クエーサービースト『キエリビウムJOX』


〜スペースシップワールド・人類未踏宙域〜

 巨鯨撃破の後、宇宙船イシュメイルとそのクルー達は、人類の居住可能な惑星を求め、なおも旅を続けていた。
「ふうむ……ここはかつての銀河帝国が到達した最遠宙域。ここまでに惑星は無く、ここから先は未踏の地か。我等がイシュメイルで踏み込めぬのは残念だが……」
「艦長、人類の最大版図を誇った、かつての銀河帝国の文献にも、この『未踏宙域』の事は記されています。なのに、あの銀河皇帝さえも決して近づかなかった。その理由は」
「……わかっている。だからこうして無人偵察艇を」
「エイハブ艦長、無人偵察艇から映像来ます!」

 映像に何かが映っていたのは、ほんの一瞬。
 それは、映像に映った『何か』が、一瞬で偵察艇を破壊したからであった。

 僅かな沈黙の後。
「い、いま映った奴の大きさは……!?」
「計測の結果……おそらく巨鯨メルビレイの2倍です、艦長!」
「艦長、あれこそがおそらく、文献に記された未踏宙域の支配種族」
「星に等しき獣、その名も『クエーサービースト』!」
「文献によると、あれはキエリビウムJOX」
「クエーサービーストの『小さな尖兵』と、呼ばれています」

「……なるほど、これが理由か。そして残念ながら、我等にもどうにもできん。幸い、刺激する事は免れたようだ。急ぎ撤退し、猟兵達の判断を仰ごう」