて頂戴
お酒はとても魅力的な品々なのね。どの方も楽しそう
わたくしは―――アランが飲むのを眺めます
勇まし元気にグラス鳴らす横で果実水を行儀よく頂くも興味は尽きない
……ねぇアラン。ソレはどのような味がするの?
惑うアランとガラットを交互に見て、むうと頬膨らませた
あぁ、大人が羨ましいわ。楽しみがあって
●騎士と姫、素敵で陽気な宴のひととき
すでに酒宴はたけなわといったところで、酔い潰れているものも少なくない。
そんな陽気で騒がしい酒場のなかを、せわしなく歩く二人組がいる。
一見すれば、それは瀟洒できらびやかな姫と、それに従う騎士である。
だが実際のところ、"彼女"は"彼"であり、騎士は"ただの騎士"ではない。
アラン・サリュドュロワとマリークロード・バトルゥールの関係性と事情は、
余人が一瞥しただけで推し量ることが出来るほど、わかりやすいものではないのだ。
……とはいえ、そんな細かい話は、こんな酒宴には無用の長物である。
山賊の親分を完全に始末したこともあり、やや宴に遅れたふたりは、
一足先にこの酒場にやってきた、"ある人物"のことを探していた。
「おお、マリーにアラン! お前さんたちも間に合ったようじゃな!」
その人物――つまりそもそもの依頼人であるドワーフのガラットは、
ふたりが目の前にやってくると、ジョッキを片手ににこりと微笑んでみせた。
「まあ! きちんと約束通り、素顔を見せてくださったのね? 嬉しいわ!」
兜を外したガラットの素顔を認め、マリークロードは瀟洒な笑みを浮かべる。
一方のアランは、その場にひざまずくと、おもむろにガラットの手を取った。
「ヒエッ」
「ガラット嬢、今回は世話になった。改めて、あなたに礼をしたい」
騎士然としたアランの微笑に、ガラットは声も出ない様子である。
「わたくしも、あなたの助けとなれて、本当に光栄でしたわ。
……それにしても、とっても可愛らしいお顔だこと。アランもそう思うでしょう?」
「ええ。姫のおっしゃるとおり、まばゆいほどに麗しい乙女だ。
勇ましい戦士としてのあなたも好ましいゆえか、こうしてみると戸惑ってしまう」
ガラットは、照れたものやら恥ずかしがったものやら、困った表情になる。
そんな様子も微笑ましいのか、マリークロードはふふっ、と鈴のなるような声を漏らした。
「わたくしは、いまの姿のガラットも好きよ?」
「そ、そうかのう? マリーとアランも、とても素敵じゃぞ!」
頭をかきながらのガラットの言葉に、ふたりはコクリと頷いた。
「いつか我々の国に来たときは、あなたを歓迎するよ」
「ええ。……どうかこれからも、"あなたらしく"生きて頂戴」
ふたりの言葉には、それぞれに言い尽くせぬ裏と事情と、想いがあった。
ガラットとて、それを悟る程度の聡さはある。だが口にすることはない。
「そうじゃのう! ともあれ、今日は存分に呑んで食べて騒いでくれぃ!」
意気揚々とそう言って、ふたりを空いたテーブルへ案内するのだった。
さて、そうしてテーブルについたふたり。
ガラットはすでにがぶがぶと酒飲んでいるが、ふたりはまだだ。
「で、何を飲む? マリーは酒ではないほうがいいのかの?」
「そうですわね。では、わたくしは果実水をいただこうかしら」
「私は……実は、ドワーフの酒は初めてでして。あまり詳しくないのですよ。
ですからガラット嬢、あなたと同じものをいただけますか?」
「同じものを? ……ふむ、まあよいじゃろ!」
なにやら含みのあることを言いつつ、給仕を呼ぶガラット。
やがて運ばれてきたのは、酒入りのグラスと冷えた果実水のふたつ。
「それにしても、いろいろなお酒がありますのね? どれもとても魅力的だわ」
「目移りしてしまいますね。しかし、言うまでもありませんが……」
「ええ、ええ。わたくしはこれを飲みます。問題ないでしょう?」
にこり、とほほえみながら果実水入のグラスを掲げるマリークロード。
アランはその笑顔から、マリークロードの内心を読み取り嘆息しつつ、
応じてジョッキを掲げたガラットにならい、自らの杯を打ち鳴らした。
「「「ハイホー!!」」」
素敵に陽気で、ドワーフらしい力強い乾杯の音頭だ。
マリークロードもアランも、笑顔でガラットとともに叫んだ。
そしてアランは、そのままなんの警戒もなくグラスを煽る、のだが……。
「――ッ!?」
「あら……? どうしたの、アラン?」
目を白黒させている騎士の様子に、マリークロードはきょとんとした顔。
一方のアランは、むせながらグラスを離し、慌てて水を呑んでいる。
「いや、これは……ガラット嬢、こ、この酒はなんの……!?」
「わははは! だろうと思ったわい! これは"トロール殺し"というのじゃ!」
ててーん。ガラットが掲げたグラスには、ドワーフでも早々飲み干せないという、恐ろしく強い酒――の一番弱いもの――が入っている。
「まあ安心せい、お前さんのは"半殺し"、ようは割りにしておいたからの!」
「は、半殺しでこれですか、これは……けほっ」
不用意ではあった。が、それにしてもドワーフの酒の強さときたら!
行儀よく果実水を飲むマリークロードも、いよいよ興味を惹かれてしまう。
「ねえアラン、ソレはどのようなお味がするの?」
「ええと、そうですね、灼けるような熱さと……甘さ、ですかね」
「甘いのね。ふうん、そう……」
「さすがにそれを飲み続けるのは辛かろう? 他の酒も用意しておいたのじゃ!」
トロール殺しに比べるとはるかに度数の低い――それでも驚異的だが――"岩焦がし"を差し出すガラット。
アランはそれを飲み、またけほけほとむせて目を白黒させていた。
「…………むう」
グラスを傾けつつ、ふくれっ面になって大人たちを藪睨みするマリークロード。
大人はずるい。まだ17歳の少年は、心のなかでそう思った。
一方のアランの報告書が、ドワーフの酒への恐怖にまみれたことはいうまでもない……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
灰炭・炎火
【結社】
(背中に『私は暴れまわって酒樽と土地を破壊しました』の張り紙を貼り付けている)
「ハイ・ホー!! 溶岩酒三つにハイ・ホー四つー! おつまみちょっとまってねー! どいてどいてー!」
流石に反省したあーしは居酒屋バイトの経験を生かして給仕に回るのやった。
おっちゃんもお酒飲む? はい悪魔殺し!
リっちゃん(ビリウッド)もお酒飲む? はい悪魔殺し!
ハゼル君も悪魔殺し!
ほらほら、おかわりいかが? 遠慮せんと!
あ……そうだザっ君、今日は迷惑かけてごめんね
お詫びに、体力つきそうなの持ってきたよ!
ほら、牛!!(一頭担いでくる)
たーくさんたべて元気だそ!
皆も沢山食べてね! 足りへんかったら、狩ってくるから!
アダムルス・アダマンティン
【結社】
やっておられん……
(以下、アダムルスの持つ酒盃から聞こえて来る妄言)
何かもう色々と疲れ果ててとりあえず炎火から給仕された悪魔殺しを飲んで逃避することにした神アダムルス!
あなたまで酔い潰れちゃったら、結社のみんなが乱痴気騒ぎで地獄と化しちゃう!
お願い、酔い潰れないでアダムルス!あんたが今ここで倒れたら、ビリウットやペルその他問題児を誰が止められるの?
理性はまだ残ってる。ここで事態を収拾できれば、飲み場の地獄化を避けられるんだから!
次回、「アダムルス死す」。結社スタンバイ!
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
酒ダー!!
飲むぞ飲むぞ私は飲むぞ!
いや、その前にツマミか!少し待ちたまえ、私はツマミ作りは一流レベルなんだ(ツマミ作るのだけ超上手い)
ほら、海老のアヒージョに辛きゅうり、ガーリックトーストにブラックペッパーチキンに…ええい我慢できない私は飲むッ
この悪魔殺しをね!(ぐびぐび)
───ひっく
(この女、酒は強いが一度潰れたら最高に面倒くさい)
熱い…脱ぐ…(しゅるしゅる、あはーん)
んゆぅ…(実はこの女、潰れるとあらゆる〇〇上戸、〇〇魔をランダムで可変式に発言させる…ランダム上戸!!)
わらひのしゃけが…呑めないのくぁー!
うぇひひひはははは!!グスン…うー!
うー抱き着く…チューしよ…うへぇ(ばたん)
ハゼル・ワタナベ
【結社】
~前回のハゼル・ワタナベ~
重傷扱いでぶっ倒れた俺は気を失い
いつの間にやら緊急搬送!
しかし…SAKE、SAKE!酒が足りねェ!
頭に包帯巻きながら、俺は酒場へ訪れたのだ!
え、傷口が開く?
うるせー!知らねー!
JAEGER SI
XTH
っつーコトでビリウット!度胸試しといこうぜ
作ってくれたツマミも頂くか…って、いきなり悪魔殺しかよォ!?
炎火も俺に悪魔殺し出すなって!?
…チクショーこうなりゃヤケだ!
(一気飲み!)
ぐえっ…ヒック、なんだこりゃストロングよか強烈な…
おいビリウット…なンらよ俺ぁキスすら未経験のチェリーだぞ…
し、しゃーねェなァ……あ゛っ
(傷口が開く)(大出血)(酔いがまわる)(斃れる)
ペル・エンフィールド
【結社】
えへへ~この匂い何だかふわふわするですねぇ
ぽかぽかするですよ(酒気だけで酔います
ビリウッド!ビリウッド!おつまみペルにもペルにも~
炎火~ザザがお肉欲しいって~
牛?牛です~?しょうがないですね~ペルが焼いてあげるですよ~
ザザ~ここはセンパイのペルに任せるですよ~(ふらふら向かった厨房から牛の断末魔が聞こえる
お待たせしたですよ~
あ?ハゼルまたえっちなこと考えたですか~?
もぅ、駄目なのですよ~怪我もしてるのですから~これ食べて元気出すです~(できた消し炭を口に突っ込む
あ、アダムルスにも食べさせてあげるですね~
はい、あ~ん
食べて…くれないです?
ザザ・ロッシ
【結社】
ハァァ~~めっちゃ疲れた……
もうマジでなんなんだよほんと
みんなやりたい放題じゃん
山とかどうすんのこれ
もういい俺はなんも知らん!
肉! 肉を食うぞ!
ビーフだ、ステーキを食べたい!!
それくらい頑張ったよね俺!
え、炎火が給仕すんの……
大丈夫か何か壊さな(ドンッ 生きのいい生きた牛を出される)
この店は客に屠殺させるんですかねぇ!?
クソ、こんなオチかよ
いまさら牛くらいなんだ、やってやらァ!
(剣の封印を解く)
(牛へ斬りかかる)
(負ける)
(剣の封印は解けなかった)
へへ……
アダムルスさん、ペルさん……
すいません、しくじっちまいました
俺、少しはヒーローっぽくなれてましたかね…
●実録! これが謎の組織『結社』の構成員とその実態!
「酒ダー!! 飲むぞ飲むぞ私は飲むぞ! いや、その前につまみか!?
待ちたまえ、少し待ちたまえ、私はツマミづくりは一流レベルなんだ(キリッ)」
「ビリウットはつまみ作るのだけはマジで超一流レベルに上手いからな!
まあそのつまみを喰いつつ飲み比べ、いや度胸試ししようぜェ!」
「はーいはーい、そのおつまみ? っていうのも、ペルにもペルにも~。
っていうかハゼル、頭に包帯巻いてお酒呑むとかもう度胸ありすぎですね~」
「俺は肉が喰いたい。なんかもう、山のこととか考えたくない。知らない。
ハゼルさんの傷口開いちゃうんじゃないかとか、考えずにステーキ食べたい!!」
いやこれを結社のデフォルトにしてはダメなのでは? 誰かがそう思った。
……とまあそんなわけで、やりたい放題しでかした結社の面々。
(約四名ほど)意気揚々と酒宴に参加し、相変わらず好き勝手に騒いでいる。
厨房に引っ込んだビリウット・ヒューテンリヒは勝手に素材を拝借しているし、
気絶していたはずの重傷患者、もといハゼル・ワタナベは呑む気満々だ。
未成年のはずのペル・エンフィールドは酒気だけでもう酔っ払っているし、
そんな三人のフリーダムぶりに、最年少のザザ・ロッシは考えることを放棄していた。
「………………やっておられん」
一番かわいそうなのは、誰であろうアダムルス・アダマンティンである。
鉄面皮をさらなる渋面に歪め、これからのいろんな面倒事に頭を悩ませる。
なんか新名所になる(ことにプレイング的になってしまった)予定の山のこととか、
そもそもあんな暴れ方したこの連中どう教育したもんかとか、
破損した酒樽の補填を結社の費用からほじくりだすにはどうするかとか、
だいたいなんで自分がこんな悩まなければならないんだ誰か助けてくれ具体的にはⅡの短針とか、なんかもう色々と疲れ果てていた。
……え? 誰か足りないんじゃないか、って?
いや足りないままでいいんじゃないですか? そのほうがみんな幸せでは?
数えたほうがいい? 採用してるし、プレイング反映したほうがいい?
みんな苦しむことになる、そのほうがいい? そうですか、わかりました。
じゃあそんなわけで、一番の暴れ馬……もとい暴れフェアリー、灰炭・炎火。
彼女が何をしているのかというと、それはもうご覧いただいたほうが早いですね!
「ハイホー!! 溶岩酒みっつにハイ・ホーよっつー!
おつまみはもうちょっとまっててねー! はいはい、どいてどいてー!」
給仕をしていた。
……は? 給仕? ナンデ? そう思った方もきっと多いだろう。自分も思いました。
これには深い事情がある。彼女のやらかしに特にそんなのはないが。
ともあれ炎火とて、さすがにあれだけやらかしたら怒られて反省した。
ほらごらんなさい、彼女の背中。ぺらぺらとはためくあの張り紙を。
『私は爆(斜線)暴れまね(斜線)わって酒鱒(斜線)樽と土地を波(斜線)破壊しました』
やや書き損じがある? 炎火だから仕方ない。
とにかく、アダムルスとザザが『これ書かねえともうお前店に入れてやんねえ』と強弁して本人に一筆とらせた、反省文である。
なので、炎火は反省している。気が優しくて力持ち、それが彼女なのだ!
ほんとか? 単にバイト経験を活かしたいというだけなのでは?
真偽はさておき、甲斐甲斐しく働いてるのは確か……あっ、張り紙飛んだ。
「ほら見たまえ、私が用意したこの贅沢なおつまみを!」
ややあってテーブルに戻ってきたビリウット、トレイの上にはおつまみの山。
エビのアヒージョ。辛きゅうり、ガーリックトーストにブラックペッパーチキン。
さらにドワーフたちの厚意で用意してもらったクヌーデル(芋やパンをこねて団子状にしたもの。肉のつけあわせに供されることが多い)や、ザワークラウト(キャベツの漬物)、はたまたシュニッツェル(洋風のカツレツ)やグラーシュ(牛飼い鍋とも呼ばれる牛肉の煮込み)などなど。
「ウヒョー!! どれもこれも美味そうじゃねえか!」
「いい匂いがするのです~、ペルも食べるです~」
「ううっ、このカツレツ美味そう……! でも俺はステーキも喰いたい!
俺そのぐらい頑張ったと思うんだけど! 分厚い肉が喰いてー!!」
ザザ、ペル、そしてハゼルは好き勝手いいながらおつまみに手を伸ばす。
ビリウットもさっそくつまんでいる。宅飲みか何かかな?
「炎火~、ザザがお肉ほしいって~」
「えっ、炎火が給仕してんの? 大丈夫か!?」
ペルが炎火を呼ぶと、ザザはまたなにか壊されるんじゃないかと慄いた。
アダムルスは頭を抱えてうんうん唸っている。どうしてこんなことに。
「はいはーい! もう大丈夫やよーあーし反省したんやからー!
ほらお酒も持ってきたやんね。リっちゃんもハゼルくんも呑むやろ?」
ごめんねーほらどうぞー、と炎火はどすんどすんとジョッキを載せていく。
……なにやら目が痛くなるほどのアルコール臭がするのは気のせいだろうか?
「おい待て炎火お前これもしかして悪魔殺し」
「酒! 呑まずにはいられないッ!!」
訝しむハゼルをよそに、ビリウットは確認もせずに一気飲みした!
ぐびっぐびっぐびっ。喉に灼けるようなすさまじい刺激が走る。地獄!
「あっ」
「おお~、いい飲みっぷりです~」
ほらみたことか! そらみたことか! という顔になるザザ、ぱちぱち拍手するペル。
あっという間にビリウットの顔がぐーんと真っ赤になり、とろんとした顔に。
「ひっく」
「酔っ払ってるこれー!?」
「くそっ、こうなりゃヤケだ!!」
「おいハゼルさんなんでこれ見て呑むんだよぉ!?」
「遠慮せんとー、おかわりもあるからどんどん呑んでやー!」
「だから炎火はなんでそこで状況を理解しないんだよぉ!?!?」
顔からつんのめってテーブルに突っ伏すハゼルをよそに、怒涛のツッコミを入れたザザはぜーぜーと荒く息をつく。
おかしい。戦いは終わったはず。自分はもう何も考えずに肉を貪りたい。
なのにこれだよ。誰のせいだ? うんまあ言うまでもないよね! そらみたことか!
「アダムルスさん、なんとかしてくれよぉ!!」
「……………………炎火、貴様はいい加減に」
「あ、おっちゃんも酒呑む? はい悪魔殺し!!(どん)」
「……………(ぐびり)」
「なんで呑んじゃうのぉーーーーーーーっ!?」
ザザは絶望した。アダムルスはもはや大人の役目を放棄していたのだ。
だが、誰が彼を責められよう。わかっておったろうにのうザザナス!
「あ、そうだザっ君、今日は迷惑かけてごめんね?」
「えっ」
そんなツッコミを完全スルーした炎火、しおらしく詫びてみせる。
恐ろしいことにこの小娘、反省も謝罪も心からのものなのである。
なのにどうして学べないんですかね? 暴力の化身だからかな?
「あんね、だからね、お詫びに体力つきそうなもの持ってきたよ!」
「そ、そんな。俺はそんなの、別にいいっていうか……」
「ペルちゃんもいうとったからね。はい、牛!!」
「牛!?」
ズ シ ン ! !
目の前にお出し(物理)される牛。牧畜の牛を、そのまんま一頭まるまる。
集落の外にンモーといた野生のをグーで殴って気絶させてきたのだ!
そんなわけで牛というか正確にはバッファローとかムースの類なのだが、
まあそんなもん炎火の力イズパワーには何の関係もないですね!
なんでそのまんま持ってきた?
「この店は客に屠殺させるんですかねぇ!?」
「たーくさん食べて元気だそ!」
「ほんとどうして時々会話がバグるんだよ炎火は!?」
とか騒いでいたら、むくりと牛(というかバッファロー)が起き上がった。
周りを見る。一番うるせえザザを睨む。ふんすふんすと鼻を鳴らす。
「クソっこんなオチかよ! いまさら牛くらいなんだ、やってやらァ!」
プロメテウス抜剣! 突撃! 殺人バッファローのとっしん攻撃!
「グワーッ!?」
ビターン! 高く高く跳ね上げられて落下するザザ! うんともすんともいわねえ剣!
「情けないのですね~、ここはセンパイのペルに任せるですよ~」
ペルはそういうと、ぐわしと足で牛を鷲掴みにして台所へGO。
悶えていた牛の悲鳴(とドワーフの料理人たちの阿鼻叫喚)が聞こえてくる。
「イヤーッ!」
「ンモーッ!!」
「イヤーッ!」
「ンモーッ!?」
「イヤーッ!」
「グモォオオオオ!!」
なんかシュゴオオオオ! とか聞こえてるけど気にしないほうがいい。
ところで、悪魔殺しを飲まされた酒飲みたちはどうしているのだろうか。
「ぐぇ……ヒック、なんだこりゃストロングよか強烈だな……!」
おお、見よ。ハゼル、奇跡的にも昏倒からかろうじて生還した!
頭を振りつつグラスを置く。ではその対面のビリウットは!?
「熱い……脱ぐ……」
なんたることか。しゅるしゅると服に手をかけ……ワーオ。アハーン!
残念ながらその様子は(イラストがまだ届いていないので)お見せ出来ないのだが、とりあえずお好きなイラストマスターさんの絵柄で脳内想像してほしい!
なんとこの女、酔っ払うと絡み・笑い・脱ぎ・泣きなど、およそ酒飲みのめんどくさい酔っぱらい方をランダムに発現する要注意人物だったのだ!
刻器の特性かなんかかな?
「お、おいおいビリウット、お前そんな……そんな、お前、そんな格好……!
なぜだか克明に描写することは(イラストをまだお持ちでないので)出来ねえけど、お前そんな……そんなお前……い、いけないぜっ!」
なぜか鼻の下をこすりながら悪ガキみたいに照れるハゼルである。
「んゆぅ? わらひのしゃけがのめないのくぁ~? のめのめぇ~!」
「おい待てこれ以上飲んだらさすがにオゴゴーッ!?」
「うぇひひひはははは! グスン……うー!(さらに呑ませる)」
「オゴッ! オゴゴゴアバーッ!?」
フォアグラにされる予定のアヒルみたいな勢いで酒を流し込まれるハゼル!
哀れ、彼もまた完全に泥酔モードでふらふらである……!
「ハゼルぅ、ちゅーしよぅ、ちゅー」
「おいビリウット、お前そンな、そンな格好で抱きついて……。
俺ぁキスすら未経験のチェリーだぞ……? し、しゃーねェなァ」
んー、と悩ましい表情で口を近づけるビリウット、まんざらでもないハゼル。
なんだかセクシーな絵面、そこに戻ってきたのがペルと消し炭だ!
ペルと消し炭ってなんですかね? 改名でもしたのかな?
「あ? ハゼル、またえっちなことしようとしてたのですか~?
もう、ダメなのですよ~怪我もしてるのですからこれ食べて元気出すのです~」
「おいバカ、ペルお前いまいいとこ……グワッ!? アババババーッ!?」
消し炭(もともとはバッファローだったもの)を口にねじ込まれるハゼル!
抵抗しようともがく! 興奮も相まって傷が開く! 頭から大噴水!
「グワーッ頭血(ずぢ)! 頭血グワーッ!?」
ばたり。そのままハゼルは斃れてしまった。
「ビリウットも、これ食べるですよ~(ぐいぐい)」
「んゆぅ、わらひはそういうキャラじゃなアババババーッ!?」
まだじゅうじゅうと地獄の炎がまとわりついている消し炭(元バッファロー)!
「ちょ、あつ、あつい! 熱いって! 熱いから!!」
おでんめいて顔に押し付けられ、ビリウットもそのまま倒れた。死ーん。
「うんうん、みんな元気になったやんね! 追加の狩ってくるよー!」
そして炎火は店を飛び出した。おい給仕の仕事どうした。
阿鼻叫喚である。そんななか、ザザはよろけながらアダムルスのもとへ。
「へへ……アダムルスさん……すいません、しくじっちまいました。
俺、少しはヒーローっぽくなれてました、かね……?」
「……………………」
アダムルスは、うつむいたまま押し黙り……ふと、顔を上げた。
「ザザよ」
「なん、ですか……?」
「貴様何考えておるんだ? お? たるんでおらんか? なあ?」
「えっ」
「そうやってまた俺に面倒事押し付けるのか? また俺がでないとなのか?」
「えっ」
「どいつもこいつも俺が事態を収拾させると思ってボケ放題なのか?
問題児を止めるのが結社の仕事か? 違うだろ? とんでもねえ俺は神だぞ!!」
酔っ払っていた。すさまじい勢いで酔っ払っていた。
もう何杯か呑んだらしいジョッキを片手に凄まじい勢いで咆える!
「それもこれも最年少の貴様がしっかりしていないから!」
「いやどう考えてもみんなのせ」
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
ザザのみぞおちに神パンチ! とどめを刺された少年は倒れた。死ーん。
「ニャニャモ陛下……メルトセルク……金剛公……。
いい話だった、いい話であった……レベルを上げねば……」
ぶつぶつと何かあらぬことを呟いた後、ごとんと顔からつんのめって倒れる。
「アダムルス? ペルの料理が食べられないのです~? 食べてくれないです?
つまり食べさせるしかないです? じゃあ口を開けさせるです~」
「「…………(口から消し炭をはみ出させたまま動いていない酒飲みども)」」
「はーいみんな! 新しい牛(バッファロー)と象(象)狩ってきたよー!」
次回、『ドワーフ怒りの強制退店』ご期待ください!
大成功
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霑国・永一
女将さん(f02565)と参加
山賊とか言う不逞の泥棒も退治出来て良かったよねぇ、女将さん?おや、なんだいその顔は?
さ、乾杯と行こうじゃないか。おっと、女将さんはこれでも未成年だったねぇ
『ハイ・ホー!』
黒みがかってるのが俺らしい
はは、中々飲みやすいじゃあないか。強くない俺でもイケるよ
続いてはUDCアースで盗…買ってきた日本酒「神盗」
心盗まれるような素敵な酒さぁ
おや、お酌してくれるのかい?流石女将さん
料理も豪勢だし……え、まさかの?女将さんのファンに見つからないことを祈りたいなぁ(あーんされる)
女将さんにもお酌してあげないとねぇ…こうやって(顎を指で押さえながら飲料をゆっくり飲ませる)
酔ったかい?
千桜・エリシャ
永一さん(f01542)と
泥棒が泥棒退治とは…
いいえ、なんでも
私は気にせずお好きにお呑みなさいな
お酒でなくとも乾杯はできますもの
…ガラットさん、ノンアルコールで楽しめそうなものあるかしら?
お酒に合いそうなお料理を作ってきましたの
あなたのリクエストのお刺身
その他は私が見繕った揚げ出し豆腐、だし巻き卵、ぶり大根etc
あなたは家庭の味なんて知らなさそうですから
特別にお酌でもしましょうか?
…本音は酔わせて弱みが握りたいだけで
隙あらばお酒を勧めますわ
極めつけはあーんとお料理を彼の口元へ
ふふ、お酒が進むでしょう?
いえ私のことは気にせずとも…んん!?
…飲んでしまった
いきなりなんですの!?
よ、酔いませんわ!
●泥棒と羅刹
「いやあ、山賊とかいう不逞の泥棒も無事退治できて、よかったねぇ」
「(ぼそっ)泥棒が泥棒退治だなんて、悪い冗談だわ」
「おや? 女将さん、なんだいその顔は?」
「……いいえ、なんでも。お気になさらず」
なにやら仲睦まじいようでいて、やけに緊張感あるやりとりだ。
だが千桜・エリシャの刺々しい視線も、霑国・永一はにこやかに受け流している。
というより、気だるげでへらへらとした笑い以外の表情が、この男にあるかは疑問だが。
ともあれ、そんなふたり、なにやら酒宴を楽しむ腹積もりであるらしい。
……いや、訂正しよう。少なくとも楽しむつもりなのは永一だけだ。
なにせエリシャのほうは、明らかに腹に一物抱えていると云う顔だ。
この女、艶やかで淑やかだが、一部の猟兵には油断ならぬ顔を覗かせる。
狂気にまみれた盗人はそのひとりであり、ともすれば腹を探り合う敵同士のよう。
……比喩ではない。特に、隠された欲求を持つエリシャにとっては。
「そうかい? じゃあまあ乾杯といこうか。ああ、といっても女将さんは」
「ええ、お酒は呑みませんわ。だから私のことは気にせず、お好きにどうぞ」
にこりと(表面上は)友好的に微笑んで、エリシャはそばを歩くガラットを見た。
「ガラットさん、ノンアルコールで楽しめそうなものはあるかしら?」
「フムン? もちろんあるぞい! そちらの御仁はどうするのじゃ?」
「そうだねえ、なら"ハイ・ホー!"をいただこうか」
という具合に、ややあってふたりのぶんのグラスが運ばれてきた。
永一は、運ばれてきたビアグラスを手にとり、やや黒みがかったエールを眺める。
「うん、この色。俺らしいねえ」
(自分で言うなんて、ツッコミ待ちなのかしら)
対するエリシャのそれは、なるほど彼女らしい桃の果実水である。
氷窟で冷やされた濃いめの水には、砂糖やシロップが溶け込み甘やかな味わいを与えてくれる。
「ハイホー!」
「はいほー、ですわ」
かちんと控えめにグラスを打ち鳴らし、一口。女の口からほう、とため息が漏れた。
客人用ということもあり、ハイ・ホー! の呑み口はそれほど強くない。
苦味も控えめな、いわゆるライトボディなエールである。永一は満足げだ。
「そういえば、あなたのリクエストをもとに料理を作ってきましたの」
「へえ……こりゃなかなか、豪勢だねえ」
エリシャが取り出したお重には、お刺身をはじめとして揚げ出し豆腐、だし巻き卵、ぶり大根……などなど、酒場と言うよりは小料理屋めいた品々。
仮にも宿を受け持つ女将として、言わずもがなエリシャの腕前は中々のもの。
わざわざ用意したのは、単に客人をもてなそうというわけでもなく、
「あなたは、家庭の味なんて知らなそうですから?」
という、皮肉まじりのものだが。
「ははは、実際そのとおりだねえ。一応、俺も酒を持ってきたのさぁ」
ごとり、と永一が取り出したのは、UDCアース由来の日本酒である。
銘は『神盗』。神ですら心盗まれるような、素敵な酒……ということらしい。
「……それ、やっぱり盗んできたんですの?」
「ははは、名前に偽りなしだろう?」
肯定とも否定ともつかぬ永一の言葉に肩をすくめつつ、品々をテーブルの上に広げたエリシャ、用意のいいことに猪口を差し出した。
そして永一から『神盗』を受け取ると、にこりと微笑んでみせる。
「特別に、お酌でもしましょうか?」
「おやぁ、さすが女将さん。ありがたいねぇ」
永一はまんざらでもない様子で猪口を受け取り、酌を受ける。
吟醸造りでじっくりと作られた酒は、酌をする女に似て華やかな香りがした。
口に含めば、花冷えの酒が果実めいた甘やかさと、スッキリした呑み口を味わわせてくれる。
「うん。美味いねぇ」
「料理もどうぞ。私は気にしなくていいんですのよ」
あれもこれも、と勧めながら、永一の猪口を都度酒で満たすエリシャ。
言うまでもなく、これは策略……彼を酔い潰れさせ、弱みでも握りたいのだろう。
ついには自ら箸を取り、ほくほくとしたぶり大根を崩してつまみあげ、
「はい、あーん」
「ええ? まさかの? いや、女将さんのファンに見つからないといいんだがねぇ」
やや驚きつつも、永一はおとなしくそれを受け入れた。……美味い。
塩辛さが、さらに酒を求めさせる。これはなかなか、悪い展開である。
「さあどうぞ、まだまだ料理は……」
「いや、せっかくだからねえ。俺も女将さんにお酌してあげるよ」
「えっ? ……んんっ!?」
きょとんと、虚を突かれたエリシャ、顎をされるがままに抑えられ、
なにやら永一が傾けた飲み物をくいっと含まされて呑んでしまう。
こくり――喉が鳴り、形の良い唇からひとしずく漏れた。
「い、いきなりなんですの!? というかまさか、お酒――」
「ああ、いやいや? そんな悪い酔っ払いみたいなことはしないさぁ」
けらけら笑う永一の手には、エリシャが頼んで手つかずだった桃の果実水。
「それとも、もしかして酔ったかい?」
「よ、酔いませんわっ!!」
顔を赤らめてぷんぷんと怒る乙女に、悪い男はへらへらと笑っている――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎
はい、櫻!
パイナプルをくり抜いてた器にじゅーすが入ってる
はーとになってるストローで一緒に飲むんだ
僕、一緒に飲みたい
だめ?
こうすればこっそりお酒を飲むなんてできないだろう
何でそんなにお酒が飲みたいの?
ふぅん…今も忘れたい?
…そんなに美味しいなら五百歩譲って
僕が飲めるようになったり二人きりの時ならいいよ
特別だからな
君が他の人のとこにいかなくて僕だけならいい
あれヨル?(相棒のペンギン
あ!竜のまーく
ダメ、竜殺しだ
待って?
ちゅーは、あと!
ちょ、何脱がそ…破けた!
おい!ばか櫻宵!
ヒェ!壁が!
なにを、ひゃ
ヨル助けt
歌唱499の子守唄で寝かしつけ難を逃れる
やっぱり飲んじゃだめ!
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎
可愛いパイナップルジュース
ラブラブストローで飲めるなんてときめくわ
あざとい
この人魚抜け目ないわ
一つを一緒に飲むならお酒は無理ね…
何でって美味しいから
飲み始めはただ現実を忘れたかったという理由だった
今は忘れたくない
二人きりのときならいいの?やったわ!
リィが二十歳になったら一緒に乾杯しましょ
お酌してあげる
ヨルが水を持ってる
あたしに?ありがと、
お酒だこれ
はァ
リィほんとに可愛いわよね
キスしていい?
それに暑いわ
少し薄着になった方がいいわよ
金魚みたく真っ赤で可愛い
尾鰭もどこもかしこも愛でたいわ
逃がさない(壁ドン
離さない
骨の髄まで愛し尽してあげる!
スヤァ
※目が覚めたら土下座
●だからあれほど言ったんだぞと人魚は供述しており
(……この人魚、抜け目ないわ! 恐ろしい子……!!)
その時誘名・櫻宵に、電流走る――! そして、白目になる!
……かはさておき、リル・ルリのムーブに、櫻宵が衝撃を受けたことは事実である。
あれほど『お酒はダメだ』と言われていたものの、予想通りのこの酒宴。
この騒ぎならば、なんかこううまいこと呑めるんじゃないかなー、とか、
櫻宵はのんびり考えていた。慢心していた、とも言える。
だが甘かった。リルはそれすらも予期していたのだ!
「はい、櫻!」
にっこり笑顔でリルが差し出したのは、パイナップルである。
よく見れば、そのトゲトゲした表面部には穴が開けられており、
中の果肉はまるごとくり抜かれているらしいことが見て取れた。
リゾート地などでポピュラーに供される、自然豊かなジュースの楽しみ方である。
くり抜かれた果肉はたっぷりと絞られ、器となった果実を満たしているというわけだ。
ご丁寧に、穴には二対一組にストローがすぽっと差し込まれており、
しかもそれはまたコテコテなハートマークを描いている。
ドワーフの集落には似つかわしくない? さもありなん、リルの持参だ。
ひえひえである。リル、満面の笑顔でそれを差し出している。
「僕、一緒に飲みたい」
(あ、あざとい……!!)
櫻宵は再び電流走り白目に……なったかはまあさておき、もはや畏怖した。
可愛いパイナップルジュースを、ラブラブなストローで一緒に飲む。
ときめく。こんなのにキュンキュン来ないならそんなやつは女ではない。
女ではない櫻宵が言うのはどうなんだというのはまあさておくとして、
恋人にそう迫られて、NOと応える者は男女ともにそうそういないだろう。
「……だめ?」
「!!!!!」
おまけに上目遣いでこてんと首を傾げられたなら、あーっお客様いけません!
そんな! そんなアピールは! あーお客様! これ以上はいけません!!
(ひとつを一緒に飲むなら、お酒は無理ね……)
ときめく胸をおさえながらも櫻宵は口惜しげに臍を噛むような面持ち。
(こうすればこっそりお酒を飲むなんて出来ないだろう。計画通り)
一方リルは、さりげなく櫻宵に見えない角度で悪い顔をしていた。
あれっ立場が逆転してませんか? まあ、そういうこともあるよね!
とにかくそんな感じで、ふたりはラブラブストローでちゅーっとジュースを楽しんだ。
お酒が呑めないのは残念だが、これはこれでエモくて映えるしいい思い出だ。
ほんわかしている櫻宵に、ふとリルは上目遣いで問いかけた。
「……櫻は、なんでそんなにお酒が呑みたいの?」
「えっ?」
「だって、さっきも残念そうな顔してたし」
お酒にすらもヤキモチしているのか、口を尖らせる人魚は可愛らしい。
いやそうではない。問われて考えてみると、櫻宵は神妙な面持ちで考えて、
「……美味しいから?」
「それだけじゃないでしょ」
「いまはそうよ。……呑みはじめの頃は、そうじゃなかったけれどね」
そう。酒に溺れていたあの頃は、とにかくくそったれな現実を忘れたかった。
いまはどうだろう。逆だ。この幸せな時間を、一秒たりとも忘れたくない。
「でも、美味しいは美味しいのよ? だから、後ろめたい理由じゃないの」
「ふぅん……変なの。よくわかんないな」
などと言いつつ、リルはじとーっとしばらく櫻宵を見上げたあと、
「……そんなに美味しいなら」
「ん?」
「百歩……うーん、千歩? いや、1万里譲って」
「桁が大きすぎないかしらリィ? そこまで???」
「……とにかく! 僕が呑めるようになって、ふたりきりのときなら、まあ、いいよ」
ぽつぽつと目線を逸らしつつ言う恋人の姿が、可愛らしくて可愛らしくて、
「ほんとう? まあ、嬉しいわ! やったわ!
ならリィが二十歳(はたち)になったら、一緒に乾杯しましょ?」
「うん、でも、特別だからな」
「わかってる、わかってる。ふふ。お酌したげるわ」
「君が他のとこにいかなくて、僕だけなら、いいんだから!」
「もちろんよリィ。安心して、うふふ」
すっかり立場は入れ替わる。ホレた弱み、というやつだ。
ところで、リルにはなにやら可愛いペンギンの相棒がいる。
彼ら(もともと喚び出したのは櫻宵なのだ)は、その仔をヨルと呼んでかわいがっていた。
そのヨルが、なにやらよちよちとてとて、難儀そうにボトルを抱えて持ってきた。
「あれ、ヨル?」
「あらあたしに? お水かしら、ありがとね」
なにやらボトルを渡され、櫻宵は無警戒にきゅぽんと蓋を開ける。
だがリルは見逃さなかった。ボトルに刻まれた、目が✕になった龍のシルエット!
「あ、ダメ、櫻!」
「なぁに? ただの水じゃない」
「違う、それは――」
リルはヨルを見た。ヨルは、ぐっとヒレでサムズアップ(?)をしていた。
誤用的な意味での確信犯だこれ!! サムズアップしてんじゃないよ!!
などというリルのツッコミをよそに、櫻宵はドラゴン殺しを呑んでしまった!
「……」
「…………」
「…………お酒だこれ!?」
「遅いよ!!!!!」
もはや時すでに遅し。とろん、とした櫻宵がリルを熱っぽく見つめる。
「はァ……リィ、ほんとに可愛いわよね」
「ちょ、櫻?」
「キスしていい?」
「待って? ちゅーは、あと!」
「それに暑いわ、少し薄着になったほうがいいわよ」
「おい、ばか櫻宵! ちょ、何脱がそ……(みりみり)破けたー!?」
グラップル(物理)である。まさかこのために!?
「ああ、金魚みたく真っ赤で可愛い。尾鰭もどこもかしこもめでたいわ」
「ちょ、櫻、僕ちょっと用事が」
「逃がさないわ」
「ヒエッ」
ドン! 背後は壁! 目の前には酔っぱらい(身長差約8cm)!
「骨の髄まで愛し尽くしてあげる……!」
「ちょ、何を……っ、ヨル、助け……だからサムズアップしてないで!!」
もはや退路なし。リルは覚悟を決めて、顔を近づけた櫻宵の耳元で渾身の子守唄を吟じた!
スヤァ……そのまま覆いかぶさる形で眠る櫻宵。
「ぜー、ぜー……! お、起きたら、ひどいんだからな……!!」
リルが何か言うより先に、目を覚ました櫻宵はジャンピング土下座をしたという。
ひと仕事終えたような顔で額の汗を拭うヨル。とっぴんぱらりのぷう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パーム・アンテルシオ
…また、大人たちが楽しむ時…お酒の時間に入っちゃったね。
なんて、羨んでても仕方ないから。
…お酒は、人の気分を。口を、軽くする。
今なら、皆…色んな話をしてくれるかな?ふふふ。
猟兵の皆に聞いてみるのも、いいけど…
ムルへルベルが暇そうなら…彼に聞くのもいいかな。
グリモア猟兵に、こんな事聞ける機会も。中々無いしね。
ねぇ、あなたはなんで、この依頼に参加したの?
ドワーフの皆を助けたいから?
依頼の報酬が欲しいから?
もしかして、お酒が飲みたかったから?
それとも…ただ、戦いたいから?
あなたは…なんで、戦ってるの?
深い意味はないよ。私が、ただ知りたいだけ。
私が、皆の…人の事を、知りたいだけ。
それだけだよ。ふふふ。
リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎
お酒は成人してから。
なのでこの辺にある特産のお酒もよく分析させて貰って…
(レイヤー変更。ギャルソンスタイル)
UC【我は満たす、ダグザの大釜】で、道具を取り出して……
知り合い向けのオリジナル・カクテルでも制作してみようかな?
・ブルーキュラソーと溶岩酒で作った、深い海底のような静かなカクテル
・ホワイトキュラソーともぐらの忘れ物を合わせた、見た目は上品、飲めば情熱的なビアカクテル
・パルフェ・タムールとドラゴンスレイヤーで作った、深い紫色に大人の苦み、
付け合わせのフルーツが挑戦を彩るカクテル
「あちらのお客様から……ではなく。ボクからのカクテルです。なんてね? まあ飲んでみてよ」
壥・灰色
酒……
呑みたいなあ。ダメ? そうかあ。
(未成年飲酒、ダメ、絶対)
じゃあせめて沢山食べさせてもらおう。今なら牛一頭だって食べてみせる
鳥の丸焼きを脚を掴んで一羽まるまる、フランクフルトでも食うみたいにモリモリ食べながらムルヘルベルを探す
見つけたらさっきとっておいたサンドイッチを渡そう
おれの仕事でもいつもお世話になっているからね、挨拶をしておきたい
ちゃんと食べてる?
しっかり食べないと大きくなれないよ
(完全にムルヘルベルを年下だと思っている顔)
(ほら、美咲もムルヘルベル「くん」って言ってるし……)
途中からの参戦だったけど、少しは助けになれていただろうか
またいつでも呼んでほしい
これでも、義理堅い方なんだ
三咲・織愛
ハイホー!
お仕事の後の宴ってとっても楽しいですね!
たくさん人がいてなんだかうきうきしちゃいます
あっ、ムーくん、ムーくん!
ムーくんも来ていたんですねぇ、珍しい
ノクティスを抱っこしながら近づいて
お席ご一緒させてくださいな
ムーくんは何を飲んでいるんですか?
……おさけ、飲めるんですね!
はっ。いっぱい飲んだら普段聞けない本音など聞かせてくれるのでは……?
ほら、ほら。この悪魔殺しってお酒美味しそうですよ。ぐいぐい
ねーえー
ムーくん私のことどう思ってますか?
え? 色んな所に連れ出してくれて感謝してる?
……してない? リテイク。もう一回です
なんだか眠たくなってきちゃいましたー
こてり すうすう
ヌル・リリファ
◆アドリブ、連携等歓迎です
◆無意識に避けているため肉は食べません。自覚はなく理由も覚えていませんが勧められた場合も“美味しい”がわからない自分にはもったいない、など理由をつけて断ります
……。(酒に呑まれる大人の姿になんとも言えない顔でジュースを飲んでいる。何人かは先ほどの戦いの時点でそんな感じだったのを少女は知っている。)
あんなふうになってものみたいほど美味しいのかな……?
……美味しい?(ムルヘルベルを見る。すごく大人だからわかるかもしれないと思った)
……。まあいっか。
(大事な友達を手助けできて。自分にまだ価値があるかもしれないと思えた後に。賑やかな場所にいられるこういう時間は、嫌いじゃない)
●酒を楽しむ大人たち、それを羨む子供たち
猟兵というものは実に多彩で、老若男女を問わず、種族すら幅広い。
まあ、世界すらも飛び渡る存在ならば、それは当然とも言える。
とはいえ、こんな酒席では、未成年の若者たちは本懐を遂げられない。
となると、やはり酒というものに、それぞれ思うところはあるもので。
「……また、大人たちが楽しんでる。なんて、羨んでも仕方ない、かな」
妖狐の少女――パーム・アンテルシオは、琥珀色の瞳をほころばせ、ひとりごちた。
幼いとはいえ、彼女は妖狐。すなわちその本懐は、人の精気にある。
精気、といっても、何を指すかは個体によって多種多様だ。
夢魔めいて文字通りにヒトの生き血、はたまた生気を吸い取る者もいれば、
この陽気さこそ糧であるとして、歌い騒ぐ者もいる。
では、パームはどうか。……彼女は、ヒトでありたいと思うモノだ。
ヒトであらねばならぬと思うモノ。蜃気楼のような記憶をたぐるモノ。
「いまなら、みんな……いろんなお話、してくれるかな?」
ふふ、と微笑んで、尻尾を揺らし――パームが目指す先には。
「というわけで、このへんの特産酒を分析してカクテルを作ってみたよ!」
「オヌシ、また随分と器用であるなあ……さすがは電脳魔術士である」
普段のサイバーチックな装いから、ギャルソンめいたスタイルに衣替えしたリア・ファルが、少年めいた賢者に酒を振る舞っている。
カウンターの一角を借りて最初に作ったのは、深い海底のような青々としたカクテルだ。
「名付けてカームダウン……いや、"イ・ラプセル"のほうがボクっぽいかな?」
ブルーキュラソーをベースに、溶岩酒をステアした品である。
ブランデー……いわゆるブラウンスピリッツの酒は、樽の味わいなどがメインであり、人によってはオンザロックやカクテルのベースに使うことを好まない者もいる。
だが、それはあくまで"難しい"というだけの話。
テクニックと必要な情報をインストールしたリアにかかれば、
それを静かで凪いだ海のような一品に仕上げることなど、朝飯前である。
――彼女が、そんな心を持つ男を知っていることも、あるいは一因かもしれない。
賢者……もといムルヘルベルはふっと微笑み、さっそくグラスに手をかけた。
と、そこに、ひょこっとエルフの少女が顔を覗かせたではないか。
「あっ、ムーくん! それにステキなバーテンさん? も!
綺麗な飲み物ですね、もしかしてそれもお酒なんでしょうか……?」
「む? 織愛ではないか、そうであるぞ。ゆえに、オヌシは呑んではならぬ」
ムルヘルベルの言葉に、むうっと唇を尖らせて不満げな様子の少女。
藍色の龍・ノクティスを抱く彼女の名は、三咲・織愛という。
はるか年上であることをわかっていてなお、変わった呼び方で賢者に親しむ、やや天然で暴力……いや、時折パワフルな乙女である。
「お席、ご一緒してもいいですか? 私はノンアルコールの飲み物で!」
「オーケー、ご注文承りました。ま、ボクも実は猟兵なんだけどね!」
なんてウィンクしてみせるリアの言葉に、驚いたりしている。
そんな小さな騒ぎを聞きつけて、さらにふたりほど猟兵が現れた。
「……リアさん、なんでそんな格好してるの? しごと、かえたの?」
ジュースを片手にきょとんとしている、空色の瞳に銀の髪の人形少女。
比喩ではなくミレナリィドールである、ヌル・リリファという女の子だ。
人形であること、人形として働くことに己のアイデンティティを見出した、
いまだ悩み多く、成長する途上にある、幼くも強きもうひとりの乙女。
「あ、ムルヘルベルだ。……あなたは、お酒のめるんだね」
見た目と年齢が乖離していることなど、猟兵では珍しくない。
とはいえ、少年めいた賢者がカクテルを呑んでいることにやや驚きつつ、
織愛にも会釈した上で、ヌルはひょこっとカウンターの席に腰掛けた。
「何人かの猟兵は、もうたたかってるさいちゅうによってたみたいだけど」
「それ、ほんとに呑んでたのかな。単ににおいで酔っ払ってたとかじゃない」
ヌルの言葉に口を挟んだのは、すとんと表情筋が抜け落ちたような無表情の青年。
体格はいいが、伸びっぱなしの髪と瞳の灰色は、若者らしからぬ乾いた感じがある。
「あっ、灰色さん! わあ、こんなところでお会いできるとは思いませんでした!」
やや瞳を輝かせて、織愛が彼の――壥・灰色の名前を呼んだ。
人の名前にしてはずいぶん奇矯なもの、もちろんそれには相応の理由がある。
とはいえ、己がかつて錬鉄者たちに造反したことを、魔剣六番器は後悔していない。
「やあ。なんだかお揃いみたいだけど、もしかして席、埋まってる?」
「いや、特に示し合わせたわけでもないのだ。オヌシもひとりのようだな?」
ムルヘルベルの言葉に首肯し、灰色はつい、と彼の手の中のグラスを見た。
「……酒。……呑みたいなあ、ダメ?」
ヌルを見る。そもそも酒というものが不思議な人形少女はこてんと首かしげ。
織愛。判断がつかない、という様子で、困ったように笑う。
リア、ムルヘルベル。顔を見合わせたあと、ブーっと両手でバツを作った。
「そうかあ。じゃあ、せめて沢山食べさせてもらおう。
いまなら牛一頭だって食べてみせる。鳥の丸焼きでもいい」
えっそれ注文? みたいな顔をするリア。というか流れで店員状態である。
ちょうどそこで、なにやら厨房に牛がまるまる運び込まれたのが見えた。
それが、とある"結社"の、空飛ぶ暴力装置の獲物であることは誰も知らない。
「――このぐらいの人数がいるなら、私も加わってもいいよ、ね?」
そしてそんなところへ、パームもふんわりとやってきた、というわけだ。
面識があるもの、そうでないもの。
互いに互いが名乗り、挨拶し、結局カウンターの一角はかなりの盛況ぶりに。
ムルヘルベルを除くと全員未成年ということもあり、
リアの自慢の腕前も、ノンアルコールのカクテルのために振るわれている。
「よし、これで全員飲み物は行き渡ったかな? じゃあ一応乾杯ということで!」
グラスを手に持ったリアが掲げれば、それに倣い一同も同じように。
「「「「「「ハイホー!」」」」」」
抑揚もテンションもそれぞれだが、ドワーフ流の乾杯の音頭をとった。
給仕たちの厚意もあり、カウンターには様々な料理が所狭しと並んでいる。
「わあ、このカツレツ美味しいですね! ヌルさんもどうですか?」
「……わたし、"おいしい"をかんじる機能がないから。えんりょしておこうかな」
「じゃあ、おれが食べよう。まだまだ入る。鳥の丸焼きでもいい」
「どうしてそんなに、鶏の丸焼きをアピールするんだろう……?」
ほくほくと料理に舌鼓を打つ織愛と、なぜだか肉料理だけは遠慮しがちなヌル。
そのぶん余った料理は、灰色が無表情のままヒュゴウッと平らげていく。
健啖家というレベルではない食べっぷりに、パームは苦笑いを浮かべていた。
「そうだ。ムルヘルベル、ちゃんと食べてる? しっかり食べないと大きくなれないよ」
「オヌシの"しっかり"をワガハイに求められると破裂しそうなのであるが!?
あとな、灰色よ。ワガハイこう見えてもな、一応この通り酒が呑める程度には」
「あっ、そうですよムーくん! 今度は一体何を呑んでるんですか!?」
なぜか食い気味に言う織愛。"ほら、くん付けされてるじゃん"みたいな顔の灰色。
ふたり揃って彼の予知した事件に関わったこともあるためか、幸か不幸か、
灰色はムルヘルベルのことを、完全に年下だと思っていたのだ……!
なお、織愛がやけに酒のことを聞いたり、あるいは推しているのは、
ムルヘルベルを酔い潰れさせてあれやこれや聞こう、なんて魂胆があったらしい。
「……うん。お酒、美味しいのかどうかは、わたしも気になる」
「立派な大人、だもんね。私たち未成年に、感想を聞かせてほしい、な?」
ヌルは純粋な興味から、パームはなにやらからかい半分に後押ししてきた。
賢者は困ったような顔で苦笑したあと、グラスをくいと傾ける。
「ふむ。これは"もぐらの忘れ物"をベースにしたものかな?」
「ご明察。あとはワインもちょろっとね。甘酸っぱくていい感じでしょ?」
白と琥珀色が織り混ざったカクテルは、見た目こそは上品で落ち着いている。
だが言葉通り、口に含んでみれば大人の味わいが舌を楽しませるのだ。
なにより度数も、ビアカクテルにしてはなかなか高くなっている。
「そうと感じ取りにくいが、調子に乗って飲み干すと火傷してしまいそうよな。
一見してそうとわからぬ情熱的な酒精、名付けるとすれば――」
「「幻影(ファントム)」」
リアとムルヘルベルは声を合わせ、顔を見合わせてくすくすと笑った。
ふたりが脳裏に想起したあるスターライダーは、今まさに酔い潰れている。
「美味しいんだ。でも、あんなふうになってものみたいほどなのかな……?」
そんなムルヘルベルの様子を見ても、ヌルはまだ不思議そうな面持ちだ。
まあ、戦場で酔っ払っていた連中の醜態が前提では、さもありなん。
「やっぱり実際に味わえないと、お酒のことってよくわからないですよね……」
「でも、ダメって言われる。やっぱり、大人って、ちょっとずるいよね?」
織愛とパームは口々にそう言って、ね、と互いに見あったり。
「でも、聞きたいことは私もあるな。みんなにもだけど、あなたにも」
「ワガハイに?」
「うん。ねえ、あなたはそもそも、どうしてこの事件を私たちに知らせたの?
ドワーフの皆を助けたいから? それとも、依頼の報酬? お酒が呑みたくて?」
パームがこぼした問いかけは、その場にいる全員に対してのものでもある。
グリモア猟兵にとっては、"なぜそれを知らせたのか"というものに。
一方ここに駆けつけた猟兵たちにとっては、"なぜ応じたのか"というものに。
「どうして、戦ってるのか。……私は、ヒトのことが知りたいから」
微笑む桜色の少女の表情は、どこか大人びて異界めいた雰囲気がある。
「どうして、かあ……うーん、ボクはやっぱり、商売のためかな?」
新しいカクテルをステアしながら、リアはそう答えた。
「ボクの母艦を取り戻すためには、とにもかくにもお金が必要だからね!
実際、そのおかげで戦いも有利に進められたし、強いて言うならお金目的かな!」
「うん。リアさんのユーベルコードには、たすけてもらったよ。
……でもわたしは、わたしだから。マスターの作った人形だから、たたかうの」
彼女の力量を肯定しつつ、空色の瞳の人形は淡々と、ぽつぽつと語った。
彼女の知らぬ造物主。忘れてしまった面影。与えられたままの性能。
それを果たすことこそが、彼女=戦闘人形の存在理由なのだと語るのだ。
「けど、きょうはたたかってみたら、ちょっとちがうかも、って。
……わたしは、この性能で、だいじな友達を助けることができたから」
自分には、まだ価値があるのではないか。そう思えたことをヌルは嬉しく思う。
この賑やかな場所にいられることに、心地よさを感じているのだろう。
「私は、もちろん困っているドワーフさんたちを助けるために来ました!
あと、なんだかんだでムーくんの事件には、なるべく関わるようにしてます!」
ぐっと握りこぶしを作りながら、織愛は自信満々の面持ちで言ってみせる。
誰かを救うこと、そのために力を振るうことを、心優しき少女は惜しまない。
「なんだか気づいたら、山賊さんたちが雑巾みたいになってて驚いたんですよね。
ノクティスは怯えていてよそよそしかったですし……なんなんでしょう」
ただ、そのために、素手で山賊の臓物をひっこぬくという、
バーバリアンかな? みたいな戦術を敢行したことは記しておこう。
酒の匂いにあてられた蛮行を、どうやら当人は覚えてないらしい。怖い。
「もうだいたい出てるけど、おれの性能(チカラ)はそのためのもの思ってるよ。
ただ今回は、ムルヘルベルに挨拶をしたくて来た、ってとこもあるかな」
インチ単位のステーキをぺろりと平らげた灰色が、平気な顔でそう言った。
きょとんとする賢者に対し、無表情の青年はなにやらサンドイッチを差し出す。
「ふたりとも、おれの仕事でいつもお世話になっているからね。ありがとう。
これからも困ったことがあったら、いつでも呼んでほしい。少しは助けになると思うから」
ちらりと織愛を見て、灰色はそう言って、これでも義理堅いほうなんだ、と付け加えた。
思わぬ差し入れに驚きつつも、一同の答えに柔和な笑みを見せる賢者。
そこへ五人の視線が集まってきて、またびっくりしたあとやや考え込む。
「……ワガハイの場合は、予知した以上は伝えることを前提としておる。
それがグリモア猟兵の役目であり、手出しできぬ立場の最大限の働きだ、とな」
「でも、お酒もだいぶ、呑みたそうだったよね?」
「…………それは、まあ。実際美味いしな! これはどんなカクテルなのだ、リア!」
パームの指摘に、そそくさと目をそらしてごまかしにかかった賢者である。
手に持つグラスには、深みがかった紫色のカクテルが揺れていた。
「パルフェタムール(匂菫のリキュール)とドラゴン殺しを使ってみたよ。
けっこう苦味があるでしょ? で、そこにこうしてフルーツを付け合わせて」
名付けて、"オーヴァドライヴ"。客の胃袋と肝臓に挑戦するカクテルだ。
「なるほど、あの悪童というわけか……あいや、まあそれはさておきであるな。
とにかくワガハイは、この叡智と能力を、世界の未来のために活用したいのだよ」
だからこそ、と賢者は前置きし、五人を見渡した。
「何度となく力を貸してくれたオヌシらには、みな感謝しておるとも。
ワガハイは予知したとしても、だからこそ直接手出しできぬのだから」
「うん。グリモア猟兵としては、そこが口惜しい」
灰色の頷きに、ムルヘルベルはさもあらん、とうなずき返した。
悲劇を、蛮行を知りながら、"だからこそ"手を出せぬことの口惜しさ。
代わりに、死闘に赴き未来を救う仲間たちの頼もしさ……。
「だからやっぱり、言葉にするなら"ありがとう"が一番だと思うんだ。
ムルヘルベルの言葉を代弁するわけじゃないけど。おれも、そう感じてるよ」
「なるほど~……あっ、じゃあ私も聞きたいことあります!」
なぜかハイテンションに手を上げた織愛に、一同の視線が集まる。
にこにこ笑顔のエルフ少女、何やら手に禍々しいボトルを持っている。
「……それ、もしかして"悪魔殺し"じゃない?」
「さすがに呑んで……は、ないみたいだね」
ヌル、そしてパームが、そのボトルの正体を看破した。
「呑ませようとして持ってきたけど、匂いにやられたって感じかな、あれは」
やれやれと言った様子のリア。そして、実際そのとおりである。
「ムーくんはー、私のことどう思ってますかー?」
「はっ!? いや、色々戦いに赴いて、感謝しておるし信頼しておるが……?」
「……その顔は感謝しているように見えないですねー。リテイクです」
「いやいやいや! それはオヌシが好き勝手やるからであろう!?!?」
ビビらせたりビビらせたりビビらせたり、あとビビらせたりである。
実はビビりな賢者、この予想外の質問と一同の目線にあたふたしている!
「ち、違う! 織愛の言葉はだな、おそらく単なる興味で」
「私のこと、ほんとうは蛮族かなんかだと思ってないですかぁー」
「そういうとこぉー!!」
拳(ダイヤモンド並の硬さ)を握る織愛に、はんべその賢者。
「……とりあえず、みんなもジュースのおかわり飲む?」
「おれはもう少し料理がほしい。牛一頭分ぐらいはいける」
「まだ食べるんだ……そして単位が匹なんだ……」
「わたしは、リアさんのジュース、もっとのみたい」
「助けてほしいのであるがぁー!?」
穏やかなんだか騒がしいんだか、いまいちわからないカウンターであった。
大成功
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パラス・アテナ
さて
山賊退治もできたし早速試飲といこうかね
こう見えて酒には強いんだ
昔の仲間を何人も酔い潰してきたからね
悪魔殺し
UDCアースのスピリタスに似ているね
あれは96度あるんだ
話の流れでガラットと飲むことに
干したグラスを打ち合わせて
互いの健闘を讃え合う
一息ついて物陰へ
いつもと変わらぬ無表情
吐いたり暴れたりするもんか
プライドが許さないよ
とはいえ
さすがにしんどいから、ムルヘルベルに水をもらう
毎度毎度これだけの馬鹿騒ぎを導くんだ
アンタも大変だね
少し休んで復活したら、利き酒再開
エールにビールにブランデー
悪魔殺しはカクテルベース
現実逃避に始めたバー(旅団)は
今じゃアタシの大事な居場所
あの連中には言いやしないけどね
●名も棄てた女の、ひとときの
……こうして酒を呑むと、在りし日のことを嫌でも思い返す。
いや、そもそも、自分はずっとあれから前に進めてないのかもしれない。
一度は棄てたはずの名前を拾い直して、去ったはずの戦場に顔を出し。
幾度となく若者どもを死線に蹴り出し、自分も銃を手にとって。
殺して、殺させて、殺して、殺させて……ああ、あの頃と同じだ。
(下手すりゃ、相手がバケモノなぶんあれよりひどいかもね)
パラス・アテナと呼ばれる老婆は、グラスを傾けながらそう思った。
彼女の名は、当然ながら本名ではない。
彼女が本来、どう呼ばれるべき女性で、どんな場所に生まれ、
どのような親のもとでどう育てられ、学び、友を得て、老いたのか。
誰も知らない。戦女神の名を名乗る女も、語ることはほとんどない。
……たしかなのは、彼女にはかつて仲間がいたということだ。
在りし日のタペストリー。夕日差す酒場でのひととき。
意図せぬ形で引き出された悪夢があるゆえか、想起するそれは普段よりもはっきりとしていて、それが酩酊の度合いを知らせてもいた。
「どうしたのじゃ冒険者どのよ、もう酔い潰れてしもうたか?」
「……ハッ、生意気なことを言うんじゃないよ、小娘の分際で」
老婆は我に戻り、対面に座るドワーフの女を睨んで言い放った。
どんな話の流れだったかは思い出せない――そも、酒を酌み交わす流れなど、酒を呑む理由以上にどうでもいいものだ――が、とにかくこうして卓についている。
テーブルを囲んだならば、あとは呑むだけだ。ひたすらに、がむしゃらに。
あの日、仲間たちと幾度となくそうして、潰してきたように。
「アンタもずいぶん頑張ったじゃないかね。いや、もともとアンタは一人だったんだ。
ま、その蛮勇を褒めるつもりはないが……逃げなかったのは及第点だよ」
「お前さんのような古強者にそう言われると、なんだか髭がこそばゆいのう!」
ガラットはからから笑って、サイズの違うビアグラスをかちんと打ち鳴らす。
「「ハイホー」」
そしてまた、杯を干す。悪魔も殺すと名高い、地獄めいた熱量が喉を灼いた。
ああ、心地いい。胸の燃えるような熱も、この懊悩の前には些細なもの。
そうだ、酒はこうして呑むのだ。つまみなんて必要ない。
歩んできた過去の苦味が、どうしようもなく酒を呷らせるのだから。
……とはいえ、寄る年波には勝てないという言葉もある。
すっかり酔い潰れてぐーぐーいびきをかいているガラットの前から立ち、
老婆はふらつく足をしゃっきりと意志の力で動かしながら物陰へ。
貼り付けたような鉄面皮。刻み込まれた皺は大樹の年輪めいている。
戻したり、酔いに任せて暴れる悪酔いなんてのは、プライドが赦さない。
「……ったく」
かはぁ、と酒の熱にかっかしたため息を漏らし、老婆は毒づいた。
ちょうどそこへ、なにやらほうぼうの体の賢者がふらふらやってくる。
「……おや、ムルヘルベルじゃないかい。珍しい」
「んぅ? おお、これはこれは。いや色々とあってな……」
おそらく若者のエネルギーにあてられたのだろう、苦笑する賢者。
老婆の様子を見て取ると、持っていたチェーサーを差し出した。
「いいのかい?」
「ワガハイは酔いは醒めておるからな。酒よりはこちらのほうが餞別によかろう?」
わかってるじゃないか、と言いながら、老婆はそれを一息に煽る。
……心地よい。冷えた水の感触が、熱を潮のようにさらっていく。
「毎度毎度、これだけの馬鹿騒ぎを導くんだ。アンタも大変だね」
「まさか。ワガハイはただ予知して、皆に伝えるだけ。戦うのは彼らだ。
……ワガハイはむしろ、オヌシらに感謝すべき立場だよ。労るべきでもあるかな」
「バカをお言いでないよ。まだまだそんな歳じゃないさね」
「ならばもう一献、いってみるか?」
「面白い。なら今度はアンタを潰してやろうじゃないか」
そうしてふたりの猟兵は、並び立って河岸を変えるとばかりに歩き出す。
エール、ビール、ブランデー。酒を席を変えて、平気な顔で飲み干していく。
……そんなとき、チェーサーを口にしながら、老婆は思った。
「アタシはね、バーをやってんのさ」
「ふうん……?」
「現実逃避みたいなもんさね。ただ、今じゃあそこは……いや」
こぼれかけた言葉を酒で飲み込み、老婆は賢者をちらりと見た。
大事な居場所、だなんて口にしようものなら、この熱もするりと引きそうだ。
だから言わない。そんな女のかんばせを、賢者はふんわりと見つめた。
「……強気な娘よなぁ、オヌシは」
「ハ。ジョークとした二流、おためごかしとしちゃ四流だね」
刻まれた皺に、笑みらしきものがゆるりと浮かんだ。
大成功
🔵🔵🔵
斬崎・霞架
無事に片が付いて何よりです。
物資も大半を回収できたようですね。
…ええ、まぁだいぶ派手にやっていた方たちもいましたし。
多くを取り戻せただけ良しとして頂けるとありがたいですね。
しかし、ガラットさんが女性だったとは。
申し訳ありません、素敵なレディ。貴女のような魅力的な女性(ひと)に気が付く事が出来なかった僕をお許しください。
もし良ければ、お酌でも致しましょうか。ふふ。
…ああ、僕はお酒は呑みませんよ。
まだ未成年ですしね。皆さんの様子と雰囲気を、楽しませて貰いますよ。
ジュースがあるなら、そちらを頂きましょうか。
とびきり上等なものをお願いしますよ。
…おっと、忘れる所でした。ハイホー、ですね。ふふ。
奇鳥・カイト
酒は飲めねえからジュースだな
…あるのか知らねえけど、ないなら食いもんだけでいいか
酒のつまみとかも、結構美味いしな
よし、今日はそれメインでいくか
……にしても騒がしいよな。どいつもこいつも浮かれてやがるよ
そんなに嬉しいんかね──俺にゃわからんが
…やり切ったンなら、悪くねえのかもな
(迫り来る過去を、討ち滅ぼせてんだからよ)
全く、俺もあやかりたいもんだな。俺のはそうそう簡単にゃ終わらねえけどよ
それはともかく、騒がしいのは苦手だし、隅っこに行くか…
人酔いしそうだ、人にも──後なんか肌みてっとムズムズするしよ
あっちでゆっくり食うとするか
アドリブ・交流歓迎します
ルーナ・ユーディコット
やけに疲れた……
気分の振れ幅も普段に比べて大きかったし
見せなくてもいい側面を見た顔に見られたような
今日に限ればもう人狼の耳を見られる事も気にしなくていいや
滞在先の……エンパイアではあまり食べない料理を(山盛りで)お皿にもらって、食べながらこの宴席の落ち着けるところに、行こうかな
人の交じりあう喧噪は好きだけど
喜怒哀楽に乏しい今の私では、その盛り上がりに付いていくのは難しいだろうから
せめて、今はこの喧噪を目と耳に焼き付けておきたい
きっとこの光景も私が戦う理由になってくれるから
より強固な覚悟をさせてくれると思うから
守りたいと思う人や光景が増える程に、私はきっと……命を賭して戦えるから
●喧騒のそば、ただ静かに
なんだか疲労感がすごい。あと、感情の振れ幅も、でかい。
なぜだろう。立ち込めていた酒精が、知らずうちに酔わせたせいか?
なんにしても、戦いは終わった。……終わったはずだ。終わった終わった。
ルーナ・ユーディコットはそう考えて、カウンターで注文をする。
「この世界……んー、集落でこそ食べられる料理を、ありったけ」
……やがて運ばれてきたのは、ボリューミーな豚スネ肉のロースト。
ステルツァ、あるいはシュバイネハクセと呼ばれるそれには、
いわゆる芋餅に似たクヌーデル、という付け合わせが盛られていた。
「ありがとう」
頷いて礼を言うと、果実水を手にルーナは空いていた席へと向かう。
喧騒からはやや離れた片隅……もちろん、あえてそこを選んでいる。
(……こうして、少し離れたところから眺めるのは、まだ好きなんだけどな)
陽気に騒ぐ酔漢達の宴を見やりながら、ルーナはカトラリーを動かした。
よく冷えた果実水で流し込めば、一度は火がついた熱も引いていくよう。
見た顔に、見せなくてもいい一面を見られたことだとか、
そういった懊悩は、濃いめの味と旨さのおかげでともに流れていく。
……かつてなら、この頬が落ちる美味に、感嘆しただろうか。
笑みもしない己の頬をつまんで、ルーナはこころの中でひとりごちた。
あの日。己だけが生き延びて、憎悪を糧に戦い続けてから、いろいろなものが燃え尽きた。
喜怒哀楽。ヒトとして当たり前の感情。感動。情動。
それが削げ落ち、焦げ付いた今の己では、陽気に水を差しかねない。
……そんな思いやり、気遣いこそ、ヒトらしい心持ちであることはさておき。
少なくとも、あんなふうに唄って騒ぐことは、自分には出来まい。
「……ここ、空いてるか」
「ん」
ふと聞いたことのある声に目をやれば、そこには学帽を被った少年。
静かに、だが苛烈な熱を讃えた赤い瞳は、半血の証左である。
奇鳥・カイト。ルーナと同じ宿に籍を置く、やや気難しい少年だ。
「おや、なにやらお揃いで。せっかくなので僕もよろしいでしょうか?」
そこへ惹きつけられたかのように、タイミングよくもうひとりの"宿"の者が。
斬崎・霞架。ふたりと同じように、酒精のない果実水を手に持っている。
「……ここがいいの?」
「ええ。僕はあくまで、皆さんの雰囲気と様子を楽しみたいだけですから」
「ま、俺も似たようなモンだな。苦手なんだよ、騒がしいの」
霞架、カイトはそれぞれ、どこかルーナに似た理由を口にした。
ならば、見知った顔を相手に、固辞する理由もありはすまい。
人混みを避けるようにして、三人の"宿"の者が卓を同じくして席についた。
「……にしても、そんなに嬉しいんかね。俺にゃわかンねぇ」
「おや? この騒ぎがお好きではないと?」
「そういうわけじゃねェよ。ただ――そう、わかんねえだけだ」
カイトは学帽を被り直しながら、霞架の言葉に対しそう答える。
……猟兵としての戦いは、オブリビオンという過去に相対するもの。
いかな形であれ、世界を滅ぼそうとする過去を倒すことは、悪いことではない。
ただ、だからといって、こんなふうに浮かれて騒ぐのは、不思議だ。
少なくともカイト自身の戦いは、一朝一夕で終わるものでもないのだから。
「――たしかに、こうやって騒げって言われても、私には無理だけど」
そこでぽつりと、ルーナが言った。
「この光景は、私の……私たちが戦う理由のひとつに、なってくれると思う。
守りたいと思うものが、人が増えることは……悪いことではない、かな」
そのための覚悟を、より強めてくれるならば、なおさらに。
「そうですね。加わることが出来ずとも、僕も皆さんの騒がしさは快く思います。
そう説明したとして、おそらく多くの人は、はいそうですかと理解はしてくれないでしょう」
はみ出しもの、あえてその明るさに背をそむけたもの。
事情やそれぞれの信念はさておき、単に人混みを厭う以外にも、
人によって多くの理由がある。思うこと、貫きたいことがある。
「だからひとまずは、無事に戦いが済んで、奪われたものを取り返すことができて。
めでたしめでたし、と。そんな感じで済ませても、いいのではないですか?」
「……ふん、あやかりたいもんだな、俺も」
「ならば戦い続けるほかにないでしょうね。これからも、これまでも」
「わかってるさ。なら、腹が減ってはなんとやら、だろ」
どん、と若者らしい山盛りの皿をテーブルに置き、カイトはがつがつと食事を始める。
つまみがメインということもあり、ドワーフの料理はどれもボリューミーだ。
「……なんだよ、お前らは食わないのか?」
「僕はほどほどにしておきますよ」
「私は、うん。お腹空いちゃったから、食べようかな」
けして彼方ほどに騒がしくはない、静かな、しかし穏やかなひとときである。
「おお、ここにもおったか、冒険者どのたちよ!」
が、そこになんだか、騒がしいドワーフの戦士がやってきてしまった。
「おやガラットさん、こうして間近で見ると、実にステキなレディですね?」
「お、おお? なんじゃ、藪から棒に……それほどでもぅ」
「あなたのような魅力的なひとに、どうかお詫びをさせてください。
どうです? ひとつお酌でも。僕でよければ、ですが」
てれてれと静かになったガラットをうまいことコントロールする霞架。
そんな彼がちらりと向けた視線に、カイトとルーナはきょと、と顔を見合わせて、
「……ありがとう?」
「ドワーフに騒がれたら、隅っこ来た意味ねえし、な」
どこか苦笑めいた表情を浮かべて、そういうのだった。
幸い、静かで穏やかな宴のひとときは、片隅でもう少し続く。
彼らが腹と喉を満たし、次の戦いに目を向ける、そのときまでは。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夏目・晴夜
アインさん(f01107)と
同席?全然構いませんよ、メロさんを嫁に下さるならば
えー駄目ですか?ならアインさんでもいいや
アインさん結婚してください、ニッキーくんと
どうぞ存分にパパンと呼んで崇めてください
家族になるんですから遠慮は不要ですよ、アインお義母さん……
はい、茶番はここまでにして食べますか
ワインではなく葡萄ジュースで乾杯です
野菜も魚も食べるとは大人ですね
え、その肉いいんですか?優しい、ありがとうございます!
ではお返しに、間違って取ってしまった野菜をどうぞ
世界で今一番優しい空間は確実に我々の卓ですね
アインさんもニッキーくんも私ももれなく全員優しい
傍から見たら癒しオーラ出まくりでしょうね、此処
アイン・ローレンス
晴夜くん(f00145)と
晴夜くんお疲れ様でした!
…私何もしてないですけど同席しても良いんでしょうか?
え?メロ(相棒の灰色狼)は嫁にはやらんですよ
結婚!?…ニッキーくんと!私が!?(ファン)
これは晴夜くんをパパンと呼ぶべきでは?
…ドキドキさせ更にドキドキさせるなんて晴夜パパン恐ろしい子です…
嫁にはやらんですよ
ふふ、ココまでにして食べましょうか
私はジンジャエールで、かんぱーい!
んー野菜もみずみずしく、魚も脂がのっていて美味しいですー
あ、晴夜くんお肉もっと食べますか?
取り過ぎてしまったので食べて貰えると助かります
わーお野菜有難く!
それはもう自信を持って言えますね
優しさと癒しに満ち満ちていますとも!
●ホラー映画のキラーって妙にファン獲得しますよね
ニッキーくん、というバケモノがいる。
いや違う、森の奥のロッジに潜むシリアスキラー……でもない、
優しくて可愛い、あとハグとタックルが得意な物理系からくり人形がいる。
見た目? 見た目はなんかもう、いちいち描写しなくていいのでは?
相対した敵はほとんど恐怖しながらハグ(物理)されてトマトみたいに爆ぜとぶのだが、そんなニッキ―くんにハグされたくてされたくて、
脊髄ブチ折るぞという脅迫すら意に介さぬタフすぎるエルフがいる。
「晴夜くん、お疲れさまでした! ……私、なにもしてないですけど!!」
と、夏目・晴夜に元気よく挨拶している彼女……アイン・ローレンスがそうだ。
なお、その殺人鬼……もとい優しく可愛い(あとイケメン。アイン的には)ニッキ―くんの主が、他でもないこの傲岸不遜人狼である。
「おやアインさん、なにもしてないといいつつそのふてぶてしさ。
このハレルヤ、あまりのストレートさにあなたのその料理全部食べそうです」
「それ感動の表現としてさっぱりそぐわないですよね! あげませんよ!!
まあさておき、せっかくですしお席、一緒させていただいてもいいですか?」
流れるように茶番をこなしてスンッと平常に戻るのが彼女らの怖いところだ。
晴夜も、これで友好的な気さくさの表現なのだから、なお恐ろしい。
「全然構いませんよ? メロさんを嫁にくださるならば」
そして、けろっとこういうことを言う。メロというのはアインの相棒だ。
恩人であり親友であり家族、そう簡単に嫁に出すわけがありゃしない!
「というわけでダメです」
「えー、じゃあアインさんでもいいや」
さらっとプロポーズめいたことを言う。これはかなりのキラーパスだ。
はたしてアイン、この鋭いボールをいかにして打ち返すか!?
「結婚!? ニッキ―くんと!? 私が!?」
ものすごい打球がドームの天井に突き刺さった。怪物打者かな?
しかしアイン、割と本心である。ああ、あの大木みたいな腕に抱かれて、
脊髄とかレバーとかぐっちゃぐちゃにミンチみたいに混ぜられたい。
直訳するとハグされたい。ハグの表現がこんなグロくなるのマジなんなんだ。
「ええ、そうです。アインさん、ニッキ―くんと結婚してください。
そしてどうぞ、このハレルヤをパパンと存分に呼び、崇めて奉ってください」
「なるほど、後半部分は絶対にお断りしますがニッキーくんとの結婚は喜んで!!!!
式場はどうしますか? 海辺の教会とか私的におすすめなんですけど」
「もちろんどこでもいいですよ。家族になるんだから遠慮は不要ですとも」
「海のそばなら死体の処理も楽そうだなって顔で言う台詞ですかね!!」
「そんなこと考えてませんよ……アインお義母(かあ)さん……」
「流れるようにメロを娶ろうとしないでください。嫁にはやらんですよ」
「そうですね。あ、おしぼりいります?」
「いただきますね、ありがとうございます!」
ここまででふたりの挨拶(スパー)は終わる。いや長えな!?
出会い頭に言葉で殴り合うグラップラーたちはさておき、ここは宴の席だ。
一応は成人であるものの、酒に強くないのか、アインはジンジャーエールを呑むつもりらしい。
「乾杯しましょう晴夜くん! はいほー!」
「葡萄ジュースですがいいですかね。はいほー、っと」
かちん。グラスが打ち鳴らされ、よく冷えた飲み物がふたりの喉を嚥下されていく。
互いに運ばれてきた料理は、ザワークラウトや魚介類のマリネ、
はたまた牧畜を惜しみなく使ったシュニッツェルなど、様々である。
「んー、野菜も瑞々しいですね! でもここ、鉱山ですよね?」
「近くの村から、今回のお礼にということで届いたらしいんですよ」
「なるほど、じゃあこのお魚もとれたてなんでしょうか? 役得ですね!」
脂っこさが打ち消されて、ほどよい酸味を味わわせるサーモンを堪能するアイン。
山賊を退治したかどうかなど、ここことに至っては細かい話だ。
「それにしても、野菜も魚も食べるとは、さすが大人ですねアインさん」
「ふふ、晴夜くんはさすが若者、お肉ばかりですね。せっかくだしもっと食べます?」
「えっ、いいんですか? ありがとうございます! じゃあ私からは野菜をどうぞ」
「わー、お野菜ありがたく! 大人ですから食べますよ、大人ですから!」
「ええ、私もお肉をたっぷりいただきますよ、若者ですから」
にこにこもぐもぐ。いやー美形同士の朗らかな食事、シェアもしていて映えがある。
なんかふたりして言葉の裏に棘を感じる? 気のせい気のせい。
「世界でいま一番優しい空間は、確実に我々のテーブルですね……」
「それはもう自信をもって言えますね! 優しさと癒やしに満ちていますとも!」
いやこの人たちわかっててやってますね! どこまで殴り合いますね言葉で!
ふたりして見目麗しいし、言葉のノリ自体は丁寧で優しげだし、
あと傍から見るとシェアしてるようにしか見えないのがたちが悪い。
「うふふ、楽しいですね晴夜パパン!」
「そうですね、アイン義母さんとこんな時間が過ごせるなんて……」
「だから既成事実作らないでください嫁にはやらんですよ」
「ニッキ―くんと違ってアイン義母さんには可愛さが足りませんねえ!」
「だから嫁にはやらんですよ!」
……仲がいい、んですよね!?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルジャンテ・レラ
宴。何度か見たことがありますね。
文芸書を通してですが……
実際に私自らこの空間にいられるとは、不思議な感覚がします。
酒に酔うなど人間のような構造はないはずですが。
製造から二十年経っていないので、一応は未成年ということになるのでしょう。
未成年向けの飲料を戴きます。
酒場で定番の食べ物も、折角なので。
名産品を使用していると聞いています。
どのような味か興味がありまして。
何方かと同席していただければ幸いですね。
求められれば合言葉も言います。
こういった場は不馴れではありますが……
この感情は。
あの物語の登場人物が抱いていたものと、恐らく同じ。
あちこちから聞こえる賑やかな声や音は、……いいものですね。
薬袋・布静
ホォー……
付け髭とは、これまたお約束な感じで
眼鏡属性の素顔が〜とか
前髪重めの奴の素顔が〜系ですな
ま、しきたりを破ってまで敬意を払って貰った相手に
多くは言わんでおきましょか
なんせ、無事に酒と美味いつまみにありつけるんですから
手始めに溶岩酒のロックを手にした
そのまま普通に乾杯を、と思ったが先程の事を思い出し
集落の習わしに習いグラス片手に
ハイホー
一口、口にすれば名の通り上がる体温に
んー……中々に、効くわ…確かにこりゃ度数高いな…
つまみ無しじゃすぐ胃やられそうやわ
約束のつまみを強請ったり
まだ平気だが酔いが回りきる前に
酒全種類とつまみ数品を手土産に持ち帰れないか
交渉(誘惑&言いくるめ)といきましょうか
宗田・きいちご
皆さん、お疲れ様ですぅ~
お酌させてもらいますねぇ?
えへへぇ、いろんなお酒が沢山ありますねぇ
ん?これはきいちごを使ったお酒……?
わあ、宗田のお名前とおんなじですぅ
是非宗田にも一杯……
あう……未成年ってバレちゃってました?
残念ですぅ
そっちの飲み物もおいしそう!一口……あ、お酒ですかぁ……
そっちは……あう、お酒……
早く飲めるようになりたいなぁ……
あ、でもジュースも美味しいですねぇ♪
クロト・ラトキエ
ハイホー!
飲んでますかー?
僕はバッチリ頂いてます☆
飲兵衛じゃ無いですけど(重要)
『ハイ・ホー!』片手に、先にガラット嬢へご挨拶とお礼。
あの時から確信しておりましたが、やはり勇敢で可愛らしいお嬢さんでした。
僕もあと十年若かったらなー!って…ですけど。
もう無茶は禁物ですよ?
でー、ね。
ムルへルベル、『ワガハイも行きたい』って計7回くらい言ってた気もしますし?
では遠慮無く飲んで頂きましょう♪
え?他でもうお腹一杯?
やだなー、僕の酌じゃ飲めないとー?
限界の先に未知はある!
さぁ、叡智の彼方まで!
ハイホー!
…ま、日頃の感謝と労いも本気なんですけどね
(ほぼ素面なんですが…
酔ってる事にした方が楽しそうなのでネ☆)
●乾杯、ハイホー! もう一杯!
「ハイホー! 呑んでますかー? 僕はバッチリ頂いてます☆」
「わしがいうのもなんじゃが、お前さん完全な飲兵衛じゃな!?」
いきなりヌッと現れ、にこやかにアルハラをかましてきたクロト・ラトキエに、
ドワーフの戦士・ガラットはさすがに呆れた様子で驚いた。
「飲兵衛じゃないですよ。ここ重要なので、覚えておいてくださいね☆」
「もうがっつり呑んでる気配もすんのに、えらいふてぶてしいなあ……」
ガラットの対面で"溶岩酒"をロックにしていた薬袋・布静も、呆れた顔である。
なお、まだ手はつけていない。なにせつまみが……来ていない。
「ほらぁ、集落には美味いつまみがどうとか、言っとったやろ? はよ。
さすがに俺、火酒をつまみなしでガブガブ呑むほど命取りやないんで。はよ」
「はぁ~い、ご注文の品、お持ちしましたよぉ~」
と、間延びした声でドワーフの給仕が……いや、ドワーフではない?
なにやらピンク色の髪と瞳をした若い少女……しかもナース服だ……が、
一応両手に様々な料理と、あとグラスを並べたトレイを持ってやってきた。
「んなっ!? お前さん、集落の者ではないな!? 誰じゃ!」
「宗田・きいちごと申します~、せっかくなのでお酌がてら皆さんのお手伝いをしようかとぉ~」
驚くガラットに対し、きいちごはそう答えながら、てきぱき料理を並べる。
「……ムルヘルベルさん、ついてこいと言うから従いましたが、これは?」
「ん? どうせ卓を囲むなら、これから呑み始める者らのところがよかろう?
まあ、オヌシは呑まぬのであろうが、それもまた宴の流儀というわけである」
「……なるほど。そういうことであればすみません、失礼します」
そこへふらっとやってきたのは、グリモア猟兵であるムルヘルベルだ。
彼に連れられて、銀髪のミレナリィドールの少年、アルジャンテ・レラも続く。
物事の多くを書を通じて知る人形少年にとって、宴は文芸書の描写の代物。
それを肌で感じたい、と賢者に直談判したところ、ご覧のように、
ならばいっそどこかのテーブルへ飛び込もう、と連れられて来たらしい。
「お料理、たくさんあるからご安心くださいねぇ~?」
「いいですね、やはり宴会というのは人が多ければ多いほど楽しいものです!
それにムルヘルベル、君も7回ぐらい行きたい行きたいと言っていましたし?」
「言うとりましたなぁ。こらもう、がばがば呑んでもらうしかあらへんのでは?」
「いやワガハイを酔い潰れさせるつもり満々なのはやめてほしいのだが!?」
ニヤニヤ笑いつつよからぬことを共謀するクロトと布静にツッコミを入れる賢者。
皿を並べるきいちこがにこりと微笑むと、アルジャンテは控えめに会釈をした。
「ミレナリィドールの方もぉ、未成年とかあるんですかねぇ~?」
「少なくとも、私の素体は製造から今年でだいたい15年ほどですので。
酩酊を感じる機能があるかは不明ですが、決まりには従うべきでしょう」
無茶な飲酒を強行しないスタイル、ナース的にはイエスである。
なお、きいちごは別に免許とかは持ってない。ヤブ医者ならぬヤブナースだ。
……料理とか飲み物を触らせてはいけないタイプの人なのでは!?
「飲み物や食べ物は、正直見当がつきませんので皆さんにおまかせします」
「ならこのレモネードと、あとはマリネとそれとクヌーデルと……」
「まあまあ、ガラット。料理を勧める前に大事なことがありますよね?」
アルジャンテにのべつくまなく自慢の料理を挙げ始めたドワーフを諭し、
クロトは一同(きいちごも一応座らせた)を見渡し、グラスを掲げた。
「そうそう、やっぱ酒……まあ呑まん人もおりますけど、そこはまず、な」
「乾杯ですねぇ~? 宗田もご一緒しますよぉ~」
「うむ。では諸君。無事の山賊の討滅成功と、これからを祈って!」
賢者が音頭をとり、グラスを掲げる。それぞれに応じる一同。
カチン! ジョッキ、そしてグラスが小気味よく打ち鳴らされた!
「「「「「「ハイホー!」」」」」」
こうしなければ、やはり宴は始まった気がしないのだ。
「しかしま、付け髭とはまたお約束な感じですよなぁ」
「眼鏡をかけた女の子の素顔が、実は! 前髪重めの子の素顔は、なんと!
という、一種のテンプレートですねえ。ええ、僕はいいと思いますよ☆」
おそらくはガラットのことだろう、布静とクロトは、
なにやらジャーゴンらしいことを互いに口走り、うんうんと頷いている。
「そもそも、しきたり破ってまで礼を言ってくれた相手に、野暮なことは言うわけにもいかんしな。
それに、美味いつまみを食わせてくれるって約束も守ってくれたわけやし!」
さっそく料理に舌鼓を打ちつつ、布静はぐいっと"岩焦がし"を一杯。
なるほど銘柄に偽りなし。樽の深い香りとともに火酒が喉を駆け抜けて、
とたんに胃のあたりから、かぁっとした熱が湧き上がってきた。
「んー……中々に、効くわ……こりゃたしかに度数高いな……」
「えへへぇ、それもお酒なんですねぇ~? きいちごが使われてるんですかぁ?」
すかさず、すすっと間合いをつめたきいちごがなにやらしなを作る。
「宗田のお名前とおんなじですぅ。これは偶然とは思えませんねぇ~。
ぜひぜひぃ、宗田も一杯、一口でいいので味わってみたいというかぁ~」
「……いえ、きいちごさん。あなたも未成年のご様子ですが……?」
さすがはミレナリィドールか、アルジャンテはあっさりと彼女の年齢を看破した。
少年めいた賢者が同席していると、いまいち見た目の判断がつきにくいが、
こればかりは確信して言える。きいちごはてへり、と舌を出して微笑んだ。
「あう、バレちゃってましたかぁ。残念ですぅ」
「そうそう、若者は酒を羨むのもひとつの特権であるぞ。ふふん」
賢者ムルヘルベル、渾身のドヤ顔を披露しつつエールを呷っている。
なにかとビビったり凹まされたりが多い彼だが、一応こういう傲慢なキャラなのだ。
一応。そこそこ。それほどには。年の差マウントだって取る!
「そういう、年齢を傘に着た発言はどうかと思うのですが……」
「そうじゃそうじゃ! そういうのは年寄りのやることじゃ!」
「あれっワガハイの味方誰もおらんなこれ!?」
冷静沈着なアルジャンテとガラットのツッコミに、愕然とする愚か者であった。
「まあそれよりムルヘルベル、そこまで云うならもっともっと呑みましょう!
ね、ほら、まだまだボトルありますよ? せっかく美女が運んできてくれたんですから」
さりげなーくきいちごを褒め称えるあたり、クロトも油断ならない男だ。
にこにこスマイルで、明らかに度数の高い"トロール殺し"のボトルを持ちつつ賢者に迫る。
「いや待て、さすがにそんなものをこれ以上はだな」
「え? やだなー、僕のお酌じゃ呑めないとー?」
「でしたらぁ、宗田が代わりに一口ぃ……」
「いやアンタも細かく差し込んでくなや!?」
相変わらずなぜか酒を狙うきいちごに、布静が鋭いツッコミを入れる。
ともあれ、クロトは再びアルハラをかましていく。たじたじのムルヘルベル!
「限界の先に未知はある! さあ、叡智の彼方まで! ハイホー!!」
「こ、この飲兵衛、絡み上戸すぎるのじゃ……!」
「おやおやぁ、ガラット嬢はなにやら僕のことを勘違いしてますね?
勇敢で可愛らしいお嬢さん、あと10年僕が若かったら、あなたに絡んでいたかもですよ?」
「嬉しくないわ!?」
「なるほど、これがいわゆる泥酔者、というわけですか……」
アルジャンテは、またなにか間違った知識を仕入れている感がある。
ともあれきいちごと彼は、ふたりしてよく冷えた果実水を飲んでいるのだが、
「あ、でもこれもぉ、とても美味しいですねぇ~?」
「ええ、天然の氷窟を使っているおかげなのでしょうか。
……こうして卓を囲み騒ぐというのは、また独特の感じがありますね」
宴の喧騒とともに食事するだけでも、格別の楽しさがあるというもの。
まあそれはそれとして、きいちごは早くお酒を呑めるようになりたそうだが。
そんなこんなで、大量のお料理も飲み物も素晴らしい速度で目減りしていき、
「う、ううう、もう呑めぬ、うぐぐぐ……」
ムルヘルベルは完全に酔い潰れ、
「てなわけで、ひととおり酒とつまみを持ち帰りたいんですわ」
「ふうむ、まだ在庫があるか確かめてみるかのう……」
布静はガラットを相手に、得意の交渉術で手土産をねだり、
「……やっぱりお酒、呑みたいですねぇ……いいなぁ」
グラスに残った匂いをくんくんと嗅ぎながら、きいちごは甘い声を漏らしていた。
「……クロトさん」
「はぁい? なんですか?」
「いえ、あなたはひょっとすると、酩酊していないのではないか……と。
その割に酩酊したようなふりをしていたので、気になりまして」
と、そんな席で、アルジャンテは何気なくクロトに問うた。
クロトは一瞬だけ驚いた顔をしたあと、またにこりと人のいい笑みを浮かべ、
「そのほうが楽しいでしょう? 日頃の感謝とねぎらいをしたかったのは本当ですし」
と、答えたのだ。
「……そのほうが"楽しい"、ですか」
ひび割れた感情回路を持つ人形少年は、その言葉を反芻する。
いまだ多くの感情を知らず、感じたとてそれが"そう"であることを確信できぬアルジャンテ。
ただ、この宴もたけなわの熱と、雰囲気は、好ましいものだと感じていた。
「……なんとなくですが、理解できます。これは、いいものですね」
「ええ、そうなんですよ。だからもう一杯、僕は呑みますね☆」
「ずるいなぁ、俺も付き合わさしてもらいますわ」
「宗田もぉ……あ、いえ、お酌しますよぉ~?」
それを口実にまた酒盛りを始めた大人たちをちらりと見つつ、アルジャンテは……。
「……私も、呑めるようになりたいですね」
と、人形らしからぬ言葉を、たしかにぽつりと呟いた。
大成功
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